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特表2022-522202産業排ガスの貯蔵・還元・脱硝システムおよび方法
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  • 特表-産業排ガスの貯蔵・還元・脱硝システムおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】産業排ガスの貯蔵・還元・脱硝システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/94 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
B01D53/94 222
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021550209
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(85)【翻訳文提出日】2021-08-27
(86)【国際出願番号】 CN2019114547
(87)【国際公開番号】W WO2020192114
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】201910226797.X
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509031567
【氏名又は名称】中国科学院過程工程研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF PROCESS ENGINEERING,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】NO.1 Zhongguancun North Second Street,Haidian District Beijing 100190,P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107216
【弁理士】
【氏名又は名称】伊與田 幸穂
(72)【発明者】
【氏名】朱 廷▲ギュ▼
(72)【発明者】
【氏名】徐 文青
(72)【発明者】
【氏名】王 芸▲ヒ▼
(72)【発明者】
【氏名】王 健
(72)【発明者】
【氏名】楊 陽
【テーマコード(参考)】
4D148
【Fターム(参考)】
4D148AB02
4D148AC01
4D148AC02
4D148AC04
4D148AC09
4D148BA03Y
4D148BA14Y
4D148BA15X
4D148BA17Y
4D148BA28Y
4D148BA30Y
4D148BA35Y
4D148BA41Y
4D148CD02
4D148CD05
4D148DA01
4D148DA02
4D148DA06
4D148DA10
(57)【要約】
本願は、産業排ガスの貯蔵・還元・脱硝システムおよび方法を提供する。前記方法は、(1)産業排ガス中のNO瞬時排出濃度が高い場合には、産業排ガスを触媒層に導入し、そのうちのNOが硝酸塩または亜硝酸塩の形態で触媒により酸化されて貯蔵されることと、(2)産業排ガス中のNO瞬時排出濃度が低い場合には、産業排ガスを加熱しながら、還元剤を吹き込んで、貯蔵されたNOを釈放し還元することと、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)産業排ガス中のNO瞬時排出濃度が高い場合には、産業排ガスを触媒層に導入し、産業排ガス中のNOが硝酸塩または亜硝酸塩の形態で触媒により酸化されて貯蔵されることと、
(2)産業排ガス中のNO瞬時排出濃度が低い場合には、産業排ガスを加熱しながら、還元剤を吹き込んで、貯蔵されたNOを釈放して還元することと、を含む産業排ガスの貯蔵・還元・脱硝方法。
【請求項2】
ステップ(1)における産業排ガス中のNO瞬時排出濃度が、ステップ(2)における産業排ガス中のNO瞬時排出濃度よりも高く、
好ましくは、ステップ(1)における産業排ガス中のNO瞬時排出濃度が100mg/mよりも高く、且つピーク濃度が10000mg/mであり、
好ましくは、ステップ(2)における産業排ガス中のNO瞬時排出濃度が0~100mg/mである、請求項1に記載の貯蔵・還元・脱硝方法。
【請求項3】
ステップ(2)において、NO釈放過程は、昇温速度を制御することにより徐々な釈放を実現するものであり、
さらに好ましくは、前記昇温速度が5℃/min~30℃/minである、請求項1または2に記載の貯蔵・還元・脱硝方法。
【請求項4】
前記方法には、ステップ(1)の前に前記産業排ガスに対して除塵および脱硫処理を行うことがさらに含まれる、請求項1または2に記載の貯蔵・還元・脱硝方法。
【請求項5】
前記産業排ガス中のNO瞬時排出濃度が周期的に変化し、
好ましくは、前記産業排ガスが非鉄製錬排ガスまたは回転窯排ガスである、請求項1~4のいずれか一項に記載の貯蔵・還元・脱硝方法。
【請求項6】
ステップ(1)において、酸化貯蔵過程における産業排ガスの温度が100℃~250℃であり、
好ましくは、ステップ(2)において、産業排ガス加熱過程には、ステップ(1)の前記酸化貯蔵過程における産業排ガスの温度から350~450℃までに昇温することが含まれる、請求項1~5のいずれか一項に記載の貯蔵・還元・脱硝方法。
【請求項7】
ステップ(1)において、前記触媒層には、酸化還元活性成分、貯蔵成分および担体が含まれ、
好ましくは、前記酸化還元活性成分は、白金系触媒、マンガン系触媒および銅系触媒を含み、
好ましくは、前記貯蔵成分は、バリウム系触媒およびカリウム系触媒を含み、
好ましくは、前記担体は、アルミニウム系触媒およびチタン系触媒を含み、
ステップ(2)において、前記還元剤は、水素ガス、一酸化炭素、プロピレンまたはアンモニアガスから選ばれる1種または少なくとも2種の混合物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の貯蔵・還元・脱硝方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の貯蔵・還元・脱硝方法を実現するシステムであって、
前記システムには、順に連結された加熱装置および貯蔵・還元・脱硝反応装置が含まれ、
前記貯蔵・還元・脱硝反応装置のチャンバーの上方に還元剤噴射装置が設けられ、
前記貯蔵・還元・脱硝反応装置は、固定床反応器を用いる、システム。
【請求項9】
脱硫装置と前記加熱装置との連結管路において排ガスオンラインモニタ装置がさらに設けられ、
好ましくは、前記システムには、順に連結された除塵装置および前記脱硫装置が含まれ、前記脱硫装置の出口が前記加熱装置の入口に連結され、
好ましくは、前記システムには、前記貯蔵・還元・脱硝反応装置の出口に連結された排ガス排出煙突がさらに含まれる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記除塵装置が、サイクロン除塵器、バッグ除塵器または電気バッグ除塵器であり、
好ましくは、前記脱硫装置が、循環流動床半乾式法脱硫装置、SDA脱硫装置または湿式法脱硫装置であり、
好ましくは、前記加熱装置が、熱風炉である、請求項8または9に記載のシステム。
【請求項11】
前記貯蔵・還元・脱硝反応装置には、チャンバーが含まれ、前記チャンバーの頂部における排ガス入口にガイドベーンが設けられ、前記ガイドベーンの下方に、ガス整流装置、還元剤噴射装置、静的混合装置および触媒フィラー層が順に設けられており、
好ましくは、前記貯蔵・還元・脱硝反応装置には、前記還元剤噴射装置に電気的に接続された制御システムがさらに含まれ、
好ましくは、前記触媒フィラー層は、少なくとも1層の触媒フィラーを含み、3層の触媒フィラーを含むことが好ましく、
好ましくは、前記ガス整流装置および静的混合装置は、いずれもステンレス材質である、請求項8~10のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、排ガス浄化の技術分野に属し、産業排ガスの貯蔵・還元・脱硝システムおよび方法に関し、たとえば、NOx瞬時濃度変化状況に基づき、脱硝を貯蔵過程および還元過程に分けるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業排ガス中のNOx瞬時排出濃度は、動作モード条件の変更に伴って波動的に変化する。関連脱硝技術には、主にNH3-SCR、アルカリ溶液直接吸収法、オゾン酸化+アルカリ溶液吸収法、活性炭吸着法などが含まれ、瞬時排出濃度が基本的に一定となる場合の脱硝ニーズを満たすことができる。しかしながら、一部の排ガス中のNOx瞬時排出濃度の変化規律は、図1に示すように、周期的に変化し、非鉄製錬排ガス、および回転窯排ガスを例として、そのNOx瞬時排出濃度が絶えず変化し、ピークが最高10000mg/m3に達し、1周期内にNOx瞬時排出濃度がゼロの時刻が同時に存在する。既存した脱硝技術がこのような排ガス条件の処理に用いられる場合、主に以下の問題が存在する。
【0003】
(1)NH3-SCRは、還元効率が一般的に95%未満であり、NOx瞬時排出濃度が10000mg/m3に達した際に、100mg/m3という排出標準を満たすことができない。そして、アンモニア噴射量が、激しく変化しているNOx瞬時濃度とリアルタイム合致できず、アンモニアガスの漏れに起因して二次汚染を引き起こしやすい。
【0004】
(2)アルカリ溶液直接吸収法は、大量のNO3 -、NO2 -が基準値を超えている廃液が生成してしまう。
【0005】
(3)オゾン酸化+アルカリ溶液吸収法は、NOx排出濃度に基づいてオゾン濃度をリアルタイム調節する必要があるので、過程で一定の応答時間を必要とする。
【0006】
(4)活性炭の使用量が大きいので、吸着後に再生または埋立処理を必要とする。
【0007】
日本トヨタ自動車株式会社により提出されたNOx貯蔵還元技術は、リーンバーンエンジン(ディーゼルエンジンおよびリーンバーンガソリンエンジン)の排気ガスを処理する過程で大きな優勢がある。リーンバーンエンジンの排気ガス中のNOx排出濃度が周期的に変化し、濃度がピークに達した際に、排気ガスには高い酸素含有量、および低いCO、H2、炭化水素化合物などの還元性ガス含有量が同時に存在する。NOx瞬時排出濃度が低い場合、排気ガスには高い還元性ガス含有量が同時に存在する。
【0008】
CN101422689Bでは、下記ステップを含む循環流動床窒素酸化物で排ガスを貯蔵して還元する脱硝方法およびその装置が開示されている。a、排ガスを加速または加圧した後、直接的に触媒を床材とする流動床貯蔵反応器に吹き込んで、床材を流すように動かしながら、NOxの酸化および吸収貯蔵を実現する。b、貯蔵反応器の尾部に設けられた気固分離器により気相・固相分離を実現し、気相が直接的に排出されてもよいし、次の段階のNOx浄化システムに進入して浄化してもよく、固相触媒が流動床還元再生反応器に進入する。c、NOxが貯蔵された触媒は、流動床還元再生反応器において還元剤に接触して、貯蔵されたNOxを還元することにより、触媒再生を実現する。d、再生した触媒を流動床貯蔵反応器に導入する。しかしながら、該技術案には循環流動床反応器が用いられているが、循環流動床反応器により固相を流化させる目的を実現することは、材料物性である触媒自身の性質、および成形製造などに対して深刻な要求を提出する。たとえば、粒度が大きい粒子としては、反応器中心で上昇し、一定の高度上昇した後に反応器の辺縁箇所で反落するというバックミキシング現象が存在し、粘性が大きい粒子としては、その粒度を20μm以下制御する必要がある。そのため、循環流動床としては、設計中に搬送分離高度の問題に注意する必要があり、つまり、触媒物性およびガス流速の影響を受けるので、循環流動床反応器の設計要求が高くなり、さもないと、固相を流化させる目的を達成できず、循環率が低下し、気相・固相接触時間が短く、触媒利用率が低下するという問題を引き起こす恐れがある。
【0009】
CN105251326Aでは、SNCR脱硝装置、SCR脱硝装置および酸化脱硝装置を含む還元・酸化連携脱硝システムおよびその脱硝方法が開示されている。前記SNCR脱硝装置は、還元剤貯蔵装置、サイクロンセパレータおよび還元剤噴射装置を含む。前記SCR脱硝装置は、還元剤補充用量制御装置および脱硝触媒層を含み、前記脱硝触媒層がボイラー排ガス管路尾部内に設けられている。前記酸化脱硝装置は、排ガス管路によってボイラー排ガス管路出口に連結され、順に排ガス管路によって連結された酸化反応装置、濃硝酸吸収塔およびアルカリ溶液洗浄塔を含む。前記酸化脱硝装置は、SNCR脱硝装置およびSCR脱硝装置により脱硝処理された排ガスに対して奥深い程度の脱硝処理を行う。しかしながら、該システムには、以下のような欠陥が依然として存在する。1、SNCR脱硝装置は、高温脱硝ニーズに適用され、反応温度窓が800~1100℃であり、効率が一般的に60%未満である。2、SCRは、NOx瞬時排出濃度が一定である動作モードに適用され、さもないと、NH3が過剰するという問題が存在し、二次汚染を引き起こしやすい。3、酸化脱硝装置は、一般的にオゾン酸化脱硝であり、NOx瞬時排出濃度の変化に基づいてオゾンの濃度をリアルタイム調節する必要があるが、実際生産においてオゾンの濃度の調節にヒステリシス効果が存在する場合がある。
【0010】
貯蔵還元技術は、NOx瞬時排出濃度が激しく変化する産業排ガスを処理するために用いられることにより、NOx瞬時排出濃度が高い場合にそれを触媒に貯蔵することができる。動作モード条件が変更し、NOx瞬時排出濃度が低いか、または排出が停止すると、触媒におけるNOxを徐々に釈放してN2に還元する。該過程は、触媒の再生を実現することができる。その為、関連産業排ガス脱硝技術が波動性排ガス条件に対する応答が遅く、瞬時高濃度のNOxに対する処理が排出標準に達しにくいなどの問題を解決することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以下は、本明細書における詳細に説明される主題についての概説である。本概説は、特許請求の範囲を限定するためのものではない。
【0012】
関連産業排ガス脱硝技術がこのような排ガス条件の処理に適用されることによる問題に鑑み、本願は、瞬時濃度変化が激しい産業排ガスの貯蔵・還元・脱硝システムおよび方法を提供することを目的とする。そのうち、NOx瞬時濃度変化状況に基づき、脱硝を貯蔵過程および還元過程に分けて、触媒(酸化還元活性成分/貯蔵成分/担体)の酸化還元活性成分および貯蔵成分を利用して、排ガス中のNOx瞬時濃度の波動性が強い場合には、NOxを硝酸塩または亜硝酸塩の形態で触媒表面に付与し、排ガス中のNOx瞬時濃度が低い場合には、還元剤を吹き込みながら、熱風炉をオンにして排ガスを加熱し、その場合、触媒におけるNOxを徐々に釈放してN2に還元する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
その目的を達成するために、本願は、以下の技術案を講じた。
【0014】
第1態様として、本願は、産業排ガスの貯蔵・還元・脱硝方法を提供する。前記方法は、以下を含む。
【0015】
(1)産業排ガス中のNOx瞬時排出濃度が高い場合には、産業排ガスを触媒層に導入し、そのうちのNOxが硝酸塩または亜硝酸塩の形態で触媒により酸化されて貯蔵される。
【0016】
(2)産業排ガス中のNOx瞬時排出濃度が低い場合には、産業排ガスを加熱しながら、還元剤を吹き込んで、貯蔵されたNOxを釈放して還元する。
【0017】
本願の好ましい技術案として、ステップ(1)における産業排ガス中のNOx瞬時排出濃度がステップ(2)における産業排ガス中のNOx瞬時排出濃度よりも高い。
【0018】
好ましくは、ステップ(1)における産業排ガス中のNOx瞬時排出濃度が100mg/m3よりも高く、たとえば、150mg/m3、200mg/m3、250mg/m3、300mg/m3、350mg/m3、400mg/m3、450mg/m3、500mg/m3、550mg/m3、600mg/m3、650mg/m3、700mg/m3、750mg/m3、800mg/m3、950mg/m3または1000mg/m3であってもよく、ピーク濃度が10000mg/m3である。
【0019】
好ましくは、ステップ(2)における産業排ガス中のNOx瞬時排出濃度が0~100mg/m3であり、たとえば、10mg/m3、20mg/m3、30mg/m3、40mg/m3、50mg/m3、60mg/m3、70mg/m3、80mg/m3または90mg/m3であってもよい。
【0020】
本願は、触媒における貯蔵成分を利用して瞬時排出濃度が高いNOxを触媒に貯蔵し、瞬時排出濃度が低い場合に釈放し還元することにより、瞬時排出濃度の激しい変化に起因して関連産業排ガス脱硝技術が波動性排ガス条件に対する応答が遅く、瞬時高濃度が排出標準に達することができないなどの問題を効果的に回避することができる。
【0021】
具体的には、前記方法は、以下のステップを含む。
【0022】
(I)オンラインモニタ装置により、NOx瞬時排出濃度が100mg/m3超、且つピーク濃度が10000mg/m3に達することが検出された際に、触媒における酸化活性成分で貯蔵・還元・脱硝装置に導入されたNOをNO2に酸化する。
【0023】
前記化学反応は、以下の反応を含んだが、それに限定されていない。
【式1】
【0024】
【式2】
【0025】
【式3】
【0026】
【式4】
【0027】
【式5】
【0028】
【0029】
(II)触媒における貯蔵成分と酸化されたNO2とを反応させて、それを硝酸塩または亜硝酸塩の形態で触媒に貯蔵させる。
【0030】
前記化学反応は、以下の反応を含んだが、それに限定されていない。
【式6】
【0031】
【式7】
【0032】
【式8】
【0033】
【式9】
【0034】
【0035】
(III)オンラインモニタ装置により、NOx瞬時排出濃度が0~100mg/m3であることが検出された際に、加熱装置および還元剤噴射装置がオン状態となる場合、触媒におけるNOxを徐々に釈放してN2に還元する。
【0036】
好ましくは、前記化学反応は、以下の反応を含んだが、それに限定されていない。
【式10】
【0037】
【0038】
本願の好ましい技術案として、前記方法には、さらに、ステップ(1)の前に前記産業排ガスに対して除塵および脱硫処理を行うことが含まれる。
【0039】
本願の好ましい技術案として、前記産業排ガス中のNOx瞬時排出濃度が周期的に変化する。
【0040】
好ましくは、前記産業排ガスが非鉄製錬排ガスまたは回転窯排ガスである。
【0041】
本願の好ましい技術案として、ステップ(1)において、前記酸化貯蔵過程における産業排ガス温度が100℃~250℃であり、たとえば110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、220℃、230℃または240℃であってもよい。
【0042】
好ましくは、ステップ(2)において、前記加熱過程には、ステップ(1)における前記酸化貯蔵過程における産業排ガス温度から350~450℃までに昇温することが含まれ、たとえば、100℃から350℃、110℃から350℃、120℃から360℃、130℃から360℃、140℃から380℃、150℃から380℃、160℃から400℃、170℃から400℃、180℃から420℃、190℃から420℃、200℃から440℃、210℃から440℃、220℃から450℃、230℃から450℃、240℃から450℃または250℃から450℃までに昇温してもよい。
【0043】
好ましくは、ステップ(2)において、前記NOxの徐々な釈放過程は、昇温速度を制御することにより実現され、さらに好ましくは、前記昇温速度が5℃/min~30℃/minであり、たとえば5℃/min、10℃/min、15℃/min、20℃/min、25℃/minまたは30℃/minであってもよい。本願は、排ガスを徐々に昇温させることにより、触媒中のNOxの釈放速度を制御する目的を達成する。
【0044】
本願の好ましい技術案として、ステップ(1)において、前記触媒には、酸化還元活性成分、貯蔵成分および担体が含まれる。
【0045】
好ましくは、前記酸化還元活性成分は、白金系触媒、マンガン系触媒および銅系触媒を含む。
【0046】
好ましくは、前記貯蔵成分は、バリウム系触媒およびカリウム系触媒を含む。
【0047】
好ましくは、前記担体は、アルミニウム系触媒およびチタン系触媒を含む。
【0048】
ステップ(2)において、前記還元剤は、水素ガス、一酸化炭素、プロピレンまたはアンモニアガスから選ばれる1種または少なくとも2種の混合物であり、たとえば、水素ガスと一酸化炭素の混合物、水素ガスとプロピレンの混合物、水素ガスとアンモニアガスの混合物、一酸化炭素とプロピレンの混合物、一酸化炭素とアンモニアガスの混合物またはプロピレンとアンモニアガスの混合物であってもよい。
【0049】
第2態様として、本願は、第1態様に記載された貯蔵・還元・脱硝方法を実現するシステムを提供する。前記システムには、順に連結された加熱装置および貯蔵・還元・脱硝反応装置が含まれる。前記貯蔵・還元・脱硝反応装置のチャンバーの上方において還元剤噴射装置が設けられており、前記貯蔵・還元・脱硝反応装置が固定床反応器を使用する。本願に係る貯蔵・還元・脱硝反応塔は、固定床であり、その場での貯蔵および還元過程を実現することができるが、循環流動床を使用しない理由は、循環流動床により固相を流化させる目的を達成しようとすることは、材料物性である触媒自身の性質、および成形製造に対して深刻な要求があるからである。たとえば、粒度が大きい粒子としては、反応器中心で上昇し、一定の高度上昇した後に反応器の辺縁箇所で反落するというバックミキシング現象が存在し、粘性が大きい粒子としては、その粒度を20μm以下制御する必要があるなどの問題がある。そのため、循環流動床としては、設計中に搬送分離高度の問題に注意する必要があり、つまり、触媒物性およびガス流速の影響を受けるので、循環流動床反応器の設計要求が高くなり、さもないと、固相を流化させる目的を達成できず、循環率が低下し、気相・固相接触時間が短く、触媒利用率が低下するという問題を極めて引き起こしやすい恐れがある。その為、本願は、固定床反応器を貯蔵・還元・脱硝反応塔として用いる。
【0050】
本願の好ましい技術案として、前記システムには、順に連結された除塵装置および脱硫装置がさらに含まれる。前記脱硫装置の出口が前記加熱装置の入口に連結されている。本願は、システムの前端に脱硫装置が設けられていることで、触媒硫化中毒の問題を回避することができる。
【0051】
好ましくは、前記脱硫装置と前記加熱装置との連結管路において排ガスオンラインモニタ装置がさらに設けられている。本願は、オンラインモニタ装置が設けられていることで、NOx瞬時排出濃度変化状況に基づいてインテリジェント調節を実現するとともに、加熱装置と還元剤噴射装置のオンまたはオフを決定する。
【0052】
本願は、NOx瞬時濃度変化状況に基づき、脱硝を貯蔵過程および還元過程に分けている。まず、排ガスオンラインモニタ装置で産業排ガス中のNOx瞬時排出濃度を検出する。排ガスオンラインモニタ装置により、産業排ガス中のNOx瞬時排出濃度が100mg/m3超であることが検出された際に、加熱装置および還元剤噴射装置がオフ状態となり、産業排ガスに対して酸化貯蔵過程を行い、排ガス中のNOxが硝酸塩または亜硝酸塩の形態で触媒に貯蔵される。排ガスオンラインモニタ装置により、産業排ガス中のNOx瞬時排出濃度が0~100mg/m3であることが検出された際に、加熱装置および還元剤噴射装置をオンにし、産業排ガスに対して釈放還元過程を行い、触媒におけるNOxが釈放されてN2に還元される。
【0053】
好ましくは、前記システムには、前記貯蔵・還元・脱硝反応装置の出口に連結された排ガス排出煙突がさらに含まれる。
【0054】
本願の好ましい技術案として、前記除塵装置が、サイクロン除塵器、バッグ除塵器または電気バッグ除塵器である。
【0055】
好ましくは、前記脱硫装置が循環流動床半乾式法脱硫装置、SDA脱硫装置または湿式法脱硫装置である。
【0056】
好ましくは、前記加熱装置が熱風炉である。
【0057】
本願の好ましい技術案として、前記貯蔵・還元・脱硝反応装置には、チャンバーが含まれる。前記チャンバーの頂部における排ガス入口にガイドベーンが設けられ、前記ガイドベーンの下方にガス整流装置、還元剤噴射装置、静的混合装置および触媒フィラー層が順に設けられている。
【0058】
好ましくは、前記貯蔵・還元・脱硝反応装置には、前記還元剤噴射装置に電気的に接続された制御システムがさらに含まれる。
【0059】
好ましくは、前記触媒フィラー層は、少なくとも1層の触媒フィラーを含み、3層の触媒フィラーを含むことが好ましい。3層の触媒フィラー層の貯蔵作用により、触媒のNOxに対する効率的な貯蔵を実現することができる。
【0060】
好ましくは、前記ガス整流装置および静的混合装置は、いずれもステンレス材質である。
【0061】
本願に記載される数値範囲は、上記の挙げられている点値を含むだけでなく、挙げられていない上記数値範囲間の任意の点値を含む。紙面の都合上、および簡潔にするために、本願は、前記範囲に含まれる具体的な点値を網羅的に列挙しない。
【発明の効果】
【0062】
従来技術と比べると、本願の有益な効果は以下の通りである。
【0063】
(1)本願は、触媒における貯蔵成分を使用して瞬時排出濃度が高いNOxを触媒に貯蔵し、瞬時排出濃度が低い場合に釈放して還元することにより、瞬時排出濃度の激しい変化に起因して関連産業排ガス脱硝技術が波動性排ガス条件に対する応答が遅く、瞬時高濃度が排出標準に達することができないなどの問題を効果的に回避することができる。本願に係る産業排ガス貯蔵・還元・脱硝方法を使用することにより、1貯蔵・還元周期内にNOxの合計除去率が95%以上に達することができる。
【0064】
(2)本願は、反応過程で触媒が絶えず再生することを実現し、副生成物による二次汚染の問題を回避することができる。
【0065】
詳細な説明及び図面を読んで理解した後、他の態様を分かることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】本願の背景技術に係るNOx瞬時排出濃度の周期的な変化規律の模式図である。
図2】本願の1つの具体的な実施形態に係る貯蔵・還元・脱硝装置の構造連結模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下は、本願についてさらに詳しく説明する。しかし、以下の実施例は、本願の簡単的な例に過ぎず、本願の保護範囲を代表または限定するためのものではない。本願の保護範囲は、特許請求の範囲を基準とする。
【0068】
以下、図面を結び付けて具体的な実施形態によって本願の技術案を詳細に説明する。
【0069】
1つの具体的な実施形態において、本願は、産業排ガスの貯蔵・還元・脱硝システムを提供する。図2に示すように、前記システムには、順に連結された除塵装置1、脱硫装置2、熱風炉4、および貯蔵・還元・脱硝反応装置11が含まれる。前記脱硫装置2と熱風炉4との連結管路において排ガスオンラインモニタ装置3が設けられている。
【0070】
前記除塵装置1は、下部に排ガス入口が設けられ、上部に排ガス出口が設けられている。脱硫装置2は、下部に排ガス入口が設けられ、頂部に排ガス出口が設けられている。熱風炉4は、下部に排ガス入口が設けられ、上部に排ガス出口が設けられている。貯蔵・還元・脱硝反応装置11は、上部に排ガス入口が設けられ、下部に排ガス出口が設けられている。
【0071】
除塵装置1の排ガス出口が脱硫装置2の排ガス入口に連結され、脱硫装置2の排ガス出口が熱風炉4の排ガス入口に連結され、脱硫装置2と熱風炉4との連結管路に排ガスオンラインモニタ装置3がさらに連結され、熱風炉4の排ガス出口が貯蔵・還元・脱硝反応装置11の排ガス入口に連結され、貯蔵・還元・脱硝反応装置11の排ガス出口が煙突12の排ガス入口に連結されている。
【0072】
前記貯蔵・還元・脱硝反応装置11の排ガス入口にガイドベーン5が設けられている。ガイドベーン5の下方に、ガス整流器6、還元剤噴射装置7、静的混合器9および触媒フィラー層10が順に設けられている。前記貯蔵・還元・脱硝反応装置11には、前記還元剤噴射装置7に電気的に接続された制御システム8がさらに含まれる。ガス整流器6および静的混合器9は、いずれもステンレス材質である。
【0073】
本願は、触媒フィラー層10の数を具体的に限定しない。当業者であれば、産業排ガスの実際の動作モードに基づいて触媒層の数をリアルタイム調節する必要がある。例示的には、図2に示すように、前記触媒フィラー層は、3層の触媒フィラーを含み、3層の触媒フィラー層の貯蔵作用により、触媒のNOxに対する効率的な貯蔵を実現することができる。
【0074】
他の具体的な実施形態において、本願は、産業排ガス貯蔵・還元・脱硝方法を提供する。具体的な操作ステップは、以下を含む。
【0075】
(1)産業排ガスが除塵装置および脱硫装置を通過した後、オンラインモニタ装置によりNOx瞬時排出濃度を検出する。NOx瞬時排出濃度が100mg/m3超である場合、熱風炉および還元剤噴射装置をオフにする。排ガスが貯蔵・還元・脱硝反応装置における触媒フィラー層を流れて、触媒における酸化活性成分および貯蔵成分と前記酸化貯蔵過程を発生し、排ガス中のNOxが硝酸塩または亜硝酸塩の形態で触媒に貯蔵される。
【0076】
(2)産業排ガスが除塵装置および脱硫装置を通過した後、オンラインモニタ装置によりNOx瞬時排出濃度を検出する。NOx瞬時排出濃度が0~100mg/m3の範囲内にある場合、熱風炉および還元剤噴射装置をオンにする。排ガスが酸化貯蔵過程時の排ガス温度から徐々に350℃までに昇温し、還元剤および温度の影響で、触媒におけるNOxが徐々に釈放されてN2に還元される。
【0077】
実施例1
【0078】
本実施例は、具体的な実施形態に係るシステムで行われる産業排ガス貯蔵・還元・脱硝方法を提供する。具体的な操作ステップは、以下を含む。
【0079】
(1)産業排ガスが除塵装置および脱硫装置を通過した後、オンラインモニタ装置によりNOx瞬時排出濃度を検出する。NOx瞬時排出濃度が100mg/m3超である場合、熱風炉および還元剤噴射装置をオフにする。排ガスが貯蔵・還元・脱硝反応装置における触媒フィラー層を流れて、触媒における酸化活性成分および貯蔵成分と前記酸化貯蔵過程を発生し、排ガス中のNOxが硝酸塩または亜硝酸塩の形態で触媒に貯蔵される。前記酸化貯蔵過程における排ガス温度が100℃である。
【0080】
(2)産業排ガスが除塵装置および脱硫装置を通過した後、オンラインモニタ装置によりNOx瞬時排出濃度を検出する。NOx瞬時排出濃度が0~100mg/m3の範囲内にある場合、熱風炉および還元剤噴射装置をオンにする。排ガスが100℃から徐々に350℃までに昇温し、昇温速度が30℃/minであり、還元剤および温度の影響で、触媒におけるNOxが徐々に釈放されてN2に還元される。
【0081】
該実施例により、1貯蔵・還元周期内のNOxの合計除去率が95%以上に達することができる。
【0082】
実施例2
【0083】
本実施例は、具体的な実施形態に係るシステムで行われる産業排ガス貯蔵・還元・脱硝方法を提供する。具体的な操作ステップは、以下を含む。
【0084】
(1)排ガスが除塵装置および脱硫装置を通過した後、オンラインモニタ装置によりNOx瞬時排出濃度を検出する。NOx瞬時排出濃度が100mg/m3超である場合、熱風炉および還元剤噴射装置をオフにする。排ガスが貯蔵・還元・脱硝反応装置における触媒フィラー層を流れて、触媒における酸化活性成分および貯蔵成分と前記酸化貯蔵過程を発生し、排ガス中のNOxが硝酸塩または亜硝酸塩の形態で触媒に貯蔵される。前記酸化貯蔵過程における排ガス温度が150℃である。
【0085】
(2)排ガスが除塵装置および脱硫装置を通過した後、オンラインモニタ装置によりNOx瞬時排出濃度を検出する。NOx瞬時排出濃度が0~100mg/m3の範囲内にある場合、熱風炉および還元剤噴射装置をオンにする。排ガスが150℃から徐々に400℃までに昇温し、昇温速度が20℃/minであり、還元剤および温度の影響で、触媒におけるNOxが徐々に釈放されてN2に還元される。
【0086】
該実施例により、1貯蔵・還元周期内のNOxの合計除去率が97.2%に達することができる。
【0087】
実施例3
【0088】
本実施例は、具体的な実施形態に係るシステムで行われる産業排ガス貯蔵・還元・脱硝方法を提供する。具体的な操作ステップは、以下を含む。
【0089】
(1)排ガスが除塵装置および脱硫装置を通過した後、オンラインモニタ装置によりNOx瞬時排出濃度を検出する。NOx瞬時排出濃度が100mg/m3超である場合、熱風炉および還元剤噴射装置をオフにする。排ガスが貯蔵・還元・脱硝反応装置における触媒フィラー層を流れて、触媒における酸化活性成分および貯蔵成分と前記酸化貯蔵過程を発生し、排ガス中のNOxが硝酸塩または亜硝酸塩の形態で触媒に貯蔵される。前記酸化貯蔵過程における排ガス温度が200℃である。
【0090】
(2)排ガスが除塵装置および脱硫装置を通過した後、オンラインモニタ装置によりNOx瞬時排出濃度を検出する。NOx瞬時排出濃度が0~100mg/m3の範囲内にある場合、熱風炉および還元剤噴射装置をオンにする。排ガスが200℃から徐々に420℃までに昇温し、昇温速度が10℃/minであり、還元剤および温度の影響で、触媒におけるNOxが徐々に釈放されてN2に還元される。
【0091】
該実施例により、1貯蔵・還元周期内のNOxの合計除去率が96.4%に達することができる。
【0092】
実施例4
【0093】
本実施例は、具体的な実施形態に係るシステムで行われる産業排ガス貯蔵・還元・脱硝方法を提供する。具体的な操作ステップは、以下を含む。
【0094】
(1)排ガスが除塵装置および脱硫装置を通過した後、オンラインモニタ装置によりNOx瞬時排出濃度を検出する。NOx瞬時排出濃度が100mg/m3超である場合、熱風炉および還元剤噴射装置をオフにする。排ガスが貯蔵・還元・脱硝反応装置における触媒フィラー層を流れて、触媒における酸化活性成分および貯蔵成分と前記酸化貯蔵過程を発生し、排ガス中のNOxが硝酸塩または亜硝酸塩の形態で触媒に貯蔵される。前記酸化貯蔵過程における排ガス温度が250℃である。
【0095】
(2)排ガスが除塵装置および脱硫装置を通過した後、オンラインモニタ装置によりNOx瞬時排出濃度を検出する。NOx瞬時排出濃度が0~100mg/m3の範囲内にある場合、熱風炉および還元剤噴射装置をオンにする。排ガスが250℃から徐々に450℃までに昇温し、昇温速度が5℃/minであり、還元剤および温度の影響で、触媒におけるNOxが徐々に釈放されてN2に還元される。
【0096】
該実施例により、1貯蔵・還元周期内のNOxの合計除去率が96.8%に達することができる。
【0097】
当業者であれば、NOxの合計除去率が多くの要素により影響されることを理解すべきである。上記実施例に係る除去データは、単にラボラトリー再生評価によるパラメータデータであり、工程再生評価の指導性データとして用いられない。
【0098】
比較例1
【0099】
CN101422689Bでは、循環流動床窒素酸化物貯蔵還元排ガスの脱硝方法およびその装置が開示されており、実施例1と同様な構成を有する産業排ガスを用いてCN101422689Bで開示された脱硝方法を行い、具体的な操作ステップは、以下を含む。
【0100】
産業排ガスを排ガス圧縮機で加圧または加速した後、排ガスノズルによって流動床貯蔵反応器に吹き込んで、触媒入口によって粉体NOxトラップ触媒を床材として流動床NOx貯蔵反応器内に予め置いて、排ガスによりNOxトラップ触媒を動かしてともに流化する。NOx貯蔵流動床反応器内にNOxトラップ触媒のNOxに対する貯蔵を実現し、排ガスからNOxを除去する。触媒に貯蔵されたNOxは、硝酸塩、亜硝酸塩または他の形態の固定化されたNOx(吸収、吸着または酸化吸収)であってもよい。
【0101】
流動床貯蔵反応器における排ガスおよびNOxが貯蔵された触媒が排ガス出口連結管によって気固分離器に進入し、気相・固相が気固分離器に気相・固相分離を実現する。気相は、直接的に浄化ガス出口によって標準に達するように排出されてもよいし、標準に達しない場合に次の段階の循環流動床NOx貯蔵還元反応器に進入して処理されてもよい。NOxが貯蔵された固相触媒粒子が流動床還元再生反応器に進入する。
【0102】
還元剤入口によって流動床還元再生反応器に還元剤を吹き込んで、固相触媒を流すように動かす。還元剤の還元能力および触媒の触媒性能の強さによれば、ヒータで反応器の温度を調節し、最大限でNOxの選択的な触媒還元を実現しながら、NOxトラップ触媒の再生を実現する。
【0103】
本願に係る産業排ガス貯蔵・還元・脱硝方法と比較例1に係る循環流動床窒素酸化物貯蔵還元排ガスの脱硝方法とを総合的に分析することにより、以下のことを発見することができる。
【0104】
(1)本願に係る産業排ガス貯蔵・還元・脱硝方法は持続して行われる循環過程であり、周期的な排出特徴を有する産業排ガスに対して、NOx瞬時排出濃度が低い場合にNOxを貯蔵する触媒が必要ない。比較例1において流動床反応器が用いられると、その場での貯蔵および還元過程を実現できず、エネルギー消費の問題を発生する恐れがある。
【0105】
(2)比較例1において流動床反応器が用いられると、流動床の気相と固相との接触時間が短いので、貯蔵の効率および触媒再生率がいずれも制限される恐れがある。
【0106】
(3)産業排ガスにおける触媒の用量が大きいので、排ガスがすべての触媒を流化させて次の反応器に進入させるには十分ではないため、材料の循環性が悪くなり、触媒再生率が低くなり、ひいては反応器を詰まらせる現象さえも発生する恐れがある。
【0107】
(4)比較例1において、前記装置が循環流動床排ガス脱硫装置と繋がって用いられるのみが言及され、脱硫装置が設けられていないため、触媒硫化中毒を極めて引き起こしやすい。
【0108】
以上の内容は、本願の具体的な実施形態に過ぎず、本願の保護範囲は、それに限定されないことを出願人より声明する。当業者であれば、本願に開示された技術範囲内に容易に想到できるあらゆる変化または置換は、いずれも本願の保護範囲及び開示範囲内に属することを理解すべきである。
【符号の説明】
【0109】
1-除塵装置
2-脱硫装置
3-排ガスオンラインモニタ装置
4-熱風炉
5-ガイドベーン
6-ガス整流器
7-還元剤噴射装置
8-制御システム
9-静的混合器
10-触媒フィラー層
11-貯蔵・還元・脱硝反応装置
12-煙突
図1
図2
【国際調査報告】