(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-19
(54)【発明の名称】気体混合物の流れから任意の気体を除去するための方法及び設備
(51)【国際特許分類】
B01D 53/18 20060101AFI20220412BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20220412BHJP
B01D 53/92 20060101ALI20220412BHJP
F01N 3/18 20060101ALI20220412BHJP
F01N 3/04 20060101ALI20220412BHJP
B63H 21/32 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
B01D53/18 150
B01D53/18 ZAB
B01D53/14 210
B01D53/92 215
B01D53/92 331
F01N3/18
F01N3/04 A
B63H21/32 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543332
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(85)【翻訳文提出日】2021-09-14
(86)【国際出願番号】 SE2020050237
(87)【国際公開番号】W WO2020180235
(87)【国際公開日】2020-09-10
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521325558
【氏名又は名称】3ナイン アーベー
【氏名又は名称原語表記】3NINE AB
【住所又は居所原語表記】Box 1163, 131 27 Nacka Strand (SE)
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【氏名又は名称】安達 友和
(72)【発明者】
【氏名】インギ,クラエス
(72)【発明者】
【氏名】フランゼン,ピート
(72)【発明者】
【氏名】ハーグマーク,カール ペトラス
【テーマコード(参考)】
3G091
4D002
4D020
【Fターム(参考)】
3G091AA04
3G091AA18
3G091AB11
3G091AB15
3G091BA01
4D002AA02
4D002AC10
4D002BA02
4D002BA16
4D002CA01
4D002DA02
4D002DA12
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4D002GB12
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4D020CD01
4D020CD10
4D020DA01
4D020DA03
4D020DB10
(57)【要約】
気体混合物の流れから気体を除去するための方法及び設備。第1の液体(82)は、気体混合物の気化冷却及び飽和のため、流れ(106)に導入される。該気体を吸収及び溶解可能で、重力によって沈降しないのに十分小さく遠心分離するのに十分大きいサイズの第2の液体(84)の小さな液滴が提供される。この小さな液滴は、該気体を液滴に吸収させ溶解させるため、上記流れ内に噴霧され、小さな液滴は、上記流れから遠心分離される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体混合物の流れから任意の気体を除去する方法であって、
前記気体混合物の気化冷却及び飽和のため、前記流れにおいて第1の液体を導入することと、
前記気体を溶解可能で、重力によって沈降しないのに十分小さく遠心分離されるのに十分大きいサイズの、第2の液体の小さな液滴を提供することと、
前記気体を前記液滴に吸収させ溶解させるため、前記流れ内に前記小さな液滴を噴霧することと、
前記流れから前記小さな液滴を遠心分離することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の液体の小さな液滴を前記流れ内に噴霧することによって前記第1の液体を導入することを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
噴霧化によって前記第1の液体の小さな液滴を形成することを含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
2流体ノズルを使用する加圧空気によって、又は単一流体ノズルを使用する高圧液体噴霧によって、前記第1の液体の噴霧化を生じさせることを含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
噴霧化によって前記第2の液体の小さな液滴を形成することを含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
2流体ノズルを使用する加圧空気によって、又は単一流体ノズルを使用する高圧液体噴霧によって、前記第2の液体の噴霧化を生じさせることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の液体の液滴及び前記第2の液体の液滴のサイズを、20~200μmの間で変化するように、通常は約50μmであるように制御することを含むことを特徴とする、請求項2から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記流れ内への前記第1の液体の液滴の噴霧の下流に、前記第2の液体の液滴を噴霧することを含むことを特徴とする、請求項2から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の液体の液滴を、前記流れと並流で噴霧することを含むことを特徴とする、請求項2から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の液体は水で、前記第2の液体はアルカリ水溶液であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記気体混合物は燃焼排気ガスであり、除去される前記気体は硫黄酸化物を含む気体であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
気体混合物は船舶用ディーゼルエンジンからの排気ガスの流れであり、除去される前記気体は硫黄酸化物を含む気体であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法を実行するための、排気管(104)の排気流の経路に挿入される設備(10)であって、
前記水用及び前記アルカリ水溶液用のスプレーノズル(32、42)と、
前記流れにおいて前記スプレーノズルの下流にある少なくとも1つの遠心分離器(52)と、
を備え、
前記スプレーノズルは、
少なくとも1つの水スプレーノズル(32)と、
前記アルカリ溶液の液滴を生成するための前記流れにおける前記少なくとも1つの水スプレーノズル(32)の下流にある少なくとも1つの噴霧スプレーノズル(42)と、
を備えることを特徴とする設備(10)。
【請求項14】
前記排気管(104)は船舶用ディーゼルエンジンの排気管であることを特徴とする、請求項13に記載の設備(10)。
【請求項15】
前記スプレーノズル(32、42)は、単一流体ノズル又は2流体ノズルであることを特徴とする、請求項13又は14に記載の設備(10)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの噴霧スプレーノズル(42)は、前記流れと並流で噴霧するように配向され、前記少なくとも1つのスプレーノズル(32)は、前記流れと向流で噴霧するように配向されることを特徴とする、請求項13から15のいずれか一項に記載の設備(10)。
【請求項17】
動作中のエンジン負荷に応じて前記液滴のサイズを制御可能な制御及び駆動ユニット(80)を備えることを特徴とする、請求項13から17のいずれか一項に記載の設備(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体混合物の流れから任意の気体を除去する方法に関する。
【0002】
本発明はまた、上記方法を実行するための設備に関する。
【背景技術】
【0003】
船のディーゼルエンジンからの排気ガス中の、例えば二酸化硫黄などの硫黄酸化物(SOx)を削減するための従来のシステムは、主に様々な種類のスクラバー(洗浄機)に基づく。これについて、湿式スクラバーが主に使用され、この場合、アルカリ溶液(例えば水酸化ナトリウム(NaOH)など)のエアロゾルが、いわゆる閉ループシステムにおいてスクラバー内に噴霧され、硫黄酸化物と反応させられて、例えば、水溶性塩又は他の廃棄可能な反応生成物を形成する。これは、船が港にある場合、又は海水が十分にアルカリ性でない場合によく行われる。海水自体が十分にアルカリ性である場合、いわゆる開ループシステムを海で使用することができ、この場合、硫黄酸化物の除去のため、海水のエアロゾルが添加されて排気ガス中の硫黄酸化物と反応する。
【0004】
このようなスクラバーシステムは、排気ガスがエアロゾル液滴に入るのに大量の噴霧水を必要とし、液滴がスクラバー中の空気の流れに対して重力によって沈降できるようにするには、液滴が非常に大きい必要があり、排気ガスの流れが非常に遅い必要がある。このため、設備が非常に大きくなる。
【0005】
このようなシステムを向上させるために、本発明の基礎を形成し国際公開第2018/231105号公報に開示されているコンパクトなシステムは、高圧下でエアロゾルを排気ガスの流れに噴霧し、遠心技術を使用して、排気ガスの流れから液滴を分離することを提案する。これにより、より少ない量の水を使用して、二酸化硫黄と迅速に反応可能なより大きな総表面積を有する非常に小さな液滴を得ることが可能である。この場合、噴霧する必要のある水の量は、分離効果を維持しながら、従来技術のシステムで必要な水の量と比較してわずか約2.5~5%である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の方法及び設備をさらに概して向上させることであり、詳細には、国際公開第2018/231105号公報に開示されるようなシステムを、ディーゼル燃料における0.1%の硫黄に対応するものを超える排出を許容しない新しい要件をよりよく満たすようにすることである。
【0007】
本発明の一態様によれば、該方法は、
気体混合物の気化冷却及び飽和のため、流れにおいて第1の液体を導入することと、
上記気体を吸収及び溶解可能で、重力によって沈降しないのに十分小さく遠心分離されるのに十分大きいサイズの、第2の液体の小さな液滴を提供することと、
上記気体を上記液滴に溶解させるため、上記流れ内に前記小さな液滴を噴霧することと、
上記流れから上記小さな液滴を遠心分離することと、
を含む。
【0008】
本発明は、気体混合物の流れから任意の気体を除去する様々な応用において、一般的に実行され得るが、本開示は、詳細には、上記のように、例えば船舶用ディーゼルエンジンからの燃焼排気ガスから二酸化硫黄を除去するために適用されるものとして例示される。このような様々な応用の例が、以下の文書で示され得る。
【0009】
欧州特許出願公開第2499091号公報、欧州特許出願公開第2747877号公報、米国特許第8444942号公報、欧州特許出願公開第2298957号公報、欧州特許出願公開第1524023号公報、国際公開第2016/062731号公報、欧州特許出願公開第3393625号公報
【0010】
2つの別個のステップで液体を供給することには、一般的に及び特定の応用において、以下の利点がある。
【0011】
第1の液体(例えば、水)を導入する最初のステップでは、気化により、高温の(例えば、300~400℃)の気体混合物(例えば、排気ガスの混合物)の飽和及び冷却が起こり、飽和により、気化が停止する。第1の液体を導入するステップにおける気化及び飽和により、重要なことに、第2の液体の小さな液滴がそのサイズを維持する。そうでなければ、国際公開第2018/231105号公報における単一の噴霧ステップでのように、水は、冷却作用で液滴から気化し続け、その後液滴のサイズの制御が失われる。したがって、水導入ステップにおける飽和は、噴霧ステップおいて導入された液滴からの気化を効果的に防止する。冷却はまた、一般的な遠心分離器が過度の熱に耐えることができないという点で有利である。
【0012】
第2の液体の液滴は、重力によって沈降しないのに十分小さく遠心分離されるのに十分大きく、これにより、第2の液体の液滴液滴は、流れにおいて先へと運ばれ、遠心分離ステップで流れから分離される。
【0013】
第1の液体は、第1の液体の小さな液滴を流れに噴霧することによって導入され得る。小さな液滴は急速な冷却及びその結果としての飽和を提供する。
【0014】
第1の液体の小さな液滴は、2流体ノズルを使用する加圧空気による噴霧化によって、又は単一流体ノズルを使用する高圧液体噴霧による噴霧化によって、形成され得る。2流体ノズルは、可能な限り速く冷却するために非常に小さな液滴を生成するのに有利であり得る。
【0015】
第2の液体の小さな液滴もまた、2流体ノズルを使用する加圧空気による噴霧化によって、又は単一流体ノズルを使用する高圧液体噴霧による噴霧化によって、形成され得る。単一流体ノズルは、時間単位あたりにより多くの液滴を生成するのに有利であり得、その結果、必要なノズルの数も少なくなり得る。
【0016】
液体の噴霧化は、大きな総表面積を提供するための小さな液滴を有するエアロゾルを生成し、所与の流量を殆ど又は全く減速する必要なしに、特にディーゼルエンジンの排気流の場合において、第1の液体及び第2の液体の反応時間を短くすることが可能で、第1のステップで高速の気化水の冷却及び飽和が得られ、液滴におけるアルカリによって硫黄酸化物を中和する。これにより、システムを非常にコンパクトに保つこともできる。
【0017】
加圧空気で噴霧化することにより、空気の流量及びアルカリ水溶液の流量を変えることで、液滴のサイズを制御できる。
【0018】
液滴のサイズは、加圧空気の圧力のみを変えることによっても制御され得る。これは、噴霧ノズルとアルカリ溶液の流量が既に決定されている場合に当てはまり得る。
【0019】
液滴のサイズは、約20~200μmの間で変化するように、通常は約50μmであるように制御され得る。気体の流れにおけるさらに小さな液滴は、望ましくない方法で分離ステップを通過し得る。液滴のサイズは、より正式に正しくは、中程度のサイズの液滴のサイズとして理解される。例えば、中程度のサイズのdv50は、液滴の体積の50%がdv50よりも大きい直径を有する液滴であることを意味する。50μmのdv50の典型的な分布には、20~130μmの液滴が含まれる(体積の10%が20μm未満の液滴であり、体積の90%が130μm未満の液滴である)。
【0020】
第2の液体の小さな液滴は、流れ内への第1の液体の噴霧の下流に噴霧され得る。これにより、流れに十分に飽和する時間を与え得る。
【0021】
エアロゾル液滴の噴霧は、排気ガスの流れと並流であり得る。
【0022】
第1の液体は水であり得、第2の液体はアルカリ水溶液であり得る。
【0023】
気体混合物は燃焼排気ガスであり得、除去される気体は硫黄酸化物を含む気体であり得る。
【0024】
詳細には、気体混合物は、船舶用ディーゼルエンジンからの排気ガスの流れであり得、除去される気体は、硫黄酸化物を含む気体であり得る。
【0025】
本発明の方法を実施するための設備は、該方法を実施するための排気管の排気流の経路に挿入され、該設備は、水用のスプレーノズル及びアルカリ水溶液用のスプレーノズルと、流れにおいてこれらの噴霧ノズルの下流にある少なくとも1つの遠心分離器とを備える。スプレーノズルは、少なくとも1つの水スプレーノズルと、アルカリ溶液の液滴を生成するための流れにおける少なくとも1つの水スプレーノズルの下流にある少なくとも1つの噴霧スプレーノズルとを備える。
【0026】
排気管は、船舶用ディーゼルエンジンの排気管であり得る。
【0027】
噴霧化は、単一流体の高圧ノズルによっても得られ得るが、一実施形態において、少なくとも1つの噴霧スプレーノズルは、2流体(アルカリ溶液及び加圧空気)ノズルである。従来技術で使用されていないそのようなノズルは、所望の液滴サイズを得るために選択、制御され得る。
【0028】
設備はまた、動作中のエンジン負荷に応じて液滴のサイズを制御することが可能な制御及び駆動ユニットを備え得る。
【0029】
本発明の他の特徴及び利点が、特許請求の範囲及び以下の詳細な説明から明らかであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】船舶用ディーゼルエンジンからの排気ガスを処理するための例示的な設備を図式的に示す図である。
【0031】
図面は概して説明的な性質のものであるため、相互に関連する構成要素の縮尺、向き、サイズなどは、実際の設備のものと一致しない場合がある。
【0032】
相互に対応する機能を有する構成要素は、同じ符号で指定され得る。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、気体を処理する他の分野で実施され得るが、以下の詳細な説明では、本発明は、海洋設備で実施される。
【0034】
図1の海洋設備10は、船舶100の大型ディーゼル推進エンジン102の排気管104の排気流の経路に挿入されて図式的に示されている。メガワット範囲にあり得るエンジン102のディーゼル燃料は、通常大量の硫黄を含み、これは、排気流106におけるSO
2などの硫黄酸化物(SO
x)に変換される。
【0035】
概して、このような硫黄酸化物を低減するための設備10は、噴霧セクション20と、排気管106の連続仕切りを形成する遠心分離セクション50とからなると考えることができる。噴霧流体は、制御及び駆動ユニット80によって、噴霧セクション20のノズル32、42に供給される。
【0036】
噴霧セクション20は、水スプレーセクション30とアルカリ溶液スプレーセクション40とに順次に連続的に分割され、水スプレーセクション30及びアルカリ溶液スプレーセクション40はそれぞれ、ノズル32及びノズル42を備え、ノズル32及びノズル42は、排気流を取り囲む単一の又は一若しくは複数の円形配列に配置され得る。水は海水82であり得、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)などのアルカリ溶液84は海水を含み得る。
【0037】
水スプレーセクション30のノズル32は、例えば、
図1に一点鎖線で示すように単一流体タイプのものであり得、加圧水の運動エネルギーを利用してそれを液滴に分解し、水滴を排気流106に噴霧することができる。水滴は、排気流を冷却し、排気流において気化して、排気流を水蒸気で飽和させる。しかし、ノズル32は同様に、
図1に実線で示すように、2流体(2相)タイプのものであってもよい。
【0038】
アルカリ溶液スプレーセクション40のノズル42は、同様に、
図1に一点鎖線で示すように、単一流体タイプのものであり得、実線で示す実施形態では、ノズル42は、2流体(2相)タイプとして示され、加圧/圧縮空気によって液体アルカリ溶液84の流れを微細液滴のエアロゾルに噴霧化し、エアロゾルを蒸気飽和排気流106に噴霧することができる。
図1の下部の拡大された丸の実線で囲まれた領域は、外部混合タイプの2流体噴霧スプレーノズル42を示すが、他のタイプの2流体噴霧ノズルも同様に使用され得る。
【0039】
排気流は既に蒸気で飽和しているため、アルカリ溶液の液滴はそのサイズを維持する。液滴における塩基性のアルカリ溶液は、酸性の硫黄酸化物と反応して中和し、液滴において塩と水になる。この反応は、分離器セクション50全体にわたって内部空間を形成しアルカリ溶液スプレーセクション40全体にわたって幾分上流に延在する反応区画62内で起こり完了し得る。
【0040】
分離セクション50には、複数の遠心分離器52が設けられる。
図1の上部の拡大された丸で囲まれた領域から明らかであるように、各分離器52はロータ54を備え、ロータ54は、反応区画62内に突出する狭い間隔で配置された円錐分離ディスク56のスタック(複数の円錐分離ディスク56)を備える。分離器はまた、より基本的なタイプのものであり得、ロータ内に、円錐ディスク(図示せず)の代わりに放射状の翼を備えてもよい。各セパレータ52は向流タイプのものであり、即ち、回転ロータ52によって生成されるポンピング効果に対して、排気流がディスク56間の隙間を通って半径方向(放射方向)内側(矢印P)である。例えばクランク室の気体などの気体の流れからの固体及び/又は液体粒子の遠心分離のための、このようなロータタイプの遠心分離器52は、それ自体が例えば国際公開第2012/052243号公報から従来知られている。
【0041】
各分離器のロータ54はさらに、ロータ54と共に回転するファン64を備える。ファン64は、ロータ52の気体出口60からチャンバ58へ、さらに浄化された排気ガスの出口70への浄化された気体の流れを増強するために反応区画62の分離器セクション68とは別個であってそれを囲むチャンバ58内に配置される。任意選択で、各分離器52用の個々のファン64の代わりに、共通のファン(図示せず)が、ロータ54のディスクスタックを通して排気ガス、水、及び反応生成物の混合物を供給し、硫黄酸化物含有量が低減した気体を排気ガス出口70に排出するために、反応区画62の上流又は下流に配置され得る。分離器のロータ54は、国際公開第2012/052243号公報の
図2に示されているものと同様に、個々の電気モータ72によって、又は共通の電気モータ及びベルトトランスミッション(図示せず)によって、駆動される。反応区画62には、分離器のロータ54によって分離された反応生成物及び液体を排出するための少なくとも1つの出口74がある。上記のものと同様であり本発明で使用可能な異なる分離器の配置(構成)が、先に言及した国際公開第2018/231105号公報に詳細に記載されている。
【0042】
制御及び駆動ユニット80は、例示的で簡略化した方法で示される。制御及び駆動ユニット80は、以下のように動作し、簡潔には以下のように構成される。複数のポンプ88が、それぞれの供給源82及び供給源84から海水及びアルカリ溶液を吸引及び加圧する。圧縮器86が、蓄圧器92に一時的に貯蔵可能な周囲空気(大気)を吸引及び加圧する。複数の弁90が、それぞれの加圧流体をノズル32及び42に分配する。調整器94は、圧力及び/又は流れの設定値を維持する。弁90及び調整器94の設定は、制御ユニット96によって制御される。例えば液滴サイズを制御するための液体及び空気圧設定などの設定は、容器100の動作中のエンジン負荷に応じて変化する排気ガス流量によって制御される。排気ガス流量は、排気管102におけるフローセンサ108によって取得される。
【0043】
ユニット80は、詳細には、選択されたタイプの噴霧化ノズル42によって生成される液滴のサイズを、元来知られている方法で、噴霧化ノズル42を通る空気及び液体の流れの速度を変えることによって、制御するように構成され得る。噴霧化ノズルのタイプ及び液体の流量は既に決定されているので、空気圧のみ変更する必要があり得る。
【0044】
上述の詳細な説明は、主に理解を明確にするために与えられており、そこから不必要な制限が理解されるべきではない。変更は、本開示を読むと当業者に明らかになり、本発明の主旨又は添付の特許請求の範囲から逸脱することなく行われ得る。
【国際調査報告】