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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】超音波歯周プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20220414BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541583
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(85)【翻訳文提出日】2021-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2020051055
(87)【国際公開番号】W WO2020148402
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】62/793,357
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508143775
【氏名又は名称】トロフィー エスアーエス
(71)【出願人】
【識別番号】521154774
【氏名又は名称】ケアストリーム デンタル エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】521315881
【氏名又は名称】ユニヴァーサイト デュ トゥール
(71)【出願人】
【識別番号】521315892
【氏名又は名称】インスティテュート ナショナル デュ ラ セント エト デュ ラ リサーチェ メディカル
(71)【出願人】
【識別番号】521315906
【氏名又は名称】セントレ ホスピタリア レジオナル ユニヴェルシテ デュ トゥール
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カプリ アルノー
(72)【発明者】
【氏名】ルデルグ ディビッド
(72)【発明者】
【氏名】イングレーゼ ジーン マルク
(72)【発明者】
【氏名】ジョソ エルベ
(72)【発明者】
【氏名】シェラード エドワード
(72)【発明者】
【氏名】チェバリオット ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴア ジーン マルク
(72)【発明者】
【氏名】オシャン フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】バンカート アライン
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB09
4C601BB14
4C601DD30
4C601DE03
4C601EE10
4C601EE11
4C601GA17
4C601GA21
4C601GA24
4C601GB03
4C601GB05
4C601GC01
4C601GC02
4C601GC07
4C601HH21
4C601KK12
4C601KK13
4C601KK14
4C601KK15
(57)【要約】
超音波歯周プローブの少なくとも1つの実施形態であり、超音波歯周プローブは、長手方向軸を有するグリップ部分、グリップ部分の長手方向軸とは異なる長手方向軸を有する部品を含む支持部材、及びグリップ部分に支持部材を介して固定される超音波装置を備え、ここで超音波装置は超音波信号を少なくとも2つの放出コーン内で放出し、対応するエコー超音波信号を受信するように構成され、少なくとも2つの放出コーンは、グリップ部分の長手方向軸を含む平面に関してそれぞれ反対方向に延びる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸を有するグリップ部分、前記グリップ部分の前記長手方向軸とは異なる長手方向軸を有する部品を含む支持部材、及び前記グリップ部分に前記支持部材を介して固定された超音波装置を備える剛性超音波歯周プローブであって、前記超音波装置は少なくとも2つの放出コーン内で超音波信号を放出し、対応するエコー超音波信号を受信するように構成され、前記少なくとも2つの放出コーンは前記グリップ部分の前記長手方向軸を含む平面に関してそれぞれ反対方向に延びる、剛性超音波歯周プローブ。
【請求項2】
前記超音波装置は前記グリップ部分の前記長手方向軸からオフセットされている、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記超音波装置と前記グリップ部分の前記長手方向軸との間の距離は、0~5cmの範囲に属する、請求項2に記載のプローブ。
【請求項4】
前記支持部材は少なくとも2つの部品を含み、前記少なくとも2つの部品のそれぞれは、前記グリップ部分の前記長手方向軸とは異なる長手方向軸を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項5】
前記超音波装置と前記グリップ部分の前記長手方向軸との間の距離がゼロである、請求項4に記載のプローブ。
【請求項6】
超音波信号が一度に前記少なくとも2つの放出コーンのうちの単一の放出コーン内で放出されるように構成された、請求項1~5のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項7】
前記超音波装置は、少なくとも2つのトランスデューサ又はトランスデューサのアレイを含み、前記少なくとも2つのトランスデューサ又はトランスデューサのアレイのうちの1つは、前記少なくとも2つの放出コーンのうちの1つ内で超音波信号を放出するように構成され、前記少なくとも2つのトランスデューサ又はトランスデューサのアレイのうちの別の1つは、前記少なくとも2つの放出コーンのうちの別の1つ内で超音波信号を放出するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項8】
移動素子を更に備え、前記移動素子は、前記超音波装置が前記少なくとも2つの放出コーンの少なくともそれぞれ内で超音波信号を放出することを可能にするように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項9】
前記移動素子は、移動トランスデューサ若しくはトランスデューサのアレイを含み、及び/又は移動デフレクタを含み、トランスデューサ若しくはトランスデューサのアレイから受信された超音波信号をリダイレクトし、かつ超音波信号を前記トランスデューサ若しくはトランスデューサのアレイにリダイレクトする、請求項8に記載のプローブ。
【請求項10】
前記移動素子は、カップリング材料で満たされたキャビティ内で移動する、請求項8又は請求項9に記載のプローブ。
【請求項11】
超音波信号を放出するための前記少なくとも2つの放出コーンのうちの1つを選択するセレクタを更に備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項12】
検出手段を更に備え、受信された超音波の所定の特徴を検出し、又は前記プローブと外部要素との間の接触を検出し、前記検出手段は前記セレクタを制御する、請求項1~11に記載のプローブ。
【請求項13】
インジケータを更に備え、前記インジケータは、超音波信号が画像を生成するために放出されるか、又は放出される予定の方向に関する情報の項目を提供する、請求項1~12のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項14】
前記インジケータは、複数の発光装置を含み、前記プローブは、超音波を電気エネルギーに変換する複数の電源を更に備え、前記複数の発光装置の発光装置の活性化は、超音波が前記複数の電源のうちの少なくとも1つの電源によって受信された場所を示している、請求項13に記載のプローブ。
【請求項15】
前記超音波装置を前記グリップ部分に固定するための前記支持部材は、一時的に変形可能であり、前記超音波装置と前記グリップ部分の前記長手方向軸との間の前記距離を調整できるようにし、前記支持部材は調整後に剛性となる、請求項1~14のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項16】
通信インタフェースを更に備え、前記超音波装置によって受信された超音波信号を表すデータを遠隔装置に送信する、請求項1~15のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項17】
処理手段を更に備え、前記超音波装置によって受信された超音波信号を処理する、請求項1~16のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項18】
動きセンサ、方位センサ、及び/又は位置センサを更に備え、前記プローブの位置、方位、速度、動き方向、及び加速度のうちの少なくとも1つを決定する、請求項1~17のいずれか一項に記載のプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブ及び歯周深度ポケット測定などの歯周用途の超音波歯科用プローブの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波撮像は、多くの実装において口腔内使用に適合しており、歯周ポケット深度の測定などの作業に特に有用であることが判明している。歯肉炎などの状態は、例えば、組織の音響応答を感知することによって検出され得る。
【0003】
電離放射線の非放出のため、超音波撮像はイオン化方法よりも本質的に安全であり、また必要に応じて検査の再現性が可能である。超音波撮像は、様々なタイプの放射線撮影(コーンビームコンピュータ断層撮影又はCBCT、パノラマX線、あるいは口腔内X線撮像)、磁気共鳴撮像(MRI)、又は核医学の代替又は補足として使用され得る。
【0004】
超音波撮像は、通常1~100MHzの高周波音波を使用し得る。高周波は、所与の距離に対して低周波よりも減衰が大きく、高周波は主に、例えば皮膚科用の表面構造の撮像、又は歯科用撮像に適する。例えば、高周波音波は、歯周ポケットの調査のために、好ましくは20~50MHzの間であってもよい。逆に、低周波は体の最深部構造を撮像するのに適する。
【0005】
超音波撮像装置は、一般に、1つ以上のトランスデューサを含み、それは超音波ビームエミッタ及び/又は超音波ビームレシーバとして機能し、放出された信号からエコーを受信する。更に、超音波撮像装置は、様々な処理及び表示構成要素を含み得て、それらは取得された信号から画像を生成して提示するために使用される。超音波ビームエミッタは電気信号から超音波信号を生成し、逆に、超音波レシーバは機械的超音波信号から電気パルスを生成する。
【0006】
放出された超音波信号の経路にある物体は、超音波エネルギーの一部分をトランスデューサに戻し、トランスデューサは検出された構造を示す電気信号を生成する。受信された超音波信号から生成された電気信号は、各トランスデューサに固有の選択された時間、遅延され得て、その結果、選択された領域から散乱された超音波エネルギーはコヒーレントに追加されるが、別の領域からの超音波エネルギーには知覚可能な影響がない。更に、超音波信号の放出は適応可能なフォーカシングを可能にするために遅延され得る。電子的適応可能なフォーカシングにより、撮像される器官の深度に応じて解像度を向上することが可能になる。
【0007】
受信された信号をこの方法で生成及び処理するために使用されるアレイ処理技術は、「ビーム形成」と呼ばれる。
【0008】
口腔内超音波撮像の特定の課題は、プローブの設計に関連し、それは口腔内構造の十分なセットを撮像するために、つまり、頬側面と舌側面の両方で口の各歯の垂直軸に沿って超音波ファンビームを配置するために使用され得て、プローブ先端又は別の構成要素を大幅に修正、再構成、又は変更する必要がない。実際、効率的にするため、超音波プローブウィンドウが撮像される領域に面している必要がある。トランスデューサと撮像される領域との間の音響経路は、水性ゲルなどのカップリング材料を介して確保され、音響経路を最小の減衰で提供する。
【0009】
したがって、歯、歯茎、及び別の口腔内特徴の超音波撮像のための装置を改善する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/119505号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Xingying Wangら,「超音波カプセル内視鏡のための高周波超音波トランスデューサを用いた機械的スキャニング装置の開発(Development of a Mechanical Scanning Device With High-Frequency Ultrasound Transducer for Ultrasonic Capsule Endoscopy)」、IEEE Transactions on Medical Imaging、第36巻、第9号、2017年9月、第1922~1929ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前述の懸念の1つ以上に対処するために考案された。
【0013】
この文脈において、歯、歯茎、及び別の口腔内特徴の超音波撮像に適合した超音波歯周プローブが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によると、剛性超音波歯周プローブが提供され、それは長手方向軸を有するグリップ部分、グリップ部分の長手方向軸とは異なる長手方向軸を有する部品を含む支持部材、及びグリップ部分に支持部材を介して固定される超音波装置を含み、ここで超音波装置は超音波信号を少なくとも2つの放出コーン内で放出し、対応するエコー超音波信号を受信するように構成され、少なくとも2つの放出コーンは、グリップ部分の長手方向軸を含む平面に関して反対方向に延びる。
【0015】
本発明によるプローブは、口腔内構造の十分なセットを撮像するために、つまり、頬側面と舌側面の両方で口の各歯の垂直軸に沿って超音波ファンビームを配置するために使用され得て、プローブ先端又は別の構成要素を大幅に修正、再構成、又は変更する必要がない。
【0016】
いくつかの実施形態によると、超音波装置は、グリップ部分の長手方向軸からオフセットされる。超音波装置とグリップ部分の長手方向軸との間の距離は、0~5cmの範囲に属してもよい。
【0017】
いくつかの実施形態によると、支持部材は、少なくとも2つの部品を含み、少なくとも2つの部品のそれぞれは、グリップ部分の長手方向軸とは異なる長手方向軸を有している。超音波装置とグリップ部分の長手方向軸との間の距離はゼロであってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態によると、超音波信号は、一度に少なくとも2つの放出コーンのうちの単一の放出コーン内で放出される。これにより、受信された信号の品質が高まり、消費電力が削減される。
【0019】
いくつかの実施形態によると、超音波装置は、少なくとも2つのトランスデューサ又はトランスデューサのアレイを含み、少なくとも2つのトランスデューサ又はトランスデューサのアレイのうちの1つは、少なくとも2つの放出コーンのうちの1つ内で超音波信号を放出するように構成され、また少なくとも2つのトランスデューサ又はトランスデューサのアレイのうちの別の1つは、少なくとも2つの放出コーンのうちの別の1つ内で超音波信号を放出するように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態によると、プローブは、移動素子を更に含み、移動素子は、超音波装置が少なくとも2つの放出コーンの少なくともそれぞれ内で超音波信号を放出することを可能にするように構成される。
【0021】
いくつかの実施形態によると、移動素子は、移動トランスデューサ若しくはトランスデューサのアレイを含み、及び/又は移動デフレクタを含み、トランスデューサ若しくはトランスデューサのアレイから受信された超音波信号をリダイレクトし、かつ超音波信号をトランスデューサ若しくはトランスデューサのアレイにリダイレクトする。
【0022】
いくつかの実施形態によると、移動素子は、カップリング材料で満たされたキャビティ内で移動して、音響経路を最小の減衰で供給する。
【0023】
いくつかの実施形態によると、プローブは、超音波信号を放出するための少なくとも2つの放出コーンのうちの1つを選択するセレクタを更に含む。
【0024】
いくつかの実施形態によると、プローブは、検出手段を、受信された超音波の所定の特徴を検出するため、又はプローブと外部要素との間の接触を検出するために更に含み、検出手段はセレクタを制御する。これは、そのような実施形態によるプローブの使用を簡略化する。
【0025】
いくつかの実施形態によると、プローブは、インジケータを更に含み、インジケータは、超音波信号が画像を生成するために放出されるか、又は放出される予定の方向に関する情報の項目を提供する。これは、開業医が口腔内構造を撮像するのに役立つ。
【0026】
いくつかの実施形態によると、インジケータは、複数の発光装置を含み、プローブは、超音波を電気エネルギーに変換する複数の電源を更に含み、複数の発光装置の発光装置の活性化は、超音波が複数の電源のうちの少なくとも1つの電源によって受信された場所を示している。
【0027】
いくつかの実施形態によると、超音波装置をグリップ部分に固定するための支持部材は、一時的に変形可能であり、超音波装置とグリップ部分の長手方向軸との間の距離を調整できるようにし、支持部材は調整後に剛性となる。
【0028】
いくつかの実施形態によると、プローブは、通信インタフェースを更に含み、超音波装置によって受信された超音波信号を表すデータを遠隔装置に送信する。
【0029】
いくつかの実施形態によると、プローブは、処理手段を更に含み、超音波装置によって受信された超音波信号を処理する。
【0030】
いくつかの実施形態によると、プローブは、動きセンサ、方位センサ、及び/又は位置センサを更に含み、プローブの位置、方位、速度、動き方向、及び加速度のうちの少なくとも1つを決定する。
【0031】
本発明の別の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例示的な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1a】本発明のいくつかの実施形態による、剛性超音波歯周プローブの概略図である。
図1b】本発明のいくつかの実施形態による、剛性超音波歯周プローブの概略図である。
図1c】本発明のいくつかの実施形態による、剛性超音波歯周プローブの概略図である。
図1d】本発明のいくつかの実施形態による、剛性超音波歯周プローブの概略図である。
図2a】本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの使用例を示す。
図2b】本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの使用例を示す。
図2c】本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの使用例を示す。
図2d】本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの使用例を示す。
図3a】構成可能な形状を有する剛性超音波歯周プローブの例を示す。
図3b】構成可能な形状を有する剛性超音波歯周プローブの例を示す。
図3c】構成可能な形状を有する剛性超音波歯周プローブの例を示す。
図4】本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの超音波センサの例の断面図である。
図5】本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの超音波センサの例の断面図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの超音波センサの例の断面図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの超音波センサの例の断面図である。
図8】本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの電子システムの例を示す概略図である。
図9】超音波信号を放出及び受信し、超音波信号が放出及び受信されたときにLEDに通電することを可能にするトランスデューサ構造の一部分の例を示す。
図10a】本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの放出コーンの概略図であり、そこでは超音波ファンビームが放出され得る。
図10b】本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの放出コーンの概略図であり、そこでは超音波ファンビームが放出され得る。
図10c】本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの放出コーンの概略図であり、そこでは超音波ファンビームが放出され得る。
図10d】本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの放出コーンの概略図であり、そこでは超音波ファンビームが放出され得る。
図11a】本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの放出コーンの概略図であり、そこでは超音波ファンビームが放出され得る。
図11b】本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの放出コーンの概略図であり、そこでは超音波ファンビームが放出され得る。
図11c】本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの放出コーンの概略図であり、そこでは超音波ファンビームが放出され得る。
図12】本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの放出コーンで放出される超音波ファンビームを示す。
図13】本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下は、本発明の特定の実施形態の詳細な説明であり、図面が参照され、図面において同じ参照番号は各図の構造の同じ要素を識別する。
【0034】
以下の図面及び本文において、同様の構成要素は、同様の参照番号で指定され、構成要素に関する同様の説明、及び既に説明した構成要素の配置又は相互作用は省略される。それらが使用される場合、「第1」、「第2」などの用語は、必ずしも任意の順序関係、優先関係を示すわけではなく、特に明記しない限り、単に1つの要素を別の要素からより明確に区別するために使用され得る。
【0035】
本明細書で使用されるように、「通電可能な(energizable)」という用語は、パワー受領時に、及び必要に応じてイネーブル信号の受信時に、示された機能を実行する1つの装置又は1セットの構成要素に関する。
【0036】
装置の形状に言及する場合、「剛性」という用語は、通常の使用において、装置の実質的に変形不可能な性質として理解されるべきであり、これは、装置の主要要素の相対位置が実質的に一定であることを意味する(すなわち、使用中に有意な形状変形はない)。例えば、剛性超音波歯周プローブのグリップ部分、支持部材、及び超音波装置の相対位置は、歯周プローブが口腔内構造を撮像するために使用される場合、実質的に一定である。これは、装置が構成ステップの間、例えば、装置の2つの要素がロック可能なヒンジを用いて固定されている場合などに、変形可能であることを妨げない。加えて、これは、装置がわずかに変形可能な部品を含むことを妨げない。例えば、剛性超音波歯周プローブのグリップ部分は、弾性フォームを含むハンドグリップなどの変形可能なハンドグリップを含んでもよい。
【0037】
本開示の文脈において、用語「観察者(viewer)」、「オペレータ(operator)」、及び「ユーザ(user)」は、同等であるとみなされ、観察中の施術者、技師、又はディスプレイモニタで歯科画像などの超音波画像を取得、観察、操作する他の人物を指す。「オペレータの指示(operator instruction)」、「ユーザの指示」又は「観察者の指示」は、観察者によって、例えば、超音波プローブ若しくはシステムハードウェアのボタンをクリックすることによって、又はコンピュータマウスを使用することによって、又はタッチスクリーン若しくはキーボード入力を使用することによって入力される明示的なコマンドから得られる。
【0038】
本開示の文脈において、語句「信号通信状態にある(in signal communication)」は、2つ以上の装置及び/又は構成要素が、何らかのタイプの信号経路を伝わる信号によって相互に通信可能であることを示す。信号通信は有線であってもよく、又は無線であってもよい。信号は、通信信号、電力信号、データ信号、又はエネルギー信号であり得る。信号経路は、第1の装置及び/又は構成要素と第2の装置及び/又は構成要素との間の物理的接続、電気的接続、磁気的接続、電磁的接続、光学的接続、有線接続及び/又は無線接続を含み得る。信号経路は、また、第1の装置及び/又は構成要素と第2の装置及び/又は構成要素との間に、追加の装置及び/又は構成要素を含み得る。
【0039】
用語「対象(subject)」は、撮像されている患者の歯又は別の部分を指し、光学的用語では、対応する撮像システムの「物体(object)」と同等であると見なし得る。
【0040】
図1a~図1dは、本発明のいくつかの実施形態による剛性超音波歯周プローブの概略図である。図1aは、剛性超音波歯周プローブの斜視図であり、図1b~図1dは、それぞれ、同じ剛性超音波歯周プローブの上面図、側面図、及び正面図を表す。
【0041】
プローブは、超音波パルス信号の放出及び取得ロジックを供給し、超音波ビームを生成し、ビーム形成機能を行う。コンピュータ(図示せず)は、処理されたかどうかにかかわらず、受信されたパルスエコーに対応する獲得された信号データを取得し、検査された物体の画像をディスプレイ(図示せず)にレンダリングする。画像コンテンツはまた、その後の使用のために記憶され、又は別のシステム若しくはデータ記憶装置若しくはシステムに送信され得る。
【0042】
図示のように、超音波歯周プローブ100は、グリップ部分105、支持部材110、及び超音波デバイス115(超音波センサとも呼ばれる)を含む。図示の例によると、支持部材110は、110-1及び110-2で示される2つの主要部品を含み、部品110-2の長手方向軸は、グリップ部分105の長手方向軸とは異なる。別の例によると、部品110-2は、グリップ部分105に直接固定されることに留意する(すなわち、部品110-1を使用しない)。したがって、図示の例によると、超音波装置115は、グリップ部分からその長手方向軸に関してオフセットされるように、グリップ部分105に強固に固定される。図1cから明らかなように、超音波装置115は、グリップ部分105の長手方向軸(a)から距離dに配置される。距離dは、0~5cmの間で選択されてもよい。説明のために、それは2cmと同等であってもよい。超音波装置115とグリップ部分105との間の距離Dは、4~25cmの間で選択され得る。説明のために、それは10cmと同等とされ得る。
【0043】
いくつかの実施形態によると、支持部材110は、それらの長手方向軸との間に角度δを形成する2つの管状部材を含んでもよく、1つ以上の管状部材及び環状部材の一部分を含んでもよく、又は超音波装置をグリップ部分から軸方向にオフセットすることを可能にする任意の部材の構成要素を含んでもよい。
【0044】
図示のように、グリップ部分105は、ユーザが超音波歯周プローブ100の機能と、及び/又は超音波歯周プローブ100によって取得された信号を処理するコンピュータシステムとインタフェースすることを可能にする要素を含み得る。そのような要素は、一般的に120で参照されるディスプレイ(例えば、標準的なディスプレイ又はタッチスクリーン)及び一般的に125で参照されるボタンを含み得る。いくつかの実施形態によると、これらすべての要素又はこれらの要素のサブセットは重複され(120-1/120-2及び125-1/125-2)、その結果、ユーザは、超音波歯周プローブ100及び/又は超音波歯周プローブ100によって取得された信号を処理するコンピュータシステムと、超音波歯周プローブの位置が第1の位置と第2の位置との間でどのようであっても同様に相互作用し得る(第2の位置は、水平面内で、第1の位置に対して反対方向にある位置に対応する)。
【0045】
更に、グリップ部分105は、1セットのLED(発光装置の頭文字)、例えば、LED130のリングを含み得る。以下に説明するように、これらのLEDは、測定方向を示してもよい。加えて、グリップ部分105が符号化ラグを含み得ることで、ユーザは超音波歯周プローブ100のデフォルト位置を識別できる。図示の例によると、符号化ラグは、超音波歯周プローブがそのデフォルト位置にあるとき、グリップ部分の左側に配置される(通常、製造中及び/又は較正段階中に規定された位置であり、プローブの位置を表示された超音波画像の向きと相関させることができる)。所与の例では、デフォルト位置は、超音波装置が、グリップ部分の長手方向軸を含む垂直面にグリップ部分の下で配置される位置である。
【0046】
いくつかの実施形態によると、LED又はLEDのリングは、超音波装置上又は支持部材上に超音波センサの近くで配置される。
【0047】
図1bと図1dに示されるように、超音波装置115は、グリップ部分105の長手方向軸(a)を含む水平面に垂直な垂直面を参照して、2つの反対方向に従って測定を行うように構成されてもよい。超音波ファンビームは、20°~160°の範囲にあり得る、角度セクタα及びαと、角度セクタβ及びβとを有する放出コーンに属し得る。
【0048】
超音波歯周プローブのトランスデューサは、Aモード、Bモード(又は2Dモード)、Cモード、Mモード、ドップラモード、カラードップラモード、連続ドップラモード、パルス波ドップラモード、二重モード、パルス反転モード、又は高調波モードタイプであり得て、これらはそれぞれ、当業者によく知られている。
【0049】
図1bと図1dに示される2つの放出コーン(すなわち、超音波ファンビームが放出され得るコーン)の方向は、グリップ部分105の長手方向軸と垂直面に垂直であるが、これらの方向は異なる場合があることに留意する。これらの方向は、グリップ部分105の長手方向軸に対して角度θ及びθを、グリップ部分105の長手方向軸に垂直な垂直軸に対して角度γ及びγを、それぞれ約20°~160°まで変化させて形成してもよく、ただし、これらの方向は、図10a~図10dと図11a~図11cに示されるように、グリップ部分105の長手方向軸を含む平面に関してそれぞれ互いに反対である。
【0050】
更に、いくつかの実施形態によると、超音波装置を含むプローブ先端は取り外し可能であり、それを交換及び/又は洗浄し殺菌できる。別の実施形態によると、プローブ先端は開口され、使用時に、例えば、ゴム又はシリコン部材で保護される。
【0051】
図2a~図2dは、本発明のいくつかの実施形態による超音波歯周プローブの使用例を示す。
【0052】
図2aと図2bは、超音波歯周プローブ100の2つの使用例を、超音波装置115がグリップ部分の下(同時にグリップ部分の長手方向軸を含む水平面を考慮する)に配置される位置において示し、一方、図2cと図2dは、超音波歯周プローブ100の2つの使用例を、超音波装置115がグリップ部分の上(依然としてグリップ部分の長手方向軸を含む水平面を考慮する)にある位置において示す。
【0053】
図2aと図2cに示すように、測定は、プローブを保持しているオペレータから見て、超音波装置115の右側でのみ行われる。これらの2つの測定では、同じトランスデューサが使用されてもよい。
【0054】
逆に、図2bと図2dでは、測定は、プローブを保持しているオペレータから見て、プローブの左側でのみ行われる(矢印115bで示される)。これらの2つの測定では、同じトランスデューサが使用されてもよいが、図2aと図2cの測定に使用したものとは異なってもよい。
【0055】
したがって、超音波歯周プローブ100の適切な向きを選択し、超音波装置115の適切な側で測定を行うことにより、同じ超音波歯周プローブを使用して、患者の口の正確かつ完全な検査を行うことが可能である。測定が行われる側は、例えば、手動セレクタ(例えば、ボタン125の1つ)を使用してユーザによって選択されてもよく、又は自動検出を使用して自動的に選択されてもよい。自動検出は、音響信号のタイミングなどの要因、又は画像値の分布若しくは画質などの画像の特徴に基づき得る。
【0056】
したがって、超音波歯周プローブ100を使用して、顎の各部分を検査し得る(以下に挙げる例は、患者から見てである)。
下顎の左舌側、図2aの200-2参照、
下顎の右頬側、図2aの200-1参照、
下顎の左頬側、図2bの205-1参照、
下顎の右舌側、図2bの205-2参照、
上顎の左舌側、図2cの210-1参照、
上顎の右頬側、図2cの210-2参照、
上顎の左頬側、図2dの215-1参照、及び
上顎の右舌側、図2dの215-2参照。
【0057】
いくつかの実施形態によると、支持部材110は変形され得て、超音波装置とグリップ部分の主軸との間の距離を修正して、例えば、超音波歯周プローブを口の異なるタイプ及び/又はサイズに適合させることを可能にする。これは、弾性材料を使用すること、及び/又は2つ以上のサブ部材を使用することから生じ得て、サブ部材はこれらのサブ部材の相対位置を変更することを可能にする固定手段を使用して互いに固定される。固定手段は有利にロック手段を含み、サブ部材の相対位置を誤って修正することを回避する。
【0058】
図3a~図3cは、構成可能な形状を有する剛性超音波歯周プローブの例を示す。
【0059】
説明のために、超音波歯周プローブ300は、図1を参照して説明された超音波歯周プローブ100と同様である。しかしながら、支持部材は、ロック可能なヒンジ320を用いて互いに固定された、310-1と310-2で示される2つの支持サブ部材を含む。ロック可能なヒンジ320は、支持サブ部材310-1と310-2との間の角度をロック可能なヒンジ320の第1の位置で修正し(設定目的のために一時的に使用される)、支持サブ部材310-1と310-2をロック可能なヒンジ320の第2の位置で互いに強固に固定する(プローブが使用される場合)ことを可能にし、構成可能な形状を有する剛性超音波歯周プローブをもたらす。図示のように、315で示される超音波装置は、支持サブ部材310-2に強固に固定され、サブ部材310-1は、グリップ部分305に強固に固定される。したがって、サブ部材310-1と310-2との間の角度を増加又は減少させることにより、超音波装置315とグリップ部分305の長手方向軸との間の距離はそれに応じて増加又は減少され、図3a~図3cの参照δ、δ、及びδとd、d、及びdに示される。
【0060】
別の実施形態では、超音波歯周プローブは、支持部材などであるがこれらに限定されない熱変形可能な部品を含み得て、支持部材の形状及びグリップ部分の位置に対する超音波装置の相対的な位置及び/又は向きを開業医のニーズに適合させることを可能にする。熱変形可能な部品が冷やされると、超音波歯周プローブは剛性となり、撮像目的で使用され得る。
【0061】
<複数のトランスデューサ又はトランスデューサのアレイを備えた超音波歯周プローブ>
いくつかの実施形態によると、超音波歯周プローブは、2つ以上のトランスデューサ、又はトランスデューサの2つ以上のアレイを含み、それらはグリップ部分の長手方向軸に平行な超音波装置の軸の周りに、少なくとも超音波装置の両側で配置される(プローブの測定位置を考慮する場合)。更にいくつかの実施形態によると、トランスデューサ又はトランスデューサのアレイのサブセットのみが、所与の時間に測定を行うために使用される。
【0062】
図4は、超音波装置の第1の例の断面図であり、その両側に配置された、超音波センサに強固に固定されている2つのトランスデューサ(又はトランスデューサの2つのアレイ)を含む。それは、プローブの長手方向軸に垂直な平面による断面図である。
【0063】
図示のように、超音波装置115は、超音波装置115に強固に固定された2つのトランスデューサ(又はトランスデューサのアレイ)400-1及び400-2を含み、これらは、垂直面に関して、装置の長手方向軸405(すなわちグリップ部分の長手方向軸に平行である)の両側に配置される。いくつかの実施形態によると、トランスデューサ(又はトランスデューサのアレイ)のうちの1つのみを用いて、所与の時間に測定を行う。これは、それらの1つのみを活性化するか、又はそれらの1つのみから受信した信号を処理することによって実行され得る。上記のように、測定を行うために用いる必要があるトランスデューサ又はトランスデューサのアレイは、ユーザによって選択され得るか、又は自動的に選択され得る。
【0064】
説明のために、剛性超音波歯周プローブは、例えば、回転可能なスリーブ又はカラーの形態をとり得るボタン、スイッチ、又はボタンのリングを含んで、用いる必要があるトランスデューサ又はトランスデューサのアレイを選択してもよい。超音波歯周プローブに配置されたタッチセンサ式スクリーンはまた、そのために使用されてもよい。超音波歯周プローブはまた、機械的圧力を測定するためのセンサを含み得て、その結果、トランスデューサはユーザがプローブを下顎又は上顎に押し付けたときに自動的に選択される。
【0065】
いくつかの実施形態によると、表示は、ディスプレイ上に、又は1つ以上のLEDのサブセットとして表示され、どのトランスデューサが使用されるかに関する表示を提供する。
【0066】
図5は、トランスデューサ(又はトランスデューサのアレイ)のリングを含む超音波装置の第2の例の断面図である。この場合も、これはプローブの長手方向軸に垂直な平面による断面図である。
【0067】
図示のように、超音波装置115’は、装置の長手方向軸405’(プローブの長手方向軸に平行である)の周りに配置された、超音波装置115’に強固に固定されたトランスデューサ(又はトランスデューサのアレイ)400’-1から400’-nのリングを含む。いくつかの実施形態によると、1つ以上の隣接するトランスデューサ(又はトランスデューサのアレイ)を使用して、所与の時間に測定を行う。この場合も、これは、それらの一部のみを活性化するか、それらの一部のみから受信した信号を処理することによって実行され得て、使用するトランスデューサ(又はトランスデューサのアレイ)は、ユーザによって、又は自動的に選択される。
【0068】
いくつかの実施形態によると、トランスデューサのリングは、超音波を放出するためのトランスデューサと、超音波を放出するためのトランスデューサとは異なる超音波を受信するためのトランスデューサとを含む。
【0069】
更に説明のために、超音波歯周プローブは、例えば、回転可能なスリーブ又はカラーの形態をとることができるボタン、スイッチ、又はボタンのリングを含んで、用いる必要があるトランスデューサ(複数可)又はトランスデューサのアレイ(複数可)を選択し得る。超音波歯周プローブに配置されたタッチセンサ式スクリーンはまた、そのために使用されてもよい。超音波歯周プローブはまた、機械的圧力を測定するためのセンサを含み得て、その結果、トランスデューサ(複数可)又はトランスデューサのアレイ(複数可)は、ユーザがプローブを下顎又は上顎に押し付けるときに自動的に選択される。
【0070】
いくつかの実施形態によると、表示は、ディスプレイ上に、又は1つ以上のLEDのサブセットとして表示され、使用されるトランスデューサ(複数可)に関する表示を提供する。
【0071】
<360°トランスデューサ又はトランスデューサのアレイを備えた超音波歯周プローブ>
図6は、単一のトランスデューサ(又はトランスデューサのアレイ)を含む超音波装置の第3の例の断面図である。この場合も、これはプローブの長手方向軸に垂直な平面による断面図である。
【0072】
図示のように、単一のトランスデューサ(又はトランスデューサのアレイ)400”は、超音波装置115”のキャビティ410”内に回転可能に取り付けられ、その結果、グリップ部分の長手方向軸に平行な軸405”の周りを回転し得る。したがって、超音波装置は、超音波信号を、トランスデューサ(又はトランスデューサのアレイ)の特性に依存する所与の横方向の角度セクタ(図6ではβで示される)に従って、かつ放出角度セクタβよりも大きい角度セクタ、例えば半径360°全体にわたるトランスデューサ(又はトランスデューサのアレイ)の任意の角度位置に従って放出し得る。
【0073】
超音波信号は、所与の角度位置に従って放出され得て、関心のある角度セクタに対してのみ測定を行う。そのような場合、所与の角度位置は、設定によって、又はユーザによって規定され得るか、あるいは、例えば、受信された超音波信号の分析の結果として動的に適合され得る。説明のために、超音波歯周プローブは、例えば、回転可能なスリーブ又はカラーの形態をとり得るボタン、スイッチ、又はボタンのリングを含んで、測定が行われる方向を制御してもよい。超音波歯周プローブに配置されたタッチセンサ式スクリーンを使用して、これらの方向を選択することもできる。超音波歯周プローブはまた、機械的圧力を測定するためのセンサを含み得て、その結果、測定の方向はユーザがプローブを下顎又は上顎に押し付けたときに自動的に設定される。
【0074】
いくつかの実施形態によると、表示は、ディスプレイ上に、又は1つ以上のLEDのサブセットとして表示され、測定が行われる方向に関する表示を提供する。
【0075】
代替的に、超音波信号は、360/βの角度位置のそれぞれから放出されて測定され得て、その結果、測定は半径360°全体で実行される。そのような場合、意味のある測定信号のみが処理されて画像をレンダリングすることが好ましい。
【0076】
図7は、単一のトランスデューサ(又はトランスデューサのアレイ)を含む超音波装置の第4の例の断面図である。これは、プローブの長手方向軸を含む、又はそれに平行な垂直面による断面図である。
【0077】
図示のように、単一のトランスデューサ(又はトランスデューサのアレイ)400’”は、超音波装置内に強固に固定され、415’”と示される反射素子又はデフレクタは、超音波装置115’”のキャビティ410’”内で、トランスデューサ(又はトランスデューサのアレイ)の前に回転可能に取り付けられ、トランスデューサ(又はトランスデューサのアレイ)が半径360°全体又は半径360°全体の一部分にわたって超音波信号を放出及び/又は受信できるようにする。
【0078】
図示の例によると、トランスデューサ(又はトランスデューサのアレイ)400’”は、超音波信号をプローブの長手方向軸に平行な軸405’”によって与えられる主方向に沿って放出及び受信するように配置される。反射素子415’”は、トランスデューサ(又はトランスデューサのアレイ)の前に回転可能に取り付けられ、横方向の角度セクタに従って放出及び/又は受信された超音波信号をリダイレクトする。
【0079】
したがって、超音波装置は、図示のように、横方向の角度セクタβ又は横方向の角度セクタβに従って、トランスデューサ(又はトランスデューサのアレイ)の、及び反射素子の特性に従って、かつ半径360°全体にわたる反射素子の任意の角度位置に従って、超音波信号を放出し得る。
【0080】
図6を参照して説明されるように、超音波信号は、特定の角度位置に従って放出され得て、関心のある角度セクタについてのみ測定を行う。そのような場合、所与の角度位置は、設定によって、又はユーザによって規定され得るか、又は、例えば、受信された超音波信号の分析の結果として動的に適合され得る。この場合も、超音波歯周プローブは、例えば、回転可能なスリーブ又はカラーの形態をとり得るボタン、スイッチ、又はボタンのリング、タッチセンサ式スクリーン、又は機械的圧力センサを含んで、測定が行われる方向を制御してもよい。
【0081】
いくつかの実施形態によると、表示は、ディスプレイ上に、又は1つ以上のLEDのサブセットとして表示され、測定が行われる方向に関する表示を提供する。
【0082】
代替的に、超音波信号は、360/βの位置のそれぞれから放出されて測定され得て、その結果、測定は半径360°全体で実行される。そのような場合、意味のある測定信号のみが処理されて、画像をレンダリングすることが好ましい。
【0083】
いくつかの実施形態によると、キャビティ410’”(反射素子415’”が移動する場所)は、水性ゲルなどのカップリング材料で満たされ、最小の減衰で音響経路を提供する。
【0084】
図6を参照して説明したものと同様のメカニズムを使用して、反射素子を超音波装置内で回転させてもよい。
【0085】
図7の可動反射素子又は図6の可動トランスデューサ(複数可)は、任意のタイプの曲線に沿って移動し得ることに留意する。動きは連続的であっても代替であってもよい(例えば、可動反射素子又は可動トランスデューサ(複数可)が曲線に沿って前後に移動する)。
【0086】
いくつかの実施形態によると、反射素子及びトランスデューサ(複数可)は可動であることにも留意する。
【0087】
いくつかの図示された例のトランスデューサ(複数可)は、キャビティ(410、410’、410”及び410’”)に取り付けられる。各トランスデューサの外面は、プローブ先端のキャビティの内面から離れた距離に配置される。トランスデューサからプローブ先端表面への音波の伝播を可能にするために、キャビティは水性ゲルなどのカップリング材料で満たされ、音響経路を最小の減衰で提供する。いくつかのタイプのカップリング材料を使用することができ、例えば、水(水道水又はミネラルウォータ)、保水ゲル(Bioxtraの商標で周知の保水ゲル、Pierre FabreのSensileaveゲル、及びSunstarの保水ゲルなど)である。
【0088】
いくつかの実施形態によると、各トランスデューサの外面は、プローブ先端のキャビティの内面と接触して配置される。その場合、カップリング材料でキャビティを満たす必要はない。
【0089】
ここで、トランスデューサ又はトランスデューサのアレイが超音波センサ内で回転できるようにするメカニズムが存在することに留意し、例えば、Xingying Wangらによって、「Development of a Mechanical Scanning Device With High-Frequency Ultrasound Transducer for Ultrasonic Capsule Endoscopy」と題して、IEEE Transactions on Medical Imaging、36巻、No.9、2017年9月、1922~1929ページに書かれた文献に記載されるものである。
【0090】
<超音波歯周プローブの電子要素>
図8は、本発明のいくつかの実施形態による超音波歯周プローブの電子システムの例を示す概略図である。
【0091】
図示のように、電子システム800はバス及び/又は電気接続を含み、
マイクロコントローラ805、
超音波歯周プローブを操作するための実行可能なコードと、変数及びパラメータを記録するように適合されたレジスタを記憶するための、RAMで示されるランダムアクセスメモリ810、
超音波歯周プローブ及び/又は構成パラメータを操作するコンピュータプログラムを記憶するための、ROMで示される読み取り専用メモリ815、
超音波歯周プローブを遠隔コンピュータと信号通信状態にするように設定し、超音波歯周プローブを遠隔コンピュータとインタフェースして、例えば、測定された信号を送信し、及び/又は超音波歯周プローブの動作のいくつかを制御するためのコマンドを受信する、入力/出力インタフェース820であって、有線又は無線インタフェース、例えば、WiFi及び/又はBluetooth規格に準拠する無線インタフェース(WiFi及びBluetoothは商標)である、入力/出力インタフェース、
例えば、超音波歯周プローブの状態、実行するステップ又は次のステップ、及び/又は測定が行われる、又は行われる予定の方向をユーザに示唆する、ディスプレイ及び/又はLED825、
例えば、加速度計及びジャイロスコープを含み、超音波歯周プローブの位置、向き、速度、及び/又は加速度を決定することを可能にし、例えば、ジェスチャタイプによってコマンドを識別するために使用されてもよい(例えば、特定のジェスチャを使用して、測定を行う方向を選択してもよい)動きセンサ、位置センサ、及び/又は方位センサ830、
上記のような1つ以上のトランスデューサ又はトランスデューサのアレイを含む超音波装置835、
超音波センサの部品、例えば、トランスデューサ、トランスデューサのアレイ、又は反射素子を移動するためのモータ840、
電子システムの構成要素に電力を供給するための、充電式又はそうではない電池845、及び、
プローブの状態又は実行された測定に関連する情報などをユーザに示唆するスピーカ850、と接続される。
【0092】
超音波歯周装置は、別の電子要素を含んでもよく、その結果、上記の電子構成要素のいくつかは必要とされ得ないことに留意する。例えば、モータは、超音波歯周プローブが複数の固定トランスデューサ又はトランスデューサのアレイを含む場合、必要とされない。同様に、内部電力は、超音波歯周プローブが有線で遠隔コンピュータに接続されている場合、必要とされなくてもよい。
【0093】
いくつかの実施形態によると、実行可能なコードは、読み取り専用メモリ815、又は例えばマイクロメモリカードなどの取り外し可能なデジタル媒体のいずれかに記憶され得る。変形例によると、プログラムの実行可能なコードは、入力/出力インタフェースを介して遠隔コンピュータから受信され得て、通信装置800の記憶手段の1つに記憶される。
【0094】
マイクロコントローラ805は、本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブを操作するためのプログラム又は複数のプログラムの命令又はソフトウェアコードの一部分の実行を制御及び示すように適合され、命令は、前述の記憶手段の1つに記憶される。電源を入れた後、マイクロコントローラ805は、ソフトウェアアプリケーションに関連するメインRAMメモリ810からの命令を、例えば、それらの命令がROM815から、又は遠隔コンピュータからロードされた後に実行することができる。
【0095】
マイクロコントローラ805、RAM810、及び/又はROM815は、機械又は専用構成要素、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)によってハードウェアに実装され得る。
【0096】
受信により、取得された超音波信号は、電子システム800によって、例えばマイクロコントローラ805によって処理され、例えばフィルタリングされ得て、その後、遠隔コンピュータに入力/出力インタフェース820を介して送信される。特定の実施形態によると、取得された超音波信号は処理され、遠隔コンピュータに送信される画像を生成し得る。代替的に、取得された超音波信号は遠隔コンピュータに生データとして直接送信されてもよい。電子システム800の処理力及び能力は、取得された超音波信号に適用される処理に依存し得る。
【0097】
動きセンサ及び/又は方位センサを使用して、所定のコマンドを検出し得る。例えば、超音波歯周プローブの右への動きは、測定が超音波歯周プローブの右側で行われることを示し得る。同様に、超音波歯周プローブの左への動きは、測定が超音波歯周プローブの左側で行われることを示し得る。
【0098】
動きセンサ及び/又は方位センサを使用して、超音波歯周プローブの位置をデフォルト位置に関して決定することもできる。超音波歯周プローブの決定された位置を使用して、受信された超音波信号から生成された画像を適切に配向し得る。
【0099】
上記のように、表示は、ディスプレイ上に、又は1つ以上のLEDのサブセットとして表示されて、測定が行われる方向に関する表示を提供し得る。いくつかの実施形態によると、超音波エミッタ及びレシーバを使用して、エネルギーを生成し、プローブ先端の近くの局所インジケータ(例えば、小さなLED)に通電する。
【0100】
そのために、トランスデューサで使用されるような、電気的励起によって機械的波を生成し、逆に、機械的ストレス下に置かれると電気パルスを生成する両方の能力を有する圧電素子が使用される。超音波歯周プローブを使用する場合、トランスデューサは、観察された組織によって反射され偏向される多数の超音波を生成する。信号の取得中、画像を生成するために、入射波はトランスデューサに影響を与えるのみでなく、トランスデューサ表面の外側の領域にも影響を与え、そこは信号のキャプチャリングに使用されない圧電材料の部分を含み、明確化のために圧電ウェルと呼ばれる。したがって、その他の方法で失われる余剰のエネルギーの一部を、実際に測定に使用されるエミッタとレシーバの近くで、環境発電用の多くの圧電源を考慮することにより使用することができる。これらの圧電ウェルは、反射された音響信号の一部としてキャプチャされない余剰のエネルギーをキャプチャし、小さなLEDと関連する容量素子に通電するのに十分な電流を生成し得る。上記のように、この環境発電から生成された照明は、ユーザに情報を提供して、放出された超音波ビームの位置又は角度方位を視覚的に強調し得る。生成された照明は、スキャンされた領域を照らすのに十分な強さでさえあり得る。
【0101】
いくつかの実施形態によると、プローブは自律的であり得る。言い換えると、プローブは、遠隔コンピュータなどの別のシステムとは独立して使用可能であってもよい。この場合、プローブは、超音波信号を放出し、エコー超音波信号を取得し、超音波画像を構築し、測定を実行し、次に超音波プローブのLCDディスプレイに通知を表示するように構成され得る。その結果、プローブは、取得されたエコー超音波信号を処理するように構成されたメモリ(RAM及びROMなど)に関連付けられたマイクロコントローラを含んでもよい。したがって、プローブのマイクロコントローラは、プローブの組み込みメモリに記録されたソフトウェアアプリケーションの命令を実行するように構成される。そのようなプローブは、超音波画像の再構築、エコー超音波の測定、及び測定の通知及び/又はオペレータへの再構築のために自律的である。
【0102】
図9は、超音波信号を放出及び受信し、超音波信号が放出及び受信されたときにLEDに通電することを可能にするトランスデューサ構造の一部分の例を示す。
【0103】
図示のように、トランスデューサ900は圧電材料905を含み、そこには超音波信号のエミッタ及びレシーバが形成される。3つのエミッタ/レシーバが、この例では910-1~910-3で示される。上記のように、画像を生成する目的で超音波信号を放出して受信するのには使用されない圧電材料905の部分を用いて、関連するLEDに通電することを可能にする圧電環境発電領域を作成する。例えば、圧電環境発電領域915-1~915-4を用いて、超音波の受信時にそれぞれLED920-1~920-4に通電してもよく、ユーザが、超音波が受信され、したがって測定が行われる領域を見つけるのを可能にする。
【0104】
いくつかの実施形態によると、超音波歯周プローブは、光の線を投影するように構成された発光体を含み、ユーザが超音波歯周プローブを適切に配置するのを補助する。説明のために、発光体は、歯に線を投影するレーザ源であり得る。光線は、超音波歯周プローブが適切に配置されるとき、垂直である必要があり、信頼性の高い測定が可能となる。
【0105】
図10a~図10d及び図11a~図11cは、本発明のいくつかの実施形態による超音波歯周プローブの放出コーンの概略図であり、そこでは超音波ファンビームが放出され得る。説明のために、図10a~図10dは平面内の放出コーンの概略図であり、その平面は放出コーンが図11a~図11cで表される平面に垂直である。
【0106】
図示のように、放出コーン1000-1、1000’-1、1000”-1、及び1000’”-1の主方向は、放出コーン1000-2、1000’-2、1000”-2、及び1000’” -2の主方向と、支持部材の長手方向軸を含む平面(図の表現による垂直面)に関してそれぞれ反対である。言い換えれば、一方の放出コーンは、支持部材の長手方向軸を含む平面の一方の側に延在し、別の放出コーンは、同じ平面の別の側に延在する。
【0107】
同様に、放出コーン1100-1、1100’-1、及び1100”-1の主方向は、放出コーン1100-2、1100'-2、及び1000”-2の主方向と、支持部材の長手方向軸を含む平面(図の表現による垂直面)に関してそれぞれ反対である。
【0108】
更に言い換えると、放出コーンの主方向は、]0°;180°[の範囲に属し、一方、別の放出コーンの主方向は、]180°;360°[の範囲に属する。好ましくは、放出コーンの主方向は、]20°;160°[の範囲に属し、一方、別の放出コーンの主方向は、]200°;340°[の範囲に属する。
【0109】
図12は、本発明のいくつかの実施形態による、超音波歯周プローブの放出コーンで放出される超音波ファンビームを示す。
【0110】
図示のように、超音波ファンビーム1205-1は、放出コーン1200-1において超音波装置115から放出されてもよい。超音波ファンビーム1205-1は、超音波源を含む平面に属し、(超音波源の特性に依存する)放出コーン1200-1によって境界が定められる表面に対応する。
【0111】
同様に、超音波ファンビーム1205-2は、放出コーン1200-2で超音波装置115から放出されてもよい。
【0112】
図13は、本発明のいくつかの実施形態による超音波歯周プローブの概略図である。それは、剛性超音波歯周プローブの側面図である。
【0113】
図1a~図1dのプローブ100と同様に、プローブ1300は、グリップ部分1305、支持部材1310、及び超音波装置1315を含む。図示の例によると、支持部材1310は、1310-1、1310-2、及び1310-3で示される3つの主要部品を含み、部品1310-2と1310-3の長手方向軸は、グリップ部分1305の長手方向軸とは異なる。図示の例によると、それぞれδ及びδで示される、グリップ部分1305の長手方向軸に対する部品1310-2の角度と部品1310-3の角度は、実質的に補助的な角度である。したがって、部品1310-2と1310-3が実質的に同じ長さである場合、超音波装置1315は、グリップ部分1305と実質的に位置合わせされる。しかしながら、凹状の支持部材を形成する部品1310-2と1310-3との間の角度は、プローブ1300を患者の口の中で測定を行うために効率的に使用することを可能にする。
【0114】
いくつかの実施形態によると、グリップ部分1305の長手方向軸と支持部材の最遠内部点からの距離dは、0~5cmの間で選択される。説明のために、それは3cmと同等であってもよい。超音波装置1315とグリップ部分1305との間の距離は、8~15cmの間で選択されてもよい。説明のために、それは10cmと同等であってもよい。
【0115】
部品1310-2及び1310-3は、円弧状の形状を有する部品に置換されてもよい。
【0116】
本発明の方法及び装置は、利用可能な超音波撮像モードのいずれかを使用しながら適用され得る。加えて、様々なタイプのビーム形成アルゴリズムが、検査のタイプと検査対象の組織に応じて実装され得る。ビーム形成は、ファンビームが歯の長軸に沿って向けられるときに有利な場合がある。
【0117】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に例示及び説明されたが、そのような例示及び説明は、実例又は代表例であり、限定的ではないと見なされるべきであり、本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態の別の変形は、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求される発明を実施する際に当業者によって理解され実行され得る。
【0118】
そのような変形は、特に、本発明の要約及び/又は添付の特許請求の範囲に記載される実施形態を組み合わせることに由来し得る。
【0119】
請求項において、「備えている(comprising)」という語は、別の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。単一のプロセッサ又は別のユニットは、特許請求の範囲に記載された、いくつかの項目の機能を満たし得る。異なる特徴が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの特徴の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。特許請求中のいかなる参照記号も、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図10d
図11a
図11b
図11c
図12
図13
【国際調査報告】