(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-18
(54)【発明の名称】P300/CBP HAT阻害剤及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C07D 401/12 20060101AFI20220411BHJP
C07D 405/12 20060101ALI20220411BHJP
C07D 413/12 20060101ALI20220411BHJP
A61K 31/513 20060101ALI20220411BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20220411BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20220411BHJP
A61K 31/4433 20060101ALI20220411BHJP
A61K 31/443 20060101ALI20220411BHJP
A61K 31/4427 20060101ALI20220411BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20220411BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20220411BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20220411BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220411BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20220411BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20220411BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220411BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20220411BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20220411BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20220411BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20220411BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220411BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220411BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220411BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20220411BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220411BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220411BHJP
A61P 33/02 20060101ALI20220411BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
C07D401/12 CSP
C07D405/12
C07D413/12
A61K31/513
A61K31/4545
A61K31/4439
A61K31/4433
A61K31/443
A61K31/4427
A61P1/04
A61P3/00
A61P3/06
A61P3/10
A61P9/00
A61P9/12
A61P11/00
A61P11/06
A61P13/12
A61P17/06
A61P31/12
A61P35/00
A61P35/02
A61P29/00
A61P1/16
A61P17/00
A61P25/28
A61P33/02
A61P3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021550155
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(85)【翻訳文提出日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 US2020019786
(87)【国際公開番号】W WO2020176558
(87)【国際公開日】2020-09-03
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】513137422
【氏名又は名称】コンステレーション・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CONSTELLATION PHARMACEUTICALS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,ジョナサン・イー
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB08
4C063CC12
4C063CC22
4C063CC29
4C063CC52
4C063CC72
4C063CC73
4C063CC78
4C063DD02
4C063DD04
4C063DD10
4C063DD12
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC17
4C086BC21
4C086BC36
4C086BC42
4C086BC69
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA70
4C086ZA75
4C086ZA89
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZB33
4C086ZB37
4C086ZC21
4C086ZC33
4C086ZC35
(57)【要約】
式(I)の化合物
ならびにその医薬的に許容される塩及び組成物が提供される。これらは、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)に関連する様々な状態の治療に有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iを有する化合物
【化1】
またはその医薬的に許容される塩であって、式中、
R
1、R
3、及びR
4が各々独立的に、水素またはC
1~4アルキルであり、
R
2がフェニルまたは5~6員ヘテロアリール(これらの各々は、任意選択で、R
cから選択される1~3個の基で置換されている)であり、
R
5が、4~6員のヘテロシクリルもしくは5~6員のヘテロアリールで置換されたC
1~6アルキル(前記4~6員ヘテロシクリルもしくは5~6員ヘテロアリールの各々は、任意選択で、R
dから選択される1~3個の基で置換される)であるか、またはR
5が、4~6員のヘテロシクリルもしくは5~6員のヘテロアリール(前記4~6員のヘテロシクリルまたは5~6員のヘテロアリールの各々は、任意選択で、R
dから選択される1~3個の基で置換されている)であり、
R
a、R
b、R
c、及びR
dが、各々独立的に、ハロ、CN、オキソ、NO
2、C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
1~6アルコキシ、ハロ(C
1~6アルコキシ)、ハロ(C
1~6アルキル)、-C
1~6アルキルOR
e、-C(O)R
f、-C(O)OR、-C
1~6アルキルC(O)OR
e、-C(O)N(R
e)
2、-C(O)NR
eC
1~6アルキルOR
e、-OC
1~6アルキルN(R
e)
2、-C
1~6アルキルC(O)N(R
e)
2、-C
1~6アルキルN(R
e)
2、-N(R
e)
2、-C(O)NR
eC
1~6アルキルN(R
e)
2、-NR
eC
1~6アルキルN(R
e)
2、-NR
eC
1~6アルキルOR
e、-SOR
e、-S(O)
2R
e、-SON(R
e)
2、-SO
2N(R
e)
2、O(C
3~C
6)シクロアルキル、-O-C
1~4アルキルアリール、-C
1~6アルキル(C
3~C
6)シクロアルキル、-C
1~6アルキルアリール、-C
1~6アルキルヘテロアリール、-C
1~6アルキルヘテロシクリル、(C
3~C
6)シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、またはアリールであり、このとき、前記(C
3~C
6)シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、単独で、ならびに-O(C
3~C
6)シクロアルキル、-C
1~6アルキル(C
3~C
6)シクロアルキル、-C
1~6アルキルアリール、-C
1~6アルキルヘテロアリール、及び-C
1~6アルキルヘテロシクリルと共に、任意選択で、ハロ、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、C
1~6アルコキシ、C
1~6ハロアルコキシ、-N(R
e)
2、-C(O)R
f、及び-C
1~6アルキルOR
eから選択される1~3個の基で置換されており、
各R
eが独立的に、水素、ハロ(C
1~4アルキル)、またはC
1~4アルキルであり、
各R
fが独立的に、水素、ハロ(C
1~4アルキル)、C
1~4アルキル、または(C
3~C
4)シクロアルキルであり、
qが0、1、または2であり、
pが0、1、2、または3である、化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
前記化合物が式IIの化合物である、請求項1に記載の化合物
【化2】
またはその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
前記化合物が式IIIの化合物である、請求項1または2に記載の化合物
【化3】
またはその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
前記化合物が式IVの化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物
【化4】
またはその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
qが0または1である、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
R
aが、存在する場合、C
1~3アルキル、C
1~3アルコキシ、ハロ(C
1~3アルキル)、ハロC
1~3アルコキシ、またはハロである、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が式Vの化合物である、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物
【化5】
またはその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
前記化合物が式VIまたはVIIの化合物である、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物
【化6】
またはその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
前記化合物が式VIII、IX、X、またはXIの化合物である、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物
【化7】
またはその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
前記化合物が式XII、XIII、XIV、またはXVの化合物である、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物
【化8】
またはその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
前記化合物が式XVIまたはXVIIの化合物である、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物
【化9】
またはその医薬的に許容される塩。
【請求項12】
R
2がフェニルまたはピラゾリルであり、それぞれが任意選択で、R
cから選択される1~3個の基で置換されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
R
cがハロ、C
1~6アルキル、ハロ(C
1~6アルキル)、C
1~6アルコキシ、またはハロ(C
1~6アルコキシ)である、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
R
2がフェニルまたはピラゾリルであり、それぞれが任意選択で、ハロまたはC
1~4アルキルで置換されている、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
R
2がフェニルである、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
pが1である、請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
R
bがハロ、シアノ、または-SO
2NH
2である、請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
R
bがシアノである、請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
R
5が、ピラゾリルもしくはオキサゾリジニルで置換されたC
1~4アルキル(それぞれが任意選択で、R
dから選択される1~3個の基で置換されている)であるか、またはR
5が、ピペリジニル、アゼチジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、オキセタニル、ピラゾリル、ピロリジニル、もしくはピリミジニル(それぞれが任意選択で、R
dから選択される1~3個の基で置換されている)である、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
R
dが、ハロ、オキソ、C
1~4アルキル、C
1~4アルコキシ、ハロ(C
1~4アルキル)、-C
1~4アルキルOR
e、-C(O)R
f、-C(O)N(R
e)
2、-C
1~6アルキルC(O)N(R
e)
2、及び-S(O)
2R
eから選択される、請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
R
dがC
1~6アルキル、-C(O)R
f、及びオキソから選択される、請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
R
eが水素またはC
1~3アルキルである、請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
R
fがシクロプロピルまたはC
1~4アルキルである、請求項1~22のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
R
5が、
【化10】
である、請求項1~23のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩と、医薬的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項26】
CBP及び/またはEP300媒介性障害の治療で使用するための、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
治療を必要とする対象におけるCBP及び/またはEP300媒介性障害を治療する方法であって、請求項1~24のいずれか1項に記載の化合物もしくはその医薬的に許容される塩、または請求項25に記載の組成物の治療有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項28】
対象におけるCBP及び/またはEP300媒介性障害を治療するための医薬の製造における、請求項1~24のいずれか1項に記載の化合物もしくはその医薬的に許容される塩、または請求項25に記載の組成物の使用。
【請求項29】
CBP及び/またはEP300媒介性障害の治療で使用するための、請求項1~24のいずれか1項に記載の化合物もしくはその医薬的に許容される塩、または請求項25に記載の組成物。
【請求項30】
前記CBP及び/またはEP300媒介性障害が、癌、心疾患、代謝性疾患、線維性疾患、炎症性疾患、及びウイルス感染から選択される、請求項26~29のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物、方法、使用、及び使用のための化合物。
【請求項31】
前記CBP及び/またはEP300媒介性障害が癌である、請求項26~29のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物、方法、使用、及び使用のための化合物。
【請求項32】
前記CBP及び/またはEP300媒介性障害が、聴神経腫、急性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、急性T細胞性白血病、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、気管支原性肺癌、バーキットリンパ腫、子宮頚癌、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛癌、慢性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺癌、異形成、形成異常、胚性癌腫、子宮内膜癌、内皮肉腫、上衣腫、上皮癌、赤白血病、食道癌、エストロゲン受容体陽性乳癌、本態性血小板血症、ユーイング腫瘍、線維肉腫、胃癌、胚細胞精巣癌、妊娠性絨毛疾患、膠芽腫、頭頚部癌、重鎖疾患、血管芽腫、肝細胞腫、肝細胞癌、ホルモン不感受性前立腺癌、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、肺癌、リンパ管内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ芽球性白血病、リンパ腫、膀胱、乳房、結腸、肺、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚、及び子宮の悪性腫瘍及び過剰増殖性障害、T細胞またはB細胞由来のリンパ系悪性腫瘍、白血病、髄様癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄性白血病、骨髄腫、粘液肉腫、神経芽腫、乏突起膠腫、口腔癌、骨原性肉腫、卵巣癌、膵臓癌、乳頭腺癌、乳頭癌、末梢性T細胞リンパ腫、松果体腫、真性多血症、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫、肉腫、皮脂腺癌、セミノーマ、皮膚癌、小細胞肺癌、固形癌、胃癌、扁平上皮癌、滑膜腫、汗腺癌、精巣癌、甲状腺癌、ワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症、精巣腫瘍、子宮癌、ならびにウィルムス腫瘍から選択される癌である、請求項26~31のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物、方法、使用、及び使用のための化合物。
【請求項33】
前記CBP及び/またはEP300媒介性障害が心疾患である、請求項26~29のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物、方法、使用、及び使用のための化合物。
【請求項34】
前記心疾患が心肥大または心不全である、請求項33に記載の使用のための医薬組成物、方法、使用、及び使用のための化合物。
【請求項35】
前記CBP及び/またはEP300媒介性障害が代謝性疾患である、請求項26~29のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物、方法、使用、及び使用のための化合物。
【請求項36】
前記代謝性疾患が、肥満、肝脂肪症、脂質異常症、高血圧、冠動脈性心疾患、肝炎症、及び2型糖尿病から選択される、請求項35に記載の使用のための医薬組成物、方法、使用、及び使用のための化合物。
【請求項37】
前記CBP及び/またはEP300媒介性障害が線維性疾患である、請求項26~29のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物、方法、使用、及び使用のための化合物。
【請求項38】
前記線維性疾患が、放射線誘発性肺炎、放射線線維症、急性呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、特発性肺線維症、間質性肺疾患、心筋梗塞、虚血性脳卒中、虚血性腎疾患、移植拒絶反応、リーシュマニア症、I型糖尿病、関節リウマチ、慢性肝炎、肝硬変、炎症性腸疾患、クローン病、強皮症、ケロイド、術後線維症、化学療法誘発性線維症(例えば、化学療法誘発性肺線維症または卵巣皮質線維症)、腎原性全身性線維症、後腹膜線維症、骨髄線維症、縦隔線維症、嚢胞性線維症、石綿肺、喘息、及び肺高血圧から選択される、請求項37に記載の使用のための医薬組成物、方法、使用、及び使用のための化合物。
【請求項39】
前記CBP及び/またはEP300媒介性障害が炎症性疾患である、請求項26~29のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物、方法、使用、及び使用のための化合物。
【請求項40】
前記炎症性疾患が、アジソン病、急性痛風、強直性脊椎炎、喘息、粥状硬化症、ベーチェット病、水疱性皮膚疾患、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、皮膚炎、湿疹、巨細胞動脈炎、線維症、糸球体腎炎、肝血管閉塞、肝炎、下垂体炎、免疫不全症候群、炎症性腸疾患、川崎病、ループス腎炎、多発性硬化症、心筋炎、筋炎、腎炎、臓器移植拒絶、変形性関節症、膵炎、心膜炎、結節性多発動脈炎、肺炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、強膜炎、硬化性胆管炎、敗血症、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、毒素ショック、甲状腺炎、I型糖尿病、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、白斑、血管炎、及びウェゲナー肉芽腫症から選択される、請求項39に記載の使用のための医薬組成物、方法、使用、及び使用のための化合物。
【請求項41】
前記CBP及び/またはEP300媒介性障害がウイルス感染である、請求項26~29のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物、方法、使用、及び使用のための化合物。
【請求項42】
前記ウイルス感染が、ヒト免疫不全ウイルス、C型肝炎ウイルス、及びヒトパピローマウイルスから選択される、請求項41に記載の使用のための医薬組成物、方法、使用、及び使用のための化合物。
【請求項43】
前記CBP及び/またはEP300媒介性障害が神経性障害である、請求項26~29のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物、方法、使用、及び使用のための化合物。
【請求項44】
前記CBP及び/またはEP300媒介性障害が、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、タウオパチー、血管性認知症、パーキンソン病、及びレビー小体型認知症から選択される神経性障害である、請求項26~29のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物、方法、使用、及び使用のための化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2019年07月29日に出願された米国仮特許出願第62/879,852号及び2019年2月27日に出願された米国仮特許出願第62/811,143号の優先権を主張し、これらの各出願の内容全体は参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
クロマチンは、染色体を構成するDNA及びタンパク質の複雑な組合せである。クロマチンは真核細胞の核内に存在し、ヘテロクロマチン(凝縮)形態及びユークロマチン(伸長)形態に分類される。クロマチンの主要な構成成分はDNA及びタンパク質である。ヒストンはクロマチンの主なタンパク質成分であり、DNAが巻きついているスプールとして働く。クロマチンの機能は、DNAをより小さな体積に詰め込んで細胞に適合させること、DNAを強化して有糸分裂及び減数分裂を可能にすること、ならびに発現及びDNA複製を制御する機構として働くことである。クロマチン構造は、ヒストンタンパク質、特にヒストンH3及びH4に対する、最も一般的にはコアヌクレオソーム構造を越えて伸長する「ヒストンテール」内での一連の翻訳後修飾によって制御されている。ヒストンテールは、タンパク質間相互作用に対し自由である傾向があり、また、翻訳後修飾を最も受けやすいヒストン部分でもある(Goll and Bestor,2002,Genes Dev.16:1739-1742;Grant,2001,Genome Biol.2:)。このような修飾には、アセチル化、メチル化、リン酸化、ユビキチン化、SUMO化が含まれる。これらのエピジェネティックマークが、ヒストンテール内の特定の残基上にタグを配置する特定の酵素によって書き込まれたり消去されたりすることによってエピジェネティックコードが形成され、次に細胞がこれを解釈してクロマチン構造の遺伝子特異的な調節が可能になり、よって転写が可能になる。
【0003】
ヒストンの共有結合的修飾は遺伝子の発現を制御する基本的な機構であり、真核細胞における主要なエピジェネティック機構の1つである(Kouzarides,Cell,128,693-705(2007))。異なる転写状態は基本的な細胞プロセス(例えば、細胞タイプの特定、系列の関係付け、細胞活性化、及び細胞死)を規定するため、これが異常に調節されることが一連の疾患の核心となる(Medzhitov et al.,Nat.Rev.Immunol.,9,692-703(2009);Portela et al.,Nat.Biotech.,28,1057-1068(2010))。異なるクラスの酵素、すなわちヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)及びヒストンデアセチラーゼ(HDAC)は、特定のヒストンリジン残基をアセチル化または脱アセチル化する(Struhl K.,Genes Dev.,1998,12,5,599-606)。
【0004】
ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)は、基質ヒストン内の標的リジン側鎖のε-アミノ基におけるアセチル化(アセチル基の移行)を触媒し、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)は、リジン残基からのアセチル基の除去を触媒する。続いて、アセチル化されたコアヒストンが転写活性のクロマチンと優先的に結合することが示された。Nucleic Acids Res.5:1863-1876(1978);Proc.Natl.Acad.Sci.75:2239-2243(1978);及びEMBO J.7:1395-1402(1988)を参照。HATは、一次配列の相同性、共有される構造的特徴、及び機能的役割に基づいて以下の4つの主要なファミリーに分類される:Gcn5/PCAF(一般制御非抑制タンパク質5(General control nonrepressed protein 5)、p300及びCBP関連因子);MYST(基礎となるメンバーのMOZ、Ybf2/Sas3、Sas2、及びTip60にちなんで命名);p300/CBP(300kDaのタンパク質及びCREB結タンパク質);ならびにRttl09(Tyl転位遺伝子産生調節物質109)。
【0005】
パラログp300及びCBP(CREB結合タンパク質)は、当初はそれぞれアデノウイルス初期領域1A(E1A)タンパク質(Yee and Branton,1985,Virology 147:142-153;Harlow et al.,1986,Mol.Cell Biol.6:1579-1589)及びcAMP調節エンハンサー(CRE)結合タンパク質(Chrivia et al.,1993,Nature 365:855-859)の結合パートナーとして同定された。p300及びCBPのHATドメインは90%超の配列同一性を有し、多くの重複する機能を有する後生動物で保存されている。p300/CBPは、HATドメインに加えて、3つのシステイン-ヒスチジンリッチドメイン(CH1、CH2、及びCH3)、KIXドメイン、ブロモドメイン、ならびにステロイド受容体コアクチベーター相互作用ドメイン(SID、またSRC-1相互作用ドメイン)を含む他のタンパク質相互作用ドメインを含む(Arany et al.,Cell.1994 Jun17;77(6):799-800)。p300/CBPは、固有のHAT活性を有することが見出された(Ogryzko et al.,1996,Cell 87:953-959;Bannister and Kouzarides,1996,Nature 384:641-643)。p300/CBPは、4つ全てのコアヒストン(H2A、H2B、H3、及びH4)上の複数のリジンをアセチル化することに加えて、70超の基質に対するアセチルトランスフェラーゼ活性を有することが示されており(Wang et al.,2008,Curr.Opin.Struct.Biol.18:741-747)、例えば、p53(Gu et al.,1997,Cell 90:595-606)、MyoD(Polesskaya et al.,2002,J.Biol.Chem.275:34359-64)、STAT3(Yuan et al.,2005,Science 307:269-73)、及びNfκβ(Chenら、2002、EMBO J.21:6539-48)がこれに含まれる。これらの2つのアセチルトランスフェラーゼは、ヒストンH3リジン18のアセチル化(H3K18ac)及びH3K27ac(活性プロモーター及びエンハンサーに関連する修飾)の大部分に関与する(Horwitz et al.2008;Jin et al.2011)。
【0006】
p300はアセチルトランスフェラーゼとして作用するだけでなく、転写因子のスキャフォールドとしても、及び転写を活性化するために転写因子を基礎転写機構に接続する橋としても作用する(Chan and Thangue,2001,J.Cell Sci.114:2363-2373;Chen and Li,2011,Epigenetics 6:957-961)。p300/CBPタンパク質は、細胞の成長、増殖、及び分化を含む多くの細胞プロセスに関与する(Chan and Thangue,2001,J.Cell Sci.114:2363-2373で概説)。p300/CBPの変異は、複数のヒト疾患、特に癌で最大30%の頻度で観察されている。これらの変異の頻度はHATドメイン内でより高く、このことから、癌においてこの活性を改変する選択圧が存在することが示唆される。これらの変異はほとんどが単一アレルで、第2のアレルのヘテロ接合性が消失しており、これは古典的な腫瘍抑制遺伝子におけるKnudsonの仮説と整合している。Nature 376,348-351,1995;Oncogene12,1565-1569,1996;及びProc.Natl.Acad.Sci.USA 94,8732-8737,1997を参照。CBPのヘテロ接合変異は、常染色体優性疾患であるRTSで初めて報告され、この疾患は、精神遅滞、骨格異常、及び新生物の高い発生率を特徴とする(Nature 376,348-351,1995)。このことから、正常な発達にはCBP遺伝子量の完全な補完が必要であることが示唆される。また、p300/CBP遺伝子は、様々な染色体転座、特に血液悪性腫瘍における染色体転座にも関与しており、機能獲得を介して異常成長に寄与している可能性がある(Kitabayashi et al.2001;Panagopoulos et al.2001)。
【0007】
p300の高発現は、生存期間不良及び攻撃的表現型に関連しており、前立腺癌(Debes et al 2003;Cancer Res.63:7638-7640;Heemers et al.,2008,Adv.Exp.Med.Biol.617:535-40;Isharwal et al.,2008,Prostate 68:1097-104)、肝臓癌(Yokomizo et al.,2011,Cancer Lett.310:1407;Li et al.,2011,J.Transl.Med. 9:5)、乳癌(Fermento et al.,2010,Exp.Mol.Pathol.88:256-64)、食道癌(Li et al,2011,Ann Thorac Surg.91:1531-1538)、及び皮膚扁平上皮癌(Chen et al,2014,Br J Dermatol.172:111-119)で観察されている。p300/CBPの阻害は、癌(Iyer et al.,2004,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:7386-7391;Stimson et al.,2005,Mol.Cancer Ther.4:1521-1532;Zheng et al.,2004,Methods Enzymol.376:188-199)、心疾患(Davidson et al.,2005,Chembiochem.6:162-170);糖尿病(Zhou et al.,2004,Nat.Med.10:633-637)、及びHIV(Varier and Kundu,2006,Curr.Pharm.Des.12:1975-1993)における治療可能性を有する。P300/CBPは炎症メディエーターの調節にも関与する(Deng et al.,2004,Blood WO2016/044770 PCT/US2015/051028 103:2135-42;Tumer-Brannen et al.,2011,J.Immunol.186:7127-7135)。また、P300/CBPは他の疾患、例えば、線維症(Ghosh and Varga,2007,J.Cell.Physiol.213:663-671)、代謝症候群(Bricambert et al.,2010,J.Clin.Invest.120:4316-4331)、及びハンチントン病(Cong et al.,2005,Mol.Cell.Neurosci.30:12-23)、ケネディ病(Lieberman et al.,2002,Hum.Mol.Genet.11:1967-76)、及びアルツハイマー病(Francis et al.,2007,Neurosci.Lett.413:137-140)にも関連付けられている。
【0008】
疾患病因にp300/CBP活性が関連することから、p300/CBPの治療標的としての潜在的有用性が示唆される。しかし、強力な特異的ヒストンアセチルトランスフェラーゼ阻害剤の同定は困難であった(Cole,2008,Nat.Chem.Biol.4:590-97)。天然の化合物由来のP300 HAT阻害剤は中程度の効力を有するが、特異性に欠ける(Dekker and Haisma,2009,Dmg Disc.Today 14:942-8)。Lys-CoAは、Tatペプチド結合を伴った細胞透過性形態に変換され、選択性がより高いが、その複雑さのため薬理学的研究での使用は限られている。最近、選択的p300阻害剤C646が、仮想リガンドスクリーニングアプローチでLys-CoA/p300 HAT構造を用いて同定された(Bowers et al.,2010,Chemistry & Biology 17:471-482)。この分野で進歩が見られるものの、依然としてHAT阻害剤の改良が求められている。
【発明の概要】
【0009】
本明細書では、式Iを有する化合物
【化1】
ならびにその医薬的に許容される塩及び組成物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
a、R
b、q、及びpは本明細書に記載されている通りである。本開示の化合物及び組成物は、ヒストンアセチルトランスフェラーゼを調節し(例えば、表2参照)、様々な治療用途、例えば、癌の治療に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.化合物の概略的説明
本明細書では、式Iの化合物
【化2】
またはその医薬的に許容される塩であって、式中、
R
1、R
3、及びR
4が各々独立的に、水素またはC
1~4アルキルであり、
R
2がフェニルまたは5~6員ヘテロアリール(これらの各々は、任意選択で、R
cから選択される1~3個の基で置換されている)であり、
R
5が、4~6員のヘテロシクリルもしくは5~6員のヘテロアリールで置換されたC
1~6アルキル(前述の4~6員ヘテロシクリルもしくは5~6員ヘテロアリールの各々は、任意選択で、R
dから選択される1~3個の基で置換される)であるか、またはR
5が、4~6員のヘテロシクリルもしくは4~6員のヘテロアリール(前述の4~6員のヘテロシクリルまたは5~6員のヘテロアリールの各々は、任意選択で、R
dから選択される1~3個の基で置換されている)であり、
R
a、R
b、R
c、及びR
dが、各々独立的に、ハロ、CN、オキソ、NO
2、C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
1~6アルコキシ、ハロ(C
1~6アルコキシル)、ハロ(C
1~6アルキル)、-C
1~6アルキルOR
e、-C(O)R
f、-C(O)OR、-C
1~6アルキルC(O)OR
e、-C(O)N(R
e)
2、-C(O)NR
eC
1~6アルキルOR
e、-OC
1~6アルキルN(R
e)
2、-C
1~6アルキルC(O)N(R
e)
2、-C
1~6アルキルN(R
e)
2、-N(R
e)
2、-C(O)NR
eC
1~6アルキルN(R
e)
2、-NR
eC
1~6アルキルN(R
e)
2、-NR
eC
1~6アルキルOR
e、-SOR
e、-S(O)
2R
e、-SON(R
e)
2、-SO
2N(R
e)
2、SF
5、O(C
3~C
6)シクロアルキル、-O-C
1~4アルキルアリール、-C
1~6アルキル(C
3~C
6)シクロアルキル、-C
1~6アルキルアリール、-C
1~6アルキルヘテロアリール、-C
1~6アルキルヘテロシクリル、(C
3~C
6)シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、またはアリールであり、このとき、前述の(C
3~C
6)シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、単独で、ならびに-O(C
3~C
6)シクロアルキル、-C
1~6アルキル(C
3~C
6)シクロアルキル、-C
1~6アルキルアリール、-C
1~6アルキルヘテロアリール、及び-C
1~6アルキルヘテロシクリルと共に、任意選択で、ハロ、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、C
1~6アルコキシ、C
1~6ハロアルコキシ、-N(R
e)
2、-C(O)R
f、及び-C
1~6アルキルOR
eから選択される1~3個の基で置換されており、
各R
eが独立的に、水素、ハロ(C
1~4アルキル)、またはC
1~4アルキルであり、
各R
fが独立的に、水素、ハロ(C
1~4アルキル)、C
1~4アルキル、または(C
3~C
4)シクロアルキルであり、
qが0、1、または2であり、
pが0、1、2、または3である、化合物またはその医薬的に許容される塩が提供される。
【0011】
2.定義
複数の結合点を有し得る化学基を説明するために関連して使用される場合、ハイフン(-)は、それが定義される変数に対するその基の結合点を示す。例えば、-N(Rd)2及び-NRdC1~6アルキルORdは、この基の結合点が窒素原子上にあることを意味する。
【0012】
「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、フッ素(フルオロ、-F)、塩素(クロロ、-Cl)、臭素(ブロモ、-Br)、及びヨウ素(ヨード、-I)から選択される原子を指す。
【0013】
「アルキル」という用語は、単独でまたはより大きな部分(例えば、「ハロアルキル」)の一部として使用される場合、飽和直鎖または分枝状一価炭化水素ラジカルを意味する。別段の明記がない限り、アルキル基は、典型的には1~6個の炭素原子を有し、すなわち(C1~C6)アルキルとなる。
【0014】
「アルコキシ」とは、酸素結合原子を介して結合したアルキルラジカルを意味し、-O-アルキルによって表される。例えば、「(C1~C4)アルコキシ」には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシが含まれる。
【0015】
「ハロアルキル」という用語は、モノ、ポリ、及びペルハロアルキル基を含み、このときハロゲンは独立的に、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素から選択される。
【0016】
「ハロアルコキシ」は、酸素原子を介して別の部分に結合したハロアルキル基であり、例えば、限定されるものではないが-OCHCF2または-OCF3がある。
【0017】
「オキソ」という用語は=Oを指す。
【0018】
「アリール」という用語は、6~10個の炭素原子を含む芳香族炭素環式の1つの環または2つの縮合環系を指す。例としては、フェニル、インダニル、テトラヒドロナフタレン、及びナフチルが挙げられる。
【0019】
「シクロアルキル」という用語は、完全に飽和している4~12員の単環式、二環式(例えば、架橋またはスピロ二環式環)、多環式(例えば、三環式)、または縮合した炭化水素環系を指す。単環シクロアルキル基としては、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。架橋二環式シクロアルキル基としては、限定されるものではないが、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[1.1.1]ペンタンなどが挙げられる。スピロ二環式シクロアルキル基としては、例えば、スピロ[3.6]デカン、スピロ[4.5]デカンなどが挙げられる。縮合シクロアルキル環としては、例えば、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロペンタレンなどが挙げられる。明記される場合、シクロアルキル上の任意選択の置換基は任意の置換可能な位置に存在してよく、これには例えば、シクロアルキル基が結合している位置が含まれることが理解されよう。1つの態様において、シクロアルキルは、完全に飽和したC3~C6単環式炭化水素環系である。
【0020】
「ヘテロアリール」という用語は、単独でまたはより大きな部分の一部として使用され、N、O、及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む5~12員(例えば、5~7員または5~6員)の芳香族ラジカルを指す。ヘテロアリール基は、単環式の場合も二環式の場合もある。単環式ヘテロアリールとしては、例えば、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルなどが挙げられる。二環式ヘテロアリールには、単環式ヘテロアリール環が1つ以上のアリールまたはヘテロアリール環に縮合している基が含まれる。非限定的な例としては、インドリル、イミダゾピリジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキソジアゾリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ピロロピリジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、及びプテリジニルが挙げられる。明記される場合、ヘテロアリール基上の任意選択の置換基は任意の置換可能な位置に存在してよく、これには例えば、ヘテロアリールが結合している位置が含まれることが理解されよう。
【0021】
「ヘテロシクリル」という用語は、N、O、及びSから独立的に選択される1~4個のヘテロ原子を含む4~12員(例えば、4~7員または4~6員)の飽和複素環式環または部分不飽和複素環式環を意味し、これは、単環式、二環式(例えば、架橋、縮合、またはスピロ二環式環)、または三環式であり得る。ヘテロシクリル環は、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子でそのペンダント基に結合していてもよい。このような飽和複素環式ラジカルまたは部分不飽和複素環式ラジカルの例としては、限定されるものではないが、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、ピリジノニル、ピロリドニル、ピペリジニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、モルホリニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、オキセタニル、アゼチジニル、及びテトラヒドロピリミジニルが挙げられる。ヘテロシクリル基は、単環式の場合も二環式の場合もある。また、「ヘテロシクリル」という用語は、例えば、別の不飽和複素環式ラジカルまたはアリールもしくはヘテロアリール環に縮合した不飽和複素環式ラジカル、例えば、テトラヒドロナフチリジン、インドリノン、ジヒドロピロロトリアゾール、イミダゾピリミジン、キノリノン、ジオキサスピロデカンも含む。また、明記される場合、ヘテロシクリル基上の任意選択の置換基は任意の置換可能な位置に存在してよく、これには例えば、ヘテロシクリルが結合している位置が含まれる(例えば、任意選択で置換されているヘテロシクリルまたは任意選択で置換されているヘテロシクリルの場合)ことも理解されよう。
【0022】
「スピロ」という用語は、1個の環原子(例えば、炭素)を共有する2個の環を指す。
【0023】
「縮合」という用語は、2個の隣接する環原子を互いに共有する2個の環を指す。
【0024】
「架橋」という用語は、3個の環原子を互いに共有する2個の環を指す。
【0025】
本開示の化合物は、様々な立体異性形態で存在する。立体異性体は、空間的な配置のみが異なる化合物である。エナンチオマーは立体異性体の対であり、その鏡像は重ね合わせることができない。その最も一般的な理由は、エナンチオマーが、キラル中心として働く不斉炭素原子を含むからである。「エナンチオマー」とは、互いに鏡像関係にあり、重ね合わせることができない分子の対の一方を意味する。ジアステレオマーは、2個以上の非対称に置換された炭素原子を含む立体異性体である。「R」及び「S」は、1つ以上のキラル炭素原子の周囲の置換基の配置を表す。
【0026】
ハッシュ結合
【化3】
は、示された基が定義された変数に結合する点を表す。例えば、R
5が式Iを有する化合物内で
【化4】
として定義される場合、これは、得られる化合物が次式の化合物であることを意味する。
【化5】
【0027】
「ラセミ体」または「ラセミ混合物」とは、等モル量の2つのエナンチオマーの化合物を意味し、このような混合物は光学活性を示さない、すなわち、これらは偏光面を回転させない。
【0028】
本明細書の化合物は、エナンチオ特異的合成によって個々のエナンチオマーとして調製するか、またはエナンチオマー濃縮混合物から分割することができる。従来的な分割技法としては、光学活性酸を用いてエナンチオマー対の各異性体の遊離塩基の塩を形成すること(続いて、遊離塩基の分別結晶及び再生を行う)、光学活性アミンを用いてエナンチオマー対の各エナンチオマーの酸形態の塩を形成すること(続いて、遊離酸の分別結晶及び再生を行う)、光学的に純粋な酸、アミン、もしくはアルコールを用いてエナンチオマー対の各エナンチオマーのエステルもしくはアミドを形成すること(次に、クロマトグラフィー分離及びキラル補助物質の除去を行う)、または様々な周知のクロマトグラフィー法を用いて出発物質もしくは最終生成物いずれかのエナンチオマー混合物を分割することが挙げられる。加えて、化合物は、従来的なキラルクロマトグラフィー技法を用いてラセミ混合物を分離することにより、個々のエナンチオマーとして調製することができる。
【0029】
本開示の化合物の立体化学が構造により命名または示される場合、命名または示された立体異性体は、他の全ての立体異性体に対し少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、99重量%、または99.9重量%純粋である。他の全ての立体異性体に対する純粋な重量%は、他の立体異性体の重量に対する1つの立体異性体の重量の比である。1つのエナンチオマーが構造によって命名または示される場合、示されたまたは命名されたエナンチオマーは、少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、99重量%、または99.9重量%光学的に純粋である。重量パーセント光学純度は、エナンチオマーの重量プラスその光学異性体の重量に対するエナンチオマーの重量の比である。
【0030】
本開示の化合物の立体化学が構造によって命名または示され、命名または示された構造が(例えば、ジアステレオマー対におけるような)2つ以上の立体異性体を包含する場合、包含される立体異性体の1つまたは包含される立体異性体の任意の混合物が含まれることを理解されたい。さらに、命名または示された立体異性体の立体異性体純度は、他の全ての立体異性体に対し少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、99重量%、または99.9重量%純粋であることを理解されたい。この場合の立体異性体純度は、名称または構造によって包含される立体異性体の混合物における全重量を、全ての立体異性体の混合物における全重量で割ることによって定量される。別段の明記がない限り、本開示の化合物中の一部の立体化学中心のみが構造によって示されるまたは命名される場合、命名または示された配置は、残りの配置に対し、例えば少なくとも60%、70%、80%、90%、99%また、は99.9%のモル過剰によってエンリッチされる。例えば、構造
【化6】
は、立体化学が示されているキラル炭素の周りの配置が(例えば、少なくとも60%、70%、80%、90%、99%、または99.9%のモル過剰によって)Sとして立体化学的にエンリッチされていることと、立体化学が同定されていない他方のキラル中心における立体化学がRもしくはS、またはこれらの混合物であり得ることとを意味する。
【0031】
開示化合物が、立体化学を示さずに構造によって命名または記述され、その化合物が1つのキラル中心を有する場合、その名称または構造は、対応する光学異性体を含まない化合物の1つのエナンチオマー、その化合物のラセミ混合物、またはその対応する光学異性体に比べて1つのエナンチオマーが濃縮された混合物を包含するものと理解されたい。
【0032】
開示化合物が、立体化学を示さずに構造によって命名または記述され、例えば、その化合物が2つ以上のキラル中心(例えば、少なくとも2つのキラル中心)を有する場合、その名称または構造は、他の立体異性体を含まない1つの立体異性体、立体異性体の混合物、または1つ以上の立体異性体が他の立体異性体に比べて濃縮された立体異性体の混合物を包含するものと理解されたい。例えば、名称または構造は、他のジアステレオマーを含まない1つの立体異性体、立体異性体の混合物、または1つ以上のジアステレオマーが他のジアステレオマーに比べて濃縮された立体異性体の混合物を包含し得る。
【0033】
「対象」及び「患者」という用語は互換的に使用され得、治療を必要とする哺乳類、例えば、コンパニオン動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギなど)、及び実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)を意味する。典型的には、対象は治療を必要とするヒトである。
【0034】
「阻害する」、「阻害」、または「阻害すること」という用語は、生物学的活性またはプロセスのベースライン活性の減少を含む。
【0035】
本明細書で使用する場合、「治療」、「治療する」、及び「治療すること」という用語は、本明細書に記載の疾患もしくは障害、またはその1つ以上の症状を反転、軽減すること、その発症を遅延させること、またはその進行を阻害することを指す。いくつかの態様において、治療は、1つ以上の症状が発生した後に投与することができ、すなわち療法的治療であり得る。他の態様において、治療は、症状の不在下で投与することができる。例えば、治療は、症状の発症前に(例えば、症状歴の管点から、及び/または特定の臓器への曝露、もしくは他の感受性要因の観点から)感受性を有する対象に投与することができる。また、治療は症状が解消した後も、例えば症状の再発を遅延させるために、継続される場合がある。
【0036】
「医薬的に許容される担体」という用語は、共に製剤化される化合物の薬理学的活性を破壊しない無毒性の担体、アジュバント、またはビヒクルを指す。本明細書に記載の組成物で使用することができる医薬的に許容される担体、アジュバント、及びビヒクルとしては、限定されるものではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、または電解質、例えば、プロタミン硫酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベース物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及び羊毛脂が挙げられる。
【0037】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、対象の生物学的または医学的応答を誘発する本明細書に記載の化合物の量(例えば、0.01~100mg/kg体重/日という薬用量)を指す。
【0038】
3.化合物
第1の実施形態において、本明細書では、式Iの化合物
【化7】
またはその医薬的に許容される塩が提供され、変数は上記の通りである。
【0039】
第2の実施形態において、式Iの化合物は、式IIの化合物
【化8】
またはその医薬的に許容される塩であり、残りの変数は式Iについて記載されている通りである。
【0040】
第3の実施形態において、式Iの化合物は、式IIIの化合物
【化9】
またはその医薬的に許容される塩であり、残りの変数は式Iについて記載されている通りである。
【0041】
第4の実施形態において、式Iの化合物は、式IVの化合物
【化10】
またはその医薬的に許容される塩であり、残りの変数は式Iについて記載されている通りである。
【0042】
第5の実施形態において、式I、II、III、またはIVの化合物におけるqは0または1であり、残りの変数は式Iについて記載されている通りである。
【0043】
第6の実施形態において、Raは、存在する場合、式I、II、III、またはIVの化合物において、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、ハロ(C1~3アルキル)、ハロC1~3アルコキシ、またはハロであり、残りの変数は、式Iまたは第5の実施形態について記載されている通りである。
【0044】
第7の実施形態において、式Iの化合物は、式Vの化合物
【化11】
またはその医薬的に許容される塩であり、残りの変数は式Iについて記載されている通りである。
【0045】
第8の実施形態において、式Iの化合物は、式VIもしくはVIIの化合物
【化12】
またはその医薬的に許容される塩であり、残りの変数は式Iについて記載されている通りである。
【0046】
第9の実施形態において、式Iの化合物は、式VIII、IXが、X、もしくはXIの化合物
【化13】
またはその医薬的に許容される塩であり、残りの変数は式Iについて記載されている通りである。
【0047】
第10の実施形態において、式Iの化合物は、式XII、XIII、XIV、もしくはXVの化合物
【化14】
またはその医薬的に許容される塩であり、残りの変数は式Iについて記載されている通りである。
【0048】
第11の実施形態において、式Iの化合物は、式XVIもしくはXVIIの化合物
【化15】
またはその医薬的に許容される塩であり、残りの変数は式Iについて記載されている通りである。
【0049】
第12の実施形態において、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、またはXVIIの化合物におけるR2はフェニルまたはピラゾリルであり、その各々は任意選択でRcから選択される1~3個の基で置換され、残りの変数は式Iについて記載されている通りである。
【0050】
第13の実施形態において、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、またはXVIIの化合物におけるRcは、ハロ、C1~6アルキル、ハロ(C1~6アルキル)、C1~6アルコキシ、またはハロ(C1~6アルコキシ)であり、残りの変数は、式Iまたは第12の実施形態について記載されている通りである。
【0051】
第14の実施形態において、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、またはXVIIの化合物におけるR2はフェニルまたはピラゾリルであり、その各々は任意選択でハロまたはC1~4アルキルで置換され、残りの変数は、式Iまたは第12もしくは第13の実施形態について記載されている通りである。代替的に、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、またはXVIIの化合物におけるR2はフェニルであり、残りの変数は、式Iまたは第12もしくは第13の実施形態について記載されている通りである。
【0052】
第15の実施形態において、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、またはXVIIの化合物におけるpは1であり、残りの変数は、式Iまたは第12、第13、もしくは第14の実施形態について記載されている通りである。
【0053】
第16の実施形態において、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、またはXVIIの化合物におけるRbは、ハロ、シアノ、または-SO2NH2であり、残りの変数は、式Iまたは第12、第13、第14、もしくは第15の実施形態について記載されている通りである。代替的に、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、またはXVIIの化合物におけるRbはシアノであり、残りの変数は、式Iまたは第12、第13、第14、もしくは第15の実施形態について記載されている通りである。
【0054】
第17の実施形態において、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、またはXVIIの化合物におけるR5は、ピラゾリルもしくはオキサゾリジニルで置換されたC1~4アルキルであり、その各々は任意選択でRdから選択される1~3個の基で置換され、またはR5は、ピペリジニル、アゼチジニル、ヘキサヒドロ、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、オキセタニル、ピラゾリル、ピロリジニル、もしくはピリミジニルであり、その各々は任意選択でRdから選択される1~3個の基で置換され、残りの変数は、式Iまたは第12、第13、第14、第15、もしくは第16の実施形態について記載されている通りである。
【0055】
第18の実施形態において、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、またはXVIIの化合物におけるRdは、ハロ、オキソ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、ハロ(C1~4アルキル)、-C1~4アルキルORe、-C(O)Rf、-C(O)N(Re)2、-C1~6アルキルC(O)N(Re)2、及び-S(O)2Reから選択され、残りの変数は、式Iまたは第12、第13、第14、第15、第16、もしくは第17の実施形態について記載されている通りである。代替的に、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、またはXVIIの化合物におけるRdは、C1~6アルキル、-C(O)Rf、及びオキソから選択され、残りの変数は、式Iまたは第12、第13、第14、第15、第16、もしくは第17の実施形態について記載されている通りである。
【0056】
第19の実施形態において、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、またはXVIIの化合物におけるReは、水素またはC1~3アルキルであり、残りの変数は、式Iまたは第12、第13、第14、第15、第16、第17、もしくは第18の実施形態について記載されている通りである。
【0057】
第20の実施形態において、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、またはXVIIの化合物におけるRfは、シクロプロピルまたはC1~4アルキルであり、残りの変数は、式Iまたは第12、第13、第14、第15、第16、第17、第18、もしくは第19の実施形態について記載されている通りである。
【0058】
第21の実施形態において、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVIまたはXVIIの化合物におけるR
5は
【化16】
残りの変数は、式Iまたは第12、第13、第14、第15、第16、第17、第18、第19、もしくは第20の実施形態について記載されている通りである。
【0059】
第22の実施形態において、式Iの化合物は、以下の式:
【化17-1】
【化17-2】
【化17-3】
または前述のうちのいずれかの医薬的に許容される塩から選択される。
【0060】
化合物の具体例は実施例セクションで示され、これらは本明細書の第23の実施形態の一部として含まれる。これらの化合物の医薬的に許容される塩及び中性形態も含まれる。
【0061】
また、本明細書では、本明細書に記載の化合物と医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物も提供される。
【0062】
4.使用、製剤化、及び投与
本明細書に記載の化合物及び組成物は、概して、p300及び/またはCBP HATの活性を調節するのに有用である。いくつかの態様において、本明細書に記載の化合物及び組成物は、p300及び/またはCBP HATの活性を阻害する。
【0063】
いくつかの態様において、本明細書に記載の化合物及び組成物は、p300及び/またはCBP HAT機能に関連する障害を治療するのに有用である。したがって、本明細書では、p300及び/またはCBP HAT機能に関連する障害を治療する方法であって、必要としている対象に、本明細書に記載の化合物もしくはその医薬的に許容される塩、または本開示の化合物もしくはその医薬的に許容される塩を含む組成物の治療有効量を投与することを含む、方法が提供される。また、p300及び/またはCBP HAT機能に関連する障害を治療するための医薬の製造のための、本明細書に記載される化合物もしくはその医薬的に許容される塩、または本開示の化合物もしくはその医薬的に許容される塩を含む組成物の使用も提供される。また、p300及び/またはCBP HATに関連する障害の治療で使用するための、本明細書に記載の化合物もしくはその医薬的に許容される塩、または本開示の化合物もしくはその医薬的に許容される塩を含む組成物も提供される。
【0064】
いくつかの態様において、本明細書に記載の化合物及び組成物は、p300及び/またはCBP酵素によって作用を受けるクロマチンの塩基性残基上のH3K27、H3K18、及び他のアセチル化部位におけるクロマチンアセチル化に関連する障害を治療するのに有用である。したがって、本明細書では、p300及び/またはCBP酵素によって作用を受けるクロマチンの塩基性残基上のH3K27、H3K18、及び他のアセチル化部位におけるクロマチンアセチル化に関連する障害を治療する方法であって、必要としている対象に、本明細書に記載の化合物もしくはその医薬的に許容される塩、または本開示の化合物もしくはその医薬的に許容される塩を含む組成物の治療有効量を投与することを含む、方法が提供される。また、p300及び/またはCBP酵素によって作用を受けるクロマチンの塩基性残基上のH3K27、H3K18、及び他のアセチル化部位におけるクロマチンアセチル化に関連する障害を治療するための医薬の製造のための、本明細書に記載の化合物もしくはその医薬的に許容される塩、または本開示の化合物もしくはその医薬的に許容される塩を含む組成物の使用も提供される。また、p300及び/またはCBP酵素によって作用を受けるクロマチンの塩基性残基上のH3K27、H3K18、及び他のアセチル化部位におけるクロマチンアセチル化に関連する障害の治療で使用するための、本明細書に記載の化合物もしくはその医薬的に許容される塩、または本開示の化合物もしくはその医薬的に許容される塩を含む組成物も提供される。
【0065】
いくつかの態様において、本明細書に記載の化合物及び組成物は、p300及び/またはCBPによってアセチル化されることが知られているクロマチンの過剰アセチル化及び/またはタンパク質の過剰アセチル化に関連する障害を治療するのに有用である。したがって、本明細書では、p300及び/またはCBPによってアセチル化されることが知られているクロマチンの過剰アセチル化及び/またはタンパク質の過剰アセチル化に関連する障害を治療する方法であって、必要としている対象に、本明細書に記載の化合物もしくはその医薬的に許容される塩、または本開示の化合物もしくはその医薬的に許容される塩を含む組成物の治療有効量を投与することを含む、方法が提供される。また、p300及び/またはCBPによってアセチル化されることが知られているクロマチンの過剰アセチル化及び/またはタンパク質の過剰アセチル化に関連する障害を治療するための医薬の製造のための、本明細書に記載される化合物もしくはその医薬的に許容される塩、または本開示の化合物もしくはその医薬的に許容される塩を含む組成物の使用も提供される。また、p300及び/またはCBPによってアセチル化されることが知られているクロマチンの過剰アセチル化及び/またはタンパク質の過剰アセチル化に関連する障害の治療で使用するための、本明細書に記載の化合物もしくはその医薬的に許容される塩、または本開示の化合物もしくはその医薬的に許容される塩を含む組成物も提供される。
【0066】
いくつかの態様において、本明細書に記載の化合物及び組成物は、癌、心疾患、代謝性疾患、線維性疾患、炎症性疾患、またはウイルス感染を治療するのに有用である。
【0067】
いくつかの態様において、本明細書に記載の化合物及び組成物によって治療される癌は、乳房、前立腺、及び結腸の腺癌;肺の気管支原性肺癌;骨髄性;黒色腫;肝細胞腫;神経芽腫;乳頭腫;アプドーマ;分離腫;鰓腫;悪性カルチノイド症候群;カルチノイド心疾患;癌腫(例えば、ウォーカー、基底細胞、基底扁平上皮、ブラウン・ピアース、腺管、エールリッヒ、クレブス2、メルケル細胞、粘液性、非小細胞肺、燕麦細胞、乳頭、硬性、細気管支、気管支原性、扁平細胞、及び移行細胞);組織球性障害;白血病;悪性組織球症;ホジキン病;免疫増殖性小腸疾患(immunoproliferative small);非ホジキンリンパ腫;形質細胞腫;細網内皮症;黒色腫;軟骨芽腫;軟骨腫;軟骨肉腫;線維腫;線維肉腫;巨細胞腫;組織球腫;脂肪腫;脂肪肉腫;中皮腫;粘液腫;粘液肉腫;骨腫;骨肉腫;脊索腫;頭蓋咽頭腫;卵巣精上皮腫;過誤腫;間葉細胞腫;中腎腫;筋肉腫;エナメル上皮腫;セメント質腫;歯牙腫;奇形腫;胸腺腫;絨毛性腫瘍;腺腫;胆管種;真珠腫;円柱腫(cyclindroma);嚢胞腺癌;嚢胞腺腫;肉芽腫細胞腫瘍;男女性胚細胞腫;肝細胞腫;汗腺腫;膵島腫瘍;ライディッヒ細胞腫;乳頭腫;セルトリ細胞腫;莢膜細胞腫;平滑筋腫;平滑筋肉腫;筋芽細胞腫;子宮筋腫(myomma);筋肉腫;横紋筋腫;横紋筋肉腫;上衣腫;神経節腫;神経膠腫;髄芽腫;髄膜腫;神経鞘腫;神経芽腫;神経上皮腫;神経線維腫;神経腫;傍神経節腫;非クロム親和性傍神経節腫;角化血管腫;好酸球増多を伴う血管リンパ組織過形成;硬化性血管腫;血管腫症;グロムス血管腫;血管内皮腫;血管腫;血管外皮腫;血管肉腫;リンパ管腫;リンパ管筋腫;リンパ管肉腫;松果体腫;癌肉腫;軟骨肉腫;白血肉腫;脂肪肉腫;リンパ管肉腫;筋肉腫;粘液肉腫;卵巣癌;横紋筋肉腫;肉腫;新生物;神経線維腫(nerofibromatosis);ならびに子宮頚部異形成から選択される。
【0068】
他の態様において、本明細書に記載の化合物及び組成物によって治療される癌は、聴神経腫瘍、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄球性白血病、急性T細胞性白血病、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、気管支原性癌、子宮頚癌、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛癌、慢性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺癌、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、増殖不全性変化(dysproliferative change)、胚性癌、子宮内膜癌、内皮肉腫、上皮腫、上皮癌、赤白血病、食道癌、エストロゲン受容体陽性乳癌、本態性血小板血症、ユーイング腫瘍、線維肉腫、濾胞性リンパ腫、胚細胞精巣癌、神経膠腫、神経膠芽腫、神経膠肉腫、重鎖病、頭頚部癌、血管芽細胞腫、肝細胞腫、肝細胞癌、ホルモン不感受性前立腺癌、平滑筋肉腫、白血病、脂肪肉腫、肺癌、リンパ管内皮肉腫(lymphagioendotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ芽球性白血病、リンパ腫、T細胞またはB細胞由来のリンパ系悪性腫瘍、髄様癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄性白血病、骨髄腫、粘液肉腫、神経芽腫、NUT正中線癌(NMC)、非小細胞肺癌、乏突起神経膠腫、口腔癌、骨原性肉腫、卵巣癌、膵臓癌、乳頭腺癌、乳頭癌、松果体腫、真性多血症、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、皮脂腺癌、セミノーマ、皮膚癌、小細胞肺癌、固形癌(癌腫及び肉腫)、小細胞肺癌、胃癌、扁平上皮癌、滑膜腫、汗腺癌、甲状腺癌、ワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症、精巣腫瘍、子宮癌、ならびにウィルムス腫瘍から選択される。
【0069】
いくつかの態様において、本明細書に記載の化合物及び組成物によって治療される癌は、結腸癌、胃癌、甲状腺癌、肺癌、白血病、膵臓癌、黒色腫、多発性黒色腫、脳癌、CNS癌、腎癌、前立腺癌、卵巣癌、白血病、及び乳癌から選択される。
【0070】
いくつかの態様において、本明細書に記載の化合物及び組成物によって治療される癌は、肺癌、乳癌、膵臓癌、結腸直腸癌、及び黒色腫から選択される。
【0071】
いくつかの態様において、本明細書に記載の化合物及び組成物によって治療される癌は、前立腺癌、エンハンサー駆動癌、多発性骨髄腫、及びリンパ腫(例えば、マントル細胞リンパ腫)から選択される。例えば、Santer et al 2011,Mol Cancer Ther.10:1644-1655;Lasko et al,2017,Nature.Oct 5;550(7674):128-132;Tie F,et al.2009 Development 136:3131-3141;Bergsagel PL,Kuehl WM 2001,Oncogene,20(40):5611-22;Chesi and Bergsagel 2013,Int J Hematol.97(3):313-323;及びJares P et al 2007,Nat Rev Cancer.7(10):750-762を参照。
【0072】
1つの態様において、本明細書に記載の化合物及び組成物によって治療される心疾患は、心肥大及び心不全から選択される。
【0073】
1つの態様において、本明細書に記載の化合物及び組成物によって治療される代謝性疾患は、肥満、肝脂肪症、脂質異常症、高血圧、冠動脈性心疾患、肝炎症、及び2型糖尿病から選択される。
【0074】
1つの態様において、本明細書に記載の化合物及び組成物によって治療される線維性疾患は、放射線誘発性肺炎、放射線線維症、急性呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、特発性肺線維症、間質性肺疾患、心筋梗塞、虚血性脳卒中、虚血性腎疾患、移植拒絶反応、リーシュマニア症、I型糖尿病、関節リウマチ、慢性肝炎、肝硬変、炎症性腸疾患、クローン病、強皮症、ケロイド、術後線維症、化学療法誘発性線維症(例えば、化学療法誘発性肺線維症または卵巣皮質線維症)、腎原性全身性線維症、後腹膜線維症、骨髄線維症、縦隔線維症、嚢胞性線維症、石綿肺、喘息、及び肺高血圧から選択される。
【0075】
1つの態様において、本明細書に記載の化合物及び組成物によって治療される炎症性疾患は、喘息、炎症性腸疾患(クローン病または潰瘍性大腸炎)、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、及び乾癬から選択される。別の態様において、本明細書に記載の化合物及び組成物によって治療される炎症性疾患は、アジソン病、急性痛風、強直性脊椎炎、喘息、粥状硬化症、ベーチェット病、水疱性皮膚疾患、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、皮膚炎、湿疹、巨細胞動脈炎、線維症、糸球体腎炎、肝血管閉塞、肝炎、下垂体炎、免疫不全症候群、炎症性腸疾患、川崎病、ループス腎炎、多発性硬化症、心筋炎、筋炎、腎炎、臓器移植拒絶、変形性関節症、膵炎、心膜炎、結節性多発動脈炎、肺炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、強膜炎、硬化性胆管炎、敗血症、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、毒素ショック、甲状腺炎、I型糖尿病、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、白斑、血管炎、及びウェゲナー肉芽腫症から選択される。
【0076】
1つの態様において、本明細書に記載の化合物及び組成物によって治療されるウイルス感染は、ヒト免疫不全ウイルス、C型肝炎ウイルス、及びヒトパピローマウイルスから選択される。
【0077】
1つの態様において、本明細書に記載の化合物及び組成物は、神経性障害の治療に有用である。
【0078】
神経性障害の例としては、以下のものが挙げられる:(i)慢性神経変性疾患、例えば、前頭側頭型脳葉変性(前頭側頭型認知症(FTD))、FTD-GRN、家族性及び散発性筋萎縮性側索硬化症(それぞれFALS、ALS)、家族性及び散発性パーキンソン病、パーキンソン病認知症、ハンチントン病、家族性及び散発性アルツハイマー病、多発性硬化症、筋ジストロフィー、オリーブ橋小脳萎縮症、多系統萎縮症、ウィルソン病、進行性核上性麻痺、びまん性レビー小体病、大脳皮質歯状核黒質変性(corticodentatonigral degeneration)、進行性家族性ミオクローヌス性てんかん、線条体黒質変性症、捻転ジストニー、家族性振戦、ダウン症候群、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、ハラーホルデン・スパッツ病、末端神経障害、糖尿病性末端神経障害、ボクサー認知症、AIDS認知症、加齢性認知症、年齢関連性記憶障害、ならびにアミロイドーシス関連性神経変性疾患、例えば、プリオンタンパク質(PrP)を原因とするもの(伝達性海綿状脳症(クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー症候群、スクレイピー、及びクールー)ならびにシスタチンCの過剰蓄積を原因とするもの(遺伝性シスタチンC血管障害);ならびに(ii)急性神経変性障害、例えば、外傷性脳傷害(例えば、手術関連性脳傷害)、脳浮腫、末梢神経損傷、脊髄傷害、リー病、ギラン・バレー症候群、リソソーム性蓄積症、例えば、リポフスチン沈着症、アルパース病;慢性的なアルコールまたは薬物の濫用により生じる病態(例えば、青斑核及び小脳の神経細胞の変性、薬物誘導性運動障害);加齢により生じる病態(認知及び運動障害につながる小脳神経細胞及び皮質神経細胞の変性を含む);ならびに慢性的なアンフェタミンの濫用によって生じる病態(運動障害につながる大脳基底核ニューロンの変性を含む);局所的外傷から生じる病態変化、例えば、脳卒中、局所的虚血、血行不全、低酸素性虚血性脳症、高血糖、低血糖、または直接的外傷;治療薬及び治療の負の副作用として生じる病態(例えば、グルタミン酸受容体のNMDAクラスのアンタゴニストの抗痙攣用量に応答した帯状皮質及び嗅内皮質ニューロンの変性)およびウェルニッケ・コルサコフ関連の認知症。
【0079】
他の神経性障害としては、脊髄損傷に関連する神経損傷または外傷が挙げられる。大脳辺縁系及び皮質系の神経性障害としては、例えば、脳アミロイドーシス、ピック萎縮、及びレット症候群が挙げられる。別の態様において、神経性障害には、気分障害(例えば、情動障害及び不安)、社会行動の障害(例えば、人格欠陥及び人格障害)、学習、記憶、及び知能の障害(例えば、精神遅滞及び認知症)が含まれる。したがって、1つの態様において、本開示の化合物及び組成物は、統合失調症、せん妄、注意欠陥多動性障害(ADHD)、統合失調感情障害、アルツハイマー病、血管性認知症、ルビンステイン・テイビ症候群、うつ病、躁病、注意欠陥障害、薬物嗜癖、痴呆症、及びBPSD所見を含む認知症を治療するのに有用であり得る。
【0080】
さらなる神経学的状態としては、例えば、タウオパチー、球脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳失調症3型、疼痛(例えば、急性及び慢性の疼痛、体性痛、内臓痛、神経障害性疼痛、末梢神経障害、侵害受容性疼痛、中枢性疼痛症候群、筋肉痛または関節痛を含む)、及び神経炎症が挙げられる。
【0081】
1つの態様において、本明細書に記載の化合物及び組成物は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、タウオパチー、血管性認知症、パーキンソン病、及びレビー小体型認知症から選択される神経性障害を治療するのに有用である。
【0082】
ある特定の態様において、本明細書に記載の組成物は、このような組成物を必要とする患者への投与のために製剤化される。本明細書に記載の組成物は、経口、非経口、吸入スプレー、局所、経直腸、経鼻、頬側、経膣により、または植込み型リザーバー経由で投与することができる。本明細書で使用する場合、「非経口的」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病巣内、及び頭蓋内の注射、または点滴技法を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、経口、腹腔内、または静脈内投与される。本明細書に記載の組成物の無菌注射用形態は、水性または油性の懸濁液であり得る。このような懸濁液は、当技術分野で知られている技法に従って、好適な分散剤または湿潤剤及び懸濁化剤を用いて製剤化することができる。
【0083】
いくつかの態様において、組成物は経口投与される。
【0084】
任意の特定の患者向けの特定の薬用量及び治療レジメンは、用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、全般的健康状態、性別、食事、投与時間、排出率、薬物の組合せ、ならびに処置を行う医師の判断及び処置が行われている特定の疾患の重症度を含めた様々な因子に依存することになる。組成物中の本明細書に記載の化合物の量も、組成物中の特定の化合物に依存することになる。
【0085】
本明細書に記載の化合物は、医薬的に許容される塩の形態で存在することができる。医薬で使用する場合、本明細書に記載の化合物の塩は、無毒性の「医薬的に許容される塩」を指す。医薬的に許容される塩形態には、医薬的に許容される酸性/アニオン性または塩基性/カチオン性塩が含まれる。本明細書に記載の化合物における好適な医薬的に許容される酸付加塩には、例えば、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、及び硫酸)の塩ならびに有機酸(例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸)の塩が含まれる。酸性基(例えば、カルボン酸)を有する本教示の化合物は、医薬的に許容される塩基を有する医薬的に許容される塩を形成することができる。好適な医薬的に許容される塩基性塩としては、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩及びカリウム塩)、ならびにアルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩及びカルシウム塩)が挙げられる。4級アンモニウム基を有する化合物は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸、過塩素酸などの対アニオンも含む。このような塩の他の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、安息香酸塩、及びアミノ酸(例えば、グルタミン酸)を有する塩が挙げられる。
【0086】
式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩の治療有効量と、1つ以上の追加の医薬的に活性の薬剤の有効量とを用いた組合せ療法も、本明細書に含まれる。式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩と組み合わせることができる追加の活性薬剤としては、例えば、エストロゲン受容体(ER)を標的とするものが挙げられる。このような活性薬剤としては、限定されるものではないが、選択的エストロゲン受容体分解物質(SERD)、ERアンタゴニスト、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、及びアロマターゼ阻害剤(AI)が挙げられる。SERD及びERアンタゴニストの例としては、限定されるものではないが、フルベストラント、RAD-1901(エラセストラント)、GDC-0927((2S)-2-(4-{2-[3-(フルオロメチル)-1-アゼチジニル]エトキシ}フェニル)-3-(3-ヒドロキシフェニル)-4-メチル-2H-クロメン-6-オール)、GDC-0810(ブリラネストラント)、AZD-9496((2E)-3-[3,5-ジフルオロ-4-[(1R,3R)-2-(2-フルオロ-2-メチルプロピル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-3-メチル-1H-ピリド[3,4-b]インドール-1-イル]フェニル]-2-プロペン酸)、OP-1250(US9,018,244(その内容は参照により本明細書に援用される)で見出された(S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチル-2-(4-(2-((R)-3-メチルピロリジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-2H-クロメン-7-オールのプロドラッグ、同じくUS9,018,244(その内容は参照により本明細書に援用される)で見出された(S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチル-2-(4-(2-((R)-3-メチルピロリジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-2H-クロメン-7-オール)、LSZ102((E)-3-(4-((2-(2-(1,1-ジフルオロエチル)-4-フルオロフェニル)-6-ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン-3-イル)オキシ)フェニル)アクリル酸)、及びH3B-6545((E)-N,N-ジメチル-4-((2-((5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エナミド)が挙げられる。SERMの例としては、限定されるものではないが、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、バゼドキシフェン、オスペミフェン、及びナフォキシジンが挙げられる。AIの例としては、限定されるものではないが、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、ボロゾール、フォルメスタン、及びファドロゾールが挙げられる。1つの態様において、式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩と、フルベストラント、RAD-1901、GDC-0927、GDC-0810、AZD-9496、OP-1250、LSZ102、H3B-6545、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、バゼドキシフェン、オスペミフェン、ナフォキシジン、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、ボロゾール、フォルメスタン、及びファドロゾールから選択される追加の治療薬剤とが提供される。1つの態様において、追加の治療薬剤はフルベストラントである。本明細書で列挙された状態を治療するための上記で論じた併用療法のうちの1つ以上の使用も、本開示の範囲内に含まれる。例えば、1つの態様において、上記の併用治療は、癌、例えば、乳癌の治療で有用である。
【実施例】
【0087】
本開示の化合物の代表的な例を、以下の非限定的な方法、スキーム、及び実施例で示す。
【0088】
以下の略語は、示された意味を有する:Ac=アセチル;ACN=アセトニトリル;AcOアセテート;BOC=t-ブチルオキシカルボニル;CBZ=カルボベンズオキシ;CDI=カルボニルジイミダゾール;DBU=1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン;DCC=1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド;DCE=1,2-ジクロロエタン;DI=脱イオン;DIAD=アゾジカルボン酸ジイソプロピル;DIBAL=水素化ジイソブチルアルミニウム;DIPA=ジイソプロピルアミン;DIPEAまたはDIEA=N,N-ジイソピルエチルアミン(別名ヒューニッヒ塩基);DMA=ジメチルアセトアミド;DMAP=4-(ジメチルアミノ)ピリジン;DMF=ジメチルホルムアミド;DMP=デス・マーチンペルヨージナン;DPPA=ジフェニルホスホリルアジド;DPPP=1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン;Dtbbpy=4,4’-ジ-/e/7-ブチル-2,2’-ジピリジル;EDCまたはEDCI=1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩;EDTA=エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩;EtOAc=酢酸エチル;FAB=高速原子衝撃;FMOC=9-フルオレニルメトキシカルボニル;HFIP=ヘキサフルオロイソプロパノール;HMPA=ヘキサメチルホスホルアミド;HATU=(9-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N,N-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;HOAt=1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾールまたは3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-オール;HOBt=1-ヒドロキシベンゾトリアゾール;HRMS=高分解能質量分析法;KHMDS=ヘキサメチルジシラザンカリウム;LC-MS=液体クロマトグラフィー質量分析法;LDA=リチウムジイソプロピルアミド;LiHMDS=リチウムヘキサメチルジシラザン;MCPBA=メタクロロ過安息香酸;MMPP=モノペルオキシフタル酸マグネシウム六水和物;Ms=メタンスルホニル=メシル;msO=メタンスルホネート=メシレート;MTBE=メチルt-ブチルエーテル;NBS=N-ブロモスクシンイミド;NMM=4-メチルモルホリン;NMP=N-メチルピロリジノン;NMR=核磁気共鳴;PCC=ピリジニウムクロロクロメート;PDC=ピリジニウムジクロメート;Ph=フェニル;PPTS=ピリジニウムp-トルエンスルネート;pTSA=p-トルエンスルホン酸;r.t./RT=室温;rac.=ラセミ体;T3P=2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスフィナン2,4,6-トリオキシド;TEA=トリエチルアミン;TFA=トリフルオロ酢酸;TfO=トリフルオロメタンスルホネート=トリフレート;THF=テトラヒドロフラン;TLC=薄層クロマトグラフィー;TMSCl=トリメチルシリルクロリド。
【0089】
反応の進行は、多くの場合TLCまたはLC-MSでモニタリングした。LC-MSは、以下の方法のうちの1つを用いて記録した。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0090】
NMRはVarian Inova 400もしくは500MHz分光光度計で溶媒ピークを参照として、またはBruker 300または400MHz分光光度計でTMSピークを内部参照として使用して、別段の記載がない限り室温で記録した。
【0091】
別段の明記がない限り、以下の実施例におけるそれぞれの溶出立体異性体の絶対立体配置は同定しなかった。
【0092】
本明細書に記載の化合物は、以下の方法及びスキームを用いて調製することができる。別段の指定がない限り、使用した全ての出発物質は市販されている。
方法1
【化18】
【0093】
方法1は、1,3-ジアミノプロパン-2-オールから5-ヒドロキシ-1,3-ジメチルテトラヒドロピリミジン-2(1H)-オンを合成するための4ステップのプロトコルであり、本明細書に記載の化合物に至る途中での中間体の合成に有用である。
方法2
【化19】
【0094】
方法2は、ハロニトロピリジンとアルコールとの反応からアルコキシ-ニトロピリジンを調製するためのプロトコルであり、本明細書に記載の化合物に至る途中での中間体の合成に有用である。
方法3
【化20】
【0095】
方法3は、1-(3-((6-ニトロピリジン-3-イル)オキシ)ヘテロシクロ-1-イル)エタン-1-オン誘導体を調製するための2ステップのプロトコルであり、本明細書に記載の化合物に至る途中での中間体の合成に有用である。
方法4
【化21】
【0096】
方法4は、パラジウム触媒水素化反応を介し2-ニトロピリジンから置換2-アミノピリジンを調製するためのプロトコルであり、本明細書に記載の化合物に至る途中での中間体の合成に有用である。
方法5
【化22】
【0097】
方法5は、クロロピリミジンからピリミジニルオキシピリジン-2-アミンを調製するための3ステップのプロトコルであり、本明細書に記載の化合物に至る途中での中間体の合成に有用である。
方法6
【化23】
【0098】
方法6は、置換ベンズアルデヒドまたはケトンを用いて置換2-アリールエチルアミン及び2-ヘテロアリールエチルアミンを調製するための5ステップのプロトコルであり、本明細書に記載の化合物に至る途中での中間体の合成に有用である。
方法7
【化24】
【0099】
方法7は、アリールエチルアミン及び置換ボロネート(またはボロン酸)ピラゾールから出発する置換エチル2-(アリールエチルアミノ)-2-(1-置換-1H-ピラゾール-4-イル)アセテートを調製するために使用される2ステップのプロトコルであり、本明細書に記載の化合物に至る途中での中間体の合成に有用である。
スキーム1
【化25】
【0100】
スキーム1は、α-ブロモエステルをN-アリール-2-(アルキルアミノ)アセトアミドに変換するための2ステップの合成順序を示している。この方法は、式Iの化合物(式中、R
1は置換フェニルであり、B、R
a、R
2、R
3、R
4、及びR
5は本明細書に記載されている通りである)のサブセットの合成に有用である。
方法1
【化26】
5-ヒドロキシ-1,3-ジメチルテトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン
【0101】
方法1、ステップ1。2-((トリイソプロピルシリル)オキシ)プロパン-1,3-ジアミン:
【0102】
乾燥DCM(26ml)中の1,3-ジアミノプロパン-2-オール(2.0g、22.19mmol)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(6.74g、66.57mmol)を加え、次にTIPS-塩化物(4.71g、24.41mmol)を窒素雰囲気下で、0℃で滴下した。反応混合物を室温に温め、20時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(10ml)でクエンチし、DCM(2×10ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して表題化合物(5.0g)を得、これをさらに精製せずに次のステップでそのまま使用した。LCMS:m/z=247.46[M+1].
【0103】
方法1、ステップ2。5-((トリイソプロピルシリル)オキシ)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン:
【0104】
メタノール(81ml)中の2-((トリイソプロピルシリル)オキシ)プロパン-1,3-ジアミン(5.0g、20.28mmol)の撹拌溶液に、S,S’-ジメチルジチオカーボネート(3.72g、30.43mmol)を加えた。次いで反応物を60℃に20時間加熱した。反応完了後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(1.25g、21%、2ステップ)を得た。LCMS:m/z=273.48[M+1].
【0105】
方法1、ステップ3。1,3-ジメチル-5-((トリイソプロピルシリル)オキシ)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン:
【0106】
DMF(25ml)中の5-((トリイソプロピルシリル)オキシ)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(1.25g、4.59mmol)の撹拌溶液に、NaH(0.551g、油中60%;13.77mmol)を0℃で加え、得られた反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次いでヨウ化メチル(1.96g、13.77mmol)を反応混合物に加えた。反応物を室温に温め、20時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を氷冷水(25ml)に注ぎ、酢酸エチル(2×25ml)で抽出した。有機層を水(2×25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮してした。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(1.0g、73%)を得た。LCMS:m/z=301.23[M+1].
【0107】
方法1、ステップ4。5-ヒドロキシ-1,3-ジメチルテトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン:
【0108】
無水エタノール(10ml)中の1,3-ジメチル-5-((トリイソプロピルシリル)オキシ)テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オン(1.0g、3.33mmol)の撹拌溶液に、1,4-ジオキサン(8.32ml、33.28mmol)中の4MのHClを0℃で加えた。次いで反応混合物を室温で5時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を減圧下で濃縮した。固体を水(5ml)で希釈し、水層を酢酸エチル(3×10ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10ml)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮して表題化合物を得た(1.5g、さらに精製せずに次のステップでそのまま使用)。LCMS:m/z=145.17[M+1].
方法2
【化27】
5-((1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)-2-ニトロピリジン
【0109】
方法2。5-((1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)-2-ニトロピリジン:
【0110】
乾燥DMF(7ml)中の1-メチルピペリジン-4-オール(1.44g、12.49mmol)及び5-フルオロ-2-ニトロピリジン(0.7g、6.25mmol)の撹拌溶液に、NaH(0.3g、95%、12.49mmol)を0℃で少量ずつ加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、反応混合物を氷冷水(10ml)に注ぎ、混合物を酢酸エチル(2×30ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10ml)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮して表題化合物を得た(0.54g、66%)。LCMS:m/z=238.3[M+1].
【化28】
tert-ブチル3-((6-ニトロピリジン-3-イル)オキシ)アゼチジン-1-カルボキシレート
【0111】
方法2。tert-ブチル3-((6-ニトロピリジン-3-イル)オキシ)アゼチジン-1-カルボキシレート:
【0112】
乾燥THF(20ml)中のtert-ブチル3-ヒドロキシアゼチジン-1-カルボキシレート(3.00g、17.32mmol)の撹拌溶液に、NaH(1.38g、油中60%、34.64mmol)を0℃で加えた。反応混合物を同じ温度で30分間撹拌し、5-フルオロ-2-ニトロピリジン(2.04g、14.35mmol)を反応混合物に0℃で加えた。反応完了後、反応混合物を氷冷水(75ml)に注ぎ、酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(70ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(2.00g、47.1%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6) δ:1.40(s,9H),3.89(d,J=7.2Hz,2H),4.37(d,J=7.6Hz,2H),5.25(s,1H),7.60-7.63(m,1H),8.31(dd,J=8.8Hz,J=3.2Hz,2H).
方法3
【化29】
1-(3-((6-ニトロピリジン-3-イル)オキシ)アゼチジン-1-イル)エタン-1-オン
【0113】
方法3、ステップ1。5-(アゼチジン-3-イルオキシ)-2-ニトロピリジンHCl:
【0114】
DCM(35ml)中のtert-ブチル3-((6-ニトロピリジン-3-イル)オキシ)アゼチジン-1-カルボキシレート(3.50g、11.85mmol)の撹拌溶液に、1,4-ジオキサン中4MのHCl(3.5ml、14.0mmol)を0℃で滴下した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣をn-ペンタン(15ml)で粉砕し、濾過して表題化合物(2.50g、91.0%)を固体として得た。LCMS:m/z=196.04[M+1].
【0115】
方法3、ステップ2。1-(3-((6-ニトロピリジン-3-イル)オキシ)アゼチジン-1-イル)エタン-1-オン:
【0116】
DCM(25ml)中の5-(アゼチジン-3-イルオキシ)-2-ニトロピリジン塩酸塩(2.5g、10.79mmol)の撹拌溶液に、TEA(4.3g、43.17mmol)を0℃で加えた。反応混合物を0℃で10分間撹拌した。次いで塩化アセチル(1.2g、15.19mmol)を0℃で滴下しした。反応混合物を0℃でさらに1時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(15ml)に注ぎ、DCM(2×30ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(2.0g、78.1%)を得た。LCMS:m/z=238.51[M+1].
【化30】
(S)-1-(3-((6-ニトロピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)エタン-1-オン
【0117】
方法3、ステップ1。(S)-2-ニトロ-5-(ピペリジン-3-イルオキシ)ピリジン:
【0118】
DCM(10ml)中のtert-ブチル(S)-3-((6-ニトロピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-カルボキシレート(0.50g、1.54mmol)の撹拌溶液に、TFA(2.5ml、5V)を0℃で滴下した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(15ml)に注ぎ、DCM(2×30ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をペンタン(5体積)で粉砕して、表題化合物(0.4g、70%)を固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 8.31-8.33(m,2H),7.75-7.78(m,1H),4.53-4.59(m,1H),3.10-3.13(m,1H),2.75-2.80(m,1H),2.57-2.62(m,2H),2.05-2.09(m,1H),1.68-1.71(m,1H),1.51-1.68(m,1H),1.46-1.50(m,1H);LCMS:m/z=224.3[M+1].
【0119】
方法3、ステップ2。(S)-1-(3-((6-ニトロピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)エタン-1-オン:
【0120】
DCM(8ml、20体積)中の(S)-2-ニトロ-5-(ピペリジン-3-イルオキシ)ピリジン(0.40g、1.79mmol)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(0.38ml、2.69mmol)を0℃で加えた。反応混合物を0℃で10分間撹拌し、DCM(1ml)中の塩化アセチル(0.168ml、2.15mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(15ml)に注ぎ、DCM(2×30ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(0.3g、47%)を得た。LCMS:m/z=266.4[M+1].
方法4
【化31】
5-((1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-アミン
【0121】
方法4。5-((1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-アミン:
【0122】
1:1メタノール:酢酸エチル(12ml)の混合物中の5-((1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)-2-ニトロピリジン(0.54g、2.29mmol)の撹拌溶液に、10%Pd/C(0.054g、50%水分)を加えた。次いで、反応物をH
2ガス雰囲気下で、室温で3時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、セライトパッドに通して濾過した。溶離液を減圧下で濃縮して、表題化合物(0.22g、44%)を固体として得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):1.50-1.70(m,2H),1.80-1.90(m,2H),2.09-2.21(m,5H),2.40-2.68(m,2H),4.03-4.15(m,1H),5.51(s,2H,-NH
2),6.40(d,J=8.8Hz,1H),7.10(dd,J=8.8Hz,2.8Hz,1H),7.64(d,J=2.8Hz,1H).
【化32】
【0123】
方法4。1-(3-((6-アミノピリジン-3-イル)オキシ)アゼチジン-1-イル)エタン-1-オン:
【0124】
1:1エタノール:酢酸エチル(60ml)の混合物中の1-(3-((6-ニトロピリジン-3-イル)オキシ)アゼチジン-1-イル)エタン-1-オン(2.0g、8.43mmol)の撹拌溶液に、Pt
2O(0.2g、10%w/w.)を加えた。反応物を15KgのH
2ガス圧下で、室温で16時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を酢酸エチル(25ml)で希釈し、セライトパッドに通して濾過した。セライトパッドを酢酸エチル(2×25ml)で洗浄し、合わせた濾液を減圧下で濃縮して、表題化合物(1.40g、80.1%)を固体として得た。LCMS:m/z=208.05[M+1].
方法5
【化33】
5-((5-メチルピリミジン-2-イル)オキシ)ピリジン-2-アミン
【0125】
方法5、ステップ1。2-((6-クロロピリジン-3-イル)オキシ)-5-メチルピリミジン:NMP(5ml)中の6-クロロピリジン-3-オール(1g、7.77mmol)の撹拌溶液に、カリウムtert-ブトキシド(1.3g、11.62mmol)を加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した。2-クロロ-5-メチルピリミジン(0.99g、7.77mmol)を加え、反応混合物を80℃で2時間加熱した。反応完了後、反応混合物を水(15ml)でクエンチし、酢酸エチル(2×20ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(1g、58%)を得た。LCMS:m/z=222.35[M+1].
【0126】
方法5、ステップ2。N-(4-メトキシベンジル)-5-((5-メチルピリミジン-2-イル)オキシ)ピリジン-2-アミン:
【0127】
1,4-ジオキサン(10ml)中の2-((6-クロロピリジン-3-イル)オキシ)-5-メチルピリミジン(0.5g、2.26mmol)の撹拌溶液に、4-メトキシベンジルアミン(0.37g、2.71mmol)、BINAP(0.07g、0.11mmol)、Pd2(dba)3(0.04g、0.05mmol)、及びナトリウムtert-ブトキシド(0.65g、6.78mmol)を加えた。反応混合物をアルゴンガスで15分間パージし、100℃に4時間加熱した。反応完了後、反応混合物を水(50ml)でクエンチし、酢酸エチル(2×50ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(0.15g、21%)を得た。LCMS:m/z=323.43[M+1].
【0128】
方法5、ステップ3。5-((5-メチルピリミジン-2-イル)オキシ)ピリジン-2-アミン:
【0129】
N-(4-メトキシベンジル)-5-((5-メチルピリミジン-2-イル)オキシ)ピリジン-2-アミン(0.13g、0.40mmol)に、TFA(1.3ml、10V)を0℃で滴下した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣をペンタン(5体積)で粉砕して粗製化合物を得、これをさらに精製せずに次のステップで使用した(0.2g、TFA塩)。LCMS:m/z=203.51[M+1].
方法6
【化34】
(S)-4-(1-アミノプロパン-2-イル)ベンゾニトリル塩酸塩
【0130】
方法6、ステップ1。エチル(E,Z)-3-(4-シアノフェニル)ブタ-2-エノエート:
【0131】
乾燥THF(90ml)中のカリウムtert-ブトキシド(10.09g、89.7mmol)の撹拌溶液に、窒素雰囲気下、トリエチルホスホノアセテート(20.08g、89.7mmol)を0℃で加えた。次いで、反応混合物を同じ温度で15分間撹拌した。次いで、反応物を室温に加温し、1時間撹拌した。次いで、4-アセチルベンゾニトリル(10.0g、69.0mmol)をTHF(50ml)中の溶液として加え、反応物を70℃に3時間加熱した。反応完了後(TLCでモニタリング)、反応混合物のpHを1N HClで3~4に調整した。THFを減圧下で除去し、水層を酢酸エチル(2×50ml)で抽出した。合わせた有機層(50ml)をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(8.5g、58%)を得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):1.15(t,J=6.8Hz,1.5H),1.36(t,J=6.8Hz,3H),2.21(s,1.5H),2.60(s,3H),4.05(q,J=7.1Hz,1H),4.27(q,J=7.2Hz,2H),6.01(S,0.5H),6.19(S,1H),7.30-7.71(m,6H).
【0132】
方法6、ステップ2。エチル3-(4-シアノフェニル)ブタノエート:
【0133】
メタノール:酢酸エチル(1:4、140ml)中のエチル(E,Z)3-(4-シアノフェニル)ブタ-2-エノエート(8.0g、37.2mmol)の撹拌溶液に、Pd/C(0.8g、10%w/w、50%水分)を加えた。反応物を水素ガス雰囲気下で、室温で3時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、セライトパッドに通して濾過した。合わせた有機層を減圧下で濃縮して、表題化合物(4.5g、56%)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3):1.23(t,J=7.2Hz,3H),1.33(d,J=6.8Hz,3H),2.62(dd,J=7.6Hz,1.2Hz,2H),3.70(q,J=7.2Hz,1H),4.07-4.15(m,2H),7.37(d,J=8.0Hz,2H),7.37(d,J=8.4Hz,2H).
【0134】
方法6、ステップ3。3-(4-シアノフェニル)ブタン酸:
【0135】
MeOH:THF:H2O(4:2:1、100ml)の混合物中のエチル3-(4-シアノフェニル)ブタノエート(4.5g、20.71mmol)の撹拌溶液に、LiOH(3.48g、82.95mmol)を5℃~10℃で加え、得られた反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。反応完了後(TLCでモニタリング)、反応溶媒を蒸発させた。残渣を水(10ml)に溶解し、酢酸エチル(2×15ml)で抽出した。水層のpHを濃HClで3~4に調整した。形成された沈殿物を濾去して表題化合物(3.8g、97%)を白色の固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):1.23(d,J=6.8,3H),2.58(d,J=7.6Hz,2H),3.24(q,J=7.2,1H),7.49(d,J=8.4Hz,2H),7.77(d,J=8.4Hz,2H),12.15(s,1H).
【0136】
方法6、ステップ4。tert-ブチル(2-(4-シアノフェニル)プロピル)カルバメート:
【0137】
tert-ブタノール(65ml)中の3-(4-シアノフェニル)ブタン酸(5.0g、26.45mmol)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(11.0ml、79.36mmol)を室温で加えた。次いで、反応混合物を5~10℃に冷却し、DPPA(12.30g、44.97mmol)を滴下した。アシルアジドが形成された後、反応物を90℃で一晩撹拌した。反応混合物を水(40ml)で希釈し、酢酸エチル(2×40ml)で抽出した。合わせた有機層(25ml)をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(4.5g、66%)を固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):1.17(d,J=6.8Hz,2H),1.33(s,9H),2.90-3.00(m,1H),3.04-3.15(m,2H),6.91(t,J=5.2Hz,1H,-NH),7.42(d,J=8.4Hz,2H),7.77(d,J=7.2Hz,2H).
【0138】
方法6、ステップ5。4-(1-アミノプロパン-2-イル)ベンゾニトリル塩酸塩:
【0139】
メタノール(9ml)中のtert-ブチル-(2-(4-シアノフェニル)プロピル)カルバメート(4.5g、17.29mmol)の撹拌溶液に、ジオキサン(10.8ml、2.4体積)中4MのHCl溶液を0℃で滴下した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、表題化合物(2.81g、83%)を固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):1.28(d,J=6.8Hz,2H),3.03(d,J=5.6Hz,2H),3.15-3.26(m,1H),7.55(d,J=8.0Hz,2H),7.83(d,J=8.0Hz,2H),8.21(s,3H).LCMS:m/z=161.6[M+1].
【0140】
方法6、ステップ6。4-(1-アミノプロパン-2-イル)ベンゾニトリル:
【0141】
4-(1-アミノプロパン-2-イル)ベンゾニトリル塩酸塩を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で処理し、酢酸エチル(3×30ml)で抽出して粗製化合物を液体として得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(DCM:MeOH=90:10)によってさらに精製して、ラセミ型の表題化合物を濃厚な油状物(2.29g、83%)として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):1.28(d,J=6.8Hz,3H),2.85(d,J=5.6Hz,3H),7.34(d,J=7.2Hz,2H),7.63(d,J=7.2Hz,2H).LCMS:m/z=161.5[M
+1].ラセミアミンは、CHIRALPAK AD-Hカラム(250mm、50mm、5ミクロン;移動相:75%CO
2中25%アセトニトリル:メタノール:ジメチルアミン(80:20:0.1))を用いた分取キラルSFCによって、エナンチオピュアな表題化合物に分解することができる。初期溶出異性体は、p300の切断形態を有する構造的に関連した阻害剤のX線共結晶構造を得ることにより、明確に(S)-4-(1-アミノプロパン-2-イル)ベンゾニトリルとして割り当てた。
方法7
【化35】
エチル2-((2-(4-シアノフェニル)プロピル)アミノ)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アセテート
【0142】
方法7、ステップ1。2-((2-(4-シアノフェニル)プロピル)アミノ)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)酢酸:
【0143】
DCM(75ml)中の4-(1-アミノプロパン-2-イル)ベンゾニトリル塩酸塩(5g、30.86mmol)の撹拌溶液に、TEA(3.12g、30.86mmol)、2-オキソ酢酸(2.28g、30.86mmol)、及び(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ボロン酸(3.80g、30.86mmol)を室温で加えた。反応混合物を同じ温度で15分間撹拌した。その後、HFIP(13.48g、80.24mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応物を濃縮し、残渣をDCM:ペンタン(3:7;150ml)と共に30分間撹拌した。沈殿した固体をブフナー漏斗で濾過し、n-ペンタンで洗浄して表題化合物(5.5g、59%)を得た。LCMS:m/z=299[M+1].
【0144】
方法18、ステップ2。エチル2-((2-(4-シアノフェニル)プロピル)アミノ)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アセテート:
【0145】
DMF(100ml)中の2-((2-(4-シアノフェニル)プロピル)アミノ)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)酢酸(5g、16.77mmol)の混合物を80℃で加熱し、反応混合物が透明な溶液になるまで続けた。K2CO3(5.79g、41.94mmol)及びヨウ化エチル(2.61g、16.77mmol)を同じ温度で加え、混合物を30分間撹拌した。次いで、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応物を氷冷水(200ml)でクエンチし、酢酸エチル(2×75ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(2.5g、45%)を濃厚な液体として得た。LCMS:m/z=327.7[M+1].
スキーム1
【0146】
スキーム1を用いて調製した実施例の合成に必要な出発物質は、市販されているものか、または方法1~7を用いて調製したものである。
実施例1
【化36】
(R)-及び(S)-2-((4-シアノフェネチル)アミノ)-N-(5-((1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-2-フェニルアセトアミド
【0147】
スキーム1、ステップ1。エチル2-((4-シアノフェネチル)アミノ)-2-フェニルアセテート:DMF(20ml)中のエチル2-ブロモ-2-フェニルアセテート(2.0g、8.22mmol)、4-(2-アミノエチル)ベンゾニトリル塩酸塩(2.25g、12.33mmol)、及びTEA(2.50g、24.66mmol)の混合物を60℃で3時間加熱した。反応混合物を氷冷水(50ml)に注ぎ、酢酸エチル(2×50ml)で抽出した。合わせた有機層(25ml)をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(2.2g、86%)を濃厚な液体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 1.10(t,J=7.2Hz,3H),2.62-2.82(m,4H),4.02-4.09(m,2H),4.39(d,J=8.4Hz,1H),7.28-7.35(m,5H),7.40(d,J=8.4Hz,2H),7.72(d,J=8.4Hz,2H).LCMS:m/z=309.28[M+1].
【0148】
スキーム1、ステップ2、手順2。(R)-及び(S)-2-((4-シアノフェネチル)アミノ)-N-(5-((1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-2-フェニルアセトアミド:乾燥トルエン(2ml)中の5-((1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-アミン(0.10g、0.48mmol)、2-((4-シアノフェネチル)アミノ)-2-フェニル酢酸エチル(0.14g、0.48mmol)の撹拌溶液に、トリメチルアルミニウム(0.5ml、トルエン中2M、0.96mmol)を0℃で加えた。反応混合物を100℃で2時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を氷冷水(25ml)に注ぎ、酢酸エチル(2×50ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(25ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(0.10g、45%)をラセミ混合物として得た。
【0149】
ラセミ型の表題化合物をキラルHPLC(CHIRALCEL OJ-H;液体CO2中25% MeOH+0.1% DEA)によって分解して、エナンチオピュアな化合物を得た。溶出が速い方の表題化合物のエナンチオマーを固体として得た(異性体1)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 1.60-1.65(m,2H),1.89(bs,2H),2.12-2.17(m,5H),2.51(bs,2H),2.74-2.77(m,2H),2.85-2.86(m,2H),4.36(d,J=4.0Hz,1H),4.49(d,J=8.0Hz,1H),7.26-7.36(m,3H),7.42-7.45(m,5H),7.74(d,J=8.4Hz,2H),7.96(d,J=8.8Hz,1H),8.02(d,J=2.8Hz,1H),10.32(s,1H).LCMS:m/z=470.51[M+1].
【0150】
溶出が遅い方の表題化合物のエナンチオマーを固体として得た(異性体2)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 1.58-1.66(m,2H),1.89(bs,2H),2.12-2.17(m,5H),2.51(bs,2H),2.75(bs,2H),2.85-2.88(m,2H),4.34-4.38(m,1H),4.49(d,J=4.8Hz,1H),7.25-7.35(m,3H),7.42-7.45(m,5H),7.74(d,J=8.0Hz,2H),7.96(d,J=8.8Hz,1H),8.02(d,J=2.8Hz,1H),10.31(s,1H).LCMS:m/z=470.51[M+1].
実施例2
【化37】
【0151】
スキーム1、ステップ1。(R,S)-及び(S,S)-エチル2-((2-(4-シアノフェニル)プロピル)アミノ)-2-フェニルアセテート:
【0152】
DMF(50ml)中のエチル2-ブロモ-2-フェニルアセテート(9.11g、37.5mmol)、(S)-4-(1-アミノプロパン-2-イル)ベンゾニトリル(5.0g、31.2mmol)、及びTEA(13.1ml、93.7mmol)の混合物を60℃で3時間加熱した。反応混合物を氷冷水(150ml)に注ぎ、酢酸エチル(2×150ml)で抽出した。合わせた有機層(150ml)をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物の混合物(7.0g、70%)を濃厚な液体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):1.08(t,J=6.8Hz,3H),1.16(d,J=6.8Hz,3H),2.35-2.44(m,1H),2.49-2.66(m,1H),2.96(q,J=6.8Hz,1H),3.96-4.06(m,2H),4.32(s,1H),7.26-7.42(m,7H),7.74(t,J=7.6Hz,2H).LCMS:m/z=323.6[M+1].
【0153】
スキーム1、ステップ2、手順1。(R)-及び(S)-N-(5-((1-アセチルアゼチジン-3-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-2-(((S)-2-(4-シアノフェニル)プロピル)アミノ)-2-フェニルアセトアミド:
【0154】
DMF(20ml)中の1-(3-((6-アミノピリジン-3-イル)オキシ)アゼチジン-1-イル)エタン-1-オン(2.0g、9.65mmol)、エチル2-((2-(4-シアノフェニル)プロピル)アミノ)-2-フェニルアセテート(3.7g、11.58mmol)の撹拌溶液に、THF(24.2ml、24.12mmol)中1MのLiHMDSを0℃で加え、反応混合物を50℃で1時間撹拌した。反応完了後(TLCでモニタリング)、反応混合物を氷冷水(15ml)に注ぎ、酢酸エチル(2×25ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(15ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(3.0g、61%)を混合物として得た。
【0155】
表題化合物をキラルHPLC(CHIRALCEL OJ-H;液体CO2中15% MeOH+0.1% DEA)によって分解して、エナンチオピュアな化合物を得た。溶出が速い方の表題化合物のエナンチオマーを固体として得た(異性体1):1H NMR(400MHz,DMSO-d6):1.23(d,J=6.8Hz,3H),1.79(s,3H),2.64(d,J=6.8Hz,3H),3.00-3.04(m,1H),3.74-3.77(m,1H),4.07-4.10(m,1H),4.25-4.29(m,1H),4.44(s,1H),4.51-4.55(m,1H),5.05(s,1H),7.24-7.45(m,8H),7.75(d,J=8.0Hz,2H),7.96-8.00(m,2H),10.41(s,1H).LCMS:m/z=484.5[M+1].溶出が遅い方の表題化合物のエナンチオマーを固体として得た(異性体2):1H NMR(400MHz,DMSO-d6):1.23(d,J=8.0Hz,3H),1.79(s,3H),2.68(s,3H),3.02(d,J=6.0Hz,1H),3.75-3.77(m,1H),4.08-4.10(m,1H),4.25-4.29(m,1H),4.42(s,1H),4.51-4.55(m,1H),5.04(s,1H),7.24-7.46(m,8H),7.75(d,J=8Hz,2H),7.94-7.98(m,2H),10.22(s,1H).LCMS:m/z=484.47[M+1].
【0156】
以下の化合物を、適切な出発物質を使用し実施例1及び2に記載したものと同様の手順を用いて調製した。
【0157】
以下の化合物を、適切な出発物質を使用し、実施例1及び2に記載したものと同様の手順を用いて調製した。各化合物において分離した異性体は、溶出の順に列挙する。例えば、2つの異性体が存在する場合、異性体1は溶出が速い方の異性体であり、異性体2は溶出が遅い方の異性体である。4つの異性体が存在する場合、異性体1が溶出が最も速い異性体であり、次に異性体2、異性体3、異性体4と続く。加えて、2つ以上のキラルカラムが列挙されている場合、列挙の順にカラムを使用する。例えば、2つの立体中心を有する化合物の精製で2つのカラムが列挙されている場合、最初のカラムを使用して混合物を純粋な立体異性体1、純粋な立体異性体2、ならびに立体異性体3及び4の混合物に分解し、2番目のカラムを使用して立体異性体3及び4の混合物を分解したということである。場合によっては、1つのキラルカラムで4つの立体異性体全てを分解することもある。
【0158】
化合物の各異性体の立体化学表示(すなわち、RまたはS)は表中に示されていないが、両方の支持が意図されていることを明確にするために命名されている。キラル炭素原子はアスタリスク(*)で示される。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
実施例26
【化38】
(R,S)-及び(S,S)-N-(5-(アゼチジン-3-イルオキシ)ピリジン-2-イル)-2-(((S)-2-(4-シアノフェニル)プロピル)アミノ)-2-フェニルアセトアミド
【0159】
ステップ1。(R,S)-及び(S,S)-N-(5-(アゼチジン-3-イルオキシ)ピリジン-2-イル)-2-(((S)-2-(4-シアノフェニル)プロピル)アミノ)-2-フェニルアセトアミド:DCM(15ml)中のtert-ブチル3-((6-(2-((2-(4-シアノフェニル)プロピル)アミノ)-2-フェニルアセトアミド)ピリジン-3-イル)オキシ)アゼチジン-1-カルボキシレート(0.50g、0.92mmol)の撹拌溶液に、TFA(2.5ml)を0℃で滴下した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(15ml)に注ぎ、DCM(2×30ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をペンタン(50ml)で粉砕し、得られた固体を逆相クロマトグラフィーによって精製してラセミ型の表題化合物(0.275g、68%)を得た。
【0160】
ラセミ型の表題化合物をキラルHPLC(CHIRALCEL AD-H;液体CO
2中30%(50:50のMeOH:ACN)+0.1% DEA)によって分解して、エナンチオピュアな化合物を得た。溶出が速い方の表題化合物のエナンチオマーを固体として得た(異性体1):
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 1.19(d,J=6.4Hz,3H),2.65(d,J=8.8Hz,2H),3.00-3.02(m,1H),3.51(s,2H),3.79(bs,2H),4.39(s,1H),4.99(d,J=5.6Hz,1H),7.25-7.45(m,8H),7.73(d,J=7.6Hz,2H),7.88-7.93(m,2H),10.15(s,1H).LCMS:m/z=442.46[M+1].溶出が遅い方の表題化合物のエナンチオマーを固体として得た(異性体2):
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 1.21(d,J=6.8Hz,3H),2.62(d,J=6.8Hz,2H),3.00-3.01(m,1H),3.66(s,2H),3.98(bs,2H),4.42(s,1H),5.01(s,1H),7.24-7.44(m,8H),7.74(d,J=8.0Hz,2H),7.91-7.96(m,2H),10.37(s,1H).LCMS:m/z=442.35[M+1].
実施例27
【化39】
(R,S)-及び(S,S)-2-(((S)-2-(4-シアノフェニル)プロピル)アミノ)-N-(5-((1-(2-ヒドロキシアセチル)アゼチジン-3-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-2-フェニルアセトアミド
【0161】
ステップ1。(R,S)-及び(S,S)-2-(((S)-2-(4-シアノフェニル)プロピル)アミノ)-N-(5-((1-(2-ヒドロキシアセチル)アゼチジン-3-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-2-フェニルアセトアミド:
【0162】
乾燥DMF(1.5ml)中のグリコール酸(0.058g、0.76mmol)の撹拌溶液に、HATU(0.35g、0.92mmol)を窒素雰囲気下で、室温で加えた。上記の反応混合物を室温で1時間撹拌した。1時間後、反応混合物に、DMF(1.5ml)中のN-(5-(アゼチジン-3-イルオキシ)ピリジン-2-イル)-2-((2-(4-シアノフェニル)プロピル)アミノ)-2-フェニルアセトアミド(0.3g、0.54mmol)のTFA塩、続いてDIPEA(0.21g、1.62mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応完了後(TLCでモニタリング)、反応混合物を氷水でクエンチし、EtOAc(2×10ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をDCM:MeOHでのコンビフラッシュクロマトグラフィー、続いて逆相HPLCによって精製して、ラセミ型の表題化合物(0.105g、39%)を得た。
【0163】
ラセミ型の表題化合物をキラルHPLC(CHIRALCEL OJ-H;液体CO2中20%(50:50のIPA:ACN)+0.1% DEA)によって分解して、エナンチオピュアな化合物を得た。溶出が速い方の表題化合物のエナンチオマーを固体として得た(異性体1):異性体-1:1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 1.22(d,J=6.8Hz,3H),2.69(s,3H),3.03(d,J=6.4Hz,1H),3.83(d,J=8.8Hz,1H),3.94(d,J=6.0Hz,2H),4.15(d,J=7.2Hz,1H),4.34(t,J=6.4Hz,1H),4.43(s,1H),4.62(t,J=6.4Hz,1H),5.03(t,J=6.0Hz,1H),5.09(s,1H),7.25-7.47(m,6H),7.76(d,J=8.0Hz,2H),7.97(d,J=10.8Hz,2H),10.22(s,1H).LCMS:m/z=500.5[M+1].異性体2:1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 1.23(d,J=6.4Hz,3H),2.65(s,3H),3.02(d,J=6.8Hz,1H),3.82(d,J=10.4Hz,1H),3.93(d,J=5.6Hz,2H),4.10-4.15(m,1H),4.33-4.43(m,2H),4.61(m,1H),5.00(t,J=6.4Hz,1H),5.08(s,1H),7.26-7.45(m,6H),7.75(d,J=7.6Hz,2H),7.98(d,J=13.2Hz,2H),10.39(s,1H).LCMS:m/z=500.8[M+1].
生化学アッセイ及び細胞アッセイ
【0164】
p300/CBP HAT阻害剤として本明細書に記載される化合物の活性は、シンチレーション近接アッセイ(SPA)方法論を用いて容易に定量することができる(Udenfriend,S.;Gerber,L.;Nelson,N.Scintillation Proximity Assay:A Sensitive and Continuous Isotopic Method for Monitoring Ligand/Receptor and Antigen/Antibody Interactions.Anal.Biochem.1987,161,494-500)。詳細には、以下の実施例の化合物は、p300酵素(p300 HAT)の切断形態によってヒストンペプチドのアセチル化阻害能力を示すことにより、参照アッセイで活性が認められた。約100μM以下のIC50を示す任意の化合物は、本明細書で定義されるp300/CBP-HAT阻害剤と考えられる。
【0165】
典型的な実験において、本明細書に記載の化合物のp300 HAT阻害活性を以下の実験法に従って定量した。
【0166】
大腸菌細胞からN末端Hisタグを用いてP300 HATドメイン(残基1287~1666)を発現させ精製した。発現したタンパク質をNi2+アフィニティー、次いでアニオン交換クロマトグラフィーによって精製した。適切な画分をプールし、緩衝液を20mM Hepes pH7.5、150mM NaCl、及び1mM TCEPに交換した。
【0167】
DMSOに溶解した目的化合物を、Echo 550(Labcyte)を用いてGreiner黒色384ウェルプレートに10ポイントの重複用量応答でスタンプした。社内で精製したp300-HATドメイン(aa1287-1666)を、4.14μM AcCoA(Sigma-Aldrich)及び0.46μM 3H-AcCoA(PerkinElmer)と合わせた反応緩衝液(50mM Tris pH8.0、100mM NaCl、1mM DTT、0.069mM Brij-35、0.1mM EDTA、0.1mg/mL BSA)中で6nMに希釈し、各ウェルに12.5μLを加え、室温で30分間インキュベートした。12.5μLの2μMビオチン化H3(1-21)ペプチド(New England Peptide)を用いて反応を開始し、室温で1時間行い、次いで20μLの停止溶液(200mM Tris pH8.0、200mM EDTA、2M NaCl、160μMアナカルジン酸)でクエンチした。Bravoリキッドハンドラー(Velocity 11)を用いて反応体積の35μLを384ウェルストレプトアビジンFlashPlate(PerkinElmer)に移し、室温で1.5時間インキュベートした。プレートを吸引し、95μL洗浄緩衝液(15mM Tris pH8.5、0.069μM Brij-35)で洗浄し、吸引し、密封し、Topcount(PerkinElmer)でシンチレーションカウントを読み取った。データをGenedataで分析して、阻害剤IC50値を定量した。
【0168】
全長p300 SPAアッセイをp300 HAT SPAアッセイと同じプロトコルに従って実施し、ただし精製p300-HATドメインの代わりに6nM精製全長p300(Active Motifから購入)を使用した。
【0169】
選択化合物は、H3K18Ac MSD細胞アッセイでも評価した。このアッセイは、化合物のH3K18におけるクロマチンのアセチル化(p300及びCBPによって触媒されるプロセス)を阻害する能力を測定する。典型的な実験において、本明細書に記載の化合物の細胞内におけるp300 HAT阻害活性を以下の実験法に従って定量した。ウェル当たり20kのHCT-116細胞を、処置の前夜に75μL RPMI+10% FBS培地で平板培養する。DMSO中で4×最終濃度で平板培養した化合物を30μL RPMI+10% FBSに再懸濁させ、次いで25μLを、細胞を含む対応ウェルと合わせる。処置した細胞を37℃で2時間インキュベートし、次いで500μL最終体積で溶解し、-80℃で凍結させる。MSDプレート(Meso Scale Discovery)をPBS中60μLの1:500α-全ヒストン抗体(Millipore MAB3422)で、4℃で一晩コーティングする。次いで、TBST中5% BSAを用いて、プレートを室温で1時間振とうしてブロックし、洗浄し、30μLのライセートを各ウェルに加え、室温で2時間振とうする。プレートを洗浄し、PBS中25μLの1:216 α-H3K18ac抗体(CST 9675)を加え、次いで室温で1時間振とうしながらインキュベートする。プレートを再び洗浄し、次いで、PBS中25μLの1:1000スルホタグヤギα-ウサギ抗体(Meso Scale Discovery R32Ab-1)を室温で1時間振とうしながら加える。プレートをもう1回洗浄し、次いで150μLの1×読取り緩衝液(MSD #R92TD-3)を全てのウェルに加え、従来の読取りセットアップを用いてMSD SECTOR Imager 2400上で読み取る。
【0170】
以下の実施例の化合物は、前述のアッセイでp300酵素のHATドメインを約100μM未満のIC50で阻害する活性を有した。本明細書に記載の化合物の多くが、上記アッセイでp300酵素のHATドメインを約10μM未満、好ましくは約0.1μM以下のIC50で阻害する活性を有した。次の実施例で追加のデータを示す。このような結果は、p300酵素のヒストンアセチルトランスフェラーゼドメインの阻害剤として使用される化合物の内在的活性を示すものである。概して、当業者であれば、ある物質が約1μM以下、好ましくは約0.1μM以下のIC50を有する場合、その物質はp300 HAT活性を有効に阻害するとみなされるものと理解するであろう。また、本開示は、他のヒストンアセチルトランスフェラーゼ酵素(例えば、CBP-HAT)の阻害剤としての活性を有する化合物も含む。p300 HATのIC50は、試験化合物がp300酵素の作用を阻害する能力の尺度である。
【0171】
P300 HAT SPAアッセイから推定した本明細書に記載の化合物のP300阻害活性を表2に示す。全ての活性は、少なくとも2回の反復滴定の平均である。
【表7-1】
【表7-2】
【0172】
複数の実施形態について説明してきたが、本発明の基本的な実施例は、本発明の化合物及び方法を利用する他の実施形態を提供するために変更することができることは明らかである。そのため、本発明の範囲は、例として示された特定の実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されるべきであることが理解されよう。
【0173】
本出願全体で引用される全ての参考文献(参考文献、発行された特許、公開された特許出願、及び同時係属特許出願を含む)の内容は、その全体が参照により本明細書に明示的に援用される。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者に一般的に知られている意味と一致する。
【国際調査報告】