(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(54)【発明の名称】ホースクランプ
(51)【国際特許分類】
F16L 33/025 20060101AFI20220413BHJP
F16L 33/035 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
F16L33/025
F16L33/035
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021548187
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(85)【翻訳文提出日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 EP2019082694
(87)【国際公開番号】W WO2020169222
(87)【国際公開日】2020-08-27
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514052379
【氏名又は名称】オエティカ シュヴァイツ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】ウィドリグ・マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ベター・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ベージガー・マキシム
【テーマコード(参考)】
3H017
【Fターム(参考)】
3H017EA09
3H017EA12
3H017EA15
(57)【要約】
本明細書に開示されたホースクランプはクランプバンド(10)から構成されており、クランプバンドは、ホースクランプが閉じられた状態において重なり合う、ホースクランプをクローズするためのフック(12、19)が配置されたバンドセクションと、アウターバンドセクションに配置された、クランプ対象の周りにホースクランプを締め付けるための締め付け装置(15)と、を有している。フック(12、19)は。加工硬化しながらクランプバンドから打ち抜かれ、それぞれがタブ(21、25)を有する。ホースクランプが閉じられた状態では、インナーバンドセクションに配置されたフック(12)のタブ(21)とアウターバンドセクションに配置されたフック(19)のタブ(25)とが重なり合って、互いに接触しているフック(12、19)の横方向の面(27、32)を介して力が伝達する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプバンド(10)を備えるホースクランプであって、前記クランプバンド(10)は、当該ホースクランプをクローズさせるためのフック(12、19)が配置され、当該ホースクランプが閉じられた状態において互いに重なり合うバンドセクションと、アウターバンドセクションに配置された、当該ホースクランプをクランプ対象の周りに締め付けるための締め付け装置(15)と、を有するホースクランプにおいて、
前記フック(12、19)は、前記クランプバンドから打ち抜かれており、それぞれが、タブ(21、25)と、前記クランプバンド(10)の方向に対して横向きの横方向の面(27、32)と、有し、前記ホースクランプが閉じられた状態においては、前記インナーバンドセクションに配置された少なくとも1つのフック(12)の前記タブ(21)と、前記アウターバンドセクションに配置されたフック(19)の前記タブ(25)と、が互いに重なり合い、前記ホースクランプの締め付け状態においては、互いに接触した、前記フック(12、19)を横切る面(27、32)を介して、力が伝達することを特徴とするホースクランプ。
【請求項2】
請求項1記載のホースクランプであって、
前記ホースクランプが閉じられた状態において、前記インナーバンドセクションに配置されたフック(12)の段差(22)は、前記アウターバンドセクションに配置されたフック(19)の前記タブ(25)の端面に当接し、前記アウターバンドセクションに配置されたフック(19)の段差(26)は、前記インナーバンドセクションに配置されたフック(12)の前記タブ(21)の端面に当接するホースクランプ。
【請求項3】
請求項1ないし2のいずれか一項に記載のホースクランプであって、
少なくとも1つのフックは引っ張りフック(19)として前記アウターバンドセクションに配置され、1つ以上のフックは位置決めフック(12)として前記インナーバンドセクションに配置されているホースクランプ。
【請求項4】
請求項3記載のホースクランプであって、
前記引っ張りフック(19)を3つ備え、前記位置決めフック(12)を少なくとも3つ、好ましくは3つ以上備えるホースクランプ。
【請求項5】
請求項3または4記載のホースクランプであって、
前記引っ張りフック(19)および/または前記位置決めフック(12)は、それぞれ、前記クランプバンド(10)から盛り上がった補強ビード(30)で囲まれているホースクランプ。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずか一項に記載のホースクランプであって、
前記クランプバンド(10)は、前記引っ張りフック(19)と前記クランプバンドのエッジとの間および/または前記位置決めフック(12)と前記クランプバンドのエッジとの間に配置された補強盛り上がり部(31、40、41、42)を有するホースクランプ。
【請求項7】
請求項6記載のホースクランプであって、
前記位置決めフック(12)と前記クランプバンドのエッジとの間に配置された補強ビード(40、41)が前記インナーバンドセクションの端部に方向に続いているホースクランプ。
【請求項8】
請求項6または7記載のホースクランプであって、
前記位置決めフック(12)と前記クランプバンドのエッジとの間に配置された補強ビードが、全長に渡ってまたは長さの一部において波形のビード(41)として形成されているホースクランプ。
【請求項9】
請求項8記載のホースクランプであって、
前記位置決めフック(12)と前記クランプバンドのエッジとの間に配置された前記補強ビードは、前記ホースクランプが閉じられた状態において前記締め付け装置(15)の下に配置される前記インナーバンドセクションの部分上に波形ビード(41)として形成されているホースクランプ。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載のホースクランプであって、
前記位置決めフック(12)および引っ張りフック(19)が、前記製造プロセスにより生じる局所的な硬化により補強されているホースクランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例えばホースをパイプニップルに接続するためのホースクランプは、通常、締め付け時に、クランプバンドの内側面がホースとその全周に渡って隙間なく接触し、かつホースとパイプニップルとの間に連続的な表面圧がかかるように所定の呼び径で設計されている。
【0002】
ホースクランプはWO2017/005283A1から知られており、クランプバンドのアウターエンドセクションは、複数の開口部と、取り付け対象パーツの周りにホースクランプを締め付けるためのイヤー状の締め付け装置と、を有しており、インナーエンドセクションは、ホースクランプを閉じるために開口に留めることができるフックを有している。クランプバンドのアウターエンドセクションは、さらに、クランプバンドのインナーエンドに設けられたタンを受けて案内するためのバンド状の円弧部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術に係る同等のホースクランプで生じるデメリットを少なくとも部分的に解消するという一般的な目的に基づく。本発明のより具体的な目的は、インナーおよびアウターバンドセクションを接続する部分の強度が高く、径を調整可能なホースクランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題の解決は、請求項1において特定されるホースクランプにより達成される。このホースクランプでは、ホースクランプを閉じるためのフックが、重なり合ったバンドセクション上に配置されており、それらのフックは、クランプバンドから打ち抜かれ、金属板の板厚よりも薄くプレスされたときに強く加工硬化しており、それぞれがタブを有し、ホースクランプを閉じた状態では、インナーバンドセクションに配置された少なくとも1つのフックのタブとアウターバンドセクションに配置されたフックのタブとが互いに重なって係合し、ホースクランプを締め付けた状態では、互いに接触しているフックを横切る面を介して力が伝達する。
【0006】
冷間加工により形成され、これにより加工硬化が生じることにより、フックは高強度となり(特に、フックを強化する局所的な硬化部分を形成することができる)、したがって、高さが低く、クランプバンドからの突出量が少なくなる。これにより、フック間の力の適用ラインが改善される。力の伝達は、主に、インナーバンドセクションに配置されたフックおよびアウターバンドセクションに配置されたフックを横切る面を介して行われる。同時に、ホースクランプによる損傷およびホースクランプ自体のダメージのリスクが低減する。オープンフードは、それが位置決めフックを引っ張りフックにかけるために必要なスペースを提供するから、フックの高さをコンパクトにするのに役立つ。
【0007】
引っ張りフックおよびオープンフードのインターロック設計により、位置決めフックのピッチを小さくすることができ、直径を徐々に変更可能となる。
【0008】
本発明に係るフックの構造により、ホースクランプが曲げられた状態におけるクランプバンドセクションの引っ掛けがさらに容易になる。
【0009】
クランプバンドの引っ張りフックおよび/または位置決めフックの部分を、クランプバンドのエッジと引っ張りフックまたは位置決めフックとの間の横方向の補強エンボスにより補強することができる。これらの補強エンボスは、クランプバンドから径方向外側に突出し、かつそれぞれが引っ張りフックまたは位置決めフックの全コースまたはその一部上のみに渡って延びたビードとして設計することができる。このような補強ビードは特に、ホースクランプを閉じた状態でホースクランプをロックした後に締め付け装置の下方の位置にあるクランプバンドの領域において有用である。これは、特に、位置決めフックの部分と、タン側においてそれらに隣接するクランプバンドの部分と、に適用される。さらにこれらの補強ビードを波形ビードとして設計することにより、締め付け装置の下における径方向の座屈に対してクランプバンドを特に安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下において、本発明の2つの実施形態を、図面を参照しながらより詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る、閉じられた状態のホースクランプを示し、
図2および3は、それぞれ、閉じられた状態における内側および外側から見た、伸ばされた初期状態のホースクランプ、
図4は、クランプバンドの中心線に沿って切断した、
図1のホースクランプを示し、
図5および6は、クランプバンドに形成されたフックの拡大図を示し、
図7および8は、それぞれ、伸ばされた状態のクランプバンドのアウターセクションおよびインナーセクションを通る断面を示し、
図9は、アウタークランプバンドセクションの端部を示し、
図10は、閉じられた状態のホースクランプの内側から見たインナークランプバンドセクションの一部を示し、
図11および12は、それぞれ、閉じられた状態における外側および内側から見た、本発明の別の実施形態に係る、伸ばされた初期状態のホースクランプを示し、
図13は、別の実施形態に係るクランプバンドのタン端部の拡大図を示し、
図14は、別の実施形態に係るクランプバンドのバンド状の円弧部の拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1ないし3に示すホースクランプは、開放式のクランプバンド10から構成されており、これは、
図2の左上(
図3において右下)に示されたインナーバンド端部から順に、タン11と、一列の位置決めフック12(図示した例では4つ)と、2つの平行な長手方向の切り込みによってクランプバンド10から切り取られ、ウエブ13を介してクランプバンド10の側部に接続されたバンド状の円弧部14と、外側に曲げられた一対の脚部およびそれらを接続するウエブを有し、ビード16により補強されたいわゆる「オエティカ」イヤーの形態の締め付け装置15と、リリースフード17と、を備えており、他方のアウターバンドセクションには3つの引っ張りフック19およびオープンフード18を備えている。
【0012】
ここで説明するホースクランプは、特に、熱可塑性プラスチック、またはショア硬度が高くかつ変形しにくい他の材料で形成された、例えばカルダンシャフトで用いられるベローズをシールして固定するためのものである。
【0013】
使用時には、閉じられた状態でメーカから提供されたホースクランプを、パイプニップルおよびそれを囲むホースなどの、締結すべき部品に軸方向に押しつけるか、あるいは、径方向に組み付けるために開いて、締結すべき部品の周りに、タン11がバンド状円弧部11の下にくるように配置する。
【0014】
その後、アウターベルトセクションの3つの引っ張りフック19を、締結すべきそれぞれの部品の可能な限り最小の直径に対応する、インナーバンドセクションに配置された位置決めフック12に係合する。
【0015】
示された実施形態では、3つの引っ張りフック19が利用可能である。力および強度の要件に応じて、2つの引っ張りフックまたは単一の引っ張りフックで十分なこともあれば、3つ以上の引っ張りフック19が必要とされることもある。
【0016】
位置決めフック12の数は、クランプ直径の変動範囲に対応するために、引っ張りフック19よりも多い。示された実施形態では、簡略化のため、4つの位置決めフック12だけが想定されている。
図1において、ホースクランプは最大径で閉じられている。この場合において、閉じた径が最小の状態であれば、ベルトのインナーエンドに最も近い位置決めフック12は、リリースフード17の下にあり、つぎの3つの位置決めフック12が3つの引っ張りフック19と係合することになる。
【0017】
特に
図2、3、6および8からわかるように、各位置決めフック12は、クランプバンド10から切り取られた切り取りウィンドウ20内に配置されている。それは、締め付け装置15とは反対側を向いたエッジでクランプバンド10に接続されたタブ21を有しており、クランプバンド10に実質的に平行に伸びている。タブ21への移行部には段差22が径方向内側に形成され、締め付け装置15とは反対の方を向いている。
【0018】
特に
図1、2、5および7に示すように、各引っ張りフック19は、径方向内側にドーム状になっており、位置決めフック12のタブ21上に係合するタブ25を有している。引っ張りフック19のタブ25が位置決めフック12のタブ21上に係合できるように、引っ張りフックの反対側に径方向外側に形成されたオープンフード18は位置決めフック12に必要なスペースを与える。タブ25への移行部には段差26が径方向外側に形成され、締め付け装置15と向かい合っている。
【0019】
位置決めおよび引っ張りフック12、19のタブ21、25は互いの上にアウタークランプバンドセクションおよびインナークランプバンドセクションを保持するが、ホースクランプが締め付けられたとき、力は、クランプバンド10の長手方向を横切る引っ張りフック19の横方向の面27と、クランプバンド10の長手方向を横切る位置決めフック12の横方向の面32との間で伝達する。
【0020】
タブ25および21の設計長さに応じて、ホースクランプが閉じられた状態において、位置決めフック12の段差22が、引っ張りフック19のタブ25の自由端に当接することができるとともに、引っ張りフック19の段差26が、位置決めフック12のタブ21の自由端に当接することができ、これにより二次的な力の伝達点が生じて、インナーバンドセクションおよびアウターバンドセクションに配置されたフックを相互に安定させる。
【0021】
図9に示すように、引っ張りフック19およびオープンフード18は、クランプバンド10にエンボス加工された補強ビード30により囲まれ、これにより、所定の材料厚さに対する曲げ剛性が高まり、より大きな力の伝達が可能になる。
【0022】
同様な理由により、
図10によれば、位置決めフック12の切り取りウィンドウ20が、ウィンドウ20とクランプバンド10の側縁との間の盛り上がり部31により強化される。
【0023】
図11ないし14は、本発明の別の実施形態を示しており、クランプバンド10の一部分に、横方向の補強ビードが、部分的に、連続したチャネル形状40で、断続的なチャネル形状の波形ビード41として形成されている。
【0024】
ホースクランプが閉じられた状態では、ホース直径に応じて、1つ以上の位置決めフック12が、対応する数の引っ張りフック19に係合している。そのタン側では、バンドのインナーエンドの一部が締め付け装置15の下の位置に到達している。クランプバンド10の問題となる部分に設けられた横方向の波形ビード41は、クランプバンド10を、締め付け装置15の下において径方向の座屈に対して安定させる。波形ビード41は、断続的なチャネル形態で設計することも、一連の個々のビードとして設計することもできる。クランプバンド10の両側において、それらはそれぞれまとまって、連続したチャネル形状の補強ビード40になる。
【0025】
タン11のためのタンチャネルを形成し、かつ閉じられた状態においてそれを収容するバンド状円弧部14のエリアに、横方向の補強ビード42が設けられている。バンド状円弧部14のエリアに破損が集中するから、追加の補強ビード42はバンド状円弧部エリアの安定に効果的に役立つ。
【0026】
本実施形態では、補強ビード40、41、42は、ホースクランプの全体的な安定性に共同で寄与するため、位置決めフック12の部分および引っ張りフック19の部分の両方に設けられている。ただし、補強または波形ビード40、41のみ、あるいは補強ビード42のみを設けることも考えられる。
【符号の説明】
【0027】
10:クランプバンド
11:タン
12:位置決めフック
13:ウエブ
14:バンド状円弧部
15:締め付け装置
16:ビード
17:リリースフード
18:オープンフード
19:引っ張りフック
20:切り取りウィンドウ
21:タブ
22:段差
25:タブ
26:段差
27:横方向の面
30:補強用ビード
31:盛り上がり部
32:横方向の面
40:補強ビード
41:波形ビード
42:補強ビード
【国際調査報告】