(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(54)【発明の名称】ゲル電気泳動のための鋸歯状の歯付き塗布コーム
(51)【国際特許分類】
G01N 27/447 20060101AFI20220413BHJP
【FI】
G01N27/447 321A
G01N27/447 321B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021551971
(86)(22)【出願日】2020-02-10
(85)【翻訳文提出日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 US2020017409
(87)【国際公開番号】W WO2020180458
(87)【国際公開日】2020-09-10
(32)【優先日】2019-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591006911
【氏名又は名称】ヘレナ ラボラトリーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100221899
【氏名又は名称】高倉 みゆき
(72)【発明者】
【氏名】ティプトン エル ゴライアス
(57)【要約】
本体(14)と、当該本体から第1の方向に延在する一連の歯(16)と、を有する塗布器(10)を提供し、歯(16)は、当該第1の方向に垂直な第2の方向に互いに離間し、各歯は、基部と、先端と、対向する側面と、を有し、少なくとも1つの歯(16)は、互いに離間した一連の鋸歯部22を含み、各鋸歯部は、先端部(24)と、基部部(26)と、対向する側面(28,30)と、を有し、好ましくは略台形形状であることを特徴とする。また、上述の流体塗布器(10)を使用して液体試料を基板上に堆積させる方法を提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(14)と、前記本体から第1の方向に延在する一連の歯(16)と、を有する塗布器(10)であって、
前記歯(16)は、前記第1の方向に垂直な第2の方向に互いに離間し、
各歯は、基部と、先端部と、対向する側面と、を有し、
少なくとも1つの歯(16)は、互いに離間した一連の鋸歯部22を含み、
各鋸歯部は、先端部(24)と、基部(26)と、各鋸歯部間で対向する側面(28、30)と、を有することを特徴とする塗布器(10)。
【請求項2】
各歯(16)が一連の鋸歯部を含む、請求項1に記載の塗布器。
【請求項3】
少なくとも1つの鋸歯部は、前記先端部(24)が前記基部(26)よりも狭い略台形形状である、請求項1又は2に記載の塗布器。
【請求項4】
少なくとも1つの鋸歯部が、前記第1の方向に対して角度の付いた対向する側面(28,30)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の塗布器。
【請求項5】
少なくとも1つの鋸歯部が、前記第1の方向に対して各々同じ角度をなす対向する側面(28,30)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の塗布器。
【請求項6】
1~55の歯、好ましくは20、25、30、35、40、45又は50の歯を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の塗布器。
【請求項7】
1つの歯(16)が、少なくとも1つ、好ましくは5、10、15又は20の鋸歯部を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の塗布器。
【請求項8】
少なくとも2つの鋸歯部を有し、鋸歯部間のピッチがおよそ305ミクロンである、請求項1~7のいずれか一項に記載の塗布器。
【請求項9】
少なくとも1つの鋸歯部の高さがおよそ230ミクロンである、請求項1~8のいずれか一項に記載の塗布器。
【請求項10】
少なくとも2つの鋸歯部を有する塗布器であって、
前記鋸歯部は、鋸歯部の間のピッチ「P」と、高さ「H2」と、を有し、
前記ピッチ「P」は前記高さ「H2」よりも大きい、請求項1~9のいずれか一項に記載の塗布器。
【請求項11】
少なくとも2つの鋸歯部を有する塗布器であって、
前記鋸歯部は、鋸歯部の間のピッチ「P」と、高さ「H2」と、を有し、
前記ピッチ「P」対前記高さ「H2」の比は、約1.25よりも大きく、約1.5よりも小さい、請求項1~10のいずれか一項に記載の塗布器。
【請求項12】
少なくとも2つの鋸歯部を有する塗布器であって、
前記鋸歯部は、鋸歯部の間のピッチ「P」と、厚さ「T」と、を有し、
前記ピッチ「P」は前記厚さ「T」よりも大きい、請求項1~11のいずれか一項に記載の塗布器。
【請求項13】
少なくとも2つの鋸歯部を有する塗布器であって、
前記鋸歯部は、鋸歯部の間のピッチ「P」と、厚さ「T」と、を有し、
前記ピッチ「P」対前記厚さ「T」の比は、約1.25より大きく、約1.75より小さい、請求項1~12のいずれか一項に記載の塗布器。
【請求項14】
最初に鋸歯部を液体試料と接触させ、その後、鋸歯部からの液体試料を基板上に堆積させるステップを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の塗布器(10)を使用して液体試料を基板上に堆積させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の製品及び方法は、電気泳動プレートへの生体試料の塗布を含む、生体試料の電気泳動分析の分野に関する。より具体的には、本開示の製品及び方法は、流体塗布装置、及び生体試料を現場で電気泳動分析するために流体塗布装置を利用して液体試料を基板上に堆積させる方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
臨床検査の実務では、電気泳動のような様々な技術を使用して、試料を基板に塗布して分離させ、分析する。電気泳動とは、一般的に、浸漬された電極間の電位差の影響により、液体又はゲル中の懸濁粒子及び/又はコロイド粒子が電圧駆動で移動することである。電気泳動を使用する多くの装置では、試料を基板の表面のみに塗布し、次いで電圧を印加して試料の成分を分離するという方策がとられている。この方策は、免疫固定に基づく電気泳動及び二次元電気泳動などの技術に使用されている。免疫固定電気泳動は、特許文献1で知られている。方形歯付き塗布コームの使用は、特許文献2で知られている。塗布コームの改良は、特許文献3で知られている。ゲル電気泳動システム及び方法は、特許文献4及び特許文献1で知られている。
【0003】
より具体的には、電気泳動は、リポ粒子及びリポタンパク質の評価のような、生体試料からのタンパク質及びコロイド粒子の研究によく使用されている。特許文献1に記載されているような免疫固定法では、その全体が参照により本明細書に組み込まれるが、生体試料(例えば血清)を基板に塗布し、成分を電気泳動させる。血液の特定成分を標的とする標識抗体を含有する抗血清を基板に塗布する。抗体は抗原標的に付着し、標識を検出する何らかの手段によって標的を同定することができる。
【0004】
臨床応用では、同じ基板上で多数の試料を並行して分析することが望ましい。これにより分析する試料当たりのコストを削減し、時間を大幅に節約する。レナ・ラボラトリーズ社のSPIFE3000アッセイ装置のような高スループット機器及び装置がこの目的のために作られている。
【0005】
高スループット機器は、塗布コームを使用して、一連の試料を基板上に一列に塗布する。このような塗布コームは方形歯を使用する設計であり、特許文献2に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。塗布コームのさらなる改良は、特許文献3に記載及び図示され、これもまたその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
基板当たりの試料数を増加させて、スループットを増やし、方法をより効率的にし、コームの各歯の流体制御を強化するという要望が続いている。この点に関して、流体制御とは、とりわけ、(a)各歯が試料に挿入されるときに歯が保持する流体の量、(b)各歯がゲルに移送する試料の量、(c)歯が抗原を含有するリザーバに挿入されるときに各歯が保持する抗原の量、及び(d)その後ゲル上に堆積する抗原の量を指す。流体制御のさらなる態様は、所望の量の流体(試料/標本/抗原)が歯によって最初に保持される速度、及びその後、所望の量の流体が歯によって堆積又は放出される速度又は比などの構成を含む。
【0007】
基板の幅を同時に変えずに塗布コームにおける歯の数を変えると、各歯の大きさを小さくする必要があり、その結果、歯の寸法が小さいと流体制御の損失となるため、解決策としてはあまり望ましくない。また、歯幅が小さくなると構造的完全性が失われ、製造中並びに試料リザーバ及び基板と接触するときに各歯が変形しやすくなる。
【0008】
歯を単純に小さくしてより多くの試料を収容することは、再現性がなく、一貫して堆積/移送される歯当たりの試料の量を減少させ、試料が分離した後に試料の標的成分を検出する能力を低下させる。加えて、塗布コーム当たりの歯の数が増加して試料堆積量が変化すると、レーン汚染が発生し、隣接するレーンの試料が互いににじみ、試料の測定値が信頼できなくなってしまう場合がある。
【0009】
ゲル上の試料密度をより高くするために、過去の取り組みでは、歯はより狭くなるように製造されていた。しかし、大きさ/形状を直接的に縮小することは、液体管理の一貫性を欠き、一般的に液体の堆積量を減少させる。塗布する液体体積は、検査の感度に十分に対応できる体積でなければならない。幅の狭い歯でもあっても、制御された再現性のある方法で適切な体積を装填したり取り出したりする能力がなければならない。液体を吸着する追加の表面がない幅の狭い歯では、液滴の表面が歯の表面からあまりにも遠くに突出し、液滴を適所に保持するのに必要な表面張力を増大させる。歯が狭すぎて液体を保持するための他の設備がない場合に、各歯のフラッシュ寸法では液滴の表面張力を維持して液体の早期放出を防止するには不十分である。
【0010】
本発明は、当技術分野におけるこれら及び他の欠点を克服する塗布器を対象とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0052594号明細書
【特許文献2】米国特許第6,544,395号明細書
【特許文献3】米国特許第9,759,682号明細書
【特許文献4】国際公開第2013/181267号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一態様は、概ね平面である表面を有する塗布体を含む流体塗布装置に関する。複数の整列した塗布歯が塗布体から延在している。各塗布歯は、塗布体に近接する塗布歯の基部から塗布体に遠位の塗布歯の先端部までの長さに沿って、塗布体から長手方向に延在する。塗布器の歯は鋸歯状である。
【0013】
本開示の別の態様は、本体から第1の方向に延在する一連の歯を有する塗布体を含む流体塗布器に関し、歯は、当該第1の方向に垂直な第2の方向に互いに離間し、各歯は、基部と、先端部と、対向する側面と、を有し、少なくとも1つの歯は、一連の離間した鋸歯部を有し、各鋸歯部は、先端部と、基部と、対向する側面と、を有する。
【0014】
本開示の別の態様は、本体から第1の方向に延在する一連の歯を有する塗布体を含む流体塗布器に関し、歯は、当該第1の方向に垂直な第2の方向に互いに離間し、各歯は、基部と、先端部と、対向する側面と、を有し、少なくとも1つの歯は、一連の離間した鋸歯部を有し、各鋸歯部は、先端部と、基部と、対向する側面と、を有し、鋸歯部は、先端部が基部よりも狭い略台形形状であり、好ましくは、対向する側面が当該第1の方向に対して各々同じ角度をなす。
【0015】
本開示のさらに別の態様は、1~55の歯、好ましくは20、25、30、35、40、45又は50の歯を有する記載の塗布器であり、少なくとも1つの歯は、少なくとも1つ、好ましくは5、10、15又は20の鋸歯部を有する。
【0016】
本開示のさらに別の態様は、歯を有し、歯が少なくとも2つの鋸歯部を有する塗布器であり、(a)鋸歯部間のピッチはおよそ305ミクロンであり、(b)少なくとも2つの鋸歯部の高さはおよそ230ミクロンであり、(c)鋸歯部間のピッチは鋸歯部の高さよりも大きく、(d)鋸歯部間のピッチ対鋸歯部の高さの比は約1.25よりも大きく、約1.5よりも小さく、好ましくは約1.3よりも小さく、(e)鋸歯部は分離部の間の厚さとピッチを有し、ピッチは厚さよりも大きく、(f)鋸歯部間のピッチ対鋸歯部の厚さの比は約1.25よりも大きく、約1.75よりも小さく、好ましくは約1.5よりも小さい、のうち少なくとも1つを有する。
【0017】
本開示のさらに別の態様は、鋸歯状の歯を有する塗布器を使用して液体試料を基板上に堆積させる方法であり、最初に鋸歯部を液体試料と接触させ、その後、液体試料を鋸歯部から基板上に堆積させるステップを含む。
【0018】
本開示の別の態様は、概ね平面である表面を有する塗布体を備える流体塗布装置を提供するステップを含む、液体試料を基板上に堆積させる方法に関する。複数の整列した塗布歯が塗布体から延在している。各塗布歯は、塗布体に近接する塗布歯の基部から塗布体に遠位の塗布歯の先端部までの長さに沿って、塗布体から長手方向に延在する。複数の整列した塗布歯のうち少なくとも1つの塗布歯は、先端部が鋸歯状である。塗布装置の各歯を試料の供給容積に挿入し、試料の供給容積から取り除き、それによって各歯上に試料の試験体積を保持する。流体塗布装置の複数の歯の先端部を基板と接触させることによって、試料の試験体積の少なくとも一部を基板上に堆積させる。その後、塗布装置の各歯を抗原などの流体の供給容積に挿入し、流体の供給容積から取り出し、それによって各歯上に流体体積を保持する。流体塗布装置の複数の歯の先端部を基板と接触させることによって、流体体積の少なくとも一部を基板上に堆積させる。
【0019】
本開示の塗布器は、試料の装填、移送及び堆積について性能を改善する。本開示は、試料が堆積する間の液体流の制御の改善を含む、液体管理の改善を提供する。本開示は、解像度、感度又は流体移送制御を失うことなく、より多くの塗布歯を有する塗布器をさらに提供する。塗布歯の数が多いほど、高スループット実験室における効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の流体塗布装置の一実施形態の正面図である。
【
図2】本開示の流体塗布装置の一実施形態の斜視図である。
【
図3】本開示の流体塗布装置と共に使用するための
図1の個々の歯「A」の拡大正面図である。
【
図4】本開示の流体塗布装置と共に使用するための
図2の個々の歯「B」の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、流体塗布装置、及び流体塗布装置を使用して液体試料を基板上に堆積させる方法に関する。
【0022】
本開示の一態様は、概ね平面である表面を有する塗布体を含む流体塗布装置に関する。複数の整列した塗布歯が当該塗布体から延在している。各塗布歯は、塗布体に近接する塗布歯の基部から塗布体に遠位の塗布歯の先端部までの長さに沿って、当該塗布体から長手方向に延在する。複数の整列した塗布歯のうち少なくとも1つの塗布歯は、鋸歯状の先端部を有する。
【0023】
図1は、本開示の流体塗布装置10の一実施形態の正面図である。
図2は、本開示の流体塗布装置10の一実施形態の斜視図である。流体塗布装置10を使用して、ゲル電気泳動用途のために試料をゲル基板に並行に塗布することができる。本明細書に記載されるような流体塗布装置10は、任意の適切なゲル電気泳動システム及び/又は方法と共に使用することができる。このようなゲル電気泳動システム及び方法には、例えば、国際公開第2013/181267号(特許文献4)及び米国特許出願公開第2012/0052594号(特許文献1)に記載されているものが含まれ、これらの各々はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
例えば、流体塗布装置10は、電気泳動を実行する方法の一部として、電気泳動ゲルの受容ウェルに試料を堆積させるステップを実行する際に使用することができる。例示的な方法は、現場較正を用いて実施することができ、試験試料の体積を較正試料の体積又は量と組み合わせて最終体積を形成することを含み、較正試料の体積又は量は既知の濃度の較正器を含み、最終体積は試験試料対較正試料の既知の比を含む。また本方法は、電気泳動ゲルの受容ウェルに装填分画を堆積させることを含み、この装填分画は最終体積の分画であり、電気泳動ゲルの共通分離レーンに沿って装填分画を分離して、試験試料及び較正器の成分を共通分離レーンに沿って互いに分離する。また本方法は、共通分離レーン内で較正器及び試験試料の分離成分を検出すること、及びその検出に基づいて較正器及び試験試料の分離成分のレベルを測定することを含み、それによって現場較正を用いた電気泳動を実行する。
【0025】
さらなる実施例として、流体塗布装置10は、体液中に存在する特定のリポタンパク質粒子のレベルを評価する方法の一部として、電気泳動ゲルの受容ウェルに試料を堆積させるステップを実施する際に使用することができる。これは米国特許出願公開第2012/0052594号(特許文献1)に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例示的な方法は、ゲル電気泳動基板上のゲル電気泳動によって体液試料中に存在するリポタンパク質粒子を分離することと、基板を抗体に暴露してリポタンパク質粒子又はリポタンパク質粒子の成分に関連する免疫学的に活性な薬剤を検出することと、基板を試薬に暴露してタンパク質又は脂質の存在を検出することと、特定のリポタンパク質粒子のレベルを決定することと、を含む。
【0026】
ゲル電気泳動のためのシステムと共に本明細書に記載される流体塗布装置10を含むキットも考えられる。例えばゲル電気泳動のためのキットは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2012/0052594号(特許文献1)に記載されるような組立体、システム又は装置と、本明細書に記載されるような流体塗布装置と、を含むことができる。
【0027】
流体塗布装置10は、ハンドル12と、塗布体14と、塗布歯16と、を含むが、流体塗布装置10は、他の構成の他の要素を含むことができる。ハンドル12は、例えば米国特許第6,544,395号(特許文献2)に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれるが、流体塗布装置10の手動又は機械操作に使用される。ハンドル12は、以下にさらに説明するように、試料装填及び試料堆積手順に対して流体塗布装置10の取り扱い及び位置合わせを容易にする穴、ノッチ、スロット、突起又は他の構成を有することができる。一実施例では、塗布ハンドル及び塗布体を一体的に形成することができる。別の実施例では、接着剤又はのりを使用して、塗布体14をハンドル12にしっかりと取り付ける。第3の実施例では、タブ又は他の留め具によって塗布体14をハンドル12に機械的に取り付けることができる。塗布体14は、アルミナイズドポリエステル又はMylar(登録商標)などの金属化ポリマーで構成することができる。塗布体14に金属化ポリマーを使用することで、疎水性ポリマーの上に親水性表面ができる。一実施例では、塗布体14の幅は、約0.2cm~11.5cmとすることができる。
【0028】
塗布体14は、塗布体14に沿って整列するとともに塗布体14から長手方向に延在する多数の塗布歯16を含む。塗布歯16は、塗布体14の幅に沿って分布させることができる。塗布体14は、単なる例として
図1及び
図2において20本の塗布歯16を有するように図示されているが、流体塗布装置10は、1から55の範囲内で多数の塗布歯16を含むことができ、より多数の塗布歯16を使用することも考えることができる。一実施例では、流体塗布装置10は、少なくとも(すなわち最少で)20、25、30、35又は40の塗布歯16を含む。別の実施例では、流体塗布装置10は、多くても(すなわち最大で)45、50又は55の塗布歯16を含む。
【0029】
塗布歯16は、以下にさらに説明するように、液体試料を基板上に堆積させるための試料ウェル及び試料基板とのインターフェースとして機能する。塗布歯16の各々は、各歯のフットプリント内で約1μlの試料荷重を運び、移送するように設計されている。ここで、非限定的な実施例では、フットプリントは、各隣接する歯の間の約5mmの間隙によって両側に境界付けされる長さ約5mmの歯のブレードに対応する二次元インターフェースからなるが、フットプリントは他の寸法を有してもよい。歯16の各々は、好ましくは塗布体14に位置する基部20と、塗布体に遠位の自由端部と、を有する。非限定的な一実施形態では、歯「H」の高さは、基部20から遠位端部まで測定して約2.54cm(1.00インチ)とすることができる。非限定的な一実施形態では、歯「W」の幅は約3.96mm(0.156インチ)とすることができ、歯の前面から歯の後面までの厚さ「T」は約200ミクロン(0.008インチ)とすることができる。各歯の幅は、試料ウェルの幅及び試料が堆積する基板上の領域の幅などの要因に依存する。
【0030】
複数の歯を有する塗布体について説明してきたが、ここで個々の歯16の様々な代表的な非限定的な詳細について説明する。
図3は、
図1の単一の歯16「A」の拡大正面図であり、
図4は、
図2の単一の歯「B」の拡大斜視図である。
【0031】
記載された量、形状及び測定値は、例示的かつ非限定的なものである。少なくとも1つの歯16、好ましくは各歯16には、遠位先端部に位置し、基部20に向かって上向きに延在する複数の鋸歯部22が設けられている。単一の鋸歯部24は、先端部22から破線で図示する鋸歯部の頂部26まで、約230ミクロン(0.009インチ)の高さ「H2」を有することができる。歯は、好ましくは歯の幅にわたって均等に分布する5、10、15、20以上の鋸歯部を有することができる。鋸歯部は、鋸歯部の一部分から隣接する鋸歯部の対応する部分まで測定して約305ミクロン(0.012インチ)の適切なピッチ「P」で分離している。例えば、ピッチ「P」は、1つの鋸歯部の中心から次の隣接する鋸歯部の中心まで測定することが好ましい。鋸歯部は、歯の厚さに対応して、
図4に図示する正面から背面に向かって約200ミクロン(0.008インチ)の厚さ「T」を有する。個々の鋸歯部22は、鋸歯先端部24から上向きに鋸歯頂部26まで延在する略台形形状とすることができ、対向する側縁部28、30を有し、側縁部の各々の角度は垂直から測定して約20°である。よって、隣接する鋸歯部の側縁部間の角度は約40°である。したがって、鋸歯部は、歯の先端部に一連のノッチとして現れる。先端部24における各鋸歯部22の幅は、約50ミクロン(0.002インチ)とすることができ、隣接する鋸歯部間の空間の好ましい幅は、縁部28における1つの先端部24から縁部30における隣接する先端部24まで測定しておよそ250ミクロン(0.010インチ)とすることができる。
【0032】
本手法の利点は、鋸歯状の歯(正面、背面及び角度付きの両側面)の総表面積が、鋸歯部のない同一サイズの歯(前面、背面及び垂直の両側面)の表面積よりも、少なくとも50%大きく、90%又は95%大きい可能性があることである。したがって、従来のシステムと比較すると、より多量の制御された流体が歯に付着し、その後ゲル上に堆積することになる。
【0033】
記載の塗布器は、鋸歯部の間のピッチ「P」と、高さ「H2」と、を有する少なくとも2つの鋸歯部を有し、ピッチ「P」は高さ「H2」よりも大きい。ピッチ「P」対高さ「H2」の比は、好ましくは約1.25よりも大きく、好ましくは約1.5よりも小さく、より好ましくは約1.3よりも小さい。
【0034】
記載の塗布器は、鋸歯部の間のピッチ「P」と、厚さ「T」と、を有する少なくとも2つの鋸歯部を有し、ピッチ「P」は厚さ「T」よりも大きい。ピッチ「P」対厚さ「T」の比は、好ましくは約1.25よりも大きく、好ましくは約1.75よりも小さく、より好ましくは約1.5よりも小さい。
【0035】
好ましい実施形態を本明細書に詳細に描写し、説明してきたが、本開示の精神から逸脱することなく様々な修正、追加、置換などを行うことができ、したがって、これらは本開示の範囲内にあると考えられることが当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】