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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(54)【発明の名称】ナノサイズ材料のためのリガンド
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/38 20060101AFI20220413BHJP
   C07D 251/24 20060101ALI20220413BHJP
   C07C 321/10 20060101ALI20220413BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20220413BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220413BHJP
   C09K 11/70 20060101ALN20220413BHJP
【FI】
C07F9/38 Z
C07D251/24 CSP
C07F9/38 C
C07C321/10
C09K11/08 G
H05B33/22 B
H05B33/22 D
H05B33/14 B
C09K11/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552575
(86)(22)【出願日】2020-03-02
(85)【翻訳文提出日】2021-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2020055424
(87)【国際公開番号】W WO2020178230
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】19160606.0
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】リーバーマン,イタイ
(72)【発明者】
【氏名】ハムブルガー,マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】マトゥシェック,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】エーベルレ,トマス
(72)【発明者】
【氏名】ブルクハルト,ベアテ
(72)【発明者】
【氏名】マヤー,セバスティアン
【テーマコード(参考)】
3K107
4H001
4H006
4H050
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC04
3K107CC32
3K107DD59
3K107DD60
3K107DD62
3K107DD66
3K107DD67
3K107DD68
3K107DD69
3K107DD70
3K107DD71
3K107DD74
3K107DD78
3K107DD79
3K107DD87
4H001CC13
4H001XA15
4H001XA16
4H001XA30
4H001XA49
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB92
4H006TA04
4H006TB53
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB92
(57)【要約】
本発明は、半導体ナノ粒子の表面に結合するリガンドとして好適な化合物であって、アンカー基、リンカー基および有機官能基を有する化合物と、前記リガンドを最も外側の層の粒子表面に付着させた半導体ナノ粒子と、前記半導体ナノ粒子を調製するための組成物、配合物およびプロセスと、電子デバイスとに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ナノ粒子の表面に結合することができるアンカー基AG、これに続き、電子的に不活性および共役遮断性のリンカー基L、これに続き、有機官能基FG、を所定の順で含み、1000g/mol以下の分子量を有する、化合物。
【請求項2】
アンカー基AGが、チオールまたはその塩、ホスホン酸またはその塩、カルボン酸またはその塩、セレノールまたはその塩、スルフィン酸またはその塩、メルカプトエステルまたはその塩、カルボジチオ酸またはその塩、ボロン酸またはその塩、アミン、およびホスフィンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
リンカー基Lが、1~20個のC原子を有する直鎖アルキレン基、または3~20個のC原子を有する環状または分枝状のアルキレン基からなる群から選択され、ここで1以上の非隣接メチレン基が、-O-、-S-、-C(=O)O-、-C(=S)S-、芳香環またはヘテロ芳香環によって置き換えられていてもよい、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
有機官能基FGが、6~60個の芳香環原子を有する芳香環系、または5~60個の芳香環原子を有するヘテロ芳香環系からなる群から選択され、どちらも任意にさらに置換されていてもよい、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
有機官能基FGが、電子注入基、電子輸送性基、正孔ブロッキング基、n-ドーパント基、ホスト基、マトリックス基、ワイドバンドギャップ基、蛍光発光基、遅延蛍光基、燐光性基、電子ブロッキング基、正孔輸送性基、正孔注入基またはp-ドーパント基からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
一般式(1)
【化1】

式中、以下が記号および符号に適用される:
Xは、アンカー基AGであり、およびここで
Xは、-SH、-C(=O)OH、-NH、-P(=O)(OH)(OH)、-SeH、-P(R’R’’)、-S、-S(=O)OH、-S(=O)O、-C(=O)O、-OC(=O)R’’’SH、-OC(=O)R’’’S、-P(=O)(OH)(O)、-Se、-C(=S)SH、-C(=S)S、-B(OH)、-B(OH)O、-B(O、-B(O2+,-P(=O)(O)(O)または-P(=O)(O)(O)Z2+から選択され、
は、Na、K、Li、1/2Cd2+、1/2Zn2+、1/2Mg2+、1/2Ca2+、1/2Sr2+ 1/3In3+、1/3Ga3+から選択され
2+は、Cd2+、Zn2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+であり、
R’、R’’は、同一にまたは異なって、H、1~20個のC原子を有する線状または分枝状のアルキル基から選択され、
R’’’は、1~10個のC原子を有する線状または分枝状のアルキル基から選択され、
nは、0から20までの整数である、
を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
基FGが、電子輸送性基であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
基FGが、トリアジン、ピリミジン、ピリジン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール、オキサジアゾール、フェノキサジン、ラクタム、フェナントロリンおよびジベンゾフランから選択される電子輸送性基であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
基FGが、以下の基
【化2】

【化3】

式中、
破線は、リンカー基への結合位置を表し、
Q’は、各出現で同一にまたは異なって、CRおよびNから選択され、
Q’’は、NR、OおよびSから選択され、
は、各出現で同一にまたは異なって、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、1~40個の炭素原子を有する直鎖アルキル、アルコキシまたはチオアルコキシ基、または、2~40個の炭素原子を有する直鎖アルケニルまたはアルキニル基、または、3~40個の炭素原子を有する分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアルコキシまたはチオアルコキシ基から選択され、各々は、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上の水素原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO、または5~60個の芳香環原子を有し、および各場合において1以上のRラジカルによって置換されていてもよい芳香環系またはヘテロ芳香環系、または5~60個の芳香環原子を有し、および各場合において1以上のRラジカルによって置換されていてもよいアリールオキシ、アリールアルキルまたはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの基の2以上の組み合わせ、または架橋性Q基によって置き換えられていてもよく、ここで2以上の隣接するRラジカルは、一緒に、単環式または多環式の脂肪族環系または芳香環系を形成してもよく、ここで2以上の隣接するRラジカルが、一緒に、単環式または多環式の脂肪族環系または芳香環系を形成しないことが好ましく、
は、各場合で同一であるか、または異なり、およびH、D、F、Cl、Br、I、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、1~40個の炭素原子を有する直鎖アルキル、アルコキシまたはチオアルコキシ基、または、2~40個の炭素原子を有する直鎖アルケニルまたはアルキニル基、または、3~40個の炭素原子を有する分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアルコキシまたはチオアルコキシ基であり、各々は、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上の水素原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO、または5~60個の芳香環原子を有し、および各場合において1以上のRラジカルによって置換されていてもよい芳香環系またはヘテロ芳香環系、または5~60個の芳香環原子を有し、および1以上のRラジカルによって置換されていてもよいアリールオキシ、アリールアルキルまたはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの基の2以上の組み合わせによって置き換えられていてもよく、ここで2以上の隣接するRラジカルは、一緒に、単環式または多環式の脂肪族環系または芳香環系を形成してもよく、
は、各場合で同一であるか、または異なり、およびH、D、Fまたは、1~20個の炭素原子を有する脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族ヒドロカルビルラジカルであり、ここで1以上の水素原子もまたFによって置き換えられていてもよく、ここで2以上のR置換基もまた、一緒に、単環式または多環式の脂肪族環系または芳香環系を形成してもよく、および、
少なくとも1つのQ’は、Nである、
から選択される電子輸送性基であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
基FGが、正孔輸送性基であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
基FGが、カルバゾール、ビスカルバゾール、インデノカルバゾール、インドロカルバゾール、アミン、トリアリールアミン、フルオレンアミンおよびスピロビフルオレンアミンから選択される正孔輸送性基であることを特徴とする、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
正孔輸送性基が、基
【化4】

式中、
Arは、各出現にて同一にまたは異なって、1以上のラジカルRによって置換されていてもよい6~40個の芳香環原子を有する芳香環系、および1以上のラジカルRによって置換されていてもよい5~40個の芳香環原子を有するヘテロ芳香環系から選択され、
Arは、各出現にて同一にまたは異なって、1以上のラジカルRによって置換されていてもよい6~40個の芳香環原子を有する芳香環系、および1以上のラジカルRによって置換されていてもよい5~40個の芳香環原子を有するヘテロ芳香環系から選択され、
Eは、単結合または-C(R-、-N(R)-、-O-、および-S-から選択される二価の基であり、および
kは、各出現にて同一にまたは異なって、0または1であり、ここでk=0の場合において、基Arは存在せず、および窒素原子とリンカー基とは直接結合され、
mは、各出現にて同一にまたは異なって、0または1であり、ここでm=0の場合において、基Eは存在せず、および基Arは結合されない、
は、各出現で同一にまたは異なって、H、D、F、C(=O)R、CN、Si(R、N(R、P(=O)(R、OR、S(=O)R、S(=O)、1~20個のC原子を有する直鎖アルキルまたはアルコキシ基、3~20個のC原子を有する分枝状または環状のアルキルまたはアルコキシ基、2~20個のC原子を有するアルケニルまたはアルキニル基、6~40個の芳香環原子を有する芳香環系、および5~40個の芳香環原子を有するヘテロ芳香環系から選択され、ここで2以上のラジカルRは、互いに結合し環を形成してもよく、該アルキル、アルコキシ、アルケニルおよびアルキニル基および該芳香環系およびヘテロ芳香環系は、各場合において、1以上のラジカルRによって置換されていてもよく、およびここで該アルキル、アルコキシ、アルケニルおよびアルキニル基における1以上のCH基は、各場合において、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、C=O、C=NR、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、NR、P(=O)(R)、-O-、-S-、SOまたはSOによって置き換えられていてもよく、
は、各出現で同一にまたは異なって、H、D、F、C(=O)R、CN、Si(R、N(R、P(=O)(R、OR、S(=O)R、S(=O)、1~20個のC原子を有する直鎖アルキルまたはアルコキシ基、3~20個のC原子を有する分枝状または環状のアルキルまたはアルコキシ基、2~20個のC原子を有するアルケニルまたはアルキニル基、6~40個の芳香環原子を有する芳香環系、および5~40個の芳香環原子を有するヘテロ芳香環系から選択され、ここで2以上のラジカルRは、互いに結合し環を形成してもよく、該アルキル、アルコキシ、アルケニルおよびアルキニル基および該芳香環系およびヘテロ芳香環系は、各場合において、1以上のラジカルRによって置換されていてもよく、およびここで該アルキル、アルコキシ、アルケニルおよびアルキニル基における1以上のCH基は、各場合において、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、C=O、C=NR、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、NR、P(=O)(R)、-O-、-S-、SOまたはSOによって置き換えられていてもよく、および
は、各出現で同一にまたは異なって、H、D、F、CN、1~20個のC原子を有するアルキル基、6~40個のC原子を有する芳香環系、および5~40個の芳香環原子を有するヘテロ芳香環系から選択され、ここで2以上のラジカルRは、互いに結合して環を形成してもよく、およびここで該アルキル基、芳香環系およびヘテロ芳香環系は、FおよびCNによって置換されていてもよい、
であることを特徴とする、請求項10または11に記載の化合物。
【請求項13】
コア、1以上のシェル層、および1以上のシェル層の最も外側の表面に付着される少なくとも1つのリガンドを含み、少なくとも1つのリガンドが、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物から選択されることを特徴とする、半導体ナノ粒子。
【請求項14】
半導体ナノ粒子が、少なくとも2つの異なるリガンド、好ましくは正確に2つの異なるリガンドを含み、リガンドが、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の半導体ナノ粒子。
【請求項15】
半導体ナノ粒子が、第1のリガンドおよび第2のリガンドを含み、および第1のリガンドが、電子輸送性基から選択される有機官能基を含み、および第2のリガンドが、正孔輸送性基から選択される有機官能基を含むことを特徴とする、請求項14に記載の半導体ナノ粒子。
【請求項16】
少なくとも1つの、第1の、請求項13~15のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子、および少なくとも1つの第2の半導体ナノ粒子を含む、または、少なくとも1つの、第1の、請求項13~15のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子、および電子注入材料、電子輸送性材料、正孔ブロッキング材料、n-ドーパント、ホスト材料、マトリックス材料、ワイドバンドギャップ材料、蛍光発光材料、遅延蛍光材料、燐光発光材料、電子ブロッキング材料、正孔輸送性材料、正孔注入材料およびp-ドーパントから選択される少なくとも1つのさらなる有機機能性材料を含む、組成物。
【請求項17】
少なくとも1つの、第1の、請求項13~15のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子、少なくとも1つの第2の半導体ナノ粒子、および、電子注入材料、電子輸送性材料、正孔ブロッキング材料、n-ドーパント、ホスト材料、マトリックス材料、ワイドバンドギャップ材料、蛍光発光材料、遅延蛍光材料、燐光発光材料、電子ブロッキング材料、正孔輸送材料、正孔注入材料およびp-ドーパントから選択される少なくとも1つのさらなる有機機能性材料を含む、組成物。
【請求項18】
少なくとも1つの第2の半導体ナノ粒子が、請求項13~15の1以上から選択され、および少なくとも1つの第2の半導体ナノ粒子と少なくとも1つの第1の半導体ナノ粒子とが互いに異なることを特徴とする、請求項16または17に記載の組成物。
【請求項19】
少なくとも1つの第1の半導体ナノ粒子が、遅延蛍光基を含むその最も外側の表面に付着される少なくとも1つのリガンドを含み、および、少なくとも1つの第2の半導体ナノ粒子が、正孔輸送性基または電子輸送性基を含むその最も外側の表面に付着される少なくとも1つのリガンドを含むことを特徴とする、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
少なくとも1つの第1の半導体ナノ粒子が、燐光性基を含むその最も外側の表面に付着される少なくとも1つのリガンドを含み、および、少なくとも1つの第2の半導体ナノ粒子が、正孔輸送性基または電子輸送性基を含むその最も外側の表面に付着される少なくとも1つのリガンドを含むことを特徴とする、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、または請求項13~15のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子、または請求項16~20のいずれか一項に記載の組成物、および、少なくとも1つの溶媒を含む、配合物。
【請求項22】
コアおよび1以上のシェル層を含む半導体ナノ粒子が、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物と一緒に溶媒へ提供され、混合物を与えることを特徴とする、請求項13~15のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子の調製のための方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法によって得られた、半導体ナノ粒子。
【請求項24】
少なくとも1つの、請求項13~15のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子、または請求項16~20のいずれか一項に記載の組成物を含む、電子デバイス。
【請求項25】
エレクトロルミネセントデバイスであることを特徴とする、請求項24に記載の電子デバイス。
【請求項26】
発光層において、前記半導体ナノ粒子または前記組成物を含むエレクトロルミネセントデバイスであることを特徴とする、請求項24または25に記載の電子デバイス。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ナノ粒子の表面に結合するためのリガンドとして好適な化合物、最も外側の粒子表面にリガンドが付着されるリガンドを有する半導体ナノ粒子、組成物、配合物、および該半導体ナノ粒子を調製するためのプロセス、および電子デバイスに関する。
【0002】
本出願の文脈における電子デバイスは、機能性材料として有機半導体材料を含有する、いわゆる「有機電子デバイス」を意味すると理解される。より具体的には、これらのデバイスは、有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイス、特に有機発光ダイオード(OLED)を意味すると理解される。
【背景技術】
【0003】
可溶性有機半導体は、電子デバイスにおける使用の可能性について徹底的に調査されている。それらは、とりわけ太陽電池およびOLEDにとって非常に興味深い。可溶性分子(小分子またはポリマー)を使用する利点は、インクジェット印刷技術をデバイスの調製のために使用され得ることである。これらのインクに関して、インクジェット印刷による蒸着を使用するときに、均一なフィルム形成を達成するために、有機半導体材料を迅速に可溶化し、好適な粘度、表面張力、および沸点を有する好適な溶媒または溶媒混合物を見つけるという課題がある。
【0004】
半導体ナノ結晶(NC)は、サイズ、形状、組成を変更することにより、広いスペクトル範囲で吸収および発光を調整でき、これによりOLEDで一般的に採用される蛍光有機分子または燐光金属錯体を置き換えて発光色をチューニングするため、大きな関心を集めている。特に、グループII-VIおよびグループIII-Vの半導体NCは、その蛍光のために重要であり、可視から近赤外(NIR)スペクトルをカバーし、さまざまな技術的用途に魅力的である。
【0005】
半導体NCは大抵、リガンドとして作用する有機分子の層でカバーされている。これらのリガンドは、半導体ナノ結晶の表面を不動態化し、さまざまな媒体に溶解させるように機能する。例えばUS 7,700,200 B2に開示されているとおり、一般的なリガンドは、半導体ナノ結晶表面に結合する極性アンカー基と、表面の外を指す炭化水素基とからつくられる。US 8,120,010 B2に従うと、リガンドは、酸性基および電気陰性度の高い電子吸引基から選択される官能基をさらに含有し得る。
【0006】
しかしながら、これらの炭化水素基は絶縁体であり、発光層(EML)内および量子材料への効率的な電荷輸送を可能にしない。
【0007】
よって、本発明の目的は、半導体ナノ粒子の表面に結合するためのリガンドとして好適であり、ナノ結晶表面の不動態化および溶液への溶解性を可能にし、改善された表面結合プロセスおよび増大された表面でのリガンド密度を確実にし、および、層を通って量子材料への電荷輸送を改善することを可能にし、それによって電子デバイスの全体的な性能を改善する化合物を提供することである。
【0008】
さらにまた、本発明の目的は、高い蛍光量子収率を有し、高いコントラストを実現でき、半導体ナノ結晶内および半導体ナノ結晶層内の電荷輸送を改善でき、そうすることによって電子デバイス、とりわけエレクトロルミネセントデバイスの効率を改善できる半導体ナノ結晶を提供することである。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、上記の技術的目的を達成するために、半導体ナノ粒子の最も外側の表面に結合するためのリガンドとして好適な新規化合物を提供する。
よって本発明は、半導体ナノ粒子の表面に結合することができるアンカー基AG、これに続き、電子的に不活性および共役遮断性のリンカー基L、これに続き、有機官能基FG、を所定の順で含み、化合物が1000g/mol以下の分子量を有する化合物に関する。
発明の詳細な説明
【0010】
本明細書に使用されるとき、用語「アンカー基」は、半導体ナノ粒子の表面と相互作用し、それによって本発明の化合物を半導体ナノ粒子の表面に、例えば共有結合やイオン結合、あるいは双極子-双極子相互作用を介して結合させることができる有機官能基を、これに限定されるものではなく示す。
【0011】
好ましくは、アンカー基AGは、チオールまたはその塩、ホスホン酸またはその塩、カルボン酸またはその塩、セレノールまたはその塩、スルフィン酸またはその塩、メルカプトエステルまたはその塩、カルボジチオ酸またはその塩、ボロン酸またはその塩、アミン、およびホスフィンからなる群から選択され、より好ましくは、チオールまたはその塩、ホスホン酸またはその塩、カルボン酸またはその塩、ボロン酸またはその塩、およびメルカプトエステルまたはその塩から、および最も好ましくはアンカー基AGは、チオールまたはその塩から、ホスホン酸またはその塩から、またはメルカプトアセタートまたはその塩から選択される。
【0012】
さらに、本発明による化合物は、アンカー基であるAGと有機官能基であるFGを化学結合で相互に連結する2価の基であり、電子的に不活性で共役遮断性のリンカー基であるLを包含する。本明細書に使用されるとき、用語「共役遮断性」は、リンカー基Lが、共役系、すなわち、分子内の非局在π電子を有する連結された重なり合うp軌道の系において、共役、すなわち、介在するσ結合を挟んで1つのp軌道が他のp軌道と重なり合うことを遮断する少なくとも1つの構造単位を含む有機基であることを意味する。例えば、リンカー基は、π電子の非局在化が起こらないように、主鎖(バックボーン)に少なくとも1つのσ結合のみのC原子(すなわち、4つのσ結合)を含有してもよい。本明細書で使用される用語「電子的に不活性」は、リンカー基の一端からリンカー基の他端まで、トンネリング以外の他の輸送メカニズムによって電荷を輸送できないことを意味する。好ましくは、本明細書で使用される電子的に不活性な基は、3eV以上のバンドギャップ、より好ましくは3.5eV以上のバンドギャップ、さらに好ましくは4eV以上のバンドギャップ、特に好ましくは5eV以上のバンドギャップ、および最も好ましくは6eV以上のバンドギャップを有してもよく、ここで、用語「バンドギャップ」は、最高被占分子軌道(HOMO)と最低非占分子軌道(LUMO)との間のエネルギーギャップを意味する。
【0013】
好ましくは、リンカー基Lは、1~20個のC原子を有する直鎖アルキレン基、3~20個のC原子を有する環状または分枝状のアルキレン基からなる群から選択され、ここで1以上の非隣接メチレン基は、-O-、-S-、-C(=O)O-、-C(=S)S-、芳香環またはヘテロ芳香環によって置き換えられていてもよい。
【0014】
芳香環およびヘテロ芳香環は、好ましくは単純な芳香環およびヘテロ芳香環であり、より好ましくはそれぞれ5員または6員の芳香環およびヘテロ芳香環である。単純なヘテロ芳香環は、芳香環中に少なくとも1つのヘテロ原子を含み、好ましくは1つまたは2つのヘテロ原子を含み、好ましくはN、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含む。
【0015】
さらに、本発明による化合物は、リンカー基Lに結合された有機官能基FGを包含する。有機官能基FGは、好ましくは、6~60個の芳香環原子を有する芳香環系または5~60個の芳香環原子を有するヘテロ芳香環系からなる群から選択され、これらの両方は、例えば、以下に定義される基RまたはRによって、任意にさらに置換されていてもよい。基FGとしての芳香環系またはヘテロ芳香環系の好ましい例は、ビフェニル、ターフェニル、クアターフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、インデノフルオレン、トルクセン、イソトルクセン、スピロトルクセン、スピロイソトルクセン、およびインデノカルバゾールから選択される。グループFGの特に好ましい例は、ビフェニル、ターフェニル、クアターフェニル、またはフルオレンから選択され、さらに好ましくはビフェニルから選択される。
基FGとして適した環系の非常に好ましい例は、以下の芳香族基から選択される。
【0016】
【化1】
【0017】
式中、破線はリンカー基Lとの結合位置を表し、1以上の基Rでさらに置換されていてもよい。Rは以下に定義される。
【0018】
本発明に従って、化合物は、好ましくは低分子である。本明細書で使用される用語「低分子」は、2000g/mol以下の分子量を有する化合物を意味する。好ましくは、本発明による化合物は、1000g/mol以下の分子量を有する。より好ましくは、900g/mol以下の分子量を有し、さらに好ましくは800g/mol以下、さらに好ましくは700g/mol以下、特に好ましくは600g/mol以下である。例えば、本発明の化合物は、100g/mol~1000g/mol、または100g/mol~900g/mol、または100g/mol~800g/mol、または100g/mol~700g/mol、または100g/mol~600g/molの分子量を有する。
【0019】
本発明の小分子は、容易に調製およびプロセス化することができる。特に、化合物の調製およびリガンドを有する量子材料の調製は極めて単純である。このプロセスは、リガンドおよび量子材料の商業生産(大量生産)に好適である。さらに、リガンドの微調整も容易に達成ことができ、リガンドを含む量子材料のカスタマイズも便利である。低分子は、量子ドットの表面化学的性質の微調整を可能にする。低分子の濃度は容易に制御できるので、量子ドット表面に異なる種類のリガンドを混在させることができる。さらに、低分子は一般的な有機溶媒に容易に溶解するため、プロセス性にも優れている。ポリマー材料ではこのような利点は得られない。このように、本発明の低分子および量子材料は、大量生産に好適である。
【0020】
より好ましくは、有機官能基FGは、電子注入基、電子輸送性基、正孔ブロッキング基、n-ドーパント基、ホスト基、マトリックス基、ワイドバンドギャップ基、蛍光発光基、遅延蛍光基、燐光性基、電子ブロッキング基、正孔輸送基、正孔注入基またはp-ドーパント基からなる群から選択される。
【0021】
特に好ましくは、有機官能基FGは、その一重項エネルギー(S)と三重項エネルギー(T)との間にかなり大きなエネルギーギャップΔESTを示す。FGのエネルギーギャップは、以下に開示する遅延蛍光材料のエネルギーギャップよりも大きいことが好ましく、すなわち、好ましくは0.2eVよりも大きく、非常に好ましくは0.3eVよりも大きく、特に好ましくは0.5eVよりも大きい。
【0022】
非常に好ましくは、FGは上述の基から選択されるが、遅延蛍光基ではなく、上述のΔESTの好ましさが適用される。
なおより好ましくは、有機官能基FGは、電子輸送性基または正孔輸送性基であるが、特に遅延蛍光基ではない。すなわち、電子輸送性基および正孔輸送性基は、それらの一重項エネルギー(S1)と三重項エネルギー(T1)との間にかなり大きなエネルギーギャップΔESTを示す。電子輸送性基と正孔輸送性基とのエネルギーギャップは、遅延蛍光材料について以下に開示するエネルギーギャップよりも大きいことが好ましく、すなわち、好ましくは0.2eVよりも大きく、非常に好ましくは0.3eVよりも大きく、特に好ましくは0.5eVよりも大きい。
【0023】
より大きなΔESTを有することは、効率、電圧、寿命、色(純度や色域など)などのエレクトロルミネセントデバイス改善されたデータをもたらす。
これらの基の種は、先行技術において周知である。一般的に、先行技術に従って使用され、および有機エレクトロルミネセントデバイスの分野で当業者に知られているとおりのこれらの基のすべての種が好適であり、有機官能基FGとして使用することができる。
【0024】
好ましいワイドバンドギャップ基は、US7,294,849に開示されているとおりの材料に由来するこしてもよく、それは少なくとも3.5eVのバンドギャップを有することを特徴とする。したがって、好ましい態様において、ワイドバンドギャップ材料は、3.0eV以上、好ましくは3.2eV以上、非常に好ましくは3.5eV以上、特に好ましくは3.7eV以上、非常に好ましくは4.0eV以上のバンドギャップ(すなわち、LUMOとHOMOのエネルギー準位の差、LUMOとHOMOはそれぞれ最低非占有分子軌道と最高占有分子軌道であると定義される)を有する材料である。
【0025】
ワイドバンドギャップ材料は、金属も金属イオンもない純粋な有機化合物であることが好ましい。純粋な有機化合物は、芳香族またはヘテロ芳香族化合物であることが極めて好ましい。特に好ましくは、ワイドバンドギャップ材料は、純粋な芳香族有機化合物である。
【0026】
好ましい蛍光発光基は、以下に記載されている化合物に由来してもよい。好ましい蛍光基は、アリールアミンの部類から選択される。
本発明の意味におけるアリールアミンは、窒素に直接結合した3つの置換または非置換の芳香環系またはヘテロ芳香環系を含む化合物を意味すると理解される。これらの芳香環系またはヘテロ芳香環系の少なくとも1つは、好ましくは縮合環系であり、特に好ましくは少なくとも14個の芳香環原子を有する。
【0027】
その好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレナミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミン、または芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、1つのジアリールアミノ基がアントラセン基(好ましくは9位)に直接結合している化合物を意味すると理解される。芳香族アントラセンジアミンは、2つのジアリールアミノ基がアントラセン基に直接結合している化合物を意味する。芳香族のピレンジアミン、ピレンジアミン、クリセナミン、クリセンジアミンも同様に定義され、ジアリールアミノ基は1位または1,6位でピレンに結合しているのが好ましい。さらに好ましい蛍光発光は、例えばWO 2006/108497またはWO 2006/122630に準拠したインデノフルオレンジアミンまたはインデノフルオレンジアミン、例えばWO 2008/006449に準拠したベンゾインデノフルオレンジアミンまたはベンゾインデノフルオレンジアミン、および、例えばWO2007/140847に従うジベンゾインデノフルオレンアミンまたはジベンゾインデノフルオレンジアミン、および、WO2010/012328に開示されている縮合したアリール基を含有するインデノフルオレン誘導体である。さらに好ましい蛍光発光は、WO 2015/158409に開示されているベンズアントラセン誘導体、WO 2017/036573に開示されているアントラセン誘導体、WO 2016/150544にあるようなフルオレン二量体、またはWO 2017/028940およびWO 2017/028941に開示されているようなフェノキサジン誘導体である。同様に、WO 2012/048780およびWO 2013/185871に開示されているピレンアリールアミンが好ましい。同様に、WO 2014/037077に開示されたベンゾインデノフルオレンアミン類、WO 2014/106522に開示されたベンゾフルオレンアミン類、およびWO 2014/111269またはWO 2017/036574に開示されたインデノフルオレン類が好ましい。
【0028】
好ましくは、遅延蛍光基は、e型遅延蛍光基、すなわちエオシン型遅延蛍光基であり、遅延蛍光基のエネルギーレベルSとTとは、TからSへの熱的に活性化された逆システム間交差(RISC)を可能にするために互いに接近している。
当業者は、本発明の目的のために使用されるものとして好適である多くの化合物および基を知っている。
【0029】
好ましい遅延蛍光基は、例えば、Tanakaら、Chemistry of Materials 25(18), 3766 (2013)、Ye Taoら、Adv. Mater. 2014, 26, 7931-7958、Zhangら、Nature Photonics advance online publication, 1 (2014)、doi: 10.1038/nphoton.2014.12、Sereviciusら、Physical Chemistry Chemical Physics 15(38), 15850 (2013)、Youn Leeら、Applied Physics Letters 101(9), 093306 (2012)、Nasuら、ChemComm, 49, 10385 (2013)、M. Y. Wongら、Adv. Mater. 2017, 29, 1605444, Chem. Soc. Rev., 2017, 46, 915およびNature Reviews Materials, 2018, Volume 3, Article Number 18020;Chem. Rec.2018, 18, 1-14、WO 2011/070963、WO 2012/133188、WO 2015/022974、WO 2015/098975、WO 2013/154064、WO 2013/161437、WO 2013/081088およびWO 2013/011954に開示される。
【0030】
好ましくは、遅延蛍光基は、純粋な有機(すなわち、金属も金属イオンも含まない)基であり、非常に好ましくは、芳香族またはヘテロ芳香族基である。芳香族またはヘテロ芳香族基、好ましくは芳香族基である遅延蛍光基が、1以上のドナー基および1以上のアクセプター基で置換されている場合、さらに好ましい。
【0031】
当業者は、ドナーまたはアクセプターを有する基を認識することは困難ではない。
ドナー基は、電子供与基であり、すなわち、+Iおよび/または+M効果を有する基であると理解される。Hammett方程式を使用することによるかかるパラメータの決定は、当業者に周知である。好適および好ましいドナー基は、例えば、ジアリール-またはヘテロアリールアミノ基、カルバゾールまたはインデノ-またはインドロカルバゾール基およびそれらの誘導体であり、これらは好ましくは窒素原子を介して芳香族またはヘテロ芳香族部分に結合している。
【0032】
アクセプター基は、電子受容性の基、すなわち-Iおよび/または-M効果を有する基であると理解される。Hammett方程式を使用することによるかかるパラメータの決定は、当業者に周知である。好適および好ましいアクセプター基は、シアノ基、CF、ケトン、好ましくは芳香族ケトン、ホスフィノキシド、およびトリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジンなどの電子不足のヘテロ芳香族基であり、任意にさらに置換されていてもよい。
【0033】
好ましい燐光性基もまた、当業者に周知であり、および有機エレクトロルミネセントデバイスの分野で広く使用されている。
燐光化合物は、フォトルミネセンスまたはエレクトロルミネセンスによって発光または照射される化合物で、電子遷移がスピン禁制遷移を表す。照射は、励起された3重項状態または5重項状態からの遷移、あるいは3重項状態または5重項状態の性質を持つ混合状態からの遷移に基づいて行われる。
【0034】
燐光化合物(三重項発光体とも称される)は、少なくとも20以上の高い原子番号を有する元素を含むことが好ましく、非常に好ましくは38以上84以下、特に好ましくは56以上80以下である。
【0035】
好ましくは、燐光性基は有機金属基であり、特に好ましくは遷移金属を含む。
【0036】
非常に好ましくは、燐光性基は、銅、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、プラチナ、銀、オーラムまたはユーロピウムを含み、特に好ましくは、銅、イリジウム、およびプラチナである。
【0037】
極めて好ましい燐光有機金属錯体は、WO2015/091716およびWO00/70655、WO2001/41512、WO2002/02714、WO2002/15645、EP1191612、WO2005/033244、WO2005/019373、US2005/0258742、WO2006/056418、WO2007/115970、WO2007/115981、WO2008/000727、WO2009/050281、WO2009/050290、WO2011/051404、WO2011/073149、WO2012/121936、US2012/0305894、WO2012/170571、WO2012/170461、WO2012/170463、WO2006/121811、WO2007/095118、WO2008/156879、WO2008/156879、WO2010/068876、WO2011/106344、WO2012/172482、EP3126371、WO2015/014835、WO2015/014944、WO2016/020516、US2016/0072081、WO2010/086089、WO2011/044988、WO2014/008982、WO2014/023377、WO2014/094961、WO2010/069442、WO2012/163471、WO2013/020631、US2015/0243912、WO2008/000726、WO2010/015307、WO2010/054731、WO2010/054728、WO2010/099852、WO2011/032626、WO2011/157339、WO2012/007086、WO2015/036074、WO2015/104045、WO2015/117718、WO2016/015815、wobei es sich vorzugsweise um Iridium und Platinkomplexe handeltに開示される。
【0038】
さらに好ましい燐光有機金属錯体は、WO2004081017、WO2005042550、US20050170206、WO2009/146770、WO2010/102709、WO2011/066898、WO2016124304、WO2017032439、WO2018019688、EP3184534、WO2018/011186、WO2016/193243およびWO2015/091716A1に開示されるとおりの多脚リガンド(polypodal ligand)を呈する。
【0039】
さらにまた、好ましい二核燐光有機金属錯体は、WO2011/045337、US2015/0171350、WO2016/079169、WO2018/019687、WO2018/041769、WO2018/054798、WO2018/069196、WO2018/069197、WO2018/069273に開示される。
【0040】
WO2010/031485、US2013/150581、WO2013/017675、WO2013/007707、WO2013/001086、WO2012/156378、WO2013/072508、EP2543672に開示される銅錯体もまた好ましい。
【0041】
パラジウムを含む好適な燐光錯体の例は、WO2014/109814に開示されている。
【0042】
典型的には、当業者に知られており、燐光OLEDで使用されている任意の燐光錯体が、本出願の目的のための使用に好適である。
【0043】
燐光錯体の明示的な例は、Ir(ppy)およびその誘導体、および以下の構造体である。
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】
【0044】
燐光錯体のさらなる明示的な例は、カルベンリガンドを含むイリジウムおよび白金錯体であり、ここで以下の錯体のヘテロレプティック(heteroleptic)およびホモレプティック(homoleptic)、Meridional型およびfacial型の異性体もまた使用することができる。
【化9】
【0045】
燐光体として、以下の銅錯体もまた好適な例である。
【化10】
【0046】
好ましいホストまたはマトリックス基は、以下に電子輸送性基または正孔輸送性基として記述されるすべての構造単位に加えて、採用される発光材料よりもHOMOとLUMOとの間のバンドギャップが大きいものであり、とりわけアントラセン、ベンズアントラセン、ベンゾフェナントレン、フェナントレン、テトラセン、コロネン、クリセン、フルオレン、スピロフルオレン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、デカシクレン、ルブレン、オリゴマーなどが挙げられる。特に、アントラセン、ベンズアントラセン、ベンゾフェナントレン、フェナントレン、テトラセン、コロネン、クリセン、フルオレン、スピロフルオレン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、デカシクレン、ルブレン、オリゴアリレンビニレン(例えばDPVBi=4,4’-ビス(2,2-ジフェニルエテニル)-1,1’-ビフェニル)、8-ヒドロキシキノリンの金属錯体などのポリポーダル金属錯体(例えばAlQ(=アルミニウムAlQ(=アルミニウム(III)トリス(8-ヒドロキシキノリン))、キノリン金属錯体、アミノキノリン金属錯体、またはベンゾキノリン金属錯体である。
【0047】
好ましい電子輸送性基は、トリアジン、ピリミジン、ピリジン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール、オキサジアゾール、フェノキサジン、ラクタム、フェナントロリンおよびジベンゾフランである。
【0048】
好ましい正孔輸送性基は、カルバゾール、ビスカルバゾール、インデノカルバゾール、インドロカルバゾール、アミン、トリアリールアミン、フルオレンアミンおよびスピロビフルオレンアミンである。
【0049】
さらに好ましくは本発明の化合物は、一般式(1)
【化11】

式中、以下が記号および符号に適用される:
【0050】
Xは、-SH、-C(=O)OH、-NH、-P(=O)(OH)(OH)、-SeH、-P(R’R’’)、-S、-S(=O)OH、-S(=O)O、-C(=O)O、-OC(=O)R’’’SH、-OC(=O)R’’’S、-P(=O)(OH)(O)、-Se、-C(=S)SH、-C(=S)S、-B(OH)、-B(OH)O、-B(O、-B(O2+,-P(=O)(O)(O)または-P(=O)(O)(O)Z2+から選択され、
【0051】
は、Na、K、Li、1/2Cd2+、1/2Zn2+、1/2Mg2+、1/2Ca2+、または1/2Sr2+、1/3In3+、1/3Ga3+から選択され
【0052】
2+は、Cd2+、Zn2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+から選択され、
R’、R’’は、同一にまたは異なって、H、1~20個のC原子を有する線状または分枝状のアルキル基から選択され、
R’’’は、1~10個のC原子を有する線状または分枝状のアルキル基から選択され、
【0053】
nは、0から20までの整数である、
を有する。
【0054】
従って、一般式(1)で表される化合物において、基Xは上記で定義されるとおりのアンカー基AGの機能を担い、および指標nで定義される長さの一般式(1)で表される化合物のアルキレン基/鎖は、上記で定義されるとおりのリンカー基Lの機能を担う。
【0055】
より好ましくは、Xは、-SH、-S、-C(=O)OH、-C(=O)O、-B(OH)、-B(OH)O、-B(O、-B(O2+、-P(=O)(OH)(OH)、-P(=O)(OH)(O)、-P(=O)(O)(O)、-P(=O)(O)(O)Z2+、-OC(=O)R’’’SH、または-OC(=O)R’’’S、および最も好ましくはXは、、-SH、-S、-P(=O)(OH)(OH)、-P(=O)(OH)(O)、-P(=O)(O)(O)、-P(=O)(O)(O)Z2+、OC(=O)R’’’SH、または-OC(=O)R’’’Sから選択される。
【0056】
指標nは、0から20までの整数である。すなわち、nが0の場合において、有機官能基FGと一般式(1)による基Xとは、基-CH-によってのみ結合されている。好ましくは、nは0から10までの整数であり、極めて好ましくは0から6までであり、特に好ましくは0から4までであり、極めて特に好ましくは0または2であり、最も好ましくはnは2である。
【0057】
本明細書において、上記式(1)中のカチオンYを定義するために用いられる「1/2Cd2+」、または「1/2Zn2+」、または「1/3In3+」などの表記は、YがCd2+、またはZn2+などの2価のカチオン、または「1/3In3+」などの3価のカチオンを表すこともできることを意味すると理解すべきである。この場合において、それは、2つまたは3つの異なる1価のアニオン性基Xとその正電荷を共有する(すなわち、1つの2価または3価のカチオンが、それぞれ2つおよび3つの異なる式(1)の化合物の分子に対して対イオンとして作用する)。
【0058】
さらに好ましくは、Yは、Na、KまたはLiから選択される。また、好ましくは、Z2+は、Cd2+、Zn2+、Mg2+から選択される。
好ましい態様に従って、有機官能基FGは、電子輸送性基ETであり、それはより好ましくは電子不足のヘテロ芳香族基から選択される。さらに好ましいくは、6個の芳香環原子を有し、そのうち少なくとも1つ、好ましくは2つ、および非常に好ましくは少なくとも3つが窒素原子であるヘテロ芳香族基、または、5個の芳香環原子を有し、そのうち少なくとも2つがヘテロ原子であり、好ましくはそのうち少なくとも1つが窒素原子であるヘテロ芳香族基である。特に好ましくは、電子輸送性基は、トリアジン、ピリミジン、ピリジン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール、オキサジアゾール、フェノキサジン、ラクタム、フェナントロリンおよびジベンゾフランから選択される。
【0059】
電子輸送性基ETは、好ましくは-1.3eV未満、極めて好ましくは-2.5eV未満、最も好ましくは-2.7eV未満のLUMO(最低不占有分子軌道)エネルギーを有する。
分子軌道、特に最高被占分子軌道(HOMO)と最低非占分子軌道(LUMO)、そのエネルギー準位、物質の最低三重項状態T1と最低励起一重項状態S1のエネルギーは、量子化学計算によって決定される。金属を含まない有機物質の計算では、まず「Ground State/Semi-empirical/Default Spin/AM1/Charge 0/Spin Singlet」法により、ジオメトリの最適化を行う。その後、最適化された形状に基づいて、エネルギー計算を行う。TD-SCF/DFT/Default Spin/B3PW91 "法を用いて,"6-31G(d) "基底セット(電荷0,スピン一重項)で計算する。金属を含有する化合物では,"Ground State/Hartree-Fock/Default Spin/LanL2 MB/Charge 0/Spin Singlet "法を用いてジオメトリを最適化する。エネルギー計算は,金属原子には "LanL2DZ "基底セットを,リガンドには "6-31 G(d) "基底セットを用いることを除いて,前述の有機化合物の方法と同様に行う。エネルギー計算では,Hartree単位でHOMOエネルギー準位HEhまたはLUMOエネルギー準位LEhを求める。これを用いて、サイクリックボルタンメトリー測定で較正されたHOMOおよびLUMOのエネルギー準位を電子ボルトで以下のように決定する。
【0060】
HOMO(eV)=((HEh*27.212)‐0.9899)/1.1206;
LUMO(eV)=((LEh*27.212)‐2.0041)/1.385
【0061】
これらの値は、本出願の文脈において、材料のHOMOおよびLUMOのエネルギーレベルとみなされる。
【0062】
最も低い三重項状態Tは、最も低いエネルギーを持つ三重項状態のエネルギーとして定義され、これは前述の量子化学計算から明らかである。最も低い励起一重項状態Sは、最も低いエネルギーを持つ励起一重項状態のエネルギーとして定義され、これは前述の量子化学計算から明らかである。
【0063】
本明細書に記載の方法は、使用するソフトウェアパッケージに依存せず,常に同じ結果を得ることができる。この目的のために頻繁に利用されるプログラムの例は、「Gaussian09 W」(Gaussian Inc.)および「Q-Chem 4.1」(Q-Chem, Inc.)
【0064】
より好ましくは、電子輸送性基ETは、以下の基から選択されるヘテロ芳香族基である。
【化12】

【化13】
【0065】
破線は、リンカー基L、すなわち式(1)の基FGとXを連結するアルキレン基との結合位置を表し、
Q’は、各出現で同一にまたは異なって、CRおよびNから選択され、
Q’’は、NR、OおよびSから選択され、
【0066】
は、各出現で同一にまたは異なって、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、1~40個の炭素原子を有する直鎖アルキル、アルコキシまたはチオアルコキシ基、または、2~40個の炭素原子を有する直鎖アルケニルまたはアルキニル基、または、3~40個の炭素原子を有する分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアルコキシまたはチオアルコキシ基から選択され、各々は、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上の水素原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO、または5~60個の芳香環原子を有し、および各場合において1以上のRラジカルによって置換されていてもよい芳香環系またはヘテロ芳香環系、または5~60個の芳香環原子を有し、および各場合において1以上のRラジカルによって置換されていてもよいアリールオキシ、アリールアルキルまたはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの基の2以上の組み合わせ、または架橋性Q基によって置き換えられていてもよく、ここで2以上の隣接するRラジカルは、一緒に、単環式または多環式の脂肪族環系または芳香環系を形成してもよく、ここで2以上の隣接するRラジカルが、一緒に、単環式または多環式の脂肪族環系または芳香環系を形成しないことが好ましく、
【0067】
は、各場合で同一であるか、または異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、1~40個の炭素原子を有する直鎖アルキル、アルコキシまたはチオアルコキシ基、または、2~40個の炭素原子を有する直鎖アルケニルまたはアルキニル基、または、3~40個の炭素原子を有する分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアルコキシまたはチオアルコキシ基であり、各々は、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上の水素原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO、または5~60個の芳香環原子を有し、および各場合において1以上のRラジカルによって置換されていてもよい芳香環系またはヘテロ芳香環系、または5~60個の芳香環原子を有し、および1以上のRラジカルによって置換されていてもよいアリールオキシ、アリールアルキルまたはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの基の2以上の組み合わせによって置き換えられていてもよく、ここで2以上の隣接するRラジカルは、一緒に、単環式または多環式の脂肪族環系または芳香環系を形成してもよく、
【0068】
は、各場合で同一であるか、または異なり、およびH、D、Fまたは、1~20個の炭素原子を有する脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族ヒドロカルビルラジカルであり、ここで1以上の水素原子もまたFによって置き換えられていてもよく、ここで2以上のR置換基もまた、一緒に、単環式または多環式の脂肪族環系または芳香環系を形成してもよく、および、
少なくとも1つのQ’は、Nである。
【0069】
以下の定義は、一般的な定義として使用される化学基に適用される。これらは、より具体的な定義が与えられていない限りにおいてのみ適用される。
【0070】
本発明の意味でのアリール基は、5~60個または6~40個の芳香環原子を含有し、そのうちいずれもヘテロ原子ではない。本明細書におけるアリール基は、例えばベンゼンなどの単純な芳香環、またはナフタレン、フェナントレン、アントラセンなどの縮合芳香族多環のいずれかを意味すると理解される。本出願の意味での縮合芳香族多環は、互いに縮合した2以上の単純な芳香環からなる。
【0071】
本発明の意味でのヘテロアリール基は、5~60個または5~40個の芳香環原子を含有し、そのうちの少なくとも1つはヘテロ原子である。本明細書におけるヘテロアリール基は、ピリジン、ピリミジン、チオフェンなどの単純なヘテロ芳香環、またはキノリン、カルバゾールなどの縮合ヘテロ芳香族ポリサイクルのいずれかを意味すると考えられる。本願発明の意味での縮合ヘテロ芳香族多環は、互いに縮合した2以上の単純ヘテロ芳香環からなる。
【0072】
アリールまたはヘテロアリール基は、各場合において上述のラジカルで置換されていてもよく、および任意の所望の位置を介して芳香環系またはヘテロ芳香環系に連結されていてもよく、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンゾフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフチイミダゾール、フェナントリミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリニイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2チアゾール、1,3チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール,1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン、およびベンゾチアジアゾール由来の基を意味すると理解される。
【0073】
本発明の意味におけるアリールオキシ基は、酸素原子を介して結合している上記定義のアリール基を意味すると理解される。類似して、同じことがヘテロアリールオキシ基にも適用される。
本発明の意味におけるアリールアルキル基は、以下に定義されるとおりのアルキル基が結合している、上記に定義されるとおりのアリール基を意味すると理解される。
【0074】
本発明の意味における芳香環系は、環系内に6~60個または6~40個のC原子を含有し、および芳香環原子としていかなるヘテロ原子も含まない。本出願の意味における芳香環系は、したがって、いかなるヘテロアリール基も含まない。本発明の意味における芳香環系は、必ずしもアリール基のみを含有するものでなく、その代わりに、複数のアリール基が、1以上の任意に置換されたC、Si、N、OまたはS原子などの非芳香族単位によって連結されていてもよい系を意味するように意図されている。かかる場合における非芳香族単位は、好ましくは、芳香環系全体のH以外の原子の総数に対して、10%未満のH以外の原子を含む。従って、例えば、9,9’-スピロビフルオレン、9,9’-ジアリルフルオレン、トリアリルアミン、ジアリルエーテル、およびスチルベンなどの系も、2以上のアリール基は、例えば、線状または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはシリル基によって連結されている系と同様に、本発明の意味での芳香環系と捉えられると意図されている。さらに、例えば、ビフェニルやターフェニルなどの系など、2以上のアリール基が単結合を介して互いに連結されている系も、本発明の意味での芳香環系とされる。
【0075】
好ましくは、芳香環系は、化学基を構成するアリール基が互いに共役している化学基であると理解される。これは、アリール基が、単結合を介して、または共役に参加できる自由π電子対を有する連結単位を介して、互いに連結されていることを意味する。接続単位は、好ましくは、窒素原子、単一のC=C単位、単一のC≡C単位、複数のC=C単位および/または互いに共役しているC≡C単位、-O-、および-S-から選択される。
【0076】
本発明の意味でにおけるヘテロ芳香環系は、5~60個または5~40個の芳香環原子を含有し、その少なくとも1つはヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくはN、OまたはSから選択される。ヘテロ芳香環系は、上記の芳香環系と定義されるが、芳香環原子の1つとして少なくとも1つのヘテロ原子を得なければならないという違いがある。それによって、芳香環原子としてあらゆるヘテロ原子を含むことができない、本願の定義による芳香環系とは異なる。
【0077】
6~60個または6~40個の芳香環原子を有する芳香環系、または5~60個または5~40個の芳香環原子を有するヘテロ芳香環系は、特に、上述のアリール基またはヘテロアリール基から誘導される基である。または、ビフェニル、ターフェニル、クアターフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、インデノフルオレン、トルセン、イソトルセン、スピロトルセン、スピロイソトルセン、インデノカルバゾールから誘導される基である。
【0078】
本発明の目的のためには、1~40個または1~20個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3~40個または3~20個のC原子を有する分枝状または環状のアルキル基、または2~40個または2~20個のC原子を有するアルケニルまたはアルキニル基で、ここでさらに個々のH原子またはCH2基がラジカルの定義の下で上述した基によって置換されていてもよいものは、好ましくは、ラジカルの、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、またはオクチニル。上記の定義を考慮すると、1~20個のC原子を有する直鎖アルキレン基、または3~20個のC原子を有する環状または分枝状のアルキレン基は、上記のラジカルのそれぞれのジラジカルを意味すると理解される。
【0079】
1~40個または1~20個のC原子を有するアルコキシまたはチオアルキル基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロへプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-へプチルチオ、シクロへプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオ、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオを意味すると理解される。
【0080】
さらに好ましい態様に従って、電子輸送性基ETは、リンカー基L、すなわち式(1)におけるFGおよびXを連結するアルキレン基に直接結合しているのではなく、以下の構造に従って、連結基Lと電子輸送性基ETを相互に連結する2価の基Arを介して結合している。
-----[Ar‐ET
【0081】
ここで、破線はリンカー基であるL、すなわち式(1)のアルキレン基との結合を示し、基ETは上述のとおりであり、gは0または1であることを示す。
指標gが0の場合において、基Arは存在しないことを意味し、式(1)に示すように、リンカー基と電子輸送性基ETが直接結合される。
【0082】
好ましくは、2価の基Arは、1以上のラジカルRで置換されていてもよい、6~30個の芳香環原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系から選択される。特に好ましくは、Arは、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ビフェニル、ターフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、フラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ジベンゾチオフェンから誘導される2価の基から選択され、それぞれ1以上のラジカルRで置換されていてもよい。特に好ましくは、Arはフェニレン基、ビフェニレン基またはターフェニレン基であり、最も好ましくはArはフェニレン基である。
【0083】
ヘテロ芳香族の電子輸送性基ETの好ましい例は、(上に示したようにgが0または1であることとは無関係に)ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾールまたはベンゾオキサゾールであり、これらの各基はRで置換されていてもよい。さらに好ましくは、電子輸送性基は、1以上のRラジカルで置換されたピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジンおよび1,3,5-トリアジンである。
【0084】
非常に好ましいヘテロ芳香族の電子輸送性基ETは、以下の基(ET-12)から(ET-21)から選択される。
【化14】

【化15】
【0085】
ここで、Rは上記で定義したとおりであり、破線はリンカー基L、すなわち、式(1)の基FGとXを連結するアルキレン基、または存在する場合は基Arへの結合位置を表す。
【0086】
電子輸送性基ETにおける置換基Rは、好ましくは、Hおよび5~60個の芳香環原子を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系からなる群から選択され、それぞれの場合において1以上のRラジカルで置換されていてもよく、1以上のラジカルRで置換されている電子輸送性基ETは、電子豊富な芳香環または環系またはヘテロ芳香環または環系を含まないことが好ましい。
【0087】
非常に特に好ましいヘテロ芳香族電子輸送性基ETの例は、上で定義したとおりの1以上の独立したRラジカルで置換されていてもよい以下の基であり、ここで点線の結合はリンカー基L、すなわち式(1)の基FGとXとを連結するアルキレン基への結合位置を示す。
【化16】

【化17】

【化18】

【化19】
【0088】
別の好ましい態様に従って、有機官能基FGは、正孔輸送性基HTであり、より好ましくは電子豊富なヘテロ芳香族基から選択される。ここで、用語正孔輸送性は、電子デバイス(例えば、エレクトロルミネッセンスデバイス)において、この官能基を有する化合物が多数の電荷キャリアとして正電荷を輸送することを可能にする官能基を表す。さらに好ましくは、5~60個の芳香環原子を有するヘテロアリール基であり、窒素原子が好ましいヘテロ原子である。特に好ましくは、正孔輸送性基は、カルバゾール、ビスカルバゾール、インデノカルバゾール、インドロカルバゾール、アミン、トリアリールアミン、フルオレンアミン、およびスピロビフルオレンアミンから選択される。
【0089】
さらに好ましい正孔輸送性基HTは、基
【化20】

式中、
【0090】
Arは、各出現にて同一にまたは異なって、1以上のラジカルRによって置換されていてもよい6~40個の芳香環原子を有する芳香環系、および1以上のラジカルRによって置換されていてもよい5~40個の芳香環原子を有するヘテロ芳香環系から選択され、
【0091】
は、各出現にて同一にまたは異なって、1以上のラジカルRによって置換されていてもよい6~40個の芳香環原子を有する芳香環系、および1以上のラジカルRによって置換されていてもよい5~40個の芳香環原子を有するヘテロ芳香環系から選択され、
【0092】
Eは、単結合または-C(R-、-N(R)-、-O-、および-S-から選択される二価の基であり、および
kは、各出現にて同一にまたは異なって、0または1であり、ここでk=0の場合において、基Arは存在せず、および窒素原子とリンカー基とは直接結合され、
mは、各出現にて同一にまたは異なって、0または1であり、ここでm=0の場合において、基Eは存在せず、および基Arは結合されず、
【0093】
は、各出現で同一にまたは異なって、H、D、F、C(=O)R、CN、Si(R、N(R、P(=O)(R、OR、S(=O)R、S(=O)、1~20個のC原子を有する直鎖アルキルまたはアルコキシ基、3~20個のC原子を有する分枝状または環状のアルキルまたはアルコキシ基、2~20個のC原子を有するアルケニルまたはアルキニル基、6~40個の芳香環原子を有する芳香環系、および5~40個の芳香環原子を有するヘテロ芳香環系から選択され、ここで2以上のラジカルRは、互いに結合し環を形成してもよく、該アルキル、アルコキシ、アルケニルおよびアルキニル基および該芳香環系およびヘテロ芳香環系は、各場合において、1以上のラジカルRによって置換されていてもよく、およびここで該アルキル、アルコキシ、アルケニルおよびアルキニル基における1以上のCH基は、各場合において、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、C=O、C=NR、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、NR、P(=O)(R)、-O-、-S-、SOまたはSOによって置き換えられていてもよく、
【0094】
は、各出現で同一にまたは異なって、H、D、F、C(=O)R、CN、Si(R、N(R、P(=O)(R、OR、S(=O)R、S(=O)、1~20個のC原子を有する直鎖アルキルまたはアルコキシ基、3~20個のC原子を有する分枝状または環状のアルキルまたはアルコキシ基、2~20個のC原子を有するアルケニルまたはアルキニル基、6~40個の芳香環原子を有する芳香環系、および5~40個の芳香環原子を有するヘテロ芳香環系から選択され、ここで2以上のラジカルRは、互いに結合し環を形成してもよく、該アルキル、アルコキシ、アルケニルおよびアルキニル基および該芳香環系およびヘテロ芳香環系は、各場合において、1以上のラジカルRによって置換されていてもよく、およびここで該アルキル、アルコキシ、アルケニルおよびアルキニル基における1以上のCH基は、各場合において、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、C=O、C=NR、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、NR、P(=O)(R)、-O-、-S-、SOまたはSOによって置き換えられていてもよく、および
【0095】
は、各出現で同一にまたは異なって、H、D、F、CN、1~20個のC原子を有するアルキル基、6~40個のC原子を有する芳香環系、5~40個の芳香環原子を有するヘテロ芳香環系から選択され、ここで2以上のラジカルRは、互いに結合して環を形成してもよく、およびここで該アルキル基、芳香環系およびヘテロ芳香環系は、FおよびCNによって置換されていてもよい、である。
【0096】
基Arは、2価の基である。好ましくは、基Arは、1以上のラジカルRによって置換されていてもよい、6~30個の芳香環原子を有する芳香環系から選択される。Arが、ベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、ナフチル、フルオレニル、インデノフルオレニル、スピロビフルオレニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、およびカルバゾリルから誘導される2価の基から選択される場合、特に好ましい。これらの基は、それぞれ1以上のラジカルRによって置換されていてもよい。最も好ましくは、Arは、1以上のラジカルRで置換されていてもよいベンゼンから誘導される2価の基である。
【0097】
さらなる態様に従って、指標kは0であり、基Arが存在しないことを意味し、リンカー基とアミンの窒素原子が互いに直接接続される。
【0098】
具体的に好ましい基Arは、同一にまたは異なって、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、クアターフェニル、ナフチル、フルオレニル、とくに9,9’-ジメチルフルオレニルおよび9,9’-ジフェニルフルオレニル、ベンゾフルオレニル、スピロビフルオレニル、インデノフルオレニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、カルバゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾ縮合されたジベンゾフラニル、ベンゾ縮合されたジベンゾチオフェニル、ナフチル-置換フェニル、フルオレニル-置換フェニル、スピロビフルオレニル-置換フェニル、ジベンゾフラニル-置換フェニル、ジベンゾチオフェニル-置換フェニル、カルバゾリル-置換フェニル、ピリジル-置換フェニル、ピリミジル-置換フェニル、およびトリアジニル-置換フェニル、その各々は任意に1以上のラジカルRによって置換されていてもよい、から選択される。
【0099】
好ましくは基Arは、各出現で異なって選択される。
好ましい基Arは、同一にまたは異なって、以下の式で表される基から選択される:
【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】
【0100】
ここで、基は自由な位置で基Rで置換されていてもよいが、好ましくはこれらの位置で無置換であり、点線は窒素原子への結合位置を表す。
【0101】
好ましい態様に従って、指数mは0であり、基Arが基Eによって接続されていないことを意味する。
【0102】
ある条件下で好ましいとされ得る別の態様に従って、指標mは1であり、基Arが基Eによって接続されていることを意味する。
【0103】
基Arが基Eによって連結されている場合、基Arは、同一または異なって、それぞれが1以上の基Rによって置換されていてもよいフェニルおよびフルオレニルから選択されることが好ましい。さらに、そのような場合、基Arを連結する基Eは、それぞれの基Ar上、好ましくはフェニルまたはフルオレニルであるそれぞれの基Ar上に、基Arのアミン窒素原子への結合と直交する位置に配置されていることが好ましい。さらに好ましくは、そのような場合、EがC(R、NR、OおよびSから選択される場合は、基ArとEとの間でアミン窒素原子を有する6環が形成され;Eが単結合の場合は5環が形成される。
【0104】
ある条件の下では好ましくてもよい別の態様によれば、指数mは1であり、基Arが基Eによって連結されていることを意味する。
【0105】
基Ar1が基Eによって連結されている場合、基Arは、同一または異なって、それぞれが1以上の基Rによって置換されていてもよいフェニルおよびフルオレニルから選択されることが好ましい。さらに、そのような場合、基Ar1を連結する基Eは、それぞれの基Ar上、好ましくはフェニルまたはフルオレニルであるそれぞれの基Ar上に、基Arのアミン窒素原子への結合と直交する位置に配置されていることが好ましい。さらに好ましくは、そのような場合、EがC(R、NR、OおよびSから選択される場合は、基ArとEとの間でアミン窒素原子を有する6環が形成され;Eが単結合の場合は5環が形成される。
【0106】
基Arが基Eによって連結されている場合、特に好ましい態様の部位
【化37】

は、以下の式

【化38】

【化39】

【化40】

から選択され、式中基は、自由な位置で基Rで置換されていてもよいが、好ましくはこれらの位置で無置換であり、点線は、リンカー基L、すなわち、式(1)の基FGとXを連結するアルキレン基への窒素原子の結合位置(k=0の場合)、または基Arへの結合位置(k=1の場合)を表す。
【0107】
m=0の場合、特に好ましい部位
【化41】

は、正孔輸送性基HTのためには、以下の式に準拠する。
【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】
【0108】
式中、基は自由な位置で基Rで置換されていてもよいが、好ましくはこれらの位置で無置換であり、点線はリンカー基L、すなわち式(1)の基FGとXを連結するアルキレン基との結合位置を表す。
【0109】
基Rは、好ましくは、H、F、CN、Si(R、1~20個のC原子を有する直鎖アルキル基、3~20個のC原子を有する分枝状または環状のアルキル基、6~40個の芳香環原子を有する芳香環系、および5~40個の芳香環原子を有するヘテロ芳香環系から、同一または異なって選択され;ここで、2以上のラジカルRは、互いに連結して環を形成してもよく;ここで、前記アルキル基ならびに前記芳香族およびヘテロ芳香環系は、それぞれの場合において、1以上のラジカルRによって置換されていてもよい。
【0110】
基Rは、好ましくは、H、F、CN、Si(R、1~20個のC原子を有する直鎖アルキル基、3~20個のC原子を有する分枝状または環状のアルキル基、6~40個の芳香環原子を有する芳香環系、および5~40個の芳香環原子を有するヘテロ芳香環系から、同一または異なって選択され;ここで、2以上のラジカルRは、互いに連結して環を形成してもよく;ここで、前記アルキル基ならびに前記芳香族およびヘテロ芳香環系は、それぞれの場合において、1以上のラジカルRによって置換されていてもよい。
【0111】
式(1)に従う好ましい化合物は、以下の表1に表される;
【化48】

【化49】

【化50】

【化51】
【0112】
上述した本発明による化合物は、その構造中に、アンカー基(すなわち、基AG)、共役した導電性の官能基(すなわち、基FG)、およびアンカー基を官能基から切り離す柔軟な共役を遮断性のリンカー(すなわち、基L)を含み、半導体ナノ粒子の表面に結合するためのリガンドとして好適であり、これにより、ナノ粒子表面の不働態化および溶液中のナノ粒子の溶解性を確保することができる。さらに、それは表面結合プロセスを改善し、表面上のリガンド密度を高めることができ、層を介して量子材料への電荷輸送を改善することが可能となり、電子デバイスの全体的な性能を向上させることができる。
【0113】
半導体ナノ粒子
本発明はさらに、半導体ナノ粒子に関する。本発明によれば、半導体ナノ粒子は、コア、1以上のシェル層、および1以上のシェル層の最も外側の面に付着する少なくとも1つのリガンドを含み、前記少なくとも1つのリガンドは、上述した本発明による化合物から選択される。
【0114】
本出願の文脈における半導体/半導体ナノ粒子または半導体/半導体ナノクリスタルは、半導体発光ナノ粒子を意味すると理解される。本発明によれば、半導体ナノ粒子の無機部分として、公知の多種多様な半導体発光ナノ粒子を所望に応じて使用することができる。
【0115】
さらに、本明細書で使用される用語「付着」は、それに限定されることなく、共有結合またはイオン結合、または双極子-双極子相互作用を包含すると理解されるべきである。
【0116】
本発明の半導体ナノ粒子の形状の種類は特に限定されない。任意の種類、例えば、球形状、細長い形状、星形状、多面体形状の半導体ナノ粒子を用いることができる。
【0117】
本発明によれば、半導体ナノ粒子の前記1以上のシェル層は、好ましくは、単一のシェル層、二重のシェル層、または2以上のシェル層を有するマルチシェル層であり、最も好ましくは、二重のシェル層である。
【0118】
本明細書では、用語「シェル層」は、前記コアを完全にまたは部分的に覆う構造を意味する。好ましくは、前記1以上のシェル層が前記コアを完全に覆っている。コア」および「シェル」という用語は、当技術分野でよく知られており、US 8221651 B2など、量子材料の分野で典型的に使用されている。
【0119】
本明細書では、用語「ナノ」は、少なくとも1つの寸法サイズ、すなわち粒子の直径が0.1nmから999nmの間にある粒子、好ましくは0.1nmから150nmの間にある粒子を意味する。ナノサイズの材料という用語は、そのサイズの対応する材料を指す。
【0120】
ナノ粒子のサイズは、標準的な技術である透過型電子顕微鏡を用いて測定することができる。
【0121】
本発明の好ましい態様では、本発明の半導体発光ナノ粒子は、量子材料とも呼ばれる量子サイズの材料であり、量子サイズの材料または量子材料は、量子ドットまたは量子ロッドであることができ、好ましくは、量子サイズの材料または量子材料は、量子ドットである。
【0122】
本明細書では、「量子サイズの」という用語は、例えばISBN:978-3-662-44822-9に記載されているような、量子閉じ込め効果を示すことができる、リガンドや別の表面修飾のない半導体材料自体のサイズを意味する。一般に、量子サイズの材料は、「量子閉じ込め」効果により、調整可能でシャープで鮮やかな色の光を発することができると言われてる。
【0123】
好ましくは、量子サイズの材料の全体構造の直径は、1nmから100nmであり、より好ましくは、1nmから30nmであり、さらに好ましくは、5nmから15nmである。したがって、本発明の半導体ナノ粒子は、いわゆる「量子ドット」(QD)であることが好ましい。
【0124】
本発明によれば、半導体ナノ粒子の前記コアは変わり得る。例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnSeS、ZnTe、ZnO、GaAs、GaP、GaSb、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InPS、InPZnS、InPZn、InPGa, InSb、AlAs、AlP、AlSb、Cu2S、Cu2Se、CuInS2、CuInSe2、Cu2(ZnSn)S4、Cu2(InGa)S4、TiO2合金、およびこれらのいずれかの組み合わせを使用することができる。
【0125】
本発明の好ましい態様では、半導体ナノ粒子の前記コアは、周期表の第13族元素の1つ以上と、周期表の第15族元素の1つ以上とを含む。例えば、GaAs、GaP、GaSb、InAs、InP、InPS、InPZnS、InPZn、InPGa、InSb、AlAs、AlP、AlSb、CuInS2、CuInSe2、Cu2(InGa)S4、およびこれらのいずれかを組み合わせ。
【0126】
さらに好ましくは、コアはIn原子とP原子、例えば、InP、InPS、InPZnS、InPZnまたはInPGaを含む。
【0127】
本発明のさらに好ましい態様によれば、前記少なくとも1つのシェル層は、周期表の第12族、第13族または第14族の第1元素と、周期表の第15族または第16族の第2元素とを含む。好ましくは、全てのシェル層が、周期表の12族、13族または14族の第1元素と、周期表の15族または16族の第2元素とを含む。
【0128】
より好ましくは、少なくとも1つのシェル層は、周期表第12族の第1元素と周期表第16族の第2元素とを含む。シェル層としては、例えば、CdS、CdZnS、ZnS、ZnSe、ZnSSe、ZnSSeTe、CdS/ZnS、ZnSe/ZnS、ZnS/ZnSeのいずれかを用いることができる。さらに好ましくは、すべてのシェル層が、周期表第12族の第1元素と周期表第16族の第2元素を含む。
【0129】
特に好ましくは、少なくとも1つのシェル層が以下の式(II)
ZnSxSeyTez、-(II)
式中において、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1であるで表されることが好ましく、0≦x≦1、0≦y≦1、z=0、x+y=1であることがさらに好ましい。
【0130】
ZnS、ZnSe、ZnSeS、ZnSeSTe、CdS/ZnS、ZnSe/ZnS、ZnS/ZnSeシェル層が最も好ましい。
また、全てのシェル層が式(II)で表されることがさらに好ましい。
【0131】
例えば、緑および/または赤の発光用途の半導体発光ナノ粒子としては、CdSe/CdS、CdSeS/CdZnS、CdSeS/CdS/ZnS、ZnSe/CdS、CdSe/ZnS、InP/ZnS、InP/ZnSe.InP/ZnSe/ZnS、InP/ZnS/ZnSe、InPZn/ZnS/ZnS、InPZn/ZnS/ZnS、ZnSe/CdS、ZnSe/ZnSの半導体発光ナノ粒子、またはこれらの組み合わせを用いることができる。
【0132】
より好ましくは、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InP/ZnS/ZnSe、InPZn/ZnSe/ZnS、InPZn/ZnS/ZnSeを用いることができる。
【0133】
本発明の好ましい態様では、前記半導体ナノ粒子の前記シェル層は、二重シェル層である。
【0134】
前記半導体発光ナノ粒子は、例えば、Sigma-Aldrich社から公知であり、/または、例えば、ACS Nano, 2016, 10 (6), pp 5769-5781, Chem. Moter. 2015, 27, 4893-4898、および国際特許出願番号WO 2010/095140 A2に記載されている。
【0135】
本発明によれば、半導体ナノ粒子が、その最も外側の表面に付着した少なくとも2つの異なるリガンド、好ましくは正確に2つの異なるリガンドを含み、リガンドが上述した本発明による化合物から選択されることが好ましい。
【0136】
さらに好ましくは、半導体ナノ粒子は、上述したような本発明による化合物から選択された第1のリガンドおよび第2のリガンドを含み、第1のリガンドは、電子輸送性基から選択された有機官能基を含み(すなわち、電子輸送性が正孔輸送特性よりも優れている)、第2のリガンドは、正孔輸送性基から選択された有機官能基を含んでいる(すなわち、正孔輸送性が電子輸送性よりも優れている)。ここで、電子輸送性リガンドの最高励起状態だけでなく、正孔輸送型リガンドの最高励起状態も、量子ドットの励起状態と同等かそれ以上のエネルギーであるため(最も好ましくは0.15eVだけエネルギーが高い)、第1のリガンドと第2のリガンドの組み合わせは、孤立した荷電基(isolated charged groups)の和よりも低いエネルギーの超分子励起状態としての励起状態複合体(いわゆるエキサイプレックス)を形成することが可能である。このエキサイプレックス(ホスト)のエネルギーは、エネルギー移動(例えば、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET))によって、半導体ナノ粒子(ゲスト)に伝達することができ、それによって、ホスト材料(すなわち、第1および第2のリガンドのエキシプレックス)の発光スペクトルが、受容量子ドットの吸収バンドと重なる(最も好ましくは、吸収スペクトルにおける最も長波長側の吸収バンドが5000M-1cm-1である)という境界条件が満たされる。エキシプレックスを介してコアにエネルギーを伝達することで、効率(例えば量子効率)をさらに向上させることができる。
【0137】
電子および/または正孔輸送型の部位の一方または両方が、発光層中の量子ドット以外の追加の分子、すなわちコホストタイプに存在していてもよく、正孔輸送性コホストと量子ドットの電子輸送性リガンドとの間でエキサイプレックスが形成されてもよく、または、2以上のコホストが提供する両方の種類の輸送単位のみからエキサイプレックスが形成されてもよい。いずれの場合も、上述の条件を満たす量子ドットにエネルギーを伝達することができます。エキシプレックスから量子ドットのコアへのFRETにより、エレクトロルミネッセンス素子の性能特性(特にEQEなどの効率)が向上する。
【0138】
追加のリガンド
本発明による半導体ナノ粒子は、本明細書に記載された本発明の化合物から選択される少なくとも1つのリガンドに加えて、シェル層の最も外側の表面に付着した1以上の異なるタイプのリガンド(すなわち、本発明による化合物から選択されていない)を任意に含んでいてもよい。
【0139】
したがって、半導電性発光ナノ粒子のシェル層の最も外側の表面は、所望される場合、上述の本発明に係る化合物から選択される少なくとも1つのリガンドと、ともに/加えて、異なる種類の表面リガンドでオーバーコートされてもよい。
【0140】
理論に拘束されることを望むものではないが、このような表面リガンドは、半導体発光ナノ粒子がより容易に溶媒中に分散されるように効果を発揮すると考えられる。
【0141】
本発明の好ましい態様に従って、上記で定義した1以上のシェル層の最も外側の表面に付着した本発明の化合物から選択されたリガンドまたはリガンドの総量は、1wt%~99.9wt%の範囲、好ましくは30wt%~99.9wt%の範囲、好ましくは50wt%~99。1以上のシェル層の最表面に付着したリガンドの最終的な組成は、熱重量分析(TGA - Mettler Toledo TGA/DSC 3+)によって決定される。
【0142】
一般的に使用される表面リガンドは、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、トリブチルホスフィン(TBP)などのホスフィンおよびホスフィンオキシド;ドデシルホスホン酸(DDPA)、トリデシルホスホン酸(TDPA)、オクタデシルホスホン酸(ODPA)、ヘキシルホスホン酸(HPA)などのホスホン酸類。オレイルアミン、デデシルアミン(DDA)、テトラデシルアミン(TDA)、ヘキサデシルアミン(HDA)、オクタデシルアミン(ODA)などのアミン類、オレイルアミン(OLA)、ヘキサデカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサンチオールなどのチオール類、オレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸などのカルボン酸類、酢酸類、およびこれらの任意の組み合わせを包含する。
【0143】
表面リガンドの例は、例えば、国際特許出願番号WO 2012/059931Aに記載される。
上述した本発明の化合物から選択される表面に結合される少なくとも1つのリガンドを含む本発明による半導体ナノ結晶は、高い蛍光量子収率を有し、高いコントラストを実現することができ、半導体ナノ結晶内および半導体ナノ結晶層内の電荷輸送を改善することができ、そのことによって電子デバイス、特にエレクトロルミネッセンスデバイスの効率を向上させることができる。
【0144】
組成物
特に、電子デバイスに使用されるとき、本発明による半導体ナノ粒子は、先行技術による電子デバイスで一般的に使用されているさらなる半導体ナノ粒子または更なる有機機能性材料と組み合わせて、組成物を形成してもよい。電子デバイスの分野において、非常に多様な適切な有機機能性材料は、当業者に知られている。
【0145】
よって本発明はさらに、少なくとも1つの、第1の、本発明に従う半導体ナノ粒子、および少なくとも1つの第2の半導体ナノ粒子を含む、または、少なくとも1つの、第1の、本発明に従う半導体ナノ粒子、および電子注入材料、電子輸送性材料、正孔ブロッキング材料、n-ドーパント、ホスト材料、マトリックス材料、ワイドバンドギャップ材料、蛍光発光材料、遅延蛍光材料、燐光発光材料、電子ブロッキング材料、正孔輸送性材料、正孔注入材料およびp-ドーパントから選択される少なくとも1つのさらなる有機機能性材料を含む組成物を提供する。
【0146】
好ましくは、組成物は、本発明による少なくとも1つの第1の半導体ナノ粒子と、少なくとも2つの異なる有機機能性材料、好ましくは上で定義した正確に2つの異なる有機機能性材料とを含み、これらの機能性材料は、より好ましくは、マトリックス材料、電子輸送性材料および正孔輸送性材料から選択される。
【0147】
遅延蛍光発光または遅延蛍光ホストなどの遅延蛍光材料は、当技術分野でよく知られており、例えば、Ye Tao et al., Adv. Mater. 2014, 26, 7931-7958, M. Y. Wong et al., Adv. Mater. 2017, 29, 1605444、WO 2011/070963、WO 2012/133188、WO 2015/022974およびWO 2015/098975など。典型的には、遅延蛍光材料は、それらの一重項エネルギー(S)と三重項エネルギー(T)との間に、かなり小さいエネルギーギャップを示すことを特徴とする。好ましくはΔESTは0.5eVより小さく、非常に好ましくは0.3eVより小さく、特に好ましくは0.2eVより小さく、ここでΔESTは一重項エネルギー(S)と三重項エネルギー(T)の間のエネルギー差を表す。
【0148】
本発明において、ワイドバンドギャップ材料とは、US7,294,849に開示されているような材料を意味すると理解され、少なくとも3.5eVのバンドギャップを有することを特徴とし、ここで用語「バンドギャップ」は、最高被占分子軌道(HOMO)と最低非占分子軌道(LUMO)との間のエネルギーギャップを意味している。かかる系は、当技術分野ではよく知られており、エレクトロルミネセントデバイスにおいて特に有利な性能特性を呈する。
【0149】
用語「燐光発光化合物」、典型的には、光の放出がスピン禁制の遷移、例えば、励起三重項状態またはより高いスピン量子数を有する状態、例えば五重項状態からの遷移によってもたらされる化合物を包含している。好ましくは、用語燐光発光化合物は、三重項状態から放射線を放出する化合物を指す。
好適な燐光発光化合物は、特に上述したものである。
【0150】
好ましい蛍光発光化合物は、アリールアミンのクラスから選択される。本発明の文脈におけるアリールアミンまたは芳香族アミンとは、窒素に直接結合した3つの置換または非置換の芳香環系またはヘテロ芳香環系を含む化合物を意味すると理解される。好ましくは、これらの芳香環系またはヘテロ芳香環系の少なくとも1つは融合環系であり、より好ましくは少なくとも14個の芳香環原子を有する。これらの好ましい例は、芳香族アントラセナミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレナミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセナミンまたは芳香族クリセニアミンである。芳香族アントラセンアミンとは、ジアリールアミノ基がアントラセン基に直接結合している化合物を意味すると理解される。芳香族アントラセンジアミンは、2つのジアリールアミノ基がアントラセン基に直接結合した化合物を意味すると理解され、好ましくは9、10位である。芳香族ピレナミン、ピレンジアミン、クリセナミン、クリセナジアミンも同様に定義され、ジアリールアミノ基が好ましくは1位または1,6位でピレンに結合している。さらに好ましい発光化合物は、例えばWO2006/108497またはWO2006/122630に従ったインデノフルオレンアミンまたはフルオレンジアミン、例えばWO2008/006449に従ったベンゾインデノフルオレンアミンまたは-フルオレンジアミン、および例えばWO2007/140847に従ったジベンゾインデノフルオレンアミンまたはジアミン、ならびにWO2010/012328に開示された縮合アリール基を有するインデノフルオレン誘導体である。同様に好ましくは、WO 2012/048780およびWO 2013/185871に開示されているピレニアリルアミンである。同様に好ましいのは、WO2014/037077に開示されたベンゾインデノフルオレナミン類、WO2014/106522に開示されたベンゾフルオレナミン、WO2014/111269に開示された拡張ベンゾインデノフルオレナミン、およびWO2017/036574に開示されたベンゾインデノフルオレナミンである。WO 2017/028940およびWO 2017/028941に開示されているフェノキサジン、WO 2016/150544に開示されているフラン単位に結合したフルオレン誘導体またはチオフェン単位に結合したフルオレン誘導体など、先行技術に従って使用されているような材料を使用することができる。
【0151】
有用なホストまたはマトリックス材料は、蛍光発光材料と組み合わせて使用することが好ましく、様々な物質クラスの材料が含まれる。好ましいマトリックス材料は、オリゴアリレン類(例えば、EP 676461による2,2’,7,7’-テトラフェニルスピロビフルオレンまたはジナフチルアントラセン)、特に縮合芳香族基を含むオリゴアリレン類、オリゴアリレンビニレン類(例えば、EP 676461によるDPVBiまたはスピロ-DPVBi)、ポリポダール金属錯体のクラスから選択される。EP 676461によるDPVBiまたはスピロ-DPVBi)、ポリポーダル金属錯体(例えば、WO 2004/081017による)、正孔伝導性化合物(例えば、WO 2004/058911による)、電子伝導性化合物、特にケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシドなど。(例えば、WO 2005/084081およびWO 2005/084082による)、アトロピソマー(例えば、WO 2006/048268による)、ボロン酸誘導体(例えば、WO 2006/117052による)またはベンズアントラセン(例えば、WO 2008/145239による)が挙げられる。特に好ましいマトリックス材料は、ナフタレン、アントラセン、ベンザントラセン、ピレン、またはこれらの化合物のアトロピソマーを含むオリゴアリレン、オリゴアリレンビニレン、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシドのクラスから選択される。特に好ましいマトリックス材料は、アントラセン、ベンザントラセン、ベンゾフェナントレンおよび/またはピレン、あるいはこれらの化合物のアトロピソマーを含むオリゴアリレンのクラスから選択される。本発明の文脈におけるオリゴアリーレンは、少なくとも3つのアリール基またはアリーレン基が互いに結合している化合物を意味すると理解される。さらに好ましくは、WO 2006/097208、WO 2006/131192、WO 2007/065550、WO 2007/110129、WO 2007/065678、WO 2008/145239、WO 2009/100925、WO 2011/054442およびEP 1553154に開示されているアントラセン誘導体、EP 1749809に開示されているピレン化合物である。EP 1905754およびUS 2012/0187826に開示されているピレン化合物、WO 2015/158409に開示されているベンザントラセニルアントラセン化合物、WO 2017/025165に開示されているインデノベンゾフラン、およびWO 2017/036573に開示されているフェナントリラントラセンなど、従来技術に従って使用されている材料を使用することができる。
【0152】
燐光発光材料と組み合わせて使用される好ましいホストまたはマトリックス材料は、例えば、WO 2004/013080、WO 2004/093207、WO 2006/005627またはWO 2010/006680に従った、芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシドまたは芳香族スルホキシドまたはスルホン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、例えば CBP(N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)またはWO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP 1205527またはWO 2008/086851に開示されているカルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、例えばWO 2007/063754またはWO 2008/056746に従ったもの、インデノカルバゾール誘導体、例えばWO 2010/136109に従ったもの。WO 2011/000455またはWO 2013/041176に従った、アザカルバゾール誘導体、例えばEP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160に従った、双極性マトリックス材料、例えばWO 2007/137725に従った、シラン、例えばWO 2005/111172に従った、アザボロールまたはボロン酸エステル、例えばWO 2006/117052に従った。トリアジン誘導体(例えば、WO 2010/015306、WO 2007/063754またはWO 2008/056746による)、亜鉛錯体(例えば、EP 652273またはWO 2009/062578による)、ジアザシロールまたはテトラアザシロール誘導体(例えば、WO 2010/054729による)、ジアザホスホール誘導体(例えば、WO 2010/054730による)。例えば、US 2009/0136779、WO 2010/050778、WO 2011/042107、WO 2011/088877またはWO 2012/143080に準拠したブリッジドカルバゾール誘導体、例えばWO 2012/048781に準拠したトリフェニレン誘導体、または例えばWO 2011/116865またはWO 2011/137951に準拠したラクタム類、または従来技術に従って使用される他の材料である。
【0153】
少なくとも第1の半導体ナノ粒子を含む組成物は、複数のホストまたはマトリックス材料(いわゆる「混合マトリックス系」)、好ましくは2つまたは3つの異なるホストまたはマトリックス材料、より好ましくは2つの異なるホストまたはマトリックス材料をさらに含むことがさらに好ましい。より好ましくは、この場合、2つの異なる材料のうちの1つは、正孔輸送性を有するホストまたはマトリックス材料、すなわち正孔輸送に著しく寄与する材料であり、他の1つは、電子輸送性を有するホストまたはマトリックス材料、すなわち電子輸送に著しく寄与する材料である。混合マトリックス系に関するより詳細な情報源は、WO 2010/108579出願である。
【0154】
さらに好ましくは、本発明によれば、電子デバイスに適した公知の様々な透明マトリックス材料を使用することができる。
【0155】
本発明によれば、用語「透明」は、電子デバイスの光学フィルム、カラーフィルター、色変換フィルム、リモート燐光テープなどの光学媒体に使用される厚さで、前記光学媒体の動作時に使用される波長または波長範囲において、入射光の透過率が少なくとも約60%であることを意味する。好ましくは、70%超え、より好ましくは75%超え、最も好ましくは80%超えである。
【0156】
好ましくは、透明マトリックス材料は、透明ポリマーである。例えば、透明マトリックス材料の透明ポリマーは、ポリ(メタ)アクリレート、エポキシ、ポリウレタンおよびポリシロキサンから選択される。
【0157】
本明細書に使用されるとき、用語「ポリマー」は、繰り返し単位を有し、および重量平均分子量(Mw)が1000以上の材料を意味する。好ましくは、透明マトリックス材料として使用されるポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1000から300000の範囲であり、より好ましくは10000から250000までの範囲である。
【0158】
さらに好ましくは、透明ポリマーのガラス転移温度(Tg)は70℃以上、250℃以下である。Tgは、http://pslc.ws/macrog/dsc.htm に記載されているようなDifferental Scanning Colorimetryで観察される熱容量の変化に基づいて測定することができる。
【0159】
好適な電子輸送材料(または正孔ブロッキング材料、または正孔注入材料)は、電子輸送材料として先行技術で使用されている任意の材料であり、好ましくは電子デバイスの電子輸送層(または正孔ブロッカー層、または電子注入層)に使用される。特に好ましくは、アルミニウム錯体、例えばAlq、ジルコニウム錯体、例えばZrq、リチウム錯体、例えばLiq、ベンズイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、芳香族ケトン類、ラクタム類、ボラン類、ジアザホスホール誘導体、ホスフィンオキシド誘導体である。さらに好適な材料は、JP2000/053957、WO2003/060956、WO2004/028217、WO2004/080975、およびWO2010/072300に開示されているような上記化合物の誘導体である。
【0160】
好適な正孔輸送材料(または電子ブロッキング材料、または正孔注入材料)は、好ましくは電子デバイスの正孔輸送層(または電子ブロッカー層、または正孔注入層)において、正孔輸送材料として先行技術で使用されている任意の材料であり得る。正孔輸送材料の好ましい例は、インデノフルオレンアミンおよび誘導体(例えば、WO 06/122630またはWO 06/100896に従って)、EP 1661888に開示されているようなアミン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体(例えば、WO 01/049806に従って)、縮合芳香族を有するアミン誘導体(例えば、米国特許第5,061,569号)、WO 95/09147に開示されているとおりのアミン誘導体、モノベンゾインデノフルオレンアミン(例えばWO 08/006449に従って)またはジベンゾインデノフルオレンアミン(例えばWO 07/140847に従って)である。好適な正孔輸送および正孔注入材料は、さらにまた、JP 2001/226331、EP 676461、EP 650955、WO 01/049806、米国特許第4,780,536号、WO 98/30071、EP 891121、EP 1661888、JP 2006/253445、EP 650955、WO 06/073054、および米国特許第5,061,569号に開示されているとおりの、上記に記述される化合物の誘導体である。
【0161】
本発明に従って使用されるn-ドーパントは、好ましくは、混合物中の1以上の他の化合物を還元することができる有機電子ドナー化合物である。n-ドーパントの好ましい例は、WO 2005/086251 A2によるW(hpp)およびさらなる電子豊富な金属錯体、P=N-化合物(例えば、WO 2012/175535 A1、WO 2012/175219 A1)、ナフチレンカルボジイミド(例えば、WO 2012/168358 A1)、フルオレン(例えば、WO 2012/031735 A1)、ラジカルおよびビラジカル(例えば、WO 2012/031735 A1)である。WO 2012/031735 A1)、ラジカルおよびビラジカル(EP 1837926 A1、WO 2007/107306 A1など)、ピリジン(EP 2452946 A1、EP 2463927 A1など)、N-複素環化合物(WO 2009/000237 A1など)およびアクリジンおよびフェナジン(US 2007/145355 A1など)など、先行技術に従って使用されるような材料が挙げられる。
【0162】
本発明に従って使用されるp-ドーパントは、好ましくは、混合物中の1以上の他の化合物を酸化することができる有機電子アクセプター化合物である。p-ドーパントの好ましい例は、F-TCNQ、F-TNAP、NDP-2(Novaled社)、NDP-9(Novaled社)、キノン類(例えば、EP 1538684 A1、WO 2006/081780 A1、WO 2009/003455 A1、WO 2010/097433 A1)、ラジアレン類(例えば、EP 1988587 A1、US 2010/102709 A1)である。 例:EP 1988587 A1、US 2010/102709 A1、EP 2180029 A1、WO 2011/131185 A1、WO 2011134458 A1、US 2012/223296 A1)、S含有遷移金属錯体(例:WO 2007/134873 A1、WO 2009/003455 A1、WO 2010/097433 A1)。WO 2007/134873 A1、WO 2008/061517 A2、WO 2008/061518 A2、DE 102008051737 A1、WO 2009/089821 A1、US 2010/096600 A1)、ビスイミダゾール類(WO 2008/138580 A1など)、フタロシアニン類(WO 2008/058525 A2など)など。WO 2008/058525 A2など)、ボラ-テトラアザペンタレン(WO 2007/115540 A1など)、フラーレン(DE 102010046040 A1など)、および主要族のハロゲン化物(WO 2008/128519 A2など)、または先行技術に従って使用されるとおりの材料である。
【0163】
本発明の別の好ましい態様によれば、組成物は、上述した本発明の少なくとも1つの第1の半導体ナノ粒子と、少なくとも1つの第2の半導体ナノ粒子とを含んでいてもよい。
【0164】
少なくとも1つの第2の半導体ナノ粒子は、少なくとも1つの第1の半導体ナノ粒子だけに、または、上で定義した少なくとも1つのさらなる有機機能性材料に加えて添加され、それによって組成物を形成してもよい。
【0165】
したがって、本発明のさらに好ましい態様によれば、組成物は、上述した本発明の少なくとも1つの第1の半導体ナノ粒子と、少なくとも1つの第2の半導体ナノ粒子と、上で定義した少なくとも1つのさらなる有機機能性材料とを含んでいてもよい。
【0166】
好ましくは、少なくとも1つの第2の半導体ナノ粒子は、上述したような本発明による半導体ナノ粒子から選択される。さらに好ましくは、少なくとも1つの第2の半導体ナノ粒子と第1の半導体ナノ粒子とは、互いに異なる。すなわち、例えば、第1の半導体ナノ粒子および第2の半導体ナノ粒子は、それぞれ、上述したような本発明による化合物から選択される異なるリガンドが、その最も外側の表面に付着していてもよい。
【0167】
組成物が、上で定義された少なくとも1つのさらなる有機機能性材料だけに、または、それに加えて、少なくとも1つの第1の半導体ナノ粒子とは異なる少なくとも1つの第2の半導体ナノ粒子を含む場合、組成物の一態様によれば、少なくとも1つの第1の半導体ナノ粒子が、その最も外側の面に付着した遅延蛍光基を含む少なくとも1つのリガンドを含み、少なくとも1つの第2の半導体ナノ粒子が、その最も外側の面に付着した正孔輸送性基または電子輸送性基を含む少なくとも1つのリガンドを含むことが好ましい。本明細書において、電荷キャリアが再結合して遅延蛍光基の励起状態を形成することができ、次いで励起状態のエネルギーをエネルギー移動(例えばフェルスター共鳴エネルギー移動)によって半導体ナノ粒子に伝達することができる(一般に「過蛍光」と呼ばれる)。
【0168】
上述のとおり互いに異なる第1および第2の半導体ナノ粒子を含む組成物の別の好ましい態様に従って、少なくとも1つの第1の半導体ナノ粒子は、その最も外側の表面に付着した燐光性基を構成する少なくとも1つのリガンドを含み、および少なくとも1つの第2の半導体ナノ粒子は、その最も外側の表面に付着した正孔輸送性基または電子輸送性基を構成する少なくとも1つのリガンドを含む。本明細書において、電荷キャリアが再結合して燐光性基に励起状態を形成し、その後、励起状態のエネルギーがエネルギー移動(例えばフェルスターエネルギー移動)によって半導体ナノ粒子に伝達される(一般に「過燐光」と呼ばれる)ことができる。
【0169】
上述のとおり過蛍光と過燐光との両方は、量子効率の向上につながり得る。
【0170】
上述のとおり互いに異なる第1および第2の半導体ナノ粒子を含む組成物のさらに好ましい態様に従って、少なくとも1つの第1の半導体ナノ粒子が、その最も外側の表面に付着した電子輸送性基を構成する少なくとも1つのリガンドを含み、少なくとも1つの第2の半導体ナノ粒子が、その最も外側の表面に付着した正孔輸送性基を構成する少なくとも1つのリガンドを含むことで、上述のようなエキサイプレックス形成が可能となる。
【0171】
上に開示された組成物の各態様において、第1および第2の半導体ナノ粒子の表面にそれぞれ付着したリガンドは、本発明による化合物から選択される。したがって、上記のようなリガンドで構成される好ましい正孔輸送性基および電子輸送性基は、本発明に関して本明細書で定義される正孔輸送性基HTおよび電子輸送性基ETから選択される。同様に、上述の好ましい燐光性基および遅延蛍光性基は、上で定義された燐光性基および遅延蛍光性基から選択される。
【0172】
配合物
本発明の化合物、半導体粒子または組成物を液相から、例えば、スピンコートまたは印刷法によるプロセシングのために、本発明の化合物、半導体粒子または組成物を含む配合物が要求される。これらの配合物は、例えば、溶液、分散液またはエマルションであってもよい。この目的のためには、2以上の溶媒の混合物を使用することが好ましくてもよい。好適および好ましい溶媒は、例えば、トルエン、アニソール、o-、m-またはp-キシレン、安息香酸メチル、メシチレン、テトラリン、ベラトロール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に3-フェノキシトルエン、(-)-フェンチョン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、安息香酸ブチル、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、安息香酸エチル、インダン、安息香酸メチル、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル。トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタン、またはこれらの混合物である。
【0173】
したがって、本発明は、上述の本発明の化合物から選択された化合物、または上述の本発明による半導体ナノ粒子、または上述の本発明による組成物と、少なくとも1つの溶媒、好ましくは有機溶媒とを含む、配合物、特に溶液、分散液またはエマルションをさらに提供する。このような溶液を調製できる方法は、当業者に知られており、例えば、WO2002/072714、WO2003/019694およびそこに引用されている文献に記載されている。
【0174】
プロセス
本発明によって対処される課題は、本発明による半導体ナノ粒子の調製のためのプロセスによっても解決される。このプロセスは、リガンドとして機能する本発明による化合物と、コア層および1以上のシェル層を含む半導体ナノ粒子とを溶媒に提供して混合物を得ることを含む。
【0175】
好ましくは、前記工程は、Nまたはアルゴン雰囲気などの不活性条件で行われる。さらに好ましくは、前記工程において、リガンドとなる化合物と半導体ナノ粒子を1秒以上、より好ましくは30秒以上撹拌する。さらに好ましくは、前記工程における撹拌時間は、1分~100時間、好ましくは10分~1時間の範囲である。
【0176】
さらに好ましくは、前記工程は、0℃から100℃の範囲の温度で行われ、より好ましくは室温で行われる。
溶媒としては、例えば、トルエン、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、ベンゼン、キシレン、エーテル類、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ヘプタンおよびこれらの混合物などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0177】
このようにして得られた半導体ナノ粒子は、その後の沈殿および/または再懸濁のステップによって精製されてもよい。
【0178】
本発明による半導体ナノ粒子を調製および精製するための合成ステップおよび条件は、当業者にとって周知のものであり、文献に記載されている(例えば、R.Gomesら、J.Phys.Chem. Lett. 2011, 2, 145-152; J.S. Owen J. Chem. Soc. 2008, 130, 12279-12281)。)
【0179】
また、本発明は、本プロセスから得られる、または得られる半導体ナノ粒子に関する。
【0180】
電子デバイス
本発明の半導体ナノ粒子および組成物は、電子デバイス、特にOLEDなどの有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおいて、特に発光層での使用に適している。
【0181】
したがって、本発明は、上述した本発明による少なくとも1つの半導体ナノ粒子、または上述した本発明による組成物を含む電子デバイスをさらに提供する。
【0182】
電子デバイスは、好ましくは、有機集積回路(OIC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機太陽電池(OSC)、有機光検出器、有機感光体、および、より好ましくは、有機エレクトロルミネッセンスデバイス(ELデバイス)からなる群から選択される。好ましいEL素子は、有機発光トランジスタ(OLET)、有機電界クエンチ素子(OFQD)、有機発光電気化学セル(OLEC、LEC、LEEC)、有機レーザーダイオード(O-lasers)、有機発光ダイオード(OLED)であり、中でもOLEDが最も好ましい。
【0183】
さらに好ましくは、電子デバイスは、発光層に半導体ナノ粒子または本発明の組成物を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスである。
【0184】
特に好ましくは、電子デバイスは、アノード、カソード、および少なくとも1つの有機層を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスであり、特に好ましくは発光層である少なくとも1つの有機層が、少なくとも1つの半導体ナノ粒子または上述の本発明による組成物を含む。
【0185】
本発明において、用語「有機層」は、機能性材料として1以上の有機化合物を含む電子デバイスの任意の層を意味すると理解される。
【0186】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、カソード、アノードおよび発光層とは別に、さらに別の層を含んでいてもよい。これらは、例えば、それぞれの場合において、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、電子ブロッキング層、励起子ブロッキング層、中間膜、電荷発生層から選択される(IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED (5), T. Matsumoto, T. Nakada, J. Endo, K. Mori, N. Kawamura, A. Yokoi, J. Kido, Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)および/または有機または無機のp/n接合から選択される。
【0187】
本発明の文脈における有機エレクトロルミネッセントデバイスの層の順番は、好ましくは以下の通りである。
アノード-正孔注入層-正孔輸送層-任意にさらなる正孔輸送層(複数可)-任意に電子ブロッキング層-発光層-任意に正孔ブロッキング層-電子輸送層-電子注入層-カソード。さらに、有機エレクトロルミネッセンス素子には、さらなる層が存在することも可能である。
【0188】
本願発明による正孔輸送層は、アノードと発光層の間に正孔輸送性機能を有する層である。本願発明による電子輸送層は、カソードと発光層の間に電子輸送性機能を有する層である。
【0189】
正孔注入層および電子ブロッキング層は、本願の文脈において、正孔輸送層の特定の態様であると理解される。アノードと発光層の間に複数の正孔輸送層がある場合、正孔注入層は、アノードに直接隣接するか、またはアノードの単一のコーティングによってのみそれから分離される正孔輸送層である。電子ブロッキング層は、アノードと発光層との間に複数の正孔輸送層がある場合には、アノード側で発光層に直接隣接する正孔輸送層である。同じことが、電子注入層および正孔ブロッキング層にも適宜適用され、これらは、本願の文脈では、電子輸送層の特定の態様であると理解される。正孔輸送層、正孔注入層または電子ブロッキング層に使用される好適な正孔輸送材料(または電子ブロッキング材料、または正孔注入材料)は、本発明の組成物に関して上述のとおりの有機機能性材料から選択され得る。電子輸送層、電子注入層、または正孔ブロッキング層に使用される好適な電子輸送材料(または正孔ブロッキング材料、または電子注入材料)は、本発明の組成物に関して上述のとおりのそれらの有機機能性材料から選択されてもよい。
【0190】
本発明の有機発光ダイオードは、2以上の発光層を含んでいてもよい。より好ましくは、この場合のこれらの発光層は、全体として380nmから750nmの間に複数の発光極大を有し、全体として白色発光となるようなものである。言い換えれば、蛍光または燐光を発してもよく、青、緑、黄、橙または赤の光を発する様々な発光化合物を発光層に単独で、または本発明の半導体発光ナノ粒子と組み合わせて用いることができる。特に好ましいのは、3層システム、すなわち3つの発光層を有するシステムであり、3つの層が青、緑、オレンジまたは赤の発光を示すものである(基本的な構造については、例えば、WO 2005/011013を参照のこと)。本発明による半導体発光ナノ粒子は、1以上の(存在する場合の)発光層に存在してもよい。好ましくは、本発明による半導体ナノ粒子または組成物は、少なくとも1つの発光層に存在し、より好ましくは、存在するすべての発光層に存在する。
【0191】
本発明の半導体発光ナノ粒子と組み合わせて発光層に使用され得る燐光発光化合物または蛍光発光化合物は、本発明の組成物に関して上述のとおりの有機機能性材料から選択することができる。同様に、発光層に使用するのに好適なマトリックスまたはホスト材料は、本発明の組成物に関して上述したような有機機能性材料から選択することができる。
【0192】
また、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層は、複数のマトリックス材料を含む系(混合マトリックス系)を含んでもよい。混合マトリックス系は、好ましくは2つまたは3つの異なるマトリックス材料を含み、特に好ましくは2つの異なるマトリックス材料を含む。好ましくは、ここでの2つの材料の一方は、正孔輸送特性を有する材料を表し、他方の材料は、電子輸送特性を有する材料を表す。混合マトリックス系のマトリックス成分として本発明による半導体ナノ粒子と組み合わせて採用することができる、特に好適なマトリックス材料は、本発明の組成物に関して上述したような有機機能性材料から選択することができる。
【0193】
電子デバイスの好ましいカソードは、仕事関数の低い金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主群金属、ランタノイド(Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Smなど)などの様々な金属から構成される金属合金または多層構造である。さらに、アルカリ金属またはアルカリ土類金属と銀から構成される合金、例えば、マグネシウムと銀から構成される合金も好適である。多層構造の場合、前述の金属に加えて、例えばAgやAlなどの比較的高い仕事関数を持つ金属をさらに使用することも可能であり、その場合、例えばCa/Ag、Mg/Ag、Ba/Agなどの金属の組み合わせが一般的に使用される。また、金属カソードと有機半導体との間に、高い誘電率を有する材料の薄い中間層を導入することが好ましくてもよい。この目的のために有用な材料の例は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のフッ化物だけでなく、対応する酸化物または炭酸塩(例えば、LiF、Li2O、BaF2、MgO、NaF、CsF、Cs2CO3など)である。また、この目的のためにキノリナートリチウム(LiQ)を使用することも可能である。この層の層厚は、好ましくは0.5と5nmとの間である。
【0194】
好ましいアノードは、高い仕事関数を有する材料である。好ましくは、アノードは、真空に対して4.5eV以上の仕事関数を有する。第一に、高い酸化還元電位を有する金属が適しており、例えばAg、Pt、Auなどが挙げられる。第二に、金属/金属酸化物電極(例えば、Al/Ni/NiOx、Al/PtOx)も好ましいと考えられる。用途によっては、有機材料の照射(有機太陽電池)または発光(OLED、O-レーザー)を可能にするために、電極の少なくとも1つが透明または一部透明でなければならない。アノード材料としては、導電性の混合金属酸化物が好ましい。特に、インジウムスズ酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)が好ましい。さらに好ましくは、導電性のドープされた有機材料、特に導電性のドープされたポリマーである。さらに、アノードは、例えばITOの内層と、金属酸化物、好ましくは酸化タングステン、酸化モリブデンまたは酸化バナジウムの外層との、2以上の層からなってもよい。
【0195】
デバイスは、水および空気による影響を排除するために、(用途に応じて)適切に構造化され、接触接続され、最後に密封される。
【0196】
好ましい態様において、電子デバイスは、1以上の層が昇華プロセスによってコーティングされていることを特徴とする。この場合、材料は、10-5mbar未満、好ましくは10-6mbar未満の初期圧力で、真空昇華システムでの蒸着により塗布される。しかし、この場合、初期圧力はさらに低く、例えば10-7mbar以下とすることも可能である。
【0197】
同様に、1以上の層がOVPD(有機気相蒸着)法またはキャリアガス昇華の助けを借りてコーティングされていることを特徴とする電子デバイスは好ましい。この場合、材料は10-5mbarから1barの間の圧力で塗布される。この方法の特殊な例として,OVJP(有機蒸気ジェット印刷)法があり,この方法では材料がノズルによって直接塗布され,構造化される(例えば,M. S. Arnoldら,Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0198】
さらに、1以上の層が、溶液から、例えばスピンコートによって、または任意の印刷方法、例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷、ノズル印刷またはオフセット印刷、より好ましくはLITI(光誘起熱画像、熱転写印刷)またはインクジェット印刷によって製造されていることを特徴とする電子デバイスが好ましい。化合物の溶解性は、当業者に知られているような化合物の適切な置換、例えば、芳香族基(例えばターフェニル基)やアルキル基などの有機溶媒への溶解性を高める基で置換することにより改善することができる。
【0199】
本発明の電子デバイスは、溶液からの1層以上の塗布と、昇華法による1層以上の塗布とによって生産されることがさらに好ましい。
【0200】
上述のような少なくとも1つの半導体ナノ粒子または本発明の組成物を含む本発明による電子デバイスは、以下に示すように、動作電圧および外部量子効率の点で有利である。
【0201】
したがって、少なくとも1つの半導体ナノ粒子または本発明の組成物を含む電子デバイスは、ディスプレイに、照明用途の光源として、および医療および/または化粧品用途(例えば、光治療)の光源として使用することができる。
【0202】
本発明は、例を用いて、本発明の範囲を限定するものとはみなされないで、以下でより詳細に説明される。
【0203】
【0204】
実施例1-化合物(1)の調製
【化52】
【0205】
1.ビフェニル-4-イルメチルホスホン酸ジエチルエステル
2.3gの4-フェニルベンジルクロリド(98%、Sigma-Aldrich社製)を48.52gのトリエチルホスファイト(98%、Sigma-Aldrich社製)に溶解し、アルゴン雰囲気下、コンデンサーを接続した100mLの3つ口丸底フラスコに入れます。このシステムを160℃に26時間加熱します。その後、形成された生成物を、シリカを吸着剤とし、酢酸エチルとヘプタンを溶出剤とするカラムクロマトグラフィーで分離する。
【0206】
2.ビフェニル-4-イルメチルホスホン酸(化合物(1))
上記で得られた生成物であるビフェニル-4-イルメチルホスホン酸ジエチルエステル2.0g(96%、市販の装置(HP 6890シリーズ、5973検出器)を用いたガスクロマトグラフ質量分析法(GCMS)で測定)を、アルゴン雰囲気下、コンデンサーを接続した100mLの3口丸底フラスコに入れ、ブロモトリメチルシラン3.05gをジクロロメタン20mLに入れて混合します。この混合物を室温で16時間攪拌します。その後、回転式エバポレーターを用いて溶媒を蒸発させます。乾燥した残留物をメタノール(10%水、Sigma Aldrich)に溶解し、アルゴン雰囲気下、室温で16時間混合する。懸濁液をペーパーフィルターでろ過し、メタノールで2回洗浄して製品を得る(収率:62%)。
【0207】
実施例2-化合物(2)の調製
【化53】
【0208】
1.ビス-ビフェニル-4-イル-[4-(3-クロロ-プロピル)-フェニル]-アミン
グローブボックス内で、ペンタンに溶解した1.7Mのtert-ブチルリチウム(t-BuLi)6.48mL(シグマ-アルドリッチ社製)を滴下漏斗に入れる。2.5gのビス-ビフェニル-4-イル-(4-ブロモフェニル)-アミン(メルク社)を乾燥テトラヒドロフラン(THF)に溶解し、100mLの3口フラスコに入れた後、ドライアイスバス(アセトン社)を用いて-78℃まで冷却する。グローブボックスからt-BuLiを入れた滴下ロートを取り出し、フラスコに接続する。t-BuLiをゆっくりと溶液中に滴下する。その後、漏斗を乾燥したTHFで注意深く洗浄する。この溶液を-78℃で1時間撹拌する。
【0209】
次いで、0.62mLの1-ブロモ-3-クロロプロパンをアルゴンフラッシュシリンジでゆっくりと反応物に添加する。溶液を室温に戻し、さらにアルゴン下で一晩撹拌する。その後、混合物を氷浴で0℃まで再び冷却し、10mLのH2Oをシリンジでゆっくりと添加する。その後、5mLの1M HClをゆっくりと添加する。溶液が緑がかってきたら、さらに5mLの1M塩酸を添加する。氷浴を取り除き、混合物を室温(RT)になるまで撹拌する。反応生成物には2つの相がある。有機相を分離し、水相をジクロロメタン(3x15mL)で抽出し、MgSO4で乾燥させる。
【0210】
2.3-[4-(ビス-ビフェニル-4-イル-アミノ)-フェニル]-プロピル}-ホスホン酸ジエチルエステル
1.34gのビス-ビフェニル-4-イル-[4-(3-クロロ-プロピル)-フェニル]-アミン(97%)をワンネックフラスコに入れた50mLのTEPと混合し、アルゴン雰囲気下、160℃で72時間撹拌する。
【0211】
3.{3-[4-(ビス-ビフェニル-4-イル-アミノ)-フェニル]-プロピル}-ホスホン酸(化合物(2))
0.77gの3-[4-(ビス-ビフェニル-4-イル-アミノ)-フェニル]-プロピル}-ホスホン酸ジエチルエステルを20mLのジクロロメタンに溶かし、さらにアルゴン雰囲気下で0.63g(0.55mL)のブロモトリメチルシラン(3eq)を加え、室温で12時間撹拌する。メタノール(10%H2O)を直接添加し、白っぽくなる溶液を得る。混合物をアルゴン下、室温で一晩撹拌する。その後、混合物を蒸発させ、黄色がかったゲルを形成する。このゲルを5mLのアセトニトリルで再結晶すると、白色のわずかに黄色がかったワックスと黄色がかった上澄み液が得られる。上澄み液を取り除き、ワックスを少量のアセトニトリルで2回洗浄する。ワックスを3mLのエタノールで再結晶させる。白色のワックスが得られる。5 mLのヘプタンを加え、ワックスを室温で再懸濁させ、ろ過し(ヘプタンで2回洗浄)、真空チャンバーで乾燥させる。わずかに緑がかった白色の固体が得られる(収率:38%)。
【0212】
以下の表2に示すように、さらなる化合物(3)、(4)、(6)および(7)の合成は、類似して実施される。
【化54】

【化55】
【0213】
実施例3-半導体ナノ粒子の調製
InP/ZnSコア/シェルナノ粒子は、以下の文献に記載されているのと同様の方法で合成した。Hussain et.al. ChemPhysChem, 2009, 10, 1466 - 1470
InP/ZnSコア/シェルナノ粒子(PL発光ピーク625nm)含有溶液(トルエン中50mg/mL)5mLを、置換表面リガンド(すなわち、作業例2の化合物(2))0.25gと混合し、アルゴン雰囲気下、50℃で一晩撹拌する。その後、混合物を遠心バイアルに移し、5mLの乾燥メタノールを加えます。その後、アルゴン雰囲気下、4000rpmで5分間遠心分離します。その後、無色の上澄み液を除去し、赤色の沈殿を5mLの乾燥トルエンに懸濁させる。
【0214】
同様の手順は、本発明による他のリガンドにも用いることができる。添加されたリガンドの量は、モル量に基づいて計算される。
【0215】
実施例4-溶液処理されたOLED(デバイスE1)の製作
溶液ベースのOLEDの製造は、例えばWO 2004/037887やWO 2010/097155など、すでに文献に何度も記載されている。このプロセスは、以下に述べる状況(層厚の変化、材料)に適応している。
【0216】
本発明の材料の組み合わせは、以下の層の順序で使用される。
- 基板を
- ITO(50nm)。
- バッファ(20nm)。
- 正孔輸送層(20nm)。
- 発光層(EML)(30 nm)。
- 電子輸送層(ETL)(50 nm)。
- 電子注入層(EIL)(3nm)。
- カソード(Al)(100 nm)。
【0217】
ガラス板に構造化されたITO(Indium Tin Oxide)を50nmの厚さでコーティングしたものが基板となる。これらに、緩衝材(PEDOT)Clevios P VP AI 4083(Heraeus Clevios GmbH, Leverkusen)をスピンコートで塗布する。緩衝材のスピンコーティングは、空気中の水から行われる。この層は、180℃で10分間加熱することにより、副次的に乾燥される。このようにしてコーティングされたガラス板に、正孔輸送層と発光層を塗布する。
【0218】
正孔輸送層には,WO 2010/097155に基づいて合成された,表3に示す構造のポリマーを用いる。このポリマーをトルエンに溶解させ、固形分が約5g/Lになるようにして、厚さ20nmの層を作製する。この層をアルゴン雰囲気下でスピンコートし、220℃で30分間加熱して乾燥させた。
【0219】
発光層には、本発明による赤色発光のInP/ZnSナノ粒子、すなわち、本発明によるリガンドを表面に付着させた量子ドットを用い、これをトルエンに溶解する。このような溶液の固形分は、30nmの厚さの層を準備するために、約15mg/mLである。この層をアルゴン雰囲気中でスピンコートにより塗布し、120℃で10分間加熱して乾燥させる。
【0220】
【化56】
【0221】
電子輸送層と電子注入層の材料も同様に、真空チャンバー内での熱蒸着により適用され、表4に示すようになっている。電子輸送層の材料はETL、電子注入層の材料はEILである。カソードは、厚さ100nmのアルミニウム層を熱蒸着して形成されている。
【0222】
【化57】
【0223】
比較例1-溶液処理OLED(デバイスV1)の作製
発光層の調製に最先端の赤色発光半導体ナノ粒子、すなわち一般的なアルキルリガンドで覆われたQDを使用する以外は、同じ化合物/材料を用いて、上記実施例4に記載したのと同様の方法で溶液処理OLEDを調製した。
【0224】
実施例5-デバイスの特徴付け
有機EL素子の特性評価は、標準的な方法で行われます。この目的のために、エレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルおよび外部量子効率(EQE、単位は%)は、ランバート型の発光プロファイルを仮定した電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から決定されます。エレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルは、発光密度100cd/m2で記録し、ELスペクトルからCIE1931のx、y座標を算出しています。実施例4および比較例1に従って作製した有機EL素子の素子データを表5にまとめた。以下では、本発明の有機EL素子の利点を示すために、実施例をより詳細に説明する。
【0225】
OLEDにおける発光材料としての本発明によるInP/ZnSナノ粒子の使用
本発明によるInP/ZnSナノ粒子は、OLEDデバイスの発光材料として特に適している。調製した有機EL素子の特性を表5にまとめた。例E1は、本発明の材料を含むOLEDの特性を示す。
【0226】
【化58】
【0227】
表5に示すデータからわかるように、本発明による半導体ナノ粒子(E1)、すなわち、本発明によるリガンドをその表面に付着させた量子ドット、この例の構造(35)を発光層に用いたOLEDは、最先端のもの(V1、すなわち、一般的なカルボキシル基およびチオール基のアルキルリガンドで覆われたQD、に記載されているように)と比較して、低い駆動電圧および増加した外部量子効率が著しく改善されている。Hussain et.al. ChemPhysChem, 2009, 10, 1466 - 1470)。)

【国際調査報告】