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特表2022-522220プロテオミクスプロファイリング及び特性決定のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】プロテオミクスプロファイリング及び特性決定のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/10 20060101AFI20220407BHJP
   C12Q 1/6806 20180101ALN20220407BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20220407BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALN20220407BHJP
   C12N 9/50 20060101ALN20220407BHJP
   C12Q 1/6881 20180101ALN20220407BHJP
   C40B 40/06 20060101ALN20220407BHJP
   C40B 40/10 20060101ALN20220407BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20220407BHJP
【FI】
C12N15/10 Z ZNA
C12Q1/6806 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6869 Z
C12N9/50
C12Q1/6881 Z
C40B40/06
C40B40/10
C07K16/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559076
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(85)【翻訳文提出日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 US2020026479
(87)【国際公開番号】W WO2020206183
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】62/828,416
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/828,420
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/828,386
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/829,358
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/829,291
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521325444
【氏名又は名称】ミッション バイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ディングラ ダリア
(72)【発明者】
【氏名】ラフ デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】メンデス ペドロ
(72)【発明者】
【氏名】オーイ アイク
【テーマコード(参考)】
4B050
4B063
4H045
【Fターム(参考)】
4B050CC07
4B050KK18
4B050LL03
4B063QA01
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ79
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR48
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS33
4B063QS34
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045DA76
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
シングルセルレベルでの、異なる細胞型のタンパク質、特に細胞表面タンパク質を識別及び特性決定するための方法及びシステムを本明細書で提供する。タンパク質発現プロファイルにより細胞を区別するための方法及びシステムもまた提供する。更に、超ハイスループットでシングルセル内のタンパク質を定量化及び特性決定する方法及びシステムもまた提供する。本明細書において提供する方法及びシステムは、シングルセルのプロテオーム内で全エピトープを、高感度でプロファイリングすることが可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シングルセルのタンパク質発現パターンを測定及び特性決定する方法であって、
a)PCRプライミング部位に隣接したバーコード配列を抗体にコンジュゲートする工程であって、バーコード配列が抗体に対して特異的である前記工程と、
b)前記バーコードがコンジュゲートした抗体を用いて細胞識別工程を行う工程と、
c)個別の細胞を分画または分離して、プロテアーゼを含む反応混合物に、1つ以上の個別の細胞(複数可)を封入する工程と、
d)前記封入した細胞を前記プロテアーゼとともに液滴内でインキュベートして、細胞溶解液を作製する工程と、
e)細胞内に存在する核酸を標的にする1つ以上の核酸増幅プライマーセットを供給する工程であって、プライマーセットのうちの1つ以上のプライマーが、抗体と関係するバーコード識別配列を含む前記工程と、
f)細胞内に存在する核酸を標的にする1つ以上の核酸増幅プライマーセットを供給する工程であって、プライマーセットのうちの1つ以上のプライマーが、各細胞に対して固有のバーコード識別配列を含む前記工程と、
g)1つ以上のアンプリコンを作製するために、核酸増幅反応を行う工程と、
h)プライマーセットの1つ以上の核酸プライマーの識別バーコード配列と相補的な核酸配列を含む親和性試薬を供給する工程であって、前記識別バーコード配列と相補的な前記核酸配列を含む前記親和性試薬が、バーコード識別配列を含む核酸増幅プライマーセットに結合できる前記工程と、
i)親和性試薬が標的核酸に結合して、親和性試薬が結合した標的核酸を形成するのに十分な条件下で、前記親和性試薬と、1つ以上の標的核酸配列のアンプリコンを含む増幅産物とを接触させる工程と、
j)アンプリコンのバーコードをシーケンシングすることで、1つ以上のタンパク質の同一性を測定し、特性決定する工程と
を含む、前記方法。
【請求項2】
リバースプライマーが以下の核酸配列:CTCAACACGGGAAACCTCAC(配列番号)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フォワードプライマーが以下の核酸配列:CGCTCCACCAACTAAGAACG(配列番号)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
リバースプライマーが以下の核酸配列:TTCCCTCTACACACTGC(配列番号)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
フォワードプライマーが以下の核酸配列:ACACCTATTCCAAAATTGACCAC(配列番号)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
リバースプライマーが以下の核酸配列:CCCGAGTAGCTGGGA TTACA(配列番号)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
フォワードプライマーが以下の核酸配列:CCTGAGGTCAGGAGTTC(配列番号)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
フォワードバーコードプライマーが以下の核酸配列:GTACTCGCAGTAGTCCGCTCCACCAACTAAGAACG(配列番号)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
リバースバーコードプライマーが以下の核酸配列:GTCTCGTGGGCTCGGAGATGTGTATAAGAGACAGGGTAAGTGCTGATCTTGGATGTGACG(配列番号)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
抗体に結合したバーコード識別配列を付加する方法であって、
i)5’末端及び3’末端両方のPCRハンドルと共に細胞バーコード、標的DNA配列、抗体タグを含むアンプリコンを作製するために、
a)細胞バーコード配列及びPCRハンドルを含有するプライマー、
b)標的ゲノムDNAに対して相補的な配列、及び前記細胞バーコードを含有する前記プライマーに対して相補的なPCRハンドルを含有するプライマー、ならびに、
c)前記標的ゲノムDNAに対して相補的な配列、抗体タグ配列、第2のPCRハンドル、を含み、固有の分子タグを含むこともあり得る、リバースプライマー
を使用して、前記標的gDNAのバーコード化PCR反応を行う工程と、
ii)シーケンシングアダプター、デュアルまたはシングルサンプルインデックス、細胞バーコード、標的DNA配列、抗体タグを含み、固有の分子タグを含むこともあり得るライブラリーを作成するために、シーケンシングアダプターと、サンプルインデックスと、前記アンプリコン上に作製した2つの前記PCRハンドルに対して相補的な配列とを含む第1のプライマーを使用して、ライブラリー作成PCR反応を行う工程と
を含む、前記方法。
【請求項11】
抗体に結合したバーコード識別配列を付加する方法であって、
i)5’末端及び3’末端両方のPCRハンドルと共に細胞バーコード、標的DNA配列、抗体タグを含み、第1のリード配列、第1の細胞バーコード、定常領域1、第2の細胞バーコード、定常領域2、フォワードプライマー配列、長さ「n」の挿入配列、前記標的ゲノムDNAに対して相補的な配列を含むリバースプライマー、固有分子識別子、抗体タグ配列、第2の固有分子識別子、第2のリード配列を含むアンプリコンを作製するために、
a)細胞バーコード配列及びPCRハンドルを含有するプライマー、
b)標的ゲノムDNAに対して相補的な配列、及び前記細胞バーコードを含有する前記プライマーに対して相補的なPCRハンドルを含有するプライマー、ならびに、
c)前記標的ゲノムDNAに対して相補的な配列、抗体タグ配列、第2のPCRハンドル、を含み、固有の分子タグを含むこともあり得る、リバースプライマー
を使用して、前記標的gDNAのバーコード化PCR反応を行う工程と、
ii)シーケンシングアダプター、デュアルまたはシングルサンプルインデックス、細胞バーコード、標的DNA配列、抗体タグを含み、固有の分子タグを含むこともあり得るライブラリーを作成するために、シーケンシングアダプターと、サンプルインデックスと、P5配列及び第2のリード配列を含む、前記アンプリコン上に作製した2つの前記PCRハンドルに対して相補的な配列とを含む第1のプライマー、ならびに、第2のリード配列と、インデックス配列と、P7配列とを含む第2のプライマーを使用して、ライブラリー作成PCR反応を行う工程と
を含む、前記方法。
【請求項12】
逆転写生成物を作製するために逆転写を行うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
逆転写生成物を作製するために核酸増幅工程前に逆転写を行うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
逆転写生成物を作製するためにRNA上で逆転写を行うことと、前記逆転写生成物を増幅することと、を含み、逆転写を行うこと及び増幅することが単一の工程で生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
増幅産物の核酸シーケンシング反応を行うことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記親和性試薬がビーズなどを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
1つ以上の細胞表面タンパク質の発現を測定及び特性決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
細胞バーコードに基づき対形成可能な抗体ライブラリー及びDNAライブラリーを調製することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
細胞バーコードに基づき対形成可能な抗体ライブラリー及びRNAライブラリーを調製することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
細胞バーコードに基づき対形成可能な抗体ライブラリー、DNAライブラリー、及びRNAライブラリーを調製することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は概して、細胞のタンパク質発現パターンまたはプロテオミクス分析の識別、特性決定、及びプロファイリング、より具体的には、自動化システムにて使用可能な、固有のバーコード化ヌクレオチドプライマーを用いる、シングルセルでのプロテオミクス分析に関する。
【0002】
関連出願
本出願は、以下の米国仮特許出願である、米国特許出願番号第62/829,291号(2019年4月4日出願、表題「Method, System And Apparatus For Antibody Tag Priming And Genomic Dna Bridge」);米国特許出願番号第62/828,386号(2019年4月2日、表題「A Complete Solution For Hight Throughput Single Cell Sequencing」);米国特許出願番号第62/828,416号(2019年4月2日、表題「Analytical Methods To Identify Tumor Heteregeneity」);米国特許出願番号第62/828,420号(2019年4月2日、表題「Method and Apparatus for Universal base library preparation」);及び、米国特許出願番号第62/829,358号(2019年4月4日出願、表題「Method and Apparatus for Fusion in DNA and RNA」)の優先権を主張し、これら全てが本明細書に参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
背景
タンパク質は、細胞代謝、構造ダイナミクス、及び情報処理を含む、細胞機能の主たるエフェクターである。タンパク質は、細胞構造ダイナミクス、代謝、及び情報処理を含む、細胞集団の大部分を含み、大部分の細胞機能を担う、細胞の物理的構成単位である。タンパク質は、熱力学的ポテンシャルを生物系のエネルギーに変換する分子マシンである。タンパク質の発現及び修飾を測定することはそれ故、細胞の状態及び機能の正確な速写を得るために重要である。シングルセルレベルでタンパク質を測定する際の一般的な課題は、大部分の細胞が、分子的に個別の多数の細胞を含有する、不均質なものであるということである。センチメートルサイズの組織容積は例えば、数十億個の細胞を含有することができ、各細胞はタンパク質の発現及び修飾の固有のスペクトルを有し、更に、この根底にある細胞の不均質性は、成長、免疫系の制御、がんの進行、及び治療応答などにおける、全体としての系における重要な影響を有する可能性がある。これらのような不均質な系に対しては、シングルセル内でハイスループットのタンパク質プロファイリング方法が必要である。
【0004】
ハイスループットでの、シングルセルでのタンパク質のプロファイリングは感度が高く迅速な方法を必要とする。蛍光標識した抗体によるフローサイトメトリーは、数百万個のシングルセルにおいて、感度を備えてタンパク質をプロファイルすることが可能であるため、数十年間にわたり生物学での基本原則であり続けている。異なった色の染料で抗体を標識することにより、プロファイリングは、数十個のタンパク質に多重化することができる。染料を、質量タグで交換し、読出しのために質量分析計を用いることで、多重化は、百個の抗体を超えて増加させることができる。にもかかわらず、これらの方法は、感度及び多重化を改善し続けているものの、これらは、ヒトにおいては、2万個を超えるタンパク質、及び10万個を超えるエピトープを含むシングルセルで全てのプロテオームの特性決定を可能にするにはほど遠いままである。プロテオーム内の全てのエピトープを、高感度でプロファイリング可能なシステムは、どのタンパク質を標的にするかを選択する必要性を取り除くため、極めて貴重である。しかし、染料及び質量タグを用いる既存の方法は、全プロテオーム分析のレベルまで拡張可能ではなく、マスサイトメトリーの場合、分析中にトランスクリプトームを破壊し、同一のシングルセルから、プロテオーム及びトランスクリプトームの同時の測定値を得ることを困難にしている(Shahi,P.,Kim,S.,Haliburton,J.et al.Abseq: Ultrahigh-throughput single cell protein profiling with droplet microfluidic barcoding.Sci Rep 7,44447(2017).https://doi.org/10.1038/srep44447(非特許文献1)を参照されたい)。
【0005】
したがって、シングルセルレベルでの、異なる細胞型のタンパク質、特に細胞表面タンパク質を特性決定する必要性が明らかである。タンパク質発現プロファイルにより細胞を区別する必要性もまた、存在する。加えて、超ハイスループットで、シングルセル内のタンパク質を検出して定量化する必要性がある。問題なことに、シングルセルレベルでのタンパク質の定量的特性決定は、細胞に起因しないシグナルからの読出しにおけるノイズ量が原因で、困難なものとなっている。本明細書で提供する本発明は、これらの満たされていないニーズに応えるものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Shahi,P.,Kim,S.,Haliburton,J.et al.Abseq: Ultrahigh-throughput single cell protein profiling with droplet microfluidic barcoding.Sci Rep 7,44447(2017).https://doi.org/10.1038/srep44447
【発明の概要】
【0007】
概要
本書で説明及び特許請求されている発明には、多くの特質及び実施形態があり、その特質及び実施形態としては、この発明の概要で規定、説明または言及されているものが挙げられるが、これらに限らない。本書で説明及び特許請求されている発明は、この発明の概要で特定されている特徴または実施形態に限定されたり、またはこの発明の概要で特定されている特徴または実施形態によって限定されたりはせず、この発明の概要は、例示目的で含まれているに過ぎず、制限を課すものではない。
【0008】
第1の態様では、本発明の実施形態は、シングルセルのタンパク質発現を測定及び特性決定する方法に関する。
【0009】
例示的実施形態は、PCRプライミング部位に隣接したバーコード配列を抗体にコンジュゲートすることであって、バーコード配列が抗体に対して特異的である、コンジュゲートすることと、バーコードがコンジュゲートした抗体を用いて細胞識別工程を行うことと、個別の細胞を分画または分離して、プロテアーゼを含む反応混合物に、1つ以上の個別の細胞(複数可)を封入する工程と、封入した細胞をプロテアーゼとともに液滴内でインキュベートして、細胞溶解液を作製することと、1つ以上の核酸増幅プライマーセットを供給することであって、プライマーセットのうちの1つ以上のプライマーが、抗体と関係するバーコード識別配列を含む、供給することと、1つ以上のアンプリコンを作製するために、核酸増幅反応を行うことと、プライマーセットの1つ以上の核酸プライマーの識別バーコード配列と相補的な核酸配列を含む親和性試薬を供給することであって、その識別バーコード配列と相補的な前記核酸配列を含む前記親和性試薬が、バーコード識別配列を含む核酸増幅プライマーセットに結合できる、供給することと、親和性試薬が標的核酸に結合して、親和性試薬が結合した標的核酸を形成するのに十分な条件下で、前記親和性試薬と、1つ以上の標的核酸配列のアンプリコンを含む増幅産物とを接触させることと、アンプリコンのバーコードをシーケンシングすることで、1つ以上のタンパク質の同一性を測定し、特性決定することと、を含む。
【0010】
別の実施形態は、シングルセルの発現パターンを測定及び特性決定する方法であって、当該方法が、順序に関係なく、PCRプライミング部位に隣接したバーコード配列を抗体にコンジュゲートする工程であって、バーコード配列が抗体に対して特異的である工程と、バーコードがコンジュゲートした抗体を用いて細胞識別工程を行う工程と、個別の細胞を分画または分離して、プロテアーゼを含む反応混合物に、1つ以上の個別の細胞(複数可)を封入する工程と、封入した細胞をプロテアーゼとともに液滴内でインキュベートして、細胞溶解液を作製する工程と、細胞内に存在する核酸を標的にする1つ以上の核酸増幅プライマーセットを供給する工程であって、プライマーセットのうちの1つ以上のプライマーが、抗体と関係するバーコード識別配列を含む工程と、細胞内に存在する核酸を標的にする1つ以上の核酸増幅プライマーセットを供給する工程であって、プライマーセットのうちの1つ以上のプライマーが、各細胞に対して固有のバーコード識別配列を含む工程と、任意に、逆転写ポリメラーゼ工程を行う工程と、1つ以上のアンプリコンを作製するために、核酸増幅反応を行う工程と、プライマーセットの1つ以上の核酸プライマーの識別バーコード配列と相補的な核酸配列を含む親和性試薬を供給する工程であって、その識別バーコード配列と相補的な前記核酸配列を含む前記親和性試薬が、バーコード識別配列を含む核酸増幅プライマーセットに結合できる工程と、親和性試薬が標的核酸に結合して、親和性試薬が結合した標的核酸を形成するのに十分な条件下で、前記親和性試薬と、1つ以上の標的核酸配列のアンプリコンを含む増幅産物とを接触させる工程と、アンプリコンのバーコードをシーケンシングすることで、1つ以上のタンパク質の同一性を測定し、特性決定する工程と、を含む、上記方法を含む。
【0011】
例示的な一実施態様において、リバースプライマーは、以下の核酸配列:CTCAACACGGGAAACCTCAC(配列番号)を含む。例示的な一実施態様において、フォワードプライマーは、以下の核酸配列:CGCTCCACCAACTAAGAACG(配列番号)を含む。例示的な一実施態様では、リバースプライマーは、以下の核酸配列:TTCCCTCTACACACTGC(配列番号)を含む。例示的な一実施態様において、フォワードプライマーは、以下の核酸配列:ACACCTATTCCAAAATTGACCAC(配列番号)を含む。例示的な一実施態様では、リバースプライマーは、以下の核酸配列:CCCGAGTAGCTGGGA TTACA(配列番号)を含む。例示的な一実施態様において、フォワードプライマーは、以下の核酸配列:CCTGAGGTCAGGAGTTC(配列番号)を含む。例示的な一実施態様において、フォワードバーコードプライマーは、以下の核酸配列GTACTCGCAGTAGTCCGCTCCACCAACTAAGAACG(配列番号)を含む。例示的な一実施態様では、リバースバーコードプライマーは、以下の核酸配列:GTCTCGTGGGCTCGGAGATGTGTATAAGAGACAGGGTAAGTGCTGATCTTGGATGTGACG(配列番号)を含む。
【0012】
別の例示的な実施形態は、抗体に結合したバーコード識別配列を付加する方法であって、当該方法が、5’末端及び3’末端両方のPCRハンドルと共に細胞バーコード、標的DNA配列、抗体タグを含むアンプリコンを作製するために、a)細胞バーコード配列及びPCRハンドルを含有するプライマー、b)標的ゲノムDNAに対して相補的な配列、及び細胞バーコードを含有するプライマーに対して相補的なPCRハンドルを含有するプライマー、ならびに、c)標的ゲノムDNAに対して相補的な配列、抗体タグ配列、第2のPCRハンドル、を含み、固有の分子タグを含むこともあり得る、リバースプライマーを使用して、標的gDNAのバーコード化PCR反応を行う工程と、シーケンシングアダプター、デュアルまたはシングルサンプルインデックス、細胞バーコード、標的DNA配列、抗体タグを含み、固有の分子タグを含むこともあり得るライブラリーを作成するために、シーケンシングアダプターと、サンプルインデックスと、アンプリコン上に作製した2つのPCRハンドルに対して相補的な配列とを含む第1のプライマーを使用して、ライブラリー作成PCR反応を行う工程と、を順序に関係なく含む、上記方法を含む。
【0013】
別の例示的実施形態は、抗体に結合したバーコード識別配列を付加する方法であって、当該方法が、5’末端及び3’末端両方のPCRハンドルと共に細胞バーコード、標的DNA配列、抗体タグを含み、第1のリード配列、第1の細胞バーコード、定常領域1、第2の細胞バーコード、定常領域2、フォワードプライマー配列、長さ「n」の挿入配列、標的ゲノムDNAに対して相補的な配列を含むリバースプライマー、固有分子識別子、抗体タグ配列、第2の固有分子識別子、第2のリード配列を含むアンプリコンを作製するために、a)細胞バーコード配列及びPCRハンドルを含有するプライマー、b)標的ゲノムDNAに対して相補的な配列、及び細胞バーコードを含有するプライマーに対して相補的なPCRハンドルを含有するプライマー、ならびに、c)標的ゲノムDNAに対して相補的な配列、抗体タグ配列、第2のPCRハンドル、を含み、固有の分子タグを含むこともあり得る、リバースプライマーを使用して、標的gDNAのバーコード化PCR反応を行う工程と、シーケンシングアダプター、デュアルまたはシングルサンプルインデックス、細胞バーコード、標的DNA配列、抗体タグを含み、固有の分子タグを含むこともあり得るライブラリーを作成するために、シーケンシングアダプターと、サンプルインデックスと、P5配列及び第2のリード配列を含む、アンプリコン上に作製した2つのPCRハンドルに対して相補的な配列とを含む第1のプライマー、ならびに、第2のリード配列と、インデックス配列と、P7配列とを含む第2のプライマーを使用して、ライブラリー作成PCR反応を行う工程と、を順序に関係なく含む、上記方法に関する。
【0014】
例示的な一実施態様において、方法は、細胞バーコードに基づいて対形成可能な、抗体ライブラリー及びDNAライブラリーを調製することを更に含む。
【0015】
例示的な一実施態様において、方法は、細胞バーコードに基づいて対形成可能な、抗体ライブラリー及びRNAライブラリーを調製することを更に含む。
【0016】
例示的な一実施態様において、方法は、細胞バーコードに基づいて対形成可能な抗体ライブラリー、DNAライブラリー、及びRNAライブラリーを調製することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】いくつかの実施形態で使用するアプローチの概略図である。この図において、以下の表記を使用する。A-タグ=抗体タグ;CBC=細胞バーコード;const1=定常領域1;const2=定常領域2;及びインデックス=サンプルインデックス。
図2】KG-1細胞とRaji細胞の当量混合物である染色細胞に由来する、抗体ライブラリーからのHS DNAチップデータのプロットを示す。上面プロットは、アダプターを含む、2uLの530bpアンプリコン標的化LINE1を使用する、抗体ライブラリー1(管1~4)の結果を示す(図2A)。下面プロットは、アダプターを含む、2uLの530bpアンプリコン標的化LINE1を使用する、抗体ライブラリー2(管5~8)の結果を示す(図2B)。
図3】KG-1細胞とRaji細胞の当量混合物である染色細胞に由来する、対応するDNAライブラリーからのHS DNAチップデータのプロットを示す。上面プロットは、急性骨髄性白血病において共通の変異を標的化する、2uLの50個のアンプリコンパネルを使用する、DNAライブラリー1(管1~4)の結果を示す。下面プロットは、急性骨髄性白血病において共通の変異を標的化する、2uLの50個のアンプリコンパネルを使用する、DNAライブラリー2(管5~8)の結果を示す。
図4】細胞バーコード及び抗体タグをトリミングした後の、アンプリコンのLINE1へのアラインメントを示すグラフである。両方の細胞バーコード抗体タグを含む99.4%のリードを、LINE1にアラインする。
図5】hg19にまたがるアンプリコンの分布を示すデータの表である。抗体ライブラリーからの、1098個の対形成したリードを、hg19にアラインした。リードを、様々な長さの各染色体にアラインした。
図6】抗体ライブラリーからの対形成したリードのサブ試料を使用して抗体細胞を分析した表である。タグ配列に基づくと、細胞はCD34、CD19、または両方のいずれかに対して陽性であった。反応に対する細胞入力は、等しい比率で混合したKG-1及びRajiであった。この場合において、KG-1細胞はCD34に対して陽性であり、Raji細胞はCD19に対して陽性である。染色細胞からの、シーケンシングしたシングルセル抗体ライブラリーにより観察されるはずであるとおり、抗体の大部分は、細胞バーコード間で固有であった。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
以下では、下記の節を参照しながら、本発明の様々な態様を説明するが、その説明は、例示として示されるに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない旨を理解されたい。
【0019】
「相補性」とは、核酸が、従来のワトソン・クリック形式または従来型とは異なる他の形式のいずれかによって、別の核酸配列と水素結合(複数可)を形成する能力、すなわち、別の核酸配列とハイブリダイズする能力を指す。本明細書で使用する場合、「ハイブリダイゼーション」とは、分子が、特定のヌクレオチド配列のみと、低ストリンジェント、中ストリンジェントまたは高ストリンジェントな条件で結合、二本鎖形成またはハイブリダイズすることを指す(その配列が、複合混合物(例えば全細胞)のDNAまたはRNAに存在する場合を含む)。例えば、Ausubel,et al.,Current Protocols In Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,N.Y.,1993を参照されたい。ポリヌクレオチドのある特定の位置におけるヌクレオチドが、アンチパラレルなDNA鎖またはRNA鎖の同じ位置におけるヌクレオチドとワトソン・クリック対を形成できる場合には、そのポリヌクレオチドと、そのDNA分子またはRNA分子は、その位置において、互いに相補的である。そのポリヌクレオチドと、そのDNA分子またはRNA分子は、所望のプロセスに影響が及ぶように、各分子における対応する位置が十分な数、互いにハイブリダイズまたはアニーリングできるヌクレオチドで占められている場合には、互いに「実質的に相補的」である。相補的な配列は、ストリンジェントな条件下でアニーリングして、相補鎖合成起点として機能する3’末端をもたらすことのできる配列である。
【0020】
「同一性」とは、当該技術分野において知られているように、2つ以上のポリペプチド配列または2つ以上のポリヌクレオチド配列間の関係であって、それらの配列を比較することによって求めたものである。当該技術分野においては、「同一性」とは、ポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列間の関連度であって、それらの配列からなる鎖間の一致率を求めたものも意味する。「同一性」及び「類似性」は、既知の方法によって容易に算出でき、その方法としては、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988、Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993、Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994、Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987、Sequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991及びCarillo,H.,and Lipman,D.,Siam J.Applied Math.,48:1073(1988)に記載されているものが挙げられるが、これらに限らない。加えて、同一性パーセントの値は、Vector NTI Suite 8.0(Informax、Frederick,Md.)のAlignXというコンポーネントのデフォルト設定を用いて生成したアミノ酸配列アラインメント及びヌクレオチド配列アラインメントから得ることができる。同一性を求める好ましい方法は、試験する配列間の一致率が最も大きくなるように設計する。同一性及び類似性を求める方法は、公的に入手可能なコンピュータープログラムに体系化されている。2つの配列間の同一性及び類似性を求めるための好ましいコンピュータープログラムの方法としては、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.,et al.,Nucleic Acids Research 12(1):387(1984))、BLASTP、BLASTN及びFASTA(Atschul,S.F.et al.,J.Molec.Biol.215:403-410(1990))が挙げられるが、これらに限らない。BLAST Xというプログラムは、NCBI及びその他の供給源から公的に入手可能である(BLAST Manual,Altschul,S.,et al.,NCBINLM NIH Bethesda,Md.20894、Altschul,S.,et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990))。周知であるSmith Watermanアルゴリズムを用いて、同一性を求めてもよい。
【0021】
「増幅する」、「増幅すること」、「増幅反応」という用語、及びそれらの類似表現は概して、核酸分子の少なくとも一部(鋳型核酸分子という)を複製またはコピーして、追加の核酸分子を少なくとも1つもたらすいずれかの作用またはプロセスを指す。その追加の核酸分子は任意に、その鋳型核酸分子の少なくとも相当な部分と実質的に同一であるかまたは実質的に相補的である配列を含む。その鋳型核酸分子は、一本鎖であることも、二本鎖であることもでき、その追加の核酸分子は独立して、一本鎖であることも、二本鎖であることもできる。いくつかの実施形態では、増幅には、核酸分子の少なくとも相当な部分を少なくとも1コピー作製するか、または核酸分子の少なくとも相当な部分と相補的である核酸配列を少なくとも1コピー作製するための、酵素を触媒とする鋳型依存性のin vitro反応が含まれる。増幅には任意に、核酸分子の線形的または指数関数的な複製が含まれる。いくつかの実施形態では、このような増幅は、等温条件を用いて行い、別の実施形態では、このような増幅には、熱サイクリングを含めることができる。いくつかの実施形態では、増幅は、1回の増幅反応で複数の標的配列を同時に増幅することを含むマルチプレックス増幅である。その標的配列の少なくともいくつかは、1回の増幅反応に含まれる同じ核酸分子または異なる標的核酸分子に位置することができる。いくつかの実施形態では、「増幅」には、DNAベース及びRNAベースの核酸の少なくとも相当部分を単独で、または組み合わせて増幅することが含まれる。その増幅反応は、一本鎖または二本鎖の核酸基質を含むことができ、さらに、当業者に知られている増幅プロセスのいずれかを含むことができる。いくつかの実施形態では、その増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含むことができる。本発明では、核酸の「合成」及び「増幅」という用語を使用する。本発明では、核酸の合成とは、合成起点として機能するオリゴヌクレオチドから、核酸を延長または伸長させることを意味する。この合成のみならず、他の核酸の形成と、この形成された核酸の延長反応または伸長反応も連続的に行う場合、これらの一連の反応は、包括して増幅という。採用した増幅技術によって作製されたポリ核酸は一般に、「アンプリコン」または「増幅産物」という。
【0022】
本明細書に示されているある特定の実施形態で用いられる増幅反応では、多くの核酸ポリメラーゼを使用することができ、そのポリメラーゼには、ヌクレオチド(そのアナログを含む)が重合して核酸鎖となるのを触媒できるいずれの酵素も含まれる。ヌクレオチドのこのような重合は、鋳型依存的に行うことができる。このようなポリメラーゼとしては、天然のポリメラーゼ、そのサブユニット及びトランケート体のいずれか、変異ポリメラーゼ、バリアントポリメラーゼ、組み換えポリメラーゼ、融合ポリメラーゼ、または別段に操作したポリメラーゼ、化学的に改変したポリメラーゼ、合成の分子またはアセンブリー、ならびに上記のような重合を触媒する能力を保持するこれらのアナログ、誘導体または断片のいずれかを挙げることができるが、これらに限らない。任意に、そのポリメラーゼは、1つ以上のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されているか、そのポリメラーゼから1つ以上のアミノ酸が挿入もしくは欠失されているか、または2つ以上のポリメラーゼの一部分が連結されていることを伴う変異を1つ以上含む変異ポリメラーゼであることができる。典型的には、そのポリメラーゼは、ヌクレオチドの結合及び/またはヌクレオチドの重合の触媒を行うことができる活性部位を1つ以上含む。いくつかの例示的なポリメラーゼとしては、DNAポリメラーゼ及びRNAポリメラーゼが挙げられるが、これらに限らない。本明細書で使用する場合、「ポリメラーゼ」という用語及びその類似表現には、連結し合った少なくとも2つの部分を含む融合タンパク質も含まれ、その第1の部分は、ヌクレオチドが重合して核酸鎖となるのを触媒できるペプチドを含むとともに、第2のポリペプチドを含む第2の部分に連結されている。いくつかの実施形態では、その第2のポリペプチドは、レポーター酵素またはプロセッシビティ向上ドメインを含むことができる。任意に、そのポリメラーゼは、5’エキソヌクレアーゼ活性またはターミナルトランスフェラーゼ活性を有することができる。いくつかの実施形態では、そのポリメラーゼは任意に、例えば、熱を利用するか、化学物質によるか、または新たな量のポリメラーゼを反応混合物に再度加えることによって再活性化させることができる。いくつかの実施形態では、そのポリメラーゼとしては、任意に再活性化させることができるホットスタートポリメラーゼまたはアプタマーベースのポリメラーゼを挙げることができる。
【0023】
「標的プライマー」または「標的特異的プライマー」という用語、及びそれらの類似表現は、結合部位の配列と相補的であるプライマーを指す。標的プライマーは概して、標的核酸配列と少なくとも部分的に相補的である配列を少なくとも1つ含む一本鎖または二本鎖のポリヌクレオチド、典型的にはオリゴヌクレオチドである。
【0024】
「フォワードプライマー結合部位」及び「リバースプライマー結合部位」とは、鋳型DNA及び/またはアンプリコンの領域のうち、フォワードプライマー及びリバースプライマーが結合する領域を指す。これらのプライマーは、元の鋳型ポリヌクレオチドの領域のうち、増幅の際に指数関数的に増幅される領域を定める働きをする。いくつかの実施形態では、追加のプライマーは、フォワードプライマー及び/またはリバースプライマーの5’領域に結合することができる。このような追加のプライマーを用いる場合、フォワードプライマー結合部位及び/またはリバースプライマー結合部位は、これらの追加のプライマーの結合領域と、そのプライマー自体の結合領域を含んでよい。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の方法では、フォワードプライマー結合領域及び/またはリバースプライマー結合領域の5’側に位置する領域に結合する追加のプライマーを1つ以上使用してよい。このような方法は例えば、「置換プライマー」または「アウタープライマー」の使用について開示しているWO0028082に開示されている。
【0025】
「バーコード」核酸識別配列は、核酸に組み込むか、またはプライマーに連結して、独立したシーケンシング及び識別が、同一の試料に存在する分子に由来する情報及び識別に関係するバーコードを介して互いに関連することを可能にすることができる。個別の構成要素の中で核酸にバーコードを取り付けるために使用可能な、多数の技術が存在する。例えば、標的核酸をまず増幅して、より短い片に断片化してもよいし、しなくてもよい。分子を個別の構成要素、例えば、バーコードを含有するドロップレットと組み合わせることができる。バーコードを次に、例えば、オーバーラップ伸長によるスプライシングを使用して、分子に取り付けることができる。本アプローチにおいて、最初の標的分子は「アダプター」配列が追加されていることができ、これは、プライマーが合成可能な既知の配列の分子である。バーコードと組み合わせたときに、アダプター配列及びバーコード配列に相補的なプライマーを使用することができ、標的核酸とバーコードの両方の生成物であるアンプリコンが互いにアニールし、かつ、DNA重合などの伸長反応により、互いに伸長することができ、バーコード配列に取り付けられた標的核酸を含む二本鎖生成物を生成する。あるいは、当該標的を増幅するプライマーは、それ自身がバーコード化されることができるため、標的へのアニーリング及び伸長の際に、生成されたアンプリコンは、アンプリコンに組み込まれたバーコード配列を有する。これは、PCRによる特異的増幅、または、例えばMDAによる非特異的増幅を含む多数の増幅法により応用することができる。バーコードを核酸に取り付けるために使用可能な代替の酵素反応、平滑末端または付着末端ライゲーションを含むライゲーションである。本アプローチにおいて、DNAバーコードは、核酸標的及びリガーゼ酵素でインキュベートされ、バーコードの、標的へのライゲーションがもたらされる。核酸の末端は、分子末端に取り付けられるバーコードの数よりも大きな制御が可能なリガーゼまたは断片と共に導入されるアダプターを使用することを含む多数の技術により、必要に応じてライゲーションのために修飾することができる。
【0026】
バーコード配列をマイクロフルイディクスビーズに組み込んで、同一の配列タグでビーズを標識することができる。このようなタグ付きのビーズをマイクロフルイディクスドロップレットに挿入でき、ドロップレットPCRによる増幅を介して、それぞれの標的アンプリコンを、固有のビーズバーコードによってタグ付けできる。このようなバーコードを用いて、鋳型に由来するアンプリコン集団において所定のドロップレットを特定できる。個別の細胞を1つ含むマイクロフルイディクスドロップレットと、タグ付きのビーズを含む別のマイクロフルイディクスドロップレットを組み合わせる場合に、このスキームを使用できる。多数のマイクロフルイディクスドロップレットを回収して合わせたら、アンプリコンシーケンシングの結果によって、各産物に、固有のマイクロフルイディクスドロップレットを割り当てられるようになる。典型的な実施態様では、我々は、Mission BioのTapestri(商標)ビーズ上のバーコードを用いて、各ドロップレットのアンプリコン内容物にタグ付けを行ったうえで、そのアンプリコン内容物を特定する。バーコードの使用については、2018年3月29日にAbate,A.らが「Sequencing of Nucleic Acids via Barcoding in Discrete Entities」という標題で出願した米国特許出願第15/940,850号に記載されており、この特許出願は、参照により、本明細書に援用される。
【0027】
いくつかの実施形態では、固体ポリマービーズまたはハイドロゲルビーズなどのビーズの表面で、バーコードを個別の構成要素、例えばマイクロドロップレットに導入するのが有利であり得る。これらのビーズは、様々な技術を用いて合成することができる。例えば、混合分離技術を使用すると、同一な無作為のバーコード配列の多くのコピーを伴うビーズを合成することができる。これは例えば、DNAを合成可能な部位を含む複数のビーズを作製することにより達成することができる。ビーズは4つの集まりに分けることができ、それぞれに、A、T、G、またはCなどの塩基をビーズに付加する、緩衝液と混合することができる。母集団を4つの亜集団に分けることで、各部分母集団は、その表面に付加された塩基のうちの1つを有することができる。本反応は、単一の塩基のみが付加され、更なる塩基が付加されない方法で達成することができる。4つの亜集団全てに由来するビーズを合わせて互いに混合し、2回目の4つの集団への分割を行うことができる。この分割工程において、以前の4つの集団に由来するビーズを、無作為に互いに混合してもよい。これらを次に、4つの異なる溶液に付加し、各ビーズの表面上の、別の無作為な塩基を付加することができる。本プロセスを繰り返し、ビーズ表面に、母集団が分離及び混合される時間数におよそ等しい長さの配列を生成することができる。これを10回行ったら、例えば、結果は、各ビーズが、その表面に同一の無作為の10個の塩基配列が合成された多数のコピーを有する、ビーズの母集団となろう。各ビーズ上の配列は、各分離混合サイクルを通して終了した、反応器の特定の配列により測定される。
【0028】
バーコードは、「固有識別配列」(UMI)を更に含んでよい。UMIは、そのUMIがコンジュゲートされている1つ以上の第1の分子を、1つ以上の第2の分子から識別及び/または区別するのに利用できる配列を有する核酸である。UMIは典型的には、長さが短く、例えば、約5~20塩基長であり、対象とする1つ以上の標的分子またはその増幅産物にコンジュゲートしてよい。UMIは、一本鎖であっても、二本鎖であってもよい。いくつかの実施形態では、核酸バーコード配列及びUMIの両方を核酸標的分子またはその増幅産物に組み込む。概して、UMIは、1つの集団または群における似た種類の分子を区別する目的で用いるのに対して、核酸バーコード配列は、複数の分子集団または分子群を区別するのに用いる。いくつかの実施形態では、UMI及び核酸バーコード配列の両方を使用する場合、そのUMIは、その核酸バーコード配列よりも配列の長さが短い。
【0029】
本明細書で使用する場合、「同一性」及び「同一な」という用語、ならびにそれらの類似表現は、2つ以上の核酸配列に関して使用する時には、その2つ以上の配列(例えば、ヌクレオチド配列またはポリペプチド配列)の配列類似性を指す。2つ以上の相同配列に関しては、配列またはその部分配列の同一性パーセントまたは相同性パーセントは、同じであるすべてのモノマー単位(例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸)のパーセンテージを示す(すなわち、約70%の同一性、好ましくは、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%または99%の同一性)。その同一性パーセントは、BLASTまたはBLAST2.0という配列比較アルゴリズムを下記のデフォルトパラメーターで用いるか、またはマニュアルアラインメント及び目視確認によって測定した場合において、比較ウィンドウまたは指定領域にわたって最大限一致するように比較及びアラインメントを行った時の所定の領域に対するものであることができる。配列は、アミノ酸レベルまたはヌクレオチドレベルの同一性が少なくとも85%である時に、「実質的に同一」であるとする。好ましくは、その同一性は、少なくとも約25残基長、約50残基長もしくは約100残基長である領域、または少なくとも1つの比較配列の全長に対して存在する。配列同一性パーセント及び配列類似性パーセントを求めるための典型的なアルゴリズムは、BLAST及びBLAST2.0のアルゴリズムであり、これらは、Altschul et al,Nuc.Acids Res.25:3389-3402(1977)に記載されている。他の方法としては、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)及びNeedleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)などのアルゴリズムが挙げられる。2つの核酸配列が実質的に同一であることの別の指標は、その2つの分子またはそれらの相補体が、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、互いにハイブリダイズすることである。
【0030】
「核酸」、「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドのバイオポリマーを指し、文脈上別段に示されている場合を除き、改変ヌクレオチド及び非改変ヌクレオチド、DNA及びRNAの両方、ならびに改変核酸主鎖を含む。例えば、ある特定の実施形態では、その核酸は、ペプチド核酸(PNA)またはロックト核酸(LNA)である。典型的には、本明細書に記載されているような方法は、DNAを増幅用の核酸鋳型として用いて行う。しかしながら、ヌクレオチドが、天然のDNAまたはRNAに由来する人工の誘導体または改変核酸に置き換えられている核酸も、相補鎖合成用の鋳型として機能する限りは、本発明の核酸に含めてよい。本発明の核酸は概して、生体試料に含まれている。その生体試料には、動物、植物または微生物の組織、細胞、培養液、及び排泄物または抽出物が含まれる。ある特定の態様では、その生体試料には、ウイルスまたはマイコプラズマのような細胞内寄生体のゲノムDNAまたはRNAが含まれる。本発明の核酸は、前記生体試料に含まれる核酸に由来してよい。例えば、好ましくは、記載されている方法では、ゲノムDNA、mRNAから合成したcDNA、または生体試料に由来する核酸に基づいて増幅した核酸を使用する。別段に示されていない限り、オリゴヌクレオチド配列が示されている場合、そのヌクレオチドは、左から右に向かって、5’から3’の順であり、「A」はデオキシアデノシンを示し、「C」はデオキシシチジンを示し、「G」はデオキシグアノシンを示し、「T」はチミジンを示し、「U」はデオキシウリジンを示すと理解されたい。オリゴヌクレオチドは、「5’末端」及び「3’末端」を有するという。典型的には、モノヌクレオチドが反応して、ある1つのヌクレオチドの5’リン酸基または同等の基が、任意にホスホジエステル結合またはその他の好適な結合を介して、その隣接ヌクレオチドの3’ヒドロキシル基または同等の基に結合することによって、オリゴヌクレオチドを形成するからである。
【0031】
鋳型核酸は、核酸増幅法において相補鎖を合成する際の鋳型として機能する核酸である。その鋳型と相補的なヌクレオチド配列を有する相補鎖は、その鋳型に対応する鎖としての意味を持つが、これらの2つの関係は、相対的なものに過ぎない。すなわち、本明細書に記載されている方法によれば、相補鎖として合成された鎖は、再び鋳型として機能できる。換言すると、相補鎖は、鋳型となることができる。ある特定の実施形態では、鋳型は、生体試料、例えば、植物、動物、ウイルス、微生物、細菌、真菌などに由来する。ある特定の実施形態では、その動物は、哺乳動物、例えばヒト患者である。鋳型核酸は典型的には、標的核酸を1つ以上含む。例示的な実施形態における標的核酸は、試料中に存在する疑いがあるか、または試料中に存在すると予測されるいずれの核酸配列も含め、本開示に従って増幅または合成できる一本鎖または二本鎖のいずれの核酸配列も含んでよい。
【0032】
本発明における実施形態で用いるプライマー及びオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドを含む。ヌクレオチドは、ポリメラーゼに選択的に結合できるか、またはポリメラーゼによって重合化できるいずれの化合物も含み、いずれの天然ヌクレオチドまたはそのアナログも含まれるが、これらに限らない。必然ではないが、典型的には、ヌクレオチドがポリメラーゼに選択的に結合した後には、そのヌクレオチドは、ポリメラーゼによって重合して核酸鎖となるが、時折、ヌクレオチドが、核酸鎖に組み込まれずに、ポリメラーゼから解離することがあり、この事象は、本明細書では、「非生成」事象という。このようなヌクレオチドには、その構造にかかわらず、ポリメラーゼに選択的に結合できるか、またはポリメラーゼによって重合化できる天然のヌクレオチドのみならず、いずれのアナログも含まれる。天然のヌクレオチドは典型的には、塩基部分、糖部分及びリン酸部分を含むが、本開示のヌクレオチドは、このような部分のいずれか1つ、一部またはすべてが欠損している化合物を含むことができる。例えば、そのヌクレオチドは任意に、リン原子を3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれを上回る数含むリン原子鎖を含むことができる。いくつかの実施形態では、そのリン鎖は、糖環のいずれかの炭素(5’炭素など)に結合できる。そのリン鎖は、介在するOまたはSとともに、糖に連結できる。一実施形態では、その鎖のリン原子の1つ以上は、P及びOを有するリン酸基の一部であることができる。別の実施形態では、その鎖のリン原子は、介在するO、NH、S、メチレン、置換メチレン、エチレン、置換エチレン、CNH、C(O)、C(CH)、CHCHまたはC(OH)CHR(式中、Rは、4-ピリジンまたは1-イミダゾールであることができる)とともに連結できる。一実施形態では、鎖中のリン原子は、O、BH3、またはSを有する側基を有することができる。そのリン鎖では、O以外の側鎖基を持つリン原子は、置換リン酸基であることができる。そのリン鎖では、O以外の介在する原子を持つリン原子は、置換リン酸基であることができる。ヌクレオチドアナログの例のいくつかは、Xuによる米国特許第7,405,281号に記載されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、ヌクレオチドは標識を含み、そのヌクレオチドは、本明細書では、「標識ヌクレオチド」といい、標識ヌクレオチドの標識は、本明細書では、「ヌクレオチド標識」という。いくつかの実施形態では、その標識は、末端リン酸基、すなわち、糖から最も遠いリン酸基に結合した蛍光部分(例えば色素)、発光部分などの形態であることができる。本開示の方法及び組成物で使用できるヌクレオチドの例のいくつかとしては、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、改変リボヌクレオチド、改変デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドポリホスフェート、デオキシリボヌクレオチドポリホスフェート、改変リボヌクレオチドポリホスフェート、改変デオキシリボヌクレオチドポリホスフェート、ペプチドヌクレオチド、改変ペプチドヌクレオチド、メタロヌクレオシド、ホスホネートヌクレオシド、及び改変リン酸-糖という主鎖のヌクレオチド、上記化合物のアナログ、誘導体またはバリアントなどが挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、そのヌクレオチドは、そのヌクレオチドのαリン酸と糖、そのヌクレオチドのαリン酸とβリン酸、そのヌクレオチドのβリン酸とγリン酸、そのヌクレオチドのいずれかの他の2つのリン酸、またはこれらをいずれかに組み合わせたものを架橋する酸素部分の代わりに、例えばチオ部分またはボラノ部分のような非酸素部分を含むことができる。「ヌクレオチド5’-三リン酸」とは、5’位に三リン酸エステル基を有するヌクレオチドを指し、「NTP」、または特にリボース糖の構造的特徴を示す目的で、「dNTP」及び「ddNTP」と称する場合がある。三リン酸エステル基は、様々な酸素に対する硫黄置換基を含むことができる(例えばα-チオ-ヌクレオチド5’-三リン酸)。核酸化学の論評については、Shabarova,Z.and Bogdanov,A.Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids,VCH,New York,1994を参照されたい。
【0034】
PCRベースのアッセイ、例えば定量PCR(qPCR)、または等温増幅のようないずれかの核酸増幅法を用いて、別個の物体、またはその構成成分の1つ以上、例えば、その物体に封入された細胞に存在するある特定の核酸、例えば、対象とする遺伝子の存在を検出してよい。このようなアッセイは、マイクロフルイディクスデバイスもしくはその一部、またはいずれかの他の好適な位置にある別個の物体に適用できる。このような増幅またはPCRベースのアッセイの条件は、経時的に核酸の増幅を検出することを含んでよく、1つ以上の方法が異なっていてよい。
【0035】
マイクロドロップレットに加えてよい増幅/PCRプライマーの数は、様々であってよい。マイクロドロップレットに加えてよい増幅またはPCRプライマーの数は、約1~約500個以上の範囲、例えば、約2~100個のプライマー、約2~10個のプライマー、約10~20個のプライマー、約20~30個のプライマー、約30~40個のプライマー、約40~50個のプライマー、約50~60個のプライマー、約60~70個のプライマー、約70~80個のプライマー、約80~90個のプライマー、約90~100個のプライマー、約100~150個のプライマー、約150~200個のプライマー、約200~250個のプライマー、約250~300個のプライマー、約300~350個のプライマー、約350~400個のプライマー、約400~450個のプライマー、約450~500個のプライマーまたは約500個以上のプライマーであってよい。
【0036】
プライマーセットの一方または両方のプライマーが、バーコード配列を含んでよい。いくつかの実施形態では、一方または両方のプライマーが、バーコード配列及び固有分子識別子(UMI)を含む。いくつかの実施形態では、UMI及び核酸バーコード配列の両方を用いる場合には、そのUMIを標的核酸またはその増幅産物に組み込んでから、その核酸バーコード配列を組み込む。いくつかの実施形態では、UMI及び核酸バーコード配列の両方を用いる場合には、そのUMIを標的核酸またはその増幅産物に組み込んだ後に、その核酸バーコード配列をそのUMIまたはその増幅産物に組み込む。
【0037】
プライマーセットのうちの1つまたは両方のプライマーもまた、親和性試薬に付着またはコンジュゲートすることができる。いくつかの実施形態では、例えば個別の細胞を、個別の構成要素、例えばドロップレット内で単離する。これらの細胞を溶解することができ、それらの核酸をバーコード化することができる。本プロセスは、個別の構成要素内の多数のシングルセル上で行うことができ、独自のバーコード配列が、バーコードにより、混合された配列リードのその後のデコンボリューションを行い、シングルセル情報を得ることができる。本アプローチは、多数のシングルセルに由来する核酸と合わせてグループ分けする方法を提供する。加えて、抗体などの親和性試薬を、核酸ラベル、例えば、抗体の種類、例えば抗体の標的特異性を識別するために使用可能なバーコードを含むオリゴヌクレオチドとコンジュゲートすることができる。これらの試薬を次に使用して、細胞内または細胞上にタンパク質を結合することができ、これにより、親和性試薬によって、タンパク質が結合する細胞に送達される核酸が会合する。次に、これらの細胞を、本明細書に記載するバーコード化ワークフローにより処理し、親和性試薬上で、バーコードを核酸ラベルに取り付けることができる。次に、ライブラリー調製、シーケンシング、及びバイオインフォマティクスの技術を使用して、細胞/個別の構成要素バーコードに従い、配列をグループ分けすることができる。タンパク質、分子、またはその複合体などの、生体試料またはタンパク質またはそれらの構成成分に結合する、またはこれらを認識することができる、任意の好適な親和性試薬を、これらの方法と合わせて利用することができる。親和性試薬を、その同一性、例えば抗体の標的特異性を関連付ける核酸配列により標識することができ、これにより、本明細書に記載するバーコード化及び方法を用いて、それらの検出及び定量化が可能になる。例示的な親和性試薬としては例えば、抗体、抗体断片、Fab、scFv、ペプチド、薬物など、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。親和性試薬、例えば抗体は、1つ以上の生体により発現することができるか、または、生物学的合成技術、例えばファージ、mRNA、もしくはリボソームディスプレイを使用して提供することができる。親和性試薬は、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミド(NETS)を用いる化学結合、クリックケミストリー、またはストレプトアビジン-ビオチン相互作用などの化学的または生化学的手段によってもまた、生成することができる。オリゴ親和性試薬コンジュゲートは、オリゴを親和性試薬に付着させ、ポリメラーゼなどによって、追加のオリゴを、以前にコンジュゲートしたオリゴに、ハイブリダイズ、ライゲーション、及び/または伸長することによってもまた生成することができる。核酸による親和性試薬標識の利点は、生体試料の大きく多重化した分析が可能になる点である。例えば、試料内で多数の標的を認識する、それぞれが自身の核酸配列で標識された、抗体または結合試薬の多量の混合物を、一緒に混合することができる。このカクテルを次に試料と反応させて、本明細書に記載するバーコード化ワークフローに供し、どの試料が結合したのか、量、及び、試料中の異なる構成要素間で、例えばシングルセル間で、量がどのように変化するかについての情報を回収することができる。上記アプローチを、1つ以上の細胞、ペプチド、タンパク質、巨大分子、巨大分子複合体などを含む試料を含む多様な分子標的に適用することができる。試料を、固定及び易透化、親和性試薬の結合の補助といった、分析のための従来の処理に供することができる。非常に正確な定量化を行うために、本明細書に記載する、固有分子識別子(UMI)技術もまた使用して、親和性試薬分子を正確に計数することができる。これは、UMIを、コンジュゲーションの前、間、もしくは後に各親和性試薬に付着した標識に合成すること、または、試薬の使用時にUMIをマイクロ流体的に付着させることを含む多数の方法によって成し遂げることができる。バーコードを生成する類似の方法、例えば、シングルセルシーケンシングに適用され、本明細書に記載するコンビナトリアルバーコード技術が、親和性試薬技術に適用可能である。これらの技術は、様々な生体試料でのタンパク質及び/またはエピトープを分析して、例えば、エピトープのマッピング、または、タンパク質及び他の構成要素での翻訳後修飾、またはシングルセルプロテオミクスの実施を行うことを可能にする。例えば、本明細書に記載の方法を使用すると、生体のプロテオーム内の全てのタンパク質でエピトープを検出する、標識済親和性試薬のライブラリーを生成し、これらのエピトープを試薬で標識し、本明細書に記載するバーコード化及びシーケンシング技術を適用し、これらのエピトープと関連する標識を検出し、正確に定量することが可能になる。
【0038】
プライマーは、対象とする1つ以上の核酸、例えば、対象とする1つ以上の遺伝子に対するプライマーを含んでよい。対象とする遺伝子用プライマーの付加数は、約1~500個の範囲、例えば、約1~10個のプライマー、約10~20個のプライマー、約20~30個のプライマー、約30~40個のプライマー、約40~50個のプライマー、約50~60個のプライマー、約60~70個のプライマー、約70~80個のプライマー、約80~90個のプライマー、約90~100個のプライマー、約100~150個のプライマー、約150~200個のプライマー、約200~250個のプライマー、約250~300個のプライマー、約300~350個のプライマー、約350~400個のプライマー、約400~450個のプライマー、約450~500個のプライマーまたは約500個以上のプライマーであってよい。プライマー及び/または試薬は、別個の物体、例えばマイクロドロップレットに、1工程または2工程以上で加えてよい。例えば、プライマーは、2工程以上、3工程以上、4工程以上または5工程以上で加えてよい。プライマーを1工程で加えるか、2工程以上で加えるかにかかわらず、プライマーは、溶解剤を加えた後、溶解剤を加える前、または溶解剤を加えるのと同時に加えてよい。溶解剤を加える前または加えた後にPCRプライマーを加える場合、そのプライマーは、溶解剤を加えるのとは別の工程で加えてよい。いくつかの実施形態では、PCR試薬を加える前に、その別個の物体、例えばマイクロドロップレットに対して、希釈工程及び/または酵素不活化工程を行ってよい。このような方法の例示的な実施形態は、PCT公開第2014/028378号に記載されており、その開示内容は、参照により、その全体が、あらゆる目的で本明細書に援用される。
【0039】
標的核酸を増幅するためのプライマーセットは典型的には、標的核酸またはその相補体と相補的であるフォワードプライマー及びリバースプライマーを含む。いくつかの実施形態では、増幅は、1回の増幅反応において、複数の標的特異的プライマー対を用いて行うことができ、この場合、各プライマー対は、標的特異的なフォワードプライマー及び標的特異的なリバースプライマーを含み、それぞれ、試料中の対応する標的配列と実質的に相補的であるかまたは実質的に同一である配列を少なくとも1つ含み、各プライマー対は、対応する標的配列が異なる。したがって、本発明におけるある特定の方法を用いて、シングルセルの試料に由来する複数の標的配列を検出または識別する。
【0040】
いくつかの実施態様において、固体支持体、ビーズなどが、親和性試薬でコーティングされる。親和性試薬としては、抗原、抗体、または、標的分子に対して特異的結合親和性を有するアプタマーが挙げられるが、これらに限定されない。親和性試薬は、シングルセル構成要素内で1つ以上の標的に結合する。親和性試薬は多くの場合、(例えば、フルオロフォアで)検出可能に標識されている。親和性試薬は場合によっては、独自のバーコード、オリゴヌクレオチド配列、またはUMIで標識されている。
【0041】
いくつかの実施態様において、例えば反応混合物中で、反応混合物への付加において、または、反応混合物の一部への付加において、RT/PCRポリメラーゼ反応、及び増幅が行われる。
【0042】
特定の一実施態様において、固体支持体は、異なる標的分子に対してそれぞれ特異的な、複数の親和性試薬を含有する。特異的な標的分子に結合する親和性試薬は、異なる試薬に対して異なる結合親和性を有する親和性分子が、異なるオリゴヌクレオチド配列で標識されるように、同一のオリゴヌクレオチド配列でまとめて標識される。このようにして、単一の標的構成要素内の標的分子は、これらの器具内で区別されて標識される。
【0043】
抗体タグ、ゲノムDNAブリッジ、及びプロテオミクス
本明細書のいくつかの実施形態の第1の目的は、多数のシングルセル内での、感度が高く正確で包括的な、タンパク質の特性決定を提供することである。
【0044】
本明細書において提供する特定の方法は、特異的な抗体を利用して、対象となるエピトープを検出する。いくつかの実施形態では、抗体は、マイクロフルイディックバーコード化及びDNAシーケンシングにより読み取り可能な配列タグで標識される。この実施形態、及び関連する実施形態を本明細書で使用し、シングルセルレベルにおいて、異なる細胞型の細胞表面タンパク質を特性決定する。
【0045】
いくつかの実施形態では、バーコード同一性は、その完全なヌクレオ塩基配列によりコードされ、故に、蛍光を用いる従来のアプローチにより可能なものをはるかに凌駕する、コンビナトリアルタグ空間を付与する。10塩基という多くはないタグの長さにより、100万個を超える固有配列がもたらされ、これは、ヒトプロテオーム内での各エピトープに対して抗体を標識するのに十分である。実際、本アプローチにより、多重化への制限は、固有タグ配列の利用可能性ではなく、多重化反応において、対象となるエピトープを検出可能な特異的抗体の利用可能性となる。
【0046】
いくつかの実施態様において、抗体がバーコードにより標識されることを除いて、細胞は、従来の免疫染色におけるような、異なる標的エピトープに対する抗体と結合される。
【0047】
実際に、抗体がその標的に結合する場合、抗体バーコードタグは、抗体とともに運搬され、故に、抗体の存在、及び細胞の存在を推定可能となる。いくつかの実施態様において、抗体バーコードタグを係数することにより、細胞内に存在する異なるエピトープが推定される。
【0048】
他の実施形態・実施態様を使用して、そのタンパク質発現プロファイルにより特定の細胞を区別する。本明細書において提供するDNAタグ抗体のいくつかの実施形態は、シングルセル内でタンパク質をプロファイリングするための、複数の利点を有する。
【0049】
これらの実施態様の主たる利点は、低量タグを増幅して、低量タグをシーケンシングにより検出可能とする能力である。いくつかの実施態様における別の利点は、定量的結果のために、分子インデックスを用いることができることである。いくつかの実施態様は、本質的に無制限の多重化能力もまた有する。
【0050】
いくつかの実施形態は、使用するプライマーが溶液中にあり、プライマーへのハイブリダイゼーションを可能にする、埋め込まれたPCRアニーリング配列、即ち「ハンドル」を含有する、代替の化学作用を有する固体ビーズを利用する。いくつかの実施態様において、ハンドルは、標的配列の5’上流の特異的尾部であり、このハンドルは、ビーズバーコード化オリゴに対して相補的であり、PCR伸長ブリッジとしての役割を果たし、標的アンプリコンをビーズバーコードライブラリープライマー配列に結合させる。固体ビーズは、プライマー上でPCRハンドルにアニーリング可能なプライマーを含有することができる。
【0051】
特定の一実施形態は、抗体に結合したバーコード識別配列を付加する方法であって、当該方法が、i)標的gDNAを、a)細胞バーコードに隣接する第1のリード配列及びハンドル配列を含むフォワードプライマー、b)標的ゲノムDNAに対して相補的な配列を含み、第2のハンドル配列に隣接する固有の分子タグを含むことができるリバースプライマーに初期ハイブリダイゼーションする工程、及び、PCR反応を行う工程を含む上記方法に関するものである。得られるアンプリコンは、プライマー配列に結合し、長さ「n」の挿入配列に隣接し、標的ゲノムDNAに対して相補的な配列、任意に、固有の分子タグ、抗体タグ配列、及び第2のPCRハンドルを含むリバースプライマーに隣接する、細胞バーコード配列に隣接するPCRハンドル配列を含む。追加のライブラリー作成PCR工程は典型的に、いくつかの実施形態において使用され、インデックス化及び識別配列を更に結合する(例えば、図1を参照されたい)。
【0052】
抗体ライブラリーは抗体染色細胞から作製することができ、これらはシーケンシングにより識別及び特性決定することができる。
【0053】
別の態様では、本明細書において提供するいくつかの実施態様を使用して、シングルセル内のDNA及びタンパク質発現パターンを検出及び特性決定することができる。
【0054】
別の態様では、本明細書において提供するいくつかの実施態様を使用して、シングルセル内のRNA及びタンパク質発現パターンを検出及び特性決定することができる。
【0055】
別の態様では、本明細書において提供するいくつかの実施態様を使用して、シングルセル内のDNA、RNA及びタンパク質発現パターンを検出及び特性決定することができる。
【0056】
いくつかの実施態様において、標的核酸配列を、長さ及び配列に基づいて使用して、固有の固体タグを識別することができる。
【0057】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載する特定の親和性試薬バーコード化技術を使用して、タンパク質-タンパク質相互作用を検出及び定量化することができる。例えば、相互作用するタンパク質を、核酸配列で標識して互いに反応させることができる。タンパク質が例えば、互いに結合によって相互作用する場合、それらの会合した標識は結合した複合体に局在化するが、相互作用しないタンパク質は、互いに結合しないままであろう。
【0058】
次いで、サンプルを、マイクロフルイディクスドロップレットなどの個別の構成要素に分離し、核酸標識の融合増幅/PCR、またはバーコード化に供することができる。タンパク質が相互作用する場合において、所与のバーコード群は、相互作用する両方のタンパク質の標識を含む核酸を、これらの核酸が、同一区画内に収まり、同一のバーコード配列によりバーコード化されているため、含有する。対照的に、相互作用しないタンパク質は統計的に、異なる区画に収まるため、シーケンシング後に同一バーコード群にクラスター化しない。これによって、バーコードに従い、データをクラスター化し、群内での全ての親和性試薬標識を検出することにより、どのタンパク質が相互作用するかの識別が可能となる。
【0059】
本発明の特定の実施形態は、タンパク質、例えば抗体、酵素、受容体などにコンジュゲートした核酸を結合し、増幅する方法を提供する。例示的な方法は、(a)複数のタンパク質が相互作用するのに十分な条件下で、核酸バーコード配列にコンジュゲートしたタンパク質の集団をインキュベートして、相互作用タンパク質上で核酸バーコード配列を互いに近接させることと、(b)存在する場合、相互作用タンパク質が同時封入されるように、複数の個別の構成要素内に、核酸バーコード配列にコンジュゲートしたタンパク質の集団を封入することと、(c)存在する場合、相互作用タンパク質上で、核酸バーコード配列の増幅及び結合に十分な、複数の第1の個別の構成要素及び試薬のうちの一方の、個別の構成要素内容物内で組み合わせるマイクロフルイディクスデバイスを使用することと、(d)存在する場合、個別の構成要素を、相互作用タンパク質上で、核酸バーコード配列の増幅及び結合に十分な条件に供することと、を含む。
【0060】
いくつかの実施形態は、使用するプライマーが溶液中にあり、プライマーへのハイブリダイゼーションを可能にする、埋め込まれたPCRアニーリング配列、即ち「ハンドル」を含有する、代替の化学作用を有する固体ビーズを利用する。いくつかの実施態様において、ハンドルは、標的配列の5’上流の特異的尾部であり、このハンドルは、ビーズバーコード化オリゴに対して相補的であり、PCR伸長ブリッジとしての役割を果たし、標的アンプリコンをビーズバーコードライブラリープライマー配列に結合させる。固体ビーズは、プライマー上でPCRハンドルにアニーリング可能なプライマーを含有することができる。
【0061】
本発明の他の態様は、下記の実施形態で説明し得る。
【0062】
1.本明細書に記載されている方法を行うための装置またはシステム。
【0063】
2.本明細書に記載されている方法を行うための組成物または反応混合物。
【0064】
3.本明細書に記載されている方法により生成される抗体ライブラリー。
【0065】
4.本明細書に記載されている方法により生成されるゲノムライブラリー。
【0066】
5.本明細書に記載されている方法に従って生成したトランスクリプトームライブラリー。
【0067】
6.本明細書に記載されている方法に従って生成した、抗体ライブラリー、ゲノムライブラリー、及びトランスクリプトームライブラリー。
【0068】
7.本明細書に記載されている方法を行うためのキット。
【0069】
8.本明細書に記載されている方法により選択される細胞集団。
【0070】
9.本明細書の方法を行うための分子プロファイリングのための方法。
【0071】
10.細胞バーコードに基づいて対形成可能な、抗体ライブラリー及びDNAライブラリーを調製するための方法。
【0072】
11.細胞バーコードに基づいて対形成可能な、抗体ライブラリー及びRNAライブラリーを調製するための方法。
【0073】
12.細胞バーコードに基づいて対形成可能な抗体ライブラリー、DNAライブラリー、及びRNAライブラリーを調製するための方法。
【0074】
下記の実施例は、例示目的で含まれており、限定するものではない。
【実施例
【0075】
実施例I
抗体タグプライミング及びゲノムDNAブリッジ
開示した実施形態は概して、シングルセルポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の間に、プライマーとして抗体タグを使用し、細胞の存在下においてのみ生成されるアンプリコンをもたらすことに関する。とりわけ、開示した実施形態は、バックグラウンドノイズを最小限に抑えるために使用可能な、プロテオミクス分析への代替アプローチを提供する。
【0076】
いくつかの実施態様において、細胞プロテオームの分析及び特性決定はまず、PCRプライミング部位が隣接する抗体タグを抗体にコンジュゲートすることにより行われる。抗体タグは、当該抗体に対して特異的なDNA配列で構成される。これらのコンジュゲートされた抗体を使用して細胞を染色し、これを次に、Tapestri(商標)プラットフォームを通して実行する。細胞がドロップレットに分画されると、その対応する抗体もまた同様に分画される。gDNAまたはRNA標的が増幅されるバーコード化PCRの間に、抗体タグもまた増幅される。これらのアンプリコンを次に、シーケンシングのためにライブラリーにする。ビーズを含有するが細胞を含有しないドロップレットにおいて、細胞から解離したあらゆる抗体は依然として増幅可能であり、細胞バーコードとして割り当てられる。シーケンシングの実行の画分が、バックグラウンドノイズにより採取されると、これらのリードを、分析中にデータセットからフィルタにかけなければならない。
【0077】
本実施例において、我々は、細胞由来のDNAを、標的化した核酸として使用し、抗体上のオリゴはプライマーである。本アプローチは独自に、細胞から解離した抗体に由来する抗体タグの増幅物を取り除き、故に、リードシーケンシング効率を最大化する。
【0078】
本開示の一実施形態に従った例示的方法において、抗体を、PCRハンドル及びリバース遺伝子特異的プライマーが隣接する抗体タグでコンジュゲートすることができる(5’-PCRハンドルリバース-抗体タグ-遺伝子特異的リバースプライマー-3’)。抗体タグは、当該抗体に対して特異的なDNA配列で依然として構成される。特定の実施形態では、対応する遺伝子特異的フォワードプライマー(5’-PCRハンドルフォワード-遺伝子特異的フォワードプライマー-3’)は、バーコード化PCRで使用されるフォワードプライマー混合物に含まれる。このフォワード混合物は、ビーズに取り付けることができるか、または溶液中に存在することができる。フォワードプライマー用のPCRハンドルは、使用する化学作用に応じて変更することができる(図1を参照されたい)。
【0079】
細胞染色及び溶解の後、バーコード化PCRの間に、核酸(gDNAまたはRNA)が存在し得る場合に限り、抗体タグプライマーをハイブリダイズして伸長する。この伸長は、DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素により行うことができる。対応するフォワードプライマーは、DNAコピーまたはcDNA上でプライムした後、抗体タグ配列を通って伸長する。このサイクルにより、ライブラリー調製に必要なPCRハンドルと共に抗体タグを含有するアンプリコンが得られる。gDNAまたはRNAがドロップレット内に存在しない場合、抗体タグプライマーは伸長しない。結果として、ビーズ及び細胞を含有するドロップレットのみが、抗体タグからライブラリーを作製する。
【0080】
本アプローチにより、リード1は細胞バーコード、フォワードプライマー及びアンプリコンを通してシーケンシング可能である一方で、リード2は抗体タグ、リバースプライマー、及びアンプリコンをシーケンシング可能である。細胞が存在するドロップレットのみが、ライブラリーPCR内で更に増幅されることができる、細胞バーコード及び抗体タグを含むアンプリコンを作製する。これは、細胞を含有しないドロップレットからのノイズを最小限に抑える。
【0081】
Tapestri(商標)エマルション(約350pL)内での、シングルセル(二倍体ゲノム)に結合した抗体タグのコピーを約100個と推定すると、プライマー及び鋳型の濃度は、多重化PCRに使用する範囲内にある。
【0082】
一実施形態において、抗体タグに対する遺伝子特異的プライミング部位は、抗体のコピー及び広まりに応じて選択可能である。例えば、シングルコピー遺伝子標的は、非常に広く広まった抗体に対して選択可能である。他の抗体に対しては、複数のコピーを含む標的を選択して、18s、LINE1、またはALUなどのプライミング部位を増加させることができる。これらの標的のコピーは既知であるため、これらを使用して、得られるシーケンシングデータを正規化することができる。18sの場合、真核生物中での高度な相同性により、ヒト、マウス、及びラットに対して万能な抗体タグプライマーを設計した。
【0083】
遺伝子特異的プライミング部位もまた、抗体タグ用に設計可能であり、これによって、アンプリコンはゲノムの可変領域を含有する。アンプリコンがシーケンシングされると、可変領域を分子タグとして使用して、PCRコピーを区別することができる。例えば、ALU115プライマー及びLINE1プライマーを用いると、それぞれ、半数体当たり約10万個のコピー、及び約7000個のコピーが存在する。これらの様々な部位にて抗体をプライミングすると、作製されたアンプリコンは様々な配列を有することができる。これらの様々な配列を、各抗体タグに対して破壊して、固有の抗体リードを作製することができる。
【0084】
一実施態様において、以下の遺伝子特異的プライマーを使用する。
【0085】
18s-半数体ゲノム当たり400個のコピー
リバース:CTCAACACGGGAAACCTCAC(配列番号)
フォワード:CGCTCCACCAACTAAGAACG(配列番号)
【0086】
LINE1-半数体ゲノム当たり約7000個のコピー
リバース:TTCCCTCTACACACTGC(配列番号)
フォワード:ACACCTATTCCAAAATTGACCAC(配列番号)
【0087】
ALU115-半数体ゲノム当たり約10万個のコピー
リバース:CCCGAGTAGCTGGGATTACA(配列番号)
フォワード:CCTGAGGTCAGGAGTTC(配列番号)
【0088】
バーコード化プライマー:
リバースプライマー:5’-PCRハンドルリバース-抗体タグ-遺伝子特異的リバースプライマー-3’
フォワードプライマー:5’-PCRハンドルフォワード-遺伝子特異的フォワードプライマー-3’
【0089】
実施例18sバーコード化プライマー:
リバースプライマー:
GTCTCGTGGGCTCGGAGATGTGTATAAGAGACAGGGTAAGTGCTGATCTTGGATGTGACG(配列番号)
TCTCAACACGGGAAACCTCAC(配列番号)
フォワードプライマー:GTACTCGCAGTAGTCCGCTCCACCAACTAAGAACG(配列番号)
【0090】
配列リード:
リード1=細胞バーコード+PCRハンドル+遺伝子特異的フォワードプライマー+挿入物
リード2=抗体タグ+遺伝子特異的リバースプライマー+インサート
【0091】
(表1)シーケンシング結果
【0092】
2つのシーケンシングリードが対形成可能であり、予想される標的配列にアラインされる、ヒトゲノムが作製したリードにてLINE1用プライミング部位として抗体タグを使用して、シングルセルライブラリーが作製されたことを、表1は示す。これらのアラインされたライブラリーは、予想される構造を有した。
【0093】
本明細書で参照または言及されているいずれの特許、刊行物、科学論文、ウェブサイト、ならびにその他の文書及び資料も、本発明が属する技術分野の当業者の知識レベルを表すものであり、このような参照文書及び参照資料はそれぞれ、参照により、個々にその全体が援用される場合、またはその全体が本明細書に示されている場合と同程度に、参照により本明細書に援用される。出願人は、このようないずれの特許、刊行物、科学論文、ウェブサイト、電子的に入手可能な情報及びその他の参照資料または文書に由来するあらゆる資料及び情報を本明細書に物理的に援用する権利を留保する。
【0094】
本明細書に記載されている具体的な方法及び組成物は、好ましい実施形態の代表的なもので、例示的であり、本発明の範囲を限定するものとしては意図されていない。他の目的、態様及び実施形態は、本明細書を考察すれば、当業者には明らかとなるであろうし、特許請求の範囲によって定義されているような、本発明の趣旨に含まれる。本明細書に開示されている本発明に対して、本発明の範囲及び趣旨から逸脱せずに、様々な置換及び改変を行ってよいことは、当業者には容易にわかるであろう。本明細書に例示的に記載されている本発明は好適には、いずれかの1つの要素もしくは複数の要素、または1つの制限事項または複数の制限事項であって、本明細書に必須事項として具体的に開示されてはいない要素または制限事項が欠けた状態で実施してもよい。すなわち、例えば、本明細書の各ケース、または本発明の実施形態もしくは実施例では、「含む」、「~から本質的になる」及び「~からなる」という用語のいずれも、本明細書において、他の2つの用語のうちのいずれかと置き換えてよい。また、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」などの用語は、広範囲に、かつ限定なしに解釈すべきである。本明細書に例示的に記載されている方法及びプロセスは好適には、工程を異なる順序で実施してよく、必ずしも、本明細書または請求項に示されている順序の工程に制限されるわけではない。また、本明細書及び添付の請求項で使用する場合、「a」、「an」及び「the」という単数形には、文脈上明らかに別段に示されている場合を除き、複数の言及物が含まれる。本特許は、本明細書に具体的に開示されている具体例もしくは実施形態、または方法に限定されるとは、いずれの状況でも解釈できない。いずれの審査官もしくはいずれの他の当局者、またはPatent and Trademark Officeの被用者によるいずれの陳述も、具体的かつ無制限または無条件に、本出願人による返答書で明示的に作用される場合を除き、本特許を限定するものとは、いずれの状況でも解釈できない。
【0095】
採用されている用語及び表現は、説明のための用語として用いられており、限定のための用語ではなく、このような用語及び表現の使用によって、表示及び記載されている特徴またはその一部の均等物のいずれかを除外する意図はなく、特許請求する本発明の範囲内で、様々な改変が可能であることが認識される。すなわち、本発明は、好ましい実施形態及び任意選択の特徴によって、具体的に開示されているが、本明細書に開示されている概念の改変形態及び変形形態を、当業者は用いてよく、そのような改変形態及び変形形態は、添付の請求項によって定義されるような、本発明の範囲内とみなされることを理解されたい。
【0096】
本発明は、本明細書に広範かつ概括的に説明されている。属の開示に含まれる、より狭い種及び亜属の群もそれぞれ、本発明の一部を形成する。これには、本発明の属の記載であって、その属からいずれかの主題を除去する但し書きまたは否定的な限定を伴う属の記載が含まれ、その削除物が、本明細書に具体的に示されているか否かは問わない。
【0097】
他の実施形態は、下記の請求項の範囲内である。加えて、本発明の特徴または態様が、マーカッシュグループの観点で説明されている場合、本発明が、そのマーカッシュグループの個々の構成要素、または構成要素からなるサブグループのいずれの観点でも説明されることを当業者は認識するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シングルセルのタンパク質発現パターンを測定及び特性決定する方法であって、
a)PCRプライミング部位に隣接したバーコード配列を抗体にコンジュゲートする工程であって、バーコード配列が抗体に対して特異的である前記工程と、
b)前記バーコードがコンジュゲートした抗体を用いて細胞識別工程を行う工程と、
c)個別の細胞を分画または分離して、プロテアーゼを含む反応混合物に、1つ以上の個別の細胞(複数可)を封入する工程と、
d)前記封入した細胞を前記プロテアーゼとともに液滴内でインキュベートして、細胞溶解液を作製する工程と、
e)細胞内に存在する核酸を標的にする1つ以上の核酸増幅プライマーセットを供給する工程であって、プライマーセットのうちの1つ以上のプライマーが、抗体と関係するバーコード識別配列を含む前記工程と、
f)細胞内に存在する核酸を標的にする1つ以上の核酸増幅プライマーセットを供給する工程であって、プライマーセットのうちの1つ以上のプライマーが、各細胞に対して固有のバーコード識別配列を含む前記工程と、
g)1つ以上のアンプリコンを作製するために、核酸増幅反応を行う工程と、
h)プライマーセットの1つ以上の核酸プライマーの識別バーコード配列と相補的な核酸配列を含む親和性試薬を供給する工程であって、前記識別バーコード配列と相補的な前記核酸配列を含む前記親和性試薬が、バーコード識別配列を含む核酸増幅プライマーセットに結合できる前記工程と、
i)親和性試薬が標的核酸に結合して、親和性試薬が結合した標的核酸を形成するのに十分な条件下で、前記親和性試薬と、1つ以上の標的核酸配列のアンプリコンを含む増幅産物とを接触させる工程と、
j)アンプリコンのバーコードをシーケンシングすることで、1つ以上のタンパク質の同一性を測定し、特性決定する工程と
を含む、前記方法。
【請求項2】
リバースプライマーが以下の核酸配列:CTCAACACGGGAAACCTCAC(配列番号)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フォワードプライマーが以下の核酸配列:CGCTCCACCAACTAAGAACG(配列番号)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
リバースプライマーが以下の核酸配列:TTCCCTCTACACACTGC(配列番号)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
フォワードプライマーが以下の核酸配列:ACACCTATTCCAAAATTGACCAC(配列番号)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
リバースプライマーが以下の核酸配列:CCCGAGTAGCTGGGA TTACA(配列番号)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
フォワードプライマーが以下の核酸配列:CCTGAGGTCAGGAGTTC(配列番号)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
フォワードバーコードプライマーが以下の核酸配列:GTACTCGCAGTAGTCCGCTCCACCAACTAAGAACG(配列番号)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
リバースバーコードプライマーが以下の核酸配列:GTCTCGTGGGCTCGGAGATGTGTATAAGAGACAGGGTAAGTGCTGATCTTGGATGTGACG(配列番号)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
抗体に結合したバーコード識別配列を付加する方法であって、
i)5’末端及び3’末端両方のPCRハンドルと共に細胞バーコード、標的DNA配列、抗体タグを含むアンプリコンを作製するために、
a)細胞バーコード配列及びPCRハンドルを含有するプライマー、
b)標的ゲノムDNAに対して相補的な配列、及び前記細胞バーコードを含有する前記プライマーに対して相補的なPCRハンドルを含有するプライマー、ならびに、
c)前記標的ゲノムDNAに対して相補的な配列、抗体タグ配列、第2のPCRハンドル、を含み、固有の分子タグを含むこともあり得る、リバースプライマー
を使用して、前記標的gDNAのバーコード化PCR反応を行う工程と、
ii)シーケンシングアダプター、デュアルまたはシングルサンプルインデックス、細胞バーコード、標的DNA配列、抗体タグを含み、固有の分子タグを含むこともあり得るライブラリーを作成するために、シーケンシングアダプターと、サンプルインデックスと、前記アンプリコン上に作製した2つの前記PCRハンドルに対して相補的な配列とを含む第1のプライマーを使用して、ライブラリー作成PCR反応を行う工程と
を含む、前記方法。
【請求項11】
抗体に結合したバーコード識別配列を付加する方法であって、
i)5’末端及び3’末端両方のPCRハンドルと共に細胞バーコード、標的DNA配列、抗体タグを含み、第1のリード配列、第1の細胞バーコード、定常領域1、第2の細胞バーコード、定常領域2、フォワードプライマー配列、長さ「n」の挿入配列、前記標的ゲノムDNAに対して相補的な配列を含むリバースプライマー、固有分子識別子、抗体タグ配列、第2の固有分子識別子、第2のリード配列を含むアンプリコンを作製するために、
a)細胞バーコード配列及びPCRハンドルを含有するプライマー、
b)標的ゲノムDNAに対して相補的な配列、及び前記細胞バーコードを含有する前記プライマーに対して相補的なPCRハンドルを含有するプライマー、ならびに、
c)前記標的ゲノムDNAに対して相補的な配列、抗体タグ配列、第2のPCRハンドル、を含み、固有の分子タグを含むこともあり得る、リバースプライマー
を使用して、前記標的gDNAのバーコード化PCR反応を行う工程と、
ii)シーケンシングアダプター、デュアルまたはシングルサンプルインデックス、細胞バーコード、標的DNA配列、抗体タグを含み、固有の分子タグを含むこともあり得るライブラリーを作成するために、シーケンシングアダプターと、サンプルインデックスと、P5配列及び第2のリード配列を含む、前記アンプリコン上に作製した2つの前記PCRハンドルに対して相補的な配列とを含む第1のプライマー、ならびに、第2のリード配列と、インデックス配列と、P7配列とを含む第2のプライマーを使用して、ライブラリー作成PCR反応を行う工程と
を含む、前記方法。
【請求項12】
逆転写生成物を作製するために逆転写を行うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
逆転写生成物を作製するために核酸増幅工程前に逆転写を行うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
逆転写生成物を作製するためにRNA上で逆転写を行うことと、前記逆転写生成物を増幅することと、を含み、逆転写を行うこと及び増幅することが単一の工程で生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
増幅産物の核酸シーケンシング反応を行うことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記親和性試薬がビーズなどを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
1つ以上の細胞表面タンパク質の発現を測定及び特性決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
細胞バーコードに基づき対形成可能な抗体ライブラリー及びDNAライブラリーを調製することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
細胞バーコードに基づき対形成可能な抗体ライブラリー及びRNAライブラリーを調製することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
細胞バーコードに基づき対形成可能な抗体ライブラリー、DNAライブラリー、及びRNAライブラリーを調製することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
例示的な一実施態様において、リバースプライマーは、以下の核酸配列:CTCAACACGGGAAACCTCAC(配列番号)を含む。例示的な一実施態様において、フォワードプライマーは、以下の核酸配列:CGCTCCACCAACTAAGAACG(配列番号)を含む。例示的な一実施態様では、リバースプライマーは、以下の核酸配列:TTCCCTCTACACACTGC(配列番号)を含む。例示的な一実施態様において、フォワードプライマーは、以下の核酸配列:ACACCTATTCCAAAATTGACCAC(配列番号)を含む。例示的な一実施態様では、リバースプライマーは、以下の核酸配列:CCCGAGTAGCTGGGA TTACA(配列番号)を含む。例示的な一実施態様において、フォワードプライマーは、以下の核酸配列:CCTGAGGTCAGGAGTTC(配列番号)を含む。例示的な一実施態様において、フォワードバーコードプライマーは、以下の核酸配列GTACTCGCAGTAGTCCGCTCCACCAACTAAGAACG(配列番号)を含む。例示的な一実施態様では、リバースバーコードプライマーは、以下の核酸配列:GTCTCGTGGGCTCGGAGATGTGTATAAGAGACAGGGTAAGTGCTGATCTTGGATGTGACG(配列番号)を含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
18s-半数体ゲノム当たり400個のコピー
リバース:CTCAACACGGGAAACCTCAC(配列番号
フォワード:CGCTCCACCAACTAAGAACG(配列番号
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
LINE1-半数体ゲノム当たり約7000個のコピー
リバース:TTCCCTCTACACACTGC(配列番号
フォワード:ACACCTATTCCAAAATTGACCAC(配列番号
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
ALU115-半数体ゲノム当たり約10万個のコピー
リバース:CCCGAGTAGCTGGGATTACA(配列番号
フォワード:CCTGAGGTCAGGAGTTC(配列番号
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
実施例18sバーコード化プライマー:
リバースプライマー:
GTCTCGTGGGCTCGGAGATGTGTATAAGAGACAGGGTAAGTGCTGATCTTGGATGTGACGTCTCAACACGGGAAACCTCAC(配列番号
フォワードプライマー:GTACTCGCAGTAGTCCGCTCCACCAACTAAGAACG(配列番号
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
例示的な一実施態様において、方法は、細胞バーコードに基づいて対形成可能な抗体ライブラリー、DNAライブラリー、及びRNAライブラリーを調製することを更に含む。
[本発明1001]
シングルセルのタンパク質発現パターンを測定及び特性決定する方法であって、
a)PCRプライミング部位に隣接したバーコード配列を抗体にコンジュゲートする工程であって、バーコード配列が抗体に対して特異的である前記工程と、
b)前記バーコードがコンジュゲートした抗体を用いて細胞識別工程を行う工程と、
c)個別の細胞を分画または分離して、プロテアーゼを含む反応混合物に、1つ以上の個別の細胞(複数可)を封入する工程と、
d)前記封入した細胞を前記プロテアーゼとともに液滴内でインキュベートして、細胞溶解液を作製する工程と、
e)細胞内に存在する核酸を標的にする1つ以上の核酸増幅プライマーセットを供給する工程であって、プライマーセットのうちの1つ以上のプライマーが、抗体と関係するバーコード識別配列を含む前記工程と、
f)細胞内に存在する核酸を標的にする1つ以上の核酸増幅プライマーセットを供給する工程であって、プライマーセットのうちの1つ以上のプライマーが、各細胞に対して固有のバーコード識別配列を含む前記工程と、
g)1つ以上のアンプリコンを作製するために、核酸増幅反応を行う工程と、
h)プライマーセットの1つ以上の核酸プライマーの識別バーコード配列と相補的な核酸配列を含む親和性試薬を供給する工程であって、前記識別バーコード配列と相補的な前記核酸配列を含む前記親和性試薬が、バーコード識別配列を含む核酸増幅プライマーセットに結合できる前記工程と、
i)親和性試薬が標的核酸に結合して、親和性試薬が結合した標的核酸を形成するのに十分な条件下で、前記親和性試薬と、1つ以上の標的核酸配列のアンプリコンを含む増幅産物とを接触させる工程と、
j)アンプリコンのバーコードをシーケンシングすることで、1つ以上のタンパク質の同一性を測定し、特性決定する工程と
を含む、前記方法。
[本発明1002]
リバースプライマーが以下の核酸配列:CTCAACACGGGAAACCTCAC(配列番号)を含む、本発明1001の方法。
[本発明1003]
フォワードプライマーが以下の核酸配列:CGCTCCACCAACTAAGAACG(配列番号)を含む、本発明1001の方法。
[本発明1004]
リバースプライマーが以下の核酸配列:TTCCCTCTACACACTGC(配列番号)を含む、本発明1001の方法。
[本発明1005]
フォワードプライマーが以下の核酸配列:ACACCTATTCCAAAATTGACCAC(配列番号)を含む、本発明1001の方法。
[本発明1006]
リバースプライマーが以下の核酸配列:CCCGAGTAGCTGGGA TTACA(配列番号)を含む、本発明1001の方法。
[本発明1007]
フォワードプライマーが以下の核酸配列:CCTGAGGTCAGGAGTTC(配列番号)を含む、本発明1001の方法。
[本発明1008]
フォワードバーコードプライマーが以下の核酸配列:GTACTCGCAGTAGTCCGCTCCACCAACTAAGAACG(配列番号)を含む、本発明1001の方法。
[本発明1009]
リバースバーコードプライマーが以下の核酸配列:GTCTCGTGGGCTCGGAGATGTGTATAAGAGACAGGGTAAGTGCTGATCTTGGATGTGACG(配列番号)を含む、本発明1001の方法。
[本発明1010]
抗体に結合したバーコード識別配列を付加する方法であって、
i)5’末端及び3’末端両方のPCRハンドルと共に細胞バーコード、標的DNA配列、抗体タグを含むアンプリコンを作製するために、
a)細胞バーコード配列及びPCRハンドルを含有するプライマー、
b)標的ゲノムDNAに対して相補的な配列、及び前記細胞バーコードを含有する前記プライマーに対して相補的なPCRハンドルを含有するプライマー、ならびに、
c)前記標的ゲノムDNAに対して相補的な配列、抗体タグ配列、第2のPCRハンドル、を含み、固有の分子タグを含むこともあり得る、リバースプライマー
を使用して、前記標的gDNAのバーコード化PCR反応を行う工程と、
ii)シーケンシングアダプター、デュアルまたはシングルサンプルインデックス、細胞バーコード、標的DNA配列、抗体タグを含み、固有の分子タグを含むこともあり得るライブラリーを作成するために、シーケンシングアダプターと、サンプルインデックスと、前記アンプリコン上に作製した2つの前記PCRハンドルに対して相補的な配列とを含む第1のプライマーを使用して、ライブラリー作成PCR反応を行う工程と
を含む、前記方法。
[本発明1011]
抗体に結合したバーコード識別配列を付加する方法であって、
i)5’末端及び3’末端両方のPCRハンドルと共に細胞バーコード、標的DNA配列、抗体タグを含み、第1のリード配列、第1の細胞バーコード、定常領域1、第2の細胞バーコード、定常領域2、フォワードプライマー配列、長さ「n」の挿入配列、前記標的ゲノムDNAに対して相補的な配列を含むリバースプライマー、固有分子識別子、抗体タグ配列、第2の固有分子識別子、第2のリード配列を含むアンプリコンを作製するために、
a)細胞バーコード配列及びPCRハンドルを含有するプライマー、
b)標的ゲノムDNAに対して相補的な配列、及び前記細胞バーコードを含有する前記プライマーに対して相補的なPCRハンドルを含有するプライマー、ならびに、
c)前記標的ゲノムDNAに対して相補的な配列、抗体タグ配列、第2のPCRハンドル、を含み、固有の分子タグを含むこともあり得る、リバースプライマー
を使用して、前記標的gDNAのバーコード化PCR反応を行う工程と、
ii)シーケンシングアダプター、デュアルまたはシングルサンプルインデックス、細胞バーコード、標的DNA配列、抗体タグを含み、固有の分子タグを含むこともあり得るライブラリーを作成するために、シーケンシングアダプターと、サンプルインデックスと、P5配列及び第2のリード配列を含む、前記アンプリコン上に作製した2つの前記PCRハンドルに対して相補的な配列とを含む第1のプライマー、ならびに、第2のリード配列と、インデックス配列と、P7配列とを含む第2のプライマーを使用して、ライブラリー作成PCR反応を行う工程と
を含む、前記方法。
[本発明1012]
逆転写生成物を作製するために逆転写を行うことを含む、本発明1001の方法。
[本発明1013]
逆転写生成物を作製するために核酸増幅工程前に逆転写を行うことを含む、本発明1001の方法。
[本発明1014]
逆転写生成物を作製するためにRNA上で逆転写を行うことと、前記逆転写生成物を増幅することと、を含み、逆転写を行うこと及び増幅することが単一の工程で生じる、本発明1001の方法。
[本発明1015]
増幅産物の核酸シーケンシング反応を行うことを更に含む、本発明1001の方法。
[本発明1016]
前記親和性試薬がビーズなどを含む、本発明1001の方法。
[本発明1017]
1つ以上の細胞表面タンパク質の発現を測定及び特性決定することを含む、本発明1001の方法。
[本発明1018]
細胞バーコードに基づき対形成可能な抗体ライブラリー及びDNAライブラリーを調製することを更に含む、本発明1001の方法。
[本発明1019]
細胞バーコードに基づき対形成可能な抗体ライブラリー及びRNAライブラリーを調製することを更に含む、本発明1001の方法。
[本発明1020]
細胞バーコードに基づき対形成可能な抗体ライブラリー、DNAライブラリー、及びRNAライブラリーを調製することを更に含む、本発明1001の方法。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2022522220000001.app
【国際調査報告】