(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-15
(54)【発明の名称】テレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩の酸性化方法{a method for acidifying terephthalylidene dicamphor sulfonate}
(51)【国際特許分類】
C07C 303/44 20060101AFI20220408BHJP
C07C 309/24 20060101ALI20220408BHJP
A61K 8/46 20060101ALN20220408BHJP
A61Q 17/04 20060101ALN20220408BHJP
【FI】
C07C303/44
C07C309/24
A61K8/46
A61Q17/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021507518
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(85)【翻訳文提出日】2021-02-09
(86)【国際出願番号】 KR2020006134
(87)【国際公開番号】W WO2021153847
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0010594
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519350878
【氏名又は名称】セラ・スー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】リュ ドンスン
【テーマコード(参考)】
4C083
4H006
【Fターム(参考)】
4C083AC791
4C083CC19
4H006AA02
4H006AB92
4H006AD17
4H006BB31
(57)【要約】
本発明は、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩の酸性化方法に関し、さらに詳しくは、陽イオン交換繊維を用いてテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩をテレフタリリデンジカンフルスルホン酸に転換する方法に関する。
本発明は、製造工程が簡単で収率、純度及び酸転換率の高いテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩の酸性化方法を提供することができる。
本発明は、陽イオン交換繊維を用いてテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩をテレフタリリデンジカンフルスルホン酸に高い転換率で転換することができ、転換時生成される塩の除去も非常に容易である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)テレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩を含む水溶液を製造する段階;
(b)前記水溶液及び陽イオン交換繊維を混合して混合液を製造する段階;及び
(c)前記混合液を濾過して得られた濾過液を乾燥してテレフタリリデンジカンフルスルホン酸を得る段階;を含むテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩の酸性化方法。
【請求項2】
(a)テレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩を含む水溶液を製造する段階;
(b)陽イオン交換繊維が充填されたカラムに前記水溶液を投入して溶出させる段階;及び
(c)前記溶出された水溶液を濾過して得られた濾過液を乾燥してテレフタリリデンジカンフルスルホン酸を得る段階;を含むテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩の酸性化方法。
【請求項3】
前記陽イオン交換繊維は
スルホン酸基、カルボキシル基及びリン酸基から選択される一つ以上の交換基を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩の酸性化方法。
【請求項4】
前記陽イオン交換繊維は
交換基としてスルホン酸基及びカルボキシル基を共に含むことを特徴とする、請求項3に記載のテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩の酸性化方法。
【請求項5】
前記陽イオン交換繊維は
スルホン酸基を含む陽イオン交換繊維及びカルボキシル基を含む陽イオン交換繊維を同時に使用することを特徴とする、請求項3に記載のテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩の酸性化方法。
【請求項6】
前記スルホン酸基を含む陽イオン交換繊維及びカルボキシル基を含む陽イオン交換繊維の重量比は60~90:10~40であることを特徴とする、請求項5に記載のテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩の酸性化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩の酸性化方法に関し、さらに詳しくは、陽イオン交換繊維を用いてテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩をテレフタリリデンジカンフルスルホン酸に転換する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光に含まれた紫外線は、肌に過度に照射される場合、紅斑形成や肌細胞内のメラニン色素生成を促進させて肝斑やくすみ発生の原因になることがあり、表皮に分泌される皮脂と反応して過酸化脂質を生成することで肌のトラブルを発生させるだけでなく、ひどい場合、皮膚癌発生の原因になることがある。
【0003】
紫外線は、波長によってUV-A(320~400nm)、UV-B(280~320nm)、UV-C(200~280nm)に分けられ、短波長であるUV-Cにいくほどエネルギーが大きいが、短波長の紫外線は大気中で大部分吸収されるので、人体に直接影響を与える紫外線は、UV-AとUV-Bが知られている。
【0004】
紫外線による肌の損傷防止を目的に使用されている紫外線遮断剤は、大きく化学的紫外線遮断剤と物理的紫外線遮断剤に分類される。
【0005】
紫外線の化学的吸収をメカニズムとする化学的紫外線遮断剤は、ケイ皮酸系、サリチル酸系、ベンゾフェノン系などがあり、紫外線の物理的散乱及び遮蔽をメカニズムとする物理的紫外線遮断剤は、二酸化チタン、酸化亜鉛などのような無機遮断剤がある。
【0006】
一方、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸は、UV-Aと一部UV-Bの遮断が可能な有機紫外線遮断剤であって、水と空気を透過させず紫外線遮断効果及び抗酸化効果が卓越するものとして知られている。
【0007】
テレフタリリデンジカンフルスルホン酸を製造するための多様な方法が知られているが、そのうち代表的な方法としては、塩酸を用いてテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩をテレフタリリデンジカンフルスルホン酸に酸性化する方法がある。
【0008】
しかし、かかる方法は過量の塩酸を使用するため製造コストが上昇し、使用した酸を除去するための別の工程が必要となる。
【0009】
また、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸の製造工程で発生する塩化ナトリウムのような塩を除去するための追加の工程が必要となる問題点がある。
【0010】
したがって、製造工程が簡単で収率及び酸転換率に優れたテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩の酸性化方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためのものであって、製造工程が簡単で収率、純度及び酸転換率の高いテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩の酸性化方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記のような目的を達成するために、本発明は、(a)テレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩を含む水溶液を製造する段階;
(b)前記水溶液及び陽イオン交換繊維を混合して混合液を製造する段階;及び
(c)前記混合液を濾過して得られた濾過液を乾燥してテレフタリリデンジカンフルスルホン酸を得る段階;を含むテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩の酸性化方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、(a)テレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩を含む水溶液を製造する段階;
(b)陽イオン交換繊維が充填されたカラムに前記水溶液を投入して溶出させる段階;及び
(c)前記溶出された水溶液を濾過して得られた濾過液を乾燥してテレフタリリデンジカンフルスルホン酸を得る段階;を含むテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩の酸性化方法を提供する。
【0015】
本発明の一実施例において、前記陽イオン交換繊維はスルホン酸基、カルボキシル基及びリン酸基から選択される一つ以上の交換基を含むことを特徴とする。
本発明の一実施例において、前記陽イオン交換繊維は交換基としてスルホン酸基及びカルボキシル基を共に含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の一実施例において、前記陽イオン交換繊維はスルホン酸基を含む陽イオン交換繊維及びカルボキシル基を含む陽イオン交換繊維を同時に使用することを特徴とする。
【0017】
本発明の一実施例において、前記スルホン酸基を含む陽イオン交換繊維及びカルボキシル基を含む陽イオン交換繊維の重量比は60~90:10~40であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、製造工程が簡単で収率、純度及び酸転換率の高いテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩の酸性化方法を提供することができる。
本発明は、陽イオン交換繊維を用いてテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩をテレフタリリデンジカンフルスルホン酸に高い転換率で転換することができ、転換時生成される塩の除去も非常に容易である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施例に基づき本発明を詳しく説明する。本発明に使用された用語、実施例などは本発明をより具体的に説明して通常の技術者の理解を助けるために例示されたものに過ぎず、本発明の権利範囲などがこれに限定されて解釈されてはならない。
【0020】
本発明に使用される技術用語及び科学用語は、他の定義がなければ本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が通常理解している意味を示す。
【0021】
本発明は、(a)テレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩を含む水溶液を製造する段階;
(b)前記水溶液及び陽イオン交換繊維を混合して混合液を製造する段階;及び
(c)前記混合液を濾過して得られた濾過液を乾燥してテレフタリリデンジカンフルスルホン酸を得る段階;を含むテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩の酸性化方法に関する。
【0022】
また、本発明は、(a)テレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩を含む水溶液を製造する段階;
(b)陽イオン交換繊維が充填されたカラムに前記水溶液を投入して溶出させる段階;及び
(c)前記溶出された水溶液を濾過して得られた濾過液を乾燥してテレフタリリデンジカンフルスルホン酸を得る段階;を含むテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩の酸性化方法に関する。
【0023】
前記(a)段階は、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩を含む水溶液を製造する段階であって、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩100重量部に対して300~1,500重量部の水が使用されてもよい。
前記テレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩は、下記化学式1で表される。
【0024】
【0025】
前記化学式1でMはアルカリ金属またはN(R1)(R2)(R3)(R4)であり、R1ないしR4は互いに独立的に水素または(C1-C7)アルキルであり、Rは(C1-C7)アルキルまたは(C1-C7)アルコキシであり、nは0または1ないし4の整数であり、nが2以上の場合、Rは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0026】
前記(b)段階は、前記水溶液及び陽イオン交換繊維を混合して混合液を製造する段階;または陽イオン交換繊維が充填されたカラムに前記水溶液を投入して溶出させる段階である。
【0027】
前記陽イオン交換繊維の素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、アクリル樹脂などが制限なく使用されてもよい。
【0028】
前記陽イオン交換繊維は、繊維の集合体、すなわち、不織布、マット、ウェブ、織物、フィルタなども含む。
【0029】
前記陽イオン交換繊維は、表面にスルホン酸基、カルボキシル基及びリン酸基から選択される一つ以上の交換基を含んでもよい。
【0030】
スルホン酸基が導入された陽イオン交換繊維は、次の方法で製造されてもよい。
【0031】
ポリプロピレン繊維をプラズマで処理してポリプロピレン繊維にラジカルを形成させた後、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートで処理してポリプロピレン繊維の表面にグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートをグラフトさせてもよい。
【0032】
この時、ポリプロピレン繊維100重量部に対してグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレート1~10重量部が使用されることが好ましい。
【0033】
ここに、スルホン化溶液、例えば、NaHSO3溶液を処理して繊維の表面にスルホン酸基を導入してもよい。
【0034】
また、カルボキシル基が導入された陽イオン交換繊維は、次の方法で製造されてもよい。
【0035】
ポリプロピレン繊維をプラズマで処理してポリプロピレン繊維にラジカルを形成させた後、アクリル酸またはメタクリル酸で処理してポリプロピレン繊維の表面にアクリル酸またはメタクリル酸をグラフトさせて繊維の表面にカルボキシル基を導入してもよい。
【0036】
この時、ポリプロピレン繊維100重量部に対してアクリル酸またはメタクリル酸1~10重量部が使用されることが好ましい。
【0037】
本発明の前記陽イオン交換繊維は、交換基としてスルホン酸基及びカルボキシル基を共に含んでもよい。
【0038】
このために、ポリプロピレン繊維をプラズマで処理してポリプロピレン繊維にラジカルを形成させた後、グリシジルアクリレート(またはグリシジルメタクリレート)及びアクリル酸(またはメタクリル酸)で処理してポリプロピレン繊維の表面にグリシジルアクリレート及びアクリル酸をグラフトさせてもよい。
【0039】
ここに、NaHSO3溶液を処理して繊維の表面にスルホン酸基及びカルボキシル基を共に導入してもよい。
【0040】
この時、グリシジルアクリレート及びアクリル酸の重量比は、60~90:10~40であることが好ましく、前記重量比が60:40未満の場合、陽イオン交換能が低下し、90:10を超過する場合、繊維の耐久性及び加工性が低下する。
【0041】
また、前記陽イオン交換繊維は、スルホン酸基を含む陽イオン交換繊維及びカルボキシル基を含む陽イオン交換繊維を同時に使用してもよい。
前記スルホン酸基を含む陽イオン交換繊維及びカルボキシル基を含む陽イオン交換繊維の重量比は、60~90:10~40であることが好ましく、前記重量比が60:40未満の場合、陽イオン交換能が低下し、90:10を超過する場合、繊維の耐久性及び加工性が低下する。
【0042】
また、本発明は陽イオン交換繊維及び陽イオン交換樹脂を同時に使用してもよい。
【0043】
前記陽イオン交換樹脂は、高分子母体にスルホン酸基、カルボキシル基及びリン酸基から選択される一つ以上の交換基が結合されてもよい。
【0044】
前記高分子母体としては、フェノールホルムアルデヒド縮合物、フェノール-ベンズアルデヒド縮合物、ポリスチレン、エチルスチレン重合体、ジビニルベンゼン重合体、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、メタクリル酸-ジビニルベンゼン共重合体、アクリル酸-ジビニルベンゼン共重合体、メタクリルレート-ジビニルベンゼン共重合体、アクリレート-ジビニルベンゼン共重合体などがある。
【0045】
前記陽イオン交換繊維及び陽イオン交換樹脂の重量比は、70~90:10~30であることが好ましく、前記重量比が70:30未満の場合、陽イオン交換能が低下し、90:10を超過する場合、加工性及び取扱性が低下する。
【0046】
前記(c)段階は、得られた濾過液を乾燥してテレフタリリデンジカンフルスルホン酸を得る段階であって、得られた濾過液を減圧蒸留して濃縮及び乾燥して固体相のテレフタリリデンジカンフルスルホン酸を製造してもよい。
前記テレフタリリデンジカンフルスルホン酸は、下記化学式2で表される。
【0047】
【0048】
前記化学式2でRは(C1-C7)アルキルまたは(C1-C7)アルコキシであり、nは0または1ないし4の整数であり、nが2以上の場合、Rは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0049】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を詳しく説明する。下記実施例は、本発明の実施のために例示されたものに過ぎず、本発明の内容が下記実施例によって限定されるものではない。
【実施例1】
【0050】
ポリプロピレン繊維100重量部をアルゴンプラズマで処理してポリプロピレン繊維にラジカルを形成させた後、グリシジルメタクリレート5重量部で処理してポリプロピレン繊維の表面にグリシジルメタクリレートをグラフトさせた。
【0051】
ここに、NaHSO3溶液を処理して繊維の表面にスルホン酸基を導入した。
10gのジナトリウムテレフタリリデンジカンフルスルホネートを100mlの水に溶かして水溶液を製造した。
【0052】
スルホン酸基が導入されたポリプロピレン繊維100gを前記水溶液に添加した後、室温で5時間撹拌して混合液を製造した。
【0053】
前記混合液を濾過して繊維を除去して得られた濾過液を50mlの水で洗浄した後、減圧蒸留して固体相のテレフタリリデンジカンフルスルホン酸を得た(収率93.8%)。
【0054】
この固体1gを水50mlに入れて溶かし、指示薬としてフェノールフタレイン試液1mlを投入した後、0.1モル水酸化カリウム液によって滴定し、この時、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸の含量は94.7%だった。
1H-NMR(D2O)δ(ppm):0.85(s,6H),1.19(s,6H),1.61(m,2H),1.72(m,2H),2.32(m,2H),2.74(m,2H),2.99(d,2H),3.18(m,2H),3.49(d,2H),7.22(s,2H),7.59(s,4H)
【実施例2】
【0055】
ポリプロピレン繊維100重量部をアルゴンプラズマで処理してポリプロピレン繊維にラジカルを形成させた後、グリシジルメタクリレート4重量部及びメタクリル酸1重量部で処理した。
ここに、NaHSO3溶液を処理して繊維の表面にスルホン酸基及びカルボキシル基を導入した。
10gのジナトリウムテレフタリリデンジカンフルスルホネートを100mlの水に溶かして水溶液を製造した。
【0056】
スルホン酸基及びカルボキシル基が導入されたポリプロピレン繊維100gを前記水溶液に添加した後、室温で5時間撹拌して混合液を製造した。
前記混合液を濾過して繊維を除去して得られた濾過液を50mlの水で洗浄した後、減圧蒸留して固体相のテレフタリリデンジカンフルスルホン酸を得た(収率95.1%)。
【0057】
この固体1gを水50mlに入れて溶かし、指示薬としてフェノールフタレイン試液1mlを投入した後、0.1モル水酸化カリウム液によって滴定し、この時、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸の含量は96.4%だった。
【実施例3】
【0058】
グリシジルメタクリレート2.5重量部及びメタクリル酸2.5重量部を使用したことを除き、実施例2と同一な方法で固体相のテレフタリリデンジカンフルスルホン酸を得た。
【実施例4】
【0059】
グリシジルメタクリレート6重量部及びメタクリル酸0.5重量部を使用したことを除き、実施例2と同一な方法で固体相のテレフタリリデンジカンフルスルホン酸を得た。
【実施例5】
【0060】
ポリプロピレン繊維100重量部をアルゴンプラズマで処理してポリプロピレン繊維にラジカルを形成させた後、グリシジルメタクリレート5重量部で処理してポリプロピレン繊維の表面にグリシジルメタクリレートをグラフトさせた。
ここに、NaHSO3溶液を処理して繊維の表面にスルホン酸基を導入した。
ポリプロピレン繊維100重量部をアルゴンプラズマで処理してポリプロピレン繊維にラジカルを形成させた後、メタクリル酸5重量部で処理してカルボキシル基が導入されたポリプロピレン繊維を製造した。
10gのジナトリウムテレフタリリデンジカンフルスルホネートを100mlの水に溶かして水溶液を製造した。
【0061】
スルホン酸基が導入されたポリプロピレン繊維80g及びカルボキシル基が導入されたポリプロピレン繊維20gを前記水溶液に添加した後、室温で5時間撹拌して混合液を製造した。
【0062】
前記混合液を濾過して繊維を除去して得られた濾過液を50mlの水で洗浄した後、減圧蒸留して固体相のテレフタリリデンジカンフルスルホン酸を得た(収率94.7%)。
【0063】
この固体1gを水50mlに入れて溶かし、指示薬としてフェノールフタレイン試液1mlを投入した後、0.1モル水酸化カリウム液によって滴定し、この時、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸の含量は96.8%だった。
【実施例6】
【0064】
ポリプロピレン繊維100重量部をアルゴンプラズマで処理してポリプロピレン繊維にラジカルを形成させた後、グリシジルメタクリレート5重量部で処理してポリプロピレン繊維の表面にグリシジルメタクリレートをグラフトさせた。
ここに、NaHSO3溶液を処理して繊維の表面にスルホン酸基を導入した。
4kgのジナトリウムテレフタリリデンジカンフルスルホネートを24kgの水に溶かして水溶液を製造した。
スルホン酸基が導入されたポリプロピレン繊維5kgが充填されたカラムに前記水溶液を投入して溶出させた。
前記溶出された水溶液を濾過して得られた濾過液を減圧蒸留して固体相のテレフタリリデンジカンフルスルホン酸を得た(収率94.4%)。
【0065】
この固体1gを水50mlに入れて溶かし、指示薬としてフェノールフタレイン試液1mlを投入した後、0.1モル水酸化カリウム液によって滴定し、この時、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸の含量は95.1%だった。
【0066】
「比較例1」
10gのジナトリウムテレフタリリデンジカンフルスルホネートを30mlの水と30mlの濃塩酸に溶かした。1時間還流した後に濃縮し、冷却して生成された固体を濾過した。6N塩酸で洗浄し、80℃で減圧して乾燥し、100℃で減圧乾燥してテレフタリリデンジカンフルスルホン酸を得た。
【0067】
「比較例2」
10gのジナトリウムテレフタリリデンジカンフルスルホネートを100mlの水に溶かして水溶液を製造した。
スルホン酸基が導入された陽イオン交換樹脂(スチレン-ジビニルベンゼン共重合体)100gを前記水溶液に添加した後、室温で5時間撹拌して混合液を製造した。
前記混合液を濾過して繊維を除去して得られた濾過液を50mlの水で洗浄した後、減圧蒸留して固体相のテレフタリリデンジカンフルスルホン酸を得た。
上記実施例及び比較例から製造されたテレフタリリデンジカンフルスルホン酸の収率及び転換率を測定してその結果を下の表1に示した。
【0068】
【0069】
上記表1の結果から、実施例1ないし6は収率及び転換率に優れ、特に、実施例2及び5は前記特性が最も優れていることを確認することができる。
一方、比較例1及び2は、前記特性が実施例に比べて劣っていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、製造工程が簡単で収率、純度及び酸転換率の高いテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩の酸性化方法を提供することができる。
【0071】
本発明は、陽イオン交換繊維を用いてテレフタリリデンジカンフルスルホン酸塩をテレフタリリデンジカンフルスルホン酸に高い転換率で転換することができ、転換時生成される塩の除去も非常に容易である。
【国際調査報告】