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特表2022-522559コーティングされたリチウムイオン再充電可能電池活物質
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(54)【発明の名称】コーティングされたリチウムイオン再充電可能電池活物質
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/58 20100101AFI20220413BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20220413BHJP
   H01M 10/0525 20100101ALI20220413BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20220413BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20220413BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20220413BHJP
【FI】
H01M4/58
H01M4/36 C
H01M10/0525
H01M10/0566
H01M10/058
H01M10/0569
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021512278
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(85)【翻訳文提出日】2021-04-01
(86)【国際出願番号】 US2019048768
(87)【国際公開番号】W WO2020047228
(87)【国際公開日】2020-03-05
(31)【優先権主張番号】62/725,060
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513138072
【氏名又は名称】ハイドロ-ケベック
(71)【出願人】
【識別番号】521083027
【氏名又は名称】ガバメント オブ ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ, アズ レプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー オブ ジ アーミー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ドンチャン
(72)【発明者】
【氏名】フォラン, アメリ
(72)【発明者】
【氏名】ジェルフィ, アブデルバスト
(72)【発明者】
【氏名】ザジブ, カリム
(72)【発明者】
【氏名】アレン, ジャン エル.
(72)【発明者】
【氏名】デルプ, サミュエル エー. ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】ジョー, ティー. リチャード
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AK01
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL12
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029CJ03
5H029HJ00
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ14
5H029HJ15
5H050AA07
5H050BA17
5H050CA01
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB12
5H050DA09
5H050EA01
5H050EA08
5H050EA12
5H050EA15
5H050GA02
5H050GA03
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA14
5H050HA15
5H050HA20
(57)【要約】
本開示は、一般化学式A(XO(式中、Aはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Mはコバルトを含み、Eは電気化学的に非活性な金属、ホウ素族元素、もしくはケイ素、またはこれらの任意の合金もしくは組合せであり、Xは、リンもしくは硫黄またはこれらの組合せであり、0<x≦1、y>0、z≧0、q>0であり、x、y、z、およびqの相対値は、一般化学式が電荷平衡にあるような値である)を有する活物質を含む、コーティングされた正極活物質の粒子を提供する。コーティングされた正極活物質の粒子は、Al、ZrO、TiO、ZnO、B、MgO、La、LiF、およびこれらの任意の組合せ、またはLiMPO(式中、MはFe、Cr、Mn、Ni、V、またはこれらの任意の合金もしくは組合せである)を含むコーティングも含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般化学式A(XOおよび結晶構造を有する活物質であって、式中、Aはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Mはコバルト(Co)を含み、Eは前記結晶構造内でAと同じ構造位置に位置付けられかつ電気化学的に非活性な金属、ホウ素族元素、もしくはケイ素(Si)、またはこれらの任意の合金もしくは組合せであり、Xは、リン(P)もしくは硫黄(S)またはこれらの組合せであり、0<x≦1、y>0、z≧0、q>0であり、x、y、z、およびqの相対値は、前記一般化学式が電荷平衡にあるような活物質と、
Al、ZrO、TiO、ZnO、B、MgO、La、LiF、およびこれらの任意の組合せ、またはLiMPO(式中、Mは、Fe、Cr、Mn、Ni、V、またはこれらの任意の合金もしくは組合せである)を含むコーティングと
を含む、コーティングされた正極活物質の粒子。
【請求項2】
Aがリチウム(Li)である、請求項1に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項3】
Mが、少なくとも1種のその他の電気化学的に活性な金属との合金または組合せにおいてコバルト(Co)をさらに含む、請求項1に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項4】
前記少なくとも1種のその他の電気化学的活物質が、鉄(Fe)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、またはチタン(Ti)を含む、請求項3に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項5】
Mが、CoとFeとの組合せである、請求項3に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項6】
Mが、CoとCrとの組合せである、請求項3に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項7】
Mが、Co、Fe、およびCrの組合せである、請求項3に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項8】
z>0である、請求項1に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項9】
EがSiである、請求項8に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項10】
Eが、電気化学的に非活性な金属である、請求項8に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項11】
前記電気化学的に非活性な金属が、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、もしくはストロンチウム(Sr)、もしくは亜鉛(Zn)、スカンジウム(Sc)、もしくはランタン(La)、またはこれらの任意の合金もしくは組合せである、請求項10に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項12】
Eが、ホウ素族元素である、請求項8に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項13】
前記ホウ素族元素が、アルミニウム(Al)もしくはガリウム(Ga)またはこれらの組合せである、請求項12に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項14】
XがPである、請求項1に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項15】
XがSである、請求項1に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項16】
XがSiである、請求項1に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項17】
LiMPOが、炭素層を含む、請求項1に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項18】
前記活物質と前記コーティングとの間に炭素層をさらに含む、請求項1に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項19】
前記炭素層が、前記活物質と一体的に形成されている、請求項18に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項20】
前記コーティングが、前記コーティングされた粒子の0.1wt%から20wt%の間(これらの値を含む)である、請求項1に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項21】
前記活物質が、アトライタで混合された活物質である、請求項1に記載のコーティングされた正極活物質。
【請求項22】
活物質をコーティングする方法であって、
コーティング前駆体溶液を、活物質の粒子に付与するステップと、
前記活物質の粒子を、前記コーティング前駆体溶液と共に300℃から600℃の間に加熱するステップであって、前記活物質上にコーティングを形成するステップと
を含み、
前記活物質が、一般化学式Li(XOおよび結晶構造を有し、式中、Mはコバルト(Co)を含み、Eは前記結晶構造内でAと同じ構造位置に位置付けられかつ電気化学的に非活性な金属、ホウ素族元素、もしくはケイ素(Si)、またはこれらの任意の合金もしくは組合せであり、Xは、リン(P)もしくは硫黄(S)またはこれらの組合せであり、0<x≦1、y>0、z≧0、q>0であり、x、y、z、およびqの相対値は、前記一般化学式が電荷平衡にあるような値であり、前記コーティング前駆体溶液は、Al、ZrO、TiO、ZnO、B、MgO、La、LiF、およびこれらの任意の組合せ、またはLiMPOコーティング前駆体粒子(式中、Mは、Fe、Cr、Mn、Ni、V、またはこれらの任意の合金もしくは組合せである)を形成するよう操作可能なコーティング前駆体を含む、方法。
【請求項23】
コーティング前駆体溶液を付与するステップが、前記コーティング前駆体および前記活物質の粒子を噴霧乾燥することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
噴霧乾燥することが、
前記コーティング前駆体溶液および前記活物質の粒子を混合して噴霧乾燥溶液を形成すること、および
前記噴霧乾燥溶液を噴霧乾燥すること
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記コーティング前駆体溶液を付与するステップが、
前記活物質の粒子を前記コーティング前駆体溶液に添加すること、
前記溶液を、70℃から90℃の間(これらの値を含む)の水熱コーティング温度で維持すること、および
前記溶液を乾燥すること
を含む水熱法を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記溶液を、10時間から30時間の間(これらの値を含む)の時間、前記水熱法のコーティング温度で維持することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記コーティング前駆体溶液が水性溶媒を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記コーティング前駆体溶液が非水性溶媒を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記コーティング前駆体溶液が、溶媒およびコーティング前駆体溶質を、99.9:0.1から90:10の間の溶媒:溶質比で含む、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記コーティング前駆体が、金属またはホウ素塩を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記金属またはホウ素塩が有機塩を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
加熱するステップが、3~5時間の持続時間にわたり行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
活物質をコーティングする方法であって、
コーティング前駆体粒子を活物質の粒子と合わせて乾燥未処理混合物を形成するステップと、
前記乾燥混合物を、8,000rpmから15,000rpmの間(これらの値を含む)の高速混合に供するステップと
を含み、
前記活物質が、一般化学式A(XOおよび結晶構造を有し、式中、Aはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Mはコバルト(Co)を含み、Eは前記結晶構造内でAと同じ構造位置に位置付けられかつ電気化学的に非活性な金属、ホウ素族元素、もしくはケイ素(Si)、またはこれらの任意の合金もしくは組合せであり、Xは、リン(P)もしくは硫黄(S)またはこれらの組合せであり、0<x≦1、y>0、z≧0、q>0であり、x、y、z、およびqの相対値は、前記一般化学式が電荷平衡にあるような値であり、前記コーティング前駆体粒子は、LiMPO(式中、Mは、Fe、Cr、Mn、Ni、V、またはこれらの任意の合金もしくは組合せである)を含む、方法。
【請求項34】
高速混合が、5分から15分の間(これらの値を含む)の時間、行われる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
Mがリチウム(Li)である、請求項22または請求項33に記載の方法。
【請求項36】
Mが、少なくとも1種のその他の電気化学的に活性な金属との合金または組合せにおいてコバルト(Co)をさらに含む、請求項22または請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1種のその他の電気化学的活物質が、鉄(Fe)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、またはチタン(Ti)を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
Mが、CoとFeとの組合せである、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
Mが、CoとCrとの組合せである、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
Mが、Co、Fe、およびCrの組合せである、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
z>0である、請求項22または請求項33に記載の方法。
【請求項42】
EがSiである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
Eが電気化学的に非活性な金属である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記電気化学的に非活性な金属が、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、もしくはストロンチウム(Sr)、もしくは亜鉛(Zn)、スカンジウム(Sc)、もしくはランタン(La)、またはこれらの任意の合金もしくは組合せである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
Eがホウ素族元素である、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記ホウ素族元素が、アルミニウム(Al)もしくはガリウム(Ga)またはこれらの組合せである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
XがPである、請求項33に記載の方法。
【請求項48】
XがSである、請求項33に記載の方法。
【請求項49】
XがSiである、請求項33に記載の方法。
【請求項50】
LiMPOが炭素層を含む、請求項22または請求項33に記載の方法。
【請求項51】
前記活物質と前記コーティングとの間に炭素層をさらに含む、請求項22または請求項33に記載の方法。
【請求項52】
前記炭素層が、前記活物質と一体的に形成されている、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記コーティングが、コーティングされた粒子の0.1wt%から20wt%の間(これらの値を含む)である、請求項22または請求項33に記載の方法。
【請求項54】
前記活物質を形成するためのアトライタ混合法をさらに含み、前記アトライタ混合法が、
前記活物質の前駆体のアトライタ混合を行って、平均サイズを有する活物質前駆体粒子を形成すること、および
化学量論量の前記活物質前駆体を、少なくとも前記活物質が形成される温度で少なくとも前記活物質が形成される持続時間にわたり加熱すること
を含む、請求項22または請求項33に記載の方法。
【請求項55】
前記活物質前駆体が、少なくとも1種の水酸化物、アルカリ金属ホスフェートまたはアルカリ土類金属ホスフェート、非金属ホスフェート、金属酸化物、アセテート、オキサレート、またはカーボネートを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記水酸化物が、LiOH、Co(OH)、Al(OH)の少なくとも1種を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記アルカリ金属ホスフェートが、LiHPOまたはLiHPOの少なくとも1種を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記非金属ホスフェートが、NHPOまたは(NHHPOの少なくとも1種を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記金属酸化物が、Cr、CaO、MgO、SrO、Al、Ga、TiO、ZnO、Sc、La、またはZrOの少なくとも1種を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
前記アセテートがSi(OOCCHを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
前記オキサレートが、FeC、NiC、またはCoCを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項62】
前記カーボネートが、LiCO、MnCO、CoCO、またはNiCOを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項63】
アトライタ混合することが、ボールおよび前記活物質前駆体を、設定されたw:w比でアトライタ内に入れることを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項64】
アトライタ混合することが、アトライタの容器の全容積の75%以下である、ボールおよび活物質前駆体の全体積を、アトライタ容器に入れることを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項65】
アトライタ混合することが、粒径の平坦域に達するまで行われる、請求項54に記載の方法。
【請求項66】
アトライタ混合することが、粒径の平坦域に達する持続時間よりも10%を超えて長い間行われない、請求項54に記載の方法。
【請求項67】
アトライタ混合することが、活物質の収率平坦域の収率をもたらすに十分な持続時間にわたり行われる、請求項54に記載の方法。
【請求項68】
アトライタ混合することが、活物質の収率平坦域の収率をもたらすに十分な持続時間よりも10%を超えて長い間行われない、請求項54に記載の方法。
【請求項69】
アトライタ混合することが、活物質の容量平坦域をもたらすに十分な持続時間にわたり行われる、請求項54に記載の方法。
【請求項70】
アトライタ混合することが、活物質の容量平坦域をもたらすに十分な持続時間よりも10%を超えて長い間行われない、請求項54に記載の方法。
【請求項71】
アトライタ混合することが、10時間から12時間の間(これらの値を含む)の混合持続時間にわたり行われる、請求項54に記載の方法。
【請求項72】
前記活物質前駆体粒子が、1μmから700μmの間(これらの値を含む)の平均粒径を有する、請求項54に記載の方法。
【請求項73】
前記活物質前駆体粒子を濾過して、設定されたサイズを超える粒子を除去することをさらに含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
AがLiであり、MがCoまたはCo合金もしくは組合せであり、XがPであり、温度が600℃から800℃の間(これらの値を含む)である、請求項54に記載の方法。
【請求項75】
加熱することが、6時間から24時間の間(これらの値を含む)の加熱持続時間にわたり行われる、請求項54に記載の方法。
【請求項76】
少なくとも95%から99.9%の間の収率を有する、請求項54に記載の方法。
【請求項77】
前記活物質が、95%から99.9%の間の純度を有する、請求項54に記載の方法。
【請求項78】
液体およびアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含む電解質、
前記電解質に接触する表面を含む負極であって、負極活物質を含む負極、
前記電解質に接触する表面を含む正極であって、請求項1から18のいずれか一項のまたは請求項19から70のいずれか一項により調製される正極活物質を含む正極、
前記正極と前記負極との間の電子絶縁セパレータ、
前記電解質、電極、およびセパレータを取り囲むケーシング
を含む、アルカリ金属またはアルカリ土類金属再充電可能電池。
【請求項79】
前記電解質に接触する前記電極表面の少なくとも一部に、圧力を加えるよう動作可能な圧力印加システムをさらに含む、請求項78に記載の電池。
【請求項80】
前記圧力印加システムが、前記電池の内部にある封止材および圧力印加構造を含む、請求項79に記載の電池。
【請求項81】
前記圧力印加構造が、プレートおよびクランプまたはネジを含む、請求項79に記載の電池。
【請求項82】
前記圧力印加構造が、圧力ブラダを含む、請求項79に記載の電池。
【請求項83】
気体転移領域をさらに含む、請求項79に記載の電池。
【請求項84】
前記圧力印加構造が、前記電解質に接触する前記電極の前記表面の少なくとも90%に圧力を加える、請求項79に記載の電池。
【請求項85】
前記圧力印加構造によって加えられる圧力が、前記圧力が加えられた任意の点同士で5%を超えて変化しない、請求項79に記載の電池。
【請求項86】
前記圧力印加構造によって加えられる前記圧力が、50psiから90psiの間である、請求項79に記載の電池。
【請求項87】
前記圧力印加構造によって加えられる前記圧力が、70psiと75psiとの間である、請求項79に記載の電池。
【請求項88】
前記電解質が有機液体を含む、請求項79に記載の電池。
【請求項89】
前記有機液体が有機カーボネートを含む、請求項88に記載の電池。
【請求項90】
前記有機カーボネートが、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項89に記載の電池。
【請求項91】
前記電解質がリチウム塩を含む、請求項79に記載の電池。
【請求項92】
前記リチウム塩が、LiPF、LiBF、リチウムビスオキサラトボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサラトボレート(LiDFOB)、およびリチウムトリフルオロスルホニルイミド(LiTFSI)、過塩素酸リチウム(LiClO)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項91に記載の電池。
【請求項93】
前記電解質がイオン性液体を含む、請求項79に記載の電池。
【請求項94】
前記イオン性液体が、窒素(N)ベースのイオン性液体を含む、請求項93に記載の電池。
【請求項95】
前記Nベースのイオン性液体が、アンモニウムイオン性液体を含む、請求項94に記載の電池。
【請求項96】
前記アンモニウムイオン性液体が、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムを含む、請求項95に記載の電池。
【請求項97】
前記Nベースのイオン性液体が、イミダゾリウムイオン性液体を含む、請求項94に記載の電池。
【請求項98】
前記イミダゾリウムイオン性液体が、エチルメチルイミダゾリウム(EMIm)、メチルプロピルイミダゾリウム(PMIm)、ブチルメチルイミダゾリウム(BMIm)、もしくは1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項97に記載の電池。
【請求項99】
前記Nベースのイオン性液体が、ピペリジニウムイオン性液体を含む、請求項94に記載の電池。
【請求項100】
前記ピペリジニウムイオン性液体が、エチルメチルピペリジニウム(EMPip)、メチルプロピルピペリジニウム(PMPip)、もしくはブチルメチルピペリジニウム(BMPip)、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項99に記載の電池。
【請求項101】
前記Nベースのイオン性液体が、ピロリジニウムイオン性液体を含む、請求項94に記載の電池。
【請求項102】
前記ピロリジニウムイオン性液体が、エチルメチルピロリジニウム(EMPyr)、メチルプロピルピロリジニウム(PMPyr)、もしくはブチルメチルピロリジニウム(BMPyr)、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項101に記載の電池。
【請求項103】
前記イオン性液体が、リン(P)ベースのイオン性液体を含む、請求項93に記載の電池。
【請求項104】
前記Pベースのイオン性液体が、ホスホニウムイオン性液体を含む、請求項103に記載の電池。
【請求項105】
前記ホスホニウムイオン性液体が、PRR’ホスホニウム(式中、Rはブチル、ヘキシル、またはシクロヘキシルであり、R’はメチルまたは(CH13CH、またはトリブチル(メチル)ホスホニウムトシレート、またはこれらの任意の組合せである)を含む、請求項104に記載の電池。
【請求項106】
前記アルカリ金属塩が、LiFNO、LiCFSO、LiNSO(F、LiNSO(FCF、LiCNO、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項93に記載の電池。
【請求項107】
前記負極活物質が、金属、炭素、チタン酸リチウムもしくはナトリウムもしくはニオブ酸リチウムもしくはナトリウム、またはリチウムもしくはナトリウム合金を含む、請求項79に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、米国特許法第119条e項(35 U.S.C. §119(e))の下、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる「コーティングされたリチウムイオン再充電可能電池活物質(COATED LITHIUM ION RECHARGEABLE BATTERY ACTIVE MATERIALS)」という名称の2018年8月30日に出願された米国仮特許出願第62/725,060号に基づく優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本開示は、コーティングされたリチウムイオン再充電可能電池正極活物質、そのような物質を製造する方法、およびそのような物質を含有するリチウムイオン再充電可能電池に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
多くの再充電可能な電池は、有機液体電解質を含有する。有機液体電解質は、様々な電圧で動作することができ、その他の利点を有する。しかしながら、有機液体電解質は、ある特定の正極活物質と反応することができ、電池内に気体を発生させる。気体は、電池構造を妨げることによって電池に問題を引き起こし、しばしば、充放電サイクル数の増加と共に電池容量の低下をもたらし(容量フェード)または電池が全く動作できなくなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
本開示は、一般化学式A(XOおよび結晶構造を有する活物質を含む、コーティングされた正極活物質の粒子を提供し、式中、Aはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Mはコバルト(Co)を含み、Eは結晶構造内でAと同じ構造位置に位置付けられかつ電気化学的に非活性な金属、ホウ素族元素、もしくはケイ素(Si)、またはこれらの任意の合金もしくは組合せであり、Xは、リン(P)、硫黄(S)、もしくはケイ素(Si)、またはこれらの組合せであり、0<x≦1、y>0、z≧0、q>0であり、x、y、z、およびqの相対値は、一般化学式が電荷平衡にあるような値である。コーティングされた正極活物質の粒子は、Al、ZrO、TiO、ZnO、B、MgO、La、LiF、およびこれらの任意の組合せ、またはLiMPO(式中、Mは、Fe、Cr、Mn、Ni、V、またはこれらの任意の合金もしくは組合せである)を含む、コーティングも含む。
【0005】
上記コーティングされた正極活物質の粒子は、明らかに相互に排他的でない限り、特定の実施例を含む、互いにまたは本明細書の記述の任意のその他の部分と組み合わされてもよい下記の追加の特徴:
i) Aはリチウム(Li)であってもよく;
ii) Mはさらに、少なくとも1種のその他の電気化学的に活性な金属との合金または組合せにおいてコバルト(Co)を含んでいてもよく;
iii-a) 少なくとも1種のその他の電気化学的活物質は、鉄(Fe)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、またはチタン(Ti)を含んでいてもよく;
iii-b) Mは、CoおよびFeの組合せであってもよく;
iii-c) Mは、CoおよびCrの組合せであってもよく;
iii-d) Mは、Co、Fe、およびCrの組合せであってもよく;
iv) zは、0より大きくてもよく;
iv-a) EはSiであってもよく;
iv-b) Eは、電気化学的に非活性な金属であってもよく;
iv-b-1) 電気化学的に非活性な金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、もしくはストロンチウム(Sr)、もしくは亜鉛(Zn)、スカンジウム(Sc)、もしくはランタン(La)、またはこれらの任意の合金または組合せであってもよい。
iv-c) Eは、ホウ素族元素であってもよい。
iv-c-1) ホウ素族元素は、アルミニウム(Al)もしくはガリウム(Ga)またはこれらの組合せであってもよく;
v) LiMPOは炭素層を含んでいてもよく;
vi) コーティングされた正極活物質はさらに、活物質とコーティングとの間に炭素層を含んでいてもよく;
vi-a) 炭素層は、活物質と一体的に形成されていてもよく;
vii) コーティングは、コーティングされた粒子の0.1wt%から20wt%の間であってもよくかつこれらの値を含んでいてもよく;
viii) 活物質は、アトライタで混合された(attritor-mixed)活物質であってもよい
の1つまたはそれよりも多くによってさらに特徴付けられてもよい。
【0006】
本開示は、活物質をコーティングする第1の方法であって、活物質の粒子にコーティング前駆体溶液を付与するステップと、活物質の粒子を、コーティング前駆体溶液と共に300℃から600℃の間に加熱して、活物質上にコーティングを形成するステップとによる方法も提供する。活物質は、一般化学式Li(XOおよび結晶構造を有していてもよく、式中、Aはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Mはコバルト(Co)を含み、Eは、結晶構造内でAと同じ構造位置に位置付けられかつ電気化学的に非活性な金属、ホウ素族元素、もしくはケイ素(Si)、またはこれらの任意の合金もしくは組合せであり、Xは、リン(P)、硫黄(S)、もしくはケイ素(Si)、またはこれらの組合せであり、0<x≦1、y>0、z≧0、q>0であり、x、y、z、およびqの相対値は、一般化学式が電荷平衡にあるような値であり、コーティング前駆体溶液は、Al、ZrO、TiO、ZnO、B、MgO、La、LiF、およびこれらの任意の組合せ、またはLiMPOコーティング前駆体粒子(式中、Mは、Fe、Cr、Mn、Ni、V、またはこれらの任意の合金または組合せである)を形成するように操作可能なコーティング前駆体を含む。
【0007】
上記第1の方法はさらに、明らかに相互に排他的でない限り、特定の実施例を含む、互いにまたは本明細書の記述のいずれかその他の部分と組み合わされてもよい下記の追加の特徴:
i) コーティング前駆体溶液を付与するステップは、コーティング前駆体および活物質の粒子を噴霧乾燥することを含んでいてもよく;
i-a) 噴霧乾燥することは、コーティング前駆体溶液および活物質の粒子を混合して噴霧乾燥溶液を形成すること、およびこの噴霧乾燥溶液を噴霧乾燥することを含んでいてもよい。
ii) コーティング前駆体溶液を付与するステップは、活物質の粒子をコーティング前駆体溶液に添加すること、溶液を70℃から90℃の間(これらの値を含む)の水熱コーティング温度で維持すること、およびこの溶液を乾燥することを含む、水熱法を含んでいてもよい。
ii-a) 水熱法は、溶液を、10時間から30時間の間(これらの値を含む)の時間、水熱コーティング温度で維持することを含んでいてもよい。
iii) コーティング前駆体溶液は、水性溶媒を含んでいてもよく;
iv) コーティング前駆体溶液は、非水性溶媒を含んでいてもよい。
v) コーティング前駆体溶液は、溶媒およびコーティング前駆体溶質を、99.9:0.1から90:10の間の溶媒:溶質比で含んでいてもよく;
vi) コーティング前駆体は、金属またはホウ素塩を含んでいてもよく;
vi-a) 金属またはホウ素塩は、有機塩を含んでいてもよく;
vii) 加熱するステップは、3~5時間の持続時間にわたり行われてもよい
の1つまたはそれよりも多くによって特徴付けられてもよい。
【0008】
本開示はさらに、活物質をコーティングする第2の方法であって、コーティング前駆体粒子を活物質の粒子と合わせて乾燥未処理混合物を形成するステップと、この乾燥混合物を、8,000rpmから15,000rpmの間(これらの値を含む)の高速混合に供するステップとを含む方法を提供する。活物質は、一般化学式Li(XOおよび結晶構造を有していてもよく、式中、Aはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Mはコバルト(Co)を含み、Eは、結晶構造内でAと同じ構造位置に位置付けられかつ電気化学的に非活性な金属、ホウ素族元素、もしくはケイ素(Si)、またはこれらの任意の合金もしくは組合せであり、Xは、リン(P)もしくは硫黄(S)またはこれらの組合せであり、0<x≦1、y>0、z≧0、q>0であり、x、y、z、およびqの相対値は、一般化学式が電荷平衡にあるような値であり、コーティング前駆体粒子は、LiMPO(式中、Mは、Fe、Cr、Mn、Ni、V、またはこれらの任意の合金もしくは組合せである)を含む。
【0009】
上記第2の方法はさらに、明らかに相互に排他的でない限り、特定の実施例を含む、互いにまたは本明細書の記述の任意のその他の部分と組み合わされてもよい下記の追加の特徴:
i) 高速混合することは、5分から15分の間(これらの値を含む)の時間にわたり行われてもよい、
の1つまたはそれよりも多くによって特徴付けられてもよい。
【0010】
上記第1および第2の方法は共に、さらに、明らかに相互に排他的でない限り、特定の実施例を含む、互いにまたは本明細書の記述の任意のその他の部分と組み合わせてもよい下記の追加の特徴:
i) Aはリチウム(Li)であってもよく;
ii) Mはさらに、少なくとも1種のその他の電気化学的に活性な金属との合金または組合せにおいてコバルト(Co)を含んでいてもよく;
ii-a) 少なくとも1種のその他の電気化学的活物質は、鉄(Fe)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、またはチタン(Ti)を含んでいてもよく;
ii-b) Mは、CoおよびFeの組合せであってもよく;
ii-c) Mは、CoおよびCrの組合せであってもよく;
ii-d) Mは、Co、Fe、およびCrの組合せであってもよく;
iii) zは0であってもよい。
iii-a) EはSiであってもよく;
iii-b) Eは、電気化学的に非活性な金属であってもよく;
iii-b-1) 電気化学的に非活性な金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、もしくはストロンチウム(Sr)、もしくは亜鉛(Zn)、スカンジウム(Sc)、もしくはランタン(La)、またはこれらの任意の合金または組合せであってもよく;
iii-c) Eは、ホウ素族元素であってもよく;
iii-c-1) ホウ素族元素は、アルミニウム(Al)もしくはガリウム(Ga)またはこれらの組合せであってもよく;
iii-d) XはPであってもよい。
iii-e) XはSであってもよい。
iii-f) XはSiであってもよい。
iv) LiMPOは、炭素層を含んでいてもよく;
v) コーティングされた粒子は、活物質とコーティングとの間に炭素層を有していてもよく;
v-a) 炭素層は、活物質と一体的に形成されていてもよく;
vi) コーティングは、コーティングされた粒子の0.1wt%から20wt%の間(これらの値を含む)であってもよく;
vii) 方法はさらに、活物質を形成するアトライタ混合法(attritor-mixing method)を含んでいてもよく、このアトライタ混合法は、活物質の前駆体のアトライタ混合を行って、平均サイズを有する活物質前駆体粒子を形成すること、および化学量論量の活物質前駆体を、少なくとも活物質が形成される温度で少なくとも活物質が形成される持続時間にわたり加熱することを含む。
vii-a) 活物質前駆体は、少なくとも1種の水酸化物、アルカリ金属ホスフェート、非金属ホスフェート、金属酸化物、アセテート、オキサレート、またはカーボネートを含んでいてもよく;
vii-a-1) 水酸化物は、LiOH、Co(OH) Al(OH)の少なくとも1種を含んでいてもよく;
vii-a-2) アルカリ金属ホスフェートは、LiHPOまたはLiHPOの少なくとも1種を含んでいてもよく;
vii-a-3) 非金属ホスフェートは、NHPOまたは(NHHPOの少なくとも1種を含んでいてもよく;
vii-a-4) 金属酸化物は、Cr、CaO、MgO、SrO、Al、Ga、TiO、ZnO、Sc、La、またはZrOの少なくとも1種を含んでいてもよく;
vii-a-5) アセテートは、Si(OOCCHを含んでいてもよく;
vii-a-6) オキサレートは、FeC、NiC、またはCoCを含んでいてもよく;
vii-a-7) カーボネートは、LiCO、MnCO、CoCO、またはNiCOを含んでいてもよく;
vii-b) アトライタ混合することは、ボールおよび活物質前駆体を、設定w:w比でアトライタ内に配置することを含んでいてもよく;
vii-c) アトライタ混合することは、全体積のボールおよび活物質前駆体を、アトライタ容器の全容積の75%以下でアトライタ容器に入れることを含んでいてもよく;
vii-d) アトライタ混合することは、粒径の平坦域に達するまで行ってもよく
vii-e) アトライタ混合することは、粒径の平坦域に達する持続時間よりも10%を超えて長い間、行われなくてもよく;
vii-f) アトライタ混合することは、活物質収率平坦域の収率を得るに十分な持続時間にわたり行ってもよく;
vii-g) アトライタ混合することは、活物質収率平坦域の収率を得るに十分な持続時間よりも10%を超えて長い間、行わなくてもよく;
vii-h) アトライタ混合することは、活物質容量平坦域をもたらすに十分な持続時間にわたり行ってもよく;
vii-i) アトライタ混合することは、活物質容量平坦域をもたらすに十分な持続時間よりも10%を超えて長い間、行わなくてもよく;
vii-j) アトライタ混合することは、10時間から12時間の間(これらの値を含む)の混合持続時間にわたり、行ってもよく;
vii-k) 活物質前駆体粒子は、1μmから700μmの間(これらの値を含む)の平均粒径を有していてもよく;
vii-l) アトライタ混合法は、活物質前駆体粒子を濾過して、設定されたサイズを超える粒子を除去することを含んでいてもよく;
vii-m) AはLiであり、MはCoまたはCo合金または組合せであり、XはPであり、温度は600℃から800℃の間(これらの値を含む)であり;
vii-n) アトライタ混合中の加熱は、6時間から24時間の間(これらの値を含む)の加熱持続時間にわたり行ってもよく;
vii-o) アトライタ混合法は、少なくとも95%から99.9%の間の収率を有していてもよい。
vii-p) 活物質は、95%から99.9%の間の純度を有していてもよい
の1つまたはそれよりも多くによって特徴付けられてもよい。
【0011】
上記方法のいずれかは、明らかに相互に排他的でない限り、上記コーティングされた正極活物質のいずれかを調製するのに使用されてもよい。
【0012】
本開示はさらに、液体およびアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含む電解質、電解質に接触する表面を含みさらに負極活物質を含む負極、電解質に接触する表面を含みさらに上述のまたは本明細書のその他の箇所に記述されあるいは上記方法のいずれかまたは本明細書のその他の箇所に記述される方法に従い調製される任意の正極活物質を含む正極、正極および負極の間にある電子絶縁セパレータ、ならびに電解質、電極、およびセパレータを取り囲むケーシングを含む、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の再充電可能な電池を提供する。
【0013】
上記電池はさらに、明らかに相互に排他的でない限り、特定の実施例を含む、互いにまたは本明細書の記述の任意のその他の部分と組み合わされてもよい、下記の追加の特徴:
i) 電池は、電解質に接触する電極表面の少なくとも一部に圧力を加える圧力印加システムをさらに含んでいてもよく;
i-a) 圧力印加システムは、電池の内部の封止材および圧力印加構造を含んでいてもよく;
i-b) 圧力印加構造は、プレートおよびクランプまたはネジを含んでいてもよく;
i-c) 圧力印加構造は、圧力ブラダを含んでいてもよく;
i-d) 電池はさらに、気体転移領域を含んでいてもよく;
i-e) 圧力印加構造は、電解質に接触する電極の表面の少なくとも90%に圧力を加えてもよく;
i-f) 圧力印加構造によって加えられる圧力は、圧力が加えられた任意の点同士で5%を超えて変化しない可能性があり;
i-g) 圧力印加構造によって加えられる圧力は、50psiから90psiの間であってもよく;
i-h) 圧力印加構造によって加えられる圧力は、70psiと75psiとの間であってもよく;
i-i) 電解質は、有機液体を含んでいてもよく;
i-i-1) 有機液体は、有機カーボネートを含んでいてもよく;
i-i-1-A) 有機カーボネートは、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、またはこれらの任意の組合せを含み;
i-i-2) 電解質は、リチウム塩を含んでいてもよく;
i-i-2-A) リチウム塩は、LiPF、LiBF、リチウムビスオキサラトボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサラトボレート(LiDFOB)、およびリチウムトリフルオロスルホニルイミド(LiTFSI)、過塩素酸リチウム(LiClO)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、またはこれらの任意の組合せを含んでいてもよく;
i-j) 電解質は、イオン性液体を含んでいてもよく;
i-j-1) イオン性液体は、窒素(N)ベースのイオン性液体を含んでいてもよく;
i-j-1-A) Nベースのイオン性液体は、アンモニウムイオン性液体を含んでいてもよく;
i-j-1-A-) アンモニウムイオン性液体は、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムを含んでいてもよく;
i-j-1-B) Nベースのイオン性液体は、イミダゾリウムイオン性液体を含んでいてもよく;
i-j-1-B-) イミダゾリウムイオン性液体は、エチルメチルイミダゾリウム(EMIm)、メチルプロピルイミダゾリウム、(PMIm)、ブチルメチルイミダゾリウム(BMIm)、もしくは1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、またはこれらの任意の組合せを含んでいてもよく;
i-j-1-C) Nベースのイオン性液体は、ピペリジニウムイオン性液体を含んでいてもよく;
i-j-1-C-) ピペリジニウムイオン性液体は、エチルメチルピペリジニウム(EMPip)、メチルプロピルピペリジニウム(PMPip)、もしくはブチルメチルピペリジニウム(BMPip)、またはこれらの任意の組合せを含んでいてもよい。
i-j-1-D) Nベースのイオン性液体は、ピロリジニウムイオン性液体を含んでいてもよく;
i-j-1-D) ピロリジニウムイオン性液体は、エチルメチルピロリジニウム(EMPyr)、メチルプロピルピロリジニウム(PMPyr)、もしくはブチルメチルピロリジニウム(BMPyr)、またはこれらの任意の組合せを含んでいてもよく;
i-j-2) イオン性液体は、リン(P)ベースのイオン性液体を含んでいてもよく;
i-j-2-A) Pベースのイオン性液体は、ホスホニウムイオン性液体を含んでいてもよく;
i-j-2-A-) ホスホニウムイオン性液体は、PRR’ホスホニウム(式中、Rはブチル、ヘキシル、またはシクロヘキシルであり、R’はメチルまたは(CH13CHまたはトリブチル(メチル)ホスホニウムトシレート、またはこれらの任意の組合せである)を含み;
x-j-3) アルカリ金属塩は、LiFNO、LiCFSO、LiNSO(F、LiNSO(FCF、LiCNO、またはこれらの任意の組合せを含んでいてもよい。
ii) 負極活物質は、金属、炭素、チタン酸リチウムもしくはナトリウムまたはニオブ酸リチウムもしくはナトリウム、またはリチウムもしくはナトリウム合金を含んでいてもよい
の1つまたはそれよりも多くによって特徴付けられてもよい。
【0014】
本開示の実施形態はさらに、同様の参照符号は同様の特徴を表している添付される図を参照することによって、理解され得る。特許または出願ファイルは、色が付された少なくとも1つの図面を含有する。着色図と共にこの特許または特許出願公開のコピーは、要求に応じておよび必要な料金の支払い後に当局により提供されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A図1Aは、コーティングされたリチウムイオン正極活物質の粒子の概略断面図である。
【0016】
図1B図1Bは、炭素層を有する、コーティングされたリチウムイオン正極活物質の粒子の概略断面図である。
【0017】
図2図2は、多置換リチウムコバルトホスフェート(LiCo0.82Fe0.09 76Cr0.0488Si0.00976PO)正極活物質の、X線回折(XRD)プロファイルである。微量の不純物を含む最終生成物の典型的なXRDパターンは、によってマークされる。
【0018】
図3図3は、微量のSiおよびCr凝集を示す、鉄(Fe)、ケイ素(Si)、およびクロム(Cr)を含有する正極活物質の代表的なエネルギー分散型X線分光法(EDX)分析である。全ての図におけるスケールバーは10μmである。
【0019】
図4図4は、微量のCr不純物を示す、Fe、Cr、およびSi含有正極活物質の代表的な断面エネルギー分散型X線分光法(EDX)分析である。左端の画像のスケールバーは10umである。その他全ての図のスケールバーは、5μmである。
【0020】
図5図5Aおよび図5Bは、正極活物質の粒子の、1対の代表的な走査型電子顕微鏡法(SEM)画像である。図5Aにおけるスケールバーは20umである。図5Bの画像におけるスケールバーは5μmである。
【0021】
図6図6は、前駆体のアトライタ混合を行い、加熱して活物質を形成する方法の、フローチャートである。
【0022】
図7図7は、本開示で使用するのに適したアトライタの、概略部分断面立面図である。
【0023】
図8図8は、アトライタ混合前駆体から形成された活物質の容量に対する、アトライタ混合中のボール:前駆体のw:w比の影響を示すグラフである。
【0024】
図9A図9Aは、ボール:前駆体のw:w比が8:1である、6時間のアトライタ混合後の粒径分布を示すグラフである。
【0025】
図9B図9Bは、ボール:前駆体のw:w比が8:1である、12時間のアトライタ混合後の、図9Aの場合と同じ前駆体混合物の粒径分布を示すグラフである。
【0026】
図10A図10Aは、コーティングされた粒子を形成するためのコーティング法のフローチャートである。
【0027】
図10B図10Bは、コーティングされた粒子を形成するための代替のコーティング法のフローチャートである。
【0028】
図11図11は、本開示によるコーティングされた活物質を含む電池である。
【0029】
図12図12は、本開示による電池の概略断面図である。
【0030】
図13図13は、本開示による電池の底部の概略図である。
【0031】
図14図14は、本開示によるスクリュ圧力電池の側面の写真である。
【0032】
図15図15は、本開示による空気圧電池の側面の写真である。
【0033】
図16図16は、本開示によるコーティングされた正極活物質、および比較の非コーティングされた正極活物質を含有する電池の、サイクリング安定性を示すグラフである。
【0034】
図17図17は、10wt%のc-LiFePOコーティングされたLiCo0. 82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976PO正極活物質の、走査型電子顕微鏡法(SEM)画像である。LiFePOおよびLiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976PO粒子は標識される。
【0035】
図18図18は、LiFの異なるwt%での、LiFコーティングされたLiCo .82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976POに関する放電容量のグラフである。
【0036】
図19図19は、6:1のボール:前駆体w:w比でアトライタ混合した6時間または12時間後の、LiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976PO活物質のXRDプロファイルである。
【0037】
図20図20は、8:1のボール:前駆体w:w比で、アトライタ混合した12時間後の、LiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976PO活物質のXRDプロファイルである。
【0038】
図21図21は、10:1のボール:前駆体w:w比で、アトライタ混合した12時間後の、LiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976PO活物質の、XRDプロファイルである。
【0039】
図22図22は、12:1のボール:前駆体w:w比で、アトライタ混合した12時間後の、LiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976PO活物質の、XRDプロファイルである。
【0040】
図23図23は、14:1のボール:前駆体w:w比で、アトライタ混合した12時間後の、LiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976PO活物質のXRDプロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本開示は、コーティングされたリチウムイオン再充電可能電池正極活物質、そのような物質を製造する方法、およびそのような物質を含有するリチウムイオン再充電可能電池に関する。コーティングは、電解質に対する正極活物質の曝露を低減させ、それによって電池内での気体の発生を低減させる。
【0042】
次に図1Aおよび1Bを参照すると、リチウムイオン再充電可能電池正極活物質4のコーティングされた粒子2は、コーティング6を有する。図1Bでは、炭素層8が活物質4とコーティング6との間に存在する。
活物質
【0043】
活物質4は、一般式APOおよび結晶構造を有していてもよく、式中、0<x≦1、y>0、およびz≧0であり、Aはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Mはコバルト(Co)単独または別の電気化学的に活性な金属との合金または組合せであり、Eは、z>0の場合、結晶構造におけるAと同じ構造位置に位置付けられ、かつ電気化学的に非活性な金属またはホウ素族元素(第13族、第III族)またはSiまたはこれらの任意の組合せもしくは合金である。
【0044】
活物質中のアルカリ金属(第1族、第I族金属)は、リチウム(Li) ナトリウム(Na)、またはカリウム(K)であってもよい。アルカリ土類金属(第2族、第IIA族金属)は、マグネシウム(Mg)またはカルシウム(Cu)であってもよい。アルカリ金属またはアルカリ土類金属は、リチウムイオン(Li)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、マグネシウムイオン(Mg2+)、またはカルシウムイオン(Ca2+)など、移動性陽イオンとして存在していてもよくまたは移動性陽イオンを形成することが可能であってもよい。
【0045】
電気化学的に活性な金属は、最も一般的には、第4~12族(第IVB~VIII、IB、およびIIB族とも呼ばれる)金属などの遷移金属である。特に有用な遷移金属には、複数の原子価状態で容易に存在するものが含まれる。例には、鉄(Fe)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、およびチタン(Ti)が含まれる。
【0046】
電気化学的に非活性な金属は、活物質の電気的または電気化学的性質に影響を及ぼし得る。例えば、電気化学的に非活性な金属またはホウ素族元素またはケイ素(Si)は、活物質の動作電圧を変化させてもよく、または活物質の粒子の電子伝導度を増大させてもよく、または活物質を含有する電気化学セルのサイクル寿命もしくはクーロン効率を改善してもよい。適切な電気化学的に非活性な金属は、アルカリ土類金属(第2族、第II族金属)、例えばマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、もしくはストロンチウム(Sr)、もしくは亜鉛(Zn)、スカンジウム(Sc)、もしくはランタン(La)、またはこれらの任意の合金もしくは組合せを含む。適切なホウ素族元素には、アルミニウム(Al)またはガリウム(Ga)およびこれらの組合せが含まれる。
【0047】
アルカリ金属またはアルカリ土類金属、Co、および電気化学的に活性な金属、電気化学的に非活性な金属、またはホウ素族元素、またはSi、およびホスフェートは、活物質化合物全体または化合物の混合物が電荷平衡にあるような相対量で存在する。例示的な活物質には、LiCo0.9Fe0.1PO、Li0.95Co0.85Fe0.1Cr0.05PO、Li0.93Co0.84Fe0.1Cr0.05Si0.01PO、およびLiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976POが含まれる。
【0048】
活物質化合物または化合物の混合物は、非晶質形態とは対照的に、主に結晶中に存在し、これはXRDを介して確認され得る。特に活物質は、その他の電気化学的に活性な金属または電気化学的に非活性な金属またはホウ素族元素またはSiが存在するか否かに関わらず、リチウムコバルトホスフェート(LiCoPO)の場合に類似したオリビン結晶構造を有していてもよい。結晶構造を確認するのに十分なXRDパターンの例を、図2に提示する。
【0049】
炭素層8は、存在する場合にEDXまたはSEMを介して観察され得る。そのような炭素層8は、活物質4の粒子の外面の少なくとも一部分に、一体的に形成されていてもよい。例えば、活物質4の粒子の外面に接触する炭素層の部分は、活物質4に共有結合されてもよい。炭素層8は、少なくとも80%の元素状炭素(C)であってもよい。炭素層8は、コーティングされた粒子2全体の0.01wt%から10wt%の間(これらの値を含む)であってもよい。
【0050】
典型的には、活物質4は単独でまたは炭素層8と共に、1μmから999μm、1μmから500μm、1μmから100μm、10μmから999μm、10μmから500μm、または10μmから100μmの間(これらの値を含む)の粒径を有することになる。
コーティング
【0051】
コーティング6は、電気化学的に不活性な材料、例えば金属またはホウ素酸化物、特にAl、ZrO、TiO、ZnO、B、MgO、La、または金属非酸化物、特に金属フッ化物、例えばLiF、およびこれらの任意の組合せを含んでいてもよい。コーティング6は、電気化学的活物質、例えば非コバルト含有リチウム金属ホスフェート材料、特にLiMPO(式中、MはFe、Cr、Mn、Ni、V、またはこれらの任意の合金もしくは組合せである)、例えばLiFePOを含んでいてもよい。電気化学的に活性なコーティング材料は、活物質4上に存在し得る炭素層8に類似した炭素層を有していてもよい。
【0052】
コーティングされた粒子2の全体サイズに対するコーティング6の相対量は、使用されるコーティングに応じて変えてもよい。さらに一般に、コーティングされた粒子2を含有する電池の比容量と、そのような電池のサイクル寿命との間には、二律背反がある。非電気化学的に活性なコーティング6は、活物質4をより良好に覆いかつ電解質とのその反応を低減させ、サイクル寿命を延ばす傾向があるが、そのようなコーティングは、非電気化学的活性重量を粒子に与え、電池の比容量を低下させる。電気化学的に活性なコーティング6は、電気化学反応に関与しかつコーティングされた粒子2を含有する電池の比容量を、電圧範囲に応じて増大させてもよく、電池の高速特性などのより良好な性能をもたらす。電気化学的に活性なコーティングは、活物質4と電解質との間の副反応も低減させてもよく、サイクル寿命がさらに増大する。
【0053】
一般に、コーティング6は、コーティングされた粒子2全体の0.1wt%から20wt%、0.1wt%から10wt%、0.1wt%から5wt%、0.5wt%から20wt%、0.5wt%から10wt%、0.5wt%から5wt%;1wt%から20wt%、1wt%から10wt%、または1wt%から5wt%の間(これらの値を含む)であってもよい。
コーティングされた活物質を製造する方法
【0054】
上述の任意の活物質4はコーティングされてもよいが、アトライタ混合法を使用して生成される活物質4が、特に有用であり得る。アトライタ混合法は、商用レベルの量の活物質を、不純物が全くないまたは低レベルで生成するのに使用可能であり得る。
【0055】
アトライタ混合法を使用して生成される活物質は、XRD精製により測定された、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%の純度、またはこれらの値の任意の組合せの間の範囲およびこれらの値の任意の組合せを含む範囲の純度を有していてもよく、その例を図2に提示する。不純物は、典型的には、未反応の前駆体または活物質以外の化合物を形成するように反応した前駆体の形をとり、所与の結晶質不純物化合物の1%またはそれよりも多い量の結晶質不純物が、XRDを使用して検出され得る。非結晶質不純物および1%未満の量の不純物はEDXを使用して検出することができ、その例を図3および図4に提示する。
【0056】
アトライタ混合によって形成された活物質は、電気化学セルで使用される場合、安定な容量を示してもよく、その容量フェードは、C/2での10サイクルでの容量と比較して、C/2で110サイクルにわたり50%またはそれよりも低く、40%またはそれよりも低く、20%またはそれよりも低く、10%またはそれよりも低く、5%またはそれよりも低く、1%またはそれよりも低く、またはこれらの値の任意の組合せの間の範囲およびこれらの値の任意の組合せを含む。
【0057】
本明細書でアトライタ混合によって形成された活物質4は、凝集体を除く粒子のバッチ上での平均で、1nm、10nm、50nm、100nm、500nm、または999nm以下、またはこれらの値の任意の組合せの間の任意の範囲およびこれらの値の任意の組合せを含む、粒子の形をとってもよい。そのような粒子はナノ粒子と呼ばれる。アトライタ混合法を使用して形成される活物質は、凝集体を除く粒子のバッチ上の平均で、1μm、10μm、50μm、100μm、500μm、または999μm以下、またはこれらの値の任意の組合せの間の任意の範囲およびこれらの値の任意の組合せを含む粒子の形態をとってもよい。そのような粒子はミクロ粒子と呼ばれる。
【0058】
活物質の粒子は凝集体を形成する可能性があり、その場合、いかなる凝集体も、上記論じた平均粒径から除外される。しかしながら、凝集体はそれ自体がナノ粒子またはミクロ粒子である可能性がある。例えば凝集体は、活物質のナノ粒子で構成されたミクロ粒子である可能性がある。
【0059】
粒子および凝集体のサイズは、走査型電子顕微鏡法(SEM)を使用して評価されてもよく、その例を図5Aおよび5Bに示す。
【0060】
活物質の製造で使用するのに適した前駆体は、生成される特定の活物質に依存することになる。典型的には、前駆体は固体形態をとり、本明細書に開示される方法は、固体状態製造法である。湿潤前駆体、または水和物として入手可能でありもしくは実質的な湿度を含有するものは、本開示の方法で使用される前に乾燥されてもよい。一般的な前駆体には、金属水酸化物、例えばLiOH、Co(OH)、およびAl(OH)、アルカリ金属ホスフェート、例えばLiHPOまたはLiHPO、アルカリ土類金属ホスフェート、非金属ホスフェート、例えばNHPO、(NHHPO、金属酸化物、例えばCr、CaO、MgO、SrO、Al、Ga、TiO、ZnO、Sc、La、またはZrO、アセテート、例えばSi(OOCCH、およびオキサレート、例えばFeC、NiC、またはCoC(しばしば水和物として貯蔵され、これを本発明の方法で使用する前に乾燥してもよい)、またはカーボネート、例えばLiCO、MnCO、CoCO、またはNiCOが含まれる。
【0061】
炭素層8を有する活物質では、炭素層前駆体が、本明細書に記述されるアトライタ混合法に含まれていてもよい。適切な炭素層前駆体は、元素状炭素または炭素含有材料、例えばポリマーであって、分解して炭素コーティングを形成するものを含む。
【0062】
上述のものを含む活物質は、少なくとも非コーティング前駆体のアトライタ混合およびその後に続く混合物の加熱を一般に含む固体状態アトライタ混合法を使用して、上述のものを含む前駆体から製造されてもよい。
【0063】
アトライタ混合法は、単独でまたはコーティング法と組み合わせて、少なくとも1kg、少なくとも2kg、少なくとも3kg、少なくとも5kg、少なくとも10kg、少なくとも25kg、少なくとも50kg、少なくとも100kgの活物質、またはバッチ当たりの、これらの列挙された量のいずれか2つの間(これらの値を含む)の量[例えば、1kgから2kgの間(これらの値を含む)、1kgから3kgの間(これらの値を含む)、1kgから5kgの間(これらの値を含む)、1kgから10kgの間(これらの値を含む)、1kgから50kgの間、1kgから50kgの間(これらの値を含む)、1kgから100kgの間(これらの値を含む)、25kgから50kgの間]を形成するのに使用されてもよい。
【0064】
粒径濾過の前のアトライタ混合法は、バッチ当たり、少なくとも80%、少なくとも85%、もしくは少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、少なくとも99.9%、またはこれらの列挙された量のいずれか2つの間(これらの値を含む)の量の収率を有していてもよい。収率は、活性粒子形成反応および方法ではなく、選択された粒径に対する直接的な影響を除外するために、粒径濾過の前に測定される。
【0065】
炭素層8を有する活物質では、炭素層前駆体は、形成される炭素層に大きく依存して、アトライタ混合の前、アトライタ混合の後、しかし加熱前、または加熱後に、添加されてもよい。炭素層前駆体は、典型的にはアトライタ混合の前に添加されることになる。当業者なら、本開示の教示を使用して、必要に応じて種々の炭素層前駆体がこの方法の種々の段階で添加され、必要に応じて種々の相対量でも添加される一連の単純な実験を実施することにより、炭素層形成ステップを本明細書に開示される方法にどのように組み込むかを容易に決定することができるようになる。
【0066】
次に図6を参照すると、本開示は、活物質を製造するためのアトライタ混合法110を提供する。ステップ120で、湿潤または水和前駆体を乾燥する。ステップ130で、アトライタチャンバに適合させるにはまたはアトライタによりミリングするには大き過ぎる前駆体を、十分小さいサイズにカットする。ステップ120および130は、任意の順序で行ってもよい。
【0067】
ステップ140では、アトライタ混合されることになる化学量論量の前駆体を、アトライタのチャンバ内に置き、アトライタ混合を行って、前駆体粒子を形成する。しかし典型的には、全ての活物質前駆体がアトライタ混合されることになり、いくつかの前駆体はアトライタ混合後に添加されてもよい。
【0068】
ステップ140で使用されるアトライタは、任意の適切なアトライタであってもよい。アトライタは、容器と、容器の外側から容器の蓋を通して容器の内部に延びるアームと、アームに連結された容器内部の少なくとも1つのおよび典型的には複数のパドルとを有し、アームが容器の外側に加えられた回転力に応答して回転したときにパドルが容器内で回転するような、混合装置である。材料が容器内にある場合、パドルによる影響を受けることになり、そのサイズは、容器内でのパドルまたはその他の材料との摩擦および衝撃の組合せにより低減されることになる。
【0069】
本開示の方法で使用するのに適した例示的なアトライタ200を、図7に示す。アトライタ200は、蓋220を備えた容器210を含む。アトライタ200は、モータなどの回転力の外部ソースに取着する連結部230も含む。連結部230は、容器210の外側に位置付けられたアーム240の第1の端部に位置付けられる。アーム240は、蓋220に取り付けられたガイド250を通過し、蓋220を経て容器210の内部に至る。少なくとも1つの、図示されるような、典型的には複数のパドル260が、容器210の内部に位置付けられ、やはり容器210の内部にあるアーム240の一部に連結される。
【0070】
アトライタ200は、複数のボール270も含む(単純化のため、2個のボールのみ示す)。
【0071】
アトライタの動作中、ボールはパドルおよび/または材料の影響も受け、前駆体のサイズを低減させるのを助ける。
【0072】
ステップ140で使用されるボールは、設定時間内で設定された粒径に前駆体を低減させるのに適した任意のサイズのものであってもよい。19mmの直径のボールが特にうまく働くことができ、12.7mmの直径のボールも適していると考えられる。
【0073】
ボールは、収率を80%よりも低く低減させるまたは5%の全不純物よりも多い量で不純物を生成する程度まで前駆体と反応しない、任意の材料で作製されてもよい。ボールに適した材料には、鋼、ジルコニウム、またはタングステンが含まれる。ボールは、適切な材料の外部コーティングと共に異なる材料で作製された内部を有していてもよい。
【0074】
ボールは、前駆体のサイズの低減に寄与するが、通常なら前駆体により占有され得るアトライタチャンバ内の容積も占有する。したがってボールの全前駆体に対する割合(w:w)は、選択された粒径またはその他の設定された性質を有する活物質が方法110全体から得ることが依然として可能な最小比に、制限することができる。例えば図8は、割合を選択するのに使用され得る、容量とボール:全前駆体(w:w)の比較を示す。
【0075】
アトライタ混合後の前駆体の粒径は、典型的には10μmもしくはそれよりも小さく、50μmもしくはそれよりも小さく、100μmもしくはそれよりも小さく、500μmもしくはそれよりも小さく、600μmもしくはそれよりも小さく、または750μmもしくはそれよりも小さく、およびこれらの値の間(これらの値を含む)の任意の範囲およびこれらの値の組合せである[例えば、1μmから10μmの間(これらの値を含む)、1μmから50μmの間(これらの値を含む)、10μmから50μmの間(これらの値を含む)、1μmから600μmの間(これらの値を含む)]。適切なw:w比は、使用される前駆体、アトライタ混合前の前駆体のサイズ、ボールのサイズ、および使用されるアトライタに応じて変化してもよいが、当業者なら本開示の教示を使用して、許容可能な前駆体粒径またはその他の設定された性質、例えば容量が得られるまで、これらのパラメータを単に変えることにより適切なボール:前駆体比を容易に決定することができる。
【0076】
アトライタ内のボールおよび前駆体の全体積は、アトライタの製造業者により指定された値を超える体積を有するべきではない。典型的には、ボールおよび前駆体の全体積は、ボールおよび前駆体が混合中に移動するのに十分な空間が得られるように、アトライタ容器の全容積の75%以下である。
【0077】
任意の所与の組の前駆体(選択されたアトライタ混合前のサイズで)、ボール:前駆体比、ボールサイズ、およびアトライタに対して、平均前駆体粒径はアトライタ混合中、粒径の平坦域に達するまで経時的に低減することになる。粒径の平坦域に達すると、アトライタ混合の持続時間を追加しても、粒径の平坦域に達したときの持続時間での平均前駆体粒径と比較して、平均前駆体粒径が10%を超えてさらに低減することはなくなる。平坦域は、本開示の教示を使用して、当業者によって容易に決定することができる。ステップ140でのアトライタ混合は、粒径の平坦域に達した後に継続されてもよいが、典型的にはステップ140は、単に粒径の平坦域に達するまで、粒径の平坦域に達する持続時間よりも10%を超えて長い時間続けることはなく、またはこれら2つの時間の間(これらの値を含む)の持続時間、続けることになる。平坦域に達するまでの一般的な混合時間は、10~12時間を含む。平坦域に達したときを決定するのに使用され得る混合持続時間に基づく例示的な粒径分布を、図9Aおよび図9Bに提示する。
【0078】
粒径によって少なくとも部分的に決定される、収率または活物質容量などの性質は、アトライタ混合持続時間に関する平坦域を示してもよく、アトライタ混合持続時間は、そのような代替の平坦域に基づいて、アトライタ混合持続時間が単に平坦域に達するまで、平坦域に達する持続時間よりも10%を超える長い時間ではなく、またはこれら2つの時間の間(これらの値を含む)の持続時間になるように設定されてもよい。
【0079】
一部の方法では、アトライタ混合中にアトライタ内の温度を制御することが有用であってもよい。例えば、いくつかの前駆体は温度感受性であってもよく、またはアトライタ混合中の前駆体と活物質との反応を限定するのに有用であってもよい。有用な場合、アトライタはさらに、冷却システム、例えば外部冷却システムまたは容器内に位置付けられた冷却システム、蓋、アーム、パドル、またはこれらの任意の組合せを含んでいてもよい。冷却システムは、ステップ140中に、設定温度よりも下の温度を保持してもよい。あるいは、またはさらに、前駆体は、ステップ140でアトライタ混合前に冷却されてもよい。同様に代替としてまたは追加として、アトライタは、ステップ140中に前駆体が設定温度を超えたか否かの容易な決定が可能になるように温度計を含んでいてもよく、その場合、前駆体は廃棄されてもよくまたは品質管理プロセスに供されてもよい。
【0080】
ステップ140でのアトライタ混合後、アトライタ混合に供されていない化学量論量の任意の前駆体を、アトライタ混合された前駆体粒子に添加する。
【0081】
次にステップ150で、アトライタ混合前駆体粒子を濾過して、設定されたサイズ、典型的には10μm、50μm、または100μmよりも上の粒子を排除する。
【0082】
次いで濾過された前駆体をステップ160で、化学反応を受け活物質を形成する持続時間にわたって加熱する。前駆体が加熱される温度は、前駆体および活物質に応じて変化してもよい。ステップ50での加熱は単純な加熱プロセスであってもよく、前駆体が設定温度に加熱されて、その持続時間にわたりその温度で維持される。ステップ160での加熱は、より複雑な段階的プロセスであってもよく、前駆体が、1つまたは複数の温度に1つまたは複数の時間、加熱される。ステップ160での加熱が生じる速度は、分当たり特定の度数で生じるように制御されてもよく、ステップ160は、全加熱プロセスにおいて冷却およびその後の加熱をさらに含んでいてもよい。
【0083】
リチウム、コバルト、およびホスフェートを含有する活物質の場合、加熱ステップ50における最大温度は、少なくとも600℃であってもよく、特に600℃から800℃の間(これらの値を含む)、1℃/分から10℃/分の間の温度上昇を通して実現されてもよい。加熱ステップは、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、または少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、ならびにこれらの値の間(これらの値を含む)の範囲、およびこれらの値の組合せ、特に6時間から24時間の間(これらの値を含む)の時間にわたって続いてもよい。加熱は、還元または不活性雰囲気下、例えば窒素(N)雰囲気下で行ってもよい。加熱の前に、還元または不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気下で、1~4時間、典型的には3時間、室温(25℃)でのパージがなされてもよい。
【0084】
加熱後、ステップ170で、材料を冷却する。冷却は、単純な受動的冷却プロセス、能動的冷却プロセス、または段階的プロセスであってもよい。材料は、特定の温度で、ある持続時間にわたり維持されてもよい。冷却が行われる速度は、分当たり特定の度数が生じるように制御されてもよく、ステップ170は、加熱およびその後の冷却を全冷却プロセスにおいてさらに含んでいてもよい。
【0085】
活物質は、冷却プロセス170の終わりまで存在する。前駆体および活物質に応じて、活物質はしばしば、ステップ160での加熱の終わりにさらに存在していてもよい。いくつかの方法110において、加熱プロセス160および冷却プロセス170は、重なり合って1つの連続した加熱/冷却プロセスを形成してもよい。
【0086】
最後に、ステップ180で、活物質を濾過して、設定されたサイズよりも上の粒子を排除する。例えば25μm、35μm、38μm、40μm、50μm、または100μmである。
【0087】
アトライタ混合法は、ステップ140および160のみ実施してもよいことが理解されよう(または、加熱および冷却が1つの連続した加熱/冷却プロセスを形成する場合には、ステップ160の代わりにステップ160/170)。方法110に関連して記述されるその他のステップは、それぞれ独立して省略可能である。
【0088】
方法110のステップの全てまたは部分は、湿度を限定する条件で実施されてもよい。例えば、方法110のステップの全てまたは部分は、乾燥室または水を排除した雰囲気中で、例えば不活性、水素、または窒素雰囲気中で(しかしほとんどの活物質の場合、この程度の予防措置は必要ではない)、または25%未満もしくは10%未満の周囲湿度で実施されてもよい。
【0089】
任意の活物質4は、アトライタ混合法110によって形成されてもまたはその他の方法で形成されても、図10Aに示される湿式コーティング法190aを使用して付与されたコーティング6を有していてもよい。コーティング法190aは、ステップ191において、コーティング前駆体溶液が形成される。溶媒は、水性溶液であっても非水性溶液であってもよい。例えば、エタノールなどのアルコールが、溶媒として使用されてもよい。溶媒:溶質比は、99.9:0.1から90:10まで変化してもよい。
【0090】
コーティング前駆体は、活物質4の粒子よりも小さいコーティング材料の粒子を含んでいてもよい。例えば、コーティング前駆体は、炭素層を有するLiFePOの粒子(c-LiFePO)を含んでいてもよい。コーティング前駆体粒子は、活物質4の粒子または炭素層8を備えた活物質4の粒子の最長平均寸法の0.8%以下または1%以下の最長平均寸法を有していてもよい。
【0091】
コーティング前駆体は、加熱後にコーティング6を形成する化合物を含んでいてもよい。例えば、コーティング前駆体は、コーティング6の部分を形成することになる金属またはホウ素塩であってもよい。例えばコーティング前駆体は、コーティング6がAlを含むことになる場合、C21Alなどの有機塩またはAl(NOなどの無機塩であってもよい。有機化合物前駆体が使用される場合、炭素および水素成分は、後に続く加熱ステップで焼却される。
【0092】
ステップ192で、コーティング前駆体溶液は、活物質4または炭素層8を備えた活物質4の粒子に付与される。
【0093】
前駆体は、活物質の粒子がコーティング前駆体溶液に添加されて噴霧乾燥溶液を形成する、噴霧乾燥法によって付与されてもよい。噴霧乾燥溶液は、噴霧乾燥前に、例えば50℃から70℃または55℃から65℃の間(これらの値を含む)の温度で混合されてもよい。混合は、2から6時間または3から4時間の間(これらの値を含む)の時間で行ってもよい。噴霧乾燥溶液は、混合しながら撹拌されてもよい。噴霧乾燥溶液は、混合された後に、例えば水性溶液の場合は90℃から110℃の間(これらの値を含む)の温度でまたは少なくとも100℃で、あるいは非水性溶液の場合は溶媒の蒸発温度に基づく別の温度で噴霧乾燥されてもよい。噴霧乾燥は、窒素(N)雰囲気下で行ってもよい。
【0094】
あるいは、水熱法では、粒子が単に前駆体溶液に添加されて、加熱前に水熱コーティング温度で維持され得る水熱コーティング溶液を形成してもよい。水熱コーティング温度は、70℃から90℃の間(これらの値を含む)であってもよく、または75℃から85℃の間であってもよい。水熱コーティング溶液は、水熱コーティング温度で、10時間から30時間、15時間から25時間、または18時間から22時間の間(これらの値を含む)の時間、維持されてもよい。水熱コーティング溶液は、この時間の全てまたは部分の間、撹拌されてもよい。次いで水熱コーティング溶液は乾燥され、沈殿物が加熱されてもよく、または乾燥は、加熱中に行ってもよい。
【0095】
ステップ193において、コーティング前駆体を備える粒子は、300℃から600℃、300℃から500℃、300℃から450℃、350℃から600℃、350℃から500℃、350℃から450℃、400℃から600℃、400℃から500℃、または400℃から450℃の間(これらの値を含む)の温度、特に400℃に加熱される。加熱は、3から5時間の間(これらの値を含む)の時間、特に4時間続く。プロセスは一般に、加熱中に温度が上昇する速度に感受性はないが、速度は典型的には1℃/分から10℃/分の間であってもよい。加熱は、還元または不活性雰囲気下、例えば窒素(N)雰囲気下で行ってもよい。加熱中、コーティング6が形成されて、コーティングされた粒子2を生成する。
【0096】
ステップ194で、コーティングされた粒子2は、典型的には受動的冷却を経て冷却される。
【0097】
任意の活物質4は、アトライタ混合法110によって形成されても任意のその他の方法によって形成されても、図10Bに示される乾式コーティング法190bを使用して付与されたコーティング6を有していてもよい。方法190bにおいて、コーティング前駆体は、活物質4の粒子よりも小さいコーティング材料の粒子を含む。例えば、コーティング前駆体は、炭素層を有するLiFePOの粒子(c-LiFePO)を含んでいてもよい。コーティング前駆体粒子は、活物質4の粒子または炭素層8を備えた活物質4の粒子の最長平均寸法の0.8%以下または1%以下の最長平均寸法を有していてもよい。
【0098】
方法190bにおいて、ステップ195では、活物質およびコーティング前駆体の乾燥粒子が組み合わされて、未処理の混合物が形成される。ステップ196では、未処理の混合物が高速混合に供されて、コーティングされた粒子2を生成する。高速混合は、典型的には、8,000rpmから15,000rpmの間(これらの値を含む)、または8,000rpmから10,000rpmの間(これらの値を含む)のrpmで混合し、例えば8,000rpm、9,000rpm、または10,000rpmで混合する。典型的な混合時間は、5分から15分、8分から12分、および9分から11分の間(これらの値を含む)の時間、または10分間である。
【0099】
方法のステップ190aおよび190bの全てまたは部分は、湿度を限定する条件で実施されてもよい。例えば、方法のステップ190aおよび190bの全てまたは部分は、乾燥室または水を排除した雰囲気、例えば不活性、水素、または窒素雰囲気(しかしほとんどの活物質の場合、この程度の予防措置は必要ではない)、または25%未満または10%未満の周囲湿度で実施されてもよい。
コーティングされた活物質を含有する電池
【0100】
上記方法を使用して生成されたコーティングされた活物質は、図11に示される電池などの電池の正極で使用されてもよい。電池50は、負極(アノード)55、正極(カソード)60、および有機電解質65、ならびに負極55と正極60との間で有機液体電解質中に配置された、電池(図示せず)内でイオン伝導性あるが電子伝導性ではない多孔質の電子絶縁セパレータ(電解質65中に位置付けられる)を含む。
【0101】
負極55は、活物質を含む。適切な負極活物質は、リチウム金属、炭素、例えば黒鉛、チタン酸リチウムまたはナトリウムまたはニオブ酸リチウムまたはナトリウム、およびリチウムまたはナトリウム合金を含む。負極はさらに、結合剤、伝導性添加剤、および集電体を含んでいてもよい。
【0102】
正極60は、本明細書に開示されるコーティングされた活物質を含む。正極はさらに、フッ素化カーボネート、スルホネートをベースにした有機溶媒、結合剤、伝導性添加剤、および集電体のいずれかを含んでいてもよい。
【0103】
電解質65は、有機液体、例えば有機カーボネート、特に有機カーボネート、特にエチレンカーボネート(EC)であってジメチルカーボネート(DMC)を持つもの、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、またはエチルメチルカーボネート(EMC)、およびこれらの任意の組合せを含んでいてもよい。電解質65は、有機液体と共に使用するのに適したリチウム塩、例えばLiPF、LiBF、リチウムビスオキサラトボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサラトボレート(LiDFOB)、およびリチウムトリフルオロスルホニルイミド(LiTFSI)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、およびこれらの任意の組合せを含んでいてもよい。
【0104】
適切なイオン性液体は、窒素(N)ベースのイオン性液体を含んでいてもよい、陽イオン性成分を含む。Nベースのイオン性液体は、アンモニウムイオン性液体、例えばN,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムを含む。Nベースのイオン性液体は、イミダゾリウムイオン性液体、例えばエチルメチルイミダゾリウム(EMIm)、メチルプロピルイミダゾリウム(PMIm)、ブチルメチルイミダゾリウム(BMIm)、および1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムを含む。Nベースのイオン性液体はさらに、ピペリジニウムイオン性液体、例えばエチルメチルピペリジニウム(EMPip)、メチルプロピルピペリジニウム(PMPip)、およびブチルメチルピペリジニウム(BMPip)を含む。Nベースのイオン性液体は、追加として、ピロリジニウムイオン性液体、例えばエチルメチルピロリジニウム(EMPyr)、メチルプロピルピロリジニウム(PMPyr)、ブチルメチルピロリジニウム(BMPyr)を含む。
【0105】
イオン性液体の適切な陽イオン性成分は、リン(P)をベースにしたイオン性液体も含む。Pベースのイオン性液体は、ホスホニウムイオン性液体、例えばPRR’ホスホニウムを含み、式中、Rはブチル、ヘキシル、またはシクロヘキシルであり、R’はメチルまたは(CH13CH、またはトリブチル(メチル)ホスホニウムトシレートである。
【0106】
イオン性液体の任意の陽イオン性成分は、上述のもののいずれかにおいて、本開示の電池で任意の組合せで組み合わされてもよい。
【0107】
イオン性液体は、陰イオン性成分をその他のイオン性液体の形で、例えばビス(フルオロスルホニル)イミドをベースにした(FSI)イオン性液体であって、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(フルオロスルホニル(fluorsulfonyl))イミド(EMI-FSI)、およびN-メチル-N-プロピルピロリジニウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(Py13-FSI)、ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(TFSI)、および(ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド)(BETI)を含むものを、含んでいてもよい。イオン性液体の陰イオン性成分は、BFまたはPFを含んでいてもよい。
【0108】
イオン性液体の任意の陰イオン性成分は、上述のもののいずれかにおいて、本開示の電池における任意の組合せで組み合わされてもよい。
【0109】
イオン性液体と共に使用するのに適したリチウム塩は、LiFNO、LiCFSO、LiNSO(F、LiNSO(FCF、またはLiCNO、またはこれらの任意の組合せを含む。しかしながら多くの塩は、イオン性液体の粘度を増大させ、したがって電解質はイオン伝導度を効果的に失わせかつ電池はうまく機能しなくなる。この作用は、塩濃度が増加するにつれ増大し得る。一部の塩、例えば一般に使用されるLiPFは、単にイオン性液体中で電解質として機能しなくなる。
【0110】
電解質はさらに、いくつかの共溶媒のいずれかを、任意の組合せで含んでいてもよい。適切な共溶媒は、フッ素化カーボネート(FEMC)、フッ素化エーテル、例えばCFCHOCFCHF、ニトリル、例えばスクシノニトリル、またはアジポニトリル、またはスルホランを含む。
【0111】
電解質は、いくつかの添加剤のいずれかを任意の組合せで含んでいてもよい。適切な添加剤は、トリメチルシリルプロパン酸(TMSP)、トリメチルシリルホスファイト(TMSPi)、トリメチルシリルホウ酸(TMSB)、トリメチルボロキシン、トリメトキシボロキシン、またはプロパンスルトンを含む。
【0112】
電池55は、気体の形成の制御を助けるためのまたは形成される任意の気体の影響を最小限に抑えるための、特定の構造を有していてもよい。
【0113】
電池55は、電解質に接触する電極の表面の少なくとも一部に、圧力を加えてもよい。この圧力は、電解質に接触する電極の表面の100%にわたり、または電解質に接触する電極の表面の少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%にわたり加えられる。圧力は、電池内での気体の形成を防止しもしくは減少させるのに、または電解質に接触する電極の表面間以外の電池領域に、形成された気体を移動させるのに、十分である。
【0114】
特に、本開示による電池は、均一でありかつ圧力が加えられる任意の点同士で5%を超えて変化しない圧力を、電極の表面に加えてもよい。圧力は、少なくとも50psi、少なくとも60psi、少なくとも70psi、少なくとも75psi、少なくとも80psi、少なくとも90psi、および前述のいずれかの間(これらの値を含む)の任意の範囲[例えば、70psiと75psiとの間(これらの値を含む)]であってもよい。
【0115】
次に図12~15を参照すると、本明細書に記述されるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の再充電可能電池50はさらに、電極55、60を収容し含有するのに十分なケーシング70、電解質65、およびセパレータ、ならびに電子伝導性コネクタを介して接続されたときに負極55と正極60との間に電流を流すことが可能なコンタクト75を含んでいてもよい。
【0116】
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の再充電可能電池50はさらに、電解質65に接触する電極55および60の表面の少なくとも一部に圧力を加える圧力印加システムを含んでいてもよい。圧力印加システムは、圧力印加構造と一緒に内部封止材、例えばプレート(しばしば、ケーシング70)およびクランプ、ネジ、圧力ブラダ、またはプレートにもしくは電池ケーシングに圧力を加えて電池内の圧力維持するその他のそのような構造を、含んでいてもよい。圧力印加システムは、電池の封止された部分で圧力を維持してもよく、そのことが気体の形成を阻止するようになるが、一旦形成された気体は移行させない。いくつかの電池50は、一旦形成された気体が圧力印加システムによって方向付けられる、気体転移領域を含んでいてもよい。
【0117】
封止材は、存在する場合、電解質、負極、正極、または封止材が接触するその他の電池構成要素に対して、反応性ではない任意の材料から形成されてもよい。いくつかの封止材料はいくらかの最小限の反応性を示し得るが、この材料は、その反応性が、C/2でサイクル動作するときに少なくとも100サイクル、少なくとも200サイクル、少なくとも500サイクル、少なくとも2000サイクル、少なくとも5000サイクル、少なくとも10,000サイクル、またはこれらの値の任意の組合せの間の範囲およびこれらの値の任意の組合せを含むなどの設定サイクル数にわたって所与の設計を有する平均的電池において、封止不良を回避するのに十分低い場合、反応性ではないと見なされてもよい。
【0118】
さらに、いくつかの圧力印加システムは、一旦組み立てられたら定常的に圧力を加えることができる。その他の圧力印加システムは、電池の動作の少し前もしくは間またはその両方など、設定された時間に圧力を加えるように、適応可能であってもよい。
【0119】
図12~15は、いくつかの特定の圧力印加システムを提供するが、当業者なら、本開示の教示を使用して、その他の圧力印加システムを設計し得る。さらに図12~15は、単一パウチ型セルで使用される圧力印加システムを示すが、圧力印加システムは、多数のセルおよび任意のフォーマットのセルに圧力を加えるように使用されてもよい。さらに、図12~15は、平らなセル上で使用される圧力印加システムを示すが、それらは湾曲した、曲がった、またはその他の平坦でないセルフォーマット上で使用されてもよい。
【0120】
図12~14では、圧力印加システムは、リング封止材80およびネジ85を含む。このタイプの圧力印加システムは、図示されるように、内部で電極55および60が電解質65に接触しているアルカリ金属またはアルカリ土類金属再充電可能電池50の、一部を封止する。ネジ85は、剛性プレートの形をとるケーシング70に、圧力を加える。ケーシング40は、溝90に位置付けられているリング封止材80内の電池50の部分に圧力を伝え、電極55および60がリング封止材80内の電解質65に接触する場合に圧力があるようにする。
【0121】
この実施例に対する多くの代替例が、考え出され使用され得る。例えば、単一の封止材のみが使用されてもよく、封止材は、溝に位置付けられる必要はなく、封止材はリング以外の形状を有してもよく、ネジ以外の圧力印加が使用されてもよい。
【0122】
図15において、圧力印加システムは、ケーシング70に伝えられる設定圧力まで膨張し得る、空気ブラダ95を含む。図示されるように、この圧力印加システムはいかなる封止材も含有せず、特にケーシング70に圧力が新たに加えられたとき、形成された気体を気体転移領域100に強制的に押し遣ることになる。したがって、この圧力印加システムは、電池使用の少し前もしくは最中または両方で圧力を加えるように、特に十分適応される。
【0123】
この実施例に対する多くの代替例が、考え出され使用され得る。例えば、空気ブラダ95は、任意のその他の流体、例えば別の気体または液体により膨張されてもよい。空気ブラダ95内の流体は、例えば絶縁性または熱伝導性を与えるように選択されてもよい。
【0124】
図示しないが、本開示のその他の電池50は、電池に添加されたときに電解質65を単に加圧し、次いで圧力を保持する手法でケーシング70を封止することによって、電解質65に接触する電極55および60上に一定の圧力を得てもよい。
電池の使用
【0125】
本明細書に開示されるコーティングされた活物質を含有する電池は、多くの適用例で使用することができる。例えば電池は、標準セルフォーマットの電池、例えばコインセル、ゼリーロール、またはとりわけプリズム型セルであってもよい。本明細書に開示される電池は、可搬式消費者向けエレクトロニクス、例えばラップトップ、電話、ノートブック、手持ち式ゲームシステム、電子玩具、時計、およびフィットネストラッカで使用されてもよい。本明細書で開示される電池は、医療用デバイス、例えば除細動器、心臓モニタ、胎児モニタ、および医療用カートで使用されてもよい。本明細書に開示される電池は、車両、例えば自動車、軽トラック、重量トラック、バン、モータサイクル、原付、電動アシスト自転車、スクータ、ボートおよび船舶、有人航空機、ドローン機体、軍用陸上輸送機、および無線操縦車両で使用されてもよい。本明細書に開示される電池は、グリッド蓄積または大規模エネルギー供給用途、例えば大型グリッド蓄積ユニットまたは可搬式エネルギー供給コンテナで使用されてもよい。本明細書に開示される電池は、手持ち式電力ツールなどのツールで使用されてもよい。
【0126】
本明細書に開示される電池は、直列にまたは並列に接続されてもよく、制御またはモニタリング設備、例えば電圧、電荷、または温度モニタ、消火設備、および電池使用を制御するようにまたは電池状態が安全ではない可能性がある場合に警告を発しもしくは安全対策をとるようにプログラムされたコンピュータに、接続して使用されてもよい。
【実施例
【0127】
以下の実施例は、本発明に関連したある特定の原理を例示するためにのみ提供される。これらは、本発明の全範囲またはその任意の実施形態を開示しまたは包含するものでもなくまたはそのように解釈されるべきでもない。
【0128】
(実施例1)
水熱法によるLiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976PO上の1wt%Alコーティング
0.8093gのC21Alを、158gのエタノールに、磁気撹拌しながら溶解した。次いで20gのLiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976POを添加し、60℃で4時間撹拌した。次いで混合溶液を、400mlの石英オートクレーブ内に移し、80℃で、撹拌を続けながら20時間維持した。乾燥後、沈殿物をN下で、350℃で12時間加熱し、自然に冷ました。1wt%のAlがコーティングされた正極活物質が生成された。
【0129】
同じプロセスを、混合溶液に関して撹拌せずに繰り返した。
【0130】
(実施例2)
噴霧乾燥法によるLiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976PO上での1wt%Al2O3コーティング
0.8093gのC21Alを、158gのエタノールに、磁気撹拌しながら溶解した。次いで20gのLiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976POを添加し、60℃で4時間撹拌した。次いで混合溶液を、N下で、100℃で噴霧乾燥し、その後、乾燥混合物を350℃で12時間、N下で加熱し、自然に冷ました。1wt%のAlがコーティングされた正極材料が生成された。
【0131】
(実施例3)
比較サイクリング安定性
コイン型半セルを、実施例1および2から得た1wt%の正極活物質、または比較としてコーティングされていないLiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976POを使用して調製した。サイクリング安定性の結果を図16に提示する。全てのコーティングされた材料は、コーティングされていない材料と比較して改善されたサイクリング安定性を示した。
【0132】
(実施例4)
高速乾式混合法によるLiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976PO上の10wt%のc-LiFePO4コーティング
2.22gのc-LiFePO粒子(平均直径300nm)、および平均直径38μmを有する20gのLiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976POを、50mlの小型NOBILTA(商標)乾燥ミル(NOB-130)(ホソカワミクロン株式会社、日本)で、9000rpmで10分間、乾式混合した。図17は、10wt%のc-LiFePOでコーティングされた、得られたLiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976POの代表的なSEM画像である。
【0133】
(実施例5)
継続撹拌を伴う水熱法によるLiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976PO上の4wt%のLiFコーティング
0.2572gのLiFおよび6.4311gのLiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976POを、267mlの脱イオン水と1時間混合し、その後、400mlの石英オートクレーブ内に移し、200℃で15時間継続撹拌しながら維持した。冷却後、沈殿物を遠心分離し、150mlの脱イオン水で3回洗浄し、次いで150mlのエタノール中に洗浄し遠心分離した。残留粉末を、空気中、80℃で空気乾燥した。同じ手順を、1wt%から4wt%の種々のLiFパーセンテージで繰り返した。図18は、放電容量が、4wt%までのLiFの増加と共に増大したことを示す。類似の平坦域が、その他のコーティングで予測される。
【0134】
(実施例6)
アトライタで混合されたLiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976PO(6:1比)
LiHPO 930g、Co(OH) 675g、FeC・2HO 160g、Cr 28.5g、Cr(OOCCH 23g、および500μm未満の寸法を有するアセチレンブラック76.3gを、120℃で一晩、真空下で予備乾燥し、次いで容器容積9.5Lを有するアトライタ内に置き、直径19mmの鋼製ボール11.3kg(6:1 ボール:前駆体w:w比)を加えた。アトライタを、400rpmで6~12時間動作させた。アトライタで混合された前駆体を炉に移し、次いで700℃で12時間、N下で加熱し、炉内で自然に冷ました。熱処理後、最終生成物約1.4kgが得られ、次いで38μmの篩に通して濾過した。得られた材料のXRD分析を、図19に提示する。XRDデータは、LiCoPOと同じ構造を有する活物質が、混合の僅か6時間後であっても生成されたことを確認する。
【0135】
(実施例7)
アトライタで混合されたLiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976PO(8:1比)
LiHPO 723g、Co(OH) 525g、FeC・2HO 122g、Cr 22.2g、Cr(OOCCH 17.9g、および500μm未満の寸法を有するアセチレンブラック59.4gを、最初に真空下で一晩、120℃で予備乾燥し、次いで容器容積9.5Lを有するアトライタに入れ、直径19mmの鋼製ボール11.8kg(8:1 ボール:前駆体w:w比)を加えた。アトライタを、400rpmで12時間動作させた。アトライタで混合された前駆体を炉に移し、次いで700℃で12時間、N下で加熱し、炉内で自然に冷ました。熱処理後、最終生成物約1.1kgが得られ、次いで38μmの篩に通して濾過した。得られた材料のXRD分析を図20に提示する。XRDデータは、LiCoPOと同じ構造を有する活物質が生成されたことを確認する。
【0136】
(実施例8)
アトライタで混合されたLiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976PO(10:1比)
LiHPO 578g、Co(OH) 420g、FeC・2HO 97.6g、Cr 17.7g、Cr(OOCCH 14.3g、および500μm未満の寸法を有するアセチレンブラック47.5gを、最初に真空下で一晩、120℃で予備乾燥し、次いで9.5Lの容器容積を有するアトライタに入れ、直径19mmの鋼製ボール11.8kg(10:1 ボール:前駆体w:w比)を加えた。アトライタを、400rpmで12時間動作させた。アトライタで混合された前駆体を炉に移し、次いで700℃で12時間、N下で加熱し、炉内で自然に冷ました。熱処理後、最終生成物約0.9kgが得られ、次いで38μmの篩に通して濾過した。得られた材料のXRD分析を図21に提示する。XRDデータは、LiCoPOと同じ構造を有する活物質が生成されたことを確認する。
【0137】
(実施例9)
アトライタで混合されたLiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976PO(12:1比)
LiHPO 483g、Co(OH) 351g、FeC・2HO 81.5g、Cr 14.8g、Cr(OOCCH 12.0g、および500μm未満の寸法を有するアセチレンブラック39.8gを、最初に真空下で一晩、120℃で予備乾燥し、次いで9.5Lの容器容積を有するアトライタに入れ、直径19mmの鋼製ボール11.8kg(12:1 ボール:前駆体w:w比)を加えた。アトライタを、400rpmで12時間動作させた。アトライタで混合された前駆体を炉に移し、次いで700℃で12時間、N下で加熱し、炉内で自然に冷ました。熱処理後、最終生成物約0.73kgが得られ、次いで38μmの篩に通して濾過した。得られた材料のXRD分析を図22に提示する。XRDデータは、LiCoPOと同じ構造を有する活物質が生成されたことを確認する。
【0138】
(実施例10)
アトライタで混合したLiCo0.82Fe0.0976Cr0.0488Si0.00976PO(14:1比)
LiHPO 413g、Co(OH) 301g、FeC・2HO 70g、Cr 12.7g、Cr(OOCCH 10.3g、および500μm未満の寸法を有するアセチレンブラック34gを、最初に真空下で一晩、120℃で予備乾燥し、次いで9.5Lの容器容積を有するアトライタに入れ、直径19mmの鋼製ボール11.8kg(14:1 ボール:前駆体w:w比)を加えた。アトライタを、400rpmで12時間動作させた。アトライタで混合した前駆体を炉に移し、次いでN下で12時間、700℃で加熱し、炉内で自然に冷ました。熱処理後、最終生成物約0.62kgが得られ、次いで38μmの篩に通して濾過した。得られる材料のXRD分析を図23に提示する。XRDデータは、LiCoPOと同じ構造を有する活物質が生成されたことを確認する。
【0139】
上記開示された対象は、例示的でありかつ非制限的であると見なされ、添付される特許請求の範囲は、そのような修正例、強化例、および本開示の真の精神および範囲内に包含されるその他の実施形態の全てを包含することになる。したがって、最大範囲を法により可能にするために、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲およびそれらの均等物の最も広範な許容される解釈によって決定されることになり、前述の詳細な記載によって制限または限定されるものではない。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【国際調査報告】