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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(54)【発明の名称】トランスファプレス用の送り装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 43/05 20060101AFI20220413BHJP
   B30B 13/00 20060101ALI20220413BHJP
   B65G 25/06 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
B21D43/05 N
B30B13/00 M
B65G25/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021551514
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(85)【翻訳文提出日】2021-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2020055162
(87)【国際公開番号】W WO2020178138
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】19160179.8
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】01589/19
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(31)【優先権主張番号】01590/19
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503361374
【氏名又は名称】アドヴァル テク ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コモン,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】グラーフ,ウルス
【テーマコード(参考)】
3F036
4E090
【Fターム(参考)】
3F036BA02
3F036DC01
3F036DD02
4E090AB01
4E090EB01
4E090EC06
4E090FA04
4E090FA06
4E090GA03
4E090HA01
(57)【要約】
本発明は、トランスファプレスの少なくとも2つの処理ステーション間でワークピース(11)の長手方向にクロックド搬送するための装置(1)に関する。装置(1)は、少なくとも一方側に、制御グループ(2、3)として、第1の制御要素(2)及び第2の制御要素(3)を有し、それらは長手方向にのみ変位可能であり、ここで、2つの制御要素(2、3)は、長手方向にのみ相互に変位可能であるように取り付けられ、2つの制御要素(2、3)は、共通シャフト(58)を介して駆動される。第1の制御要素は、処理ステーション間でワークピース(11)を長手方向に搬送するための把持具ロッド(2)であり、処理ステーション間の間隔に応じて長手方向にオフセットされると共に、横方向にのみ変位できる、少なくとも2つの把持具要素(4)が、前記把持具ロッド(2)に取り付けられている。第2の制御要素は、少なくとも2つの把持具要素(4)の横方向の移動をポジティブに制御するスラストロッド(3)である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスファプレスの少なくとも2つの処理ステーション間でワークピース(11)を長手方向にクロックド搬送するための装置(1)であって、
前記装置(1)は、少なくとも一方側に、制御グループ(2、3)として、第1の制御要素(2)及び第2の制御要素(3)を有し、それらは長手方向にのみ変位可能であり、前記2つの制御要素(2、3)は、長手方向にのみ相互に変位可能であるように取り付けられ、両制御要素(2、3)は、共通シャフト(58)を介して駆動され、
前記第1の制御要素は、前記処理ステーション間で前記ワークピース(11)を前記長手方向に搬送するための把持具ロッド(2)であり、前記処理ステーション間の間隔に応じて前記長手方向にオフセットされると共に、横方向にのみ変位できる、少なくとも2つの把持具要素(4)が、前記把持具ロッド(2)に取り付けられ、
前記第2の制御要素は、前記少なくとも2つの把持具要素(4)の横方向の動作をポジティブに制御するスラストロッド(3)である、装置。
【請求項2】
前記スラストロッド(3)は、少なくとも部分的に、前記把持具ロッド(2)の中又は上で、好ましくは長手溝(18)内を摺動するように取り付けられ、該溝(18)は、少なくとも部分的に好ましくは上部に向かって開いている、及び/又は少なくとも部分的にカバー(10)によって閉じられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スラストロッド(3)及び前記把持具ロッド(2)は、前記共通シャフト(58)によって駆動される2つのカム機構(56、57)を介して動かされ、前記2つのカム機構(56、57)は、好ましくは、位相のずれた実質的に同じ動作を生じさせる、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記把持具要素(4)は、ゲート(26)の形態で、鉛直方向に開口している少なくとも1つの凹部又は貫通開口を有し、前記スラストロッド(3)は、前記把持具要素(4)の前記横方向の動作をポジティブに制御するように、対応する前記把持具要素(4)の位置で、いずれも前記ゲート(26)に係合する延長部又はピン(30)を有し;
又は、前記スラストロッド(3)は、対応する前記把持具要素(4)の位置で、それぞれゲートの形態で鉛直方向に開口している少なくとも1つの凹部又は貫通開口を有し、前記把持具要素(4)は、前記把持具要素(4)の前記横方向の動作をポジティブに制御するように、前記ゲートに係合する延長部又はピンを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記把持具要素(4)の前記ゲート(26)は、いずれも、引っ込められた把持具要素(4)に対する第1の領域(27)と、展開した把持具要素(4)に対する第2の領域(28)と、これらの2つの領域を接続する移動範囲(29)と、を有し、前記把持具要素(4)の前記第1の領域(27)は、前記横方向において、前記第2の領域(28)よりも、前記ワークピース(11)により近くなるように配設され、前記移動範囲(29)は、線形の又は湾曲した、特にS形状の、接続ダクト又は接続貫通開口として構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、処理ステーションの長手列の両側において、このタイプの第1の制御要素(2)及び第2の制御要素(3)を有し、
横方向に対向するそれぞれの前記把持具要素(4)の横方向の動作は、前記ワークピースの位置に対して鏡面対称となるようにポジティブに制御され、
又は、スプリング式の把持具(5)が、前記ワークピースの一方側だけに配設され、非スプリング式の把持具(6)が、反対側に配設され、前記ワークピースに対向する側に配設される搬送手段、即ち、把持具要素(4)のそれぞれの前記横方向の動作は、前記ワークピースの位置に対して鏡面対称でないようにポジティブに制御され、
前記横方向の動作の制御は、部品に対する前記スプリング式の把持具の衝突速度が、前記非スプリング式の把持具の衝突速度よりも低速となるように、好ましくは非対称様式で行われる、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、同一のトランスファプレスの処理ステーションの少なくとも2つ、好ましくは、2~5又は2~4の長手方向の列の間の前記搬送のために設けられ、第1の制御要素(2)及び第2の制御要素(3)のそれぞれの数が、処理ステーションの列の数よりも1だけ多く、処理ステーションの列の間に配設される前記第1の制御要素(2)は、両方の横方向に突出する把持具要素(4)が取り付けられ、前記第2の制御要素(3)は、好ましくは同時に、両方の横方向の前記把持具要素(4)を同時にポジティブに制御し、異なる横方向に突出する前記把持具要素(4)のゲート(26)は、好ましくは、前記長手方向に対して鏡面対称となるように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
処理ステーションの列の間に配設される前記第1の制御要素(2)は、前記把持具要素(4)又は前記把持具要素(4)の把持具担持体(7)が、変位可能に取り付けられる横断貫通開口を有し、前記把持具要素は、いずれも、長手方向に、一方の横方向と他方の横方向とに交互に取り付けられる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
その動作に対して平行に配設された前記制御グループ(2、3)の前記第1の制御要素(2)は、前記把持具ロッド用の共通の横方向に延びる結合クロスバー(41)を介して制御され、前記第2の制御要素(3)は、前記スラストロッド用の共通の横方向に延びる結合クロスバー(35)を介して制御され、前記把持具ロッド用の前記結合クロスバー(41)は、好ましくは、少なくとも1つの結合ロッド(47)を介して、前記把持具ロッド用のカム機構(57)にリンク接続され、前記スラストロッド用の前記結合クロスバーは、好ましくは、少なくとも1つの結合ロッド(38)を介して、前記スラストロッド用のカム機構(56)にリンク接続され、
前記長手方向の搬送手段(4’、1)の前記動作は、好ましく、は前記プレス(31’)の動作に同期する少なくとも1つの外部駆動部(35’~37’)を介して行われ、モータ駆動の外部駆動部(35’、37’)は、少なくとも1つの送りレバー(34’、54、55)を有するカム機構(38’、56、57)を介して行われ、該レバーは、前記カム機構(38’、56、57)によって駆動され、前記外部駆動部(35’)の回転を逆転させずに、前記長手方向の前後に前記搬送手段(4’、1)を動かし、前記少なくとも1つの送りレバー(34’、54、55)は、そのギアボックス-近位アーム(48’)に、前記カム機構(38’、56、57)のロータ(52’)上のウォーム(40’)に結合するための少なくとも2つのカムローラ(45’)を有し、これらのカムローラ(45’)は、前記ロータ(52’)の軸に対して軸方向にある前記ウォーム(40’)の対向フランク(53’)上を転動する、請求項6~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記把持具要素(4)のうちの少なくとも1つは、それ自身、又は把持具ピン上に、前記ワークピースを少なくとも部分的に周方向に取り囲むために、フォーク形状の及び/又は湾曲した、ツールに面する把持領域(33)を有し、前記把持領域(33)は、対応する搬送セクションにおける前記ワークピースの半径に適合され;
又は、前記把持具要素(4)のうちの少なくとも1つは、前記ワークピースに面する実質的に平面の把持具先端部(34)を有し、
前記ワークピースに対して反対側にあって、同一のツールを把持する把持具要素(4)は、好ましくは、一方側では実質的に平面の把持具先端部(34)を有し、他方側ではフォーク形状の及び/又は湾曲した把持領域(33)を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記把持具要素(4)のうちの少なくとも1つは、横方向にのみ変位可能となるように前記把持具ロッド(2)に取り付けられる把持具担持体(7)を有し、前記把持具担持体(7)は、前記把持具担持体(7)内に、変位可能であるように把持具ピン(5)を有し、前記把持具ピン(5)は、好ましくは、スプリング、特に、ヘリカルスプリング(25)を介して、又は、圧縮空気若しくはエラストマスプリングを介して、好ましくは、前記ワークピースに対して弾性的に支持され、好ましくは、復元作用が調整可能であるように設計され;
又は、前記処理ステーション間のワークピース(11)は、それぞれの把持具(4)によって両側で把持され、次の処理ステーションまで、把持された状態で長手方向に搬送され、次の処理ステーションで再度解放され、そして、前記把持具(4)のうちの少なくとも1つは、前記ワークピース(11)に対して、スプリング式で、弾性復元力を有するように構成され、前記少なくとも1つの把持具(4)のスプリングの作用は、好ましくは、弾性スプリング要素(25)によって形成され、このスプリング要素は、好ましくは、リーフスプリング、圧縮空気、ヘリカルスプリング、又は、エラストマスプリングによって形成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記対応する処理ステーションに応じて、前記それぞれのワークピースに接触する、前記把持具要素(4)の領域、又は、把持具担持体(7)に取り付けられた把持具ピン(5)の領域のそれぞれは、鉛直方向に異なる高さに配設され、好ましくは、前記把持具要素(4)又は前記把持具ピン(5)は、それぞれ、2つの水平部分と、前記2つの水平部分を接続する鉛直部分と、を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
トランスファプレスの種々の処理ステーション間でワークピース(11)を搬送するための方法であって、
好ましくは、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置を使用して、特に、帯板状に供給される、好ましくは、金属、特に好ましくは、スチール又はアルミニウムかならなる平らな出発材料から、ワークピースを段階的に製造する方法の形態で、前記ステーション間の前記搬送用に、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置の少なくとも一つが使用され、
前記ワークピース(11)は、好ましくは、第1のスタンピングステップ及びその後に続く第1のフォーミングステップの後で、一対の把持具によって両側から、少なくとも1回把持され、下流の処理ステーションまで搬送され、更に好ましくは、
両方の把持具(5、6)は、スプリング式に構成され、前記搬送手段の横方向の動作は、少なくとも部分的又は一方のみで、前記ワークピース(11)が、この処理ステーションの前記処理ツールによって、前記把持具の前記スプリングの力に抗して、把持具に押し込められて保持されるように構成され、
又は、前記把持具(5、6)の一方だけがスプリング式に構成され、前記ワークピースの反対側にそれぞれ配設される前記搬送手段、即ち、把持具要素(4)、の前記横方向の動作は、前記ワークピースの位置に対して鏡面対称でないようにポジティブに制御され、前記横方向の動作の制御は、前記部分に対するスプリング式の把持具(5)の衝突速度が、非スプリング式の把持具(6)の衝突速度よりも低速となるように、好ましくは、非対称に行われる、方法。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の装置を有するトランスファプレスであって、好ましくは、横方向にオフセットしている処理ステーションの複数の列を有するトランスファプレス。
【請求項15】
トランスファプレス、好ましくは、横方向にオフセットしている処理ステーションの複数の列を有するトランスファプレスにおける、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置の使用。
【請求項16】
請求項1~12又は14のいずれか一項に記載の装置を使用しながら製造され、又は請求項13に記載の方法によって製造された、好ましくは、金属からなる、ワークピース(11)、特に、カップ状にされ、打ち抜かれ、又は成形されたワークピース。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ、トランスファプレス用の送り装置、このタイプの送り装置を有するトランスファプレス、及び、このタイプの送り装置を動作させるための方法に関する。このタイプの装置は、移送装置とも呼ばれる。
【0002】
いわゆる順送型のツールとは対照的に、トランスファー型の装置が特徴とする点は、まず、収容ステーションの領域で、プレス成形されるべき部分が、例えば、連続した帯板から、例えば、カッティングやスタンピングによって、切り離され、続いて、プレスの少なくとも1つの処理ステーションを通過して、連続した帯板の動作とは無関係に、また殆どの場合には前記動作に垂直に、搬送されることである。
【0003】
プレスは、通例、複数の処理ステーションや成形ステージをそれぞれ具備し、それらは連続して配設される。対照的に、順送型のツールで成形されるべき部分は、1つの成形ステージから別の成形ステージに、前記部分がそこから広がるそれ自体の連続した帯板によって、搬送される。
【背景技術】
【0004】
トランスファプレスは、ワークピースを順次処理するための複数のクロックドプレス(getakteten Pressen/clocked presses)を有する工業用のユニットであり、スタンピング、フォーミング、ウォールアイアニングなどのステップは、特に、連続的に配設された処理ステーションで順次実行でき、さもなければ、同一のワークピースに対して1つのステーションで、任意選択で、例えば、品質管理、冷却、加熱等々などの他の動作と組み合わせて、部分的に同時に実行(特に、スタンピングやフォーミング)できる。このタイプの装置は、非常に高いサイクル速度で動作でき、とりわけ金属部品の大量生産用に使用され、例えば、自動車分野における構造部品、同様に、家具分野、及び電気通信分野、又はコンピュータ分野のそれぞれにおける構造部品、さもなければ、食品分野における、例えば、アルミやぶりきの板から、例えば、ポット、フードトレイ、さらにコーヒーカプセルなどの容器を生産するために使用される。
【0005】
いわゆる移送装置は、種々の処理ステーション間の搬送用に設けられる。前記移送装置は、それぞれの動作が完了した後に、処理されるべきワークピースを把持し、前記ワークピースを次の処理ステーションの位置まで長手方向に搬送し、その後に、前記ワークピースをその位置に、適切なタイミングで、即ち、典型的には、ツールの位置決め要素や導入要素がワークピースに係合したか又はそうしようとしているタイミングで、解放する。
【0006】
このタイプの移送装置は、一方においては、ツールが開いている短い期間に、高速のサイクル速度で、ステーション間でワークピースを確実に搬送するのが可能でなければならない。他方においては、適切な場所で、正確な位置でワークピースを把持して、前記ワークピースを再配置するだけでなく、例えば、より薄い壁厚を有する金属製のワークピースが、特に、搬送中に変形しないようにして、排除したり、設備を停止したりすることを回避できるように、それを行うことも、可能でなければならない。従って、移送装置は、プレスのストロークに最適に適合していなければならないだけでなく、搬送経路の観点及び搬送中のワークピースの処置の観点から、非常にポジティブに制御され調整可能であるように設けられていなければならない。
【0007】
上記したタイプの移送設備は、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6から、だいたい知られている。特許文献1では、搬送ロッドの駆動は、プレスの可動部品への機械的結合によって実行され、具体的には、ギアボックスを介してプレスの偏心シャフトの動作を減じることによって長手方向に駆動され、制御レールを用いてプレスのラムの動作を減じることによって横方向に駆動され、その結果として、300サイクル/分の範囲の高いストローク速度が実現できる。缶の製造分野における特別な用途では、700サイクル/分までさえ達成されている。機械的結合の結果として、プレスツールと搬送手段の衝突も大幅に防止することができる。搬送に関して、成形されるべきパーツは、いずれの場合にも2つの剛性把持具によって把持され、長手方向に搬送され、その後に、次の処理のために次のステーションで再度解放される。
【0008】
更に、複数の深絞り金属容器を生産するための反転プレスが、特許文献7から知られており、前記反転プレスは、打抜きプレス及びカッピングプレスの機能を1つのプレスが兼ね備えている。プレスは、スタンピング及び深絞りステーション、並びに、互いに隣接して配設される複数のカッピング及びポストカッピングステーション、を包含する。これらは、鉛直に往復動可なスライドアッセンブリーによって直列に配設される。材料、半完成製品又は完成製品は、動作の各段階の完全な制御の下にある。カップ状アイテムの複数の形状付け及びフォーミングによってカップ状容器を生産するための方法が、同様に提供される。
【0009】
特許文献8は、隔置された平行なウエイに取り付けられた、隔置された平行なスライドを有するベースと、ベルクランクレバーとを含み、ベルクランクレバーは、スライドに枢動可能に取り付けられた中央の部分と、ワークピース係合部材が枢動可能に取り付けられた第1の部分と、ベルクランクレバーを枢動するのに要する力よりも大きく、スライドとウエイとの間の摩擦係合に打ち勝つために要する力で、タイロッドによって接続された第2の部分とを有し、それによって、タイロッドに一方向性の力が加わると、当該一方向性の力により、スライドがウエイを移動して、ある位置から別位置にワークピースを移送るタイミングよりも先に、ワークピース係合部材が、ワークピースと係合するワークピース移送機構を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】EP490821A1
【特許文献2】EP504098
【特許文献3】CH688128
【特許文献4】EP694350
【特許文献5】WO00/20305
【特許文献6】WO2004/110667
【特許文献7】米国特許第4,404,837号
【特許文献8】米国特許第3,939,992号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の主題は、とりわけ、トランスファプレスの少なくとも2つの処理ステーション間でワークピースを長手方向にクロックド搬送(getakteten longitudinalen Transport/clocked longitudinal transport)するための改善された装置であって、特に、高速のサイクル速度に適し、また、傷つき易いワークピース、例えば、より薄い壁厚を有する金属製のワークピースに適している装置を提供することである。更に本発明の主題は、そのような装置を有するトランスファプレス、並びにそのような装置に関連する方法及び使用を提供することである。
【0012】
この目的は、添付された特許請求の範囲の主題によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、装置は特に、前記装置が、少なくとも(トランスファプレスの処理ステーションの配列順に対して横方向における)一方側に、第1の制御要素及び第2の制御要素を有し、それらが長手方向にのみ変位可能であることを特徴とする。そのような、長手方向にのみ変位可能である第1の制御要素及び第2の制御要素の組合せは、いわゆる制御グループを形成する。2つの制御要素は、ここでは、長手方向にのみ相互に変位可能であるように取り付けられ、両制御要素は、好ましくは共通シャフトを介して駆動される。
【0014】
長手方向は、ここでは、それに沿って処理ステーションが、その配列順にオフセットされ、また、それに沿ってワークピースが処理ステーション間で搬送される、ツール内の方向として定義される。上記の長手方向に垂直な水平方向は、横方向であると理解される。横方向は、通常、以下で説明される把持具要素の動作の方向である。鉛直方向は、第3の方向として定義され、前記鉛直方向は、長手方向と横方向とに垂直である。
【0015】
本発明によれば、第1の制御要素は、処理ステーション間でワークピースを長手方向に搬送するための把持具ロッドであり、プレスのそれぞれの処理ステーション間の間隔に応じて長手方向にオフセットされると共に、横方向にのみ変位できる、少なくとも2つの把持具要素が、把持具ロッドに取り付けられる。
【0016】
第2の制御要素は、例えば、カム制御を介して、少なくとも2つの把持具要素の横方向の動作をポジティブに制御するスラストロッドである。
【0017】
換言すると、移送装置は、少なくとも一方側において、いずれも1つの把持具ロッド及び1つのスラストロッドを含む制御グループを含み、前記ロッドの双方は、長手方向だけに変位可能である。スラストロッドは、ここでは、搬送工程での把持具要素の横方向の動作を、好ましくは、以下で説明される手段(例えば、カム制御)によって、ポジティブに制御する。斯くして、把持器ロッドに取り付けられた把持具要素の横方向の動作が、制御グループのスラストロッドを介して把持具ロッドに同期するようにして、ワークピースの送り動作が、実質的に、把持具ロッドの動作を介して制御されるようにすることが可能となる。その結果として、移送装置とツールとの間の(両方向の)搬送が、誤動作することなく、壊れ易いワークピースの場合でも、高速のサイクル速度でも、特に、ワークピースが把持及び解放されるタイミングで又はその間にも、制御された方法で行われ、ツールのサイクルに最適となるように、工程を調整することができる。
【0018】
提案された装置の第1の好適な実施形態は、スラストロッドが、少なくとも部分的に、いずれの場合にも、把持具ロッドの中又は上で摺動するように取り付けられることを特徴とする。これは、例えば、好ましくは、少なくとも部分的に好ましくは上部に向かって開いている、及び/又は少なくとも部分的にカバーによって閉じられている長手方向溝内で行われる。例えば、この溝は、例えば、矩形溝の形態で、把持具ロッドの長さ全体にわたって延在することができ、スラストロッドは、対応するロッドとして、この溝に挿入されるようにすることができる。この配置構成では、例えば、把持具ロッド及び/又はスラストロッドに、ローラベアリング又はボールベアリングを設けることにより、又は、例えば、特殊コーティング強化スチールからなるスライドベアリングを備えた対応する部分を介して、スラストロッドが摺動し易くなるようにすることができる。
【0019】
スラストロッド及び把持具ロッドは、共通シャフトによって駆動されるが、それぞれのロッドに対して個別の2つのカム機構を介して動かすことができる。複数の制御グループが存在する場合、これらのグループの全てのスラストロッドは、同じカム機構によって駆動され、全ての把持具ロッドは、同じカム機構によって駆動されるのが好ましい。スラストロッド用及び把持具ロッド用の2つのカム機構はそれぞれ、ここでは、好ましくは、同じか又は少なくとも非常に近似した動作を実質的に生じさせるが、その動作は、2つの終端位置に到達する前、到達する間、及び/又は到達した直後の、それぞれの相対的な位相のずれを伴っている。
【0020】
第2の態様によれば、本発明は、ワークピース用の搬送手段を介して、プレスの収容ステーションから、少なくとも1つの処理ステーションを通過して、ワークピースを長手方向に段階的に搬送するためのプレス上の装置に関し、前記搬送手段は、周期的に、また、長手方向のプレスの動作と任意に同期して、前記長手方向に垂直な横方向にワークピースをそれぞれ把持し又は解放するために、少なくとも部分又は領域において、前後に移動する。長手方向の搬送手段の動作は、プレスの動作に同期する外部駆動部を介して行われる。モータ駆動の外部駆動部は、送りレバーを有するカム機構を介して行われ、該レバーは、前記カム機構によって駆動され、外部駆動部の回転を逆転させずに、長手方向前後に搬送手段を動かす。本発明によれば、また、この第2の態様によれば、送りレバーは、ここでは、そのギアボックス-近位アームに、カム機構のロータ上のウォームに結合するための少なくとも2つのカムローラを有し、これらのカムローラは、ロータの軸に対して軸方向にある、ウォームの対向するフランク上を転動する。
【0021】
本発明の第2の態様は、好ましくは、上述された第1の態様と組み合わせて使用されるが、第1の態様と独立して使用することもでき、従って、別個の発明を表してもいる。
【0022】
このタイプのウォームギアでは、ウォーム及びそれに噛み合う要素は、通常、油浴内で相互に摺動する。しかしながら、このタイプの構造は、本願で要求される高いサイクル速度とそれに関連する高い加速度で問題となり得ることが実証されている。
【0023】
カムローラを用いる提案された解決策は、構造の観点から単純で信頼できて安定していることを望外に立証している。
【0024】
提案された構造の1つの好適な実施形態は、2つのカムローラが、少なくとも5度、好ましくは、少なくとも10度の角度を囲み、ウォームのフランクは、ウォームのリッジに向けて収斂して、カムローラ間の角度と実質的に同じ、又は全く同じ角度を囲むように構成されることを特徴とする。カム機構は、ロータが取り付けられる下側ハウジングと、送りレバーが取り付けられる上側ハウジングと、を有することができ、ロータの軸は、送りレバーの軸に垂直である。
【0025】
送りレバーの移送-近位アームは、ここでは、上側ハウジングから突出でき、上側ハウジングの通路開口は、好ましくは、可撓性シールによってシールされる。
【0026】
斯くして、把持具ロッドが前方の終端位置に到達するまで、把持具ロッドと同期するように、前進動作するスラストロッドが、スラストロッド用のカム機構を介して同期されるようにし、次いで、ワークピースを解放するために、把持具ロッドを動作することなく(又は、スラストロッドの復帰動作よりも僅かである同時の復帰動作を介して)、スラストロッドを幾らか後方に変位させるようにすること、が可能であるのが特に好ましい。ワークピースの正確な長手方向のターミナル位置は、斯くして、把持具ロッドの前方の終端位置を介して、事前に規定され、把持具の解放動作は、それからデカップルされて、スラストロッドを介して実行される。
【0027】
復帰動作に関しても同様にして、ここでも、把持具ロッドが後方の終端位置に到達するまで、把持具ロッドと同期するように、復帰動作するスラストロッドが同期されるようにすることを可能として、次いで、ワークピースを解放するために、把持具ロッドを動作することなく(又は、スラストロッドの前進動作よりも僅かである同時の前進動作を介して)、把持具を閉じるために、スラストロッドを幾らか前方に変位させるようにする。ワークピースのための正確な長手方向の移送位置は、斯くして、把持具ロッドの後部ターミナル位置を介して事前に規定され、把持具の把持動作は、それからデカップルされて、スラストロッドを介して実行される。
【0028】
ワークピースを、それぞれ把持又は解放するための把持具要素の横方向の動作は、スラストロッドと把持具要素との間で対応するゲート(カム制御)を介して、位相のずれが発生する正にこの部分で、処理の適切なタイミングで、目標が絞られた最適な方法で制御できる。
【0029】
そのような制御を実行するために、把持具要素は、ゲートの形態で、好ましくは鉛直方向に開口している、少なくとも1つの凹部又は貫通開口を有しているのが好ましく、スラストロッドは、把持具要素の横方向の動作をポジティブに制御するように、対応する把持具要素の位置で、いずれもこのゲートに係合する延長部を有するか、又は、そのようにして係合する好ましくは鉛直なピンを有する。
【0030】
力学的に逆の状況では、スラストロッドが、対応する把持具要素の位置で、それぞれゲートの形態で鉛直方向に開口している、少なくとも1つの凹部又は貫通開口を有し、把持具要素が、把持具要素の横方向の動作をポジティブに制御するように、このゲートに係合する延長部又は対応ピンを有することが、代替的に可能である。
【0031】
延長部又はピンは、それぞれゲート内を最適に摺動するように、好ましくは円形の横断面を有する。
【0032】
把持具要素のゲートは、いずれも、引っ込められた把持具要素に対する第1の領域と、展開した把持具要素に対する第2の領域と、これらの2つの領域を接続する移動範囲と、を有することができる。把持具要素の第1の領域は、横方向において、ここでは好ましくは第2の領域よりも、ワークピースにより近くなるように配設され、移動範囲は、線状の又は湾曲した、特にS形状の、接続ダクト又は接続貫通開口として構成される。第1の領域及び/又は第2の領域は、特定の長手方向の長さにわたって線状に延在することができ、ゲートの端部は、通常、対応する案内ピンの外径に対応する曲率を以て終端するのが好ましい。
【0033】
装置は、好ましくは処理ステーションの長手方向の列の両側において、第1の制御要素及び第2の制御要素、従って、制御グループを有し、横方向に対向するそれぞれの把持具要素の横方向の動作は、ワークピースの位置に対して鏡面対称となるようにポジティブに制御される。この目的のために、凹部又は貫通開口の形態の対応するゲートは、好ましくは、ツールの中央の長手方向軸に対して鏡面対称となるように構成される。
【0034】
そのような装置は、好ましくは、前記装置が、同一のトランスファプレスの処理ステーションの少なくとも2つ、好ましくは、2~5又は2~4の長手方向の列(列は、横方向にオフセットしている)の間の搬送のために設けられ、第1の制御要素及び第2の制御要素のそれぞれの数が、処理ステーションの列の数よりも1だけ多いことを特徴とする。2つの列の間に位置する制御グループは、いずれも、両方の横方向における機能が利用可能にされ、即ち、両側の把持具を同時に支持し、好ましくは、1つだけの把持具ロッド及び1つだけのスラストロッドを介して、両側の把持具を同時に制御する。ここで、隣接する列に配設されたツールの処理ステーションは、好ましくは、長手方向において同じ高さではなく、例えば、交互にオフセットされる。
【0035】
処理ステーションの列の間に配設される第1の制御要素は、好ましくは、両方の横方向に突出する把持具要素が取り付けられ、複数の第2の制御要素は、好ましくは同時に、両方の横方向の把持具要素を同時にポジティブに制御する。ここで、異なる横方向に突出する把持具要素のゲートは、好ましくは、長手方向に対して鏡面対称となるように構成される。しかしながら、特に、スプリング式の把持具の場合(以下の説明を参照)、異なる横方向のゲートが、把持具要素が、鏡面対称となるようにワークピースに接触しないが、その結果、時間的にオフセットされて接触するように、設計されることも可能である。
【0036】
処理ステーションの列の間に配設される第1の制御要素は、好ましくは、把持具要素又は把持具要素の把持具担持体が、変位可能に取り付けられる横断貫通開口を有する。把持具要素は、通常いずれも、長手方向に、一方の横方向と他方の横方向とに交互に取り付けられる。
【0037】
その動作に対して平行に配設された制御グループの第1の制御要素は、好ましくは、把持具ロッド用の共通の横方向に延びる結合クロスバーを介して制御され、第2の制御要素は、好ましくは、スラストロッド用の共通の横方向に延びる結合クロスバーを介して制御される。ここで、把持具ロッド用の結合クロスバーは、好ましくは、少なくとも1つの結合ロッドを介して、把持具ロッド用のカム機構にリンク接続され、スラストロッド用の結合クロスバーは、好ましくは、少なくとも1つの結合ロッドを介して、スラストロッド用のカム機構にリンク接続される。
【0038】
把持具要素のうちの少なくとも1つは、それ自身、又は把持具ピン上に、ワークピースを少なくとも部分的に周方向に取り囲むために、好ましくは、フォーク形状の及び/又は湾曲した、ツールに面する把持領域を有し、把持領域は、好ましくは、対応する搬送セクションにおけるワークピースの半径に適合される。
【0039】
又は、把持具要素のうちの少なくとも1つは、ワークピースに面する実質的に平面の把持具先端部を有する。円形の対称形状のワークピース、例えば、容器や缶の一部が、処理ステーション間で搬送されていく場合に、ワークピースに対して反対側にあって、同一のツールを把持する把持具要素は、好ましくは、一方側では実質的に平面の把持具先端部を有し、他方側ではフォーク形状の及び/又は湾曲した把持領域を有する。
【0040】
把持具要素のうちの少なくとも1つは、横方向にのみ変位可能となるように、把持具ロッドに取り付けられる把持具担持体を有することができ、該把持具担持体は、この把持具担持体内に、変位可能となるように把持具ピンを有し、該把持具ピンは、好ましくは、スプリング、特に、ヘリカルスプリングを介して、又は、圧縮空気若しくはエラストマスプリングを介して、好ましくは、前記ワークピースに対して弾性的に支持され、好ましくは、復元作用が調整可能であるように設計される。
【0041】
換言すると、そのような本発明の別の実施形態又は第3の態様のそれぞれに係る装置は、処理ステーション間のワークピースが、それぞれの把持具によって両側で把持され、次の処理ステーションまで、把持された状態で長手方向に搬送され、次の処理ステーションで再度解放され、そして、把持具のうちの少なくとも1つは、ワークピースに対して、スプリング式で、弾性復元力を有するように構成されることを特徴とする。この第3の態様は、上述した移送装置の特定の特徴から独立して発明であると考察されるべきであるが、好ましくは上述した移送装置の特徴と組み合わせて使用される。これらのスプリング式の把持具は、本発明のこの第3の態様によれば、少なくとも部分又は領域において、周期的に、かつ、プレスの動作に同期するように、長手方向の前後に移動して、前記長手方向に垂直な横方向に、ワークピースをそれぞれ把持又は解放する、ワークピース用の搬送手段を介して、プレスの収容ステーションから少なくとも1つの処理ステーションを通過して、ワークピースを長手方向に段階的に搬送するための装置において、それに応じて使用することもできる。装置は、ここでは、スプリングの作用によって、特に、ワークピースの把持の観点から改善される。搬送手段は、ここでは、ロッドの形態で構成でき、把持具は、これらのロッドに固定締結できる。この例では、搬送手段は、全体として、長手方向と横方向とに、言わば長方形状に動作する。しかしながら、搬送手段は、把持具が、このタイプのロッドに可動に締結されるように設計することもでき、この例のロッドは、結果として長手方向の動作だけを実行し、把持具は、これらのロッド上の独立の横方向の動作を実行する。この横方向の動作は、能動的に制御できるか、又は、前記横方向の動作は、ワークピースが把持具間に押し込められるように制御することもできるかのいずれかである。
【0042】
把持具のスプリング式の構成の結果として、実質的により柔軟で信頼できる工程管理が可能であり、更に、異種の材料、また軟質な材料も、そのような装置で処理されることが可能である。
【0043】
この第3の態様に係る提案された発明の第1の好適な実施形態は、少なくとも1つの把持具のスプリングの作用が、弾性スプリング要素によって形成され、このスプリング要素は、好ましくは、リーフスプリング、圧縮空気、ヘリカルスプリング、又は、エラストマスプリングによって形成されることを特徴とする。
【0044】
提案された装置の更なる好適な実施形態は、スプリング式の把持具が、ワークピースの両側に配設されることを特徴とする。
【0045】
スプリング式の把持具が、ワークピースの一方側だけに配設されることができ、非スプリング式の把持具が、反対側に配設されることができる。
【0046】
この例では、ワークピースに対向する側に配設される、搬送手段、それぞれの把持具要素の横方向の動作は、好ましくは、ワークピースに対して鏡面対称となるようにポジティブに制御されず、斯くして、横方向の動作の制御は、好ましくは、非対称に行われる。その結果として、非スプリング式の把持具が、その部品に近寄っていくだけなので、非スプリング式の把持具は、その部品に突き当たらない。スプリング式の把持具(後者)は、スプリングの力の結果として、その部品が所定の位置から押し出されないように、その位置に対して非対称に動く。衝突速度は、把持具の駆動カムの形状によって規定される。
【0047】
対応する処理ステーションに応じて、それぞれのワークピースに接触する、把持具要素の領域、又は、把持具担持体に取り付けられたれた把持具ピンの領域のそれぞれは、鉛直方向に異なる高さに配設でき、好ましくは、把持具要素又は把持具ピンは、それぞれ、2つの水平部分と、前記2つの水平部分を接続する鉛直部分と、を有する。
【0048】
本発明は、更に、トランスファプレスの種々の処理ステーション間でワークピースを搬送するための方法に関し、前記方法は、上記したような装置の少なくとも1つが、ステーション間の搬送用に使用されることを特徴とする。
【0049】
これは、ここでは、上記のような装置を使用して、特に、帯板状に供給される、好ましくは、金属、特に好ましくは、スチール又はアルミニウムからなる平らな出発材料から、ワークピースを段階的に製造する方法である。
【0050】
この方法は、好ましくは、ワークピースが、好ましくは、第1のスタンピングステップ及びその後に続く第1のフォーミングステップの後で、一対の把持具によって両側から、少なくとも1回把持され、下流の処理ステーションまで搬送されることを特徴とする。
【0051】
ここでは、両方の把持具は、スプリング式に構成でき、搬送手段の横方向の動作は、少なくとも部分的又は一方のみで、ワークピースが、この処理ステーションの処理ツールによって、把持具のスプリングの力に抗して、把持具に押し込められて保持されるように構成することができる。又は、この方法は、把持具の一方だけがスプリング式に構成され、また、ワークピースの反対側にそれぞれ配設される搬送手段、即ち、把持具要素の横方向の動作が、ワークピースの位置に対して鏡面対称でないようにポジティブに制御され、横方向の動作の制御は、部品に対するスプリング式の把持具の衝突速度が、非スプリング式の把持具の衝突速度よりも低速となるように、好ましくは非対称に行われることを特徴とすることができる。
【0052】
更に、本発明は、上記したような装置を有するトランスファプレス、好ましくは、横方向にオフセットしている処理ステーションの複数の列を有するトランスファプレスに関する。
【0053】
最後に、本発明は、トランスファプレス、好ましくは、横方向にオフセットしている処理ステーションの複数の列を有するトランスファプレスにおける上で説明されたような装置の使用に関する。
【0054】
更に、本発明は、ワークピース、特に、上記したような装置を使用しながら製造され、又は上記したような方法によって製造された、好ましくは、金属からなる、カップ状にされ、打ち抜かれ、又は成形されたワークピースに関する。
【0055】
更なる実施形態は、従属請求項に記載される。
【0056】
本発明の好適な実施形態は、図面を用いて、以下に説明されるが、図面は、説明の目的のためだけに提供され、限定として解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】各ラインに7つのステーションを有する4つの処理ライン用の5つの把持具ロッドを有する移送装置の斜視図である。
図2】把持具が閉じている図1による移送装置の平面図である。
図3】把持具が開いている図1による移送装置の平面図である。
図4図2のA-A線に沿った断面図である。
図5図3のB-B線に沿った断面図である。
図6図4のC-C線に沿った断面図(下面側)である。
図7図5のD-D線に沿った断面図である。
図8】把持具ロッドの結合領域の斜視図である。
図9】5つの把持具ロッドを有する移送装置全体の結合領域の斜視図である。
図10】処理ステーション、移送装置、並びに、移送装置を駆動するためのギアボックス及び結合要素を有するトランスファプレス全体の側面図である。
図11図10に係る移送処理設備のギアボックス及び結合部の断面図である。
図12】把持具の横方向の動作の非対称制御を示す図である。
図13】a)は、それぞれ可変送り時間又は可変角度を備える駆動部を有する移送システムの概略図であり、b)は、一実施形態のウォームギア/カム機構及び送りレバーを通る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1には、送り装置を斜視して示しており、送り装置1は、それぞれが横方向68にオフセットされた、4つの処理ラインを有するプレス用に設計されている。
【0059】
移送装置は、種々の処理ステップをワークピースに対して実施する、プレスツールの7つの処理ステーションのそれぞれに対して、長手方向67に沿って設けられている。
【0060】
図1には、種々の処理ステーションにおけるワークピースも、把持具によって把持されずに示されている。ワークピース11は、カップ状の部品であり、第1の処理ステーション(図中最も左)では、カップのブランク11.1に形成される。このステップでは、金属シートの対応する円形部分が、同一のツール内で、通常、次々に連続してカップ11.1を形成するように、打ち抜かれ、次いで、カップ状に加工される。
【0061】
次の処理ステーションが、長手方向67にオフセットするように、その後に続き、カップ状の部品は、ここでは、部品11.2に更に成形される。
【0062】
斯くして、部品11.3、11.4、11.5、11.6及び11.7に段階的に成形されるために、更なる処理ステップが、その後に続く。部品11.7が示されている最後のステージは、多くの場合、更なる処理ステージではないが、部品11.7は、11.6によって示されたものと同一であり、ここでは、対応する位置まで単に搬送されて、別の取扱い装置まで移送されるか、又は解放されて対応するガイドに向かって落下される。
【0063】
ここで、送り装置1は、それぞれロッド状の形態に構成された制御グループを有しておりて、それぞれが、言わば内向きの把持具を一方側だけに有している、2つの外側の制御グループG1及びG5が存在する。2つの列の間に配設された制御グループG2~G4は、前記制御グループG2~G4の横隣りに位置する2つの処理ステーションに、それぞれ同時に供される。
【0064】
このような制御グループGは、いずれも、把持具ロッド2と、上方に開口する長手方向溝18内を案内されるスラストロッド3と、から構成される。この溝18は、いずれも、カバー10によって部分的に覆われている。カバー10は、ここで示されるように、複数の領域にのみ個別に配置されるようにしてもよいが、カバー10は、実質的に、把持具ロッド2全体の長さにわたって配置されるようにしてもよい。
【0065】
把持具ロッド2は、横断貫通開口8,9を有する。これらの貫通開口の或る種のもの、具体的には、符号8によって示される、言わば、第1の貫通開口は、それぞれの特定の機能をなんら有しない。しかしながら、長手方向に続く横断貫通開口9の列は、把持具要素4を収容し、そして、把持具要素4を横方向に可動となるように取り付けるために供される。
【0066】
一方の側の把持具要素4は、いずれも、把持具ピン5が取り付けられた把持具担持体7から構成される。いずれの把持具担持体7も、把持具ロッドの貫通開口9内を摺動するように取り付けられる。外側の把持具ロッドG1,G2における1つおきの貫通開口だけが、いずれも、1つの把持具要素を備えている。それらの間に位置する貫通開口は、利用されていない。
【0067】
2つの処理ライン間のそれぞれに位置する把持具ロッドG2~G4の場合では、これと異なる。ここでは、把持具要素4は、いずれも、貫通開口9に交互に取り付けられ、前記把持具要素4は、把持具ロッド2から交互に異なる横方向に突出して、両側の2つの異なる処理ラインに供される。
【0068】
この移送装置を使用可能にする目的で、4つの列の処理ラインのツールは、ここでは互いに隣り合わせに設けられ、それに応じて、横方向の1つのライン上に全てを配設するのではなく、いずれも、横断貫通開口9のオフセットによって、交互にオフセットされている。
【0069】
長手方向のラインに沿った種々の処理ステーションは、必要に応じて、異なる鉛直高さでワークピースを処理するか、又は、ツールが同じ高さに配設されているにもかかわらず、ワークピースが、それぞれ異なる鉛直位置で把持されるようにする必要がある。この目的のために、把持具要素4は、いずれも、第1の処理ステーションにおいて、ワークピース11.1が把持されるようにするために、下方へのオフセットが最大となり、次いで引き続き、ワークピース11.4の位置まで更に上方にオフセットされ、次いで、最終位置まで常に同一の鉛直高さにオフセットされるように、段階的に構成される。
【0070】
スラストロッドは、いずれも、入口近位端部に結合要素12を有し、結合要素12の機能は、以下で説明する。同様に、各把持具ロッド2は、いずれも、ここでは鉛直方向下向きの1つの結合要素13を有する。
【0071】
対応する止めねじ14,15は、把持具ロッド及び結合要素の最適な調整を可能にする。
【0072】
図1では、それぞれの把持具ロッドから右側に突出する把持具要素4は、上記したように、いずれも、把持具担持体7に把持具ピン5がそれぞれ取り付けられた、2つの要素から構成されている。図1の把持具ロッドG1~G4において、左に向かって又は左斜め上に向かって、それぞれ突出する、反対側の把持具要素4は、2ピースで構成されるのではなく、一体的な把持具フォーク6として構成される。長手方向に案内する機能をなんら備えていない、ワークピースに面する把持具ピン5の端部とは対照的に、これらの把持具フォーク6は、以下でより詳細に説明する、湾曲した把持領域を有している。
【0073】
図2は、いずれの把持具も閉じられており、その結果、ここでは、いずれも概略だけが示されたワークピースを掴むように把持している位置で、そのような送り装置を上から見て示している。これは、ワークピースが個々の処理ゾーン間を搬送される一時的な合間において、送り装置が、言わば固定される位置である。更に、この図では、的確に、把持具要素4が、ロッドG2~G4の把持具ロッド3の横断貫通開口9に、最適に取り付けられることが可能となるように、どのようにして、隣接する列の把持具が、いずれも、長手方向にオフセットしているかが理解できる。
【0074】
図3は、そのような送り装置を同様に示すが、ここでは、言わば開いている位置にあり、即ち、把持具要素は、いずれも引っ込められて、ワークピースを保持しない位置にある。これは、それぞれ、移送ステップの前に、ワークピースを把持する直前の位置又は移送ステップの終了時に、ワークピースを解放する際の位置である。これは、送り装置の復帰動作が実行される位置でもある。
【0075】
図4は、図2に示されたA-A線に沿った断面を示す。ここでは、どのようにして、把持具ピンが、異なる鉛直高さに配設されるかが理解できる。把持具ピン5.1、及び、次のステーションのピン、即ち、把持具ピン5.2は、鉛直方向の最下部に配設され、それに応じて、鉛直方向に最も低い点で、カップ状のワークピースを把持する。次いで、第3のステーションにおいて、中位の高さが続き、ここでは、把持具ピンに符号5.3が付されており、そして、線状の把持具ピン5.4~5.7が、その後に続く。このことは、把持具要素が、把持具担持体7及び把持具ピン5の2つの部品から構成される、左側のそれぞれに対して当てはまる。反対側の対応する把持具フォーク6も同様に、第1のステーションでは、把持具フォーク6.1,6.2の形態で、鉛直方向中位の把持具位置では、把持具フォーク6.3として、その後、それに続くステーション4~7用の把持具フォーク6.4として、段階的に構成されている。
【0076】
また、図4では、どのようにして、把持具ロッド2用の結合要素13が、いずれも、下方に突出する2つのフォークアーム16を有するフォークの形態で構成されるかが理解できる。更に、どのようにして、スラストロッド3が、正方形の断面を有する中実状のロッドとして構成され、把持具ロッド2の溝18内を摺動するかが理解できる。更に、G1~G3の断面図から、どのようにして、カバーが、把持具ロッドをより良好にガイドするために、底部に向かって開口している長手方向溝19を有するかも理解できる。
【0077】
特に、図4のG2の断面図から、どのようにして、案内ピン5が、そのために把持具担持体7に設けられた凹部に、スプリング式で取り付けられるかが理解でき、このことは、以下で詳細に説明する。更に、どのようにして、把持具ロッド2が、V形状の外形を下向きに有しているかも理解でき、V形状の外形は、例えば、定置された支持構造のV形状溝内に摺動するように配置され、従って、把持具ロッドは、当該溝内を制御下に摺動できる。対応する範囲を薄黒く示すように、この目的のために、把持具ロッド内又は下面には、例えば、PTFEからなる、所定のスライド要素又はコーティングを設けることができる。
【0078】
図5に、図3のB-B線に沿った断面を示す。把持具の開いた位置が、結果として、ここに示され、以下で説明するゲート開口部26が、スラストロッド2に対して、ここでは、いずれも、横方向外側にあるように示されていることも理解できる。
【0079】
図6に、図4のC-C線に沿った断面(下面側)を示す。この断面図では、把持具要素のポジティブ制御や、把持具要素の閉じた状態の具体的な構成が理解できる。開いた状態は、図7のステップD-Dにより示される。
【0080】
まず、図6を参照すると、どのようにして、把持具担持体7が、それぞれの把持具ロッド2に、左側の横断貫通開口9内で取り付けられるかが理解できる。スライドプレート20は、把持具担持体7を移動し易くするために設けることができ、具体的には、ここで理解できるように、いずれも、長手方向の境界壁上に設けるだけでなく、鉛直方向、即ち、それぞれの把持具担持体7の凹部9の上部及び底部にも設けることができる。そのような把持具担持体7は、それの左側の領域を介して、凹部9内を摺動し、把持具担持体の右側は、把持具ピン用のブラインド穴の形態の凹部22を有する突状部を形成するように、テーパになっている。把持具ピン5は、ワークピースとは反対側の端部に、ピストン形状の拡幅部21を有し、このピストン21は、把持具担持体7の通路22の拡幅領域に設けられる。ヘリカルスプリングの形態のプリング要素25は、通路22の内部領域24に設けられる。このヘリカルスプリング25は、いずれも、ピストン21が、通路22の拡幅部23に突き当たるまで、ワークピースに向けて把持具ピン5を支持する。必要に応じて調整可能なスプリング25によって、傷つき易いワークピースに対してでさえ、理想的に柔和で常に最適な把持力を調整できる。
【0081】
把持具ピン5は、前記ツールに面する端部に、線状、即ち、長手方向に沿うように構成される把持具先端部34を有する。この把持具要素4は、斯くして、横方向にだけのクランプ効果を有し、長手方向の案内効果がない。
【0082】
上記のものは、反対側に配設され、符号6が付された一体的な把持具フォークとは対照的である。前記把持具フォークは、ワークピースに面するそれの端部に、拡張された形態のフォーク領域32を有し、ツールに面するこの拡張された領域は、湾曲した把持領域33として設けられ、好ましくは、この位置でのワークピースの曲率半径に適合される曲率を有する。
【0083】
把持具担持体7、及び、把持具フォーク6の後方領域、即ち、拡大部31は、ここでは、本状況下において重要な鉛直ゲート開口部26を有する。これらのゲート開口部26は、スラストロッド3によって、把持具要素4の横方向の位置をポジティブに制御することに供される。この目的のために、ゲート開口部26は、横方向に段階的に曲げられるように構成される。引っ込められた把持具に対する移動止め位置27の領域と、展開した把持具に対する移動止め位置28の領域が存在する。位置27は、いずれも、ワークピースに近接するように配設され、展開した位置28は、ワークピースから更に外側にあるように、横方向にオフセットしている。それらの間には、領域27,28を相互に連結する連結領域又は変位範囲29が存在する。
【0084】
反対側の把持具担持体7、即ち、拡大部31のゲート開口部26は、それぞれ、長手方向の軸67に対して鏡面対称となるように構成される。
【0085】
鉛直ゲートピン30は、スラストロッド3に固定締結され、スラストロッド3からゲート開口部26内に向かって下方に突出し、ここでは、このゲート26内に延びる。スラストロッド3が、図6に示された位置から進行して下方に、即ち、ツールの送り装置の長手方向の後方に、それぞれ変位すると、鉛直ピン30は、斯くして、前記スラストロッド3と連帯して下方に移動する。前記鉛直ピン30は、横方向に変位できず、従って、左側の把持具担持体7は、ゲート26内のピン30の移動の結果として、それに応じて左に向けて動く。右側のスラストロッド3が、同じく下方に変位するとき、ピン30は、斯くして、同様に下方に移動し、後方の拡大部31は、このカム制御の結果として、右に変位する。図7に示された位置は、斯くして達成される。把持具は、ここでは開いている。
【0086】
この制御は、上記したように、把持具ロッド32が静止した状態で、スラストロッド3を下方に変位させるか、又は、さもなければ、スラストロッド3が固定されたまま、図6の位置から進行して、スラストロッド3よりも更に上方に、把持具ロッド2を変位させるか、のいずれかで行うことができる。
【0087】
移送工程での把持具の動作の制御は、ここでは、把持されたワークピースが、図6の位置から進行して、把持具ロッド及びスラストロッドの同期した長手方向の動作によって、次の処理ステーションに移動されるように実行される。次の位置に到達すると、スラストロッド3は、把持具ロッドが動作することなく、具体的には、位置27,28間の長手方向の間隔に対応する長手方向のオフセットの分だけ、幾らか後ろに移動する。スラストロッド3は、斯くして、把持具ロッド3に対して幾らか後ろに移動し、その結果として、ワークピースは、図6及び図7に示される、ピン30を介した移行により、ゲート26内での制御作用によって、正しい位置で自動的に解放される。
【0088】
ワークピースが解放されると、図7に示される位置にある移送装置は、ここでは、第1の処理ステーションへ後退する。再び、第1の処理ステーションにおいて、正しい時期に、ワークピースを把持できるように、把持具ロッドが終端位置に到達すると、ここでは次いで、把持具ロッドが動作することなく、具体的には、位置27,28間の長手方向のオフセットの分だけ、スラストロッド3が前方に動き、その結果、把持具は閉じ、これは図7から図6への移行に対応する。
【0089】
スラストロッド3と及び把持具ロッド2との相対的な動作は、いずれも、それらの動作のうち移送先の位置に到達した直後及び移送元の位置に到達した直後の動作において、斯くして、幾らか位相がずらされ、スラストロッド3は別の経路を辿り、これが以下で説明記載されるカム機構によって実行される。
【0090】
図12には、ここでは、把持具のうちの1つ(左側)がスプリング式に構成された状態について、横方向の動作の非対称的な案内が示されている。右側に示された把持具は、図7に関連して説明した把持具と同一の構成からなる。反対側のスプリング式の把持具の構成も同様に、基本的には、図7に示されている把持具に類似するが、前記反対側のスプリング式の把持具は、ゲート開口部26に関して、図7による構成とは異なる。図7では、2つの対向する把持具のゲート開口部は、対称となるように構成されるが、ここでは、プリング式の把持具のゲート開口部26が、移動止め位置27(引っ込められた位置)と移動止め位置28(閉じた位置)の二つの位置の間が、アーチ湾曲領域70を介して連結されている。その結果、ゲート開口部における2つの末端部の間に、把持具が横方向に変位しない領域と、それらの間の短い変位範囲29とが、もとより存在せず、変位は、2つの移動止め位置27/28間の湾曲領域70全体にわたって、よりゆっくりと行われる。この非対称的な案内の結果として、プリング式の把持具5が一方側に配設され、非プリング式の把持具6が他方側に配設されるということが考慮に入れられる。
【0091】
図8は、把持具ロッド2及びスラストロッド3の結合領域、特に、結合要素13,12を斜視図で示す。特に、結合要素12の上向きの突起17を見て取ることができ、前記突起17は、クロスバーに係合するのに供される。
【0092】
図9には、横方向に列設された制御グループGのスラストロッド3の全てが、協働する共通の装置を介して、前記スラストロッド3の長手方向に対して、どのように移動するのかが示されている。この目的のため、スラストロッド3の上向きの突起17のそれぞれが係合する、鉛直凹部36を有する結合クロスバー35が存在する。横方向に延びる結合クロスバー35は、ロータリジョイント37と機軸40とを介して、結合ロッド38に連結されたフォーク要素39に結合される。換言すると、結合ロッド38の前後の動作は、結合クロスバー35全体を移動させ、斯くして、5つの把持具キャリアG1~G5の全てのスラストロッドも同期して移動させる。
【0093】
同様にして、把持具ロッド2は、共通の結合クロスバー41によって、同期して制御され、結合クロスバー41は同様に、それぞれの結合要素13が、そのフォークアーム16を介して、上から係合する、鉛直凹部42を有している。この結合クロスバー41は、送り装置全体の全ての把持具ロッドに同様に共通であり、また、機軸46及び結合ジョイント45を介して結合ロッド47に、同様に連結される。結合クロスバー41は、ここでは、架台要素43に支持された案内シリンダ44上に載置される。
【0094】
図10は、2つのクロスバー35,41の動作が、装置全体において、どのように制御されるかを示す。図には、プレス全体の上側ツール板49及び下側ツール板50と、これらの2つの板間の案内カラム51を追加的に示す。更に、移送ユニット全体の下側の架台プレート48の上には、既述のキャリアユニット41が、固定されてもいる。
【0095】
送り装置全体の動作は、ここでは、共通の駆動機軸58を介して実行される。駆動機軸58は、2つの異なるカム機構46,47を駆動する。カム機構56は、スラストロッドを制御するのに供され、カム機構57は、把持具ロッドを制御及び移動し、把持具ロッドを移動するために供される。カム機構は、いずれも、ギアボックスレバー44,55のそれぞれと、デフレクション52,53のそれぞれを介して、結合ロッド38,47のそれぞれに転換される。
【0096】
特に、図11から理解できるように、これらの2つのカム機構のケースでは、いずれも、カム部分61,62のそれぞれ、カムアーム63,65のそれぞれ、及びカムリブ64,66のそれぞれが、個別に存在する。カムリブ64,66の実施形態の設計の結果として、上記した動作特性が、ここでは調整され、その結果、スラストロッドが、移送元の位置及び移送先の位置で、それぞれの移動止めに、把持具ロッドよりも遅く到達するように、把持具ロッド2及びスラストロッド3によって制御される。
【0097】
図13のa)には、それぞれ、可変送り時間を有するか、又は、可変角度を有する、このタイプの駆動部を有する移送システムの概略を示している。可変回転速度と角度エンコーダを有するサーボモータ35’は、プレス31’の最大サイクル数に対して最適となることを考慮して、セクタが設計された機械式のカム機構38’を駆動する。この最適化は、通常、モータの一定の回転速度のために設計される。サーボモータ35’及びカム機構38’間に、減速ギア36’を、更に配設できる。サーボモータ35’は、切替え可能な、即ち、前記モータの出力を制御可能な電気モータである。例えば、移送ギア38’での入力速度が300回転/分となるように、3000回転/分のサーボモータ35’と、比1:10の減速ギア36’を使用できる。サーボモータ35’は、プレス31’の偏心シャフトによって駆動される角度エンコーダ32’によって制御されることによって同期される。同期が保証されるようにする目的で、サーボモータ35’は、角度エンコーダを同様に有する。角度エンコーダは、360’のシャフト(例えば、プレスの偏心シャフト)の回転を、例えば、0.044の増分に分割し、そして、偏心シャフトのそれぞれの角度位置を正確に計算することができる電子機能グループである。トランスファーギア38’は、サーボモータ35’の回転動作から長手方向の動作を生じさせるギアウォーム37’を含む。この長手方向の動作は、機軸44’を有する送りレバー34’を介して、搬送ロッド4’に伝達される。トランスファーギア38’のカムの数学的な法則の概念に従って、最大サイクル数で作動していると、サーボモータ35’は、一定の回転速度で作動し、その回転速度は、プレス31’の偏心シャフトの回転速度に正確に対応する。この作動モードでは、システムは、ギアボックス38’がプレス31’の偏心シャフトによって直接駆動される如く全く同じように作動する。ここで、サーボモータ35’の利点が利用されるようにした場合、モータ35’の回転速度は、個々のカムセクタにおいて変更できる。可変送り時間は、斯くして、固定送り経路33’で可能にできる。
【0098】
図13のb)は、移送装置の駆動のためのウォームギアを貫く断面を示す。それは、ここでは、第1の軸まわりの回転を、他の軸まわりの回転に転換する古典的なウォームギアではなく、第1の軸まわりの回転を、送りレバーの揺動に転換するウォームギアである。従って、ねじ山は、回転するロータ51’に設けられるのではなく、ロータ51’の周囲に連続的に延びる閉じた輪郭を形成するウォーム40’に設けられる。展開図では、この輪郭は、実質上波形を描き、この波形の特性は、送りレバーの所望の動作によって予め規定される。このギアボックスの駆動ハブ39’は、モータによって回転駆動される。駆動ハブ39’は、ハウジング41’に取り付けられており、駆動ハブ39’の反対側で、ハウジング41’は、ハウジングカバー43’によって閉じられる。ストップシャフト42’は、このハウジングカバー43’を貫いて外方に突出する。ロータ52’は、ハブ39’によって駆動され、ハウジング41内で作動する。一方、送りレバー34’は、駆動ハブ39’の軸に垂直であるように配向される回転軸44’を介して枢動可能に取り付けられる。この送りレバー34’の下側部分、即ち、このレバーのギアボックス-近位アーム48’は、ギアボックスの上側ハウジング50’内に配設される。ギアボックス-近位アーム48’は、それの下側端部に、2つのカムローラ45’を有し、2つのカムローラ45’は、駆動ハブ39’の軸に対して横向きである、2つの軸方向フランク53’上でウォーム40’に接触し、これらのフランク53’上を転動する。カムローラ45’は、それらの機軸46’を介して、ギアボックス-近位アーム48’の下側端部で、対応する軸受ブッシュ47’に植設される。2つのカムローラ45’の2つの機軸46’は、ここでは、平行に配設されておらず、少なくとも10度の角度で配設され、従って、前記2つの機軸46’は、アーム48’に向けて収斂するようにウォーム40’を取り囲む。そして、移送-近位アーム49’は、ハウジング50’を越えて突出し、可撓性シール51を介してシールされ、従って、ハウジング50’の上側部分、従ってウォームギア全体も保護される。
【符号の説明】
【0099】
1 送り装置
2 把持具ロッド
3 スラストロッド
4 把持具要素
5 把持具ピン
5.1 ステーション1の把持具ピン
5.2 ステーション2の把持具ピン
5.3 ステーション3の把持具ピン
5.4 ステーション4~7の把持具ピン
6 把持具フォーク
6.1 ステーション1の把持具フォーク
6.2 ステーション2の把持具フォーク
6.3 ステーション3の把持具フォーク
6.4 ステーション4~7の把持具フォーク
7 5のための把持具担持体
8 2の横断貫通開口
9 把持具要素のための横断貫通開口
10 カバー
11.1 ステーション1における部品
11.2 ステーション2における部品
11.3 ステーション3における部品
11.4 ステーション4における部品
11.5 ステーション5における部品
11.6 ステーション6における部品
11.7 ステーション7における部品
12 3の結合要素
13 2の結合要素
14 13のための鉛直止めねじ
15 13のための水平ロックネジ
16 13のためのフォークアーム
17 12の上向きの突起
18 3のための2の長手方向溝
19 2のための10の下方に開口する案内溝
20 スライドプレート
21 5のピストン
22 7の通路
23 22の拡幅部
24 22の内部領域
25 スプリング要素
26 7の鉛直ゲート開口部
27 26から引っ込められた把持具の移動止め位置
28 26から展開した把持具の移動止め位置
29 26の変位範囲
30 3の26のための鉛直ゲートピン
31 6の後方の拡大部
32 6のフォーク領域
33 6の湾曲した把持領域
34 5の把持具先端部
35 スラストロッド用の結合クロスバー
36 17のための35の鉛直凹部
37 35のための結合ジョイント
38 スラストロッド制御用の結合ロッド
39 38のフォーク要素
40 37の機軸
41 把持具ロッド用の結合クロスバー
42 13のための41の鉛直凹部
43 41のための架台要素
44 43の案内シリンダ
45 41のための結合ジョイント
46 45の機軸
47 把持具ロッド制御用の結合ロッド
48 移送ユニットの架台プレート
49 上側ツール板
50 下側ツール板
51 49及び50間の案内カラム
52 ギアボックスレバーの38のデフレクション
53 ギアボックスレバーの47のデフレクション
54 スラストロッド制御のギアボックスレバー
55 把持具ロッド制御のギアボックスレバー
56 スラストロッド用のギアボックス
57 把持具ロッド用のギアボックス
58 56及び57の共通の駆動機軸
59 54の機軸
60 55の機軸
61 54のための58のカム部分
62 55のための58のカム部分
63 54のカムアーム
64 61のカムリブ
65 55のカムアーム
66 62のカムリブ
67 長手方向
68 横方向
70 26の湾曲領域
4’ 搬送ロッド(2/3参照)
31’ プレス
32’ 角度エンコーダ
33’ 送り経路
34’ 送りレバー、ギアボックスレバー
35’ モータ、サーボモータ
36’ 減速ギア
37’ ギアウォーム、カムリブ
38’ トランスファーギア、カム機構
39’ 駆動ハブ
40’ ウォーム
41’ ハウジング
42’ スタブシャフト
43’ ハウジングカバー
44’ 34’の回転軸
45’ カムローラ
46’ 45’の機軸
47’ 45’の軸受
48’ 34’のギアボックス-近位アーム
49’ 34’の移送-近位アーム
50’ 上側ハウジング
51’ シール
52’ ロータ
53’ 40’のフランク
G1 把持具ロッド位置1
G2 把持具ロッド位置2
G3 把持具ロッド位置3
G4 把持具ロッド位置4
G5 把持具ロッド位置5
V 2及び3間のオフセット
F スプリングの移動





図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13a)】
図13b)】
【国際調査報告】