(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】ウイルスベクターを製造するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
C12N 15/86 20060101AFI20220414BHJP
B01D 61/14 20060101ALI20220414BHJP
B01D 35/02 20060101ALI20220414BHJP
B01D 15/08 20060101ALI20220414BHJP
B01D 61/20 20060101ALI20220414BHJP
B01D 61/58 20060101ALI20220414BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20220414BHJP
C12N 15/861 20060101ALI20220414BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20220414BHJP
C12N 15/869 20060101ALI20220414BHJP
C12N 15/863 20060101ALI20220414BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20220414BHJP
G01N 15/02 20060101ALI20220414BHJP
G01N 15/06 20060101ALI20220414BHJP
C12N 7/01 20060101ALN20220414BHJP
【FI】
C12N15/86 Z
B01D61/14 500
B01D35/02 Z
B01D15/08
B01D61/20
B01D61/58
C12N15/867 Z
C12N15/861 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/869 Z
C12N15/863 Z
C12M1/00 A
G01N15/02 A
G01N15/06 E
G01N15/06 C
C12N7/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543160
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(85)【翻訳文提出日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 US2020014668
(87)【国際公開番号】W WO2020154445
(87)【国際公開日】2020-07-30
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513167522
【氏名又は名称】ブルーバード バイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ディッカー, スティーブン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】デューエル, ジュリア ルース
(72)【発明者】
【氏名】バイジャ, ヴィマル エイチ.
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
4D006
4D017
4D116
【Fターム(参考)】
4B029AA23
4B029BB13
4B029CC01
4B029GB02
4B065AA95X
4B065AB01
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4D116UU19
4D116VV30
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、製造プロセスに関してインラインの静的光散乱装置を使用してウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を製造するための方法及びシステムである。いくつかの実施形態では、MALS装置を使用して、製造プロセスにおける1つ以上のユニットの操作(例えば、2、3、4、5、または6つのユニットの操作)を制御する及び/または自動化する。いくつかの実施形態では、MALS装置は、製造プロセスにおける各ユニットの操作を制御するために使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造プロセスにおいてユニットの操作を制御する前記製造プロセスに関してインラインのマルチアングル光散乱(MALS)装置を使用することを含む、ウイルスベクターを製造するための方法。
【請求項2】
前記MALS装置が、前記製造プロセスにおける複数のユニットの操作を制御するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記MALS装置が、前記製造プロセスにおける2、3、4、5、または6つのユニットの操作を制御するために使用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
MALS装置が、前記製造プロセスにおける各ユニットの操作を制御するために使用される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記ユニットが分離ユニットである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記分離ユニットが、クロマトグラフィーユニット、タンジェンシャルフロー濾過ユニット、ノーマルフロー濾過ユニット、及び/または限外濾過ユニットである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ユニットが濾過ユニット、清澄化ユニット、精製ユニット、及び/または濃縮ユニットである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ユニットが配合ユニットまたは充填ユニットである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルス、及びワクシニアウイルスベクターからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
製造プロセスに関してインラインのマルチアングル光散乱(MALS)装置を使用して、前記製造プロセス中に生成された前記ウイルス粒子を検出することを含む、ウイルス粒子を検出するための方法。
【請求項12】
前記MALS装置が、前記ウイルス粒子を検出するため、前記製造プロセス中に、クロマトグラフィー及び/または濾過に関してインラインに使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記MALS装置がクロマトグラフィーに関してインラインに使用される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記MALS装置がタンジェンシャルフロー濾過、ノーマルフロー濾過、及び/または限外濾過に関してインラインに使用される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
第1のMALS装置がクロマトグラフィーに関してインラインに使用され、第2のMALS装置が濾過に関してインラインに使用される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記ウイルス粒子を精製することをさらに含む、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記MALS装置が、粒子サイズに基づいて不純物からの前記ウイルス粒子の前記分離を自動化する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記粒子サイズは、前記粒子の半径または直径として測定される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルス、及びワクシニアウイルスベクターからなる群から選択される、請求項11~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、請求項11~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
宿主細胞から採取されたウイルス粒子を清澄化し、前記ウイルス粒子を不純物から分離し、前記ウイルス粒子を濾過し、前記ウイルス粒子を濃縮することを含むウイルスベクター製造プロセスであって、前記製造プロセスは、1つ以上のMALS装置に関してインラインに実行される、前記プロセス。
【請求項22】
前記ウイルス粒子が、MALS装置に関してインラインのクロマトグラフィー及び/または濾過を使用して分離される、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記ウイルス粒子が、粒子サイズに基づいて不純物から分離される、請求項21または22に記載のプロセス。
【請求項24】
粒子サイズが前記MALS装置を使用して測定される、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記ウイルス粒子が、MALS装置に関してインラインのタンジェンシャルフロー濾過を使用して濾過及び濃縮される、請求項21~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記MALS装置が、溶液中の前記ウイルス粒子のリアルタイムの濃度を判定する、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記1つ以上のMALS装置が、分離プロセス、濾過プロセス、濃縮プロセス、清澄化プロセス、精製プロセス、及び/または配合プロセスに関してインラインに使用される、請求項21に記載のプロセス。
【請求項28】
前記ウイルス粒子が、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルス、及びワクシニアウイルス粒子からなる群から選択される、請求項21~27のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項29】
前記ウイルス粒子がレンチウイルス粒子である、請求項21~28のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項30】
ウイルスベクターの製造プロセスを開始し、前記製造プロセスに関してインラインのマルチアングル光散乱(MALS)装置を使用してウイルス粒子の存在を検出し、前記ウイルス粒子を精製することを含む、ウイルスベクターを製造するための方法。
【請求項31】
前記MALS装置が、前記ウイルス粒子を検出するため、前記製造プロセス中に、クロマトグラフィー及び/または濾過に関してインラインに使用される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記MALS装置がクロマトグラフィーに関してインラインに使用される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記MALS装置がタンジェンシャルフロー濾過、ノーマルフロー濾過、及び/または限外濾過に関してインラインに使用される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
第1のMALS装置がクロマトグラフィーに関してインラインに使用され、第2のMALS装置が濾過に関してインラインに使用される、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記MALS装置が、濾過に関してインラインに使用されて、粒子サイズに基づいて不純物からの前記ウイルス粒子の精製を制御する、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記粒子サイズは、前記粒子の半径または直径として測定される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記粒子サイズが前記MALS装置によって測定される、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
前記濾過ユニットがノーマルフロー濾過ユニットである、請求項35~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
第2の濾過ユニットが前記MALS装置に関してインラインに使用され、前記第2の濾過ユニットが限外濾過ユニットである、請求項35~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
第1のMALS装置がウイルス粒子の存在を検出するために使用され、第2のMALS装置が前記ウイルス粒子の精製を制御するために使用される、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
前記ウイルス粒子を濃縮することをさらに含む、請求項30~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記ウイルス粒子が、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルス、及びワクシニアウイルス粒子からなる群から選択される、請求項30~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記ウイルス粒子がレンチウイルス粒子である、請求項30~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
MALS装置に関してインラインのクロマトグラフィー及び/または濾過を使用してウイルス粒子及び不純物を含む溶液を分離することを含む、ウイルスベクター製造プロセスにおいて不純物を除去するための方法であって、前記MALS装置が粒子サイズに基づいて前記不純物からの前記ウイルス粒子の分離を制御する、前記方法。
【請求項45】
前記MALS装置がクロマトグラフィーユニットに関してインラインに使用される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記MALS装置が、タンジェンシャルフロー濾過ユニット、ノーマルフロー濾過ユニット、及び/または限外濾過ユニットに関してインラインに使用される、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
第1のMALS装置がクロマトグラフィーユニットに関してインラインに使用され、第2のMALS装置が濾過ユニットに関してインラインに使用される、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記ウイルス粒子を精製することをさらに含む、請求項44~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記MALS装置が、濾過ユニットに関してインラインに使用されて、粒子サイズに基づいて不純物からの前記ウイルス粒子の精製を制御する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記濾過ユニットがノーマルフロー濾過ユニットである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
第2の濾過ユニットが前記MALS装置に関してインラインに使用され、前記第2の濾過ユニットが限外濾過ユニットである、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
前記不純物からの前記ウイルス粒子の分離を制御するために第1のMALS装置が使用され、前記ウイルス粒子の精製を制御するために第2のMALS装置が使用される、請求項48~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記ウイルス粒子を濃縮することをさらに含む、請求項44~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記粒子サイズは、前記粒子の半径または直径として測定される、請求項44~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記ウイルス粒子が、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルス、及びワクシニアウイルス粒子からなる群から選択される、請求項44~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記ウイルス粒子がレンチウイルス粒子である、請求項44~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
MALS装置に関してインラインのクロマトグラフィー及び/または濾過を使用して溶液の中で感染性ウイルス粒子を不純物から分離することを含む、ウイルスベクターの製造プロセスにおける感染性ウイルス粒子の回収を増加させるための方法であって、前記MALS装置が粒子サイズに基づいて前記不純物からの前記感染性ウイルス粒子の分離を制御する、前記方法。
【請求項58】
前記MALS装置がクロマトグラフィーに関してインラインに使用される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記MALS装置がタンジェンシャルフロー濾過、ノーマルフロー濾過、及び/または限外濾過に関してインラインに使用される、請求項57または58に記載の方法。
【請求項60】
第1のMALS装置がクロマトグラフィーに関してインラインに使用され、第2のMALS装置が濾過に関してインラインに使用される、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記感染性ウイルス粒子を濃縮することをさらに含む、請求項57~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記感染性ウイルス粒子を精製することをさらに含む、請求項57~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記MALS装置が、濾過に関してインラインに使用されて、粒子サイズに基づいて前記不純物からの前記感染性ウイルス粒子の精製を制御する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記濾過がノーマルフロー濾過である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
第2の濾過が前記MALS装置に関してインラインに使用され、前記第2の濾過が限外濾過である、請求項63または64に記載の方法。
【請求項66】
前記不純物からの前記感染性ウイルス粒子の分離を制御するために第1のMALS装置が使用され、前記感染性ウイルス粒子の精製を制御するために第2のMALS装置が使用される、請求項66~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記粒子サイズは、前記粒子の半径または直径として測定される、請求項57~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記ウイルス粒子が、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルス、及びワクシニアウイルス粒子からなる群から選択される、請求項57~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記ウイルス粒子がレンチウイルス粒子である、請求項57~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
MALS装置に関してインラインのタンジェンシャルフロー濾過を使用してウイルス粒子を含む溶液を濾過することを含む、ウイルスベクター製造プロセスにおいてウイルス粒子を濃縮するための方法であって、前記MALS装置は、溶液中の前記ウイルス粒子のリアルタイムの濃度を判定し、前記リアルタイムの濃度が前記溶液中の前記ウイルス粒子の目標濃度に実質的に等しくなるまで、前記溶液の前記濾過を自動化する、前記方法。
【請求項71】
前記ウイルス粒子を清澄化することをさらに含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記ウイルス粒子を精製することをさらに含む、請求項70または71に記載の方法。
【請求項73】
前記MALS装置が、濾過ユニットに関してインラインに使用されて、粒子サイズに基づいて不純物からの前記ウイルス粒子の精製を制御する、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記粒子サイズは、前記粒子の半径または直径として測定される、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記濾過ユニットがノーマルフロー濾過ユニットである、請求項73または74に記載の方法。
【請求項76】
第2の濾過ユニットが前記MALS装置に関してインラインに使用され、前記第2の濾過ユニットが限外濾過ユニットである、請求項73~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記ウイルス粒子の濃縮を制御するために第1のMALS装置が使用され、前記ウイルス粒子の精製を制御するために第2のMALS装置が使用される、請求項72~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記ウイルス粒子が、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルス、及びワクシニアウイルス粒子からなる群から選択される、請求項72~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記ウイルス粒子がレンチウイルス粒子である、請求項72~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
ウイルス粒子を含む溶液の濁度を検出し、それによって前記ユニットの操作を制御するために、前記製造プロセスに関してインラインのMALS装置を使用することを含む、ウイルス製造プロセスにおけるユニットの操作を制御するための方法。
【請求項81】
前記製造プロセスに関してインラインのマルチアングル光散乱(MALS)装置を含む、ウイルスベクターを製造するためのシステム。
【請求項82】
前記MALS装置が1つ以上のユニットに接続されている、請求項81に記載のシステム。
【請求項83】
前記MALS装置が分離ユニットに接続されている、請求項81または82に記載のシステム。
【請求項84】
前記MALS装置がクロマトグラフィーユニットに接続されている、請求項81~83のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項85】
前記MALS装置が濾過ユニットに接続されている、請求項81~84のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項86】
前記MALS装置が、タンジェンシャルフロー濾過ユニット、ノーマルフロー濾過ユニット、及び/または限外濾過ユニットに接続される、請求項81~85のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項87】
前記MALS装置が濃縮ユニットに接続されている、請求項81~86のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項88】
前記MALS装置が清澄化ユニットに接続されている、請求項81~87のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項89】
前記MALS装置が精製ユニットに接続されている、請求項81~88のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項90】
前記システムが2つ以上のMALS装置を含む、請求項81に記載のシステム。
【請求項91】
前記システムが、2、3、4、5、または6つのMALS装置を含む、請求項90に記載のシステム。
【請求項92】
第1のMALS装置が分離ユニットに接続されている、請求項90または91に記載のシステム。
【請求項93】
第1のMALS装置がクロマトグラフィーユニットに接続されている、請求項90~92のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項94】
第2のMALS装置が濾過ユニットに接続されている、請求項90~93のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項95】
第2のMALS装置が、タンジェンシャルフロー濾過ユニット、ノーマルフロー濾過ユニット、及び/または限外濾過ユニットに接続される、請求項90~94のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項96】
第3のMALS装置が濃縮ユニットに接続されている、請求項90~95のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項97】
第4のMALS装置が清澄化ユニットに接続されている、請求項90~96のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項98】
第5のMALS装置が精製ユニットに接続されている、請求項90~97のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項99】
前記ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルス、及びワクシニアウイルスベクターからなる群から選択される、請求項81~98のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項100】
前記ウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、請求項81~99のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2019年1月22日に出願された米国仮特許出願第62/795,513号の利益を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ウイルスベクターを用いた遺伝子治療は、大きな関心を呼んでいる分野である。しかし、大量のウイルスベクターを効率的に製造する能力が、継続的な問題となっている。現在、製造プロセス中にウイルスベクターを検出または定量化するためのインラインプロセス分析技術(PAT)の解決策がない。製造プロセス中に感染性粒子からの非感染性粒子の分離を制御するためのインラインプロセスもない。ウイルスベクターの定量化と同定には通常、長々しいアッセイが必要であり、製造プロセス中にリアルタイムの意思決定を行うことはできない。さらに、現在、エクソソームなどのプロセス固有の不純物からのインタクトなウイルスベクター粒子の分離を制御するインラインでの解決策はない。感染性ウイルス粒子を検出し、これらの粒子を不純物からリアルタイムで分離できるようにするプロセスが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に開示されるのは、ウイルスベクターを製造するための方法である。この方法は、製造プロセスにおけるユニットの操作を制御及び/または自動化する製造プロセスに関してインラインの静的光散乱装置(例えば、マルチアングル光散乱(MALS))装置を使用することを含む。
【0004】
いくつかの実施形態では、MALS装置を使用して、製造プロセスにおける1つ以上のユニットの操作(例えば、2、3、4、5、または6つのユニットの操作)を制御する及び/または自動化する。いくつかの実施形態では、MALS装置は、製造プロセスにおける各ユニットの操作を制御するために使用される。
【0005】
いくつかの実施形態では、ユニットは、分離ユニット(例えば、クロマトグラフィーユニット、タンジェンシャルフロー濾過ユニット、ノーマルフロー濾過ユニット、及び/または限外濾過ユニット)である。いくつかの実施形態では、ユニットは、濾過ユニット、清澄化ユニット、精製ユニット、濃縮ユニット、配合ユニット、及び/または充填ユニットである。
【0006】
ウイルス粒子を検出するための方法も本明細書に開示される。この方法は、製造プロセスに関してインラインの静的光散乱装置(例えば、MALS装置)を使用して、製造プロセス中に生成されたウイルス粒子を検出することを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、MALS装置が、ウイルス粒子を検出するため、製造プロセス中に、クロマトグラフィー及び/または濾過(例えば、タンジェンシャルフロー濾過、ノーマルフロー濾過、及び/または限外濾過)に関してインラインに使用される。いくつかの実施形態において、第1のMALS装置は、クロマトグラフィーに関してインラインに使用され、第2のMALS装置は、濾過に関してインラインに使用される。
【0008】
いくつかの実施形態において、ウイルス粒子を検出するための方法は、ウイルス粒子を精製することをさらに含む。いくつかの実施形態では、MALS装置は、粒子サイズに基づいて不純物からのウイルス粒子の分離を自動化する。粒子サイズは、粒子の半径または直径として測定することができる。
【0009】
本明細書に開示されるのは、ウイルスベクター製造プロセスである。方法は、宿主細胞から採取されたウイルス粒子を清澄化し、ウイルス粒子を不純物から分離し、ウイルス粒子を濾過し、ウイルス粒子を濃縮することを含み、製造プロセスは、1つ以上の静的光散乱装置(例えば、MALS装置)に関してインラインに実行される。
【0010】
いくつかの実施形態では、ウイルス粒子は、MALS装置に関してインラインのクロマトグラフィー及び/または濾過を使用して分離される。いくつかの実施形態において、ウイルス粒子は、粒子サイズに基づいて不純物から分離される。粒子サイズは、MALS装置を使用して測定できる。いくつかの実施形態において、ウイルス粒子は、MALS装置に関してインラインのタンジェンシャルフロー濾過を使用して濾過及び濃縮される。特定の実施形態では、MALS装置は、溶液中のウイルス粒子(例えば、ウイルス粒子/mL)のリアルタイムの濃度を判定する。いくつかの実施形態では、1つ以上のMALS装置は、分離プロセス、濾過プロセス、濃縮プロセス、清澄化プロセス、精製プロセス、及び/または配合プロセスに関してインラインに使用される。
【0011】
本明細書にさらに開示されるのは、ウイルスベクターを製造するための方法である。この方法は、ウイルスベクター製造プロセスを開始し、製造プロセスに関してインラインの静的光散乱装置(例えば、MALS装置)を使用してウイルス粒子の存在を検出し、ウイルス粒子を精製することを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、MALS装置が、ウイルス粒子を検出するため、製造プロセス中に、クロマトグラフィー及び/または濾過(例えば、タンジェンシャルフロー濾過、ノーマルフロー濾過、及び/または限外濾過)に関してインラインに使用される。いくつかの実施形態において、第1のMALS装置は、クロマトグラフィーに関してインラインに使用され、第2のMALS装置は、濾過に関してインラインに使用される。
【0013】
いくつかの実施形態では、MALS装置は、濾過に関してインラインに使用されて、1つ以上のユニットの操作を制御して、粒子サイズに基づいて不純物からウイルス粒子を精製する。粒子サイズは、MALS装置によって、粒子の半径または直径として測定することができる。いくつかの実施形態では、濾過ユニットは、ノーマルフロー濾過ユニットである。いくつかの実施形態では、第2の濾過ユニットは、MALS装置に関してインラインに使用され、第2の濾過ユニットは、限外濾過ユニットである。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1のMALS装置を使用してウイルス粒子の存在を検出し、第2のMALS装置を使用して、1つ以上のユニットの操作を制御してウイルス粒子を精製する。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターを製造するための方法は、ウイルス粒子を濃縮することをさらに含む。
【0015】
ウイルスベクター製造プロセスにおいて不純物を除去するための方法も、本明細書に開示される。方法は、静的光散乱装置(例えば、MALS装置)に関してインラインのクロマトグラフィー及び/または濾過を使用してウイルス粒子及び不純物を含む溶液を分離することを含み、静的光散乱装置が、粒子サイズに基づいて不純物から、ウイルス粒子を分離する。特定の実施形態では、MALS装置は、サイズに基づいてウイルス粒子と不純物との差を検出し、それによって分離装置を制御する(例えば、MALSからクロマトグラフィースキッドへの信号が、ウイルス粒子の収集を制御し、不純物を廃棄物に送る)。
【0016】
いくつかの実施形態では、MALS装置は、クロマトグラフィーユニットに関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、MALS装置が、タンジェンシャルフロー濾過ユニット、ノーマルフロー濾過ユニット、及び/または限外濾過ユニットに関してインラインに使用される。いくつかの実施形態において、第1のMALS装置は、クロマトグラフィーユニットに関してインラインに使用され、第2のMALS装置が濾過ユニットに関してインラインに使用される。
【0017】
いくつかの実施形態において、ウイルスベクター製造プロセスにおいて不純物を除去するための方法は、ウイルス粒子を精製することをさらに含む。いくつかの実施形態では、MALS装置は、濾過ユニット(例えば、ノーマルフロー濾過ユニット)に関してインラインに使用され、粒子サイズに基づいて不純物からのウイルス粒子の精製を制御する。いくつかの実施形態では、第2の濾過ユニット(例えば、限外濾過ユニット)が、MALS装置に関してインラインに使用される。いくつかの実施形態において、第1のMALS装置は、不純物からのウイルス粒子の分離を可能にするために使用され、第2のMALS装置は、ウイルス粒子の精製を制御するために使用される。いくつかの実施形態において、ウイルスベクター製造プロセスにおいて不純物を除去するための方法は、ウイルス粒子を濃縮することをさらに含む。いくつかの実施形態では、粒子サイズは、粒子の半径または直径として測定される。
【0018】
本明細書に開示されるのは、ウイルスベクター製造プロセスにおいて感染性ウイルス粒子の回収を増加させるための方法である。方法は、静的光散乱装置(例えば、MALS装置)に関してインラインのクロマトグラフィー及び/または濾過を使用して溶液の中で感染性ウイルス粒子を不純物から分離することを含み、静的光散乱装置が粒子サイズに基づいて不純物から感染性ウイルス粒子を分離する。
【0019】
いくつかの実施形態では、MALS装置は、クロマトグラフィーに関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、MALS装置が、タンジェンシャルフロー濾過、ノーマルフロー濾過、及び/または限外濾過に関してインラインに使用される。いくつかの実施形態において、第1のMALS装置は、クロマトグラフィーに関してインラインに使用され、第2のMALS装置は、濾過に関してインラインに使用される。
【0020】
いくつかの実施形態において、ウイルスベクター製造プロセスにおいて感染性ウイルス粒子の回収を増加させるための方法は、感染性ウイルス粒子を濃縮することをさらに含む。いくつかの実施形態において、ウイルスベクター製造プロセスにおいて感染性ウイルス粒子の回収を増加させるための方法は、感染性ウイルス粒子を精製することをさらに含む。いくつかの実施形態では、MALS装置は、濾過(例えば、ノーマルフロー濾過)に関してインラインに使用され、粒子サイズに基づいて不純物からの感染性ウイルス粒子の精製を制御する。いくつかの実施形態では、第2の濾過(例えば、限外濾過)が、MALS装置に関してインラインに使用される。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1のMALS装置は、感染性ウイルス粒子を不純物から分離するために使用され、第2のMALS装置は、感染性ウイルス粒子を精製するための製造プロセスの側面に関連するユニットの操作を検出及び制御する。いくつかの実施形態では、粒子サイズは、粒子の半径または直径として測定される。
【0022】
ウイルスベクターの製造プロセスにおいてウイルス粒子を濃縮するための方法も本明細書に開示される。この方法は、静的光散乱装置(例えば、MALS装置)に関してインラインのタンジェンシャルフロー濾過を使用してウイルス粒子を含む溶液を濾過することを含み、静的光散乱装置は、溶液中のウイルス粒子のリアルタイムの濃度を判定し、リアルタイムの濃度が溶液中のウイルス粒子の目標濃度に実質的に等しくなるまで、溶液の濾過を自動化する。
【0023】
いくつかの実施形態において、ウイルスベクター製造プロセスにおいてウイルス粒子を濃縮するための方法は、ウイルス粒子を清澄化すること及び/またはウイルス粒子を精製することをさらに含む。いくつかの実施形態では、MALS装置は、濾過ユニット(例えば、ノーマルフロー濾過ユニット)に関してインラインに使用されて、粒子サイズに基づいて不純物からのウイルス粒子の精製を制御する。いくつかの態様において、粒子サイズが、粒子の半径または直径として測定されている。いくつかの実施形態では、第2の濾過ユニット(例えば、限外濾過ユニット)が、MALS装置に関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、第1のMALS装置は、ウイルス粒子の濃度を制御するために使用され、第2のMALS装置は、ウイルス粒子を精製するための製造プロセスの制御の態様に関連するユニットの操作を検出及び制御する。
【0024】
本明細書に開示されるのは、ウイルス製造プロセスにおけるユニットの操作を制御するための方法である。方法は、製造プロセスに関してインラインの静的光散乱装置(例えば、MALS装置)を使用して、ウイルス粒子を含む溶液の濁度を検出し、それによってユニットの操作を制御することを含む。
【0025】
本明細書にさらに開示されるのは、ウイルスベクターを製造するためのシステムである。システムは、製造プロセスに関してインラインの静的光散乱装置(例えば、MALS装置)を含む。
【0026】
本明細書に開示される様々な実施形態において、ウイルスベクターまたはウイルス粒子は、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルス、及びワクシニアウイルスベクターからなる群から選択される。特定の実施形態において、ウイルスベクターまたはウイルス粒子は、レンチウイルスベクターまたは粒子である。
【0027】
いくつかの実施形態では、MALS装置は、1つ以上のユニットに接続されている。いくつかの実施形態では、MALS装置は、分離ユニットに接続されている。いくつかの実施形態では、MALS装置は、クロマトグラフィーユニットに接続されている。いくつかの実施形態では、MALS装置は、濾過ユニット(例えば、タンジェンシャルフロー濾過ユニット、ノーマルフロー濾過ユニット、及び/または限外濾過ユニット)に接続されている。いくつかの実施形態では、MALS装置は、濃縮ユニットに接続されている。いくつかの実施形態では、MALS装置は、清澄化ユニットに接続されている。いくつかの実施形態では、MALS装置は、精製ユニットに接続されている。
【0028】
いくつかの実施形態では、システムは、1つ以上のMALS装置(例えば、2、3、4、5、または6つのMALS装置)を含む。いくつかの実施形態では、第1のMALS装置は、分離ユニットに接続されている。いくつかの実施形態では、第1のMALS装置は、クロマトグラフィーユニットに接続されている。いくつかの実施形態では、第2のMALS装置は、濾過ユニット(例えば、タンジェンシャルフロー濾過ユニット、ノーマルフロー濾過ユニット、及び/または限外濾過ユニット)に接続されている。いくつかの実施形態では、第3のMALS装置は、濃縮ユニットに接続されている。いくつかの実施形態では、第4のMALS装置は、清澄化ユニットに接続されている。いくつかの実施形態では、第5のMALS装置は、精製ユニットに接続されている。
【0029】
本特許または出願書類は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を含むこの特許または特許出願公開のコピーは、請求及び必要な料金の支払いに応じて官庁により提供されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】ウイルスベクター製造プロセスのフローチャートを提示する。
【
図2】製造中のウイルスベクターの存在及びサイズを評価するためにクロマトグラフィーに関してインラインのMALS装置を使用している概略図を提示する。
【
図3】製造中のウイルスベクターの濃度を評価するために濾過に関してインラインのMALS装置を使用している概略図を提示する。
【
図4】ウイルスベクタークロマトグラフィーを用いたインラインMALSを示している。
【
図5】ウイルスベクターの製造プロセスの下流部分のフローチャートを提示する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書に開示されるのは、ウイルスベクターを製造するための方法である。いくつかの実施形態では、方法は、製造プロセスに関してインラインの静的光散乱装置(例えば、マルチアングル光散乱(MALS)装置)を使用することを含む。ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、ワクシニアウイルスベクター、及び単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクター)を製造するためのシステムも、本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、システムは、製造プロセスに関してインラインの静的光散乱装置(例えば、MALS装置)を含む。特定の実施形態では、1つ以上のMALS装置が、製造プロセスにインラインで使用されて、ウイルスベクター製造プロセスにおける1つ以上のユニットの操作を制御及び/または自動化する。
【0032】
定義
本開示をより詳細に説明する前に、本明細書で使用される特定の用語の定義を提示することは、その理解を促進し得る。
【0033】
別途定義されない限り、本明細書で使用する技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本発明の実施または試験の際に、本明細書に記載の方法及び材料に類似したまたは同等の、任意の方法及び材料を使用することは可能であるが、好ましい実施形態の組成物、方法、及び材料について説明する。本発明において、以下の用語は下記のように定義する。
【0034】
冠詞「a」、「an」、及び「the」は、本明細書では、冠詞の文法的対象の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ、または1つ以上)を指すように使用している。例えば、「要素(an element)」とは、1つの要素、または1つ以上の要素を意味する。
【0035】
選択肢(例えば、「または」)の使用は、選択肢の一方、両方またはその任意の組み合わせのいずれかを意味することを理解されたい。
【0036】
「and/or(及び/または)」という用語は、選択肢のうちの1つまたは両方のいずれかを意味するものと理解されたい。
【0037】
本明細書で使用する「約(about)」または「およそ(approximately)」という用語は、参照の数数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さに対し、30、25、20、25、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%異なる数数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さを指す。特定の実施形態では、数値の前にあるときの「約」または「おおよそ」という用語は、値の15%、10%、5%、または1%プラスまたはマイナスの範囲を示す。
【0038】
本明細書で使用する場合、「実質的」という用語は、参照の数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さに比較して、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれより多い数量、または長さを指す。一実施形態では、「実質的に同じ」は、参照の数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さについて、おおよそ同じである作用、例えば生理学的作用を産出する数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さを指す。
【0039】
本明細書全体において、文脈上他の意味が要求されない限り、「含む(comprise、comprises、comprising)」という語は、述べられるステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群を含むことを意味するが、任意の他のステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群を除外することを意味するものではないことを理解されたい。本明細書で使用される場合、「include(含む)」及び「comprise(含む)」という用語は、同義に使用される。「からなる」とは、「からなる」という句に続くものを含み、それに限定されることを意味する。したがって、「からなる」という語句は、挙げられる要素が必要または必須であり、かつ他の要素は存在し得ないことを示す。「本質的に~からなる(consisting essentially of)」は、この語句の後に挙げられる任意の要素を含み、他の要素については、挙げられる要素の開示内容で指定された活性または作用を妨げず、寄与もしない要素に限定することを意味する。したがって、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という語句は、挙げられる要素が必要または必須であるが他の要素については挙げられる要素の活性または作用に物質的に影響を及ぼす他の要素が存在しない、ということを示す。
【0040】
本明細書全体における「一実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」、「特定の実施形態(a particular embodiment)」、「関連した実施形態」、「特定の実施形態(a certain embodiment)」、「追加的な実施形態」、もしくは「さらなる実施形態」、またはこれらの組合せに対する言及は、実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造、または特色が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所で出現する上記語句が、必ずしも全て、同じ実施形態を言及しているわけではない。
【0041】
さらに、特定の特徴、構造、または特色は、1つ以上の実施形態における任意の好適な方法で組み合わせることができる。一実施形態における特徴の積極的な列挙は、特定の実施形態における特徴を除外するための基礎としての機能を果たすことも理解される。
【0042】
本明細書で使用される場合、「レンチウイルス」という用語は、複合的なレトロウイルスの群(つまり、属)を指す。例示的なレンチウイルスには、以下が含まれるが、これらに限定されない:HIV(ヒト免疫不全ウイルス;HIVタイプ1及びHIVタイプ2を含む);ビスナウイルス(VMV)ウイルス;ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV);ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV);ネコ免疫不全ウイルス(FIV);ウシ免疫不全ウイルス(BIV);及びサル免疫不全ウイルス(SIV)。一実施形態では、HIVベースのベクターのバックボーン(すなわち、HIVシス作用性配列要素)が好ましい。
【0043】
レトロウイルスベクター、より具体的にはレンチウイルスベクターは、本発明の実施に使用することができる。したがって、本明細書で使用される「レトロウイルス」または「レトロウイルスベクター」という用語は、それぞれ「レンチウイルス」及び「レンチウイルスベクター」を含むことを意味する。
【0044】
「ベクター」という用語は、本明細書では、ポリヌクレオチド(例えば、目的の遺伝子または導入遺伝子をコードする)を細胞(すなわち、ウイルスベクター)に移入するために使用されるウイルス粒子を指すために使用される。有用なウイルスベクターには、例えば、複製欠陥レトロウイルス及びレンチウイルスが含まれる。
【0045】
当業者に明らかであるように、「ウイルスベクター」という用語は、核酸の転移を媒介するウイルス粒子を指すために広く使用されている。ウイルス粒子は、通常、核酸(複数可)に加えて、様々なウイルス成分を含み、時には宿主細胞成分も含む。例示的なウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、ワクシニアウイルスベクター、及び単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクターが含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
ウイルスベクターという用語は、核酸を細胞に移すことができるウイルスまたはウイルス粒子のいずれかを指し得る。ウイルスベクターには、主にウイルスに由来する構造及び/または機能的な遺伝的要素が含まれている。「レトロウイルスベクター」という用語は、主にレトロウイルスに由来するウイルスベクター及び機能的遺伝的要素、またはその一部を指す。「レンチウイルスベクター」という用語は、主にレンチウイルスに由来するLTRを含む、構造的及び機能的遺伝的要素、またはその一部を含むレトロウイルスベクターを指す。「ハイブリッド」という用語は、レトロウイルス、例えばレンチウイルスの配列及び非レンチウイルスのウイルス配列の両方を含むベクターを指す。一実施形態では、ハイブリッドベクターは、逆転写、複製、組み込み、及び/またはパッケージングのためのレトロウイルス、例えばレンチウイルスの配列を含むベクターを指す。
【0047】
特定の実施形態において、「レンチウイルスベクター」及び「レンチウイルス発現ベクター」という用語は、感染性レンチウイルス粒子を指すために使用され得る。本明細書において、クローニング部位、プロモーター、調節要素、異種核酸などの要素に言及する場合、これらの要素の配列は、本発明のレンチウイルス粒子において、RNA形態で存在することが理解されるべきである。
【0048】
「減少する(decrease)」、「減少した(reduced)」、「減少(reduction)」、「減少(decrease)」、及び「阻害」という用語は全て、本明細書では一般に、参照と比較して統計的に有意な量の減少を意味するために使用される。しかし、誤解を避けるために、「減少した(reduced)」、「減少(reduction)または「減少する(decrease)」または「抑制する(inhibit)」は、参照レベルと比較して、少なくとも10%の減少、例えば、少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または最大で100%または100%を含む減少(つまり、参照サンプルと比較して存在しないレベル)、または参照レベルと比較して10~100%の任意の減少を意味する。
【0049】
「増加した(increased)」、「増加(increase)」または「増強(enhance)」または「活性化(activate)」という用語はすべて、本明細書では、一般に、静的に有意な量の増加を意味するために使用される;いずれかの疑義を回避するために、「増加した(increased)」、「増加(increase)」または「増強(enhance)」または「活性化(activate)」という用語は、参照レベルと比較して少なくとも10%の増加、例えば、参照レベルと比較して、少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または最大で100%また100%を含む増加、または10~100%の間の任意の増加、または参照レベルと比較して、少なくとも約2倍、または少なくとも約3倍、または少なくとも約4倍、または少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍の増加、または2倍から10倍の間またはそれより多い任意の増加を意味する。
【0050】
「統計的に有意」または「有意に」という用語は、統計的有意性を指し、一般に、マーカーの通常の濃度またはそれより低い濃度よりも2標準偏差(2SD)低いことを意味する。この用語は、差があるということの統計的な証拠を指す。これは、帰無仮説が実際に真である場合に、帰無仮説を棄却する決定を下す確率として定義される。多くの場合、決定はp値を使用して行われる。
【0051】
さらなる定義は、本開示の全体を通して記載されている。
【0052】
以下の詳細な説明では、本明細書で企図されている本発明の多様な説明的な実施形態の完全な理解を成すために、特定の具体的な詳細が述べられている。しかし、当業者は、特定の例示的な実施形態がこれらの詳細なしで実施され得ることを理解する。
【0053】
ウイルスベクターを製造するためのシステム
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターを製造するためのシステムは、製造プロセスに関してインラインの1つ以上の静的光散乱装置を含む。特定の実施形態では、ウイルスベクターを製造するためのシステムは、製造プロセスに関してインラインの1つ以上のマルチアングル光散乱装置(本明細書ではマルチアングル静的光散乱装置とも呼ばれる)を含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターを製造するためのシステムは、製造プロセスに関してインラインの2、3、4、5、または6つの静的光散乱装置を含む。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、1つ以上の製造ユニットに関してインラインに使用される。静的光散乱装置は、1つ以上の製造操作ユニットに接続することができる。いくつかの態様では、単一の静的光散乱装置が操作ユニットに接続されている。いくつかの態様では、単一の静的光散乱装置が複数の操作ユニットに接続されている。操作ユニットは、分離ユニットを含み得る。いくつかの態様において、分離ユニットは、濾過ユニット、濃縮ユニット、清澄化ユニット、精製ユニット、及び/または配合ユニットを含む。いくつかの態様において、分離ユニットはクロマトグラフィーユニットである。特定の態様では、クロマトグラフィーユニットは、イオン交換クロマトグラフィーユニット(例えば、陰イオン交換クロマトグラフィーユニット)である。特定の態様において、クロマトグラフィーユニットは、アフィニティークロマトグラフィーユニット(例えば、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーユニット、アビジン-ビオチンアフィニティークロマトグラフィー、及び/または固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)ユニット)である。特定の態様において、クロマトグラフィーユニットは、サイズ排除クロマトグラフィーユニットである。いくつかの態様において、分離ユニットは濾過ユニットである。特定の態様において、濾過ユニットは、タンジェンシャルフロー濾過ユニットである。特定の態様において、濾過ユニットは、ノーマルフロー濾過ユニットである。特定の態様では、濾過ユニットは限外濾過ユニットである。
【0054】
本発明の実施形態では、任意の静的光散乱装置を使用することができる。静的光散乱装置の例は、参照により本明細書に組み込まれるwyatt.comにて見出すことができる。いくつかの態様では、静的光散乱装置は、1つ以上の検出器または角度を有する。検出器の数及び/または静的光散乱装置に望まれる角度は、装置の用途に依存し得る。1つの非限定的な例では、粒子のサイズを測定するための静的光散乱装置は、3つ以上の検出器(例えば、3、7、8、9、18、20、または21個の検出器)を有し得る。他の非限定的な例では、濃度または濁度の測定に使用するための静的光散乱装置は、単一の検出器を有し得る。静的光散乱装置は、その使用目的、例えば、粒子サイズまたは濃度の測定に基づいて選択することができ、粒子サイズを測定する場合、測定される粒子サイズに基づいて選択することができる(例えば、大きな粒子ほど、漸次より多くの検出器を必要とする)。特定の実施形態では、静的光散乱装置は、マルチアングル光散乱(MALS)装置である。
【0055】
静的光散乱装置を使用して、ウイルスベクターの半径及び/または直径を測定することができる。静的光散乱装置は、ウイルスベクターの二乗平均平方根の半径を測定する。これは、球状粒子の幾何学的半径を計算するために使用できる。製造されたウイルスベクターの濃度は、計算された幾何学的半径及び光散乱信号によって判定され得る。静的光散乱装置をウイルスベクター製造システムで使用して、ウイルスベクターの存在及び/またはサイズを測定する、及び/または溶液中のウイルスベクターの濃度を測定することができる。
【0056】
製造プロセスに関してインラインに使用される静的光散乱装置は、1つ以上の動作を実行する場合がある。いくつかの実施形態では、静的光散乱装置は、製造プロセスに関してインラインに使用されて、製造プロセスにおいてユニットの操作を制御する。いくつかの実施形態では、静的光散乱装置は、製造プロセス中に産生されたウイルス粒子を検出するために、製造プロセスに関してインラインに使用される。いくつかの実施形態において、静的光散乱装置は、ウイルス粒子(例えば、感染性ウイルス粒子)を不純物から分離するために、製造プロセスに関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、静的光散乱装置は、製造プロセスに関してインラインに使用されて、溶液中のウイルス粒子の濃度(例えば、リアルタイムの濃度)を判定する。いくつかの実施形態では、静的光散乱装置は、ウイルス粒子を含む溶液の濁度を検出するために、製造プロセスに関してインラインに使用される。
【0057】
ウイルスベクターの製造方法
ウイルスベクターの製造は、上流プロセス及び下流プロセスを含み得る。いくつかの態様において、上流プロセスは、細胞の増殖、細胞の培養、トランスフェクション、産生、及び採取を含むがこれらに限定されない、様々なユニットの操作、段階またはフェーズを含む。いくつかの態様において、下流プロセスは、分離、濾過、濃縮、清澄化、精製、配合、及び充填を含むがこれらに限定されない、1つ以上のユニットの操作、段階またはフェーズを含む。いくつかの態様において、本明細書で企図される方法で製造されるウイルスベクターには、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、ワクシニアウイルスベクター、及び単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクターが含まれるが、これらに限定されない。特定の態様において、レンチウイルスベクターが製造される。
【0058】
いくつかの実施形態では、1つ以上の静的光散乱装置が、ウイルスベクター製造プロセスに関してインラインに使用される。特定の実施形態では、1つ以上の静的光散乱装置が、ウイルスベクター製造プロセスに関してインラインに使用される。いくつかの態様では、単一の静的光散乱装置が、製造プロセスの1つ以上の段階に関してインラインに使用される。いくつかの態様において、単一の静的光散乱装置が、製造プロセスの各段階に関してインラインに使用される。いくつかの態様では、単一の静的光散乱装置が、製造プロセスの複数の段階に関してインラインに使用される。製造プロセスの段階には、採取、分離、濾過、清澄化、精製、濃縮、配合、及び充填が含まれる場合がある。
【0059】
いくつかの実施形態では、静的光散乱装置は、分離プロセスに関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、静的光散乱装置は、濾過プロセスに関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、静的光散乱装置は、清澄化プロセスに関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、静的光散乱装置は、精製プロセスに関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、静的光散乱装置は、濃縮プロセスに関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、静的光散乱装置は、配合プロセスに関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、静的光散乱装置は、分離プロセス、濾過プロセス、清澄化プロセス、精製プロセス、濃縮プロセス、配合プロセス、及び充填プロセスからなる群から選択される複数のプロセスに関してインラインに使用される。いくつかの態様において、各プロセスは複数のフェーズを含む。例えば、濾過プロセスは、第1の濾過(例えば、ノーマルフロー濾過を使用する)及び第2の濾過(例えば、限外濾過を使用する)を含み得る。
【0060】
いくつかの態様において、1つ以上の静的光散乱装置は、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、及び/またはサイズ排除クロマトグラフィー)、濾過(例えば、タンジェンシャルフロー濾過、ノーマルフロー濾過、及び/または限外濾過)及び/または遠心分離に関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、静的光散乱装置がクロマトグラフィーに関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、静的光散乱装置は、濾過に関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、静的光散乱装置がクロマトグラフィーと濾過に関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、第1の静的光散乱装置がクロマトグラフィーに関してインラインに使用され、第2の静的光散乱装置が濾過に関してインラインに使用される。
【0061】
いくつかの実施形態では、製造プロセスに関してインラインに使用される静的光散乱装置は、ウイルスベクターの存在及び/またはサイズを測定する。いくつかの態様において、製造プロセスに関してインラインに使用される静的光散乱装置は、溶液中のウイルスベクターの濃度を測定する。いくつかの実施形態では、製造プロセスに関してインラインに使用される静的光散乱装置は、製造プロセスの自動化をトリガーする。いくつかの態様において、測定された粒子サイズに基づく製造プロセスの自動化は、製造されたウイルスベクターの精製をもたらす。例えば、ウイルス粒子は、測定された粒子サイズに基づいて製造プロセス中に精製され得る。いくつかの態様において、溶液中のウイルスベクターの測定された濃度に基づく製造プロセスの自動化は、ウイルスベクター産生の停止をもたらす。例えば、特定の濃度のウイルス粒子が溶液中で検出されると、ウイルスベクターの製造が停止する可能性がある。
【0062】
いくつかの実施形態では、製造プロセスに関してインラインに使用される静的光散乱装置は、ウイルス粒子及び不純物を含む溶液での成分の分離を制御する。いくつかの態様において、溶液中の不純物は、産生物関連の不純物またはプロセス関連の不純物である。産生物関連の不純物には、不活性なベクター形態、ウイルス凝集体、可溶性エンベロープタンパク質、遊離ウイルス成分、破壊された/分解された粒子、及び/またはenv(-)粒子が含まれる場合がある。プロセス関連の不純物には、培地に由来する不純物(例えば、タンパク質、ペプチド、アミノ酸;脂質、リン脂質;塩、緩衝液;糖(すなわち、グルコース);微量元素、ビタミン;血清/加水分解物添加剤)、宿主細胞(例えば、細胞デブリ、小胞;宿主のタンパク質;宿主の核酸;プロテオグリカン)、産生物(例えば、ポリエチレニミン(PEI);プラスミドDNA;小分子;外来剤、内毒素)及び/または精製物(例えば、ヌクレアーゼ;緩衝液;界面活性剤;抽出物、浸出物)を含み得る。
【0063】
ウイルスベクター製造プロセスは、ウイルスベクターを不純物から分離し、ウイルスベクターを精製するための複数のフェーズまたはプロセスを含み得る。例えば、製造プロセスは、所望の濃度及び配合を有するウイルスベクターを得るための複数の(例えば5~7の)下流処理ステップ、例えば清澄化ステップ、濃縮/精製ステップ、核酸消化ステップ、配合ステップ、最終濾過ステップ、及び充填ステップを含み得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、ウイルスベクターの製造プロセスは、清澄化プロセスを含む。清澄化プロセスを、ウイルスベクターを含む溶液から産生体細胞及び細胞のデブリを排除するために使用することができる。いくつかの態様において、清澄化プロセスは、遠心分離、濾過、及び/またはクロマトグラフィーを含む。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、清澄化プロセスに関してインラインに使用される(例えば、クロマトグラフィー、濾過、及び/または遠心分離に関してインラインに使用される)。
【0065】
いくつかの実施形態において、ウイルスベクター製造プロセスは、濃縮及び/または清澄化プロセスを含む。濃縮及び/または精製プロセスは、ウイルス粒子の溶液から不純物を分離するために使用することができる。いくつかの態様において、濃縮及び/または精製プロセスは、遠心分離、濾過、及び/またはクロマトグラフィーを含む。いくつかの態様において、濃縮及び/または精製プロセスは、遠心分離及びクロマトグラフィーを含む。いくつかの態様において、濾過及びクロマトグラフィーは、1つ以上の静的光散乱装置に関してインラインに実行される。いくつかの態様において、ウイルス粒子の溶液は、ウイルスベクターの目標濃度が得られるまで濾過される。いくつかの態様において、目標濃度は、使用されるウイルスの量及びウイルスが投与される部位(例えば、組織型)に基づいて変化し得る。
【0066】
濃度は、総ウイルス粒子/mLにおいてMALS装置によって、または形質導入ユニット(TU)/mLにおいて他の方法で、測定できる。
【0067】
特定の態様では、濃度は、総ウイルス粒子/mLにおいてMALS装置によって測定される。非限定的な一例では、ウイルスベクターの目標濃度は、約1×106~1×107ウイルス粒子/mL、約1×106~1×108ウイルス粒子/mL、約1×106~1×109ウイルス粒子/mL、約1×107~1×1010ウイルス粒子/mL、約1×108~1×1011ウイルス粒子/mL、約1×108~1×1012ウイルス粒子/mL、約1×1010~1×1013ウイルス粒子/mL、約1×1010~1×1014ウイルス粒子/mL、または約1×1010~1×1015ウイルス粒子/mLを含む。いくつかの態様では、ウイルスベクターの目標濃度は、約1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014、または1×1015ウイルス粒子/mLである。
【0068】
特定の実施形態では、濃度は形質導入ユニット(TU)/mLで測定される。
【0069】
1つの非限定的な例において、ウイルスベクターの目標濃度は、約1×106~1×107、約1×106~1×108、約1×106~1×109、約1×107~1×1010、約1×108~1×1011、約1×108~1×1012、または約1×1010~1×1012の形質導入ユニット(TU)/mLを有し得る。いくつかの態様では、ウイルスベクターの目標濃度は、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、または1×1013のTU/mLを有し得る。
【0070】
いくつかの態様において、製造プロセスは、ウイルス粒子の溶液(例えば、濃縮された及び/または精製させたウイルス粒子の溶液)の核酸消化を実施することをさらに含み得る。いくつかの態様において、ヌクレアーゼは、ウイルス粒子の溶液中の核酸を減少または排除するために使用される。いくつかの態様において、エンドヌクレアーゼは、ウイルス粒子の溶液中の核酸を減少または排除するために使用される。特定の態様において、エンドヌクレアーゼのベンゾナーゼ(登録商標)が、ウイルス粒子の溶液中の核酸を減少または排除するために使用される。
【0071】
いくつかの実施形態では、製造プロセスから得られたウイルスベクターが配合される。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの配合が充填されている。
【0072】
本明細書に開示される特定の実施形態は、製造プロセスに関してインラインの静的光散乱装置(例えば、MALS装置)を使用して、製造プロセスにおけるユニットの操作を制御することを含む、ウイルスベクターを製造するための方法である。いくつかの態様では、単一の静的光散乱装置を使用して、製造プロセスにおける1つ以上の操作ユニットを制御する。いくつかの態様では、単一の静的光散乱装置が、各操作ユニットを制御するために使用されている。いくつかの態様では、単一の静的光散乱装置が、複数の操作ユニットを制御するために使用されている。いくつかの態様において、操作ユニットは、分離ユニットを含む。いくつかの態様において、分離ユニットは、濾過ユニット、濃縮ユニット、清澄化ユニット、精製ユニット、配合ユニット、充填ユニット、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様において、分離ユニットは、タンジェンシャルフロー濾過ユニット、ノーマルフロー濾過ユニット、及び/または限外濾過ユニットである。特定の態様において、分離ユニットは、クロマトグラフィーユニット(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、及び/またはサイズ排除クロマトグラフィー)である。特定の態様では、操作ユニットは、濾過ユニットである(例えば、タンジェンシャルフロー濾過ユニット、ノーマルフロー濾過ユニット、及び/または限外濾過ユニット)。
【0073】
本明細書に開示されているのは、製造プロセスに関してインラインの静的光散乱装置(例えば、MALS装置)を使用して、製造プロセス中に生成されたウイルス粒子を検出することを含む、ウイルス粒子の検出方法である。いくつかの実施形態では、静的光散乱装置を使用して、製造プロセス中にクロマトグラフィー及び/または濾過に関してインラインのウイルス粒子を検出する。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、クロマトグラフィーに関してインラインのウイルス粒子を検出するために使用される。いくつかの態様において、MALS装置は、濾過(例えば、タンジェンシャルフロー濾過、ノーマルフロー濾過、限外濾過)に関してインラインのウイルス粒子を検出するために使用される。いくつかの態様において、第1の静的光散乱装置は、クロマトグラフィーに関してインラインのウイルス粒子を検出するために使用され、第2の静的光散乱装置は、濾過に関してインラインのウイルス粒子を検出するために使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、クロマトグラフィーと濾過に関してインラインのウイルス粒子を検出するために使用される。
【0074】
いくつかの実施形態では、静的光散乱装置は、ウイルス粒子の精製を制御するために、製造プロセスに関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、ウイルス粒子の精製を制御するため、濾過、クロマトグラフィー、及び/または遠心分離に関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、ウイルス粒子の精製を制御するために、クロマトグラフィーに関してインラインに使用される。いくつかの態様において、MALS装置は、濾過(例えば、タンジェンシャルフロー濾過、ノーマル濾過、限外濾過)に関してインラインの、ウイルス粒子を精製するために使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、ウイルス粒子の精製を制御するために、クロマトグラフィーに関してインラインに使用される。いくつかの態様において、第1の静的光散乱装置は、クロマトグラフィーに関してインラインに使用され、第2の静的光散乱装置は、ウイルス粒子の精製を制御するために、濾過に関してインラインに使用される。いくつかの態様において、第1の静的光散乱装置はクロマトグラフィーに関してインラインに使用され、第2の静的光散乱装置は濾過に関してインラインに使用され、第3の静的光散乱装置は、ウイルス粒子の精製を制御するために、遠心分離に関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、ウイルス粒子の精製を制御するため、クロマトグラフィー、濾過、及び任意選択で遠心分離に関してインラインに使用される。
【0075】
いくつかの実施形態では、静的光散乱装置は、粒子サイズに基づいて、不純物からのウイルス粒子の分離を制御する。いくつかの態様において、粒子サイズは、粒子の半径または直径として測定されている。静的光散乱装置は、ウイルス粒子の二乗平均平方根半径を測定することができる。二乗平均平方根半径の値を使用して、球状のウイルス粒子の幾何学的半径を計算できる。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、ウイルス粒子を精製するために、粒子サイズに基づく製造プロセスの自動化を引き起こす。例えば、ウイルス粒子は、それらの測定されたサイズに基づいて、製造中に自動的に分離され得る。
【0076】
宿主細胞から採取されたウイルス粒子を清澄化し、ウイルス粒子を不純物から分離し、ウイルス粒子を濾過し、ウイルス粒子を濃縮することを含むウイルスベクター製造プロセスも本明細書に開示される。製造プロセスは、製造プロセスの1つ以上のユニットの操作に関してインラインの1つ以上の静的光散乱装置(例えば、1つ以上のMALS装置)を含む。
【0077】
いくつかの態様において、ウイルス粒子は、1つまたは複数の静的光散乱装置に関してインラインのクロマトグラフィー及び/または濾過を使用して、不純物から分離される。いくつかの態様において、ウイルス粒子は、粒子サイズに基づいて不純物から分離される。粒子サイズは、1つ以上の静的光散乱装置によって測定することができる。いくつかの態様において、ウイルス粒子は、1つまたは複数の静的光散乱装置に関してインラインのクロマトグラフィー及び/または濾過を使用して、濾過及び濃縮される。特定の態様において、ウイルス粒子は、静的光散乱装置に関してインラインのタンジェンシャルフロー濾過を使用して濾過及び濃縮される。静的光散乱装置は、溶液中のウイルス粒子のリアルタイムの濃度を判定することができる。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、ウイルス粒子の濃度に基づいて製造プロセスの自動化を引き起こし、目標濃度に達したときに産生を停止するようにする。
【0078】
いくつかの態様において、1つ以上の静的光散乱装置は、分離プロセス、濾過プロセス、清澄化プロセス、濃縮プロセス、精製プロセス、及び/または配合プロセスに関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置が各プロセスで使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置が1つ以上のプロセスで使用される。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターの製造プロセスは、ウイルス粒子を配合することをさらに含む。
【0079】
この方法は、ウイルスベクター製造プロセスを開始し、製造プロセスに関してインラインの静的光散乱装置(例えば、MALS装置)を使用してウイルス粒子の存在を検出し、ウイルス粒子を精製することを含む、ウイルスベクターを製造するための方法も開示している。
【0080】
いくつかの態様では、静的光散乱装置は、ウイルス粒子を検出するために製造プロセス中にクロマトグラフィー及び/または濾過に関してインラインに使用されている。いくつかの態様では、静的光散乱装置がクロマトグラフィーに関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、濾過(例えば、タンジェンシャルフロー濾過、ノーマルフロー濾過、及び/または限外濾過)に関してインラインに使用される。いくつかの態様では、静的光散乱装置がクロマトグラフィー及び濾過に関してインラインに使用される。いくつかの態様では、第1の静的光散乱装置がクロマトグラフィーに関してインラインに使用され、第2の静的光散乱装置が濾過に関してインラインに使用される。
【0081】
いくつかの実施形態では、静的光散乱装置は、粒子サイズに基づいて不純物からのウイルス粒子の精製を制御するために、濾過に関してインラインに使用される。粒子サイズは、1つ以上の静的光散乱装置によって測定することができる。いくつかの態様において、粒子サイズは粒子の半径または直径として測定されている。いくつかの態様において、濾過プロセスは複数の濾過を使用する。いくつかの態様において、第1の濾過はノーマルフロー濾過であり、第2の濾過は限外濾過である。いくつかの態様において、第1の静的光散乱装置は、第1の濾過で使用され、第2の静的光散乱装置は、第2の濾過で使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、第1の濾過及び第2の濾過の両方で使用される。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1の静的光散乱装置は、ウイルス粒子を検出するために製造プロセスに関してインラインに使用され、第2の静的光散乱装置は、ウイルス粒子の精製を制御するために製造プロセスに関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、この方法は、ウイルス粒子を濃縮すること及び/または配合することをさらに含む。いくつかの態様において、1つ以上の静的光散乱装置は、濃縮プロセス及び/または配合プロセスに関してインラインに使用される。
【0083】
本明細書に開示されるのは、静的光散乱装置(例えば、MALS装置)に関してインラインのクロマトグラフィー及び/または濾過を使用してウイルス粒子及び不純物を含む溶液を分離することを含む、ウイルスベクター製造プロセスにおいて不純物を除去する方法であって、静的光散乱装置が、粒子サイズに基づいて、不純物からウイルス粒子を分離するのを制御する、方法である。
【0084】
いくつかの態様において、静的光散乱装置は、ウイルス粒子及び不純物の分離を制御するために、クロマトグラフィーに関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、ウイルス粒子及び不純物の分離を制御するために、濾過(例えば、タンジェンシャルフロー濾過、ノーマルフロー濾過、限外濾過)に関してインラインに使用される。いくつかの態様において、第1の静的光散乱装置は、クロマトグラフィーに関してインラインに使用され、第2の静的光散乱装置は、ウイルス粒子及び不純物の分離を制御するために、濾過に関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、ウイルス粒子及び不純物の分離を制御するために、クロマトグラフィー及び濾過に関してインラインに使用される。
【0085】
いくつかの実施形態では、この方法は、ウイルス粒子を精製することをさらに含む。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、ウイルス粒子を検出し、ウイルス粒子を精製するための1つ以上のユニットの操作を制御するために、製造プロセスに関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、ウイルス粒子の精製を制御するため、濾過、クロマトグラフィー、及び/または遠心分離に関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、ウイルス粒子の精製を制御するために、クロマトグラフィーに関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、ウイルス粒子の精製を制御するために、濾過(例えば、タンジェンシャルフロー濾過、ノーマル濾過、限外濾過)に関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、ウイルス粒子の精製を制御するために、クロマトグラフィーに関してインラインに使用される。いくつかの態様において、第1の静的光散乱装置は、クロマトグラフィーに関してインラインに使用され、第2の静的光散乱装置は、ウイルス粒子の精製を制御するために、濾過に関してインラインに使用される。いくつかの態様において、第1の静的光散乱装置はクロマトグラフィーに関してインラインに使用され、第2の静的光散乱装置は濾過に関してインラインに使用され、第3の静的光散乱装置は、ウイルス粒子の精製を制御するために、遠心分離に関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、ウイルス粒子の精製を制御するため、クロマトグラフィー、濾過、及び任意選択で遠心分離に関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、静的光散乱装置は、粒子サイズに基づいて、不純物からのウイルス粒子の分離を制御するために使用されている。
【0086】
いくつかの実施形態では、第1の静的光散乱装置は、ウイルス粒子と不純物の分離を制御するために製造プロセスに関してインラインに使用され、第2の静的光散乱装置は、ウイルス粒子の精製を制御するために製造プロセスに関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、この方法は、ウイルス粒子を濃縮すること及び/または配合することをさらに含む。いくつかの態様において、1つ以上の静的光散乱装置は、濃縮プロセス及び/または配合プロセスに関してインラインに使用される。
【0087】
本明細書に開示されるのは、静的光散乱装置(例えば、MALS装置)に関してインラインのクロマトグラフィー及び/または濾過を使用して溶液中の不純物から感染性ウイルス粒子を分離することを含む、ウイルスベクターの製造プロセスにおける感染性ウイルス粒子の回収を増加させるための方法である。静的光散乱装置は、粒子サイズに基づいて、不純物からの感染性ウイルス粒子の分離を制御する。特定の態様において、不純物は非感染性粒子である。
【0088】
いくつかの態様において、静的光散乱装置は、感染性ウイルス粒子の不純物からの分離を制御するために、クロマトグラフィーに関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、感染性ウイルス粒子の不純物からの分離を制御するために、濾過(例えば、タンジェンシャルフロー濾過、ノーマルフロー濾過、限外濾過)に関してインラインに使用される。いくつかの態様において、第1の静的光散乱装置は、クロマトグラフィーに関してインラインに使用され、第2の静的光散乱装置は、感染性ウイルス粒子の不純物からの分離を制御するために、濾過に関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、感染性ウイルス粒子の不純物からの分離を制御するために、クロマトグラフィー及び濾過に関してインラインに使用される。
【0089】
いくつかの実施形態では、この方法は、感染性ウイルス粒子を濃縮すること及び/または精製することをさらに含む。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、感染性ウイルス粒子の濃縮及び/または精製を制御するために、製造プロセスに関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、感染性ウイルス粒子の濃縮及び/または精製を制御するため、濾過、クロマトグラフィー、及び/または遠心分離に関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、感染性ウイルス粒子の濃縮及び/または精製を制御するために、クロマトグラフィーに関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、感染性ウイルス粒子の濃縮及び/または精製を制御するために、濾過(例えば、タンジェンシャルフロー濾過、ノーマル濾過、限外濾過)に関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、感染性ウイルス粒子の濃縮及び/または精製を制御するために、遠心分離に関してインラインに使用される。いくつかの態様において、第1の静的光散乱装置は、クロマトグラフィーに関してインラインに使用され、第2の静的光散乱装置は、感染性ウイルス粒子の濃縮及び/または精製を制御するために、濾過に関してインラインに使用される。いくつかの態様において、第1の静的光散乱装置はクロマトグラフィーに関してインラインに使用され、第2の静的光散乱装置は濾過に関してインラインに使用され、第3の静的光散乱装置は、感染性ウイルス粒子の濃縮及び/または精製を制御するために、遠心分離に関してインラインに使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、感染性ウイルス粒子の濃縮及び/または精製を制御するため、クロマトグラフィー及び濾過、及び任意選択で遠心分離に関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、静的光散乱装置は、粒子サイズに基づいて、不純物からの感染性ウイルス粒子の分離を制御する。
【0090】
いくつかの実施形態では、静的光散乱装置は、粒子サイズに基づいて不純物からの感染性ウイルス粒子の精製を制御するために、濾過に関してインラインに使用される。いくつかの態様において、濾過プロセスは複数の濾過を使用する。いくつかの態様において、第1の濾過はノーマルフロー濾過であり、第2の濾過は限外濾過である。いくつかの態様において、第1の静的光散乱装置は、第1の濾過で使用され、第2の静的光散乱装置は、第2の濾過で使用される。いくつかの態様において、静的光散乱装置は、第1の濾過及び第2の濾過の両方で使用される。
【0091】
いくつかの実施形態では、第1の静的光散乱装置は、感染性ウイルス粒子の不純物からの分離を制御するために製造プロセスに関してインラインに使用され、第2の静的光散乱装置は、感染性ウイルス粒子の精製を制御するために製造プロセスに関してインラインに使用される。いくつかの実施形態では、この方法は、感染性ウイルス粒子を配合することをさらに含む。いくつかの態様において、1つ以上の静的光散乱装置は、配合プロセスに関してインラインに使用される。
【0092】
静的光散乱装置(例えば、MALS装置)に関してインラインのタンジェンシャルフロー濾過を使用してウイルス粒子を含む溶液を濾過することを含む、ウイルスベクター製造プロセスにおいてウイルス粒子を濃縮するための方法も、本明細書に開示される。静的光散乱装置は、溶液中のウイルス粒子のリアルタイムの濃度を判定し、リアルタイムの濃度が溶液中のウイルス粒子の目標濃度と実質的に等しくなるまで、溶液の濾過の操作を自動化することができる。いくつかの実施形態では、この方法は、ウイルス粒子を清澄化、精製及び/または配合することをさらに含む。
【0093】
ウイルス粒子を含む溶液の濁度を検出し、それによってユニットの操作を制御するために、製造プロセスに関してインラインの静的光散乱装置(例えば、MALS装置)を使用することを含む、ウイルス製造プロセスにおけるユニットの操作を制御するための方法も、本明細書に開示されている。
【0094】
本明細書で引用された全ての刊行物、特許出願及び発行された特許は、個々の刊行物、特許出願、または発行された特許が明確に及び個々に示され、参照により援用されているかのように、参照により本明細書に援用される。
【0095】
以下の実施例は、単に例として提供されるものであり、限定として提供されるものではない。当業者は、本質的に類似した結果をもたらすために、特定の実施形態において変更または修正ができる様々な重要性の低いパラメーターについて、容易に認識する。
【実施例】
【0096】
MALS検出器が、製造プロセス中に取得されたデータに基づいて、検出、自動化、または決定を行うために、ウイルスベクター製造プロセスのユニットの操作に関してインラインに接続される。
【0097】
図2に示されるように、MALS検出器は、それを通るウイルスベクターの存在及びサイズを評価するために、クロマトグラフィースキッドの流出物に取り付けられている。MALS検出器によって収集された情報は、MALSによって検出されたら、異なる平均半径の粒子集団を分離できる下流のバルブを自動化するために、インラインに使用できる。半径は、溶出液がインラインフローセルを通るときにMALSによってリアルタイムで測定される。マルチアングルの光散乱は、粒子の二乗平均平方根半径を直接測定できる。二乗平均平方根半径はモデルに依存しない。つまり、特定の分子コンフォメーションを想定していない。この二乗平均平方根半径の値を使用して、球状の粒子の幾何学的半径を計算できる。宿主細胞のタンパク質などの一部の不純物が、感染性粒子とは異なる半径の非感染性粒子と優先的に関連し得るということの証拠がある。したがって、サイズに基づく精製により、産生物のストリーム中の不純物を減らすことができる。
【0098】
図3に示されるように、MALS検出器は、ベクター粒子の濃度を評価するために、タンジェンシャルフロー濾過スキッドにインラインで接続されている。これにより、スキッドが自動化し、ベクター粒子の特定の濃度に達したとき、ポンプを停止することで、ユニットの動作を停止できる。粒子の濃度は、上記のように計算された幾何学的半径と光散乱信号から判定される。
【0099】
概して、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を明細書及び特許請求の範囲に開示された特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を有する同等の全範囲と共にすべての可能な実施形態を含むと解釈されるべきである。したがって、クレームは開示によって制限されない。
【国際調査報告】