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特表2022-522656電気コンポーネントの電気的パラメータの決定中に不正確な測定を低減させる方法及び装置
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  • 特表-電気コンポーネントの電気的パラメータの決定中に不正確な測定を低減させる方法及び装置 図1a
  • 特表-電気コンポーネントの電気的パラメータの決定中に不正確な測定を低減させる方法及び装置 図1b
  • 特表-電気コンポーネントの電気的パラメータの決定中に不正確な測定を低減させる方法及び装置 図2
  • 特表-電気コンポーネントの電気的パラメータの決定中に不正確な測定を低減させる方法及び装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(54)【発明の名称】電気コンポーネントの電気的パラメータの決定中に不正確な測定を低減させる方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 27/02 20060101AFI20220413BHJP
   G01R 19/00 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
G01R27/02 R
G01R19/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549386
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(85)【翻訳文提出日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 US2020019997
(87)【国際公開番号】W WO2020176687
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】62/811,042
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517269840
【氏名又は名称】アキュロジック・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】デコルディ,カリム
(72)【発明者】
【氏名】マルケス,ダニエル
【テーマコード(参考)】
2G028
2G035
【Fターム(参考)】
2G028AA01
2G028BE04
2G028CG02
2G028CG07
2G028DH03
2G028DH10
2G028FK01
2G028GL11
2G035AA01
2G035AA08
2G035AB03
2G035AC01
(57)【要約】
技術的コンポーネントは、更に処理される前に、その機能性について検査される。この場合、測定誤差又は不正確な測定に起因して、機能性の不正確な判断が発生する可能性があり、それにより、非常に非効率なテストがもたらされる。本発明は、測定精度の向上を達成することができる方法及び装置を提供する。これは、電気コンポーネントの端子で、一定な第1の測定電流で少なくとも1つの第1の電圧値が測定され、一定な第2の測定電流で少なくとも1つの第2の電圧値が測定され、該測定された各電圧値がプロファイル係数PFを用いてそれぞれスケーリングされて測定値Mが形成され、少なくとも共通の値範囲内の許容範囲にある測定値Mのみが、電気パラメータの決定に使用される、という点で達成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コンポーネントの、好ましくはバッテリの端子における電気的パラメータ、特に電気抵抗及び/又は静電容量の決定中に不正確な測定を低減させる方法であって、前記端子において、一定な第1の測定電流で、少なくとも1つ、好ましくは複数の第1の電圧値が測定されるとともに、一定な第2の測定電流で、少なくとも1つ、好ましくは複数の第2の電圧値が測定され、該測定された各電圧値がプロファイル係数PFを用いてそれぞれスケーリングされて測定値Mが形成され、少なくとも共通の値範囲内の許容範囲にある測定値Mのみが、前記電気的パラメータの決定に使用されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第1の電圧値は、0アンペア(A)の第1の測定電流で測定され、前記第2の電圧値は、0アンペア(A)とは等しくない、好ましくは1アンペア(A)の第2の測定電流で測定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の測定電流及び前記第2の測定電流は、前記端子において、同一の期間にわたり、好ましくはそれぞれ測定時間の半分にわたり、連続して印加されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第1の測定電圧値のプロファイル係数PFを求めるために、この第1の測定電圧値は、全ての第1の測定電圧値の算術平均値で除され、第2の測定電圧値のプロファイル係数PFを求めるために、この第2の測定電圧値は、全ての第2の測定電圧値の算術平均値で除されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
全ての第1の測定電圧値又は第2の測定電圧値に対する前記測定値Mを求めるために、この電圧値が、前記それぞれの求められたプロファイル係数PFで除されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記測定値Mごとに許容範囲が求められ、該許容範囲の上限値を求めるために、前記測定値Mと許容係数との積が前記測定値Mに加えられ、前記許容範囲の下限値を求めるために、前記測定値Mと前記許容係数との積が前記測定値Mから減ぜられることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記許容係数は、少なくとも1回のテスト測定によって求められることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
その許容範囲が共通の値範囲内にある前記測定値Mを用いて、前記第1の測定電圧値及び前記第2の測定電圧値に対する算術平均値がそれぞれ求められ、例えば、共振回路の電気抵抗、静電容量、インダクタンス若しくはインピーダンス、又は共振回路の別の電気的パラメータであり得る、前記電気的パラメータは、前記算術平均値と前記第1の測定電流及び前記第2の測定電流とから求められることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
1ミリ秒ごとの各電流値に対して、1個~500個、好ましくは5個~100個、特に5個~20個の第1の電圧値及び第2の電圧値が測定されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記電気的パラメータは、複数のバッテリ、特に自動車用のバッテリ配置又はバッテリモジュールにおいて同時に求められることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~10の少なくとも一項に記載の、電気コンポーネントの、好ましくはバッテリの端子における電気的パラメータ、特に電気抵抗及び/又は静電容量及び/又は電気インダクタンス及び/又は電気インピーダンスの決定中に不正確な測定を低減させる方法を実行する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによる、電気コンポーネントの端子における電気的パラメータの決定中に不正確な測定を低減させる方法に関する。さらに、本発明は、請求項11による、電気コンポーネントの端子における電気的パラメータの決定中に不正確な測定を低減させる方法を実施する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
技術的部品又はコンポーネントが、更に処理されるか又はそれよりも大型の装置に設置される前に、それら部品又はコンポーネントをその機能性についてテストすることが一般的である。したがって、特に、電気部品又はコンポーネントは、その電気的パラメータに関して検査される。例えば、バッテリは、電気機器又は車両に設置される前に、その機能が検査される。この場合、電気的パラメータ、例えば、共振回路の電気抵抗、インダクタンス、静電容量、インピーダンス等が測定される。そして、これらのパラメータに対して、先行して決定された目標値又は理想値と比較することにより、そのコンポーネントの機能性に関して記述することができる。測定された電気的変数、例えば、電圧又は静電容量から、更なる特性又は変数を計算又は導出することができ、それにより、そのコンポーネントの包括的なテスト画像が生成可能である。
【0003】
特に、コンポーネントの2つの電気接点を介する電気抵抗、インダクタンス又は静電容量の測定中、高度の測定精度が必要とされる。上述した電気的変数は、非常に小さい場合がある。したがって、ミリオーム又はマイクロファラッド又はピコファラッド又はナノファラッドの桁が、もっぱら一般的である。特に、複数のこうした測定を実施するとき、測定の持続時間すなわち測定時間もまた、重要な値である。必要な測定速度を満たすことができるために、電気的特性の決定時間は、わずかに数ミリ秒である場合がある。これらの低い絶対値により、電磁干渉が、測定結果に致命的な影響を与える。電気コンポーネントの電気的特性の決定に対する必要な測定精度は、90%を超えることが多く、又は略100%である。コンポーネント若しくは端子、又は測定装置もまた、電気ノイズに晒されるとすぐに、必要な測定精度が範囲外になる。したがって、電気的特性に対する全ての要件を実際に満たすコンポーネントであっても、測定自体が系統的ノイズ若しくはランダムノイズ及び/又は電磁干渉によって損なわれるため、要件を満たさないということが、確実に発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に、種々の異なる駆動装置、ロボット及び他の装置が相互作用する、大型の産業プラントでは、高度の系統的電気ノイズ及びランダム電気ノイズが存在する。適切な予防措置によってこのノイズを抑制する可能性があるが、こうした措置は、多くの場合、コストの理由で省略されることが多い。さらに、測定ライン又は測定チップ等において、ランダムノイズに起因する電磁干渉もある。この干渉のために、電気コンポーネントの電気的パラメータの正確な、したがって信頼性の高い決定が可能ではない。
【0005】
したがって、本発明は、電気コンポーネントの電気的パラメータの決定中に不正確な測定を低減させる方法及び装置であって、それにより、測定精度の向上を達成することができる、方法及び装置を提供するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成する方法は、請求項1の措置を含む。したがって、端子において、一定な第1の測定電流で、少なくとも1つ、好ましくは複数の第1の電圧値が測定されるとともに、一定な第2の測定電流で、少なくとも1つ、好ましくは複数の第2の電圧値が測定され、該測定された各電圧値がプロファイル係数(PF:profile factor)を用いてそれぞれスケーリングされて測定値Mが形成され、少なくとも共通の値範囲内の許容範囲にある測定値Mのみが、電気的パラメータの決定に使用される。複数の第1の電圧値及び/又は第2の電圧値の測定により、測定の系統的誤差を低減させ又はなくすことができ、それにより、測定結果の信頼性を向上させることができる。
【0007】
第1の電圧値は、0アンペア(A)の第1の一定の測定電流で測定され、第2の電圧値は、0アンペア(A)とは等しくない、好ましくは1アンペア(A)の第2の一定の測定電流で測定されるとすることができる。異なる測定電流での複数の電圧値の測定により、それぞれ、2つの電圧値又は電流値の微分を用いて非常に正確に、電気的パラメータ、例えば電気抵抗を求める可能性が提供される。特に、この方法により、ランダム誤差及び/又は干渉信号を低減させることができる。測定並びに平均化及び/又は微分の複数回の繰返しにより、高度な測定精度を達成することができる。さらに、コンポーネントの静電容量及びインダクタンス及び/又はインピーダンス又は別の電気的変数若しくはパラメータを求めることもまた考えられる。
【0008】
さらに、本発明によれば、第1の測定電流及び第2の測定電流は、端子において、同一の期間にわたり、好ましくは各場合、測定時間の半分にわたり、連続して印加されるとすることができる。このコンポーネントの測定時間又はこの刺激時間は、数マイクロ秒、ミリ秒又は秒でもあり得る。しかしながら、電圧差の決定に対して、第1の測定電流若しくはアンペア数又は第2の測定電流若しくはアンペア数それぞれが、第1の電圧値又は第2の電圧値それぞれの確認に対して一定であることが重要である。
【0009】
電圧値の微分を実施することができる前に、最初に、各電圧値に対してプロファイル係数PFが求められるとすることができる。この目的で、第1の測定電圧値のプロファイル係数PFを求めるために、この第1の測定電圧値は、全ての第1の測定電圧値の算術平均値で除されるとする。第2の測定電圧値のプロファイル係数PFを求めるために、この第2の測定電圧値は、全ての第2の測定電圧値の算術平均値で除される。このように、各測定電圧値に対して、別個のプロファイル係数PFが求められる。プロファイル係数PFの決定に対して、第1の電圧値及び第2の電圧値がそれぞれ用いられる。電圧値の「混合」は発生しない。
【0010】
さらに、各第1の測定電圧値及び第2の測定電圧値に対する測定値Mを求めるために、この電圧値は、それぞれの求められたプロファイル係数PFで除されるとすることができる。したがって、例えば、第1の測定された第1の電圧値が、その対応するプロファイル係数PFによって除される。第2の測定された第1の電圧値で、同様の手順が用いられる。この方法は、最後に測定された第2の電圧値もまたそれ自体のプロファイル係数PFによって除されるまで繰り返される。
【0011】
測定値Mを更に考慮するために、特定の範囲内にある測定値Mのみが用いられる。この目的で、各測定値Mに対して許容範囲が求められ、許容範囲の上限値を求めるために、測定値Mと許容係数(tolerance factor)との積が測定値Mに加えられ、許容範囲の下限値を求めるために、測定値Mと許容係数との積が測定値Mから減ぜられるとすることができる。許容係数は、この場合は事前に求められるべきであり、及び/又は、少なくとも1回のテスト測定によって求められるべきである。この方法を用いて、各測定値Mは、上限電圧許容値及び下限電圧許容値を受け取る。上限電圧許容値及び下限電圧許容値の差により、それぞれの測定値Mに対する許容範囲がもたらされ、その中心に、この測定値Mが正確に位置する。
【0012】
その後、縦座標上の電圧に対して横座標にわたり、個々の測定値Mxをプロットすることができる。概して、個々の測定値Mの電圧値は異なる。電気的パラメータの更なる決定に対して好適な値を求めるために、その許容範囲が共通の値範囲内にある測定値Mのみが評価される。この共通の値範囲又は重なり領域は、その中に少なくともいくつかの測定値Mが位置しているような寸法であるべきである。さらに、その許容範囲が共通の値範囲内にある測定値Mを用いて、第1の測定電圧値に対する、したがって第2の測定電圧値に対する算術平均値がそれぞれ求められ、電気的パラメータは、算術平均値と第1の測定電流及び第2の測定電流とから求められるとすることができる。したがって、コンポーネントの電気抵抗は、第1の測定電圧値及び第2の測定電圧値に対する選択された測定値Mの算術平均値の微分、及び採用されたアンペア数の差の除算によって求められる。さらに、それに従って、コンポーネントの静電容量及びインダクタンス及び/又はインピーダンス又は別の電気的変数若しくはパラメータを求めることも考えられる。電気的パラメータのこうした決定により、不正確な測定を低減させることができる。この方法により、系統的電気ノイズ又はランダム電気ノイズによってもたらされる全ての誤差をなくすことができる。したがって、このように求められた電気的パラメータは、極めて高度の精度を有し、したがって非常に信頼性が高い。
【0013】
さらに、1ミリ秒ごとの各電流値に対して、1個~500個、好ましくは5個~100個、特に5個~20個の第1の電圧値及び第2の電圧値が測定されるとすることができる。複数のバッテリに対する電気的パラメータの検査及び/又は決定は、この方法の応用の好ましい領域、特に自動車用のバッテリ配置及びバッテリモジュールを表す。ここでは、バッテリの複数の異なる端子を、対応する測定方法と、パラメータを決定する本明細書に記載された方法とにより、同時に検査することができる。この測定精度のレベルの向上により、バッテリの状態に関する及び/又は特性に関する信頼性の高い結果を達成することができる。
【0014】
記載する方法全体を、対応する装置によって完全に自動に実行することができる。この場合、電圧測定値は、対応する測定装置によって測定され、言及した測定電流が生成される。記録された電圧測定値は、さらに、電気的パラメータを求めるために、相応して評価プログラム又は分析プログラムにより直接処理される。
【0015】
最初に言及した目的を達成する対応する装置は、請求項11によって請求されている。
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明の好ましい例示的な実施形態についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1a】測定電流の時間曲線の図である。
図1b】測定時間にわたる第1の電圧測定値及び第2の電圧測定値の図である。
図2】様々な時点における電圧測定値の図である。
図3】許容範囲に関連する測定値の相対位置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
電気コンポーネント、例えばバッテリの電気的パラメータを求めることができるようにするために、本発明により、第1に、コンポーネントの端子に、又は対応する接点に、それぞれ、一定の測定電流が印加される。次いで、この第1の測定電流に対して、端子又は接点を介して、それぞれ、第1の電圧値が測定される(図1a)。例えば、このように測定された電圧測定値と測定電流とから、電気コンポーネントの電気抵抗を求めることができる。しかしながら、コンポーネントの静電容量、並びにインダクタンス及び/又はインピーダンス又は別の電気的変数若しくはパラメータもまた、このように、少なくとも実質的に測定誤差なしに求めることができると考えられる。
【0019】
ここで、この測定の測定精度を向上させ、したがってより信頼性の高い結果を生成するために、同じ端子又は接点にわたり、それぞれ、第2の測定電流で第2の電圧測定値が測定される。図1において例として示す測定では、0Aのアンペア数で、第1の電圧測定値の確認が実施され、1Aの第2のアンペア数で、第2の電圧測定値の測定が実施される。この場合、端子において、同一の期間にわたり、すなわち、それぞれ刺激時間の半分にわたり、測定電流が印加される。
【0020】
ここで、ランダム電気ノイズの影響をもまた更に最小限にするために、1つの第1の電圧測定値のみでなく、1つの第2の電圧測定値、むしろ複数、好ましくはn個の測定値Mが確認される。しかしながら、これらのn個の測定値Mの測定は、各場合において、端子に電流値が印加される一定の期間に実施される(図1b)。ここで、測定結果の品質を更に向上させ及び/又は測定に対する電磁干渉信号の影響を最小限にするために、全ての測定された第1の電圧測定値は、全ての第1の電圧値の算術平均で除される。したがって、全ての電圧値に対してプロファイル係数PFが求められる。これらのプロファイル係数PFは、第1の測定電圧値と第2の測定電圧値との両方に対して求められる。
【0021】
更なる方法ステップでは、次いで、測定値Mの決定のために、全ての第1の電圧値及び第2の電圧値が、それ自体のプロファイル係数PFでそれぞれ除される。図2に例として、第1の測定電圧値に対するこれらの測定値M1~M5を示す。このように確認された測定値M1~M5は、同一の条件下で測定されたが、互いに著しくずれていることが明らかである。このずれは、系統的電気干渉信号及びランダム電気干渉信号からもたらされる。
【0022】
電気的パラメータの更なる計算のために、最初に、求められる許容範囲内にない測定値Mが排除される。この目的で、図2に示す測定値M1~M5は、許容係数を用いてオフセットされる。具体的には、上限許容値を確立するために、それぞれの測定値M1~M5と許容係数との積が、各測定値M1~M5に加えられる。各測定値M1~M5に対する下限許容値は、各測定値M1~M5と許容係数との積をそれぞれの測定値M1~M5から減ずることによって、確認される。このように計算された上限測定値及び下限測定値を、図3において矢印によって示す。
【0023】
測定値Mが電気的パラメータの更なる計算に好適であるか否かに関する判断のために、許容範囲が確立されるか又は規定される。この許容範囲は、図3において水平破線によって示す。図3に示す例では、測定値M1、M2、M3及びM5は、少なくとも部分的に、測定値Mによって求められたその測定値範囲が許容範囲内にあり、したがって、更なる利用に対して好適であるものとして権限が与えられる。測定値M4は、明らかに、許容範囲内になく、したがって、電気的パラメータの更なる計算に考慮されない。第2の電圧測定値に対してもまた、測定値Mの等価な考慮及び/又は処理が実施される。
【0024】
ここで、電気抵抗の計算に対して、第1の電圧値の権限が与えられた測定値Mの算術平均は、第2の電圧値の権限が与えられた測定値Mの算術平均から減ぜられる。次いで、測定値Mのこの差は、電流値の差によって除される。電気コンポーネントの電気抵抗に対してこのように確認された値は、電磁干渉によって依然として損なわれるとしても非常に限られた程度にしか損なわれない、非常に高い測定精度を有する。
【0025】
この方法によって、系統的誤差源及びランダム誤差源の影響を最小限にすることができる。複数の電気コンポーネントに対する他の電気的パラメータもまた、同じ方法によって測定可能及び/又は決定可能であることが明確に留意されるべきである。
図1a
図1b
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コンポーネント端子における電気的パラメータ決定中に不正確な測定を低減させる方法であって、
0アンペア(A)で一定な第1の測定電流が前記端子に所定の期間にわたって連続して印加されることで複数の第1の電圧値が測定されるとともに、前記第1の測定電流とは異なる一定な第2の測定電流が前記端子に前記期間にわたって連続して印加されることで複数の第2の電圧値が測定され、
該測定された各電圧値がプロファイル係数PFを用いてそれぞれスケーリングされて測定値が形成され、
該形成された各測定値(M)のうち、該測定値(M)によって求められる測定値範囲の少なくとも一部が許容範囲内にある前記測定値のみが、前記電気的パラメータの決定に使用されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記電気的パラメータは、電気抵抗及び/又は静電容量であることを特徴とする、請求項1に記載方法。
【請求項3】
前記電気コンポーネントは、バッテリであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の測定電流は、1アンペア(A)であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の圧値に対する前記プロファイル係数PF)は、前記第1の圧値、全ての第1の圧値の算術平均値で除して求められ、
前記第2の圧値に対する前記プロファイル係数PF)は、前記第2の圧値、全ての第2の圧値の算術平均値で除して求められることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の圧値から形成される前記測定値(M)は、前記第1の電圧値を、該第1の電圧値に対する前記プロファイル係数(PF)で除して求められ、
前記第2の電圧値から形成される前記測定値(M)は、前記第2の電圧値を、該第2の電圧値に対する前記プロファイル係数(PF)で除して求められることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記測定値ごとに前記測定値範囲が求められ、該測定値範囲の上限値を求めるために、前記測定値と許容係数との積が前記測定値に加えられ、前記測定値範囲の下限値を求めるために、前記測定値と前記許容係数との積が前記測定値から減ぜられることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記許容係数は、少なくとも1回のテスト測定によって求められることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記測定値範囲の少なくとも一部前記許容範囲内にある前記測定値を用いて、前記第1の圧値及び前記第2の圧値に対する算術平均値がそれぞれ求められ、記電気的パラメータは、前記算術平均値と前記第1の測定電流及び前記第2の測定電流とから求められることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
1ミリ秒ごとの各電流値に対して、1個~500個第1の電圧値及び第2の電圧値が測定されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記電気的パラメータは、複数のバッテリおいて同時に求められることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載方法を実行する装置。
【国際調査報告】