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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(54)【発明の名称】刺激のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20220413BHJP
   A61N 1/05 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552135
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(85)【翻訳文提出日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 US2020021545
(87)【国際公開番号】W WO2020181251
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】62/814,398
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】シャイナー,エイブラム
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ21
(57)【要約】
閉塞性睡眠時無呼吸を処置するための医療機器システムおよび方法が開示されている。このシステムは、パルス発生器と、細長いリード本体の遠位部分によって支持される複数の電極を含む医療用電気リードと、を備える。この方法は、口腔の下方の突き出し筋組織内に遠位部分を前進させることと、治療送達期間全体にわたって患者の舌の突き出し状態を持続させるように、治療送達期間全体にわたって突き出し状態を持続させるための電極を介して、電気刺激パルスを送達することと、を含む。この治療送達期間は、多数の呼吸サイクルの範囲に及ぶことがある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
中空送達ツールを患者の口腔下の突き出し筋組織(protrusor muscle tissue)内に、前記口腔中に貫入することなく、経皮的に前進させることと、
第1の医療用電気リードの第1の細長いリード本体の第1の遠位部分を、前記突き出し筋組織内に前記第1の遠位部分によって支持される第1の複数の電極を位置決めするように、前記口腔中に貫入することなく、前記送達ツールを介して前記口腔下の前記突き出し筋組織中に経皮的に前進させることと、
複数の呼吸サイクルを含む治療送達期間全体にわたって、患者の舌の突き出し状態を持続させるように、前記第1の複数の電極を介して、前記突き出し筋組織を活性化するための電気刺激パルスを送達することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記治療送達期間中に、前記第1の複数の電極から複数の異なる双極電極対を順次選択することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記突き出し筋組織の左部分を刺激するための、前記第1の複数の電極のうちの少なくとも第1の双極電極対、および前記突き出し筋組織の右部分を刺激するための、前記第1の複数の電極のうちの少なくとも第2の双極対を位置決めするように、前記突き出し筋組織の正中面を横切って前記第1の遠位部分を前進させることと、
前記治療送達期間全体にわたって、前記舌の前記突き出し状態を持続させるために、左突き出し筋および右突き出し筋を順次活性化するための前記第1および第2の双極電極を順次選択することと、をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記正中面を横切って前記第1の遠位部分を前進させることが、前記正中面を横切って前記第1の遠位部分を斜め方向に前進させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記突き出し筋組織の後方部分を刺激するための、前記第1の複数の電極のうちの少なくとも第1の双極電極対、および前記突き出し筋組織の前方部分を刺激するための、前記第1の複数の電極のうちの少なくとも第2の双極電極対を位置決めするように、前記突き出し筋の正中面に沿って前記第1の遠位部分を前進させることと、
前記舌の突き出し筋の前方部分の筋組織を活性化するための前記第1および第2の双極電極対、および前記舌の突き出し筋の後方部分の筋組織を活性化するための前記第1の対とは異なる前記複数の電極の第2の対を順次選択することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記電気刺激パルスを送達することが、前記治療送達期間の開始時間から前記治療送達期間の終了時間まで、
前記第1の複数の電極から第1の双極対を選択することと、
前記治療送達期間の第1のデューティーサイクルの間、前記第1の双極電極対を介して前記電気刺激パルスの第1の部分を送達することと、
前記第1の複数の電極から第2の双極対を選択することと、
前記治療送達期間の第2のデューティーサイクルの間、前記第2の双極電極対を介して、前記電気刺激パルスの第2の部分を送達することと、によって、前記電気刺激パルスを継続的に送達することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の呼吸サイクルの吸気および呼気段階とは無関係に、前記第1のデューティーサイクルの間、前記電気刺激パルスの前記第1の部分を送達することと、前記電気刺激パルス前記第2のデューティーサイクルの前記第2の部分を送達することと、をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記治療送達期間中に突き出し筋緊張と相関する信号を感知することと、
前記センサ信号に基づいて、前記突き出し筋緊張の状態を判定することと、
前記突き出し筋緊張の前記判定された状態に基づいて、前記治療送達期間中に前記電気刺激パルスを調整することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記中空送達ツールを顎下挿入部位において、さらに前記突き出し筋組織の中に経皮的に前進させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記中空送達ツールを前進させることが、顎下挿入部位から、前方経路に向かう後方経路に沿って、前記突き出し筋組織の中に経皮的に前記中空送達ツールを前進させることと、
前方経路に向かう後方経路に沿って、前記突き出し筋組織の中に前記第1の遠位部分を前進させることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記突き出し筋組織の第1の側に沿って、前記第1の複数の電極を位置決めするように、前記第1の遠位部分を、前記突き出し筋組織の正中面に横方向に隣接する前記突き出し筋組織の中に前進させることと、
前記突き出し筋組織の前記第2の側に沿って、前記第2の遠位部分によって支持される第2の複数の電極を位置決めするように、第2の医療用電気リードの第2の遠位部分を、前記口腔の下方にあり、かつ前記突き出し筋組織の前記第1の側の反対側の第2の側での前記突き出し筋組織の前記正中面の横方向に隣接する前記突き出し筋組織の中に経皮的に前進させることと、
前記治療送達期間全体にわたって前記患者の舌の突き出し状態を持続させるように、前記第1の複数の電極および前記第2の複数の電極を介して、前記突き出し筋組織を活性化するための前記電気刺激パルスを送達することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記治療送達期間全体にわたって前記患者の舌の前記突き出し状態を持続させるように、前記第1の複数の電極および前記第2の複数の電極から、少なくとも第1のデューティーサイクルのための第1の双極電極対、および第2のデューティーサイクルのための第2の双極電極対を順次選択することによって、前記電気刺激パルスを送達すること、をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の複数の電極のみから前記第1の双極対を選択することと、前記第2の複数の電極のみから前記第2の双極対を選択することと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の複数の電極のうちの少なくとも1つと共に対にされた前記第1の複数の電極のうちの少なくとも1つを選択することによって、前記第1の双極対を選択すること、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記患者の頸部に沿って、前記第1の医療用電気リードの近位端を皮下ポケットにトンネリングすることと、
前記近位端を、前記頸部に沿って前記皮下ポケット内に移植されたパルス発生器に結合することと、
前記パルス発生器によって前記電気刺激パルスを発生させることと、をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
医療機器システムであって、
第1の医療用電気リードであって、
第1の近位端から第1の遠位端に、前記第1の遠位端に近接する第1の遠位部分と共に延在する第1の細長いリード本体であって、前記第1の遠位部分が、前記口腔中に貫入することなく、口腔の下方の突き出し筋組織内に中空送達ツールを介して経皮的に前進するように構成される、第1の細長いリード本体と、
前記口腔の下方の前記突き出し筋組織内の移植のための、前記第1の遠位部分に沿って離間された第1の複数の電極と、を含む、第1の医療用電気リードと、
治療送達期間全体にわたって患者の舌の突き出し状態を持続させるように、前記第1の近位端を受容し、かつ前記第1の複数の電極を介して前記突き出し筋組織を活性化するための電気刺激パルスを送達するように構成されたパルス発生器と、を備える、医療機器システム。
【請求項16】
前記パルス発生器が、前記治療送達期間全体にわたって前記舌の前記突き出し状態を持続させるように、少なくとも前記突き出し筋組織の第1の部分および前記突き出し筋組織の第2の部分をそれぞれ順次活性化するように、前記治療送達期間中に前記第1の複数の電極から、少なくとも第1の双極対および第2の双極対”を順次選択するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記パルス発生器が、前記治療送達期間の開始時間から前記治療送達期間の終了時間まで、前記複数の呼吸サイクルの吸気および呼気段階とは無関係に、
前記の複数の電極から第1の双極対を選択することと、
前記治療送達期間の第1のデューティーサイクルの間、前記第1の双極電極対を介して、前記電気刺激パルスの第1の部分を送達することと、
前記複数の電極から第2の双極対を選択することと、
前記治療送達期間の第2のデューティーサイクルの間、前記第2の双極電極対を介して、前記電気刺激パルスの第2の部分を送達することと、によって、前記電気刺激パルスを継続的に送達するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
突き出し筋緊張に相関する信号を生成するように構成されたセンサをさらに備え、
前記パルス発生器が、
前記センサ信号に基づいて、前記突き出し筋緊張の状態を判定することと、
前記突き出し筋緊張の前記判定された状態に基づいて、前記治療送達期間中に前記電気刺激パルスを調整することと、を行うように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
第2の医療用電気リードをさらに備え、前記第2の医療用電気リードが、
第2の近位端から第2の遠位端まで、前記第2の遠位端に近接する第2の遠位部分と共に延在する第2の細長いリード本体と、
前記第2の遠位部分に沿って離間された第2の複数の電極と、を含み、
前記第2の遠位部分が、前記第1の複数の電極よりも前記正中面の反対側の前記突き出し筋組織に沿って、前記第2の遠位部分によって支持される前記第2の複数の電極を位置決めするように、前記口腔中に貫入せず、かつ前記第1の遠位部分の反対側の前記突き出し筋組織の正中面の横方向に隣接する、前記口腔の下方の前記突き出し筋組織内の中空送達ツールを介して、経皮的に前進するように構成されており、
前記パルス発生器が、前記治療送達期間全体にわたって前記患者の舌の前記突き出し状態を持続させるように、前記第2の近位端を受容し、かつ前記第1の複数の電極および前記第2の複数の電極から、少なくとも第1のデューティーサイクルのための第1の双極電極対、および第2のデューティーサイクルのための第2の双極電極対を順次選択することによって、前記電気刺激パルスを送達するようにさらに構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の細長いリード本体は、前記パルス発生器が前記患者の頸部に沿って移植されるときに、前記遠位部分から前記パルス発生器までの最大距離を拡張する長さを有する、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月6日に出願された米国仮特許出願第62/814,398号の利益、およびそれに対する優先権を主張し、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、閉塞性睡眠時無呼吸を処置するための治療用電気刺激のための医療機器システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電気刺激パルスを送達することが可能である植込み型医療機器が、例として心不整脈および慢性疼痛などの様々な病状を処置するために提案されているか、または利用可能である。閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、無呼吸および呼吸低下を包含し、呼吸が睡眠中に不規則にかつ繰り返して停止および開始され、その結果、睡眠が中断され、血中酸素濃度が低下するという深刻な障害である。OSAは、睡眠中の咽頭の完全または部分的な虚脱によって引き起こされる。特に、患者の咽頭内の筋肉が、断続的に弛緩し、それによって、睡眠中に上気道を閉塞する。上気道への空気の流れは、舌または柔らかいパレットが咽頭の後部に移動し、正常な気道よりも狭い気道を覆うことによって、閉塞され得る。また、空気の流れが失われることにより、人が閉鎖気道状態で呼吸しようとすると、異常な胸部間圧力も引き起こす。睡眠中に適切な酸素濃度が不足すると、異常な心リズム、心臓発作、心不全、高血圧、脳卒中、記憶障害、および異変増加の一因となり得る。さらに、人が無呼吸現象中に目を覚ますと、睡眠喪失が生じる。電気刺激パルスを送達することができる植込み型医療機器が、睡眠中に気道を閉鎖し得る上気道周辺の筋肉を電気的に刺激することによって、OSAを処置するために提案されてきた。
【発明の概要】
【0004】
本開示の技術は、概して、OSA療法を送達するための植込み型医療機器(IMD)システムおよび方法に関する。このIMDは、突き出し筋を活性化するために、舌の突き出し筋内の標的刺激領域に配置された電極を介して電気刺激を送達し、治療送達期間全体にわたって舌の突き出し状態を持続させる。この舌の持続された突き出し状態は、送達期間全体にわたって、開放された上気道を維持し、その開放された上気道は、吸気および呼気の両方の段階を含む多数の呼吸サイクルにわたって持続され得る。それらの電極は、例えば、筋肉注射で、突き出し筋の標的刺激領域に配置されて、気道の開口を妨げ得る神経および筋肉の刺激を回避する。
【0005】
一例では、本開示は、医療用電気リードおよびパルス発生器を含む植込み型医療機器システムを提供する。この医療用電気リードは、近位リード端から、遠位リード端に近接する遠位部分を有する遠位リード端まで延在する細長いリード本体を有する。複数の電極が、リード本体の遠位部分に沿って離間される。パルス発生器は、近位リード端を受容するように構成され、電極を介して電気刺激パルスを送達して、患者の舌の突き出し筋組織を活性化するように構成された治療送達回路を含む。パルス発生器は、治療送達期間の開始時間から治療送達期間の終了時間まで電気刺激パルスを継続的に送達して、治療送達期間全体にわたって患者の舌の突き出し状態を持続させるための治療送達回路を制御するように構成された制御回路を含み、その治療送達期間は、吸気および呼気段階の両方を含む複数の呼吸サイクルを含む。
【0006】
別の例では、本開示は、医療機器に結合された第1の医療用電気リードの遠位部分によって支持される電極を介して、医療機器の制御回路の制御下での治療送達回路によって、治療送達期間の開始時間から治療送達期間の終了時間まで電気刺激パルスを継続的に送達することを含む、医療機器によって実行される方法を提供する。その電気刺激パルスは、患者の舌の突き出し筋組織を活性化して、治療送達期間全体にわたって患者の舌の突き出し状態を持続させる。治療送達期間は、吸気および呼気段階を含む複数の呼吸サイクルの間に延長される。
【0007】
さらに別の例では、本開示は、パルス発生器の制御回路による実行時に、パルス発生器に、パルス発生器に結合された医療用電気リードの遠位部分によって支持される電極を介して、治療送達期間の開始時間から治療送達期間の終了時間まで電気刺激パルスを継続的に送達させる命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。その電気刺激パルスは、患者の舌の突き出し筋組織を活性化して、治療送達期間全体にわたって患者の舌の突き出し状態を持続させる。治療送達期間は、吸気および呼気段階を含む複数の呼吸サイクルの間に延長される。
【0008】
本開示の1つ以上の態様の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。本開示に記載される技術の他の特徴、目的、および利点は、本明細書および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】OSA療法を送達するための植込み型医療機器(IMD)システムの概念図である。
図2】一例による、図1のシステムに含まれる医療用電気リードの遠位部分の概念図である。
図3図1のシステムに含まれるパルス発生器の概念図である。
図4】一例による、OSA療法を送達するための、図2のリードの遠位部分の配置の概念図である。
図5】別の例による、OSA療法を送達するために配置された、図2のリードリードの遠位部分の概念図である。
図6】別の例による、OSA療法を送達するための、図2のリードの遠位部分の配置の概念図である。
図7】OSA療法を送達するための二連リードシステムの遠位部分の概念図である。
図8】一例による、OSA療法を送達するための図1のシステムによって実行される方法のフローチャートである。
図9】一例による、睡眠中に上気道の開存性を促進するために、突き出し筋への選択的刺激を送達するための、図1のシステムによって実行される方法を例示するタイミング図である。
図10】別の例による、図1のシステムによってOSA療法を送達するための方法のタイミング図である。
図11】OSA療法が複数の治療送達期間中に送達される睡眠期間を例示するタイミング図である。
図12】一例による、OSA療法を送達するための方法のフローチャートである。
図13】電気刺激送達のための標的領域に沿って、図2のリードの遠位部分28を位置決めするための植込み方法の概念図である。
図14】別の例による、OSA療法を送達するための方法の概念図である。
図15】別の例による、OSA療法を送達するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
OSAの処置のために、電気刺激を舌の突き出し筋に送達するための医療機器システムが、本明細書に記載されている。電気刺激は、睡眠中に患者の舌を突き出し状態にするために送達されて、上気道閉塞を回避または軽減する。本明細書で使用される場合、舌に関する「突き出し状態」という用語は、刺激されていない位置または弛緩した位置と比較して、前方および/または下方に移動する位置を指す。この突き出し状態は、オトガイ舌筋およびオトガイ舌骨筋を含む、舌の突き出し筋(また、時々、舌の「突き出し者」筋とも呼ばれる)の動員と関連付けられる状態である。突き出し状態は、例えば、舌を後退および上昇させる、茎突舌筋および舌骨舌筋である牽引筋の動員と関連付けられる後退および/または上昇位置の逆であり得る。電気刺激が送達されて、舌を突き出し状態に移動させて維持し、患者の上気道の崩壊を防止し、開放または拡大して、呼吸中の気流の無制限、または少なくとも軽減された制限を促進する。
【0011】
図1は、OSA療法を送達するためのIMDシステムの概念図である。このIMDシステム10は、電気医療用リード20およびパルス発生器12を備える。パルス発生器12は、パルス発生器12の回路、例えば、図3と併せて以下に説明されるような制御回路、治療送達回路、取捨選択可能なセンサ、および遠隔測定回路を収容するハウジング15を含む。コネクタアセンブリ17は、ハウジング15に密閉されており、OSA療法を送達するために、またいくつかの例では、筋電図(EGM)信号を感知するために使用される少なくとも1つの医療用電気リードを受容するための1つ以上のコネクタボアを含む。
【0012】
リード20は、リード近位端24からリード遠位端26まで延在する、可撓性のある細長いリード本体22を含む。少なくとも2つの電極30は、患者の舌40の突き出し筋42a、42b、および46内に挿入するように構成されているリード遠位端26に隣接するリード遠位部分に沿って支持される。これらの電極30は、舌の突き出し筋の神経を刺激するHGNの内側枝に近接する柔組織内に移植するように構成されている。それらの電極30は、本明細書では、「筋肉内電極」と呼ばれることがあり、神経幹または神経枝を直接刺激するために使用されるカフ電極などの、神経幹または神経枝の上またはそれに沿って設置される電極とは対照的である。したがって、リード20は、本明細書では、「筋肉内リード」と呼ばれることがあり、その理由は、リード遠位端および電極30が、突き出し筋42a、42b、および46の神経を刺激するHGN枝の近傍に電極30を固定するために、突き出し筋組織を含み得る柔組織を通って前進するように構成されているためである。ただし、電極30およびリード20に関する「筋肉内」という用語は、限定的であることを意図されておらず、その理由は、電極30が、内側HGNおよびその枝に近接する結合組織または他の柔組織に移植される可能性があるためである。リード20によって支持される電極30は、舌40の突き出し筋42a、42b、および46、ならびに/または突き出し筋の運動点を神経支配するHGNの枝を刺激するために、提供される。
【0013】
突き出し筋は、パルス発生器12によって生成され、そして筋肉内電極30を介して送達される電気刺激パルスによって活性化されて、舌40を前方に移動させ、睡眠中の上気道6の閉塞または狭窄の軽減を促進する。本明細書で使用される場合、突き出し筋の電気刺激に関して「活性化される」という用語は、突き出し筋および運動点を神経支配する神経細胞の脱分極または活動電位、ならびにその後続の突き出し筋細胞の脱分極および機械的収縮を引き起こす電気的状況を指す。場合によっては、筋肉は、電気刺激パルスによって直接活性化され得る。筋肉内電極30を介した刺激によって活性化され得る突き出し筋は、右および/もしくは左のオトガイ舌筋(GG)42のうちの少なくとも一方または両方を含み得、そのオトガイ舌筋は、斜め区画(GGo)42aおよび水平区画(GGh)42b(総称してGG42と呼ばれる)、ならびに/または右および/もしくは左のオトガイ舌骨筋(GH)46を含む。GG筋およびGH筋は、HGNの内側枝(第XII脳神経とも呼ばれる)によって神経支配され、これに対して、舌の後退および上昇を引き起こす舌骨舌筋および茎突舌筋は、HGNの外側枝によって神経支配される。
【0014】
複数の遠位電極30を使用して、HGNの内側枝またはその枝、すなわち、本明細書では「内側HGN」と呼ばれるものを介して、両側または片側刺激をGG42筋および/またはGH46筋に送達することができる。遠位電極30は、パルス発生器12の出力回路に切り替え可能に結合されて、上気道開存性を維持しながら筋肉疲労を回避するために、周期的または交互のパターンで右および左の突き出し筋を選択的に活性化する方法で電気刺激パルスの送達を可能にする。追加的または代替的に、電気刺激を送達して、左または右突き出し筋の片側刺激中にGG42筋および/もしくはGH46筋、またはそれらの部分を選択的に活性化することができる。
【0015】
リード近位端24は、コネクタ(図1には示されていない)を含み、このコネクタは、パルス発生器12のコネクタアセンブリ17に結合可能であり、パルス発生器12のハウジング15によって密閉された回路間の電気接続を提供し、例えば、図3と併せて以下に説明されるような治療送達回路および制御回路を含む。リード本体22は、遠位電極30の各々から、近位端24での近位コネクタまで延在する電気導体を密閉して、パルス発生器12の出力回路と電極30との間の電気接続を提供する。
【0016】
図2は、一例による筋肉内リード20の遠位部分28の概念図である。このリード20は、2つ以上の電極を含むことができ、示された例では、リード20は、リード本体22に沿って長手方向に離間された4つの電極30a、30b、30c、および30d(まとめて、「電極30」と呼ばれる)を含む。リード本体22は、絶縁された電気導体が内部でそれぞれの電極30a~30dまで延在する1つ以上の管腔を画定することができる、可撓性のあるリード本体である。最も遠位にある電極30aは、遠位端26につながるように隣接または近接し得る。電極30b、30c、および30dの各々は、それぞれの隣接する電極30a、30b、および30cから、それぞれの中間電極距離34、35、および36だけ、近位方向に間隔を置いて配置されている。
【0017】
各電極30a~30dは、同等の電極長さ31を有するように示されている。ただし、他の例では、電極30a~30dは、HGNの左もしくは右部分、またはその枝、ならびに/またはGG筋およびGH筋の運動点に対応する標的刺激部位に対して、電極30の配置、または得られる刺激の電界を最適化するために、互いに異なる電極長さ31を有してもよい。電極間間隔34、35、および36は、図2では、ほぼ等しいように示されているが、他の例では、電極間間隔34、35、および36は、標的刺激部位に対して電極30の配置を最適化するために、互いに異なってもよい。いくつかの例では、電極30aおよび30bは、突き出し筋の1つの部分、例えば、左もしくは右のGG筋および/もしくはGH筋のいずれか、またはGG筋および/もしくはGH筋の近位部分もしくは遠位部分のいずれかにおいて、双極刺激を送達するための陽極および陰極対を形成する。電極30cおよび30dは、突き出し筋の異なる部分(例えば、左もしくは右部分のうちの他方、または近位もしくは遠位部分のうちの他方)内で双極刺激を送達するための第2の陽極および陰極対を形成し得る。したがって、2つの双極対30a~30bと30c~30dとの間の電極間間隔35は、各双極対30a~30b、および30c~30d内の陽極と陰極との間の電極間間隔34および36と異なってもよい。
【0018】
一例では、リード本体22の遠位部分28dに沿って電極30a~30dによって包含する総距離D1は、例として、約20ミリメートル、25ミリメートル、または30ミリメートルであり得る。一例では、総距離D1は、20~22ミリメートルである。近位電極対30c~30dおよび遠位電極対30a~30b内の電極間間隔34および36は、いくつかの例では、それぞれ、2~5ミリメートルであってもよい。遠位対30a~30bおよび近位対30c~30dを分離する電極間間隔35は、電極間間隔34および36よりも大きくてもよい。例えば、電極間間隔35は、いくつかの例では、4~6ミリメートルであってもよい。一例では、電極30a~30dの各々は、3mmの電極長さ31を有し、電極間間隔34、35、および36の各々は、3mmである。
【0019】
示された例では、電極30a~30dの各々は、リード本体22と直径が均一であり得る円周リング電極として示されている。他の例では、電極30は、例として、先端電極、螺旋電極、コイル電極、セグメント化電極、ボタン電極などの他のタイプの電極を含んでもよい。例えば、最も遠位の電極30aは、リード遠位端26における先端電極として提供されてもよく、残りの3つの電極30b、30c、および30dは、リング電極である。電極30aが遠位端26に位置決めされる場合、電極30aは、移植部位で筋組織中にねじ込まれ、加えて、リード20の遠位部分28を標的治療送達部位において固定するための固定部材としての役割を果たすように構成された螺旋電極であってもよい。他の例では、電極30a~dのうちの1つ以上は、治療送達部位におけるリード20の遠位部分28の能動的な固定を提供するためのフック電極または有刺電極であってもよい。
【0020】
リード20は、リードの遊走性の可能性を最小化するために1つ以上の固定部材32を含むことができる。示された例では、固定部材32は、リード遠位部分28が標的治療送達部位に位置決めされるときに、周囲組織と係合する複数の組の枝を含む。固定部材32の枝は、リード本体22の長手方向軸に対してある角度で半径方向および近位方向に延在して、近位方向へのリード本体22の後退を防止または軽減することができる。固定部材32の枝は、リード20が、標的移植部位でリード遠位部分28を展開するために使用されるリード送達ツール、例えば、針または誘導針の範囲内に保持されるときに、リード本体22に対して折り畳み可能であり得る。リード送達ツールを取り除くと、固定部材32の枝は、正常に拡張された位置に広げて、周囲の組織と係合し、リード本体22の近位側および横方向の遊走性に抵抗することができる。他の例では、固定部材32としては、1つ以上のフック、棘、螺旋、またはリード本体22および/もしくはリード遠位端26に沿って1つ以上の長手方向の位置から延在する他の固定機構が含まれ得る。固定部材32は、リード本体20の近位端がパルス発生器12の移植ポケットにトンネリングされる場合、舌の下方のGG筋、GH筋および/または他の筋肉、ならびに/または頸部の他の柔組織、例えば、脂肪および結合組織と部分的もしくは全面的に係合し得る。他の例では、固定部材32は、図2に示された場所以外の他の場所に設置された1つ以上の固定機構を含み得、その場所としては、遠位端26においてもしくはそれに近接する場所、電極30の間、ないし示された場所よりもさらに遠位方向もしくはさらに近位方向の場所が含まれる。パルス発生器12の移植ポケットは、患者の頸部8(図1を参照)に沿って存在し得る。したがって、遠位部分28からリード近位端24までの細長いリード本体22の長さを選択して、突き出し筋内の標的治療送達部位から、パルス発生器12が移植される患者の頸部に沿った場所まで延在し得る。この長さは、例として、最大10cm、または最大20cmとすることができるが、一般に25cm以下であってもよいが、より長いまたはより短いリード本体長さが、個々の患者の解剖学的構造およびサイズに応じて使用され得る。
【0021】
図3は、パルス発生器12の概念図である。パルス発生器12は、制御回路80、メモリ82、治療送達回路84、取捨選択可能なセンサ86、遠隔測定回路88、および電源90を含む。電源90は、制御回路80、メモリ82、治療送達回路84、センサ86、および遠隔測定回路88の各々に電流を供給するための1つ以上の充電式または非充電式バッテリーを含み得る。電源90は、わかりやすくするために、制御回路80のみと通信するように示されているが、電源90は、必要に応じて、パルス発生器12の回路および構成要素のうちの各々に、必要に応じて電力を提供することを、図3のブロック図から理解されたい。例えば、電源90は、電気刺激パルスを生成するための治療送達回路84に電力を提供する。
【0022】
図3に示す機能ブロックは、OSA療法を送達するように構成されたパルス発生器に含まれる機能性を表し、本明細書のパルス発生器に帰する機能を生成することが可能であるアナログおよび/またはデジタル回路を実装する任意の個別および/または集積電子回路の構成要素を含み得る。各種の構成要素としては、特定用途向け集積回路(ASIC)、電子回路、プロセッサ(共有、専用、またはグループ)、および1つ以上のソフトウェアまたはファームウェアプログラムを実行するメモリ、組合せ論理回路、状態機械、または説明される機能性を提供する他の好適な構成要素、もしくは構成要素の組み合わせが含まれ得る。任意の最新の心臓医療機器システムの文脈で説明される機能性を達成するためのソフトウェア、ハードウェア、および/またはファームウェアを提供することは、本明細書に記載された本開示を想定すると、当業者の能力の範囲内にある。
【0023】
制御回路80は、例えば、データバスを介して、メモリ82、治療送達回路84、遠隔測定回路88、およびセンサ86(含まれる場合)と通信して、OSA療法送達および他のパルス発生器機能を制御する。本明細書に開示されているように、制御回路80は、制御信号を治療送達回路84に通過させて、治療送達回路84に、GG筋およびGH筋の右および左部分、ならびに/またはGG筋およびGH筋の近位部分および遠位部分の選択的刺激パターンを含むことができる治療プロトコルによる、電極30を介した電気刺激パルスを送達させることができる。制御回路80は、刺激パルス列の刺激パルス振幅、刺激パルス幅、刺激パルス数、および周波数を含む治療制御信号を、治療送達回路84に受け渡すようにさらに構成され得る。
【0024】
メモリ82は、制御回路80内に含まれるプロセッサが実行するための命令、刺激制御パラメータ、および他の機器関連データまたは患者関連データを格納することができる。制御回路80は、メモリ82から治療送達制御パラメータおよび治療送達プロトコルを検索して、制御回路80が、制御信号を、OSA療法を制御するための治療送達回路84に受け渡すのを可能にする。メモリ82は、遠隔測定回路88を介して、ユーザによる検索のための、治療送達に関連する履歴データを格納することができる。メモリ82内に格納された治療送達データまたは情報は、送達された治療プロトコル、治療送達時間などだけでなく、刺激パルスを送達するために使用される治療制御パラメータも含み得る。センサ86が含まれる場合、センサ信号から判定された患者関連データは、ユーザによって検索されるようにメモリ82内に格納され得る。いくつかの例では、センサ86は、電極30a~30dの任意の組み合わせを使用して、筋電図(EMG)信号を感知するための電気信号感知回路を含み、それらの電極は、刺激用としては使用されないときに、EMG感知電極として使用され得るセンサ86に切り替え可能に結合され得る。EMG信号は、患者の舌の突き出しを引き起こすための刺激パルスを送達するための治療送達回路84を制御する際に使用するために、突き出し筋の睡眠状態および/または低音色状態を検出するための制御回路80によって使用され得る。
【0025】
治療送達回路84は、充電回路92、出力回路94、およびスイッチング回路96を含み得る。充電回路92は、例えば、電源90のバッテリー電圧の倍数を使用して充電される1つ以上の保持コンデンサを含み得る。この保持コンデンサは、出力回路94に切り替え可能に接続され、その出力回路は、スイッチング回路96を介して選択される双極電極対に結合されている1つ以上の出力コンデンサを含み得る。保持コンデンサは、充電回路92によって、プログラムされたペーシングパルス電圧振幅に充電され、プログラムされたパルス幅の間、出力コンデンサの両端で放電される。充電回路92は、コンデンサ充電ポンプまたは充電源用増幅器を含み得、充電回路92に含まれる保持コンデンサの迅速な再充電を可能にする。治療送達回路84は、パルスの送達列を生成するための、制御回路80からの制御信号に応答し、GG筋および/もしくはGH筋、または一部の持続される強直性収縮を生成して、舌を前方に移動させ、上気道閉塞を回避する。
【0026】
出力回路94は、スイッチング回路96を介して、電極30a~30dの双極対に選択的に結合され得る。スイッチング回路96は、制御回路80から受信したタイミング信号によって作動する1つ以上のスイッチを含み得る。電極30a~30dは、時間の経過と共に変化する方法で、出力回路94に選択的に結合され得、異なる時間に、突き出し筋の異なる部分に刺激を送達して、刺激を完全に抑制する必要なしに、疲労を回避することができる。治療を吸気段階と連携して働かせるために呼吸の吸気段階を感知するためのセンサに依存するOSA療法システムとは対照的に、突き出し筋の異なる部分を刺激するように位置決めされた筋肉内電極30は、呼吸サイクルに対する同期を必要としない。突き出し筋内の刺激場所を交替させることにより、筋肉の様々な部分が、他の部分が作動している間に休止して、筋肉疲労も回避しながら上気道に対する舌の崩壊を回避することができる。スイッチング回路96は、スイッチアレイ、スイッチマトリクス、多重化装置、または電極30から選択された双極電極対に治療送達回路84を選択的に結合させるのに好適な任意の他のタイプのスイッチングデバイスを含み得る。双極電極対は、一度に1つ選択されてもよく、または突き出し筋の2つ以上の異なる部分の重複する刺激を可能にするように2つ以上選択されてもよい。突き出し筋の2つの部分、例えば、左右、または近位および遠位の重複する刺激時間は、舌の前方位置を維持し、突き出し筋の2つの異なる部分に送達される電気刺激のランプ上昇およびランプ下降を可能にし得る。
【0027】
センサ86は、取捨選択可能であり、患者状態を監視するための1つ以上のセンサを含み得る。例えば、センサ86は、患者がリクライニング位置にあり、OSA療法を必要としそうなときに検出するための患者姿勢センサを含み得る。制御回路80は、OSA療法をいつ開始したらよいかを判定するために、センサ86から受信した患者姿勢センサ信号を監視し得る。姿勢センサは、多軸加速度計として実装され得る。各加速度計の軸によって生成される信号のDC成分は、その軸またはベクトルに沿って及ぼされる重力に対応する。したがって、各軸のDC成分は、患者の姿勢を判定するために使用され得る。パルス発生器12内で使用され得る姿勢センサは、一般に、米国特許第6,044,297号(Sheldonら)に開示されており、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの例では、センサ86は、加速度計または他の運動センサなどの患者活動センサを含み得、その患者活動センサは、睡眠時無呼吸に関連付けられる患者の気道内の振動など、患者の身体活動または他の運動に相関する信号を生成する。制御回路80は、患者姿勢、時刻、患者の身体活動、またはそれらの任意の組み合わせに基づいて、患者が眠っていることを判定することができる。治療送達回路84は、OSA療法送達を開始することによって、制御回路80からの睡眠検出信号に応答し得る。
【0028】
上に示したように、センサ86は、電極30a~30dを使用してEMG信号を感知するために構成され得る(刺激パルスが、感知のために使用される電極によって送達されていない場合)。他の例では、専用のEMG感知電極が、ハウジング15および/またはリード本体22によって支持され、EMG信号監視のためのセンサ86に結合され得る。制御回路80によるEMG信号監視により、上気道崩壊に対する影響のされやすさを示すGG筋および/またはGH筋の低音色状態の検出を可能にし得る。突き出し筋の低音色状態の検出は、OSA療法を送達するためのトリガーとなり得る。他の事例では、EMG監視は、単独で、またはOSA療法の送達を起動する際に使用するために、睡眠状態を検出ための他のセンサ信号と併せて、使用され得る。EMG監視は、刺激されたGG筋および/またはGH筋の疲労を監視する際にさらに使用され得、治療送達回路84によって送達される電気刺激パルス列のデューティーサイクルを制御するための制御回路80によって、閉ループ方式で使用されて、疲労を最小限に抑えるかもしくは回避し、かつ/または時間通りにデューティーサイクル間の適切な疲労回復時間を可能にし得る。
【0029】
他の例では、センサ86は、上気道内の振動または音を検出し、OSAを示すための運動センサ、音響センサ、またはマイクロフォンを含み得る。制御回路80は、OSAの発症を検出し、そして治療送達回路84を起動して、突き出し筋の電気刺激治療の開始によって応答し得る。運動センサは、突き出し状態へ入ること、および突き出し状態から出ることに関する患者の舌の動きと相関する運動信号を生成し得、デューティーサイクル、パルス振幅を制御する際に、また治療送達回路84によって送達される電気刺激治療の電極ベクトルを刺激する際に使用するための、刺激された筋肉の適切な突き出しおよび/または疲労を検出するために使用され得る。センサ96は、上気道閉塞を予測する低音色状態を検出し、突き出し筋の疲労を検出し、かつ/または舌40の突き出し状態を検出するために、制御回路80によって使用するための、突き出し筋の音色状態と相関する信号を生成するように構成され得る。治療送達回路84は、刺激パルス送達を制御するために使用される1つ以上の制御パラメータを調整することによって、制御回路80による突き出し筋の音色状態の検出に応答するように構成され得る。
【0030】
ただし、センサ86は、取捨選択可能である。いくつかの例では、患者は、患者が就寝しようとしたそのときに、患者プログラマを使用して、手動でOSA療法を開始することができる。他の例では、OSA療法は、指定された時刻に開始および停止され得る。制御回路80は、OSA療法が治療送達回路84によって開始および停止される時間を計画するための時計を含み得る。突き出し筋の電気刺激の、吸気との同時性は必要とされないため、呼吸段階を検出するためのセンサは、省略され得る。
【0031】
遠隔測定回路88は、取捨選択可能であるが、外部プログラマ50との双方向通信を可能にするために含まれてもよい。患者8などのユーザは、例えば、参照によりその全体が組み込まれるMedtronic社の患者プログラマモデル37642に記載されているように、治療制御パラメータ設定値を手動で調整することができる。患者は、刺激パルス振幅およびパルス幅におけるわずかな変更などの限定されたプログラミング変更を行うことができる。患者は、治療のスイッチをオンおよびオフするか、または遠隔測定回路88との無線遠隔測定通信において外部プログラマ50を使用して、治療のスイッチをオンおよびオフするためのタイマーを設定することができる。
【0032】
他の例では、臨床医などのユーザは、外部プログラマ50のユーザインターフェースと対話して、所望のOSA療法プロトコルに従ってパルス発生器12をプログラムすることができる。例えば、Minneapolis,MN,Medtronic社から入手可能な医師プログラマモデル8840は、医師によって使用されて、電気刺激を送達するためのパルス発生器12をプログラムすることができる。
【0033】
パルス発生器12のプログラミングは、一般に、パルス発生器12の動作を制御するためのコマンド、プログラム、または他の情報の生成および転送を指し得る。例えば、外部プログラマ50は、例えば、無線遠隔測定によって、パルス発生器12の動作を制御するためのプログラム、パラメータ調整、プログラム選択、グループ選択、または他の情報を送信することができる。一例として、外部プログラマ50は、パラメータ調整を送信して、治療の変更をサポートすることができる。別の例として、ユーザが、プログラムまたはプログラムグループを選択することができる。プログラムは、電極の組み合わせ、電極の極性、電圧もしくは電流振幅、パルス幅、パルス繰返数、治療持続時間、および/または刺激されている突き出し筋の交替部分のパターンを送達するための電極選択のパターンによって特徴付けられ得る。グループは、同時に、または交互的もしくは交替的な基本原理に基づいて送達される複数のプログラムによって特徴付けられ得る。これらのプログラムは、出力パラメータを調整するか、または異なる時間間隔で治療のスイッチをオンもしくはオフすることができる。
【0034】
場合によっては、外部プログラマ50は、それが元々、医師または臨床医による使用のために意図されている場合、医師または臨床医プログラマとして特徴付けられ得る。他の場合では、外部プログラマ50は、それが元々、患者による使用のために意図されている場合、患者プログラマとして特徴付けられ得る。患者プログラマ50は、一般に、患者12にとってアクセスしやすく、また、多くの場合、患者の日課全体を通じて患者に携行され得る携帯機器であってもよい。一般に、医師または臨床医プログラマは、パルス発生器12によって使用するために臨床医によるプログラムの選択および生成をサポートし得、患者プログラマは、通常の使用中に患者によるそのようなプログラムの調整および選択をサポートし得る。
【0035】
外部プログラマ50は、遠隔測定回路88を介してメモリ82から検索された患者関連および/または機器関連のデータを提示することができる。例えば、センサ86が含まれる場合、患者8の検出された姿勢状態からメモリ82内に格納された患者姿勢データは、外部プログラマ50のディスプレイ上に提示され得、例えば、米国特許第9,662,045号(Skeltonら)に一般的に説明されている通りであり、その全体は、参照により組み込まれる。追加的または代替的に、外部プログラマ50は、センサ86からの信号から判定されるように、メモリ82内に格納された睡眠音または運動データを提示することができる。追加的にまたは代替的に、患者が横たわっている期間は、センサ86を使用した患者姿勢検出に基づいて取得され得、そのようなデータの履歴が、メモリ82内に格納され得、外部プログラマ50によって検索および表示され得る。
【0036】
図4は、一例による、OSA療法を送達するためのリード20の遠位部分の配置の概念図である。左内側HGN 104Lおよび右内側HGN 104Rは、舌40を前方および下方に引っ張るGG筋およびGH筋(図1を参照)を神経支配する。左および右の内側HGN 104Lおよび104Rのそれぞれ標的治療送達領域106Lおよび106R、ならびにGG筋およびGH筋を神経支配するそれらの枝は、破線によって示されている。標的治療送達領域106Lおよび106Rは、一般に、舌40の正中線102に対して平行であり、舌の根元の前方にある。HGNに沿って神経カフ電極の比較的より近位の配置と比較して、リード20の遠位部分28は、HGNに沿ってかつ/またはその近くで、さらに前方もしくは遠位方向に前進して、退縮筋を動員する可能性が低いか、または完全に回避する、突き出し筋の排他的動員を促進することができる。
【0037】
いくつかの例では、リード20の遠位部分28は、正中線102に対してほぼ垂直に前進し、三叉神経110の舌筋枝よりも下位にあり、かつ左および右の内側HGN 104Lおよび104Rの両方よりも下位にあるため、領域106Lおよび106Rの両方を横切り、他の神経および退縮筋の望ましくない動員の可能性を最小限に抑える。このようにして、電極30は、舌の感覚神経を活性化しないように、三叉神経110の舌筋枝から下位の距離に設定される。電極は、前方に、例えば、GG筋内もしくはそれに沿って、または舌骨舌筋および胸骨舌筋の少なくとも前方に設置されて、舌を後退および/または上昇させるするように働いてOSA療法の有効性を打ち消し得る舌骨舌筋および胸骨舌筋の活性化を回避する。
【0038】
標的領域106R内またはそれに沿って最も遠位側の2つの電極30aおよび30b、ならびに標的領域106L内またはそれに沿って最も近位側の2つの電極30cおよび30dを位置決めするために(または、図に示すように、外科的アプローチが舌40の左側ではなく右側からのものである場合、逆も同様である)、遠位部分28に沿った電極30a~30dに包含される総距離D1は、最大30ミリメートル、または一例として、25ミリメートルに制限され得る。リード20の遠位端26は、下顎骨の下からの下位アプローチから、または口底からの上位アプローチから挿入されて、正中線102に対してほぼ垂直に、正中線102を横切って遠位部分を前進させることができる。電極配置は、X線透視検査または他の撮像技術を使用して検証され得、刺激パルス送達の試験を介してその刺激に対する観測された突き出し応答を検証し得る。
【0039】
この例では、遠位双極電極対30aおよび30dによって送達される電気刺激パルスが、右GG筋および/またはGH筋の収縮を引き起こすための右HGN 104Rおよび/またはその枝を捕捉する標的領域106R内に電界114(概念的に示されている)を生成して、舌40の突き出しを引き起こす。近位双極電極対30cおよび30dによって送達される電気刺激パルスは、左GG筋および/またはGH筋の収縮を引き起こすための左HGN 104Lおよび/またはその枝を捕捉する、標的領域106L内の電界112(概念的に示されている)を生成して、舌40の突き出しを引き起こす。
【0040】
いくつかの例では、電極間隔、ならびに右および左のHGN 104Rおよび104Lに対する相対的な配置に応じて、内側電極30bおよび30cは、標的領域106Lおよび/または106Rの少なくとも一部を包含する電界(例示せず)を生成する、電気刺激パルスを送達するための双極対として使用され得る。さらに他の例では、外側電極30aおよび30dは、標的領域106Lおよび/または106Rの少なくとも一部を包含する電界(例示せず)を生成する、電気刺激パルスを送達するための双極対として使用され得る。スイッチング回路96は、利用可能な電極30の任意の組み合わせ、例えば、30aおよび30b、30aおよび30c、30aおよび30d、30bおよび30c、30bおよび30d、または30cおよび30dから双極対を選択するように構成され得る。異なる電極対を順次選択することによって生成された、時間につれて変化する電界により、内側HGNの異なる枝が刺激されるのを可能にし、それによって、一連の刺激プロトコル中に突き出し筋の異なる部分を動員し、疲労を回避または軽減しながら、舌40の持続される突き出しを促進する。疲労は、神経カフ電極などの1つの電極対からの刺激によって生成される単一の電界を使用した刺激と比較すると、軽減される。単一の電極対を使用して送達された刺激が断続的であり、かつ呼吸の呼気段階の間に休止することが可能な呼吸の吸気段階に同期されているときでさえも、疲労は、単一の電極対を使用することと比較して、拡張された治療送達期間にわたって継続的な刺激パルス送達中に電極対を順次選択することによって軽減され得る。
【0041】
スイッチング回路は、選択された双極対内の各電極の極性(陽極または陰極)をさらに選択し得る。双極対は、電気刺激送達中に順次選択されて、標的領域106Lおよび106Rの異なる部分を包含する異なる電界を生成する。双極対の一連の選択は、重複または非重複の方法で生じ得る。刺激送達中に異なる双極対を順次選択することによって、HGN 104LおよびHGN 104Rの異なる部分またはその枝は、異なる時間に捕捉され得、結果として、左および/または右のGG筋および/またはGH筋の異なる部分を動員して、舌40の突き出しを引き起こし、維持する。
【0042】
以下に説明されているように、電気刺激パルスは、順次選択された電極対に送達されて、複数の呼吸サイクルを包含する期間にわたって舌40の持続した突き出しを引き起こす。呼吸サイクルは、いくつかの例では、連続的であり、連続的な呼吸サイクルの呼気段階および吸気段階の両方を含む。睡眠中、長期間にわたって順次選択された電極対を介した絶え間ない電気刺激送達は、舌40を突き出し状態に維持して、気道閉塞を回避または軽減する。電極30a~30dから選択された2つ以上の双極対を順次選択して、長期間の間に突き出し筋の異なる部分に電気刺激パルスを送達することによって、突き出し筋の疲労が、軽減または回避される。電気刺激が送達されて、舌40の絶え間ないまたは持続した突き出しを引き起こすために、電気刺激パルスは、例えば、呼吸の吸気段階または呼気段階に同期または時間調節されることなく、患者の呼吸サイクルとは無関係に送達される。電気刺激が送達されて舌40の絶え間ない突き出しを引き起こす長期間は、数分から最大数時間であり得、患者が眠っている時間の大部分、例えば、最大8時間以上まで延長し得る。
【0043】
図5は、別の例による、OSA療法を送達するために展開されたリード20の遠位部分28の概念図120である。この例では、電極30を支持する遠位部分28は、舌40の正中線102に対してほぼ沿ってまたは平行に前進する。示されている例では、リード本体22は、正中線102に沿ってほぼ中央に位置して示されているが、他の例では、リード本体22は、左または右方向に正中線102から横方向にオフセットされ得るが、一般に、左HGN 104Lおよび右HGN 104Rの両方の内側にある。リード20の遠位端26は、例えば、口底の下方の筋肉系内において、顎下三角に沿った経皮的な挿入点で、舌40の本体よりも下位に挿入され得る。遠位端26を前進させて、左および右のHGN 104Lおよび104Rに対して内側に、例えば、舌骨、オトガイ隆起(下顎)間のほぼ中間に、電極30を位置決めする。電極30から選択された任意の双極対電極の間に送達される刺激パルスによって生成された電界は、左標的領域106Lおよび右標的領域106Rの両方の一部を包含して、HGN 104Lおよび104Rの両側刺激、したがって、突き出し筋の両側動員を生成する。突き出し筋の両側動員は、HGNに沿った神経カフ電極を使用して一般的に実行される片側刺激よりも大きい気道開口部を提供し得る。例えば、電極30aおよび30bを使用して送達される電気刺激パルスは、左および右の標的領域106Lおよび106Rの両方の一部を包含する電界122(概念的に示されている)を生成し得る。電極30cおよび30dを使用して送達される電気刺激パルスは、左および右の標的領域106Lおよび106Rの両方の一部を包含する電界124(概念的に示されている)を生成し得る。電界122によって包含されるその左および右の標的領域106Lおよび106Rの部分は、電界124によって包含されるその左および右の標的領域106Lおよび106Rの部分に対する後方部分である。
【0044】
いくつかの例では、電気刺激は、利用可能な電極30中から異なる電極対を順次選択することによって、パルス発生器12によって送達されて、HGN 104Lおよび104Rの異なる両側前方部分および両側後方部分を順次動員する。この電極の選択により、結果として、突き出し筋の異なる前方部分および後方部分の動員をもたらし得る。異なる電極対の一連の選択は、重複しても、または重複しなくてもよい。電気刺激は、呼吸サイクルのタイミングとは無関係に、複数の呼吸サイクルを包含する長期間全体にわたって送達されて、その期間の最初からその期間の最後まで舌40の突き出し状態を維持する。電極30は、最も遠位側の対30aおよび30b、最も外側の対30aおよび30d、最も内側の対30bおよび30c、最も近位側の対30cおよび30d、またはリード本体22に沿った交互電極、例えば、30aおよび30c、または30bおよび30dを含む双極対内で選択され得る。2つ以上の異なる電極対の一連の選択により、突き出し筋の異なる部分の一連の動員を可能にして、疲労の可能性を低減することができる。
【0045】
いくつかの例では、例えば、遠位リード部分28に沿って比較的より遠位側にあり、舌40に沿って比較的前方に移植される電極対30aおよび30bを使用して送達される電気刺激は、例えば、GG筋内で前方筋繊維のより大きな部分を動員し得る。遠位リード部分28に沿って比較的より近位側にあり、舌40に沿って比較的後方に移植される電極対、例えば30cおよび30dを使用して送達される電気刺激は、例えば、GH筋内で後方筋繊維のより大きな部分を動員し得る。電気刺激パルスを送達するための電極30の一連の選択により、突き出し筋の前方部分および後方部分の重複または非重複パターンでの一連の動員を可能にして、筋疲労を軽減または回避しながら、長期間全体にわたって舌を突き出し状態に持続させる。
【0046】
図6は、別の例による、OSA療法を送達するためのリード20の遠位部分28の展開の概念図である。この例では、電極30を支持する遠位部分28は、舌40の正中線102を横切って斜めの角度で前進する。示されている例では、リード本体22の遠位部分28は、正中線102を横切って斜め方向に前進し、その結果、一方の電極対、最も遠位側の電極30aおよび30bは、右標的領域106R内の電気刺激送達のために、正中線102の右側に沿って位置決めされている。他方の電極対、最も近位側の電極30cおよび30dは、標的領域106L内の電気刺激送達のために、正中線102の左側に沿って位置決めされている。遠位部分28が正中線102と交差する斜め角度θは、意図される制限を有さない例として、20度~70度であり得る。リード20の遠位部分28は、図4に示された垂直位置と、図5に示された平行位置との間の任意の角度で延在し得る。
【0047】
リード20の遠位端26は、例えば、顎下三角に沿った経皮的な挿入点において下顎よりも下位に挿入され得、その挿入点は、下顎の左または右の内側に沿った方向照準点であり得る。遠位端26は、正中線102に向かって、そして横切って斜め方向に前進して、正中線102の両側に沿って電極30を位置決めし、左および右のHGN 104Lおよび104Rの両方に近接し得る。刺激試験パルスが送達されて、リード20の遠位部分28の最終的な配置の決定を支援し、例えば、結果として、左および右のGG筋および/またはGH筋の各々の独立した動員をもたらす。
【0048】
電極30、例えば、30aと30bから選択される電極の最も遠位側の双極対の間に送達される刺激パルスによって生成された電界134は、右標的領域106Rの一部を包含し得る。電極、すなわち最も近位側の電極、例えば、電極30cおよび30dを使用して送達された電気刺激パルスは、左標的領域106Lの少なくとも一部を包含する電界132を生成し得る。場合によっては、電極の配置、および送達される刺激エネルギーの大きさに応じて、電界132および134は、右および左の標的領域106Rおよび106Lの部分を包含し得、遠位側電極対30a~30bか、または近位側電極対30c~30dかのいずれかを使用して、突き出し筋の両側動員を可能にする。電界132によって包含される左標的領域106Lの部分は、電界134によって包含される右標的領域106Rの部分よりも比較的後方にあり得る。最も外側の電極30aおよび30d、または比較的より大きな中間電極距離を有する他の電極、例えば、30aおよび30c、または30bおよび30dは、双極対として選択される場合、左および右のHGN 104Lおよび104Rの両方の刺激が達成され得、結果として両側動員が得られる。比較的より小さい中間電極距離を有する電極が双極対、例えば、電極30aおよび30b、30bおよび30c、または30cおよび30d内で選択される場合、突き出し筋の比較的より前方の、比較的より後方の、比較的より左側の、または比較的より右側の部分の動員が、内側HGN 104Lおよび104R、ならびにそれらの枝に対する斜角度θ、電極間隔、および電極配置に応じて、達成され得る。
【0049】
いくつかの例では、電気刺激は、利用可能な電極30中から2つ以上の異なる電極対を順次繰り返し選択することによって、パルス発生器12によって送達されて、突き出し筋の異なる左、右、前方、後方、両側、両側前方部分、および/または両側後方部分を順次動員する。異なる電極対の一連の選択は、重複しても、または重複しなくてもよい。電気刺激は、呼吸サイクルのタイミングとは無関係に、特に吸気または呼気のタイミングに無関係に、複数の呼吸サイクルを包含する長期間全体にわたって送達されて、その期間の最初からその期間の最後まで舌40の突き出し状態を維持する。突き出し筋の異なる部分の一連の動員により、舌40の突き出し状態を持続させながら、疲労の可能性を低減し得る。
【0050】
図7は、OSA療法を送達するための二連リードシステムの遠位部分の概念図である。この例では、1つのリード20は、正中線102に対してほぼ平行に前方に進み、例えば、正中線102の左に5~8ミリメートルだけオフセットされて、左標的領域106L内またはそれに隣接して、遠位部分28および電極30を位置決めする。第2のリード220は、正中線102に対してほぼ平行に前方に進むが、正中線102の右の横方向にオフセットされて、右標的領域106R内またはそれに隣接して、遠位部分228および電極230を位置決めする。リード20は、舌40の本体の左側または後方アプローチから挿入され得、リード230は、舌40の本体の右側または後方アプローチから挿入され得る。他の例では、リード20および220の両方は、左のみまたは右のみのアプローチから挿入されて、1つのリードが正中線102を横切って、正中線102のアプローチ側から反対側に沿って、電極30または230を位置決めすることができる。リード20および/またはリード220は、正中線102に対して斜めの角度で前進され得るが、正中線102を横切ることはできない。他の例では、リード20および220のうちの一方または両方は、斜め角度で正中線102に接近および交差し得、その結果、遠位部分28および228のうちの一方または両方は、右および左の標的領域106Lおよび106Rの両方内またはそれらに隣接して延在し、図6に示された配向と同様である。
【0051】
示された例では、突き出し筋の左、右、前方部分、および後方部分の動員の比較的より局所化された制御は、電極30a~30d、および230a~230dの中から異なる電極対を選択することによって達成され得る。例えば、電極30a~30dの任意の組み合わせが、電気刺激パルスを突き出し筋の左部分に送達するために選択され得る。より遠位側の電極30aおよび30bは、左突き出し筋のより前方部分の刺激のために選択され得(電界144に対応する)、より近位側の電極30cおよび30dは、左突き出し筋のより後方部分の刺激のために選択され得る(電界142に対応する)。電気刺激パルスを突き出し筋の右部分に送達するために、電極230a~230dの任意の組み合わせが選択され得る。より遠位側の電極230aおよび230bは、右突き出し筋のより前方部分の刺激のために選択され得(電界154に対応する)、より近位側の電極230cおよび230dは、右突き出し筋のより後方部分の刺激のために選択され得る(電界152に対応する)。
【0052】
スイッチング回路96は、リード20または220のうちの一方の上に一方の電極を含み、および他のリード20または220の上に別の電極を含む電極対を選択して、両側刺激のために同時に、左標的領域106Lおよび右標的領域106Rの両方の部分を包含する電界(図示せず)を生成するように構成され得る。利用可能な電極30a~30d、および電極230a~230dの任意の組み合わせにより、2つ以上の双極対として選択され得、それらの双極対は、繰り返される一連のパターンで選択されて、2つの標的領域106Lおよび106Rの異なる部分を順次動員する。電極対の一連の選択は、重複しても、または重複しなくてもよいが、電気刺激パルスは、長期間全体にわたって1つ以上の選択された周波数で中断せずに送達されて、複数の呼吸サイクルを包含する、その期間の最初からその期間の最後まで舌40を突き出し状態に維持する。
【0053】
図7の例では、2つのリードが含まれ、2つの電極対が、1つ以上の他の電極対と同時に、かつ順次選択され得る。例えば、電極30aおよび30bは、1つの双極対として選択され得、電極230cおよび230dは、標的領域106Lの左前方部分、および標的領域106Rの右後方部分の同時刺激のための第2の双極対として選択され得る。電極30cおよび30dは、リード20からの次の双極対として選択され得、同時に、電極230aおよび230bは、リード220からの次の双極対として選択され得る。このようにして、電気刺激は、両側に送達され得、各側での後方領域と前方領域との間で交替する。前方左(30aおよび30b)および後方右(230cおよび230d)の双極対は、最初に選択され得、後方左(30cおよび30d)および前方右(230aおよび230b)の双極対は、複数の呼吸サイクルを包含する長期間の間、舌40を突き出し状態に継続的に維持するための繰り返し交番方式で、その次に選択され得る。他の例では、前方対の両方(30a~30b、および230a~230b)は、最初は同時に選択され得、後方対の両方(30c~30d、および230c~230d)は、前方対に順次続きながら、その次に同時に選択され得る。このようにして、絶え間ない両側刺激が、後方部分と前方部分との間を順次交代しながら達成されて、疲労を回避または軽減することができる。
【0054】
本明細書に提示された例に示される4つ程度の電極は、本明細書に開示されたOSA療法技術と併せて使用されるリードの遠位部分に沿って含まれ得ることを理解されたい。OSA療法を送達するための複数の電極を支持するリードは、2つ、3つ、5つ、6つ、または他の選択される電極数を含み得る。リードが2つの電極のみを含む場合、少なくとも1つの電極を有する第2のリードを含めて、右および/または左内側HGNの異なる部分の一連の刺激を少なくとも2つの異なる双極電極対に提供することができる。さらに、選択された電極対は、本明細書において、一般に、1つの陰極および1つの戻り陽極を含む「双極対」と呼ばれているが、3つ以上の電極を一度に選択して、突き出し筋の所望の部分を動員するための所望の電界または刺激ベクトルを提供することができることが理解される。したがって、双極「対」の陰極は、利用可能な電極から同時に選択される1つ以上の電極を含み得、かつ/または双極「対」の陽極は、利用可能な電極から同時に選択される1つ以上の電極を含み得る。
【0055】
図8は、一例による、OSA療法を送達するための、パルス発生器12を実行する方法のフローチャート300である。フローチャート300の方法は、図4~7と併せて上述したように、内側HGNを刺激するために位置決めされた1つ以上のリードと併せて実行され得、少なくとも2つの選択可能な電極対を含む。ブロック302において、制御回路80は、治療送達期間の開始時間に到達したと判定する。治療は、スケジュール設定されて、指定された時刻に、またはn時間間隔ごとに、例えば、24時間間隔で、開始することができる。他の例では、治療送達期間の開始時間は、患者が眠っている可能性が高いことを検出することに基づいて、例えば、姿勢信号、患者活動信号、気道音などの、上述したようなセンサ86からの信号に基づいて、作動され得る。さらに他の例では、治療送達期間の開始時間は、外部プログラマ50を使用しながら、パルス発生器12または他の手段をタップして、患者の手動により開始され得る。開始時間は、手技治療開始信号が受信された時間から、例えば、15~30分だけ遅延して、患者が眠りに落ちる時間を考慮することができる。
【0056】
治療期間の開始時間に到達したとの判定に応答して、ブロック304において、制御回路80は、一連の電極対のうちの第1の電極対(または対の組み合わせ)を選択する。第1の電極対(または2つ以上の対の組み合わせ)は、図4~8と併せて上述したように、1つ以上のリードによって支持される利用可能な電極の中から選択される。ブロック306において、制御回路80は、電気刺激が第1の選択された電極対を使用して送達されるデューティーサイクル時間間隔を制御するためのデューティーサイクルタイマーを開始する。このデューティーサイクル時間間隔は、いくつかの例では、動員される筋繊維の有酸素限界内にあるように選択され得る。他の例では、デューティーサイクル時間間隔は、有酸素限界を超えて延長することができるが、第1の電極対が再度選択されて疲労を回避する前に、適切な回復時間間隔が許容され得る。デューティーサイクルタイマーは、いくつかの例では、5秒以下に設定され得る。
【0057】
デューティーサイクル時間間隔の間、ブロック308において、電気刺激パルスが送達されて(デューティーサイクル時間間隔の最初から最後まで)、突き出し筋の少なくとも一部の融合収縮を生成し、患者の舌の突き出し状態を持続させる。刺激パルスは、メモリ82内に格納され得る(図3)パルス制御パラメータに応じて送達され得る。例えば、パルス振幅、パルス幅、およびパルス周波数は、選択されて、突き出し筋繊維の動員、およびそれぞれの個々のパルスに対する単収縮応答の融合を促進し、舌の維持した突き出し状態を生成することができる。パルス制御パラメータの例には、0.1ボルト~10ボルトのパルス振幅、10マイクロ秒~1000マイクロ秒のパルス幅、および10Hz~50Hzのパルス周波数が含まれ得る。他の例では、パルス振幅は、0.5~8ボルトであり、パルス幅は、40~500マイクロ秒であり、パルス周波数は、20~40Hzである。パルス制御パラメータは、所与の患者に合わせて調整されて、痛みおよび不快感なしに上気道を適切に開放する、患者の舌の穏やかな突き出しを提供することができる。いくつかの例では、電気刺激パルスの振幅またはパルス幅をランプ上昇させて、持続される突き出し状態の緩やかな到来を提供することができる。
【0058】
電気刺激は、デューティーサイクルタイマーがブロック310において満了するまで、第1の選択された電極対を使用して送達される。デューティーサイクルタイマーが満了すると、制御回路80は、ブロック312において、治療期間終了時間が到達したかどうかを判定することができる。治療期間終了時間は、開始時間からのスケジュール設定された時間間隔、またはスケジュール設定された時刻に基づいて判定され得る。他の例では、終了時間は、患者がもはや眠っていないこと、またはOSA療法がもはや必要ないことを示すセンサ86からの信号に基づいて判定され得る。例えば、横になった姿勢から直立姿勢への変化が検出され得、患者の身体的活動の安静レベルから非安静レベルへの変化が検出され得、または他のセンサ信号を使用して、患者がもはや眠っていないことを検出することができる。さらなる他の例では、患者は、OSA療法がもはや必要ないことを、例えば、外部プログラマ50を使用して、パルス発生器12に手動で発信してもよい。
【0059】
治療期間終了時間が検出されると、ブロック318において、電気刺激は、終了する。電気刺激は、例えば、ランプ下降間隔にわたってパルス振幅またはパルス幅を減少させることによって、任意選択的にランプ下降され得、舌を弛緩状態に穏やかに戻すことができる。制御回路80は、ブロック302に戻って、次の治療期間の開始時間を待つことができる。いくつかの例では、制御回路80は、ブロック310において、デューティーサイクル期間の最後まで待つ必要がなく、このため、ブロック312において治療期間終了時間を検出して、電気刺激送達を終了する。電気刺激は、デューティーサイクルタイマーの満了前、特に比較的長いデューティーサイクル時間間隔が利用されている場合に、デューティーサイクル時間間隔の途中に終了され得る。
【0060】
デューティーサイクルタイマーが、ブロック310において、満了状態であると判定されているが、治療期間の終了時間がまだ到達していない場合(ブロック312の「いいえ」分岐)、電極選択のシーケンスでの次の電極対は、ブロック314において選択される。次の電極対を選択して、図4~7の例と併せて一般的に上述したように、突き出し筋の左部分と右部分との間の変化、突き出し筋の比較的さらなる前方部分と後方部分との間の変化、またはその両方などの、第1の電極対とは異なる部分の突き出し筋を活性化する刺激を送達することができる。選択される電極対は、「第1の選択された電極対」および「第2の電極対」など、単数として以降に言及され得るが、上述したように、2つ以上の電極は、所与のデューティーサイクル時間間隔の間に、1つ以上の刺激電極ベクトルに同時に存在し得ることが理解される。
【0061】
ブロック314において、次の電極対を選択すると、制御回路80は、電気刺激パルスが次の電極対を使用して送達される時間間隔を制御するために、ブロック316において、デューティーサイクルタイマーを開始する。いくつかの例では、第1の電極対のデューティーサイクル時間間隔、および第2の電極対のデューティーサイクル時間間隔は、重複している。スイッチング回路96は、第1のデューティーサイクルタイマーが満了する前に、第2の電極対を出力回路94に結合することができる。出力回路94は、複数の出力コンデンサまたはチャネルを含み得、このため、第2の電極対は、第1の電極対とは異なる出力チャネルに結合される。第2のデューティーサイクルタイマーが、第1のデューティーサイクルタイマーの満了前に、ブロック316において、開始され得る。電気刺激パルスは、第1のデューティーサイクルの最後のセグメントの間に、または第1のデューティーサイクル時間間隔と第2のデューティーサイクル時間間隔との重複部分の間に、第1の電極対および第2の電極対の両方を使用して送達され得る。いくつかの例では、第2の電極対を使用する電気刺激は、第1のデューティーサイクルの最後のセグメントの間に、または第1のデューティーサイクル時間間隔と第2のデューティーサイクル時間間隔との重複部分の間に、ランプ上昇する。第1の電極対を使用して送達される電気刺激パルスは、同じ時間セグメントにわたってランプ下降し得、その結果、第1のデューティーサイクルの満了によって、突き出し筋は、舌の突き出し状態を持続する方法で、第2の電極対を使用して送達される電気刺激によって活性化される。
【0062】
場合によっては、ブロック306において開始されたデューティーサイクルタイマーは、第1および第2の両方の電極対を使用して、電気刺激の重複時間セグメントの後に満了する。同じデューティーサイクルタイマーは、ブロック316において再度開始されて、そのシーケンス内で次の電極対を使用する電気刺激送達のための次のデューティーサイクル時間間隔をタイムアウトし得る。他の例では、シーケンス内での次の電極対が選択され、そして次の電極対を介する電気刺激が開始されるとすぐに、第2のデューティーサイクルタイマーは、ブロック316において開始されて、電気刺激が次の電極対を使用して送達されるデューティーサイクル時間間隔をタイムアウトすることを開始し得る。したがって、制御回路80は、必要に応じて1つ以上のデューティーサイクルタイマーを含み、その一連の電極対選択において重複または非重複の電気刺激時間間隔をタイムアウトし得る。
【0063】
電極対選択シーケンスにおけるそれぞれの電極対のデューティーサイクルは、同じかまたは異なる可能性がある。例えば、2つの電極対が交替する順序で選択される場合、各電極対を使用して、治療期間にわたって50%のデューティーサイクルの電気刺激を送達することができる。4つの異なる電極対が順次選択される場合、各電極対は、25%のデューティーサイクルを有し得る。ただし、他の例では、デューティーサイクルは、等しくなくてもよい。例えば、選択シーケンスでの1つの電極対を介する電気刺激は、選択シーケンスで別の電極対を使用して送達される電気刺激よりもより有効に上気道を開放することができる。例えば、60%または70%である、より長いデューティーサイクルは、より有効な電極対に適用され得、その結果、上気道のより有効な開放がその時間の大部分で達成される。例えば、30%または40%である、より短いデューティーサイクルがある程度有効性の低い電極対に適用されて、舌の突き出し状態、および許容できる気道の開放を依然として維持しながら、より高いデューティーサイクルで刺激される筋肉部分に、新陳代謝の十分な回復時間を提供することができる。他の例では、刺激される筋繊維が疲労を受けやすいか、またはより高い周波数もしくは刺激パルスエネルギーで刺激される必要がある場合に、比較的短いデューティーサイクルが所与の電極対選択に使用され、その結果、舌の許容できる突き出しを達成し、そして開放気道を維持することができる。
【0064】
このプロセスは、治療期間の終了時間がブロック312において到達するまで、各それぞれのデューティーサイクル時間間隔にわたって電気刺激を送達するための一連の電極対を選択し続ける。少なくとも2つであるが、3つ、4つもしくはそれ以上の電極対、または対の組み合わせが、治療期間の持続時間全体にわたって、繰り返しシーケンスで選択されて、呼吸サイクルのタイミングとは無関係に舌を突き出し状態に維持し得ることが理解される。
【0065】
図9は、一例による、睡眠中に上気道の開存性を促進するために、突き出し筋への選択的刺激を送達するための、パルス発生器12によって実行される方法を例示するタイミング図である。電気刺激は、開始時間403および終了時間(図示せず)を有する治療期間401にわたって送達される。パルス発生器が交替繰り返し方法で第1の双極電極対402および第2の双極電極対412を順次選択するときに送達される電気刺激パルスが示されている。第1および第2の双極電極対402および412は、図4~7と併せて上の例に記載された任意の2つの異なる電極対に対応し得る。
【0066】
電気パルス406の第1の列が、発症403または治療期間401の開始を示している。電気パルス406の第1の列は、デューティーサイクル時間間隔404の間、双極電極対402を使用して送達される。電気パルス406の第1の列は、パルス振幅405、およびパルス間隔407によって画定される、例えば、20~50Hzのパルス周波数を有する。電気パルス406の第1の列は、「パルス列」406とも呼ばれるのだが、パルス振幅が開始電圧振幅からパルス電圧振幅405まで徐々に増加するランプ上昇部分408を有し得る。他の例では、パルス幅は、徐々に増加させることができる。このようにして、送達されたパルスエネルギーは、徐々に増加して、舌の弛緩した非刺激状態から突き出し状態までの穏やかな移行を促進する。
【0067】
電気パルス406の列は、パルス振幅(および/またはパルス幅)がデューティーサイクル時間間隔404の満了において、パルス電圧振幅405から最後の振幅まで減少するランプ下降部分410を含み得る。他の例では、パルス列406は、ランプ上昇部分408を含み、非ランプ下降部分410を含まない場合がある。この場合、デューティーサイクル時間間隔404の満了時に送達されるパルス列406の最後のパルスは、全パルス電圧振幅405で送達され得る。デューティーサイクル時間間隔404が満了すると、双極電極対402を介した電気刺激送達が終了する。
【0068】
示された例では、第2の電極対412が、デューティーサイクル時間間隔404の中で満了しているときに選択される。第2の電極対412が選択されると、電気刺激パルス列416の送達が、列406のランプ部分410と同時であるランプ上昇部分418を開始する。他の例では、パルス列416のランプ上昇部分418は、第1のデューティーサイクル時間間隔404の満了時に開始し得る。パルス列406がランプ下降部分410を含まない場合、パルス列416は、開始され得、その結果、ランプ上昇部分418は、デューティーサイクル時間間隔404の満了の直前、直後、またはそれと同時に終了する。第2のパルス列416は、デューティーサイクル時間間隔414の持続時間を有し、任意選択のランプ下降部分420と共に終了し得、そのランプ下降部分は、第1の電極対402を使用して送達される次のパルス列のランプ上昇部分と重複し得る。
【0069】
この例では、パルス列406および416は、振幅405および415、パルス幅、パルス周波数(およびパルス間間隔407)、ならびにデューティーサイクル時間間隔404および414において同等であることが示されている。しかしながら、一連のパルス列406および416の送達を制御するために使用される刺激制御パラメータの各々は、必要に応じて、別個に制御され、かつ異なる値に設定されて、疲労を回避または最小化しながら、舌40の突き出しの所望の持続を達成し得ることが想定される。
【0070】
一連のパルス列406および416は、2つの異なる電極対402および412を使用して送達され、その結果、突き出し筋の異なる部分は、パルス列406および416によって動員され、一方の部分が安静状態であり、これに対して他方の部分が刺激されているのを可能にする。しかしながら、パルス列404および406は、一連の重複または非重複の方法で生じ、その結果、電気パルスは、治療期間401の全持続時間の間に1つ以上の選択された周波数で送達されて、期間401全体にわたって舌を突き出し状態に持続させる。突き出した舌の比較的下方および/または前方にある位置は、異なる電極対が選択されたときに、移動または変化し得るが、舌は、治療期間401全体にわたって、依然として突き出し状態に留まることを理解されたい。
【0071】
時々、パルス列404および406は、重複されて、左および右のGG筋および/またはGH筋を同時に動員し、比較的大きな力(片側の動員と比較して)を作り出して、舌を前方に引っ張り出して、閉塞した上気道を開放することができる。場合によっては、重複パルス列404および406は、左側または右側に沿って突き出し筋の一時的な疲労を引き起こし得るが、その一時的な疲労は、治療の有効性を改善して、無呼吸症状中の開放上気道を確実にすることができる。疲労からの回復が、デューティーサイクルの間と、無呼吸症状の最後に生じるであろう。デューティーサイクルの長さは、個々の患者の疲労特性に応じて、患者間で変化し得る。制御回路80は、センサ86からの信号、例えば、運動センサ信号、ならびに/またはEMG信号相関突き出し筋収縮力およびその後続の疲労を使用して、閉ループシステムにおける疲労を最小化または回避する方法で、時間通りにデューティーサイクルを制御することができる。
【0072】
図10は、別の例による、パルス発生器12によってOSA療法を送達するための方法のタイミング図500である。この例では、治療送達期間501は、第1の双極電極対502を使用して送達されるランプ上昇間隔506を伴う503で開始される。このランプ上昇間隔506の後に、デューティーサイクル時間間隔504が続く。デューティーサイクル時間間隔504が満了すると、第2の双極電極対512が、第2のデューティーサイクル時間間隔514の間、電気刺激パルスを送達するために選択される。第3のデューティーサイクル時間間隔524は、第2のデューティーサイクル時間間隔514の満了時に開始し、刺激パルスは、第1の2つの対502および512とは異なる第3の双極電極対522を選択することによって、送達される。第4の双極対532は、第3のデューティーサイクル時間間隔524の満了時に選択され、第4のデューティーサイクル時間間隔534にわたって刺激パルスを送達するために使用される。第4のデューティーサイクル時間間隔534が満了すると、このシーケンスは、デューティーサイクル時間間隔504を発端に、再び繰り返される。
【0073】
この例では、4つの異なる双極対が、順番に選択される。4つの異なる双極電極対は、少なくとも1つの電極、および/または別の双極電極対の極性によって異なり得る。例えば、単一の四極リード20が使用される場合、4つの双極対は、30a~30b、30b~30c、30c~30d、および30a~30dを含み得る。4つの異なる対によって動員される突き出し筋の部分は、4つの異なる対の電界が同じ神経繊維のうちのいくつかを刺激し得るため、相互に排他的ではない可能性がある。突き出し筋の4つの異なる部分が動員され得、これらは、重複部分を含み得る。それぞれのデューティーサイクル時間間隔の間の比較的長い回復期間540、542、544、および546により、突き出し筋の各異なる部分が次のデューティーサイクル前に回復するのを可能にする。動員された筋肉部分が選択された電極対の間で重複する場合、双極電極対は、重複する動員された筋肉部分を連続的に刺激するのを回避する順番で選択され得る。動員されたすべての筋肉部分は、各それぞれの回復期間540、54、544、および/または546のうちの少なくとも一部の間に回復することができる。例えば、双極電極対502および双極電極対522が突き出し筋の重複部分を動員する場合、動員された部分は、第2のデューティーサイクル時間間隔514の間、および第4のデューティーサイクル時間間隔534の間に、依然として回復することができる。
【0074】
各デューティーサイクル時間間隔、504、514、524、および534の持続時間は、互いに同じかまたは異なる場合があり、結果として、同じかまたは異なる全体的なデューティーサイクルをもたらす。例えば、4つの双極電極対が順次選択されるとき、それぞれの個々の対の刺激送達は、25%のデューティーサイクルであり得る。他の例では、異なるデューティーサイクル、例えば、30%、10%、40%、および20%の組み合わせが選択されて、疲労を最小化または回避しながら、適切な気道開放を有する舌の持続した突き出しを促進することができる。デューティーサイクルの選択は、動員される特定の筋肉または筋肉部分、および所与の電極対選択のための刺激への舌の関連する応答(位置)に依存し得る。
【0075】
異なる双極電極対502、512、522、および532の各々を使用して電気パルスを送達するための、デューティーサイクル時間間隔504、514、524、および534の各々の間に使用される刺激制御パラメータは、同じであっても、または異なってもよい。図に示すように、異なるパルス電圧振幅、および異なるパルス間間隔、ならびに結果として得られるパルス列周波数が使用され得る。パルス振幅、パルス幅、パルス周波数、パルス形状、または他のパルス制御パラメータは、各双極電極対のために選択された設定値に従って制御され得る。
【0076】
示されている例では、刺激プロトコルの1つのランプ上昇部分506が、治療送達期間501の開始時点に示されている。刺激が、突き出し位置に舌を位置決めするようにランプ上昇されると、他の後続のデューティーサイクル時間間隔504(最初の1つ以外)、514、524、および534は、いずれも、ランプ上昇部分を含むことができず、またはランプ上昇部分によっては進行し得ない。他の例では、ランプ上昇部分が、各デューティーサイクル時間間隔に先行し得(または、図9に示すように、デューティーサイクル時間間隔内に含まれ得る)、また先行するデューティーサイクル時間間隔と重複し得る。ランプ下降部分は、図10の例では、まったく示されていない。他の例では、ランプ下降部分は、各デューティーサイクル時間間隔504、514、524、および534に従い得るかまたは含まれ得、図9に示すように、次のデューティーサイクル時間間隔の開始と重複し得る。いくつかの例では、最後のデューティーサイクル時間間隔のみ(図10には、示されていない)が、ランプ下降部分を含み得るか、またはランプ下降部分によって直後に続いて、舌が治療送達期間501の最後に弛緩した位置に穏やかに戻るのを可能にすることができる。
【0077】
図11は、OSA療法が複数の治療送達期間602、612、および622の間に送達される睡眠期間601を例示するタイミング図である。いくつかの例では、1つの長い治療送達期間は、患者が夜間に眠っている時間にわたって延長され得、その結果、刺激パルスは、治療送達期間全体にわたって継続的に送達されて、患者が眠っている時間全体にわたってOSA療法を送達する。刺激パルスが、図10に示すように、一連のデューティーサイクル時間間隔中に、周波数、振幅、および送達電極対において変化し得る場合であっても、刺激パルスは、時間のギャップまたは中断なしに送達される。図11では、複数の治療送達期間602、612、および622は、患者が眠っている時間601に及ぶことができる。
【0078】
各治療送達期間602、612、および622の間に、2つ以上の異なる双極電極対が、選択および使用されて、また2つの異なる一連のデューティーサイクル時間間隔604および606、614および616、ならびに624および626にそれぞれ従って、電気刺激パルスを送達することができる。電極対および他の刺激制御パラメータは、異なる治療送達期間602、612、および622の各々について、同じであってもよく、または一意に指定されてもよい。順次選択される電極対の異なる組み合わせを使用することによって、例えば、より長い回復時間が、ある治療送達期間中に動員された筋肉部分のために提供され得るが、別の治療送達期間中に動員された筋肉部分のためには提供され得ない。
【0079】
治療送達期間602、612、および622は、互いに直後に続くことができ、その結果、絶え間ない刺激が、睡眠期間602にわたって送達される。示されている例では、遅延630が、治療送達期間602と612との間に示され、別の遅延632が、治療送達期間612と622との間に示されている。気道閉塞の予防が、睡眠期間603全体にわたって望まれ得るが、いくつかの例では、遅延630および/または632は、治療送達期間602、612、および622の間に提供されて、新陳代謝の回復を可能にし、疲労を回避することができる。遅延630および632は、比較的短い場合があり、例えば、1~5分であり、治療送達期間602、612、および622は、数分または数時間さえも続くことがある。いくつかの例では、一連の治療送達期間602、612、および622は、睡眠605の終了が検出されるか、または治療が手動で終了されるまで、睡眠期間603全体にわたって順次繰り返され得る。
【0080】
図12は、一例による、OSA療法を送達するための方法のフローチャート650である。ブロック652において、センサ86からの信号が、制御回路80によって受信される。その信号は、運動信号、EMG信号、またはセンサ86によって生成され、かつ突き出し筋組織の音色状態と相関する他のセンサ信号であり得る。ブロック654において、制御回路80は、センサ信号に基づいて、突き出し筋組織の音色状態を判定する。この音色状態は、睡眠および/または気道閉塞の存在を示す低音色状態であり得る。この音色状態は、刺激に起因する疲労である可能性がある。他の例では、音色状態は、刺激された突き出し筋によって生成された力に起因する、患者の舌の突き出し程度と相関する活性化状態であり得る。ブロック654において判定され得る音色状態は、センサ信号の振幅、範囲、または他の分析での相対的な変化に基づき得る。
【0081】
ブロック656において、治療送達回路84は、突き出し筋組織の音色状態の判定に応答して、治療制御パラメータを調整する。例えば、低音色状態に応答して、治療送達回路84は、OSA療法送達を有効化またはオンにし得、かつ/またはパルス列のパルス振幅、幅および/もしくは周波数を増加させ得る。疲労を示す音色状態の変化に応答して、治療送達回路84は、刺激電極ベクトルのデューティーサイクルを調整し、異なる刺激電極ベクトル対に切り替え、かつ/または複数の刺激電極対にわたって送達されるデューティーサイクルのパターンを変更することができる。疲労は、センサ信号の振幅、周波数、または他の特徴の減少に基づいて検出され得る。
【0082】
場合によっては、高音色状態が、疲労、患者の不快感、または睡眠障害のリスクをもたらし得る舌の過剰刺激または過度の突き出しを示し得る。この場合には、治療送達回路84は、パルス振幅および/もしくは幅、パルス周波数、デューティーサイクルの重複を減少させ得、かつ/または刺激電極ベクトル選択を切り替え得る。突き出し筋組織の音色状態のセンサ信号監視が、制御回路80によって実行されて、治療送達回路84によって送達される治療の閉ループ制御を提供し得る。
【0083】
図13は、電気刺激送達のための標的領域に沿って、リード20の遠位部分28を位置決めするための移植方法の概念図である。開放管腔704および組織貫通遠位先端706を有する中空針702は、下顎48直下のアプローチから、一般的に上位および前方方向に経皮的に前進することができ、その結果、口底の下方の柔組織を通る細長いアパーチャを作成するプロセスを開始することができる。中空針702を前進させて、舌40の正中線、および下顎の内面に対してほぼ垂直、平行、または斜めのアパーチャを形成することができる。皮膚穿刺が、下顎の下位面に沿って、下顎の直下に作成され得るが、他のアプローチもまた、適切であり得、例えば、口腔内でのアプローチから口底に向かって下向きである患者固有であってもよい。
【0084】
針702は、比較的後方の穿刺部位から前方方向に向かって前進して、GG筋および/またはGH筋に沿って、またはそれを通ってトラックを作成することができる。他の例では、針702は、舌40の正中線102に対してより斜めまたはより垂直の位置に向けて、内側横方向に前進し得、顎部の内面を交差する。リード20の遠位端26は、針702の管腔704を通って前進する。リード20は、図4~7の例のいずれかに示されているように、電極30が内側HGNの左および右の標的領域のうちの一方または両方に沿って位置決めされるまで、管腔704を通って前進し得る。針702は、その針702を逆方向または近位方向に引っ張ることによって、徐々に取り除かれる。針702が取り除かれると、いくつかの例では、リード20は、さらに標的領域の中にゆっくりと移動され得る。次いで、針702は、患者から完全に取り除かれ、リード20の遠位部分28を、治療送達のために位置決めされたままに残す。特に、電極30は、左および/または右の内側HGN、ならびにその枝の直近に残されたままで、舌40の突き出し筋の動員のために神経を刺激する。他の例では、突き出し筋繊維は、直接刺激される。
【0085】
いくつかの例では、針702は、遠位組織貫通先端26の近くに、湾曲した部分710を含む。この湾曲した部分710を設けて、口腔の下方の柔組織に入る経路に沿った前進を誘導し得、前方に向かって前進するか(例えば、図5~7)に示すように)、または正中線102に向かって内側横方向に続く比較的横方向のアプローチから前進する(例えば、図4に示すような展開のために)。湾曲した部分710により、直針を用いては不可能であり得る、内側HGNの左および/または右の標的領域に対して相対的な配向での遠位部分28の配置を可能にし得る。遠位部分28の最終的な移植場所は、GG筋および/もしくはGH筋内、ならびに/または口底の下方で口腔に貫入することなく、内側HGN枝に近接する他の柔組織内において、筋肉注射によるものであり得る。
【0086】
図14は、OSA療法を提供するための方法の概念図であり、図15は、別の例による、図14の方法のフローチャートである。図14および15の両方を参照すると、ブロック902において、鋭利なまたは斜角を付けた遠位先端812を有する中空針であり得る中空送達ツール810は、挿入または穿刺部位805aにおいて経皮的に挿入され得、患者の頸部804および下顎801の内面802に隣接して前進し得、その内面は、患者の舌の正中線に対応し得る(例えば、図7を参照)。挿入部位805aは、下顎801の本体の下方にある頸部の前方三角807、例えば、顎下三角およびオトガイ下三角に対応するものに沿って、比較的後方にあり得る。
【0087】
送達ツール810は、口腔の中に、その後、概ね後方から前方方向806に貫通することなく、上位方向に前進する。送達ツール810は、内面802に対して概ね平行に前進して、内面802から内側HGNの標的領域(例えば、図7の領域106Lおよび106Rを参照)に向かって、横方向にオフセットされ得る。送達ツール810の遠位先端812が突き出し筋内またはそれに沿った所望の部位に到達したとき、図2に示すような複数の電極を支持しているリード遠位部分828aは、送達ツール810の中空管腔を通って前進して(ブロック904)、内面802の片側に沿った突き出し筋組織に沿って、またはその突き出し筋組織内に、電極を位置決めする。リード820aは、複数の枝または他の構造体を含む固定部材832aを含み得、その固定部材は、送達ツール810内に拘束されたときに、リード本体822aに沿って崩壊し得、送達ツール810からの解放時に通常の位置に拡張して、周辺組織と係合し、遠位部分828aのシフトを防止し得る。
【0088】
示されている例では、第2のリード820bが、経皮的に前進して、第2の遠位部分828bを位置決めし、第1のリード820aの第1の遠位部分828aから内面802の反対側の突き出し筋組織内またはそれに沿って、少なくとも1つの電極を支持する。したがって、ブロック906において、中空送達ツール810は、第2の挿入部位805bから前進し得る。第2の挿入部位805bは、挿入部位805aに関して上述したように、患者の頸部804の前頸三角807に沿って比較的後方にあり得るが、挿入部位805bは、第1の挿入部位805aの反対側の内面802から横方向にオフセットされている。第2のリード820bの遠位端826bは、送達ツール810を通って前進して(ブロック908において)、第1の遠位部分828aから内面802の反対側の第2の側に沿った内側HGNを刺激するための標的領域に沿って、第2の遠位部分828bを位置決めしている。2つのリード遠位部分828aおよび828bは、互いにほぼ平行に、かつ内面802に隣接して延在し得る。第2のリード本体822bに沿った固定部材830bは、送達ツール810の取り出し時に周辺組織と係合して、遠位部分828bのシフトまたは脱落を防止する。
【0089】
各それぞれのリード820aおよび820bの近位端824aおよび824bは、患者の頸部804(ブロック910)に沿って、それぞれの挿入部位805aおよび805bから移植ポケットまでトンネリングされ得、そこでは、近位端824aおよび824bの各々は、パルス発生器12に結合されている。リード本体822aおよび822bの各々は、それぞれの、遠位端826a~近位端824a、および遠位端826b~近位端824bの全長を有し得、それらの全長は、例えば、下顎801の下方、かつ患者の鎖骨の上方にある頸部に沿って移植されるパルス発生器12に結合され得る患者の頸部804に沿った最大距離に及ぶ。例えば、リード820aおよび820bの全長は、ほぼ10cm~ほぼ25cmであり得る。リード820aおよび820bの全長は、様々な例では変化し得、このため、異なる患者サイズ、および頸部内の異なる移植場所、例えば、下顎801よりも鎖骨により近いところで、頸部内の比較的低所に移植されたパルス発生器を有する比較的背の高い人、に対する、頸部内の高所に移植されたパルス発生器を有する比較的背の低い人に対応し得る。リード820aおよび820bの全体的な最大長は、一例として、最大25cmであり得る。
【0090】
電気刺激パルスは、リード遠位部分828aおよび828bによって支持された電極を使用して送達されて(ブロック912)、突き出し筋を活性化し、治療送達期間全体にわたって患者の舌の突き出し状態を持続させる。2つ以上の双極電極対が、2つのリード820aおよび820bによって支持された利用可能な電極から順次選択されて、2つ以上のデューティーサイクルに従って電気刺激パルスを送達し、一連の方法で突き出し筋の異なる部分を活性化して、長期の治療送達期間にわたって、突き出し状態を持続させながら、疲労を回避または軽減することができる。いくつかの例では、各双極対は、リード820aまたは820bのうちの一方からのみであって両方からではない電極を含むように選択され、その結果、突き出し筋の左側および右側の部分は、それぞれの左および右の双極電極対によって順次活性化される。他の例では、双極対は、一方のリード820aから1つの電極、および他方のリード820bから1つの電極を含み得、その結果、一連の刺激は、突き出し筋の両側部分、例えば、前方両側部分および後方両側部分を含み得る。図14に一般的に示されているように位置決めされた2つのリード820aおよび820bを使用して、ブロック912において送達された電気刺激デューティーサイクルおよびパルス列は、例えば、図9~11と併せて、上で与えられた例のいずれにも対応することができる。
【0091】
本実施例に応じて、方法本明細書に記載されている方法のいずれかの特定の行為または事象は、異なる順番で実行され得、追加され、併合され、または完全に除外され得る(例えば、記載された行為または事象のすべてが、本方法の実施に必ずしも必要であるとは限らない)ことを理解されたい。さらに、特定の例では、行為または事象が、順次ではなく、例えば、多段処理、割り込み処理、または複数のプロセッサを介して、同時に実行されてもよい。さらに、本開示の特定の態様は、明確にするために単一のモジュールまたはユニットによって行われるものとして記載されているが、本開示の技術は、例えば、医療機器に関連するユニットまたはモジュールの組み合わせによって行われ得ることを理解されたい。
【0092】
1つ以上の例では、記載された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されることができる。ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上に1つ以上の命令またはコードとして格納され得、また、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行され得る。コンピュータ可読媒体には、コンピュータ可読記憶媒体が含まれ、それは、データ記憶媒体(例えば、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、または命令もしくはデータ構造の形式で所望のプログラムコードを格納するために使用され得、かつコンピュータによってアクセス可能である任意の他の媒体)などの有形媒体に対応する。
【0093】
命令は、1つ以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブル論理アレイ(FPGA)、または他の同等の集積もしくは離散論理回路などの、1つ以上のプロセッサによって実行され得る。したがって、本明細書で使用される場合、「プロセッサ」という用語は、前述の構造体、または本明細書に記載されている技術の実施態様に適切な任意の他の構造体のいずれかを指し得る。また、それらの技術は、1つ以上の回路または論理素子内に完全に実装され得る。
【0094】
したがって、植込み型医療機器システムは、特定の例を参照して前述の説明の中で提示されてきた。本明細書に開示された様々な態様は、添付図面に示された特定の組み合わせとは異なる組み合わせで組み合わされてもよいことを理解されたい。参照された例に対する様々な修正が、本開示および以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、行われ得ることが理解される。
図1
図2
図3
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図5
図6
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図8
図9
図10
図11
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【国際調査報告】