(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(54)【発明の名称】有害生物検出ステーションを用いた有害生物の検出における適応型アクティブ赤外線センサハードウェア及びソフトウェア
(51)【国際特許分類】
A01M 1/02 20060101AFI20220413BHJP
A01M 1/00 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
A01M1/02
A01M1/00 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559240
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(85)【翻訳文提出日】2021-12-03
(86)【国際出願番号】 US2020026343
(87)【国際公開番号】W WO2020206089
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501035309
【氏名又は名称】コルテバ アグリサイエンス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】スポマー,ネイル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン,マイケル ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブラン,ダグラス,ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウェルチ,ナサニエル
(72)【発明者】
【氏名】ベイストル,エドワード ジー.
(72)【発明者】
【氏名】バクスター,リチャード ブイ.ジュニア
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA02
2B121AA11
2B121BA11
2B121CC11
2B121CC12
2B121DA11
2B121DA33
2B121DA62
2B121DA63
2B121EA01
2B121EA21
2B121FA20
(57)【要約】
有害生物を駆除する機器、システム、及び方法が開示される。このシステムは、赤外線放射体及び光検出器を含むアクティブ赤外線センサを含む。アクティブ赤外線センサは、監視対象スペースのアクティブ赤外線シグネチャを決定し、アクティブ赤外線シグネチャがベースラインシグネチャに対して所定のウィンドウの外側にあるかどうかを判断し、アクティブ赤外線シグネチャがウィンドウの外側にあるとの判断に応答して、コントローラをアクティブにする、ように構成される。コントローラは、アクティブ化に応答して、有害生物駆除動作を実施するように構成される。有害生物駆除動作には、遠隔システムに通知することが含まれることがある。アクティブ赤外線センサは、第1の開口部と、第2の開口部と、虫を受け入れるようにサイズ決めされた通路と、を有するハウジング内に含まれることがある。アクティブ赤外線センサは、アクティブ赤外線センサが通路の一部を照射するように配置されるように、ハウジングに結合されることがある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害生物駆除機器であって、
アクティブ赤外線センサと、
コントローラと、
有害生物検出モジュールであって、
前記アクティブ赤外線センサによって、監視対象スペースのアクティブ赤外線シグネチャを決定し、
前記アクティブ赤外線センサによって、前記アクティブ赤外線シグネチャが所定のベースラインシグネチャに対して所定のウィンドウの外側にあるかどうかを判断し、
前記アクティブ赤外線シグネチャが前記所定のウィンドウの外側にあるとの判断に応答して、前記アクティブ赤外線センサによって、前記有害生物駆除機器の前記コントローラをアクティブにする、ように構成された、有害生物検出モジュールと、
前記コントローラのアクティブ化に応答して、前記コントローラによって、有害生物駆除動作を実施するように構成された、応答モジュールと、を含む、有害生物駆除機器。
【請求項2】
前記アクティブ赤外線シグネチャを決定することは、
前記有害生物駆除機器の光検出器を用いて、周囲の赤外光値を測定し、
前記有害生物駆除機器の赤外線放射体をアクティブにし、
前記赤外線放射体をアクティブにするのに応答して、前記光検出器を用いて、パルス赤外光値を測定し、
前記パルス赤外光値と前記周囲の赤外光値との間の差として、前記アクティブ赤外線シグネチャを決定する、ことを含む、請求項1に記載の有害生物駆除機器。
【請求項3】
前記赤外線放射体をアクティブにすることは、複数の赤外発光ダイオードを時系列でアクティブにすることを含み、前記複数の発光ダイオードは互いに離れて配置され、
前記パルス赤外光値を測定することは、1つ又は複数のフォトダイオードを用いて、時系列の赤外光値を測定することを含む、請求項2に記載の有害生物駆除機器。
【請求項4】
前記コントローラによって、前記時系列の赤外光値の関数として、監視対象スペースの3次元表現を構築するための、空間モジュールを更に含む、請求項3に記載の有害生物駆除機器。
【請求項5】
前記アクティブ赤外線信号が前記所定のウィンドウの外側であるかどうかを判断することは、前記アクティブ赤外線信号が、高い閾値との第1の所定の関係、又は低い閾値との第2の所定の関係を有するかどうかを判断することを含む、請求項1に記載の有害生物駆除機器。
【請求項6】
前記コントローラをアクティブにすることは、
前記アクティブ赤外線センサによって、前記コントローラに割込みを行使し、
前記割込みの行使に応答して、前記コントローラによって、低電力状態からアクティブ状態まで立ち上げること、を含む、請求項1に記載の有害生物駆除機器。
【請求項7】
前記有害生物駆除動作を行うことは、無線通信を介して遠隔機器に通知を送信することを含む、請求項1に記載の有害生物駆除機器。
【請求項8】
前記アクティブ赤外線シグネチャが前記所定のウィンドウの外側にあるかどうかを判断することは、前記アクティブ赤外線シグネチャが、所定のデバウンス間隔よりも長い間、前記所定のウィンドウの外側にあるかどうかを判断することを含み、
前記コントローラをアクティブにすることは、前記アクティブ赤外線シグネチャが、前記所定のデバウンス間隔よりも長い間、前記所定のウィンドウの外側にあるとの判断に応答して、前記コントローラをアクティブにすることを含む、請求項1に記載の有害生物駆除機器。
【請求項9】
較正モジュールであって、
前記有害生物駆除機器の環境に基づいて、前記コントローラによって、前記アクティブ赤外線センサの赤外線放射体を較正するように構成された較正モジュールを更に含み、
前記アクティブ赤外線シグネチャを決定することは、前記赤外線放射体の較正に応答して、前記アクティブ赤外線シグネチャを決定することを含む、請求項1に記載の有害生物駆除機器。
【請求項10】
前記赤外線放射体を較正することは、
前記赤外線放射体をアクティブにし、
前記赤外線放射体のアクティブ化に応答して、前記有害生物駆除機器の光検出器を用いてパルス赤外光値を測定し、
前記パルス赤外光値を所定の閾値と比較し、
前記パルス赤外光値と前記所定の閾値との比較に応答して、前記赤外線放射体の強度を調節する、ことを含む、請求項9に記載の有害生物駆除機器。
【請求項11】
前記赤外線放射体を較正することは、前記赤外線放射体を定期的に較正することを含む、請求項10に記載の有害生物駆除機器。
【請求項12】
適応的ベースラインモジュールであって、
前記アクティブ赤外線センサによって、前記監視対象スペースの前記所定のベースラインシグネチャを決定する、ように構成された、適応的ベースラインモジュールを更に含み、
前記アクティブ赤外線シグネチャを決定することは、前記所定のベースラインシグネチャの決定に応答して、前記アクティブ赤外線シグネチャを決定することを含む、請求項1に記載の有害生物駆除機器。
【請求項13】
前記適応的ベースラインモジュールは、以前のベースラインシグネチャに基づいて、前記コントローラによって、前記所定のベースラインシグネチャを適合させるように更に構成される、請求項12に記載の有害生物駆除機器。
【請求項14】
前記有害生物駆除機器は有害生物ステーションのチャンバ内に含まれ、前記チャンバは、齧歯動物を受け入れるようにサイズ決めされ、前記監視対象スペースは、前記チャンバの中に含まれている、請求項1に記載の有害生物駆除機器。
【請求項15】
複数の命令が内部に記憶された1つ又は複数のコンピュータ可読ストレージ媒体であって、前記複数の命令は、実行されるのに応答して、有害生物駆除機器が、
前記有害生物駆除機器のアクティブ赤外線センサによって、監視対象スペースのアクティブ赤外線シグネチャを決定し、
前記アクティブ赤外線センサによって、前記アクティブ赤外線シグネチャが所定のベースラインシグネチャに対して所定のウィンドウの外側にあるかどうかを判断し、
前記アクティブ赤外線シグネチャが前記所定のウィンドウの外側にあるとの判断に応答して、前記有害生物駆除機器のコントローラをアクティブにし、
前記コントローラのアクティブ化に応答して、前記コントローラによって、有害生物駆除動作を実施する、ようにする、1つ又は複数のコンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項16】
前記アクティブ赤外線シグネチャを決定することは、
前記有害生物駆除機器の光検出器を用いて、周囲の赤外光値を測定し、
前記有害生物駆除機器の赤外線放射体をアクティブにし、
前記赤外線放射体をアクティブにするのに応答して、前記光検出器を用いて、パルス赤外光値を測定し、
前記パルス赤外光値と前記周囲の赤外光値との間の差として、前記アクティブ赤外線シグネチャを決定する、ことを含む、請求項15に記載の1つ又は複数のコンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項17】
前記有害生物駆除動作を行うことは、無線通信を介して遠隔機器に通知を送信することを含む、請求項15に記載の1つ又は複数のコンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項18】
前記アクティブ赤外線シグネチャが前記所定のウィンドウの外側にあるかどうかを判断することは、前記アクティブ赤外線シグネチャが、所定のデバウンス間隔よりも長い間、前記所定のウィンドウの外側にあるかどうかを判断することを含み、
前記コントローラをアクティブにすることは、前記アクティブ赤外線シグネチャが、前記所定のデバウンス間隔よりも長い間、前記所定のウィンドウの外側にあるとの判断に応答して、前記コントローラをアクティブにすることを含む、請求項15に記載の1つ又は複数のコンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項19】
その内部に記憶された複数の命令を更に含み、前記複数の命令は、実行されるのに応答して、前記有害生物駆除機器が、
前記有害生物駆除機器の環境に基づいて、前記コントローラによって、前記アクティブ赤外線センサの赤外線放射体を較正するようにし、
前記アクティブ赤外線シグネチャを決定することは、前記赤外線放射体の較正に応答して、前記アクティブ赤外線シグネチャを決定することを含む、請求項15に記載の1つ又は複数のコンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項20】
その内部に記憶された複数の命令を更に含み、前記複数の命令は、実行されるのに応答して、前記有害生物駆除機器が、
前記アクティブ赤外線センサによって、前記監視対象スペースの前記所定のベースラインシグネチャを決定するようにし、
前記アクティブ赤外線シグネチャを決定することは、前記所定のベースラインシグネチャの決定に応答して、前記アクティブ赤外線シグネチャを決定することを含む、請求項15に記載の1つ又は複数のコンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項21】
有害生物駆除システムであって、
アクティブ赤外線センサを備えた有害生物駆除機器と、
ハウジングであって、第1の開口部、第2の開口部、及び通路を含み、前記第1の開口部及び前記第2の開口部は前記通路の両端と連絡しており、前記通路は虫を受け入れるようにサイズ決めされている、ハウジングと、を含み、
前記有害生物駆除機器は、前記アクティブ赤外線センサが前記通路の第1の部分を照射するように配置されるように、前記ハウジングに結合される、有害生物駆除システム。
【請求項22】
前記通路は、前記通路の前記第1の部分の上方に配置される天井開口部を有する上部天井を含み、
前記アクティブ赤外線センサは、前記天井開口部を介して、前記通路の前記第1の部分を照射するように配置される、請求項21に記載の有害生物駆除システム。
【請求項23】
前記ハウジングは、前記通路の前記第1の部分に隣接して配置された餌チャンバ、及び、前記通路の前記第1の部分と前記餌チャンバとの間に配置された窓、を更に含み、前記窓は、前記虫を中に入れないようにサイズ決めされている、請求項21に記載の有害生物駆除システム。
【請求項24】
前記ハウジングは、協働して前記第1の開口部を規定する第1の壁、第2の壁、床、及び天井を更に含み、前記第1の開口部は前記通路へ向かって狭くなっている、請求項21に記載の有害生物駆除システム。
【請求項25】
前記床は、前記第1の開口部から前記通路にかけて傾斜路を規定する、請求項24に記載の有害生物駆除システム。
【請求項26】
前記通路は、ワモンゴキブリを受け入れるようにサイズ決めされている、請求項21に記載の有害生物駆除システム。
【請求項27】
前記通路は約17ミリメートルの高さを有する、請求項21に記載の有害生物駆除システム。
【請求項28】
前記通路の前記高さは、前記通路の床から、前記有害生物駆除機器の前記アクティブ赤外線センサまで延びる、請求項27に記載の有害生物駆除システム。
【請求項29】
前記通路は約17ミリメートルの幅を有する、請求項27に記載の有害生物駆除システム。
【請求項30】
前記有害生物駆除機器は、
有害生物検出モジュールであって、(i)前記アクティブ赤外線センサによって、前記通路の前記第1の部分のアクティブ赤外線シグネチャを決定し、(ii)前記アクティブ赤外線シグネチャが所定のベースラインシグネチャに対して所定のウィンドウの外側にあるかどうかを、前記アクティブ赤外線センサによって判断する、ように構成される、有害生物検出モジュールと、
応答モジュールであって、前記アクティブ赤外線シグネチャが前記所定のウィンドウの外側にあるとの判断に応答して、有害生物駆除動作を実施するように構成される、応答モジュールと、を更に含む、請求項21に記載の有害生物駆除システム。
【請求項31】
有害生物駆除システムであって、
ベースに着脱可能に結合されるトップカバーと、
前記トップカバーの内部体積内に着脱可能に結合される有害生物駆除機器と、
前記有害生物駆除機器の下方で且つ前記ベースの上方に、前記トップカバーの前記内部体積内に着脱可能に結合される、挿入物と、を含み、
前記ベースは、床、第1の壁、及び第2の壁を含み、これらは協働して、第1の開口部、第2の開口部、並びに前記第1の開口部及び前記第2の開口部と連絡する通路を規定し、前記通路は、虫を受け入れるようにサイズ決めされており、
前記挿入物は、前記ベースの前記通路の天井を規定する底面を含み、前記挿入物は、前記通路の第1の部分の上方に配置される、前記底面を貫通する開口部を含み、
前記有害生物駆除機器は、前記有害生物駆除機器の底面に、且つ前記挿入物の前記開口部の上方に、且つ前記通路の前記第1の部分の上方に配置されたアクティブ赤外線センサを含み、前記アクティブ赤外線センサは、前記通路の前記第1の部分を照射するように構成される、有害生物駆除システム。
【請求項32】
前記ベースは、前記通路の前記第1の部分に隣接して配置された餌チャンバ、及び、前記通路の前記第1の部分と前記餌チャンバとの間に配置された部分壁、を更に含み、前記部分壁は、前記虫を中に入れないようにサイズ決めされている、請求項31に記載の有害生物駆除システム。
【請求項33】
前記トップカバーは、前記トップカバーの前記内部体積の中に延びる複数の垂直なリブを含み、前記複数の垂直なリブは、前記有害生物駆除機器の側壁と係合し、
前記挿入物は複数のスロットを含み、前記スロットのそれぞれは、前記複数の垂直なリブのうちの1つの垂直なリブを受け入れるようにサイズ決めされている、請求項31に記載の有害生物駆除システム。
【請求項34】
前記ベースは複数の柱を含み、
前記挿入物は複数の貫通孔を含み、各貫通孔は、柱を受け入れるようにサイズ決めされており、
前記トップカバーは複数のラグを含み、各ラグは柱を受け入れるようにサイズ決めされている、請求項31に記載の有害生物駆除システム。
【請求項35】
前記通路は約17ミリメートルの高さを有する、請求項31に記載の有害生物駆除システム。
【請求項36】
前記通路の前記高さは、前記通路の床から、前記挿入物の前記底面まで延びる、請求項35に記載の有害生物駆除システム。
【請求項37】
有害生物ステーションであって、
ベースであって、床、第1の壁、及び第2の壁を含み、これらは協働して、第1の開口部、第2の開口部、並びに前記第1の開口部及び前記第2の開口部と連絡する通路を規定し、前記通路は、虫を受け入れるようにサイズ決めされている、ベースと、
前記ベースに着脱可能に結合されるトップカバーであって、前記トップカバーは、有害生物駆除機器を受け入れるようにサイズ決めされた内部体積を含み、前記内部体積は、前記通路の第1の部分に通じている、トップカバーと、を含む、有害生物ステーション。
【請求項38】
前記トップカバーは、前記トップカバーの前記内部体積の中に延びる複数の垂直なリブを含み、前記複数の垂直なリブは、前記有害生物駆除機器と係合するように構成される、請求項37に記載の有害生物ステーション。
【請求項39】
前記トップカバーは前記通路の天井を規定する底面を含み、前記トップカバーは、前記通路の前記第1の部分の上方に配置される、前記底面内の開口部を含む、請求項37に記載の有害生物ステーション。
【請求項40】
前記ベースの上方で前記トップカバーの前記内部体積内に着脱可能に結合される挿入物を更に含み、前記挿入物は、前記ベースの前記通路の天井を規定する底面を含み、前記挿入物は、前記通路の第1の部分の上方に配置される、前記底面を貫通する開口部を含む、請求項37に記載の有害生物ステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月3日に出願された米国仮特許出願第62/828,617号及び2019年10月30日に出願された米国仮特許出願第62/927,807号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般的に、有害生物を駆除するための機器に関し、より具体的には、齧歯動物又は虫の存在を監視し伝達するための機器に関する。
【背景技術】
【0003】
人間、家畜、農作物、及び他の有害生物を惹きつける領域によって占有される領域から有害生物を検出及び排除することは、長い間、難題であった。しばしば懸念される有害生物には、様々な種類の虫及び齧歯動物が含まれる。地中のシロアリは、特に厄介な種類の有害生物であり、木造構造物に深刻な被害をもたらす可能性がある。同様に、トコジラミ及びゴキブリなどの他の虫も問題となる。更に、齧歯動物の駆除もしばしば難題である。これらの及び他の特定の有害な生物を排除するために、様々な方式が提案されてきた。それらの方式のうちの幾つかは、保守スタッフによって定期的にチェックする必要がある1つ又は複数のステーションを使用する。同様に、住居環境及び商業環境にある齧歯動物の罠は、保守スタッフが定期的にチェックする必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様によれば、有害生物駆除機器が開示される。有害生物駆除機器は、アクティブ赤外線センサ、コントローラ、有害生物検出モジュール、及び応答モジュールを含む。有害生物検出モジュールは、アクティブ赤外線センサによって、監視対象スペースのアクティブ赤外線シグネチャを決定し、アクティブ赤外線センサによって、アクティブ赤外線シグネチャが、所定のベースラインシグネチャ(base line signature)に対して所定のウィンドウの外側にあるかどうかを判断し、アクティブ赤外線シグネチャが所定のウィンドウの外側にあるとの判断に応答して、アクティブ赤外線センサによって、有害生物駆除機器のコントローラをアクティブにする、ように構成される。応答モジュールは、コントローラのアクティブ化に応答して、コントローラによって、有害生物駆除動作を実施するように構成される。
【0005】
実施形態によっては、アクティブ赤外線シグネチャを決定することは、有害生物駆除機器の光検出器を用いて周囲の赤外光値を測定すること、有害生物駆除機器の赤外線放射体をアクティブにすること、赤外線放射体をアクティブにするのに応答して、光検出器を用いてパルス赤外光値を測定すること、及び、パルス赤外光値と周囲の赤外光値との間の差として、アクティブ赤外線シグネチャを決定すること、を含むことがある。実施形態によっては、赤外線放射体をアクティブにすることは、互いに離れて配置される複数の赤外線発光ダイオードを時系列でアクティブにすることを含むことがあり、パルス赤外光値を測定することは、1つ又は複数のフォトダイオードを用いて、時系列の赤外光値を測定することを含むことがある。
【0006】
実施形態によっては、有害生物駆除機器は、空間モジュールを更に含んで、コントローラによって、時系列の赤外光値の関数として、監視対象スペースの3次元表現を構築することがある。
【0007】
実施形態によっては、アクティブ赤外線信号が所定のウィンドウの外側であるかどうかを判断することは、アクティブ赤外線信号が、高い閾値との第1の所定の関係、又は低い閾値との第2の所定の関係を有するかどうかを判断することを含むことがある。実施形態によっては、アクティブ赤外線シグネチャが所定のウィンドウの外側であるかどうかを判断することは、アクティブ赤外線シグネチャが、所定のデバウンス間隔よりも長い間所定のウィンドウの外側にあるかどうかを判断することを含むことがあり、コントローラをアクティブにすることは、アクティブ赤外線シグネチャが所定のデバウンス間隔よりも長い間所定のウィンドウの外側にあるとの判断に応答して、コントローラをアクティブにすることを含むことがある。
【0008】
実施形態によっては、コントローラをアクティブにすることは、アクティブ赤外線センサによって、コントローラに割込みを行使(assert)すること、及び、コントローラによって、割込みの行使に応答して低電力状態からアクティブ状態へ立ち上げること、を含むことがある。実施形態によっては、有害生物駆除動作を実施することは、有害生物駆除機器のデータストレージデバイスに有害生物イベントを記録することを含むことがある。実施形態によっては、有害生物駆除動作を実施することは、無線通信を介して遠隔機器に通知を送信することを含むことがある。実施形態によっては、通知を送信することは、低電力広域ネットワーク無線電波通信を介して通知を送信することを含むことがある。
【0009】
実施形態によっては、有害生物駆除機器は較正モジュールを更に含むことがあり、この較正モジュールは、有害生物駆除機器の環境に基づいて、コントローラによって、アクティブ赤外線センサの赤外線放射体を較正するように構成され、ここで、アクティブ赤外線シグネチャを決定することは、赤外線放射体の較正に応答してアクティブ赤外線シグネチャを決定することを含むことがある。実施形態によっては、赤外線放射体を較正することは、赤外線放射体をアクティブにすること、赤外線放射体のアクティブ化に応答して、有害生物駆除機器の光検出器を用いて、パルス赤外光値を測定すること、パルス赤外光値を所定の閾値と比べること、及び、パルス赤外光値と所定の閾値との比較に応答して、赤外線放射体の強度を調節すること、を含むことがある。実施形態によっては、赤外線放射体を較正することは、維持保守イベントに応答して赤外線放射体を較正することを含むことがある。実施形態によっては、赤外線放射体を較正することは、コマンドに応答して赤外線放射体を較正することを含むことがある。実施形態によっては、赤外線放射体を較正することは、赤外線放射体を定期的に較正することを含むことがある。
【0010】
実施形態によっては、有害生物駆除機器は適応的ベースラインモジュールを更に含むことがあり、この適応的ベースラインモジュールは、監視対象スペースの所定のベースラインシグネチャをアクティブ赤外線センサによって決定するように構成され、ここで、アクティブ赤外線シグネチャを決定することは、所定のベースラインシグネチャの決定に応答して、アクティブ赤外線シグネチャを決定することを含むことがある。実施形態によっては、適応的ベースラインモジュールは、以前のベースラインシグネチャに基づいて、コントローラによって、所定のベースラインシグネチャを適合させるように更に構成されることがある。
【0011】
実施形態によっては、有害生物駆除機器は有害生物ステーションのチャンバ内に含まれ、このチャンバは、齧歯動物を受け入れるようにサイズ決めされ、監視対象スペースは、チャンバの中に含まれている。実施形態によっては、有害生物ステーションのチャンバの中に餌が置かれる。
【0012】
別の態様によれば、齧歯動物を監視するための方法が開示される。この方法は、有害生物駆除機器のアクティブ赤外線センサによって、監視対象スペースのアクティブ赤外線シグネチャを決定すること、有害生物駆除機器のアクティブ赤外線センサによって、アクティブ赤外線シグネチャが所定のベースラインシグネチャに対して所定のウィンドウの外側にあるかどうかを判断すること、アクティブ赤外線シグネチャが所定のウィンドウの外側にあるとの判断に応答して、有害生物駆除機器によって、有害生物駆除機器のコントローラをアクティブにすること、及び、コントローラのアクティブ化に応答して、コントローラによって、有害生物駆除動作を実施すること、を含む。
【0013】
実施形態によっては、アクティブ赤外線シグネチャを決定することは、有害生物駆除機器の光検出器を用いて周囲の赤外光値を測定すること、有害生物駆除機器の赤外線放射体をアクティブにすること、赤外線放射体をアクティブにするのに応答して、光検出器を用いてパルス赤外光値を測定すること、及び、パルス赤外光値と周囲の赤外光値との間の差として、アクティブ赤外線シグネチャを決定すること、を含むことがある。実施形態によっては、赤外線放射体をアクティブにすることは、互いに離れて配置される複数の赤外線発光ダイオードを時系列でアクティブにすることを含むことがあり、パルス赤外光値を測定することは、1つ又は複数のフォトダイオードを用いて、時系列の赤外光値を測定することを含む。
【0014】
実施形態によっては、この方法は、時系列の赤外光値の関数として、監視対象スペースの3次元表現を構築することを更に含むことがある。
【0015】
実施形態によっては、アクティブ赤外線信号が所定のウィンドウの外側であるかどうかを判断することは、アクティブ赤外線信号が、高い閾値との第1の所定の関係、又は低い閾値との第2の所定の関係を有するかどうかを判断することを含むことがある。実施形態によっては、アクティブ赤外線シグネチャが所定のウィンドウの外側であるかどうかを判断することは、アクティブ赤外線シグネチャが、所定のデバウンス間隔よりも長い間所定のウィンドウの外側にあるかどうかを判断することを含むことがあり、コントローラをアクティブにすることは、アクティブ赤外線シグネチャが所定のデバウンス間隔よりも長い間所定のウィンドウの外側にあるとの判断に応答して、コントローラをアクティブにすることを含む。
【0016】
実施形態によっては、コントローラをアクティブにすることは、アクティブ赤外線センサによって、コントローラに割込みを行使すること、及び、コントローラによって、割込みの行使に応答して低電力状態からアクティブ状態へ立ち上げること、を含むことがある。実施形態によっては、有害生物駆除動作を実施することは、有害生物駆除機器のデータストレージデバイスに有害生物イベントを記録することを含むことがある。実施形態によっては、有害生物駆除動作を実施することは、無線通信を介して遠隔機器に通知を送信することを含むことがある。実施形態によっては、通知を送信することは、低電力広域ネットワーク無線電波通信を介して通知を送信することを含むことがある。
【0017】
実施形態によっては、この方法は、有害生物駆除機器の環境に基づいて、コントローラによって、アクティブ赤外線センサの赤外線放射体を較正することを更に含むことがあり、ここで、アクティブ赤外線シグネチャを決定することは、赤外線放射体の較正に応答してアクティブ赤外線シグネチャを決定することを含む。実施形態によっては、赤外線放射体を較正することは、赤外線放射体をアクティブにすること、赤外線放射体のアクティブ化に応答して、有害生物駆除機器の光検出器を用いて、パルス赤外光値を測定すること、パルス赤外光値を所定の閾値と比べること、及び、パルス赤外光値と所定の閾値との比較に応答して、赤外線放射体の強度を調節すること、を含むことがある。実施形態によっては、赤外線放射体を較正することは、維持保守イベントに応答して赤外線放射体を較正することを含むことがある。実施形態によっては、赤外線放射体を較正することは、コマンドに応答して赤外線放射体を較正することを含むことがある。実施形態によっては、赤外線放射体を較正することは、赤外線放射体を定期的に較正することを含むことがある。
【0018】
実施形態によっては、この方法は、監視対象スペースの所定のベースラインシグネチャをアクティブ赤外線センサによって決定することを更に含むことがあり、ここで、アクティブ赤外線シグネチャを決定することは、所定のベースラインシグネチャの決定に応答して、アクティブ赤外線シグネチャを決定することを含む。実施形態によっては、この方法は、有害生物駆除機器によって、以前のベースラインシグネチャに基づいて所定のベースラインシグネチャを適合させることを更に含むことがある。
【0019】
別の態様によれば、虫を検出するための有害生物駆除システムが開示される。有害生物駆除システムは、有害生物駆除機器及びハウジングを含む。有害生物駆除機器は、アクティブ赤外線センサを含む。ハウジングは、第1の開口部、第2の開口部、及び通路を含み、第1の開口部及び第2の開口部は通路の両端と連絡しており、通路は虫を受け入れるようにサイズ決めされている。有害生物駆除機器は、アクティブ赤外線センサが通路の第1の部分を照射するように配置されるように、ハウジングに結合される。
【0020】
実施形態によっては、通路は、通路の第1の部分の上方に配置される天井開口部を有する上部天井を含むことがあり、アクティブ赤外線センサは、この天井開口部を通して、通路の第1の部分を照射するように配置されることがある。
【0021】
実施形態によっては、ハウジングは、通路の第1の部分に隣接して配置された餌チャンバ、及び、通路の第1の部分と餌チャンバとの間に配置された窓、を更に含むことがあり、窓は、虫を中に入れないようにサイズ決めされている。
【0022】
実施形態によっては、ハウジングは第1の壁、第2の壁、床、及び天井を更に含むことがあり、これらは協働して第1の開口部を規定し、第1の開口部は通路へ向かって狭くなる。実施形態によっては、床は、第1の開口部から通路までの傾斜路を規定することがある。
【0023】
実施形態によっては、通路は、ワモンゴキブリ(American cockroach)を受け入れるようにサイズ決めされていることがある。実施形態によっては、通路は、約17ミリメートルの高さを有することがある。実施形態によっては、通路の高さは、通路の床から有害生物駆除機器のアクティブ赤外線センサまで延びることがある。実施形態によっては、通路は、約17ミリメートルの幅を有することがある。
【0024】
実施形態によっては、有害生物駆除機器は、有害生物検出モジュール及び応答モジュールを更に含むことがある。有害生物検出モジュールは、(i)アクティブ赤外線センサによって、通路の第1の部分のアクティブ赤外線シグネチャを決定し、(ii)アクティブ赤外線シグネチャが所定のベースラインシグネチャに対して所定のウィンドウの外側にあるかどうかを、アクティブ赤外線センサによって判断する、ように構成される。応答モジュールは、アクティブ赤外線シグネチャが所定のウィンドウの外側にあるとの判断に応答して、有害生物駆除動作を実施するように構成される。
【0025】
別の態様によれば、虫を検出するための有害生物駆除システムが開示される。有害生物駆除システムは、トップカバー、有害生物駆除機器、挿入物、及びベースを含む。トップカバーは、ベースに着脱可能に結合される。有害生物駆除機器は、トップカバーの内部体積内に着脱可能に結合される。挿入物は、有害生物駆除機器の下方で且つベースの上方に、トップカバーの内部体積内に着脱可能に結合される。ベースは、床、第1の壁、及び第2の壁を含み、これらは協働して、第1の開口部、第2の開口部、並びに第1の開口部及び第2の開口部と連絡する通路を規定し、通路は、虫を受け入れるようにサイズ決めされている。挿入物は、ベースの通路の天井を規定する底面を含み、挿入物は、通路の第1の部分の上方に配置された、底面を貫通する開口部を含む。有害生物駆除機器は、有害生物駆除機器の底面に、且つ挿入物の開口部の上方に、且つ通路の第1の部分の上方に配置されたアクティブ赤外線センサを含み、アクティブ赤外線センサは、通路の第1の部分を照射するように構成される。
【0026】
実施形態によっては、ベースは、通路の第1の部分に隣接して配置された餌チャンバ、及び、通路の第1の部分と餌チャンバとの間に配置された部分壁、を更に含むことがあり、部分壁は、虫を中に入れないようにサイズ決めされている。
【0027】
実施形態によっては、トップカバーは、トップカバーの内部体積の中に延びる複数の垂直なリブを含むことがあり、この複数の垂直なリブは、有害生物駆除機器の側壁と係合する。挿入物は複数のスロットを含むことがあり、各スロットは、複数の垂直なリブのうちの1つの垂直なリブを受け入れるようにサイズ決めされている。
【0028】
実施形態によっては、ベースは複数の柱を含むことがあり、挿入物は複数の貫通孔を含むことがあり、各貫通孔は柱を受け入れるようにサイズ決めされており、トップカバーは複数のラグ(lugs)を含むことがあり、各ラグは柱を受け入れるようにサイズ決めされている。
【0029】
実施形態によっては、通路は、約17ミリメートルの高さを有することがある。実施形態によっては、通路の高さは、通路の床から挿入物の底面まで延びることがある。
【0030】
別の態様によれば、虫を検出するための有害生物ステーションが開示される。有害生物ステーションは、ベース及びトップカバーを含む。ベースは、床、第1の壁、及び第2の壁を含み、これらは協働して、第1の開口部、第2の開口部、並びに第1の開口部及び第2の開口部と連絡する通路を規定し、通路は、虫を受け入れるようにサイズ決めされている。トップカバーはベースに着脱可能に結合され、トップカバーは、有害生物駆除機器を受け入れるようにサイズ決めされた内部体積を含み、内部体積は、通路の第1の部分に通じている。
【0031】
実施形態によっては、トップカバーは、トップカバーの内部体積の中に延びる複数の垂直なリブを含むことがあり、この複数の垂直なリブは、有害生物駆除機器と係合するように構成される。実施形態によっては、トップカバーは通路の天井を規定する底面を含むことがあり、トップカバーは、通路の第1の部分の上方に配置される、底面内の開口部を含む。
【0032】
実施形態によっては、有害生物ステーションは、ベースの上方でトップカバーの内部体積内に着脱可能に結合される挿入物を更に含むことがあり、挿入物は、ベースの通路の天井を規定する底面を含み、挿入物は、通路の第1の部分の上方に配置される、底面を貫通する開口部を含む。
【0033】
詳細な説明は、特に、以下の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】有害生物駆除システムの簡略化されたブロック図である。
【
図2】
図1のシステムの有害生物駆除機器によって確立することができる環境の少なくとも1つの実施形態の、簡略化されたブロック図である。
【
図3】
図1~
図2の有害生物駆除機器によって実行することができるアクティブ赤外線センサを設定するための方法の、少なくとも1つの実施形態の、簡略化された流れ図である。
【
図4】
図1~
図2の有害生物駆除機器によって実行することができる有害生物検出のための方法の、少なくとも1つの実施形態の、簡略化された流れ図である。
【
図5】
図1~
図2の有害生物駆除機器によって実行することができる有害生物検出のための方法の、少なくとも1つの実施形態の、簡略化された流れ図である。
【
図6】
図1~
図2の有害生物駆除機器によって実行することができる有害生物検出応答のための方法の、少なくとも1つの実施形態の、簡略化された流れ図である。
【
図8】
図1~
図2の有害生物駆除機器を含む有害生物駆除ステーションの斜視図である。
【
図9】
図1~
図2の有害生物駆除機器を含む別の有害生物駆除ステーションの斜視図である。
【
図10】
図9の有害生物駆除ステーションの断面図である。
【
図11】
図1~
図2の有害生物駆除機器を含む有害生物駆除ステーションの別の実施形態の分解図である。
【
図12】
図11の有害生物駆除ステーションのベースの上面図である。
【
図13】
図11の有害生物駆除機器の一実施形態の底面図である。
【
図15】
図11~
図14のシステムによって達成することができる試験結果を示すプロットである。
【
図16】
図1~
図2の有害生物駆除機器を含む有害生物駆除ステーションの別の実施形態の分解図である。
【
図17】
図16の有害生物駆除ステーションの挿入済有害生物駆除機器を含むカバーの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本開示の概念には、様々な修正形態及び代替形態の余地があるが、特定の例示的な実施形態を、例として図面に示しており、これから詳細に説明する。しかしながら、本開示の概念を開示する特定の形態に限定することは意図されておらず、逆に、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨及び範囲内にある全ての修正形態、均等物、及び代替形態を包含することが意図されていることを、理解されたい。
【0036】
ここで
図1を参照すると、有害生物駆除システム100は、有害生物駆除機器102を含む。有害生物駆除機器102は、けもの道、天井、台所、浴室、居住空間若しくは商業空間、又は他の監視対象スペースなどの、監視対象スペースに配置されることがあり、且つ/或いは、餌ステーション、複数匹捕捉罠、又は他の有害生物駆除ステーションに結合されるか又は中に含まれることがある。特に、有害生物駆除機器102は、
図8~14及び
図16~18の様々な実施形態で示されるような有害生物駆除ステーションに含まれるか、さもなければ結合されることがある。使用中に、以下で更に説明するように、有害生物駆除機器102のコントローラ120は、有害生物駆除機器102の環境に基づいて、有害生物駆除機器102のアクティブ赤外線(IR)センサ142を較正する。アクティブIRセンサ142は、1つ又は複数の赤外線放射体を用いて環境を照射し、1つ又は複数の光検出器を用いて赤外線応答を測定する。赤外線応答が所定のウィンドウの外側にあり、齧歯動物、虫、又は類似のものの存在を示している場合、アクティブIRセンサ142はコントローラ120を立ち上げ、コントローラ120は遠隔システム104に通知するなどの有害生物駆除動作を実施することができる。従って、有害生物駆除システム100は、有害生物が、直接的にトリガーに接触する必要なく、又は、有害生物/罠との別の直接的な相互作用を行う必要なく、有害生物を検出することができる。従って、有害生物駆除システム100は、低電力消費でありながらも、有害生物駆除ステーション又は他のスペースの監視の改善をもたらすことができる。例えば、実施形態によっては、有害生物駆除システム100は、1個の電池で少なくとも4年間の監視を提供することができ、これにより、維持保守及び交換にかかる費用を低減することができる。更に、以下で更に説明するように、有害生物駆除システム100は、環境の変化及び/又は長い耐用年数における有害生物駆除機器102の変化に適合することができる。
【0037】
図1に示すように、例示的な有害生物駆除機器102は、コントローラ120、通信サブシステム128、及びアクティブIRセンサ142を含む。コントローラ120は、電子コントローラ、電子制御ユニット(ECU)、又は他の制御機器として具現化されることがある。コントローラ120は、テキサス州ダラスのテキサス・インスツルメンツ社が市販しているMSP430シリーズのマイクロコントローラか、又は、スイスのジュネーヴのSTマイクロエレクトロニクス社が市販しているSTM32マイクロコントローラなどの、低電力マイクロコントローラデバイスとして、例示的に具現化される。他の実施形態では、有害生物駆除機器102の動作を制御するために、他の市販のマイクロコントローラ、ディスクリート処理回路(例えば、論理デバイスの集合)、汎用集積回路、及び/又は特定用途向け集積回路(即ち、ASIC)が使用されることがある。例示的な実施形態では、コントローラ120は、プリント回路基板トレース、ワイヤ、ケーブルなどの幾つかの通信リンクを介して、有害生物駆除機器102の他の構成要素に接続されることがある。
【0038】
コントローラ120は、実質的に、有害生物駆除機器102に関連付けられたセンサによって送信された電気信号の解釈、及び有害生物駆除機器102に関連付けられた電子制御式の構成要素のアクティブ化又は通電、を担う、マスターコンピュータである。例えば、コントローラ120は、アクティブIRセンサ142及び通信サブシステム128の動作を制御するように構成される。コントローラ120は、他のセンサからの様々な信号を監視し、いつ有害生物駆除機器102の様々な動作を実施すべきかを決定することもある。
図3~
図6を参照しながら以下でより詳細に説明するように、コントローラ120は、有害生物活動及び他の情報が遠隔システム104に伝達されるように、有害生物駆除機器102の構成要素を制御するように動作可能である。
【0039】
コントローラ120は、電気機械システムの制御に利用される電子ユニットに通常関連付けられている幾つかの電子的構成要素を含む。例えば、コントローラ120は、そのような機器に慣例的に含まれている構成要素の中でもとりわけ、マイクロプロセッサ122などのプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)デバイス又は他の揮発性若しくは不揮発性のメモリデバイスなどのメモリデバイス124、及び、消去可能PROM(EPROM又はEEPROM)を含むプログラム可能読み出し専用メモリデバイス(「PROM」)、不揮発性ランダムアクセスメモリデバイス(NVRAM)、フラッシュメモリデバイス、又は他のストレージデバイスなどのストレージデバイス126、を含む。ストレージデバイス126は、とりわけ、例えば、ファームウェアルーチン(又は複数のルーチン)の形式で命令を記憶するために提供され、このルーチンは、マイクロプロセッサ122によって実行されると、コントローラ120が有害生物駆除機器102の動作を制御できるようにする。データストレージデバイス126は、記録された有害生物イベントデータ又は有害生物駆除機器102によって生成された他のデータを記憶することもある。
【0040】
コントローラ120は、1つ若しくは複数のI/Oインターフェース又は他のデジタル信号リンクを介して、有害生物駆除機器102の他の構成要素に結合されることがある。実施形態によっては、コントローラ120は、アナログインターフェース回路も含んで、センサによって生成されたアナログ信号を、マイクロプロセッサ122に提示するのに適したデジタル信号に変換するか、且つ/又は、マイクロプロセッサ122からの信号を、有害生物駆除機器102の電気制御式の構成要素に提示するのに適した出力信号に変換することがある。
【0041】
通信サブシステム128は、有害生物駆除機器102と1つ又は複数の遠隔システム104との間の通信を可能にすることができる、任意の通信回路、デバイス、送受信機、又はそれらの集合として、具現化されることがある。通信サブシステム128は、そのような通信を行うために、任意の1つ又は複数の通信技術(例えば、有線又は無線通信)及び関連プロトコル(例えば、イーサネット、ブルートゥース(登録商標)、LoRa、NFC、Wi-Fi(登録商標)、WiMAX、3G、4G、LTE、5G、等)を使用するように構成されることがある。
【0042】
図示するように、通信サブシステム128は、長距離(LoRa)無線回路132を含み、これは、長距離の、低電力無線電波通信を提供する。例示的な実施形態では、LoRa回路132は、無免許の915MHzのISM(工業、科学、及び医療)周波数バンドで通信することができる。他の実施形態では、通信サブシステム128は、他の低電力広域ネットワーク(LPWAN)通信技術を提供することがある。例示的な通信サブシステム128は、NFC回路134を更に含み、このNFC回路134は、相補的なNFC回路を備えた別の機器との短距離無線通信を可能にする。NFC回路134は、比較的に短距離の、高周波数の無線通信回路として具現化されることがある。NFC回路134は、ECMA-340/ISO/IEC 18092及び/又はECMA-352/ISO/IEC 21481などの規格を実装して、別の機器の対応するNFC回路と通信することがある。NFC回路134は、モバイル通信機器(例えば、スマートフォン)が有害生物駆除機器102の対応する部分の近くでタップされたとき又は振られたとき、数センチメートル程度の通信距離を可能にすることができる。以下で更に説明するように、NFC回路134を使用して、管理コマンド若しくは設定コマンド及び/又はデータを有害生物駆除機器102に伝達することができる。通信サブシステム128は、ブルートゥースモジュール136を更に含み、このモジュールは、ブルートゥース、ブルートゥース・ロー・エナジー、又は他のパーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)通信機能を提供することができる。
【0043】
図1に示すように、通信サブシステム128はアンテナ130と結合され、アンテナ130は、単一の真っ直ぐで可撓性のある金属ワイヤからなるホイップアンテナ、ループアンテナ、ロープロファイル・ヘリカルアンテナ、有害生物駆除機器102内のハードウェア回路、又は有害生物駆除機器102と遠隔システム104との間で信号を送受信することができる他の種類のアンテナとして、具現化されることがある。単一のアンテナ130として図示されているが、特定の実施形態では、有害生物駆除機器102は、複数のアンテナ130(例えば、LoRa回路132用のホイップアンテナ、NFC回路134用のループアンテナ、及び/又は他のアンテナ)を含むことがあることを、理解されたい。
【0044】
有害生物駆除機器102は、位置センサ138及び幾つかの環境センサ140も含んで、監視対象スペース及び有害生物駆除機器102についての情報を提供する。位置センサ138は、有害生物駆除機器102の動きを検出するように構成された、加速度計、ジャイロスコープ、又は他の位置センサとして、具現化されることがある。例示的な実施形態では、位置センサ138は例えば、フリースケール社から市販されているMMA8652、又はSTマイクロエレクトロニクス社から市販されているLIS2DH12などの、3軸デジタル加速度計である。位置センサ138は、有害生物駆除機器102の動きを検出し、その動きを示す信号をコントローラ120に送信する。他の実施形態では、位置センサ138は、地面に固定された、有害生物駆除ステーションのハウジングに固定された、又は有害生物駆除機器102からは分離された磁気アンカーとセンサ138(従って、有害生物駆除機器102)との近さを検出する、ホール効果センサであり得る。他の実施形態では、位置センサ138は省略されることがあることを、理解されたい。
【0045】
環境センサ140は、有害生物駆除機器102を取り巻く環境の温度を測定するように構成された温度センサを含むことがあり、例えば、STマイクロエレクトロニクス社から市販されているSTLM75などである。温度センサは、温度測定値を取得し、その測定値を示す信号をコントローラ120に送信するように構成される。他の実施形態では、有害生物駆除機器102は、湿度、空気の質、湿り気、又は、有害生物駆除機器102の動作若しくは関連する有害生物駆除ステーションの状態に影響を及ぼす可能性がある他の要因、を測定する他の環境センサ140を含むことがあることを、理解されたい。
【0046】
図1に示すように、コントローラ120は、アクティブIRセンサ142に更に結合されている。アクティブIRセンサ142は、デジタル信号プロセッサ(DSP)又は他の制御回路144、複数の赤外線発光ダイオード(IR LED)146、複数のフォトダイオード148、1つ又は複数のアナログ/デジタル変換器(ADC)150、及び制御インターフェース152を含む。アクティブIRセンサ142は、シリコンラボ社から市販されているSi115xファミリーデバイスなどの近接センサ/周囲光センサとして具現化されるか、又はそれらのセンサから導出されることがある。
【0047】
DSP144は、任意のDSP、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又は他の信号処理及び制御デバイスとして具現化されることがある。DSP144は、そのようなデバイスに慣例的に含まれる構成要素の中でもとりわけ、1つ又は複数のメモリデバイス、ファームウェアデバイス、ストレージデバイス、又は他の構成要素を含むことがある。例えば、DSP144は、とりわけ、例えば、ファームウェアルーチン(又は複数のルーチン)の形式で命令を記憶するために提供されるストレージデバイスを含むことがあり、このルーチンは、DSP144によって実行されると、アクティブIRセンサ142が監視対象スペースを自律的に感知できるようにする。
【0048】
各IR LED146は、赤外光を生成するように構成された、任意のLED又は他の赤外光放射体として具現化されることがある。以下で更に説明するように、IR LED146は監視対象スペースを照射して、齧歯動物又は虫などの有害生物の存在を検出する。IR LED146は、約860~870nmの波長を有する赤外光を放射することがあり、これにより、周囲のIR光(例えば、日光に存在するIR光)との干渉を防止することができる。アクティブIRセンサ142の中にIR LED146が含まれるものとして図示されているが、実施形態によっては、IR LED146は、アクティブIRセンサ142に結合された別個の構成要素であり得る。それらの実施形態では、アクティブIRセンサ142は、IR LED146に結合された1つ又は複数のLEDドライバ又は他のLED駆動回路を含むことがある。実施形態によっては、複数のIR LED146が、有害生物駆除機器102の外部の所定の相対的位置に配置されることがある。それらの実施形態では、複数のIR LED146からのIR応答を処理して、監視対象スペースの3次元表現を生成することができる。
【0049】
各フォトダイオード148は、IR及び/又は可視光を検出することができる、任意のダイオード又は他の光検出器として具現化されることがある。実施形態によっては、望ましくない可視光及び/又はIR光を阻止するために、アクティブIRセンサ142は、1つ又は複数のフィルタを含むか、又はフィルタに結合されることがある。フォトダイオード148はADC150に結合され、ADC150は、フォトダイオード148によって生成されたアナログ又はデジタルの信号を、DSP144が処理することができる、カウント又は他のデジタルデータに変換するように構成される。ADC150の感度は、例えば、変化する周囲光の状態に適応するように調節することができる。
【0050】
制御インターフェース152は、例示的に、アクティブIRセンサ142とコントローラ120との間の通信を可能にする、集積回路間(I2C)エンジンである。制御インターフェース152は、コントローラ120が、アクティブIRセンサ142を設定し、アクティブIRセンサ142の様々なレジスタを読み書きすることによって、アクティブIRセンサ142からセンサデータを読み出すことを可能にする。他の実施形態では、制御インターフェース152は、シリアル・ペリフェラル・インタフェース(SPI)リンク、ペリフェラル・コンポーネント相互接続(PCI)バス、又は、任意の他のバス、相互接続、若しくは制御インターフェースとして具現化されることがある。
【0051】
図1に示すように、有害生物駆除機器102は、ローカル電池154によって給電される。この例示的な実施形態では、電池154は、交換できない塩化チオニルリチウム電池である。有害生物駆除機器102の低消費電力により、交換不可能な電池154による長い耐用年数が可能になる。例えば、例示的な実施形態では、電池154は2400mAhの容量を有することがあり、有害生物駆除機器102は、有害生物が検出されず、無線通信を含まない状態で、平均して10μA未満の電流を引き出すことがある。有害生物が検出されると、消費電力はわずかに増加することがある。他の実施形態では、他の種類の電池が使用されることがあることを、理解されたい。更に他の実施形態では、有害生物駆除機器102は、外部電源を利用することがある。
【0052】
ここで
図2を参照すると、例示的な実施形態では、有害生物駆除機器102は、動作中に環境200を確立する。例示的な環境200は、較正モジュール202、応答モジュール204、空間モジュール206、適応的ベースラインモジュール208、及び有害生物検出モジュール210を含む。環境200の様々な構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせとして具現化されることがある。従って、実施形態によっては、環境200の構成要素のうちの1つ又は複数は、回路又は電気デバイスの集合(例えば、較正回路202、応答回路204、空間回路206、適応的ベースライン回路208、及び/又は有害生物検出回路210)として具現化されることがある。そのような実施形態では、較正回路202、応答回路204、空間回路206、適応的ベースライン回路208、及び/又は有害生物検出回路210のうちの1つ又は複数は、コントローラ120、アクティブIRセンサ142、及び/又は有害生物駆除機器102の他の及び/又は他の構成要素、の一部を形成することがあることを、理解されたい。更に、実施形態によっては、例示的な構成要素のうちの1つ又は複数は、別の構成要素の一部を形成することがあり、且つ/又は、例示的な構成要素のうちの1つ又は複数は、互いに独立していることがある。
【0053】
較正モジュール202は、有害生物駆除機器102の環境に基づいて、アクティブIRセンサ142の1つ又は複数のIR放射体146を較正するように構成される。IR放射体146は、定期的に又は応答的に(例えば、維持保守イベント又はコマンドに応答して)較正されることがある。IR放射体146を較正することは、IR放射体146をアクティブにすること、IR放射体146のアクティブ化に応答して、有害生物駆除機器102の光検出器148を用いて、パルスIR光値を測定すること、パルス赤外光値を所定の閾値と比べること、及び、比較に基づいて、IR放射体146の強度を調節すること、を含むことがある。
【0054】
有害生物検出モジュール210は、アクティブIRセンサ142を用いて、監視対象スペースのアクティブIRシグネチャを決定するように構成される。アクティブIRシグネチャは、IR放射体146を較正した後に決定されることがある。アクティブIRシグネチャは、定期的に、例えば2秒毎に決定されることがある。アクティブIRシグネチャを決定することは、光検出器148を用いて周囲のIR光値を測定すること、IR放射体146をアクティブにすること、IR放射体146をアクティブにするのに応答して、光検出器148を用いてパルスIR光値を測定すること、及び、パルスIR光値と周囲のIR光値との間の差として、アクティブIRシグネチャを決定すること、を含むことがある。
【0055】
有害生物検出モジュール210は、アクティブIRシグネチャが、所定のベースラインシグネチャに対して所定のウィンドウの外側にあるかどうかを判断するように、更に構成される。アクティブIR信号が所定のウィンドウの外側にあるかどうかを判断することは、アクティブIR信号が、高い閾値と所定の関係(例えば、それより大きい、それ以上である、など)を有するかどうか、又は、低い閾値と所定の関係(例えば、それより小さい、それ以下である、など)を有するかどうかを判断することを含むことがある。アクティブIRシグネチャが所定のウィンドウの外側にあるかどうかを判断することは、アクティブIRシグネチャが、所定のデバウンス間隔(例えば、500ms)よりも長い間、ウィンドウの外側にあるかどうかを判断することを含むことがある。有害生物検出モジュール210は、アクティブ赤外線シグネチャが所定のウィンドウの外側にあるとの判断に応答して、例えば、コントローラ120に割込みを行使することによって、有害生物駆除機器のコントローラ120をアクティブにするように、更に構成される。
【0056】
応答モジュール204は、コントローラ120のアクティブ化に応答して、有害生物駆除動作を実施するように構成される。実施形態によっては、コントローラ120は、コントローラ120のアクティブ化に応答して、低電力状態からアクティブ状態に立ち上がることがある。有害生物駆除動作を実施することは、有害生物駆除機器102のデータストレージデバイスに有害生物イベントを記録すること、又は、無線通信を介して(例えば、低電力広域ネットワーク無線電波通信を介して)遠隔システム104に通知を送信すること、を含むことがある。
【0057】
環境200の幾つかの実施形態は、空間モジュール206を含むことがあり、この空間モジュール206は、フォトダイオード148によって測定された時系列の赤外光値の関数として、監視対象スペースの3次元表現を構築するように構成される。それらの実施形態では、互いに離れて配置された複数のIR LED146は時系列でアクティブにされることがあり、これに応答して、時系列のIR光値が、フォトダイオード148を用いて測定されることがある。
【0058】
適応的ベースラインモジュール208は、監視対象スペースの所定のベースラインシグネチャを決定するように構成される。適応的ベースラインモジュール208は、以前のベースラインシグネチャに基づいて、所定のベースラインシグネチャを適合させるように更に構成されることがある。
【0059】
図示するように、この例示的な実施形態では、較正モジュール202、応答モジュール204、空間モジュール206、及び適応的ベースラインモジュール208は、コントローラ120によって設定され、従って、例示的な実施形態では、これらのモジュールの操作はコントローラ120によって実施される。しかしながら、他の実施形態では、これらのモジュールの機能の一部又は全部は、アクティブIRセンサ142によって実行されることがある。同様に、この例示的な実施形態では、有害生物検出モジュール210は、アクティブIRセンサ142によって設定され、従って、例示的な実施形態では、有害生物検出モジュール210の操作は、アクティブIRセンサ142によって実施される。しかしながら、他の実施形態では、有害生物検出モジュール210の機能の一部又は全部は、コントローラ120によって実行されることがある。
【0060】
ここで
図3を参照すると、使用中に、有害生物駆除機器102は、アクティブIRセンサ142を設定するための方法300を実行することができる。実施形態によっては、方法300の動作は、コントローラ120及び/又はアクティブIRセンサ142などの、
図2に示すような有害生物駆除機器102の環境200の1つ又は複数の構成要素によって、行われることがあることを、理解されたい。方法300は、ブロック302で開始し、ブロック302では、有害生物駆除機器102はアクティブIRセンサ142の設定を開始する。方法300は、例えば、電源の入れ直し、技術者による物理的アクセス、又は有害生物駆除機器102の他の維持保守イベントに応答して、開始することがある。別の例として、方法300は、モバイル通信機器(例えば、スマートフォン)からNFC回路134を介して受け取ったコマンドなどの、別の機器から受け取ったコマンドに応答して、開始することがある。別の例として、実施形態によっては、方法300は、定期的に又は時間の経過と共に繰り返し開始して、アクティブIRセンサ142を時間の経過と共に再設定することを可能にすることがある。
【0061】
ブロック304では、有害生物駆除機器102は、有害生物駆除機器102の環境内の周囲光に対する光検出器148の値を測定する。周囲光は、IR放射体146をアクティブにせずに測定される。周囲光値は、DSP144及び/又はコントローラ120によって、読み取られることがある。
【0062】
ブロック306では、有害生物駆除機器102は、IR放射体146にパルスを生じさせる。IR放射体146にパルスを生じさせると、監視対象スペースがIR光で照射される。IRパルスの強度は、例えば、IR LED146を駆動するために使用される電流の量を設定することにより、又は、IRパルスの長さを設定することにより、又は別の方法により、設定することができる。IR光は、監視対象スペース内の物体から反射されるか、又は、監視対象スペース内の物体によって吸収されることがある。実施形態によっては、ブロック308では、有害生物駆除機器102は、所定の空間配置で配置された複数のIR LED146にパルスを生じさせることがある。例えば、IR LED146は、
図7に示すように、「L字」配置に互いに離れて配置されることがある。それらの実施形態では、IR LED146は、順番にパルスを生じさせることがある。
【0063】
ブロック310では、有害生物駆除機器102は、IRパルスに関連した光検出器148の値を測定する。パルス値は、環境内の周囲IR光の量と共に、環境内の物体から反射されて光検出器148に戻った、IR放射体146から放射されたIR光の量を測定する。実施形態によっては、ブロック312では、有害生物駆除機器102は、時系列の光検出器148の値を測定することがある。例えば、複数のIR LED146が順番にパルスを生じさせると、有害生物駆除機器102が、時間の経過と共に受け取られたIR光を測定することがある。
【0064】
ブロック314では、有害生物駆除機器102は、パルスIR光値から周囲IR光値を引いて、有害生物駆除機器102の環境のベースラインシグネチャを決定する。ベースラインシグネチャは、有害生物がいない場合(即ち、較正時)の、有害生物駆除機器102の環境にある物体のIR反射率を示す。例えば、ベースラインシグネチャは、有害生物が存在しない状態の有害生物駆除ステーションの内部を示すことがある。別の例では、ベースラインシグネチャは、有害生物駆除機器102が配置されているけもの道又は他の監視対象スペースを示すことがある。
図4及び
図5に関連して以下で説明するように、ベースラインシグネチャを、測定されたアクティブIRシグネチャと比較して、有害生物が検出されたかどうかを判断することができる。
【0065】
ブロック316では、有害生物駆除機器102は、ベースラインシグネチャを所定の閾値レベルと比較する。例えば、コントローラ120は、アクティブIRセンサ142からベースラインシグネチャを読み出し、そのベースラインシグネチャを所定の閾値と比較することがある。所定の閾値は、アクティブIRセンサ142が最も感度が高い強度レベル又は他のレベルであり得る。例えば、所定の閾値は、ADC150の飽和よりも低いことがある。実施形態によっては、所定の閾値は、ある範囲の許容値を含むことがある。
【0066】
ブロック318では、有害生物駆除機器102は、ベースラインシグネチャが所定の閾値にあるかどうかをチェックする。そうである場合、方法300は、以下で説明するブロック322へと分岐する。ベースラインシグネチャが閾値にはない場合、方法300はブロック320に進み、ブロック320では、有害生物駆除機器102は、IR放射体146の強度を閾値レベルに向けて調節する。例えば、ベースラインシグネチャが高過ぎる場合、有害生物駆除機器102は、IR放射体146の強度を低減することがあり、ベースラインシグネチャが低すぎる場合、有害生物駆除機器102はIR放射体146の強度を増加させることがある。IR放射体146の強度を調節するために、コントローラ120は、例えば、IRドライバ電流、パルス時間、又はアクティブIRセンサ142の他の設定を設定することがある。IR放射体146の強度を調節した後、方法300はブロック304にループバックして、IR放射体146の較正を続ける。従って、有害生物駆除機器102は、人手を必要とせずに、IR放射体146を自動的に調節することができる。
【0067】
ブロック318に戻って参照すると、ベースラインシグネチャが所定のレベルにある場合、方法300はブロック322に分岐し、ブロック322では、有害生物駆除機器102は、測定されたベースラインに基づいて、アクティブIRセンサ142を高い閾値及び低い閾値で条件付けする。
図4及び
図5に関連して以下で更に説明するように、高い閾値及び低い閾値は、有害生物を検出するために使用することができる、測定されたIRシグネチャのウィンドウを規定する。このウィンドウは、有害生物駆除機器102の環境のベースラインシグネチャを基準にしていることがある。コントローラ120は、制御インターフェース152を使用して、これらの閾値を用いてアクティブIRセンサ142を設定することがある。例えば、コントローラ120は、制御インターフェース152の対応するレジスタに、高い閾値及び低い閾値を書き込むことがある。実施形態によっては、高い閾値及び低い閾値は、例えば、モバイル通信機器(例えば、スマートフォン)からNFC回路134を介して受け取られる1つ又は複数の設定コマンドによって、設定可能であり得る。
【0068】
実施形態によっては、ブロック324では、有害生物駆除機器102は、以前のベースラインシグネチャに基づいて、高い閾値及び低い閾値を選別又は適合させることができる。従って、有害生物駆除機器102は、測定されたベースラインの経時的な変化に基づいて、ベースラインを徐々に変化させることができる。例えば、有害生物駆除機器102は、環境の変化、例えば、明かりのサイクル、時間の経過と共に汚れるレンズ、(例えば、表面が汚れるにつれての)環境内の表面の反射率の変化、及び経時的な他の変化、などに基づいて、閾値を適合させることができる。それらの実施形態では、有害生物駆除機器102は、1つ若しくは複数の以前のベースラインシグネチャ、並びに/又は高い閾値及び低い閾値を記憶することがある。アクティブIRセンサ142を条件付けした後、方法300はブロック326に進み、ここで、方法300は停止する。ここで、有害生物駆除機器102は、
図4~
図6に関連して以下で説明するように、有害生物の監視対象スペースの能動的な監視を開始することができる。
【0069】
ここで
図4及び
図5を参照すると、使用中に、有害生物駆除機器102は、有害生物検出のための方法400を実行することができる。実施形態によっては、方法400の動作は、アクティブIRセンサ142などの、
図2に示すような有害生物駆除機器102の環境200の1つ又は複数の構成要素によって、行われることがあることを、理解されたい。方法400はブロック402で開始し、ブロック402では、有害生物駆除機器102は、有害生物駆除機器102の環境内の周囲光に対する光検出器148の値を測定する。周囲光は、IR放射体146をアクティブにせずに測定される。周囲光値は、アクティブIRセンサ142によって自律的に読み取られることがある。
図6に関連して以下で更に説明するように、コントローラ120は、アクティブIRセンサ142が環境を自律的に測定する間、低電力モードであることがある。
【0070】
ブロック404では、有害生物駆除機器102のアクティブIRセンサ142は、IR放射体146にパルスを生じさせる。IR放射体146にパルスを生じさせると、監視対象スペースがIR光で照射される。
図3に関連して上述したように、IRパルスの強度は、有害生物駆除機器102の環境に基づいて、あらかじめ設定されていることがある。IR光は、監視対象スペース内の物体から反射されることがあるか、且つ/又は、監視対象スペース内の物体によって吸収されることがある。実施形態によっては、ブロック406では、有害生物駆除機器102は、所定の空間配置で配置された複数のIR LED146にパルスを生じさせることがある。例えば、IR LED146は、
図7に示すように、「L字」配置に互いに離れて配置されることがある。別の例では、IR LED146は、
図13及び
図17に示すように、三角形の配置に互いに離れて配置されることがある。それらの実施形態では、IR LED146は、順番にパルスを生じさせることがある。
【0071】
ブロック408では、有害生物駆除機器102のアクティブIRセンサ142は、IRパルスに関連した光検出器148の値を測定する。パルス値は、環境内の周囲IR光の量と共に、環境内の物体から反射されて光検出器148に戻った、IR放射体146から放射されたIR光の量を測定する。実施形態によっては、ブロック410では、有害生物駆除機器102は、時系列の光検出器148の値を測定することがある。例えば、複数のIR LED146が順番にパルスを生じさせると、有害生物駆除機器102が、時間の経過と共に受け取られたIR光を測定することがある。ブロック402に関連して上述したように、光検出器148の値は、コントローラ120からは自律的に、アクティブIRセンサ142によって測定されることがある。
【0072】
ブロック412では、有害生物駆除機器102のアクティブIRセンサ142は、パルスIR光値から周囲IR光値を引いて、有害生物駆除機器102の環境の検出シグネチャを決定する。検出シグネチャは、有害生物駆除機器102の環境の中に現在ある物体のIR反射率を示し、従って、有害生物が存在するかどうかを示すことができる。
【0073】
実施形態によっては、ブロック414では、有害生物駆除機器102は、検出シグネチャに基づいて、監視対象スペースの3次元表現を構築することができる。例えば、有害生物駆除機器102は、所定のパターンで配置された複数のIR LED146によって生成された時系列の複数の赤外パルスを分析することができる。各IR LED146に関連付けられた検出シグネチャを比較することにより、有害生物駆除機器102は、監視対象スペース内の物体及び/又は動きを識別することができる。実施形態によっては、3次元表現は、コントローラ120又はアクティブIRセンサ142によって構築されることがある。
【0074】
ブロック416では、有害生物駆除機器102のアクティブIRセンサ142は、検出シグネチャを、所定の高い閾値及び所定の低い閾値と比較する。従って、有害生物駆除機器102は、検出信号が、ベースラインシグネチャの周りに確立されたウィンドウの外側であるかどうかを判断する。検出シグネチャは、有害生物駆除機器102の環境内にある物体によって反射又は吸収された、放射済IR光の量を示す。検出シグネチャをベースラインシグネチャの周りに確立されたウィンドウと比較することにより、有害生物駆除機器102は、環境内に現在ある物体(齧歯動物又は虫などの潜在的な有害生物を含む)が、ベースライン環境と比べて、異なる量のIR光を反射又は吸収しているかどうかを判断する。高い閾値及び低い閾値との比較は、コントローラ120からは自律的に、アクティブIRセンサ142によって行われることがある。
【0075】
ブロック418では、アクティブIRセンサ142は、検出シグネチャが所定の低い閾値を下回っている(例えば、未満である、以下である、等)かどうかを判断する。例えば、比較的に暗い色の有害生物が監視対象スペース内におり、その暗い色の有害生物が背景環境よりもより多くのIR光を吸収する場合、検出シグネチャは、低い閾値を下回ることがある。別の例として、背景環境が非常に反射率が高く(例えば、光沢のある金属製の有害生物駆除ステーションの内部)、有害生物が環境よりもより多くのIR光を吸収する場合、検出シグネチャは、低い閾値を下回ることがある。ブロック420では、アクティブIRセンサ142は、検出シグネチャが所定の高い閾値を上回っている(例えば、超である、以上である、等)かどうかを判断する。例えば、比較的に明るい色の有害生物が監視対象スペース内におり、その明るい色の有害生物が背景環境よりもより多くのIR光を反射する場合、検出シグネチャは、高い閾値を上回ることがある。別の例として、背景環境が暗いか又は非常に光吸収性が高く(例えば、暗いプラスチック製の有害生物駆除ステーションの内部)、有害生物が環境よりもより多くのIR光を反射する場合、検出シグネチャは、高い閾値を上回ることがある。その例を続けると、ゴキブリなどの多くの虫は、環境(例えば、
図9~
図18に関連して以下で説明するような、暗い有害生物駆除ステーションの内部)よりもより多くのIR光を反射する。
【0076】
検出シグネチャを低い閾値と高い閾値の両方と比較するように示されているが、実施形態によっては、IRセンサ142は、検出シグネチャを単一の閾値と比較する場合があることを、理解されたい。例えば、実施形態によっては、アクティブIRセンサ142は、検出シグネチャを高い閾値と比較することがあるが、検出シグネチャを低い閾値とは比較しないことがある。
【0077】
ブロック422では、有害生物駆除機器102は、有害生物が検出されたかどうか(即ち、検出シグネチャが所定のウィンドウの外側であったかどうか)をチェックする。そうではない場合、方法400は、以下で更に説明するブロック424に進む。有害生物が検出された場合、方法400は、
図5に示すブロック430に分岐する。
【0078】
ここで
図5を参照すると、ブロック430では、有害生物駆除機器102のアクティブIRセンサ142は、デバウンス・フラグが設定されているかどうかを判断する。デバウンス・フラグは、アクティブIRセンサ142のレジスタ、ビット、又は他の状態として具現化されることがあり、最初にクリアされる。デバウンス・フラグが設定されている場合、方法400は、以下に説明するブロック436に分岐して進む。デバウンス・フラグが設定されていない場合、方法400はブロック432に進み、ブロック432では、有害生物駆除機器102のアクティブIRセンサ142がデバウンス・フラグを設定する。ブロック434では、有害生物駆除機器102のアクティブIRセンサ142は、デバウンス・タイマーを始動させる。デバウンス・タイマーは、誤検出を回避するように十分に長く、且つ、監視対象スペースにいる有害生物を検出するのに十分に短い時間に設定される。例として、齧歯動物又はゴキブリなどの虫を検出するために、デバウンス・タイマーは500ミリ秒後に経過するように設定される。実施形態によっては、デバウンス・タイマーの長さは設定可能である場合がある。例えば、監視対象スペース内のより速い動きを検出するために、デバウンス・タイマーはより短い時間に設定されることがある。別の例として、より大型の動物を検出するために、デバウンス・タイマーはより長い時間に設定されることがある。デバウンス・タイマーを設定した後、方法400は
図4に示すブロック402にループバックして、監視対象スペースの能動型IR監視を続ける。
【0079】
戻ってブロック430を参照すると、デバウンス・フラグが設定されている場合、方法400はブロック436に分岐する。ブロック436では、有害生物駆除機器102のアクティブIRセンサ142は、デバウンス・タイマーが満了したかどうかを判断する。上述したように、デバウンス・フラグ及びデバウンス・タイマーは、初めの検出が行われる際に設定される。デバウンス・タイマーが満了していない(例えば、500ミリ秒未満が初めの検出を経過した)場合、方法400は
図4に示すブロック402にループバックして、監視対象スペースの能動型IR監視を続ける。デバウンス・タイマーが満了した(例えば、初めの検出から500ミリ秒より長い時間が経過しており、信号が依然として検出される)場合、方法400はブロック438に進む。
【0080】
ブロック438では、有害生物駆除機器102のアクティブIRセンサ142は、有害生物検出イベントのために、コントローラ120を立ち上げる。例えば、アクティブIRセンサ142は、マイクロプロセッサ122又はコントローラ120の他の構成要素に割込みを行使することがある。コントローラ120は、
図6に関連して以下で更に説明するように、1つ又は複数の有害生物駆除動作を行うことがある。コントローラ120を立ち上げた後、方法400はブロック440に進み、ブロック440では、有害生物駆除機器102のアクティブIRセンサ142がデバウンス・フラグをクリアする。デバウンス・フラグをクリアした後、方法400は
図4に示すブロック402にループバックして、監視対象スペースの能動型IR監視を続ける。
【0081】
戻って
図4に示すブロック422を参照すると、検出シグネチャが所定のウィンドウの外側ではない場合、方法400はブロック424に進む。ブロック424では、有害生物駆除機器102のアクティブIRセンサ142は、デバウンス・タイマーが満了したかどうかを判断する。上述のように、デバウンス・タイマーは、潜在的な有害生物の初めの検出に応答して始動されることがある。デバウンス・タイマーが満了していない場合、方法400は以下に説明するブロック428に分岐する。デバウンス・タイマーが満了した(例えば、初めの検出から500ミリ秒より長い時間が経過しており、信号がもはや検出されない)場合、方法400はブロック426に進み、ブロック426では、有害生物駆除機器102のアクティブIRセンサ142がデバウンス・フラグをクリアする。デバウンス・フラグをクリアした後、方法400はブロック428に進む。
【0082】
ブロック428では、有害生物駆除機器102のアクティブIRセンサ142は、所定の時間の間パワーダウンする。パワーダウン時間は、設定可能であるか、又は、消費電力と検出頻度とのバランスを取るように調節可能である場合がある。例として、アクティブIRセンサ142は2秒間パワーダウンすることがあり、これは、アクティブIRセンサ142がアクティブIRシグネチャを2秒毎に測定することを意味する。このパワーダウン期間により、有害生物駆除機器102が、許容可能な検出頻度で、長い電池寿命を達成することが可能になることがある。実施形態によっては、例えば、有害生物が潜在的に検出されていてデバウンス・タイマーが満了していない場合、有害生物が検出された場合、又は他の状況において、検出頻度を上げるために、パワーダウン時間が短縮されることがある。所定の期間の間パワーダウンした後、アクティブIRセンサ142は、通常の動作を再開することがある。方法400はブロック402にループバックして、監視対象スペースの能動型IR監視を続ける。
【0083】
ここで
図6を参照すると、使用中に、有害生物駆除機器102は、有害生物検出応答のための方法600を実行することができる。実施形態によっては、方法600の動作は、コントローラ120などの、
図2に示すような有害生物駆除機器102の環境200の1つ又は複数の構成要素によって、行われることがあることを、理解されたい。方法600はブロック602で開始し、ブロック602では、有害生物駆除機器102は低電力状態に入る。有害生物駆除機器102は、コントローラ120をスリープ、スタンバイ、又は他の低電力状態にすることができる。コントローラ120が低電力状態である間、アクティブIRセンサ142は、
図4及び
図5に関連して上述したように監視対象スペースの能動型IR監視を自律的に行うことができる。コントローラ120は、アクティブIRセンサ142からの割込みを受け取るまで、低電力状態のままであることがある。割込みに応答して、コントローラ120のフルパワー動作が再開され、方法600はブロック604に進む。
【0084】
ブロック604では、有害生物駆除機器102はアクティブIRセンサ142からセンサデータを読み取ることがある。有害生物駆除機器102は、例えば、アクティブIRセンサ142の制御インターフェース152を使用して、IRシグネチャデータを読み取ることがある。ブロック606では、有害生物駆除機器102は、データストレージデバイス126又は有害生物駆除機器102の他の不揮発性ストレージに、有害生物イベントを記録することがある。その有害生物イベントデータは、例えば、モバイルコンピュータ機器(例えば、スマートフォン)を使用して、NFC回路134を介して、後で読み出されることがある。ブロック608では、有害生物駆除機器102は、遠隔システム104に通知を送信することがある。有害生物駆除機器102は、例えば、LoRa回路132を使用して、長距離低電力無線リンクを介して、通知を送信することがある。遠隔システム104は、例えば、ウェブポータル又は他の遠隔インターフェースを介して、有害生物イベントデータを利用可能にすることがある。上述したような有害生物駆除動作を行った後、方法600はブロック602にループバックし、ブロック602では、有害生物駆除機器102は低電力状態に再び入る。有害生物駆除機器102は、将来の検出イベントに応答して、再び立ち上げられることがある。
【0085】
ここで
図7を参照すると、有害生物駆除機器102の斜視図が示されている。
図7に示すように、有害生物駆除機器102は、内部を保護するケーシング700、コントローラ120などの電気部品、通信サブシステム128、及びアクティブIRセンサ142を含む。ケーシング700は、例示的に、水の浸入、埃、汚れ、葉、湿度、及びごみを含む環境要因から電気部品を保護するプラスチック材料から形成される。他の実施形態では、他の材料をケーシング700に使用することができることを理解されたい。ケーシング700(従って、有害生物駆除機器102)のサイズ決めは、例えば、有害生物及び監視環境の性質に依存することがあることを理解されたい。
【0086】
図7に示すように、IR LED146及びフォトダイオード148は、ケーシング700を貫通して延び、有害生物駆除機器102を取り巻く環境へのアクセスが可能である。実施形態によっては、IR LED146及び/又はフォトダイオード148は、レンズ、窓、又はIR光を透過させるケーシング700の他の部分の後ろに配置されることがある。例示的な実施形態では、有害生物駆除機器102は、ケーシング700の前面壁702上に「L字」パターンで配置される、3つのIR LED146を含む。上述したように、IR LED146がこの所定の「L字」パターンにあると、IR応答を使用して、監視対象スペースの3次元表現を構築することができる。図示するように、フォトダイオード148も前面壁702上に配置して、元々はIR LED146から放射された反射IR光を検出する。当然ながら、フォトダイオード148は、有害生物駆除機器102の環境からの周囲光も検出することがある。
【0087】
図示するように、アンテナ130が、ケーシング700の背面壁704から外に向かって延びる。アンテナ130は、その基部において有害生物駆除機器102に接続されている。実施形態によっては、有害生物駆除機器102はアンテナ130から切り離されていることがあり、他の実施形態では、有害生物駆除機器102及びアンテナ130は、単一のユニットとして形成されることがある。実施形態によっては、1つ又は複数のアンテナ130(例えば、NFCループアンテナ)が、有害生物駆除機器102のケーシング700の内部に含まれることがある。
【0088】
図7に示す例示的な有害生物駆除機器102は、スペース監視装置として使用され、けもの道、天井、住居空間若しくは商業空間、又は、有害生物の存在を監視するための他の場所に、直に置かれることがある。それらの実施形態では、有害生物駆除機器102からの報告は、有害生物が捕らえられたか又は殺されたかを示すのではなく、監視対象スペースにおける有害生物の存在及び/又は存在する頻度を示すことがある。これに加えて又はその代わりに、
図8で以下に示すように、実施形態によっては、有害生物駆除機器102は、生きたままの複数匹捕捉罠、餌ステーション、又は他の齧歯動物駆除ステーションに含まれることがある。更に、
図9~
図18で以下に示すように、実施形態によっては、有害生物駆除機器102は、虫駆除ステーションに含まれることがある。
【0089】
ここで
図8を参照すると、齧歯動物駆除ステーション800の斜視図が示されている。この例示的なステーション800は、ハウジング802、及びハウジング802内に配置された有害生物駆除機器102を含む。ステーション800は、有害生物が消費可能な材料の形態での餌804も含む。実施形態によっては、有害生物が消費可能な材料は、齧歯動物を殺す毒薬を含むことがある。他の実施形態では、餌804は、疑似餌又は有害生物を惹きつける他の材料であり得る。更に他の実施形態では、ステーション800は、餌を含んでいないことがある。他の実施形態では、ステーション800は、齧歯動物を捕獲及び/又は殺傷する罠を含むこともある。
【0090】
ハウジング802は、例示的に、硬くて耐久性のあるプラスチックから形成されるが、他の実施形態では、金属又は環境に耐性のある任意の材料から形成されることがある。ステーション800のハウジング802は、内部チャンバ808を規定する複数の外壁806を含む。有害生物駆除機器102及び餌804は、チャンバ808の中に配置される。例示的な実施形態では、齧歯動物は、向かい合わせの壁806のそれぞれに規定された円形の開口部810を通ってステーション800に入ることができる。
【0091】
例示的な実施形態では、有害生物駆除機器102は、チャンバ808の内部を監視するように構成される。上述したように、有害生物駆除機器102はIR LED146を用いてチャンバ808を照射し、フォトダイオード148を用いてIR応答シグネチャを測定する。上述したように、IRシグネチャの変化は、齧歯動物がチャンバ808に入ったことを示していることがある。有害生物駆除機器102は、チャンバ808内の齧歯動物の存在を、アンテナ130を介して遠隔システム104に報告することがある。図示するように、例示的な実施形態では、アンテナ130は、外壁806を通ってステーション800の外部に延びる。実施形態によっては、チャンバ808は、更なる通路又はチャンバに更に分割されることがある。それらの実施形態では、有害生物駆除機器102は、入口/出口、又はチャンバ808内部の他の所定のスペースを照射するように、チャンバ808内部に配置されることがある。
【0092】
ステーション800は、ハウジング802に蝶番で留められているカバー812も含む。カバー812は、例示的に、ハウジングと同じ材料から形成される。カバー812は、
図8に示す閉位置と開位置(図示せず)との間で可動であり、開位置では、チャンバ808、従って有害生物駆除機器102及び餌804は、維持保守又は他のサービスのためにアクセス可能になる。他の実施形態では、ハウジング802からカバー812を取り外すことができることを、理解されたい。更に他の実施形態では、ステーション800からカバー812を省くことがある。
【0093】
ここで
図9及び
図10を参照すると、虫駆除ステーション900が図示されている。この例示的なステーション900は、ハウジング902、及びハウジング902内に配置された有害生物駆除機器102を含む。ハウジング902は、例示的に、硬くて耐久性のあるプラスチックから形成されるが、他の実施形態では、金属又は環境に耐性のある任意の材料から形成されることがある。以下で更に説明するように、ハウジング902は、周囲光を吸収し虫検出を向上させるために、暗い色をしていることがある。
【0094】
ハウジング902は、ハウジングの両端に一対の開口部904、906を含む。開口部904、906は、ハウジング902の内部を通って延びる通路908と連絡している。開口部904、906のそれぞれは、側壁910、912、床914、及び天井916によって規定される。壁910、912、床914、及び/又は天井916は、開口部904、906のそれぞれが、通路908に向かって狭くなるように、傾斜しているか且つ/又は湾曲していることがある。使用時に、以下で更に説明するように、ゴキブリなどの虫が、開口部904、906のいずれかを通って通路908に這い入ることがある。実施形態によっては、床914は平坦であることがあり、且つ/又は、ゴキブリが通路908に入れるように傾斜路を形成することがある。
【0095】
図9に最も良く示されているように、通路908は、通路908内部の床914と天井916との間で規定される高さ918を有する。同様に、
図10に最も良く示されているように、通路908は、通路908内部の壁910と912との間で規定される幅920を有する。以下で更に説明するように、高さ918及び幅920は、特定の種類の虫が通路908に入れるようにするくらい十分に大きく、且つ、虫が通路908の中心に向かってとどまるのを促すくらい十分に小さいサイズにされる。例えば、ワモンゴキブリ及び/又はチャバネゴキブリ(German cockroach)を検出するために、高さ918は約17ミリメートルであることがあり、幅920は約17ミリメートルであることがある。これらの寸法では、通路908はワモンゴキブリを受け入れるのには十分な大きさでありながら、より小さなチャバネゴキブリの優れた検出を依然としてもたらす。
【0096】
図10に最も良く示されるように、有害生物駆除機器102は、通路908の上方に配置される。有害生物駆除機器102のIR LED146は、通路908の内部を照射するように構成される。例えば、IR LED146は有害生物駆除機器102の底面に含まれることがあり、通路908の天井916の窓又は他の開口部を介して、通路908を照射することがある。上述したように、有害生物駆除機器102はIR LED146を用いて通路908を照射し、フォトダイオード148を用いてIR応答シグネチャを測定する。図示するように、IR LEDは、通路908の最高感知ゾーン922を照射する。上述したように、IRシグネチャの過渡事象又は他の変化は、ゴキブリが通路908に入ったことを示していることがある。有害生物駆除機器102は、通路908内の虫の存在を、アンテナ130を介して遠隔システム104に報告することがある。有害生物駆除機器102は、最高感知ゾーン922内部の虫を検出する場合に最もよく機能することがある。例えば、ベースラインシグネチャと比較したIRシグネチャの変化は、虫が、通路908内部の他の場所及び/又はステーション900内部の他の場所にいるときと比べて、最高感知ゾーン922内にいるときに、最も大きくなることがある。
【0097】
例示的な最高感知ゾーン922は、通路908の壁910、912の間に延びる。ゴキブリは、他の多くの虫及び他の種類の動物と同様に、スペースに入る際、壁に沿って進むことを好む傾向がある。従って、開口部904、906を通路908に向けて狭くすることにより、壁910、912は、ゴキブリを最高感知ゾーン922へと導くことができる。同様に、床914及び天井916は、狭くなって、ゴキブリを最高感知ゾーン922へと導くことができる。更に、壁910、912、床914、及び/又は天井916を狭くすると、周囲光の一部又は全部が通路908に入射するのを遮断するか又は防止することができる。ゴキブリは暗い場所を好む傾向があり、通路908は周囲よりも暗いことがあるので、ゴキブリは通路908に入るように促されることがある。更に、周囲光を遮断すると、有害生物駆除機器102の検出性能が向上することがある。周囲光の遮断及び検出性能の他の改善により、環境の外乱(例えば、周囲光の変化、ステーション900の移動、衝撃、振動、又は他の外乱などの外乱)により引き起こされる誤検出に対する耐性が改善されることもある。
【0098】
図10に最も良く示されるように、ハウジングは、通路908の最高感知ゾーン922に隣接して配置される餌チャンバ924も含むことがある。各餌チャンバ924は、開口部926によって通路908から分離されており、開口部926は、ゴキブリが餌チャンバ924内の餌にアクセスすることはできるが、餌チャンバ924に入ることはできないようにする、窓、部分壁、又は他の開口部として具現化されることがある。各餌チャンバ924は、食べ物若しくは有害生物が消費可能な他の材料、疑似餌、又は有害生物を惹きつける他の材料、の形態をした餌で満たされていることがある。餌チャンバ924内に置かれた餌は、ゴキブリが通路908に入り、最高感知ゾーン922にとどまるように促すことができる。当然ながら、実施形態によっては、ステーション900は餌を含まないことがある。
【0099】
ここで
図11~
図14を参照すると、虫駆除ステーション1100の一実施形態が示されている。
図11の分解図に示すように、虫駆除ステーション1100は、トップカバー1102、有害生物駆除機器1110、挿入物1116、及びベース1126を含む。トップカバー1102は、底縁1106によって囲まれる内部体積1104を含む。内部体積1104は、有害生物駆除機器1110を収容するようにサイズ決めされている。実施形態によっては、内部体積1104は、有害生物駆除機器1110の外側ケーシングと係合するリブ又は他の突起(図示せず)を含むことがある。内部体積1104は、例示的に、4つのラグ1108も含む。
【0100】
有害生物駆除機器1110は、有害生物駆除機器102として具現化されることがあり、従って、1つ又は複数のIR LED146及びフォトダイオード148を含む。有害生物駆除機器1110は、内部を保護する外側ケーシング、コントローラ120などの電気部品、通信サブシステム128、及びアクティブIRセンサ142を含む。ケーシングは、例示的に、水の浸入、埃、汚れ、葉、湿度、及びごみを含む環境要因から電気部品を保護するプラスチック材料から形成される。例示的な有害生物駆除機器1110は、ケーシングの中に内部アンテナ130を含み、この内部アンテナ130は、遠隔システム104との通信を可能にする。上述のように、有害生物駆除機器1110は、トップカバー1102の内部体積1104の中に収容される。有害生物駆除機器1110の外側ケーシングは、内部体積1104の内部のトップカバー1102の1つ若しくは複数のリブ又は他の突起と係合することがある。
【0101】
図示するように、有害生物駆除機器1110は底面1112を含む。底面1112は窓1114を含み、窓1114は、透明なプラスチック、又はIR光及び実施形態によっては可視光を透過する他の材料として具現化されることがある。
図13に最も良く示されるように、IR LED146及びフォトダイオード148は、窓1114の後ろの有害生物駆除機器1110の内部に配置され、有害生物駆除機器1110を取り巻く環境へアクセスすることができる。この例示的な実施形態では、有害生物駆除機器102は3つのIR LED146を含み、それらのIR LED146は、窓1114の後ろで三角形のパターンに配置される。実施形態によっては、有害生物駆除機器1110は、消費電力を低減するために、IR LED146のうちの1つのみをアクティブにすることがある。
図13に最も良く示されるように、窓1114は、傾斜が付いている縁1164によって底面1112の内部に窪んだ所に置かれることがある。同様に、底面1112は、有害生物駆除機器1110の外縁1168から、傾斜が付いている縁1166によって窪んだ所に置かれることがある。
【0102】
挿入物1116は、中央開口部1118、4つの貫通孔1120、複数のスロット1122、及び底面1124を含む。挿入物1116は、底縁1106に沿って、トップカバー1102の内部体積1104の中にフィットするようにサイズ決めされる。スロット1122のそれぞれは、トップカバー1102のリブ又は他の突起を受け入れるようにサイズ決めされ配置されていることがある。中央開口部1118は、有害生物駆除機器1110の窓1114の下に配置される。実施形態によっては、中央開口部1118は、有害生物駆除機器1110の縁1164と係合するボス(突起)又は他の突起(図示せず)によって囲まれていることがある。
【0103】
ベース1126は、ベース1126の両端に一対の開口部1128、1130を含む。開口部1128、1130は、ベース1126の内部を通って延びる通路1132と連絡している。組み立てられると、開口部1128、1130のそれぞれは、ベース1126の側壁1134、1136及び床1138、並びに挿入物1116の底面1124によって規定される。壁1134、1136、及び/又は床1138は、開口部1128、1130のそれぞれが、通路1132に向かって狭くなるように、傾斜しているか且つ/又は湾曲していることがある。使用時に、以下で更に説明するように、ゴキブリなどの虫が、開口部1128、1130のいずれかを通って通路1132に這い入ることができる。実施形態によっては、床1138は平坦であることがあり、且つ/又は、ゴキブリが通路1132に入れるように傾斜路を形成することがある。
【0104】
図9~
図10に関連して上述したように、通路1132は、通路1132内部の床1138と表面1124との間で規定される高さ、並びに、通路1132内部の壁1134、1136の間で規定される幅、を有する。この例示的なステーション1100では、高さ及び幅はそれぞれ約17ミリメートルであり、これにより、ワモンゴキブリ及び/又はチャバネゴキブリの検出が可能になることがある。
【0105】
図12に最も良く示されるように、最高感知ゾーン922は、通路1132の一部をカバーする。組み立てられると、有害生物駆除機器1110は、通路1132の最高感知ゾーン922の上方に配置される。上述したように、有害生物駆除機器1110のIR LED146は、有害生物駆除機器1110の窓1114及び挿入物1116の開口部1118を介して、通路1132の内部を照射するように構成される。上述したように、有害生物駆除機器1110はIR LED146を用いて通路1132を照射し、フォトダイオード148を用いてIR応答シグネチャを測定する。上述したように、IRシグネチャの変化は、ゴキブリが通路1132に入ったことを示していることがある。有害生物駆除機器102は、通路1132内の虫の存在を、アンテナ130を介して遠隔システム104に報告することがある。有害生物駆除機器1110は、最高感知ゾーン922内部にいる虫を検出する場合に最もよく機能することがある。
【0106】
例示的な最高感知ゾーン922は、通路1132の壁1134、1136の間に延びる。ゴキブリは、他の多くの虫及び他の種類の動物と同様に、スペースに入る際、壁に沿って進むことを好む傾向がある。従って、開口部1128、1130を通路1132に向けて狭くすることにより、壁1134、1136は、ゴキブリを最高感知ゾーン922へと導くことができる。同様に、組み立てられると、床1138は表面1124に向けて盛り上がって、ゴキブリを最高感知ゾーン922へと導くことができる。
【0107】
図12に最も良く示されるように、ベース1126は、通路1132の最高感知ゾーン922に隣接して配置された一対の餌チャンバ1150、1152を含む。各餌チャンバ1150、1152は、それぞれの内壁1154、1156によって規定され、それぞれの部分壁1158、1160によって通路1132から分離されている。組み立てられると、各部分壁1158、1160は挿入物1116の底面1124と協働して、ゴキブリが餌チャンバ1150、1152の中の餌1162にアクセスできるが、餌チャンバ1150、1152に入れないようにする。各餌チャンバ1150、1152は、食べ物若しくは有害生物が消費可能な他の材料、疑似餌、又は有害生物を惹きつける他の材料、の形態をした餌1162で満たされていることがある。餌チャンバ1150、1152内に置かれた餌1162は、ゴキブリが通路1132に入り、最高感知ゾーン922にとどまるように促すことができる。実施形態によっては、餌1162は液体であることがあり、部分壁1158、1160は液体の餌1162が最高感知ゾーン922に広がるのを防止することがある。当然ながら、実施形態によっては、ステーション1100は餌を含まないことがある。
【0108】
ベース1126は、上面1142、1144から上方に延びる4つの柱1140を更に含む。上面1142、1144のそれぞれは、対応するリップ(縁)1146、1148によって部分的に囲まれている。
図14に最もよく示されるように、ステーション1100が組み立てられると、柱1140のそれぞれは、挿入物1116の対応する貫通孔1120を通過し、トップカバー1102の対応するラグ1108によって受け止められる。挿入物1116の底面1124はベース1126の上面1142、1144と係合し、トップカバー1102の底縁1106はベース1126のリップ1146、1148と係合する。組み立てられると、壁1134、1136、床1138、及び表面1124は、協働して通路1132を規定する。
【0109】
上述のように、組み立てられると、ステーション1100は、一部又は全部の周囲光が通路1132に入射するのを防止する。ゴキブリは暗い場所を好む傾向があり、通路1132は周囲よりも暗いことがあるので、ゴキブリは通路1132に入るように促されることがある。更に、周囲光を遮断すると、有害生物駆除機器1110の検出性能が向上することがある。更に、挿入物1116はゴキブリがトップカバー1102の内部体積1104にアクセスするのを防止することができ、従って、ゴキブリを最高感知ゾーン922に一層導くことができる。
【0110】
別々のトップカバー1102及び挿入物1116を含むものとして示されているが、実施形態によっては、ステーション1100は、これらの構成要素の特徴のうちの幾つか又は全部を組み合わせて単一の構成要素にすることがあることを理解されたい。例えば、トップカバー1102は、ベース1126の壁1134、1136及び床1138と協働して通路1132を規定する、一体型底面を含むことがある。別の例として、トップカバー1102、有害生物駆除機器1110、及び挿入物1116は、単一の構成要素に組み合わされることがあり、この単一の構成要素は、ベース1126と結合して通路1132を規定することができる。
【0111】
トップカバー1102、有害生物駆除機器1110の外側ケーシング、挿入物1116、及びベース1126を含む、ステーション1100の構成要素は、例示的に、硬くて耐久性のあるプラスチックから形成され、黒色か又は暗い色をしていることがある。或いは、実施形態によっては、トップカバー1102、有害生物駆除機器1110の外側ケーシング、挿入物1116、及びベース1126は、白色か又は明るい色をしていることがあり、これにより、特定の虫の検出性能が向上することがある。これらの構成要素は、型に入れて成形されるか、3D印刷される(即ち、積層造形)か、又は他の方法で構築されることがある。特に、トップカバー1102、挿入物1116、及び/又はベース1126は、実施形態によっては、中実であることも、中空であることも、又は部分的に中が詰まっていることもある。
【0112】
ここで
図15を参照すると、プロット1500は、
図11~
図14のステーション1100によって達成することができる実験結果を示す。プロット1500は、有害生物駆除機器1110のアクティブ赤外線センサ142によって記録されたセンサ値を示している。センサ値は、無次元の数値として具現化されることがある。図示するように、記録されたセンサ値は、ベースラインを超える複数のピークを含み、それらのピークのそれぞれは、ゴキブリが検出された可能性があることを示している。従って、この例示的な実験結果は、空のときにステーション1100の内部が反射するよりも、ゴキブリがより多くの赤外光を反射することを示している。
【0113】
プロット1500は、閾値1502、1504も示している。センサ値が閾値1502よりも大きくなるか、且つ/又は閾値1504よりも小さくなると、有害生物駆除機器1110は、アラート又は他の有害生物検出イベントを生成することがある。閾値1502、1504のそれぞれは、ステーション1100が空のときに測定されたベースラインセンサ値に基づいて、決定されることがある。例えば、閾値1502、1504のそれぞれは、それぞれ40%、100%であるか、又はベースラインよりも高いか若しくは低い別のパーセンテージであり得る。実施形態によっては、単一の閾値のみが使用されることがある。例えば、ゴキブリがステーション1100の内部よりもより多くの赤外光を反射する、この例示的な実施形態では、有害生物駆除機器1110は、高い方の閾値1502のみを監視することがある。
【0114】
ここで
図16~
図18を参照すると、虫駆除ステーション1600の一実施形態が示されている。
図16の分解図に示すように、虫駆除ステーション1600は、トップカバー1602、有害生物駆除機器1620、及びベース1632を含む。トップカバー1602は、底縁1606及び内側ショルダー1608によって囲まれる内部体積1604を含む(
図17に最も良く示されている)。内部体積1604は、有害生物駆除機器1620を収容するようにサイズ決めされている。トップカバー1602の側面は、窪み1610、1612を含み、これらの窪みにより、トップカバー1602の内部体積1604が狭くなり、有害生物駆除機器1620の外側ケーシングと係合するようになる。トップカバー1602は、底縁1606及びショルダー1608に形成されたノッチ1614、1616を更に含む。
図17に最もよく示されているように、トップカバー1602の内部体積1604は、有害生物駆除機器1620の外側ケーシングと係合する突起1618を更に含む。
【0115】
有害生物駆除機器1620は、有害生物駆除機器102として具現化されることがあり、従って、1つ又は複数のIR LED146及びフォトダイオード148を含む。有害生物駆除機器1620は、内部を保護する外側ケーシング、コントローラ120などの電気部品、通信サブシステム128、及びアクティブIRセンサ142を含む。ケーシングは、例示的に、水の浸入、埃、汚れ、葉、湿度、及びごみを含む環境要因から電気部品を保護するプラスチック材料から形成される。例示的な有害生物駆除機器1620は、ケーシングの中に内部アンテナ130を含み、この内部アンテナ130は、遠隔システム104との通信を可能にする。上述のように、有害生物駆除機器1620は、トップカバー1602の内部体積1604の中に収容される。上述したように、有害生物駆除機器1620の外側ケーシングは、内部体積1604の内側で、トップカバー1602の窪み1610、1612及び突起1618と係合することがある。
【0116】
図示するように、有害生物駆除機器1620は底面1622を含む。底面1622は窓1624を含み、窓1624は、透明なプラスチック、又はIR光及び実施形態によっては可視光を透過する他の材料として具現化されることがある。
図17に最も良く示されるように、IR LED146及びフォトダイオード148は、窓1624の後ろの有害生物駆除機器1620の内部に配置され、有害生物駆除機器1620を取り巻く環境へアクセスすることができる。この例示的な実施形態では、有害生物駆除機器1620は3つのIR LED146を含み、それらのIR LED146は、窓1624の後ろで三角形のパターンに配置される。実施形態によっては、有害生物駆除機器1620は、消費電力を低減するために、IR LED146のうちの1つのみをアクティブにすることがある。
図17に最も良く示されるように、窓1624は、傾斜が付いている縁1626によって底面1622の内部に窪んだ所に置かれることがある。同様に、底面1622は、有害生物駆除機器1620の外縁1630から、傾斜が付いている縁1628によって窪んだ所に置かれることがある。
【0117】
ベース1632は、ベース1632の両端に一対の開口部1634、1636を含む。開口部1634、1636は、ベース1632の内部を通って延びる通路1638と連絡している。組み立てられると、開口部1634、1636のそれぞれは、ベース1632の側壁1640、1642及び床1644、並びに有害生物駆除機器1620の底面1622によって規定される。壁1640、1642、及び/又は床1644は、開口部1634、1636のそれぞれが、通路1638に向かって狭くなるように、傾斜しているか且つ/又は湾曲していることがある。使用時に、以下で更に説明するように、ゴキブリなどの虫が、開口部1634、1636のいずれかを通って通路1638に這い入ることができる。実施形態によっては、床1644は平坦であることがあり、且つ/又は、ゴキブリが通路1638に入れるように傾斜路を形成することがある。
【0118】
図9~
図10に関連して上述したように、通路1638は、通路1638内部の床1644と表面1622との間で規定される高さ、並びに、通路1638内部の壁1640、1642の間で規定される幅、を有する。この例示的なステーション1600では、高さ及び幅はそれぞれ約17ミリメートルであり、これにより、ワモンゴキブリ及び/又はチャバネゴキブリの検出が可能になることがある。
【0119】
組み立てられると、有害生物駆除機器1620は、通路1638の最高感知ゾーン922の上方に配置される。上述したように、有害生物駆除機器1620のIR LED146は、有害生物駆除機器1620の窓1624を介して、通路1638の内部を照射するように構成される。上述したように、有害生物駆除機器1620はIR LED146を用いて通路1638を照射し、フォトダイオード148を用いてIR応答シグネチャを測定する。上述したように、IRシグネチャの変化は、ゴキブリが通路1638に入ったことを示していることがある。有害生物駆除機器1620は、通路1638内の虫の存在を、アンテナ130を介して遠隔システム104に報告することがある。有害生物駆除機器1620は、最高感知ゾーン922内部にいる虫を検出する場合に最もよく機能することがある。
【0120】
例示的な最高感知ゾーン922は、通路1638の壁1640、1642の間に延びる。ゴキブリは、他の多くの虫及び他の種類の動物と同様に、スペースに入る際、壁に沿って進むことを好む傾向がある。従って、開口部1634、1636を通路1638に向けて狭くすることにより、壁1640、1642は、ゴキブリを最高感知ゾーン922へと導くことができる。同様に、組み立てられると、床1644は表面1622に向けて盛り上がって、ゴキブリを最高感知ゾーン922へと導くことができる。
【0121】
図16に最も良く示されるように、ベース1632は、通路1638の最高感知ゾーン922に隣接して配置された一対の餌チャンバ1646、1648を含む。各餌チャンバ1646、1648は、それぞれの内壁1650、1652によって規定され、それぞれの部分壁1654、1656によって通路1638から分離されている。組み立てられると、各部分壁1654、1656は有害生物駆除機器1620の底面1622と協働して、ゴキブリが餌チャンバ1646、1648の中の餌にアクセスできるが、餌チャンバ1646、1648に入れないようにする。各餌チャンバ1646、1648は、食べ物若しくは有害生物が消費可能な他の材料、疑似餌、又は有害生物を惹きつける他の材料、の形態をした餌で満たされていることがある。餌チャンバ1646、1648内に置かれた餌は、ゴキブリが通路1638に入り、最高感知ゾーン922にとどまるように促すことができる。実施形態によっては、餌は液体であることがあり、部分壁1654、1656は液体の餌が最高感知ゾーン922に広がるのを防止することがある。当然ながら、実施形態によっては、ステーション1600は餌を含まないことがある。
【0122】
ベース1632は、対応するリップ1662、1664によってそれぞれ部分的に囲まれている上面1658、1660を更に含む。ベース1632は、リップ1662、1664からそれぞれ上方に延びるタブ1666、1668を更に含む。
図18に最もよく示されているように、ステーション1600が組み立てられると、タブ1666、1668のそれぞれは、トップカバー1602の対応するノッチ1614、1616と係合し、従って、ステーション1600を一緒にしっかりと保持する。組み立てられると、有害生物駆除機器1620の底面1622はベース1632の上面1658、1660と係合し、トップカバー1602の底縁1606はベース1632のリップ1662、1664と係合する。組み立てられると、壁1640、1642、床1644、及び表面1622は、協働して通路1638を規定する。
【0123】
上述のように、組み立てられると、ステーション1600は、一部又は全部の周囲光が通路1638に入射するのを防止する。ゴキブリは暗い場所を好む傾向があり、通路1638は周囲よりも暗いことがあるので、ゴキブリは通路1638に入るように促されることがある。更に、周囲光を遮断すると、有害生物駆除機器1620の検出性能が向上することがある。更に、
図16~
図18の例示的な実施形態では、有害生物駆除機器1620の底面1622は通路1638を完全に覆うことができ、従って、ゴキブリが通路1638から出てトップカバー1602の内部体積1604に進入するのを防止することができる。
【0124】
トップカバー1602、有害生物駆除機器1620の外側ケーシング、及びベース1632を含む、ステーション1600の構成要素は、例示的に、硬くて耐久性のあるプラスチックから形成され、黒色か又は暗い色をしていることがある。或いは、実施形態によっては、トップカバー1602、有害生物駆除機器1620の外側ケーシング、及びベース1632は、白色か又は明るい色をしていることがあり、これにより、特定の虫の検出性能が向上することがある。これらの構成要素は、型に入れて成形されるか、3D印刷される(即ち、積層造形)か、又は他の方法で構築されることがある。特に、トップカバー1602、及び/又はベース1632は、実施形態によっては、中実であることも、中空であることも、又は部分的に中が詰まっていることもある。
【0125】
本開示について図面及び前述の説明において詳細に例示し説明してきたが、そのような例示及び説明は、例であり、特徴を限定するものではないものとして見なされるべきであり、単なる例示的な実施形態が示され説明されたに過ぎず、本開示の趣旨に含まれる全ての変更形態及び修正形態が保護されることが望まれることを、理解されたい。
【0126】
本明細書に記載される方法、装置、及びシステムの様々な特徴から生じる、本開示の複数の利点がある。本開示の方法、装置、及びシステムの代替的な実施形態は、記載された特徴の全てを含まないながらも、そのような特徴の少なくとも一部の利点から恩恵を受けることがあることに、留意されたい。当業者であれば、本発明の特徴のうちの1つ又は複数を取り入れ、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本開示の趣旨及び範囲に含まれる、方法、装置、及びシステムの、独自の実施態様を、容易に考案することができる。
【国際調査報告】