IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アスカス バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッドの特許一覧

特表2022-522710保存された細胞のレスキュー及び連続継代を介して微生物の保存収量を改善するための方法、装置、及びシステム
<>
  • 特表-保存された細胞のレスキュー及び連続継代を介して微生物の保存収量を改善するための方法、装置、及びシステム 図1
  • 特表-保存された細胞のレスキュー及び連続継代を介して微生物の保存収量を改善するための方法、装置、及びシステム 図2
  • 特表-保存された細胞のレスキュー及び連続継代を介して微生物の保存収量を改善するための方法、装置、及びシステム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(54)【発明の名称】保存された細胞のレスキュー及び連続継代を介して微生物の保存収量を改善するための方法、装置、及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/04 20060101AFI20220413BHJP
   C12N 1/14 20060101ALI20220413BHJP
   C12N 1/16 20060101ALI20220413BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20220413BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20220413BHJP
【FI】
C12N1/04 ZNA
C12N1/14
C12N1/16
C12N1/20 B
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021550181
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(85)【翻訳文提出日】2021-09-15
(86)【国際出願番号】 US2020020311
(87)【国際公開番号】W WO2020176834
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】62/812,232
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517447404
【氏名又は名称】ネイティブ マイクロビアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ギルモア, ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ダッジ, コーリー
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA15X
4B065AA23X
4B065AA30X
4B065AA57X
4B065AA77X
4B065BD09
4B065BD10
4B065BD11
4B065BD12
4B065CA60
(57)【要約】
本開示は、標的微生物細胞の集団を1つ以上の保存チャレンジにかけること、及び該方法から生成された保存された生存率向上微生物細胞の集団を使用して製品を調製することを含む、保存後の微生物の生存率を改善する方法を提供する。本開示は、さらに、本明細書に記載の方法で生成された、保存された生存率向上微生物細胞を含む製品を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保存後の微生物の生存率を改善する方法は、
a.標的微生物細胞の集団を最初の保存チャレンジにかけて、チャレンジ微生物細胞の集団を得ること;
b.チャレンジ微生物細胞の前記集団から生存可能なチャレンジ微生物細胞を採取すること;
c.前記生存可能なチャレンジ微生物細胞を保存して、保存された生存率向上微生物細胞の集団を得ること;及び、
d.保存された生存率向上微生物細胞の前記集団を使用して、製品を調製すること、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記第1の保存チャレンジが、フリーズドライ、凍結乾燥、低温保存、気化による保存、泡形成による保存、ガラス化、ガラス形成による安定化、気化による保存、噴霧乾燥、吸着乾燥、押し出し、または流動床乾燥を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生存可能なチャレンジ細胞の保存が、フリーズドライ、凍結乾燥、低温保存、蒸発による保存、泡形成による保存、ガラス化、ガラス形成による安定化、気化による保存、噴霧乾燥、吸着乾燥、押し出し乾燥、または流体床乾燥を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
さらに、チャレンジ細胞の前記集団を少なくとも1つの追加の保存チャレンジにかけることを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
微生物の生存率向上及び保存のための方法であって、前記方法が、
a.標的微生物細胞の集団を最初の保存チャレンジにかけて、チャレンジ微生物細胞の最初の集団を得ること;
b.チャレンジ微生物細胞の前記第1の集団から生存可能なチャレンジ微生物を採取して、生存可能なチャレンジ微生物細胞の第1の集団を得ること;
c.生存可能なチャレンジ微生物細胞の前記第1の集団を第2の保存チャレンジにかけて、チャレンジ微生物細胞の第2の集団を得ること;
d.チャレンジ微生物細胞の前記第2の集団から生存可能なチャレンジ微生物を採取して、生存可能なチャレンジ微生物細胞の第2の集団を得ること;
e.生存可能なチャレンジ微生物細胞の前記第2の集団を保存して、保存された生存率向上微生物細胞の集団を得ること;及び
f.保存された生存率向上微生物細胞の前記集団を使用して、製品を調製すること、
を含む、前記方法。
【請求項6】
前記第1の保存チャレンジ及び前記第2の保存チャレンジが、同じチャレンジタイプのものである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の保存チャレンジ及び前記第2の保存チャレンジが、異なるチャレンジタイプのものである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の保存チャレンジ及び前記第2の保存チャレンジが、表1に記載された組み合わせから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
さらに、チャレンジ細胞の前記第2の集団をかけることを、少なくとも1つの追加の保存チャレンジに含む、請求項5~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の生存可能なチャレンジ細胞集団の保存が、フリーズドライ、凍結乾燥、低温保存、気化による保存、泡形成による保存、ガラス化、ガラス形成による安定化、気化による保存、噴霧乾燥、吸着乾燥、押し出し乾燥、または流動床乾燥を含む、請求項5~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
標的微生物細胞の前記集団が、Clostridium spp.の細菌、Succinivibrio spp.の細菌、Butyrivibio spp.の細菌、Bacillus spp.の細菌、Lactobacillus spp.の細菌、Prevotella spp.の細菌、Syntrophococcus spp.の細菌、または、Ruminococcus spp.の細菌を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
標的微生物細胞の前記集団が、Caecomyces spp.の真菌、Pichia spp.の真菌、Orpinomyces spp.の真菌、またはPiromyces spp.の真菌を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
標的微生物細胞の前記集団が、Lachnospiraceae科の種を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
a.前記Clostridium spp.が、配列番号1、配列番号3、配列番号5、もしくは配列番号6と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含むか、
b.前記Succinivibrio spp.が、配列番号11と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含むか、
c.前記Pichia spp.が、配列番号2と少なくとも97%の配列同一性を含むITS配列を含むか、
d.前記Bacillus spp.が、配列番号4と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含むか、
e.前記Lactobacillus spp.が、配列番号7、配列番号8、または配列番号9と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含むか、
f.前記Prevotella spp.が、配列番号10と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含むか、または
g.Lachnospiraceae科の前記種が、配列番号12と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含む、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
標的微生物細胞の前記集団が、Ruminococcus bovisの細菌、Succinivibrio dextrinosolvensの細菌、またはCaecomyces spp.の真菌を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
標的微生物細胞の前記集団が、Clostridium butyricumの細菌、Pichia kudriazeviiの真菌、Butyrivibio fibrosolvensの細菌、Ruminococcus bovisの細菌、またはSuccinivibrio dextrinosolvensの細菌を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
保存された生存率向上微生物細胞の集団を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法で調製された製品。
【請求項18】
保存された生存率向上微生物細胞の前記集団が、Clostridium spp.の細菌、Succinivibrio spp.の細菌、Caecomyces spp.の細菌、Pichia spp.の真菌、a Butyrivibio spp.の細菌、Orpinomyces spp.の真菌、Piromyces spp.の真菌、Bacillus spp.の細菌、Lactobacillus spp.の細菌、Prevotella spp.の細菌、Syntrophococcus spp.の細菌、Ruminococcus sppの細菌、またはLachnospiraceae科の種を含む、請求項17に記載の製品。
【請求項19】
a.前記Clostridium spp.が、配列番号1、配列番号3、配列番号5、もしくは配列番号6と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含むか、
b.前記Succinivibrio spp.が、配列番号11と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含むか、
c.前記Pichia spp.が、配列番号2と少なくとも97%の配列同一性を含むITS配列を含むか、
d.前記Bacillus spp.が、配列番号4と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含むか、
e.前記Lactobacillus spp.が、配列番号7、配列番号8、もしくは配列番号9と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含むか、または
f.前記Prevotella spp.が、配列番号10と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含むか、または
g.Lachnospiraceae科の前記種が、配列番号12と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含む、請求項18に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年2月28日に出願された米国仮出願第62/812,232号の優先権を主張し、この内容は、全体が参照により組み込まれる。
【0002】
電子的に送信されたテキストファイルの記載
本出願に関連する配列表は、紙媒体の代わりにテキスト形式で提供され、参照により本明細書に組み込まれる。配列表を含有するテキストファイルの名称は、ASBI-017_01WO_ST25.txtである。2020年2月28日に作成されたテキストファイルは、8kbであり、EFS-Web経由で電子的に提出されている。
【背景技術】
【0003】
微生物は、群集として自然界で共存するが、様々な相互作用に関与し、個々の群集のメンバー間に協同及び競争の両方がもたらされる。微生物生態学の進歩により、ほとんどの群集で高レベルの種の多様性及び複雑性が明らかになった。微生物は、環境中に遍在し、生物圏内の様々な生態系に生息する。個々の微生物及びそれらのそれぞれの群集は、環境、例えば、海水部分(深海及び海水表面の両方)、土壌、ならびにヒト組織を含む動物の組織、に独自の役割を果たす。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態では、本開示は、以下を含む、保存後の微生物の生存率を改善する方法を提供する:標的微生物細胞の集団を最初の保存チャレンジにかけて、チャレンジ微生物細胞の集団を得ること;チャレンジ微生物細胞の集団から生存可能なチャレンジ微生物細胞を採取すること;生存可能なチャレンジ微生物細胞を保存して、保存された生存率向上微生物細胞の集団を得ること;及び、保存された生存率向上微生物細胞の集団を使用して、製品を調製すること。
【0005】
いくつかの実施形態では、第1の保存チャレンジは、フリーズドライ、凍結乾燥、低温保存、蒸発による保存、泡形成による保存、ガラス化、ガラス形成による安定化、気化による保存、噴霧乾燥、吸着乾燥、押し出し、または流動床乾燥のうちの1つを含む。いくつかの実施形態では、生存可能なチャレンジ細胞の保存は、フリーズドライ、凍結乾燥、低温保存、蒸発による保存、泡形成による保存、ガラス化、ガラス形成による安定化、気化による保存、噴霧乾燥、吸着乾燥、押し出し乾燥、または流体床乾燥を含む。いくつかの実施形態では、チャレンジ細胞の集団は、少なくとも1つの追加の保存チャレンジにかけられる。
【0006】
いくつかの実施形態では、本開示は、微生物の生存率向上及び保存のための方法を提供し、方法は、以下を含む:標的微生物細胞の集団を最初の保存チャレンジにかけて、チャレンジ微生物細胞の最初の集団を得ること;チャレンジ微生物細胞の第1の集団から生存可能なチャレンジ微生物を採取して、生存可能なチャレンジ微生物細胞の第1の集団を得ること;生存可能なチャレンジ微生物細胞の第1の集団を第2の保存チャレンジにかけて、チャレンジ微生物細胞の第2の集団を得ること;チャレンジ微生物細胞の第2の集団から生存可能なチャレンジ微生物を採取して、生存可能なチャレンジ微生物細胞の第2の集団を得ること;生存可能なチャレンジ微生物細胞の第2の集団を保存して、保存された生存率向上微生物細胞の集団を得ること;及び保存された生存率向上微生物細胞の集団を使用して、製品を調製すること。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の保存チャレンジ及び第2の保存チャレンジは、同じチャレンジタイプのものである。いくつかの実施形態では、第1の保存チャレンジ及び第2の保存チャレンジは、異なるチャレンジタイプのものである。いくつかの実施形態では、第1の保存チャレンジ及び第2の保存チャレンジは、表1に記載の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、チャレンジされた細胞の第2の集団は、少なくとも1つの追加の保存チャレンジにかけられる。いくつかの実施形態では、第2の生存可能なチャレンジ細胞集団の保存は、フリーズドライ、凍結乾燥、低温保存、蒸発による保存、泡形成による保存、ガラス化、ガラス形成による安定化、気化による保存、噴霧乾燥、吸着乾燥、押し出し乾燥、または流体床乾燥を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、標的微生物細胞の集団は、Clostridium spp.の細菌、Succinivibrio spp.の細菌、Butyrivibio spp.の細菌、Bacillus spp.の細菌、Lactobacillus spp.の細菌、Prevotella spp.の細菌、Syntrophococcus spp.の細菌、またはRuminococcus spp.の細菌を含む。いくつかの実施形態では、対象微生物細胞の集団は、Caecomyces spp.の真菌、Pichia spp.の真菌、Orpinomyces spp.の真菌、またはPiromyces spp.の真菌を含む。いくつかの実施形態では、標的微生物細胞の集団は、Lachnospiraceae科の種を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、Clostridium spp.は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、もしくは配列番号6と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;Succinivibrio spp.は、配列番号11と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;Pichia spp.は、配列番号2と少なくとも97%の配列同一性を含むITS配列を含み;Bacillus spp.は、配列番号4と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;Lactobacillus spp.は、配列番号7、配列番号8、もしくは配列番号9と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;Prevotella spp.は、配列番号10と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;またはLachnospiraceae科の種は、配列番号12と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、標的微生物細胞の集団は、Ruminococcus bovisの細菌、Succinivibrio dextrinosolvensの細菌、またはCaecomyces spp.の真菌を含む。いくつかの実施形態では、対象微生物細胞の集団は、Clostridium butyricumの細菌、Pichia kudriazeviiの真菌、Butyrivibio fibrosolvensの細菌、Ruminococcus bovisの細菌、またはSuccinivibrio dextrinosolvensの細菌を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示は、保存された生存率向上微生物細胞の集団を含む、本明細書に記載の方法で調製された製品を提供する。いくつかの実施形態では、保存された生存率向上微生物細胞の集団は、Clostridium spp.の細菌、Succinivibrio spp.の細菌、Caecomyces spp.の真菌、Pichia spp.の真菌、Butyrivibio spp.の細菌、Orpinomyces spp.の真菌、Piromyces spp.の真菌、Bacillus spp.の細菌、Lactobacillus spp.の細菌、Prevotella spp.の細菌、Syntrophococcus spp.の細菌、Ruminococcus sppの細菌、またはLachnospiraceae科の種を含む。いくつかの実施形態では、Clostridium spp.は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、もしくは配列番号6と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;Succinivibrio spp.は、配列番号11と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;Pichia spp.は、配列番号2と少なくとも97%の配列同一性を含むITS配列を含み;Bacillus spp.は、配列番号4と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;Lactobacillus spp.は、配列番号7、配列番号8、もしくは配列番号9と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;Prevotella spp.は、配列番号10と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;またはLachnospiraceae科の種は、配列番号12と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示による方法を示すプロセスフロー図を提供する。
図2】本開示の一実施形態による、チャレンジ/レスキューの生存率向上のフローを提供する。
図3】開示の方法を2つの異なる微生物に適用した結果の例を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概要
本開示のいくつかの実施形態によれば、微生物の安定化/保存収量の改善を含む、レスキュー/連続チャレンジ生存率向上のための方法、装置、及びシステムは、細胞のレスキュー及び連続チャレンジ/継代を介して生じる。非限定例として、合成アンサンブル、合成バイオアンサンブル、及び/または生きた微生物製品を形成する際に使用することができるそのような方法が開示される。いくつかの実施形態では、そのような合成アンサンブルは、1つ以上の安定した及び/または保存された微生物、例えば、米国特許出願公開第2018/0310592号、第2018/0333443号、及び第2018/0223325号(それぞれ、あらゆる目的のために参照により本明細書に明示的に組み込まれる)のうちの1つ以上に開示される1つ以上の微生物、を含有し、及び/または含む。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態によれば、微生物の安定化/保存収量の改善を含む、レスキュー/連続チャレンジ生存率向上のための方法、装置、及びシステムは、細胞のレスキュー及び連続チャレンジ/継代を介して生じる。非限定例として、合成アンサンブル、合成バイオアンサンブル、及び/または生きた微生物製品を形成する際に使用することができるそのような方法が開示される。いくつかの実施形態では、そのような合成アンサンブルは、1つ以上の安定化及び/または保存された微生物を含有し、及び/または含む。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、標的株が同定される。次に、標的株が識別されると、株の最初の培養物が成長し、次に、細胞が最初に培養物から採取される。採取されると、チャレンジ前のベースラインを設定/確立することができ、及び/または最初の生存率を試験することができる。採取後、細胞は、例えば、保存溶液と組み合わせることにより、チャレンジのために調製される。例示的な保存溶液は、非限定例として、細胞内保護剤(例えば、糖、特に、非還元糖;糖アルコール、例えば、ソルビトールなど)、pH緩衝剤(例えば、グルタミン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウムなど)、膜保護剤(例えば、ポリビニルピロリドンK-15など)、ならびに保存に役立つ構成成分(例えば、適用可能な、ガラス形成のためのスクロースなど)及び品質管理(例えば、酸化還元指示薬、例えば、嫌気性微生物などとともに使用されるレザズリンなど)を含み得る。細胞がチャレンジのために調製されると、最初の保存チャレンジが実施される。保存/安定化チャレンジの例としては、フリーズドライ/凍結乾燥、低温保存、蒸発による保存、泡形成による保存、ガラス化/ガラス形成による安定化、気化による保存、噴霧乾燥、吸着乾燥、押し出し、または流体床乾燥などが挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態によれば、最終製品への組み込み及び/またはそれの形成の前に、複数のチャレンジがあり得る。いくつかの実施形態では、チャレンジ(複数可)は、最終保存/安定化と同じであり得るが、他の実施形態では、使用される複数のタイプのチャレンジがあってよく、これらのそれぞれは、最終保存と同じかまたは異なり得る。例えば、PBVは、最終的な安定化/保存ステップである場合、チャレンジ(複数可)は、PBVのチャレンジを含み得、いくつかの実施形態では、PBVのチャレンジ及び最終PBVプロセスに加えて、低温保存のチャレンジも含み得る。
【0016】
最初の保全チャレンジが実施されると、チャレンジ株/保存細胞が調製され、レスキュー培養で成長し、レスキュー培養物から細胞が採取され、生存率が試験される。チャレンジ株は、1つ以上の追加のチャレンジのために調製し、それにかけることができる(これは、上述のように、以前のチャレンジ(複数可)及び/または最終的な保存/安定化と同じまたは異なり得る)。チャレンジが完了していると、生存チャレンジ細胞は、保存/安定化のためのレスキュー培養から採取され、採取されたチャレンジ細胞は、生存率向上細胞を得るために保存/安定化される。次に、生存率向上細胞は、最終製品、例えば、アンサンブル、生きた微生物飼料添加物、生きた微生物飼料サプリメントなど、のために使用し、及び/またはそれに組み込むことができる。
【0017】
定義
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈に別途明示のない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「生物タイプ」という用語は、単一の生物タイプまたは複数の生物タイプを意味するものとされる。別の例では、「環境パラメーター」という用語は、唯一の環境パラメーターが存在することを文脈が明らかに要求しない限り、不定冠詞「a」または「an」が、複数の環境パラメーターが存在する可能性を排除しないような単一の環境パラメーターまたは複数の環境パラメーターを意味し得る。
【0018】
本明細書全体にわたって、「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」、「一態様(one aspect)」、または「一態様(an aspect)」、「一実装(one implementation)」、または「一実装(an implementation)」への言及は、実施形態と関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体において、様々な箇所で「一実施形態(one embodiment)において」または「一実施形態(an embodiment)において」という表現が見られても、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、その特定の要素、構造または特徴は、いずれかの好適な形で、1つ以上の実施形態で組み合わせることができる。
【0019】
本明細書で使用される場合、特定の実施形態では、数値に先行する場合の「約」または「およそ」という用語は、値プラスまたはマイナス10%の範囲を示す。値の範囲が提供される場合、その範囲及び他の任意の記載値または記載範囲内の介在値の上限及び下限間の、文脈に別途明示のない限り、下限の単位の10分の1までの各介在値は、本開示内に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限及び下限を独立してより小さな範囲に含まれ得ることは、また、本開示内に包含され、所定の範囲内で特に除外された任意の制限を受ける。記載された範囲が、一方または両方の制限を含む場合、それらの含まれる制限のいずれかまたは両方を除外する範囲も開示に含まれる
【0020】
本明細書で使用される場合、「担体」、「許容可能な担体」、または「薬学的担体」は、微生物アンサンブルとともにまたはそれの中で使用される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。そのような担体は、石油、動物、野菜、または合成由来のもの、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油、などを含む、水及び油などの無菌液体であり得る。水または水溶液、生理食塩水、ならびにデキストロース及びグリセロール水溶液は、好ましくは、担体として、いくつかの実施形態では、注射可能な溶液として用いられる。あるいは、担体は、限定されないが、結合剤(圧縮丸剤の場合)、滑剤、封入剤、香味料、及び着色剤のうちの1つ以上を含む固体剤形の単体であり得る。担体の選択は、意図された投与経路及び標準的な薬務に関して選択することができる。Hardee and Baggo(1998.Development and Formulation of Veterinary Dosage Forms.2nd Ed.CRC Press.504 pg.);E.W.Martin(1970.Remington’s Pharmaceutical Sciences.17th Ed.Mack Pub.Co.);及びBlaser et al.(米国特許公報第US20110280840A1号)を参照のこと(これらのそれぞれは、全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる)。
【0021】
「微生物(microorganism)」及び「微生物(microbe)」という用語は、本明細書では本明細書では互換的に使用され、細菌、真核生物、または古細菌のドメインのものである任意の微生物を指す。微生物のタイプは、細菌(例えば、マイコプラズマ、球菌、桿菌、リケッチア、スピリルム)、真菌(例えば、糸状菌、酵母)、線虫、原生動物、古細菌、藻類、渦鞭毛藻類、ウイルス(例えば、バクテリオファージ)、ウイロイド、及び/またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。生物株は、生物タイプの亜分類群であり、例えば、特定の微生物の種、亜種、サブタイプ、遺伝的多様体、病原型、または血清型であり得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、「胞子」(複数可)は、生存及び分散に適する細菌及び真菌で産生される構造を指す。胞子は、一般に、休眠構造として特徴づけられるが、胞子は、発芽のプロセスを通じて分化することが可能である。発芽は、胞子が、代謝活性、成長、及び生殖が可能な栄養細胞へと分化することである。単一の胞子の発芽は、単一の真菌または細菌栄養細胞をもたらす。真菌胞子は、無性生殖の単位であり、場合によりは、真菌の生活環に必要な構造である。細菌の胞子は、通常、栄養細胞の生存または成長に対して非伝導性であり得る生存条件の構造である。本明細書で使用される場合、「微生物組成物」は、本開示の1つ以上の微生物を含む組成物を指し、微生物組成物は、いくつかの実施形態では、本開示の動物に投与される。
【0023】
本明細書で使用される場合、「個々の分離株」は、1つ以上の他の微生物からの分離後の、微生物の単一の属、種、または株の優勢を含む組成物または培養物を意味すると解釈されるべきである。この語句は、微生物が分離または精製されている程度を示すものと解釈されるべきではない。しかし、「個々の分離株」は、微生物の実質的に1つの属、種、または株のみを含み得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「微生物叢」は、動物の消化管または胃腸管(該動物が反芻動物である場合、第一胃を含む)及び微生物の物理的環境(すなわち、微生物叢が生物的及び物理的構成要素を有する)に生息する微生物の集合を指す。微生物叢は、流体であり、多数の天然及び人工的な条件(例えば、食生活の変化、疾患、抗菌剤、付加的な微生物の流入など)により調節されてもよい。本開示の組成物の投与を介して達成することができる第一胃の微生物叢の調節は、以下の形態をとることができる:(a)特定の科、属、種、または機能的分類の微生物の増加または減少(すなわち、第一胃の微生物叢の生物的要素の変更)、及び/または、(b)第一胃内の揮発性脂肪酸の増加または減少、第一胃のpHの増加または減少、第一胃の健康のために重要な他の任意の物理的パラメーターの増加または減少(すなわち、第一胃の微生物叢の非生物的構成要素の変化)。本明細書で使用される場合、「プロバイオティクス」は、実質的に純粋な微生物(すなわち、単一の単離物)または所望の微生物の混合物を意味し、また、微生物叢を回復するために哺乳動物に投与することができる任意の追加の構成成分を含んでもよい。本発明のプロバイオティクスまたは微生物接種組成物は、微生物が消化管の環境で生存することを可能にする、すなわち、胃腸環境において低pHに耐性があり且つ成長する、薬剤とともに投与されてもよい。いくつかの実施形態では、本組成物(例えば、微生物組成物)は、いくつかの態様では、プロバイオティクスである。
【0025】
本明細書で使用される「成長培地」という用語は、微生物の成長を支持するのに適する任意の培地である。例として、培地は、ガストリン補充寒天、LB培地、血清、及び組織培養ゲルを含む天然または人工であってよい。培地は、単独で、または1つ以上の他の培地と組み合わせて使用され得ることが理解されるべきである。それは、また、外因性栄養素を添加して、または添加せずに使用されてもよい。培地は、追加の化合物または構成成分、例えば、微生物の特定の群の相互作用及び/または選択を支援し得る構成成分、で補正または濃縮されてもよい。例えば、抗生物質(例えば、ペニシリン)または抗生物質(例えば、4級アンモニウム塩及び酸化剤)が存在し得、及び/または物理的条件(例えば、塩分、栄養素(例えば、有機及び無機ミネラル(例えば、リン、窒素塩、アンモニア、カリウム、及び微量元素、例えば、コバルト及びマグネシウム)、pH、及び/または温度)を補正することができる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「改善された」は、対照群と比較して、または問題の特徴と関連する既知の平均量と比較して、目的の特徴の改善を包含すると広く解釈されるべきである。例えば、本開示の有益な微生物またはアンサンブルの適用と関連する「改善された」乳汁産生は、本明細書で教示される微生物で処置された有蹄動物が産生した乳汁を、未処置の有蹄動物の乳汁と比較することにより実証することができる。本開示では、「改善された」は、データが統計的に有意である(すなわち、p<0.05)ことを必ずしも要求せず、むしろ、ある値(例えば、平均処置値)が別の値(例えば、平均対照値)と異なることを示す定量化可能な差異が、「改善された」レベルまで増加し得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、「阻害及び抑制」などの用語は、完全な阻害または抑制を必要とすると解釈されるべきではないが、これは、いくつかの実施形態において望ましいことがある。本明細書で使用される「マーカー」または「固有のマーカー」という用語は、固有の微生物タイプ、微生物株、または微生物株の活性の指標である。マーカーは、生物学的試料で測定することができ、核酸ベースのマーカー、例えば、リボソームRNA遺伝子、ペプチドもしくはタンパク質ベースのマーカー、及び/または代謝物もしくは他の小分子マーカー、を含むが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書で使用される場合、「分子マーカー」または「遺伝子マーカー」という用語は、核酸配列の特徴の差異を視覚化するための方法で使用される指標を指す。そのような指標の例は、制限酵素フラグメント長多型(RFLP)マーカー、増幅フラグメント長多型(AFLP)マーカー、一塩基多型(SNP)、挿入変異、マイクロサテライトマーカー(SSR)、配列特性増幅領域(SCAR)、切断増幅多型配列(CAPS)マーカー、もしくはアイソザイムマーカー、または特定の遺伝子及び染色体位置を定義する本明細書に記載のマーカーの組み合わせである。マーカーは、さらに、16Sまたは18S rRNAをコードするポリヌクレオチド配列、及び内部転写スペーサー(ITS)配列を含み、これは、互いに比較される場合、特に、関係または区別を解明する際に有用であることが証明されている小サブユニット及び大サブユニットrRNA遺伝子間で見出される配列である。対立遺伝子の付近に分子マーカーをマッピングすることは、分子生物学的手法における平均的な当業者が実施することができる手順である。
【0029】
本明細書で使用される場合、「形質」という用語は、特徴または表現型を指す。例えば、本開示のいくつかの実施形態の文脈において、生成された乳脂肪の量は、乳中に存在するトリグリセリド、トリアシルグリセリド、ジアシルグリセリド、モノアシルグリセリド、リン脂質、コレステロール、糖脂質、及び脂肪酸の量に関連する。望ましい形質は、限定されないが、短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、及び長鎖脂肪酸が優勢であること;ラクトース、グルコース、ガラクトース、及び他のオリゴ糖などの炭水化物の量;カゼイン及びホエイなどのタンパク質の量;ビタミン、ミネラルの量、乳汁の収量/量;メタン排出量または肥料の低減;窒素利用の効率の改善;乾物摂取量の改善;給餌効率及び消化率の改善;セルロース、リグニン、及びヘミセルロースの分解の増加;酢酸、プロピオン酸、及び酪酸などの脂肪酸の第一胃中濃度の増加を含む、他の乳汁の特徴も含み得る。
【0030】
形質は、優性もしくは劣性で、または部分的または不完全な優性で継承され得る。形質は、単一遺伝子(すなわち、単一の遺伝子座により決定)または多遺伝子(すなわち、複数の遺伝子座により決定)であり得、または、1つ以上の遺伝子の環境との相互作用からも生じ得る。本開示の文脈において、形質は、1つ以上の哺乳動物遺伝子及び1つ以上の微生物遺伝子の相互作用からも生じ得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ホモ接合型」という用語は、2つの同一の対立遺伝子が特定の遺伝子座に存在するが、二倍体生物の細胞内の相同染色体の対応する対に個別に位置する場合に存在する遺伝的状態を意味する。逆に、本明細書で使用される場合、「ヘテロ接合」という用語は、2つの異なる対立遺伝子が特定の遺伝子座に存在するが、二倍体生物の細胞内の相同染色体の対応する対に個別に位置する場合に存在する遺伝的状態を意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「表現型」という用語は、個体の遺伝子構成(すなわち、遺伝子型)及び環境間の相互作用から生じる、個々の細胞、細胞培養物、生物(例えば、反芻動物)、または生物群の観察可能な特徴を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、核酸配列またはタンパク質配列を記載する場合の「キメラ」または「組み換え」という用語は、少なくとも2つの異種ポリヌクレオチド、もしくは2つの異種ポリペプチドを連結して単一高分子にするか、または少なくとも1つの天然の核酸もしくはタンパク質配列の1つ以上の要素を再配列する核酸またはタンパク質配列を指す。例えば、「組み換え」という用語は、例えば、化学合成による、または遺伝子操作手法による核酸の単離セグメントの操作による、配列の2つの他の方法で分離されたセグメントの人工的な組み合わせを指し得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、「合成ヌクレオチド配列」または「合成ポリヌクレオチド配列」は、自然界で発生することが知られていないか、または天然に存在しないヌクレオチド配列である。一般に、そのような合成ヌクレオチド配列は、他の任意の天然に存在するヌクレオチド配列と比較した場合、少なくとも1つのヌクレオチドの差異を含むであろう。
【0035】
本明細書で使用される場合、「核酸」という用語は、リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチドのいずれか、またはそれらのアナログの、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。この用語は、分子の1次構造を指し、従って、二本鎖及び一本鎖DNA、ならびに二本鎖及び一本鎖RNAを含む。それは、また、修飾核酸、例えば、メチル化及び/またはキャップされた核酸、修飾塩基、骨格修飾などを含有する核酸を含む。「核酸」及び「ヌクレオチド配列」という用語は、互換的に使用される。
【0036】
本明細書で使用される場合、「遺伝子」という用語は、生物学的機能に関連するDNAの任意のセグメントを指す。従って、遺伝子は、それらの発現に必要なコード配列及び/または調節配列を含むが、これらに限定されない。遺伝子は、また、例えば、他のタンパク質の認識配列を形成する、発現されていないDNAセグメントを含み得る。遺伝子は、目的の供給源からのクローニングまたは既知もしくは予測される配列情報からの合成を含む、様々な供給源から得ることができ、所望のパラメーターを有するように設計された配列を含んでもよい。
【0037】
本明細書で使用される場合、「相同」または「相同体」または「オルソログ」という用語は、当該技術分野で知られており、共通の祖先またはファミリーメンバーを共有し、配列同一性の程度に基づいて決定される関連配列を指す。「相同性」、「相同」、「実質的に類似」、及び「実質的に対応する」という用語は、本明細書では互換的に使用される。それらは、1つ以上のヌクレオチド塩基の変化が、遺伝子発現を媒介するか、または特定の表現型を生成する核酸フラグメントの能力に影響を及ぼさない核酸フラグメントを指す。これらの用語は、また、本開示の核酸フラグメントの改変、例えば、最初の未修飾フラグメントと比較して、得られる核酸フラグメントの機能的特性を実質的に変更しない1つ以上のヌクレオチドの欠失または挿入、を指す。それ故、当業者らが理解するように、本開示は、特定の例示的な配列以上のものを包含することが理解される。これらの用語は、ある種、亜種、品種、栽培品種、または株で見出される遺伝子と、別の種、亜種、品種、栽培品種、または株の対応するまたは同等の遺伝子との関係を表す。本開示の目的のために、相同配列が比較される。「相同配列」または「相同体」または「オルソログ」は、機能的に関連していると考えられ、信じられ、または知られる。機能的関係は、限定されないが以下を含む、いくつかの方法のいずれか1つで示されてもよい:(a)配列同一性の程度、及び/または、(b)同一もしくは類似の生物学的機能。好ましくは、(a)及び(b)の両方が示される。相同性は、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987)Supplement 30,section 7.718,Table 7.71に記載されるような当該技術分野で容易に入手可能なソフトウェアプログラムを使用して決定することができる。いくつかのアライメントプログラムは、MacVector(Oxford Molecular Ltd、英国オックスフォード)、ALIGN Plus(Scientific and Educational Software、ペンシルバニア州)、及びAlignX(Vector NTI、Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)である。別のアライメントプログラムは、デフォルトのパラメーターを使用するSequencher(Gene Codes、ミシガン州アナーバー)である。
【0038】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド変化」という用語は、当該技術分野でよく理解されるように、例えば、ヌクレオチド置換、欠失、及び/または挿入を指す。例えば、変異は、サイレント置換、付加、または欠失を生じる改変を含有するが、コードされたタンパク質の特性もしくは活性、またはタンパク質の作成方法を変更しない。
【0039】
本明細書で使用される場合、「タンパク質修飾」という用語は、当該技術分野でよく理解されるように、例えば、アミノ酸置換、アミノ酸改変、欠失、及び/または挿入を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、核酸またはポリペプチドの「少なくとも一部」または「フラグメント」という用語は、そのような配列の最小サイズ特性を有する部分、または全長分子以下の全長分子の任意のより大きなフラグメントを意味する。本開示のポリヌクレオチドのフラグメントは、遺伝的調節エレメントの生物学的に活性な部分をコードし得る。遺伝子調節エレメントの生物学的に活性な部分は、遺伝子調節エレメントを含む、本開示のポリヌクレオチドのうちの1つの部分を単離し、本明細書に記載の活性を評価することにより調製することができる。同様に、ポリペプチドの部分は、全長ポリペプチドまでの4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸などであってよい。使用されるべき部分の長さは、特定の用途により異なる。ハイブリダイゼーションプローブとして有用な核酸の一部は、12ヌクレオチドほど短くてもよく、いくつかの実施形態では、それは、20ヌクレオチドである。エピトープとして有用なポリペプチドの一部は、4アミノ酸ほど短くてもよい。全長ポリペプチドの機能を実施するポリペプチドの一部は、一般に、4アミノ酸より長いであろう。
【0041】
多様性ポリヌクレオチドは、また、DNAシャッフリングなどの変異原性及び組み換え原性の手順から誘導される配列を包含する。そのようなDNAシャッフリングのための方策は、当該技術分野で既知である。例えば、Stemmer(1994)PNAS 91:10747-10751;Stemmer(1994)Nature 370:389-391;Crameri et al.(1997)Nature Biotech.15:436-438;Moore et al.(1997)J.Mol.Biol.272:336-347;Zhang et al.(1997)PNAS 94:4504-4509;Crameri et al.(1998)Nature 391:288-291;ならびに米国特許第5,605,793号及び同第5,837,458号を参照のこと。本明細書に開示のポリヌクレオチドのPCR増幅のために、オリゴヌクレオチドプライマーは、目的の任意の生物から抽出されたcDNAまたはゲノムDNAの対応するDNA配列を増幅するためのPCR反応で使用するように設計することができる。PCRプライマー及びPCRクローニングを設計するための方法は、一般に、当該技術分野で既知であり、Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,New York)に開示される。Innis et al.,eds.(1990)PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Academic Press,New York);Innis and Gelfand,eds.(1995)PCR Strategies(Academic Press,New York);及びInnis and Gelfand,eds.(1999)PCR Methods Manual(Academic Press,New York)も参照のこと。PCRの既知の方法は、対プライマー、ネステッドプライマー、単一特異的プライマー、縮重プライマー、遺伝子特異的プライマー、ベクター特異的プライマー、部分的に不一致のプライマーなどを使用する方法を含むが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書で使用される場合、「MIC」という用語は、最大情報係数を意味する。MICは、本開示の活性微生物株と少なくとも1つの測定メタデータ(例えば、乳脂肪)との間のスコア(MICスコア)を識別する一種の非パラメンタルネットワーク分析である。さらに、2016年7月22日に出願された米国出願第15/217,575号(2017年1月10日に米国特許第9,540,676号として発行)は、全体が本明細書で参照により組み込まれる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「貯蔵安定な」は、本開示に従って製剤化された微生物により得られた機能的属性及び新しい有用性を指し、これにより、該微生物が自然環境の外で有用/活性状態で存在することが可能になる(すなわち、著しく異なる特性)。従って、貯蔵安定性は、本開示の製剤/組成物で作成された機能的属性であり、貯蔵安定な組成物に製剤化された微生物が、利用される特定の製剤に応じて決定することができる一定期間、周囲条件下、自然環境の外側で存在し得ることを示すが、一般に、微生物が、少なくとも数日、一般に、少なくとも1週、周囲条件下で安定な組成物中に存在するように製剤化することができることを意味する。
【0044】
連続保存方法
いくつかの実施形態では、本開示は、微生物培養物を連続保存チャレンジにかけ、保存チャレンジの終了時に培養物中に存在する生存可能な保存チャレンジ微生物の集団から製品を調製することにより、保存後の微生物の生存率を改善する方法を提供する。いくつかの実施形態では、微生物培養物は、少なくとも1つの保存チャレンジにかけられる。いくつかの実施形態では、微生物培養物は、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の保存チャレンジにかけられる。
【0045】
いくつかの実施形態では、本開示は、以下を含む、保存後の微生物の生存率を改善する方法を提供する:(a)標的微生物細胞の集団を第1の保存チャレンジにかけて、チャレンジ微生物細胞の集団を得ること;(b)チャレンジ微生物細胞の集団から生存可能なチャレンジ微生物細胞を採取すること;(c)生存可能なチャレンジ微生物細胞を保存して、保存された生存率向上微生物細胞の集団を得ること;及び、(d)保存された生存率向上微生物細胞の集団を使用して、製品を調製すること。
【0046】
いくつかの実施形態では、本開示は、微生物の生存率向上及び保存のための方法を提供し、方法は、以下を含む:(a)標的微生物細胞の集団を最初の保存チャレンジにかけて、チャレンジ微生物細胞の最初の集団を得ること;(b)チャレンジ微生物細胞の第1の集団から生存可能なチャレンジ微生物を採取して、生存可能なチャレンジ微生物細胞の第1の集団を得ること;(c)生存可能なチャレンジ微生物細胞の第1の集団を第2の保存チャレンジにかけて、チャレンジ微生物細胞の第2の集団を得ること;(d)チャレンジ微生物細胞の第2の集団から生存可能なチャレンジ微生物を採取して、生存可能なチャレンジ微生物細胞の第2の集団を得ること;(e)生存可能なチャレンジ微生物細胞の第2の集団を保存して、保存された生存率向上微生物細胞の集団を得ること;及び(f)保存された生存率向上微生物細胞の集団を使用して、製品を調製すること。
【0047】
いくつかの実施形態では、図1のフローチャートで示されるように、標的株が同定される(30001)。標的株の同定は、米国特許第9,938,558号に記載の開示の方法のうちの1つ以上を含み得、この全体は、あらゆる目的のために参照により本明細書で明示的に組み込まれる。例えば、本開示の一態様では、複数の試料から1つ以上の活性微生物を同定するための方法が開示され、試料中の1つの以上の活性微生物株の絶対細胞数を決定すること、及び少なくとも1つのメタデータを有する微生物を分析することを含み、1つ以上の活性微生物株は、試料の微生物群集に存在する。1つ以上の微生物株は、微生物のタイプの亜分類群であり得る。
【0048】
次に、標的株が識別されると(30001)、その株の最初の培養物が成長する(30003)。次に、細胞が最初の培養物から採取される(30006)。採取されると(30006)、チャレンジ前のベースラインを確立することができ、及び/または最初の生存率を試験することができる(30009)。採取されると、細胞は、例えば、保存溶液と組み合わせることにより、チャレンジのために調製される(30012)。
【0049】
細胞がチャレンジのために調製されると(30012)、最初の保存チャレンジが実行される(30015)。保存のチャレンジの例としては、フリーズドライ(凍結乾燥とも呼ばれる)、ガラス化による保存(ガラス形成による保存とも呼ばれる)、蒸発による保存、低温保存、泡形成による保存(PFF)、気化による保存(PBV)、低温保存、噴霧乾燥、吸着乾燥、押し出し、流動床乾燥などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、最終製品に組み込む前に、複数のチャレンジがあり得る。いくつかの実施形態では、チャレンジ(複数可)は、最終保存と同じであり得るが、他の実施形態では、使用される複数のタイプのチャレンジがあってよく、これらのそれぞれは、最終保存と同じかまたは異なり得る。例えば、PBVは、最終的な安定化/保存ステップである場合、チャレンジ(複数可)は、PBVのチャレンジを含み得、いくつかの実施形態では、PBVのチャレンジ及び最終PBVプロセスに加えて、低温保存のチャレンジも含み得る。
【0051】
最初の保存チャレンジが実施されると(30015)、チャレンジ生物細胞が調製され、レスキュー培養物中で成長し(30018)、レスキュー培養物の細胞が採取され(30021)、生存率が試験される(30024)。チャレンジ株は(30027)、さらなる保存チャレンジのために調製し(30030)、1つ以上のさらなる保存チャレンジにかけることができる(30015)(これは、上述のように、以前のチャレンジ(複数可)及び/または最終の保存と同じか、または異なり得る)。
【0052】
チャレンジが完了していると(30027)、生存チャレンジ細胞は、保存のためのレスキュー培養物から採取され(30033)、採取されたチャレンジ細胞は、生存率向上細胞を提供するために(30036)、保持される(30036)。次に、生存率向上細胞は、最終製品、例えば、アンサンブル、生きた微生物飼料添加物、生きた微生物サプリメントなど、に組み込むことができる。
【0053】
図2は、本明細書に記載の連続保存チャレンジ方法のさらなる概略図を提供する。さらに、いくつかの実施形態では、株の遺伝子分析は、保存チャレンジにかけた微生物集団及び保存チャレンジにかけていない微生物集団を比較するために実施した。
【0054】
いくつかの実施形態では、微生物培養物の連続保存を含む本明細書で提供される方法は、少なくとも5%の微生物の生存率の増加をもたらす。換言すれば、連続保存チャレンジの終了時に存在する微生物集団の生存率は、あらゆる保存チャレンジの前に存在した微生物集団の生存率と比較して、少なくとも5%増加する。いくつかの実施形態では、微生物培養物の連続保存を含む本明細書で提供される方法は、約5%~約30%、約5%~約25%、約5%~約20%、約5%~約15%、約5%~約10%、約10%~約30%、約15%~約30%、約20%~約30%、または約25%~約30%の微生物の生存率の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、微生物培養物の連続保存を含む本明細書で提供される方法は、約10%~約30%、約15%~約30%、約20%~約30%、約25%~約30%、約10%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約15%の微生物の生存率の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、微生物培養物の連続保存を含む本明細書に提供される方法は、少なくとも6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、またはそれ以上の微生物の生存率の増加をもたらす。
【0055】
保存チャレンジ
いくつかの実施形態では、本開示は、微生物培養物を連続保存チャレンジにかけることにより、保存後の微生物の生存率を改善する方法を提供し、微生物は、1つ以上の保存チャレンジにかけられる。いくつかの実施形態では、微生物は、貯蔵及び/または製品への組み込みのための最終保存の前に、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の保存チャレンジにかけられる。
【0056】
いくつかの実施形態では、保存チャレンジのそれぞれは、同じタイプの保存チャレンジである。例えば、いくつかの実施形態では、微生物は、貯蔵及び/または製品への組み込みのための最終保存の前に、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の保存チャレンジにかけられ、保存チャレンジのそれぞれは、同じタイプである(例えば、それぞれ、フリーズドライ/凍結乾燥であるか、それぞれ、ガラス化/ガラス形成による保存であるか、それぞれ、蒸発による保存であるか、それぞれ、泡形成による保存であるか、それぞれ、気化による保存であるか、それぞれ、低温保存であるか、それぞれ、噴霧乾燥であるか、それぞれ、吸着乾燥であるか、それぞれ、押し出しであるか、またはそれぞれ、流動床乾燥である)。
【0057】
いくつかの実施形態では、保存チャレンジは、異なるタイプの保存チャレンジである。例えば、いくつかの実施形態では、微生物は、第1及び第2の保存チャレンジにかけられ、第1及び第2の保存チャレンジは、異なるチャレンジタイプである。例えば、いくつかの実施形態では、第1の保存チャレンジは、低温保存チャレンジであり、第2の保存チャレンジは、フリーズドライ保存チャレンジである。保存チャレンジタイプの例示的な組み合わせが以下の表1に示される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0058】
フリーズドライ(FD)/凍結乾燥
いくつかの実施形態では、標的微生物細胞の集団は、フリーズドライによる保存(凍結乾燥による保存とも呼ばれる)にかけられる。フリーズドライ、または凍結乾燥は、様々なタイプのタンパク質、細胞、ウイルス、及び微生物を保存することが知られており、適用されている。FDは、通常、1次乾燥及び2次乾燥を含む。フリーズドライは、安定した生物活性物質を工業的量で生産するために使用することができる。フリーズドライは、細胞の構成要素に損傷を与えている可能性があり、生存率の低減をもたらし得、従来、フリーズドライ製品は、通常、0℃またはその近傍でのみ安定であり、これにより、生物活性物質製品は、生成される時間から利用される時間まで冷却されることを必要とし得、貯蔵及び輸送中に冷却を必要とする。
【0059】
A.1次フリーズドライ
上記のようなフリーズドライの限界は、部分的には、フリーズドライプロセス中に低圧(または高真空)を利用する必要性に起因する。1次フリーズドライ中の物質の温度が、Tg’にほぼ等しい崩壊温度未満でなければならないので、高真空が必要とされる。そのような低温では、-25℃未満の温度での氷上での平衡圧力が0.476Torr未満であるので、1次乾燥は、何時間(場合により、数日)もかかる。従って、新しいプロセスは、生成時間を短縮することを可能にしなければならない。
【0060】
フリーズドライ法で使用される低減圧は、乾燥から除去することができる水の量を制限する。1次フリーズドライは、Tg’に近いまたはそれ以下の温度で凍結標本から氷を昇華させることにより実施され、Tg’は、氷晶間で凍結されないままの溶液が冷却中に固体になる(ガラス化する)温度である。従来の考えによれば、そのような低温でフリーズドライを実施することは、少なくとも2つの理由で重要である。低温(すなわち、Tg’未満)でのフリーズドライが重要である第1の理由は、昇華(1次乾燥)による氷の除去後に残っているケーキが「固体」であり、機械的に安定するように、すなわち、崩壊しないようにすることが重要である。1次フリーズドライの後にケーキを機械的に安定した「固体」状態に保つことは、確実に、フリーズドライされた物質を効果的に再構成するのに重要である。特定の物質のTg’を測定するために、いくつかの方法が提案された。これらの方法は、DSC(示差走査熱量計)サーモグラムで見ることができる特徴の異なる解釈に依存する。Tg’を決定する最も信頼できる方法は、氷が溶け始める温度及び徐冷中に凍結していないままの水分濃度(Wg’)の評価に基づく。低温(すなわち、Tg’未満)でのフリーズドライの重要性を支持するために一般に進んだ第2の理由は、1次フリーズドライが低温で実施される場合、フリーズドライ後の生物活性物質の生存率がより高いことである。
【0061】
FDは、敏感な生物活性物質に損傷を与え得る。FDにより引き起こされる強い損傷は、凍結(氷晶の形成)中及びそれに続く氷の昇華中の中間低温での凍結標本の平衡化中の両方で生じる。フリーズドライ中に細胞損傷を引き起こす周知の要因は、凍結により引き起こされる脱水、氷晶化及び再結晶化中の細胞の機械的損傷、細胞膜における相変態、電解質濃度の増加などを含む。さらに、凍結した生物活性物質への損傷は、氷晶の間で凍結されないままである液相の大きなpH変化により引き起こされ得る。この異常なpH変化は、結晶化加水分解に関連している。
【0062】
氷晶が、陽イオン及び陰イオンを別々に捕捉するので、結晶化加水分解が生じる。これにより、氷晶内に大きな(約107V/m)電界が作り出される。この電場の中和は、氷中の水分子の解離定数に比例した速度で、氷晶内での電解により生じる。この中和により、氷晶間に残る液体のpHの変化がもたらされる。結晶加水分解の悪影響は、凍結時に生ずる氷の表面を低減させることにより、及び、氷晶間に残留する液相の体積を増加させることにより、減少させることができる。残留液体は、(i)電解質(または他の任意の反応性の高い分子)濃度の増加、及び、(ii)氷晶間の細胞への機械的損傷、の悪影響も低減する。氷晶間の液体の増加は、(i)凍結前に添加される保護剤の初期濃度を増加させること、及び、(ii)試料で形成される氷の量を減少させること、により達成することができる。
【0063】
(フリーズドライが通常実施される)Tg’以下に等しい温度まで冷凍することを防止することは、保存生物学的に損傷の量を著しく低減することを可能にするであろう。それ故、生物活性物質をTg’に近いまたはそれ以下の温度にかけることのない生物活性物質の保存を可能にする新しい方法は、保存された物質の品質を大幅に改善するであろう。
【0064】
B.2次フリーズドライ
昇華(1次乾燥)による氷の除去が完了した後、試料は、多孔質ケーキとして説明され得る。1次乾燥終了時の試料中の水分濃度は、Tg’(Wg’)未満の温度で氷晶間のガラスチャネル内で凍結されないままの水分濃度を上回っている。Tg’は、溶液の組成に強く依存するが、溶質の大部分では、Wg’は、約20wt%である。そのような高い水分濃度では、ケーキ物質のガラス転移温度は、1次フリーズドライ温度より低く、及び/または-20℃より著しく低い。2次乾燥は、残存(約20wt%)水を除去し、ケーキ物質のガラス転移温度を上昇させるために実行される。実際問題として、2次乾燥は、ガラス状態の物質からの水の拡散が非常に遅いので、Tg’またはより低い温度で実施することができない。この理由から、2次乾燥は、所定の瞬間におけるケーキ物質のガラス転移温度Tgよりも高い乾燥温度Tdにケーキを加熱することにより実施される。2次乾燥ステップ中に、Tdが、Tgよりも著しく高い場合、ケーキは、「崩壊」して非常に粘性のあるシロップを形成し、それにより、標準的な再構成が不可能なるであろう。それ故、ケーキの崩壊は、非常に望ましくない。
【0065】
本質的に動的である崩壊現象は、文献で広く考察されている。ケーキ物質の粘度が低下するにつれて、崩壊の速度は増加する。崩壊プロセスを回避するため、または、それを無視できる規模にするために、Tdは、2次乾燥中にTgの近くに保ち、それにより、ケーキ物質の粘度を高くし、崩壊の速度を遅くする。
【0066】
ガラス化(ガラス形成)による保存
いくつかの実施形態では、標的微生物細胞の集団は、ガラス化による保存にかけられる。「ガラス化による保存」は、液体から、「ガラス状態」として知られる、著しく不動の、非結晶性のアモルファス固体状態への変態である。そのようなプロセスは、「ガラス形成による保存」とも呼ばれ得る。「ガラス状態」は、アモルファス固体状態であり、これは、最初は液体状態であった物質を過冷却することにより達成されてもよい。ガラス化物質における拡散(例えば、「ガラス」)は、非常に低い速度で生じる。従って、複数の部分の相互作用を必要とする化学的及び生物学的変化は、実質的に完全に抑制される。ガラスは、通常、均質で透明な脆い固体として現れ、これは、粉砕または製粉することができる。ガラス転移温度(Tg)として既知の温度を超え、粘度は急激に低下し、物質は、ガラス状態から変形可能な「ゴム状態」として既知のものに変態する。温度が上昇するにつれて、物質は、液体状態に遷移する。長期貯蔵のためのガラス化の最適な利点は、Tgが貯蔵温度よりも高い条件下でのみ確保されてもよい。
【0067】
ガラス化は、生物学的及び反応性の高い化学物質を保存するために広く使用されている。ガラス化の基本的な前提は、全ての拡散は、生物学的物質の分解に関与するプロセスを含む、物理的プロセス及び化学反応を制限し、ガラス状態で停止することである。一般論として、ガラスは、熱力学的に不安定なアモルファス物質であり、これは、非常に高い粘度(1012~1014Pa/s)で機械的に安定する。典型的な液体は、流量は、ガラス状態の10-14m/sと比較して、10m/sの流速を有する。
【0068】
生物活性物質は、-196℃で保存することができる。純水のTgは、約-145℃である。冷却中に氷晶が生ずると、氷晶間のチャネルで凍結されないままの溶液は、純水のTgよりも高いTg’でガラス化するであろう。氷の成長中にチャネルで拒否される生物活性物質は、Tg’未満の温度で安定するであろう。生物活性物質は、高Tgを有する濃縮保存溶液に入れる場合、-145℃よりも著しく高い温度で安定化することができる。例えば、80%のスクロースを含有する溶液の場合、Tgは、約-40℃である。99%のスクロースを含有する溶液は、約52℃のTgを特徴とする。試料中に水分が存在すると、強力な可塑化効果がもたらされ、これにより、Tgが低下する。Tgは、存在する水の量に直接依存し、それ故、水和のレベルを制御することにより改変され得る-水が少なくなるほど、Tgは高くなる。それ故、標本(周囲温度でガラス化されることになる)は、乾燥により強く脱水されなければならない。しかし、乾燥は、生物活性物質に損傷を与え得る。それ故、室温で生体活性物質を安定化し、依然として、生存率及び機能を保存するために、保護賦形剤(すなわち、保護剤)または賦形剤の組み合わせの存在下で乾燥させる必要があり、これは、室温よりも高いガラス転移温度Tgを有する。
【0069】
蒸発による保存
いくつかの実施形態では、標的微生物細胞の集団は、蒸発による保存にかけられる。「蒸発による保存」とは、蒸発乾燥による水の除去を含むプロセスを指す。
【0070】
いくつかの実施形態では、小滴の蒸発乾燥により乾燥された生物活性物質の活性は、凍結乾燥された試料の活性に匹敵する。例えば、不安定な酵素(ルシフェラーゼ及びイソクエン酸デヒドロゲナーゼ)は、乾燥及びその後の50℃での貯蔵中に活性の検出可能な損失なしに、50℃で1年以上蒸発乾燥させることにより保存することができることが示されている。保護剤を含有する脱水溶液が粘稠になるので、溶液の小滴からでも水分を蒸発させるために長い時間がかかり得る。
【0071】
泡形成による保存
いくつかの実施形態では、標的微生物細胞の集団は、泡形成による保存にかけられる。泡形成による保存(PFF)中、生体物質は、最初に、凝固点を超える周囲温度、真空下で沸騰させることにより、機械的に安定した乾燥泡に変態する(1次乾燥と呼ばれる)。次に、試料は、ガラス転移温度を上昇させるために、高温の安定乾燥にかけられる。保存試料の再水和後に生じる生存率または活性は、PFF前に懸濁液に溶解させる保護剤(例えば、糖)を適切に選択することにより、及びPFF中に真空及び温度プロトコールを適切に選択することにより達成される(Bronshtein,Victor.(2004).Bronshtein 2004 Preservation by Foam Formulation.PharmTech.Pharmaceutical Technology.28.86-92を参照のこと)。
【0072】
気化による保存
いくつかの実施形態では、標的微生物細胞の集団は、気化による保存にかけられる。気化による保存(PBV)は、1次乾燥及び安定乾燥を含む保存プロセスである。1次乾燥は、部分的凍結され、同時に過熱された物質から、Tg’よりも著しく高い温度(約10℃以上)で水の集中気化(昇華、沸騰、及び気化)により実施される(すなわち、真空圧は、水蒸気の平衡圧力を下回る)。
【0073】
PBV中、スラッシュより上の氷点下温度での平衡圧力が低く、スラッシュの表面上の氷晶が飛散を防止または抑制するので、1次乾燥の過程の沸騰では多くの飛散が生じない。通常、PBV乾燥にかけられている物質(例えば、凍結溶液または懸濁液)は、薄いフリーズドライケーキのスキムで部分的に覆われた泡のようにみえる。
【0074】
泡形成による保存(PFF)とは異なり、気化による保存(PBV)は、アルギン酸塩ゲル製剤及び他のゲル製剤に含有されるか、または組み込まれる生物活性物質を保存するのに非常に効果的であり得る。PBVプロセスは、凍結されたゲル粒子を真空下で(摂氏スケールで)わずかに負の温度で乾燥させることにより実行することができる。そのようなヒドロゲルシステムでは、気化は、氷晶の昇華、凍結していない微小包有物内の水の沸騰、及びゲル表面からの蒸発を含む。
【0075】
フリーズドライが1次乾燥中にT’以下である製品処理温度(通常、-25℃未満)を示唆するので、及びフリーズドライは、1次乾燥中及び2次乾燥中の両方で「崩壊」現象を回避することを示唆するので、PBVは、フリーズドライとは異なり得る。PBVは、T’より著しく高い温度で、すなわち、-15℃よりも高い温度で、望ましくは、-10℃よりも高い温度で、さらに望ましくは、-5℃よりも高い温度で乾燥させることを含む。
【0076】
PBV及び他のチャレンジに関する追加の詳細は、米国特許出願公開第2008/0229609号に見出すことができ、これの全体は、本明細書により、あらゆる目的のために参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0077】
低温保存
いくつかの実施形態では、標的微生物細胞の集団は、低温保存にかけられる。低温保存は、構造的に無傷の生細胞及び組織を保存するために非常に低い温度の使用を指す。低温保存の悪影響は、主に、凍結により引き起こされる脱水、pHの変化、電解質の細胞外濃度の増加、低温での生体膜及び高分子の相変態、ならびに氷晶化と関連する他のプロセスと関連する。潜在的な低温損傷は、生物活性物質の凍結に依存する方法の欠点である。この損傷は、凍結防止賦形剤(保護剤)、例えば、グリセロール、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スクロース及び他の糖、アミノ酸、合成、ならびに/または生物学的ポリマーなどを使用することにより減少させることができる。
【0078】
噴霧乾燥
いくつかの実施形態では、標的微生物細胞の集団は、噴霧乾燥による保存にかけられる。噴霧乾燥は、高温ガスで急速に乾燥させることにより、液体またはスラリーから乾燥粉末を生成する方法を指す。噴霧乾燥は、一般に、チャンバー内で、熱い空気の流れに微生物の懸濁液を噴霧することを含み、チャンバーは、加熱空気用の入口、空気を排出するための出口、及び乾燥微生物の粉末を回収するための出口を含む。噴霧乾燥法で使用される例示的な温度、チャンバー容積、及びガスは、米国特許第6,010,725号に見出すことができる。
【0079】
吸着乾燥
いくつかの実施形態では、標的微生物細胞の集団は、吸着乾燥による保存にかけられる。吸着乾燥は、多孔質物質、例えば、アルミナ、シリカゲル、モレキュラーシーブ、及び他の化学乾燥剤など、への拡散及び吸着による水の除去を含む方法を指す。
【0080】
押し出し
いくつかの実施形態では、標的微生物細胞の集団は、押し出しによる保存にかけられる。押し出しとは、物質を成形するために、物質がダイを通して押し出される方法を指す。いくつかの実施形態では、標的微生物細胞は、それらを酸素、熱、水分などから保護するために、担体またはマトリックス中に分散させる。
【0081】
流動床乾燥
いくつかの実施形態では、標的微生物細胞の集団は、流動床乾燥による保存にかけられる。流動床乾燥は、粒子が床内で流動化させ、乾燥させる方法を指す。流動床は、固体微粒子の量が、固体物質を流体のように挙動させる条件下におかれる場合、形成される。流動床乾燥システムでは、流入空気が、粒子の重量を支えるためにかなりの空気流を提供する。
【0082】
安定乾燥
いくつかの実施形態では、標的微生物細胞の集団は、乾燥方法(例えば、フリーズドライ、ガラス化/ガラス形成による保存、蒸発による保存、泡形成による保存、気化による保存、噴霧乾燥、吸着乾燥、または流体床乾燥)にかけられ、乾燥保存方法は、さらに、安定乾燥を含む。安定乾燥は、(1)さらに、乾燥物質のガラス転移温度を上昇させるために、(2)真空なし、周囲温度で、乾燥物質を機械的に安定させるために、及び、(3)周囲温度での長期貯蔵中に生物学的製剤の効力及び有効性を保存するために、実施される。
【0083】
例えば、物質のTを37℃に増加させ、それにより、この温度で安定化するようにし、安定乾燥ステップは、既に乾燥された物質の内部から水を除去するために、37℃より著しく高い温度で数時間にわたって実施されるべきである。
【0084】
高温での生物学的標本の脱水のプロセスは、乾燥に使用される温度が、適用可能なタンパク質変性温度よりも高い場合、主題の生物活性物質に非常に損傷を与え得る。高温で引き起こされ得る損傷から試料を保護するために、安定脱水プロセス(すなわち、安定乾燥)は、次第に実施される必要があり得る。最初のステップ(空気中または真空中のいずれか)は、生物の生存率及び効力を大幅に損なうことなく脱水を確実にするために、開始温度で実施されるべきである。そのような第1の乾燥ステップの後、脱水のプロセスは、各後続ステップ中で徐々に高くなる温度で乾燥させることにより、後続ステップで継続され得る。各ステップは、達成可能な脱水の程度及び以下のステップ中の乾燥に使用される温度の同時の増加を可能にする。
【0085】
保存溶液
いくつかの実施形態では、1つ以上の保存チャレンジにかけられるべき微生物集団は、最初に、保存溶液に懸濁される。例示的な保存溶液は、非限定例として、細胞内保護剤(例えば、糖、特に、非還元糖;糖アルコール、例えば、ソルビトールなど)、pH緩衝剤(例えば、グルタミン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウムなど)、膜保護剤(例えば、ポリビニルピロリドンK-15など)、ならびに保存に役立つ構成成分(例えば、適用可能な、ガラス形成のためのスクロースなど)及び品質管理(例えば、酸化還元指示薬、例えば、嫌気性微生物などとともに使用されるレザズリンなど)を含み得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、細胞内保護剤は、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、及びメチルグルコシドから選択される。いくつかの実施形態では、膜保護剤は、スクロース、トレハロース、ラフィノース、ポリビニルピロリドン、マルトデキストリン、及びポリエチレングリコールから選択される。いくつかの実施形態では、保存溶液は、1つ以上の緩衝液、例えば、リン酸塩、を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、保存溶液は、連続保存方法で使用される保存チャレンジのタイプに合わせて調整される。当業者は、保存溶液の要素(例えば、細胞内保護剤、pH緩衝液、膜保護剤など)及び各保存方法に適用可能な組み合わせに精通しているであろう。例えば、泡形成による保存または気化による保存に使用される保存溶液は、他のタイプの保存チャレンジに使用される保存溶液と比較して、より高い濃度の糖を必要としてもよい。
【0088】
例示的な保存溶液は、以下の実施例の表3A~表3Cに提供される。追加の保存溶液は、当該技術分野で、例えば、米国特許第6,872,357号に記載される。
【0089】
微生物源
いくつかの実施形態では、本開示は、微生物培養物を連続保存チャレンジにかけ、保存チャレンジの終了時に培養物中に存在する生存可能な保存チャレンジ微生物の集団から製品を調製することにより、保存後の微生物の生存率を改善する方法を提供する。標的微生物集団は、本明細書に記載の方法による保存に適する任意の微生物であってよい。本明細書で使用される場合、「微生物」という用語は、広義に解釈されるべきである。それは、2つの原核生物ドメインである細菌及び古細菌、ならびに真核生物である真菌、原生生物、及びウイルスを含むが、これらに限定されない。例として、微生物は、Clostridium、Ruminococcus、Roseburia、Hydrogenoanaerobacterium、Saccharofermentans、Papillibacter、Pelotomaculum、Butyricicoccus、Tannerella、Prevotella、Butyricimonas、Piromyces、Pichia、Candida、Vrystaatia、Orpinomyces、Neocallimastix、及びPhyllostictaの属の種を含んでもよい。微生物は、さらに、Lachnospiraceae科、及びSaccharomycetales目に属する種を含んでもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、本明細書に開示の任意の属の種を含んでもよい。
【0090】
一実施形態では、微生物は、動物(例えば、哺乳動物、爬虫類、鳥など)、土壌(例えば、根圏)、空気、水(例えば、海水、淡水、廃水汚泥)、堆積物、油、植物(例えば、根、葉、茎)、農産物、及び極端な環境(例えば、酸性鉱山排水または熱水系)から得られる。さらなる実施形態では、海洋、河川、または湖沼などの海水または淡水環境から得られる微生物。さらなる実施形態では、微生物は、水域の表面、または任意の深度の水域(例えば、深海試料)からのものであり得る。
【0091】
本開示の微生物は、実質的に純粋な培養物または混合培養物で単離されてもよい。それらは、原料物質で見出される自然な濃度で、濃縮、希釈、または提供されてもよい。例えば、生理食塩水堆積物由来の微生物は、淡水で堆積物を懸濁させ、堆積物が底に沈降させることにより、本開示での使用のために単離されてもよい。微生物の大部分を含有する水は、好適な期間の沈降の後に、沈殿により除去されてもよく、有蹄動物の胃腸管に投与されるか、または濾過もしくは遠心分離により濃縮され、適切な濃度に希釈され、塩の大部分が除去される有蹄動物の胃腸管に投与されてもよい。別の例として、動物に対する損傷の可能性を最小限にするための有蹄動物への適用の場合、石灰化または毒性源由来の微生物は、微生物を回収するために同様に処置されてもよい。
【0092】
別の実施形態では、微生物は、天然に存在する原料から単離されていない粗製の形態で使用される。例えば、微生物は、例えば、糞便物質、食い戻し、または胃腸管で見出される他の組成物に存在する原料物質と組み合わせて提供される。この実施形態では、原料物質は、1つ以上の種の微生物を含んでもよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、微生物の混合集団が、本開示の方法で使用される。微生物が原料物質(例えば、それらが天然に存在する物質)から単離される本開示の実施形態では、当業者らに容易に知られるであろう多数の標準手法のいずれか1つまたはそれらの組み合わせが使用されてもよい。しかし、例として、これらは一般に、通常は固体微生物増殖培地の表面上での物理的分離により、または液体微生物増殖培地中への容量希釈単離(volumetric dilutive isolation)により、単一の微小生物の固体または液体培養物を実質的に純粋な形態で得ることができるプロセスを使用する。これらのプロセスには、好適な固体ゲル増殖培地の上で物質が薄層に広げられる、乾燥物質、液体懸濁液、スラリー、もしくはホモジネートからの単離、または滅菌培地中への物質の段階希釈及び液体もしくは固体培養基への接種が含まれてもよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、微生物を含有する物質は、物質内の全ての微生物も倍加させるために、単離プロセスの前に前処理されてもよい。次に、微生物は、濃縮された物質から単離することができる。
【0095】
本明細書に記載の保存方法にかけられる標的微生物は、微生物群集を含む任意の試料タイプから誘導することができる。例えば、本明細書で提供される方法で使用される試料は、動物試料(例えば、哺乳動物、爬虫類、鳥類)、土壌、空気、水(例えば、海水、淡水、廃水汚泥)、堆積物、油、植物、農産物、植物、土壌(例えば、根圏)及び極端な環境試料(例えば、酸性鉱山排水、熱水系)を包含するが、これらに限定されない。海水または淡水試料の場合、試料は、水域の表面または水域の任意の深さのもの、例えば、深海の試料、であり得る。一実施形態では、水試料は、海洋、河川、または湖沼の試料である。
【0096】
一実施形態では、動物試料は、体液である。別の実施形態では、動物試料は、組織試料である。非限定的な動物試料は、歯、汗、指の爪、皮膚、髪、糞便、尿、精液、粘液、唾液、胃腸管を含む。動物試料は、例えば、ヒト、霊長類、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、齧歯動物(例えば、マウスもしくはラット)、ウマ、または鳥の試料であり得る。一実施形態では、鳥の試料は、1つ以上のニワトリ由来の試料を含む。別の実施形態では、試料は、ヒト試料である。ヒト微生物叢は、皮膚の表面及び深層、乳腺、唾液、口腔粘膜、結膜、及び胃腸管で見出される微生物の収集を含む。微生物叢で見出される微生物は、細菌、真菌、原生動物、ウイルス、及び古細菌を含む。身体の様々な部分は、微生物の様々な多様性を示す。微生物の量及びタイプは、個体の健康または疾患状態を知らせ得る。細菌分類群の数は、千単位であり、ウイルスは、豊富であり得る。身体の所与の部位の細菌組成は、タイプだけでなく、存在量または量も個人により異なる。
【0097】
別の実施形態では、試料は、第一胃内の試料である。ウシなどの反芻動物は、飼料を消化するために多様な微生物群集に依存する。これらの動物は、嫌気性微生物の群集により発酵される間、飼料が保持される改良された上部消化管(第二胃または第一胃)を有することにより、栄養価の低い飼料を使用するように進化している。第一胃微生物群集は、1ミリリットル当たり約3×1010の微生物細胞で、非常に密集している。第一胃では、嫌気性発酵微生物が優勢である。第一胃中の微生物群集は、生物の3つの全ドメイン:細菌、古細菌、及び真核生物のメンバーを含む。第一胃内の発酵産物は、身体の維持及び成長ならびに乳汁産生のために、それぞれの宿主に必要とされる(van Houtert(1993).Anim.Feed Sci.Technol.43,pp.189-225;Bauman et al.(2011).Annu.Rev.Nutr.31,pp.299-319;それぞれが、あらゆる目的のために全体が参照により組み込まれる)。さらに、乳量及び組成は、第一胃内の微生物群集と関連すると報告されている(Sandri et al.(2014).Animal 8,pp.572-579;Palmonari et al.(2010).J.Dairy Sci.93,pp.279-287;それぞれが、あらゆる目的のために全体が参照により組み込まれる)。一実施形態では、第一胃内の試料は、あらゆる目的のために全体が参照により本明細書に組み込まれるJewell et al.(2015).Appl.Environ.Microbiol.81,pp.4697-4710に記載のプロセスを介して収集される。
【0098】
別の実施形態では、試料は、土壌試料(例えば、バルク土壌または根圏試料)である。1グラムの土壌が数万の細菌分類群及び最大10億の細菌細胞ならびに約2億の真菌の菌糸を含有することが推定されている(あらゆる目的のために全体が参照により組み込まれる、Wagg et al.(2010).Proc Natl.Acad.Sci.USA 111,pp.5266-5270)。細菌、放線菌、真菌、藻類、原生動物、及びウイルスは、全て、土壌で見出される。土壌微生物群集の多様性は、土壌の微小環境の構成及び肥沃、植物の栄養素獲得、植物の多様性及び成長、ならびに地上及び地下群集間の資源の循環による栄養素獲得に関与している。従って、経時的に土壌試料の微生物含有量及び活性微生物の共起(ならびに活性微生物の数)を評価すると、環境のメタデータパラメーター、例えば、栄養素獲得及び/または植物の多様性、と関連する微生物への知見を提供する。
【0099】
一実施形態では、土壌試料は、根圏試料、すなわち、根の分泌物及び関連土壌微生物により直接影響を受ける狭領域の土壌である。根圏は、微生物活動の上昇が観察されている密集した領域であり、植物の根は、栄養素及び成長因子の交換を通じて土壌微生物と相互作用する(あらゆる目的のために全体が参照により組み込まれる、San Miguel et al.(2014).Appl.Microbiol.Biotechnol.DOI 10.1007/s00253-014-5545-6)。植物は、根圏に多くの化合物を分泌するので、根圏の生物のタイプの分析は、その中で成長する植物の特徴を決定するのに有用であり得る。
【0100】
別の実施形態では、試料は、海水または淡水試料である。海は、1ミリリットル当たり最大100万の微生物及び数千の微生物タイプを含有する。これらの数字は、その高い生産性ならびに有機物及び栄養素の高い負荷と沿岸海域でマグニチュード以上のオーダーであり得る。海洋微生物は、以下の海洋生態系の機能にとって非常に重要である:生成された二酸化炭素及び固定された二酸化炭素のバランスの維持;海洋光合成微生物、例えば、Cyanobacteria、ケイソウ、ならびにピコ及びナノ植物プランクトン、による地球上の50%を超える酸素の生成;新規の生物活性化合物及び代謝経路の提供;海洋食物網の重要な最下位の栄養レベルを占めることにより、海産物の持続可能な供給を確実にすること。海洋環境で見出される生物は、ウイルス、細菌、古細菌、及びいくつかの真核生物を含む。海洋ウイルスは、ウイルス溶解を通じて海洋細菌の集団を制御する上で重要な役割を果たし得る。海洋細菌は、有機物の生産者であるだけでなく、他の小さな微生物の食料源としても重要である。海の水柱全体で見出される古細菌は、遠海性の古細菌であり、その豊富さは海洋細菌のものに匹敵する。
【0101】
別の実施形態では、試料は、極端な環境、すなわち、地球上のほとんどの生物に有害な条件を持つ環境、由来の試料を含む。極限環境で成長する生物は、極限環境微生物と呼ばれる。ドメイン古細菌が、極限環境微生物の周知の例を含有するが、ドメイン細菌は、これらの微生物の代表も有し得る。極限環境微生物は、以下を含む:3以下のpHレベルで成長する好酸性生物;9以上のpHレベルで成長する好アルカリ菌;成長に酸素を必要としないSpinoloricus Cinziaなどの嫌気性菌;地下深部の地下水で満たされた岩石内の微視的空間、裂溝、帯水層、及び断層に生息するクリプトエンドリス;少なくとも約0.2Mの塩濃度で成長する好塩菌;熱水系で見出される高温(約80~122℃)で成長する超好熱菌;寒い砂漠の岩の下に住むハイポリス;黄鉄鉱のような還元型鉱物化合物からエネルギーを引き出し且つ地球化学的循環中で活性であるNitrosomonas europaeaなどの無機栄養;銅、カドミウム、ヒ素、及び亜鉛などの高レベルの溶存重金属に耐える金属耐性生物;栄養的に制限された環境で成長する低栄養;高糖濃度の環境で成長する高濃性生物;海または地下の深部で見出されるような高圧で成長する好圧菌(piezophile)(または好圧菌(barophile));約-15℃以下の温度で生存、成長、及び/または生殖する好冷菌(psychrophile)/好冷菌(cryophile);高レベルの電離放射線に耐性のある放射線耐性生物;45~122℃の温度で成長する好熱菌;非常に乾燥した条件で成長し得る好乾性菌。多極限環境微生物は、複数のカテゴリー下の極限環境微生物とみなす生物であり、好熱好酸性古細菌(70~80℃の温度及び2~3のpHを好む)を含む。古細菌のクレン古細菌群は、好熱好酸性古細菌を含む。
【0102】
試料は、1つ以上のドメインからの微生物を含み得る。例えば、一実施形態では、試料は、細菌及び/または真菌(本明細書では細菌または真菌株とも呼ばれる)の異種の集団を含む。例えば、1つ以上の微生物は、ドメイン細菌、古細菌、真核生物、またはそれらの組み合わせに由来し得る。細菌及び古細菌は、内部オルガネラのない非常に単純な細胞構造を有する原核生物である。細菌は、グラム陽性/外膜なし、グラム陰性/外膜あり、及びグループ化されていない門に分類することができる。古細菌は、単細胞微生物のドメインまたは界を構成する。古細菌は、細菌と視覚的に類似しているが、真核生物の代謝経路、特に、転写及び翻訳に関与する酵素とより密接に関連した遺伝子及びいくつかの代謝経路を有する。古細菌の生化学の他の態様は、細胞膜中のエーテル脂質の存在など、独特である。古細菌は、4つの認識された門:Thaumarchaeota、Aigarchaeota、Crenarchaeota、及びKorarchaeotaに分かれる。
【0103】
真核生物のドメインは、核などの膜結合細胞小器官で定義される真核生物を含む。原生動物は、単細胞の真核生物である。全ての多細胞生物は、動物、植物、及び真菌を含む真核生物である。真核生物は、4つの界:原生生物、植物界、真菌、及び動物界に分類されている。しかし、いくつかの代替分類が存在する。別の分類は、真核生物を6つの界に分かれる:Excavata(様々な鞭毛原虫類);Amoebozoa(葉状アメーバ及び粘液糸状菌);Opisthokonta(動物、真菌、choanoflagellates);Rhizaria(Foraminifera、Radiolaria、及び様々な他のアメーバ原生動物);Chromalveolata(Stramenopiles(褐藻類、ケイソウ)、ハプト藻、Cryptophyta(またはクリプト植物)、及びAlveolata);Archaeplastida/Primoplantae(陸上植物、緑藻、紅藻、及び灰色藻)。
【0104】
真核生物のドメイン内では、真菌は、微生物群集で優勢な微生物である。真菌は、酵母及び糸状菌などの微生物、ならびにキノコ科を含む。真菌細胞は、これらの生物の独特な特徴であるグルカン及びキチンを含有する細胞壁を有する。真菌は、共通の祖先を共有するEumycotaという名称の関連生物の単一群を形成する。真菌界は、150万~500万種と推定されており、これらの約5%が、正式に分類されている。ほとんどの真菌の細胞は、複数の核を含有し得る菌糸と呼ばれる細長い、管状、及び糸状構造体として成長する。いくつかの種は、出芽または二分裂により生殖する単細胞酵母として成長する。真菌の主要な門(場合により、分裂と呼ばれる)は、主にそれらの性的生殖構造の特徴に基づいて分類されている。現在では、7つの門が、提案される:Microsporidia、Chytridiomycota、Blastocladiomycota、Neocallimastigomycota、Glomeromycota、Ascomycota、及びBasidiomycota。
【0105】
本明細書に記載される方法で検出及び定量するための微生物は、また、ウイルスであり得る。ウイルスは、他の生物の生細胞内でのみ複製する小さな感染性病原体である。ウイルスは、真核生物、細菌、及び古細菌のドメイン内の全てのタイプの生物に感染し得る。ウイルス粒子(ビリオンとして既知)は、2つまたは3つの部分からなる:(i)DNAまたはRNAのいずれであり得る遺伝物質;(ii)これらの遺伝子を保護するタンパク質コート;いくつかの場合では、(iii)それらが細胞外にある時にタンパク質コートを囲む脂質エンベロープ。7つの目は、ウイルスのために設けられている:Caudovirales、Herpesvirales、Ligamenvirales、Mononegavirales、Nidovirales、Picornavirales、及びTymovirales。ウイルスゲノムは、一本鎖(ss)または二本鎖(ds)、RNAまたはDNAであってよく、逆転写酵素(RT)を使用してもしなくてもよい。加えて、ssRNAウイルスは、センス(+)またはアンチセンス(-)のいずれかであってよい。この分類は、ウイルスを7つの群に分ける:I:dsDNAウイルス(例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス);II:(+)ssDNAウイルス(例えば、パルボウイルス);III:dsRNAウイルス(例えば、レオウイルス);IV:(+)ssRNAウイルス(例えば、ピコルナウイルス、トガウイルス);V:(-)ssRNAウイルス(例えば、オルトミクソウイルス、ラブドウイルス);VI:ライフサイクルのDNA中間体を有する(+)ssRNA-RTウイルス(例えば、レトロウイルス);VII:dsDNA-RTウイルス(例えば、ヘパドナウイルス)。
【0106】
本明細書に記載の方法で検出及び定量するための微生物は、また、ウイロイドであり得る。ウイロイドは、既知の最小の感染性病原体であり、タンパク質コートのない環状の一本鎖RNAの短い鎖のみからなる。それらは、主に植物病原体であり、これらのうちのいくつかは、経済的に重要である。ウイロイドゲノムは、サイズが非常に小さく、約246~約467の核酸塩基の範囲である。
【0107】
単離微生物
本明細書で使用される場合、「単離する」、「単離された」、「単離微生物」、及び同様の用語は、1つ以上の微生物が、特定の環境において関連する物質の少なくとも1つから分離されていることを意味することを意図する(例えば、土壌、水、動物組織)。故に、「単離微生物」は、その天然に存在する環境に存在せず、むしろ、本明細書に記載の様々な技法により、微生物がその自然設定から取り出されており、天然に存在しない状態の存在におかれているものである。従って、単離株は、例えば、生物学的に純粋な培養物として、または許容可能な担体と関連する胞子(もしくは菌株の他の形態)として存在してもよい。
【0108】
本開示の特定の態様では、単離微生物は、単離された生物学的に純粋な培養物として存在する。特定の微生物の単離された生物学的に純粋な培養物は、該培養物が他の生きた生物を実質的に含まず(科学的理由の範囲内で)、問題の個々の微生物のみを含有することを示すことを、当業者は理解するであろう。培養物は、様々な濃度の該微生物を含有することができる。本開示は、単離され生物学的に純粋な微生物は、多くの場合、より純粋でないか、または不純な物質とは必然的に異なることに留意する。例えば、In re Bergstrom,427 F.2d 1394,(CCPA 1970)(精製プロスタグランジンについて考察)を参照のこと、In re Bergy,596 F.2d 952(CCPA 1979)(精製微生物について考察)も参照のこと、Parke-Davis & Co.v.H.K.Mulford & Co.,189 F.95(S.D.N.Y.1911)(精製アドレナリンについてLearned Hand),aff’d in part,rev’d in part,196 F.496(2d Cir.1912)も参照のこと(これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる)。さらに、いくつかの態様では、本開示は、単離された生物学的に純粋な微生物培養物内に見出されなければならない濃度または純度制限に関するある特定の定量的尺度を提供する。これらの純度値の存在は、ある特定の実施形態では、天然の状態で存在する微生物から本開示の微生物を区別するさらなる属性である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Merck&Co.v.Olin Mathieson Chemical Corp.,253 F.2d 156(4th Cir.1958)(微生物により産生されるビタミンB12の純度制限に関する考察)を参照されたい。
【0109】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Clostridiaceae、Ruminococcaceae、Lachnospiraceae、Acidaminococcaceae、Peptococcaceae、Porphyromonadaceae、Prevotellaceae、Neocallimastigaceae、Saccharomycetaceae、Phaeosphaeriaceae、Erysipelotrichia、Anaerolineaceae、Atopobiaceae、Botryosphaeriaceae、Eubacteriaceae、Acholeplasmataceae、Succinivibrionaceae、Lactobacillaceae、Selenomonadaceae、Burkholderiaceae、及びStreptococcaceaeの分類上の科に属する単離微生物種を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Acetanaerobacterium、Acetivibrio、Acidaminobacter、Alkaliphilus、Anaerobacter、Anaerostipes、Anaerotruncus、Anoxynatronum、Bryantella、Butyricicoccus、Caldanaerocella、Caloramator、Caloranaerobacter、Caminicella、Candidatus Arthromitus、Clostridium、Coprobacillus、Dorea、Ethanologenbacterium、Faecalibacterium、Garciella、Guggenheimella、Hespellia、Linmingia、Natronincola、Oxobacter、Parasporobacterium、Sarcina、Soehngenia、Sporobacter、Subdoligranulum、Tepidibacter、Tepidimicrobium、Thermobrachium、Thermohalobacter、及びTindalliaを含むClostridiaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Ruminococcus、Acetivibrio、Sporobacter、Anaerofilium、Papillibacter、Oscillospira、Gemmiger、Faecalibacterium、Fastidiosipila、Anaerotruncus、Ethanoligenens、Acetanaerobacterium、Subdoligranulum、Hydrogenoanaerobacterium、及びCandidadus Soleaferreaを含むRuminococcaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Butyrivibrio、Roseburia、Lachnospira、Acetitomaculum、Coprococcus、Johnsonella、Catonella、Pseudobutyrivibrio、Syntrophococcus、Sporobacterium、Parasporobacterium、Lachnobacterium、Shuttleworthia、Dorea、Anaerostipes、Hespellia、Marvinbryantia、Oribacterium、Moryella、Blautia、Robinsoniella、Cellulosilyticum、Lachnoanaerobaculum、Stomatobaculum、Fusicatenibacter、Acetatifactor、及びEisenbergiellaを含むLachnospiraceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Acidaminococcus、Phascolarctobacterium、Succiniclasticum、及びSuccinispiraを含むAcidaminococcaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Desulfotomaculum、Peptococcus、Desulfitobacterium、Syntrophobotulus、Dehalobacter、Sporotomaculum、Desulfosporosinus、Desulfonispora、Pelotomaculum、Thermincola、Cryptanaerobacter、Desulfitibacter、Candidatus Desulforudis、Desulfurispora、及びDesulfitosporaを含むPeptococcaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Porphyromonas、Dysgonomonas、Tannerella、Odoribacter、Proteiniphilum、Petrimonas、Paludibacter、Parabacteroides、Barnesiella、Candidatus Vestibaculum、Butyricimonas、Macellibacteroides、及びCoprobacterを含むPorphyromonadaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Anaerolinea、Bellilinea、Leptolinea、Levilinea、Longilinea、Ornatilinea、及びPelolineaを含むAnaerolineaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Atopbium及びOlsenellaを含むAtopobiaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Acetobacterium、Alkalibacter、Alkalibaculum、Aminicella、Anaerofustis、Eubacterium、Garciella、及びPseudoramibacterを含むEubacteriaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Acholeplasmaを含むAcholeplasmataceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Anaerobiospirillum、Ruminobacter、Succinatimonas、Succinimonas、及びSuccinivibrioを含むSuccinivibrionaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Lactobacillus、Paralactobacillus、Pediococcus、及びSharpeaを含むLactobacillaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Anaerovibrio、Centipeda、Megamonas、Mitsuokella、Pectinatus、Propionispira、Schwartzia、Selenomonas、及びZymophilusを含むSelenomonadaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Burkholderia、Chitinimonas、Cupriavidus、Lautropia、Limnobacter、Pandoraea、Paraburkholderia、Paucimonas、Polynucleobacter、Ralstonia、Thermothrix、及びWautersiaを含むBurkholderiaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Lactococcus、Lactovum、及びStreptococcusを含むStreptococcaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Aestuariimicrobium、Arachnia、Auraticoccus、Brooklawnia、Friedmanniella、Granulicoccus、Luteococcus、Mariniluteicoccus、Microlunatus、Micropruina、Naumannella、Propionibacterium、Propionicicella、Propioniciclava、Propioniferax、Propionimicrobium、及びTessaracoccusを含むAnaerolineaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Paraprevotella、Prevotella、hallella、Xylanibacter、及びAlloprevotellaを含むPrevotellaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Anaeromyces、Caecomyces、Cyllamyces、Neocallimastix、Orpinomyces、及びPiromycesを含むNeocallimastigaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Brettanomyces、Candida、Citeromyces、Cyniclomyces、Debaryomyces、Issatchenkia、Kazachstania(類義語Arxiozyma)、Kluyveromyces、Komagataella、Kuraishia、Lachancea、Lodderomyces、Nakaseomyces、Pachysolen、Pichia、Saccharomyces、Spathaspora、Tetrapisispora、Vanderwaltozyma、Torulaspora、Williopsis、Zygosaccharomyces、及びZygotorulasporaを含むSaccharomycetaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Erysipelothrix、Solobacterium、Turicibacter、Faecalibaculum、Faecalicoccus、Faecalitalea、Holdemanella、Holdemania、Dielma、Eggerthia、Erysipelatoclostridium、Allobacterium、Breznakia、Bulleidia、Catenibacterium、Catenisphaera、及びCoprobacillusを含むErysipelotrichaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Barria、Bricookea、Carinispora、Chaetoplea、Eudarluca、Hadrospora、Isthmosporella、Katumotoa、Lautitia、Metameris、Mixtura、Neophaeosphaeria、Nodulosphaeria、Ophiosphaerella、Phaeosphaeris、Phaeosphaeriopsis、Setomelanomma、Stagonospora、Teratosphaeria、及びWilmiaを含むPhaeosphaeriaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Amarenomyces、Aplosporella、Auerswaldiella、Botryosphaeria、Dichomera、Diplodia、Discochora、Dothidothia、Dothiorella、Fusicoccum、Granulodiplodia、Guignardia、Lasiodiplodia、Leptodothiorella、Leptodothiorella、Leptoguignardia、Macrophoma、Macrophomina、Nattrassia、Neodeightonia、Neofusicocum、Neoscytalidium、Otthia、Phaeobotryosphaeria、Phomatosphaeropsis、Phyllosticta、Pseudofusicoccum、Saccharata、Sivanesania、及びThyrostromaを含むBotryosphaeriaceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Clostridium、Ruminococcus、Roseburia、Hydrogenoanaerobacterium、Saccharofermentans、Papillibacter、Pelotomaculum、Butyricicoccus、Tannerella、Prevotella、Butyricimonas、Piromyces、Candida、Vrystaatia、Orpinomyces、Neocallimastix、及びPhyllostictaの属から選択される単離微生物種を含む。さらなる実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で生成される微生物製品を提供し、微生物製品は、Lachnospiraceae科及びSaccharomycetales目に属する単離微生物種を含む。さらなる実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で生成される微生物製品を提供し、微生物製品は、Candida xylopsoci、Vrystaatia aloeicola、及びPhyllosticta capitalensisの単離微生物種を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Clostridium spp.の細菌、Siccinivibrio spp.の細菌、Caecomyces spp.の真菌、Pichia spp.の真菌、Butyrivibio spp.の細菌、Orpinomyces spp.の真菌、Piromyces spp.の真菌、Bacillus spp.の細菌、Lactobacillus spp.の細菌、Prevotella spp.の細菌、Syntrophococcus spp.の細菌、またはRuminococcus spp.の細菌から選択される単離微生物種を含む。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法で調製される微生物製品を提供し、微生物製品は、Lachnospiraceae科の属から選択される単離微生物種を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の製品中の単離微生物株は、遺伝子改変されている。いくつかの実施形態では、遺伝子改変または組み換え微生物は、該微生物において天然に存在しないポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、異種ポリヌクレオチドを含んでもよい。さらなる実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、微生物に固有の1つ以上のポリヌクレオチドに作動可能に連結されてもよい。
【0135】
いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、レポーター遺伝子または選択可能なマーカーであってよい。いくつかの実施形態では、レポーター遺伝子は、蛍光タンパク質のファミリー(例えば、GFP、RFP、YFPなど)、β-ガラクトシダーゼ、またはルシフェラーゼのいずれかから選択されてもよい。いくつかの実施形態では、選択可能なマーカーは、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ、アミノグリコシドアデニルトランスフェラーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、アセトラクターゼシンターゼ、ブロモキシニルニトリラーゼ、β-グルクロニダーゼ、ジヒドロゴレートレダクターゼ、及びクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼから選択されてもよい。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、1つ以上のプロモーターに作動可能に連結されてもよい。
【0136】
いくつかの実施形態では、単離微生物は、リボソーム核酸配列で同定される。リボソームRNA遺伝子(rDNAの)、特に、小サブユニットリボソームRNA遺伝子、すなわち、真核生物の場合、18S rRNA遺伝子(18S rDNA)、原核生物の場合、16S rRNA(16S rDNA)は、微生物群集内の生物のタイプ及び株の評価のための優勢な標的であった。しかし、大サブユニットのリボソームRNA遺伝子である28S rDNAも標的となっている。rDNAは、次の理由で分類上の同定に適する:(i)既知の全ての生物に遍在する:(ii)保存領域及び可変領域の両方を有する:(iii)比較のために利用可能な配列の指数関数的に拡大するデータベースがある。試料の共同解析では、保存領域は、対応するユニバーサルPCR及び/またはシーケンシングプライマーのアニーリング部位として機能するが、可変領域は、系統発生的分化に使用することができる。さらに、細胞内のrDNAのコピー数が多いので、環境試料からの検出が容易になる。
【0137】
18S rDNA及び28S rDNA間に位置する内部転写スペーサー(ITS)も標的とされている。ITSは、転写されるが、リボソームのアセンブリ前にスプライシングされる。ITS領域は、2つの非常に可変的なスペーサー、ITS1及びITS2、ならびに挿入5.8S遺伝子からなる。このrDNAオペロンは、ゲノム内の複数のコピーで生じる。ITS領域は、リボソーム構成要素をコードしていないので、非常に変更可能である。いくつかの実施形態では、固有のRNAマーカーは、mRNAマーカー、siRNAマーカー、またはリボソームRNAマーカーであり得る。
【0138】
主要rRNAサブユニット16Sの1次構造は、異なる速度で進化し、ドメインなどの非常に古代の系統、及び属などのより現代的な系統の両方の解像度を有効にする、保存された領域、可変領域、及び超可変領域の特定の組み合わせを含む。16Sサブユニットの2次構造は、残基の約67%の塩基対合をもたらすおよそ50のヘリックスを含む。これらの高度に保存された2次構造特徴は、機能的に非常に重要であり、複数配列アラインメント及び系統学的分析における位置的相同性を確保するために使用することができる。以前の数十年にわたり、16S rRNA遺伝子は、ほとんどのシーケンシングされた分類上のマーカーになっており、細菌と古細菌の現在の系統的な分類のための礎石である(Yarza et al.2014.Nature Rev.Micro.12:635-45)。
【0139】
いくつかの実施形態では、2つの16S rRNA遺伝子のための94.5パーセント以下の配列同一性は、異なる属の場合の強力な証拠であり、86.5パーセント以下は、異なる科の場合の強力な証拠であり、82%以下は、異なる目の場合の強力な証拠であり、78.5%は、異なる綱の場合の強力な証拠であり、75%以下は、異なる門の場合の強力な証拠である。16S rRNA遺伝子配列の比較分析により、培養微生物の分類だけでなく、多くの環境配列の分類にも役立つ分類学的しきい値の確立が可能になる。(Yarza et al.2014.Nature Rev.Micro.12:635-45)。
【0140】
本明細書に記載の方法に従って保存し、製品に組み込むことができる例示的な単離微生物が、以下の表2に提供される。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【0141】
微生物アンサンブル
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の方法により生成され且つ少なくとも2つの生存率向上微生物の組み合わせを含む微生物アンサンブルを含む微生物製品を提供する。特定の実施形態では、本開示のアンサンブルは、2つの微生物、または3つの微生物、または4つの微生物、または5つの微生物、または6つの微生物、または7つの微生物、または8つの微生物、または9つの微生物、または10以上の微生物を含む。アンサンブルの該微生物は、異なる微生物種、または微生物種の異なる株である。
【0142】
本明細書で使用される場合、「微生物アンサンブル」は、天然に存在する環境に及び/または天然に存在しない比もしくは量で、本来存在しない1つ以上の活性微生物を含む組成物を指す。例えば、微生物アンサンブル(さらに、合成アンサンブル及び/もしくはバイオアンサンブル)または凝集体は、適切な培地または担体とともに、1つ以上の単離微生物株から形成することができた。微生物アンサンブルは、標的、例えば、標的環境、集団、個体、動物など、に適用するか、または投与することができる。
【0143】
本開示の特定の態様では、微生物アンサンブルは、単離培養物及び生物学的に純粋な培養物として存在する1つ以上の単離微生物であるか、またはそれに基づく。
【0144】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の方法で生成され且つ微生物アンサンブルを含む微生物製品を提供し、微生物アンサンブルは、Clostridium spp.の細菌、Succinivibrio spp.の細菌、Caecomyces spp.の真菌、Pichia spp.の真菌、Butyrivibio spp.の細菌、Orpinomyces spp.の真菌、Piromyces spp.の真菌、Bacillus spp.の細菌、Lactobacillus spp.の細菌、Prevotella spp.の細菌、Syntrophococcus spp.の細菌、またはRuminococcus spp.の細菌から選択される少なくとも2つの単離微生物種を含む。例示的な種は、上記の表2に提供される。
【0145】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の方法で生成され且つ微生物アンサンブルを含む微生物製品を提供し、微生物アンサンブルは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号6と、少なくとも97%、98%、または99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含むClostridium spp.を含む。いくつかの態様では、微生物アンサンブルは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号6を含むか、またはそれらからなる16S rRNA配列を含むClostridium spp.を含む。いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の方法で生成され且つ微生物アンサンブルを含む微生物製品を提供し、微生物アンサンブルは、配列番号12と少なくとも97%、98%、または99%の配列同一性を有する16S rRNA配列を含むLachnospiraceae科由来の種を含む。いくつかの態様では、微生物アンサンブルは、配列番号12を含むかまたはそれからなる16S rRNA配列を含むLachnospiraceae科由来の種を含む。
【0146】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の方法で生成され且つ微生物アンサンブルを含む微生物製品を提供し、微生物アセンブルは、配列番号11と少なくとも97%、98%、または99%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含むSuccinivibrio spp.を含む。いくつかの態様では、微生物アンサンブルは、配列番号11を含むか、またはそれからなる16S rRNA配列を含むSuccinivibrio spp.を含む。
【0147】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の方法で生成され且つ微生物アンサンブルを含む微生物製品を提供し、微生物アンサンブルは、配列番号2と少なくとも97%、98%、または99%の配列同一性を含むITS配列を含むPichia spp.を含む。いくつかの態様では、微生物アンサンブルは、配列番号2を含むか、またはそれからなるITS配列を含むPichia spp.を含む。
【0148】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の方法で生成され且つ微生物アンサンブルを含む微生物製品を提供し、微生物アンサンブルは、配列番号4と少なくとも97%、98%、または99%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含むBacillus spp.を含む。いくつかの態様では、微生物アンサンブルは、配列番号4を含むか、またはそれからなるBacillus spp.を含む。いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の方法で生成され且つ微生物アンサンブルを含む微生物製品を提供し、微生物アセンブルは、配列番号7、配列番号8、または配列番号9と少なくとも97%、98%、または99%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含むLactobacillus spp.を含む。いくつかの態様では、微生物アンサンブルは、配列番号7、配列番号8、または配列番号9を含むか、またはそれらからなる16S rRNA配列を含むLactobacillus spp.を含む。
【0149】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の方法で生成され且つ微生物アンサンブルを含む微生物製品を提供し、微生物アセンブルは、配列番号10と少なくとも97%、98%、または99%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含むPrevotella spp.を含む。いくつかの態様では、微生物アンサンブルは、配列番号10を含むか、またはそれからなる16S rRNA配列を含むPrevotella spp.を含む。
【0150】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の方法で生成され且つ微生物アンサンブルを含む微生物製品を提供し、微生物アセンブルは、配列番号1と少なくとも97%、98%、または99%の配列同一性を含むClostriudium butyricum、及び配列番号2と少なくとも97%、98%、または99%の配列同一性を含むPichia kudriazeviiを含む。
【0151】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の方法で生成され且つ微生物アンサンブルを含む微生物製品を提供し、微生物アセンブルは、配列番号5と少なくとも97%、98%、または99%の配列同一性を含むClostridium spp.、配列番号6と少なくとも97%、98%、または99%の配列同一性を含むClostridium spp.、及び配列番号7と少なくとも97%、98%、または99%の配列同一性を含むLactobacillius spp.を含む。いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の方法で生成され且つ微生物アンサンブルを含む微生物製品を提供し、微生物アセンブルは、配列番号5と少なくとも97%、98%、または99%の配列同一性を含むClostridium spp.、及び配列番号6と少なくとも97%、98%、または99%の配列同一性を含むClostridium spp.を含む。
【0152】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の方法で生成され且つ微生物アンサンブルを含む微生物製品を提供し、微生物アセンブルは、配列番号10と少なくとも97%、98%、または99%の配列同一性を含むPrevotella spp.、配列番号11と少なくとも97%、98%、または99%の配列同一性を含むSuccinivibrio spp.、及び配列番号12と少なくとも97%、98%、または99%の配列同一性を含むLachnospiraceae種を含む。
【0153】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の方法で生成され且つ微生物アンサンブルを含む微生物製品を提供し、微生物アセンブルは、Clostridium、Ruminococcus、Roseburia、Hydrogenoanaerobacterium、Saccharofermentans、Papillibacter、Pelotomaculum、Butyricicoccus、Tannerella、Prevotella、Butyricimonas、Piromyces、Pichia、Candida、Vrystaatia、Orpinomyces、Neocallimastix、及びPhyllostictaの属から選択される少なくとも2つの単離微生物種を含む。
【0154】
微生物株
微生物は、多相分類法に基づいて属に区別することができ、これは、コンセンサス分類に表現型及び遺伝子型データを組み込む(Vandamme et al.1996.Polyphasic taxonomy,a consensus approach to bacterial systematics.Microbiol Rev 1996,60:407-438)。種を定義するための1つの認められる遺伝子型の方法は、ゲノムの関連性全体に基づき、その結果、標準条件下で、5℃以下のΔT(同種及び異種ハイブリッド間の融解温度の差異)で、DNA-DNAハイブリダイゼーションを使用した、ほぼ70%以上の関連性を共有する株は、同じ種のメンバーと考えられる。従って、上述の70%を超えるしきい値を共有する集団は、同じ種の多様体とみなすことができる。種を定義するための別の認められる遺伝子型の方法は、本開示のマーカー遺伝子を単離し、これらの遺伝子をシーケンシングし、複数の分離株または多様体由来のこれらのシーケンシングされた遺伝子をアラインすることである。微生物は、シーケンシングされた遺伝子の1つ以上が少なくとも97%の配列同一性を共有する場合、同じ種に属すると解釈される。
【0155】
単離微生物は、16s rRNA配列のリボソームデータベースプロジェクト(RDP)及びITS rRNA配列の利用しやすい、北欧ITS外生菌根(UNITE)データベースの分類ツールを利用することにより、最も近い分類群に一致させることができる。最も近い分類群に一致する微生物の例は、Lan et al.(2012.PLOS one.7(3):e32491),Schloss and Westcott(2011.Appl.Environ.Microbiol.77(10):3219-3226)、及びKoljalg et al.(2005.New Phytologist.166(3):1063-1068)で見出され得る。16Sまたは18S rRNA配列またはITS配列は、多くの場合、上述の配列のうちの1つが、参照配列との特定パーセントの配列同一性よりも少ない配列同一性を共有する場合、配列が得られた2つの生物が異なる種または株のものと言われるという点で、種と株を区別するために使用される。比較は、また、参照配列に対し、23S rRNA配列を用いて行われてもよい。
【0156】
従って、1つは、16Sもしくは18S rRNA配列、またはITS1もしくはITS2配列にわたって少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を共有する場合、微生物を同じ種のものであるとみなし得る。さらに、1つは、16Sもしくは18S rRNA配列、またはITS1もしくはITS2配列にわたって少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を共有するものとして、種の微生物株を定義し得る。
【0157】
一実施形態では、本開示の微生物株は、配列番号1~12のいずれか1つと少なくとも70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を共有するポリヌクレオチド配列を含むものを含む。さらなる実施形態では、本開示の微生物株は、配列番号1~12のいずれか1つと少なくとも70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を共有するポリヌクレオチド配列を含むものを含む。
【0158】
培養できない微生物は、多くの場合、表現型決定がない確定した種に割り当てることができず、微生物は、属内の名称であるcandidatusを与えることができる。但し、その16Sまたは18S rRNA配列またはITS配列は、既知の種と同一性の原理を引き受ける。
【0159】
1つのアプローチは、配列空間中の密接に関連する種の多数の株の分布を観察すること及び他のクラスターから十分に分離される株のクラスターを同定することである。本アプローチは、クラスタリングパターンを評価するために、複数のコア(ハウスキーピング)遺伝子の連結配列を使用することにより開発されており、多座配列分析(MLSA)または多座配列の系統発生分析と呼ばれている。現在の分類学的方法により非常に密接に関連する種に割れ当てられる多数の株におけるクラスタリングパターンを探索するために、属内またはより広い分類学群内の少数の株間の関連をみるために、及び特定の分類学上の問題に対処するために、MLSAが効率よく使用されている。より一般には、細菌種が存在するかどうかを確認するために、つまり、類似株の大きい集団が常に十分に分離されたクラスターに分類されるかどうか、または、一部の場合では、クラスターへの明確な分離が観察されない遺伝的連続体があるかどうか観察するために、本方法を使用することができる。
【0160】
属の決定をより正確に行うために、表現型形質、例えば、形態学的、生化学的、及び生理学的特徴、の決定は、参照属の原型との比較のために行うことができる。コロニーのモルホロジーは、色、形状、色素沈着、粘液の生成などを含み得る。細胞の特徴は、形状、サイズ、グラム反応、細胞外物質、内生胞子の存在、鞭毛の存在及び位置、運動性、ならびに封入体に関して記載される。生化学的及び生理学的特徴は、様々な範囲の温度、pH、塩分、及び大気条件での生物の成長、様々な唯一の炭素及び窒素源の存在下での成長について記載する。当業者は、本開示の属を定義する表現型の形質に関して合理的に知らされるべきである。
【0161】
一実施形態では、16S rRNA遺伝子配列及びITS配列を利用して、本明細書で教示される微生物を同定した。細菌同定に有用な種/株特異的シグネチャー配列を提供し得る16S rRNAが超可変領域を含有すること、及びITS配列が、真菌同定に有用な種/株特異的シグネチャー配列も提供し得ることが、当該技術分野で既知である。
【0162】
rRNA遺伝子及び/またはITS配列を使用した系統発生分析は、一般の属に属する「実質的に類似」種を定義するために、及び、所与の分類学上の種の「実質的に類似」の株も定義するために、使用される。さらに、分離株の生理学的及び/または生化学的特性は、反芻動物の有利な行動につながり得る株間のわずかな差異と有意な差異の両方を強調するために利用することができる。
【0163】
本開示の組成物は、真菌胞子及び細菌胞子、真菌胞子及び細菌栄養細胞、真菌栄養細胞及び細菌胞子、真菌栄養細胞及び細菌栄養細胞の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、胞子の形態のみの細菌を含む。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、栄養細胞の形態のみの細菌を含む。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、真菌の不存在下で細菌を含む。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、細菌の不存在下で真菌を含む。
【0164】
細菌胞子は、内生胞子及びアキネートを含んでもよい。真菌胞子は、非射出胞子、射出胞子、自生胞子、不動胞子、遊走子、栄養胞子、大胞子、小胞子、減数胞子、厚膜胞子、夏胞子、冬胞子、卵胞子、果胞子、四分胞子、胞子嚢胞子、接合胞子、子嚢胞子、担子胞子、子嚢胞子、及び子嚢胞子を含んでもよい。
【0165】
微生物製品
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の連続保存方法で調製され且つ保存された生存率向上微生物細胞の集団を含む製品を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で調製された微生物製品は、1つ以上の生存率向上微生物(複数可)及び許容可能な担体を含む。さらなる実施形態では、生存率向上微生物(複数可)は、封入される。さらなる実施形態では、封入された生存率向上微生物(複数可)は、ポリマーを含む。さらなる実施形態では、ポリマーは、糖ポリマー、寒天ポリマー、アガロースポリマー、タンパク質ポリマー、糖ポリマー、及び脂質ポリマーから選択されてもよい。
【0166】
いくつかの実施形態では、許容可能な担体は、食用飼料グレードの物質、ミネラル混合物、水、グリコール、糖蜜、及びトウモロコシ油からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、微生物アンサンブルを形成する少なくとも2つの微生物株は、該組成物の1グラム当たり10~1015細胞で組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、組成物は、飼料組成物と混合されてもよい。
【0167】
いくつかの実施形態では、本開示の微生物製品は、動物に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1日1回投与される。さらなる実施形態では、組成物は、少なくとも月1回投与される。さらなる実施形態では、組成物は、少なくとも週1回投与される。さらなる実施形態では、組成物は、少なくとも1時間に1回投与される。
【0168】
いくつかの実施形態では、投与は、第一胃への組成物の注射を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、肛門に投与される。さらなる実施形態では、肛門投与は、直腸に坐剤を挿入することを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、経口投与される。いくつかの態様では、経口投与は、動物の飼料、水、薬物、またはワクチン接種と組み合わせて組成物を投与することを含む。いくつかの態様では、経口投与は、動物の身体分にゲルまたは粘性溶液中の組成物を適用することを含み、動物は、なめることにより組成物を摂取する。いくつかの実施形態では、投与は、動物に組成物を噴霧することを含み、動物は、組成物を摂取する。いくつかの実施形態では、投与は、動物が給餌されるたびに行われる。いくつかの実施形態では、経口投与は、動物飼料と組み合わせて組成物を投与することを含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、本開示の微生物製品は、反芻動物飼料、例えば、シリアル(オオムギ、トウモロコシ、オート麦など);デンプン(タピオカなど);油糧種子ケーキ;及び野菜の廃棄物、を含む。いくつかの実施形態では、微生物製品は、ビタミン、ミネラル、微量元素、乳化剤、着香製品、結合剤、着色剤、着臭剤、増粘剤などを含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、本開示の微生物製品は、固体である。固体組成物が使用される場合、限定されないが、鉱物土類、例えば、シリカ、タルク、カオリン、石灰岩、チョーク、粘土、ドロマイト、珪藻土;炭酸カルシウム;硫酸カルシウム;硫酸マグネシウム;酸化マグネシウム;植物由来の製品、例えば、穀物粉、樹皮粉、木粉、及び堅果殻粉を含む1つ以上の担体物質を含むことが望ましいことがある。
【0171】
いくつかの実施形態では、本開示の微生物製品は、液体である。さらなる実施形態では、液体は、水またはアルコールを含み得る溶媒、及び他の動物に安全な溶媒を含む。いくつかの実施形態では、本開示の微生物製品は、結合剤、例えば、動物に安全なポリマー、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ポリビニルアルコールなどの結合剤を含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、本開示の微生物製品は、増粘剤、例えば、シリカ、粘土、種子または海藻の天然抽出物、セルロースの合成誘導体、グアーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸塩、及びメチルセルロースを含む。いくつかの実施形態では、微生物製品は、沈降防止剤、例えば、加工デンプン、ポリビニルアルコール、キサンタンガムなどを含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、本開示の微生物製品は、ニトロソ;ニトロ;モノアゾ、ビスアゾ、及びポリアゾを含むアゾ;アクリジン、アントラキノン、アジン、ジフェニルメタン、インダミン、インドフェノール、メチン、オキサジン、フタロシアニン、チアジン、チアゾール、トリアリールメタン、キサンテンとして分類される有機発色団を含む着色剤を含む。いくつかの実施形態では、本開示の微生物組成物は、微量栄養素、例えば、鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデン、及び亜鉛の塩を含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、本開示の微生物製品は、動物に安全な殺ウイルス剤または殺線虫剤を含む。いくつかの実施形態では、本開示の微生物組成物は、糖類(例えば、単糖類、二糖類、三糖類、多糖類、オリゴ糖など)、ポリマー糖類、脂質、ポリマー脂質、リポ多糖、タンパク質、ポリマータンパク質、リポタンパク質、核酸、核酸ポリマー、シリカ、無機塩、及びそれらの組み合わせを含む。さらなる実施形態では、微生物製品は、寒天、アガロース、ジェライト、ジェランガムなどのポリマーを含む。いくつかの実施形態では、微生物組成物は、プラスチックカプセル、エマルション(例えば、水及び油)、膜、及び人工膜を含む。いくつかの実施形態では、エマルションまたは連結ポリマー溶液は、本開示の微生物組成物を含んでもよい。例えば、あらゆる目的のために参照により本明細書に明示的に組み込まれる、Harel and Bennett、米国特許第8,460,726B2号を参照されたい。
【0175】
いくつかの実施形態では、本開示の微生物製品は、1つ以上の防腐剤を含む。防腐剤は、液体または気体の配合物であってよい。保存剤は、以下のうちの1つ以上から選択されてもよい:単糖、二糖、三糖、多糖、酢酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、エリソルビン酸、イソアスコルビン酸、エリスロビン酸、硝酸カリウム、アスコルビン酸ナトリウム、エリトルビン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、窒素、安息香酸、ソルビン酸カルシウム、エチルラウロイルアルギナート、メチル-p-ヒドロキシベンゾアート、メチルパラベン、酢酸カリウム、安息香酸カリウム、重亜硫酸カリウム、二酢酸カリウム、乳酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピル-p-ヒドロキシベンゾアート、プロピルパラベン、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、二酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メチル-p-ヒドロキシベンゾアートのナトリウム塩、プロピル-p-ヒドロキシ安息香酸のナトリウム塩、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、亜硝酸、プロピオン酸カルシウム、ジメチルジカルボナート、ナタマイシン、ソルビン酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、メタ亜硫酸水素カリウム、プロピオン酸、二酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸、アスコルビン酸、アスコルビルパルミタート、アスコルビルステアラート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシルアニソール(BHA)、クエン酸、モノグリセリド及び/またはジグリセリドのクエン酸エステル、L-システイン、L-システイン塩酸塩、グアヤカムガム、グアヤクガム、レシチン、レシチンシトラート、モノグリセリドシトラート、モノイソプロピルシトラート、プロピルガラート、メタ重亜硫酸ナトリウム、酒石酸、3級ブチルヒドロキノン、塩化第一スズ、チオジプロピオン酸、ジラウリルチオジプロピオナート、ジステアリルチオジプロピオナート、エトキシキン、二酸化硫黄、ギ酸、またはトコフェロール(複数可)。
【0176】
いくつかの実施形態では、本開示の微生物製品は、胞子形態、栄養細胞形態、及び/または溶解細胞形態の細菌及び/または真菌細胞を含む。一実施形態では、溶解細胞形態は、マイコトキシン結合剤、例えば、死細胞に結合するマイコトキシンとして作用する。
【0177】
いくつかの実施形態では、微生物製品は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60日間、冷蔵庫(35~40°F)内で貯蔵安定性がある。いくつかの実施形態では、微生物製品は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60週間、冷蔵庫(35~40°F)内で貯蔵安定性がある。
【0178】
いくつかの実施形態では、微生物製品は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60日間、室温(68~72°F)または50~77°Fで貯蔵安定性がある。いくつかの実施形態では、微生物製品は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60週間、室温(68~72°F)または50~77°Fで貯蔵安定性がある。
【0179】
いくつかの実施形態では、微生物製品は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60日間、-23~35°Fで貯蔵安定性がある。いくつかの実施形態では、微生物製品は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60週間、-23~35°Fで貯蔵安定性がある。
【0180】
いくつかの実施形態では、微生物製品は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60日間、77~100°Fで貯蔵安定性がある。いくつかの実施形態では、微生物製品は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60週間、77~100°Fで貯蔵安定性がある。
【0181】
いくつかの実施形態では、微生物製品は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60日間、101~213°Fで貯蔵安定性がある。いくつかの実施形態では、微生物製品は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60週間、101~213°Fで貯蔵安定性がある。
【0182】
いくつかの実施形態では、本開示の微生物製品は、約1~100、約1~95、約1~90、約1~85、約1~80、約1~75、約1~70、約1~65、約1~60、約1~55、約1~50、約1~45、約1~40、約1~35、約1~30、約1~25、約1~20、約1~15、約1~10、約1~5、約5~100、約5~95、約5~90、約5~85、約5~80、約5~75、約5~70、約5~65、約5~60、約5~55、約5~50、約5~45、約5~40、約5~35、約5~30、約5~25、約5~20、約5~15、約5~10、約10~100、約10~95、約10~90、約10~85、約10~80、約10~75、約10~70、約10~65、約10~60、約10~55、約10~50、約10~45、約10~40、約10~35、約10~30、約10~25、約10~20、約10~15、約15~100、約15~95、約15~90、約15~85、約15~80、約15~75、約15~70、約15~65、約15~60、約15~55、約15~50、約15~45、約15~40、約15~35、約15~30、約15~25、約15~20、約20~100、約20~95、約20~90、約20~85、約20~80、約20~75、約20~70、約20~65、約20~60、約20~55、約20~50、約20~45、約20~40、約20~35、約20~30、約20~25、約25~100、約25~95、約25~90、約25~85、約25~80、約25~75、約25~70、約25~65、約25~60、約25~55、約25~50、約25~45、約25~40、約25~35、約25~30、約30~100、約30~95、約30~90、約30~85、約30~80、約30~75、約30~70、約30~65、約30~60、約30~55、約30~50、約30~45、約30~40、約30~35、約35~100、約35~95、約35~90、約35~85、約35~80、約35~75、約35~70、約35~65、約35~60、約35~55、約35~50、約35~45、約35~40、約40~100、約40~95、約40~90、約40~85、約40~80、約40~75、約40~70、約40~65、約40~60、約40~55、約40~50、約40~45、約45~100、約45~95、約45~90、約45~85、約45~80、約45~75、約45~70、約45~65、約45~60、約45~55、約45~50、約50~100、約50~95、約50~90、約50~85、約50~80、約50~75、約50~70、約50~65、約50~60、約50~55、約55~100、約55~95、約55~90、約55~85、約55~80、約55~75、約55~70、約55~65、約55~60、約60~100、約60~95、約60~90、約60~85、約60~80、約60~75、約60~70、約60~65、約65~100、約65~95、約65~90、約65~85、約65~80、約65~75、約65~70、約70~100、約70~95、約70~90、約70~85、約70~80、約70~75、約75~100、約75~95、約75~90、約75~85、約75~80、約80~100、約80~95、約80~90、約80~85、約85~100、約85~95、約85~90、約90~100、約90~95、または95~100週間、冷却温度(35~40°F)、室温(68~72°F)、50~77°F、-23~35°F、70~100°F、または101~213°Fで貯蔵安定性がある。
【0183】
いくつかの実施形態では、本開示の微生物製品は、1~100、1~95、1~90、1~85、1~80、1~75、1~70、1~65、1~60、1~55、1~50、1~45、1~40、1~35、1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~100、5~95、5~90、5~85、5~80、5~75、5~70、5~65、5~60、5~55、5~50、5~45、5~40、5~35、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、10~100、10~95、10~90、10~85、10~80、10~75、10~70、10~65、10~60、10~55、10~50、10~45、10~40、10~35、10~30、10~25、10~20、10~15、15~100、15~95、15~90、15~85、15~80、15~75、15~70、15~65、15~60、15~55、15~50、15~45、15~40、15~35、15~30、15~25、15~20、20~100、20~95、20~90、20~85、20~80、20~75、20~70、20~65、20~60、20~55、20~50、20~45、20~40、20~35、20~30、20~25、25~100、25~95、25~90、25~85、25~80、25~75、25~70、25~65、25~60、25~55、25~50、25~45、25~40、25~35、25~30、30~100、30~95、30~90、30~85、30~80、30~75、30~70、30~65、30~60、30~55、30~50、30~45、30~40、30~35、35~100、35~95、35~90、35~85、35~80、35~75、35~70、35~65、35~60、35~55、35~50、35~45、35~40、40~100、40~95、40~90、40~85、40~80、40~75、40~70、40~65、40~60、40~55、40~50、40~45、45~100、45~95、45~90、45~85、45~80、45~75、45~70、45~65、45~60、45~55、45~50、50~100、50~95、50~90、50~85、50~80、50~75、50~70、50~65、50~60、50~55、55~100、55~95、55~90、55~85、55~80、55~75、55~70、55~65、55~60、60~100、60~95、60~90、60~85、60~80、60~75、60~70、60~65、65~100、65~95、65~90、65~85、65~80、65~75、65~70、70~100、70~95、70~90、70~85、70~80、70~75、75~100、75~95、75~90、75~85、75~80、80~100、80~95、80~90、80~85、85~100、85~95、85~90、90~100、90~95、または95~100週間、冷却温度(35~40°F)、室温(68~72°F)、50~77°F、-23~35°F、70~100°F、または101~213°Fで貯蔵安定性がある。
【0184】
いくつかの実施形態では、本開示の微生物製品は、約1~36、約1~34、約1~32、約1~30、約1~28、約1~26、約1~24、約1~22、約1~20、約1~18、約1~16、約1~14、約1~12、約1~10、約1~8、約1~6、約1~4、約1~2、約4~36、約4~34、約4~32、約4~30、約4~28、約4~26、約4~24、約4~22、約4~20、約4~18、約4~16、約4~14、約4~12、約4~10、約4~8、約4~6、約6~36、約6~34、約6~32、約6~30、約6~28、約6~26、約6~24、約6~22、約6~20、約6~18、約6~16、約6~14、約6~12、約6~10、約6~8、約8~36、約8~34、約8~32、約8~30、約8~28、約8~26、約8~24、約8~22、約8~20、約8~18、約8~16、約8~14、約8~12、約8~10、約10~36、約10~34、約10~32、約10~30、約10~28、約10~26、約10~24、約10~22、約10~20、約10~18、約10~16、約10~14、約10~12、約12~36、約12~34、約12~32、約12~30、約12~28、約12~26、約12~24、約12~22、約12~20、約12~18、約12~16、約12~14、約14~36、約14~34、約14~32、約14~30、約14~28、約14~26、約14~24、約14~22、約14~20、約14~18、約14~16、約16~36、約16~34、約16~32、約16~30、約16~28、約16~26、約16~24、約16~22、約16~20、約16~18、約18~36、約18~34、約18~32、約18~30、約18~28、約18~26、約18~24、約18~22、約18~20、約20~36、約20~34、約20~32、約20~30、約20~28、約20~26、約20~24、約20~22、約22~36、約22~34、約22~32、約22~30、約22~28、約22~26、約22~24、約24~36、約24~34、約24~32、約24~30、約24~28、約24~26、約26~36、約26~34、約26~32、約26~30、約26~28、約28~36、約28~34、約28~32、約28~30、約30~36、約30~34、約30~32、約32~36、約32~34、または約34~36ヶ月間、冷却温度(35~40°F)、室温(68~72°F)、50~77°F、-23~35°F、70~100°F、または101~213°Fで貯蔵安定性がある。
【0185】
いくつかの実施形態では、本開示の微生物製品は、1~36、1~34、1~32、1~30、1~28、1~26、1~24、1~22、1~20、1~18、1~16、1~14、1~12、1~10、1~8、1~6、1~4、1~2、4~36、4~34、4~32、4~30、4~28、4~26、4~24、4~22、4~20、4~18、4~16、4~14、4~12、4~10、4~8、4~6、6~36、6~34、6~32、6~30、6~28、6~26、6~24、6~22、6~20、6~18、6~16、6~14、6~12、6~10、6~8、8~36、8~34、8~32、8~30、8~28、8~26、8~24、8~22、8~20、8~18、8~16、8~14、8~12、8~10、10~36、10~34、10~32、10~30、10~28、10~26、10~24、10~22、10~20、10~18、10~16、10~14、10~12、12~36、12~34、12~32、12~30、12~28、12~26、12~24、12~22、12~20、12~18、12~16、12~14、14~36、14~34、14~32、14~30、14~28、14~26、14~24、14~22、14~20、14~18、14~16、16~36、16~34、16~32、16~30、16~28、16~26、16~24、16~22、16~20、16~18、18~36、18~34、18~32、18~30、18~28、18~26、18~24、18~22、18~20、20~36、20~34、20~32、20~30、20~28、20~26、20~24、20~22、22~36、22~34、22~32、22~30、22~28、22~26、22~24、24~36、24~34、24~32、24~30、24~28、24~26、26~36、26~34、26~32、26~30、26~28、28~36、28~34、28~32、28~30、30~36、30~34、30~32、32~36、32~34、または約34~36の期間、冷却温度(35~40°F)、室温(68~72°F)、50~77°F、-23~35°F、70~100°F、または101~213°Fで貯蔵安定性がある。
【0186】
いくつかの実施形態では、本開示の微生物製品は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、または98%の相対湿度で、開示の温度及び/または温度範囲及び時間間隔のいずれにおいても貯蔵安定性がある。
【0187】
封入製品
いくつかの実施形態では、本開示の生存率向上微生物(複数可)(例えば、微生物及び/または合成微生物組成物)は、封入組成物に封入される。封入組成物は、有蹄動物の胃腸管に入る前に、微生物を外部ストレッサーから保護する。封入組成物はさらに、嫌気性微生物に対する好気性環境の酸化ストレスを最小化するなど、微生物に有益であり得る環境を作出する。微生物の封入組成物、及び微生物の封入方法については、Kalstaら(US5,104,662A)、Ford(US5,733,568A)、ならびにMosbach及びNilsson(US4,647,536A)を参照されたい。合成アンサンブルの追加の方法及び製剤は、以下の米国特許第6537666号、同第6306345号、同第5766520号、同第6509146号、同第6884866号、同第7153472号、同第6692695号、同第6872357号、同第7074431号、及び/または同第6534087号のうちの1つ以上に開示される製剤及び方法を含み得、これらのそれぞれは、全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0188】
一実施形態では、封入組成物は、固形シェル物質に封入された多数の液体コアを有するマイクロカプセルを含む。本開示の目的上、コアの「多重度」は、2つ以上として定義される。
【0189】
有用な可融性シェル物質の第1のカテゴリーは、通常は、既に好適な硬度である脂肪、及びそれらの融点が本開示の目的を果たすのに十分に高くなるまで水素添加される動物または植物の油脂を含む固形脂肪のものである。所望のプロセス及び貯蔵温度ならびに選択された特定の物質に応じて、特定の脂肪は、通常は、固体または通常は液体の物質のいずれかであり得る。本明細書で使用される「通常は固体」及び「通常は液体」という用語は、得られるマイクロカプセルを保存するための所望の温度での物質の状態を指す。厳密に言えば、脂肪及び硬化油が、融点を有さないので、「融点」という用語は、本明細書では、可融性物質が、効率よく乳化及び噴霧冷却されるように十分に軟化または液体になり、それにより、シェル物質がコリンコアの放出を防ぐのに十分な完全性を有する最高温度にほぼ対応する最低温度を説明するために使用される。「融点」は、鋭い融点を有さない他の物質に対し本明細書では同様に定義される。
【0190】
本明細書で有用な油脂の具体例(これらのうちのいくつかは、硬化を必要とする)は、以下の通りである:動物油脂、例えば、牛脂、羊脂、ラム脂、ラードまたは豚脂、魚油、及びマッコウ鯨油;植物油、例えば、キャノーラ油、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、オリーブ油、大豆油、ヒマワリ油、ベニバナ油、パーム油、亜麻仁油、桐油、及びヒマシ油;肪酸モノグリセリド及びジグリセリド;遊離脂肪酸、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、及びオレイン酸;ならびにそれらの混合物。油脂の一覧表は、網羅的であることを意図するものでないが、例示のみを意図するものである。脂肪酸の具体例としては、以下が挙げられる:リノール酸、γ-リノール酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、バクセン酸、ネルボン酸、ミード酸、エルカ酸、ゴンド酸、エライジン酸、オレイン酸、パリトレイン(palitoleic)酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘネイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、ヘプタコシル酸、モンタン酸、ノナコシル酸、メリシン酸、ヘナトリアコンチル酸、ラセロ酸、シリル酸、ゲジ酸、セロプラスチック(ceroplastic)酸、ヘキサトリアコンチル(hexatriacontylic)酸、ヘプタトリアコンタン酸、及びオクタトリアコンタン酸。
【0191】
シェル物質を封入するのに有用な可融性物質の別のカテゴリーは、ワックスのものである。本明細書での使用ために企図される代表的なワックスは、以下の通りである:動物性ワックス、例えば、蜜蝋、ラノリン、シェルワックス、及びチャイニーズインセクトワックス;植物性ワックス、例えば、カルナバ、キャンデリラ、ヤマモモ、及びサトウキビ;鉱物ワックス、例えば、パラフィン、微結晶石油、オゾケライト、セレシン、及びモンタン;合成ワックス、例えば、低分子量ポリオレフィン(例えば、CARBOWAX)、及びポリオールエーテルエステル(例えば、ソルビトール);フィッシャー・トロプシュ法による合成ワックス;ならびにそれらの混合物。水溶性ワックス、例えば、CARBOWAX及びソルビトールは、コアが水性である場合、本明細書では企図されない。
【0192】
本明細書で有用なさらに他の可融性化合物は、可融性天然樹脂、例えば、ロジン、バルサム、シェラック、及びそれらの混合物である。様々な補助物質が、本開示によれば、可融性物質に組み込むことが企図される。例えば、酸化防止剤、光安定剤、染料及びレーキ、香料、エッセンシャルオイル、固化防止剤、充填剤、pH安定剤、糖(単糖、二糖、三糖、及び多糖)などは、可融性物質に大量に組み込むことができ、これらは、本開示に対するその有用性を損なうものではない。本明細書のいくつかの実施形態に従って企図されるコア物質は、マイクロカプセルの約0.1重量%~約50重量%、約1重量%~約35重量%、または約5重量%~約30重量%を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書で企図されるコア物質は、マイクロカプセルの約30重量%以下を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書で企図されるコア物質は、マイクロカプセルの約5重量%を構成する。実装に応じて、コア物質は、マイクロカプセルの意図される貯蔵温度で液体または固体であり得る。
【0193】
コアは、食用糖、例えば、スクロース、グルコース、マルトース、フルクトース、ラクトース、セロビオース、単糖、二糖、三糖、多糖、及びそれらの混合物;人工甘味料、例えば、アスパルテーム、サッカリン、チクロ塩、及びそれらの混合物;食用酸、例えば、酢酸(酢)、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、及びそれらの混合物;食用デンプン、例えば、コーンスターチ;植物タンパク質加水分解物;水溶性ビタミン、例えば、ビタミンC;水溶性医薬品;水溶性栄養素、例えば、硫酸第一鉄;香料;塩;グルタミン酸ナトリウム;抗菌薬、例えば、ソルビン酸;抗真菌剤、例えば、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、安息香酸ナトリウム、及び安息香酸;食品グレード顔料及び染料;ならびにそれらの混合物を含む他の添加剤を含み得る。実装に応じて、他の潜在的に有用な補足コア物質も企図される。
【0194】
いくつかの実施形態では、乳化剤は、安定した乳濁液の形成を助けるために利用することができる。代表的な乳化剤は、グリセリルモノステアラート、ポリソルベートエステル、エトキシル化モノグリセリド及びジグリセリド、ならびにそれらの混合物を含む。
【0195】
処理を容易にするために、特に、適度に安定したエマルションの良好な形成を可能にするために、コア物質及びシェル物質の粘度は、エマルションが形成される温度で類似するはずである。いくつかの実施形態では、センチポアズまたは同等の単位で表され且つ双方ともにエマルションの温度で測定される、シェルの粘度、対、コアの粘度の比は、約22:1~約1:1、約8:1~約1:1、または約3:1~約1:1であり得る。いくつかの実施形態では、1:1の比を利用することができ、他の粘度は、様々な用途に利用することができ、列挙される範囲内の粘度比が有用である。
【0196】
封入組成物は、上に開示されたマイクロカプセル組成物に限定されない。いくつかの実施形態では、封入組成物は、毒性効果なしに天然または合成であり得る接着性ポリマーに微生物組成物を封入する。いくつかの実施形態では、封入組成物は、糖マトリックス、ゼラチンマトリックス、ポリマーマトリックス、シリカマトリックス、デンプンマトリックス、フォームマトリックスなどから選択されるマトリックスであってよい。いくつかの実施形態では、封入組成物は、ポリビニルアセタート;ポリビニルアセタートコポリマー;エチレンビニルアセタート(EVA)コポリマー;ポリビニルアルコール;ポリビニルアルコールコポリマー;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースを含むセルロース;ポリビニルピロリドン;デンプン、加工デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、アルギン酸塩及びキトサンを含む多糖類;単糖;脂肪;油を含む脂肪酸;ゼラチン及びゼインを含むタンパク質;アラビアゴム;シェラック;塩化ビニリデン及び塩化ビニリデンコポリマー;リグニンスルホン酸カルシウム;アクリルコポリマー;ポリビニルアクリラート;ポリエチレンオキシド;アクリルアミドポリマー及びコポリマー;ポリヒドロキシエチルアクリラート、メチルアクリルアミドモノマー;ならびにポリクロロプレンから選択されてもよい。
【0197】
いくつかの実施形態では、本開示の封入シェルは、最大10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm、200μm、210μm、220μm、230μm、240μm、250μm、260μm、270μm、280μm、290μm、300μm、310μm、320μm、330μm、340μm、350μm、360μm、370μm、380μm、390μm、400μm、410μm、420μm、430μm、440μm、450μm、460μm、470μm、480μm、490μm、500μm、510μm、520μm、530μm、540μm、550μm、560μm、570μm、580μm、590μm、600μm、610μm、620μm、630μm、640μm、650μm、660μm、670μm、680μm、690μm、700μm、710μm、720μm、730μm、740μm、750μm、760μm、770μm、780μm、790μm、800μm、810μm、820μm、830μm、840μm、850μm、860μm、870μm、880μm、890μm、900μm、910μm、920μm、930μm、940μm、950μm、960μm、970μm、980μm、990μm、1000μm、1010μm、1020μm、1030μm、1040μm、1050μm、1060μm、1070μm、1080μm、1090μm、1100μm、1110μm、1120μm、1130μm、1140μm、1150μm、1160μm、1170μm、1180μm、1190μm、1200μm、1210μm、1220μm、1230μm、1240μm、1250μm、1260μm、1270μm、1280μm、1290μm、1300μm、1310μm、1320μm、1330μm、1340μm、1350μm、1360μm、1370μm、1380μm、1390μm、1400μm、1410μm、1420μm、1430μm、1440μm、1450μm、1460μm、1470μm、1480μm、1490μm、1500μm、1510μm、1520μm、1530μm、1540μm、1550μm、1560μm、1570μm、1580μm、1590μm、1600μm、1610μm、1620μm、1630μm、1640μm、1650μm、1660μm、1670μm、1680μm、1690μm、1700μm、1710μm、1720μm、1730μm、1740μm、1750μm、1760μm、1770μm、1780μm、1790μm、1800μm、1810μm、1820μm、1830μm、1840μm、1850μm、1860μm、1870μm、1880μm、1890μm、1900μm、1910μm、1920μm、1930μm、1940μm、1950μm、1960μm、1970μm、1980μm、1990μm、2000μm、2010μm、2020μm、2030μm、2040μm、2050μm、2060μm、2070μm、2080μm、2090μm、2100μm、2110μm、2120μm、2130μm、2140μm、2150μm、2160μm、2170μm、2180μm、2190μm、2200μm、2210μm、2220μm、2230μm、2240μm、2250μm、2260μm、2270μm、2280μm、2290μm、2300μm、2310μm、2320μm、2330μm、2340μm、2350μm、2360μm、2370μm、2380μm、2390μm、2400μm、2410μm、2420μm、2430μm、2440μm、2450μm、2460μm、2470μm、2480μm、2490μm、2500μm、2510μm、2520μm、2530μm、2540μm、2550μm、2560μm、2570μm、2580μm、2590μm、2600μm、2610μm、2620μm、2630μm、2640μm、2650μm、2660μm、2670μm、2680μm、2690μm、2700μm、2710μm、2720μm、2730μm、2740μm、2750μm、2760μm、2770μm、2780μm、2790μm、2800μm、2810μm、2820μm、2830μm、2840μm、2850μm、2860μm、2870μm、2880μm、2890μm、2900μm、2910μm、2920μm、2930μm、2940μm、2950μm、2960μm、2970μm、2980μm、2990μm、または3000μmの厚さであり得る。
【0198】
動物飼料
いくつかの実施形態では、本開示の微生物製品は、動物飼料と混合される。いくつかの実施形態では、動物飼料は、様々な形態、例えば、ペレット、カプセル、造粒、粉末、液体、または半液体、で存在してもよい。
【0199】
いくつかの実施形態では、本開示の製品は、飼料粉砕機(例えば、CargillまたはWestern Millin)で、独立したプレミックスとして単独の、及び/またはモネンシン、ビタミンなどの他の飼料添加物と一緒のプレミックスに混合される。一実施形態では、本開示の製品は、飼料粉砕機で、飼料に混合される。別の実施形態では、本開示の製品は、飼料自体に混合される。
【0200】
いくつかの実施形態では、飼料は、水、プレミックス、またはプレミックス、フォーレージ、フォダー、豆(例えば、未加工、粗びき、または粉砕)、穀物(例えば、未加工、粗びき、または粉砕)、豆または穀物ベースの油、豆または穀物ベースのミール、豆または穀物ベースのヘイレージまたはサイレージ、豆または穀物ベースのシロップ、脂肪酸、糖アルコール(例えば、多価アルコール)、市販の配合飼料、及びそれらの混合物であってよい。
【0201】
いくつかの実施形態では、フォーレージは、干し草、ヘイレージ、及びサイレージを包含する。いくつかの実施形態では、干し草は、牧草の干し草(例えば、スーダングラス、オーチャードグラスなど)、アルファルファの干し草、及びクローバーの干し草を含む。いくつかの実施形態では、ヘイレージは、グラスヘイレージ、ソルガムヘイレージ、及びアルファルファヘイレージを含む。いくつかの実施形態では、サイレージは、トウモロコシ、オーツ麦、小麦、アルファルファ、クローバーなどを含む。
【0202】
いくつかの実施形態では、プレミックス(複数可)は、飼料に利用されてもよい。プレミックスは、微量成分、例えば、ビタミン、ミネラル、アミノ酸;化学防腐剤;医薬組成物、例えば、抗生物質及び他の薬品;発酵製品、及び他の成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、プレミックスは、飼料にブレンドされる。
【0203】
いくつかの実施形態では、飼料は、飼料濃縮物、例えば、大豆皮、テンサイパルプ、糖蜜、高タンパク質大豆ミール、粉砕トウモロコシ、殻付きトウモロコシ、小麦ミッド、蒸留穀物、綿実殻、第一胃バイパスタンパク質、第一胃バイパス脂肪、及びグリースを含んでもよい。動物飼料及び動物飼料サプリメントについては、組成物及び方法で使用可能なLuhman(米国特許公報第US20150216817A1号)、Anderson et al.(米国特許第3,484,243号),及びPorter and Luhman(米国特許第9,179,694B2号)を参照のこと。
【0204】
いくつかの実施形態では、飼料は、複合物として生じ、これは、基本的な食事のニーズを満たすことが可能な混合組成物において、飼料自体、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、及び他の必要な構成成分を含む。複合飼料は、さらに、プレミックスを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の微生物組成物は、動物飼料、プレミックス、及び/または複合飼料と混合されてもよい。動物飼料の個々の構成成分は、反芻動物に給餌する前に微生物組成物と混合されてもよい。本開示の抗菌組成物は、プレミックス中もしくは上に、飼料中もしくは上に、及び/または複合飼料中もしくは上に適用されてもよい。
【0205】
微生物培養技術
本開示の微生物の単離、同定、及び培養は、標準的な微生物学的手法を使用して実施することができる。そのような手法の例は、以下に見出され得る:Gerhardt,P.(ed.)、Methods for General and Molecular Microbiology.American Society for Microbiology,Washington,D.C.(1994)及びLennette,E.H.(ed.)、Manual of Clinical Microbiology,Third Edition.American Society for Microbiology,Washington,D.C.(1980)(これらのそれぞれは、参照により組み込まれる)。
【0206】
単離は、上記の表現型形質(例えば、好気的/嫌気的に胞子を形成することが可能なグラム陽性/陰性、細胞モルホロジー、炭素源代謝、酸/塩基産生、酵素分泌、代謝分泌など)を特徴とする単一のコロニーを得るために、及び汚染されている培養物を扱う可能性を低減させるために、固体培地(例えば、栄養寒天プレート)上に標本をストリークすることにより行うことができる。
【0207】
例えば、本開示の微生物の場合、生物学的に純粋な分離株は、生物学的試料の繰り返し継代培養により得ることができ、それぞれ、継代培養、それに続く、個々のコロニーまたはコロニー形成単位を得るための固体培地へのストリーキングを行う。凍結乾燥細菌を調製、解凍、及び成長させる方法は、例えば、以下で、一般に知られる:Gherna,R.L.and C.A.Reddy.2007.Culture Preservation,p1019-1033.In C.A.Reddy,T.J.Beveridge,J.A.Breznak,G.A.Marzluf,T.M.Schmidt,and L.R.Snyder,eds.American Society for Microbiology,Washington,D.C.,1033 pages(参照により本明細書に組み込まれる)。従って、本開示の製剤を提供することに使用される、グリセロールを含有する溶液中、-70℃で長期間保存されたフリーズドライ液体製剤及び培養物が企図される。
【0208】
本開示の微生物は、好気性条件下あるいは嫌気性条件下の液体培地中で増殖させることができる。本開示の細菌株を成長させる培地は、炭素源、窒素源、及び無機塩、ならびに特別に必要とされる物質、例えば、ビタミン、アミノ酸、核酸などを含む。微生物の成長に使用することができる好適な炭素源の例としては、デンプン、ペプトン、酵母エキス、アミノ酸;糖、例えば、グルコース、アラビノース、マンノース、グルコサミン、マルトースなど;有機酸の塩、例えば、酢酸、フマル酸、アジピン酸、プロピオン酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、ピルビン酸、マロン酸など;アルコール、例えば、エタノール及びグリセロールなど;油脂、例えば、大豆油、米糠油、オリーブ油、トウモロコシ油、ゴマ油が挙げられるが、これらに限定されない。添加される炭素源の量は、炭素源の種類に応じて変動し、通常、1~100g/Lである。好ましくは、グルコース、デンプン、及び/またはペプトンは、0.1~5%(W/V)の濃度で、主要な炭素源として培地に含有される。
【0209】
本開示の細菌株を成長させるために使用することができる好適な窒素源の例としては、アミノ酸、酵母エキス、トリプトン、牛肉エキス、ペプトン、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、アンモニア、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。窒素源の量は、窒素源のタイプに応じて変動し、通常、0.1g/L~30g/Lである。
【0210】
無機塩、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、塩化第一鉄、硫酸マンガン、塩化マンガン、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸第二銅、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムは、単独でまたは組み合わせて使用することができる。無機酸の量は、無機塩の種類に応じて変動し、通常、0.001g/L~10g/Lである。特別に必要とされる物質の例としては、ビタミン、核酸、酵母エキス、ペプトン、肉エキス、麦芽エキス、乾燥酵母、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0211】
培養は、微生物株の成長を可能にする温度、基本的には、20℃~46℃、で実施することができる。いくつかの態様では、温度範囲は、30℃~39℃である。最適な成長のために、いくつかの実施形態では、培地は、pH6.0~7.4に調整することができる。微生物株、例えば、Difco(ミシガン州デトロイト)から入手可能な栄養ブロスまたは栄養寒天など、を培養するために、市販の培地も使用され得ることが理解されるであろう。培養時間は、使用される培地のタイプ及び主要な炭素源としての糖の濃度に応じて異なり得ることが理解されるであろう。
【0212】
いくつかの態様では、培養は、8~96時間続く。このようにして得られた微生物細胞は、当該技術分野で周知の方法を使用して単離される。例としては、膜濾過及び遠心分離が挙げられるが、これらに限定されない。pHは、水酸化ナトリウムなどを使用して調整されてもよく、培養物は、含水量が4%以下に等しくなるまで、フリーズドライヤーを使用して乾燥させてもよい。微生物の共培養は、上の本明細書に記載の各株を増殖させることにより得られてもよい。いくつかの態様では、微生物の多株培養物は、上の本明細書に記載の株のうちの2つ以上を増殖させることにより得られてもよい。適合性のある培養条件を用いることができる場合、微生物株が一緒に培養されてもよいことが理解されるであろう。
【0213】
さらに付番した実施形態
本開示のさらなる番号が付された実施形態は、以下の通り提供される。
【0214】
実施形態1:保存後の微生物の生存率を改善する方法であって、標的微生物細胞の集団を第1の保存チャレンジにかけて、チャレンジ微生物細胞の集団を得ること;チャレンジ微生物細胞の前記集団から生存可能なチャレンジ微生物細胞を採取すること;前記生存可能なチャレンジ微生物細胞を保存して、保存された生存率向上微生物細胞の集団を得ること;及び、保存された生存率向上微生物細胞の前記集団を使用して製品を調製すること、を含む、前記方法。
【0215】
実施形態2:前記第1の保存チャレンジが、フリーズドライ、凍結乾燥、低温保存、気化による保存、泡形成による保存、ガラス化、ガラス形成による安定化、気化による保存、噴霧乾燥、吸着乾燥、押し出し、または流動床乾燥を含む、請求項1に記載の方法。
【0216】
実施形態3:生存可能なチャレンジ細胞の保存が、フリーズドライ、凍結乾燥、低温保存、蒸発による保存、泡形成による保存、ガラス化、ガラス形成による安定化、気化による保存、噴霧乾燥、吸着乾燥、押し出し乾燥、または流体床乾燥を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【0217】
実施形態4:さらに、チャレンジ細胞の前記集団を少なくとも1つの追加の保存チャレンジにかけることを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【0218】
実施形態5:微生物の生存率向上及び保存のための方法であって、前記方法が、標的微生物細胞の前記集団を最初の保存チャレンジにかけて、チャレンジ微生物細胞の最初の集団を得ること;チャレンジ微生物細胞の前記第1の集団から生存可能なチャレンジ微生物を採取して、生存可能なチャレンジ微生物細胞の第1の集団を得ること;生存可能なチャレンジ微生物細胞の前記第1の集団を第2の保存チャレンジにかけて、チャレンジ微生物細胞の第2の集団を得ること;チャレンジ微生物細胞の前記第2の集団から生存可能なチャレンジ微生物を採取して、生存可能なチャレンジ微生物細胞の第2の集団を得ること;生存可能なチャレンジ微生物細胞の前記第2の集団を保存して、保存された生存率向上微生物細胞の集団を得ること;及び保存された生存率向上微生物細胞の前記集団を使用して、製品を調製することを含む、前記方法。
【0219】
実施形態6:前記第1の保存チャレンジ及び前記第2の保存チャレンジが、同じチャレンジタイプである、請求項5に記載の方法。
【0220】
実施形態7:前記第1の保存チャレンジ及び前記第2の保存チャレンジが、異なるチャレンジタイプである、請求項5に記載の方法。
【0221】
実施形態8:前記第1の保存チャレンジ及び前記第2の保存チャレンジが、表1に記載の組み合わせから選択される、請求項5に記載の方法。
【0222】
実施形態9:さらに、チャレンジ細胞の前記第2の集団を少なくとも1つの追加の保存チャレンジにかけることを含む、請求項5~8のいずれか1項に記載の方法。
【0223】
実施形態10:前記第2の生存可能なチャレンジ細胞集団の保存が、フリーズドライ、凍結乾燥、低温保存、蒸発による保存、泡形成による保存、ガラス化、ガラス形成による安定化、気化による保存、噴霧乾燥、吸着乾燥、押し出し乾燥、または流体床乾燥を含む、請求項5~9のいずれか1項に記載の方法。
【0224】
実施形態11:標的微生物細胞の前記集団が、Clostridium spp.の細菌、Succinivibrio spp.の細菌、Butyrivibio spp.の細菌、Bacillus spp.の細菌、Lactobacillus spp.の細菌、Prevotella spp.の細菌、Syntrophococcus spp.の細菌、またはRuminococcus spp.の細菌を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【0225】
実施形態12:標的微生物細胞の前記集団が、Caecomyces spp.の真菌、Pichia spp.の真菌、Orpinomyces spp.の真菌、またはPiromyces spp.の真菌を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【0226】
実施形態13:標的微生物細胞の前記集団が、Lachnospiraceae科の種を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【0227】
実施形態14:前記Clostridium spp.は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、もしくは配列番号6と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;前記Succinivibrio spp.は、配列番号11と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;前記Pichia spp.は、配列番号2と少なくとも97%の配列同一性を含むITS配列を含み;前記Bacillus spp.は、配列番号4と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;前記Lactobacillus spp.は、配列番号7、配列番号8、もしくは配列番号9と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;前記Prevotella spp.は、配列番号10と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;またはLachnospiraceae科の前記種は、配列番号12と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含む、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【0228】
実施形態15:標的微生物細胞の前記集団が、Ruminococcus bovisの細菌、Succinivibrio dextrinosolvensの細菌、またはCaecomyces spp.の真菌を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【0229】
実施例16:標的微生物細胞の前記集団が、Clostridium butyricumの細菌、Pichia kudriazeviiの真菌、Butyrivibio fibrosolvensの細菌、Ruminococcus bovisの細菌、またはSuccinivibrio dextrinosolvensの細菌を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【0230】
実施形態17:保存された生存率向上微生物細胞の集団を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法で調製された製品。
【0231】
実施形態18:保存された生存率向上微生物細胞の前記集団が、Clostridium spp.の細菌、Succinivibrio spp.の細菌、Caecomyces spp.の真菌、Pichia spp.の真菌、Butyrivibio spp.の細菌、Orpinomyces spp.の真菌、Piromyces spp.の真菌、Bacillus spp.の細菌、Lactobacillus spp.の細菌、Prevotella spp.の細菌、Syntrophococcus spp.の細菌、Ruminococcus sppの細菌、またはLachnospiraceae科の種を含む、請求項17に記載の製品。
【0232】
実施形態19:前記Clostridium spp.が、配列番号1、配列番号3、配列番号5、もしくは配列番号6と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;前記Succinivibrio spp.が、配列番号11と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;前記Pichia spp.が、配列番号2と少なくとも97%の配列同一性を含むITS配列を含み;前記Bacillus spp.が、配列番号4と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;前記Lactobacillus spp.が、配列番号7、配列番号8、もしくは配列番号9と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;前記Prevotella spp.が、配列番号10と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含み;またはLachnospiraceae科の前記種が、配列番号12と少なくとも97%の配列同一性を含む16S rRNA配列を含む、請求項18に記載の製品。
【0233】
参照による組み込み
本明細書で引用される全ての参考文献、論文、刊行物、特許、特許公開、及び特許出願は、全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。しかし、本明細書で引用される任意の参考文献、記事、刊行物、特許、特許公報、及び特許出願の言及は、世界のいずれの国でもそれらが有効な先行技術を構成するかまたは共通一般知識の一部を形成することを認めるものでも、または任意の形式で示唆するものでもなく、且つそのように解釈されるべきではない。
【実施例
【0234】
本開示は、さらに、以下の実験データ及び実施例を参照することにより説明される。しかし、これらの実験データ及び実施例は、上述の実施形態と同様に、例示であり、決して本開示の範囲を制限するものとして解釈されるべきではないことに留意すべきである。
【0235】
実施例1-気化チャレンジ及び回復プロトコールによる保存
以下のプロトコールは、保存された細菌組成物を生成するための気化による保存(PBV)の連続適用のための方法及び試薬について記載する。
【0236】
最初に、リサーチセルバンク(RBC)のグリセロールストックのアリコートを成長板にストリークする。適切なインキュベーション時間の後、単一のコロニーが選択され、トリプシンソイブロスのシードチューブに接種するために使用される。シードチューブ接種は、細菌膨張を可能にするように培養され、次に、膨張細菌培養物を、主発酵培養物に接種するために使用される。細菌細胞は、主発酵培養物中で定常期中期まで培養される。必要に応じて、5%w/vの糖の搭載量が含まれる。40時間後、細胞を採取し、保存溶液と組み合わせて、保存混合物を得る。例示的な保存溶液は、以下の表3A~3Cに提供される。各株を保存混合物中で10倍に希釈した(保存溶液900μLを伴う培養物100μL)。
【表3A】
【表3B】
【表3C】
【0237】
培養物のコロニー形成単位(CFU)を決定するために、各保存混合物由来の3つの100μLのアリコートを96ウェルプレートに保持する。CFUの決定の場合、各アリコートをPBSで10倍に連続希釈し、各希釈液5μLをプレート上にスポットして、CFUを決定した。
【0238】
保存の場合、各保存混合物100μLを2mLの血清バイアルに分注し、次に、これを凍結乾燥キャップで密封し、アルミニウムの凍結乾燥ブロックにバイアルを入れた。バイアルを、少なくとも1時間、-80℃で凍結させ、次に、アルミニウムブロック内のバイアルを凍結乾燥装置に移した。凍結乾燥キャップを開いた位置に変更し、以下の凍結乾燥プログラムを実行した:
(a)-17℃、常圧で30分間凍結する
(b)-17℃、1000mTorrで15分間凍結する
(c)-17℃、300mTorrで15分間凍結する
(d)30℃、300mTorrで24時間インキュベートする
(e)40℃、300mTorrで24時間インキュベートする
(f)25℃で保持する。
【0239】
1000mTorr未満(例えば、900mTorr、800mTorr、700mTorrなど)の真空圧力で-20℃~0℃の温度で凍結などの代替凍結乾燥プロトコールが、また、使用されてもよい。1次乾燥ステップは、所定の真空圧レベル、10℃~30℃の温度でのインキュベーションを含み得る。2次乾燥ステップは、同じ真空レベルでの1次乾燥中に使用される温度よりも高い温度でのインキュベーションを含み得る。
【0240】
次に、全てのバイアルは、凍結乾燥装置から取り出して、以下のように再水和される。
(a)1mLの滅菌PBSを各バイアルに加え(実質的に、最初の保存混合物の10×希釈)、ゆっくりと上下にピペッティングすることにより再構成する。次に、この混合物をさらに6log希釈し(E-07の全希釈に対し)、各バイアルの5μLのアリコートをCFU決定のためにスポットでプレーティングした。
(b)再構成されたPBV製品の別のアリコートを、後続の再接種のための開始プレート(「レスキュー」プレート)としてプレートにストリークする。
【0241】
次に、シードチューブに接種するための細菌の最初の供給源として「レスキュー」プレートを使用して、上記のプロトコールに従って、第2及び第3ラウンドのPBVを実行する。
【0242】
実施例2:Rumniococcus bovisの連続保存チャレンジ
連続保存プロセスを通じて収量を改善するために、R.bovis(ASCUSDY10)を一連の保存チャレンジ及び回収にかけた。実施例1に記載のプロトコールに従って、R.bovisを3ラウンドの気化による保存(PBV)チャレンジにかけた。ASCUSDY10のためのラウンド1~3の結果は、以下の表4に提示される。示されるように、ラウンド1(RCB)~ラウンド2(レスキュー1)のDY10のコロニー形成単位(CFU)/mLの生存%に劇的な増加があった。
【表4】
【0243】
ASCUSDY10のRCB分離株及びラウンド3の分離株のゲノムをシーケンシングして、連続継代の結果としての任意のゲノム変化を決定した。要約すると、Qiagen Powersoilプロキットを使用して、DNAをR.bovisから単離した。製造者が推奨するプロトコールにより、Nextera XTキット(Illumina、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して、ショートリードシーケンシングライブラリーを単離DNAから調製した。ライブラリーを、Illumina MiSeq(1x300bp)でシーケンシングした。bowtie2を使用して、読み取り値を参照ゲノムにマッピングし(Langmead B,Salzberg S.(2012)Fast gapped-read alignment with Bowtie 2.Nature Methods.9:357-359)、breseqを使用して、変異について解析した(Deatherage DE,Barrick JE.(2014)Identification of mutations in laboratory-evolved microbes from next-generation sequencing data using breseq.Methods Mol.Biol.1151:165-188)。
【0244】
変異の要約を以下の表5に提示される。変異7及び8は、サイレント変異であり、重大な影響をもたらす可能性は低い。変異2、3、5、及び6は、インテグラーゼまたはトランスポザーゼのいずれかに影響を及ぼし、保存耐性に影響を及ぼす可能性は低い。変異1は、ASCUSDY10の保存耐性の改善をもたらす重要な変異である可能性がある。それは、ガラクトースオペロンリプレッサーであるGalR-LacIの4bp上流で生じる。この重要なタンパク質は、炭水化物の取り込み及び代謝と関連する多くの遺伝子の転写を抑制する。凍結防止剤の取り込みのように、多くの場合、非還元糖の形態で、保存耐性の重要なステップであり、糖の取り込みの調節における変化は、保存耐性の劇的な改善をもたらし得る。ホスホマンノムターゼは、おそらく、保存糖の代謝を妨害し且つ細胞内蓄積を可能にする別の重要な変異を提供し得る。
【表5】
【0245】
実施例3:Succinivibrio dextrinosolvensの連続保存チャレンジ
S.dextrinosolvens(ASCUSBF53)を、実施例1に記載のPBVチャレンジにかけた。ASCUSBF53のラウンド1~3の結果は以下の表6に提示される。示されるように、保存チャレンジにより最初の培養で達成されたPBV生存%及び最大培養力価の両方が増加した。
【表6】
【0246】
実施例4:Caecomyces spp.の低温保存
-80℃での低温貯蔵に対してより耐性のある集団を選択するために、Caecomyces spp.(ASCUSDY30)を一連の低温保存チャレンジ及び回収にかけた。Caecomyces spp.第一胃液及び1%(w/v)グルコースを含まない改良版の培地Cで、ASCUSDY30を培養した(Solomon et al.,(2016)Early-branching gut fungi possess a large,comprehensive array of biomass-degrading enzymes.Science.351:1192-1195)。4,000xg、4℃で10分間遠心分離することにより、培養物を採取前に72時間成長させた。-80℃で凍結する前に、培養物を5%のソルビトール及び15%のスクロースからなる嫌気性保存溶液に再懸濁させた。嫌気性真菌について以前に記載されるロールチューブを使用するTFU列挙法により生存について、凍結培養物を評価した(Joblin K.(1981)Isolation,Enumeration,and Maintenance of Rumen Anaerobic Fungi in Roll Tubes.Applied and Environmental Microbiology.42:1119-1122)。
【0247】
表7に示されるように、初期集団は、アッセイの検出限界よりも低い葉状体形成単位(TFU)/mLの生存率を有していた。この集団から回復し、再度チャレンジした後、残存集団のTFU/mLは、1ラウンドよりも、少なくとも10倍高かった。
【表7】
図1
図2
図3
【配列表】
2022522710000001.app
【国際調査報告】