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特表2022-522325電子通信要素と共に使用される通信装置、電子通信要素、及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-18
(54)【発明の名称】電子通信要素と共に使用される通信装置、電子通信要素、及びその使用
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20220411BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20220411BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20220411BHJP
   H04B 1/59 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
G06K7/10 244
G06K7/10 240
G06K19/07 040
G06K19/07 100
G06K19/07 160
G06K19/07 230
G06K19/077 200
H04B1/59
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536071
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-08-18
(86)【国際出願番号】 EP2018085985
(87)【国際公開番号】W WO2020125980
(87)【国際公開日】2020-06-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504104899
【氏名又は名称】アレス トレーディング ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】アレサンドロ マコル
(72)【発明者】
【氏名】ウィム サエレン
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ ヘンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】ペーター レルフ
(57)【要約】
中央ユニット(3)と、通信要素(20)と、を有する通信システム(1)について記述されている。中央ユニット(3)は、少なくとも1つのアンテナ(4)と、RF信号を送信するように構成されたトランスミッタ(6)と、後方散乱したRF信号を受け取るように構成されたレシーバ(8)と、を有する。通信要素(20)は、RFアンテナ(22)と、RF信号を後方散乱するように構成された変調器(23)と、を有する。通信要素(20)は、後方散乱したRF信号をスペクトル拡散後方散乱RF信号に変調するための手段と、パワーを供給するための手段と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムであって、
a.少なくとも1つのRFアンテナ、RF信号を送信するように構成されたトランスミッタ、及び後方散乱したRF信号を受け取るように構成されたレシーバを有する中央ユニットと、
b.RFアンテナを有する、且つ、前記中央ユニットから放出された前記RF信号の後方散乱により、データを前記中央ユニットに送信するように構成された、通信要素と、
を有し、
前記通信要素は、前記後方散乱したRF信号をスペクトル拡散後方散乱RF信号に変調するための変調器を有し、且つ、前記中央ユニットは、前記スペクトル拡散後方散乱RF信号を逆拡散するための手段を有し、且つ、前記通信要素は、パワーを供給するための手段を有する、システム。
【請求項2】
前記中央ユニットの前記トランスミッタは、低位相ノイズ信号ソースを有する請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記中央ユニットは、2アンテナ構成、高域通過フィルタ、並びに、アナログ及びデジタルから選択された搬送波キャンセル自己干渉軽減の1つ又は複数を更に有する請求項1又は2のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項4】
前記スペクトル拡散後方散乱RF信号は、ダイレクトシーケンススペクトル拡散後方散乱RF信号である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記通信システムは、低データ帯域幅を使用している請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記中央ユニットの前記RFアンテナは、等方性アンテナである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記通信要素上のRFアンテナは、非等方性である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項8】
前記中央ユニットと前記通信要素の間の動作レンジは、少なくとも50m、任意選択により、少なくとも65m、又は、任意選択により、少なくとも100mである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項9】
前記通信要素は、例えば、水晶発振器などの更なる高精度発振器の使用を伴うことなしに、従来の集積回路の一部分として実装された発振器を有する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項10】
前記通信要素は、処理ユニットを更に有する請求項1乃至9のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項11】
前記通信要素は、メモリ手段を更に有する請求項1乃至10のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項12】
前記メモリ手段は、例えば、前記通信要素上のメモリチップ又は統合されたメモリなどの、印刷されたメモリ及びシリコン半導体に基づいたメモリから選択されている請求項11に記載の通信システム。
【請求項13】
前記通信要素又はその一部分は、印刷技術を使用して製造されており、例えば、前記通信要素は、印刷された電子回路を有する請求項1乃至12のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項14】
前記通信要素内においてパワーを供給する前記手段は、電池、スーパーキャパシタ、及びエネルギー採取手段の1つ又は複数を有する請求項1乃至13のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項15】
前記パワーを供給する手段は、例えば、印刷された電池などの、印刷された手段である請求項14に記載の通信システム。
【請求項16】
前記通信要素は、前記反射された後方散乱RF信号に対する二位相偏移変調又は二振幅偏移変調を使用した変調により、前記後方散乱RF信号を変調するように構成された変調器を更に有する請求項1乃至15のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項17】
前記通信要素は、レシーバを更に有し、且つ、前記中央ユニットからの前記送信信号は、データを更に含み、このデータは、前記通信要素内の前記レシーバによって受け取られている請求項1乃至16のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項18】
前記通信要素に動作自在に接続された1つ又は複数のセンサを更に有する請求項1乃至17のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項19】
前記1つ又は複数のセンサは、湿度センサ、温度センサ、完全性センサ、及び光強度センサから構成された群から選択されている請求項18に記載の通信システム。
【請求項20】
ユーザーインターフェイスを更に有する請求項1乃至19のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項21】
前記ユーザーインターフェイスは、ボタン、タッチセンサ、LED、及びディスプレイから選択されている請求項20に記載の通信システム。
【請求項22】
通信要素であって、
a.RFアンテナと、
b.前記アンテナに入射するRF信号の後方散乱により、データを中央ユニットに送信するように構成された手段と、
c.パワーを供給するための手段と、
d.スペクトル拡散後方散乱RF信号を取得するべく、前記後方散乱したRF信号を変調するための変調器と、
を有する要素。
【請求項23】
メモリ手段を更に有する請求項22に記載の通信要素。
【請求項24】
前記メモリ手段は、例えば、前記通信要素上のメモリチップ又は統合されたメモリなどの、印刷されたメモリ及びシリコン半導体に基づいたメモリから選択されている請求項23に記載の通信要素。
【請求項25】
処理ユニットを更に有する請求項22乃至24のいずれか1項に記載の通信要素。
【請求項26】
印刷された電子回路を有する請求項22乃至25のいずれか1項に記載の通信要素。
【請求項27】
前記通信要素内においてパワーを供給するための前記手段は、電池、スーパーキャパシタ、及びエネルギー収穫手段の1つ又は複数を有する請求項22乃至26のいずれか1項に記載の通信要素。
【請求項28】
前記パワーを供給する手段は、例えば、印刷された電池などの、印刷された手段である請求項27に記載の通信要素。
【請求項29】
前記変調器は、ダイレクトシーケンススペクトル拡散変調により、前記後方散乱RF信号を変調するように構成されている請求項22乃至28のいずれか1項に記載の通信要素。
【請求項30】
前記メモリ手段は、通信インターフェイスを通じて前記通信ラベル上においてデータを保存及び読み取り/書き込みするための手段を有する請求項22乃至29のいずれか1項に記載の通信要素。
【請求項31】
前記通信要素に動作自在に接続された1つ又は複数のセンサを更に有する請求項22乃至30のいずれか1項に記載の通信要素。
【請求項32】
前記1つ又は複数のセンサは、湿度センサ、温度センサ、完全性センサ、及び光強度センサから構成された群から選択されている請求項31に記載の通信要素。
【請求項33】
タイマメカニズムを更に有する請求項22乃至32のいずれか1項に記載の通信要素。
【請求項34】
ユーザーインターフェイスを更に有する請求項22乃至33のいずれか1項に記載の通信要素。
【請求項35】
前記ユーザーインターフェイスは、ボタン、タッチセンサ、LED、及びディスプレイから選択されている請求項34に記載の通信要素。
【請求項36】
前記通信要素は、コンシューマブル又は薬品のパッケージの一体的部分である請求項22乃至35のいずれか1項に記載の通信要素。
【請求項37】
中央ユニットであって、
a.少なくとも1つのRFアンテナと、
b.RF信号を送信するように構成されたトランスミッタと、
c.後方散乱したRF信号を受け取るように構成されたレシーバと、
d.スペクトル拡散変調後方散乱RF信号を逆拡散するための手段と、
を有するユニット。
【請求項38】
前記逆拡散する手段は、ダイレクトシーケンススペクトル拡散変調後方散乱RF信号を逆拡散するように構成されている請求項37に記載の中央ユニット。
【請求項39】
二位相偏移変調又は二振幅偏移変調によって変調された後方散乱RF信号を復調するための手段を更に有する請求項37又は38に記載の中央ユニット。
【請求項40】
前記中央ユニットの前記トランスミッタは、低位相ノイズ信号ソースを有する請求項37乃至39のいずれか1項に記載の中央ユニット。
【請求項41】
2アンテナ構成、高域通過フィルタ、及びアナログ及びデジタルから選択された搬送波キャンセル自己干渉軽減の1つ又は複数を更に有する請求項37乃至40のいずれか1項に記載の中央ユニット。
【請求項42】
前記通信要素は、処理ユニットを更に有する請求項37乃至41のいずれか1項に記載の中央ユニット。
【請求項43】
前記送信されたRF信号を変調するように構成された変調器を更に有する請求項37乃至42のいずれか1項に記載の中央ユニット。
【請求項44】
前記変調器は、二振幅偏移変調により、前記送信されたRF信号を変調するように構成されている請求項43に記載の中央ユニット。
【請求項45】
ユーザーインターフェイスを更に有する請求項37乃至44のいずれか1項に記載の中央ユニット。
【請求項46】
前記ユーザーインターフェイスは、ボタン、タッチセンサ、LED、及びディスプレイから選択されている請求項45に記載の中央ユニット。
【請求項47】
その他のローカル装置及び/又はクラウドサービスに動作自在に接続するための手段を更に有する請求項37乃至46のいずれか1項に記載の中央ユニット。
【請求項48】
請求項1乃至21のいずれか1項に記載の通信システムを使用する、中央ユニットとコンシューマブル又は薬品容器の間において情報を送信する方法。
【請求項49】
前記医薬品容器は、バイアル、ブリスターパック、シリンジ、カートリッジ、及び薬剤供給装置から選択されている請求項48に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後方散乱技術に基づいた、例えば、ラベル又はタグなどの、電子通信要素を含む通信システムに関する。更に詳しくは、本発明は、自宅環境におけるコンシューマブルの識別、認識、及び登録において使用される、コンシューマブルに装着された高周波識別(RFID:Radio Frequency IDentification)技術に基づいた、例えば、ラベル又はタグなどの、システム及び通信要素に関する。
【背景技術】
【0002】
クラウドに対する安価で廃棄可能な装置の接続が、大きな関心を集めている。最終的に、望ましい患者の結果を改善するべく、例えば、薬剤のパッケージ、或いは、オートインジェクタなどの薬剤供給装置を接続することにより、自宅内環境における患者の順守状況が遠隔監視され、且つ、処置が施されている。これらの用途の多くを可能にするには、通信解決策は、患者の側において更なるアクションが再実行されることを必要とすることなしに、シームレスに稼働する必要がある。
【0003】
RFIDタグ技術は、このようなシステムを可能にするための魅力的な技術であり、その理由は、タグハードウェアが、単純であり、且つ、その結果、安価であり、且つ、パッケージ又はラベルに容易に統合されるからである。その他の双方向無線通信システムとの比較における、この単純さは、タグへのパワー供給と、この入射信号の後方散乱変調によるタグによるそのデータの送信と、の両方を実行するべく、「リーダー」から送信された入射RF信号を使用することにより、可能になっている。この結果、従来の双方向無線システムとの比較において、フル無線トランスミッタ及び電源をタグ内において含む、というニーズが除去されている。
【0004】
又、装置監視を特に可能にするべく、センサ及びインターフェイスがRFIDタグに追加されている用途も、進化を始めている。但し、その適用は、RFIDリーダーとタグの間の短いレンジに起因し、制限されている。これは、ユーザーが、リーダーに近接することにより、装置を読み取るための特定のアクションを実行することを必要としており、且つ、従って、システムは、シームレスではなく、従って、上述のニーズの1つしか充足していない。
【0005】
広く使用されている方式の例は、通常、リーダーの1つの方向において10m未満のレンジを有する、UHF帯域において動作するEPC-Gen2タグと、アンテナのサイズに応じて、1m未満のレンジを有する近距離結合を使用して動作するHF-RFID又はNFC装置と、を含む。
【0006】
従来のUHF-RFIDシステムは、周知であり、且つ、通常、
a)少なくとも1つのRFアンテナ、RF信号を送信するように構成されたトランスミッタ、後方散乱したRF信号を受け取るように構成されたリーダー、並びに、動作を制御すると共にプロトコルを管理するための処理システムを含むリーダーと、
b)RFアンテナ、入射RFからタグにパワー供給するためのエネルギー採取回路、リーダーによって送信されたRF信号上においてデータをデコーディングするためのリーダー、中央ユニットから受け取られたRF信号を後方散乱するように、且つ、これにより、データを送信するように、構成された変調器、プロトコルを処理するための処理ロジックを含むタグ(又は、通信要素)と、
を有する。
【0007】
但し、従来のUHF-RFIDタグのレンジは、その通信システムのいくつかの特徴によって制限されている。これらは、
i.ハブ/リーダーからの送信パワーが、法律により、最大値に制限されており、且つ、大部分のリーダーは、この最大パワーを使用している。従って、送信されるパワーを更に増大させることにより、通信レンジを増大させることができず、
ii.ハブ/リーダーによって送信されたRFからの通信要素(タグ又はラベル)のパワー供給は、通信要素が動作するべく、最小量のエネルギーが通信要素内に存在している必要があることを意味している。ハブ/リーダー信号から受け取られうるパワーの量は、ハブ/リーダーからの距離に伴って減少している。従って、最大動作可能レンジが存在しており、且つ、
iii.ハブ/リーダーにおける感度が、通信要素(タグ又はラベル)からの後方散乱した信号を正確に受け取るべく、十分である、
を含む。ここでの特定の課題は、ハブ/リーダーが受け取る必要がある後方散乱した信号は、通信要素(タグ又はラベル)に送信される外向きの信号よりも格段に弱い一方で、外向きの信号と後方散乱した信号は、いずれも、同一の周波数を有する、という点にある。この結果、トランスミッタは、レシーバを「無力化(deafens)」する。
【0008】
従って、従来のRFIDタグは、特定の用途において良好に機能しており、且つ、コンシューマブルにおいて内蔵されるべく経済的であるが、このような従来のRFIDタグシステムの動作レンジは、非モバイル型のリーダーによって自宅全体をカバーするには、あまりに限定的である。これに加えて、それぞれのこのようなタグのRFID情報は、静的であり、且つ、時間に伴って変化することが不可能であり、且つ、従って、対応する製品の任意の(例えば、動作状態などの)パラメータを従来の受動型のRFIDタグ内において動的に包含することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のすべてに鑑み、その関連する製品に関する、動作状態などの、変化する情報を動的に規定することが可能であるのみならず、自宅環境内においてコンシューマブルの追跡と共に使用されるべくこのような通信システムを経済的な状態に維持しつつ、重要なことには、従来のRFIDタグ及びリーダーシステムの動作レンジを延長させうる、且つ、同時に、例えば、ユーザーが、コンシューマブルを通信システムと接続するために、且つ、これが通信システムと通信するようにするために、シームレスな経験を通じて、使用を単純化しうる、後方散乱技術に基づいた、改善された通信システム及び通信要素に対するニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書において記述されているのは、自宅環境におけるコンシューマブルの識別、認識、及び登録において通信システムを使用する従来のRFID技術及び方法の上述の欠点に対する解決策を提供するべく、動作レンジを増大させるための特徴を有する、後方散乱に基づいた通信システムである。本明細書において記述されているこのような通信システムは、中央ユニット(トランスミッタ/リーダー)と、1つ又は複数の通信要素と、を有する。
【0011】
一態様において、本発明は、従来のUHF-RFIDと同様に、後方散乱通信の使用を通じて単純であるが、単一のリーダー(以下においては、「ハブ」又は「中央ユニット」と呼称されている)が、通常のサイズの自宅内においてコンシューマブルと関連する通信要素と通信しうるように、増大されたレンジを有するシステムについて記述している。これに加えて、本発明は、相対的にシームレスなユーザー経験をも可能にしている。
【0012】
一実施形態において、例えば、変更されたUHF-RFID通信システムなどの、変更されたRFID通信システムについて記述されており、この場合に、
-通信要素は、ハブから送信されたRF信号とは実質的に独立的であるエネルギーソースからパワー供給されており、
-通信要素からの信号に対するハブ又は中央ユニットの感度は、
〇送信及び受信経路の間のクロストークを極小化するための、ハブ又は中央ユニットにおけるデュアルアンテナ、
〇送信及び受信経路の間のクロストークを能動的にキャンセルするための、ハブ又は中央ユニット内の搬送波自己キャンセル技法、
〇振幅変調との比較において、後方散乱した信号内の最大パワーを可能にするための、通信要素における二位相偏移変調、
〇通信要素におけるダイレクトシーケンススペクトル拡散変調、並びに、ハブ又は中央ユニットにおける対応する逆拡散であり、これは、通信要素からの後方散乱した信号の帯域幅を増大させ、これにより、後方散乱した信号をハブ又は中央ユニットによって送信された搬送波からスペクトル的に分離し、これにより、後方拡散した信号がハブ又は中央ユニットによって相対的に容易に分離及びデコーディングされることを可能にしている。
〇ハブ又は中央ユニットからの送信搬送波の帯域幅を極小化し、これにより、後方散乱した信号の拡散の利益が極大化されることを可能にするための、ハブの中央ユニットにおける低位相ノイズ信号ソースの使用、
〇結果的に、レシーバの感度と、従って、レンジを増大させる、非常に低い帯域幅通信データレートの使用、
を含む2つ以上の特徴の組合せを通じて増大されている。
【0013】
本発明の目的は、請求項による(本明細書において記述及び特許請求されている通信要素及びハブ又は中央ユニットを含む)通信システムによって実現されている。
【0014】
パッケージ上のセンサに対するシームレスな接続性の解決策のための通信システムを更に可能にするべく、更なる実施形態における通信システムは、以下の更なる特徴を含む。
-ハブ又は中央ユニットが任意の位置から自宅全体をカバーすることを可能にするための、ハブ又は中央ユニットにおける等方性アンテナ、
-インテリジェントな用途を可能にするための通信要素上のオンボード処理及びメモリ、
-通信要素に動作自在に接続された、例えば、湿度センサ、温度センサ、完全性センサ、及び光強度センサなどの、センサの追加、
-例えば、ボタン、LED、及び/又はディスプレイから構成された、ユーザーインターフェイスの追加
【0015】
更には、コンシューマブルにおける費用の低減及び小さなフォームファクタを可能にするべく、通信要素内のコンポーネントのいくつか又はすべては、例えば、ラベルの形態を有する、通信要素を生成するために、印刷された電子回路技術を使用して製造することができる。
【0016】
更には、本開示の一態様に従って、本明細書において開示されているのは、a)少なくとも1つのRFアンテナ、RF信号を送信するように構成されたトランスミッタ、及び後方散乱した信号を受け取るように構成されたレシーバを有する中央ユニットと、b)RFアンテナ及び中央ユニットから受け取られたRF信号を後方散乱するように構成された変調器を有する通信要素と、を有する通信システムである。通信要素は、スペクトル拡散後方散乱RF信号を取得するべく、後方散乱したRF信号を変調するための変調器を有し、且つ、変調器に対してパワーを供給するための手段を含む。
【0017】
有利な一実施形態において、通信要素にパワーを供給する手段は、通信要素にハブ又は中央ユニットから送信されるRS信号のエネルギーとは独立している。
【0018】
一実施形態においては、トランスミッタは、低位相ノイズ信号を更に有する。
【0019】
一実施形態において、中央ユニットは、中央ユニットにおける少なくとも2つのRFアンテナの存在、アナログ搬送波キャンセル、デジタル搬送波キャンセル、及び広域通過フィルタの使用から選択された搬送波キャンセル自己干渉軽減用の手段を更に有する。
【0020】
一実施形態において、スペクトル拡散後方散乱RF信号は、ダイレクトシーケンススペクトル拡散後方散乱RF信号である。
【0021】
一実施形態において、中央ユニットは、スペクトル拡散後方散乱RF信号を逆拡散する手段を有する。
【0022】
一実施形態において、逆拡散手段は、非常に低いデータ帯域幅レートを使用している。
【0023】
一実施形態において、RFアンテナは、等方性アンテナである。
【0024】
一実施形態において、中央ユニットと通信要素の間の最大動作可能レンジは、少なくとも最大で50m、有利には、少なくとも最大で65m、更に有利には、少なくとも最大で100である。
【0025】
一実施形態において、通信要素は、例えば、水晶発振器などの高精度周波数基準を含んではいない。
【0026】
一実施形態において、通信要素は、処理ユニットを更に有する。
【0027】
一実施形態において、通信要素は、メモリ手段を更に有する。
【0028】
一実施形態において、通信要素は、例えば、通信要素上のメモリチップ又は統合されたメモリなどの、印刷されたメモリ及びシリコン半導体に基づいたメモリから選択されたメモリ手段を有する。
【0029】
一実施形態において、通信要素は、印刷された電子回路を有する。
【0030】
一実施形態において、通信要素内においてパワーを供給している手段は、単一の電池又はエネルギー採取手段を有する。
【0031】
一実施形態において、単一の電池は、印刷された電池である。
【0032】
一実施形態において、通信要素は、RF信号の二位相偏移変調又は二振幅偏移変調用の手段を有する。
【0033】
有利な一実施形態において、通信要素は、それ自体と中央ユニットの間の双方向通信のために構成されている。
【0034】
一実施形態において、通信要素は、通信要素に動作自在に接続された、湿度センサ、温度センサ、完全性センサ、及び光強度センサから構成された群から選択された1つ又は複数のセンサを更に有しており、任意選択により、このようなセンサは、通信要素に統合されている。
【0035】
一実施形態において、通信システムは、ユーザーインターフェイスを更に有し、これは、任意選択により、通信要素と接続又は統合されている。
【0036】
一実施形態において、ユーザーインターフェイスは、ボタン、LED、及びディスプレイから選択されている。
【0037】
本発明の目的は、請求項による通信要素によって実現されている。
【0038】
本発明の別の態様に従って、本明細書において開示されているのは、RFアンテナ、RF信号を後方散乱させるように構成されたレシーバ、パワーを供給する手段、並びに、スペクトル拡散後方散乱RF信号を取得するべく、後方散乱したRF信号を変調するように構成された変調器を有する通信要素である。
【0039】
一実施形態において、通信要素は、メモリ手段を更に有する。
【0040】
一実施形態において、メモリ手段は、例えば、通信要素上のメモリチップ又は統合されたメモリなどの、印刷されたメモリ及びシリコン半導体に基づいたメモリから選択されている。
【0041】
一実施形態において、通信要素は、処理ユニットを更に有する。
【0042】
一実施形態において、通信要素は、印刷された電子回路を有する。
【0043】
一実施形態において、パワーを供給する手段は、(単一の)電池又はエネルギー採取手段である。
【0044】
一実施形態において、(単一の)電池は、印刷された電池である。
【0045】
一実施形態において、変調器は、スペクトル拡散後方散乱RF信号を取得するべく、RF信号を変調するように構成されており、且つ、ダイレクトシーケンススペクトル拡散変調器である、
【0046】
一実施形態において、メモリ手段は、通信インターフェイスを通じて通信要素上においてデータを保存及び/又は読み取り/書き込みするための手段を有する。
【0047】
一実施形態において、通信要素は、通信要素に通信自在に接続された、湿度センサ、温度センサ、完全性センサ、及び光強度センサから構成された群から選択された1つ又は複数のセンサを更に有する。
【0048】
一実施形態において、通信要素は、タイマメカニズムを更に有する。
【0049】
一実施形態において、通信要素は、ユーザーインターフェイスを更に有する。
【0050】
一実施形態において、ユーザーインターフェイスは、ボタン、LED、及びディスプレイから選択されている。
【0051】
一実施形態において、通信要素は、コンシューマブル又は薬品のパッケージの一体的部分である。本明細書において記述されている「一体的(integral)」という用語は、通信要素が、パッケージに装着されうる別個の通信要素であるのとは対照的に、完全に又は部分的に、パッケージの一部分であることを意味している。例えば、このような通信要素が、パッケージの一体的部分である場合には、このような通信要素は、このようなパッケージ又はコンシューマブル内において完全に又は部分的に内蔵されており、或いは、この代わりに、パッケージ上に直接的に印刷されている。
【0052】
一実施形態においては、中央ユニット又はハブは、その他の装置又はクラウドサービスに接続するための手段を有しており、このような手段は、このような接続を確立しうる任意のゲートウェイであってよい。
【0053】
又、本発明の別の態様に従って、本明細書において開示されているのは、上述の通信システムを使用することにより、情報を中央ユニットとコンシューマブル又は薬品容器の間において送信する方法である。
【0054】
有利な一実施形態において、このような方法は、自宅環境において、例えば、医薬品容器などの、コンシューマブルの識別、認識、及び登録において使用されている。
【0055】
一実施形態において、医薬品容器は、バイアル、ブリスターパック、シリンジ、カートリッジ、及び薬剤供給装置から選択されている。
【0056】
以下の添付図面と共に本発明の実施形態に関する以下の説明を参照することにより、本発明の上述の及びその他の利点及び目的について、更に明らかとなり、且つ、本発明自体について、更に十分に理解することができよう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】本発明の一実施形態による通信システムの概略図を示す。
図2図1の通信システムの中央ユニットの概略図を示す。
図3図1の通信システムの通信要素の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、適宜、添付図面を参照し、本発明概念の実施形態について説明する。これらの実施形態は、教示例として提示されており、且つ、本発明概念の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【0059】
本発明の一実施形態による通信システムは、具体的には、最適な治療的利益のために患者を支援するべく、自宅環境における患者の薬剤の使用を監視するべく適合されている。
【0060】
具体的には、図1に示されているように、通信システム1は、好ましくは、患者用のクラウドに基づいたサービスの一部分である。クラウドサービスは、例えば、通信システム1によって送信された情報に基づいて医療的なフィードバックを提供しうる医療従事者であってよい。この観点において、通信システム1は、クラウドサービス2と通信するように、且つ、1つ又は複数の通信要素20と通信するように、構成されている。通信要素20は、薬剤容器又は薬剤供給装置に動作自在に接続された、且つ、任意選択により、1つ又は複数のセンサと接続された、電子ラベル、タグ、又はモジュールの形態を有しうる。このような動作自在に接続された通信要素は、薬剤容器又は薬剤供給装置に装着することが可能であり、或いは、その一体的部分を形成することが可能であり、且つ、このような薬剤容器又は薬剤供給装置に対して任意の変更を登録するこができる。このような変更は、薬剤容器又は薬剤供給装置の使用法と関連している。
【0061】
一実施形態において、通信要素20は、薬剤容器の一体的部分であってもよく、且つ、例えば、液体薬剤を収容するバイアル又はカートリッジに、或いは、ブリスターパックに、接着することができる。薬剤容器には、1つ又は複数の患者に利用可能である薬剤の関数として通信要素20内において含まれている情報を動的に変更するべく、通信要素20に動作自在に接続された、或いは、その内部に直接的に統合された、センサを提供することができる。一実施形態において、通信要素20は、薬剤供給装置の動作状態に基づいて通信要素20内において情報を動的に保存するべく、薬剤供給装置に接着することができる。
【0062】
その他のセンサは、通信要素20内に動作自在に又は直接的に統合することができる。例えば、これらのセンサの1つ又は複数は、例えば、薬剤が、薬剤の可能な変化を回避するべく、適切に保存されていたかどうかに関する情報を医療従事者に提供するべく、湿度センサ、温度センサ、雰囲気圧力センサ、及び光強度センサから構成された群から選択することができる。
【0063】
患者に利用可能である薬剤に、或いは、通信要素内に収容されている薬剤供給装置の動作状態に、関係する情報は、後方散乱通信に基づいた技術を通じて医療従事者に動的に送信されている。
【0064】
この観点において、通信システム1は、例えば、患者の場所内において設置される、ハブ又は中央ユニットの形態の、中央ユニット3を有する。図2の図示の実施形態によれば、中央ユニット3は、少なくとも1つのアンテナ4、アンテナ4を通じて通信要素20(図1)にRF信号を送信するように構成されたトランスミッタ6、及び通信要素20から後方散乱したRF信号を受け取るように構成されたレシーバ8を有する。中央ユニット3における送信及び受信された信号の間の干渉を軽減するべく、中央ユニットにおける少なくとも2つのRFアンテナの存在、アナログ搬送波キャンセル、デジタル搬送波キャンセル、及び高域通過フィルタの使用から選択された自己干渉軽減のための手段が更に含まれている。又、中央ユニット3は、特に、受け取った信号の復調、処理、及びプロトコル処理のための処理ユニット10と、クラウドサービス2との通信のためのゲートウェイ12と、を有する。通信要素から受け取られた信号が、ダイレクトシーケンススペクトル拡散変調器によって変調されている場合には、復調は、逆拡散器であってよい。
【0065】
通信システム1は、通信要素20からハブ3への(「アップリンク」)通信のために、後方散乱技術に依存しており、これは、通信要素20用のハードウェアの相対的に単純な組と、限られたパワーのみの引き出しと、を必要としている。これは、通信要素内にRFトランスミッタが存在してはいない、という事実によって可能になっており、その理由は、信号が、入射パワーの反射のみを使用することにより、中央ユニット3に返送されているからである。これは、最小費用において製造されうる通信要素を提供する、且つ、例えば、少なくとも最大で50m、有利には、少なくとも最大で65m、場合によっては、更に有利には、最大で少なくとも100m、などの、家全体をカバーするのに十分大きいレンジを有する通信システムを提供する、という利点を有する。
【0066】
図3に示されているように、通信要素20は、RFアンテナ22、任意選択により、中央ユニットによって送信されたデータを受け取るためのレシーバ23(「ダウンリンク」)、入射RF信号を変調するための、且つ、中央ユニット3によって送信されたRF信号上への後方散乱を使用してデータを変調するための、変調器、並びに、中央ユニットから受け取られたデータの解釈及び中央ユニット3に戻るように変調するための信号の生成のための処理ユニット24を有する。処理ユニット24は、一実施形態において、後方散乱したRF信号として中央ユニット3に返送されるデータを変調するためのダイレクトシーケンススペクトル拡散変調器を有することができる。又、通信要素20は、通信及び処理システムにパワー供給するべく使用される電源28を有することもできる。又、通信要素は、上述の異なるセンサによるセンサデータ計測値を保存するように、且つ、センサ及びインジケータ用の接続を提供するように、構成されたメモリ26を有することもできる。メモリ26は、例えば、通信要素上のメモリチップ又は統合されたメモリなどの、印刷されたメモリ及び/又はシリコン半導体に基づいたメモリの形態を有しうる。
【0067】
一実施形態において、通信要素20は、中央ユニット3によって送信された入射RF信号からパワー供給することが可能であり、これにより、低エネルギー消費量の通信要素が得られる。更に具体的には、後方散乱通信要素は、中央ユニット3によって放出された入射RFエネルギーを採取及び保存することにより、動作してもよく、このエネルギーは、通信要素20にパワー供給するために、DC電圧を生成するべく整流されている。通信要素20のレシーバ23によって受け取られたRF信号は、通信要素20のメモリ26内において保存されているセンサデータと一緒にIDコードを中央ユニット3に送信するために、通信要素20内の内部ロジックを駆動する内部クロック信号を生成するべく、処理されている。
【0068】
中央ユニット3と通信要素20の間の通信システム1は、通信要素20のパワー供給のみならず、通信要素内の内部クロック信号の生成をシミュレートするべく、中央ユニット3からの送信の開始時点において連続波(CW)バーストを使用する無線インターフェイスプロトコルを通じて実現することができる。CWバーストは、中央ユニット3によって搬送波上においてAM(振幅変調)として送信されるコマンドコードによって後続されている。通信要素20は、帰還信号を生成するべく、中央ユニット3からの入射CW信号にASK(振幅偏移変調)又はPSK(位相偏移変調)を適用することにより、アンテナを負荷変調することにより、コマンド及び応答を処理している。有利な一実施形態において、通信要素20は、RF信号の位相変調のために、二振幅位相偏移変調位相変調器又は二位相偏移変調位相変調器を更に有することができる。
【0069】
一実施形態において、電源28は、例えば、印刷された電池などの、電池の形態を有する。RFID(例えば、UHF-RFID)技術を使用する、このようなパワー供給される通信要素は、(従来のUHF-RFIDタグにおけるような)入射RFをDCに変換するための機能を除去しており、且つ、デジタル機能と、適宜、センサシステムを起動するべく、電源を使用している。これは、システムのレンジが、もはや、通信要素にエネルギー供給するべく十分なパワーを送信するというニーズによって制限されてはいない、という利点を有する。或いは、この代わりに、電源は、中央ユニット3(ハブ)以外の、或いは、中央ユニット3(ハブ)に加えた、ソースからのRFスカベンジャとしての、例えば、ソーラーエネルギーからの、熱からの、或いは、モーションからの、エネルギースカベンジャであってよい。これに加えて、電源は、必要に応じてエネルギーの小さな量を節約するべく、パワーストレージ要素と組み合わせられた、このようなエネルギースカベンジャを有することもできる。
【0070】
通信システム1の中央ユニット3の処理ユニット10は、通信要素20から受け取られたスペクトル拡散後方散乱RF信号を逆拡散するための低データ帯域幅を有する復調器を有する。又、中央ユニット3は、低位相ノイズ信号ソース14と、それぞれ、中央ユニット3のトランスミッタ6及びレシーバ8に結合された2つのアンテナ(図示されていない)、即ち、第1及び第2アンテナ、を有しうる自己干渉キャンセル装置と、を有する。デュアルアンテナは、中央ユニット3によって送信された信号と通信要素20によって放出された後方散乱したRF信号の間の相対的に大きな隔離を提供している。有利には、アナログ搬送波キャンセル、デジタル搬送波キャンセル、又は高域通過フィルタの使用などの、1つ又は複数のその他の自己干渉キャンセル手段を実装することができる。
【0071】
以上、本発明は、好適な設計及び特徴を有するものとして図示及び記述されているが、本発明は、本開示の精神及び範囲内において変更することができる。従って、本出願は、その一般的な原理を使用する本発明の任意の変形、使用、又は適合をカバーするべく意図されている。更には、本出願は、本発明が属する技術分野における既知の又は慣習的な慣行に含まれる、本開示からの逸脱をもカバーするべく意図されている。
図1
図2
図3
【国際調査報告】