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特表2022-522348基板上の膜の検査のための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-18
(54)【発明の名称】基板上の膜の検査のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20220411BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021550125
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(85)【翻訳文提出日】2021-10-20
(86)【国際出願番号】 US2020019036
(87)【国際公開番号】W WO2020176329
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】16/286,370
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521377719
【氏名又は名称】ビーダブリューエックスティー ナグ テクノロジーズ、インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521378428
【氏名又は名称】ビーダブリューエックスティー ニュークリア オペレーションズ グループ、インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521377720
【氏名又は名称】ハーフェナー、アーロン シー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーフェナー、アーロン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘルスト、ジェームス ディー.
(72)【発明者】
【氏名】モール、トーマス シー.
(72)【発明者】
【氏名】ライダー、キース ビー.
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB02
2G051AC21
2G051BA08
2G051CC15
(57)【要約】
第2の材料の上に形成された第1の材料の複合体層を検査するための方法及び装置が提供され、照明源を提供すること、層における複合体の少なくとも一部を照らすこと、サンプルから反射した光を受け取ること、受け取った光からのスペクトル反応を決定すること、及び予想スペクトル反応と、受け取ったスペクトル反応を比較することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の材料とは異なる第2の材料の上に形成された前記第1の材料の層の複合体を検査する方法であって、
所定の波長範囲に亘る光を出力する照明源を提供するステップであって、前記波長範囲の光が前記複合体から反射したときに前記波長範囲に亘って予想スペクトル反応が生じ、前記複合体は、所定の欠陥のない場合に予想される厚さの前記第1の材料層を有する、ステップと、
前記第1の材料層のところで前記複合体の少なくとも一部を、前記選択した照明源からの光で照らすステップと、
前記複合体から反射した、前記照明源から出力された前記光を受け取るステップと、
前記受け取った光からのスペクトル反応を決定するステップと、
前記受け取ったスペクトル反応を、前記予想スペクトル反応と比較するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記予想スペクトル反応を決定するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予想スペクトル反応を決定する前記ステップが、前記予想スペクトル反応を識別する情報を受け取るステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記予想スペクトル反応を決定する前記ステップが、前記第2の材料を識別する情報を受け取るステップと、前記所定の欠陥がない場合の前記第2の材料の上の前記層の予想の厚さを決定するステップとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記層が酸化層であり、また前記予想の厚さを決定する情報を受け取る前記ステップが、前記第2の材料の上に前記酸化層を形成する方法を決定するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記予想スペクトル反応を決定する前記ステップが、前記識別した第2の材料、及び前記予想の厚さに基づいて、前記予想スペクトル反応を推定するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記予想スペクトル反応を決定する前記ステップが、所定の欠陥のない前記第2の材料及び前記層の形成の較正サンプルから光の少なくとも1つの反射を獲得するステップと、光の前記獲得した少なくとも1つの反射から前記予想スペクトル反応を決定するステップと含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記欠陥の存在で変化する前記予想スペクトル反応の特性を、前記予想スペクトル反応に基づいて識別するステップと、前記波長範囲内の前記識別した特性の発生に基づいて前記波長範囲を選択するステップとを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記特性が、前記予想スペクトル反応の強度の最小ピークである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記特性が、前記予想スペクトル反応の強度である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記比較するステップが、前記受け取ったスペクトル反応、及び前記予想スペクトル反応の画像をユーザ・インターフェースに提示するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記比較するステップが、前記予想スペクトル反応の前記最小ピークの、及び前記受け取ったスペクトル反応の対応する強度の最小ピーク位置のそれぞれの波長位置を識別する情報を、前記ユーザ・インターフェースを介して受け取るステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
それぞれの波長位置を識別する前記情報を受け取る前記ステップの後に、前記それぞれの波長位置の間の差が、前記複合体における欠陥の存在に対応するかどうかを識別する情報を、前記ユーザ・インターフェースを介して受け取るステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記受け取ったスペクトル反応に関連して、前記差が欠陥の存在に対応するかどうかを識別する前記情報を格納するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
それぞれの波長位置を識別する前記情報を受け取る前記ステップの後に、前記それぞれの波長位置の間の差を、前記複合体における欠陥の予想される存在に対応する所定の閾値と比較するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記比較するステップが、前記受け取ったスペクトル反応、及び前記予想スペクトル反応の画像をユーザ・インターフェースに提示するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記比較するステップが、前記予想スペクトル反応の、及び前記受け取ったスペクトル反応のそれぞれの強度を識別する情報を、前記ユーザ・インターフェースを介して受け取るステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
それぞれの強度を識別する前記情報を受け取る前記ステップの後に、前記それぞれの強度の間の差が前記複合体における欠陥の存在に対応するかどうかを識別する前記情報を、前記ユーザ・インターフェースを介して受け取るステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記受け取ったスペクトル反応に関連して、前記差が欠陥の存在に対応するかどうかを識別する前記情報を格納するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
それぞれの波長位置を識別する前記情報を受け取るステップの後に、前記それぞれの波長位置の間の差を、前記複合体における欠陥の予想される存在に対応する所定の閾値と比較するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記酸化層から反射した前記光を受け取るステップの前に、
前記層を含む前記複合体の表面の第1の部分の画像を、カメラを介して獲得するステップと、
ユーザ・インターフェースのディスプレイに前記画像を提示するステップと
を含み、
前記照らすステップが、前記選択した照明源からの光で前記複合体の前記第1の部分を照らすステップを含み、
前記層から反射した前記光を受け取る前記ステップが、前記複合体の前記第1の部分から反射した光を受け取るステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記カメラが、短波赤外線カメラであり、また前記ディスプレイに提示される前記画像が、前記短波赤外線スペクトルの少なくとも一部を包含する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記予想スペクトル反応が、広帯域画像であり、前記受け取った光からのスペクトル反応を決定する前記ステップが、前記受け取った光からの広帯域画像を決定するステップを含み、前記比較するステップが、前記予想スペクトル反応画像を、前記受け取った光スペクトル反応画像と比較するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
ユーザ・インターフェースのディスプレイに前記画像を提示する前記ステップの後、且つ前記照らすステップの前に、前記高コントラスト・エリアが、前記ユーザ・インターフェース・ディスプレイに提示された前記画像に存在すると決定するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
第1の材料とは異なる第2の材料の上に形成された前記第1の材料の層の第1の複合体を検査するためのシステムであって、
前記第1の複合体の少なくとも一部を含む画像データをキャプチャするように構成されたカメラと、
前記層が存在する前記第1の複合体の少なくとも一部から反射した光を受け取って前記光の強度スペクトルを決定するように配置及び構成された分光計と、
所定の波長範囲に亘る光を出力する照明源であって、前記層が存在する前記複合体の少なくとも一部から前記波長範囲の光が反射するときに前記波長範囲に亘って所定のスペクトル反応が生じる、照明源と、
前記分光計及びユーザ・インターフェースと動作通信する処理回路機器であって、
プロセッサ及びメモリ
を有し、前記メモリは、前記プロセッサにより、
前記第1の複合体から反射した、前記照明源から出力された光から生じる前記分光計からの前記強度スペクトルを受け取るステップと、
前記受け取った強度スペクトルを、所定の欠陥のない場合に前記第2の材料の上に形成された前記第1の材料で構成された第2の複合体から前記波長範囲の光が反射するときに予想される基準スペクトルと比較するステップと
を前記処理回路機器に行わせるように構成されたコンピュータ・プログラム・コードを含む、処理回路機器と
を有する、システム。
【請求項26】
ユーザ・インターフェースを有し、前記比較ステップを実行する際に、前記コンピュータ・コードが、前記プロセッサによって、前記ユーザ・インターフェースを駆動して、前記基準スペクトルと前記受け取った強度スペクトルの両方を表示することを前記処理回路機器に行わせるように構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記コンピュータ・コードが、前記プロセッサによって、前記基準スペクトルの、及び前記受け取った強度スペクトルのそれぞれの強度を識別する情報を、前記ユーザ・インターフェースを介して受け取るように構成されている、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記コンピュータ・コードが、前記プロセッサによって、それぞれの強度を識別する前記情報を受け取る前記ステップの後に、前記それぞれの強度の差が、前記第1の複合体における欠陥の存在に対応するかどうかを識別する情報を、前記ユーザ・インターフェースを介して受け取るように構成されている、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記コンピュータ・コードが、前記プロセッサによって、前記受け取った強度に関連して、前記差が欠陥の存在に対応するかどうかを識別する前記情報を格納するように構成されている、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
酸化層を検査する方法であって、
酸化膜を有する第1の材料の第1のサンプルの表面から反射した光の基準スペクトルを、反射した前記光に包含される波長範囲に亘って決定するステップであって、前記第1のサンプルが所定の欠陥を含まない、ステップと、
前記波長範囲の少なくとも一部を包含する光を出力する照明源を選択するステップと、
酸化層を有する第2の材料の第2のサンプルの少なくとも一部を、前記選択した照明源からの前記光で照らすステップであって、前記第1の材料及び前記第2の材料から反射した前記光が、前記波長範囲に亘るそれぞれのスペクトル反応であって、所定の関係を有するそれぞれのスペクトル反応を有する、ステップと、
前記第2のサンプルの前記酸化層を含む前記第2のサンプルから反射した、前記照明源から出力された前記光を受け取るステップと、
前記照明源から出力された前記光に包含される前記波長範囲の少なくとも一部に亘って前記受け取った光から測定スペクトルを獲得するステップと、
前記測定スペクトルの少なくとも1つの特性を前記基準スペクトルの同じ少なくとも1つの特性と比較するステップであって、前記少なくとも1つの特性は、受け取った光を反射する材料及び酸化膜が前記所定の欠陥を含むかどうかに応じて、所定の態様で変化する、ステップと、
前記測定スペクトルの前記少なくとも1つの特性を前記基準スペクトルの前記同じ少なくとも1つの特性と前記比較するステップに基づいて、前記第2のサンプルの前記材料及び酸化膜が前記所定の欠陥を含むかどうかを決定するステップと
を含む、方法。
【請求項31】
前記基準スペクトルを決定する前記ステップが、酸化層を含む前記材料の較正サンプルから反射した光の少なくとも1つのサンプル・スペクトルを獲得するステップであって、前記較正サンプルが、前記所定の欠陥を含まない、ステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記基準スペクトルを決定する前記ステップが、酸化層を含む前記材料の較正サンプルから反射した光の複数のサンプル・スペクトルを獲得するステップであって、前記較正サンプルが、前記所定の欠陥を含まない、ステップと、前記基準スペクトルを定義するために、前記複数のサンプル・スペクトルを平均するステップとを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記基準スペクトルを決定する前記ステップが、前記材料の知識、及び欠陥が存在しないときの前記材料の酸化膜の予想の厚さに基づいて、モデルから前記基準スペクトルを計算するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記照明源が、広帯域である、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記光を受け取る前記ステップが、前記受け取った光、及び前記受け取った光に対応するデータの少なくとも1つを波長ごとにフィルタにかけるステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1つの特性が、強度の最小ピーク波長を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの特性が、スペクトルの強度を有する、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年2月26日に出願の米国特許出願第16/286,370号の利益を主張するものであり、その内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、連邦政府により与えられた契約下でのサポートにより行われた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0003】
実例の実施例は一般に材料検査に関し、特に第2の材料の複合体(composite)の上にある第1の材料の層の検査に関する。
【背景技術】
【0004】
ジルコニウム、(合金を含む)他の耐食性金属、及び/又は溶接部から成る複合体の成分の材料受容性(容認性)についての標準的な業界の慣行は、様々な方法のいずれかによって金属上で成長させた酸化膜の品質を評価することである。このような技法は、また、新しい合金の開発において、熱プロセス実践において、及び溶接技法の評価のために、使用されてきた。膜の受容性は、膜に帰すると考えられる標本の質量の増加で、又はオペレータに対する酸化膜の外観で、評価することができる。質量増加技法は、定量的結果を提供するが、例えば酸化層の厚さの統一性、又は酸化層が汚染物質を含む度合いといった酸化層の品質についての情報を提供しない。オペレータは、視覚標準とサンプルの視覚比較によってサンプルの外観を判断する。主観的であるので、サンプル比較技法の有効性は、例えば検査者の訓練、スキル及び経験、並びに検査エリア環境の制御といった様々なパラメータで決まる。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実例の実施例は、下記で説明されるような、複合体層検査を含むことができる。1つの実例の実施例では、第1の材料とは異なる第2の材料の上に形成された第1の材料の層の複合体を検査する方法が提供され、波長範囲の光が複合体から反射したときに、予想スペクトル反応が発生する波長範囲を包含する光を出力する照明源を提供することであって、複合体が、所定の欠陥のない場合に予想される厚さの第1の前記材料層を有する、提供することを含む。第1の材料層における複合体の少なくとも一部は、選択した照明源からの光で照らされる。複合体から反射した照明源から出力された光が、受け取られる。スペクトル反応は、受け取った光から判定(決定)され、受け取ったスペクトル反応は、予想スペクトル反応と比較される。
【0006】
別の実施例では、第1の材料とは異なる第2の材料の上に形成された第1の材料の層の第1の複合体を検査するためのシステムは、第1の複合体の少なくとも一部を含む画像データをキャプチャするように構成されたカメラと、層が存在する第1の複合体の少なくとも一部から反射した光を受け取り、光の強度スペクトルを判定するように配置及び構成された分光計とを有する。照明源は、層が存在する複合体の少なくとも一部から波長範囲の光が反射するときに所定のスペクトル反応が発生する波長範囲を包含する光を出力する。分光計及びユーザ・インターフェースと動作通信中の処理回路機器が、プロセッサ、及び、プロセッサで、複合体から反射した照明源から出力された光から生じた分光計からの強度スペクトルを受け取ることと、所定の欠陥のない場合に第2の材料の上に形成された第1の材料で構成された第2の複合体から波長範囲の光が反射するときに予想される基準スペクトルと受け取った強度スペクトルを比較することとを処理回路機器に行わせるように構成されたコンピュータ・プログラム・コードを含むメモリを有する。
【0007】
別の実例の実施例では、酸化層検査システムが提供され、サンプルの少なくとも一部を含む画像データをキャプチャするように構成されたカメラと、サンプルの少なくとも一部からの光の反射を測定するように構成された分光計と、プロセッサ、及び、コンピュータ・プログラム・コードを含むメモリを含む処理回路機器とを含む。コンピュータ・プログラム・コードは、プロセッサで、サンプルについての材料タイプの指示を受け取ることと、材料タイプに基づいて、予想される酸化層の厚さを選択することと、酸化層の厚さに基づいて、所望のスペクトル・コントラストを作り出すように照明源を選択することと、選択した照明源でサンプルの少なくとも一部を照らすことと、照明源によって照らされた酸化層を分析することに基づいて、酸化層受容性を判定することとを処理回路機器に行わせるように構成される。
【0008】
酸化層を検査するための方法のさらなる実施例は、反射した光によって包含される波長範囲にわたる、酸化膜を有する第1の材料の第1のサンプルの表面から反射した光の基準スペクトルを判定することであって、第1のサンプルが所定の欠陥を含まない、判定することと、波長範囲の少なくとも一部を包含する光を出力する照明源を選択することとを含む。酸化層を有する第2の材料の第2のサンプルの少なくとも一部を、選択した照明源からの光で照らし、第1の材料及び第2の材料から反射した光が、所定の関係を有する波長範囲にわたるそれぞれのスペクトル反応を有する。第2のサンプルの酸化層を含む第2のサンプルから反射した照明源から出力された光を受け取る。照明源から出力された光によって包含される波長範囲の少なくとも一部にわたる受け取った光から測定スペクトルを獲得する。測定スペクトルの少なくとも1つの特性を基準スペクトルの同じ少なくとも1つの特性と比較し、少なくとも1つの特性は、受け取った光を反射する材料及び酸化膜が所定の欠陥を含むかどうかに応じて、所定の手法で変化する。測定スペクトルの少なくとも1つの特性を基準スペクトルの同じ少なくとも1つの特性と比較することに基づいて、第2のサンプルの材料及び酸化膜が所定の欠陥を含むかどうかを判定する。
【0009】
このように、材料検査システムの1つ又は複数の実施例を一般的な用語で説明してきたので、添付の図面への参照をここで行うが、図面は、必ずしも拡大縮小するように描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実例の実施例による酸化層検査システムの概略図である。
図2】ジルコニア膜のシミュレートした正反射スペクトルの図解である。
図3A】アルミニウム基板上の薄膜の一連のシミュレートした正反射スペクトルの図解である。
図3B】アルミニウム基板上の薄膜の一連のシミュレートした正反射スペクトルの図解である。
図3C】アルミニウム基板上の薄膜の一連のシミュレートした正反射スペクトルの図解である。
図4】デジタル・カメラで獲得したサンプル複合体クーポンの画像の図解である。
図5図1のシステムで獲得した合金基板上の薄膜の正反射スペクトルの図解である。
図6図1のシステムで獲得したZr4上の薄膜の正反射スペクトルの図解である。
図7図1のシステムで獲得した合金基板上の厚膜の拡散反射スペクトルの図解である。
図8図1のシステムで獲得したZr4基板上の厚膜の拡散反射スペクトルの図解である。
図9】様々なレンズ及び照明タイプを利用した、図1のシステムで獲得したサンプル複合体クーポンの画像の写真図である。
図10】様々なレンズ及び照明タイプを利用した、図1のシステムで獲得したサンプル複合体クーポンの画像の写真図である。
図11】様々なレンズ及び照明タイプを利用した、図1のシステムで獲得したサンプル複合体クーポンの画像の写真図である。
図12】様々なレンズ及び照明タイプを利用した、図1のシステムで獲得したサンプル複合体クーポンの画像の写真図である。
図13】様々なレンズ及び照明タイプを利用した、図1のシステムで獲得したサンプル複合体クーポンの画像の写真図である。
図14】実例の実施例による図1のシステム内の可視スペクトル・イメージングとSWIRイメージングとの間の比較の写真図である。
図15図1におけるようなシステムの機能ブロック図である。
図16】実例の実施例による酸化層検査方法についての流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び図面で参照文字を繰返し使用しているのは、本発明の同じ又は似た特徴又は要素を表すためである。
【0012】
全てではないがいくつかの実例の実施例を示す添付の図面を参照しながら、いくつかの実例の実施例をここで、より完全に以下で説明する。実際は、本明細書で説明及び描写される実例は、本開示の範囲、適用性、又は構成について限定するものと解釈されるべきではない。このような実例の実施例の範囲又は精神から逸脱することなく、実例の実施例において修正及び変更を行えることが当業者には明らかであろう。例えば、1つの実施例で図示又は説明される特徴は、さらなる実施例を生じるように、別の実施例に対して使用することができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲、及びその同等物の範囲に含まれるものとして、このような修正及び変更をカバーすることを意図するものである。同様の参照番号は、全体にわたって同様の要素を指す。
【0013】
さらに、本出願及び添付の特許請求の範囲で使用されるような用語「又は(or)」は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味するためのものである。すなわち、別途指定されない限り、又は文脈から明らかでない限り、句「XがA又はBを用いる」は、自然な包括的並べ替えのいずれかを意味するためのものである。すなわち、句「XがA又はBを用いる」は、XがAを用いる、XがBを用いる、又は、XがAとBの両方を用いる、という事例のいずれかによって満たされる。さらに、本出願及び添付の特許請求の範囲で使用されるような冠詞「1つ(a)」及び「1つ(an)」は、全体的に、単数形を対象とするものと別途指定されない限り、又は文脈から明らかでない限り、「1つ又は複数」を意味するものと理解されるべきである。本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって、以下の用語は、別途文脈が述べない限り、少なくとも明示的に関連付けられた意味をとる。下記で識別される意味は、用語を必ずしも限定せず、用語についての例証的な実例を示すにすぎない。「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「前記(the)」の意味は、複数形の参照を含めることができ、「内(in)」の意味は、「内(in)」及び「上(on)」を含めることができる。句「1つの実施例では」又は他の同様の句は、本明細書で使用されるように、同じ実施例を必ずしも指さないが、同じ実施例を指すことができる。句「A及びBの少なくとも1つ」は、A単独、B単独、A及びB単独、並びに、他と共にA及びBのいずれかによって満たされる。句「A及びBの1つ」は、Bの存在下であるか否かに関わらず、Aによって、及び、Aの存在下であるか否かに関わらずBによって、満たされる。
【0014】
用語「酸化層」は、酸化した材料の表面層を指す。用語「酸化層」は、用語「膜」又は「酸化膜」と、本出願の全体にわたって区別なく使用することがある。それでも、本明細書での「酸化膜」への言及は、例のためにすぎないことを理解されたい。本開示によって理解されているはずのように、本明細書で説明される検査システム及び方法は、例えば、鋼鉄基板の上に形成された窒化チタン膜、ガラス基板上の高分子膜、又は、太陽電池板、建築用ガラス、光学系、若しくは他のデバイスの上に形成された膜といった、異なる第2の層の上に形成された第1の層を有する様々な複合体を用いて利用することができる。したがって、金属基板上の酸化層を有する複合体を検査するためのシステム及び方法の1つ又は複数の実例を提供する本明細書における詳細な説明は、本質的に例示的であり、本開示の限定ではないと理解されるべきである。
【0015】
理解されているはずのように、反応性金属は、酸素、水、又は酸と容易に反応する金属である。反応性金属は、反応性金属の表面が空気にさらされるとほぼ即座に酸化するので、耐食性において有用である可能性があり、これにより、酸化層が金属の表面のさらなる電離/腐食に対するバリアになる複合体を形成する。初期の表面酸化に続いて、既存の表面膜を通った表面下にある金属表面へのイオン拡散及び電子トンネルの結果として膜が成長し続けるが、膜は、これらのプロセスが終わる厚さまで最終的に成長する。このような金属の大半で、このような形成を強化するための方法の適用がなくても、約5ナノメートル(「nm」)の厚さの一様な酸化層(又は「自然」層)が形成される。(例えば電気化学電池を介して)外部電位を金属に印加すると、その結果、金属は、電気分解プロセスにおける陽極として振舞い、膜の正常なトンネル・バリアを克服して、約200ナノメートルまでの厚さに酸化膜を成長させることができる。このような電気的に強化された膜(約5nmを超えて約200nmまで、また具体的には、約100nmから約200nmまでの範囲内)は、「薄」膜として本明細書で説明される。代替として、より高い温度及び/又は圧力に表面を露出すると、イオン拡散率を上昇させることができ、これにより、数百ナノメートルまで酸化膜を成長させることができる。このような膜(厚さが約200nmを超える)は、「厚」膜として本明細書で説明される。酸化層は、単独で成長しようと、薄膜又は厚膜として成長しようと、材料の大部分への酸素の拡散をさらに限定すること又は防ぐことによって、ユーザが適用したプロセスによってもたらされるものを超える耐食性を基板金属材料にもたらす。それでも、タングステン、炭素、窒素、又は同様のものなどの酸化層における不純物の存在は、膜の耐食性の性質を劣化させることがあり、これにより、表面下にある金属又は合金への腐食の脅威を作り出す。結果として、例えば、質量増加の視覚検査及び判定によって、このような不純物の存在を検出するために、このような膜を有する金属表面を検査することが知られている。前者の技法では、ユーザは、酸化膜を視覚的に検査して、表面膜の色、強度、又はパターンの不連続を検出し、不連続のいずれかは、膜の弱点を示す可能性がある不純物の存在を示す可能性がある。後者では、金属の表面積を判定し、膜の形成の前後に金属の重さを量る。表面積を考慮すると、重さの増加は、単位面積当たりの質量の増加に、また今度は、ASTM規格によって提供されるものなどの既知の技法に応じて酸化膜の厚さに、相関させることができる。
【0016】
質量増加及び外観検査技法は、その評価の不正確、且つ時には主観的な性質、及び、視覚検査の場合、(何らかの異常がこのスペクトルの外側に現れるという点で)可視光スペクトルの外側で動作できないことにより、その有効性において、それでも、酸化層の異常の識別において、限定的になることがある。本明細書で開示されるような例示的システム及び方法は、光学イメージング及び分光法のユーザを通じた、(ジルコニウムなどの)耐食性合金上の酸化膜の検査を改善することができ、異常な膜を検出する、より信頼できる方法を作り出し、汚染についての偽陽性の数を低減させる。
【0017】
下記で示されるように、薄い酸化膜の外観特性は、一般に、酸化膜の上面及び底面からの入射光の反射の間の干渉によるものである。したがって、干渉効果は、波長固有のものであり、干渉が発生する固有の波長/波長帯域は、酸化膜の厚さによる影響を受け、汚染物質のタイプによる影響を受ける。干渉効果に加えて、光は、酸化層又は金属基板によってさらに散乱するか、吸収されることがある。光の吸収又は散乱は、反射光の色又は強度の変化を引き起こし、酸化層の厚さ又は汚染の偏差も示すことがある。吸収及び散乱が発生する間、これらの効果は、一般に、酸化膜の厚さによって変化しない。干渉効果は、一般に、膜厚によって変化するので、現在論じられているシステム及び方法は、本明細書で論じられるように、酸化膜の欠陥の有無を判定する際に、これらの効果に頼ることができる。
【0018】
表面の傷、材料の汚染、表面の汚染物質、又は同様のものによって引き起こされる膜厚の変動などの異常な膜の特性が、視覚スペクトルにおける影響を受けるエリアと影響を受けないエリアとの間のコントラストにより、明らかになることがあり、したがって、視覚検査を通じて検出することができる。それでも、表面の視覚検査は主観的なものであり、一定の状況では事業を行う上で難しくなる可能性があり、膜の表面の様々な外観を認識するのに十分な経験を有することをオペレータに要求する可能性がある。人間の検査者が拡散反射を頼るほどまでに、固有波長コントラスト効果は、(視覚検査の見地から)著しく低減するか、認識不能になる可能性がある。さらに、厚さの変動から生じるコントラストが、目が反応しない電磁スペクトルの一部(例えば、紫外線又は赤外線)の中に存在する場合、肉眼に依存した検査は、不完全になる可能性がある。
【0019】
本明細書で説明される1つ又は複数の例示的プロセスは、より大きなコントラストの表示、並びに、このために、分光写真の最低ピーク波長、スペクトル強度、及びスペクトル形状を特徴づける能力により、異常な膜の領域を見つける際の信頼性及び反復性を向上させることができる。このプロセスは、規格と比較して、標本の重量増加を測定する現在の方法、又は視覚検査より信頼できる。追加として、本明細書における1つ又は複数の実施例について説明されるプロセスを使用した、例えば酸化層といった複合体層の検査は、プロセスの一部を自動化すること、コンピュータ・アルゴリズムを使用してコントラストを強化すること、及び、高度に訓練された検査者の間の協議を回避できることにより、採用するのに時間をあまり必要としない可能性がある。最後に、異常な酸化物又は他の膜の原因を判定するための現場での非接触法は、走査型電子顕微鏡(SEM:scanning electron mictoscope)、マイクロプローブ、エネルギー分散X線分光法(EDX:energy-dispersice X-ray spectroscopy)、又は同様のものなどの、現在の物理サンプル方法より、速く、複合体の成分の表面に問題を引き起こさず、位置を柔軟にすることができる。
【0020】
上記で、また下記でさらに詳細に論じられるように、短波赤外線(SWIR:shortwave infrared)カメラ及び反射分光計を使用した酸化膜検査技法を、膜の受容性及び/又は汚染物質の存在を判定するために利用することができる。カメラは、異常な膜を伴うエリアを識別するために、比較的大きい表面のリアル・タイム・イメージングを可能にすることができ、これは、次に、光ファイバ反射分光計を使用して、さらに調べることができる。
【0021】
異なる波長の光に対する干渉、吸収、及び散乱効果により、膜の1つ又は複数の異常を識別するために、カメラを使用することができる。カメラは、例えば、SWIR波長範囲内でカメラを動作させる、適切な光源及び/又はフィルタを選択することによって、1つ又は複数の波長範囲で使用するのに最適化される。SWIR波長範囲は、約0.9μmから約1.7μmまで広がると考えてもよいが、他の実施例では、約0.7μmから約2.5μmまで及ぶと考えてもよい。カメラは、周囲の膜より反射率が小さい膜の1つ又は複数の部分を識別することができる。より低い反射率のエリアは、光のより大きい干渉、吸収、又は散乱を示し、酸化膜の厚さ又は構成物の差を示す性質がある。カメラは、人間の目と違い、異なる波長範囲に最適化することができるので、カメラ検査(ユーザ・インターフェース・ディスプレイに提示されるカメラ画像は、サンプル表面から反射した獲得光におけるSWIR波長範囲の少なくとも一部、及びいくつかの実施例では全てを包含する)は、人間の目で検出されることのない酸化層の異常を明らかにすることができる。いくつかの品質保証規格の下では、異常の単なる検出は、材料又は構成要素を不合格にするのに十分であることもある。他のケースでは、カメラ検査中の異常の検出は、反射分光写真検査などを介して、さらなる検査を必要とするエリア識別するための指導をユーザに提供する。
【0022】
酸化膜、特に薄い酸化膜は、膜の品質の信頼できる指標を提供する、酸化膜の正反射スペクトルの最低値を有することができる。1つ又は複数の特定の波長を中心とする範囲にわたる光の一部の量をキャンセルする干渉効果により、1つ又は複数のピークの最低値がこれらのスペクトルで発生することがある。一般に、酸化層に入射する光の一部は層の表面で反射するが、残りは、膜に入り、膜と金属基板との間の境界面まで進む。この光エネルギーの一部は次に基板に進むが、残りは酸化膜を通って戻り、そこから一部は膜を出て、酸化層の表面から直接反射した入射光のこの部分と混ざる。一般に、酸化層の屈折率は、酸化層の一方の側の空気の屈折率より大きくなり、他方の側の金属基板の屈折率より小さいか、大きくてもよい。屈折率が空気と金属基板両方の屈折率より大きい場合、酸化層の表面から直接反射した入射光は、180°だけ位相が変化するが、酸化層と金属基板との間の境界面から反射した光は、位相が変化しない。これらの状態を考慮して、酸化層/金属基板境界面から反射した光が、空気との上の方の酸化層境界から反射した光に加わる又は干渉する度合いは、膜の厚さで決まり、膜厚が光の波長の1/2の整数倍であるときにピーク干渉に達する。このような厚さでは、膜/基板境界面から反射した光は、表面の膜を光が出るときの正味0°の位相シフトがあり、膜の最上部から反射した光による180°の位相のずれがあるので、光が膜を通って進むとき光の全波長の整数倍を進む。このように、膜の厚さのN分の2倍の波長の光(ここで、Nはゼロ以外の整数である)は、位相のシフトを最小にすることができる。反射光のこの部分は、同じ周波数及びおよそ逆の位相におけるものなので、膜に入る光及び膜から戻る光について、このような波長の入射光は、酸化層の表面から分光計に戻る光で干渉が最大になり、正反射スペクトルのピークが最低になる。屈折率が空気の屈折率より大きいが、金属基板の屈折率より小さい場合、酸化層の表面から直接反射した入射光は、180°だけ位相が変化するが、酸化層と金属基板との間の境界面から反射した光も、180°だけ位相が変化する。さらに、酸化層/金属基板境界面から反射した光が、空気との上の方の酸化層境界から反射した光に加わる、又は干渉する度合いは、膜の厚さで決まるが、この事例では、膜厚が光の波長の4分の1の奇数倍であるとき、ピーク干渉に達する。本開示を考慮して理解されているはずのように、それでも、このような状態は、理想的ではなく、全面的に予測不能である。このように、例えば、2分の1又は4分の1波長の位置に、大雑把な推定を依存できる間、ピークの最低値は、これらの位置からオフセットした波長で発生し、例えば、経路長又は材料の個性により変化する。さらに、上記で論じられたどちらかの条件で、第1のオーダーのピーク最小値が強く且つ比較的広く、より高いオーダーのピークの最低値は、深くならず、狭くなり、また、互いに近くなる。
【0023】
したがって、膜厚のこれらのN分の2倍(又は4分の1の奇数倍)の1つ又は複数を包含する波長範囲で入射光が構成される場合、反射した光及び受け取った光の、結果として生じる波長スペクトルは、波長位置における1つ又は複数の最小ピークを含むことができ、したがって、光が入射した膜の厚さに相関する。所与の酸化層サンプルについてのこのピークの波長位置の識別は、したがって、酸化層の厚さを識別することができ、1つのサンプルからの酸化層の厚さを、別のサンプルの酸化層の厚さと比較するために使用することができる。例えば、第1の実例の合金上の正常な(酸化層の厚さに影響する欠陥がない)薄膜が、570nmでその正反射スペクトルにおける反射率の最小値を有し、第2の実例の合金上の膜が、550nmで反射率の最小値を有すると仮定する。本明細書で説明される方法は、例えば20nmといった、反射率の最低値の差を区別することができる。このような情報は、例えば、2つのサンプルが同じ基板のものであり、同じ酸化層形成方法を有する場合、2つのサンプルの1つの酸化層が欠陥を有しているので、2つのサンプルの厚さが異なることを示すことができる。代替として、情報は、異なる基板及び/又は酸化層形成方法をサンプルが有することを示すことができる。さらなる実例として、また、薄膜を考慮して、第1の合金及び第2の合金について行われた測定から、分光計65(図1及び図15)で獲得した(本明細書で説明されるように選択した波長範囲内の)正反射スペクトルのそれぞれの最小ピークは、それぞれ、汚染されていないエリア上で行われた測定からの反射スペクトルの最小ピークと比較して、タングステンで汚染された合金のエリア上で測定が行われたとき、より短い波長にシフトする。異常な膜に関連付けられた明らかな色のシフトは、正反射スペクトルにおいてだけでなく、適切なフィルタ及び光源を使用した可視スペクトル写真検査でも、観察することができる。
【0024】
いくつかの厚膜を含むいくつかの膜は、比較的特徴のない正反射スペクトルを有し、例えば、正反射率は、明確に定義されたピークの最低値を含まないことがある。これは、このような条件では、光が酸化層を通過するときの吸収及び散乱効果が、N分の2の、又は4分の1の奇数倍の、波長でも、干渉効果を克服する傾向があり得るので、例えば、膜厚が入射光の波長よりずっと大きい厚膜で発生することがある。それでも、代わりに、膜は、正反射率又は拡散反射率の強度のシフトを含むことができ、膜厚の変動、及びこれにより、酸化膜の欠陥の存在を識別するために、このような強度シフトを利用することができる。例えば、膜は、複数の位置でサンプリングすることができ、正反射率又は拡散反射率の強度の変化は、異常を識別するために使用することができる。強度の変化は、反射して分光計に戻る全体の光を低減させる、光が酸化膜を通過するときの光の吸収及び/又は散乱によるものである可能性がある。光は、酸化膜層又は金属で吸収される可能性があるが、比較的一様なスペクトル反射プロフィールを有するはずである。汚染などによる酸化層の厚さ又は構成物の変化は、光の吸収の変化を引き起こすことがあり、したがって、酸化層から分光計に戻る光の強度を変化させる(酸化層の厚さが減少するか増加するかに応じて、それぞれ増加又は減少させる)。同様に、光は、酸化層及び/又は金属との相互作用によって散乱することがあるが、比較的一様なスペクトル反射プロフィールを有するはずである。汚染などによる膜の厚さ又は構成物の変化は、(光が材料を長く進むほど、大きい散乱が発生するので)散乱する光の量の変化を引き起こすことがあり、したがって、正反射率の強度を変化させる(酸化層の厚さが減少するか増加するかに応じて、それぞれ増加又は減少させる)。
【0025】
本開示の実例の実施例では、材料の酸化層を検査するための方法は、(例えば、酸化層を形成する金属表面から反射する際に、この波長範囲を含む帯域に調整されたカメラのバンドパス・フィルタ又はハイパス・フィルタが通す入射光の範囲内の特定の波長範囲といった)所定の特性を有する光を生み出し、これにより、酸化膜の厚さの変動に対応する酸化膜における欠陥から生じる反射光における所定の反応(例えば、スペクトル反応のシフト)の識別を可能にするために、照明源を選択することを含む。例えば、不純物の存在、又は酸化層の形成時の材料の変動といった、膜の欠陥は、欠陥のない場合の酸化膜の正常な厚さから酸化膜の厚さを変化させる。酸化層の欠陥が誘発した厚さの変動の大きさは、膜を形成した材料のタイプ、酸化層の正常な厚さ、及び層の成分材料における層の一貫性で決まる。SWIR波長の少なくとも部分的に範囲内の、及びいくつかの実施例では完全に範囲内の光を放ち、SWIR波長範囲の一部又は全てを包含することができる、選択した照明源から照らされたときの、酸化層の画像又は測定値をキャプチャするために、短波赤外線(SWIR)カメラ及び/又は分光計を利用することができる。次に、ユーザは、結果として生じたカメラ画像の表示を視覚的に検査して、画像コントラストに基づいて欠陥の存在を識別することができる。さらに、又は代替として、分光計は、データを分析して、欠陥を示すスペクトル反応を識別することができる。さらに、これらのステップに加えて、ユーザは、表面を視覚的に検査して、可視スペクトルの範囲内の反射光の範囲内で、欠陥が誘発したコントラスト・エリアの存在を判定することができる。
【0026】
図1は、実例の実施例による酸化層検査システム100を示す。検査のために選択された材料サンプル101は、原子炉若しくは蒸気システムなどのシステムで使用するための受容性について、実験室環境で検査されるテスト構成要素若しくはサンプルであってもよく、又は、システム構成要素の取付け時、若しくは、溶接などを含む修理後に、現場で検査されるシステム構成要素であってもよい。材料がシステム構成要素である事例では、実験室環境で、又は代替として、実験室ではなくオンサイトの取付け若しくは取外し位置で、材料101が検査されるかどうかは、例えば、サンプルのサイズ、重さ、及び他の構成要素特性によって決めることができる。下記で論じられるように、図1に示されたシステムによる材料101の酸化層の検査は、オペレータ、検査システム40(図15)、又は検査システム40によって支援されたオペレータの組合せによって実施することができる。オペレータ又は検査システム40は、カメラ64を利用して、材料101のサンプル上の検査エリアの画像をキャプチャする。理解されているはずのように、バッチ形式でコンピュータ及び他のシステムに格納し、アップロードできる、又は、リアル・タイムに出力できる、静止画像又はビデオ・フォーマットのデータを、カメラが獲得できることが知られており、カメラ64は、このような能力を有しているものと理解されるべきである。したがって、このようなカメラの構築及び動作は、本明細書ではさらに詳細に論じられない。本明細書で説明される実施例では、カメラ64は、処理回路機器50に接続した適切なデータ・ケーブル63を介してカメラ・ビデオ・データをリアル・タイムに出力し、オペレータ分析のために、ユーザ・インターフェース60(図15)にカメラ画像を描く。
【0027】
カメラ64は、人間のオペレータに可視の光範囲より長い波長のSWIRスペクトル範囲でカメラ・データをキャプチャするように構成されたSWIRカメラであってもよい。追加又は代替として、カメラ64は、例えば、紫外線(UV:ultraviolet)、可視(VIS:visible)、赤外線(IR:infrared)、遠赤外線(LWIR:long-wave infrared)、又は他の適切な波長を含む他のスペクトル範囲でカメラ・データをキャプチャするように構成してもよい。実例の実施例では、カメラ64は、複数の波長範囲のカメラ・データを同時にキャプチャするように構成されたハイパースペクトル・カメラであってもよい。カメラ64は、発光ダイオード(LED:light emitting diode)、蛍光光、白熱光、又は同様のものなどの、1つ又は複数の照明源68(図15)を含むか、これらに関連付けることができ、ここで、照明源は、選択した所定の波長範囲の光を放つように構成される。カメラは、所定の波長範囲内の反射光だけをカメラに通すためのフィルタを含むことができ、又は、ユーザ・インターフェース60(図15)におけるディスプレイを駆動するためにシステムが使用する、受け取った画像データから、所定の波長範囲の外側の画像データを除外する処理回路機器を含むことができる。
【0028】
実例の実施例では、カメラ64は、ライト・マウント106内のレンズ104の周囲に位置する、例えばLED108といった、1つ又は複数の発光デバイスが付いたカメラ・レンズ104を含む、図1の詳細Aに示されるような、レンズ・アセンブリ109に組み込まれた1つ又は複数の光源を備えることができる。一括して、LED108は、カメラの照明源を形成する。ライト・マウント106は、カメラ64にLED108を機械的に接続し、カメラの電源は、LEDも駆動することができる。図示の実施例では、ライト・マウント106は、LEDから放たれた光の一部が、サンプル101の表面から反射してレンズに戻るように、各LED108の照明の(光の伝搬の)中心軸がレンズの光軸105に平行になり、正反射になるように、(レンズ109とサンプル101の表面との間の、図1に示された2重の矢印で並べられた)レンズ104の光軸105の周囲にLED108を同軸上に並べる。一定の実施例では、LED108は、カメラ64にマウントされるとき、そこから生じる光の中心軸を、カメラの光軸に対してゼロ以外の角度で配置し、拡散反射になるように向けられる。他の実施例では、LED108又は他の照明源68(図15)は、オペレータが別の構造に光源をマウントできるか、光源の中心軸/照明の軸をカメラ64の光軸に対して非平行の角度で配置するような位置に光源を手動で保持できるように、(光源が光を放ち続けるように電源に依然として接続しつつ)カメラ64及び/又はレンズ104とは別個又は分離可能なものであってもよい。当然、カメラからそのように移動されたときでも、オペレータは、照明の光源の中心軸がカメラの光軸と依然として平行になるように、光源を配置することができる。このようにして、オペレータは、結果として生じる画像のコントラストが最大になる光源とカメラの光軸との間の方向を見つけるまで、ユーザ・インターフェース・ディスプレイでカメラの出力(ここで、カメラは、選択した波長範囲に調整された光学バンドパス・フィルタを備え付けられている)を同時に眺めつつ、カメラの光軸に対して様々な位置及び方向に光源を移動させることができる。
【0029】
理解されているはずのように、カメラは、材料サンプル101の表面からレンズ104に反射したセンサ光にレンズが焦点を合わせるようにレンズに対して配置された光センサを含む。上述のように、カメラは、レンズ104と光センサとの間のレンズ・アセンブリ109の近くに配置された、例えばバンドパス・フィルタといった、光学フィルタも含むことができる。フィルタは、上述のように、選択した所定の波長範囲の光をセンサに通すように構成され、その一方で、通った光は、照明源によって放たれた光の波長範囲の少なくとも一部を含む。バンドパス・フィルタは、センサに当たる光の量も制限することができ、所望の波長範囲の外側の光からの光センサの飽和によって引き起こされる、結果として生じる画像の歪みを防ぐことができ、この目的のために、所定の選択した波長範囲を非光学的手段で獲得したときでも、含め、使用することができる。
【0030】
上記で示されたように、検査システムは、反射分光計などの、分光計65も含むことができる。理解されているはずのように、分光計は、表面から反射した光を測定し、プロセッサ、メモリ、及び/又はユーザ・インターフェースに出力できる測定データを生成することができる。したがって、このような分光計の構築及び一般的動作は、本明細書ではさらに詳細に論じられない。実例の実施例では、分光計は、処理回路機器50に接続した適切なデータ・ケーブル111を介して測定データをリアル・タイムに出力し、処理回路機器50は、ユーザ・インターフェース60(図15)を駆動して、オペレータによる分析のために所定のフォーマットでデータを表示する。
【0031】
分光計65は、検査ケーブル110を含み、検査ケーブル110は、図1の詳細Bに断面で示されている。検査ケーブル110は、複数の光ファイバ・ケーブル112、114を有する。入力ファイバ114は、遠位端にあり、これによりファイバ114に焦点を合わせた、レンズ(図示せず)が受け取った(材料サンプル101の表面に近い)ケーブル110の反対側の遠位端からの光を入力ファイバ114が伝えるように、光ファイバ・ケーブルの間の中心に位置し、分光計65の測定入力に接続することができる。検査ケーブルの複数の光ファイバ・ケーブルは、分光計65に収納された照明源68(図15)の近くに、又はこれと接続して、配置された複数の照明ファイバ112も含む。照明源は、1つ又は複数のLED、又は、広帯域光、若しくは、所定の波長範囲に限定された光(例えば、上述のような、選択した所定の波長範囲に限定された、若しくはこれを含む光)を放つように構成された他の適切な照明源を含むことができる。一定の実施例では、分光計は、光学フィルタを利用して、分光計の光センサに向けられる光の波長範囲を限定することができ、又は、分光計は、上記で説明されたように、より広い波長範囲で反射光を受け取ったときでも、選択した波長範囲だけを分析するようにプログラムすることができる。分光計は、照明ファイバが照明源から検査ケーブルの遠位端に光を伝えるように、光源から光ファイバ112に光を伝える適切なレンズ・システムも収納する。オペレータ、又は固定マウントは、ファイバ112によって放たれた光が、遠位端にあるレンズ・システムによって材料サンプル101の表面に投影され、反射して上述のレンズに、及びこれによりファイバ114に戻るように、材料サンプル101の表面の近くの遠位端を保持する。遠位端は、分光計が正反射データを収集するように、遠位端の面が材料サンプル101に対して垂直になるように位置づけることができる。上述のように、遠位端は、遠位端の全体的な平面の面に垂直な、それぞれの軸を中心とする照明ファイバ112(図1)から入射光を出力する。このように、このような方向に、遠位端は、酸化層の表面が全体的に平面であると仮定して、酸化層の表面に対して90°に並べられた1つ又は複数の光学軸で入射光を出力する。したがって、入射光は、ファイバによって出力された光の(酸化層の表面に対する)入射角が、ファイバ114が受け取った反射角に等しくなるように、ファイバの光軸にも平行なサンプルの表面から、例えば90度といった角度で反射して入力ファイバ114(図1)に戻る。代替として、遠位端は、分光計が拡散反射データを収集するように、材料サンプルの表面に垂直以外の角度で位置づけてもよい。反射角は、入射の場合の角度に等しくないので、分光計は、材料及び/又は酸化層の表面からの散乱光を測定している。下記で説明されるように、正反射データは、薄膜から反射した光から生じるものなどの、ピークの最低値を判定し、分析するために使用することができ、その一方で、拡散反射データは、厚膜から反射した光から生じるものなどの、強度の変化を識別するために使用することができる。
【0032】
カメラ64及び/又は分光計65は、サンプル材料101の表面上の酸化層を分析するために使用することができる。図1の詳細Cに示された実例では、サンプル116は、ジルコニウム合金又は他の耐食性材料であってもよい。酸化層118、ここではジルコニウム酸化物(ZrO)は、上述のように、薄膜又は厚膜として成長させることができる。
【0033】
図1及び図15を参照すると、方法は、例えば、ジルカロイ2、ジルカロイ4、又は同様のものといった、サンプルの基板材料タイプの判定で始まる。材料タイプは、構成要素若しくは材料の製造業者の説明書、システム図、又は他の信頼できる情報源を閲覧して判定することができる。検査システム40(図15)を利用する事例では、ユーザは、ユーザ・インターフェース60を介して材料タイプを入力する。材料タイプは、例えば、材料IDコード(材料タイプに直接対応するコード)、又は構成要素IDコード(構成要素部分を識別するコード)であってもよい。構成要素IDコードを使用する場合、処理回路機器50は、構成要素を作る材料と構成要素IDコードを相関させたルックアップテーブルを54に有する。ユーザが構成要素IDコードを入力すると、処理回路機器は、指名された構成要素の材料タイプを判定するために探索テーブルを参照する。ユーザは、例えば、自然、薄い、又は厚いといった、膜を成長させる方法に対応する識別子も入力することができる。
【0034】
上述のように、予想又は所望の膜厚(すなわち、欠陥のない場合の酸化膜の厚さ)は知られているか、酸化膜を検査するのに用いる照明源を判定するために判定される。予想又は所望の膜厚は、酸化層が形成される材料のタイプに、場合によっては、酸化層を成長させる方法に基づく。所与の材料についての膜厚は、酸化層を成長させる材料及び/若しくは方法と所望の酸化膜の厚さを相関させる公開の参照テーブルで識別することができる既知の標準の厚さであってもよく、又は、製造業者の仕様に含まれていることがある。予想膜厚は、経験的テストによって判定された固有の値及び/又は範囲を含むことができる。いくつかの実例の実施例では、製造業者は、下記で論じられるような、酸化膜の受容性の判定のために使用することができる、+/-1パーセント、5パーセント、10パーセント、又は同様のものなどの、製造許容範囲と共に所与の基板材料についての予想される酸化膜の厚さの値及び/又は範囲を判定又は提供することができる。検査システム40を利用する事例では、オペレータは、ユーザ・インターフェース60を介して、予想膜厚を入力することができ、又は、処理回路機器50は、54におけるメモリに格納された参照テーブルにアクセスすることなどによって、上記で説明されたような、基板材料の識別、及び/又は入力された成長方法に基づいて、予想又は所望の膜厚を判定することができる。例えば、メモリ54は、複数の基板材料/膜成長方法のそれぞれについての、以前に判定した予想される酸化膜の厚さを格納するデータベースを含むことができる。テスト中の所与の材料についての基板材料及び膜成長方法を識別するデータを、オペレータがその後入力すると、システムは、入力したデータのペアに対応する予想膜厚をデータベースから選択する。データベースは、複数の膜厚/材料タイプのそれぞれについて、(例えば、波長範囲、又は少なくとも一定の波長範囲を含む必要性の観点から)所望の照明源も識別する。このように、ユーザ・インターフェースを通じて材料タイプをオペレータが入力し、上記で説明されたように、材料及び成長方法に基づいて、予想膜厚をシステムが識別したので、処理回路機器は、次に、予想膜厚及び材料タイプに対応する照明源を、54におけるデータベース内の探索テーブルから選択することによって、照明源を判定する。
【0035】
上述のように、照明源の選択は、分析のために酸化層から反射した光から望まれる波長範囲の選択と同等とみなすことができる。酸化層を配置する基板材料が知られており、酸化層を形成するために使用される方法(例えば、自然、薄膜、又は厚膜形成)が知られている場合、オペレータは、(予想される基板材料に基づいて、及び、酸化層の欠陥のない厚さが、既知の形成方法から生じるという仮定に基づいて)フレネル方程式を利用して、比較的広範な波長範囲にわたるシミュレートした反射スペクトルを最初に計算することによって、この波長範囲を選択することができる。例えば、マサチューセッツ州バーリントンのComsol,Inc.から利用可能な、COMSOL MULTIPHYSICSなどの、Multiphysicsシミュレーション・パッケージを利用した、これらのシミュレーションの作成は、本開示を考慮した当技術分野で理解されているはずであり、したがって、さらに詳細に論じられない。シミュレートした基準反射スペクトルを考慮して、オペレータは、酸化層の厚さの変動に対応する検出可能且つ区別可能な手法で、反射スペクトルが変化すると予想できる全般的なシミュレートした反射スペクトル範囲の部分範囲を選択する。層の厚さの変動は、酸化層の欠陥を示すので、この波長の部分範囲内のスペクトル・データのこれらの変動を検出し区別する能力によって、システム及びオペレータはこのような欠陥を識別することができる。
【0036】
図2は、表面酸化層が900nmという予想される酸化層の厚さを有する複合体についてのこのようなシミュレートした反射スペクトルの実例を示す。シミュレートしたスペクトルは、アルミニウム基板を仮定して、反射モデル、又は計算機によって生み出された。理解されているはずのように、アルミニウムは、可視及び近赤外線(NIR:near infrared)スペクトルをまたがる比較的一様な反射率を有する。この意味では、アルミニウムは、ジルコニウムに似ており、したがって、ジルコニウム・テスト材料の上に形成された酸化膜のテストのために使用されることになる、本明細書で論じられる較正において一般に利用することができる。すなわち、(両方の基板上に酸化層を生み出すために同じ方法を使用するときに前提となり得る)同じ厚さの酸化膜を配置する基板として、アルミニウム及びジルコニウムが使用されるとき、2つの基板/酸化層複合体の組合せの基板/酸化層から反射した光の(シミュレーション・モデルによって判定されるか、照明源からの反射光の測定によって判定される)スペクトル反応は、他を用いて行われる後の実際の測定のために、基準スペクトルとして使用されることになる1つのこのような組合せのスペクトル反応に、システムが依存することを可能にする、互いに対する所定の関係を有する。この事例では、所定の関係は、2つの組合せのスペクトル反応が実質的に同じというものであるが、例えば、他の組合せの基準スペクトル反応と比較するために、所定の関係による1つのこのような組合せから、受け取った光の所与の測定したスペクトル反応をコンバートして、スペクトル反応の間の変動をシステムが受け容れることができることを理解されたい。それでも、本明細書で説明されるように、例えばジルコニウムといった、他の基板合金を考慮し、モデル化できることを理解されたい。
【0037】
400nm~2000nmという広範な波長範囲は、より一貫した反射率の値に対する最低値を正反射スペクトルが示す多波長を示す。シミュレートしたスペクトルの可視部分は、430、480、540、及び620nmにおいて干渉最低値を有する。それでも、スペクトルの赤外線部分は、880nmにおける最も深いピーク最小値を含む。この実例では、880nmの最小ピークは、膜の厚さとほぼ同じである。それでも、上述のように、入射光と膜厚との間の一致が、この結果を常に生み出すわけではなく、膜厚から著しくオフセットした波長において、主要なピーク最小値が発生し得ることを理解されたい。図示の実例に戻ると、オペレータは、880nmにおける、又は異なるオーダーの最小値についての波長における、予想ピーク最小値を含む波長範囲を選択することができる。この範囲を判定するために、オペレータは、予想される(欠陥がないと仮定した)正反射スペクトルについてのシミュレーションを、その広範な波長範囲にわたって最初に検査すること、及び、ピークでないデータと確実に区別でき、他の最小ピークの位置と混同せずにシフトを識別できる、他の最小ピークから十分に分離した、十分に深い最小ピークを選択することを行う。下記の図3A図3Cの分析についての議論は、所定の最小ピークが現れると予想される、本明細書で説明されるように選択した、波長範囲を仮定する。
【0038】
したがって、例えば、分光写真分析は、テスト中の材料の表面から反射した光からの反射スペクトル内の、このような選択した波長範囲内の、局所的な最小値でのシフトの検出に基づくことができる。欠陥の位置で膜厚の変動を引き起こす酸化膜の欠陥の存在を判定するために、分光写真分析をどのように使用できるかを示すために、図3A図3Cは、基板/酸化膜の反応が、膜厚に応じて、どのように変化し得るかを示す。図は、この実例では、図2について上記で説明されたような、オペレータが選択した波長の部分範囲である、約400nmから約900nmまでの波長範囲にわたる、アルミニウム基板上の酸化膜の一連のシミュレートした正反射スペクトル200を示す。図3A図3Cに示された実例では、酸化膜は、可視光の波長、すなわち、約390nmから約700nmより薄いが、主要なピーク最小値は、可視スペクトル内で発生する。
【0039】
図3Aは、汚染物質がないと仮定して、約180nmの厚さの酸化層から反射した光のシミュレートした反射スペクトルにおける最小ピークを示す。図3Aに示された反射スペクトルの部分範囲は、400nmから900nmまで広がり、最小ピーク202は、570nmで発生する。図3Bは、アルミニウム基板上の173nmの厚さの酸化膜から反射した光についてのシミュレートした正反射スペクトル200を示す。同様の最小ピークが発生するが、ピークは、202において570nmから550nmまでシフトした。図3Cは、酸化層の厚さが167nmに低減したときに、最小ピークが530nmにシフトすることを示す。このように、図3A図3Cは、酸化層の厚さの変動に対応する手法で(この事例では、直接的に)、最小ピークの周波数が変化することを示す。厚さは、酸化層の受容性/不完全性を判断できる尺度なので、既知の最小ピークが発生する波長の検出、及び、酸化層に欠陥がない場合に最小ピークが発生すると予想される所定の波長とのこの波長の比較は、テスト中のエリアが酸化層の欠陥を有するかどうかを示す情報を提供する。
【0040】
上記の議論は、「正反射率」を指す。理解されているはずのように,「正反射率」は、単一の出て行く方向への、表面による入射光の反射を、また、具体的には、拡散反射で反射されるのとは対照的に、このような手法で反射される入射光の比率を指す。正反射を発生させるために、光源の入射光を受ける表面の部分が鏡のように振舞い、光の入射角に等しい角度で光を反射するように、反射面が鏡のようなものであるか、表面に対して光源が並んでいる。肉眼にとっての表面の外観は、拡散反射に、より密接に関連しており、ここで、光は、全ての方向に表面から散乱する。正反射スペクトルと拡散反射スペクトルは同一ではないが、互いに密接に関連している。したがって、膜の層のスペクトル分析は、正反射率に基づいて、肉眼、及び、拡散反射への肉眼の依存では明白でない異常を明らかにすることができる。本明細書で論じられるように、正反射率測定値は、入射角が反射角に等しくなるように、サンプル材料101に垂直な測定ケーブルの終端に、分光計受光器の遠位端を位置づけることによって収集される。対照的に、拡散反射率測定値は、サンプル材料101の表面に対して垂直でない角度で分光計の遠位端を位置づけることによって収集される。後者の配置では、光は、分光計ケーブルの遠位端にあるファイバから放たれることと、このファイバによって収集されることとの両方が行われるので、分光計は、拡散反射しか測定しない。
【0041】
いくつかの事例では、テストされることが予期される酸化層の厚さ/基板材料についてのシミュレートした正反射スペクトルは、図3A図3Cの議論における上記を反映した、波長シフト分析に有用な最小ピークを定義しない。このような実例は、図5図8について下記で論じられる。最小ピーク・データは利用できないことがあるが、酸化層の厚さの変動も、反射スペクトルの強度及び/又は形状のシフトを引き起こすことができる。したがって、スペクトル・シミュレーションが、有用な最小ピークを有していないスペクトルを生じる場合、オペレータは、(欠陥が存在しないときの)予想した層の厚さからの漸進的変化をそれぞれが表す、複数の追加のシミュレーション、つまり正と拡散の両方を導出することができ、シミュレーションのコレクションは、発生することが予想される酸化層の厚さの変動の範囲をカバーする。これらのシミュレートしたスペクトルを見直す際、オペレータは、欠陥のないシミュレートしたスペクトルから、視覚的であろうと自動的であろうと、区別できる形状又は強度の変動を、厚さを変化させたスペクトルのそれぞれが定義する、単一の波長の部分範囲を探す。
【0042】
波長の部分範囲を選択すると、オペレータは、基板及び予想される酸化層の厚さを識別するデータ(これは、酸化層を形成する方法を識別することによるものであってもよい)、並びに、波長の部分範囲の開始及び終了波長を、ユーザ・インターフェース60においてプロセッサ52に入力する(図1及び図15を参照)。プロセッサは、基板/厚さ(又は形成方法)の組合せに関する波長の部分範囲を格納する。その後、格納した基板/厚さ(又は形成)の組合せに対応するテスト材料をオペレータが検査するとき、オペレータは、分光計65を介してスペクトル・データを取得する前に、ユーザ・インターフェースを介して組合せを識別する。分光計から出力データを受け取ると、プロセッサは、識別した組合せのためにデータベースに格納された波長の部分範囲に入るデータのこの部分を選択し、例えば、図5図8について説明した実例について示したように、ユーザ・インターフェース60において、選択したデータをオペレータに表示する。他の実施例では、サンプルから反射した光の範囲内の選択した波長範囲を通し、選択した帯域の外側の波長を除外するために、光学バンドパス・フィルタを分光計システム内で利用する。
【0043】
本明細書で説明されるように、オペレータは、酸化層の欠陥の有無を判定する際に、カメラ64からの出力データも検査することができる。図4及び図9図14について下記で説明されるように、オペレータは、較正サンプルから反射した広帯域光を受け取ること、反射光をフィルタにかけてフィルタの通過帯域にすること、及び、フィルタにかけた光をカメラの光センサに向けることを行うために、様々な異なる波長を制限する光学フィルタを利用して、基板/酸化層の較正サンプルを検査することができる。カメラのプロセッサは、結果として生じた画像データを獲得し、処理回路機器50にデータを出力し、処理回路機器50は、ユーザ・インターフェース60におけるディスプレイを駆動させて、結果として生じた画像を表示する。オペレータは、このような画像を眺めて、較正サンプルの厚さの変動が存在する場合に最高の視覚コントラストを、(反射光をフィルタにかけるために使用される所与の光学フィルタに対応する)波長範囲が提供する、各基板/厚さ(又は形成方法)の組合せについて、試行錯誤で判定する。さらに、ユーザ・インターフェースを介して、オペレータは、フィルタを選択した基板/厚さの組合せに関する(例えば、所与の光学フィルタの識別の観点から)波長範囲を識別する。その後、本明細書で論じられるシステムを利用して、組合せの1つに対応するテスト材料を検査する際、オペレータは、ユーザ・インターフェースを介してプロセッサに、組合せを識別する情報を入力する。プロセッサは、フィルタの識別に組合せを関連付けた探索テーブルを検査し、選択した組合せに関連付けられた光学フィルタを識別し、ユーザ・インターフェースにおいて、フィルタのアイデンティティをオペレータに提示する。次に、オペレータは、(例えば、所与の波長範囲のためのフィルタを取り付けること、又は、調節可能なフィルタを調節して、所望の波長範囲を通すことによって)識別した光学フィルタをカメラ64に適用し、その結果、このフィルタの通過帯域によって限定された広帯域反射光をカメラが受け取り、これにより選択した波長範囲に限定された画像を、プロセッサを介して、ユーザ・インターフェースにおいてオペレータに提示する。他の実施例では、較正を通じて判定した所望の波長範囲をプロセッサにオペレータが知らせ、オペレータがその後、システムを利用して、広帯域光源を使用して組合せの1つに対応するテスト材料を検査し、適用可能な基板/厚さの組合せを識別するプロセッサへの情報を入力した後、プロセッサは、カメラの出力データを電子的にフィルタにかけて、識別した組合せについての、データベースに格納された波長範囲にし、その後、カメラの出力データを用いてユーザ・インターフェース・ディスプレイを駆動する。
【0044】
さらなる実施例では、オペレータは、カメラ及び分光計のための狭帯域照明源を選択することによって、出力データの波長範囲を制御し、ここで、照明源は、所望の波長範囲に限定される。
【0045】
したがって、材料タイプ及び所望の厚さが既知であるので、所望の照明源は、例えば、所望の波長の値又は範囲で光を生み出すその能力で定義されるように、上述のような、計算に基づく及び/若しくは実験室のテストに基づく基準スペクトル、試行錯誤、又は同様のものに基づいて判定することができる。いくつかの実例の実施例では、照明源の波長範囲は、例えば、ジルコニウム上で、薄膜について400~700nm、厚膜について950~1650nm、又は他の適切な波長範囲といった、酸化膜の予想の厚さを含む。この情報を用いて、オペレータは、例えば、反射光に適用される光学フィルタ、又は、反射光に対応するデータに適用される処理フィルタの使用を通じて、システムで使用される光源が、選択した波長帯域の範囲に限定されるか、収まることを保証する。
【0046】
照明源を判定すると、オペレータは、テスト中のサンプル材料の検査のために、カメラ及び/又は分光計、並びにその対応する光源を位置づける。図1への参照を続けると、いくつかの実施例では、臨床検査での使用などのために、カメラ及び/又は分光計は、検査プラットフォームがカメラの(若しくはカメラの光学系の視野に入るように、及び/又は、分光計ケーブル110が、プラットフォーム上に置かれた複合体サンプル101の表面に達し、スキャンできるように、検査プラットフォーム103に対してフレーム(図示せず)上にマウントすることができる。オペレータは、カメラ64及び/又は分光計65による検査のために、プラットフォーム103上に複合体サンプル101を置く。オペレータは、カメラ・データ及び/又は測定データをキャプチャするために、カメラ・レンズ104、又は検査ケーブル110の遠位端を、1つ又は複数の検査エリアに位置づける。
【0047】
取付け、修理、溶接、又は同様のものなどの間に、より大きいデバイス又はシステム内の場所で、1つ又は複数の構成要素が検査されている実施例では、オペレータは、材料の上の1つ又は複数の検査エリアを眺めるために、カメラ64及び/又は分光計65を配置することができる。カメラ64及び/又は分光計65は、アームに対して固定されたカメラ64及び/又は分光計65の位置を維持する調節可能なアーム上にマウントすることができるが、アームの動きを可能にして、これにより、カメラ・データ又は測定データの収集中にテスト中のサンプルに対してカメラ又は分光計を位置づけ、その後、オペレータによって位置を変えることができる。代替として、カメラ64及び/又は分光計65は、カメラ・データ又は測定データを収集している間、1つの位置にカメラ64及び/又は分光計65をオペレータが保持するように、ハンドヘルド型であってもよい。どちらのケースでも、カメラ64及び/又は分光計65は、カメラ・データ及び測定データを処理回路機器50にリアル・タイムに出力することができる。いくつかの実例の実施例では、カメラ及び/又は分光計は、処理回路機器との有線接続がなくても動作するが、データをダウンロードするために、有線又はワイヤレス接続で処理回路機器に後で接続される。カメラ・データ及び/又は測定データは、処理回路機器50による後の分析及び/又は処理のために、カメラ64及び/又は分光計65において、ローカル・メモリに一時的に格納することができる。
【0048】
さらに詳細に下記で論じられるように、方法は、例えばカメラ及び分光計といった、2つの分析構成要素の一方又は両方の使用を含む。分析構成要素の一方又は両方を使用するための選択は、材料表面のアクセス可能性、及び/又はサンプルに関連付けられた品質保証要件に基づくことができる。いくつかのケースでは、例えば、新しく、今のところ取り外されていない構成要素を検査するとき、複合体101(構成要素)は、カメラの視野によって完全にアクセス可能であり、オペレータは、カメラ64を使用して検査を実施することができ、分光計は使用しない。他のケースでは、例えば、複合体の表面の一部をカメラの視野内に置くことができないが、分光計ケーブルにアクセス可能な場合、又は、材料表面が全面的にカメラの視野にあっても、カメラ画像の中で検出した異常を検査するために、若しくは必要に応じて、溶接部を保証する際などの品質保証要件によって、より完全な検査が必要な場合、オペレータは、カメラ64と分光計65の両方を検査のために使用することができる。さらなる実例では、カメラ64のサイズにより、検査エリアを眺めるためにカメラを位置づけることができないことがあり、又は、所望の照明源を判定する際に、最善の波長範囲が人間の可視範囲の全面的若しくは部分的に外側にあることがわかり、オペレータは、カメラを同時に使用せずに、分光計65を利用して検査を実施する。
【0049】
選択した照明源は、観察中の検査エリアを照らす。検査エリアは、機械、船舶、又はコンテナ表面の1人又は複数のオペレータが定義したエリアなどの、複合体サンプルの任意の所定のエリアであってもよい。いくつかの事例では、品質保証検査要件は、複合体サンプル上の検査エリアの数及び/又は位置を指示することがある。いくつかの実施例では、検査エリアは、特徴の位置を識別することによって、オペレータが検査エリアを単純に選択するように、位置が予め知られているか、視覚検査時にすぐに識別できる溶接部、接合部、又は同様のものなどの、複合体サンプルの特定の特徴に関連付けられてもよい。分析がカメラを含むことになる場合、オペレータは、カメラの視野内に所望のサンプル・エリアを位置させようとする際に、所望のエリアに対して、(手動で、又は、上述のようにカメラを配置したフレームの動きを介して)カメラを位置づける。オペレータ、又は、利用される場合、処理回路機器50は、カメラをアクティブにし、カメラは、そのデータをユーザ・インターフェースに出力し、ユーザ・インターフェースは、ユーザ・インターフェース画面上に、リアル・タイムのカメラの出力画像を表示する。オペレータは画面を眺め、所望の/意図した検査エリアが、実際にカメラ画像(カメラの視野)内にあるかどうかを判定する。オペレータが処理回路機器を使用している場合、オペレータは、所望の検査エリアがカメラの視野内にあることを処理回路機器に確認するために、ユーザ・インターフェースを介して命令を入力することができる。所望の検査エリアがカメラの視野内にない場合、オペレータは、所望のエリアを包含するために、カメラの視野をもたらすはずとオペレータが思う方向にカメラを移動させ、処理は、テスト中の材料表面の全ての所望のエリアをオペレータが分析し、テストの結論が出たという命令を処理回路機器50に入力するまで繰り返す。
【0050】
検査エリアがカメラ画像内にあることをオペレータ又は処理回路機器が確認した場合、オペレータ及び/又は検査システム40は、何らかの高コントラスト・エリア又は領域が、検査エリア内に見えるかどうかを判定する。高コントラスト・エリアは、所定の閾値レベルを超過する表面から反射した光の波長遷移によって定義され、酸化層の構造が周囲の酸化層とは異なることを示す、カメラ画像内の、例えば、より鈍いエリアに対する輝きのエリア、色遷移、光と影の間の遷移、又は同様のものとして、現れることがある。高コントラスト・エリアを含むいくつかの実例のカメラ画像を、図9図13を参照する際に、さらに詳細に下記で論じる。いくつかの実施例では、オペレータは、ユーザ・インターフェース60(図15)のディスプレイにシステムが提供した、カメラ64からの画像データを観察することによって、1つ又は複数の高コントラスト・エリアの存在を全面的に手動で判定する。別の実施例では、オペレータは、ユーザ・インターフェース・ディスプレイに提示された画像情報を視覚的に検査し、1つ又は複数の可能な高コントラスト・エリアをそのように識別すると、分光計65を使用して、識別したエリアの調査を実施する。追加又は代替として、処理回路機器50は、カメラ64で獲得し、処理回路機器に伝送した画像全体を分析して、高コントラスト・エリアを自動的に判定すること、又は、例えば分光計を利用した、オペレータのさらなる分析のために、画像内のエリアを、(ユーザ・インターフェース・ディスプレイに送られた情報を通じて)オペレータに示すことができる。1つのこのような実施例では、処理回路機器50は、1つ又は複数の高コントラスト・エリアを判定するために、マシン・ビジョン又はオブジェクト検出画像処理技法を適用する。例えば、処理回路機器50は、カメラ画像内の1つ又は複数の高コントラスト・エリアを識別するために、ステッチ及び登録、形態学的フィルタリング、閾値化、ピクセル・カウンティング、セグメント化、エッジ検出、色分析、ブロブ検出、パターン認識、又は同様のものなどの、画像処理方法を適用するように構成することができる。追加又は代替として、処理回路機器50は、共通形状(例えば冶金学的粒子)の認識、大部分の形状とは異なる「コントラストがついた」形状の認識、コントラストを有する特徴を識別するための「偽色」の強化、普通ではない形状、及び/又は他の指定の特徴、を含む他の画像処理技法を適用するように構成することができる。例えば、処理回路機器50は、画像上の平均グレー・スケール・ピクセル値を判定すること、各ピクセルの値と平均との間の差を判定すること、及び、画像全体を評価するまで、ピクセル又は他ごとに、画像表面上のエリアをシフトさせて、このようなピクセルの所定のエリア上の平均の差を判定することを行うように構成することができる。画像内のいずれかのこのようなエリアの差の値が、(例えば、既知の欠陥を含む表面の較正テストから判定した)所定の閾値より大きい場合、処理回路機器は、酸化層の欠陥を含む可能性があるものとエリアを識別して、54におけるデータベース内の指標をエリアのピクセルに関連付ける。
【0051】
手動検査中、オペレータは、サンプル・マップ上、若しくはサンプル自体の上にマークすることなどによって、又は他の適切な方法で、ユーザ・インターフェース・ディスプレイに示された共通出力に現れる高コントラスト・エリアの位置を書き留めることができる。本明細書で説明されるような自動検査中、処理回路機器50は、画像内の高コントラスト・エリアの位置の注釈を画像データにつけることができる。いくつかの実例の実施例では、ユーザは、画像内の1つ又は複数の位置、及び、カメラとサンプル材料又はピクセル/エリア値との間の距離を識別することができる。処理回路機器50は、画像内の位置、及び/又は、ピクセル/エリア値に基づいて、分光写真検査を含むがこれらに限定されないさらなる検査のために、高コントラスト・エリアの位置を判定することができる。
【0052】
いくつかの実例の実施例では、処理回路機器50は、高コントラスト・エリアを識別するために、分析のための詳細を向上させるために、カメラから受け取った画像データに光補償を適用するように構成することができる。実例の実施例では、光補償は、2パス・ガンマ・フィルタなどのガンマ・フィルタを、受け取ったデータに適用することを含む。2パス・ガンマ・フィルタは、高ガンマ補正において、及びさらに低ガンマ補正において、カメラ画像データに適用することができる。高ガンマ補正及び低ガンマ補正のそれぞれをデータに適用し、これにより、2つの画像セットを生じると、プロセッサは、高ガンマ補償後カメラ画像を低ガンマ補償後カメラ画像に追加するか、高ガンマ補償後画像と低ガンマ補償後画像の両方を元のカメラ画像に追加して、最終的な補償後画像を達成する。高ガンマ補償後カメラ画像及び低ガンマ・カメラ画像は、反射の差による元の画像データの異なるエリアを強調することができ、したがって、高コントラスト・エリアの識別のために、画像データにおけるさらなる詳細を検出することができる。ガンマ・フィルタについてのパラメータは、周波数応答シミュレータ、実験室テスト、及び/又は試行錯誤を利用した、1つ又は複数の計算に基づいて判定することができる。
【0053】
検査プラットフォーム103で材料101が検査されている事例では、オペレータ又は処理回路機器50は、検査プラットフォーム103を枢動的に又は別のやり方で移動させること、これにより、カメラ64のレンズ軸に対する検査プラットフォーム103の角度を変化させることを位置決めモータ66に行わせることができ、これにより、カメラ64の光軸に対する材料の全体的に平面の表面の角度を直角から変化させる。追加又は代替として、オペレータ又は処理回路機器50は、複合体101の表面に対するカメラ64の光軸の角度が90°から変化するように、位置決めモータにカメラ64を移動させることができる。処理回路機器50が1つ又は複数の位置決めモータにカメラ及び/又は検査プレートを移動させる度合いは、ユーザ・インターフェースを介したオペレータ入力に応じて定義される。角度の変化は、1度、3度、5度、10度、又は角度の他の任意の適切な変化であってもよく、変化は、漸進的なステップで、又は連続的に行うことができる。角度の変化により、異常な膜厚又は汚染によるものなど、酸化層の反射の変化による、輝き、又は、例えば高コントラスト・エリアといった、他の反射異常を、画像内で、より簡単に知覚させることができる。
【0054】
上述のように、オペレータ又は処理回路機器50は、分光計65を使用した、複合体101のスペクトル分析を実施することができる。オペレータは、カメラ64によって獲得され、ユーザ・インターフェース・ディスプレイに表示されたカメラ画像データ内の1つ又は複数の高コントラスト・エリアをオペレータが視覚的に識別し、視覚評価を確認するために、又は単に手順の一部として、分光計を利用することを望み、これにより、オペレータがカメラ画像にさらに依存するかどうかに関わらず、オペレータが分光写真器を使用してテスト表面エリアの1つ又は複数の部分を評価するとき、例えば、カメラ64、及び特にその視野が検査エリアにアクセスできないときに、スペクトル分析を実施することができる。
【0055】
オペレータ又は処理システムは、検査ケーブル110の遠位端を検査エリアに位置づける。処理回路機器50が検査ケーブルの位置を制御する実例では、検査ケーブルは、ローラを駆動させることによりテスト表面上の検査ケーブルを移動させるように、検査ケーブルの面とテスト表面との間をインターフェースする、ローラを駆動させる位置決めモータを含むモータ付き接合部を含むことができる。他の実施例では、システムは、テスト表面上に動作可能なように配置され、検査ケーブル・ヘッドの境界に伸びる境界構造におけるそれぞれの開口部を通って伸びるような、検査ケーブル・ヘッドに取り付けられた複数のガイド・ケーブルを含む。それぞれの位置決めモータは、位置決めモータを1つの方向に動作させることにより、一方のケーブルを引っ張り、他方のケーブルを繰り出せるように、ケーブルの所与のペアに取り付けられる。2つのケーブルは、検査ケーブル・ヘッドの反対の終端又は両側に取り付けられるので、これにより、検査ケーブル・ヘッドは、検査ケーブル・ヘッドから、引っ張っているケーブルが境界を通じて伸びるポイントに向かう方向に移動する。逆方向に位置決めモータが作動すると、反転機能、及び、逆方向の検査ケーブル・ヘッドの移動を生じる。ケーブルの各ペアは検査ケーブル・ヘッドに取り付けられ、次の2つの隣接するケーブルのペアに対して角度的にオフセットした位置において境界を通じて伸び、これにより、正しいケーブルのペアを選択すること、及び、対応する位置決めモータを正しい方向に作動させることによって、検査ケーブル・ヘッドを任意の方向に全体的に移動させることができる。他の実施例では、ワイヤ・ガイドは、スクリュー・ドライブで置き替えられ、又は、他の機械式、電気式、水圧式、又は空気式の線形アクチュエータを使用することができる。このような配置では、プロセッサは、ユーザ・インターフェース60(図15)を介して提供されたオペレータの方向及び距離の命令に応答して、位置決めモータの1つ又は複数を作動させて、所望の検査エリアに検査ケーブルを移動させることをプロセッサに行わせるように、処理回路機器のプログラミングが構成されるように、位置決めモータと動作通信中である。いくつかの実例の実施例では、検査ケーブルは、サンプル101の表面に対して固定位置に検査ケーブルを維持するように構成されたマウント・ブロック内に拘束することができる。位置決めモータは、マウント・ブロックを移動させて、所望の検査エリアに検査ケーブルを位置づけるように構成することができる。代替として、検査ケーブル110は、測定中、オペレータの手又はマウント・ブロックによって所望の検査において、手で移動させること、及び、保持することができる。テスト・サンプルの表面は、かんな盤、曲面、又は他の形状のものであってもよい。
【0056】
上述のように、分光計65は、ファイバがケーブル110の遠位端に光を搬送するように、照明ファイバ112に適用される光を生成する光源(例えば、一連のLED、白熱電球、スペクトル特徴がほとんどない他の広帯域照明、又は同様のもの)を含む。この光は、ケーブルの遠位端から出力し、テスト材料101の表面から反射する。ケーブル110の遠位端における入力ファイバ114の終端は、材料の表面から反射した光を受け取り、受け取った光を搬送して分光計処理機器に戻る。これに応答して、分光計65は、図3A図3Cに示されるものなどの、例えば、基板材料の製造業者によって提供されるような、照明源が生成した光の波長範囲、又は、上記で説明されたように選択した波長範囲にわたる材料の反射を判定し、反射についての対応する測定データ生成する。すなわち、分光計65のプロセッサは、受け取った光の反射スペクトルを生成する。分光計65は、スペクトル・データを処理回路機器50(図1)に、また、より具体的にはプロセッサ52(図15)に出力し、プロセッサ52は、メモリ54にスペクトルを格納し、ユーザ・インターフェース62(図15)のディスプレイにスペクトルの表示を行う。オペレータは、検査ケーブル110を位置づけ、検査エリア内の1つ又は複数のポイントで測定を行うことができ、例えば、ミリメートルごとの測定、1センチメートルごとの測定、又は、他の適切な測定密度での測定を行うことといった、検査エリア内の複数の位置の調査を行う。いくつかの実例では、また特に、オペレータが、サンプルの表面上でケーブルの遠位端を連続的に移動させる場合、処理回路機器は、1つ又は複数の測定グラフに重ねた測定データを、ユーザ・インターフェース62(図15)に提示して、サンプル表面の全体にわたって変化するようなスペクトル反応を示し、これにより、このスペクトル反応の偏差の識別を容易にすることができる。実例の測定データのスタッキング又はオーバレイが、図5図8を参照して下記で論じられる実例で描写される。さらに、オペレータは、酸化層の欠陥を含む可能性があるものと事前に判定されたサンプルの選択したエリアの上で、ケーブルの終端を移動させることができる。
【0057】
実例の実施例では、処理回路機器50は、検査エリア内の各測定の位置を追跡することができる。例えば、例えばステッピング・モータといった位置決めモータは、位置決めモータの動作に基づいて、1つ又は複数の軸における位置の変化を判定するように構成された線形エンコーダを含むか、関連付けることができる。オペレータは、検査エリア内の第1の既知の位置(例えば、テスト中の構成要素上にオペレータが物理的にマークした位置)に検査ケーブルを位置づけることができ、検査エリアは、処理回路機器が格納した所定のデカルト座標マップに対応させることができる(又は、実施例に応じて対応させなくてもよい)2次元表面であると仮定される。この位置で、オペレータは、直接的に、又はユーザ・インターフェースを通じて、分光計と対話して、分光計の光源をアクティブにし、これにより、ケーブルの遠位端から放たれた光源からの光で第1の既知の位置を照らす。この光は、サンプル表面から反射して、中心に位置する入力ファイバ114(図1)に進み、入力ファイバ114は分光計に光を向け、これにより、例えば、図3A図3C又は図5図8に示されるような、波長データ・セットに対するスペクトル共振を生み出す。オペレータ及び/又は処理回路機器50は、次に、次の漸進的位置に、又は、特定の用途に応じて、同じ検査エリア内の次の調査位置に、検査ケーブルの終端を送り、その後、検査ケーブル及び分光計に、新しいスペクトル反射データ・セットを同様に獲得させる。この処理を繰り返し、これにより、処理回路機器は、図5図8におけるような、ユーザ・インターフェース画面に同時に表示できる複数のデータ・セットを獲得する。処理回路機器50は、位置決めモータの動作を示すエンコーダ・データ、及び第1の既知の位置に基づいて、測定のそれぞれの現在位置を判定する。いくつかの実例の実施例では、処理回路機器50は、サンプルの表面材料に対して非垂直角に分光計ケーブルの遠位端を位置づけることによって、各調査位置において拡散反射データを収集することができる。
【0058】
分光計を利用して検査エリアを調査すると、オペレータ又は処理回路機器50は、各測定位置における測定についての反射スペクトル・データを分析して、欠陥が存在することがわかることになる、選択した波長範囲にわたって、所与の位置における反射スペクトルが、酸化層に欠陥がない場合に予想される反射スペクトルと十分異なるかどうかを判定する。測定は、固有の材料についての較正、膜、及び予想される欠陥に応じて、正反射率スペクトル又は拡散反射率スペクトルで行うことができる。例えば、受容れのための所定の尺度からはずれる何らかの1つの測定値がある場合、又は、同じ若しくは近くに位置づけられた位置における複数の測定の平均スペクトルとして計算された測定反射スペクトルが、所定の尺度から外れる場合、関心のあるエリアを識別することができる。単一の測定した反射スペクトル、及び、同じ又は近くに位置づけられた位置における複数の測定した反射スペクトルの平均又は他の統合は、この用語が本明細書で使用されるとき、測定スペクトルを有することができることを理解されたい。
【0059】
図5図8に描写された実例を参照して下記でさらに論じられるように、測定反射スペクトルが、所定の尺度に収まるか、外れるか(単一の分光計測定から生じるか、複数の測定の平均又は他のコレクションから生じるか)を判定するために、オペレータ又は処理回路機器50は、上述のように判定した波長範囲にわたる基準スペクトルと、実際の測定反射スペクトルを視覚的又は自動的に比較することができる。比較は、例えば、基準反射スペクトルと比較されるような測定反射スペクトルの形状及び位置の差に、又は、例えば、測定スペクトルと基準スペクトルの固有の最低値及びピーク強度といった、測定スペクトルと基準スペクトルの個別の特性の差に基づくことができる。
【0060】
このような実施例では、分析は、測定スペクトルを比較するべき、予想されるスペクトル又は基準スペクトルに依存する。これは、次に、基準スペクトルの定義に依存する。基準スペクトルは、例えば、テスト中の材料の、又は、テスト中の複合体材料と同じか同等の(若しくは、上記で説明されたように、スペクトル反応について、所定の関係がある)材料及び酸化層成長方法の1つ若しくは複数のサンプルの、複数の個別の実際の分光写真測定(図5図8参照)、或いは、このような複数のこのような個別の実際の測定値の平均、又は統合の他の形式であってもよく、ここで、このような測定を行うテスト中の材料、又は較正サンプルは、酸化層の厚さに影響を及ぼす欠陥がないことが知られているか、そうでなければ、このような測定を行うテスト中の材料又は較正サンプルの酸化層の厚さが、所定の予想値になることが知られている。代替として、オペレータは、テスト中の材料及び酸化層と同じか同等の基板材料及び酸化層成長方法/厚さの仮定の下で、上記で説明されたような計算モデルを通じて、基準スペクトルを判定することができる。さらに、基準スペクトルは、テスト中の材料の、又は、(酸化層の厚さ及び反射の観点から)同等の材料の、製造業者が提供したデータを有することができる。例えば、オペレータは、システムを使用して、テスト中の材料の表面の広いエリア上の複数の個別の位置において、分光計で複数の測定を行うこと、及び、(上述のように判定した)所定の波長範囲にわたる、これらの測定のための反射スペクトルを獲得することによって、予想される測定データを生成することができる。結果として生じる反射スペクトルのコレクションは、ユーザ・インターフェース60のディスプレイでオペレータが眺めるとき、酸化層の厚さがその予想値(基準の又は正常なスペクトル)であるテスト材料上の位置で行われた測定から生じた、同様の形状、波長位置、及び強度を有する1つ又は複数の反射スペクトルを有することができ、別の1つ又は複数のスペクトル(もしあれば)は、形状、(例えば、ピークの最低値の)波長位置、及び/又は強度が際だって異なる(異常なスペクトルである)。ディスプレイを眺めるとき、オペレータは、似た複合体材料の測定値を評価する際に、オペレータの判断及び経験に基づいて、正常なスペクトルと異常なスペクトルとを区別することができる。例えば、しばしば、同様の形状、波長位置、及び/又は強度を伴うスペクトルの大部分を基準スペクトルであると、オペレータが判定できるような、異常なスペクトルより多くの正常なスペクトルがあることがある。さらに、基準スペクトルは、これらの正常なスペクトルのコレクションを有することができ、又は、オペレータは、例えば、複数の正常なスペクトル選択すること、及び、処理回路機器で(ユーザ・インターフェースを通じて提供された命令を介して)平均ルーチンを実行することによって、これらの正常なスペクトルを平均することができる。代替として、オペレータは、テスト中の材料と同じか同等の基板上に、また、テスト中の材料の上に酸化層が形成されるのと同じか同等の方法で酸化膜を作り出すことと、実験室の条件でサンプル複合体材料を検査し、欠陥が存在しないこと、又はそうでなければ酸化層の厚さが予想されるようなものであることを確認することと、この較正サンプル材料の上の異なる位置で複数の分光写真測定を行うことと、基準反射スペクトルを同様に判定することと、を行うことができる。他の実施例では、テスト中の材料の製造業者は、製造業者が選択した波長範囲にわたる基準反射スペクトルを提供することができる。さらなる実施例では、オペレータは、テスト中の材料と同じであることが仮定される条件(例えば、基板材料及び酸化層成長方法)で、コンピュータ・プログラム・モデルを使用して、上述のように判定した波長範囲にわたる基準スペクトル、最小ピーク波長、及び最小ピーク強度を(又は、基準スペクトル自体を判定せずに最小ピーク波長及び最小ピーク強度を)計算する。このような基準スペクトルは、フレネル方程式及びこのような条件の適用を通じて作り出すことができる。オペレータは、ユーザ・インターフェースを介して、基準スペクトルを記述したデータも入力することができる。
【0061】
オペレータは、基準測定データをシステムに判定させると、又は、ユーザ・インターフェース若しくはデータ転送インターフェースを通じて、製造業者が生成した基準測定データを処理回路機器に提供すると、基準スペクトルを格納するために処理回路機器50(図1及び図15)に命令を送り、処理回路機器50は、基板材料及び酸化層の厚さに関する各基準スペクトル・データを格納し、基準スペクトル・データは、本明細書で論じられるような実際のテスト表面測定との比較のために、基準スペクトル・データが対応する膜成長方法として定義することができる。
【0062】
分光計65を利用してテスト材料表面上の位置の反射スペクトルを獲得すると、オペレータは、システム40利用して、テスト中の材料と同じ基板材料及び膜成長方法に対応する予想の又は基準の反射スペクトルから、獲得した実際の測定スペクトルが十分に逸れているかどうかを判定し、これにより、この位置におけるテスト材料の酸化層における欠陥を識別する。例えば、処理回路機器は、測定スペクトルと基準スペクトルをオペレータが視覚的に比較して、(例えば、スペクトル形状、強度、及び/又はピーク最小波長位置における)基準スペクトルからの測定スペクトルの偏差が、酸化層の欠陥に対応するかどうかを、例えば経験に基づいて、判定するように、テスト材料に適用可能なものと同じ基板材料及び膜成長方法について、基準スペクトルに被せた測定スペクトルを、ユーザ・インターフェース60に表示することができる。視覚検査を通じて欠陥の存在をこのように判定すると、オペレータは、ユーザ・インターフェースを作動させて欠陥の存在の指示を選択し、これにより、ユーザ・インターフェースは、対応するデータを処理回路機器50に送り、処理回路機器50は、システム・メモリ内の(例えば、上述のような、サンプル表面上の測定スペクトルの位置を含む)測定スペクトルと、欠陥の選択を関連付ける。測定スペクトルが、オペレータの判断で、欠陥がないことを示すのに十分、(例えば、形状、強度、及び/又はピーク最小波長位置において)基準スペクトルに近い場合、オペレータは、ユーザ・インターフェースを作動させて、欠陥がないことを示し、ユーザ・インターフェースに、対応する信号を処理回路機器に送らせ、処理回路機器は、測定スペクトルに関連したこの結果をシステム・メモリに格納する。代替として、又はさらに、プロセッサ52は、例えば、平均二乗偏差、原理構成要素分析、及びピーク適合アルゴリズムを含むがこれらに限定されない、曲線マッチング・アルゴリズムを実行して、(例えば、形状、波長位置、及び/又は強度における)測定スペクトルと基準スペクトルとの間の相違を量的に評価することができ、テストを通じて判定した所定の閾値を差が超過したときに酸化層の欠陥を識別する。このような自動化された手段を通じて欠陥の有無について結論に達すると、処理回路機器は、測定スペクトルに関する結果として生じた結論をメモリに格納する。
【0063】
例えば、図3A図3Cについて上述したような最小ピーク波長シフトを、正基準スペクトル及び正測定スペクトルが示す場合、オペレータは、基準スペクトル画像上の最小ピーク、及び、実際の測定スペクトル画像上の最小ピークに、(例えば、マウス、キーボード、又はタッチ・スクリーンなどのシステム/ユーザ・インターフェース入力デバイスを使用して)マークすることができる。これにより、最小ピークの波長位置が識別され、ユーザ・インターフェースは、対応するデータ(すなわち、ユーザ・インターフェースを通じてユーザが識別した波長)を処理回路機器50/プロセッサ52に転送する。プロセッサは、これらの2つの識別したピークの間の波長の差を判定し、ユーザ・インターフェース・ディスプレイにこの差を表示する。次に、オペレータは、酸化層の欠陥を示す性質のある厚さの変動をこの差が示すかどうかを、オペレータの判断及び/又は経験に基づいて判定することができる。代替として、メモリ54に格納した、(例えば、形成方法によって)この基板/層の厚さの組合せに適用可能な波長シフト閾値をオペレータが以前に判定したことがある場合、プロセッサは、適用可能な組合せに対応する格納した閾値波長シフトと、計算した波長シフトを比較し、測定した波長シフトが、閾値を超え、これにより欠陥を示すか、閾値内であり、これにより欠陥がないことを示すかを判定する。処理回路機器は、ユーザ・インターフェースを駆動して、結果を識別する情報を表示する。さらに、上記で論じられた基準スペクトルを判定するステップが、(例えば、視覚オペレータ識別及びシステムへの手動式オペレータ入力、基準スペクトルに適用されるピーク発見アルゴリズムによるプロセッサ52による自動的な識別、又は、基板材料製造業者、及びシステムへの入力からの、基準スペクトル・ピーク識別データの受取りによって)正基準スペクトルについての最小ピークを識別することと、基板/層の厚さの組合せのレコードに関する基準スペクトル最小ピークを54に格納することとを含む場合、並びに、適用可能な組合せのレコードに関連して54におけるメモリに格納されたこの組合せに適用可能な波長シフト閾値をオペレータが以前に判定したことがある場合、プロセッサは、測定スペクトルの最小ピークを自動的に識別する、(選択した又は所定の波長範囲内の)正測定スペクトルに対する(最小)ピーク識別アルゴリズムを実行し、所定の基準スペクトル最小ピーク波長と、計算した最小ピーク波長を比較し、2つの間の波長の差を判定する。プロセッサは、適用可能な組合せに対応する閾値と、計算した波長シフトを比較し、波長シフトが、閾値を超え、これにより欠陥を示すか、閾値内であり、これにより欠陥がないことを示すかを判定する。処理回路機器は、ユーザ・インターフェースを駆動して、結果を識別する情報を表示する。
【0064】
オペレータが欠陥の存在を主観的に判定した場合、オペレータは、この判定を識別する情報を、ユーザ・インターフェースを介してプロセッサに入力する。上述のように、プロセッサは、さらなる分析及び考えうる修理のために欠陥の位置をオペレータが後で識別できるように、54における対応する測定値についての測定スペクトル、及び、対応する測定値の(テスト中の材料表面上の)位置を格納するデータ・レコードに、欠陥の存在を示すデータを格納する。プロセッサが欠陥の存在を自動的に判定した場合、プロセッサは、測定のデータ・レコードと共に対応する情報を54に自動的に格納する。
【0065】
同様に、基準スペクトル(正又は拡散)と測定スペクトル(正又は拡散だが、基準スペクトルと同じタイプのもの)との間の差が、主に、選択した波長範囲にわたる反射強度のシフトである場合、オペレータは、基準スペクトル画像上のポイント、及び、実際の測定スペクトル画像上のポイントにマークすることができ、この間の差がスペクトル間の強度シフトを示していると、オペレータが判断する。これにより、基準スペクトルと測定スペクトルの強度の位置が識別され、ユーザ・インターフェースは、対応するデータを処理回路機器50/プロセッサ52に転送する。プロセッサは、2つの選択した位置の間の強度の差を判定し、この差をユーザ・インターフェース・ディスプレイに表示する。次に、オペレータは、酸化層の欠陥を示す性質のある厚さの変動をこの差が示すかどうかを、オペレータの判断及び/又は経験に基づいて判定することができる。代替として、メモリ54に格納された、この基板/層の厚さ(又は形成方法)の組合せに適用可能な強度シフト閾値をオペレータが以前に判定したことがある場合、プロセッサは、適用可能な組合せに対応する閾値と、計算した強度シフトを比較し、強度シフトが、閾値を超え、これにより欠陥を示すか、閾値内であり、これにより欠陥がないことを示すかを判定する。処理回路機器は、ユーザ・インターフェースを駆動して、結果を識別する情報を表示する。さらに、上記で論じられた基準スペクトルを判定するステップが、(例えば、視覚オペレータ識別及びシステムへの手動オペレータ入力、所定の波長範囲にわたる基準スペクトルに適用される平均アルゴリズムによるプロセッサ52による自動識別、又は、基板材料製造業者からの基準スペクトル平均反射強度データの受取り及びシステムへの入力によって)基準スペクトルについての反射強度を識別することと、基板/層の厚さの組合せレコードに関する基準スペクトル強度を54に格納することとを含む場合、並びに、適用可能な組合せのレコードに関連して54におけるメモリに格納されたこの組合せに適用可能な反射強度閾値をオペレータが以前に判定したことがある場合、プロセッサは、測定スペクトルの強度を自動的に識別する、(選択した又は所定の波長範囲内の)測定スペクトルに対する反射強度平均アルゴリズムを実行し、所定の基準スペクトル強度と、計算した強度を比較し、2つの間の強度の差を判定する。プロセッサは、適用可能な組合せに対応する閾値と、計算した強度の差を比較し、強度の差が、閾値を超え、これにより欠陥を示すか、閾値内であり、これにより欠陥がないことを示すかを判定する。処理回路機器は、ユーザ・インターフェースを駆動して、結果を識別する情報を表示する。
【0066】
オペレータが欠陥の存在を主観的に判定した場合、オペレータは、この判定を識別する情報を、ユーザ・インターフェースを介してプロセッサに入力する。プロセッサは、さらなる分析及び考えうる修理のために欠陥の位置をオペレータが後で識別できるように、54における対応する測定値についての測定スペクトル、及び、対応する測定値の(テスト中の材料表面上の)位置を格納するデータ・レコードに、欠陥の存在を示すデータを格納する。プロセッサが欠陥の存在を自動的に判定した場合、プロセッサは、測定のデータ・レコードと共に対応する情報を54に自動的に格納する。
【0067】
測定スペクトルの最小ピーク波長シフト又は強度シフトは、基準スペクトルの最小ピーク波長又は反射強度より高くなること、又は、低くなることがある。このような高い又は低い偏差は、上記で説明されたような、基準反射スペクトルを有するために使用された複数の較正反射スペクトルによって判定されたように、偏差が基準スペクトル値から少なくとも1つの標準偏差に近いか超過するとき、酸化膜の欠陥として識別することができる。他の閾値は、例えば、2つ以上の標準偏差、又は、波長の観点から定義された波長シフトの差、又は、反射の観点から定義された強度の差を定義することができ、それぞれ、テスト材料と同じ材料から作られ、テスト材料の上の酸化膜と同じ手法で酸化層を成長させた、サンプル材料のテストを通じて定義される。さらに、このようなテストに基づいて、低い波長シフトについての閾値は、高い波長シフトについての閾値とは異なってもよく、低い強度シフトについての閾値は、高い強度シフトについての閾値とは異なってもよい。さらに、比較のための閾値は、上述の方法のいずれかのために、テスト中の材料の製造業者によって提供されることもある。基準最小波長と測定最小波長、基準強度と測定強度、及び/又は、基準反射スペクトル形状と測定反射スペクトル形状を比較する前述の方法は例証のためにすぎず、必要に応じて他の適切な方法を代用できることを当業者は認識するであろう。説明した分析は、検査中に動的に実施することができ、又は、1つ若しくは複数の測定後に実施することができる。
【0068】
カメラ画像分析及び/又はスペクトル分析に基づいて、オペレータ及び/又は処理回路機器は、テスト中の複合体材料の酸化層の全体的な受容性を判定することができる。受容性は、カメラ画像が高コントラスト・エリアを含まないこと(若しくは、カメラ画像の所定の割合にすぎないこと)、測定値が所定の最小ピーク波長を下回ることも、所定の最小ピーク波長を上回ることもないこと(若しくは、測定値の所定の割合にすぎないこと)、測定値が所定の強度を下回ることも、所定の強度を上回ることもないこと(若しくは、測定値の所定の割合にすぎないこと)、測定値が、測定した最小ピーク波長若しくはピーク強度に基づく、予想最小ピーク波長からの最大偏差、予想強度からの最大偏差、若しくは(厚さの範囲を含む)予想膜厚からの最大偏差を含まないこと(若しくは、測定値の所定の割合にすぎないこと)、酸化層の汚染がないこと、酸化層に一定の所定の汚染物質がないこと、又は他の適切な尺度を、限定することなく含む1つ又は複数の受容れ尺度に基づくことができる。上述のように、プロセッサ52は、測定を行ったテスト表面の識別と共に、各分光法測定のための関連尺度を表すデータを、メモリ54に保存する。テスト中の表面についての測定をオペレータが完了したとき、オペレータは、ユーザ・インターフェースを通じて、検査が完了したことを示すデータをプロセッサ52に入力する。次に、プロセッサ52は、テスト材料についてのメモリ54に格納された全ての測定レコードを評価し、これらのレコードで定義されるような、上記で説明された尺度の1つ又は複数のいずれかが存在するかどうかを判定し、この尺度に基づいて、テスト表面が受容れ可能であるか否かをユーザ・インターフェース60に表示する。受容性は、合格/不合格の指示であってもよく、酸化膜の厚さ、及び/若しくは材料101の観察などの受容れ可能な尺度、又は他の適切なレポート又は読出し情報を含む。
【0069】
複合体材料101が受容れ可能であると判定された事例では、複合体材料101は、核応用でのクラッディング、蒸気系構成要素、又は他の耐食性が重要な用途などの、所定の用途で取り付けること又は使用することができる。
【0070】
図4図16は、上記で説明された処理に応じて選択した照明源を用いて、カメラ画像分析及びスペクトル分析の両方を受ける実例の材料を示す。図4は、4つの実例の複合体材料クーポン300を示す。第1のクーポン302は、1、合金A、厚膜として識別され、溶接部303を含む。第2のクーポン304は、2、合金A、薄膜として識別される。第3のクーポン306は、3、合金B、厚膜として識別される。第4のクーポン308は、4、合金B、薄膜として識別される。各クーポンは、酸化層が成長した基板として、2つのジルコニウム合金A又はBのどちらかを有する。図4は、可視スペクトルのカメラで獲得したこれらのクーポンの画像を示し、一方で、図9図13は、様々なレンズ及び光源を使用して、本明細書で説明され、64(図1及び図15)に示されるようなシステムの構成要素を有し、SWIRカメラで獲得したこれらの同じクーポンの画像を描写する。60(図15)におけるようなディスプレイで、獲得した画像を眺めるとき、厚膜を伴うクーポンにおけるタングステン汚染エリアを示すのに十分なコントラストを、ほとんどの画像化条件が提供する。SWIRカメラによる薄膜検査は、いくつかのケースでは、正常な薄膜と異常な薄膜との間の最低限の又は検出不能なコントラストを生じた。したがって、例えば、65(図1及び図15)におけるような分光計を利用した、正反射スペクトル分析は、より詳細に上記で説明されたような、受容性を判定するため、及び/又は、汚染を識別するために使用することができる。汚染は、サンプル材料を形成するために使用されるインゴットに内在するものであることもあり、溶接中に導入されることもあり、ベース・メタルに拡散した表面汚染物質であることもあり、又は同様のものである。ベース・メタルの汚染は、ベース・メタル上で成長した酸化膜の厚さの変動を引き起こすことがある。汚染エリアと比較して非汚染エリアにおける膜のコントラスト又は正反射率の差は、上述のように、各それぞれのエリアにおける膜厚の差によるものである。
【0071】
Sensors Unlimitedが販売する640HSXなどのSWIRカメラで撮られた、蛍光、白熱、及びNIRという3つの異なる光源、及び3つの異なるレンズによる4つのクーポンの画像を、図9図13について下記で論じる。画像は、50mm固定開口レンズ、25mm調節可能開口レンズ、及び、25mmレンズと共に使用するためのハイパス・フィルタ(1350nmカット・オフ)を使用してキャプチャされた。蛍光及び白熱光は両方、SWIRスペクトルで十分な照明を生み出す。いくつかの事例では、写真用ベンチなどの光源は、サンプルの一様且つ制御可能な照明を提供することができる。(例えば、上述のように、ピーク最小シフトが発生するスペクトル範囲であると判定された)約850nmを中心とするものなどの近赤外線(NIR)照明を、1つ又は複数のLEDで提供することができる。LEDの放射スペクトルは、分光計又は他の適切な方法を使用することによって検証することができる。1350nmカット・オフ・ハイパス・フィルタ及び850nm照明源は、例証のために使用されるにすぎず、分析のための波長帯域の選択のための、上記で説明された手法で、バンドパス・フィルタ及び照明源が選択されることを当業者は理解するであろう。
【0072】
図9は、蛍光、白熱、及び850nm赤外光源のそれぞれから、クーポンによって反射された光をキャプチャするフィルタなし25mmレンズ又はフィルタなし50mmレンズを用いてSWIRカメラで獲得したクーポン3(合金B、厚膜)の画像を示す。蛍光照明を用いるフィルタなし25mmレンズを例外として、例えば、クーポンの暗いアーチ型部分といった、タングステン汚染エリア1002の位置を示すのに十分なコントラストを、組合せの全てが生み出す。図10は、3つの照明タイプのそれぞれにおける、25mmフィルタ付きレンズによるクーポン3(合金B、厚膜)の画像1100を示す。タングステン汚染エリア1102の位置を示すのに十分なコントラストを、各組合せが生み出す。照明の方向の変化と共に膜の外観がどのように変化するかを示すために、蛍光光の中で、フィルタ付き25mmレンズの組合せによる2つの画像が示され、ここで、照明源は、観察されるコントラストを取得するまで、手動で傾けられた。異常な膜の広がりを判定するための最善の単一の画像は、白熱光の中で、フィルタ付き25mmレンズで撮られた。フィルタ付き25mmレンズ及びNIR照明による画像は、照明不足であることから不鮮明であるが、汚染エリアを視覚的に識別するのに十分な正常な膜と異常な膜との間のコントラストを含む。フィルタ付き25mmレンズ及びNIR照明の画像は、バンドパス・フィルタで予想される結果を模倣するハイパス・フィルタと短波長照明の組合せである。
【0073】
図11は、クーポン1(合金A、厚膜)の画像1200を示す。画像のいくつかにおいて、汚染エリア1202は、溶接部の全幅に及ぶ、クーポンの中央にある、おおむね長方形の形状の中の暗いエリアのように見える。他の画像では、異常な膜の狭い細片だけが、区別できるほど十分に暗い。この効果は、照明の角度によって影響を受けることがあり、カメラから提供されたライブ・ビデオ・ディスプレイを見ながら、オペレータがクーポンを操作しているときに、より容易に見られることがある。ハイパス・フィルタが画像をブロックするので、850nmでのフィルタ付き25mmレンズについての画像は提供されない。
【0074】
図12は、クーポン4(合金B、薄膜)の画像1300を提供する。いくつかのケースでは、例えば、暗いアーチ型部分といった、正常な膜と異常な膜との間のはっきりとしたコントラスト1302があるが、図9図11と同様に、多くの画像には、ほとんどなにもない。3つのエリアは、タングステンで汚染されている。反射光は、図9図14の画像全てにおけるように、拡散している。
【0075】
図13は、クーポン2(合金A、薄膜)の画像1400を示す。さらに、いくつかのケースでは、例えば、クーポンの実質的に水平の中央部分にわたって現れる全体的に三日月型といった、正常な膜と異常な膜との間に明瞭なコントラスト1402があるが、図9図12と同様に、多くの画像では、実質的になにもない。クーポンは、3つのタングステン汚染エリアを含む。
【0076】
いくつかの実例の正反射スペクトルは、本明細書で説明されるように、400~900nmの範囲での可視光分光法のための反射分光計、及び/又は、950~1650nmの範囲でのSWIRのための反射分光計を使用してキャプチャされ、ここで、波長範囲は、上記で説明されたように選択された。本明細書で説明されるような処理で使用するのに適した反射分光計は、Ocean Opticsが販売するFlame分光計又はNIRQuest256-2.1を含む。分光計は、400から900nmの範囲、及び950~1650nmの範囲で正反射スペクトルと拡散反射スペクトルの両方をそれぞれ生み出すことができる。上述のように、スペクトル反射は、入射角が反射角に等しくなるように、サンプル材料の表面に垂直に分光計ケーブルの遠位端を位置づけることによって測定される。拡散反射は、サンプル材料の表面に対して垂直でない角度で分光計ケーブルの遠位端を位置づけることによって測定される。分光計の光学プローブの実際の直径は、約1mmである。波長較正は、回折格子角をスキャンすること、及び、既知の波長でスペクトルを測定することによるものを含む、計器ベンダによって実施することができる。強度較正は、米国標準技術局(NIST)規格などの反射規格と比較することによって実施することができる。
【0077】
図5図8は、図4のクーポンの1つ又は複数のポイントにわたって分光計65(図1及び図15)が測定した正反射率又は拡散反射率スペクトルのコレクションを描写する。図5図8の各図は、図4に示された4つのクーポンの所与の1つに対応し、所与の図の各スペクトル線は、この図についてのクーポン上の個別の異なるポイントにおける正反射率又は拡散反射率測定を表す。スペクトルの反射の差は、例えば汚染のない予想の厚さなどの正常な膜と、異常な膜との間の差を示す。手動システムでは、オペレータは、各測定についてのサンプル識別子、位置、時間、又は他の関係情報をログに記録することができる。自動化された実施例では、オペレータは、ユーザ・インターフェース60を通じてこの情報を入力し、処理回路機器50は、サンプル識別子、位置データ、日付/タイム・スタンプ、又は同様のものと、測定データを相関させる。
【0078】
図5は、クーポン4(合金B、薄膜)の正反射スペクトル400を示す。(層の厚さが影響する欠陥のない)正常な膜を伴うエリアからの3つのスペクトル401は、基準スペクトルを含み、550nm付近に反射最低値402を有する。タングステン汚染エリアからの2つのスペクトル403は、530nm付近に反射最低値404を有する。正常な膜上の反射最小値の位置は、測定ごとに一致しているが、絶対反射は、わずかに異なる。これらのスペクトルは、スペクトル最低値の比較を容易にするために、垂直(反射強度)軸上でシフトされた。タングステン汚染エリアからのスペクトルは、最大スペクトル・シフトを見つけるために、分光計出力画面を視覚的に監視しつつ、プローブの位置をシフトさせることによって行われた。タングステン汚染の密度により、クーポン上の汚染エリアの一方の側に、突然のスペクトル変化があり、他方の側に、よりなだらかな変化がある。オペレータ及び/又はシステム40(図15)は、上述のように、20nmという最小ピーク波長シフトが、酸化層の欠陥の存在を示すのに十分であるかを判定する。
【0079】
図6は、クーポン(合金A、薄膜)の正反射スペクトル500を示す。この場合、正常な膜と汚染エリアの上の絶対反射は、非常に異なる。正常な膜のエリア上の3つの代表的なスペクトル501は、基準スペクトルを有し、570nm付近に反射最低値502で示される。タングステン汚染エリアからの3つのスペクトル503も示される。異常なスペクトルは、ずっと低い全反射率、及び、550nm付近に比較的かすかな反射最小値504を有する。それでもなお、570nmから550nmまでのピーク最小シフトは、本明細書で説明された方法を通じて検出することができ、このタングステン汚染は、ピーク最小シフトに基づいて検出することができる。
【0080】
図7は、クーポン3(合金B、厚膜)上の拡散反射スペクトル600のコレクションを示す。スペクトル600には、全反射率、又は強度を除いて、顕著な特徴がない。汚染された膜602によるスペクトルについての全反射率は、正常な膜604よりずっと低く、欠陥の有無を示す厚さの変動は、上述のように判定される。したがって、図6及び図7の比較は、所与の複合体についてのいくつかのスペクトル特性が、正反射スペクトルにおいて、より明らかになり得る一方で、他の特性は、拡散反射スペクトルにおいて、より明らかになり得ることを示す。
【0081】
図8は、クーポン1(合金A、厚膜)上の拡散反射スペクトル700のコレクションである。このクーポンには溶接部があり、溶接部の材料は、基板合金のものより、ずっと粗い粒状構造を有しているので、標本の3つの別個且つ個別のエリア(正常な溶接部、正常な溶接部のない合金、及びタングステン汚染合金)があり、結果として生じるスペクトルについての3つの個別の反射強度レベルを生じる。ベース・メタル602及び溶接部604の全反射率は、汚染エリア606に比べて高い。この実例では、オペレータは、正常なスペクトル形状と異常なスペクトル形状との間の強度シフトに主観的に注目することによって異常な汚染エリアを識別することができる。代替として、処理回路機器は、測定した異常なスペクトルについての、示された波長範囲にわたる平均強度を判定すること、この平均を、基準スペクトルの平均についての(同じ波長範囲にわたる)平均強度と比較すること、この差が(上述のように較正を通じて判定された)所定の閾値を超えるかどうかを判定すること、及び、測定スペクトル平均強度/正常なスペクトル平均強度の差が、閾値を上回るか下回るかをユーザ・インターフェース・ディスプレイにおいてオペレータに提示することを行うことができ、これにより、オペレータは、この情報に基づいて欠陥が存在するかどうかを判定することができる。
【0082】
図1について上述したように、オペレータは、複合体サンプル101の1つ又は複数の画像をキャプチャするために、カメラ64を位置づけることができる。カメラ64の出力は、処理回路機器50が受け取り、処理回路機器50は、ユーザ・インターフェース上に画像を生成する。次に、オペレータは、ユーザ・インターフェースに表示されたような画像を視覚的に検査して、受容性を判定すること、又は、異常を識別することができる。追加又は代替として、画像内の1つ又は複数の異常を識別するために、機械画像化処理を画像に適用することができる。
【0083】
図14は、拡散反射に基づく、同一の照明条件での、可視スペクトル画像化とSWIR画像化との間の直接比較を示す。両方の画像は、同じ構成の4つの150ワット白熱スポット光で照らされた光学ベンチ上で撮られた。一番上の画像1502は、400から700nmの範囲の可視光に感光性のある標準的なデジタルSLRカメラで撮られた。元のカラー画像は、比較のためにグレー・スケールにコンバートされた。下の画像1504は、SWIRカメラ及び1150+/-10nmバンドパス・フィルタで撮られた。2つの画像上の正常な膜と異常な膜のグレー・スケール・レベルの比較は、正常な膜と異常な膜1506との間の可視光画像1504より約3.5倍大きいコントラストを、フィルタ付きSWIR画像1504が有することを示す。
【0084】
光学イメージング及び分光法を使用した薄い酸化膜及び厚い酸化膜の検査は、例えば、オペレータが、視覚検査だけに頼ると、欠陥を見落としかねないような、欠陥のないコントラストと同様に現れることがあるかすかな可視のコントラストを、このようなタングステン汚染エリアが生じるので、異常な膜の信頼できる検出を改善し、タングステン汚染の偽陽性指示の数を低減させる。薄膜は、可視波長画像化で検査することができ、このような検査は、本明細書で説明されるような、適切な光学フィルタの使用により、さらに改善することができる。可視光反射分光法は、タングステン汚染のクリアで再現可能な指標を提供する。いくつかの実例の実施例では、薄膜の厚さは、おおよその定量的手法で、タングステン濃度と相関する可能性がある。厚膜は、従来の定性的視覚検査とうまく相関する数量化可能な測定を提供する、可視光を使用した拡散反射を使用して、効果的に検査することができる(例えば、図7についての上記の議論を参照)。適切なフィルタにより、異常な膜は、SWIRカメラを使用して場所を突き止めることができる。
【0085】
実例の装置
図15を参照しながら本発明の実例の実施例をここで説明し、図15は、実例の実施例による酸化層検査のための装置の一定の要素を示す。図15の装置、又はその一部は、例えば、モバイル・コンピューティング・デバイス、又は様々な他のデバイス(例えば、コンピュータ端末、ネットワーク・デバイス、サーバ、プロキシ、又は同様のものなど)で用いることができる。代替として、実施例は、(例えば、コンピューティング端末とモバイル・コンピューティング・デバイスといった)クライアント/サーバ関係にあるデバイスの組合せで採用することができる。さらに、下記で説明されるデバイス又は要素は、必須でなくてもよく、したがって、いくつかは、一定の実施例では省略できることに留意されたい。
【0086】
酸化層検査のために構成された装置が提供される。装置は、検査モジュール44、又はデバイス・ホスティング検査モジュール44の実施例であってもよい。下記で論じられるように、検査モジュール44は、下記で、又はそうでなければ、本明細書で論じられるように、酸化層検査、又は酸化層検査の一部の実施を、処理回路機器に行わせるように構成されたコンピュータ可読命令を含む。実例の実施例では、装置は、データ処理、アプリケーション実行、並びに他の処理及び管理サービスを実施するように構成された処理回路機器50を含むか、そうでなければ、処理回路機器50と通信していてもよい。1つの実施例では、処理回路機器50は、ストレージ・デバイス54、並びに、ユーザ・インターフェース60、デバイス・インターフェース62、カメラ64、分光計65、位置決めモータ66、及び/又は照明源68と通信しているか、そうでなければ、これらを制御するプロセッサ52を含むことができる。したがって、処理回路機器50は、本明細書で説明される動作を実施するように、(例えば、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組合せで)構成された回路チップ(例えば、集積回路チップ)として具体化される。それでも、いくつかの実施例では、処理回路機器50は、サーバ、コンピュータ、ラップトップ、ワークステーション、又はことによると、様々なモバイル・コンピューティング・デバイスの1つの一部として具体化されてもよい。サーバとして、又はリモートに位置するコンピューティング・デバイスにおいて、処理回路機器50が具体化される状況では、ユーザ・インターフェース60は、デバイス・インターフェース62及び/又はネットワーク(例えばネットワーク30)を介して処理回路機器50と通信している別のデバイスに(例えば、コンピュータ端末又はクライアント・デバイスに)配置することができる。
【0087】
ユーザ・インターフェース60は、ユーザ・インターフェース60において入力されたオペレータの指示を受け取るために、及び/又は、可聴、視覚、機械的、若しくは他の出力をオペレータに提供するために、処理回路機器50と通信している。したがって、ユーザ・インターフェース60は、例えば、キーボード、マウス、ジョイスティック、ディスプレイ、タッチ・スクリーン、マイクロフォン、スピーカ、モバイル・デバイス、又は他の入出力メカニズムを含むことができる。サーバ、又は他のネットワーク・エンティティにおいて装置が具体化される実施例では、ユーザ・インターフェース60は、いくつかのケースでは、限定するか、ことによると、除いてもよい。代替として、上記で示されたように、ユーザ・インターフェース60は、リモートに位置してもよい。
【0088】
デバイス・インターフェース62は、他のデバイス及び/又はネットワークとの通信を可能にする1つ又は複数のインターフェース・メカニズムを含むことができる。いくつかのケースでは、デバイス・インターフェース62は、処理回路機器50と通信しているネットワーク及び/又は他の任意のデバイス若しくはモジュールとの間でデータを受信及び/又は伝送するように構成された、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組合せにおいて具体化されたデバイス又は回路機器などの任意の手段であってもよい。この点に関して、デバイス・インターフェース62は、例えば、ワイヤレス通信ネットワークとの通信を可能にするためのアンテナ(又は複数のアンテナ)並びにサポートハードウェア及び/又はソフトウェア、並びに/又は、ケーブル、デジタル加入者線(DSL)、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、イーサネット(登録商標)、若しくは他の方法を介した通信をサポートするための通信モデム、若しくは他のハードウェア/ソフトウェアを含むことができる。デバイス・インターフェース62がネットワークと通信する状況では、ネットワークは、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、及び/又は、インターネットなどの広域ネットワーク(WAN)のようなデータ・ネットワークなどの、ワイヤレス又は有線通信ネットワークの様々な実例のいずれかであってもよい。
【0089】
実例の実施例では、ストレージ・デバイス54は、例えば、固定式又は取外し可能であってもよい揮発性及び/又は不揮発性メモリなどの、1つ又は複数の非一時的ストレージ又はメモリ・デバイスを含むことができる。ストレージ・デバイス54は、本発明の実例の実施例による様々な機能を装置が実行できるようにするための、情報、データ、アプリケーション、命令、又は同様のものを格納するように構成することができる。例えば、ストレージ・デバイス54は、プロセッサ52によって処理するために入力データをバッファするように構成することができる。追加又は代替として、ストレージ・デバイス54は、プロセッサ52による実行のために命令を格納するように構成することができる。さらなる別の代替として、ストレージ・デバイス54は、様々なファイル、コンテンツ、又はデータ・セットを格納することができる複数のデータベース(例えば、データベース・サーバ)の1つを含むことができる。ストレージ・デバイス54のコンテンツの中でも、アプリケーション(例えば、クライアント・アプリケーション又はサーバ・アプリケーション44)を、本明細書で論じられた機能を含む各それぞれのアプリケーションに関連付けられた機能を実行するための、プロセッサ52による実行のために、格納することができる。
【0090】
プロセッサ52は、いくつかの異なる方式で具体化することができる。例えば、プロセッサ52は、マイクロプロセッサ若しくは他の処理要素、コプロセッサ、コントローラ、又は、例えば、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)、ハードウェア・アクセラレータ、若しくは同様のものなどの集積回路を含む他の様々なコンピューティング若しくは処理デバイスなどの様々な処理手段として具体化することができる。実例の実施例では、プロセッサ52は、ストレージ・デバイス54に格納されているか、そうでなければ、プロセッサ52にアクセス可能な、命令を実行するように構成することができる。したがって、ハードウェア又はソフトウェア方法で構成されても、その組合せで構成されても、プロセッサ52は、適宜構成しつつ、本発明の実施例による動作を実施することができる(例えば、回路機器において物理的に具体化された)エンティティを表すことができる。このように、例えば、ASIC、FPGA、又は同様のものとしてプロセッサ52が具体化されるとき、プロセッサ52は、本明細書で説明される動作を行うために具体的に構成されたハードウェアであってもよい。代替として、別の実例として、ソフトウェア命令の実行器としてプロセッサ52が具体化されるとき、命令は、本明細書で説明される動作を実施するようにプロセッサ52を具体的に構成することができる。
【0091】
実例の実施例では、プロセッサ52(又は処理回路機器50)は、検査モジュール44として具体化するか、含むか、そうでなければ、制御することができ、検査モジュール44は、ソフトウェアに従って動作する、或いはそうでなければ、ハードウェア、又は、ハードウェアとソフトウェアの組合せ(例えば、ソフトウェア制御下で動作するプロセッサ52、本明細書で説明される動作を実施するように特に構成されたASIC若しくはFPGAとして具体化されたプロセッサ52、若しくは、その組合せ)で具体化された、デバイス又は回路機器などの、いずれかの手段であってもよく、これにより、下記で説明されるような、検査モジュール44の対応する機能を実施するようにデバイス又は回路機器を構成する。
【0092】
実例の実施例では、処理回路機器50は、カメラ64を含むか、そうでなければ、カメラ64と通信していてもよい。カメラ64は、周囲の環境に関連付けられた画像データをキャプチャするように構成されたデジタル・カメラであってもよい。画像データは、1つ又は複数の固定画像又は動画であってもよい。カメラ64は、Sensors Unlimitedが販売する640HSX SWIRカメラなど、短波赤外線スペクトルで画像データをキャプチャするように構成することができる。SWIRカメラは、選択した照明源の波長範囲の少なくとも一部を通すように構成された1つ又は複数のバンドパス・フィルタを含むことができる。追加又は代替として、カメラ64は、紫外線、(UV)、可視(VIS)、赤外線(IR)、長波赤外線(LWIR)、又は他の適切な波長を含む他のスペクトル範囲でカメラ・データをキャプチャするように構成することができる。実例の実施例では、カメラ64は、複数の波長範囲のカメラ・データを同時にキャプチャするように構成されたハイパースペクトル・カメラであってもよい。
【0093】
実例の実施例では、処理回路機器50は、分光計65を含むか、そうでなければ、分光計65と通信していてもよい。分光計65は、サンプルの表面から反射した光を測定するように構成された反射分光計であってもよい。実例の実施例では、分光計は、Ocean Opticsが販売するFlame分光計又はNIRQuest256-2.1など、サンプル材料及び/又は所望の若しくは予想される酸化層の厚さに応じて、400~900nmの範囲、950~1650nmの範囲、又は他の適切な範囲で光の反射を測定するように構成することができる。
【0094】
実例の実施例では、処理回路機器50は、1つ又は複数の位置決めモータ66を含むか、そうでなければ、これと通信していてもよい。位置決めモータ66は、2つ以上の検査位置の間で、検査プレート、カメラ64、分光計、及び/又は検査ケーブルを移動させるように構成することができる。位置決めモータ66は、電子サーボ・モータ、又は、当技術分野で知られた他の任意の適切なモータであってもよい。位置決めモータ66のサイズ及びタイプは、カメラ、分光計、サンプル、及び/又は検査プレートのサイズ及び/又は重さに基づいて選ぶことができる。
【0095】
実例の実施例では、処理回路機器50は、1つ又は複数の照明源68を含むか、そうでなければ、これと通信していてもよい。照明源68は、特定の光波長又は広帯域のために構成された、1つ又は複数の発光ダイオード(LED)、蛍光光、白熱光、又は同様のものを含むことができる。照明源68の光波長は、上述のような、予想される又は所望の酸化層の厚さなどを含む、サンプル材料、所望の若しくは予想される酸化層の厚さ、又は同様のものに基づいて、選択することができる。いくつかの実例の実施例では、光波長は、短波赤外線(SWIR)、近赤外線(NIR)、紫外線(UV)、可視(VIS)、赤外線(IR)、長波長赤外線(LWIR)、又は他の適切な波長であってもよい。
【0096】
検査モジュール44のマネージャは、ネットワーク30を介した酸化層検査を容易にするためのツールを含むことができる。検査モジュール44は、ストレージ・デバイス54などのメモリに格納された非一時的コンピュータ可読命令を含む。検査モジュール44は、上述のような、酸化層検査を処理回路機器52に実施させるように構成される。実例の実施例では、検査モジュール44は、サンプルについての材料タイプの指示を受け取ること、材料タイプに基づいて、予想される酸化層の厚さを選択すること、酸化層の厚さに基づいて、所望のスペクトル・コントラストを作り出すように照明源を選択すること、選択した照明源でサンプルの少なくとも一部を照らすこと、及び、カメラでキャプチャした画像における酸化層の厚さを分析することに基づいて、酸化層受容性を判定することを行うように構成され、カメラは、照明源と並べられる。
【0097】
実例の酸化層検査の流れ図
技術的な観点から、上記で説明された検査モジュール44は、上記で説明された動作のいくつか又は全てをサポートするために使用することができる。したがって、図15で説明されるプラットフォームは、いくつかのコンピュータ・プログラム及び/又はネットワーク通信ベースの対話の実行を容易にするために使用することができる。例として、図16は、本発明の実例の実施例による方法及びプログラム製品の流れ図である。流れ図の各ブロック、及び流れ図におけるブロックの組合せは、1つ又は複数のコンピュータ・プログラム命令を含むソフトウェアの実行に関連付けられたハードウェア、ファームウェア、プロセッサ、回路機器、及び/又は他のデバイスなどの、様々な手段で実行できることが理解されよう。例えば、上記で説明された手順の1つ又は複数は、コンピュータ・プログラム命令で具体化することができる。この点に関して、上記で説明された手順を具体化するコンピュータ・プログラム命令は、ユーザ端末のメモリ・デバイス、又は同様のものによって格納され、ユーザ端末のプロセッサで実行されてもよい。認識されるように、任意のこのようなコンピュータ・プログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能装置で実行する命令が、流れ図のブロックで指定される機能を実行するための手段を作り出すべく、機械を生み出すためにコンピュータ又は他のプログラム可能装置(例えばハードウェア)にロードすることができる。また、これらのコンピュータ・プログラム命令は、コンピュータ可読メモリに格納し、コンピュータ可読メモリに格納された命令が、流れ図のブロックで指定される機能を実行する製品を生み出すべく、特定の手法で機能するようにコンピュータ又は他のプログラム可能装置に指図することができる。また、コンピュータ・プログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能装置で実行する命令が、流れ図のブロックで指定された機能を実行するべく、コンピュータ実行処理を生み出すために、コンピュータ又は他のプログラム可能装置上で一連の動作を実施するように、コンピュータ又は他のプログラム可能装置にロードすることができる。
【0098】
したがって、流れ図のブロックは、指定の機能を実施するための手段の組合せ、及び、指定の機能を実施するための動作の組合せをサポートする。流れ図の1つ又は複数のブロック、及び流れ図におけるブロックの組合せは、指定の機能を実施する専用ハードウェア・ベースのコンピュータ・システム、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令の組合せによって実行できることも理解されよう。
【0099】
追加又は代替として、流れ図のブロックの1つ又は複数は、図15を参照しながら上記で説明されたプラットフォームの支援の有無にかかわらず、オペレータが手動で実施することができる。
【0100】
この点に関して、図1及び図15の1つ又は複数の要素を利用した、本発明の1つの実施例による方法が図16に示される。方法は、破線のボックスで示されるような1つ又は複数の任意選択の動作を含むことができる。方法は、動作1702において、サンプルの材料タイプを判定することを含むことができる。材料タイプは、構成要素又は材料についての製造業者の説明書、システム図、又は他の信頼できる情報源を閲覧することによって判定することができる。検査システム40が利用される事例では、ユーザは、ユーザ・インターフェース60を介して材料タイプを入力する。材料タイプは、例えば、材料IDコード(材料タイプに直接対応するコード)、又は構成要素IDコード(構成要素部分を識別するコード)であってもよい。構成要素IDコードが使用される場合、処理回路機器50は、構成要素を作った材料と構成要素IDコードを相関させた探索テーブルをストレージ・デバイス54に有する。ユーザが構成要素IDコードを入力するとき、処理回路機器は、探索テーブルを参照して、指名された構成要素の材料タイプを判定する。
【0101】
方法は、動作1704において、材料タイプに基づいて、予想される酸化層の厚さを選択することを続ける。予想の又は所望の膜厚は、材料のタイプに、及び、いくつかのケースでは、酸化層を成長させる方法に基づく。材料の膜厚は、材料、及び/又は酸化層を成長させる方法と、所望の材料の厚さとを相関させた参照テーブルで識別できるか、製造の説明書に含めることができる、既知の標準の厚さであってもよい。予想膜厚は、経験的テストによって判定された予想値又は範囲を含むことができる。いくつかの実例の実施例では、製造業者は、酸化膜の受容性の判定のために使用できる、+/-1パーセント、5パーセント、10パーセント、又は同様のものなどの、予想値及び/又は範囲、並びに製造許容範囲を、判定又は提供することができる。検査システム40が利用される事例では、オペレータは、ユーザ・インターフェース60を介して予想膜厚を入力することができ、又は、処理回路機器50は、54におけるメモリに格納された参照テーブルにアクセスすることなどによって、上記で説明されたような、基板材料の識別、及び/又は、入力された成長方法に基づいて、予想の又は所望の膜厚を判定することができる。処理回路機器は、さらに、メモリ54における探索テーブルで、所望の照明源と、このデータを相関させることによって、予想膜厚及び/又は材料タイプに基づいて、照明源を判定することができる。
【0102】
次に、方法は、動作1706において、材料タイプに基づいて、所望のスペクトル・コントラストを作り出すために照明源を選択することによって進む。処理回路機器又はユーザは、探索テーブルで、所望の照明源と、このデータを相関させることによって、予想膜厚及び/又は材料タイプに基づいて、照明源を判定することができる。所望の照明源は、上述のように、計算、実験室のテスト、試行錯誤、又は同様のものに基づいて判定することができる。いくつかの実例の実施例では、照明源の波長範囲は、酸化膜の予想の厚さを含む。
【0103】
動作1708において、方法は、選択した照明源でサンプルの少なくとも一部を照らすことを含む。実験室テストでは、カメラ及び/又は分光計は、検査プラットフォームがカメラの(若しくはカメラの光学系の)視野に入るように、及び/又は、分光計ケーブル110が、プラットフォーム上に置かれた複合体サンプル101の表面に達し、スキャンできるように、検査プラットフォーム103に対してフレーム(図示せず)上にマウントすることができる。オペレータは、カメラ64及び/又は分光計65による検査のために、プラットフォーム103上に複合体サンプル101を置く。オペレータは、カメラ・データ及び/又は測定データをキャプチャするために、1つ又は複数の検査エリアに、カメラ・レンズ104又は検査ケーブル110の遠位端を位置づける。取付け、修理、溶接、又は同様のものの間など、より大きいデバイス又はシステム内の場所で、1つ又は複数の構成要素が検査されている実施例では、オペレータは、材料上の1つ又は複数の検査エリアを眺めるために、カメラ64及び/又は分光計65を配置することができる。カメラ64及び/又は分光計65は、調節可能なアームにマウントすることができ、又は、カメラ・データ若しくは測定データを収集しつつ、1つの位置にカメラ64及び/若しくは分光計65を維持するために手で保持することができる。
【0104】
上述のように、方法は、例えばカメラ及び分光計といった、2つの分析構成要素を含む。分析構成要素の使用は、材料表面のアクセス可能性、及び/又は、サンプルに関連付けられた品質保証要件に基づくことができる。方法は、動作1710において、カメラでキャプチャされた画像内でサンプルの検査エリアが可視かどうかを判定することによって進むことができる。オペレータ、又は、利用される場合、処理回路機器50は、ユーザ・インターフェース60上のリアル・タイムのカメラ・データをオペレータが視覚検証すること、及び、画像が検査エリアを含むことを確認したというオペレータからの入力を、処理回路機器がユーザ・インターフェースを介して受け取ることなどによって、検査エリアがカメラ画像(カメラの視野)内にあるかどうかを最初に判定する。さらに、又は、ユーザ入力に基づいて、検査エリアがカメラ画像の中にあると、処理回路機器50が判定することの代替として、処理回路機器は、また、画像処理を使用して、1つ又は複数の特徴がカメラ画像に中に現れるかどうかを判定することができる。検査エリアが画像の観察可能エリア内にない場合、カメラ64は、位置を変えることができ、又は、方法は、下記で論じられるように、分光計測定を続けることができる。
【0105】
検査エリアがカメラ画像の中にあることをオペレータ又は処理回路機器が確認した場合、方法は、動作1712において、もう1つの高コントラスト・エリアが検査エリア内に存在するかどうかを判定することによって続く。いくつかの実施例では、オペレータは、ユーザ・インターフェース60のディスプレイにおいてシステムによって提供された画像データを観察することによって、1つ又は複数の高コントラスト・エリアの存在を全面的に手動で判定する。別の実施例では、オペレータは、画像を視覚的に検査し、1つ又は複数の可能な高コントラスト・エリアをそのように識別すると、次に、本明細書で論じられるように、分光計65を使用して、識別したエリアの調査を実施する。追加又は代替として、処理回路機器50は、カメラ64によって獲得され、処理回路機器に伝送された画像を分析して、高コントラスト・エリアを自動的に判定するか、例えば分光計を利用した、オペレータのさらなる分析のために、画像内のエリアを(ユーザ・インターフェース・ディスプレイに送られた情報を通じて)オペレータに示すことができる。1つのこのような実施例では、処理回路機器50は、1つ又は複数の高コントラスト・エリアを判定するために、マシン・ビジョン又はオブジェクト検出画像処理技法を適用する。
【0106】
検査エリアが可視であり、高コントラスト・エリアが識別されず、品質保証要件が分光写真分析を含まない場合、方法は、照明源によって照らされた酸化層の分析に基づいて、膜の受容性を判定することによって続けることができる。サンプルが高コントラスト・エリアを含まない場合、膜は受容れ可能である。
【0107】
検査エリアが可視でないか、高コントラスト・エリアが存在する場合、方法は、動作1716において、分光計でエリアを調査することによって続けることができる。オペレータ又は処理システム40は、検査ケーブル110の遠位端を検査エリアに位置づけることができる。処理回路機器50が検査ケーブルの位置を制御する実例では、検査ケーブルは、プロセッサによって制御されたモータを位置づけることによって動作する、位置決めモータ又はガイド・ケーブルを含む、モータ付き接合部を含むことができる。分光計65は、照明源の生成した光の波長範囲にわたる材料の反射を判定し、その対応する測定データを生成する。オペレータ又は処理システムは、ミリメートルごとの測定、センチメートルごとの測定、又は他の適切な測定密度などの、検査エリア内の複数の位置を調査することなど、検査エリア内の1つ又は複数のポイントに検査ケーブル110を位置づけ、測定を行うことができる。
【0108】
次に、方法は、動作1718において、固有の最小ピーク及びピーク強度を判定することを含む。検査エリアが調査されると、オペレータ又は処理回路機器50は、測定データを分析して、測定データの各測定値について、例えば、測定データの低いポイントの波長といった、固有の最小ピーク、及び、例えば、固有の最小ピークの強度値といった、ピーク強度を判定することができる。いくつかの実例の実施例では、方法は、動作1714、膜の受容性の判定に進むことができる。オペレータ又は処理回路機器50は、平均基準測定値、複数の測定値、及び/又は所定の基準測定値と、固有の最小値及び/又は固有のピーク強度を比較して、所望の又は予想の測定データから逸れた1つ又は複数の測定値を識別することができる。例えば、固有の最小値は、予想又は比較した測定データより高くなるか、低くなることがあり、これは、異常な膜を示す性質をもつ可能性がある。追加又は代替として、システムは、測定したスペクトルの強度を基準強度と比較することができ、基準強度は、比較した測定データより高くなるか、低くなることがあり、これは、異常な膜を示す性質をもつ可能性がある。オペレータ又は処理回路機器は、最小ピーク・シフト及び/又は強度シフト値を判定し、これらの値を探索テーブルと比較して、膜厚を判定することができる。オペレータ又は処理回路機器は、次に、予想膜厚に基づいて、判定した膜厚が、例えば製造の許容範囲といった、受容れ可能な範囲内にあるかを判定することができる。
【0109】
いくつかの実例の実施例では、方法は、動作1720において、関心のある1つ又は複数の領域を識別することを含む。受容れ可能な範囲内にない位置は、処理回路機器及び/又はオペレータによってフラグを立てることができる。動作1722において、方法は、異常な膜の原因を識別することを含む。関心のある任意の領域を識別すると、オペレータ又は処理回路機器50は、異常な膜の原因を判定する。異常と識別した領域の測定データは、既知の膜厚、及び/又は既知の汚染物質を含む膜厚などの、1つ又は複数の既知の測定値と比較することができる。オペレータ及び/又は処理回路機器50は、異常な膜の測定データに最も密接に一致する既知の測定値を選択することによって、異常な膜の原因を判定することができる。処理は、次に、動作1714に進むことができ、例えば、酸化層に汚染がないこと、酸化層に特定の汚染物質がないこと、酸化層の所定の汚染物質の最大汚染レベルより低いことといった、膜の受容性を判定する。上述のように、照明源によって照らされた酸化層の分析に基づく膜の受容性の判定は、カメラ画像分析、スペクトル分析、及び汚染物質識別の1つ又は複数を含むことができる。受容性は、カメラ画像内に高コントラスト・エリアがないこと、カメラ画像内の所定の数の高コントラスト・エリア、所定の最小ピーク、所定のピーク強度、予想最小ピークからの最大偏差、ピーク強度からの最大偏差、測定した最小ピーク又はピーク強度に基づく最小膜厚、酸化層に汚染がないこと、酸化層内一定の所定の汚染物質がないこと、酸化層の所定の汚染の最大汚染レベル、又は他の適切な尺度を限定することなく含む、1つ又は複数の受容れ尺度に基づくことができる。
【0110】
実例の実施例では、上記の図16の方法を実施するための装置は、上記で説明された動作(1702~1722)のいくつか又はそれぞれを実施するように構成されたプロセッサ(例えばプロセッサ52)又は処理回路機器を有することができる。プロセッサ、例えば、ハードウェア実行論理機能を実施すること、格納した命令を実行すること、又は、動作のそれぞれを実施するためのアルゴリズムを実行することによって、動作(1702~1722)を実施するように構成することができる。
【0111】
いくつかの実施例では、プロセッサ又は処理回路機器は、動作1702~1722に対する追加の動作又は任意選択の修正のためにさらに構成することができる。この点に関して、例えば、方法は、カメラでキャプチャした画像内の所定の検査エリアが可視であるかについて判定すること、及び、酸化層受容性が画像内の酸化層の分析に基づくかを判定することも含む。いくつかの実例の実施例では、検査エリアが可視でないことに応答して、方法は、分光計でポイントごとに検査エリアを調査することも含む。実例の実施例では、方法は、固有の最小ピーク又は固有のピーク強度を判定すること、固有の最小ピーク又は固有のピーク強度に基づいて異常な酸化層を含む関心のある領域を識別すること、及び、固有の最小ピーク又は固有のピーク強度に基づいて異常な酸化層の原因を識別すること、及び、酸化層受容性が異常な酸化層の原因にさらに基づくかを判定することを含む。いくつかの実例の実施例では、方法は、1つ又は複数の高コントラスト・エリアが画像内に存在するかを判定することを含む。実例の実施例では、1つ又は複数の高コントラスト領域が存在すると判定することに応答して、方法は、分光計で高コントラスト領域を調査すること、1つ又は複数の高コントラスト領域について固有のピークの最低値又は固有のピーク強度を判定すること、及び、固有のピークの最低値又は固有のピーク強度に基づいて1つ又は複数の高コントラスト領域の原因を識別すること、及び、酸化層受容性が1つ又は複数の高コントラスト領域の原因にさらに基づくかを判定することも含む。いくつかの実例の実施例では、方法は、カメラに対するサンプルの角度を変えること、及び、変えた角度でカメラがキャプチャした第2の画像内の酸化層を分析することに酸化層受容性がさらに基づくと判定することも含む。実例の実施例では、照明源は、短距離赤外(SWIR)光を有する。いくつかの実例の実施例では、照明源は、近赤外(NIR)光を有する。実例の実施例では、サンプルは、ジルコニウム合金を有する。
【0112】
前述の説明及び関連付けられた図面に提示された教示の利益を有することに本発明が関係する当業者には、本明細書で示された本発明の多くの変更形態及び他の実施例が思い浮かぶであろう。したがって、開示された特定の実施例に本発明が限定されるべきではないこと、並びに、変更形態及び他の実施例が、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることを意図することを理解されたい。その上、前述の説明及び関連付けられた図面は、要素及び/又は機能の一定の例示的組合せの文脈で例示的実施例を説明するが、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、代替実施例によって、要素及び/又は機能の異なる組合せを提供できることを理解されたい。この点に関して、例えば、上記で明示的に説明されたものとは異なる要素及び/又は機能の組合せも、添付の特許請求の範囲のいくつかで示すことができると想定される。長所、利益、又は問題の解決策が本明細書で説明される場合、このような長所、利益、及び/又は解決策は、いくつかの実例の実施例に適用できる可能性があるが、必ずしも全ての実例の実施例ではないことを理解されたい。したがって、本明細書で説明されるいずれかの長所、利益、又は解決策は、全ての実施例に、又は本明細書で特許請求されるものに重要、必要、又は不可欠であるとみなされるべきではない。固有の用語が本明細書で用いられるが、これらは、限定のためではなく、包括的且つ説明的な意味のみで使用される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
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図9
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【国際調査報告】