(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】ツールユニット
(51)【国際特許分類】
B29C 64/209 20170101AFI20220414BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220414BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20220414BHJP
B29C 64/241 20170101ALI20220414BHJP
【FI】
B29C64/209
B33Y30/00
B29C64/118
B29C64/241
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540152
(86)(22)【出願日】2020-01-07
(85)【翻訳文提出日】2021-08-24
(86)【国際出願番号】 IB2020050075
(87)【国際公開番号】W WO2020144562
(87)【国際公開日】2020-07-16
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521302618
【氏名又は名称】アーエム デザイン エー.ウー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュライナー、コンラッド
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL74
(57)【要約】
ツールホルダと少なくとも1つのツールとを備えるツールユニットであって、ツールホルダが、ツールを保持し、ツールの軸方向における休止位置から作業位置へ、及びその逆への案内変位用に設計されており、ツールホルダ14、19が、制御プロファイル12を有する制御領域を含み、制御ピン4、18が、制御プロファイル14の軸方向5にオフセットされた領域13’、13”と相互作用するように設計されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールホルダと少なくとも1つのツールとを有するツールユニットであって、前記ツールホルダが、前記ツールを保持するため、及び休止位置から作業位置へ、またその逆への軸方向における前記ツールの案内変位のために設計されている、ツールユニットにおいて、
前記ツールホルダ(14、19)が、制御プロファイル(12)を備えた制御領域を含み、制御ピン(4、18)が、前記制御プロファイル(14)の、前記軸方向(5)にオフセットされた複数の領域(13’、13”)と相互作用するように設計されていることを特徴とする、ツールユニット。
【請求項2】
前記ツールホルダ(14)が、ベース本体と、前記ツールホルダ(14)内で前記少なくとも1つのツール(1)を移動させるために前記ベース本体上に配置された少なくとも1つの案内要素(9、9’、9”)とを有し、少なくとも1つの制御溝(7)が、前記少なくとも1つの案内要素(9、9’、9”)の壁(8)に形成され、それにより前記ツール(1)上の制御ピン(4)が前記制御溝(7)に係合し、前記制御溝が、前記壁(8)の円周方向に沿って延在する制御プロファイル(12、12’、12”)を有し、前記制御プロファイルが、前記軸方向にオフセットされた少なくとも2つの領域(13’、13’)を有し、前記ツールホルダ(14)内で前記少なくとも1つの案内要素(9、9’、9”)を回転させるために、駆動手段が前記ツールホルダ(14)に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のツールユニット。
【請求項3】
前記制御溝(7)が、前記制御ピン(4)のための、軸方向に向けられた入口部分(6)を有し、前記入口部分(6)が、前記壁(8)の縁で開放されていることを特徴とする、請求項2に記載のツールユニット。
【請求項4】
前記駆動手段がベルト(23)によって形成され、前記ベルト(23)が、前記少なくとも1つの案内要素(9、9’、9”)の周りに延在し、且つ前記少なくとも1つの案内要素(9、9’、9”)と係合することを特徴とする、請求項2又は3に記載のツールユニット。
【請求項5】
前記駆動手段が、前記少なくとも1つの案内要素(9、9’、9”)と噛み合う従動歯車によって形成されていることを特徴とする、請求項2又は3に記載のツールユニット。
【請求項6】
前記ツールホルダ(14)が、複数の案内要素(9、9’、9”)、好ましくは3つの案内要素(9、9’、9”)を有し、前記駆動手段が、前記複数の案内要素(9、9’、9”)を同期的に回転させるように設計され、複数の案内要素(9、9’、9”)が、前記駆動手段に対して前記軸方向(5)にオフセットされた前記制御溝(7、7’、7”)の前記複数の領域(13’、13”)に関して、前記案内要素(9、9’、9”)の円周方向にオフセットされた前記ツールホルダ(14)に受容されることを特徴とする、請求項2から5までのいずれか一項に記載のツールユニット。
【請求項7】
前記駆動手段が、前記複数の案内要素(9、9’、9”)のうちの第1の案内要素(9)と係合し、前記複数の案内要素(9、9’、9”)のうちの少なくとも1つの他の案内要素(9’、9”)が、前記第1の案内要素(9)と係合していることを特徴とする、請求項6に記載のツールユニット。
【請求項8】
3つの同一の制御溝(7、7’、7”)が、前記少なくとも1つの案内要素(9、9’、9”)に配置され、好ましくは前記少なくとも1つの案内要素(9、9’、9”)の円周方向にそれぞれ120°オフセットされていることを特徴とする、請求項2から7までのいずれか一項に記載のツールユニット。
【請求項9】
前記ツール(1)と前記少なくとも1つの案内要素(9、9’、9”)との間に弾性ストッパが形成されていることを特徴とする、請求項2から8までのいずれか一項に記載のツールユニット。
【請求項10】
前記制御プロファイルが、前記ツールホルダ(19)上のプロファイル穴(18’)として設計され、前記プロファイル穴(18’)が、前記ツールユニットの支持要素(17)上の回転可能なプロファイル制御ピン(18”)と協働することを特徴とする、請求項1に記載のツールユニット。
【請求項11】
前記支持要素(17)が、同期回転のために駆動手段によって駆動される複数の制御ピン(18”)を有し、前記プロファイル穴(18’)を有するツールホルダ(19)が、それぞれ制御ピン(18”)と協働することを特徴とする、請求項10に記載のツールユニット。
【請求項12】
前記制御ピン(18’)が、その回転軸に沿って弾性的に取り付けられていることを特徴とする、請求項10又は11に記載のツールユニット。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか一項に記載のツールユニットを有する3D位置決め装置、特に3Dプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツールホルダと少なくとも1つのツールとを有するツールユニットであって、ツールホルダが、ツールを保持するため、並びに休止位置から作業位置への、及びその逆への軸方向におけるツールの案内変位のために設計されているツールユニット、及びそのようなツールユニットを備えた3D位置決め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、3D位置決め装置の分野、特に積層造形工程を実行するためのマシンの分野のツールユニットを主として対象とする。3Dプリント工程としても知られる生成製造工程は、成形体が層状に構築されるという事実によって特徴付けられる。通常、作業面は、1行ずつ又はポイントごとに繰り返し横断され、材料は場所を選択する態様で塗布され、次いで、作業面は上方へ移動する。層の厚さは、用途に応じて0.025から1.25mm又はそれ以上である。3Dプリント工程の基礎は、製造対象物のコンピュータ・モデルであり、例えばCADソフトウェアを使用して生成できる。この場合、製造対象物の高さ層計画が作成され、各層に対して製造グリッドが生成され、これにより、製造材料が堆積及び固化されるグリッドのセルが場所を選択する方法で規定される。しかし、同じ原理を使用して、例えばCNCフライス盤の場合のように、材料の固体ブロックからの層を、場所を選択する方法で除去することもできる。
【0003】
本発明は特に、溶融堆積モデリング(FDM:Fused Deposition Modeling)又は溶融フィラメント製造(FFF:Fused Filament Fabrication)と呼ばれる3Dプリント工程用のツールユニットに関するものであり、成形体は、溶融可能なプラスチックから層状に構築される。この目的のために、通常は材料供給部からワイヤの形で供給されるプラスチック又はワックス材料(フィラメント)が最初に加熱によって液化され、次に液化された材料がノズルを使用した押し出しによって塗布され、最後に材料が作業面の目的の位置で冷却により硬化する。材料は、ストランド又はドットの形で塗布され得る。
【0004】
現在、モールド・ワックスと、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリラクチド、ABS、PETG、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性プラスチックとがFDM工程に使用され得る。
【0005】
フィラメント材料は、通常「ホットエンド」とも呼ばれる、本発明に関連してより一般的にはツールとも呼ばれるプリントヘッドによって加熱及び押し出される。従来のFDM工程では、フィラメントはプリントヘッドの加熱されたチャンバを通して運ばれ、そこで溶融する。溶融材料は、規定の断面積でプリントヘッド即ちツールのノズルから押し出される。
【0006】
3Dプリント工程はますます複雑になり、もはや試作だけに使用されることはない。むしろ、そのような工程は、すぐに使用できる構成要素を製造するためにも使用され、そのため、それぞれの構成要素の異なる領域で異なる機械的及び熱的要件を満たす必要がある場合がある。このため、構成要素は、色、硬度、衝撃強度、耐熱性、又はその他の材料特性が異なり得る様々な材料からの積層造形工程を使用して製造する必要がある。異なる材料は、異なるプリントヘッド即ちツールで塗布する必要がある。さもなければ、材料を変更するたびにプリントヘッドを空にし、清掃して補充するか、新しい材料を充填する必要がある。例えばプリントヘッドで達成可能な溶融温度に関しては、それぞれの材料によっては、全く適切でない場合がある。それ故、3D位置決め装置、特に3Dプリンタは、キャリア上に複数のプリントヘッド即ちツールを有し、被加工物の特定の部分又は領域をプリントするために必要に応じて構成要素又は被加工物の製造のために運用されており、従来技術において既に知られている。この目的のために、それぞれの場合に使用されるプリントヘッドは、現在使用されていないプリントヘッドの休止位置に対してプリントヘッドの軸方向に前進する作業位置にもたらされる。これは、現在使用されていないプリントヘッドが新しく塗布された材料層に衝突して損傷したり、他の材料に付着したり、損傷したりすることを防ぐために必要である。異なる材料の迅速な処理を確実にするために、様々なプリントヘッド即ちツールを休止位置から作業位置に自動的に移動させ、そこでそれらをロックすることは、従来技術において既に知られている。
【0007】
例えば、米国特許出願公開第2015/0140147(A1)号は、複数のプリントヘッド即ちツールがタレットのようなツールユニット上に配置されている、冒頭で述べた種類のツールユニットを備えた3Dプリンタを開示しており、それぞれ必要なプリントヘッドは、最初にツールキャリアを回転させることによってドライブと動作可能に接続され、次にドライブによって前進される。タレットのようなツールユニットのために、ツールユニットは、一方ではその寸法に関して比較的大きく、他方ではツール即ちプリントヘッドを迅速に交換することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0140147(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、(特に複数のプリントヘッド又は作業ヘッドを有する)よりコンパクトな3Dプリンタ及び同様の3D位置決め装置を実施するために、ツールユニットがより小さくなされ、且つツール又はプリントヘッドを迅速且つ簡単に交換することができるように、冒頭で述べた種類のツールユニットを改良するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、冒頭で述べた種類のツールユニットは、ツールホルダが制御プロファイルを有する制御領域を含み、制御ピンが制御プロファイルにおいて軸方向にオフセットされた領域と相互作用するように設計されているという点で、本発明に従って特徴付けられる。軸方向にオフセットされた領域を有する制御プロファイルと制御ピンとの相互作用によって、制御プロファイルの軸方向にオフセットされた領域を制御ピンに走査させることにより、軸方向にオフセットされた領域の軸方向オフセットに従って、小型の手段でツールを変位させることができる。同時に、制御ピンを制御領域に比較的容易に係合又は解除することができるので、ツールを比較的容易に交換することができる。
【0011】
本発明の第1の好ましい実施例によれば、ツールホルダは、ベース本体と、ツールホルダ内で少なくとも1つのツールを移動させるためにベース本体上に配置された少なくとも1つの案内要素とを含み、少なくとも1つの案内要素の壁に、少なくとも1つの制御溝であって、ツール上の制御ピンがこの制御溝に係合する、少なくとも1つの制御溝が形成されており、制御溝は、壁の円周方向に沿って延在する制御プロファイルを有し、制御プロファイルは、軸方向にオフセットされた少なくとも2つの領域を含み、ツールホルダ内で少なくとも1つの案内要素を回転させるために、駆動手段がツールホルダに設けられている。
【0012】
ツールは、ツールを軸方向に移動させるための案内要素に受容され、同時に、ツール即ちプリントヘッド上の制御ピンと相互作用する制御溝の形の変位手段を有するので、ツールの安定案内機能、及び作業位置又は休止位置への変位の影響は、単一の構成要素、即ち案内要素によって提供され得る。案内要素は、ツールを受容するために中空又は本質的に管状になるように設計されており、したがって、傾斜に対して対応する外側輪郭でツールをしっかりと支持することができる。ツールホルダ内の駆動手段の作用により、少なくとも1つの案内要素が回転すると、案内要素の壁の制御溝は、軸方向にオフセットされた制御溝の少なくとも2つの領域を有する制御プロファイルを有する壁の円周方向に沿って延在する制御部分により、回転固定された方法で少なくとも1つの案内要素に保持されたツールの制御ピンと相互作用するため、案内要素のツール即ちプリントヘッドの軸方向の前後の移動を提供する。全体として、これによりツールがしっかりと支持され、例えば3Dプリンタのプリントヘッドを簡単且つ自動的に前後に押し込み、制御ピンと制御溝との相互作用によってそれぞれの位置にロックすることができる。
【0013】
本発明の好ましい実施例に対応するように、制御溝が、壁の縁で開放された制御ピン用の軸方向に向けられた入口部分を有する場合、そのようなツールは、対応する案内要素が、制御ピンが制御溝の入口部分に軸方向に入るか、又は入口部分から出ることができる回転位置にあるときに、入口部分を通して容易に取り外し又は挿入することができる。
【0014】
少なくとも1つの案内要素を駆動して回転させるために、いくつかの可能性が考えられる。しかしながら、駆動手段は、少なくとも1つの案内要素の周りに延在し、少なくとも1つの案内要素と係合するベルトによって形成されることが好ましい。回転ベルトは、例えば、Vベルトとして設計することができるが、好ましくは、対応するモータによって駆動される歯付きベルトとして設計することができ、モータ・ユニットは、必要に応じて、ギアを備えることもでき、好ましくはツールホルダに取り付けられる。ベルトは、ツールホルダの内側に延在することが好ましい。
【0015】
或いは、本発明の好ましい実施例は、駆動手段が、少なくとも1つの案内要素と噛合する従動歯車によって形成されることを提供する。
【0016】
本発明のツールユニットは、ツール単体で使用する場合でも、省スペースであり、ツールを移動するのに効率的であると見なされるべきである。しかしながら、本発明は、ツールホルダが複数の案内要素、好ましくは3つの案内要素を有し、駆動手段が案内要素を同期的に回転させるように設計され、複数の案内要素が、駆動手段に対して軸方向にオフセットされた制御溝の領域に関して案内要素の円周方向にオフセットされたツールホルダに受容される場合に特に有利であることが証明される。このようにして、駆動手段、例えばベルトを作動させるとき、ツールホルダ内の全ての案内要素が同時に且つ同期して回転し、それによってツールの制御ピンが制御溝の制御プロファイルによって作動される。ここで、提供されているように、制御プロファイルがそれに応じてオフセットして配置されている場合、つまり、ツールの制御ピンと相互作用する作業位置と休止位置とを規定する軸方向にオフセットされた制御プロファイルの領域が、いつでも1つのツールだけが作業位置にあり、他のツールは休止位置、つまり格納位置にあるように同期回転運動で配置されている場合、本発明によるツールユニットの全てのツールは、ベルトを駆動するだけで、本発明による装置でそれぞれの作業位置及び休止位置をとるように駆動することができる。さらに、ベルトの回転位置は、案内要素ごとに、又は案内要素内のツールごとにプログラムすることができ、これにより、入口部分を介してそれぞれの制御溝からツールを取り外すことができる。
【0017】
この文脈において、駆動手段は、複数の案内要素のうちの第1の案内要素と係合しており、複数の案内要素のうちの少なくとも1つのさらなる案内要素は、第1の案内要素と係合していることが好ましい。このようにして、駆動手段によって、好ましくは歯車によって直接駆動される第1の案内要素は、さらなる案内要素を駆動し、その結果、複数の案内要素の同期回転運動が達成される。
【0018】
少なくとも1つの案内要素においてツールをより好適に案内するために、本発明は、好ましくは、3つの同一の制御溝が少なくとも1つの案内要素に、好ましくはそれぞれ120°オフセットされて、少なくとも1つの案内要素の円周方向に配置されるという効果までさらに発展する。これにより、作動力がツールの周囲に均等に加えられ、案内要素の傾きや詰まりを防ぐ。
【0019】
本発明の好ましい実施例に対応するように、案内要素内のツールのより正確な案内は、ツールと少なくとも1つの案内要素との間に弾性ストッパが形成される場合に達成される。このことは、制御溝内のツールが制御プロファイルの上端に押し付けられることを意味し、結果として制御ピンと制御溝との間の一定量の遊びが排除される。同時に、案内要素の回転位置がそれに応じて設定されると、ツールは、取り外しのために入口部分を介して制御プロファイルから押し出される。
【0020】
本発明の代替の好ましい実施例によれば、制御プロファイルは、ツールホルダ上のプロファイル穴として設計され、プロファイル穴は、ツールユニットの支持要素上の回転可能なプロファイル制御ピンと協働する。ツールホルダは、軸方向に変位可能であるように支持要素上で案内される。本発明を実現するこの代替の方法は、プロファイルを有し、したがって偏心を有する回転可能な制御ピンが、そのプロファイルのために制御プロファイルを提供するプロファイル穴と相互作用するという事実に基づく。回転すると、穴の制御プロファイルが制御ピンによって走査されるため、ツールホルダ全体がツールユニットの支持要素に対して軸方向に変位する。したがって、ツールホルダに取り付けられたツールも軸方向に変位する。
【0021】
支持要素は、好ましくは、同期回転のための駆動手段によって駆動される複数の制御ピンを有し、プロファイル穴を有するツールホルダは、それぞれ、制御ピンと協働する。このようにして、複数のツール即ちプリントヘッドは、再び軸方向に同期して、作業位置又は休止位置に移動する。
【0022】
任意の製造公差を補償することができるようにするために、本発明の好ましい実施例に対応するように、制御ピンは、その回転軸に沿って弾性的に取り付けられる。このことは、プロファイル穴に噛合している制御ピンがバネ力でツールホルダに作用し、ツールホルダを支持要素に押し付けることを意味する。
【0023】
本発明による3D位置決め装置は、特に3Dプリンタとして設計され、本発明によるツールユニットを有する。
【0024】
本発明は、図面に示される例示的な実施例を参照して、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】ツール、案内要素、及びツールのねじれ防止装置の斜視図である。
【
図2】3つの案内要素を備えたツールホルダの斜視図である。
【
図3】3つの案内要素即ちツール用の3つの制御溝の概略図である。
【
図5】3つの案内要素用の代替の駆動手段の斜視図である。
【
図6】本発明によるツールユニットの代替実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1において、ツール1は、3Dプリンタの作業ヘッド即ちプリントヘッド1として設計されている。フィラメント(図示せず)は、近位端2でプリントヘッド1に供給され、フィラメントは、プリントヘッド1で溶融され、遠位端3(「ホットエンド」)で解放及び固化されて、積層造形工程で被加工物を構築する。ツール1は、例えば、CNCフライス盤などの切削ツールとして設計することもできるが、これは図には示されていない。
【0027】
プリントヘッド1は、3つの制御ピン4を有し、これらは、プリントヘッド1の円周の周りに配置され、120°オフセットされている。これで、プリントヘッド1は、案内要素9の壁8の制御溝7の入口部分6に制御ピン4を挿入することによって、二重矢印5によって象徴される軸方向に案内要素9に入ることができる。プリントヘッド1が案内要素9に挿入され、その制御ピン4が制御溝7に挿入されると、プリントヘッド1は、回転防止装置11の対応する凹部10’と相互作用するリブ10によって案内要素9の回転に対して固定される。その結果、案内要素9は、制御溝7の制御プロファイル12の作用によって回転されて、プリントヘッド1即ちツール1を軸方向5に変位させる。この理由は、制御プロファイル12が、軸方向にオフセットされ、二重矢印5の意味でのツール1の異なる軸方向位置に対応する領域13’及び13”を有するためである。案内要素9を回すことにより、ツール1即ちプリントヘッド1の制御ピン4が制御プロファイル12を通過し、制御プロファイル12の異なる領域の軸方向位置に従って、プリントヘッド1が前方又は後方に押される。
【0028】
ここで、
図2は、本発明が、複数のツール即ちプリントヘッドを移動させるために特に有利な方法で使用され得ることを示している。この目的のために、いくつかの案内要素9、9’及び9”が共通のツールホルダ14に配置されている。案内要素9、9’及び9”は、ツールホルダ14に受容される駆動手段に関して軸方向にオフセットされている制御溝7、7’、7”の領域13’、13”に関して相互に異なる制御プロファイル12、12’及び12”を有し、これらはそれぞれ、案内要素9、9’及び9”の円周方向(二重矢印15によって象徴される)にオフセットされたツールホルダ14に受容される。案内要素9、9’及び9”は、共通及び同期回転用の駆動手段によって駆動され、制御プロファイル12、12’及び12”は、駆動手段のそれぞれの回転位置に応じて、1つのツール(
図2には示されていない)のみが軸方向に前進した作業位置にあり、他のツールは格納された休止位置、又は、ツールの制御ピンが入口部分6と位置合わせされている場合は開放位置、のいずれかに互いに配向されている。参照番号16は、駆動手段用のモータ及び歯車を備えた駆動を示す。
【0029】
今説明した事実は、
図3を見るとより好適に理解できる。ツールホルダ内の案内要素9、9’及び9”の第1の回転位置即ち回転位置Aにおいて、第1のプリントヘッドの制御ピン4は、制御溝7の軸方向に前進した領域に配置される。したがって、対応するプリントヘッドは作業位置にある。同時に、第2のプリントヘッドの制御ピン4’は、制御溝7’の軸方向に格納された領域に配置されており、第3のプリントヘッドの制御ピン4”は、案内要素9”の入口部分6と位置合わせされ、制御溝7”の軸方向に格納された領域にもある。
【0030】
ツールホルダの案内要素9、9’及び9”の第2の回転位置即ち回転位置Bにおいて、第1及び第3のプリントヘッドの制御ピン4及び4”は、制御溝7及び7”の軸方向に格納された領域に配置され、したがって、対応するプリントヘッドは休止位置にある。しかしながら、同時に、第2のプリントヘッドの制御ピン4’は、制御溝7’の軸方向に前進した領域に配置され、したがって、プリントヘッドは、作業位置にある。
【0031】
ツールホルダ内の案内要素9、9’及び9”の第3の回転位置即ち回転位置Cでは、制御ピン4及び4’は、制御溝7及び7’の軸方向に格納された領域に配置され、したがって、対応するプリントヘッドは休止位置にある。しかしながら、同時に、第3のプリントヘッドの制御ピン4”は、制御溝7”の軸方向に進んだ領域に配置され、したがって、プリントヘッドは作業位置にある。
【0032】
図3の破線で明示的に指定及び示されていないさらなる例示的な回転位置は、遷移位置であるか、或いはプリントヘッドを取り外し又は挿入するために使用される。
図3の制御溝7、7’及び7”は、必ずしも前の図に見られるものに対応するわけではなく、制御プロファイル12、12’及び12”の様々な構成が豊富に考えられる。
【0033】
図4では、駆動手段は、内側に向けられた歯を備えた歯付きベルト23として実装されている。歯付きベルト23は、案内要素9、9’及び9”で歯が付けられているので、矢印24の方向への歯付きベルトの回転は、案内要素9、9’及び9”の同じ方向の同期回転につながる。なぜなら、
図4に示す実施例において、案内要素9、9’及び9”は、互いに直接連結しておらず、歯付きベルト23を介してのみ互いに接続されているからである。
【0034】
或いは、駆動手段は、第1の案内要素9と噛み合う駆動歯車(図示せず)によって形成することができる。
図5は、この変形に関連しており、第1の案内要素9が、次に、さらなる案内要素9’及び9”と係合していることが分かる。第1の案内要素9が矢印25の方向に回転すると、さらなる案内要素9’及び9”は、矢印26の方向に反対の同期回転を実行する。
【0035】
図6は、本発明で軸方向の移動を達成できるようにするために、ツール、例えばプリントヘッドを支持要素17に固定する方法を示している。支持要素17上の回転可能な制御ピン18’は、代替のツールホルダ19内の対応するプロファイル穴18”と相互作用する。ツールホルダ19は、プロファイル穴18”で回転可能な制御ピン18’上に押される。回転可能な制御ピン18’が二重矢印20の方向に回転すると、プロファイル穴18”内のプロファイルは、偏心制御ボルト18’によって走査され、その結果、ツールホルダ19、したがってそれに取り付けられたツールの変位は、二重矢印5の方向、したがって軸方向に起こる。ピン21は、対応する細長い穴21’又は溝21”に係合し、これにより、プリントヘッド又は一般にツールを移動させるための軸方向5への移動が可能になる。ベアリング・ボール22は、対応する溝22’を押し付け、二重矢印5の方向に同様に変位させることもできる。
【国際調査報告】