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特表2022-522955関連する電流センサを備えたバックツーバックパワー電界効果トランジスタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】関連する電流センサを備えたバックツーバックパワー電界効果トランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20220414BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
H01L29/78 657F
H01L29/78 652Q
H01L27/04 H
H01L27/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540277
(86)(22)【出願日】2020-01-09
(85)【翻訳文提出日】2021-09-10
(86)【国際出願番号】 US2020012922
(87)【国際公開番号】W WO2020146624
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】62/791,013
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/368,313
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(71)【出願人】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(72)【発明者】
【氏名】インドゥミニ ランムツ
【テーマコード(参考)】
5F038
【Fターム(参考)】
5F038AZ08
5F038BH16
5F038CA08
5F038EZ20
(57)【要約】
例示の装置が、第1のソース(306)を有する第1のパワー電界効果トランジスタ(FET)(204)と、第2のソース(308)を有する第2のパワーFET(206)とを含む。第1及び第2のパワーFET(204、206)は、共通のドレイン(402)を共有する。第1及び第2のソース(306、308)は、基板(406)の第1の側に配置され、共通のドレイン(402)は、基板(406)の第1の側とは反対の第2の側に配置される。この例示の装置は、第1のソース(306)の第1の部分と第2の部分との間に配置される電流感知FETを含む。電流感知FETは、第1及び第2のパワーFET(204、206)を通過する電流を感知する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
第1のソースを有する第1のパワー電界効果トランジスタ(FET)、
第2のソースを有する第2のパワーFET、及び
前記第1のパワーFETの前記第1のソースの第1の部分と前記第1のパワーFETの前記第1のソースの第2の部分との間に配置される電流感知FET、
を含み、
前記第1及び第2のパワーFETが、共通のドレインを共有するためのものであって、前記第1及び第2のソースが基板の第1の側に配置され、前記共通のドレインが前記第1の側とは反対の前記基板の第2の側に配置され、
前記電流感知FETが、前記第1及び第2のパワーFETを通過する電流を感知するためのものである、
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記電流感知FET、及び、前記第1及び第2のパワーFETが、前記共通のドレインを共有する、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1のソースが、前記第1及び第2のパワーFET間の中央平面に沿って長手方向に延在するトレンチによって前記第2のソースから分離され、前記第1のソースが前記中央平面から離れて第1の横方向側部へ延在し、
前記第2のソースが、前記第1の横方向側部とは反対の第2の横方向側部に前記中央平面から離れて延在する、
装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、前記電流感知FETが、前記中心平面と前記第1の側との間の距離の3分の1~3分の2に配置される、装置。
【請求項5】
請求項3に記載の装置であって、前記電流感知FETが、前記中央平面と前記第1の横方向側部との間の第2の距離の10パーセント以内である、前記中央平面からの第1の距離に配置される、装置。
【請求項6】
請求項3に記載の装置であって、前記第1のソースが前記第1のパワーFETの第1の端部と第2の端部との間の前記長手方向に沿って整合されるソース接続の列(row)を含み、前記ソース接続が、下にある導電性表面から突出している、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記電流感知FETが、前記ソース接続のいずれよりも前記第1のパワーFETの前記第1の端部に近接して配置される、装置。
【請求項8】
請求項6に記載の装置であって、前記ソース接続のうちの第1のソース接続が、前記電流感知FETよりも前記第1のパワーFETの前記第1の端部に近接して配置され、前記ソース接続のうちの第2のソース接続が、前記電流感知FETよりも前記第1のパワーFETの前記第2の端部に近接して配置される、装置。
【請求項9】
請求項6に記載の装置であって、
前記ソース接続の列がソース接続の第1の列であり、
前記第1のソースが、前記長手方向に沿って整合されるソース接続の第2の列を含み、前記ソース接続の第2の列が、前記ソース接続の前記第1の列よりも前記中央平面から遠くに位置し、
前記電流感知FETが、前記ソース接続の前記第1の列よりも前記中央平面から遠くであり前記ソース接続の前記第2の列よりも前記中央平面に近くに位置する、
装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、前記電流感知FETが、第3のソースを含み、前記第1、第2、及び第3のソースが、共通の導電層材料に関連し、前記第1、第2、及び第3のソースが、前記前記導電層材料を介して延在するトレンチによって互いに絶縁されている、装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置であって、前記第1及び第2のパワーFETの動作を制御するためのコントローラをさらに含み、前記第1及び第2のパワーFETが、単一パッケージ内で前記コントローラと集積される、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、前記コントローラが、前記第2のパワーFETのゲート・ソース電圧を可変的に調整するためのものであり、前記電流感知FETが、前記第1のパワーFETによって囲まれ、前記第2のパワーFETから離間されている、装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置であって、
前記電流感知FETが第1の電流感知FETであり、
前記装置が第2の電流感知FETをさらに含み、
前記第1の電流感知FETが、前記第1のソースと第2のソースとの間に延在する平面から第1の距離に位置し、
前記第2の電流感知FETが、前記平面からの第2の距離に位置し、前記第1の距離が前記第2の距離よりも大きい、
装置。
【請求項14】
装置であって、
パワートランジスタアッセンブリであって、複数のバックツーバックパワー電界効果トランジスタ(FET)を含み、前記パワーFET内に集積される電流感知FETを含む、前記パワートランジスタアッセンブリ、及び
前記パワーFETの動作を制御するコントローラ、
を含み、
前記パワーFETが、単一パッケージ内に前記コントローラと集積される、
装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、前記パワーFETのうちの第1のパワーFETの第1の部分が、前記電流感知FETよりも前記パワーFETのうちの第2のパワーFETに近く、前記第1のパワーFETの第2の部分が、前記電流感知FETよりも前記第2のパワーFETから遠い、装置。
【請求項16】
請求項14に記載の装置であって、
前記第1の部分が、前記第2のパワーFETに近接している前記第1のパワーFETの内側端部と、前記第2のパワーFETの末端の前記第1のパワーFETの外側横方向側部との間の距離の少なくとも3分の1延在し、
前記第2の部分が、前記第1のパワーFETの内側端部と、前記第1のパワーFETの外側横方向端部との間の前記距離の少なくとも3分の1延在する、
装置。
【請求項17】
請求項14に記載の装置であって、前記電流感知FETが、前記パワーFETの外側横方向端部間に延在する第2の距離の10パーセント以内である、前記パワーFETのインターフェースからの第1の距離に配置される、装置。
【請求項18】
装置であって、
第1のドープされた領域に結合される第1のソースを有する第1のパワー電界効果トランジスタ(FET)、
第2のドープされた領域に結合される第2のソースを有する第2のパワーFET、及び
第3のドープされた領域に結合される第3のソースを有する電流感知FET、
を含み、
前記第1のドープされた領域が、前記第1及び第2のパワーFETのための共通のドレインに関連する共通の基板上の第2のドープされた領域に隣接して配置され、前記基板が、電流が前記第1及び第2のパワーFET間を通るときに非均一な電流密度分布を有するようになっており、
前記第3のドープされた領域が、第1の位置において前記共通の基板上に配置され、前記電流感知FETが、前記第1の位置において前記第1のパワーFETと前記第2のパワーFETとの間を通る前記電流を測定するためである、
装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置であって、前記基板が、
前記第1及び第2のドープされた領域の第1の部分間の電流が、第1の深さで前記基板を横方向に延在するための第1の電流経路と、
前記第1及び第2のドープされた領域の第2の部分間の電流が、前記第1の深さよりも大きい第2の深さで前記基板を横方向に延在するための第2の電流経路と、
前記第1及び第2のドープされた領域の第3の部分間の電流が、前記第2の深さよりも大きい第3の深さで前記基板を横方向に延在するための第3の電流経路と、
を提供するようになっている、装置。
【請求項20】
請求項19に記載の装置であって、前記第2及び第3の電流経路が、対応する前記第2及び第3の深さで前記基板を横方向に延在する前に、前記第1のドープされた領域の対応する前記第2及び第3の部分から離れて前記基板内に実質的に垂直に延在するようになっている、装置。
【請求項21】
請求項19に記載の装置であって、前記第1及び第2のドープされた領域の前記第1の部分が、前記第2の部分よりも互いに近く、前記第2の部分が、前記第3の部分よりも互いに近い、装置。
【請求項22】
請求項21に記載の装置であって、前記電流密度分布が、前記第1及び第2のパワーFETが通常動作条件にあるときに対して、前記第1及び第2のパワーFETが過電流条件にあるときに異なっており、前記電流密度分布が、前記通常動作条件の間よりも前記過電流条件の間に、前記第1及び第2のドープされた領域の前記第1の部分に近接している一層高い電流密集を示す、装置。
【請求項23】
請求項19に記載の装置であって、前記第1の電流経路が、前記第2の電流経路よりも前記電流密度分布内のより高い電流に対応し、前記第2の電流経路が、前記第3の電流経路よりも前記電流密度分布内のより高い電流に対応する、装置。
【請求項24】
請求項19に記載の装置であって、前記第1の電流経路が前記電流密度分布における最高の電流に対応し、前記第1の位置が前記第1の電流経路に近接している、装置。
【請求項25】
請求項19に記載の装置であって、前記第2の電流経路が、前記第1及び第2のパワーFET間を通る総電流に対する前記電流密度分布における平均電流に対応し、前記第1の位置が前記第2の電流経路に近接している、装置。
【請求項26】
請求項19に記載の装置であって、
前記電流感知FETが第1の電流感知FETであり、
前記装置が、第4のドープされた領域に結合される第4のソースを有する第2の電流感知FETをさらに含み、前記第4のドープされた領域が第2の位置で前記共通の基板上に配置され、前記第1の位置が前記第1の電流経路に近接しており、前記第2の位置が前記第2の電流経路に近接している、
装置。
【請求項27】
電子デバイスであって、
ユニバーサルシリアルバス(USB)コネクタ、
前記USBコネクタを前記電子デバイスの内部回路要素に通信可能に結合する内部回路要素コネクタ、
第1のソースを有する第1のパワー電界効果トランジスタ(FET)、
第2のソースを有する第2のパワーFET、及び
前記第1及び第2のパワーFET内に集積される電流感知FET、
を含み、
前記第1及び第2のパワーFETが共通のドレインを共有し、前記第1及び第2のソースが基板の第1の側に配置され、前記共通のドレインが前記第1の側とは反対の前記基板の第2の側に配置され、前記第1及び第2のパワーFETが、前記第1及び第2のパワーFETがオンにされたとき前記内部回路要素から外部デバイスに電流を流すために、前記USBコネクタと前記内部回路要素のコネクタとの間に電気的に結合される、
電子デバイス。
【請求項28】
請求項27に記載の電子デバイスであって、前記電流感知FETの出力に基づいて前記第1及び第2のパワーFETを制御するためのコントローラをさらに含む、電子デバイス。
【請求項29】
請求項27に記載の電子デバイスであって、前記USBコネクタがUSB-Cコネクタである、電子デバイス。
【請求項30】
請求項27に記載の電子デバイスであって、
前記第1及び第2のパワーFETの前記第1及び第2のソースが、第1及び第2の端部の間で長手方向に並んで延在し、前記第1及び第2のパワーFETの前記第1及び第2のソースが、それぞれの第1及び第2の横方向側部に向かって互いに横方向に離れて延在するようになっており、
前記電流感知FETが、前記第1及び第2の端部間及び前記第1及び第2の横方向側部間に配置される、
電子デバイス。
【請求項31】
請求項30に記載の電子デバイスであって、前記電流感知FETが、前記第1及び第2のパワーFETの前記第1及び第2のソース間に長手方向に延在する中央平面に近接して位置する、電子デバイス。
【請求項32】
請求項30に記載の電子デバイスであって、
前記第1のパワーFETの前記第1のソースが、前記第2のソースに近接している内側の第3の領域と、前記第1の横方向側部に近接している外側の第3の領域と、前記内側の第3の領域と前記外側の第3の領域との間の中央の第3の領域とを含み、前記電流感知FETが前記中央第3の領域内に位置する、
電子デバイス。
【請求項33】
請求項30に記載の電子デバイスであって、
前記電流感知FETが第1の電流感知FETであり、
前記電子デバイスが第2の電流感知FETをさらに含み、
前記第2の電流感知FETが、前記第1の端部と前記第2の端部との間、及び前記第1の横方向側部と前記第2の横方向側部との間に位置し、
前記第1の電流感知FETが、前記第1横方向側部から第1の距離に位置し、
前記第2の電流感知FETが、前記第1横方向側部から前記第1の距離とは異なる第2の距離に位置する、
電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般にパワートランジスタに関し、より詳細には、関連する電流センサを備えたバックツーバックパワー電界効果トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
パワートランジスタは、パワーエレクトロニクスのスイッチとして用いられている。多くの既存の応用例(例えば、USBポート)では、電力スイッチは、別個の外部コントローラによって起動又は制御される別個の(例えば、スタンドアロンの)トランジスタを用いて達成される。多くの状況において、パワートランジスタを通過する電流は、パワートランジスタと直列に配置される抵抗器の電圧降下を検出することによって監視される。
【発明の概要】
【0003】
例示の装置が、第1のソースを有する第1のパワー電界効果トランジスタ(FET)と、第2のソースを有する第2のパワーFETとを含む。第1及び第2のパワーFETは、共通のドレインを共有する。第1のソース及び第2のソースは、基板の第1の側に配置され、共通のドレインは、第1の側とは反対の基板の第2の側に配置される。この例示の装置は、第1のパワーFETの第1のソースの第1の部分と第1のパワーFETの第1のソースの第2の部分との間に配置される電流感知FETを含む。電流感知FETは、第1及び第2のパワーFETを通過する電流を感知する。
【0004】
例示の装置が、バックツーバックパワー電界効果トランジスタ(FET)を含み、パワーFET内に集積された電流感知FETを含む、パワートランジスタアッセンブリを含む。また、この装置は、パワーFETの動作を制御するためのコントローラを含み、パワーFETは、単一パッケージ内のコントローラと集積される。
【0005】
例示の装置が、第1のドープされた領域に結合される第1のソースを有する第1のパワー電界効果トランジスタ(FET)を含む。この例示の装置は、第2のドープされた領域に結合される第2のソースを有する第2のパワーFETを含む。第1のドープされた領域は、第1及び第2のパワーFETのための共通のドレインに関連する共通の基板上の第2のドープされた領域に近接して配置される。この基板は、第1及び第2のパワーFET間に電流が通過しているとき、不均一な電流密度分布を有する。例示の装置は、第3のドープされた領域に結合される第3のソースを有する電流感知FETを含む。第3のドープされた領域は、共通の基板上の第1の位置に配置される。電流感知FETは、第1の位置で第1のパワーFETと第2のパワーFETとの間を通過する電流を測定する。
【0006】
例示の電子デバイスが、ユニバーサルシリアルバス(USB)コネクタを含む。例示の電子デバイスは、USBコネクタを、電子デバイスの内部回路要素に通信可能に結合する内部回路要素コネクタを含む。この例の電子デバイスは、第1のソースを有する第1のパワー電界効果トランジスタ(FET)を含む。例示の電子デバイスは、第2のソースを有する第2のパワーFETを含む。第1のソース及び第2のソースは、基板の第1の側に配置され、共通のドレインは、第1の側とは反対の基板の第2の側に配置される。第1及び第2のパワーFETは、USBコネクタと内部回路要素コネクタとの間に電気的に結合されて、第1及び第2のパワーFETがオンにされたときに内部回路要素から外部デバイスに電流を流す。例示の電子デバイスは、第1及び第2のパワーFET内に集積された電流感知FETを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本明細書に記載された教示に従って構成された例示の電子デバイスを図示する。
【0008】
図2図1の例示の電子デバイスの例示のUSBインターフェースの例示の実装を図示する。
【0009】
図3】単一パッケージ内の図2の例示のコントローラと集積された図2の例示のパワートランジスタアセンブリの上面図である。
【0010】
図4】線4-4に沿って切り取った図3の例示のパワートランジスタアセンブリの断面図である。
【0011】
図5図3の例示のパワートランジスタアセンブリのドープされた領域内のXY平面にわたる例示の電流密度分布の図である。
【0012】
図6】線6-6に沿って切り取った図3の例示のパワートランジスタアセンブリの断面図である。
【0013】
図7】温度を25℃から125℃まで変化させたときの、図2及び図3の主パワーFETに対する第1の電流感知FETの抵抗の比の変化率を図示すグラフである。
【0014】
図8】温度を25℃から125℃まで変化させたときの、図2及び図3の主パワーFETに対する第2の電流感知FETの抵抗の比の変化率を図示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面は一定の縮尺で描かれていない。代わりに、図面において層又は領域の厚さが拡大されている場合がある。概して、同じ又は類似の部分を参照するために同じ参照番号が図面及び付随する説明全体にわたって用いられる。本明細書で用いられるように、任意の部分(例えば、層、膜、領域、領域、又はプレート)が、何らかの方式で別の部分上にある(例えば、別の部分上に配置される、別の部分上に位置する、又は別の部分上に形成されるなど)という記載は、参照される部分が他の部分と接触しているか、又は参照される部分が、間に1つ又は複数の中間部分がある他の部分の上にあることを示す。任意の部分が別の部分と接しているという記載は、それら2つの部分の間に中間部分がないことを意味する。図面は明確な線及び境界を用いて各層及び領域を示しているが、これらの線及び/又境界の幾つか又は全部は、理想化されている場合がある。実際には、境界及び/又は線が観察不可能である、混合されている、及び/又は不規則である場合もある。
【0016】
本明細書で用いられるように、用語「~の上」は、集積回路の構成要素が上に形成されるベース半導体基板(例えば、半導体ウェハ)のバルク領域に関して用いられる。特に、本明細書で用いられるように、集積回路の第1の構成要素は、第1の構成要素が半導体基板のバルク領域からより離れているときには、第2の構成要素の「上」にある。同様に、本明細書で用いられるように、第1の構成要素は、第1の構成要素が半導体基板のバルク領域により近いときには、別の構成要素の「下」にある。上述のように、1つの構成要素は、それらの間にあるか又は、互いに直接接している他の構成要素の上又は下にあり得る。
【0017】
多くの電子デバイスにおいて、パワートランジスタは、パワートランジスタの外部(別個の集積回路(IC)内)に実装されたコントローラによってオン又はオフに切り替えるように制御される。しかし、外部コントローラと1つ又は複数の関連するパワートランジスタとの間の接続(例えば、ワイヤ盆D及び/又はクリップボンド)は、関連するシステムの全体的な性能を低下させる恐れのある付加的な抵抗を生成する。また、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の性能及び/又は能力を規定する要因の1つは、トランジスタの電源が投入されたときのドレインとソースとの間の総抵抗(オン抵抗(Ron)とも呼ばれる)である。概して、オン抵抗が減少するにつれて、関連するトランジスタの性能が増加する。本明細書に記載される例は、コントローラとトランジスタとの間の接続にわたる抵抗を低減するために、単一パッケージ内のコントローラと集積された超低オン抵抗(例えば、2.5mΩ未満)のパワートランジスタを実装する。これは、2つの電界効果トランジスタ(FET)をバックツーバック配置で用いてパワートランジスタを実装し、ウェハレベルチップスケールパッケージ(WCSP)においてコントローラと集積することにより達成される。本明細書で用いられるように、バックツーバックFETとは、2つのFETが別々のソースを有するが共通のドレインを共有する、特定の回路トポロジーで配置された2つのFETを指す。また、本明細書に記載される幾つかの例示のバックツーバックのFETは、単一の半導体(例えば、シリコン)基板上に2つのFETが互いに近接して形成される、特定の物理的構造を有する。このような例では、共通のドレインは、基板の反対側に形成され、ソース金属間に半導体基板内に延在するトレンチを介して互いに絶縁された別個のソースを備える半導体基板及び/又は下にある裏側金属に対応する。バックツーバック配置により、FETがオフにされたときに電流がどちらかの方向にシステムを介して流れることが阻止できる。また、パワーFETを、対応するコントローラと単一パッケージ内に集積することで、他の電子デバイスに実装される同様の機能性を備えた回路要素よりもはるかに小さなフットプリントも提供される。
【0018】
WCSPにおいてバックツーバックパワーFETを実装することは、抵抗を低減し得るが、そのような実装は、FET全体にわたる電流密度の分布が不均一である電流集中につながる。不均一な電流密度分布は、多くの電子デバイスにおいて実装されるパワートランジスタに対してしばしば行われるような、電流の正確な感知を困難にする。例えば、既存の多くの電子デバイスでは、パワートランジスタを通過する電流は、パワートランジスタと直列に配置された抵抗器の電圧降下に基づいて測定される。しかし、外部抵抗を介した電流の感知では、関連するトランジスタ内の不均一な電流分布を正確に判定することができない。本明細書に記載する例は、1つ又は複数の電流感知FETを、バックツーバックパワーFETを実装するために用いられる主FETと集積することによって、この課題を克服する。より具体的には、幾つかの例において、電流感知FETが、主パワーFET内の異なる電流密度に関連する異なる位置に配置され得るように、1つ又は複数の電流感知FETは、主パワーFETよりも著しく小さい。このようにして、電流密度分布は不均一であるが、主パワーFETにわたる平均電流が、一層正確に測定され得、この平均電流は、主パワーFETと直列の抵抗器を通過する外部電流ではなく、主パワーFETを通過する電流の垂直経路に基づいている。また、幾つかの例において、ピーク電流値を監視して(例えば、意図される又は予期される電流を超える過剰電流が存在するときに)潜在的な過電流状況をより正確に識別するために、電流が最高であると予期される位置が、特定の電流感知FETによって測定されてもよい。また、主パワーFETの構造に組み込まれた電流感知FETが、外部電流センサに基づく他の電流感知方法を用いて可能な応答時間よりも速い応答時間を提供する。
【0019】
図1は、本明細書に記載された教示に従って構成された、例示の電子デバイス100を図示する。例えば、図1の例示の電子デバイス100は、例示の電源102、例示の中央処理ユニット104、及び、例示のUSB(ユニバーサルシリアルバス)インターフェース106を含む。電子デバイス100は、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、スマートフォン、PDA(personal digital assistant)などの任意のタイプの電子デバイスとすることができる。電源102は、直流電源(例えば、バッテリー)又は交流電源と関連付けられてもよい。この例では、USBインターフェース106は、本明細書で説明する教示に従って構成されたパワートランジスタを実装する。図2に関連して、USBインターフェース106の実装に関する詳細が提供される。パワートランジスタは、図1の例示のUSBインターフェース106の文脈で説明されるが、本明細書で説明される例は、電力をオンオフするための任意の適切な応用例で実装され得る。そのため、USBインターフェース106の包含は単なる例であり、本明細書で説明される教示は、追加的として又は代替として、USBインターフェースを含んでも含まなくてもよい電子デバイスにおける他の電力応用例のために実装され得る。
【0020】
図2の図示した例に示されるように、USBインターフェース106は、USBコネクタ208を介して接続された外部デバイスへの電力の搬送のオンオフを切り替えるための主パワーFET(図示された例ではM1及びM2と標示されている)として働く、2つのバックツーバックのパワーFET204、206を含むパワートランジスタアッセンブリ202を含む。幾つかの例において、USBコネクタ208は、USBタイプC(USB-C)コネクタに対応する。USBコネクタ208を介して外部装置に搬送される電力は、内部集積回路(IC)コネクタ210を介して図1の電源102から得られる。幾つかの例において、パワートランジスタアセンブリ202の主パワーFET204、206は、単一パッケージ内の例示のコントローラ212と集積される。例示のコントローラ212は、主パワーFET204、206がオン及びオフされるときを制御する。さらに、幾つかの例において、コントローラ212は、パワートランジスタアセンブリ202を通過する電流を適切なときに制限するために(例えば、電流を或る閾値以下に維持するために)、主パワーFET204、206のうちの少なくとも1つについてゲート・ソース電圧(Vgs)を可変的に調整(例えば、減少)し得る。図示された図2の例では、第2の主パワーFET206が調節可能Vgsを有するFETとして示されている。
【0021】
幾つかの例において、コントローラ212が主パワーFET204、206を通過する電流をオンにするか、オフにするか、又はその他の方式で調整するかは、1つ又は複数の電流感知FET214、216の出力に基づく(図示の例では2つがSF1及びSF2として標示されて示されている)。幾つかの例において、電流感知FET214、216は、図3に関連して以下に示され説明されるように、パワートランジスタアセンブリ202の主パワーFET204、206内の異なる位置において集積される。本明細書の記載と一貫して、電流感知FETは、電流感知FETが主パワーFET204、206の少なくとも一方の一部によって少なくとも部分的に囲まれている場合に、主パワーFET204、206内に位置すると説明することができる。一実装において、例えば、電流感知FET214、216は、主パワーFET204、206の外周内に配置されてもよい。別の実装において、例えば、電流感知FET214、216は、第1の主パワーFET204の少なくとも一部と第2の主パワーFET206の少なくとも一部との間に配置されてもよい。幾つかの例において、電流感知FET214、216は、主パワーFET204、206と同様の構造を有し、主パワーFET204、206と同じドレインを共有する。
【0022】
図2の例示のコントローラ212は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアの任意の組合せによって実装され得る。そのため、例えば、例示のコントローラ212は、1つ又は複数のアナログ又はデジタル回路、論理回路、プログラマブルプロセッサ、プログラマブルコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、及び/又はフィールドプログラマブル論理デバイス(FPLD)によって実装することができる。また、図1の例示のUSBインターフェース106は、図2で図示されたものに加えて、又はその代わりに、1つ又は複数の要素、プロセス、及び/又はデバイスを含み得、及び/又は、図示された要素、プロセス、及びデバイスのいずれか又はすべてのうちの2つ以上を含み得る。本願において用いられるように、「通信して」という表現はその変形例も含め、直接的な通信、及び/又は、一つ又は複数の媒介構成要素を介した間接的な通信を包含し、直接の物理的(例えば、有線)通信及び/又は一定の通信を必要とせず、周期的間隔、スケジュールされた間隔、非周期的間隔、及び/又は一度限りの事象における選択的通信を付加的に含む。
【0023】
図3は、単一パッケージ300内の図2の例示のコントローラ212と集積された図2の例示のパワートランジスタアッセンブリ202の上面図である。幾つかの例において、コントローラ212及びパワートランジスタアセンブリ202が単一ダイ内に集積される。他の例において、コントローラ212及びパワートランジスタアセンブリ202は、後に単一パッケージ300内に集積される、2つの別個のダイ上に製造されてもよい。コントローラ212がパワートランジスタアセンブリ202と同じダイ上に含まれているかどうかにかかわらず、コントローラ212は、図3に例示されているように、主パワーFET204、206の各々及び電流感知FET214、216の各々に通信可能に結合される。コントローラ212及びパワートランジスタアッセンブリ202は、図3において単一パッケージ300に集積されているように示されているが、幾つかの例において、コントローラ212が第1のパッケージに実装され得、一方で、パワートランジスタアッセンブリ202が第2の別個のパッケージに実装され得る。
【0024】
図3に示された例示のパワートランジスタアセンブリ202を参照すると、主パワーFET204、206は、主パワーFET204、206の各々のためのソースを画定する下にある層の導電層304の頂部表面上に形成されたバンプに対応する複数のソース接続302を含む。より詳細には、この例では、主パワーFET204、206の各々は、主パワーFET204、206の相対する端間に延在する10個の接続の2つの列(row)に配置された20個のソース接続302を含む。他の例において、主パワーFET204、206は、異なる数の列、及び/又は、列当たりの異なる数の接続を用いて実装され得る。例えば、幾つかの例において、各パワーFET204、206は、任意の適切な数(5、8、10、11など)のソース接続302の単一行のみで構成され得る。他の例において、各パワーFET204、206は、任意の適切な数の3列以上のソース接続302で構成され得る。複数のソース接続302が存在するが、第1の主パワーFET204に関連するソース接続302のすべてが、同じ第1のソース306に対応し、下にある導電層304を介して電気的に結合される。同様に、第2の主パワーFET206に関連するすべてのソース接続302が、同じ第2のソース308に対応し、関連する下にある導電層304を介して電気的に結合される。幾つかの例において、図3においてソース接続302として指定される各ソース306、308に関連する円のうちの少なくとも1つが、対応するソース306、308から隔離され得、対応するソースのためのゲートとして働くことができる。
【0025】
第1及び第2の主パワーFET204、206は別々のソースを有するが、それらは、図4の断面図に示されるように、共通のドレイン402を備えたバックツーバック配置で構成される。より詳細には、例示の第1及び第2の主パワーFET204、206は垂直FETであり、ソース306が、基板406の第1の側で互いに近接し、基板406の反対側に位置する共通のドレイン402から垂直に、又はそれより上にずらされている。すなわち、図4の図示された例に示されるように、両方の主パワーFET204、206のためのドレイン402は、基板406の底部(背面)側に位置する背面金属(BSM)404に対応する。BSMは、銀などの任意の適切な金属を含み得る。基板406は、シリコン及び/又はn型又はp型シリコンなどの任意の適切な半導体を含み得る。図示の例では、対応するパワーFET204、206のためのチャネルの位置に対応する第1及び第2のドープされた領域408、410が、BSM404とは反対側の基板406上に形成されている。幾つかの例において、ドープされた領域408、410は、n型半導体又はp型半導体のいずれかを形成するために任意の適切なドーパントでドープ又は拡散された基板406の一部に対応する。導電層304は、ドープされた領域408、410上に形成され、その上にソース接続302が形成される。導電層304は、アルミニウムなどの任意の適切な金属を含み得る。ソース接続302は、はんだボールなどの任意の適切な形状の任意の適切な金属を含み得る。
【0026】
図3及び図4の図示の例に示すように、第1の主パワーFET204の第1のソース306は、例示のパワートランジスタアセンブリ202の第1の横方向側部310と、例示のパワートランジスタアセンブリ202の中心軸又は平面312との間に延在する。第2の主パワーFET206の第2のソース308は、中央平面312の反対側に位置し、例示のパワートランジスタアセンブリ202の第2の横方向側部314と中央平面312との間に延在する。図示の例に示すように、第1及び第2のソース306、308、ならびに対応する第1及び第2のドープされた領域408、410は、トレンチ412によって分離されている。幾つかの例において、トレンチ412は、ドープされた領域408、410の下の基板406内に延在してもよい。幾つかの例において、トレンチ412は、2つの主パワーFET204、206に対応する別個のソース306、308を絶縁及び/又は隔離するために、任意の適切な誘電体材料で充填されてもよい。
【0027】
パワートランジスタアセンブリ202の頂部側の主パワーFET204、206のためのソース306、308と、アセンブリの裏側のドレイン402とを備え、FET204、206は垂直FETであり、電流はドープされた領域408、410を介して垂直方向に進行する。しかしながら、電流経路は、パワートランジスタアセンブリ202全体にわたって一貫しておらず、電流が第1のソース306から出て(又は入って)、第2のソース308に(又はそこから)進む中央平面312からの距離に応じて変更する。様々な例示の電流経路が、図4で示される矢印によって表される。この例では、電流が第1のFET204で発生し、第2のFET206に移動するものとして表される。他の状況において、電流の方向を逆にすることができる。いずれにせよ、パワートランジスタアセンブリ202の外側の端部(例えば、横方向側部310、314に向かって)において、電流が、基板406を介して第1のソース306から下方に実質的に垂直な経路を従い得、次いで、基板406を介して実質的に垂直に上方に進む前に、ドレイン402を横方向に横切って進み得、第1の電流経路によって表される第2のソース308に達する。この文脈で用いられるように、垂直方向は、主パワーFET204、206が形成される基板406の平面に直交するものとして定義される。そのため、本明細書で用いられるように、「実質的に垂直な」電流経路は、基板406の平面から90度の或る閾値(5度、10度など)内にある電流経路を指す。中央平面312により近い(例えば、中央平面312と第1の横方向側部310との間の中間点付近の)基板406に入る電流は、横方向に進む前に、BSM404(例えば、ドレイン402)に到達することなく、基板406内に実質的な深さまで延在し、次いで、第2のソース308に戻る第2の電流経路416に従い得る。FET204、206間の中央平面312に隣接する位置で基板406に入る電流は、第3の電流経路418に従い得、ここで、電流は主に、トレンチ412の下の基板406を横切って他のソースに到達するために横方向に進む。図示された例に示されているように、幾つかの電流経路はBSM404内に延在していない。幾つかの例において、BSM404は、主パワーFET204、206のためのドレイン402として機能する基板406と共に省かれてもよい。
【0028】
2つの主パワーFET204、206のソース間の不均一な電流経路は、パワートランジスタアセンブリ202にわたる不均一な電流密度分布をもたらす。図5は、図2図4の例示のパワートランジスタアセンブリ202のドープされた領域408、410内のXY平面内の例示の電流密度分布を図示する図である。図5の図に表わされるように、電流は、中心平面312に近接する主パワーFET204、206の内側端部で最も高く、中心平面312から遠く離れ、横方向側部310、314に向かう位置で減少する。中央平面312近傍の比較的高い電流は、中央平面312に近接する2つの主パワーFET204、206のドープされた領域408、410の内側端部間の短い電流経路(例えば、図4の経路418)の抵抗が比較的小さいことに起因する。対照的に、中央平面312から遠く離れた距離における一層低い電流は、FET204、206の外側端部に関連する一層長い電流経路(例えば、図4の経路414、416)の一層大きな抵抗に起因する。図5に示されるようにXY平面にわたって変化する電流密度分布に加えて、電流密度分布もまた、Z方向に(例えば、基板406内の異なる深さで)変化し得る。
【0029】
多くの状況において、パワートランジスタを通過する電流を測定することが望ましい。これは、多くの場合、電流感知FETを用いて行われる。例示の例の例示のパワートランジスタアセンブリ202に対するこのアプローチの課題は、測定された電流が、電流感知FETが配置されている場所に依存することである。電流感知FETが中央平面312により近くに位置するほど、検出される電流は高くなる。逆に、電流感知FETが中央平面312から遠くに位置するほど、検出される電流は低くなる。
【0030】
正確な測定のために、基板抵抗は、電流感知FETの抵抗と一致する。幾つかの例において、これは、主パワーFET204、206と同様の構造を用いて(及び同じ材料を用いて)、電流が総電流分布のほぼ平均である場所に位置する電流感知FET214、216を構成することによって達成される。本明細書で用いられるように、ほぼ平均であるとは、平均の或る閾値(例えば、10%)内にあると理解することができる。幾つかの例において、電流は、図3に示すように各FET204、206の中央の第3の領域316における総電流分布のほぼ平均である。すなわち、幾つかの例において、電流感知FET(例えば、第1の電流感知FET214)は、中央平面312と対応する横方向側部310、314との間の総距離の約3分の1~3分の2である、中央平面312から或る距離に位置する。幾つかの例において、主パワーFET204、206が(図3に示されるように)2列のソース接続302を含む場合、電流感知FET214は、2列のソース接続302の間の中央平面312からの或る距離に位置する。言い換えると、幾つかの例において、電流感知FET214は、主パワーFET204、206のうちの一方によって囲まれ、他のパワーFETから或る距離に位置する。
【0031】
第1の電流感知FET214は、電流分布が主パワーFET204、206の長手方向に沿って実質的に均一であるため、中央の第3の領域316の長さに沿った任意の適切な位置に配置し得る。幾つかの例において、第1の電流感知FET214を作製するための製造プロセスは、主パワーFET204、206の一端に配置されている場合、単純化され得る。従って、図3の図示された例では、第1の電流感知FET214がパワーFETの一端において第1の主パワーFET204に関連付けられた第3の領域316内に位置する。幾つかの例において、第1の主パワーFET204の基板406の中央の第3の領域316内の電流は、第2の主パワーFET206の基板406の中央の第3の領域316内の電流とほぼ同じである。このように、幾つかの例において、第1の電流感知FET214は、代替として、第2の主パワーFET206の第3の領域316に配置されてもよい。幾つかの例において、異なる電流感知FETを、両方の主パワーFET204、206の中央の第3の領域316に配置してもよい。幾つかの例において、主パワーFET204、206のうちの一方の中央の第3の領域316に、複数の電流感知FETを配置し得る。このような幾つかの例において、異なる電流感知FETを、対応する主パワーFETの長手方向長さに沿った異なる位置に配置し得る。幾つかの例において、複数の電流感知FETを、中央平面312から異なる距離にある単一の主パワーFET上の異なる位置に配置し得る。このような幾つかの例において、異なる電流感知FETはすべて、主パワーFETの中央の第3の領域316内に配置されてもよい。他のそのような例において、1つ又は複数の電流感知FETを、中間の第3の領域316の外に配置し得る。
【0032】
幾つかの例において、1つの電流感知FET(例えば、図3の電流感知FET214)のみが、両方の主パワーFET204、206にわたって用いられる場合、電流感知FET214は、動作の間、線形領域に留まり、飽和に達しない主パワーFET内に位置する。図2に関連して上述したように、コントローラ212は、パワートランジスタアセンブリ202を通過する電流を制限するために、第2の主パワーFET206のVgを可変的に調整(例えば、減少)し得る。第2の主パワーFET206のVgが減少すると、ドレイン・ソース電圧(VdS)は増加し、飽和状態になることがある。対照的に、第1の主パワーFET204は、完全にオン又は完全にオフのいずれかにされるので、第1の主パワーFET204は線形領域で動作する。このような例では、図3に示されるように、第1の主パワーFET204は飽和状態に入らないため、第1の電流感知FET214は第1の主パワーFET204上に位置する。
【0033】
第1の電流感知FET214の構造は、図3の線6-6に沿って切り取られた図6に示されている例示のパワートランジスタアセンブリ202の断面図に示されているようにその大きさを除くと、第1の主パワーFET204の構造と実質的に同様である。図6の図示の例に示されるように、比較的小さな第1の電流感知FET214は、基板406上の同じドープされた領域408上にある同じ導電層304上のソース接続602を有する、はるかに大きい第1の主パワーFET204の構造内に形成される。また、電流感知FET214は、第1及び第2の主パワーFET204、206の両方の間で共通である同じドレイン402を共有する。第1の電流感知FET214は、導電層304及びドープされた領域408を介してエッチングされたトレンチ604に基づいて、第1の主パワーFET204から電気的に絶縁される。幾つかの例において、トレンチ604は誘電体材料で充填される。図6の図示の例に示されるように、第1の電流感知FET214は、第1の主パワーFET204の第1のソース306の第1の部分606と第2の部分608との間に配置される。
【0034】
第1の主パワーFET204の中央の第3の領域316内に図3で示されるように配置された第1の電流感知FET214は、通常動作の間の総電流分布に対するパワートランジスタアセンブリ202内の平均電流の正確な判定を可能にする。電流感知FETの精度に影響を与える重要な要因は、電流感知FET及び関連する主パワーFETが動作している温度であり、これは、FETの特性が温度と共に変化するためである。図7は、25℃のときと125℃のときの第1の電流感知FET214の抵抗と主パワーFET204、206の抵抗との比の変化率を図示するグラフである。対照的に、図8は、25℃のときと125℃のときの第2の電流感知FET216の抵抗と主パワーFET204、206の抵抗との比の変化率を図示するグラフである。図7及び図8のグラフを参照して示されるように、第1の電流感知FET214に対する25℃から125℃までの温度変化に対する比率の変化の割合は、第2の電流感知FET216に対する比率の変化の割合のほぼ半分である。比の変化が少ないことは、より正確な測定に対応する。従って、第1の主パワーFET204の中央の第3の領域316における第1の電流感知FET214の位置は、中央平面312の近くに位置する第2の電流感知FET216と比較して、電流の測定においてより高い精度を提供する。
【0035】
第1の電流感知FET214の位置は、通常の動作条件下で正確な電流測定を提供するが、第1の電流感知FET214は過電流状態を正確に検出することができない。図5に関連して上述したように、電流は、トレンチ412によって画定されるような中央平面312に近接する主パワーFET204、206の内側端部で最も高く、トレンチ412の下にある基板406内の対応する位置で最も高くなる。過電流状態において中央平面312の近くに大電流が密集すると、パワートランジスタアセンブリ202、特に中央平面312に近接する領域が過熱する可能性がある。パワートランジスタアセンブリ202の温度が上昇すると、第1の電流感知FET214と対応する主パワーFET204との間の抵抗の一致が妨げられる。その結果、このような条件における第1の電流感知FET214による電流測定は、正確又は信頼性がなくなり得る。また、過電流条件を検出する場合、存在する最高電流を検出することが望ましい。しかしながら、第1の電流感知FET214は、最も高い電流ではなく平均電流を検出するように配置され、それによって、電流を送るFETの能力をさらに弱めて、過電流条件を確実に検出する。そのため、幾つかの例において、第2の電流感知FET216が、電流が最も高い図3に示されるように、中央平面312又はその近傍で、パワートランジスタアセンブリ202内に配置される。より詳細には、幾つかの例において、第2の電流感知FET216は、中央平面312と横方向側部310、314のうちの一方との間の総距離の10%以内である、中央平面312から或る距離に位置する。
【0036】
電流は、パワートランジスタアセンブリ202の長手方向長さに沿って実質的に一貫しているが、電流は端部から離れるアセンブリの中央付近で、わずかに高くなり得る。これは過電流条件において特にそうである。というのも、温度が上昇するにつれてFETの特性が変化し、最高温度は、電流も最高であるパワートランジスタアセンブリ202の中央付近にある可能性が高いためである。従って、この例では、第2の電流感知FET216は、パワートランジスタアセンブリ202の中央に向かって位置している。より具体的には、幾つかの例において、第2の電流感知FET216は、長手方向に延在するパワートランジスタアセンブリ202の中央の3分の2内に位置する。
【0037】
第2の電流感知FET216の構造は、第2の電流感知FET216が中央平面312及びトレンチ412により近い位置に配置されることを除くと、図6に示される第1の電流感知FET214の構造と実質的に同様である。図示の例示の図3では、第2の電流感知FET216が、第1の電流感知FET214と同じ中央平面312の側に位置している(例えば、第1の主パワーFET204によって囲まれている)。他の例において、第2の電流感知FET216が、第2の主パワーFET206内に位置するように中央平面312の反対側に配置されてもよい。他の例において、別個の電流感知FETを中央平面312のいずれかの側に配置し得る。図示の例に示すように、電流感知FETが、関連する主パワーFET内に形成され、トレンチ412のため中央平面312から離間しているので、第2の電流感知FET216は中央平面312と直に列状に配置されない。しかし、この例では、第2の電流感知FET216がトレンチ412に直接近接している。
【0038】
幾つかの例において、パワートランジスタアセンブリ202は、通常の動作条件下で電流を正確に監視するための第1の電流感知FET214(電流が平均である中央の第3の領域316に配置されている)と、過電流状態を確実に検出するための第2の電流感知FET216(電流が最も高い中央平面312に又はその近くに配置されている)の両方を含む。他の例において、第1又は第2の電流感知FET214、216のうちの一方のみがパワートランジスタアセンブリ202に含まれてもよい。他の例において、任意の適切な方式で平均化及び/又は組み合わせることができる冗長性及び/又は追加の測定点を提供するために、さらなる電流感知FETをパワートランジスタアセンブリ202に含めてもよい。電流感知FET214、216の一般的な領域を上述してきたが、特定のパワートランジスタアッセンブリ設計のための正確な位置は、その特定の設計の有限要素解析を実行することによって判定され得る。
【0039】
本明細書では、用語「及び/又は」(A、B、及び/又はCなどの形態で用いられる場合)は、(a)A単独、(b)B単独、(c)C単独、(d)Bを備えるA、(e)Cを備えるA、(f)Cを備えるB、及び、(g)BとCを備えるAなど、A、B、Cの任意の組合せ又はサブセットを指す。また、本明細書で用いられる場合、フレーズ「A又はBのうちの少なくとも1つ」(又は「A及びBのうちの少なくとも1つ」)は、(a)少なくとも1つのA、(b)少なくとも1つのB、及び、(c)少なくとも1つのA及び少なくとも1つのB、のいずれかを含む実装を指す。
【0040】
従って、他の電子デバイスで利用可能なものよりも小さなフォームファクタで、パワートランジスタアッセンブリ及び関連するコントローラを備えるパワースイッチング構成要素(例えば、USBインターフェース)の実装を可能にする例示の方法、装置、及び製造品を説明してきた。小さなフォームファクタは、関連するコントローラを備えた2つのバックツーバックパワーFETを単一パッケージに集積することによって達成される。また、ここで説明する例は、FETの電流密度分布がそれらの構造及び動作モードに基づいて不均一であるという事実にもかかわらず、主パワーFETを通過する平均電流の正確な測定を可能にする。正確な電流測定は、通常の動作条件の間、電流が平均であると予期される主パワーFET内の或る位置において1つ又は複数の電流感知FETを実装することによって達成される。幾つかの例において、過電流条件の正確な検出が、電流が最も高いと予期される主パワーFET内の或る位置において1つ又は複数の電流感知FETを実装することによって達成される。本明細書に記載される位置における電流感知FETは、他の電流感知技術よりも主パワーFETにおける電流条件のより正確な監視を提供するだけでなく、電流感知FETは、関連するコントローラが、適切な場合により迅速に応答することを可能にする他の既知の手法よりも速い応答時間を提供することができ、それによってシステムの動作を改善する。
【0041】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。
図1
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【国際調査報告】