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特表2022-523036ワイヤレス電力伝送に使用するための直列分散型ラジオ周波数(RF)発生器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】ワイヤレス電力伝送に使用するための直列分散型ラジオ周波数(RF)発生器
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/20 20160101AFI20220414BHJP
   H03L 7/00 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
H02J50/20
H03L7/00 210
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542527
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(85)【翻訳文提出日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 US2020014888
(87)【国際公開番号】W WO2020154563
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】62/796,358
(32)【優先日】2019-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519129595
【氏名又は名称】イーサーダイン テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ETHERDYNE TECHNOLOGIES INC
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モファット, ロバート エー.
【テーマコード(参考)】
5J106
【Fターム(参考)】
5J106AA03
5J106BB06
5J106CC19
5J106DD29
5J106HH02
5J106KK35
5J106LL01
(57)【要約】
ワイヤレス電力伝送のためのワイヤレス電力伝送のための分散型ラジオ周波数(RF)発生器が、記載される。分散型RF発生器は、1つ以上の直流(DC)電源に電気的に結合されるように適合された少なくとも第1端部および第2端部を有する導電性ループを含みうり、導電性ループは、複数のセグメントを含み、複数のセグメントのそれぞれは、ある長さのワイヤおよび少なくとも1つのアクティブコンポーネントを含み、少なくとも1つのアクティブコンポーネントは、ループに電気的に結合された第1端子および第2端子を有し、ここで、DC電圧は、第1端子と第2端子との間に存在し、DC電流は、第1端子に流入し、第2端子から流出し、発振RF電圧は、第1端子と第2端子との間に出力され、少なくとも1つのアクティブコンポーネントは、位相が同期される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス電力伝送のための分散型ラジオ周波数(RF)発生器であって、
直流(DC)電源に電気的に結合されるように適合された少なくとも第1端部および第2端部を有する導電性ループを含み、前記ループは、複数のセグメントを含み、前記複数のセグメントのそれぞれは、
ある長さのワイヤおよび少なくとも1つのアクティブコンポーネントを含み、前記少なくとも1つのアクティブコンポーネントは、前記ループに電気的に結合された第1端子および第2端子を有し、
DC電圧が、前記第1端子と前記第2端子との間に存在し、
DC電流が、前記第1端子に流入し、前記第2端子から流出し、
発振RF電圧が、前記第1端子と前記第2端子との間に出力され、
前記少なくとも1つのアクティブコンポーネントは、位相が同期される
ことを特徴とする分散型RF発生器。
【請求項2】
前記分散型RF発生器は、
ある長さのワイヤおよび少なくとも1つのパッシブコンポーネントを含む少なくとも1つのパッシブサブセグメントであって、前記少なくとも1つのパッシブコンポーネントが少なくとも1つのキャパシタを含む、少なくとも1つのパッシブサブセグメントと、
少なくとも1つのアクティブサブセグメントであって、ある長さのワイヤおよび前記少なくとも1つのアクティブコンポーネントを含む前記少なくとも1つのアクティブサブセグメントと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の分散型RF発生器。
【請求項3】
前記少なくとも1つのパッシブコンポーネントは、前記少なくとも1つのキャパシタと、前記少なくとも1つのキャパシタと並列に接続された少なくとも1つのRFチョークと、を含むことを特徴とする請求項2に記載の分散型RF発生器。
【請求項4】
前記ループが予め決定された周波数で直列共振するように、前記少なくとも1つのキャパシタが予め選択されることを特徴とする請求項3に記載の分散型RF発生器。
【請求項5】
前記少なくとも1つのRFチョークは、インダクタを含み、
前記少なくとも1つのRFチョークは、前記ループの共振に著しく影響しないように、前記予め決定された周波数で高インピーダンスを有するように予め選択される
ことを特徴とする請求項4に記載の分散型RF発生器。
【請求項6】
各アクティブコンポーネントは、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)構成を有することを特徴とする請求項1に記載の分散型RF発生器。
【請求項7】
各ZVS構成は、それぞれの前記アクティブコンポーネント内で検知された状態に基づいてZVSを自動的に実行する制御回路を含み、
それぞれの前記アクティブコンポーネント内で前記検知された状態は、検知されたRF電流を含む
ことを特徴とする請求項6に記載の分散型RF発生器。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアクティブコンポーネントの位相同期は、前記アクティブコンポーネントのすべてが前記ループ内を流れる同じ前記RF電流に位相同期するように自動的に実行され、
各ZVS構成は、ZVS増幅器として動作する電気的に制御可能なスイッチとして構成された複数のトランジスタを含む
ことを特徴とする請求項7に記載の分散型RF発生器。
【請求項9】
各ZVS増幅器は、E級増幅器であることを特徴とする請求項8に記載の分散型RF発生器。
【請求項10】
前記DC電源は、複数の直流(DC)電源のうち1つであり、
前記導電性ループの前記第1端部および前記第2端部は、前記複数のDC電源に電気的に結合されるように適合されている
ことを特徴とする請求項1に記載の分散型RF発生器。
【請求項11】
ワイヤレス電力伝送のためのシステムであって、
直流(DC)電源と、
ワイヤレス電力伝送のための分散型ラジオ周波数(RF)発生器であって、
前記DC電源に電気的に結合されるように適合された少なくとも第1端部および第2端部を有する導電性ループを含む分散型RF発生器と、を含み、前記ループは、複数のセグメントを含み、前記複数のセグメントのそれぞれは、
ある長さのワイヤおよび少なくとも1つのアクティブコンポーネントを含み、前記少なくとも1つのアクティブコンポーネントは、前記ループに電気的に結合された第1端子および第2端子を有し、
DC電圧が、前記第1端子と前記第2端子との間に存在し、
DC電流が、前記第1端子に流入し、前記第2端子から流出し、
発振RF電圧が、前記第1端子と前記第2端子との間に出力され、
前記少なくとも1つのアクティブコンポーネントは、位相が同期される
ことを特徴とするシステム。
【請求項12】
前記DC電源は、複数の直流(DC)電源のうち1つであり、
前記導電性ループの前記第1端部および前記第2端部は、前記複数のDC電源に電気的に結合されるように適合されている
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
ワイヤレス電力伝送のための方法であって、
直流(DC)電源を提供することと、
前記DC電源に電気的に結合された少なくとも第1端部および第2端部を有する導電性ループを含む分散型ラジオ周波数(RF)発生器を提供することと、を含み、前記ループは、複数のセグメントを含み、前記複数のセグメントのそれぞれは、
ある長さのワイヤおよび少なくとも1つのアクティブコンポーネントを含み、前記少なくとも1つのアクティブコンポーネントは、前記ループに電気的に結合された第1端子および第2端子を有し、
DC電圧が、前記第1端子と前記第2端子との間に存在し、
DC電流が、前記第1端子に流入し、前記第2端子から流出し、
発振RF電圧が、前記第1端子と前記第2端子との間に出力され、
前記少なくとも1つのアクティブコンポーネントは、位相が同期される
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記分散型RF発生器は、
ある長さのワイヤおよび少なくとも1つのパッシブコンポーネントを含む少なくとも1つのパッシブサブセグメントであって、前記少なくとも1つのパッシブコンポーネントが少なくとも1つのキャパシタを含む、少なくとも1つのパッシブサブセグメントと、
少なくとも1つのアクティブサブセグメントであって、ある長さのワイヤおよび前記少なくとも1つのアクティブコンポーネントを含む前記少なくとも1つのアクティブサブセグメントと、
をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記DC電源は、複数の直流(DC)電源のうち1つであり、
前記導電性ループの前記第1端部および前記第2端部は、前記複数のDC電源に電気的に結合されるように適合されている
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる2019年1月24日に出願された「ワイヤレス電力伝送に使用するための直列分散型ラジオ周波数(RF)発生器」と題する米国仮出願番号62/796,358の利益および優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス電力伝送は、人工の導体を使用して電源を電気的負荷に接続することなく、電源から電気的負荷に電気的エネルギを送信する。ワイヤレス電力伝送システムは、送信機と1つ以上の受信デバイスとからなる。送信機は、電力源に接続され、電力を時間変動電磁場に変換する。1つ以上の受信デバイスは、電磁場を介して電力を受信し、受信した電力を変換し、電気的負荷によって利用される電流に戻す。
【0003】
近年の小型センサやモノのインターネット(Internet-of-Things:IoT)の急増は、部屋、工場、穀物サイロなど、予め画定された広いエリア内にある多数の小型デバイスに電力を供給するための新たなニーズを導入した。有線はデバイスのモビリティを制限し、バッテリはデバイスの機能性とライフタイムとに厳しい制限を課すため、ワイヤレス電力ソリューションが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
一般に、ワイヤレス電力伝送のための分散型ラジオ周波数(RF)発生器およびシステム、および、その方法が、ワイヤレス電力伝送のために記載される。分散型RF発生器は、1つ以上の直流(DC)電源に電気的に結合されるように適合された少なくとも第1端部および第2端部を有する導電性ループを含みうり、導電性ループは、複数のセグメントを含み、複数のセグメントのそれぞれは、ある長さのワイヤおよび少なくとも1つのアクティブコンポーネントを含み、少なくとも1つのアクティブコンポーネントは、ループに電気的に結合された第1端子および第2端子を有し、ここで、DC電圧が、第1端子と第2端子との間に存在し、DC電流が、第1端子に流入し、第2端子から流出し、発振RF電圧が、第1端子と第2端子との間に出力され、少なくとも1つのアクティブコンポーネントは、位相が同期される。
【0005】
分散型RF発生器は、ある長さのワイヤおよび少なくとも1つのパッシブコンポーネントを含む少なくとも1つのパッシブサブセグメントと、少なくとも1つのアクティブサブセグメントと、をさらに含み、ここで、少なくとも1つのパッシブコンポーネントは少なくとも1つのキャパシタを含み、少なくとも1つのアクティブサブセグメントはある長さのワイヤおよび少なくとも1つのアクティブコンポーネントを含む。少なくとも1つのパッシブコンポーネントは、少なくとも1つのキャパシタと、少なくとも1つのキャパシタと並列に接続された少なくとも1つのRFチョークと、を含みうる。ループが予め決定された周波数で直列共振するように、少なくとも1つのキャパシタが予め選択されうる。少なくとも1つのRFチョークはインダクタを含みうり、ループの共振に著しく影響しないように、予め決定された周波数で高インピーダンスを有するように予め選択されうる。
【0006】
各アクティブコンポーネントは、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)構成を含みうる。各ZVS構成は、それぞれのアクティブコンポーネント内で検知された状態に基づいてZVSを自動的に実行する制御回路を含みうり、それぞれのアクティブコンポーネント内で検知された状態は、検知されたRF電流を含む。少なくとも1つのアクティブコンポーネントの位相同期は、アクティブコンポーネントのすべてがループ内を流れる同じRF電流に位相同期するように自動的に実行されうり、各ZVS構成は、ZVS増幅器として動作する電気的に制御可能なスイッチとして構成された複数のトランジスタを含む。各ZVS増幅器は、E級増幅器でありうる。
【0007】
DC電源は、複数の直流(DC)電源のうちの1つでありうり、導電性ループの第1端部および第2端部は、複数のDC電源に電気的に結合されるように適合されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態による、ループを形成するために直列に接続された、いくつかの線形セグメントを有する直列分散型RF発生器を示す。
【0009】
図2図2は、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)を実行するE級増幅器を有する単一のアクティブコンポーネントを備える、図1に示されるRF発生器の簡略化された概略図である。
【0010】
図3図3は、図2および図4に示されるE級ZVS増幅器を有するアクティブコンポーネントについてシミュレートされた電圧波形および電流波形を示すグラフである。
【0011】
図4図4は、実施形態による、制御信号が増幅器の電気制御可能なスイッチSを駆動するE級ZVS増幅器を有するアクティブコンポーネントの簡略化されたブロック図である。
【0012】
図5図5は、分散型RF発生器のループのワイヤレス電力伝送エリア内に配されたワイヤレス電力受信機を備える、実施形態による、E級増幅器を含むアクティブコンポーネントを有する分散型RF発生器を示す。
【0013】
図6図6は、実施形態による、E級ZVS増幅器を含み、抵抗器Rsenseを用いてアクティブコンポーネントの正負端子間に流れるRF電流を検知するアクティブコンポーネントの簡略化されたブロック図である。
【0014】
図7図7は、実施形態による、電流センス入力信号(正弦波)および制御信号出力(矩形波)の例を示すグラフである。
【0015】
図8】、
図9】、
図10】、
図11図8図11は、それぞれ図4および図6に示されるアクティブコンポーネントの制御回路の異なる代表的な実施形態のブロック図を示す。
【0016】
図12図12は、アクティブコンポーネントの電圧波形および電流波形との関係、および、電圧波形と制御信号のデューティサイクルとの関係を示すグラフである。
【0017】
図13】、
図14図13および図14は、自動ゼロ電圧スイッチング(AZVS)を備えるE級増幅器のブロック図である。
【0018】
図15図15は、本開示の種々の実施形態による、RF発生器が、それが使用する同じ2つの端子からDC電力を引き込んでRF電力を出力するように再配置されたE級増幅器である。
【0019】
図16図16は、本開示の種々の実施形態による、分散型RF発生器によって駆動される共振磁気ループアンテナの簡略化された回路概略図である。
【0020】
図17図17は、本開示の種々の実施形態による、ワイヤレス電力システムの物理的な実施形態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、ワイヤレス電力伝送に使用するための直列分散型ワイヤレスラジオ周波数(RF)発生器に関する。いくつかの実施形態において、ワイヤレス電力は、関心領域全体を振動磁場で満たす共振近接場磁気ループアンテナを通して送達される。設置を簡略化するために、変動する負荷条件下で着実な動作を維持しながら、システムがループアンテナの正確な形状とサイズとの両方に比較的鈍感であることが望ましい。従って、種々の実施形態が、これらの条件を同時に満たしながら、共振近接場磁気ループアンテナを駆動する分散型RF発生器の設計のために記載される。
【0022】
本発明の特定の実施形態が、添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。種々の図における同様の要素は、一貫性のために同様の参照符号によって示される。本発明の実施形態の以下の詳細な説明において、本発明のより完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、当業者には、本発明がこれらの特定の詳細なしに実施されうることが明らかであろう。他の例において、周知の特徴が記述を不必要に複雑にすることを避けるために詳細に記述されていない。
【0023】
以下の説明では本発明の種々の実施形態において、図に関して説明される任意の構成要素は、任意の他の図に関して説明される1つ以上の同様に命名された構成要素と同等でありうる。簡潔にするために、これらの構成要素の少なくとも一部は、様々な凡例に基づいて暗黙的に識別される。また、各図については、これらの構成要素の説明は繰返されない。従って、各図の構成要素の各実施形態およびすべての実施形態は、参照によって組み込まれ、1つ以上の同様に命名された構成要素を有する他のすべての図内に任意に存在すると仮定される。追加して、本発明の種々の実施形態によると、図の構成要素の任意の説明は、任意の他の図における対応する同様に命名された構成要素に関して説明された実施形態に加えて、それに関連して、または、それに代えて実装されうる任意の実施形態として解釈されるべきである。図において、黒色の実線の共線点は、実線の共線点の前および/または後の構成要素に類似する追加の構成要素が任意に存在しうることを示している。
【0024】
本出願の全体を通して、序数(例えば、第1、第2、第3など)は、要素(すなわち、本界磁における任意の名詞)の形容詞として使用されうる。序数の使用は、用語「前」、「後」、「単一」、および、他のそのような用語の使用によるなど、明示的に開示されない限り、任意の要素の特定の順序を意味、作成するものではなく、任意の要素を単一の要素のみに限定するものではない。むしろ、序数の使用は、要素を区別することである。一例として、第1要素は第2要素とは別個であり、第1要素は1つよりも多い要素を包含し、要素の順序付けにおいて第2要素に続く(または先行する)ことができる。
【0025】
一般に、本発明の実施形態は、ワイヤレス電力伝送のための分散型RF発生器を使用する方法、および、ワイヤレス電力伝送のためのシステムを提供する。図1は、代表的な実施形態による、直列分散型RF発生器1を示す。分散型RF発生器1は、ループを形成するために直列に接続された、いくつかの線形セグメントを含む。ループの両端は、RFバイパスキャパシタによって接続されている。RFバイパスキャパシタは、RF電流および電圧がDC電源に流れるのを阻止する2つのRFチョークを介してDC電源VDCの両端に接続されている。
【0026】
1つよりも多いDC電源からループに、DC電源を供給することもまた可能であることに注意されたい。そのような場合、ループは、ループと直列に接続された2つ以上のRFバイパスキャパシタを有しうる。各RFバイパスキャパシタは、RF電流および電圧がDC電源に流れるのを阻止するRFチョークを介してDC電源の両端に接続されうる。DC電源は、そのDC電圧が加算されるようにループに接続される。
【0027】
種々の実施形態において、ループの各セグメントは、1つのアクティブサブセグメントと、いくつかのパッシブサブセグメントと、を含む。各サブセグメントは、単位長さlあたりいくらかのインダクタンスを有する、ある長さのワイヤを含む。これらの長さのワイヤのそれぞれのインダクタンスは、集合した素子のインダクタのシンボルによって図1に描かれている。各パッシブサブセグメントは、パッシブジョイントによって先行するサブセグメントに接続される。代表的な実施形態によると、各パッシブジョイントは、RFチョークと並列なキャパシタを含む。すべてのパッシブジョイント中のキャパシタは、ループ全体が予め決定された周波数で直列共振するように選択される。すべてのパッシブジョイント中のRFチョークは、ループの共振に著しく影響しないように、予め決定された周波数で高インピーダンスを有するように予め選択されうり、一方、ループにDC電流を流しうる。
【0028】
分散型RF発生器の2つの注目すべき周波数、すなわち、前述の予め決定された周波数と駆動周波数とが存在する。予め決定された周波数は、すべてのアクティブコンポーネントが短絡されたときに、その有効直列LRC共振周波数として定義されるループの自己共振周波数である。駆動周波数は、以下でより詳細に説明するように、各アクティブコンポーネントの内部の内部発振器またはナローバンドパスフィルタによって設定される。これらの2つの周波数は、互いに等しくない。しかしながら、それらは、ZVS構成が含まれる実施形態において、ZVS要件によって互いに関連付けられる。
【0029】
駆動周波数は、駆動周波数がZVSが可能である自己共振周波数の範囲を決定するように選択されうる。実際の自己共振周波数は、ループを取り囲む環境内の物体からの離調、および、負荷条件からの離調に依存する。パッシブジョイント内のキャパシタは、以下でより詳細に説明するように、ループの典型的な自己共振周波数が自動ZVS(AZVS)構成が対応可能な自己共振周波数の範囲の中間に近くなるように選択されうる。
【0030】
代表的な実施形態によると、各アクティブサブセグメントは、ある長さのワイヤおよびアクティブコンポーネントを含みうる。代表的な実施形態によると、アクティブコンポーネントは、第1端子および第2端子を有するRF発生器である。第1端子および第2端子は、それぞれ、DC電力の入力部として、および、RF電力の出力部として、同時に使用される。DC電源VDCは、RFバイパスキャパシタによって接続されたループの両端の間に一定のDCを供給する。このDC電圧は、ループ内のすべてのアクティブコンポーネントにほぼ均等に分散される。
【0031】
DC電源は、ループを循環する一定のDC電流もまた供給する。このDC電流は、アクティブコンポーネントのそれぞれの2つの端子を通り流れる。各アクティブコンポーネントのDC電圧およびDC電流の積は、そのコンポーネントに供給されるDC電力に等しい。各アクティブコンポーネントは、DC電力を吸収し、RF電力に変換する。このRF電力は、各アクティブコンポーネントの2つの端子間に生成され、同じ2つの端子間に現れるDC電圧に線形に重畳される発振RF電圧の手段によって出力される。
【0032】
すべてのアクティブコンポーネントによって生成される発振RF電圧は、直列に加算される。RF電圧は、それらが建設的に加算されるように同期される。すべてのアクティブコンポーネントによって生成された直列RF電圧の合計は、ループを循環するRF電流を駆動し、アクティブコンポーネントの位相同期は、各アクティブコンポーネントを、それらの直列接続を考慮してすべてのアクティブコンポーネントによって共有される、この共通RF電流の位相に位相ロックさせることによって達成される。
【0033】
一般に、ループを循環するRF電流は、ループに直列に配置されてもよいし、ループに誘導結合されてもよいし、放射結合されてもよい、任意の数のRF負荷に、RF電力を送達することによって有用な仕事を実行するために使用されうる。いくつかの例において、以下により詳細に説明するように、アクティブコンポーネントは、自動ゼロ電圧スイッチング(ZVS)を備えたE級増幅器でありうる。
【0034】
場合によって、分散型RF発生器の駆動周波数の倍数の高調波での信号の伝導を抑制することが望ましい場合がある。DCおよび駆動周波数の信号を通過させ、駆動周波数の1つ以上の高調波の信号を遮断するRFフィルタをループに直列に配置することが必要または望ましい場合がある。そのようなフィルタは、ローパスフィルタ、同調共振フィルタなどを含みうる。そのようなフィルタが存在する場合、ループの直列共振周波数は、分散型RF発生器の駆動周波数におけるこれらのフィルタの無効効果を含めて調整すべきである。
【0035】
ここで、分散型増幅器の必要性が、簡単に記載される。円形、長方形、または、ジグザグパターンに成形された分散型キャパシタを備える単一ループから成るワイヤレス電力システムの場合を考えている。ループは、予め決定されたRF周波数で予め決定されたRF電流振幅で駆動され、予め決定された周波数で共振する直列LRC回路として振舞うように調整される。
【0036】
ループが単一のRF増幅器によって単一の駆動ポイントで駆動した場合、ループが大きくなると問題が発生する。ループの形状に関わらず、単位長さあたりのその抵抗および単位長さあたりのそのインダクタンスは、ループのサイズが束縛されずに大きくなるにつれて大きくなるか、または、一定値に近付く。ループが単一のRF増幅器によって単一の駆動ポイントで駆動した場合、これは、駆動ポイントにおけるループの入力インピーダンスがループのサイズが大きくなり、その配線の全長が増加するにつれて、連続的に大きくなることを意味する。
【0037】
これは、ループのサイズが増加するにつれて、ループとRF増幅器との間の適切なインピーダンス整合を達成することがより困難になることを意味する。追加して、駆動ポイントにおける高いインピーダンスは、高いRF電圧および高い電界がそのポイントおよびその付近に存在することを意味する。この電場は、近接する誘電体の損失の原因になるポテンシャルを有する。高電界はまた、容量結合を介して近接する導体に高電圧を誘導する可能性に起因する、および、浮遊電界を介しての人体組織内のRF電力の吸収に起因する安全上の懸念の原因になる。
【0038】
これらの問題は、図1に描かれているように、ループを複数のポイントから駆動することによって解決されうる。図1に示されるシステムは、ループ内のすべてのRF増幅器がループからそれらの電力を取得し、それらが共通のRF電流を使用してそれらの位相をロックする、追加の利点を有する。換言すると、ループ自体の配線以外に、増幅器を駆動するために追加の配線は必要ではない。
【0039】
次に、E級ZVS増幅器の動作原理が記載される。図2は、代表的な実施形態による、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)を実行するE級増幅器を有する単一のアクティブコンポーネントを備える、図1に示されるRF発生器の簡略化された概略図である。電力は、DC電源VDCから増幅器に提供される。ループを流れる電流Iは、DC成分とRF成分との両方を有する。RFCとラベル付けされたRFチョークは、電流IのRF成分を遮断するが、無視できる抵抗でDC成分を通過させる。
【0040】
アクティブコンポーネントは、Sをオンおよびオフにスイッチングするための制御回路(不図示)と共に、キャパシタCと並列の、電気的に制御可能なスイッチSを含む。増幅器20が定常状態にある場合、スイッチSは、一定周期Tおよびデューティサイクルδでオンおよびオフにスイッチされる。Sがオンの場合、電流IはSを通過し、アクティブコンポーネントに掛かる電圧Vは0になる。Sがオフの場合、電流IはキャパシタCを流れ、充電される原因になる。電流のDC成分が十分に小さい場合、キャパシタCに掛かる電圧Vはほぼ正弦波になり、スイッチング期間Tより短い期間の後にゼロに戻る。
【0041】
効率を最大にするために、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)と呼ばれるモードで増幅器を動作させることが最適である。このモードにおいて、スイッチSのタイミングが、キャパシタCの電圧がゼロに達すると同時にオンにスイッチするように選択される。これによって、スイッチSがオンになったときに、キャパシタC1には電気エネルギが蓄積されていない。ZVS条件が満たされていない場合、スイッチSがオンになると、キャパシタCに蓄積されている電気エネルギが、スイッチSの抵抗で熱として放散される。
【0042】
ZVS条件が満たされ、スイッチSが理想に近いと仮定すると、スイッチSは無視できるほどの電力を放散する。スイッチS1は、1期間にわたる電圧Vの平均値に等しい正のDC電圧をその両端に有する。従って、アクティブコンポーネントは、このDC電圧と電流IのDC成分との積に等しいDC電力を吸収しなければならない。
【0043】
アクティブコンポーネントは、ZVS条件では無視できるほどの電力を放散するため、アクティブコンポーネントによって吸収されるDC電力のほぼすべてが、RF電力に変換される。このRF電力は、RF負荷RLOADに送達され、ループを循環するRF電流を維持する。
【0044】
図3は、図2および図4に示されるE級ZVS増幅器のアクティブコンポーネントについてシミュレートされた電圧波形および電流波形を示すグラフである。上のプロットは、図2のインダクタL0を通り流れる、または、図4に描かれたアクティブコンポーネントの正の端子に入り負の端子から出るように流れる、電流波形のRF成分(実線)および電流波形のDC成分(破線)を示す。下のプロットは、スイッチS1に掛かる電圧波形(実線)と、1サイクルにわたるその平均値(点-破線)を示す。電圧波形の平均値は、アクティブコンポーネントの2つの端子間のDC電圧に等しくなる。また、図3の下のプロットは、電気的に制御可能なスイッチS1のための制御信号波形を示す。この制御波形は、2値のロジック制御信号である。制御信号がロジックハイのとき、S1はオンである。制御信号がロジックローのとき、S1はオフである。スイッチS1は、制御信号がローからハイへ遷移する瞬間にオンになる。この遷移は、アクティブコンポーネントの電圧波形のゼロとの交差に同期しており、このE級増幅器は、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)モードで動作していることを意味することに注意されたい。
【0045】
図4は、代表的な実施形態による、AZVSを備えるE級増幅器を含むアクティブコンポーネント40の簡略化されたブロック図を示す。このアクティブ2端子コンポーネントは、電気的に制御可能なスイッチSのための制御信号を生成する追加の回路と共に、図2の簡略化された概略図に示されるS、Cの組合せを表す。
【0046】
制御回路は、そのDC電力を、アクティブコンポーネントの正端子および負端子から取得しうる。それは、これらの2つの端子間に存在する時間変動電圧Vから一定のDC電圧を生成するために、フィルタリング、整流、調整、スイッチング、および/または、DC-DC変換の何らかの組合せを使用しうる。代わりに、それは、結合されたインダクタLおよびLによって形成された変圧器において、二次インダクタLに誘起されたRF電圧から一定のDC電圧を生成するために、フィルタリング、整流、調整、スイッチング、および/または、DC-DC変換の何らかの組合せを使用しうる。
【0047】
本実施形態によると、制御回路は、期間T、デューティサイクルδ、フェーズφを備える矩形波を生成する。期間Tは、水晶振動子またはMEMs共振器などの制御回路内の内部周波数の参照によって設定される。制御回路は、デューティサイクルδを、電圧波形Vの検知から取得されるフィードバックに基づいて変化させる。スイッチSがオンになる瞬間の前に電圧波形Vがゼロに達した場合、制御回路は、デューティサイクルδを増加させ、スイッチSがサイクルのより早くにオンになるようにする。スイッチSがオンになる瞬間に電圧波形Vがゼロにまだ達していない場合、制御回路は、デューティサイクルδを減少させ、スイッチSがサイクルのより遅くにオンになるようにする。制御回路は、電圧波形Vを連続的に監視し、ZVS状態を維持するために、それに応じてデューティサイクルδを調整する。このフィードバック機構の時間スケールは、スイッチング期間Tよりもはるかに遅くなるように選択される。
【0048】
上述の機構によって、アクティブコンポーネントは、E級増幅器の広範囲のチューニングおよび負荷条件にわたって、ZVS条件を自動的に維持することができる。これは、正確なチューニングやインピーダンス整合を必要とせずに、効率的なZVS動作を維持することを可能にする。
【0049】
上述のAZVS機構は、図13に描かれているように、単一のE級増幅器からなるRF増幅器にも適用されうることに注意されたい。可変デューティサイクル矩形波発生器203のような矩形波発生器は、入力RF信号によって決定される周波数および位相を備える矩形波を発生しうる。入力信号は、正弦波、矩形波、または、何らかの他の波形であってもよい。矩形波発生器の出力は、ZVSタイミングオフセット検出器206からのフィードバック信号によって決定されるデューティサイクルを備える矩形波である。
【0050】
矩形波発生器203はまた、デューティサイクル依存の位相シフトを組み込んでもよい。S1のスイッチングは、入力DC電力端子VDCからのDC電力をRF電力に変換し、実効直列抵抗Rloadとして描かれた負荷に出力する。実際には、負荷が、インダクタL0と直列に、キャパシタC0と並列に、インダクタL0と誘導結合で、結合されていてもよく、または、L0およびC0からなるタンク回路からRF電力をRF負荷に伝送する任意の他の機構によって結合されていてもよい。ZVSタイミングオフセット検出器206からのフィードバックは、L0、C0タンク回路の負荷抵抗およびチューニングの広範囲の値に対してZVS条件が満たされることを確実にするために、スイッチS1のための駆動信号のデューティサイクルを自動的に制御し、従って、E級増幅器の出力ネットワークの正確なチューニングおよびインピーダンス整合を必要とせずに効率的な動作を可能にする。
【0051】
次に、アクティブコンポーネントの直列の組合せが記載される。本実施形態によると、図1に示されるアクティブコンポーネントとして使用することができる図4に示されるアクティブコンポーネントは、それがRF電源を出力するために使用する同じ2つの端子からその電源を取得する。図1に示すように、複数のアクティブコンポーネントがループ内で直列に接続されている場合、単一のDC電源は、追加の配線を必要とすることなく、ループ自体を通してすべてのアクティブコンポーネントに同時に給電できる。すべてのアクティブコンポーネントのRF電力は、すべてのアクティブコンポーネントが同相でスイッチングするようにタイミングが配置されている限り、追加される。
【0052】
図5は、分散型RF発生器のループのワイヤレス電力伝送エリア内に配されたワイヤレス電力受信機を備える、実施形態による、E級増幅器を含むアクティブコンポーネントを有する分散型RF発生器を示す。アクティブコンポーネントの位相同期は、アクティブコンポーネントを配置して、それらの位相を単一の共通電源にロックすることによって確立することができる。すべてのアクティブコンポーネントは直列にあるので、それらはすべて同じRF電流を共有する。各アクティブコンポーネントが、このRF電流に関して一定の位相関係を維持する場合、それらはすべて、互いに関して一定の位相関係を維持する。従って、アクティブコンポーネントの位相同期は、各アクティブコンポーネントの位相を、それを流れるRF電流の位相に対して一定のオフセットを有するようにロックすることによって確立できる。
【0053】
図4は、これが達成されうる1つの手段を示す。インダクタLおよびLを含む変圧器は、アクティブコンポーネントを流れるRF電流に線形に比例する誘導RF電圧Vindをピックアップする。この信号は制御回路に供給され、制御回路によって、制御信号として生成される矩形波の周波数と位相を設定するために使用される。これは、例えば、ナローバンドパスフィルタを用いて受動的に達成されてもよいし、また、例えば、位相ロックループまたはインジェクションロック発振器を能動的に用いて達成されてもよい。
【0054】
図6は、実施形態による、E級ZVS増幅器を含み、抵抗器Rsenseを用いてアクティブコンポーネントの正負端子間に流れるRF電流を検知するアクティブコンポーネントの簡略化されたブロック図である。図6はまた、アクティブコンポーネントの位相を互いに対してロックするための代わりの方法を示す。RF電流を検知するための図4に示される変圧器の使用の代わりに、図6に示されるアクティブコンポーネントは、アクティブコンポーネントの2つの端子間を流れるRF電流を検知するために直列抵抗器Rsenseを使用する。抵抗Rsenseに掛かる電圧は、図4のインダクタLで誘起される電圧Vindに対して90°ずつ位相シフトされる。従って、この90°の位相差に対応するために、図6において、「90°位相シフト」とラベル付けされたブロックによって示される追加の回路が必要である。この追加の90°位相シフトは、制御回路自体の動作に組み込まれていてもよい。
【0055】
すべてのアクティブコンポーネントは、互いに対して一定の位相を維持するため、この位相ロック機構は、それらの内部周波数の参照のいかなる分散値にもかかわらず、それらすべてが同じ周波数で動作することをも保証する。
【0056】
ここで、位相とデューティサイクルとの間の関係が記載される。図7は、電流センス入力信号(正弦波)および制御信号出力(矩形波)の例を示す。図7はまた、電流センス入力(正弦波)と制御出力(矩形波)との間の位相角をグラフで定義する。2つの波の間の相対的な位相角を、それぞれのフーリエ級数の基本成分の複素位相子の位相差として定義する。この位相角の定義は、矩形パルスの中心(立ち上がりと立ち下がりの中間)が正弦波のピークと同期しているときに、正弦波と矩形波の位相が合っていることを意味する。
【0057】
軽負荷時および一般的なチューニング条件下では、制御信号出力のデューティサイクルは約50%になり、制御信号とRF電流センス入力との間の位相シフトは約ゼロになる。重負荷時、または、共振ループが離調される場合、制御信号出力のデューティサイクルは、ZVSを達成するために50%から異ならせる必要がある。アクティブコンポーネントが直列チェーンで接続される場合、各アクティブコンポーネントは、ZVS状態を達成するために、そのデューティサイクルを独立して調整する。
【0058】
電流センス入力と各制御回路の制御信号出力との間の位相シフトがデューティサイクルから独立している場合、増幅器のチェーンは、ループの直列DC電圧の合計がすべてのアクティブコンポーネントによって等しく共有されない不安定性を発現させる。この不安定性を解消するために、各制御回路が、電流センス入力と制御信号出力との間に、デューティサイクルに依存した位相シフトΔφを導入する必要がある。この不安定性を排除するデューティサイクルに依存した位相シフトの1つの例は、以下の式によって与えられる:
【数1】
ここで、Δφiおよびδは、それぞれi番目のアクティブコンポーネントの位相シフトおよびデューティサイクルであり、係数kは、0よりも大きい無次元数である。
システムは、kの値が大きいほどより安定になる。k=1の場合、制御信号出力の立ち下がりのエッジは、デューティサイクルδに関わらず、電流センス入力の負のスロープのゼロの交差と同期したままであることに注意されたい。
【0059】
図2図4および図6に示される電気的に制御可能なスイッチS1は、例えば、MOSFET、BJT、または、システムの予め決定された動作周波数よりも著しく速いスイッチング速度を備える任意の電気的に制御可能なスイッチを使用して実施されうる。
【0060】
図8図11は、それぞれ図4および図6に示されるアクティブコンポーネント40および60の制御回路の異なる代表的な実施形態のブロック図を示す。図8および図9に示される制御回路80および90は、AZVS構成を有するが、図10に示される制御回路100は、そうではない。これらのアクティブ2端子コンポーネントは、電気的に制御可能なスイッチSのための制御信号を生成する追加の回路と共に、図2の簡略化された概略図に示されるS、Cの組合せを表す。
【0061】
制御回路80~100は、それらのDC電力を、アクティブコンポーネントの正端子および負端子から取得しうる。それは、これらの2つの端子間に存在する時間変動電圧Vから一定のDC電圧を生成するために、フィルタリング、整流、調整、スイッチング、および/または、DC-DC変換の何らかの組合せを使用しうる。代わりに、それは、結合されたインダクタLおよびLによって形成された変圧器において、二次インダクタLに誘起されたRF電圧から一定のDC電圧を生成するために、フィルタリング、整流、調整、スイッチング、および/または、DC-DC変換の何らかの組合せを使用しうる(図9)。図8および図10は、「RF電流検知」と、その機能によって、この検知デバイスをより一般的に示す。
【0062】
図8図10に示される実施形態のそれぞれにおいて、制御回路80~100のRF-DCコンバータおよび/またはフィルタブロック101(図8および図10)、102(図9)は、期間T、デューティサイクルδ、および、位相φを備える矩形波を生成する発振器回路に電力を提供する。図11に示される実施形態において、RF電流検知装置104、ナローバンドパスフィルタ112、および、インピーダンス整合113は、場合によっては周期Tの正弦波である駆動信号を生成し、DCバイアス発生器111によってDCオフセットが提供される。この正弦波の振幅およびDCオフセットは、電気的に制御されるスイッチS1がそのスイッチングモードで駆動されるように選択される。期間Tは、位相ロック発振器103内の水晶振動子などの制御回路内の内部周波数の参照によって設定される。制御回路80~110は、電流検知装置104から出力される電圧波形の位相に基づいて、制御信号の位相を設定する。制御回路がAZVS(図8および図9)を使用する場合、スイッチSがオンになる瞬間の前に電圧波形Vがゼロに達した場合、これはZVSタイミングオフセット検出器105によって検出され、その出力はデューティサイクルシフタおよび位相シフタブロック106(図8および図9)によって使用され、デューティサイクルδを増大させ、スイッチSがサイクルのより早くにオンになるようにする。スイッチSがオンになる瞬間に電圧波形Vがゼロにまだ達していない場合、これはZVSタイミングオフセット検出器105によって検出され、その出力はデューティサイクルシフタおよび位相シフタブロック106によって使用され、デューティサイクルδを減少させ、スイッチSがサイクルのより遅くにオンになるようにする。制御回路は、電圧波形Vを連続的に監視し、ZVS状態を維持するために、それに応じてデューティサイクルδを調整する。このフィードバック機構の時間スケールは、スイッチング期間Tよりもはるかに遅くなるように選択される。
【0063】
アクティブコンポーネントのスイッチS1は、典型的にはMOSFETである複数のトランジスタを含む増幅器でありうる。増幅器は、いくつかの実施形態において、E級増幅器を含みうる。E級増幅器にZVS構成を使用することは知られているが、E級増幅器にAZVS構成を使用することは知られていない。上述のAZVS機構によって、アクティブコンポーネントは、E級増幅器の広範囲のチューニングおよび負荷条件にわたって、ZVS条件を自動的に維持することができる。これは、正確なチューニングやインピーダンス整合を必要とせずに、効率的なZVS動作を維持することを可能にする。
【0064】
しかしながら、図10に示されるように、制御回路はAZVSを実行することなくその機能を実行することができるが、Vが完全にゼロボルトに戻る前にスイッチがオン状態に置かれるようなスイッチングのタイミングの場合、これはスイッチS1においていくらかのエネルギが消費されることになりうる。従って、AZVS機構を使用することは、性能および効率を改善する。
【0065】
図11を参照すると、アクティブコンポーネント110は、電気的に制御可能なスイッチS1を駆動するために、アクティブ発振器の代わりにパッシブフィルタ112を使用する。このフィルタ112は、システムの所望の駆動周波数における最大のRF透過率を有するナローバンドパスフィルタである。フィルタ112のための入力電圧は、ループ内のRF電流を検知し、アクティブコンポーネント110を通過するRF電流に比例する電圧を出力するRF電流検知デバイス104から来る。上述のように、そのようなコンポーネントの例は、外部電力を必要としないパッシブコンポーネントである、RF変圧器または直列抵抗器であってもよい。フィルタ112の出力は、インピーダンス整合回路113によって電気的に制御可能なスイッチS1の入力にインピーダンス整合される。インピーダンス整合は、電気的に制御可能なスイッチS1のための電圧および電力駆動要件がRF電流レベルのいくつかの予め決定された範囲に対して満足されるように選択される。
【0066】
バンドパスフィルタ112の入力と出力との間の位相シフトは、電気的に制御可能なスイッチS1の入力における駆動信号がループの予め決定されたチューニングおよび負荷のためのZVS要件を満たすための適切なタイミングを有するように選択される。RF電流検知デバイス104、バンドパスフィルタ112、および、インピーダンス整合回路113によって生成される信号に加えて、DCバイアス発生器111からの追加のDCバイアス電圧が、電圧加算機構114を介して電気的に制御可能なスイッチS1に入力される電圧に追加される。DCおよびRF電圧を追加するための電圧加算機構の例は、抵抗器、キャパシタ、インダクタおよび/または変圧器のネットワークを含む。
【0067】
DCバイアス発生器111は、2つの目的を果たす。1つは、起動時にシステムが発振を開始することを可能にする。最初に電源を供給したときに、RF電流はない。従って、バンドパスフィルタ112へのRF入力はなく、その結果、電気的に制御可能なスイッチS1へのRF駆動信号もない。DCバイアス発生器111は、電気的に制御可能なスイッチS1を完全にオンと完全にオフとの間の中間状態にバイアスする。電気的に制御可能なスイッチS1がこの状態にあるとき、それは線形増幅器として振る舞うことができる。この線形増幅器の出力のゆらぎは、ループ内の電流の比例的なゆらぎの原因になる。RF電流検知デバイス104は、これらのゆらぎをピックアップし、バンドパスフィルタ112、インピーダンス整合回路113、および、加算ネットワーク114を介して、電気的に制御可能なスイッチS1の入力に送る。したがって、アクティブコンポーネント110のシステムは、閉フィードバックループを形成する。このフィードバックループは正のフィードバックを提供し、ナローバンドパスフィルタの帯域幅内のどこかの周波数でシステムを発振させる原因になる。小さな初期ゆらぎは大きな振幅に増幅される。振幅は電気的に制御可能なスイッチが飽和し、そのスイッチングモードに駆動されるまで指数関数的に成長し、その時点で効率的なE級増幅器になる。
【0068】
DCバイアス発生器111が果たす2つ目の目的は、ループの予測されるチューニング、電力、および、負荷条件に応じて、電気的に制御可能なスイッチS1のデューティサイクルを予め決定された値に設定することを可能にすることである。このシステムは当然のことながら、アクティブコンポーネントのすべてを同相に切り替えさせることに注意されたい。各駆動信号の位相は、その内部のナローバンドパスフィルタ112の位相シフトおよびループ内を循環するRF電流の位相によって決定される。RF電流は、すべてのアクティブコンポーネントによって共有される。従って、ナローバンドパスフィルタ112がすべてほぼ同じ位相シフトを有する場合、ループの電気的に制御可能なスイッチS1のすべての駆動波形の位相は、ほぼ同じであり、すべてのアクティブコンポーネントのRF電圧波形は、構成的に追加されることになる。
【0069】
図12は、単一のアクティブコンポーネントについてシミュレートされた電圧波形および電流波形を示す。上側のプロットは、アクティブコンポーネントの2つの端子を通り流れる、RF電流(実線の曲線)とDC電流(破線の曲線)とを示す。下側のプロットは、デューティサイクルの3つの異なる値deltaに対するアクティブコンポーネントの2つの端子間の電圧を示す。この例において、係数kは0.8に設定される。
【0070】
この例において、制御信号出力のデューティサイクルが55%(破線の曲線)の場合、スイッチS1がオンになった時点で、電圧はまだゼロに達していない。スイッチをオンにすると電圧が急にゼロに低下し、キャパシタC1に蓄積されていた電気エネルギが熱として放散されていることを意味することが、プロットからわかる。
【0071】
制御信号出力のデューティサイクルが50%(実線)の場合、スイッチS1がオンになった時点で、電圧は正確にゼロになる。従って、キャパシタC1は、その瞬間にエネルギを蓄積していないため、スイッチングの瞬間に、スイッチS1では熱は放散されない。
【0072】
制御信号出力のデューティサイクルが45%(点線)の場合、スイッチS1がオンになった時点で、電圧はすでにゼロを通過しており、負になっている。スイッチをオンにすると電圧が急にゼロに上昇し、キャパシタC1に蓄積されていた電気エネルギが熱として放散されていることを意味することが、プロットからわかる。
【0073】
図8および図9に示されるブロック図に示されるZVSタイミングオフセット検出器105は、電圧波形のゼロとの交差とスイッチS1のオンに時間との間のタイミングオフセットを検出する。この検出されたオフセットから、ZVS条件を自動的に維持するために、制御信号出力のデューティサイクルと位相とを調整するフィードバック信号を生成する。
【0074】
いくつかの実施形態において、スイッチS1が、内部ボディダイオードを含むMOSFETを使用して実装されることに注意されたい。内部ボディダイオードは、アクティブコンポーネントの2つの端子間の電圧が、このダイオードの順方向電圧降下よりも負になるのを抑制する。従って、いくつかの実施形態において、図12に示される第3波形(点線)が、何らかの負の電圧でクリップされることになる。この事実は、電圧波形のゼロとの交差とスイッチS1のオンになる時間との間のタイミングオフセットを検出するZVSタイミングオフセット検出器の能力に影響を及ぼさない。
【0075】
また、ZVS条件が正確に満たされていなくても、ほぼ満たされていれば、増幅器の効率は高いことに注意されたい。キャパシタC1に蓄積されたエネルギは、その電圧に関して二次である。従って、サイクル当たりに失われるエネルギは、ZVSのための最適デューティサイクルにおいてソフト(すなわち二次)な最小値を有し、これは、最適デューティサイクルに対するデューティサイクルにおける小さなオフセットがシステムの効率を実質的に劣化させないことを意味する。
【0076】
AZVSシステムは、その効率の実質的な劣化を経験することなく最適デューティサイクルからの小さな偏差を許容できるため、電圧波形がゼロと交差する時間ではなく、電圧波形がゼロよりわずかに上または下のしきい値電圧と交差する時間を検出するZVSタイミングオフセット検出器を使用することが可能である。このような検出器は、実装するのにより実用的でありうり、しきい値電圧がピーク電圧に対して小さい限り、許容可能な性能をもたらしうる。必要に応じて、ゼロ以外の電圧しきい値によって導入される小さなタイミング誤差を補正するために、電圧波形のスロープと電圧しきい値の値とに基づいて、小時間オフセットが、ZVSタイミングオフセット検出器に追加できる。このようなオフセットは、ゼロ以外の電圧しきい値を有するZVSタイミングオフセット検出器を、正確にゼロの電圧しきい値を有する理想的な検出器の挙動に良く近似させる。
【0077】
ZVSタイミングオフセット検出器は、いくつかの方法で実装されうる。3つの可能な実装が、以下のように記載される。1つの実装において、ZVSタイミングオフセット検出器が、S1に掛かる電圧がゼロよりも大きい、あるしきい値を通過する時間を検知するようにすることができる。このしきい値の交差は、スイッチS1のオンになる時間に起因する制御信号の立ち上がりエッジから短時間遅れるため、デューティサイクルが長すぎるときはいつでも、制御信号の立ち上がりエッジの後にしきい値の交差が発生する。代わりに、デューティサイクルが短すぎる場合、S1に掛かる電圧は、すでに制御信号の立ち上がりエッジの前にしきい値を下回る。従って、ZVSを達成するためデューティサイクルを増加させるべきか減少させるべきかを決定するために、ZVSタイミングオフセット検出器は、2つのイベントの時間順序(すなわち、制御信号の立ち上がりエッジおよびS1に掛かる電圧のしきい値との交差)をバイナリ信号として使用することができる。第2の実装において、ZVSタイミングオフセット検出器が、S1に掛かる電圧がS1がオンになる時点に等しいか、または、わずかに前の時点でしきい値を上回る場合に1つの論理値を有し、S1に掛かる電圧がS1がオンになる時点に等しいか、または、わずかに前の時点でそのしきい値を下回る場合に反対の論理値を有するバイナリ信号を生成するようにすることができる。
【0078】
このバイナリ信号は、スイッチS1に掛かる電圧としきい値電圧との比較を行い、そのバイナリ値を、S1のオンになることに同期した、または、わずかに先行する信号によってクロックされるデジタルラッチに記憶することによって生成することができる。いくつかの場合において、ラッチのセットアップ時間およびホールド時間を満足させるために、わずかな遅延が必要でありうる。その場合、制御信号の立ち上がりエッジとスイッチS1のオンになるのとの間にわずかな遅延が追加されることがあり、従って、S1に掛かる電圧がゼロに低下する前に、S1に掛かる電圧としきい値電圧との間の論理比較を適切に測定することができることを確実にする。第3の実装において、線形フィードバック制御信号が所望される場合、ZVSタイミングオフセット検出器は、S1がオンになる瞬間にスイッチS1に掛かる電圧の値をサンプリングする、クロック付きサンプルホールド回路を使用することができる。サンプルホールド回路のセットアップ時間およびホールド時間を満足するために必要であれば、制御信号の立ち上がりエッジとS1のオンになるのとの間にわずかな遅延を加えてもよい。
【0079】
自動ゼロ電圧スイッチング(AZVS)のための別の実施形態が、図14に示される。比較器とラッチとは、Q1がオンになった瞬間に、Q1のドレイン電圧が基準電圧VREFを上回るか下回るかを検出できる。ラッチの出力はローパスフィルタされ、ゲート駆動波形のデューティサイクルを制御するためのフィードバック信号として使用される。フィードバックは、Q1のドレイン電圧がゲート駆動信号の立ち上がりエッジでVREFに等しくなるまで、Q1がオンになる時間をシフトする。VREFがゼロに非常に近い場合、このフィードバックループは、自動的に増幅器をZVS動作の状態に維持する。このように、基準電圧VREFは、寄生インダクタンスによって生じる任意のドレイン電圧リンギングの振幅よりも大きいままで、できるだけ0Vに近くなるように設定することができる。フィードバックネットワークは、ZVS状態が常に満たされることを保証するために、ゲート駆動のデューティサイクルを変化させる。
【0080】
本明細書に記載されるAZVS増幅器は、変化する負荷条件下で、および、ループの可変形状の変化に起因する離調の存在下で維持されるべき効率的な動作を提供する。しかしながら、サイズが変化するループのために別の問題が生じる。ループのサイズが増加すると、そのインダクタンスは増加する。従って、直列容量C0の合計は減少しなければならない。キャパシタC1が固定されたままであれば、Kは減少しなければならない。最終的には、AZVS増幅器は、所望のチューニング範囲Δfに対応することができなくなる。ループサイズの増大によってC1を減少させることは可能であるが、これは2つの理由から望ましくない。第1に、RF電流振幅が一定に保持されるためには、DC電源電圧はC1に半比例して変化する必要があり、ループのサイズが大きくなるにつれて、非常に高い電圧定格を有するコンポーネントの使用が必要になる。第2に、ループが単一のポイントから駆動される場合、駆動点におけるRF入力インピーダンスは、ループのサイズが大きくなるにつれて連続的に大きくなる。
【0081】
駆動ポイントにおける高いインピーダンスは、高いRF電圧および高い電界がそのポイントおよびその付近に存在することを意味する。この電界は、近接する誘電体に損失を引き起こすだけでなく、浮遊電界を介して人体組織のRF電力の吸収の可能性があるため、安全上の懸念も引き起こす可能性がある。これらの両方の問題は、複数の同期RF発生器で複数のポイントからループを駆動することによって解決される。各RF発生器は、DC電力の電源を必要とする。各発生器に別々の電力ケーブルを敷設することは可能であるが、これは配線の量を大幅に増加させることになる。従って、ループ自体のワイヤ以外の追加配線なしに発生器に電力を供給することが望ましい。これは、ループの分散型キャパシタと並列にRFチョークを追加することによって達成され、これにより、ループはDC電流とRF電流との両方を同時にサポートすることができる。各RF発生器は、DC電力を取り込み、同じ2つの端子を介してRF電力を出力する。
【0082】
図15は、上述を達成するために変更されたE級増幅器を示す。具体的には、図15は、RF発生器がそれがRF電力を出力するために使用する同じ2つの端子からそのDC電力を引き込むように再配置されたE級増幅器を示す。ゲート駆動回路Gは、AZVSフィードバックループへの入力信号として使用することに加えて、電力の電源としてQのドレイン-ソース間電圧を使用する。Gはまた、内部オシレータの位相を、ループを循環するRF電流の位相に固定するために使用される、電流検知変圧器に接続された追加の入力を含む。この位相ロックは、複数のRF発生器が直列に接続されている場合、複数のRF発生器の位相を固定するために必要である。
【0083】
図16は、図15におけるものと同様に、複数のRF発生器がどのように直列に接続され、ループに分散しうるかを示す。より具体的には、図16は、分散型RF発生器によって駆動される共振磁気ループアンテナの簡略化された概略図を示す。一般に、このループは、N個のアクティブRF発生器と、N個のパッシブジョイントと、をワイヤで接続して構成される。各パッシブジョイントは、RFチョークと並列のコンデンサとで構成される。RFチョークは、ループの共振に著しい影響を与えないように、駆動周波数において高いインピーダンスを有するように選択されるが、それでも、ループにDC電流が流れることを可能にする。RF発生器は、DC電力入力とRF電力出力との両方とも同じ2つの端子を使用する。
【0084】
E級増幅器の分散型のバージョンでは、定数Kの値が次式で与えられる:
【数2】
ここで、Xはパッシブジョイントのすべての直列リアクタンスの合計であり、Xはアクティブジョイントのすべてのキャパシタの直列リアクタンスの合計であり、X (sing.)は単一のパッシブジョイントのリアクタンスであり、X (sing.)は単一の能動ジョイントのキャパシタのリアクタンスである。比率N (sing.)/N (sing.)が固定されている場合、式2は、Kがループのサイズから独立していることを意味する。従って、単一のRF発生器と単一の駆動ポイントを含むループの場合とは異なり、分散型RF発生器は、コンポーネントの値に何ら変更を加えることなく、ループの大きさから独立したチューニング範囲に対応することができる。
【0085】
位相ロック。ループを適切に駆動するためには、図16に示されている分散型RF発生器のすべてが、同期しなければならない。これは、すべての増幅器を、スター構成を介して共通のローカル発振器に接続することによって達成されうるが、この解決策は、各RF発生器に対して別々のケーブルを必要とし、配線の量を大幅に増加させるため、望ましくない。従って、RF発生器をループ自体のワイヤ以外の追加配線なしに互いに位相がロックするように配することが望ましい。様々な実施形態によると、位相ロックは、各RF発生器を、それらのすべてが共通して共有するいくつかのRF信号の位相にロックすることによって達成してもよい。すべてのRF発生器は直列に接続されているため、すべてのRF発生器によって共有される共通のRF電流は、この共通信号の自然な選択としてそれ自体を示唆する。
【0086】
図15は、位相ロックがどのように達成できるかを示す。電流検知変圧器は、ループを流れるRF電流に比例する誘起電圧をピックアップする。次に、内部発振回路の位相は、この誘起電圧の位相にロックされる。位相同期発振器は、ゲート駆動波形を生成するために使用される。すべてのRF発生器が同一であると仮定すると、これは、各RF発生器のゲート駆動波形がRF電流の位相に対して同じ位相になることが保証され、これによって、すべてのRF発生器の位相が互いに同相になることが保証される。
【0087】
図17は、図15の概略図の物理的な実施形態を示す写真である。具体的には、図17は、3つの調節されたワイヤレス負荷(またはワイヤレス受信機)に結合され、電力を供給する分散型RF発生器(例えば、3つのRF発生器)を有するワイヤレス電力システムの写真を示す。各受信機は、LED負荷に調節された5Wの電力を伝送する。DC入力電力は、34W(57Vで0.6A)であった。負荷が存在する場合、DC-DC間効率は44%であった。このシステムは負荷がないとき、13WのDC電力を引き込んだ。
【0088】
本発明の原理および概念を実証する目的で、代表的な実施形態または例示的な実施形態を本明細書で説明したことに注意されたい。本明細書で提供される説明を考慮して当業者によって理解されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明される実施形態に多くの修正を行うことができる。例えば、本発明の原理および概念は主に、増幅器の特定の構成を有するアクティブコンポーネントの特定の構成を参照して説明されてきたが、本発明の原理および概念は本明細書で提供される説明を考慮して当業者によって理解されるように、本明細書で説明される目標を達成する他の構成に等しく適用可能である。例えば、図1に示される分散型RF発生器の構成を達成するために、他のクラスの増幅器および/またはZVS原理を組み込んでいない増幅器が使用されてもよい。当業者には理解されるように、本発明の原理および概念から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に対して多くの他の修正を行うことができ、そのような修正はすべて本発明の範囲内である。
【0089】
第1項。ワイヤレス電力伝送のための分散型ラジオ周波数(RF)発生器であって、直流(DC)電源に電気的に結合されるように適合された少なくとも第1端部および第2端部を有する導電性ループを含み、前記ループは、複数のセグメントを含み、前記複数のセグメントのそれぞれは、ある長さのワイヤおよび少なくとも1つのアクティブコンポーネントを含み、前記少なくとも1つのアクティブコンポーネントは、前記ループに電気的に結合された第1端子および第2端子を有し、DC電圧が、前記第1端子と前記第2端子との間に存在し、DC電流が、前記第1端子に流入し、前記第2端子から流出し、発振RF電圧が、前記第1端子と前記第2端子との間に出力され、前記少なくとも1つのアクティブコンポーネントは、位相が同期される、分散型RF発生器。
【0090】
第2項。前記分散型RF発生器は、ある長さのワイヤおよび少なくとも1つのパッシブコンポーネントを含む少なくとも1つのパッシブサブセグメントであって、前記少なくとも1つのパッシブコンポーネントが少なくとも1つのキャパシタを含む、少なくとも1つのパッシブサブセグメントと、少なくとも1つのアクティブサブセグメントであって、ある長さのワイヤおよび前記少なくとも1つのアクティブコンポーネントを含む前記少なくとも1つのアクティブサブセグメントと、をさらに含む、第1項の分散型RF発生器。
【0091】
第3項。前記少なくとも1つのパッシブコンポーネントは、前記少なくとも1つのキャパシタと、前記少なくとも1つのキャパシタと並列に接続された少なくとも1つのRFチョークと、を含む、第1~2項の分散型RF発生器。
【0092】
第4項。前記ループが予め決定された周波数で直列共振するように、前記少なくとも1つのキャパシタが予め選択される、第1~3項の分散型RF発生器。
【0093】
第5項。前記少なくとも1つのRFチョークは、インダクタを含み、前記少なくとも1つのRFチョークは、前記ループの共振に著しく影響しないように、前記予め決定された周波数で高インピーダンスを有するように予め選択される、第1~4項の分散型RF発生器。
【0094】
第6項。各アクティブコンポーネントは、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)構成を有する、第1~5項の分散型RF発生器。
【0095】
第7項。各ZVS構成は、それぞれの前記アクティブコンポーネント内で検知された状態に基づいてZVSを自動的に実行する制御回路を含み、それぞれの前記アクティブコンポーネント内で前記検知された状態は、検知されたRF電流を含む、第1~6項のRF発生器。
【0096】
第8項。前記少なくとも1つのアクティブコンポーネントの位相同期は、前記アクティブコンポーネントのすべてが前記ループ内を流れる同じ前記RF電流に位相同期するように自動的に実行され、各ZVS構成は、ZVS増幅器として動作する電気的に制御可能なスイッチとして構成された複数のトランジスタを含む、第1~7項の分散型RF発生器。
【0097】
第9項。各ZVS増幅器は、E級増幅器である、第1~8項の分散型RF発生器。
【0098】
第10項。前記DC電源は、複数の直流(DC)電源のうち1つであり、前記導電性ループの前記第1端部および前記第2端部は、前記複数のDC電源に電気的に結合されるように適合されている、第1~9項の分散型RF発生器。
【0099】
第11項。ワイヤレス電力伝送のためのシステムであって、直流(DC)電源と、
ワイヤレス電力伝送のための分散型ラジオ周波数(RF)発生器であって、前記DC電源に電気的に結合されるように適合された少なくとも第1端部および第2端部を有する導電性ループを含む分散型RF発生器と、を含み、前記ループは、複数のセグメントを含み、前記複数のセグメントのそれぞれは、ある長さのワイヤおよび少なくとも1つのアクティブコンポーネントを含み、前記少なくとも1つのアクティブコンポーネントは、前記ループに電気的に結合された第1端子および第2端子を有し、DC電圧が、前記第1端子と前記第2端子との間に存在し、DC電流が、前記第1端子に流入し、前記第2端子から流出し、発振RF電圧が、前記第1端子と前記第2端子との間に出力され、前記少なくとも1つのアクティブコンポーネントは、位相が同期される、システム。
【0100】
第12項。前記DC電源は、複数の直流(DC)電源のうち1つであり、前記導電性ループの前記第1端部および前記第2端部は、前記複数のDC電源に電気的に結合されるように適合されている、第11項のシステム。システムは、さらに第1~10項の分散型RF発生器のコンポーネントを含みうる。
【0101】
第13項。ワイヤレス電力伝送のための方法であって、直流(DC)電源を提供することと、前記DC電源に電気的に結合された少なくとも第1端部および第2端部を有する導電性ループを含む分散型ラジオ周波数(RF)発生器を提供することと、を含み、前記ループは、複数のセグメントを含み、前記複数のセグメントのそれぞれは、ある長さのワイヤおよび少なくとも1つのアクティブコンポーネントを含み、前記少なくとも1つのアクティブコンポーネントは、前記ループに電気的に結合された第1端子および第2端子を有し、DC電圧が、前記第1端子と前記第2端子との間に存在し、DC電流が、前記第1端子に流入し、前記第2端子から流出し、発振RF電圧が、前記第1端子と前記第2端子との間に出力され、前記少なくとも1つのアクティブコンポーネントは、位相が同期される、方法。
【0102】
第14項。前記分散型RF発生器は、ある長さのワイヤおよび少なくとも1つのパッシブコンポーネントを含む少なくとも1つのパッシブサブセグメントであって、前記少なくとも1つのパッシブコンポーネントが少なくとも1つのキャパシタを含む、少なくとも1つのパッシブサブセグメントと、少なくとも1つのアクティブサブセグメントであって、ある長さのワイヤおよび前記少なくとも1つのアクティブコンポーネントを含む前記少なくとも1つのアクティブサブセグメントと、をさらに含む、第13項の方法。
【0103】
第15項。前記DC電源は、複数の直流(DC)電源のうち1つであり、前記導電性ループの前記第1端部および前記第2端部は、前記複数のDC電源に電気的に結合されるように適合されている、第13~14項の方法。方法は、さらに、第1~10項の分散型RF発生器のコンポーネント、または、第11~12項のシステムの提供を含みうる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】