(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】CTEの不一致を使用したエッジ強度の向上
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20220407BHJP
B32B 17/00 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
C03C27/12 R
B32B17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559537
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(85)【翻訳文提出日】2021-12-03
(86)【国際出願番号】 US2020025687
(87)【国際公開番号】W WO2020210071
(87)【国際公開日】2020-10-15
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】バーティア,ヴィクラム
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ア-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】カラウシュ,ユスフ カイエド
【テーマコード(参考)】
4F100
4G061
【Fターム(参考)】
4F100AG00A
4F100AG00B
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CB00C
4F100GB32
4F100JA02A
4F100JA02B
4F100JK01A
4F100JK01B
4F100YY00A
4F100YY00B
4G061AA01
4G061BA02
4G061CB03
4G061CB16
4G061CD02
4G061CD03
4G061CD18
(57)【要約】
冷間成形されたガラス積層体(100)は、第1の厚さ、第1の強度、及び第1の熱膨張係数を有する、3D成形されたガラスの第1のプライ(108)を含みうる。該積層体(100)はまた、第1の厚さより薄い第2の厚さ、第1の強度より大きい第2の強度、及び第2の熱膨張係数を有する、3D成形されたガラスの第2のプライ(110)も含みうる。第2の熱膨張係数は、第1の熱膨張係数よりも十分に高くなるように選択されて、第1のプライ(108)との冷間成形に起因して該第1のプライ(108)に残留圧縮応力を誘発することができる。第1のプライ(108)と第2のプライ(110)との間に接着剤(112)を配置してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス積層体であって、
第1の厚さ、第1の強度、及び第1の熱膨張係数を有する3D成形されたガラスの第1のプライ;
前記第1の厚さより薄い第2の厚さ、前記第1の強度より大きい第2の強度、及び前記第1の熱膨張係数よりも十分に高くなるように選択された第2の熱膨張係数を有し、前記第1のプライとの冷間成形に起因して該第1のプライに残留圧縮応力を誘発する、3D成形されたガラスの第2のプライ;及び
前記第1のプライと前記第2のプライとの間に配置された接着剤
を含む、ガラス積層体。
【請求項2】
前記残留圧縮応力が10MPa~25MPaの範囲である、請求項1に記載のガラス積層体。
【請求項3】
前記第1の熱膨張係数が5ppm/℃~10ppm/℃の範囲である、請求項1又は2に記載のガラス積層体。
【請求項4】
前記第2の熱膨張係数が7ppm/℃~30ppm/℃の範囲である、請求項3に記載のガラス積層体。
【請求項5】
前記第1のプライがソーダ石灰ガラスであり、前記第2のプライが、化学的に強化されたガラス、熱的に強化されたガラス、又は機械的に強化されたガラスのうちの少なくとも1つである、請求項1から4のいずれか一項に記載のガラス積層体。
【請求項6】
ガラス積層体を形成する方法であって、
第1の熱膨張係数を有する第1のガラスプライを熱間成形するステップ;及び
第2のガラスプライを前記第1のガラスプライに冷間成形するステップであって、前記第2のガラスプライが前記第1のプライの周辺エッジに残留圧縮応力を誘発するために前記第1の熱膨張係数とは不一致である第2の熱膨張係数を含み、かつ、前記第2のガラスプライを前記第1のガラスプライに冷間成形するステップが、前記第1の熱膨張係数と第2の熱膨張係数との前記不一致に起因して、前記第1のプライの前記周辺エッジに前記残留圧縮応力を誘発する、ステップ
を含む、方法。
【請求項7】
前記残留圧縮応力が10MPa~25MPaの範囲である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の熱膨張係数が5ppm/℃~10ppm/℃の範囲である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の熱膨張係数が7ppm/℃~30ppm/℃の範囲である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のプライがソーダ石灰ガラスであり、前記第2のプライが、化学的に強化されたガラス、熱的に強化されたガラス、又は機械的に強化されたガラスのうちの少なくとも1つである、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2019年4月11日出願の米国仮特許出願第62/832,475号の米国法典第35編特許法119条に基づく優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本出願は、ガラスの積層及び積層体に関する。より詳細には、本出願は、残留エッジ応力が改善された、ガラスの積層及び積層体に関する。さらにより詳細には、本出願は、冷間成形によって圧縮残留エッジ応力がもたらされるように、熱膨張係数が一致しないように選択されたプライを有する、ガラスの積層及び積層体に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書で提供される背景説明は、概して、本開示の文脈を提示することを意図している。現在記載されている発明者の研究は、この背景技術のセクション、並びに出願時に先行技術として適格とならない可能性のある記載の態様で説明されている範囲で、明示又は黙示を問わず本開示に対する先行技術として認めるものではない。
【0004】
自動車産業及び他の産業は、例えば、透明又は半透明であることが所望されるシステムの窓、ドア、サイドライト、及び他の部分にガラスを利用することができる。自動車産業の場合には、ガラスは、フロントガラス、窓、サンルーフ、ムーンルーフ、及び/又は車両の他の部分などのグレージングに使用することができる。多くの場合、これらのガラス部分は、接着剤で一緒に積層されたガラスの2つ以上のプライを有する積層ガラスである。
【0005】
積層の前に、積層ガラスのプライは、平坦な、又は他の二次元(2D)のガラスプライを含むことができ、あるいは、弧状、湾曲した、又は他の三次元(3D)のガラスプライを使用することができる。場合によっては、一方のプライが実質的に2Dであり、他方のプライが3Dであってもよい。3D成形された材料のプライの場合、3D成形されたプライは、3D成形されたプライとして鋳造されてもよい。あるいは又はさらに、プライは、平らに鋳造又は製造され、次いで、熱間成形プロセス、冷間成形プロセス、又は別の成形技術を使用して(例えば、積層前に)予め成形されうる。
【0006】
ガラスの各積層の予め成形された状態に対するさまざまな異なる選択肢により、積層プロセスは、該積層プロセス中に及び/又は積層プロセスに加えて、ガラスを成形することを包含しうる。プライ成形プロセスと同様に、積層プロセスは、熱間成形プロセス、冷間成形プロセス、熱間成形と冷間成形との組合せ、又は他のプロセスを使用して行うことができる。これらのプロセスのいずれか及び/又はすべてが、積層体に残留応力を生じさせる可能性があり、積層体の残留応力がその耐用期間全体にわたって存在する可能性がある。残留応力が本質的に引っ張りである場合、特にエッジの残留応力が本質的に引っ張りである場合、それらは積層体の問題又は故障につながる可能性がある。例えば、残留応力は、積層中に亀裂を生じさせる傾向、あるいは輸送、取り付け、若しくは動作又は使用中に層間剥離、亀裂伝播、光学的歪み、及び破損など、より長期的な問題を生じさせる傾向がありうる。
【発明の概要】
【0007】
以下は、本開示の1つ以上の実施形態の簡略化された概要を、このような実施形態の基本的な理解を提供するために提示するものである。この概要は、想定されるすべての実施形態の広範な概要ではなく、すべての実施形態のキーとなる要素又は重要な要素を特定することを意図したものではなく、また、任意又はすべての実施形態の範囲を詳述することも意図していない。
【0008】
1つ以上の実施形態では、冷間成形されたガラス積層体は、第1の厚さ、第1の強度、及び第1の熱膨張係数を有する3D成形されたガラスの第1のプライを含みうる。積層体はまた、第1の厚さより薄い第2の厚さ、第1の強度より大きい第2の強度、及び第1の熱膨張係数よりも十分に高くなるように選択された第2の熱膨張係数を有し、第1のプライとの冷間成形に起因して第1のプライに残留圧縮応力を誘発する、3D成形されたガラスの第2のプライも含みうる。積層体はまた、第1のプライと第2のプライとの間に配置された接着剤も含みうる。
【0009】
1つ以上の実施形態では、ガラス積層体を形成する方法は、第1の熱膨張係数を有する第1のガラスプライを熱間成形するステップ、及び第2のガラスプライを第1のガラスプライに冷間成形するステップを含みうる。第2のガラスプライは、第1のプライの周辺エッジに残留圧縮応力を誘発するように、第1の熱膨張係数とは不一致である第2の熱膨張係数を有しうる。第2のガラスプライを第1のガラスプライに冷間成形するステップは、第1の熱膨張係数と第2の熱膨張係数との不一致に起因して、第1のプライの周辺エッジに残留圧縮応力を誘発しうる。
【0010】
1つ以上の実施形態では、ガラス積層体を形成する方法は、第1の熱膨張係数を有する第1のガラスプライを熱間成形するステップを含みうる。該方法はまた、第1のプライの周辺エッジに残留圧縮応力を誘発するように第1の熱膨張係数とは不一致である第2の熱膨張係数を有する第2のガラスプライを選択するステップも含みうる。該方法はまた、第2のガラスプライを第1のガラスプライに冷間成形するステップ、及び第1の熱膨張係数と第2の熱膨張係数との不一致に起因して、第1のプライの周辺エッジに残留圧縮応力を誘発するステップも含みうる。
【0011】
複数の実施形態が開示されているが、本開示のさらに他の実施形態は、本開示の例示的な実施形態を示し、説明する以下の詳細な説明から、当業者に明らかになるであろう。認識されるように、本開示のさまざまな実施形態は、すべて、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、さまざまな明白な態様で修正することが可能である。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示的であると見なされるべきであり、限定的であると見なされるべきではない。
【0012】
本明細書は、本開示のさまざまな実施形態を形成すると見なされる主題を特に指摘し、明確に主張する特許請求の範囲で終結するが、本開示は、添付の図面と併せた場合に、以下の説明からよりよく理解されると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】1つ以上の実施形態による、積層体の概略的な断面図
【
図3】1つ以上の実施形態による、積層体の幾つかの表面を特定する、該積層体の拡大された概略的な断面図
【
図4】1つ以上の実施形態による、熱間成形プロセスを示す図
【
図5】1つ以上の実施形態による、冷間成形プロセスを示す図
【
図6】1つ以上の実施形態による、冷間成形後かつ冷却前の積層体の応力図
【
図7A】1つ以上の実施形態による、一致していない熱膨張係数を有する積層体に対する加熱の潜在的な影響を示す図
【
図7B】1つ以上の実施形態による、一致していない熱膨張係数を有する積層体に対する冷却の潜在的な影響を示す図
【
図8A】1つ以上の実施形態による、一致していない熱膨張係数を有する積層体の冷却中の内部運動傾向を示す図
【
図8B】1つ以上の実施形態による、一致していない熱膨張係数を有する積層体の冷却中の内部応力を示す図
【
図9A】1つ以上の実施形態による、一致していない熱膨張係数を有する積層体の外面の応力図
【
図9B】1つ以上の実施形態による、一致していない熱膨張係数を有する積層体の外側プライの接着側の面の応力図
【
図9C】1つ以上の実施形態による、一致していない熱膨張係数を有する積層体の内側プライの接着側の面の応力図
【
図9D】1つ以上の実施形態による、一致していない熱膨張係数を有する積層体の内面の応力図
【
図10】1つ以上の実施形態による、積層体が、特に選択された一致していない熱膨張係数を有する、冷間成形後かつ冷却後の積層体の応力図
【
図11】1つ以上の実施形態による、積層体が、特に選択された一致していない熱膨張係数を有する、冷間成形後かつ冷却後の積層体の応力図
【
図12】1つ以上の実施形態による、積層体が、特に選択された一致していない熱膨張係数を有する、冷間成形後かつ冷却後の積層体の応力図
【
図13】1つ以上の実施形態による、さまざまな熱膨張係数を有する、内側の積層体を用いた冷間成形に基づいた積層体の外面の最大面内圧縮のグラフ。
【
図14】1つ以上の実施形態による、積層体を形成する方法を示す方法図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本出願は、1つ以上の実施形態では、積層体内の特定の残留応力が圧縮性であり、亀裂、層間剥離、又は他の欠陥に対し抵抗性にするのに役立つ、ガラス積層体及びガラス積層体を形成する方法に関する。1つ以上の実施形態では、ガラス積層体は、外側のソーダ石灰ガラスプライと、内側の化学的に処理されたガラスプライとを含みうる。外側プライは、ルーフ又はフロントガラスなどの所望の形状に熱間成形することができ、内側プライは、冷間成形プロセスを使用して成形し、外側プライに積層することができる。このプロセスは通常、外側プライの周辺エッジに引張応力を発生させうる。しかしながら、積層体の内側プライ及び外側プライは、引張応力を低減、最小化、又は緩和するために、若しくは引張応力を圧縮応力に置き換えるために特に選択された熱膨張係数を有することができる。このように、積層体は、外側プライの周辺の外側エッジに圧縮残留応力を有することができ、これにより、積層体は、欠陥の発生に対してより耐性を有することができる。
【0015】
次に
図1を参照すると、ガラス積層体100の斜視図が示されている。積層体は、例えば、ルーフ、窓、又はフロントガラスを含む自動車用グレージングなどの自動車用途に特に適合させることができる。積層体は、面外へと湾曲していても、面外に二重に湾曲していても、あるいは別の三次元(3D)形状をしていてもよい。積層体は、中央部分103を取り囲む周辺エッジ102を有しうる。周辺エッジ102は、特定の車両又は一連の車両のフレーム開口部に適合するようなサイズ及び形状にすることができる。1つ以上の実施形態では、積層体100は、約300mm~約1,800mmの範囲の幅104、及び約230mm~約1,600mmの範囲の長さ106を有することができる。積層体100は、0mm~45mmの間のコード高さを有することができる。コード高さは、中心ラインのコード(例えば、上部から下部へのコード)とガラス表面の弧との間の垂直距離を含みうる。コード高さがゼロの場合、ガラス積層体は円筒の形状を形成しうる(例えば、表面は二重の曲率ではなく単一の曲率を有しうる)。ガラス積層体の曲げの深さは約5mm~約210mmの範囲でありうる。曲げの深さは、突出面からの積層体の深さ(例えば、4つの角部又は湾曲したガラスによって画成される平面からガラスの最も深い点までの寸法)を含みうる。積層体は、約40mm~約5,000mmの範囲の一次曲げ曲率方向に沿った曲率半径、及び約740mm~約32,500mmの範囲の二次曲げ曲率方向に沿った曲率半径を有しうる。ある点における主曲率の積を含みうるガウス曲率は、約0.14e
7mm
2~約15e
7mm
2の範囲でありうる。主曲率は、ある点での法曲率の最小値と最大値を含んでよく、この法曲率は、所与の点での接線ベクトルを含む平面にある、表面上の曲率曲線を含みうる。
【0016】
図2を参照すると、示されるように、積層体100は、接着剤112で互いに固定された内側プライ108及び外側プライ110を含みうる。外側プライ110は、比較的厚いガラスプライ材料であってよく、ソーダ石灰ガラス(SLG)、又は例えば化学強化ガラスなどの他のガラス材料を含みうる。外側プライ110は、透明、実質的に透明であってよく、又は外側プライ110は、特定の用途のための着色効果又は半透明効果を作り出すためのテクスチャ又はコーティングを含みうる。外側プライ110は、ガラス積層体が例えば車両に取り付けられたときに外部環境に向かって外側に面しうることから、外側と見なすことができる。外側プライ110は、約1mm~4mm、又は約1.5mm~3mmの範囲の厚さを有しうるか、又は厚さは約2mm又は2.1mmでありうる。積層体の外側プライ110のさらに他の厚さが提供されてもよい。ソーダ石灰ガラスは、比較的低強度のガラスであってよく、熱処理されているか、又は提供される熱処理の種類に応じて、強度が比較的大幅に異なりうる。例えば、ソーダ石灰ガラスは、熱処理に応じて、約3~10MPaの範囲の引張能力又は引張強度を有しうる。いずれにせよ、これらの引張強度は比較的低いと見なすことができ、したがって、ソーダ石灰ガラスの残留応力、特に残留引張応力は、その性能に悪影響を与える可能性がある。
【0017】
内側プライ108は、化学的に強化されたガラス、熱的に強化されたガラス、又は、例えば強化されていないソーダ石灰ガラスなどの他のガラス材料など、比較的薄いガラスプライ材料でありうる。1つ以上の実施形態では、内側プライ108は、圧縮応力領域と引張応力を示す中央領域とを作り出すために、物品の部分間の熱膨張係数の不一致を利用する機械的に強化されたガラスを含みうる。内側プライ108は、透明、実質的に透明であってよく、又は内側プライ108は、特定の用途のための着色効果又は半透明効果を作り出すためのテクスチャ又はコーティングを含みうる。内側プライ108は、ガラス積層体が例えば車両に取り付けられたときに内部キャビンに向かって内側に面しうることから、内側と見なすことができる。内側プライ108は、約0.3mm~1.0mm、又は0.5mm~0.9mmの範囲の厚さを有していてよく、又は内側プライは約0.6mm、0.7mm、又は0.8mmの厚さを有しうる。積層体の内側プライ108のさらに他の厚さが提供されてもよい。化学強化ガラスは、比較的高強度のガラスであってよく、約90~110MPa、又は約95~105MPa、又は約100MPaの引張能力を有しうる。化学強化ガラスの引張強度は、ソーダ石灰ガラスの引張強度と比較して比較的高くてよく、これにより、化学強化ガラスは、ガラスへの衝撃が発生したときに曲げ力がより大きくなりうる自動車のグレージングの内部での使用に適したものになりうる。
【0018】
接着剤層112は、内側プライ108と外側プライ110との間に配置することができ、内側プライ108を外側プライ110に固定するように適合させることができる。接着剤112は、透明又は実質的に透明な接着剤でありうる。例えば、1つ以上の実施形態では、接着剤層112は、1つ以上の透明な合成シートを含みうる。追加的又は代替的に、接着剤層112は、透明な樹脂又は実質的に透明な樹脂を含みうる。接着剤層112は、積層プロセス中に外側プライ110と内側プライ108との間に配置することができ、積層が完了する間に及び/又は完了後に、外側プライ110を内側プライ108に固定することができる。
【0019】
この考察の目的のために、
図3に示されるように、積層体100は一連の表面を含みうる。例えば、積層体は、該積層体100が取り付けられたときに車両の外側に面する積層体の表面でありうる、外面114を含みうる。積層体100はまた、積層体100が取り付けられたときに内側又は助手席側の面でありうる、内面116も含みうる。内側プライ108及び外側プライ110の各々はまた、それぞれの接着側の面118、120も含みうる。
【0020】
積層体は、熱間成形プロセスと冷間成形プロセスとの組合せを使用して形成することができる。例えば、外側プライは、熱間成形プロセスを使用して形成することができ、次に、内側プライを冷間成形して、予め形成された外側プライに積層することができる。
図4を参照すると、熱間成形プロセスを使用して、ガラスの外側プライ110を予め成形することができる。熱間成形プロセスは、ガラスプライ110をそのガラス転移点(例えば、約500℃)まで加熱し、ガラスの表面に圧力を印加することによってガラスを所望の形状に成形することを含みうる。例えば、プレスを予め成形されたダイ122と一緒に使用して、ガラスプライ110を所望の形状に成形することができる。ガラスがその所望の形状に形成された状態で、ガラスを冷却させて、温度をガラス転移点未満に下げ、したがって、プライ110の形状を固定することができる。
【0021】
図5を参照すると、内側プライ108は、接着剤を用いて外側プライ110に接着することができ、冷間成形プロセスを使用して、内側プライ108を成形し、それを外側プライ110に積層することができる。すなわち、自動車のグレージングを形成する冷間成形プロセスは、単一のプロセスで、内側プライを外側プライの形状へと成形し、それを外側プライに積層することを含みうる。冷間成形プロセスは、2つのプライの間に接着シート又は樹脂を用いて、予め形成された外側プライに隣接する内側プライのための実質的に平坦な材料を配置することを含みうる。場合によっては、内側プライは、冷間成形して外側プライに積層する前に、部分的に又は完全に熱間成形されてもよい。それにもかかわらず、プライ及び接着剤は、約120℃の冷間成形温度又は他の冷間成形温度に加熱することができる。冷間成形温度は、例えば、しばしば500℃を超える熱間成形温度と比較して、140℃未満でありうる。冷間成形プロセスは、予め形成された外側プライに類似するように成形された一対のダイ又は他のプレス要素123を用いて、内側プライと接着剤とを予め形成された外側プライに押し付けることを含みうる。プレス要素123は、熱間成形プロセスで用いるものと同じプレス要素であってよく、あるいは別個のプレス要素を用いてもよい。このように、接着剤層及び内側プライは、外側プライの形状に一致するように圧力下で成形することができ、接着剤は、内側プライと外側プライとを一緒に接着して、積層体を形成することができる。成形及び/又は積層後、積層体は冷間成形温度から冷却されうる。冷間成形は、比較的低温でのガラスの弾性変形に基づいて湾曲したガラスパネルを生成するよりも、さらにエネルギー効率の良い方法でありうるものと認識されたい。
【0022】
冷間成形プロセス中に、積層された材料に残留応力が生成されうる。生成される残留応力は、予め積層された材料の残留応力の組合せであってよく、冷間成形プロセスに起因する追加の応力を含みうる。例えば、予め形成された外側プライは、熱間成形プロセスからの残留応力を有しうる。内側プライ及び外側プライは、冷間成形/積層プロセスから内部応力を発生しうる。外側プライの残留応力と内側プライの内部応力とは、接着剤を介して相互作用し、積層体の形態で内側プライと外側プライのそれぞれに残留応力(例えば、成形後の残留応力)をもたらしうる。
【0023】
図6に示されるように、冷却前に、冷間成形プロセスは、予め形成された外側プライ全体にわたって、さまざまな応力をもたらしうる。
図6、
図9A~9D、及び
図10~12のさまざまな応力ゾーンには、リストの応力ゾーンに対応するようにラベルが付されている。示されるように、積層体100の外面114の応力は、約1.15MPaの圧縮から約0.75MPaの引張までの範囲の応力を含みうる。さらには、引張応力は、積層体の外側プライのエッジ又はその近くに存在しうる。またさらに、追加の条件なしに、積層体100の冷却は、引張応力を増加させ、3MPaに近づく可能性がある。
【0024】
積層体100の外側プライ110における亀裂及び他の問題のリスクを低減及び/又は軽減するために、積層体プライの選択に対する特定のアプローチが本明細書に提供されうる。例えば、特定の熱膨張係数を有する特定の積層体を選択して、冷間成形中の冷却プロセスを利用して、冷却中の積層体100のエッジの応力を緩和及び/又は逆転させることができる。
【0025】
図7A及び7Bに示されるように、熱膨張係数の不一致は、概して、2つの積層された材料に異なる動き及び/又は応力を生成しうる。熱膨張は、温度の変化に応じて、形状、面積、及び/又は体積が変化する物質の傾向でありうる。膨張の程度は、熱膨張係数(CTE)によって特徴付けることができる。例えば、熱膨張係数は、物体又は材料のサイズが温度によってどのように変化するかを判断するのに役立つ。多くの場合、CTEの不一致は、変形追従性及び/又は内部応力が発生するという理由で、積層体又は他の材料の組合せにおいて問題が発生する可能性があると見なされている。
図7Aに示されるように、例えば、第1の材料(マット1)が5ppm/℃のCTEを有し、第2の材料(マット2)が50ppm/℃のCTEを有する場合、材料が加熱されると、より高いCTEを有する材料は、より低いCTEを有する材料よりも「成長」又は膨張しうる。同様に、
図7Bでは、例えば、より高いCTEを有する材料は、材料が冷却されると、より低いCTEを有する材料よりも「収縮」又は縮小しうる。図に示されるように、反りに対する耐性が不十分だと、CTEの不一致に起因して、変形が発生する可能性がある。例えば、
図7Aに示されるように、より高いCTEを有する材料が下部にあり、材料が加熱されている場合、下部の材料が大きく膨張すると、2つの材料が上向きにカールする可能性がある。対照的に、
図7Bに示されるように、材料が冷却される場合、底部の収縮が大きくなると、2つの材料が下向きにカールする可能性がある。
【0026】
本明細書の1つ以上の実施形態は、一致していない熱膨張係数を利点として使用することができる。すなわち、
図8A及び8Bに示されるように、異なる熱膨張係数は、隣接する材料に内部応力を誘発しうる。
図8Aに示されるように、例えば、冷却中に、より大きいCTEを有する材料は、より低いCTEを有する材料よりも収縮する可能性があり、したがって、材料の中心に向かって内側に引っ張られうる。高CTE材料が引っ張る傾向は、より低いCTEを有する材料によって抵抗されうる。その結果、
図8Bに示されるように、高CTE材料では内部引張応力が発生し、低CTE材料では内部圧縮応力が発生しうる。
【0027】
さらには、1つ以上の実施形態では、材料の剛性は、材料の反りを引き起こしうる内部応力を回避するために、単独で、又はそれらの間の接着剤材料と組み合わせて、異なる熱膨張係数で選択することができ、したがって、
図7A~8Bに示される曲率を回避することができる。1つ以上の実施形態では、反りを回避する材料、材料の厚さ、及び熱膨張係数を選択するために、モデリングを行うことができる。1つ以上の実施形態では、外側プライの厚さは、内側プライの約2倍でありうる。さらには、内側プライと外側プライとの間の熱膨張係数の比は、約1.1~約2.5の範囲でありうる。反りに抵抗することができる材料を選択するために、材料の弾性率などのさらに他の要因を考慮してもよい。特定の厚さ比及びCTEの比について言及されているが、さらに他の比及び関係は、本開示の内容に基づいて、計算、モデリング、又は基本的な実験によって決定することができる。
【0028】
図9A~9Dは、基本的な長方形の形状での幾つかの表面114、116、118、及び120における応力を示している。すなわち、例えば、ソーダ石灰ガラスの比較的厚い外側プライが化学強化ガラスの比較的薄い内側プライに接着剤層で接着されており、かつ熱膨張係数が
図8A及び8Bに示されるようなものである場合、
図9A~9Dに示される応力は、材料が約120℃から約20℃に冷却されたときに生じうる。示されるように、外面114は、角部を除き、概してその全表面積の全体にわたって圧縮力を発生させることができ、この圧縮力は、約0~約1.5MPaの範囲でありうる。外側プライの接着側の面120は、同様の圧縮力を発生させることができる。対照的に、内側プライの接着側の面118及び内面116は、各々、角部を除き、引張力を発生させることができ、この引張力は、約0~約4.5MPaの範囲でありうる。
【0029】
これは、フロントガラス、他のタイプの自動車用グレージング、若しくは他の積層体又はグレージングの設計に適用することができる。すなわち、上で論じたように、さまざまな応力が、これらのタイプの用途のための積層体の成形に関連する成形プロセスから生じうる。応力は、熱間成形から、冷間成形から、その両方から、又は積層プロセスから生じうる。特定の熱膨張係数を選択して、これらのプロセスの影響を打ち消し、結果として生じる積層体の残留応力(例えば、成形後の残留応力)を改善することができる。より具体的には、CTEの不一致は、引張応力を打ち消す、及び/又は低減する、又は克服するために使用することができる。すなわち、冷却プロセスにより、内側プライが外側プライよりも収縮する傾向が生じるように、より高いCTEを有する内側プライを使用することができる。したがって、冷間成形後の冷却プロセスでは、外側プライに圧縮応力を誘発することができる。
【0030】
図10は、内側プライのCTEが約10ppm/℃である積層体200の外面214における応力分布を示している。外側プライのCTEは、約8.5ppm/℃でありうるものと認識されたい。この特定の実施形態では、外側プライの厚さは約2.1mm、内側プライの厚さは約0.7mmでありうる。示されるように、わずかに高いCTE(例えば、8.5ppm/℃と比較して10ppm/℃)では、積層体200の実質的にすべてのエッジ応力は、約0.25MPa~3.25MPaの範囲の圧縮性でありうる。エッジから離れると、引張応力は外面において見られ、約0MPa~約2.8MPaの範囲でありうる。
【0031】
図11は、内側プライのCTEが約15ppm/℃である積層体300の外面314における応力分布を示している。積層体200と同様に、積層体300の外側プライのCTEは約8.5ppm/℃でありうる。さらに、積層体200と同様に、外側プライの厚さ及び内側プライは、それぞれ、2.1mm及び0.7mmでありうる。この実施形態では、内側プライのCTEが外側プライのCTEの2倍に近づいている場合、エッジ応力は圧縮されたままであり、概して、積層体200と比較して増加する。すなわち、エッジ応力は、1.5MPa~約16.5MPaの圧縮の範囲でありうる。エッジから離れると、引張応力は外面314において見られ、約0MPa~約12.9MPaの範囲でありうる。
【0032】
図12は、内側プライのCTEが約20ppm/℃である積層体400の外面414における応力分布のさらに別の例を示している。積層体200及び300と同様に、積層体400は、外側プライの厚さ2.1mm、内側プライの厚さ0.7mm、及び外側プライのCTE8.5ppm/℃を有しうる。示されるように、内側プライのCTEが外側プライのCTEの2倍を超えると、エッジ応力は、積層体200及び300と比較して、圧縮を維持し、増加し続ける。例えば、エッジ応力は、3MPa~約29MPaの圧縮の範囲でありうる。エッジから離れると、引張応力は、約0MPa~約23.75MPaの範囲で外面414に見られうる。
【0033】
図13は、約8.5ppm/℃のCTEを有する外側プライ及び変化するCTE(例えば、10、15、及び20ppm/℃)を有する内側プライについての外側プライ(214、314、及び414)における最大面内圧縮のグラフを示している。示されるように、外側プライの最大面内圧縮は、内側プライのCTEが増加するにつれて、実質的に直線的に増加する。したがって、内側プライのCTEの選択は、外側プライに生じる応力に対して比較的高い信頼性で行うことができる。
【0034】
破損、亀裂、亀裂伝播、及び/又は光学的歪みに対して耐性のあるガラス積層体を形成するための方法500を提供することができる。該方法は、ガラス積層体の外側プライを熱間成形するステップ(502)を含みうる。外側プライは、本明細書に記載される外側プライと同じであるか類似していてよく、したがって、比較的厚く、強度が比較的低くてもよい。熱間成形プロセスは、外側プライを該外側プライのガラス転移点を満たすかそれを超える温度に加熱すること、並びにフロントガラス又は他の自動車用グレージングの形状などの所望のガラス形状を形成するようにサイズ合わせ及び成形されたダイを備えたプレスを使用することを含みうる。該方法はまた、CTEが一致していない内側プライを選択するステップ(504)も含みうる。選択は、冷間成形プロセスから冷却した後の外側プライの周辺エッジにおける所望の圧縮量に基づくことができる。次に、選択された材料の内側プライは、接着剤で外側プライに冷間成形/積層することができる(506)。内側プライは、本明細書に記載される内側プライと同じであるか類似していてよく、したがって、比較的薄く、強度が比較的高くてもよい。しかしながら、前述のように、内側プライは、外側プライのCTEと一致しておらず、一般にそれよりも大きい、特に選択されたCTEを有することができる。冷間成形及び積層プロセスは、積層体の内側プライを例えば140℃未満の冷間成形温度に加熱することを含みうる。冷間成形プロセスは、内側プライを外側プライに押し付け、内側プライを外側プライの形状に一致させつつ、外側プライ、接着剤層、及び内側プライを、外側プライの形状を維持するように設計されたダイを備えたプレス内に配置することを含みうる。ガラス積層体は、車両への取り付け又は他の用途に好適でありうる。
【0035】
得られるガラス積層体は、冷間成形中の破損、亀裂、層間剥離、亀裂伝播、光学的歪み、若しくは輸送、取り付け、又は使用中の破損に対してより耐性でありうる。すなわち、冷間成形プロセス中に、CTEの不一致に起因して誘発される圧縮応力は、外側プライをより安定させ、前述の欠陥の影響を受けにくくすることができる。
【0036】
この用途は自動車用グレージングの文脈で説明されており、したがって、外側プライは、薄くて強い内側プライよりも厚くて強度が低くなりうることを示唆しているが、積層体は逆になっていてもよいものと認識されたい。さらには、内側プライ及び外側プライの特定の特性も交換することができる。例えば、外側プライは内側プライよりも薄くすることができ、及び/又は外側プライは内側プライよりも強靱であってもよい。さらに他の逆転及び置換が提供されてもよい。さらに、言及されたプライの外側の又は記載された断面内の追加のプライもまた、本開示から逸脱することなく提供されうる。
【0037】
本開示のさまざまな実施形態は、方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して本明細書に説明されている。フローチャート又はブロック図は、連続するステップを含む方法又は特定の動作順序を有するプロセスを示す可能性があるが、本明細書に示される(一又は複数の)フローチャート又は(一又は複数の)ブロック図のステップ又は動作の多くは、並行して又は同時に実行することができ、(一又は複数の)フローチャート又は(一又は複数の)ブロック図は、本開示のさまざまな実施形態の文脈で読まれるべきである。加えて、フローチャート又はブロック図に示される方法ステップ又はプロセス動作の順序は、幾つかの実施形態では再配置することができる。同様に、フローチャート又はブロック図に示される方法又はプロセスは、そこに含まれていない追加のステップ又は動作、若しくは示されているものよりも少ないステップ又は動作を有していてもよい。さらには、方法ステップは、方法、機能、手順、サブルーチン、サブプログラムなどに対応しうる。
【0038】
本明細書で用いられる場合、「実質的に」又は「一般に/概して」という用語は、作用、特徴、特性、状態、構造、アイテム、又は結果の完全又はほぼ完全な範囲又は程度を指す。例えば、「実質的に」又は「一般に/概して」囲まれている物体は、その物体が完全に囲まれているか、又はほぼ完全に囲まれていることを意味するであろう。絶対的な完全性からの正確な許容可能な逸脱の程度は、場合によっては、特定の状況に依存しうる。しかしながら、一般的に言えば、完了の近さは、絶対的及び総合的な完了が得られたかのように、全体的に同じ結果を有するようになる。「実質的に」又は「一般に/概して」の使用は、作用、特徴、特性、状態、構造、アイテム、又は結果の完全な又はほぼ完全な欠如を指すために、否定的な意味で用いられる場合にも同様に適用される。例えば、要素を「実質的に含まない」又は「一般的に含まない」要素、組合せ、実施形態、又は組成物は、一般にその有意な効果がない限り、実際にこのような要素を依然として含みうる。
【0039】
特許庁及び本出願に発行された特許の読者が、本明細書に添付された特許請求の範囲を解釈することを支援するために、出願人は、「~のための手段」又は「~のためのステップ」という言葉が特定の請求項で明示的に使用されていない限り、添付の特許請求の範囲又は請求項の要素のいずれもが米国法典第35編特許法112条(f)を行使することを意図していないことに留意されたい。
【0040】
さらに、本明細書で用いられる場合、「[X]及び[Y]のうちの少なくとも一方」という句は、X及びYが本開示の実施形態に含まれうる異なる構成要素である場合、その実施形態が構成要素Yなしで構成要素Xを含むことができること、又はその実施形態がX及びYの両方を含むことができることを意味する。同様に、「[X]、[Y]、及び[Z]のうちの少なくとも1つ」など、3つ以上の構成要素に関して用いられる場合、その句は、その実施形態が、3つ以上の構成要素のいずれか1つ、任意の構成要素の任意の組合せ又は部分組合せ、若しくはすべての構成要素を含みうることを意味する。
【0041】
前述の説明では、本開示のさまざまな実施形態が、例示及び説明の目的で提示されている。それらは、網羅的であること、又は本開示を開示された正確な形式に限定することを意図するものではない。上記の教示に照らして、明らかな修正又は変形が可能である。本開示の原理及びそれらの実際の適用の最良の例示を提供し、当業者が、想定される特定の使用に適したさまざまな修正を加えてさまざまな実施形態を利用することができるように、さまざまな実施形態を選択し、説明した。このようなすべての修正及び変形は、それらが適正に、法的に、かつ公平に権利を与えられている幅に従って解釈された場合、添付の請求項によって決定される本開示の範囲内にある。
【0042】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0043】
実施形態1
冷間成形されたガラス積層体であって、
第1の厚さ、第1の強度、及び第1の熱膨張係数を有する3D成形されたガラスの第1のプライ;
前記第1の厚さより薄い第2の厚さ、前記第1の強度より大きい第2の強度、及び前記第1の熱膨張係数よりも十分に高くなるように選択された第2の熱膨張係数を有し、前記第1のプライとの冷間成形に起因して該第1のプライに残留圧縮応力を誘発する、3D成形されたガラスの第2のプライ;及び
前記第1のプライと前記第2のプライとの間に配置された接着剤
を含む、積層体。
【0044】
実施形態2
残留圧縮応力が約10MPa~約25MPaの範囲である、実施形態1に記載の積層体。
【0045】
実施形態3
前記第1の熱膨張係数が約5ppm/℃~約10ppm/℃の範囲である、実施形態1に記載の積層体。
【0046】
実施形態4
前記第1の熱膨張係数が約8.5ppm/℃である、実施形態3に記載の積層体。
【0047】
実施形態5
前記第2の熱膨張係数が約7ppm/℃~約30ppm/℃の範囲である、実施形態3に記載の積層体。
【0048】
実施形態6
前記第2の熱膨張係数が約10ppm/℃~約20ppm/℃の範囲である、実施形態5に記載の積層体。
【0049】
実施形態7
前記第2の熱膨張係数が約15ppm/℃である、実施形態6に記載の積層体。
【0050】
実施形態8
前記第1のプライがソーダ石灰ガラスであり、前記第2のプライが、化学的に強化されたガラス、熱的に強化されたガラス、又は機械的に強化されたガラスのうちの少なくとも1つである、実施形態1に記載のガラス積層体。
【0051】
実施形態9
前記ガラス積層体が、車両のルーフ及びフロントガラスのうちの少なくとも1つとして構成される、実施形態1に記載のガラス積層体。
【0052】
実施形態10
ガラス積層体を形成する方法であって、
第1の熱膨張係数を有する第1のガラスプライを熱間成形するステップ;及び
第2のガラスプライを前記第1のガラスプライに冷間成形するステップ
を含み、ここで、
前記第2のガラスプライが、前記第1のプライの周辺エッジに残留圧縮応力を誘発するために前記第1の熱膨張係数とは不一致である第2の熱膨張係数を有し、かつ
第2のガラスプライを前記第1のガラスプライに冷間成形するステップが、前記第1の熱膨張係数と第2の熱膨張係数との前記不一致に起因して、前記第1のプライの前記周辺エッジに前記残留圧縮応力を誘発する、
方法。
【0053】
実施形態11
圧縮残留応力が約10MPa~約25MPaの範囲である、実施形態10に記載の方法。
【0054】
実施形態12
前記第1の熱膨張係数が約5ppm/℃~約10ppm/℃の範囲である、実施形態10に記載の方法。
【0055】
実施形態13
前記第1の熱膨張係数が約8.5ppm/℃である、実施形態12に記載の方法。
【0056】
実施形態14
前記第2の熱膨張係数が約7ppm/℃~約30ppm/℃の範囲である、実施形態12に記載の方法。
【0057】
実施形態15
前記第2の熱膨張係数が約10ppm/℃~約20ppm/℃の範囲である、実施形態14に記載の方法。
【0058】
実施形態16
前記第2の熱膨張係数が約15ppm/℃である、実施形態15に記載の方法。
【0059】
実施形態17
前記第1のプライがソーダ石灰ガラスであり、前記第2のプライが、化学的に強化されたガラス、熱的に強化されたガラス、又は機械的に強化されたガラスのうちの少なくとも1つである、実施形態10に記載の方法。
【0060】
実施形態18
前記第1のガラスプライを熱間成形するステップが、前記ガラスを車両のルーフ及びフロントガラスのうちの少なくとも1つへと成形することを含む、実施形態10に記載の方法。
【0061】
実施形態19
前記第2のガラスプライを前記第1のガラスプライに冷間成形する前に、前記第2のガラスプライを部分的に熱間成形するステップをさらに含む、実施形態10に記載の方法。
【符号の説明】
【0062】
100,200,300,400 ガラス積層体
102 周辺エッジ
103 中央部分
104 幅
106 長さ
108 内側プライ
110 外側プライ
112 接着剤
114 外面
116 内面
118,120 接着側の面
122 ダイ
123 プレス要素
【国際調査報告】