(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-15
(54)【発明の名称】多重認証アルゴリズムに基づく手書き署名認証方法および装置
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20220408BHJP
【FI】
G06T7/00 570
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021505240
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(85)【翻訳文提出日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 KR2020004647
(87)【国際公開番号】W WO2021149869
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】10-2020-0007597
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】514308863
【氏名又は名称】シキューブ カンパニー,リミテッド
【住所又は居所原語表記】(Guro-dong,JNKDigitalTower)801,802,803ho,111,Digital-ro 26-gil Guro-gu Seoul 08390 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ホン,キ ユン
【テーマコード(参考)】
5B043
【Fターム(参考)】
5B043AA02
5B043AA09
5B043BA06
5B043DA02
5B043DA05
5B043EA06
5B043GA02
(57)【要約】
本発明は、認証対象手書き署名の入力を受け、複数の署名行為特徴情報を抽出し、前記抽出された複数の署名行為特徴情報全体を互いに異なる手法からなる第1、第2署名認証アルゴリズムにそれぞれ適用して、前記入力された手書き署名と登録された手書き署名との一致度を分析し、第1、第2署名認証アルゴリズムの分析結果を組み合わせて本人拒否率(False Rejectioin Rate)および他人受け入れ率(False Acceptance Rate)を補正して手書き署名認証の成功か否かを最終的に判断するのである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証対象手書き署名の入力を受け、複数の署名行為特徴情報を抽出する特徴抽出ステップと、
前記抽出された複数の署名行為特徴情報全体を互いに異なる手法で手書き署名認証する第1署名認証アルゴリズムおよび第2署名認証アルゴリズムにそれぞれ適用して、前記入力された手書き署名と登録された手書き署名との一致度を分析し、第1分析結果および第2分析結果を生成する第1分析ステップと、
前記第1分析結果および第2分析結果のそれぞれと所定のそれぞれの第1分析しきい値とを比較して、他人受け入れ率補正および本人拒否率補正のいずれかを決定する補正方向決定ステップと、
他人受け入れ率補正の決定時に、前記複数の署名行為特徴情報の中から他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報を抽出し、抽出された他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報に基づいて、前記入力された手書き署名と登録された手書き署名との一致度を分析して、第3分析結果を生成する第2分析ステップと、
本人拒否率補正の決定時に、前記複数の署名行為特徴情報の中から本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報を抽出し、抽出された本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報に基づいて、前記入力された手書き署名と登録された手書き署名との一致度を分析して、第4分析結果を生成する第3分析ステップと、
前記第1乃至第3分析ステップのうちの少なくとも一つの分析結果と前記第1分析しきい値および所定の第2分析しきい値とを比較して、前記入力された手書き署名に対する認証成否を決定する手書き署名認証ステップとを含むことを特徴とする手書き署名認証方法。
【請求項2】
前記第1分析しきい値は、前記第1署名認証アルゴリズムで認証成功判断の基準値である第1しきい値(ρ)、第1署名認証アルゴリズムのための基準値として前記第1しきい値(ρ)よりも高く設定される第2しきい値(T1
DL)、および前記第2署名認証アルゴリズムで認証成功判断の基準値である第3しきい値(T1
S)を含み、
前記補正方向決定ステップは、
前記第1分析結果が前記第1しきい値(ρ)以上であり、前記第2分析結果が前記第3しきい値(T1
S)以上であるか、或いは、前記第2分析結果が前記第3しきい値(T1
S)よりも小さく、前記第1分析結果が前記第2しきい値(T1
DL)以上であれば、他人受け入れ率補正を決定する他人受け入れ率補正決定ステップと、
前記第2分析結果が前記第3しきい値(T1
S)よりも小さく、第1分析結果が前記第1しきい値(ρ)以上であるか或いは前記第2しきい値(T1
DL)よりも小さければ、本人拒否率補正を決定する本人拒否率補正決定ステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の手書き署名認証方法。
【請求項3】
前記第3分析結果および第4分析結果は、第2署名認証アルゴリズムに基づく分析によって得られ、
前記手書き署名認証ステップは、
前記第1分析ステップの第1分析結果および第2分析結果と、第1分析しきい値とを比較し、第1分析結果、第3分析結果および第4分析結果と、前記第1分析しきい値中の第1しきい値(ρ)および第2分析しきい値とを比較して認証成否を決定することを特徴とする、請求項1に記載の手書き署名認証方法。
【請求項4】
前記手書き署名認証ステップは、
前記第1分析ステップで分析された第1分析結果が、前記第2分析しきい値の一つである第4しきい値(T2
DL)よりも小さく、第2分析ステップで分析された第3分析結果が、前記第2分析しきい値の一つである第5しきい値(T2
S)よりも小さければ、認証失敗と判断し、
前記第1分析結果が前記第4しきい値(T2
DL)以上であるか或いは前記第3分析結果が前記第5しきい値(T2
S)以上であれば、認証成功と判断することを特徴とする、請求項3に記載の手書き署名認証方法。
【請求項5】
前記手書き署名認証ステップは、
前記第1分析ステップで分析された第1分析結果が、前記第2分析しきい値の一つである第6しきい値(T3
DL)よりも小さく、第3分析ステップで分析された第4分析結果が、前記第2分析しきい値の一つである第7しきい値(T3
S)以上であれば、認証成功と判断することを特徴とする、請求項3に記載の手書き署名認証方法。
【請求項6】
前記第1署名認証アルゴリズムおよび第2署名認証アルゴリズムは、ディープラーニングに基づくアルゴリズム、および一致度を点数化して判断する一致度分析アルゴリズムのうちのいずれか一つであることを特徴とする、請求項1に記載の手書き署名認証方法。
【請求項7】
前記認証対象手書き署名の入力を受ける前に学習用手書き署名データを収集して、学習による前記第1分析しきい値である前記第1しきい値(ρ)、第2しきい値(T1
DL)および前記第3しきい値(T1
S)を設定する第1分析しきい値設定ステップをさらに含み、
前記第1分析しきい値設定ステップは、
前記認証対象手書き署名の入力を受ける前に、学習用手書き署名データを収集して、署名行為特徴情報を抽出するステップと、
前記学習用手書き署名データの署名行為特徴情報全体および当該学習用手書き署名データの既知の認証結果を前記第1、第2署名認証アルゴリズムにそれぞれ適用して1次学習を行うステップと、
前記1次学習の結果を分析して、前記第1しきい値(ρ)、第2しきい値(T1
DL)および第3しきい値(T1
S)を抽出して設定するステップとをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の手書き署名認証方法。
【請求項8】
前記認証対象手書き署名の入力を受ける前に学習用手書き署名データを収集し、収集された前記学習用手書き署名データから抽出した署名行為特徴情報のうち、決定された補正方向による敏感な署名行為特徴情報を第2署名認証アルゴリズムに適用して学習することにより、分析された第2分析しきい値を設定する第2分析しきい値設定ステップをさらに含み、
前記第2分析しきい値設定ステップは、
前記決定された補正方向が他人受け入れ率補正であれば、署名行為特徴情報の中から他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報を選別する他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報選別ステップと、
前記選別された他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報および前記他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報に対する既知の認証結果を第2署名認証アルゴリズムに適用して2次学習を行う2次学習ステップと、
前記2次学習の結果を考慮して、前記第2分析しきい値である第4しきい値(T2
DL)および第5しきい値(T2
S)を抽出して設定するしきい値設定ステップとをさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の手書き署名認証方法。
【請求項9】
前記認証対象手書き署名の入力を受ける前に学習用手書き署名データを収集し、収集された前記学習用手書き署名データから抽出した署名行為特徴情報のうち、決定された補正方向による敏感な署名行為特徴情報を第2署名認証アルゴリズムに適用して学習することにより、分析された第2分析しきい値を設定する第2分析しきい値設定ステップをさらに含み、
前記第2分析しきい値設定ステップは、
前記決定された補正方向が本人拒否率補正であれば、署名行為特徴情報の中から本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報を選別する本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報選別ステップと、
前記選別された本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報および前記本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報に対する既知の認証結果を第2署名認証アルゴリズムに適用して3次学習を行う3次学習ステップと、
前記3次学習の結果を考慮して、前記第2分析しきい値である第6しきい値(T3
DL)および第7しきい値(T3
S)を抽出して設定するしきい値設定ステップとをさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載の手書き署名認証方法。
【請求項10】
ユーザーが手書きで書いている手書き署名に対する署名手書き署名データから署名行為特徴情報を抽出して出力する手書き署名入力部と、
互いに異なる手書き署名認証手法からなる第1署名認証アルゴリズムおよび第2署名認証アルゴリズムを保存し、前記第1署名認証アルゴリズムに対する認証判断および第2署名認証アルゴリズムに対する認証判断のための第1分析しきい値および第2分析しきい値を保存する保存部と、
前記署名行為特徴情報の取得時に前記第1署名認証アルゴリズムおよび第2署名認証アルゴリズムにそれぞれ前記署名行為特徴情報を適用して分析し、前記第1署名認証アルゴリズムによって分析された第1分析結果、および前記第2署名認証アルゴリズムによって分析された第2分析結果を取得し、取得された第1分析結果および第2分析結果と、第1分析しきい値とを比較して、他人受け入れ率補正および本人拒否率補正のいずれかを決定する補正方向を決定した後、前記全体署名行為特徴情報の中から、決定された補正方向による敏感な署名行為特徴情報だけを抽出し、前記第2署名認証アルゴリズムに適用して第3分析結果および第4分析結果を取得し、前記第1分析結果、第3分析結果および第4分析結果と、所定の前記第1分析しきい値中の第1しきい値(ρ)および前記第2分析しきい値とを比較して手書き署名に対する認証成否を決定する制御部とを含むことを特徴とする、手書き署名認証装置。
【請求項11】
前記制御部は、
手書き署名認証モジュールを含み、
前記手書き署名認証モジュールは、
前記手書き署名入力部を介して認証対象手書き署名全体に対する署名行為特徴情報を取得して出力する署名特徴情報取得部と、
前記第1署名認証アルゴリズムが適用され、前記署名特徴情報取得部から入力される全体署名行為特徴情報を前記第1署名認証アルゴリズムに適用および分析して第1分析結果を出力する第1署名認証部と、
前記第2署名認証アルゴリズムが適用され、前記署名特徴情報取得部から入力される全体署名行為特徴情報を前記第2署名認証アルゴリズムに適用および分析して第2分析結果を出力し、入力された補正方向による敏感な署名行為特徴情報の入力を受け、前記第2署名認証アルゴリズムに適用および分析して第3分析結果および第4分析結果を出力する第2署名認証部と、
前記第1署名認証部から第1分析結果を取得し、前記第2署名認証部から前記第2分析結果を取得した後、取得された第1分析結果および第2分析結果と、第1分析しきい値とを比較して、他人受け入れ率補正および本人拒否率補正のいずれかを決定する補正方向決定を行い、前記全体署名行為特徴情報の中から、決定された補正方向による敏感な署名行為特徴情報だけを抽出し、前記第2署名認証アルゴリズムに適用して第3分析結果および第4分析結果を取得して出力する補正部と、
前記第1分析結果、第3分析結果および第4分析結果と、所定の前記第1分析しきい値中の第1しきい値(ρ)および前記第2分析しきい値とを比較して、手書き署名に対する認証成否を決定する最終認証処理部とを含むことを特徴とする、請求項10に記載の手書き署名認証装置。
【請求項12】
前記補正部は、
前記第1署名認証部から第1分析結果を取得し、前記第2署名認証部から前記第2分析結果を取得した後、取得された第1分析結果および第2分析結果と、第1分析しきい値とを比較して、他人受け入れ率補正および本人拒否率補正のいずれかを決定する補正方向決定を行う補正方向決定部と、
前記補正方向決定部で決定された補正方向が他人受け入れ率補正であれば、前記全体署名行為特徴情報から他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報を抽出して出力し、本人拒否率補正であれば、前記全体署名行為特徴情報から本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報を抽出して出力する補正特徴情報抽出部と、
前記補正方向決定部で決定された補正方向が他人受け入れ率補正であれば、前記補正特徴情報抽出部から出力される他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報を前記第2署名認証部に提供し、それに対する応答として前記第2署名認証部から第3分析結果の入力を受けて前記第1分析結果、第3分析結果、前記第1分析しきい値中の第1しきい値(ρ)、および第2分析しきい値を最終認証処理部に提供する他人受け入れ率補正部と、
前記補正方向決定部で決定された補正方向が本人拒否率補正であれば、前記補正特徴情報抽出部から出力される本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報を前記第2署名認証部に提供し、それに対する応答として前記第2署名認証部から第4分析結果の入力を受け、前記第1分析結果、第4分析結果、前記第1分析しきい値中の第1しきい値(ρ)、および前記第2分析しきい値を最終認証処理部に提供する本人拒否率補正部とを含むことを特徴とする、請求項11に記載の手書き署名認証装置。
【請求項13】
前記第1分析しきい値は、第1署名認証アルゴリズムで認証成功判断の基準値である第1しきい値(ρ)、前記第1しきい値(ρ)よりも高く設定される第2しきい値(T1
DL)と、前記第2署名認証アルゴリズムで認証成功判断の基準値である第3しきい値(T1
S)を含み、
前記補正方向決定部は、
前記第1分析結果が前記第1しきい値(ρ)以上であり、前記第2分析結果が前記第3しきい値(T1
S)以上であれば、他人受け入れ率補正を決定し、前記第2分析結果が前記第3しきい値(T1
S)よりも小さく、前記第1分析結果が前記第2しきい値(T1
DL)以上であれば、他人受け入れ率補正を決定し、
前記第2分析結果が前記第3しきい値(T1
S)よりも小さく、前記第1分析結果が前記第1しきい値(ρ)以上であるか或いは前記第2しきい値(T1
DL)よりも小さければ、本人拒否率補正を決定することを特徴とする、請求項12に記載の手書き署名認証装置。
【請求項14】
前記最終認証処理部は、
前記第1分析結果が第1しきい値(ρ)よりも小さければ、認証失敗と判断し、前記補正部の補正方向が他人受け入れ率補正に決定された場合には、前記第1分析結果が第1しきい値(ρ)以上で且つ第4しきい値(T2
DL)よりも小さく、前記第3分析結果が第5しきい値(T2
S)よりも小さければ、認証失敗と判断し、前記第1分析結果が第4しきい値(T2
DL)以上であるか或いは第3分析結果が第5しきい値(T2
S)以上であれば、認証成功と判断することを特徴とする、請求項11に記載の手書き署名認証装置。
【請求項15】
前記最終認証処理部は、
前記第1分析結果が第1しきい値(ρ)よりも小さければ、認証失敗と判断し、前記補正部の補正方向が本人拒否率補正に決定された場合には、前記第1分析結果が第1しきい値(ρ)以上で且つ第6しきい値(T3
DL)よりも小さく、前記第4分析結果が第7しきい値(T3
S)以上であれば、認証成功と判断することを特徴とする、請求項11に記載の手書き署名認証装置。
【請求項16】
前記第1署名認証アルゴリズムは、ディープラーニングに基づくアルゴリズムであり、前記第2署名認証アルゴリズムは、一致度を点数化して判断する一致度分析アルゴリズムであることを特徴とする、請求項10に記載の手書き署名認証装置。
【請求項17】
前記制御部は、
前記認証対象手書き署名の入力を受ける前に、学習用手書き署名データを収集して、署名行為特徴情報を抽出し、前記学習用手書き署名データの署名行為特徴情報全体および当該学習用手書き署名データの既知の認証結果を前記第1、第2署名認証アルゴリズムにそれぞれ適用して1次学習を行い、前記1次学習の結果を分析して、前記第1しきい値(ρ)、第2しきい値(T1
DL)、第3しきい値(T1
S)を設定する登録モジュールをさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載の手書き署名認証装置。
【請求項18】
前記制御部は、
前記認証対象手書き署名の入力を受ける前に、学習用手書き署名データから抽出した署名行為特徴情報のうちの他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報および既知の認証結果を第2署名認証アルゴリズムに適用して、2次学習を行い、前記2次学習の結果を考慮して、前記第4しきい値(T2
DL)および第5しきい値(T2
S)を設定する登録モジュールをさらに含むことを特徴とする、請求項14に記載の手書き署名認証装置。
【請求項19】
前記制御部は、
前記認証対象手書き署名の入力を受ける前に、学習用手書き署名データから抽出した署名行為特徴情報のうちの本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報および既知の認証結果を第2署名認証アルゴリズムに適用して、3次学習を行い、前記3次学習の結果を考慮して、前記第6しきい値(T3
DL)および第7しきい値(T3
S)を設定する登録モジュールをさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載の手書き署名認証装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された手書署名を用いてユーザー本人を認証するための手書き署名認証方法および装置に係り、より詳細には、互いに異なる2種類の認証アルゴリズムによる分析結果を組み合わせて判断することにより、手書き署名認証の精度を向上させることができる、多重認証アルゴリズムに基づく手書き署名認証方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
署名(signature)は、誰かの名前、仮名、または誰かが文書に記録したという証拠、自己同一性のための表示として人が直接手で書いたことを意味するものであって、クレジットカードなどの金融取引や動産/不動産などの取引に対する決済、企業内で処理される様々な無線の決済、官公署での証明書類発行などにおけるユーザー本人確認のために使用される。
【0003】
一方、情報通信技術の発達および活性化によりオンラインサービスの使用が盛んになるにつれて、オンライン上での様々なサービスおよび個人情報への他人のアクセスを防止するために、様々なユーザー認証技術が開発され、使用されている。
【0004】
通常、ユーザー認証技術は、知識ベースの認証手法、所有ベースの認証手法および個体特性ベースの認証手法などに分類することができる。
【0005】
前記知識ベースの認証手法は、パスワードまたはPIN(Personal identification number)のようにユーザーが記憶する情報に基づいて認証を行う手法である。
【0006】
前記所有ベースの認証手法は、スマートカード、トークン、OTP(One-Time Password)のようにユーザーが所有する様々な媒体を用いてユーザーを認証する手法である。
【0007】
前記個体特性ベースの認証手法は、指紋、虹彩、掌紋、声紋、顔画像のように個体の生態的特性に基づいてユーザーを認証する手法である。
【0008】
その中で、知識ベースの認証手法は、個人情報などを用いて推測し易く、クラッキングツールなどのソフトウェアでクラックし易く、ランダムに設定したパスワードを使用するときに記憶し難いという欠点があり、所有ベースの認証手法は、媒体の安全性が確保されなければならないとともに、媒体を所有していなければならないという不便さがある。
【0009】
一方、個体特性ベースの認証手法は、ユーザーが持つ個体特性を用いるため、ユーザーの利便性が高く、盗用が難しいという大きい利点があり、最近、技術の発達に伴って精度が向上してこれに対する関心が急増している。
【0010】
このような個体特性ベースの認証手法は、指紋、虹彩、声紋、顔画像などの生体情報とともに、音声パターン、歩行姿勢、話す速度、入力時の姿勢・速度などの行為情報をユーザーの特性情報として用いることができる。
【0011】
同様に、ユーザーが手で書く手書き署名に対しても、ユーザーの個人的な特性が含まれているので、個体特性に基づく認証が可能である。手書き署名を利用した認証技術は、対面だけでなく非対面の状態でも、あるいはオンラインだけでなくオフライン処理にも適用することができるという利点がある。
【0012】
手書き署名認証技術は、手書き署名イメージの形状の一致度を検査するイメージ比較方式と、署名者の手記署名時の署名者の署名行為特徴に対する手書き署名行為特性データを比較する行為特性比較方式がある。
【0013】
通常、イメージ比較方法が適用された手書き署名認証システムは、第3者でも手書き署名のイメージ形状のみを同様に模倣する場合には、手書き署名が一致すると判断されることがあり、第3者の盗用が容易であるという問題点がある。このようなイメージ比較の問題点により、イメージ比較方式よりは行為特性比較方式が手書き署名認証システムに適用されている。
【0014】
一方、行為特性に基づく手書き署名認証技術は、手書き署名の際に署名者の署名習慣から発生する行為特性を抽出し、これに基づく認証を行うため、イメージ比較方式よりも盗用が難しい。しかし、依然として、本人の署名にもかかわらず認証に失敗したり他人の署名をユーザーの署名として認識したりする可能性があるので、偽造、盗用、モノマネを介して模倣された手書き署名とユーザー本人によって行われた手書き署名を正確に区分することができる程度に認証の精度を高める必要がある。
【0015】
特に、手書き署名認証技術において、本人の署名にも拘らず認証に失敗する割合である本人拒否率(FRR:False Rejection rate)を下げると、他の署名が認証に成功する割合である他人受け入れ率(FAR:False Acceptance Rate)が上がり、逆に他人受け入れ率を下げると本人拒否率が上がる傾向にあるので、本人拒否率と他人受け入れ率の両方を満足させることは難しいという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、本発明の目的は、入力された手書き署名に対し、互いに異なる二種類の認証アルゴリズムを用いた分析結果を組み合わせて手書き署名認証の成否を最終的に判断することにより、本人拒否率および他人受け入れ率を同時に満足させて認証結果の精度を向上させることができる、多重認証アルゴリズムに基づく手書き署名認証方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するための本発明に係る多重認証アルゴリズムに基づく手書き署名認証方法は、認証対象手書き署名の入力を受け、複数の署名行為特徴情報を抽出する特徴抽出ステップと、前記抽出された複数の署名行為特徴情報全体を互いに異なる手法で手書き署名認証する第1署名認証アルゴリズムおよび第2署名認証アルゴリズムにそれぞれ適用して、前記入力された手書き署名と登録された手書き署名との一致度を分析し、第1分析結果および第2分析結果を生成する第1分析ステップと、前記第1分析結果および第2分析結果のそれぞれと所定のそれぞれの第1分析しきい値とを比較して、他人受け入れ率補正および本人拒否率補正のいずれかを決定する補正方向決定ステップと、他人受け入れ率補正の決定時に、前記複数の署名行為特徴情報の中から他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報を抽出し、抽出された他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報に基づいて、前記入力された手書き署名と登録された手書き署名との一致度を分析して、第3分析結果を生成する第2分析ステップと、本人拒否率補正の決定時に、前記複数の署名行為特徴情報の中から本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報を抽出し、抽出された本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報に基づいて、前記入力された手書き署名と登録された手書き署名との一致度を分析して、第4分析結果を生成する第3分析ステップと、前記第1乃至第3分析ステップのうちの少なくとも一つの分析結果と前記第1分析しきい値および所定の第2分析しきい値とを比較して、前記入力された手書き署名に対する認証成否を決定する手書き署名認証ステップとを含むことを特徴とする。
【0018】
前記第1分析しきい値は、前記第1署名認証アルゴリズムで認証成功判断の基準値である第1しきい値ρ、第1署名認証アルゴリズムのための基準値として前記第1しきい値ρよりも高く設定される第2しきい値T1DL、および前記第2署名認証アルゴリズムで認証成功判断の基準値である第3しきい値T1Sを含み、前記補正方向決定ステップは、前記第1分析結果が前記第1しきい値ρ以上であり、前記第2分析結果が前記第3しきい値T1S以上であるか、或いは、前記第2分析結果が前記第3しきい値T1Sよりも小さく、前記第1分析結果が前記第2しきい値T1DL以上であれば、他人受け入れ率補正を決定する他人受け入れ率補正決定ステップと、前記第2分析結果が前記第3しきい値T1Sよりも小さく、第1分析結果が前記第1しきい値ρ以上であるか或いは前記第2しきい値T1DLよりも小さければ、本人拒否率補正を決定する本人拒否率補正決定ステップとを含むことを特徴とする。
【0019】
前記第3分析結果および第4分析結果は、第2署名認証アルゴリズムに基づく分析によって得られるが、 前記手書き署名認証ステップは、前記第1分析ステップの第1分析結果および第2分析結果と、第1分析しきい値とを比較し、第1分析結果、第3分析結果および第4分析結果と、前記第1分析しきい値中の第1しきい値ρおよび第2分析しきい値とを比較して認証成否を決定することを特徴とする。
【0020】
前記手書き署名認証ステップは、前記第1分析ステップで分析された第1分析結果が、前記第2分析しきい値の一つである第4しきい値T2DLよりも小さく、第2分析ステップで分析された第3分析結果が、前記第2分析しきい値の一つである第5しきい値T2Sよりも小さければ、認証失敗と判断し、前記第1分析結果が前記第4しきい値T2DL以上であるか或いは前記第3分析結果が前記第5しきい値T2S以上であれば、認証成功と判断することを特徴とする。
【0021】
前記手書き署名認証ステップは、前記第1分析ステップで分析された第1分析結果が、前記第2分析しきい値の一つである第6しきい値T3DLよりも小さく、第3分析ステップで分析された第4分析結果が、前記第2分析しきい値の一つである第7しきい値T3S以上であれば、認証成功と判断することを特徴とする。
【0022】
前記第1署名認証アルゴリズムおよび第2署名認証アルゴリズムは、ディープラーニングに基づくアルゴリズム、および一致度を点数化して判断する一致度分析アルゴリズムのいずれか一つであることを特徴とする。
【0023】
上記の方法は、前記認証対象手書き署名の入力を受ける前に学習用手書き署名データを収集して、学習による前記第1分析しきい値である前記第1しきい値ρ、第2しきい値T1DLおよび前記第3しきい値T1Sを設定する第1分析しきい値設定ステップをさらに含み、前記第1分析しきい値設定ステップは、前記認証対象手書き署名の入力を受ける前に、学習用手書き署名データを収集して、署名行為特徴情報を抽出するステップと、前記学習用手書き署名データの署名行為特徴情報全体および当該学習用手書き署名データの既知の認証結果を前記第1、第2署名認証アルゴリズムにそれぞれ適用して1次学習を行うステップと、前記1次学習の結果を分析し、前記第1しきい値ρ、第2しきい値T1DLおよび第3しきい値T1Sを抽出して設定するステップとをさらに含むことを特徴とする。
【0024】
上記の方法は、前記認証対象手書き署名の入力を受ける前に学習用手書き署名データを収集し、収集された前記学習用手書き署名データから抽出した署名行為特徴情報のうち、決定された補正方向による敏感な署名行為特徴情報を第2署名認証アルゴリズムに適用して学習することにより、分析された第2分析しきい値を設定する第2分析しきい値設定ステップをさらに含み、前記第2分析しきい値設定ステップは、前記決定された補正方向が他人受け入れ率補正であれば、署名行為特徴情報の中から他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報を選別する他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報選別ステップと、前記選別された他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報および前記他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報に対する既知の認証結果を第2署名認証アルゴリズムに適用して2次学習を行う2次学習ステップと、前記2次学習の結果を考慮して、前記第2分析しきい値である第4しきい値T2DLおよび第5しきい値T2Sを抽出して設定するしきい値設定ステップとをさらに含むことを特徴とする。
【0025】
上記の方法は、前記認証対象手書き署名の入力を受ける前に学習用手書き署名データを収集し、収集された前記学習用手書き署名データから抽出した署名行為特徴情報のうち、決定された補正方向による敏感な署名行為特徴情報を第2署名認証アルゴリズムに適用して学習することにより、分析された第2分析しきい値を設定する第2分析しきい値設定ステップをさらに含み、前記第2分析しきい値設定ステップは、前記決定された補正方向が本人拒否率補正であれば、署名行為特徴情報の中から本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報を選別する本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報選別ステップと、前記選別された本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報および前記本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報に対する既知の認証結果を第2署名認証アルゴリズムに適用して3次学習を行う3次学習ステップと、前記3次学習の結果を考慮して、前記第2分析しきい値である第6しきい値T3DLおよび第7しきい値T3Sを抽出して設定するしきい値設定ステップをさらに含むことを特徴とする。
【0026】
上記の目的を達成するための本発明に係る多重認証アルゴリズムに基づく手書き署名認証装置は、ユーザーが手書きで書いている手書き署名に対する署名手書き署名データから署名行為特徴情報を抽出して出力する手書き署名入力部と、互いに異なる手書き署名認証手法からなる第1署名認証アルゴリズムおよび第2署名認証アルゴリズムを保存し、前記第1署名認証アルゴリズムに対する認証判断および第2署名認証アルゴリズムに対する認証判断のための第1分析しきい値および第2分析しきい値を保存する保存部と、前記署名行為特徴情報の取得時に前記第1署名認証アルゴリズムおよび第2署名認証アルゴリズムにそれぞれ前記署名行為特徴情報を適用して分析し、前記第1署名認証アルゴリズムによって分析された第1分析結果、および前記第2署名認証アルゴリズムによって分析された第2分析結果を取得し、取得された第1分析結果および第2分析結果と、第1分析しきい値とを比較して、他人受け入れ率補正および本人拒否率補正のいずれかを決定する補正方向を決定した後、前記全体署名行為特徴情報の中から決定された補正方向による敏感な署名行為特徴情報だけを抽出し、前記第2署名認証アルゴリズムに適用して第3分析結果および第4分析結果を取得し、前記第1分析結果、第3分析結果および第4分析結果と所定の前記第2分析しきい値とを比較して手書き署名に対する認証成否を決定する制御部とを含むことを特徴とする。
【0027】
前記制御部は、手書き署名認証モジュールを含み、前記手書き署名認証モジュールは、前記手書き署名入力部を介して認証対象手書き署名全体に対する署名行為特徴情報を取得して出力する署名特徴情報取得部と、前記第1署名認証アルゴリズムが適用され、前記署名特徴情報取得部から入力される全体署名行為特徴情報を前記第1署名認証アルゴリズムに適用および分析して第1分析結果を出力する第1署名認証部と、前記第2署名認証アルゴリズムが適用され、前記署名特徴情報取得部から入力される全体署名行為特徴情報を前記第2署名認証アルゴリズムに適用および分析して第2分析結果を出力し、入力される補正方向による敏感な署名行為特徴情報の入力を受け、前記第2署名認証アルゴリズムに適用および分析して第3分析結果および第4分析結果を出力する第2署名認証部と、前記第1署名認証部から第1分析結果を取得し、前記第2署名認証部から前記第2分析結果を取得した後、取得された第1分析結果および第2分析結果と、第1分析しきい値とを比較して、他人受け入れ率補正および本人拒否率補正のいずれかを決定する補正方向決定を行い、前記全体署名行為特徴情報の中から、決定された補正方向による敏感な署名行為特徴情報だけを抽出し、前記第2署名認証アルゴリズムに適用して第3分析結果および第4分析結果を取得して出力する補正部と、前記第1分析結果、第3分析結果および第4分析結果と、所定の前記第1分析しきい値中の第1しきい値ρおよび前記第2分析しきい値とを比較して、手書き署名に対する認証成否を決定する最終認証処理部とを含むことを特徴とする。
【0028】
前記補正部は、前記第1署名認証部から第1分析結果を取得し、前記第2署名認証部から前記第2分析結果を取得した後、取得された第1分析結果および第2分析結果と、第1分析しきい値とを比較して、他人受け入れ率補正および本人拒否率補正のいずれかを決定する補正方向決定を行う補正方向決定部と、前記補正方向決定部で決定された補正方向が他人受け入れ率補正であれば、前記全体署名行為特徴情報から他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報を抽出して出力し、本人拒否率補正であれば、前記全体署名行為特徴情報から本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報を抽出して出力する補正特徴情報抽出部と、前記補正方向決定部で決定された補正方向が他人受け入れ率補正であれば、前記補正特徴情報抽出部から出力される他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報を前記第2署名認証部に提供し、それに対する応答として前記第2署名認証部から第3分析結果の入力を受けて前記第1分析結果、第3分析結果、前記第1分析しきい値中の第1しきい値ρ、および第2分析しきい値を最終認証処理部に提供する他人受け入れ率補正部と、前記補正方向決定部で決定された補正方向が本人拒否率補正であれば、前記補正特徴情報抽出部から出力される本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報を前記第2署名認証部に提供し、それに対する応答として前記第2署名認証部から第4分析結果の入力を受け、前記第1分析結果、第4分析結果、前記第1分析しきい値中の第1しきい値ρ、および前記第2分析しきい値を最終認証処理部に提供する本人拒否率補正部とを含むことを特徴とする。
【0029】
前記第1分析しきい値は、第1署名認証アルゴリズムで認証成功判断の基準値である第1しきい値ρおよび前記第1しきい値ρよりも高く設定される第2しきい値T1DLと、前記第2署名認証アルゴリズムで認証成功判断の基準値である第3しきい値T1Sを含み、前記補正方向決定部は、前記第1分析結果が前記第1しきい値ρ以上であり、前記第2分析結果が前記第3しきい値T1S以上であれば、他人受け入れ率補正を決定し、前記第2分析結果が前記第3しきい値T1Sよりも小さく、前記第1分析結果が前記第2しきい値T1DL以上であれば、他人受け入れ率補正を決定し、前記第2分析結果が前記第3しきい値T1Sよりも小さく、前記第1分析結果が前記第1しきい値ρ以上であるか或いは前記第2しきい値T1DLよりも小さければ、本人拒否率補正を決定することを特徴とする。
【0030】
前記最終認証処理部は、前記第1分析結果が第1しきい値ρよりも小さければ、認証失敗と判断し、前記補正部の補正方向が他人受け入れ率補正に決定された場合には、前記第1分析結果が第1しきい値ρ以上で且つ第4しきい値T2DLよりも小さく、前記第3分析結果が第5しきい値T2Sよりも小さければ、認証失敗と判断し、前記第1分析結果が第4しきい値T2DL以上であるか或いは第3分析結果が第5しきい値T2S以上であれば、認証成功と判断することを特徴とする。
【0031】
前記最終認証処理部は、前記第1分析結果が第1しきい値ρよりも小さければ、認証失敗と判断し、前記補正部の補正方向が本人拒否率補正に決定された場合には、前記第1分析結果が第1しきい値ρ以上で且つ第6しきい値T3DLよりも小さく、前記第4分析結果が第7しきい値T3S以上であれば、認証成功と判断することを特徴とする。
【0032】
前記制御部は、前記認証対象手書き署名の入力を受ける前に、学習用手書き署名データを収集して、署名行為特徴情報を抽出し、前記学習用手書き署名データの署名行為特徴情報全体および当該学習用手書き署名データの既知の認証結果を前記第1、第2署名認証アルゴリズムにそれぞれ適用して1次学習を行い、前記1次学習の結果を分析して、前記第1しきい値ρ、第2しきい値T1DL、第3しきい値T1Sを設定する登録モジュールをさらに含むことを特徴とする。
【0033】
前記制御部は、前記認証対象手書き署名の入力を受ける前に、学習用手書き署名データから抽出した署名行為特徴情報のうちの他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報、および既知の認証結果を第2署名認証アルゴリズムに適用して、2次学習を行い、前記2次学習の結果を考慮して、前記第4しきい値T2DLおよび第5しきい値T2Sを設定する登録モジュールをさらに含むことを特徴とする。
【0034】
前記制御部は、前記認証対象手書き署名の入力を受ける前に、学習用手書き署名データから抽出した署名行為特徴情報のうちの本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報、および既知の認証結果を第2署名認証アルゴリズムに適用して、3次学習を行い、前記3次学習の結果を考慮して、前記第6しきい値T3DLおよび第7しきい値T3Sを設定する登録モジュールをさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明は、互いに異なる方式の第1、第2署名認証アルゴリズムを同時に用いて、入力された手書き署名に対する認証を行うが、入力された手書き署名から抽出された署名行為特徴情報全体を第1、第2署名認証アルゴリズムにそれぞれ分析し、それらの分析結果を比較して認証成否を判断することにより、手書き署名に対する認証結果の精度および信頼性を向上させることができるという効果がある。
【0036】
特に、本発明は、入力された手書き署名から抽出された全体署名行為特徴情報に対する第1、第2署名認証アルゴリズムの分析結果を比較することにより、他人受け入れ率の補正が必要な領域と、本人拒否率の補正が必要な領域を区分し、他人受け入れ率の補正が必要な領域である場合には、他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報に基づいて再び認証を行うことにより、他人受け入れ率を減少させ、本人拒否率補正が必要な領域である場合には、本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報に基づいて再び認証を行うことにより、本人拒否率を減少させることができるという効果がある。
【0037】
このように、本発明は、他人受け入れ率だけでなく、本人拒否率を同時に改善することにより、ユーザー認証結果の精度を高度化することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明に係る手書き署名認証装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る手書き署名認証装置の手書き署名認証モジュールの詳細構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明に係る手書き署名認証方法を示すフローチャートである。
【
図4】本発明に係る手書き署名認証方法におけるしきい値設定方法を示すフローチャートである。
【
図5】本発明に係る手書き署名認証方法における補正方向決定方法を説明するための図である。
【
図6】本発明に係る手書き署名認証方法における他人受け入れ率補正方法を説明するための図である。
【
図7】本発明に係る手書き署名認証方法における本人拒否率補正方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明に係る手書き署名認証技術は、手書き署名に含まれている特徴情報、より具体的には、手書き署名のイメージ特徴情報、および署名者の署名習慣から発生する署名行為特徴情報のうちの少なくとも一つに基づいて手書き署名のユーザー認証を行うことができる。前記署名行為特徴情報は、署名に対する位置、方向、角度、移動速力、加速度、圧力、交差点、交差角度、変曲点、変曲点での回転角度などの測定値、および上記の位置、方向、角度、移動速力、加速度、圧力、交差点、交差角度、変曲点、変曲点での回転角度などに対する分布特性を含むことができる。
【0040】
以下で説明する実施形態では、署名行為特徴情報を用いる場合を例に挙げて説明する。
【0041】
併せて、本発明に係る手書き署名認証技術は、手書き署名から抽出される固有の特徴情報(例えば、署名行為特徴情報)に基づいて認証を行う上で、互いに異なる方式で行われた複数の手書き署名認証アルゴリズムを用いる。例えば、本発明で用いる手書き署名認証アルゴリズムは、署名行為特徴情報を比較して一致度を点数化して判別する一致度分析アルゴリズム、およびディープラーニング(Deep Learning)学習に基づくディープラーニング分析アルゴリズムを含むことができる。
【0042】
前者の方式は、抽出された複数の署名行為特徴情報を登録された署名行為特徴情報と比較してそれぞれの一致度を点数化した後、一致度点数に基づいて認証成功か認証失敗かを判別する。
【0043】
後者の方式は、結果を知っている学習用データ(本人の手書き署名および偽造/盗用/モノマネなどにより模倣された手書き署名)に基づいて学習されたディープラーニングアルゴリズムに分析対象手書き署名の署名行為特徴情報を入力して、前記ディープラーニングアルゴリズムによって出力されたユーザー本人である確率を示す値(確率値)に基づいて認証成功/認証失敗を決定する。
【0044】
もちろん、本発明は、これに限定されず、手書き署名認証のために、上記に例示した二つの方式に加えて、現在用いられる様々な分析アルゴリズムや、現在開発中であるか商用化可能な分析アルゴリズムをさらに用いることができる。
【0045】
但し、以下の実施形態では、ディープラーニング分析アルゴリズムと一致度分析アルゴリズムを用いることを想定して説明し、説明の便宜のために、前者の方式を第1署名認証アルゴリズムと、後者の方式を第2署名認証アルゴリズムと呼ぶ。前述したように、前記第1、第2署名認証アルゴリズムは、上記の例示に限定されるものではなく、知られている他の分析アルゴリズムに置き換えることができる。なお、以下で説明する実施形態において、第1署名認証アルゴリズムを一致度分析アルゴリズム、第2署名認証アルゴリズムをディープラーニング分析アルゴリズムにそれぞれ変更することもできる。
【0046】
併せて、本発明に係る手書き署名認証技術は、前記第1、第2手書き署名認証アルゴリズムを用いて、入力された手書き署名の署名行為特徴情報を分析するが、1次に抽出された署名行為特徴情報全体を基準に分析して、第1、第2手書き署名認証アルゴリズムの1次分析結果に基づいて、ユーザー認証の精度の向上のための補正方向を決定する。ここで、ユーザー認証の精度補正方向は、他人受け入れ率(False Acceptance Ratio)および本人拒否率(False Rejection Rate)のうちの少なくとも一つを補正する方向になることができる。
【0047】
また、本発明は、前記決定された補正方向を考慮して、第1、第2手書き署名認証アルゴリズムを用いたユーザー認証を行う。例えば、他人受け入れ率が減少する方向、または本人拒否率が減少する方向にユーザー認証を行うことができる。
【0048】
すなわち、本発明は、互いに異なる方式の第1署名認証アルゴリズムと第2署名認証アルゴリズムとの分析結果を比較して、ユーザー認証の精度をどの方向に補正するかを決定した後、それに基づいて補正されたユーザー認証結果を導出するものであり、これにより、本人拒否率および他人受け入れ率の両方を満足させ、結果として認証の精度をさらに高度化することができる。
【0049】
以下、概略的に上述した本発明に係る多重認証アルゴリズムに基づく手書き署名認証装置の構成および動作を図面に基づいて説明し、図面を参照して前記装置での手書き署名認証方法を詳細に説明する。
【0050】
まず、
図1は本発明に係る手書き署名認証装置の概略的な構成を示すブロック図である。
図1は手書き署名認証のための必須構成要素のみを示すものであり、これらは独立した装置として実現されてもよく、別のシステム或いはデバイスに付着した或いは統合された形態で実現されてもよい。例えば、本発明に係る手書き署名認証装置は、スマートフォン、タブレットPCなどのモバイル装置に内蔵される形態で実現されてもよい。
【0051】
図1を参照すると、本発明に係る手書き署名認証装置100は、手書き署名入力部110、保存部120、制御部130、および出力部140を含んでなることができる。
【0052】
前記手書き署名入力部110は、ユーザーが手書きで書く、認証対象となる手書き署名に対するデータである手書き署名データの入力を受けるための構成であって、ユーザーが手で書いた手書き署名のイメージ情報および/またはユーザーが手で手書き署名を書く間にユーザー固有の習慣に起因して示す行動に関連する署名行為特徴情報を収集する。このため、前記手書き署名入力部110は、手書き署名のイメージを取得するためのスキャン装置或いはカメラ装置、ユーザーが手書き署名を手で書くことができるタッチ入力装置および地磁気センサーや加速度センサーなどを装着するスマートペンのうちの少なくとも一つを含んで構成できるだろう。スキャン装置を含む場合には、手書き署名のイメージ情報を収集することができ、タッチ入力装置およびスマートペンを含む場合には、ユーザーが署名行為をする間に現れる署名行為特徴情報を収集することができる。前記署名行為特徴情報は、署名に対する位置、方向、角度、移動速力、加速度、圧力、交差点、交差角度、変曲点、変曲点での回転角度などの測定値、および上記の位置、方向、角度、移動速力、加速度、圧力、交差点、交差角度、変曲点、変曲点での回転角度などに対する分布特性を含むことができる。
【0053】
また、前記手書き署名入力部110は、ユーザーが書く手書き署名に対する情報をリアルタイムで収集することもでき、所定の文書或いは電子文字からユーザーが手で書いた手書き署名の情報を抽出することもできる。
【0054】
このような手書き署名入力部110は、手書き署名を受ける端末、但し、例えば、ユーザーおよび加盟店のパーソナルコンピュータ、移動通信端末、POS、決済端末などに構成されるか或いは別の装置に接続され得る。
【0055】
次に、保存部120は、本発明に係る互いに異なる2つ以上の多重認証アルゴリズムに基づく手書き署名認証を行う制御プログラムを保存するプログラム領域、前記制御プログラムの実行中に発生するデータを一時保存する一時領域、前記制御プログラムの実行中に発生するデータおよび前記制御プログラムの実行に必要なデータを半永久的に保存するデータ領域を含む。つまり、前記保存部120は、本発明に係る手書き署名認証のために必要なデータおよび/またはプログラムを保存するための構成である。具体的には、前記制御プログラムは、オペレーティングシステム、前記オペレーティングシステム上で動作する第1、第2手書き署名認証アルゴリズムを実行するように実現された第1、第2手書き署名認証プログラムを含む手書き署名認証プログラムなどを含むことができる。保存部120のデータ領域には、認証されたユーザーの手書き署名に関する情報(イメージ情報、署名行為特徴情報など)および本発明で適用される第1分析しきい値である第1しきい値ρ、第2しきい値T1DLおよび第3しきい値T1Sと、第2分析しきい値である第4しきい値T2DL、第5しきい値T2S、第6しきい値T3DLおよび第7しきい値T3Sを保存することができる。以下、前記第1乃至第3しきい値ρ、T1DL、T1Sを総称する用語として「第1分析しきい値」を使用し、前記第4乃至第7しきい値T2DL、T2S、T3DL、T3Sを総称する用語として「第2分析しきい値」を使用する。
【0056】
これに加えて、前記保存部120は、必要に応じて手書き署名入力部110を介して入力された手書き署名データを一時または一定期間保存することができる。このような保存部120は、コンピュータ可読記録媒体で実現できる。ここで、記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独でまたは組み合わせて含むことができる。記録媒体に記録されるプログラム命令は、本発明のために特別に設計されて構成されたものであってもよく、コンピュータソフトウェア当業者に公知されて使用可能なものであってもよい。例えば、記録媒体は、ハードディスク、フロッピーディスク、および磁気テープなどの磁気媒体(Magnetic Media)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Video Disk)などの光記録媒体(Optical Media)、フロップティカルディスク(Floptical Disk)などの磁気-光媒体(Magneto-Optical Media)、およびROM、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどのプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置を含む。プログラム命令の例には、コンパイラによって作られるような機械語コードだけでなく、インタプリターなどを用いてコンピュータによって実行できる高級言語コードを含むことができる。
【0057】
そして、前記制御部130は、本発明に係る手書き署名認証装置100の動作全般を制御し実行する構成であって、具体的には、本発明に係る手書き署名認証方法による機能とプロセス(process)を実行するためのプログラム命令を処理することができる1つ以上のプロセッサ(Processor)を含んで実現できる。ここで、プロセッサによって実行される命令としては、例えばJavaScriptやECMAScript命令などのスクリプト命令のような解釈される命令や、実行可能なコード、或いはコンピュータで読み取り可能な媒体に保存されるその他の命令が含まれ得る。これは前記保存部120に保存できる。一実施形態において、前記プロセッサはシングルスレッド(Single-threaded)プロセッサであってもよく、他の実施形態において、前記プロセッサはマルチスレッド(Multithreaded)プロセッサであってもよい。
【0058】
つまり、制御部130は、保存部120に保存されたプログラムモジュールをロードして実行させることにより、それにより他の構成、すなわち手書き署名入力部110、保存部120および出力部140などを制御し、手書き署名認証処理を行うことができる。
【0059】
このような制御部130は、本発明によって第1、第2署名認証アルゴリズムを用いて手書き署名認証処理過程を行う手書き署名認証モジュール131と、正常ユーザーの手書き署名に関する情報および/または前記手書き署名認証処理過程で必要な基準情報(例えば、第1乃至第7しきい値)を登録するための登録モジュール132を含むことができる。前記手書き署名認証モジュール131および登録モジュール132は、ソフトウェアおよび/またはハードウェアの組み合わせからなるものであって、前述したように、前記プロセッサによって実行されるプログラムモジュールを意味するか、或いは前記プログラムモジュールおよびプロセッサの組み合わせを意味することができる。前記手書き署名認証モジュール131の詳細構成および動作は、次の
図2を参照して詳細に説明する。
【0060】
最後に、出力部140は、手書き署名認証過程或いは手書き署名認証結果を出力するための構成である。例えば、前記出力部140は、手書き署名認証のために必要なユーザー動作の入力を受けるために、関連案内メッセージを出力することができ、手書き署名認証の完了後、認証結果を示すメッセージを出力することができる。
【0061】
以上で説明した手書き署名認証装置100を構成する構成要素は、一つの装置内にすべて備えられてもよく、別々にそれぞれ備えられて有無線で接続されて動作してもよい。例えば、前記手書き署名入力部110と出力部140は、ユーザーに近い位置、或いはユーザーがアクセスする場所に設置されるクライアント装置で実現され、前記保存部120および制御部130は、前記クライアントと有線または無線ネットワークを介して接続されて連動するサーバ装置に分離実現されてもよい。この場合、本発明に係る手書き署名認証装置100は、サーバ-クライアントシステムで実現される。
【0062】
つまり、以上で説明した手書き署名認証装置100の構成は、手書き署名認証処理に必要な必須構成要素のみを示したものであって、その接続方式で実現形態を特定しようとするのではない。
【0063】
図2は本発明の一実施形態に係る手書き署名認証装置の手書き署名認証モジュールの詳細構成を示すブロック図である。
【0064】
図2を参照すると、手書き署名認証モジュール131は、署名特徴情報取得部210、第1署名認証部220、第2署名認証部230、補正部240、および最終認証処理部250を含む。
【0065】
署名特徴情報取得部210は、手書き署名入力部110を介して署名行為特徴情報を取得して第1署名認証部220および第2署名認証部230に出力する。
【0066】
第1署名認証部220は、第1署名認証アルゴリズムが適用された構成であって、前記署名特徴情報取得部210から入力される署名行為特徴情報を第1署名認証アルゴリズムに適用して、第1分析結果である第1確率値δを補正部240および最終認証処理部250に出力する。
【0067】
第2署名認証部230は、第2署名認証アルゴリズムが適用された構成であって、前記署名特徴情報取得部210から入力される署名行為特徴情報を第2署名認証アルゴリズムに適用して、第2分析結果である第1スコアscore1を補正部240および最終認証処理部250に出力する。
【0068】
また、第2署名認証部230は、補正部240で補正方向に他人受け入れ率補正が決定された場合、前記補正部240から他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報の入力を受け、入力された他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報を第2署名認証アルゴリズムに適用および分析して、第3分析結果である第2スコアscore2を補正部240に出力する。
【0069】
また、第2署名認証部230は、補正部240で補正方向に本人拒否率補正が決定された場合、前記補正部240から本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報の入力を受け、入力された本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報を第2署名認証アルゴリズムに適用および分析して、第4分析結果である第3スコアscore3を補正部240に出力する。
【0070】
補正部240は、補正方向決定部241、補正特徴情報抽出部242、他人受け入れ率補正部243および 本人拒否率補正部244を含むことにより、前記第1署名認証部220から第1確率値δが入力され、第2署名認証部230から第1スコアscore1が入力されると、他人受け入れ率補正および本人拒否率補正のいずれかを実行するかを決定する補正方向を決定し、決定された補正方向に応じて補正を行うために、前記第2署名認証部230を介して第2スコアscore2および第3スコアscore3を取得して出力する。
【0071】
具体的に説明すると、前記補正方向決定部241は、第1確率値δと第1しきい値ρとを比較し、第1確率値δと第2しきい値T1DLとを比較し、第1スコアscore1と第3しきい値T1Sとを比較して、他人受け入れ率補正および本人拒否率補正のいずれかを決定する補正方向を決定し、第1確率値δと第1しきい値ρとの比較結果である基本認証値を最終認証処理部250に出力する。すなわち、第1確率値δが第1しきい値ρ以上であり、第1スコアscore1が第3しきい値T1S以上であるか、或いは、第1スコアscore1が第3しきい値T1Sよりも小さく、第1確率値δが第2しきい値T1DL以上であれば、他人受け入れ率補正を決定し、第1スコアscore1が第3しきい値T1Sよりも小さく、第1確率値δが第1しきい値ρ以上から第2しきい値T1DL以内であれば、本人拒否率補正を決定する。
【0072】
補正特徴情報抽出部242は、前記補正方向決定部241で補正方向が決定されると、前記署名特徴情報取得部210で取得された手書き署名全体に対する署名行為特徴情報の中から、補正方向による敏感な署名行為特徴情報を抽出する。
【0073】
前記補正方向による敏感な署名行為特徴情報は、他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報、および本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報になることができ、前記他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報は、他人受け入れ率補正部243に入力し、前記本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報は、本人拒否率補正部244に入力する。
【0074】
前記他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報の入力を受けた他人受け入れ率補正部243は、前記他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報を第2署名認証部230に提供して第2スコアscore2を取得し、取得された第2スコアscore2を最終認証処理部250に出力する。
【0075】
前記本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報の入力を受けた本人拒否率補正部244は、前記本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報を第2署名認証部230に提供して第3スコアscore3を取得し、取得された第3スコアscore3を最終認証処理部250に出力する。
【0076】
最終認証処理部250は、第1署名認証部220から入力された第1確率値δ、第2署名認証部230から入力された第1スコアscore1、補正部240から入力された第2スコアscore2および第3スコアscore3と、第1分析しきい値である第1乃至第3しきい値ρ、T1DL、T1Sおよび第2分析しきい値である第4乃至第7しきい値T2DL、T2S、T3DL、T3Sとを比較した比較結果、および補正方向決定部241から出力される基本認証値によって手書き署名認証成否を判断する。
【0077】
図3は本発明に係る手書き署名認証方法を示すフローチャート、
図4は本発明に係る手書き署名認証方法におけるしきい値設定方法を示すフローチャート、
図5は本発明に係る手書き署名認証方法における補正方向決定方法を説明するための図、
図6は本発明に係る手書き署名認証方法における他人受け入れ率補正方法を説明するための図、
図7は本発明に係る手書き署名認証方法における本人拒否率補正方法を説明するための図である。
【0078】
次に、
図3乃至
図7を参照して、上述したように構成される手書き署名認証装置100によって行われる手書き署名認証方法を説明する。
【0079】
以下の説明で、手書き署名の分析および判断に用いられる第1、第2署名認証アルゴリズムの学習およびしきい値の設定は、手書き署名要求が発生する前に完了して前記手書き署名認証装置100の保存部120に保存されていると仮定し、それについての具体的な学習および設定過程を追って別途説明する。
【0080】
図3を参照すると、本発明に係る手書き署名認証装置100は、手書き署名入力部110を介して、認証対象となる手書き署名の入力を受け(S110)、入力された手書き署名に対する特徴情報、さらに具体的には、署名行為特徴情報を抽出する(S120)。前記署名行為特徴情報は、署名に関連する位置、方向、角度、移動速力、加速度、圧力、交差点、交差角度、変曲点、変曲点での回転角度の測定値、および上記の位置、方向、角度、移動速力、加速度、圧力、交差点、交差角度、変曲点、変曲点での回転角度などに対する分布特性などを含む。また、抽出される特徴情報は、前記署名行為特徴情報以外に、イメージ特徴情報を含むことができる。ここで、手書き署名の入力は、署名時点にリアルタイムで手書き署名の入力を受ける方式で行われ得る。
【0081】
このように、手書き署名入力部110を介して、認証する手書き署名が入力されると、手書き署名認証装置100の制御部130は、第1署名認証アルゴリズムおよび第2署名認証アルゴリズムを介して、前記入力された手書き署名の署名行為特徴情報を分析し、その分析結果を比較して認証成功または認証失敗を判断する。
【0082】
本発明において、前記認証成功または認証失敗を判断する過程を具体的に説明すると、制御部130は、まず、前記抽出された署名行為特徴情報の全体を第1、第2署名認証アルゴリズムにそれぞれ入力して、既に登録されたユーザーの手書き署名との一致度を1次分析する(S130、S140)。
【0083】
つまり、抽出された署名行為特徴情報の全体を適用して第1、第2署名認証アルゴリズムを実行することにより、二つの互いに異なる署名認証アルゴリズムを用いて全体署名行為特徴情報に基づく分析結果をそれぞれ抽出するのである。
【0084】
より具体的には、ディープラーニング分析アルゴリズムで実現された第1署名認証アルゴリズムの分析結果(以下「第1分析結果」という)は、入力された手書き署名が登録されたユーザーの手書き署名であるかに対する確率値δとして出力され、一致度分析アルゴリズムで実現された第2署名認証アルゴリズムの分析結果(以下「第2分析結果」という)は、一致度を示すスコア(score)として出力できる。前記確率値δおよびスコア(score)は、入力された手書き署名と登録された手書き署名との一致程度を示す値であって、所定の範囲を持つことができる。例えば、前記確率値δおよびスコア(score)は、それぞれ0以上1以下の範囲を持ってもよく、0以上100以下の範囲を持ってもよい。このとき、1または100は一致度が最も高いことを示し、0は一致度が最も低いことを示す。ちなみに、説明の便宜のために、前記1次分析を介して抽出された確率値δおよびスコア(score)をそれぞれ第1確率値δ、第1スコアscore1という。
【0085】
ここで、第1、第2署名認証アルゴリズムは、互いに異なる分析手法に基づくので、同じ署名行為特徴情報の入力を受けても、第1、第2署名認証アルゴリズムの第1および第2分析結果は、互いに異なってもよい。
【0086】
そして、本発明に係る手書き署名認証装置100の制御部130は、第1、第2署名認証アルゴリズムの前記1次分析結果である、第1確率値δと第1スコアscore1を用いて、ユーザー認証の精度の向上のための補正方向を決定する(S150)。前記ユーザー認証の精度の向上のための補正方向は、通常、ユーザー認証の精度を判断するために使用される本人拒否率または他人受け入れ率を下げるように設定される。ちなみに、従来の単一の認証アルゴリズムを使用する手書き署名認証方式の場合は、本人拒否率を下げると、他人受け入れ率が上がり、逆に他人受け入れ率を下げると本人拒否率が上がり、本人拒否率と他人受け入れ率を同時に満足させるのに困難があった。
【0087】
これとは異なり、本発明は、前記S150ステップで、互い異なる二つ方式の手書き署名認証アルゴリズムによる1次分析結果に基づいて、ユーザー認証の補正方向を本人拒否率を下げる方向に補正する本人拒否率補正を行うか、他人受け入れ率を下げる方向に補正する他人受け入れ率補正を行うかを決定することにより、本人拒否率と他人受け入れ率を同時に満足させようとする。前記S150ステップを
図5を参照して説明する。
【0088】
S150ステップでは、補正方向を決定するために、第1確率値δと第1スコアscore
1を所定のしきい値とそれぞれ比較する(S151乃至S153)。本発明の一実施形態において、前記所定のしきい値は、
図5に示すように、第1署名認証アルゴリズムで認証成功判断の基準値である第1しきい値ρ、第1しきい値ρよりも高く設定された第2しきい値T1
DL、および第2署名認証アルゴリズムで認証成功判断の基準値である第3しきい値T1
Sのうちの少なくとも一つを含む。ちなみに、前記第1乃至第3しきい値ρ、T1
DL、T1
Sは、第1確率値δと第1スコアscore
1の範囲(0~1)以内でユーザー選択、或いは学習結果の分析によって設定できる。
【0089】
上述した第1乃至第3しきい値ρ、T1
DL、T1
S、すなわち第1分析しきい値を基準とするとき、第1、第2署名認証アルゴリズムによる分析結果は、
図5に示すようにA、B、C、D領域のいずれかに該当することができる。
【0090】
A領域は、第1署名認証アルゴリズムの第1確率値δが第1しきい値ρ以上であり且つ第2署名認証アルゴリズムの第1スコアscore1が第3しきい値T1S以上である場合であって、ユーザー本人である可能性が高い領域である。
【0091】
B領域は、第2署名認証アルゴリズムの第1スコアscore1が第3しきい値T1Sよりも低いが、第1署名認証アルゴリズムの第1確率値δが第1しきい値ρよりも高い第2しきい値T1DL以上である領域であって、ユーザー本人である可能性が高い領域である。
【0092】
C領域は、第2署名認証アルゴリズムの第1スコアscore1が第3しきい値T1Sよりも小さく、第1署名認証アルゴリズムの第1確率値δが第1しきい値ρよりも高いが、第2しきい値T1DLよりは低い領域であって、ユーザー本人である可能性がやや低い。
【0093】
D領域は、第1署名認証アルゴリズムの第1確率値δが第1しきい値ρよりも低い領域であって、他人である可能性が高い領域である。
【0094】
このとき、ユーザー本人である可能性が高いA、B領域に該当する場合、制御部130は、他人受け入れ率が低くなるように補正する他人受け入れ率補正を行い、ユーザー本人である可能性が多少低いC領域に該当する場合、本人拒否率が低くなるように補正する本人拒否率補正を行う。
【0095】
前記他人受け入れ率補正および本人拒否率補正を行うことにより、本発明の手書き署名認証装置100は、ユーザー認証結果に対する精度を高めることができる。
【0096】
したがって、本発明の第1実施形態によって、制御部130は、S151ステップで、第1署名認証アルゴリズムによって抽出された第1確率値δと第1しきい値ρとを比較して、第1確率値δが第1しきい値ρ以上であるかを判断する。これは、第1署名認証アルゴリズムで分析された第1確率値が第1署名認証アルゴリズムでの認証成功のための最低確率値を満足するかを判断する過程であって、このとき、第1確率値δが第1しきい値ρよりも小さければ(D領域)、S190ステップに進み、第1署名認証アルゴリズムによる認証失敗と判断する。逆に、第1確率値δが第1しきい値ρ以上であれば、
図5に示されたA、B、C領域のいずれかに該当することができるので、制御部130は、A、B、C領域のどちらに該当するかを再び判断する。
【0097】
すなわち、前記第1確率値δが第1しきい値ρ以上であれば、制御部130は、S152ステップで、第2署名認証アルゴリズムによって抽出された第1スコアscore
1が第3しきい値T1
S以上であるかを判断する。判断の結果、第1スコアscore
1が第3しきい値T1
S以上であれば、
図5のA領域に該当するので、制御部130は、他人受け入れ率を下げるために補正方向を他人受け入れ率補正に決定する。
【0098】
そして、第1スコアscore
1が第3しきい値T1
Sよりも低ければ、制御部130は、S153ステップで、第1署名認証アルゴリズムによって抽出された第1確率値δが第2しきい値T1
DL以上であるかを判断する。判断の結果、第1署名認証アルゴリズムによって抽出された第1確率値δが第2しきい値T1
DL以上であれば、
図5のB領域に該当するので、制御部130は、他人受け入れ率を下げるために補正方向を他人受け入れ率補正に決定する。逆に、第1署名認証アルゴリズムによって抽出された第1確率値δが第2しきい値T1
DLよりも小さければ、
図5のC領域に該当するので、制御部130は、本人拒否率を下げるために補正方向を本人拒否率補正に決定する。
【0099】
S150ステップで補正方向が決定されると、制御部130は、S160またはS170ステップを介して、決定された補正方向を考慮したユーザー認証を行う。つまり、制御部130は、補正方向に他人受け入れ率補正が決定された場合、前記S160ステップに進み、他人受け入れ率補正が反映された認証を行い、補正方向に本人拒否率補正が決定された場合、S170ステップに進み、本人拒否率補正が反映された認証を行う。本実施形態において、S160およびS170ステップで、他人受け入れ率補正および本人拒否率補正は、第2署名認証アルゴリズムを用いて行われるが、これとは異なり、第1署名認証アルゴリズムを用いるか或いは第1、第2署名認証アルゴリズムを一緒に用いて行われてもよい。
【0100】
前記S160ステップの他人受け入れ率補正およびS170ステップの本人拒否率補正を
図6および
図7を参照して説明する。
【0101】
まず、S160ステップの他人受け入れ率補正を説明すると、制御部130は、S161ステップで、S120ステップを経て抽出された手書き署名の署名行為特徴情報の中から他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報を抽出し、S162ステップで、前記抽出された他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報を第2署名認証アルゴリズムに適用して一致度分析を再び行う。このとき、算出された分析結果を第2スコアscore2という。
【0102】
ちなみに、偽造/盗用/モノマネによる他人の手書き署名は、複数の署名行為特徴情報のうちの多くの部分が登録された手書き署名と一致するので、認証成功と判断できる。しかし、複数の署名行為特徴情報のうち、他人が模倣することができない情報が存在し、これを他人受け入れに敏感な署名行為特徴情報として定義することができる。複数の署名行為特徴情報のうち、大多数の署名行為特徴情報が一致しても、前記他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報が大きい差を示す場合、当該手書き署名は、偽造/盗用/モノマネによる他人の手書き署名である可能性が高い。
【0103】
したがって、前記S160ステップは、前記他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報に基づいて認証を行うことにより、他人受け入れによるエラーを補正することができる。
【0104】
つまり、S163ステップで前記抽出された第2スコアscore2、および先立ってS130ステップで抽出された第1確率値δを所定のしきい値と比較して、その比較結果に基づいて認証成否を判断する。
【0105】
前記S163ステップで用いられるしきい値としては、S160ステップでユーザー認証のために、第4、第5しきい値T2
DL、T2
Sを使用する。前記第4、第5しきい値設定方法は、
図4を参照して後述する。
【0106】
制御部130は、S163ステップで第1確率値δが第4しきい値T2DLよりも小さく、第2スコアscore2が第5しきい値T2Sよりも小さいかを判断する。判断の結果、第1確率値δが第4しきい値T2DLよりも小さく、第2スコアscore2が第5しきい値T2Sよりも小さければ、制御部130は、認証失敗と判断し(S190)、第1確率値δが第4しきい値T2DL以上であるか或いは第2スコアscore2が第5しきい値T2S以上であれば、認証成功と判断する(S180)。
【0107】
図6を参照すると、本実施形態において、第4しきい値T2
DLは、第1署名認証アルゴリズムで抽出された確率値に対するしきい値であって、第1しきい値ρよりも大きく、第2しきい値T1
DLよりも低く設定され、第5しきい値T2
Sは、第3しきい値T1
Sよりも低く設定される。しかし、場合によっては、第4、第5しきい値T2
DL、T2
Sは、それぞれ、第2、第3しきい値T1
DL、T1
Sと同じかそれよりも大きく設定されてもよい。
【0108】
例えば、S150ステップで、全体署名行為特徴情報に基づいて抽出された第1、第2署名認証アルゴリズムの1次分析結果が、
図5に示されたp1(x1、y1)である場合、A領域に該当して、暫定的に認証成功と判断された場合、制御部130は、S160ステップで2次分析の結果、他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報に基づいて他人受け入れ率が減少するように他人受け入れ率補正を行った後に認証を行うことにより、
図6に示されたp1’(x1、y1’)のように、第3分析結果である第2スコアscore
2がy1’に小さくなることができる。この場合、制御部130は、第1確率値δが第4しきい値T2
DLよりも小さく、第2スコアscore
2が第5しきい値T2
Sよりも小さいy1’であったので、最終的に認証失敗と判断することができるだろう。
【0109】
つまり、
図5のA、B領域に該当する場合、S160ステップを介して、他人受け入れ率をさらに減少させることにより、偽造、盗用、モノマネを介して模倣された手書き署名を認証失敗としてフィルタリングすることができる。
【0110】
次に、S170ステップの本人拒否率補正を説明すると、制御部130は、S171ステップで、前記S120ステップを経て抽出された手書き署名の署名行為特徴情報の中から本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報を抽出し、抽出された本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報を第2署名認証アルゴリズムに適用して一致度分析を再び行う。
【0111】
このとき、算出された第4分析結果を第3スコアscore3という。敷衍すれば、署名時の環境や状態に応じて、同じユーザーから抽出された署名行為特徴情報は、多数の偏差があり得るが、様々な署名行為特徴情報のうち、周辺環境や状態に少なく影響される署名行為特徴情報があり得るので、これらを本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報として定義する。全体署名行為特徴情報に基づく分析では、一致度が低くても、本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報に基づく分析において一致度が高い場合には、ユーザー本人である可能性が高い。したがって、前記S170ステップで、制御部130は、前記本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報に基づいて認証を行うことにより、本人拒否によるエラーを補正することができる。
【0112】
さらに、S173ステップで、制御部130は、前記抽出された第3スコアscore3および先立ってS130ステップで抽出された第1確率値δを、所定のしきい値と比較して、その比較結果に基づいて認証成否を判断する。
【0113】
前記S173ステップで、ユーザー認証のために第6、第7しきい値T3DL、T3Sを用い、制御部130は、第1確率値δが第6しきい値T3DLよりも小さく且つ第3スコアscore3が第7しきい値T3S以上である場合には、認証成功と判断し(S180)、その逆の場合には、認証失敗と判断する(S190)。
【0114】
図7を参照すると、本実施形態において、第6しきい値T3
DLは、第1署名認証アルゴリズムで抽出された確率値に対するしきい値であって、第1しきい値ρよりも大きく且つ第2しきい値T1
DLよりも低く設定され、第7しきい値T3
Sは、第3しきい値T1
Sよりも低く設定される。ところが、場合によっては、第6、第7しきい値T3
DL、T3
Sは、それぞれ、第2、第3しきい値T1
DL、T1
Sと同じかそれよりも大きく設定されてもよい。
【0115】
図5および
図7を例に挙げて説明すると、S150ステップで、全体署名行為特徴情報に基づいて抽出された第1、第2署名認証アルゴリズムの1次分析結果が、
図5に示されたp2(x2、y2)である場合には、C領域に該当して、暫定的に認証失敗と判断されるが、S170ステップの2次分析結果、他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報に基づいて他人受け入れ率が減少するように補正して認証することにより、
図7に示されたp2’(x2、y2’)のように第3スコアscore
3がy2’に大きくなることができる。この場合、制御部130は、第1確率値δが第6しきい値T3
DLよりも小さいx2であり、第3スコアscore
3が第7しきい値T3
Sよりも大きいy2’であったので、最終的に認証成功と判断することができる。
【0116】
つまり、S170ステップを介して、C領域の場合は、本人拒否率をさらに減少させることにより、ユーザー本人の手書き署名が認証失敗により拒否されることを最小限に抑えることができる。
【0117】
次に、
図4を参照して、上述した手書き署名認証過程で使用される第1、第2署名認証アルゴリズムの学習およびしきい値の設定過程を説明する。
【0118】
図4に示された過程は、
図3に示した手書き署名認証過程の前に行われることが好ましい。
【0119】
図4を参照すると、制御部130の登録モジュール132は、第1、第2署名認証アルゴリズムの学習およびしきい値の設定のために、学習用手書き署名データを収集する(S205)。前記学習用手書き署名データは、管理者によって入力できるだろう。ここで、学習用手書き署名データは、多数のユーザー本人が直接署名した本人手書き署名データ、および前記各本人手書き署名データに対するユーザー本人の手書き署名を他人が偽造又は盗用したりモノマネしたりした手書き署名の手書き署名データである模倣手書き署名データを含む。
【0120】
前記制御部130の登録モジュール132は、学習用手書き署名データが収集されると、直接または手書き署名認証モジュール131を介して前記収集した多数の学習用手書き署名データの多数の本人手書き署名データおよび模倣手書き署名データそれぞれに対する複数の署名行為特徴情報を抽出する(S210)。
【0121】
署名行為特徴情報が抽出されると、制御部130の登録モジュール132は、各学習用手書き署名データから抽出された全体署名行為特徴情報を適用して、第1、第2署名認証アルゴリズムによる1次学習を行う(S215、S220)。ここで、学習は、学習用手書き署名データごとに抽出された署名行為特徴情報および既知の情報に基づく認証成功/認証失敗を第1、第2署名認証アルゴリズムに代入して行われ得る。つまり、本人手書き署名に対しては、認証成功を結果値として適用して学習を行い、模倣手書き署名に対しては、認証失敗を結果値として適用して学習を行う。このとき、1次学習は、収集した学習用手書き署名全体を用いて行われ、学習に用いられる手書き署名データの数が増加するほど、第1、第2署名認証アルゴリズムの信頼性および精度が高くなることができる。
【0122】
併せて、前記S215、S220ステップは、前述した手書き署名認証方法の1次分析時と同様に、各学習用手書き署名から抽出された署名行為特徴情報全体を入力して行われる。
【0123】
制御部130の登録モジュール132は、前記S215、S220ステップの学習結果を分析して、
図3のS150ステップで補正方向を決定するのに必要な第1しきい値ρ、第2しきい値T1
DL、第3しきい値T1
Sを抽出する(S225)。
【0124】
続いて、登録モジュール132は、学習用手書き署名データから抽出した複数の署名行為特徴情報のうちの他人受け入れ検証に敏感な署名行為特徴情報に基づいて、第2署名認証アルゴリズムによる2次学習を行い(S230)、学習用手書き署名データから抽出した複数の署名行為特徴情報のうちの本人拒否検証に敏感な署名行為特徴情報に基づいて第2署名認証アルゴリズムによる3次学習を行う(S235)。
【0125】
そして、登録モジュール132は、前記2次および3次学習結果を分析して、他人受け入れ率補正のための第4、第5しきい値T2DL、T2Sと本人拒否率補正のための第6、第7しきい値T3DL、T3Sを抽出する(S240)。
【0126】
以上の過程を経て学習された第1、第2署名認証アルゴリズム、および抽出された第1乃至第7しきい値ρ、T1
DL、T1
S、T2
DL、T2
S、T3
DL、T3
Sは、
図1に示された手書き署名認証装置100の保存部120に保存され、入力された手書き署名の認証に用いられる。
【0127】
以上のように、本明細書と図面には本発明の好適な実施形態について開示したが、ここに開示された実施形態以外にも、本発明の技術的思想に基づく他の変形例が実施可能であることは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に自明であろう。また、本明細書と図面で特定の用語が使用されたが、これは、単に本発明の技術内容を容易に説明し且つ発明の理解を助けるための一般的な意味で使用されたのであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0128】
特に、本明細書と図面では、例示的な装置構成を記述しているが、本明細書で説明する機能的な動作と主題の実現物は、他の類型のデジタル電子回路で実現されるか、或いは本明細書で開示される構造およびその構造的な等価物を含むコンピュータソフトウェア、ファームウェアまたはハードウェアで実現されるか、或いはこれらのうちの少なくとも一つの結合で実現されることが可能である。本明細書で説明する主題の実現物は、一つ以上のコンピュータプログラム製品、言い換えれば、本発明に係る装置の動作を制御するため或いはこれによる実行のためにプログラム記憶媒体上にエンコードされたコンピュータプログラム命令に関する一つ以上のモジュールで実現され得る。コンピュータ可読媒体は、機械で読み取り可能なストレージ装置、機械で読み取り可能な記憶基板、メモリー装置、機械で読み取り可能な電波形信号に影響を及ぼす物質の組成物、或いはこれらのうちの少なくとも一つの組み合わせであり得る。
【0129】
また、本明細書で説明した主題の実現物は、例えばデータサーバーなどのバックエンドコンポネントを含むか、例えばアプリケーションサーバーなどのミドルウェアコンポネントを含むか、例えばユーザーが本明細書で説明した主題の実現物と相互作用できるウェブブラウザーやグラフィックユーザーインターフェースを有するクライアントコンピュータなどのフロントエンドコンポネントあるいはそのようなバックエンド、ミドルウェアあるいはフロントエンドコンポネントの一つ以上のすべての組み合わせを含む演算システムで実現できる。システムのコンポネントは、例えば通信ネットワークなどのデジタルデータ通信のいかなる形態や媒体によっても相互接続が可能である。
【0130】
本明細書は、多数の特定の実現物の詳細事項を含むが、これらは、如何なる発明や請求可能なものの範囲に対しても制限的なものと理解されてはならず、発明の特定の実施形態に特有性がある特徴に対する説明として理解されるべきである。個別的な実施形態の文脈において本明細書に記述された特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実現してもよい。反対に、単一の実施形態の文脈で記述した多様な特徴も個別的にあるいは如何なる適切な下位組み合わせでも複数の実施形態で実現可能である。さらに、特徴が特定の組み合わせで動作し、初期にそのように請求されたように描写できるが、請求された組み合わせからの一つ以上の特徴は一部の場合にその組み合わせから排除でき、その請求された組み合わせは下位組み合わせや下位組み合わせの変形物に変更できる。
【0131】
同様に、特定の順に図面で動作を描写しているが、これは好適な結果を得るために示されたその特定の順序や順次的な順にその動作あるいはすべての図示された動作が実行されるべきと理解されてはならない。特定の場合、マルチタスキングと並列プロセッシングが有利であることがある。また、上述した実施形態の多様なシステムコンポネントの分離は、その分離をすべての実施形態で要求するものと理解されてはならず、説明したプログラムコンポネントとシステムは一般的に単一のソフトウェア製品に一緒に統合されるか或いは多重ソフトウェア製品にパッケージングされ得るという点を理解すべきである。
【符号の説明】
【0132】
100 手書き署名認証装置
110 手書き署名入力部
120 保存部
130 制御部
131 手書き署名認証モジュール
132 登録モジュール
140 出力部
210 署名特徴情報取得部
220 第1署名認証部
230 第2署名認証部
240 補正部
250 最後認証処理部
【国際調査報告】