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特表2022-522591振動発生により3Dオブジェクトのバットへの接着を防止するための光造形装置
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  • 特表-振動発生により3Dオブジェクトのバットへの接着を防止するための光造形装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(54)【発明の名称】振動発生により3Dオブジェクトのバットへの接着を防止するための光造形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/129 20170101AFI20220413BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220413BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20220413BHJP
   B29C 64/255 20170101ALI20220413BHJP
【FI】
B29C64/129
B33Y30/00
B29C64/264
B29C64/255
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534686
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(85)【翻訳文提出日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2020056500
(87)【国際公開番号】W WO2020182881
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】19020125.1
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ハーゼンツァール、トーマス
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL06
4F213WL14
4F213WL72
(57)【要約】
光硬化性物質(3)から3次元オブジェクト(2)を生成するための光造形装置(1)は、光硬化性物質(3)を貯蔵するためのバット(4)と、3次元オブジェクト(2)を支持するためのプラットフォーム(5)と、ここにおいて、プラットフォーム(5)は、バット(4)に対して移動可能であり、3次元オブジェクト(2)とバット(4)の底部との間に堆積された光硬化性物質(3)を硬化させるために、層状画像を光硬化性物質(3)に向かって順次投影するための光学ユニット(6)とを備え、3次元オブジェクト(2)がバット(4)の底部に接着することを防止するために、水平方向の層状画像のピクセルサイズよりも小さい実質的に一定の振幅で、層状画像の投影と同時にバット(4)を水平方向に振動させるように適応された振動ユニット(7)を更に備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性物質(3)から3次元オブジェクト(2)を生成するための光造形装置(1)であって、
前記光硬化性物質(3)を貯蔵するためのバット(4)と、
前記3次元オブジェクト(2)を支持するためのプラットフォーム(5)と、ここにおいて、前記プラットフォーム(5)は、前記バット(4)に対して移動可能であり、
前記3次元オブジェクト(2)と前記バット(4)の底部との間に堆積された前記光硬化性物質(3)を硬化させるために、層状画像を前記光硬化性物質(3)に向かって順次投影するための光学ユニット(6)と、
を備える光造形装置(1)において、
前記3次元オブジェクト(2)が前記バット(4)の底部に接着することを防止するために、水平方向の前記層状画像のピクセルサイズよりも小さい振幅で、前記層状画像の前記投影と同時に前記バット(4)を水平方向に振動させるように適応された振動ユニット(7)
を更に備えることを特徴とする、光造形装置(1)。
【請求項2】
前記振動ユニット(7)が、前記層状画像の露光回数以上の振動数で前記バット(4)を振動させるように更に適応されていることを特徴とする、請求項1に記載の光造形装置(1)。
【請求項3】
前記振動ユニット(7)が、前記バット(4)を振動させるように適応された少なくとも1つのアクチュエータ(8)を備え、前記アクチュエータ(8)が、前記バット(4)又は前記バットの支持体のいずれかに直接連結されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光造形装置(1)。
【請求項4】
前記アクチュエータ(8)が圧電性であることを特徴とする、請求項3に記載の光造形装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バット(vat)内の光硬化性物質から3次元オブジェクトを生成するための光造形装置に関する。本発明は、より具体的には、3次元オブジェクトの、バットの底部への接着を防止するための技法に関する。
【背景技術】
【0002】
光造形装置は、例えば、バット内の液体モノマーなどの光硬化性物質を、例えば、デジタルマスクによって又は紫外領域のレーザビームの走査によって生成されることができる層状画像で段階的又は連続的に露光することにより、所望の形状を有する3Dオブジェクトを製造するために使用される。光造形の基本原理は、通称、ラピッドプロトタイピング又は3Dプリンティングとも呼ばれる。光造形製造では、デジタルマスクを作成するピクセルベースのディスプレイ、又は代替的に制御可能なマイクロミラーと共にレーザビームを使用して、層状画像、特にピクセルベースの層状画像を光硬化性物質の基準面に投影して、それを段階的又は連続的に硬化させることができる。基準面は、光硬化性物質の硬化が生じて硬化層が形成される焦点層を介して画定される。用途に応じて、硬化層は、硬い又は軟らかい稠度を有することができ、一般に、液状光硬化性物質の体積内のバットの底部に位置する。硬化層は、最初に、重合プロセスにおける接着を通して、バットに対して相対的に移動可能であるプラットフォームに転写される。露光中、硬化層はバットの底部にも付着する。露光後、硬化層は、新しい光硬化性物質が、最後の硬化層、すなわち重合フロントと、バットの底部との間を流れることができるように、バットの底部から取り外される必要がある。硬化層は、一般に、3Dオブジェクトを保持するプラットフォームに対してバットを傾斜又は移動させることによりバットの底部から取り外される。その後、流入した光硬化性物質は、次の露光によって硬化される。これらのステップは、投影された層状画像にしたがって3Dオブジェクトが生成されるまで繰り返される。一般に知られている技法では、バットの底部は、弾性フィルムで覆われており、バットが傾斜又は移動されたときに3Dオブジェクトをより容易に剥離することができる。別の一般に知られている技法では、酸素透過性の特殊材料がバットの底部に使用されており、3Dオブジェクトモデルがバットの底部に付着するのを防止することができる。しかしながら、このような酸素透過性バットは比較的高価である。
【0003】
US2017/0210072A1は、DLPプロジェクタ及び樹脂タンクの準ランダムな横方向振動により散乱及び回折効果が低減された均質な光学素子の付加製造のためのシステムを開示している。ランダム振幅は、1.5ピクセルのサイズを有する。
【0004】
WO2016/172788A1は、製造されたオブジェクトを剥離するために露光後に樹脂タンクを傾斜させるための一対の上下に振動する超音波トランスデューサを備えた樹脂タンクを有する光造形システムを開示している。
【0005】
US2018/0243987A1は、バットに接続された超音波振動器を有する付加製造システムを開示しており、超音波振動器は、スライスの完了後にバットのウィンドウから製造されたオブジェクトを分離するために振動する。
【0006】
WO2018/187874A1は、プリンティングされた層の厚さの方向の振動振幅でバットから硬化オブジェクトを外すのを助けるために樹脂バットの角に置かれたタクティカルトランスデューサ(tactical transducers)を有する光造形システムを開示している。EP3205484A1は、プリンティング後に樹脂タンクの底部からプリンティングされたオブジェクトを取り外すのを促進するための振動手段を有する3次元プリンティング機械を開示している。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、先行技術の欠点を克服し、バットの底部への3Dオブジェクトの接着を露光中にあまり複雑でない方法で効果的に防止することができる光造形装置を提供することである。
【0008】
この目的は、請求項1に記載の光造形装置によって達成された。従属請求項は、更なる展開形態に関する。
【0009】
本発明の光造形装置は、光硬化性物質から3次元オブジェクトを生成するのに好適であり、光硬化性物質を貯蔵するためのバットと、3次元オブジェクトを支持するためのプラットフォームと、ここにおいて、プラットフォームは、バットに対して移動可能であり、3次元オブジェクトとバットの底部との間に堆積された光硬化性物質を硬化させるために、層状画像を光硬化性物質に向かって順次投影するための光学ユニットと、3次元オブジェクトがバットの底部に接着することを防止するために、水平方向の層状画像のピクセルサイズよりも小さい実質的に一定の振幅で、層状画像の投影と同時にバットを水平方向に振動させるように適応された振動ユニットを備える。
【0010】
本発明の主な有利な効果は、3Dオブジェクトが、露光中に、同時に起きる振動発生によって底部バットに付着するのを防止することができるということである。これにより、露光後にバットを傾斜又は移動させる必要がなくなり、したがって製造プロセスを更に迅速化することができる。また、酸素透過性バット、弾性フォイルを使用する必要がなくなり、製造コストを比較的減少させることができる。
【0011】
本発明によれば、バットは、連続する露光の合間も、すなわち生成休止中も連続的に振動し、液状光硬化性物質、すなわち樹脂を、最後の硬化層とバットの底部との間の間隙により迅速に再充填することができる。これにより、生成休止期間を比較的短くすることができ、製造プロセスを更に迅速化することができる。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、振動ユニットは、生成プロセス中及び/又は生成休止時にバットを水平方向に振動させる。これにより、液状光硬化性物質がバットに付着することをより効果的に防止することができる。また、隙間に液状光硬化性物質をより効果的に再充填することができる。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、振動ユニットは、層状画像のピクセルサイズよりも小さい振幅及び層状画像の露光回数よりも多い振動数でバットを振動させる。これにより、3Dオブジェクトのぶれを効果的に低減することができる。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、振動ユニットは、バットを振動させる少なくとも1つのアクチュエータを有する。アクチュエータは、バット又はバットの支持体に直接連結され得る。バットは、好ましくは、支持体に交換可能に取り付けられる。アクチュエータは、層状画像、ピクセルサイズ、露光時間、光硬化性物質の粘度などに基づいて、光造形装置の制御ユニットによって制御される。アクチュエータは圧電性であり得る。当業者に既知の他のタイプのアクチュエータを代替的に使用してもよい。
【0015】
下記の説明において、例示的な実施形態を使用し、図面を参照することによって、本発明の更なる態様及び有利な効果をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態による光造形装置を示す。
【0017】
図面に示される参照番号は、以下に列挙される要素を指し、例示的な実施形態の下記の説明において参照される。
1.光造形装置
2.3Dオブジェクト
3.光硬化性物質
4.バット
5.プラットフォーム
6.光学ユニット
7.振動ユニット
8.アクチュエータ
9.制御ユニット
10.駆動ユニット
【0018】
図1は、光硬化性物質(3)から3次元オブジェクト(2)を生成するための光造形装置(1)を示す。光造形装置(1)におけるすべてのプロセスは、制御ユニット(9)を介して制御される。光硬化性物質(3)はバット(4)に貯蔵されている。バット(4)は支持体上に配置されている。光学ユニット(6)が、3次元オブジェクト(2)とバット(4)の底部との間に堆積された光硬化性物質(3)を硬化させるために、層状画像を光硬化性物質(3)に向かって順次投影する。振動ユニット(7)が、3次元オブジェクト(2)がバット(4)の底部に接着するのを防止するために、層状画像の投影と同時にバット(4)を振動させる。3次元オブジェクト(2)は、プラットフォーム(5)によって支持されている。プラットフォーム(5)は、駆動ユニット(10)を介してバット(4)に対して移動可能である。
【0019】
振動ユニット(7)は、バット(4)を水平方向に沿って、好ましくはX方向及び/又はY方向に振動させる。振動の振幅及び振動数は、光硬化性物質(3)のタイプ及び層状画像、特にピクセルサイズ及び露光回数に基づいて制御ユニット(9)によって制御される。振動の振幅は、好ましくは、層状画像のピクセルサイズよりも小さい。振動の振動数は、好ましくは、層状画像の露光回数よりも多い。露光回数は、各層画像の露光時間に反比例する。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、振動ユニット(7)は、バット(4)を振動させる少なくとも1つのアクチュエータ(8)を有する。アクチュエータ(8)は、バット(4)に直接連結され得る。代替的に、アクチュエータ(8)は、バット(4)の支持体に連結されてもよい。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、アクチュエータ(8)は、電気機械式アクチュエータを備え得る。圧電アクチュエータが使用され得る。代替的に、電場応答性高分子アクチュエータが使用されてもよい。代替的に、磁歪アクチュエータが使用されてもよい。
図1
【国際調査報告】