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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-15
(54)【発明の名称】ピロール化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/34 20060101AFI20220408BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220408BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220408BHJP
   A61K 38/21 20060101ALI20220408BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20220408BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20220408BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20220408BHJP
   A61K 31/7072 20060101ALI20220408BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20220408BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20220408BHJP
   A61K 31/4025 20060101ALI20220408BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20220408BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20220408BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20220408BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20220408BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20220408BHJP
   C07D 417/12 20060101ALI20220408BHJP
   C07D 409/12 20060101ALI20220408BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
C07D207/34
A61P1/16
A61K45/00
A61K38/21
A61K31/7088
A61K31/513
A61K31/675
A61K31/7072
A61K31/522
C07D405/12 CSP
A61K31/4025
A61K31/40
C07D405/14
A61K31/4439
C07D401/12
C07D413/12
C07D417/12
C07D409/12
A61P31/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021559054
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(85)【翻訳文提出日】2021-10-20
(86)【国際出願番号】 US2020026116
(87)【国際公開番号】W WO2020205934
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】62/828,919
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/932,686
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521195607
【氏名又は名称】アリゴス セラピューティクス インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】504391260
【氏名又は名称】エモリー ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【弁理士】
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンドヴィル サンドリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】スミス デヴィッド バーナード
(72)【発明者】
【氏名】ベイゲルマン レオニド
(72)【発明者】
【氏名】セレブリヤニー ウラジミール
(72)【発明者】
【氏名】シナジー レイモンド エフ
(72)【発明者】
【氏名】アンブラード フランク
(72)【発明者】
【氏名】バシット レダ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C069
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB09
4C063CC12
4C063CC22
4C063CC25
4C063CC58
4C063CC62
4C063CC72
4C063CC78
4C063CC94
4C063CC95
4C063DD04
4C063EE01
4C069AC06
4C069BD06
4C069CC05
4C084AA19
4C084DA21
4C084DA22
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC05
4C086BC17
4C086BC42
4C086CB07
4C086DA38
4C086EA16
4C086EA17
4C086GA02
4C086GA05
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA10
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZB33
4C086ZC75
(57)【要約】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、本明細書に記載の化合物を含む(本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩を含む)医薬組成物、及びその合成方法が本明細書に提供される。また、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩で疾患及び/又は状態を治療する方法も本明細書に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造を有する式(I)の化合物であって、
【化1】
式中、
1は、非置換若しくは置換C2アルケニル、非置換若しくは置換C2アルキニル、非置換若しくは置換単環式ヘテロアリール、非置換若しくは置換二環式ヘテロアリール、又は、非置換若しくは置換単環式ヘテロシクリルであり、前記C2アルケニル、前記C2アルキニル、非置換C1~4ハロアルキル、及び前記単環式ヘテロアリールが置換されているとき、前記C2アルケニル、前記C2アルキニル、及び前記単環式ヘテロアリールは、独立して、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、非置換C1~4ハロアルキル、非置換C1~4ヒドロキシアルキル、非置換単環式C3~6シクロアルキル、及びヒドロキシ置換単環式C3~6シクロアルキルからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されており、
2及びR3は、独立して、水素、非置換若しくは置換C1~4アルキル、非置換C1~4ハロアルキル、非置換若しくは置換単環式C3~6シクロアルキル、非置換若しくは置換単環式3~6員ヘテロシクリル、非置換C1~4ヒドロキシアルキル、及び非置換C1~5アルコキシアルキルからなる群から選択され、前記単環式C3~6シクロアルキル及び前記単環式3~6ヘテロシクリルが置換されているとき、前記単環式C3~6シクロアルキル及び前記単環式3~6ヘテロシクリルは、独立して、ハロゲン又はヒドロキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されており、前記C1~4アルキルが置換されているとき、前記C1~4アルキルは、ホスフェート、O-結合型α-アミノ酸、及びO-カルボキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されており、ただし、R2及びR3のうち少なくとも1つは水素ではないか、又は、
2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、非置換若しくは置換単環式C3~6シクロアルキル、又は非置換若しくは置換単環式3~6員ヘテロシクリルを形成しており、前記C3~6シクロアルキル及び3~6員ヘテロシクリルが置換されているとき、前記C3~6シクロアルキル及び前記3~6員ヘテロシクリルは、独立して、ハロゲン及びヒドロキシからなる群から選択される1つ又は2つの置換基で置換されており、
4及びR5は、独立して、水素、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、重水素化C1~4アルキル、又は非置換C2~4アルケニルであり、
6は、水素、非置換C1~4アルキル、重水素化C1~4アルキル、又は非置換C3~4アルケニルであり、
ただし、R4、R5及びR6のうちの少なくとも1つは水素ではないか、又は、
5は、水素、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、又は非置換C2~4アルケニルであり、R4及びR6は一緒になって、非置換若しくは置換5~6員複素環式環を形成しており、
1は、CRA又はNであり、
7a、R7b、R7c及びR7dは、独立して、水素、ハロゲン、非置換C1~4ハロアルキル、シアノ、又は非置換C1~4アルコキシであり、
8は、水素、-CH2OC(=O)-(非置換C1~4アルキル)、-CH2OC(=O)-O(非置換C1~4アルキル)、-CH2-(α-アミノ酸)又は-CH2-リン酸であり、
Aは、水素、ハロゲン、非置換C1~4ハロアルキル、又はシアノである、
化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
2及びR3は、独立して、水素、非置換C1~4アルキル、非置換C1~4ハロアルキル、非置換若しくは置換単環式C3~6シクロアルキル、非置換若しくは置換単環式3~6員ヘテロシクリル、非置換C1~4ヒドロキシアルキル、及び非置換C1~5アルコキシアルキルからなる群から選択され、前記単環式C3~6シクロアルキル及び前記単環式3~6ヘテロシクリルが置換されているとき、前記単環式C3~6シクロアルキル及び前記単環式3~6ヘテロシクリルは、独立して、ハロゲン又はヒドロキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
2及びR3は、それぞれ、非置換C1~4アルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
2及びR3は、独立して、水素、置換C1~4アルキル、非置換C1~4ハロアルキル、非置換若しくは置換単環式C3~6シクロアルキル、非置換若しくは置換単環式3~6員ヘテロシクリル、非置換C1~4ヒドロキシアルキル、及び非置換C1~5アルコキシアルキルからなる群から選択され、前記C1~4アルキルは、ホスフェート、O-結合型α-アミノ酸、及びO-カルボキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
2及びR3のうちの1つは水素である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
2及びR3のうちの他方は、非置換C1~4アルキルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
2及びR3のうちの他方は、置換C1~4アルキルであり、前記C1~4アルキルが置換されているとき、前記C1~4アルキルは、ホスフェート、O-結合型α-アミノ酸及びO-カルボキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されている、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
2及びR3のうちの他方は、非置換C1~4ハロアルキルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
2及びR3のうちの他方は、非置換単環式C3~6シクロアルキルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項10】
2及びR3のうちの他方は、置換単環式C3~6シクロアルキルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項11】
2及びR3のうちの他方は、非置換単環式3~6員ヘテロシクリルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項12】
2及びR3のうちの他方は、置換単環式3~6員ヘテロシクリルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項13】
2及びR3のうちの他方は、非置換C1~4ヒドロキシアルキルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項14】
2及びR3のうちの他方は、非置換C1~5アルコキシアルキルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項15】
2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、非置換若しくは置換単環式C3~6シクロアルキル、又は非置換若しくは置換単環式3~6員ヘテロシクリルを形成しており、前記C3~6シクロアルキル及び3~6員ヘテロシクリルが置換されているとき、前記C3~6シクロアルキル及び前記3~6員ヘテロシクリルは、独立して、ハロゲン及びヒドロキシからなる群から選択される1つ又は2つの置換基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、非置換単環式C3~6シクロアルキルを形成する、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、置換単環式C3~6シクロアルキルを形成する、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、非置換単環式3~6員ヘテロシクリルを形成する、請求項55に記載の化合物。
【請求項19】
2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、置換単環式3~6員ヘテロシクリルを形成する、請求項15に記載の化合物。
【請求項20】
前記単環式3~6員ヘテロシクリルは、非置換若しくは置換オキセタン、非置換若しくは置換チエタン、非置換若しくは置換
【化2】
、非置換若しくは置換
【化3】
、非置換若しくは置換
【化4】
、非置換若しくは置換
【化5】
、非置換若しくは置換
【化6】
、及び非置換若しくは置換
【化7】
からなる群から選択される、請求項18又は19に記載の化合物。
【請求項21】
4は水素である、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
4はハロゲンである、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
4は非置換C1~4アルキルである、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
4は重水素化C1~4アルキルである、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
5は水素である、請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
5はハロゲンである、請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
5は非置換C1~4アルキルである、請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
6は非置換C1~4アルキルである、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
6は非置換C3~4アルケニルである、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
5は水素であり、R4及びR6は一緒になって、非置換若しくは置換5~6員複素環式環を形成する、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
5はハロゲンであり、R4及びR6は一緒になって、非置換若しくは置換5~6員複素環式環を形成する、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
5は非置換C1~4アルキルであり、R4及びR6は一緒になって、非置換若しくは置換5~6員複素環式環を形成する、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項33】
5は非置換C2~4アルケニルであり、R4及びR6は一緒になって、非置換若しくは置換5~6員複素環式環を形成する、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
1はNである、請求項1~33のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
1はCRAである、請求項1~33のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
Aは水素である、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
Aはハロゲンである、請求項35に記載の化合物。
【請求項38】
Aは非置換C1~4ハロアルキルである、請求項35に記載の化合物。
【請求項39】
Aはシアノである、請求項35に記載の化合物。
【請求項40】
Aは非置換C1~4アルコキシである、請求項35に記載の化合物。
【請求項41】
7aは水素である、請求項1~40のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項42】
7aはハロゲンである、請求項1~40のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項43】
7aは非置換C1~4ハロアルキルである、請求項1~40のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項44】
7aはシアノである、請求項1~40のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項45】
7aは非置換C1~4アルコキシである、請求項1~40のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項46】
7bは水素である、請求項1~45のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項47】
7bはハロゲンである、請求項1~45のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項48】
7bは非置換C1~4ハロアルキルである、請求項1~45のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項49】
7bはシアノである、請求項1~45のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項50】
7bは非置換C1~4アルコキシである、請求項1~45のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項51】
7cは水素である、請求項1~50のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項52】
7cはハロゲンである、請求項1~50のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項53】
7cは非置換C1~4ハロアルキルである、請求項1~50のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項54】
7cはシアノである、請求項1~50のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項55】
7cは非置換C1~4アルコキシである、請求項1~50のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項56】
7dは水素である、請求項1~55のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項57】
7dはハロゲンである、請求項1~55のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項58】
7dは非置換C1~4ハロアルキルである、請求項1~55のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項59】
7dはシアノである、請求項1~55のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項60】
7dは非置換C1~4アルコキシである、請求項1~55のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項61】
1は非置換C2アルケニルである、請求項1~60のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項62】
1は置換C2アルケニルである、請求項1~60のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項63】
1は非置換C2アルキニルである、請求項1~60のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項64】
1は置換C2アルキニルである、請求項1~60のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項65】
1は非置換C1~4ハロアルキルである、請求項1~60のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項66】
1は非置換単環式ヘテロアリールである、請求項1~60のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項67】
1は置換単環式ヘテロアリールである、請求項1~60のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項68】
1は非置換二環式ヘテロアリールである、請求項1~60のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項69】
1は置換二環式ヘテロアリールである、請求項1~60のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項70】
1は非置換単環式ヘテロシクリルである、請求項1~60のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項71】
1は置換単環式ヘテロシクリルである、請求項1~60のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項72】
8は水素である、請求項1~71のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項73】
8は-CH2OC(=O)-(非置換C1~4アルキル)である、請求項1~71のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項74】
8は-CH2OC(=O)-O(非置換C1~4アルキル)である、請求項1~71のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項75】
8は-CH2-(α-アミノ酸)である、請求項1~71のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項76】
8は-CH2-ホスフェートである、請求項1~71のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項77】
前記化合物が、
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、又は上記のいずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項78】
前記化合物が、
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、又は上記のいずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項79】
前記化合物が、
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
からなる群から選択される、請求項78又は79に記載の化合物、又は上記のいずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項80】
【化23】
【化24】
からなる群から選択される、化合物、又は上記のいずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項81】
有効量の請求項1~80のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と、賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項82】
B型肝炎の治療のための薬剤の調製における、請求項1~80のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項83】
D型肝炎の治療のための薬剤の調製における、請求項1~80のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項84】
前記使用が、インターフェロン、ヌクレオシド類似体、ヌクレオチド類似体、配列特異的オリゴヌクレオチド、核酸ポリマー、エントリー阻害剤、及び小分子免疫調節剤からなる群から選択される、1つ以上の追加の薬剤の使用を含む、請求項82~83のいずれか一項に記載の使用。
【請求項85】
前記1つ以上の追加の薬剤が、組み換えインターフェロンα2b、IFN-α、PEG-IFN-α-2a、ラミブジン、テルビブジン、アデホビルジピボキシル、クレブジン、エンテカビル、テノホビルアラフェナミド、及びテノホビルジソプロキシルからなる群から選択される、請求項84に記載の使用。
【請求項86】
B型肝炎の治療に使用するための、請求項1~80のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項87】
D型肝炎の治療に使用するための、請求項1~80のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項88】
前記化合物が、インターフェロン、ヌクレオシド類似体、ヌクレオチド類似体、配列特異的オリゴヌクレオチド、核酸ポリマー、エントリー阻害剤、及び小分子免疫調節剤からなる群から選択される、1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて使用される、請求項86~87のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項89】
前記1つ以上の追加の薬剤が、組み換えインターフェロンα2b、IFN-α、PEG-IFN-α-2a、ラミブジン、テルビブジン、アデホビルジピボキシル、クレブジン、エンテカビル、テノホビルアラフェナミド、及びテノホビルジソプロキシルからなる群から選択される、請求項88に記載の化合物。
【請求項90】
対象におけるB型肝炎を治療するための方法であって、有効量の請求項1~80のいずれか一項に記載の化合物を、B型肝炎に罹患している、治療を必要とする前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項91】
対象におけるD型肝炎を治療するための方法であって、有効量の請求項1~80のいずれか一項に記載の化合物を、D型肝炎に罹患している、治療を必要とする前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項92】
インターフェロン、ヌクレオシド類似体、ヌクレオチド類似体、配列特異的オリゴヌクレオチド、核酸ポリマー、エントリー阻害剤、及び小分子免疫調節剤からなる群から選択される追加の薬剤を投与することを更に含む、請求項90~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記追加の薬剤が、組み換えインターフェロンα2b、IFN-α、PEG-IFN-α-2a、ラミブジン、テルビブジン、アデホビルジピボキシル、クレブジン、エンテカビル、テノホビルアラフェナミド、及びテノホビルジソプロキシルからなる群から選択される、請求項92に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(任意の優先権出願を参照することによる組み込み)
例えば、本出願と共に提出される出願データシート又は請求において、2019年4月3日に出願された米国特許仮出願第62/828919号、及び2019年11月8日に出願された同第62/932686号を含む、外国又は国内の優先権の主張が確認される任意の、そして、全ての出願が、37 CFR 1.57並びに規則4.18及び20.6に基づき、参照により本明細書に組み込まれる。
背景
【0002】
(発明の分野)
本出願は、化学、生化学、及び医学の分野に関する。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、本明細書に記載の化合物を含む(本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩を含む)医薬組成物、及びその合成方法が本明細書に開示される。また、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩で疾患及び/又は状態を治療する方法も本明細書に開示される。
【背景技術】
【0003】
B型肝炎ウイルス(HBV)はDNAウイルスであり、Hepadnaviridaeファミリーのメンバーである。HBVは、世界中で3億を超える人に感染し、慢性肝炎、硬変、及び肝細胞癌などの肝癌及び肝疾患の原因病原体である。免疫系を増強するか、又はHBVウイルスの複製を遅らせるかのいずれかによってHBVを治療するための承認された薬物が存在するが、HBVは、承認された薬物のそれぞれに関連する欠点により問題となっている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0005】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有し得る医薬組成物に関する。
【0006】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、HBV及び/又はHDV感染に罹患していると特定された対象に、有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み得る、HBV及び/又はHDV感染を治療する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、HBV及び/若しくはHDV感染の治療に使用するための、本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物に関する。
【0007】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、HBV及び/又はHDVに感染した細胞を、有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物と接触させることを含み得る、HBV及び/又はHDVの複製を阻害する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、HBV及び/若しくはHDVの複製の阻害に使用するための、本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物に関する。
【0008】
これら及び他の実施形態は、以下により詳細に記載される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
HBVは、約3.2キロベース(kb)対の部分二本鎖の円形DNAであり、A~Hの8つの遺伝子型に分類される。HBV複製経路は、非常に詳細に研究されている。T.J.Liang,Hepatology(2009)49(5 Suppl):S13-S21。複製の部分は、共有結合性閉環状(cccDNA)形態の形成を含む。cccDNAの存在は、宿主生物の寿命にわたってウイルスの再出現のリスクを引き起こす。HBV保有者は、数年にわたって疾患を伝播させることができる。推定3億人の人々がB型肝炎ウイルス感染と共に生きており、世界的に750,000人を超える人々が毎年肝炎B型で死亡すると推定される。加えて、免疫抑制個体又は化学療法を受けている個体は、特にHBV感染の再活性化のリスクがある。HBVは、急性及び/又は慢性であり得る。急性HBV感染は、無症候性であるか、又は症候性急性肝炎を示すかのいずれかであり得る。
【0010】
HBVは、血液、精液、及び/又は別の体液によって伝播され得る。これは、血液と血液との直接接触、無防備な性交渉、針の共有により、及び出産過程中に感染した母親から乳児に生じ得る。HBV表面抗原(HBsAg)は、この感染の存在をスクリーニングするために最も頻繁に使用される。現在利用可能な薬剤は、HBV及び/又はHDV感染を治癒しない。むしろ、薬剤は、ウイルスの複製を抑制する。
【0011】
D型肝炎ウイルス(hepatitis D virus、HDV)は、HepadnaviridaeファミリーのウイルスにおいてもDNAウイルスである。HDVは、HBVの存在下でのみ伝播することができる。HDVの伝播経路は、HBVの経路と同様である。HDVの伝播は、HBVによる同時感染(共感染)を介して、又は慢性肝炎B若しくはB型肝炎保有状態に加えて(重感染)のいずれかで生じ得る。HDVによる重感染及び共感染の両方は、HBV単独による感染と比較して、より深刻な合併症をもたらす。これらの合併症としては、急性感染症における肝臓障害を経験する可能性が高く、肝硬変への急速な進行が挙げられ、慢性感染においては肝癌を発症するリスクが増加する。B型肝炎との組み合わせにおいて、D型肝炎は、全ての肝炎感染の中で20%の最も高い致死率を有する。現在、D型肝炎のための治癒又はワクチンは存在しない。
定義
【0012】
別段の定めがない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で参照される全ての特許、出願、公開出願、及び他の出版物は、特に明記しない限り、参照によりそれらの全体が組み込まれる。本明細書のある用語に対して複数の定義が存在する場合、特に明記しない限り、この節にある定義が優先される。
【0013】
ある基が「任意に置換」されていると記載されるときはいつでも、その基は、非置換であってもよく、又は示された置換基のうちの1つ以上で置換されていてもよい。同様に、ある基が「非置換又は置換」であると記載されるとき、置換の場合は、置換基は、示された置換基のうちの1つ以上から選択されてもよい。置換基が指示されていない場合、指示された「任意に置換された」又は「置換された」基が、重水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、(ヘテロシクリル)アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、シアノ、ハロゲン、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、ニトロ、アジド、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、アミノ、一置換アミノ基、及び二置換アミノ基から個々にかつ独立して選択される1つ以上の基で置換されてもよいことを意味する。
【0014】
本明細書で使用される場合、「a」及び「b」が整数である「Ca~Cb」は、アルキル、アルケニル若しくはアルキニル基中の炭素原子の数、又はシクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール若しくはヘテロシクリル基の環中の炭素原子の数を指す。つまり、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルの環、シクロアルケニルの環、アリールの環、ヘテロアリールの環、又はヘテロシクリルの環は、「a」~「b」個(両端の値を含む)の炭素原子を含有することができる。したがって、例えば、「C1~C4アルキル」基は、1~4個の炭素を有する全てのアルキル基、つまり、CH3-、CH3CH2-、CH3CH2CH2-、(CH32CH-、CH3CH2CH2CH2-、CH3CH2CH(CH3)-、及び(CH33C-を指す。アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリル基に関して、「a」及び「b」が指定されていない場合、これらの定義に記載される最も広い範囲が想定される。
【0015】
本明細書で使用するとき、「アルキル」は、完全飽和(二重結合又は三重結合のない)炭化水素基を含む直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖を指す。アルキル基は、1~20個の炭素原子を有してもよい(本明細書中に現れる場合は常に、「1~20」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「1~20個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大20個以下の炭素原子からなり得ることを意味するが、本定義は、数値範囲が指定されていない用語「アルキル」の場合も網羅する)。アルキル基はまた、1~10個の炭素原子を有する中間サイズのアルキルであってもよい。アルキル基はまた、1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。化合物のアルキル基は、「C1~C4アルキル」又は類似の表記で表示されてもよい。一例にすぎないが、「C1~C4アルキル」は、アルキル鎖中に1~4個の炭素原子が存在する、すなわち、アルキル鎖がメチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、及びt-ブチルから選択されることを示す。典型的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、三級ブチル、ペンチル及びヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、置換又は非置換であってもよい。
【0016】
本明細書で使用するとき、「アルケニル」は、直鎖又は分枝状の炭化水素鎖中に1つ以上の二重結合を含有するアルキル基を指す。アルケニルの長さは異なり得る。例えば、アルケニルは、C2~4アルケニル、C2~6アルケニル、又はC2~8アルケニルであり得る。アルケニル基の例としては、アレニル、ビニルメチル及びエテニルが挙げられる。アルケニル基は、非置換であっても置換であってもよい。
【0017】
本明細書で使用するとき、「アルキニル」は、直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖中に1つ以上の三重結合を含有するアルキル基を指す。アルキニルの長さは異なり得る。例えば、アルキニルは、C2~4アルキニル、C2~6アルキニル、又はC2~8アルキニルであり得る。アルキニルの例としては、エチニル及びプロピニルが挙げられる。アルキニル基は、非置換であっても置換であってもよい。
【0018】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、完全に飽和した(二重結合又は三重結合なし)単環式又は多環式炭化水素環系を指す。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合により接合されてもよい。シクロアルキル基は、環中に3~10個の原子を含有することができる。環中に3~8個の原子又は環中に3~6個の原子。シクロアルキル基は、非置換であっても置換であってもよい。典型的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられるが、決してこれらに限定されない。
【0019】
本明細書で使用される場合、「シクロアルケニル」は、少なくとも1つの環中に1つ以上の二重結合を含有する、単環式又は多環式炭化水素環系を指すが、2つ以上が存在する場合、二重結合は、全ての環全体にわたって完全に非局在化したπ電子系を形成することができない(そうでなければ、その基は、本明細書に定義される「アリール」である)。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合により結合されてもよい。シクロアルケニル基は、環中に3~10個の原子又は環中に3~8個の原子を含有することができる。シクロアルケニル基は、非置換であっても置換であってもよい。
【0020】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、全ての環全体にわたって完全に非局在化したπ電子系を有する、炭素環式(全てが炭素の)単環式又は多環式芳香環系(2つの炭素環が化学結合を共有する縮合環系を含む)を指す。アリール基中の炭素原子の数は異なり得る。例えば、アリール基は、C6~C14アリール基、C6~C10アリール基、又はC6アリール基であってもよい。アリール基の例としては、ベンゼン、ナフタレン、及びアズレンが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0021】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、1個以上のヘテロ原子(例えば、1~5個のヘテロ原子)、つまり、窒素、酸素、及び硫黄が挙げられるが、これらに限定されない、炭素以外の元素を含有する、単環式、二環式、及び三環式芳香環系(完全に非局在化したπ電子系を有する環系)を指す。ヘテロアリール基の環中の原子の数は異なり得る。例えば、ヘテロアリール基は、環中に4~14個の原子、環中に5~10個の原子、又は環中に5~6個の原子を含有することができる。更に、「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つのアリール環及び少なくとも1つのヘテロアリール環、又は少なくとも2つのヘテロアリール環など、2つの環が少なくとも1つの化学結合を共有する、縮合環系を含む。ヘテロアリール環の例としては、フラン、フラザン、チオフェン、ベンゾチオフェン、フタラジン、ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、インドール、インダゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、プテリジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、及びトリアジンが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0022】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」は、1~5個のヘテロ原子と共に炭素原子が当該環系を構成する単環式、二環式、及び三環式環系を指す。複素環は、そのように位置している1つ以上の不飽和結合を任意に含有し得るが、完全に非局在化したπ電子系は、全ての環全体にわたって発生しない。ヘテロシクリル基の環中の原子の数は異なり得る。例えば、ヘテロシクリル基は、環中に4~14個の原子、環中に5~10個の原子、又は環中に5~6個の原子を含有することができる。ヘテロ原子は、酸素、硫黄、及び窒素が挙げられるが、これらに限定されない、炭素以外の元素である。複素環は、ラクタム、ラクトン、環状イミド、環状チオイミド、及び環状カルバメートなどのオキソ系及びチオ系を含むように定義するために、1つ以上のカルボニル又はチオカルボニル官能基を更に含有してもよい。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合により接合されてもよい。加えて、ヘテロシクリル中の任意の窒素は、四級化されていてもよい。ヘテロシクリル基は、置換されていても非置換であってもよい。そのような「ヘテロシクリル」基の例としては、1,3-ジオキシン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-ジオキソラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソラン、1,3-オキサチアン、1,4-オキサチイン、1,3-オキサチオラン、1,3-ジチオール、1,3-ジチオラン、1,4-オキサチアン、テトラヒドロ-1,4-チアジン、2H-1,2-オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、トリオキサン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、モルホリン、オキシラン、ピペリジンN-オキシド、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ピロリドン、ピロルジオン、4-ピペリドン、ピラゾリン、ピラゾリジン、2-オキソピロリジン、テトラヒドロピラン、4H-ピラン、テトラヒドロチオピラン、チアモルホリン、チアモルホリンスルホキシド、チアモルホリンスルホン、及びそれらのベンゾ縮合類似体(例えば、ベンズイミダゾリジノン、テトラヒドロキノリン、及び3,4-メチレンジオキシフェニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書で使用される場合、「アリール(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として結合されるアリール基を指す。アリール(アルキル)の低級アルキレン及びアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。例としては、ベンジル、2-フェニル(アルキル)、3-フェニル(アルキル)、及びナフチル(アルキル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として結合されるヘテロアリール基を指す。ヘテロアリール(アルキル)の低級アルキレン及びヘテロアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。例としては、2-チエニル(アルキル)、3-チエニル(アルキル)、フリル(アルキル)、チエニル(アルキル)、ピロリル(アルキル)、ピリジル(アルキル)、イソオキサゾリル(アルキル)、イミダゾリル(アルキル)、及びそれらのベンゾ縮合類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
「(ヘテロシクリル)アルキル」は、低級アルキレン基を介して置換基として結合される複素環式基を指す。ヘテロアリシクリル(アルキル)の低級アルキレン及びヘテロシクリルは、置換されていても非置換であってもよい。例としては、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル(メチル)、ピペリジン-4-イル(エチル)、ピペリジン-4-イル(プロピル)、テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル(メチル)、及び1,3-チアジナン-4-イル(メチル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
「低級アルキレン基」は、直鎖-CH2-連結基であり、それらの末端炭素原子を介して分子断片を接続するように結合を形成する。例としては、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン(-CH2CH2CH2-)、及びブチレン(-CH2CH2CH2CH2-)が挙げられるが、これらに限定されない。低級アルキレン基は、低級アルキレン基の1つ以上の水素を、「置換」の定義で列挙される置換基で置き換えることによって置換され得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」は、式-ORを指し、式中、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であり、本明細書に定義される。アルコキシの非限定的なリストは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシ、及びベンゾキシである。アルコキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0028】
本明細書で使用される場合、「アシル」は、カルボニル基を介して置換基として結合される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)を指す。例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ベンゾイル、及びアクリルが挙げられる。アシルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0029】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシアルキル」は、水素原子のうちの1つ以上がヒドロキシ基によって置換されたアルキル基を指す。代表的なヒドロキシアルキル基として、ヒドロキシメチル、1-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシプロピル、及び2,2-ジヒドロキシエチルが挙げられるが、これらに限定されない。ヒドロキシアルキルは、置換又は非置換であってもよい。
【0030】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」は、水素原子のうちの1つ以上がハロゲンによって置き変えられたアルキル基を指す(例えば、モノ-ハロアルキル、ジ-ハロアルキル、及びトリ-ハロアルキル)。そのような基としては、クロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1-クロロ-2-フルオロメチル、及び2-フルオロイソブチルが挙げられるが、これらに限定されない。ハロアルキルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ハロアルコキシ」は、O-アルキル基を指し、式中、水素原子のうちの1つ以上がハロゲンによって置き換えられる(例えば、モノ-ハロアルコキシ、ジ-ハロアルコキシ、及びトリ-ハロアルコキシ)。そのような基としては、クロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1-クロロ-2-フルオロメトキシ、及び2-フルオロイソブトキシが挙げられるが、これらに限定されない。ハロアルコキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0032】
「スルフェニル」基は、「-SR」基を指し、式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。スルフェニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0033】
「スルフィニル」基は、「-S(=O)-R」基を指し、式中、Rは、スルフェニルに関して定義されるものと同じであってもよい。スルフィニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0034】
「スルホニル」基は、「SO2R」基を指し、式中、Rは、スルフェニルに関して定義されるものと同じであってもよい。スルホニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0035】
「O-カルボキシ」基は、「RC(=O)O-」基を指し、式中、Rは、本明細書に定義される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。O-カルボキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0036】
「エステル」及び「C-カルボキシ」という用語は、「-C(=O)OR」基を指し、式中、Rは、O-カルボキシに関して定義されるものと同じであってもよい。エステル及びC-カルボキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0037】
「チオカルボニル」基は、「-C(=S)R」基を指し、式中、Rは、O-カルボキシに関して定義されるものと同じであってもよい。チオカルボニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0038】
「トリハロメタンスルホニル」基は、「X3CSO2-」基を指し、式中、各Xはハロゲンである。
【0039】
「トリハロメタンスルホンアミド」基は、「X3CS(O)2N(RA)-」基を指し、式中、各Xは、ハロゲンであり、RAは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)である。
【0040】
本明細書で使用される場合、「アミノ」という用語は、-NH2基を指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を指す。
【0042】
「シアノ」基は、「-CN」基を指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、「アジド」という用語は、-N3基を指す。
【0044】
「イソシアナト」基は、「-NCO」基を指す。
【0045】
「チオシアナト」基は、「-CNS」基を指す。
【0046】
「イソチオシアナト」基は、「-NCS」基を指す。
【0047】
「メルカプト」基は、「-SH」基を指す。
【0048】
「カルボニル」基は、C=O基を指す。
【0049】
「S-スルホンアミド」基は、「-SO2N(RAB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。S-スルホンアミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0050】
「N-スルホンアミド」基は、「RSO2N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-スルホンアミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0051】
「O-カルバミル」基は、「-OC(=O)N(RAB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。O-カルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0052】
「N-カルバミル」基は、「ROC(=O)N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-カルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0053】
「O-チオカルバミル」基は、「-OC(=S)-N(RAB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。O-チオカルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0054】
「N-チオカルバミル」基は、「ROC(=S)N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-チオカルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0055】
「C-アミド」基は、「-C(=O)N(RAB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。C-アミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0056】
「N-アミド」基は、「RC(=O)N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-アミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0057】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン原子」又は「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素などの元素周期律表の第7列の放射安定性原子のうちのいずれか1つを意味する。
【0058】
本明細書で使用するとき、用語「α-アミノ酸」は、任意のアミノ酸(標準アミノ酸及び非標準アミノ酸の両方)を指す。好適なα-アミノ酸の例としては、アラニン、アスパラギン、アスパルテート、システイン、グルタメート、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、及びバリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
本明細書で使用するとき、用語「ホスフェート」は、当業者が理解している通常の意味で使用され、
【化1】
を、そのプロトン化形態(例えば、
【化2】
)と共に含む。
【0060】
置換基の数が指定されない場合(例えば、ハロアルキル)、1つ以上の置換基が存在してもよい。例えば、「ハロアルキル」は、同じ又は異なるハロゲンのうちの1つ以上を含んでもよい。別の例として、「C1~C3アルコキシフェニル」は、1個、2個、又は3個の原子を含有する同じ又は異なるアルコキシ基のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0061】
本明細書で使用される場合、任意の保護基、アミノ酸、及び他の化合物の略語は、別途記載のない限り、その一般的な使用、認識されている略語、又はIUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclature(Biochem.11:942~944(1972)参照)と一致する。
【0062】
「薬学的に許容される塩」という用語は、それが投与される生物に著しい刺激をもたらさず、かつ化合物の生物活性及び特性を無効にしない化合物の塩を指す。いくつかの実施形態では、塩は、化合物の酸付加塩である。薬学的塩は、化合物を、無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸又は臭化水素酸)、硫酸、硝酸、及びリン酸と反応させることによって得ることができる。薬学的塩はまた、化合物を有機酸、例えば、脂肪族若しくは芳香族カルボン酸若しくはスルホン酸、例えば、ギ酸、酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、又はナフタレンスルホン酸と反応させることによっても得ることができる。薬学的塩はまた、化合物を塩基と反応させて、塩、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム又はマグネシウム塩、有機塩基の塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、C1~C7アルキルアミン、シクロへキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、並びにアルギニン及びリシンなどのアミノ酸を有する塩を形成することによって得ることができる。
【0063】
本願で使用される用語及び語句並びにこれらの変化形、特に添付の特許請求の範囲にあるものは、特に明記しない限り、限定的ではなく非限定的であると解釈されるべきである。上記の例として、「含むこと」という用語は、「限定することなく含むこと」、「含むが、これらに限定されないこと」などを意味するよう解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「備えること」という用語は、「含むこと」、「含有すること」、又は「特徴とする」と同義語であり、包括的又は非限定的であり、追加の列挙されていない要素又は方法の工程を除外しない。「有すること」という用語は、「少なくとも有すること」と解釈されるべきである。「含む」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである。「例」という用語は、説明中の項目の例示的な例を提供するために使用され、その網羅的又は限定的なリストではない。加えて、「備えること」という用語は、「少なくとも有すること」又は「少なくとも含むこと」という語句の同意語として解釈されるものとする。化合物又は組成物の文脈で使用される場合、「備えること」という用語は、化合物又は組成物が少なくとも列挙された特徴又は構成要素を含むが、追加の特徴又は構成要素も含んでもよいことを意味する。
【0064】
本明細書の実質的にいかなる複数形及び/又は単数形の用語の使用に関しても、当業者は、文脈及び/又は用途に応じて適切に、複数形から単数形、及び/又は単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の入れ替えは、明確にするために本明細書で明示的に記載され得る。不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。
【0065】
1つ以上のキラル中心を有する本明細書に記載の任意の化合物において、絶対立体化学が明示的に示されない場合、各中心が独立して、R配置若しくはS配置、又はこれらの混合物であってもよいことが理解される。したがって、本明細書に提供される化合物は、鏡像異性的に純粋な、鏡像異性的に豊富な、ラセミ混合物、ジアステレオマー的に純粋な化合物、ジアステレオマー的に豊富な化合物、又は立体異性混合物であってもよい。加えて、E又はZと定義され得る幾何異性体を生成する1つ以上の二重結合を有する、本明細書に記載の任意の化合物において、各二重結合が独立して、E又はZ、これらの混合物であってもよいことが理解される。同様に、記載の任意の化合物において、全ての互変異性型もまた含まれるよう意図されることが理解される。
【0066】
本明細書に開示される化合物が充填されていない原子価を有する場合、その原子価が、水素又はその同位体、例えば、水素-1(プロチウム)及び水素-2(重水素)で充填されることを理解されたい。
【0067】
本明細書に記載の化合物が同位体で標識され得ることが理解される。重水素などの同位体での置換は、例えば、インビボ半減期の増加又は必要投与量の低減など、より大きい代謝安定性に起因するある特定の治療上の利点をもたらし得る。化合物構造中に表される各化学元素は、前述の元素の任意の同位体を含んでもよい。例えば、化合物構造において、水素原子は、化合物中に存在すると明確に開示され得るか、又は理解され得る。水素原子が存在し得る化合物の任意の位置において、水素原子は、水素-1(プロチウム)及び水素-2(重水素)が挙げられるが、これらに限定されない、水素の任意の同位体であってもよい。したがって、本明細書における化合物に対する言及は、文脈が明確にそうでないと示さない限り、全ての可能な同位体形態を包含する。
【0068】
値の範囲が提供される場合、上限及び下限、並びにその範囲の上限と下限との間に介在する各値が、実施形態内に包含されることが理解される。
化合物
【0069】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩に関し、
【化3】
式中、R1は、非置換若しくは置換C2アルケニル、非置換若しくは置換C2アルキニル、非置換C1~4ハロアルキル、非置換若しくは置換単環式ヘテロアリール、非置換若しくは置換二環式ヘテロアリール、又は、非置換若しくは置換単環式ヘテロシクリルであってもよく、C2アルケニル、C2アルキニル、及び単環式ヘテロアリールが置換されているとき、C2アルケニル、C2アルキニル、及び単環式ヘテロアリールは、独立して、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、非置換C1~4ハロアルキル、非置換C1~4ヒドロキシアルキル、非置換単環式C3~6シクロアルキル、及びヒドロキシ置換単環式C3~6シクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく、R2及びR3は、独立して、水素、非置換若しくは置換C1~4アルキル、非置換C1~4ハロアルキル、非置換若しくは置換単環式C3~6シクロアルキル、非置換若しくは置換単環式3~6員ヘテロシクリル、非置換C1~4ヒドロキシアルキル、及び非置換C1~5アルコキシアルキルから選択されてよく、単環式C3~6シクロアルキル及び単環式3~6ヘテロシクリルが置換されているとき、単環式C3~6シクロアルキル及び単環式3~6ヘテロシクリルは、独立して、ハロゲン又はヒドロキシから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく、C1~4アルキルが置換されているとき、C1~4アルキルは、ホスフェート、O-結合型α-アミノ酸、及びO-カルボキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されており、又は、R2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、非置換若しくは置換単環式C3~6シクロアルキル、又は非置換若しくは置換単環式3~6員ヘテロシクリルを形成してもよく、C3~6シクロアルキル及び3~6員ヘテロシクリルが置換されているとき、C3~6シクロアルキル及び3~6員ヘテロシクリルは、独立して、ハロゲン及びヒドロキシから選択される1つ又は2つの置換基で置換されていてもよく、R4及びR5は、独立して、水素、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、重水素化C1~4アルキル、又は非置換C2~4アルケニルであってもよく、R6は、水素、非置換C1~4アルキル、重水素化C1~4アルキル、又は非置換C3~4アルケニルであってもよく、ただし、R4、R5及びR6のうち少なくとも1つは水素ではなく、又は、R5は、水素、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、又は非置換C2~4アルケニルであってもよく、R4及びR6は一緒になって、非置換若しくは置換5~6員複素環式環を形成してもよく、X1は、CRA又はN(窒素)であってもよく、R7a、R7b、R7c及びR7dは、独立して、水素、ハロゲン、非置換C1~4ハロアルキル、シアノ、又は非置換C1~4アルコキシであってもよく、R8は、水素、-CH2OC(=O)-(非置換C1~4アルキル)、-CH2OC(=O)-O(非置換C1~4アルキル)、-CH2-(α-アミノ酸)、又は-CH2-ホスフェートであってもよく、RAは、水素、ハロゲン、非置換C1~4ハロアルキル、又はシアノであってもよい。
【0070】
様々な基を、式(I)のピロール環に結合することができる。本明細書で提供されるように、ピロール環は、結合した、水素、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、重水素化C1~4アルキル、及び/又は非置換C2~4アルケニルを有してよく、ただし、R4、R5及びR6のうち少なくとも1つは水素ではない。C1~4アルキルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル及びtert-ブチルが挙げられる。いくつかの実施形態では、R4及びR5のうちの1つは、ハロゲン若しくは非置換C1~4アルキルであってもよく、かつ/又は、R6は、非置換C1~4アルキルであってもよい。他の実施形態では、R4及び/又はR5は、それぞれ独立して、ハロゲン若しくは非置換C1~4アルキルであってもよく、かつ/又は、R6は、非置換C1~4アルキルであってもよい。更に他の実施形態では、R4及びR5は、それぞれ独立して、ハロゲン若しくは非置換C1~4アルキルであってもよく、かつ、R6は、非置換C1~4アルキルであってもよい。なお更に他の実施形態では、R4、R5及びR6のうちの1つは、非置換C1~4アルキルであってもよく、かつ、R4、R5及びR6のうちの1つは、非置換C3~4アルケニルであってもよい。R4、R5及びR6のうち1つが、重水素化C1~4アルキルであるとき、C1~4アルキルのうち1つ以上の水素は重水素で置換され得る。例えば、R4、R5及びR6のうち1つは、CH2D、CHD2、CD3、CH2CD3、CD2CD3、CH2CH2CD3、CH(CD32であってもよい。いくつかの実施形態では、R4、R5及びR6のうちの1つは、重水素化C1~4アルキルであってもよく、かつ、R4、R5及びR6のうちの別の2つは、非置換C1~4アルキルであってもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、R4は水素であってもよく、R5は水素であってもよく、R6は非置換C1~4アルキルであってもよい。他の実施形態では、R4はハロゲンであってもよく、R5は水素であってもよく、R6は非置換C1~4アルキルであってもよい。更に他の実施形態では、R4は水素であってもよく、R5はハロゲンであってもよく、R6は非置換C1~4アルキルであってもよい。更に他の実施形態では、R4は水素であってもよく、R5は非置換C1~4アルキルであってもよく、R6は非置換C3~4アルケニルであってもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、R4は水素であってもよく、R5はハロゲンあってよく、R6は水素であってもよい。他の実施形態では、R4は水素であってもよく、R5はハロゲンあってよく、R6は水素であってもよい。更に他の実施形態では、R4はハロゲンであってもよく、R5はハロゲンあってよく、R6は水素であってもよい。なお更に他の実施形態では、R4は非置換C1~4アルキルであってもよく、R5は水素であってもよく、R6は非置換C1~4アルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、R4は非置換C1~4アルキルであってもよく、R5はハロゲンであってもよく、R6は非置換C1~4アルキルであってもよい。他の実施形態では、R4は非置換C1~4アルキルであってもよく、R5は非置換C1~4アルキルであってもよく、R6は非置換C1~4アルキルであってもよい。更に他の実施形態では、R4、R5及び/又はR6が非置換C1~4アルキルであるとき、非置換C1~4アルキルはメチルであってもよい。例えば、R4、R5及びR6は、それぞれメチルであってもよい。更に他の実施形態では、R4は水素であってもよく、R5及びR6は、それぞれ非置換C1~4アルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、R4はハロゲンであってもよく、R5及びR6は、それぞれ非置換C1~4アルキルであってもよい。他の実施形態では、R5はハロゲンであってもよく、R4及びR6は、それぞれ非置換C1~4アルキルであってもよい。更に他の実施形態では、R4及びR5は、それぞれ水素であってもよく、R6は非置換C1~4アルキルであってもよい。なお更に他の実施形態では、R4は水素であってもよく、R5はハロゲンであってもよく、R6は非置換C1~4アルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、R4及びR5は、それぞれハロゲンであってもよく、R6は非置換C1~4アルキルであってもよい。他の実施形態では、R4及びR5は、それぞれ非置換C1~4アルキルであってもよく、R6は、重水素化C1~4アルキル、例えばCD3であってもよい。
【0073】
本明細書で提供されるように、いくつかの実施形態では、R5は、水素、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、又は非置換C2~4アルケニルであってもよく、R4及びR6は一緒になって、非置換若しくは置換5~6員複素環式環を形成してもよい。例えば、R4及びR6は一緒になって、非置換若しくは置換
【化4】
、又は非置換若しくは置換
【化5】
を形成することができ、式中、N*は、式(I)のピロリルの窒素を示す。いくつかの実施形態では、R5は水素であってもよく、R4及びR6は一緒になって、本明細書に記載されるものなどの非置換若しくは置換5~6員複素環式環を形成してもよい。他の実施形態では、R5はハロゲンであってもよく、R4及びR6は一緒になって、本明細書に記載されるものなどの非置換若しくは置換5~6員複素環式環を形成してもよい。更に他の実施形態では、R5は非置換C1~4アルキルであってもよく、R4及びR6は一緒になって、本明細書に記載されるものなどの非置換若しくは置換5~6員複素環式環を形成してもよい。なお更に他の実施形態では、R5は非置換C2~4アルケニルであってもよく、R4及びR6は一緒になって、本明細書に記載されるものなどの非置換若しくは置換5~6員複素環式環を形成してもよい。
【0074】
1を含む6員芳香環は、任意に置換されたフェニル又は任意に置換されたピリジンであってもよい。X1がCRAであるとき、6員環は、任意に置換されたフェニルであってもよい。X1がN(窒素)であるとき、6員芳香環は、任意に置換されたピリジンであってもよい。本明細書で提供されるように、X1を含む6員芳香環を置換することができる。置換されるとき、フェニル及び/又はピリジンは、1、2又は3回以上置換されてよい。置換フェニル環は、パラ位で置換されてよい。追加的に又は代替的に、フェニル環は、メタ位で置換されてよい。いくつかの実施形態では、フェニル環は、オルト位で置換されてよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、X1はCHであってもよい。他の実施形態では、X1はCRAであってもよい。X1がCRAであるとき、RAは非水素基であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、RAはハロゲン(例えば、F、Cl又はBr)であってもよい。他の実施形態では、RAは、非置換C1~4ハロアルキルであってもよい。好適なC1~4ハロアルキルとしては、-CHF2、-CF3、CH2F、CHClF及びCCl3が挙げられるが、これらに限定されない。更に他の実施形態では、RAはシアノであってもよい。なお更に他の実施形態では、RAは非置換C1~4アルコキシであってもよい。例示的なC1~4アルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、及びtert-ブトキシが挙げられる。
【0076】
本明細書に記載されるように、R7b及び/R7cは水素であってもよい。RAと同様に、R7b及び/R7cは、非水素基、例えば、ハロゲン、非置換C1~4ハロアルキル、シアノ、及び非置換C1~4アルコキシであってもよい。いくつかの実施形態では、R7bは水素であってもよい。他の実施形態では、R7bはハロゲン(例えば、F、Cl又はBr)であってもよい。更に他の実施形態では、R7bは、非置換C1~4ハロアルキル、例えば、本明細書に記載される、-CHF2、-CF3、及び-CH2Fを含むものであってもよい。なお更に他の実施形態では、R7bはシアノであってもよい。いくつかの実施形態では、R7bは、本明細書に記載されているものなどの、非置換C1~4アルコキシであってもよい。いくつかの実施形態では、R7cは水素であってよい。他の実施形態では、R7cは、F、Cl、又はBrなどのハロゲンであってもよい。更に他の実施形態では、R7cは、非置換C1~4ハロアルキル、例えば、-CHF2、-CF3、-CH2F、-CHClF、及び-CCl3であってもよい。なお更に他の実施形態では、R7cはシアノであってもよい。いくつかの実施形態では、R7cは、非置換C1~4アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、及びtert-ブトキシであってもよい。
【0077】
1を含む6員芳香環上の他の位置と同様に、R7a及び/又はR7dは、水素又は非水素基であってもよい。いくつかの実施形態では、R7aは水素であってもよい。他の実施形態では、R7aは、F、Cl、又はBrなどのハロゲンであってもよい。更に他の実施形態では、R7aは、非置換C1~4ハロアルキル、例えば、-CHF2、-CF3、-CH2F、-CHClF、及び-CCl3であってもよい。なお更に他の実施形態では、R7aはシアノであってもよい。いくつかの実施形態では、R7aは、本明細書に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない、非置換C1~4アルコキシであってもよい。いくつかの実施形態では、R7dは水素であってもよい。他の実施形態では、R7dはハロゲン(例えば、F、Cl又はBr)であってもよい。更に他の実施形態では、R7dは、非置換C1~4ハロアルキル(-CHF2、-CF3、-CH2F、-CHClF、及び-CCl3を非限定的に含む)であってもよい。なお更に他の実施形態では、R7dはシアノであってもよい。いくつかの実施形態では、R7dは、非置換C1~4アルコキシであってもよい。例えば、R7dは、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、又はtert-ブトキシであってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、RAは、本明細書に記載されるような非水素基であってもよく、R7b又はR7cは、本明細書に記載されるような非水素基であってもよい。他の実施形態では、RAは、本明細書に記載されるような非水素基であってもよい。R7b又はR7cは、本明細書に記載されるような非水素基であってもよく、R7a及びR7dはそれぞれ水素である。更に他の実施形態では、RAは、本明細書に記載されるような非水素基であってもよい。R7b及びR7cのうちの1つは、本明細書に記載されるような非水素基であってもよく、R7b及びR7cの他方は水素であってもよく、R7a及びR7dはそれぞれ水素である。以下は、X1を含む6員芳香環である、
【化6】
の例である。
【0079】
いくつかの実施形態では、R2及びR3は、独立して、水素、非置換若しくは置換C1~4アルキル、非置換C1~4ハロアルキル、非置換若しくは置換単環式C3~6シクロアルキル、非置換若しくは置換単環式3~6員ヘテロシクリル、非置換C1~4ヒドロキシアルキル、及び非置換C1~5アルコキシアルキルから選択されてよく、単環式C3~6シクロアルキル及び単環式3~6ヘテロシクリルが置換されているとき、単環式C3~6シクロアルキル及び単環式3~6ヘテロシクリルは、独立して、ハロゲン又はヒドロキシから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく、C1~4アルキルが置換されているとき、C1~4アルキルは、ホスフェート、O-結合型α-アミノ酸、及びO-カルボキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されている。他の実施形態では、R2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、非置換若しくは置換単環式C3~6シクロアルキル、又は非置換若しくは置換単環式3~6員ヘテロシクリルを形成しており、C3~6シクロアルキル及び3~6員ヘテロシクリルが置換されているとき、C3~6シクロアルキル及び3~6員ヘテロシクリルは、独立して、ハロゲン及びヒドロキシからなる群から選択される1つ又は2つの置換基で置換されている。
【0080】
2及びR3の置換基は、同一であっても異なっていてもよく、又は、R2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、非置換若しくは置換単環式C3~6シクロアルキル、又は、非置換若しくは置換単環式3~6員ヘテロシクリルを形成することができる。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それぞれ水素であってもよい。別の実施形態では、R2及びR3は、それぞれ、非置換C1~4アルキルであってもよい。好適な非置換C1~4アルキルの例は、本明細書に記載される。例えば、R2及びR3は、それぞれメチルであってもよい。
【0081】
本明細書に記載されるように、R2及びR3は異なっていてもよい。例として、R2及びR3のうちの1つは水素であってもよく、R2及びR3の他方は、非置換C1~4アルキル、非置換C1~4ハロアルキル、非置換若しくは置換単環式C3~6シクロアルキル、非置換若しくは置換単環式3~6員ヘテロシクリル、非置換C1~4ヒドロキシアルキル、及び非置換C1~5アルコキシアルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、R2及びR3のうちの1つは水素であってもよく、R2及びR3のうちの他方は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル及びtert-ブチルなどの非置換C1~4アルキルであってもよい。別の実施形態では、R2及びR3のうちの1つは水素であってもよく、R2及びR3のうちの他方は非置換C1~4ハロアルキルであってもよい。例示的なC1~4ハロアルキルは本明細書に記載されており、-CHF2、-CF3、CH2F、CHClF及びCCl3が挙げられるが、これらに限定されない。更に他の実施形態では、R2及びR3のうちの1つは水素であってもよく、R2及びR3のうちの他方は非置換若しくは置換単環式C3~6シクロアルキルであってもよい。例えば、R2及びR3のうちの1つは水素であってもよく、R2及びR3のうちの他方は、非置換シクロプロイル、非置換シクロブチル、非置換シクロペンチル、及び非置換シクロヘキシルであってもよく、又は、R2及びR3のうちの1つは水素であってもよく、R2及びR3のうちの他方は、置換シクロプロイル、置換シクロブチル、置換シクロペンチル、及び置換シクロヘキシルであってもよい。置換されているとき、置換単環式C3~6シクロアルキルは、ハロゲン(F、Cl又はBr)及びヒドロキシから独立して選択される置換基で、1、2又は3回置換されてもよい。いくつかの実施形態では、置換単環式C3~6シクロアルキルは、1つ又は2つのハロゲンで置換されていてもよい。例えば、R2及びR3のうちの1つは水素であってもよく、R2及びR3のうちの他方は
【化7】
であってもよい。なお更に他の実施形態では、R2及びR3のうちの1つは水素であってもよく、R2及びR3のうちの他方は非置換若しくは置換単環式3~6員ヘテロシクリルであってもよい。様々な単環式3~6員ヘテロシクリルは、R2/R3に好適である。いくつかの実施形態では、R2及びR3のうちの1つは水素であってもよく、R2及びR3のうちの他方は非置換C1~4ヒドロキシアルキルであってもよい。例として、R2及びR3のうちの1つは水素であってもよく、R2及びR3のうちの他方は-CH2OHであってもよい。他の実施形態では、R2及びR3のうちの1つは水素であってもよく、R2及びR3のうちの他方は非置換C1~5アルコキシアルキルであってもよい。非置換C1~5アルコキシアルキルの例として、-CH2OCH3、-CH2CH2OCH3、-CH2OCH2CH3、-CH2CH2OCH2CH3、-CH2OCH(CH32、-CH2OCH2CH(CH32、及び-CH2CH2OCH(CH32が挙げられる。
【0082】
プロドラッグ部分は、R2及びR3のうちの1つに存在し得る。いくつかの実施形態では、R2及びR3のうちの1つは、非置換C1~4アルキル(例えば、メチル)であってもよく、R2及びR3のうちの他方は、置換C1~4アルキルであってもよく、このときC1~4アルキルは、ホスフェート、O-結合型α-アミノ酸及びO-カルボキシから選択される1つ以上の置換基で置換されている。好適なα-アミノ酸は本明細書に記載されており、アラニン、アスパラギン、アスパルテート、システイン、グルタメート、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、及びバリンが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用するとき、「-O-結合型α-アミノ酸」は、その主鎖カルボン酸基由来のヒドロキシを介して、示される部位に結合しているα-アミノ酸を指す。α-アミノ酸が-O-結合型α-アミノ酸に結合している場合、その主鎖カルボン酸基からのヒドロキシの一部である水素は存在せず、α-アミノ酸は酸素を介して結合する。いくつかの実施形態では、R2又はR3のC1~4アルキル上で置換された-O-結合型α-アミノ酸は、-O-結合型-L-α-アミノ酸であってもよい。他の実施形態では、R2又はR3のC1~4アルキル上で置換された-O-結合型α-アミノ酸は、-O-結合型-D-α-アミノ酸であってもよい。-O-結合型α-アミノ酸の例は、ここではR8に関して示される。R2又はR3の置換C1~4アルキル上に存在し得るプロドラッグ部分の別の例は、O-カルボキシである。いくつかの実施形態では、R2及びR3のうちの1つは、非置換C1~4アルキル(例えば、メチル)であってもよく、R2及びR3のうちの他方は、O-カルボキシ置換C1~4アルキルであってもよい。例えば、O-カルボキシ置換C1~4アルキルは、構造-(CH24-OC(=O)(非置換C1~4アルキル)を有し得る。本明細書に記載されるように、R2又はR3のC1~4アルキルは、ホスフェートで置換され得る。例えば、R2又はR3がホスフェートを有する置換C1~4アルキルであるとき、R2又はR3は、-CH2-O-P(=O)(O-2又は-CH2-O-P(=O)(OH)2であってもよい。
【0083】
本明細書で提供されるように、R2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、非置換若しくは置換単環式C3~6シクロアルキル、又は非置換若しくは置換単環式3~6員ヘテロシクリルを形成してもよく、C3~6シクロアルキル及び3~6員ヘテロシクリルは、独立して、ハロゲン及びヒドロキシからなる群から選択される1つ又は2つの置換基で置換されている。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、非置換単環式C3~6シクロアルキルを形成することができる。他の実施形態では、R2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、置換単環式C3~6シクロアルキルを形成することができる。C3~6シクロアルキルは、非置換若しくは置換シクロプロピル、非置換若しくは置換シクロブチル、非置換若しくは置換シクロペンチル、又は、非置換若しくは置換シクロヘキシルであってもよい。C3~6シクロアルキルが置換されるとき、C3~6シクロアルキルは、1、2又は3回以上置換されてもよい。2つ以上の置換基が存在するとき、置換基は全て同一であってもよく、又は少なくとも異なる置換基が存在してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、C3~6シクロアルキルは、1つ又は2つのハロゲン(例えば、1つ又は2つのフルオロ置換基)で置換され得る。他の実施形態では、C3~6シクロアルキルは、ヒドロキシで置換され得る。例示的なC3~6シクロアルキルとしては、非置換シクロプロピル、非置換シクロブチル、非置換シクロペンチル、非置換シクロヘキシル、フルオロ置換シクロプロピル、フルオロ置換シクロブチル、フルオロ置換シクロペンチル、フルオロ置換シクロヘキシル、ヒドロキシ置換シクロプロピル、ヒドロキシ置換シクロブチル、ヒドロキシ置換シクロペンチル、ヒドロキシ置換シクロヘキシル、
【化8】
が挙げられる。
【0084】
いくつかの実施形態では、R2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、非置換単環式3~6員ヘテロシクリルを形成することができる。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、置換単環式3~6員ヘテロシクリルを形成することができる。例えば、R2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、非置換若しくは置換単環式3員ヘテロシクリル、非置換若しくは置換単環式4員ヘテロシクリル、非置換若しくは置換単環式5員ヘテロシクリル、又は、非置換若しくは置換単環式6員ヘテロシクリルを形成することができる。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、非置換単環式酸素含有3~6員ヘテロシクリルを形成することができる。他の実施形態では、R2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、非置換単環式窒素含有3~6員ヘテロシクリルを形成することができる。好適な単環式3~6員ヘテロシクリルとしては、非置換若しくは置換オキセタン、非置換若しくは置換チエタン、非置換若しくは置換
【化9】
、非置換若しくは置換
【化10】
、非置換若しくは置換
【化11】
、非置換若しくは置換
【化12】
、非置換若しくは置換
【化13】
、及び非置換若しくは置換
【化14】
が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、
【化15】
を形成することができる。
【0085】
様々な不飽和置換基が、R1に存在し得る。本明細書に記載されるように、R1は置換又は非置換であってもよい。いくつかの実施形態では、R1は、非置換C2アルケニルであってもよい。他の実施形態では、R1は、ハロゲン、非置換C1~4ハロアルキル、非置換C1~4ヒドロキシアルキル、非置換単環式C3~6シクロアルキル、及びヒドロキシ置換単環式C3~6シクロアルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で置換され得る、置換C2アルケニルであってもよい。いくつかの実施形態では、R1は、非置換C2アルキニルであってもよい。他の実施形態では、R1は、置換C2アルキニルであってもよい。C2アルキニルは、ハロゲン、非置換C1~4ハロアルキル、非置換C1~4ヒドロキシアルキル、非置換単環式C3~6シクロアルキル、及びヒドロキシ置換単環式C3~6シクロアルキルから独立して選択される置換基で、1回以上置換され得る。例えば、C2アルキニルは、非置換単環式C3~6シクロアルキルで1回置換されてもよく、又はC2アルキニルは、非置換C1~4ハロアルキルで1回置換されてもよい。いくつかの実施形態では、R1は、非置換C1~4ハロアルキル、例えばCF3であってもよい。
【0086】
本明細書に記載されるように、いくつかの環状部分は、R1に存在し得る。いくつかの実施形態では、R1は、非置換単環式ヘテロアリールであってもよい。他の実施形態では、R1は、置換単環式ヘテロアリールであってもよい。いくつかの好適な単環式ヘテロアリールが、本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、R1は、非置換若しくは置換窒素含有単環式ヘテロアリールであってもよく、例えば、R1は、非置換若しくは置換1,2,3-トリアゾール(例えば、
【化16】
)、非置換若しくは置換チアゾール(例えば、
【化17】
)、非置換若しくは置換ピリジニル(例えば、
【化18】
)、非置換若しくは置換ピリミジン(例えば、
【化19】
)、非置換若しくは置換ピラゾール(例えば、
【化20】
)、非置換若しくは置換イミダゾール(例えば、
【化21】
)、又は、非置換若しくは置換オキサジアゾール(例えば、
【化22】
)であってもよく、このとき、示される構造のそれぞれは非置換又は置換されていてよい(窒素上の水素が非水素置換基で置換され得ることを含む)。いくつかの実施形態では、R1は、非置換二環式ヘテロアリールであってもよい。他の実施形態では、R1は、置換二環式ヘテロアリールであってもよい。例示的な二環式ヘテロアリールは本明細書に提供されており、ベンゾイミダゾールを含む。いくつかの実施形態では、R1は、非置換単環式ヘテロシクリルであってもよい。他の実施形態では、R1は、置換単環式ヘテロシクリルであってもよい。好適な単環式ヘテロシクリルいくつかの例が、本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、R1は、非置換又は置換2-オキソ-1H-ピリジニルであってもよい。R1の環状部分が置換されるとき、様々な置換基が存在し得る。R1の単環式ヘテロアリール上に存在し得る置換基の例としては、非置換C1~4アルキル、非置換シクロプロピル、及び非置換シクロブチルが挙げられる。
【0087】
様々な置換基が、R8に存在し得る。いくつかの実施形態では、R8は水素であってもよい。他の実施形態では、R8は、-CH2OC(=O)-(非置換C1~4アルキル)であってもよい。例えば、R8は、ピバロイルオキシメチル(POM)であってもよい。更に他の実施形態では、R8は、-CH2OC(=O)-O(非置換C1~4アルキル)、例えば、イソプロピルオキシカルボニルオキシメチル(POC)であってもよい。なお更に他の実施形態では、R8は、-CH2-(α-アミノ酸)であってもよい。好適なα-アミノ酸としては、アラニン、アスパラギン、アスパルテート、システイン、グルタメート、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、及びバリンが挙げられるが、これらに限定されない。R8がα-アミノ酸を含むとき、カルボン酸部分は、-CH2-(α-アミノ酸)の-CH2に連結した部分であり、カルボン酸の水素は存在しない。いくつかの例として、R8は、
【化23】
であってもよい。いくつかの実施形態では、R8の-CH2-(α-アミノ酸)のα-アミノ酸は、L-α-アミノ酸であってもよい。他の実施形態では、R8の-CH2-(α-アミノ酸)のα-アミノ酸は、D-α-アミノ酸であってもよい。いくつかの実施形態では、R8は-CH2-ホスフェート(
【化24】
)であってもよい。
【0088】
式(I)の化合物、及びその薬学的に許容される塩は、様々な構造を有し得る。いくつかの実施形態では、R1は、非置換若しくは置換C2アルケニル、非置換若しくは置換C2アルキニル、非置換若しくは置換単環式ヘテロアリール、非置換若しくは置換二環式ヘテロアリール、又は、非置換若しくは置換単環式ヘテロシクリルであってもよく、C2アルケニル、C2アルキニル、非置換C1~4ハロアルキル、及び単環式ヘテロアリールが置換されているとき、C2アルケニル、C2アルキニル、及び単環式ヘテロアリールは、独立して、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、非置換C1~4ハロアルキル、非置換C1~4ヒドロキシアルキル、非置換単環式C3~6シクロアルキル、及びヒドロキシ置換単環式C3~6シクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で置換されており、R2及びR3は、独立して、水素、非置換若しくは置換C1~4アルキル、非置換C1~4ハロアルキル、非置換若しくは置換単環式C3~6シクロアルキル、非置換若しくは置換単環式3~6員ヘテロシクリル、非置換C1~4ヒドロキシアルキル、及び非置換C1~5アルコキシアルキルから選択されてよく、単環式C3~6シクロアルキル及び単環式3~6ヘテロシクリルが置換されているとき、単環式C3~6シクロアルキル及び単環式3~6ヘテロシクリルは、独立して、ハロゲン又はヒドロキシから選択される1つ以上の置換基で置換されており、C1~4アルキルが置換されているとき、C1~4アルキルは、ホスフェート、O-結合型α-アミノ酸、及びO-カルボキシから選択される1つ以上の置換基で置換されており、ただし、R2及びR3のうち少なくとも1つは水素ではなく、R4及びR5は、独立して、水素、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、重水素化C1~4アルキル、又は非置換C2~4アルケニルであってもよく、R6は、水素、非置換C1~4アルキル、重水素化C1~4アルキル、又は非置換C3~4アルケニルであってもよく、ただし、R4、R5及びR6のうち少なくとも1つは水素ではなく、X1は、CRA又はNであってもよく、R7a、R7b、R7c及びR7dは、独立して、水素、ハロゲン、非置換C1~4ハロアルキル、シアノ、又は非置換C1~4アルコキシであってもよく、R8は、水素、-CH2OC(=O)-(非置換C1~4アルキル)、-CH2OC(=O)-O(非置換C1~4アルキル)、-CH2-(α-アミノ酸)又は-CH2-リン酸であってもよく、RAは、水素、ハロゲン、非置換C1~4ハロアルキル、又はシアノであってもよい。この段落では、R2及びR3のうち少なくとも1つが水素ではないとき、R2及びR3については、(1)R2及びR3は、それぞれ非置換C1~4アルキル、例えばメチル、(2)ホスフェート、O-結合型α-アミノ酸、又はO-カルボキシで置換されたC1~4アルキル(例えば、-O(C=O)(非置換C1~4アルキル)、(3)非置換C1~4ハロアルキル(例えば、CF3)、(4)非置換シクロプロピル、及び(5)非置換C1~4ヒドロキシアルキル(例えば、-CH2OH)、であり得ることが条件である。
【0089】
他の実施形態では、R1は、非置換若しくは置換C2アルケニル、非置換若しくは置換C2アルキニル、非置換若しくは置換単環式ヘテロアリール、非置換若しくは置換二環式ヘテロアリール、又は、非置換若しくは置換単環式ヘテロシクリルであってもよく、C2アルケニル、C2アルキニル、非置換C1~4ハロアルキル、及び単環式ヘテロアリールが置換されているとき、C2アルケニル、C2アルキニル、及び単環式ヘテロアリールは、独立して、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、非置換C1~4ハロアルキル、非置換C1~4ヒドロキシアルキル、非置換単環式C3~6シクロアルキル、及びヒドロキシ置換単環式C3~6シクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で置換されており、R2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、非置換若しくは置換単環式C3~6シクロアルキル、又は非置換若しくは置換単環式3~6員ヘテロシクリルを形成してもよく、C3~6シクロアルキル及び3~6員ヘテロシクリルが置換されているとき、C3~6シクロアルキル及び3~6員ヘテロシクリルは、独立して、ハロゲン及びヒドロキシから選択される1つ又は2つの置換基で置換されており、R4及びR5は、独立して、水素、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、重水素化C1~4アルキル、又は非置換C2~4アルケニルであってもよく、R6は、水素、非置換C1~4アルキル、重水素化C1~4アルキル、又は非置換C3~4アルケニルであってもよく、ただし、R4、R5及びR6のうち少なくとも1つは水素ではなく、X1は、CRA又はNであってもよく、R7a、R7b、R7c及びR7dは、独立して、水素、ハロゲン、非置換C1~4ハロアルキル、シアノ、又は非置換C1~4アルコキシであってもよく、R8は、水素、-CH2OC(=O)-(非置換C1~4アルキル)、-CH2OC(=O)-O(非置換C1~4アルキル)、-CH2-(α-アミノ酸)又は-CH2-リン酸であってもよく、RAは、水素、ハロゲン、非置換C1~4ハロアルキル、又はシアノであってもよい。本明細書で提供されるように、R2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、非置換シクロブチル、フッ素置換シクロブチル、ヒドロキシ置換シクロブチル、又は非置換オキセタンを形成することができる。
【0090】
更に他の実施形態では、R1は、非置換若しくは置換C2アルケニル、非置換若しくは置換C2アルキニル、非置換C1~4ハロアルキル、非置換若しくは置換単環式ヘテロアリール、非置換若しくは置換二環式ヘテロアリール、又は、非置換若しくは置換単環式ヘテロシクリルであってもよく、C2アルケニル、C2アルキニル、及び単環式ヘテロアリールが置換されているとき、C2アルケニル、C2アルキニル、及び単環式ヘテロアリールは、独立して、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、非置換C1~4ハロアルキル、非置換C1~4ヒドロキシアルキル、非置換単環式C3~6シクロアルキル、及びヒドロキシ置換単環式C3~6シクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく、R2及びR3は、独立して、水素、非置換若しくは置換C1~4アルキル、非置換C1~4ハロアルキル、非置換若しくは置換単環式C3~6シクロアルキル、非置換若しくは置換単環式3~6員ヘテロシクリル、非置換C1~4ヒドロキシアルキル、及び非置換C1~5アルコキシアルキルから選択されてよく、単環式C3~6シクロアルキル及び単環式3~6ヘテロシクリルが置換されているとき、単環式C3~6シクロアルキル及び単環式3~6ヘテロシクリルは、独立して、ハロゲン又はヒドロキシから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく、C1~4アルキルが置換されているとき、C1~4アルキルは、ホスフェート、O-結合型α-アミノ酸、及びO-カルボキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されており、又は、R2及びR3は、R2及びR3が結合している炭素と一緒になって、非置換若しくは置換単環式C3~6シクロアルキル、又は非置換若しくは置換単環式3~6員ヘテロシクリルを形成してもよく、C3~6シクロアルキル及び3~6員ヘテロシクリルが置換されているとき、C3~6シクロアルキル及び3~6員ヘテロシクリルは、独立して、ハロゲン及びヒドロキシから選択される1つ又は2つの置換基で置換されていてもよく、R5は、水素、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、又は非置換C2~4アルケニルであってもよく、R4及びR6は一緒になって、非置換若しくは置換5~6員複素環式環を形成してもよく、X1は、CRA又はN(窒素)であってもよく、R7a、R7b、R7c及びR7dは、独立して、水素、ハロゲン、非置換C1~4ハロアルキル、シアノ、又は非置換C1~4アルコキシであってもよく、R8は、水素、-CH2OC(=O)-(非置換C1~4アルキル)、-CH2OC(=O)-O(非置換C1~4アルキル)、-CH2-(α-アミノ酸)又は-CH2-リン酸であってもよく、RAは、水素、ハロゲン、非置換C1~4ハロアルキル、又はシアノであってもよい。
【0091】
式(I)の化合物の例、又はそれらの薬学的に許容される塩としては、以下が挙げられる。
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
、又は上記のいずれかの薬学的に許容される塩。
【0092】
式(I)の化合物の更なる例、又はそれらの薬学的に許容される塩としては、以下が挙げられる。
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
、又は上記のいずれかの薬学的に許容される塩。
【0093】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、以下の化合物のうち1つ以上ではあり得ない。
【化41】
、又は上記のいずれかの薬学的に許容される塩。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、国際公開第2017/156255号に提供される化合物ではあり得ない。いくつかの実施形態では、R1はジフルオロ置換フェニルではあり得ない。いくつかの実施形態では、R1は、非置換若しくは置換テトラゾール、非置換若しくは置換1,2,3トリアゾール、及び/又は非置換若しくは置換イミダゾールではあり得ない。いくつかの実施形態では、X1はCRAではあり得ず、RAはハロゲン(Fなど)であり、R7Bはハロゲン(F又はClなど)ではあり得ない。いくつかの実施形態では、少なくともRA、R7a、R7b、R7c及びR7dは、非置換C1~4ハロアルキル、例えばCF3である。いくつかの実施形態では、R4及びR5の少なくとも1つはハロゲンである。いくつかの実施形態では、R4、R5、及びR6の少なくとも1つはハロゲンである。
合成
【0094】
本明細書に記載の化合物と共に式(I)の化合物は、様々な方法で調製されてもよい。式(I)の化合物を調製するための一般的な合成経路は、本明細書に記載の化合物を合成するために使用される出発材料のいくつかの例と共に、本明細書に示され、記載される。本明細書に表示及び記載される経路は、例示的なものにすぎず、いかなる方法でも特許請求の範囲を制限することを意図するものでなく、そのように解釈されるべきではない。当業者であれば、開示される合成の変更を認識し、本明細書の開示に基づく代替経路を考案することができるものであり、このような修正及び代替経路は全て、特許請求の範囲内である。
【化42】
【0095】
式(I)の化合物の合成を、スキーム1に概説するように実施することができる。一般式(Ia)のエステルを、一般式(Ib)のアミンと、好適な溶媒(THFなど)中で塩基、例えばLiHMDSの存在下でカップリングさせ、一般式(Ic)のアミドを得ることができる。一般式(Ic)の、好適な溶媒(例えば、DCM)中の塩化アルミニウムの存在下でのエチル2-クロロ-2-オキソアセテートとの反応により、一般式(Id)のケトエステルを得ることができる。続いて、一般式(Id)を、例えば、メタノールと水との混合物中の水酸化リチウムを使用して塩基性条件下で鹸化し、一般式(Ie)のケト酸誘導体を得ることができる。一般式(Ie)の一般式(If)の置換アミンとのカップリングは、好適な溶媒(例えばDCM)中で、ペプチドカップリング剤、例えばHATU又はEDCI/HOATの存在下、有機アミン塩基(例えばEt3N又はDIPEA)の存在下で行われ、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩を得ることができる。
医薬組成物
【0096】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、有効量の本明細書に記載の化合物(例えば、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容される塩)、及び薬学的に許容される担体、賦形剤、又はこれらの組み合わせを含むことができる、医薬組成物に関する。本明細書に記載の医薬組成物は、ヒト及び/又は獣医学的用途に好適である。
【0097】
本明細書で使用される場合、「担体」は、細胞又は組織への化合物の組み込みを促進する化合物を指す。例えば、限定することなく、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)は、対象の細胞又は組織への多くの有機化合物の取り込みを促進する、一般的に利用される担体である。
【0098】
本明細書で使用される場合、「希釈剤」は、薬理活性はないが、薬学的に必要又は望ましい可能性がある、医薬組成物中の成分を指す。例えば、希釈剤は、製造及び/又は投与には質量が小さ過ぎる、効力のある薬物のかさ増しのために使用されてもよい。それはまた、注射、摂取、又は吸入によって投与される薬物を溶解させるための液体であってもよい。当該技術分野において一般的な希釈剤の形態は、限定するものではないが、ヒト血液の組成を模したリン酸緩衝生理食塩水などの、緩衝水溶液である。
【0099】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」は、限定するものではないが、かさ、稠度、安定性、結合能力、潤滑、崩壊能力などを組成物に提供するために、医薬組成物に添加される、不活性の物質を指す。「希釈剤」は、ある種の賦形剤である。
【0100】
適切な製剤設計は、選択される投与経路による。本明細書に記載の化合物の製剤設計及び投与のための技術は、当業者に既知である。経口、直腸、局所、エアロゾル、注射、並びに筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、くも膜下、直接心室内、腹腔内、鼻腔内、及び眼内注射を含む、非経口送達が挙げられるが、これらに限定されない、化合物を投与する複数の技術が当該技術分野において存在する。医薬組成物は、一般に、意図される具体的な投与経路に合わせて調整される。
【0101】
また、全身的よりも局所的に、例えば、多くの場合、デポー又は持続放出製剤において化合物を感染部位に直接注射することによって化合物を投与することができる。更に、標的化した薬物送達システムで、例えば、組織特異的抗体でコーティングされたリポソームで化合物を投与することができる。リポソームは、臓器に対して標的化され、かつ臓器により選択的に取り込まれ得る。
【0102】
本明細書に開示の医薬組成物は、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、ドラジェ作製、水簸、乳化、封入、捕捉、又は錠剤化プロセスによって、それ自体が既知である様式で製造され得る。本明細書に記載されるように、医薬組成物で使用される化合物は、薬学的に適合する対イオンを有する塩として提供されてもよい。
使用方法
【0103】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、HBV及び/又はHDV感染に罹患していると特定された対象に、有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み得る、HBV及び/又はHDV感染を治療する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、HBV及び/又はHDV感染を治療するための薬剤の製造において、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用に関する。本明細書に記載の更に他の実施形態は、HBV及び/若しくはHDV感染の治療のための、本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩の使用、又は本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物に関する。
【0104】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、HBV及び/又はHDVに感染した細胞を、有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物と接触させることを含み得る、HBV及び/又はHDV感染を治療する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、HBV及び/又はHDV感染を治療するための薬剤の製造において、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用に関する。本明細書に記載の更に他の実施形態は、HBV及び/若しくはHDV感染の治療のための、本明細書に記載される本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩の使用、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物に関する。
【0105】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、HBV及び/又はHDVに感染した細胞を、有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物と接触させることを含み得る、HBV及び/又はHDVの複製を阻害する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、HBV及び/又はHDVの複製を阻害するための薬剤の製造において、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用に関する。本明細書に記載の更なる他の実施形態は、HBV及び/若しくはHDVの複製の阻害のための、本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用の使用に関する。
【0106】
いくつかの実施形態では、HBV感染は、急性HBV感染であり得る。いくつかの実施形態では、HBV感染は、慢性HBV感染であり得る。
【0107】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、肝硬変に罹患している対象に、有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与すること、及び/又は肝硬変に罹患している対象においてHBV及び/若しくはHDVに感染した細胞を、それらと接触させることを含み得る、HBV及び/又はHDV感染のために開発された、肝硬変を治療する方法に関する。本明細書に記載される他の実施形態は、有効量の化合物又はその薬学的に許容される塩で肝硬変を治療するための薬剤の製造における、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩の使用に関する。本明細書に記載の更なる他の実施形態は、肝硬変を治療するための、本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用に関する。
【0108】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、肝癌に罹患している対象に、有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与すること、及び/又は肝癌に罹患している対象においてHBV及び/若しくはHDVに感染した細胞を、それらと接触させることを含み得る、HBV及び/又はHDV感染のために開発された、肝癌(肝細胞癌など)を治療する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、肝癌(肝細胞癌など)を治療するための薬剤の製造において、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩の使用に関する。本明細書に記載の更なる他の実施形態は、肝癌(肝細胞癌など)を治療するための、本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用に関する。
【0109】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、肝臓障害に罹患している対象に、有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与すること、及び/又は肝臓障害に罹患している対象においてHBV及び/若しくはHDVに感染した細胞を、それらと接触させることを含み得る、HBV及び/又はHDV感染のために開発された、肝臓障害を治療する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、肝臓障害を治療するための薬剤の製造において、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩の使用に関する。本明細書に記載の更なる他の実施形態は、肝臓障害を治療するための、本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用に関する。
【0110】
HBV及び/又はHDV感染の治療方法の有効性を判定するための様々な指標も、当業者に既知である。好適な指標の例としては、HBV DNAの低減によって示されるウイルス負荷(又は負荷)(例えば、血清中<105コピー/mLの低減)、HBV表面抗原(HBsAg)及びHBV e-抗原(HBeAg)の低減、血漿ウイルス負荷の低減、ウイルス複製の低減、血清変換に対する時間の短縮(患者血清中で検出不能なウイルス)、療法に対する持続的なウイルス応答の速度の増加、肝機能の改善、及び/又は臨床転帰における罹患率若しくは死亡率の減少が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、「治療」、「治療的」、及び「療法」という用語は、必ずしも疾病又は病態の完全な治癒又は消滅を意味するとは限らない。疾病又は病態の任意の望ましくない兆候又は症状の任意の程度の任意の軽減が、治療及び/又は療法と見なされ得る。更に、治療は、対象の健康又は外観についての総合的な感覚を悪化させ得る行為を含み得る。
【0112】
本明細書で使用される場合、「対象」とは、治療、観察、又は実験の対象である動物を指す。「動物」には、冷血及び温血の脊椎動物及び無脊椎動物、例えば、魚、甲殻類、爬虫類、及び特に、哺乳類が含まれる。「哺乳類」には、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、霊長類、例えば、サル、チンパンジー、及び類人猿、並びに特に、ヒトが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0113】
「有効量」という用語は、示される生物学的又は医学的応答を誘発する、活性化合物又は薬剤の量を示すために使用される。例えば、化合物の有効量は、疾患の症状を緩和若しくは改善するか、又は治療される被験体の生存を引き延ばすために必要な量であり得る。この応答は、組織、系、動物、又はヒトにおいて生じ得、治療される疾患の徴候又は症状の緩和を含む。有効量の決定は、本明細書に提供される開示を考慮して、十分当業者の能力の範囲内である。用量として必要とされる本明細書に開示される化合物の有効量は、投与経路、治療されているヒトを含む動物の種類、及び考慮中の特定の動物の身体特性によって決まる。用量は、所望の効果を達成するように合わせて調整され得るが、体重、食生活、併用投薬、及び医療分野の当業者が認識するであろう他の要因などの要因によって決まる。
【0114】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量は、持続的なウイルス応答、例えば、治療の完了12ヶ月後の持続的なウイルス応答を達成するのに有効な量である。
【0115】
HBV及び/又はHDV感染と臨床的に診断された対象には、「ナイーブ」対象(例えば、HBV及び/又はHDVに対して以前治療されていない対象)、及びHBV及び/又はHDVの前治療に失敗した対象(「治療不成功」対象)が含まれる。治療不成功対象には、”非応答者”(ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)レベルの十分な低減を達成しなかった対象、例えば、抗HBV及び/又は抗HDV療法を開始した6ヶ月以内にベースラインから1 log10を超える減少を達成できなかった対象)、及び「再発者」(ALTレベルが増加した、HBV及び/又はHDVに対して以前に治療された対象、例えば、ALT>上正常限界の2倍、及びハイブリダイゼーションアッセイによる検出可能な血清HBV DNA)が含まれる。対象の更なる例としては、無症候性であるHBV及び/又はHDV感染を有する対象が挙げられる。
【0116】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩は、HBV及び/又はHDVに罹患している治療不成功対象に提供され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩は、HBV及び/又はHDVに罹患している非応答者の対象に提供され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩は、HBV及び/又はHDVに罹患している再発者の対象に提供され得る。いくつかの実施形態では、対象は、HBeAg陽性の慢性B型肝炎を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、HBeAg陰性の慢性B型肝炎を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は肝硬変を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は無症候性であってもよく、例えば、対象は、HBV及び/又はHDVに感染している可能性があるが、ウイルス感染のいずれの症状も示さない。いくつかの実施形態では、対象は、免疫不全であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、化学療法を受けていてもよい。
【0117】
HBV及び/又はHDVを治療するために使用されている薬剤の例としては、免疫調節剤、及びヌクレオシド/ヌクレオチドが挙げられる。免疫調節剤の例としては、インターフェロン(PEG-IFN-α-2aを含む、IFN-α及びPEG化インターフェロン)が挙げられ、ヌクレオシド/ヌクレオチドの例としては、ラミブジン、テルビブジン、アデホビルジピボキシル、クレブジン、エンテカビル、テノホビルアラフェナミド、及びテノホビルジソプロキシルが挙げられる。しかしながら、インターフェロン治療に関連する欠点のいくつかは、有害な副作用、皮下投与の必要性、及び高コストである。式(I)の化合物、又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩の潜在的な利点は、有害な副作用が少なく、有害な副作用の発生の遅延、及び/又は有害な副作用の重症度の低減であってもよい。ヌクレオシド/ヌクレオチド治療による欠点は、交差耐性を含む耐性の発達であり得る。
【0118】
耐性は、治療不成功の原因となり得る。本明細書で使用される場合、「耐性」という用語は、抗ウイルス剤に対する応答の遅延、減弱、及び/又は無効を示すウイルス株を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩は、1つ以上の抗HBV及び/又は抗HDV剤に対して耐性のあるHBV及び/又はHDV株に感染した対象に提供することができる。耐性が発達し得る抗ウイルス剤の例としては、ラミブジン、テルビブジン、アデホビルジピボキシル、クレブジン、エンテカビル、テノホビルアラフェナミド、及びテノホビルジソプロキシルが挙げられる。いくつかの実施形態では、対象が本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩で治療されたときの、耐性HBV及び/又はHDV株の発達は、記載されものなどの、他のHBV及び/又はHDV抗ウイルス剤に対するHBV及び/又はHDV株耐性の発達と比較して遅延される。
【0119】
国際公開第2017/156255号に提供されるものなどの既知の化合物は、in vitroアッセイにおいてグルタチオンと付加体を形成することが示された。グルタチオン付加体の形成は、化合物が肝傷害を誘発する可能性があることの指標となり得る。したがって、グルタチオン付加体の形成は、安全性の予測のためのするための指標として使用することができる。予想外にも、式(I)の多くの化合物、及びその薬学的に許容される塩などの本明細書に記載の化合物は、in vitroアッセイにおいてグルタチオンと付加体を形成しないことが示されている。更に、既知の化合物(例えば、国際公開第2017/156255号に記載されているもの)は、EC50が>1000pMである、HepG2.2.15細胞系アッセイにおける効力を示した。式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩などの本明細書に記載される多くの化合物は、予想外にも、EC50が<1000pMの範囲である、HepG2.2.15細胞系アッセイにおける改善された効力を示す。したがって、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩を含む、本明細書に記載の化合物は、既知の化合物よりも少なくとも16倍高い効力を有し得る。いくつかの実施形態では、改善された効力により用量要件が顕著に低下し、したがって、1日用量の負担が改善され、安全マージンを改善することができる。
組み合わせ療法
【0120】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩は、複製HBV及び/又はHDVを治療及び/又は阻害するための1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて使用することができる。追加の薬剤としては、インターフェロン、ヌクレオシド/ヌクレオチド類似体、配列特異的オリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチド及びsiRNAなど)、核酸ポリマー(NAP、例えば、HBsAgレベルを低減する核酸ポリマー)、エントリー阻害剤及び/又は小分子免疫調節剤が挙げられるが、これらに限定されない。追加の薬剤の例としては、組み換えインターフェロンα2b、IFN-α、PEG-IFN-α-2a、ラミブジン、テルビブジン、アデホビルジピボキシル、クレブジン、エンテカビル、テノホビルアラフェナミド、及びテノホビルジソプロキシルが挙げられる。NAPの例としては、REP2139、REP2165、及び2018年11月8日出願の米国特許出願第62/757632号(本明細書に記載されるNAPの目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩は、単一の医薬組成物において1つ以上の追加の薬剤と共に投与され得る。いくつかの実施形態では、化合物又はその薬学的に許容される塩は、2つ以上の別個の医薬組成物として1つ以上の追加の薬剤と共に投与することができる。更に、1つ以上の追加の薬剤を伴う本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩の投与順序は、異なり得る。
【実施例
【0122】
特許請求の範囲を決して限定するものではない、更なる実施形態が、以下の実施例において更に詳細に開示される。
実施例1
化合物A
【化43】
【0123】
2の不活性雰囲気がパージされ、維持された250mL容の三つ口丸底フラスコに、3-tert-ブチル4-メチル2,2-ジメチル-1,3-オキサゾリジン-3,4-ジカルボキシレート(5.00g、19.3mmol、1.00当量)、トルエン(50mL)を投入した。ジイソブチルアルミニウムヒドリド(38.6mL、38.6mmol、2.00当量、トルエン中1M)を-78℃でゆっくりと添加した。添加速度は、内部温度を-65℃未満に維持するように調整した。得られた溶液を-78℃で2時間撹拌し、ゆっくりと冷CH3OH(10mL)添加することにより反応をクエンチした。混合物を氷冷1M HCl(100mL)にゆっくりと注ぎ、混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮することにより、tert-ブチル4-ホルミル-2,2-ジメチル-1,3-オキサゾリジン-3-カルボキシレート(4.20g、粗)を無色油として得た。
【0124】
40mL容のバイアル瓶に、tert-ブチル4-ホルミル-2,2-ジメチル-1,3-オキサゾリジン-3-カルボキシレート(4.20g、18.3mmol、1.00当量)、ジメチル(1-ジアゾ-2-オキソプロピル)ホスホネート(4.22g、22.0mmol、1.20当量)、K2CO3(5.06g、36.6mmol、2.00当量)及びメタノール(20mL)を入れた。得られた溶液を室温(rt)で一晩撹拌した。反応物を水(20mL)によりクエンチし、酢酸エチル(3×20mL)で希釈した。混合物をブライン(20mL)及び水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル(EA):石油エーテル(PE)(1:10)を用いてシリカゲルカラムのクロマトグラフィーにかけ、3.20g(収率70%)のtert-ブチル4-エチニル-2,2-ジメチル-1,3-オキサゾリジン-3-カルボキシレートを黄色油として得た。
【0125】
tert-ブチル4-エチニル-2,2-ジメチル-1,3-オキサゾリジン-3-カルボキシレート(1.00g、4.44mmol)、1,4-ジオキサン(5mL)中4M塩酸、及びエタノール(10mL)の溶液を、60℃で一晩撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して、2-アミノブタ-3-イン-1-オール塩酸塩(538mg、粗)を黄色固体として得た。1H NMR(300MHz,メタノール-d4)δ4.14(br,1H)、3.89(dd,J=11.6,4.2Hz,1H)、3.75-3.68(m,1H)、3.25(d,J=2.4Hz,1H)。LCMS(ES)m/z=86(M+H-HCl)+
実施例2
化合物B
【化44】
【0126】
3-(ベンジルオキシ)シクロブタン-1-オン(5.00g、28.4mmol、1.00当量)、チタンイソプロピレート(8.80g、30.9mmol、1.09当量)、tert-ブタンスルフィンアミド(3.70g、30.5mmol、1.08当量)及びジクロロメタン(50mL)の混合物を、45℃で一晩撹拌した。反応物を室温まで冷却した。飽和重炭酸ナトリウム溶液(5mL)を添加した。混合物を30分間撹拌し、固体を濾別した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、EA:PE(1:10)で溶出させると、N-[3-(ベンジルオキシ)シクロブチリデン]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(4.50g、収率57%)が淡黄色油として得られた。
【0127】
ジエチルエーテル(100mL)中トリメチルシリルアセチレン(4.70g、47.8mmol、2.97当量)撹拌混合物に、n-BuLi(13.0mL、32.5mmol、2.02当量、ヘキサン中2.5M)を、-78℃、N2雰囲気下で滴下して加えた。混合物を-78℃で1時間撹拌した。Et2O(10mL)中N-[3-(ベンジルオキシ)シクロブチリデン]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(4.50g、16.1mmol、1.00当量)を、-78℃で滴下して加えた。混合物を-78℃で2時間撹拌した。反応物を水(100mL)でクエンチした。混合物をEA(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を分取TLC(EA:PE=1:3)で精製して、N-[3-(ベンジルオキシ)-1-[2-(トリメチルシリル)エチニル]シクロブチル]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(950mg、収率16%)を無色油として得た。
【0128】
クロロメタン(5mL)中N-[3-(ベンジルオキシ)-1-[2-(トリメチルシリル)エチニル]シクロブチル]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(300mg、0.800mmol、1.00当量)の撹拌混合物に、BBr3(3.00mL、3.00mmol、3.70当量、DCM中1M)を室温で加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。水(0.1mL)を混合物に添加し、0.5時間撹拌した。固体を濾別した。濾液を減圧下で濃縮して、3-アミノ-3-((トリメチルシリル)エチニル)シクロブタン-1-オールヒドロブロミド塩(130mg、収率62%)を淡黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,メタノール-d4)δ4.42-4.31(m,1H)、2.83(ddt,J=9.1,7.0,2.5Hz,2H)、2.37(ddt,J=11.6,7.6,2.2Hz,2H)、0.22(s,9H)。LCMS(ESI,m/z):184[M+H-HBr]+
実施例3
化合物C
【化45】
【0129】
3-オキセタノン(5.00g、69.4mmol、1.00当量)、tert-ブタンスルフィンアミド(9.20g、75.9mmol、1.10当量)、チタンイソプロピレート(21.6g、76.0mmol、1.10当量)及びジクロロメタン(50.00mL)の混合物を、45℃で一晩撹拌した。反応物を室温に冷却し、飽和重炭酸ナトリウム溶液(5.0mL)でクエンチした。混合物を30分間撹拌し、固体を濾別した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、EA:PE(1:10)で溶出させると、2-メチル-N-(オキセタン-3-イリデン)プロパン-2-スルフィンアミド(5.00g、収率39%)が淡黄色油として得られた。LCMS(ESI,m/z):176[M+H]+
【0130】
THF(50.00mL)中トリメチルシリルアセチレン(8.40g、85.5mmol、3.00当量)の撹拌混合物に、n-BuLi(30.0mL、ヘキサン中2.5M、75.0mmol、2.63当量)を、雰囲気下-78℃で滴下して加えた。混合物を-78℃で1時間撹拌した。THF(10mL)中2-メチル-N-(オキセタン-3-イリデン)プロパン-2-スルフィンアミド(5.00g、28.5mmol、1.00当量)の混合物を-78℃で滴下して加えた。反応物を-78℃で2時間撹拌した後、水(100mL)でクエンチした。混合物をEA(3×100mL)で抽出した。有機相を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、EA:PE(1:10)で溶出させると、2-メチル-N-[3-[2-(トリメチルシリル)エチニル]オキセタン-3-イル]プロパン-2-スルフィンアミド(7.00g、収率88%)が淡黄色油として得られた。LCMS(ESI,m/z):274[M+H]+
【0131】
塩酸(7.5mL、30.0mmol、2.05当量、1,4-ジオキサン中4M)を、2-メチル-N-[3-[2-(トリメチルシリル)エチニル]オキセタン-3-イル]プロパン-2-スルフィンアミド(4.00g、14.6mmol、1.00当量)及び1,4-ジオキサン(50mL)の混合物に加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。固体を濾過により回収し、PEで洗浄し、乾燥させて、3-[2-(トリメチルシリル)エチニル]オキセタン-3-アミン塩酸塩(2.70g、収率89%)を淡黄色固体として得た。LCMS(ESI,m/z):170[M+H-HCl]+
実施例4
化合物D
【化46】
【0132】
250mL容の丸底フラスコに、エチル3,5-ジメチル-1H-ピロール-2-カルボキシレート(10.0g、59.8mmol、1.00当量)及びジメチルスルホキシド(100mL)を入れた。KOH(5.03g、89.7mmol、1.50当量)を0℃で少しずつ添加した。混合物を室温で30分間撹拌した。ヨウ化メチル(10.2g、71.8mmol、1.20当量)を、室温で滴下して加えた。得られた溶液を、室温で4時間撹拌した。反応物を水(100mL)でクエンチし、EA(500mL)で希釈した。混合物をブライン(200mL)及び水(5×100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、エチル1,3,5-トリメチル-1H-ピロール-2-カルボキシレート(10.1g、収率92%)を白色固体として得た。LCMS(ESI,m/z):182[M+H]+
【0133】
100mL容の三つ口丸底フラスコに、エチル1,3,5-トリメチルピロール-2-カルボキシレート(2.00g、11.0mmol、1.00当量)、5-アミノ-2-フルオロベンゾニトリル(3.00g、22.1mmol、2.00当量)、及びテトラヒドロフラン(20mL)を、N2下で加えた。リチウムヘキサメチルジシラジド(33.0mL、33.0mmol、3.00当量、THF中1M)を0℃で上記混合物に滴下して加えた。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、飽和塩化アンモニウム溶液(50mL)で反応をクエンチした。混合物をEA(3×50mL)で抽出した。有機層を組み合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣をEA:ヘキサン(1:1)でトリチュレートすることによって精製し、濾過によって固体を回収して乾燥させ、N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-1,3,5-トリメチルピロール-2-カルボキサミド(2.50g、収率75%)を白色固体として得た。LCMS(ESI,m/z):272[M+H]+
【0134】
50mL容の三つ口丸底フラスコに、エチル1,3,5-トリメチル-1H-ピロール-2-カルボキシレート(2.50g、13.8mmol、1.00当量)及びジクロロメタン(100mL)を入れた。ジクロロメタン(20mL)中エチルオキサロクロリデート(2.82g、20.0mmol、1.50当量)を0℃で混合物に滴下して加えた。塩化アルミニウム(4.23g、31.7mmol、2.50当量)を、0℃で少しずつ添加した。溶液を室温で一晩撹拌し、反応物を水/氷でクエンチした。溶液をジクロロメタン(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、飽和重炭酸ナトリウム溶液(100mL)及び水(100mL)で洗浄した。混合物を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣をEA:ヘキサン(1:1)でトリチュレートすることによって精製し、濾過によって固体を回収して乾燥させ、エチル4-(2-エトキシ-2-オキソアセチル)-1,3,5-トリメチル-1H-ピロール-2-カルボキシレート(2.00g、収率56%)を白色固体として得た。LCMS(ESI,m/z):372[M+H]+
【0135】
50mL容の丸底フラスコに、エチル4-(2-エトキシ-2-オキソアセチル)-1,3,5-トリメチル-1H-ピロール-2-カルボキシレート(2.00g、5.39mmol、1.00当量)、水酸化リチウム(21.6mg、10.8mmol、2.00当量)、メタノール(50mL)及び水(10mL)を投入した。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。メタノールを減圧下で除去した。残渣を水(50mL)に溶解し、EA(3×20mL)で抽出した。水層のpH値を塩酸(1mol/L)で3に調整した。混合物をEA(3×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸塩で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、所望の生成物である2-(5-((3-シアノ-4-フルオロフェニル)カルバモイル)-1,2,4-トリメチル-1H-ピロール-3-イル)-2-オキソ酢酸(1.50g、収率81%)を白色固体として得た。LCMS(ESI,m/z):344[M+H]+
実施例5
化合物E
【化47】
【0136】
250mL容の丸底フラスコに、エチル3,5-ジメチル-1H-ピロール-2-カルボキシレート(10.0g、59.8mmol、1.00当量)及びジメチルスルホキシド(100mL)を入れた。KOH(5.03g、89.7mmol、1.50当量)を0℃で少しずつ添加した。混合物を室温で30分間撹拌した。ヨウ化メチル(10.2g、71.8mmol、1.20当量)を、上記の混合物に室温で滴下して加えた。得られた溶液を、室温で4時間撹拌した。反応物を水(100mL)でクエンチし、EA500mL)で希釈した。混合物をブライン(200mL)及び水(5×100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、エチル1,3,5-トリメチル-1H-ピロール-2-カルボキシレート(10.1g、収率92%)を白色固体として得た。LCMS(ESI,m/z):182[M+H]+
【0137】
2の不活性雰囲気がパージされ、維持された250mL容の丸底フラスコ内に、エチル1,3,5-トリメチルピロール-2-カルボキシレート(5.00g、27.6mmol、1.00当量)、4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)アニリン(7.40g、41.3mmol、1.50当量)、及びテトラヒドロフラン(50.00mL)を入れた。LiHMDS(80.0mL、80.0mmol、2.90当量、THF中1mol/L)を0℃で混合物に滴下して加えた。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、飽和塩化アンモニウム溶液(100mL)で反応をクエンチした。溶液をEA(3×100mL)で抽出した。有機層を組み合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、EA:ヘキサン(1:1)でトリチュレートすることによって精製した。固体を濾過によって回収し、乾燥させて、N-[4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,3,5-トリメチルピロール-2-カルボキサミド(9.00g、収率93%)を白色固体として得た。LCMS(ESI,m/z):315[M+H]+
【0138】
2の不活性雰囲気がパージされ、維持された250mL容の三つ口丸底フラスコ内に、N-[4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,3,5-トリメチルピロール-2-カルボキサミド(3.00g、9.55mmol、1.00当量)及びジクロロメタン(100mL)を入れた。ジクロロメタン(20mL)中エチルクロログリオキシレート(1.56g、11.5mmol、1.20当量)の溶液を、0℃で混合物に滴下して加えた。塩化アルミニウム(1.90g、14.3mmol、1.50当量)を、0℃で上記混合物に少しずつ添加した。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、氷/水(100mL)により反応をクエンチした。混合物をジクロロメタン(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、飽和重炭酸ナトリウム溶液(100mL)及び水(100mL)で洗浄し、無水ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、EA:PE(1:2)で溶出させると、エチル2-(5-[[4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]カルバモイル]-1,2,4-トリメチルピロール-3-イル)-2-オキソアセテート(2.00g、収率48%)が白色固体として得られた。LCMS(ESI,m/z):415[M+H]+
【0139】
100mL容の丸底フラスコに、エチル2-(5-[[4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]カルバモイル]-1,2,4-トリメチルピロール-3-イル)-2-オキソアセテート(2.00g、4.83mmol、1.00当量)、LiOH(0.231g、9.65mmol、2.00当量)、メタノール(50.00mL)、及び水(10.00mL)を投入した。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、水(100mL)で希釈した。混合物のpH値を塩酸(1mol/L)で3に調整した。混合物をEA(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(5-[[4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]カルバモイル]-1,2,4-トリメチルピロール-3-イル)(オキソ)酢酸(1.85g、収率94%)を白色固体として得た。LCMS(ESI,m/z):387[M+H]+
実施例6
化合物26
【化48】
【0140】
化合物D(1.00g、2.91mmol、1.00当量)、HATU(3.30g、8.68mmol、2.98当量)、1,2-ジクロロメタン(50mL)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.50mL、8.61mmol、2.96当量)、及び化合物C(0.900g、4.37mmol、1.50当量)の混合物を、室温で一晩撹拌した。反応物を水(200mL)でクエンチした。混合物をジクロロメタン(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層を水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をEA(50mL)でトリチュレートすることによって精製し、濾過によって固体を回収して乾燥させ、N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-1,3,5-トリメチル-4-[([3-[2-(トリメチルシリル)エチニル]オキセタン-3-イル]カルバモイル)カルボニル]ピロール-2-カルボキサミド(1.30g、収率90%)を白色固体として得た。LCMS(ESI,m/z):495[M+H]+
【0141】
N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-1,3,5-トリメチル-4-[([3-[2-(トリメチルシリル)エチニル]オキセタン-3-イル]カルバモイル)カルボニル]ピロール-2-カルボキサミド(1.30g、2.63mmol、1.00当量)、炭酸カリウム(1.10g、7.89mmol、3.00当量)、メタノール(5mL)、及びN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)の混合物を、室温で2時間撹拌した。固体を濾別した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣を水(100mL)でトリチュレートし、濾過によって固体を回収して乾燥させ、N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-4-[[(3-エチニルオキセタン-3-イル)カルバモイル]カルボニル]-1,3,5-トリメチルピロール-2-カルボキサミド(化合物26)(784.8mg、収率68%)を灰白色固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.53(s,1H)、9.75(s,1H)、8.20(dd,J=5.8,2.7Hz,1H)、7.95(ddd,J=8.0,4.7,2.6Hz,1H)、7.53(t,J=9.1Hz,1H)、4.72(d,J=6.6Hz,4H)、3.65(s,1H)、3.59(s,3H)、2.41(s,3H)、2.25(s,3H)。LCMS(ESI,m/z):423[M+H]+
実施例7
化合物31a及び31b
【化49】
【0142】
40mL容のバイアル瓶に、化合物A(240mg、1.97mmol、1.00当量)、1,2-ジクロロエタン(10mL)、化合物D(678mg、1.97mmol、1.00当量)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(751mg、1.97mmol、1.00当量)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(766mg、5.92mmol、3.00当量)を入れた。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、水(10mL)により反応をクエンチした。混合物をEA(3×10mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブライン(3×10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。生成物の混合物(360mg)を、プレキラルHPLC(カラム:CHIRALPAK IG、20×250mm、5μm、移動相A:Hex(8mmol/L NH3.MeOH)-HPLC、移動相B:EtOH--HPLC;流量:18mL/分;勾配:22分で50B~50B;254/220nm;RT1:12.491;RT2:17.162)によって分離した。UV吸光度(254nm)によって適切な画分を同定し、純粋な最初に溶出するエナンチオマーであるN-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-4-([[(2S)-1-ヒドロキシブタ-3-イン-2-イル]カルバモイル]カルボニル)-1,3,5-トリメチルピロール-2-カルボキサミド(125.6mg、0.306mmol)を白色固体として得た。LCMS(ES)m/z=411(M+H)+1H NMR(300MHz,DMSO-d6)δ10.52(s,1H)、9.05(d,J=8.2Hz,1H)、8.19(dd,J=5.8,2.7Hz,1H)、7.92-7.98(m,1H)、7.53(t,J=9.2Hz,1H)、5.13(t,J=5.9Hz,1H)、4.58-4.65(m,1H)、3.66-3.46(m,5H)、3.22(d,J=2.3Hz,1H)、2.39(s,3H)、2.24(s,3H)。
【0143】
2番目に溶出するエナンチオマーであるN-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-4-([[(2R)-1-ヒドロキシブタ-3-イン-2-イル]カルバモイル]カルボニル)-1,3,5-トリメチルピロール-2-カルボキサミド(133.5mg、0.326mmol)を、白色固体とて得た。LCMS(ES)m/z=411(M+H)+1H NMR(300MHz,DMSO-d6)δ10.52(d,J=3.5Hz,1H)、9.07(d,J=8.2Hz,1H)、8.28-8.11(m,1H)、7.92-7.98(m,1H)、7.60-7.45(m,1H)、5.14(s,1H)、4.61(s,1H)、3.57(s,5H)、3.21-3.23(m,1H)、2.39(d,J=4.0Hz,3H)、2.24(d,J=4.1Hz,3H)。
実施例8
化合物32
【化50】
【0144】
化合物B(200mg、1.10mmol、1.00当量)、化合物D(250mg、0.700mmol、0.67当量)、エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(320mg、1.70mmol、1.50当量)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(220mg、1.60mmol、1.50当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(220mg、1.70mmol、1.56当量)、及び1,2-ジクロロエタン(10mL)の混合物を、室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣をEA(50mL)に溶解し、水(3×20mL)で洗浄した。有機相を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を分取TLC(EA:PE=2:1)で精製して、N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-4-[([3-ヒドロキシ-1-[2-(トリメチルシリル)エチニル]シクロブチル]カルバモイル)カルボニル]-1,3,5-トリメチルピロール-2-カルボキサミド(170mg、収率46%)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.55(s,1H)、9.29(s,1H)、8.22(dd,J=5.8,2.7Hz,1H)、7.98(ddd,J=9.3,4.9,2.7Hz,1H)、7.56(t,J=9.1Hz,1H)、5.33(d,J=6.7Hz,1H)、4.14(q,J=7.2Hz,1H)、3.60(s,3H)、2.77(ddd,J=9.5,6.9,3.0Hz,2H)、2.43(s,3H)、2.28(s,3H)、2.22-2.10(m,2H)、0.14(s,9H)。LCMS(ESI,m/z):509[M+H]+
【0145】
N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-4-[([3-ヒドロキシ-1-[2-(トリメチルシリル)エチニル]シクロブチル]カルバモイル)カルボニル]-1,3,5-トリメチルピロール-2-カルボキサミド(170mg、0.30mmol、1.00当量)、メタノール(5mL)、及び炭酸カリウム(150mg、1.10mmol、3.22当量)の混合物を、室温で2時間撹拌した。固体を濾別した。濾液を減圧下で濃縮した。以下の勾配条件を使用して、残渣を分取HPLCによって精製した。カラム:XBridge C18 OBD Prepカラム、19mm×250mm;移動相A:水(0.05%TFA)、移動相B:THF--HPLC;流量:25mL/分;勾配:7分で25%~55%;220nm。精製によって、N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-4-[[(1-エチニル-3-ヒドロキシシクロブチル)カルバモイル]カルボニル]-1,3,5-トリメチルピロール-2-カルボキサミド(26.1mg、収率18%)が黄色固体として得られた。1H NMR(300MHz,DMSO-d6)δ10.50(s,1H)、9.26(s,1H)、8.20(dd,J=5.8,2.7Hz,1H)、8.03-7.91(m,1H)、7.53(t,J=9.2Hz,1H)、5.30(d,J=6.7Hz,1H)、4.15(q,J=7.3Hz,1H)、3.60(s,3H)、3.22(s,1H)、2.83-2.71(m,2H)、2.42(s,3H)、2.27(s,3H)、2.17(t,J=10.1Hz,2H)。LCMS(ESI,m/z):437[M+H]+
実施例9
化合物54
【化51】
【0146】
炭酸セシウム(9.78g、30mmol、3当量)を、化合物26(4.22g、10mmol)、ジ-tert-ブチルクロロメチルホスフェート(3.89g、15mmol、1.5当量)及びテトラブチルアンモニウムヨウ化物(738mg、2mmol、0.2当量)の無水DMSO(40mL)溶液に添加した。混合物を室温で一晩撹拌した後、水と酢酸エチルとに分配した。有機相を分離し、希釈ブラインで洗浄した(2×)。水相を酢酸エチルで逆抽出した。合わせた有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して黄色-ベージュ色の発泡体を得た(9g)。残渣を、40~100%酢酸エチル-ヘキサンでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ビス-tert-ブチルホスフェート中間体(1.72g、27%)を得た。
【0147】
前工程のビス-tert-ブチルホスフェート中間体(1.7g、2.6mmol)のIPA(10mL)溶液に、0.2M酢酸ナトリウム水溶液(6mL、1.2mmol、0.46当量)及び0.2M酢酸水溶液(2mL、0.4mmol、0.15当量)を添加した。混合物を55~60℃で3時間加熱した。室温まで冷却した後、混合物を2NのNaOH水溶液(3.1mL、6.2mmol)を用いて塩基性(pH8.5)にした。得られた溶液を減圧下で~8mLまで濃縮した。一部の沈殿物を濾別し、破棄した。濾液をアセトン(40mL)で希釈し、得られた混合物を4℃で一晩維持した。微細な結晶性固体が形成され、それを濾過によって回収してアセトンでリンスし、真空下で乾燥して、ナトリウム(2-(5-((3-シアノ-4-フルオロフェニル)カルバモイル)-1,2,4-トリメチル-1H-ピロール-3-イル)-N-(3-エチニルオキセタン-3-イル)-2-オキソアセタミド)メチルホスフェート(1.15g、76%)を得た。LC-MS:(ES,m/z):531[M-H]-1H NMR(400MHz,D2O)、δ7.94(m,1H)、7.74(m,1H)、7.31(dd,1H)、5.16(d,2H)、5.0(d,2H)、4.82(d,2H)、3.56(s,3H)、2.45(s,3H)、2.28(s,3H)。
実施例10
化合物73
【化52】
【0148】
化合物26(844mg、2mmol)及びクロロメチルイソブチレート(0.379mL、3mmol、1.5当量)のDMF(15mL)中、0℃の撹拌溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散体として176mg、4.4mmol、2.2当量)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌した後、塩化アンモニウムの半飽和水溶液と酢酸エチルとに分配した。有機相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。[[2-[5-[(3-シアノ-4-フルオロ-フェニル)カルバモイル]-1,2,4-トリメチル-ピロール-3-イル]-2-オキソ-アセチル]-(3-エチニルオキセタン-3-イル)アミノ]メチル2-メチルプロパノエート(化合物73、530mg、50.8%)を、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中5~25%酢酸エチル)によって単離し、続いてイソプロピルアセテートから晶析させた。LC-MS:(ES,m/z):523[M+H)]+1H NMR(400MHz,DMSO-d6),δ10.6(bs,1H)、8.22(dd,1H)、7.98(m,1H)、7.55(dd,1H)、5.47(s,2H)、4.93(d,2H)、4.65(d,2H)、3.71(s,1H)、3.62(s,3H)、2.48(m,1H)、2.45(s,3H)、2.28(s,3H)、1.05(d,6H)。
実施例11
化合物77
【化53】
【0149】
[[2-[5-[(3-シアノ-4-フルオロ-フェニル)カルバモイル]-1,2,4-トリメチル-ピロール-3-イル]-2-オキソ-アセチル]-(3-エチニルオキセタン-3-イル)アミノ]メチル2,2-ジメチルプロパノエートを、クロロメチルイソブチレートの代わりに塩化ピバロイルを用いて、実施例10に記載されるように合成した。化合物77(800mg、74.6%)をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中5~25%酢酸エチル)によって単離し、続いて酢酸エチル:ヘキサンから晶析させた。LC-MS:(ES,m/z):537[M+H)]+1H NMR(400MHz,DMSO-d6),δ10.6(bs,1H)、8.21(dd,1H)、7.97(m,1H)、7.55(dd,1H)、5.46(s,2H)、4.93(d,2H)、4.66(d,2H)、3.73(s,1H)、3.62(s,3H)、2.45(s,3H)、2.28(s,3H)、1.07(s,9H)。
実施例12
化合物78
【化54】
【0150】
[[2-[5-[(3-シアノ-4-フルオロ-フェニル)カルバモイル]-1,2,4-トリメチル-ピロール-3-イル]-2-オキソ-アセチル]-(3-エチニルオキセタン-3-イル)アミノ]メチルイソプロピルカルボネートを、クロロメチルイソブチレートの代わりにクロロメチルイソプロピルカルボネートを用いて、実施例10に記載されるように合成した。化合物78(770mg、71.6%)をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中5~30%酢酸エチル)によって単離し、続いて酢酸エチル:ヘキサンから晶析させた。LC-MS:(ES,m/z):539[M+H)]+1H NMR(400MHz,DMSO-d6),δ10.6(bs,1H)、8.22(dd,1H)、7.98(m,1H)、7.56(dd,1H)、5.49(s,2H)、4.92(d,2H)、4.71(m,1H)、4.65(d,2H)、3.71(s,1H)、3.62(s,3H)、2.44(s,3H)、2.27(s,3H)、1.20(d,6H)。
実施例13
化合物66B
【化55】
【0151】
90%ヒドロキシアセトン(16.59g)及び4-ジメチルアミノピリジン(1.37g、0.05当量)を反応器内で合わせ、ジクロロメタン(100mL)で希釈した。tert-ブチルジフェニルシリルクロリド(63.40g、1.03当量)を添加し、次いでジクロロメタン(230mL)でリンスした。溶液を室温の水浴によって冷却し、トリエチルアミン(36mL、1.15当量)を1分かけて添加しながら撹拌した。3分後、固体は沈殿し始めた。18時間後、混合物を濃縮し、ヘキサン(350mL)及び水(200mL)を添加した。水相を分液漏斗によって除去した。有機相を水(2×150mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、1-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)プロパン-2-オン(72.62g)を得た。1H NMR(CDCl3,400MHz):δ7.70(4H,d)、7.47(6H,m)、4.20(2H,s)、2.22(3H,s)、1.13(9H,s)。
【0152】
(R)-(+)-2-メチル-2-プロパンスルフィンアミド(18.47g、1.0当量)、1-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)プロパン-2-オン(47.62g、1.0当量)、及びトルエン(500mL)をAr下の反応器内で混合した。チタンテトライソプロパノアート(75.8g、1.75当量)を加え、次いで混合物をトルエン(400mL)でリンスした。溶液を100℃で23時間加熱した。室温まで冷却した後、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)を添加し、混合物を2分間撹拌した。得られたスラリーをCeliteを通して濾過し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶液を褐色液体まで濃縮し、これを酢酸エチル-ヘキサン勾配を用いる順相シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、生成物であるスルフィンイミンを赤色油として得た(13.8g)。生成物をトルエン(90mL)に溶解させた後、反応フラスコの上の添加漏斗に乗せた。反応フラスコにトリメチルシリルアセチレン(9.78g、3.0当量)及びトルエン(230mL)を入れた。Ar雰囲気を確立し、混合物を撹拌し、ドライアイス-アセトン浴で冷却した。ヘキサン中2.5M n-ブチルリチウム(33.1mL、2.5当量)を、-61℃の内部温度未満で添加した。1時間10分撹拌した後、スルフィンイミン溶液を1時間かけて添加し、この間内部温度を-67℃未満に維持した。混合物を1.5時間撹拌した後、冷却浴から外した。室温水浴への浸漬により反応物が0℃に加温されたときに、混合物は、周囲の空気の作用により-20℃までゆっくりと加温される。水(20mL)を添加し、混合物を2分間撹拌した。続いて、混合物を、Celiteを通して濾過した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮すると、褐色油(16.8g)が得られ、これを、ジクロロメタン-酢酸エチル勾配を用いる順相シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(R)-N-((S)-1-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-2-メチル-4-(トリメチルシリル)ブタ-3-イン-2-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(6.00g)を橙色油として得た。1H NMR(CDCl3,400MHz):δ7.75(4H,m)、7.45(6H,m)、3.90(1H,s)、3.80(1H,d)、3.60(1H,d)、1.50(3H,s)、1.25(9H,s)、1.10(9H,s)、0.20(9H,s)。
【0153】
(R)-N-((S)-1-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-2-メチル-4-(トリメチルシリル)ブタ-3-イン-2-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(6.00g、1.0当量)を、1,4-ジオキサン(70mL)、続いて1,4-ジオキサン中4M HCl(12mL)(4.1当量)に溶解した。この溶液を1時間撹拌した後、濃縮した。トルエン(75mL)を添加し、溶液を濃縮した。濃縮物に、2-(5-((4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)カルバモイル)-1,2,4-トリメチル-1H-ピロール-3-イル)-2-オキソ酢酸(4.50g、1.0当量)、HATU(6.47g、1.46当量)、N,N-ジメチルホルムアミド(250mL)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(17.8mL、9.0当量)を加えた。この溶液を21時間撹拌した後、濃縮した。酢酸エチル(250mL)を添加した。得られた溶液を水(100mL)及びブライン(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、ジクロロメタン(60mL)と混合した。スラリーを濾過した。濾液を濃縮し、酢酸エチル-ヘキサン勾配を用いる順相シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、生成物(7.58g)を黄色発泡体として得た。1H NMR(CDCl3,400MHz):δ7.90(1H,m)、7.77(5H,m)、7.63(1H,s)、7.43(6H,m)、7.25(2H,m)、3.91(1H,d)、3.85(1H,d)、3.71(3H,s)、2.41(6H,s)、1.71(3H,s)、1.12(9H,s)、0.20(9H,s)。LC-MS:(ES,m/z):778[M+1]。
【0154】
出発物質(7.58g)をTHF(75mL)に溶解し、THF中1.0Mフッ化テトラブチルアンモニウム(24mL、2.5当量)を添加した。この溶液を2時間撹拌した後、濃縮した。濃縮物を酢酸エチル(100mL)に溶解した。得られた溶液を水(3×50mL)及びブライン(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して黄色油を得た(7.3g)。この油を、酢酸エチル-ヘキサン勾配を用いる順相シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して黄色発泡体(4.11g)を得て、これをDMF(30mL)に溶解した。ゆっくりと水(30mL)を添加しながら混合物を撹拌した。白色固体の結晶化は3分後に開始した。現れたスラリーの撹拌を1時間継続した後、氷浴中で0.5時間冷却した。スラリーを濾過し、2:1の水:DMF(10mL)、続いて水(20mL)で洗浄した。濾過ケークを65℃の真空下で乾燥させ、(S)-N-(4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-4-(2-((1-ヒドロキシ-2-メチルブタ-3-イン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセチル)-1,3,5-トリメチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド(3.46g)を白色粉末として得た。1H NMR(CDCl3,400MHz):δ10.50(1H,s)、8.47(1H,s)、8.22(1H,m)、7.99(1H,m)、7.51(1H,t)、5.20(1H,t)、3.70(1H,m)、3.60(3H,s)、3.58(1H,m)、3.21(1H,s)、2.42(3H,s)、2.30(3H,s)、1.51(3H,s)。LC-MS:(ES,m/z):468[M+1]。αD 20 20.6℃(c=1.03、MeOH)。
実施例14
化合物66A
【化56】
【0155】
(S)-(+)-2-メチル-2-プロパンスルフィンアミド(4.82g、1.0当量)、1-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)プロパン-2-オン(12.43g、1.0当量)、及びトルエン(310mL)をAr下の反応器内で混合した。チタンテトライソプロパノアート(13.57g、1.20当量)を加え、次いで残渣をトルエン(400mL)でリンスした。得られた溶液を100℃で18時間加熱した。室温まで冷却した後、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(13mL)を添加し、混合物を5分間撹拌した。得られたスラリーをCeliteを通して濾過し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶液を濃縮して褐色液体(16.5g)を得、これを酢酸エチル-ヘキサン勾配を用いる順相シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、生成物であるスルフィンイミン(6.07g)を橙色油として得た。この油をトルエン(50mL)に溶解させ、反応フラスコの上の添加漏斗に乗せた。反応フラスコにトリメチルシリルアセチレン(4.30g、3.0当量)及びトルエン(195mL)を入れ、アルゴン雰囲気を確立した。混合物を撹拌し、ドライアイス-アセトン浴で冷却した。ヘキサン中2.5M n-ブチルリチウム(14.6mL、2.5当量)を、-63℃の内部温度未満で添加した。1時間10分撹拌した後、溶液を-20℃に2分間温めた。混合物を-67℃未満に冷却しながら、スルフィンイミン溶液を14分かけて添加した。混合物を、-73~(-67)℃で1時間撹拌した後、冷却浴から外した。室温水浴への浸漬を用いて反応物が0℃に加温されたときに、内容物が周囲の空気の作用により-40℃までゆっくりと加温される。水(10mL)を添加した。混合物を5分間撹拌した後、Celiteを通して濾過した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、橙色油(7.55g)を得て、これを順相シリカゲルクロマトグラフィー及び酢酸エチル-ヘキサン勾配を用いて部分的に精製し、橙色油(4.10g)を得た。この油を、順相シリカゲルクロマトグラフィー及び酢酸エチル-ジクロロメタン勾配を用いて更に精製し、(S)-N-((R)-1-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-2-メチル-4-(トリメチルシリル)ブタ-3-イン-2-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(1.93g)を黄色油として得た。1H NMR(CDCl3,400MHz):δ7.75(4H,m)、7.45(6H,m)、3.90(1H,s)、3.80(1H,d)、3.60(1H,d)、1.50(3H,s)、1.25(9H,s)、1.10(9H,s)、0.20(9H,s)。
【0156】
(S)-N-((R)-1-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-2-メチル-4-(トリメチルシリル)ブタ-3-イン-2-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(1.93g、1.0当量)を1,4-ジオキサン(40mL)で希釈した後、1,4-ジオキサン中4M塩化水素(4mL、4.3当量)を加えた。この溶液を3時間撹拌した後、濃縮した。濃縮物に、2-(5-((4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)カルバモイル)-1,2,4-トリメチル-1H-ピロール-3-イル)-2-オキソ酢酸(1.21g、0.83当量)、HATU(1.79g、1.25当量)、N,N-ジメチルホルムアミド(75mL)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.2mL、6.42当量)を加えた。この溶液を16時間撹拌した後、濃縮した。酢酸エチル(75mL)を添加した。溶液を水(30mL)及びブライン(25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、赤色固体(5.6g)まで濃縮し、これを酢酸エチル-ヘキサン勾配を用いる順相シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、生成物であるアミドを黄色発泡体として得た(2.57g)。1H NMR(CDCl3,400MHz):δ7.90(1H,m)、7.77(5H,m)、7.63(1H,s)、7.43(6H,m)、7.25(2H,m)、3.91(1H,d)、3.85(1H,d)、3.71(3H,s)、2.41(6H,s)、1.71(3H,s)、1.12(9H,s)、0.20(9H,s)。LC-MS:(ES,m/z):778[M+1]。
【0157】
出発物質(2.57g)をTHF(25mL)に溶解し、THF中1.0Mフッ化テトラブチルアンモニウム(8.2mL、2.5当量)を添加した。この溶液を1.5時間撹拌した後、濃縮した。濃縮物を酢酸エチル(30mL)に溶解した。溶液を水(3×20mL)、次いでブライン(15mL)で洗浄した。溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、黄色油(2.6g)まで濃縮して、これをび酢酸エチル-ヘキサン勾配を用いる順相シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、黄色ワックス(1.4g)を得た。このワックスをジクロロメタン(80mL)に溶解させた後、温めて全ての固体を溶解した。混合物を熱から外し、次いで溶液をゆっくりと冷却しながら撹拌した。1.5時間かけてスラリーが生じた。混合物を氷浴中で1時間冷却した後、濾過した。濾過ケークを氷冷ジクロロメタンで洗浄した後、60℃の真空下で乾燥させ、(R)-N-(4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-4-(2-((1-ヒドロキシ-2-メチルブタ-3-イン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセチル)-1,3,5-トリメチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド(0.90g)を白色粉末として得た。1H NMR(CDCl3,400MHz):δ10.50(1H,s)、8.47(1H,s)、8.22(1H,m)、7.99(1H,m)、7.51(1H,t)、5.20(1H,t)、3.70(1H,m)、3.60(3H,s)、3.58(1H,m)、3.21(1H,s)、2.42(3H,s)、2.30(3H,s)、1.51(3H,s)。LC-MS:(ES,m/z):468[M+1]。αD 20-22.4℃(c=0.98、MeOH)。
実施例15
化合物165a及び165b
【化57】
【0158】
DCM(3mL)中(R)-N-(4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-4-(2-((1-ヒドロキシ-2-メチルブタ-3-イン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセチル)-1,3,5-トリメチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド(233.5mg、0.5mmol)、及びピリジン(0.2mL)の撹拌溶液に、塩化イソブチリル(0.126mL、1.2mmol)を加えた。反応物を40℃まで加温し、一晩撹拌した。反応をメタノールでクエンチした後、混合物を酢酸イソプロピルと1Mリン酸二水素ナトリウムとに分配した。有機層を分離し、溶媒を減圧下で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(20~50%酢酸エチル-ヘキサン)により精製し、165a(192mg、71%)を淡黄色発泡体として得た。LC-MS:(ES,m/z):538.4[M+H]。1H NMR(CDCl3,400MHz):δ7.91(m,1H)、7.77(m,1H)、7.65(br.s,1H)、7.22(dd,1H)、7.17(br.s,1H)、4.46(dd,2H)、3.73(s,3H)、2.65(m,1H)、2.46(s,1H)、2.42(s.,3H)、2.41(s,3H)、1.75(s,3H)、1.22(d,6H)。
【0159】
(S)-N-(4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-4-(2-((1-ヒドロキシ-2-メチルブタ-3-イン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセチル)-1,3,5-トリメチル-1H-ピロール-2-カルボキサミドを用いて、(R)-エナンチオマーについて記載したように(S)-エナンチオマーを合成した。LC-MS:(ES,m/z):538.4[M+H]。
実施例16
化合物166a及び166b
【化58】
【0160】
塩化イソブチリルの代わりに塩化ピバロイルを用いて、実施例15に記載の手順に従って、親アルコール(233mg、0.5mmol)から化合物166a及び166bを合成した。166a(237mg、86%)。LC-MS:(ES,m/z):552.5[M+H]。1H NMR(CDCl3,400MHz):δ7.91(m,1H)、7.77(m,1H)、7.65(br.s,1H)、7.23(dd,1H)、7.16(br.s,1H)、7.44(dd,2H)、3.72(s,3H)、2.45(s,1H)、2.42(s,3H)、2.40(s,3H)、1.75(s,3H)、1.26(s,9H)。166b LC-MS:(ES,m/z):552.5[M+H]。
実施例17
化合物167a及び167b
【化59】
【0161】
アセトニトリル(3mL)中Boc-L-バリン(214mg、0.99mmol)の撹拌溶液にカルボニルジイミダゾール(160mg、0.99mmol)を添加した。1時間後、イミダゾリドの溶液を、(S)-N-(4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-4-(2-((1-ヒドロキシ-2-メチルブタ-3-イン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセチル)-1,3,5-トリメチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド(307mg、0.66mmol)、DIPEA(0.343mL、1.97mmol)、及びDMAP(16mg、0.13mmol)のアセトニトリル(2mL)溶液に加えた。反応を室温で1時間進行させた後、水で反応をクエンチした。溶液を、酢酸イソプロピル及び1Mリン酸二水素ナトリウム中に取り出した。有機相を分離し、重炭酸ナトリウムで洗浄し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(20~50%酢酸エチル-ヘキサン)により精製して、Boc保護中間体を黄色がかった発泡体として得て、これを酢酸エチル(4mL)に溶解した。溶液をジオキサン中4M塩化水素溶液(1.9mL、7.6mmol)で処理した。3.5時間後、混合物を減圧下で濃縮し、残渣をMTBE(5mL)でトリチュレートした。得られた固体を濾過により単離した。濾過ケークをMTBEでリンスし、生成物(370mg、93%)を真空下で乾燥させた。LC-MS:(ES,m/z):567.7[M-HCl+H]。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ:10.58(s,1H)、9.00(s,1H)、8.45(br.s,3H)、8.23(m,1H)、7.98(m,1H)、7.53(dd,1H)、4.53(dd,2H)、3.53(s,3H)、3.48(s,1H)、2.43(s,3H)、2.26(s,3H)、1.60(s,3H)、1.03-0.93(m,7H)。
【0162】
(R)-N-(4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-4-(2-((1-ヒドロキシ-2-メチルブタ-3-イン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセチル)-1,3,5-トリメチル-1H-ピロール-2-カルボキサミドを用いて、(S)-エナンチオマーについて記載したように(R)-エナンチオマーを得た。LC-MS:(ES,m/z):567.7[M-HCl+H]。
実施例18
化合物168a及び168b
【化60】
【0163】
THF(100mL)及びピリジン(2.44mL、31mmol)中、(S)-N-(4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-4-(2-((1-ヒドロキシ-2-メチルブタ-3-イン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセチル)-1,3,5-トリメチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド(4.82g、10.4mmol)の0℃で撹拌した溶液に、オキシ塩化リン(2.88mL、31mmol)を加えた。混合物を0℃で1時間撹拌した後、水(30mL)で反応をクエンチした。混合物を室温まで加温し、1時間撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、溶液を水(3×)で洗浄した。有機相を濃縮乾固させ、残渣をイソプロパノール(100mL)に溶解した。NaOH水溶液(2M)を、pH~8.5までゆっくり添加した(9.7mL)。NaOHの添加により沈殿物が形成され、それを濾過により単離した。濾過ケークをイソプロパノールでリンスし、真空下で乾燥させて、生成物(5.19g、83%)を得た。LC-MS:(ES,m/z):548.1[M-2Na+3H]。1H NMR(400MHz,D2O)δ:7.83(m,H)、7.66(m,1H)、7.31(dd,1H)、3.91(split dd,2H)、3.54(s,3H)、2.80(s,1H)、2.40(s,3H)、2.29(s,3H)、1.61(s,3H)。31P NMR(162MHz,D2O)δ:4.08(s)。
【0164】
(R)-N-(4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-4-(2-((1-ヒドロキシ-2-メチルブタ-3-イン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセチル)-1,3,5-トリメチル-1H-ピロール-2-カルボキサミドを用いて、(S)-エナンチオマーについて記載したように(R)-エナンチオマーを得た。LC-MS:(ES,m/z):548.1[M-2Na+3H]。
実施例19
【0165】
上記の実施例に記載されるものと同様の手順及び出発物質に従って、以下の化合物を作製した。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【表1-18】
【表1-19】
【表1-20】
実施例20
追加の化合物
【0166】
前述の合成は例示的なものであり、多数の追加の化合物を調製するための出発点として使用することができる。本明細書に示され記載されるこれらの合成スキームを含む様々な方法で調製することができる式(I)の化合物の例を以下に提供する。当業者であれば、開示される合成の変更を認識し、本明細書の開示に基づいて経路を考案することができるものであり、このような修正及び代替経路は全て、特許請求の範囲内である。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
実施例A
HepG2.2.15細胞を使用したHBV-DNA抗ウイルスアッセイ
【0167】
以下のアッセイ手順は、HBV抗ウイルスアッセイを説明する。このアッセイは、HBVゲノムでトランスフェクトされたHepG2.2.15細胞、及びエンドポイントとして細胞外HBV DNAの定量化を使用する。細胞生存率は、PromegaからのCellTiter-Glo(登録商標)試薬を使用して、細胞内ATP含量を測定することによって、並行して評価される。
【0168】
0日目に、HepG2.2.15細胞を、96ウェルプレートに、6.0x104細胞/ウェルの密度(0.1mL/ウェル)で播種した。細胞を37℃及び5%CO2でインキュベートした。
【0169】
1日目に、試験品を希釈し、細胞培養ウェル(2つ組で、8つの濃度、4倍希釈)に添加した。GLS4、テノホビル、及びソラフェニブを参照化合物として使用した。化合物を含有する100μLの培養培地をプレートに添加し、ウェルあたりの最終全体積を200μLとした。培養培地中のDMSOの最終濃度は0.5%であった。化合物処理のプレートマップを以下に示す。細胞を37℃及び5%CO2で3日間培養した。
【化61】
【0170】
4日目に、化合物を含む培養培地でプレートをリフレッシュした。
【0171】
7日目に、CellTiter-Glo(登録商標)を使用して細胞生存率を評価し、細胞培養の上清を、qPCRによるHBV DNAの決定のために回収した。
qPCRによるHBV DNAの定量化
【0172】
細胞外DNAを、製造業者のマニュアルによりQIAamp 96 DNA Blood Kitを用いて単離した。次いで、ABI-7900HTで、RocheからのFastStart Universal MasterMixを使用して、表1に指定されるHBV特異的プライマー及びプローブを用いて、qPCRによりHBV DNAを定量化した。PCRサイクルプログラムは、95℃で10分間、続いて95℃で15秒間及び60℃で1分間の40サイクルからなった。
【表3】
【0173】
DNA標準を、10~1×107コピー/μLの範囲の濃度でpAAV2 HBV1.3プラスミドを希釈することにより調製し、Ct値対HBVプラスミドDNA標準の濃度をプロットすることによって標準曲線を生成するために使用した。各試料中のHBV DNAの量を、標準曲線から内挿することによって決定した。
細胞生存率
【0174】
上清を採取した後、細胞生存率を製造業者のマニュアルに従ってCellTiter-Glo(登録商標)により検出した。簡潔に述べると、50μLの新しい細胞培養培地を培養プレートに添加し、続いて各ウェルに50μLのCellTiter-Gloを添加した。プレートを室温で10分間インキュベートした。発光シグナルを、BioTek Synergy 2プレートリーダー上に収集した。
データ分析
【0175】
細胞生存率を以下のように計算した:%細胞生存率=(試験試料の発光値-ブランクの平均発光値)/(0.5%DMSO対照の平均発光値-ブランクの平均発光)×100%。HBV DNA阻害を以下のように計算した:100-(試験試料のHBV DNAコピー数-ETVのHBV DNAコピー数)/0.5%DMSO対照のHBV DNAコピー数-ETVのHBV DNAコピー数)×100%。CC50、EC50、及びEC90値は、「log(アゴニスト)対応答-可変勾配」を使用して、GraphPad Prismにより適合された用量応答曲線によって決定された。
【0176】
式(I)の化合物は、表2に示すようにHBVに対して活性であり、ここで、「A」は、EC50<1nMを示し、「B」は、EC50≧1nMかつ<10nMを示し、「C」は、EC50≧10nMかつ<100nMを示し、「D」は、EC50≧100nMかつ<1000nMを示し、「E」は、EC50>1000nMを示す。
【表4-1】
【表4-2】
【0177】
上文は、明確さと理解のために、図及び実施例としてある程度詳細に記述されているが、本開示の趣旨を逸脱することなく数多くの様々な修正がなされ得ることが、当業者によって理解される。したがって、本明細書に開示される形態は例示にすぎず、本開示の範囲を限定することは意図されていないが、それどころか本発明の真の範囲及び趣旨に沿った全ての修正及び代替案を包含することも明確に理解するべきである。
【国際調査報告】