(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(54)【発明の名称】蒸気供給システム用の流れ誘導部材
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20220413BHJP
A24F 40/30 20200101ALI20220413BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021551779
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(85)【翻訳文提出日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 GB2020050588
(87)【国際公開番号】W WO2020188246
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】モロニー, パトリック
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA06
4B162AA07
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC17
4B162AC27
4B162AC41
4B162AD03
4B162AD15
4B162AD23
(57)【要約】
蒸気供給システム用の流れ誘導部材が、エアロゾル化可能な基材材料のためのリザーバを画定するハウジングの壁の開口部、及び空気流路を画定するハウジングの壁の開口部と係合するように構成され、流れ誘導部材がハウジングと係合されるとき、液体入口が、リザーバと連通し、液体出口が、リザーバの外部にあるエアロゾル生成のための容積部と連通して、エアロゾル化可能な基材材料がリザーバから容積部に流れることができるように、液体入口から液体出口まで流れ誘導部材を通って延びる液体流れチャネルと、流れ誘導部材がハウジングと係合されるとき、エアロゾル入口が容積部と連通し、エアロゾル出口が空気流路と連通して、エアロゾルが容積部から空気流路に流れることができるように、エアロゾル入口からエアロゾル出口まで流れ誘導部材を通って延びるエアロゾル流れチャネルと、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル化可能な基材材料のためのリザーバを画定するハウジングの壁の開口部と係合するように構成され、かつ、空気流路を画定する前記ハウジングの壁の開口部と係合するように構成された蒸気供給システム用の流れ誘導部材であって、
当該流れ誘導部材が前記ハウジングと係合されるとき、液体入口が、前記リザーバと連通し、液体出口が、前記リザーバの外部にあるエアロゾル生成のための容積部と連通して、エアロゾル化可能な基材材料が前記リザーバから前記容積部に流れることができるように、前記液体入口から前記液体出口まで当該流れ誘導部材を通って延びる液体流れチャネルと、
当該流れ誘導部材が前記ハウジングと係合されるとき、エアロゾル入口が前記容積部と連通し、エアロゾル出口が前記空気流路と連通して、エアロゾルが前記容積部から前記空気流路に流れることができるように、前記エアロゾル入口から前記エアロゾル出口まで当該流れ誘導部材を通って延びるエアロゾル流れチャネルと
を有する、流れ誘導部材。
【請求項2】
環状リザーバと、前記環状リザーバの中央領域での空気流路とを画定する壁を有するハウジングに係合するように形作られている、請求項1に記載の流れ誘導部材。
【請求項3】
前記空気流路が前記環状リザーバ内に同心円状に配置された、請求項2に記載の流れ誘導部材。
【請求項4】
前記ハウジングの前記壁の円形開口部と係合するように形作られている、請求項2又は3に記載の流れ誘導部材。
【請求項5】
前記容積部から長手方向に配置されたリザーバと、前記リザーバから横方向外向きに配置された1つ又は複数の空気流路とを画定する壁を有するハウジングに係合するように形作られている、請求項1に記載の流れ誘導部材。
【請求項6】
前記長手方向を中心に180°回転して分離された2つの向きのいずれかで前記ハウジングとの係合を可能にする、前記長手方向を横切る平面内での細長い形状を有する、請求項5に記載の流れ誘導部材。
【請求項7】
前記液体出口及び前記エアロゾル入口が、当該流れ誘導部材の端面に配置されて、エアロゾル生成のための容積部と連通し、前記容積部が、前記端面に隣り合って実質的に中央に配置されている、請求項2~6のいずれか一項に記載の流れ誘導部材。
【請求項8】
可撓性の弾力性材料から形成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の流れ誘導部材。
【請求項9】
シリコーン材料から形成されている、請求項8に記載の流れ誘導部材。
【請求項10】
摩擦嵌めによって前記ハウジングと係合するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の流れ誘導部材。
【請求項11】
前記液体流れチャネルを前記エアロゾル流れチャネルから分離する隔壁をさらに備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の流れ誘導部材。
【請求項12】
第2の液体入口から第2の液体出口まで延びる第2の液体流れチャネルをさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の流れ誘導部材。
【請求項13】
前記第2の液体出口が、前記液体流れチャネルの前記液体出口と一致する、請求項12に記載の流れ誘導部材。
【請求項14】
第2のエアロゾル入口から第2のエアロゾル出口まで延びる第2のエアロゾル流れチャネルをさらに備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の流れ誘導部材。
【請求項15】
前記第2のエアロゾル入口が、前記エアロゾル流れチャネルの前記エアロゾル入口と一致する、請求項14に記載の流れ誘導部材。
【請求項16】
エアロゾル生成のための前記容積部内で前記蒸気供給システムのアトマイザを支持するための支持部分をさらに備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の流れ誘導部材。
【請求項17】
前記液体流れチャネルの前記液体出口が前記支持部分として構成されている、請求項16に記載の流れ誘導部材。
【請求項18】
蒸気供給システムでのエアロゾル化可能な基材材料を保持するためのリザーバであって、前記リザーバ及び空気流路を画定する壁、並びに前記リザーバを画定する前記壁の1つにある開口部及び前記空気流路を画定する前記壁の1つにある別の開口部を有するハウジングと、前記開口部に係合される請求項1~17のいずれか一項に記載の流れ誘導部材とを備える、リザーバ。
【請求項19】
前記流れ誘導部材が、実質的に液密シールを形成するように前記リザーバを画定する前記壁の前記開口部と係合され、実質的に気密シールを形成するように前記空気流路を画定する前記壁の前記開口部と係合される、請求項18に記載のリザーバ。
【請求項20】
前記リザーバ内にエアロゾル化可能な基材材料をさらに備える、請求項18又は19に記載のリザーバ。
【請求項21】
請求項1~17のいずれか一項に記載の流れ誘導部材、又は請求項18~20のいずれか一項に記載のリザーバを備える、蒸気生成システム用のカートリッジ。
【請求項22】
請求項1~17のいずれか一項に記載の流れ誘導部材、又は請求項18~20のいずれか一項に記載のリザーバ、又は請求項21に記載のカートリッジを備える、蒸気供給システム。
【請求項23】
蒸気供給システムのカトマイザ部分のためのハウジングであって、
長手方向軸線、第1の端部、及び第2の端部を有する内容積部を画定する外壁と、
少なくとも前記第1の端部から延び、前記外壁の1つ又は複数の内面に接続されて、前記内容積部を3つの領域に分割する1つ又は複数の内壁と
を備え、
前記3つの領域が、
前記内容積部の前記第2の端部で閉じ、又は前記第2の端部に隣り合って閉じ、前記第1の端部に少なくとも1つの液体出口を有するリザーバ領域であって、前記外壁と共通の長手方向軸線を有するリザーバ領域と、
前記リザーバ領域の各側に1つずつ配置された第1の空気流領域及び第2の空気流領域と
を備え、
前記第1の空気流領域及び第2の空気流領域が、前記第1の端部に少なくとも1つの空気入口を有し、前記第2の端部に少なくとも1つの空気出口を有する、
ハウジング。
【請求項24】
前記1つ又は複数の内壁が、円筒形のリザーバ領域を画定するように、向かい合う位置にある2つの周方向位置で1つ又は複数の内面に接続された円筒形の内壁から成る、請求項23に記載のハウジング。
【請求項25】
前記外壁が、少なくとも前記第2の端部で前記長手方向軸線に垂直な楕円形状を有する、請求項23又は24に記載のハウジング。
【請求項26】
前記外壁が、前記長手方向軸線に沿った全ての点で前記長手方向軸線に垂直な楕円形状を有する、請求項25に記載のハウジング。
【請求項27】
前記外壁が、前記第1の端部から前記第2の端部まで内方向に先細りしており、前記長手方向軸線に垂直な前記内容積部の断面が、前記第2の端部よりも前記第1の端部で大きい、請求項25又は26に記載のハウジング。
【請求項28】
前記外壁が、前記第1の端部を形成し前記第2の端部で切頭された楕円形の基部を有する円錐部を含む前記ハウジングのための外形を画定する、請求項27に記載のハウジング。
【請求項29】
前記1つ又は複数の内壁が前記第1の端部から前記第2の端部まで延び、前記リザーバ領域が前記内容積部の前記第2の端部で閉じている、請求項23~28のいずれか一項に記載のハウジング。
【請求項30】
前記第1の空気流領域及び前記第2の空気流領域が、前記長手方向軸線に垂直な断面を有し、前記断面が前記第2の端部に向かって小さくなる、請求項29に記載のハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蒸気供給システム用の流れ誘導部材、並びに蒸気供給システム用のハウジング、蒸気供給システム用のカトマイザ、及びそのような流れ誘導部材及び/又はそのようなハウジングを備える蒸気供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
気化された液体によってニコチンを送達するeシガレットや他の電子ニコチン送達システムなど、多くの電子蒸気供給システムは、カートリッジ又はカトマイザセクションとコントロールユニット(バッテリーセクション)との2つの主要な構成要素又はセクションから形成されている。カトマイザは、一般に、液体のリザーバと、液体を気化させるためのアトマイザとを含む。これらの部品は、ひとまとめにしてエアロゾル源と表されることがある。アトマイザは一般に、液体をリザーバから、加熱及び気化される場所に移送するために、多孔性又はウィッキング(毛細管作用)と加熱との機能を組み合わせる。例えば、これは、抵抗(ジュール)加熱のためにコイル又は他の形状で形成された抵抗ワイヤであり得る又は誘導加熱用のサセプタであり得る電気ヒータとして、及びリザーバから液体を吸収してヒータに運ぶ、ヒータに近接して毛細管機能又はウィッキング機能を有する多孔質要素として実装されることがある。コントロールユニットは、一般に、システムを動作させるために電力を供給するためのバッテリーを含む。バッテリーからの電力が送られてヒータが作動され、ヒータが加熱して、リザーバから送達された少量の液体が気化する。次いで、気化された液体がユーザによって吸引される。
【0003】
カトマイザの構成要素は、短期間の使用のみを意図されていることがあり、したがって、カトマイザはシステムの使い捨て構成要素であり、消耗品とも呼ばれる。対照的に、コントロールユニットは、典型的には、複数のカトマイザを用いた複数回の使用を意図されており、ユーザは各カトマイザを使い切ると交換する。消耗品のカトマイザは、あらかじめ液体が充填されたリザーバと共に消費者に供給され、リザーバが空になったときに廃棄されることを意図されている。液体は取り扱いが難しいことがあるので、利便性と安全性のために、リザーバは封止されており、簡単には補充できないように設計されている。新たな液体供給が必要とされるときにユーザがカトマイザ全体を交換する方が簡単である。
【0004】
これに関連して、カトマイザは、製造が簡単であり、少数の部品を備えることが望ましい。それにより、カトマイザを、最小限の廃棄物で低コストで効率的に大量生産することができる。したがって、シンプルな設計のカトマイザは興味深いものである。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で述べるいくつかの実施形態の第1の態様によれば、エアロゾル化可能な基材材料のためのリザーバを画定するハウジングの壁の開口部、及び空気流路を画定するハウジングの壁の開口部と係合するように構成された蒸気供給システム用の流れ誘導部材であって、流れ誘導部材がハウジングと係合されるとき、液体入口が、リザーバと連通し、液体出口が、リザーバの外部にあるエアロゾル生成のための容積部と連通して、エアロゾル化可能な基材材料がリザーバから容積部に流れることができるように、液体入口から液体出口まで流れ誘導部材を通って延びる液体流れチャネルと、流れ誘導部材がハウジングと係合されるとき、エアロゾル入口が容積部と連通し、エアロゾル出口が空気流路と連通して、エアロゾルが容積部から空気流路に流れることができるように、エアロゾル入口からエアロゾル出口まで流れ誘導部材を通って延びるエアロゾル流れチャネルと、を有する流れ誘導部材が提供される。
【0006】
本明細書で述べるいくつかの実施形態の第2の態様によれば、蒸気供給システムでのエアロゾル化可能な基材材料を保持するためのリザーバであって、リザーバ及び空気流路を画定する壁、並びにリザーバを画定する壁の1つにある開口部及び空気流路を画定する壁の1つにある別の開口部を有するハウジングと、第1の態様による流れ誘導部材とを備えるリザーバが提供される。
【0007】
本明細書で述べるいくつかの実施形態の第3の態様によれば、第1の態様による流れ誘導部材、又は第2の態様によるリザーバを備える蒸気生成システム用のカートリッジが提供される。
【0008】
本明細書で述べるいくつかの実施形態の第4の態様によれば、第1の態様による流れ誘導部材、又は第2の態様によるリザーバ、又は第3の態様によるカートリッジを備える蒸気供給システムが提供される。
【0009】
本明細書で述べるいくつかの実施形態の第5の態様によれば、蒸気供給システムのカトマイザ部分のためのハウジングであって、長手方向軸線、第1の端部、及び第2の端部を有する内容積部を画定する外壁と、少なくとも第1の端部から延び、外壁の1つ又は複数の内面に接続されて、内容積部を3つの領域に分割する1つ又は複数の内壁とを備え、前記3つの領域が、内容積部の第2の端部で閉じ、又は第2の端部に隣り合って閉じ、第1の端部に少なくとも1つの液体出口を有するリザーバ領域であって、外壁と共通の長手方向軸線を有するリザーバ領域と、リザーバ領域の各側に1つずつ配置された第1及び第2の空気流領域とを備え、第1及び第2の空気流領域が、第1の端部に少なくとも1つの空気入口を有し、第2の端部に少なくとも1つの空気出口を有する、ハウジングが提供される。
【0010】
特定の実施形態のこれら及びさらなる態様は、添付の独立請求項及び従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、特許請求の範囲に明示的に記載されたもの以外の組合せで、互いに及び独立請求項の特徴と組み合わせることができることを理解されたい。さらに、本明細書に記載の手法は、以下に記載されるような特定の実施形態に限定されず、本明細書に提示される特徴の任意の適切な組合せを含み、企図する。例えば、流れ誘導部材、又はハウジング、又は流れ誘導部材及び/若しくはハウジングを備える蒸気供給システムは、適宜、以下に述べる様々な特徴の任意の1つ又は複数を含む本明細書に記載の手法に従って提供される。
【0011】
次に、本発明の様々な実施形態を、以下の図面を参照して単に例として詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】カトマイザ及びコントロールユニットを備える例示的なeシガレットを通る断面図である。
【
図2】本開示の態様を実施することができる例示的なカトマイザの外部斜視分解図である。
【
図3】組み立てられた構成での
図2のカトマイザの部分切欠き斜視図である。
【
図4】
図4、
図4の(A)、(B)及び(C)は本開示の態様を実施することができるさらなる例示的なカトマイザの簡略された概略断面図である。
【
図5】本開示の態様を実施することができる、誘導加熱を採用する第1の例示的な蒸気供給システムの非常に概略的な断面図である。
【
図6】本開示の態様を実施することができる、誘導加熱を採用する第2の例示的な蒸気供給システムの非常に概略的な断面図である。
【
図7A】本開示の一態様による例示的なハウジングの簡略化された側断面図である。
【
図8】本開示の一態様による、別の例示的なハウジングの簡略化された側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書では、特定の例及び実施形態の態様及び特徴を論じ、また説明する。特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は、従来通りに実現することができ、簡潔にするために、これらを詳細には論じたり説明したりはしない。したがって、詳細に述べていない本明細書で論じる装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を実現するための任意の従来の技法に従って実現することができることを理解されたい。
【0014】
上述したように、本開示は、eシガレットなどの電子エアロゾル又は蒸気供給システムに関する(但し、それに限定はしない)。以下の説明全体を通して、「eシガレット」及び「電子タバコ」という用語を時として使用することがある。しかし、これらの用語は、エアロゾル(蒸気)供給システム又はデバイスと互換的に使用されることがあることを理解されたい。これらのシステムは、ニコチンを含むことも含まないこともある液体又はゲルの形態での基材の気化によって、吸引可能なエアロゾルを生成することを意図されている。さらに、ハイブリッドシステムは、液体又はゲル基材と、固体基材とを備えることがあり、固体基材も加熱される。固体基材は、例えばタバコ、又はニコチンを含むことも含まないこともある他の非タバコ製品でもよい。本明細書で使用する「エアロゾル化可能な基材材料」という用語は、熱の適用又は何らかの他の手段によってエアロゾルを生成することができる基材材料を表すことを意図されている。「エアロゾル」という用語は、「蒸気」と互換的に使用されることがある。
【0015】
本明細書で使用するとき、「構成要素」という用語は、おそらく外部ハウジング又は壁内にいくつかのより小さい部品又は要素を組み込んだ電子タバコ又は同様のデバイスの部品、セクション、ユニット、モジュール、アセンブリなどを表すために使用される。電子タバコは、1つ又は複数のそのような構成要素から形成又は構築することができ、構成要素は、互いに着脱可能又は分離可能に接続可能にすることも、電子タバコ全体を画定するように製造中に恒久的に一体に接合することもできる。本開示は、互いに分離可能に接続可能であり、例えば液体又は別のエアロゾル化可能な基材材料を保持するエアロゾル化可能な基材材料の支持構成要素(カートリッジ、カトマイザ、又は消耗品)、及び基材材料から蒸気を生成するための要素を動作させるために電力を供給するためのバッテリーを有するコントロールユニットとして構成される2つの構成要素を含むシステムに適用可能である(但し、これらに限定されない)。具体例を提供するために、本開示では、エアロゾル化可能な基材材料の支持部分又は構成要素の例としてカトマイザを述べるが、本開示は、これに関して限定されず、エアロゾル化可能な基材材料の支持部分又は構成要素の任意の構成に適用可能である。そのような構成要素は、例に含まれている部品よりも多数又は少数の部品を含むこともある。
【0016】
本開示は、特に、システムに含まれるリザーバ、タンク、容器、又は他のレセプタクルに保持される液体又はゲルの形態でのエアロゾル化可能な基材材料を利用する蒸気供給システム及びその構成要素に関する。蒸気/エアロゾル生成のために基材材料を提供する目的で、リザーバから基材材料を送達するための構成体が含まれる。「液体」、「ゲル」、「流体」、「原料液体(source liquid)」、「原料ゲル」、「原料流体」などの用語は、本開示の例に従って貯蔵及び送達することができる形態を有するエアロゾル化可能な基材材料を表すために、「エアロゾル化可能な基材材料」及び「基材材料」と互換的に使用されることがある。
【0017】
図1は、eシガレット10などの一般的な例示的エアロゾル/蒸気供給システムの非常に概略的な図(縮尺通りではない)であり、典型的なシステムの様々な部品同士の関係を示し、一般的な動作原理を説明する目的で表されている。電子タバコ10は、この例では、破線で示される長手方向軸線に沿って延びる概して細長い形状を有し、2つの主要な構成要素、すなわち、コントロールユニット又は電力構成要素、電力セクション又は電力ユニット20と、エアロゾル化可能な基材材料を支持し、蒸気生成構成要素として動作するカートリッジアセンブリ又はセクション30(カトマイザ又はクリアロマイザ(clearomiser)と呼ばれることもある)とを備える。
【0018】
カトマイザ30は、例えばニコチンを含有する、エアロゾルが生成される液体又はゲルなどの製剤を含む原料液体又は他のエアロゾル化可能な基材材料を含むリザーバ3を含む。一例として、原料液体は、約1~3%のニコチン及び50%のグリセロールを含むことがあり、残部は、ほぼ等しい量の水及びプロピレングリコールを含み、場合によっては香料などの他の成分も含む。例えば香料を送達するために、ニコチンを含有しない原料液体を使用することもできる。液体から生成された蒸気が通過するタバコ又は他の香料要素の一部分など、固体基材(図示せず)も含まれることがある。リザーバ3は、貯蔵タンクの形態を有し、タンクの範囲内で自由に移動及び流動できるように原料液体を貯蔵することができる容器又はレセプタクルである。消耗品のカトマイザの場合、リザーバ3は、製造中に充填した後に封止し、原料液体が消費された後に使い捨てにすることができる。或いは、リザーバ3は、ユーザが新たな原料液体を追加することができる入口ポート又は他の開口部を有することができる。カトマイザ30はさらに、加熱による原料液体の気化によってエアロゾルを生成するために、リザーバタンク3の外部に配置された電気式の加熱要素又はヒータ4を備える。ウィック又は他の多孔質要素6などの液体移送又は送達構成体(液体移送要素)を提供して、原料液体をリザーバ3からヒータ4に送達することができる。ウィック6は、リザーバ3の内部に配置された1つ又は複数の部品を有することがあり、或いはリザーバ3内の液体と流体連通することがあり、原料液体を吸収し、ウィッキング又は毛細管作用によって、ヒータ4に隣り合っている又は接触しているウィック6の他の部分に原料液体を移送することができる。以て、この液体は加熱されて気化され、ウィック6によるヒータ4への移送のために、リザーバからの新たな原料液体によって置き換えられる。ウィックは、リザーバからヒータに液体を送達又は移送する、リザーバ3とヒータ4との間のブリッジ、経路、又は導管と考えることができる。導管、液体導管、液体移送経路、液体送達経路、液体移送機構又は要素、及び液体送達機構又は要素などの用語は全て、ウィック又は対応する構成要素若しくは構造を表すために、本明細書において互換的に使用されることがある。
【0019】
ヒータとウィック(同様のもの)との組合せは、アトマイザ又はアトマイザアセンブリと呼ばれることもあり、その原料液体を含むリザーバとアトマイザとが、総称してエアロゾル源と呼ばれることもある。他の用語として、液体送達アセンブリ又は液体移送アセンブリが含まれることもあり、本文脈において、これらの用語は、蒸気生成要素(蒸気生成器)と、リザーバから得られた液体を蒸気/エアロゾル生成のために蒸気生成器に送達又は移送するウィッキング又は同様の構成要素又は構造(液体移送要素)とを表すために互換的に使用することができる。
図1の非常に概略的な表現とは異なる形で部品を配置することができる様々な設計が可能である。例えば、ウィック6は、ヒータ4から完全に別個の要素でもよく、又はヒータ4は、多孔性であり、ウィッキング機能の少なくとも一部を直接実施することができるように構成されることもある(例えば金属メッシュ)。電気又は電子デバイスでは、蒸気生成要素は、オーム/抵抗(ジュール)加熱又は誘導加熱によって動作する電気式の加熱要素でもよい。したがって、一般に、アトマイザは、そこに送達される原料液体から蒸気を生成することができる蒸気生成又は気化要素、及びウィッキング作用/毛細管力によってリザーバ又は同様の液体貯蔵部から蒸気生成器に液体を送達又は移送することができる液体移送又は送達要素の機能を実装する1つ又は複数の要素と考えることができる。アトマイザは、典型的には、蒸気生成システムのカトマイザ構成要素に収容される。いくつかの設計では、液体は、別個のウィッキング又は毛細管要素を必要とせずに、リザーバから蒸気生成器に直接分配することができる。本開示の実施形態は、本明細書における例及び記載に適合する全てのそのような構成に適用可能である。
【0020】
図1に戻ると、カトマイザ30は、アトマイザ4によって生成されたエアロゾルをユーザが吸引することができる開口部又は空気出口を有するマウスピース又はマウスピース部分35をさらに含む。
【0021】
電力構成要素又はコントロールユニット20は、特にヒータ4を動作させるためにeシガレット10の電気構成要素に電力を供給するためのセル又はバッテリー5(本明細書では以後、バッテリーと呼ぶ。これは再充電可能でもよい)を含む。さらに、eシガレットを概して制御するためのプリント回路基板及び/又は他の電子機器若しくは回路などのコントローラ28が存在する。制御電子機器/回路28は、蒸気が必要とされるとき、例えばシステム10での吸引を検出する空気圧センサ又は空気流センサ(図示せず)からの信号に応答して、バッテリー5からの電力を使用してヒータ4を操作する。吸引中、空気がコントロールユニット20の壁の1つ又は複数の空気入口26を通って入る。加熱要素4が作動されると、加熱要素4は、液体送達要素6によってリザーバ3から送達された原料液体を気化してエアロゾルを生成し、次いで、このエアロゾルが、マウスピース35の開口部を通してユーザによって吸引される。エアロゾルは、ユーザがマウスピース35を吸うとき、空気入口26をエアロゾル源から空気出口につなぐ1つ又は複数の空気チャネル(図示せず)に沿って、エアロゾル源からマウスピース35に運ばれる。
【0022】
コントロールユニット(電力セクション)20とカトマイザ(カートリッジアセンブリ)30とは、
図1の両方向矢印で示されるように、長手方向軸線に平行な方向での分離によって互いに取り外し可能な別個の接続可能部品である。構成要素20、30は、デバイス10が使用されているとき、協働する係合要素21、31(例えば、ねじ又はバヨネットフィッティング)によって接合され、これらは、電力セクション20とカートリッジアセンブリ30との間に機械的及び場合によっては電気的な接続を可能とする。ヒータ4がオーム加熱によって動作する場合には電気的接続が必要とされ、それにより、ヒータ4がバッテリー5に接続されたときに電流をヒータ4に流すことができる。誘導加熱を使用するシステムでは、電力を必要とする部品がカトマイザ30に配置されていない場合、電気接続を省くことができる。誘導性ワークコイルを電力セクション20に収容し、バッテリー5から電力を供給することができ、カトマイザ30及び電力セクション20は、それらが接続されたときに、ヒータの材料に電流を生成する目的でコイルによって生成される磁束にヒータ4が適切にさらされるように形状設定される。誘導加熱構成については、以下でさらに論じる。
図1の設計は、例示的な構成にすぎず、様々な部品及び特徴は、電力セクション20とカートリッジアセンブリセクション30との間で異なる分配にされることもあり、他の構成要素及び要素を含むこともできる。2つのセクションは、
図1におけるように長手方向の構成で、又は並列の横並びの配置などの異なる構成で、端部同士を接続することができる。システムは、概して円筒形であることも若しくはそうでないこともあり、及び/又はシステムは、概して長手方向の形状を有することも若しくは有さないこともある。いずれか又は両方のセクション又は構成要素は、使い果たされた(例えば、リザーバが空である若しくはバッテリーが上がっている)ときに廃棄及び交換されることを意図されている、又はリザーバの補充及びバッテリーの再充電などの作用によって複数回の使用が可能にされるように意図されている。他の例では、システム10は、コントロールユニット20及びカトマイザ30の部品が単一のハウジングに含まれて分離することができないという点で、一体でもよい。本開示の実施形態及び例は、これらの構成及び当業者が認識している他の構成の任意のものに適用可能である。
【0023】
図2は、本開示の一例によるカトマイザを形成するために組み立てることができる部品の外部斜視図を示す。カトマイザ40は4つの部品のみを備え、それらの部品は、適切な形状であれば互いに押し込む又は押し合わせることによって組み立てることができる。したがって、製造を非常に単純で簡単にすることができる。
【0024】
第1の部品は、エアロゾル化可能な基材材料(本明細書では以後、簡潔にするために基材又は液体と呼ぶ)を保持するためのリザーバを画定するハウジング42である。ハウジング42は、この例では円形の断面を有する概して管形状を有し、リザーバ及び他のアイテムの様々な部分を画定するように形状設定された1つ又は複数の壁を備える。円筒形の外側壁44の下端には円形であり得る開口部46が開いており、開口部46を通して液体をリザーバに満たすことができ、以下で述べるように開口部46に部品を接合してリザーバを閉止/封止し、また気化のために液体を外方向に送達することを可能にすることができる。これは、リザーバの外部又は外側体積又は寸法を画定する。本明細書における、リザーバの外部にある又は配置される要素又は部品への言及は、その部品が、この外壁44並びにその上下の範囲及び縁部又は表面によって境界を画された又は画定された領域の外側に又は部分的に外側にあることを示すことを意図されている。
【0025】
円筒形の内壁48は、外側壁44内に同心円状に配置される。この配置は、外壁44と内壁48との間に環状容積部50を画定し、環状容積部50は、液体を保持するためのレセプタクル、キャビティ、空所などであり、言い換えればリザーバである。外壁44と内壁48とは、リザーバ容積部50の上端を閉じるために(例えば上壁によって、又は互いに向かって先細りする壁によって)互いに接続されている。内壁48の下端は、円形であり得る開口部52で開いており、上端も開いている。内壁によって境界を画され、したがって環状リザーバ内部の中央領域を占有する管状の内部空間は、空気流路又はチャネル54であり、組み立てられたシステムにおいて、ユーザによる吸引のために、生成されたエアロゾルをアトマイザからシステムのマウスピース出口に運ぶ。内壁48の上端にある開口部56は、ユーザの口に快適に受け入れられるように構成されたマウスピース出口にすることができ、又は開口部56をマウスピース出口につなぐチャネルを有する個別のマウスピース部品をハウジング42に若しくはハウジング42の周りに結合することができる。
【0026】
ハウジング42は、例えば射出成型によって、成形された(shaped)プラスチック材料から形成することができる。
図2の例では、透明な材料から形成される。これにより、ユーザは、リザーバ44内の液体の液位又は量を観察することができるようになる。代替として、ハウジングは不透明でもよい、又は液位を見ることができる透明な窓を備えて不透明でもよい。プラスチック材料は、いくつかの例では剛性にすることができる。
【0027】
カトマイザ40の第2の部品は、流れ誘導部材60であり、流れ誘導部材60も、この例では円形の断面を有し、ハウジング42の下端と係合するように形状設定されて構成されている。流れ誘導部材60は、実質的には栓であり、複数の機能を提供するように構成される。ハウジング42の下端に挿入されるとき、流れ誘導部材60は、開口部46と結合してリザーバ容積部50を閉止及び封止し、開口部52と結合して、空気流路54をリザーバ容積部50から封止する。さらに、流れ誘導部材60は、液体の流れのために流れ誘導部材60を貫通する少なくとも1つのチャネルを有し、このチャネルは、リザーバ容積部50と流体連通し、液体をリザーバ容積部50からリザーバの外部の空間又は容積部に運び、この空間又は容積部は、液体を加熱することによって蒸気/エアロゾルが生成されるエアロゾルチャンバとして働く。また、流れ誘導部材60は、エアロゾルの流れのために流れ誘導部材60を貫通する少なくとも1つの他のチャネルを有し、このチャネルは、生成されたエアロゾルをエアロゾルチャンバ空間から、連通しているハウジング42内の空気流路54に運び、それによりエアロゾルは、吸引のためにマウスピース開口部に送達される。
【0028】
流れ誘導部材60は、摩擦嵌合によってハウジング46と容易に係合することができるように、シリコーンなどの可撓性の弾性材料から形成することもできる。さらに、流れ誘導部材は、ハウジング42と係合する上面64とは反対側の下面62にソケット又は同様の形状の形成部(図示せず)を有する。ソケットは、カトマイザ40の第3の部品であるアトマイザ70を受け入れて支持する。
【0029】
アトマイザ70は細長い形状を有し、その細長い長さに関して両側に第1の端部72と第2の端部74とが配設される。組み立てられたカトマイザにおいて、アトマイザは、その第1の端部72で取り付けられ、第1の端部72は、リザーバハウジング42に向かう方向で流れ誘導部材60のソケットに押し込まれる。したがって、第1の端部72は、流れ誘導部材60によって支持され、アトマイザ70は、ハウジング42の同心形状の部分によって定義される長手方向軸線に実質的に沿って、リザーバから長手方向外向きに延びる。アトマイザ70の第2の端部74は取り付けられておらず、自由な状態である。したがって、アトマイザ70は、片持ち式に支持されるか、又は保持され、リザーバの外側境界から外方向に延びる。アトマイザ70は、エアロゾルを生成するためにウィッキング機能及び加熱機能を働かせ、誘導サセプタとして作用するように構成された電気抵抗ヒータ部分と、リザーバからヒータの近傍に液体をウィッキングするように構成された多孔質部分とのいくつかの構成の任意のものを備えることがある。
【0030】
カトマイザ40の第4の部品は、エンクロージャ又はシュラウド80である。エンクロージャ又はシュラウド80も、この例では円形断面を有する。エンクロージャ又はシュラウド80は、中央の中空空間又はボイド82を画定するために、任意選択的な底壁によって閉じられた円筒形の側壁81を備える。開口部86の周りの側壁81の上側リム84は、エンクロージャ80と、流れ誘導部材60の相補形状の部分との係合を可能にするように形状設定され、それにより、アトマイザ70が流れ誘導部材60のソケットに取り付けられたときにエンクロージャ80を流れ誘導部材60に結合することができる。したがって、流れ誘導部材60は、中央空間82を閉じるためのカバーとして作用し、この空間82は、アトマイザ70が配設されるエアロゾルチャンバを作成する。開口部86は、流れ誘導部材60の液体流れチャネル及びエアロゾル流れチャネルとの連通を可能にし、それにより、液体をアトマイザに送達することができ、生成されたエアロゾルをエアロゾルチャンバから除去することができる。エアロゾルチャンバを通る空気の流れがアトマイザ70を通過し、蒸気を集め、蒸気が空気流に同伴されてエアロゾルを成すことを可能にするために、エンクロージャ80の1つ又は複数の壁81は、1つ又は複数の開口部又は小孔を有し、カトマイザのマウスピース開口部を通してユーザが吸引するときにエアロゾルチャンバに空気が引き込まれるようにする。
【0031】
エンクロージャ80は、射出成型などによってプラスチック材料から形成することができる。エンクロージャ80は、剛性材料から形成されることがあり、このとき、2つの部品を互いに押し込む又は押し合わせることによって、流れ誘導部材と容易に係合することができる。
【0032】
上記のように、流れ誘導部材は、可撓性の弾性材料から形成することができ、流れ誘導部材に結合される部品、すなわちハウジング42、アトマイザ70、及びエンクロージャ80を摩擦嵌合によって保持することができる。これらの部品はより剛性が高いことがあるので、これらの他の部品に押し付けられたときに流れ誘導部材がいくらか変形することを可能にする流れ誘導部材の可撓性は、部品の製造サイズの小さな誤差に対応する。このようにして、流れ誘導部品は、全ての部品の製造公差を吸収することができると共に、部品を高品質に組み立ててカトマイザ40を形成することを可能にする。したがって、ハウジング42、アトマイザ70、及びエンクロージャ80を形成するための製造要件は、いくらか緩和され、製造コストを削減することができる。
【0033】
図3は、組み立てられた構成での
図1のカトマイザの切欠き斜視図を示す。見やすくするために、流れ誘導部材60は陰影を付けて示されている。リザーバ空間50及び空気流路54の両方を封止するために、流れ誘導部材60がその上面で、リザーバハウジング42の内壁48の下縁部によって画定される開口部52の周りに係合し、ハウジング42の外壁44の下縁部によって画定される開口部46に同心円状に外方向で係合するように形状設定されているのを見ることができる。
【0034】
流れ誘導部材60は、液体流れチャネル63を有し、液体流れチャネル63は、液体Lがリザーバ容積部50から流れ誘導部材60を通って、流れ誘導部材60の下の空間又は体積65に、さらにはリザーバ50の外部に流れることを可能にする。液体流れチャネル63は、リザーバ50と連通している液体入口と、容積部65と連通している液体出口とを有する。エアロゾル及び空気Aが空間65から流れ誘導部材60を通って空気流路54に流れることを可能にするエアロゾル流れチャネル66も存在する。エアロゾル流れチャネル66は、容積部65と連通しているエアロゾル入口と、空気流路54と連通しているエアロゾル出口とを有する。
【0035】
エンクロージャ80は、その上側リムが、流れ誘導部材60の下面の対応する形状の部分と係合するように形状設定され、リザーバハウジング42に従うリザーバ50の容積部の外寸の実質的に外にエアロゾルチャンバ82を作成する。この例では、エンクロージャ80は、その上端に、流れ誘導部材60に近接してアパーチャ(穴部)87を有する。これは、液体流れチャネル63とエアロゾル流れチャネル66とが連通する空間65と合致し、したがって、液体がエアロゾルチャンバ82に入り、エアロゾルが流れ誘導部材60のチャネルを通ってエアロゾルチャンバ82から出るのを可能にする。空間65は、エアロゾルチャンバ82の一部と考えることができ、液体流れチャネル63及びエアロゾル流れチャネル66は、エアロゾル生成のために空間又は容積部に対してそれぞれ流入及び流出する。
【0036】
この例では、アパーチャ87は、アトマイザ70の第1の支持された端部74を取り付けるためのソケットとしても作用する(
図2の説明において、アトマイザソケットが流れ誘導部材に形成されているものとして述べたことを想起されたい。どちらのオプションを使用することもできる)。したがって、液体流れチャネル63を通って到達し、空間65内に到達する液体は、吸収及びウィッキングのためにアトマイザ70の第1の端部に直接供給され、空気/エアロゾルは、アトマイザを通して引き出され、エアロゾル流れチャネル66に入ることができる。
【0037】
この例では、アトマイザ70は、金属71の平面状の細長い部分を備え、この部分は、その中点で折り曲げられて又は湾曲されて、金属部分の両端をアトマイザの第1の端部74で互いに隣り合わせる。これは、アトマイザ70のヒータ構成要素として作用する。綿又は他の多孔質材料73の一部分が、金属部分の2つの折り曲げられた辺の間に挟まれる。これは、アトマイザ70のウィッキング構成要素として作用する。空間65に到達した液体は、多孔質ウィック材料73の吸収性によって収集され、ヒータに向けて下向きに運ばれる。片持ち式の取付けに適した細長いアトマイザの多くの他の配置も可能であり、代わりに使用することができる。
【0038】
ヒータ構成要素は、誘導による加熱を意図されている。これについては、以下でさらに述べる。
【0039】
図2及び
図3の例は、組み立てられたカトマイザの長手方向の方向に直交する平面内で実質的に円対称性を有する部品を有する(リザーバとエアロゾルチャンバとは、この寸法に沿って離して配置される)。したがって、これらの部品は、互いに接合される平面内で所要の向きはなく、これにより製造を容易にすることができる。部品は長手方向軸線の周りで任意の回転の向きで組み立てることができ、したがって、組立て前に部品を特定の向きに配置する必要はない。しかし、これは必須ではなく、部品を代替の形状にすることもできる。
【0040】
図4は、前述したのと同様に、リザーバハウジング、流れ誘導部材、アトマイザ、及びエンクロージャを備える、さらなる例示的な組み立てられたカトマイザを通る断面図を示す。しかし、この例では、カトマイザ40の長手方向軸線に直交する平面内で、部品の少なくともいくつかは、円形ではなく楕円形又はそうでない場合は細長い形状を有し、楕円形の長軸及び短軸に沿って対称性を有するように配置される。特徴は、長軸の各側及び短軸の各側に反映される。これは、組立てに関して、部品が、長手方向軸線周りで互いに180°回転された2つの向きのいずれかを有することができることを意味する。この場合にも、対称性のない部品を備えるシステムと比較して、組立てが簡略化される。
【0041】
この例でも、エンクロージャ80は、エンクロージャの長手方向軸線に沿った異なる地点で断面が変化するように形成された側壁81と、エアロゾルチャンバ82を作成する空間の境界を画する底壁83とを備える。エンクロージャは、その上端に向かって大きい断面に広がり、流れ誘導部材60を収容するための余地を与える。エンクロージャ80の大きい断面部分は、概して楕円形の断面を有し(
図4の(B)を参照)、エンクロージャのより狭い断面部分は、概して円形の断面を有する(
図4の(C)を参照)。上部開口部86の周りのエンクロージャの上側リム84は、リザーバハウジング42の対応する形状と係合するように形状設定されている。この形状設定及び係合は、
図4では簡略化された形で示されている。実際には、適度に気密及び液密の接合を提供するために、より複雑になる可能性がある。エンクロージャ80は、ユーザの吸引中に空気がエアロゾルチャンバに入ることを可能にするために、この場合は底壁83に少なくとも1つの開口部85を有する。
【0042】
リザーバハウジング42は、
図2及び
図3の例とは異なる形状である。外壁44は、2つの内壁48によって3つの領域に分割される内部空間を画定する。領域は、横並びに配置される。2つの内壁48の間の中央領域は、液体を保持するためのリザーバ容積部50である。この領域は、ハウジングの上壁によって上部が閉じられている。リザーバ容積部の底部の開口部46は、液体が空間65を介してリザーバ50からエアロゾルチャンバ82に送達されることを可能にする。外壁44と内壁48との間の2つの側部領域は、空気流路54である。各空気流路54は、その下端に、エアロゾルが入るための開口部52を有し、その上端にマウスピース開口部56を有する(前述したのと同様に、別個のマウスピース部分が、リザーバハウジング42の外部に追加されることもある)。したがって、エアロゾルチャンバに対して長手方向に配置された中央リザーバから外方向へ、それぞれ横方向に配置された2つの空気流路がある。
【0043】
流れ誘導部材60(見やすくするために陰影を付けて示されている)は、成形部分(shaped portion)を介してハウジング42の下縁部に係合され、ハウジング42の開口部46及び52と係合して、リザーバ容積部50及び空気流路54を閉止/封止する。流れ誘導部材60は、液体Lをリザーバからエアロゾルチャンバ82に移送するためにリザーバ容積部開口部46と位置合わせされた、単一の中央に配設された液体流れチャネル63を有する。さらに、2つのエアロゾル流れチャネル66があり、それぞれがエアロゾルチャンバ82の入口から出口まで延び空気流路54に入り、それにより、穴85を通ってエアロゾルチャンバに入ってエアロゾルチャンバ82内の蒸気を集める空気は、マウスピース出口56に向かって空気流路54に流れる。
【0044】
アトマイザ70は、その第1の端部72を流れ誘導構成要素60の液体流れチャネル63に挿入することによって取り付けられる。したがって、この例では、液体流れチャネル63は、アトマイザ70を片持ち式で取り付けるためのソケットとして作用する。したがって、アトマイザ70の第1の端部72には、リザーバ50から液体流れチャネル60に入る液体が直接供給され、液体は、アトマイザ70の多孔性によって取り込まれ、アトマイザの長さに沿って引き出されて、エアロゾルチャンバ70に配置されたアトマイザ70(図示せず)のヒータ部分によって加熱される。
【0045】
図4の(A)、(B)及び(C)は、カトマイザ40の長手方向軸線に沿った対応する位置でのカトマイザ40を通る断面を示す。これらの図は、横方向での部品の細長い非円形の形状と、2つの向きのいずれかでの部品の係合を可能にする180°の回転対称性とを示す。
【0046】
本開示の態様は、抵抗加熱によって加熱の態様が実施されるアトマイザに関連し、電流を流すために加熱要素に電気接続する必要があるが、カトマイザの設計は、誘導加熱の使用に特に関連する。これは、通常は金属から形成される導電性アイテムが、熱を生成するアイテムに流れる渦電流による電磁誘導によって加熱されるプロセスである。誘導コイル(ワーキングコイル)は、発振器からの高周波交流電流が流されるときに電磁石として動作し、これにより磁場が発生する。導電性アイテムが磁場の磁束の中に置かれるとき、磁場はアイテムに侵入し、渦電流を誘導する。渦電流は、アイテム内を流れ、電流を直接供給することによって抵抗性電気加熱要素で熱が生成されるのと同様に、ジュール加熱によってアイテムの電気抵抗に対する電流に従って熱を生成する。誘導加熱の魅力的な特徴は、導電性アイテムへの電気接続が不要であることである。代わりに、要件は、アイテムが占める領域に十分な磁束密度が生成されることである。液体の近傍で発熱が必要とされる蒸気供給システムに関しては、液体と電流とのより効果的な分離を行うことができるので、これは有益である。カトマイザに他の電動アイテムが配置されていないと仮定して、カトマイザとその電力セクションを電気的に接続する必要はなく、カトマイザの壁によってより効果的な液体障壁を提供することができ、漏れの可能性を低減する。
【0047】
誘導加熱は、上述したように導電性アイテムを直接加熱するのに効果的であるが、非導電性アイテムを間接的に加熱するために使用することもできる。蒸気供給システムでは、気化を引き起こすために、アトマイザの多孔質ウィッキング部分の液体に熱を供給する必要がある。誘導による間接的な加熱の場合、導電性アイテムは、加熱が必要とされるアイテムに隣り合って又は接触して、ワークコイルと加熱対象のアイテムとの間に配置される。ワークコイルは、誘導加熱により導電性アイテムを直接加熱し、熱は、熱放射又は熱伝導によって非導電性アイテムに伝達される。この配置では、導電性アイテムはサセプタと呼ばれる。したがって、アトマイザでは、加熱構成要素は、熱エネルギーをアトマイザの多孔質部分に伝達するための誘導サセプタとして使用される導電性材料(典型的には金属)によって提供することができる。
【0048】
図5は、本開示の例によるカトマイザ40と、誘導加熱用に構成された電力構成要素20とを備える蒸気供給システムの非常に簡略化された概略図を示す。カトマイザ40は、
図2、3、及び4の例に示されている通りでよく(他の配置も除外されない)、わかりやすくするために輪郭のみが示されている。カトマイザ40はアトマイザ70を備え、加熱機能がサセプタ(図示せず)によって提供されるように、誘導加熱によって加熱が実現される。アトマイザ70は、エンクロージャ80によって取り囲まれたカトマイザ40の下部に配置され、エンクロージャ80は、エアロゾルチャンバを画定するだけでなく、片持ち式の取付けにより損傷に対して比較的脆弱であり得るアトマイザ70に対してある程度の保護を提供するように作用する。しかし、アトマイザ70の片持ち式の取付けは、アトマイザ70をコイル90の内部空間に挿入することができ、特にリザーバがワークコイル90の内部空間から離して配置されるので、効果的な誘導加熱を可能にする。したがって、電力構成要素20は、カトマイザ40が(例えば摩擦嵌合、クリップ作用、ねじ式、又は磁気キャッチによって)使用のために電力構成要素に結合されるときにカトマイザ40のエンクロージャ80が受け入れられる凹部22を備える。誘導ワークコイル90は、凹部22を取り囲むように電力構成要素20に配置され、コイル90は、コイルの個々のターン(コイルの一巻き部分)が延びる長手方向軸線と、サセプタの長さに実質的に一致する長さとを有し、カトマイザ40と電力構成要素20とが接合されるときにコイル90とサセプタとが重なり合う。他の実施形態では、コイルの長さは、サセプタの長さと実質的に一致しないことがあり、例えば、サセプタの長さがコイルの長さよりも短くてもよく、又はサセプタの長さがコイルの長さよりも長くてもよい。このようにして、サセプタは、コイル90によって生成される磁場内に配置される。周囲のコイルからのサセプタの離間距離が最小化されるようにアイテムが配置される場合、サセプタが受ける磁束がより高くなることがあり、加熱効果がより効率的になることがある。しかし、離間距離は、少なくとも一部は、エンクロージャ80によって形成されるエアロゾルチャンバの幅によって設定され、これは、アトマイザ全体にわたる適切な空気流を可能にし、液滴の同伴を回避するようにサイズ設定する必要がある。したがって、様々なアイテムのサイズ設定及び位置決めを決定するとき、これら2つの要件が互いにバランスを取られる必要がある。
【0049】
電力構成要素20は、適切なAC周波数でコイル90に通電するために電力を供給するためのバッテリー5を備える。さらに、蒸気生成が必要とされるときに電源を制御し、ここではさらには考察しない蒸気供給システムに関する他の制御機能を場合により提供するためのコントローラ28が含まれる。電力構成要素は、図示されていない、及び本議論に関係のない他の部品を含むこともある。
【0050】
図5の例は、電力構成要素20とカトマイザ40とが端部同士を結合されてペン形状を実現する、直線的に配置されたシステムである。
【0051】
図6は、代替設計の簡略化された概略図を示し、カトマイザ40は、よりボックス状の配置のためのマウスピースを提供し、バッテリー5は、電力構成要素20内でカトマイザ40の片側に配設される。他の配置も可能である。
【0052】
上述したカトマイザの例は流れ誘導部材を含み、流れ誘導部材は、一般に、リザーバ及び空気流路を閉じるためにリザーバハウジングと係合するカトマイザの構成要素であり、これらの領域又は容積部は互いに分離され、リザーバ容積部内に液体を保持する。容積部の閉止は部分的であり、流れ誘導部材は、リザーバと連通して液体がリザーバから外方向に流れることを可能にする少なくとも1つの液体流れチャネルと、空気流路と連通してエアロゾルが空気流路内に内方向に流れることを可能にする少なくとも1つのエアロゾル流れチャネルとを有する。
【0053】
流れ誘導部材は、
図4の例におけるようにただ1つの液体流れチャネルを有することも、2つ以上の液体流れチャネルを有することもある。
図3の例は、所望であれば2つ以上の液体流れチャネルに適している。これは、リザーバの環状性により、2つ、3つ、又は4つ以上の液体流れチャネル入口をリザーバの環の周りに角度を空けて離間配置することが可能であるからである。例えば、リザーバの直径方向で向かい合う側に配置された2つの入口を提供することができる。
【0054】
同様に、流れ誘導部材は、ただ1つのエアロゾル流れチャネルを有することも、2つ以上のエアロゾル流れチャネルを有することもある。
図3の例では、単一のエアロゾル流れチャネル66が見えるが、1つ又は複数の追加のエアロゾル流れチャネルを、流れ誘導部材の円形形状の周りに離間配置することができる。
図4の例は、エアロゾルを両方の空気流路に同時に送達するように2つのエアロゾル流れチャネルを有する。しかし、より少量のエアロゾルが意図される場合、単一のエアロゾル流れチャネルを提供することもでき、したがって、カトマイザが組み立てられるとき、2つの空気流路のうちの一方のみが動作可能であり、エアロゾルチャンバからエアロゾルを受け取ってマウスピース出口に送達することができる。他の空気流路は、エアロゾル流れチャネルによってエアロゾルチャンバに接続されない。
【0055】
一般に、上記液体流れチャネル又は各液体流れチャネルの液体入口、及び上記エアロゾル流れチャネル又は各エアロゾル流れチャネルのエアロゾル出口は、リザーバハウジングに面する(及び一般に、カトマイザが蒸気供給システムで使用されているときに上面になる)流れ誘導部材の端面に配置される。逆に、上記液体流れチャネル又は各液体流れチャネルの液体出口、及び上記エアロゾル流れチャネル又は各エアロゾル流れチャネルのエアロゾル入口は、エアロゾルチャンバに面する流れ誘導部材の反対側の端面に配置される。この端面は、カトマイザが蒸気供給システムで使用されているとき、一般的に下面になる。
【0056】
図3及び
図4は例示的な配置にすぎず、液体流れチャネル及びエアロゾル流れチャネルは、液体及びエアロゾルを指定の位置に及び指定の位置から移送するという同じ結果を実現する当業者に明らかな他の異なる形状、位置、及び構成で、流れ誘導部材を通して設けることもできる。チャネルは、流れ誘導部材の寸法内でかなりの量だけ互いに分離されることがあり、又は(
図3の例のように)密に隣り合うことがあり、流れ誘導部材の材料から形成された隔壁によって分離されているものと考えることもできる。
【0057】
チャネル自体は互いに分離されているが、様々な入口及び出口が共有されることがある。言い換えると、1つの入口/出口が別の入口/出口と同じ位置にある又は一致することがある。例えば、
図3の例では、液体流れチャネル63は、流れ誘導部材60の下面の中央に配置された液体出口を有し、リザーバの環状容積部の周りに離間配置された入口を有する任意のさらなる液体流れチャネルが、この同じ中央の位置につながる出口を有することができる。したがって、出口は互いに一致していると考えることができ、全ての出口が、流れ誘導部材の下方の同じ中央空間65に液体を送達して、中央に配置されたアトマイザによって取り込まれるようにする。同様に、エアロゾル流れチャネル66は、中央空間65に入口を有し、任意の追加のエアロゾル流れチャネルは、同じ入口を使用し、そこから分岐して、流れ誘導部材60を通って、空気流路54と連通する出口まで異なる経路をたどることができる。
【0058】
液体流れチャネル及びエアロゾル流れチャネルを異なる数にするという選択肢は、カトマイザ全体の設計に融通性を与え、チャネルの数及びアトマイザの機能に従って、より多数又は少数の液体を気化のために送達することができ、より多数又は少数のエアロゾルを吸引のために収集することができ、所望に応じてユーザへのエアロゾル出力を指定することができる。
【0059】
エアロゾルチャンバ内に片持ち位置でアトマイザを取り付けるためのソケットは、所望に応じて流れ誘導部材の一部として含めることができる。
図4の例は、そのような配置を示す。ソケットの形成は、アトマイザを支持するように構成された、流れ誘導部材の支持部分と考えることができる。
【0060】
簡便さと単純さのために、液体流れチャネルとソケットとを組み合わせて、流れ誘導部材を通って延びる単一の貫通穴にすることができる。
図4に、そのような構成の一例を示す。液体流れチャネルの液体出口端は、アトマイザと同等の幅及び/又は断面を有するように寸法決定され、アトマイザの第1の端部を出口に挿入して、所要の片持ち位置で支持されるように出口に保持することができるようにする。保持は、例えば摩擦嵌めによるものでよく、又はアトマイザが折畳み型の金属ヒータ(
図3を参照)を備える場合にはばね作用によるものでよく、金属ヒータの両端はバイアスを有し、アトマイザがソケットに挿入されるときに流れ誘導材料の材料に対して外方向に開く。次いで、リザーバから液体流れチャネルの液体入口に入る液体は、アトマイザの多孔質機能によって吸収されるように、チャネルに沿ってアトマイザの端部に直接移送される。アトマイザがソケット内にぴったりと嵌まる場合(例えば、ソケットと同一又は同様の断面の多孔質セラミックロッドを備える場合)、この配置は、リザーバからの液体の漏れを最小限に抑えるのに役立つことがある。挿入されたアトマイザは、液体流れチャネル出口を封止するように作用し、チャネル内の液体は、自由液体として逃げることはできず、アトマイザによってのみ取り込まれ、ヒータで気化するために送達することができる。
【0061】
しかし、そのような配置は必須ではなく、ソケットは、液体流れチャネルとは別の流れ誘導部材の成形部分として提供されることもある。
【0062】
代替として、他の例では、流れ誘導部材は、アトマイザを支持するための支持部分を有さないことがある。
【0063】
流れ誘導部材は、リザーバハウジングの対応する形状の部分と係合するように構成された成形部分を有することがあり、これら2つの部品を一緒に保持することができるようにする。例えば、流れ誘導部材とリザーバハウジングとは、スナップ嵌め配置若しくは摩擦嵌め配置によって係合することができ、又は、互いに合わされて接着剤によって、若しくは超音波若しくはレーザによる溶接によって固定することができる表面があり得る。同様に、上記の方法のいずれかによってアトマイザの周りのエンクロージャが流れ誘導部材に結合されるようにする成形部分があり得るが、代替として、エンクロージャは、リザーバハウジングに直接結合することもあり、又はリザーバハウジングと一体に形成されることもある。
【0064】
流れ誘導部材は、例えば成型によって製造することができる(しかし他の製造技法も除外されない)。流れ誘導部材は、実質的に剛性又は非可撓性若しくは非圧縮性の材料から作製されることがある。流れ誘導部材が結合又は係合するカトマイザの他の部分が実質的に剛性の材料から作製される場合、撓み、弾性変形、及び/又は圧縮が可能な弾性材料から流れ誘導部材を形成することがより好都合となり得る。これらの特性は係合を容易にする。その理由は、流れ誘導部材をわずかに圧縮、圧搾、又は変形させて、圧縮嵌めで他の部分に結合し、次いで摩擦によって所定の位置に保持することができる、又は流れ誘導部材がいくぶん圧縮下にあるので所定の位置に保持することができるからである。この手法は、接着、溶接などを必要とせずに部品を位置合わせして押し合わせるだけでよい単純な製造手順に役立つだけでなく、リザーバからの液体の漏れに対する優れた封止を提供し、空気の流れを空気流路に閉じ込めるように作用することができる。さらに、この手法は、リザーバハウジング及びエンクロージャ(さらに、ソケットが流れ誘導部材に提供されている場合にはアトマイザ)のための許容可能な製造公差を大きくすることができる。流れ誘導部材が弾性特性を有し、他の部品と接合されるときに異なる量だけ変形することができる場合、より剛性の他の構成要素の様々なサイズ設定誤差又はばらつきを吸収することができる。したがって、製造上のばらつきにより生じる構成要素寸法の許容範囲を広げることができる。このようにして、カトマイザを、より少ない浪費でより効率的に製造することができる。
【0065】
これを可能にするために、流れ誘導部材は、可撓性の弾力性材料、言い換えると弾性変形可能な特性を有する材料から作製することができる。有用な例は、ポリシロキサン(シロキサンの合成ポリマー)としても知られるシリコーン材料である。シリコーンは通常、耐熱性があり、アトマイザの加熱部分の近位で又は加熱部分に接触させて使用するのに適している。また、シリコーンは、低い化学反応性及び低い毒性を有することができ、人が消費するためのエアロゾルを生成するように意図されたエアロゾル化可能な基材材料と接触させて使用するのに適している。
【0066】
代替として、天然ゴム又は合成ゴム、ポリウレタン、及び弾力性プラスチックなど他の材料を使用することもできる。代替として、可撓性は、外側ハウジングが可撓性材料で形成されることによって提供されることがあり、流れ誘導部材は、概して剛性の材料から形成される。
【0067】
図4に戻ると、本開示はまた、リザーバ及び空気流路を画定するためのハウジングに関する。
図4は、外壁によって画定されるハウジングの内容積部が、直線状の内壁によって、リザーバに対応する3つの容積部又は領域及び2つの空気流路に分割される例を示し、内壁は、外壁の1つ又は複数の内面の向かい合う2つの側の間で内容積部にわたって延びる。しかし、ハウジングは、他の形状設定及び構成にすることもできる。
【0068】
図7Aは、さらなる例示的なハウジングの側断面図を示す。ハウジング42は、中心長手方向軸線Xの周りで長手方向に延びる外壁44を備える。概して管状である外壁44は、ハウジング42の下壁103によって画定される第1の端部101と、ハウジング42の上壁104によって画定される第2の端部102とによって境界を画される内容積部100を画定する。
【0069】
図7Bは、ハウジング42の横断面図を示す。この図から、外壁44は、長手方向軸線Xに垂直な平面内で、概して楕円形の断面形状、又は丸みの付いた若しくは湾曲した端部を有する細長い断面形状を有することが分かる。したがって、外壁は、この例では実質的に楕円形の管である。
【0070】
ハウジング42は、内壁48をさらに備える。この例では、内壁は、外壁44の楕円形の小さい方の幅(短軸)と実質的に同じ直径を有する円筒形の壁(したがって長手方向軸線Xに垂直な平面内で円形断面を有する)を備える。したがって、内容積部100内で外壁44の内側に同軸に配置された内壁48は、外壁44の内面の向かい合う側に接触して接続されている。したがって、内壁48と外壁44とは、共通の長手方向軸線Xを有する。内壁48は、ハウジング42の上壁104及び下壁103にも接合されるように外壁44の全長に延びる。このようにして、内壁は、内容積部100を、流体連通せずに互いに分離された3つの容積部又は領域に分割する。これらの容積部は、内壁48によって画定される内側円筒形空間である、エアロゾル化可能な基材材料を貯蔵するためのリザーバ領域又はリザーバ容積部50と、(
図7Bから理解できるように横断面内で)リザーバ容積部50の各側に1つずつ配置され、内壁48の外面及び外壁44の内面によって境界が画される2つの空気流路、容積部、又は領域54とを含む。
【0071】
3つの領域は様々な開口部を有し、開口部がそれらの働きを行うことができるようにする。これらの開口部は、下壁103及び上壁104のアパーチャである。
【0072】
リザーバ領域50は、内容積部の上側の第2の端部102で閉じられ、したがって、上壁104は、内壁48の上端を横切って連続的であり途切れていない。内容積部100の第1の下側の端部101で、リザーバは、下壁103の開口部を備える少なくとも1つの液体出口46を有する。製造中、リザーバ領域50は、液体出口46を通して液体で満たすことができ、それにより、蒸気供給システムでのハウジングの使用中、液体がリザーバ領域50から出て、蒸気生成のためにアトマイザに供給されることを可能にする。
【0073】
空気流領域54は、両端に開口部を備える。各空気流領域は、
図4に関して述べたように、蒸気を運ぶ空気が空気流領域54に入るのを可能にするために、下壁103に開口部を備える少なくとも1つの空気入口52を有する。各空気流領域54は、蒸気供給システム(図示せず)のマウスピースを通してエアロゾルをユーザに送達するために、蒸気を運ぶ空気が空気流領域54から出るのを可能にする上壁104の開口部を備える少なくとも1つの空気出口56も有する。
【0074】
外壁44は、長手方向軸線の全範囲に沿って楕円形断面を有することも、異なる断面形状を有することもある。
図4に関して述べたように、少なくとも下端での楕円形は、他の構成要素への自動的な結合を容易にすることができる。
【0075】
また、外壁44は、先細り形状を有し、第2の上側の端部102よりも第1の下側の端部101で大きい断面積を有する。したがって、外壁は、第1の端部から第2の端部に内方向に先細りしている。これにより、ハウジング42は、カトマイザ又は蒸気供給システムの他の部分に結合される下端と、ユーザによって保持されるように意図された蒸気供給システムの下部よりも狭い幅を有することが望まれることがあるマウスピースに結合することができる上端との間で滑らかに減少する輪郭を画定することが可能である。
【0076】
全体として、外壁44によって画定されるハウジング42の外形は、楕円形の基部(第1の下側の端部101)を備えた円錐台(第2の上側の端部102で切頭された)の形状である。
【0077】
内方向に先細りする外壁44は、先細りしていない円筒形の内壁48と併せて、空気入口端と比較して空気出口端に向かって狭くなる空気流路54を画定するための簡便な方法である。この狭窄は、実質的に滑らかで均一になるように提供される。これにより、ユーザが蒸気供給システムを吸引したときに、空気流路を通して引き込まれる空気の速度が徐々に増加する。したがって、エアロゾルは、より高速でユーザに送達される。また、楕円形の外壁44及び円筒形の内壁48によって提供される空気流路54の内部の滑らかな形状は、空気流路の断面の突然の変化を回避する。したがって、空気流路の内部でのエアロゾルの望ましくない堆積を促すことがある湾曲部、角部、又は同様の表面がなく、ユーザへのエアロゾル送達が最大化される。
【0078】
また、円筒形構成要素としての内壁48の構成は、楕円形の外壁44の物理的な強度をより増加するのに役立つ。ハウジングは通常、剛性であり得るプラスチック材料から成形されるという前提の下で、このより高い強度は、リザーバ内容物の望ましくない漏出につながるハウジングの偶発的な潰れ又は他の破損に耐えるのに役立つことがある。
【0079】
図7Aのハウジングは、例えば前の例においてリザーバハウジングがシュラウド及び/又は流れ誘導部材に結合されるのと同様に、カトマイザ又はカートリッジを構成するために、1つ又は複数の追加の構成要素とのハウジングの係合のための1つ又は複数の特徴部を下端101にさらに備えることがある。同様に、上端は、例えば外部蒸気供給システムのマウスピースと係合するための特徴部を備えることがある。
【0080】
図8は、
図7Aの例と比較して修正された別の例示的なハウジングの断面図を示し、内壁48は、内容積部の第1の端部101を画定する下壁103から、内容積部の第2の端部102を画定する上壁104に向かう途中まで延びる。内壁48の上部は二次内壁48Aによって閉じられ、二次内壁48Aは、リザーバ領域50を閉じ、リザーバ領域50を空気流領域54から分割する。したがって、リザーバ領域50は、
図7Aの例のように第2の端部102で閉じられるのではなく、内容積部の第2の端部102に隣り合って閉じられる。内部仕切り48Bは、内容積部の上部を2つの空気流路54に分割するために、二次内壁48Aから上壁104まで延びる。二次内壁48A及び内部仕切り48Bは、内壁48の一部と考えることができ、これらの3つの要素が一緒に作用して内容積部を所望の3つの領域50、54に分割する。代替構成では、内部仕切り48Bが省かれることがある。この場合、空気流路54は、リザーバ50の境界を画する内壁48によって内容積部の下部で互いに分離され、リザーバ領域50の上方の共有領域に合流される。このとき、上壁104にただ1つの空気出口56があれば十分であり得る。
【0081】
図4、
図7A/7B、及び
図8に関して3つの例示的なハウジングを述べてきたが、本開示のこの態様は、これらの例の正確な構成に限定されない。特に、外壁及び1つ又は複数の内壁の形状は、上記の例とは横断面平面で異なることがあるが、それでも、それぞれがハウジングの全長のほとんど又は全てにわたって延びるように並べて配置された3つの領域(2つの空気流路間の1つ又は複数のリザーバ容積部又は領域)を有するハウジングを提供する。例えば、外壁44は、上端102に向かって内方向に先細りしないことがある。
【0082】
結論として、様々な問題に対処して技術を進歩させるために、本開示は、例示として、特許請求される発明を実施することができる様々な実施形態を示す。本開示の利点及び特徴は、実施形態の代表的な例にすぎず、網羅的及び/又は排他的ではない。それらは、特許請求される発明の理解を助け、特許請求される発明を教示するためにのみ提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義される開示に対する制限、又は特許請求の範囲の均等物に対する制限と考えるべきではなく、他の実施形態を利用することができ、特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく変形を行うことができることを理解されたい。様々な実施形態は、本明細書に具体的に述べたもの以外の、開示される要素、構成要素、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に含む、それらからなる、又は本質的にそれらからなることができる。本開示は、現在特許請求されていないが将来に特許請求される可能性のある他の発明を含むこともある。
【国際調査報告】