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特表2022-522975多数のファイバを有する光ファイバケーブル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】多数のファイバを有する光ファイバケーブル
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20220414BHJP
   G02B 6/036 20060101ALI20220414BHJP
   G02B 6/028 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
G02B6/44 331
G02B6/036
G02B6/44 301A
G02B6/028
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541119
(86)(22)【出願日】2020-01-07
(85)【翻訳文提出日】2021-09-15
(86)【国際出願番号】 US2020012472
(87)【国際公開番号】W WO2020150037
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】62/793,050
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ビッカム,スコット ロバートソン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ミン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】タンドン,プシュカル
(72)【発明者】
【氏名】タンドン,ルチ
【テーマコード(参考)】
2H250
【Fターム(参考)】
2H250AB04
2H250AB05
2H250AB06
2H250AB07
2H250AB08
2H250AB10
2H250AB15
2H250AB18
2H250AD14
2H250AD19
2H250AD32
2H250AD35
2H250AD44
2H250AD45
2H250AE25
2H250AE26
2H250AE27
2H250AE28
2H250AH09
2H250BA03
2H250BA25
2H250BA32
2H250BB03
2H250BB07
2H250BB14
2H250BB18
2H250BB19
2H250BB33
2H250BC02
2H250BC03
2H250BD17
2H250BD18
2H250BD20
(57)【要約】
本開示は、光ファイバ(10)に耐衝撃性被覆系を提供する。これらのファイバは、低減衰を特徴とする。被覆系は、一次被覆(16)および二次被覆(18)を含む。一次被覆および二次被覆は、保護を犠牲にすることなく、小径ファイバを提供するために厚さが縮小されている。一次被覆は、高い引裂強度を有し、機械的な力によって引き起こされる損傷に耐える。二次被覆は、高い耐穿刺性を有する。光ファイバの外径は、190μm以下である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバであって、
コア領域であって、アルカリ金属酸化物がドープされたシリカガラスを含み、かつ3.0μm~10.0μmの範囲の半径rおよび-0.15%~0.30%の範囲の最大相対屈折率Δ1maxの相対屈折率プロファイルΔを有する、コア領域と、
前記コア領域を取り囲んでこれに直接的に隣接するクラッド領域であって、37.5μm~62.5μmの範囲の半径rを有する、クラッド領域と、
前記クラッド領域を取り囲んでこれに直接的に隣接する一次被覆であって、半径r、0.05MPa~0.30MPaの範囲のインサイチュ弾性率、および8.0μm~20.0μmの範囲の厚さr-rを有する、一次被覆と、
前記一次被覆を取り囲んでこれに直接的に隣接する二次被覆であって、100.0μm以下の半径r、2000MPa超のヤング率、および8.0μm~20.0μmの範囲の厚さr-rを有する、二次被覆と
を含む、光ファイバ。
【請求項2】
前記コア領域が、少なくとも2.0μmの半径方向の幅を有する一定の相対屈折率を有する部分を含む、請求項1記載の光ファイバ。
【請求項3】
前記半径rが、42.5μm~57.5μmの範囲である、請求項1記載の光ファイバ。
【請求項4】
前記コア領域が、内側コア領域および外側コア領域を含み、前記内側コア領域が、0.25μm~3.0μmの範囲の半径rを有し、前記外側コア領域が、半径rを有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の光ファイバ。
【請求項5】
前記内側コア領域が、10未満のα値を有するαプロファイルによって表される相対屈折率プロファイルを有し、前記外側コア領域が、50超のα値を有するαプロファイルによって表される相対屈折率プロファイルを有する、請求項4記載の光ファイバ。
【請求項6】
前記クラッド領域が、前記コア領域に直接的に隣接するディプレストインデックスクラッド領域と、前記ディプレストインデックスクラッド領域を取り囲んでこれに直接的に隣接する外側クラッド領域とを含み、前記ディプレストインデックスクラッド領域が、10.0μm~30.0μmの範囲の半径r、-0.20%~-0.70%の範囲の相対屈折率Δを有し、前記外側クラッドが、半径rおよび-0.60%~0.0%の範囲の相対屈折率Δを有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の光ファイバ。
【請求項7】
前記厚さr-rが、10.0μm~17.0μmの範囲である、請求項1から6までのいずれか1項記載の光ファイバ。
【請求項8】
前記厚さr-rが、10.0μm~18.0μmの範囲である、請求項1から7までのいずれか1項記載の光ファイバ。
【請求項9】
前記二次被覆が、
55質量%超の量のアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーであって、2~16の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーと、
2.0質量%~25質量%の範囲の量のトリアクリレートモノマーであって、2~16の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーまたはトリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートモノマーを含むトリアクリレートモノマーと
を含む組成物の硬化生成物である、請求項1から8までのいずれか1項記載の光ファイバ。
【請求項10】
前記二次被覆が、100℃超のインサイチュガラス転移温度Tを有する、請求項1から9までのいずれか1項記載の光ファイバ。
【請求項11】
前記二次被覆が、4.0×10-3g/μm超の正規化された穿刺荷重を有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の光ファイバ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2019年1月16日に出願された米国仮出願第62/793,050号の優先権の利益を主張し、その内容が依拠され、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、光ファイバケーブルに関する。より具体的には、本開示は、海底環境用に構成された光ファイバケーブルに関する。最も具体的には、本開示は、縮小された直径を有する光ファイバおよび多数の光ファイバを有する光ファイバケーブルに関する。
【背景技術】
【0003】
縮小された直径を有する光ファイバは、所与の光ファイバ数を収容するために必要なケーブルのサイズを縮小すること、所与の直径のケーブルの光ファイバ数を増加させること、ケーブルのコストを削減すること、既存のインフラを効率的に使用してケーブル設備をアップグレードすること、および新たなケーブル設置の占有面積を削減することにとって魅力的である。
【0004】
特に、異なる大陸間でのインターネットトラフィックの急増によって、海底光ファイバの伝送容量に対する需要が増加している。伝送容量を増加させるために、波長分割多重を使用して伝送チャネルの数を増加させ、高度な変調フォーマットを開発してチャネルあたりのデータレートを増加させてきた。しかしながら、チャネル数およびチャネルデータレートは、ほぼ実用限界にあり、ファイバ数の増加は回避できない。
【0005】
海底ケーブルは、内部のファイバを水による損傷および他の機械的損傷から保護するように設計されている。深海ケーブルのサイズは、取り付けが容易かつ脆弱性が低くなるように、典型的には、直径約17~20mmである。したがって、光ファイバ用のスペースは限られており、ケーブルのサイズを増加させることなくファイバ数を増加させることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、固定サイズのケーブルのファイバ数を増加させるためには、縮小された直径を有する光ファイバが必要である。特に、長距離伝送に必要な性能を提供する、縮小されたガラス直径および/または縮小された被覆厚さを有する光ファイバが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、光ファイバに耐衝撃性被覆系を提供する。これらのファイバは、低減衰および低マイクロベンド損失性能を特徴とする。被覆系は、一次被覆および二次被覆を含む。一次被覆および二次被覆は、保護を犠牲にすることなく、または減衰を増加させることなく、小径ファイバを提供するために厚さが縮小されている。一次被覆は、高い引裂強度を有し、機械的な力によって引き起こされる損傷に耐えると同時に、ファイバの低マイクロベンド損失性能に寄与する低い弾性率を有する。二次被覆は、高い耐穿刺性を有する。光ファイバの外径は、200μm以下である。
【0008】
ここでの説明は、以下のものに及ぶ:
光ファイバであって、
コア領域であって、アルカリ金属酸化物がドープされたシリカガラスを含み、かつ3.0μm~10.0μmの範囲の半径rおよび-0.15%~0.30%の範囲の最大相対屈折率Δ1maxの相対屈折率プロファイルΔを有する、コア領域と、
コア領域を取り囲んでこれに直接的に隣接するクラッド領域であって、37.5μm~62.5μmの範囲の半径rを有する、クラッド領域と、
クラッド領域を取り囲んでこれに直接的に隣接する一次被覆であって、半径r、0.05MPa~0.30MPaの範囲のインサイチュ弾性率(in situ modulus)、および8.0μm~20.0μmの範囲の厚さr-rを有する、一次被覆と、
一次被覆を取り囲んでこれに直接的に隣接する二次被覆であって、100.0μm以下の半径r、1600MPa超のヤング率、および8.0μm~20.0μmの範囲の厚さr-rを有する、二次被覆と
を含む、光ファイバ。
【0009】
更なる特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載され、一部は、明細書から当業者に容易に明らかとなるか、または記載されている明細書およびその特許請求の範囲、ならびに添付の図面で説明される実施形態を実践することによって認識されるであろう。
【0010】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明のどちらも、単に例に過ぎず、特許請求の範囲の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図していると理解されたい。
【0011】
添付の図面は、更なる理解をもたらすために同封されており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本開示の選択された態様を図示するものであり、その説明とともに、本開示に包含されている方法、製品、および組成物の原理および動作を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態による被覆された光ファイバの概略図である。
図2】代表的な光ファイバリボンの概略図である。
図3】代表的な光ファイバケーブルの概略図である。
図4】コア領域と、ディプレストインデックスクラッド領域(depressed index cladding region)と、外側クラッド領域と、一次被覆と、二次被覆とを有する光ファイバの断面図を図示している。
図5】コア領域と、ディプレストインデックスクラッド領域と、外側クラッド領域とを有するガラスファイバの相対屈折率プロファイルを図示している。
図6】ガラスファイバの例示的な相対屈折率プロファイルを図示している。
図7】3つの二次被覆の断面積に対する穿刺荷重の依存性を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、可能にする教示として提供され、以下の説明、図面、実施例、および特許請求の範囲を参照することによって、より容易に理解することができる。この目的について、関連技術の当業者であれば、有益な結果を得ながら、本明細書に記載されている実施形態の様々な態様に多くの変更を加えることができると認識および理解するであろう。また、本実施形態の所望の利益のうちの幾つかを、他の特徴を利用することなく幾つかの特徴を選択することによって得ることができることも明らかとなるであろう。よって、当技術分野に従事する者であれば、多くの修正および適合が、可能であり、かつ特定の状況では望ましい場合さえあり、また本開示の一部であると認識するであろう。したがって、本開示は、特に明記しない限り、開示された特定の組成物、物品、デバイス、および方法に限定されないと理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0014】
本明細書および以下の特許請求の範囲では、以下の意味を有するように定義すべき多くの用語を参照する。
【0015】
「含む(include、includes)」または類似用語は、包含するが、これに限定されないこと、すなわち、包括的かつ非排他的であることを意味する。
【0016】
本明細書で使用されるように、「約」という用語は、分量、サイズ、配合、パラメータ、ならびに他の量および特徴が正確ではなく、また正確である必要がなく、必要に応じて、許容誤差、変換率、四捨五入、測定誤差など、および当業者に知られている他の要素を反映して、近似値であっても、および/またはそれより大きくても、もしくはそれより小さくてもよいことを意味する。ある値が、およそ特定の数字である、またはこれとほぼ等しいと言われる場合、この値は、その数値の±10%以内である。例えば、約10の値は、9以上11以下の値を指す。「約」という用語が範囲の値または終点を表す際に使用される場合、本開示は、言及される特定の値または終点を含むと理解されるべきである。本明細書における範囲の数値または終点に「約」が用いられているかどうかにかかわらず、範囲の数値または終点は、2つの実施形態を含むことを意図しており、すなわち、1つは「約」で修飾されたものであり、もう1つは「約」で修飾されていないものである。さらに、各範囲の終点は、他の終点との関係でも、また他の終点とは無関係でも、有意であると理解される。
【0017】
さらに、「約」という用語は、特に明記しない限り、範囲内のすべての値に関連する。例えば、約1、2、または3は、約1、約2、または約3に対応し、さらに、約1~3、約1~2、および約2~3を含む。組成物、成分、原料、添加剤、および類似した態様、ならびにそれらの範囲について開示されている特定のおよび好ましい値は、単に説明目的のものであり、他の定義された値または定義された範囲内の他の値を排除することはない。本開示の組成物および方法は、任意の値またはこれらの値の組み合わせ、具体的な値、より具体的な値、および本明細書に記載されている好ましい値を有するものを含む。
【0018】
本明細書で使用される場合、不定冠詞「1つの(aまたはan)」およびその対応する定冠詞「その(the)」は、特に明記しない限り、少なくとも1つまたは1つ以上を意味する。
【0019】
本明細書で使用される場合、接触とは、直接接触または間接接触を指す。直接接触とは、介在物なしでの接触を指し、間接接触とは、1つ以上の介在物を介した接触を指す。直接接触している要素は、互いに触れ合っている。間接接触している要素は、互いに触れ合っているのではなく、介在物または一連の介在物に触れており、ここで、介在物または一連の介在物のうちの少なくとも1つが互いに触れ合っている。接触している要素は、強固に接合されていても、または強固に接合されていなくてもよい。接触とは、2つの要素を直接または間接接触させることである。直接(間接)接触している要素は、互いに直接(間接)接触していると言われ得る。
【0020】
本明細書で使用される場合、「直接的に隣接する」とは、直接接触していることを意味し、「間接的に隣接する」とは、間接接触していることを意味する。「隣接する」という用語は、互いに直接的または間接的に隣接する要素を包含する。
【0021】
「光ファイバ」とは、被覆によって取り囲まれたガラス部分を有する導波路を指す。ガラス部分は、コアおよびクラッドを含み、本明細書では「ガラスファイバ」と呼ばれる。
【0022】
「半径方向位置」、「半径」、または半径座標「r」とは、ファイバの中心線(r=0)に対する半径方向位置を指す。
【0023】
「モード」という用語は、導波モードを指す。シングルモードファイバは、光ファイバの実質長さ(例えば、少なくとも数メートル)にわたって基本のLP01モードのみをサポートするように設計された光ファイバであるが、特定の状況下では、短距離(例えば、数十センチメートル)にわたって複数のモードをサポートすることができる。ファイバの複屈折は、LP01モードの2つの直交偏光成分が縮退して同じ位相速度で伝播すると仮定できるほどに十分低いものと仮定する。マルチモード光ファイバは、光ファイバの実質長さにわたって、基本のLP01モードおよび少なくとも1つの高次LPnmモードをサポートするように設計された光ファイバであり、ここで、n≠0またはm≠1である。本明細書に開示されている光ファイバは、好ましくは、1550nmの波長のシングルモード光ファイバである。
【0024】
光ファイバの「動作波長」とは、光ファイバが動作する波長である。動作波長は、導波モードの波長に対応する。代表的な動作波長としては、850nm、980nm、1060nm、1310nm、および1550nmが挙げられ、これらは、一般的に、通信システム、光データリンク、およびデータセンターにおいて使用されている。特定の動作波長をある光ファイバに対して指定してもよいが、特定の光ファイバは、複数の動作波長で、および/または動作波長の連続範囲にわたって動作することができると理解される。モード帯域幅およびモードフィールド直径のような特性は、動作波長によって異なり得、特定の光ファイバの相対屈折率プロファイルは、特定の動作波長、動作波長の特定の組み合わせ、または動作波長の特定の連続範囲で最適な性能を提供するように設計され得る。
【0025】
「屈折率」とは、1550nmの波長での屈折率を指す。
【0026】
「屈折率プロファイル」とは、屈折率または相対屈折率と半径との間の関係である。隣接するコアおよび/またはクラッド領域の間に段階的境界を有するものとして本明細書に示される相対屈折率プロファイルの場合、プロセス条件の通常の変化は、隣接する領域の界面で急峻な段階的境界が得られることを妨げ得る。屈折率プロファイルの境界は、本明細書では屈折率の段階的変化として示され得るが、実際の境界は、丸みを帯びていても、または他の形で完全な段階関数特性から逸脱していてもよいと理解されたい。さらに、相対屈折率の値は、コア領域および/またはいずれかのクラッド領域における半径方向位置とともに変化し得ると理解される。相対屈折率が、ファイバの特定の領域(例えば、コア領域および/またはいずれかのクラッド領域)における半径方向位置とともに変化する場合、相対屈折率は、その実際のもしくは近似的な関数依存関係として、またはこの領域内の特定の位置におけるその値として、またはこの領域全体に適用可能な平均値として表される。特に明記しない限り、ある領域(例えば、コア領域および/またはいずれかのクラッド領域)の相対屈折率が、単一の値として、またはこの領域全体に適用可能なパラメータ(例えば、ΔまたはΔ%)として表される場合、この領域内の相対屈折率は、一定もしくはほぼ一定であり、かつこの単一の値に対応すると理解されるか、またはこの単一の値もしくはパラメータは、この領域における半径方向位置に依存する一定ではない相対屈折率の平均値を表すと理解される。特に明記しない限り、例えば、「i」がガラスファイバの領域である場合、パラメータΔは、以下の式(2)によって定義される領域内の相対屈折率の平均値を指す。設計によるものであれ、または通常の製造のばらつきの結果であれ、半径方向位置に対する相対屈折率の依存性は、傾斜、曲線、または他の形で一定でないものであり得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、「相対屈折率」は、式(1):
【0028】
【数1】
【0029】
において定義されており、式中、nは、特に明記しない限り、ガラスファイバの半径方向位置rにおける屈折率であり、nrefは、特に明記しない限り、純シリカガラスの屈折率である。よって、本明細書で使用される場合、相対屈折率パーセントは、純シリカガラスに対するものである。本明細書で使用される場合、相対屈折率は、Δ(もしくは「デルタ」)またはΔ%(もしくは「デルタ%」)で表され、その値は、特に明記しない限り、「%」の単位で与えられる。相対屈折率は、Δ(r)またはΔ(r)%として表される場合もある。
【0030】
ファイバのある領域の平均相対屈折率(Δave)は、式(2):
【0031】
【数2】
【0032】
から決定され、式中、rinnerは、この領域の内半径であり、routerは、この領域の外半径であり、Δ(r)は、この領域の相対屈折率である。
【0033】
「αプロファイル」という用語は、式(3):
【0034】
【数3】
【0035】
において定義される関数形式を有する相対屈折率プロファイルΔ(r)を指し、式中、rは、Δ(r)が最大になる半径方向位置であり、r>rは、Δ(r)がその最小値に減少する半径方向位置であり、rは、r≦r≦rの範囲であり、式中、rは、αプロファイルの初期半径方向位置であり、rは、αプロファイルの最終半径方向位置であり、αは、実数である。αプロファイルに関するΔ(r)は、本明細書ではΔmax、またはファイバの特定の領域iを指す場合はΔi,maxと呼ばれ得る。ファイバコア領域の相対屈折率プロファイルが、中心線(r=0)に生じるrおよびコア領域の外半径rに対応するrを有するαプロファイルによって表され、かつΔ(r)=0である場合、式(3)は、式(4)に簡略化される:
【0036】
【数4】
【0037】
「超ガウスプロファイル」という用語は、式(5):
【0038】
【数5】
【0039】
において定義される関数形式を有する相対屈折率プロファイルΔ(r)を指し、式中、rは、中心線からの半径方向の距離であり、γは、正の数であり、aは、半径方向のスケーリングパラメータであり、r=aの場合、Δ=Δ1max/eである。
【0040】
光ファイバの「モードフィールド直径」または「MFD」は、式(6):
【0041】
【数6】
【0042】
において定義されており、式中、f(r)は、導波光信号の電界分布の横方向成分であり、rは、ファイバにおける半径方向位置である。「モードフィールド直径」または「MFD」は、光信号の波長に依存し、本明細書では、1550nmの波長について報告されている。本明細書でモードフィールド直径に言及する際には、波長を具体的に示すものとする。特に明記しない限り、モードフィールド直径は、指定された波長でのLP01モードを指す。
【0043】
光ファイバの「有効面積」は、式(7):
【0044】
【数7】
【0045】
において定義されており、式中、f(r)は、導波光信号の電界の横方向成分であり、rは、ファイバにおける半径方向位置である。「有効面積」または「Aeff」は、光信号の波長に依存し、本明細書では、1550nmの波長を指すと理解される。
【0046】
本明細書に開示されている光ファイバは、コア領域と、コア領域を取り囲むクラッド領域と、クラッド領域を取り囲む被覆とを含む。コア領域およびクラッド領域はガラスである。クラッド領域は、相対屈折率が異なる単一の均質領域または複数の領域である。複数のクラッド領域は、好ましくは同心領域である。好ましい実施形態では、クラッド領域は、ディプレストインデックスクラッド領域を含む。ディプレストインデックスクラッド領域は、隣接するコアおよび外側クラッド領域よりも低い相対屈折率を有するクラッド領域である。ディプレストインデックスクラッド領域は、本明細書では、トレンチまたはトレンチ領域と呼ばれる場合もある。ディプレストインデックスクラッド領域は、コア領域を取り囲んでおり、かつ外側クラッド領域によって取り囲まれている。ディプレストインデックスクラッド領域は、曲げ損失の低減に寄与し得る。コア領域、クラッド領域、ディプレストインデックスクラッド領域、および外側クラッド領域は、それぞれ、コア、クラッド、ディプレストインデックスクラッド、および外側クラッドとも呼ばれる。
【0047】
本明細書で使用される場合は常に、半径方向位置rおよび相対屈折率ΔまたはΔ(r)はコア領域に関連し、半径方向位置rおよび相対屈折率ΔまたはΔ(r)は内側クラッド領域に関連し、半径方向位置rおよび相対屈折率ΔまたはΔ(r)はディプレストインデックスクラッド領域に関連し、半径方向位置rおよび相対屈折率ΔまたはΔ(r)は外側クラッド領域に関連し、半径方向位置rは一次被覆に関連し、半径方向位置rは二次被覆に関連する。
【0048】
相対屈折率Δ(r)は、最大値Δ1maxおよび最小値Δ1minを有する。相対屈折率Δ(r)は、最大値Δ2maxおよび最小値Δ2minを有する。相対屈折率Δ(r)は、最大値Δ3maxおよび最小値Δ3minを有する。相対屈折率Δ(r)は、最大値Δ4maxおよび最小値Δ4minを有する。相対屈折率が領域全体にわたって一定またはほぼ一定である実施形態では、相対屈折率の最大値および最小値は、等しいまたはほぼ等しい。特に明記しない限り、ある領域の相対屈折率について単一の値が報告されている場合、この単一の値は、この領域の平均値に対応する。
【0049】
中央コア領域は、形状が実質的に円筒形であり、周囲の内側クラッド領域、周囲のディプレストインデックスクラッド領域、周囲の外側クラッド領域、周囲の一次被覆、周囲の二次被覆、および周囲の三次被覆は、形状が実質的に環状であると理解される。環状領域は、内半径および外半径に関して特性決定することができる。半径方向位置r、r、r、r、r、r、およびrは、本明細書では、それぞれ、コア、内側クラッド、ディプレストインデックスクラッド、外側クラッド、一次被覆、二次被覆、および三次被覆の最外半径を指す。三次被覆なしの実施形態では、半径rは、光ファイバの外半径にも対応する。三次被覆が存在する場合、半径rは、光ファイバの外半径に対応する。
【0050】
2つの領域が互いに直接的に隣接する場合、これらの2つの領域のうちの内側の領域の外半径は、これらの2つの領域のうちの外側の領域の内半径と一致する。一実施形態では、例えば、ファイバは、外側クラッド領域によって取り囲まれてこれに直接的に隣接するディプレストインデックスクラッド領域を含む。そのような実施形態では、半径rは、ディプレストインデックスクラッド領域の外半径および外側クラッド領域の内半径に対応する。相対屈折率プロファイルが、コアに直接的に隣接するディプレストインデックスクラッド領域を含む実施形態では、半径方向位置rは、コアの外半径およびディプレストインデックスクラッド領域の内半径に対応する。
【0051】
以下の用語は、相対屈折率プロファイルが、コアを取り囲んでこれに直接的に隣接する内側クラッド領域と、内側クラッド領域を取り囲んでこれに直接的に隣接するディプレストインデックスクラッド領域と、ディプレストインデックスクラッド領域を取り囲んでこれに直接的に隣接する外側クラッド領域と、外側クラッド領域を取り囲んでこれに直接的に隣接する一次被覆と、一次被覆を取り囲んでこれに直接的に隣接する二次被覆とを含む実施形態に適用される。半径方向位置rと半径方向位置rとの間の差は、本明細書では、内側クラッド領域の厚さと呼ばれる。半径方向位置rと半径方向位置rとの間の差は、本明細書では、ディプレストインデックスクラッド領域の厚さと呼ばれる。半径方向位置rと半径方向位置rとの間の差は、本明細書では、外側クラッド領域の厚さと呼ばれる。半径方向位置rと半径方向位置rとの間の差は、本明細書では、一次被覆の厚さと呼ばれる。半径方向位置rと半径方向位置rとの間の差は、本明細書では、二次被覆の厚さと呼ばれる。
【0052】
以下の用語は、ディプレストインデックスクラッド領域がコア領域に直接的に隣接し、かつ外側クラッド領域がディプレストインデックスクラッド領域に直接的に隣接する実施形態に適用される。半径方向位置rと半径方向位置rとの間の差は、本明細書では、ディプレストインデックスクラッド領域の厚さと呼ばれる。半径方向位置rと半径方向位置rとの間の差は、本明細書では、外側クラッド領域の厚さと呼ばれる。半径方向位置rと半径方向位置rとの間の差は、本明細書では、一次被覆の厚さと呼ばれる。半径方向位置rと半径方向位置rとの間の差は、本明細書では、二次被覆の厚さと呼ばれる。
【0053】
以下でさらに記載されているように、コア領域、ディプレストインデックスクラッド領域、および外側クラッド領域の相対屈折率は異なる。各領域は、ドープされたまたはドープされていないシリカガラスから形成される。ドープされていないシリカガラスと比較した屈折率の変化は、当業者に知られている技法を使用して、目標の屈折率または屈折率プロファイルを提供するように設計されたレベルでアップドーパントまたはダウンドーパントを組み込むことによって達成される。アップドーパントとは、ドープされていないガラス組成物に比べてガラスの屈折率を増加させるドーパントである。ダウンドーパントとは、ドープされていないガラス組成物に比べてガラスの屈折率を低下させるドーパントである。一実施形態では、ドープされていないガラスは純シリカガラスである。ドープされていないガラスが純シリカガラスである場合、アップドーパントとしては、Cl、Br、Ge、Al、P、Ti、Zr、Nb、およびTaが挙げられ、ダウンドーパントとしては、FおよびBが挙げられる。一定の屈折率の領域は、ドープしないことによって、または均一の濃度でドープすることによって形成され得る。可変屈折率の領域は、ドーパントを不均一に空間的に分布させることによって、および/または異なる領域に異なるドーパントを組み込むことによって形成される。
【0054】
本明細書に記載されている被覆は、硬化性被覆組成物から形成される。硬化性被覆組成物は、1種以上の硬化性成分を含む。本明細書で使用される場合、「硬化性」という用語は、成分が、適切な硬化エネルギー源に曝露された場合に、この成分をそれ自体または被覆組成物の他の成分に連結することに関与する共有結合を形成することができる1つ以上の硬化性官能基を含むことを意味することを意図している。硬化性被覆組成物を硬化させることによって得られる生成物は、本明細書では、組成物の硬化生成物と呼ばれる。硬化生成物は、好ましくはポリマーである。硬化プロセスはエネルギーによって誘発される。エネルギーの形態としては、放射線または熱エネルギーが挙げられる。好ましい実施形態では、硬化は放射線で起こり、ここで、放射線は電磁放射線を指す。放射線によって誘発される硬化は、本明細書では、放射線硬化または光硬化と呼ばれる。放射線硬化性成分とは、適切な強度の適切な波長の放射線に十分な期間にわたって曝露された場合に硬化反応を起こすように誘発され得る成分である。適切な波長としては、電磁スペクトルの赤外線部分、可視部分、または紫外線部分の波長が挙げられる。放射線硬化反応は、光開始剤の存在下で生じる。放射線硬化性成分はまた、熱によって硬化可能であり得る。同様に、熱硬化性成分とは、十分な強度の熱エネルギーに十分な期間にわたって曝された場合に硬化反応を起こすように誘発され得る成分である。熱硬化性成分はまた、放射線硬化性であり得る。
【0055】
硬化性成分は、1つ以上の硬化性官能基を含む。硬化性官能基を1つだけ有する硬化性成分は、本明細書では、単官能性硬化性成分と呼ばれる。2つ以上の硬化性官能基を有する硬化性成分は、本明細書では多官能性硬化性成分と呼ばれる。多官能性硬化性成分は、硬化プロセス中に共有結合を形成することができる2つ以上の官能基を含み、硬化プロセス中に形成されるポリマーネットワークに架橋を導入することができる。多官能性硬化性成分は、本明細書では、「架橋剤」または「硬化性架橋剤」と呼ばれる場合もある。硬化性成分としては、硬化性モノマーおよび硬化性オリゴマーが挙げられる。硬化プロセス中に共有結合形成に関与する官能基の例を以下で特定する。
【0056】
ポリオールに適用される場合の「分子量」という用語は、数平均分子量(M)を意味する。
【0057】
「(メタ)アクリレート」という用語は、メタクリレート、アクリレート、またはメタクリレートとアクリレートとの組み合わせを意味する。
【0058】
ヤング率、%伸び、および引裂強度の値は、本明細書に記載されている手順による測定条件下で決定された値を指す。
【0059】
ここで、本明細書の例示的な実施形態に詳細に言及する。
【0060】
本明細書は、硬化性被覆組成物、硬化性被覆組成物から形成された被覆、および硬化性被覆組成物を硬化させることによって得られた被覆によって被覆または封入された被覆済みの物品に関する。好ましい実施形態では、硬化性被覆組成物とは、光ファイバ用の被覆を形成するための組成物であり、被覆とは、光ファイバ被覆であり、被覆済みの物品とは、被覆された光ファイバである。本明細書はまた、硬化性被覆組成物を作製する方法、硬化性被覆組成物から被覆を形成する方法、および硬化性被覆組成物でファイバを被覆する方法にも関する。
【0061】
一実施形態は、光ファイバに関する。光ファイバは、被覆によって取り囲まれたガラスファイバを含む。光ファイバの例は、図1の概略断面図に示されている。光ファイバ10は、一次被覆16および二次被覆18によって取り囲まれたガラスファイバ11を含む。ガラスファイバ11、一次被覆16、および二次被覆18の更なる説明は、以下に記載されている。
【0062】
図2は、光ファイバリボン30を図示している。リボン30は、複数の光ファイバ20と、複数の光ファイバを封入するマトリックス32とを含む。光ファイバ20は、先に記載したように、コア領域、クラッド領域、一次被覆、および二次被覆を含む。光ファイバ20はまた、先に述べたように、三次被覆も含み得る。二次被覆は顔料を含み得る。光ファイバ20は、実質的に平面状かつ平行な関係で互いに対して整列されている。光ファイバリボン中の光ファイバは、光ファイバリボンを作製する従来の方法によって、任意の既知の構成(例えば、エッジ接合されたリボン、薄く封入されたリボン、厚く封入されたリボン、または多層リボン)でリボンマトリックス32によって封入される。図2では、光ファイバリボン30は、12本の光ファイバ20を含むが、しかしながら、特定の使用のために配置された光ファイバリボン30を形成するために任意の数の光ファイバ20(例えば、2本以上)が用いられ得ることは、当業者には明らかであるはずである。リボンマトリックス32は、二次被覆を調製するために使用されるのと同じ組成物から形成することができるか、またはリボンマトリックス32は、異なるが他の点では使用に適合性のある組成物から形成することができる。
【0063】
図3は、光ファイバケーブル40を図示している。ケーブル40は、ジャケット42によって取り囲まれた複数の光ファイバ20を含む。光ファイバ20は、ジャケット42の内側表面44に囲まれた導管に稠密にまたは緩く詰められ得る。ジャケット42中に配置されたファイバの数は、光ファイバケーブル40の「ファイバ数」と呼ばれる。ジャケット42は、押し出されたポリマー材料から形成され、ポリマーまたは他の材料の複数の同心層を含み得る。光ファイバケーブル40は、ジャケット42内に埋め込まれた、または内側表面44によって画定された導管内に配置された1つ以上の補強部材(図示せず)を含み得る。補強部材としては、ジャケット42よりも剛性の高いファイバまたはロッドが挙げられる。補強部材は、金属、編組鋼、ガラス強化プラスチック、ガラスファイバ、または他の適切な材料から作製されたものである。光ファイバケーブル40は、ジャケット42によって取り囲まれた他の層(例えば、装甲層、防湿層、リップコードなど)を含み得る。光ファイバケーブル40は、ストランドにされた緩いチューブコアまたは他の光ファイバケーブル構造を有し得る。
【0064】
ガラスファイバ。本明細書に開示されている光ファイバは、コア領域と、コア領域を取り囲むクラッド領域と、クラッド領域を囲む被覆とを有するガラスファイバを含む。コア領域およびクラッド領域はガラスである。ガラスファイバ11は、当業者によく知られているように、コア領域12およびクラッド領域14を含む。コア領域12は、クラッド領域14よりも高い屈折率を有し、ガラスファイバ11は、導波路として機能する。
【0065】
多くの用途において、コア領域およびクラッド領域には、識別可能なコア-クラッド境界がある。あるいは、コア領域およびクラッド領域には、明確な境界がない場合がある。ファイバのタイプの1つが、ステップインデックスファイバである。別のタイプのファイバはグレーデッドインデックスファイバであり、これは、ファイバの中心からの距離に応じて変化する屈折率を有するコア領域を有する。グレーデッドインデックスファイバの例は、上記の式(4)によって定義されたαプロファイルまたは上記の式(5)によって定義された超ガウスプロファイルを有する相対屈折率プロファイルを有するコア領域を有するファイバである。
【0066】
光ファイバの概略断面図が図4に示されている。図4では、光ファイバ46は、コア領域48、クラッド領域50、一次被覆56、および二次被覆58を含む。クラッド領域50は、ディプレストインデックスクラッド領域53および外側クラッド領域55を含む。
【0067】
一実施形態では、光ファイバは、コアを取り囲むディプレストインデックスクラッド領域、ディプレストインデックスクラッド領域を取り囲む外側クラッド領域、外側クラッド領域を取り囲む一次被覆、および一次被覆を取り囲む二次被覆を含む。ディプレストインデックスクラッド領域はコア領域に直接的に隣接しており、外側クラッド領域はディプレストインデックスクラッド領域に直接的に隣接しており、一次被覆は外側クラッド領域に直接的に隣接しており、二次被覆は一次被覆に直接的に隣接している。三次層(例えば、インク層)は、任意選択的に、前述の実施形態における二次被覆を取り囲むか、またはこれに直接的に隣接している。
【0068】
ガラスファイバの代表的な相対屈折率プロファイルが図5に提示されている。図5は、外半径rおよび最大相対屈折率Δ1maxの相対屈折率Δを有するコア領域(1)と、半径方向位置rから半径方向位置rまで延在し、かつ相対屈折率Δを有するディプレストインデックスクラッド領域(3)と、半径方向位置rから半径方向位置rまで延在し、かつ相対屈折率Δを有する外側クラッド領域(4)とを有するガラスファイバ60の長方形トレンチプロファイルを示す。図5のプロファイルでは、ディプレストインデックスクラッド領域(3)は、本明細書では、トレンチと呼ばれる場合があり、外側クラッド領域(4)の相対屈折率よりも小さい一定または平均の相対屈折率を有する。コア領域(1)は、このプロファイル中で最高の平均および最大相対屈折率を有する。コア領域(1)は、中心線(当技術分野では「中心線ディップ」として知られている)におけるまたはその近くの比較的低いインデックスの領域を含み得る(図示せず)。
【0069】
図5に示される実施形態では、ガラスファイバのコア領域(1)は、αプロファイルによって表される相対屈折率を有する。αプロファイルの半径方向位置r(Δ1maxに対応する)はファイバの中心線(r=0)に対応し、αプロファイルの半径方向位置rはコア半径rに対応する。中心線ディップがある実施形態では、半径方向位置rは、ファイバの中心線からわずかにオフセットしている。他の実施形態では、図5に示されるコア領域(1)は、αプロファイルの代わりに、ステップインデックス相対屈折率プロファイルまたは超ガウス相対屈折率プロファイルである。更なる他の実施形態では、コア領域(1)は、αプロファイル、超ガウスプロファイル、またはステップインデックスプロファイルのいずれによっても定義されない相対屈折率プロファイルを有する。幾つかの実施形態では、相対屈折率Δは、中心線から離れて半径方向に連続的に低下する。他の実施形態では、相対屈折率Δは、中心線とrとの間の幾つかの半径方向位置にわたって変化し、また、中心線とrとの間の他の半径方向位置にわたって一定またはほぼ一定の値を含む。
【0070】
図5では、コア領域(1)からディプレストインデックスクラッド領域(3)への遷移領域62、およびディプレストインデックスクラッド領域(3)から外側クラッド領域(4)への遷移領域64が、階段状の変化として示されている。階段状の変化は理想化されたものであり、また遷移領域62および遷移領域64は実際には厳密に垂直ではない場合があると理解されたい。そうではなく、遷移領域62および/または遷移領域64は、傾斜または湾曲を有し得る。遷移領域62および/または遷移領域64が非垂直である場合、ディプレストインデックスクラッド領域(3)の内半径rおよび外半径rは、それぞれ遷移領域62および64の中点に対応する。これらの中点は、ディプレストインデックスクラッド領域(3)の深さ67の半分に対応する。幾つかの実施形態では、コア領域(1)とディプレストインデックスクラッド領域(3)との間に内側クラッド領域(2)が存在する。
【0071】
図5に示される相対屈折率プロファイルにおける相対屈折率Δ、Δ、およびΔの相対的順序は、Δ1max>Δ>Δの条件を満たす。
【0072】
コア領域はシリカガラスを含む。好ましくは、コア領域のシリカガラスはGeを含まず、すなわち、コア領域は、Geのないシリカガラスを含む。コア領域のシリカガラスは、ドープされていないシリカガラス、アップドープされたシリカガラス、および/またはダウンドープされたシリカガラスである。アップドープされたシリカガラスとしては、アルカリ金属酸化物(例えば、NaO、KO、LiO、CsO、またはRbO)がドープされたシリカガラスが挙げられる。ダウンドープされたシリカガラスとしては、Fがドープされたシリカガラスが挙げられる。幾つかの実施形態では、コア領域は、アルカリ金属酸化物およびフッ素が共ドープされている。コアにおけるKOの濃度は、Kの量として表され、20ppm~1000ppm、または35ppm~500ppm、または50ppm~300ppmの範囲であり、ここで、ppmは、質量百万分率を表す。KO以外のアルカリ金属酸化物は、上記のKの量から決定されるKOの等モル量に対応する量で存在する。
【0073】
幾つかの実施形態では、コア領域は、アップドーパントおよびダウンドーパントを含み、ここで、アップドーパントの濃度は、中心線(r=0)で最も高く、半径rで最も低く、ダウンドーパントの濃度は、中心線(r=0)で最も低く、半径rで最も高い。そのような実施形態では、相対屈折率Δは、中心線(r=0)の近くで正の値を有し得、半径rで負の値に低下し得る。
【0074】
一実施形態では、コア領域は、外側コア領域に取り囲まれた内側コア領域を含む区切られたコア領域であり、ここで、内側コア領域は、アップドープされたシリカガラスを含み、正の最大相対屈折率Δ1maxを有し、外側コア領域は、ダウンドープされたシリカガラスを含み、負の最小相対屈折率Δ1minを有する。内側コア領域のアップドープされたシリカガラスは、アップドーパント、またはアップドーパントとダウンドーパントとの組み合わせを含む。内側コア領域がアップドーパントとダウンドーパントとの組み合わせを含む実施形態では、アップドーパントおよびダウンドーパントの相対濃度は、最大相対屈折率の正の正味値を提供するように調整される。外側コア領域がアップドーパントとダウンドーパントとの組み合わせを含む実施形態では、アップドーパントおよびダウンドーパントの相対濃度は、相対屈折率の負の正味値を提供するように調整される。区切られたコアがある実施形態では、Δ(ならびにΔ1maxおよびΔ1min)は、内側コア領域および外側コア領域を含むコア領域全体に関連し、rは、外側コア領域の外半径に対応し、rは、内側コア領域の外半径に対応する。内側コア領域と外側コア領域との間の境界は、半径方向位置rに生じ、ここで、r<rである。
【0075】
幾つかの実施形態では、ガラスファイバのコア領域の相対屈折率は、1.5~10の範囲、または1.7~8.0の範囲、または1.8~6.0の範囲、または1.9~5.0の範囲、または1.95~4.5の範囲、または2.0~4.0の範囲、または10~100の範囲、または11~40の範囲、または12~30の範囲のα値を有するαプロファイルによって表される。αの値が増加するにつれて、相対屈折率プロファイルはステップインデックスプロファイルにより近づく。区切られたコア領域がある幾つかの実施形態では、内側コア領域および外側コア領域のいずれかまたは両方が、本明細書に記載されているα値を有するαプロファイルによって表される相対屈折率を有する。
【0076】
コア領域の外半径rは、3.0μm~10.0μmの範囲、または3.5μm~9.0μmの範囲、または4.0μm~8.0μmの範囲である。幾つかの実施形態では、コア領域は、半径方向に少なくとも1.0μm、または少なくとも2.0μm、または少なくとも3.0μm、または少なくとも4.0μm、または少なくとも5.0μm、または1.0μm~6.0μmの範囲、または2.0μm~5.0μmの範囲の幅を有する一定またはほぼ一定の相対屈折率を有する部分を含む。一実施形態では、一定またはほぼ一定の相対屈折率を有するコア領域の部分は、Δ1minの相対屈折率を有する。区切られたコア領域がある実施形態では、半径rは、0.25μm~3.0μmの範囲、または0.5μm~2.5μmの範囲、または0.75μm~2.0μmの範囲である。
【0077】
コア領域の相対屈折率ΔまたはΔ1maxは、-0.15%~0.30%の範囲、または-0.10%~0.20%の範囲、または-0.05%~0.15%の範囲、または0%~0.10%の範囲である。コアの最小相対屈折率Δ1minは、-0.20%~0.10%の範囲、または-0.15%~0.05%の範囲、または-0.15%~0.00%の範囲である。Δ1maxとΔ1minとの差は、0.05%超、または0.10%超、または0.15%超、または0.20%超、または0.05%~0.30%の範囲、または0.10%~0.25%の範囲である。
【0078】
幾つかの実施形態では、コア領域の相対屈折率は、Δ1maxに対応する一定またはほぼ一定の値を有するステップインデックスプロファイルによって表される。
【0079】
相対屈折率プロファイルがディプレストインデックスクラッド領域を含む実施形態では、ディプレストインデックスクラッド領域は、ダウンドープされたシリカガラスを含む。好ましいダウンドープ剤はF(フッ素)である。F(フッ素)の濃度は、0.1質量%~2.5質量%の範囲、または0.25質量%~2.25質量%の範囲、または0.3質量%~2.0質量%の範囲である。
【0080】
相対屈折率プロファイルがディプレストインデックスクラッド領域を含む実施形態では、相対屈折率ΔまたはΔ3minは、-0.1%~-0.8%の範囲、または-0.2%~-0.7%の範囲、または-0.3%~-0.6%の範囲である。相対屈折率Δは、好ましくは一定またはほぼ一定である。Δ1maxとΔとの差(またはΔ1maxとΔ3minとの差、またはΔとΔとの差、またはΔとΔ3minとの差)は、0.20%超、または0.30%超、または0.40%超、または0.50%超、または0.60%超、または0.25%~0.70%の範囲、または0.35%~0.60%の範囲である。Δ1minとΔとの差(またはΔ1minとΔ3minとの差)は、0.20%超、または0.30%超、または0.40%超、または0.50%超、または0.20%~0.60%の範囲、または0.25%~0.50%の範囲である。
【0081】
ディプレストインデックスクラッド領域の内径は、rであり、先に指定した値を有する。ディプレストインデックスクラッド領域の外半径rは、10.0μm~30.0μmの範囲、または12.5μm~27.5μmの範囲、または15.0μm~25.0μmの範囲である。ディプレストインデックスクラッド領域の厚さr-rは、2.0μm~22.0μmの範囲、または5.0μm~20.0μmの範囲、または7.5μm~17.5μmの範囲、または10.0μm~15.0μmの範囲である。
【0082】
外側クラッド領域の相対屈折率ΔまたはΔ4maxは、-0.60%~0.0%の範囲、または-0.55%~-0.05%の範囲、または-0.50%~-0.10%の範囲、または-0.45%~-0.15%の範囲である。相対屈折率Δは、好ましくは一定またはほぼ一定である。ΔとΔとの差(またはΔとΔ3minとの差、またはΔ4maxとΔとの差、またはΔ4maxとΔ3minとの差)は、0.01%超、または0.02%超、または0.03%超、または0.01%~0.10%の範囲、または0.02%~0.07%の範囲である。
【0083】
外側クラッド領域の内半径は、rであり、先に指定した値を有する。ガラスファイバの直径を最小化してケーブル内のファイバ数を増やすことを容易にするために、外半径rは、好ましくは小さい。外側クラッド領域の外半径rは、62.5μm以下、または60.0μm以下、または57.5μm以下、または55.0μm以下、または52.5μm以下、または50.0μm以下、または37.5μm~62.5μmの範囲、または40.0μm~60.0μmの範囲、または42.5μm~57.5μmの範囲、または45.0μm~55.0μmの範囲である。外側クラッド領域の厚さr-rは、10.0μm~50.0μmの範囲、または15.0μm~45.0μmの範囲、または20.0μm~40.0μmの範囲、または25.0μm~35.0μmの範囲である。
【0084】
図6は、製造されたガラスファイバの代表的な相対屈折率プロファイルを図示している。相対屈折率プロファイル70、80、90、および100は、半径方向位置の増加方向に、コア領域、ディプレストインデックスクラッド領域、および外側クラッド領域を含む。ディプレストインデックスクラッド領域の幅および深さは様々である。相対屈折率プロファイル70は、コア領域とディプレストインデックスクラッド領域との間の遷移領域73、およびディプレストインデックス領域と外側クラッド領域との間の遷移領域77を含む。相対屈折率プロファイル70の場合、遷移領域73は半径rで生じ、遷移領域77は半径rで生じる。相対屈折率プロファイル80は、コア領域とディプレストインデックスクラッド領域との間の遷移領域83、およびディプレストインデックス領域と外側クラッド領域との間の遷移領域87を含む。相対屈折率プロファイル80の場合、遷移領域83は半径rで生じ、遷移領域87は半径rで生じる。相対屈折率プロファイル90は、コア領域とディプレストインデックスクラッド領域との間の遷移領域93、およびディプレストインデックス領域と外側クラッド領域との間の遷移領域97を含む。相対屈折率プロファイル90の場合、遷移領域93は半径rで生じ、遷移領域97は半径rで生じる。相対屈折率プロファイル100は、コア領域とディプレストインデックスクラッド領域との間の遷移領域103、およびディプレストインデックス領域と外側クラッド領域との間の遷移領域107を含む。相対屈折率プロファイル100の場合、遷移領域103は半径rで生じ、遷移領域107は半径rで生じる。
【0085】
一実施形態では、図6に示されるタイプの相対屈折率プロファイルのコア領域は、示される遷移領域で生じ、かつr<rとなるような外半径rを有する内側コア領域と一緒になった外側コア領域の外半径に対応する半径rを有する区切られたコア領域である。一実施形態では、内側コア領域および外側コア領域はそれぞれ、αプロファイルによって表される相対屈折率プロファイルを有する。一実施形態では、内側コア領域は、20未満、または10未満、または5.0未満、または3.0未満、または2.0未満、または1.0~20の範囲、または1.5~10の範囲、または1.7~5.0の範囲、または1.8~3.0の範囲のα値を有し、外側コア領域は、20超、または50超、または100超、または150超、または200超、または20~300の範囲、または50~250の範囲、または100~200の範囲のα値を有する。別の実施形態では、内側コア領域は、αプロファイルによって表される相対屈折率プロファイルを有し、外側コア領域は、ステップインデックスプロファイルによって表される相対屈折率プロファイルを有する。別の実施形態では、内側コア領域は、αプロファイルによって表される相対屈折率プロファイルを有し、外側コア領域は、丸みを帯びたステップインデックスプロファイルによって表される相対屈折率プロファイルを有する。
【0086】
一実施形態では、内側コア領域は、アルカリ金属がドープされたシリカであり、外側コア領域は、ハロゲン化物がドープされたシリカである。ハロゲン化物がドープされたシリカとしては、Cl、F、およびBrのうちの1つ以上がドープされたシリカが挙げられる。一実施形態では、内側コア領域は、KOがドープされたシリカであり、外側コア領域は、FまたはFとClとの組み合わせがドープされている。
【0087】
内側コア領域および外側コア領域それぞれが、αプロファイルによって表される相対屈折率プロファイルを有する実施形態では、半径rは、式(8):
【0088】
【数8】
【0089】
において与えられる関数χを最小化することによって決定され、式中、f(r)は、内側コア領域のαプロファイル関数であり、g(r)は、外側コア領域のαプロファイル関数であり、g(r)は、r=rでのg(r)の値であり、Δ(r)は、内側コア領域の測定された相対屈折率プロファイルであり、Δ(r)は、外側コア領域の測定された相対屈折率プロファイルであり、指数「i」は、内側コア領域の半径方向位置rに付き、指数「j」は、外側コア領域の半径方向位置rに付き、0<r<rであり、r≦r≦rであり、指数「a」は、指数「i」の値であり、r=rに対応し、指数「b」は、指数「j」の値であり、r=rに対応する。
【0090】
相対屈折率プロファイル70、80、90、および100に関連する有効面積Aeffは、1550nmの波長で、それぞれ、76μm、86μm、112μm、および150μmである。
【0091】
本明細書に開示されている光ファイバの有効面積Aeffは、1550nmの波長で、70μm超、または90μm超、または110μm超、または130μm超、または145μm超、または70μm~175μmの範囲、または90μm~170μmの範囲、または105μm~165μmの範囲、または115μm~160μmの範囲である。
【0092】
本明細書に開示されている光ファイバの減衰は、1550nmの波長で、0.170dB/km以下、または0.165dB/km以下、または0.160dB/km以下、または0.155dB/km以下、または0.150dB/km以下である。
【0093】
光ファイバの被覆。光ファイバを通過する光の透過率は、ガラスファイバに塗布される被覆の特性に大きく依存する。被覆は、典型的には、一次被覆および二次被覆を含み、ここで、二次被覆は一次被覆を取り囲んでおり、一次被覆はガラスファイバ(クラッド領域に取り囲まれた中央コア領域を含む)に接触している。二次被覆は、一次被覆よりも硬い材料(より高いヤング率)であり、光ファイバの加工、取り扱い、および設置中に生じる摩耗または外力によって引き起こされる損傷からガラスファイバを保護するように設計されている。一次被覆は、二次被覆よりも柔らかい材料(より低いヤング率)であり、二次被覆の外側表面に加えられる力から生じる応力を緩衝または散逸するように設計されている。一次被覆内の応力を散逸することによって、応力が減衰され、ガラスファイバに到達する応力が最小限に抑えられる。一次被覆は、ケーブル内に配置されたときに光ファイバが受けるマイクロベンドによって生じる応力を散逸する上で特に重要である。マイクロベンド応力がガラスファイバの屈折率プロファイルに局所的な摂動を生じさせることから、ガラスファイバに伝達されるマイクロベンド応力を最小限に抑える必要がある。局所的な屈折率の摂動は、ガラスファイバを透過した光の強度損失をもたらす。応力を散逸することによって、一次被覆は、マイクロベンド誘発強度損失を最小限に抑える。
【0094】
一次被覆16は、逸脱した光信号をコア領域から取り除くことを可能にするために、好ましくは、ガラスファイバのクラッド領域よりも高い屈折率を有する。一次被覆は、熱および加水分解による老化中にガラスファイバへの適切な接着を維持する必要があるが、スプライシングの目的でガラスファイバから剥離することも可能である。
【0095】
一次被覆および二次被覆は、典型的には、硬化性被覆組成物を粘性液体としてガラスファイバに塗布して硬化させることによって形成される。光ファイバはまた、二次被覆を取り囲む三次被覆(図示せず)も含み得る。三次被覆は、識別目的で光ファイバをマーキングするための顔料、インク、または他の着色剤を含み得、典型的には、二次被覆のヤング率と同様のヤング率を有する。
【0096】
一次被覆組成物。一次被覆は、硬化性一次被覆組成物の硬化生成物である。硬化性一次被覆組成物は、低いヤング率、低い引抜力、および強い凝集性を呈する光ファイバのための一次被覆を提供する。硬化性一次被覆組成物はさらに、きれいな剥離性および剥離操作中の欠陥形成に対する高い耐性を特徴とする一次被覆の形成を可能にする。低い引抜力は、残留物が最小限である一次被覆のきれいな剥離を容易にし、強い凝集性は、これが剥離力を受けたときに一次被覆における欠陥の発生および伝播を防止する。一次被覆の厚さが縮小された光ファイバであっても、光ファイバは、低損失性および低マイクロベンド損失性能を有することが予想される。一次被覆は、厚さを縮小してもこれらの利点を呈する。
【0097】
一次被覆は、オリゴマー、モノマー、光開始剤、および任意選択的に添加剤を含む放射線硬化性一次被覆組成物の硬化生成物である。以下の開示には、放射線硬化性一次被覆組成物のためのオリゴマー、少なくとも1つのオリゴマーを含む放射線硬化性一次被覆組成物、少なくとも1つのオリゴマーを含む放射線硬化性一次被覆組成物の硬化生成物、少なくとも1つのオリゴマーを含む放射線硬化性一次被覆組成物で被覆されたガラスファイバ、および少なくとも1つのオリゴマーを含む放射線硬化性一次被覆組成物の硬化生成物で被覆されたガラスファイバが記載されている。
【0098】
オリゴマーは、好ましくは、ポリエーテルウレタンジアクリレート化合物および二付加化合物を含む。一実施形態では、ポリエーテルウレタンジアクリレート化合物は、直鎖状の分子構造を有する。一実施形態では、オリゴマーは、ジイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシアクリレート化合物との間の反応から形成され、ここで、この反応は、一次生成物(多数生成物)としてのポリエーテルウレタンジアクリレート化合物および副生成物(少数生成物)としての二付加化合物を生成する。この反応は、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基とポリオールのアルコール基との反応時にウレタン結合を形成する。ヒドロキシアクリレート化合物は、ジイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応から形成される組成物中に存在する残留イソシアネート基をクエンチするように反応する。本明細書で使用される場合、「クエンチ」という用語は、ヒドロキシアクリレート化合物のヒドロキシル基との化学反応によるイソシアネート基の変換を指す。残留イソシアネート基をヒドロキシアクリレート化合物でクエンチすると、末端イソシアネート基が末端アクリレート基に変換される。
【0099】
好ましいジイソシアネート化合物は、式(I):
【0100】
【化1】
【0101】
によって表され、これは、結合基Rによって分離された2つの末端イソシアネート基を含む。一実施形態では、結合基Rはアルキレン基を含む。結合基Rのアルキレン基は、直鎖状(例えば、メチレンまたはエチレン)、分岐状(例えば、イソプロピレン)、または環状(例えば、シクロヘキシレン、フェニレン)である。環状基は芳香族または非芳香族である。幾つかの実施形態では、結合基Rは4,4’-メチレンビス(シクロヘキシル)基であり、ジイソシアネート化合物は4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)である。幾つかの実施形態では、結合基Rには、芳香族基がないか、またはフェニレン基がないか、またはオキシフェニレン基がない。
【0102】
ポリオールは、分子式(II):
【0103】
【化2】
【0104】
によって表され、式中、Rはアルキレン基を含み、-O-R-は繰り返しアルコキシレン基であり、xは整数である。好ましくは、xは、20超、または40超、または50超、または75超、または100超、または125超、または150超、または20~500の範囲、または20~300の範囲、または30~250の範囲、または40~200の範囲、または60~180の範囲、または70~160の範囲、または80~140の範囲である。Rは、好ましくは、メチレン、エチレン、プロピレン(通常、イソまたはそれらの組み合わせ)、またはブチレン(通常、イソ、第二級、第三級、またはそれらの組み合わせ)のような直鎖状または分岐状アルキレン基である。ポリオールは、ポリエチレンオキシドのようなポリアルキレンオキシド、またはポリプロピレングリコールのようなポリアルキレングリコールであり得る。ポリプロピレングリコールが好ましいポリオールである。ポリオールの分子量は、1000g/モル超、または2500g/モル超、または5000g/モル超、または7500g/モル超、または10000g/モル超、または1000g/モル~20000g/モルの範囲、または2000g/モル~15000g/モルの範囲、または2500g/モル~12500g/モルの範囲、または2500g/モル~10000g/モルの範囲、または3000g/モル~7500g/モルの範囲、または3000g/モル~6000g/モルの範囲、または3500g/モル~5500g/モルの範囲である。幾つかの実施形態では、ポリオールは、多分散性であり、分子の総数が合計して先に指定した数平均分子量を提供するような分子量の範囲にわたる分子を含む。
【0105】
ポリオールの不飽和度は、0.25meq/g未満、または0.15meq/g未満、または0.10meq/g未満、または0.08meq/g未満、または0.06meq/g未満、または0.04meq/g未満、または0.02meq/g未満、または0.01meq/g未満、または0.005meq/g未満、または0.001meq/g~0.15meq/gの範囲、または0.005meq/g~0.10meq/gの範囲、または0.01meq/g~0.10meq/gの範囲、または0.01meq/g~0.05meq/gの範囲、または0.02meq/g~0.10meq/gの範囲、または0.02meq/g~0.05meq/gの範囲である。本明細書で使用される場合、不飽和度は、ASTM D4671-16で報告された標準的な方法によって決定された値を指す。この方法では、ポリオールをメタノール溶液中に入った酢酸水銀およびメタノールと反応させて、アセトキシ水銀メトキシ化合物および酢酸を生成する。ポリオールと酢酸水銀との反応は等モルであり、放出される酢酸の量をアルコール性水酸化カリウムで滴定することによって決定して、本明細書で使用される不飽和度の尺度を提供する。酢酸の滴定に対する過剰な酢酸水銀の干渉を防ぐために、臭化ナトリウムを添加して酢酸水銀を臭化物に変換する。
【0106】
オリゴマーを形成するための反応は、ヒドロキシアクリレート化合物を添加して、未反応の出発物質(例えば、ジイソシアネート化合物)中に、またはジイソシアネート化合物とポリオールとの反応で形成される生成物(例えば、末端イソシアネート基を有するウレタン化合物)中に存在する末端イソシアネート基と反応させることをさらに含む。ヒドロキシアクリレート化合物は、末端イソシアネート基と反応して、オリゴマーの1つ以上の構成要素のための末端アクリレート基を提供する。幾つかの実施形態では、ヒドロキシアクリレート化合物は、末端イソシアネート基を末端アクリレート基に完全に変換するのに必要な量を上回って存在する。オリゴマーは、1種のポリエーテルウレタンアクリレート化合物または2種以上のポリエーテルウレタンアクリレート化合物の組み合わせを含む。
【0107】
ヒドロキシアクリレート化合物は、分子式(III):
【0108】
【化3】
【0109】
によって表され、式中、Rはアルキレン基を含む。Rのアルキレン基は、直鎖状(例えば、メチレンまたはエチレン)、分岐状(例えば、イソプロピレン)、または環状(例えば、フェニレン)である。幾つかの実施形態では、ヒドロキシアクリレート化合物は、アクリレート基のエチレン性不飽和基の置換を含む。エチレン性不飽和基の置換基としては、アルキル基が挙げられる。置換されたエチレン性不飽和基を有するヒドロキシアクリレート化合物の例は、ヒドロキシメタクリレート化合物である。以下に論じる内容では、ヒドロキシアクリレート化合物について説明する。しかしながら、ここで論じる内容は、置換されたヒドロキシアクリレート化合物、特にヒドロキシメタクリレート化合物に適用されると理解されたい。
【0110】
異なる実施形態では、ヒドロキシアクリレート化合物は、2-ヒドロキシエチルアクリレートのようなヒドロキシアルキルアクリレートである。ヒドロキシアクリレート化合物は、残留レベルまたはより高いレベルの水を含み得る。ヒドロキシアクリレート化合物中に水が存在すると、イソシアネート基の反応が促進されて、最終的な反応組成物中の未反応のイソシアネート基の濃度が低下する場合がある。様々な実施形態で、ヒドロキシアクリレート化合物の含水量は、少なくとも300ppm、または少なくとも600ppm、または少なくとも1000ppm、または少なくとも1500ppm、または少なくとも2000ppm、または少なくとも2500ppmである。
【0111】
前述の例示的な分子式(I)、(II)、および(III)では、基R、R、およびRは、独立して、すべて同じであるか、すべて異なるか、または同じである2つの基と異なる1つの基とを含む。
【0112】
ジイソシアネート化合物、ヒドロキシアクリレート化合物、およびポリオールを同時に組み合わせて反応させるか、または(任意の順序で)順次組み合わせて反応させる。一実施形態では、オリゴマーは、ジイソシアネート化合物とヒドロキシアクリレート化合物とを反応させ、得られた生成物組成物とポリオールとを反応させることによって形成される。別の実施形態では、オリゴマーは、ジイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させ、得られた生成物組成物とヒドロキシアクリレート化合物とを反応させることによって形成される。
【0113】
オリゴマーは、ジイソシアネート化合物と、ヒドロキシアクリレート化合物と、ポリオールとの反応から形成され、ここで、反応プロセスにおける、ジイソシアネート化合物と、ヒドロキシアクリレート化合物と、ポリオールとのモル比は、n:m:pである。n、m、およびpは、本明細書では、それぞれ、ジイソシアネート、ヒドロキシアクリレート、およびポリオールのモル数またはモル比率と呼ばれる。モル数n、m、およびpは、正の整数または正の非整数である。実施形態では、pが2.0である場合、nは、3.0~5.0の範囲、または3.2~4.8の範囲、または3.4~4.6の範囲、または3.5~4.4の範囲、または3.6~4.2の範囲、または3.7~4.0の範囲であり、mは、1.5~4.0の範囲、または1.6~3.6の範囲、または1.7~3.2の範囲、または1.8~2.8の範囲、または1.9~2.4の範囲である。2.0以外のpの値の場合、モル比n:m:pは、比例して調整される。例えば、モル比n:m:p=4.0:3.0:2.0は、モル比n:m:p=2.0:1.5:1.0と同等である。
【0114】
モル数mは、オリゴマーを形成するために使用されるジイソシアネート化合物とポリオールとの反応から形成される生成物組成物中に存在する未反応のイソシアネート基と化学量論的に反応する量のヒドロキシアクリレート化合物を提供するように選択され得る。イソシアネート基は、未反応のジイソシアネート化合物(未反応の出発物質)中に、またはジイソシアネート化合物とポリオールとの反応で形成されるイソシアネート末端ウレタン化合物中に存在し得る。あるいは、モル数mは、ジイソシアネート化合物とポリオールとの反応から形成される生成物組成物中に存在するいずれかの未反応のイソシアネート基と化学量論的に反応するのに必要な量を上回る量のヒドロキシアクリレート化合物を提供するように選択され得る。ヒドロキシアクリレート化合物は、単一のアリコートまたは複数のアリコートとして添加される。一実施形態では、ヒドロキシアクリレートの最初のアリコートが、オリゴマーを形成するために使用される反応混合物に含まれており、形成された生成物組成物を、未反応のイソシアネート基の存在について試験することができる(例えば、FTIR分光法を使用してイソシアネート基の存在を検出する)。ヒドロキシアクリレート化合物の更なるアリコートを生成物組成物に添加して、未反応のイソシアネート基と化学量論的に反応させてもよい(イソシアネート基がヒドロキシアクリレート化合物によって変換されるので、例えばFTIR分光法を使用して、特徴的なイソシアネート周波数(例えば、2260cm-1~2270cm-1)における減少を監視する)。代替的な実施形態では、未反応のイソシアネート基と化学量論的に反応するのに必要な量を上回るヒドロキシアクリレート化合物のアリコートが添加される。以下により詳細に記載されているように、pの所与の値について、モル数mとモル数nとの比は、オリゴマー中のポリエーテルウレタンジアクリレート化合物と二付加化合物との相対比率に影響を与え、ポリエーテルウレタンジアクリレート化合物および二付加化合物の相対比率の差は、オリゴマーから形成される被覆の引裂強度および/または臨界応力の差をもたらす。
【0115】
一実施形態では、オリゴマーは、先に指定したモル比n:m:pで4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2-ヒドロキシエチルアクリレート、およびポリプロピレングリコールを含む反応混合物から形成され、ここで、ポリプロピレングリコールは、2500g/モル~6500g/モルの範囲、または3000g/モル~6000g/モルの範囲、または3500g/モル~5500g/モルの範囲の数平均分子量を有する。
【0116】
オリゴマーは2種の成分を含む。第1の成分は、分子式(IV):
【0117】
【化4】
【0118】
を有するポリエーテルウレタンジアクリレート化合物であり、第2の成分は、分子式(V):
【0119】
【化5】
【0120】
を有する二付加化合物であり、式中、基R、R、R、および整数xは前述の通りであり、yは正の整数であり、また分子式(IV)および(V)中の基Rは、分子式(I)中の基Rと同じであり、分子式(IV)中の基Rは、分子式(II)中の基Rと同じであり、分子式(IV)および(V)中の基Rは、分子式(III)中の基Rと同じであると理解される。二付加化合物は、分子式(I)のジイソシアネート化合物の両方の末端イソシアネート基と分子式(II)のヒドロキシアクリレート化合物との反応によって形成される化合物に対応し、ここで、ジイソシアネート化合物は、分子式(II)のポリオールとの反応を起こさなかった。
【0121】
二付加化合物は、オリゴマーを形成するために使用される反応中にジイソシアネート化合物とヒドロキシアクリレート化合物との反応から形成される。あるいは、二付加化合物は、オリゴマーを形成するために使用される反応とは独立して形成され、ポリエーテルウレタンジアクリレート化合物を形成するために使用される反応の生成物に添加されるか、またはポリエーテルウレタンジアクリレート化合物の精製形態に添加される。ヒドロキシアクリレート化合物のヒドロキシ基は、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応して、末端アクリレート基を提供する。この反応は、ジイソシアネート化合物の各イソシアネート基で起こり、二付加化合物を形成する。二付加化合物は、少なくとも1.0質量%、または少なくとも1.5質量%、または少なくとも2.0質量%、または少なくとも2.25質量%、または少なくとも2.5質量%、または少なくとも3.0質量%、または少なくとも3.5質量%、または少なくとも4.0質量%、または少なくとも4.5質量%、または少なくとも5.0質量%、または少なくとも7.0質量%、または少なくとも9.0質量%、または1.0質量%~10.0質量%の範囲、または2.0質量%~9.0質量%の範囲、または2.5質量%~6.0質量%の範囲、または3.0質量%~8.0質量%の範囲、または3.0質量%~5.0質量%の範囲、または3.0質量%~5.5質量%の範囲、または3.5質量%~5.0質量%の範囲、または3.5質量%~7.0質量%の範囲の量でオリゴマー中に存在する。二付加物の濃度は、被覆組成物中の質量%としてではなく、オリゴマーの質量%として表されることに留意されたい。
【0122】
本開示に従ってオリゴマーを合成するための例示的な反応は、ジイソシアネート化合物(4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、これは、本明細書ではH12MDIとも呼ばれる)とポリオール(約4000g/モルのMを有するポリプロピレングリコール、これは、本明細書ではPPG4000とも呼ばれる)とを反応させて、式(VI):
H12MDI~PPG4000~H12MDI~PPG4000~H12MDI (VI)
を有するポリエーテルウレタンジイソシアネート化合物を形成することを含み、式中、「~」は、H12MDIの末端イソシアネート基とPPG4000の末端アルコール基との反応によって形成されるウレタン結合を表し、~H12MDI、~H12MDI~、および~PPG4000~は、反応後に残留するH12MDIおよびPPG4000の残基を指し、Mは数平均分子量を指す。ポリエーテルウレタンジイソシアネート化合物は、~(H12MDI~PPG4000)~のタイプの繰り返し単位を有する。示されている特定のポリエーテルウレタンジイソシアネートは、2つのPPG4000単位を含む。この反応はまた、1つのPPG4000単位または3つ以上のPPG4000単位を有する生成物も提供し得る。ポリエーテルウレタンジイソシアネートおよび任意の未反応のH12MDIは、末端イソシアネート基を含む。本開示によると、ヒドロキシアクリレート化合物(本明細書ではHEAと呼ばれる2-ヒドロキシエチルアクリレートなど)が反応に含まれて、末端イソシアネート基と反応してこれらを末端アクリレート基に変換する。末端イソシアネート基を末端アクリレート基に変換することによって、イソシアネート基のクエンチがもたらされる。反応に含まれるHEAの量は、予想される未反応のイソシアネート基の濃度と化学量論的に反応すると推定される量または予想される化学量論量を上回る量であり得る。HEAとポリエーテルウレタンジイソシアネート化合物との反応によって、式(VII):
HEA~H12MDI~PPG4000~H12MDI~PPG4000~H12MDI (VII)
を有するポリエーテルウレタンアクリレート化合物、および/または式(VIII):
HEA~H12MDI~PPG4000~H12MDI~PPG4000~H12MDI~HEA (VIII)
を有するポリエーテルウレタンジアクリレート化合物が形成され、HEAと未反応のH12MDIとの反応によって、式(IX):
HEA~H12MDI~HEA (IX)
を有する二付加化合物が形成され、式中、上記のように、~は、ウレタン結合を示し、~HEAは、ウレタン結合を形成するための反応後に残留するHEAの残留物を示す(式(IV)および(V)と一致)。生成物組成物中のポリエーテルウレタンジアクリレート化合物と二付加化合物との組み合わせによって、本開示によるオリゴマーが構成される。以下により詳細に記載されているように、1種以上のオリゴマーが被覆組成物中で使用される場合、改善された引裂強度および臨界応力特性を有する被覆が得られる。特に、高い比率の二付加化合物を有するオリゴマーは、高い引裂強度および/または高い臨界応力値を有する被覆を提供することが実証されている。
【0123】
H12MDI、HEA、およびPPG4000の例示的な組み合わせについて示されているが、前述の反応は、ジイソシアネート化合物と、ヒドロキシアクリレート化合物と、ポリオールとの任意の組み合わせについて一般化することができ、ここで、ヒドロキシアクリレート化合物は、末端イソシアネート基と反応して、末端アクリレート基を形成し、ウレタン結合は、イソシアネート基と、ポリオールまたはヒドロキシアクリレート化合物のアルコール基との反応から形成される。
【0124】
オリゴマーは、式(X):
(ヒドロキシアクリレート)~(ジイソシアネート~ポリオール)~ジイソシアネート~(ヒドロキシアクリレート) (X)
を有するポリエーテルウレタンジアクリレート化合物である化合物と、式(XI):
(ヒドロキシアクリレート)~ジイソシアネート~(ヒドロキシアクリレート) (XI)
を有する二付加化合物である化合物とを含み、式中、オリゴマーを形成するための反応で使用されるジイソシアネート化合物、ヒドロキシアクリレート化合物、およびポリオールの相対比率は、上記に開示されているモル数n、m、およびpに対応する。
【0125】
例えば、上記の分子式(I)および(II)によって表される化合物は、反応して、分子式(XII):
【0126】
【化6】
【0127】
によって表されるポリエーテルウレタンジイソシアネート化合物を形成し、式中、yは、式(IV)のyと同じであり、1、または2、または3、または4以上であり、xは、(前述のように)ポリオールの繰り返し単位の数によって決定される。
【0128】
分子式(VI)のポリエーテルウレタンイソシアネートと分子式(III)のヒドロキシアクリレートとの更なる反応は、上記で言及された、以下で繰り返される分子式(IV):
【0129】
【化7】
【0130】
によって表されるポリエーテルウレタンジアクリレート化合物を提供し、式中、yは、1、または2、または3、または4以上であり、xは、(前述のように)ポリオールの繰り返し単位の数によって決定される。
【0131】
一実施形態では、ジイソシアネート化合物と、ヒドロキシアクリレート化合物と、ポリオールとの間の反応によって、最終的な反応混合物中に存在する化合物の分布にわたるyの平均値が非整数であるようにyが異なる一連のポリエーテルウレタンジアクリレート化合物が生じる。一実施形態では、分子式(VI)および(IV)のポリエーテルウレタンジイソシアネートおよびポリエーテルウレタンジアクリレートにおけるyの平均値は、pまたはp-1に対応する(ここで、pは、上記で定義された通りである)。一実施形態では、分子式(XII)および(IV)のポリエーテルウレタンジイソシアネートおよびポリエーテルウレタンジアクリレートにおける基Rの平均出現数は、nに対応する(ここで、nは、上記で定義された通りである)。
【0132】
この反応で生成されるポリエーテルウレタンジアクリレートと二付加化合物との相対比率は、モル数n、m、およびpのモル比を変化させることによって制御される。例えば、p=2.0の場合を考える。完全な反応の理論上の限界においては、2当量pのポリオールは、3当量nのジイソシアネートと反応して、y=2である分子式(VI)を有する化合物を形成する。この化合物は2つの末端イソシアネート基を含んでおり、この2つの末端イソシアネート基をクエンチし、続いて、理論上の限界の2当量mのヒドロキシアクリレート化合物を添加して、y=2である対応するポリエーテルウレタンジアクリレート化合物(IV)を形成することができる。この状況では、理論上のモル比n:m:p=3.0:2.0:2.0が定義されている。
【0133】
前述の例示的な理論上の限界においては、理論上のモル比n:m:p=3.0:2.0:2.0でのジイソシアネートと、ヒドロキシアクリレートと、ポリオールとの反応は、二付加化合物を形成することなく、y=2である分子式(IV)を有するポリエーテルウレタンジアクリレート化合物を提供する。モル数n、m、およびpを変化させることによって、反応において形成されるポリエーテルウレタンジアクリレートおよび二付加物の相対比率が制御される。例えば、モル数mまたはモル数pに対してモル数nを増加させると、反応において形成される二付加化合物の量を増加させることができる。モル比n:m:pでのジイソシアネート化合物と、ヒドロキシアクリレート化合物と、ポリオール化合物との反応であって、式中、nが、3.0~5.0の範囲であり、mが、2n-4の±15%以内または2n-4の±10%以内または2n-4の±5%以内の範囲であり、pが2.0である、反応によって、例えば、好ましい一次被覆特性を達成するのに十分な量の二付加化合物がオリゴマー中に生成される。例えば、n=4.0であり、mが2n-4の±15%以内であり、p=2.0である実施形態は、n=4.0であり、mが4の±15%以内であり、p=2.0であることを意味し、これは、n=4.0であり、mが3.4~4.6の範囲であり、p=2.0であることを意味する。
【0134】
二付加物およびポリエーテルウレタンジアクリレートの相対比率の変化は、モル数n、m、およびpを変えることによって得られ、またそのような変化によって、オリゴマーを含む被覆組成物から形成された被覆のヤング率、インサイチュ弾性率、引裂強度、臨界応力、引張靭性、および他の機械的特性を正確に制御することが可能である。一実施形態では、特性の制御は、ポリエーテルウレタンジアクリレート化合物中のポリオール単位の数を変化させることによって達成可能である(例えば、p=2.0:p=3.0:p=4.0)。別の実施形態では、引裂強度、引張靭性、および他の機械的特性の制御は、ポリエーテルウレタンジアクリレート化合物および二付加化合物の比率を変化させることによって達成される。所与の数のポリオール単位を有するポリエーテルウレタン化合物の場合、様々な比率の二付加化合物を有するオリゴマーを調製することができる。二付加化合物の比率の変動性を細かく制御して、引裂強度、臨界応力、引張靭性、または他の機械的特性の正確なまたは目標の値をもたらす被覆を提供する固定数のポリオール単位を有するポリエーテルウレタンジアクリレート化合物をベースとするオリゴマーを提供することができる。
【0135】
改善されたファイバ一次被覆は、分子式(IV)によって表されるポリエーテルウレタンアクリレート化合物と分子式(V)によって表される二付加化合物とを含むオリゴマーを組み込んだ一次被覆組成物を利用する場合に得られ、ここで、オリゴマー中の二付加化合物の濃度は、少なくとも1.0質量%、または少なくとも1.5質量%、または少なくとも2.0質量%、または少なくとも2.25質量%、または少なくとも2.5質量%、または少なくとも3.0質量%、または少なくとも3.5質量%、または少なくとも4.0質量%、または少なくとも4.5質量%、または少なくとも5.0質量%、または少なくとも7.0質量%、または少なくとも9.0質量%、または1.0質量%~10.0質量%の範囲、または2.0質量%~9.0質量%の範囲、または3.0質量%~8.0質量%の範囲、または3.5質量%~7.0質量%の範囲、または2.5質量%~6.0質量%の範囲、または3.0質量%~5.5質量%の範囲、または3.5質量%~5.0質量%の範囲である。二付加物の濃度は、被覆組成物中の質量%としてではなく、オリゴマーの質量%として表されることに留意されたい。一実施形態では、ジイソシアネート:ヒドロキシアクリレート:ポリオールのモル比n:m:pを変化させることによって、二付加化合物の濃度を増加させる。一態様では、ポリオールに比べてジイソシアネートが豊富なモル比n:m:pによって、二付加化合物の形成が促進される。
【0136】
前述の例示的な化学量論比n:m:p=3:2:2では、反応は、p当量のポリオール、n=p+1当量のジイソシアネート、および2当量のヒドロキシアクリレートで進行する。モル数nがp+1を上回る場合、ジイソシアネート化合物は、分子式(IV)のポリエーテルウレタンアクリレートを形成するのに必要なポリオール化合物の量に対して過剰に存在する。過剰のジイソシアネートが存在すると、反応生成物の分布は、二付加化合物の形成の増大に向かってシフトする。
【0137】
過剰のジイソシアネート化合物からの二付加化合物の形成を促進するために、ヒドロキシアクリレートの量を増加させることもできる。化学量論的モル数n=p+1を上回る各当量のジイソシアネートについては、二付加化合物を形成するために、2当量のヒドロキシアクリレートが必要とされる。任意のモル数p(ポリオール)の場合、化学量論的モル数n(ジイソシアネート)およびm(ヒドロキシアクリレート)は、それぞれp+1および2である。モル数nが化学量論値を上回って増加しているため、二付加化合物を形成するための過剰のジイソシアネートの完全な反応に必要とされるヒドロキシアクリレートの当量は、m=2+2[n-(p+1)]と表すことができ、式中、先頭の項「2」は、ポリエーテルウレタンアクリレート化合物(分子式(V)を有する化合物)を終端するために必要なヒドロキシアクリレートの当量を表し、項2[n-(p+1)]は、過剰な出発ジイソシアネートを二付加化合物に変換するのに必要なヒドロキシアクリレートの当量を表す。モル数mの実際の値がこの当量数よりも小さい場合、利用可能なヒドロキシアクリレートは、オリゴマー上または遊離ジイソシアネート分子上に存在するイソシアネート基と反応して、末端アクリレート基を形成する。2つの反応経路の相対速度論は、形成されるポリエーテルウレタンジアクリレートおよび二付加化合物の相対量を決定し、すべての未反応のイソシアネート基をクエンチするのに必要な量に対するヒドロキシアクリレートの不足は、制御されて、反応において形成されるポリエーテルウレタンジアクリレートおよび二付加物の相対比率にさらに影響を与えることができる。
【0138】
幾つかの実施形態では、反応は、ジイソシアネート化合物と、ヒドロキシアクリレート化合物と、ポリオールとから形成された反応組成物を加熱することを含む。加熱は、ヒドロキシアクリレート化合物と末端イソシアネート基との反応を介して、末端アクリレート基への末端イソシアネート基の変換を促進する。異なる実施形態では、ヒドロキシアクリレート化合物は、末端イソシアネート基を末端アクリレート基に変換するために、初期反応混合物中に過剰に存在するか、および/または他のやり方で利用可能であるか、または未反応の形態で添加される。加熱は、40℃超の温度で少なくとも12時間にわたって、または40℃超の温度で少なくとも18時間にわたって、または40℃超の温度で少なくとも24時間にわたって、または50℃超の温度で少なくとも12時間にわたって、または50℃超の温度で少なくとも18時間にわたって、または50℃超の温度で少なくとも24時間にわたって、または60℃超の温度で少なくとも12時間にわたって、または60℃超の温度で少なくとも18時間にわたって、または60℃超の温度で少なくとも24時間にわたって行われる。
【0139】
一実施形態では、末端アクリレート基への、ポリエーテルウレタンジアクリレート化合物または出発ジイソシアネート化合物(未反応の初期量または過剰に存在する量)上の末端イソシアネート基の変換は、追加量のヒドロキシアクリレート化合物を反応混合物に添加することによって促進される。先に示したように、末端イソシアネート基をクエンチ(中和)するのに必要なヒドロキシアクリレート化合物の量は、例えば、不完全な反応を理由に、またはポリエーテルウレタンアクリレート化合物および二付加化合物の相対比率を制御したいという理由で、理論上の当量数から逸脱してもよい。前述のように、反応が完了または他の終点まで進行したら、安定化された反応生成物を提供するために、残留イソシアネート基をクエンチ(中和)することが好ましい。一実施形態では、この目的を達成するために、追加のヒドロキシアクリレートが添加される。
【0140】
一実施形態では、追加のヒドロキシアクリレート化合物の量は、初期反応プロセスに含まれる量に対して追加のものである。反応の任意の段階での末端イソシアネート基の存在は、例えばFTIR分光法(例えば、2265cm-1付近の特徴的なイソシアネート伸縮モードを使用)によって監視され、イソシアネート基の特徴的な伸縮モードの強度が、無視可能であるか、または所定の閾値未満になるまで、追加のヒドロキシアクリレート化合物が必要に応じて添加される。一実施形態では、追加のヒドロキシアクリレート化合物は、末端イソシアネート基を末端アクリレート基に完全に変換するのに必要な量を上回って添加される。異なる実施形態では、追加のヒドロキシアクリレート化合物は、初期反応混合物中に(ジイソシアネートおよびポリオールのモル量から予想される理論量を上回る量として)含まれるか、反応が進行するにつれて添加されるか、および/またはジイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応が完全にまたは所定の程度で起こった後に添加される。
【0141】
イソシアネート基を完全に変換するのに必要な量を上回るヒドロキシアクリレート化合物の量は、本明細書では、過剰量のヒドロキシアクリレート化合物と呼ばれる。添加される場合、過剰量のヒドロキシアクリレート化合物は、末端イソシアネート基を末端アクリレート基に完全に変換するために必要な追加のヒドロキシアクリレート化合物の量の少なくとも20%、または末端イソシアネート基を末端アクリレート基に完全に変換するのに必要な追加のヒドロキシアクリレート化合物の量の少なくとも40%、または末端イソシアネート基を末端アクリレート基に完全に変換するのに必要な追加のヒドロキシアクリレート化合物の量の少なくとも60%、または末端イソシアネート基を末端アクリレート基に完全に変換するのに必要な追加のヒドロキシアクリレート化合物の量の少なくとも90%である。
【0142】
一実施形態では、追加のヒドロキシアクリレート化合物の量は、反応において形成されるオリゴマー中に存在する残留イソシアネート基を完全にまたはほぼ完全にクエンチするのに十分であり得る。イソシアネート基は、比較的不安定であり、しばしば経時的に反応を受けることから、イソシアネート基をクエンチすることが望ましい。そのような反応は、反応組成物またはオリゴマーの特性を変化させ、それから形成される被覆に不整合をもたらす場合がある。残留イソシアネート基を含まない出発ジイソシアネートおよびポリオール化合物から形成される反応組成物および生成物は、特性のより優れた安定性および予測可能性を有すると予想される。
【0143】
一次被覆組成物のオリゴマーは、前述のポリエーテルウレタンジアクリレート化合物および二付加化合物を含む。幾つかの実施形態では、オリゴマーは、2種以上のポリエーテルウレタンジアクリレート化合物および/または2種以上の二付加化合物を含む。一次被覆組成物のオリゴマー含有量は、1種以上のポリエーテルウレタンジアクリレート化合物および1種以上の二付加化合物の合計量を含み、20質量%超、または30質量%超、または40質量%超、または20質量%~80質量%の範囲、または30質量%~70質量%の範囲、または40質量%~60質量%の範囲であり、ここで、オリゴマー含有量における二付加化合物の濃度は、先に記載した通りである。
【0144】
硬化性一次被覆組成物は、1種以上のモノマーをさらに含む。1種以上のモノマーは、オリゴマーと適合するように、一次被覆組成物の粘度を制御して加工を容易にするように、および/または一次被覆組成物の硬化生成物として形成される被覆の物理的または化学的特性に影響を与えるように選択される。モノマーとしては、エチレン性不飽和化合物、エトキシル化アクリレート、エトキシル化アルキルフェノールモノアクリレート、プロピレンオキシドアクリレート、n-プロピレンオキシドアクリレート、イソプロピレンオキシドアクリレート、単官能性アクリレート、単官能性脂肪族エポキシアクリレート、多官能性アクリレート、多官能性脂肪族エポキシアクリレート、およびそれらの組み合わせのような放射線硬化性モノマーが挙げられる。
【0145】
代表的な放射線硬化性エチレン性不飽和モノマーとしては、1つ以上のアクリレートまたはメタクリレート基を有するアルコキシル化モノマーが挙げられる。アルコキシル化モノマーは、1つ以上のアルコキシレン基を含むものであり、ここで、アルコキシレン基は、-O-R-の形態を有し、Rは、直鎖状または分岐状のアルキレン基である。アルコキシレン基の例としては、エトキシレン(-O-CH-CH-)、n-プロポキシレン(-O-CH-CH-CH-)、イソプロポキシレン(-O-CH-CH(CH)-、または-O-CH(CH)-CH-)などが挙げられる。本明細書で使用される場合、アルコキシル化度とは、モノマー中のアルコキシレン基の数を指す。一実施形態では、アルコキシレン基は、モノマー中で連続的に結合している。
【0146】
幾つかの実施形態では、一次被覆組成物は、R-R-O-(CH(CH)CH-O)-C(O)CH=CH[式中、RおよびRは、脂肪族、芳香族、または両方の混合物であり、q=1~10である]またはR-O-(CH(CH)CH-O)-C(O)CH=CH[式中、C(O)はカルボニル基であり、Rは脂肪族または芳香族であり、q=1~10である]の形態のアルコキシル化モノマーを含む。
【0147】
モノマーの代表的な例としては、ラウリルアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.から入手可能なSR335、BASFから入手可能なAGEFLEX FA12、およびIGM Resinsから入手可能なPHOTOMER 4812)、エトキシル化ノニルフェノールアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.から入手可能なSR504およびIGM Resinsから入手可能なPHOTOMER 4066)、カプロラクトンアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.から入手可能なSR495およびDow Chemicalから入手可能なTONE M-100)、フェノキシエチルアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.から入手可能なSR339、BASFから入手可能なAGEFLEX PEAおよびIGM Resinsから入手可能なPHOTOMER 4035)、イソオクチルアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.から入手可能なSR440およびBASFから入手可能なAGEFLEX FA8)、トリデシルアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.から入手可能なSR489)、イソボルニルアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.から入手可能なSR506およびCPS Chemical Co.から入手可能なAGEFLEX IBOA)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.から入手可能なSR285)、ステアリルアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.から入手可能なSR257)、イソデシルアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.から入手可能なSR395およびBASFから入手可能なAGEFLEX FA10)、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.から入手可能なSR256)、エポキシアクリレート(例えば、Sartomer Companyから入手可能なCN120、ならびにCytec Industries Inc.から入手可能なEBECRYL3201および3604)、ラウリルオキシグリシジルアクリレート(例えば、Sartomer Companyから入手可能なCN130)、およびフェノキシグリシジルアクリレート(例えば、Sartomer Companyから入手可能なCN131)のようなエチレン性不飽和モノマー、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0148】
幾つかの実施形態では、一次被覆組成物のモノマー成分は、多官能性(メタ)アクリレートを含む。多官能性エチレン性不飽和モノマーとしては、多官能性アクリレートモノマーおよび多官能性メタクリレートモノマーが挙げられる。多官能性アクリレートは、分子1つあたり2つ以上の重合性アクリレート部分、または分子1つあたり3つ以上の重合性アクリレート部分を有するアクリレートである。多官能性(メタ)アクリレートの例としては、ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタアクリレート(例えば、IGM Resinsから入手可能なPHOTOMER 4399);トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(例えば、IGM ResinsのPHOTOMER 4355)のような、アルコキシル化を伴うおよび伴わないメチロールプロパンポリアクリレート;3つ以上のプロポキシル化を伴うプロポキシル化グリセリルトリアクリレート(例えば、IGM ResinsのPHOTOMER 4096)のようなアルコキシル化グリセリルトリアクリレート;およびペンタエリトリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.(ペンシルベニア州ウェストチェスター)から入手可能なSR295)、エトキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.のSR494)、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート(例えば、IGM ResinsのPHOTOMER 4399およびSartomer Company, Inc.のSR399)、トリプロピレングリコールジアクリレート、プロポキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ペンタプロピレングリコールジアクリレートのような、アルコキシル化を伴うおよび伴わないエリトリトールポリアクリレート、前述のもののメタクリレート類似体、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0149】
幾つかの実施形態では、一次被覆組成物は、N-ビニルラクタム、またはN-ビニルピロリジノン、またはN-ビニルカプロラクタムのようなN-ビニルアミドモノマーを含み、ここで、N-ビニルアミドモノマーは、1.0質量%超、または2.0質量%超、または3.0質量%超、または1.0質量%~15.0質量%の範囲、または2.0質量%~10.0質量%の範囲、または3.0質量%~8.0質量%の範囲の濃度で被覆組成物中に存在する。
【0150】
一実施形態では、一次被覆組成物は、1種以上の単官能性アクリレートまたはメタクリレートモノマーを、15質量%~90質量%、または30質量%~75質量%、または40質量%~65質量%の量で含む。別の実施形態では、一次被覆組成物は、1種以上の単官能性脂肪族エポキシアクリレートまたはメタクリレートモノマーを、5質量%~40質量%または10質量%~30質量%の量で含み得る。
【0151】
一実施形態では、一次被覆組成物のモノマー成分は、ヒドロキシ官能性モノマーを含む。ヒドロキシ官能性モノマーは、(メタ)アクリレートのような他の反応性官能基に加えて、ペンダントヒドロキシ部分を有するモノマーである。ペンダントヒドロキシル基を含むヒドロキシ官能性モノマーの例としては、カプロラクトンアクリレート(Dow ChemicalからTONE M-100として入手可能);ポリ(エチレングリコール)モノアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)モノアクリレート、およびポリ(テトラメチレングリコール)モノアクリレートのようなポリ(アルキレングリコール)モノ(メタ)アクリレート(それぞれ、Monomer, Polymer & Dajac Labsから入手可能);2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、および4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート(それぞれAldrichから入手可能)が挙げられる。
【0152】
一実施形態では、ヒドロキシ官能性モノマーは、光ファイバへの一次被覆の接着を改善するのに十分な量で存在する。ヒドロキシ官能性モノマーは、約0.1質量%~約25質量%の量または約5質量%~約8質量%の量で被覆組成物中に存在する。ヒドロキシ官能性モノマーを使用することによって、光ファイバへの一次被覆の適切な接着に必要な接着促進剤の量を減少させることができる。また、ヒドロキシ官能性モノマーの使用には、被覆の親水性も増加させる傾向があり得る。ヒドロキシ官能性モノマーは、その開示全体が参照によって本明細書に援用される米国特許第6,563,996号にさらに詳細に記載されている。
【0153】
異なる実施形態では、一次被覆組成物の総モノマー含有量は、約15質量%~約90質量%、または約30質量%~約75質量%、または約40質量%~約65質量%である。
【0154】
硬化性モノマーおよび硬化性オリゴマーに加えて、硬化性一次被覆組成物はまた、重合開始剤も含む。重合開始剤は、被覆を形成するための被覆組成物の硬化に関連する重合プロセスの開始を促進する。重合開始剤としては、熱開始剤、化学開始剤、電子線開始剤、および光開始剤が挙げられる。光開始剤としては、ケトン系光開始剤および/またはホスフィンオキシド光開始剤が挙げられる。被覆組成物の硬化に使用される場合、光開始剤は、迅速な放射線硬化を可能にするのに十分な量で存在する。
【0155】
代表的な光開始剤としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、BASFから入手可能なIRGACURE 184);ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(例えば、BASFから入手可能な市販のブレンドIRGACURE 1800、1850、および1700);2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(例えば、BASFから入手可能なIRGACURE 651);ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819);(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(BASF(ドイツ国ミュンヘン)から入手可能なLUCIRIN TPO);エトキシ(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(BASFのLUCIRIN TPO-L);およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0156】
被覆組成物は、1種の光開始剤または2種以上の光開始剤の組み合わせを含む。被覆組成物の光開始剤の総含有量は、約10質量%まで、または約0.5質量%~約6質量%である。
【0157】
硬化性一次被覆組成物は、任意選択的に、1種以上の添加剤を含む。添加剤としては、接着促進剤、強度添加剤、酸化防止剤、触媒、安定剤、蛍光増白剤、特性向上添加剤、アミン相乗剤、ワックス、潤滑剤、および/またはスリップ剤が挙げられる。幾つかの添加剤は、重合プロセスを制御するように作用し、それによって、被覆組成物から形成される重合生成物の物理的特性(例えば、弾性率、ガラス転移温度)に影響を与える。他の添加剤は、一次被覆組成物の硬化生成物の一体性に影響を与える(例えば、解重合または酸化劣化から保護する)。
【0158】
接着促進剤とは、ガラス(例えば、ガラスファイバのクラッド部分)への一次被覆および/または一次組成物の接着を促進する化合物である。適切な接着促進剤としては、アルコキシシラン、メルカプト官能性シラン、有機チタネート、およびジルコネートが挙げられる。代表的な接着促進剤としては、3-メルカプトプロピル-トリアルコキシシラン(例えば、Gelest(ペンシルベニア州タリータウン)から入手可能な3-メルカプトプロピル-トリメトキシシラン)のようなメルカプトアルキルシランまたはメルカプトアルコキシシラン;ビス(トリアルコキシシリル-エチル)ベンゼン;アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン(例えば、Gelestから入手可能な(3-アクリルオキシプロピル)-トリメトキシシラン)、メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン、ビス(トリアルコキシシリルエチル)ヘキサン、アリルトリアルコキシシラン、スチリルエチルトリアルコキシシラン、およびビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン(United Chemical Technologies(ペンシルベニア州ブリストル)から入手可能)が挙げられる;その開示全体が参照によって本明細書に援用される米国特許第6,316,516号明細書を参照されたい。
【0159】
接着促進剤は、0.02質量%~10.0質量%、または0.05質量%~4.0質量%、または0.1質量%~4.0質量%、または0.1質量%~3.0質量%、または0.1質量%~2.0質量%、または0.1質量%~1.0質量%、または0.5質量%~4.0質量%、または0.5質量%~3.0質量%、または0.5質量%~2.0質量%、または0.5質量%~1.0質量%の量で一次被覆組成物中に存在する。
【0160】
代表的な酸化防止剤は、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル)-4-ヒドロキシ-フェニル)プロピオネート](例えば、BASFから入手可能なIRGANOX 1035)である。幾つかの態様では、酸化防止剤は、0.25質量%超、または0.50質量%超、または0.75質量%超、または1.0質量%超の量、または0.25質量%~3.0質量%の範囲の量、または0.50質量%~2.0質量%の範囲の量、または0.75質量%~1.5質量%の範囲の量で被覆組成物中に存在する。
【0161】
代表的な蛍光増白剤としては、TINOPAL OB(BASFから入手可能);Blankophor KLA(Bayerから入手可能);ビスベンゾオキサゾール化合物;フェニルクマリン化合物;およびビス(スチリル)ビフェニル化合物が挙げられる。一実施形態では、蛍光増白剤は、0.005質量%~0.3質量%の濃度で被覆組成物中に存在する。
【0162】
代表的なアミン相乗剤としては、トリエタノールアミン;1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、およびメチルジエタノールアミンが挙げられる。一実施形態では、アミン相乗剤は、0.02質量%~0.5質量%の濃度で存在する。
【0163】
一次被覆-特性。一次被覆の関連する特性としては、半径、厚さ、ヤング率、およびインサイチュ弾性率が挙げられる。
【0164】
一次被覆の半径rは、85.0μm以下、または80.0μm以下、または75.0μm以下、または70.0μm以下である。
【0165】
光ファイバの直径の縮小を容易にするためには、一次被覆の厚さr-rを最小化することが好ましい。一次被覆の厚さr-rは、25.0μm以下、または20.0μm以下、または15.0μm以下、または10.0μm以下、または5.0μm~25.0μmの範囲、または8.0μm~20.0μmの範囲、または10.0μm~17.0μmの範囲である。
【0166】
応力の効果的な緩衝およびガラスファイバの保護を促進するためには、一次被覆は、低いヤング率および/または低いインサイチュ弾性率を有することが好ましい。一次被覆のヤング率は、0.7MPa以下、または0.6MPa以下、または0.5MPa以下、または0.4MPa以下、または0.2MPa~0.7MPaの範囲、または0.3MPa~0.6MPaの範囲である。一次被覆のインサイチュ弾性率は、0.25MPa以下、または0.20MPa以下、または0.15MPa以下、または0.10MPa以下、または0.05MPa~0.25MPaの範囲、または0.10MPa~0.20MPaの範囲である。
【0167】
二次被覆-組成物。二次被覆は、モノマー、光開始剤、任意選択的なオリゴマー、および任意選択的な添加剤を含む硬化性二次被覆組成物の硬化生成物である。本開示には、放射線硬化性二次被覆組成物のためのオリゴマー、放射線硬化性二次被覆組成物、放射線硬化性二次被覆組成物の硬化生成物、放射線硬化性二次被覆組成物で被覆された光ファイバ、および放射線硬化性二次被覆組成物の硬化生成物で被覆された光ファイバが記載されている。
【0168】
二次被覆は、1種以上のモノマーを有するモノマー成分を含む放射線硬化性二次被覆組成物の硬化生成物として形成される。これらのモノマーは、好ましくは、エチレン性不飽和化合物を含む。1種以上のモノマーは、50質量%以上の量、または約60質量%~約99質量%の量、または約75質量%~約99質量%の量、または約80質量%~約99質量%の量、または約85質量%~約99質量%の量で存在し得る。一実施形態では、二次被覆は、ウレタンアクリレートモノマーを含有する二次被覆組成物の放射線硬化生成物である。
【0169】
これらのモノマーは、重合性基である官能基および/または架橋を促進もしくは可能にする基を含む。これらのモノマーは、単官能性モノマーまたは多官能性モノマーである。2種以上のモノマーの組み合わせにおいて、構成モノマーは、単官能性モノマー、多官能性モノマー、または単官能性モノマーと多官能性モノマーとの組み合わせである。一実施形態では、硬化性二次被覆組成物のモノマー成分は、エチレン性不飽和モノマーを含む。エチレン性不飽和モノマーに適した官能基としては、(メタ)アクリレート、アクリルアミド、N-ビニルアミド、スチレン、ビニルエーテル、ビニルエステル、酸エステル、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0170】
一実施形態では、硬化性二次被覆組成物のモノマー成分は、エチレン性不飽和モノマーを含む。これらのモノマーは、重合性基である官能基および/または架橋を促進もしくは可能にする基を含む。これらのモノマーは、単官能性モノマーまたは多官能性モノマーである。2種以上のモノマーの組み合わせにおいて、構成モノマーは、単官能性モノマー、多官能性モノマー、または単官能性モノマーと多官能性モノマーとの組み合わせである。エチレン性不飽和モノマーに適した官能基としては、(メタ)アクリレート、アクリルアミド、N-ビニルアミド、スチレン、ビニルエーテル、ビニルエステル、酸エステル、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0171】
硬化性二次被覆組成物のための例示的な単官能性エチレン性不飽和モノマーとしては、2-ヒドロキシエチル-アクリレート、2-ヒドロキシプロピル-アクリレート、および2-ヒドロキシブチル-アクリレートのようなヒドロキシアルキルアクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクタデシルアクリレート、およびステアリルアクリレートのような長鎖および短鎖アルキルアクリレート;ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、および7-アミノ-3,7-ジメチルオクチルアクリレートのようなアミノアルキルアクリレート;ブトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.のSR339)、およびエトキシエトキシエチルアクリレートのようなアルコキシアルキルアクリレート;シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジシクロペンタジエンアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、ボミルアクリレート、イソボルニルアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.のSR423)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.のSR285)、カプロラクトンアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.のSR495)、およびアクリロイルモルホリンのような単環式および多環式の環状芳香族または非芳香族アクリレート;ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、およびエトキシル化(4)ノニルフェノールアクリレート(例えば、IGM ResinsのPHOTOMER 4066)などの様々なアルコキシル化アルキルフェノールアクリレートのようなアルコール系アクリレート;ジアセトンアクリルアミド、イソブトキシメチルアクリルアミド、N,N’-ジメチル-アミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、およびt-オクチルアクリルアミドのようなアクリルアミド;N-ビニルピロリドンおよびN-ビニルカプロラクタムのようなビニル化合物;ならびにマレイン酸エステルおよびフマル酸エステルのような酸エステルが挙げられるが、これらに限定されることはない。先に列挙した長鎖および短鎖アルキルアクリレートに関して、短鎖アルキルアクリレートは、6個以下の炭素を有するアルキル基であり、長鎖アルキルアクリレートは、7個以上の炭素を有するアルキル基である。
【0172】
代表的な放射線硬化性エチレン性不飽和モノマーとしては、1つ以上のアクリレートまたはメタクリレート基を有するアルコキシル化モノマーが挙げられた。アルコキシル化モノマーは、1つ以上のアルコキシレン基を含むものであり、ここで、アルコキシレン基は、-O-R-の形態を有し、Rは、直鎖状または分岐状の炭化水素である。アルコキシレン基の例としては、エトキシレン(-O-CH-CH-)、n-プロポキシレン(-O-CH-CH-CH-)、イソプロポキシレン(-O-CH-CH(CH)-)などが挙げられる。本明細書で使用される場合、アルコキシル化度とは、モノマー中のアルコキシレン基の数を指す。一実施形態では、アルコキシレン基は、モノマー中で連続的に結合している。
【0173】
本明細書で使用される場合、アルコキシル化度とは、アルコキシレン基の数をモノマーの分子中のアクリレートおよびメタクリレート基の数で割ったものを指す。単官能性アルコキシル化モノマーの場合、アルコキシル化度は、モノマーの分子中のアルコキシレン基の数に対応する。好ましい実施形態では、単官能性アルコキシル化モノマーのアルコキシレン基は、連続的に結合している。二官能性アルコキシル化モノマーの場合、アルコキシル化度は、モノマーの分子中のアルコキシレン基の数の半分に対応する。好ましい実施形態では、二官能性アルコキシル化モノマー中のアルコキシレン基は、2つの基それぞれにおいて連続的に結合されており、ここで、2つの基は、化学結合によって分離されており、各基は、半分またはほぼ半分の数のアルコキシレン基を分子中に含む。三官能性アルコキシル化モノマーの場合、アルコキシル化度は、モノマーの分子中のアルコキシレン基の数の3分の1に対応する。好ましい実施形態では、三官能性アルコキシル化モノマー中のアルコキシレン基は、3つの基において連続的に結合されており、ここで、3つの基は、化学結合によって分離されており、各基は、3分の1またはほぼ3分の1の数のアルコキシレン基を分子中に含む。
【0174】
硬化性二次被覆組成物のための代表的な多官能性エチレン性不飽和モノマーとしては、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレートのようなアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレート、およびエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートのようなアルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられるが、これらに限定されることはなく、アルコキシル化度は、2以上、または4以上、または6以上、または16未満、または12未満、または8未満、または5未満、または2~16の範囲、または2~12の範囲、または2~8の範囲、または2~4の範囲、または3~12の範囲、または3~8の範囲、または3~5の範囲、または4~12の範囲、または4~10の範囲、または4~8の範囲である。
【0175】
硬化性二次被覆組成物のための多官能性エチレン性不飽和モノマーとしては、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレートのようなアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートが挙げられ、アルコキシル化度は2以上である。二次被覆組成物のモノマー成分としては、2~約30の範囲のエトキシル化度を有するエトキシル化ビスフェノールAジアクリレート(例えば、ペンシルベニア州ウェストチェスターのSartomer Company, Inc.から入手可能なSR349、SR601、およびSR602、ならびにIGM Resinsから入手可能なPHOTOMER 4025およびPHOTOMER 4028)、または2以上、例えば2~約30の範囲のプロポキシル化度を有するプロポキシル化ビスフェノールAジアクリレート;3以上、例えば3~約30の範囲のエトキシル化度を有するエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、IGM ResinsのPHOTOMER 4149およびSartomer Company, Inc.のSR499)のような、アルコキシル化を伴うおよび伴わないメチロールプロパンポリアクリレート;3以上、例えば3~30の範囲のプロポキシル化度を有するプロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、IGM ResinsのPHOTOMER 4072およびSartomerのSR492);ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(例えば、IGM ResinsのPHOTOMER 4355);3以上のプロポキシル化度を有するプロポキシル化グリセリルトリアクリレート(例えば、IGM ResinsのPHOTOMER 4096およびSartomerのSR9020)のようなアルコキシル化グリセリルトリアクリレート;ペンタエリトリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.(ペンシルベニア州ウェストチェスター)から入手可能なSR295)、エトキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.のSR494)、およびジペンタエリトリトールペンタアクリレート(例えば、IGM ResinsのPHOTOMER 4399およびSartomer Company, Inc.のSR399)のような、アルコキシル化を伴うおよび
伴わないエリトリトールポリアクリレート;適切な官能性イソシアヌレートとアクリル酸または塩化アクリロイルとを反応させることによって形成されるイソシアヌレートポリアクリレート、例えば、トリス-(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.のSR368)およびトリス-(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレート;トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.のCD406)および2以上、例えば約2~30の範囲のエトキシル化度を有するエトキシル化ポリエチレングリコールジアクリレートのような、アルコキシル化を伴うおよび伴わないアルコールポリアクリレート;ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどにアクリレートを添加することによって形成されたエポキシアクリレート(例えば、IGM ResinsのPHOTOMER 3016);ならびにジシクロペンタジエンジアクリレートおよびジシクロペンタンジアクリレートのような単環式および多環式の環状芳香族または非芳香族ポリアクリレートが挙げられ得る。
【0176】
硬化性二次被覆組成物の多官能性エチレン性不飽和モノマーとしては、2~16の範囲のエトキシル化度を有するエトキシル化ビスフェノールAジアクリレート(例えば、ペンシルベニア州ウェストチェスターのSartomer Company, Inc.から入手可能なSR349、SR601、およびSR602、ならびにIGM Resinsから入手可能なPHOTOMER 4028)、または2以上、例えば2~16の範囲のプロポキシル化度を有するプロポキシル化ビスフェノールAジアクリレート;2以上、例えば2~16または3~10の範囲のアルコキシル化度またはエトキシル化度を有するアルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートまたはエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、IGM ResinsのPHOTOMER 4149およびSartomer Company, Inc.のSR499)のような、アルコキシル化を伴うおよび伴わないメチロールプロパンポリアクリレート;2以上、例えば2~16の範囲のプロポキシル化度を有するプロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、IGM ResinsのPHOTOMER 4072およびSartomerのSR492);ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(例えば、IGM ResinsのPHOTOMER 4355);2以上、例えば2~16の範囲のプロポキシル化度を有するプロポキシル化グリセリルトリアクリレート(例えば、IGM ResinsのPHOTOMER 4096およびSartomerのSR9020)のようなアルコキシル化グリセリルトリアクリレート;ペンタエリトリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc(ペンシルベニア州ウェストチェスター)から入手可能なSR295)、エトキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.のSR494)、およびジペンタエリトリトールペンタアクリレート(例えば、IGM ResinsのPHOTOMER 4399およびSartomer Company, Inc.のSR399)のような、アルコキシル化を伴うおよび伴わないエリトリトールポリアクリレート;適切な官能性イソシアヌレートとアクリル酸または塩化アクリロイルとを
反応させることによって形成されるイソシアヌレートポリアクリレート、例えば、トリス-(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.のSR368)およびトリス-(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレート;トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(例えば、Sartomer Company, Inc.のCD406)および2以上、例えば2~16の範囲のエトキシル化度を有するエトキシル化ポリエチレングリコールジアクリレートのような、アルコキシル化を伴うおよび伴わないアルコールポリアクリレート;ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどにアクリレートを添加することによって形成されたエポキシアクリレート(例えば、IGM ResinsのPHOTOMER 3016);ならびにジシクロペンタジエンジアクリレートおよびジシクロペンタンジアクリレートのような単環式および多環式の環状芳香族または非芳香族ポリアクリレートが挙げられる。
【0177】
幾つかの実施形態では、硬化性二次被覆組成物は、2.0質量%超、または5.0質量%超、または7.5質量%超、または10質量%超、または15質量%超、または20質量%超、または2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量で、3つ以上の硬化性官能基を有する多官能性モノマーを含む。好ましい実施形態では、3つ以上の硬化性官能基はそれぞれ、アクリレート基である。
【0178】
幾つかの実施形態では、硬化性二次被覆組成物は、2.0質量%超、または5.0質量%超、または7.5質量%超、または10質量%超、または15質量%超、または20質量%超、または2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量で三官能性モノマーを含む。好ましい実施形態では、三官能性モノマーはトリアクリレートモノマーである。
【0179】
幾つかの実施形態では、硬化性二次被覆組成物は、55質量%超、または60質量%超、または65質量%超、または70質量%超、または55質量%~80質量%の範囲、または60質量%~75質量%の範囲の量で二官能性モノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量で三官能性モノマーを含む。好ましい実施形態では、二官能性モノマーはジアクリレートモノマーであり、三官能性モノマーはトリアクリレートモノマーである。好ましいジアクリレートモノマーとしては、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートが挙げられる。好ましいトリアクリレートモノマーとしては、アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートおよびイソシアヌレートトリアクリレートが挙げられる。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0180】
幾つかの実施形態では、硬化性二次被覆組成物には、単官能性モノマーがなく、55質量%超、または60質量%超、または65質量%超、または70質量%超、または55質量%~80質量%の範囲、または60質量%~75質量%の範囲の量で二官能性モノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量で三官能性モノマーを含む。好ましい実施形態では、二官能性モノマーはジアクリレートモノマーであり、三官能性モノマーはトリアクリレートモノマーである。好ましいジアクリレートモノマーとしては、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートが挙げられる。好ましいトリアクリレートモノマーとしては、アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートおよびイソシアヌレートトリアクリレートが挙げられる。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0181】
幾つかの実施形態では、硬化性二次被覆組成物は、70質量%超、または75質量%超、または80質量%超、または85質量%超、または70質量%~95質量%の範囲、または75質量%~90質量%の範囲の合計量で2種以上の二官能性モノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%、または8.0質量%~15質量%の範囲の量で三官能性モノマーを含む。好ましい実施形態では、二官能性モノマーはジアクリレートモノマーであり、三官能性モノマーはトリアクリレートモノマーである。好ましいジアクリレートモノマーとしては、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートが挙げられる。好ましいトリアクリレートモノマーとしては、アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートおよびイソシアヌレートトリアクリレートが挙げられる。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0182】
幾つかの実施形態では、硬化性二次被覆組成物には、単官能性モノマーがなく、70質量%超、または75質量%超、または80質量%超、または85質量%超、または70質量%~95質量%の範囲、または75質量%~90質量%の範囲の合計量で2種以上の二官能性モノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%、または8.0質量%~15質量%の範囲の量で三官能性モノマーを含む。好ましい実施形態では、二官能性モノマーはジアクリレートモノマーであり、三官能性モノマーはトリアクリレートモノマーである。好ましいジアクリレートモノマーとしては、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートが挙げられる。好ましいトリアクリレートモノマーとしては、アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートおよびイソシアヌレートトリアクリレートが挙げられる。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0183】
幾つかの実施形態では、硬化性二次被覆組成物は、70質量%超、または75質量%超、または80質量%超、または85質量%超、または70質量%~95質量%の範囲、または75質量%~90質量%の範囲の合計量で2種以上の二官能性モノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%、または8.0質量%~15質量%の範囲の合計量で2種以上の三官能性モノマーを含む。好ましい実施形態では、2種以上の二官能性モノマーはそれぞれ、ジアクリレートモノマーであり、2種以上の三官能性モノマーはそれぞれ、トリアクリレートモノマーである。好ましいジアクリレートモノマーとしては、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートが挙げられる。好ましいトリアクリレートモノマーとしては、アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートおよびイソシアヌレートトリアクリレートが挙げられる。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0184】
幾つかの実施形態では、硬化性二次被覆組成物には、単官能性モノマーがなく、70質量%超、または75質量%超、または80質量%超、または85質量%超、または70質量%~95質量%の範囲、または75質量%~90質量%の範囲の合計量で2種以上の二官能性モノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%、または8.0質量%~15質量%の範囲の合計量で2種以上の三官能性モノマーを含む。好ましい実施形態では、二官能性モノマーはそれぞれ、ジアクリレートモノマーであり、三官能性モノマーはそれぞれ、トリアクリレートモノマーである。好ましいジアクリレートモノマーとしては、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートが挙げられる。好ましいトリアクリレートモノマーとしては、アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートおよびイソシアヌレートトリアクリレートが挙げられる。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0185】
好ましい二官能性モノマーは、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートである。アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートは、一般式(XIII):
【0186】
【化8】
【0187】
を有し、式中、RおよびRはアルキレン基であり、R-OおよびR-Oはアルコキシレン基であり、RはHである。基R、R、およびRのうちのいずれか2つは、同じであるか、または異なる。一実施形態では、基RおよびRは同じである。基RおよびRそれぞれにおける炭素の数は、1~8の範囲、または2~6の範囲、または2~4の範囲である。アルコキシル化度は1/2(x+y)である。xおよびyの値は、同じであるか、または異なる。一実施形態では、xおよびyは同じである。
【0188】
好ましい三官能性モノマーは、アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートである。アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートは、一般式(XIV):
【0189】
【化9】
【0190】
を有し、式中、RおよびRはアルキレン基であり、O-R、O-R、およびO-Rはアルコキシレン基である。基R、R、およびRのうちのいずれか2つは、同じであるか、または異なる。一実施形態では、基R、R、およびRは同じである。基R、R、およびRそれぞれにおける炭素の数は、1~8の範囲、または2~6の範囲、または2~4の範囲である。アルコキシル化度は1/3(x+y+z)である。x、y、およびzのうちのいずれか2つの値は、同じであるか、または異なる。一実施形態では、x、y、およびzは同じである。
【0191】
別の好ましい三官能性モノマーは、トリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートである。トリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートは、トリス[n-ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートトリアクリレートとも呼ばれる。代表的なトリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートは、トリス[2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートであり、これは、一般式(XV)を有する:
【0192】
【化10】
【0193】
式(III)では、エチレン結合(-CH-CH-)が、各アクリロイルオキシ基をイソシアヌレート環の窒素に結合している。トリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートの他の実施形態では、エチレン結合以外のアルキレン結合が、アクリロイルオキシ基をイソシアヌレート環の窒素原子に結合している。3つのアルキレン結合のうちのいずれか2つのアルキレン結合は、同じであるか、または異なる。一実施形態では、3つのアルキレン結合は同じである。各アルキレン結合における炭素の数は、1~8の範囲、2~6の範囲、または2~4の範囲である。
【0194】
一実施形態では、硬化性二次組成物は、55質量%超、または60質量%超、または65質量%超、または70質量%超、または55質量%~80質量%の範囲、または60質量%~75質量%の範囲の量でアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量でアルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーを含む。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0195】
一実施形態では、硬化性二次組成物は、55質量%超、または60質量%超、または65質量%超、または70質量%超、または55質量%~80質量%の範囲、または60質量%~75質量%の範囲の量でアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量でエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーを含む。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0196】
一実施形態では、硬化性二次組成物は、55質量%超、または60質量%超、または65質量%超、または70質量%超、または55質量%~80質量%の範囲、または60質量%~75質量%の範囲の量でエトキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量でアルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーを含む。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0197】
一実施形態では、硬化性二次組成物は、55質量%超、または60質量%超、または65質量%超、または70質量%超、または55質量%~80質量%の範囲、または60質量%~75質量%の範囲の量でエトキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量でエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーを含む。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0198】
一実施形態では、硬化性二次組成物は、55質量%超、または60質量%超、または65質量%超、または70質量%超、または55質量%~80質量%の範囲、または60質量%~75質量%の範囲の量でアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量でトリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートモノマーを含む。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0199】
一実施形態では、硬化性二次組成物は、55質量%超、または60質量%超、または65質量%超、または70質量%超、または55質量%~80質量%の範囲、または60質量%~75質量%の範囲の量でエトキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量でトリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートモノマーを含む。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0200】
一実施形態では、硬化性二次組成物は、55質量%超、または60質量%超、または65質量%超、または70質量%超、または55質量%~80質量%の範囲、または60質量%~75質量%の範囲の量でアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量でトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートモノマーを含む。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0201】
一実施形態では、硬化性二次組成物は、55質量%超、または60質量%超、または65質量%超、または70質量%超、または55質量%~80質量%の範囲、または60質量%~75質量%の範囲の量でエトキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量でトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートモノマーを含む。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0202】
一実施形態では、硬化性二次組成物は、5.0質量%超、または10質量%超、または15質量%超、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8質量%~17質量%の範囲、または10質量%~15質量%の範囲の量でビスフェノールAエポキシジアクリレートモノマーを含み、さらに、55質量%超、または60質量%超、または65質量%超、または70質量%超、または55質量%~80質量%の範囲、または60質量%~75質量%の範囲の量でアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量でアルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーを含む。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0203】
一実施形態では、硬化性二次組成物は、5.0質量%超、または10質量%超、または15質量%超、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8質量%~17質量%の範囲、または10質量%~15質量%の範囲の量でビスフェノールAエポキシジアクリレートモノマーを含み、さらに、55質量%超、または60質量%超、または65質量%超、または70質量%超、または55質量%~80質量%の範囲、または60質量%~75質量%の範囲の量でアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量でエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーを含む。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0204】
一実施形態では、硬化性二次組成物は、5.0質量%超、または10質量%超、または15質量%超、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8質量%~17質量%の範囲、または10質量%~15質量%の範囲の量でビスフェノールAエポキシジアクリレートモノマーを含み、さらに、55質量%超、または60質量%超、または65質量%超、または70質量%超、または55質量%~80質量%の範囲、または60質量%~75質量%の範囲の量でエトキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量でアルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーを含む。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0205】
一実施形態では、硬化性二次組成物は、5.0質量%超、または10質量%超、または15質量%超、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8質量%~17質量%の範囲、または10質量%~15質量%の範囲の量でビスフェノールAエポキシジアクリレートモノマーを含み、さらに、55質量%超、または60質量%超、または65質量%超、または70質量%超、または55質量%~80質量%の範囲、または60質量%~75質量%の範囲の量でエトキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量でエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーを含む。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0206】
一実施形態では、硬化性二次組成物は、5.0質量%超、または10質量%超、または15質量%超、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8質量%~17質量%の範囲、または10質量%~15質量%の範囲の量でビスフェノールAエポキシジアクリレートモノマーを含み、さらに、55質量%超、または60質量%超、または65質量%超、または70質量%超、または55質量%~80質量%の範囲、または60質量%~75質量%の範囲の量でアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量でトリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートモノマーを含む。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0207】
一実施形態では、硬化性二次組成物は、5.0質量%超、または10質量%超、または15質量%超、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8質量%~17質量%の範囲、または10質量%~15質量%の範囲の量でビスフェノールAエポキシジアクリレートモノマーを含み、さらに、55質量%超、または60質量%超、または65質量%超、または70質量%超、または55質量%~80質量%の範囲、または60質量%~75質量%の範囲の量でエトキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量でトリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートモノマーを含む。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0208】
一実施形態では、硬化性二次組成物は、5.0質量%超、または10質量%超、または15質量%超、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8質量%~17質量%の範囲、または10質量%~15質量%の範囲の量でビスフェノールAエポキシジアクリレートモノマーを含み、さらに、55質量%超、または60質量%超、または65質量%超、または70質量%超、または55質量%~80質量%の範囲、または60質量%~75質量%の範囲の量でアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量でトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートモノマーを含む。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0209】
一実施形態では、硬化性二次組成物は、5.0質量%超、または10質量%超、または15質量%超、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8質量%~17質量%の範囲、または10質量%~15質量%の範囲の量でビスフェノールAエポキシジアクリレートモノマーを含み、さらに、55質量%超、または60質量%超、または65質量%超、または70質量%超、または55質量%~80質量%の範囲、または60質量%~75質量%の範囲の量でエトキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーを含み、さらに、2.0質量%~25質量%の範囲、または5.0質量%~20質量%の範囲、または8.0質量%~15質量%の範囲の量でトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートモノマーを含む。好ましくは、硬化性二次被覆組成物には、17超、または20超、または25超、または15~40の範囲、または20~35の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートがない。
【0210】
放射線硬化性二次被覆組成物中に存在する任意選択的なオリゴマーは、好ましくは、ウレタン結合を有する化合物である。一態様では、任意選択的なオリゴマーは、ポリオール化合物と、ジイソシアネート化合物と、ヒドロキシ官能性アクリレート化合物との反応生成物である。ポリオール化合物とジイソシアネート化合物との反応は、ウレタン結合を提供し、ヒドロキシ官能性アクリレート化合物は、イソシアネート基と反応して末端アクリレート基を提供する。存在する場合、放射線硬化性二次被覆組成物中のオリゴマーの総含有量は、3.0質量%未満、または2.0質量%未満、または1.0質量%未満、または0質量%~3.0質量%の範囲、または0.1質量%~3.0質量%の範囲、または0.2質量%~2.0質量%の範囲、または0.3質量%~1.0質量%の範囲である。一実施形態では、放射線硬化性二次被覆組成物には、オリゴマーがない。
【0211】
任意選択的なオリゴマーの1つのクラスは、エチレン性不飽和オリゴマーである。含まれる場合、適切なオリゴマーは、単官能性オリゴマー、多官能性オリゴマー、または単官能性オリゴマーと多官能性オリゴマーとの組み合わせであり得る。存在する場合、オリゴマー成分としては、脂肪族および芳香族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、尿素(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステルおよびポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリレート化アクリルオリゴマー、ポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー、およびメラミン(メタ)アクリレートオリゴマー、またはそれらの組み合わせが挙げられ得る。硬化性二次被覆組成物は、ウレタン基、ウレタンアクリレート化合物、ウレタンオリゴマー、またはウレタンアクリレートオリゴマーを含んでいなくてもよい。
【0212】
硬化性二次被覆組成物の任意選択的なオリゴマー成分は、二官能性オリゴマーを含み得る。二官能性オリゴマーは、以下の式(XVI):
-R-[ウレタン-R-ウレタン]-R-F (XVI)
による構造を有し、式中、Fは、独立して、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、N-ビニルアミド、スチレン、ビニルエーテル、ビニルエステル、または当技術分野で公知の他の官能基のような反応性官能基であり得、Rとしては、独立して、-C2~12O-、-(C2~4-O)-、-C2~12O-(C2~4-O)-、-C2~12O-(CO-C2~5O)-、または-C2~12O-(CO-C2~5NH)-が挙げられ得、式中、nは、例えば1~10を含む1~30の整数であり、Rは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、またはそれらの組み合わせであり得、mは、例えば1~5を含む1~10の整数である。式(I)の構造において、ウレタン部分は、ジイソシアネートとRおよび/またはRとの反応から形成される残基であり得る。「独立して」という用語は、本明細書では、各Fが別のFとは異なり得、かつ同じことが各Rにも当てはまることを示すために使用される。
【0213】
硬化性被覆組成物の任意選択的なオリゴマー成分は、多官能性オリゴマーを含み得る。多官能性オリゴマーは、以下に記載されている式(XVII)、式(XVIII)、または式(XIX):
マルチウレタン(multiurethane)-(F-R-F (XVII)
ポリオール-[(ウレタン-R-ウレタン)-R-F (XVIII)
マルチウレタン-(R-F (XIX)
による構造を有し得、式中、Fは、独立して、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、N-ビニルアミド、スチレン、ビニルエーテル、ビニルエステル、または当技術分野で公知の他の官能基のような1~3つの官能基を表し得、Rとしては、-C2~12O-、-(C2~4-O)-、-C2~12O-(C2~4-O)-、-C2~12O-(CO-C2~5O)-、または-C2~12O-(CO-C2~5NH)-が挙げられ得、式中、nは、例えば1~5を含む1~10の整数であり、Rは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、またはそれらの組み合わせであり得、xは、例えば2~5を含む1~10の整数であり、mは、例えば1~5を含む1~10の整数である。式(II)の構造において、マルチウレタン基は、マルチイソシアネートとRとの反応から形成される残基であり得る。同様に、式(III)の構造におけるウレタン基は、Rおよび/またはRへのジイソシアネートの結合後に形成される反応生成物であり得る。
【0214】
ウレタンオリゴマーは、脂肪族または芳香族ジイソシアネートと、二価ポリエーテルまたはポリエステル、最も典型的にはポリエチレングリコールのようなポリオキシアルキレングリコールとを反応させることによって調製され得る。耐湿性オリゴマーは、主に飽和かつ主に非極性の脂肪族ジオールが優先されて極性ポリエーテルまたはポリエステルグリコールが回避されることを除いて、類似の手法で合成され得る。これらのジオールは、エーテルまたはエステル基を実質的に含んでいなくてもよい約2~250個の炭素原子のアルカンまたはアルキレンジオールを含み得る。
【0215】
ポリ尿素元素は、例えば、合成の過程でジオールまたはポリオールをジアミンまたはポリアミンに置き換えることによって、これらの方法によって調製されたオリゴマーに組み込まれ得る。
【0216】
硬化性二次被覆組成物はまた、光開始剤も含み、任意選択的に、硬化性一次被覆組成物に関連して先に記載した酸化防止剤(複数可)、蛍光増白剤(複数可)、アミン相乗剤(複数可)、粘着付与剤(複数可)、触媒(複数可)、担体または界面活性剤、および安定剤のような添加剤も含む。
【0217】
硬化性二次被覆組成物は、1種の光開始剤または2種以上の光開始剤の組み合わせを含む。硬化性二次被覆組成物の光開始剤の総含有量は、約10質量%まで、または約0.5質量%~約6質量%である。
【0218】
代表的な酸化防止剤は、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル)-4-ヒドロキシ-フェニル)プロピオネート](例えば、BASFから入手可能なIRGANOX 1035)である。幾つかの態様では、酸化防止剤は、0.25質量%超、または0.50質量%超、または0.75質量%超、または1.0質量%超の量、または0.25質量%~3.0質量%の範囲の量、または0.50質量%~2.0質量%の範囲の量、または0.75質量%~1.5質量%の範囲の量で硬化性二次被覆組成物中に存在する。
【0219】
代表的な蛍光増白剤としては、TINOPAL OB(BASFから入手可能);Blankophor KLA(Bayerから入手可能);ビスベンゾオキサゾール化合物;フェニルクマリン化合物;およびビス(スチリル)ビフェニル化合物が挙げられる。一実施形態では、蛍光増白剤は、0.005質量%~0.3質量%の濃度で硬化性二次被覆組成物中に存在する。
【0220】
代表的なアミン相乗剤としては、トリエタノールアミン;1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、およびメチルジエタノールアミンが挙げられる。一実施形態では、アミン相乗剤は、0.02質量%~0.5質量%の濃度で存在する。
【0221】
二次被覆-特性。二次被覆の関連する特性としては、半径、厚さ、ヤング率、引張強度、降伏強度、降伏時の伸び、ガラス転移温度、および耐穿刺性が挙げられる。
【0222】
二次被覆の半径rは、95.0μm以下、または90.0μm以下、または85.0μm以下、または80.0μm以下である。
【0223】
光ファイバの直径の縮小を容易にするためには、二次被覆の厚さr-rを最小化することが好ましい。二次被覆の厚さr-rは、25.0μm以下、または20.0μm以下、または15.0μm以下、または10.0μm以下、または5.0μm~25.0μmの範囲、または8.0μm~20.0μmの範囲、または10.0μm~18.0μmの範囲、または12.0μm~16.0μmの範囲である。
【0224】
耐穿刺性および高い保護機能を促進するために、二次被覆は、高いヤング率を有することが好ましい。二次被覆のヤング率は、1600MPa以上、または1800MPa以上、または2000MPa以上、または2200MPa以上、または1600MPa~2800MPaの範囲、または1800MPa~2600MPaの範囲である。
【0225】
ファイバ延伸プロセス。連続的な光ファイバ製造プロセスでは、ガラスファイバが、加熱されたプリフォームから延伸され、目標直径(典型的には125μm)に合わせてサイズ決めされる。幾つかの実施形態では、ガラスファイバは、直径125μmである。他の幾つかの実施形態では、ガラスファイバは、直径110μm未満である。更なる他の実施形態では、ガラスファイバは、直径100μm未満である。次いで、ガラスファイバは、冷却され、液体一次被覆組成物をガラスファイバに塗布する被覆システムに送られる。液体一次被覆組成物をガラスファイバに塗布した後に、2つのプロセスの選択肢が実行可能である。一方のプロセスの選択肢(ウェットオンドライプロセス(wet-on-dry process))では、液体一次被覆組成物が硬化されて、固化した一次被覆が形成され、液体二次被覆組成物が、硬化した一次被覆に塗布され、液体二次被覆組成物が硬化されて、固化した二次被覆が形成される。第2のプロセスの選択肢(ウェットオンウェットプロセス(wet-on-wet process))では、液体二次被覆組成物が液体一次被覆組成物に塗布され、両方の液体被覆組成物が同時に硬化されて、固化した一次被覆および二次被覆が提供される。ファイバが被覆システムを出た後に、ファイバは、収集されて室温で保管される。ファイバの収集は、典型的には、ファイバをスプールに巻き付けること、およびスプールを保管することを伴う。
【0226】
幾つかのプロセスでは、被覆システムはさらに、三次被覆組成物を二次被覆に塗布し、三次被覆組成物を硬化させて、固化した三次被覆を形成する。典型的には、三次被覆は、識別目的でファイバをマーキングするために使用されるインク層であり、顔料を含むがそれ以外は二次被覆と同様の組成を有する。三次被覆は、二次被覆に塗布され、硬化される。二次被覆は、典型的には、三次被覆の塗布時には硬化してある。一次、二次、および三次被覆組成物は、一般的な連続製造プロセスにおいて塗布および硬化され得る。あるいは、一次被覆および二次被覆組成物が一般的な連続製造プロセスで塗布および硬化され、被覆されたファイバが収集され、三次被覆組成物が個別のオフラインプロセスにおいて塗布および硬化されて、三次被覆が形成される。
【0227】
硬化放射線の波長は、赤外線、可視線、または紫外線(UV)である。代表的な波長としては、250nm~1000nmの範囲、または250nm~700nmの範囲、または250nm~450nmの範囲、または275nm~425nmの範囲、または300nm~400nmの範囲、または320nm~390nmの範囲、または330nm~380nmの範囲、または340nm~370nmの範囲の波長が挙げられる。硬化は、ランプ光源(例えば、Hgランプ)、LED光源(例えば、UVLED、可視線LED、もしくは赤外線LED)、またはレーザー光源を含む光源で達成することができる。
【0228】
一次、二次、および三次組成物はそれぞれ、先で言及したいずれかの波長およびいずれかの光源で硬化可能である。同じ波長または光源を使用して、一次、二次、および三次組成物それぞれを硬化させても、または異なる波長および/もしくは異なる光源を使用して、一次、二次、および三次組成物を硬化させてもよい。一次、二次、および三次組成物の硬化は、単一の波長または2つ以上の波長の組み合わせで達成することができる。
【0229】
プロセスの効率を改善するためには、プリフォームから収集点まで延在するプロセス経路に沿ったファイバの延伸速度を上げることが望ましい。しかしながら、延伸速度が増加するにつれて、被覆組成物の硬化速度が増加しなければならない。本明細書に開示されている被覆組成物は、35m/秒超、または40m/秒超、または45m/秒超、または50m/秒超、または55m/秒超、または60m/秒超、または65m/秒超、または70m/秒超の延伸速度で動作するファイバ延伸プロセスと適合している。
【0230】
本開示は、被覆組成物の硬化生成物で被覆された光ファイバに及ぶ。光ファイバは、より低い率のガラスクラッド領域によって取り囲まれたより高い率のガラスコア領域を有するガラス導波路を含む。本被覆組成物の硬化生成物として形成された被覆は、ガラスクラッドを取り囲み、これと直接接触している。本被覆組成物の硬化生成物は、ファイバの一次被覆、二次被覆、または三次被覆として機能する。
【実施例
【0231】
以下の実施例は、代表的な一次被覆および二次被覆の調製を図示している。代表的な一次被覆および二次被覆の選択された特性の測定についても説明する。さらに、異なる被覆厚さおよび弾性率の一次被覆および二次被覆で被覆されたガラスファイバのモデル化された特性を提示する。
【0232】
一次被覆-オリゴマー。一次被覆組成物は、オリゴマーを含んでいた。説明目的で、上記の反応スキームに従った、H12MDI(4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、PPG4000(約4000g/モルのMを有するポリプロピレングリコール)、およびHEA(2-ヒドロキシエチルアクリレート)からの例示的なオリゴマーの調製について記載する。すべての試薬は、製造業者によって供給された状態のまま使用し、更なる精製には供しなかった。H12MDIはALDRICHから得た。PPG4000は、COVESTROから得て、ASTM規格D4671-16に記載されている方法で決定して0.004meq/gの不飽和度を有することが証明された。HEAはKOWAから得た。
【0233】
反応物の相対量および反応条件を変えて、一連の6つのオリゴマーを得た。構成要素の初期モル比が異なるオリゴマーを、H12MDI:HEA:PPG4000=n:m:pを満たす反応物のモル比で調製し、ここで、nは3.0~4.0の範囲であり、mは1.5n-3~2.5n-5の範囲であり、p=2であった。オリゴマー材料を形成するために使用される反応では、ジラウリン酸ジブチルスズを触媒として(初期反応混合物の質量を基準として160ppmのレベルで)使用し、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を阻害剤として(初期反応混合物の質量を基準として400ppmのレベルで)使用した。
【0234】
6つのオリゴマーそれぞれを調製するために使用される反応物の量は、以下の表1に要約されている。6つのオリゴマーを個別の試料番号1~6で識別する。対応する試料番号は、本明細書では、6つのオリゴマーをそれぞれ個別に含有する被覆組成物およびこの被覆組成物から形成された硬化フィルムに言及するために使用される。6つの試料それぞれの調製に使用した対応するモル数は、以下の表2に列挙される。モル数を正規化して、PPG4000のモル数pを2.0に設定する。
【0235】
【表1】
【0236】
【表2】
【0237】
4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ジラウリン酸ジブチルスズ、および2,6-ジ-tert-ブチル-4メチルフェノールを室温にて500mLフラスコ内で混合することによってオリゴマーを調製した。500mLフラスコに、温度計、CaCl乾燥管、およびスターラーを取り付けた。フラスコの内容物を連続的に撹拌しながら、添加漏斗を使用してPPG4000を30~40分間の期間にわたって添加した。PPG4000を添加するときに反応混合物の内部温度を監視し、PPG4000の導入を制御して、(反応の発熱性から生じる)過剰の加熱を防止した。PPG4000を添加した後に、反応混合物を、油浴中にて約70℃~75℃で約1~1.5時間にわたって加熱した。様々な間隔で、反応混合物の試料を赤外分光法(FTIR)による分析のために回収し、未反応のイソシアネート基の濃度を決定することによって反応の進行を監視した。未反応のイソシアネート基の濃度は、2265cm-1付近の特徴的なイソシアネート伸縮モードの強度に基づいて評価した。フラスコを油浴から取り出し、その内容物を65℃未満に冷却した。イソシアネート基の完全なクエンチを確実にするために、追加のHEAの添加を行った。滴下漏斗を使用して、追加のHEAを2~5分間にわたって滴加した。追加のHEAを添加した後に、フラスコを油浴に戻し、その内容物を再び約1~1.5時間にわたって約70℃~75℃に加熱した。反応混合物についてFTIR分析を行って、イソシアネート基の存在を評価し、未反応のイソシアネート基を完全に反応させるのに十分な追加のHEAが添加されるまでこのプロセスを繰り返した。FTIR測定において明らかなイソシアネートのストレッチ強度が検出されなかった場合、反応が完了したと見なした。表1に列挙したHEA量は、組成物中の初期量のHEAと、未反応のイソシアネート基をクエンチするのに必要な任意の量の追加のHEAとを含む。
【0238】
各オリゴマー中の二付加化合物の濃度(質量%)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定した。二付加物の濃度を決定するために、Waters Alliance 2690 GPC機器を使用した。移動相はTHFであった。この機器は、一連の3つのPolymer Labsカラムを備えていた。各カラムは、長さ300mmおよび内径7.5mmを有していた。カラムのうちの2つ(カラム1および2)は、Agilent Technologiesによって部品番号PL1110-6504で販売されており、PLgel Mixed D固定相(ポリスチレンジビニルベンゼンコポリマー、平均粒径=5μm、指定分子量範囲=200g/モル~400,000g/モル)が充填されていた。第3のカラム(カラム3)は、Agilent Technologiesによって部品番号PL1110-6520で販売されており、PLgel 100A固定相(ポリスチレンジビニルベンゼンコポリマー、平均粒径=5μm、指定分子量範囲=4,000g/モルまで)が充填されていた。EasiCal PS-1&2ポリマー較正キット(Agilent Technologies部品番号PL2010-505およびPL2010-0601)を使用して、これらのカラムを162g/モル~6,980,000g/モルの範囲のポリスチレン標準で較正した。GPC機器を以下の条件下で操作した:流量=1.0mL/分、カラム温度=40℃、注入量=100μL、および運転時間=35分(定組成条件)。検出器は、40℃および感度レベル4で操作したWaters Alliance 2410示差屈折計であった。試料をTHF+0.05%トルエンブランクと一緒に2回注入した。
【0239】
オリゴマー中の二付加物の量(質量%)は、前述のGPCシステムおよび技法を使用して定量した。THF中に既知量の二付加化合物(HEA~H12MDI~HEA)を含有する標準溶液を使用して較正曲線を得た。二付加物の濃度が115.2μg/g、462.6μg/g、825.1μg/g、および4180μg/gの標準溶液を調製した(本明細書で使用される場合、寸法「μg/g」とは、全溶液(二付加物+THF)1グラムあたりの二付加物のμgを指す)。較正曲線を得るために、各二付加物標準溶液の2つの100μLのアリコートをカラムに注入した。二付加物の保持時間は約23分であり、二付加物のGPCピークの面積を測定し、二付加物の濃度と相関させた。二付加物の濃度に応じたピーク面積の線形相関が得られた(相関係数(R)=0.999564)。
【0240】
オリゴマー中の二付加物の濃度を、較正を使用して決定した。試料は、THF中に約0.10gのオリゴマー材料を希釈することによって調製し、約1.5gの試験溶液を得た。試験溶液をGPC機器に通し、二付加化合物に関連するピークの面積を決定した。ピーク面積および較正曲線からμg/g単位の二付加物の濃度を得て、これに試験溶液の質量(g)を掛け、THFで希釈する前のオリゴマー材料の試料の質量で割ることによって、質量%に変換した。この実施例で調製した6つのオリゴマーそれぞれに存在する二付加化合物の質量%は、表2に報告されている。
【0241】
H12MDI、HEA、およびPPG4000の相対モル比を変化させることによって、例示的なオリゴマー材料は、上記の分子式(IV)に示されるタイプのポリエーテルウレタン化合物と、上記の分子式(V)に示されるタイプの増加した濃度の二付加化合物とを含む。
【0242】
一次被覆-組成物。試料1~6に対応するオリゴマーを他の成分と個別に組み合わせて、一連の6つの被覆組成物を形成した。被覆組成物中の各成分の量は、以下の表3に列挙されている。オリゴマーについての表3の記載は、オリゴマー中に存在するポリエーテルウレタンアクリレート化合物と二付加化合物との合計量を含む。試料1~6に対応する6つの例示的なオリゴマーそれぞれについて個別の被覆組成物を作製し、ここで、オリゴマー材料中の二付加化合物の量は、表2に列挙されている量に対応していた。
【0243】
【表3】
【0244】
Sartomer SR504は、エトキシル化(4)ノニルフェノールアクリレート(Sartomerから入手可能)である。V-CAP/RCは、N-ビニルカプロラクタム(ISP Technologiesから入手可能)である。TPOは、2,4,6-(トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(BASFからLucirinという商品名で入手可能であり、光開始剤として機能する)である。IRGANOX 1035は、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル)-4-ヒドロキシ-フェニル)プロピオネート](BASFから入手可能)であり、酸化防止剤として機能する。接着促進剤は、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Gelestから入手可能)および3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(Aldrichから入手可能)であった。試料1、3、および5には、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシランを使用した。試料2、4、および6には、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランを使用した。テトラチオールは触媒失活剤である。
【0245】
表3の被覆組成物を、加熱バンドまたは加熱マントルを有する60℃に加熱された適切な容器内で高速ミキサーを使用してそれぞれ配合した。いずれの場合も、成分を、はかりを使用して容器に量り入れ、固体成分が完全に溶解して混合物が均一に見えるまで混合した。各組成物のオリゴマーおよびモノマー(SR504、NVC)を、55℃~60℃で少なくとも10分間にわたって一緒にブレンドした。次いで、光開始剤、酸化防止剤、および触媒失活剤を添加し、55℃~60℃の温度を維持しながら混合を1時間にわたって続けた。最後に、接着促進剤を添加し、55℃~60℃で30分間にわたってブレンドを続けて、被覆組成物を形成した。
【0246】
一次被覆-特性-引張特性。引張特性(ヤング率、降伏時の引張強度、および降伏時の伸び)を、6つの被覆組成物を硬化させることによって形成されたフィルムについて測定した。各被覆組成物から個別のフィルムを形成した。被覆組成物の湿潤フィルムを、約0.005インチ(0.127mm)のギャップ厚さを有するドローダウンボックスを用いて、シリコーン剥離紙上に流延した。湿潤フィルムを、1.2J/cmのUV線量(International LightのLight BugモデルIL490によって225~424nmの波長範囲にわたって測定)で、600W/インチのD型電球を有するFusion SystemsのUV硬化装置(50%の出力および約12フィート(約3.66m)/分のベルト速度)によって硬化させて、フィルムの形態の硬化した被覆を得た。硬化フィルムの厚さは、約0.0030インチ(約0.0762mm)~約0.0035インチ(約0.0889mm)であった。
【0247】
試験前に、フィルムを少なくとも16時間にわたって老化させた(23℃、相対湿度50%)。切断テンプレートおよびメスを使用して、フィルム試料を12.5cm×13mmの寸法に切断した。ヤング率、降伏時の引張強度、および降伏時の伸びは、ASTM規格D882-97に記載されている手順に従って、MTS Sintech引張試験機器を使用してフィルム試料について室温(約20℃)で測定した。ヤング率は、応力-歪み曲線の始まりの最も急な勾配として定義される。5.1cmの初期ゲージ長を用いて2.5cm/分の伸び率でフィルムを試験した。これらの結果は、表4に示される。
【0248】
【表4】
【0249】
一次被覆-特性-インサイチュ弾性率。一次被覆組成物の試料2、3、および5のインサイチュ弾性率の測定を完了した。インサイチュ弾性率の測定では、直径125μmのガラスファイバ上に一次被覆を形成する必要がある。ガラスファイバを延伸するときに、試料2、3、および5をガラスファイバに一次被覆組成物として個別にそれぞれ塗布した。ファイバの延伸速度は50m/秒であった。一次被覆組成物は、5つのLED光源のスタックを使用して硬化させた。各LED光源は、395nmで動作し、12W/cmの強度を有していた。一次被覆組成物の塗布および硬化に続いて、二次被覆組成物を、硬化した一次被覆それぞれに塗布し、UV光源を使用して硬化させて、二次被覆層を形成した。一次被覆の厚さは32.5μmであり、二次被覆の厚さは26.0μmであった。
【0250】
インサイチュ弾性率は、以下の手順を使用して測定した。6インチ(15.24cm)のファイバ試料が得られ、ファイバの中心から1インチ(2.54cm)の部分をウィンドウストリップし、イソプロピルアルコールで拭いた。ウィンドウストリップされたファイバを、ファイバを固定するために使用された10mm×5mmの長方形のアルミニウムタブを備える試料ホルダー/位置合わせステージに取り付けた。2つのタブを、水平に向けて、短い5mmの側が互いに向き合って5mmの隙間で分離されるように配置した。ウィンドウストリップされたファイバを、タブを横切って、かつタブを隔てる隙間を越えて、試料ホルダー上に水平に置いた。ファイバのウィンドウストリップされた領域の片側の被覆された端部を、1つのタブ上に配置し、タブ間の5mmの隙間に半分まで延在させた。1インチ(2.54cm)のウィンドウストリップされた領域は、隙間の残りの半分にわたって、かつ反対側のタブを横切って延在していた。位置合わせ後に、試料を移動し、5mmの隙間に最も近い各タブの半分に接着剤の小さな点を塗布した。次いで、ファイバを所定の位置に戻し、接着剤がちょうどファイバに触れるまで位置合わせステージを上昇させた。次いで、被覆された端部を、隙間から引き離し、接着剤に通して、タブ間の5mmの隙間の大部分がファイバのウィンドウストリップされた領域によって占められるようにした。反対側のタブに残っているウィンドウストリップされた領域の部分は、接着剤と接触していた。被覆された端部の先端は、タブを越えてタブ間の隙間に延在するように残した。被覆された端部のこの部分は、接着剤に埋め込まれておらず、インサイチュ弾性率の測定の対象であった。この構成のファイバ試料を用いて接着剤を乾燥させて、ファイバをタブに固定した。乾燥後に、各タブに固定されているファイバの長さを5mmにトリミングした。接着剤に埋め込まれた被覆長さ、埋め込まれていない被覆長さ(タブ間の隙間に延在する部分)、および一次直径を測定した。
【0251】
インサイチュ弾性率の測定は、Rheometrics DMTA IV動的機械試験装置において、9e-6 1/sの一定歪みで、室温(21℃)で45分間にわたって実施した。ゲージ長は15mmであった。力と長さの変化とを記録し、一次被覆のインサイチュ弾性率を計算するために使用した。試験装置の15mmのクランプ長さの邪魔になり得るエポキシをタブから除去することによって、タブに取り付けられたファイバ試料を用意し、クランプとファイバとの接触がないこと、および試料がクランプに直角に固定されていることを確実にした。機器の力をゼロにした。次いで、ファイバの被覆されていない端部が固定されたタブを試験装置の下部クランプ(測定プローブ)に取り付け、ファイバの被覆された端部が固定されたタブを試験装置の上部(固定された)クランプに取り付けた。次いで、試験を実施し、分析が完了したら試料を取り除いた。
【0252】
一次被覆試料2、3、および5のインサイチュ弾性率は、表5に列挙されている。
【0253】
【表5】
【0254】
二次被覆組成物。代表的な硬化性二次被覆組成物は、表6に列挙されている。
【0255】
【表6】
【0256】
SR601は、エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレート(モノマー)である。SR602は、エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレート(モノマー)である。SR349は、エトキシル化(2)ビスフェノールAジアクリレート(モノマー)である。SR399は、ジペンタエリトリトールペンタアクリレートである。SR499は、エトキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレートである。CD9038は、エトキシル化(30)ビスフェノールAジアクリレート(モノマー)である。PHOTOMER 3016は、ビスフェノールAエポキシジアクリレート(モノマー)である。TPOは、光開始剤である。Irgacure 184は、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光開始剤)である。Irgacure 1850は、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(光開始剤)である。IRGANOX 1035は、チオジエチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル)-4-ヒドロキシヒドロシンナメート(酸化防止剤)である。DC190は、シリコーン-エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー(スリップ剤)である。濃度単位「pph」とは、すべてのモノマー、オリゴマー、および光開始剤を含むベース組成物に対する相対的な量を指す。例えば、二次被覆組成物KAの場合、DC-190の濃度1.0pphは、SR601と、CD9038と、PHOTOMER 3016と、TPOと、Irgacure 184との合計100gあたりDC-190が1gであることに対応する。
【0257】
本開示の範囲内の比較用硬化性二次被覆組成物(A)および3つの代表的な硬化性二次被覆組成物(SB、SC、およびSD)は、表7に列挙されている。
【0258】
【表7】
【0259】
PE210は、ビスフェノールAエポキシジアクリレート(韓国のMiwon Specialty Chemicalから入手可能)であり、M240は、エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレート(韓国のMiwon Specialty Chemicalから入手可能)であり、M2300は、エトキシル化(30)ビスフェノールAジアクリレート(韓国のMiwon Specialty Chemicalから入手可能)であり、M3130は、エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(韓国のMiwon Specialty Chemicalから入手可能)であり、TPO(光開始剤)は、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(BASFから入手可能)であり、Irgacure 184(光開始剤)は、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン(BASFから入手可能)であり、IRGANOX 1035(酸化防止剤)は、ベンゼンプロパン酸、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシチオジ-2,1-エタンジイルエステル(BASFから入手可能)である。DC190(スリップ剤)は、シリコーン-エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー(Dow Chemicalから入手可能)である。濃度単位「pph」とは、すべてのモノマーおよび光開始剤を含むベース組成物に対する相対的な量を指す。例えば、二次被覆組成物Aの場合、DC-190の濃度1.0pphは、PE210と、M240と、M2300と、TPOと、Irgacure 184との合計100gあたりDC-190が1gであることに対応する。
【0260】
二次被覆-特性。二次組成物A、KA、KB、KC、KD、SB、SC、およびSDから作製された二次被覆のヤング率、破断時の引張強度、および破断時の伸びを測定した。
【0261】
二次被覆-特性-測定技法。二次被覆の特性は、以下に記載されている測定技法を使用して決定した。
【0262】
引張特性。ヤング率、降伏時の引張強度、降伏強度、および降伏時の伸びを測定するために、硬化性二次被覆組成物を硬化ロッド試料の形態で硬化および構成した。硬化性二次組成物を内径約0.025インチ(0.635mm)のTeflon(登録商標)チューブに注入することによって、硬化ロッドを調製した。約2.4J/cmの線量(International LightのLight BugモデルIL390によって225~424nmの波長範囲にわたって測定)でFusionのD型電球を使用して、ロッド試料を硬化させた。硬化後に、Teflon(登録商標)チューブを剥離して、二次被覆組成物の硬化ロッド試料を提供した。硬化ロッドは、試験前に23℃および相対湿度50%で18~24時間にわたって条件付けした。ヤング率、破断時の引張強度、降伏強度、および降伏時の伸びは、ゲージ長51mmの欠陥のないロッド試料についてSintech MTS引張試験機および250mm/分の試験速度を使用して測定した。引張特性は、ASTM規格D882-97に従って測定した。これらの特性は、少なくとも5つの試料の平均として決定し、欠陥のある試料は平均から除外した。
【0263】
ガラス転移温度。一次被覆および二次被覆のインサイチュT測定は、被覆されたファイバから得られたファイバチューブオフ試料(fiber tube-off samples)について実施した。被覆されたファイバは、直径125μmのガラスファイバ、ガラスファイバを取り囲んでこれに直接接触する厚さ32.5μmの一次被覆、および一次被覆を取り囲んでこれに直接接触する厚さ26.0μmの二次被覆を含んでいた。ガラスファイバおよび一次被覆は、測定したすべての試料について同じであった。一次被覆は、以下に記載されている参照用一次被覆組成物から形成した。比較用二次被覆および本開示による二次被覆を有する試料を測定した。
【0264】
ファイバチューブオフ試料は、以下の手順を使用して得た:0.0055インチ(0.1397mm)のMillerストリッパーを、被覆されたファイバの端部から約1インチ(2.54cm)のところに固定した。ファイバの1インチ(2.54cm)の領域を、液体窒素流に沈め、液体窒素中に3秒間にわたって保持した。次いで、被覆されたファイバを、液体窒素流から取り出し、素早く剥離して被覆を除去した。ファイバの剥離された端部を、被覆が残っていないか調べた。ガラスファイバに残留被覆が残っている場合は、試料を廃棄し、新しい試料を調製した。剥離プロセスの結果、きれいなガラスファイバと、完全な状態の一次被覆および二次被覆を含む剥離された被覆の中空チューブとが得られた。中空チューブは、「チューブオフ試料」と呼ばれる。ガラス、一次被覆、および二次被覆の直径は、剥離されていないファイバの端面から測定した。
【0265】
チューブオフ試料のインサイチュTを、Rheometrics DMTA IV試験機器を使用して、9~10mmの試料ゲージ長で試験した。チューブオフ試料の幅、厚さ、および長さを、試験機器の操作プログラムに入力した。チューブオフ試料を取り付け、約85℃に冷却した。安定したら、以下のパラメータを使用して温度ランプを実行した:
周波数:1Hz
歪み:0.3%
加熱速度:2℃/分
最終温度:150℃
初期静的力=20.0g
静的力>動的力=10.0%。
【0266】
被覆のインサイチュTは、温度に応じたtanδのプロットにおけるtanδの最大値と定義され、ここで、tanδは、以下のように定義され:
tanδ=E’’/E’
E’’は、変形のサイクルにおける熱としてのエネルギーの損失に比例する損失係数であり、E’は、変形のサイクルにおける貯蔵エネルギーに比例する貯蔵または弾性率である。
【0267】
チューブオフ試料は、一次被覆および二次被覆のtanδプロットにおいて、異なる最大値を呈した。低温(約-50℃)での最大値は、一次被覆のインサイチュTに対応しており、高温(50℃超)での最大値は、二次被覆のインサイチュTに対応していた。
【0268】
二次被覆のインサイチュ弾性率。二次被覆の場合、インサイチュの弾性率は、ファイバ試料から調製されたファイバチューブオフ試料を使用して測定した。0.0055インチ(0.1397mm)のMillerストリッパーをファイバ試料の端部から約1インチ(2.54cm)のところに固定した。ファイバ試料のこの1インチ(2.54cm)の領域を液体窒素流に浸し、3秒間にわたって保持した。次いで、ファイバ試料を取り出し、素早く剥離した。次いで、ファイバ試料の剥離された端部を調べた。ファイバ試料のガラス部分に被覆が残っている場合は、チューブオフ試料に欠陥があると見なし、新しいチューブオフ試料を調製した。適切なチューブオフ試料は、ガラスからきれいに剥離し、かつ一次被覆および二次被覆を有する中空チューブから構成されたものである。ガラス、一次被覆、および二次被覆の直径は、剥離されていないファイバ試料の端面から測定した。
【0269】
ファイバチューブオフ試料を、Rheometrics DMTA IV機器を使用して、11mmの試料ゲージ長で試験し、二次被覆のインサイチュ弾性率を得た。幅、厚さ、および長さを決定し、機器の操作ソフトウェアへの入力として提供した。試料を取り付け、これを、以下のパラメータを使用して、周囲温度(21℃)でタイムスイーププログラムを使用して試験した。
周波数:1ラジアン/秒
歪み:0.3%
総時間=120秒
測定1回あたりの時間=1秒
初期静的力=15.0g
静的力>動的力=10.0%。
【0270】
完了したら、最後の5つのE’(貯蔵弾性率)データポイントを平均した。各試料を3回試験して、合計15のデータポイントを得た(各試験について新しい試料)。3回の試験の平均値を報告した。
【0271】
二次被覆の耐穿刺性。耐穿刺性の測定は、ガラスファイバ、一次被覆、および二次被覆を含む試料について行った。ガラスファイバは、125μmの直径を有していた。一次被覆は、以下の表8に列挙されている参照用一次被覆組成物から形成した。様々な二次被覆を有する試料を以下のように調製した。一次被覆および二次被覆の厚さは、以下に記載されているように、二次被覆の断面積を変化させるように調整した。一次被覆の厚さに対する二次被覆の厚さの比率は、すべての試料で約0.8に維持した。
【0272】
耐穿刺性は、Proceedings of the 52nd International Wire & Cable Symposium, pp. 237-245 (2003)で発表されたG. Scott glaesemannおよびDonald A. Clarkの''Quantifying the Puncture Resistance of Optical Fiber Coatings''という表題の論文に記載されている技法を使用して測定した。この方法の概要をここに記載する。この方法は押込法である。厚さ3mmのスライドガラス上に長さ4cmの光ファイバを置いた。光ファイバの一方の端部を、制御された形で光ファイバの回転を可能にするデバイスに取り付けた。光ファイバを、100倍の倍率で透過状態で検査し、二次被覆の厚さがスライドガラスに平行な方向でガラスファイバの両側において等しくなるまで回転させた。この位置では、二次被覆の厚さは、スライドガラスに平行な方向で光ファイバの両側において等しかった。スライドガラスに垂直な方向およびガラスファイバの上または下の二次被覆の厚さは、スライドガラスに平行な方向の二次被覆の厚さとは異なっていた。スライドガラスに垂直な方向の一方の厚さは、スライドガラスに平行な方向の厚さよりもより大きく、スライドガラスに垂直な方向のもう一方の厚さは、それよりも小さかった。光ファイバのこの位置は、両端でスライドガラスに光ファイバをテーピングすることによって固定されており、押込試験に使用した光ファイバの位置である。
【0273】
押し込みは、万能試験機(Instronモデル5500Rまたは同等品)を使用して実施した。倒立顕微鏡を試験機のクロスヘッドの下に置いた。顕微鏡の対物レンズを、試験機に取り付けられた75°のダイヤモンドウェッジ圧子の真下に配置した。テープで留められたファイバを有するスライドガラスを、顕微鏡ステージ上に置き、圧子ウェッジの幅が光ファイバの方向に直交するように圧子の真下に配置した。光ファイバを配置した状態で、ダイヤモンドウェッジを、これが二次被覆の表面に接触するまで下げた。次いで、ダイヤモンドウェッジを0.1mm/分の速度で二次被覆に押し込み、二次被覆の荷重を測定した。穿刺が起こるまでダイヤモンドウェッジが二次被覆により深く押し込まれるにつれて、二次被覆の負荷が増加し、穿刺の時点で、負荷の急激な減少が観察された。穿刺が観察された圧痕荷重を記録し、力のグラムとして本明細書で報告する。同じ向きの光ファイバを用いて実験を繰り返し、10個の測定点を得て、これらの測定点を平均して、この向きについての耐穿刺性を決定した。光ファイバの向きを180°回転させることによって、第2セットの10個の測定点を得た。
【0274】
マイクロベンド。ワイヤメッシュ被覆ドラム試験で、長さ750mの被覆されたファイバを通る1550nmの波長の光の減衰を室温で決定した。マイクロベンド誘発減衰は、ワイヤメッシュドラム上でのゼロ張力配置と高張力配置との差によって決定した。2つの巻線構成について、個別の測定を行った。第1の構成では、ファイバを、滑らかな表面および約400mmの直径を有するアルミニウムドラム上にゼロ張力構成で巻き付けた。このゼロ張力巻線構成によって、ファイバを通過する光に無応力基準減衰がもたらされた。十分な休止時間の後に、初期減衰測定を実施した。第2の巻線構成では、ファイバ試料を、微細ワイヤメッシュで包まれたアルミニウムドラムに巻き付けた。この配置では、アルミニウムドラムのバレル表面をワイヤメッシュで覆い、ファイバをワイヤメッシュの周りに巻き付けた。このメッシュは、引き伸ばされずに、バレルの周りにきつく巻き付けられ、穴、窪み、裂け目、または損傷なく無傷のまま保たれた。測定に使用したワイヤメッシュ材料は、耐食性タイプの304ステンレス鋼のワイヤ織布から作製され、以下の特徴を有していた:リニアインチあたりのメッシュ:165×165、ワイヤの直径:0.0019インチ(0.04826mm)、開口幅:0.0041インチ(0.10414mm)、および開口領域%:44.0。長さ750mの被覆されたファイバを、80(+/-1)グラムの張力を加えながら、0.050cmの巻き取りピッチでワイヤメッシュ被覆ドラムに1m/秒で巻き付けた。張力を維持するために、ファイバの端部にテープを貼り、ファイバの交差はなかった。巻き付けられたファイバとメッシュとの接触点は、ファイバに応力を与え、巻き付けられたファイバを通る光の減衰は、ファイバの応力誘発(マイクロベンド)損失の尺度である。ワイヤドラム測定は、1時間の休止時間の後に実施した。第1の構成(滑らかなドラム)に対する第2の構成(ワイヤメッシュ被覆ドラム)で実施した測定におけるファイバ減衰(dB/km)の増加を、各波長について決定した。3回の試行の平均を各波長で決定し、ワイヤメッシュマイクロベンド損失として報告する。
【0275】
参照用一次被覆。インサイチュガラス転移温度(T)、耐穿刺性、およびワイヤメッシュ被覆ドラムマイクロベンド減衰の測定では、測定試料は、ガラスファイバと二次被覆との間に一次被覆を含んでいた。この一次被覆組成物は、表8に示される配合を有しており、市販の一次被覆組成物に典型的なものである。
【0276】
【表8】
【0277】
ここで、オリゴマー材料は、モル比n:m:p=3.5:3.0:2.0を使用してH12MDI、HEA、およびPPG4000から先に記載したように調製され、SR504は、エトキシル化(4)ノニルフェノールアクリレート(Sartomerから入手可能)であり、NVCは、N-ビニルカプロラクタム(Aldrichから入手可能)であり、TPO(光開始剤)は、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ジフェニルホスフィンオキシド(BASFから入手可能)であり、IRGANOX 1035(酸化防止剤)は、ベンゼンプロパン酸、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシチオジ-2,1-エタンジイルエステル(BASFから入手可能)であり、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシランは、接着促進剤(Gelestから入手可能)であり、ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(テトラチオールとしても知られており、Aldrichから入手可能)は、連鎖移動剤である。濃度単位「pph」とは、すべてのモノマー、オリゴマー、および光開始剤を含むベース組成物に対する相対的な量を指す。例えば、Irganox 1035の濃度1.0pphは、オリゴマー材料と、SR504と、NVCと、TPOとの合計100gあたりIrganox 1035が1gであることに対応する。
【0278】
二次被覆-特性-引張特性。硬化性二次組成物から調製された引張特性測定の結果は、表9に示される。
【0279】
【表9】
【0280】
これらの結果は、組成物SB、SC、およびSDから調製された二次被覆が、比較組成物Aから調製された二次被覆よりも高いヤング率および高い降伏強度を呈したことを示す。より高い値は、本明細書に開示されている硬化性被覆組成物から調製された二次被覆を小径光ファイバにより適するものにする改善を表す。より具体的には、値がより高いと、性能を犠牲にすることなく、光ファイバ上でより薄い二次被覆を使用することが可能になる。二次被覆がより薄いことによって、光ファイバの全体の直径が縮小され、所与の断面積のケーブル内でより多くのファイバ数が実現される。
【0281】
本明細書に開示されている硬化性二次被覆組成物からの硬化生成物として調製された二次被覆のヤング率は、2400MPa超、または2500MPa超、または2600MPa超、または2700MPa超、または2400MPa~3000MPaの範囲、または2600MPa~2800MPaの範囲である。
【0282】
本明細書に開示されている硬化性二次被覆組成物からの硬化生成物として調製された二次被覆の降伏強度は、55MPa超、または60MPa超、または65MPa超、または70MPa超、または55MPa~75MPaの範囲、または60MPa~70MPaの範囲である。
【0283】
二次被覆-特性-耐穿刺性。比較用硬化性二次被覆組成物Aから作製された二次被覆、独自の組成物を有する商用ベンダー(DSM Desotech)からの市販の硬化性二次被覆組成物(CPC6e)、および硬化性二次被覆組成物SDの耐穿刺性を、先に記載した方法に従って決定した。3つの二次被覆それぞれを有する幾つかのファイバ試料を調製した。各ファイバ試料は、直径125μmのガラスファイバと、表8に列挙されている参照用一次被覆組成物から形成された一次被覆と、3つの二次被覆のうちの1つとを含んでいた。様々な二次被覆を有する試料を調製した。一次被覆および二次被覆の厚さは、図7に示されるように、二次被覆の断面積を変化させるように調整した。一次被覆の厚さに対する二次被覆の厚さの比率は、すべての試料で約0.8に維持した。
【0284】
二次被覆の厚さに対する穿刺荷重の依存性を決定するために、二次被覆それぞれについて、ある範囲の厚さのファイバ試料を調製した。ケーブルのファイバ数を増やすための1つの戦略は、二次被覆の厚さを縮小することである。しかしながら、二次被覆の厚さが減少するにつれて、その性能は低下し、その保護機能は損なわれる。耐穿刺性は、二次被覆の保護機能の尺度である。高い耐穿刺性を有する二次被覆は、破損することなく比較的大きな衝撃に耐え、ガラスファイバのより良好な保護をもたらす。
【0285】
3つの被覆の断面積に応じた穿刺荷重が図7に示されている。穿刺荷重と二次被覆の断面積とのほぼ線形の相関性が観察されたため、穿刺荷重を報告するためのパラメータとして断面積を選択する。トレース72、74、および76は、比較用CPC6e二次被覆組成物、比較用硬化性二次被覆組成物A、および硬化性二次被覆組成物SDそれぞれを硬化させることによって得られた比較用二次被覆の断面積に対する穿刺荷重のほぼ線形の依存性を示す。垂直の破線は、示されるように、10000μm、15000μm、および20000μmの断面積での目印として記載されている。
【0286】
トレース72に表されるCPC6e二次被覆は、当技術分野で公知の従来の二次被覆に対応する。トレース74に表される比較用二次被覆Aは、高い断面積での穿刺荷重の改善を示す。しかしながら、断面積が減少すると、改善が少なくなる。これは、比較用硬化性二次被覆組成物Aから硬化生成物として得られた二次被覆が、小径のファイバ数の多い用途に適切である可能性が低いことを示す。対照的に、トレース76は、硬化性二次被覆組成物SDから硬化生成物として得られた二次被覆についての穿刺荷重の有意な増加を示す。例えば、7000μmの断面積では、硬化性二次被覆組成物SDから得られた二次被覆の穿刺荷重は、他の2つの二次被覆のうちのいずれかの穿刺荷重よりも50%以上大きい。
【0287】
10000μmの断面積での本明細書に開示されている硬化性二次被覆組成物の硬化生成物として形成された二次被覆の穿刺荷重は、36g超、または40g超、または44g超、または48g超、または36g~52gの範囲、または40g~48gの範囲である。15000μmの断面積での本明細書に開示されている硬化性二次被覆組成物の硬化生成物として形成された二次被覆の穿刺荷重は、56g超、または60g超、または64g超、または68g超、または56g~72gの範囲、または60g~68gの範囲である。20000μmの断面積での本明細書に開示されている硬化性二次被覆組成物の硬化生成物として形成された二次被覆の穿刺荷重は、68g超、または72g超、または76g超、または80g超、または68g~92gの範囲、または72g~88gの範囲である。実施形態としては、前述の穿刺荷重の任意の組み合わせを有する二次被覆が挙げられる。
【0288】
本明細書で使用される場合、正規化された穿刺荷重は、断面積に対する穿刺荷重の比率を指す。本明細書に開示されている硬化性二次被覆組成物の硬化生成物として形成された二次被覆の穿刺荷重は、3.2×10-4g/μm超、または3.6×10-4g/μm超、または4.0×10-4g/μm超、または4.4×10-4g/μm超、または4.8×10-4g/μm超、または3.2×10-4g/μm~5.6×10-4g/μmの範囲、または3.6×10-4g/μm~5.2×10-4g/μmの範囲、または4.0×10-4g/μm~4.8×10-4g/μmの範囲の正規化された穿刺荷重を有する。
【0289】
二次被覆-特性-マイクロベンド。光ファイバのマイクロベンドによる減衰は、先に記載したワイヤメッシュ被覆ドラム試験に従って測定した。光ファイバ試料は、図6に示される相対屈折率プロファイル90を有するガラスファイバを有していた。ガラスファイバは、r=62.5μmの半径を有しており、厚さ36.5μmの一次被覆によって取り囲まれており、この一次被覆は、厚さ26μmの二次被覆によって取り囲まれていた。一次被覆は、表8に列挙されている参照用一次被覆組成物から形成され、二次被覆は、表7に列挙されている比較用被覆組成物Aから形成された。幾つかの光ファイバについて測定を行い、ワイヤメッシュ被覆ドラム試験によって決定した1550nmでの減衰は、すべての試料で0.05dB/km~0.8dB/kmであると観察された。光ファイバの減衰は、1.0dB/km未満、または0.8dB/km未満、または0.6dB/km未満、または0.4dB/km未満、または0.2dB/km未満、または0.05dB/km~1.0dB/kmの範囲、または0.15dB/km~0.80dB/kmの範囲、または0.30dB/km~0.70dB/kmの範囲である。
【0290】
モデル化された結果。本明細書に開示されている実験例および原理は、モル数n、m、およびpを変化させることによって、オリゴマー中の二付加化合物の相対量ならびに一次被覆組成物から形成された硬化フィルムの特性を、ヤング率およびインサイチュ弾性率について本明細書で指定されている範囲を含む広範囲にわたって制御することが可能であることを示す。同様に、二次組成物中の異なるモノマーのタイプおよび濃度を変化させることによって、本明細書に開示されている範囲にわたるヤング率の変化がもたらされる。硬化線量は、本明細書に開示されている硬化性組成物から形成された一次被覆および二次被覆の弾性率を変化させるために使用され得る別のパラメータである。
【0291】
一次被覆および二次被覆の厚さおよび弾性率がガラスファイバへの半径方向の力の伝達に与える影響を調べるために、一連のモデル化された例を検討した。このモデルでは、半径方向の外部荷重Pを光ファイバの二次被覆の表面に加え、ガラスファイバの表面に生じる荷重を計算した。ガラスファイバを、73.1GPa(シリカガラスと一致)のヤング率および125μmの直径でモデル化した。一次被覆および二次被覆のポアソン比νおよびνを、それぞれ0.48および0.33に固定した。本開示による比較用試料C1および6つの試料M1~M6を考慮した。比較用試料は、当技術分野で公知の光ファイバと一致する厚さおよび弾性率を有する一次被覆および二次被覆を含んでいた。試料M1~M6は、一次被覆および二次被覆の厚さを縮小した例である。一次被覆および二次被覆の構成を表すパラメータは、表10に要約されている。
【0292】
【表10】
【0293】
表11には、二次被覆の表面に加えられた荷重Pの一部としての、ガラスファイバの外側表面における荷重Pが要約されている。比率P/Pは、本明細書では荷重伝達パラメータと呼ばれ、一次被覆および二次被覆を介してガラスファイバの表面に伝達される外部荷重Pの一部に対応する。荷重Pは、半径方向の荷重であり、荷重伝達パラメータP/Pは、式(9)~(11)に基づくモデルから計算した:
【0294】
【数9】
【0295】
式中、
【0296】
【数10】
【0297】
および
【0298】
【数11】
【0299】
式(9)~(11)では、νおよびνは、一次被覆および二次被覆のポアソン比であり、rは、ガラスファイバの外半径であり、rは、一次被覆の外半径であり、rは、二次被覆の外半径であり、Eは、一次被覆のインサイチュ弾性率であり、Eは、二次被覆のヤング率である。表11のスケーリングされた荷重伝達パラメータP/P(スケーリング後)は、比較用試料C1に対する各試料の比率P/Pに対応する。
【0300】
【表11】
【0301】
モデル化された例は、被覆の厚さがより小さいにもかかわらず、本明細書に記載されている一次被覆および二次被覆を有する光ファイバが、従来の厚さの従来の一次被覆および二次被覆を有する比較用光ファイバと比較して、ガラスファイバが受ける力の縮小を呈することを示す。本明細書に記載されている光ファイバの全体的なサイズの縮小が生じることで、外力によって引き起こされるガラスファイバに対する損傷のリスクを増大させることなく、所与のサイズのケーブルにおけるより多いファイバ数(または所与のファイバ数に対してより小さなケーブル直径)が可能になる。
【0302】
二次被覆のスケーリングされた荷重伝達パラメータP/P(スケーリング後)は、0.99未満、または0.97未満、または0.95未満である。二次被覆の荷重伝達パラメータP/Pは、0.0200未満、または0.0180未満、または0.0178未満、または0.0176未満、または0.0174未満、または0.0172未満、または0.0170未満、または0.0168未満、または0.0160~0.0180の範囲、または0.0162~0.0179の範囲、または0.0164~0.0178の範囲、または0.0166~0.0177の範囲、または0.0168~0.0176の範囲である。
【0303】
本開示の第1項は、光ファイバであって、
コア領域であって、アルカリ金属酸化物がドープされたシリカガラスを含み、かつ3.0μm~10.0μmの範囲の半径rおよび-0.15%~0.30%の範囲の最大相対屈折率Δ1maxの相対屈折率プロファイルΔを有する、コア領域と、
コア領域を取り囲んでこれに直接的に隣接するクラッド領域であって、37.5μm~62.5μmの範囲の半径rを有する、クラッド領域と、
クラッド領域を取り囲んでこれに直接的に隣接する一次被覆であって、半径r、0.05MPa~0.30MPaの範囲のインサイチュ弾性率、および8.0μm~20.0μmの範囲の厚さr-rを有する、一次被覆と、
一次被覆を取り囲んでこれに直接的に隣接する二次被覆であって、100.0μm以下の半径r、1600MPa超のヤング率、および8.0μm~20.0μmの範囲の厚さr-rを有する、二次被覆と
を含む、光ファイバに関する。
【0304】
本開示の第2項は、シリカガラスが、GeOを含まない、第1項記載の光ファイバに関する。
【0305】
本開示の第3項は、半径rが、4.0μm~8.0μmの範囲である、第1項または第2項記載の光ファイバに関する。
【0306】
本開示の第4項は、Δ1maxが、-0.05%~0.15%の範囲である、第1項から第3項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0307】
本開示の第5項は、コア領域が、-0.20%~0.10%の範囲の最小相対屈折率Δ1minを有し、Δ1maxとΔ1minとの差が0.10%超である、第1項から第4項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0308】
本開示の第6項は、コア領域が、少なくとも2.0μmの半径方向の幅を有する一定の相対屈折率を有する部分を含む、第1項から第5項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0309】
本開示の第7項は、半径rが、42.5μm~57.5μmの範囲である、第1項から第6項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0310】
本開示の第8項は、クラッド領域が外側クラッド領域を含み、外側クラッド領域が、-0.45%~-0.15%の範囲の相対屈折率Δを有する、第1項から第7項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0311】
本開示の第9項は、コア領域が、内側コア領域および外側コア領域を含み、内側コア領域が、0.25μm~3.0μmの範囲の半径rを有し、外側コア領域が、半径rを有する、第1項から第8項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0312】
本開示の第10項は、内側コア領域が、10未満のα値を有するαプロファイルによって表される相対屈折率プロファイルを有し、外側コア領域が、50超のα値を有するαプロファイルによって表される相対屈折率プロファイルを有する、第1項から第9項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0313】
本開示の第11項は、クラッド領域が、コア領域に直接的に隣接するディプレストインデックスクラッド領域と、ディプレストインデックスクラッド領域を取り囲んでこれに直接的に隣接する外側クラッド領域とを含み、ディプレストインデックスクラッド領域が、半径r、-0.20%~-0.70%の範囲の相対屈折率Δを有し、外側クラッドが、半径rおよび-0.60%~0.0%の範囲の相対屈折率Δを有する、第1項から第10項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0314】
本開示の第12項は、ディプレストインデックスクラッド領域が、5.0μm~20.0μmの範囲の厚さを有する、第11項記載の光ファイバに関する。
【0315】
本開示の第13項は、半径rが、10.0μm~30.0μmの範囲である、第11項または第12項記載の光ファイバに関する。
【0316】
本開示の第14項は、半径rが、80μm以下である、第1項から第13項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0317】
本開示の第15項は、厚さr-rが、10.0μm~17.0μmの範囲である、第1項から第14項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0318】
本開示の第16項は、一次被覆が、
放射線硬化性モノマーと、
接着促進剤であって、アルコキシシラン化合物またはメルカプト官能性シラン化合物を含む、接着促進剤と、
オリゴマーであって、
以下の分子式:
【0319】
【化11】
【0320】
[式中、
、R、およびRは、独立して、直鎖状アルキレン基、分岐状アルキレン基、または環状アルキレン基から選択され、
yは、1、2、3、または4であり、かつ
xは、40~100である]を有するポリエーテルウレタンアクリレート化合物;および
以下の分子式:
【0321】
【化12】
【0322】
を有する二付加化合物を含み、
ここで、二付加化合物は、少なくとも1.0質量%の量でオリゴマー中に存在する、オリゴマーと
を含む被覆組成物の硬化生成物である、第1項から第15項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0323】
本開示の第17項は、二付加化合物が、少なくとも1.0質量%の量でオリゴマー中に存在する、第16項記載の光ファイバに関する。
【0324】
本開示の第18項は、二付加化合物が、少なくとも3.5質量%の量でオリゴマー中に存在する、第16項記載の光ファイバに関する。
【0325】
本開示の第19項は、オリゴマーが、
ジイソシアネート化合物と、
ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、
ポリオール化合物であって、0.1meq/g未満の不飽和度を有する、ポリオール化合物と
の間の反応の硬化生成物であり、ここで、上記ジイソシアネート化合物、上記ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物、および上記ポリオール化合物が、それぞれモル比n:m:pで反応し、ここで、nが3.0~5.0の範囲であり、mが2n-4の±15%以内であり、pが2である、第16項から第18項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0326】
本開示の第20項は、半径rが、90.0μm以下である、第1項から第19項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0327】
本開示の第21項は、半径rが、85.0μm以下である、第1項から第19項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0328】
本開示の第22項は、ヤング率が、1800MPa超である、第1項から第21項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0329】
本開示の第23項は、ヤング率が、2000MPa超である、第1項から第21項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0330】
本開示の第24項は、ヤング率が、2500MPa超である、第1項から第21項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0331】
本開示の第25項は、厚さr-rが、10.0μm~18.0μmの範囲である、第1項から第24項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0332】
本開示の第26項は、二次被覆が、第1のモノマーを含む組成物の硬化生成物であり、第1のモノマーが、第1のビスフェノールAジアクリレート化合物を含む、第1項から第25項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0333】
本開示の第27項は、第2のモノマーをさらに含み、第2のモノマーが、第2のビスフェノールAジアクリレート化合物を含む、第26項記載の被覆組成物に関する。
【0334】
本開示の第28項は、第1のビスフェノールAジアクリレート化合物が、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレート化合物であり、第2のビスフェノールAジアクリレート化合物が、ビスフェノールAエポキシジアクリレート化合物である、第27項記載の被覆組成物に関する。
【0335】
本開示の第29項は、二次被覆が、
55質量%超の量のアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーであって、2~16の範囲のアルコキシル化度を有する、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーと、
2.0質量%~25質量%の範囲の量のトリアクリレートモノマーであって、2~16の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーまたはトリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートモノマーを含む、トリアクリレートモノマーとを含む組成物の硬化生成物である、第1項から第25項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0336】
本開示の第30項は、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーが、60質量%~75質量%の範囲の量で存在する、第29項記載の光ファイバに関する。
【0337】
本開示の第31項は、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーが、2~8の範囲のアルコキシル化度を有する、第29項または第30項記載の光ファイバに関する。
【0338】
本開示の第32項は、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーが、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーである、第29項から第31項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0339】
本開示の第33項は、トリアクリレートモノマーが、8.0質量%~15質量%の範囲の量で存在する、第29項から第32項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0340】
本開示の第34項は、アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーが、2~8の範囲のアルコキシル化度を有する、第29項から第33項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0341】
本開示の第35項は、アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーが、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーである、第29項から第34項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0342】
本開示の第36項は、トリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートモノマーが、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートモノマーである、第29項から第35までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0343】
本開示の第37項は、5.0質量%~20質量%の範囲の量のビスフェノールAエポキシジアクリレートモノマーをさらに含む、第29項から第36項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0344】
本開示の第38項は、二次被覆が、80℃超のインサイチュガラス転移温度Tを有する、第1項から第37項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0345】
本開示の第39項は、二次被覆が、100℃超のインサイチュガラス転移温度Tを有する、第1項から第37項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0346】
本開示の第40項は、二次被覆が、3.6×10-4g/μm超の正規化された穿刺荷重を有する、第1項から第39項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0347】
本開示の第41項は、二次被覆が、4.4×10-4g/μm超の正規化された穿刺荷重を有する、第1項から第39項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0348】
本開示の第42項は、光ファイバが、90μm以上の有効面積を有する、第1項から第41項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0349】
本開示の第43項は、光ファイバが、130μm以上の有効面積を有する、第1項から第41項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0350】
本開示の第44項は、光ファイバが、145μm以上の有効面積を有する、第1項から第41項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0351】
本開示の第45項は、二次被覆が、0.97未満のスケーリングされた荷重伝達パラメータP/P(スケーリング後)を有する、第1項から第44項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0352】
本開示の第46項は、二次被覆が、0.0178未満の荷重伝達パラメータP/Pを有する、第1項から第44項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0353】
本開示の第47項は、光ファイバが、1550nmの波長で0.160dB/km以下の減衰を有する、第1項から第46項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0354】
本開示の第48項は、光ファイバが、1.0dB/km未満の1550nmでのワイヤメッシュ被覆ドラムマイクロベンド損失を有する、第42項または第45項から第47項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0355】
本開示の第49項は、光ファイバが、1.0dB/km未満の1550nmでのワイヤメッシュ被覆ドラムマイクロベンド損失を有する、第44項から第47項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【0356】
特に明記しない限り、本明細書に記載されている任意の方法は、その工程が特定の順序で実行されることを必要とすると解釈されることを意図してはいない。よって、方法クレームがその工程が従うべき順序を実際に列挙していない場合、または工程が特定の順序に限定されるべきであることが特許請求の範囲または明細書に具体的に述べられていない場合には、いかなる特定の順序も、推測されることは決して意図していない。
【0357】
本発明の精神または範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。本発明の精神および本質を組み込んだ開示されている実施形態の修正の組み合わせ、部分的な組み合わせ、および変形例が当業者に想起され得ることから、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内のあらゆるものを含むと解釈されるべきである。
【0358】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0359】
実施形態1
光ファイバであって、
コア領域であって、アルカリ金属酸化物がドープされたシリカガラスを含み、かつ3.0μm~10.0μmの範囲の半径rおよび-0.15%~0.30%の範囲の最大相対屈折率Δ1maxの相対屈折率プロファイルΔを有する、コア領域と、
前記コア領域を取り囲んでこれに直接的に隣接するクラッド領域であって、37.5μm~62.5μmの範囲の半径rを有する、クラッド領域と、
前記クラッド領域を取り囲んでこれに直接的に隣接する一次被覆であって、半径r、0.05MPa~0.30MPaの範囲のインサイチュ弾性率、および8.0μm~20.0μmの範囲の厚さr-rを有する、一次被覆と、
前記一次被覆を取り囲んでこれに直接的に隣接する二次被覆であって、100.0μm以下の半径r、1600MPa超のヤング率、および8.0μm~20.0μmの範囲の厚さr-rを有する、二次被覆と
を含む、光ファイバ。
【0360】
実施形態2
前記シリカガラスが、GeOを含まない、実施形態1記載の光ファイバ。
【0361】
実施形態3
前記半径rが、4.0μm~8.0μmの範囲である、実施形態1または2記載の光ファイバ。
【0362】
実施形態4
Δ1maxが、-0.05%~0.15%の範囲である、実施形態1から3までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0363】
実施形態5
前記コア領域が、-0.20%~0.10%の範囲の最小相対屈折率Δ1minを有し、Δ1maxとΔ1minとの差が0.10%超である、実施形態1から4までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0364】
実施形態6
前記コア領域が、少なくとも2.0μmの半径方向の幅を有する一定の相対屈折率を有する部分を含む、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0365】
実施形態7
前記半径rが、42.5μm~57.5μmの範囲である、実施形態1から6までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0366】
実施形態8
前記クラッド領域が外側クラッド領域を含み、前記外側クラッド領域が、-0.45%~-0.15%の範囲の相対屈折率Δを有する、実施形態1から7までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0367】
実施形態9
前記コア領域が、内側コア領域および外側コア領域を含み、前記内側コア領域が、0.25μm~3.0μmの範囲の半径rを有し、前記外側コア領域が、半径rを有する、実施形態1から8までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0368】
実施形態10
前記内側コア領域が、10未満のα値を有するαプロファイルによって表される相対屈折率プロファイルを有し、前記外側コア領域が、50超のα値を有するαプロファイルによって表される相対屈折率プロファイルを有する、実施形態1から9までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0369】
実施形態11
前記クラッド領域が、前記コア領域に直接的に隣接するディプレストインデックスクラッド領域と、前記ディプレストインデックスクラッド領域を取り囲んでこれに直接的に隣接する外側クラッド領域とを含み、前記ディプレストインデックスクラッド領域が、半径r、-0.20%~-0.70%の範囲の相対屈折率Δを有し、前記外側クラッドが、半径rおよび-0.60%~0.0%の範囲の相対屈折率Δを有する、実施形態1から10までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0370】
実施形態12
前記ディプレストインデックスクラッド領域が、5.0μm~20.0μmの範囲の厚さを有する、実施形態11記載の光ファイバ。
【0371】
実施形態13
前記半径rが、10.0μm~30.0μmの範囲である、実施形態11または12記載の光ファイバ。
【0372】
実施形態14
前記半径rが、80μm以下である、実施形態1から13までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0373】
実施形態15
前記厚さr-rが、10.0μm~17.0μmの範囲である、実施形態1から14までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0374】
実施形態16
前記一次被覆が、
放射線硬化性モノマーと、
接着促進剤であって、アルコキシシラン化合物またはメルカプト官能性シラン化合物を含む、接着促進剤と、
オリゴマーであって、
以下の分子式:
【0375】
【化13】
【0376】
[式中、
、R、およびRは、独立して、直鎖状アルキレン基、分岐状アルキレン基、または環状アルキレン基から選択され、
yは、1、2、3、または4であり、かつ
xは、40~100である]を有するポリエーテルウレタンアクリレート化合物;および
以下の分子式:
【0377】
【化14】
【0378】
を有する二付加化合物を含み、
ここで、前記二付加化合物は、少なくとも1.0質量%の量で前記オリゴマー中に存在する、オリゴマーと
を含む被覆組成物の硬化生成物である、実施形態1から15までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0379】
実施形態17
前記二付加化合物が、少なくとも1.0質量%の量で前記オリゴマー中に存在する、実施形態16記載の光ファイバ。
【0380】
実施形態18
前記二付加化合物が、少なくとも3.5質量%の量で前記オリゴマー中に存在する、実施形態16記載の光ファイバ。
【0381】
実施形態19
前記オリゴマーが、
ジイソシアネート化合物と、
ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、
ポリオール化合物であって、0.1meq/g未満の不飽和度を有する、ポリオール化合物と
の間の反応の硬化生成物であり、ここで、前記ジイソシアネート化合物、前記ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物、および前記ポリオール化合物が、それぞれモル比n:m:pで反応し、ここで、nが3.0~5.0の範囲であり、mが2n-4の±15%以内であり、pが2である、実施形態16から18までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0382】
実施形態20
前記半径rが、90.0μm以下である、実施形態1から19までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0383】
実施形態21
前記半径rが、85.0μm以下である、実施形態1から19までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0384】
実施形態22
前記ヤング率が、1800MPa超である、実施形態1から21までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0385】
実施形態23
前記ヤング率が、2000MPa超である、実施形態1から21までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0386】
実施形態24
前記ヤング率が、2500MPa超である、実施形態1から21までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0387】
実施形態25
前記厚さr-rが、10.0μm~18.0μmの範囲である、実施形態1から24までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0388】
実施形態26
前記二次被覆が、第1のモノマーを含む組成物の硬化生成物であり、前記第1のモノマーが、第1のビスフェノールAジアクリレート化合物を含む、実施形態1から25までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0389】
実施形態27
第2のモノマーをさらに含み、前記第2のモノマーが、第2のビスフェノールAジアクリレート化合物を含む、実施形態26記載の被覆組成物。
【0390】
実施形態28
前記第1のビスフェノールAジアクリレート化合物が、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレート化合物であり、前記第2のビスフェノールAジアクリレート化合物が、ビスフェノールAエポキシジアクリレート化合物である、実施形態27記載の被覆組成物。
【0391】
実施形態29
前記二次被覆が、
55質量%超の量のアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーであって、2~16の範囲のアルコキシル化度を有する、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーと、
2.0質量%~25質量%の範囲の量のトリアクリレートモノマーであって、2~16の範囲のアルコキシル化度を有するアルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーまたはトリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートモノマーを含む、トリアクリレートモノマーと
を含む組成物の硬化生成物である、実施形態1から25までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0392】
実施形態30
前記アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーが、60質量%~75質量%の範囲の量で存在する、実施形態29記載の光ファイバ。
【0393】
実施形態31
前記アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーが、2~8の範囲のアルコキシル化度を有する、実施形態29または30記載の光ファイバ。
【0394】
実施形態32
前記アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーが、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーである、実施形態29から31までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0395】
実施形態33
前記トリアクリレートモノマーが、8.0質量%~15質量%の範囲の量で存在する、実施形態29から32までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0396】
実施形態34
前記アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーが、2~8の範囲のアルコキシル化度を有する、実施形態29から33までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0397】
実施形態35
前記アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーが、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーである、実施形態29から34までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0398】
実施形態36
前記トリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートモノマーが、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートモノマーである、実施形態29から35までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0399】
実施形態37
5.0質量%~20質量%の範囲の量のビスフェノールAエポキシジアクリレートモノマーをさらに含む、実施形態29から36までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0400】
実施形態38
前記二次被覆が、80℃超のインサイチュガラス転移温度Tを有する、実施形態1から37までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0401】
実施形態39
前記二次被覆が、100℃超のインサイチュガラス転移温度Tを有する、実施形態1から37までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0402】
実施形態40
前記二次被覆が、3.6×10-4g/μm超の正規化された穿刺荷重を有する、実施形態1から39までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0403】
実施形態41
前記二次被覆が、4.4×10-4g/μm超の正規化された穿刺荷重を有する、実施形態1から39までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0404】
実施形態42
前記光ファイバが、90μm以上の有効面積を有する、実施形態1から41までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0405】
実施形態43
前記光ファイバが、130μm以上の有効面積を有する、実施形態1から41までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0406】
実施形態44
前記光ファイバが、145μm以上の有効面積を有する、実施形態1から41までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0407】
実施形態45
前記二次被覆が、0.97未満のスケーリングされた荷重伝達パラメータP/P(スケーリング後)を有する、実施形態1から44までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0408】
実施形態46
前記二次被覆が、0.0178未満の荷重伝達パラメータP/Pを有する、実施形態1から44までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0409】
実施形態47
前記光ファイバが、1550nmの波長で0.160dB/km以下の減衰を有する、実施形態1から46までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0410】
実施形態48
前記光ファイバが、1.0dB/km未満の1550nmでのワイヤメッシュ被覆ドラムマイクロベンド損失を有する、実施形態42または45から47までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0411】
実施形態49
前記光ファイバが、1.0dB/km未満の1550nmでのワイヤメッシュ被覆ドラムマイクロベンド損失を有する、実施形態44から47までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0288
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0288】
本明細書で使用される場合、正規化された穿刺荷重は、断面積に対する穿刺荷重の比率を指す。本明細書に開示されている硬化性二次被覆組成物の硬化生成物として形成された二次被覆の穿刺荷重は、3.2×10 -3 g/μm超、または3.6×10 -3 g/μm超、または4.0×10 -3 g/μm超、または4.4×10 -3 g/μm超、または4.8×10 -3 g/μm超、または3.2×10 -3 g/μm~5.6×10 -3 g/μmの範囲、または3.6×10 -3 g/μm~5.2×10 -3 g/μmの範囲、または4.0×10 -3 g/μm~4.8×10 -3 g/μmの範囲の正規化された穿刺荷重を有する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0346
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0346】
本開示の第40項は、二次被覆が、3.6×10 -3 g/μm超の正規化された穿刺荷重を有する、第1項から第39項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0347
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0347】
本開示の第41項は、二次被覆が、4.4×10 -3 g/μm超の正規化された穿刺荷重を有する、第1項から第39項までのいずれか1項記載の光ファイバに関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0402
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0402】
実施形態40
前記二次被覆が、3.6×10 -3 g/μm超の正規化された穿刺荷重を有する、実施形態1から39までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0403
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0403】
実施形態41
前記二次被覆が、4.4×10 -3 g/μm超の正規化された穿刺荷重を有する、実施形態1から39までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【国際調査報告】