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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-18
(54)【発明の名称】カラー・赤外線画像センサ
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20220411BHJP
   H01L 27/144 20060101ALI20220411BHJP
   H04N 5/33 20060101ALI20220411BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20220411BHJP
   H04N 5/374 20110101ALI20220411BHJP
   H04N 9/07 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
H01L27/146 E
H01L27/146 A
H01L27/144 K
H01L27/146 D
H04N5/33
H04N5/369
H04N5/374
H04N9/07 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021551977
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(85)【翻訳文提出日】2021-10-27
(86)【国際出願番号】 FR2020050338
(87)【国際公開番号】W WO2020178498
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】1902158
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513257535
【氏名又は名称】イソルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】デュポイロン,カミーユ
(72)【発明者】
【氏名】ブティノン,ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
5C065
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA07
4M118BA14
4M118CA03
4M118CA05
4M118CA14
4M118CA20
4M118CA22
4M118CA40
4M118CB14
4M118CB20
4M118FA06
4M118FB24
4M118GA10
4M118GC08
4M118GC20
4M118GD04
4M118GD09
4M118GD10
4M118GD20
5C024AX01
5C024AX06
5C024CX41
5C024EX43
5C024EX52
5C024GX03
5C024GX16
5C024GY39
5C024GY41
5C065AA01
5C065BB30
5C065CC01
5C065DD15
5C065DD17
5C065EE05
5C065EE11
(57)【要約】
【解決手段】本開示は、シリコンの基板(10)と、基板内及び基板上に形成されているMOS トランジスタ(16)と、基板内に少なくとも部分的に形成されている第1のフォトダイオード(4) と、基板を覆っている別個の感光性ブロック(26)と、基板を覆っているカラーフィルタ(34)とを備えているカラー・赤外線画像センサに関する。カラー・赤外線画像センサは、各感光性ブロックの両側に設けられて各感光性ブロックに第2のフォトダイオード(2) を画定している第1の電極(22)及び第2の電極(28)を更に備えている。第1のフォトダイオードは、可視スペクトルの電磁波を吸収するように構成されており、各感光性ブロックは、可視スペクトルの電磁波及び赤外スペクトルの第1の部分の電磁波を吸収するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンの基板(10)と、前記基板内及び前記基板上に形成されているMOS トランジスタ(16)と、前記基板内に少なくとも部分的に形成されている第1のフォトダイオード(4) と、前記基板を覆っている別個の感光性ブロック(26)と、前記基板を覆っているカラーフィルタ(34)と、各感光性ブロックの両側に設けられて各感光性ブロックに第2のフォトダイオード(2) を画定している第1の電極(22)及び第2の電極(28)とを備えており、
前記第1のフォトダイオードは、可視スペクトルの電磁波を吸収するように構成されており、各感光性ブロックは、前記可視スペクトルの電磁波及び赤外スペクトルの第1の部分の電磁波を吸収するように構成されており、
前記感光性ブロック(26)は有機材料で形成されている、カラー・赤外線画像センサ(1) 。
【請求項2】
赤外線フィルタ(42)を更に備えており、
前記カラーフィルタ(34)は、前記基板(10)と前記赤外線フィルタとの間に配置されており、
前記赤外線フィルタは、前記可視スペクトルの電磁波を通して、前記赤外スペクトルの第1の部分の電磁波を通し、前記可視スペクトルと前記赤外スペクトルの第1の部分との間の前記赤外スペクトルの少なくとも第2の部分の電磁波を遮断するように構成されている、請求項1に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項3】
前記感光性ブロック(26)及び前記カラーフィルタ(34)は、前記基板(10)から同一の距離に設けられている、請求項1又は2に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項4】
前記感光性ブロック(26)は、前記カラーフィルタ(34)より前記基板(10)に近い、請求項1又は2に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項5】
各感光性ブロック(26)は、有機材料で形成された可視光線フィルタ(36)で覆われている、請求項4に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項6】
前記基板(10)と前記赤外線フィルタ(42)との間に配置されているレンズ(38)のアレイを備えている、請求項1~5のいずれか1つに記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項7】
取得するカラー画像の画素毎に、前記第1のフォトダイオード(4) の1つ及び前記カラーフィルタ(34)の1つを夫々有している少なくとも第1、第2及び第3のサブ画素(RGB-SPix)と、前記第2のフォトダイオード(2) の1つを有する第4のサブ画素(IR-Pix)とを備えており、
前記第1、第2及び第3のサブ画素のカラーフィルタは、前記可視スペクトルの異なる周波数範囲の電磁波を通す、請求項1~6のいずれか1つに記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項8】
前記第1、第2及び第3のサブ画素(RGB-SPix)毎に、前記第1のフォトダイオード(4) に連結された第1の読み出し回路(6_R, 6_G, 6_B) を備えており、
前記第4のサブ画素(IR-Pix)に関して、前記第2のフォトダイオード(2) に連結された第2の読み出し回路(6_IR)を備えている、請求項7に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項9】
取得するカラー画像の画素毎に、前記第1の読み出し回路(6_R, 6_G, 6_B) は、前記第1のフォトダイオード(4) で発生した第1の電荷を第1の導電性トラック(68)に移すように構成されており、前記第2の読み出し回路(6_IR)は、前記第2のフォトダイオード(2) で発生した第2の電荷を前記第1の導電性トラック(68)又は第2の導電性トラックに移すように構成されている、請求項8に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項10】
前記第1のフォトダイオード(4) は行及び列に配置されており、
前記第1の読み出し回路(6_R, 6_G, 6_B) は、前記カラー・赤外線画像センサの全ての第1のフォトダイオードに関して同時的な第1の時間間隔で、又は1行の第1のフォトダイオードから他の行の第1のフォトダイオードに経時的にシフトして、又は取得するカラー画像の画素毎に前記第1、第2及び第3のサブ画素(RGB-SPix)に関して経時的にシフトして前記第1の電荷の発生を制御するように構成されている、請求項9に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項11】
前記第2のフォトダイオード(2) は行及び列に配置されており、
前記第2の読み出し回路(6_IR)は、前記カラー・赤外線画像センサの全ての第2のフォトダイオード(2) に関して同時的な第2の時間間隔で前記第2の電荷の発生を制御するように構成されている、請求項9又は10に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像センサ又は電子式撮像デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
画像センサは、多くの分野に、特に小型化のために電子デバイスに使用されている。画像センサは、マンマシンインタフェース又は画像取込の用途で設けられている。
【0003】
ある用途では、カラー画像及び赤外線画像を同時的に取得することができる画像センサを設けることが望ましい。このような画像センサは、以下の記載ではカラー・赤外線画像センサと称される。カラー・赤外線画像センサの適用例として、構造化された赤外パターンが投影される対象の赤外線画像の取得がある。このような画像センサを使用する分野は特に、自動車、ドローン、スマートフォン、ロボット及び拡張現実システムである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画素が入射放射光の作用下で電荷を収集する段階は、画素の統合段階と称される。統合段階の後に一般的に、画素によって収集された電荷の量を測定する読み出し段階が続く。
【0005】
カラー・赤外線画像センサの構成のために、複数の制約を考慮する必要がある。第一に、カラー画像の解像度は、従来のカラー画像センサで得られる解像度より低くすべきである。
【0006】
第二に、ある用途では、画像センサがグローバルシャッタタイプであることが望ましい場合があり、すなわち、画素の統合段階の開始及び終了が同時的である画像取得法を実行することが望ましい場合がある。これは特に、構造化された赤外パターンが投影される対象の赤外線画像の取得に当てはまる場合がある。
【0007】
第三に、画像センサの画素の大きさが可能な限り小さいことが望ましい。第四に、入射放射光の取り込みに能動的に関与する画素の領域の平面視での表面積対画素の平面視での全表面積の比に相当する各画素の充填率が可能な限り大きいことが望ましい。
【0008】
前述した全ての制約を満たすカラー・赤外線画像センサを設計することが困難な場合がある。
【0009】
実施形態は、前述したカラー・赤外線画像センサの不利点の全て又は一部を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態によれば、カラー・赤外線画像センサによって取得するカラー画像の解像度は2,560 ppi より高く、好ましくは8,530 ppi より高い。
【0011】
実施形態によれば、赤外線画像を取得する方法はグローバルシャッタタイプである。
【0012】
実施形態によれば、カラー・赤外線画像センサの画素の大きさは10μm未満であり、好ましくは3μm未満である。
【0013】
実施形態によれば、カラー・赤外線画像センサの各画素の充填率は50%より高く、好ましくは80%より高い。
【0014】
実施形態は、シリコンの基板と、前記基板内及び前記基板上に形成されているMOS トランジスタと、前記基板内に少なくとも部分的に形成されている第1のフォトダイオードと、前記基板を覆っている別個の感光性ブロックと、前記基板を覆っているカラーフィルタと、各感光性ブロックの両側に設けられて各感光性ブロックに第2のフォトダイオードを画定している第1の電極及び第2の電極とを備えており、前記第1のフォトダイオードは、可視スペクトルの電磁波を吸収するように構成されており、各感光性ブロックは、前記可視スペクトルの電磁波及び赤外スペクトルの第1の部分の電磁波を吸収するように構成されている、カラー・赤外線画像センサを提供する。
【0015】
実施形態によれば、前記カラー・赤外線画像センサは赤外線フィルタを更に備えており、前記カラーフィルタは、前記基板と前記赤外線フィルタとの間に配置されており、前記赤外線フィルタは、前記可視スペクトルの電磁波を通して、前記赤外スペクトルの第1の部分の電磁波を通し、前記可視スペクトルと前記赤外スペクトルの第1の部分との間の前記赤外スペクトルの少なくとも第2の部分の電磁波を遮断するように構成されている。
【0016】
実施形態によれば、前記感光性ブロック及び前記カラーフィルタは、前記基板から同一の距離に設けられている。
【0017】
実施形態によれば、前記感光性ブロックは、前記カラーフィルタより前記基板に近い。
【0018】
実施形態によれば、各感光性ブロックは、有機材料で形成された可視光線フィルタで覆われている。
【0019】
実施形態によれば、前記カラー・赤外線画像センサは、前記基板と前記赤外線フィルタとの間に配置されているレンズのアレイを備えている。
【0020】
実施形態によれば、前記カラー・赤外線画像センサは、取得するカラー画像の画素毎に、前記第1のフォトダイオードの1つ及び前記カラーフィルタの1つを夫々有している少なくとも第1、第2及び第3のサブ画素と、前記第2のフォトダイオードの1つを有する第4のサブ画素とを備えており、前記第1、第2及び第3のサブ画素のカラーフィルタは、前記可視スペクトルの異なる周波数範囲の電磁波を通す。
【0021】
実施形態によれば、前記カラー・赤外線画像センサは、前記第1、第2及び第3のサブ画素毎に、前記第1のフォトダイオードに連結された第1の読み出し回路を備えており、前記第4のサブ画素に関して、前記第2のフォトダイオードに連結された第2の読み出し回路を備えている。
【0022】
実施形態によれば、取得するカラー画像の画素毎に、前記第1の読み出し回路は、前記第1のフォトダイオードで発生した第1の電荷を第1の導電性トラックに移すように構成されており、前記第2の読み出し回路は、前記第2のフォトダイオードで発生した第2の電荷を前記第1の導電性トラック又は第2の導電性トラックに移すように構成されている。
【0023】
実施形態によれば、前記第1のフォトダイオードは行及び列に配置されており、前記第1の読み出し回路は、前記カラー・赤外線画像センサの全ての第1のフォトダイオードに関して同時的な第1の時間間隔で、又は1行の第1のフォトダイオードから他の行の第1のフォトダイオードに経時的にシフトして、又は取得するカラー画像の画素毎に前記第1、第2及び第3のサブ画素に関して経時的にシフトして前記第1の電荷の発生を制御するように構成されている。
【0024】
実施形態によれば、前記第2のフォトダイオードは行及び列に配置されており、前記第2の読み出し回路は、前記カラー・赤外線画像センサの全ての第2のフォトダイオードに関して同時的な第2の時間間隔で前記第2の電荷の発生を制御するように構成されている。
【0025】
実施形態によれば、前記感光層は有機材料で形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
前述及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を限定するものではない実例として与えられる以下の特定の実施形態に詳細に記載されている。
【0027】
図1】カラー・赤外線画像センサの実施形態を示す部分的な分解斜視略図である。
図2図1の画像センサの部分的な断面略図である。
図3】カラー・赤外線画像センサの別の実施形態を示す部分的な分解斜視略図である。
図4図3の画像センサの部分的な断面略図である。
図5図1の画像センサのサブ画素の読み出し回路の実施形態を示す電気回路図である。
図6図5の読み出し回路を備えた画像センサの動作方法の実施形態の信号のタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
同様の特徴が、様々な図面で同様の参照符号によって示されている。特に、様々な実施形態に共通する構造的特徴及び/又は機能的特徴は同一の参照符号を有してもよく、同一の構造特性、寸法特性及び材料特性を有してもよい。明瞭化のために、記載された実施形態の理解に有用なステップ及び要素のみが示され詳述されている。特に、以下に記載される画像センサの用途については詳述されていない。
【0029】
以下の開示では、特に示されていない場合、「前」、「後ろ」、「最上部」、「底部」、「左」、「右」などの絶対位置、若しくは「上方」、「下方」、「高」、「低」などの相対位置を限定する文言、又は「水平」、「垂直」などの向きを限定する文言を参照するとき、この文言は図面の向き、又は通常の使用中の画像センサの向きを指す。特に指定されていない場合、「約」、「略」、「実質的に」及び「程度」という表現は、該当する値の10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内を表す。
【0030】
特に示されていない場合、共に接続された2つの要素を参照するとき、これは、導体以外のいかなる中間要素も無しの直接接続を表し、共に連結された2つの要素を参照するとき、これは、これら2つの要素が接続され得るか、又は一若しくは複数の他の要素を介して連結され得ることを表す。更に、第1の一定の状態、例えば「0」と示される低状態と、第2の一定の状態、例えば「1」と示される高状態との間で交互に生じる信号は「二値信号」と称される。同一の電子回路の異なる二値信号の高状態及び低状態は異なってもよい。特に、二値信号は、高状態又は低状態で完全には一定でなくてもよい電圧又は電流に対応してもよい。更に本明細書では、「絶縁」及び「導電」という用語は「電気絶縁」及び「電気導電」を夫々意味するとみなされる。
【0031】
層の透過率は、層から出る放射光の強度対層に入る放射光の強度の比に相当する。以下の記載では、層又は膜を通る放射光の透過率が10%未満であるとき、その層又は膜は放射光を通さないとする。以下の記載では、層又は膜を通る放射光の透過率が10%を超えるとき、その層又は膜は放射光を通すとする。以下の記載では、材料の屈折率は、画像センサによって取り込まれる放射光の波長領域に関する材料の屈折率に相当する。特に指定されていない場合、屈折率は、有用な放射光の波長領域に亘って実質的に一定とみなされ、例えば、画像センサによって取り込まれる放射光の波長範囲に亘る屈折率の平均と等しいとみなされる。
【0032】
以下の記載では、「可視光線」は、400 nm~700 nmの範囲内の波長を有する電磁放射線を示し、「赤外線」は、700 nm~1mmの範囲内の波長を有する電磁放射線を示す。赤外線では、700 nm~1.4 μmの範囲内の波長を有する近赤外線を特に識別することができる。
【0033】
画像の画素は、画像センサによって取り込まれる画像の単位素子に相当する。光電子デバイスがカラー画像センサである場合、光電子デバイスは一般に、取得するカラー画像の画素毎に少なくとも3つの要素を備えており、これらの要素は実質的に単一色、つまり100 nm未満の波長領域(例えば赤色、緑色及び青色)で放射光を夫々取得する。各要素は、特に少なくとも1つの光検出器を有してもよい。
【0034】
図1は、カラー・赤外線画像センサ1 の実施形態の部分的な分解斜視略図であり、図2は、カラー・赤外線画像センサ1 の実施形態の部分的な断面略図である。画像センサ1 は、赤外線画像を取り込むことができる光検出器とも称される第1の光子センサ2 のアレイと、カラー画像を取り込むことができる第2の光検出器4 のアレイとを備えている。光検出器2, 4のアレイは、光検出器2, 4によって取り込まれた信号を測定する読み出し回路6 のアレイに関連付けられている。読み出し回路は、対応する光検出器2, 4によって画定された画素又はサブ画素を読み出してアドレス指定し、制御するためのトランジスタの集合体を意味する。
【0035】
取得するカラー画像及び赤外線画像の画素毎に、画像の可視光線の限られた部分で放射光を取得することができるカラー光検出器4 を備えた画像センサ1 の部分を画像センサ1 のカラーサブ画素RGB-SPixと称し、赤外線画像の画素の赤外線を取得することができる赤外光検出器2 を備えた画像センサ1 の部分を赤外画素IR-Pixと称する。
【0036】
図1及び図2は、カラー画像及び赤外線画像の画素に関連付けられた3つのカラーサブ画素RGB-SPix及び1つの赤外画素IR-Pixを示す。本実施形態では、赤外画素IR-Pixが、取得したカラー画像の画素の別のサブ画素とみなされてもよいように、取得したカラー画像及び赤外線画像は同一の解像度を有する。明瞭化のために、図2に示されている画像センサのある要素のみが図1に示されている。画像センサ1 は、図2の下から上に、
好ましくは平坦な上面12を有する半導体基板10、
カラーサブ画素RGB-SPix毎に設けられて基板10内に形成され、カラーフォトダイオード4 の一部を形成する少なくとも1つのドープされた半導体領域14、
基板10内及び/又は表面12に配置された読み出し回路6 の電子部品16(1つの電子部品16が図2に示されている)、
表面12を覆っている絶縁層の積層体18(導電性トラック20が積層体18上と積層体18の絶縁層間とに配置されている)、
赤外画素IR-Pix毎に設けられて積層体18に載置され、導電ビア24によって基板10、電子部品16の1つ又は導電性トラック20の1つに連結されている電極22、
赤外画素IR-Pix毎に設けられて、電極22を覆って、場合によっては電極22の周りで積層体18を覆っているアクティブ層26であって、平面視で赤外画素IR-Pixの表面に亘ってのみ延びており、カラーサブ画素RGB-Pixの表面に亘って延びていないアクティブ層26、
全てのカラーサブ画素RGB-SPixに関して積層体18を覆っている絶縁層27、
赤外画素IR-Pix毎に設けられてアクティブ層26を覆って、場合によっては絶縁層27を覆い、導電ビア30によって基板10、電子部品16の1つ又は導電性トラック20の1つに連結されている電極28、
電極28を覆っている絶縁層32、
カラーサブ画素RGB-SPix毎に設けられて絶縁層32を覆っているカラーフィルタ34、及び赤外画素IR-Pixに関して設けられて絶縁層32を覆い赤外線を通すブロック36、
カラーサブ画素RGB-Spix毎に及び赤外画素IR-Pixに関して設けられて、カラーフィルタ34又は透明なブロック36を覆っているマイクロレンズ38、
マイクロレンズ38を覆っている絶縁層40、並びに
絶縁層40を覆っているフィルタ42
を備えている。
【0037】
カラーサブ画素RGB-SPix及び赤外画素IR-Pixは行及び列に分散してもよい。本実施形態では、各カラーサブ画素RGB-Pix 及び各赤外画素IR-Pixは、表面12に垂直な方向に、辺の長さが0.1 μm~100 μmの範囲内であり、例えば略3μmである正方形又は矩形の基部を有している。しかしながら、各サブ画素SPixは、異なる形状、例えば六角形の基部を有してもよい。
【0038】
本実施形態では、アクティブ層26は、画像センサ1 の赤外画素IR-Pixのレベルにのみ設けられている。各赤外光検出器2 のアクティブ領域は、有用な入射赤外線の大部分が吸収されて赤外光検出器2 によって電気信号に変換される領域に相当し、下部電極22と上部電極28との間にあるアクティブ層26の部分に実質的に相当する。
【0039】
実施形態によれば、アクティブ層26は、400 nm~1,100 nmの波長領域の電磁放射線を取り込むことができる。赤外光検出器2 は有機材料で形成されてもよい。光検出器は、有機フォトダイオード(OPD) 又は有機フォトレジスタに相当してもよい。以下の記載では、光検出器2 がフォトダイオードに相当するとみなされる。
【0040】
フィルタ42は、可視光線を通すことができ、赤外線画像を取得するために着目する赤外波長領域に亘る赤外線の一部を通すことができ、入射放射光の残りの部分、特に着目する赤外波長領域を除いた赤外線の残り部分を遮断することができる。実施形態によれば、着目する赤外波長領域は、赤外線の予測される波長、例えば940 nmの波長又は850 nmの波長を中心とする50nmの範囲に相当してもよい。フィルタ42は干渉フィルタであってもよく、並びに/又は吸収層及び/若しくは反射層を有してもよい。
【0041】
カラーフィルタ34は着色樹脂のブロックに相当してもよい。各カラーフィルタ34は、可視光線の波長領域を通すことができる。取得するカラー画像の画素毎に、画像センサは、例えば430 nm~490 nmの波長領域の青色の光のみを通すことができるカラーフィルタ34を有するカラーサブ画素RGB-SPix、例えば510 nm~570 nmの波長領域の緑色の光のみを通すことができるカラーフィルタ34を有するカラーサブ画素RGB-SPix、及び例えば600 nm~720 nmの波長領域の赤色の光のみを通すことができるカラーフィルタ34を有するカラーサブ画素RGB-SPixを備えてもよい。透明なブロック36は、赤外線を通して可視光線を通すことができる。透明なブロック36は透明な樹脂ブロックに相当してもよい。変形例として、透明なブロック36は赤外線を通すことができ、可視光線を遮断することができる。透明なブロック36は、例えばアクティブ層26の構造と同様の構造を有し、目標とするスペクトルの放射光のみを吸収することができる黒色樹脂のブロック又はアクティブ層に相当してもよい。
【0042】
フィルタ42は近赤外線の有用な部分のみを通すので、アクティブ層26は、透明なブロック36が赤外線を通して可視光線を遮断することができる場合に有用な赤外線の部分のみを受ける。このため、吸収範囲が広くなる場合があり、特に可視光線を含んでもよいアクティブ層26の構成を容易にし得ることが有利である。透明なブロック36が赤外線及び可視光線を通すことができる場合、赤外フォトダイオード2 のアクティブ層26は赤外線及び可視光線の両方を取り込む。そのため、赤外フォトダイオード2 によって取り込まれる赤外線のみを表す信号の決定を、画素の赤外フォトダイオード2 及びカラーフォトダイオード4 によって送られる信号の線形結合によって行ってもよい。
【0043】
実施形態によれば、半導体基板10は、シリコン、好ましくは単結晶シリコンで形成されている。実施形態によれば、電子部品16はトランジスタ、特に金属酸化膜ゲート電界効果トランジスタ(MOS トランジスタとも称される)を有している。カラーフォトダイオード4 は、好ましくはシリコンで形成された無機フォトダイオードである。各カラーフォトダイオード4 は、表面12から基板10に延びている少なくともドープされたシリコン領域14を有している。実施形態によれば、基板10はドープされていない、又は第1の導電型、例えばP型で低濃度にドープされており、各シリコン領域14は、基板10の導電型と反対の導電型、例えばN型のドープされた領域である。表面12から測定される各シリコン領域14の深さは500 nm~6μmの範囲内であってもよい。カラーフォトダイオード4 はPIN フォトダイオードに相当してもよい。PIN フォトダイオードの例が米国特許第6677656 号明細書に特に記載されている。
【0044】
導電性トラック20、導電ビア24, 30及び電極22は、金属材料、例えば銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)又はクロム(Cr)で形成されてもよい。導電性トラック20、導電ビア24, 30及び電極22は単層構造又は多層構造を有してもよい。積層体18の各絶縁層は無機材料で形成されてもよく、例えば酸化シリコン(SiO2)又は窒化シリコン(SiN) で形成されてもよい。
【0045】
各電極28は、各電極が受ける放射光を少なくとも部分的に通す。各電極28は透明な導電性材料で形成されてもよく、例えば透明導電性酸化物、つまりTCO 、カーボンナノチューブ、グラフェン、導電性ポリマー、金属又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物若しくは合金で形成されてもよい。各電極28は単層構造又は多層構造を有してもよい。
【0046】
各電極28を形成することができるTCO の例として、酸化インジウムスズ(ITO) 、酸化アルミニウム亜鉛(AZO) 、酸化ガリウム亜鉛(GZO) 、窒化チタン(TiN) 、酸化モリブデン(MoO3)及び酸化タングステン(WO3) がある。各電極28を形成することができる導電性ポリマーの例として、ポリ(3,4)-エチレンジオキシチオフェン及びポリ(スチレンスルホン酸)ナトリウムの混合物であるPEDOT:PSS として周知のポリマーと、PAniとも称されるポリアニリンとがある。各電極28を形成することができる金属の例として、銀、アルミニウム、金、銅、ニッケル、チタン及びクロムがある。各電極28を形成することができる多層構造の例として、AZO/Ag/AZOタイプの多層のAZO 及び銀の構造がある。
【0047】
各電極28の厚さは10nm~5μmの範囲内であってもよく、例えば30nm程度であってもよい。電極28が金属製である場合、電極28の厚さは20nm以下であり、好ましくは10nm以下である。
【0048】
各絶縁層27, 32, 40は、フッ素化ポリマー、特にBellexによって商標名Cytop で商品化されているフッ素化ポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP) 、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)、パリレン、ポリイミド(PI)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS) 、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET) 、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN) 、シクロオレフィンポリマー(COP) 、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、フォトリソグラフィ樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物で形成されてもよい。変形例として、各絶縁層27, 32, 40は、無機誘電体材料、特に窒化シリコン、酸化シリコン又は酸化アルミニウム(Al2O3) で形成されてもよい。酸化アルミニウムは、原子層堆積法(ALD) によって堆積してもよい。各絶縁層27, 32, 40の最大の厚さは50nm~2μmの範囲内であってもよく、例えば100 nm程度であってもよい。
【0049】
各赤外画素IR-Pixのアクティブ層26は小分子、オリゴマー又はポリマーを含んでもよい。これらは有機材料又は無機材料、特に量子ドットであってもよい。アクティブ層26は、両極性半導体材料を含んでもよく、つまり、例えば積層の形態又はバルクヘテロ接合を形成すべくナノメートルスケールで均質な混合物の形態でN型半導体材料及びP型半導体材料の混合物を含んでもよい。アクティブ層26の厚さは、50nm~2μmの範囲内であってもよく、例えば200 nm程度であってもよい。
【0050】
アクティブ層26を形成することができるP型半導体ポリマーの例として、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ[N-9'-ヘプタデカニル-2,7-カルバゾール-alt-5,5-(4,7-di-2-チエニル-2',1',3'-ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT)、ポリ[(4,8-bis-(2-エチルヘキシルオキシ)-ベンゾ[1,2-b;4, 5-b']ジチオフェン)-2,6-ジイル-alt-(4-(2-エチルヘキサノイル)-チエノ[3,4-b]チオフェン)-2,6-ジイル](PBDTTT-C)、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチル-ヘキシロキシ)-1,4-フェニレン-ビニレン](MEH-PPV) 、又はポリ[2,6-(4,4-bis-(2-エチルヘキシル)-4H-シクロペンタ[2,1-b;3,4-b']ジチオフェン)-alt-4,7(2,1,3-ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT) がある。
【0051】
アクティブ層26を形成することができるN型半導体材料の例として、フラーレン、特にC60 、[6,6]-フェニル-C61- メチルブタノエート([60]PCBM)、[6,6]-フェニル-C71- メチルブタノエート([70]PCBM)、ペリレンジイミド、酸化亜鉛(ZnO )、又は量子ドットの形成を可能にするナノ結晶がある。
【0052】
各赤外画素IR-Pixのアクティブ層26は、図示されていない第1の界面層と第2の界面層との間に配置されてもよい。フォトダイオードの分極モードに応じて、界面層は、電極からアクティブ層26への電荷の収集、注入又は遮断を容易にする。各界面層の厚さは0.1 nm~1μmの範囲内であることが好ましい。第1の界面層によって、隣接する電極の仕事関数を、アクティブ層26に使用されるアクセプタ材料の電子親和力と合わせることが可能になる。第1の界面層は、炭酸セシウム(CSCO3) 、金属酸化物、特に酸化亜鉛(ZnO) 、又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物で形成されてもよい。第1の界面層は、自己組織化された単分子層又はポリマー、例えばポリエチレンイミン、エトキシ化ポリエチレンイミン、ポリ[(9,9-bis(3'-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル)-2,7-フルオレン)-alt-2,7-(9,9-ジオクチルフルオレン)]を含んでもよい。第2の界面層によって、他方の電極の仕事関数を、アクティブ層26に使用されるドナー材料のイオン化ポテンシャルと合わせることが可能になる。第2の界面層は、酸化銅(CuO) 、酸化ニッケル(NiO) 、酸化バナジウム(V2O5)、酸化マグネシウム(MgO) 、酸化タングステン(WO3) 、酸化モリブデン(MoO3)、PEDOT:PSS 又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物で形成されてもよい。
【0053】
マイクロレンズ38の大きさはマイクロメートルサイズである。本実施形態では、各カラーサブ画素RGB-SPix及び各赤外画素IR-Pixはマイクロレンズ38を有している。変形例として、各マイクロレンズ38は、別のタイプのマイクロメートルサイズの光学素子、特にマイクロメートルサイズのフレネルレンズ、マイクロメートルサイズの屈折率分布型レンズ又はマイクロメートルサイズの回折格子と置き換えられてもよい。マイクロレンズ38は、焦点距離fが夫々1μm~100 μmの範囲、好ましくは1μm~10μmの範囲である集光レンズである。実施形態によれば、全てのマイクロレンズ38は実質的に同一である。
【0054】
マイクロレンズ38は、シリカ、PMMA、ポジ型感光性樹脂、PET 、PEN 、COP 、PDMS/シリコーン又はエポキシ樹脂で形成されてもよい。マイクロレンズ38は、レジストブロックの変形により形成されてもよい。マイクロレンズ38は更に、PET 、PEN 、COP 、PDMS/シリコーン又はエポキシ樹脂の層上に成型により形成されてもよい。
【0055】
実施形態によれば、絶縁層40はマイクロレンズ38の形状に沿う層である。絶縁層40は、光学透明接着剤(OCA) 、特に液状光学透明接着剤(LOCA)、又は低屈折率の材料、又はエポキシ樹脂/アクリル系接着剤、又はガス若しくはガス状混合物、例えば空気の膜から形成されてもよい。絶縁層40がマイクロレンズ38の形状に沿う場合、絶縁層40は、マイクロレンズ38の材料の屈折率より低い低屈折率の材料で形成されていることが好ましい。絶縁層40は、非粘着性の透明な材料である充填材料で形成されてもよい。別の実施形態によれば、絶縁層40は、マイクロレンズ38のアレイに当接する膜、例えばOCA 膜に相当する。この場合、絶縁層40とマイクロレンズ38との接触領域は減少してもよく、例えばマイクロレンズの最上部に限定されてもよい。そのため、絶縁層40は、絶縁層40がマイクロレンズ38の形状に沿う場合より高い屈折率の材料で形成されてもよい。別の実施形態によれば、絶縁層40は、マイクロレンズ38のアレイに当接するOCA 膜に相当し、接着剤は、OCA 膜40がマイクロレンズの表面に完全に又は実質的に完全に沿うことができる特性を有する。
【0056】
対象とする材料に応じて、画像センサ1 の少なくともある層を形成する方法は、例えば、特にはソル-ゲル形態で所望の位置に有機層を形成する材料の直接印刷によるいわゆるアディティブ処理、例えばインクジェット印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン、フレキソ印刷、スプレーコーティング又はドロップキャストによるアディティブ処理に相当してもよい。対象とする材料に応じて、画像センサ1 の層を形成する方法は、いわゆるサブトラクティブ法に相当してもよく、この方法では、有機層を形成する材料を構造全体に堆積させ、その後、例えばフォトリソグラフィ又はレーザアブレーションによって未使用部分を除去する。スピンコーティング、スプレーコーティング、ヘリオグラフィ、スロットダイコーティング、ブレードコーティング、フレキソ印刷又はシルクスクリーンのような方法を特に使用してもよい。層が金属製であるとき、金属を、例えば支持体全体に蒸着法又はカソードスパッタリング法によって堆積させ、金属層をエッチングによって画定する。
【0057】
画像センサ1 の層の少なくとも一部を印刷技術によって形成してもよいことが有利である。前述した層の材料を、液体の形態で、例えばインクジェットプリンタにより導電性の半導体インクの形態で堆積させてもよい。ここで、「液体の形態の材料」は、印刷技術によって堆積可能なゲル材料を更に表す。アニール工程を異なる層の堆積間に行ってもよいが、アニール温度は150 ℃を超えないことが可能であり、堆積及び場合によってアニールを大気圧で行ってもよい。
【0058】
図1及び図2に示されている実施形態では、カラー画像及び赤外線画像の画素毎に、電極28は、全てのカラーサブ画素RGB-SPix及び赤外画素IR-Pixに亘って延びてもよく、導電ビア30は、サブ画素に対応しない領域、例えば画素の周縁部に設けられている。更に電極28は、同一行の全ての画素及び/又は画像センサの全ての画素に共通であってもよい。この場合、導電ビア30は画像センサ1 の周縁部に設けられてもよい。変形例によれば、電極28はアクティブ層26上にのみ延びてもよく、導電ビア30は赤外画素IR-Pixのレベルに設けられてもよい。
【0059】
図3及び図4は、図1及び図2と夫々同様の画像センサ50の別の実施形態を示す図である。画像センサ50は、絶縁層32がマイクロレンズ38とカラーフィルタ34との間に配置されている点、アクティブ層26が、設けられていないブロック36の位置、つまりカラーフィルタ34と同一のレベルに配置されている点、及び絶縁層27が設けられていない点を除いて、図1及び図2に示されている画像センサ1 の全ての要素を備えている。更に、電極28はアクティブ層26上にのみ延びており、導電ビア30は赤外画素IR-Pixのレベルに設けられている。この場合、赤外フォトダイオード2 のアクティブ層26は赤外線及び可視光線の両方を取り込む。そのため、赤外フォトダイオード2 によって取り込まれる赤外線のみを表す信号の決定を、画素の赤外フォトダイオード2 及びカラーフォトダイオード4 によって送られる信号の線形結合によって行ってもよい。
【0060】
図5は、取得するカラー画像の画素のカラーサブ画素RGB-SPixのカラーフォトダイオード4 に関連付けられた読み出し回路6_R, 6_G, 6_B 、及び赤外画素IR-Pixの赤外フォトダイオード2 に関連付けられた読み出し回路6_IRの実施形態の簡略化された電気回路図を示す。
【0061】
読み出し回路6_R, 6_G, 6_B, 6_IR は同様の構造を有している。以下の記載では、読み出し回路6_R の部品を示す参照符号に添え字「_R」が追加され、読み出し回路6_G の同一の部品を示す参照符号に添え字「_G」が追加され、読み出し回路6_B の同一の部品を示す参照符号に添え字「_B」が追加され、読み出し回路6_IRの同一の部品を示す参照符号に添え字「_IR 」が追加されている。
【0062】
各読み出し回路6_R, 6_G, 6_B, 6_IR は、第1の端子64_R, 64_G, 64_B, 64_IR と第2の端子66_R, 66_G, 66_B, 66_IR との間にMOS 選択トランジスタ62_R, 62_G, 62_B, 62_IR と直列にフォロワとして組み立てられたMOS トランジスタ60_R, 60_G, 60_B, 60_IR を有している。端子64_R, 64_G, 64_B, 64_IR は、読み出し回路を形成するトランジスタがNチャネルMOS トランジスタである場合、高基準電位VDD の電位源に連結されており、読み出し回路を形成するトランジスタがPチャネルMOS トランジスタである場合、低基準電位源、例えば接地に連結されている。端子66_R, 66_G, 66_B, 66_IR は導電性トラック68に連結されている。導電性トラック68は、同一列の全てのカラーサブ画素及び全ての赤外画素に連結されてもよく、読み出し回路6_R, 6_G, 6_B, 6_IR の一部を形成しない電流源69に連結されてもよい。トランジスタ62_R, 62_G, 62_B, 62_IR のゲートは、カラーサブ画素/赤外画素を選択するための信号SEL_R, SEL_G, SEL_B, SEL_IR を受信するように構成されている。トランジスタ60_R, 60_G, 60_B, 60_IR のゲートはノードFD_R, FD_G, FD_B, FD_IR に連結されている。ノードFD_R, FD_G, FD_B, FD_IR は、VDD であってもよいリセット電位Vrst_R, Vrst_G, Vrst_B, Vrst_IR が与えられる端子にリセットMOS トランジスタ70_R, 70_G, 70_B, 70_IR によって連結されている。リセットMOS トランジスタ70_R, 70_G, 70_B, 70_IR のゲートは、特にノードFDを実質的に電位Vrstにリセットすることを可能にする、カラーサブ画素/赤外画素のリセットを制御するための信号RST_R, RST_G, RST_B, RST_IR を受信するように構成されている。
【0063】
ノードFD_R, FD_G, FD_Bは、カラーサブ画素のカラーフォトダイオード4 のカソード電極に連結されている。カラーフォトダイオード4 のアノード電極は、低基準電位GND の電位源、例えば接地に連結されている。ノードFD_IR は、赤外フォトダイオード2 のカソード電極22に連結されている。赤外フォトダイオード2 のアノード電極28は基準電位V_IRの電位源に連結されている。ノードFD_R, FD_G, FD_B, FD_IR に連結された電極、及び低基準電位GND の電位源に連結された他方の電極を有する不図示のコンデンサが設けられてもよい。変形例として、このコンデンサの役割を、ノードFD_R, FD_G, FD_B, FD_IR に存在する浮遊容量によって果たしてもよい。
【0064】
同じ色に関連付けられたカラーサブ画素の行毎に、信号SEL_R, SEL_G, SEL_B, RST_R, RST_G, RST_Bを行内の全てのカラーサブ画素に送信してもよい。赤外画素の行毎に、信号SEL_IR, RST_IR及び電位V_IRを行内の全ての赤外画素に送信してもよい。信号Vrst_R, Vrst_G, Vrst_B, Vrst_IR は同一であってもよく又は異なってもよい。実施形態によれば、信号Vrst_R, Vrst_G, Vrst_Bは同一であり、信号Vrst_IR は信号Vrst_R, Vrst_G, Vrst_Bとは異なる。
【0065】
図6は、図5に示されている読み出し回路6_R, 6_G, 6_B, 6_IR の動作方法の実施形態中の二値信号RST_IR, SEL_IR, RST_R, SEL_R, RST_G, SEL_G, RST_B, SEL_B及び電位V_IRのタイミング図である。動作サイクルの連続的な時点をt0からt10 と称する。タイミング図は、読み出し回路6_R, 6_G, 6_B, 6_IR のMOS トランジスタがNチャネルトランジスタであることを考慮して作成されている。
【0066】
時点t0で、信号SEL_IR, SEL_R, SEL_G, SEL_B が低状態であるため、選択トランジスタ62_IR, 62_R, 62_G, 62_B は遮断される。動作サイクルは、赤外画素及び赤色に関連付けられたカラーサブ画素をリセットする段階を有する。このために、信号RST_IR, RST_R が高状態であるため、リセットトランジスタ70_IR, 70_R は導電性を有する。その後、赤外フォトダイオード2 に蓄積された電荷は電位Vrst_IR の電位源に放出され、赤色に関連付けられたカラーサブ画素のカラーフォトダイオード4 に蓄積された電荷は電位Vrst_Rの電位源に放出される。
【0067】
時点t1の直前に、電位V_IRが低レベルに設定される。新しい動作サイクルの開始を示す時点t1で、信号RST_IRが低状態に設定されるため、トランジスタ70_IR はオフになり、信号RST_R が低状態に設定されるため、トランジスタ70_Rはオフになる。その後、統合段階が開始され、統合段階中、赤外フォトダイオード2 では電荷が発生してフォトダイオード2 に収集され、赤色に関連付けられたカラーサブ画素のフォトダイオード4 では電荷が発生してフォトダイオード4 に収集される。時点t2で、信号RST_G が低状態に設定されるため、トランジスタ70_Gはオフになる。その後、統合段階が開始され、緑色に関連付けられたカラーサブ画素のフォトダイオード4 では、統合段階中、電荷が発生してフォトダイオード4 に収集される。時点t3で、信号RST_B が低状態に設定されるため、トランジスタ70_Bはオフになる。その後、統合段階が開始され、青色に関連付けられたカラーサブ画素のフォトダイオード4 では、統合段階中、電荷が発生してフォトダイオード4 に収集される。
【0068】
時点t4で、電位V_IRが高レベルに設定されるため、赤外フォトダイオードでの電荷の収集を停止する。従って、赤外フォトダイオード2 の統合段階が停止する。
【0069】
時点t5で、信号SEL_R が高状態に一時的に設定されるため、導電性トラック68の電位は、ノードFD_Rでの電圧を表す値、ひいては赤色に関連付けられたカラーサブ画素のフォトダイオード4 に蓄えられた電荷の量を表す値に達する。従って、赤色に関連付けられたカラーサブ画素のフォトダイオード4 の統合段階は時点t1から時点t5まで延びている。時点t6で、信号SEL_G が高状態に一時的に設定されるため、導電性トラック68の電位は、ノードFD_Gでの電圧を表す値、ひいては緑色に関連付けられたカラーサブ画素のフォトダイオード4 に蓄えられた電荷の量を表す値に達する。従って、緑色に関連付けられたフォトダイオード4 の統合段階は時点t2から時点t6まで延びている。時点t7で、信号SEL_B が高状態に一時的に設定されるため、導電性トラック68の電位は、ノードFD_Bでの電圧を表す値、ひいては青色に関連付けられたカラーサブ画素のフォトダイオード4 に蓄えられた電荷の量を表す値に達する。従って、青色に関連付けられたカラーサブ画素のフォトダイオード4 の統合段階は時点t3から時点t7まで延びている。時点t8で、信号SEL_IRが高状態に一時的に設定されるため、導電性トラック68の電位は、ノードFD_IR での電圧を表す値、ひいては赤外フォトダイオード2 に蓄えられた電荷の量を表す値に達する。時点t9で、信号RST_IR, RST_R が高状態に設定される。時点t10 は動作サイクルの終了を示し、次の動作サイクルの時点t1に対応する。
【0070】
図6に示されているように、取得するカラー画像の同じ画素に関連付けられたサブ画素のカラーフォトダイオードの統合段階は経時的にシフトする。このため、画素行の統合段階が互いに経時的にシフトする、カラーフォトダイオードのためのローリングシャッタタイプの読み出し法を実行することが可能になる。更に、赤外フォトダイオード2 の統合段階は信号V-IRによって制御されるため、本実施形態により、全ての赤外フォトダイオードの統合段階を同時的に実行する、赤外線画像を取得するためのグローバルシャッタタイプの読み出し法を実行可能であることが有利である。
【0071】
画像センサが図3及び図4に示されている構造、又は可視光線を遮断しないブロック36を有する図1及び図2に示されている構造を備えている場合、赤外フォトダイオード2 は、近赤外線、更に可視光線を吸収してもよい。この場合、赤外線のみにより赤外フォトダイオードの統合段階中に発生する電荷の量を決定するために、赤外フォトダイオード2 によって送信される信号から、同じ画像画素に関連付けられたサブ画素のカラーフォトダイオード4 によって送信される信号を差し引いてもよい。しかしながら、カラーサブ画素の統合段階が赤外フォトダイオード2 の統合段階と同時的であることが好ましい。そのため、図5に示されている各読み出し回路6_R, 6_G, 6_B, 6_IR は、ノードFD_R, FD_G, FD_B, FD_IR とフォトダイオード4, 2のカソード電極との間にMOS 転送トランジスタを更に有してもよい。転送トランジスタにより、カラー画像を取得するためのグローバルシャッタタイプの読み出し法を実行可能であるように、カラーフォトダイオードの統合段階の開始及び終了を制御することが可能になる。
【0072】
様々な実施形態及び変形例が述べられている。当業者は、これらの実施形態のある特徴を組み合わせることができると理解し、他の変形例が当業者に容易に想起される。特に、フォトダイオード4 を覆う、図2に示されている電極28の構造は、図4に示されている画像センサ50のために実装されてもよい。更に、図5に示されている各読み出し回路6_R, 6_G, 6_B, 6_IR が、ノードFD_R, FD_G, FD_B, FD_IR とフォトダイオード4, 2のカソード電極との間にMOS 転送トランジスタを更に有している場合、ノードFD_R, FD_G, FD_B, FD_IR の電位を表す第1の値V1の読み出しを、リセットトランジスタ70_R, 70_G, 70_B, 70_IR をオンにした直後に実行してもよく、ノードFD_R, FD_G, FD_B, FD_IR の電位を表す第2の値V2の読み出しを、転送トランジスタをオンにした直後に実行してもよい読み出し法を提供してもよい。値V2と値V1との差は、リセットトランジスタ70_R, 70_G, 70_B, 70_IR による熱雑音を抑制しながら、フォトダイオードに蓄えられる電荷の量を表す。最後に、本明細書に記載されている実施形態及び変形例の実際の実施は、上記の機能的な記載に基づく当業者の技能の範囲内である。
【0073】
本特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれている仏国特許出願第19/02158 号明細書の優先権を主張している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】