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特表2022-523028特発性肺線維症を処置するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】特発性肺線維症を処置するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20220414BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220414BHJP
   A61K 31/4418 20060101ALI20220414BHJP
   A61K 31/5375 20060101ALI20220414BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20220414BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P11/00
A61K31/4418
A61K31/5375
A61K31/497
A61P43/00 111
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542387
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(85)【翻訳文提出日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 US2020014973
(87)【国際公開番号】W WO2020154608
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】62/796,964
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515276495
【氏名又は名称】ヌメディー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シッディクイ, アシム
(72)【発明者】
【氏名】アーネット, ヘザー
(72)【発明者】
【氏名】デ ヤング, リンダ
(72)【発明者】
【氏名】デシュパンデ, タランギニ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084MA02
4C084MA52
4C084MA56
4C084MA57
4C084MA59
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA59
4C084ZC202
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086BC47
4C086BC48
4C086BC73
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA52
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA59
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
チェックポイントキナーゼ1(Chk1)のキナーゼ活性を低減または消失させる薬剤を使用して特発性肺線維症(IPF)を処置する方法を提供する。本明細書において、それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、医薬組成物がChk1阻害剤を含み、投与するステップを行うと、Chk1阻害剤が対象におけるマクロファージの活性化マーカー発現を対照と比較して少なくとも約5%低減させる方法を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、前記対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、前記医薬組成物がChk1阻害剤を含み、前記投与するステップを行うと、前記Chk1阻害剤が前記対象における線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化のレベルを対照と比較して少なくとも約5%低減させる、方法。
【請求項2】
前記対照が、前記Chk1阻害剤を投与されなかった対照の対象における線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化のレベルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対照が、前記Chk1阻害剤を投与するステップの前の前記対象における線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化のレベルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化の前記レベルが、線維芽細胞をTGF-βによって処置した後のアルファ平滑筋アクチンの発現を定量することによって決定されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化の前記レベルが、線維芽細胞をTGF-βと接触させること、前記線維芽細胞を、アルファ平滑筋アクチンを特異的に染色する試薬によって染色すること、およびハイコンテント解析を実行してアルファ平滑筋アクチン誘導のパーセント阻害を決定することによって決定されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記Chk1阻害剤が、チアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記Chk1阻害剤がCCT-245737である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記Chk1阻害剤がVER-250840である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記Chk1阻害剤がAB-IsoG(イソグラヌラチミド)である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記Chk1阻害剤がAZD-7762である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記Chk1阻害剤がCCT-244747である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記Chk1阻害剤がCHK1-Aである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記Chk1阻害剤がGNE-900である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記Chk1阻害剤がMK8776である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記Chk1阻害剤がPF-477736である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記Chk1阻害剤がラブセルチブである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記Chk1阻害剤がGDC-0425である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記Chk1阻害剤がSAR020106である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記Chk1阻害剤がV-158411である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記Chk1阻害剤がXL-844である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記Chk1阻害剤がARRY575である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記Chk1阻害剤がCASC-578である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記Chk1阻害剤がLY-2880070である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記Chk1阻害剤がプレキサセルチブである、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記Chk1阻害剤がGDC-0575である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記Chk1阻害剤がBML-277である、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記Chk1阻害剤がCCT-241533である、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記対象が哺乳動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記対象がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記医薬組成物が、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記医薬組成物が単位剤形で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記対象に追加の治療剤を投与するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記医薬組成物が追加の治療剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記追加の治療剤がニンテダニブを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記追加の治療剤がピルフェニドンを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記追加の治療剤が免疫調節剤を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記Chk1阻害剤がChk1を約10μM未満のIC50で阻害する、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記治療有効量が約1μg~約1グラムである、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記治療有効量が約0.1μg/kg~約100mg/kgである、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記医薬組成物が経口投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記医薬組成物が静脈内投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記医薬組成物が吸入を介して投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記医薬組成物が鼻腔内投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
前記医薬組成物が局所投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
前記医薬組成物が皮下投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記医薬組成物が経粘膜投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記医薬組成物が腹腔内投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
前記医薬組成物が筋肉内投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
前記Chk1阻害剤が前記医薬組成物中でプロドラッグ形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、前記対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、前記医薬組成物がChk1阻害剤を含み、前記投与するステップを行うと、前記Chk1阻害剤が前記対象における線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化のレベルを対照と比較して少なくとも約5%低減させる、方法。
【請求項51】
それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、前記対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、前記医薬組成物がChk1阻害剤を含み、前記投与するステップを行うと、前記Chk1阻害剤が前記対象の肺におけるコラーゲン沈着を、前記Chk1阻害剤を投与されなかった対照の対象と比較して少なくとも約5%低減させる、方法。
【請求項52】
それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、前記対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、前記医薬組成物がChk1阻害剤を含み、前記投与するステップを行うと、前記Chk1阻害剤が前記対象の肺におけるマクロファージのサイトカイン発現を対照と比較して少なくとも約5%低減させる、方法。
【請求項53】
それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、前記対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、前記医薬組成物がChk1阻害剤を含み、前記投与するステップを行うと、前記Chk1阻害剤が前記対象の肺におけるマクロファージの線維化促進性メディエーター発現を対照と比較して少なくとも約5%低減させる、方法。
【請求項54】
それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、前記対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、前記医薬組成物がChk1阻害剤を含み、前記投与するステップを行うと、前記Chk1阻害剤が前記対象の肺における上皮細胞の老化関連遺伝子発現を対照と比較して少なくとも約5%低減させる、方法。
【請求項55】
それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、前記対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、前記医薬組成物がChk1阻害剤を含み、前記投与するステップを行うと、対照と比較して、前記Chk1阻害剤が、前記対象におけるマクロファージの活性化マーカー発現を少なくとも約5%低減させ、前記対象における線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化のレベルを少なくとも約5%低減させ、前記対象の肺におけるコラーゲン沈着を少なくとも約5%低減させ、前記対象の肺におけるマクロファージのサイトカイン発現を少なくとも約5%低減させ、前記対象の肺におけるマクロファージの線維化促進性メディエーター発現を少なくとも約5%低減させ、前記対象の肺における上皮細胞の老化関連遺伝子発現を少なくとも約5%低減させ、前記対照が前記Chk1阻害剤を投与されなかった対照の対象である、方法。
【請求項56】
それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、前記対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、前記医薬組成物がChk1阻害剤を含み、前記Chk1阻害剤が、チアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない、方法。
【請求項57】
マクロファージの活性化を低減させる方法であって、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させるステップを含み、細胞の前記集団が前記マクロファージを含み、細胞の前記集団を前記Chk1阻害剤と接触させると、前記マクロファージが、前記Chk1阻害剤と接触させなかったマクロファージによる活性化マーカーの発現レベルより少なくとも約5%低い活性化マーカーの発現レベルを示す、方法。
【請求項58】
線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を低減させる方法であって、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させるステップを含み、細胞の前記集団が前記線維芽細胞を含み、細胞の前記集団を前記Chk1阻害剤と接触させると、前記線維芽細胞が、前記Chk1阻害剤と接触させなかった線維芽細胞によるアルファ平滑筋アクチンの発現レベルより少なくとも約5%低いアルファ平滑筋アクチンの発現レベルを示す、方法。
【請求項59】
コラーゲン沈着を低減させる方法であって、組織をChk1阻害剤と接触させるステップを含み、前記組織を前記Chk1阻害剤と接触させると、前記組織が、前記Chk1阻害剤と接触させなかった組織と比較して少なくとも約5%低いレベルのコラーゲン沈着の指標を示す、方法。
【請求項60】
サイトカインのレベルを低減させる方法であって、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させるステップを含み、細胞の前記集団がマクロファージを含み、細胞の前記集団を前記Chk1阻害剤と接触させると、前記マクロファージが、前記Chk1阻害剤と接触させなかったマクロファージによって産生される前記サイトカインのレベルより少なくとも約5%低いレベルの前記サイトカインを産生する、方法。
【請求項61】
線維化促進性メディエーターのレベルを低減させる方法であって、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させるステップを含み、細胞の前記集団がマクロファージを含み、細胞の前記集団を前記Chk1阻害剤と接触させると、前記マクロファージが、前記Chk1阻害剤と接触させなかったマクロファージによって産生される前記線維化促進性メディエーターのレベルより少なくとも約5%低いレベルの前記線維化促進性メディエーターを産生する、方法。
【請求項62】
細胞の老化を低減させる方法であって、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させるステップを含み、細胞の前記集団が上皮細胞を含み、細胞の前記集団を前記Chk1阻害剤と接触させると、前記上皮細胞が、前記Chk1阻害剤と接触させなかった上皮細胞によって発現される老化関連遺伝子のレベルより少なくとも約5%低いレベルの老化関連遺伝子を発現する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年1月25日に提出された米国特許仮出願第62/796,964号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
特発性肺線維症(IPF)は、肺間質における過剰な瘢痕組織(すなわち、線維症)の存在によって特徴付けられる特定の型の慢性進行性間質性肺疾患である。IPFは、通常の間質性肺炎(UIP)の組織学的パターンとして観察される。患者は、呼吸困難および肺機能の進行性の悪化を経験し、予後は不良であり、診断後3~5年以内の死亡率は50%である。IPFは、米国において年齢60歳およびそれより上の成人200人に約1人が罹患すると推定され、今日米国において200,000人より多くの人がIPFを患っていることになる。毎年およそ50,000例の新たな症例が診断され、40,000人ものアメリカ人が毎年IPFのために死亡する。男性の罹患頻度は女性のおよそ2倍である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
本明細書において、それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、医薬組成物がChk1阻害剤を含み、投与するステップを行うと、Chk1阻害剤が対象におけるマクロファージの活性化マーカー発現を対照と比較して少なくとも約5%低減させる方法を開示する。
【0004】
本明細書において、それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、前記対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、前記医薬組成物がChk1阻害剤を含み、前記投与するステップを行うと、前記Chk1阻害剤が前記対象における線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化のレベルを対照と比較して少なくとも約5%低減させる、方法を開示する。
【0005】
本明細書において、それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、前記対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、前記医薬組成物がChk1阻害剤を含み、前記投与するステップを行うと、前記Chk1阻害剤が前記対象の肺におけるコラーゲン沈着を、前記Chk1阻害剤を投与されなかった対照の対象と比較して少なくとも約5%低減させる、方法を開示する。
【0006】
本明細書において、それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、前記対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、前記医薬組成物がChk1阻害剤を含み、前記投与するステップを行うと、前記Chk1阻害剤が前記対象の肺におけるマクロファージのサイトカイン発現を対照と比較して少なくとも約5%低減させる、方法を開示する。
【0007】
本明細書において、それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、前記対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、前記医薬組成物がChk1阻害剤を含み、前記投与するステップを行うと、前記Chk1阻害剤が前記対象の肺におけるマクロファージの線維化促進性メディエーター発現を対照と比較して少なくとも約5%低減させる、方法を開示する。
【0008】
本明細書において、それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、前記対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、前記医薬組成物がChk1阻害剤を含み、前記投与するステップを行うと、前記Chk1阻害剤が前記対象の肺における上皮細胞の老化関連遺伝子発現を対照と比較して少なくとも約5%低減させる、方法を開示する。
【0009】
本明細書において、それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、前記対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、前記医薬組成物がChk1阻害剤を含み、前記投与するステップを行うと、対照と比較して、前記Chk1阻害剤が、前記対象におけるマクロファージの活性化マーカー発現を少なくとも約5%低減させ、前記対象における線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化のレベルを少なくとも約5%低減させ、前記対象の肺におけるコラーゲン沈着を少なくとも約5%低減させ、前記対象の肺におけるマクロファージのサイトカイン発現を少なくとも約5%低減させ、前記対象の肺におけるマクロファージの線維化促進性メディエーター発現を少なくとも約5%低減させ、前記対象の肺における上皮細胞の老化関連遺伝子発現を少なくとも約5%低減させ、前記対照が前記Chk1阻害剤を投与されなかった対照の対象である、方法を開示する。
【0010】
本明細書において、それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、前記対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、前記医薬組成物がChk1阻害剤を含み、前記Chk1阻害剤が、チアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない、方法を開示する。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、チアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない。
【0011】
本明細書において、マクロファージの活性化を低減させる方法であって、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させるステップを含み、細胞の前記集団が前記マクロファージを含み、細胞の前記集団を前記Chk1阻害剤と接触させると、前記マクロファージが、前記Chk1阻害剤と接触させなかったマクロファージによる活性化マーカーの発現レベルより少なくとも約5%低い活性化マーカーの発現レベルを示す、方法を開示する。
【0012】
本明細書において、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を低減させる方法であって、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させるステップを含み、細胞の前記集団が前記線維芽細胞を含み、細胞の前記集団を前記Chk1阻害剤と接触させると、前記線維芽細胞が、前記Chk1阻害剤と接触させなかった線維芽細胞によるアルファ平滑筋アクチンの発現レベルより少なくとも約5%低いアルファ平滑筋アクチンの発現レベルを示す、方法を開示する。
【0013】
本明細書において、コラーゲン沈着を低減させる方法であって、組織をChk1阻害剤と接触させるステップを含み、前記組織を前記Chk1阻害剤と接触させると、前記組織が、前記Chk1阻害剤と接触させなかった組織と比較して少なくとも約5%低いレベルのコラーゲン沈着の指標を示す、方法を開示する。
【0014】
本明細書において、サイトカインのレベルを低減させる方法であって、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させるステップを含み、細胞の前記集団がマクロファージを含み、細胞の前記集団を前記Chk1阻害剤と接触させると、前記マクロファージが、前記Chk1阻害剤と接触させなかったマクロファージによって産生される前記サイトカインのレベルより少なくとも約5%低いレベルの前記サイトカインを産生する、方法を開示する。
【0015】
本明細書において、線維化促進性メディエーターのレベルを低減させる方法であって、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させるステップを含み、細胞の前記集団がマクロファージを含み、細胞の前記集団を前記Chk1阻害剤と接触させると、前記マクロファージが、前記Chk1阻害剤と接触させなかったマクロファージによって産生される前記線維化促進性メディエーターのレベルより少なくとも約5%低いレベルの前記線維化促進性メディエーターを産生する、方法を開示する。
【0016】
本明細書において、細胞の老化を低減させる方法であって、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させるステップを含み、細胞の前記集団が上皮細胞を含み、細胞の前記集団を前記Chk1阻害剤と接触させると、前記上皮細胞が、前記Chk1阻害剤と接触させなかった上皮細胞によって発現される老化関連遺伝子のレベルより少なくとも約5%低いレベルの老化関連遺伝子を発現する、方法を開示する。
【0017】
参照による組込み
本出願において引用した各特許、刊行物、および非特許文献は、各々が個々に参照により組み込まれるかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A-1B】図1Aおよび1Bは、Chk1阻害がヒトIPFドナー肺から単離された肺線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を遮断することを示す。ドナー3人からのヒト肺線維芽細胞を96ウェルプレートに播種し、1.25ng/mL TGFbによって処置して筋線維芽細胞表現型(アルファ平滑筋アクチン[aSMA]の誘導によって特徴付けられる)への分化を誘導した。Chk1阻害剤PF-477736(図1A)またはラブセルチブ(図1B)を、サイトカイン処置の1時間前に8点濃度曲線で示されるように投薬した。aSMAおよびDAPIに関する染色を、72時間後にハイコンテントイメージング解析を使用して評価し、aSMA誘導のパーセント阻害および%生存細胞として表す。
【0019】
図2A-2C】図2A~2Cは、Chk1阻害がM1およびM2表現型へのマクロファージ活性化に影響を及ぼし、炎症促進性サイトカインおよび線維化促進性メディエーターの産生を変更することを実証する。ヒト単球を末梢血から単離し、3日間のLPS/IFNgによる処置によってM1マクロファージへと、または3日間のIL-4による処置によってM2マクロファージへと分化させた。Chk1阻害剤PF-477736を、サイトカイン処置の1時間前に、示されたように投薬した。LPS/IFNg処置後のM1分化のマーカーとしてのCD80(図2A)、およびIL-4処置後のM2分化のマーカーとしてのCD163(図2B)に関してフローサイトメトリーを実施した。M1分極細胞上清を、Luminexに基づくアッセイにおいて51の検体(サイトカイン、MMP)に関して試験した。一部の検体における代表的な変化を示す(図2C)。
【0020】
図3A図3A~3Cは、Chk1阻害が肺線維症のマウスモデルにおいて組織病変およびコラーゲン沈着を減少させることを実証する。図3Aは、PF-477736およびニンテダニブが肺線維症のマウスモデルにおいて組織病変スコアを改善したことを示す。図3Bは、各試験アームに関するヒストグラムを提供する。図3Bは、PF-477736処置がニンテダニブと比較して病態の重症度のより大きい低減をもたらしたことを実証する経験的累積密度関数(ECDF)曲線を提供する。
図3B図3A~3Cは、Chk1阻害が肺線維症のマウスモデルにおいて組織病変およびコラーゲン沈着を減少させることを実証する。図3Aは、PF-477736およびニンテダニブが肺線維症のマウスモデルにおいて組織病変スコアを改善したことを示す。図3Bは、各試験アームに関するヒストグラムを提供する。図3Bは、PF-477736処置がニンテダニブと比較して病態の重症度のより大きい低減をもたらしたことを実証する経験的累積密度関数(ECDF)曲線を提供する。
図3C図3A~3Cは、Chk1阻害が肺線維症のマウスモデルにおいて組織病変およびコラーゲン沈着を減少させることを実証する。図3Aは、PF-477736およびニンテダニブが肺線維症のマウスモデルにおいて組織病変スコアを改善したことを示す。図3Bは、各試験アームに関するヒストグラムを提供する。図3Bは、PF-477736処置がニンテダニブと比較して病態の重症度のより大きい低減をもたらしたことを実証する経験的累積密度関数(ECDF)曲線を提供する。
【0021】
図4A-4B】図4Aおよび4Bは、PF-477736(図4A)またはニンテダニブ(図4B)によって処置した動物におけるコラーゲン沈着を実証する。
【0022】
図5A-5B】図5Aおよび5Bは、Chk1活性が、上皮細胞、線維芽細胞、およびマクロファージのIPF特異的集団において見出されることを実証する。図5Aは、IPF、健常対照、およびCOPDの肺の単一細胞RNA seqデータからのIPF特異的上皮、マクロファージ、および線維芽細胞集団のクラスタリングを実証する。図5Bは、IPF特異的細胞集団におけるChk1活性と相関する遺伝子の発現の増加を実証する。
【0023】
図6図6は、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を50%阻害するために必要なChk1阻害剤の濃度が、ニンテダニブと共投与した場合により低かったことを示す。
【0024】
図7図7は、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を50%阻害するために必要なニンテダニブの濃度が、Chk1阻害剤と共投与した場合により低かったことを示す。
【0025】
図8A-8B】図8A~8Fは、高いChk1活性が上皮細胞における老化関連分泌タンパク質の発現と相関することを示す。図8Aは、I型肺胞(AT-I)上皮細胞、II型肺胞(AT-II)上皮細胞、基底上皮細胞、線毛上皮細胞、クラブ上皮細胞、杯細胞、およびIPF関連上皮細胞サブセットを含む単一細胞RNAシーケンシングデータセットにおいて同定された上皮細胞サブセットを実証する。図8Bは、IPF患者および健常対照に由来すると同定された細胞を示す。図8Cは、老化関連遺伝子の発現を要約する。図8Dは、100個のChk1相関遺伝子のシグネチャーによって示されるChk1活性を要約する。図8Eは、高Chk1細胞と低Chk1細胞の間を識別するためにおよそ0.1~0.2の閾値が適切であることを示す。図8Fは、0.1~0.2の閾値を適用した場合に高Chk1群がより高い平均レベルの老化関連分泌タンパク質を発現すること、および一般的に高Chk1活性を有する細胞が、より高い老化関連遺伝子の発現を有することを示す。
図8C-8D】図8A~8Fは、高いChk1活性が上皮細胞における老化関連分泌タンパク質の発現と相関することを示す。図8Aは、I型肺胞(AT-I)上皮細胞、II型肺胞(AT-II)上皮細胞、基底上皮細胞、線毛上皮細胞、クラブ上皮細胞、杯細胞、およびIPF関連上皮細胞サブセットを含む単一細胞RNAシーケンシングデータセットにおいて同定された上皮細胞サブセットを実証する。図8Bは、IPF患者および健常対照に由来すると同定された細胞を示す。図8Cは、老化関連遺伝子の発現を要約する。図8Dは、100個のChk1相関遺伝子のシグネチャーによって示されるChk1活性を要約する。図8Eは、高Chk1細胞と低Chk1細胞の間を識別するためにおよそ0.1~0.2の閾値が適切であることを示す。図8Fは、0.1~0.2の閾値を適用した場合に高Chk1群がより高い平均レベルの老化関連分泌タンパク質を発現すること、および一般的に高Chk1活性を有する細胞が、より高い老化関連遺伝子の発現を有することを示す。
図8E-8F】図8A~8Fは、高いChk1活性が上皮細胞における老化関連分泌タンパク質の発現と相関することを示す。図8Aは、I型肺胞(AT-I)上皮細胞、II型肺胞(AT-II)上皮細胞、基底上皮細胞、線毛上皮細胞、クラブ上皮細胞、杯細胞、およびIPF関連上皮細胞サブセットを含む単一細胞RNAシーケンシングデータセットにおいて同定された上皮細胞サブセットを実証する。図8Bは、IPF患者および健常対照に由来すると同定された細胞を示す。図8Cは、老化関連遺伝子の発現を要約する。図8Dは、100個のChk1相関遺伝子のシグネチャーによって示されるChk1活性を要約する。図8Eは、高Chk1細胞と低Chk1細胞の間を識別するためにおよそ0.1~0.2の閾値が適切であることを示す。図8Fは、0.1~0.2の閾値を適用した場合に高Chk1群がより高い平均レベルの老化関連分泌タンパク質を発現すること、および一般的に高Chk1活性を有する細胞が、より高い老化関連遺伝子の発現を有することを示す。
【0026】
図9図9は、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化に及ぼすGDC-0575の効果を例証する。
【0027】
図10図10は、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化に及ぼすMK-8776の効果を例証する。
【0028】
図11図11は、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化に及ぼすCCT-245737の効果を例証する。
【0029】
図12図12は、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化に及ぼすBML-277の効果を例証する。
【0030】
図13図13は、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化に及ぼすAZD-7762の効果を例証する。
【0031】
図14図14は、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化に及ぼすプレキサセルチブの効果を例証する。
【0032】
図15図15は、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化に及ぼすCCT-241533の効果を例証する。
【0033】
図16図16は、対照化合物を投薬したIPFドナー試料の対照解析を提供する。
【0034】
図17図17は、対照化合物を投薬した健常対照の対照解析を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
発明の詳細な説明
肺線維症(PF)を含む100を超える様々な間質性肺疾患(ILD)が存在する。各々の処置および展望は有意に異なり得(例えば、Meyer KC. Diagnosis and management of interstitial lung disease. Transl Respir Med. 2014;2:4を参照されたい)、これらのILDの基礎となるプロセスが全く多様であり得ることを示唆している。例えば、多くのILDの標準治療は、コルチコステロイドを含むが、コルチコステロイドおよび免疫抑制剤の使用はIPFでは強く反対される場合があり、IPFの進行を悪化させ得る(例えば、Raghu G et al. An official ATS/ERS/JRS/ALAT statement: idiopathic pulmonary fibrosis: evidence-based guidelines for diagnosis and management. Am J Respir Crit Care Med. 2011;183(6):788-824を参照されたい)。IPFの基礎となる特有のプロセスもまた、線維性疾患の大規模転写解析(例えば、トランスクリプトームマイクロアレイ、RNAseq等)の比較において明白であり得る;調節された経路における何らかの重複がトランスクリプトームにおいて見出され得るが、ほとんどの遺伝子調節は疾患特異的であるように思われる(例えば、Makarev E et al. Common pathway signature in lung and liver fibrosis. Cell Cycle. 2016;15(13):1667-73;Mahoney JM et al. Systems level analysis of systemic sclerosis shows a network of immune and profibrotic pathways connected with genetic polymorphisms. PLoS Comput Biol. 2015;11(1):e1004005;Xu Y et al. Single-cell RNA sequencing identifies diverse roles of epithelial cells in idiopathic pulmonary fibrosis. JCI Insight. 2016;1(20):e90558を参照されたい)。
【0036】
IPFの基礎となる機序は不明であり、理論に拘束されることを望まないが、現在の仮説は、IPFにおける蓄積された瘢痕組織が、適切に解決することができない創傷治癒プロセスから生じるということである。
【0037】
創傷治癒は通常、1)即時の凝固を介して血液の損失を低減させ、2)組織構築を回復することによって上皮障壁を再建するために役立ち得る。
【0038】
したがって、創傷治癒の第1のステップでは、損傷した血管を一時的に塞ぐために血小板が傷害部位に動員され得る。加えて、細胞外基質(ECM)の構成成分を分解する酵素の活性をアップレギュレートし、それによって周辺の毛細管および組織からの白血球(例えば、単球、マクロファージ)の組織の透過性および組織からの細胞デブリのクリアランス(例えば、動員された貪食マクロファージによる)を増加させることができる。
【0039】
創傷治癒の次のステップでは、動員された白血球は、炎症性サイトカインを分泌することができる。炎症応答が開始されると、線維芽細胞を刺激して傷害部位に遊走させ、新たなECMタンパク質(例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、プロテオグリカン、エラスチン)を分泌する非常に収縮性かつ増殖性の筋線維芽細胞へと分化させることができる。
【0040】
創傷治癒が進行すると、そのプロセスを最初に遅延させ、その後終了させることができる。そのような遅延および終了は、ECMタンパク質沈着からECMタンパク質沈着の正味の増加がないことへのシフトを伴い得る。通常の状況下では、このシフトは、アポトーシスまたは貪食マクロファージを介しての筋線維芽細胞の除去および炎症の低減を含み得る。
【0041】
しかし、IPFでは、筋線維芽細胞は肺組織に留まり、ECMタンパク質を産生し続け、瘢痕組織(すなわち、進行性の線維症)の形成をもたらし得る。さらに、筋線維芽細胞は収縮性であることから、それらはECMを引き入れて堅固な束にし、組織により高い引っ張り強さを与え得る。その仕事(すなわち、呼吸)をするために一定の運動を必要とする肺などの組織では、過剰な瘢痕組織は、一酸化炭素および酸素の拡散能の進行性の障害をもたらし得る。IPFの初期症状は、息切れおよび咳を含み得るが、これは徐々に進行し、死をもたらし得る。
【0042】
理論に拘束されることを望まないが、IPFにおける筋線維芽細胞の持続は、常在性組織マクロファージおよび血液からの単球由来マクロファージの両方による炎症促進性および線維化促進性メディエーター(例えば、TGFb、サイトカイン、成長因子)の産生を含む多様な機構を通して、創傷治癒プロセスおよび進行中の慢性炎症の伝播を伴うように思われる。IPF肺におけるマクロファージの正確な表現型については議論されているが、疾患の促進におけるM1およびM2マクロファージの両方の役割が提唱されている。次に、炎症の調節障害が持続すると、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を誘導し得る。筋線維芽細胞の形成(例えば、マクロファージの活性化、マクロファージによるサイトカインの産生を阻害すること、および/または線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を低減させることによって)、筋線維芽細胞の生存、筋線維芽細胞の収縮性、または筋線維芽細胞が細胞外基質を産生する能力に影響を及ぼすことは全て、線維症の進行性の性質を減少させ、既存の線維症の量を潜在的に減少させると予測される。一部の実施形態では、本開示は、IPFの処置のために筋線維芽細胞の分化および機能に影響を及ぼす治療を提供する。一部の実施形態では、本開示は、マクロファージの活性化、マクロファージの分化、および/またはマクロファージの機能(例えば、マクロファージによるサイトカインおよび/または線維化促進性メディエーターの産生)に影響を及ぼす治療を提供する。
【0043】
IPFに関して承認された2つの薬物はピルフェニドンおよびニンテダニブである。いずれも、完全には理解されていない機構を通して線維芽細胞から筋線維芽細胞への移行に影響を及ぼすことが提唱されている。しかし、注目すべきことにこれらの薬物が、in vitroの生物学およびクリニックの両方に対して示すことができる効果はごくわずかであり得る。肺移植はIPFの決定的な治療であると考えられるが、肺移植後の5年生存は50%未満であり、利用可能な肺はそれを必要とする患者よりかなり少ない。一部の実施形態では、本開示の組成物および方法は、既存の処置よりもIPF患者にとって大きい治療利益を提供する。
【0044】
理論に拘束されることを望まないが、細胞の老化もまたIPFの病因に寄与し得る。例えば肺の上皮細胞による、例えば老化関連遺伝子および/または老化関連分泌タンパク質のより高い発現は、IPFの病因に寄与し得る。一部の実施形態では、本開示は、IPFの処置のために細胞の老化に影響を及ぼす治療を提供する。
【0045】
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象、例えばIPFの処置を必要とする対象に処置を施すことを提供する。対象の非限定的な例としては、ヒトまたは非ヒト脊椎動物(例えば、哺乳動物[例えば、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、サル、オランウータン、チンパンジー)、飼育動物(例えば、ウマ[例えば、ウマ]、ウシ[例えば、ウシ]、ブタ[例えば、ブタ]、ヒツジ[例えば、ヒツジ]、齧歯類[例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット]、イヌ[例えば、イヌ]、ネコ[例えば、ネコ]、ウサギ[例えば、ウサギ]、ヤギ[例えば、ヤギ])が挙げられる。一部の実施形態では、対象はIPFを発症するリスクがあり得る(例えば、感受性がある)、またはIPFを有し得る。
【0046】
「処置すること」は、疾患状態の緩和を指し得る。処置することの非限定的な例としては、疾患状態が起こるのを防止すること(例えば、疾患状態に対して素因を有する対象において、疾患状態の特徴である症状の出現前)、疾患状態をモジュレートすること(すなわち、疾患状態を低減する、緩和する、阻害する、またはさらなる進行を遅延させる)、疾患状態を治癒すること(すなわち、根治すること)(例えば、線維性創傷を治癒すること)、IPFを有する対象の生存期間を延長させること、およびIPFを有する対象における死亡リスクを低減させることが挙げられ得る。
特発性肺線維症を処置する方法
【0047】
一態様では、本明細書において特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、IPFの処置を必要とする対象に、チェックポイントキナーゼ1(Chk1)のキナーゼ活性を低減または消失させる薬剤の治療有効量を投与するステップを含む方法を提供する。
【0048】
一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は:
- 線維芽細胞の異常な(すなわち、健常対象と比較して異なる)増殖の速度;
- 線維芽細胞の筋線維芽細胞への異常な分化の速度;
- 線維性部位(すなわち、急速な筋線維芽細胞増殖の部位)の異常な形成;
- ECMタンパク質(例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、および/またはプロテオグリカン)の異常な沈着;
- 異常な筋線維芽細胞収縮活性;
- 筋線維芽細胞アポトーシスの異常な速度;
- 筋線維芽細胞のECM成分に対する異常な付着;
- マクロファージの異常な活性化;
- マクロファージによるサイトカイン(例えば、TGFb、サイトカイン、成長因子)の異常な産生;
- 異常な炎症;
- 瘢痕組織の異常な成長;
- 老化関連遺伝子の異常な発現
からなる群から選択される対象の肺組織における少なくとも1つの病態を低減するのに有効である。
【0049】
Chk1阻害は、IPFにおける遺伝子発現プロファイルの正常化をもたらし得る。Chk1は、細胞周期進行におけるチェックポイントとして重要な役割を果たし得るタンパク質キナーゼである。IPF患者の肺線維芽細胞のトランスクリプトームを解析すること、および細胞摂動シグネチャー(cell perturbation signature)を同定することによって、本発明者らは、Chk1のキナーゼ活性の阻害をIPFの標的として同定した。特に、線維症は、IPF、強皮症、COPD、ケロイド、骨髄線維症、潰瘍性大腸炎、子宮筋腫、および心筋線維症を含む多くの疾患の重要な病理学的特色であるが、Chk1阻害が疾患の表現型を逆転させる能力を有するというバイオインフォマティクス予測は、IPFに対して特異的であり得る。本発明者らはさらに、Chk1のキナーゼ活性を低減または消失させる薬剤が、ヒト線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を阻害する、マクロファージのM1またはM2表現型への活性化を低減させる、ならびにいくつかの線維化促進性および炎症促進性メディエーターの産生を低減させることができることを確立した。
【0050】
本明細書に提供される方法の利点は、優れた処置の転帰(例えば、肺機能の増加、肺機能の経時的な減少の遅延、肺線維症の減少、肺移植までの期間の増加、より長い生存期間中央値、クオリティオブライフ測定値の増加)を含む。
【0051】
Chk1のキナーゼ活性を低減または消失させる薬剤
本明細書に提供される方法において投与される薬剤は、Chk1のキナーゼ活性を低減または消失させる任意の薬学的に許容されるおよび薬学的に活性な化合物、プロドラッグ、または薬学的に許容される塩もしくはそのエステルであり得る。
【0052】
高い治療指数(すなわち、毒性効果と治療効果の間の高い用量比[例えば最大耐用量[MTD]とED50[すなわち、最大応答の50%の有効用量]の比]を示す薬剤が好ましい場合がある。
【0053】
一部の実施形態では、薬剤は、Chk1のキナーゼ活性を少なくとも5%、または少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%低減させる。
【0054】
一部の実施形態では、薬剤は、Chk1に関して100μMもしくはそれ未満、70μMもしくはそれ未満、50μMもしくはそれ未満、25μMもしくはそれ未満、20μMもしくはそれ未満、15μMもしくはそれ未満、10μMもしくはそれ未満、5μMもしくはそれ未満、1μMもしくはそれ未満、900nMもしくはそれ未満、800nMもしくはそれ未満、700nMもしくはそれ未満、600nMもしくはそれ未満、500nMもしくはそれ未満、400nMもしくはそれ未満、300nMもしくはそれ未満、200nMもしくはそれ未満、100nMもしくはそれ未満、90nMもしくはそれ未満、80nMもしくはそれ未満、70nMもしくはそれ未満、60nMもしくはそれ未満、50nMもしくはそれ未満、40nMもしくはそれ未満、30nMもしくはそれ未満、20nMもしくはそれ未満、10nMもしくはそれ未満、1nMもしくはそれ未満、500pMもしくはそれ未満、または100pMもしくはそれ未満の範囲のIC50(すなわち、50%阻害濃度)またはEC50(すなわち、50%有効濃度)を有する。
【0055】
一部の実施形態では、薬剤は、Chk1のみのキナーゼ活性を低減または消失させる。一部の実施形態では、薬剤は、Chk1のキナーゼ活性ならびに1つまたは複数の追加のキナーゼのキナーゼ活性を低減または消失させる。そのような他のキナーゼの非限定的な例としては、Chk2;Foxo1;ならびにAurKA、B、およびCが挙げられる。一部の実施形態では、薬剤は、Chk1のキナーゼ活性を特異的に低減または消失させ、例えば、他のキナーゼの阻害のために必要な濃度よりも低い濃度でChk1阻害を示す。
【0056】
一部の実施形態では、薬剤は、Chk1のキナーゼ活性を少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減させ、1つまたは複数の他のキナーゼのキナーゼ活性を80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、25%未満、15%未満、10%未満、5%未満、または1%未満低減させる。
【0057】
一部の実施形態では、薬剤は、Chk1のキナーゼ活性を低減または取り除き、別のキナーゼのキナーゼ活性を増加させる。
【0058】
適した化合物の非限定的な例としては、AB-IsoG(イソグラヌラチミド);AZD-7762;CCT-244747;CHK1-A;GNE-900;MK-8776;PF-477736;ラブセルチブ;GDC-0425;GDC-0575;SAR020106;V-158411;XL-844;ARRY575;CASC-578;LY-2880070;CCT-245737;CCT-241533;プレキサセルチブ;VER-250840;およびBML-277が挙げられる。
【0059】
一部の実施形態では、化合物はPF-477736である。一部の実施形態では、化合物はラブセルチブである。一部の実施形態では、化合物はAB-IsoG(イソグラヌラチミド)である。一部の実施形態では、化合物はAZD-7762である。一部の実施形態では、化合物はCCT-244747である。一部の実施形態では、化合物はCHK1-Aである。一部の実施形態では、化合物はGNE-900である。一部の実施形態では、化合物はMK-8776である。一部の実施形態では、化合物はGDC-0425である。一部の実施形態では、化合物はSAR020106である。一部の実施形態では、化合物はV-158411である。一部の実施形態では、化合物はXL-844である。一部の実施形態では、化合物はARRY575である。一部の実施形態では、化合物はCASC-578である。一部の実施形態では、化合物はLY-2880070である。一部の実施形態では、化合物はCCT-245737である。一部の実施形態では、化合物はプレキサセルチブである。一部の実施形態では、化合物はVER-250840である。一部の実施形態では、化合物はBML-277である。一部の実施形態では、化合物はGDC-0575である。一部の実施形態では、化合物はCCT-241533である。
【0060】
一部の実施形態では、化合物はPF-477736ではない。一部の実施形態では、化合物はラブセルチブではない。一部の実施形態では、化合物はAB-IsoG(イソグラヌラチミド)ではない。一部の実施形態では、化合物はAZD-7762ではない。一部の実施形態では、化合物はCCT-244747ではない。一部の実施形態では、化合物はCHK1-Aではない。一部の実施形態では、化合物はGNE-900ではない。一部の実施形態では、化合物はMK-8776ではない。一部の実施形態では、化合物はGDC-0425ではない。一部の実施形態では、化合物はSAR020106ではない。一部の実施形態では、化合物はV-158411ではない。一部の実施形態では、化合物はXL-844ではない。一部の実施形態では、化合物はARRY575ではない。一部の実施形態では、化合物はCASC-578ではない。一部の実施形態では、化合物はLY-2880070ではない。一部の実施形態では、化合物はCCT-245737ではない。一部の実施形態では、化合物はプレキサセルチブではない。一部の実施形態では、化合物はVER-250840ではない。一部の実施形態では、化合物はBML-277ではない。一部の実施形態では、化合物はGDC-0575ではない。一部の実施形態では、化合物はCCT-241533ではない。
【0061】
治療有効量
本明細書に提供される方法において投与される薬剤の治療有効量は、薬剤(例えば、生物学的利用率、毒性、ADMEプロファイル、有効性、製剤、剤形)、対象(例えば、種、性別、体重、年齢、食事)、投与の経路および時間、IPFの重症度、ならびに求める結果に依存し得る。
【0062】
薬剤の治療有効量を決定することができる。適した方法の非限定的な例としては、in vitro Chk1結合アッセイ(例えば、蛍光共鳴エネルギー移動[FRET]またはAlphaScreen増幅発光近接ホモジニアスアッセイ]を使用して)、無細胞および細胞Chk1キナーゼ阻害アッセイ(例えば、外因性基質のリン酸化を阻害する量からIC50を決定するため)、ならびに動物モデルにおける投薬(例えば、MTDおよびED50を決定するため;例えば、TGF-βアデノウイルス形質導入モデル、放射線誘発線維症モデル、ブレオマイシンモデル[Hecker L et al., NADPH Oxidase-4 Mediates Myofibroblast Activation and Fibrogenic Responses to Lung Injury. Nat. Med., 15(9):1077-81, 2009]を使用して)、ならびにキナーゼ選択性プロファイリングアッセイ(例えば、特異性を決定するため)が挙げられる。これらのアッセイに加えて、他のアッセイを利用することができ、アッセイは、特定の応用に関して改変することができる。細胞培養アッセイおよび動物モデルから得たデータを、対象(例えば、ヒト)において試験するために投薬量の範囲を製剤化するのに使用することができる。
【0063】
治療有効量は、ED50を含む循環濃度の範囲内にあり得る。HPLCアッセイまたはバイオアッセイを使用して、血漿中濃度を決定することができる。
【0064】
緊急の処置では、薬剤は、迅速な応答を得るためにMTDに達する量で投与する必要があり得る。
【0065】
一部の実施形態では、本開示の化合物の治療有効量は、対照(例えば、化合物によって処置していない対照)と比較して少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.1%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、99.95%、99.99%、または100%、マクロファージの活性化マーカー発現を低減させる、線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化を低減させる、コラーゲン沈着を低減させる、マクロファージのサイトカイン発現を低減させる、マクロファージの線維化促進性メディエーター発現を低減させる、上皮細胞の老化関連遺伝子発現を低減させる、またはそれらの組合せを低減させることができる。
【0066】
一部の実施形態では、本開示の化合物の治療有効量は、対照(例えば、化合物によって処置していない対照)と比較して少なくとも約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約11倍、約12倍、約13倍、約14倍、約15倍、約16倍、約17倍、約18倍、約19倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約110倍、約120倍、約130倍、約140倍、約150倍、約160倍、約170倍、約180倍、約190倍、約200倍、約250倍、約300倍、約350倍、約400倍、約450倍、約500倍、約550倍、約600倍、約650倍、約700倍、約750倍、約800倍、約850倍、約900倍、約950倍、約1000倍、約1500倍、または約2000倍、マクロファージの活性化マーカー発現を低減させる、線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化を低減させる、コラーゲン沈着を低減させる、マクロファージのサイトカイン発現を低減させる、マクロファージの線維化促進性メディエーター発現を低減させる、上皮細胞の老化関連遺伝子発現を低減させる、またはそれらの組合せを低減させることができる。
薬剤の投与
【0067】
本明細書に提供される方法において投与される薬剤は、多様な、適した経路のいずれかによって投与することができる。
【0068】
そのような経路の非限定的な例としては、経口、頬側、直腸、局所、経皮、皮下、静脈内(ボーラスまたは注入)、腹腔内、筋肉内、舌下、吸入、吹送、鼻腔内、経粘膜、気管内(肺吸入によることを含む)、髄腔内、リンパ管内、病変内、および硬膜外が挙げられる。
【0069】
投与が吸入によって行われる実施形態では、吸入デバイスを使用することができる。吸入デバイスの非限定的な例としては、ネブライザー、定量吸入器(MDI)、ドライパウダー吸入器(DPI)、およびドライパウダーネブライザーが挙げられる。
【0070】
一部の実施形態では、投与は制御送達(すなわち、部位特異的および/または時間依存的な放出)によって行われる。
【0071】
投与は、例えば単回用量として1回、または複数の用量として複数回行うことができる。一部の実施形態では、投与は、単回用量としてまたは複数の用量のいずれかとして、1回または複数の延長された期間にわたって(例えば、1日、1週間、1ヶ月、1年、またはそれらの複数の期間にわたって)行うことができる。
【0072】
一部の実施形態では、投与は、少なくとも1週間の期間毎日行われる。一部の実施形態では、投与は、少なくとも1ヶ月の期間毎週行われる。一部の実施形態では、投与は、少なくとも2ヶ月の期間毎月行われる。一部の実施形態では、投与は、少なくとも1年の期間毎日、毎週、または毎月行われる。一部の実施形態では、投与は、少なくとも毎月1回行われる。一部のそのような実施形態では、投与は、1ヶ月あたり1~2回行われる。一部の実施形態では、投与は、少なくとも毎週1回行われる。一部のそのような実施形態では、投与は、1週間あたり1~4回行われる。一部の実施形態では、投与は、少なくとも毎日1回行われる。一部のそのような実施形態では、投与は、1日あたり1~5回行われる。
【0073】
投薬量および間隔は、最小有効濃度(MEC)を維持するために十分である血漿中レベルを提供するために個々に調整することができる。化合物は、5~100%の期間、例えば、症状の所望の緩和が達成されるまでの20~90%、30~90%、または50~90%の期間の間、MECより上の血漿中レベルを維持するレジメンを使用して投与することができる。
【0074】
本明細書に記載される医薬組成物は、正確な投薬量の投与にとって適した単位剤形であり得る。単位剤形では、製剤を、1つまたは複数の化合物の適切な量を含有する単位用量として分割または分配することができる。単位投薬量は、製剤の個別の量を含有するパッケージの形態であり得る。非限定的な例は、丸剤、カプセル剤、錠剤、およびバイアルまたはアンプル中の液剤(liquid)である。水性懸濁組成物を単回用量の再閉できない容器にパッケージングすることができる。複数回用量の再閉できる容器を、例えば保存剤と組み合わせて使用することができる。非経口注射のための製剤は、単位剤形、例えばアンプルの形態で、または保存剤を含む複数回投与容器(multi dose container)の形態で提供され得る。複数回単位用量は、例えば吸入器から分配することができる。
【0075】
本明細書に記載される化合物は、約1μg~約2000mg;約100μg~約2000mg;約100μg~約1000mg;約100μg~約1mg;約500μg~約1mg;約1mg~約2000mg;約100mg~約2000mg;約10mg~約2000mg;約5mg~約1000mg、約10mg~約500mg、約50mg~約250mg、約100mg~約200mg、約1mg~約50mg、約50mg~約100mg、約100mg~約150mg、約150mg~約200mg、約200mg~約250mg、約250mg~約300mg、約300mg~約350mg、約350mg~約400mg、約400mg~約450mg、約450mg~約500mg、約500mg~約550mg、約550mg~約600mg、約600mg~約650mg、約650mg~約700mg、約700mg~約750mg、約750mg~約800mg、約800mg~約850mg、約850mg~約900mg、約900mg~約950mgまたは約950mg~約1000mgの範囲で組成物中に存在し得る。
【0076】
本明細書に記載される化合物は、約1μg、約10μg、約100μg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1050mg、約1100mg、約1150mg、約1200mg、約1250mg、約1300mg、約1350mg、約1400mg、約1450mg、約1500mg、約1550mg、約1600mg、約1650mg、約1700mg、約1750mg、約1800mg、約1850mg、約1900mg、約1950mgまたは約2000mgの量で組成物中に存在し得る。
【0077】
一部の実施形態では、用量は、対象の質量で除算した薬物の量に関して、例えば対象の体重のキログラムあたりの薬物のミリグラムとして表すことができる。一部の実施形態では、化合物は、約1mg/kg~約1000mg/kg、5mg/kg~約50mg/kg、250mg/kg~約2000mg/kg、約10mg/kg~約800mg/kg、約50mg/kg~約400mg/kg、約100mg/kg~約300mg/kg、約150mg/kg~約200mg/kg、または約200mg/kg~約1000mg/kgの範囲の量で投与される。一部の実施形態では、対象に投与される化合物の量は、約0.01~10mg/kg、約0.01~20mg/kg、約0.01~50mg/kg、約0.1~10mg/kg、約0.1~20mg/kg、約0.1~50mg/kg、約0.1~100mg/kg、約0.5~10mg/kg、約0.5~20mg/kg、約0.5~50mg/kg、約0.5~100mg/kg、約1~10mg/kg、約1~20mg/kg、約1~50mg/kg、または約1~100mg/kgの対象の体重であり得る。一部の実施形態では、投与される化合物の量は、約0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、または20mg/kgの対象の体重である。
【0078】
一部の実施形態では、対象に投与される化合物の量は、対象の体重あたり約1μg/kg、25μg/kg、50μg/kg、75μg/kg、100μ μg/kg、125μg/kg、150μg/kg、175μg/kg、200μg/kg、225μg/kg、250μg/kg、275μg/kg、300μg/kg、325μg/kg、350μg/kg、375μg/kg、400μg/kg、425μg/kg、450μg/kg、475μg/kg、500μg/kg、525μg/kg、550μg/kg、575μg/kg、600μg/kg、625μg/kg、650μg/kg、675μg/kg、700μg/kg、725μg/kg、750μg/kg、775μg/kg、800μg/kg、825μg/kg、850μg/kg、875μg/kg、900μg/kg、925μg/kg、950μg/kg、975μg/kg、1mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、80mg/kg、90mg/kgまたは100mg/kgであり得る。
【0079】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、例えば、別の医薬品による対象の処置の前、間、または後に使用することができる。
【0080】
本発明の医薬組成物は、他の化学的成分、例えば、担体、安定化剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、および/または賦形剤と、本明細書に記載される任意の医薬化合物の組合せであり得る。医薬組成物は、化合物の安定性を改善することができ、生物に対する化合物の投与を容易にすることができる。医薬組成物は、例えば静脈内、皮下、筋肉内、経口、非経口、眼、皮下、経皮、鼻、膣、および局所投与を含む様々な形態および経路により、医薬組成物として治療有効量で投与することができる。
【0081】
医薬組成物は、局所的に、例えば必要に応じてデポーまたは徐放性製剤またはインプラントにおいて、化合物の臓器への直接注射を介して投与することができる。医薬組成物は、急速放出製剤の形態で、持続放出製剤の形態で、または中間放出製剤の形態で提供することができる。急速放出形態は、即時放出を提供することができる。持続放出製剤は、制御放出または持続遅延放出を提供することができる。
【0082】
経口投与の場合、医薬組成物は、活性化合物を薬学的に許容される担体または賦形剤と組み合わせることによって製剤化することができる。そのような担体は、対象による経口摂取のための錠剤、丸剤、カプセル剤、糖衣錠、液剤、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー剤、または懸濁剤を製剤化するために使用することができる。経口の溶解可能な製剤において使用される溶媒の非限定的な例としては、水、エタノール、イソプロパノール、食塩水、生理食塩水、DMSO、ジメチルホルムアミド、リン酸カリウムバッファー、リン酸緩衝食塩水(PBS)、リン酸ナトリウムバッファー、4-2-ヒドロキシエチル-1-ピペラジンエタンスルホン酸バッファー(HEPES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸バッファー(MOPS)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)バッファー(PIPES)、および食塩水クエン酸ナトリウムバッファー(SSC)が挙げられ得る。経口の溶解可能な製剤において使用される共溶媒の非限定的な例としては、スクロース、ウレア、cremaphor、DMSO、およびリン酸カリウムバッファーが挙げられ得る。
【0083】
経口使用のための医薬調製物は、1つまたは複数の固体賦形剤を本明細書に記載される化合物の1つまたは複数と混合すること、必要に応じて得られた混合物を粉砕すること、および望ましければ適した補助剤の添加後、顆粒の混合物を処理して錠剤または糖衣錠のコアを得ることによって得ることができる。コアには適したコーティングを提供することができる。この目的に関して、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、carbopolゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタンなどの賦形剤、ラッカー溶液、ならびに適した有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る、濃縮された糖溶液を使用することができる。例えば、活性化合物の用量の異なる組合せを同定または特徴付けるために、染料または顔料を錠剤または糖衣錠コーティングに添加することができる。
【0084】
経口で使用することができる医薬調製物は、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル剤、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールで作製された軟密封カプセル剤を含む。一部の実施形態では、カプセル剤は、製薬ゼラチン、ウシゼラチン、および植物ゼラチンのうちの1つまたは複数を含む硬ゼラチンカプセル剤を含む。ゼラチンは、アルカリ処理され得る。プッシュフィットカプセル剤は、ラクトースなどの増量剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および安定化剤と混和した活性成分を含有し得る。軟カプセル剤では、活性化合物を適した液体、例えば脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁することができる。安定化剤を添加することができる。経口投与のための全ての製剤は、そのような投与にとって適した投薬量で提供される。頬側投与または舌下投与の場合、組成物は、錠剤、ロゼンジ剤、またはゲル剤であり得る。
【0085】
腸溶コーティングは、経口製剤、例えば錠剤、丸剤、またはカプセル剤の内容物を胃の酸度から保護し、回腸および/または上部結腸領域への送達を提供することができる。腸溶コーティングの非限定的な例としては、pH感受性ポリマー(例えば、eudragit FS30D)、アクリル酸メチル-メタクリル酸コポリマー、酢酸コハク酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル(hydroxy propyl methyl cellulose acetate succinate)(例えば、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メタクリル酸メチル-メタクリル酸コポリマー、シェラック、酢酸トリメリット酸セルロース、アルギン酸ナトリウム、ゼイン、他のポリマー、脂肪酸、ロウ、シェラック、プラスチック、植物繊維、およびCapsugel DRが挙げられる。効力を維持するためのパッケージング技術は、Bel-Art、Biorx、ColorSafe、CSP Vials、Dynalon、MP Vials、PSA、Pill Pod、Qorpak、Safer Lock、またはWheatonであり得る。一部の実施形態では、腸溶コーティングは、pH感受性ポリマーによって形成される。一部の実施形態では、腸溶コーティングは、eudragit FS30Dによって形成される。腸溶性カプセル剤は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の腸溶コーティングを含み得る。腸溶コーティングは、任意の適したpHで溶解するように設計することができる。一部の実施形態では、腸溶コーティングは、約pH6.5~約pH7.0より高いpHで溶解するように設計される。一部の実施形態では、腸溶コーティングは、約pH6.5より高いpHで溶解するように設計される。一部の実施形態では、腸溶コーティングは、約pH7.0より高いpHで溶解するように設計される。腸溶コーティングは、約5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、または7.5のpH単位より高いpHで溶解するように設計することができる。
【0086】
医薬調製物は、静脈内投与のために製剤化することができる。医薬組成物は、油性または水性媒体中の滅菌懸濁剤、液剤(solution)、または乳剤として非経口注射にとって適した形態であり得、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤などの製剤化剤を含有し得る。非経口投与のための医薬製剤は、水溶性型の活性化合物の水性液剤を含む。活性化合物の懸濁剤は、油性注射用懸濁剤として調製することができる。適した親油性溶媒または媒体としては、ゴマ油などの脂肪油、または合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルもしくはトリグリセリド、またはリポソームが挙げられる。懸濁剤はまた、高濃度液剤の調製を可能にするために化合物の溶解度を増加させる適した安定化剤または作用剤も含有し得る。あるいは、活性成分は適した媒体、例えば滅菌発熱物質不含水によって使用前に構成するための粉末形態であり得る。
【0087】
活性化合物は、局所投与することができ、多様な局所投与可能な組成物、例えば、液剤、懸濁剤、ローション剤、ゲル剤、パスタ剤、薬用スティック剤、バーム剤、クリーム剤、および軟膏剤に製剤化することができる。そのような医薬組成物は、可溶化剤、安定化剤、等張増強剤、バッファー、および保存剤を含有し得る。
【0088】
化合物はまた、従来の坐剤基剤、例えばカカオバターまたは他のグリセリド、ならびに合成ポリマー、例えばポリビニルピロリドンおよびPEGを含有する直腸組成物、例えば浣腸剤、直腸ゲル剤、直腸フォーム剤、直腸エアロゾル剤、坐剤、ゼリー坐剤、または停留浣腸剤に製剤化することができる。組成物の坐剤形態では、低融点のロウ、例えば必要に応じてカカオバターと組み合わせた脂肪酸グリセリドの混合物を融解することができる。
【0089】
本明細書に提供される処置または使用の方法の実践において、本明細書に記載される化合物の治療有効量を医薬組成物中で、処置される疾患または状態を有する対象に投与する。一部の実施形態では、対象は、ヒトなどの哺乳動物である。治療有効量は、疾患の重症度、対象の年齢および相対的健康、使用される化合物の効力、ならびに他の要因に応じて広く異なり得る。化合物は、単独で、または混合物の成分として1つもしくは複数の治療剤と組み合わせて使用することができる。
【0090】
医薬組成物は、活性化合物の薬学的に使用することができる調製物への処理を容易にする賦形剤および補助剤を含む1つまたは複数の生理的に許容される担体を使用して製剤化することができる。製剤は、選択された投与経路に応じて改変することができる。本明細書に記載される化合物を含む医薬組成物は、例えば、混合する、溶解する、乳化する、被包する(encapsulating)、捕捉する、または圧縮プロセスによって製造することができる。
【0091】
医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤、および遊離塩基もしくは薬学的に許容される塩の形態として本明細書に記載される化合物を含み得る。医薬組成物は、可溶化剤、安定化剤、等張増強剤、バッファー、および保存剤を含有し得る。
【0092】
本明細書に記載される化合物を含む組成物の調製のための方法は、化合物を1つまたは複数の不活性な薬学的に許容される賦形剤または担体と共に製剤化して、固体、半固体、または液体組成物を形成することを含む。固体組成物は、例えば粉剤・散剤(powder)、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、およびカシェ剤を含む。液体組成物は、例えば化合物を溶解させた液剤、化合物を含む乳剤、または本明細書に開示される化合物を含むリポソーム、ミセル、もしくはナノ粒子を含有する液剤を含む。半固体組成物は、例えば、ゲル剤、懸濁剤、またはクリーム剤を含む。組成物は、液体の液剤もしくは懸濁剤、使用前に液体中の液剤もしくは懸濁剤にするために適した固体形態、または乳剤であり得る。これらの組成物はまた、微量の非毒性の補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、および他の薬学的に許容される添加剤を含有し得る。
【0093】
本発明における使用のために適した剤形の非限定的な例としては、錠剤、カプセル剤、丸剤、液剤(liquid)、粉剤・散剤、ゲル剤、ナノ懸濁剤、ナノ粒子剤、マイクロゲル剤、水性または油性懸濁剤、乳剤、およびそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0094】
本発明における使用のために適した薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例としては、結合剤、崩壊剤、付着防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、可塑剤、保存剤、懸濁化剤、乳化剤、抗菌剤、球状化剤、およびそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0095】
本発明の組成物は、例えば即時放出形態または制御放出製剤であり得る。即時放出製剤は、化合物を迅速に作用させるように製剤化することができる。即時放出製剤の非限定的な例としては、容易に溶解可能な製剤が挙げられる。制御放出製剤は、活性剤の放出速度および放出プロファイルが生理的およびクロノセラピーの必要条件と一致することができるように適合されている、またはあるいは活性剤をプログラムされた速度で放出するように製剤化されている医薬製剤であり得る。制御放出製剤の非限定的な例としては、顆粒剤、遅延放出顆粒剤、ハイドロゲル剤(例えば、合成または天然起源の)、他のゲル化剤(例えば、ゲル形成食物繊維)、マトリックスベースの製剤(例えば、その中に分散された少なくとも1つの活性成分を有するポリマー材料を含む製剤)、マトリックス内の顆粒剤、ポリマー混合物、および顆粒塊(granular mass)が挙げられる。
【0096】
一部において、制御放出製剤は、遅延放出形態である。遅延放出形態は、化合物の作用を長期間遅延させるように製剤化することができる。遅延放出形態は、1つまたは複数の化合物の有効量の放出を例えば、約4、約8、約12、約16、または約24時間遅延させるように製剤化することができる。
【0097】
制御放出製剤は、徐放性形態であり得る。徐放性形態は、例えば化合物の作用を長期間にわたって維持するように製剤化することができる。徐放性形態は、本明細書に記載される任意の化合物の有効量を約4、約8、約12、約16、または約24時間にわたって提供する(例えば、生理的に有効な血液プロファイルを提供する)ように製剤化することができる。
【0098】
薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例は、例えばその各々の全体が参照により組み込まれる、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995);Hoover, John E., Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975;Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins 1999)に見出され得る。
【0099】
複数の治療剤を任意の順序でまたは同時に投与することができる。一部の実施形態では、本発明の化合物は、抗生物質と組み合わせて、その前、またはその後に投与される。同時の場合、複数の治療剤を単一の一体化した形態、または複数の形態、例えば複数の個別の丸剤として提供することができる。薬剤は共にまたは個別に、単一のパッケージまたは複数のパッケージに包装することができる。治療剤の1つまたは全ては複数回用量で与えられ得る。同時でない場合、複数回用量の間の時期は、最大約1ヶ月まで様々であり得る。
【0100】
本明細書に記載される治療剤は、疾患または状態の発生の前、間、または後に投与することができ、治療剤を含有する組成物を投与する時期は異なり得る。例えば、組成物は予防剤として使用することができ、疾患または状態の発生の可能性を減らすために、状態または疾患になりやすい対象に連続的に投与することができる。組成物は、症状の発生中または発生後可能な限り早急に対象に投与することができる。治療剤の投与は、症状の発生の最初の48時間以内、症状の発生の最初の24時間以内、症状の発生の最初の6時間以内、または症状の発生の3時間以内に開始することができる。最初の投与は、任意の実際的な経路を介して、例えば本明細書に記載される任意の製剤を使用して本明細書に記載される任意の経路によってであり得る。治療剤は、疾患または状態の発生が検出されたまたは疑われた後、可及的速やかに投与することができる。
【0101】
治療剤は、任意の期間投与することができる。一部の実施形態では、化合物を投与することができる期間は、約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1カ月、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約2ヶ月間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約3ヶ月間、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約4ヶ月間、約17週間、約18週間、約19週間、約20週間、約5ヶ月間、約21週間、約22週間、約23週間、約24週間、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約1年間、約13ヶ月間、約14ヶ月間、約15ヶ月間、約16ヶ月間、約17ヶ月間、約18ヶ月間、約19ヶ月間、約20ヶ月間、約21ヶ月間、約22カ月間、約23ヶ月間、約2年間、約2.5年間、約3年間、約3.5年間、約4年間、約4.5年間、約5年間、約6年間、約7年間、約8年間、約9年間、約10年間、約11年間、約12年間、約13年間、約14年間、約15年間、約20年間、またはそれより長い期間であり得る。一部の実施形態では、化合物は、対象の残りの人生の間投与することができる。一部の実施形態では、化合物は、疾患を処置するため(例えば、疾患の症状を低減するまたは疾患の進行を遅延させるため)に必要な期間投与することができる。処置の期間は各対象に関して異なり得る。
【0102】
一部の実施形態では、化合物を投与することができる期間は、少なくとも約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月間、5週間、6週間、7週間、8週間、2ヶ月間、9週間、10週間、11週間、12週間、3ヶ月間、13週間、14週間、15週間、16週間、4ヶ月間、17週間、18週間、19週間、20週間、5ヶ月間、21週間、22週間、23週間、24週間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、1年間、13ヶ月間、14ヶ月間、15ヶ月間、16ヶ月間、17、約18ヶ月間、19ヶ月間、20ヶ月間、21ヶ月間、22ヶ月間、23ヶ月間、2年間、2.5年間、3年間、3.5年間、4年間、4.5年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、20年間、またはそれより長い期間であり得る。一部の実施形態では、化合物は対象の残りの人生の間投与することができる。
【0103】
一部の実施形態では、本開示の化合物の薬学的に許容される量を、一定期間にわたって対象に徐々に投与する。一部の実施形態では、本開示の化合物のある量を、約0.1時間~約24時間の期間にわたって徐々に対象に投与することができる。一部の実施形態では、本開示の化合物のある量を、約0.1時間、約0.2時間、約0.3時間、約0.4時間、約0.5時間、約0.6時間、約0.7時間、約0.8時間、約0.9時間、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間、約4時間、約4.5時間、約5時間、約5.5時間、約6時間、約6.5時間、約7時間、約7.5時間、約8時間、約8.5時間、約9時間、約9.5時間、約10時間、約10.5時間、約11時間、約11.5時間、約12時間、約12.5時間、約13時間、約13.5時間、約14時間、約14.5時間、約15時間、約15.5時間、約16時間、約16.5時間、約17時間、約17.5時間、約18時間、約18.5時間、約19時間、約19.5時間、約20時間、約20.5時間、約21時間、約21.5時間、約22時間、約22.5時間、約23時間、約23.5時間、または約24時間の期間にわたって対象に投与することができる。一部の実施形態では、本開示の化合物の薬学的に許容される量は、約0.5時間の期間にわたって徐々に投与される。一部の実施形態では、本開示の化合物の薬学的に許容される量は、約1時間の期間にわたって徐々に投与される。一部の実施形態では、本開示の化合物の薬学的に許容される量は、約1.5時間の期間にわたって徐々に投与される。
【0104】
本明細書に記載される医薬組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20回、またはそれより多くの回数投与することができ、それらは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間毎に、または1、2、3、4、5、6、7日間毎に、または1、2、3、4、5週間毎に、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月毎に投与することができる。
【0105】
本明細書に記載される医薬組成物は、正確な投薬量の投与に適した単位剤形であり得る。単位剤形では、製剤は、1つまたは複数の化合物の適切な量を含有する単位用量として分割または分配することができる。単位投薬量は、製剤の個別の量を含有するパッケージの形態であり得る。非限定的な例は、パッケージングされた注射剤、バイアル、アンプル、丸剤、カプセル剤、および錠剤である。水性懸濁組成物は、単回用量の再閉できない容器中にパッケージングすることができる。複数回用量の再閉できる容器を、例えば保存剤と組み合わせてまたは保存剤と組み合わせることなく使用することができる。注射用製剤は、単位剤形で、例えば保存剤と共にアンプルまたは複数回投与容器中で提示され得る。複数回単位用量は、例えば吸入器から分配することができる。
【0106】
本明細書に提供される医薬組成物は、他の治療、例えば化学療法、放射線、手術、抗炎症剤、および選択されたビタミンと併せて投与することができる。他の薬剤は、医薬組成物の前、後、またはそれと併用して投与することができる。
【0107】
意図される投与様式に応じて、医薬組成物は、固体、半固体、または液体剤形の形態、例えば錠剤、坐剤、丸剤、カプセル剤、粉剤・散剤、液剤、懸濁液剤、ローション剤、クリーム剤、またはゲル剤など、例えば正確な投薬量の投与にとって適した単位剤形であり得る。
【0108】
固体組成物の場合、非毒性の固体担体としては、例えば製薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、および炭酸マグネシウムが挙げられる。
【0109】
化合物は、リポソーム技術を介して送達することができる。薬物担体としてのリポソームの使用は、化合物の治療指数を増加させることができる。リポソームは、天然のリン脂質で構成され、界面活性特性(例えば、卵ホスファチジルエタノールアミン)を有する混合脂質鎖を含有し得る。リポソームの設計は、健康でない組織に付着するように表面リガンドを用いることができる。リポソームの非限定的な例としては、多層小胞(MLV)、小型単層小胞(SUV)、および大型単層小胞(LUV)が挙げられる。リポソームの物理化学的特性は、生物学的障壁を通しての浸透および投与部位での滞留を最適にするために、ならびに早期分解および非標的組織への毒性を生じる可能性を低減するためにモジュレートすることができる。最適なリポソーム特性は、投与経路に依存し、大きいサイズのリポソームは、局所注射の際に良好な滞留を示し、小さいサイズのリポソームは受動的標的化を達成するためにより適している。PEG化は、肝臓および脾臓によるリポソームの取り込みを低減させ、循環時間を増加させ、透過性および滞留性亢進(EPR)効果により炎症部位での局在化の増加をもたらす。加えて、リポソーム表面は、被包された薬物の特異的標的細胞への選択的送達を達成するように改変することができる。標的化リガンドの非限定的な例としては、疾患に関連する細胞の表面上に濃縮された受容体に対して特異的なモノクローナル抗体、ビタミン、ペプチド、および多糖類が挙げられる。
【0110】
本開示における使用に適した剤形の非限定的な例としては、液剤、エリキシル剤、ナノ懸濁剤、水性または油性懸濁剤、滴剤、シロップ剤、およびそれらの任意の組合せが挙げられる。本開示における使用に適した薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例としては、造粒剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、甘味剤、滑剤、付着防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗酸化剤、ゴム、コーティング剤、着色剤、香味剤、コーティング剤、可塑剤、保存剤、懸濁化剤、乳化剤、植物セルロース材料、および球状化剤、およびそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0111】
本発明の組成物は、キットとしてパッケージングすることができる。一部の実施形態では、キットは、組成物の投与/使用に関する書面での指示を含む。書面資料は、例えばラベルであり得る。書面資料は、投与方法の条件を示唆することができる。指示は、治療の投与から最適な臨床転帰を達成するための最善の指針を対象および監督する医師に提供する。書面資料はラベルであり得る。一部の実施形態では、ラベルは規制当局、例えば米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)、または他の規制当局によって承認され得る。
【0112】
本発明は、本明細書に記載される任意の治療化合物の薬学的に許容される塩の使用を提供する。薬学的に許容される塩としては、例えば、酸付加塩および塩基付加塩が挙げられる。化合物に添加されて酸付加塩を形成する酸は、有機酸または無機酸であり得る。化合物に添加されて塩基付加塩を形成する塩基は、有機塩基または無機塩基であり得る。一部の実施形態では、薬学的に許容される塩は金属塩である。一部の実施形態では、薬学的に許容される塩はアンモニウム塩である。
【0113】
金属塩は、本発明の化合物への無機塩基の付加から生じ得る。無機塩基は、塩基性対イオン、例えば水酸化イオン、炭酸イオン、重炭酸イオン、またはリン酸イオンなどと対を形成した金属カチオンからなる。金属はアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、または典型金属であり得る。一部の実施形態では、金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、セリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、カルシウム、ストロンチウム、コバルト、チタン、アルミニウム、銅、カドミウム、または亜鉛である。
【0114】
一部の実施形態では、金属塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、セリウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩、鉄塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、コバルト塩、チタン塩、アルミニウム塩、銅塩、カドミウム塩、または亜鉛塩である。
【0115】
アンモニウム塩は、本発明の化合物へのアンモニアまたは有機アミンの付加から生じ得る。一部の実施形態では、有機アミンは、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、ピペリジン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、ジベンジルアミン、ピペラジン、ピリジン、ピラゾール、ピピラゾール(pipyrrazole)、イミダゾール、ピラジン、またはピピラジンである。
【0116】
一部の実施形態では、アンモニウム塩は、トリエチルアミン塩、ジイソプロピルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩、N-メチルモルホリン塩、ピペリジン塩、N-メチルピペリジン塩、N-エチルピペリジン塩、ジベンジルアミン塩、ピペラジン塩、ピリジン塩、ピラゾール塩、ピピラゾール塩、イミダゾール塩、ピラジン塩、またはピピラジン塩である。
【0117】
酸付加塩は、本発明の化合物への酸の付加から生じ得る。一部の実施形態では、酸は有機酸である。一部の実施形態では、酸は無機酸である。一部の実施形態では、酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、イソニコチン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、アスコルビン酸、ゲンチジン酸(gentisinic acid)、グルコン酸、グルクロン酸(glucaronic acid)、サッカリン酸(saccaric acid)、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、パントテン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、フマル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、シュウ酸、またはマレイン酸である。
【0118】
一部の実施形態では、塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、ゲンチジン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸(glucaronate)塩、サッカリン酸(saccarate)塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、パントテン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸(メシル酸)塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、またはマレイン酸塩である。
【0119】
併用療法
一部の実施形態では、Chk1のキナーゼ活性を低減または消失させる薬剤の治療有効量は、追加の薬剤の治療有効量と共に投与される。一部の実施形態では、併用療法は、治療用量を単独で投与した場合に各個々の構成成分によって達成される相加効果よりも有意に良好な治療結果をもたらし得る。
【0120】
したがって、一部の実施形態では、本開示は、特発性肺線維症を処置するための方法であって、それを必要とする対象に、(a)本開示のChk1阻害剤の有効量、および(b)少なくとも1つの追加の薬学的活性剤、例えば本明細書に記載される任意の追加の治療剤の有効量を投与して、併用療法を提供するステップを含む方法を提供する。
【0121】
追加の薬剤は、IPFまたはその合併症を処置するために有用であると認識された任意の治療剤であり得る。そのような治療剤の非限定的な例としては、免疫調節剤、サイトカイン抑制性抗炎症薬(CSAID;例えば、ヒトサイトカインまたは成長因子[例えば、VEGF、FGF、PDGF]に対する抗体またはそのアンタゴニスト、ピルフェニドン、ニンテダニブ)、他のキナーゼ活性の阻害剤(例えば、Foxo1および/またはAurKAおよび/またはAurKBおよび/またはAurKCのキナーゼ活性の阻害剤)、ならびにそれらの誘導体およびプロドラッグが挙げられる。
【0122】
追加の薬剤はまた、Chk1のキナーゼ活性を低減または消失させる薬剤に対して有益な属性を付与する薬剤であり得る。
【0123】
そのような併用療法は、Chk1のキナーゼ活性を低減もしくは消失させる薬剤および/または追加の薬剤の低減された用量の使用を有利に促進することができる。
【0124】
一部の実施形態では、併用療法におけるChk1阻害剤または追加の治療剤、例えば本明細書に記載される任意の追加の治療剤の投薬量は、各薬剤による単剤治療と比較して低減させることができるが、それでもなお全体的な治療効果を達成する。一部の実施形態では、Chk1阻害剤および追加の治療剤、例えば本明細書に記載される任意の追加の治療剤が相乗効果を示すことができる。一部の実施形態では、Chk1阻害剤と追加の治療剤、例えば本明細書に記載される任意の追加の治療剤との相乗効果を使用して、対象に投与される薬物の全量を低減させることができ、これにより対象が経験する副作用が減少する。
【0125】
本開示のChk1阻害剤は、少なくとも1つの追加の薬学的活性剤、例えば本明細書に記載される任意の追加の治療剤と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの追加の薬学的活性剤、例えば本明細書に記載される任意の追加の治療剤は、Chk1阻害剤と同じまたは異なる標的をモジュレートすることができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの追加の薬学的活性剤、例えば本明細書に記載される任意の追加の治療剤は、本開示のChk1阻害剤と同じ標的、または同じ経路の他の成分、または標的酵素の重複するセットをモジュレートすることができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの追加の薬学的活性剤、例えば本明細書に記載される任意の追加の治療剤は、本開示のChk1阻害剤とは異なる標的をモジュレートすることができる。
【0126】
追加の薬剤は、治療の経過において異なる時間に投与することができる(すなわち、Chk1のキナーゼ活性を低減または消失させる薬剤を投与する前または後)、またはChk1のキナーゼ活性を低減もしくは消失させる薬剤と併せて投与することができる。
【0127】
一部の実施形態では、本開示は、特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、IPFの処置を必要とする対象に、チェックポイントキナーゼ1(Chk1)のキナーゼ活性を低減または消失させる薬剤の治療有効量を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、線維芽細胞の異常な増殖の速度;線維芽細胞の筋線維芽細胞への異常な分化の速度;線維性部位の異常な形成;ECMタンパク質の異常な沈着;筋線維芽細胞の異常な収縮速度;筋線維芽細胞アポトーシスの異常な速度;筋線維芽細胞のECMへの異常な付着;サイトカインの異常な産生;異常な炎症;瘢痕組織の異常な成長;および老化関連遺伝子の異常な発現からなる群から選択される対象の肺組織における少なくとも1つの病態を低減させるために有効である。
【0128】
実施形態
本明細書において、一部の実施形態では、それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、医薬組成物がChk1阻害剤を含み、投与するステップを行うと、Chk1阻害剤が対象におけるマクロファージの活性化マーカー発現を対照と比較して少なくとも約5%低減させる方法を開示する。一部の実施形態では、対照は、Chk1阻害剤を投与されなかった対照の対象におけるマクロファージの活性化マーカー発現である。一部の実施形態では、対照は、Chk1阻害剤を投与するステップの前の対象におけるマクロファージの活性化マーカー発現である。一部の実施形態では、活性化マーカーはM1マクロファージ活性化マーカーである。一部の実施形態では、活性化マーカーはM2マクロファージ活性化マーカーである。一部の実施形態では、活性化マーカーはCD80である。一部の実施形態では、活性化マーカーはCD163である。一部の実施形態では、マクロファージの活性化マーカー発現は、マクロファージをLPSおよびインターフェロンガンマと接触させること、マクロファージをCD80に特異的な蛍光コンジュゲート抗体によって染色すること、およびCD80に関するマクロファージの平均蛍光強度を、フローサイトメトリーを介して決定することによって決定されるものである。一部の実施形態では、マクロファージの活性化マーカー発現は、マクロファージをIL-4と接触させること、マクロファージをCD163に特異的な蛍光コンジュゲート抗体によって染色すること、およびCD163に関するマクロファージの平均蛍光強度を、フローサイトメトリーを介して決定することによって決定されるものである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、チアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-245737である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はVER-250840である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAB-IsoG(イソグラヌラチミド)である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAZD-7762である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-244747である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCHK1-Aである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGNE-900である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はMK8776である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はPF-477736である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はラブセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0425である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はSAR020106である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はV-158411である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はXL-844である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はARRY575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCASC-578である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はLY-2880070である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はプレキサセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はBML-277である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-241533である。一部の実施形態では、対象は哺乳動物である。一部の実施形態では、対象はヒトである。一部の実施形態では、医薬組成物は薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、単位剤形で投与される。一部の実施形態では、方法は、対象に追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は追加の治療剤をさらに含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はニンテダニブを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はピルフェニドンを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤は免疫調節剤を含む。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はChk1を約10μM未満のIC50で阻害する。一部の実施形態では、治療有効量は約1μg~約1グラムである。一部の実施形態では、治療有効量は約0.1μg/kg~約100mg/kgである。一部の実施形態では、医薬組成物は経口投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は静脈内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は吸入を介して投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は鼻腔内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は局所投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は皮下投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は経粘膜投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は腹腔内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は筋肉内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物中のChk1阻害剤はプロドラッグ形態である。
【0129】
本明細書において、一部の実施形態では、それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、医薬組成物がChk1阻害剤を含み、投与するステップを行うと、Chk1阻害剤が対象における線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化のレベルを対照と比較して少なくとも約5%低減させる方法を開示する。一部の実施形態では、対照は、Chk1阻害剤を投与されなかった対照の対象における線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化のレベルである。一部の実施形態では、対照は、Chk1阻害剤を投与するステップの前の対象における線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化のレベルである。一部の実施形態では、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化のレベルは、線維芽細胞をTGF-βによって処置した後のアルファ平滑筋アクチンの発現を定量することによって決定されるものである。一部の実施形態では、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化のレベルは、線維芽細胞をTGF-βと接触させること、線維芽細胞を、アルファ平滑筋アクチンを特異的に染色する試薬によって染色すること、およびハイコンテント解析を実行してアルファ平滑筋アクチン誘導のパーセント阻害を決定することによって決定されるものである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、チアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-245737である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はVER-250840である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAB-IsoG(イソグラヌラチミド)である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAZD-7762である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-244747である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCHK1-Aである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGNE-900である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はMK8776である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はPF-477736である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はラブセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0425である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はSAR020106である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はV-158411である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はXL-844である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はARRY575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCASC-578である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はLY-2880070である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はプレキサセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はBML-277である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-241533である。一部の実施形態では、対象は哺乳動物である。一部の実施形態では、対象はヒトである。一部の実施形態では、医薬組成物は薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、単位剤形で投与される。一部の実施形態では、方法は、追加の治療剤を対象に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は追加の治療剤をさらに含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はニンテダニブを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はピルフェニドンを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤は免疫調節剤を含む。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はChk1を約10μM未満のIC50で阻害する。一部の実施形態では、治療有効量は約1μg~約1グラムである。一部の実施形態では、治療有効量は約0.1μg/kg~約100mg/kgである。一部の実施形態では、医薬組成物は経口投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は静脈内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は吸入を介して投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は鼻腔内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は局所投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は皮下投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は経粘膜投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は腹腔内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は筋肉内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物中のChk1阻害剤はプロドラッグ形態である。
【0130】
本明細書において、一部の実施形態では、それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、医薬組成物がChk1阻害剤を含み、投与するステップを行うと、Chk1阻害剤が対象の肺におけるコラーゲン沈着を、Chk1阻害剤を投与されなかった対照の対象と比較して少なくとも約5%低減させる方法を開示する。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、対象の肺におけるコラーゲン線維数を対照の対象と比較して少なくとも約5%低減させる。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、対象の肺におけるコラーゲン線維密度を対照の対象と比較して少なくとも約5%低減させる。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、対象の肺におけるコラーゲン線維アライメントのレベルを対照の対象と比較して少なくとも約5%低減させる。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、対象の肺におけるコラーゲンの量を対照の対象と比較して少なくとも約5%低減させる。一部の実施形態では、コラーゲン沈着は、肺生検からのシリウスレッド染色組織切片をイメージングすること、およびシリウスレッドについて陽性に染色される表面積を決定することによって定量されるものである。一部の実施形態では、コラーゲン沈着は、肺生検からのシリウスレッド染色組織切片をイメージングすること、およびコラーゲン線維数を決定することによって定量されるものである。一部の実施形態では、コラーゲン沈着は、肺生検からのシリウスレッド染色組織切片をイメージングすること、およびコラーゲン線維密度を決定することによって定量されるものである。一部の実施形態では、コラーゲン沈着は、肺生検からのシリウスレッド染色組織切片をイメージングすること、およびコラーゲン線維アライメントのレベルを決定することによって定量されるものである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、チアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-245737である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はVER-250840である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAB-IsoG(イソグラヌラチミド)である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAZD-7762である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-244747である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCHK1-Aである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGNE-900である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はMK8776である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はPF-477736である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はラブセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0425である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はSAR020106である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はV-158411である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はXL-844である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はARRY575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCASC-578である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はLY-2880070である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はプレキサセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はBML-277である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-241533である。一部の実施形態では、対象は哺乳動物である。一部の実施形態では、対象はヒトである。一部の実施形態では、医薬組成物は薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、単位剤形で投与される。一部の実施形態では、方法は、追加の治療剤を対象に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は追加の治療剤をさらに含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はニンテダニブを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はピルフェニドンを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤は免疫調節剤を含む。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はChk1を約10μM未満のIC50で阻害する。一部の実施形態では、治療有効量は約1μg~約1グラムである。一部の実施形態では、治療有効量は約0.1μg/kg~約100mg/kgである。一部の実施形態では、医薬組成物は経口投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は静脈内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は吸入を介して投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は鼻腔内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は局所投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は皮下投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は経粘膜投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は腹腔内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は筋肉内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物中のChk1阻害剤はプロドラッグ形態である。
【0131】
本明細書において、一部の実施形態では、それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、医薬組成物がChk1阻害剤を含み、投与するステップを行うと、Chk1阻害剤が対象の肺におけるマクロファージのサイトカイン発現を対照と比較して少なくとも約5%低減させる、方法を開示する。一部の実施形態では、対照は、Chk1阻害剤を投与されなかった対照の対象の肺におけるマクロファージのサイトカイン発現である。一部の実施形態では、対照は、Chk1阻害剤を投与するステップの前の対象の肺におけるマクロファージのサイトカイン発現である。一部の実施形態では、サイトカインは炎症促進性サイトカインである。一部の実施形態では、サイトカインは抗炎症性サイトカインである。一部の実施形態では、サイトカインは走化性サイトカインである。一部の実施形態では、サイトカインはIL-6である。一部の実施形態では、サイトカインはIL-10である。一部の実施形態では、サイトカインはIL-12p40である。一部の実施形態では、サイトカインはTNF-αである。一部の実施形態では、サイトカインはRANTESである。一部の実施形態では、マクロファージのサイトカイン発現は、マクロファージをLPSおよびインターフェロンガンマと接触させること、ならびに産生されたサイトカインの量を、多重イムノアッセイを介して決定することによって決定されるものである。一部の実施形態では、マクロファージのサイトカイン発現は、マクロファージをIL-4と接触させること、および産生されたサイトカインの量を、多重イムノアッセイを介して決定することによって決定されるものである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、チアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-245737である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はVER-250840である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAB-IsoG(イソグラヌラチミド)である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAZD-7762である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-244747である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCHK1-Aである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGNE-900である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はMK8776である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はPF-477736である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はラブセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0425である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はSAR020106である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はV-158411である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はXL-844である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はARRY575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCASC-578である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はLY-2880070である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はプレキサセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はBML-277である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-241533である。一部の実施形態では、対象は哺乳動物である。一部の実施形態では、対象はヒトである。一部の実施形態では、医薬組成物は薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、単位剤形で投与される。一部の実施形態では、方法は、追加の治療剤を対象に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は追加の治療剤をさらに含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はニンテダニブを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はピルフェニドンを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤は免疫調節剤を含む。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はChk1を約10μM未満のIC50で阻害する。一部の実施形態では、治療有効量は約1μg~約1グラムである。一部の実施形態では、治療有効量は約0.1μg/kg~約100mg/kgである。一部の実施形態では、医薬組成物は経口投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は静脈内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は吸入を介して投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は鼻腔内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は局所投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は皮下投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は経粘膜投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は腹腔内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は筋肉内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物中のChk1阻害剤はプロドラッグ形態である。
【0132】
本明細書において、一部の実施形態では、それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、医薬組成物がChk1阻害剤を含み、投与するステップを行うと、Chk1阻害剤が対象の肺におけるマクロファージの線維化促進性メディエーター発現を対照と比較して少なくとも約5%低減させる、方法を開示する。一部の実施形態では、対照は、Chk1阻害剤を投与されなかった対照の対象の肺におけるマクロファージの線維化促進性メディエーター発現である。一部の実施形態では、対照は、Chk1阻害剤を投与するステップの前の対象の肺におけるマクロファージの線維化促進性メディエーター発現である。一部の実施形態では、線維化促進性メディエーターはマトリクスメタロプロテイナーゼである。一部の実施形態では、線維化促進性メディエーターはMMP2である。一部の実施形態では、マクロファージの線維化促進性メディエーター発現は、マクロファージをLPSおよびインターフェロンガンマと接触させること、ならびに産生された線維化促進性メディエーターの量を、多重イムノアッセイを介して決定することによって決定されるものである。一部の実施形態では、マクロファージの線維化促進性メディエーター発現は、マクロファージをIL-4と接触させること、および産生された線維化促進性メディエーターの量を、多重イムノアッセイを介して決定することによって決定されるものである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、チアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-245737である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はVER-250840である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAB-IsoG(イソグラヌラチミド)である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAZD-7762である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-244747である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCHK1-Aである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGNE-900である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はMK8776である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はPF-477736である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はラブセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0425である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はSAR020106である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はV-158411である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はXL-844である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はARRY575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCASC-578である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はLY-2880070である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はプレキサセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はBML-277である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-241533である。一部の実施形態では、対象は哺乳動物である。一部の実施形態では、対象はヒトである。一部の実施形態では、医薬組成物は薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、単位剤形で投与される。一部の実施形態では、方法は、追加の治療剤を対象に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は追加の治療剤をさらに含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はニンテダニブを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はピルフェニドンを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤は免疫調節剤を含む。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はChk1を約10μM未満のIC50で阻害する。一部の実施形態では、治療有効量は約1μg~約1グラムである。一部の実施形態では、治療有効量は約0.1μg/kg~約100mg/kgである。一部の実施形態では、医薬組成物は経口投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は静脈内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は吸入を介して投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は鼻腔内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は局所投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は皮下投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は経粘膜投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は腹腔内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は筋肉内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物中のChk1阻害剤はプロドラッグ形態である。
【0133】
本明細書において、一部の実施形態では、それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、医薬組成物がChk1阻害剤を含み、投与するステップを行うと、Chk1阻害剤が対象の肺における上皮細胞の老化関連遺伝子発現を対照と比較して少なくとも約5%低減させる、方法を開示する。一部の実施形態では、対照は、Chk1阻害剤を投与されなかった対照の対象の肺における上皮細胞の老化関連遺伝子発現である。一部の実施形態では、対照は、Chk1阻害剤を投与するステップの前の対象の肺における上皮細胞の老化関連遺伝子発現である。一部の実施形態では、老化関連遺伝子は、老化関連分泌タンパク質をコードする。一部の実施形態では、上皮細胞は、1型肺胞上皮細胞である。一部の実施形態では、上皮細胞は2型肺胞上皮細胞である。一部の実施形態では、上皮細胞は基底上皮細胞である。一部の実施形態では、上皮細胞は線毛上皮細胞である。一部の実施形態では、上皮細胞はクラブ上皮細胞である。一部の実施形態では、上皮細胞は杯細胞である。一部の実施形態では、上皮細胞の老化関連遺伝子発現は、上皮細胞をブレオマイシンと接触させること、および発現された老化関連遺伝子の量を、RNAシーケンシングを介して決定することによって決定されるものである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、チアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-245737である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はVER-250840である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAB-IsoG(イソグラヌラチミド)である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAZD-7762である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-244747である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCHK1-Aである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGNE-900である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はMK8776である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はPF-477736である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はラブセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0425である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はSAR020106である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はV-158411である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はXL-844である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はARRY575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCASC-578である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はLY-2880070である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はプレキサセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はBML-277である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-241533である。一部の実施形態では、対象は哺乳動物である。一部の実施形態では、対象はヒトである。一部の実施形態では、医薬組成物は薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、単位剤形で投与される。一部の実施形態では、方法は、追加の治療剤を対象に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は追加の治療剤をさらに含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はニンテダニブを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はピルフェニドンを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤は免疫調節剤を含む。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はChk1を約10μM未満のIC50で阻害する。一部の実施形態では、治療有効量は約1μg~約1グラムである。一部の実施形態では、治療有効量は約0.1μg/kg~約100mg/kgである。一部の実施形態では、医薬組成物は経口投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は静脈内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は吸入を介して投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は鼻腔内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は局所投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は皮下投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は経粘膜投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は腹腔内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は筋肉内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物中のChk1阻害剤はプロドラッグ形態である。
【0134】
本明細書において、一部の実施形態では、それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、医薬組成物がChk1阻害剤を含み、投与するステップを行うと、対照と比較して、Chk1阻害剤が対象におけるマクロファージの活性化マーカー発現を少なくとも約5%低減させ、対象における線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化のレベルを少なくとも約5%低減させ、対象の肺におけるコラーゲン沈着を少なくとも約5%低減させ、対象の肺におけるマクロファージのサイトカイン発現を少なくとも約5%低減させ、対象の肺におけるマクロファージの線維化促進性メディエーター発現を少なくとも約5%低減させ、対象の肺における上皮細胞の老化関連遺伝子発現を少なくとも約5%低減させ、対照がChk1阻害剤を投与されなかった対照の対象である、方法を開示する。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、チアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-245737である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はVER-250840である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAB-IsoG(イソグラヌラチミド)である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAZD-7762である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-244747である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCHK1-Aである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGNE-900である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はMK8776である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はPF-477736である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はラブセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0425である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はSAR020106である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はV-158411である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はXL-844である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はARRY575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCASC-578である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はLY-2880070である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はプレキサセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はBML-277である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-241533である。一部の実施形態では、対象は哺乳動物である。一部の実施形態では、対象はヒトである。一部の実施形態では、医薬組成物は薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、単位剤形で投与される。一部の実施形態では、方法は、追加の治療剤を対象に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は追加の治療剤をさらに含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はニンテダニブを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はピルフェニドンを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤は免疫調節剤を含む。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はChk1を約10μM未満のIC50で阻害する。一部の実施形態では、治療有効量は約1μg~約1グラムである。一部の実施形態では、治療有効量は約0.1μg/kg~約100mg/kgである。一部の実施形態では、医薬組成物は経口投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は静脈内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は吸入を介して投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は鼻腔内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は局所投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は皮下投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は経粘膜投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は腹腔内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は筋肉内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物中のChk1阻害剤はプロドラッグ形態である。
【0135】
本明細書において、一部の実施形態では、それを必要とする対象における特発性肺線維症(IPF)を処置する方法であって、対象に医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含み、医薬組成物がChk1阻害剤を含み、Chk1阻害剤がチアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない、方法を開示する。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、チアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-245737である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はVER-250840である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAB-IsoG(イソグラヌラチミド)である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAZD-7762である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-244747である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCHK1-Aである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGNE-900である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はMK8776である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はPF-477736である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はラブセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0425である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はSAR020106である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はV-158411である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はXL-844である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はARRY575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCASC-578である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はLY-2880070である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はプレキサセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はBML-277である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-241533である。一部の実施形態では、対象は哺乳動物である。一部の実施形態では、対象はヒトである。一部の実施形態では、医薬組成物は薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、単位剤形で投与される。一部の実施形態では、方法は、追加の治療剤を対象に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は追加の治療剤をさらに含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はニンテダニブを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はピルフェニドンを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤は免疫調節剤を含む。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はChk1を約10μM未満のIC50で阻害する。一部の実施形態では、治療有効量は約1μg~約1グラムである。一部の実施形態では、治療有効量は約0.1μg/kg~約100mg/kgである。一部の実施形態では、医薬組成物は経口投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は静脈内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は吸入を介して投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は鼻腔内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は局所投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は皮下投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は経粘膜投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は腹腔内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は筋肉内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物中のChk1阻害剤はプロドラッグ形態である。
【0136】
本明細書において、一部の実施形態では、マクロファージの活性化を低減させる方法であって、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させるステップを含み、細胞の集団がマクロファージを含み、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させると、マクロファージが、Chk1阻害剤と接触させなかったマクロファージによる活性化マーカーの発現レベルより少なくとも約5%低い活性化マーカーの発現レベルを示す、方法を開示する。一部の実施形態では、活性化マーカーはM1マクロファージ活性化マーカーである。一部の実施形態では、活性化マーカーはM2マクロファージ活性化マーカーである。一部の実施形態では、活性化マーカーはCD80である。一部の実施形態では、活性化マーカーはCD163である。一部の実施形態では、マクロファージは肺に由来する。一部の実施形態では、マクロファージは、特発性肺線維症を有する対象の肺に由来する。一部の実施形態では、接触させるステップは、ヒト対象の内部で起こる。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、チアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-245737である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はVER-250840である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAB-IsoG(イソグラヌラチミド)である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAZD-7762である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-244747である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCHK1-Aである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGNE-900である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はMK8776である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はPF-477736である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はラブセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0425である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はSAR020106である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はV-158411である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はXL-844である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はARRY575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCASC-578である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はLY-2880070である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はプレキサセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はBML-277である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-241533である。一部の実施形態では、方法は、細胞の集団を追加の治療剤と接触させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はニンテダニブを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はピルフェニドンを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤は免疫調節剤を含む。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はChk1を約10μM未満のIC50で阻害する。
【0137】
本明細書において、一部の実施形態では、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を低減させる方法であって、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させるステップを含み、細胞の集団が線維芽細胞を含み、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させると、線維芽細胞が、Chk1阻害剤と接触させなかった線維芽細胞によるアルファ平滑筋アクチンの発現レベルより少なくとも約5%低いアルファ平滑筋アクチンの発現レベルを示す方法を開示する。一部の実施形態では、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化は、線維芽細胞をTGF-βと接触させた後のアルファ平滑筋アクチンの発現を定量することによって決定されるものである。一部の実施形態では、線維芽細胞は肺に由来する。一部の実施形態では、線維芽細胞は、特発性肺線維症を有する対象の肺に由来する。一部の実施形態では、接触させるステップは、ヒト対象の内部で起こる。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、チアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-245737である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はVER-250840である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAB-IsoG(イソグラヌラチミド)である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAZD-7762である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-244747である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCHK1-Aである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGNE-900である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はMK8776である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はPF-477736である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はラブセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0425である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はSAR020106である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はV-158411である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はXL-844である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はARRY575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCASC-578である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はLY-2880070である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はプレキサセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はBML-277である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-241533である。一部の実施形態では、方法は、細胞の集団を追加の治療剤と接触させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はニンテダニブを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はピルフェニドンを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤は免疫調節剤を含む。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はChk1を約10μM未満のIC50で阻害する。
【0138】
本明細書において、一部の実施形態では、コラーゲン沈着を低減させる方法であって、組織をChk1阻害剤と接触させるステップを含み、組織をChk1阻害剤と接触させると、組織が、Chk1阻害剤と接触させなかった組織と比較してコラーゲン沈着の指標の少なくとも約5%低いレベルを示す方法を開示する。一部の実施形態では、コラーゲン沈着の指標はコラーゲン線維数である。一部の実施形態では、コラーゲン沈着の指標はコラーゲン線維密度である。一部の実施形態では、コラーゲン沈着の指標はコラーゲン線維アライメントのレベルである。一部の実施形態では、コラーゲン沈着の指標はコラーゲンの量である。一部の実施形態では、コラーゲン沈着の指標は、組織のシリウスレッド染色組織切片をイメージングすること、およびシリウスレッドについて陽性に染色される表面積を決定することによって定量されるものである。一部の実施形態では、コラーゲン沈着の指標は、組織のシリウスレッド染色組織切片をイメージングすること、およびコラーゲン線維数を決定することによって定量されるものである。一部の実施形態では、コラーゲン沈着の指標は、組織のシリウスレッド染色組織切片をイメージングすることおよびコラーゲン線維密度を決定することによって定量されるものである。一部の実施形態では、コラーゲン沈着の指標は、組織のシリウスレッド染色組織切片をイメージングすることおよびコラーゲン線維アライメントのレベルを決定することによって定量されるものである。一部の実施形態では、組織は肺である。一部の実施形態では、組織は特発性肺線維症を有する対象の肺である。一部の実施形態では、接触させるステップは、ヒト対象の内部で起こる。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、チアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-245737である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はVER-250840である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAB-IsoG(イソグラヌラチミド)である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAZD-7762である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-244747である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCHK1-Aである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGNE-900である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はMK8776である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はPF-477736である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はラブセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0425である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はSAR020106である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はV-158411である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はXL-844である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はARRY575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCASC-578である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はLY-2880070である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はプレキサセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はBML-277である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-241533である。一部の実施形態では、方法は、組織を追加の治療剤と接触させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はニンテダニブを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はピルフェニドンを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤は免疫調節剤を含む。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はChk1を約10μM未満のIC50で阻害する。
【0139】
本明細書において、一部の実施形態では、サイトカインのレベルを低減させる方法であって、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させるステップを含み、細胞の集団がマクロファージを含み、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させると、マクロファージが、Chk1阻害剤と接触させなかったマクロファージによって産生されるサイトカインのレベルより少なくとも約5%低いレベルのサイトカインを産生する、方法を開示する。一部の実施形態では、サイトカインは炎症促進性サイトカインである。一部の実施形態では、サイトカインは抗炎症性サイトカインである。一部の実施形態では、サイトカインは走化性サイトカインである。一部の実施形態では、サイトカインはIL-6である。一部の実施形態では、サイトカインはIL-10である。一部の実施形態では、サイトカインはIL-12p40である。一部の実施形態では、サイトカインはTNF-αである。一部の実施形態では、サイトカインはRANTESである。一部の実施形態では、マクロファージは肺に由来する。一部の実施形態では、マクロファージは、特発性肺線維症を有する対象の肺に由来する。一部の実施形態では、接触させるステップは、ヒト対象の内部で起こる。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、チアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-245737である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はVER-250840である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAB-IsoG(イソグラヌラチミド)である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAZD-7762である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-244747である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCHK1-Aである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGNE-900である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はMK8776である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はPF-477736である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はラブセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0425である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はSAR020106である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はV-158411である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はXL-844である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はARRY575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCASC-578である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はLY-2880070である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はプレキサセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はBML-277である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-241533である。一部の実施形態では、方法は、細胞の集団を追加の治療剤と接触させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はニンテダニブを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はピルフェニドンを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤は免疫調節剤を含む。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はChk1を約10μM未満のIC50で阻害する。
【0140】
本明細書において、一部の実施形態では、線維化促進性メディエーターのレベルを低減させる方法であって、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させるステップを含み、細胞の集団がマクロファージを含み、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させると、マクロファージが、Chk1阻害剤と接触させなかったマクロファージによって産生される線維化促進性メディエーターのレベルより少なくとも約5%低いレベルの線維化促進性メディエーターを産生する方法を開示する。一部の実施形態では、線維化促進性メディエーターはマトリクスメタロプロテイナーゼである。一部の実施形態では、線維化促進性メディエーターはMMP2である。一部の実施形態では、マクロファージは肺に由来する。一部の実施形態では、マクロファージは、特発性肺線維症を有する対象の肺に由来する。一部の実施形態では、接触させるステップは、ヒト対象の内部で起こる。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、チアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-245737である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はVER-250840である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAB-IsoG(イソグラヌラチミド)である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAZD-7762である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-244747である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCHK1-Aである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGNE-900である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はMK8776である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はPF-477736である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はラブセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0425である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はSAR020106である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はV-158411である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はXL-844である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はARRY575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCASC-578である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はLY-2880070である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はプレキサセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はBML-277である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-241533である。一部の実施形態では、方法は、細胞の集団を追加の治療剤と接触させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はニンテダニブを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はピルフェニドンを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤は免疫調節剤を含む。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はChk1を約10μM未満のIC50で阻害する。
【0141】
本明細書において、一部の実施形態では、細胞の老化を低減させる方法であって、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させるステップを含み、細胞の集団が上皮細胞を含み、細胞の集団をChk1阻害剤と接触させると、上皮細胞が、Chk1阻害剤と接触させなかった上皮細胞によって発現される老化関連遺伝子のレベルより少なくとも約5%低いレベルの老化関連遺伝子を発現する方法を開示する。一部の実施形態では、老化関連遺伝子は老化関連分泌タンパク質をコードする。一部の実施形態では、上皮細胞は、特発性肺線維症を有する対象に由来する。一部の実施形態では、上皮細胞は、特発性肺線維症を有する対象の肺において豊富な上皮細胞型である。一部の実施形態では、上皮細胞は1型肺胞上皮細胞である。一部の実施形態では、上皮細胞は2型肺胞上皮細胞である。一部の実施形態では、上皮細胞は基底上皮細胞である。一部の実施形態では、上皮細胞は線毛上皮細胞である。一部の実施形態では、上皮細胞はクラブ上皮細胞である。一部の実施形態では、上皮細胞は杯細胞である。一部の実施形態では、接触させるステップは、ヒト対象の内部で起こる。一部の実施形態では、Chk1阻害剤は、チアゾール化合物でも、複素環式ウレア化合物でも、複素環式チオウレア化合物でも、アニリノピペラジン化合物でもない。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-245737である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はVER-250840である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAB-IsoG(イソグラヌラチミド)である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はAZD-7762である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-244747である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCHK1-Aである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGNE-900である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はMK8776である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はPF-477736である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はラブセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0425である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はSAR020106である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はV-158411である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はXL-844である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はARRY575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCASC-578である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はLY-2880070である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はプレキサセルチブである。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はGDC-0575である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はBML-277である。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はCCT-241533である。一部の実施形態では、方法は、細胞の集団を追加の治療剤と接触させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はニンテダニブを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤はピルフェニドンを含む。一部の実施形態では、追加の治療剤は免疫調節剤を含む。一部の実施形態では、Chk1阻害剤はChk1を約10μM未満のIC50で阻害する。
【0142】
本発明を、そのある特定の実施形態と併せて記載してきたが、前述の記載は本発明を例証することを意図しており、その範囲を限定しないことが意図されると理解されたい。本発明の範囲内の他の態様、利点、および改変は本発明が属する分野の当業者には明らかである。
【実施例
【0143】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を例証するために含まれる。実施例に開示される技術は、本発明の実践において良好に機能することが本発明者らによって発見された技術を表すが、当業者は、本開示に照らして、多くの変更を開示された特定の実施形態に行うことができ、それでも本発明の精神および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を得ることができることを認識すべきである。したがって、実施例に記載または示される全ての事象は、例示的であり、限定的な意味ではないと解釈すべきである。
【0144】
(実施例1)
IPF線維芽細胞/筋線維芽細胞およびマクロファージのトランスクリプトーム解析
IPFに関する遺伝子発現オムニバス(GEO; Barrett T et al. NCBI GEO: archive for functional genomics data set -- update;Nucleic Acids Res. 2013;41(D1):D991-5)からの遺伝子発現データセットを同定し処理して、疾患によって付与される遺伝子発現摂動を説明する特徴的な方向(CD)ベクトルを形成した(Clark NR et al. The characteristic direction: a geometrical approach to identify differentially expressed genes. BMC Bioinformatics. 2014;15:79)。これらのデータセット(GSE71351、GSE44723、GSE21369、GSE24206、GSE2052、GSE49072)から、一般的なIPFシグネチャー、線維芽細胞における急速な進行の表現型対遅い進行の表現型、および初期IPFシグネチャーに関連する発現ベクトル(expression vector)を同定した。
【0145】
これと平行して、LINCSプロジェクト(Subramanian A et al. A next generation connectivity map: L1000 platform and the first 1,000,000 profiles. Cell. 2017;171(6):1437-1452)からの遺伝的摂動データを、公表された方法(Lamb J et al. The Connectivity Map: using gene-expression signatures to connect small molecules, genes, and disease. Science. 2006;313(5795):1929-35;Niepel M et al. Common and cell-type specific responses to anti-cancer drugs revealed by high throughput transcript profiling. Nat Commun. 2017;8(1):1186)を使用して処理し、各遺伝的摂動に関するCDベクトルを作製した。
【0146】
Niepelらに記載されるアプローチを使用して、疾患の各CDベクトルと薬物の各CDベクトルとの間のコサイン距離を計算してベクトル間の角度の尺度を得た(ベクトルが同じ方向を向く場合、値は1、ベクトルが反対方向を向く場合、値は-1)。遺伝子あたり複数の遺伝的摂動が存在したことから、少なくとも1つの条件(細胞系、摂動因子(perturbagen)濃度、曝露時間)で疾患に対する方向と反対の摂動を最も一貫して付与した遺伝子を同定した。Chk1は、3つ全てのIPF疾患シグネチャーに対して所望の挙動を有した。
【0147】
これらの解析から、Chk1およびChk1の様々な公知の阻害剤が、IPFの処置の潜在的な治療手段として同定された。他の線維症状態(例えば、強皮症、COPD、ケロイド、骨髄線維症、潰瘍性大腸炎、子宮筋腫、心筋線維症)に対して実施した類似の解析では、Chk1およびその阻害剤が同定されなかった。
【0148】
(実施例2)
Chk1阻害は、ヒトIPFドナー肺から単離した肺線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を遮断する
本実施例は、Chk1阻害が、ヒトIPFドナー肺から単離した肺線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を遮断することを実証する。
【0149】
IPFを有する患者(n=3)または健常ドナー(n=3)の肺から培養した初代線維芽細胞をChk1阻害剤または対照化合物に曝露して、Chk1阻害剤の、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化(すなわち、線維芽細胞から筋線維芽細胞への移行[FMT])に及ぼす効果を決定した。細胞を96ウェルプレートに播種し、1.25ng/mL TGFbによって処置して、アルファ平滑筋アクチン(aSMA)の誘導によって特徴付けられる筋線維芽細胞表現型への分化を誘導した。Chk1阻害剤を、TGFb処置の1時間前に8点濃度曲線で投薬した。アルファ-SMAおよびDAPI染色を、ハイコンテント解析を使用して72時間後に評価した。Chk1阻害剤が線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化を遮断する能力を、aSMA誘導のパーセント阻害(PIN)を定量することによって決定した。細胞生存率も測定して、化合物が細胞傷害性であるかどうかを決定した。
【0150】
図1A~Bおよび9~15に示すように、Chk1阻害は、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を用量依存的に遮断し、細胞生存率に対するいかなる影響とも無関係であった。
【0151】
図1Aは、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化に及ぼすPF-477736の効果を例証する。図1Bは、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化に及ぼすラブセルチブの効果を例証する。図9は、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化に及ぼすGDC-0575の効果を例証する。図10は、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化に及ぼすMK-8776の効果を例証する。図11は、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化に及ぼすCCT-245737の効果を例証する。図12は、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化に及ぼすBML-277の効果を例証する。図13は、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化に及ぼすAZD-7762の効果を例証する。図14は、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化に及ぼすプレキサセルチブの効果を例証する。図15は、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化に及ぼすCCT-241533の効果を例証する。図16は、対照化合物を投薬したIPFドナー試料の対照解析を提供する。図17は、対照化合物を投薬した健常対照の対照解析を提供する。対象FB0303は、ニンテダニブに対して異常な応答を示したため、この対象をさらなる解析から除外することを正当化できた。
【0152】
これらの方法を同様に適用して、他のChk1阻害剤が線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を遮断する能力を試験することができる。
【0153】
表1~表7は、ある特定のChk1阻害剤に関する線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化の阻害に関するIC50データを提供する。
【0154】
【表1】
【0155】
【表2】
【0156】
【表3】
【0157】
【表4】
【0158】
【表5】
【0159】
【表6】
【0160】
【表7】
【0161】
線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化はIPFの病因に関係していることから、これらのデータは、Chk1阻害剤を使用してIPFを処置することができることを示唆している。
【0162】
(実施例3)
Chk1の阻害を介してのヒト単球のM1またはM2表現型のマクロファージへの分化の阻害
ヒト単球を、IPF患者の末梢血から単離し、様々な用量のPF-477736に1時間曝露し、次いで3日間、LPS/IFNgに対する曝露によってM1マクロファージへと、またはIL-4に対する曝露によってM2マクロファージへと分化させた。細胞を、M1分化のマーカーとしてのCD80細胞表面発現およびM2分化のマーカーとしてのCD163細胞表面発現に関してフローサイトメトリーによって解析した。加えて、細胞上清を様々なサイトカインおよびマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)に関してLuminexに基づくアッセイにおいて試験した。
【0163】
図2A~Cに示すように、Chk1阻害は、マクロファージのM1またはM2表現型のいずれかへと向かう活性化を低減させ、サイトカインを含むいくつかの線維化促進性および炎症促進性メディエーターの産生を阻害した。図2Aは、PF-477736がM1マクロファージ活性化を用量依存的に阻害することを例証する。図2Bは、PF-477736がM2マクロファージ活性化を用量依存的に阻害することを例証する。図2Cは、PF-477736処置が、LPSおよびIFNgに曝露されたマクロファージの上清中のより低いレベルの代表的なサイトカインおよびマトリクスメタロプロテイナーゼをもたらすことを示す。
【0164】
M1およびM2マクロファージ活性化がIPFの病因に関係していることから、これらのデータは、Chk1阻害剤を使用してIPFを処置することができることを示唆する。
【0165】
これらの方法を同様に適用して、他のChk1阻害剤がマクロファージ活性化、マクロファージのM1および/またはM2表現型への分化、マクロファージによるサイトカインの産生、またはマクロファージによる線維化促進性メディエーターの産生を阻害する能力を試験することができる。一部の実施形態では、M2マクロファージによるサイトカインおよび/または線維化促進性メディエーターの産生を、Chk1阻害によってモジュレートする(例えば、増加または減少させる)ことができる。
【0166】
(実施例4)
Chk1阻害は、肺線維症のマウスモデルにおいて組織病変およびコラーゲン沈着を減少させる
線維症を誘発するために、6~8週齢のC57BL6マウスに、3mg/kgブレオマイシン塩酸塩を動物あたり50μLの容量で微量噴霧器による気管内(i.t.)投与を介して投薬した。ブレオマイシン投与の1週間後、マウスを化合物または媒体によって7日目から20日目まで毎日1回処置した。PF-477736を、50nM酢酸ナトリウムバッファーおよび4%デキストロース、pH4の媒体中で10mg/kg(「中」)または20mg/kg(「高」)のいずれかの用量でi.p.投与した。ニンテダニブを、1%メチルセルロースの媒体中で100mg/kgで経口投与した。n=群あたり10匹のマウス。
【0167】
試験終了時、肺を、マッソントリクロム染色の標準的な組織学的方法を使用して処理し、盲検の病理学者によってアシュクロフトスコアを割り当てた。図3Aに示すように、PF-477736およびニンテダニブは、肺線維症のマウスモデルにおいて組織病変スコアを改善した。
【0168】
全肺イメージングを、改変ディープラーニングアルゴリズムを使用して実施して、各アームに関する平均ヒストグラム(図3B)および経験的累積密度関数(ECDF、図3C)を計算した。X軸は病態の重症度を表し、Y軸は頻度(ヒストグラム)または累積頻度(ECDF)を表す。データは、PF-477736処置が、ニンテダニブと比較して病態の重症度のより大きい低減をもたらしたことを実証する。例えばPF-477736に関するECDF曲線のシフトは、有意に異なる分布を、PF-477736処置肺ではより低い病態を示す。
【0169】
組織切片もまたシリウスレッドを使用して染色し、Bredfeldt et al. 2014, "Computational segmentation of collagen fibers from second-harmonic generation images of breast cancer." Journal of biomedical optics 19.1から改変したプロトコールにおいて、コラーゲン沈着(%)、コラーゲン線維数、コラーゲン線維密度、およびコラーゲン線維アライメントに関して評価した。図4A図4B、および表8に示すように、PF-477736はこれらのパラメータの全てにより疾患負荷を用量依存的に低減させたが、ニンテダニブによる処置は低減させなかった。
【0170】
これらのデータは、Chk1阻害が肺線維症のin vivoモデルにおいて治療効果を示すことを実証する。
【0171】
【表8】
【0172】
(実施例5)
Chk1活性は上皮細胞、線維芽細胞、およびマクロファージのIPF特異的集団において見出される
単一細胞RNAseqを、32例のIPF、29例の健常対照、および18例のCOPD肺を含む79例のドナー肺に対して実施した。試料を解離させ、単一細胞RNAシーケンシングを実施した。上皮細胞、マクロファージ、および線維芽細胞を、特徴的なマーカーの発現に基づいて同定した。Uniform Manifold Approximation and Projection(UMAP)クラスタリング解析により、図5Aおよび図5Bにおける破線の枠で示したように、IPF特異的上皮、マクロファージ、および線維芽細胞集団の同定が可能となった。
【0173】
Chk1活性を評価するために、100個の遺伝子の発現シグネチャーを利用した。100個の遺伝子を、その発現がChk1キナーゼ活性と相関する知見に基づいて選択した。100個のChk1相関遺伝子のシグネチャーを、ARCH4データベースを使用して構築し、これらのデータに適用してどの細胞集団が最強の活性を実証するかを推論した。転写データに、UMAPプロットを使用して多様性に基づく次元削減および可視化を行って、遺伝子発現を階層化する亜集団を描写した。100個の遺伝子の発現を単一細胞レベルで定量した。図5Bに示すように、IPF特異的上皮細胞、マクロファージ、および線維芽細胞は、増強されたChk1活性を示す。
【0174】
これらのデータは、Chk1活性が、健常対照肺およびCOPD肺と比較してIPF肺における複数の細胞集団において増加することを示している。
【0175】
(実施例6)
Chk1阻害剤をニンテダニブと組み合わせると相加効果をもたらす
3人のドナーからのヒト肺線維芽細胞を、96ウェルプレートに播種し、1.25ng/mL TGFbによって処置して、筋線維芽細胞表現型(アルファ平滑筋アクチン-aSMAの誘導によって特徴付けられる)への分化を誘導した。Chk1阻害剤PF-477736またはIPFにおける標準治療の化合物(ニンテダニブまたはピルフェニドン)を、TGFb処置の1時間前に8点濃度曲線で示されるように投薬した。アルファ-SMAおよびDAPI染色を、aSMA誘導のパーセント阻害および%生存細胞に関するハイコンテント解析を使用して72時間後に評価した。CRC=濃度応答曲線。このアッセイにおいて、第1に記載された化合物を8点濃度曲線で投薬し、第2に記載された化合物を既定のIC20で投薬した。
【0176】
各条件に関して、aSMA誘導のパーセント阻害(PIN)を計算し(丸、左のy軸)、および生存細胞のパーセント(三角、右のy軸)を計算した。線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を50%阻害するために必要なChk1阻害剤の濃度は、ニンテダニブと共投与した場合により低かった(図6)。線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を50%阻害するために必要なニンテダニブの濃度は、Chk1阻害剤と共投与した場合により低かった(図7)。
【0177】
Chk1阻害剤のニンテダニブまたはピルフェニドンとの組合せは、細胞死の増加をもたらさなかった(図6および図7)。
【0178】
これらのデータは、本開示のChk1阻害剤を他の処置(例えば、ニンテダニブ)と組み合わせることが、高い毒性を示すことなく、特発性肺線維症の処置において有用である相加効果をもたらし得ることを実証する。
【0179】
(実施例7)
高Chk1活性は上皮細胞における老化関連分泌タンパク質の発現と相関する
本実施例は、高レベルのChk1活性を有する特発性肺線維症患者からの上皮細胞が、高レベルの老化関連遺伝子/老化関連分泌タンパク質もまた発現することを実証し、Chk1阻害が老化関連遺伝子発現に及ぼす影響を介してIPFの処置にとって有用であり得ることを示している。
【0180】
単一細胞RNAseqを、32例のIPF、29例の健常対照、および18例のCOPD肺を含む79例のドナー肺に対して実施した。試料を解離させ、単一細胞RNAシーケンシングを実施した。I型肺胞(AT-I)上皮細胞、II型肺胞(AT-II)上皮細胞、基底上皮細胞、線毛上皮細胞、クラブ上皮細胞、杯細胞、およびIPF関連上皮細胞サブセット(図8A)を含む様々な型の上皮細胞が、遺伝子発現プロファイルに基づいてscRNASeqデータセットにおいて同定された。IPF患者および健常対照に由来すると同定された細胞を図8Bに示す。
【0181】
老化関連遺伝子の発現を評価し、結果を図8Cに要約する。老化関連遺伝子は、Rana et al (2019)., PAI-1 Regulation of TGF-β1-induced ATII Cell Senescence, SASP Secretion, and SASP-mediated Activation of Alveolar Macrophages, American journal of respiratory cell and molecular biologyにおいて同定された遺伝子であった。
【0182】
100個のChk1相関遺伝子のシグネチャーを使用して、どの細胞集団が最強のChk1活性を実証したかを推論した。100個の遺伝子を、その発現がChk1キナーゼ活性と相関する知見に基づいて選択した。100個のChk1相関遺伝子のシグネチャーを、ARCH4データベースを使用して構築し、これらのデータに適用してどの細胞集団が最強のChk1活性を実証するかを推論した。転写データに、UMAPプロットを使用して多様性に基づく次元削減および可視化を行って、遺伝子発現を階層化する亜集団を描写した。100個の遺伝子の発現を、図8Dに要約するように単一細胞レベルで定量した。
【0183】
図8A~Dは、Chk1の高いChk1活性が、例えば線毛、クラブ、基底、杯、およびIPF特異的上皮細胞サブセットを含む特発性肺線維症患者からの上皮細胞において、老化関連分泌タンパク質の発現と相関することを示す。高Chk1活性を有する細胞における老化関連遺伝子/老化関連分泌タンパク質のより高い発現を、低Chk1および高Chk1群における老化遺伝子の平均発現をChk1発現の閾値に対してプロットする図8Eおよび図8Fにおいてさらに実証する。図8Eは、高Chk1細胞と低Chk1細胞の間を識別するためにおよそ0.1~0.2の閾値が適切であることを示す。図8Fは、0.1~0.2の閾値を適用した場合に高Chk1群がより高い平均レベルの老化関連分泌タンパク質を発現すること、および一般的に高Chk1活性を有する細胞が老化関連遺伝子のより高い発現を有することを示す。
【0184】
これらのデータは、高レベルのChk1活性を有する特発性肺線維症患者からの上皮細胞がまた、高レベルの老化関連遺伝子/老化関連分泌タンパク質の発現を有することを示し、Chk1阻害が老化関連遺伝子発現に影響を及ぼし得ることを示しており、これはIPFの処置にとって有用であり得る。
【0185】
(実施例8)
Chk1阻害は、肺線維症のマウスモデルにおける組織病変およびコラーゲン沈着を減少させる
線維症を誘発するために、6~8週齢のC57BL6マウスに、3mg/kgブレオマイシン塩酸塩を、動物あたり50μLの容量で微量噴霧器による気管内(i.t.)投与を介して投薬する。ブレオマイシン投与の1週間後、マウスを化合物または媒体によって7日目から20日目まで毎日1回処置する。本開示のChk1阻害剤(例えば、AB-IsoG(イソグラヌラチミド);AZD-7762;CCT-244747;CHK1-A;GNE-900;MK-8776;PF-477736;ラブセルチブ;GDC-0425;GDC-0575;SAR020106;V-158411;XL-844;ARRY575;CASC-578;LY-2880070;CCT-245737;CCT-241533;プレキサセルチブ;VER-250840;またはBML-277)を投与する(例えば、適した媒体、例えば50nM酢酸ナトリウムバッファーおよび4%デキストロース、pH4中でi.p.)。ニンテダニブを対照として、1%メチルセルロースの媒体中で100mg/kgで経口投与する。n=群あたり10匹のマウス。
【0186】
試験終了時、肺を、マッソントリクロム染色の標準的な組織学的方法を使用して処理し、盲検の病理学者によってアシュクロフトスコアを割り当てる。Chk1阻害剤は、肺線維症のマウスモデルにおいて組織病変スコアを改善する。
【0187】
全肺イメージングを、改変ディープラーニングアルゴリズムを使用して実施して、試験の各アームに関する平均ヒストグラムおよび経験的累積密度関数(ECDF)を計算する。データは、Chk1阻害剤処置が、ニンテダニブと比較して病態の重症度のより大きい低減をもたらすことを実証する。
【0188】
組織切片もまたシリウスレッドを使用して染色し、Bredfeldt et al. 2014, "Computational segmentation of collagen fibers from second-harmonic generation images of breast cancer." Journal of biomedical optics 19.1から改変されたプロトコールにおいて、コラーゲン沈着(%)、コラーゲン線維数、コラーゲン線維密度、およびコラーゲン線維アライメントに関して評価する。Chk1阻害は、これらのパラメータの1つまたは複数による疾患負荷を用量依存的に低減させる。
【0189】
本明細書において使用した用語および記載は、特定の実施形態のみを記載する目的のためであり、本発明の範囲を限定することは意図しない。
図1A-1B】
図2A-2C】
図3A
図3B
図3C
図4A-4B】
図5A-5B】
図6
図7
図8A-8B】
図8C-8D】
図8E-8F】
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】