IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アリオスコピーの特許一覧

特表2022-522857自動立体視スクリーンの製造方法および2次元画像表示用スクリーンの自動立体視画像表示用スクリーンへの変換方法
<>
  • 特表-自動立体視スクリーンの製造方法および2次元画像表示用スクリーンの自動立体視画像表示用スクリーンへの変換方法 図1
  • 特表-自動立体視スクリーンの製造方法および2次元画像表示用スクリーンの自動立体視画像表示用スクリーンへの変換方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(54)【発明の名称】自動立体視スクリーンの製造方法および2次元画像表示用スクリーンの自動立体視画像表示用スクリーンへの変換方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 35/24 20210101AFI20220413BHJP
   G02B 3/00 20060101ALN20220413BHJP
   G02B 30/27 20200101ALN20220413BHJP
   G02B 30/30 20200101ALN20220413BHJP
   G02B 3/06 20060101ALN20220413BHJP
【FI】
G03B35/24
G02B3/00 A
G02B3/00 Z
G02B30/27
G02B30/30
G02B3/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552209
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(85)【翻訳文提出日】2021-10-08
(86)【国際出願番号】 FR2020050388
(87)【国際公開番号】W WO2020178506
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】1902205
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509191300
【氏名又は名称】アリオスコピー
【氏名又は名称原語表記】ALIOSCOPY
【住所又は居所原語表記】3 rue de l’Est,75020 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】アリオ,ピエール
【テーマコード(参考)】
2H059
2H199
【Fターム(参考)】
2H059AA35
2H059AB02
2H199BA08
2H199BA09
2H199BB04
2H199BB65
2H199BB68
2H199CA63
(57)【要約】
本発明は、自動立体視画像を表示するためのスクリーンの製造方法であって、行と列に配置され、各画素が異なる色の複数のサブピクセルで構成される画素のブロックを選択するステップ(E10)と、偏光フィルムを選択するステップ(E11)と、光学フィルムと呼ばれる複合フィルムを形成するために、偏光フィルム上に直接レンチキュラー・アレイを製造するステップ(E12、E13、E14)と、光学フィルムを画素のブロックに接着するステップ(E15)とを含む、自動立体視画像を表示するためのスクリーンの製造方法に関するものである。また、本発明は、2次元画像を表示するためのスクリーンを、自動立体視表示のためのスクリーンに変換する方法に関するものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動立体視画像を表示するスクリーンの製造方法であって、
- 行と列で構成され、各画素が異なる色の複数のサブピクセルで構成されている画素のブロックを選択するステップ(E10)と、
- 第1の光軸を有する偏光フィルムを選択するステップ(E11)と、
- 前記選択された偏光フィルム上に直接第2の光軸を有するレンチキュラー・アレイを製造して、光学フィルムと呼ばれる複合フィルムを形成するステップと、
- 前記光学フィルムを前記選択された画素のブロックに接着し(E15)、偏光機能と自動立体視機能にそれぞれ関連した2つの光軸を有する偏光・レンチキュラー表示スクリーンを得るステップと、
を含む、自動立体視画像を表示するスクリーンの製造方法。
【請求項2】
前記偏光フィルム上に直接レンチキュラー・アレイを製造する前記ステップが、
- 前記偏光フィルム上に、透明な重合性樹脂層を塗布するステップ(E12)と、
- 前記重合性樹脂層に前記レンチキュラー・アレイを埋め込むステップ(E13)と、
- 前記重合性樹脂を重合して、前記レンチキュラー・アレイを一体化した透明で安定した複合フィルムを得るステップ(E14)と、
からなるサブステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記透明な重合性樹脂が、紫外線または他の成分との混合後の化学反応、または熱の付加によって重合可能な樹脂(1成分または2成分)である、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記重合性樹脂層に前記レンチキュラー・アレイを埋め込むステップ(E13)は、前記偏光フィルムと、所望のレンチキュラー・アレイの形状および寸法が刻まれたシリンダーとを貼り合わせることにより行われる、ことを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記重合性樹脂層に前記レンチキュラー・アレイを埋め込むステップ(E13)は、前記偏光フィルムに、所望のレンチキュラー・アレイの形状および寸法のパターンをUVニスプリンターで印刷することにより行われる、ことを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項6】
前記重合性樹脂層に前記レンチキュラー・アレイを埋め込むステップ(E13)は、所望のレンチキュラー・アレイの形状および寸法の前記偏光フィルムをスクリーン印刷することにより行われる、ことを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項7】
前記重合性樹脂層に前記レンチキュラー・アレイを埋め込むステップ(E13)は、前記偏光フィルム上に、所望のレンチキュラー・アレイの形状および寸法の型を貼り付けることにより行われる、ことを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項8】
前記選択された偏光フィルムが、セルローストリアセテートの2枚のフィルムの間に延伸されて積層されたポリビニルオキサイドのフィルムから形成されている、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
2Dスクリーンと呼ばれる2次元画像を表示するためのスクリーンを、3Dスクリーンと呼ばれる自動立体視画像を表示するためのスクリーンに変換する方法であって、前記2Dスクリーンは、画素のブロックを形成する液晶の少なくとも1つの層が、少なくとも偏光フィルムによって重ねられており、前記方法は、
- 前記偏光フィルムを前記2Dスクリーンから剥離するステップと、
- 偏光フィルムを選択するステップと、
- 前記選択された偏光フィルム上に直接レンチキュラー・アレイを製造し、光学フィルムと呼ばれるフィルムを形成するステップと、
- 前記光学フィルムを、前記2Dスクリーンの前記画素のブロックに直接接着するステップと、
を含む、2次元画像を表示するスクリーンからの自動立体視画像を表示するスクリーンへの変換方法。
【請求項10】
前記偏光フィルム上に直接レンチキュラー・アレイを製造するための前記ステップが、
- 前記偏光フィルム上に透明な重合性樹脂層を塗布するステップと、
- 前記重合性樹脂層に前記レンチキュラー・アレイを埋め込むステップと、
- 前記重合性樹脂を重合して、前記レンチキュラー・アレイを一体化した透明で安定した複合フィルムを得るステップと、
からなるサブステップを含む、ことを特徴とする請求項9に記載の変換方法。
【請求項11】
偏光フィルム上にレンチキュラー・アレイを製造する方法であって、
- 前記偏光フィルム上に、透明な重合性樹脂層を塗布する工程(E12)と、
- 前記重合性樹脂層に前記レンチキュラー・アレイを埋め込むステップ(E13)と、
- 前記重合性樹脂を重合して(E14)、前記レンチキュラー・アレイを一体化した透明で安定した複合フィルムを得るステップと、
からなるステップを含む、ことを特徴とする偏光フィルム上にレンチキュラー・アレイを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術的分野
本発明は、自動立体視(autostereoscopy)の分野に関し、より詳細には、自動立体視スクリーンの製造と、2次元画像を表示するためのスクリーンを自動立体視画像を表示するためのスクリーンに変換することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
技術的背景
自動立体視は、観察者が特別な眼鏡を着用することなく、画像をレリーフで表示することができる技術である。この技術自体は、特に特許文書の国際公開第2006/024764号、国際公開第2014/041504号、国際公開第2013/140363号および国際公開第2014/016768号に記録された出願人名を参照することで、先行知識となる。
【0003】
一般に、自動立体視画像は、異なる視点からの同一物体または同一シーンの画像に対応する、所定の混合スキーム(scheme)に従って織り交ぜられた(インターレースされた)複数の要素画像バンドで構成されている。円筒形のレンチキュラー・レンズ(lenticular leses)やパララックスバリア(parallax barrier)などで一般的に構成される選択装置を表示スクリーンの前に配置することで、1つのシーンの2つの異なる視点に対応する1対の要素画像を、観察者の2つの目のそれぞれに向けて投影することができ、観察者の脳にレリーフの印象を与えることができる。
【0004】
本出願人は、行と列に配置された画素マトリクスで構成され、各画素が異なる色の複数のサブピクセルで構成されている自動立体視スクリーンを既に提案している。このスクリーンには、さらに、スクリーンからの光線を無限回返すように構成された、それぞれが焦点距離を持つ同一の円筒形レンチキュラー・レンズのアレイが重ねられている。レンズの幅は、N個のサブピクセルの幅にほぼ等しく、Nは視点の数である(本出願人は、1ピクセルの代わりに、視点ごとに、レンズごとに、水平線ごとに、1個のサブピクセルを使用することを勧めているため)。しかし、達成される効果を実質的に変更することなく、他の構成も可能である。円筒形のレンチキュラー・アレイの間隔は、スクリーンから所定の距離(フラット・ティント距離と呼ばれ、例えば85cmに固定されている)にいる観察者が、レンチキュラー・アレイの拡大効果により、6.5cm(計算の基礎として選ばれた目の間の平均距離)連続してずれた画像を見るように、正確に計算されている。
【0005】
この拡大効果は、適切な距離(焦点距離)に置かれたレンズが、その光軸と観察者の目の瞳とが一致したサブピクセルを拡大することに起因する。レンズをN倍に拡大すると、レンズを通して見えるサブピクセルは、実際のN倍の幅で知覚され、このレンズを通して光を受ける目からは、上記のような配置になっていない他のN-1個のサブピクセルが見えにくくなる。
【0006】
したがって、観察者はそれぞれの目で画面の解像度のN分の1しか認識していないことになる。これらの点は、互いに関連して1つの画像または視点を形成し、すべて水平方向にN倍に拡大される。N-1/Nthの解像度は、同じ方法でN-1個の他の視点を提示するために残る。
【0007】
自動立体視スクリーンを作る際に難しいのは、スクリーンの前面に光学部品を配置して接着することである。前述の拡大効果を得るためには、この光学部品をスクリーンの表面から正確な距離で接着する必要がある。特に、画素の有効面まで光学的に交差した厚さは、空気を含む交差した各材料の屈折率を考慮して、レンチキュラー・アレイのマイクロレンズの焦点距離に対応しなければならない。
【0008】
マイクロレンズのプロファイルは、ほとんどの場合、円筒形であるが、放射状にすることができる。プリズム状のプロファイルを持つ特定の光学部品は、円筒状のプロファイルを持つマイクロレンズの場合と同じ半径の円弧の、所望の視点数に等しい数のコード(chords)に対応する。
【0009】
スクリーンによっては、レンズの焦点距離が、スクリーンの画素に到達するために越えなければならない光学的厚さに対応している。そのため、レンズはスクリーンに向かって、スクリーンに接するように取り付ける必要がある。
【0010】
難しいのは、レンズの上部がスクリーンに接触するようにレンチキュラー・アレイを配置し、ニュートンリング(レンズの球面または円筒面とスクリーンの平面との接触点を中心に、接触ゾーンの幾何学的な関係で一連の同心円または帯状の明暗と色が交互に現れる干渉パターン)の出現を最小限に抑えることである。スクリーンが消えているときには、レンズに合わせて暗い部分や時には色のついた部分とグレーのラインが交互に現れる縞模様のように見える。この現象は、時間の経過とともに進化し、顕著になる。
【0011】
そこで本発明者らは、特に円筒形レンズをスクリーンにできるだけ近づけて接着しなければならない場合に、現在利用可能な自動立体視スクリーンの製造方法を改善することを目指した。
【0012】
特に、経時的に安定したスクリーンを得ることができる製造方法の開発を目指した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
発明のねらい
そこで本発明は、既知の解決策の欠点の少なくとも一部を解決する、自動立体視スクリーンの製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
本発明は、特に、少なくとも1つの実施形態において、自動立体視スクリーンを製造するために現在実施されている方法に比べて簡素化された自動立体視スクリーンの製造方法を提供することを目的としている。
【0015】
また、本発明は、少なくとも1つの実施形態において、経時的に安定した画面を得ることが可能な、自動立体視スクリーンの製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、少なくとも1つの実施形態において、ON/OFFに関わらず、外観が改善された画面を得ることが可能な自動立体視スクリーンの製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、2次元画像を表示する画面を、自動立体視スクリーンを表示するスクリーンに変換する方法を提供することを目的とする。
【0018】
また、本発明は、少なくとも1つの実施形態において、標準的なスクリーンのメーカーが製造方法を実質的に変更することなく実施できる方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
発明の内容
これを行うために、本発明は、
- 行と列に配置され、各画素が異なる色の複数のサブピクセルで構成されている画素のブロックを選択するステップと、
- 第1の光軸を有する偏光フィルムを選択するステップと、
- 第2の光軸を有するレンチキュラー・アレイを直接前記選択された偏光フィルム上に製造して、光学フィルムと呼ばれる複合フィルムを形成するステップと、
- 前記光学フィルムを前記選択された画素のブロックに直接貼り付けることにより、偏光機能と自動立体視機能にそれぞれ関連する2つの光軸を有する偏光・レンチキュラー表示画面を得るステップと、
を含む、自動立体視画像を表示するためのスクリーンの製造方法に関する。
【0020】
そのため、本発明による方法では、偏光子フィルムとも呼ばれる偏光フィルムを用いて、スクリーンの表面に直接レンチキュラー・アレイを製造することができる。
【0021】
そのため、本発明による方法では、あらかじめ設計されたレンチキュラー・アレイをスクリーンの表面に固定する工程を省き、偏光フィルム上に直接アレイを製造する工程に置き換えることで、自動立体視スクリーンの製造を容易にすることができる。
【0022】
したがって、本発明による方法は、特に偏光フィルムの製造および適用に関して、2Dスクリーンのメーカーが得たすべての経験を、自動立体視スクリーンの製造に活用することを可能にする。形成された光学フィルムは、偏光フィルムの機械的特性や、複合フィルムの経時的な安定性を変化させない。したがって、本発明による製造方法は、経時的に安定した自動立体視スクリーンを提供することを可能にする。
【0023】
さらに、本発明による方法では、アレイのレンズをスクリーンの表面に接触させなければならない場合に、ニュートンの輪が現れるリスクを排除することができる。したがって、本発明による方法は、製造されたスクリーンの外観を、既知のスクリーンに対して、それらがオンのときもオフのときも改善することを可能にする。
【0024】
また、本発明による方法では、光学フィルムに二重の機能、すなわち偏光機能と自動立体視画像の形成を可能にする光学成分機能を付与することが可能である。このように、本発明による光学フィルムを画素のブロックに敷設することで、偏光特性と自動立体視特性の両方をスクリーンに付与することが可能となる。
【0025】
本発明による方法で得られた光学フィルムは、偏光軸と、本発明による方法で形成されたレンチキュラー・アレイのマイクロレンズの軸という、2つの異なる機能に関連する少なくとも2つの光軸を有することを特徴とする。
【0026】
有利なことに、本発明によれば、前記偏光フィルム上に直接レンチキュラー・アレイを製造する前記ステップは、
- 前記偏光フィルムの上に、透明な重合性樹脂層を塗布するステップと、
- 前記重合性樹脂層に前記レンチキュラー・アレイを埋め込むステップと、
- 前記重合性樹脂を重合することにより、前記レンチキュラー・アレイを組み込んだ透明で安定した複合フィルムを得るステップと、
からなるサブステップを含む。
【0027】
本変形例による方法は、偏光フィルム上に重合性樹脂層を塗布し、印刷、硬化後の彫刻、スクリーン印刷、または前記樹脂の重合後に目的のレンチキュラー・アレイを直接得るための同等の手段によって、流動性がある間に成形することからなる限り、実施が特に簡単である。
【0028】
樹脂の重合は、紫外線による硬化、化学的な硬化剤による硬化、成形時の熱による硬化など、同等の手段で得ることができる。
【0029】
偏光フィルムに固定されたこの樹脂の接着性は、例えばコロナ処理、接着プライマーの使用、溶剤の使用、大気圧でのプラズマ、または真空プラズマなど、あらゆる手段で向上させることができる。
【0030】
本変形例による方法では、複合フィルム上にあらゆるタイプのレンチキュラー・アレイを形成することが可能であり、特に放射状アレイや切子面(ファセット)アレイを形成することができる。
【0031】
また、本変形例による方法では、画素のブロックの列方向に対するレンズの傾斜角度がどのようなものであっても、簡単な方法であらゆるタイプのアレイを製造することができる。
【0032】
本発明の有利な変形例によれば、前記透明な重合可能な樹脂は、UVによって、または他の成分との混合物から生じる化学反応によって、または熱の付加によって重合可能な樹脂(1成分または2成分)である。
【0033】
透明なUV樹脂の場合、紫外線と可視光線の両方を発するランプを用いて、偏光フィルムを介して重合を行うのが有利である。
【0034】
前記樹脂層に前記レンチキュラー・アレイを埋め込むステップは、
- 前記偏光フィルムと、所望のレンチキュラー・アレイの形状および寸法が刻印されたシリンダーとを貼り合わせるステップと、
- 前記偏光フィルムに、所望のレンチキュラー・アレイの形状および寸法のパターンを、UVニスプリンターで印刷するステップと、
- 前記偏光フィルムを、所望のレンチキュラー・アレイの形状および寸法にスクリーン印刷するステップと、
- 前記偏光フィルムに、所望のレンチキュラー・アレイの形状および寸法を有するモールドを施すステップと、
のうちのいずれか1つのステップを実施することで構成してもよい。
【0035】
もちろん、偏光フィルム上の樹脂層にレンチキュラー・アレイを他の方向にて形成することもできる。
【0036】
有利なことに、本発明によれば、前記選択された偏光フィルムは、セルローストリアセテートの2つのフィルムの間に延伸されて積層されたポリビニルオキサイドのフィルムから形成される。
【0037】
この変形例では、レンチキュラー・アレイによってセルローストリアセテートフィルムの表面を直接修正することも可能である。
【0038】
また、本発明は、2Dスクリーンと呼ばれる2次元画像を表示するためのスクリーンを、3Dスクリーンと呼ばれる自動立体視画像を表示するためのスクリーンに変換する方法であって、前記2Dスクリーンは、画素のブロックを形成する液晶の少なくとも1つの層を、少なくとも偏光フィルムによって重ね合わせて構成されており、前記方法は、
- 前記2Dスクリーンから前記偏光フィルムを除去するステップと、
- 偏光フィルムを選択するステップと、
- 前記選択された偏光フィルム上に直接レンチキュラー・アレイを製造して、光学フィルムと呼ばれるフィルムを形成するステップと、
- 前記光学フィルムを、前記2Dスクリーンの前記画素のブロックに直接接着するステップと、
を含む。
【0039】
そのため、本発明による方法は、2D画像を表示するための標準的なスクリーンを使用し、それを自動立体視画像を表示するためのスクリーンに変換することを可能にする。この変換は、本発明による製造方法を用いて、偏光フィルムを除去し、レンチキュラー・アレイが埋め込まれた偏光フィルムに置き換えることで行われる。
【0040】
したがって、本発明による自動立体視画像を表示するスクリーンの製造方法の利点は、本発明によるスクリーンの変換方法にも準用される。
【0041】
本発明による方法は、様々な用途、特に自動車、医療、航空、電話などの用途に使用できる安定した自動立体視スクリーンを、簡略化された方法で繰り返し製造することを可能にする。
【0042】
有利なことに、本発明によれば、前記偏光フィルム上に直接レンチキュラー・アレイを製造する前記ステップは、
- 前記偏光フィルムの上に、透明な重合性樹脂層を塗布するステップと、
- 前記重合性樹脂層に前記レンチキュラー・アレイを埋め込むステップと、
- 前記重合性樹脂を重合して、前記レンチキュラー・アレイを組み込んだ透明で安定した複合フィルムを得るステップと、
からなるサブステップを含む。
【0043】
また、本発明は、上述または後述の特徴の全部または一部を組み合わせたことを特徴とする、自動立体視画像を表示するスクリーンの製造方法および表示画面の変換方法に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図の一覧
本発明のさらなる目的、特徴、および利点は、非限定的な例としてのみ提供され、添付の図を参照する以下の説明を読めば明らかになるだろう。
図1図1は、本発明の一実施形態による方法の概要を示す概略図である。
図2図2は、本発明の一実施形態による方法の偏光フィルム上にレンチキュラー・アレイを埋め込むステップを実施することを可能にする装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の一実施形態の詳細な説明
図1に示すように、好ましい実施形態による方法は、画素のブロックを選択するステップE10と、偏光フィルムを選択するステップE11と、選択された偏光フィルムに重合可能な樹脂の層を直接塗布するステップE12と、偏光フィルム上に堆積された樹脂層にレンチキュラー・アレイを埋め込むステップE13と、レンチキュラー・アレイを一体化した透明で安定した複合フィルムを得るように樹脂を重合するステップE14と、このようにして形成された複合フィルムを選択された画素のブロック上に接着するステップE15とを含むものである。
【0046】
次に、これらの各ステップの少なくとも1つの実施形態について詳細に説明する。
【0047】
画素のブロックを選択するステップE10は、対象となるアプリケーションに適合した寸法の画素のブロックを選択することである。このような画素のブロックは、任意の既知のタイプのものであってもよい。ブロックは、行と列によって配置された画素を含み、各画素は、異なる色の複数のサブピクセルで構成されている。
【0048】
偏光フィルムを選択するステップE11では、選択された画素のブロックに適合する寸法の偏光フィルムを選択する。
【0049】
2Dスクリーンを3Dスクリーンに変換する方法の場合、ステップE10とE11は、2Dスクリーンから偏光フィルムを剥がし、2Dスクリーンの中から変換したいブロックを画素のブロックとして選択する。
【0050】
また、この偏光フィルムに透明フィルムを貼り合わせて新しい偏光フィルムを形成し、本発明の方法で処理することも可能である。また、透明フィルムに直接レンチキュラー・アレイを製造し、それをスクリーンに接着されていない偏光子に直接接着することも可能である。このようにして、偏光子を持たないスクリーンや、既に偏光子を備えているスクリーンに貼り付けられる新しい複合フィルムを得ることができ、追加の透明レンチキュラー・フィルムの厚さと機能を追加することで、最初の偏光子の厚さを2倍にすることができる。これは、偏光フィルムに埋め込まれるレンチキュラー・アレイが、元の偏光フィルムと直接接触するのではなく、光学的な焦点距離を考慮して偏光フィルムからわずかに離す必要がある場合に、特に必要となることがある。
【0051】
また、偏光フィルム上にレンチキュラー・アレイを形成する代わりに、透明フィルム上にレンチキュラー・アレイを形成し、この形成されたレンチキュラー・アレイを、元の偏光フィルムが剥がされた2Dスクリーンの表面に直接接着することで、本発明による2Dスクリーンを3Dスクリーンに変換する方法を適応することも可能である。変換方法は、2Dスクリーンの画素のブロックに貼り付けられたレンチキュラー・アレイ上に、2Dスクリーンから剥がした偏光フィルム、またはリジッド(rigid)基板に貼り付けられた別の偏光フィルムを接着する。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、偏光フィルム上に樹脂層を塗布するステップE12と、前記偏光フィルム上にレンチキュラー・アレイを埋め込むステップE13と、前記偏光フィルム上の樹脂を重合するステップE14とが織り交ぜられ、調整して実施される。このステップは、例えば、図2に模式的に示す装置によって実施することができる。
【0053】
これを行うために、彫刻された金属製の円筒20(磨かれたガラスの表面状態と、製造されるレンチキュラー・アレイのレンズに正確に適合した形状と寸法を持つ溝を有する)を、それぞれが同じ方向に延びる、例えばゴムから作られた2つのローラー21、22からなるプラットフォーム上に置く。2つのローラーの軸は平行である。各ローラー21、22は、図2には示されていない電気モーターによって回転駆動される(もちろん、実質的に同じ結果を得るために、各ローラーを回転駆動する他の手段も可能である)。後述する別の変形例によれば、1つのゴムローラーのみが電動化される。
【0054】
ローラ21、22は、紫外線や可視光を通過させることができるが、2つのローラの上に置かれた彫刻された金属製の円筒20を保持するのに十分な近さで、その回転軸の方向と垂直な方向に、互いに間隔をあけて配置されている。
【0055】
選択された偏光フィルム25(2Dスクリーンを3Dスクリーンに変換する場合には、2Dスクリーンから剥がした偏光フィルム)は、2つのゴムローラ21、22と彫刻された円筒20との間で搬送される。つまり、偏光フィルム25は、2つのゴムローラに下から、彫刻金属筒に上から挟まれている。
【0056】
偏光フィルムは、2つのゴムローラーと刻印された金属製の円筒に接するように、引き伸ばされた状態で保持されている。この偏光フィルムの張り方は、どのような方法でもよい。
【0057】
そして、偏光フィルムの表面に金属製のシリンダーを接触させて、このシリンダーの上流側にUV樹脂を堆積させる。矢印26は、シリンダーの上流側での樹脂の流し込みを模式的に示している。シリンダーの上流側は、シリンダーの回転方向と偏光フィルムの前進方向(図2の説明図では右から左へ)によって規定される。つまり、フィルム25がシリンダー20の下を通過する直前に樹脂が堆積する。この偏光フィルムの前進方向と呼ばれる、ゴムローラーと彫刻されたシリンダーの回転軸に垂直な方向への変位は、ゴムローラーと彫刻されたシリンダーの間のフィルムの摩擦によって得られる。
【0058】
2つのゴムローラー21、22の同期した回転、彫刻された円筒20および偏光フィルム25の前進方向に沿った移動により、樹脂は彫刻された円筒ローラー20の下を強制的に通過する。
【0059】
本発明の変形例によれば、一方のゴムローラーのみがモーター駆動され、彫刻されたフィルム、彫刻されたシリンダーおよび他のゴムローラーを摩擦で駆動する。
【0060】
樹脂が金属シリンダーの下を通り、表面に張られたフィルムとの間に入ると、絞りを構成するゴムローラーの間で紫外線および/または可視光線を受けて、樹脂が重合・固化する。
【0061】
また、使用する樹脂によっては、偏光フィルムが硬化した樹脂を彫刻されたシリンダーとゴムローラーの間に運ぶようにするために、金属シリンダーよりも偏光フィルムに樹脂が付着するように彫刻されたシリンダーの表面を処理する必要がある。
【0062】
このようにして得られた偏光フィルム25は、その表面に、透明な材料で作られたシリンダー20の刻印のネガがあり、目的とするレンチキュラー・アレイとピッチや焦点距離が完全に一致したレンチキュラー・アレイを形成している。
【0063】
したがって、図2に模式的に示すように、装置の出口(図では左側)にある偏光フィルム25は、フィルムの表面にレンチキュラー・アレイがあり、装置の上流にあるフィルムの表面にはアレイがない。
【0064】
紫外光および/または可視光27の発光は、任意の既知の手段によって得ることができる。それにもかかわらず、この方法は、金属シリンダーおよび/または偏光フィルムの幾何学的変化につながる、記載された方法の様々な段階での温度上昇を防ぐことによって容易にすることができる。したがって、このような温度上昇を回避し、特にこの実施形態による方法の結果を改善するために、レンチキュラー・アレイの移植作業中に、赤外線フィルタおよび換気を有利に実施することができる。
【0065】
最後に、このようにして形成された複合フィルムを選択されたブロックの画素上に接着する最後のステップE15は、任意の既知の手段によって実施することができる。特に、この接着ステップは、従来の偏光フィルムを標準的な2D画素のブロック上に接着するステップと同じ手段で実施することができる。このことは、特に、本発明による方法の利点の1つであり、自動立体視スクリーンを設計するために、偏光フィルムを製造するステップを変更するだけで、2Dスクリーンの製造方法に特に困難なく統合することができ、その結果、そのようなスクリーンの製造コストを実質的に削減することができる。
【0066】
説明した方法は、本発明の一実施形態に過ぎない。また、彫刻された金属シリンダーの使用を、所望のレンチキュラー・アレイを形成するために偏光フィルム上に直接UVワニスプリンターを実施することに置き換えて、本発明を実施することも可能である。また、前記偏光フィルムに所望のレンチキュラー・アレイの形状と寸法をスクリーン印刷することも可能である。また、偏光フィルムにモールドを施し、そのモールドを所望のレンチキュラー・アレイと同じ形状・寸法にすることも可能である。
【0067】
また、別の実施形態では、比較的高い屈折率を持つUV樹脂を用いてレンチキュラー・アレイを製造し、そのレンズプロファイルは所望の焦点距離よりもはるかに短いものとすることも可能である。屈折率の低い樹脂で第1のレンチキュラー・アレイを埋め込むことで、自発的に選択した曲率半径の修正を補い、焦点距離を修正することができる。このような方法の利点は、後者の場合、アクティブ・ジオプトリー (active diopter) が、2つの異なるインデックスを持つ2つの透明な部品を統合したデバイスの中心部に埋め込まれていることにある。この場合、レンチキュラー・アレイは2つの平らな表面の間に完全に含まれる。一方はスクリーンの表面で、もう一方は保護と仕上げのためのガラスまたはプラスチックの板で、わずかにすりガラス状になっていたり、反射防止加工が施されていたりする。
図1
図2
【国際調査報告】