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特表2022-522446エマルジョンの高安定化のための組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-19
(54)【発明の名称】エマルジョンの高安定化のための組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 53/00 20060101AFI20220412BHJP
   C08K 5/20 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
C08L53/00
C08K5/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021550047
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(85)【翻訳文提出日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2020053942
(87)【国際公開番号】W WO2020173725
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】19159925.7
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508079739
【氏名又は名称】ローディア オペレーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マルタン, エレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】モロー, パトリック
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BP031
4J002EP016
4J002FD316
4J002GD00
4J002GK02
4J002GK04
4J002HA07
(57)【要約】
本発明は、
- 少なくともアルカノールアミド乳化剤と;
- ブロックコポリマーであって、
モノ-アルファ-エチレン性不飽和モノマーに由来する単位を含む親水性ブロック;及び
好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和モノマーに由来するブロックBを含むブロックコポリマーとの混合物を含む、エマルジョンを安定させるために好適な組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 少なくともアルカノールアミド乳化剤と;
- ブロックコポリマーであって、
- モノ-アルファ-エチレン性不飽和モノマーに由来する単位を含む親水性ブロックであり、且つ、下限臨界溶解温度(LCST)を有するブロックとは好ましくは異なるブロックA;及び
- 好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和モノマーに由来する、疎水性ブロックであるブロックB
を含むブロックコポリマーと
の混合物を含む組成物。
【請求項2】
組成物C中に含有されるコポリマーの総質量対組成物C中に含有されるアルカノールアミド乳化剤の総質量の商に相当する比コポリマー/アルカノールアミドが、1%~40%、好ましくは2~20%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アルカノールアミド乳化剤が、下の式(I):
-C(=O)-N[-(RO)H)][-(RO)H] (I)
(式中:
- Rは、典型的には5~24個の炭素原子を有する炭化水素鎖であり、
- 同じもの又は同じではない、R及びRのそれぞれは、2~4個の炭素原子を有する炭化水素鎖であり、
- 同じもの又は同じではない、x及びyのそれぞれは、1~5のものである)
を有する化合物である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記アルカノールアミド乳化剤が、下の式(Ia)又は(Ib):
-C(=O)-N(ROH)(ROH) (Ia)
-C(=O)-N(ROH) (Ib)
(式中、R、R及びRは、請求項3において定義された通りである)
を有する化合物である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ブロックコポリマーが(ブロックA)-(ブロックB)ジブロックコポリマーである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ブロックコポリマーの前記ブロックAが、N-ビニルピロリドン、アクリルアミド及び/又はN,N-ジメチルアクリルアミドに由来する繰り返し単位を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ブロックコポリマーの前記ブロックAが、N-ビニルピロリドンに由来する繰り返し単位を含み、前記ブロックコポリマーの前記ブロックBが、2-エチル-ヘキシルアクリレートに由来する繰り返し単位を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物を含むエマルジョン。
【請求項9】
PAMホモポリマー又はコポリマーをそれらの分散水相中に含有する逆エマルジョンである、請求項8に記載のエマルジョン。
【請求項10】
前記組成物Cを含有する前記エマルジョンの総質量を基準として、質量で0.5%~5%、例えば1%~4%の含有量で前記組成物Cを含む、請求項8又は9に記載のエマルジョン。
【請求項11】
前記組成物Cを含有する前記エマルジョンの総質量を基準として、質量で、1%~2%のアルカノールアミド乳化剤と;0.001%~0.5%のコポリマーとを含む、請求項8、9又は10のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項12】
エマルジョン、とりわけ逆エマルジョン、典型的にはPAMホモポリマー又はコポリマーをその分散水相中に含有する逆エマルジョンを安定させるための、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物Cの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エマルジョンの安定化、とりわけ逆エマルジョンの、すなわち、油相内に分散した水相の液滴を含む油中水エマルジョン(「w/oエマルジョン」とも言われる)の安定化の分野に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、とりわけせん断下で及び貯蔵中にゲル形成を最小限することによって、高分子量の高分子電解質(典型的には合成水溶性ホモポリマー又はコポリマー)をそれらの分散水相中に含む逆エマルジョンを安定させるためにとりわけ好適である乳化剤組成物に関する。
【0003】
本発明は、とりわけ、ポリアクリルアミド(PAM)をそれらの分散水相中に含む逆エマルジョンを指向する。本説明で用いるところでは、用語「ポリアクリルアミド」又は「PAM」は、アクリルアミド単位を含む-又はそれに存する-ホモポリマー又はコポリマーを言う。PAMを得るために用いられる技術の一つは、逆エマルジョンでの重合である。本発明は、とりわけ、この範囲で得られる逆エマルジョンを、並びにそれらの貯蔵安定性及びそれらのせん断下での安定性の向上を指向する。
【0004】
エマルジョンは、1つの相が他の相中に液滴の形態で分散している、混和しない少なくとも2つの相を含む、通常液体の又はゲル化した、組成物である。界面活性剤の使用は、相の1つの他の相中への分散を得ることを可能にする。したがって、エマルジョンは、通常、相と界面活性剤とを混合することによって得られる。
【0005】
本明細書で用いるところでは、用語「エマルジョン」は、好ましくは、一つの相が別の相中に分散したそのような分散混合物であって、前記混合物が相分離系よりも熱力学的により不安定であり、相分離系よりも熱力学的に安定であるいわゆる「マイクロエマルション」の場合を除外する混合物を言う。
【0006】
エマルジョンの安定化(すなわち、解調合(demixtion)の回避)は、多くの目的のために取り組まれるべき問題である。消費者商品において、長い寿命を有し、その上、それが良好な態様を保つためのような、それがその特性を保つためのエマルジョンが必要とされている。産業界において、エマルジョンは、少なくとも製品を調製するために必要とされる限り、又はそれが貯蔵される限り、安定したままであることを多くの場合要求される。
【0007】
逆エマルジョンを調製するための公知の乳化剤及び乳化剤組成物は、PAMなどの高分子電解質を含有する逆エマルジョンにおいてとりわけ、得られたエマルジョンの適切な安定化を系統的にもたらさない。
【0008】
例えば、低い粒径を有する分散相の液滴の形成(すなわち、連続相中の分散相の良好な乳化)を可能にするが、合体あり又はなしで、いわゆる「フロック」の形成、すなわち分散相の液滴の凝集形成(液滴は、任意選択の液滴間凝集で、ぶどうの房に似た凝集体を典型的には形成し得る)と多くの場合一緒に、貯蔵時の安定性が制限された(又はさらに非常に制限された)、良好な乳化剤は公知である。これは、例えば、逆エマルジョンを調製するために使用される場合に(本明細書で「SMO」と言われる)ソルビタンモノオレエートなどの乳化剤で本当である。
【0009】
本発明の一目標は、とりわけ高分子量の高分子電解質を分散水相中に含む逆エマルジョンを調製するために使用される場合に、
(i)分散相の液滴が低い粒径を有する状態で、良好な乳化を可能にする;及び
(ii)得られたエマルジョンの非常に良好な安定性を付与する
の両方の乳化剤組成物を提供することである。
【0010】
この目的に向けて、(1)アルカノールアミドを含む乳化剤と;(2)特有のブロックコポリマーとを含む、特有の乳化剤パッケージを使用することが本発明により提案される。
【0011】
より正確には、第1態様によれは、本発明の一主題は、
- 少なくともアルカノールアミド乳化剤(任意選択的に他の乳化剤と一緒に)と;
- ブロックコポリマーであって、
- モノ-アルファ-エチレン性不飽和モノマーに由来する単位を含む親水性ブロックであるブロックA;
及び
- 好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和モノマーに由来する、疎水性ブロックであるブロックB
を含むブロックコポリマーと
の混合物を含む、本明細書では「組成物C」と言われる、組成物である。
【0012】
ほとんどの場合に、組成物Cのブロックコポリマーが下限臨界溶解温度(LCST)を有するコポリマーではないことが非常に好ましい。好ましい実施形態によれば、ブロックAは、下限臨界溶解温度(LCST)を有するブロックとは異なる。とりわけ、組成物Cのコポリマーは、有利には、例えば米国特許出願公開第2011/0130321号明細書に記載されている感熱性ポリマーとは異なる。
【0013】
第2態様によれば、本発明の別の主題は、エマルジョン、とりわけ、上で定義されたような組成物Cを含む、逆エマルジョンである。これに関連して、本発明は、とりわけ、PAMホモポリマー又はコポリマーをそれらの分散水相中に含有する逆エマルジョンを指向する。
【0014】
より特有の態様によれば、本発明の1つの他の主題は、エマルジョン、とりわけ逆エマルジョン、典型的にはPAMホモポリマー又はコポリマーをその分散水相中に含有する逆エマルジョンを安定させるための上で定義されたような組成物Cの使用である。
【0015】
本発明により有用な組成物Cにおいて、ブロックコポリマーは、アルカノールアミドを含有する乳化剤と一緒に作動し、2つの化合物の混合物は、とりわけ逆エマルジョンの場合に、良好な乳化及び得られたエマルジョンの良好な安定性を可能にする。大抵の場合、コポリマーは、そのようなものとして、乳化剤効果を提供するが、混合物は、単独で取られた成分のそれぞれの効果の単純加算よりも多い乳化及び安定性効果を示す。
【0016】
本発明により使用されるような組成物Cは、一般にフロックのいかなる形成もなしに(又は非常に少ない)形成で、エマルジョンでの非常に低い粒径及び良好な貯蔵安定性を得ることを可能にする(典型的には、粒径は、50℃での2ヶ月貯蔵後でさえも低いままである)。
【0017】
好ましくは、組成物C中に含有されるコポリマーの総質量対組成物C中のアルカノールアミドを含む乳化剤の総質量の商に相当する、比コポリマー/乳化剤は、1%~40%であり、この比は、好ましくは最大でも30%のもの、例えば最大でも20%のものである。典型的には、比コポリマー/乳化剤は、有利には、2%~20%、例えば2.5%~10%に含まれ得る。
【0018】
好ましくは、組成物C中に含有されるコポリマーの総質量対組成物C中に含有されるアルカノールアミド乳化剤の総質量の商に相当する比コポリマー/アルカノールアミドは、1%~45%、典型的には1%~40%であり、この比は、好ましくは最大でも30%のもの、例えば最大でも20%のものである。典型的には、比コポリマー/アルカノールアミドは、有利には2%~20%、例えば2.5%~10%に含まれ得る。ブロックコポリマー及びアルカノールアミド乳化剤は、とりわけそのような質量比でとりわけうまく協力する。
【0019】
典型的には、組成物Cは、組成物Cを含有するエマルジョンの総質量を基準として、質量で0.5%~5%、例えば1%~4%の含有量でエマルジョン中に使用される。
【0020】
例えば、エマルジョンは、エマルジョン中に:
- 1%~2%のアルカノールアミド乳化剤;及び
- 0.001~0.5%、例えば0.1%~0.4%のコポリマー
を導入することによって本発明に従って安定させられ得、
百分率は、組成物Cを含有するエマルジョンの総質量を基準とする、質量単位でである。
【0021】
特有の特徴及び可能な実施形態は、これから、より詳細に記載される。
【0022】
アルカノールアミド乳化剤
本発明の組成物C中に存在するアルカノールアミド乳化剤は、アミド官能基及びヒドロキシル官能基を両方とも有する化合物である。このアルカノールアミド乳化剤は、典型的には下の式(I):
-C(=O)-N[-(RO)H)][-(RO)H] (I)
(式中:
- Rは、典型的には5~24個、好ましくは少なくとも10個、典型的には少なくとも16個の炭素原子を有する炭化水素系連鎖であり、
- 同じもの又は同じではない、R及びRのそれぞれは、2~4個の炭素原子を有する炭化水素鎖であり、
- 同じもの又は同じではない、x及びyのそれぞれは、1~5のものである)
を有する化合物である。
【0023】
組成物Cにおいて好適なアルカノールアミド乳化剤には、とりわけ、式中x=y=1である式(I)の化合物、すなわち下の式(Ia):
-C(=O)-N(ROH)(ROH) (Ia)
(式中、R、R及びRは、上で示された意味を有する)
を有する化合物が含まれる。
【0024】
特有の実施形態によれば、R及びRは同じものである。これに関連して好適なアルカノールアミド乳化剤には、例えば、下の式(Ib):
-C(=O)-N(ROH)(ROH) (Ib)
(式中、R、R及びRは、上に示された意味を有し、R及びRは、典型的には同じものである)
の化合物が含まれる。
【0025】
或いはまた、部分的にエステル化された式(I)、(Ia)及び(Ib)のアルカノールアミド、典型的には、他の末端-OH基(それぞれ、[-(RO)H基(か又はRO)H基かのどちらかが有する)がエステル化されていない場合に、2つの末端-OH基(-(RO)H基か又は[-(RO)H基かのどちらかが有する)の1つが、-(RO)基又は-(RO)基(ここで、Rは、2~4個の炭素原子を有する炭化水素鎖である)の形態でエステル化されている式(I)、(Ia)及び(Ib)のアルカノールアミドが使用され得る。
【0026】
本発明により有用な、好適な市販のアルカノールアミド乳化剤には、とりわけ、Solvay社から入手可能なMackamide(登録商標)WS 1若しくはMackamide(登録商標)MO(オレイルジエタノールアミド)、又はMackamide(登録商標)S(大豆ジエタノールアミド)などのアルキル及びアルケニルジエタノールアミドが含まれる。特有の実施形態によれば、アルカノールアミドは、Mackamide(登録商標)WS 1である。
【0027】
別の好適なアルカノールアミド乳化剤は、Akzo Companyから商業的に入手可能である、Witcamide 511と呼ばれる部分的にエステル化されたN,N-アルカノール脂肪アミド界面活性剤である。この界面活性剤は、およそ50重量パーセントの、非エステル化N,N-ジエタノール脂肪アミド、およそ40重量パーセントの、モノエステル化N,N-ジエタノール脂肪アミド及びいくらかの量のジエステル化物質であると文献に記載されており、ここで、乳化剤鎖上の脂肪基は、およそ64パーセントのオレイル、33パーセントのリノレイック及び3パーセントのパルメチルである。
【0028】
ブロックコポリマー
典型的には、本発明の組成物C中に存在するブロックコポリマーは、
- (ブロックA)-(ブロックB)ジブロックコポリマー;
- (ブロックA)-(ブロックB)-(ブロックA)トリブロックコポリマー;及び
- (ブロックB)-(ブロックA)-(ブロックB)トリブロックコポリマー
から選択される。
【0029】
好ましい実施形態によれば、ブロックコポリマーは、(ブロックA)-ブロック(B)ジブロックコポリマーである。
【0030】
ブロックコポリマーは、典型的には、線状のブロックコポリマーである。「線状」とは、ブロック配置が線状であることを意味する。しかしながら、特有の実施形態では、ブロックは、櫛形ポリマー構造を有する、すなわち、ポリマー部分(マクロモノマー)を含む繰り返し単位を含むブロックであり得る。
【0031】
ブロックは、通常、それが含む繰り返し単位によって定義される。ブロックは、ポリマーを命名することによって、又はポリマーが由来するモノマーを命名することによって定義され得る。本明細書において、モノマーに由来する単位は、重合させることによって前記モノマーから直接得られ得る単位と理解される。したがって、アクリル酸又はメタクリル酸のエステルに由来する単位は、例えばアクリル酸又はメタクリル酸のエステルを重合させ、次いで加水分解することによって得られる、式-CH-CH(COOH)-又は-CH-C(CH)(COOH)-の単位を包含しない。しかし、アクリル酸又はメタクリル酸に由来する単位は、例えばモノマーを重合させ、次いで式-CH-CH(COOH)-又は-CH-C(CH)(COOH)-の単位を得るために反応させる(例えば加水分解する)ことによって得られる単位を包含する。
【0032】
ブロックは、幾つかのモノマーに由来する、数種類の繰り返し単位を含む、コポリマーであり得る。これ故に、ブロックA及びブロックBは、異なるモノマーに由来する、異なるポリマーであるが、それらは、いくつかの共通の繰り返し単位を含み得る(コポリマー)。ブロックA及びブロックBは、好ましくは、50%超の共通の繰り返し単位(同じモノマーに由来する)を含まない。
【0033】
ブロックAは親水性であり、ブロックBは疎水性である。ブロックの親水性又は疎水性特性は、前記ブロックが他のブロックなしで有するであろう特性、すなわち、同じ分子量を有する、前記ブロックよりも同じ繰り返し単位からなるポリマーの特性を言う。親水性ブロック、ポリマー又はコポリマーとは、ブロック、ポリマー又はコポリマーが、20℃~30℃の温度で、0.01重量%~10重量%の濃度において水中で肉眼的に相分離しないことを意味する。疎水性ブロック、ポリマー又はコポリマーとは、ブロック、ポリマー又はコポリマーが同じ条件で肉眼的に相分離することを意味する。
【0034】
ブロックコポリマーは、水、エタノールに、及び/又は疎水性化合物に可溶性であり得ることがさらに言及される。好ましい実施形態では、ブロックコポリマーは、水、エタノールに又は水とエタノールとの混合物に可溶性である。ブロックコポリマーは、固体形態で、又は溶液形態で、エマルジョン中に、又はエマルジョン中に含まれる化合物の混合物中に導入され得る。好ましい実施形態では、それは、水、エタノール、又は水/エタノール溶液として導入される。
【0035】
好ましくは、ブロックBは、
- ジメチルシロキサンなどの、ジアルキルシロキサン、
- メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、及び2-エチル-ヘキシルアクリレート、2-エチル-ヘキシルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレートなどの、アルファ-エチレン性不飽和の、好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和の、モノカルボン酸のアルキルエステル、
- バーサチック酸ビニル、
- アクリロニトリル,
- 3~12個の炭素原子を含む、ビニルニトリル、
- ビニルアミンアミド、並びに
- スチレンなどのビニル芳香族化合物
に存する群から選択されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む。
【0036】
本発明によるとりわけ好適なブロックBは、アルファ-エチレン性不飽和の、好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和の、モノカルボン酸のアルキルエステル、例えば2-エチル-ヘキシルアクリレートに由来する繰り返し単位を含む。
【0037】
他方では、ブロックAは、好ましくは、
- ビニルアルコール、
- N-ビニルピロリドン、
- 例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、又は或いはまたN-ヒドロキシエチルアクリルアミド及び/若しくはN-ヒドロキシメチルアクリルアミド-ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート(すなわち、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸)などの(メタ)アクリルアミド化合物、
- 2-ヒドロキシエチルアクリレートなどの、アルファ-エチレン性不飽和の、好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和の、モノカルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、
- アルファ-エチレン性不飽和の、好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和の、モノカルボン酸のヒドロキシアルキルアミド、
- ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジテルチオブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド;
- エチレンイミン、ビニルアミン、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン;
- トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチルスルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロリド、4-ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミド(2-(アクリロキシ)エチルトリメチルアンモニウム、TMAEAMSとも呼ばれる)クロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート(2-(アクリロキシ)エチルトリメチルアンモニウム、TMAEAMSとも呼ばれる)メチルスルフェート、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、
- ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、
- ホスフェート又はホスホネート基を含むアルファ-エチレン性不飽和の、好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和の、モノマー、
- アクリル酸、メタクリル酸などの、アルファ-エチレン性不飽和の、好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和の、モノカルボン酸、
- アルファ-エチレン性不飽和の、好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和の、ジカルボン酸のモノアルキルエステル、
- アルファ-エチレン性不飽和の、好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和の、ジカルボン酸のモノアルキルアミド、
- ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸の塩、ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸の塩、アルファ-アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、アルファ-アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の塩 2-スルホエチルメタクリレート、2-スルホエチルメタクリレートの塩、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の塩、及びエチレンスルホネート(SS)などの、スルホン酸基を含むアルファ-エチレン性不飽和の、好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和の、化合物、並びにスルホン酸基を含むアルファ-エチレン性不飽和の、好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和の、化合物の塩
からなる群から選択されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む。
【0038】
本発明によるとりわけ好適なブロックAは、N-ビニルピロリドン、アクリルアミド及び/又はN,N-ジメチルアクリルアミドに由来する繰り返し単位を含む。
【0039】
特有の実施形態によれば、組成物C中に存在するコポリマーは、N-ビニルピロリドン由来する繰り返し単位を含むブロックAと;2-エチル-ヘキシルアクリレートに由来する繰り返し単位を含むブロックBとを含むジブロックコポリマーである。
【0040】
ブロックBは通常中性ブロックであるが、ブロックAは、その電気的挙動又は性質に関して区別され得るであろう。それは、ブロックAが中性ブロック、又はポリイオン性ブロック(ポリアニオン性ブロック、若しくはポリカチオン性ブロック)であり得ることを意味する。電気的挙動又は性質(中性、ポリアニオン性若しくはポリカチオン性)はエマルジョンのpHに依存し得るとさらに言及される。ポリイオン性とは、pHがどうであってもブロックがイオン性(アニオン性又はカチオン性)繰り返し単位を含むこと、又はブロックがエマルジョンのpHに応じて中性又はイオン性(アニオン性若しくはカチオン性)であり得る繰り返し単位(単位は潜在的にイオン性である)を含むことを意味する。組成物のpHに応じて、中性又はイオン性(アニオン性若しくはカチオン性)であり得る単位は、それが中性形態にあっても又はイオン性形態(アニオン性若しくはカチオン性)にあっても、本明細書では以下、イオン性単位(アニオン性若しくはカチオン性)と、又はイオン性モノマー(アニオン性若しくはカチオン性)に由来する単位と言われるであろう。
【0041】
ブロックAがポリイオン性ブロックである場合、それは、任意選択的に追加の中性単位と一緒にイオン性単位(それぞれ:ポリカチオン性ブロックについてはカチオン性単位;ポリアニオン性ブロックについてはアニオン性単位;又はカチオン性単位とアニオン性単位との混合物さえ)を含む。
【0042】
ポリカチオン性ブロックの例は、
- アミノアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、
- 少なくとも1つの第二級、第三級若しくは第四級アミン官能基、又は窒素原子を含有する複素環基、ビニルアミン若しくはエチレンイミンを含む、特に(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリルアミド誘導体などの、モノマー;
- ジアリルジアルキルアンモニウム塩;
- それらの混合物、それらの塩、及びそれらに由来するマクロモノマー
などのカチオン性モノマーに由来する単位を含むブロックである。
【0043】
カチオン性モノマーの例としては:
- ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジテルチオブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド;
- エチレンイミン、ビニルアミン、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン;
- トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチルスルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロリド、4-ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミド(2-(アクリロキシ)エチルトリメチルアンモニウム、TMAEAMSとも呼ばれる)クロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート(2-(アクリロキシ)エチルトリメチルアンモニウム、TMAEAMSとも呼ばれる)メチルスルフェート、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、
- ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、
- それらの混合物、及びそれらに由来するマクロモノマー
が挙げられる。
【0044】
アニオン性ブロックの例は、
- ホスフェート又はホスホネート基を含むアルファ-エチレン性不飽和の、好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和の、モノマー、
- アルファ-エチレン性不飽和の、好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和の、モノカルボン酸、
- アルファ-エチレン性不飽和の、好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和の、ジカルボン酸のモノアルキルエステル、
- アルファ-エチレン性不飽和の、好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和の、ジカルボン酸のモノアルキルアミド、
- スルホン酸基を含むアルファ-エチレン性不飽和の、好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和の、化合物、及びスルホン酸基を含むアルファ-エチレン性不飽和化合物の塩
からなる群から選択されるアニオン性モノマーに由来する単位を含むブロックである。
【0045】
好ましいアニオン性ブロックには、
- アクリル酸、メタクリル酸、
- ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸の塩、
- ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸の塩、
- アルファ-アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、アルファ-アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の塩、
- 2-スルホエチルメタクリレート、2-スルホエチルメタクリレートの塩、
- アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の塩、及び
- スチレンスルホネート(SS)
からなる群から選択される少なくとも1つのアニオン性モノマーに由来するを含むブロックが含まれる。
【0046】
中性ブロック(ブロックA又はブロックB)の例は、
- アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、
- アルファ-エチレン性不飽和の、好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和の、モノカルボン酸のアミド、
- アルファ-エチレン性不飽和の、好ましくはモノ-アルファ-エチレン性不飽和の、モノカルボン酸のエステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、2-エチル-ヘキシルアクリレートなどのアルキルエステル、又は2-ヒドロキシエチルアクリレートなどのヒドロキシアルキルエステル、
- ポリエチレンオキシド及び/又はポリプロピレンオキシド(メタ)アクリレート(すなわち、ポリエトキシル化及び/又はポリプロポキシル化(メタ)アクリル酸)、
- ビニルアルコール、
- ビニルピロリドン、
- 酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル、
- 好ましくは3~12個の炭素原子を含む、ビニルニトリル、
- アクリロニトリル、
- ビニルアミンアミド、
- スチレンなどの、ビニル芳香族化合物、並びに
- それらの混合物
からなる群から選択される少なくとも1つのモノマーに由来する単位を含むブロックである。
【0047】
ブロックコポリマーの幾つかの製造方法がある。そのようなコポリマーのいくつかの製造方法が以下に提供される。
【0048】
例えばSchmolka,J.Am.Oil Chem.Soc.1977,54,110;又は或いはまたWilczek-Veraet et al.,Macromolecules 1996,29,4036によって記載されているように2つのモノマーの順次添加のアニオン重合を用いることが例えば可能である。用いることができる別の方法は、例えばKatayose and Kataoka,Proc.Intern.Symp.Control.Rel.Bioact.Materials,1996,23,899に記載されているように別のブロックポリマーの末端のそれぞれにおいてブロックポリマーの重合を開始させることに存する。
【0049】
本発明との関連で、Quirk and Lee(Polymer International 27,359(1992))によって定義されているようなリビング又は制御重合を用いることが推奨される。実際に、この特定の方法は、狭い分散度のポリマーを調製することを可能にし、ここで、ブロックの組成物の長さは、化学量論及び転化率によって制御される。このタイプの重合との関連で、例えば:
- 出願国際公開第98/58974号パンフレット及び米国特許第6,153,705号明細書の教示に従ってザンテートによって制御されるフリーラジカル重合、
- 出願国際公開第98/01478号パンフレットの教示に従ってジチオエステルによって制御されるフリーラジカル重合、
- 出願国際公開第99/35178号パンフレットの教示に従ってジチオエステルによって制御されるフリーラジカル重合、
- 出願国際公開第99/35177号パンフレットの教示に従ってジチオカルバメートによって制御されるフリーラジカル重合、
- 出願国際公開第99/03894号パンフレットの教示に従ってニトロオキシド前駆体を使用するフリー重合、
- 出願国際公開第99/31144号パンフレットの教示に従ってジチオカルバメートによって制御されるフリーラジカル重合、
- 出願国際公開第02/26836号パンフレットの教示に従ってジチオカルバゼートによって制御されるフリーラジカル重合、
- 出願国際公開第00/75207号パンフレット及び米国特許出願第09/980,387号明細書の教示に従ってハロゲン化ザンテートによって制御されるフリーラジカル重合、
- 出願国際公開第02/10223号パンフレットの教示に従ってジチオホスホロエステルによって制御されるフリーラジカル重合、
- 出願国際公開第02/22688号パンフレットの教示に従って二硫黄化合物の存在下で移動剤によって制御されるフリーラジカル重合、
- 出願国際公開第96/30421号パンフレットの教示に従った原子移動ラジカル重合(ATRP)、
- Otu et al.,Makromol.Chem.Rapid.Commun.,3,127(1982)の教示に従ってイニファーターによって制御されるフリーラジカル重合、
- Tatemoto et al.,Jap.50,127,991(1975)、ダイキン工業株式会社 日本、及びMatyjaszewski et al.,Macromolecules,28,2093(1995)の教示に従ってヨウ素の交換移動(degenerative transfer)によって制御されるフリーラジカル重合、
- “Encyclopedia of Polymer Science and Engineering”,Vol.7,H.F.Mark,N.M.Bikales,C.G.Overberger and G.Menges編、Wiley Interscience,New York,1987における、Webster O.W.,“Group Transfer Polymerization”,p.580-588の教示に従って基移動重合、
- テトラフェニルエタン誘導体によって制御されるラジカル重合(D.Braun et al.,Macromol.Symp.,111,63(1996))、
- 有機コバルト錯体によって制御されるラジカル重合(Wayland et al.,J.Am.Chem.Soc.,116,7973(1994))
などの任意のいわゆるリビング又は制御重合法によって得ることができるコポリマーが特に推奨される。
【0050】
好ましいプロセスは、移動剤の使用を伴う、リビングフリーラジカル重合プロセスを配列されている。好ましい移動剤は、式-S-C(S)-Y-、-S-C(S)-S-、又は-S-P(S)-Y-、又は-S-P(S)-S-(ここで、Yは、酸素原子、窒素原子、及び炭素原子などの、硫黄とは異なる原子である)の基を含む試剤である。それらには、ジチオエステル基、チオエステル-チオン基、ジチオカルバメート基、ジチホスホロオエステル、ジチオカルバゼート、及びザンテート基が含まれる。好ましい移動剤中に含まれる基の例としては、式-S-C(S)-NR-NR’2、-S-C(S)-NR-N=CR’2、-S-C(S)-O-R、-S-C(S)-CR=CR’2、及び-S-C(S)-X(ここで、R及びR’は、水素原子であるか、又は同一の若しくは異なる、任意選択的に置換された、任意選択的にヘテロ原子を含むヒドロカルビル基などの有機基であり、Xはハロゲン原子である)の基が挙げられる。好ましい重合プロセスは、ザンテートを使用するリビングラジカル重合である。
【0051】
リビング又は制御フリーラジカル重合プロセスによって得られるコポリマーは、ポリマー鎖の末端に少なくとも1つの移動剤基を含み得る。特定の実施形態では、そのような基は、除去されるか又は不活性化される。
【0052】
ブロックコポリマーを製造するために用いられる「リビング」又は「制御」ラジカル重合プロセスは、
a)モノ-アルファエチレン性不飽和モノマー、少なくともフリーラジカル源化合物、及び移動剤を反応させて、第1ブロックを得る工程であって、移動剤が前記第1ブロックに結合する工程と、
b1)第1ブロック、別のモノ-アルファエチレン性不飽和モノマー、及び、任意選択的に、少なくともラジカル源化合物を反応させて、ジブロックコポリマーを得る工程と、
b2)任意選択的に、工程b1)をn回(nは0以上である)繰り返して(n-2)-ブロックコポリマーを得る工程と、次いで
c)任意選択的に、移動剤を、それを不活性にするための手段と反応させる工程と
を含む。
【0053】
例えば、ジブロックコポリマーを製造するために用いられる「リビング」又は「制御」ラジカル重合プロセスは、
a)モノ-アルファエチレン性不飽和モノマー、少なくともフリーラジカル源化合物、及び移動剤を反応させて、第1ブロックを得る工程であって、移動剤が前記第1ブロックに結合する工程と、
b)第1ブロック、別のモノ-アルファエチレン性不飽和モノマー、及び、任意選択的に、少なくともラジカル源化合物を反応させて、ジブロックコポリマーを得る工程と、次いで
c)任意選択的に、移動剤を、それを不活性にするための手段と反応させる工程と
を含む。
【0054】
工程a)中に、ポリマーの第1ブロックが合成される。工程b)、b1)、又はb2)中に、ポリマーの別のブロックが合成される。
【0055】
移動剤の例は、以下の式(I):
(式中:
・ Rは、R2O-、R2R’2N-又はR3-基を表し、同一であるか若しくは異なる、R2及びR’2は、(i)アルキル、アシル、アリール、アルケン若しくはアルキン基又は(ii)任意選択的に芳香族の、飽和若しくは不飽和の炭素環又は(iii)飽和若しくは不飽和複素環を表し、これらの基及び環(i)、(ii)及び(iii)が置換されていることが可能であり、R3は、H、Cl、アルキル、アリール、アルケン若しくはアルキン基、任意選択的に置換された、飽和若しくは不飽和(複素)環、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルボキシル、アシルオキシ、カルバモイル、シアノ、ジアルキル-若しくはジアリールホスホナト、又はジアルキル-若しくはジアリールホスフィナト基、又はポリマー鎖を表し、
・ R1は、(i)任意選択的に置換されたアルキル、アシル、アリール、アルケン若しくはアルキン基又は(ii)飽和若しくは不飽和であり、及び任意選択的に置換されている又は芳香族である炭素環或いは(iii)任意選択的に置換された、飽和若しくは不飽和複素環又はポリマー鎖を表し、
・ R1、R2、R’2及びR3基は、置換されたフェニル若しくはアルキル基、置換芳香族基又は以下の基:オキソ、アルコキシカルボニル若しくはアリールオキシカルボニル(-COOR)、カルボキシル(-COOH)、アシルオキシ(-O2CR)、カルバモイル(-CONR2)、シアノ(-CN)、アルキルカルボニル、アルキルアリールカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、イソシアナト、フタルイミド、マレイミド、スクシンイミド、アミジノ、グアニジノ、ヒドロキシル(-OH)、アミノ(-NR2)、ハロゲン、アリル、エポキシ、アルコキシ(-OR)、S-アルキル、S-アリール又はシリル基、親水性若しくはイオン性を示す基、例えばカルボン酸のアルカリ性塩若しくはスルホン酸のアルカリ性塩、ポリ(アルキレンオキシド)(PEO、PPO)鎖、又はカチオン性置換基(第四級アンモニウム塩)によって置換されることができ、Rはアルキル若しくはアリール基を表す)
の移動剤である。
【0056】
好ましくは、式(I)の移動剤は、以下の式(IA)、(IB)及び(IC):
(式中、
・ R2及びR2’は、(i)アルキル、アシル、アリール、アルケン若しくはアルキン基又は(ii)任意選択的に芳香族の、飽和若しくは不飽和の炭素環又は(iii)飽和若しくは不飽和の複素環を表し、これらの基並びに環(i)、(ii)及び(iii)が置換されていることが可能であり、
・ R1及びR1’は、(i)任意選択的に置換されたアルキル、アシル、アリール、アルケン若しくはアルキン基又は(ii)飽和若しくは不飽和であり、及び任意選択的に置換されているか若しくは芳香族である炭素環又は(iii)任意選択的に置換された、飽和若しくは不飽和の複素環若しくはポリマー鎖を表し、
・ pは2~10である)
の化合物から選択されるジチオカーボネートである。
【0057】
ブロックコポリマーの平均分子量は、好ましくは1000~10000g/モルに含まれる。それは、より好ましくは2000~20000g/モルに含まれる。これらの範囲内で、各ブロックの重量比は変わり得る。しかしながら、各ブロックが500g/モル超、好ましくは1000g/モル超の分子量を有することが好ましい。これらの範囲内で、コポリマー中のブロックAの重量比は、好ましくは50%以上である。それは、好ましくは、90%~70%に含まれる。
【0058】
添付の実施例に相当する興味ある実施形態によれば、本発明の組成物C中に存在するブロックコポリマーは、Solvay社から入手可能なRhodibloc(登録商標)RSである。
【0059】
本発明に従って安定させられるエマルジョン
本発明の組成物Cを含むエマルジョンは、水相、及び疎水性相を含み、1つが、液滴の形態で、別の中に分散している。典型的には、水相が疎水性相中に分散させられる。
【0060】
組成物(C)に加えて、エマルジョンは、追加の共乳化剤を含有し得る。その場合に、共乳化剤は、例えば、ソルビタンモノオレエート、エトキシル化ソルビタンモノオレエート、及び/又はエトキシル化アルコールなどの、任意の通常の乳化剤であり得る。より一般的には、エマルジョンは、ソルビタンエステル、エトキシル化アルコール、エトキシル化アルキルファノール、及びエトキシル化ヒマシ油からなる群から選択される、10以下のHLBを好ましくは有する、追加の共乳化剤を含有し得る。そのような界面活性剤の例としては:
ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサステアレート、ラクチル化モノ-及びジグリセリドオフファット(offat)形成脂肪酸、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪形成脂肪酸のモノ-及びジグリセリド、食用脂肪のグリセロール分解からのモノ-及びジグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノステアレート、エチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンソルビトール4.5オレエート、グリセロールモノステアレート、ソルビタン部分脂肪エステル、高分子量脂肪アミンブレンド、ジエチレングリコール脂肪酸エステルポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール蜜ろう誘導体、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ジエチレングリコールモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレエートポリオキシエチレンエステル混合脂肪酸及び樹脂酸ブレンド、ポリオキシプロピレンマンニトールジオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールラノリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、米国特許第8,357,724B2号明細書の混合脂肪酸及び樹脂酸のポリオキシエチレンソルビトールエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸、ポリオキシエチレンソルビトールオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビトール獣脂エステル、ポリオキシエチレンソルビトールトールオイル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートが挙げられる。
【0061】
水相は、水をベースとし、いくつかのさらなる成分、典型的には、PAMなどの高分子電解質を含み得る。
【0062】
疎水性相は、水相と混和性ではない。それは油相と言われることが多い。「混和性ではない」とは、疎水性相の成分又は成分の混合物が、20℃とエマルジョン調製温度又はエマルジョン使用温度との間に含まれる温度で、好ましくは10重量%以下水に可溶性であることを意味する。
【0063】
好適な疎水性相には、
- 例えば化粧品の分野において使用される、有機油、植物油、鉱油、ワックス、
- 飽和若しくは不飽和脂肪酸、飽和若しくは不飽和脂肪酸エステル、飽和若しくは不飽和脂肪アルコール、
- 例えば金属を潤滑するために、金属を加工するために使用される、又は金属脱脂から回収される、工業潤滑油若しくはグリース、
- 植物油、とりわけリサイクル植物油、
- シリコーンオイル、
- ディーゼル及び灯油カットバック
- エッセンシャルオイル、及び
- 農薬化合物
が含まれる。
【0064】
本発明に従って安定させられるエマルジョンは、有利には、それらの水性分散相中に、高分子電解質、例えばPAMを含有する逆エマルジョンである。そのようなエマルジョン内に存在する高分子電解質(典型的には、所与の分子量及び電荷のPAMホモポリマー及び/又はコポリマー)の正確な性質に依存して、エマルジョンは、とりわけ下記:
- 水処理;
- 製紙;
- 爆薬、
- 石油抽出、
- 採鉱、
- 織物
などの、幾つかの用途であって、
- エマルジョン内に存在する高分子電解質が、例えば凝集剤;凝固剤;増粘剤、超吸収剤、及び/又は土壌改良剤として働き得る場合に、それらの用途向けに使用され得る。
【0065】
以下の実施例は、本発明の非限定的な実施形態及び式(I)の化合物に関する利点を例示する。
【実施例
【0066】
エマルジョンの総重量を基準として重量%単位で、
- 70%のNaCl 2Mの水溶液と;
- 28%のオイル(Hydroseal G232H)と;
- 2%の、本明細書では「乳化剤組成物」と言われ、アルカノールアミド乳化剤及びコポリマー(量は、エマルジョンの総重量を基準とする活性物質の重量である)を含む、下の表1に記載される組成物C1~C3のうちの1つと
を含む、幾つかのエマルジョンを調製した。
【0067】
エマルジョンは、乳化剤組成物(それぞれ、C1~C3)の性質によってのみ互いに異なる。エマルジョンは全て、同じ以下の条件で調製した:
- 各場合に、考慮される乳化剤組成物を、先ず、25℃でオイルと混合し;
- 次いで、NaClの水溶液を、結果として生じた混合物に添加し;
- NaClの水溶液の添加後に5分間13,500rpmでUltra Turrax下で撹拌することによって乳化を行った。
【0068】
【0069】
乳化後に(t=0で)各エマルジョンを観察した。合体又はフロックは全く観察されなかった。
【0070】
さらに、エマルジョンの液滴の平均径D50の及びオイルスプリット比の進化を25℃での貯蔵にわたって観察した、得られた結果を下の表2及び3に報告する。
【0071】
【0072】
【国際調査報告】