(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】電子デバイス用の低誘電損失ガラス
(51)【国際特許分類】
C03C 3/091 20060101AFI20220414BHJP
【FI】
C03C3/091
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541291
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(85)【翻訳文提出日】2021-09-15
(86)【国際出願番号】 US2020013795
(87)【国際公開番号】W WO2020150422
(87)【国際公開日】2020-07-23
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ボーク,ヘザー デブラ
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,リン
(72)【発明者】
【氏名】ハイネ,ジェニファー アネラ
(72)【発明者】
【氏名】ランバーソン,リサ アン
(72)【発明者】
【氏名】タンディア,アダマ
(72)【発明者】
【氏名】ウェラー,マーク オーウェン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーギーズ,コチュパラムビル ディーナンマ
【テーマコード(参考)】
4G062
【Fターム(参考)】
4G062AA01
4G062BB01
4G062CC10
4G062DA06
4G062DA07
4G062DB01
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4G062HH20
4G062JJ01
4G062JJ03
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4G062JJ10
4G062KK01
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4G062KK05
4G062KK07
4G062KK10
4G062NN29
4G062NN34
(57)【要約】
SiO2、Al2O3、及びB2O3、並びにLi2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrO、BaO、SnO2、ZnO、La2O3、F、及びFe2O3のうちの少なくとも1つを含むガラスを含む物品であって、上記ガラスは、いずれも10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率及び/又は約0.01以下の損失正接を有する、物品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品であって、
前記物品は:
ガラスであって:
約60%~約80%のSiO
2;
0%~約13%のAl
2O
3;
約15%~約28%のB
2O
3;
0%~約1%の少なくとも1つの清澄剤;並びに
MgO及び少なくとも1つの追加のアルカリ土類酸化物(RO)
を含み、前記少なくとも1つの追加のROは、CaO、BaO、及びSrOから選択され、MgOと前記少なくとも1つの追加のROとの合計の総量(RO
Total)は、(酸化物のモルパーセントで)約3%~約15%である、ガラスを含み、
前記ガラスは、いずれも10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率及び/又は約0.01以下の損失正接を有する、物品。
【請求項2】
10GHzの信号で測定した場合に約0.008以下の損失正接を更に有する、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記ガラスは、いずれも10GHzの信号で測定した場合に、約7.5以下の比誘電率、及び約0.005以下の損失正接を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
MgO:RO
Totalの比は少なくとも0.5である、請求項1~3のいずれか1項に記載の物品。
【請求項5】
RO
Totalは(酸化物のモルパーセントで)約4%~約15モル%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の物品。
【請求項6】
RO
Total:Al
2O
3の比は1超である、請求項1~5のいずれか1項に記載の物品。
【請求項7】
B
2O
3:(Al
2O
3+SiO
2)の比は約0.13~約0.35である、請求項1~6のいずれか1項に記載の物品。
【請求項8】
前記少なくとも1つの追加のROはCaOであり、更に(酸化物のモルパーセントで)MgOは約1%~約7%だけ存在し、CaOは約2%~約7%だけ存在する、請求項1~7のいずれか1項に記載の物品。
【請求項9】
RO
Total:(Al
2O
3+SiO
2)の前記比は約0.2~約0.6である、請求項1~8のいずれか1項に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下で、2019年1月18日出願の米国特許出願第62,794,226号、及び2019年1月21日出願の米国特許出願第62/794,869号に対する優先権を主張するものであり、これらの特許出願はいずれも、その全体が参照により本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は一般に、10GHzの信号で測定した場合に低い比誘電率及び低い損失正接を有するガラスに関し、より詳細には、電子デバイス用途に好適な上述のガラスに関する。
【背景技術】
【0003】
デジタル技術は、特にデータ接続性及び処理速度に関して拡張され続けている。例えば、1Gbit/sのオーダーの処理速度は、数十Gbit/sのオーダーの速度へと拡張されている。これらのデータ速度を達成するための、対応する電子デバイス技術は、1GHzのオーダーの信号伝送及び受信周波数を、10GHz、場合によっては最高約100GHzのオーダーへと拡張することになる可能性がある。
【0004】
データ処理速度の上昇に適応するためのこれらの信号周波数の上昇に従って、これらのデバイスで採用される絶縁材料に関連する吸収損失に関連する技術仕様及び要件は、より重要になる。10GHz超の周波数において低い損失正接を有する、利用可能な材料は存在するが、これらの材料の処理特性によって、特定の成形プロセスを用いた製造の可能性が制限される場合がある。例えば、レドームパイロセラミック、高純度溶融シリカ、サファイア、アルミナ、及びシリカといった材料は、10GHz超の周波数において低い損失正接を有し得る。しかしながらこれらの材料は、スロットドロー及びオーバーフローダウンドロー等の成形プロセスを用いた加工の可能性を制限する可能性があるような高い粘度を、成形温度において有する場合がある。また、10GHz超の周波数において低い損失正接を有するアルカリ非含有ガラス及びガラスセラミック材料も存在し、その例としてB2O3-P2O5-SiO2(BPS)及びMgO-Al2O3-SiO2(MAS)三元系が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながらこれらの系は典型的には、一般的な成形方法にとって低すぎる液相線粘度を有する。上述の課題の一部又は全てを克服するガラスに対する需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によると、物品は、(成分含有量で)約60%~約80%(即ちモル%)のSiO2、0%~約13%のAl2O3、約15%~約28%のB2O3、及び0%~約1%の少なくとも1つの清澄剤を含むガラスを含む。上記ガラスはまた、(酸化物のモルパーセントで)合計0%~約8%の1つ以上のアルカリ土類酸化物(RO)も含み、ここでROは、CaO、MgO、BaO、及びSrOから選択される。上記ガラスは、約0.13~約0.35であるB2O3:(Al2O3+SiO2)の比を特徴とすることができ、また、いずれも10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率及び約0.01以下の損失正接を有することができる。
【0007】
本開示の一態様によると、物品は、(成分含有量で)約60%~約80%のSiO2、0%~約13%のAl2O3、約15%~約28%のB2O3、及び0%~約1%の少なくとも1つの清澄剤を含むガラスを含む。上記ガラスはまた、(酸化物のモルパーセントで)合計0%~約8%の1つ以上のアルカリ土類酸化物(RO)も含むことができ、ここでROは、CaO、MgO、BaO、及びSrOから選択される。上記ガラスは、0~約0.9であるRO:(Al2O3+(0.5*B2O3))の比を特徴とすることができ、また更に約40キロポアズ~5000キロポアズの液相線粘度を有することができる。
【0008】
本開示の一態様によると、物品は、(成分含有量で)約60%~約80%のSiO2、0%~約13%のAl2O3、約15%~約28%のB2O3、及び0%~約1%の少なくとも1つの清澄剤を含むガラスを含む。上記ガラスはまた、(酸化物のモルパーセントで)合計0%~約8%の1つ以上のアルカリ土類酸化物(RO)も含み、ここでROは、CaO、MgO、BaO、及びSrOから選択される。上記ガラスは、約0.13~約0.35であるB2O3:(Al2O3+SiO2)の比を特徴とすることができ、また、いずれも10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率及び約0.01以下の損失正接を有することができる。上記ガラスは更に、約40キロポアズ~約5000キロポアズの液相線粘度を特徴とすることができる。
【0009】
本開示の一態様によると、物品は、(成分含有量で)約60%~約80%のSiO2、0%~約13%のAl2O3、約15%~約28%のB2O3、0%~約1%の少なくとも1つの清澄剤、並びにMgO及び少なくとも1つの追加のアルカリ土類酸化物(RO)を含むガラスを含み、ここで上記少なくとも1つの追加のROは、CaO、BaO、及びSrOから選択され、MgOと上記少なくとも1つの追加のROとの合計の総量(ROTotal)は、(酸化物のモルパーセントで)約3%~約15%である。上記ガラスは、いずれも10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率及び/又は約0.01以下の損失正接を有する。
【0010】
本開示の一態様によると、電子デバイスの基板用の物品は、(成分含有量で)約60%~約80%のSiO2、0%~約13%のAl2O3、約15%~約28%のB2O3、0%~約1%の少なくとも1つの清澄剤、並びにMgO及び少なくとも1つの追加のアルカリ土類酸化物(RO)から本質的になるガラスを含み、ここで上記少なくとも1つの追加のROは、CaO、BaO、及びSrOから選択され、MgOと上記少なくとも1つの追加のROとの合計の総量(ROTotal)は、(酸化物のモルパーセントで)約3%~約15%である。上記ガラスは、いずれも10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率及び/又は約0.01以下の損失正接を有する。
【0011】
本開示の一態様によると、物品は、(成分含有量で)SiO
2、Al
2O
3、及びB
2O
3、並びにLi
2O、Na
2O、K
2O、MgO、CaO、SrO、BaO、SnO
2、ZnO、La
2O
3、F、及びFe
2O
3のうちの少なくとも1つを含むガラスを含み、ここでSiO
2、Al
2O
3、及びB
2O
3の第1の合計(X
sum)、Li
2O、Na
2O、K
2O、MgO、CaO、SrO、及びBaOの第2の合計(Y
sum)、並びにSnO
2、ZnO、La
2O
3、F、及びFe
2O
3第3の合計(Z
sum)(X
sum、Y
sum、及びZ
sumは、酸化物のモルパーセントである)は、以下の境界点:
【0012】
によって更に定義されるようなXsum、Ysum、及びZsumの凸包内にあり、
上記ガラスは更に、(酸化物のモルパーセントの)式1及び式2:
-42.8440902+0.463763055*[SiO2]+0.520077325*[Al2O3]+0.468168738*[B2O3]+0.47253232*[Li2O]+2.11958583*[K2O]+0.499421381*[MgO]+0.558094225*[CaO]+0.805792958*[SrO]+0.637349469*[BaO]-0.17232118*[SnO2]+0.525853343*[ZnO]+0.261394654*[La2O3]+0.469279089*[F]≦10 式1
及び
0.756212572817506+[K2O]+0.209148876828416*[La2O3]+0.0884393206156657*[BaO]+0.0384462744417211*[CaO]+(5.95212630529679-[F])/[B2O3]+(254.196472343803-2.1615185467817*[B2O3])/[SiO2]≦10 式2
のうちの少なくとも1つによって定義され、
上記ガラスは、10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率を有する。
【0013】
本開示の別の態様によると、物品は、(成分含有量で)SiO
2、Al
2O
3、及びB
2O
3、並びにLi
2O、Na
2O、K
2O、MgO、CaO、SrO、BaO、SnO
2、ZnO、La
2O
3、F、及びFe
2O
3のうちの少なくとも1つを含むガラスを含み、ここでSiO
2、Al
2O
3、及びB
2O
3の第1の合計(X
sum)、Li
2O、Na
2O、K
2O、MgO、CaO、SrO、及びBaOの第2の合計(Y
sum)、並びにSnO
2、ZnO、La
2O
3、F、及びFe
2O
3の第3の合計(Z
sum)(X
sum、Y
sum、及びZ
sumは、酸化物のモルパーセントである)は、以下の境界点:
【0014】
によって更に定義されるようなXsum、Ysum、及びZsumの凸包内にあり、
上記ガラスは更に、(酸化物のモルパーセントの)式1及び式2:
-42.8440902+0.463763055*[SiO2]+0.520077325*[Al2O3]+0.468168738*[B2O3]+0.47253232*[Li2O]+2.11958583*[K2O]+0.499421381*[MgO]+0.558094225*[CaO]+0.805792958*[SrO]+0.637349469*[BaO]-0.17232118*[SnO2]+0.525853343*[ZnO]+0.261394654*[La2O3]+0.469279089*[F]≦10 式1
及び
0.756212572817506+[K2O]+0.209148876828416*[La2O3]+0.0884393206156657*[BaO]+0.0384462744417211*[CaO]+(5.95212630529679-[F])/[B2O3]+(254.196472343803-2.1615185467817*[B2O3])/[SiO2]≦10 式2
のうちの少なくとも1つによって定義され、
上記ガラスは、10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率を有する。
【0015】
更なる特徴及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」に記載され、またその一部は、「発明を実施するための形態」から、又は以下の「発明を実施するための形態」、特許請求の範囲及び添付の図面を含む本明細書に記載されている実施形態を実践することによって、当業者には容易に明らかとなるだろう。
【0016】
上述の「発明の概要」及び以下の「発明を実施するための形態」の両方は、単なる例であり、特許請求の範囲の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図したものであることを理解されたい。添付の図面は、更なる理解を提供するために含まれており、また本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する。これらの図面は、1つ以上の実施形態を図示しており、本説明と併せて、これら様々な実施形態の原理及び動作を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示による例示的なガラス、及び比較材料の、10GHzの信号周波数で測定された比誘電率及び損失正接を示すチャート
【
図2】本開示のある態様による、ガラスの、SiO
2、Al
2O
3及びB
2O
3の合計(X
sum)並びにLi
2O、Na
2O、K
2O、MgO、CaO、SrO、及びBaOの合計(Y
sum)の境界点によって定義される2次元凸包のプロット
【
図3】本開示のある態様による、ガラスのSiO
2、Al
2O
3、及びB
2O
3の合計(X
sum)並びにLi
2O、Na
2O、K
2O、MgO、CaO、SrO、及びBaOの合計(Y
sum)の境界点によって定義される2次元凸包のプロット
【
図4】本開示のある態様による、一連のガラス組成物に関する、比誘電率の測定値(D
k)の関数としての予測比誘電率(D
k)のプロット
【
図5】本開示のある態様による、一連のガラス組成物に関する、比誘電率の測定値(D
k)の関数としての予測比誘電率(D
k)のプロット
【
図6】本開示のある態様による、一連のガラス組成物に関する、損失正接の測定値の関数としての予測損失正接のプロット
【
図7】本開示のある態様による、一連のガラス組成物に関する、損失正接の測定値の関数としての予測損失正接のプロット
【
図8A】本開示のある態様による、アルカリ土類酸化物(RO)濃度の関数としての、一連のガラス組成物に関する比誘電率の測定値(D
k)のプロット
【
図8B】本開示のある態様による、アルカリ土類酸化物(RO)濃度の関数としての、一連のガラス組成物に関する損失正接の測定値のプロット
【
図9A】本開示のある態様による、アルカリ土類酸化物の総量(RO
Total)に対するMgO、CaO、又はBaOの量の比の関数としての、一連のガラス組成物に関する比誘電率の測定値(D
k)のプロット
【
図9B】本開示のある態様による、アルカリ土類酸化物の総量(RO
Total)に対するMgO、CaO、又はBaOの量の比の関数としての、一連のガラス組成物に関する損失正接の測定値のプロット
【
図10A】本開示のある態様による、ガラスの密度の関数としての、単一のRO種又は混合RO種を有する一連のガラス組成物に関する比誘電率の測定値(D
k)のプロット
【
図10B】本開示のある態様による、ガラスの密度の関数としての、単一のRO種又は混合RO種を有する一連のガラス組成物に関する損失正接の測定値のプロット
【
図11】単一のRO種又は混合RO種を有する一連のガラス組成物に関する、比誘電率の測定値(D
k)の関数としての予測比誘電率(D
k)のプロット
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の「発明を実施するための形態」では、限定ではなく説明を目的として、具体的詳細を開示する例示的実施形態を記載することによって、本開示の様々な原理の完全な理解を提供する。しかしながら、本開示を、本明細書で開示される上記具体的詳細から逸脱した他の実施形態においても実践できることは、本開示の利益を享受した当業者には明らかであろう。更に、本開示の様々な原理の説明を不明瞭にしないよう、公知のデバイス、方法、及び材料の説明を省略する場合がある。最後に、適用可能な限り、同様の参照番号は同様の要素を指す。
【0019】
本明細書において、範囲は、「約(about)」ある特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表現され得る。このような範囲が表現されている場合、別の実施形態は、上記ある特定の値から、及び/又は上記別の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」を用いることにより、値が概数として表現されている場合、上記特定の値は別の実施形態を形成することが理解されるだろう。更に、各範囲の端点は、他方の端点との関連でも、他方の端点とは独立しても、重要であることが理解されるだろう。
【0020】
特段の指定がない限り、全ての組成物は、バッチ処理されたままの(即ち成分含有量)モルパーセント(モル%)で表される。当業者には理解されるように、様々な溶融成分(例えばフッ素、アルカリ金属、ホウ素等)は、これらの成分の溶融中に、(例えば蒸気圧、溶融時間、及び/又は溶融温度に応じて)様々なレベルの揮発を受ける可能性がある。従って、このような成分に関する用語「約」は、本明細書中で提供されるバッチ処理されたままの組成物と比較して、最終的な物品を測定した場合に約1モル%以内の値を包含することを意図している。以上を念頭に置くと、最終的な物品とバッチ処理されたままの組成物との間に、実質的な組成の同等性が期待される。
【0021】
そうでないことが言明されていない限り、本明細書に記載のいずれの方法が、そのステップを特定の順序で実施することを必要とするものとして解釈されることは、全く意図されていない。従って、ある方法クレームが、そのステップが従うべき順序を実際に列挙していない場合、又はステップをある特定の順序に限定するべきであることが、特許請求の範囲若しくは説明中で具体的に言明されていない場合、ある1つの順序が推定されることはいかなる点でも全く意図されていない。これは:複数のステップの配置又は動作フローに関する論理の問題;文法的構成又は句読点から導出される明白な意味;本明細書に記載の実施形態の個数又はタイプを含む、解釈のためのいずれの非明示的根拠にも当てはまる。
【0022】
本明細書中で使用される場合、用語「凸包(convex hull)」は、ユークリッド空間内の一連のN個の点を内包する、最小の凸集合を指す。本開示では、凸包を定義するN個の点は、ガラス前駆組成物(即ちバッチ処理されたままのガラス組成物)中に存在し得る所定の一連の酸化物の濃度の合計に基づく。凸包を定義するN個の点は、原点0、並びにX、Y、及びZ座標軸を有する3次元デカルト座標系の座標として表される。各座標は、ガラス前駆組成物中に存在し得る上記所定の一連の酸化物の、ある所定のサブセットの濃度の合計に対応する。X、Y、及びZ座標はそれぞれ、上記酸化物の所定のサブセットの、合計Xsum、Ysum、及びZsumとして表すことができる。本明細書中で使用される場合、「境界点(boundary point)」は、原点0、並びにX、Y、及びZ座標軸を有する3次元デカルト座標系の座標として表される、凸包を定義するN個の点を指す。
【0023】
本明細書で使用される場合、単数形「ある(a、an)」及び「上記、その(the)」は、文脈上そうでないことが明らかでない限り、複数の指示対象を含む。従って例えば、「ある構成部品(a component)」に対する言及は、文脈上そうでないことが明らかでない限り、2つ以上のこのような構成部品を有する態様も含む。
【0024】
本明細書中で使用される場合、用語「CTE」は、特段の指定がない限り、約20℃~約300℃の温度範囲にわたって平均された、本開示中のガラス材料、要素等の熱膨張係数を指す。
【0025】
用語「薄いガラス(thin glass)」又は「比較的薄いガラス(relatively thin glass)」は、本開示における積層ガラス構造体に関して、相互交換可能なものとして使用され、約3mm以下の合計厚さを有する積層構造体を意味することを意図したものである。
【0026】
用語「厚さ加重平均比誘電率(Dk)(thickness weighted average dielectric constant(Dk))」は、本開示のガラス構造体、設計、又は物品の比誘電率を指す。特に、ある構造体の厚さ加重平均比誘電率(Dk)は、多層積層構造体のある層又は各層の厚さと、比誘電率の推定値又は測定値とを乗算し、複数の層それぞれに関する積を合計し、この合計を、ガラス構造体の合計厚さで除算することによって計算される。本明細書中で使用される場合、用語「比誘電率(dielectric constant)」は、特段の指定がない限り、厚さ加重平均比誘電率Dk、と相互交換可能なものとして使用される。
【0027】
用語「損失正接(loss tangent)」、「誘電損失正接(dielectric loss tangent)」、及び「誘電損失(dielectric loss)」は、本開示において、本開示の態様に関連する特定のガラス、層、又は積層構造体によってもたらされる電磁エネルギ(例えば熱)の固有の散逸を指すために、相互交換可能なものとして使用される。誘電損失(例えば熱として失われるエネルギの部分)が小さいほど、誘電材料の効果は高い。損失正接は、損失角δ又は対応する損失正接tanδのいずれかに関してパラメータ化できる。誘電率は、本開示のガラス等の物質の、外部電場の存在下で電気エネルギを貯蔵する能力である。更に、用語「誘電率(permittivity)」、及び「平均比誘電率(Dk)(average dielectric constant(Dk))」は、本開示中で相互交換可能なものとして使用される。比誘電率は、ある物質の、電場内で電気エネルギを貯蔵する能力を測定する量である。誘電率は、振動する場に関連する分極の位相及び大きさを記述するため、複素量である。用語「平均比誘電率(Dk)」、及び「相対誘電率(εr)(relative permittivity(εr))」は、本開示中で相互交換可能なものとして使用され、複素誘電率の実数部分(絶対誘電率)と自由空間の誘電率(真空誘電率)との間の比として定義される。εr>1である材料は、誘電材料であり、電気の良好でない導体であるとみなされ、比誘電率が比較的低い材料は、電流を伝導する材料において発生する絶縁破壊(これはほとんどの固体材料において材料の損傷をもたらす)を起こすことなく、より強い静電場に耐えることができる。「損失正接」は、複素誘電率の虚数部分と実数部分との間の比として表現される。一般に、ある材料の平均比誘電率及び損失正接は、外部場の周波数に左右される。従って、kHz範囲で測定される誘電特性は、マイクロ波周波数における誘電特性を表さない場合がある。更に、特段の記載がない限り、本開示のガラスの「損失正接」及び「平均比誘電率(Dk)」属性は、本開示の分野の当業者によって理解されるような技法に従って、スプリットポスト誘電共振器(split post dielectric resonator:SPDR)、又は開放空洞共振器構成によって、1GHz以上の周波数で測定できる。選択される特定の方法は、試料の厚さ及びその横方向寸法に基づいて選択できる。
【0028】
本開示の態様は、約10GHz以上の信号周波数で測定した場合に約10以下の比誘電率及び/又は約0.01以下の損失正接、並びにいくつかの態様では約0.008以下の損失正接を有するガラスを含む物品に関する。本開示のガラスは様々な電子デバイスにおいて、アンテナ、半導体回路、信号伝送構造、及びプリント回路基板(PCB)の基板等として利用できる。一態様では、本開示のガラス組成物は、様々な積層ガラス構造体、設計、及び物品を形成するために利用できる。
【0029】
いくつかの態様では、本開示のガラスは、SiO2、Al2O3、及びB2O3、並びにLi2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrO、BaO、SnO2、ZnO、La2O3、F、及びFe2O3のうちの少なくとも1つを含む。本開示の一態様によると、ガラス中に存在する各酸化物の量は、境界点Xsum、Ysum、及びZsumによって定義される凸包に対応する組成空間内にあり、ここでXsumは、SiO2、Al2O3、及びB2O3の第1の合計に基づいており、Ysumは、Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrO、及びBaOの第2の合計に基づいており、Zsumは、SnO2、ZnO、La2O3、F、及びFe2O3の第3の合計に基づいている。一態様では、ガラス組成物は、境界点Xsum、Ysum、及びZsum、によって定義される凸包内にあり、またこれは、約10GHzの周波数で測定した場合に約10以下の比誘電率及び/又は約0.008の損失正接を有する。
【0030】
いくつかの態様では、本開示のガラスは、SiO2、B2O3、及び任意にAl2O3を含むことができる。いくつかの態様では、SiO2、B2O3、及びAl2O3の量は、B2O3:(Al2O3+SiO2)の指定された比に従って、ガラス中に存在できる。例えば、本開示のガラスは、約0.13~約0.35である、B2O3:(Al2O3+SiO2)の比を有することができる。いくつかの実装形態では、上記ガラスは更に1つ以上のアルカリ土類酸化物(RO)を含み、ここでROは、CaO、MgO、BaO、及び/又はSrOである。任意に、上記ガラスは、清澄剤等の更なる成分を含むことができる。いくつかの実装形態では、上記ガラスは、極微量のアルカリ金属酸化物しか含まず、従ってアルカリ金属を略含まない。いくつかの実装形態では、アルカリ金属酸化物は上記ガラスに意図的には添加されない。本明細書中で使用される場合、「微量(trace amount)」又は「…を略含まない(substantially free)」は、0.2モル%未満の量を指す。
【0031】
いくつかの態様では、本開示のガラスは、SiO2、B2O3、及び任意にAl2O3を含むことができ、またこれは、MgO、及び少なくとも1つの追加のアルカリ土類酸化物(RO)を、MgOと上記少なくとも1つの追加のROとの総量(ROTotal)が約3モル%~約15モル%となるように含む。上記少なくとも1つの追加のROは、CaO、BaO、及びSrOから選択できる。本開示の態様による、MgOと少なくとも1つの追加のROとの組み合わせによって、単一のRO種しか含まないいくつかのガラスに比べて低い比誘電率及び/又は損失正接を有するガラスの形成を促進できる。
【0032】
本開示のガラスの実装形態は、電子デバイス、電子デバイス基板、及び他の同等の用途に好適となり得、これらの実装形態は、性能を大幅に低下させることなく、デバイス内での比較的高い周波数での通信を可能とする。というのは、性能は他の非電気的なデバイス要件に関連するためである。例えば、これらのデバイスでは比較的高い周波数の通信信号が使用されるため、これらの信号は様々な物理的障壁を通過しなければならず、上記物理的障壁は、本開示のガラス以外の場合にはこれらの信号を減衰させるか又は遮断する。従って、本開示のガラスはこれらの障壁としての使用に極めて好適となり得る。これらの物理的障壁の例は、以下の通りである:電子回路及び信号伝送構造の製作において使用される電気的絶縁基板;並びに高い信号周波数で動作する電子デバイスで採用される回路及び他の電子デバイス構成部品を格納するために使用できる、デバイスカバー及び他の関連構造体。
【0033】
いくつかの実装形態では、本開示のガラスはPCBの基板としての使用に好適である。PCBは典型的には、銅フィルムが積層された絶縁層を含む。いくつかの実装形態では、本開示のガラスは、低い損失正接と、任意に1つ以上のポリマー基板層との組み合わせでPCBの絶縁層として使用するのに好適な機械的特性とを特徴とする。任意に、本開示のガラスは、加工中のイオン移動の可能性を低減するために、アルカリ金属を略含まないものとすることができる。
【0034】
本開示のいくつかの態様は、製造に好適な、特に例えばスロットドロー、オーバーフローフュージョンドロー、及び積層フュージョン成形といった成形プロセスに好適な特性を有するガラスにも関する。フュージョンドロープロセスは、薄型ガラスシートの大規模製造に使用されている工業的技法である。フロート又はスロットドロープロセスといった他の平坦ガラス製造技法に比べてフュージョンドロープロセスでは、高い平坦性及び表面品質を有する薄型ガラスシートを得られる。その結果、フュージョンドロープロセスは多くの場合、(例えば液晶ディスプレイ用の、及び様々な個人用電子デバイスのカバーガラス用の)薄型ガラス基板の製作における支配的な製造技法である。
【0035】
フュージョンドロープロセスは、「アイソパイプ(isopipe)」として知られるトラフを越えて溶融ガラスを流すことを含み、上記トラフは典型的には、ジルコン又は別の耐火性材料で作製される。溶融ガラスは、両側からアイソパイプの上部を越えて流れ、アイソパイプの底部で出会って、単一のシートを形成し、最終的なシートの内側だけがアイソパイプに直接接触したものとなる。最終的なガラスシートの露出した表面は、ドロープロセス中にアイソパイプの材料に接触しないため、ガラスの両外側表面は清浄な品質のものとなり、後続の仕上げを必要としないものとすることができる。
【0036】
フュージョンドロープロセスを容易にするために、ガラスは望ましくは、十分に高い液相線粘度(即ち液相線温度における溶融ガラスの粘度)を有する。液相線粘度が高いと、フュージョン成形等のダウンドロープロセスによるガラスの成形を促進できる。更に、フュージョンドロープロセスは、ある範囲の粘度にわたって動作する。ガラスは典型的には、約20,000~35,000ポアズに対応する粘度でアイソパイプのトラフに送達され、約100,000ポアズ以上に対応する粘度でアイソパイプの基部から離れる。35,000ポアズの粘度に対応する温度を、ガラスをフュージョンドローのためにアイソパイプのトラフに送達することになる温度のガイドとして使用することが多い。本開示のガラスは、ダウンドロープロセスによる成形を促進する、35,000ポアズに対応する温度(本明細書中では「35,000ポアズ温度」と呼ばれる)を有する。典型的には、アイソパイプの耐火性物質の望ましくない経時的なクリープを最小限に抑えるために、低い35,000ポアズ温度が望ましい。
【0037】
200ポアズに対応する温度を、ガラスの好適な融点のガイドラインとして使用することが多い。いくつかの実装形態では、本開示のガラスは、成形を容易にするために、比較的高い200ポアズ温度を特徴とし、この200ポアズ温度は、ポアズ融点(Poise Melting Point)とも呼ばれる(本明細書中では「200ポアズ融点(200 Poise Melting Point)」とも呼ばれる)。
【0038】
上述のように、従来のフュージョンドロープロセスは単一のアイソパイプを用いて達成され、均質なガラス製品が得られる。より複雑なフュージョンドロープロセスを用いて、本開示のガラスを含む積層物品を形成できる。積層フュージョンドロープロセスでは、2つのアイソパイプを採用して、外側クラッド層によって片側又は両側が取り囲まれたコア組成物を含む、積層シートを形成する。
【0039】
本開示のガラスは、様々な電子デバイスの形成に使用するために好適な平均熱膨張係数(CTE)を有する、物品及び構造体を形成できる。一態様によると、本開示のガラスは、積層体(例えば機械的に強化された積層体)のコア及び/若しくはクラッド層として使用するため、又はPCBの基板として使用するために好適なCTE値を特徴とする。
【0040】
本開示のガラスは、酸化物のモル%で約50%(モル%)~約80モル%の量のSiO2を含むことができる。いくつかの態様では、SiO2の量は、約50モル%~約80モル%、約50モル%~約78モル%、約50モル%~約75モル%、約50モル%~約70モル%、約50モル%~約65モル%、約52モル%~約80モル%、約52モル%~約78モル%、約52モル%~約75モル%、約52モル%~約70モル%、約52モル%~約65モル%、約54モル%~約80モル%、約54モル%~約78モル%、約54モル%~約75モル%、約54モル%~約70モル%、約54モル%~約65モル%、約64モル%~約75モル%、約60モル%~約80モル%、約60モル%~約75モル%、約60モル%~約70モル%、約60モル%~約65モル%、約65モル%~約70モル%、約65モル%~約75モル%、約65モル%~約80モル%、約64モル%~約70モル%、約64モル%~約75モル%、約64モル%~約80モル%、約70モル%~約75モル%、約70モル%~約80モル%、又は約75モル%~約80モル%とすることができる。いくつかの態様では、SiO2の量は、約50モル%、約52モル%、約54モル%、約60モル%、約64モル%、約65モル%、約68モル%、約69モル%、約70モル%、約71モル%、約72モル%、約73モル%、約74モル%、約75モル%、約80モル%、又はこれらの値の間のいずれのSiO2の量とすることができる。
【0041】
本開示のガラスは、約7モル%~約28モル%の量のB2O3を含むことができる。いくつかの態様では、B2O3の量は、約7モル%~約28モル%、約7モル%~約26モル%、約7モル%~約25モル%、約7モル%~約20モル%、約9モル%~約28モル%、約9モル%~約26モル%、約9モル%~約25モル%、約9モル%~約20モル%、約15モル%~約28モル%、約16モル%~約26モル%、約15モル%~約28モル%、約15モル%~約25モル%、約15モル%~約20モル%、約15モル%~約18モル%、約20モル%~約28モル%、約20モル%~約26モル%、約20モル%~約24モル%、又は約20モル%~約22モル%とすることができる。いくつかの態様では、B2O3の量は、約7モル%、約8モル%、約9モル%、約10モル%、約11モル%、約12モル%、約13モル%、約14モル%、約15モル%、約16モル%、約17モル%、約18モル%、約19モル%、約20モル%、約21モル%、約22モル%、約23モル%、約24モル%、約25モル%、約26モル%、約27モル%、約28モル%、又はこれらの値の間のいずれのB2O3の量とすることができる。
【0042】
本開示のガラスは、0モル%~約15モル%の量のAl2O3を含むことができる。いくつかの態様では、Al2O3の量は、約0モル%~約15モル%、約0モル%~約14モル%、約0モル%~約13モル%、約0モル%~約12モル%、約0.05モル%~約15モル%、約0.05モル%~約14モル%、約0.05モル%~約13モル%、約0.05モル%~約12モル%、約0.09モル%~約15モル%、約0.09モル%~約14モル%、約0.09モル%~約13モル%、約0.09モル%~約12モル%、約0.1モル%~約15モル%、約0.1モル%~約14モル%、約0.1モル%~約13モル%、約0.1モル%~約12モル%、約1モル%~約15モル%、約1モル%~約12モル%、約0.1モル%~約13モル%、約1モル%~約13モル%、約1モル%~約10モル%、約1モル%~約7モル%、約1モル%~約5モル%、約1モル%~約3モル%、約3モル%~約15モル%、約3モル%~約13モル%、約3モル%~約10モル%、約3モル%~約7モル%、約3モル%~約5モル%、約5モル%~約15モル%、約5モル%~約13モル%、約5モル%~約10モル%、約5モル%~約7モル%、約7モル%~約15モル%、約7モル%~約13モル%、約7モル%~約10モル%、又は約10モル%~約13モル%である。いくつかの態様では、Al2O3の量は、約0モル%、約0.05モル%、約0.09モル%、約0.1モル%、約1モル%、約2モル%、約3モル%、約4モル%、約5モル%、約6モル%、約7モル%、約8モル%、約10モル%、約11モル%、約12モル%、約13モル%、約14モル%、約15モル%、又はこれらの値の間のいずれのAl2O3の量である。
【0043】
SiO2の量を増大させると、10GHz以上の周波数におけるガラスの比誘電率及び損失正接を低下させることができるが、SiO2の量を増大させると、ガラスの成形性、特にダウンドロープロセスによる成形性が低下する。例えば、SiO2の量が増大するにつれて、ガラスの液相線温度が上昇し得る。純SiO2は低いCTEを有し、またその高い融点により、ダウンドロープロセスに適合しない。B2O3を添加することによって、ガラスの粘度を低下させ、また液相線粘度を低下させて、特にダウンドロープロセスによるガラスの成形を容易にすることができる。B2O3は、粘度に比べて液相線温度をより迅速に低下させる効果を有することができ、従ってダウンドロープロセスによる成形のために、液相線粘度を改善できる。Al2O3は液相線温度を低下させることができ、従って液相線粘度を上昇させることができる。よって、SiO2、B2O3、及び任意にAl2O3の量を、本開示に従って選択することにより、ガラスの所望の誘電特性と成形性とのバランスを取ることができる。本開示のいくつかの態様では、ガラス中のSiO2、B2O3、及びAl2O3の量を、B2O3:(Al2O3+SiO2)の比が約0.13~約0.35となるように選択してよい。いくつかの態様では、B2O3:(Al2O3+SiO2)の比は、約0.13~約0.35、約0.13~約0.34、約0.13~約0.3、約0.13~約0.28、約0.13~約0.26、約0.13~約0.24、約0.13~約0.22、約0.13~約0.2、約0.22~約0.35、約0.22~約0.24、約0.29~約0.34、約0.28~約0.35、約0.22~約0.3、約0.22~約0.28、約0.22~約0.26、約0.24~約0.35、約0.24~約0.3、約0.24~約0.28、約0.26~約0.35、又は約0.26~約0.3である。いくつかの態様では、B2O3:(Al2O3+SiO2)の比は、約0.13、約0.14、約0.15、約0.16、約0.17、約0.18、約0.19、約0.2、約0.21、約0.22、約0.23、約0.24、約0.29、約0.30、約0.31、約0.32、約0.33、又は約0.34である。
【0044】
いくつかの実装形態では、SiO2及びB2O3の量は、SiO2とB2O3との合計が約86モル%~約97モル%となるように選択される。いくつかの態様では、SiO2とB2O3との合計は、約86モル%~約97モル%、約86モル%~約94モル%、約86モル%~約90モル%、約86モル%~約88モル%、約90モル%~約97モル%、約90モル%~約94モル%、約93モル%~約97モル%、又は約94モル%~約97モル%とすることができる。いくつかの態様では、SiO2とB2O3との合計は、約86モル%、約87モル%、又は約88モル%とすることができる。
【0045】
いくつかの実装形態では、ガラス中のSiO2、B2O3、及びAl2O3の量は、SiO2、B2O3、及びAl2O3の合計が約60モル%~約99.9モル%となるように選択される。いくつかの態様では、SiO2、B2O3、及びAl2O3の合計は、約60モル%~約99.9モル%、約60モル%~約95モル%、約60モル%~約90モル%、約60モル%~約85モル%、約60モル%~約80モル%、約60モル%~約75モル%、約60モル%~約70モル%、約65モル%~約99.9モル%、約65モル%~約95モル%、約65モル%~約90モル%、約65モル%~約85モル%、約65モル%~約80モル%、約65モル%~約75モル%、約65モル%~約70モル%、約70モル%~約99.9モル%、約70モル%~約95モル%、約70モル%~約90モル%、約70モル%~約85モル%、約70モル%~約80モル%、約70モル%~約75モル%、約75モル%~約99.9モル%、約75モル%~約95モル%、約75モル%~約90モル%、約75モル%~約85モル%、約75モル%~約80モル%、約80モル%~約99.9モル%、約80モル%~約95モル%、約80モル%~約90モル%、又は約80モル%~約85モル%である。いくつかの態様では、SiO2、B2O3、及びAl2O3の合計は、約60モル%、約61モル%、約62モル%、約63モル%、約64モル%、約65モル%、約70モル%、約71モル%、約72モル%、約73モル%、約74モル%、約75モル%、約76モル%、約77モル%、約78モル%、約79モル%、約80モル%、約84モル%、約85モル%、約86モル%、約87モル%、約88モル%、約89モル%、約90モル%、約94モル%、約95モル%、約96モル%、約98モル%、約99モル%、約99.9モル%、又はこれらの値の間のいずれの合計である。
【0046】
いくつかの態様によると、ガラスは、1つ以上のアルカリ土類酸化物(RO)が存在する場合にこれを含むことができ、ここでROはCaO、MgO、BaO、及び/又はSrOである。いくつかの態様では、1つ以上のアルカリ土類酸化物は、個別に、又は合計量で、0モル%~約15モル%、0モル%~約12モル%、0モル%~約10モル%、0モル%~約8モル%、0モル%~約5モル%、約0.001モル%~約15モル%、約0.001モル%~約12モル%、約0.001モル%~約10モル%、約0.001モル%~約8モル%、約0.001モル%~約8.5モル%、約0.001モル%~約5モル%、約1モル%~約15モル%、約1モル%~約12モル%、約1モル%~約10モル%、約1モル%~約8モル%、約1モル%~約8.5モル%、約1モル%~約5モル%、約2モル%~約15モル%、約2モル%~約12モル%、約2モル%~約10モル%、約2モル%~約8モル%、約2モル%~約8.5モル%、約2モル%~約5モル%、約5モル%~約15モル%、約5モル%~約12モル%、約5モル%~約10モル%、又は約5モル%~約8モル%だけ存在する。いくつかの態様では、1つ以上のアルカリ土類酸化物は、個別に、又は合計量で、0モル%、約0.001モル%、約0.002モル%、約0.01モル%、約0.3モル%、約0.5モル%、約1モル%、約1.4モル%、約1.5モル%、約2モル%、約2.5モル%、約3モル%、約4モル%、約5モル%、約6モル%、約7モル%、約8モル%、約8.1モル%、約8.5モル%、約8.7モル%、約8.8モル%、約9モル%、約9.5モル%、約10モル%、約10.5モル%、約11モル%、約12モル%、約13モル%、約14モル%、約15モル%、又はこれらの値の間のいずれの量だけ存在する。
【0047】
いくつかの実装形態では、ガラスはCaO及び/又はMgOを含むことができる。いくつかの態様では、CaOは0モル%~約10モル%の量だけ存在し、MgOは0モル%~約13モル%の量だけ存在する。いくつかの態様では、CaOは、0モル%~約10モル%、0モル%~約9モル%、0モル%~約8モル%、0モル%~約6モル%、0モル%~約4モル%、約0.01モル%~約10モル%、約0.01モル%~約9モル%、約0.01モル%~約8モル%、約0.01モル%~約6モル%、約0.01モル%~約4モル%、約0.1モル%~約10モル%、約0.1モル%~約9モル%、約0.1モル%~約8モル%、約0.1モル%~約6モル%、約0.1モル%~約4モル%、約1モル%~約10モル%、約1モル%~約9モル%、約1モル%~約8モル%、約1モル%~約6モル%、又は約1モル%~約4モル%の量だけ存在する。例えば、CaOは、0モル%、約0.01モル%、約0.1モル%、約1モル%、約2モル%、約3モル%、約4モル%、約5モル%、約6モル%、約7モル%、約8モル%、約9モル%、約10モル%、又はこれらの値の間のいずれの量だけ存在できる。いくつかの態様では、MgOは、0モル%~約13モル%、0モル%~約12モル%、0モル%~約10モル%、0モル%~約9モル%、0モル%~約8モル%、0モル%~約6モル%、0モル%~約4モル%、約0.01モル%~約13モル%、約0.01モル%~約12モル%、約0.01モル%~約10モル%、約0.01モル%~約9モル%、約0.01モル%~約8モル%、約0.01モル%~約6モル%、約0.01モル%~約4モル%、約0.1モル%~約13モル%、約0.1モル%~約12モル%、約0.1モル%~約10モル%、約0.1モル%~約9モル%、約0.1モル%~約8モル%、約0.1モル%~約6モル%、約0.1モル%~約4モル%、約1モル%~約13モル%、約1モル%~約12モル%、約1モル%~約10モル%、約1モル%~約9モル%、約1モル%~約8モル%、約1モル%~約6モル%、又は約1モル%~約4モル%の量だけ存在する。例えば、MgOは、0モル%、約0.01モル%、約0.1モル%、約1モル%、約2モル%、約3モル%、約4モル%、約5モル%、約6モル%、約7モル%、約8モル%、約9モル%、約10モル%、約11モル%、約12モル%、約13モル%、又はこれらの値の間のいずれの量だけ存在できる。
【0048】
本開示のいくつかの態様によると、ガラスは、MgOと、CaO、BaO、及びSrOから選択される少なくとも1つの追加のアルカリ土類酸化物(RO)とを含むことができる。いくつかの例では、MgOと上記少なくとも1つの追加のROとの組み合わせにより、MgO又は別のROを単独で含むガラスに比べて低い比誘電率及び/又は損失正接を有するガラスを得ることができる。一態様では、MgOと上記少なくとも1つの追加のROとの総量(ROTotal)は、約3モル%~約15モル%とすることができる。例えば、ROTotalは、約3モル%~約15モル%、約3モル%~約12モル%、約3モル%~約10モル%、約3モル%~約8モル%、約3モル%~約6モル%、約4モル%~約15モル%、約4モル%~約12モル%、約4モル%~約10モル%、約4モル%~約8モル%、約4モル%~約6モル%、約5モル%~約15モル%、約3モル%~約12モル%、約5モル%~約10モル%、約5モル%~約8モル%、約6モル%~約15モル%、約6モル%~約12モル%、約6モル%~約10モル%、約6モル%~約8モル%、約8モル%~約15モル%、約8モル%~約12モル%、又は約8モル%~約10モル%とすることができる。例えば、ROTotalは、約3モル%、約4モル%、約5モル%、約6モル%、約7モル%、約8モル%、約9モル%、約10モル%、約11モル%、約12モル%、約13モル%、約14モル%、約15モル%、又はこれらの値の間のいずれの量とすることができる。
【0049】
いくつかの態様では、ROTotalに対するMgOの量の比(MgO:ROTotal)は、少なくとも0.3、少なくとも0.4、少なくとも0.5、少なくとも0.6、少なくとも0.7又は少なくとも0.8である。例えば、MgO:ROTotalは、約0.3~約0.9、約0.3~約0.8、約0.3~約0.7、約0.3~約0.6、約0.3~約0.5、約0.3~約0.4、約0.4~約0.9、約0.4~約0.8、約0.4~約0.7、約0.4~約0.6、約0.4~約0.5、約0.5~約0.9、約0.5~約0.8、約0.5~約0.7、約0.5~約0.6、約0.6~約0.9、約0.6~約0.8、又は約0.6~約0.7である。いくつかの例では、MgO:ROTotalは、約0.3、約0.31、約0.36、約0.38、約0.4、約0.42、約0.44、約0.45、約0.48、約0.49、約0.5、約0.59、約0.6、約0.63、約0.69、約0.7、約0.8、約0.86、約0.9、又はこれらの値の間のいずれの比である。
【0050】
一実装形態によると、上記少なくとも1つの追加のROはCaOであり、MgOは約1モル%~約10モル%の量だけ存在し、CaOは約1モル%~約10モル%の量だけ存在する。例えば、MgOは、約1モル%~約10モル%、約2モル%~約10モル%、約3モル%~約10モル%、約4モル%~約10モル%、約5モル%~約10モル%、約1モル%~約8モル%、約2モル%~約8モル%、約3モル%~約8モル%、約4モル%~約8モル%、約5モル%~約8モル%、約1モル%~約7モル%、約2モル%~約7モル%、約3モル%~約7モル%、約4モル%~約7モル%、約5モル%~約7モル%、約1モル%~約5モル%、約2モル%~約5モル%、約3モル%~約5モル%、又は約4モル%~約5モル%の量だけ、約1モル%~約10モル%、約2モル%~約10モル%、約3モル%~約10モル%、約4モル%~約10モル%、約5モル%~約10モル%、約1モル%~約8モル%、約2モル%~約8モル%、約3モル%~約8モル%、約4モル%~約8モル%、約5モル%~約8モル%、約1モル%~約7モル%、約2モル%~約7モル%、約3モル%~約7モル%、約4モル%~約7モル%、約5モル%~約7モル%、約1モル%~約5モル%、約2モル%~約5モル%、約3モル%~約5モル%、又は約4モル%~約5モル%の量のCaOとのいずれの組み合わせで存在できる。
【0051】
一実装形態によると、上記少なくとも1つの追加のROはSrOであり、MgOは約1モル%~約10モル%の量だけ存在し、SrOは約1モル%~約5モル%の量だけ存在する。例えば、MgOは、約1モル%~約10モル%、約2モル%~約10モル%、約3モル%~約10モル%、約4モル%~約10モル%、約5モル%~約10モル%、約1モル%~約8モル%、約2モル%~約8モル%、約3モル%~約8モル%、約4モル%~約8モル%、約5モル%~約8モル%、約1モル%~約5モル%、約2モル%~約5モル%、約3モル%~約5モル%、又は約4モル%~約5モル%の量だけ、約1モル%~約5モル%、約2モル%~約5モル%、約3モル%~約5モル%、約4モル%~約5モル%、約2モル%~約4モル%、又は約3モル%~約4モル%の量のSrOとのいずれの組み合わせで存在できる。
【0052】
いくつかの態様では、MgOの量と、追加のROの量とは、上述のように、そしてAl2O3に対するROTotalの比(ROTotal:Al2O3)が1より大きくなるようにAl2O3の量に呼応して、選択される。ガラスにおいて比ROTotal:Al2O3を1超とすることにより、従来のガラス成形プロセスを用いてドロー加工できる、製造可能なガラスの成形を容易にすることができる。
【0053】
いかなる理論によっても束縛されることを望むものではないが、単一のRO種を含む前駆組成物に由来するガラスに関して、この単一のRO種の濃度が低下するに従って、10GHzの信号を用いて測定した場合の上記前駆組成物に由来するガラスの比誘電率及び損失正接も低下すると考えられる。よって所与のガラスに関して、該ガラス中に存在する単一のRO種の濃度を低下させることによって、ガラス試料においてより低い比誘電率及び/又は損失正接を達成できる。更に、所与のROTotal濃度に関して、MgOをCaO、SrO、及び/又はBaO等の少なくとも1つの追加のRO種と組み合わせることによって、ROTotal濃度は同様であるものの単一のRO種しか含まない前駆組成物に由来するガラスに比べて、ガラス試料において低下した比誘電率及び/又は損失正接を達成できると考えられる。例えば、所与のROTotal濃度に関して、本開示によるMgOとCaO、SrO、及び/又はBaOとの組み合わせを含むガラスは、MgO、CaO、SrO、及びBaOから選択される単一のRO種しか含まないガラスに比べて、低い比誘電率を有することができる。別の例では、所与のROTotal濃度に関して、本開示によるMgOとCaO、SrO、及び/又はBaOとの組み合わせを含むガラスは、CaO、SrO、及びBaOから選択される単一のRO種しか含まないガラスよりも、低い損失正接を有することができる。
【0054】
いくつかの態様では、所望の特性を有するガラスを提供するために、ガラス中のアルカリ土類酸化物の量を、B2O3及び任意にAl2O3といった他の材料に呼応して選択できる。例えば、SiO2及びAl2O3に比べてアルカリ土類酸化物の量を増大させることは、ガラス溶融物の粘度を低下させる効果を有することができ、融点及び成形温度を上昇させることができる。アルカリ土類酸化物は、ガラスのCTE及び密度も上昇させることができ、また弾性率等の他の特性にも影響を及ぼし得る。アルカリ土類酸化物はまた、液相線温度を低下させることができる。よっていくつかの態様では、アルカリ土類酸化物B2O3及びAl2O3の量を、本開示に従って選択することによって、ガラスの所望の物理的特性と成形性とのバランスを取ることができる。いくつかの実装形態では、アルカリ土類酸化物B2O3及びAl2O3の量は、ガラス中のROTotal:(Al2O3+(0.5*B2O3))の比が約0~約0.9となるように選択される。いくつかの態様では、ROTotal:(Al2O3+(0.5*B2O3))の比は、約0~約0.9、約0~約0.8、約0~約0.7、約0~約0.6、約0~約0.5、約0~約0.3、約0.1~約0.9、約0.1~約0.8、約0.1~約0.7、約0.1~約0.6、約0.1~約0.5、約0.2~約0.9、約0.2~約0.8、約0.2~約0.7、約0.2~約0.6、約0.2~約0.5、約0.3~約0.9、約0.3~約0.8、約0.3~約0.7、約0.3~約0.6、約0.3~約0.5、約0.4~約0.9、約0.4~約0.8、約0.4~約0.7、約0.4~約0.6、約0.1~約0.5、約0.1~約0.4、約0.1~約0.3、約0.1~約0.2、約0.2~約0.5、約0.2~約0.4、約0.2~約0.3、約0.3~約0.5、約0.3~約0.4、約0.4~約0.5である。いくつかの態様では、ROTotal:(Al2O3+(0.5*B2O3))の比は、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、又はこれらの値の間のいずれの比である。
【0055】
いくつかの実装形態では、アルカリ土類酸化物B2O3及びAl2O3の量は、ガラス中のROTotal:(Al2O3+B2O3)の比が約0.2~約0.6となるように選択される。いくつかの態様では、ROTotal:(Al2O3+B2O3)の比は、約0.2~約0.6、約0.2~約0.5、約0.2~約0.4、約0.3~約0.6、約0.3~約0.5、約0.3~約0.4、約0.4~約0.6、約0.4~約0.5、又は約0.5~約0.6である。いくつかの態様では、ROTotal:(Al2O3+B2O3)の比は、約0.2、約0.24、約0.25、約0.28、約0.29、約0.3、約0.32、約0.35、約0.36、約0.4、約0.5、約0.55、約0.58、約0.6、又はこれらの値の間のいずれの比である。
【0056】
いくつかの態様では、本開示のガラスは、約25℃(おおよそ室温)で測定した場合に約2.2g/cm3~約2.5g/cm3の密度を有する。例えばガラスは、約25℃(おおよそ室温)で測定した場合に約2.2g/cm3~約2.5g/cm3、約2.3g/cm3~約2.5g/cm3、約2.4g/cm3~約2.5g/cm3、約2.2g/cm3~約2.4g/cm3、約2.3g/cm3~約2.4g/cm3、又は約2.2g/cm3~約2.3g/cm3の密度を有してよい。
【0057】
本開示のガラスは任意に、非限定的な例としてSnO2、Sb2O3、As2O3、及び/又はフッ素、塩素、若しくは臭素塩とを含む1つ以上のハロゲン塩といった、1つ以上の清澄剤を含んでよい。清澄剤がガラス中に存在する場合、清澄剤は約1モル%未満の総量で存在してよい。いくつかの態様では、清澄剤は、約0.01モル%~約1モル%、約0.01モル%~約0.5モル%、約0.01モル%~約0.25モル%、約0.01モル%~約0.1モル%、約0.05モル%~約0.1モル%、約0.05モル%~約0.25モル%、約0.05モル%~約0.5モル%、又は約0.05モル%~約1モル%の量だけ存在する。いくつかの態様では、清澄剤は、約0.08モル%、約0.09モル%、又は約0.1モル%の量だけ存在する。清澄剤の含有量が多すぎると、清澄剤がガラス構造内に入り込んで様々なガラスの特性に影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、清澄剤の含有量が少なすぎると、ガラスの成形が困難になる可能性がある。本開示の一態様によると、SnO2は清澄剤として、0モル%~約0.3モル%の量だけ含まれる。例えば、SnO2は、0モル%~約0.3モル%、0モル%~約0.2モル%、0モル%~約0.1モル%、約0.05モル%~約0.3モル%、約0.05モル%~約0.2モル%、又は約0.05モル%~約0.1モル%の量だけ存在してよい。
【0058】
ガラスは任意に、TiO2等の汚染物質又は意図しない添加物を含む場合がある。これらの追加の材料が存在する場合、これらは、0.2モル%未満という超少量又は微量だけ存在する。
【0059】
いくつかの実装形態では、ガラスはアルカリ金属を略含まない。本明細書中で使用される場合、句「略含まない(substantially free)」は、材料、この場合はアルカリ金属酸化物が微量未満しか存在しないことを意味すると定義される。微量のアルカリ金属酸化物は、汚染又は製造時の制約によって存在する可能性がある。上述のように、いくつかの実装形態では、本開示のガラスは、加工中のイオン移動の可能性を低減するために、ガラスがアルカリ金属を略含まないものとなるよう、アルカリ金属を添加することなく調製できる。イオン移動の可能性を低減又は最小化することは、イオン移動が望ましくない場合がある電子デバイスの基板としてガラスを使用する場合等のいくつかの用途において、有利となり得る。
【0060】
いくつかの実装形態では、本開示のガラスは少なくとも1つアルカリ金属酸化物(R2O)を含むことができ、ここでR2Oは、Li2O、Na2O、及び/又はK2Oである。いくつかの態様では、上記1つ以上のアルカリ金属酸化物は、個別に、又は合計量で、0モル%~約6モル%だけ存在する。いくつかの態様では、上記1つ以上のアルカリ金属酸化物は、個別に、又は合計量で、0モル%~約6モル%、0モル%~約5モル%、0モル%~約4モル%、0モル%~約3モル%、0モル%~約2モル%、約0.0005モル%~約6モル%、約0.0005モル%~約5モル%、約0.0005モル%~約4モル%、約0.0005モル%~約3モル%、約0.0005モル%~約2モル%、約0.001モル%~約6モル%、約0.001モル%~約5モル%、約0.001モル%~約4モル%、約0.001モル%~約3モル%、約0.001モル%~約2モル%、約0.01モル%~約6モル%、約0.01モル%~約5モル%、約0.01モル%~約4モル%、約0.01モル%~約3モル%、約0.01モル%~約2モル%、約0.1モル%~約6モル%、約0.1モル%~約5モル%、約0.1モル%~約4モル%、約0.1モル%~約3モル%、約0.1モル%~約2モル%、約1モル%~約6モル%、約1モル%~約5モル%、約1モル%~約4モル%、約1モル%~約3モル%、又は約1モル%~約2モル%だけ存在する。例えば、Li2Oは、0モル%~約6モル%、0モル%~約5モル%、0モル%~約4モル%、0モル%~約3モル%、約0.1モル%~約6モル%、約0.1モル%~約5モル%、約0.1モル%~約4モル%、約0.1モル%~約3モル%、約1モル%~約6モル%、約1モル%~約5モル%、約1モル%~約4モル%、又は約1モル%~約3モル%の量だけ存在できる。別の例では、Na2Oは、0モル%~約0.05モル%、0モル%~約0.01モル%、0モル%~約0.005モル%、0モル%~約0.001モル%、約0.001モル%~約0.05モル%、約0.001モル%~約0.01モル%、又は約0.001モル%~約0.005モル%の量だけ存在できる。別の例では、K2Oは、0モル%~約2モル%、0モル%~約1モル%、0モル%~約0.5モル%、約0.1モル%~約2モル%、約0.1モル%~約1モル%、約0.1モル%~約0.5モル%、約0.5モル%~約2モル%、又は約0.5モル%~約1モル%の量だけ存在できる。
【0061】
いくつかの態様では、本開示のガラスは、10GHzの信号で測定した場合に、約10以下の比誘電率Dkを特徴とすることができる。いくつかの実装形態では、ガラスは、10GHzの信号で測定した場合に、約10以下、約8以下、約7.5以下、約6以下、約5以下、約4以下、又は約3以下の比誘電率Dkを有する。いくつかの実装形態では、ガラスは、10GHzの信号で測定した場合に、約2~約10、約3~約10、約4~約10、約5~約10、約6~約10、約7~約10、約8~約10、約9~約10、約2~約8、約2~約6、約2~約4、約3~約10、約3~約8、約3~約6、約3~約5、約3~約4、約4~約6、約4~約8、又は約4~約10の比誘電率Dkを有する。いくつかの態様では、ガラスは、10GHzの信号で測定した場合に、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4.5、約4、約3.5、約3、又はこれらの値の間のいずれの比誘電率Dkを有する。
【0062】
いくつかの態様では、本開示のガラスは、10GHzの信号で測定した場合に約0.01以下の損失正接を特徴とすることができる。いくつかの実装形態では、本開示のガラスは、10GHzの信号で測定した場合に、約0.01以下、約0.008以下、約0.005以下、約0.0025以下、又は約0.001以下の損失正接を特徴とする。いくつかの態様では、本開示のガラスは、10GHzの信号で測定した場合に、約0.0004~約0.01、約0.001~約0.01、約0.0025~約0.01、約0.005~約0.01、約0.0004~約0.001、約0.0004~約0.0025、約0.0004~約0.005、約0.001~約0.0025、約0.001~約0.005、約0.0025~約0.005、約0.0004~約0.008、約0.001~約0.008、約0.0025~約0.008、又は約0.005~約0.008の損失正接を特徴とする。いくつかの態様では、本開示のガラスは、10GHzの信号で測定した場合に、約0.0004、約0.001、約0.002、約0.0025、約0.003、約0.004、約0.005、約0.006、約0.007、約0.008、又はこれらの値の間のいずれの損失正接を有する。
【0063】
いくつかの実装形態では、ガラスは、いずれも10GHzの信号で測定した場合に、約10以下、約8以下、約7.5以下、約6以下、約5以下、約4以下、又は約3以下の比誘電率Dkと、約0.01以下、約0.008以下、約0.005以下、約0.0025以下、又は約0.001以下の損失正接とを有する。例えば、本開示のガラスは、いずれも10GHzの信号で測定した場合に、約2~約10、約3~約10、約4~約10、約5~約10、約6~約10、約7~約10、約8~約10、約9~約10、約2~約8、約2~約6、約2~約4、約3~約10、約3~約8、約3~約6、約3~約5、約3~約4、約4~約6、約4~約8、又は約4~約10の比誘電率Dkと、約0.0004~約0.01、約0.001~約0.01、約0.0025~約0.01、約0.005~約0.01、約0.0004~約0.001、約0.0004~約0.0025、約0.0004~約0.005、約0.001~約0.0025、約0.001~約0.005、約0.0025~約0.005、約0.0004~約0.008、約0.001~約0.008、約0.0025~約0.008、又は約0.005~約0.008の損失正接とを有することができる。いくつかの例では、本開示のガラスは、いずれも10GHzの信号で測定した場合に、約10以下の比誘電率、及び約0.01以下の損失正接を有する。他の例では、本開示のガラスは、いずれも10GHzの信号で測定した場合に、約7.5以下の比誘電率、及び約0.005以下の損失正接、又はいずれも10GHzの信号で測定した場合に、約5以下の比誘電率、及び約0.005以下の損失正接を有する。いくつかの例では、本開示のガラスは、いずれも10GHzの信号で測定した場合に、約10以下の比誘電率、及び約0.008以下の損失正接を有する。
【0064】
本開示の一態様によると、本開示のガラスは、フュージョンドロー等のダウンドロープロセスを用いたガラス積層体の形成を容易にするCTEを有することができる。上述のように、積層フュージョンドロープロセスでは、2つのアイソパイプを採用して、外側クラッド層によって片側又は両側が取り囲まれたコア組成物を含む、積層シートを形成する。例えば、本開示のガラスは、約31×10-7/℃のCTEを有するコアガラス層を取り囲むクラッドとして使用できる。別の例では、本開示のガラスはクラッドとして使用でき、ここでコアガラス層はより高いCTEを有し、従って、コアガラス層とクラッド層との間に、クラッドのCTEがコアのCTE以下となるCTEミスマッチが存在する。このようなCTEミスマッチは、冷却時に、ガラスシートの外側領域の圧縮応力、及びガラスシートの内側領域の引張応力の形成をもたらすことができ、これによってガラスを強化できる。高CTEガラスの一例は、84×10-7/℃のCTEを有するガラスである。
【0065】
いくつかの態様では、本開示のガラスは、比較的低いCTEを特徴とし、これは、クラッド層がコア層よりも低いCTEを有するガラス積層体のためのクラッド層、及び他の実装形態において、有益となり得る。いくつかの態様では、本開示のガラスはまた、0℃~300℃で測定した場合に約25×10-7/℃~約65×10-7/℃の平均CTEを特徴としていてよい。いくつかの態様では、本開示のガラスは、25℃~300℃で測定した場合に約25×10-7/℃~約60×10-7/℃、約25×10-7/℃~約55×10-7/℃、約25×10-7/℃~約50×10-7/℃、約25×10-7/℃~約45×10-7/℃、約25×10-7/℃~約40×10-7/℃、約25×10-7/℃~約35×10-7/℃、約25×10-7/℃~約30×10-7/℃、約30×10-7/℃~約65×10-7/℃、約30×10-7/℃~約60×10-7/℃、約30×10-7/℃~約55×10-7/℃、約30×10-7/℃~約50×10-7/℃、約30×10-7/℃~約30×10-7/℃、約30×10-7/℃~約40×10-7/℃、約30×10-7/℃~約35×10-7/℃、約35×10-7/℃~約65×10-7/℃、約35×10-7/℃~約60×10-7/℃、約35×10-7/℃~約55×10-7/℃、約35×10-7/℃~約50×10-7/℃、約35×10-7/℃~約45×10-7/℃、約35×10-7/℃~約40×10-7/℃、約40×10-7/℃~約65×10-7/℃、約40×10-7/℃~約60×10-7/℃、約40×10-7/℃~約55×10-7/℃、約40×10-7/℃~約50×10-7/℃、約40×10-7/℃~約45×10-7/℃、約50×10-7/℃~約60×10-7/℃、約50×10-7/℃~約55×10-7/℃、約50×10-7/℃~約65×10-7/℃、約55×10-7/℃~約60×10-7/℃、又は約55×10-7/℃~約65×10-7/℃のCTEを特徴とする。いくつかの態様では、本開示のガラスは、25℃~300℃で測定した場合に、約28×10-7/℃、29×10-7/℃、30×10-7/℃、31×10-7/℃、32×10-7/℃、33×10-7/℃、34×10-7/℃、又は35×10-7/℃のCTEを有する。
【0066】
いくつかの実装形態では、本開示のガラスはまた、約40キロポアズ~約5000キロポアズの液相線粘度を特徴とすることができる。いくつかの態様では、本発明のガラスは、約40キロポアズ~約3000キロポアズ、約40キロポアズ~約2000キロポアズ、約40キロポアズ~約1000キロポアズ、約40キロポアズ~約800キロポアズ、約40キロポアズ~約600キロポアズ、約40キロポアズ~約400キロポアズ、約40キロポアズ~約300キロポアズ、約40キロポアズ~約250キロポアズ、約40キロポアズ~約200キロポアズ、約40キロポアズ~約100キロポアズ、約100キロポアズ~約500キロポアズ、約100キロポアズ~約400キロポアズ、約100キロポアズ~約300キロポアズ、約100キロポアズ~約200キロポアズ、約200キロポアズ~約300キロポアズ、約200キロポアズ~約400キロポアズ、約200キロポアズ~約500キロポアズ、約200キロポアズ~約5000キロポアズ、約200キロポアズ~約3000キロポアズ、約200キロポアズ~約2000キロポアズ、又は約200キロポアズ~約1000キロポアズの液相線粘度を有する。
【0067】
いくつかの実装形態では、本開示のガラスはまた、約1110℃~約1325℃の35,000ポアズ温度を特徴とすることができる。いくつかの態様では、上記35,000ポアズ温度は、約1110℃~約1300℃、約1110℃~約1250℃、約1110℃~約1200℃、約1200℃~約1325℃、約1250℃~約1325℃、約1300℃~約1325℃、約1200℃~約1300℃、約1200℃~約1250℃、又は約1250℃~約1300℃である。いくつかの態様では、本開示のガラスの35,000ポアズ温度は、約1120℃、約1180℃、約1190℃、約1200℃、又は約1250℃である。
【0068】
いくつかの実装形態では、本開示のガラスはまた、約1600℃~約1825℃を特徴とすることができる。いくつかの態様では、本発明のガラスの200ポアズ融点は、約1600℃~約1800℃、約1600℃~約1750℃、約1600℃~約1700℃、約1600℃~約1650℃、1640℃~約1825℃、1640℃~約1800℃、約1640℃~約1750℃、約1640℃~約1700℃、約1640℃~約1675℃、約1675℃~約1825℃、約1675℃~約1800℃、約1675℃~約1750℃、約1675℃~約1700℃、約1700℃~約1825℃、約1700℃~約1800℃、約1700℃~約1750℃、約1750℃~約1825℃、又は約1750℃~約1800℃である。いくつかの態様では、上記200ポアズ融点は、約1660℃、約1670℃、約1680℃、約1690℃、約1700℃、又は約1800℃である。
【0069】
いくつかの実装形態では、本開示のガラスは、プリント回路基板(PCB)用途での使用に好適である。PCB積層体は典型的には、銅フィルムに積層された絶縁層を含み、上記絶縁層は銅クラッドフィルムの間に配置される。絶縁層は好ましくは、例えば10GHzにおいて0.005未満の低い誘電損失、並びに製造環境における取り扱い及び後加工を可能にする十分な機械的強度及び破壊靭性を有する。絶縁層はまた、破損又は破壊なしにビア/孔の穿孔に耐えることができなければならず、また用途に応じて、約100~700マイクロメートルの厚さを有することができる。
【0070】
更に、絶縁層は好ましくは、寸法安定性を維持したまま、最高260℃の温度に30秒間耐えることができる。この温度は通常、PCB基板の後加工におけるはんだのリフローに必要な温度に基づくものである。はんだペーストは一般に、電子部品をその接点パッドに取り付けるために使用される。その後、組立体は高温に曝露され(通常260℃で30秒間)、これによってはんだをリフローさせて、恒久的なはんだ接合を形成する。よって、PCBの絶縁層は好ましくは、PCB加工で典型的に使用されるはんだリフロー温度にも、軟化又は寸法変化をほとんど又は全く起こすことなく耐えることができる、低誘電損失材料である。
【0071】
PCBの絶縁層として使用される市販の材料がいくつか存在する。例えば、PCB用途で絶縁層として使用される、ある一般的なガラス/エポキシ積層体は、10GHzの信号周波数において0.0058の損失正接を有する。しかしながら、業界がますます高い信号周波数へと移行しているため、この絶縁積層体は限定された損失正接しか有しない。溶融シリカ/ポリマー積層体等の他の積層体は、10GHz以上の周波数において低い損失特性を示すことが分かっているが、溶融シリカ及びポリマー層の機械的特性によって、一部のプロセスにおけるこの積層体の使用が制限される。というのは、溶融シリカ層は後加工中に割れる場合があるためである。
【0072】
一態様によると、本開示のガラスは、PCB用途における絶縁層としての使用に好適となり得る。本開示のガラスは、10GHzの信号周波数における低い比誘電率及び低い損失正接といった誘電特性を特徴とし、これらは、業界がより高い信号周波数へと移行しているため望ましい。本発明のガラスを、これもまた低い損失正接を有するポリマーフィルムと組み合わせて利用して、絶縁積層体を形成すると、PCB積層体の全体的な損失正接をはるかに低下させることができる。
【0073】
いくつかの実装形態では、本開示のガラスは、PCB用途での使用に好適な寸法安定性を特徴とすることができる。本明細書中で使用される場合、「寸法安定性(dimensional stability)」は、260℃で加熱した場合の30秒間の寸法安定性として定義される。上述のように、典型的なPCB加工は、260℃付近のはんだリフロー温度を含む。本開示のガラスは、260℃よりも大幅に高い軟化点を特徴とすることができ、これは、PCBはんだリフロープロセスで典型的に生じる温度におけるガラスの寸法安定性の指標である。ガラスの寸法安定性を決定するための一例は、260℃に予熱されたオーブン内での試料の加熱前の予備切断された試料の、長さ、幅、厚さ、重量、体積、及び/又は密度を決定するステップを含む。試料を30秒間加熱した後、取り出すことができる。再び室温へと冷却された後、試料の長さ、幅、厚さ、重量、体積、及び/又は密度を決定し、加熱前の各試料に関して得られた値と比較して、各パラメータの相対変化を決定できる。
【0074】
特段の指定がない限り、本開示によるガラスは、構成成分(ガラス前駆組成物とも呼ばれる)の粉体バッチをターブラ内で60分間混合し、被覆白金るつぼ内において1650℃で16時間溶融させることによって調製される。次に、溶融したガラスをブロックとして注ぎ出し、550~600℃でアニーリングする。当業者には理解されるように、構成成分の溶融中、様々な溶融構成成分(例えばフッ素、アルカリ金属、ホウ素等)が、(例えば蒸気圧、溶融時間、及び/又は溶融温度の関数として)異なるレベルの揮発にさらされる可能性があり、これは、バッチ処理されたままの組成物(即ちガラスの元となるガラス前駆組成物)と最終的なガラス物品との間での、成分含有量の差異につながる場合がある。従って、このような構成成分に関する用語「約(about)」は、本明細書中で提供されるバッチ処理されたままの組成物と比較して、最終的な物品を測定した場合に約1モル%以内の値を包含することを意図したものである。本明細書に記載のバッチ処理されたままの組成物から、異なる複数のプロセス及び/又はプロセスパラメータを用いてガラスを形成することが、本開示の範囲内であること、並びにバッチ処理されたままの組成物の加工におけるこのような差異が、構成成分の溶融中の異なるレベルの揮発につながり得ることが、理解される。
【0075】
本開示のある態様による本開示のガラスに関する例示的なガラス組成Aを、以下の表1に示す。表1では、本開示による材料の組み合わせ、及び範囲としての各材料の量が特定されている。表1の例示的なガラス組成Aは、本明細書に記載されている本開示のいずれの態様による追加の成分を含んでよい。
【0076】
【0077】
本開示のある態様による本開示のガラスに関する例示的なガラス組成Bを、以下の表2に示す。表2では、本開示による材料の組み合わせ、及び範囲としての各材料の量が特定されている。表2の例示的なガラス組成Bは、本明細書に記載されている本開示のいずれの態様による追加の成分を含んでよい。
【0078】
【0079】
いくつかの実装形態では、表1及び2による例示的なガラス組成A及び/又はBから作製されたガラスはそれぞれ、10GHzの信号で測定した場合に、約10以下、約7.5以下、約5以下、約4以下、約3以下、約2~約10、約3~約10、約4~約10、約5~約10、約6~約10、約7~約10、約8~約10、約9~約10、約2~約8、約2~約6、約2~約4、約3~約10、約3~約8、約3~約6、約3~約5、約3~約4、約4~約6、約4~約8、又は約4~約10の比誘電率を、約0.01以下、約0.008以下、約0.005以下、約0.0025以下、約0.001以下、約0.0004~約0.01、約0.001~約0.01、約0.0025~約0.01、約0.005~約0.01、約0.0004~約0.001、約0.0004~約0.0025、約0.0004~約0.005、約0.001~約0.0025、約0.001~約0.005、約0.0025~約0.005、約0.0004~約0.008、約0.001~約0.008、約0.0025~約0.008、又は約0.005~約0.008の損失正接と組み合わせて、有する。
【0080】
また、表1及び2による例示的なガラス組成A及び/又はBに由来するガラスはそれぞれ、25℃~300℃で測定した場合に、約25×10-7/℃~約65×10-7/℃、約25×10-7/℃~約60×10-7/℃、約25×10-7/℃~約55×10-7/℃、約25×10-7/℃~約50×10-7/℃、約25×10-7/℃~約45×10-7/℃、約25×10-7/℃~約40×10-7/℃、約25×10-7/℃~約35×10-7/℃、約25×10-7/℃~約30×10-7/℃、約30×10-7/℃~約65×10-7/℃、約30×10-7/℃~約60×10-7/℃、約30×10-7/℃~約55×10-7/℃、約30×10-7/℃~約50×10-7/℃、約30×10-7/℃~約30×10-7/℃、約30×10-7/℃~約40×10-7/℃、約30×10-7/℃~約35×10-7/℃、約35×10-7/℃~約65×10-7/℃、約35×10-7/℃~約60×10-7/℃、約35×10-7/℃~約55×10-7/℃、約35×10-7/℃~約50×10-7/℃、約35×10-7/℃~約45×10-7/℃、約35×10-7/℃~約40×10-7/℃、約40×10-7/℃~約65×10-7/℃、約40×10-7/℃~約60×10-7/℃、約40×10-7/℃~約55×10-7/℃、約40×10-7/℃~約50×10-7/℃、約40×10-7/℃~約45×10-7/℃、約50×10-7/℃~約60×10-7/℃、約50×10-7/℃~約55×10-7/℃、約50×10-7/℃~約65×10-7/℃、約55×10-7/℃~約60×10-7/℃、又は約55×10-7/℃~約65×10-7/℃の平均CTEを更なる特徴としていてよい。
【0081】
また、表1及び2による例示的なガラス組成A及び/又はBに由来するガラスはそれぞれ、260℃における30秒間の寸法安定性を更なる特徴としていてよい。
【0082】
いくつかの実装形態では、表1及び2による例示的なガラス組成A及び/又はBに由来するガラスはそれぞれ、約40キロポアズ~約5000キロポアズ、約40キロポアズ~約3000キロポアズ、約40キロポアズ~約2000キロポアズ、約40キロポアズ~約1000キロポアズ、約40キロポアズ~約800キロポアズ、約40キロポアズ~約600キロポアズ、約40キロポアズ~約400キロポアズ、約40キロポアズ~約300キロポアズ、約40キロポアズ~約250キロポアズ、約40キロポアズ~約200キロポアズ、約40キロポアズ~約100キロポアズ、約100キロポアズ~約500キロポアズ、約100キロポアズ~約400キロポアズ、約100キロポアズ~約300キロポアズ、約100キロポアズ~約200キロポアズ、約200キロポアズ~約300キロポアズ、約200キロポアズ~約400キロポアズ、約200キロポアズ~約500キロポアズ、約200キロポアズ~約5000キロポアズ、約200キロポアズ~約3000キロポアズ、約200キロポアズ~約2000キロポアズ、又は約200キロポアズ~約1000キロポアズの液相線粘度を有してよい。
【0083】
いくつかの実装形態では、表1及び2による例示的なガラス組成A及び/又はBに由来するガラスはそれぞれ、約1110℃~約1325℃の35,000ポアズ温度を更なる特徴としていてよい。いくつかの態様では、上記35,000ポアズ温度は、約1110℃~約1300℃、約1110℃~約1250℃、約1110℃~約1200℃、約1200℃~約1325℃、約1250℃~約1325℃、約1300℃~約1325℃、約1200℃~約1300℃、約1200℃~約1250℃、又は約1250℃~約1300℃である。いくつかの態様では、本発明のガラスの35,000ポアズ温度は、約1120℃、約1180℃、約1190℃、約1200℃、又は約1250℃である。
【0084】
いくつかの実装形態では、表1及び2による例示的なガラス組成A及び/又はBに由来するガラスはそれぞれ、約1600℃~約1825℃の200ポアズ融点を更なる特徴としていてよい。いくつかの態様では、本発明のガラスの200ポアズ融点は、約1600℃~約1800℃、約1600℃~約1750℃、約1600℃~約1700℃、約1600℃~約1650℃、1640℃~約1825℃、約1640℃~約1800℃、約1640℃~約1750℃、約1640℃~約1700℃、約1640℃~約1675℃、約1675℃~約1825℃、約1675℃~約1800℃、約1675℃~約1750℃、約1675℃~約1700℃、約1700℃~約1825℃、約1700℃~約1800℃、約1700℃~約1750℃、約1750℃~約1825℃、又は約1750℃~約1800℃である。いくつかの態様では、上記200ポアズ融点は、約1660℃、約1670℃、約1680℃、約1690℃、約1700℃、又は約1800℃である。
【0085】
本開示の別の態様によると、本開示による例示的なガラスの成分は、凸包によって定義でき、ここで上記凸包の境界点は、該ガラス中に存在する酸化物の合計に基づく。ユークリッド空間内の一連のN個の点の凸包は、これらN個の点を内包する最小の凸集合である。凸包の境界点は、原点0、並びにX、Y、及びZ座標軸を有する3次元デカルト座標系の座標として表すことができる。本開示では、凸包を定義するN個の点は、実験による比誘電率及び損失正接のデータが得られた本開示による例示的なガラス中に存在する15個の酸化物の濃度に基づく。凸包の境界点は、所望の誘電特性、この場合は10GHzの信号で測定した場合に10以下の比誘電率及び0.008以下の損失正接を示した、本開示による例示的なガラスの組成に基づく。本開示に関する凸包は、以下の表3に示されている37個の例示的なガラスに関する実験データに基づくものであった。表3は、バッチ処理されたままのガラス(即ちガラス前駆組成物)から酸化物ベースで算出された、モル%を単位とする、本開示による例示的なガラス(「EG」)と、上記ガラスの比誘電率(Dk)及び損失正接の測定値とを含む。本開示の例示的なガラスに関する凸包を定義するために使用された15個の酸化物は:SiO2、Al2O3、B2O3、Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrO、BaO、SnO2、ZnO、La2O3、F、及びFe2O3を含む。これらの15個の酸化物を3つの群に分けた。各群の酸化物の量の合計が、凸包を定義する境界点の座標のうちの1つを表す。凸包の境界点の「X」座標は、ガラス中に存在するSiO2、Al2O3、及びB2O3の(酸化物のモルパーセントでの)量の第1の合計(Xsum)に基づくものとすることができる。凸包の境界点の「Y」座標は、ガラス中に存在するLi2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrO、及びBaOの量(酸化物のモルパーセント)の第2の合計(Ysum)に基づくものとすることができる。凸包の境界点の「Z」座標は、ガラス中に存在するSnO2、ZnO、La2O3、F、及びFe2O3の(酸化物のモルパーセントでの)量の第3の合計(Zsum)に基づくものとすることができる。各境界点に関する成分のうちのいずれの1つの個別の量は、0となり得る(即ちこの特定の成分は組成物に添加されていない)。各境界点に関するX、Y、及びZ座標の合計は、100に等しい。
【0086】
【0087】
【0088】
本開示のある態様によると、例示的なガラスは、表4に特定されている境界点によって定義される凸包を満たす成分を有し、かつ10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率及び/又は約0.008以下の損失正接を示す、例示的なガラス組成物Cに由来するものとすることができる。表4のガラス組成物は、本明細書に記載されている本開示のいずれの態様による追加の成分を含んでよい。
【0089】
【0090】
表4の境界点は、X、Y、及びZ座標それぞれを提供するように、酸化物を表4に示されているようにグループ分けすることに基づくものである。しかしながら、例示的なガラス組成物Cを依然として定義したまま、例示的なガラス組成物Cの凸包の各境界点に関するX、Y、及びZ座標を、酸化物の異なるグループ分けによって表すこともでき、これはXsum、Ysum、及びZsumに関する異なる値をもたらす。
【0091】
図2は、表4の例示的なガラス組成物Cの凸包の境界点によって定義される凸包のX及びY座標の2次元プロットである。
【0092】
本開示の別の態様によると、例示的なガラスは、表5に特定されている境界点によって定義される凸包を満たす成分を有し、かつ10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率及び/又は約0.008以下の損失正接を示す、例示的なガラス組成物Dに由来するものとすることができる。表5のガラス組成物は、本明細書に記載されている本開示のいずれの態様による追加の成分を含んでよい。
【0093】
【0094】
表5の境界点は、X、Y、及びZ座標それぞれを提供するように、酸化物を表5に示されているようにグループ分けすることに基づくものである。しかしながら、例示的なガラス組成物Dを依然として定義したまま、例示的なガラス組成物Dの凸包の各境界点に関するX、Y、及びZ座標を、酸化物の異なるグループ分けによって表すこともでき、これはXsum、Ysum、及びZsumに関する異なる値をもたらす。
【0095】
図3は、表5の例示的なガラス組成物Dの凸包の境界点によって定義される凸包のX及びY座標の2次元プロットである。
【0096】
表4及び5の凸包の境界点のX、Y、及びZ座標は、複数の酸化物の量の合計に対応する。いくつかの例では、これらの酸化物のうちの1つ以上は、ガラス組成物に添加されていなくてもよく(即ち上記組成物はこの特定の酸化物を略含まなくてよく)、従ってこの特定の酸化物の濃度は、座標の値を決定する目的に関して「0」となる。一例では、ガラスはF、La2O3、及び/又はZnOを略含まない。この場合、表4又は表5の凸包に関する境界点のZ座標の値を決定する場合、値「0」を、該組成物に添加されていない酸化物に関して入力することになる。本開示の別の態様によると、例示的なガラスはF、La2O3、及び/又はZnOを含む。いくつかの態様では、例示的なガラスはアルカリ金属酸化物(R2O)を含む。いくつかの態様では、例示的なガラスは、Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrO、及びBaOの群から少なくともMgO、並びにSnO2、ZnO、La2O3、F、及びFe2O3の群から少なくともZnOを含むことができる。いくつかの態様では、例示的なガラスは、Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrO、及びBaOの群からCaO及びBaOのうちの少なくとも一方、並びにSnO2、ZnO、La2O3、F、及びFe2O3の群から少なくともSnO2を含むことができる。
【0097】
ある組成物が、表4又は表5の境界点によって定義された凸包内にあるかどうかを決定するための1つの方法は、MathWorks(登録商標)製のMATLAB(登録商標)を利用する。ある試験組成物が表4又は表5の凸包内にあるかどうかを決定するために、試験組成物(「P」)の成分を、以下のような座標を有する縮小空間に投影する:「X」座標は、SiO2、Al2O3、及びB2O3の量の合計(Xsum)であり、「Y」座標は、Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrO、及びBaOの量の合計(Ysum)であり、「Z」座標は、SnO2、ZnO、La2O3、F、及びFe2O3の量の合計(Zsum)である(酸化物のモルパーセント)。どの凸包が試験されているかに応じて、表4又は表5からの境界点を、セット「K」としてソフトウェアに入力できる。凸包の試験に適切な「MATLAB」コードを実行でき、これは「MATLAB」バージョンR2019aではコード「inhul(P,K)」である(凸包の試験のためのコードはバージョン及び/又はソフトウェアに応じて異なり得ることが理解される)。応答が「0」である場合、試験組成物Pに対応する点は、(表4又は表5の境界点によって定義される空間である)Kによって範囲が画定された凸包空間内にない。ソフトウェア応答が「1」である場合、試験組成物Pに対応する点は、Kによって範囲が画定された凸包空間内にあるため、試験組成物Pは、試験される凸包(即ち表4又は表5の境界点によって定義される凸包)の例示的なガラス前駆組成物の範囲内にある。あるデータ点は、このデータ点がある凸包によって定義される空間内又は該凸包の境界線上にある場合に、該凸包によって範囲を画定されていると判断される。
【0098】
例えば、表3の例示的なガラスEG31の(Xsum、Ysum、Zsum)座標は(73.72、20.66、5.31)であり、これは、表4の境界点によって定義される凸包内にある点を表す。別の例では、表3の例示的なガラスEG26の(Xsum、Ysum、Zsum)座標は(93.65、6.15、0.12)であり、これは、表4の境界点によって定義される凸包内にある点を表す。例えば、表3の例示的なガラスEG28の(Xsum、Ysum、Zsum)座標は(78.41、21.13、0.121)であり、これは、表5の境界点によって定義される凸包内にある点を表す。別の例では、表3の例示的なガラスEG35の(Xsum、Ysum、Zsum)座標は(92.36、7.55、0.091)であり、これは、表5の境界点によって定義される凸包内にある点を表す。
【0099】
本開示の別の態様によると、例示的なガラスは、表4の例示的なガラス組成物C及び/又は表5の例示的なガラス組成物Dによる凸包によって範囲が画定され、かつ以下の(酸化物のモルパーセントでの)式1及び式2:
-42.8440902+0.463763055*[SiO2]+0.520077325*[Al2O3]+0.468168738*[B2O3]+0.47253232*[Li2O]+2.11958583*[K2O]+0.499421381*[MgO]+0.558094225*[CaO]+0.805792958*[SrO]+0.637349469*[BaO]-0.17232118*[SnO2]+0.525853343*[ZnO]+0.261394654*[La2O3]+0.469279089*[F]≦10 式1
及び
0.756212572817506+[K2O]+0.209148876828416*[La2O3]+0.0884393206156657*[BaO]+0.0384462744417211*[CaO]+(5.95212630529679-[F])/[B2O3]+(254.196472343803-2.1615185467817*[B2O3])/[SiO2]≦10 式2
のうちの少なくとも1つを満たす、ガラス組成物に由来することができる。
【0100】
式1及び式2は、本開示のガラスの複数の例に関して、10GHzの信号における比誘電率Dkの測定値を分析することによって得られたものである。式1及び/又は式2を用いて、表4及び/又は表5の凸包によって定義されるガラス前駆組成物のうちのいずれを、10GHzの信号で測定した場合に10以下の比誘電率を有するガラスへと形成できるかを予測できる。線形回帰又は遺伝的アルゴリズムを用いてデータを分析して、ガラスの比誘電率の測定値に関するモデルを、該ガラスの元となるガラス前駆組成物中の15個の所定の酸化物の(酸化物のモルパーセントでの)濃度と共に決定した。上記15個の所定の酸化物は:SiO2、Al2O3、B2O3、Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrO、BaO、SnO2、ZnO、La2O3、F、及びFe2O3であった。
【0101】
比誘電率モデルを開発するために、10GHzの信号で測定した場合に10以下の比誘電率を有する37個のガラスに関して実験データを得た。これらのガラスを形成するために使用した前駆組成物中の酸化物濃度、並びに比誘電率モデルを開発するために使用したこれら37個の例それぞれに関する形成後のガラスの比誘電率Dk及び損失正接の測定値が、上の表3に示されている。実験データを、教師群(EG2~EG4、EG6~EG25、及びEG37~EG38)と試験群(EG5及びEG26~EG36)とに分割した。教師群は、線形回帰又は遺伝的アルゴリズムを用いたモデルの開発に使用され、試験群はモデルの有効性の試験に使用された。試験群のある特定の例示的なガラスの比誘電率の測定値の最小二乗回帰分析の決定係数(「R2」)、及びこの特定の例示的なガラスに関する予測比誘電率に基づいて、モデルの当てはめを決定した。
【0102】
式1は、表3の例のおよそ半分(教師群)の線形回帰分析を用いて決定された。
図4は、式1に基づく残りの例(試験群)に関する予測比誘電率の、試験群の各例に関する比誘電率の測定値と比較したプロットである。
図4のデータ点は、表3の個々の例に対応し、点線はデータ点に対する最小二乗回帰当てはめを表す。式1のR
2値は0.9923であったが、これは、試験群の例に関する予測比誘電率と比誘電率の測定値との間の良好な当てはめを示す。
【0103】
式2は、遺伝的アルゴリズムフレームワークを使用して決定され、少なくとも0.9のR
2値を有する複数の関数が見つかるまで、多数の世代の間に、各世代において数百回の反復で、非線形ランダム関数を進化させた。遺伝的アルゴリズムは、各反復において点の母集団を生成し、各反復の点は乱数生成器を用いて生成される。式2は、R
2値、及び生成された関数の当てはめパラメータの個数に基づいて、生成された関数のリストから選択された(即ちR
2値は関数の精度の指標であり、関数が単純であるほど当てはめパラメータが小さくなる)。
図5は、式2に基づく例の残りの半分(試験群)に関する予測比誘電率の、試験群の各例に関する比誘電率の測定値と比較したプロットである。式2のR
2値は0.9931であったが、これは、ガラスに関する予測比誘電率と比誘電率の測定値との間の良好な当てはめを示す。
【0104】
試験前駆組成物が式1及び/又は式2を満たすかどうかを決定するために、前駆組成物中の対応する酸化物濃度を用いて上記方程式を解く。解かれた上記方程式によって出力される値が10以下である場合、試験前駆組成物は上記方程式を満たす。解かれた上記方程式によって出力される値が10超である場合、試験前駆組成物は上記方程式を満たさない。式1及び2に関して、試験群の例に関する予測比誘電率と比誘電率の測定値との間の当てはめが良好であることは、式1及び/又は2を用いて、ある組成物が10GHzで測定した場合に10以下の比誘電率を有するかどうかを予測するという、少なくとも合理的な期待を示している。
【0105】
あるガラス組成物が表4及び/又は表5の凸包によって定義され、かつ式1及び式2をどちらも満たさない場合、この特定の前駆組成物に由来するガラスは、10GHzの信号で測定した場合に10以下の比誘電率を示すことになる可能性が低く、従ってこのガラスは本開示のガラスに包含されないことになる。あるガラス組成物が表4及び/又は表5の凸包によって定義され、かつ式1及び式2をどちらも満たす場合、このようなガラスは、10GHzの信号で測定した場合に10以下の比誘電率を有する可能性が高く、従って本開示の例示的なガラスの範囲内となる。あるガラス組成物が表4及び/又は表5の凸包によって定義され、かつ式1及び式2のうちの一方のみを満たす場合、このようなガラスは、10GHzの信号で測定した場合に10以下の比誘電率を有する可能性が高く、従って本開示の例示的なガラスの範囲内となる。式1及び/又は式2を満たす組成物に由来するガラスは、10GHzの信号で測定した場合に約10以下、約8以下、約7.5以下、約5以下、約4以下、又は約3以下の、比誘電率の測定値を有することができる。いくつかの実装形態では、式1及び/又は式2を満たす組成物に由来するガラスは、10GHzの信号で測定した場合に約2~約10、約3~約10、約4~約10、約5~約10、約6~約10、約7~約10、約8~約10、約9~約10、約2~約8、約2~約6、約2~約4、約3~約10、約3~約8、約3~約6、約3~約5、約3~約4、約4~約6、約4~約8、又は約4~約10の、比誘電率の測定値を有することができる。
【0106】
線形回帰分析及び遺伝的アルゴリズムフレームワークは、本開示によるガラスの形成に使用できる全ての組成物をそれぞれ捕捉できるわけではない。表4及び/又は表5の凸包に包含され、かつ所望の誘電特性を有するものの、遺伝的アルゴリズムフレームワークによって補足されない組成物を、線形回帰分析が捕捉するいくつかの例、並びにその逆が存在し得る。線形回帰分析及び遺伝的アルゴリズムフレームワークの両方を用いて組成物を評価することにより、凸包によって定義される空間内にあり、かつ10GHzの信号で測定した場合に10以下の比誘電率を有する組成物を識別できない可能性が低減される。
【0107】
本開示の別の態様によると、例示的なガラスは、表4の例示的なガラス組成物C及び/又は表5の例示的なガラス組成物Dによる凸包によって範囲が画定され、かつ以下の(酸化物のモルパーセントでの)式3及び式4:
0.429780863-0.00424207*[SiO2]-0.004096119*[Al2O3]-0.004396116*[B2O3]-0.002791817*[Li2O]-0.012890989*[K2O]-0.004226519*[MgO]-0.004108234*[CaO]-0.003587217*[SrO]-0.004083111*[BaO]-0.028056812*[SnO2]-0.004220402*[ZnO]+0.000195707*[La2O3]-0.004466313*[F]≦0.008 式3
及び
0.00454540427936441+0.00452303537205577*[K2O]+0.00026538565533632*[B2O3]+2.211176044138×10-5*[Al2O3]*[BaO]+6.27439041968789×10-6*2[CaO]-0.000215116681577554*[F]-6.01991751010702×10-6*[SiO2]*[B2O3]≦0.008 式4
のうちの少なくとも1つを満たす、ガラス前駆組成物に由来することができる。
【0108】
式3及び式4は、本開示のガラスの複数の例に関して、10GHzの信号における損失正接の測定値を分析することによって得られたものである。式3及び/又は式4を用いて、表4及び/又は表5の凸包によって定義されるガラス組成物のうちのいずれを、10GHzの信号で測定した場合に0.008以下の損失正接を有するガラスへと形成できるかを予測できる。線形回帰又は遺伝的アルゴリズムを、式1及び式2に関して上述したものと同様の様式で用いてデータを分析して、ガラスの損失正接の測定値に関するモデルを、該ガラスの元となるガラス前駆組成物中の15個の所定の酸化物の(酸化物のモルパーセントでの)濃度と共に決定した。上記15個の所定の酸化物は式1及び2の決定に使用したものと同一であった。
【0109】
表3に示されている例に関する酸化物濃度及び損失正接の測定値を用いて、損失正接モデルを開発した。表3の実験データを、式1及び2に関して上述したものと同一の様式で、概ね同一のサイズの2つの群(教師群及び試験群)に分割した。教師群は、線形回帰又は遺伝的アルゴリズムを用いたモデルの開発に使用され、試験群は、モデルの有効性の試験に使用された。試験群のある特定の例示的なガラスの損失正接の測定値の最小二乗回帰分析の決定係数(「R2」)、及びこの特定の例示的なガラスに関する予測損失正接に基づいて、モデルの当てはめを決定した。
【0110】
式3は、表3の例のおよそ半分(教師群)の線形回帰分析を用いて決定された。
図6は、式3に基づく残りの例(試験群)に関する予測損失正接の、試験群の各例に関する損失正接の測定値と比較したプロットである。
図6のデータ点は、表3の個々の例に対応し、点線はデータ点に対する最小二乗回帰当てはめを表す。式3のR
2値は0.9436であったが、これは、試験群の例に関する予測損失正接と損失正接の測定値との間の良好な当てはめを示す。
【0111】
式4は、遺伝的アルゴリズムフレームワークを使用して決定され、少なくとも0.9のR
2値を有する複数の関数が見つかるまで、多数の世代の間に、各世代において数百回の反復で、非線形ランダム関数を進化させた。式4は、R
2値、及び生成された関数の当てはめパラメータの個数に基づいて、生成された関数のリストから選択された(即ちR
2値は関数の精度の指標であり、関数が単純であるほど当てはめパラメータが小さくなる)。
図7は、式4に基づく残りの例(試験群)に関する予測損失正接の、試験群の各例に関する損失正接の測定値と比較したプロットである。
図7のデータ点は、表3の個々の例に対応し、点線はデータ点に対する最小二乗回帰当てはめを表す。式4のR
2値は0.9136であったが、これは、ガラスに関する予測比誘電率と比誘電率の測定値との間の良好な当てはめを示す。
【0112】
試験ガラス組成物が式3及び/又は式4を満たすかどうかを決定するために、ガラス組成物中の対応する酸化物濃度を用いて上記方程式を解く。解かれた上記方程式によって出力される値が0.008以下である場合、試験ガラス組成物は上記方程式を満たす。解かれた上記方程式によって出力される値が0.008超である場合、試験ガラス組成物は上記方程式を満たさない。式3及び4に関して、試験群の例に関する予測比誘電率と比誘電率の測定値との間の当てはめが良好であることは、式3及び/又は4を用いて、ある組成物が10GHzで測定した場合に0.008以下の損失正接を有するかどうかを予測するという、少なくとも合理的な期待を示している。
【0113】
あるガラス組成物が表4及び/又は表5の凸包によって定義され、かつ式3及び式4をどちらも満たさない場合、この特定の組成物に由来するガラスは、10GHzの信号で測定した場合に0.008以下の損失正接を示すことになる可能性が低い。あるガラス組成物が表4及び/又は表5の凸包によって定義され、かつ式3及び式4をどちらも満たす場合、このようなガラスは、10GHzの信号で測定した場合に0.008以下の損失正接を有する可能性が高く、従って本開示の例示的なガラスの範囲内となる。あるガラス組成物が表4及び/又は表5の凸包によって定義され、かつ式3及び式4のうちの一方のみを満たす場合、このようなガラスは、10GHzの信号で測定した場合に0.008以下の損失正接を有する可能性が高く、従って本開示の例示的なガラスの範囲内となる。式3及び/又は式4を満たす前駆組成物に由来するガラスは、10GHzの信号で測定した場合に約0.008以下、約0.005以下、約0.0025以下、又は約0.001以下の、損失正接の測定値を有することができる。いくつかの態様では、式3及び/又は式4を満たす前駆組成物に由来するガラスは、10GHzの信号で測定した場合に約0.0004~約0.01、約0.001~約0.01、約0.0025~約0.01、約0.005~約0.01、約0.0004~約0.001、約0.0004~約0.0025、約0.0004~約0.005、約0.001~約0.0025、約0.001~約0.005、約0.0025~約0.005、約0.0004~約0.008、約0.001~約0.008、約0.0025~約0.008、又は約0.005~約0.008の、損失正接の測定値を有することができる。
【0114】
線形回帰分析及び遺伝的アルゴリズムフレームワークは、本開示によるガラスの形成に使用できる全ての組成物をそれぞれ捕捉できるわけではない。表4及び/又は表5の凸包に包含され、かつ所望の誘電特性を有するものの、遺伝的アルゴリズムフレームワークによって補足されない組成物を、線形回帰分析が捕捉するいくつかの例、並びにその逆が存在し得る。線形回帰分析及び遺伝的アルゴリズムフレームワークの両方を用いて組成物を評価することにより、凸包によって定義される空間内にあり、かつ10GHzの信号で測定した場合に0.008以下の損失正接を有する組成物を識別できない可能性が低減される。
【0115】
本開示のいくつかの態様では、本開示によるガラスは:(a)表4及び/又は表5の境界点によって定義される凸包に包含され;(b)式1及び/又は式2を満たし;(c)式3及び/又は4を満たす、ガラスである。3つの要素(a)、(b)、及び(c)全てを満たすガラスは、10GHzの信号で測定した場合に、約10以下、約7.5以下、約5以下、約4以下、約3以下、約2~約10、約3~約10、約4~約10、約5~約10、約6~約10、約7~約10、約8~約10、約9~約10、約2~約8、約2~約6、約2~約4、約3~約10、約3~約8、約3~約6、約3~約5、約3~約4、約4~約6、約4~約8、又は約4~約10の比誘電率を、約0.01以下、約0.005以下、約0.0025以下、約0.001以下、約0.0004~約0.01、約0.001~約0.01、約0.0025~約0.01、約0.005~約0.01、約0.0004~約0.001、約0.0004~約0.0025、約0.0004~約0.005、約0.001~約0.0025、約0.001~約0.005、約0.0025~約0.005、約0.0004~約0.008、約0.001~約0.008、約0.0025~約0.008、又は約0.005~約0.008の損失正接と組み合わせて有することができる。
【実施例】
【0116】
以下の実施例は、本開示によって提供される様々な特徴及び利点を説明するものであり、本発明及び添付の特許請求の範囲を限定することは全く意図されていない。
【0117】
実施例1
以下の表6は、本開示による例示的なガラス(「EG」)を、バッチ処理されたままのガラス(上記ガラスの元となるガラス前駆組成物)から酸化物ベースで算出されたモル%で示す。ガラス試料は、粉体バッチをターブラ内で60分間混合し、被覆白金るつぼ内において1650℃で16時間溶融させることによって調製した。溶融したガラスをブロックとして注ぎ出し、550~600℃でアニーリングした。ガラスの特性を標準的な方法又は予測モデルによって測定した。
【0118】
表6に提示されているデータに関して、CTEは、繊維伸長技法によって決定されたか、又は0℃~300℃(±5℃)の温度範囲にわたって予測されたものであり、「×10-7/℃」を単位として表現されている。軟化点(「Soft Pt.」)、アニール点(「Ann. Pt.」)、及び歪み点(「Str. Pt.」)は、℃を単位として表現されている。弾性率(「E‐mod」)はヤング率とも呼ばれ、これはギガパスカル(GPa)を単位として表現されており、密度はg/cm3を単位として表現されており、粘度はポアズを単位として表現されている。
【0119】
(ガラス溶融物が200ポアズの粘度を示す温度として定義される)200ポアズ融点は、℃を単位として表現されている。200ポアズ融点は、(ASTM C965‐81による回転シリンダ粘度測定によって測定される)高温粘度データに対するフォーゲル‐フルヒャー‐タンマンの式の当てはめを用いて算出された。ガラスの液相線温度は、標準的な液相線法を用いて測定され、上記標準的な液相線法は、破砕したガラス粒子を白金ボートに入れ、上記ボートを、勾配温度の領域を有する炉に入れ、上記ボートを適切な温度領域で24時間加熱し、顕微鏡検査によって、ガラスの内部に結晶が見られる最高温度を決定することを含む。液相線粘度(単位:ポアズ)は、この温度、並びにフォーゲル‐フルヒャー‐タンマンの式の係数(A、B、及びTo)から決定された。
【0120】
誘電特性は、3インチ×3インチ(7.62cm×7.62cm)、厚さ1mm未満の、研磨済みの、作製されたままの状態のガラス試料において測定された。試験周波数は2.7GHz~50GHzの範囲である。比誘電率Dk及び損失正接を各試料に関して決定した。試料は、10GHz未満の信号周波数において、スプリットポスト誘電共振器を用いて、又は10GHz超の信号周波数において、開放空洞共振器を用いて、試験された。各場合において、比誘電率及び損失正接を、共振ピークのシフト及び広がりから測定した。
【0121】
【0122】
EG1は、いくつかの用途で望ましい場合があるアルカリ金属を含まず、またB2O3の量を増大させた、ガラスを例示する。EG2は、ガラスの粘度に対する、SiO2及びB2O3の一部をAl2O3に置き換えることの効果を実証している。試料EG1~EG6はまた、RO、Al2O3、及びB2O3含有量が、ガラスの溶融及び成形特性に対して有し得る影響を実証している。いかなる特定の理論によっても束縛されるものではないが、ガラスのRO、Al2O3、及びB2O3含有量を、約0~約0.5のRO:(Al2O3+(0.5*B2O3))の比を満たすように調整すると、例示的なガラスEG1~EG6溶融及び成形特性は他のガラスに比べて改善されることが分かった。
【0123】
更に表6のデータは、例示的なガラスが、低い比誘電率Dk及び損失正接を有することを実証している。いかなる特定の理論によっても束縛されるものではないが、SiO2、B2O3、及びAl2O3が、約0.22~約0.35の比B2O3:(Al2O3+SiO2)を満たす量で存在している場合、誘電特性が改善されることが分かった。よって、表6のデータは、本開示のガラスが、改善された誘電特性を、改善された成形性との組み合わせで示すことができることを実証している。
【0124】
例示的なガラスEG2~EG5は、本開示によるガラスが、10GHzの信号周波数において約0.001以下の低い損失正接を特徴とすることを示している。上述のように、10GHzにおける低い損失正接は、10GHz以上の周波数で予想されるデータレートの増大に対応するにあたって重要である。更に、本開示の例示的なガラスは、低い比誘電率(5未満)も示す。高い比誘電率を有する材料は一般に、信号の反射が比誘電率の影響を受ける可能性があるため、微小電子デバイスの継続的なスケーリングには好適でない。よって、本明細書中の例示的なガラスが示すような低い比誘電率は、より小型の、スケーリングされたデバイスにおける使用にも適切となり得る。
【0125】
図1は、例示的なガラスEG2、EG3、及びEG4、水、サファイア、テフロン(登録商標)、ケイ素、及びソーダ石灰に関する、10GHzの信号周波数での比誘電率及び損失正接を比較するチャートである。
図1において実証されているように、本開示の例示的なガラスは、低い比誘電率と低い損失正接との良好なバランスを提供する。よって本開示のガラスは、低い比誘電率及び低い損失正接が必要な用途において使用するための、追加の代替的な材料を提供する。
【0126】
表6のデータはまた、例示的なガラスEG1~EG6が比較的低いCTE値を示すことも実証している。よってこれらの例示的なガラスは、誘電特性及び成形性の改善を示しながら、比較的低いCTE値を維持する。上述のように、低いCTE値は、コア及び1つ以上のクラッド層を含むガラス積層体の形成において有用となり得る。
【0127】
例示的なガラスEG1~EG4は全て、700℃超の予測軟化点を有し、これは、PCB加工(通常260℃で30秒間)において典型的に見られるはんだリフロー温度よりもはるかに高い。表6のデータは、本開示のガラスが、260℃に加熱されたときに30秒間の寸法安定性を特徴とする可能性が高いことを示している。上述のように、このような寸法安定特性と、例示的なガラスの誘電特性及びその成形性との組み合わせは、本開示のガラスがPCB用途の絶縁層積層体としての使用に好適となり得ることを示している。
【0128】
実施例2
表7~9は、約9.6GHz~約21GHzの信号周波数の範囲にわたる、例示的なガラスEG2~EG4の誘電特性を示す。比誘電率及び損失正接のデータは、実施例1に関して上述したものと同一の様式で得られた。表7~9のデータは、本開示のガラスが、10GHz超の信号周波数において低い比誘電率及び低い損失正接を維持できることを示している。
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
実施例3
表10は、約2.6GHz~約9.9GHzの信号周波数の範囲にわたる、例示的なガラスEG5の誘電特性を示す。比誘電率及び損失正接のデータは、実施例1に関して上述したものと同一の様式で得られた。表10は、EG5が、少なくとも略10GHzまでの信号周波数において、低い比誘電率及び極めて低い損失正接を示すことを示している。
【0133】
【0134】
実施例4
表3は、ガラス前駆組成物(バッチ処理されたままの組成物)から酸化物ベースで算出されたモル%で、本開示による例示的なガラス(「EG」)に関する比誘電率及び損失正接の測定値を列挙する。ガラス試料は、粉体バッチをターブラ内で60分間混合し、被覆白金るつぼ内において1650℃で16時間溶融させることによって調製した。溶融したガラスをブロックとして注ぎ出し、550~600℃でアニーリングした。誘電特性は、3インチ×3インチ(7.62cm×7.62cm)、厚さ1mm未満の、研磨済みの、作製されたままの状態のガラス試料において測定された。試験周波数は2.7GHz~50GHzの範囲である。比誘電率Dk及び損失正接を各試料に関して決定した。試料は、10GHz未満の信号周波数において、スプリットポスト誘電共振器を用いて、又は10GHz超の信号周波数において、開放空洞共振器を用いて、試験された。各場合において、比誘電率及び損失正接を、共振ピークのシフト及び広がりから測定した。
【0135】
実施例5
表11及び12は、本開示による例示的なガラスEG39~EG57を、バッチ処理されたままのガラス(上記ガラスの元となるガラス前駆組成物)から酸化物ベースで算出されたモル%で示す。ガラス試料は、実施例1の例示的なガラスに関して上述した調製され、特性決定された。
【0136】
比誘電率及び損失正接等のガラスの誘電特性に対する、RO濃度及び含有量の影響を示すために、例示的なガラスEG39~EG57の形成に使用したガラス組成物は全て、同一量のSiO2と、同様のB2O3:Al2O3の比とを含んでいた。表11は例示的なガラスEG39~EG50を含み、これらは、表11に示されているように単一のRO種を含む。表12は例示的なガラスEG51~57を含み、これらは、表12に示されているように2つのRO種の組み合わせを含む。表11及び12で報告されている比誘電率Dk及び損失正接の値は、10GHzの信号周波数において測定された。
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
図8A及び8Bは、単一のRO種に関するRO濃度の関数として、10GHzの信号で測定した場合の比誘電率及び損失正接をそれぞれ示す。
図8A及び8Bは、約2.1モル%、5.1モル%、及び8.1モル%の濃度の単一のRO種:MgO(EG39~EG41)、CaO(EG42~EG44)、SrO(EG45~EG47)、及びBaO(EG48~EG50)を有する例の、比誘電率及び損失正接をそれぞれプロットしている。
図8Aのプロットは、比誘電率がRO含有量の増大に伴って上昇することを実証している。また
図8Aのデータは、所与のRO種濃度において、比誘電率が、Mg<Ca<Sr<Baの順でRO種に基づいて上昇することを実証している。この関係は、比誘電率が、陽イオンのサイズの減少と共に増大する可能性があり、また陽イオン電界強度の増大と共に増大する可能性があることを示唆している。また
図8Aのデータは、SrO濃度の関数としての比誘電率が、CaO濃度の関数としての比誘電率と類似していることを示しており、これは、CaO及びSrOがいずれも、所望の誘電特性を有するガラスを提供するためにMgOと混合するための潜在的な候補であることを示唆している。
【0142】
図8Bのプロットは、損失正接がRO含有量の増大に伴って上昇することを実証している。また
図8Bのデータは、所与のRO種濃度において、損失正接が、約5.1モル%ではMg<Ca<Sr<Baの順でRO種に基づいて上昇するが、約2.1モル%及び約8.1モル%では、SrO含有ガラスが、対応する濃度のCaO含有ガラス試料に関する損失正接と概ね同一以下の損失正接を有することを実証している。
図8Bのデータは、SrO濃度の関数としての損失正接と、CaO濃度の関数としての損失正接との類似性を実証しており、これは、CaO及びSrOがいずれも、所望の誘電特性を有するガラスを提供するためにMgOと混合するための潜在的な候補であることを示している可能性がある。
【0143】
図8A及び8Bに示されているデータは、本開示のガラス組成物中のRO種の濃度の低下が、単一のタイプのRO種しか存在しない場合に、ガラスの比誘電率及び損失正接の低下をもたらし得ることを示している。
【0144】
図9A及び9Bは、単一のRO種又は混合RO種を含むガラスの比誘電率及び損失正接をそれぞれ比較したものである。両方のプロットのX軸は、ガラス組成物中に存在するROの総量(RO
Total)に対する、単一のRO種(MgO、CaO、又はBaO)の比である。
図9Aのデータは、単一RO種の例と混合RO種の例とに関するRO
Totalが概ね同一であっても、MgO+CaO(EG55~57)及びMgO+SrO(EG61)等の混合RO種を有する例が、単一のタイプのRO種を有する例よりも低い比誘電率を示すことを示している。例えば、MgO及びCaOの両方を含むEG55~57は、対応する単一RO種の例のガラスであるEG41(MgO)及びEG44(CaO)よりも、低い比誘電率を示す。CaO又はSrOとBaOとの組み合わせ(それぞれEG58及びEG59)は、BaO単独(EG50)よりも低い比誘電率を有するガラスをもたらす。EG61は、MgOをSrOと組み合わせることによって、SrO単独(EG47)よりも低い比誘電率を有するガラスを製造できることを実証している。
図8Aは、単一のRO種に関して、比誘電率がRO含有量の減少に伴って低下したことを示している。
図9Aに示されているデータは、比較的多量の合計ROが望ましい用途において、2つ以上のRO種を組み合わせると、所与のRO
Totalに関して、単一のRO種を有するガラスに比べて低い比誘電率を本開示のガラスに提供できることを実証している。例えば、ガラス組成物中のROの濃度を上昇させると、液相線温度の低下を促進できるが、
図8Aに示されているように、単一のRO種しか使用されていない場合、ROの濃度の上昇によってガラスの比誘電率が増大する。MgO+CaO又はMgO+SrO等のようにRO種を混合すると、液相線温度の所望の低下を、ガラスの比誘電率も低下させながら提供するのを補助できる。
【0145】
図9Bのデータは、単一RO種の例と混合RO種の例とに関するRO
Totalが概ね同一であっても、MgO+CaO(EG55~57)及びMgO+SrO(EG61)等の混合RO種を有する例が、RO種としてCaO、SrO、又はBaOのみを有する例よりも低い損失正接を示すことを示している。例えば、MgO及びCaOの両方を含むEG55~57は、CaO(EG44)、SrO(EG47)、及びBaO(EG50)を含有する単一RO種の例よりも、低い損失正接を示す。CaO又はSrOとBaOとの組み合わせ(それぞれEG58及びEG59)は、BaO単独(EG50)よりも低い損失正接を有するガラスをもたらす。EG61は、MgOをSrOと組み合わせることによって、SrO単独(EG47)よりも低い損失正接を有するガラスを製造できることを実証している。
図8Bは、単一のRO種に関して、損失正接がRO含有量の減少に伴って低下したことを示している。
図9Bに示されているデータは、比較的多量の合計ROが望ましい用途において、2つ以上のRO種を組み合わせると、所与のRO
Totalに関して、単一のRO種CaO、SrO、又はBaOを有するガラスに比べて低い損失正接を本開示のガラスに提供できることを実証している。最小の損失正接は、単一のRO種としてMgOのみを含む例(EG41)に関して観察された。しかしながら、
図9Bのデータは、MgO以外のRO種、例えばCaO、SrO、又はBaOの存在が望ましい用途において、これらの種をMgOと組み合わせることにより、単一のRO種としてCaO、SrO、又はBaOのみを含む同等のガラスよりも低い損失正接を有するガラスが得られる可能性が高いことを示している。
【0146】
図10A及び10Bは、ガラス密度の関数として、表11及び12からの単一及び混合RO種の例の比誘電率及び損失正接をそれぞれ示す。単一及び混合RO種ガラスに関する最小二乗回帰のR
2値も示されている。
図10A及び10Bのデータは、約0.95以上のR
2値によって示されるように、比誘電率及び損失正接のそれぞれに関する、混合RO種を有する例示的なガラスの密度間の線形関係を示唆している。
【0147】
いかなる理論によっても制限されることを望むものではないが、混合RO種中のRO濃度及びタイプの影響は、ガラスのモル体積及び分子分極率に関連し得ると考えられる。
図11は、表11及び12からの単一及び混合RO種の例示的なガラスの複数の例に関する比誘電率の測定値を、クラウジウス‐モソッティの式及び加法則を用いて予測された比誘電率と比較している。比誘電率(D
k)は、以下に示すクラウジウス‐モソッティの式(式5):
【0148】
【0149】
を用いて予測できる。
【0150】
Vmはガラスのモル体積であり、αDはガラスの分子分極率である。単一のRO種及び混合RO種を有する例示的なガラスに関する最小二乗回帰のR2値も示されている。混合RO種の例に関するR2値は0.97超であり、これは、クラウジウス‐モソッティの式及び加法則を用いて、表12の例示的なガラスの比誘電率を、合理的な確度で予測できることを示している。これは、ガラスの比誘電率に対する混合RO種の影響が、少なくとも部分的に、ガラスのモル体積及び分子分極率に関連し得ることを示唆している。
【0151】
実施例6
表13は、本開示による例示的なガラスEG62~EG76を、バッチ処理されたままのガラス(上記ガラスの元となるガラス前駆組成物)から酸化物ベースで算出されたモル%で示す。ガラス試料は、実施例1の例示的なガラスに関して上述したように調製及び特性決定された。
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
以下の非限定的な態様は、本開示に包含される。
【0156】
本開示の第1の態様によると、物品は、約60%~約80%のSiO2、0%~約13%のAl2O3、約15%~約28%のB2O3、0%~約1%の少なくとも1つの清澄剤、及び(酸化物のモルパーセントで)合計0%~約15%の1つ以上のアルカリ土類酸化物(RO)を含む、ガラスを含み、ここでROは、CaO、MgO、BaO、及びSrOから選択され、B2O3:(Al2O3+SiO2)の比は約0.13~約0.35であり、上記ガラスは、いずれも10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率及び約0.01以下の損失正接を有する。
【0157】
本開示の第2の態様は、上記清澄剤が、SnO2、Sb2O3、As2O3、及びハロゲン塩のうちの1つ以上を含む、態様1に記載の物品に関する。
【0158】
本開示の第3の態様は、上記ガラスが、(酸化物のモルパーセントで)合計約2%~約15%の、CaO、MgO、BaO、及びSrOのうちの1つ以上を更に含む、態様1に記載の物品に関する。
【0159】
本開示の第4の態様は、上記ガラスが、(酸化物のモルパーセントで)約1%~約13%のMgO及び約0.1%~約10%のCaOを更に含む、態様3に記載の物品に関する。
【0160】
本開示の第5の態様は、上記ガラスが0モル%超かつ8.5モル%以下のROを含み、また、いずれも10GHzの信号で測定した場合に、約6以下の比誘電率及び/又は約0.004以下の損失正接を更に有する、態様1に記載の物品に関する。
【0161】
本開示の第6の態様は、B2O3:(Al2O3+SiO2)の上記比が約0.22~約0.35である、態様1に記載の物品に関する。
【0162】
本開示の第7の態様は、RO:(Al2O3+(0.5*B2O3))の比が0~約0.9である、態様1に記載の物品に関する。
【0163】
本開示の第8の態様は、RO:(Al2O3+(0.5*B2O3))の上記比が約0.2~約0.9である、態様1に記載の物品に関する。
【0164】
本開示の第9の態様は、上記ガラスが:(酸化物のモルパーセントで)約64%~約75%のSiO2;約1%~約12%のAl2O3;及び約16%~約26%のB2O3を更に含む、態様1に記載の物品に関する。
【0165】
本開示の第10の態様は、上記ガラスが、10GHzの信号で測定した場合に、約7.5以下の比誘電率、及び約0.005以下の損失正接を有する、態様1~9のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0166】
本開示の第11の態様は、上記ガラスが、10GHzの信号で測定した場合に、約5以下の比誘電率、及び約0.005以下の損失正接を有する、態様1~9のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0167】
本開示の第12の態様は、上記ガラスが微量以下のアルカリ金属酸化物を含む、態様1~11のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0168】
本開示の第13の態様は、上記ガラスが、0℃~300℃で測定した場合に約25×10-7/℃~約65×10-7/℃の平均熱膨張係数(CTE)を有する、態様1~12のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0169】
本開示の第14の態様は、上記ガラスが、260℃において30秒間の寸法安定性を有する、態様1~13のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0170】
本開示の第15の態様によると、物品は、約60%~約80%のSiO2、0%~約13%のAl2O3、約15%~約28%のB2O3、0%~約1%の少なくとも1つの清澄剤、及び(酸化物のモルパーセントで)合計0%~約15%の1つ以上のアルカリ土類酸化物(RO)を含む、ガラスを含み、ここでROは、CaO、MgO、BaO、及びSrOから選択され、RO:(Al2O3+(0.5*B2O3))の比は約0~約0.9であり、上記ガラスは、約40キロポアズ~約5000キロポアズの液相線粘度を有する。
【0171】
本開示の第16の態様は、上記清澄剤が、SnO2、Sb2O3、As2O3、及びハロゲン塩のうちの1つ以上を含む、態様15に記載の物品に関する。
【0172】
本開示の第17の態様は、上記ガラスが、(酸化物のモルパーセントで)合計約2%~約15%の、CaO、MgO、BaO、及びSrOのうちの1つ以上を更に含む、態様16に記載の物品に関する。
【0173】
本開示の第18の態様は、上記ガラスが、(酸化物のモルパーセントで)約1%~約13%のMgO及び約0.1%~約10%のCaOを更に含む、態様17に記載の物品に関する。
【0174】
本開示の第19の態様は、上記ガラスが0モル%超かつ8.5モル%以下のROを含み、また、いずれも10GHzの信号で測定した場合に、約6以下の比誘電率及び/又は約0.004以下の損失正接を更に有する、態様15に記載の物品に関する。
【0175】
本開示の第20の態様は、RO:(Al2O3+(0.5*B2O3))の上記比が約0.2~約0.9である、態様15に記載の物品に関する。
【0176】
本開示の第21の態様は、B2O3:(Al2O3+SiO2)の比が約0.13~約0.35である、態様15に記載の物品に関する。
【0177】
本開示の第22の態様は、B2O3:(Al2O3+SiO2)の上記比が約0.22~約0.35である、態様21に記載の物品に関する。
【0178】
本開示の第23の態様は、上記ガラスが:(酸化物のモルパーセントで)約65%~約80%のSiO2;約1%~約8%のAl2O3;及び約16%~約26%のB2O3を更に含む、態様15に記載の物品に関する。
【0179】
本開示の第24の態様は、上記ガラスが更に、約1110℃~約1325℃の35,000ポアズ温度を有する、態様15~23のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0180】
本開示の第25の態様は、上記ガラスが更に、約1600℃~約1825℃の200ポアズ融点を有する、態様15~24のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0181】
本開示の第26の態様は、上記ガラスが微量以下のアルカリ金属酸化物を含む、態様15~25のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0182】
本開示の第27の態様は、上記ガラスが、0℃~300℃で測定した場合に約25×10-7/℃~約65×10-7/℃の平均熱膨張係数(CTE)を有する、態様15~26のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0183】
本開示の第28の態様は、上記ガラスが更に、約50キロポアズ~約3000キロポアズの液相線粘度を有する、態様15~27のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0184】
本開示の第29の態様は、上記ガラスが、260℃において30秒間の寸法安定性を有する、態様15~28のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0185】
本開示の第30の態様によると、物品は、約60%~約80%のSiO2、0%~約13%のAl2O3、約15%~約28%のB2O3、0%~約1%の少なくとも1つの清澄剤、及び(酸化物のモルパーセントで)合計0%~約15%の1つ以上のアルカリ土類酸化物(RO)を含む、ガラスを含み、ここでROは、CaO、MgO、BaO、及びSrOから選択され、B2O3:(Al2O3+SiO2)の比は約0.13~約0.35であり、上記ガラスは、10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率及び約0.01以下の損失正接を有し、更に上記ガラスは、約40キロポアズ~約5000キロポアズの液相線粘度を有する。
【0186】
本開示の第31の態様は、上記清澄剤が、SnO2、Sb2O3、As2O3、及びハロゲン塩のうちの1つ以上を含む、態様30に記載の物品に関する。
【0187】
本開示の第32の態様は、上記ガラスが、10GHzの信号で測定した場合に、約7.5以下の比誘電率、及び約0.005以下の損失正接を有する、態様30に記載の物品に関する。
【0188】
本開示の第33の態様は、上記ガラスが、10GHzの信号で測定した場合に、約5以下の比誘電率、及び約0.005以下の損失正接を有する、態様30に記載の物品に関する。
【0189】
本開示の第34の態様は、上記ガラスが、約50キロポアズ~約3000キロポアズの液相線粘度を有する、態様30~33のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0190】
本開示の第35の態様は、上記ガラスが更に、約1110℃~約1325℃の35,000ポアズ温度を有する、態様30~34のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0191】
本開示の第36の態様は、上記ガラスが:(酸化物のモルパーセントで)約64%~約75%のSiO2;約1%~約12%のAl2O3;及び約16%~約26%のB2O3を更に含む、態様30~35のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0192】
本開示の第37の態様は、B2O3:(Al2O3+SiO2)の上記比が約0.22~約0.35である、態様30に記載の物品に関する。
【0193】
本開示の第38の態様は、RO:(Al2O3+(0.5*B2O3))の比が約0~約0.9である、態様30に記載の物品に関する。
【0194】
本開示の第39の態様は、RO:(Al2O3+(0.5*B2O3))の上記比が約0.2~約0.9である、態様38に記載の物品に関する。
【0195】
本開示の第40の態様によると、物品は、約60%~約80%のSiO2、0%~約13%のAl2O3、約15%~約28%のB2O3、0%~約1%の少なくとも1つの清澄剤、並びにMgO及び少なくとも1つの追加のアルカリ土類酸化物(RO)を含むガラスを含み、ここで上記少なくとも1つの追加のROは、CaO、BaO、及びSrOから選択され、MgOと上記少なくとも1つの追加のROとの合計の総量(ROTotal)は、(酸化物のモルパーセントで)約3%~約15%であり、上記ガラスは、いずれも10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率及び/又は約0.01以下の損失正接を有する。
【0196】
本開示の第41の態様は、10GHzの信号で測定した場合に約0.008以下の損失正接を更に有する、態様40に記載の物品に関する。
【0197】
本開示の第42の態様は、上記ガラスが、いずれも10GHzの信号で測定した場合に、約7.5以下の比誘電率、及び約0.005以下の損失正接を有する、態様40に記載の物品に関する。
【0198】
本開示の第43の態様は、MgO:ROTotalの比が少なくとも0.3である、態様40~42のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0199】
本開示の第44の態様は、MgO:ROTotalの比が少なくとも0.5である、態様40~42のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0200】
本開示の第45の態様は、ROTotalが(酸化物のモルパーセントで)約4%~約15モル%である、態様40~44のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0201】
本開示の第46の態様は、ROTotal:Al2O3の比が1超である、態様40~45のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0202】
本開示の第47の態様は、B2O3:(Al2O3+SiO2)の比が約0.13~約0.35である、態様40~46のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0203】
本開示の第48の態様は、上記少なくとも1つの追加のROがCaOであり、更に(酸化物のモルパーセントで)MgOが約1%~約10%だけ存在し、CaOが約1%~約10%だけ存在する、態様40~47のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0204】
本開示の第49の態様は、上記少なくとも1つの追加のROがCaOであり、更に(酸化物のモルパーセントで)MgOが約1%~約7%だけ存在し、CaOが約2%~約7%だけ存在する、態様40~47のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0205】
本開示の第50の態様は、上記少なくとも1つの追加のROがSrOであり、更に(酸化物のモルパーセントで)MgOが約1%~約10%だけ存在し、SrOが約1%~約5%だけ存在する、態様40~47のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0206】
本開示の第51の態様は、上記清澄剤が、SnO2、Sb2O3、As2O3、及びハロゲン塩のうちの1つ以上を含む、態様40~50のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0207】
本開示の第52の態様は、ROTotal:(Al2O3+B2O3)の上記比が約0.2~約0.6である、態様40~51のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0208】
本開示の第53の態様は、上記ガラスがアルカリ金属酸化物を略含まない、態様40~52のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0209】
本開示の第54の態様は、上記ガラスが、約25℃で測定した場合に約2.2~約2.5グラム/立方センチメートルの密度を有する、態様40~53のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0210】
本開示の第55の態様は、上記ガラスが更に、約1110℃~約1325℃の35,000ポアズ温度を有する、態様40~54のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0211】
本開示の第56の態様は、上記ガラスが更に、約1600℃~約1825℃の200ポアズ融点を有する、態様40~55のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0212】
本開示の第57の態様によると、電子デバイスの基板用の物品は、約60%~約80%のSiO2、0%~約13%のAl2O3、約15%~約28%のB2O3、0%~約1%の少なくとも1つの清澄剤、並びにMgO及び少なくとも1つの追加のアルカリ土類酸化物(RO)から本質的になるガラスを含み、ここで上記少なくとも1つの追加のROは、CaO、BaO、及びSrOから選択され、MgOと上記少なくとも1つの追加のROとの合計の総量(ROTotal)は、(酸化物のモルパーセントで)約3%~約15%であり、上記ガラスは、いずれも10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率及び/又は約0.01以下の損失正接を有する。
【0213】
本開示の第58の態様は、10GHzの信号で測定した場合に約0.008以下の損失正接を更に有する、態様57に記載の物品に関する。
【0214】
本開示の第59の態様は、上記ガラスが、いずれも10GHzの信号で測定した場合に、約7.5以下の比誘電率、及び約0.005以下の損失正接を有する、態様57に記載の物品に関する。
【0215】
本開示の第60の態様は、MgO:ROTotalの比が少なくとも0.3である、態様57~59のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0216】
本開示の第61の態様は、MgO:ROTotalの比が少なくとも0.5である、態様57~59のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0217】
本開示の第62の態様は、ROTotalが(酸化物のモルパーセントで)約4%~約15モル%である、態様57~61のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0218】
本開示の第63の態様は、ROTotal:Al2O3の比が1超である、態様57~62のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0219】
本開示の第64の態様は、B2O3:(Al2O3+SiO2)の比が約0.13~約0.35である、態様57~63のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0220】
本開示の第65の態様は、上記少なくとも1つの追加のROがCaOであり、更に(酸化物のモルパーセントで)MgOが約1%~約10%だけ存在し、CaOが約1%~約10%だけ存在する、態様57~64のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0221】
本開示の第66の態様は、上記少なくとも1つの追加のROがCaOであり、更に(酸化物のモルパーセントで)MgOが約1%~約7%だけ存在し、CaOが約2%~約7%だけ存在する、態様57~64のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0222】
本開示の第67の態様は、上記少なくとも1つの追加のROがSrOであり、更に(酸化物のモルパーセントで)MgOが約1%~約10%だけ存在し、SrOが約1%~約5%だけ存在する、態様57~64のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0223】
本開示の第68の態様は、上記清澄剤が、SnO2、Sb2O3、As2O3、及びハロゲン塩のうちの1つ以上を含む、態様57~67のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0224】
本開示の第69の態様は、ROTotal:(Al2O3+B2O3)の上記比が約0.2~約0.6である、態様57~68のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0225】
本開示の第70の態様は、上記ガラスがアルカリ金属酸化物を略含まない、態様57~69のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0226】
本開示の第71の態様は、上記ガラスが、約25℃で測定した場合に約2.2~約2.5グラム/立方センチメートルの密度を有する、態様57~70のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0227】
本開示の第72の態様は、上記ガラスが更に、約1110℃~約1325℃の35,000ポアズ温度を有する、態様57~71のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0228】
本開示の第73の態様は、上記ガラスが更に、約1600℃~約1825℃の200ポアズ融点を有する、態様57~72のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0229】
本開示の第74の態様によると、物品は、SiO
2、Al
2O
3、及びB
2O
3、並びにLi
2O、Na
2O、K
2O、MgO、CaO、SrO、BaO、SnO
2、ZnO、La
2O
3、F、及びFe
2O
3のうちの少なくとも1つを含むガラスを含み、ここでSiO
2、Al
2O
3、及びB
2O
3の第1の合計(X
sum)、Li
2O、Na
2O、K
2O、MgO、CaO、SrO、及びBaOの第2の合計(Y
sum)、並びにSnO
2、ZnO、La
2O
3、F、及びFe
2O
3第3の合計(Z
sum)(X
sum、Y
sum、及びZ
sumは、酸化物のモルパーセントである)は、以下の境界点:
【0230】
によって更に定義されるようなXsum、Ysum、及びZsumの凸包内にあり、
上記ガラスは更に、(酸化物のモルパーセントでの)式1及び式2:
-42.8440902+0.463763055*[SiO2]+0.520077325*[Al2O3]+0.468168738*[B2O3]+0.47253232*[Li2O]+2.11958583*[K2O]+0.499421381*[MgO]+0.558094225*[CaO]+0.805792958*[SrO]+0.637349469*[BaO]-0.17232118*[SnO2]+0.525853343*[ZnO]+0.261394654*[La2O3]+0.469279089*[F]≦10 式1
及び
0.756212572817506+[K2O]+0.209148876828416*[La2O3]+0.0884393206156657*[BaO]+0.0384462744417211*[CaO]+(5.95212630529679-[F])/[B2O3]+(254.196472343803-2.1615185467817*[B2O3])/[SiO2]≦10 式2
のうちの少なくとも1つによって定義され、
更に上記ガラスは、10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率を有する。
【0231】
本開示の第75の態様は、上記ガラスが更に、10GHzの信号で測定した場合に約0.008以下の損失正接を有し、また上記ガラスが更に、(酸化物のモルパーセントでの)式3及び式4:
0.429780863-0.00424207*[SiO2]-0.004096119*[Al2O3]-0.004396116*[B2O3]-0.002791817*[Li2O]-0.012890989*[K2O]-0.004226519*[MgO]-0.004108234*[CaO]-0.003587217*[SrO]-0.004083111*[BaO]-0.028056812*[SnO2]-0.004220402*[ZnO]+0.000195707*[La2O3]-0.004466313*[F]≦0.008 式3
及び
0.00454540427936441+0.00452303537205577*[K2O]+0.00026538565533632*[B2O3]+2.211176044138×10-5*[Al2O3]*[BaO]+6.27439041968789×10-6*2[CaO]-0.000215116681577554*[F]-6.01991751010702×10-6*[SiO2]*[B2O3]≦0.008 式4
のうちの少なくとも1つによって定義される、態様74に記載の物品に関する。
【0232】
本開示の第76の態様は、上記ガラスが更に、10GHzの信号で測定した場合に約7.5以下の比誘電率及び約0.005以下の損失正接を有する、態様74又は75に記載の物品に関する。
【0233】
本開示の第77の態様は、上記ガラスが更に、10GHzの信号で測定した場合に約5以下の比誘電率及び約0.005以下の損失正接を有する、態様74又は75に記載の物品に関する。
【0234】
本開示の第78の態様は、酸化物のモルパーセントでの、上記ガラス中に存在する上記第1の合計Xsum、上記第2の合計Ysum、及び上記第3の合計Zsumが、100に等しい、態様74~77のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0235】
本開示の第79の態様は、上記ガラスがMgO及びZnOを更に含む、態様74~78のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0236】
本開示の第80の態様は、上記ガラスがSnO2と、CaO及びBaOのうちの少なくとも1つとを更に含む、態様74~79のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0237】
本開示の第81の態様は、上記ガラスが微量以下のアルカリ金属酸化物を含む、態様74~80のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0238】
本開示の第82の態様は、上記ガラスが、F、La2O3、及びZnOのうちの少なくとも1つを略含まない、態様74~81のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0239】
本開示の第83の態様は、上記ガラスが更に、F、La2O3、及びZnOのうちの少なくとも1つを含む、態様74~81のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0240】
本開示の第84の態様によると、物品は、SiO
2、Al
2O
3、及びB
2O
3、並びにLi
2O、Na
2O、K
2O、MgO、CaO、SrO、BaO、SnO
2、ZnO、La
2O
3、F、及びFe
2O
3のうちの少なくとも1つを含むガラスを含み、ここでSiO
2、Al
2O
3、及びB
2O
3の第1の合計(X
sum)、Li
2O、Na
2O、K
2O、MgO、CaO、SrO、及びBaOの第2の合計(Y
sum)、並びにSnO
2、ZnO、La
2O
3、F、及びFe
2O
3第3の合計(Z
sum)(X
sum、Y
sum、及びZ
sumは、酸化物のモルパーセントである)は、以下の境界点:
【0241】
によって更に定義されるようなXsum、Ysum、及びZsumの凸包内にあり、
上記ガラスは更に、(酸化物のモルパーセントでの)式1及び式2:
-42.8440902+0.463763055*[SiO2]+0.520077325*[Al2O3]+0.468168738*[B2O3]+0.47253232*[Li2O]+2.11958583*[K2O]+0.499421381*[MgO]+0.558094225*[CaO]+0.805792958*[SrO]+0.637349469*[BaO]-0.17232118*[SnO2]+0.525853343*[ZnO]+0.261394654*[La2O3]+0.469279089*[F]≦10 式1
及び
0.756212572817506+[K2O]+0.209148876828416*[La2O3]+0.0884393206156657*[BaO]+0.0384462744417211*[CaO]+(5.95212630529679-[F])/[B2O3]+(254.196472343803-2.1615185467817*[B2O3])/[SiO2]≦10 式2
のうちの少なくとも1つによって定義され、
上記ガラスは更に、10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率を有する。
【0242】
本開示の第85の態様は、上記ガラスが更に、10GHzの信号で測定した場合に約0.008以下の損失正接を有し、また上記ガラスが更に、(酸化物のモルパーセントでの)式3及び式4:
0.429780863-0.00424207*[SiO2]-0.004096119*[Al2O3]-0.004396116*[B2O3]-0.002791817*[Li2O]-0.012890989*[K2O]-0.004226519*[MgO]-0.004108234*[CaO]-0.003587217*[SrO]-0.004083111*[BaO]-0.028056812*[SnO2]-0.004220402*[ZnO]+0.000195707*[La2O3]-0.004466313*[F]≦0.008 式3
及び
0.00454540427936441+0.00452303537205577*[K2O]+0.00026538565533632*[B2O3]+2.211176044138×10-5*[Al2O3]*[BaO]+6.27439041968789×10-6*2[CaO]-0.000215116681577554*[F]-6.01991751010702×10-6*[SiO2]*[B2O3]≦0.008 式4
のうちの少なくとも1つによって定義される、態様84に記載の物品に関する。
【0243】
本開示の第86の態様は、上記ガラスが更に、10GHzの信号で測定した場合に約7.5以下の比誘電率及び約0.005以下の損失正接を有する、態様84又は85に記載の物品に関する。
【0244】
本開示の第87の態様は、上記ガラスが更に、10GHzの信号で測定した場合に約5以下の比誘電率及び約0.005以下の損失正接を有する、態様84又は85に記載の物品に関する。
【0245】
本開示の第88の態様は、酸化物のモルパーセントでの、上記ガラス中に存在する上記第1の合計Xsum、上記第2の合計Ysum、及び上記第3の合計Zsumが、100に等しい、態様84~87のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0246】
本開示の第89の態様は、上記ガラスがMgO及びZnOを更に含む、態様84~88のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0247】
本開示の第90の態様は、上記ガラスがSnO2と、CaO及びBaOのうちの少なくとも1つとを更に含む、態様84~89のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0248】
本開示の第91の態様は、上記ガラスが微量以下のアルカリ金属酸化物を含む、態様84~90のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0249】
本開示の第92の態様は、上記ガラスが、F、La2O3、及びZnOのうちの少なくとも1つを略含まない、態様84~91のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0250】
本開示の第93の態様は、上記ガラスが更に、F、La2O3、及びZnOのうちの少なくとも1つを含む、態様84~92のいずれか1つに記載の物品に関する。
【0251】
いずれの実施形態を含む本開示の上述の実施形態、単なる可能な実装例であり、単に本開示の様々な原理の明瞭な理解のために挙げられていることを強調しておく。本開示の上述の実施形態に対して、本開示の精神及び様々な原理から実質的に逸脱することなく、多くの変更及び修正を施してよい。本明細書において、全てのこのような修正及び変更は、本明細書において本開示の範囲内に含まれ、かつ以下の請求項によって保護されることが意図されている。
【0252】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0253】
実施形態1
物品であって、
上記物品は:
ガラスであって:
約60%~約80%のSiO2;
0%~約13%のAl2O3;
約15%~約28%のB2O3;
0%~約1%の少なくとも1つの清澄剤;及び
(酸化物のモルパーセントで)合計0%~約15%の1つ以上のアルカリ土類酸化物(RO)
を含み、ROは、CaO、MgO、BaO、及びSrOから選択される、ガラスを含み、
B2O3:(Al2O3+SiO2)の比は約0.13~約0.35であり、
上記ガラスは、いずれも10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率及び約0.01以下の損失正接を有する、物品。
【0254】
実施形態2
上記清澄剤は、SnO2、Sb2O3、As2O3、及びハロゲン塩のうちの1つ以上を含む、実施形態1に記載の物品。
【0255】
実施形態3
上記ガラスは、(酸化物のモルパーセントで)合計約2%~約15%の、CaO、MgO、BaO、及びSrOのうちの1つ以上を更に含む、実施形態1に記載の物品。
【0256】
実施形態4
上記ガラスは、(酸化物のモルパーセントで)約1%~約13%のMgO及び約0.1%~約10%のCaOを更に含む、実施形態3に記載の物品。
【0257】
実施形態5
上記ガラスは0モル%超かつ8.5モル%以下のROを含み、また、いずれも10GHzの信号で測定した場合に、約6以下の比誘電率及び/又は約0.004以下の損失正接を更に有する、実施形態1に記載の物品。
【0258】
実施形態6
B2O3:(Al2O3+SiO2)の上記比は約0.22~約0.35である、実施形態1に記載の物品。
【0259】
実施形態7
RO:(Al2O3+(0.5*B2O3))の比は0~約0.9である、実施形態1に記載の物品。
【0260】
実施形態8
RO:(Al2O3+(0.5*B2O3))の上記比は約0.2~約0.9である、実施形態1に記載の物品。
【0261】
実施形態9
上記ガラスは(酸化物のモルパーセントで):
約64%~約75%のSiO2;
約1%~約12%のAl2O3;及び
約16%~約26%のB2O3
を更に含む、実施形態1に記載の物品。
【0262】
実施形態10
上記ガラスは、10GHzの信号で測定した場合に、約7.5以下の比誘電率、及び約0.005以下の損失正接を有する、実施形態1~9のいずれか1つに記載の物品。
【0263】
実施形態11
上記ガラスは、10GHzの信号で測定した場合に、約5以下の比誘電率、及び約0.005以下の損失正接を有する、実施形態1~9のいずれか1つに記載の物品。
【0264】
実施形態12
上記ガラスは微量以下のアルカリ金属酸化物を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の物品。
【0265】
実施形態13
上記ガラスは、0℃~300℃で測定した場合に約25×10-7/℃~約65×10-7/℃の平均熱膨張係数(CTE)を有する、実施形態1~12のいずれか1つに記載の物品。
【0266】
実施形態14
上記ガラスは、260℃において30秒間の寸法安定性を有する、実施形態1~13のいずれか1つに記載の物品。
【0267】
実施形態15
物品であって、
上記物品は:
ガラスであって:
約60%~約80%のSiO2;
0%~約13%のAl2O3;
約15%~約28%のB2O3;
0%~約1%の少なくとも1つの清澄剤;及び
(酸化物のモルパーセントで)合計0%~約15%の1つ以上のアルカリ土類酸化物(RO)
を含み、ROは、CaO、MgO、BaO、及びSrOから選択される、ガラスを含み、
RO:(Al2O3+(0.5*B2O3))の比は約0~約0.9であり、
上記ガラスは、約40キロポアズ~約5000キロポアズの液相線粘度を有する、物品。
【0268】
実施形態16
上記清澄剤は、SnO2、Sb2O3、As2O3、及びハロゲン塩のうちの1つ以上を含む、実施形態15に記載の物品。
【0269】
実施形態17
上記ガラスは、(酸化物のモルパーセントで)合計約2%~約15%の、CaO、MgO、BaO、及びSrOのうちの1つ以上を更に含む、実施形態16に記載の物品。
【0270】
実施形態18
上記ガラスは、(酸化物のモルパーセントで)約1%~約13%のMgO及び約0.1%~約10%のCaOを更に含む、実施形態17に記載の物品。
【0271】
実施形態19
上記ガラスは0モル%超かつ8.5モル%以下のROを含み、また、いずれも10GHzの信号で測定した場合に、約6以下の比誘電率及び/又は約0.004以下の損失正接を更に有する、実施形態15に記載の物品。
【0272】
実施形態20
RO:(Al2O3+(0.5*B2O3))の上記比は約0.2~約0.9である、実施形態15に記載の物品。
【0273】
実施形態21
B2O3:(Al2O3+SiO2)の比は約0.13~約0.35である、実施形態15に記載の物品。
【0274】
実施形態22
B2O3:(Al2O3+SiO2)の上記比は約0.22~約0.35である、実施形態21に記載の物品。
【0275】
実施形態23
上記ガラスは(酸化物のモルパーセントで):
約65%~約80%のSiO2;
約1%~約8%のAl2O3;及び
約16%~約26%のB2O3
を更に含む、実施形態15に記載の物品。
【0276】
実施形態24
上記ガラスは更に、約1110℃~約1325℃の35,000ポアズ温度を有する、実施形態15~23のいずれか1つに記載の物品。
【0277】
実施形態25
上記ガラスは更に、約1600℃~約1825℃の200ポアズ融点を有する、実施形態15~24のいずれか1つに記載の物品。
【0278】
実施形態26
上記ガラスは微量以下のアルカリ金属酸化物を含む、実施形態15~25のいずれか1つに記載の物品。
【0279】
実施形態27
上記ガラスは、0℃~300℃で測定した場合に約25×10-7/℃~約65×10-7/℃の平均熱膨張係数(CTE)を有する、実施形態15~26のいずれか1つに記載の物品。
【0280】
実施形態28
上記ガラスは更に、約50キロポアズ~約3000キロポアズの液相線粘度を有する、実施形態15~27のいずれか1つに記載の物品。
【0281】
実施形態29
上記ガラスは、260℃において30秒間の寸法安定性を有する、実施形態15~28のいずれか1つに記載の物品。
【0282】
実施形態30
物品であって、
上記物品は:
ガラスであって:
約60%~約80%のSiO2;
0%~約13%のAl2O3;
約15%~約28%のB2O3;
0%~約1%の少なくとも1つの清澄剤;及び
(酸化物のモルパーセントで)合計0%~約15%の1つ以上のアルカリ土類酸化物(RO)
を含み、ROは、CaO、MgO、BaO、及びSrOから選択される、ガラスを含み、
B2O3:(Al2O3+SiO2)の比は約0.13~約0.35であり、
上記ガラスは、10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率及び約0.01以下の損失正接を有し、
更に上記ガラスは、約40キロポアズ~約5000キロポアズの液相線粘度を有する、物品。
【0283】
実施形態31
上記清澄剤は、SnO2、Sb2O3、As2O3、及びハロゲン塩のうちの1つ以上を含む、実施形態30に記載の物品。
【0284】
実施形態32
上記ガラスは、10GHzの信号で測定した場合に、約7.5以下の比誘電率、及び約0.005以下の損失正接を有する、実施形態30に記載の物品。
【0285】
実施形態33
上記ガラスは、10GHzの信号で測定した場合に、約5以下の比誘電率、及び約0.005以下の損失正接を有する、実施形態30に記載の物品。
【0286】
実施形態34
上記ガラスは、約50キロポアズ~約3000キロポアズの液相線粘度を有する、実施形態30~33のいずれか1つに記載の物品。
【0287】
実施形態35
上記ガラスは更に、約1110℃~約1325℃の35,000ポアズ温度を有する、実施形態30~34のいずれか1つに記載の物品。
【0288】
実施形態36
上記ガラスは(酸化物のモルパーセントで):
約64%~約75%のSiO2;
約1%~約12%のAl2O3;及び
約16%~約26%のB2O3
を更に含む、実施形態30~35のいずれか1つに記載の物品。
【0289】
実施形態37
B2O3:(Al2O3+SiO2)の上記比は約0.22~約0.35である、実施形態30に記載の物品。
【0290】
実施形態38
RO:(Al2O3+(0.5*B2O3))の比は約0~約0.9である、実施形態30に記載の物品。
【0291】
実施形態39
RO:(Al2O3+(0.5*B2O3))の上記比は約0.2~約0.9である、実施形態38に記載の物品。
【0292】
実施形態40
物品であって、
上記物品は:
ガラスであって:
約60%~約80%のSiO2;
0%~約13%のAl2O3;
約15%~約28%のB2O3;
0%~約1%の少なくとも1つの清澄剤;並びに
MgO及び少なくとも1つの追加のアルカリ土類酸化物(RO)
を含み、上記少なくとも1つの追加のROは、CaO、BaO、及びSrOから選択され、MgOと上記少なくとも1つの追加のROとの合計の総量(ROTotal)は、(酸化物のモルパーセントで)約3%~約15%である、ガラスを含み、
上記ガラスは、いずれも10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率及び/又は約0.01以下の損失正接を有する、物品。
【0293】
実施形態41
10GHzの信号で測定した場合に約0.008以下の損失正接を更に有する、実施形態40に記載の物品。
【0294】
実施形態42
上記ガラスは、いずれも10GHzの信号で測定した場合に、約7.5以下の比誘電率、及び約0.005以下の損失正接を有する、実施形態40に記載の物品。
【0295】
実施形態43
MgO:ROTotalの比は少なくとも0.3である、実施形態40~42のいずれか1つに記載の物品。
【0296】
実施形態44
MgO:ROTotalの比は少なくとも0.5である、実施形態40~42のいずれか1つに記載の物品。
【0297】
実施形態45
ROTotalは(酸化物のモルパーセントで)約4%~約15モル%である、実施形態40~44のいずれか1つに記載の物品。
【0298】
実施形態46
ROTotal:Al2O3の比は1超である、実施形態40~45のいずれか1つに記載の物品。
【0299】
実施形態47
B2O3:(Al2O3+SiO2)の比は約0.13~約0.35である、実施形態40~46のいずれか1つに記載の物品。
【0300】
実施形態48
上記少なくとも1つの追加のROはCaOであり、更に(酸化物のモルパーセントで)MgOは約1%~約10%だけ存在し、CaOは約1%~約10%だけ存在する、実施形態40~47のいずれか1つに記載の物品。
【0301】
実施形態49
上記少なくとも1つの追加のROはCaOであり、更に(酸化物のモルパーセントで)MgOは約1%~約7%だけ存在し、CaOは約2%~約7%だけ存在する、実施形態40~47のいずれか1つに記載の物品。
【0302】
実施形態50
上記少なくとも1つの追加のROはSrOであり、更に(酸化物のモルパーセントで)MgOは約1%~約10%だけ存在し、SrOは約1%~約5%だけ存在する、実施形態40~47のいずれか1つに記載の物品。
【0303】
実施形態51
上記清澄剤は、SnO2、Sb2O3、As2O3、及びハロゲン塩のうちの1つ以上を含む、実施形態40~50のいずれか1つに記載の物品。
【0304】
実施形態52
ROTotal:(Al2O3+B2O3)の上記比は約0.2~約0.6である、実施形態40~51のいずれか1つに記載の物品。
【0305】
実施形態53
上記ガラスはアルカリ金属酸化物を略含まない、実施形態40~52のいずれか1つに記載の物品。
【0306】
実施形態54
上記ガラスは、約25℃で測定した場合に約2.2~約2.5グラム/立方センチメートルの密度を有する、実施形態40~53のいずれか1つに記載の物品。
【0307】
実施形態55
上記ガラスは更に、約1110℃~約1325℃の35,000ポアズ温度を有する、実施形態40~54のいずれか1つに記載の物品。
【0308】
実施形態56
上記ガラスは更に、約1600℃~約1825℃の200ポアズ融点を有する、実施形態40~55のいずれか1つに記載の物品。
【0309】
実施形態57
電子デバイスの基板用の物品であって、
上記物品は:
ガラスであって:
約60%~約80%のSiO2;
0%~約13%のAl2O3;
約15%~約28%のB2O3;
0%~約1%の少なくとも1つの清澄剤;並びに
MgO及び少なくとも1つの追加のアルカリ土類酸化物(RO)
から本質的になり、上記少なくとも1つの追加のROは、CaO、BaO、及びSrOから選択され、MgOと上記少なくとも1つの追加のROとの合計の総量(ROTotal)は、(酸化物のモルパーセントで)約3%~約15%である、ガラスを含み、
上記ガラスは、いずれも10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率及び/又は約0.01以下の損失正接を有する、物品。
【0310】
実施形態58
10GHzの信号で測定した場合に約0.008以下の損失正接を更に有する、実施形態57に記載の物品。
【0311】
実施形態59
上記ガラスは、いずれも10GHzの信号で測定した場合に、約7.5以下の比誘電率、及び約0.005以下の損失正接を有する、実施形態57に記載の物品。
【0312】
実施形態60
MgO:ROTotalの比は少なくとも0.3である、実施形態57~59のいずれか1つに記載の物品。
【0313】
実施形態61
MgO:ROTotalの比は少なくとも0.5である、実施形態57~59のいずれか1つに記載の物品。
【0314】
実施形態62
ROTotalは(酸化物のモルパーセントで)約4%~約15モル%である、実施形態57~61のいずれか1つに記載の物品。
【0315】
実施形態63
ROTotal:Al2O3の比は1超である、実施形態57~62のいずれか1つに記載の物品。
【0316】
実施形態64
B2O3:(Al2O3+SiO2)の比は約0.13~約0.35である、実施形態57~63のいずれか1つに記載の物品。
【0317】
実施形態65
上記少なくとも1つの追加のROはCaOであり、更に(酸化物のモルパーセントで)MgOは約1%~約10%だけ存在し、CaOは約1%~約10%だけ存在する、実施形態57~64のいずれか1つに記載の物品。
【0318】
実施形態66
上記少なくとも1つの追加のROはCaOであり、更に(酸化物のモルパーセントで)MgOは約1%~約7%だけ存在し、CaOは約2%~約7%だけ存在する、実施形態57~64のいずれか1つに記載の物品。
【0319】
実施形態67
上記少なくとも1つの追加のROはSrOであり、更に(酸化物のモルパーセントで)MgOは約1%~約10%だけ存在し、SrOは約1%~約5%だけ存在する、実施形態57~64のいずれか1つに記載の物品。
【0320】
実施形態68
上記清澄剤は、SnO2、Sb2O3、As2O3、及びハロゲン塩のうちの1つ以上を含む、実施形態57~67のいずれか1つに記載の物品。
【0321】
実施形態69
ROTotal:(Al2O3+B2O3)の上記比は約0.2~約0.6である、実施形態57~68のいずれか1つに記載の物品。
【0322】
実施形態70
上記ガラスはアルカリ金属酸化物を略含まない、実施形態57~69のいずれか1つに記載の物品。
【0323】
実施形態71
上記ガラスは、約25℃で測定した場合に約2.2~約2.5グラム/立方センチメートルの密度を有する、実施形態57~70のいずれか1つに記載の物品。
【0324】
実施形態72
上記ガラスは更に、約1110℃~約1325℃の35,000ポアズ温度を有する、実施形態57~71のいずれか1つに記載の物品。
【0325】
実施形態73
上記ガラスは更に、約1600℃~約1825℃の200ポアズ融点を有する、実施形態57~72のいずれか1つに記載の物品。
【0326】
実施形態74
物品であって、
上記物品は:
ガラスであって:
SiO
2、Al
2O
3、及びB
2O
3;並びに
Li
2O、Na
2O、K
2O、MgO、CaO、SrO、BaO、SnO
2、ZnO、La
2O
3、F、及びFe
2O
3のうちの少なくとも1つ
を含むガラスを含み、
SiO
2、Al
2O
3、及びB
2O
3の第1の合計(X
sum)、Li
2O、Na
2O、K
2O、MgO、CaO、SrO、及びBaOの第2の合計(Y
sum)、並びにSnO
2、ZnO、La
2O
3、F、及びFe
2O
3第3の合計(Z
sum)(X
sum、Y
sum、及びZ
sumは、酸化物のモルパーセントである)は、以下の境界点:
【0327】
によって更に定義されるようなXsum、Ysum、及びZsumの凸包内にあり、
上記ガラスは更に、(酸化物のモルパーセントでの)式1及び式2:
-42.8440902+0.463763055*[SiO2]+0.520077325*[Al2O3]+0.468168738*[B2O3]+0.47253232*[Li2O]+2.11958583*[K2O]+0.499421381*[MgO]+0.558094225*[CaO]+0.805792958*[SrO]+0.637349469*[BaO]-0.17232118*[SnO2]+0.525853343*[ZnO]+0.261394654*[La2O3]+0.469279089*[F]≦10 式1
及び
0.756212572817506+[K2O]+0.209148876828416*[La2O3]+0.0884393206156657*[BaO]+0.0384462744417211*[CaO]+(5.95212630529679-[F])/[B2O3]+(254.196472343803-2.1615185467817*[B2O3])/[SiO2]≦10 式2
のうちの少なくとも1つによって定義され、
更に上記ガラスは、10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率を有する、物品。
【0328】
実施形態75
上記ガラスは更に、10GHzの信号で測定した場合に約0.008以下の損失正接を有し、また上記ガラスは更に、(酸化物のモルパーセントでの)式3及び式4:
0.429780863-0.00424207*[SiO2]-0.004096119*[Al2O3]-0.004396116*[B2O3]-0.002791817*[Li2O]-0.012890989*[K2O]-0.004226519*[MgO]-0.004108234*[CaO]-0.003587217*[SrO]-0.004083111*[BaO]-0.028056812*[SnO2]-0.004220402*[ZnO]+0.000195707*[La2O3]-0.004466313*[F]≦0.008 式3
及び
0.00454540427936441+0.00452303537205577*[K2O]+0.00026538565533632*[B2O3]+2.211176044138×10-5*[Al2O3]*[BaO]+6.27439041968789×10-6*2[CaO]-0.000215116681577554*[F]-6.01991751010702×10-6*[SiO2]*[B2O3]≦0.008 式4
のうちの少なくとも1つによって定義される、実施形態74に記載の物品。
【0329】
実施形態76
上記ガラスは更に、10GHzの信号で測定した場合に約7.5以下の比誘電率及び約0.005以下の損失正接を有する、実施形態74又は75に記載の物品。
【0330】
実施形態77
上記ガラスは更に、10GHzの信号で測定した場合に約5以下の比誘電率及び約0.005以下の損失正接を有する、実施形態74又は75に記載の物品。
【0331】
実施形態78
酸化物のモルパーセントでの、上記ガラス中に存在する上記第1の合計Xsum、上記第2の合計Ysum、及び上記第3の合計Zsumは、100に等しい、実施形態74~77のいずれか1つに記載の物品。
【0332】
実施形態79
上記ガラスはMgO及びZnOを更に含む、実施形態74~78のいずれか1つに記載の物品。
【0333】
実施形態80
上記ガラスはSnO2と、CaO及びBaOのうちの少なくとも1つとを更に含む、実施形態74~79のいずれか1つに記載の物品。
【0334】
実施形態81
上記ガラスは微量以下のアルカリ金属酸化物を含む、実施形態74~80のいずれか1つに記載の物品。
【0335】
実施形態82
上記ガラスは、F、La2O3、及びZnOのうちの少なくとも1つを略含まない、実施形態74~81のいずれか1つに記載の物品。
【0336】
実施形態83
上記ガラスは更に、F、La2O3、及びZnOのうちの少なくとも1つを含む、実施形態74~81のいずれか1つに記載の物品。
【0337】
実施形態84
物品であって、
上記物品は:
ガラスであって:
SiO
2、Al
2O
3、及びB
2O
3;並びに
Li
2O、Na
2O、K
2O、MgO、CaO、SrO、BaO、SnO
2、ZnO、La
2O
3、F、及びFe
2O
3のうちの少なくとも1つ
を含むガラスを含み、
SiO
2、Al
2O
3、及びB
2O
3の第1の合計(X
sum)、Li
2O、Na
2O、K
2O、MgO、CaO、SrO、及びBaOの第2の合計(Y
sum)、並びにSnO
2、ZnO、La
2O
3、F、及びFe
2O
3第3の合計(Z
sum)(X
sum、Y
sum、及びZ
sumは、酸化物のモルパーセントである)は、以下の境界点:
【0338】
によって更に定義されるようなXsum、Ysum、及びZsumの凸包内にあり、
上記ガラスは更に、(酸化物のモルパーセントでの)式1及び式2:
-42.8440902+0.463763055*[SiO2]+0.520077325*[Al2O3]+0.468168738*[B2O3]+0.47253232*[Li2O]+2.11958583*[K2O]+0.499421381*[MgO]+0.558094225*[CaO]+0.805792958*[SrO]+0.637349469*[BaO]-0.17232118*[SnO2]+0.525853343*[ZnO]+0.261394654*[La2O3]+0.469279089*[F]≦10 式1
及び
0.756212572817506+[K2O]+0.209148876828416*[La2O3]+0.0884393206156657*[BaO]+0.0384462744417211*[CaO]+(5.95212630529679-[F])/[B2O3]+(254.196472343803-2.1615185467817*[B2O3])/[SiO2]≦10 式2
のうちの少なくとも1つによって定義され、
上記ガラスは更に、10GHzの信号で測定した場合に約10以下の比誘電率を有する、物品。
【0339】
実施形態85
上記ガラスは更に、10GHzの信号で測定した場合に約0.008以下の損失正接を有し、また上記ガラスは更に、(酸化物のモルパーセントでの)式3及び式4:
0.429780863-0.00424207*[SiO2]-0.004096119*[Al2O3]-0.004396116*[B2O3]-0.002791817*[Li2O]-0.012890989*[K2O]-0.004226519*[MgO]-0.004108234*[CaO]-0.003587217*[SrO]-0.004083111*[BaO]-0.028056812*[SnO2]-0.004220402*[ZnO]+0.000195707*[La2O3]-0.004466313*[F]≦0.008 式3
及び
0.00454540427936441+0.00452303537205577*[K2O]+0.00026538565533632*[B2O3]+2.211176044138×10-5*[Al2O3]*[BaO]+6.27439041968789×10-6*2[CaO]-0.000215116681577554*[F]-6.01991751010702×10-6*[SiO2]*[B2O3]≦0.008 式4
のうちの少なくとも1つによって定義される、実施形態84に記載の物品。
【0340】
実施形態86
上記ガラスは更に、10GHzの信号で測定した場合に約7.5以下の比誘電率及び約0.005以下の損失正接を有する、実施形態84又は85に記載の物品。
【0341】
実施形態87
上記ガラスは更に、10GHzの信号で測定した場合に約5以下の比誘電率及び約0.005以下の損失正接を有する、実施形態84又は85に記載の物品。
【0342】
実施形態88
酸化物のモルパーセントでの、上記ガラス中に存在する上記第1の合計Xsum、上記第2の合計Ysum、及び上記第3の合計Zsumは、100に等しい、実施形態84~87のいずれか1つに記載の物品。
【0343】
実施形態89
上記ガラスはMgO及びZnOを更に含む、実施形態84~88のいずれか1つに記載の物品。
【0344】
実施形態90
上記ガラスはSnO2と、CaO及びBaOのうちの少なくとも1つとを更に含む、実施形態84~89のいずれか1つに記載の物品。
【0345】
実施形態91
上記ガラスは微量以下のアルカリ金属酸化物を含む、実施形態84~90のいずれか1つに記載の物品。
【0346】
実施形態92
上記ガラスは、F、La2O3、及びZnOのうちの少なくとも1つを略含まない、実施形態84~91のいずれか1つに記載の物品。
【0347】
実施形態93
上記ガラスは更に、F、La2O3、及びZnOのうちの少なくとも1つを含む、実施形態84~92のいずれか1つに記載の物品。
【国際調査報告】