(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】粒子から空気流を浄化するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B01D 45/12 20060101AFI20220414BHJP
A61L 9/14 20060101ALI20220414BHJP
B01D 47/06 20060101ALI20220414BHJP
A61B 90/40 20160101ALI20220414BHJP
A61G 10/00 20060101ALI20220414BHJP
B04B 15/00 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
B01D45/12
A61L9/14
B01D47/06 Z
A61B90/40
A61G10/00 C
B04B15/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543309
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(85)【翻訳文提出日】2021-09-14
(86)【国際出願番号】 SE2020050238
(87)【国際公開番号】W WO2020180236
(87)【国際公開日】2020-09-10
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521325558
【氏名又は名称】3ナイン アーベー
【氏名又は名称原語表記】3NINE AB
【住所又は居所原語表記】Box 1163, 131 27 Nacka Strand (SE)
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【氏名又は名称】安達 友和
(72)【発明者】
【氏名】インギ,クラエス
(72)【発明者】
【氏名】フランゼン,ピート
(72)【発明者】
【氏名】ハーグマーク,カール ペトラス
【テーマコード(参考)】
4C180
4C341
4D031
4D032
4D057
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180AA16
4C180CB04
4C180EA21X
4C180EA52X
4C180GG07
4C180GG08
4C180HH05
4C341KK10
4C341KL07
4D031AC06
4D031BA07
4D031BB10
4D031EA01
4D032AC01
4D032BA03
4D032BA05
4D032BB01
4D057AA03
4D057AB00
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4D057AC02
4D057AC06
4D057AD05
4D057AE02
4D057AE17
4D057AF01
4D057BA14
4D057BA41
4D057BC05
(57)【要約】
例えば細菌、他の微生物などの粒子から空気流を浄化するための方法及び装置。本発明によれば、空気流中に液滴のエアロゾルが生成され、その後、液滴と空気流とが混合され、液滴及び粒子が空気流から遠心分離される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子から空気流を浄化する方法であって、
前記空気流中に液滴のエアロゾルを生成することと、
前記エアロゾルと前記空気流とを混合することと、
前記液滴及び粒子を前記空気流から遠心分離することと、
浄化された前記空気流を浄化されていない使用領域に供給することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記エアロゾルは、前記空気流と接触する液体体積の振動によって生成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エアロゾルは、一又は複数のノズルによって生成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記混合することは、乱流の生成を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子及び前記液滴は、遠心分離中に傾斜面要素にぶつかることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記粒子は前記液滴に引き付けられることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
医学的に承認された水及び油を含むグループから前記液滴中の液体を選択することを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記液体中の細菌又はウイルスに対して有毒な薬剤を添加することを含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法を実行するための装置であって、
遠心分離器(22)と、
前記遠心分離器(22)の吸込口(24)と連絡する混合チャンバ(40)と、
前記混合チャンバ(40)内に液滴のエアロゾルを生成するための、前記混合チャンバの底部にあるエアロゾル発生器と、
前記遠心分離器(22)と前記底部との間の前記混合チャンバ(40)への汚れた空気(82)の入口(42)と、
前記遠心分離器(22)からの清浄な空気(86)の出口(26)と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項10】
前記エアロゾル発生器は、前記底部に占められた液体体積(70)から前記液滴のエアロゾルを生成するための振動発生器(60)を備えることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記エアロゾル発生器は、エアロゾル形成スプレーノズル(64)を備えることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記空気流から分離された液滴及び粒子を捕捉、凝集させるための、前記遠心分離器(22)における複数の離間した面(34)を備えることを特徴とする、請求項9から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記混合チャンバ(40)を下側の予混合チャンバ(44)と上側の後混合チャンバ(52)とに分割するための、前記入口(42)での入口チャンバ(46)を備えることを特徴とする、請求項9から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記入口チャンバ(46)は、前記予混合チャンバ(44)と前記後混合チャンバ(52)との間の流体連絡のための中央通路(50)を備える環状であることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記中央通路(50)と前記遠心分離器(22)の前記吸込口(24)との間に中央に配置されたスクリーン(54)を備えることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子から空気流(空気の流れ)を浄化するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、外科手術中、例えば感染性細菌、他の微生物などの有害な粒子がないように、外科創傷の周囲の空気を保つことが重要である。手術室の空気は効果的なフィルタを使用して浄化されるが、そのような有害な粒子が常にないわけではない。したがって、医療及び他の使用領域において、さらに清浄な空気を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、粒子、特に微生物、特に細菌から空気を効果的に浄化することができる方法及び装置を提供することである。
【0004】
本発明の一態様によれば、該方法は、以下を含む。
・空気流中に液滴のエアロゾルを生成するステップ
・エアロゾルと空気流とを混合するステップ
・液滴及び粒子を空気流から遠心分離するステップ
・浄化された空気流を浄化されていない使用領域に供給するステップ
【0005】
液滴と空気流とを混合することにより、粒子の少なくとも一部が液滴と一緒に捕捉又は凝集され、そのため、この段階で粒子は既に空気から分離されている。これにより、分離ステップで小さな粒子を分離できる。
【0006】
遠心分離により、液滴と、細菌を含む少なくとも比較的大きな残留非凝集粒子とが、空気から分離される。遠心分離はまた、その固有の吸引効果で必要な空気流を生成する。
【0007】
エアロゾルは、空気流と接触する液体体積の振動によって生成され得る。例えば、次に、圧電振動発生器/ネブライザが、混合チャンバの底部の液体体積より下に沈められ得る。
【0008】
エアロゾルはまた、例えば異なる種類のエアロゾル形成スプレーノズルなどの一又は複数のノズルによって生成され得る。
【0009】
混合は、空気流が液滴を同伴するときにある程度自然に発生するが、乱流の生成によっても、例えば混合チャンバにおいてスクリーン(遮蔽物)の周りに流れを流すことによって、発生し得る。
【0010】
粒子及び液滴は、遠心分離中に傾斜面要素にぶつかるようにされ得る。次に、粒子及び液滴が集められて、空気からしっかりと分離されたより大きな凝集体にされ得る。大きくなる凝集体は、遠心力の影響を受け、混合チャンバの内壁に対して面要素から離れて投げ出され、そこから重力によって液体体積に流れ落ち得る。
【0011】
また、粒子は液滴に引き付けられ得る。これは、それ自体が知られている様々な方法で実現され得る。例えば、ウイルス及び細菌は自然に帯電しており、そのため、例えば水のような双極液体に引き付けられる。浄化される空気中の粒子は、液体中の双極分子に引き付けられるように静電的に帯電され得る。液体/液滴を帯電させることも可能である。
【0012】
使用領域は、例えば外科創傷などの医学的外科領域であり得る。次に、浄化された空気をその領域に流して、微生物がないようにすることができる。例えばドラフトチャンバ(ヒュームフード)、製造プロセスなど、清浄な空気が必要な多くの他の用途も考えられる。
【0013】
液体体積中の液体は、医学的に承認された水又は油を含み得、おそらく細菌又はウイルスに対して有毒な薬剤が添加されている。
【0014】
本発明の装置は以下を含む。
・遠心分離器
・遠心分離器の吸込口と連絡する混合チャンバ
・混合チャンバ内に液滴のエアロゾルを生成するための、混合チャンバの底部にあるエアロゾル発生器
・遠心分離器と液体体積との間の混合チャンバへの汚れた空気の入口
・遠心分離器からの清浄な空気の出口
【0015】
本発明の他の特徴及び利点が、特許請求の範囲及び以下の詳細な説明から明らかであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】図式的に示された適用領域/使用領域において動作中の本発明の装置を示す、部分的に断面図である側面図である。
【0017】
【
図2】本発明による変更された装置の底部を示す、
図1に対応する分割図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示す装置は、垂直に配向された閉じた円筒形のハウジング又はケーシング12を備える。ハウジング12は、仕切り壁14によって上側の分離チャンバ20と下側の混合チャンバ40とに軸方向に分割されていると見なされ得る。
【0019】
分離チャンバ20において、遠心分離器22が中央に取り付けられ、遠心分離器22は、ハウジング12の上部にある電気モータ25によって駆動される。遠心分離器22は、混合チャンバ40に通じる下部中央入口24と、ハウジング12の外に延びる半径方向又は接線方向の出口26とを備える。遠心分離器22はさらに、一組の積み重ねられた円錐台形の面要素30を有するロータ28を備える。
【0020】
図1の拡大領域に図式的に示すように、面要素30は、例えば面要素30に形成された半径方向(放射方向)のフランジの形の、適切なスペーサ要素32によって、相互に小さい距離dに保たれる。遠心分離器22が動作しているとき、空気中に浮遊した粒子と液滴とが、混合チャンバ40から入口24を通って、そして分離器を通って中央に引き込まれ、蓄積し、面要素30の内面34上に凝集する。これについては、以下でさらに説明する。
【0021】
混合チャンバ40の底部において、振動発生器60が、水又は任意の適切な殺菌性溶液であり得る液体体積70に浸漬される。液体の表面張力及び粘度を変えることにより、適切な液滴サイズ分布を達成することができる。振動発生器60は、例えば圧電型などの既知のものであり得、液体体積の表面の下で適切な距離に配置された振動要素62を備え、表面上の予混合(プレミックス)チャンバ44において空気中に液滴のエアロゾル又はミスト(霧)を生成する。
【0022】
図2に示すように、一又は複数の適切なスプレーノズル64を使用してエアロゾルを生成することも可能である。
【0023】
装置によって浄化される空気82は、遠心分離器22の動作中に、予混合チャンバ44の上の半径方向又は接線方向の入口42を通って混合チャンバ40に引き込まれる。入口42の高さに取り付けられているのは、環状の入口チャンバ46であり、入口チャンバ46は、入口チャンバ46に引き込まれた空気82がケーシング12の内側の周りで予混合チャンバ44に入るように、円筒形のケーシング12の内側から半径方向に離れて延びる入口42に、下側の環状壁48を備える。空気82と、例えば細菌、ウイルスなどの空気中の粒子84とが、予混合チャンバ44で液滴72と予混合される。次に、未浄化空気82と粒子84と浮遊する液滴72との予混合物は、入口チャンバ46の壁によって定義される中央軸方向の通路50を通って後混合(ポストミックス)チャンバ52に引き込まれる。
【0024】
後混合チャンバ52は、通路50の上に、例えば、予混合の流れを半径方向外向きに偏向させ狭い通路を通して加速させ、スクリーン54の通過時に乱流を生成させる、例えば円形のスクリーンの形状の乱流生成手段54を備え、流れが分離器22の入口24に引き込まれる前に続いて混合されるようにする。スクリーン又はバリア54は、支持脚56の同心リングによって、入口チャンバ46の上に距離を置いて支持され得、支持脚56は、乱流を生成させ、入口チャンバ46の上部から延びる。
【0025】
空気と液滴との予混合及び後混合は、濃い又は濃密な霧を形成し、これにより、空気中の粒子が効果的に吸収され、遠心分離器22に向かう流れに同伴される。
【0026】
遠心分離機22内に中央に引き込まれる流れの液滴は、遠心力によって、面要素30の傾斜した内面34に衝突させられる。流れの固相及び液相、即ち、液滴72によってまだ捕捉されていない粒子84及び捕捉された粒子84を有する液滴72は、ロータ28の面要素30との間の間隙から遠心力で半径方向(放射方向)に押し出されてハウジング12の内壁にぶつかるのに十分な大きさになるまで、内面34で付着、凝集する。これらの相から浄化されるより薄い空気86が、既知の方法で、例えば、分離器のハウジング内のディスクスタックのファン作用によって、分離器22の出口26を通して過剰圧力で、押し出される。ハウジング12の内側に衝突する凝集物は、凝集物がハウジング12の底部の液体体積70に戻るまで、
図1の太い矢印で示すように、チャンバ間に存在する、例えば仕切り壁14などの仕切りにおける開口部16を通って、ケーシング12の内面を重力によって流れ落ちることができる。
【0027】
図1では、本発明の装置の使用領域も図式的に示されている。この場合、浄化される空気82は、医療手術室80からの空気であり、浄化された空気86は、例えば外科創傷などの手術領域を、有害な粒子、特に、例えば細菌、ウイルスなどの微生物がないように、ノズル出口管86を介して、連続的に除去(浄化)するために使用される。概略的に示す入口ホース92は、手術室80から空気を引き込むために使用され得る。装置10は、閉じた、容易に滅菌可能な滑らかな外部ケース18に囲まれ、例えば出口ノズル90などの任意の付属品を備えるホース88、92は、使い捨て又は再利用可能な種類であり、閉じたビニール袋で滅菌されて提供され得る。
【0028】
上述の詳細な説明は、主に理解を明確にするために与えられており、そこから不必要な制限が理解されるべきではない。変更は、本開示を読むと当業者に明らかになり、本発明の主旨又は添付の特許請求の範囲から逸脱することなく行われ得る。
【国際調査報告】