(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】ツカチニブを用いて乳がんを処置する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/517 20060101AFI20220414BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20220414BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220414BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
A61K31/517
A61K31/7068
A61K39/395 T
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543165
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(85)【翻訳文提出日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 US2020014953
(87)【国際公開番号】W WO2020159822
(87)【国際公開日】2020-08-06
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503188759
【氏名又は名称】シージェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー,ルーク
(72)【発明者】
【氏名】エンドレス,クリストファー,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】リ,アンソニー, ジェヨン
(72)【発明者】
【氏名】スン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】トプレツ-エリクソン,アリエル,アール.
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086EA17
4C086MA01
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA06
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、乳がんなどのがんを処置する方法におけるツカチニブおよびその使用を提供する。本発明はまた、乳がんなどのがんの処置における使用のための、ツカチニブを含む組成物およびキットも提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量の、多剤毒素排出(MATE)タンパク質の基質による処置を同時に受けていない、方法。
【請求項2】
対象が、過去7日以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
対象が、過去3ヶ月以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
対象が、過去12ヶ月以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
対象が、MATEタンパク質の基質による処置を以前に受けたことがない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
MATEタンパク質がMATE1である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
MATEタンパク質がMATE2Kである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
MATEタンパク質の基質が、メトホルミン、オキサゾリジノン、フェキソフェナジン、テトラエチルアンモニウム(TEA)、N-メチルフェニルピリジニウム(MPP+)、パラコート、アグマチン、シメチジン、プロカインアミド、プラミペキソール、アテノロール、セロトニン、キニジン、ベラパミル、シスプラチン、オキサリプラチン、およびピリメタミンからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
基質がメトホルミンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量の、有機カチオントランスポーター(OCT)の基質による処置を同時に受けていない、方法。
【請求項11】
対象が、過去7日以内にOCTの基質による処置を受けていない、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
対象が、過去3ヶ月以内にOCTの基質による処置を受けていない、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
対象が、過去12ヶ月以内にOCTタンパク質の基質による処置を受けていない、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
対象が、OCTの基質による処置を以前に受けたことがない、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
OCTがOCT1である、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
OCTがOCT2である、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
OCTの基質が、メトホルミン、オキサゾリジノン、フェキソフェナジン、テトラエチルアンモニウム(TEA)、N-メチルフェニルピリジニウム(MPP+)、パラコート、アグマチン、シメチジン、プロカインアミド、プラミペキソール、アテノロール、セロトニン、キニジン、ベラパミル、シスプラチン、オキサリプラチン、およびピリメタミンからなる群から選択される、請求項10~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
基質がメトホルミンである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
対象が、治療有効量の、MATEタンパク質の基質による処置を同時に受けていない、請求項10~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
対象が、過去7日以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
対象が、過去3ヶ月以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
対象が、過去12ヶ月以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
対象が、MATEタンパク質の基質による処置を以前に受けたことがない、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
MATEタンパク質がMATE1である、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
MATEタンパク質がMATE2Kである、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象の腎機能が低下していない、方法。
【請求項27】
過去12ヶ月以内に対象の腎機能が低下していない、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
対象の腎機能が低下していない、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
過去12ヶ月以内に対象の腎機能が低下していない、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
腎機能の低下が、対象の血清クレアチニンレベルに基づいて決定される、請求項26~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
a)対象が男性であり、対象が1.5mg/dL未満の血清クレアチニンレベルを有するか、またはb)対象が女性であり、1.4mg/dL未満の血清クレアチニンレベルを有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
腎機能の低下を、対象が異常なクレアチニンクリアランスを有することに基づいて決定する、請求項26~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
腎機能の低下を、対象の糸球体濾過率に基づいて決定する、請求項26~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
対象が、治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を同時に受けていない、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
対象が、過去7日以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
対象が、過去3ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
対象が、過去12ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
対象が、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を以前に受けたことがない、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の阻害剤である、請求項34~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の強力な阻害剤である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
シトクロムp450タンパク質が、CYP3A4である、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
CYP3A4の活性を阻害する化合物が、イトラコナゾールである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
シトクロムp450タンパク質が、CYP2C8である、請求項39または40に記載の方法。
【請求項44】
CYP2C8の活性を阻害する化合物が、ゲムフィブロジルである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の誘導剤である、請求項34~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の強力な誘導剤である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
シトクロムp450タンパク質が、CYP3A4である、請求項45または46に記載の方法。
【請求項48】
シトクロムp450タンパク質が、CYP2C8である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
シトクロムp450タンパク質の活性を誘導する化合物が、リファンピンである、請求項45~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を同時に受けていない、方法。
【請求項51】
対象が、過去7日以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
対象が、過去3ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
対象が、過去12ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
対象が、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を以前に受けたことがない、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の阻害剤である、請求項50~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の強力な阻害剤である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
シトクロムp450タンパク質が、CYP3A4である、請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
CYP3A4の活性を阻害する化合物が、イトラコナゾールである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
シトクロムp450タンパク質が、CYP2C8である、請求項55または56に記載の方法。
【請求項60】
CYP2C8の活性を阻害する化合物が、ゲムフィブロジルである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の誘導剤である、請求項50~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の強力な誘導剤である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
シトクロムp450タンパク質が、CYP3A4である、請求項61または62に記載の方法。
【請求項64】
シトクロムp450タンパク質が、CYP2C8である、請求項61または62に記載の方法。
【請求項65】
シトクロムp450タンパク質の活性を誘導する化合物が、リファンピンである、請求項61~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の基質による処置を同時に受けていない、方法。
【請求項67】
対象が、過去7日以内にシトクロムp450タンパク質の基質による処置を受けていない、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
対象が、過去3ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の基質による処置を受けていない、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
対象が、過去12ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の基質による処置を受けていない、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
対象が、シトクロムp450タンパク質の基質による処置を以前に受けたことがない、請求項66に記載の方法。
【請求項71】
シトクロムp450タンパク質がCYP3A4である、請求項66~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
シトクロムp450タンパク質の基質が、感受性CYP3A4基質である、請求項66~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
シトクロムp450タンパク質がCYP2C8である、請求項66~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
シトクロムp450タンパク質の基質が、ブデソニド、ブスピロン、エプレレノン、エレトリプタン、フェロジピン、フルチカゾン、ロバスタチン、ミダゾラム、サキナビル、シルデナフィル、シンバスタチン、トリアゾラム、およびバルデナフィルからなる群から選択される、請求項66~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
シトクロムp450タンパク質の基質が、ミダゾラムである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量の、P-糖タンパク質(P-gp)の基質による処置を同時に受けていない、方法。
【請求項77】
対象が、過去7日以内にP-gpの基質による処置を受けていない、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
対象が、過去3ヶ月以内にP-gpの基質による処置を受けていない、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
対象が、過去12ヶ月以内にP-gpの基質による処置を受けていない、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
対象が、P-gpの基質による処置を以前に受けたことがない、請求項76に記載の方法。
【請求項81】
P-gpの基質が、治療指数が狭い基質である、請求項76~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
P-gpの基質が、アミトリプチリン、カルバマゼピン、クロニジン、シクロスポリン、ジギトキシン、ジゴキシン、イミプラミン、フェノバルビタール、フェニトイン、キニジン、リファンピシン、シロリムス、タクロリムス、テムシロリムス、トリミプラミン、ビンクリスチン、パクリタキセル、およびダビガトランエテキシラートからなる群から選択される、請求項76~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
P-gpの基質がジゴキシンである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
ツカチニブが、約150mg~約650mgの用量で対象に投与される、請求項1~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
ツカチニブが、約300mgの用量で対象に投与される、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
ツカチニブが、1日1回または2回投与される、請求項84または85に記載の方法。
【請求項87】
ツカチニブが、1日2回、約300mgの用量で対象に投与される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
ツカチニブが、対象に経口投与される、請求項1~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
乳がんが、HER2陽性乳がんである、請求項1~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
がんが、in situハイブリダイゼーション、蛍光in situハイブリダイゼーション、または免疫組織化学を使用してHER2陽性であると決定される、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
乳がんが、転移性である、請求項1~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
乳がんが、脳に転移している、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
乳がんが、局所的に進行したものである、請求項1~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
乳がんが、切除不能である、請求項1~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
1つ以上のさらなる治療剤を対象に投与して、乳がんを処置することをさらに含む、請求項1~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
1つ以上のさらなる治療剤が、カペシタビンおよび抗HER2抗体からなる群から選択される、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
1つ以上のさらなる治療剤が、カペシタビンである、請求項95に記載の方法。
【請求項98】
1つ以上のさらなる治療剤が、トラスツズマブである、請求項95に記載の方法。
【請求項99】
1つ以上のさらなる治療剤が、カペシタビンおよびトラスツズマブである、請求項95に記載の方法。
【請求項100】
カペシタビンが、約500mg/m
2~約1500mg/m
2の用量で対象に投与される、請求項97または99に記載の方法。
【請求項101】
カペシタビンが、約1000mg/m
2の用量で対象に投与される、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
カペシタビンが、対象に経口投与される、請求項100または101に記載の方法。
【請求項103】
カペシタビンが、1日2回、対象に投与される、請求項99~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
トラスツズマブが、約400mg~約800mgの用量で対象に投与される、請求項98または99に記載の方法。
【請求項105】
トラスツズマブが、約600mgの用量で対象に投与される、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
トラスツズマブが、対象に皮下投与される、請求項104または105に記載の方法。
【請求項107】
トラスツズマブが、約4mg/kg~約10mg/kgの用量で対象に投与される、請求項98または99に記載の方法。
【請求項108】
トラスツズマブが、約6mg/kgの用量で対象に投与される、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
トラスツズマブが、約8mg/kgの用量で対象に投与される、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
トラスツズマブが、約8mg/kgの初期用量で、次いで、約6mg/kgのその後の用量で対象に投与される、請求項107に記載の方法。
【請求項111】
トラスツズマブが静脈内投与される、請求項107~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
トラスツズマブが、約1週毎に1回、約2週毎に1回、約3週毎に1回、または約4週毎に1回投与される、請求項104~111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
トラスツズマブが、約3週毎に1回投与される、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
ツカチニブ、カペシタビンおよびトラスツズマブが、21日の処置サイクルで対象に投与される、請求項99に記載の方法。
【請求項115】
ツカチニブが、21日の処置サイクルのそれぞれの日に1日2回、対象に投与される、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
カペシタビンが、21日の処置サイクルの1~14日目のそれぞれに1日2回、対象に投与される、請求項114または115に記載の方法。
【請求項117】
トラスツズマブが、21日の処置サイクルあたり1回、対象に投与される、請求項114~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
最初の21日の処置サイクル中のトラスツズマブの用量が8mg/kgであり、その後の21日の処置サイクル中のトラスツズマブの用量が6mg/kgである、請求項117記載の方法。
【請求項119】
対象が、乳がんのための1つ以上のさらなる治療剤で以前に処置されたことがある、請求項1~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
1つ以上のさらなる治療剤が、抗HER2抗体または抗HER2抗体-薬物コンジュゲートである、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
1つ以上のさらなる治療剤が、トラスツズマブ、ペルツズマブおよび/またはT-DM1である、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
対象が、過去12ヶ月以内に乳がんのための別の治療剤で処置されていない、請求項1~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
対象が、乳がんのための別の治療剤で以前に処置されたことがない、請求項1~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
対象が、ラパチニブ、ネラチニブ、アファチニブ、またはカペシタビンで以前に処置されたことがない、請求項1~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
対象の処置が、少なくとも約85%の腫瘍増殖阻害(TGI)指数をもたらす、請求項1~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
対象の処置が、約100%のTGI指数をもたらす、請求項1~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
対象における1つ以上の治療効果が、ベースラインと比較して、対象へのツカチニブの投与後に改善される、請求項1~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
1つ以上の治療効果が、乳がんに由来する腫瘍のサイズ、客観的奏功率、奏功期間、奏功までの時間、無増悪生存期間および全生存からなる群から選択される、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
乳がんに由来する腫瘍のサイズが、対象へのツカチニブの投与前の乳がんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、請求項1~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
客観的奏功率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、請求項1~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
対象が、対象へのツカチニブの投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、請求項1~130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
対象が、対象へのツカチニブの投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存を示す、請求項1~131のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
ツカチニブに対する奏功期間が、対象へのツカチニブの投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、請求項1~132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
対象がヒトである、請求項1~133のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年1月28日に出願された米国仮特許出願第62/797,854号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
技術分野
本発明は、ツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を用いて、HER2陽性乳がんなどの乳がんを処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
乳がんは、女性の間で群を抜いて最も一般的ながんである。毎年、米国および世界で、それぞれ180,000人および100万人を超える女性が、乳がんと診断されている。乳がんは、50~55歳の女性にとって死因第1位であり、西半球の女性において最も一般的な予防不可能な悪性腫瘍である。米国では推定2,167,000人の女性が、現在その疾患と共に生きている。1995年から1997年までのがん罹患率に基づいて、National Cancer Institute (NCI)からの報告は、米国の女性約8人のうちの1人(約12.8パーセント)が、彼女の生涯のうちに乳がんを発症すると見積もっている(NCI's Surveillance, Epidemiology, and End Results Program (SEER) publication SEER Cancer Statistic's Review 1973-1997)。乳がんは、米国の女性の間で、皮膚がんに次いで2番目に最も一般的な形態のがんである。推定で250,100件の乳がんの新しい症例が、2001年に米国で診断されていると予想される。これらのうち、192,200件のより進行した(侵襲性)乳がんの新しい症例が、女性間で生じると予想され(昨年にかけて5%の増加)、46,400件の初期段階(in situ)の乳がんの新しい症例が女性間で生じると予想され(昨年から9%上昇)、約1,500件の乳がんの新しい症例が男性において診断されると予想される(Cancer Facts & FIGS. 2001 American Cancer Society)。推定で40,600人の乳がんによる死亡(40,300人の女性、400人の男性)が2001年に予想される。乳がんは、女性におけるがんによる死因の間で肺がんに次いで第2位である。乳がんと診断されるほぼ86%の女性は、5年後は依然として生存している可能性が高いが、そのうちの24%は10年後には乳がんで死亡し、ほぼ半分(47%)は20年後に乳がんで死亡する。
【0004】
全ての女性が乳がんのリスクがある。70パーセントを超える乳がんが、年齢以外の同定可能な危険因子がない女性において生じる(U.S. General Accounting Office. Breast Cancer, 1971-1991: Prevention, Treatment and Research. GAO/PEMD-92-12; 1991)。乳がんの家族歴と関連付けられるのは、乳がんのうちわずか5~10%に過ぎない(Henderson I C, Breast Cancer. In: Murphy G P, Lawrence W L, Lenhard R E (編) Clinical Oncology. Atlanta, Ga.: American Cancer Society; 1995:198-219)。
【0005】
がんは、様々な細胞プロセスにおいて役割を果たしている多数の遺伝子に生じ得る、突然変異の結果であることが多い。多くの場合、がん細胞は、細胞増殖、分裂、分化、または細胞外環境との相互作用などのプロセスを制御する遺伝子中に突然変異を担持する。一例として、細胞の増殖および分裂を促進する細胞表面受容体であるHER2の活性を増加させる突然変異は、多くのがんに関与している。
【0006】
多くの場合、腫瘍は、特定のがん療法に対して耐性であるか、または最初は特定の療法に感受性であるが、後に耐性になる。耐性の発生は、細胞成分の活性を変化させる突然変異(例えば、シグナル伝達分子を構成的に活性にする突然変異)または遺伝子の発現の変化をもたらす突然変異(例えば、HER2などの細胞シグナル伝達受容体の発現の増加をもたらす突然変異)の結果であることが多い。一部の場合、耐性は、がんを、より侵攻性の(例えば、転移性の)形態に形質転換させる突然変異の発生と同時に起こるか、またはその結果生じる。転移性がんは、典型的には、非転移性がんと比較して予後の悪化と相関する。
【0007】
HER2の過剰発現を特徴とするがん(HER2陽性がんと呼ばれる)は、予後不良と相関する、および/または多くの標準治療に対して耐性であることが多い。したがって、HER2陽性がんおよび/または転移性HER2陽性がんなどのがんの処置にとって有効である新しい療法が必要である。本発明は、この必要性を満たし、その上で他の利点も提供する。
【0008】
特許出願、特許刊行物、および科学文献を含む、本明細書で引用される全ての参考文献は、あたかもそれぞれ個々の参考文献が具体的かつ個別的に参照により組み込まれると示されたかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】NCI's Surveillance, Epidemiology, and End Results Program (SEER) publication SEER Cancer Statistic's Review 1973-1997
【非特許文献2】U.S. General Accounting Office. Breast Cancer, 1971-1991: Prevention, Treatment and Research. GAO/PEMD-92-12; 1991
【非特許文献3】Henderson I C, Breast Cancer. In: Murphy G P, Lawrence W L, Lenhard R E (編) Clinical Oncology. Atlanta, Ga.: American Cancer Society; 1995:198-219
【発明の概要】
【0010】
対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量の、多剤毒素排出(MATE)タンパク質の基質による処置を同時に受けていない、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、対象は、過去7日以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去3ヶ月以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去12ヶ月以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、MATEタンパク質の基質による処置を以前に受けたことがない。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、MATEタンパク質は、MATE1である。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、MATEタンパク質は、MATE2Kである。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、MATEタンパク質の基質は、メトホルミン、オキサゾリジノン、フェキソフェナジン、テトラエチルアンモニウム(TEA)、N-メチルフェニルピリジニウム(MPP+)、パラコート、アグマチン、シメチジン、プロカインアミド、プラミペキソール、アテノロール、セロトニン、キニジン、ベラパミル、シスプラチン、オキサリプラチン、およびピリメタミンからなる群から選択される。
【0011】
また、対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量の、有機カチオントランスポーター(OCT)の基質による処置を同時に受けていない、方法も本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、対象は、過去7日以内にOCTの基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去3ヶ月以内にOCTの基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去12ヶ月以内にOCTタンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、OCTタンパク質の基質による処置を以前に受けたことがない。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、OCTは、OCT1である。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、OCTは、OCT2である。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、メトホルミン、オキサゾリジノン、フェキソフェナジン、テトラエチルアンモニウム(TEA)、N-メチルフェニルピリジニウム(MPP+)、パラコート、アグマチン、シメチジン、プロカインアミド、プラミペキソール、アテノロール、セロトニン、キニジン、ベラパミル、シスプラチン、オキサリプラチン、およびピリメタミンからなる群から選択される。
【0012】
また、対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象の腎機能が低下していない、方法も本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、対象は、過去12ヶ月以内に腎機能が低下していない。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、腎機能の低下は、対象における血清クレアチニンレベルに基づいて決定される。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、腎機能の低下は、対象における血清クレアチニンレベルに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、対象は男性であり、対象は1.5mg/dL未満の血清クレアチニンレベルを有するか、または対象は女性であり、1.4mg/dL未満の血清クレアチニンレベルを有する。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、腎機能の低下を、対象が異常なクレアチニンクリアランスを有することに基づいて決定する。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、腎機能の低下を、対象の糸球体濾過率に基づいて決定する。
【0013】
また、対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を同時に受けていない、方法も本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、対象は、過去7日以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去3ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去12ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を以前に受けたことがない。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物は、シトクロムp450タンパク質の活性の阻害剤である。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物は、シトクロムp450タンパク質の活性の強力な阻害剤である。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物は、シトクロムp450タンパク質の活性の誘導剤である。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物は、シトクロムp450タンパク質の活性の強力な誘導剤である。
【0014】
また、対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の基質による処置を同時に受けていない、方法も本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、対象は、過去7日以内にシトクロムp450タンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去3ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去12ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、シトクロムp450タンパク質の基質による処置を以前に受けたことがない。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、シトクロムp450タンパク質の基質は、感受性CYP3A基質である。
【0015】
また、対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量の、P-糖タンパク質(P-gp)の基質による処置を同時に受けていない、方法も本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、対象は、過去7日以内にP-gpの基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去3ヶ月以内にP-gpの基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去12ヶ月以内にP-gpの基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、P-gpの基質による処置を以前に受けたことがない。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、P-gpの基質は、治療指数が狭い基質である。
【0016】
本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、ツカチニブは、約150mg~約650mgの用量で対象に投与される。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、ツカチニブは、約300mgの用量で対象に投与される。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、ツカチニブは、1日1回または2回投与される。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、ツカチニブは、1日2回、約300mgの用量で対象に投与される。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、ツカチニブは、対象に経口投与される。
【0017】
本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、乳がんは、HER2陽性乳がんである。いくつかの実施形態では、がんは、in situハイブリダイゼーション、蛍光in situハイブリダイゼーション、または免疫組織化学を使用してHER2陽性であると決定される。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、乳がんは、転移性である。いくつかの実施形態では、乳がんは、脳に転移している。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、乳がんは、局所的に進行したものである。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、乳がんは、切除不能である。
【0018】
本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、方法は、1つ以上のさらなる治療剤を対象に投与して、乳がんを処置することをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のさらなる治療剤は、カペシタビンおよびトラスツズマブなどの抗HER2抗体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、対象に経口投与される。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、カペシタビンは、1日2回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、トラスツズマブは、皮下投与または静脈内投与される。いくつかの実施形態では、トラスツズマブは、約3週間毎に1回投与される。
【0019】
本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、対象は、乳がんのための1つ以上のさらなる治療剤で以前に処置されたことがある。いくつかの実施形態では、1つ以上のさらなる治療剤は、抗HER2抗体または抗HER2抗体-薬物コンジュゲートである。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、対象は、過去12ヶ月以内に乳がんのための別の治療剤で処置されていない。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、対象は、乳がんのための別の治療剤で以前に処置されたことがない。
【0020】
本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、対象の処置は、約100%などの、少なくとも約85%の腫瘍増殖阻害(TGI)指数をもたらす。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、対象における1つ以上の治療効果が、ベースラインと比較して、対象へのツカチニブの投与後に改善される。いくつかの実施形態では、1つ以上の治療効果は、乳がんに由来する腫瘍のサイズ、客観的奏功率、奏功期間、奏功までの時間、無増悪生存期間および全生存からなる群から選択される。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、対象は、ヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1-1】実施例1に記載の第I相臨床試験の処置および評価のスケジュールを示す図である。
【
図2】メトホルミンのみ、またはツカチニブと組み合わせたメトホルミンで処置した対象に関する、平均(±SD)血漿メトホルミン濃度対時間プロファイルを示すグラフである。
【
図3】メトホルミンのみ、またはツカチニブと組み合わせたメトホルミンで処置した対象に関する、平均(±SD)血漿イオヘキソール濃度対時間プロファイルを示すグラフである。
【
図4】平均(±SD)血漿ツカチニブトラフ濃度対時間を示すグラフである。
【
図5】実施例2に記載の第I相臨床試験のパートAの処置および評価のスケジュールを示す。
【
図6】実施例2に記載の第I相臨床試験のパートBの処置および評価のスケジュールを示す。
【
図7】実施例2に記載の第I相臨床試験のパートCの処置および評価のスケジュールを示す図である。
【
図8】実施例2に記載の第I相臨床試験のパートDの処置および評価のスケジュールを示す。
【
図9】実施例2に記載の第I相臨床試験のパートEの処置および評価のスケジュールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
I.定義
本開示をより容易に理解することができるようにするために、ある特定の用語を最初に定義する。本出願で使用される場合、本明細書で別途明示的に提供される場合を除いて、以下の用語はそれぞれ、以下に記載される意味を有する。さらなる定義は、本出願を通して記載される。
【0023】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が関係する技術分野の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 2nd ed., 2002, CRC Press; The Dictionary of Cell and Molecular Biology, 3rd ed., 1999, Academic Press; およびthe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology, Revised, 2000, Oxford University Pressは、本開示で使用される多くの用語の一般的な辞書を当業者に提供する。本発明の目的のために、以下の用語を定義する。
【0024】
単位、接頭辞、および記号は、その国際単位系(SI)の許容される形態で表示される。数値範囲は、その範囲を規定する数を含む。本明細書で提供される見出しは、全体として本明細書を参照することによって有することができる、本開示の様々な態様の限定ではない。したがって、直下で定義される用語は、全体として本明細書を参照することによってより完全に定義される。
【0025】
本明細書で使用される用語「a」、「an」または「the」は、1つのメンバーを含む態様だけでなく、1より多いメンバーを含む態様も含む。例えば、単数形の「a」、「an」および「the」は、本文が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。かくして、例えば、「細胞(a cell)」に対する参照は、複数のそのような細胞を含み、「薬剤(the agent)」に対する参照は、当業者には公知の1つ以上の薬剤に対する参照などを含む。
【0026】
本明細書で使用される用語「または」は、一般的には、非排他的であると解釈されるべきである。例えば、「AまたはBを含む組成物」に対する特許請求は、典型的には、AとBとの両方を含む組成物を含む態様を提供するであろう。しかしながら、「または」は、矛盾なく組み合わせることができずに提供される態様(例えば、9~10または7~8であるpHの組成物)を除外すると解釈されるべきである。
【0027】
群「AまたはB」は、典型的には、「AおよびBからなる群から選択される」群と同等である。
【0028】
本明細書で使用される用語「および/または」は、他方を含む、または含まない、2つの特定された特徴または成分のそれぞれの特定の開示と取られるべきである。かくして、本明細書で「Aおよび/またはB」などの語句において使用される用語「および/または」は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A(のみ)」、および「B(のみ)」を含むことが意図される。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句において使用される用語「および/または」は、以下の態様のそれぞれ:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(のみ);B(のみ);およびC(のみ)を包含することが意図される。
【0029】
本明細書に記載される本発明の態様および実施形態は、「含む(comprising)」、「からなる(consisting)」および「本質的にからなる(consisting essentially of)」態様および実施形態を含む。
【0030】
本明細書で使用される用語「約」および「およそ」は、一般的には、測定値の性質または正確さを考慮して測定された量に関する許容される程度の誤差を意味する。典型的な、例示的な誤差の程度は、所与の値または値の範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは、10%以内、より好ましくは、5%以内である。「約X」に対する参照は、具体的には、少なくとも値X、0.95X、0.96X、0.97X、0.98X、0.99X、1.01X、1.02X、1.03X、1.04X、および1.05Xを示す。かくして、「約X」は、例えば、「0.98X」の特許請求の限定に関する書かれた記述の支援を教示および提供することが意図される。特に、所与の量を参照する用語「約」および「およそ」は、所与の量自体を包含し、記述する。
【0031】
あるいは、生物系では、用語「約」および「およそ」は、所与の値の1桁以内、好ましくは、5倍以内、より好ましくは、2倍以内である値を意味してもよい。本明細書で与えられる数量は、別途記述しない限り、近似であり、明示的に記述されない場合、用語「約」または「およそ」を推測できることを意味する。
【0032】
「約」が数的範囲の始めに適用される場合、それはその範囲の両端に適用される。かくして、「約5~20%」は、「約5%~約20%」と同等である。「約」が値のセットの最初の値に適用される場合、それはそのセット中の全ての値に適用される。かくして、「約7、9、または11mg/kg」は、「約7、約9、または約11mg/kg」と同等である。
【0033】
本明細書で使用される用語「含む(comprising)」は、一般に、さらなる成分を排除しないと解釈されるべきである。例えば、「Aを含む組成物」に対する特許請求は、AおよびB;A、B、およびC;A、B、C、およびD;A、B、C、D、およびEなどを含む組成物を包含するであろう。
【0034】
本明細書で使用される用語「当時投与」は、2つ以上の構造的に異なる化合物の連続または同時投与を含む。例えば、2つ以上の構造的に異なる薬学活性化合物を、2つ以上の構造的に異なる活性な薬学活性化合物を含有する、経口投与のために適合させた医薬組成物を投与することによって同時投与することができる。別の例として、2つ以上の構造的に異なる化合物を、一方の化合物を投与した後、他方の化合物を投与することによって同時投与することができる。2つ以上の構造的に異なる化合物は、抗HER2抗体とツカチニブとから構成されていてもよい。いくつかの例では、同時投与される化合物は、同じ経路によって投与される。他の例では、同時投与される化合物は、異なる経路によって投与される。例えば、一方の化合物を経口投与し、他方の化合物を、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、または腹腔内注射によって連続的または同時的に投与することができる。同時的または連続的に投与される化合物または組成物を、抗HER2抗体と、ツカチニブとが、有効な濃度で、対象または細胞中に同時に存在するように投与することができる。
【0035】
「がん」とは、体内の異常な細胞の未制御の増殖を特徴とする様々な疾患の広い群を指す。「がん」または「がん組織」は、腫瘍を含んでもよい。未調節の細胞分裂および増殖は、近隣の組織に侵入し、また、リンパ系または血流を介して体内の遠い部分に転移し得る、悪性腫瘍の形成をもたらす。転移後、遠位腫瘍は、転移前腫瘍「に由来する」と言うことができる。例えば、乳がん「に由来する腫瘍」とは、転移した乳がんの結果である腫瘍を指す。
【0036】
がんの文脈では、用語「ステージ」とは、がんの程度の分類を指す。がんのステージを決定する場合に考慮される因子としては、限定されるものではないが、腫瘍サイズ、近隣組織への腫瘍侵入、および腫瘍が他の部位に転移したかどうかが挙げられる。あるステージから別のステージへの分化に関する特定の基準およびパラメーターは、がんの種類に応じて変化し得る。がんのステージングは、例えば、予後を決定するか、または最も適切な処置選択肢を同定するのを補助するために使用される。
【0037】
がんステージングシステムの1つの非限定例は、「TNM」システムと呼ばれる。TNMシステムでは、「T」は、主な腫瘍のサイズおよび程度を指し、「N」は、がんが拡散した近隣のリンパ節の数を指し、「M」は、がんが転移したかどうかを指す。「TX」は、主な腫瘍を測定することができないことを示し、「T0」は、主な腫瘍を認めることができないことを示し、「T1」、「T2」、「T3」および「T4」は、主な腫瘍のサイズまたは程度を示し、ここで、大きい方の数は、より大きい腫瘍または近隣の組織中で増殖した腫瘍に対応する。「NX」は、近隣のリンパ節中のがんを測定することができないことを示し、「N0」は、近隣のリンパ節にがんがないことを示し、「N1」、「N2」、「N3」および「N4」は、がんが拡散したリンパ節の数および位置を示し、ここで、大きい方の数は、がんを含有するリンパ節の数がより多いことに対応する。「MX」は、転移を測定することができないことを示し、「M0」は転移が起こっていないことを示し、「M1」は、がんが体内の他の部分に転移したことを示す。
【0038】
がんステージングシステムの別の非限定例として、がんは、5つのステージ:「ステージ0」、「ステージI」、「ステージII」、「ステージIII」または「ステージIV」の1つを有すると分類または等級付けられる。ステージ0は、異常な細胞が存在するが、近隣組織に拡散していないことを示す。これは、in situの癌(CIS)とも一般的に呼ばれる。CISは、がんではないが、後にがんに発達し得る。 ステージI、II、およびIIIは、がんが存在することを示す。より高い数は、より大きい腫瘍サイズまたは近隣組織に拡散した腫瘍に対応する。ステージIVは、がんが転移したことを示す。当業者であれば、異なるがんステージングシステムに精通し、それらを容易に適用または解釈することができるであろう。
【0039】
用語「HER2」(HER2/neu、ERBB2、CD340、受容体チロシンタンパク質キナーゼerbB-2、プロトオンコジーンNeu、およびヒト上皮増殖因子受容体2としても知られる)は、ヒト上皮増殖因子受容体(HER/EGFR/ERBB)ファミリーの受容体チロシンキナーゼのメンバーを指す。HER2の増幅または過剰発現は、結腸直腸がん、胃がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん(NSCLC))、胆管がん(例えば、胆管癌、胆嚢がん)、膀胱がん、食道がん、メラノーマ、卵巣がん、肝臓がん、前立腺がん、膵がん、小腸がん、頭頸部がん、子宮がん、子宮頸がん、および乳がんなどの、ある特定の侵攻型のがんの発達および進行において重要な役割を果たしている。HER2ヌクレオチド配列の非限定例は、GenBank参照番号NP_001005862、NP_001289936、NP_001289937、NP_001289938、およびNP_004448に記載されている。HER2ペプチド配列の非限定例は、GenBank参照番号NP_001005862、NP_001276865、NP_001276866、NP_001276867、およびNP_004439に記載されている。
【0040】
HER2が細胞中または細胞上で増幅または過剰発現される場合、その細胞は「HER2陽性」であると呼ばれる。HER2陽性細胞中でのHER2の増幅または過剰発現のレベルは、0~3の範囲のスコア(すなわち、HER2 0、HER2 1+、HER2 2+、またはHER2 3+)として一般に表され、より高いスコアは、より高い程度の発現に対応する。
【0041】
ONT-380およびARRY-380としても知られる、用語「ツカチニブ」は、HER2活性化を抑制する、または遮断する低分子チロシンキナーゼ阻害剤を指す。ツカチニブは、以下の構造を有する:
【0042】
【0043】
用語「抗HER2抗体」とは、HER2タンパク質に結合する抗体を指す。がんの処置のために使用される抗HER2抗体は、典型的には、モノクローナルであるが、ポリクローナル抗体はこの用語によって排除されない。抗HER2抗体は、様々なメカニズムによってHER2活性化または下流のシグナル伝達を阻害する。非限定例として、抗HER2抗体は、リガンド結合、受容体活性化もしくは受容体シグナル増殖を防止し、細胞表面へのHER2発現もしくは局在化の減少をもたらし、HER2切断を阻害するか、または抗体媒介性細胞傷害を誘導することができる。本発明の方法および組成物における使用にとって好適である抗HER2抗体の非限定例としては、トラスツズマブ、ペルツズマブ、アド-トラスツズマブエムタンシン(T-DM1としても知られる)、マルゲツキシマブ、およびその組合せが挙げられる。
【0044】
用語「腫瘍増殖阻害(TGI)指数」とは、薬剤(例えば、ツカチニブ、カペシタビン、抗HER2抗体、またはその組合せ)が、未処置の対照と比較した場合、腫瘍の増殖を阻害する程度を表すのに使用される値を指す。TGI指数は、以下の式:
【0045】
【数1】
(式中、「Tx 0日目」は、処置が投与される最初の日(すなわち、実験療法または対照療法(例えば、ビヒクルのみ)が投与される最初の日)を示し、「Tx X日目」は、0日目の後の日数Xを示す)に従って、特定の時点(例えば、実験または臨床試験中の特定の日数)について算出される。典型的には、処置群および対照群の平均容積が用いられる。非限定例として、試験0日目が「Tx 0日目」に対応し、TGI指数が試験28日目(すなわち、「Tx 28日目」)に算出される実験においては、試験0日目の両群の平均腫瘍容積が250mm
3であり、実験群および対照群の平均腫瘍容積が、それぞれ、125mm
3および750mm
3である場合、28日目のTGI指数は、125%である。
【0046】
本明細書で使用される用語「相乗的」または「相乗作用」とは、成分または薬剤の組合せ(例えば、ツカチニブと抗HER2抗体との組合せ)の投与が、個々の成分の付加的特性または効果に基づいて予想される効果よりも高い効果(例えば、腫瘍増殖の阻害、生存時間の延長)をもたらす場合に観察される結果を指す。いくつかの実施形態では、相乗効果は、Bliss分析(例えば、あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Foucquierら、Pharmacol. Res. Perspect. (2015) 3(3):e00149を参照されたい)を実施することによって決定される。Bliss Independenceモデルは、薬物の効果が、確率的なプロセスの結果であることを推測し、薬物が完全に独立して作用する(すなわち、薬物が互いに干渉しない(例えば、薬物が異なる作用部位を有する)が、それぞれが共通の結果に寄与する)と推測する。Bliss Independenceモデルによれば、2つの薬物の組合せの予測される効果は、式:
【0047】
【数2】
(式中、E
AおよびE
Bは、それぞれ、薬物AおよびBの効果を表し、E
ABは、薬物AとBの組合せの効果を表す)を使用して算出される。組合せの観察される効果が予測される効果E
ABよりも大きい場合、2つの薬物の組合せは、相乗的であると考えられる。組合せの観察される効果がE
ABと等しい場合、2つの薬物の組合せの効果は、付加的であると考えられる。あるいは、組合せの観察される効果がE
ABよりも小さい場合、2つの薬物の組合せは拮抗的であると考えられる。
【0048】
薬物の組合せの観察される効果は、例えば、TGI指数、腫瘍サイズ(例えば、容積、質量)、2つの時点間(例えば、処置が投与される第1日と、処置が最初に投与された後の特定の日数との間)の腫瘍サイズ(例えば、容積、質量)の絶対変化、2つ以上の時点間(例えば、処置が投与される第1日と、処置が最初に投与された後の特定の日数との間)の腫瘍サイズ(例えば、容積、質量)の変化の速度、または対象もしくは対象集団の生存時間に基づいてもよい。TGI指数が薬物の組合せの観察される効果の尺度として取られる場合、TGI指数を、1つ以上の時点で決定することができる。TGI指数が2つ以上の時点で決定される場合、いくつかの例では、複数のTGI指数の平均値または中央値を、観察される効果の尺度として使用することができる。さらに、TGI指数を、単一の対象または対象集団において決定することができる。TGI指数が集団において決定される場合、集団における平均または中央TGI指数(例えば、1つ以上の時点での)を、観察される効果の尺度として使用することができる。腫瘍サイズまたは腫瘍増殖の速度が観察される効果の尺度として使用される場合、腫瘍サイズまたは腫瘍増殖の速度を、対象または対象集団において測定することができる。いくつかの例では、腫瘍サイズまたは腫瘍増殖の平均値または中央値は、2つ以上の時点での対象について、または1つ以上の時点での対象集団の間で決定される。生存時間が集団において測定される場合、平均または中央生存時間を、観察される効果の尺度として使用することができる。
【0049】
予測される組合せ効果EABを、組合せを構成する薬物(例えば、ツカチニブと抗HER2抗体)の単回用量または複数回用量を使用して算出することができる。いくつかの実施形態では、予測される組合せ効果EABは、それぞれの薬物AおよびB(例えば、ツカチニブおよび抗HER2抗体)の単回用量のみを使用して算出され、EAおよびEBの値は、単一の薬剤として投与される場合のそれぞれの薬物の観察される効果に基づく。EAおよびEBの値が、単一の薬剤として薬物AおよびBを投与する観察される効果に基づく場合、EAおよびEBは、例えば、TGI指数、1つ以上の時点で測定される腫瘍サイズ(例えば、容積、質量)、2つ以上の時点間(例えば、処置が投与される第1日と、処置が最初に投与された後の特定の日数との間)の腫瘍サイズ(例えば、容積、質量)の絶対変化、2つ以上の時点間(例えば、処置が投与される第1日と、処置が最初に投与された後の特定の日数との間)の腫瘍サイズ(例えば、容積、質量)の変化の速度、またはそれぞれの処置群の対象もしくは対象集団の生存時間に基づいてもよい。
【0050】
TGI指数が観察される効果の尺度として取られる場合、TGI指数を、1つ以上の時点で決定することができる。TGI指数が2つ以上の時点で決定される場合、いくつかの例では、平均値または中央値を、観察される効果の尺度として使用することができる。さらに、TGI指数を、それぞれの処置群の単一の対象または対象集団において決定することができる。TGI指数が対象集団において決定される場合、それぞれの集団における平均または中央TGI指数(例えば、1つ以上の時点での)を、観察される効果の尺度として使用することができる。腫瘍サイズまたは腫瘍増殖の速度が観察される効果の尺度として使用される場合、腫瘍サイズまたは腫瘍増殖の速度を、それぞれの処置群の対象または対象集団において測定することができる。いくつかの例では、腫瘍サイズまたは腫瘍増殖の平均値または中央値は、2つ以上の時点での対象について、または1つ以上の時点での対象集団の間で決定される。生存時間が集団において測定される場合、平均または中央生存時間を、観察される効果の尺度として使用することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、予測される組合せ効果EABは、用量範囲を使用して算出される(すなわち、単一の薬剤として投与される場合のそれぞれの薬物の効果が、複数の用量で観察され、複数の用量での観察される効果が、特定の用量での予測される組合せ効果を決定するために使用される)。非限定例として、EABを、以下の式:
【0052】
【数3】
(式中、E
AmaxおよびE
Bmaxは、それぞれ、薬物AおよびBの最大効果であり、A
50およびB
50は、それぞれ、薬物AおよびBの半数効果用量であり、aおよびbは、それぞれ、薬物AおよびBの投与用量であり、pおよびqは、それぞれ、薬物AおよびBに関する用量応答曲線の形状に由来する係数である(Foucquierら、Pharmacol. Res. Perspect. (2015) 3(3):e00149を参照されたい))に従って算出されるE
AおよびE
Bの値を使用して算出することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、2つ以上の薬物の組合せは、組合せが薬物の組合せに関する予測されるTGI指数より大きい観察されるTGI指数をもたらす場合(例えば、予測されるTGI指数が、薬物が付加的である組合せ効果をもたらしたとの前提に基づく場合)に相乗的であると考えられる。いくつかの例では、組合せは、観察されるTGI指数が、薬物の組合せに関する予測されるTGI指数よりも少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または80%大きい場合、相乗的であると考えられる。
【0054】
いくつかの実施形態では、腫瘍増殖の速度(例えば、腫瘍のサイズ(例えば、容積、質量)の変化の速度)が、薬物の組合せが相乗的であるかどうかを決定するために使用される(例えば、薬物の組合せは、腫瘍増殖の速度が、薬物の組合せが付加効果をもたらした場合に予想されるものよりも遅い場合、相乗的である)。他の実施形態では、生存時間が、薬物の組合せが相乗的であるかどうかを決定するために使用される(例えば、対象または対象集団の生存時間が、薬物の組合せが付加効果をもたらした場合に予想されるものよりも長い場合、薬物の組合せは相乗的である)。
【0055】
対象の「処置」または「療法」とは、疾患と関連する症状、合併症、状態、または生化学的指標の開始、進行、発達、重症度、または再発を逆転させる、軽減する、改善する、阻害する、減速させる、または防止する目的で、対象に対して実施される任意の型の介入もしくはプロセス、または対象への活性薬剤の投与を指す。いくつかの実施形態では、疾患は、がんである。
【0056】
「対象」は、任意のヒトまたは非ヒト動物を含む。用語「非ヒト動物」は、限定されるものではないが、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ならびにマウス、ラット、およびモルモットなどのげっ歯類などの脊椎動物を含む。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。用語「対象」および「患者」および「個体」は、本明細書では互換的に使用される。
【0057】
薬物または治療剤の「有効量」または「治療有効量」または「治療有効用量」は、単独で、または別の治療剤と組み合わせて使用される場合、疾患の開始に対して対象を保護する、または疾患症状の重症度の低下、疾患症状のない期間の頻度および持続時間の増大、もしくは疾患の苦痛に起因する障害もしくは身体障害の防止によって証明される疾患退縮を促進する薬物の任意の量である。治療剤が疾患退縮を促進する能力を、臨床試験中のヒト対象において、ヒトにおける有効性を予測する動物モデル系において、またはin vitroアッセイにおいて薬剤の活性をアッセイすることによるなど、当業者には公知の様々な方法を使用して評価することができる。
【0058】
例として、腫瘍の処置のために、治療有効量の抗がん剤は、細胞増殖または腫瘍増殖を、未処置の対象(例えば、1以上の未処置の対象)と比較して、処置された対象(例えば、1以上の処置された対象)において、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%阻害する。いくつかの実施形態では、治療有効量の抗がん剤は、細胞増殖または腫瘍増殖を、未処置の対象(例えば、1以上の未処置の対象)と比較して、処置された対象(例えば、1以上の処置された対象)において100%阻害する。
【0059】
本開示の他の実施形態では、腫瘍退縮を観察することができ、それは少なくとも約20日、少なくとも約30日、少なくとも約40日、少なくとも約50日、または少なくとも約60日の期間にわたって継続する。
【0060】
治療有効量の薬物(例えば、ツカチニブ)は、がんを発症するリスクがある対象(例えば、前がん状態を有する対象)またはがんの再発に罹患している対象に、単独で、または抗がん剤と組み合わせて投与した場合、がんの発症または再発を阻害する薬物の任意の量である、「予防有効量」を含む。いくつかの実施形態では、予防有効量は、がんの発症または再発を完全に防止する。がんの発症または再発を「阻害すること」は、がんの発症もしくは再発の可能性を低下させること、またはがんの発症もしくは再発を完全に防止することを意味する。
【0061】
本明細書で使用される場合、「治療量以下の用量」は、過増殖性疾患(例えば、がん)の処置のために単独で投与される場合の治療化合物の通常の、または典型的な用量よりも低い治療化合物(例えば、ツカチニブ)の用量を意味する。
【0062】
例として、「抗がん剤」は、対象におけるがん退縮を促進する。いくつかの実施形態では、治療有効量の薬物は、がんを除去する点までがん退縮を促進する。「がん退縮を促進すること」は、単独での、または抗がん剤と組み合わせた、有効量の薬物の投与が、腫瘍増殖もしくはサイズの低減、腫瘍の壊死、少なくとも1つの疾患症状の重症度の低下、疾患症状がない期間の頻度および持続時間の増大、または疾患の苦痛に起因する障害もしくは身体障害の防止をもたらすことを意味する。さらに、処置に関する用語「有効」および「有効性」は、薬理学的有効性と、生理学的安全性との両方を含む。薬理学的有効性とは、患者におけるがん退縮を促進する薬物の能力を指す。生理学的安全性とは、薬物の投与の結果もたらされる、細胞、臓器および/または生物レベルでの毒性のレベルまたは他の有害な生理学的効果(有害効果)を指す。
【0063】
「持続的応答」とは、処置の停止後に腫瘍増殖を低減させる持続的効果を指す。例えば、腫瘍サイズは、投与段階の開始時のサイズと比較して同じであるか、またはより小さいままであってもよい。いくつかの実施形態では、持続的応答は、処置期間と少なくとも同じである、または処置期間よりも少なくとも1.5、2.0、2.5、もしくは3倍長い持続時間を有する。
【0064】
本明細書で使用される場合、「完全寛解」または「CR」とは、全ての標的病変の消失を指す;「部分寛解」または「PR」とは、ベースライン最長直径合計(SLD)を参照として取る、標的病変のSLDの少なくとも30%の減少を指す;「安定疾患」または「SD」とは、処置が開始して以来の最小のSLDを参照として取る、PRの資格を得るほどの標的病変の十分な縮小でもなく、PDの資格を得るほどの十分な増加でもないことを指す。
【0065】
本明細書で使用される場合、「無増悪生存期間」または「PFS」とは、処置される疾患(例えば、乳がん)が悪化しない処置中および処置後の時間の長さを指す。無増悪生存期間は、患者が完全寛解または部分寛解を経験した時間量、ならびに患者が安定疾患を経験した時間量を含んでもよい。
【0066】
本明細書で使用される場合、「全奏功率」または「ORR」とは、完全寛解(CR)率と部分寛解(PR)率との和を指す。
【0067】
本明細書で使用される場合、「全生存」または「OS」とは、特定の期間後に生存している可能性が高い群の個体のパーセンテージを指す。
【0068】
本明細書で言及される用語「重量ベースの用量」とは、対象に投与される用量が、対象の重量に基づいて算出されることを意味する。例えば、60kg体重の対象が、6.0mg/kgの、トラスズマブなどの薬剤を必要とする場合、当業者であれば、前記対象への投与のための薬剤の適切な量(すなわち、360mg)を計算し、使用することができる。
【0069】
本開示の方法に関する用語「固定用量」の使用は、2つ以上の異なる薬剤(例えば、ツカチニブと抗HER2抗体)が、互いに特定の(固定)比で対象に投与されることを意味する。いくつかの実施形態では、固定用量は、薬剤の量(例えば、mg)に基づく。ある特定の実施形態では、固定用量は、薬剤の濃度(例えば、mg/ml)に基づく。例えば、対象に投与されるツカチニブの抗HER2抗体に対する1:2の比は、約300mgのツカチニブと約600mgの抗HER2抗体または約3mg/mlのツカチニブと約6mg/mlの抗HER2抗体が対象に投与されることを意味してもよい。
【0070】
本開示の方法および用量に関する用語「一律用量」の使用は、対象の重量または体表面積(BSA)に関係なく対象に投与される用量を意味する。一律用量は、したがって、mg/kg用量として提供されないが、むしろ、薬剤(例えば、ツカチニブまたは抗HER2抗体)の絶対量として提供される。例えば、60kg体重の対象および100kg体重の対象は、同じ用量(例えば、300mg)のツカチニブを受けるであろう。
【0071】
語句「薬学的に許容される」は、物質または組成物が、製剤を含む他の成分と化学的および/もしくは毒性的に、ならびに/またはそれを用いて処置される哺乳動物と適合しなければならないことを示す。
【0072】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される担体」とは、活性薬剤の細胞、生物、または対象への投与を補助する物質を指す。「薬学的に許容される担体」とは、本発明の組成物中に含有させることができ、対象に対して有意な有害毒性効果を引き起こさない担体または賦形剤を指す。薬学的に許容される担体の非限定例としては、水、NaCl、生理食塩水、乳酸加リンゲル液、ノーマルスクロース、ノーマルグルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング、甘味料、香料および着色料、リポソーム、分散媒体、マイクロカプセル、カチオン性脂質担体、等張剤および吸収遅延剤などが挙げられる。担体はまた、製剤に安定性、無菌性および等張性を提供するための物質(例えば、抗微生物保存剤、酸化防止剤、キレート剤および緩衝剤)、微生物の作用を防止するための物質(例えば、抗微生物剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸など)、または製剤に食用の香味を提供するための物質であってもよい。いくつかの例では、担体は、標的細胞または組織への低分子薬物または抗体の送達を容易にする薬剤である。当業者であれば、他の薬学的担体が本発明において有用であることを認識するであろう。
【0073】
本明細書で使用される語句「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物の薬学的に許容される有機または無機塩を指す。例示的な塩としては、限定されるものではないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、過クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、「メシレート」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(すなわち、4,4'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩)、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)塩、ならびにアンモニウム塩が挙げられる。薬学的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオンまたは他の対抗イオンなどの別の分子の含有を含んでもよい。対抗イオンは、親化合物の電荷を安定化する任意の有機または無機部分であってもよい。さらに、薬学的に許容される塩は、その構造中に1より多い荷電原子を有してもよい。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である例は、複数の対抗イオンを有してもよい。したがって、薬学的に許容される塩は、1以上の荷電原子および/または1以上の対抗イオンを有してもよい。
【0074】
「投与すること」または「投与」とは、当業者には公知の様々な方法および送達系のいずれかを使用する、対象への治療剤の物理的導入を指す。例示的な投与経路としては、経口、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄または他の非経口投与経路、例えば、注射もしくは輸注(例えば、静脈内輸注)が挙げられる。本明細書で使用される語句「非経口投与」は、通常は注射による、腸および局所投与以外の投与様式を意味し、限定されるものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ管内、病変内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、気管内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内注射および輸注、ならびにin vivoでのエレクトロポレーションが挙げられる。治療剤を、非経口経路により、または経口的に投与することができる。他の非経口経路としては、局所、表皮または粘膜投与経路、例えば、鼻内、膣内、直腸、舌下または局所が挙げられる。投与を、例えば、1回、複数回、および/または1以上の延長期間にわたって実施することもできる。
【0075】
本明細書では互換的に使用される用語「ベースライン」または「ベースライン値」は、両方の投与前、または両方の投与の開始時の症状の測定値または特徴付けを指してもよい。ベースライン値を、参照値と比較して、本明細書で企図される疾患(例えば、乳がん)の症状の低減または改善を決定することができる。本明細書では互換的に使用される用語「参照」または「参照値」は、両方の投与後の症状の測定値または特徴付けを指してもよい。参照値を、投薬レジメンもしくは処置サイクルの間に1回以上、または投薬レジメンもしくは処置サイクルの完了時に測定することができる。「参照値」は、絶対値;相対値;上限および/もしくは下限を有する値;値の範囲;代表(average)値;中央値;平均(mean)値;またはベースライン値と比較した値であってもよい。
【0076】
同様に、「ベースライン値」は、絶対値;相対値;上限および/もしくは下限を有する値;値の範囲;代表(average)値;中央値;平均(mean)値;または参照値と比較した値であってもよい。参照値および/またはベースライン値を、1の個体から、2の異なる個体から、または個体群(例えば、2、3、4、5以上の個体の群)から取得することができる。
【0077】
本明細書で使用される用語「単剤療法」は、ツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物が、処置サイクルの間に対象に投与される唯一の抗がん剤であることを意味する。しかしながら、他の治療剤を対象に投与してもよい。例えば、炎症、疼痛、体重減少、および全身倦怠感を含む、基礎となるがん自体ではなく、がんと関連する症状を処置するために、例えば、がんを有する対象に投与される抗炎症剤または他の薬剤を、単剤療法の期間に投与することができる。
【0078】
本明細書で使用される場合、「有害事象」(AE)は、医学的処置の使用と関連する、任意の好ましくない、一般的には、意図しない、または望ましくない兆候(検査所見異常を含む)、症状、または疾患である。医学的処置は、1つ以上の関連するAEを有し、それぞれのAEは同じか、または異なるレベルの重症度を有し得る。「有害事象を変化させる」ことができる方法に対する参照は、異なる処置レジメンの使用と関連する1つ以上のAEの発生および/または重症度を低下させる処置レジメンを意味する。
【0079】
本明細書で使用される場合、「重篤有害事象」または「SAE」は、以下の基準のうちの1つを満たす有害事象である:
・致死的、または生命を脅かすものである(重篤有害事象の定義で使用されるように、「生命を脅かす」とは、患者が事象の時点で死亡の危険にあった事象を指す;それは仮定でそれがより重篤であった場合に死亡を引き起こしたかもしれない事象を指すものではない)。
・永続的または有意な身体障害/無能力をもたらす。
・先天異常/出生異常である。
・医学的に有意である、すなわち、患者を危険にさらすか、または上に列挙された転帰の1つを防止するために内科的もしくは外科的介入を必要とし得る事象と定義される。医学的および科学的判断は、AEが「医学的に有意」であるかどうかの決定において訓練する必要がある。
・以下:1)状態の悪化と関連しない、基礎疾患の日常的な処置またはモニタリング;2)試験中の適応症と関連せず、インフォームドコンセントに署名して以来悪化していない、元々存在する状態の選択的処置または予め計画された処置;および3)患者の全身状態の悪化が存在しない中での社会的理由およびレスパイトケアを除く、院内入院または現行の入院の延長を必要とする。
【0080】
本明細書で使用される場合、用語「約毎週1回」、「約2週毎に1回」または他の類似する投薬間隔の用語は、近似数を意味する。「約毎週1回」は、7日±1日毎、すなわち、6日毎~8日毎を含んでもよい。「約2週毎に1回」は、14日±2日毎、すなわち、12日毎~16日毎を含んでもよい。「約3週毎に1回」は、21日±3日毎、すなわち、18日毎~24日毎を含んでもよい。同様の近似は、例えば、約4週毎に1回、約5週毎に1回、約6週毎に1回、および約12週毎に1回にも適用される。いくつかの実施形態では、約6週毎に1回または約12週毎に1回の投薬間隔は、第1の用量を、第1週の任意の日に投与した後、次の用量を、それぞれ、第6週または第12週の任意の日に投与してもよいことを意味する。他の実施形態では、約6週毎に1回または約12週毎に1回の投薬間隔は、第1の用量が第1週の特定の日(例えば、月曜日)に投与され、次いで、次の用量が、それぞれ、第6週または第12週の同じ日(すなわち、月曜日)に投与されることを意味する。
【0081】
本明細書に記載されるように、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比範囲、または整数範囲は、別途指摘しない限り、記載される範囲内の任意の整数の値、および適切な場合、その分数(整数の1/10および1/100など)を含むことが理解されるべきである。
【0082】
本開示の様々な態様は、以下の小節でさらに詳細に説明される。
【0083】
II.実施形態の説明
A.ツカチニブを用いて乳がんを処置するための方法
一態様では、本発明は、対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量の、多剤毒素排出(MATE)タンパク質の基質による処置を同時に受けていない、方法を提供する。いくつかの実施形態では、MATEタンパク質は、MATE1である。いくつかの実施形態では、MATEタンパク質は、MATE2Kである。対象がMATEタンパク質の基質による処置を同時に受けている場合、それは、対象が、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与される、1日以内、2日以内、3日以内、4日以内、5日以内、または6日以内などの、7日未満以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けたことを意味する。
【0084】
別の態様では、本発明は、対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与されるある特定の期間内に、治療有効量の、MATEタンパク質の基質による処置を受けていない、方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与される前の過去7日、10日、2週間、3週間、4週間、6週間、2ヶ月、3ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年または10年以内に治療有効量の、MATEタンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去7日以内に治療有効量の、MATEタンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去3ヶ月以内に治療有効量の、MATEタンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去12ヶ月以内に治療有効量の、MATEタンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、MATEタンパク質の基質による処置を以前に受けたことがない。いくつかの実施形態では、MATEタンパク質は、MATE1である。いくつかの実施形態では、MATEタンパク質は、MATE2Kである。
【0085】
いくつかの実施形態では、MATEタンパク質の基質は、メトホルミン、オキサゾリジノン、フェキソフェナジン、テトラエチルアンモニウム(TEA)、N-メチルフェニルピリジニウム(MPP+)、パラコート、アグマチン、シメチジン、プロカインアミド、プラミペキソール、アテノロール、セロトニン、キニジン、ベラパミル、シスプラチン、オキサリプラチン、およびピリメタミンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、MATEタンパク質の基質は、メトホルミンである。
【0086】
一態様では、本発明は、対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量の、有機カチオントランスポーター(OCT)の基質による処置を同時に受けていない、方法を提供する。いくつかの実施形態では、OCTは、OCT1である。いくつかの実施形態では、OCTタンパク質は、OCT2である。対象がOCTの基質による処置を同時に受けている場合、それは、対象が、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与される、1日以内、2日以内、3日以内、4日以内、5日以内、または6日以内などの、7日未満以内にOCTの基質による処置を受けたことを意味する。
【0087】
別の態様では、本発明は、対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与されるある特定の期間内に、治療有効量の、OCTの基質による処置を受けていない、方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与される前の過去7日、10日、2週間、3週間、4週間、6週間、2ヶ月、3ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年または10年以内に治療有効量の、OCTの基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去7日以内に治療有効量の、OCTの基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去3ヶ月以内に治療有効量の、OCTの基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去12ヶ月以内に治療有効量の、OCTタンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、OCTの基質による処置を以前に受けたことがない。いくつかの実施形態では、OCTタンパク質は、OCT1である。いくつかの実施形態では、OCTタンパク質は、OCT2である。
【0088】
いくつかの実施形態では、OCTタンパク質の基質は、メトホルミン、オキサゾリジノン、フェキソフェナジン、テトラエチルアンモニウム(TEA)、N-メチルフェニルピリジニウム(MPP+)、パラコート、アグマチン、シメチジン、プロカインアミド、プラミペキソール、アテノロール、セロトニン、キニジン、ベラパミル、シスプラチン、オキサリプラチン、およびピリメタミンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、OCTタンパク質の基質は、メトホルミンである。
【0089】
別の態様では、本発明は、対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量の、OCTの基質またはMATEタンパク質の基質による処置を同時に受けていない、方法を提供する。いくつかの実施形態では、MATEタンパク質は、MATE1である。いくつかの実施形態では、MATEタンパク質は、MATE2Kである。いくつかの実施形態では、MATEタンパク質の基質は、メトホルミン、オキサゾリジノン、フェキソフェナジン、テトラエチルアンモニウム(TEA)、N-メチルフェニルピリジニウム(MPP+)、パラコート、アグマチン、シメチジン、プロカインアミド、プラミペキソール、アテノロール、セロトニン、キニジン、ベラパミル、シスプラチン、オキサリプラチン、およびピリメタミンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、MATEタンパク質の基質は、メトホルミンである。いくつかの実施形態では、OCTは、OCT1である。いくつかの実施形態では、OCTタンパク質は、OCT2である。いくつかの実施形態では、OCTタンパク質の基質は、メトホルミン、オキサゾリジノン、フェキソフェナジン、テトラエチルアンモニウム(TEA)、N-メチルフェニルピリジニウム(MPP+)、パラコート、アグマチン、シメチジン、プロカインアミド、プラミペキソール、アテノロール、セロトニン、キニジン、ベラパミル、シスプラチン、オキサリプラチン、およびピリメタミンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、OCTタンパク質の基質は、メトホルミンである。対象がMATEタンパク質の基質またはOCTの基質による処置を同時に受けている場合、それは、対象が、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与される、1日以内、2日以内、3日以内、4日以内、5日以内、または6日以内などの、7日未満以内にMATEタンパク質の基質またはOCTの基質による処置を受けたことを意味する。
【0090】
別の態様では、本発明は、対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与されるある特定の期間内に、治療有効量の、MATEタンパク質の基質またはOCTの基質による処置を受けていない、方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与される前の過去7日、10日、2週間、3週間、4週間、6週間、2ヶ月、3ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年または10年以内に治療有効量の、MATEタンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去7日以内に治療有効量の、MATEタンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去3ヶ月以内に治療有効量の、MATEタンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去12ヶ月以内に治療有効量の、MATEタンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、MATEタンパク質の基質による処置を以前に受けたことがない。いくつかの実施形態では、MATEタンパク質は、MATE1である。いくつかの実施形態では、MATEタンパク質は、MATE2Kである。いくつかの実施形態では、MATEタンパク質の基質は、メトホルミン、オキサゾリジノン、フェキソフェナジン、テトラエチルアンモニウム(TEA)、N-メチルフェニルピリジニウム(MPP+)、パラコート、アグマチン、シメチジン、プロカインアミド、プラミペキソール、アテノロール、セロトニン、キニジン、ベラパミル、シスプラチン、オキサリプラチン、およびピリメタミンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、MATEタンパク質の基質は、メトホルミンである。いくつかの実施形態では、対象は、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与される前の過去1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、2週間、3週間、4週間、6週間、2ヶ月、3ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年または10年以内に治療有効量の、OCTの基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去7日以内に治療有効量の、OCTの基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去3ヶ月以内に治療有効量の、OCTの基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去12ヶ月以内に治療有効量の、OCTタンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、OCTの基質による処置を以前に受けたことがない。いくつかの実施形態では、OCTタンパク質は、OCT1である。いくつかの実施形態では、OCTタンパク質は、OCT2である。いくつかの実施形態では、OCTタンパク質の基質は、メトホルミン、オキサゾリジノン、フェキソフェナジン、テトラエチルアンモニウム(TEA)、N-メチルフェニルピリジニウム(MPP+)、パラコート、アグマチン、シメチジン、プロカインアミド、プラミペキソール、アテノロール、セロトニン、キニジン、ベラパミル、シスプラチン、オキサリプラチン、およびピリメタミンからなる群から選択されるいくつかの実施形態では、OCTタンパク質の基質は、メトホルミンである。
【0091】
別の態様では、本発明は、対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象の腎機能が低下していない、方法を提供する。別の態様では、本発明は、対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与されるある特定の期間内に、対象の腎機能が低下していない、方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与される前の過去1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、2週間、3週間、4週間、6週間、2ヶ月、3ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年または10年以内に腎機能が低下していない。いくつかの実施形態では、対象は、過去12ヶ月以内に腎機能が低下していない。いくつかの実施形態では、腎機能の低下は、対象における血清クレアチニンレベルに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、腎機能が低下していない対象は、男性であり、1.5mg/dL未満、1.4mg/dL未満、1.3mg/dL未満、1.2mg/dL未満、1.1mg/dL未満、または1.0mg/dL未満の血清クレアチニンレベルを有する。いくつかの実施形態では、腎機能が低下していない対象は、男性であり、1.5mg/dL未満の血清クレアチニンレベルを有する。いくつかの実施形態では、腎機能が低下していない対象は、女性であり、1.4mg/dL未満、1.3mg/dL未満、1.2mg/dL未満、1.1mg/dL未満、または1.0mg/dL未満の血清クレアチニンレベルを有する。いくつかの実施形態では、腎機能が低下していない対象は、女性であり、1.4 mg/dL未満の血清クレアチニンレベルを有する。いくつかの実施形態では、腎機能の低下を、対象が異常なクレアチニンクリアランスを有することに基づいて決定する。いくつかの実施形態では、腎機能の低下を、対象の糸球体濾過率に基づいて決定する。
【0092】
別の態様では、本発明は、対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を同時に受けていない、方法を提供する。対象がシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を同時に受けている場合、それは、対象が、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与される、1日以内、2日以内、3日以内、4日以内、5日以内、または6日以内などの、7日未満以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けたことを意味する。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物は、シトクロムp450タンパク質の活性の阻害剤である。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質は、CYP3A4である。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシンおよびトロレアンドマイシンなど)、アゾール系抗生物質(イトラコナゾール、ケトコナゾール、ボリコナゾールおよびポサコナゾールなど)、ネファゾドンおよびジルチアゼム(diliazem)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシンおよびトロレアンドマイシンなど)である。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、クラリスロマイシンである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、トロレアンドマイシンである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、アゾール系抗生物質(イトラコナゾール、ケトコナゾール、ボリコナゾールおよびポサコナゾールなど)である。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、イトラコナゾールである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、ケトコナゾールである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、ボリコナゾールである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、ポサコナゾールである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、ネファゾドンである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、ジルチアゼムである。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質は、CYP2C8である。いくつかの実施形態では、CYP2C8の活性を阻害する化合物は、ゲムフィブロジル、モンテルカスト、トリメトプリムおよびクロピドグレルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、CYP2C8の活性を阻害する化合物は、ゲムフィブロジルである。いくつかの実施形態では、CYP2C8の活性を阻害する化合物は、モンテルカストである。いくつかの実施形態では、CYP2C8の活性を阻害する化合物は、トリメトプリムである。いくつかの実施形態では、CYP2C8の活性を阻害する化合物は、クロピドグレルである。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物は、シトクロムp450タンパク質の活性の誘導剤である。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質は、CYP3A4である。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を誘導する化合物は、バルビツール酸系、カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピンおよびセントジョーンズワートからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を誘導する化合物は、バルビツール酸系である。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を誘導する化合物は、カルバマゼピンである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を誘導する化合物は、フェニトインである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を誘導する化合物は、リファンピンである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を誘導する化合物は、セントジョーンズワートである。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質は、CYP2C8である。いくつかの実施形態では、CYP2C8の活性を誘導する化合物は、リファンピンである。
【0093】
別の態様では、本発明は、対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与される前の過去7日、10日、2週間、3週間、4週間、6週間、2ヶ月、3ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年または10年以内に、治療有効量の、シトクロムp450の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、過去7日以内に、治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去3ヶ月以内に、治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去12ヶ月以内に、治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を以前に受けたことがない。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物は、シトクロムp450タンパク質の活性の阻害剤である。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物は、シトクロムp450タンパク質の活性の強力な阻害剤である。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質は、CYP3A4である。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシンおよびトロレアンドマイシンなど)、アゾール系抗生物質(イトラコナゾール、ケトコナゾール、ボリコナゾールおよびポサコナゾールなど)、ネファゾドンおよびジルチアゼムからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシンおよびトロレアンドマイシンなど)である。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、クラリスロマイシンである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、トロレアンドマイシンである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、アゾール系抗生物質(イトラコナゾール、ケトコナゾール、ボリコナゾールおよびポサコナゾールなど)である。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、イトラコナゾールである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、ケトコナゾールである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、ボリコナゾールである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、ポサコナゾールである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、ネファゾドンである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を阻害する化合物は、ジルチアゼムである。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質は、CYP2C8である。いくつかの実施形態では、CYP2C8の活性を阻害する化合物は、ゲムフィブロジル、モンテルカスト、トリメトプリムおよびクロピドグレルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、CYP2C8の活性を阻害する化合物は、ゲムフィブロジルである。いくつかの実施形態では、CYP2C8の活性を阻害する化合物は、モンテルカストである。いくつかの実施形態では、CYP2C8の活性を阻害する化合物は、トリメトプリムである。いくつかの実施形態では、CYP2C8の活性を阻害する化合物は、クロピドグレルである。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物は、シトクロムp450タンパク質の活性の誘導剤である。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物は、シトクロムp450タンパク質の活性の強力な誘導剤である。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質は、CYP3A4である。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を誘導する化合物は、バルビツール酸系、カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピンおよびセントジョーンズワートからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を誘導する化合物は、バルビツール酸系である。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を誘導する化合物は、カルバマゼピンである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を誘導する化合物は、フェニトインである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を誘導する化合物は、リファンピンである。いくつかの実施形態では、CYP3A4の活性を誘導する化合物は、セントジョーンズワートである。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質は、CYP2C8である。いくつかの実施形態では、CYP2C8の活性を誘導する化合物は、リファンピンである。いくつかの実施形態では、強力なCYP3A/CYP2C8誘導剤と同時に、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することは、ツカチニブAUCを減少させ、ツカチニブの効能を低減させ得る。いくつかの実施形態では、強力なCYP2C8阻害剤と同時に、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することは、ツカチニブAUCを増大させ、毒性のリスクを増大させ得る。
【0094】
別の態様では、本発明は、対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与されるある特定の期間内に、治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の基質による処置を受けていない、方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与される前の過去7日、10日、2週間、3週間、4週間、6週間、2ヶ月、3ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年または10年以内に治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去7日以内に治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去3ヶ月以内に治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去12ヶ月以内に治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、シトクロムp450タンパク質の基質による処置を以前に受けたことがない。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質は、CYP3A4である。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質は、CYP2C8である。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の基質は、感受性CYP3A基質である。いくつかの実施形態では、感受性CYP3A基質とは、血漿AUC値が、公知のCYP3A阻害剤と同時投与された場合に5倍以上増大することが示された薬物を指す。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の基質は、ブデソニド、ブスピロン、エプレレノン、エレトリプタン、フェロジピン、フルチカゾン、ロバスタチン、ミダゾラム、サキナビル、シルデナフィル、シンバスタチン、トリアゾラム、およびバルデナフィルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の基質は、ブデソニドである。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の基質は、ブスピロンである。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の基質は、エプレレノンである。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の基質は、エレトリプタンである。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の基質は、フェロジピンである。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の基質は、フルチカゾンである。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の基質は、ロバスタチンである。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の基質は、ミダゾラムである。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の基質は、サキナビルである。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の基質は、シルデナフィルである。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の基質は、シンバスタチンである。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の基質は、トリアゾラムである。いくつかの実施形態では、シトクロムp450タンパク質の基質は、バルデナフィルである。いくつかの実施形態では、CYP3A基質と同時に、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することは、CYP3A基質の血漿濃度を増加させ、CYP3A基質の毒性の増大をもたらし得る。
【0095】
別の態様では、本発明は、対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与されるある特定の期間内に、治療有効量のP糖タンパク質(P-gp)の基質による処置を受けていない、方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与される前の過去7日、10日、2週間、3週間、4週間、6週間、2ヶ月、3ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年または10年以内に治療有効量の、P-gpの基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去7日以内に治療有効量のP-gpの基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去3ヶ月以内に治療有効量のP-gpの基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、過去12ヶ月以内に治療有効量のP-gpの基質による処置を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、P-gpの基質による処置を以前に受けたことがない。本明細書の実施形態のいずれかの一部においては、P-gpの基質は、治療指数が狭い基質である。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、アミトリプチリン、カルバマゼピン、クロニジン、シクロスポリン、ジギトキシン、ジゴキシン、イミプラミン、フェノバルビタール、フェニトイン、キニジン、リファンピシン、シロリムス、タクロリムス、テムシロリムス、トリミプラミン、ビンクリスチン、パクリタキセル、およびダビガトランエテキシラートからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、アミトリプチリンである。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、カルバマゼピンである。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、クロニジンである。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、シクロスポリンである。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、ジギトキシンである。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、ジゴキシンである。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、イミプラミンである。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、フェノバルビタールである。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、フェニトインである。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、キニジンである。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、リファンピシンである。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、シロリムスである。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、タクロリムスである。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、テムシロリムスである。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、トリミプラミンである。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、ビンクリスチンである。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、パクリタキセルである。いくつかの実施形態では、P-gpの基質は、ダビガトランエテキシラートである。いくつかの実施形態では、ジゴキシンなどのP-gp基質と同時に、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することは、P-gp基質の血漿濃度を増加させ、有害反応のリスクの増大をもたらし得る。
【0096】
B.ツカチニブの用量および投与
いくつかの実施形態では、ツカチニブの用量は、対象の体重1kgあたり約0.1mg~10mg(例えば、対象の体重1kgあたり約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mg)である。他の実施形態では、ツカチニブの用量は、対象の体重1kgあたり約10mg~100mg(例えば、対象の体重1kgあたり約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100mg)である。いくつかの実施形態では、ツカチニブの用量は、対象の体重1kgあたり少なくとも約100mg~500mg(例えば、対象の体重1kgあたり少なくとも約100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、または500mg)である。特定の実施形態では、ツカチニブの用量は、対象の体重1kgあたり約1mg~50mg(例えば、対象の体重1kgあたり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、95、または50 mg)である。いくつかの例では、ツカチニブの用量は、対象の体重1kgあたり約50mgである。
【0097】
いくつかの実施形態では、ツカチニブの用量は、約1mg~100mg(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100mg)のツカチニブを含む。 他の実施形態では、ツカチニブの用量は、約100mg~1,000mg(例えば、約100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、または1,000mg)のツカチニブを含む。特定の実施形態では、ツカチニブの用量は、約300mg(例えば、1日2回投与する場合)である。
【0098】
いくつかの実施形態では、ツカチニブの用量は、少なくとも約1,000mg~10,000mg(例えば、少なくとも約1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、3,000、3,100、3,200、3,300、3,400、3,500、3,600、3,700、3,800、3,900、4,000、4,100、4,200、4,300、4,400、4,500、4,600、4,700、4,800、4,900、5,000、5,100、5,200、5,300、5,400、5,500、5,600、5,700、5,800、5,900、6,000、6,100、6,200、6,300、6,400、6,500、6,600、6,700、6,800、6,900、7,000、7,100、7,200、7,300、7,400、7,500、7,600、7,700、7,800、7,900、8,000、8,100、8,200、8,300、8,400、8,500、8,600、8,700、8,800、8,900、9,000、9,100、9,200、9,300、9,400、9,500、9,600、9,700、9,800、9,900、10,000mg以上)のツカチニブを含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、ツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物の用量は、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を含有する。他の実施形態では、ツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物の用量は、治療有効量未満のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を含有する(例えば、所望の臨床または治療効果を達成するために、複数用量が投与される場合)。
【0100】
ツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を、任意の好適な経路および様式によって投与することができる。本発明の抗体および/または抗体-薬物コンジュゲートを投与する好適な経路は、当業界で公知であり、当業者によって選択することができる。一実施形態では、ツカチニブは非経口的に投与される。非経口投与とは、通常は注射による、腸および局所投与以外の投与様式を指し、表皮、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、腱内、気管内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、頭蓋内、胸腔内、硬膜外および胸骨内注射および輸注が挙げられる。いくつかの実施形態では、ツカチニブの投与経路は、静脈内注射または輸注である。いくつかの実施形態では、ツカチニブの投与経路は、静脈内輸注である。いくつかの実施形態では、ツカチニブの投与経路は、静脈内注射または輸注である。いくつかの実施形態では、ツカチニブは、静脈内輸注である。いくつかの実施形態では、ツカチニブの投与経路は、経口である。
【0101】
本明細書に提供される方法または使用または使用のための生成物の一実施形態では、ツカチニブは、毎日、1日2回、1日3回または1日4回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、ツカチニブは、2日に1回、約毎週1回または約3週毎に1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、ツカチニブは、1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、ツカチニブは、1日2回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、ツカチニブは、1日2回、約300mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、ツカチニブは、1日2回、300mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、ツカチニブは、1日1回、約600mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、ツカチニブは、1日1回、600mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、ツカチニブは、21日の処置サイクルのそれぞれの日に、1日2回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、ツカチニブは、対象に経口投与される。
【0102】
C.乳がん
WHO(世界保健機関)からの2014年の世界がんリポートによると、乳がんは世界で2番目に最も一般的ながんであり、毎年、ちょうど100万を超える新規症例を占めると報告されている。それは、2000年に、400,000人の女性が乳がんで死亡し、全ての女性の死亡の1.6パーセントに相当すると記述している。乳がんによる死亡の割合は、経済的に貧しい地域(0.5パーセント)よりも富裕国(全ての女性の死亡の2パーセント)においてはるかに高い。かくして、乳がんは、西洋のライフスタイルと強く相関している。発展途上国は、欧州、北米、豪州、ニュージーランドおよび日本と同様のライフスタイルの達成に成功したため、それらの国々はまた、はるかに高いがん率、特に、乳がん率に遭遇するであろう。最近のデータは、この予測を支持しており、2008年から2012年にかけて乳がんの20%の増加を示している(Carter D. 「New global survey shows an increasing cancer burden」、 Am J Nurs. 2014 Mar; 114(3): 17)。
【0103】
いくつかの態様では、本発明は、対象における乳がんを処置するための方法であって、本明細書に記載の、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、乳がんは、HER2陽性乳がんである。いくつかの実施形態では、がんは、in situハイブリダイゼーション、蛍光in situハイブリダイゼーション、または免疫組織化学を使用してHER2陽性であると決定される。いくつかの実施形態では、乳がんは、転移性である。いくつかの実施形態では、乳がんは、脳に転移している。いくつかの実施形態では、乳がんは、局部進行性である。いくつかの実施形態では、乳がんは、切除不能である。いくつかの実施形態では、対象は、乳がんのための1つ以上のさらなる治療剤で以前に処置されたことがある。いくつかの実施形態では、対象は、乳がんのための1つ以上のさらなる治療剤で以前に処置されたことがあり、その処置に応答しなかった。いくつかの実施形態では、対象は、乳がんのための1つ以上のさらなる治療剤で以前に処置されたことがあり、その処置の後に再発した。いくつかの実施形態では、対象は、乳がんのための1つ以上のさらなる治療剤で以前に処置されたことがあり、その処置の間に疾患進行を経験した。いくつかの実施形態では、1つ以上のさらなる治療剤は、抗HER2抗体または抗HER2抗体-薬物コンジュゲートである。いくつかの実施形態では、1つ以上のさらなる治療剤は、抗HER2抗体である。いくつかの実施形態では、1つ以上のさらなる治療剤は、抗HER2抗体-薬物コンジュゲートである。いくつかの実施形態では、対象は、トラスツズマブ、ペルツズマブおよび/またはT-DM1で以前に処置されたことがある。いくつかの実施形態では、対象は、トラスツズマブで以前に処置されたことがある。いくつかの実施形態では、対象は、ペルツズマブで以前に処置されたことがある。いくつかの実施形態では、対象は、T-DM1で以前に処置されたことがある。いくつかの実施形態では、対象は、トラスツズマブおよびペルツズマブで以前に処置されたことがある。いくつかの実施形態では、対象は、トラスツズマブおよびT-DM1で以前に処置されたことがある。いくつかの実施形態では、対象は、ペルツズマブおよびT-DM1で以前に処置されたことがある。いくつかの実施形態では、対象は、トラスツズマブ、ペルツズマブおよびT-DM1で以前に処置されたことがある。いくつかの実施形態では、対象は、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与される前の過去1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、2週間、3週間、4週間、6週間、2ヶ月、3ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年または10年以内に乳がんのための別の治療剤で以前に処置されたことがない。いくつかの実施形態では、対象は、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を投与される前の過去12ヶ月以内に乳がんのための別の治療剤で以前に処置されたことがない。いくつかの実施形態では、対象は、乳がんのための別の治療剤で以前に処置されたことがない。いくつかの実施形態では、対象は、ラパチニブ、ネラチニブ、アファチニブ、またはカペシタビンで以前に処置されたことがない。いくつかの実施形態では、対象は、ラパチニブで以前に処置されたことがない。いくつかの実施形態では、対象は、ネラチニブで以前に処置されたことがない。いくつかの実施形態では、対象は、アファチニブで以前に処置されたことがない。いくつかの実施形態では、対象は、カペシタビンで以前に処置されたことがない。
【0104】
いくつかの実施形態では、試料細胞中のHER2状態が決定される。決定は、処置(すなわち、ツカチニブの投与)が始まる前、処置中、または処置が完了した後に行ってもよい。いくつかの例では、HER2状態の決定は、療法を変化させる決定(例えば、抗HER2抗体を処置レジメンに加えること、ツカチニブの使用を中止すること、療法を完全に中止すること、または別の処置方法から本発明の方法に切り替えること)をもたらす。
【0105】
いくつかの実施形態では、試料細胞は、HER2を過剰発現する、または過剰発現しないと決定される。特定の実施形態では、細胞は、HER2 3+、HER2 2+、HER2 1+、またはHER2 0(すなわち、HERが過剰発現されていない)であると決定される。
【0106】
いくつかの実施形態では、試料細胞は、がん細胞である。いくつかの例では、試料細胞は、がんを有する対象から得られる。試料細胞を、生検標本として、外科的切除により、または微細針吸引(FNA)として取得することができる。いくつかの実施形態では、試料細胞は、循環腫瘍細胞(CTC)である。
【0107】
HER2発現を、参照細胞と比較することができる。いくつかの実施形態では、参照細胞は、試料細胞と同じ対象から得られる非がん細胞である。他の実施形態では、参照細胞は、異なる対象または対象集団から得られる非がん細胞である。いくつかの実施形態では、HER2の発現の測定は、例えば、HER2遺伝子コピー数もしくは増幅の決定、核酸配列決定(例えば、ゲノムDNAもしくはcDNAの配列決定)、mRNA発現の測定、タンパク質存在量の測定、またはその組合せを含む。HER2試験法としては、免疫組織化学(IHC)、in situハイブリダイゼーション、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、発色in situハイブリダイゼーション(CISH)、ELISA、ならびにRT-PCRおよびマイクロアレイ分析などの技術を使用するRNA定量(例えば、HER2発現の)が挙げられる。
【0108】
いくつかの実施形態では、試料細胞は、HER2が参照細胞と比較して試料細胞中で高レベルで発現される場合、HER2陽性であると決定される。いくつかの実施形態では、細胞は、HER2が参照細胞と比較して少なくとも約1.5倍(例えば、約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍、100倍以上)過剰発現される場合、HER2陽性であると決定される。特定の実施形態では、細胞は、HER2が参照細胞と比較して少なくとも約1.5倍過剰発現される場合、HER2陽性であると決定される。
【0109】
いくつかの実施形態では、試料細胞は、FISHまたはCISHのシグナル比が2より大きい場合、HER2陽性であると決定される。他の実施形態では、試料細胞は、HER2遺伝子コピー数が6より多い場合、HER2陽性であると決定される。
【0110】
D.併用療法
いくつかの態様では、本明細書に記載の処置方法は、1つ以上のさらなる治療剤を対象に投与して、乳がんを処置することをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のさらなる治療剤は、カペシタビンおよび抗HER2抗体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上のさらなる治療剤は、カペシタビンである。いくつかの実施形態では、1つ以上のさらなる治療剤は、抗HER2抗体である。いくつかの実施形態では、1つ以上のさらなる治療剤は、カペシタビンおよび抗HER2抗体である。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブ、ペルツズマブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、マルゲツキシマブ、およびその組合せからなる群から選択される。いくつかの例では、抗HER2抗体は、トラスツズマブとペルツズマブとの組合せである。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブである。いくつかの実施形態では、1つ以上のさらなる治療剤は、カペシタビンおよびトラスツズマブである。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の処置方法は、対象の体表面積に基づく用量でカペシタビンを対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、約500mg/m2~約1500mg/m2の用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、約500mg/m2、約550mg/m2、約600mg/m2、約650mg/m2、約700mg/m2、約750mg/m2、約800mg/m2、約850mg/m2、約900mg/m2、約950mg/m2、約1000mg/m2、約1050mg/m2、約1100mg/m2、約1150mg/m2、約1200mg/m2、約1250mg/m2、約1300mg/m2、約1350mg/m2、約1400mg/m2、約1450mg/m2、または1500mg/m2の用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、500mg/m2~1500mg/m2の用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、500mg/m2、550mg/m2、600mg/m2、650mg/m2、700mg/m2、750mg/m2、800mg/m2、850mg/m2、900mg/m2、950mg/m2、1000mg/m2、1050mg/m2、1100mg/m2、1150mg/m2、1200mg/m2、1250mg/m2、1300mg/m2、1350mg/m2、1400mg/m2、1450mg/m2、または1500mg/m2の用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、毎日、1日2回、1日3回または1日4回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、2日に1回、約毎週1回または約3週毎に1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、1日2回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、21日の処置サイクルの1~14日目に、1日2回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、1日2回、約1000mg/m2の用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、1日2回、1000mg/m2の用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、21日の処置サイクルの1~14日目に、1日2回、約1000mg/m2の用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、21日の処置サイクルの1~14日目に、1日2回、1000mg/m2の用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、対象に経口投与される。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の処置方法は、抗HER2抗体を対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体の用量は、対象の体重1kgあたり約0.1mg~10mg(例えば、対象の体重1kgあたり約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mg)である。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体の用量は、対象の体重1kgあたり約4mg~10mgである。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体の用量は、対象の体重1kgあたり4mg~10mgである。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体の用量は、対象の体重1kgあたり約6mgである。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体の用量は、対象の体重1kgあたり約8mgである。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体の用量は、対象に投与される抗HER2抗体の第1の用量については、対象の体重1kgあたり約8mgであり、その後の用量については、対象の体重1kgあたり約6mgである。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体の用量は、対象の体重1kgあたり6mgである。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体の用量は、対象の体重1kgあたり8mgである。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体の用量は、対象に投与される抗HER2抗体の第1の用量については、対象の体重1kgあたり8mgであり、その後の用量については、対象の体重1kgあたり6mgである。他の実施形態では、抗HER2抗体の用量は、対象の体重1kgあたり約10mg~100mg(例えば、対象の体重1kgあたり約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100mg)である。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体の用量は、対象の体重1kgあたり少なくとも約100mg~500mg(例えば、対象の体重1kgあたり少なくとも約100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500mg以上)である。いくつかの例では、抗HER2抗体の用量は、対象の体重1kgあたり約6mgである。他の例では、抗HER2抗体の用量は、対象の体重1kgあたり約8mgである。いくつかの他の例では、抗HER2抗体の用量は、対象の体重1kgあたり約20mgである。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体の用量は、約1mg~100mg(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100mg)の抗HER2抗体を含む。他の実施形態では、抗HER2抗体の用量は、約100mg~1,000mg(例えば、約100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、または1,000mg)の抗HER2抗体を含む。特定の実施形態では、抗HER2抗体の用量は、約100mg~400mg(例えば、約100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、または400mg)の抗HER2抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体の用量は、約400mg~800mgである。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体の用量は、400mg~800mgである。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体の用量は、約600mgである。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体の用量は、600mgである。非限定例として、6mg/kgの用量を使用する場合、50kgの対象のための用量は、約300mgであろう。別の非限定例として、8mg/kgの用量を使用する場合、50kgの対象のための用量は、約400mgであろう。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体の用量は、少なくとも約1,000mg~10,000mg(例えば、少なくとも約1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、3,000、3,100、3,200、3,300、3,400、3,500、3,600、3,700、3,800、3,900、4,000、4,100、4,200、4,300、4,400、4,500、4,600、4,700、4,800、4,900、5,000、5,100、5,200、5,300、5,400、5,500、5,600、5,700、5,800、5,900、6,000、6,100、6,200、6,300、6,400、6,500、6,600、6,700、6,800、6,900、7,000、7,100、7,200、7,300、7,400、7,500、7,600、7,700、7,800、7,900、8,000、8,100、8,200、8,300、8,400、8,500、8,600、8,700、8,800、8,900、9,000、9,100、9,200、9,300、9,400、9,500、9,600、9,700、9,800、9,900、10,000mg以上)の抗HER2抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体の用量は、治療有効量の抗HER2抗体を含有する。他の実施形態では、抗HER2抗体の用量は、治療有効量未満の抗HER2抗体を含有する(例えば、所望の臨床効果または治療効果を達成するために複数用量が与えられる場合)。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、約1~4週毎に1回、対象に投与される。ある特定の実施形態では、抗HER2抗体は、約1週毎に1回、約2週毎に1回、約3週毎に1回または約4週毎に1回投与される。一実施形態では、抗HER2抗体は、約3週毎に1回投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、1~4週毎に1回、対象に投与される。ある特定の実施形態では、抗HER2抗体は、1週毎に1回、約2週毎に1回、約3週毎に1回または約4週毎に1回投与される。一実施形態では、抗HER2抗体は、3週毎に1回投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、対象に皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、対象に静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブ、ペルツズマブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、マルゲツキシマブ、およびその組合せからなる群から選択される。いくつかの例では、抗HER2抗体は、トラスツズマブとペルツズマブとの組合せである。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブである。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、約3週毎に1回、約600mgの用量で投与され、抗HER2抗体は皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、約3週毎に1回、600mgの用量で投与され、抗HER2抗体は皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブであり、約3週毎に1回、約600mgの用量で投与され、トラスツズマブは皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブであり、3週毎に1回、600mgの用量で投与され、トラスツズマブは皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、約3週毎に1回、約6mg/kgの用量で投与され、抗HER2抗体は静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、約3週毎に1回、約8mg/kgの用量で投与され、抗HER2抗体は静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、約3週毎に1回、対象に投与される抗HER2抗体の第1の用量については約8mg/kgの用量で、次いで、その後の用量については約6mg/kgで投与され、抗HER2抗体は、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、3週毎に1回、6mg/kgの用量で投与され、抗HER2抗体は静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、3週毎に1回、8mg/kgの用量で投与され、抗HER2抗体は静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、3週毎に1回、対象に投与される抗HER2抗体の第1の用量については8mg/kgの用量で、次いで、その後の用量については約6mg/kgで投与され、抗HER2抗体は、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブであり、約3週毎に1回、約6mg/kgの用量で投与され、トラスツズマブは静脈内投与される
。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブであり、約3週毎に1回、約8mg/kgの用量で投与され、トラスツズマブは静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブであり、約3週毎に1回、対象に投与されるトラスツズマブの第1の用量については約8mg/kgの用量で、次いで、その後の用量については約6mg/kgで投与され、トラスツズマブは、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブであり、3週毎に1回、6mg/kgの用量で投与され、トラスツズマブは静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブであり、3週毎に1回、8mg/kgの用量で投与され、トラスツズマブは静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブであり、3週毎に1回、対象に投与されるトラスツズマブの第1の用量については8mg/kgの用量で、次いで、その後の用量については6mg/kgで投与され、トラスツズマブは、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブであり、21日の処置サイクルで対象に投与され、処置サイクルあたり1回、対象に投与される。
【0113】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の処置方法は、対象に、ツカチニブ、カペシタビンおよびトラスツズマブを投与することを含む。いくつかの実施形態では、ツカチニブ、カペシタビンおよびトラスツズマブは、21日の処置サイクルで対象に投与される。いくつかの実施形態では、ツカチニブは、1日2回、約300mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、ツカチニブは、1日2回、300mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、ツカチニブは、1日1回、約600mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、ツカチニブは、1日1回、600mgの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、ツカチニブは、21日の処置サイクルのそれぞれの日に、1日2回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、ツカチニブは、対象に経口投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、1日2回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、21日の処置サイクルの1~14日目に、1日2回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、1日2回、約1000mg/m2の用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、1日2回、1000mg/m2の用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、21日の処置サイクルの1~14日目に、1日2回、約1000mg/m2の用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、21日の処置サイクルの1~14日目に、1日2回、1000mg/m2の用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、対象に経口投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、約3週毎に1回、約6mg/kgの用量で投与され、抗HER2抗体は静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、約3週毎に1回、約8mg/kgの用量で投与され、抗HER2抗体は静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、約3週毎に1回、対象に投与される抗HER2抗体の第1の用量については約8mg/kgの用量で、次いで、その後の用量については約6mg/kgで投与され、抗HER2抗体は、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、3週毎に1回、6mg/kgの用量で投与され、抗HER2抗体は静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、3週毎に1回、8mg/kgの用量で投与され、抗HER2抗体は静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、3週毎に1回、対象に投与される抗HER2抗体の第1の用量については8mg/kgの用量で、次いで、その後の用量については約6mg/kgで投与され、抗HER2抗体は、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブであり、約3週毎に1回、約6mg/kgの用量で投与され、トラスツズマブは静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブであり、約3週毎に1回、約8mg/kgの用量で投与され、トラスツズマブは静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブであり、約3週毎に1回、対象に投与されるトラスツズマブの第1の用量については約8mg/kgの用量で、次いで、その後の用量については約6mg/kgで投与され、トラスツズマブは、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブであり、3週毎に1回、6mg/kgの用量で投与され、トラスツズマブは静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブであり、3週毎に1回、8mg/kgの用量で投与され、トラスツズマブは静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブであり、3週毎に1回、対象に投与されるトラスツズマブの第1の用量については8mg/kgの用量で、次いで、その後の用量については6mg/kgで投与され、トラスツズマブは、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブであり、21日の処置サイクルで対象に投与され、処置サイクルあたり1回、対象に投与される。
【0114】
E.処置の転帰
いくつかの実施形態では、対象の処置は、乳がん細胞成長の阻害、乳がん細胞増殖の阻害、乳がん細胞移動の阻害、乳がん細胞侵入の阻害、乳がんの1つ以上の兆候もしくは症状の減少もしくは除去、乳がん腫瘍のサイズ(例えば、容積)の低減、乳がん腫瘍数の低減、乳がん細胞数の低減、乳がん細胞の壊死、ピロトーシス、オンコーシス、アポトーシス、オートファジー、もしくは他の細胞死の誘導、対象の生存時間の増大、または別の薬物もしくは療法の治療効果の増強を含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の対象の処置は、約10%~70%(例えば、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%)である腫瘍増殖阻害(TGI)指数をもたらす。好ましくは、対象の処置は、少なくとも約70%(例えば、約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)であるTGI指数をもたらす。より好ましくは、対象の処置は、少なくとも約85%(例えば、約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)であるTGI指数をもたらす。さらにより好ましくは、対象の処置は、少なくとも約95%(例えば、約95%、96%、97%、98%、99%、または100%)であるTGI指数をもたらす。最も好ましくは、対象の処置は、約100%以上(例えば、約100%、101%、102%、103%,104%、105%、106%、107%、108%、109%、110%、111%、112%、113%、114%、115%、116%、117%、118%、119%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%以上)であるTGI指数をもたらす。
【0116】
特定の実施形態では、ツカチニブ、カペシタビンおよびトラスツズマブを用いた対象の処置は、ツカチニブ、カペシタビンまたはトラスツズマブを単独で使用する場合に観察されるTGI指数よりも大きいTGI指数をもたらす。いくつかの例では、対象の処置は、ツカチニブを単独で使用する場合に観察されるTGI指数よりも大きいTGI指数をもたらす。他の例では、対象の処置は、カペシタビンを単独で使用する場合に観察されるTGI指数よりも大きいTGI指数をもたらす。他の例では、対象の処置は、トラスツズマブを単独で使用する場合に観察されるTGI指数よりも大きいTGI指数をもたらす。いくつかの実施形態では、対象の処置は、ツカチニブ、カペシタビンまたはトラスツズマブを単独で使用する場合に観察されるTGI指数よりも少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または80%大きいTGI指数をもたらす。
【0117】
いくつかの実施形態では、ツカチニブ、カペシタビンおよびトラスツズマブの組合せは、相乗的である。特定の実施形態では、相乗的組合せに関して、対象の処置は、ツカチニブ、カペシタビンおよびトラスツズマブの組合せが付加効果をもたらした場合に予想されるTGI指数よりも大きいTGI指数をもたらす。いくつかの例では、ツカチニブ、カペシタビンおよびトラスツズマブの組合せが投与される場合に観察されるTGI指数は、ツカチニブ、カペシタビンおよびトラスツズマブの組合せが付加効果をもたらした場合に予想されるTGI指数よりも少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または80%大きい。
【0118】
一態様では、本明細書に記載のようにツカチニブを用いてがんを処置する方法は、ベースラインと比較して、ツカチニブの投与後の対象において1つ以上の治療効果の改善をもたらす。いくつかの実施形態では、1つ以上の治療効果は、乳がんに由来する腫瘍のサイズ、客観的奏功率、奏功期間、奏功までの時間、無増悪生存期間、全生存、またはその任意の組合せである。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、乳がんに由来する腫瘍のサイズである。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、腫瘍サイズの減少である。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、安定疾患である。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、部分寛解である。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、完全寛解である。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、客観的奏功率である。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、奏功期間である。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、奏功までの時間である。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、無増悪生存期間である。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、全生存である。一実施形態では、1つ以上の治療効果は、がん退縮である。
【0119】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための生成物の一実施形態では、本明細書に記載のツカチニブを用いた処置に対する応答は、以下の基準(RECIST基準1.1)を含んでもよい。
【0120】
【0121】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための生成物の一実施形態では、本明細書に記載のツカチニブを用いた処置の有効性は、客観的奏功率を測定することによって評価される。いくつかの実施形態では、客観的奏功率は、規定量の、かつ最小の期間にわたる腫瘍サイズ減少を示す患者の割合である。いくつかの実施形態では、客観的奏功率は、RECIST v1.1に基づく。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも約20%~80%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも約30%~80%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも約40%~80%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも約50%~80%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも約60%~80%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも約70%~80%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも約80%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも約85%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも約90%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも約95%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも約98%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも約99%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも20%~80%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも30%~80%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも40%~80%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも50%~80%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも60%~80%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも70%~80%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも80%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも85%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも90%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも95%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも98%である。一実施形態では、客観的奏功率は、少なくとも99%である。一実施形態では、客観的奏功率は、100%である。
【0122】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための生成物の一実施形態では、本明細書に記載のツカチニブを用いた処置に対する応答は、がん(例えば、乳がん)に由来する腫瘍のサイズを測定することによって評価される。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、ツカチニブの投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも約10%~80%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも約20%~80%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも約30%~80%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも約40%~80%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも約50%~80%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも約60%~80%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも約70%~80%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも約80%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも約85%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも約90%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも約95%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも約98%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも約99%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、ツカチニブの投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも約45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも10%~80%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも20%~80%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも30%~80%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも40%~80%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも50%~80%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも60%~80%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも70%~80%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも80%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも85%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも90%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも95%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも98%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、少なくとも99%減少する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、100%減少する。いくつかの実施形態では、乳がんに由来する腫瘍のサイズは、マンモグラフィー、ソノグラフィーまたは磁気共鳴イメージング(MRI)によって測定される。Gruberら、2013, BMC Cancer. 13:328を参照されたい。
【0123】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための生成物の一実施形態では、本明細書に記載のツカチニブを用いた処置に対する応答は、がん(例えば、乳がん)に由来する腫瘍の退縮を促進する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、本明細書に記載のツカチニブの投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも約10%~約80%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも約20%~約80%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも約30%~約80%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも約40%~約80%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも約50%~約80%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも約60%~約80%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも約70%~約80%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも約80%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも約85%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも約90%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも約95%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも約98%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも約99%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、本明細書に記載のツカチニブの投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも10%~80%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも20%~80%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも30%~80%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも40%~80%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも50%~80%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも60%~80%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも70%~80%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも80%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも85%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも90%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも95%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも98%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、少なくとも99%退縮する。一実施形態では、がんに由来する腫瘍は、100%退縮する。いくつかの実施形態では、腫瘍の退縮は、マンモグラフィー、ソノグラフィーまたは磁気共鳴イメージング(MRI)によって決定される。Gruberら、2013, BMC Cancer. 13:328を参照されたい。
【0124】
本明細書に記載の方法または使用または使用のための生成物の一実施形態では、本明細書に記載のツカチニブを用いた処置に対応する応答は、ツカチニブの投与後の無増悪生存期間の時間を測定することによって評価される。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも約6ヶ月の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも約1年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも約2年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも約3年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも約4年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、または少なくとも5年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも6ヶ月の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも1年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも2年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも3年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも4年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも5年の無増悪生存期間を示す。
【0125】
本明細書に記載の方法または使用または使用のための生成物の一実施形態では、本明細書に記載のツカチニブを用いた処置に対応する応答は、ツカチニブの投与後の全生存の時間を測定することによって評価される。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも約6ヶ月の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも約1年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも約2年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも約3年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも約4年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも約5年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、または少なくとも5年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも6ヶ月の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも1年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも2年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも3年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも4年の全生存を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ツカチニブの投与後、少なくとも5年の全生存を示す。
【0126】
本明細書に記載の方法または使用または使用のための生成物の一実施形態では、本明細書に記載のツカチニブを用いた処置に対応する応答は、ツカチニブの投与後のツカチニブに対する奏功期間を測定することによって評価される。いくつかの実施形態では、ツカチニブに対する奏功期間は、ツカチニブの投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である。いくつかの実施形態では、ツカチニブに対する奏功期間は、ツカチニブの投与後、少なくとも約6ヶ月である。いくつかの実施形態では、ツカチニブに対する奏功期間は、ツカチニブの投与後、少なくとも約1年である。いくつかの実施形態では、ツカチニブに対する奏功期間は、ツカチニブの投与後、少なくとも約2年である。いくつかの実施形態では、ツカチニブに対する奏功期間は、ツカチニブの投与後、少なくとも約3年である。いくつかの実施形態では、ツカチニブに対する奏功期間は、ツカチニブの投与後、少なくとも約4年である。いくつかの実施形態では、ツカチニブに対する奏功期間は、ツカチニブの投与後、少なくとも約5年である。いくつかの実施形態では、ツカチニブに対する奏功期間は、ツカチニブの投与後、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、または少なくとも5年である。いくつかの実施形態では、ツカチニブに対する奏功期間は、ツカチニブの投与後、少なくとも6ヶ月である。いくつかの実施形態では、ツカチニブに対する奏功期間は、ツカチニブの投与後、少なくとも1年である。いくつかの実施形態では、ツカチニブに対する奏功期間は、ツカチニブの投与後、少なくとも2年である。いくつかの実施形態では、ツカチニブに対する奏功期間は、ツカチニブの投与後、少なくとも3年である。いくつかの実施形態では、ツカチニブに対する奏功期間は、ツカチニブの投与後、少なくとも4年である。いくつかの実施形態では、ツカチニブに対する奏功期間は、ツカチニブの投与後、少なくとも5年である。
【0127】
F.組成物
別の態様では、本発明は、ツカチニブと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、カペシタビンと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、抗HER2抗体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、ツカチニブ、カペシタビン、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、ツカチニブ、抗HER2抗体、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、カペシタビン、抗HER2抗体、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、ツカチニブ、カペシタビン、抗HER2抗体、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブ、ペルツズマブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、マルゲツキシマブ、およびその組合せからなる群から選択されるメンバーである。いくつかの例では、抗HER2抗体は、トラスツズマブとペルツズマブとの組合せである。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブである。
【0128】
いくつかの実施形態では、ツカチニブは、約0.1nM~10nM(例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5 0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10nM)の濃度で存在する。他の実施形態では、ツカチニブは、約10nM~100nM(例えば、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100nM)の濃度で存在する。いくつかの他の実施形態では、ツカチニブは、約100nM~1,000nM(例えば、約100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、または1,000nM)の濃度で存在する。さらに他の実施形態では、ツカチニブは、少なくとも約1,000nM~10,000nM(例えば、少なくとも約1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、3,000、3,100、3,200、3,300、3,400、3,500、3,600、3,700、3,800、3,900、4,000、4,100、4,200、4,300、4,400、4,500、4,600、4,700、4,800、4,900、5,000、5,100、5,200、5,300、5,400、5,500、5,600、5,700、5,800、5,900、6,000、6,100、6,200、6,300、6,400、6,500、6,600、6,700、6,800、6,900、7,000、7,100、7,200、7,300、7,400、7,500、7,600、7,700、7,800、7,900、8,000、8,100、8,200、8,300、8,400、8,500、8,600、8,700、8,800、8,900、9,000、9,100、9,200、9,300、9,400、9,500、9,600、9,700、9,800、9,900、10,000nM以上)の濃度で存在する。
【0129】
いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、約0.1nM~10nM(例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5 0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10nM)の濃度で存在する。他の実施形態では、抗HER2抗体は、約10nM~100nM(例えば、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100nM)の濃度で存在する。いくつかの他の実施形態では、抗HER2抗体は、約100nM~1,000nM(例えば、約100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、または1,000nM)の濃度で存在する。さらに他の実施形態では、抗HER2抗体は、少なくとも約1,000nM~10,000nM(例えば、少なくとも約1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、3,000、3,100、3,200、3,300、3,400、3,500、3,600、3,700、3,800、3,900、4,000、4,100、4,200、4,300、4,400、4,500、4,600、4,700、4,800、4,900、5,000、5,100、5,200、5,300、5,400、5,500、5,600、5,700、5,800、5,900、6,000、6,100、6,200、6,300、6,400、6,500、6,600、6,700、6,800、6,900、7,000、7,100、7,200、7,300、7,400、7,500、7,600、7,700、7,800、7,900、8,000、8,100、8,200、8,300、8,400、8,500、8,600、8,700、8,800、8,900、9,000、9,100、9,200、9,300、9,400、9,500、9,600、9,700、9,800、9,900、10,000nM以上)の濃度で存在する。
【0130】
いくつかの実施形態では、カペシタビンは、約0.1nM~10nM(例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5 0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10nM)の濃度で存在する。他の実施形態では、カペシタビンは、約10nM~100nM(例えば、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100nM)の濃度で存在する。いくつかの他の実施形態では、カペシタビンは、約100nM~1,000nM(例えば、約100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、または1,000nM)の濃度で存在する。さらに他の実施形態では、カペシタビンは、少なくとも約1,000nM~10,000nM(例えば、少なくとも約1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、3,000、3,100、3,200、3,300、3,400、3,500、3,600、3,700、3,800、3,900、4,000、4,100、4,200、4,300、4,400、4,500、4,600、4,700、4,800、4,900、5,000、5,100、5,200、5,300、5,400、5,500、5,600、5,700、5,800、5,900、6,000、6,100、6,200、6,300、6,400、6,500、6,600、6,700、6,800、6,900、7,000、7,100、7,200、7,300、7,400、7,500、7,600、7,700、7,800、7,900、8,000、8,100、8,200、8,300、8,400、8,500、8,600、8,700、8,800、8,900、9,000、9,100、9,200、9,300、9,400、9,500、9,600、9,700、9,800、9,900、10,000nM以上)の濃度で存在する。
【0131】
本発明の医薬組成物を、製薬業界で周知の任意の方法によって調製することができる。本発明と共に使用するのに好適な薬学的に許容される担体としては、リン酸緩衝生理食塩溶液、水、およびエマルジョン(油/水または水/油エマルジョン)、ならびに様々な型の湿潤剤またはアジュバントなどの標準的な薬学的担体、緩衝剤および賦形剤のいずれかが挙げられる。好適な薬学的担体およびその製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co., Easton, 19th ed. 1995)に記載されている。好ましい薬学的担体は、活性薬剤の意図される投与様式に依存する。
【0132】
本発明の医薬組成物は、活性成分としての、薬物の組合せ(例えば、ツカチニブ、カペシタビン、および抗HER2抗体)、またはその任意の薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体または賦形剤または希釈剤とを含んでもよい。医薬組成物は、必要に応じて、他の治療成分を含有してもよい。
【0133】
組成物(例えば、ツカチニブ、カペシタビン、抗HER2抗体、またはその組合せを含む)を、活性成分として、従来の薬学的化合技術に従って、好適な薬学的担体または賦形剤と密接に混合することができる。投与にとって望ましい調製の形態にとって好適な任意の担体または賦形剤が、本明細書に開示される化合物と共に使用するために企図される。
【0134】
医薬組成物としては、経口、局所、非経口、経肺、経鼻、または直腸投与にとって好適なものが挙げられる。任意の所与の事例における最も好適な投与経路は、がんの状態の性質および重症度に、また、必要に応じて、HER2状態またはがんのステージに一部依存するであろう。
【0135】
他の医薬組成物としては、全身(例えば、腸または非経口)投与にとって好適なものが挙げられる。全身投与としては、経口、直腸、舌下、または唇下投与が挙げられる。非経口投与としては、例えば、静脈内、筋肉内、細動脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、および頭蓋内が挙げられる。他の送達様式としては、限定されるものではないが、リポソーム製剤の使用、静脈内輸注、経皮パッチなどが挙げられる。特定の実施形態では、本発明の医薬組成物を、腫瘍内投与することができる。
【0136】
経肺投与のための組成物としては、限定されるものではないが、本明細書に記載の化合物(例えば、ツカチニブ、カペシタビン、抗HER2抗体、またはその組合せ)、またはその塩の粉末と、好適な担体または滑沢剤の粉末とからなる乾燥粉末組成物が挙げられる。経肺投与のための組成物を、当業者には公知の任意の好適な乾燥粉末吸入デバイスから吸入することができる。
【0137】
全身投与のための組成物としては、限定されるものではないが、本明細書に記載の組成物(例えば、ツカチニブ、カペシタビン、抗HER2抗体、またはその組合せ)と、好適な担体または賦形剤の粉末とからなる乾燥粉末組成物が挙げられる。全身投与のための組成物は、限定されるものではないが、錠剤、カプセル、ピル、シロップ、溶液および懸濁液によって代表され得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、ツカチニブ、カペシタビン、抗HER2抗体、またはその組合せ)は、薬学的界面活性剤をさらに含む。他の実施形態では、組成物は、凍結保護剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、凍結保護剤は、グルコース、スクロース、トレハロース、ラクトース、グルタミン酸ナトリウム、PVP、HPβCD、CD、グリセロール、マルトース、マンニトール、およびサッカロースからなる群から選択される。
【0139】
本発明における使用のための医薬組成物または薬剤を、1つ以上の生理的に許容される担体または賦形剤を使用する標準的な技術によって製剤化することができる。好適な薬学的担体は、本明細書およびRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., University of the Sciences in Philadelphia, Lippencott Williams & Wilkins (2005)に記載されている。
【0140】
組成物(例えば、ツカチニブ、カペシタビン、抗HER2抗体、またはその組合せ)の制御放出非経口製剤を、埋込み体、油性注射液、または粒子系として作製することができる。送達系の広い概説については、参照により本明細書に組み込まれる、Banga, A.J., THERAPEUTIC PEPTIDES AND PROTEINS: FORMULATION, PROCESSING, AND DELIVERY SYSTEMS, Technomic Publishing Company, Inc., Lancaster, PA, (1995)を参照されたい。粒子系としては、ミクロスフェア、マイクロ粒子、マイクロカプセル、ナノカプセル、ナノスフェア、およびナノ粒子が挙げられる。
【0141】
ポリマーを、本発明の組成物のイオン制御放出のために使用することができる。制御薬物送達における使用のための様々な分解性および非分解性ポリマーマトリックスが当業界で公知である(Langer R., Accounts Chem. Res., 26:537-542 (1993))。例えば、ブロックコポリマー、ポロキサマー407は、低温では粘性であるが、流動性の液体として存在するが、体温では半固体のゲルを形成する。それは、組換えインターロイキン2およびウレアーゼの製剤および持続的送達のための有効なビヒクルであることが示されている(Johnstonら、Pharm. Res., 9:425-434 (1992); およびPec et al., J. Parent. Sci. Tech., 44(2):58 65 (1990))。あるいは、ヒドロキシアパタイトが、タンパク質の制御放出のための微小担体として使用されている(Ijntemaら、Int. J. Pharm., 112:215-224 (1994))。さらに別の態様では、脂質カプセル化薬物の制御放出ならびに薬物標的化のために、リポソームが使用される(Betageriら、LIPOSOME DRUG DELIVERY SYSTEMS, Technomic Publishing Co., Inc., Lancaster, PA (1993))。治療タンパク質の制御送達のためのいくつかのさらなるシステムが公知である。例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,055,303号、第5,188,837号、第4,235,871号、第4,501,728号、第4,837,028号、第4,957,735号および第5,019,369号、第5,055,303号;第5,514,670号;第5,413,797号;第5,268,164号;第5,004,697号;第4,902,505号;第5,506,206号、第5,271,961号;第5,254,342および第5,534,496号を参照されたい。
【0142】
ツカチニブ、カペシタビン、および/または抗HER2抗体の組合せの経口投与のために、医薬組成物または薬剤は、例えば、薬学的に許容される賦形剤と共に従来の手段によって調製された錠剤またはカプセルの形態を採ってもよい。本発明は、(a)希釈剤もしくは充填剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース(例えば、エチルセルロース、微結晶性セルロース)、グリシン、ペクチン、ポリアクリレートもしくはリン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、(b)滑沢剤、例えば、シリカ、滑石、ステアリン酸、マグネシウムもしくはカルシウム塩、ステアリン酸金属塩、コロイド性二酸化ケイ素、水添植物油、コーンスターチ、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムもしくはポリエチレングリコール;また、錠剤用に、(c)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプン糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース;必要に応じて、(d)崩壊剤、例えば、デンプン(例えば、ジャガイモデンプンもしくはナトリウムデンプン)、グリコール酸、寒天、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、もしくは発泡性混合物;(e)湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、または(f)吸収剤、着色剤、香料および甘味料と同時に、ツカチニブ、カペシタビン、抗HER2抗体、もしくはその組合せを含む錠剤およびゼラチンカプセル、またはこれらの薬物の乾燥固体粉末を提供する。
【0143】
錠剤は、当業界で公知の方法に従ってフィルムコーティングまたは腸溶コーティングしてもよい。経口投与のための液体調製物は、例えば、溶液、シロップ、もしくは懸濁液の形態を採ってもよいか、またはそれらを、使用前に水もしくは他の好適なビヒクルを用いて構成させるための乾燥生成物として提供することができる。そのような液体調製物を、薬学的に許容される添加剤、例えば、懸濁剤、例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、または水素化食用脂;乳化剤、例えば、レシチンまたはアカシア;非水性ビヒクル、例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、または分画植物油;および保存剤、例えば、メチルまたはプロピル-p-ヒドロキシ安息香酸またはソルビン酸を用いて、従来の手段によって調製することができる。調製物はまた、必要に応じて、緩衝塩、香味剤、着色剤、または甘味剤を含有してもよい。必要に応じて、経口投与のための調製物を、活性化合物の制御放出を与えるために好適に製剤化することができる。
【0144】
ツカチニブ、カペシタビン、抗HER2抗体、またはその組合せの局所投与のための典型的な製剤としては、クリーム、軟膏、スプレー、ローション、およびパッチが挙げられる。しかしながら、医薬組成物を、任意の型の投与、例えば、シリンジまたは他のデバイスを用いた、皮内、真皮下、静脈内、筋肉内、皮下、鼻内、大脳内、気管内、動脈内、腹腔内、膀胱内、胸膜内、冠動脈内または腫瘍内注射のために製剤化することができる。吸入(例えば、エアロゾル)による投与、または経口もしくは直腸投与のための製剤も企図される。
【0145】
経皮適用のための好適な製剤は、有効量の本明細書に記載の1つ以上の化合物を、必要に応じて、担体と共に含む。好ましい担体は、宿主の皮膚の通過を補助するための吸収性の薬理学的に許容される溶媒を含む。例えば、経皮デバイスは、バッキングメンバー、必要に応じて、担体と共に化合物を含有するリザーバー、必要に応じて、長期間にわたって制御された、所定の速度で宿主の皮膚に化合物を送達するための速度制御バリア、およびデバイスを皮膚に固定するための手段を含む、包帯の形態にある。マトリックス経皮製剤を使用することもできる。
【0146】
本明細書に記載の組成物および製剤(例えば、ツカチニブ、カペシタビン、抗HER2抗体、またはその組合せ)を、注射による、例えば、ボーラス注射または連続輸注による非経口投与のために製剤化することができる。注射のための製剤を、保存剤を添加した、単位剤形中、例えば、アンプル中または複数用量容器中で提供することができる。注射可能組成物は、好ましくは、水性等張溶液または懸濁液であり、坐剤は、好ましくは、脂肪エマルジョンまたは懸濁液から調製される。組成物は、滅菌されているか、または保存剤、安定剤、湿潤剤または乳化剤、溶液促進剤、浸透圧を調節するための塩または緩衝剤などのアジュバントを含有してもよい。あるいは、活性成分は、使用前に、好適なビヒクル、例えば、滅菌発熱源非含有水を用いて構成させるための粉末形態にあってもよい。さらに、それらは、他の治療的に有用な物質を含有してもよい。組成物は、それぞれ、従来の混合、顆粒化またはコーティング方法に従って調製される。
【0147】
吸入による投与のために、組成物(例えば、ツカチニブ、カペシタビン、抗HER2抗体、またはその組合せを含む)を、好適な推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適なガスを使用して、加圧パックまたはネブライザーからエアロゾルスプレー提示物の形態で都合よく送達することができる。加圧されたエアロゾルの場合、一定量を送達するためのバルブを提供することによって、用量単位を決定することができる。化合物と、好適な粉末基剤、例えば、ラクトースまたはデンプンとの粉末混合物を含有する、例えば、吸入器またはインサフレーターにおける使用のためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジを製剤化することができる。
【0148】
組成物(例えば、ツカチニブ、カペシタビン、抗HER2抗体、またはその組合せを含む)を、例えば、従来の坐剤基剤、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドを含有する、直腸組成物、例えば、坐剤または停留浣腸に製剤化することもできる。
【0149】
さらに、活性成分を、デポー調製物として製剤化することができる。そのような長期作用製剤を、埋込み(例えば、皮下もしくは筋肉内に)または筋肉内注射によって投与することができる。かくして、例えば、本明細書に記載の1つ以上の化合物を、好適なポリマーもしくは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂と共に、またはやや溶けにくい誘導体として、例えば、やや溶けにくい塩として製剤化することができる。
【0150】
G.製品およびキット
別の態様では、本発明は、対象における乳がんの効果を処置または改善するための製品またはキットであって、本発明の医薬組成物(例えば、ツカチニブ、カペシタビン、抗HER2抗体、またはその組合せを含む医薬組成物)を含む、製品またはキットを提供する。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブ、ペルツズマブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、マルゲツキシマブ、またはその組合せである。いくつかの例では、抗HER2抗体は、トラスツズマブとペルツズマブとの組合せである。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブである。
【0151】
製品またはキットは、乳がん、特に、HER2陽性および/または転移性乳がんの効果を処置する、または改善するのに好適である。いくつかの実施形態では、がんは、進行がんである。いくつかの他の実施形態では、がんは、薬物耐性がんである。いくつかの例では、がんは、多剤耐性がんである。
【0152】
本発明の様々な方法を実行するための材料および試薬を、製品またはキット中に提供して、方法の実行を容易にすることができる。本明細書で使用される用語「キット」は、プロセス、アッセイ、分析、または操作を容易にする物品の組合せを含む。特に、本発明のキットは、例えば、診断、予後診断、療法などの様々な用途において有用である。
【0153】
製品またはキットは、化学試薬ならびに他の成分を含有してもよい。さらに、本発明の製品またはキットは、限定されるものではないが、ユーザーに対する使用説明書、ツカチニブ、カペシタビンおよび抗HER2抗体の組合せもしくはその医薬組成物を投与するための装置および試薬、試料チューブ、ホルダー、トレイ、ラック、皿、プレート、溶液、緩衝剤、または他の化学試薬を含んでもよい。いくつかの実施形態では、製品またはキットは、遺伝子(例えば、KRAS、NRAS、BRAF)の遺伝子型を決定するため、または試料中のHER2の発現を決定するための使用説明書、装置、または試薬を含有する。本発明の製品またはキットを、都合のよい保存および安全な配送のために、例えば、フタ付きの箱に包装することもできる。
【0154】
III.例示的実施形態
本明細書に提供される実施形態は以下の通りである。
【0155】
1.対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量の、多剤毒素排出(MATE)タンパク質の基質による処置を同時に受けていない、方法。
【0156】
2.対象が、過去7日以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態1に記載の方法。
【0157】
3.対象が、過去3ヶ月以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態1に記載の方法。
【0158】
4.対象が、過去12ヶ月以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態1に記載の方法。
【0159】
5.対象が、MATEタンパク質の基質による処置を以前に受けたことがない、実施形態1に記載の方法。
【0160】
6.MATEタンパク質がMATE1である、実施形態1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0161】
7.MATEタンパク質がMATE2Kである、実施形態1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0162】
8.MATEタンパク質の基質が、メトホルミン、オキサゾリジノン、フェキソフェナジン、テトラエチルアンモニウム(TEA)、N-メチルフェニルピリジニウム(MPP+)、パラコート、アグマチン、シメチジン、プロカインアミド、プラミペキソール、アテノロール、セロトニン、キニジン、ベラパミル、シスプラチン、オキサリプラチン、およびピリメタミンからなる群から選択される、実施形態1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0163】
9.基質がメトホルミンである、実施形態8に記載の方法。
【0164】
10.対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量の、有機カチオントランスポーター(OCT)の基質による処置を同時に受けていない、方法。
【0165】
11.対象が、過去7日以内にOCTの基質による処置を受けていない、実施形態10に記載の方法。
【0166】
12.対象が、過去3ヶ月以内にOCTの基質による処置を受けていない、実施形態10に記載の方法。
【0167】
13.対象が、過去12ヶ月以内にOCTタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態10に記載の方法。
【0168】
14.対象が、OCTの基質による処置を以前に受けたことがない、実施形態10に記載の方法。
【0169】
15.OCTがOCT1である、実施形態10~14のいずれか一項に記載の方法。
【0170】
16.OCTがOCT2である、実施形態10~14のいずれか一項に記載の方法。
【0171】
17.OCTの基質が、メトホルミン、オキサゾリジノン、フェキソフェナジン、テトラエチルアンモニウム(TEA)、N-メチルフェニルピリジニウム(MPP+)、パラコート、アグマチン、シメチジン、プロカインアミド、プラミペキソール、アテノロール、セロトニン、キニジン、ベラパミル、シスプラチン、オキサリプラチン、およびピリメタミンからなる群から選択される、実施形態10~16のいずれか一項に記載の方法。
【0172】
18.基質がメトホルミンである、実施形態17に記載の方法。
【0173】
19.対象が、治療有効量の、MATEタンパク質の基質による処置を同時に受けていない、実施形態10~18のいずれか一項に記載の方法。
【0174】
20.対象が、過去7日以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態19に記載の方法。
【0175】
21.対象が、過去3ヶ月以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態19に記載の方法。
【0176】
22.対象が、過去12ヶ月以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態19に記載の方法。
【0177】
23.対象が、MATEタンパク質の基質による処置を以前に受けたことがない、実施形態19に記載の方法。
【0178】
24.MATEタンパク質がMATE1である、実施形態19~23のいずれか一項に記載の方法。
【0179】
25.MATEタンパク質がMATE2Kである、実施形態19~23のいずれか一項に記載の方法。
【0180】
26.対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象の腎機能が低下していない、方法。
【0181】
27.過去12ヶ月以内に対象の腎機能が低下していない、実施形態26に記載の方法。
【0182】
28.対象の腎機能が低下していない、実施形態1~25のいずれか一項に記載の方法。
【0183】
29.過去12ヶ月以内に対象の腎機能が低下していない、実施形態28に記載の方法。
【0184】
30.腎機能の低下が、対象の血清クレアチニンレベルに基づいて決定される、実施形態26~29のいずれか一項に記載の方法。
【0185】
31.a)対象が男性であり、対象が1.5mg/dL未満の血清クレアチニンレベルを有するか、またはb)対象が女性であり、1.4mg/dL未満の血清クレアチニンレベルを有する、実施形態30に記載の方法。
【0186】
32.腎機能の低下を、対象が異常なクレアチニンクリアランスを有することに基づいて決定する、実施形態26~29のいずれか一項に記載の方法。
【0187】
33.腎機能の低下を、対象の糸球体濾過率に基づいて決定する、実施形態26~29のいずれか一項に記載の方法。
【0188】
34.対象が、治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を同時に受けていない、実施形態1~33のいずれか一項に記載の方法。
【0189】
35.対象が、過去7日以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、実施形態34に記載の方法。
【0190】
36.対象が、過去3ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、実施形態34に記載の方法。
【0191】
37.対象が、過去12ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、実施形態34に記載の方法。
【0192】
38.対象が、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を以前に受けたことがない、実施形態34に記載の方法。
【0193】
39.シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の阻害剤である、実施形態34~38のいずれか一項に記載の方法。
【0194】
40.シトクロムp450タンパク質が、CYP3A4である、実施形態39に記載の方法。
【0195】
41.CYP3A4の活性を阻害する化合物が、イトラコナゾールである、実施形態40に記載の方法。
【0196】
42.シトクロムp450タンパク質が、CYP2C8である、実施形態39に記載の方法。
【0197】
43.CYP2C8の活性を阻害する化合物が、ゲムフィブロジルである、実施形態42に記載の方法。
【0198】
44.シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の誘導剤である、実施形態34~38のいずれか一項に記載の方法。
【0199】
45.シトクロムp450タンパク質が、CYP3A4である、実施形態44に記載の方法。
【0200】
46.シトクロムp450タンパク質が、CYP2C8である、実施形態44に記載の方法。
【0201】
47.シトクロムp450タンパク質の活性を誘導する化合物が、リファンピンである、実施形態44~46のいずれか一項に記載の方法。
【0202】
48.対象における乳がんを処置するための方法であって、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを含み、対象が、治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を同時に受けていない、方法。
【0203】
49.対象が、過去7日以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、実施形態48に記載の方法。
【0204】
50.対象が、過去3ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、実施形態48に記載の方法。
【0205】
51.対象が、過去12ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、実施形態48に記載の方法。
【0206】
52.対象が、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を以前に受けたことがない、実施形態48に記載の方法。
【0207】
53.シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の阻害剤である、実施形態48~52のいずれか一項に記載の方法。
【0208】
54.シトクロムp450タンパク質が、CYP3A4である、実施形態53に記載の方法。
【0209】
55.CYP3A4の活性を阻害する化合物が、イトラコナゾールである、実施形態54に記載の方法。
【0210】
56.シトクロムp450タンパク質が、CYP2C8である、実施形態53に記載の方法。
【0211】
57.CYP2C8の活性を阻害する化合物が、ゲムフィブロジルである、実施形態56に記載の方法。
【0212】
58.シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の誘導剤である、実施形態48~52のいずれか一項に記載の方法。
【0213】
59.シトクロムp450タンパク質が、CYP3A4である、実施形態58に記載の方法。
【0214】
60.シトクロムp450タンパク質が、CYP2C8である、実施形態58に記載の方法。
【0215】
61.シトクロムp450タンパク質の活性を誘導する化合物が、リファンピンである、実施形態58~60のいずれか一項に記載の方法。
【0216】
62.ツカチニブが、約150mg~約650mgの用量で対象に投与される、実施形態1~61のいずれか一項に記載の方法。
【0217】
63.ツカチニブが、約300mgの用量で対象に投与される、実施形態62に記載の方法。
【0218】
64.ツカチニブが、1日1回または2回投与される、実施形態62または63に記載の方法。
【0219】
65.ツカチニブが、1日2回、約300mgの用量で対象に投与される、実施形態64に記載の方法。
【0220】
66.ツカチニブが、対象に経口投与される、実施形態1~65のいずれか一項に記載の方法。
【0221】
67.乳がんが、HER2陽性乳がんである、実施形態1~66のいずれか一項に記載の方法。
【0222】
68.がんが、in situハイブリダイゼーション、蛍光in situハイブリダイゼーション、または免疫組織化学を使用してHER2陽性であると決定される、実施形態67に記載の方法。
【0223】
69.乳がんが転移性である、実施形態1~68のいずれか一項に記載の方法。
【0224】
70.乳がんが、脳に転移している、実施形態69に記載の方法。
【0225】
71.乳がんが、局所的に進行したもの(局部進行性)である、実施形態1~70のいずれか一項に記載の方法。
【0226】
72.乳がんが、切除不能である、実施形態1~71のいずれか一項に記載の方法。
【0227】
73.1つ以上のさらなる治療剤を対象に投与して、乳がんを処置することをさらに含む、実施形態1~72のいずれか一項に記載の方法。
【0228】
74.1つ以上のさらなる治療剤が、カペシタビンおよび抗HER2抗体からなる群から選択される、実施形態73に記載の方法。
【0229】
75.1つ以上のさらなる治療剤が、カペシタビンである、実施形態73に記載の方法。
【0230】
76.1つ以上のさらなる治療剤が、トラスツズマブである、実施形態73に記載の方法。
【0231】
77.1つ以上のさらなる治療剤が、カペシタビンおよびトラスツズマブである、実施形態73に記載の方法。
【0232】
78.カペシタビンが、約500mg/m2~約1500mg/m2の用量で対象に投与される、実施形態75または77に記載の方法。
【0233】
79.カペシタビンが、約1000mg/m2の用量で対象に投与される、実施形態78に記載の方法。
【0234】
80.カペシタビンが、対象に経口投与される、実施形態78または79に記載の方法。
【0235】
81.カペシタビンが、1日2回、対象に投与される、実施形態77~80のいずれか一項に記載の方法。
【0236】
82.トラスツズマブが、約400mg~約800mgの用量で対象に投与される、実施形態76または77に記載の方法。
【0237】
83.トラスツズマブが、約600mgの用量で対象に投与される、実施形態82に記載の方法。
【0238】
84.トラスツズマブが、対象に皮下投与される、実施形態82または83に記載の方法。
【0239】
85.トラスツズマブが、約4mg/kg~約10mg/kgの用量で対象に投与される、実施形態76または77に記載の方法。
【0240】
86.トラスツズマブが、約6mg/kgの用量で対象に投与される、実施形態85に記載の方法。
【0241】
87.トラスツズマブが、約8mg/kgの用量で対象に投与される、実施形態85に記載の方法。
【0242】
88.トラスツズマブが、約8mg/kgの初期用量で、次いで、約6mg/kgのその後の用量で対象に投与される、実施形態85に記載の方法。
【0243】
89.トラスツズマブが静脈内投与される、請求項85~88のいずれか一項に記載の方法。
【0244】
90.トラスツズマブが、約1週毎に1回、約2週毎に1回、約3週毎に1回、または約4週毎に1回投与される、実施形態82~89のいずれか一項に記載の方法。
【0245】
91.トラスツズマブが、約3週毎に1回投与される、実施形態90に記載の方法。
【0246】
92.ツカチニブ、カペシタビンおよびトラスツズマブが、21日の処置サイクルで対象に投与される、実施形態77に記載の方法。
【0247】
93.ツカチニブが、21日の処置サイクルのそれぞれの日に1日2回、対象に投与される、実施形態92に記載の方法。
【0248】
94.カペシタビンが、21日の処置サイクルの1~14日目のそれぞれに1日2回、対象に投与される、実施形態92または93に記載の方法。
【0249】
95.トラスツズマブが、21日の処置サイクルあたり1回、対象に投与される、実施形態92~94のいずれか一項に記載の方法。
【0250】
96.最初の21日の処置サイクル中のトラスツズマブの用量が8mg/kgであり、その後の21日の処置サイクル中のトラスツズマブの用量が6mg/kgである、実施形態95に記載の方法。
【0251】
97.対象が、乳がんのための1つ以上のさらなる治療剤で以前に処置されたことがある、実施形態1~96のいずれか一項に記載の方法。
【0252】
98.1つ以上のさらなる治療剤が、抗HER2抗体または抗HER2抗体-薬物コンジュゲートである、実施形態97に記載の方法。
【0253】
99.1つ以上のさらなる治療剤が、トラスツズマブ、ペルツズマブおよび/またはT-DM1である、実施形態98に記載の方法。
【0254】
100.対象が、過去12ヶ月以内に乳がんのための別の治療剤で処置されていない、実施形態1~99のいずれか一項に記載の方法。
【0255】
101.対象が、乳がんのための別の治療剤で以前に処置されたことがない、実施形態1~96のいずれか一項に記載の方法。
【0256】
102.対象が、ラパチニブ、ネラチニブ、アファチニブ、またはカペシタビンで以前に処置されたことがない、実施形態1~101のいずれか一項に記載の方法。
【0257】
103.対象の処置が、少なくとも約85%の腫瘍増殖阻害(TGI)指数をもたらす、実施形態1~102のいずれか一項に記載の方法。
【0258】
104.対象の処置が、約100%のTGI指数をもたらす、実施形態1~102のいずれか一項に記載の方法。
【0259】
105.対象における1つ以上の治療効果が、ベースラインと比較して、対象へのツカチニブの投与後に改善される、実施形態1~104のいずれか一項に記載の方法。
【0260】
106.1つ以上の治療効果が、乳がんに由来する腫瘍のサイズ、客観的奏功率、奏功期間、奏功までの時間、無増悪生存期間および全生存からなる群から選択される、実施形態105に記載の方法。
【0261】
107.乳がんに由来する腫瘍のサイズが、対象へのツカチニブの投与前の乳がんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、実施形態1~106のいずれか一項に記載の方法。
【0262】
108.客観的奏功率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、実施形態1~107のいずれか一項に記載の方法。
【0263】
109.対象が、対象へのツカチニブの投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、実施形態1~108のいずれか一項に記載の方法。
【0264】
110.対象が、対象へのツカチニブの投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存を示す、実施形態1~109のいずれか一項に記載の方法。
【0265】
111.ツカチニブに対する奏功期間が、対象へのツカチニブの投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、実施形態1~110のいずれか一項に記載の方法。
【0266】
112.対象がヒトである、実施形態1~111のいずれか一項に記載の方法。
【0267】
113.対象が、治療有効量の、多剤毒素排出(MATE)タンパク質の基質による処置を同時に受けていない、対象における乳がんの処置における使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0268】
114.対象が、過去7日以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態113に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0269】
115.対象が、過去3ヶ月以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態113に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0270】
116.対象が、過去12ヶ月以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態113に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0271】
117.対象が、MATEタンパク質の基質による処置を以前に受けたことがない、実施形態113に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0272】
118.MATEタンパク質がMATE1である、実施形態113~117のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0273】
119.MATEタンパク質がMATE2Kである、実施形態113~117のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0274】
120.MATEタンパク質の基質が、メトホルミン、オキサゾリジノン、フェキソフェナジン、テトラエチルアンモニウム(TEA)、N-メチルフェニルピリジニウム(MPP+)、パラコート、アグマチン、シメチジン、プロカインアミド、プラミペキソール、アテノロール、セロトニン、キニジン、ベラパミル、シスプラチン、オキサリプラチン、およびピリメタミンからなる群から選択される、実施形態113~119のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0275】
121.基質がメトホルミンである、実施形態120に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0276】
122.対象が、治療有効量の、有機カチオントランスポーター(OCT)の基質による処置を同時に受けていない、対象における乳がんの処置における使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0277】
123.対象が、過去7日以内にOCTの基質による処置を受けていない、実施形態122に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0278】
124.対象が、過去3ヶ月以内にOCTの基質による処置を受けていない、実施形態122に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0279】
125.対象が、過去12ヶ月以内にOCTタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態122に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0280】
126.対象が、OCTの基質による処置を以前に受けたことがない、実施形態122に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0281】
127.OCTがOCT1である、実施形態122~126のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0282】
128.OCTがOCT2である、実施形態122~126のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0283】
129.OCTの基質が、メトホルミン、オキサゾリジノン、フェキソフェナジン、テトラエチルアンモニウム(TEA)、N-メチルフェニルピリジニウム(MPP+)、パラコート、アグマチン、シメチジン、プロカインアミド、プラミペキソール、アテノロール、セロトニン、キニジン、ベラパミル、シスプラチン、オキサリプラチン、およびピリメタミンからなる群から選択される、実施形態122~128のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0284】
130.基質がメトホルミンである、実施形態129に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0285】
131.対象が、治療有効量の、MATEタンパク質の基質による処置を同時に受けていない、実施形態122~130のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0286】
132.対象が、過去7日以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態131に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0287】
133.対象が、過去3ヶ月以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態131に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0288】
134.対象が、過去12ヶ月以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態131に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0289】
135.対象が、MATEタンパク質の基質による処置を以前に受けたことがない、実施形態131に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0290】
136.MATEタンパク質がMATE1である、実施形態131~135のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0291】
137.MATEタンパク質がMATE2Kである、実施形態131~135のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0292】
138.対象の腎機能が低下していない、対象における乳がんの処置における使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0293】
139.過去12ヶ月以内に対象の腎機能が低下していない、実施形態138に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0294】
140.対象の腎機能が低下していない、実施形態113~137のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0295】
141.過去12ヶ月以内に対象の腎機能が低下していない、実施形態140に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0296】
142.腎機能の低下が対象の血清クレアチニンレベルに基づいて決定される、実施形態138~141のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0297】
143.a)対象が男性であり、対象が1.5mg/dL未満の血清クレアチニンレベルを有するか、またはb)対象が女性であり、1.4mg/dL未満の血清クレアチニンレベルを有する、実施形態142に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0298】
144.腎機能の低下が、異常なクレアチニンクリアランスに基づいて決定される、実施形態138~141のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0299】
145.腎機能の低下が、対象の糸球体濾過率に基づいて決定される、実施形態138~141のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0300】
146.対象が、治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を同時に受けていない、実施形態113~145のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0301】
147.対象が、過去7日以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、実施形態146に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0302】
148.対象が、過去3ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、実施形態146に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0303】
149.対象が、過去12ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、実施形態146に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0304】
150.対象が、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を以前に受けたことがない、実施形態146に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0305】
151.シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の阻害剤である、実施形態145~150のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0306】
152.シトクロムp450タンパク質が、CYP3A4である、実施形態151に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0307】
153.CYP3A4の活性を阻害する化合物が、イトラコナゾールである、実施形態152に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0308】
154.シトクロムp450タンパク質が、CYP2C8である、実施形態151に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0309】
155.CYP2C8の活性を阻害する化合物が、ゲムフィブロジルである、実施形態154に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0310】
156.シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の誘導剤である、実施形態145~150のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0311】
157.シトクロムp450タンパク質が、CYP3A4である、実施形態156に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0312】
158.シトクロムp450タンパク質が、CYP2C8である、実施形態156に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0313】
159.シトクロムp450タンパク質の活性を誘導する化合物が、リファンピンである、実施形態156~158のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0314】
160.対象が、治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を同時に受けていない、対象における乳がんの処置における使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0315】
161.対象が、過去7日以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、実施形態160に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0316】
162.対象が、過去3ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、実施形態160に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0317】
163.対象が、過去12ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、実施形態160に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0318】
164.対象が、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を以前に受けたことがない、実施形態160に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0319】
165.シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の阻害剤である、実施形態160~164のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0320】
166.シトクロムp450タンパク質が、CYP3A4である、実施形態165に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0321】
167.CYP3A4の活性を阻害する化合物が、イトラコナゾールである、実施形態166に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0322】
168.シトクロムp450タンパク質が、CYP2C8である、実施形態165に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0323】
169.CYP2C8の活性を阻害する化合物が、ゲムフィブロジルである、実施形態168に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0324】
170.シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の誘導剤である、実施形態160~164のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0325】
171.シトクロムp450タンパク質が、CYP3A4である、実施形態170に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0326】
172.シトクロムp450タンパク質が、CYP2C8である、実施形態170に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0327】
173.シトクロムp450タンパク質の活性を誘導する化合物が、リファンピンである、実施形態170~172のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0328】
174.ツカチニブが、約150mg~約650mgの用量で対象に投与される、実施形態113~173のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0329】
175.ツカチニブが、約300mgの用量で対象に投与される、実施形態174に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0330】
176.ツカチニブが、1日1回または2回投与される、実施形態174または63に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0331】
177.ツカチニブが、1日2回、約300mgの用量で対象に投与される、実施形態176に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0332】
178.ツカチニブが、対象に経口投与される、実施形態113~177のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0333】
179.乳がんが、HER2陽性乳がんである、実施形態113~178のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0334】
180.がんが、in situハイブリダイゼーション、蛍光in situハイブリダイゼーション、または免疫組織化学を使用してHER2陽性であると決定される、実施形態179に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0335】
181.乳がんが、転移性である、実施形態113~180のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0336】
182.乳がんが、脳に転移している、実施形態181に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0337】
183.乳がんが、局所的に進行したもの(locally advanced)である、実施形態113~182のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0338】
184.乳がんが、切除不能である、実施形態113~183のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0339】
185.ツカチニブが、乳がんを処置するための1つ以上のさらなる治療剤と共に投与されるためのものであるか、または投与されるべきである、実施形態113~184のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0340】
186.1つ以上のさらなる治療剤が、カペシタビンおよび抗HER2抗体からなる群から選択される、実施形態185に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0341】
187.1つ以上のさらなる治療剤が、カペシタビンである、実施形態185に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0342】
188.1つ以上のさらなる治療剤が、トラスツズマブである、実施形態185に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0343】
189.1つ以上のさらなる治療剤が、カペシタビンおよびトラスツズマブである、実施形態185に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0344】
190.カペシタビンが、約500mg/m2~約1500mg/m2の用量で対象に投与される、実施形態187または189に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0345】
191.カペシタビンが、約1000mg/m2の用量で対象に投与される、実施形態190に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0346】
192.カペシタビンが、対象に経口投与される、実施形態190または191に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0347】
193.カペシタビンが、1日2回、対象に投与される、実施形態189~192のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0348】
194.トラスツズマブが、約400mg~約800mgの用量で対象に投与される、実施形態188または189に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0349】
195.トラスツズマブが、約600mgの用量で対象に投与される、実施形態194に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0350】
196.トラスツズマブが、対象に皮下投与される、実施形態194または195に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0351】
197.トラスツズマブが、約4mg/kg~約10mg/kgの用量で対象に投与される、実施形態188または189に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0352】
198.トラスツズマブが、約6mg/kgの用量で対象に投与される、実施形態197に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0353】
199.トラスツズマブが、約8mg/kgの用量で対象に投与される、実施形態197に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0354】
200.トラスツズマブが、約8mg/kgの初期用量で、次いで、約6mg/kgのその後の用量で対象に投与される、実施形態197に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0355】
201.トラスツズマブが静脈内投与される、実施形態197~200のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0356】
202.トラスツズマブが、約1週毎に1回、約2週毎に1回、約3週毎に1回、または約4週毎に1回投与される、実施形態194~201のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0357】
203.トラスツズマブが、約3週毎に1回投与される、実施形態202に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0358】
204.ツカチニブ、カペシタビンおよびトラスツズマブが、21日の処置サイクルで対象に投与される、実施形態189に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0359】
205.ツカチニブが、21日の処置サイクルのそれぞれの日に1日2回、対象に投与される、実施形態204に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0360】
206.カペシタビンが、21日の処置サイクルの1~14日目のそれぞれに1日2回、対象に投与される、実施形態204または205に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0361】
207.トラスツズマブが、21日の処置サイクルあたり1回、対象に投与される、実施形態204~206のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0362】
208.最初の21日の処置サイクル中のトラスツズマブの用量が8mg/kgであり、その後の21日の処置サイクル中のトラスツズマブの用量が6mg/kgである、実施形態207に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0363】
209.対象が、乳がんのための1つ以上のさらなる治療剤で以前に処置されたことがある、実施形態113~208のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0364】
210.1つ以上のさらなる治療剤が、抗HER2抗体または抗HER2抗体-薬物コンジュゲートである、実施形態209に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0365】
211.1つ以上のさらなる治療剤が、トラスツズマブ、ペルツズマブおよび/またはT-DM1である、実施形態210に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0366】
212.対象が、過去12ヶ月以内に乳がんのための別の治療剤で処置されていない、実施形態113~211のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0367】
213.対象が、乳がんのための別の治療剤で以前に処置されたことがない、実施形態113~208のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0368】
214.対象が、ラパチニブ、ネラチニブ、アファチニブ、またはカペシタビンで以前に処置されたことがない、実施形態113~213のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0369】
215.対象の処置が、少なくとも約85%の腫瘍増殖阻害(TGI)指数をもたらす、実施形態113~214のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0370】
216.対象の処置が、約100%のTGI指数をもたらす、実施形態113~214のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0371】
217.対象における1つ以上の治療効果が、ベースラインと比較して対象へのツカチニブの投与後に改善される、実施形態113~216のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0372】
218.1つ以上の治療効果が、乳がんに由来する腫瘍のサイズ、客観的奏功率、奏功期間、奏功までの時間、無増悪生存期間および全生存からなる群から選択される、実施形態217に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0373】
219.乳がんに由来する腫瘍のサイズが、対象へのツカチニブの投与前の乳がんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、実施形態113~218のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0374】
220.客観的奏功率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、実施形態113~219のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0375】
221.対象が、対象へのツカチニブの投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、実施形態113~220のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0376】
222.対象が、対象へのツカチニブの投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存を示す、実施形態113~221のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0377】
223.ツカチニブに対する奏功期間が、対象へのツカチニブの投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、実施形態113~222のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0378】
224.対象がヒトである、実施形態113~223のいずれか一項に記載の使用のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物。
【0379】
225.対象が、治療有効量の、多剤毒素排出(MATE)タンパク質の基質による処置を同時に受けていない、対象における乳がんを処置するための薬剤の製造のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物の使用。
【0380】
226.対象が、過去7日以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態225に記載の使用。
【0381】
227.対象が、過去3ヶ月以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態225に記載の使用。
【0382】
228.対象が、過去12ヶ月以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態225に記載の使用。
【0383】
229.対象が、MATEタンパク質の基質による処置を以前に受けたことがない、実施形態225に記載の使用。
【0384】
230.MATEタンパク質がMATE1である、実施形態225~229のいずれか一項に記載の使用。
【0385】
231.MATEタンパク質がMATE2Kである、実施形態225~229のいずれか一項に記載の使用。
【0386】
232.MATEタンパク質の基質が、メトホルミン、オキサゾリジノン、フェキソフェナジン、テトラエチルアンモニウム(TEA)、N-メチルフェニルピリジニウム(MPP+)、パラコート、アグマチン、シメチジン、プロカインアミド、プラミペキソール、アテノロール、セロトニン、キニジン、ベラパミル、シスプラチン、オキサリプラチン、およびピリメタミンからなる群から選択される、実施形態225~231のいずれか一項に記載の使用。
【0387】
233.基質がメトホルミンである、実施形態232に記載の使用。
【0388】
234.対象が、治療有効量の、有機カチオントランスポーター(OCT)の基質による処置を同時に受けていない、対象における乳がんを処置するための薬剤の製造のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物の使用。
【0389】
235.対象が、過去7日以内にOCTの基質による処置を受けていない、実施形態234に記載の使用。
【0390】
236.対象が、過去3ヶ月以内にOCTの基質による処置を受けていない、実施形態234に記載の使用。
【0391】
237.対象が、過去12ヶ月以内にOCTタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態234に記載の使用。
【0392】
238.対象が、OCTの基質による処置を以前に受けたことがない、実施形態234に記載の使用。
【0393】
239.OCTがOCT1である、実施形態234~238のいずれか一項に記載の使用。
【0394】
240.OCTがOCT2である、実施形態234~238のいずれか一項に記載の使用。
【0395】
241.OCTの基質が、メトホルミン、オキサゾリジノン、フェキソフェナジン、テトラエチルアンモニウム(TEA)、N-メチルフェニルピリジニウム(MPP+)、パラコート、アグマチン、シメチジン、プロカインアミド、プラミペキソール、アテノロール、セロトニン、キニジン、ベラパミル、シスプラチン、オキサリプラチン、およびピリメタミンからなる群から選択される、実施形態234~240のいずれか一項に記載の使用。
【0396】
242.基質がメトホルミンである、実施形態241に記載の使用。
【0397】
243.対象が、治療有効量の、MATEタンパク質の基質による処置を同時に受けていない、実施形態234~242のいずれか一項に記載の使用。
【0398】
244.対象が、過去7日以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態243に記載の使用。
【0399】
245.対象が、過去3ヶ月以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態243に記載の使用。
【0400】
246.対象が、過去12ヶ月以内にMATEタンパク質の基質による処置を受けていない、実施形態243に記載の使用。
【0401】
247.対象が、MATEタンパク質の基質による処置を以前に受けたことがない、実施形態243に記載の使用。
【0402】
248.MATEタンパク質がMATE1である、実施形態243~247のいずれか一項に記載の使用。
【0403】
249.MATEタンパク質がMATE2Kである、実施形態243~247のいずれか一項に記載の使用。
【0404】
250.対象の腎機能が低下していない、対象における乳がんを処置するための薬剤の製造のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物の使用。
【0405】
251.過去12ヶ月以内に対象の腎機能が低下していない、実施形態250に記載の使用。
【0406】
252.対象の腎機能が低下していない、実施形態225~249のいずれか一項に記載の使用。
【0407】
253.過去12ヶ月以内に対象の腎機能が低下していない、実施形態252に記載の使用。
【0408】
254.腎機能の低下が、対象の血清クレアチニンレベルに基づいて決定される、実施形態250~253のいずれか一項に記載の使用。
【0409】
255.a)対象が男性であり、対象が1.5mg/dL未満の血清クレアチニンレベルを有するか、またはb)対象が女性であり、1.4mg/dL未満の血清クレアチニンレベルを有する、実施形態254に記載の使用。
【0410】
256.腎機能の低下を、対象が異常なクレアチニンクリアランスを有することに基づいて決定する、実施形態250~253のいずれか一項に記載の使用。
【0411】
257.腎機能の低下を、対象の糸球体濾過率に基づいて決定する、実施形態250~253のいずれか一項に記載の使用。
【0412】
258.対象が、治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を同時に受けていない、実施形態225~257のいずれか一項に記載の使用。
【0413】
259.対象が、過去7日以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、実施形態258に記載の使用。
【0414】
260.対象が、過去3ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、実施形態258に記載の使用。
【0415】
261.対象が、過去12ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、実施形態258に記載の使用。
【0416】
262.対象が、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を以前に受けたことがない、実施形態258に記載の使用。
【0417】
263.シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の阻害剤である、実施形態258~262のいずれか一項に記載の使用。
【0418】
264.シトクロムp450タンパク質が、CYP3A4である、実施形態263に記載の使用。
【0419】
265.CYP3A4の活性を阻害する化合物が、イトラコナゾールである、実施形態264に記載の使用。
【0420】
266.シトクロムp450タンパク質が、CYP2C8である、実施形態263に記載の使用。
【0421】
267.CYP2C8の活性を阻害する化合物が、ゲムフィブロジルである、実施形態266に記載の使用。
【0422】
268.シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の誘導剤である、実施形態258~262のいずれか一項に記載の使用。
【0423】
269.シトクロムp450タンパク質が、CYP3A4である、実施形態268に記載の使用。
【0424】
270.シトクロムp450タンパク質が、CYP2C8である、実施形態268に記載の使用。
【0425】
271.シトクロムp450タンパク質の活性を誘導する化合物が、リファンピンである、実施形態268~270のいずれか一項に記載の使用。
【0426】
272.対象が、治療有効量の、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を同時に受けていない、対象における乳がんを処置するための薬剤の製造のための、治療有効量のツカチニブ、またはその塩もしくは溶媒和物の使用。
【0427】
273.対象が、過去7日以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、実施形態272に記載の使用。
【0428】
274.対象が、過去3ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、実施形態272に記載の使用。
【0429】
275.対象が、過去12ヶ月以内にシトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を受けていない、実施形態272に記載の使用。
【0430】
276.対象が、シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物による処置を以前に受けたことがない、実施形態272に記載の使用。
【0431】
277.シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の阻害剤である、実施形態272~276のいずれか一項に記載の使用。
【0432】
278.シトクロムp450タンパク質が、CYP3A4である、実施形態277に記載の使用。
【0433】
279.CYP3A4の活性を阻害する化合物が、イトラコナゾールである、実施形態278に記載の使用。
【0434】
280.シトクロムp450タンパク質が、CYP2C8である、実施形態277に記載の使用。
【0435】
281.CYP2C8の活性を阻害する化合物が、ゲムフィブロジルである、実施形態280に記載の使用。
【0436】
282.シトクロムp450タンパク質の活性をモジュレートする化合物が、シトクロムp450タンパク質の活性の誘導剤である、実施形態272~276のいずれか一項に記載の使用。
【0437】
283.シトクロムp450タンパク質が、CYP3A4である、実施形態282に記載の使用。
【0438】
284.シトクロムp450タンパク質が、CYP2C8である、実施形態282に記載の使用。
【0439】
285.シトクロムp450タンパク質の活性を誘導する化合物が、リファンピンである、実施形態282~284のいずれか一項に記載の使用。
【0440】
286.ツカチニブが、約150mg~約650mgの用量で対象に投与される、実施形態225~285のいずれか一項に記載の使用。
【0441】
287.ツカチニブが、約300mgの用量で対象に投与される、実施形態286に記載の使用。
【0442】
288.ツカチニブが、1日1回または2回投与される、実施形態286または287に記載の使用。
【0443】
289.ツカチニブが、1日2回、約300mgの用量で対象に投与される、実施形態288に記載の使用。
【0444】
290.ツカチニブが、対象に経口投与される、実施形態225~289のいずれか一項に記載の使用。
【0445】
291.乳がんが、HER2陽性乳がんである、実施形態225~290のいずれか一項に記載の使用。
【0446】
292.がんが、in situハイブリダイゼーション、蛍光in situハイブリダイゼーション、または免疫組織化学を使用してHER2陽性であると決定される、実施形態291に記載の使用。
【0447】
293.乳がんが転移性である、実施形態225~292のいずれか一項に記載の使用。
【0448】
294.乳がんが、脳に転移している、実施形態293に記載の使用。
【0449】
295.乳がんが、局所的に進行したものである、実施形態225~294のいずれか一項に記載の使用。
【0450】
296.乳がんが切除不能である、実施形態225~295のいずれか一項に記載の使用。
【0451】
297.薬剤が、乳がんを処置するための1つ以上のさらなる治療剤と共に使用するためのものである、実施形態225~296のいずれか一項に記載の使用。
【0452】
298.1つ以上のさらなる治療剤が、カペシタビンおよび抗HER2抗体からなる群から選択される、実施形態297に記載の使用。
【0453】
299.1つ以上のさらなる治療剤が、カペシタビンである、実施形態297に記載の使用。
【0454】
300.1つ以上のさらなる治療剤が、トラスツズマブである、実施形態297に記載の使用。
【0455】
301.1つ以上のさらなる治療剤が、カペシタビンおよびトラスツズマブである、実施形態297に記載の使用。
【0456】
302.カペシタビンが、約500mg/m2~約1500mg/m2の用量で対象に投与される、実施形態299または301に記載の使用。
【0457】
303.カペシタビンが、約1000mg/m2の用量で対象に投与される、実施形態302に記載の使用。
【0458】
304.カペシタビンが、対象に経口投与される、実施形態302または303に記載の使用。
【0459】
305.カペシタビンが、1日2回、対象に投与される、実施形態301~304のいずれか一項に記載の使用。
【0460】
306.トラスツズマブが、約400mg~約800 mgの用量で対象に投与される、実施形態300または301に記載の使用。
【0461】
307.トラスツズマブが、約600mgの用量で対象に投与される、実施形態306に記載の使用。
【0462】
308.トラスツズマブが、対象に皮下投与される、実施形態306または307に記載の使用。
【0463】
309.トラスツズマブが、約4mg/kg~約10mg/kgの用量で対象に投与される、実施形態300または301に記載の使用。
【0464】
310.トラスツズマブが、約6mg/kgの用量で対象に投与される、実施形態309に記載の使用。
【0465】
311.トラスツズマブが、約8mg/kgの用量で対象に投与される、実施形態309に記載の使用。
【0466】
312.トラスツズマブが、約8mg/kgの初期用量で、次いで、約6mg/kgのその後の用量で対象に投与される、実施形態309に記載の使用。
【0467】
313.トラスツズマブが静脈内投与される、請求項309~312のいずれか一項に記載の使用。
【0468】
314.トラスツズマブが、約1週毎に1回、約2週毎に1回、約3週毎に1回、または約4週毎に1回投与される、実施形態306~313のいずれか一項に記載の使用。
【0469】
315.トラスツズマブが、約3週毎に1回投与される、実施形態314に記載の使用。
【0470】
316.ツカチニブ、カペシタビンおよびトラスツズマブが、21日の処置サイクルで対象に投与される、実施形態301に記載の使用。
【0471】
317.ツカチニブが、21日の処置サイクルのそれぞれの日に1日2回、対象に投与される、実施形態316に記載の使用。
【0472】
318.カペシタビンが、21日の処置サイクルの1~14日目のそれぞれに1日2回、対象に投与される、実施形態316または317に記載の使用。
【0473】
319.トラスツズマブが、21日の処置サイクルあたり1回、対象に投与される、実施形態316~318のいずれか一項に記載の使用。
【0474】
320.最初の21日の処置サイクル中のトラスツズマブの用量が8mg/kgであり、その後の21日の処置サイクル中のトラスツズマブの用量が6mg/kgである、実施形態319に記載の使用。
【0475】
321.対象が、乳がんのための1つ以上のさらなる治療剤で以前に処置されたことがある、実施形態225~320のいずれか一項に記載の使用。
【0476】
322.1つ以上のさらなる治療剤が、抗HER2抗体または抗HER2抗体-薬物コンジュゲートである、実施形態321に記載の使用。
【0477】
323.1つ以上のさらなる治療剤が、トラスツズマブ、ペルツズマブおよび/またはT-DM1である、実施形態322に記載の使用。
【0478】
324.対象が、過去12ヶ月以内に乳がんのための別の治療剤で処置されていない、実施形態225~323のいずれか一項に記載の使用。
【0479】
325.対象が、乳がんのための別の治療剤で以前に処置されたことがない、実施形態225~320のいずれか一項に記載の使用。
【0480】
326.対象が、ラパチニブ、ネラチニブ、アファチニブ、またはカペシタビンで以前に処置されたことがない、実施形態225~325のいずれか一項に記載の使用。
【0481】
327.対象の処置が、少なくとも約85%の腫瘍増殖阻害(TGI)指数をもたらす、実施形態225~326のいずれか一項に記載の使用。
【0482】
328.対象の処置が、約100%のTGI指数をもたらす、実施形態225~326のいずれか一項に記載の使用。
【0483】
329.対象における1つ以上の治療効果が、ベースラインと比較して、対象へのツカチニブの投与後に改善される、実施形態225~328のいずれか一項に記載の使用。
【0484】
330.1つ以上の治療効果が、乳がんに由来する腫瘍のサイズ、客観的奏功率、奏功期間、奏功までの時間、無増悪生存期間および全生存からなる群から選択される、実施形態329に記載の使用。
【0485】
331.乳がんに由来する腫瘍のサイズが、対象へのツカチニブの投与前の乳がんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、実施形態225~330のいずれか一項に記載の使用。
【0486】
332.客観的奏功率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、実施形態225~331のいずれか一項に記載の使用。
【0487】
333.対象が、対象へのツカチニブの投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、実施形態225~332のいずれか一項に記載の使用。
【0488】
334.対象が、対象へのツカチニブの投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存を示す、実施形態225~333のいずれか一項に記載の使用。
【0489】
335.ツカチニブに対する奏功期間が、対象へのツカチニブの投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、実施形態225~334のいずれか一項に記載の使用。
【0490】
336.対象がヒトである、実施形態225~335のいずれか一項に記載の使用。
【0491】
本発明は、以下の実施例を参照することによって、より完全に理解されるであろう。しかしながら、それらは、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。本明細書に記載の実施例および実施形態は、例示目的に過ぎず、その観点で様々な改変または変更が当業者に提唱され、本出願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲に含まれることが理解される。
(実施例)
【実施例1】
【0492】
MATE1/2K基質を受ける健康な対象におけるツカチニブの第I相薬物間相互作用試験
ツカチニブは、受容体チロシンキナーゼHER2の強力で選択的なアデノシン三リン酸(ATP)競合的低分子阻害剤である。ツカチニブは、HER2+乳がんを含む、進行固形腫瘍を有する患者の処置のための臨床試験における、単一の薬剤として、またはカペシタビンおよびトラスツズマブと組み合わせて調査されている(例えば、HER2CLIMB臨床試験(ClinicalTrials.gov識別子#NCT02614794)を参照されたい)。
【0493】
薬物間相互作用は、がん患者に投与される治療剤の効能および毒性に対する有意な影響を有し得る。近位尿細管では、塩基性薬物は、H+/有機カチオン対抗輸送体、多剤毒素排出1(MATE1)および2K(MATE2K)の協調作用によって、腎細胞から尿細管腔に輸送される。MATEトランスポーターの阻害剤は、メトホルミンなどの同時に投与される薬物の薬物動態(PK)に対する臨床的に関連する効果を有することが示されている。
【0494】
メトホルミンは、2型糖尿病のための一般的に使用される経口グルコース低下薬である。この薬物はまた、OCTおよび/またはMATEの阻害剤の開発中に行われる薬物間相互作用(DDI)試験におけるin vivoのOCT2/MATE1/MATE2Kプローブとして一般的に使用されている。
【0495】
in vitroでの評価では、ツカチニブは、有機カチオントランスポーター(OCT)2、乳がん耐性タンパク質(BCRP)および胆汁塩輸出ポンプ(BSEP)の活性を、それぞれ、14.7μM、8.98μM、および8.48μMの50%阻害濃度(IC50)値で阻害した。ツカチニブはまた、in vitroでMATE1およびMATE2Kトランスポーターを、それぞれ、0.34μMおよび0.14μMの阻害IC50値で阻害した。
【0496】
ツカチニブは、OCT2/MATE1/MATE2K分子によって影響される薬物のPKに影響する能力を有する。薬物代謝上でのこれらの経路の重要性を考慮すると、ツカチニブの潜在的な薬物間相互作用能力をより正確に理解するために、ツカチニブがこれらの分子に対してどのように作用するかを理解することが重要である。これは、多数の処置を考慮して、がん患者に処方することができることが重要である。
【0497】
方法
第1相、単一施設、非盲検、固定順序、薬物間相互作用(DDI)試験を行って、健康な男性および女性の対象におけるメトホルミンの薬物動態に対するツカチニブの効果を評価した。
【0498】
この試験の主目的は、多剤毒素排出タンパク質(MATE)1/2Kの基質であるメトホルミンの単回用量PKに対するツカチニブの複数指値経口用量の効果を評価することであった。この試験の副次的目的は、ツカチニブと同時投与した場合のメトホルミンの安全性および忍容性を評価すること;GFRマーカーとしてイオヘキソールを使用して腎機能に対するツカチニブの効果を評価すること;ならびに試験対象においてツカチニブの複数指値経口用量のPK(例えば、トラフPKプロファイル)を評価することを含んでいた。
【0499】
18人の健康な対象を登録して、
図1に示されるように処置および評価を完了した。対象は、最初の薬物投与の日である1日目の前日である-1日目の午後に、臨床研究施設に収容された。彼らは、入院評価の完了後、9日目に退院した。退院後、対象は、16日目に外来追跡訪問のために臨床研究施設に戻った。18人の対象のうち、17人がPKおよびPDプロファイルの評価のための試験を完了した。
【0500】
1日目および8日目に、それぞれの対象は、8時間以上の少なくとも一晩の絶食後、朝に850mgのメトホルミンの経口投与および3時間の経口ブドウ糖負荷試験を受けた。1日目および8日目に、それぞれの対象はまた、メトホルミン投与の10時間後に、5分かけて1500mgのイオヘキソール(血漿クリアランス試験に使用される造影剤およびGFRマーカー)のプッシュ注射を受けた。2~8日目に、それぞれの対象は、2x150mgの錠剤として1日2回(bid)(約12時間間隔)、300mgのツカチニブの経口投与を受けた。2日目および8日目に、ツカチニブの朝用量を、8時間の一晩絶食後に投与した。8日目に、ツカチニブの朝用量を、メトホルミン投薬の直後に投与した。ツカチニブおよびメトホルミンを経口錠剤として提供し、イオヘキソールを好適な濃度の溶液として提供した。
【0501】
安全性評価および薬物動態/薬力学(PK/PD)決定のための血液/尿サンプリングを、
図1に示されるスケジュールに従って、-1日目から9日目まで行った。PKの評価項目は、血漿ツカチニブ(および代謝物ONT-993)のトラフ濃度、メトホルミンの血漿および尿中濃度、ノンコンパートメント解析(NCA)を使用して評価したメトホルミンの血漿PKパラメーター(例えば、最大血漿濃度(Cmax)、最大血漿濃度までの時間(tmax)、半減期(t
1/2)、時間0から最後の入手可能測定値までの血漿濃度下面積-時間曲線(AUC0-last)、無限大まで外挿された時間0からの血漿濃度下面積-時間曲線(AUC0-inf)、クリアランス(CL)、見かけの分布容量(Vz/F)、および経口クリアランス(CL/F))、ツカチニブのトラフ濃度、ならびにイオヘキソール血漿クリアランスを含んでいた。PDの評価項目は、ツカチニブあり、またはなしでメトホルミンを投薬した2時間後に3時間の経口ブドウ糖負荷試験(75gでのOGTT)を行い、クレアチニンおよびシスタチンCの血清レベル、ならびに24時間の尿中クレアチニンおよびマイクロアルブミンレベルを測定することによって評価した。安全性の評価項目は、有害事象(AE)の評価、臨床検査、バイタルサインの測定値、12誘導心電図(ECG)および身体検査を含んでいた。
【0502】
臨床検査は、以下のパラメーターを測定した:(1)赤血球(RBC)、鑑別を伴う白血球(WBC)(好中球、好酸球、リンパ球、単球、および好塩基球)、ヘモグロビン、ヘマトクリット、および血小板数を含む血液学;(2)ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、クレアチニン、クレアチンキナーゼ(CK)、アミラーゼ、リパーゼ、グルコース(空腹時)、尿素、アルブミン、カルシウム、マグネシウム、無機リン、アルカリホスファターゼ、ASAT(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、ALAT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、総ビリルビン、間接および直接ビリルビン、総タンパク質、総コレステロール、高密度リポタンパク質(HDL)、低密度リポタンパク質(LDL)、トリグリセリド、および尿酸を含む血液化学;ならびに(3)尿分析:中間クリーンキャッチ尿標本を、タンパク質、血液、グルコース、WBC、およびpH(データベース中に捕捉される)の試験紙分析のために収集した。さらに、尿を、以下の薬物の乱用:アルコール、カンナビノイド、アンフェタミン、アヘン剤、メタドン、コカイン、コチニン、ベンゾジアゼピン、およびバルビツール酸系の評価のために収集した。結果を、1日目の投薬の前に審査した。HIV-1およびHIV-2抗体、B型肝炎表面抗原、およびC型肝炎抗体の測定のために、血清を収集した。女性については、血清妊娠検査を収集し、結果を1日目の投薬の前に審査した。
【0503】
適格な対象のための試験対象患者基準は、以下を含んでいた:(1)出産可能性のない男性または女性;(2)スクリーニング時に18~65歳;(3)18.0~32.0kg/m2の体格指数(BMI);(4)体重60kg以上;(5)健康状態。健康状態を、詳細な病歴および手術歴、バイタルサイン、12誘導ECG、血液学、血液化学、血清学、および尿検査を含む完全な身体検査後の、臨床的に意義のある、活動性または慢性疾患の証拠の非存在によって定義した;(6)試験退院(休診を含む)までの臨床施設へのそれぞれの収容の48時間(2日)前からアルコール、カフェイン、およびキサンチンを含有する飲料または食品(例えば、コーヒー、紅茶、コーラ、チョコレート、エネルギー飲料)を自制する能力および意思;(7)正常範囲の上限の1.5倍以内の血液および尿の全ての血液検査値および臨床化学検査値または臨床的に関連する偏差を示さないこと;(8)出産可能性のある女性と性的に活発であり、少なくとも90日間にわたって外科的に不妊ではなかった男性は、試験期間中+試験薬の最後の用量を受けた後の3ヶ月間、バリア式避妊法、例えば、コンドーム、または殺精子剤の発泡剤/ゲル/フィルム/クリーム/坐剤を含む、パートナーの閉鎖キャップ(ペッサリーもしくは子宮頸管キャップ/腟円蓋キャップ)のいずれかを使用することに同意しなければならず、また、全ての男性は、試験期間中、および試験薬の最後の用量を受けた後、3ヶ月間にわたって、精子を提供してはならない。さらに、その女性パートナーは、少なくとも同じ期間にわたって、さらなる避妊法(ホルモン法、子宮内デバイス[IUD]または子宮内システム[IUS]を含んでもよい)の使用を考慮すべきである;ならびに(9)臨床研究施設への収容の少なくとも28日前に、全ての不定期の医薬(店頭医薬、健康補助食品、およびセントジョーンズワート抽出物などの植物性生薬を含む)を停止していなければならない。パラセタモール(アセトアミノフェン)については例外とし、臨床研究施設への収容までは可能とした。
【0504】
除外基準は、以下を含んでいた:(1)妊娠可能性のある女性;(2)授乳していた女性;(3)妊娠中、授乳中、またはこの試験中に、もしくは試験薬の投与後90日以内に妊娠の計画がある女性パートナーを有する男性;(4)試験薬の最初の投与の30日以内の治験薬またはデバイスの使用;(5)対象に対して許容できないリスクを課す任意の疾患または医学的状態;(6)薬物吸収に影響し得る任意の状態(胃または腸の手術を含む);(7)代謝、アレルギー、皮膚、肝臓、腎臓、血液、肺、心血管、胃腸、神経、呼吸器、内分泌、または精神障害の有意な履歴;(8)任意の薬物化合物、食品、または他の物質に対する過敏症、不耐、またはアレルギーの履歴;(9)収容前の28日以内のタバコ製品の使用;(10)1日3グラムを超えるアセトアミノフェンの日常的または慢性的な使用;(11)臨床施設への(最初の)収容前48時間(2日)以内の、また、試験期間中の激しい運動、日光浴、およびコンタクトスポーツ;(12)試験薬投与の90日以内の輸血;(13)静脈穿刺ができないこと、および/または静脈アクセスが許容できないこと;(14)最初の試験薬投与の8週間以内の血液バンクまたは臨床試験(スクリーニング訪問を除く)への血液の提供;(15)臨床研究施設での投与前60日以内の450mLを超える血液の提供または試験薬の摂取以来30日が経過する前の提供の計画の履歴;(16)最初の試験薬投与の7日以内の血漿または血小板の提供;(17)2年以内のアルコール依存症または薬物乱用の履歴;(18)女性の対象については週あたり7本の基準飲料または男性の対象については14本の飲料を超えるアルコール消費の履歴。アルコール消費は、臨床施設への収容前の48時間および退院まで全試験を通して禁止した;(19)試験処置の初回用量前の28日以内の任意の処方薬の使用または使用の意向;(20)B型肝炎表面抗原(HBsAg)、抗C型肝炎ウイルス(HCV)抗体、または抗ヒト免疫不全ウイルス(HIV)1および2抗体に関するスクリーニング検査陽性;(21)昏睡を伴う、または伴わない、糖尿病性ケトアシドーシスを含む急性または慢性代謝性アシドーシス;ならびに(22)腎疾患または腎機能障害(例えば、1.5mg/dL以上[男性]、1.4mg/dL以上[女性]の血清クレアチニンレベルまたはクレアチニンクリアランス異常によって示唆される)。
【0505】
結果
図2に示されるように、メトホルミンのC
max血漿濃度は、メトホルミン単独投与後の1日目のものよりも、8日目の定常状態でツカチニブと組み合わせたメトホルミンの投与後に高く、両方の処置後に同様の形状のプロファイルであった。
【0506】
図3に示されるように、イオヘキソール投与後の血漿濃度は、1日目および8日目の投与後4時間まで、全ての対象において定量下限(LLOQ:5μg/mL)より高く、同様の平均イオヘキソール血漿濃度であった。
【0507】
図4に示されるように、ツカチニブの血漿濃度は、6日目までに定常状態に達した。
【0508】
薬物動態パラメーター
・イオヘキソール
平均イオヘキソールPKパラメーターは、メトホルミンのみと比較して、ツカチニブとメトホルミンとの同時投与後に類似していた。JodalおよびBrochner Mortensen式を使用して評価されたaGFRは、一定のままであった(メトホルミン+ツカチニブに関する95.56mL/min/1.73m2と比較して、メトホルミンのみに関する94.99mL/min/1.73m2)。
【0509】
・メトホルミン
ツカチニブとメトホルミンとの同時投与後、メトホルミンCmax、AUC0-last、およびAUC0-infの算術平均は、メトホルミンのみと比較して、それぞれ、1.102倍、1.376倍、および1.409倍増加した。曝露の変動性(%CV)は一般に、両処置について低かった(18.0%~30.5%の範囲)。メトホルミンのTmax中央値は、メトホルミンのみ(2.500時間)と比較して、定常状態でツカチニブと組み合わせた投与後にわずかに遅延した(3.000時間)。メトホルミンのトラフTmax範囲は、類似しており(メトホルミンのみについては1.50~4.00時間;組合せについては1.00~4.07時間)、多くの対象が、併用療法後にTmaxの遅延を示した。平均終末半減期(t1/2)は、メトホルミンのみ(4.546時間)と比較して、併用処置(5.569時間)後にわずかに長く見えた。平均CL/Fは、ツカチニブの存在下では105.4L/hから77.4L/hまで減少したが、見かけの平均分布容積(Vz/F)は695.4Lから627.2Lまでわずかに減少した(表1)。
【0510】
【0511】
薬物動態パラメーターの統計分析
メトホルミンのみのもの(参照)と比較した、ツカチニブとの同時投与(試験)後のメトホルミンの幾何LS平均が1に近く、90%CIが(0.80、1.25)の標準的な影響なしの境界内に含まれていたため、ツカチニブとの同時投与は、血漿メトホルミンCmaxに対する見かけの効果がなかった。ツカチニブとのメトホルミン同時投与は、それぞれ、約1.357倍および1.387倍高い血漿メトホルミンAUC0-lastおよびAUC0-infをもたらし(表2)、90%CIは標準的な影響なしの境界の外側であった。
【0512】
【0513】
結論
メトホルミン曝露の統計的に有意な増加ならびにCL/FおよびCLrenalの低下は、メトホルミンをツカチニブと同時投与した場合に観察され、ツカチニブがメトホルミンの腎分泌を阻害することと一致していた。さらに、平均血清クレアチニンの増加が、複数用量のツカチニブ後に観察された;しかしながら、イオヘキソールおよび尿中アルブミンレベルによって評価されるaGFRを含む腎機能の尺度は影響されなかった。これらの結果は、ツカチニブが腎臓のOCT2/MATE1/MATE2-K経路の弱い阻害剤として作用することと一致し、ツカチニブが腎損傷を引き起こさないことを示している。
【実施例2】
【0514】
CYP3A4、CYP2C8、CYP2C9およびP糖タンパク質の基質を受ける健康な対象におけるツカチニブの第1相薬物間相互作用試験
ツカチニブと、CYP3A4、CYP2C8、CYP2C9およびP糖タンパク質の基質との薬物間相互作用を評価した。ツカチニブは、種間での肝代謝に関して良好から中程度の安定性を有すると予測され、ヒト肝臓中では主にシトクロムP450(CYP)2C8によって代謝され、代謝物であるONT-993を得ると予測された。ツカチニブは、それぞれ、0.17μM、4.57μM、および0.81μMのKi値で、in vitroでCYP2C8、CYP2C9、およびCYP3A4を阻害したが、CYP3A4の時間依存的阻害は観察されなかった。ツカチニブの平均臨床最大観測濃度(Cmax)は、約1~2μMである;したがって、臨床的に関連する薬物レベルのツカチニブによるCYP2C8、CYP2C9、およびCYP3A4の阻害のリスクがあり得る。ツカチニブは、ヒト肝細胞中でCYP3A4またはCYP1A2と関連する酵素活性またはメッセンジャーリボ核酸をin vitroで誘導しなかった。さらに、ツカチニブは、P糖タンパク質(P-gp)基質であり、ジゴキシンのP-gp媒介性流出の弱い阻害剤(約10~30μMの最大半数阻害濃度[IC50])であることがわかった。
【0515】
方法
ツカチニブの第1相、非盲検、固定順序、5部分、薬物間相互作用試験を行って、ツカチニブの薬物動態に対するCYP3A4およびCYP2C8の阻害および誘導の効果を評価し、健康な男性および女性の対象におけるCYP3A4、CYP2C8、CYP2C9、およびP糖タンパク質の基質の薬物動態に対するツカチニブの効果を評価した。
【0516】
合計116人の患者を、5つの異なる群:パートA、パートB、パートC、パートD、およびパートEに登録した。パートAは、ツカチニブのPKに対する強力なCYP3A4阻害剤であるイトラコナゾールの効果を評価する。パートBは、ツカチニブのPKに対する、CYP3AおよびCYP2C8の強力な誘導剤であるリファンピンの効果を評価する。パートCは、ツカチニブのPKに対する強力なCYP2C8阻害剤であるゲムフィブロジルの効果を評価する。パートDは、代謝酵素CYP2C8(レパグリニド)、CYP2C9(トルブタミド)、およびCYP3A4(ミダゾラム)の基質プローブのPKに対するツカチニブの効果を評価する。パートEは、トランスポーターP-gp(ジゴキシン)の基質プローブのPKに対するツカチニブの効果を評価する。試験のパートA、B、C、D、およびEは、互いに無関係であり、任意の特定の順序で行う必要はない。パートA、B、およびCについて、単回用量のツカチニブ後の血漿曝露の評価は、ツカチニブのPKに対するプローブ薬物の影響の適切な評価を提供すると予想されるため、ツカチニブは単回経口用量として与えられる。パートDおよびEにおいては、ツカチニブは、ツカチニブによるCYP2C8、CYP2C9、CYP3A4、およびP-gpの最大阻害が達成されるべきである、定常状態でのプローブ薬物に対するその効果を検査するために複数用量レジメンとして与えられる。
【0517】
パートA
この試験の主目的は、ツカチニブの単回用量PKに対する、強力なCYP3A4阻害剤(イトラコナゾール)の効果を評価することである。この試験の副次的目的は、単独で投与した場合および強力なCYP3A4阻害剤と同時投与した場合のツカチニブの安全性および忍容性を評価することである。試験の探索目的は、(1)ツカチニブの単回用量後の、ツカチニブの代謝物であるONT-993のPKに対する、強力なCYP3A4阻害剤の効果を評価すること;および(2)ツカチニブと、任意のプローブ薬物または基質との薬物相互作用の規模における任意の観察される可変的応答に対する、CYP遺伝子多型または他の遺伝子多型の潜在的な効果を評価することを含んでいた。
【0518】
28人の健康な対象を登録して、
図5に示されるように処置および評価を完了した。対象は、最初の薬物投与の日である1日目の前日である-1日目の午後に、臨床研究施設に収容された。彼らは、入院評価の完了後、8日目に退院した。退院後、対象は、11、12または13日目に外来追跡訪問のために臨床研究施設に戻った。
【0519】
1日目に、それぞれの対象は、朝の朝食の完了後約2時間で、300mgのツカチニブの単回経口用量を受けた。3日目に、それぞれの対象は、1日2回(BID)、200mgのイトラコナゾールの経口用量を受けた。4日目から7日目まで、それぞれの対象は、1日1回(QD)、200mgのイトラコナゾールの単回経口用量を受けた。イトラコナゾールを、供給状態で投与した(食事の完了後5分以内)。6日目に、それぞれの対象は、朝食の完了後および朝のイトラコナゾール後、約2時間で、300mgのツカチニブの単回経口用量を受けた。ツカチニブを、150mgの錠剤(300mg用量については2個の錠剤)として提供し、イトラコナゾールを、100mgのカプセル(200mgの用量については2個のカプセル)として提供した。
【0520】
PK評価項目を評価するために、血液試料を、
図5に記載のスケジュールに従って、ツカチニブおよびONT-993の血漿濃度の分析のために収集した。以下のPKパラメーターを、可能な場合、標準的なノンコンパートメント法を使用して算出した:時間0から無限大までの濃度時間曲線(AUC)(AUC0-∞)、時間0から最後の定量可能濃度の時間までのAUC(AUClast)、AUCにおけるパーセンテージ外挿(%AUCextrap)、最大観測濃度(Cmax)、最大観測濃度到達時間(Tmax)、見かけの終末半減期(t1/2)、見かけの総クリアランス(CL/F;ツカチニブのみ)、見かけの分布容積(Vz/F;ツカチニブのみ)、およびAUCに基づく代謝物の親化合物に対する比(MRAUC;ONT-993のみ)。他のノンコンパートメントPKパラメーターを報告してもよい。さらに、
図5に示される日での朝の投薬の前のイトラコナゾールのトラフレベルの決定のために、血液試料を収集した。単一遺伝子型決定血液試料を収集して、ツカチニブと、プローブ薬物および基質との薬物相互作用の規模に対する、CYP多型または他の遺伝子多型のあり得る効果を評価した。
【0521】
試験の安全性評価項目を、有害事象(AE)、臨床検査値(臨床化学、血液学、および尿分析)、バイタルサイン測定値、12誘導心電図(ECG)、および身体検査をモニタリングすることによって評価した。
【0522】
パートB
この試験の主目的は、ツカチニブの単回用量PKにタウするCYP3A4およびCYP2C8(リファンピン)の誘導剤の効果を評価することであった。この試験の副次的目的は、単独で投与した場合およびCYP3A4およびCYP2C8の強力な誘導剤と同時投与した場合のツカチニブの安全性および忍容性を評価することであった。この試験の探索目的は、(1)ツカチニブの単回用量後の、ONT-993のPKに対する、CYP3A4およびCYP2C8の誘導剤の効果を評価すること;ならびに(2)ツカチニブと、任意のプローブ薬物または基質との薬物相互作用の規模における任意の観察される可変的応答に対する、CYP遺伝子多型または他の遺伝子多型の潜在的な効果を評価することを含んでいた。
【0523】
28人の健康な対象を登録して、
図6に示されるように処置および評価を完了した。対象は、最初の薬物投与の日である1日目の前日である-1日目の午後に、臨床研究施設に収容された。彼らは、入院評価の完了後、12日目に退院した。退院後、対象は、15、16または17日目に外来追跡訪問のために臨床研究施設に戻った。
【0524】
1日目に、それぞれの対象は、300mgのツカチニブの単回経口用量を受けた。3日目から11日目まで、それぞれの対象は、1日1回(QD)、600mgのリファンピンの単回経口用量を受けた。10日目に、それぞれの対象は、300mgのツカチニブの単回経口用量を受けた。ツカチニブを、150mgの錠剤(300mg用量については2個の錠剤)として提供し、リファンピンを、300mgのカプセル(600mgの用量については2個のカプセル)として提供した。ツカチニブおよびリファンピンを、少なくとも8時間の一晩の絶食の後、食前に投与した。
【0525】
PK評価項目を評価するために、血液試料を、
図6に記載のスケジュールに従って、ツカチニブおよびONT-993の血漿濃度の分析のために収集した。以下のPKパラメーターを、可能な場合、標準的なノンコンパートメント法を使用して算出した:時間0から無限大までの濃度時間曲線(AUC)(AUC0-∞)、時間0から最後の定量可能濃度の時間までのAUC(AUClast)、AUCにおけるパーセンテージ外挿(%AUCextrap)、最大観測濃度(Cmax)、最大観測濃度到達時間(Tmax)、見かけの終末半減期(t1/2)、見かけの総クリアランス(CL/F;ツカチニブのみ)、見かけの分布容積(Vz/F;ツカチニブのみ)、およびAUCに基づく代謝物の親化合物に対する比(MR
AUC;ONT-993のみ)。他のノンコンパートメントPKパラメーターを報告してもよい。さらに、
図6に示される日での朝の投薬の前のリファンピンのトラフレベルの決定のために、血液試料を収集した。単一遺伝子型決定血液試料を収集して、ツカチニブと、プローブ薬物および基質との薬物相互作用の規模に対する、CYP多型または他の遺伝子多型のあり得る効果を評価した。
【0526】
試験の安全性評価項目を、有害事象(AE)、臨床検査値(臨床化学、血液学、および尿分析)、バイタルサイン測定値、12誘導心電図(ECG)、および身体検査をモニタリングすることによって評価した。
【0527】
パートC
この試験の主目的は、ツカチニブの単回用量PKに対する、強力なCYP2C8阻害剤(ゲムフィブロジル)の効果を評価することであった。この試験の副次的目的は、単独で投与した場合および強力なCYP2C8阻害剤と同時投与した場合のツカチニブの安全性および忍容性を評価することであった。試験の探索目的は、(1)ツカチニブの単回用量後の、ONT-993のPKに対する、強力なCYP2C8阻害剤の効果を評価すること;および(2)ツカチニブと、任意のプローブ薬物または基質との薬物相互作用の規模における任意の観察される可変的応答に対する、CYP遺伝子多型または他の遺伝子多型の潜在的な効果を評価することを含んでいた。
【0528】
28人の健康な対象を登録して、
図7に示されるように処置および評価を完了した。対象は、最初の薬物投与の日である1日目の前日である-1日目の午後に、臨床研究施設に収容された。彼らは、入院評価の完了後、9日目に退院した。退院後、対象は、12、13または14日目に外来追跡訪問のために臨床研究施設に戻る。
【0529】
1日目に、それぞれの対象は、300mgのツカチニブの単回経口用量を受けた。3日目から8日目まで、それぞれの対象は、1日2回(BID)、600mgのゲムフィブロジル(BID)の単回経口用量を受けた。7日目に、それぞれの対象は、300mgのツカチニブの単回経口用量を受けた。ツカチニブを、150mgの錠剤(300mg用量については2個の錠剤)として提供し、ゲムフィブロジルを、600mgの錠剤として提供した。ツカチニブおよびゲムフィブロジルを、少なくとも8時間の一晩の絶食の後、食前に投与した。
【0530】
PK評価項目を評価するために、血液試料を、
図7に記載のスケジュールに従って、ツカチニブおよびONT-993の血漿濃度の分析のために収集した。以下のPKパラメーターを、可能な場合、標準的なノンコンパートメント法を使用して算出した:時間0から無限大までの濃度時間曲線(AUC)(AUC0-∞)、時間0から最後の定量可能濃度の時間までのAUC(AUClast)、AUCにおけるパーセンテージ外挿(%AUCextrap)、最大観測濃度(Cmax)、最大観測濃度到達時間(Tmax)、見かけの終末半減期(t1/2)、見かけの総クリアランス(CL/F;ツカチニブのみ)、見かけの分布容積(Vz/F;ツカチニブのみ)、およびAUCに基づく代謝物の親化合物に対する比(MR
AUC;ONT-993のみ)。他のノンコンパートメントPKパラメーターを報告してもよい。さらに、
図7に示される日での朝の投薬の前のゲムフィブロジルのトラフレベルの決定のために、血液試料を収集した。単一遺伝子型決定血液試料を収集して、ツカチニブと、プローブ薬物および基質との薬物相互作用の規模に対する、CYP多型または他の遺伝子多型のあり得る効果を評価した。
【0531】
試験の安全性評価項目を、有害事象(AE)、臨床検査値(臨床化学、血液学、および尿分析)、バイタルサイン測定値、12誘導心電図(ECG)、および身体検査をモニタリングすることによって評価した。
【0532】
パートD
この試験の主目的は、CYP2C8(レパグリニド)、CYP2C9(トルブタミド)、およびCYP3A4(ミダゾラム)の基質プローブの単回用量PKに対するツカチニブの効果を評価することであった。この試験の副次的目的は、(1)単独で投与した場合ならびにCYP2C8、CYP2C9、およびCYP3A4の基質プローブと同時投与した場合のツカチニブの安全性および忍容性を評価すること;ならびに(2)健康な対象における、ツカチニブの単回用量PKを評価すること、ならびにツカチニブのみの、ならびにCYP2C8、CYP2C9、およびCYP3A4の基質プローブの存在下での、複数用量、定常状態PKを評価することを含んでいた。試験の探索目的は、(1)トルブタミド(4-ヒドロキシトルブタミド)およびミダゾラム(1-ヒドロキシミダゾラム)の関連代謝物のPKに対する、ツカチニブの効果を評価すること;ならびに(2)ツカチニブと、任意のプローブ薬物または基質との薬物相互作用の規模における任意の観察される可変的応答に対する、CYP遺伝子多型または他の遺伝子多型の潜在的な効果を評価することを含んでいた。
【0533】
17人の健康な対象を登録して、
図8に示されるように処置および評価を完了した。対象は、最初の薬物投与の日である1日目の前日である-1日目の午後に、臨床研究施設に収容された。彼らは、入院評価の完了後、14日目に退院した。退院後、対象は、20、21または22日目に外来追跡訪問のために臨床研究施設に戻った。
【0534】
1日目に、それぞれの対象は、0.5mgのレパグリニドの単回経口用量を受けた。2日目に、それぞれの対象は、一緒に投与される、2mgのミダゾラムの単回経口用量と、500mgのトルブタミドの単回経口用量とを受けた。4日目から13日目まで、それぞれの対象は、1日2回(BID)、300mgのツカチニブの単回経口用量を受けた。11日目に、それぞれの対象は、レパグリニドの単回経口用量を受けた。12日目に、それぞれの対象は、一緒に投与される、2mgのミダゾラムの単回経口用量と、500mgのトルブタミドの単回経口用量とを受けた。ツカチニブを、150mgの錠剤(300mg用量については2個の錠剤)として提供し、レパグリニドを、0.5mgの錠剤として提供し、トルブタミドを、500mgの錠剤として提供し、ミダゾラムを、シロップ(2mg/mL;2mg用量については1mLのシロップ)として提供した。ツカチニブ、レパグリニド、トルブタミドおよびミダゾラムを、少なくとも8時間の一晩の絶食の後、食前に投与した。
【0535】
PK評価項目を評価するために、
図8に記載のスケジュールに従って、レパグリニド;トルブタミドおよびその4-ヒドロキシトルブタミド代謝物;ならびにミダゾラムおよびその1-ヒドロキシミダゾラム代謝物の血漿濃度の分析のために血液試料を収集した。以下のPKパラメーターを、可能な場合、標準的なノンコンパートメント法を使用して算出した:AUC0-∞、AUClast、%AUCextrap、Cmax、Tmax、t1/2、CL/F(レパグリニド、トルブタミド、およびミダゾラムのみ)、Vz/F(レパグリニド、トルブタミド、およびミダゾラムのみ)、およびMR
AUC(4-ヒドロキシトルブタミドおよび1-ヒドロミダゾラムのみ)。他のノンコンパートメントPKパラメーターを報告してもよい。さらに、ツカチニブおよびONT-993の血漿濃度の決定のための血液試料を、
図8に示される時点で収集した。以下のPKパラメーターを、可能な場合、標準的なノンコンパートメント法を使用して算出した:AUC0-∞(4および8日目)、AUClast、%AUCextrap、投薬間隔内のAUC(AUCtau)、Cmax、Tmax、t1/2、CL/F(4および8日目、ツカチニブのみ)、定常状態での見かけの総クリアランス(CLss/F;10、11、12、14、および15日目、ツカチニブのみ)、Vz/F(4および8日目、ツカチニブのみ)、定常状態での見かけの分布容積(Vss/F;10、11、12、14、および15日目、ツカチニブのみ)、蓄積率(Rac;10、11、12、14、および15日目のみ)、およびMRAUC(ONT-993のみ)。単一遺伝子型決定血液試料を収集して、ツカチニブと、プローブ薬物および基質との薬物相互作用の規模に対する、CYP多型または他の遺伝子多型のあり得る効果を評価した。
【0536】
試験の安全性評価項目を、有害事象(AE)、臨床検査値(臨床化学、血液学、および尿分析)、バイタルサイン測定値、12誘導心電図(ECG)、および身体検査をモニタリングすることによって評価した。
【0537】
パートE
この試験の主目的は、P-gpの基質プローブ(ジゴキシン)の単回用量PKに対するツカチニブの効果を評価することであった。この試験の副次的目的は、(1)単独で投与した場合ならびにP-gpの基質プローブと同時投与した場合のツカチニブの安全性および忍容性を評価すること;ならびに(2)健康な対象における、ツカチニブの単回用量PKを評価すること、ならびにツカチニブのみの、およびP-gpの基質プローブの存在下での、複数用量、定常状態PKを評価することを含んでいた。この試験の探索目的は、ツカチニブと、任意のプローブ薬物または基質との薬物相互作用の規模における任意の観察される可変的応答に対するCYP遺伝子多型または他の遺伝子多型の潜在的な効果を評価することであった。
【0538】
15人の健康な対象を登録して、
図9に示されるように処置および評価を完了した。対象は、最初の薬物投与の日である1日目の前日である-1日目の午後に、臨床研究施設に収容された。彼らは、入院評価の完了後、22日目に退院した。退院後、対象は、28、29または30日目に外来追跡訪問のために臨床研究施設に戻った。
【0539】
1日目に、それぞれの対象は、0.5mgのジゴキシンの単回経口用量を受けた。8日目から21日目まで、それぞれの対象は、1日2回(BID)、300mgのツカチニブの単回経口用量を受けた。15日目に、それぞれの対象は、0.5 mgのジゴキシンの単回経口用量を受けた。ツカチニブを、150mgの錠剤(300mg用量については2個の錠剤)として提供し、ジゴキシンを、0.25mgの錠剤(0.5mgの用量については2個の錠剤)として提供した。ツカチニブおよびジゴキシンを、少なくとも8時間の一晩の絶食の後、食前に投与した。
【0540】
PK評価項目を評価するために、血液試料を、
図9に記載のスケジュールに従って、ジゴキシンの血漿濃度の分析のために収集した。以下のPKパラメーターを、可能な場合、標準的なノンコンパートメント法を使用して算出した:AUC0-∞、AUClast、%AUCextrap、Cmax、Tmax、t1/2、CL/F、およびVz/F。他のノンコンパートメントPKパラメーターを報告してもよい。さらに、ツカチニブおよびONT-993の血漿濃度の決定のための血液試料を、
図9に示される時点で収集した。以下のPKパラメーターを、可能な場合、標準的なノンコンパートメント法を使用して算出した:AUC0-∞(4および8日目)、AUClast、%AUCextrap、投薬間隔内のAUC(AUCtau)、Cmax、Tmax、t1/2、CL/F(4および8日目、ツカチニブのみ)、定常状態での見かけの総クリアランス(CLss/F;10、11、12、14、および15日目、ツカチニブのみ)、Vz/F(4および8日目、ツカチニブのみ)、定常状態での見かけの分布容積(Vss/F;10、11、12、14、および15日目、ツカチニブのみ)、蓄積率(Rac;10、11、12、14、および15日目のみ)、およびMR
AUC(ONT-993のみ)。単一遺伝子型決定血液試料を収集して、ツカチニブと、プローブ薬物および基質との薬物相互作用の規模に対する、CYP多型または他の遺伝子多型のあり得る効果を評価した。
【0541】
試験の安全性評価項目を、有害事象(AE)、臨床検査値(臨床化学、血液学、および尿分析)、バイタルサイン測定値、12誘導心電図(ECG)、および身体検査をモニタリングすることによって評価した。
【0542】
パートA~Eにおける適格な対象のための試験対象患者基準は、以下を含んでいた:(1)スクリーニング時に18~65歳の男性および女性;(2)スクリーニング時に18.0~32.0kg/m2の体格指数および50.0~100.0kgの総体重;(3)試験に参加する女性の対象は、妊娠可能性がなく、したがって、避妊法を使用する必要がなかった。男性の対象は、少なくとも90日にわたって外科的に不妊であったか、または妊娠可能性のある女性パートナーと性的に活発である場合、避妊法を使用することに同意した;ならびに(4)ICFを理解し、それに署名する意思があり、試験の制限に従うことができること。
【0543】
パートA~Eの除外基準は、以下を含んでいた:(1)任意の代謝障害、アレルギー障害、皮膚障害、肝障害、腎障害、血液障害、肺障害、心血管障害、胃腸障害、神経障害、呼吸器障害、内分泌障害、または精神障害の有意な履歴または臨床所見;(2)薬物吸収に影響する可能性がある任意の状態(例えば、胃切除術、胃バンディング術、胃バイパス術);(3)任意の薬物化合物、食品、または他の物質に対する有意な過敏症、不耐、またはアレルギーの履歴;(4)経口投与される薬物の吸収および/または排出を変化させる可能性がある胃または腸の手術または切除の履歴(簡単な虫垂切除、胆嚢摘出、およびヘルニア修復は許容される);(5)高ビリルビン血症(例えば、ギルバート症候群)の履歴;(6)チェックイン前の2年以内のアルコール依存症または薬物/化学物質乱用の履歴;(7)女性の対象については7本の飲料/週または男性の対象については14本の飲料/週を超える規則的なアルコール消費の履歴。1単位のアルコールは、12オンス(360mL)のビール、1と1/2オンス(45mL)のリカーまたは5オンス(150mL)のワインに等しい;(8)スクリーニングもしくはチェックイン時の尿薬物スクリーニング(コチニンを含む)陽性、またはチェックイン時のアルコール呼気検査陽性;(9)肝炎パネル陽性および/またはヒト免疫不全ウイルス検査陽性;(10)正常参照範囲から外れた、肝機能検査(アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、および総ビリルビン)、血清クレアチニン、ヘモグロビン、またはヘマトクリット値のスクリーニング;(11)パートEに参加する対象については、スクリーニングまたはチェックイン時に正常範囲から外れたカリウムまたはマグネシウムレベル;(12)スクリーニングまたはチェックイン時に、男性については450msecを超える、および女性については470msecを超えるFridericiaの式(QTcF)を使用する心拍数について補正されたQT間隔を示す単一12誘導ECG(スクリーニングおよび/またはチェックイン時に2回繰り返してもよく、含有/除外目的で平均で全部で3のECG QTcF値)、またはQT延長症候群の履歴/証拠;(13)過去30日に、またはチェックイン前の5半減期以内(いずれか長い方)に治験薬(新規化学物質)の投与を含む臨床試験への参加;(14)プロトコールにおける試験薬として規定された薬剤を試験中に使用することを除いて、チェックイン前30日以内および試験中に、セントジョーンズワートおよびCYP3A4またはCYP2C8の既知の強力な阻害剤または誘導剤を含む、薬物吸収、代謝、または除去プロセスを変化させることが知られる任意の薬剤/製品を使用した、または使用を意図した;(15)チェックイン前の28日以内に任意の処方薬/製品を使用した、または使用を意図した;(16)チェックイン前の14日以内にビタミン、ミネラル、および植物治療剤/ハーブ/植物由来調製物を含む、任意の非処方薬/製品(パラセタモール/アセトアミノフェンを除く)を使用した、または使用を意図した;(17)チェックイン前の3ヶ月以内のタバコまたはニコチン含有製品の使用;(18)チェックイン前の7日以内のケシの実、グレープフルーツ、またはダイダイを含有する食品または飲料の消費;(19)チェックイン前の48時間以内のカフェイン含有食品または飲料の消費;(20)チェックイン前の48時間以内のアルコールの消費;(21)チェックイン前の2ヶ月以内の血液製剤の受容;(22)スクリーニング前の56日からの血液、スクリーニング前の2週間からの血漿、またはスクリーニング前の6週間からの血小板の提供;(23)末梢静脈アクセスの不足;ならびに(24)この試験またはツカチニブを調査する他の任意の試験を以前に完了した、またはそれを中止したことがある、および治験薬を以前に受けたことがある。
【0544】
薬物動態の結果
・パートA:ツカチニブ/イトラコナゾール
強力なCYP3A4阻害剤であるイトラコナゾールは、ツカチニブの血漿曝露を増加させた;単独で投与されたツカチニブと比較して、イトラコナゾールと組み合わせて投与したツカチニブに関するAUClast、AUC0-∞、およびCmaxの幾何LS平均比(90%CI)は、それぞれ、1.33(1.25、1.41)、1.34(1.26、1.43)、および1.32(1.23、1.42)であった。この効果は、90%CI値に基づいて統計的に有意であった。
【0545】
イトラコナゾールはONT-993の血漿曝露を増加させた;ツカチニブのみの投与後と比較した、イトラコナゾールと組み合わせたツカチニブの投与後のONT-993のAUClast、AUC0-∞、およびCmaxの幾何LS平均比(90%CI)は、それぞれ、1.58(1.49、1.68)、1.58(1.49、1.67)、および2.03(1.89、2.18)であった。これらの効果は、90%CI値に基づいて統計的に有意であった。
【0546】
ONT-993の幾何平均MRAUC0-∞およびMRCmax値は、ツカチニブのみの投与後と比較して、イトラコナゾールと組み合わせたツカチニブの投与後に類似していたか、またはわずかに高かった。
CYP3A4は、ツカチニブ代謝において小さい役割を有し、ONT-993の形成においてはわずかな役割を有するか、または役割を有しない。
【0547】
・パートB:ツカチニブ/リファンピン
強力なCYP3A4誘導剤であるリファンピンは、ツカチニブの血漿曝露を減少させた;単独で投与されたツカチニブと比較して、リファンピンと組み合わせて投与したツカチニブに関するAUClast、AUC0-∞、およびCmaxの幾何LS平均比(90%CI)は、それぞれ、0.517(0.449、0.596)、0.520(0.452、0.597)、および0.632(0.531、0.753)であった。この効果は、90%CI値に基づいて統計的に有意であった。
【0548】
リファンピンは、ONT-993のAUClastおよびAUC0-∞に基づく血漿曝露を減少させ、Cmaxを増加させた。ツカチニブのみの投与後と比較した、リファンピンと組み合わせたツカチニブの投与後のONT-993のAUClast、AUC0-∞、およびCmaxの幾何LS平均比(90%CI)は、それぞれ、0.750 (0.636、0.884)、0.748 (0.640、0.873)、および2.08(1.70、2.55)であった。これらの効果は、90%CI値に基づいて統計的に有意であった。
【0549】
ONT-993の幾何平均MRAUC0-∞およびMRCmax値は、ツカチニブのみの投与後と比較して、リファンピンと組み合わせたツカチニブの投与後に、それぞれ、約1.4倍および3.3倍高かった。
【0550】
リファンピンはおそらく、ツカチニブ代謝に関与する酵素(CYP2C8およびCYP3A4など)を誘導した。
【0551】
・パートC:ツカチニブ/ゲムフィブロジル
強力なCYP2C8阻害剤であるゲムフィブロジルは、ツカチニブの血漿曝露を増加させた;単独で投与されたツカチニブと比較して、ゲムフィブロジルと組み合わせて投与したツカチニブに関するAUClast、AUC0-∞、およびCmaxの幾何LS平均比(90%CI)は、それぞれ、2.99(2.62、3.41)、3.04(2.66、3.46)、および1.62(1.47、1.79)であった。これらの効果は、90%CI値に基づいて統計的に有意であった。
【0552】
ゲムフィブロジルはONT-993の血漿曝露を増加させた;ツカチニブのみの投与後と比較した、ゲムフィブロジルと組み合わせたツカチニブの投与後のONT-993のAUClast、AUC0-∞、およびCmaxの幾何LS平均比(90%CI)は、それぞれ、0.767 (0.686、0.858)、0.887 (0.801、0.982)、および0.304(0.263、0.352)であった。これらの効果は、90%CI値に基づいて統計的に有意であった。
【0553】
ONT-993の幾何平均MRAUC0-∞およびMRCmax値は、ツカチニブのみの投与後と比較して、ゲムフィブロジルと組み合わせたツカチニブの投与後に、それぞれ、約71%および81%減少した。
CYP2C8は、ツカチニブ代謝およびONT-992の形成において役割を果たす。
【0554】
・パートD:ツカチニブ/レパグリニド/トルブタミド/ミダゾラム
ツカチニブは、CYP2C8基質であるレパグリニドの血漿曝露の増加に対する弱い効果を有していたが、これは、ツカチニブがin vivoでCYP2C8の弱い阻害剤であることを示している。単独で投与されたレパグリニドと比較して定常状態のツカチニブと組み合わせて投与されたレパグリニドのAUClast、AUC0-∞、およびCmaxの幾何LS平均比(90%CI)は、それぞれ、1.72 (1.55、1.91)、1.69 (1.51、1.90)、および1.69 (1.37, 2.10)であった。これらの効果は、90%CI値に基づいて統計的に有意であった。
【0555】
ツカチニブは、CYP2C9基質であるトルブタミドのPK、またはトルブタミドの4-ヒドロキシトルブタミド代謝物の血漿曝露に対する効果を有しなかった。トルブタミド/ミダゾラムを単独で投与した後と比較して、トルブタミド/ミダゾラムを定常状態のツカチニブと組み合わせて投与した後のトルブタミドのAUClast、AUC0-∞、およびCmaxの幾何LS平均比(90%CI)は、それぞれ、1.03 (1.01、1.06)、1.05 (1.01、1.09)、および0.961 (0.904、1.02)であった。トルブタミド/ミダゾラムを単独で投与した後と比較して、トルブタミド/ミダゾラムを定常状態のツカチニブと組み合わせて投与した後の4-ヒドロキシトルブタミドのAUClast、AUC0-∞、およびCmaxの幾何LS平均比(90%CI)は、それぞれ、0.900 (0.868、0.934)、0.918 (0.880、0.958)、および0.881 (0.831、0.934)であった。
【0556】
ツカチニブは、CYP3A4基質であるミダゾラムの血漿曝露の増加に対する強い効果を有していたが、これは、ツカチニブがin vivoでCYP3A4の強力な阻害剤であることを示している。トルブタミド/ミダゾラムを単独で投与した後と比較して、定常状態のツカチニブをトルブタミド/ミダゾラムと組み合わせて投与した後のミダゾラムのAUClast、AUC0-∞、およびCmaxの幾何LS平均比(90%CI)は、それぞれ、5.30 (4.65、6.04)、5.74 (5.05、6.53)、および3.01 (2.63、3.45)であった。これらの効果は、90%CI値に基づいて統計的に有意であった。
【0557】
ツカチニブは、AUClastおよびAUC0-∞に基づく1-ヒドロキシミダゾラムの血漿曝露に対する効果を有しなかったが、Cmaxに基づく曝露の減少に対する弱い効果を有していた。トルブタミド/ミダゾラムを単独で投与した後と比較して、定常状態のツカチニブをトルブタミド/ミダゾラムと組み合わせて投与した後の1-ヒドロキシミダゾラムのAUClast、AUC0-∞、およびCmaxの幾何LS平均比(90%CI)は、それぞれ、0.945 (0.848、1.05)、1.02 (0.903、1.16)、および0.593 (0.507、0.694)であった。Cmaxに対する効果は、90%CI値に基づいて統計的に有意であった。
【0558】
ツカチニブは、ミダゾラムの代謝の減少に対する強力な効果を有していた;ツカチニブは、トルブタミド/ミダゾラムのみの投与後と比較して、トルブタミド/ミダゾラムと組み合わせた定常状態のツカチニブの投与後に、1-ヒドロキシミダゾラムの幾何平均MRAUC0-∞およびMRCmaxを、それぞれ、約82.8%および80.4%減少させた。
【0559】
ツカチニブは、単回投与(4日目)および複数回投与(10日目)後に類似するTmaxおよびt1/2値を有し、複数回投与後のツカチニブのRacは1.85であった。同様に、ONT-993は、単回および複数回投与後に類似するTmaxおよびt1/2値を有し、複数回投与後のONT-993のRacは2.09であった。
【0560】
・パートE:ツカチニブ/ジゴキシン
ツカチニブは、AUClastおよびAUC0-∞に基づく、P-gp基質であるジゴキシンの血漿曝露の増加に対する弱い効果を有し、Cmaxに基づく血漿曝露の増加に対する中程度の効果を有していた。単独で投与されたジゴキシンと比較して定常状態のツカチニブと組み合わせて投与されたジゴキシンのAUClast、AUC0-∞、およびCmaxの幾何LS平均比(90%CI)は、それぞれ、1.53 (1.35、1.74)、1.46 (1.29、1.66)、および2.35 (1.90, 2.90)であった。これらの効果は、90%CI値に基づいて統計的に有意であった。全体として、ツカチニブは、in vivoでP-gpの弱い阻害剤である。
【0561】
ツカチニブは、単回投与(8日目)および複数回投与(14日目)後に類似するTmaxおよびt1/2値を有し、複数回投与後のツカチニブのRacは1.50であった。同様に、ONT-993は、単回および複数回投与後に類似するTmaxおよびt1/2値を有し、複数回投与後のONT-993のRacは2.01であった。
【実施例3】
【0562】
ヒトOAT2、OCT2、MATE1、およびMATE2-K媒介性輸送の阻害剤としてのツカチニブおよびONT-993の評価
基質依存的阻害は、MATE1およびMATE2-Kを含むトランスポーター間で共通である。この試験では、プローブ基質としてクレアチニンを使用して、ツカチニブおよびONT-993の阻害効力を評価した。OAT2、OCT2、OCT3、MATE1、およびMATE2-Kは、クレアチニンを輸送すると同定された腎トランスポーターである。ツカチニブおよびその代謝物であるONT-993を、プローブ基質としてクレアチニンを使用して、OAT2、OCT2、MATE1、およびMATE2-K媒介性油相の潜在的な阻害剤として試験した。
【0563】
この試験のために、MDCK-IIを、低グルコースおよび10%FBSを含むDMEM中で維持した。トランスフェクションの約24時間前に、60K±10K個の細胞/ウェルの細胞を、96ウェルトランスウェル膜プレート上に播種した。輸送アッセイを、トランスフェクションの約48時間後に実行した。細胞をトランスフェクトし、処理して、目的のトランスポーターを発現させたか、または対照ベクターで処理した。クレアチニンの輸送を、放射測定検出によって決定した。
【0564】
それぞれのトランスポーターによる基質の正味のトランスポーター媒介性取込みを、以下のように算出した:正味のトランスポーター媒介性基質取込み(pmol/min/cm2)=(トランスポーターの存在下での細胞蓄積)-(トランスポーターの非存在下での平均細胞蓄積)。
【0565】
阻害パーセントを、以下のように算出した:阻害パーセント=100-(100
*(トランスポーター媒介性取込み)
阻害あり/(トランスポーター媒介性取込み)
阻害なし)。
以下の式を使用して、取込みアッセイのIC50値を決定した:
【数4】
(式中、V
0は、被験物質の非存在下での平均トランスポーター媒介性流出であり、Vは、試験した濃度範囲を通じた、被験物質の存在下でのトランスポーター媒介性流出であり、[I]は阻害濃度であり、IC
50は、輸送が50%阻害される値を表し、nはHill係数である)。
【0566】
結果
最大10μMのツカチニブおよびOAT2のためのONT-993の濃度範囲を使用して、クレアチニンのOAT2媒介性輸送の最大阻害は、それぞれ、ツカチニブおよびONT-993については10μMの濃度で14.7%および44.9%であった。ツカチニブおよびOAT2のためのONT-993のIC50値を決定するためには不十分な阻害が観察された。
【0567】
0.03~10μMのツカチニブまたはONT-993の濃度範囲を使用して、クレアチニンのOCT2媒介性輸送の濃度依存的阻害が観察された。IC50値は、ツカチニブについては0.107±0.0379、OCT2のためのONT-993については0.544±0.278であると決定された。
【0568】
0.003~1μMのツカチニブまたは0.01~3μMのONT-993の濃度範囲を使用して、クレアチニンのMATE1媒介性輸送の濃度依存的阻害が観察された。IC50値は、ツカチニブについては0.0855±0.0175、MATE1のためのONT-993については0.0863±0.0126であると決定された。
【0569】
最大10μMのツカチニブおよびONT-993の濃度範囲を使用して、ツカチニブまたはMATE2-KのためのONT-993のIC50値を正確に決定するためには不十分な正味のクレアチニン取込みが観察された。
【実施例4】
【0570】
ヒト肝臓ミクロソームにおけるシトクロムP450 3A4/5阻害
このin vitro試験は、同時投与される薬物の代謝を阻害するツカチニブの能力を確認することを目的として、ヒト肝臓ミクロソーム中の主なCYP酵素であるCYP3A4/5を阻害するツカチニブの能力を評価するように(2つの異なる基質を使用する)設計された。ツカチニブの阻害効力を、ツカチニブの存在下および非存在下でヒト肝臓ミクロソーム中のCYP3A4/5の活性を測定することによってin vitroで決定した。これらのin vitro実験は、CYP3A4/5の直接的、時間依存的および代謝依存的阻害のためのマーカー基質活性の50%阻害を引き起こす阻害剤の濃度(IC50値)を測定するように設計された。代謝依存的阻害をさらに評価して、どれぐらい迅速に(kinact値)およびどの程度(KI値)、ツカチニブがCYP3A4/5を不活化するかを決定した。
【0571】
方法
移植不可能な、提供された肝臓に由来するヒト肝臓ミクロソームを調製し、特性評価した。200人のヒト個体の肝臓ミクロソーム試料の性別混合プールを、この試験のために使用した(Sekisui XenoTechカタログ番号:H2620、ロット番号:1210347)。
【0572】
CYP活性を測定するために、水、リン酸カリウム緩衝剤(50mM)、MgCl2(3mM)、EDTA(1mM)、NADPH再生システム(常に以下の混合物:NADP[1mM]、グルコース6リン酸[5mM]、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ[1ユニット/mL])、および示された最終濃度のマーカー基質を含有する200μLのインキュベーション混合物(pH7.4)中、約37℃でインキュベーションを行った。
【0573】
ツカチニブのストックおよび/または希釈標準溶液のアリコートを、上記の緩衝剤混合物に手動で添加した。非常に少量(すなわち、1μL以下)を直接ピペッティングする必要を取り除くために、インキュベーション混合物を大量に調製した。ツカチニブを含有しないインキュベーション(0μM;溶媒対照)は、ツカチニブを溶解するのに使用される溶媒(すなわち、DMSO)を含有していた。
【0574】
Tecan液体ハンドリングシステムは、遠心分離を除く、IC50およびKI/Kinact決定のための全ての残りのステップを行った。これらのアッセイのために、緩衝剤混合物の二重アリコートを、適切な位置で96ウェルプレートに自動で添加した。基質希釈標準溶液のアリコートを、反応を開始する前に96ウェルプレートに添加した。マーカー基質反応を、NADPH再生システムのアリコートの添加によって開始させ、適切な内部標準および停止試薬であるアセトニトリルの添加によって約5分で自動的に終結させた。試料を10℃で10min、920xgで遠心分離した。上清画分を、LC-MS/MSによって分析した。標準液を、真正代謝物標準の添加によって同様に調製した。
【0575】
ツカチニブがミクロソームタンパク質または脂質に結合し得る可能性のため、可能な限り多くの事例において、ミクロソームタンパク質、インキュベーション時間および緩衝剤濃度が、それぞれ、0.1mg/mL、5minおよび50mMとなるようにこれらの実験を設計する試みを行った。
【0576】
それが酵素の直接的な阻害剤として作用する能力を検査するために、ツカチニブ(0.01~10μMの範囲の濃度)を、マーカー基質およびヒト肝臓ミクロソームと共にインキュベートした。マーカー基質の濃度は、予め決定されたKmまたはS50データに基づくものであった。
【0577】
それがCYP3A4/5酵素の代謝依存的阻害剤として作用する能力を検査するために、ツカチニブ(直接的阻害を評価するために使用されたのと同じ濃度)を、37℃±2℃で、二重に、ヒト肝臓ミクロソームおよびNADPH再生システムと共に約30min、予備インキュベートした。この予備インキュベーションは、ヒトCYP3A4/5活性を阻害することができる中間体の生成を可能にした。予備インキュベーションを、NADPH再生システムのアリコートの添加によって開始した。それがCYP3A4/5酵素の時間依存的阻害剤として作用する能力を検査するために、全てのツカチニブ濃度でのさらなる二重試料を、プールされたヒト肝臓ミクロソームの存在下であるが、NADPHの非存在下で30minにわたって予備インキュベートした。この予備インキュベーションは、阻害の任意の潜在的な増加がNADPHに依存するかどうか(例えば、CYP媒介性の可能性)の評価を可能にした。30minの予備インキュベーション期間後、マーカー基質を自動的に添加し、残留CYP酵素活性を測定するためにインキュベーションを継続した。ツカチニブを含有しないインキュベーション(0μM;溶媒対照)およびツカチニブを含有するが、予備インキュベーションされていないインキュベーションは、陰性対照として役立った。
【0578】
酵素の見かけの代謝依存的阻害をさらに精査し、CYP3A4/5の不活化のためのkinactおよびKI値を決定するための実験を設計した。全てのインキュベーションを、Tecan Liquid Handling Systemを用いて行った。
【0579】
CYP3A4/5の不活化のためのkinactおよびKI値を決定するために、ツカチニブを、約0.1mg/mLのプールされたヒト肝臓ミクロソームおよびNADPH再生システムと共に0、3、6、9、15および30minにわたって二重に予備インキュベートした。予備インキュベーション後、予備インキュベーション混合物のアリコート(20μL)を、そのKmの約10倍のマーカー基質を含有する第2のチューブ、およびNADPH再生システム(200μLの最終容量)に移し、ツカチニブの直接阻害効果を最小化するための阻害剤の10倍希釈液およびミクロソームの10倍希釈液を得た。次いで、インキュベーションを5min継続して、マーカー基質の任意の代謝物の形成を可能にした。残留CYP3A4/5活性を測定した。
【0580】
ツカチニブを含有するが、プローブ基質を含有しないインキュベーションを含ませて、分析方法におけるツカチニブおよび/またはあり得る代謝物による基質生成物(1'-ヒドロキシミダゾラム)との分析干渉の可能性を評価した。
【0581】
試料を、複数反応モニタリングLC-MS/MS法によって分析した。最も単純で適切な加重および回帰アルゴリズムを使用して生成された標準較正曲線を参照することにより、代謝物を定量した。回帰適合は、分析物の、較正標準試料から算出された内部標準に対するピーク面積比に基づくものであった。ストック標準溶液および希釈標準溶液を、カスタムTecan script EVO Std-QC Spiking Solution Prep.に従って調製した。クロマトグラフィーピークを、Analyst Instrument Control and Data Processing Software (SCIEX、バージョン1.6.1)と統合した。
【0582】
結果
ツカチニブは、CYP3A4/5媒介性のミダゾラムの1'-ヒドロキシル化を、3.3μMのIC50値で直接阻害した。最大44%の直接阻害がCYP3A4/5媒介性のテストステロンの6β-ヒドロキシル化について観察され、従って、関連するIC50値は、評価した被験物質の最高濃度である10μMを超えると報告された。CYP3A4/5と関連するIC50値(ミダゾラムの1'-ヒドロキシル化およびテストステロンの6β-ヒドロキシル化によって測定される)は、NADPHとの30分の予備インキュベーション後に、それぞれ、2.71および2.13の係数によって減少したため、ツカチニブはまた、代謝依存的阻害も引き起こした。
【0583】
CYP3A4/5活性の代謝依存的阻害(ミダゾラムの1'-ヒドロキシル化によって測定される)をさらに検査して、この酵素活性の不活化と関連するkinactおよびKI値を測定した。ツカチニブは、0.011±0.001min-1の平均±SE kinact値および0.54±0.25μMの平均±SE KI値でCYP3A4/5媒介性のミダゾラムの1'-ヒドロキシル化を不活化した。不活化の効率(kinact/KI)は、21min-1mM-1であった。
【実施例5】
【0584】
CYP2C8、CYP2C9、CYP3A4、およびUGT1A1に関するツカチニブのKiの評価
この試験の目的は、ヒト肝臓シトクロムP450(CYP)酵素(CYP2C8、CYP2C9、およびCYP3A4)およびUGT1A1後のツカチニブのKiをin vitroで評価することであった。
【0585】
6つの濃度(0.1x、0.25x、0.5x、1x、3x、および5xKm)の対応するマーカー基質であるアモジアキン、ジクロフェナク、ミダゾラム、およびβ-エストラジオールを用いたCYP2C8、CYP2C9、CYP3A4、およびUGT1A1に対するツカチニブ(0.1~25μM)の直接阻害を使用して、阻害定数(Ki)を決定した。CYP2C8、CYP2C9、CYP3A4、およびUGT1A1に関するツカチニブのKi値は、それぞれ、0.170、4.57、0.805、および1.81μMと見積もられた。阻害のメカニズムは、全部で4つのin vitroアッセイから競合的阻害と決定された。
【0586】
150人の個人(79人の男性および71人の女性)に由来するプールされたヒト肝臓ミクロソーム(HLM)を、BioreclamationIVT(Baltimore、MD)から取得し、約-70℃で保存した。ミクロソームを、総タンパク質および選択されたシトクロムP450活性について供給業者によって特徴付けた。
【0587】
Kiの決定のために、インキュベーションを、最大で8つの濃度のツカチニブ(0.1、0.22、0.484、1.07、2.35、5.16、11.4、および25μM)および6つの濃度のマーカー基質(0.1、0.25、0.5、1、3、および5xKm)を用いて行った。HLM、ツカチニブ、マーカー基質、およびアッセイ緩衝剤[1mM EDTA、pH7.4を含有する0.1Mリン酸カリウム緩衝剤(CYP)または150mM塩化カリウムおよび10mM塩化マグネシウムを含有する0.05M Tris緩衝剤、pH7.4(UGT)]を含むインキュベーション混合物を、37℃で10分間予備インキュベートした後、予め加温したNADPH[ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、還元型、1mM(CYP)]またはUDPGA[ウリジン5'-ジホスホグルクロン酸、2mM(UGT)]の添加により開始させた。最終有機溶媒寄与は、1%以下であった。インキュベーションを、安定なアイソトープ標識された内部標準を含有する冷やしたアセトニトリルの添加によって終結させた。対照インキュベーションは、試験物質溶媒対照(被験物質なし)、陽性対照阻害剤、および陽性対照阻害剤に特異的な追加の溶媒対照を含んでいた。全てのインキュベーションを、三重に実施した。阻害定数(Ki)を見積もった。
【0588】
それぞれのアッセイに関するインキュベーション条件の詳細は、以下の表中に提示される。
【0589】
【0590】
試料を、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)によって分析した。分析物の濃度を、LC-MS/MSによって定量し、真正分析物の標準曲線から内挿した。標準および品質対照試料を、二重に調製した。分析物濃度、インキュベーション時間、およびタンパク質濃度に基づいて活性を算出した。
【0591】
酵素活性(pmol/分/mgタンパク質)を、インキュベーション時間あたりの最終タンパク質濃度あたりの分析物の形成として表した。残存活性を、溶媒対照平均活性によって正規化された被験物質のそれぞれの濃度点での酵素活性として表した。
【0592】
算出を、競合的、非競合的、未競合的、および混合阻害(偏差)について実施した。
【0593】
結果
CYP2C8、CYP2C9、CYP3A4、およびUGT1A1に関するツカチニブの阻害定数(Ki)は、それぞれ、0.170、4.57、0.805、および1.81μMと見積もられた。阻害のメカニズムは、全部で4つのin vitroアッセイから競合的阻害と決定された。
【国際調査報告】