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特表2022-522949(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)(フェニル)-アセトアミド誘導体、および神経疾患の処置におけるその使用
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  • 特表-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)(フェニル)-アセトアミド誘導体、および神経疾患の処置におけるその使用 図1
  • 特表-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)(フェニル)-アセトアミド誘導体、および神経疾患の処置におけるその使用 図2A
  • 特表-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)(フェニル)-アセトアミド誘導体、および神経疾患の処置におけるその使用 図2B
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  • 特表-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)(フェニル)-アセトアミド誘導体、および神経疾患の処置におけるその使用 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)(フェニル)-アセトアミド誘導体、および神経疾患の処置におけるその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/452 20060101AFI20220414BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20220414BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20220414BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20220414BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
C07D207/452
A61P25/08
A61P25/04
A61P25/06
A61K31/496
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539610
(86)(22)【出願日】2020-01-07
(85)【翻訳文提出日】2021-09-06
(86)【国際出願番号】 PL2020050001
(87)【国際公開番号】W WO2020145831
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】P.428485
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】512276474
【氏名又は名称】ユニベルシテット ヤギエロンスキ
【氏名又は名称原語表記】UNIWERSYTET JAGIELLONSKI
【住所又は居所原語表記】ul. Golebia 24, PL-31-007 Krakow, Poland
(71)【出願人】
【識別番号】521298126
【氏名又は名称】ワルシャワスキ ユニベルシテット メディチニー
【氏名又は名称原語表記】WARSZAWSKI UNIWERSYTET MEDYCZNY
【住所又は居所原語表記】ul. Zwirki i Wigury 61, 02-091 Warszawa, Poland
(74)【代理人】
【識別番号】100091502
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 正威
(72)【発明者】
【氏名】カミンスキ,クシシュトフ
(72)【発明者】
【氏名】アブラム,ミシャル
(72)【発明者】
【氏名】ラパチ,アンナ
(72)【発明者】
【氏名】モギルスキ,シュチェパン
(72)【発明者】
【氏名】ラタチ,グニエボニール
(72)【発明者】
【氏名】シュルチェク,バルトウォミェイ
【テーマコード(参考)】
4C069
4C086
【Fターム(参考)】
4C069AD13
4C069BA01
4C069BB02
4C069BB22
4C069BC24
4C069BD06
4C069CC02
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC50
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA06
(57)【要約】
本発明の第1の目的は、一般式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩である。本発明の第2の目的は、てんかん発作、または神経障害性疼痛、または偏頭痛の処置のための医薬組成物の有効成分としての、一般式(I)で記載される化合物の使用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(式中、
Xは、NまたはCであり、
kは、0または1に等しい数字であり、
Aは、
- フェニル置換基;
- ハロゲン原子、-SCF、-CF、-CHF、-CN、-OCF、-NO、-OCH、-OC、炭素主鎖中の炭素原子数が1~4である直鎖または分岐鎖のアルキル部分よりなる群から選択される1つまたは2つまたは3つまたは4つの側方置換基で置換されている、フェニル置換基;
- 少なくとも1つの芳香族またはヘテロ芳香族置換基で置換されている、フェニル置換基;
- ベンズヒドリル置換基;
- 1-ナフチルまたは2-ナフチル置換基;
- 2-ベンゾチオフェニル、3-ベンゾチオフェニル、4-ベンゾチオフェニル、または5-ベンゾチオフェニル置換基よりなる群から選択され、好ましくは、5-ベンゾチオフェニル置換基である、ベンゾチオフェニル置換基;
- 3-ベンゾイソキサゾール、4-ベンゾイソキサゾール、5-ベンゾイソキサゾール、6-ベンゾイソキサゾール、7-ベンゾイソキサゾール置換基よりなる群から選択され、好ましくは、5-ベンゾイソキサゾール置換基である、ベンゾイソキサゾール置換基;
- 炭素主鎖中の炭素原子数が1~4である直鎖、分岐鎖または環状鎖のアルキル部分であって、好ましくは、少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている、アルキル部分
よりなる群から選択される置換基であり;
Bは、
- フェニル置換基;
- ハロゲン原子、-SCF、-CF、-CHF、-CN、-OCF、-NO、-OCH、-OC、炭素主鎖中の炭素原子数が1~4である直鎖または分岐鎖のアルキル部分よりなる群から選択される1つまたは2つの側方置換基で置換されている、フェニル置換基
であり;
Dは、H、アミノ(-NH)、1つもしくは2つの脂肪族置換基(特に-CHおよび/もしくは-Cを含む)で置換されているアミノ基、またはヘテロ環の一部であるアミノ基よりなる群から選択される置換基である)
を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
一般式(II)
【化2】

(式中、
Xは、NまたはCであり、
kは、0または1に等しい数字であり、
Aは、
- フェニル置換基;
- ハロゲン原子、-SCF、-CF、-CHF、-CN、-OCF、-NO、-OCH、-OC、炭素主鎖中の炭素原子数が1~4である直鎖または分岐鎖のアルキル部分よりなる群から選択される1つまたは2つまたは3つまたは4つの側方置換基で置換されている、フェニル置換基;
- 少なくとも1つの芳香族またはヘテロ芳香族置換基で置換されている、フェニル置換基;
- ベンズヒドリル置換基;
- 1-ナフチルまたは2-ナフチル置換基;
- 2-ベンゾチオフェニル、3-ベンゾチオフェニル、4-ベンゾチオフェニル、または5-ベンゾチオフェニル置換基よりなる群から選択され、好ましくは、5-ベンゾチオフェニル置換基である、ベンゾチオフェニル置換基;
- 3-ベンゾイソキサゾール、4-ベンゾイソキサゾール、5-ベンゾイソキサゾール、6-ベンゾイソキサゾール、7-ベンゾイソキサゾール置換基よりなる群から選択され、好ましくは、5-ベンゾイソキサゾール置換基である、ベンゾイソキサゾール置換基;
- 炭素主鎖中の炭素原子数が1~4である直鎖または分岐鎖のアルキル部分であって、好ましくは、少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている、アルキル部分
よりなる群から選択される置換基であり;
Bは、
- フェニル置換基;
- ハロゲン原子、-SCF、-CF、-CHF、-CN、-OCF、-NO、-OCH、-OC、炭素主鎖中の炭素原子数が1~4である直鎖または分岐鎖のアルキル部分よりなる群から選択される1つまたは2つの側方置換基で置換されている、フェニル置換基
である)
の化合物、または薬学的に許容されるその塩であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
ハロゲン原子が、フッ素または塩素原子であることを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
炭素主鎖中の直鎖または分岐鎖のアルキル部分が、1~4個の炭素原子を含有し、当該アルキル部分が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
k=0であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Xが、窒素であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
置換基Aが、5-ベンゾチオフェニル、2-ナフチル、5-ベンゾイソキサゾリル置換基よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
置換基Aが、フェニル;少なくとも1つの塩素原子もしくは-CF、-CHF、-OCF、-CH、-SCFまたはフェニルで置換されているフェニルよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
置換基Bが、フェニル、または1つもしくは2つのハロゲン原子で置換されているフェニルよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-フェニルピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-(4-(3-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-(4-(3,5-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(m-トリル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-(4-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(ジフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル(スルファニル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-(4-([1,1’-ビフェニル]-3-イル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(1-(4-フルオロフェニル)-2-オキソ-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-(4-(ナフト-2-イル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-(4-(ベンゾ[b]チオフェン-5-イル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-(4-(1,2-ベンゾオキサゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-(4-(3-クロロフェニル)ピペリジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピペリジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
(R)鏡像異性体であり、好ましくは、以下の化合物:
(R)-1-(2-(4-(3-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
(R)-1-(2-(4-(3,5-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
(R)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
(R)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
(R)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル(スルファニル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン
から選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
水溶性塩、とりわけ塩酸塩であり、好ましくは、以下の化合物:
3-(メチルアミノ)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン塩酸塩、
3-(ジメチルアミノ)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン塩酸塩、
3-(ジエチルアミノ)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン塩酸塩
から選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
てんかん発作、神経障害性疼痛、または偏頭痛の処置または予防に使用するための、請求項1から13のいずれかのいずれか一項に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経疾患の処置に好適な、(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)(フェニル)-アセトアミド誘導体、および薬学的に許容されるその塩に関する。開示される化合物は、てんかん発作の動物モデルおよび疼痛モデルで広範囲の保護活性を呈するので、神経疾患、特にてんかんおよび神経障害性疼痛の処置における適用を見出すことができる。抗てんかん薬の広範囲な治療的適応により、これらの化合物はまた、例えば、偏頭痛、離脱症候群、統合失調症、統合失調感情障害、人格および栄養障害、ならびに不安および外傷後ストレスの処置に有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
てんかんは、興奮性および神経伝達の障害に関連する最も一般的な神経疾患の1つである。本疾患は、ヒト集団の1~2%に影響を及ぼし、患者の生活の質、および日々の活動の可能性を著しく低減する(Nadkarni,S.;LaJoie,J.;Devinsky,O.、Neurology2005年、64、S2~S11)。複雑な病理生理学により、てんかんは、様々な種類の発作の発症(例えば、強直間代、欠神、部分などを含む)、および、診断された場合の30~40%に達する、顕著な薬物耐性で特徴付けられる、異質性の疾患である(Kwan,P.;Schachter,S.C.;Brodie,M.J.、N.Engl.J.Med.2011年、365、919~926頁)。神経障害性疼痛は、治療的な観点から困難である、別の重篤な神経疾患である。現在のデータは、患者の50%のみが、神経障害性疼痛の感覚において30~50%の低減を達成することができる一方、他の患者は、使用される薬物のいずれでも改善に達することはできないことを示す(Butera,J.A.、J.Med.Chem.2007年、11、2543~2546頁)。したがって、様々な種類のてんかん発作の制御を可能にし、好ましくは、神経障害性疼痛に効果的な、新規のAEDに対する必要性が非常に高い。現在使用されているAEDの多くは、狭い範囲の治療的適応を有するので、これらは、特定の種類のてんかん発作にのみ適用可能である。これらの薬物は、とりわけレベチラセタムおよびラコサミドのような最新のAEDを含む。近年実施された調査は、複雑な病理機構を伴う疾患(いわゆる、多因子疾患)の処置に対して、マルチターゲット化合物は、多機能化合物、すなわち、分子作用の複雑な機構を伴う化合物としても知られているが、特に有益であり得る。異なる相乗的な機構を合わせることで、包括的な治療プロセスを可能にするので、マルチターゲット物質は、単一の生物学的標的で作用する物質と比較して、高い治療有効性が確実であると考えられる(Bansal,Y.;Silakari,O.、Eur.J.Med.Chem.2014年、76、31~42頁)。多機能薬物の別の利点は、より少なくより弱い強度の副作用、より低いリスクの薬物間相互作用、および、医師と患者とのより良好な協力(遵守)をもたらし得る、摂取される薬物の個数の低減であり得る。マルチターゲット化合物が、高い薬物耐性で特徴付けられる疾患(例えば、てんかん)の処置に有用であり得ることも仮定される(Talevi,A.、Front.Pharmacol.2015年、6、205頁)。マルチターゲット物質は、通常、特定の薬理学的効果に関与する、通常の化学的骨格の構造フラグメント上に結合する、ハイブリッドまたはキメラ分子として設計される(Morphy,R.;Rankovic,Z.、J.Med.Chem.2005年、48、6523~6543頁)。特に、新規の薬物に対する候補としてのマルチターゲット化合物の開発についての鋭意研究が、がん、神経変性、および炎症性疾患の分野で実施されている。特に、広範囲な治療的適応を伴う新規のAEDの設計および開発を可能にする方法として、分子ハイブリダイゼーションの概念が、本発明者らにより最近提案されている(Abram,M.;Zagaja,M.;Mogilski,S.;Andres-Mach,M.;Latacz,G.;Bas,S.;Luszczki,J.J.;Kiec-Kononowicz,K.;Kaminski,K.、J.Med.Chem.2017年、60、8565~8579頁;Kaminski,K.;Zagaja,M.;Rapacz,A.;Luszczki,J.J.;Andres-Mach,M.;Abram,M.;Obniska,J.、Bioorg.Med.Chem.2016年、24、606~618頁;Kaminski,K.;Rapacz,A.;Filipek,B.;Obniska,J.、Bioorg.Med.Chem.2016年、24、2938~2946頁;Kaminski,K.;Zagaja,M.;Luszczki,J.J.;Rapacz,A.;Andres-Mach,M.;Latacz,G.;Kiec-Kononowicz,K.、J.Med.Chem.2015年、58、5274~5286頁;Kaminski,K.;Rapacz,A.;Luszczki,J.J.;Latacz,G.;Obniska,J.;Kiec-Kononowicz,K.;Filipek,B.、Bioorg.Med.Chem.2015年、23、2548~2561頁)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
新規の化合物の抗痙攣および/または鎮痛活性は、動物モデル(主にマウスおよびラット)においてルーチン的に評価される。臨床学的見地から、様々な種類のヒトのてんかん発作に効果的な、新規の広域スペクトルのAEDに対する特に有望な候補は、最大電気ショック試験(MES)、皮下ペンチレンテトラゾール発作試験(scPTZ)、および6Hzの低周波電流を利用する精神運動6Hz発作モデル(32mAまたは/および44mAの電流強度で)で活性な物質である。前臨床のin vivo試験での前述プロファイルを伴う化合物は、二次性全般化、全般欠神発作、ミオクロニー発作、部分発作、および薬物耐性てんかんを伴うまたは伴わない、ヒトの強直間代発作に効果的であり得る。上記の物質の重要な付加価値は、抗侵害受容活性を評価する重要な動物試験/モデル、すなわち、ホルマリン試験、カプサイシン誘発性疼痛モデル、およびオキサリプラチン誘発性神経障害性疼痛モデルにおける活性であるべきである。
【0004】
本発明に先立つ技術的課題は、様々な種類の発作(二次性全般化、全般欠神発作、ミオクロニー発作、部分発作、および薬物耐性てんかんを伴わないまたは伴う、強直間代発作)を制御する医薬組成物における活性物質として、簡単に得られる、肝毒性効果を示さない、およびこれらを使用することができる、このような化学化合物、または薬学的に許容されるその塩を提供することであり、このような化合物はまた、神経障害に起因する疼痛または片頭痛において鎮痛活性を有するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の対象は、一般式(I)
【0006】
【化1】

(式中、
Xは、NまたはCであり、
kは、0または1に等しい数字であり、
Aは、
- フェニル置換基;
- ハロゲン原子、-SCF、-CF、-CHF、-CN、-OCF、-NO、-OCH、-OC、炭素主鎖中の炭素原子数が1~4であるアルキル部分からなる群から選択される1つまたは2つまたは3つまたは4つの側方置換基で置換されている、フェニル置換基であって、アルキル部分が、直鎖または分岐鎖を有する、フェニル置換基;
- 少なくとも1つの芳香族またはヘテロ芳香族置換基で置換されている、フェニル置換基;
- ベンズヒドリル置換基;
- 1-ナフチルまたは2-ナフチル置換基;
- 2-ベンゾチオフェニル、3-ベンゾチオフェニル、4-ベンゾチオフェニル、または5-ベンゾチオフェニル置換基からなる群から選択され、好ましくは、5-ベンゾチオフェニル置換基である、ベンゾチオフェニル置換基;
- 3-ベンゾイソキサゾール、4-ベンゾイソキサゾール、5-ベンゾイソキサゾール、6-ベンゾイソキサゾール、7-ベンゾイソキサゾール置換基からなる群から選択され、好ましくは、5-ベンゾイソキサゾール置換基である、ベンゾイソキサゾール置換基;
- 炭素主鎖中の炭素原子数が1~4であるアルキル部分であって、直鎖または分岐鎖または環状鎖を有し、好ましくは、少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている、アルキル部分
からなる群から選択される置換基であり;
Bは、
- フェニル置換基;
- ハロゲン原子、-SCF、-CF、-CHF、-CN、-OCF、-NO、-OCH、-OC、炭素主鎖中の炭素原子数が1~4であるアルキル部分からなる群から選択される1つまたは2つの側方置換基で置換されている、フェニル置換基であって、アルキル部分が、直鎖または分岐鎖を有する、フェニル置換基
として定義され;
Dは、H、アミノ(-NH)、1つもしくは2つの脂肪族置換基(特に-CHおよび/もしくは-Cを含む)で置換されているアミノ基、またはヘテロ環の一部であるアミノ基からなる群から選択される置換基である)
を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩である。
【0007】
用語「ハロゲン」は、一般式(I)による化合物の説明に使用される場合、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を含む。本発明の別の好ましい実施形態では、ハロゲン原子は、フッ素または塩素である。
【0008】
一般式(I)を有する化合物は、複数のキラル中心を有するので、光学異性体の形態およびその混合物で存在することができる。様々な割合の前述の光学異性体およびその混合物は、ラセミ混合物を含むが、本発明の範囲内に含まれる。個々の異性体は、出発原料(アミノ酸誘導体)の適切な異性体形態を使用して得ることができるか、または、公知の分離方法に従って最終化合物を調製した後に分離することができる。
【0009】
好ましくは、本発明の化合物は、一般式(II)
【0010】
【化2】

(式中、
Xは、NまたはCであり、
kは、0または1に等しい数字であり、
Aは、
- フェニル置換基;
- ハロゲン原子、-SCF、-CF、-CHF、-CN、-OCF、-NO、-OCH、-OC、炭素主鎖中の炭素原子数が1~4であるアルキル部分からなる群から選択される1つまたは2つまたは3つまたは4つの側方置換基で置換されている、フェニル置換基であって、アルキル部分が、直鎖または分岐鎖を有する、フェニル置換基;
- 少なくとも1つの芳香族またはヘテロ芳香族置換基で置換されている、フェニル置換基;
- ベンズヒドリル置換基;
- 1-ナフチルまたは2-ナフチル置換基;
- 2-ベンゾチオフェニル、3-ベンゾチオフェニル、4-ベンゾチオフェニル、または5-ベンゾチオフェニル置換基からなる群から選択され、好ましくは、5-ベンゾチオフェニル置換基である、ベンゾチオフェニル置換基;
- 3-ベンゾイソキサゾール、4-ベンゾイソキサゾール、5-ベンゾイソキサゾール、6-ベンゾイソキサゾール、7-ベンゾイソキサゾール置換基からなる群から選択され、好ましくは、5-ベンゾイソキサゾール置換基である、ベンゾイソキサゾール置換基;
- 炭素主鎖中の炭素原子数が1~4であるアルキル部分であって、直鎖または分岐鎖または環状鎖を有し、好ましくは、少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている、アルキル部分
からなる群から選択される置換基であり;
Bは、
- フェニル置換基;
- ハロゲン原子、-SCF、-CF、-CHF、-CN、-OCF、-NO、-OCH、-OC、炭素主鎖中の炭素原子数が1~4であるアルキル部分からなる群から選択される1つまたは2つの側方置換基で置換されている、フェニル置換基であって、アルキル部分が、直鎖または分岐鎖を有する、フェニル置換基
である)
を有する化合物、または薬学的に許容されるその塩である。
好ましくは、ハロゲンは、フッ素または塩素原子である。
【0011】
好ましくは、炭素主鎖中のアルキル部分は、1~4個の炭素原子を含有し、アルキル部分は、直鎖または分岐鎖を有し、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル置換基からなる群から選択される。
【0012】
一般式(II)を有する化合物は、1つのキラル中心を有するので、光学異性体の形態およびその混合物で存在することができる。様々な割合の前述の光学異性体およびその混合物は、ラセミ混合物を含むが、本発明の範囲内に含まれる。個々の異性体は、出発原料(アミノ酸誘導体)の適切な異性体形態を使用して得ることができるか、または、公知の分離方法に従って最終化合物を調製した後に分離することができる。
【0013】
好ましくは、k=0である。
【0014】
好ましくは、X原子は、窒素原子である。
【0015】
好ましくは、置換基Aは、5-ベンゾチオフェニル、2-ナフチル、5-ベンゾイソキサゾリル置換基からなる群から選択される。
【0016】
好ましくは、Aは、フェニル;少なくとも1つの塩素もしくは-CF、-CHF、-OCF、-CH、-SCFまたはフェニルで置換されているフェニルからなる群から選択される。
【0017】
好ましくは、置換基Bは、フェニル、または1つもしくは2つのハロゲン原子で置換されているフェニルからなる群から選択される。
【0018】
好ましくは、本発明の化合物は、以下からなる群から選択される:
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-フェニルピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-(4-(3-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-(4-(3,5-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(m-トリル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-(4-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(ジフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル(スルファニル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-(4-([1,1’-ビフェニル]-3-イル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(1-(4-フルオロフェニル)-2-オキソ-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-(4-(ナフト-2-イル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-(4-(ベンゾ[b]チオフェン-5-イル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-(4-(1,2-ベンゾオキサゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-(4-(3-クロロフェニル)ピペリジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピペリジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン。
【0019】
好ましくは、本発明の化合物は、(R)鏡像異性体であり、好ましくは、以下の化合物から選択される:
(R)-1-(2-(4-(3-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
(R)-1-(2-(4-(3,5-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
(R)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
(R)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン、
(R)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル(スルファニル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン。
【0020】
好ましくは、本発明の化合物は、水溶性塩、とりわけ塩酸塩であり、好ましくは、以下の化合物から選択される:
3-(メチルアミノ)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン塩酸塩、
3-(ジメチルアミノ)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン塩酸塩、
3-(ジエチルアミノ)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン塩酸塩。
【0021】
本発明の第2の対象は、てんかん発作、神経障害性疼痛、または偏頭痛の処置または予防に使用される、上で定義される本発明による化合物である。好ましい実施形態では、本発明による化合物は、上記の医学的適応症の少なくとも1つの処置または予防のための医薬組成物に含有される、活性物質(1種のみまたは多くのうちの1種)として使用する。
【0022】
本発明による化合物は、広いパネルの動物モデルにおいて抗痙攣および鎮痛活性を有し、てんかんおよび神経障害性疼痛の処置のための様々な剤形での活性物質としての適用を見出すことができる。
【0023】
本発明による式(I)の化合物は、多工程の合成手順を使用して得ることができ、これは、図2Aで図示されており、X、A、B、D、およびkは、上記で定義される通りである。Dがハロゲンである、式(I)の化合物の調製のために、図2Bによる式(II)の化合物のために記載した手順を使用する。第1段階では、適切なピペラジン誘導体と、対応するtert-ブトキシカルボニル(Boc)アミノ酸誘導体との縮合反応(i)の結果として、アミド構造体との中間生成物を得て、次いでこれに脱保護反応(ii)を行って、アミン誘導体を形成する。次の段階では、前述のアミン誘導体は、マレイン酸無水物との縮合反応(iii)に供し、不飽和アミド-酸誘導体を得られる。この誘導体は、環化反応(iv)を適用した対応するマレイミドを形成する。次の段階(v)では、マレイミド誘導体は、適切な第一級または第二級アミンとの付加反応に供して、本発明による一般式(I)を有する化合物を得る。
【0024】
本発明による式(II)の化合物は、式(III):
【0025】
【化3】

(式中、Bおよびkは、式(II)に関して定義された通りである)
の化合物から出発して得ることができる。式(III)の化合物は、市販のコハク酸無水物、および基質としての対応するアミノ酸誘導体を使用する2工程の手順で得ることができる。第一の工程では、コハク酸無水物と適切なアミノ酸誘導体との縮合反応の結果として、アミド-酸構造体(IV)の中間生成物を得て、次いでこれに環化反応を行って、式(III)を有する所望の化合物を形成する。あるいは、式(III)で記載される化合物は、コハク酸無水物またはコハク酸と対応するアミノ酸の間での1工程の熱環状縮合反応を使用することにより調製することができる。
【0026】
本発明による一般式(II)の所望の化合物は、式(III)で記載される化合物と好適な市販の第二級脂肪族アミンとの間のアミド化反応を使用することにより得ることができる。この反応は、CDI、EDCI、DCCなどを含む、公知のカップリング剤の存在下で実施することができる。あるいは、式(II)の化合物は、式(II)で記載されるカルボン酸の変換によって得られる酸塩化物と相当する市販の第二級脂肪族アミンとの間の反応により得ることができる。本発明による式(II)で記載される化合物はまた、有機塩基、とりわけトリエチルアミン(TEA)、N-メチルモルホリン(NMM)、またはN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)の存在下で、BOP、HBTU、HATUから選択される活性化剤を使用する、カルボン酸と対応する脂肪族アミンとの間の反応において調製することができる。
【0027】
合成手順および反応条件は、X、A、B、およびkは、上記で定義される通りである、図2Bで図示する。
【0028】
本発明による溶液は、いくつかの利点を有する。式(I)の開示される化合物、好ましくは式(II)の化合物は、てんかんの様々な動物モデル、すなわち、最大電気ショック発作試験(MES)、皮下ペンチレントラゾール発作試験(scPTZ)、および、6Hz発作モデル(32mAまたは/および44mA)において、強く広い抗痙攣活性で特徴付けられる。前臨床のin vivo試験での前述プロファイルを伴う化合物は、二次性全般化、全般発作(欠神)、ミオクロニー発作、部分発作、および重要な薬物耐性発作を伴うまたは伴わない、強直間代発作を含む、様々な種類のヒトのてんかんに効果的であり得る。一般式(I)の化合物、とりわけ式(II)で記載される化合物の別の利点は、抗侵害受容活性を評価する動物モデル、すなわち、ホルマリン試験、カプサイシン誘発性疼痛モデル、およびオキサリプラチン誘発性神経障害性疼痛モデルにおいて、強い鎮痛活性である。このため、式(I)の化合物、好ましくは式(II)の化合物は、神経性および炎症性の両方に起因する疼痛の処置に有用であり得、これは、薬物療法で利用可能なAEDの中の独特の特徴である。式(I)、好ましくは式(II)による化合物は、分子作用の複雑な機構を有し、すなわち、これらは、電位依存性ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル、およびTRPV1受容体と相互作用する。TRPV1受容体の場合に観察される有益なアンタゴニスト効果は、公知で治療に関連するAEDに対して未だに実証されていない。重要なことに、文献データが、発作の誘導において、TRPV1の関与する可能性を示唆するが(Naziroglu,M.、Curr.Neuropharmacol.2015年、13、239~247頁;Naziroglu,M.;Ovey,I.S.、Neuroscience2015年、293、55~66頁)、抗侵害受容活性を有する物質に対する分子標的としての役割は、文書で十分に裏付けられている(Szallasi,A.;Cortright,D.N.;Blum,C.A.;Eid,S.R.、Nat.Rev.Drug.Discov.2007年、6、357~372頁)。式(II)による化合物はまた、とりわけ、離脱症候群、統合失調症、統合失調感情障害、人格および栄養障害、ならびに、不安および外傷後ストレスの処置で、潜在的に有用であり得る。したがって、本発明は、薬物として使用するための化合物を提供する。さらに、様々な種類のてんかん発作を処置するTRPV1受容体アンタゴニストを使用する可能性を開示する。
【0029】
本発明による化合物は、当該技術分野で知られている薬学的に許容される希釈剤、担体、および/または賦形剤と共に、薬学的に許容され、有効な量で、所与の投与経路に好適な医薬調製物を適用し、式(I)、好ましくは式(II)による少なくとも1種の活性化合物を含有する、腸内、局所、または非経口投与を含む、様々な経路で投与することができる。このような医薬製剤の調製のための方法論は、当該技術分野で知られている。治療用量は、物質、種、性別、年齢、処置される疾患実体、経路、および投与の方法に依存して変化し、これは、当分野での専門家により決定する必要がある。本発明による化合物の提案される用量は、単回または分割用量で1日当たり0.1~約1000mgである。本発明の化合物は、それ自体を患者に投与するか、あるいはそれ自体の組成物中にそれぞれ存在する1種もしくは複数の活性成分、または単一組成物中で合わせられた一部もしくは全ての活性成分および/または適切な医薬賦形剤と組み合わせて、患者に投与する。好適な医薬賦形剤は、所与の製剤の適切な調製に必要な従来の支持物質、例えば、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、溶媒、ゲル形成剤、乳化剤、安定剤、染料、および/または保存剤を含む。本発明の化合物は、一般に知られている調製の薬学的方法を使用する剤形に製剤化される。剤形は、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、坐剤、乳剤、懸濁剤、または溶液剤であり得る。投与の方法およびガレヌス形態に依存して、製剤中の活性物質の量は、典型的には、0.01(重量)%~100(重量)%の範囲であり得る。
【0030】
本発明の実施形態を、下記に示される図面で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】化合物(I)および(II)の一般式を示す図である。
図2A】式(I)による誘導体の合成を示す図である。
図2B】式(II)による誘導体の合成を示す図である。
図3】ホルマリン試験の第I相および第II相の疼痛における、化合物6およびバルプロ酸(VPA)の鎮痛活性を示すグラフである。結果は、試験の第一相(ホルマリン注射の0~5分後)および第II相(ホルマリン注射の15~30分後)での肢を舐める時間として提示され、値は、8~10匹の動物の群に対する平均値±SEMを表す;対照(ビヒクル-Tween)群と比較して統計的に有意な差、統計分析:一元配置ANOVA分散分析、Dunnettのpost hoc検定:p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。C:対照群;VPA:バルプロ酸。
図4】カプサイシンアッセイにおける、化合物6およびバルプロ酸(VPA)の鎮痛活性を示すグラフである。結果は、カプサイシン注射の0~5分後の肢を舐める時間として示され、値は、平均値±SEMを表す;対照(ビヒクル-Tween)群と比較して統計的に有意な差、統計分析:一元配置ANOVA分散分析、Dunnettのpost hoc検定:p<0.05、**p<0.01、****p<0.0001。C:対照群;VPA:バルプロ酸。
図5】オキサリプラチン誘発性末梢性ニューロパチーにおける、化合物6およびバルプロ酸(VPA)の鎮痛活性を示すグラフである。A:von Frey検定での機械的アロディニアに対する化合物6の効果。B:von Frey検定での機械的アロディニアに対するバルプロ酸(VPA)の効果。C:コールドプレート試験での熱的アロディニアに対する化合物6の効果。結果は、8~10匹の動物の群に対する、足を持ち上げさせる押圧力(von Frey検定)、または侵害受容性コールドプレート応答の発生の潜時の平均値±SEMとして提示される;対照群(OXPT投与後および試験化合物投与前のマウス)と比較して統計的に有意な差、統計分析:一元配置ANOVA分散分析、Dunnettのpost hoc検定:p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。Veh:ビヒクル(1%のTween80)。
図6】高速な電位依存性ナトリウム電流に対する化合物6(100μMの濃度)の効果を示すグラフである。A:対照における、化合物6の存在下での、および化合物6のウォッシュアウト後の最大電位依存性ナトリウム電流のトレース例。B:対照における、化合物6の存在下での(p<0.001、Tukey検定を伴うANOVA)、および化合物6のウォッシュアウト後の正規化した平均電流振幅。(縦軸の)I/Imaxは、電流が対照値に正規化されたことを意味する。
図7】HMLとのインキュベーション後の化合物6の代謝のUPLC分析を示すグラフである。
図8】ベースラインPgp活性に対するベラパミル、NaVO、および化合物6の効果を示すグラフである。統計的有意差は、一元配置ANOVA分散分析およびBonferroni法により計算した(**p<0.01、***p<0.001、三重試験された化合物)。
図9】A:CYP3A4活性に対する参照阻害剤ケトコナゾール(KE)および化合物6の効果を示すグラフである。B:CYP2D6活性に対する参照阻害剤キニジン(QD)および6の効果のグラフである。統計的有意差は、一元配置ANOVA分散分析およびBonferroni法により計算した(***p<0.001)。
図10】72時間のインキュベーション後のHepG2株の細胞生存率に対する参照細胞増殖抑制剤ドキソルビシン(DX)、ミトコンドリア毒素CCCP(カルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾン)、および化合物6の効果を示すグラフである。統計的有意差は、一元配置ANOVA分散分析およびBonferroni法により計算した(p<0.05、***p<0.001、4回の複製試験された化合物)。
図11】3時間のインキュベーション後のHepG2細胞株でのATPレベルを示すグラフである。ドキソルビシン(DX)、CCCP(カルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾン)。統計的有意差は、一元配置ANOVA分散分析およびBonferroni法により計算した(***p<0.001、4回の複製試験された化合物)。
図12】式(II)による化合物の鏡像異性体の合成の一般的スキームを示す図である。
図13】HMLとのインキュベーション後の(R)-6鏡像異性体の代謝のUPLC分析を示すグラフである。
図14】式(I)による化合物の水溶性塩の合成の一般的スキームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
分析方法:
陽子磁気共鳴(H NMR)および炭素核磁気共鳴(13C NMR)スペクトルは、それぞれ300MHzおよび75MHzでMercury-300「Varian」分光計(Varian Inc.、Palo Alto、CA、USA)、または、それぞれ500MHzおよび126MHzで操作するJEOL-500分光計(JEOL USA,Inc.、MA、USA)を使用して記録した。化学シフトは、内部標準として、TMSδ=0(1H)に対するδ(ppm)値で与えられる。J値は、ヘルツ(Hz)で表される。重水素化クロロホルム(CDCl)または重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-D)は、溶媒として使用した。以下のシグナルの略語は、スペクトルの説明で使用されている:s(一重線)、br s(広幅一重線)、d(二重線)、dd(二重線の二重線)、ddd(二重線の二重線の二重線)、t(三重線)、td(二重線の三重線)、q(四重線)、m(多重線)。UPLC/MS分析システムは、エレクトロスプレーイオン化(ESI)モードで操作するWaters TQD質量分析計を備えた、Waters ACQUITY(登録商標)UPLC(登録商標)装置(Waters Corporation、Milford、MA、USA)で構成された。クロマトグラフィー分離は、VanGuard Acquity UPLC BEH C18、1.7μm(2.1×5mm)(Waters、Milford、CT、USA)を伴うAcquity UPLC BEH C18、1.7μm(2.1×100mm)カラムを使用して実施した。カラムは、40℃で維持され、0.3mL/分の流速で、10分にわたって、95%~0%の溶離剤Aの勾配で溶出した。溶離剤A:水/ギ酸(0.1%、v/v);溶離剤B:アセトニトリル/ギ酸(0.1%、v/v)。クロマトグラムは、Waters eλ PDA検出装置を使用して記録した。スペクトルは、1.2nmの分解能での200~700nmの範囲において、20ポイント/sのサンプリングレートで分析した。UPLC保持時間(t)は、分単位で示す。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、以下の組成での展開溶媒システムを使用して、シリカゲル60 F254をコーティングしたアルミニウムシート(Macherey-Nagel、Duren、Germany)で実行した:DCM:MeOH(9:0.2;v/v)、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)、DCM:MeOH(9:1;v/v)。スポット検出:UV光(λ=254nm)。融点(m.p.)は、Buchi 353装置(Buchi Labortechnik、Flawil、Switzerland)において開放毛管を使用して決定した。鏡像異性体純度は、Amylose-C(250×4.6mm)キラルカラムを搭載した、Shimadzu ProminenceおよびLC-2030C SD Plus装置(株式会社島津製作所、京都、日本)でのキラルHPLC技術を使用して決定した。分析は、以下の条件下で実行した:カラム温度:20℃、溶離剤の混合物:ヘキサン/i-PrOH=80/20(v/v)、流速:1mL/分、波長λ=206nmでの検出。鏡像異性体純度は、%で表される。
【0033】
本発明の化合物の調製は、以下の実施例に示す。下記の実施例で表す合成は、収率、使用される試薬の量、または得られる化合物の最終形態の観点から、最適化されなかった。
【0034】
使用される略語:
AcOEt:酢酸エチル
CDI:カルボニルジイミダゾール
DCC:N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM:ジクロロメタン
DMF:ジメチルホルムアミド
EtO:ジエチルエーテル
HCl:塩酸
HMDS:ヘキサメチルジシラザン
MeOH:メタノール
NaCl:塩化ナトリウム
NaSO:硫酸ナトリウム
ZnCl:塩化亜鉛
【実施例1】
【0035】
中間体(図2BのスキームによるIVおよびIII)の合成、物理化学的、およびスペクトルデータ
中間体IV:4-((カルボキシ(フェニル)メチル)アミノ)-4-オキソブタン酸
コハク酸無水物(3.0g、30mmol、1当量)を、15mLの氷酢酸に溶解した後、当モル量のDL-フェニルグリシン(4.53g)を添加した。混合物を、12時間撹拌しながら、70℃で加熱した。この時間の後、酢酸を留去乾固した。中間体IVを、EtOで洗浄した後、固体として得た。
【0036】
白色固体。収率:87%(6.55g);m.p.199.4~200.6℃;TLC:R=0.25(DCM:MeOH(9:1;v/v));C1213NO(251.24)、モノアイソトピック質量:251.08。UPLC(100%純度):t=2.77分間。(M+H) 252.1。
【0037】
中間体III:2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸
ZnCl(2.73g、20mmol、1当量)を、4-((カルボキシ(フェニル)メチル)アミノ)-4-オキソブタン酸(5.0g、20mmol、1当量)(IV)の乾燥ベンゼン(100mL)中の懸濁液に添加し、80℃まで加熱した。次いで、HMDS(4.84g、6.25mL、30mmol、1.5当量)の乾燥ベンゼン(15mL)中の溶液を、30分にわたり滴下添加した。反応物を、約24時間還流下で撹拌し続け、次に減圧下で濃縮した。溶媒の除去後、油状残留物を、DCMに溶解し、0.1MのHCl(3×50mL)、水(3×50mL)、および飽和NaCl溶液(3×50mL)で抽出した。有機層を、無水NaSOで脱水した後、蒸発乾固した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸を、EtOで洗浄した後、固体物質として得た。あるいは、1,4-ジオキサンを、上記の手順のベンゼンの代わりに使用することもできる。
【0038】
白色固体。収率:90%(4.20g);m.p.195.5~198.2℃;TLC:R=0.45(DCM:MeOH(9:1;v/v));C1211NO(233.22)、モノアイソトピック質量:233.07。UPLC(100%純度):t=3.41分間。(M+H) 234.1。1H NMR (300 MHz, DMSO-D6) δ 2.73 (s, 4H), 5.76 (s, 1H), 7.26-7.35 (m, 3H), 7.36-7.45 (m, 2H), 13.22 (br s, 1H).
【実施例2】
【0039】
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-フェニルピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン
カルボニルジイミダゾール(1.17g、7.2mmol、1.2当量)を、5mLの乾燥DMFに溶解した後、10mLの無水DMFに溶解した2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸(1.40g、6mmol、1当量)の溶液に添加した。0.5時間撹拌した後、1-フェニルピペラジン(0.97g、6mmol、1当量)の5mLの無水DMF中の溶液を、滴下添加した。反応物を、室温で24時間撹拌し続けた。この時間の後、DMFを、減圧下、留去した。粗生成物を、溶媒系として、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)の混合物を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。化合物を、EtOで洗浄した後、固体として得た。
【0040】
白色固体。収率:84%(1.90g);m.p.156.7~157.4℃;TLC:R=0.35(DCM:MeOH(9:0.3;v/v));C2223(377.44)、モノアイソトープ質量:377.17。UPLC(100%純度):t=5.88分間。(M+H) 378.1。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.58-2.81 (m, 5H), 2.95-3.15 (m, 2H), 3.17-3.42 (m, 3H), 3.63-3.76 (m, 1H), 3.92-4.05 (m, 1H), 6.12 (s, 1H), 6.80-6.91 (m, 3H), 7.19-7.28 (m, 2H) 7.29-7.47 (m, 5H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 28.1, 42.4, 45.8, 48.9, 49.2, 56.8, 116.5, 116.6, 120.6, 128.6, 128.6, 128.9, 129.1, 129.2, 129.8, 129.9, 133.0, 150.7, 165.0, 176.3.
【実施例3】
【0041】
1-(2-(4-(3-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸(1.40g、6mmol、1当量)、および1-(3-クロロフェニル)ピペラジン(1.40g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.2;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0042】
白色固体。収率:81%(2.00g);m.p.128.1~129℃;TLC:R=0.51(DCM:MeOH(9:0.2;v/v));C2222ClN(411.89)、モノアイソトピック質量:411.13。UPLC(100%純度):t=6.69分間、(M+H) 412.1。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.58-2.73 (m, 4H), 3.00 (br s, 1H), 3.27-3.53 (m, 3H), 3.54- 3.86 (m, 2H), 4.17 (br s, 2H), 6.02 (s, 1H), 7.27-7.40 (m, 7H), 7.51-7.63 (m, 2H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 28.0, 40.0, 43.3, 53.3, 53.7, 56.5, 118.9, 120.8, 128.9, 129.1, 129.3, 129.6, 131.4, 132.1, 135.9, 143.8, 165.5, 176.7.
【実施例4】
【0043】
1-(2-(4-(3,5-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸(1.40g、6mmol、1当量)、および1-(3,5-ジクロロフェニル)ピペラジン(1.20g、6mmol、1当量)。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0044】
白色固体。収率:77%(2.06g);m.p.163.8~165.2℃;TLC:R=0.42(DCM:MeOH(9:0.2;v/v));C2221Cl(446.33)、モノアイソトピック質量:446.10。UPLC(99%純度):t=7.59分間、(M+H) 446.1。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 2.63-2.78 (m, 5H), 2.98-3.13 (m, 2H), 3.20-3.36 (m, 3H), 3.59-3.68 (m, 1H), 3.97-4.00 (m, 1H), 6.09 (s, 1H), 6.64 (d, J = 1.7 Hz, 2H), 6.80 (t, J = 1.7 Hz, 1H), 7.33-7.38 (m, 3H), 7.42 (d, J = 6.7 Hz, 2H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 28.1, 42.2, 45.4, 48.0, 48.2, 56.9, 114.4, 119.8, 128.8, 129.1, 129.9, 132.9, 135.6, 152.1, 165.2, 176.4.
【実施例5】
【0045】
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(m-トリル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸(1.40g、6mmol、1当量)、および1-(3-メチルフェニル)ピペラジン(1.18g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0046】
白色固体。収率:86%(2.02g);m.p.188.7~192.1℃;TLC:R=0.45(DCM:MeOH(9:0.3;v/v));C2325(391.47)、モノアイソトピック質量:391.19。UPLC(98.9%純度):t=6.35分間、(M+H) 392.2。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.36 (s, 3H), 2.57-2.78 (m, 5H), 2.91-3.54 (m, 3H), 3.63-4.55 (m, 4H), 6.06 (s, 1H), 7.22 (d, 1H, J = 7.5 Hz), 7.27-7.62 (m, 8H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 21.4, 28.1, 39.7, 43.0, 54.1, 54.6, 56.5, 117.9, 121.7, 128.9, 129.3, 129.7, 130.2, 130.8, 132.3, 141.0, 141.8, 165.4, 176.3.
【実施例6】
【0047】
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸(1.40g、6mmol、1当量)、および1-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン(1.38g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.2;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0048】
白色固体。収率:82%(2.19g);m.p.150.3~151.4℃;TLC:R=0.34(DCM:MeOH(9:0.2;v/v));C2322(445.44)、モノアイソトピック質量:445.16。UPLC(100%純度):t=6.94分間、(M+H) 446.2。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.60-2.86 (m, 5H), 3.00-3.20 (m, 2H), 3.23-3.44 (m, 3H), 3.62-3.76 (m, 1H), 3.93-4.06 (m, 1H), 6.12 (s, 1H), 6.94-7.04 (m, 2H), 7.09 (d, 1H, J = 7.7 Hz), 7.28-7.51 (m, 6H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 28.0, 42.2, 45.6, 48.4, 48.6, 56.8, 112.7 (q, J = 4.6 Hz), 116.7 (q, J = 4.6 Hz), 119.2, 123.4 (q, J = 271.8 Hz), 128.7, 128.9, 129.7, 129.8, 131.5 (q, J = 31.8 Hz), 132.9, 150.8, 165.1, 176.3.
【実施例7】
【0049】
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸(1.40g、6mmol、1当量)、および1-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン(1.38g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0050】
白色固体。収率:62%(1.66g);m.p.173.2~174.3℃;TLC:R=0.49(DCM:MeOH(9:0.3;v/v));C2322(445.44)、モノアイソトピック質量:445.16。UPLC(100%純度):t=6.89分間、(M+H) 446.2。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.61-2.85 (m, 5H), 3.04-3.43 (m, 5H), 3.63-3.77 (m, 1H), 3.91-4.05 (m, 1H), 6.12 (s, 1H), 6.83 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.30-7.40 (m, 3H), 7.40-7.50 (m, 4H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 28.0, 42.1, 45.4, 47.6, 47.9, 56.8, 115.0, 124.5 (q, J = 270.6 Hz), 126.5 (q, J = 4.6 Hz), 128.7, 128.8, 128.9, 129.8, 132.8, 152.7, 165.1, 176.3.
【実施例8】
【0051】
1-(2-(4-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸(1.40g、6mmol、1当量)、および1-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン(1.18g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0052】
白色固体。収率:69%(2.12g);m.p.228.1~229.4℃;TLC:R=0.47(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2421(513.44)、モノアイソトピック質量:513.13。UPLC(100%純度):t=6.58分間、(M+H) 514.1。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.52-2.75 (m, 4H), 2.82-3.07 (m, 4H), 3.12-3.86 (m, 4H), 6.11 (s, 1H), 6.97-7.05 (m, 3H), 7.22-7.61 (m, 5H).
【実施例9】
【0053】
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(ジフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸(1.40g、6mmol、1当量)、および1-(3-ジフルオロメチルフェニル)ピペラジン(1.27g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.2;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0054】
白色固体。収率:83%(2.13g);m.p.156.4~157.6℃;TLC:R=0.55(DCM:MeOH(9:0.2;v/v));C2323(427.45)、モノアイソトピック質量:427.17。UPLC(100%純度):t=6.36分間、(M+H) 428.2。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.58-2.78 (m, 5H), 3.02-3.18 (m, 2H), 3.24-3.46 (m, 3H), 3.62-4.08 (m, 2H), 6.12 (s, 1H), 6.44-7.62 (m, 1H), 6.94-7.04 (m, 2H), 7.28-7.51 (m, 7H).
【実施例10】
【0055】
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸(1.40g、6mmol、1当量)、および1-[3-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン(1.48g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0056】
白色固体。収率:89%(2.46g);m.p.100.3~101.6℃;TLC:R=0.42(DCM:MeOH(9:0.3;v/v));C2322(461.44)、モノアイソトピック質量:461.16。UPLC(100%純度):t=7.15分間、(M+H) 462.2。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.63-2.79 (m, 5H), 3.00-3.16 (m, 2H), 3.22-3.39 (m, 3H), 3.93-4.05 (m, 1H), 3.63-3.75 (m, 1H), 6.12 (s, 1H), 6.62 (s, 1H), 6.66-6.78 (m, 2H), 7.16-7.28 (m, 1H), 7.32-7.48 (m, 5H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 28.0, 42.2, 45.5, 48.3, 48.5, 56.8, 108.8, 112.1, 114.2, 120.4 (q, J = 256.8 Hz), 128.7, 128.9, 129.8, 130.2, 132.8, 150.2, 151.9, 165.1, 176.3.
【実施例11】
【0057】
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸(1.40g、6mmol、1当量)、および1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン(1.48g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0058】
白色固体。収率:83%(2.29g);m.p.102.3~103.5℃;TLC:R=0.43(DCM:MeOH(9:0.3;v/v));C2322(461.44)、モノアイソトピック質量:461.16。UPLC(100%純度):t=7.17分間、(M+H) 462.2。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.61-2.73 (m, 5H), 2.98-3.13 (m, 2H), 3.20-3.37 (m, 3H), 3.91-4.08 (m, 1H), 3.63-3.75 (m, 1H), 6.13 (s, 1H), 6.60 (s, 1H), 6.63-6.79 (m, 2H), 7.14-7.28 (m, 1H), 7.29-7.51 (m, 5H).
【実施例12】
【0059】
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル(スルファニル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸(1.40g、6mmol、1当量)、および1-[3-(トリフルオロメチルチオ)フェニル]ピペラジン(1.57g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0060】
白色固体。収率:64%(1.83g);m.p.97.8~99.2℃;TLC:R=0.48(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2322S(477.50)、モノアイソトピック質量:478.13。UPLC(99%純度):t=7.55分間、(M+H) 478.1。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 2.64-2.78 (m, 5H), 3.01-3.07 (m, 1H), 3.09-3.15 (m, 1H), 3.24-3.32 (m, 2H), 3.34 (dd, J = 7.7, 3.2 Hz, 1H), 3.62-3.75 (m, 1H), 3.99 (ddd, J = 13.2, 5.7, 3.4 Hz, 1H), 6.11 (s, 1H), 6.92 (dd, J = 8.0, 2.3 Hz, 1H), 7.06 (s, 1H), 7.12 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.24-7.29 (m, 1H), 7.33-7.38 (m, 3H), 7.43 (d, J = 6.8 Hz, 2H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 28.1, 45.6, 48.4, 48.7, 56.9, 118.5, 123.7, 125.3, 127.8, 128.5, 129.4 (d, J = 141.2 Hz), 129.6 (d, J = 137.0 Hz), 130.9, 132.9, 151.4, 165.2, 176.4.
【実施例13】
【0061】
1-(2-(4-([1,1’-ビフェニル]-3-イル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸(1.40g、6mmol、1当量)、および1-(ビフェン-3-イル)ピペラジン(1.43g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0062】
白色固体。収率:82%(2.23g);m.p.114.1~115.4℃;TLC:R=0.4(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2827(453.54)、モノアイソトピック質量:453.20。UPLC(100%純度):t=7.43分間、(M+H) 454.2。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.56-2.81 (m, 5H), 3.00-3.21 (m, 2H), 3.23-3.56 (m, 3H), 3.65-3.79 (m, 1H), 3.94-4.11 (m, 1H), 6.14 (s, 1H), 6.83 (dd, 1H, J = 8.1, 2,0 Hz), 7.00-7.17 (m, 2H), 7.27-7.62 (m, 11H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 28.1, 42.5, 45.8, 49.0, 49.2, 56.8, 115.4, 115.6, 119.7, 127.2, 127.4, 128.7, 128.8, 129.6, 129.9, 132.9, 141.4, 142.5, 151.1, 165.0, 176.4.
【実施例14】
【0063】
1-(1-(4-フルオロフェニル)-2-オキソ-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-(4-フルオロフェニル)酢酸(1.51g、6mmol、1当量)、および1-[3-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン(1.38g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0064】
白色固体。収率:73%(2.03g);m.p.88.8~90.7℃;TLC:R=0.63(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2321(463.43)、モノアイソトピック質量:463.15。UPLC(100%純度):t=7.05分間、(M+H) 464.2。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.61-2.89 (m, 5H), 3.02-3.46 (m, 5H), 3.67-3.80 (m, 1H), 3.88-4.04 (m, 1H), 6.09 (s, 1H), 6.94-7.27 (m, 6H), 7.29-7.40 (m, 2H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 28.0, 42.3, 45.6, 48.5, 48.6, 56.0, 112.7 (q, J = 3.4 Hz), 115.9, 116.2, 116.7 (q, J = 3.4 Hz), 117.0, 119.3, 124.1 (q, J = 272.9 Hz), 125.5 (d, J = 3.4 Hz), 129.7, 130.2, 130.3, 131.5 (q, J = 31.1 Hz), 135.1 (d, J = 6.9 Hz), 150.7, 160.9, 164.2, 164.5, 176.23.
【実施例15】
【0065】
1-(2-(4-(ナフト-2-イル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸(1.40g、6mmol、1当量)、および1-(ナフト-2-イル)ピペラジン(1.27g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0066】
白色固体。収率:79%(2.02g);m.p.197.1~198.5℃;TLC:R=0.71((DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2625(427.50)、モノアイソトピック質量:427.19。UPLC(100%純度):t=6.97分間(M+H) 428.2。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.58-2.87 (m, 5H), 3.03-3.25 (m, 2H), 3.29-3.60 (m, 3H), 3.69-3.89 (m, 1H), 3.96-4.17 (m, 1H), 6.12-6.18 (m, 1H), 7.00-7.24 (m, 2H), 7.28-7.54 (m, 7H), 7.61-7.80 (m, 3H).
【実施例16】
【0067】
1-(2-(4-(ベンゾ[b]チオフェン-5-イル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸(1.40g、6mmol、1当量)、および1-(ベンゾ[b]チオフェン-5-イル)ピペラジン(1.30g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0068】
白色固体。収率:79%(2.05g);m.p.164.1~165.3℃;TLC:R=0.66((DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2423S(433.53)、モノアイソトピック質量:433.15。UPLC(100%純度):t=6.62分間、(M+H) 434.1。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.56-2.85 (m, 5H), 2.96-3.17 (m, 2H), 3.20-3.54 (m, 3H), 3.66-3.87 (m, 1H), 3.96-4.12 (m, 1H), 6.14 (s, 1H), 6.99 (dd, J = 8.7, 1.9 Hz, 1H), 7.15-7.25 (m, 1H), 7.30-7.55 (m, 7H), 7.72 (d, J = 8.8 Hz, 1H).
【実施例17】
【0069】
1-(2-(4-(1,2-ベンゾオキサゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸(1.40g、6mmol、1当量)、および5-(ピペラジン-1-イル)ベンゾ[d]イソオキサゾール(1.22g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0070】
白色固体。収率:57%(1.43g);m.p.186.4~187.8℃;TLC:R=0.58(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2322(418.45)、モノアイソトピック質量:418.16。UPLC(98%純度):t=7.25分間、(M+H) 419.1。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.57-2.86 (m, 5H), 2.95-3.19 (m, 3H), 3.22-3.53 (m, 2H), 3.62-3.84 (m, 2H), 3.94-4.11 (m, 1H), 6.14 (s, 1H), 7.05-7.32 (m, 1H), 7.29-7.54 (m, 6H), 7.98 (d, J = 8.8 Hz, 1H).
【実施例18】
【0071】
1-(2-(4-(3-クロロフェニル)ピペリジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸(1.40g、6mmol、1当量)、および4-(3-クロロフェニル)ピペリジン(1.17g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0072】
白色固体。収率:74%(1.83g);m.p.111.8~113.4℃;TLC:R=0.43(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2323ClN(410.90)、モノアイソトピック質量:410.14。UPLC(100%純度):t=7.05分間、(M+H) 411.1。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.52-2.05 (m, 4H), 2.33-2.84 (m, 8H), 2.96-3.34 (m, 1H), 6.15 (s, 1H), 7.05-7.28 (m, 6H), 7.32-7.66 (m, 3H).
【実施例19】
【0073】
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸(1.40g、6mmol、1当量)、および1-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン(1.37g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0074】
白色固体。収率:85%(2.26g);m.p.100.1~101.5℃;TLC:R=0.45(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2423(444.45)、モノアイソトピック質量:444.17。UPLC(100%純度):t=7.26分間、(M+H) 445.1。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.49-2.00 (m, 3H), 2.54-2.83 (m, 8H), 2.94-3.77 (m, 2H), 6.14 (s, 1H), 7.09-7.60 (m, 9H).
【実施例20】
【0075】
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピペリジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-2-フェニル酢酸(1.40g、6mmol、1当量)、および4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン(1.45g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0076】
白色固体。収率:79%(2.18g);m.p.112.1~113.2℃;TLC:R=0.47(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2423(460.45)、モノアイソトピック質量:460.16。UPLC(100%純度):t=7.12分間、(M+H) 461.1。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.38-2.15 (m, 3H), 2.49-2.92 (m, 8H), 2.99-3.85 (m, 2H), 6.15 (s, 1H), 7.11-7.64 (m, 9H).
【実施例21】
【0077】
1-(1-オキソ-3-フェニル-1-(4-フェニルピペラジン-1-イル)プロパ-2-イル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-3-フェニルプロパン酸(1.48g、6mmol、1当量)、および1-フェニルピペラジン(0.97g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0078】
白色固体。収率:87%(1.13g);m.p.121.7~123.2℃;TLC:R=0.62(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2325(391.47)、モノアイソトピック質量:392.19。UPLC(100%純度):t=6.22分間、(M+H) 392.1。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.49-2.61 (m, 4H), 3.08 (d, J = 16.4 Hz, 4H), 3.31-3.89 (m, 6H), 5.19 (dd, J = 10.3, 6.1 Hz, 1H), 6.83-6.96 (m, 3H), 7.13-7.33 (m, 7H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 27.8, 34.2, 42.5, 45.4, 49.3, 49.6, 52.9, 116.6, 120.7, 127.1, 128.6, 129.1, 129.3, 136.7, 150.7, 166.4, 176.5.
【実施例22】
【0079】
1-(1-(4-(3-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-3-フェニルプロパン酸(1.48g、6mmol、1当量)、および1-(3-クロロフェニル)ピペラジン(1.40g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0080】
白色固体。収率:87%(1.23g);m.p.114.3~116.2℃;TLC:R=0.80(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2324ClN(425.91)、モノアイソトピック質量:426.15。UPLC(100%純度):t=6.97分間、(M+H) 426.1。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.49-2.64 (m, 4H), 3.07 (d, J = 15.3 Hz, 4H), 3.30-3.86 (m, 6H), 5.17 (dd, J = 10.1, 6.2 Hz, 1H), 6.73 (ddd, J = 8.3, 2.2, 0.9 Hz, 1H), 6.79-6.88 (m, 2H), 7.06-7.35 (m, 6H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 27.8, 34.2, 42.2, 45.2, 48.7, 49.0, 52, 9, 114.4, 116.3, 120.2, 127.1, 128.6, 129.1, 130.2, 135.0, 136.6, 151.7, 166.4, 176.5.
【実施例23】
【0081】
1-(1-オキソ-3-フェニル-1-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)プロパン-2-イル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-3-フェニルプロパン酸(1.48g、6mmol、1当量)、および1-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン(1.38g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0082】
白色固体。収率:84%(1.59g);m.p.126.1~127.2℃;TLC:R=0.72(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2424(459.47)、モノアイソトピック質量:460.18。UPLC(100%純度):t=7.22分間、(M+H) 460.1。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.50-2.64 (m, 4H) 3.12 (d, J = 14.8 Hz, 4H), 3.32-3.89 (m, 6H) 5.18 (dd, J = 9.9, 6.2 Hz, 1H), 6.94-7.42 (m, 9H).
【実施例24】
【0083】
1-(1-(4-([1,1’-ビフェニル]-3-イル)ピペラジン-1-イル)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-3-フェニルプロパン酸(1.48g、6mmol、1当量)、および1-(ビフェニル-3)ピペラジン(1.43g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0084】
白色固体。収率:88%(1.46g);m.p.119.1~120.0℃;TLC:R=0.77(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2929(467.57)、モノアイソトピック質量:467.22。UPLC(100%純度):t=7.63分間、(M+H) 468.2。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.50-2.63 (m, 4H) 3.16 (d, J = 18.9 Hz, 4H), 3.32-3.91 (m, 6H), 5.20 (dd, J = 10.2, 6.0 Hz, 1H) 6.88 (dd, J = 8.1, 1.8 Hz, 1H), 7.06-7.38 (m, 9H), 7.39-7.48 (m, 2H), 7.51-7.62 (m, 2H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 27.8, 34.2, 42.5, 45.4, 49.4, 49.7, 53.0, 115.5, 115.7, 119.7, 127.1, 127.2, 127.4, 128.6, 128.7, 129.1, 129.6, 136.7, 141.4, 142.5, 151.1, 166.4, 176.5.
【実施例25】
【0085】
1-(1-オキソ-3-フェニル-1-(4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピペラジン-1-イル)プロパン-2-イル)ピロリジン-2,5-ジオン
化合物を、実施例2に記載の手順に従って調製した。2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-3-フェニルプロパン酸(1.48g、6mmol、1当量)、および1-[3-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン(1.48g、6mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0086】
白色固体。収率:83%(1.32g);m.p.104.4~105.5℃;TLC:R=0.71(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2424(475.47)、モノアイソトピック質量:475.17。UPLC(100%純度):t=7.40分間、(M+H) 476.1。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.50-2.63 (m, 4H, 3.10 (d, J = 16.4 Hz, 4H), 3.31-3.86 (m, 6H), 5,18 (dd, J = 9.9, 6.2 Hz, 1H), 6.62-6.85 (m, 3H), 7.11-7.36 (m, 6H).
【実施例26】
【0087】
マウスのin vivoでの抗痙攣活性の決定
体重18~26gの雄のSwissアルビノマウス(CD-1)を使用した。全ての手順を、適切な施設の承認を受けた後、適用可能な、動物試験の倫理に関するポーランドおよび国際的なガイドラインに従って実施した。物質を、所与の試験の30分前に、10ml/kgの体積での単回注射として、Tweenの1%の水溶液中、腹腔内(i.p.)投与した。スクリーニングを、4匹のマウスからなる群で実行した。所与の試験での平均有効用量(ED50)、およびロータロッド試験での毒性用量(TD50)を、6匹のマウスからなる動物の3~4群で得られる結果に基づいて推定した。全ての試験を、専門家の文献に記載された手順に基づいて実施した。
【実施例27】
【0088】
最大電気ショック発作試験(MES)
MES試験では、発作を、0.2秒の期間、500Vの電圧、および25mAの強度の持続する電気刺激により誘発した。電気刺激を、電気ショック発生器(Rodent shocker、Type221、Hugo Sachs Elektronik、Germany)を使用して生成し、耳介に設置した電極を使用して動物に送達した。試験を、様々な用量での化合物の腹腔内投与の30分後に行った。実験の間、後肢の強直性伸展の形態での発作エピソードを経験した動物の数を計数した(Kaminski,K.;Rapacz,A.;Luszczki,J.J.;Latacz,G.;Obniska,J.;Kiec-Kononowicz,K.;Filipek,B.、Bioorg.Med.Chem.2015年、23、2548~2561頁;Castel-Branco,M.M.;Alves,G.L.;Figueiredo,I.V.;Falcao,A.C.;Caramona,M.M.、Methods Find.Exp.Clin.Pharmacol.2009年、31、101~106頁)。
【実施例28】
【0089】
精神運動発作試験(6Hz試験)
6Hz試験では、発作を、32mAおよび/または44mA、ならびに1秒当たり6パルスの頻度での電気刺激により誘発した。電気パルスを、電気ショック発生器(ECT Unit57800;Ugo Basile、Gemonio、Italy)を使用して生成し、眼の電極を使用して動物に送達した。試験を開始する前、眼の表面を、局所麻酔剤の溶液(1%のリドカイン溶液)で穏やかに湿らした。試験を、様々な用量での化合物の腹腔内投与の30分後に行った。電気パルスを、3秒間連続して送達した後、10秒間動物を観察した。この期間、飼育に関連する不動または気絶、前肢クローヌス、感覚毛の攣縮、およびストラウブの挙尾反応(Straub’s tail)を観察した。これらの症状は、観察期間の間、存続し、マウスの精神運動発作の発生を示す。刺激後10秒以内に正常動作を再開するマウスは、保護されていると考えられた(Barton,M.E.;Klein,B.D.;Wolf,H.H.;White,H.S.、Epilepsy Res.2001年、47、217~227頁;Wojda,E.;Wlaz,A.;Patsalos,P.N.;Luszczki,J.J.、Epilepsy Res.2009年、86、163~174頁)。
【実施例29】
【0090】
皮下ペンチレンテトラゾール発作試験(scPTZ)
scPTZ試験では、発作を、100mg/kgの用量で、ペンチレンテトラゾール(PTZ)の皮下投与により誘発した。これは、立ち直り反射の喪失を伴う間代発作を引き起こした。試験化合物を、実験の30分前に投与した。PTZ投与後、動物を、個別に透明な容器に置き、間代発作の発症に対して30分間観察した。この期間、試験期間に立ち直り反射、および発作エピソードの数の喪失を伴う、少なくとも3秒間持続する全身のクローヌスで定義される、間代発作の最初の発症の潜時を認め、対照群と比較した。観察された期間内の間代痙攣が起こらないことは、PTZ誘発性発作に対して保護する化合物の能力と解釈された(Ferreri,G.;Chimirri,A.;Russo,E.;Gitto,R.;Gareri,P.;De Sarro,A.;De Sarro,G.、Pharmacol.Biochem.Behav.2004年、77、85~94頁;Laczkowski,K.;Salat,K.;Misiura,K.;Podkowa,A.;Malikowska,N.、J.Enzyme Inhib.Med.Chem.2016年、31、1576~82頁)。
【実施例30】
【0091】
ロータロッド試験でのマウスの運動協調性に対する影響
運動協調性に対する、試験した化合物の影響を、ロータロッド試験で評価した(使用した装置:May Commat、RR 0711 Rota Rod、Turkey)。マウスを、実際の実験の前日に訓練した。これらは、1分当たり10回転(rpm)で回転する、直径2cmのロッドに個別に置いた。各訓練セッションの間、動物は、3分間ロッドに留まった。実験を、化合物の投与の30分後に実施した。運動協調性を、60秒間、回転する棒の速度:10rpmで試験した。運動障害は、回転するロッドに1分間留まることができないこととして定義した。ロッドに費やされた平均時間は、各実験群で計数した(Dunham,N.W.;Miya,T.A.;Edwards,L.D.、J.Am.Pharm.Assoc.1957年、46、64~66頁,Laczkowski,K.;Salat,K.;Misiura,K.;Podkowa,A.;Malikowska,N.、J.Enzyme Inhib.Med.Chem.2016年、31、1576~82頁)。
【実施例31】
【0092】
統計的分析
対応する95%信頼区間に沿うED50(有効用量)およびTD50(毒性用量)値は、LitchfieldおよびWilcoxon法に基づいて計算した(Litchfield,J.T.、Wilcoxon,F.、1949年、A simplified method of evaluating dose-effect experiments.J.Pharmacol.Exp.Ther.96、99~113頁)。結果の統計的評価を実行するために、一元配置ANOVA分散分析、およびDunnettのpost hoc検定(多重比較検定)を使用した。p<0.05の著しいレベルの値は、統計的に有意であると考えられた。
【実施例32】
【0093】
抗痙攣活性試験の結果
本発明の化合物は、100mg/kgの用量で、MES試験、6Hz(32mAおよび/または44mA)、ならびにscPTZで効果的に作用することにより、広い抗痙攣活性を示した。30分の時点で、これらは、試験した動物の50~100%から保護した。最も強力な保護は、ピペラジン部分に接続される芳香環の位置3で電子吸引性置換基、好ましくは、Cl、CF、OCF、SCF、CHF、またはフェニル置換基を含有する化合物を明らかにしたが、kは、好ましくは、0である。表1は、選択された物質に対する薬理学的スクリーニングデータを示す。
【0094】
【表1】
【0095】
上記の試験を、本発明による化合物のラセミ混合物で実施した。
【0096】
表2は、一般式(II)による選択された化合物、特に、選択された活性化合物:1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン(6)に対して定量的な薬理学的データを提示し、これは、スクリーニング試験の間、MES試験、6Hz(32mAおよび44mA)試験、ならびにscPTZ試験での100%のマウスを保護した(0.5時間の時点)。
【0097】
【表2】
【0098】
得られた結果により、本発明の化合物、とりわけ化合物6が、強力な保護効果、および、モデルAED-バルプロ酸と比較して、明確により良好な保護指数を有することが確認された。特に、バルプロ酸は、広いスペクトルの治療的適応を有することが知られている。
【実施例33】
【0099】
マウスのin vivo試験での抗侵害受容活性の決定
試験を、体重18~25gの雄の白色Swissマウス(CD-1)を使用して実施した。全ての手順を、適切な施設の承認を受けた後、動物試験の倫理でポーランドおよび国際的なガイドラインに従って実施した。試験群は、8~10匹の動物からなった。試験物質および参照物質を、所与の試験30分前に、Tweenの1%の水溶液中の懸濁液として腹腔内投与した。全ての試験/モデルを、専門家の文献:ホルマリン試験(Beirith,A.;Santos,A.R.;Calixto,J.B.;Rodrigues,A.L.;Creczynski-Pasa,T.B.、Eur.J.Pharmacol.1998年、345、233~245頁)、カプサイシン誘発性疼痛のモデル(Mogilski,S.;Kubacka,M.;Redzicka,A.;Kazek,G.;Dudek,M.;Malinka,W.;Filipek,B.、Pharmacol.Biochem.Behav.2015年、133、99~110頁)、オキサリプラチン誘発性神経障害性疼痛のモデル-von Frey検定(Salat,K.;Cios,A.;Wyska,E.;Salat,R.;Mogilski,S.;Filipek,B.;Wieckowski,K.;Malawska,B.、Pharmacol.Biochem.Behav.2014年、122、173~181頁)に記載した手順に基づいて実施した。
【実施例34】
【0100】
ホルマリン試験での鎮痛活性の決定
疼痛を、マウスの右後肢への20μLの2.5%のホルマリン溶液の足底下注射により誘発した。動物を、30分間、別個の透明観察チャンバーに置いた。測定値は、ホルマリン溶液を注射した肢を舐めたり噛んだりする時間の合計であった。侵害受容反応時間を、ホルマリン注射の最初の5分後(試験の第一相:急性疼痛)に、ならびに、投与後の15~20分、20~25分、および25~30分の時間間隔(試験の第二相:炎症性疼痛)で計算した。侵害受容反応の観察される阻害-肢を舐めたり噛んだりする時間の低減は、試験した化合物の鎮痛効果と解釈された。得られた結果に基づいて、ED50用量(侵害受容反応時間を50%低減する用量)を計算した。この試験の参照化合物は、バルプロ酸であり、これを、100mg/kg、150mg/kg、および200mg/kgの用量で、腹腔内投与した。化合物6を、10mg/kg、20mg/kg、および30mg/kgの用量で投与した。
【0101】
化合物6は、試験の両相において異なった鎮痛活性を示した。対照群における平均侵害受容応答時間は、試験の第一相および第二相で、それぞれ、90.0±4.97秒、および212.70±10.16秒であった。化合物6は、試験した全ての用量で、急性疼痛に相当する、ホルマリン試験の第一相において侵害受容反応時間が低減し、2つの最大用量で統計的に有意な効果を観察した。試験の第一相での化合物6のED50値は、28.50mg/kgであった。持続性炎症性疼痛に相当する試験の第二相では、化合物6は、使用した全ての用量で、侵害受容反応の時間を統計的に有意に短縮した。この化合物に対する試験の第二相でのED50値は、12.40mg/kgであった(図3)。
【0102】
バルプロ酸(VPA)は、試験した用量のいずれでも試験の第一相で鎮痛活性を示さなかった。VPA試験の第二相では、侵害受容応答時間は、使用した全ての用量で低減し、試験のこの相でのED50値は、132.90mg/kgであった(図3)。
【実施例35】
【0103】
カプサイシン疼痛モデルでの鎮痛活性の決定
この試験は、マウスが、0.9%の生理食塩水およびエタノール(最終体積の5%)を含有する20μlの混合物に溶解された、1.6μgの量でカプサイシンを足底下注射した後肢を舐める、および/または、噛む時間を評価する。観察を、カプサイシン投与後の5分間実施した。試験化合物を、カプサイシンの投与の30分前に腹腔内投与した。侵害受容反応の阻害-肢を舐めたり噛んだりする時間の短縮は、試験した化合物の抗侵害受容活性の測定であった。
【0104】
バルプロ酸(VPA)は、本試験における参照化合物であった。VPAは、100mg/kg、150mg/kg、および200mg/kgの用量で、腹腔内投与した。化合物6を、20mg/kg、30mg/kg、および40mg/kgで投与した。試験化合物を、1.0%のTween80溶液中の懸濁液として投与した。対照群は、ビヒクル単独(1%のTween80溶液)で処置したマウスからなった。この群での侵害受容反応時間は、43.29±3.21秒であった。
【0105】
化合物6は、20mg/kgおよび30mg/kgで侵害受容応答時間を統計学的に有意に低減し、ED50は、17.9mg/kgであった(図4)。
【0106】
参照化合物(バルプロ酸)は、200mg/kgの投与の後のみ、25.00±4.57秒に侵害受容反応時間を統計的に有意に低減した(42.25%の鎮痛活性に相当する)(図4)。
【実施例36】
【0107】
オキサリプラチン誘発性神経障害性疼痛のモデル-von Frey検定での鎮痛活性の決定
オキサリプラチン(OXPT)を、5%のグルコース溶液に溶解した後、マウスに腹腔内投与した。10mg/kgの単回用量を使用した。オキサリプラチン誘発性ニューロパチーに関連する触覚性および熱的(低温の感覚)アロディニアは、2相で特徴付けられる。初期相が、急性であり、OXPTの投与のすぐ後に発症する一方、後期(慢性)期(ニューロン損傷に関連)の症状は、数日後に発症する。OXPT誘発性ニューロパチーのマウスでの行動試験を、投与の7日後、すなわち、ニューロパチーの後期相に実施した。
【0108】
触覚性アロディニアに対する、試験した化合物の影響を、von Frey検定で決定した。動物を、新規の環境に適応させるために、実験の開始60分前に、網目状底部のケージに個別に置いた。電子Von Frey装置(Electronic Von Frey、Bioseb、France)を使用して、機械刺激に対する疼痛閾値を評価した。von Freyの繊維を、圧力を増加させながら、マウスの右肢の下側に適用した。疼痛閾値の交差により、肢を引っ込め、続いて、侵害防御応答を誘発した機械圧力を記録した。測定を、測定間の少なくとも30秒で、各マウスに3回実行した後、得られた結果を平均した。全体の試験を、ベースラインの疼痛閾値を決定する、OXPT投与前;新規の疼痛閾値を設定することによりニューロパチーの発症を評価する、OXPTの投与の7日後で試験化合物の投与前;ニューロパチーを発症する影響を決定する、化合物の投与の30分後の3回実行した。
【0109】
熱的アロディニアに対する試験化合物の影響を、特殊な装置:Cold/Hot Plate、Bioseb、Franceを使用してコールドプレート試験で評価した。動物を、サーモスタット付デバイスを使用して2℃まで冷却した金属プレートに個別に置いた。動物の観察される侵害受容反応は、舐めること、および/または、特徴的な後肢の上がることもしくは跳ね上がりを含んだ。観察時間は、60秒に設定して、組織損傷の潜在的なリスクを除去し、動物の不快感を最小限にした。Von Frey検定と同様に、測定を3回実行した。
【0110】
化合物6、および参照AEDとしてのバルプロ酸を、Tween80の1%溶液中の懸濁液として腹腔内投与した。化合物6を、10、20、および30mg/kgの用量で投与した。参照化合物(バルプロ酸)を、50、100、および150mg/kgの用量で与えた。
【0111】
マウスでのOXPTの注射は、von Frey法で測定される、疼痛閾値での顕著で統計的に有意な低減をもたらす、ニューロパチーの発症を引き起こした。痛覚感受性閾値は、OXPT投与マウスにおいて、健康なマウスの3.18±0.06~3.36±0.10gから、1.89±0.04~1.94±0.14gの範囲のレベルに低下した。得られた結果は、試験した化合物6の統計的に有意な鎮痛効果を示す。対照群の平均痛覚感受性閾値は、3.36±0.10gであった一方、OXPTの投与後、1.89±0.04g(初期値の56.25%)に低下した。10mg/kgの用量での化合物6の投与により、疼痛閾値が2.87±0.12g(初期値の85.41%)に上昇し、これは、既に低用量で、機械的アロディニアの発症に対する阻害効果を示す。20mg/kgの用量の化合物6は、3.83±0.13gまで痛覚感受性閾値が上昇し、これは、初期値の113.98%である。30mg/kgの用量は、4.17±0.17gまで疼痛閾値の上昇をもたらし、これは、初期値の124.10%である。得られた結果は、化合物6が、化学療法剤-OXPTにより引き起こされるニューロン損傷の結果である、機械的アロディニアの発症の抑制に効果が高いことを示す(図5A)。
【0112】
参照化合物(バルプロ酸、VPA)に対する対照群での平均痛覚感受性閾値は、2.62±0.06gであり、OXPTの投与後、1.78±0.04gに低下した。150mg/kgの用量でのVPAの投与は、最大で3.97±0.30gの疼痛閾値での上昇を引き起こしたが、100mg/kgおよび50mg/kg体重の用量は、それぞれ、3.18±0.14gおよび2.75±0.06gまで平均疼痛閾値の上昇を達成することを可能にした(図5B)。
【0113】
化合物6はまた、コールドプレート試験での熱的アロディニア感受性を有意に高めた(図5C)。
【実施例37】
【0114】
in vitroでの親和性および機能性試験
式(II)による化合物を表す最も活性な物質6に対してin vitroで実行した親和性および機能性試験は、その作用機構が、電位依存性ナトリウムチャネル(部位2)およびカルシウムチャネル(ジヒドロピリジン、ジルチアゼム、およびベラパミル結合部位)との相互作用を介した神経伝導率に対する影響に関連することを示した。本発明による式(II)の化合物を表す化合物6の独特の特徴は、一過性受容体電位バニロイドタイプ1(TRPV1)を遮断することによるカルシウム電流の阻害である。この効果は、公知のAEDに対して開示されていない。TRPV1受容体拮抗作用は、本明細書に開示される化合物の抗侵害受容効果を決定することができる。疼痛刺激の伝達におけるTRPV1受容体の役割は、専門家の文献において十分に裏付けられている(Szallasi,A.;Cortright,D.N.;Blum,C.A.;Eid,S.R.、Nat.Rev.Drug.Discov.2007年、6、357~372頁)。本発明による化合物は、複雑な作用機構で特徴付けられ、これは、公知の抗痙攣剤に対して記載されていない。しかし、さらなるin vitro試験では、本特許請求の範囲の対象である物質の薬理学的作用に関与する、さらなる分子標的を明らかにすることができることを強調すべきである。化合物6に対する結合試験(ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル)および機能性試験(TRPV1受容体)の結果は、表3に示す。
【0115】
【表3A】
【実施例38】
【0116】
in vitroでの電気生理学試験
実験を、動物調査の倫理に関する施設および国際的なガイドラインに従って実施した。ラット(3週齢)を、塩化エチルで麻酔し、断頭した。次いで、脳を取り出し、氷冷細胞外液に置いた。切片作製およびプレインキュベーションの方法論は、前述されている(Szulczyk,B.;Nurowska,E.、Biochem.Biophys.Res.Commun.2017年、491、291~295頁)。前頭前皮質を含有する切片は、酵素的および機械的に分散させた。単一の前頭前皮質錐体ニューロンを、倒立顕微鏡(Nikon)を使用して可視化した。ナトリウム電流を、長方形の脱分極刺激により誘発した。脱分極刺激間の電位は、-65mVに維持した。
【0117】
ピペット中の細胞内液は、CsF(110)、NaCl(7)、EGTA(3)、HEPES-Cl(10)、MgCl(2)、NaATP(4)(pH7.4および浸透圧290mOsm)を含有した(mM単位)。
【0118】
ニューロンを洗浄する細胞外液は、NaCl(30)、塩化コリン(90)、TEA-Cl(30)、CaCl(2)、MgCl(2)、グルコース(15)、HEPES(10)、LaCl(0.001)、およびCdCl(0.4)(pH7.4)を含有した(mM単位)。電流を、Axopatch 1D増幅器を使用して記録し、pClampソフトウェア(Axon InstrumentsおよびMolecular Devices、USA)を使用して分析した。ピペット耐性は、4~5MΩの間であった。ギガシールの形成後、ピペット静電容量を、増幅器によって補償した。
【0119】
パッチ膜を、吸引により、または電気刺激により破壊された後、膜静電容量を補償した。アクセス抵抗は、5~7MΩの間であった。80%の直列抵抗補償を使用した。漏洩電流を、記録した電流から減じた。記録は、室温で実行した。電位依存性カリウム電流を、細胞外液においてTEA-Clにより遮断した。電位依存性カルシウム電流を、細胞外液においてカドミウムおよびランタンイオンにより遮断した。ニューロンの膜電位は、-65mVに維持した。物質6を、細胞外側から(浴全体に)投与した。
【0120】
得られた結果により、前頭前皮質錐体ニューロンにおいて電位依存性ナトリウムチャネルを迅速に活性化し、迅速に不活性化することで、化合物6の阻害効果が確認された(試験を、100μMの濃度で実行した)。最大電流を、20ミリ秒持続する長方形の脱分極刺激により誘発した。脱分極刺激間の電位は、-65mVに維持した。対照の記録を、2分間実行し、試験物質を、3分間投与し、洗出し後の電流を、5分間記録した。記録した電流を、対照電流の値に正規化した。物質6は、対照と比較して、最大で0.59±0.08のナトリウム電流の最大振幅を遮断した(1.0、p<0.001)。洗出し後、電流振幅は、対照値に部分的に回復した(0.79±0.07、n=5)。ナトリウム電流の記録および平均した結果の例を、図6に示す。
【実施例39】
【0121】
in vitro試験でのADMEToxパラメーターの評価
化合物6のADME-Toxパラメーターを、組換え酵素、ヒトおよびマウスの肝ミクロソーム、ならびに真核細胞株を使用するin vitro法により評価した。
【0122】
代謝安定性。化合物6の代謝安定性を、ヒト肝ミクロソーム(HLM)を使用して評価した。内部クリアランス値CLintを、Obach R.S.(Obach,R.S.、Drug Metab.Dispos.1999年、27、1350~1359頁)により提案された手順に従って、時間単位当たりのミクロソームの存在下で、化合物濃度で変化をモニタリングすることにより計算した。得られたデータに基づいて、HLMとのインキュベーション後の化合物6の非常に低いクリアランス値が見出され、CLint=5.8ml/分/kgに達し、人体において予測された高い安定性を示した。HMLとのインキュベーション後の化合物6の代謝のUPLC分析は、3つの代謝物M1~M3に代謝されることを明らかにした(図7)。UPLC/MSデータに基づいて、代謝物M1がピペラジン環の脱水素化により形成され、M2がピペラジンに連結されているフェニル置換基のヒドロキシル化により形成される一方、イミドフラグメントにおけるケトン基のヒドロキシル基への還元と同時に、側方フェニル基のヒドロキシル化の結果として、M3が高い確実性で形成されることが見出された(図7)。
【0123】
代謝安定性試験-方法論。化合物6に対する代謝安定性試験を、HLM(Promega、Madison、WI、USA)を使用して実行した。この目的のために、1000μMの濃度での10μLの化合物6を、132μLのトリス-HCl緩衝液(100mM、pH7.4)で希釈した後、8μLの適切なミクロソームを添加した。反応混合物を、37℃で5分間プレインキュベートした後、Promega(Madison、WI、USA)により供給された50μLのNADPH Regeneration Systemを添加した。混合した後、全混合物を、37℃で120分間インキュベートした。反応を完了させるために、200μLの冷メタノールを管に添加して、遠心分離した。上清を、断片化分析を含む、UPLC/MS分析に供した。6とHLMとの4つの混合物を調製して、内部クリアランスCLintを決定した。これらの反応物の各々を、50μMの内部標準を含有する冷メタノールを添加することにより、5、15、30、および45分後の異なる時点で完了させた。次いで、文献のガイドライン(Obach,R.S.、Drug Metab.Dispos.1999年、27、1350~1359頁)に従って、6由来のピークの高さと内部標準の高さとの間の関係のプロットに基づいて、回帰方程式を決定し、反応速度定数kを計算した。次いで、定数kを、方程式(1)に代入した。
【0124】
【数1】
【0125】
次いで、計算したt1/2値を、方程式(2)に代入した。
【0126】
【数2】
【0127】
Pgp活性に対する影響。P-糖タンパク質(Pgp)は、ATP依存性バーストポンプとして生体異物を能動的に除去し、薬物間相互作用を引き起こすことができる、内在性原形質膜タンパク質である。Pgpは、胃腸管内で、および血液脳関門を通しても、薬物の吸収に重要な役割を担う。商業的な生物発光Pgp-Glo(商標)アッセイシステム試験(Promega、Madison、WI、USA)を使用して、Pgp活性に対する化合物6の効果を試験した。試験の操作は、試験化合物の存在下、組換えPgpタンパク質を含有する膜により消費されるATPのレベルでの変化を測定することに基づく。結果は、ベースライン活性の%として提示され、参照化合物:選択的Pgp阻害剤NaVOおよびベラパミル刺激剤と比較した。化合物6は、100μMでのベースライン活性の最大38%のPgpに対する統計的に有意な(p<0.01)阻害効果を示した一方、50μMでのPgp活性に対する効果が認められなかった(図8)。
【0128】
Pgp活性に対する影響-方法論。試験を、Promega社(Madison、WI、USA)により提供された、生物発光Pgp-Glo(商標)アッセイシステム試験のプロトコルに従って実行した。酵素反応を、Thermo Scientific(Waltham、MA、USA)製のNunc(商標)MicroWell(商標)96ウェル白色プレートで実行した。生物発光を、PerkinElmer多特異性EnSpireプレートリーダー(Waltham、MA、USA)で測定した。NaVO Pgp阻害剤(100%の阻害を誘発)を使用した後、対照サンプルに対するシグナルが増加し、Pgp、いわゆる塩基活性によるATP消費の阻害を示した。阻害剤処置サンプルと対照サンプルとの間の発光値の計算された差は、100%のPgp塩基活性として得られ、試験において陰性対照として処置した。参照化合物NaVOおよびベラパミルを、製造元の指示書に従って、それぞれ、100μMおよび200μMで使用した。化合物6を、反応緩衝液中のDMSOにおける濃縮原液(10mM)での希釈後に得られた、50および100μMの濃度で試験した。Pgp含有膜を伴う化合物のインキュベーションを、37℃で40分間実施した後、生物発光測定を行って、PgpによるATP消費の程度を決定した。統計的な有意差を、GraphPad Prism5を使用する一元配置ANOVA分散分析およびBonferroni法により計算した。化合物を三重試験した。
【0129】
シトクロムP-450 3A4および2D6活性に対する化合物6の効果。調査を、文献(Socala,K.;Mogilski,S.;Pierog,M.;Nieoczym,D.;Abram,M.;Szulczyk,B.;Lubelska,A.;Latacz,G.;Doboszewska,U.;Wlaz,P.;Kaminski,K.、ACS Chem.Neurosci.2018年、doi:10.1021/acschemneuro.8b00476;Latacz,G.;Lubelska,A.;Jastrzebska-Wiesek,M.;Partyka,A.;Sobalo,A.;Olejarz,A.;Kucwaj-Brysz,K.;Satala,G.;Bojarski,A.J.;Wesolowska,A.;Kiec-Kononowicz,K.;Handzlik,J.、Chem.Biol.Drug.Des.2017年、90、1295~1306頁)に記載した方法論に基づいて、Promega(Madison、WI、USA)製の市販の発光試験CYP3A4 P450-Glo(商標)およびCYP2D6 P450-Glo(商標)を使用して行った。試験用に選択されるCYPアイソフォームは、市販の薬物のおよそ40~50%の代謝に関与し、これらの刺激または阻害は、大部分の代謝性薬物間相互作用を決定する。得られる結果は、10μMの濃度で、CYP3A4活性に対する化合物6の効果がないこと(図9A)、および、CYP2D6に対する刺激効果が非常に弱いこと(図9B)を示す。概説すると、得られる結果は、6により引き起こされる潜在的な代謝性相互作用の可能性が低いことを示す。
【0130】
in vitroでの肝細胞毒性評価。試験を、肝細胞癌HepG2肝がん細胞株を使用して行ったが、これを使用して、in vitroでの物質の肝細胞毒性を評価した。Promega(Madison、WI、USA)製の古典的なMTS比色アッセイを使用して、HepG2細胞生存率および増殖に対する6の効果を調査した。化合物を、範囲内(0.1~100μM)の4つの濃度で試験した。1μMの濃度でドキソルビシンを、参照細胞増殖抑制剤として使用した。加えて、10μMの濃度での参照のミトコンドリア毒素カルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)もまた使用した(図10)。化合物6でのHepG2株の72時間のインキュベーション後の肝細胞毒性試験は、試験で使用された最大濃度100μMでのみ、細胞生存率において統計的に有意な(p<0.05)低減を示した(図10)。加えて、細胞生存率は、対照のちょうど84%まで低下し、HepG2細胞株に対するこの化合物のわずかな毒性作用を示した。肝細胞が生体異物の潜在的な毒性作用に特に曝露することにより、1~100μMの範囲の濃度で、化合部6に短く3時間曝露した後、追加の試験を、細胞におけるATPレベルの発光測定の形態でHepG2株で実施した。この目的のために、Promega(Madison、WI、USA)製の商業的なCellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assayを使用した。試験の目的は、肝細胞癌細胞のミトコンドリア呼吸に対する化合物の効果を調べることであった。基準点は、10μMの濃度でのCCCP参照ミトコンドリア毒素であった。使用した最大濃度100μMであってもHepG2細胞のATPレベルに対する化合物6の統計的に有意な効果はなかった。これは、化合物6の肝細胞毒性作用の非常に低いリスクを示す(図11)。
【0131】
in vitroでの肝細胞毒性評価-方法論。HepG2肝細胞癌細胞株(ATCC HB-8065)を、試験に使用した。HepG2株を、Gibco(Carlsbad、CA、USA)製の2mMのグルタミンおよび10%のFBSを添加した「Modified Eagle’s Medium」(MEM)培養培地内でインキュベートした。細胞を、5%のCOを含有する大気中37℃でインキュベートした。Promega(Madison、WI、USA)により供給されるCellTiter96(登録商標)AQueous Non-Radioactive Cell Proliferation Assay(MTS)を使用して、細胞生存率を試験した。試験の前に、細胞を、1ウェル当たり1.5×10個の細胞の濃度で、Thermo Scientific Nunc(商標)96-ウェル透明培養プレート(Waltham、MA、USA)に置き、24時間インキュベートした。次いで、化合物6の10mMの原液を、適切な培養培地内で希釈し、0.1~100μMの範囲での最終濃度で細胞に添加した(全ウェルのDMSO濃度は1%)。参照化合物CCCPおよびDXを、それぞれ、10μMおよび1μMの最終濃度で適用した。5%のCOを含有する大気中37℃で72時間のインキュベーション後、化合物を含む培地を除去した後、希釈したMTS試薬を含む新たな培地を添加した。プレートを、2~3時間さらにインキュベートした後、EnSpire PerkinElmer(Waltham、MA、USA)リーダーで、490nmで吸光度測定を行った。統計的有意性を、一元配置ANOVA分散分析およびBonferroni法により計算した。化合物を四重試験した。
【0132】
Promega(Madison、WI、USA)製のCellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assayを使用して、HepG2細胞でのATPレベルを試験した。試験前に、細胞を、Corning(Tewksbury、MA、USA)製の白色の96-ウェルの透明な底部の培養プレートに蒔き、1ウェル当たり1.5×10個の細胞の濃度で、発光測定のために適合させた。次いで、細胞を、5%のCOを含有する大気中37℃でインキュベートした。化合物6を1、10、および100μMの3つの最終濃度で、CCCPを10μMで、ならびにDXを1μMで、100μLの量でプレートに適用した。プレートを、37℃で3時間、5%のCOでインキュベートした。100μlの量でのCellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assayを培養物に添加した後、発光測定を、EnSpire PerkinElmer(Waltham、MA、USA)リーダーで実施した。統計的有意性を、GraphPad Prism5を使用する一元配置ANOVAおよびBonferroni分析により計算した。全物質を四重試験した。
【実施例40】
【0133】
本発明による化合物の選択された鏡像異性体の調製
本発明の式(II)による化合物の鏡像異性体は、出発原料として、市販のtert-ブトキシカルボニル(Boc)D-またはL-アミノ酸誘導体(それぞれ、RまたはS絶対配置)を使用して、4段階の手順を適用して得ることができる。鏡像異性体は、式(II)で記載される、選択された化合物に対して得られ、ここで、k=0であり、AおよびBは、式(II)のラセミ混合物の場合と同じ意味を有する。
【0134】
式(II)による化合物の鏡像異性体の合成の一般的スキームを、図12に示す。
【0135】
第一段階では、所与のピペラジン誘導体と対応するBoc-D-またはBoc-L-アミノ酸誘導体との縮合反応により、式(VII)の中間生成物を得、続いて、脱保護反応においてアミン誘導体(VI)を形成する。次の工程では、化合物(VI)を、コハク酸無水物と縮合して、アミド-酸構造(V)を有する中間体を得るが、次に、環化反応を行って、化合物R-(II)またはS-(II)を形成する。不斉合成は、結晶解析を適用して確認された絶対配置を保持して進行する。
【0136】
選択された中間体(図12によるVII、VI、およびV)に対する合成、ならびに、物理化学的およびスペクトルデータの例を、以下に記載する。
【実施例41】
【0137】
tert-ブチル-(R)-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)カルバメート(VII)
Boc-D-フェニルグリシン(1.25g、5mmol、1当量)を、20mLのDCMに溶解した後、DCC(1.55g、7.5mmol、1.5当量)を添加した。次に、30分後、5mLのDCMに溶解した1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン(1.15g、5mmol、1当量)を添加した。反応物を、室温で4時間撹拌し続けた。この時間の後、DCMを留去乾固した。中間体VIIを、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0138】
軽質油状物。収率:78%(1.81g);TLC:R=0.62(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2428(463.50)、モノアイソトピック質量:463.21。UPLC(100%純度):t=8.40分間。(M+H) 464.2。
【実施例42】
【0139】
(R)-2-アミノ-2-フェニル-1-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エタン-1-オン(VI)
5mLのTFAを、DCM(50mL)中のtert-ブチル-(R)-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)カルバメート溶液(VII、1.39g、3mmol、1当量)に添加し、2時間撹拌した。次いで、反応混合物を、25%のNHOH溶液で中和した後、DCM(3×50mL)で抽出した。有機層を、無水NaSOで脱水した後、蒸発乾固した。(R)-2-アミノ-2-フェニル-1-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エタン-1-オンを、黄色油状物として得た。
【0140】
黄色油状物。収率:95%(1.03g);C1920O(363.38)、モノアイソトピック質量:363.16。UPLC(純度>99.9%):t=4.96分間。(M+H) 364.1。
【実施例43】
【0141】
(R)-4-オキソ-4-((2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)アミノ)ブタン酸(V)
コハク酸無水物(0.28g、2.8mmol、1当量)を、(R)-2-アミノ-2-フェニル-1-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エタン-1-オン(VI、1.02g、2.8mmol、1当量)のAcOEt(50mL)中の溶液に添加し、混合物を、30分間撹拌した。この時間の後、溶媒を留去乾固した。化合物を、EtOで洗浄した後、固体形態で得た。
【0142】
白色固体。収率:87%(1.13g);C2324(463.46)、モノアイソトピック質量:463.17。UPLC(純度>99.9%):t=6.40分間。(M+H) 464.2。
【実施例44】
【0143】
(R)-1-(2-(4-(3-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン((R)-3)
ZnCl(0.27g、2.0mmol、1当量)を、(R)-4-((2-(4-(3-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)アミノ)-4-オキソブタン酸(V、0.86g、2.0mmol、1当量)の乾燥ベンゼン(50mL)中の懸濁液に添加し、全混合物を80℃まで加熱した後、乾燥ベンゼン(5ml)中のHMDS溶液(0.48g、0.62ml、3.0mmol、1.5当量)を、30分にわたり滴下添加した。反応物を、約24時間還流下で撹拌し続けた後、減圧下で濃縮した。溶媒の留去後、油状残留物を、DCMに溶解し、0.1MのHCl(3×50mL)、水(3×50mL)、および飽和NaCl溶液(3×50mL)で抽出した。有機層を、無水NaSOで脱水した後、蒸発乾固した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。化合物を、EtOで洗浄した後、固体として得た。
【0144】
白色固体。収率:82%(0.67g);m.p.167.3~168.1℃;TLC:Rf=0.41(DCM:MeOH(9:0.3;v/v));C2222ClN(411.89)、モノアイソトピック質量:411.13。UPLC(純度>99.9%):t=6.70分間、(M+H) 412.4。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 2.64-2.75 (m, 5H), 2.96-3.12 (m, 2H), 3.21-3.37 (m, 3H), 3.60-3.72 (m, 1H), 3.92-4.03 (m, 1H), 6.10 (s, 1H), 6.68 (dd, J = 8.0, 2.3 Hz, 1H), 6.77 (t, J = 2.0 Hz, 1H), 6.81 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.13 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 7.32-7.37 (m, 3H), 7.42 (d, J = 6.8 Hz, 2H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 28.1, 42.3, 45.6, 48.5, 48.8, 56.9, 114.5, 116.4, 120.3, 128.8, 129.0, 129.9, 130.2, 133.0, 135.1, 151.8, 165.1, 176.4.鏡像異性体純度>99%(t=40.25分間)。
【実施例45】
【0145】
(R)-1-(2-(4-(3,5-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)ピロリジン-2,5-ジオン((R)-4)
化合物を、実施例44に記載の手順に従って調製した。(R)-4-((2-(4-(3,5-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1-フェニルエチル)アミノ)-4-オキソブタン酸(0.93g、2mmol、1当量)を、環化反応の出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.2;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0146】
白色固体。収率:79%(0.70g);m.p.174.3~175.5℃;TLC:R=0.43(DCM:MeOH(9:0.2;v/v));C2221Cl(446.33)、モノアイソトピック質量:445.10。UPLC(純度>99.9%):t=7.59分間、(M+H) 446.1。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 2.64-2.74 (m, 5H,), 2.99-3.03 (m, 1H), 3.06-3.11 (m, 1H), 3.23-3.31 (m, 2H), 3.43-3.47 (m, 1H), 3.60-3.64 (m, 1H), 3.95-3.99 (m, 1H), 6.08 (s, 1H), 6.63 (d, J = 1.7 Hz, 2H), 6.79 (t, J = 1.4 Hz, 1H), 7.32-7.37 (m, 3H), 7.41 (d, J = 6.7 Hz, 2H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 28.1, 42.1, 45.4, 47.9, 48.2, 56.8, 114.3, 119.8, 128.8, 129.1, 129.9, 132.9, 135.6, 152.1, 165.2, 176.4.鏡像異性体純度>99%(t=43.23分間)。
【実施例46】
【0147】
(R)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン((R)-6)
化合物を、実施例44に記載の手順に従って調製した。(R)-4-オキソ-4-((2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)アミノ)-ブタン酸(0.93g、2.0mmol、1当量)を、環化反応の出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0148】
白色固体。収率:80%(0.71g);m.p.189.1~190.5℃;TLC:R=0.35(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2322(445.44)、モノアイソトピック質量:445.16。UPLC(純度>99.9%):t=6.93分間、(M+H) 446.2。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.52-2.85 (m, 5H), 2.99-3.19 (m, 2H), 3.22-3.45 (m, 3H), 3, 62-3.76 (m, 1H), 3.93-4.07 (m, 1H), 6.12 (s, 1H), 6.90-7.15 (m, 3H), 7.11 (d, 1H, J = 7.7 Hz), 7.28-7.55 (m, 6H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 28.0, 42.3, 45.5, 48.4, 48.6, 56.8, 112.7 (d, J = 3.4 Hz), 116.7 (d, J = 3.4 Hz), 119.2, 124.1 (q, J = 272.9 Hz), 128.7, 128.9, 129.7, 129.8, 130.9, 131.5 (q, J = 32.2 Hz), 132.8, 150.8, 165.1, 176.4.鏡像異性体純度>99%(t=39.97分間)。
【実施例47】
【0149】
(S)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン((S)-6)
化合物を、実施例44に記載の手順に従って調製した。(S)-4-オキソ-4-((2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)アミノ)-ブタン酸(0.93g、2.0mmol、1当量)を、環化反応の基質として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0150】
白色固体。収率:78%(0.69g);m.p.188.9~190.5℃;TLC:R=0.36(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2322(445.44)、モノアイソトピック質量:445.16。UPLC(純度>99.9%):t=6.94分間、(M+H) 446.2。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.56-2.83 (m, 5H), 3.00-3.20 (m, 2H), 3.23-3.43 (m, 3H), 3.62-3.76 (m, 1H), 3.94-4.08 (m, 1H), 6.12 (s, 1H), 6.89-6.99 (m, 2H), 7.10 (d, 1H, J = 7.7 Hz), 7.28-7.53 (m, 6H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 28.0, 42.2, 45.5, 48.4, 48.6, 56.8, 112.7 (d, J = 4.6 Hz), 116.7 (d, J = 4.6 Hz), 124.1 (q, J = 272.9 Hz), 128.7, 129.0, 129.7, 129.8, 131.6 (q, J = 32.2 Hz), 132.8, 150.8, 165.1, 176.3.鏡像異性体純度>99%(t=26.21分間)。
【実施例48】
【0151】
(R)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン((R)-10)
化合物を、実施例44に記載の手順に従って調製した。(R)-4-オキソ-4-((2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)アミノ)ブタン酸(0.96g、2.0mmol、1当量)を、環化反応の出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0152】
白色固体。収率:77%(0.70g);m.p.168.2~169.1℃;TLC:R=0.46(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2322(461.44)、モノアイソトピック質量:461.16。UPLC(純度>99.9%):t=7.18分間、(M+H) 462.1。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 2.60-2.78 (m, 5H), 2.98-3.16 (m, 2H), 3.23-3.38 (m, 3H), 3.63-3.72 (m, 1H), 3.98 (ddd, J = 12.89, 6.01, 2.86 Hz, 1H), 6.11 (s, 1H), 6.61 (s, 1H), 6.69-6.73 (m, 2H), 7.21 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.32-7.38 (m, 3H), 7.42-7.44 (m, 2H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 28.1, 42.3, 45.6, 48.4, 48.6, 56.9, 108.9, 112.2, 114.3, 120.5 (q, J = 256.7 Hz), 129.4 (d, J = 143.7 Hz), 129.6 (d, J = 151.5 Hz), 132.9, 150.3, 152.0, 165.2, 176.4.鏡像異性体純度>99%(t=35.08分間)。
【実施例49】
【0153】
(R)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル(スルファニル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン((R)-12)
化合物を、実施例44に記載の手順に従って調製した。(R)-4-オキソ-4-((2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)アミノ)ブタン酸(0.99g、2.0mmol、1当量)を、環化反応の出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0154】
白色固体。収率:86%(0.82g);m.p.155.1~155.8℃;TLC:R=0.48(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2322S(477.50)、モノアイソトピック質量:477.13。UPLC(純度>99.9%):t=7.54分間、(M+H) 478.1。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 2.68-2.75 (m, 5H), 2.96-3.19 (m, 2H), 3.22-3.43 (m, 3H), 3.62-3.76 (m, 1H), 3.99 (ddd, J = 13.17, 5.73, 2.8 Hz, 1H), 6.11 (s, 1H), 6.91 (dd, J = 8.3, 2.6 Hz, 1H), 7.06 (s, 1H), 7.12 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.24-7.28 (m, 1H), 7.33-7.38 (m, 3H), 7.42-7.44 (m, 2H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 28.1, 42.3, 45.6, 48.4, 48.7, 56.9, 123.7, 125.3, 129.6 (q, J = 307, 8 Hz), 127.8, 129.4 (d, J = 142.4 Hz), 129.1, 130.1, 132.9, 151.4, 165.2, 176.4.鏡像異性体純度>99%(t=34.82分間)。
【実施例50】
【0155】
鏡像異性体の特別な特性。
これらの抗痙攣活性での本発明による化合物の立体化学の効果を調査した。抗痙攣特性を、上述の方法に沿って評価し、結果を、表3および表4に概説する。
【0156】
【表3B】
【0157】
【表4】
【0158】
得られた結果に基づいて、R鏡像異性体が、S鏡像異性体と比較して、所望のプロファイルを有する高い生物学的活性を呈することを予想外に見出された。
【0159】
特に、R鏡像異性体の場合、以下が見出された:
- ラセミ体に関して、ロータロッド試験におけるより弱い急性神経毒性(それぞれ、表2および表4のTD50を参照のこと)、
- 抗痙攣効果が、立体特異的であったことも予想外に見出された。
R配置を伴う鏡像異性体は、より強い生物学的活性で特徴付けられる。
【0160】
代謝安定性。(R)-6の代謝安定性を、上述の方法論に従って評価した。得られたデータに基づいて、HLMとのインキュベーション後の化合物(R)-6の内部クリアランスの非常に低い値が見出され、CLint=2.4mL/分/kgに達し、人体において予測された高い安定性を示した。加えて、驚くべきことに、好ましくは、決定されたクリアランスの値は、ラセミ体、化合物6で決定された値より低かったが(CLint=5.6)、これは、代謝性変化に対して鏡像異性体のより低い感受性を示す。加えて、UPLC分析の結果は、(R)-6鏡像異性体が、好ましくは、2つの代謝物:ピペラジン環の脱水素化により形成されるM1代謝物、および、ピペラジンに連結されているフェニル置換基のヒドロキシル化により形成されるM2代謝物に代謝されることを明らかにした(図13)。ラセミ体の場合、さらなるM3代謝物が観察され、側方フェニル部分のヒドロキシル化、およびイミド環におけるケト基のヒドロキシルへの還元により得られる可能性が最も高かった(図7)。
【実施例51】
【0161】
本発明による化合物の水溶性塩の調製。
本発明の式(I)による化合物の水溶性塩は、出発原料として、市販のtert-ブトキシカルボニル(Boc)アミノ酸誘導体を使用して、6工程の手順を適用して得ることができる。水溶性塩は、式(I)で記載される、選択される化合物に対して得られ、ここで、k=0であり、Dは、H、アミノ基(-NH)、1つもしくは2つの脂肪族置換基(特に-CHおよび/もしくは-C)で置換されているアミノ基、またはヘテロ環の一部であるアミノ基からなる群から選択される置換基であり、AおよびBは、式(II)で記載される化合物の場合と同じ意味を有する。
【0162】
本発明による式(I)で記載される化合物の水溶性塩の合成の一般的スキームを、図14に示す。Dがハロゲンである、式(I)の化合物の調製の場合、図2Bによる式(II)の化合物のために記載した手順を使用し、その後、得られた化合物は、文献に記載された方法を使用して、水溶性塩(好ましくは塩酸塩)に転化する。
【0163】
工程iおよびiiは、鏡像異性体の合成のために記載した手順と類似する。アミン誘導体(VI)は、マレイン酸無水物で縮合反応を行って、不飽和アミド-酸構造(VIII)を有する化合物を得る。次に、化合物VIIIは、化合物IXに環化する。次の工程では、式IXの化合物は、適切な第一級または第二級アミンとの付加反応に供する。次いで、式(I)による所望の化合物は、文献に記載された方法を使用して、水溶性塩(好ましくは塩酸塩)に転化する。
【0164】
選択された中間体(VIII、IX)、および図14による最終生成物に対する合成、ならびに、物理化学的およびスペクトルデータの例を、以下に記載する。
【実施例52】
【0165】
4-オキソ-4-((2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)アミノ)ブタ-2-エン酸(VIII)
マレイン酸無水物(0.98g、10.0mmol、1当量)を、2-アミノ-2-フェニル-1-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エタン-1-オン(4.61g、10.0mmol、1当量)のAcOEt(50mL)中の溶液に添加し、30分間撹拌した。この時間の後、溶媒を留去乾固した。化合物を、EtOで洗浄した後、固体として得た。
【0166】
白色固体。収率:85%(3.76g);C2322(461.44)、モノアイソトピック質量:461.16。UPLC(純度=96%):t=6.94分間。(M+H) 462.2。
【実施例53】
【0167】
1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)-1H-ピロール-2,5-ジオン(IX)
ZnCl(1.36g、10.0mmol、1当量)を、4-オキソ-4-((2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)アミノ)ブタ-2-エン酸(4.40g、10.0mmol、1当量)の乾燥ベンゼン(100mL)中の懸濁液に添加し、混合物を、80℃まで加熱した。次いで、HMDS(2.42g、3.14mL、15.0mmol、1.5当量)の乾燥ベンゼン(10mL)中の溶液を、30分にわたり滴下添加した。反応物を、約24時間還流下で撹拌し続けた後、冷却し、減圧下で濃縮した。溶媒の留去後、油状残留物を、DCMに溶解し、0.1MのHCl(3×50mL)、水(3×50mL)、および飽和NaCl溶液(3×50mL)で抽出した。有機層を、無水NaSOで脱水した後、蒸発乾固した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.3;v/v)混合物を溶離系として用いて、カラムクロマトグラフィーにより精製した。化合物を、EtOで洗浄した後、固体として得た。
【0168】
白色固体。収率:79%(3.34g);C2322(443.43)、モノアイソトピック質量:443.15。UPLC(純度=99%):t=7.45分間。(M+H) 444.1。
【実施例54】
【0169】
3-(メチルアミノ)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン塩酸塩
THF(0.07g、2.2mmol、1当量)中の2Mのメチルアミン溶液を、1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)-1H-ピロール-2,5-ジオン(0.98g、2.2mmol、1当量)の乾燥ベンゼン(50mL)中の溶液に添加した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。次いで、化合物を、2Mのメタノール性塩酸溶液で化合物を処置することにより、塩酸塩に転化した。
【0170】
白色固体。収率:87%(0.91g);m.p.161.2~163.4℃;C2425(474.48)、モノアイソトピック質量:474.19。UPLC(純度>99.9%):t=5.53分間、(M+H) 475.3。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 2.76 (br s, 3H), 2.90 (br s, 1H), 3.22 (br s, 2H), 3.38-3.54 (m, 4H), 3.55-3.66 (m, 1H), 3.70 (br s, 1H), 3.84-4.23 (m, 2H), 4.53 (br s, 1H), 6.20 (br s, 1H), 7.18-7.24 (m, 3H), 7.29-7.51 (m, 5H), 7.71 (br s, 1H), 9.98 (br s, 1H).
【実施例55】
【0171】
3-(ジメチルアミノ)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン塩酸塩
化合物を、実施例54に記載の手順に従って調製した。1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)-1H-ピロロ-2,5-ジオン(0.98g、2.2mmol、1当量)、およびジメチルアミン(0.10g、2.2mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。化合物を、2Mのメタノール性塩酸溶液で化合物を処置することにより、塩酸塩に転化した。
【0172】
白色固体。収率:83%(0.90g);m.p.157.8~159.2℃;C2527(488.51)、モノアイソトピック質量:488.20。UPLC(純度>99.9%):t=5.53分間、(M+H) 489.3。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 2.76 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 2.93 (br s, 2H), 3.06-3.18 (m, 5H), 3.25-3.33 (m, 3H), 3.36-3.41 (m, 2H), 3.41-3.45 (m, 2H), 3.71 (br s, 1H), 3.94-3.98 (m, 1H), 6.14 (s, 1H), 7.01 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.04 (br s, 1H), 7.12 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.34 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.39 (s, 5H), 13.02 (br s, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 31.4, 42.5 45.7, 48.7, 48.9, 57.7, 60.1, 65.9, 113.1, 117.5, 119, 3, 119.9, 119.7, 124.1 (d, J = 272.2 Hz) 129.1, 129.8, 129.9, 131.1, 131.7 (d, J = 32.0 Hz) 150.5, 164.4, 169.8, 171.7.
【実施例56】
【0173】
3-(ジエチルアミノ)-1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)ピロリジン-2,5-ジオン塩酸塩
化合物を、実施例54に記載の手順に従って調製した。1-(2-オキソ-1-フェニル-2-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル)-1H-ピロロ-2,5-ジオン(0.98g、2.2mmol、1当量)、およびジエチルアミン(0.16g、2.2mmol、1当量)を、出発原料として使用した。粗生成物を、DCM:MeOH(9:0.5;v/v)溶離系を使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。化合物を、2Mのメタノール性塩酸溶液で化合物を処置することにより、塩酸塩に転化した。
【0174】
白色固体。収率:88%(1.00g);m.p.142.2~143.1℃;TLC:R=0.52(DCM:MeOH(9:0.5;v/v));C2731(516.57)、モノアイソトピック質量:516.23。UPLC(純度>99.9%):t=5.79分間、(M+H) 517.2。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 1.17-1.27 (m, 6H), 2.79-2.89 (m, 1H), 3.05-3.36 (m, 9H), 3.54-3.78 (m, 3H), 4.79 (dd, J = 9.2, 5.7 Hz, 1H), 4.92 (dd, J = 9.2, 5.7 Hz, 1H), 6.20 (s, 1H), 7.04 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.10 (s, 2H), 7.14 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.31-7.37 (m, 5H), 12.88 (br s, 1H).
【実施例57】
【0175】
本発明による化合物の水溶性塩の特別な特性。
これらの抗痙攣活性での本発明による化合物の改善された水溶性(すなわち塩)の効果を調査した。抗痙攣特性を、上述の方法に沿って評価し、結果を、表3および表4に概説する。
【0176】
【表5】
【0177】
【表6】
【0178】
得られた結果に基づいて、本発明による化合物の塩が、改善された水溶性を明確に示すことが見出された。これは、それらの薬物動態または/および医薬的特性に正の影響を及ぼし、本発明による化合物の静脈内投与の場合に特に有利である。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】