(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】気相重合プロセスのための帯電防止剤の連続供給
(51)【国際特許分類】
C09K 3/16 20060101AFI20220414BHJP
C08F 10/00 20060101ALI20220414BHJP
C08F 2/00 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
C09K3/16
C09K3/16 102E
C08F10/00
C08F2/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537859
(86)(22)【出願日】2019-12-28
(85)【翻訳文提出日】2021-08-24
(86)【国際出願番号】 IB2019039762
(87)【国際公開番号】W WO2020136443
(87)【国際公開日】2020-07-02
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514091253
【氏名又は名称】ブラスケム・エス・エー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】オラーヴォ・マーティンズ・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ディホゲネス・アドリアーノ・ポッツァー
(72)【発明者】
【氏名】エリタ・カヴァッリ
(72)【発明者】
【氏名】アドリアーノ・ジラルディ・フィッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・オソリオ・ヒメネス
【テーマコード(参考)】
4J011
4J100
【Fターム(参考)】
4J011AA01
4J011AA02
4J011AA03
4J011AA09
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4J011MB01
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4J011MB05
4J100AA02P
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4J100JA50
4J100JA59
(57)【要約】
本方法は、帯電防止剤を少なくとも1つのアルキルアルミニウムと反応させて帯電防止複合剤を形成する工程を含み得、さらに、この帯電防止複合剤を重合プロセスに供給する工程を含み得る。重合プロセスにおいて帯電防止剤を使用する方法は、帯電防止剤を重合プロセスに供給する工程、続いて、帯電防止剤を少なくとも1つのアルキルアルミニウムと反応させる工程を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電防止剤を少なくとも1つのアルキルアルミニウムと反応させて帯電防止複合剤を形成させる工程を含む、方法。
【請求項2】
前記帯電防止複合剤を、重合プロセスに供給する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記帯電防止剤を少なくとも1つのアルキルアルミニウムと反応させる工程の前に、前記帯電防止剤を少なくとも1つの炭化水素化合物と混合する工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
重合プロセスにおいて帯電防止剤を使用する方法であって、
帯電防止剤を重合プロセスに供給する工程;続いて
前記帯電防止剤を少なくとも1つのアルキルアルミニウムと反応させる工程
を含む、方法。
【請求項5】
前記帯電防止剤を重合プロセスに供給する工程の前に、前記帯電防止剤を少なくとも1つの炭化水素化合物と混合する工程をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記帯電防止剤が脂肪酸のエステルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記帯電防止剤を少なくとも1つのアルキルアルミニウムと反応させることにより、脂肪酸のエステル、アルキルアルミニウム、及び脂肪酸のエステルとアルキルアルミニウムとの間の1つ以上の反応生成物を含む帯電防止複合剤がもたらされる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の反応生成物が、前記帯電防止剤と反応させた前記少なくとも1つのアルキルアルミニウムとは異なるステアリン酸アルミニウム及び/又はアルキルアルミニウムを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記炭化水素化合物がC3~C6炭化水素である、請求項3及び5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記炭化水素化合物が飽和である、請求項3及び5~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記炭化水素化合物が不飽和である、請求項3及び5~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記帯電防止剤の量が、前記アルキルアルミニウムの量に対して、約1:1~約1:200の範囲のモル比である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記帯電防止剤の量が、前記アルキルアルミニウムの量に対して、約1:10~約1:150の範囲のモル比である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記帯電防止剤の量が、前記アルキルアルミニウムの量に対して、約1:50~約1:100の範囲のモル比である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アルキルアルミニウムがトリエチルアルミニウム及びトリイソブチルアルミニウムのうちの1つである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記帯電防止剤の量が前記、前記炭化水素化合物の量に対して、約1:10~約9:10の範囲の質量比である、請求項3及び5~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記帯電防止剤及び前記炭化水素化合物を、連続撹拌槽型反応器又はインラインミキサーのいずれかを使用して混合する、請求項3及び5~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記帯電防止複合剤が、バルブレスポンプによって前記重合プロセスに供給される、請求項2~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記重合プロセスが気相重合である、請求項2~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記重合プロセスが、メタロセン触媒又はチーグラー・ナッタ触媒のいずれかを使用する、請求項2~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記前記重合プロセスが、エチレン、プロピレン、ブテン、及びヘキセンのうちの少なくとも1つ以上を重合する、請求項2~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記重合プロセスがホモポリマーを生成する、請求項2~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ホモポリマーがポリプロピレン及びポリエチレンのうちの1つである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記重合プロセスがコポリマーを生成する、請求項2~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記コポリマーが、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン異相コポリマー、ポリプロピレンターポリマー、及び線状低密度ポリエチレンのうちの1つである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記帯電防止複合剤を、前記重合プロセスを実行するために使用している、気相反応器、ループ反応器、排出反応器ライン、気相リサイクルライン、バッグフィルター、又は熱交換器のうちの1つ以上で前記重合プロセスに供給する、請求項2~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記供給を、重合プロセスの間連続的に行う、請求項2~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
帯電防止剤を、ポリマー生成の速度に対して、約5~1000質量ppmの範囲の速度で重合プロセスに供給する、請求項2~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
請求項2~28のいずれか一項に記載の方法によって製造されるポリマー。
【請求項30】
請求項1~3及び6~16のいずれか一項に記載の方法によって製造される帯電防止複合剤。
【請求項31】
少なくとも1つの炭化水素化合物をさらに含む、請求項30に記載の帯電防止複合剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止剤を少なくとも1つのアルキルアルミニウムと反応させて帯電防止複合剤を形成する工程を含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気相重合は、様々なポリマーを効果的に調製するための一般的なプロセスである。特に、軽質オレフィンのホモポリマー、例えばエチレン又はプロピレンなど、及び、エチレン及び/又はプロピレンとC4-C8α-オレフィンとのコポリマーは、気相重合によって効率的に製造することができる。
【0003】
気相重合用の反応器は、一般に、ガス混合物の存在下にある重合中のポリマー粒子から構成される流動床を含む。流動状態の床を有することは、それが床とガス混合物との間の接触を最大にするための非常に高い表面積を提供するため、一般に有利である。さらに、流動床は、粒子相の完全な混合、及びポリマー粒子間及びポリマー粒子と反応器壁との間のより頻繁な衝突を可能にする。
【0004】
しかし、これらの頻繁な粒子-粒子及び粒子-壁の衝突は、静電荷の形成をもたらし得、これにより、ポリマー粒子と反応器壁との間に静電気力がもたらされる可能性がある。これにより、反応器内に、「シーティング」又は「チャンキング」と呼ばれることが多い固形物が蓄積される場合がある。これらの現象により、流動化を妨害し、ガスの流れに影響を及ぼし、生成物の出口を遮断することにより、重合プロセスに悪影響を与えるポリマーの固体塊がもたらされ得る。このような結果は、重合の効率及び信頼性を低下させ、洗浄のために反応器を停止させることを余儀なくさせる可能性がある。
【0005】
このような固体の蓄積は、静電荷の形成を制限し、反応器床の流動状態を維持することができる帯電防止剤の使用によって防止することができる。一般に、帯電防止剤は、極性官能基、例えばヒドロキシル、エステル、エーテル、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、シロキシ、シラン、又はスルホネート基などを有する化合物を含む。
【0006】
例えば、欧州特許第1255783号には、金属カルボン酸塩を重合反応器に導入して、ファウリング及びシーティングのレベルを低減し、連続重合プロセスの正常な動作を維持する方法が記載されている。米国特許第8,017,703号には、ポリグリセリンエステルを重合反応器に連続的に供給して、不均一物の生成を抑制する方法が記載されている。
【0007】
さらなる例として、帯電防止剤の存在下でのオレフィンの重合方法が記載されている米国特許出願公開第2012/0283369号が挙げられ、ここで、帯電防止剤は、ポリスルホンコポリマー、塩基性窒素原子を含むポリマー化合物、油溶性スルホン酸、及び溶媒を含む組成物である。米国特許第8,865,847号には、脂肪酸由来のジアルカノールアミド、油溶性スルホン酸、及びジアルカノールアミンを含む帯電防止連続的添加剤の存在下で、エチレン及び任意選択でアルファオレフィンを重合するためのプロセスが記載されている。欧州特許出願公開第3034519号には、脂肪酸と、C4-C6糖アルコール、脱水C4-C6糖アルコール、及びC4-C6単糖類からなる群から選択されるポリオールとのエステルを帯電防止剤として使用する、オレフィン重合のための気相プロセスが記載されている。
【0008】
しかし、ほとんどの帯電防止剤は、オレフィン重合触媒の活性に悪影響を与えることが知られている。これにより、使用することができる帯電防止剤の量が制限され、したがって、触媒活性を維持することと、反応器内の固体の蓄積を効果的に防止することとの間で妥協する結果となる。
【0009】
食品接触用途のためのポリマーの製造のための帯電防止剤の使用は、欧州委員会及び米国食品医薬品局などの政府規制機関によって実施されている規制によってさらに制限されている。制限されている化合物には、エトキシル化アミン、アルキルベンゼンスルホン酸、ランダムエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーなどが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第1255783号
【特許文献2】米国特許第8,017,703号
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/0283369号
【特許文献4】米国特許第8,865,847号
【特許文献5】欧州特許出願公開第3034519号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、ポリマー粒子の蓄積を防止するだけでなく、一般的な重合触媒の触媒活性を阻害せず、食品及び医療業界などで高度に規制された用途での使用を可能にする、効果的な帯電防止剤の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この要約は、以下の詳細な説明でさらに説明する概念の選択を紹介するために提供する。この要約は、請求項に記載した発明特定事項の重要な又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、請求項に記載した発明特定事項を制限する助けとして使用されることも意図するものでもない。
【0013】
1つの側面では、本明細書に開示する実施態様は、帯電防止剤を少なくとも1つのアルキルアルミニウムと反応させて帯電防止複合剤を形成する工程を含み得る方法に関する。
【0014】
別の側面では、本明細書に開示する実施態様は、重合プロセスにおいて帯電防止剤を使用する方法に関する。そのような方法は、帯電防止剤を重合プロセスに供給する工程と、続いて、帯電防止剤を少なくとも1つのアルキルアルミニウムと反応させる工程とを含み得る。
【0015】
別の側面では、本明細書に開示する実施態様は、帯電防止剤を重合プロセスに供給する工程と、続いて、帯電防止剤を少なくとも1つのアルキルアルミニウムと反応させる工程とを含み得る方法によって製造されるポリマーに関する。
【0016】
別の側面では、本明細書に開示する実施態様は、帯電防止剤を少なくとも1つのアルキルアルミニウムと反応させる工程を含み得る方法によって形成される帯電防止複合剤に関する。
【0017】
請求項に記載した発明特定事項の他の態様及び利点は、以下の説明及び添付の請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の1つ以上の実施態様による、重合プロセスにおいて帯電防止剤を使用する方法を示す流れ図である。
【
図2】本発明の1つ以上の実施態様による、重合プロセスにおいて帯電防止剤を使用する方法を示す流れ図である。
【
図3】様々な帯電防止剤及び帯電防止複合剤の導電率を示す。
【
図4】オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステルのシミュレートした
1H NMRスペクトルを示す。
【
図5】オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステルを含む様々な帯電防止複合剤の
1H NMRスペクトルを示す。
【
図6】オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステルとトリブチルアルミニウムとの反応から生じる単一の相の写真を示す。
【
図7】オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステルとトリエチルアルミニウムとの反応から生じる2つの相の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1つの側面では、本明細書に開示する実施態様は、帯電防止複合剤を生成するための方法に関する。1つ以上の実施態様では、この方法は、帯電防止複合剤を少なくとも1つのアルキルアルミニウムと反応させる工程を含み得る。開示する実施態様の別の側面は、そのような方法によって生成される帯電防止複合剤に関する。
【0020】
別の側面において、本明細書に開示する実施態様は、重合プロセスにおける帯電防止剤の使用に関する。1つ以上の実施態様では、本発明による方法は、帯電防止剤をアルキルアルミニウムなどの1つ以上の化合物と反応させて、その後重合プロセスに供給することができる帯電防止複合剤を得る工程を含み得る。他の実施態様では、本発明による方法は、最初に帯電防止剤を重合プロセスに供給し、続いて帯電防止剤をアルキルアルミニウムなどの1つ以上の化合物と反応させて、系内(in situ)で帯電防止複合剤を生じさせる工程を含み得る。開示する実施態様の別の側面は、そのような方法によって製造されるポリマーに関する。
【0021】
典型的な帯電防止剤は、それが重合触媒の活性に悪影響を与え得るため、重合プロセスに有害である可能性がある。そのような場合、それは、使用する帯電防止剤の量を制限しなければならず、その有効性が制限されることを意味する。本開示による方法は、アルキルアルミニウムと反応した帯電防止剤を使用することができる。この方法は、改善された帯電防止効果をもたらし、他の帯電防止剤よりも少ない程度で重合触媒の活性を妨げ得るため、典型的なプロセスよりも有利であり得る。さらに、本発明による方法は、例えば、食品接触用途での使用が制限されていない帯電防止剤を使用することができる。
【0022】
帯電防止複合剤を形成する方法
本開示の1つ以上の実施態様による方法は、少なくとも1つの帯電防止剤を少なくとも1つのアルキルアルミニウムと反応させて帯電防止複合剤を形成する工程を含み得る。さらなる実施態様において、この帯電防止複合剤を、重合プロセスにおいて使用することができる。
【0023】
1つ以上の実施態様の方法において、反応させる帯電防止剤の量は、アルキルアルミニウムの量に対して、約1:1から約1:200の範囲のモル比である。他の実施態様では、帯電防止剤の量は、アルキルアルミニウムの量に対するモル比で、1:1、1:10、又は1:50のいずれかの下限から、1:100、1:150、又は1:200のいずれかの上限までの範囲である。ここで、いずれか下限をいずれかの上限と組み合わせて使用することができる。
【0024】
方法は、任意のアルキルアルミニウム、又はそれらの組み合わせを使用することができるが、いくつかの実施態様では、アルキルアルミニウムは、特にトリアルキルアルミニウムであり得る。1つ以上の実施態様では、アルキルアルミニウムは、トリエチルアルミニウム及びトリイソブチルアルミニウムのうちの1つ以上である。
【0025】
1つ以上の実施態様による方法は、当技術分野で知られている任意の帯電防止剤を使用することができる。しかし、多くの実施態様の方法において、帯電防止剤は、特に脂肪酸のエステルである。例えば、脂肪酸のエステルは、より具体的な実施態様では、C6~C26又はC12~C22の長さを有する飽和又は不飽和の脂肪酸から形成され得る。そのような脂肪酸は、特定の実施態様において、グリセロールなどのポリオールと反応させることができる。しかし、ポリオールは、脂肪酸を含むがこれに限定されない、ポリオールと反応した1つ以上の酸を有し得ることも理解される。例えば、その形成された1つ以上のエステル基は、脂肪酸ではない有機酸、例えば、酢酸、クエン酸、又は他のより短い有機酸などとのエステル基であることが理解される。脂肪酸のエステルは、任意の適切な形態で、例えば、固体状態で、あるいは液体状態の担体と混合された形態で、使用することができる。
【0026】
1つ以上の実施態様では、本開示による方法は、特定の用途、例えば1つ以上の食品及び医療産業などでの使用が政府規制機関によって承認されている帯電防止剤を使用することができる。1つ以上の実施態様では、帯電防止剤は、食品包装材料での使用において米国食品医薬品局によって承認されている、21 C.F.R. 178.3130にリストされているものである。1つ以上の実施態様で使用される脂肪エステルのエステルは、例えば、Grindsted PGE O 80D又はGrindsted PS432(両方ともDuPont社によって販売されている)又はCithrol GMS90(Croda社によって販売されている)であり得る。
【0027】
1つ以上の実施態様による帯電防止複合剤を形成する方法は、帯電防止剤をアルキルアルミニウムと反応させる前に、任意選択で帯電防止剤を少なくとも1つの炭化水素化合物と混合する工程を含み得る。いくつかの実施態様では、炭化水素化合物は、C3~C6炭化水素であり得、直鎖状であっても分枝状であってもよい。炭化水素は、飽和であってもよく、いくつかの実施態様では、プロパン、ブタン、イソブテン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどから選択され得る。炭化水素は不飽和であってもよく、いくつかの実施態様では、プロペン、ブテン、イソブテン、ペンテン、イソペンテンなどから選択され得る。炭化水素は、特に液体状態であり得る。
【0028】
いくつかの実施態様では、帯電防止剤は、炭化水素化合物と、炭化水素化合物の量に対して、約1:10~約9:10の範囲の質量比で混合される。いくつかの実施態様では、帯電防止剤及び炭化水素化合物は、連続撹拌槽型反応器又はインラインミキサーのいずれかを使用して混合することができる。
【0029】
帯電防止複合剤
本開示の1つ以上の実施態様による帯電防止複合剤は、上述した方法のいずれかによって製造し得る。1つ以上の実施態様では、帯電防止複合剤は、帯電防止剤とアルキルアルミニウムとの反応によって形成され得る。いくつかの実施態様では、帯電防止複合剤は、未反応の帯電防止剤よりも、静電気の蓄積を制限し、粒子の蓄積を防ぐのにより効果的である。いくつかの実施態様では、帯電防止複合剤は、それが重合触媒の触媒活性を阻害しないという点で有利であり得る。
【0030】
1つ以上の実施態様の帯電防止複合剤は、帯電防止剤、1つ以上のアルキルアルミニウム、及び、帯電防止剤とアルキルアルミニウムとの間の反応の少なくとも1つの生成物、を含み得る。帯電防止剤が脂肪酸のエステルである実施態様では、前記反応生成物は、帯電防止剤と反応させたアルキルアルミニウムとは異なる1つ以上のアルキルアルミニウム、及び/又は、アルミニウム石鹸として定義され得る化合物、例えばアルミニウムステアレートなどを含み得る。
【0031】
1つ以上の実施態様の帯電防止複合剤組成物は、少なくとも1つの炭化水素化合物をさらに含み得る。炭化水素はC3~C6炭化水素であってよく、直鎖状であっても分岐状であってもよい。炭化水素は飽和であってもよく、いくつかの実施態様では、プロパン、ブタン、イソブテン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどから選択され得る。炭化水素は不飽和であってもよく、いくつかの実施態様では、プロペン、ブテン、イソブテン、ペンテン、イソペンテンなどから選択され得る。炭化水素は、特に液体状態であり得る。
【0032】
重合プロセスにおける帯電防止剤の使用
上で詳述した帯電防止剤及び帯電防止複合剤を、重合プロセスで使用することができる。1つ以上の実施態様では、帯電防止複合剤は、ポリマー粒子の帯電を制限し、帯電の結果として生じる、重合の効率及び信頼性に悪影響を及ぼし得るポリマーの固体塊の蓄積を防止し得る。
【0033】
1つ以上の実施態様による、重合プロセスにおいて帯電防止剤を使用する方法は、少なくとも、帯電防止剤(又は帯電防止複合剤)を重合プロセスに供給する供給工程、及び帯電防止剤を少なくとも1つのアルキルアルミニウムと反応させる工程を含み得る。1つ以上の実施態様の方法は、帯電防止剤を炭化水素化合物と混合する工程をさらに含み得る。これらのステップの順序は特に制限されず、目的のプロセスに適したものであればどれであってもよい。
【0034】
本開示の1つ以上の実施態様による、重合プロセスにおける帯電防止剤を使用する方法を、
図1に示す。
図1において、帯電防止剤100を、炭化水素化合物101と、混合工程110で混合することができる。次に、得られた混合物をアルキルアルミニウム102と反応させて、上述したように帯電防止複合剤111を得ることができる。次に、供給工程112では、帯電防止複合剤を重合プロセス113に供給することができる。いくつかの実施態様では、帯電防止剤を、炭化水素と混合することなく、代わりにアルキルアルミニウム102と直接反応させて帯電防止複合剤111を得た後、重合プロセス113へと供給する(112)。
【0035】
本開示の1つ以上の実施態様による、重合プロセスにおいて帯電防止剤を使用する第2の方法を、
図2に示す。
図2において、帯電防止剤200を、混合工程210において炭化水素化合物201と混合することができる。次に、得られた混合物を重合プロセス213へと供給することができる(212)。その後の帯電防止剤とアルキルアルミニウム202との反応により、系内で生成する帯電防止複合剤211が得られる。いくつかの実施態様では、帯電防止剤を、炭化水素と混合することなく、代わりに、アルキルアルミニウム202と反応させて帯電防止複合剤211を生成させる前に、重合プロセス213に直接供給する(212)。
【0036】
供給
1つ以上の実施態様による方法の供給工程は、当技術分野で知られている任意の適切な手段を使用して実施することができる。特定の実施態様では、バルブレスポンプを使用することができる。いくつかの実施態様では、バルブレスポンプはピストンポンプであり得る。1つ以上の実施態様では、供給工程は、重合プロセスの間連続的に実施することができる。
【0037】
供給工程は、帯電防止複合剤又は帯電防止複剤を重合プロセスの任意の適切な段階に供給することができる。1つ以上の実施態様では、帯電防止複合剤又は帯電防止剤を、重合プロセスに、その重合プロセスを実行するために使用されている、気相反応器、ループ反応器、排出反応器ライン、気相リサイクルライン、バッグフィルター、又は熱交換器の1つ以上で供給することができる。
【0038】
1つ以上の実施態様では、供給工程を、ポリマー生成の速度に比例する速度で実施する。いくつかの実施態様では、帯電防止複合剤又は帯電防止剤を、ポリマー生成の速度と比較して、約5~1000質量ppmの範囲の量の速度で重合プロセスに供給する。
【0039】
重合プロセス
1つ以上の実施態様による方法の重合プロセスは、特に限定されない。しかし、1つ以上の実施態様では、重合プロセスは、特に気相重合であり得る。
【0040】
1つ以上の実施態様では、重合プロセスは、エチレン、プロピレン、ブテン、及びヘキセンのうちの少なくとも1つ以上を重合することができる。いくつかの実施態様では、重合プロセスはホモポリマーを生成する。1つ以上の実施態様の方法によって製造されるホモポリマーは、ポリプロピレン及びポリエチレンのうちの1つであってよい。いくつかの実施態様では、重合プロセスはコポリマーを生成する。1つ以上の実施態様の方法によって製造されるコポリマーは、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン異相コポリマー、ポリプロピレンターポリマー、及び線状低密度ポリエチレンのうちの1つであってよい。
【0041】
いくつかの実施態様において、重合プロセスは、メタロセン触媒又はチーグラー・ナッタ触媒のいずれかを使用し得る。1つ以上の実施態様のチーグラー・ナッタ触媒及びメタロセン触媒は限定されず、当業者に知られている任意のチーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒であり得る。チーグラー・ナッタ触媒は遷移金属塩であり得、遷移金属は第4~12族金属から選択される。いくつかのZiegler-Natta触媒は、さらにMgCl2及び/又はTiCl4と共に使用することができ、脂肪族アミン、アミド、エステル、エーテル、ケトン、ニトリル、ホスフィン、ホスホルアミド、チオエーテル、チオエステル、アルデヒド、アルコラート、又はカルボン酸のうちの1つ以上から選択される内部電子ドナーを含み得る。1つ以上の実施態様のメタロセン触媒は、タイプ:Cp*
2MCl2の二塩化物錯体であってよく、式中、Mは、Ti、Zr、及びHfなどの遷移金属であり、Cp*は、置換又は非置換のシクロペンタジエニルアニオンである。
【0042】
1つ以上の実施態様では、重合プロセスは、当技術分野で知られている任意の適切な装置又は機器の使用を含み得る。いくつかの実施態様では、重合プロセスは、連続的に攪拌されるタンク重合反応器、ループ重合反応器、流動床重合反応器、及びプラグフロー重合反応器のうちの1つ以上の使用を含み得る。
【0043】
1つ以上の実施態様では、重合プロセスは、1つ以上の気相反応器を使用することができる。いくつかの実施態様において、重合プロセスは、スラリー反応器及びバルク反応器のうちの1つ以上と組み合わせた気相反応器を使用し得る。
【0044】
ポリマー
本開示の1つ以上の実施態様によるポリマーは、本明細書に詳述した方法のいずれかによって製造することができる。上述したとおり、1つ以上の実施態様のポリマーは、エチレン、プロピレン、ブテン、及びヘキセンのうちの1つ以上に由来するモノマーを含み得る。いくつかの実施態様では、ポリマーは、ホモポリマーであり得、いくつかの実施態様では、ポリプロピレン及びポリエチレンのうちの1つであり得る。1つ以上の実施態様では、ポリマーは、コポリマーであり得、いくつかの実施態様では、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン異相コポリマー、ポリプロピレンターポリマー、及び線状低密度ポリエチレンのうちの1つであり得る。
【実施例】
【0045】
以下の実施例は、単に例示のためのものであり、本開示の範囲を限定するものであると解されるべきではない。
【0046】
[実施例1]:
化合物の導電率は、化合物が重合プロセスにおいて帯電防止剤(又は帯電防止複合剤)として首尾よく使用され得、重合中に生じる静電荷を補償することができるかどうかを決定する上で重要な特性である。Grindsted PS 432(デュポン製)(以下、「GE」と称する)、並びに、トリエチルアルミニウム/Grindsted PS432(TEAL/GE)の混合物及びトリイソブチルアルミニウム/Grindsted PS432(TIBAL/GE)混合物の(1:1及び10:1mol/molの両方の比率での)導電率を、EMCEE Electronicsが提供するデジタル導電率計モデル1152を使用して測定した。
【0047】
GEは、2つの主要な物質を含む:オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステル(CAS No.49553-76-6)及び酢酸のモノグリセリドとのエステル(CAS No.736150-63-3)。
【0048】
オレイン酸のモノエステルと、オキシビス(プロパンジオール)/トリイソブチルアルミニウム又はオキシビス(プロパンジオール)/トリエチルアルミニウムのいずれかの複合剤との反応によって形成された帯電防止複合剤を、1H NMR(OneNMRプローブを備えたDD2コンソールを使用するAgilent 400Mhz)によって調査した。試料を、重水素化シクロヘキサンを使用して5mmチューブ内に調製した。オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステルを、10mgに対して0.6mLの重水素化シクロヘキサンの割合で希釈した。オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステルと、トリ-イソブチル-アルミニウムとの反応、及び、オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステルと、トリ-エチル-アルミニウムとの反応は、1:1のモル比で実施した。
【0049】
測定を開始する前に、導電率計の信頼性を、ゼロの導電率を提供するヘキサンの測定によって確認した。溶液を、グローブボックス内で高純度ヘキサン中に帯電防止剤を希釈して調製した。その濃度を質量ppmで表す。純粋なGrindsted PS432は、Grindsted PS432/アルキルアルミニウムの混合物よりもよりも低い導電率を示した。帯電防止複合剤の形成は、
図3に示すように導電率を高める。
【0050】
オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステル/トリイソブチルアルミニウムの反応剤の反応によって形成される帯電防止複合剤は、1つの相のみを示す。オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステル/トリエチルアルミニウムの反応剤の反応によって形成される帯電防止複合剤は、白色の固体及び液体の2つの相を示す。2つの相は分離し、各フラクションの10mgを0.6mLの重水素化シクロヘキサンで希釈した。オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステルのNMRスペクトルを、Universidad del Valle(Cali-Colombia)が提供するソフトウェアPredictでシミュレートし、水素ピークを特定した。
【0051】
図4に示すシミュレートしたスペクトルを使用して、
図5に示すNMRの分析を理解するための基礎とした。オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステル/トリイソブチルアルミニウムの反応によって得られた均一液相のスペクトルは、帯電防止複合剤の形成を示している。グループA、C、D、E、F、G、H、I、及びJとは異なり、グループBは検出されなかった。これは、トリイソブチルアルミニウムがおそらくグループCに存在するヒドロキシルと反応することを示している。オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステル/トリエチルアルミニウムの反応によって得られた固相のスペクトルは、帯電防止複合剤の形成を示し、グループB、C、D、及びEは明確に検出されなかった。その均一な液相はグループBを有さず、オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステルの分子が、この炭素で分解することを示している。グループC、D、及びEは、この液相スペクトルで検出された。
【0052】
導電率分析及びNMR分析は、オキシビス(プロパンジオール)/トリイソブチルアルミニウム及びオキシビス(プロパンジオール)/トリエチルアルミニウムの相互作用が異なり、その結果、異なる帯電防止複合剤がもたらされることを示している。
【0053】
図6は、オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステル/トリイソブチルアルミニウムの反応によって生成される単一の相を示す。
図7は、オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステル/トリエチルアルミニウムの反応によって形成される2つの相を示す。
【0054】
[実施例2]:
36kg/時の高密度ポリエチレン(HDPE)を、チーグラー・ナッタ触媒、助触媒としてのトリエチルアルミニウム(TEAL)、及び外部ドナーとしてのシクロヘキシルメチルジメトキシシランを使用し、分子量調整剤としての水素、密度調整剤としてのブテン、不活性希釈剤としてのC3-C6飽和炭化水素、及び帯電防止剤としてのAtmer163(エトキシル化アミン)の存在下、流動床気相反応器内でエチレンを重合することによって調製する。流動床気相反応器では、表1の運転条件が満たされる。
【0055】
【0056】
重合反応器に導入したAtmer163の総量は、生産速度に基づいて、930質量ppmであった。
【0057】
得られたHDPEは、190℃でのメルトフローインデックスが12.0(g/10分)であり、23℃での密度が0.952g/ccである。この重合運転では、HDPEの連続排出が観察され、塊の形成が防止される。
【0058】
[実施例3]:
高密度ポリエチレンを実施例2と同様の操作条件に従って繰り返して、Grindsted PS432(オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステル/酢酸のモノグリセリドエステル)を評価した。
【0059】
36kg/時の高密度ポリエチレン(HDPE)を、チーグラー・ナッタ触媒、助触媒としてのトリエチルアルミニウム(TEAL)、及び外部ドナーとしてのシクロヘキシルメチルジメトキシシランを使用し、不活性希釈剤としてのC3-C6飽和炭化水素、分子量調整剤としての水素、密度調整剤としてのブテン、及び帯電防止剤としてのGrindsted PS432〔オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステル/酢酸のモノグリセリドエステル〕の存在下、流動床気相反応器でエチレンを重合することによって調製する。流動床気相反応器では、表2の操作条件が満たされる。
【0060】
【0061】
重合反応器に導入したGrindsted PS432の総量は、生産速度に基づいて、650質量ppmであった。
【0062】
得られたHDPEは、190℃でのメルトフローインデックスが12.0(g/10分)であり、23℃での密度が0.953g/ccである。
【0063】
この重合運転において、HDPEの連続排出が観察され、塊の形成が防止される。
【0064】
表3は、重合のための助触媒としてトリエチルアルミニウムを使用した、Atmer163と比較したGrindsted PS432の性能を示している。
【0065】
【0066】
[実施例4]:
21,000~32,000kg/時のポリプロピレンヘテロ相コポリマー(HECO)を、チーグラー・ナッタ触媒、助触媒としてのトリエチルアルミニウム(TEAL)、及び外部ドナーとしてのジイソプロピルジメトキシシランを使用し、分子量調整剤としての水素、及び帯電防止剤としてのAtmer163(エトキシル化アミン)の存在下、流動床気相反応器でプロピレン-エチレンを重合することによって調製する。流動床気相反応器では、以下の操作条件が満たされる。
【0067】
【0068】
重合反応器に導入したAtmer163の総量は、生産速度に基づいて、120質量ppmであった。
【0069】
得られたHECOは、230℃で1.0~20.0(g/10分)のメルトフローインデックス及び3.0~20.0質量%の結合したエチレンを有する。
【0070】
この重合運転において、HECOの連続的な連続排出が観察され、塊の形成が防止される。
【0071】
[実施例5]:
ポリプロピレン異相コポリマー(HECO)の調製を、実施例4と同様の操作条件に従って繰り返して、Grindsted PS432〔オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステル/酢酸のモノグリセリドエステル〕を評価した。
【0072】
24,400kg/時のポリプロピレンヘテロ相コポリマー(HECO)を、チーグラー・ナッタ触媒、助触媒としてのトリエチルアルミニウム(TEAL)、及び外部ドナーとしてのジイソプロピルジメトキシシランを使用し、分子量調節剤としての水素及び帯電防止剤としてのGrindsted PS432〔オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステル/酢酸のモノグリセリドエステル〕の存在下、流動床気相反応器でプロピレン-エチレンを重合することによって調製する。流動床気相反応器では、表5の運転条件が満たされる。
【0073】
【0074】
重合反応器に導入したGrindsted PS432の総量は、生産速度に基づいて、50質量ppmの質量であった。得られたHECOは、230℃でのメルトフローインデックスが1.0~20.0(g/10分)であり、結合したエチレンが3.0から20.0質量%である。この重合運転では、HECOの連続排出が観察され、塊の形成が防止される。
【0075】
表6は、重合のための助触媒としてトリエチルアルミニウムを使用した、Atmer163と比較したGrindsted PS432の性能を示している。
【0076】
【0077】
[実施例6]:
50kg/時の高密度ポリエチレン(HDPE)を、チーグラー・ナッタ触媒、助触媒としてのトリイソブチルアルミニウム(TIBAL)、及び外部ドナーとしてのテトラヒドロフランを使用し、分子量調整剤としての水素、密度調整剤としてのブテン、不活性希釈剤としてのC3-C6飽和炭化水素、及び帯電防止剤としてのGrindsted PS432〔オレイン酸のオキシビス(プロパンジオール)とのモノエステル/酢酸のモノグリセリドエステル〕の存在下、流動床気相反応器でエチレンを重合することによって調製する。流動床気相反応器では、以下の操作条件が満たされる。
【0078】
【0079】
重合反応器に導入したGrindsted PS432の総量は、生産速度に基づいて、607質量ppmであった。得られたHDPEは、190℃でのメルトフローインデックスが21.1(g/10分)であり、23℃での密度が0.958g/ccである。この重合運転では、HDPEの連続排出が観察され、塊の形成が防止される。
【0080】
少数の例示的な実施形態のみを上で詳細に説明したが、当業者は、本発明から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態において多くの修正が可能であることを容易に理解するであろう。したがって、そのようなすべての変更は、以下の特許請求の範囲で定義されるように、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。請求項における、手段及び機能に関する特定事項は、列挙した機能を実現するものとして本明細書に記載した構造及びその構造的同等物だけでなく同等の構造も包含することが意図されている。例えば、釘とねじは、釘が円筒面を使用して木製部品を一緒に固定する一方、ねじはらせん面を使用する点で構造的に同等ではないかもしれないが、木製部品を固定する環境では、釘とねじは同等の構造を有し得る。本明細書の請求項のいずれかの制限については、請求項が関連する機能とともに「手段」という言葉を明示的に使用している場合を除き、米国特許法第112条第6段落を引き合いに出さないことが出願人の明確な意図である。
【国際調査報告】