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特表2022-522861サンプル管理モジュールにおける改善またはサンプル管理モジュールに関連した改善
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(54)【発明の名称】サンプル管理モジュールにおける改善またはサンプル管理モジュールに関連した改善
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20220413BHJP
   G01N 21/64 20060101ALN20220413BHJP
【FI】
G01N1/10 V
G01N21/64 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552237
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(85)【翻訳文提出日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 GB2020050485
(87)【国際公開番号】W WO2020178563
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】1902792.9
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521391704
【氏名又は名称】ヴィディア・ホールディングス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】バン ワークム,ステファン・レオ
(72)【発明者】
【氏名】スミス,カラム・ロバートソン
(72)【発明者】
【氏名】ドルレスティン,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】クルグ,デビッド・アール
【テーマコード(参考)】
2G043
2G052
【Fターム(参考)】
2G043BA16
2G043CA03
2G043EA01
2G043EA13
2G043EA14
2G043HA02
2G043HA15
2G052AA29
2G052AB16
2G052AD06
2G052AD26
2G052AD46
2G052BA03
2G052BA17
2G052CA38
2G052CA39
2G052DA12
2G052DA15
2G052DA22
2G052GA11
2G052HA02
2G052HA19
2G052HC02
2G052HC06
2G052HC25
2G052HC41
2G052JA02
2G052JA08
2G052JA23
(57)【要約】
流体サンプルを収集するためのサンプル管理モジュールが提供される。サンプル収集位置を備えるサンプル収集デバイスと、収集デバイスからのサンプルを受容するように構成されたデカップリングゾーンと、デカップリングゾーンに収まらない任意のサンプルを収容するためのデカップリングゾーンと流体連通したあふれ容器とを備え、モジュール内の圧力が管理され得ることを確実なものとするようにあふれ容器が構成された、モジュール。サンプル管理モジュールを備えるカートリッジが更に提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体サンプルを収集するためのサンプル管理モジュールであって、
サンプル収集位置を備えるサンプル収集デバイスと、
前記収集デバイスからのサンプルを受容するように構成されたデカップリングゾーンと、
前記デカップリングゾーンに収まらない任意のサンプルを収容するための前記デカップリングゾーンと流体連通したあふれ容器と、
を備え、
前記モジュール内の圧力が管理され得ることを確実なものとするように前記あふれ容器が構成された、
サンプル管理モジュール。
【請求項2】
前記サンプル収集デバイスが、多孔質部材のパッドを更に備える、
請求項1に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項3】
前記多孔質部材の前記パッドが、不動態化された、
請求項2に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項4】
前記多孔質部材の前記パッドが、取り外し可能である、
請求項2または請求項3に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項5】
前記多孔質部材の前記パッドが、サンプルが収集された状態であるとき、視認可能な標示を提供するように構成された、
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項6】
肯定的な標示が、色変化または透明度変化のうちの1つまたは複数である、
請求項5に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項7】
前記パッドが、唾液排出を促進するための味または匂いをもつ、
請求項2から請求項6のいずれか一項に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項8】
前記多孔質部材が、前記デカップリングゾーンの上流に提供されたフィルタとして機能する、
請求項2から請求項7のいずれか一項に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項9】
蓋を更に備える、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項10】
前記蓋が、1回使用クリップを備える、
請求項9に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項11】
前記サンプルが前記デカップリングゾーンに受動的に引き込まれることを可能にするように前記サンプル収集デバイスが構成された、
請求項1に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項12】
前記サンプルが前記デカップリングゾーンに受動的に引き込まれることを可能にするように溝が提供された、
請求項11に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項13】
前記溝が、前記サンプル収集デバイスから前記デカップリングゾーンに毛細管現象を介して前記サンプルが移動することを可能にする、
請求項12に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項14】
前記溝が、親水性である、
請求項12または請求項13に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項15】
前記溝の構成が、前記溝の前記親水性を高める、
請求項14に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項16】
前記溝の表面親水性が、前記溝へのコーティングの提供によりもたらされる、
請求項14に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項17】
前記溝が、前記デカップリングゾーンに向けて先細になっている、
請求項12から請求項16のいずれか一項に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項18】
前記蓋の閉鎖が前記サンプルを前記サンプル収集位置から前記デカップリングゾーン内に強制的に進めるように前記蓋が構成された、
請求項9に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項19】
前記サンプル収集デバイスおよび前記パッドが、取り外し可能である、
請求項2から請求項8のいずれか一項に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項20】
蓋が、前記パッドから外に、および前記デカップリングゾーン内に前記サンプルを絞り出すように前記パッドを圧縮する、
請求項2に従属する請求項9に記載のサンプル管理モジュール。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれか一項に記載のサンプル収集モジュールを備えるカートリッジ。
【請求項22】
前記サンプル管理モジュールの下流に分析ゾーンを更に備える、
請求項21に記載のカートリッジ。
【請求項23】
TIRによる分析を可能にするように構成された光学要素を更に備える、
請求項21または請求項22に記載のカートリッジ。
【請求項24】
前記分析ゾーンの下流に通気穴を更に備える、
請求項22または請求項23に記載のカートリッジ。
【請求項25】
均圧経路を更に備える、
請求項23に記載のカートリッジ。
【請求項26】
前記カートリッジがリーダまたは補助デバイスに導入されたとき、蓋が自動的に閉じられるように構成された、
請求項22から請求項24のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル管理モジュールにおける改善またはサンプル管理モジュールに関連した改善に関し、特に、流体サンプルを収集するためのサンプル管理モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
ケア現場診断システムは多くの場合、使い捨てカートリッジおよびリーダを含む。カートリッジはリーダに挿入され得、サンプル、例えば、血液、唾液、または、尿が分析され得る。バイオアッセイは多くの場合、カートリッジ内にあるサンプル内における特定のバイオマーカーを検出するために、例えばアッセイカートリッジといったデバイスにおいて実施される。
【0003】
流体サンプル中における特定のバイオマーカーの有無を識別するために、デバイスは、ケア現場において効率的な手法により患者/ユーザから流体サンプルを収集することを必要とされる。デバイスはケア現場において、場合によっては未熟な使用者により使用されるので、デバイスは使用するために直感的でなければならず、壊れにくいものでなければならない。
【0004】
デバイスは未熟な使用者の手元におかれ得るので、流体がデバイスから再び現れた過剰なサンプルであるか、デバイスから出てくるデバイス内に提供された試薬であるかによらず、デバイスから流体が出てはならないことが重要である。
【0005】
デバイスは、例えばルミネセンスの測定結果といった生データの形態をとるデータにアクセスするように構成されたリーダに接続することを更に必要とし、または、データは所定のバイオマーカーの有無を示す2値結果であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
流体サンプルは、バイオアッセイに影響し、検討対象のバイオマーカーの作用を隠し得る他の粒子および汚染物質を含有し得る。これは、誤った読み取り結果をもたらし得る。したがって、分析前に汚染物質または任意の望ましくない粒子を大幅に減らす、または除去する収集サンプルデバイスを提供することが非常に望ましい。
【0007】
加えて、過剰なサンプルがデバイスから外に漏れること、またはユーザの邪魔をすること、またはカートリッジが挿入され得るリーダを汚染することを防ぐために、適切な体積で流体サンプルを収集する要求が更に存在する。
【0008】
この背景に鑑みて本発明が考え出された。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、流体サンプルを収集するためのサンプル管理モジュールであって、サンプル収集位置を備えるサンプル収集デバイスと、収集デバイスからのサンプルを受容するように構成されたデカップリングゾーンと、デカップリングゾーンに収まらない任意のサンプルを収容するためのデカップリングゾーンと流体連通したあふれ容器とを備え、モジュール内の圧力が管理され得ることを確実なものとするようにあふれ容器が構成された、サンプル管理モジュールが提供される。
【0010】
あふれ容器は、通気部の提供を介してモジュール内の圧力が管理され得ることを確実なものとするように構成され得る。通気部は、サンプルがモジュールに入り、および空気を押しのけるとき、空気の流出を可能にすることによりモジュール内の圧力を管理する。通気部は単純な開口であり得、流体サンプルが通気部に流入することを流体サンプルの表面張力が防ぐように、開口のサイズは十分に小さくなるように選択されている。
【0011】
幾つかの実施形態において、通気部は、浸透性フィルタを備え得る。これは、流体サンプルが通気部に入ることを防ぐために表面張力が十分ではない程度に通気部が十分に大きいことを可能にするが、空気がモジュールを出ることを可能にしながら、フィルタの透過性がモジュール内にサンプルを維持する。
【0012】
幾つかの実施形態において、あふれ容器自体は、あふれ容器のサイズのおかげで十分な圧力調節を提供し得る。想定されるサンプルのサイズと比べて非常に大きい容器が提供される場合、容器自体がモジュール内の圧力を管理し得る。
【0013】
通気されたあふれ容器の提供は、流体サンプルの過剰な部分が収集された場合でも、流体サンプルがデバイスから流出することができないことを確実なものとする。これは、使用時にリーダまたは他の補助デバイス、例えばデバイスが挿入され得るスタッカまたは培養器をサンプルが汚染することができないことを確実なものとする。それは更に、デバイスが有効であることを未熟なユーザに再確認させ、ユーザにある程度の品質保証を提供する。更に、容器を部分的に充填することは、それが分析ゾーンにおけるサンプルを蒸発から保護するという点で有益であり得る。サンプルの表面からの蒸発が存在するので、容器が少なくとも部分的に充填されていない場合、デカップリングまたは分析ゾーンにおけるサンプルからこの蒸発が発生し、このことが分析に好ましくない効果をもたらし得る。
【0014】
デカップリングゾーンがサンプル管理モジュールとサンプルの後続の分析との間の緩衝機能を提供するので、デカップリングゾーンにおける、サンプルの分析からのサンプルの積載のデカップリングは、ユーザが分析に偶発的に影響を与えることができないことを確実にし得る。
【0015】
幾つかの実施形態において、サンプル収集デバイスは材料のパッドを更に備え得る。サンプルがパッドから出るために孔を通って移動し得るのに対し、粒子状汚染物質がパッドに残されるように、材料は多孔質であり得る。パッドの多孔質の性質は、更にパッドの圧縮可能な性質と相関する。パッドは、サンプル収集位置を充填するように、および更には、蓋が閉じられたときにパッドが圧縮されるようにサンプル収集位置の高さより大きい非圧縮時高さをもつようにサイズ決定され得る。代替的に、パッドは、薄い単層パッドであり得る。パッドにおける孔がサンプル流体を保持し、更に、望ましくない粒子状汚染物質を捕捉し、したがって、パッドは、より大きい粒子状汚染物質に対するフィルタとしての二次的な機能をもち得る。多孔質部材はサンプルを吸収し得、蓋が閉じられて、サンプルが多孔質部材からサンプル収集位置から外に、およびデカップリングゾーン内に強制的に進められるまで、サンプル収集デバイスにサンプルを保持する。
【0016】
幾つかの実施形態において、多孔質部材のパッドは不動態化され得る。多孔質部材のパッドの不動態化は、タンパク質または他の分析対象物の結合を減らすことを意図したものであり得る。
【0017】
幾つかの実施形態において、多孔質部材のパッドは取り外し可能であり得る。パッドが取り外し可能な場合、パッドはユーザにより口内に配置されて、唾液により濡らされ得る。したがって、パッドのサイズおよび吸収性が、要求されるサンプルのサイズを決定付ける。これは正しいサンプルサイズを推定するというユーザに対する要求を無くす。
【0018】
幾つかの実施形態において、多孔質部材のパッドは、サンプルが収集された状態であるときの視認可能な標示を提供するように構成され得る。
十分なサンプルが収集された状態であることの肯定的な標示のこの提供は、ユーザに確信を与え、更に、不十分なサンプルに関連した失敗率を下げる。
【0019】
幾つかの実施形態において、肯定的な標示は、色変化または透明度変化のうちの1つまたは複数であり得る。色変化は未熟なユーザに簡単に理解可能であり、デバイスをユーザフレンドリーなものにする。十分なサンプルが収集された状態であるときにパッドの透明度が変化し、この透明度の上昇が、色付けされた裏張りがユーザに視認可能となることを可能にするように、変化が一緒に実現されてもよい。したがって、ユーザは色変化を知覚するが、これは多孔質部材のパッドの透明度の変化により円滑化されたものである。
【0020】
幾つかの実施形態において、パッドは、唾液排出を促進するために味または匂いをもち得る。
幾つかの実施形態において、多孔質部材は、デカップリングゾーンの上流に提供されたフィルタとして機能し得る。フィルタは、サンプルから汚染物質および/または望ましくない粒子を除去するために提供される。幾つかの実施形態において、フィルタが提供され得、パッドが提供されない。幾つかの実施形態において、パッドとフィルタとの両方が提供され得る。
【0021】
サンプル管理モジュールは蓋を更に備え得る。幾つかの実施形態において、蓋は、1回使用クリップを備え得る。
この文脈において、1回使用クリップは、一度閉じた後は、ユーザにより再度開けられることができないクリップである。これは、サンプル管理モジュールが複数回使用されることを防ぎ、サンプル管理モジュールが1回使用物品であることを確実なものとする。複数のサンプルがサンプル管理モジュール内に絶対に存在しないので、これは他のサンプルによるサンプルの汚染を防ぐ。
【0022】
幾つかの実施形態において、サンプル収集デバイスは、サンプルがデカップリングゾーンに受動的に引き込まれることを可能にするように構成され得る。
幾つかの実施形態において、サンプルがデカップリングゾーンに受動的に引き込まれることを可能にするために溝が提供され得る。溝は、サンプルがサンプル収集デバイスからデカップリングゾーンに毛細管現象を介して移動することを可能にし得る。
【0023】
幾つかの実施形態において、サンプル収集デバイスは実質的に円形であり得、溝は、サンプル収集デバイスにおいて放射状であり得る。幾つかの実施形態において、溝はデカップリングゾーン内に延び得る。幾つかの実施形態において、溝は親水性であり得る。
【0024】
更なる一実施形態において、溝の構成は、溝の親水性を高める。幾つかの実施形態において、溝の表面親水性は、溝へのコーティングの提供により更にもたらされ得る。デバイスが逆さまである場合でも流体が引き込まれ得るように、親水性の溝はデバイスを、配向を問わないものにする。溝は、デカップリングゾーンに向けて先細にされ得る。
【0025】
幾つかの実施形態において、蓋の閉鎖がサンプルをサンプル収集位置からデカップリングゾーン内に強制的に進めるように蓋が構成され得る。
幾つかの実施形態において、サンプル収集デバイスおよびパッドは取り外し可能であり得る。この実施形態において、サンプル収集デバイスおよびパッドはサンプル管理モジュールから一緒に除去される。これは、ユーザがサンプル収集デバイスを保持することを可能にする。これは、ユーザの指からの粒子によるパッドの汚染を防ぐ。
【0026】
幾つかの実施形態において、蓋は、パッドから外に、およびデカップリングゾーン内にサンプルを絞り出すためにパッドを圧縮し得る。
本発明の別の一態様において、本発明の前述の態様によるサンプル収集モジュールを備えるカートリッジが提供される。
【0027】
カートリッジは、サンプル管理モジュールの下流に分析ゾーンを更に備え得る。サンプルがサンプル管理モジュールに収集された後、サンプルは分析のために分析ゾーンに流入させられ得る。サンプルは、分析ゾーンに能動的に、または受動的に流入させられ得る。サンプルが能動的に流される実施形態では、これはポンプの使用、またはユーザまたはリーダにより生成された圧力差を通して実現され得る。サンプルが受動的に流される実施形態では、これは、分析ゾーンの形状、および、使用される材料の表面の性質により生成された毛細管力により実現され得る。
【0028】
カートリッジを通した圧力の管理は、流体の流れが十分に制御されることを確実なものとするために重要である。特に分析ゾーンにおける圧力が、分析ゾーンの出口に位置するフロー制御システムの一部を形成する通気穴の所定の最大圧力より高くならないことが重要である。この閾圧力より高くなった場合、更なるサンプルが分析ゾーンを通して引き込まれ、これが結果に影響を与え得る。
【0029】
カートリッジは、パッド、毛細管終端部、または分析ゾーンの下流においてフロー制御システムの一部を形成する通気穴を更に備え得る。パッドが分析ゾーンの下流に存在する場合、パッドは、カートリッジからの空気を通気しながら、分析ゾーンからの流体を吸収し得る。パッド内における流体の存在は、効果的に機能するために十分な流体がカートリッジに対して提供されたことの肯定的な標示と解釈され得る。
【0030】
幾つかの実施形態において、カートリッジは、均圧経路を更に備え得る。均圧経路は、分析ゾーンからサンプル管理モジュールを通って戻る通気部を備え得る。このような更なる通気部の提供は、サンプル収集位置の非常に近くにおいて空気再循環のための閉ループが存在することを確実なものとする。
【0031】
したがってユーザが誤ってデバイスを通して流体を吹き飛ばそうと試みた場合、サンプル収集位置、容器通気部、および均圧経路を含む非常に近くのすべての点にこの圧力が等しく印加される。分析の幾つかの態様を損なうおそれのある、カートリッジを過度に速く通るように流体サンプルを駆動するような、または強制的に進めるような正味の圧力差がないように、圧力は均圧経路を通して均一化される。
【0032】
幾つかの実施形態において、容器のサイズは、通気部を不要とするために十分であり得る。容器は最初に本来的に圧縮可能な気体、通常は空気により充填されるので、したがって、容器が分析ゾーンに比べて大きい実施形態では、カートリッジへのサンプルの追加がカートリッジの内部における圧力を過剰に高めないように十分な体積の圧縮可能な気体が存在し得る。
【0033】
幾つかの実施形態では、カートリッジがリーダ、または他の補助デバイス、例えばスタッカまたは培養器に導入されたとき、蓋が自動的に閉じられるように構成され得る。リーダは、カートリッジからデータを抽出するように構成されたデバイスであり得る。リーダは、家に、または、作業場における中央位置に、病院、現場またはどこか他の位置に配備された顧客ユニットであり得る。複数のサンプルが受容されて、更に複数のサンプルが読み取られるまで保持され得るように、リーダがスタックデバイスを備え、またはスタックデバイスに関連し得る。挿入の時点と読み取りの時点の間の離隔は、リーダが使用中であること、または、アッセイが不完全であり、したがって更なる培養時間が必要とされることに起因し得る。サンプルが分析チャンバに導入された時点の肯定的な確認を自動閉鎖が提供するので、カートリッジがリーダに入ったときの蓋の自動閉鎖の提供が有益である。この情報は、生成される信号を記録することに関連したリーダの動作を最適化するために使用され得る。
【0034】
代替的に、リーダは複数のカートリッジからデータを受信するように、および、集中型データ収集および分析位置を提供するように構成された高スループットデバイスであり得る。
【0035】
本発明は単なる例示として、および添付図面を参照しながら以下で更により具体的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明によるサンプル管理モジュールを含むカートリッジの断面図である。
図2図1に示されるカートリッジを通る流体経路の詳細を示すカートリッジの分解部品図である。
図3図1のカートリッジの一部を形成するサンプル管理モジュールを通して提供される流体経路の詳細を示す図である。
図4A】本発明によるサンプル収集デバイスの代替例を示す図である。
図4B】本発明によるサンプル収集デバイスの代替例を示す図である。
図4C】本発明によるサンプル収集デバイスの代替例を示す図である。
図5】能動的な、または迅速な初期充填のために構成されたカートリッジの断面図である。
図6】取り外し可能な収集エリアを備えるカートリッジの断面図である。
図7】大きい容器を備えるカートリッジの断面図である。
図8】完全に封入されたカートリッジの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1および図2を参照すると、流体サンプルを収集するためのサンプル管理モジュール11を備えるカートリッジ10が提供される。サンプルは例えば唾液サンプルといった液体サンプルである。サンプル管理モジュール11はサンプル収集デバイス12を備える。サンプル収集デバイス12は、サンプル収集位置14、サンプル収集デバイス12からのサンプルを受容するように構成されたデカップリングゾーン16と、デカップリングゾーン16に収まらない任意のサンプルを収容するためのデカップリングゾーン16と流体連通したあふれ容器18とを備える。あふれ容器18は、モジュール11内の圧力が管理され得ることを確実なものとするための少なくとも1つの通気部20を備える。
【0038】
サンプル管理モジュール11は蓋22を更に備える。蓋はクリップ23を備える。通常の状態のもとでは、蓋が閉じられた後、ユーザが簡単には蓋を再度開けることができないように、クリップ23は開封防止型である。蓋22は、ユーザによる操作を介して、または任意の他の手段により閉じられ得る。
【0039】
サンプル収集デバイス12は多孔質部材24のパッドを更に備える。例えば、多孔質部材24のパッドはスポンジであり得る。液体サンプル、例えば唾液サンプルは、唾液を吐くこと、および/または、よだれを垂らすことにより直接的に多孔質部材のパッド24に排出される。図1および図2に示されるように、多孔質部材のパッド24は取り外し可能であり得る。パッドが取り外し可能な場合、パッドはユーザにより口内に配置され、唾液サンプルにより濡らされ得る。
【0040】
多孔質部材24は、パッドへの唾液排出を促進するために味をもち得る。追加的に、または代替的に、サンプル収集デバイス12は唾液排出を促進するための匂いをもつ。多孔質部材24は、多孔質部材24の表面におけるタンパク質吸収を止めるためにコーティングされ得る。
【0041】
流体サンプルが多孔質部材24のパッドに吸収された、および保持された状態で、水を蒸発させることにより流体サンプルが濃縮され得る。代替的に、流体サンプルは、多孔質部材24のパッドに水などの液体を追加することにより更に希釈され得る。希釈を円滑化するために、多孔質部材24のパッドが事前に湿らされて提供され得る。添付図面に示されていない幾つかの例において、1つまたは複数の小さい破裂可能な嚢が多孔質部材24のパッドに近接して提供され得る。例えば、蓋が閉じられたとき、1つまたは複数の嚢が多孔質部材24のパッドに接触し、および破裂し、嚢の含有物がサンプルを希釈することを可能にするように、これらの嚢が蓋22の内面に提供され得る。
【0042】
多孔質部材24のパッドは、サンプルが収集された状態であるときの視認可能な標示を提供するために、肯定的なインジケータ、例えば1つまたは複数の色の変化または透明度の変化を提供する。
【0043】
多孔質部材24は、デカップリングゾーン16の上流に提供されたフィルタとしても機能する。フィルタは、唾液サンプルからの汚染物質、細胞、および望ましくない粒子を除去するために、または防ぐために提供される。
【0044】
添付図面に示されていない幾つかの例において、フィルタは、半浸透性層の形態で提供され得る。これは、サンプル管理モジュールに対するベースを提供し、流体サンプルを提供された状態のまま保持する。サンプルが層に保持された後、蓋が閉じられ、半浸透性層を通してサンプルを強制的に進めるための十分な圧力を提供する。この層は、所定の閾サイズより大きい任意の粒子をフィルタ処理により除去する。層は、酢酸セルロース、ポリプロピレンメッシュ、または任意の他の適切な半浸透性層であり得る。幾つかの例において、半浸透性層が多孔質部材のパッドの代わりに提供される。幾つかの例において、半浸透性層と多孔質部材のパッドとの両方が含まれる。
【0045】
多孔質部材24はサンプルを吸収し、蓋22が閉じられて、サンプルがサンプル収集位置14から外に、およびデカップリングゾーン16内へと多孔質部材24から強制的に進められまで、サンプル収集デバイス12にサンプルを保持する。唾液サンプルはデカップリングゾーンに入り、あふれ容器18はデカップリングゾーン16と流体連通している。
【0046】
デカップリングゾーン16があふれ容器18と流体連通し得るように、デカップリングゾーン16があふれ容器18付近に配置され、または位置している。
図1に示されているように、あふれ容器18は、デカップリングゾーン16に収まらない任意のサンプルを収容するために使用され得る。あふれ容器18は、1つまたは複数の通気部20を備える。通気部20は、サンプル管理モジュール11内の圧力が管理され得ることを確実なものとするために使用される。例えば、通気部20を備えるあふれ容器18は、空気が逃げることを可能にするために使用される。これは、正の圧力があふれ容器18内において上昇することができないことを確実なものとするためのものである。
【0047】
図1および図3を参照すると、サンプル管理モジュール11のごく近傍のエリアに注目したカートリッジ10を通る断面が示されている。サンプルがサンプル管理モジュール11に収集された後、サンプルは分析のために分析ゾーン19に流入させられ得る。流体の流れは能動的に、または受動的に制御され得る。図3に示される例では、サンプル収集位置14からデカップリングゾーン16にサンプルを強制的に移動させる蓋22の閉鎖により、流れが引き起こされる。サンプルは毛細管力によりデカップリングゾーン16から分析ゾーン19に移動する。リップ42は、デカップリングゾーン16から分析ゾーン19への流体の流れをガイドするために提供される。リップ42は、サンプルが分析ゾーン19をバイパスしてあふれ容器18に直接移動しないことを確実なものとする。分析ゾーン19に流れるために、サンプルはデカップリングゾーン16を通って流れる。分析ゾーン19が満杯となった後、任意の更なるサンプルはあふれ容器18に流入し、押しのけられた気体は通気部20を介して出る。
【0048】
図3に示される例において、蓋22は、Oリング30により封止された環状の窪み41を備える。蓋22が閉じられたとき、Oリング30が流体封止を提供する。Oリング30は、意図した方向、すなわち、デカップリングゾーン16に移動した後に分析ゾーン19に移動する方向ではない他のすべての方向において流体がサンプル収集位置を離れることを防ぐ。液体サンプルがサンプル管理モジュール11から逃げることができないことを確実なものとすることは、ユーザに対する品質保証と、更にはカートリッジが導入されるリーダに対する汚染リスク管理との両方に対して重要である。
【0049】
カートリッジ10は、分析ゾーン19からサンプル管理モジュール11を通って戻る均圧経路26を更に備える。これは、空気再循環のための閉ループが存在することを確実なものとする更なる通気部20を含むように図1の示される実施形態において提供される。
【0050】
更に、分析ゾーン19は、基部29を備える。基部29は光学要素28の上面である。この文脈において「上側」は、添付図面に表示された示される構成を参照するに過ぎないことが理解される。それは、カートリッジ10の使用をこの構成に限定するように解釈されてはならない。使用時、カートリッジ10は限定されずに任意の配向に保持され得る。
【0051】
光学要素28はガラスまたはポリマーから作られた。図1に示される光学要素28は1つのプリズム形光学要素である。しかし、添付図面に示されていない他の例において、異なる形態の光学要素が使用され得る。光学要素28は、光学要素として一緒に機能するように構成された複数の独立した個々の要素を含み得る。形状は図1に図示されるようにプリズムであってもよいが、形状は導波路であってもよい。更に、添付図面に示されていない他の実施形態において、基部29は光学要素28から独立した実体であってもよい。これらの実施形態において、基部は、光学要素28に近接して提供されたガラスカバースリップまたは類似の要素であり得る。独立した基部29が提供される実施形態では、基部29と光学要素との間の境界には、液体またはゲルの形態をとる屈折率マッチング流体が提供され得る。
【0052】
図1では、プリズム形光学要素28が基部29を提供している。添付図面に示されていない他の例において、光学要素は、三角形または直方体光学要素であり得る。加えて、複数の捕捉成分が基部29に堆積させられる。分析ゾーン19へのサンプルの流れを制御するために、通気穴21が光学要素28の表面に近接して提供される。サンプルが導入されたとき、サンプルの導入前にカートリッジに収容された空気または不活性ガスがカートリッジ10から出ることを、通気穴21が可能にする。これは、サンプルが分析ゾーン19に動いたとき、カートリッジ10内における圧力の上昇を防ぐ。
【0053】
サンプルが通気穴21を通って移動することを液体サンプルの表面張力が防ぐように、通気穴21がサイズ決定されている。結果として、通気穴は、サンプルのバルクの動きが大幅に減速すること、または更には、サンプルが分析ゾーン19を充填したときにバルクの動きが完全に停止することをもたらす流路における狭窄部として機能する。結果として、培養時間中のバルクの動きは、通気穴21における蒸発から発生するだけである。
【0054】
カートリッジ10は、測定のためにリーダに挿入され得る。リーダにより取得される測定結果は、光学測定結果、例えば光の散乱または蛍光測定結果であり得る。励起光が、基部29に全反射(TIR:total internal reflection)の形態で提供され得る。リーダは、カートリッジからデータを抽出するように構成されたデバイスであり得る。例えば、リーダは、唾液サンプルから特定の疾患または症状に関連したデータを抽出することが可能であり得る。
【0055】
図2は、本発明により構築されたカートリッジ10の分解図を提供する。カートリッジ10はサンプル管理モジュール11、および、例えばスポンジといった多孔質部材24のパッドを備えるサンプル収集デバイス12を備える。サンプル管理モジュール11のボディは、サンプル収集位置14に唾液サンプルを提供するときにユーザの唇を手軽に受け止めるマウスピースを提供するように形作られている。マウスピースの縁部は、唾液サンプルを提供することに対してユーザに役立ち得る良い味を浸透させられ得る。多孔質部材のパッド12は、サンプル収集位置14に接着され得る。代替的に、多孔質パッドは、サンプル管理モジュール11から取り外し可能であり得る。サンプル収集デバイス12の上に蓋22が閉じられたときに封止を行うために、サンプル収集デバイス12の上にOリング30が提供され得る。サンプル管理モジュール11の端部にヒンジ32が提供され得る。蓋がサンプル管理モジュール11に連結され得るように、蓋22が1つまたは複数のヒンジ32を備え得る。カートリッジは、基部28とサンプル管理モジュール11との間の更なる層34を更に備え得る。この中間層34は、中心線の両側に対称に位置する2つの通気部21を備える。この中間層34は任意選択的であり、使用される製造手法によりもたらされるサンプル管理モジュール11の形状における不正確さを軽減することを意図したものである。選択された製造方法によっては、この層は冗長的であり得る。1つまたは複数のガスケット35が光学要素28の上に提供される。デカップリングゾーン16および分析ゾーン19を形成するガスケット35内のスロットが提供される。図3に示される例は2つのガスケット35を含む。第1のものは、サンプルがサンプル収集位置14を離れるときにサンプルがデカップリングゾーンに正しく移動することを確実なものとする。流体がサンプル収集位置14をデカップリングゾーンに接続するオリフィス45を通って流れた後、オリフィス45から出るとき、流体が取り得る唯一のルートがデカップリングゾーン16に入るものとなることをガスケット35が確実なものとする。ガスケット35は、代替的な正しくない流れ方向を遮断する。第2のガスケット35は、光学要素28の上面に近接した通気部21を越えて提供される。このガスケット35は分析ゾーン19の壁の一部を形成し、以て、流体が分析ゾーン19を離れること、および、場合によってはカートリッジ10から出ることを防ぐ。
【0056】
図2に示されているように、光学要素28は、ホルダ36内に位置し得る。ホルダはねじ40のための1つまたは複数の孔38を備える。ホルダ36は、透過光が観測され得る視認アパーチャ44を更に含む。光学要素28は、1つまたは複数のねじ40によりホルダ36内に固定され得る。単なる例として、ねじ40は、ヘッドソケットヘッドキャップねじM1.6ステンレス鋼黒色酸化物であり得る。
【0057】
サンプル収集デバイス12の代替的な実施形態が図4に示されている。サンプル収集デバイス12は、サンプルがデカップリングゾーン16に受動的に引き込まれることを可能にするように構成されている。これは、サンプルをカートリッジ10に強制的に進めるために蓋を不要とする。サンプルがデカップリングゾーン16に受動的に引き込まれることを可能にするために溝17が提供される。溝17は、サンプルがサンプル収集デバイス12からデカップリングゾーン16に毛細管現象を介して移動することを可能にする。幾つかの実施形態において、溝17は親水性であり得る。溝17は、機械加工された、レーザ切削された、または打抜き加工された、または化学的にエッチングされたプラスチックレセプタクルに射出モールド成形され得る。図4Cに示される実施形態では、デカップリングゾーン16への唯一のルートが溝17を介したものとなるように、オリフィスを遮蔽するように構成された更なる蓋46が提供される。この制約の結果として、溝に入るには大きすぎるすべての粒子がデカップリングゾーン16に移動することができないので、溝17はフィルタの一形態として機能する。
【0058】
図5から図8は、少なくとも抵抗R1をもつ通気部20と抵抗R2をもつ通気穴21とを含むフロー制御システムを通してカートリッジ内の圧力管理を最適化する更なる実施形態を示す。フロー制御システムは、サンプルが分析ゾーン19に到達した後、サンプルのバルク流の動きを減らすように構成されている。
【0059】
フロー制御システムは、分析ゾーン19内における流体の動きが拡散により支配されるように、サンプルのバルクの動きを十分に減速することを必要とされ得る。
フロー制御システムは、バルク流体の流れを効果的に止め得る。代替的に、バルク流体の流量は、1mm/分、0.5mm/分、0.25mm/分、または更には実質的に0.0mm/分、すなわち静止状態まで小さくされ得、したがって、サンプル内の成分の拡散は非常に大きくなる。
【0060】
フロー制御システムは、分析ゾーン19の遠位に提供され得る。フロー制御システムを分析ゾーン19の遠位に、または下流に配置することにより、流体経路16へのサンプルの流れが妨害されず、以てサンプルがカートリッジに迅速に導入されることを可能にする。次に、フロー制御システムは、サンプルが分析ゾーン19に到達した後、サンプルの流れを減速するように機能する。
【0061】
フロー制御システムは、流れを減速させることに効果的な任意の形態を取り得る。流量制御装置は、毛細管終端部または狭いまたは蛇行経路を含み得る。図5~8に示されている例の各々が、通気部、または抵抗R1をもつ空気通気部20を含む。この通気部20は、サンプルがカートリッジに導入されたときに空気が容器18から出ることを可能にすることにより、容器18内の圧力を管理するために容器18に提供される。通気部20は単純な開口であり得、または膜を含み得る。
【0062】
フロー制御システムは、抵抗R2をもつ通気穴21を更に含む。通気穴21は分析ゾーン19の出口に位置している。通気穴21は、多孔質パッドを含み得る。通気穴21は、毛細管終端部であり得る。
【0063】
通気穴21および通気部20は、R2>R1となるように選択される。抵抗のこの選択は、分析ゾーンが充填された後、更なるサンプル流体のすべてが容器18に流入することを確実なものとする。
【0064】
図5に示されているように、フロー制御システムは、容器18への出口に提供された更なるフロー制御要素52を更に備え得る。
図5に示される例は、毛細管現象により分析ゾーン19にサンプルを受動的に引き込むまたは吸引する代わりに、代替的に蓋22の閉鎖により正の圧力が提供されるので、能動的充填構成と呼ばれ得る。これは、蓋22の閉鎖時に、分析ゾーン19の迅速な充填をもたらす。次に、この流れはフロー制御システムにより管理され、および減らされ、フロー制御システムは、分析ゾーンが好適に充填されること、および次に満杯となった後に任意の更なるサンプルが容器18に流入させられることを確実なものとする。
【0065】
図6は、サンプル収集デバイス12が取り外し可能な例を示す。この例において、サンプル収集デバイス12は蓋22に組み込まれている。示される例において、パッド24は取り外し可能な蓋22に更に提供される。しかし、パッド24のろ過機能はカートリッジ内の他の場合に提供され得るので、パッド24の存在はこの構成に対して不可欠というわけではない。例えば、蓋22が閉じられて、サンプルが導入された後、サンプルがフィルタ処理されるように、独立したフィルタ50がカートリッジ内に提供され得る。更に、または代替的に、独立したフィルタ50の上方に保護層53が提供され得る。カートリッジ内におけるフィルタ50の提供、または、分離を提供するための保護層53の提供の両方が、ユーザによる偶発的な損傷からそれを保護する。図6に示される保護層53は、大きい入口穴をもった非常にきめの粗いフィルタの形態をとる。示されていない他の実施形態において、保護層は、半浸透性膜または単なる1つの大きい入口穴であり得る。
【0066】
未熟な使用者による使用のために最適化されておらず、したがってケア現場シナリオに対して比較的適切ではないが、図7に示される構成を実現することが可能である。示される実施形態は容器内の気体の圧縮により圧力の大幅な増加が発生することなく、分析ゾーン19が充填された後、相応のサンプルのあふれたもの、すなわちサンプルの残りの部分を収容し得る大きい容器18を示す。この例は、口から直接提供された唾液サンプルではない流体サンプルにより良く適し得る。例えば、サンプルがカートリッジにピペットで入れられる場合、この例は効果的であり得る。
【0067】
図8は、容器18が通気穴21に接続された構成を示す。したがって、フロー制御要素52は提供されず、通気穴21は周辺環境に接続していない。この構成において、圧力の管理はカートリッジ内において完全に完結されなければならず、これは、分析ゾーン19を容器18に接続することにより実現される。容器18と比べたときの分析ゾーン19の小さい断面積に起因して、容器18よりも分析ゾーン19が好ましく多く充填されることを毛細管力が確実なものとする。
【0068】
本発明の様々な更なる態様および実施形態が本開示の観点から当業者に明らかになる。
本明細書において使用される「および/または」は他方を伴う、または伴わない2つの指定された特徴またはコンポーネントの各々の特定の開示と解釈される。例えば「Aおよび/またはB」は、まさに各々が個別に本明細書に記載されていると仮定したときのように、(i)A、(ii)B、および(iii)AおよびBの各々の特定の開示と解釈される。
【0069】
文脈が別様に規定していない限り、上述の特徴の説明および定義は、本発明のいずれかの特定の態様または実施形態に限定されるわけではなく、説明されているすべての態様および実施形態に同じく適用される。
【0070】
しかし、本発明が幾つかの実施形態を参照しながら例示として説明されていることが当業者により更に理解される。本発明は開示されている実施形態に限定されず、および、代替的な実施形態が添付の請求項において規定されている本発明の範囲から逸脱することなく作成され得る。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】