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▶ ネオパール ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】減圧弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 1/42 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
F16K1/42 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021550286
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(85)【翻訳文提出日】2021-09-22
(86)【国際出願番号】 EP2020052656
(87)【国際公開番号】W WO2020177961
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】202019101183.1
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505123871
【氏名又は名称】ネオパール ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Neoperl GmbH
【住所又は居所原語表記】Klosterrunsstr. 11, D-79379 Muellheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ファングマイヤー
【テーマコード(参考)】
3H052
【Fターム(参考)】
3H052AA01
3H052BA22
3H052CB01
(57)【要約】
本発明は、減圧弁(1)であって、弁ハウジング(2)とポット状の弁体(3)とを備え、弁ハウジング(2)のハウジング内室に、少なくとも1つの通流通路(5)を有する弁支持体(4)が設けられており、弁体(3)は、開放位置から戻し力に抗して閉鎖位置に移動可能にガイドされており、閉鎖位置で弁体(3)のポット形状の周縁部(6)は、弁体(3)が少なくとも1つの通流通路(5)の少なくとも1つの通路開口(8)を閉鎖するように、弁支持体(4)に設けられた、シールリング(18)として形成された弁座(7)に接触している、減圧弁(1)に関する。本発明に係る減圧弁(1)は、シールリング(18)が、弁支持体(4)の、外周面側で開放した環状溝(32)内に保持されていて、軸線方向において両側で環状溝(32)の溝側面(33,34)によって支持されており、弁体(3)に近い方の溝側面(33)が、減圧弁(1)の閉鎖位置でシールリング(8)に接触している弁体(4)の内周面よりも前方で終端しており、シールリング(18)の、弁体(3)に向けられた端面に、環状のシールリップ状の一体成形部(35)が一体成形されており、シールリップ状の一体成形部(35)が、減圧弁(1)の供給側(A)に存在している一次圧の上昇時に、弁体(3)の内周面に当付け可能であることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧弁(1)であって、弁ハウジング(2)とポット状の弁体(3)とを備え、前記弁ハウジング(2)のハウジング内室に、少なくとも1つの通流通路(5)を有する弁支持体(4)が設けられており、前記弁体(3)は、開放位置から戻し力に抗して閉鎖位置に移動可能にガイドされており、該閉鎖位置で前記弁体(3)のポット形状の周縁部(6)は、前記弁体(3)が前記少なくとも1つの通流通路(5)の少なくとも1つの通路開口(8)を閉鎖するように、前記弁支持体(4)に設けられた、シールリング(18)として形成された弁座(7)に接触している、減圧弁(1)において、
前記シールリング(18)は、前記弁支持体(4)の、外周面側で開放した環状溝(32)内に保持されていて、軸線方向において両側で前記環状溝(32)の溝側面(33,34)によって支持されており、前記弁体(3)に近い方の前記溝側面(33)は、前記減圧弁(1)の閉鎖位置で前記シールリング(18)に接触している前記弁体(4)の内周面よりも前方で終端しており、前記シールリング(18)の、前記弁体(3)に向けられた端面に、環状のシールリップ状の一体成形部(35)が一体成形されており、該シールリップ状の一体成形部(35)は、前記減圧弁(1)の供給側(A)に存在している一次圧の上昇時に、前記弁体(3)の前記内周面に当付け可能であることを特徴とする、減圧弁(1)。
【請求項2】
前記環状溝(32)の溝底部(36)と前記シールリップ状の一体成形部(35)との間に、前記減圧弁(1)の前記供給側(A)に連通している環状室(37)が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の減圧弁。
【請求項3】
前記環状溝(32)の領域に、前記減圧弁(1)の前記供給側を前記環状室(37)に接続している少なくとも1つの圧力補償通路(38)が設けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の減圧弁。
【請求項4】
前記シールリップ状の一体成形部(35)の、前記弁体(3)に向けられた端縁部に、少なくとも1つの凹部(39)または凹状成形部が設けられており、該凹部(39)または該凹状成形部は、前記減圧弁(1)の閉鎖位置で前記弁支持体(4)と前記弁体(3)との間に配置されている環状間隙(40)に前記環状室(37)を流体案内接続していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の減圧弁。
【請求項5】
前記シールリップ状の一体成形部(35)の、前記弁体(3)に向けられた前記端縁部は、冠状に形成されていて、互いに間隔を置いて配置された凹部(39)を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の減圧弁。
【請求項6】
少なくとも1つの戻し要素は圧縮コイルばね(13)であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の減圧弁。
【請求項7】
前記弁支持体(4)は、前記弁ハウジング(2)のハウジング内周面に軸線方向で不動に接触している弁支持体区分(16)を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の減圧弁。
【請求項8】
前記弁支持体(4)の前記弁支持体区分(16)は、プレート状に形成されていることを特徴とする、請求項7記載の減圧弁。
【請求項9】
前記弁支持体(4)は、前記ポット状の弁体(3)の弁体内周面が移動可能にガイドされているガイド区分(17)を有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の減圧弁。
【請求項10】
前記弁支持体区分(16)および/または前記ガイド区分(17)に、環状溝(32)が設けられていることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項記載の減圧弁。
【請求項11】
前記弁支持体(4)の前記弁支持体区分(16)と前記ガイド区分(17)とは、結合区分(20)を介して結合されていることを特徴とする、請求項9または10記載の減圧弁。
【請求項12】
前記結合区分(20)に、前記少なくとも1つの通流通路(5)の前記少なくとも1つの通路開口(8)が設けられていることを特徴とする、請求項11記載の減圧弁。
【請求項13】
前記シールリング(18)は、少なくとも前記シールリップ状の一体成形部(35)の領域で弾性材料から製造されており、前記シールリップ状の一体成形部(35)は、前記減圧弁(1)の閉鎖位置で前記弁体(3)に弾性的に押圧されることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の減圧弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧弁であって、弁ハウジングとポット状の弁体とを備え、弁ハウジングのハウジング内室に、少なくとも1つの通流通路を有する弁支持体が設けられており、弁体は、開放位置から戻し力に抗して閉鎖位置に移動可能にガイドされており、閉鎖位置で弁体のポット形状の周縁部は、弁体が少なくとも1つの通流通路の少なくとも1つの通路開口を閉鎖するように、弁支持体に設けられた、シールリングとして形成された弁座に接触している、減圧弁に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2015/161905号に基づいて、冒頭に述べた形態の減圧弁が既に知られており、この減圧弁は、減圧弁の下流側に配置された管路区分内の水圧を、規定された最大値に制限し、最大値を上回る圧力上昇によって、この下流側に配置された管路区分の領域での破裂を阻止するようになっている。そのために、公知の減圧弁は、流体管路内に挿入可能なまたは流体管路の間に配置可能な弁ハウジングを有している。弁ハウジングのハウジング内室には、ポット状の弁体が設けられている。公知の減圧弁は弁支持体を有しており、この弁支持体には、少なくとも1つの通流通路が設けられている。下流側に配置された管路区分における管路横断面が狭められ、そこで水圧が次第に上昇すると、移動可能にガイドされた弁体は、通流する媒体の圧力下で、開放位置から戻し力に抗して閉鎖位置に運動し、この閉鎖位置で弁体のポット形状の周縁部は、弁体が少なくとも1つの通流通路の少なくとも1つの通路開口を閉鎖するように、弁支持体に設けられた、シールリングによって形成された弁座に接触している。弁体は、減圧弁の上流側に配置された管路区分内での水圧上昇時に、少なくとも1つの戻し要素の戻し力に抗して、弁支持体への方向に次第に押圧され、これによって、小さくなる通路開口において圧力損失が高まるので、減圧弁の下流側に配置された管路区分内の流体の圧力は、規定された最大値に制限される。しかしながら、このような公知の減圧弁は、開閉弁または遮断弁の上流に配置されているので、減圧弁の閉鎖位置で、減圧弁の上流側に存在している一次水圧の一部が、減圧弁を通って漏出し、減圧弁と、流れ方向で下流側の開閉弁との間の領域における静圧を上昇させ、これによって、下流側に設けられた、圧力が加えられる使用品(Applikation)が破裂してしまうことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、特に本発明の課題は、冒頭に述べた形態の減圧弁を改良して、減圧弁の閉鎖位置において、減圧弁と、下流側に配置された使用品との間の領域における静圧の上昇を阻止し、この管路区分の領域における過剰に高められた圧力上昇に起因する破裂を効果的に回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題の本発明による解決手段では、冒頭に述べた形態の減圧弁において、特に、シールリングが、弁支持体の、外周面側で開放した環状溝内に保持されていて、軸線方向において両側で環状溝の溝側面によって支持されており、弁体に近い方の溝側面が、減圧弁の閉鎖位置でシールリングに接触している弁体の内周面よりも前方で終端しており、シールリングの、弁体に向けられた端面に、環状のシールリップ状の一体成形部が一体成形されており、シールリップ状の一体成形部が、減圧弁の閉鎖位置で、減圧弁の供給側に存在している一次圧の上昇時に、弁体の内周面に当付け可能である。
【0005】
本発明に係る減圧弁は、流体管路内に挿入可能または流体管路の間に配置可能な弁ハウジングを有しており、これによって、減圧弁の下流側に配置された管路区分における水圧を、規定された最大値に制限することができる。弁座を形成するシールリングは、弁支持体の、外周面側で開放した環状溝内に保持されていて、軸線方向において両側で環状溝の溝側面によって支持されている。弁体に近い方の溝側面は、減圧弁の閉鎖位置でシールリングに接触している弁体の内周面よりも前方で終端している。シールリングの、弁体に向けられた端面に、環状のシールリップ状の一体成形部が一体成形されている。このシールリップ状の一体成形部は、減圧弁の閉鎖位置で、減圧弁の供給側に存在している一次圧の上昇時に、弁体の内周面に密に当て付けられる。シールリングが、軸線方向において両側で環状溝の溝側面によって支持されていることによって、吸込みに起因したシールリングの変形が阻止される。このようにして、減圧弁の閉鎖位置で、シールリップ状の一体成形部は、減圧弁の排出側でも、不所望の圧力上昇を阻止する。
【0006】
減圧弁の供給側に存在している一次圧が、シールリングに設けられたシールリップ状の一体成形部を減圧弁の閉鎖位置でポット状の弁体の内周面に密に当て付けることができるようにするために、有利には、環状溝の溝底部とシールリップ状の一体成形部との間に、減圧弁の供給側に連通している環状室が設けられている。
【0007】
本発明による好適な構成では、環状溝の領域に、減圧弁の供給側を環状室に接続している少なくとも1つの圧力補償通路が設けられていることが特定されている。
【0008】
本発明による特に簡単かつ有利な実施形態では、シールリップ状の一体成形部の、弁体に向けられた端縁部に、少なくとも1つの凹部または凹状成形部が設けられており、凹部または凹状成形部は、減圧弁の閉鎖位置で弁支持体と弁体との間に設けられている環状間隙に環状室を流体案内接続していることが特定されている。
【0009】
一次圧が、減圧弁の供給側から、シールリップ状の一体成形部と弁支持体との間の環状室内に良好に達することができるようにするために、有利には、シールリップ状の一体成形部の、弁体に向けられた端縁部が、冠状に形成されていて、互いに間隔を置いて配置された凹部を有している。
【0010】
戻し力として働く戻し要素は、例えばゴム弾性的な部材であってよい。しかしながら、本発明による特に簡単かつ好ましい実施形態では、戻し力として働く少なくとも1つの戻し要素が圧縮コイルばねであることが特定されている。
【0011】
弁体を機能確実に弁支持体に沿って確実に移動可能にガイドすることができるようにするために、有利には、弁支持体が、弁ハウジングのハウジング内周面に軸線方向で不動にかつ/またはハウジング内周面に対してセンタリングされて接触している弁支持体区分を有している。このとき、本発明による好適な実施形態では、弁支持体の弁支持体区分が、プレート状に形成されていることが特定されている。
【0012】
弁体を流体の圧力の上昇と共に次第に弁支持体に被せかつ押し付けることができるようにするために、有利には、弁支持体が、ポット状の弁体の弁体内周面が移動可能にガイドされているガイド区分を有している。
【0013】
本発明による改良形態は、明細書および特許請求の範囲に関連した図面から明らかである。以下に、本発明を好適な実施例に基づきさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】弁ハウジングを備えた減圧弁であって、弁ハウジングのハウジング内室内で、ポット状の弁体が弁支持体に沿って移動可能にガイドされており、弁体がここでは減圧弁の開放位置にある、減圧弁を示す縦断面図である。
図2図1に示した減圧弁であって、弁体の端面周縁部が、弁座として働きかつ弁支持体の環状溝内に配置されたシールリングに接触している、閉鎖位置における減圧弁を示す縦断面図である。
図3図1および図2に示した減圧弁であって、閉鎖位置における減圧弁の、図2において取り囲まれた部分領域を示す詳細縦断面図である。
図4図1図3に示した減圧弁の構成部材を分解して示す斜視図である。
図5】減圧弁の弁座として働くシールリングを、部分的に破断して、斜め下から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図5には、矢印方向Pf1に通流される減圧弁1が示してある。この減圧弁は、例えば水道管内に挿入可能であり、減圧弁1の下流側に配置された管路区分内の水圧を、規定された最大値に制限するようになっている。減圧弁1は弁ハウジング2を有しており、この弁ハウジング2は、流体管路内に挿入可能であるかまたは流体管路の間に接続可能であり、これによって、減圧弁1の下流側に配置された管路区分内の水圧を、規定された最大値に制限することができる。弁ハウジング2のハウジング内室には、ポット状の弁体3が配置されている。減圧弁1は弁支持体4を有しており、この弁支持体4には、少なくとも1つの通流通路5が設けられている。下流側に配置された管路区分における管路横断面が狭められ、そこで水圧が次第に上昇すると、移動可能にガイドされた弁体3は、通流する媒体の圧力下で、図1に示した開放位置から、少なくとも1つの戻し要素の戻し力に抗して、図2および図3に示した閉鎖位置に運動し、この閉鎖位置で弁体3のポット形状の端面周縁部6は、弁体3が、少なくとも1つの通流通路5の少なくとも1つの通路開口8を閉鎖するように、弁支持体4に設けられた、シールリング18によって形成された弁座に接触している。弁体3は、減圧弁1の上流側に配置された管路区分内の水圧の上昇時に、少なくとも1つの戻し要素の戻し力に抗して、弁支持体4に向かう方向に次第に押圧され、これによって、この押圧によって小さくなる通路開口8で圧力損失が上昇するので、減圧弁1の下流側に配置された管路区分内の流体の圧力が、規定された最大値に制限される。弁座7を形成するシールリング18は、弁支持体4の、外周面側で開放した環状溝32内に保持されており、軸線方向において両側で環状溝32の溝側面33,34によって支持されている。特に図3の詳細縦断面図から明らかなように、弁体3に近い方の溝側面33は、減圧弁の閉鎖位置でシールリング18に接触している弁体3の内周面よりも前方で終端している。シールリング18の、弁体3に向けられた端面には、環状のシールリップ状の一体成形部35が一体成形されている。このシールリップ状の一体成形部35は、減圧弁1の供給側Aに存在している一次圧の上昇時に、弁体3の内周面に密に当て付けられる。シールリング18は、軸線方向において両側で環状溝32の溝側面33,34の間に支持されるので、吸込みに起因したシールリップ状の一体成形部35の変形が阻止される。減圧弁1の閉鎖位置で、このシールリップ状の一体成形部35は、減圧弁1の閉鎖位置で、供給側に存在している一次圧の上昇時に弁体3の内周面に密に当て付けられ、このようにして、不所望の圧力上昇を減圧弁1の排出側Bでも阻止する。ゆえに、ここに示した減圧弁1は、例えばWCシャワーヘッドに前置された開閉弁が減圧弁1の排出側に設けられている用途において特に良好に使用することができる。
【0016】
図1図2および図4において良好に認識できるように、弁体3のポット底部には、端面内側に中央の保持スリーブ9が設けられており、この保持スリーブ9内には、弁支持体4に配置された保持ピン10が進入している。保持スリーブ9の内周面には、ストッパ11が設けられており、このストッパ11は、減圧弁1の開放位置でストッパ11と対応ストッパ12とが、弁支持体4に対する弁体3の移動路を制限するように、保持ピン10の外周面における対応ストッパ12と協働する。ストッパ11と、このストッパ11と協働する対応ストッパ12とは、開放位置への弁支持体4に対する弁体3の移動路を制限するので、ここに示した減圧弁1が、貯蔵時、搬送時または組立て時に不本意にばらばらになることが阻止される。弁支持体4、弁体3および両者間で有効な戻し要素は、関連するシールリング18,19と共に、実際には挿入ユニットを形成しており、この挿入ユニットは、減圧弁1を完全なものにするために、単に弁ハウジング2内に挿入されさえすればよい。これによって、ここに示した減圧弁1の組立てが大幅に簡単になる。
【0017】
図1および図2において認識できるように、少なくとも1つの戻し要素が、ここでは圧縮コイルばね13として形成されている。戻し要素として働く圧縮コイルばね13は、保持ピン10と保持スリーブ9とを取り囲んでいる。保持ピン10と保持スリーブ9とは、互いにかつ弁ハウジング長手方向軸線に対して同軸に方向付けられている。図1および図2において認識できるように、ストッパ11は保持スリーブ9の自由端面領域に配置されている。移動可能にガイドされた弁体3の、弁支持体4における移動路を、十分に長く寸法設定できるようにするために、対応ストッパ12もまた、保持ピン10の自由端面領域に配置されている。弁体3と弁支持体4との相対回動が生じた場合でも、減圧弁1の機能を損なわないようにするために、ストッパ11と対応ストッパ12とはそれぞれ、周面側において環状のまたは好ましくはセグメント分割された環状フランジまたは環状隆起部として形成されている。
【0018】
保持スリーブ9の内周面に設けられたストッパ11と、保持ピン10の外周面に配置された対応ストッパ12とは、保持スリーブ9または保持ピン10の自由端面領域に向かって先細りになる乗上げ斜面または乗上げ側面14,15を有している。図1に示すように、保持スリーブ9に設けられたストッパ11と、保持ピン10において側方に突出している対応ストッパ12とは、弁体3と弁支持体4とが、減圧弁1の弁ハウジング2内への組付け前に互いに保持されているように、互いに背後から係合し合っている。
【0019】
図4から明らかなように、弁支持体4は弁支持体区分16を有しており、この弁支持体区分16は、弁ハウジング2のハウジング内周面に軸線方向で不動に接触しており、減圧弁1の使用位置で、弁ハウジング2のハウジング内部に不動に保持されている。この弁支持体区分16は、実質的にプレート状に形成されている。
【0020】
弁支持体4はガイド区分17を有しており、このガイド区分17に沿って、弁体3の弁体内周面が移動可能にガイドされている。弁支持体4のこのガイド区分17は、弁体内室に向けられた端面に、保持スリーブまたはここに示すように保持ピン10を有している。
【0021】
減圧弁1の通流する流体が、少なくとも1つの通流通路5だけを通って通過することができるようにするために、弁支持体区分16には環状シール要素18が設けられており、弁支持体区分16はこの環状シール要素18で、弁ハウジング2のハウジング内周面に密に接触している。弁支持体4のガイド区分17にも、環状シール要素19が配置されており、この環状シール要素19は、ポット状の弁体3のポット内部を、通流する流体に対してシールする。このとき、環状シール要素19は、弁体3のポット内周面に密に接触している。図1図2および図4の比較から認識できるように、弁支持体4の弁支持体区分16とガイド区分17とは、結合区分20を介して結合されている。この結合区分20には、ここでは通流通路5の少なくとも1つの通路開口8が配置されている。結合区分20は、通路開口8が減圧弁1の閉鎖位置でポット状の弁体3のポット内周面壁によって閉鎖されるように構成されているかまたはそのような直径を有している。
【0022】
図1図2および図4の比較から明らかなように、弁体3には外周面側に、少なくとも1つの滑り要素、ここでは周方向で互いに等間隔を置いて配置された4つの滑り要素21が設けられている。これらの滑り要素21は、弁ハウジング2のハウジング内周面と弁体3の外周面との間に環状通路22が形成されるように、半径方向で弁体3を越えて突出している。弁体3は、その側方に突出している滑り要素21だけで弁ハウジング2のハウジング内周面に沿って滑動するので、弁体3の摩擦面が効果的に減少する。滑り要素21は、減圧弁1の開放位置で、弁ハウジング2のハウジング内周面における環状段部30に接触している。
【0023】
図1図2および図4の比較から明らかなように、弁支持体区分16の外周面には環状溝23が設けられている。この環状溝23は、少なくとも1つの通気通路を介してポット状の弁体3のポット内室に接続されている。減圧弁1の弁ハウジング2には、環状溝23において開口する少なくとも1つの通気開口が設けられている。弁体3の摺動運動中に、ポット状の弁体3のポット内室内で捕捉された空気は、通気通路および通気開口を介して逃げることができる。このようにして、排出側の流体の圧力が弁体3を弁支持体4のガイド区分17へと押圧した場合に、弁体3のポット内室に不所望の抵抗圧が形成されてしまうことが阻止される。
【0024】
弁ハウジング2は、その供給側Aに雌ねじ山31を、その排出側Bに相補形状の雄ねじ山26を有している。弁ハウジング2は、例えば雄ねじ山26で、フレキシブルなホース管路のホース接続部に螺合することができ、これによって、このフレキシブルなホース管路を、流体の過度に高い圧力および圧力に基づく破裂に対して防護することができる。弁支持体4が、その供給側Aに配置された雌ねじ山31で水供給部に接続されると、弁支持体4の弁支持体区分16は、弁ハウジング2のハウジング内周面に配置された環状段部27と、ここには図示されていない水供給部との間で不動に緊締される。通流する水の通過を、少なくとも1つの通流通路5の領域においてだけ保証するために、弁支持体区分16の両側には環状シール要素18,29が設けられている。ここに示した減圧弁を、供給側の水接続部と、流れ方向で減圧弁1の下流側に配置された開閉弁との間に配置することも可能である。このような形態では、一次圧が弁座7を通って、減圧弁1の排出側の二次側Bに漏出することを阻止することができ、減圧弁1と、下流に配置された開閉弁との間に設けられた管路区分の破裂を回避することができる。
【0025】
図1および図2において認識できるように、環状溝32の溝底部36と、シールリング18に設けられたシールリップ状の一体成形部35との間には、環状室37が設けられており、この環状室37は減圧弁1の供給側に連通している。この環状室37を減圧弁1の供給側Aに連通することができるようにするために、環状溝32の領域に少なくとも1つの圧力補償通路38が設けられていてよく、この圧力補償通路38は、図3において、溝側面33の領域における破線によって示されており、減圧弁1の供給側に連通されている。
【0026】
しかしながら、図1図5において実線で示した本発明による好適な実施形態では、シールリップ状の一体成形部35の、弁体3に向けられた端縁部に、少なくとも1つの凹部39または凹状成形部が設けられており、この凹部39または凹状成形部は、減圧弁1の閉鎖位置で弁支持体4と弁体3との間に残っている環状間隙40に環状室37を流体案内接続している。
【0027】
図5に示した、シールリング18を斜め下から見た斜視図から明らかなように、シールリップ状の一体成形部35の、弁体3に向けられた端縁部は、好ましくは冠状に形成されており、好ましくは互いに等間隔を置いて配置された複数の凹部39を有している。このような構成によって、減圧弁1の供給側Aに存在している一次圧は、環状間隙40と少なくとも1つの凹部39とを通して、環状室37内に漏出することができ、このとき、減圧弁1の閉鎖位置で、シールリング18に設けられたシールリップ状の一体成形部35は、弾性的に、つまり、一体成形部35のために使用された材料の固有弾性に抗して、ポット状の弁体3の内周面に押圧される。これによって、減圧弁1の供給側Aに存在している一次圧が、弁座7を通って減圧弁1の排出側の二次側Bにも漏出することが阻止され、減圧弁1の排出側Bに配置された管路区分が、圧力に基づいて破裂することが効果的に阻止される。
【符号の説明】
【0028】
1 減圧弁
2 弁ハウジング
3 弁体
4 弁支持体
5 通流通路
6 周縁部
7 弁座
8 通路開口
9 保持スリーブ
10 保持ピン
11 ストッパ
12 対応ストッパ
13 圧縮ばね
14 乗上げ側面
15 乗上げ側面
16 弁支持体区分
17 ガイド区分
18 シールリング
19 シールリング
20 結合区分
21 滑り要素
22 環状通路
23 環状溝
26 雄ねじ山
27 環状段部
29 環状シール要素
30 環状段部
31 雌ねじ山
32 環状溝
33 溝側面
34 溝側面
35 シールリップ状の一体成形部
36 溝底部
37 環状室
38 圧力補償通路
39 凹部
40 環状間隙
A 供給側
B 排出側
図1
図2-3】
図4-5】
【国際調査報告】