(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】T細胞受容体のデルタ1鎖に特異的な抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20220414BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20220414BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20220414BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220414BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220414BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220414BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220414BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20220414BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20220414BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
C07K16/46
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61P35/00
A61K45/00
A61P43/00 121
G01N33/574 A
C12P21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543511
(86)(22)【出願日】2020-01-23
(85)【翻訳文提出日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 US2020014858
(87)【国際公開番号】W WO2020154548
(87)【国際公開日】2020-07-30
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511060836
【氏名又は名称】ニューヨーク・ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】521478599
【氏名又は名称】ピュアテック・エル・ワイ・ティ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PURETECH LYT, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小出 昌平
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】小出 明子
(72)【発明者】
【氏名】パンチェンコ,タチアナ
(72)【発明者】
【氏名】服部 峰充
(72)【発明者】
【氏名】フィリポビッチ,アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】エレンコ,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ボレン,ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4B064
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZC75
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB36
4C085CC23
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA42
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
γδ T細胞受容体のデルタ-1鎖に特異的な抗体およびγδ T細胞生物活性をモジュレートするためにそれを使用する方法が本明細書に開示される。そのような抗デルタ1抗体はまた、γδ T細胞活性化と関連付けられる疾患、例えば、固形腫瘍を処置するため、またはγδ1 T細胞の存在を検出するために使用されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
T細胞受容体のデルタ-1鎖に結合する単離された抗体であって、
(i)HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3を含む重鎖可変領域(V
H)であって、前記HC CDR1がFTX
1X
2X
3X
4X
5IH(配列番号46)を含み、X
1がFもしくはVであり、X
2がSもしくはTであり、X
3がG、A、もしくはSであり、X
4がT、N、もしくはSであり、かつX
5がDもしくはSであり、前記HC CDR2がSIYSSSGYTYYADSVKG(配列番号53)を含み、かつ前記HC CDR3がPGX
6YYWYYSGSAYEGYGLDY(配列番号48)を含み、X
6がSもしくはMを含む、前記V
H、ならびに/または
(ii)LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3を含む軽鎖可変領域(V
L)であって、前記LC CDR1がRASQSVSSAVA(配列番号55)を含み、前記LC CDR2がX
7ASSLX
8S(配列番号50)を含み、X
7がSもしくはAであり、かつX
8がYもしくはQであり、かつ前記LC CDR3がQQX
9X
10X
11X
12X
13X
14LIT(配列番号51)を含み、X
9がSもしくはQであり、X
10がG、S、もしくはTであり、X
11がD、K、もしくはSであり、X
12がY、Wであり、もしくは存在せず、X
13がPであり、もしくは存在せず、かつX
14がD、F、もしくはYである、前記V
Lを含み、
デルタ1-17と同じ重鎖および軽鎖CDRを含まない、
単離された抗体。
【請求項2】
前記抗体の前記HC CDR1、前記HC CDR2、および前記HC CDR3が合わせて、参照抗体の前記HC CDRと比べて10個以下のアミノ酸変化を含有し、かつ/または前記抗体の前記LC CDR1、前記LC CDR2、および前記LC CDR3が合わせて、前記参照抗体の軽鎖CDRと比べて8個以下のアミノ酸変化を含有し、かつ前記参照抗体が、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43からなる群から選択される、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項3】
前記抗体の前記HC CDR1、前記HC CDR2、および前記HC CDR3が合わせて、前記参照抗体の前記重鎖CDRに対して少なくとも90%の配列同一性を共有し、かつ/または前記抗体の前記LC CDR1、前記LC CDR2、および前記LC CDR3が合わせて、前記参照抗体の前記軽鎖CDRに対して少なくとも80%の配列同一性を共有する、請求項1または請求項2に記載の単離された抗体。
【請求項4】
前記参照抗体のV
Hに対して少なくとも85%同一の前記V
H、および/または前記参照抗体のV
Lに対して少なくとも85%同一の前記V
Lを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項5】
前記参照抗体と同じ重鎖相補性決定領域および/または同じ軽鎖相補性決定領域を含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項6】
前記参照抗体と同じ重鎖可変領域および同じ軽鎖可変領域を含む、請求項5に記載の単離された抗体。
【請求項7】
前記抗体の前記HC CDR1、前記HC CDR2、および前記HC CDR3が合わせて、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43からなる群から選択される抗体の前記HC CDRと比べて10個以下のアミノ酸変化を含有し、かつ/または前記抗体の前記LC CDR1、前記LC CDR2、および前記LC CDR3が合わせて、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43からなる群から選択される抗体の前記軽鎖CDRと比べて8個以下のアミノ酸変化を含有する、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項8】
前記抗体の前記HC CDR1、前記HC CDR2、および前記HC CDR3が合わせて、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43からなる群から選択される抗体の前記重鎖CDRに対して少なくとも90%の配列同一性を共有し、かつ/または前記抗体の前記LC CDR1、前記LC CDR2、および前記LC CDR3が合わせて、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43からなる群から選択される抗体の前記軽鎖CDRに対して少なくとも80%の配列同一性を共有する、請求項7に記載の単離された抗体。
【請求項9】
デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43からなる群から選択される抗体のV
Hに対して少なくとも85%同一の前記V
H、ならびに/またはデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43からなる群から選択される抗体のV
Lに対して少なくとも85%同一の前記V
Lを含む、請求項7または請求項8に記載の単離された抗体。
【請求項10】
デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43からなる群から選択される抗体と同じ重鎖相補性決定領域および/または同じ軽鎖相補性決定領域を含む、請求項7~9のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項11】
デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43からなる群から選択される抗体と同じ重鎖可変領域および同じ軽鎖可変領域を含む、請求項5に記載の単離された抗体。
【請求項12】
(i)HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3を含む重鎖可変領域(VH)であって、前記HC CDR1がFTFX
1X
2X
3X
4IH(配列番号94)のモチーフを含み、X
1がSもしくはTであり、X
2がS、もしくはAであり、X
3がN、もしくはSであり、かつX
4がDもしくはSであり、前記HC CDR2がSIYSSSGYTYYADSVKG(配列番号53)を含み、かつ前記HC CDR3がDPGSYYWYYSGSAYEGYGLDY(配列番号54)を含む、前記VH、ならびに/または
(ii)LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3を含む軽鎖可変領域(VL)であって、前記LC CDR1がRASQSVSSAVA(配列番号55)を含み、前記LC CDR2がAASSLQS(配列番号56)を含み、かつ前記LC CDR3がQQQSKYPFLIT(配列番号51)を含む、前記VLを含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項13】
前記抗体の前記HC CDR1、前記HC CDR2、および前記HC CDR3が合わせて、参照抗体の前記HC CDRと比べて10個以下のアミノ酸変化を含有し、かつ/または前記抗体の前記LC CDR1、前記LC CDR2、および前記LC CDR3が合わせて、前記参照抗体の前記軽鎖CDRと比べて8個以下のアミノ酸変化を含有し、かつ前記参照抗体が、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41からなる群から選択される、請求項12に記載の単離された抗体。
【請求項14】
前記抗体の前記HC CDR1、前記HC CDR2、および前記HC CDR3が合わせて、前記参照抗体の前記重鎖CDRに対して少なくとも90%の配列同一性を共有し、かつ/または前記抗体の前記LC CDR1、前記LC CDR2、および前記LC CDR3が合わせて、前記参照抗体の前記軽鎖CDRに対して少なくとも80%の配列同一性を共有する、請求項12または請求項13に記載の単離された抗体。
【請求項15】
前記参照抗体のV
Hに対して少なくとも85%同一の前記V
H、および/または前記参照抗体のV
Lに対して少なくとも85%同一の前記V
Lを含む、請求項12~14のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項16】
前記参照抗体と同じ重鎖相補性決定領域および/または同じ軽鎖相補性決定領域を含む、請求項12~15のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項17】
前記参照抗体と同じ重鎖可変領域および同じ軽鎖可変領域を含む、請求項16に記載の単離された抗体。
【請求項18】
前記抗体の前記HC CDR1、前記HC CDR2、および前記HC CDR3が合わせて、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41からなる群から選択される抗体の前記HC CDRと比べて10個以下のアミノ酸変化を含有し、かつ/または前記抗体の前記LC CDR1、前記LC CDR2、および前記LC CDR3が合わせて、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41からなる群から選択される抗体の前記軽鎖CDRと比べて8個以下のアミノ酸変化を含有する、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項19】
前記抗体の前記HC CDR1、前記HC CDR2、および前記HC CDR3が合わせて、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41からなる群から選択される抗体の前記重鎖CDRに対して少なくとも90%の配列同一性を共有し、かつ/または前記抗体の前記LC CDR1、前記LC CDR2、および前記LC CDR3が合わせて、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、およびデルタ1-42からなる群から選択される抗体の前記軽鎖CDRに対して少なくとも80%の配列同一性を共有する、請求項18に記載の単離された抗体。
【請求項20】
デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41からなる群から選択される抗体のV
Hに対して少なくとも85%同一の前記V
H、ならびに/またはデルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41からなる群から選択される抗体のV
Lに対して少なくとも85%同一の前記V
Lを含む、請求項18または請求項19に記載の単離された抗体。
【請求項21】
デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41からなる群から選択される抗体と同じ重鎖相補性決定領域および/または同じ軽鎖相補性決定領域を含む、請求項18~20のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項22】
デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41からなる群から選択される抗体と同じ重鎖可変領域および同じ軽鎖可変領域を含む、請求項21に記載の単離された抗体。
【請求項23】
前記抗体の前記HC CDR1、前記HC CDR2、および前記HC CDR3が合わせて、デルタ1-39の前記HC CDRと比べて10個以下のアミノ酸変化を含有し、かつ/または前記抗体の前記LC CDR1、前記LC CDR2、および前記LC CDR3が合わせて、デルタ1-39の前記軽鎖CDRと比べて8個以下のアミノ酸変化を含有する、請求項1~22のいずれかに記載の単離された抗体。
【請求項24】
前記抗体の前記HC CDR1、前記HC CDR2、および前記HC CDR3が合わせて、デルタ1-39の前記重鎖CDRに対して少なくとも90%の配列同一性を共有し、かつ/または前記抗体の前記LC CDR1、前記LC CDR2、および前記LC CDR3が合わせて、デルタ1-39からなる群から選択される抗体の前記軽鎖CDRに対して少なくとも80%の配列同一性を共有する、請求項23に記載の単離された抗体。
【請求項25】
デルタ1-39のV
Hに対して少なくとも85%同一の前記V
Hおよび/またはデルタ1-39のV
Lに対して少なくとも85%同一の前記V
Lを含む、請求項23または請求項24のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項26】
デルタ1-39と同じ重鎖相補性決定領域および/または同じ軽鎖相補性決定領域を含む、請求項23~25のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項27】
デルタ1-39からなる群から選択される抗体と同じ重鎖可変領域および同じ軽鎖可変領域を含む、請求項26に記載の単離された抗体。
【請求項28】
ヒトデルタ-1鎖および非ヒト哺乳動物デルタ-1鎖と交差反応する、請求項1~27のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項29】
前記非ヒト哺乳動物デルタ-1鎖が非ヒト霊長類デルタ-1鎖である、請求項28に記載の単離された抗体。
【請求項30】
前記非ヒト霊長類デルタ-1鎖がカニクイザルデルタ-1鎖である、請求項29に記載の単離された抗体。
【請求項31】
複数のガンマ鎖を含有するγδ1 TCRに結合することができる結合することができる、請求項1~30のいずれかに記載の単離された抗体。
【請求項32】
全長抗体またはその抗原結合性断片である、請求項1~31のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項33】
Fab、(Fab’)
2、または単鎖抗体である、請求項32に記載の単離された抗体。
【請求項34】
ヒト抗体またはヒト化抗体である、請求項1~32のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項35】
前記抗体が全長抗体であり、前記全長抗体がIgG分子である、請求項1~32および34に記載の単離された抗体。
【請求項36】
IgG1またはIgG4分子である、請求項35に記載の単離された抗体。
【請求項37】
IgG1分子である、請求項36に記載の単離された抗体。
【請求項38】
前記IgG1が、(1)E333A突然変異、(2)S239D/A330L/I332E突然変異、(3)K326W/E333S突然変異、(4)S239D/I332E/G236A突然変異から選択される1つまたは複数の突然変異を有する、請求項36または請求項37に記載の単離された抗体。
【請求項39】
請求項1~38に記載の抗体のいずれかおよび薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項40】
配列番号68として記載される重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号53として記載される重鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号54として記載される重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含み、かつ/または配列番号55として記載される軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号56として記載される軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号57として記載される軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項41】
ヒトデルタ-1鎖および非ヒト哺乳動物デルタ-1鎖と交差反応する、請求項40に記載の単離された抗体。
【請求項42】
前記非ヒト哺乳動物デルタ-1鎖が非ヒト霊長類デルタ-1鎖である、請求項41に記載の単離された抗体。
【請求項43】
前記非ヒト霊長類デルタ-1鎖がカニクイザルデルタ-1鎖である、請求項42に記載の単離された抗体。
【請求項44】
複数のガンマ鎖を含有するγδ1 TCRに結合することができる結合することができる、請求項1~30のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項45】
全長抗体またはその抗原結合性断片である、請求項40~44のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項46】
ヒト抗体またはヒト化抗体である、請求項40~45のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項47】
Fab、(Fab’)2、または単鎖抗体である、請求項40~45のいずれかに記載の単離された抗体。
【請求項48】
IgG分子である、請求項40~45のいずれかに記載の単離された抗体。
【請求項49】
IgG1またはIgG4分子である、請求項40~46および48に記載の単離された抗体。
【請求項50】
IgG1分子である、請求項49に記載の単離された抗体。
【請求項51】
前記抗体がIgG1分子であり、前記IgG1が、(1)E333A突然変異、(2)S239D/A330L/I332E突然変異、(3)K326W/E333S突然変異、(4)S239D/I332E/G236A突然変異から選択される1つまたは複数の突然変異を有する、請求項49または請求項50に記載の単離された抗体。
【請求項52】
配列番号31として記載される重鎖定常領域、および/または配列番号73として記載される軽鎖定常領域を含む、請求項50に記載の単離された抗体。
【請求項53】
配列番号55として記載されるVL CDR1、配列番号56として記載されるVL CDR2、配列番号57として記載されるVL CDR3、配列番号56として記載されるVH CDR1、配列番号53として記載されるVH CDR2、配列番号54として記載されるVH CDR3を有し、かつ配列番号31として記載される重鎖定常領域および配列番号73として記載される軽鎖定常領域を有する、請求項40または請求項52のいずれかに記載の単離された抗体。
【請求項54】
配列番号79として記載される重鎖および/または配列番号78として記載される軽鎖を含む、請求項40~46、48~50、52~53のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項55】
配列番号24として記載されるVHおよび配列番号9として記載されるVLを含む、請求項40~54のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項56】
全長抗体またはその抗原結合性断片である、請求項55に記載の単離された抗体。
【請求項57】
ヒト抗体またはヒト化抗体である、請求項55または請求項56に記載の単離された抗体。
【請求項58】
単鎖抗体である、請求項57に記載の単離された抗体。
【請求項59】
IgG分子である、請求項55~57のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項60】
IgG1またはIgG4分子である、請求項59に記載の単離された抗体。
【請求項61】
IgG1分子である、請求項60に記載の単離された抗体。
【請求項62】
前記抗体がIgG1分子であり、前記IgG1が、(1)E333A突然変異、(2)S239D/A330L/I332E突然変異、(3)K326W/E333S突然変異、(4)S239D/I332E/G236A突然変異から選択される1つまたは複数の突然変異を有する、請求項61に記載の単離された抗体。
【請求項63】
配列番号31として記載される重鎖定常領域、および/または配列番号73として記載される軽鎖定常領域を含む、請求項55~61のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項64】
配列番号24として記載されるVHおよび配列番号9として記載されるVLを含み、かつ配列番号31として記載される重鎖定常領域および配列番号73として記載される軽鎖定常領域を有する、請求項63に記載の単離された抗体。
【請求項65】
配列番号79として記載される重鎖および配列番号78として記載される軽鎖を含む、請求項64に記載の単離された抗体。
【請求項66】
デルタ1-39である、請求項65に記載の単離された抗体。
【請求項67】
ヒトデルタ-1鎖および非ヒト哺乳動物デルタ-1鎖と交差反応する、請求項55~66のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項68】
前記非ヒト哺乳動物デルタ-1鎖が非ヒト霊長類デルタ-1鎖である、請求項67に記載の単離された抗体。
【請求項69】
前記非ヒト霊長類デルタ-1鎖がカニクイザルデルタ-1鎖である、請求項68に記載の単離された抗体。
【請求項70】
複数のガンマ鎖を含有するγδ1 TCRに結合することができる結合することができる、請求項1~69のいずれかに記載の単離された抗体。
【請求項71】
配列番号79として記載される重鎖および配列番号78として記載される軽鎖を含む、請求項70、70Aまたは70Bに記載の単離された抗体。
【請求項72】
請求項1~71に記載の抗体のいずれか 薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項73】
請求項1に記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項74】
請求項40に記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項75】
請求項53または55に記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項76】
請求項71に記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項77】
請求項1~71のいずれか1項に記載の抗体の重鎖可変領域(VH)および/または軽鎖可変領域(VL)をコードする1つまたは複数の核酸配列を含む、単離された核酸分子。
【請求項78】
請求項1~62のいずれか1項に記載の抗体の重鎖可変領域(VH)をコードする1つまたは複数の核酸配列を含む、請求項77に記載の単離された核酸分子。
【請求項79】
請求項1~62のいずれか1項に記載の抗体の軽鎖可変領域(VL)をコードする1つまたは複数の核酸配列を含む、請求項77に記載の単離された核酸分子。
【請求項80】
請求項1~71のいずれか1項に記載の抗体の重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)をコードする1つまたは複数の核酸配列を含む、請求項77に記載の単離された核酸分子。
【請求項81】
前記1つまたは複数の核酸配列が、配列番号68として記載される重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号53として記載される重鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号54として記載される重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む抗体のVHおよび/またはVLをコードし、かつ/または配列番号55として記載される軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号56として記載される軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号57として記載される軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む、請求項77~80のいずれか1項に記載の単離された核酸分子。
【請求項82】
配列番号24として記載されるVHおよび/または配列番号9として記載されるVLを含む抗体のVHおよび/またはVLをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む、請求項77~81のいずれか1項に記載の単離された核酸分子。
【請求項83】
前記1つまたは複数の核酸配列が、配列番号31として記載されるHC定常領域および/または配列番号73として記載される軽鎖定常領域を含む抗体のVHおよび/またはVLをコードする、請求項77~82のいずれか1項に記載の単離された核酸分子。
【請求項84】
前記1つまたは複数の核酸配列がG9.2-17のVHおよび/またはVLをコードする、請求項83に記載の単離された核酸分子。
【請求項85】
請求項1~71のいずれか1項に記載の抗体の重鎖(HC)および/または軽鎖(LC)をコードする1つまたは複数の核酸配列を含む、単離された核酸分子。
【請求項86】
抗体の重鎖(HC)および/または軽鎖(LC)をコードする1つまたは複数の核酸配列を含み、前記抗体が、配列番号68として記載される重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号53として記載される重鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号54として記載される重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含み、かつ/または配列番号55として記載される軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号56として記載される軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号57として記載される軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む、請求項85に記載の単離された核酸分子。
【請求項87】
配列番号24として記載されるVHおよび/または配列番号3として記載されるVLをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む、請求項86に記載の単離された核酸分子。
【請求項88】
前記1つまたは複数の核酸配列が、配列番号31として記載されるHC定常領域および/または配列番号73として記載される軽鎖定常領域を含む抗体のHCおよび/またはLCをコードする、請求項86~87のいずれか1項に記載の単離された核酸分子。
【請求項89】
前記1つまたは複数の核酸配列が、配列番号24として記載されるVHおよび配列番号9として記載されるVL、ならびに配列番号31として記載される重鎖定常領域および配列番号73として記載される軽鎖定常領域を含む抗体のHCおよび/またはLCをコードする、請求項88に記載の単離された核酸分子。
【請求項90】
前記1つまたは複数の核酸配列が、配列番号79として記載される重鎖および配列番号78として記載される軽鎖を含む抗体のHCおよび/またはLCをコードする、請求項89に記載の単離された核酸分子。
【請求項91】
前記1つまたは複数の核酸配列が、G9.2-17のHCおよび/またはLCをコードする、請求項90に記載の単離された核酸分子。
【請求項92】
請求項77~91のいずれか1項に記載の単離された核酸分子を含む、ベクター。
【請求項93】
発現ベクターである、請求項91に記載のベクター。
【請求項94】
前記単離された核酸が前記VHを含む、請求項92または請求項93に記載のベクター。
【請求項95】
前記単離された核酸が前記VLを含む、請求項92または請求項93に記載のベクター。
【請求項96】
前記単離された核酸が前記VLおよび前記VHを含む、請求項92または請求項93に記載のベクター。
【請求項97】
前記単離された核酸が前記重鎖を含む、請求項92または請求項93に記載のベクター。
【請求項98】
前記単離された核酸が前記軽鎖を含む、請求項92または請求項93に記載のベクター。
【請求項99】
前記単離された核酸が前記軽鎖および前記重鎖を含む、請求項92または請求項93に記載のベクター。
【請求項100】
前記核酸分子が、配列番号31として記載されるHC定常領域および/または配列番号73として記載される軽鎖定常領域を含む抗体のVHおよび/またはVLをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む、請求項92~99のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項101】
前記核酸分子が、抗体のVHおよび/またはVLをコードする1つまたは複数の核酸配列を含み、前記抗体が、配列番号68として記載される重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号53として記載される重鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号54として記載される重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含み、かつ/または配列番号55として記載される軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号56として記載される軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号57として記載される軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む、請求項92~100のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項102】
前記核酸分子が、配列番号24として記載されるVHおよび配列番号9として記載されるVLならびに配列番号31として記載される重鎖定常領域および配列番号73として記載される軽鎖定常領域を含む抗体のVHおよび/またはVLをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む、請求項92~101のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項103】
前記核酸分子が、配列番号79として記載される重鎖および配列番号78として記載される軽鎖を含む抗体のVHおよび/またはVLをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む、請求項92~102のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項104】
前記核酸分子が、G9.2-17のVHおよび/またはVLをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む、請求項102または請求項103に記載のベクター。
【請求項105】
前記核酸分子が、配列番号31として記載されるHC定常領域および/または配列番号73として記載される軽鎖定常領域を含む抗体のHCおよび/またはLCをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む、請求項92~104のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項106】
前記核酸分子が、抗体の重鎖(HC)および/または軽鎖(LC)をコードする1つまたは複数の核酸配列を含み、前記抗体が、配列番号68として記載される重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号53として記載される重鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号54として記載される重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含み、かつ/または配列番号55として記載される軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号56として記載される軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号57として記載される軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む、請求項104または請求項105に記載のベクター。
【請求項107】
前記核酸分子が、配列番号24として記載されるVHおよび配列番号9として記載されるVLならびに配列番号31として記載される重鎖定常領域および配列番号73として記載される軽鎖定常領域を含む抗体のHCおよび/またはLCをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む、請求項104~106のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項108】
前記核酸分子が、配列番号79として記載される重鎖および配列番号78として記載される軽鎖を含む抗体のHCおよび/またはLCをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む、請求項104~107のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項109】
前記核酸分子が、G9.2-17のHCおよび/またはLCをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む、請求項104~108のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項110】
請求項92~109のいずれか1項に記載のベクターを含む、組成物。
【請求項111】
請求項92~109のいずれか1項に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項112】
E.coli細胞、シミアンCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞からなる群から選択される、請求項111に記載の宿主細胞。
【請求項113】
対象においてγδ T細胞活性化を阻害する方法であって、それを必要とする対象に有効量の請求項62~77のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項114】
対象においてγδ T細胞活性化を阻害する方法であって、それを必要とする対象に有効量の請求項74~76のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項115】
対象においてγδ T細胞活性化を阻害する方法であって、それを必要とする対象に有効量のデルタ1-39を含む医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項116】
対象においてγδ T細胞活性化を阻害する方法であって、それを必要とする対象に有効量の請求項77~109のいずれか1項に記載の単離された核酸および/またはベクターを含む医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項117】
それを必要とする前記対象が、固形がんを有する、有することが疑われる、またはそのリスクがあるヒト患者である、請求項113~116のいずれか1項に記載の方法。
【請求項118】
前記対象が、膵臓腺管腺がん(PDA)、結腸直腸がん(CRC)、黒色腫、乳がん、肺がん、上部および下部胃腸悪性腫瘍、扁平細胞頭頸部がん、泌尿生殖器がん、卵巣がん、ならびに肉腫からなる群から選択される固形腫瘍を有するヒト患者である、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
チェックポイント分子の阻害剤、共刺激受容体の活性化剤、先天免疫細胞標的の阻害剤、化学療法剤、または抗高血圧剤を前記対象に投与することをさらに含む、請求項113~118のいずれか1項に記載の方法。
【請求項120】
前記チェックポイント分子が、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG3、TIM-3、A2aR、TIGITおよびVISTAからなる群から選択される、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記共刺激受容体が、OX40、GITR、CD137、CD40、CD27、およびICOSからなる群から選択される、請求項119に記載の方法。
【請求項122】
前記先天免疫細胞標的が、KIR、NKG2A、CD96、TLR、IDO、およびガレクチン-9からなる群から選択される、請求項119に記載の方法。
【請求項123】
前記医薬組成物の前記有効量が、前記対象においてγδ T細胞の活性化を遮断するために十分なものである、請求項113~122のいずれか1項に記載の方法。
【請求項124】
前記チェックポイント分子がPD-1であり、かつ前記ヒト患者が皮膚がんを有する、請求項120に記載の方法。
【請求項125】
前記皮膚がんが黒色腫である、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記チェックポイント分子がCTLA-4であり、かつ前記ヒト患者が肺がんを有する、請求項120に記載の方法。
【請求項127】
T細胞受容体のデルタ-1鎖に特異的な抗体を産生する方法であって、
(i)前記抗体の発現を可能とする条件下で請求項111または請求項112に記載の宿主細胞を培養すること、および
(ii)そのようにして産生された前記抗体を前記細胞培養物から回収すること
を含む、方法。
【請求項128】
対象においてgd T細胞を枯渇させかつ/または排除する方法であって、それを必要とする対象に有効量の請求項62~77のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項129】
対象においてgd T細胞を枯渇させかつ/または排除する方法であって、それを必要とする対象に有効量の請求項74~76のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項130】
対象においてgd T細胞を枯渇させかつ/または排除する方法であって、それを必要とする対象に有効量のデルタ1-39を含む医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項131】
対象においてgd T細胞を枯渇させかつ/または排除する方法であって、それを必要とする対象に有効量の請求項77~109のいずれか1項に記載の単離された核酸および/またはベクターを含む医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項132】
それを必要とする前記対象が、固形がんを有する、有することが疑われる、またはそのリスクがあるヒト患者である、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記対象が、膵臓腺管腺がん(PDA)、結腸直腸がん(CRC)、黒色腫、乳がん、肺がん、上部および下部胃腸悪性腫瘍、扁平細胞頭頸部がん、泌尿生殖器がん、卵巣がん、ならびに肉腫からなる群から選択される固形腫瘍を有するヒト患者である、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
チェックポイント分子の阻害剤、共刺激受容体の活性化剤、先天免疫細胞標的の阻害剤、化学療法剤、または抗高血圧剤を前記対象に投与することをさらに含む、請求項131~133のいずれか1項に記載の方法。
【請求項135】
前記チェックポイント分子が、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG3、TIM-3、A2aR、TIGITおよびVISTAからなる群から選択される、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記共刺激受容体が、OX40、GITR、CD137、CD40、CD27、およびICOSからなる群から選択される、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記先天免疫細胞標的が、KIR、NKG2A、CD96、TLR、IDO、およびガレクチン-9からなる群から選択される、請求項135に記載の方法。
【請求項138】
前記医薬組成物の前記有効量が、前記対象においてγδ T細胞を枯渇させかつ/または排除するために十分なものである、請求項128~137のいずれか1項に記載の方法。
【請求項139】
前記チェックポイント分子がPD-1であり、かつ前記ヒト患者が皮膚がんを有する、請求項135に記載の方法。
【請求項140】
前記皮膚がんが黒色腫である、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
前記チェックポイント分子がCTLA-4であり、かつ前記ヒト患者が肺がんを有する、請求項135に記載の方法。
【請求項142】
がん患者を同定または選択し、かつ必要に応じて前記がん患者を処置する方法であって、
(i)それを必要とする対象の血液試料を準備すること、
(ii)前記血液試料中のデルタ1のレベルを測定すること、および
(iii)前記血液試料中のデルタ1の前記レベルに基づいてがんを有するまたは前記がんのリスクがあるとして前記対象を同定することであって、対照と比べた前記対象の前記血液試料中のデルタ1の上昇したレベルが、前記対象が、前記がんを有するまたは前記がんのリスクがあることを指し示す、前記同定すること
を含む、方法。
【請求項143】
前記対照が、がんを有しない対象からの血液試料を含む、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
前記対照が、予め決定された参照値を含む、請求項142に記載の方法。
【請求項145】
前記血液試料が血清試料または血漿試料である、請求項142または請求項143に記載の方法。
【請求項146】
前記対象がヒト対象である、請求項142~145のいずれか1項に記載の方法。
【請求項147】
前記がんが、膵臓がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、および結腸直腸がんからなる群から選択される、請求項142~146のいずれか1項に記載の方法。
【請求項148】
デルタ1の前記レベルがイムノアッセイにより測定される、請求項142~147のいずれか1項に記載の方法。
【請求項149】
前記イムノアッセイがフローサイトメトリーである、請求項142~147のいずれか1項に記載の方法。
【請求項150】
前記イムノアッセイが、請求項1~71に記載の抗体のいずれかを使用するものである、請求項142~149のいずれか1項に記載の方法。
【請求項151】
前記イムノアッセイがフローサイトメトリーであり、かつデルタ1-39を使用するものである、請求項142~150のいずれか1項に記載の方法。
【請求項152】
前記がんの存在を確認するための1つまたは複数の追加の診断アッセイを行うことをさらに含む、請求項142~151のいずれか1項に記載の方法。
【請求項153】
前記がんを処置するために前記対象に抗がん療法を投与することをさらに含む、請求項142~152のいずれか1項に記載の方法。
【請求項154】
前記抗がん療法が、前記対象に有効量の抗デルタ1抗体を投与することを含む、請求項153に記載の方法。
【請求項155】
前記抗がん療法が、前記対象に有効量の請求項1~71のいずれかに記載の抗デルタ1抗体を投与することを含む、請求項154に記載の方法。
【請求項156】
前記抗がん療法が、前記対象に有効量のデルタ1-39を投与することを含む、請求項155に記載の方法。
【請求項157】
3、4、5、8、または9から選択される1つまたは複数のガンマ鎖に結合する、請求項31に記載の単離された抗体。
【請求項158】
ガンマ鎖3、4、5、8、および9に結合する、請求項31または請求項31Aに記載の単離された抗体。
【請求項159】
3、4、5、8、または9から選択される1つまたは複数のガンマ鎖に結合する、請求項44に記載の単離された抗体。
【請求項160】
ガンマ鎖3、4、5、8、および9に結合する、請求項44に記載の単離された抗体。
【請求項161】
3、4、5、8、または9から選択される1つまたは複数のガンマ鎖に結合する、請求項70に記載の単離された抗体。
【請求項162】
ガンマ鎖3、4、5、8、および9に結合する、請求項70または70Aに記載の単離された抗体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
免疫チェックポイント遮断は、過去数年においてがん処置として前例のない成功を実証した。多くの場合に、抗体は、免疫阻害経路、例えば細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)およびプログラム死1(PD-1)経路を遮断するために使用される。それらの2つの経路を標的化する療法はいくつかのがん種の処置において成功を示しているが、抗CTLA-4および抗PD-1療法は、がん種に依存して、処置された患者の10~60%の奏効率を有し、組合せにおいて使用された場合であっても、60%の奏効率を超える能力を未だ示していない(Kyvistborgら、「Enhancing responses to cancer immunotherapy」、Science. 2018年2月2日;359巻(6375号):516~517頁)。追加的に、多数のがん種はこれらの療法に対して難治性である。
【0002】
γδ T細胞は、それらの表面上に別個のT細胞受容体(TCR)γおよびδ鎖を有するT細胞のサブグループである。これは、細胞表面上にαβ TCRを発現するCD4+ヘルパーT細胞およびCD8+細胞傷害性T細胞からそれらを分ける。最近の研究では、γδ T細胞は腫瘍促進活性を有することが見出されている(Zhaoら、J Transl Med(2018) 16巻:3)。例えば、ヒト膵臓腺管がんにおいて、γδ T細胞は、腫瘍浸潤性T細胞の実質的な比率を構成することおよびアルファベータ(αβ)T細胞により媒介される抗がん免疫応答を阻害することが見出されている(Daleyら、Cell、2016、166巻:1485~1499頁)。腫瘍微環境(TME)において、γδ T細胞は、IL-4、IL-10、およびTGF-βを発現して抗腫瘍応答の抑制に繋がることが示されている(Kuhlら、Immunol.、2009、128巻(4号):580~588頁)。IL-10およびTGF-βの両方の発現は様々ながん種において増加していることが示されている(Lafontら、Front Immunol.、2014、5巻:622)。γδ T17細胞は腫瘍微環境におけるIL-17の主要な供給源であり、そこでそれらは多数のがん種において血管新生を促進するように機能する(Silva-Santos B. Eur J Immunol. 2010;40巻:1873~6頁;Zhaoら、J Transl Med (2018) 16巻:3、およびこれらにおける参考文献)。追加的に、γδ T細胞は、ナイーブおよびエフェクターT細胞の老化を誘導して、これらの細胞はTMEにおいて抑制性となり、免疫抑制を増加させることが見出されている(Yeら、J Immunol.、2013, 190巻(5号):2403~2414頁)。最後に、γδ T細胞はTMEにおいて骨髄由来抑制細胞(MDSC)の存在を増加させて、腫瘍促進性微環境を促進することを研究は示している(YanおよびHuang、Oncoimmunology. 2014;3巻:e953423;Qu Pら、Cancer Lett. 2016;380巻:253~6頁、およびこれらにおける参考文献)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
平均奏効率および現行の処置に対して難治性の多数のがん種を考慮すれば、新たながん療法の必要性が依然として存在する。ガンマデルタT細胞および/またはそのT細胞受容体の1つもしくは複数の活性をモジュレートすることは新規のがん療法アプローチを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
ガンマデルタT細胞活性および/またはそのT細胞受容体の1つもしくは複数のモジュレーションは、単独でまたはがん処置のための手段として既存の療法と組み合わせて使用されてもよい。ヒトガンマデルタT細胞受容体に結合する新規のヒト抗体およびがんの処置におけるそれらの治療的使用が本明細書に記載される。本開示は、少なくとも部分的に、γδ T細胞受容体(TCR)のデルタ-1鎖に特異的に結合する抗体の開発に基づく。そのような抗体は、γδ T細胞を有効に抑制し、それにより、γδ T細胞により媒介される免疫抑制をレスキューすることが見出された。
【0005】
よって、本開示の1つの態様は、T細胞受容体のデルタ-1鎖に特異的に結合する単離された抗体を提供する。一部の事例では、抗体は、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む。一部の実施形態では、HC CDR1はFTX1X2X3X4X5IH(配列番号46)のモチーフを含み、X1はFまたはVであり、X2はSまたはTであり、X3はG、A、またはSであり、X4はT、N、またはSであり、かつX5はDまたはSである。一部の実施形態では、HC CDR2はSIYSSSGYTYYADSVKG(配列番号53)を含む。代替的に、または追加的に、一部の実施形態では、HC CDR3はPGX6YYWYYSGSAYEGYGLDY(配列番号48)を含み、X6はSまたはMを含む。
【0006】
代替的または追加的に、本明細書に開示される単離された抗体は、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。一部の実施形態では、LC CDR1はRASQSVSSAVA(配列番号55)を含む。一部の実施形態では、LC CDR2はX7ASSLX8S(配列番号50)を含み、X7はSまたはAであり、かつX8はYまたはQである。代替的または追加的に、一部の実施形態では、LC CDR3はQQX9X10X11X12X13X14LIT(配列番号51)を含み、X9はSまたはQであり、X10はG、S、またはTであり、X11はD、K、またはSであり、X12はY、Wであり、または存在せず、X13はPであり、または存在せず、かつX14はD、F、またはYである。一部の事例では、単離された抗体はデルタ1-17と同じ重鎖および軽鎖CDRを含まない。
【0007】
一部の実施形態では、抗体は、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3を含む重鎖可変領域(VH)であって、HC CDR1がFTFX1X2X3X4IH(配列番号93)のモチーフを含み、X1がSまたはTであり、X2がS、GまたはAであり、X3がT、N、またはSであり、かつX4がDまたはSである、VHを含む。代替的または追加的に、一部の実施形態では、HC CDR2はSIYSSSGYTYYADSVKG(配列番号53)を含む。代替的に、または追加的に、HC CDR3はDPGSYYWYYSGSAYEGYGLDY(配列番号54)を含む。代替的または追加的に、一部の実施形態では、本明細書に開示される単離された抗体は、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3を含む軽鎖可変領域(VL)であって、LC CDR1がRASQSVSSAVA(配列番号55)を含む、VLを含む。代替的または追加的に、一部の実施形態では、LC CDR2はAASSLQS(配列番号56)を含む。代替的または追加的に、一部の実施形態では、LC CDR3はQQQSKYPFLIT(配列番号57)を含む。
【0008】
一部の実施形態では、抗体は、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3を含む重鎖可変領域(VH)であって、HC CDR1がFTFX1X2X3X4IH(配列番号93)のモチーフを含み、X1がSまたはTであり、X2がS、GまたはAであり、X3がT、N、またはSであり、かつX4がDまたはSであり、HC CDR2がSIYSSSGYTYYADSVKG(配列番号53)を含み、かつHC CDR3がDPGSYYWYYSGSAYEGYGLDY(配列番号54)を含む、VHを含む。一部の実施形態では、単離された抗体は、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3を含む軽鎖可変領域(VL)であって、LC CDR1がRASQSVSSAVA(配列番号55)を含み、LC CDR2がAASSLQS(配列番号56)を含み、かつLC CDR3がQQQSKYPFLIT(配列番号57)を含む、VLを含む。
【0009】
一部の実施形態では、抗体は、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3を含む重鎖可変領域(VH)であって、HC CDR1が、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、および配列番号72からなる群から選択される、VHを含む。代替的または追加的に、HC CDR2はSIYSSSGYTYYADSVKG(配列番号53)を含む。代替的に、または追加的に、HC CDR3はDPGSYYWYYSGSAYEGYGLDY(配列番号54)を含む。代替的または追加的に、本明細書に開示される単離された抗体は、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3を含む軽鎖可変領域(VL)であって、LC CDR1がRASQSVSSAVA(配列番号55)を含む、VLを含む。代替的または追加的に、LC CDR2はAASSLQS(配列番号56)を含む。代替的または追加的に、LC CDR3はQQQSKYPFLIT(配列番号57)を含む。
【0010】
一部の実施形態では、抗体は、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3を含む重鎖可変領域(VH)であって、HC CDR1が、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、および配列番号72からなる群から選択され、HC CDR2がSIYSSSGYTYYADSVKG(配列番号53)を含み、かつHC CDR3がDPGSYYWYYSGSAYEGYGLDY(配列番号54)を含む、VHを含む。一部の実施形態では、単離された抗体は、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3を含む軽鎖可変領域(VL)であって、LC CDR1がRASQSVSSAVA(配列番号55)を含み、LC CDR2がAASSLQS(配列番号56)を含み、かつLC CDR3がQQQSKYPFLIT(配列番号57)を含む、VLをさらに含む。
【0011】
一部の実施形態では、抗体は、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3を含む重鎖可変領域(VH)であって、HC CDR1がFTFX1X2X3X4IH(配列番号94)のモチーフを含み、X1がSまたはTであり、X2がS、またはAであり、X3がN、またはSであり、かつX4がDまたはSであり、HC CDR2がSIYSSSGYTYYADSVKG(配列番号53)を含み、かつHC CDR3がDPGSYYWYYSGSAYEGYGLDY(配列番号54)を含む、VHを含む。一部の実施形態では、単離された抗体は、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3を含む軽鎖可変領域(VL)であって、LC CDR1がRASQSVSSAVA(配列番号55)を含み、LC CDR2がAASSLQS(配列番号56)を含み、かつLC CDR3がQQQSKYPFLIT(配列番号57)を含む、VLを含む。
【0012】
一部の実施形態では、抗体は、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3を含む重鎖可変領域(VH)であって、HC CDR1が、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、および配列番号72からなる群から選択される、VHを含む。代替的または追加的に、HC CDR2はSIYSSSGYTYYADSVKG(配列番号53)を含む。代替的に、または追加的に、HC CDR3はDPGSYYWYYSGSAYEGYGLDY(配列番号54)を含む。代替的または追加的に、本明細書に開示される単離された抗体は、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3を含む軽鎖可変領域(VL)であって、LC CDR1がRASQSVSSAVA(配列番号55)を含む、VLを含む。代替的または追加的に、LC CDR2はAASSLQS(配列番号56)を含む。代替的または追加的に、LC CDR3はQQQSKYPFLIT(配列番号57)を含む。
【0013】
一部の実施形態では、抗体は、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3を含む重鎖可変領域(VH)であって、HC CDR1が、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、および配列番号72からなる群から選択され、HC CDR2がSIYSSSGYTYYADSVKG(配列番号53)を含み、かつHC CDR3がDPGSYYWYYSGSAYEGYGLDY(配列番号54)を含む、VHを含む。一部の実施形態では、単離された抗体は、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3を含む軽鎖可変領域(VL)であって、LC CDR1がRASQSVSSAVA(配列番号55)を含み、LC CDR2がAASSLQS(配列番号56)を含み、かつLC CDR3がQQQSKYPFLIT(配列番号57)を含む、VLをさらに含む。
【0014】
一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1抗体のHC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3は合わせて、参照抗体のHC CDRと比べて10個以下のアミノ酸変化(例えば、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変化)を含有する。代替的または追加的に、抗体のLC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3は合わせて、参照抗体の軽鎖CDRと比べて8個以下のアミノ酸変化(例えば、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変化)を含有し、参照抗体は、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43からなる群から選択される。
【0015】
一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1抗体のHC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3は合わせて、参照抗体のHC CDRと比べて10個以下のアミノ酸変化(例えば、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変化)を含有する。代替的または追加的に、抗体のLC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3は合わせて、参照抗体の軽鎖CDRと比べて8個以下のアミノ酸変化(例えば、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変化)を含有し、参照抗体は、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43からなる群から選択される。
【0016】
一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1抗体のHC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3は合わせて、参照抗体のHC CDRと比べて10個以下のアミノ酸変化(例えば、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変化)を含有する。代替的または追加的に、抗体のLC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3は合わせて、参照抗体の軽鎖CDRと比べて8個以下のアミノ酸変化(例えば、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変化)を含有し、参照抗体は、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41からなる群から選択される。
【0017】
一部の実施形態では、抗体のHC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3は、参照抗体の重鎖CDRに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有し、かつ/またはCDR1、CDR2、CDR3は合わせて、少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)を共有する。
【0018】
一部の例では、抗デルタ1抗体は、参照抗体と同じ重鎖相補性決定領域(CDR)および同じ軽鎖CDRを含んでもよい。1つの特有の例では、抗デルタ1抗体は、参照抗体と同じ重鎖可変領域および同じ軽鎖可変領域を含む。
【0019】
一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1抗体はヒトデルタ1鎖に結合する。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1抗体は、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される。これらの抗体のそれぞれは本明細書において「参照抗体」と称される。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1抗体は、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体のいずれか1つと同じエピトープに結合し、かつ/またはすぐ上に記載した参照抗体のいずれかに対してエピトープへの結合について競合する。
【0020】
一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1抗体は、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される。これらの抗体のそれぞれは本明細書において「参照抗体」と称される。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1抗体は、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体のいずれか1つと同じエピトープに結合し、かつ/またはすぐ上に記載した参照抗体のいずれかに対してエピトープへの結合について競合する。
【0021】
一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1抗体は、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41抗体から選択される。これらの抗体のそれぞれは本明細書において「参照抗体」と称される。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1抗体は、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41抗体のいずれか1つと同じエピトープに結合し、かつ/またはすぐ上に記載した参照抗体のいずれかに対してエピトープへの結合について競合する。
【0022】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、重鎖相補性決定領域1(HC CDR1)、重鎖相補性決定領域2(HC CDR2)、および重鎖相補性決定領域3(HC CDR3)を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含み、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3は合わせて、参照抗体の重鎖CDRに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一であり、かつ/または抗体は、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3は合わせて、参照抗体の軽鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一である。
【0023】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、重鎖相補性決定領域1(HC CDR1)、重鎖相補性決定領域2(HC CDR2)、および重鎖相補性決定領域3(HC CDR3)を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含み、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3は合わせて、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される抗体の重鎖CDRに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一であり、かつ/または抗体は、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3は合わせて、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される抗体の軽鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一である。
【0024】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、重鎖相補性決定領域1(HC CDR1)、重鎖相補性決定領域2(HC CDR2)、および重鎖相補性決定領域3(HC CDR3)を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含み、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3は合わせて、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される抗体の重鎖CDRに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一であり、かつ/または抗体は、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3は合わせて、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される抗体の軽鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一である。
【0025】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、重鎖相補性決定領域1(HC CDR1)、重鎖相補性決定領域2(HC CDR2)、および重鎖相補性決定領域3(HC CDR3)を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含み、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3は合わせて、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41抗体から選択される抗体の重鎖CDRに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一であり、かつ/または抗体は、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3は合わせて、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される抗体の軽鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一である。
【0026】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、参照抗体と同じ重鎖相補性決定領域(CDR)および同じ軽鎖CDRを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される抗体と同じ重鎖可変領域および同じ軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される抗体と同じ重鎖可変領域および同じ軽鎖可変領域を含む。
【0027】
1つの特有の実施形態では、抗デルタ1抗体は、デルタ1-39の重鎖CDRと同一の重鎖相補性決定領域1(HC CDR1)、重鎖相補性決定領域2(HC CDR2)、および重鎖相補性決定領域3(HC CDR3)を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、デルタ1-39の軽鎖CDRと同一の軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、重鎖相補性決定領域1(HC CDR1)、重鎖相補性決定領域2(HC CDR2)、および重鎖相補性決定領域3(HC CDR3)を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含み、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3は合わせて、デルタ1-39の重鎖CDRに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一であり、かつ/または抗体は、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3は合わせて、デルタ1-39の軽鎖CDRと少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一である。
【0028】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号52、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、および72から選択される配列を有するVH CDR1を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号68の配列を有するVH CDR1を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号53の配列を有するVH CDR2を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号54の配列を有するVH CDR3を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号68の配列を有するVH CDR1、配列番号53の配列を有するVH CDR2、および配列番号54の配列を有するVH CDR3を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、重鎖CDR1、重鎖CDR2、および重鎖CDR3を含む軽鎖(light chain)可変ドメイン(VH)を含み、重鎖CDR1、重鎖CDR2、および重鎖CDR3は合わせて、それぞれ配列番号68、53、および54の重鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一である。
【0029】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号55の配列を有するVL CDR1を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号56または58の配列を有するVL CDR2を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号83、84、85、86、87、57、88、89、90、91、92、59、および60のいずれかから選択される配列を有するVL CDR3を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号55の配列を有するVL CDR1、配列番号56または58の配列を有するVL CDR2、ならびに配列番号83、84、85、86、87、57、88、89、90、91、92、59、および60のいずれかから選択される配列を有するVL CDR3を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号55の配列を有するVL CDR1、配列番号56の配列を有するVL CDR2、および配列番号57のいずれかから選択される配列を有するVL CDR3を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3は合わせて、それぞれ配列番号55、56、および57の軽鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一である。
【0030】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、および72から選択される配列を有するVH CDR1を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号53の配列を有するVH CDR2を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号54の配列を有するVH CDR3を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号68の配列を有するVH CDR1を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号68の配列を有するVH CDR1、配列番号53の配列を有するVH CDR2、および配列番号54の配列を有するVH CDR3を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、重鎖CDR1、重鎖CDR2、および重鎖CDR3を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含み、重鎖CDR1、重鎖CDR2、および重鎖CDR3は合わせて、それぞれ配列番号68、53、および54の重鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一である。
【0031】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号55の配列を有するVL CDR1を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号56の配列を有するVL CDR2を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号57の配列を有するVL CDR3を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号55の配列を有するVL CDR1、配列番号56の配列を有するVL CDR2、および配列番号57の配列を有するVL CDR3を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3は合わせて、それぞれ配列番号55、56、および57の軽鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一である。
【0032】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号67、68、69、および70から選択される配列を有するVH CDR1を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号53の配列を有するVH CDR2を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号54の配列を有するVH CDR3を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号68の配列を有するVH CDR1を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号68の配列を有するVH CDR1、配列番号53の配列を有するVH CDR2、および配列番号54の配列を有するVH CDR3を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、重鎖CDR1、重鎖CDR2、および重鎖CDR3を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含み、重鎖CDR1、重鎖CDR2、および重鎖CDR3は合わせて、それぞれ配列番号68、53、および54の重鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一である。
【0033】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号55の配列を有するVL CDR1を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号56の配列を有するVL CDR2を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号57の配列を有するVL CDR3を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号55の配列を有するVL CDR1、配列番号56の配列を有するVL CDR2、および配列番号57の配列を有するVL CDR3を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3は合わせて、それぞれ配列番号55、56、および57の軽鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一である。
【0034】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号52、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、および72から選択される配列を有するVH CDR1、配列番号53の配列を有するVH CDR2ならびに配列番号54の配列を有するVH CDR3を含む。代替的または追加的に、抗デルタ1抗体は、配列番号55の配列を有するVL CDR1、配列番号56または58の配列を有するVL CDR2、ならびに配列番号83、84、85、86、87、57、88、89、90、91、92、59、および60のいずれかから選択される配列を有するVL CDR3を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、重鎖CDR1、重鎖CDR2、および重鎖CDR3を含む軽鎖(light chain)可変ドメイン(VH)を含み、重鎖CDR1、重鎖CDR2、および重鎖CDR3は合わせて、それぞれ配列番号52、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、および72(CDR1)、53(CDR2)、ならびに54(CDR3)の重鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一である。代替的または追加的に、抗デルタ1抗体は、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3は合わせて、それぞれ配列番号55(CDR1)、56または58(CDR2)、ならびに83、84、85、86、87、57、88、89、90、91、92、59、および60(CDR3)の軽鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一である。
【0035】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、および72から選択される配列を有するVH CDR1、配列番号53の配列を有するVH CDR2、ならびに配列番号54の配列を有するVH CDR3を含む。代替的または追加的に、抗デルタ1抗体は、配列番号55の配列を有するVL CDR1、配列番号56の配列を有するVL CDR2、および配列番号57の配列を有するVL CDR3を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、重鎖CDR1、重鎖CDR2、および重鎖CDR3を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含み、重鎖CDR1、重鎖CDR2、および重鎖CDR3は合わせて、それぞれ配列番号61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、および72(CDR1)、53(CDR2)、ならびに54(CDR3)の重鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一である。代替的または追加的に、抗デルタ1抗体は、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3は合わせて、それぞれ配列番号55、56、および57の軽鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一である。
【0036】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号67、68、69、および70から選択される配列を有するVH CDR1、配列番号53の配列を有するVH CDR2、ならびに配列番号54の配列を有するVH CDR3を含む。代替的または追加的に、抗デルタ1抗体は、配列番号55の配列を有するVL CDR1、配列番号56の配列を有するVL CDR2、および配列番号57の配列を有するVL CDR3を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、重鎖CDR1、重鎖CDR2、および重鎖CDR3を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含み、重鎖CDR1、重鎖CDR2、および重鎖CDR3は合わせて、それぞれ配列番号67、68、69、および70(CDR1)、53(CDR2)、ならびに54(CDR3)の重鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一である。代替的または追加的に、抗デルタ1抗体は、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3は合わせて、それぞれ配列番号55、56、および57の軽鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一である。
【0037】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号68に記載される配列を有するVH CDR1、配列番号53の配列を有するVH CDR2、および配列番号54の配列を有するVH CDR3を含む。代替的または追加的に、抗デルタ1抗体は、配列番号55の配列を有するVL CDR1、配列番号56の配列を有するVL CDR2、および配列番号57の配列を有するVL CDR3を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、重鎖CDR1、重鎖CDR2、および重鎖CDR3を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含み、重鎖CDR1、重鎖CDR2、および重鎖CDR3は合わせて、それぞれ配列番号68(CDR1)、53(CDR2)、および54(CDR3)の重鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一である。代替的または追加的に、抗デルタ1抗体は、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3は合わせて、それぞれ配列番号55、56、および57の軽鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一である。
【0038】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号68の配列を有するVH CDR1、配列番号53の配列を有するVH CDR2、および配列番号54の配列を有するVH CDR3を含み、かつ配列番号55の配列を有するVL CDR1、配列番号56の配列を有するVL CDR2、および配列番号57の配列を有するVL CDR3をさらに含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、重鎖CDR1、重鎖CDR2、および重鎖CDR3を含む軽鎖(light chain)可変ドメイン(VH)を含み、重鎖CDR1、重鎖CDR2、および重鎖CDR3は合わせて、それぞれ配列番号68、53、および54の重鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であり、かつ抗体は、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)をさらに含み、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3は合わせて、それぞれ配列番号55、56、および57の軽鎖CDRに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一である。
【0039】
これらの任意の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1に結合する。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3を含み、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3は合わせて、参照抗体のHC CDRと比べて10個以下(例えば、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下)のアミノ酸変化を含有し、かつ/または抗体は、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3を含み、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3は合わせて、参照抗体の軽鎖CDRと比べて8個以下(例えば、7、6、5、4、3、2、または1個以下)のアミノ酸変化を含有する。一部の実施形態では、参照抗体はデルタ1-39である。
【0040】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3を含み、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3は合わせて、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43から選択される抗体のHC CDRと比べて10個以下(例えば、9、8、7、6、5、4、3、2、もしくは1個以下)のアミノ酸変化を含有し、かつ/または抗体は、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3を含み、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3は合わせて、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43から選択される抗体の軽鎖CDRと比べて8個以下(例えば、7、6、5、4、3、2、もしくは1個以下)のアミノ酸変化を含有する。
【0041】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3を含み、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3は合わせて、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43から選択される抗体のHC CDRと比べて10個以下(例えば、9、8、7、6、5、4、3、2、もしくは1個以下)のアミノ酸変化を含有し、かつ/または抗体は、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3を含み、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3は合わせて、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43から選択される抗体の軽鎖CDRと比べて8個以下(例えば、7、6、5、4、3、2、もしくは1個以下)のアミノ酸変化を含有する。
【0042】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3を含み、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3は合わせて、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41から選択される抗体のHC CDRと比べて10個以下(例えば、9、8、7、6、5、4、3、2、もしくは1個以下)のアミノ酸変化を含有し、かつ/または抗体は、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3を含み、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3は合わせて、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41から選択される抗体の軽鎖CDRと比べて8個以下(例えば、7、6、5、4、3、2、もしくは1個以下)のアミノ酸変化を含有する。
【0043】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3を含み、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3は合わせて、デルタ1-39のHC CDRと比べて10個以下(例えば、9、8、7、6、5、4、3、2、もしくは1個以下)のアミノ酸変化を含有し、かつ/または抗体は、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3を含み、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3は合わせて、デルタ1-39の軽鎖CDRと比べて8個以下(例えば、7、6、5、4、3、2、もしくは1個以下)のアミノ酸変化を含有する。
【0044】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、参照抗体のVLに対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVL、ならびに/または参照抗体のVHに対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVHを含む。
【0045】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される抗体のVH配列に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVH配列、ならびに/またはデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される抗体のVL配列に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVL配列を有する。
【0046】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される抗体のVH配列に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVH配列、ならびに/またはデルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される抗体のVL配列に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVL配列を有する。
【0047】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41抗体から選択される抗体のVH配列に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVH配列、ならびに/またはデルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41抗体から選択される抗体のVL配列に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVL配列を有する。
【0048】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、デルタ1-39のVL配列に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVL配列、および/またはデルタ1-39抗体のVHに対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVHを有する。
【0049】
一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1抗体は、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される抗体と同じVL配列を有する。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1抗体は、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される抗体と同じVL配列を有する抗体である。一部の実施形態では、開示される抗デルタ1抗体は、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される抗体と同じVH配列および同じVL配列を有する。
【0050】
一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1抗体は、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される抗体と同じVL配列を有する。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1抗体は、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される抗体と同じVL配列を有する抗体である。一部の実施形態では、開示される抗デルタ1抗体は、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43抗体から選択される抗体と同じVH配列および同じVL配列を有する。
【0051】
一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1抗体は、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41抗体から選択される抗体と同じVL配列を有する。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1抗体は、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41抗体から選択される抗体と同じVL配列を有する抗体である。一部の実施形態では、開示される抗デルタ1抗体は、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-4抗体から選択される抗体と同じVH配列および同じVL配列を有する。
【0052】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43から選択される。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、およびデルタ1-43から選択される。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41から選択される。1つの特有の実施形態では、抗デルタ-1抗体はデルタ1-39である。
【0053】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列を有するVL領域を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域、ならびに配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列を有するVL領域を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号9の配列を有するVL領域を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域、ならびに配列番号9の配列を有するVL領域を含む。
【0054】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号24の配列を有するVH領域を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号9の配列を有するVL領域を含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号24の配列を有するVH領域および配列番号9の配列を有するVL領域を含む。
【0055】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVH配列を有する。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVL配列を有する。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を含むVH配列を有する。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列を含むVL配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列から本質的になるまたはからなるVH配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列から本質的になるまたはからなるVL配列を有する。
【0056】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVH配列を有し、かつ配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列に対して少なくとも80または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVL配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を含むVH配列、ならびに配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列を含むVL配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列から本質的になるVH配列、ならびに配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列から本質的になるVL配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列からなるVH配列、ならびに配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列からなるVL配列を有する。
【0057】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVH配列を有する。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号9の配列に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVL配列を有する。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を含むVH配列を有する。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号9の配列を含むVL配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列から本質的になるまたはからなるVH配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号9の配列から本質的になるまたはからなるVL配列を有する。
【0058】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVH配列を有し、かつ配列番号9の配列に対して少なくとも80または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVL配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を含むVH配列、ならびに配列番号9の配列を含むVL配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列から本質的になるVH配列、ならびに配列番号9の配列から本質的になるVL配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列からなるVH配列、ならびに配列番号9の配列からなるVL配列を有する。
【0059】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号22、23、24、25、および43から選択される配列に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVH配列を有する。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号9の配列に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVL配列を有する。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号22、23、24、25、および43から選択される配列を含むVH配列を有する。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号9の配列を含むVL配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号22、23、24、25、および43から選択される配列から本質的になるまたはからなるVH配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号9の配列から本質的になるまたはからなるVL配列を有する。
【0060】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号22、23、24、25、および43から選択される配列に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVH配列を有し、かつ配列番号9の配列に対して少なくとも80または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVL配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号22、23、24、25、および43から選択される配列を含むVH配列、ならびに配列番号9の配列を含むVL配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号22、23、24、25、および43から選択される配列から本質的になるVH配列、ならびに配列番号9の配列から本質的になるVL配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号22、23、24、25、および43から選択される配列からなるVH配列、ならびに配列番号9の配列からなるVL配列を有する。
【0061】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号24に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVH配列を有する。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号9に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVL配列を有する。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号24を含むVH配列を有する。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号9を含むVL配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号24から本質的になるまたはからなるVH配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号9から本質的になるまたはからなるVL配列を有する。
【0062】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号24に対して少なくとも80または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVH配列を有し、かつ配列番号9に対して少なくとも80または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一のVL配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号24を含むVH配列および配列番号9を含むVL配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号24から本質的になるVH配列および配列番号9から本質的になるVL配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号24からなるVH配列および配列番号9からなるVL配列を有する。
【0063】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号78に対して少なくとも80または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一の軽鎖配列を有する。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号79に対して少なくとも80または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一の重鎖配列を有する。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号78を含む軽鎖配列を有する。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号79を含む重鎖配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号78から本質的になるまたは配列番号78からなる軽鎖配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号79から本質的になるまたは配列番号79からなる重鎖配列を有する。
【0064】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、配列番号78に対して少なくとも80または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一の軽鎖配列を有し、かつ配列番号79に対して少なくとも80または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)同一の重鎖配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号78を含む軽鎖配列および配列番号79を含む重鎖配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号78から本質的になる軽鎖配列および配列番号79から本質的になる重鎖配列を有する。一部の実施形態では、単離された抗体は、配列番号78からなる軽鎖配列および配列番号79からなる重鎖配列を有する。
【0065】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、γδ2 TCRまたは(or a or)γδ3 TCRと比べてγδ1 TCRに優先的に結合する。1つの特定の実施形態では、抗デルタ1抗体は、デルタ-2鎖およびガンマ鎖を含むT細胞受容体に結合しない。
【0066】
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、ヒトデルタ-1鎖および非ヒト哺乳動物デルタ-1鎖、例えば、非ヒト霊長類デルタ-1鎖と交差反応する。1つの特定の例では、非ヒト霊長類デルタ-1鎖はカニクイザルデルタ-1鎖である。
【0067】
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、ガンマ3、4、5、8、または9を含む、様々なガンマ鎖を含有するγδ1 TCRに結合することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、ガンマ3、4、5、および8を含む、様々なガンマ鎖を含有するγδ1 TCRに結合することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、ヒトデルタ-1鎖および非ヒト哺乳動物デルタ-1鎖、例えば、非ヒト霊長類デルタ-1鎖と交差反応し、かつガンマ3、4、5、および8を含む、様々なガンマ鎖を含有するγδ1 TCRに結合することができる。本明細書に記載のそのような抗体の非限定的な例としては、デルタ1-39およびデルタ1-41が挙げられる。一部の例では、そのような抗体は、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41である。
【0068】
本明細書に記載の任意の抗デルタ1抗体は、全長抗体(例えば、IgG分子)またはその抗原結合性断片であってもよい。一部の例では、抗体は、Fab、F(ab’)2、または単鎖抗体である。任意の事例では、抗体はヒト抗体またはヒト化抗体であることができる。一部の実施形態では、抗体は抗体薬物コンジュゲートである。一部の実施形態では、抗体は抗体模倣物である。
【0069】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示される任意の抗デルタ1抗体をコードするまたは合わせてコードする、単離された核酸または核酸のセットを提供する。一部の事例では、抗体の重鎖および軽鎖は、2つの別々の核酸分子(核酸のセット)によりコードされる。他の事例では、抗体の重鎖および軽鎖は、1つの核酸分子によりコードされ、前記1つの核酸分子は、マルチシストロン性フォーマットであるか、または別個のプロモーターの制御下にあってもよい。よって、一態様では、本開示は、本明細書に記載の抗デルタ1抗体の重鎖可変領域(VH)および/または軽鎖可変領域(VL)をコードする1つまたは複数の核酸配列を含む単離された核酸分子を提供する。一部の実施形態では、核酸分子は、本明細書に記載の抗デルタ1抗体の重鎖可変領域(VH)をコードする1つまたは複数の核酸配列を含む。代替的または追加的に、一部の実施形態では、核酸分子は、本明細書に記載の抗デルタ1抗体の軽鎖可変領域(VL)をコードする1つまたは複数の核酸配列を含む。1つの特有の実施形態では、核酸分子は、配列番号68として記載される重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号53として記載される重鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号54として記載される重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む抗体のVHおよび/もしくはVL(もしくは重鎖および/もしくは軽鎖)をコードする1つもしくは複数の核酸配列を含み、かつ/または配列番号55として記載される軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号56として記載される軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号57として記載される軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む(comprises)。よって、一部の実施形態では、核酸分子は、配列番号24として記載されるVHおよび/または配列番号9として記載されるVLを含む抗体のVHおよび/もしくはVL(または重鎖および/もしくは軽鎖)をコードする1つまたは複数の核酸配列を含む。一例では、1つまたは複数の核酸配列は、G9.2-17のVHおよび/もしくはVL(または重鎖および/もしくは軽鎖)をコードする。
【0070】
一部の実施形態では、核酸または核酸のセットは、1または2つのベクター上に位置し、例えば、1または2つのベクターは1または2つの発現ベクターであってもよい。よって、ベクターは、本明細書に記載の任意の単離された核酸分子を含んでもよい。さらに、本開示は、本明細書に記載の抗デルタ1抗体をコードする単離された核酸または核酸のセットのいずれかを含む宿主細胞を提供する。一部の実施形態では、宿主細胞は、E.coli細胞、シミアンCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞からなる群から選択される。
【0071】
抗デルタ1抗体を製造する方法であって、抗体の発現を可能とする好適な条件下で本明細書に記載の宿主細胞を培養すること、およびそのようにして産生された抗体を細胞培養物(例えば、培養培地)から回収することを含む、方法もまた本明細書において提供される。
【0072】
さらに、本開示は、抗デルタ1抗体のいずれかまたはそれをコードする核酸、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物を提供する。
【0073】
さらに別の態様では、本開示は、対象において免疫抑制性γδ T細胞、例えば、γδ1 T細胞の活性および機能を阻害する方法であって、それを必要とする対象に有効量の本明細書に開示される任意の抗デルタ1抗体またはそれを含む医薬組成物を投与することを含む、方法を特徴とする。代替的または追加的に、本開示は、対象において免疫抑制性γδ T細胞、例えば、γδ1 T細胞を排除しまたは枯渇させる方法であって、それを必要とする対象に有効量の本明細書に開示される任意の抗デルタ1抗体またはそれを含む医薬組成物を投与することを含む、方法を特徴とする。一部の実施形態では、それを必要とする対象は、固形がんを有する、有することが疑われる、または有するリスクがあるヒト患者である。一部の実施形態では、本開示は、対象においてがんを処置する方法であって、それを必要とする対象に有効量の本明細書に開示される任意の抗デルタ1抗体またはそれを含む医薬組成物を投与することを含む、方法を特徴とする。例示的な固形腫瘍としては、膵臓腺管腺がん(PDA)、結腸直腸がん(CRC)、黒色腫、乳がん、肺がん、神経膠芽腫、上部および下部胃腸悪性腫瘍、扁平細胞頭頸部がん、泌尿生殖器がん、卵巣がん、子宮内膜がん、腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん、神経内分泌がん、副腎皮質がん、または肉腫が挙げられるがこれらに限定されない。一部の例では、医薬組成物の有効量は、免疫抑制性γδ T細胞、例えば、γδ1 T細胞の活性および機能を阻害または遮断するために十分なものである。
【0074】
本明細書に記載の任意の処置方法は、チェックポイント分子の阻害剤、共刺激受容体の活性化剤、先天免疫細胞標的の阻害剤、化学療法剤、および/または任意の他の抗がん処置剤、以下に限定されないが例えば、バイオロジクス、小分子阻害剤、および/または任意の形態の放射線療法、および/または細胞ベースの療法を対象に投与することをさらに含んでもよい。チェックポイント分子の例としては、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG3、TIM-3、A2aR、TIGITおよびVISTAが挙げられるがこれらに限定されない。共刺激受容体の例としては、OX40、GITR、CD137、CD40、CD27、およびICOSが挙げられるがこれらに限定されない。先天免疫細胞標的の例としては、KIR、NKG2A、CD96、TLR、IDO、およびガレクチン-9が挙げられるがこれらに限定されない。
【0075】
(i)免疫抑制性γδ T細胞(例えば、γδ1 T細胞)の活性化と関連付けられる疾患の処置における使用のための医薬組成物であって、本明細書に記載の任意の抗デルタ1抗体またはそれをコードする核酸、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物、ならびに(ii)本明細書に記載されるような標的疾患の処置における使用のための医薬を製造するための、抗デルタ1抗体またはコードする核酸の使用もまた本開示の範囲内である。
【0076】
本開示の別の態様は、固形腫瘍(例えば、転移性固形腫瘍または再発したもしくは難治性の固形腫瘍)を有することが疑われる対象からの生体試料を分析する方法であって、(i)固形腫瘍を有することが疑われる対象の生体試料を準備すること、および(ii)デルタ1に特異的に結合する抗体を用いて生体試料中のデルタ1のレベルを測定することを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、対象は、固形腫瘍、例えば、転移性固形腫瘍または再発したもしくは難治性の固形腫瘍を有することが疑われる対象である。例としては、膵臓腺がん(PDA)、結腸直腸がん(CRC)、肝細胞がん(HCC)、乳がん(例えば、腺管がん)、および胆管がんが挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、対象は、転移性固形腫瘍を有することが疑われる対象である。他の実施形態では、対象は、再発したまたは難治性の固形腫瘍を有することが疑われる対象である。例としては、転移性膵臓腺がん(PDA)、転移性結腸直腸がん(CRC)、転移性肝細胞がん(HCC)、乳がん(例えば、腺管がん)、および胆管がんが挙げられるがこれらに限定されない。
【0077】
一部の実施形態では、生体試料は血清試料または血漿試料であることができる。他の実施形態では、生体試料は腫瘍生検試料であることができる。例えば、一部の実施形態では、腫瘍生検試料は、患者由来の器官型腫瘍スフェロイド(PDOT)を含む。例えば、一部の実施形態では、腫瘍生検試料はTILを含む。
【0078】
抗体は、本明細書に記載の任意のものであることができ、例えば、参照抗体デルタ1-39と同じ重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)を含み、例えば、配列番号24の重鎖可変ドメイン、および/または配列番号9の軽鎖可変ドメインを含む。一部の事例では、抗体はFab分子であることができる。一部の実施形態では、抗体は、当技術分野において公知の異なる抗デルタ1抗体である(the antibody a different anti-Delta1 antibody known in the art)。
【0079】
一部の実施形態では、生体試料中のデルタ1のレベルを決定するためにイムノアッセイが使用される。一部の実施形態では、アッセイはフローサイトメトリーである。
【0080】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、ステップ(ii)において測定されたデルタ1のレベルが対照レベルと比べて上昇している場合に、抗デルタ1抗体を伴う処置のための好適な候補として対象を同定することをさらに含む。好適な候補は、単独でまたは本明細書に記載のものなどのチェックポイント阻害剤と組み合わせて、有効量の抗デルタ1抗体、例えば、本明細書に記載のものを与えられる。
【0081】
一部の実施形態では、ステップ(ii)において測定されたデルタ1のレベルは、抗デルタ1標的化療法に応答する可能性があるがん患者を同定または選択するために使用される。一部の実施形態では、デルタ1レベルは、血液、血清および/または血漿中で測定される。一部の実施形態では、デルタ1レベルは、がん患者の腫瘍および/または血液に由来するがん細胞または免疫細胞の表面上で測定される。一部の例では、がん細胞は、ヒト患者に由来する腫瘍オルガノイド中にある。一部の例では、免疫細胞は、ヒト患者に由来する腫瘍オルガノイド中にある。一部の実施形態では、免疫細胞は、マクロファージ、アルファ/ベータT細胞、および/またはガンマ/デルタT細胞を含む。
【0082】
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細が以下の説明において記載される。本発明の他の特徴または利点は、以下の図面およびいくつかの実施形態の詳細な説明から、そしてまた添付の特許請求の範囲から明らかである。
【0083】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示のある特定の態様をさらに実証するために含ませるものであり、それらの態様は、本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて図面を参照することによってより良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【
図1】正常な膵臓と比較したヒト膵臓がん組織の免疫組織化学的解析の写真であり、正常な組織と比較した膵臓がん組織におけるγδ T細胞の濃縮を実証する、図である。
【
図2】末梢血および腫瘍における全T細胞のパーセンテージを表す棒グラフであり、末梢血と比較した膵臓がん組織におけるγδ T細胞の濃縮を実証する、図である。
【
図3A】ガンマデルタT細胞(gdT)とアルファベータT細胞(abT)の共培養アッセイを示す棒グラフを表す、図である。示されているように、ガンマデルタ細胞は腫瘍または血液に由来し、アルファベータT細胞は同じ患者の血液に由来する。図は、血液αβ T細胞を単独で培養した場合、または腫瘍内および血液γδ T細胞と共培養した場合、に得られたTNF-α+細胞の%を表す。血液アルファベータT細胞はCD3/CD28へのライゲーションによって活性化され、その結果、FACSにより測定したTNF-αの増加がもたらされた。バー1:非活性化αβ T細胞;バー2:活性化αβ T細胞;バー3:血液γδ T細胞と共培養した活性化αβ T細胞;バー4:腫瘍γδ T細胞と共培養した活性化αβ T細胞。
図3A:結腸直腸がん患者に由来する細胞。
図3Bおよび3C:2個体の膵臓がん患者に由来する細胞。
【
図3B】ガンマデルタT細胞(gdT)とアルファベータT細胞(abT)の共培養アッセイを示す棒グラフを表す、図である。示されているように、ガンマデルタ細胞は腫瘍または血液に由来し、アルファベータT細胞は同じ患者の血液に由来する。図は、血液αβ T細胞を単独で培養した場合、または腫瘍内および血液γδ T細胞と共培養した場合、に得られたTNF-α+細胞の%を表す。血液アルファベータT細胞はCD3/CD28へのライゲーションによって活性化され、その結果、FACSにより測定したTNF-αの増加がもたらされた。バー1:非活性化αβ T細胞;バー2:活性化αβ T細胞;バー3:血液γδ T細胞と共培養した活性化αβ T細胞;バー4:腫瘍γδ T細胞と共培養した活性化αβ T細胞。
図3A:結腸直腸がん患者に由来する細胞。
図3Bおよび3C:2個体の膵臓がん患者に由来する細胞。
【
図3C】ガンマデルタT細胞(gdT)とアルファベータT細胞(abT)の共培養アッセイを示す棒グラフを表す、図である。示されているように、ガンマデルタ細胞は腫瘍または血液に由来し、アルファベータT細胞は同じ患者の血液に由来する。図は、血液αβ T細胞を単独で培養した場合、または腫瘍内および血液γδ T細胞と共培養した場合、に得られたTNF-α+細胞の%を表す。血液アルファベータT細胞はCD3/CD28へのライゲーションによって活性化され、その結果、FACSにより測定したTNF-αの増加がもたらされた。バー1:非活性化αβ T細胞;バー2:活性化αβ T細胞;バー3:血液γδ T細胞と共培養した活性化αβ T細胞;バー4:腫瘍γδ T細胞と共培養した活性化αβ T細胞。
図3A:結腸直腸がん患者に由来する細胞。
図3Bおよび3C:2個体の膵臓がん患者に由来する細胞。
【
図4A】2つの抗デルタ1 IgG1抗体(例としてデルタ1-23およびデルタ1-17)と比較した、未処理(Utx)のおよびアイソタイプ(hIgG1)で処理した胃腸神経内分泌腫瘍試料(PDOTS)における免疫プロファイル発現を示す棒グラフを表す、図である。CD8
+ T細胞におけるTNF-αのパーセント(
図4A)、CD8
+ T細胞におけるIFNγのパーセント(
図4B)、およびCD8
+ T細胞におけるCD44のパーセント(
図4C)が示されている。
【
図4B】2つの抗デルタ1 IgG1抗体(例としてデルタ1-23およびデルタ1-17)と比較した、未処理(Utx)のおよびアイソタイプ(hIgG1)で処理した胃腸神経内分泌腫瘍試料(PDOTS)における免疫プロファイル発現を示す棒グラフを表す、図である。CD8
+ T細胞におけるTNF-αのパーセント(
図4A)、CD8
+ T細胞におけるIFNγのパーセント(
図4B)、およびCD8
+ T細胞におけるCD44のパーセント(
図4C)が示されている。
【
図4C】2つの抗デルタ1 IgG1抗体(例としてデルタ1-23およびデルタ1-17)と比較した、未処理(Utx)のおよびアイソタイプ(hIgG1)で処理した胃腸神経内分泌腫瘍試料(PDOTS)における免疫プロファイル発現を示す棒グラフを表す、図である。CD8
+ T細胞におけるTNF-αのパーセント(
図4A)、CD8
+ T細胞におけるIFNγのパーセント(
図4B)、およびCD8
+ T細胞におけるCD44のパーセント(
図4C)が示されている。
【
図5A】2つの抗デルタ1 IgG1抗体(例としてデルタ1-23およびデルタ1-17)と比較した、未処理(Utx)のおよびアイソタイプ(hIgG1)で処理した、乳がん肝転移腫瘍試料(PDOTS)における免疫プロファイル発現を示す棒グラフを表す、図である。CD3
+ T細胞におけるTNF-αのパーセント(
図5A)およびCD3
+ T細胞におけるCD44のパーセント(
図5B)が示されている。
【
図5B】2つの抗デルタ1 IgG1抗体(例としてデルタ1-23およびデルタ1-17)と比較した、未処理(Utx)のおよびアイソタイプ(hIgG1)で処理した、乳がん肝転移腫瘍試料(PDOTS)における免疫プロファイル発現を示す棒グラフを表す、図である。CD3
+ T細胞におけるTNF-αのパーセント(
図5A)およびCD3
+ T細胞におけるCD44のパーセント(
図5B)が示されている。
【
図6A】ビーズ結合アッセイを使用して測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを表す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)、カニクイザルガンマ/デルタ1A(「Cyno D1」)、およびカニクイザルガンマ/デルタ2(「Cyno D2」)について試験した。
【
図6B】ビーズ結合アッセイを使用して測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを表す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)、カニクイザルガンマ/デルタ1A(「Cyno D1」)、およびカニクイザルガンマ/デルタ2(「Cyno D2」)について試験した。
【
図6C】ビーズ結合アッセイを使用して測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを表す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)、カニクイザルガンマ/デルタ1A(「Cyno D1」)、およびカニクイザルガンマ/デルタ2(「Cyno D2」)について試験した。
【
図6D】ビーズ結合アッセイを使用して測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを表す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)、カニクイザルガンマ/デルタ1A(「Cyno D1」)、およびカニクイザルガンマ/デルタ2(「Cyno D2」)について試験した。
【
図6E】ビーズ結合アッセイを使用して測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを表す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)、カニクイザルガンマ/デルタ1A(「Cyno D1」)、およびカニクイザルガンマ/デルタ2(「Cyno D2」)について試験した。
【
図6F】ビーズ結合アッセイを使用して測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを表す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)、カニクイザルガンマ/デルタ1A(「Cyno D1」)、およびカニクイザルガンマ/デルタ2(「Cyno D2」)について試験した。
【
図6G】ビーズ結合アッセイを使用して測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを表す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)、カニクイザルガンマ/デルタ1A(「Cyno D1」)、およびカニクイザルガンマ/デルタ2(「Cyno D2」)について試験した。
【
図6H】ビーズ結合アッセイを使用して測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを表す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)、カニクイザルガンマ/デルタ1A(「Cyno D1」)、およびカニクイザルガンマ/デルタ2(「Cyno D2」)について試験した。
【
図6I】ビーズ結合アッセイを使用して測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを表す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)、カニクイザルガンマ/デルタ1A(「Cyno D1」)、およびカニクイザルガンマ/デルタ2(「Cyno D2」)について試験した。
【
図6J】ビーズ結合アッセイを使用して測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを表す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)、カニクイザルガンマ/デルタ1A(「Cyno D1」)、およびカニクイザルガンマ/デルタ2(「Cyno D2」)について試験した。
【
図6K】ビーズ結合アッセイを使用して測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを表す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)、カニクイザルガンマ/デルタ1A(「Cyno D1」)、およびカニクイザルガンマ/デルタ2(「Cyno D2」)について試験した。
【
図6L】ビーズ結合アッセイを使用して測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを表す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)、カニクイザルガンマ/デルタ1A(「Cyno D1」)、およびカニクイザルガンマ/デルタ2(「Cyno D2」)について試験した。
【
図6M】ビーズ結合アッセイを使用して測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを表す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)、カニクイザルガンマ/デルタ1A(「Cyno D1」)、およびカニクイザルガンマ/デルタ2(「Cyno D2」)について試験した。
【
図6N】ビーズ結合アッセイを使用して測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを表す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)、カニクイザルガンマ/デルタ1A(「Cyno D1」)、およびカニクイザルガンマ/デルタ2(「Cyno D2」)について試験した。
【
図7A】様々なサブユニットからなる精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体、デルタ1-17およびデルタ1-23の結合タイトレーションを表す、図である。
【
図7B】様々なサブユニットからなる精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体、デルタ1-17およびデルタ1-23の結合タイトレーションを表す、図である。
【
図7C】様々なサブユニットからなる精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体、デルタ1-17およびデルタ1-23の結合タイトレーションを表す、図である。
【
図7D】様々なサブユニットからなる精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体、デルタ1-17およびデルタ1-23の結合タイトレーションを表す、図である。
【
図7E】様々なサブユニットからなる精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体、デルタ1-17およびデルタ1-23の結合タイトレーションを表す、図である。
【
図7F】様々なサブユニットからなる精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体、デルタ1-17およびデルタ1-23の結合タイトレーションを表す、図である。
【
図7G】様々なサブユニットからなる精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体、デルタ1-17およびデルタ1-23の結合タイトレーションを表す、図である。
【
図7H】様々なサブユニットからなる精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体、デルタ1-17およびデルタ1-23の結合タイトレーションを表す、図である。
【
図7I】様々なサブユニットからなる精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体、デルタ1-17およびデルタ1-23の結合タイトレーションを表す、図である。
【
図7J】様々なサブユニットからなる精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体、デルタ1-17およびデルタ1-23の結合タイトレーションを表す、図である。
【
図7K】様々なサブユニットからなる精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体、デルタ1-17およびデルタ1-23の結合タイトレーションを表す、図である。
【
図7L】様々なサブユニットからなる精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体、デルタ1-17およびデルタ1-23の結合タイトレーションを表す、図である。
【
図8】デルタ1-特異的IgGの熱安定性を決定するために使用したサーマルシフトアッセイからのトレースを示す、図である。
【
図9A】ビーズ結合アッセイによって測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを示す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)およびカニクイザルガンマ/デルタ1A(「cyno D1」)について試験した。
【
図9B】ビーズ結合アッセイによって測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを示す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)およびカニクイザルガンマ/デルタ1A(「cyno D1」)について試験した。
【
図9C】ビーズ結合アッセイによって測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを示す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)およびカニクイザルガンマ/デルタ1A(「cyno D1」)について試験した。
【
図9D】ビーズ結合アッセイによって測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを示す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)およびカニクイザルガンマ/デルタ1A(「cyno D1」)について試験した。
【
図9E】ビーズ結合アッセイによって測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを示す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)およびカニクイザルガンマ/デルタ1A(「cyno D1」)について試験した。
【
図9F】ビーズ結合アッセイによって測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを示す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)およびカニクイザルガンマ/デルタ1A(「cyno D1」)について試験した。
【
図9G】ビーズ結合アッセイによって測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを示す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)およびカニクイザルガンマ/デルタ1A(「cyno D1」)について試験した。
【
図9H】ビーズ結合アッセイによって測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを示す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)およびカニクイザルガンマ/デルタ1A(「cyno D1」)について試験した。
【
図9I】ビーズ結合アッセイによって測定した、精製ガンマ/デルタTCRに対する抗デルタ1抗体の結合タイトレーションを示す、図である。ヒトガンマ9/デルタ1C(「ヒトD1」と表示)およびカニクイザルガンマ/デルタ1A(「cyno D1」)について試験した。
【
図10A】本明細書に開示の抗デルタ1抗体がデルタ1に対して高い親和性および特異性を有することを示す、図である。
図10Aは、表面プラズモン共鳴(SPR)グラフであり、抗デルタ1-17抗体が、例えば、ヒトデルタ1 TCRに対して高い親和性を有することが示されている。
図10Bは、デルタ1-17抗体は、デルタ1 TCRに特異的であり、デルタ2 TCRに結合(と交差反応)しないことを示すグラフである。CDR3ループにおいてのみ互いに異なっている、異なる3つのデルタ1バリアント(D1A、D1B、およびD1C)を作製した。デルタ1およびデルタ2のFc融合タンパク質をストレプトアビジンコーティングビーズに付着させ、デルタ1-17 hIgG1を用いて結合タイトレーションを行った。
図10Cは、デルタ1-41抗体がヒトとサル(「cyno」)の間で交差反応性であることを示すグラフである。
図10Dは、デルタ1抗体、デルタ1-17、デルタ1-39、およびデルタ1-41がデルタ2 TCRと比べてデルタ1 TCRに対して特異的であることを示すグラフである。
【
図10B】本明細書に開示の抗デルタ1抗体がデルタ1に対して高い親和性および特異性を有することを示す、図である。
図10Aは、表面プラズモン共鳴(SPR)グラフであり、抗デルタ1-17抗体が、例えば、ヒトデルタ1 TCRに対して高い親和性を有することが示されている。
図10Bは、デルタ1-17抗体は、デルタ1 TCRに特異的であり、デルタ2 TCRに結合(と交差反応)しないことを示すグラフである。CDR3ループにおいてのみ互いに異なっている、異なる3つのデルタ1バリアント(D1A、D1B、およびD1C)を作製した。デルタ1およびデルタ2のFc融合タンパク質をストレプトアビジンコーティングビーズに付着させ、デルタ1-17 hIgG1を用いて結合タイトレーションを行った。
図10Cは、デルタ1-41抗体がヒトとサル(「cyno」)の間で交差反応性であることを示すグラフである。
図10Dは、デルタ1抗体、デルタ1-17、デルタ1-39、およびデルタ1-41がデルタ2 TCRと比べてデルタ1 TCRに対して特異的であることを示すグラフである。
【
図10C】本明細書に開示の抗デルタ1抗体がデルタ1に対して高い親和性および特異性を有することを示す、図である。
図10Aは、表面プラズモン共鳴(SPR)グラフであり、抗デルタ1-17抗体が、例えば、ヒトデルタ1 TCRに対して高い親和性を有することが示されている。
図10Bは、デルタ1-17抗体は、デルタ1 TCRに特異的であり、デルタ2 TCRに結合(と交差反応)しないことを示すグラフである。CDR3ループにおいてのみ互いに異なっている、異なる3つのデルタ1バリアント(D1A、D1B、およびD1C)を作製した。デルタ1およびデルタ2のFc融合タンパク質をストレプトアビジンコーティングビーズに付着させ、デルタ1-17 hIgG1を用いて結合タイトレーションを行った。
図10Cは、デルタ1-41抗体がヒトとサル(「cyno」)の間で交差反応性であることを示すグラフである。
図10Dは、デルタ1抗体、デルタ1-17、デルタ1-39、およびデルタ1-41がデルタ2 TCRと比べてデルタ1 TCRに対して特異的であることを示すグラフである。
【
図10D】本明細書に開示の抗デルタ1抗体がデルタ1に対して高い親和性および特異性を有することを示す、図である。
図10Aは、表面プラズモン共鳴(SPR)グラフであり、抗デルタ1-17抗体が、例えば、ヒトデルタ1 TCRに対して高い親和性を有することが示されている。
図10Bは、デルタ1-17抗体は、デルタ1 TCRに特異的であり、デルタ2 TCRに結合(と交差反応)しないことを示すグラフである。CDR3ループにおいてのみ互いに異なっている、異なる3つのデルタ1バリアント(D1A、D1B、およびD1C)を作製した。デルタ1およびデルタ2のFc融合タンパク質をストレプトアビジンコーティングビーズに付着させ、デルタ1-17 hIgG1を用いて結合タイトレーションを行った。
図10Cは、デルタ1-41抗体がヒトとサル(「cyno」)の間で交差反応性であることを示すグラフである。
図10Dは、デルタ1抗体、デルタ1-17、デルタ1-39、およびデルタ1-41がデルタ2 TCRと比べてデルタ1 TCRに対して特異的であることを示すグラフである。
【
図11A】本明細書に開示の抗デルタ1抗体はγ非依存性であることを示す、図である。
図11Aは、精製δγ TCRのγ鎖に関わらず、デルタ1-17がデルタ1-特異的であることを示すグラフである。
図11Bは、細胞表面δγ TCRを使用して、デルタ1-39およびデルタ1-41を含めて、いくつかの抗デルタ1抗体がデルタ1-特異的であることを実証するグラフである。非形質導入J.RT3-T3.5(TIB153)を対照として使用して、T細胞に見られる他の細胞表面受容体へのバックグラウンド結合が全くないことを示した(データ示さず)。
【
図11B】本明細書に開示の抗デルタ1抗体はγ非依存性であることを示す、図である。
図11Aは、精製δγ TCRのγ鎖に関わらず、デルタ1-17がデルタ1-特異的であることを示すグラフである。
図11Bは、細胞表面δγ TCRを使用して、デルタ1-39およびデルタ1-41を含めて、いくつかの抗デルタ1抗体がデルタ1-特異的であることを実証するグラフである。非形質導入J.RT3-T3.5(TIB153)を対照として使用して、T細胞に見られる他の細胞表面受容体へのバックグラウンド結合が全くないことを示した(データ示さず)。
【
図12A】抗デルタ1 IgG1抗体(例としてデルタ1-17)と比較した、アイソタイプ(hIgG1)で処理した腫瘍試料(PDOTS)の免疫プロファイル発現を示す棒グラフを含む、図である。CD3
+ T細胞におけるTNF-αのパーセント、CD3
+ T細胞におけるIFNγのパーセント、およびCD3
+ T細胞におけるCD44のパーセントが、結腸直腸癌肝転移(
図12A)、肝臓神経内分泌腫瘍(
図12B)、結腸直腸癌神経内分泌腫瘍(
図12C)、および肝細胞癌(
図12D)について、示されている。
【
図12B】抗デルタ1 IgG1抗体(例としてデルタ1-17)と比較した、アイソタイプ(hIgG1)で処理した腫瘍試料(PDOTS)の免疫プロファイル発現を示す棒グラフを含む、図である。CD3
+ T細胞におけるTNF-αのパーセント、CD3
+ T細胞におけるIFNγのパーセント、およびCD3
+ T細胞におけるCD44のパーセントが、結腸直腸癌肝転移(
図12A)、肝臓神経内分泌腫瘍(
図12B)、結腸直腸癌神経内分泌腫瘍(
図12C)、および肝細胞癌(
図12D)について、示されている。
【
図12C】抗デルタ1 IgG1抗体(例としてデルタ1-17)と比較した、アイソタイプ(hIgG1)で処理した腫瘍試料(PDOTS)の免疫プロファイル発現を示す棒グラフを含む、図である。CD3
+ T細胞におけるTNF-αのパーセント、CD3
+ T細胞におけるIFNγのパーセント、およびCD3
+ T細胞におけるCD44のパーセントが、結腸直腸癌肝転移(
図12A)、肝臓神経内分泌腫瘍(
図12B)、結腸直腸癌神経内分泌腫瘍(
図12C)、および肝細胞癌(
図12D)について、示されている。
【
図12D】抗デルタ1 IgG1抗体(例としてデルタ1-17)と比較した、アイソタイプ(hIgG1)で処理した腫瘍試料(PDOTS)の免疫プロファイル発現を示す棒グラフを含む、図である。CD3
+ T細胞におけるTNF-αのパーセント、CD3
+ T細胞におけるIFNγのパーセント、およびCD3
+ T細胞におけるCD44のパーセントが、結腸直腸癌肝転移(
図12A)、肝臓神経内分泌腫瘍(
図12B)、結腸直腸癌神経内分泌腫瘍(
図12C)、および肝細胞癌(
図12D)について、示されている。
【
図13A】肺(LLC)および黒色腫(B16F10)の皮下シンジェニックモデルにおけるチェックポイント阻害への応答に対するγδ T細胞の影響を示すグラフを含む、図である。
図13Aおよび13B:野生型カウンターパートと比較した、γδノックアウトルイス肺癌マウスモデルにおける未処理(13A)またはIgGアイソタイプ対照(13B)に対する抗CTLA-4抗体の各抗腫瘍効果を示すグラフ。
図13Cおよび13D:野生型のカウンターパートと比較した、γδノックアウト黒色腫マウスモデルにおける未処理(13C)またはIgGアイソタイプ対照(13D)に対する抗PD-1抗体の各抗腫瘍効果を示すグラフ。
【
図13B】肺(LLC)および黒色腫(B16F10)の皮下シンジェニックモデルにおけるチェックポイント阻害への応答に対するγδ T細胞の影響を示すグラフを含む、図である。
図13Aおよび13B:野生型カウンターパートと比較した、γδノックアウトルイス肺癌マウスモデルにおける未処理(13A)またはIgGアイソタイプ対照(13B)に対する抗CTLA-4抗体の各抗腫瘍効果を示すグラフ。
図13Cおよび13D:野生型のカウンターパートと比較した、γδノックアウト黒色腫マウスモデルにおける未処理(13C)またはIgGアイソタイプ対照(13D)に対する抗PD-1抗体の各抗腫瘍効果を示すグラフ。
【
図13C】肺(LLC)および黒色腫(B16F10)の皮下シンジェニックモデルにおけるチェックポイント阻害への応答に対するγδ T細胞の影響を示すグラフを含む、図である。
図13Aおよび13B:野生型カウンターパートと比較した、γδノックアウトルイス肺癌マウスモデルにおける未処理(13A)またはIgGアイソタイプ対照(13B)に対する抗CTLA-4抗体の各抗腫瘍効果を示すグラフ。
図13Cおよび13D:野生型のカウンターパートと比較した、γδノックアウト黒色腫マウスモデルにおける未処理(13C)またはIgGアイソタイプ対照(13D)に対する抗PD-1抗体の各抗腫瘍効果を示すグラフ。
【
図13D】肺(LLC)および黒色腫(B16F10)の皮下シンジェニックモデルにおけるチェックポイント阻害への応答に対するγδ T細胞の影響を示すグラフを含む、図である。
図13Aおよび13B:野生型カウンターパートと比較した、γδノックアウトルイス肺癌マウスモデルにおける未処理(13A)またはIgGアイソタイプ対照(13B)に対する抗CTLA-4抗体の各抗腫瘍効果を示すグラフ。
図13Cおよび13D:野生型のカウンターパートと比較した、γδノックアウト黒色腫マウスモデルにおける未処理(13C)またはIgGアイソタイプ対照(13D)に対する抗PD-1抗体の各抗腫瘍効果を示すグラフ。
【
図14A】凍結/解凍、濃縮、および濾過後の抗デルタ1抗体、デルタ1-17、デルタ1-41、およびデルタ1-39の安定性を示すグラフを含む、図である。
図14Aおよび14Bは、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×、3mg/ml;凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮;および、凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮し、かつ濾過した。
図14Cおよび14Dは、4℃で10日間インキュベートした後の、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の、安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×、3mg/ml;凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮;および、凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮し、かつ濾過した。
図14Eおよび
図14Fは、高温貯蔵および凍結と解凍後の、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×;37℃一晩(O/N);室温(RT)一晩(O/N);および、凍結/解凍4×。
図14Gは、デルタ1-39の新鮮なもの、凍結解凍5回のもの、および24℃18時間後のもの、の安定性曲線が示されている。
【
図14B】凍結/解凍、濃縮、および濾過後の抗デルタ1抗体、デルタ1-17、デルタ1-41、およびデルタ1-39の安定性を示すグラフを含む、図である。
図14Aおよび14Bは、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×、3mg/ml;凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮;および、凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮し、かつ濾過した。
図14Cおよび14Dは、4℃で10日間インキュベートした後の、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の、安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×、3mg/ml;凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮;および、凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮し、かつ濾過した。
図14Eおよび
図14Fは、高温貯蔵および凍結と解凍後の、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×;37℃一晩(O/N);室温(RT)一晩(O/N);および、凍結/解凍4×。
図14Gは、デルタ1-39の新鮮なもの、凍結解凍5回のもの、および24℃18時間後のもの、の安定性曲線が示されている。
【
図14C】凍結/解凍、濃縮、および濾過後の抗デルタ1抗体、デルタ1-17、デルタ1-41、およびデルタ1-39の安定性を示すグラフを含む、図である。
図14Aおよび14Bは、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×、3mg/ml;凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮;および、凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮し、かつ濾過した。
図14Cおよび14Dは、4℃で10日間インキュベートした後の、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の、安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×、3mg/ml;凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮;および、凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮し、かつ濾過した。
図14Eおよび
図14Fは、高温貯蔵および凍結と解凍後の、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×;37℃一晩(O/N);室温(RT)一晩(O/N);および、凍結/解凍4×。
図14Gは、デルタ1-39の新鮮なもの、凍結解凍5回のもの、および24℃18時間後のもの、の安定性曲線が示されている。
【
図14D】凍結/解凍、濃縮、および濾過後の抗デルタ1抗体、デルタ1-17、デルタ1-41、およびデルタ1-39の安定性を示すグラフを含む、図である。
図14Aおよび14Bは、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×、3mg/ml;凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮;および、凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮し、かつ濾過した。
図14Cおよび14Dは、4℃で10日間インキュベートした後の、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の、安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×、3mg/ml;凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮;および、凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮し、かつ濾過した。
図14Eおよび
図14Fは、高温貯蔵および凍結と解凍後の、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×;37℃一晩(O/N);室温(RT)一晩(O/N);および、凍結/解凍4×。
図14Gは、デルタ1-39の新鮮なもの、凍結解凍5回のもの、および24℃18時間後のもの、の安定性曲線が示されている。
【
図14E】凍結/解凍、濃縮、および濾過後の抗デルタ1抗体、デルタ1-17、デルタ1-41、およびデルタ1-39の安定性を示すグラフを含む、図である。
図14Aおよび14Bは、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×、3mg/ml;凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮;および、凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮し、かつ濾過した。
図14Cおよび14Dは、4℃で10日間インキュベートした後の、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の、安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×、3mg/ml;凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮;および、凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮し、かつ濾過した。
図14Eおよび
図14Fは、高温貯蔵および凍結と解凍後の、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×;37℃一晩(O/N);室温(RT)一晩(O/N);および、凍結/解凍4×。
図14Gは、デルタ1-39の新鮮なもの、凍結解凍5回のもの、および24℃18時間後のもの、の安定性曲線が示されている。
【
図14F】凍結/解凍、濃縮、および濾過後の抗デルタ1抗体、デルタ1-17、デルタ1-41、およびデルタ1-39の安定性を示すグラフを含む、図である。
図14Aおよび14Bは、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×、3mg/ml;凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮;および、凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮し、かつ濾過した。
図14Cおよび14Dは、4℃で10日間インキュベートした後の、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の、安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×、3mg/ml;凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮;および、凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮し、かつ濾過した。
図14Eおよび
図14Fは、高温貯蔵および凍結と解凍後の、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×;37℃一晩(O/N);室温(RT)一晩(O/N);および、凍結/解凍4×。
図14Gは、デルタ1-39の新鮮なもの、凍結解凍5回のもの、および24℃18時間後のもの、の安定性曲線が示されている。
【
図14G】凍結/解凍、濃縮、および濾過後の抗デルタ1抗体、デルタ1-17、デルタ1-41、およびデルタ1-39の安定性を示すグラフを含む、図である。
図14Aおよび14Bは、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×、3mg/ml;凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮;および、凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮し、かつ濾過した。
図14Cおよび14Dは、4℃で10日間インキュベートした後の、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の、安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×、3mg/ml;凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮;および、凍結/解凍1×、12mg/mlに濃縮し、かつ濾過した。
図14Eおよび
図14Fは、高温貯蔵および凍結と解凍後の、それぞれデルタ1-41およびデルタ1-17の安定性曲線である。上パネルから下パネルへ:凍結/解凍1×;37℃一晩(O/N);室温(RT)一晩(O/N);および、凍結/解凍4×。
図14Gは、デルタ1-39の新鮮なもの、凍結解凍5回のもの、および24℃18時間後のもの、の安定性曲線が示されている。
【
図15A】ビーズに固定化された標的に対するデルタ1-17およびデルタ1-41の抗体依存性細胞食作用(ADCP)効果を示すチャートを含む、図である。15A:ビーズ上の1000nM標的。15B:ビーズ上の100nM標的。15C:ビーズ上の10nM標的。
【
図15B】ビーズに固定化された標的に対するデルタ1-17およびデルタ1-41の抗体依存性細胞食作用(ADCP)効果を示すチャートを含む、図である。15A:ビーズ上の1000nM標的。15B:ビーズ上の100nM標的。15C:ビーズ上の10nM標的。
【
図15C】ビーズに固定化された標的に対するデルタ1-17およびデルタ1-41の抗体依存性細胞食作用(ADCP)効果を示すチャートを含む、図である。15A:ビーズ上の1000nM標的。15B:ビーズ上の100nM標的。15C:ビーズ上の10nM標的。
【
図16A】示された様々な抗体濃度で、1時間(16A)、4時間(16B)、および24時間(16C)を含めて、異なる時点でのデルタ1-17およびデルタ1-41のADCP効果を示すダイアグラムを含む、図である。
【
図16B】示された様々な抗体濃度で、1時間(16A)、4時間(16B)、および24時間(16C)を含めて、異なる時点でのデルタ1-17およびデルタ1-41のADCP効果を示すダイアグラムを含む、図である。
【
図16C】示された様々な抗体濃度で、1時間(16A)、4時間(16B)、および24時間(16C)を含めて、異なる時点でのデルタ1-17およびデルタ1-41のADCP効果を示すダイアグラムを含む、図である。
【
図17】ビーズベースADCPアッセイで観察された様々な標的タンパク質に対する種々の抗デルタ1抗体(例えば、デルタ1-17、デルタ1-39、およびデルタ1-41)のADCP効果を示すダイアグラムである。
【
図18A】細胞ベースADCPアッセイにおける抗デルタ1抗体のADCP効果を示すダイアグラムを含む、図である。
図18A:示された異なる時点でのADCP効果。
図18B:様々な抗体濃度でのADCP効果。
【
図18B】細胞ベースADCPアッセイにおける抗デルタ1抗体のADCP効果を示すダイアグラムを含む、図である。
図18A:示された異なる時点でのADCP効果。
図18B:様々な抗体濃度でのADCP効果。
【
図19】示された様々な抗体濃度でのデルタ1-41の抗体依存性細胞傷害(ADCC)効果を示すダイアグラムを含む、図である。
【
図20A】抗デルタ1 IgG1抗体(例としてデルタ1-41)または抗PD1抗体と比較した、アイソタイプ(hIgG1)で処理した腫瘍試料(PDOTS)のαβ T細胞活性化のレベルを示す棒グラフを含む、図である。結腸直腸がん(
図20A)および肝細胞癌(
図20B)について、CD8
+ T細胞におけるTNF-αのパーセント、CD8
+ T細胞のIFNγのパーセント、およびCD8
+ T細胞におけるCD44のパーセントが示されている。
【
図20B】抗デルタ1 IgG1抗体(例としてデルタ1-41)または抗PD1抗体と比較した、アイソタイプ(hIgG1)で処理した腫瘍試料(PDOTS)のαβ T細胞活性化のレベルを示す棒グラフを含む、図である。結腸直腸がん(
図20A)および肝細胞癌(
図20B)について、CD8
+ T細胞におけるTNF-αのパーセント、CD8
+ T細胞のIFNγのパーセント、およびCD8
+ T細胞におけるCD44のパーセントが示されている。
【
図21A】アイソタイプ(hIgG1)(対照として)と比較した、共刺激受容体アゴニスト(ICOSアゴニスト)の存在下で抗デルタ1 IgG1抗体(例としてデルタ1-17)で処理した肝細胞癌からの腫瘍試料(PDOTS)におけるαβ T細胞活性化のレベルを示す棒グラフを含む、図である。CD3
+ T細胞におけるCD44のパーセント(
図21A)、CD3
+ T細胞におけるTNF-αのパーセント(
図21B)、およびCD3
+ T細胞におけるIFNγのパーセント(
図21C)が示されている。
【
図21B】アイソタイプ(hIgG1)(対照として)と比較した、共刺激受容体アゴニスト(ICOSアゴニスト)の存在下で抗デルタ1 IgG1抗体(例としてデルタ1-17)で処理した肝細胞癌からの腫瘍試料(PDOTS)におけるαβ T細胞活性化のレベルを示す棒グラフを含む、図である。CD3
+ T細胞におけるCD44のパーセント(
図21A)、CD3
+ T細胞におけるTNF-αのパーセント(
図21B)、およびCD3
+ T細胞におけるIFNγのパーセント(
図21C)が示されている。
【
図21C】アイソタイプ(hIgG1)(対照として)と比較した、共刺激受容体アゴニスト(ICOSアゴニスト)の存在下で抗デルタ1 IgG1抗体(例としてデルタ1-17)で処理した肝細胞癌からの腫瘍試料(PDOTS)におけるαβ T細胞活性化のレベルを示す棒グラフを含む、図である。CD3
+ T細胞におけるCD44のパーセント(
図21A)、CD3
+ T細胞におけるTNF-αのパーセント(
図21B)、およびCD3
+ T細胞におけるIFNγのパーセント(
図21C)が示されている。
【
図22A】本明細書に開示の抗デルタ1抗体、デルタ1-39が、ヒトとサルの間で交差反応性であり、デルタ1に対して高い親和性を有することを示す、図である。
図22A:デルタ1-39抗体のヒトデルタ-1鎖への結合。
図22B:抗デルタ1-39のサル(「cyno」)デルタ-1鎖への結合。
図22C:K
D値、速度定数およびフィッティングパラメーターを列記する表。
【
図22B】本明細書に開示の抗デルタ1抗体、デルタ1-39が、ヒトとサルの間で交差反応性であり、デルタ1に対して高い親和性を有することを示す、図である。
図22A:デルタ1-39抗体のヒトデルタ-1鎖への結合。
図22B:抗デルタ1-39のサル(「cyno」)デルタ-1鎖への結合。
図22C:K
D値、速度定数およびフィッティングパラメーターを列記する表。
【
図22C】本明細書に開示の抗デルタ1抗体、デルタ1-39が、ヒトとサルの間で交差反応性であり、デルタ1に対して高い親和性を有することを示す、図である。
図22A:デルタ1-39抗体のヒトデルタ-1鎖への結合。
図22B:抗デルタ1-39のサル(「cyno」)デルタ-1鎖への結合。
図22C:K
D値、速度定数およびフィッティングパラメーターを列記する表。
【
図23】精製δγ TCRのγ鎖に関わらず、デルタ1-39はデルタ1-特異的であることを示す、図である。
【
図24A】本明細書に開示の抗デルタ1抗体が、細胞表面上のδγ TCRで使用したガンマ組合せに関わらず、特異的であることを示す、図である。
図24A~24F:それぞれ、細胞表面発現のδ1γ2、δ1γ3、δ1γ4、δ1γ5、δ1γ8、およびδ1γ9へのデルタ1-39抗体の結合を示すグラフ。
図24Gおよび24H:細胞表面発現のδ2γ9およびTCRアルファベータ(親Jurkat(E6-1)細胞系由来)を陰性対照として使用した結合研究を示すグラフであり、デルタ1-39による結合は全くないことを示す、図である。
【
図24B】本明細書に開示の抗デルタ1抗体が、細胞表面上のδγ TCRで使用したガンマ組合せに関わらず、特異的であることを示す、図である。
図24A~24F:それぞれ、細胞表面発現のδ1γ2、δ1γ3、δ1γ4、δ1γ5、δ1γ8、およびδ1γ9へのデルタ1-39抗体の結合を示すグラフ。
図24Gおよび24H:細胞表面発現のδ2γ9およびTCRアルファベータ(親Jurkat(E6-1)細胞系由来)を陰性対照として使用した結合研究を示すグラフであり、デルタ1-39による結合は全くないことを示す、図である。
【
図24C】本明細書に開示の抗デルタ1抗体が、細胞表面上のδγ TCRで使用したガンマ組合せに関わらず、特異的であることを示す、図である。
図24A~24F:それぞれ、細胞表面発現のδ1γ2、δ1γ3、δ1γ4、δ1γ5、δ1γ8、およびδ1γ9へのデルタ1-39抗体の結合を示すグラフ。
図24Gおよび24H:細胞表面発現のδ2γ9およびTCRアルファベータ(親Jurkat(E6-1)細胞系由来)を陰性対照として使用した結合研究を示すグラフであり、デルタ1-39による結合は全くないことを示す、図である。
【
図24D】本明細書に開示の抗デルタ1抗体が、細胞表面上のδγ TCRで使用したガンマ組合せに関わらず、特異的であることを示す、図である。
図24A~24F:それぞれ、細胞表面発現のδ1γ2、δ1γ3、δ1γ4、δ1γ5、δ1γ8、およびδ1γ9へのデルタ1-39抗体の結合を示すグラフ。
図24Gおよび24H:細胞表面発現のδ2γ9およびTCRアルファベータ(親Jurkat(E6-1)細胞系由来)を陰性対照として使用した結合研究を示すグラフであり、デルタ1-39による結合は全くないことを示す、図である。
【
図24E】本明細書に開示の抗デルタ1抗体が、細胞表面上のδγ TCRで使用したガンマ組合せに関わらず、特異的であることを示す、図である。
図24A~24F:それぞれ、細胞表面発現のδ1γ2、δ1γ3、δ1γ4、δ1γ5、δ1γ8、およびδ1γ9へのデルタ1-39抗体の結合を示すグラフ。
図24Gおよび24H:細胞表面発現のδ2γ9およびTCRアルファベータ(親Jurkat(E6-1)細胞系由来)を陰性対照として使用した結合研究を示すグラフであり、デルタ1-39による結合は全くないことを示す、図である。
【
図24F】本明細書に開示の抗デルタ1抗体が、細胞表面上のδγ TCRで使用したガンマ組合せに関わらず、特異的であることを示す、図である。
図24A~24F:それぞれ、細胞表面発現のδ1γ2、δ1γ3、δ1γ4、δ1γ5、δ1γ8、およびδ1γ9へのデルタ1-39抗体の結合を示すグラフ。
図24Gおよび24H:細胞表面発現のδ2γ9およびTCRアルファベータ(親Jurkat(E6-1)細胞系由来)を陰性対照として使用した結合研究を示すグラフであり、デルタ1-39による結合は全くないことを示す、図である。
【
図24G】本明細書に開示の抗デルタ1抗体が、細胞表面上のδγ TCRで使用したガンマ組合せに関わらず、特異的であることを示す、図である。
図24A~24F:それぞれ、細胞表面発現のδ1γ2、δ1γ3、δ1γ4、δ1γ5、δ1γ8、およびδ1γ9へのデルタ1-39抗体の結合を示すグラフ。
図24Gおよび24H:細胞表面発現のδ2γ9およびTCRアルファベータ(親Jurkat(E6-1)細胞系由来)を陰性対照として使用した結合研究を示すグラフであり、デルタ1-39による結合は全くないことを示す、図である。
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図24H】本明細書に開示の抗デルタ1抗体が、細胞表面上のδγ TCRで使用したガンマ組合せに関わらず、特異的であることを示す、図である。
図24A~24F:それぞれ、細胞表面発現のδ1γ2、δ1γ3、δ1γ4、δ1γ5、δ1γ8、およびδ1γ9へのデルタ1-39抗体の結合を示すグラフ。
図24Gおよび24H:細胞表面発現のδ2γ9およびTCRアルファベータ(親Jurkat(E6-1)細胞系由来)を陰性対照として使用した結合研究を示すグラフであり、デルタ1-39による結合は全くないことを示す、図である。
【
図25A】アイソタイプ処理および未処理の細胞と比較した、デルタ1-17、デルタ1-39、およびデルタ1-41の抗体依存性細胞傷害(ADCC)効果を示すダイアグラムを含む、図である。エキストラFcγRを発現するNK-92細胞をエフェクター細胞として使用した。δ1/γ9を発現するJurkat(J.RT3-T3.5)細胞系を標的細胞系として使用し、CFSE色素で標識した。細胞をエフェクターと標的との比4:1で混合し、抗デルタ1抗体またはアイソタイプを100nMで1時間(
図25A)または3.5時間(
図25B)添加した。インキュベーション後、細胞を、細胞生死判定試薬(FVD660)で染色し、フローサイトメトリーによって定量化した。
【
図25B】アイソタイプ処理および未処理の細胞と比較した、デルタ1-17、デルタ1-39、およびデルタ1-41の抗体依存性細胞傷害(ADCC)効果を示すダイアグラムを含む、図である。エキストラFcγRを発現するNK-92細胞をエフェクター細胞として使用した。δ1/γ9を発現するJurkat(J.RT3-T3.5)細胞系を標的細胞系として使用し、CFSE色素で標識した。細胞をエフェクターと標的との比4:1で混合し、抗デルタ1抗体またはアイソタイプを100nMで1時間(
図25A)または3.5時間(
図25B)添加した。インキュベーション後、細胞を、細胞生死判定試薬(FVD660)で染色し、フローサイトメトリーによって定量化した。
【
図26】デルタ1/ガンマ-4、デルタ1/ガンマ-9、デルタ2/ガンマ-9を発現する細胞、またはTCR無しに及ぼす、抗デルタ抗体、アイソタイプまたはビヒクルを使用した細胞ベースADCPアッセイにおける抗デルタ1抗体のADCP効果を示す棒グラフを含む、図である。バーの各セットについて、左から右に、デルタ1-17、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、アイソタイプ、およびAb無しのバーである。
【
図27】単離後にデルタ1-39、アイソタイプのいずれかで処理したまたは未処理で放置した、健康なヒトドナーから単離された末梢血単核細胞(PBMC)における特異的細胞死滅を示すダイアグラムを含む、図である。Stemcell(cat 70025.1)から購入した健康なPBMCを、37℃で1時間処理し、染色およびフロー向けに処理した。
【
図28A】種々の患者試料でのデルタ1-39媒介性死滅を示すダイアグラムを含む、図である。
図28A~28Cは、患者試料における特異的細胞死滅を示すダイアグラムを含む。肺腺癌(
図28A)、膵管癌(PDA;
図28B)、および胃腸神経内分泌腫瘍(GI-NET;
図28C)の単細胞腫瘍懸濁液を、示したようにデルタ1-39、アイソタイプのいずれかで37℃で一晩処理するかまたは未処理で放置し、染色およびフローサイトメトリー向けに処理した。
【
図28B】種々の患者試料でのデルタ1-39媒介性死滅を示すダイアグラムを含む、図である。
図28A~28Cは、患者試料における特異的細胞死滅を示すダイアグラムを含む。肺腺癌(
図28A)、膵管癌(PDA;
図28B)、および胃腸神経内分泌腫瘍(GI-NET;
図28C)の単細胞腫瘍懸濁液を、示したようにデルタ1-39、アイソタイプのいずれかで37℃で一晩処理するかまたは未処理で放置し、染色およびフローサイトメトリー向けに処理した。
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図28C】種々の患者試料でのデルタ1-39媒介性死滅を示すダイアグラムを含む、図である。
図28A~28Cは、患者試料における特異的細胞死滅を示すダイアグラムを含む。肺腺癌(
図28A)、膵管癌(PDA;
図28B)、および胃腸神経内分泌腫瘍(GI-NET;
図28C)の単細胞腫瘍懸濁液を、示したようにデルタ1-39、アイソタイプのいずれかで37℃で一晩処理するかまたは未処理で放置し、染色およびフローサイトメトリー向けに処理した。
【
図29】受容体内在化アッセイの結果を示すグラフを表す、図である。表面でデルタ1/ガンマ9 T細胞受容体を発現する細胞を、100nMのデルタ1-39、アイソタイプ抗体、抗CD3(クローンOKT3)(アジドフリー)抗体の存在下、または抗体の非存在下でインキュベートした。インキュベーションの1、3.5および24時間後に細胞を回収し、フローサイトメトリー向けに抗デルタ1(クローンTS8.2)抗体での染色向けに処理した。
【
図30】示された種々のデルタ-1クローンがサルのガンマ/デルタTCRを発現する安定細胞系に結合することを実証する棒グラフを示す、図である。表面でのTCRの発現を欠くJurkat細胞を、発現したサルのデルタ1/ガンマ受容体またはデルタ2/ガンマ受容体に形質導入した。ガンマ鎖のみを発現する細胞またはTCRを発現しない細胞を、陰性対照として染色した。抗デルタ1-17はいずれものcynoTCRに結合を示さないが、抗デルタ1-23および抗デルタ1-32~41は細胞表面にTCRを含有するサルデルタ1への特異的結合を示す。
【
図31A】抗デルタ1抗体(例として抗デルタ1-39)を使用して、結腸直腸癌を有するヒトドナー(
図31A)および健康なヒトドナー(
図31B)から単離されたPBMCにおける特異的デルタ1検出を示すダイアグラムを含む、図である。
【
図31B】抗デルタ1抗体(例として抗デルタ1-39)を使用して、結腸直腸癌を有するヒトドナー(
図31A)および健康なヒトドナー(
図31B)から単離されたPBMCにおける特異的デルタ1検出を示すダイアグラムを含む、図である。
【
図32】PBMCのDylight-650コンジュゲート抗デルタ1-39、ならびに市販の抗デルタ1(クローンTS8.2)、抗デルタ2-PE(クローンB6)、抗CD3(クローンUCHT-1)、抗TCR AB(クローンIP26)のフローサイトメトリー解析を示す3つの棒グラフを表す、図である。結果は、直接コンジュゲートした抗デルタ1-39と抗デルタ1(クローンTS8.2)の染色プロファイルが類似していることを示す。
【
図33】健康なPBMCと患者のPBMCにおけるデルタ1陽性T細胞のレベルを決定するための市販の抗デルタ1(クローンTS8.2)のフローサイトメトリー解析を表す、図である。試験したほとんどの患者では、デルタ1レベルは健康なドナーにおけるよりも高かった。デルタ1 T細胞のパーセンテージを、全細胞、生細胞、および単細胞の画分として計算する。
【
図34】健康なPBMC対腫瘍のデルタ1T細胞レベルのフローサイトメトリー解析を表す、図である。デルタ1レベルは、市販の抗デルタ1抗体(クローンTS8.2)で染色することにより測定する。結果は、デルタ1レベルが健康なドナーPBMCにおけるよりも腫瘍単細胞懸濁液において高いことを示す。デルタ1 T細胞のパーセンテージを、全細胞、生細胞、単細胞、およびCD3陽性細胞の画分として計算する。
【発明を実施するための形態】
【0085】
発明の詳細な説明
T細胞受容体(TCR)は、T細胞の表面上に発現されるジスルフィド連結膜アンカーヘテロ二量体タンパク質であり、そこでそれらは、抗原提示細胞(APC)上の主要組織適合複合体(MHC)分子により提示される抗原の断片または細胞表面上に提示される他の種類のリガンドを認識する。ほとんどのT細胞は、アルファ(α)およびベータ(β)鎖を含むTCRを有し(αβ T細胞として公知である)、一方で少数のT細胞は、ガンマ(γ)鎖およびデルタ(δ)鎖から作られたTCRを有する(γδ T細胞として公知である)。
【0086】
γδ TCRは、様々な自己および非自己抗原、例えば、小ペプチド、可溶性または膜タンパク質、リン脂質、プレニルピロリン酸、およびスルファチドを認識する。それらの抗原多様性に起因して、γδ T細胞は広範囲の異なる作用を発揮することができる。例えば、γδ T細胞活性化は抗原プロセシングおよび抗原提示細胞(APC)による提示を要求しないので、γδ T細胞は、急速に活性化されて、免疫応答の早期の間に作用することができる。ナチュラルキラー(NK)細胞に類似して、γδ T細胞はまた、ストレスおよび/または感染誘導性リガンドによる刺激に応答する(Lafontら、Front Immunol.、2014、5巻:622)。そのようなリガンドは典型的には、正常な状態下で弱く発現されまたは発現されず、ストレス(DNA損傷、熱ストレス)または感染の存在下でのみ上方調節される。追加的に、ヒト γδ T細胞はまた、それらの活性化をモジュレートするToll様受容体(TLR)などのパターン認識受容体(PRR)を発現する(Shojaeiら、Cancer Res.、2009、69巻(22号):8710~8717頁)。
【0087】
γδ T細胞は、多様な条件に依存して、抗腫瘍形成性および腫瘍形成促進性の両方であることが見出されている(Lafontら、Front Immunol.、2014、5巻:622)。膵臓腺管腺がん(PDA)に関して、γδ T細胞は、腫瘍浸潤性T細胞の実質的な比率を構成し、αβ T細胞により媒介される抗がん免疫に対する阻害機能を有することが見出されている。マウスモデルにおいて、γδ T細胞動員の欠失、枯渇、または遮断は、PDAに対して保護的であることが見出されており、αβ T細胞の増加した浸潤、活性化、およびTh1局在化を結果としてもたらした(Daleyら、Cell、2016、166巻:1485~1499頁)。特に、γδ T細胞受容体のデルタ1サブタイプは、腫瘍浸潤性T細胞の間で富化されていることが見出された。
【0088】
そのため、γδ T細胞に特異的な抗体(例えば、デルタ-1鎖およびガンマ鎖を含むTCRのデルタ-1鎖に特異的;「抗デルタ-1抗体」)は、従来のT細胞活性化およびそのため病的細胞(例えば、がん細胞)に対する免疫応答を遮断し得る、腫瘍浸潤性γδ T細胞と関連付けられる疾患(例えば、腫瘍浸潤性γδ T細胞が免疫抑制的役割を果たすもの)または循環するγδ T細胞と関連付けられる疾患を処置するための有望な治療剤であり得る。理論により縛られないが、抗デルタ1抗体は、それを発現するγδ T細胞の阻害機能を遮断し、それにより抗腫瘍免疫応答を増強し得る。よって、抗体は、アルファ-ベータT細胞活性の直接的または間接的な抑制を予防し得る。抗体は、γδ T細胞サイトカイン分泌(例えば、IL-17)を阻害し、それにより、血管新生の誘導、ならびにMDSC、好中球およびTAMの誘引を予防し得る。抗体は、γδ T細胞のTreg/Th2型活性を阻害し、それにより抗腫瘍γδ T細胞の制限を予防し得る。追加的に、抗体は、樹状細胞(DC)との腫瘍促進性γδ T細胞のインターフェースを予防し、それにより、DC成熟の阻害、DCおよび/またはT細胞老化の誘導を予防し、かつγδ T細胞の存在の結果としてもたらされるDC抗原提示の制限を予防し得る。代替的に、または追加的に、抗デルタ1抗体はまた、細胞傷害性、例えば、標的γδ T細胞に対するADCC、ADCPおよび/またはCDCを誘導することによりその治療効果を発揮し得る。病的細胞は、直接的または間接的のいずれかで、疾患の開始および/または発症に寄与する細胞を指す。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は抗体薬物コンジュゲートであり、化学療法剤を腫瘍部位に標的化することによりその効果を発揮する。
【0089】
よって、γδ T細胞に特異的な抗体(例えば、抗デルタ1抗体)ならびにγδ T細胞により媒介される従来のT細胞活性の阻害をレスキューするためおよび/またはγδ T細胞活性化と関連付けられる疾患を処置するためのその治療的使用が本明細書に記載される。
【0090】
γδ T細胞のデルタ1鎖に結合する抗体
本開示は、好適な種(例えば、ヒト、または非ヒト霊長類、例えば、サル、チンパンジー、もしくは類人猿)のγδ T細胞に特異的な抗体、例えば、γδ1 T細胞に特異的な抗体を提供する。そのような抗体は、γδ1 T細胞上に発現されるTCRのデルタ-1鎖に特異的に結合してもよい。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、γδ1 T細胞の表面上に発現されるものであってもよい、γδ1ヘテロ二量体(例えば、デルタ-1/およびガンマ鎖、例えば、ガンマ-9のヘテロ二量体)中のデルタ-1鎖に結合する。
【0091】
本明細書に開示される抗デルタ1鎖抗体は、1つまたは複数の優れた特徴を呈してもよく、該特徴としては、(i)それらのCDR配列に関わらずに、特にそれらのCDR3配列に関わらずに、複数のヒトデルタ1 TCRに対する高い結合親和性(例えば、12nMより低いKD、例えば、クローンデルタ1-19、デルタ1-26、デルタ1-29、およびデルタ1-39(Delta-39));(ii)ヒトデルタ1 TCRおよび非ヒト霊長類デルタ1 TCR、例えば、カニクイザルデルタ1 TCRの交差反応性(例えば、ヒトデルタ1 TCRに対するKD値およびカニクイザルデルタ1 TCRに対するKD値の差異が1桁以内の規模である、例えば、クローンデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-28、デルタ1-39);(iii)ガンマ3、4、5、8、もしくは9を含む、様々なガンマ鎖を含有するγδ1 TCRに結合できること、例えば、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41;ならびに/または(iv)高い特異性でのデルタ-1への結合、例えば、タンパク質アレイ分析による決定で、例えば他の標的にほとんどもしくは全く結合しない、(v)γδ-T細胞活性を阻害すること、即ち、例えばCD4+および/もしくはCD8+細胞の、T細胞活性化のγδ-T細胞媒介性の抑制を阻害すること(例えば、デルタ1-23、デルタ1-39)、(vi)炎症性T細胞活性化を促進する(即ち、CD4+ヘルパー細胞および/もしくはCD8+エフェクター細胞の活性化を促進する)、(vii)例えばADCC、CDC、および/もしくはADCPを通じた、γδ-T細胞の枯渇が挙げられるがこれらに限定されない。
【0092】
よって、一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1鎖抗体(本明細書において「抗デルタ1抗体」と称されることもある)は、1つまたは複数の優れた特徴を呈する。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1鎖抗体は、それらのCDR配列に関わらずに、特にそれらのCDR3配列に関わらずに、複数のヒトデルタ1 TCRに対する高い結合親和性を有する。一部の実施形態では、ヒトデルタ-1に対するKD値は10nMより低い。一部の実施形態では、ヒトデルタ-1に対するKD値は5nMより低いまたは2nMより低い。一部の実施形態では、ヒトデルタ-1に対するKD値は1nMより低い。1nMより低いヒトデルタ-1に対するKD値を有する抗体の非限定的な例はデルタ1-39である。一部の実施形態では、ヒトデルタ1 TCRおよび非ヒト霊長類デルタ1 TCR、例えば、カニクイザルデルタ1 TCRの交差反応性(例えば、ヒトデルタ1 TCRに対するKD値およびカニクイザルデルタ1 TCRに対するKD値の差異)は1桁以内の規模である。ヒトデルタ1 TCRに対するKD値およびカニクイザルデルタ1 TCRに対するKD値の差異が1桁以内の規模である抗体の非限定的な例はデルタ1-39である。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1鎖抗体は、それらのCDR配列に関わらずに、特にそれらのCDR3配列に関わらずに、複数のカニクイザルデルタ1 TCRに対する高い結合親和性を有する。一部の実施形態では、カニクイザルデルタ-1に対するKD値は10nMより低い。一部の実施形態では、カニクイザルデルタ-1に対するKD値は5nMより低いまたは2nMより低い。一部の実施形態では、カニクイザルデルタ-1に対するKD値は1nMより低い。1nMより低いカニクイザルデルタ-1に対するKD値を有する抗体の非限定的な例はデルタ1-39である。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1鎖抗体は、様々なガンマ鎖を含有するγδ1 TCRに結合することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1鎖抗体は、ガンマ鎖3、4、5、8、および/または9を含有するγδ1 TCRに結合することができる。例えば、1つの特有の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1鎖抗体は、ガンマ鎖3、4、5、および8を含有するγδ1 TCRに結合することができ、例えば、デルタ1-38(Delta-38)、デルタ1-39、デルタ1-40、およびデルタ1-41が挙げられる。ガンマ鎖3、4、5、および8、および9を含有するγδ1 TCRに結合することができる本明細書に開示される抗デルタ1抗体の非限定的な例はデルタ1-39である。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、ヒトデルタ-1鎖および非ヒト哺乳動物デルタ-1鎖、例えば、非ヒト霊長類デルタ-1鎖と交差反応し、かつガンマ3、4、5、および8を含む、様々なガンマ鎖を含有するγδ1 TCRに結合することができる。本明細書に記載のそのような抗体の非限定的な例としては、デルタ1-39およびデルタ1-41が挙げられる。追加の例としては、デルタ1-38およびデルタ1-40(Delat1-40)が挙げられる。一部の実施形態では、抗体は、例えばタンパク質アレイ分析による決定で、高い特異性でデルタ-1に結合する。そのような抗体の非限定的な例はクローンデルタ1-39である。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1鎖抗体は、T細胞活性化のγδ-T細胞媒介性の抑制または阻害を阻害する。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗デルタ1抗体はγδ-T細胞の抑制活性を阻害する。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1鎖抗体は、例えば本明細書においてデルタ1-39について示されるように、炎症性T細胞活性化を促進することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1鎖抗体は、例えば腫瘍または末梢血中の、CD4+ヘルパー細胞および/またはCD8+エフェクター細胞を活性化させることができる。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗デルタ1鎖抗体は、例えばADCC、CDC、および/またはADCPを通じて、γδ-T細胞を枯渇させることができる。
【0093】
抗体(複数形において交換可能に使用される)は、免疫グロブリン分子の可変領域中に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を通じて、標的、例えば、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどに特異的に結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、無傷な(即ち、全長)ポリクローナルまたはモノクローナル抗体だけでなく、その抗原結合性断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、単鎖(scFv)、その突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、キメラ抗体、ダイアボディ、ナノボディ、直鎖状抗体、単鎖抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)および要求される特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された構成も包含し、これには抗体のグリコシル化バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアント、および共有結合的に修飾された抗体が含まれる。抗体としては、任意のクラス、例えば、IgD、IgE、IgG、IgA、もしくはIgM(またはこれらのサブクラス)の抗体が挙げられ、抗体は任意の特定のクラスのものである必要はない。その重鎖の定常ドメインの抗体アミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンは、異なるクラスに割り当てられ得る。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、これらのいくつかはサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2にさらに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元構成は周知である。
【0094】
「抗体」という用語はまた、いわゆる抗体模倣物を含むことが意味される。抗体模倣物は、抗原に特異的に結合できるが、抗体に関連する構造を有しない、単一のアミノ酸鎖分子であり得る、例えば3~30kDaの、小分子を指す。抗体模倣物およびそれらのタンパク質スキャフォールドとしては、アフィボディ(Affibody)分子(プロテインAのZドメイン)、アフィリン(Affilins)(Gamma-B結晶性)、ユビキチン(Ubiquitin)、アフィマー(Affimers)(シスタチン(Cystatin))、アフィチン(Affitins)((Sulfolobus acidocaldariusからの)Sac7d)、アルファボディ(Alphabodies)(三重らせんコイルドコイル)、アンチカリン(Anticalins)(リポカリン(Lipocalins))、アビマー(Avimers)(様々な膜受容体のドメイン)、DARPins(アンキリンリピートモチーフ)、フィノマー(Fynomers)(FynのSH3ドメイン)、Kunitzドメインペプチド(様々なプロテアーゼ阻害剤のKunitzドメイン)、エカランチド(Ecallantide)(カルビトール(Kalbitor))、およびモノボディ(Monobodies)(フィブロネクチンIII型ドメイン)が挙げられるがこれらに限定されない。よって、一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は抗体模倣物である。
【0095】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は抗体薬物コンジュゲート(ADC)である。ADCは、一般に、細胞上に存在する標的に対するモノクローナル抗体、細胞傷害性薬物、および抗体を薬物に取り付けるリンカーを含む。がん療法のための抗体-薬物コンジュゲートは、Carter & Senter (2008)、Cancer J. 14巻(3号):154~69頁、およびChariら(2014) Angewandte Chemie International Edition 53巻:3751に総説されている。細胞傷害性部分はポリペプチドであってもよく、該ポリペプチドは直接的または間接的のいずれかで細胞傷害性であってもよい。間接的に細胞傷害性である場合、ポリペプチドは酵素活性を有してもよく、相対的に非毒性のプロドラッグを細胞傷害性薬物に変換することができる(例えば、抗体指向性酵素プロドラッグ療法;ADEPT)。細胞傷害性部分は、細胞分裂抑制剤(例えば、タキサン(例えば、ドセタキセル、特にはパクリタキセル);アルキル化剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン);代謝拮抗物質(例えば、25アザチオプリン、メトトレキサート);抗有糸分裂薬(例えば、ビンクリスチン);トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、ドキソルビシン、エトポシド)などからなる群から選択される薬物を含んでもよい。細胞傷害性部分は任意の公知の化学療法剤であってもよい。細胞傷害性部分は、腸内細菌毒素、特にPseudomonasエキソトキシン20Aまたはカリケアマイシンであってもよい。細胞傷害性部分はまた放射性原子を含んでもよい。放射性原子は、典型的には、ヨウ素-123、ヨウ素-125、ヨウ素-131、インジウム-111、臭素-77、銅-67、ヒ素-77、アスタチン-211、アクチニウム-15 225、ビスマス-212、ビスマス-213、ビスマス-217、ルテチウム-177、ホルミウム-166、リン-33、白金-193、白金-195、レニウム-186、レニウム-188、ストロンチウム-89、イットリウム-90、金-199、パラジウム-100、およびアンチモン-211からなる群から選択される。一部の実施形態では、細胞傷害性部分は、デルタ1 TCRを発現する細胞の少なくとも1つの活性を阻害することができる。一部の実施形態では、細胞傷害性部分は、細胞を不活性化または死滅させることができる。細胞傷害性部分および抗体の間のカップリングを促すために、2つの剤を直接的にコンジュゲートすること、またはそれらの間にスペーサー分子を導入することができる。好適なスペーサーとしては、ポリ(アルキレン)グリコール、例えば、ポリエチレングリコール、およびペプチドリンカーが挙げられる。多くの好適なカップリング技術が当技術分野において周知である。抗体への部分の共有結合、静電結合または非共有結合を可能とする好適な剤としては、ベンゾキノン、カルボジイミド、より特にはEDC(1-エチル-3-[3-ジメチル-アミノプロピル]-カルボジイミドヒドロクロリド)、ジマレイミド、ジチオビス-ニトロ安息香酸(DTNB)、N-スクシンイミジルS-アセチルチオ-アセテート(SATA)、紫外線(U.V.)と反応する1つまたは複数のフェニルアジド基を有するブリッジ形成剤、好ましくはN-[-4-(アジドサリチルアミノ)ブチル]-3’-(2’-ピリジルジチオ)-プロピオンアミド(APDP)、N-スクシンイミジル3-(2-25ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、6-ヒドラジノ-ニコチンアミド(HYNIC)が挙げられる。特に放射性元素のための、カップリングの別の形態は、二官能性イオンキレーターの使用を含む。例えば、金属、特に放射性金属、および免疫グロブリンに結合するために開発されたEDTAまたはDTPAに由来するキレート。そのため、当技術分野において周知のように、リガンド-金属錯体の安定性および剛性を増加させるために、DTPAおよびその誘導体は炭素鎖上の異なる基により置換され得る。
【0096】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を製造するために薬物にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は抗体薬物コンジュゲート(ADC)である。抗デルタ1抗体にコンジュゲートされ得る好適な細胞傷害剤は本明細書に記載されており、当技術分野において公知である。一部の実施形態では、リンカーは切断性である。リンカーの非限定的な例としては、ジスルフィド交換を通じて切断性のジスルフィド含有リンカー、酸性pHにおいて切断性の酸不安定性リンカー、ならびにヒドロラーゼ(例えば、グリコシルヒドロラーゼ、例えば、グルクロニダーゼ)、エステラーゼ、およびペプチダーゼにより切断性のリンカー(例えば、ペプチドリンカーおよびグルクロニドリンカー)が挙げられる。一部の実施形態では、リンカーは非切断性である。一部の実施形態では、薬物は、タンパク質分解性抗体分解機構を介して放出される。
【0097】
典型的な抗体分子は、抗原結合に通常関与する重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む。VHおよびVL領域は、「フレームワーク領域」(「FR」)として公知のより保存された領域を差し挟まれた、「相補性決定領域」(「CDR」)としても公知の超可変性の領域にさらに分けることができる。各VHおよびVLは、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端へと以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で並べられた3つのCDRおよび4つのFRから構成される。フレームワーク領域およびCDRの範囲は、当技術分野において公知の方法論、例えば、いずれも当技術分野において周知であるKabatの定義、Chothiaの定義、AbMの定義、EUの定義、および/またはコンタクト定義によるものを使用して精密に同定され得る。例えば、Kabat, E.A.ら(1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest、Fifth Edition、U.S. Department of Health and Human Services、NIH Publication No. 91~3242、Chothiaら(1989) Nature 342巻:877;Chothia, C.ら(1987) J. Mol. Biol. 196巻:901~917頁、Al-lazikaniら(1997) J. Molec. Biol. 273巻:927~948頁;Edelmanら、Proc Natl Acad Sci U S A. 1969年5月;63巻(1号):78~85頁;およびAlmagro、J. Mol. Recognit. 17巻:132~143頁(2004)を参照。hgmp.mrc.ac.ukおよびbioinf.org.uk/absも参照。異なる定義によるCナンバリングの間の対応関係またはアライメントは、例えば、http://www.imgt.org/に見出すことができる。
【0098】
本明細書に記載の抗体は、好適な供給源、例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物(例えば、ウサギ、霊長類、例えば、サルなど)のものであり得るT細胞受容体デルタ-1ポリペプチド(抗デルタ1抗体)に結合できるものであってもよい。
【0099】
本明細書に記載されるような抗デルタ1抗体は、それぞれが可変ドメインおよび定常ドメインを含む2つの重鎖および2つの軽鎖を含有する全長抗体であってもよい。代替的に、抗デルタ1抗体は全長抗体の抗原結合性断片であることができる。全長抗体の「抗原結合性断片」という用語に包含される結合性断片の例としては、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域においてジスルフィドブリッジにより連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)1つまたは複数のVHドメイン(例えば、VHHドメイン(ラクダ科動物またはナノボディ)が挙げられるがこれに限定されない)からなるdAb断片(Wardら、(1989) Nature 341巻:544~546頁);ならびに(vi)機能性を保持する単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。さらには、Fv断片の2つのドメイン、VLおよびVHは別々の遺伝子によりコードされるが、それらは、組換え法を使用して、VLおよびVH領域がペアとなって単鎖Fv(scFv)として公知の一価分子を形成する単一のタンパク質鎖としてそれらが作られることを可能にする合成リンカーにより接合され得る。例えば、Birdら、(1988) Science 242巻:423~426頁;およびHustonら、(1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85巻:5879~5883頁を参照。
【0100】
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、対応する標的抗原またはそのエピトープに特異的に結合し、例えば、T細胞γδ1受容体のデルタ-1鎖に特異的に結合する。抗原またはエピトープに「特異的に結合する」抗体は、当技術分野においてよく理解された用語である。分子は、代替的な標的よりも特定の標的抗原とより頻繁に、より迅速に、より長い持続期間でかつ/またはより高い親和性で反応する場合に「特異的結合」を呈するといわれる。抗体は、他の物質に結合するよりも高い親和性、アビディティで、より容易に、かつ/またはより長い持続期間で結合する場合に標的抗原またはエピトープに「特異的に結合する」。例えば、抗原(例えば、ヒトTCRのデルタ-1鎖)またはその中の抗原エピトープに特異的(または優先的)に結合する抗体は、他の抗原(例えば、ヒトTCRのデルタ-2鎖)または同じ抗原中の他のエピトープに結合するよりも高い親和性、アビディティで、より容易に、かつ/またはより長い持続期間でこの標的抗原に結合する抗体である。例えば、第1の標的抗原に特異的に結合する抗体は第2の標的抗原に特異的または優先的に結合してもよいししなくてもよいこともまたこの定義とともに理解される。そのため、「特異的な結合」または「優先的な結合」は、排他的な結合を必ずしも要求しない(ただし、それを含むことができる)。一部の例では、標的抗原またはそのエピトープに「特異的に結合する」抗体は、他の抗原または同じ抗原中の他のエピトープに結合しなくてもよく、即ち、ベースライン結合活性のみが従来の方法において検出され得る。ベースライン結合活性は、抗原が使用されない(ブランク対照)または異なる抗原が使用される(陰性対照)場合に従来の方法において検出される結合活性を指す。
【0101】
本明細書に記載の抗デルタ1抗体の特異性は、本明細書に記載されるようなおよび当技術分野において公知の特異性スコア(Sスコア)を結果としてもたらすタンパク質アレイを使用して測定することができる(例えば、Jeongら、Mol Cell Proteomics. 2012年6月;11巻(6号):O111.016253を参照)。追加的に、本明細書に記載の抗デルタ1抗体の特異性は、d1への抗デルタ1抗体の結合のKDをd2への結合のKDと比較することにより評価される。
【0102】
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、TCRデルタ-1鎖に共通のモチーフに結合する。TCRデルタ-1鎖(例えば、ヒトTCRデルタ-1鎖、カニクイザルTCRデルタ-1鎖、または他の種からのTCRデルタ鎖)の配列は当技術分野において周知であり、公開されているデータベース、例えば、International Immunogenetics Information System(登録商標)データベース(imgt.org)、またはGenBankから見出すことができる。一部の例では、抗デルタ1抗体は異なるヒトまたはカニクイザルデルタ1鎖と交差反応してもよい。
【0103】
デルタ-1鎖(ヒトおよびカニクイザル)の(膜貫通ドメインおよび細胞質尾部を欠く)細胞外領域の例示的アミノ酸配列が下記に提供される。
ヒトTCR:
AQKVTQAQSSVSMPVRKAVTLNCLYETSWWSYYIFWYKQLPSKEMIFLIRQGSDEQNAKSGRYSVNFKKAAKSVALTISALQLEDSAKYFCALGVYAHSLTGGYRGGADKLIFGKGTRVTVEPRSQPHTKPSVFVMKNGTNVACLVKEFYPKDIRINLVSSKKITEFDPAIVISPSGKYNAVKLGKYEDSNSVTCSVQHDNKTVHSTDFEVKTDSTDHVKPKETENTKQPSKS(配列番号26)
ヒトTCR:
AQKVTQAQSSVSMPVRKAVTLNCLYETSWWSYYIFWYKQLPSKEMIFLIRQGSDEQNAKSGRYSVNFKKAAKSVALTISALQLEDSAKYFCALGPRPSYSEELGDTHRADKLIFGKGTRVTVEPRSQPHTKPSVFVMKNGTNVACLVKEFYPKDIRINLVSSKKITEFDPAIVISPSGKYNAVKLGKYEDSNSVTCSVQHDNKTVHSTDFEVKTDSTDHVKPKETENTKQPSKS(配列番号27)
ヒトTCR:
AQKVTQAQSSVSMPVRKAVTLNCLYETSWWSYYIFWYKQLPSKEMIFLIRQGSDEQNAKSGRYSVNFKKAAKSVALTISALQLEDSAKYFCALGEPNHFLNTDKLIFGKGTRVTVEPRSQPHTKPSVFVMKNGTNVACLVKEFYPKDIRINLVSSKKITEFDPAIVISPSGKYNAVKLGKYEDSNSVTCSVQHDNKTVHSTDFEVKTDSTDHVKPKETENTKQPSKS(配列番号28)
カニクイザルTCR:
AQKVTQAQSSVSMPVEKAVTLNCQYETSSWSYDLFWYKQLPGKEMIFLIRQGSSEQNARDGRYSVNFKKEASFIALTISALQLEDSATYFCALRRPFTAQLFFGKGTQLIVEPERQPHTKPSVFVMKNGTNVACLVKDFYPKDIRINLESSKKITEFDPAIVVSPSGKYNAVKLGQYADSNSVTCSVQHNKEVVYSTDFEVKTNSTDHLKPTETENTKQPSKS(配列番号32)
カニクイザルTCR:
AQKVTQAQSSVSMPVGKAVTLNCQYETSSWSYYLFWYKQLPGKEMIFLIHQGSSQQNARNGRYSVNFQKAASSITLTISALQLEDSATYFCALRERPPNPGPFVLGVYATAQLFFGKGTQLIVEPERQPHTKPSVFVMKNGTNVACLVKDFYPKDIRINLESSKKITEFDPAIVVSPSGKYNAVKLGQYADSNSVTCSVQHNKEVVYSTDFEVKTNSTDHLKPTETENTKQPSKS(配列番号33)
カニクイザルTCR:
AQKVTQAQSSVSMPVEKAVTLNCQYETSWWSYDLFWYKQLPGKEMIFLIRQSSSEQNARDGRYSANFKKEASSKSFIALTISALQLEDSATYFCALPLQVRGPTGGIRVYDKLIFGKGTRVTVEPKRQPHTKPSVFVMKNGTNVACLVKDFYPKDIRINLESSKKITEFDPAIVVSPSGKYNAVKLGQYADSNSVTCSVQHNKEVVYSTDFEVKTNSTDHLKPTETENTKQPSKS(配列番号34)
本明細書で使用される場合、「交差反応する」は、抗体が2つ以上の異なる抗原配列(例えば、ヒトデルタ1およびデルタ2)に対して結合活性(従来のアッセイによって検出可能)を示すことを意味する。そのような抗体は、これらの抗原に対して実質的に同様の結合親和性を有し得、例えば、同じアッセイ条件下において判定された場合に、一方の抗原に対して他方の抗原より<10倍(例えば、<5倍または<2倍)高い結合親和性を有する。あるいは、そのような抗体は、これらの抗原の一方に対して、他方と比較した場合に実質的により高い結合親和性を有し得、例えば、同じアッセイ条件下において判定した場合に一方の抗原に対して他方の抗原よりも少なくとも10倍高い(例えば、20倍高い、50倍高い、100倍高い、または1,000倍高い)抗原親和性を有する。
【0104】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、一本鎖ヒトデルタ1鎖に優先的に結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、CDR領域、例えば、CDR3領域、の配列に関係なく、デルタ1鎖に結合する。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、ヒトデルタ-2鎖、ヒトデルタ-3鎖、ガンマ鎖(例えば、ガンマ-9鎖)、および/または非ヒトデルタ1鎖と比べて、ヒトデルタ1に優先的に結合する。本明細書で使用される場合、抗体が、第2の抗原または別のエピトープと比較して第1の抗原またはそのエピトープに「優先的に結合する」とは、抗体が、同じアッセイ条件下において判定された場合に、第2の抗原または他のエピトープと比較して第1の抗原またはそのエピトープに対して実質的により高い、例えば、少なくとも10倍高い(例えば、>20倍、>50倍、>100倍、>1,000倍、またはより高い)結合親和性を有することを意味する。
【0105】
本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、非ヒトカウンターパート(例えば、非ヒト霊長類デルタ1鎖)と比べてヒトデルタ1鎖に優先的に結合し得、逆もまた同様であり得る。他の例において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、ヒトおよび非ヒトデルタ1鎖と交差反応し得る。例えば、抗体は、ヒトデルタ1鎖および非ヒト霊長類デルタ1鎖と交差反応し得る。
【0106】
場合によって、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、ヒトデルタ-2鎖、ヒトデルタ-3鎖、またはガンマ鎖(例えば、ガンマ-9鎖など)に結合しない。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、デルタ-2鎖(本明細書においてデルタ2とも呼ばれる)に結合しない。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、デルタ-3鎖(本明細書においてデルタ3とも呼ばれる)に結合しない。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、デルタ-2鎖とデルタ-3鎖のどちらにも結合しない。抗原に結合しない抗体は、無意味な結合(例えば、バックグラウンド結合のみまたは全く結合しない)は、従来のアッセイ(例えば、ELISAまたは表面プラズモン共鳴)を使用して検出することができることを意味する。
【0107】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体である抗デルタ1抗体は、デルタ1鎖とガンマ鎖とを含むT細胞受容体に結合する。ガンマ鎖の配列は、当技術分野において既知である(例えば、imgt.org/IMGTrepertoireを参照されたい)。ガンマ鎖の非限定的な例としては、ガンマ1、ガンマ2、ガンマ3、ガンマ4、ガンマ5、ガンマ5P、ガンマ8、ガンマ9、ガンマ10、ガンマ11、ガンマaが挙げられる。ガンマ鎖の非限定的な例は、以下の遺伝子:・TRGV1、TRGV2、TRGV3、TRGV4、TRGV5、TRGV5P、TRGV8、TRGV9、TRGV10、TRGV11、およびTRGVA、によってコードされる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体である抗デルタ1抗体は、当技術分野において既知のデルタ1鎖およびガンマ鎖を含むT細胞受容体に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、任意のガンマ鎖を含むTCRに結合することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、ガンマ3、ガンマ4、ガンマ5、ガンマ8、およびガンマ9を含むTCRに結合することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、ガンマ3、ガンマ4、ガンマ5、およびガンマ8を含むTCRに結合することができる。本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、好ましくは、標的抗原(例えば、ヒトデルタ1鎖)またはその抗原エピトープに対して好適な結合親和性を有する。本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、見かけの会合定数またはKAを意味する。KAは、解離定数(KD)の逆数である。本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、標的抗原または抗原エピトープに対して少なくとも10-5、10-6、10-7、10-8、10-9、10-10M、またはそれ以下の結合親和性(KD)を有し得る。結合親和性の増加は、KDの減少に対応する。第2の抗原と比較した場合の第1の抗原に対する抗体のより高い親和性結合は、第2の抗原を結合させるためのKA(または数値KD)よりも第1の抗原を結合させるためのより高いKA(またはより小さい数値KD)によって示すことができる。そのような場合、抗体は、第2の抗原(例えば、第2の立体構造またはその模倣物での同じ第1のタンパク質;または第2のタンパク質)と比べて、第1の抗原(例えば、第1の立体構造またはその模倣物での第1のタンパク質)に対して特異性を有する。結合親和性における違い(例えば、特異性または他の比較に対して)は、少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、37.5倍、50倍、70倍、80倍、91倍、100倍、500倍、1000倍、10,000倍、または105倍であり得る。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体のいずれも、標的抗原またはその抗原エピトープに対する抗原の結合親和性を増加させるように、より親和的に成熟され得る。
【0108】
結合親和性(または結合特異性)は、平衡透析、平衡結合、ゲル濾過、ELISA、表面プラズモン共鳴、またはスペクトル分析(例えば、蛍光アッセイを使用)などの様々な方法によって、判定することができる。結合親和性を評価するための例示的条件は、HBS-P緩衝剤(pH7.4の10mMのHEPES、150mMのNaCl、0.005%(v/v)界面活性剤P20)中においてである。これらの技術を使用することにより、標的タンパク質濃度の関数として、結合した結合性タンパク質の濃度を測定することができる。結合した結合性タンパク質の濃度([Bound])は、概して、以下の式により、遊離標的タンパク質の濃度([Free])に関連する。
【0109】
[Bound]=[Free]/(Kd+[Free])
例えば、ELISAまたはFACS分析などの方法を使用して判定される親和性の定量測定は、KAに比例し、場合により、それを得ることは十分であるため、KAの正確な判定を行うことは、常に必要というわけではなく、したがって、例えば、機能検定、例えば、インビトロアッセイまたはインビボアッセイにおける活性によって、親和性の定量測定を得るために、または親和性の推定を得るために、より高い親和性が、例えば、2倍以上であるか否かを判定するなど、比較のために使用することができる。
【0110】
本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、γδT細胞活性化を阻害することができ、即ち、γδT細胞、例えば、免疫抑制性γδT細胞など、の活性全体を低下させることができる。理論に束縛されるわけではないが、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、T細胞上に発現されるγδ1TCRの活性を直接的にブロックすることにより、γδ1T細胞の生体活性を阻害し得る。あるいは、またはさらに、γδ1TCRに結合することによって、抗デルタ1抗体は、ADCCおよび/またはADCPおよび/またはCDCなどの細胞傷害性を引き起こすことにより、γδ1TCRを発現するT細胞を排除し得、結果としてγδ1T細胞の枯渇をもたらし得る。したがって、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、例えば、がん環境下において、γδT細胞によって媒介される免疫抑制をレスキューし得る。
【0111】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、γδ1T細胞の活性を阻害する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、少なくとも10%(例えば、その任意の増分も含めて、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上)、γδ1T細胞の活性を阻害する。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体の阻害能力または抑制能力は、αβT細胞などの免疫細胞をγδT細胞の阻害活性から「レスキューする」、抗体の能力を調べることによって測定される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、γδ1T細胞によって誘導された免疫阻害をレスキューし得る。本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上)、γδ1T細胞によって誘導された免疫阻害をレスキューし得る。
【0112】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、例えば、腫瘍微小環境および/または血清、血液、もしくは循環流などからγδ1T細胞を排除することができ、即ち、γδ1T細胞を枯渇させることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、腫瘍微小環境からγδ1T細胞を排除することができ、即ち、γδ1T細胞を枯渇させることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、少なくとも10%(例えば、その任意の増分も含めて、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上)、γδ1T細胞を枯渇させる。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体の能力は、γδT細胞の阻害活性からαβT細胞などの免疫細胞を「レスキューする」、抗体の能力を調べることによって測定される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、γδ1T細胞によって誘導された免疫阻害をレスキューし得る。本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上)、γδ1T細胞によって誘導された免疫阻害をレスキューし得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、腫瘍微小環境からγδ1T細胞を排除することができ、即ち、γδ1T細胞を枯渇させることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、少なくとも10%(例えば、その任意の増分も含めて、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上)、γδ1T細胞を枯渇させる。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体の阻害能力または抑制能力は、γδT細胞の阻害活性からαβT細胞などの免疫細胞を「レスキューする」、抗体の能力を調べることによって測定される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、γδ1T細胞によって誘導された免疫阻害をレスキューし得る。本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上)、γδ1T細胞によって誘導された免疫阻害をレスキューし得る。
【0114】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、ADCCを活性化する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、少なくとも10%(例えば、その任意の増分も含めて、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上)、ADCCを活性化する。いくつかの実施形態において、ADCCを活性化する抗体の能力は、本明細書に記載の方法の1つまたは複数に従って測定される。
【0115】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、ADCPを活性化する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、少なくとも10%(例えば、その任意の増分も含めて、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上)、ADCPを活性化する。いくつかの実施形態において、ADCPを活性化する抗体の能力は、本明細書に記載の方法の1つまたは複数に従って測定される。
【0116】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、腫瘍および/または末梢血のCD4+ヘルパー細胞および/またはCD8+エフェクター細胞を活性化または再活性化する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、腫瘍および/または末梢血中のCD4+ヘルパー細胞および/またはCD8+エフェクター細胞を、少なくとも10%(例えば、その任意の増分も含めて、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上)、活性化または再活性化する。いくつかの実施形態において、CD4+細胞および/またはCD8+細胞を活性化する抗デルタ1抗体の能力は、炎症性サイトカインのレベルを調べることによって測定される。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、腫瘍における、炎症性サイトカイン、例えば、これらに限定されるわけではないが、IFNγ、TNF-α、およびCD44など、の産生を増加させることができる。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、少なくとも10%(例えば、その任意の増分も含めて、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上)、腫瘍における、炎症性サイトカイン、例えば、これらに限定されるわけではないが、IFNγ、TNF-α、およびCD44など、の産生を増加させることができる。
【0117】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、γδ-2T細胞に対するγδ1T細胞の比を調整することができ、例えば、減少させることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、少なくとも10%(例えば、その任意の増分も含めて、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上)、γδ-2T細胞に対するγδ1T細胞の比を調整する、例えば、減少させる。
【0118】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、PBMC中に存在するγδ1T細胞の分率および/または腫瘍局在化免疫細胞中に存在するγδ1T細胞の分率を調整、例えば、減少させることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、PBMC中に存在するγδ1T細胞の分率および/または腫瘍局在化免疫細胞中に存在するγδ1T細胞の分率を、少なくとも10%(例えば、その任意の増分も含めて、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上)、調整、例えば、減少させる。
【0119】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、γδT細胞の腫瘍を枯渇させることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、γδT細胞の腫瘍を、少なくとも10%(例えば、その任意の増分も含めて、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上)、枯渇させる。
【0120】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、αβT細胞活性の直接的または間接的抑制を防ぐことができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、γδT細胞サイトカイン分泌(例えば、IL-17)を阻害することができ、それにより、血管新生の誘導ならびにMDSC、好中球、およびTAMの誘引を防ぐことができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、γδT細胞のTreg/Th2タイプの活性を阻害することができ、それにより、抗腫瘍γδT細胞の制限を防ぐことができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、腫瘍誘発性γδT細胞と樹状細胞(DC)とのインターフェースを防ぐことができ、したがって、DC成熟化の阻害および/またはDCまたはT細胞の老化の誘導を防ぐことができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、γδT細胞の存在の結果として生じるDC抗原提示の制限を防ぐことができる。
【0121】
阻害剤力価の指標を提供する見かけの阻害定数(KiappまたはKi,app)は、酵素活性を減じるために必要な阻害剤の濃度に関連し、ならびに、酵素濃度に依存しない。本明細書に記載の抗デルタ1抗体の阻害活性は、当技術分野において既知の日常的方法によって判定することができる。
【0122】
抗体のKi,
app値は、反応(例えば、酵素活性)の程度に対する抗体の異なる濃度の阻害効果を測定し;阻害剤濃度の関数としての擬一次速度定数(v)における変化を、見かけのKi値の推定値をもたらす修正モリソン方程式(方程式1)に近似することによって判定され得る。拮抗阻害剤の場合、Kiappは、Ki,
app対基質濃度のプロットの線形回帰分析から抽出されたy切片から得ることができる。
【0123】
【0124】
ここで、Aは、vo/E、即ち、総酵素濃度(E)で割った、阻害剤(I)の不在下での酵素反応の初期速度(vo)、に等しい。
【0125】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ抗体は、標的抗原または抗原性エピトープに対して、1000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、50、40、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5pM、またはそれ以下のKiapp値を有し得る。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、第1の標的(例えば、デルタ1の特定のエピトープ)に対して、第2の標的(例えば、デルタ1の異なる特定のエピトープ)と比べてより低いKiappを有し得る。Kiappにおける違い(例えば、特異性または他の比較に対して)は、少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、37.5倍、50倍、70倍、80倍、91倍、100倍、500倍、1000倍、10,000倍、または105倍であり得る。いくつかの例において、抗デルタ1抗体は、第2の抗原(例えば、第2の立体構造の同じ第1のタンパク質またはその模倣物;または第2のタンパク質)と比べて、第1の抗原(例えば、第1の立体構造またはその模倣物における第1のタンパク質)をより阻害する。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体のいずれも、標的抗原またはその抗原エピトープに対する抗体のKiappを減じるために、さらに親和的に成熟され得る。
【0126】
本明細書に記載の抗体は、マウス、ラット、サル、ヒト、または任意の他の起源(キメラ抗体またはヒト化抗体を含む)であり得る。そのような抗体は、天然に存在せず、即ち、ヒトの行為(例えば、所望の抗原またはその断片によってそのような動物を免疫するかまたは抗体ライブラリーから単離する)なしには動物において産生されないであろう。
【0127】
本明細書に記載の抗体のいずれも、モノクローナルまたはポリクローナルであり得る。「モノクローナル抗体」は、同種抗体の集団を意味し、「ポリクローナル抗体」は、異種抗体の集団を意味する。これら2つの用語は、抗体の供給源またはそれを作製する方法を制限しない。
【0128】
一例において、本明細書に記載の方法において使用される抗体は、ヒト化抗体である。ヒト化抗体は、特異的キメラ免疫グロブリンである非ヒト(例えば、マウス)抗体の形態、または非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含む、その抗原結合性断片を意味する。ほとんどの部分に対して、ヒト化抗体は、レシピエントのCDRからの残基が、非ヒト種(ドナー抗体)、例えば、所望の特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラット、またはウサギなど、のCDRからの残基で置き換えられた、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によって、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基で置き換えられる。その上、ヒト化抗体は、レシピエント抗体においても移入されたCDRまたはフレームワーク配列においても見出されないが抗体性能をさらに洗練し最適化するために含ませられる残基を含み得る。概して、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変領域の実質的に全てを含むであろうし、その場合、非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応するCDR領域の全てまたは実質的に全てと、FR領域の全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のCDR領域である。ヒト化抗体は、必要に応じて、免疫グロブリン、典型的にはヒト免疫グロブリン、の定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部も含むであろう。抗体は、国際公開第99/58572号に記載されるように改変されたFc領域を有し得る。ヒト化抗体の他の形態は、1つまたは複数のCDR(1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ)を有し、それらは、元の抗体に対して変更されており、それらは、元の抗体からの1つまたは複数のCDR「に由来する」1つまたは複数のCDR、とも呼ばれる。ヒト化抗体は、親和性成熟にも関与し得る。
【0129】
ヒト化抗体を構築する方法も、当技術分野において周知である。例えば、Queenら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:10029~10033(1989)を参照されたい。一例において、親非ヒト抗体のVHおよびVLの可変領域に対して、当技術分野において既知の方法に従って三次元分子モデリング分析が行われる。次に、正しいCDR構造の形成にとって重要であると予想されるフレームワークアミノ酸残基が、同じ分子モデリング分析を使用して特定される。並行して、親非ヒト抗体のアミノ酸配列と相同であるアミノ酸配列を有するヒトVHおよびVL鎖が、検索クエリーとして親VHおよびVL配列を使用する任意の抗体遺伝子データベースから特定される。次いで、ヒトVHおよびVL受容体遺伝子が選択される。
【0130】
選択されたヒト受容体遺伝子内のCDR領域は、親非ヒト抗体またはその機能性バリアントからのCDR領域で置き換えることができる。必要であれば、ヒト受容体遺伝子における対応する残基を置換するために、CDR領域との相互作用において重要であると予想される親鎖のフレームワーク領域内の残基を使用することができる。
【0131】
別の例において、本明細書に記載の抗体は、キメラ抗体であり、それは、ヒト抗体からの重鎖定常領域と軽鎖定常領域とを含むことができる。キメラ抗体は、第1の種からの可変領域または可変領域の一部と第2の種からの定常領域とを有する抗体を意味する。典型的には、これらのキメラ抗体において、軽鎖および重鎖の両方の可変領域は、哺乳動物(例えば、マウス、ウサギ、およびラットなどの非ヒト哺乳動物)に由来する抗体の可変領域を模倣し、その一方で、定常部分は、ヒトなどの別の哺乳度物に由来する抗体の配列に対して相同である。いくつかの実施形態において、アミノ酸修飾は、可変領域および/または定常領域において為すことができる。
【0132】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、重鎖(HC) CDR1と、HC CDR2と、HC CDR3とを含む重鎖可変領域(VH)を含み得る。HC CDR1は、FTX1X2X3X4X5IH(配列番号46)として記載されるモチーフを含み得、この場合、X1は、FまたはVであり得、X2は、SまたはTであり得、X3は、G、A、またはSであり得、X4は、T、N、またはSであり得、ならびにX5は、DまたはSであり得る。特定の例において、HC CDR1は、FTVSSSSIH(配列番号52)であり得る。HC CDR2は、SIYSSSGYTYYADSVKG(配列番号53)として記載されるモチーフを含み得る。あるいは、またはさらに、HC CDR3は、PGX6YYWYYSGSAYEGYGLDY(配列番号48)として記載されるモチーフを含み得、この場合、X6は、SまたはMであり得る。特定の例において、HC CDR3は、DPGSYYWYYSGSAYEGYGLDY(配列番号54)の配列を含み得る。
【0133】
あるいは、またはさらに、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、軽鎖(LC)CDR1と、LC CDR2と、LC CDR3とを含む軽鎖可変領域(VL)を含み得る。場合によって、LC CDR1は、RASQSVSSAVA(配列番号55)として記載されるモチーフを含み得る。LC CDR2は、X7ASSLX8S(配列番号50)として記載されるモチーフを含み得、この場合、X7は、SまたはAであり得、ならびにX8は、YまたはQであり得る。いくつかの例において、LC CDR2は、AASSLQS(配列番号56)の配列を含み得る。あるいは、またはさらに、LC CDR3は、QQX9X10X11X12X13X14LIT(配列番号51)として記載されるモチーフを含み得、この場合、X9は、SまたはQであり得、X10は、G、S、またはTであり得、X11は、D、K、またはSであり得、X12は、Y、W、または不在であり得、X13は、Pまたは不在であり得、ならびにX14は、D、F、またはYであり得る。いくつかの例において、LC CDR3は、QQQSKYPFLIT(配列番号57)の配列を含み得る。
【0134】
いくつかの実施形態において、抗体は、HC CDR1と、HC CDR2と、HC CDR3とを含む重鎖可変領域(VH)を含み、ここで、HC CDR1は、FTFX1X2X3X4IH(配列番号93)のモチーフを含み、この場合、X1は、SまたはTであり、X2は、S、G、またはAであり、X3は、T、N、またはSであり、ならびにX4は、DまたはSである。あるいは、またはさらに、HC CDR2は、SIYSSSGYTYYADSVKG(配列番号53) を含む。あるいは、またはさらに、HC CDR3は、DPGSYYWYYSGSAYEGYGLDY(配列番号54)を含む。あるいは、またはさらに、本明細書で開示された単離された抗体は、LCCDR1と、LC CDR2と、LC CDR3とを含む軽鎖可変領域(VL)を含み、この場合、LC CDR1は、RASQSVSSAVA(配列番号55)を含む。あるいは、またはさらに、LC CDR2は、AASSLQS(配列番号56)を含む。あるいは、またはさらに、LC CDR3は、QQQSKYPFLIT(配列番号57)を含む。
【0135】
いくつかの実施形態において、抗体は、HC CDR1と、HC CDR2と、HC CDR3とを含む重鎖可変領域(VH)を含み、ここで、HC CDR1は、FTFX1X2X3X4IH(配列番号93)のモチーフを含み、その場合、X1は、SまたはTであり、X2は、S、G、またはAであり、X3は、T、N、またはSであり、ならびにX4は、DまたはSである。HC CDR2は、SIYSSSGYTYYADSVKG(配列番号53)を含み、HC CDR3は、DPGSYYWYYSGSAYEGYGLDY(配列番号54)を含む。いくつかの実施形態において、単離された抗体はさらに、LCCDR1と、LC CDR2と、LC CDR3とを含む軽鎖可変領域(VL)を含み、ここで、LC CDR1は、RASQSVSSAVA(配列番号55)を含み、LC CDR2は、AASSLQS(配列番号56)を含み、ならびにLC CDR3は、QQQSKYPFLIT(配列番号57)を含む。
【0136】
いくつかの実施形態において、抗体は、HC CDR1と、HC CDR2と、HC CDR3とを含む重鎖可変領域(VH)を含み、ここで、HC CDR1は、FTFX1X2X3X4IH(配列番号94)のモチーフを含み、この場合、X1は、SまたはTであり、X2は、SまたはAであり、X3は、NまたはSであり、ならびにX4は、DまたはSであり、HC CDR2は、SIYSSSGYTYYADSVKG(配列番号53)を含み、ならびにHC CDR3は、DPGSYYWYYSGSAYEGYGLDY(配列番号54)を含む。いくつかの実施形態において、単離された抗体は、LC CDR1と、LC CDR2と、LC CDR3とを含む軽鎖可変領域(VL)を含み、この場合、LC CDR1は、RASQSVSSAVA(配列番号55)を含み、LC CDR2は、AASSLQS(配列番号56)を含み、ならびにLC CDR3は、QQQSKYPFLIT(配列番号57)を含む。
【0137】
いくつかの実施形態において、抗体は、HC CDR1と、HC CDR2と、HC CDR3とを含む重鎖可変領域(VH)を含み、この場合、HC CDR1は、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、および配列番号72からなる群から選択される。あるいは、またはさらに、HC CDR2は、SIYSSSGYTYYADSVKG(配列番号53)を含む。あるいは、またはさらに、HC CDR3は、DPGSYYWYYSGSAYEGYGLDY(配列番号54)を含む。あるいは、またはさらに、本明細書で開示された単離された抗体は、LCCDR1と、LC CDR2と、LC CDR3とを含む軽鎖可変領域(VL)を含み、この場合、LC CDR1は、RASQSVSSAVA(配列番号55)を含む。あるいは、またはさらに、LC CDR2は、AASSLQS(配列番号56)を含む。あるいは、またはさらに、LC CDR3は、QQQSKYPFLIT(配列番号57)を含む。
【0138】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、本明細書に記載の重鎖CDRモチーフの全ておよび/または軽鎖CDRモチーフの全てを含む。いくつかの例において、抗体は、デルタ1-17と同じ重鎖および軽鎖CDRを含まないか、またはデルタ1-17と同じ重鎖および軽鎖可変領域を含まない。
【0139】
いくつかの例示的抗デルタ1抗体が、以下において提供される(Kabat付番に基づくCDR残基は太字で示される)。CDRの一覧が、表1に提供される。
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、上記に一覧した例示的抗体のいずれかと同じエピトープに結合するか、またはデルタ-1鎖への結合において例示的抗体と競合する。「エピトープ」は、抗体によって認識され結合される標的抗原上の部位を意味する。当該部位は、完全にアミノ酸成分で構成され得るか、完全にタンパク質(例えば、グリコシル部分)のアミノ酸の化学修飾で構成され得るか、またはそれらの組合せで構成され得る。重複するエピトープは、少なくとも1つの共通のアミノ酸残基を含む。エピトープは直鎖状であり得、その長さは、典型的には、6~15のアミノ酸である。あるいは、エピトープは、立体構造的であり得る。抗体が結合するエピトープは、日常的技術、例えば、エピトープマッピング法(例えば、下記を参照されたい)によって判定することができる。本明細書に記載の例示的抗体と同じエピトープに結合する抗体は、まさに同じエピトープまたは実質的に重複するエピトープ(例えば、3つ未満の重複しないアミノ酸残基、2つ未満の重複しないアミノ酸残基、または1つのみの重複しないアミノ酸残基を含む)に結合し得る。2つの抗体が同種抗原への結合に対してお互いに競合するか否かは、当技術分野において周知である競合アッセイによって判定することができる。
【0151】
いくつかの例において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、上記に一覧される例示的抗体と同じVHおよび/またはVL CDRを含む。同じVHおよび/またはVL CDRを有する2つの抗体とは、同じアプローチ(例えば、当技術分野において既知であるKabatアプローチまたはChothiaアプローチ)によって判定される場合にそれらのCDRが同一であることを意味する。そのような抗デルタ1抗体は、本明細書に記載の例示的抗体と比較して同じVH、同じVL、またはその両方を有し得る。
【0152】
本明細書において開示される例示的抗デルタ1抗体のいずれかの機能性バリアントも、本開示の範囲内である。そのような機能性バリアントは、構造的および機能的の両方において、例示的抗体と実質的に同様である。機能性バリアントは、例示的抗体と実質的に同じVHおよび/またはVL CDRを含む。例えば、機能性バリアントは、抗体の全CDR領域において最大で10まで(例えば、9、8、7、6、5、4、3、2、または1)のアミノ酸残基の変形のみを含み得、ならびに、実質的に同じ親和性を有する(例えば、同じ桁のKD値を有する)デルタ1の同じエピトープに結合する。あるいは、またはさらに、アミノ酸残基の変形は、アミノ酸残基の保存的置換(conservative amino acid residue substitutions)である。本明細書で使用される場合、「アミノ酸残基の保存的置換」は、アミノ酸置換が為されるタンパク質の相対な電荷またはサイズの特徴を変更しないアミノ酸置換を意味する。バリアントは、当業者に既知のポリペプチド配列を変更する方法に従って調製することができ、そのような方法は、そのような方法を編集する参考文献、例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, J. Sambrookら, eds., Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989、またはCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubelら, eds., John Wiley & Sons, Inc., New York、に見出される。アミノ酸の保存的置換としては、以下の群:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;および(g)E、Dの内のアミノ酸に対して為される置換が挙げられる。
【0153】
いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、本明細書に記載の例示的抗体のVH CDRと比較したときに個別にまたは集合的に少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、または98%)の配列同一性である重鎖CDRを含み得る。あるいは、またはさらに、抗デルタ1抗体は、本明細書に記載の例示的抗体のVH CDRと比較したときに個別にまたは集合的に少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、または98%)の配列同一性である軽鎖CDRを含み得る。「個別に」は、抗体の1つの特定の重鎖または軽鎖CDRが、例えば、本明細書において開示される、例示的抗体における対応する重鎖または軽鎖CDRに対して記載される配列同一性を共有することを意味する。「集合的に」は、抗体の3つの重鎖または軽鎖CDRが、全部合わせて、例示的抗体、例えば、本明細書に記載のもの、における対応する重鎖または軽鎖CDRに対して記載される配列同一性を共有することを意味する。そのような抗体は、本明細書に記載の、重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3モチーフのうちの1つまたは複数ならびに/あるいは軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3モチーフのうちの1つまたは複数、例えば、本明細書に記載の、重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3モチーフの全てならびに/あるいは軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3モチーフの全て、も含み得る。
【0154】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、本明細書に記載の例示的抗体のVHに対して少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、または98%)の配列同一性を有するVHを含み得る。あるいは、またはさらに、抗デルタ1抗体は、本明細書に記載の例示的抗体のVLに対して少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、または98%)の配列同一性を有するVLを含み得る。そのような抗体は、本明細書に記載の、重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3モチーフのうちの1つまたは複数ならびに/あるいは軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3モチーフのうちの1つまたは複数、例えば、本明細書に記載の、重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3モチーフの全てならびに/あるいは軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3モチーフの全て、も含み得る。
【0155】
2つのアミノ酸配列の「パーセント同一性」は、Karlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873~77, 1993におけるように修正されたKarlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264~68, 1990のアルゴリズムを使用して判定される。そのようなアルゴリズムは、Altschulら. J. Mol. Biol. 215:403~10, 1990のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み入れられる。BLASTタンパク質検索は、目的のタンパク質分子と相同のアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラムによって、スコア=50、ワード長=3において実施することができる。2つの配列の間にギャップが存在する場合、Altschulら, Nucleic Acids Res. 25(17):3389~3402, 1997において説明されるように、Gapped BLASTを利用することができる。BLASTプログラムおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを使用することができる。
【0156】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体のいずれかの重鎖は、重鎖定常領域(CH)またはその一部(例えば、CH1、CH2、CH3、またはそれらの組合せ)をさらに含み得る。重鎖定常領域は、任意の好適な起源、例えば、ヒト、マウス、ラット、またはウサギ、のものであり得る。特定の一例において、重鎖定常領域は、本明細書に記載の任意のIgGサブファミリー、例えば、IgG1など、のヒトIgG(ガンマ重鎖)に由来する。エフェクター機能を調整するための、抗体の重鎖におけるいくつかの突然変異が、当技術分野において既知である(例えば、表1に一覧され、Wangら, Protein Cell 2018, 9(1):63~73に記載されるようなもの、なお、当該文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)。
【0157】
含むための特定の突然変異のように、ADCC、ADCP、およびCDCを増強するために存在する多くの既知の突然変異が存在する。本発明者は、これらの全てを詳述する総括書を添付している(表1を参照されたい)。ヒトIgG1重鎖突然変異の非限定的な例としては、(1)E333A突然変異(FcγRIIIaへの結合の増加ならびにADCCおよびCDCの増加);(2)S239D/A330L/I332E突然変異(FcγRIIIaへの結合の増加およびADCCの増加);(3)K326W/E333S突然変異(C1qへの結合の増加およびCDCの増加);(4)S239D/I332E/G236A突然変異(FcγRIIa/FcγRIIb比の増加およびマクロファージ食作用の増加)が挙げられる。あるいは、LALA突然変異は、全てのエフェクター機能、即ち、ADCC、ADCP、およびCDCに対する本質的機能、を妨げる。hIgG1 LALA配列は、2つの突然変異L234AおよびL235A(EU付番)を含み、それは、補体C1qの結合を無効にするために、FcgR結合ならびにP329G突然変異(EU付番)を抑制し、その結果、全ての免疫エフェクター機能を無効にする。IgG4 istThe hIgG4 Fabアーム交換突然変異体(Arm Exchange Mutant)配列における例示的突然変異としては、Fabアーム交換(S228P;EU付番)を抑制する突然変異が挙げられる。製造目的のためには、下記の重鎖配列におけるC末端リシン(「K」)残基を欠失させることが望ましくあり得る。したがって、いくつかの実施形態において、下記に提示される重鎖配列のそれぞれに、C末端リシン(「K」)残基は存在し得ない。一例において、定常領域は、ヒトIgG1に由来し、その例示的重鎖アミノ酸配列は、下記において提供される(配列番号31)。いくつかの実施形態において、上記の1~4において説明した突然変異の1つまたは複数が導入される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体の重鎖定常領域は、定常領域(例えば、配列番号31、74~77)の単一のドメイン(例えば、CH1、CH2、またはCH3)または単一のドメインのいずれかの組合せを含み得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体の軽鎖定常領域は、定常領域(例えば、配列番号73)の単一のドメイン(例えば、CL)を含み得る。例示的軽鎖および重鎖配列が下記に一覧される。
【0158】
【0159】
【0160】
本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、本開示の抗デルタ1抗体は、配列番号73の配列を有する軽鎖定常領域を含み得る。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、本開示の抗デルタ1抗体は、配列番号31の配列を有する重鎖定常領域を含み得る。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、本開示の抗デルタ1抗体は、配列番号74の配列を有する重鎖定常領域を含み得る。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、本開示の抗デルタ1抗体は、配列番号75の配列を有する重鎖定常領域を含み得る。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、本開示の抗デルタ1抗体は、配列番号76の配列を有する重鎖定常領域を含み得る。
【0161】
いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、配列番号78に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性である軽鎖配列を有する。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、配列番号79に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性である重鎖配列を有する。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、配列番号78を含む軽鎖配列を有する。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、配列番号79を含む重鎖配列を有する。いくつかの実施形態において、単離された抗体は、実質的に配列番号78からなるかまたは配列番号78からなる軽鎖配列を有する。いくつかの実施形態において、単離された抗体は、実質的になる配列番号79からかまたは配列番号79からなる重鎖配列を有する。
【0162】
いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、配列番号78に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性である軽鎖配列を有し、ならびに配列番号79に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性である重鎖配列を有する。いくつかの実施形態において、単離された抗体は、配列番号78を含む軽鎖配列と配列番号79を含む重鎖配列とを有する。いくつかの実施形態において、単離された抗体は、実質的に配列番号78からなる軽鎖配列と実質的に配列番号79からなる重鎖配列とを有する。いくつかの実施形態において、単離された抗体は、配列番号78からなる軽鎖配列と配列番号79からなる重鎖配列とを有する。
【0163】
いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、配列番号31の配列を有する定常領域と配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域とを含む重鎖配列を有する。いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号31の配列を有する定常領域と配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域とを含む重鎖配列に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性である重鎖配列を有する。
【0164】
いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、配列番号73の配列を有する定常領域と配列番号4、5、6,7、8、9,10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列を有するVL領域とを含む軽鎖配列を有する。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、配列番号31の配列を有する定常領域と配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列を有するVL領域とを含む軽鎖配列に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性である軽鎖配列を有する。
【0165】
いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、配列番号31の配列を有する定常領域と配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域とを含む重鎖配列を有する。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、配列番号73の配列を有する定常領域と配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列を有するVL領域とを含む軽鎖配列を有する。いくつかの実施形態において、単離された抗体は、実質的に配列番号31の配列を有する定常領域と配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域とからなるか、あるいは配列番号31の配列を有する定常領域と配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域とからなる、重鎖配列を有する。いくつかの実施形態において、単離された抗体は、実質的に配列番号73の配列を有する定常領域と配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列を有するVL領域とからなるか、あるいは配列番号73の配列を有する定常領域と配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列を有するVL領域とからなる、軽鎖配列を有する。
【0166】
いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、配列番号31の配列を有する定常領域と配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域とを含む重鎖配列に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性である重鎖配列を有し、ならびに、配列番号73の配列を有する定常領域と配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列を有するVL領域とを含む軽鎖配列に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性である軽鎖配列を有する。いくつかの実施形態において、単離された抗体は、配列番号31の配列を有する定常領域および配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域を含む重鎖配列と、配列番号73の配列を有する定常領域および配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列を有するVL領域を含む軽鎖配列とを有する。いくつかの実施形態において、単離された抗体は、実質的に配列番号31の配列を有する定常領域および配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域からなる重鎖配列と、実質的に配列番号73の配列を有する定常領域および配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列を有するVL領域からなる軽鎖配列とを有する。いくつかの実施形態において、単離された抗体は、配列番号31の配列を有する定常領域および配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域からなる重鎖配列と、配列番号73の配列を有する定常領域および配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列を有するVL領域からなる軽鎖配列とを有する。
【0167】
いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、配列番号31の配列を有する定常領域と配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域とを含む重鎖配列を有する。いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号31の配列を有する定常領域と配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域とを含む重鎖配列に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性である重鎖配列を有する。
【0168】
いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、配列番号73の配列を有する定常領域と配列番号9の配列を有するVL領域とを含む軽鎖配列を有する。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、配列番号31の配列を有する定常領域と配列番号9の配列を有するVL領域とを含む軽鎖配列に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性である軽鎖配列を有する。
【0169】
いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、配列番号31の配列を有する定常領域と配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域とを含む重鎖配列を有する。いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、配列番号73の配列を有する定常領域と配列番号9の配列を有するVL領域とを含む軽鎖配列を有する。いくつかの実施形態において、単離された抗体は、実質的に配列番号31の配列を有する定常領域と配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域とからなるか、あるいは配列番号31の配列を有する定常領域と配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域とからなる、重鎖配列を有する。いくつかの実施形態において、単離された抗体は、実質的に配列番号73の配列を有する定常領域と配列番号49の配列を有するVL領域とからなるか、あるいは配列番号73の配列を有する定常領域と配列番号9の配列を有するVL領域とからなる、軽鎖配列を有する。
【0170】
いくつかの実施形態において、抗デルタ1抗体は、配列番号31の配列を有する定常領域と配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域とを含む重鎖配列に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性である重鎖配列を有し、ならびに、配列番号73の配列を有する定常領域と配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列を有するVL領域とを含む軽鎖配列に対して少なくとも80%または85%(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、または少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性である軽鎖配列を有する。いくつかの実施形態において、単離された抗体は、配列番号31の配列を有する定常領域および配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域を含む重鎖配列と、配列番号73の配列を有する定常領域および配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列を有するVL領域を含む軽鎖配列とを有する。いくつかの実施形態において、単離された抗体は、実質的に配列番号31の配列を有する定常領域および配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域からなる重鎖配列と、実質的に配列番号73の配列を有する定常領域および配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列を有するVL領域から実質的になる軽鎖配列とを有する。いくつかの実施形態において、単離された抗体は、配列番号31の配列を有する定常領域および配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択される配列を有するVH領域からなる重鎖配列と、配列番号73の配列を有する定常領域および配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される配列を有するVL領域からなる軽鎖配列とを有する。
【0171】
必要であれば、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、改変された定常領域を含んでもよい。例えば、抗デルタ1抗体は、免疫学的に不活性である改変された定常領域、例えば、補体媒介型溶解を引き起こさないか、または抗体依存性細胞媒介型細胞傷害(ADCC)を刺激しない、改変された定常領域を含んでもよい。他の実施形態において、定常領域は、Eur. J. Immunol. (1999) 29:2613~2624; PCT Application No. PCT/GB99/01441;および/またはUK Patent Application No. 9809951.8に記載されるように改変される。他の例において、本明細書に記載の抗体は、増強されたADCC活性を有する改変された定常領域を含んでもよい。したがって、本明細書に記載の抗デルタ1抗体は、エフェクター機能を向上させる、即ち、補体媒介性溶解を向上させ、抗体依存性細胞媒介型細胞傷害(ADCC)の刺激を向上させる、改変された定常領域を含むことができる。いくつかの実施形態において、抗体は、IgG1分子であり、ならびに上記の1~4においてまたはWangらにおいて説明される1つまたは複数の突然変異を含む。ADCC活性は、米国特許第5,500,362号において開示される方法を使用して評価することができる。
【0172】
本明細書に記載の抗デルタ1抗体のいずれも、軽鎖を含み得、それはさらに、当技術分野において既知の任意のCLであり得る軽鎖定常領域を含む。いくつかの例において、CLは、κ軽鎖である。他の例において、CLは、λ軽鎖である。
【0173】
抗体の重鎖および軽鎖定常領域は、当技術分野において周知であり、例えば、IMGTデータベース(www.imgt.org)またはwww.vbase2.org/vbstat.phpにおいて提供されるものであり、なお、両方とも、参照により本明細書に組み入れられる。
【0174】
抗デルタ1抗体の調製
本明細書に記載のγδTCRのデルタ-1鎖に結合することができる抗体は、当技術分野において既知の任意の方法によって作製することができる。例えば、Harlow and Lane, (1998) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New Yorkを参照されたい。
【0175】
いくつかの実施形態において、標的抗原(例えば、ヒトなどの好適な種のデルタ-1鎖またはその断片)に対して特異的な抗体は、従来のハイブリドーマ技術によって作製することができる。必要に応じてKLHなどの担体タンパク質に結合させた完全長の標的抗原またはその断片を使用することにより、その抗原に結合する抗体を生成するために宿主動物を免疫することができる。宿主動物の免疫化の経路およびスケジュールは、概して、本明細書においてさらに説明されるように、抗体の刺激および産生のための確立された従来技術によって維持される。マウス抗体、ヒト化抗体、およびヒト抗体の作製のための一般的技術は、当技術分野において既知であり、ならびに本明細書に記載される。ヒトを含む任意の哺乳動物対象またはそれらからの抗体を産生する細胞は、ヒトハイブリドーマ細胞系を含む、哺乳動物の生成のための基礎としての役割を果たすように操作することができることが想到される。典型的には、宿主動物は、ある量、例えば、本明細書に記載のような量、の免疫原によって、腹腔内、筋肉内、経口、皮下、足底内、および/または皮内において接種される。
【0176】
ハイブリドーマは、Kohler, B. and Milstein, C. (1975) Nature 256:495~497の一般的体細胞交配技術を使用して、またはBuck, D. W., et al., In Vitro, 18:377-381 (1982)によって修正されるように、リンパ球および不死化骨髄細胞から調製することができる。利用可能な骨髄腫系、例えば、これらに限定されるわけではないが、X63-Ag8.653およびソーク研究所細胞頒布センター(Salk Institute, Cell Distribution Center)(サンディエゴ、カリフォルニア、米国)から入手可能なものなど、は、交配に使用され得る。概して、当該技術は、ポリエチレングリコールなどのフソゲンを使用して、または当業者に周知の電気的手段により、骨髄細胞およびリンパ系細胞を融合させることを伴う。融合後、当該細胞は、非交配親細胞を除去するために、融合培地から分離され、選択的培養培地、例えば、ヒポキサンチン-アミノプテリンチミジン(HAT)培地など、において増殖される。血清を補ったまたは補わない、本明細書に記載の任意の培地のいずれも、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを培養するために使用することができる。細胞融合技術の別の代替手段として、本明細書に記載の抗デルタ1モノクローナル抗体を製造するために、EBV不死化B細胞が使用され得る。ハイブリドーマは、所望であれば、増殖され、サブクローニングされ、ならびに、従来の免疫学的手順(例えば、ラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ、または蛍光イムノアッセイ)によって、上清が、抗免疫原活性に対してアッセイされる。
【0177】
抗体の供給源として使用され得るハイブリドーマは、全ての誘導体、デルタ1(γδT細胞)活性を妨げることができるモノクローナル抗体を産生する親ハイブリドーマの子孫細胞を包含する。そのような抗体を産生するハイブリドーマは、既知の手順を使用して、インビトロまたはインビボにおいて培養され得る。所望であれば、モノクローナル抗体は、従来の免疫グロブリン精製手順、例えば、硫安沈殿法、ゲル電気泳動法、透析、クロマトグラフィー、および限外ろ過など、によって、培養培地または体液から単離され得る。望ましくない活性が存在する場合、例えば、固体相に取り付けられた免疫原で作製された吸着材の上を当該調製物に通過させ、所望の抗体を当該免疫原から溶離または放出させることによって、除去することができる。免疫される種において免疫原性であるタンパク質にコンジュゲートされた標的アミノ酸を含有する標的抗原または断片、例えば、キーホールリンペットヘモシニアン、血清アルブミン、ウシチログロブリン、またはダイズトリプシン阻害因子など、による、二官能誘導体化剤、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基によるコンジュゲーション)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基による)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl、またはR1N=C=NR[式中、RおよびR1は、異なるアルキル基である]、などを使用した、宿主細胞の免疫化は、抗体(例えば、モノクローナル抗体)の集団をもたらすことができる。
【0178】
所望であれば、(例えば、ハイブリドーマによって産生された)目的の抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)を配列決定してもよく、次いで、発現または増殖のために、ポリヌクレオチド配列をベクターにクローンしてもよい。目的の抗体をコードする配列は、宿主細胞においてベクター内に維持され得、次いで、将来の使用のために、宿主細胞を増殖させて凍結することができる。代替策において、遺伝子操作によって、抗体を「ヒト化する」ために、または抗体の親和性(親和性成熟)または他の特性を改良するために、ポリヌクレオチド配列は使用され得る。例えば、当該抗体が人において臨床試験および処置に使用される場合に免疫反応を避けるため、ヒト定常領域によりいっそう類似するように、定常領域が操作され得る。標的抗原に対するより高い親和性と、標的ガンマδ1TCRの活性(したがって、標的ガンマδT細胞の活性)の阻害におけるさらなる有効性とを得るために、当該抗体配列を遺伝子操作することは望ましくあり得る。当該抗体に対して1つまたは複数のポリヌクレオチド変化を為すことができ、依然として、標的抗原に対する結合特異性を維持することができることは、当業者には明らかであろう。
【0179】
他の実施形態において、完全ヒト抗体は、特異的ヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように操作されている市販のマウスを使用することによって得ることができる。ヒト化抗体またはヒト抗体の生成のために、より望ましい(例えば、完全ヒト抗体)またはより堅牢な免疫応答を生じるように設計されたトランスジェニック動物も使用され得る。そのような技術の例は、Amgen, Inc.(フレモント、カリフォルニア)のXenomouse(登録商標)およびMedarex, Inc.(プリンストン、ニュージャージー州)のHuMAb-Mouse(登録商標)およびTC Mouse(商標)である。別の代替策において、抗体は、ファージディスプレイ技術または酵母技術によって遺伝子組換え的に作製され得る。例えば、米国特許第5,565,332号;同第5,580,717号;同第5,733,743号;および同第6,265,150号;ならびにWinterら, (1994) Annu. Rev. Immunol. 12:433~455を参照されたい。あるいは、非免疫ドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、インビトロにおいてヒト抗体および抗体断片を作製するために、ファージディスプレイ技術(McCaffertyら, (1990) Nature 348:552~553)を使用することができる。
【0180】
あるいは、本明細書に記載の標的抗原に結合することができる抗体は、日常的業務によって好適な抗体ライブラリーから単離され得る。複数の抗体成分を含む抗体ライブラリーを使用することにより、当技術分野で既知の日常的選択プロセスの後に特定の標的抗原(例えば、この場合ではデルタ-1鎖のエピトープ)に結合する抗体を特定することができる。当該選択プロセスでは、標的抗原またはその断片によって抗体ライブラリーを調べることができ、ならびに、典型的には支持体上での保持によって、標的抗原に結合することができる当該ライプラリーのメンバーを単離することができる。そのようなスクリーニングプロセスは、標的抗原に結合することができる抗体のプールを富化するために、複数のラウンド(例えば、ポジティブ選択およびネガティブ選択の両方を含む)によって実施され得る。次いで、富化された当該プールの個々のクローンを単離することができ、さらに、所望の結合活性および生物活性を有するものを特定するために特徴付けることができる。重鎖および軽鎖可変ドメインの配列も、従来の方法論によって判定することができる。
【0181】
本明細書に記載の標的抗原に結合することができる抗体を特定および単離するための、当技術分野において既知のいくつかの日常的方法、例えば、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、リボソーマルディスプレイ、または哺乳動物ディスプレイ技術など、が存在する。
【0182】
一例として、ファージディスプレイは、通常、タンパク質(例えば、抗体)成分をバクテリオファージ外皮タンパク質に結合させるために共有結合を使用する。当該結合は、外皮タンパク質に融合した抗体成分をコードする核酸の翻訳によって生じる。当該結合は、柔軟なペプチドリンカー、プロテアーゼ部位、または停止コドンの抑制の結果として組み入れられたアミノ酸を含み得る。ファージディスプレイは、例えば、米国特許第5,223,409号;Smith (1985) Science 228:1315~1317; 国際公開第92/18619号;国際公開第91/17271号;国際公開第92/20791号;国際公開第92/15679号;国際公開第93/01288号;国際公開第92/01047号;国際公開第92/09690号;国際公開第90/02809号;de Haardら (1999) J. Biol. Chem 274:18218~30; Hoogenboomら (1998) Immunotechnology 4:1~20;Hoogenboomら (2000) Immunol Today 2:371~8、およびHoetら (2005) Nat Biotechnol. 23(3)344~8 に記載される。タンパク質成分を表示するバクテリオファージは、標準的ファージ調製方法、例えば、増殖培地からのPEG沈殿など、を使用して増殖させ回収することができる。個々のディスプレイファージの選択後、選択されたタンパク質成分をコードする核酸は、増幅後に当該選択されたファージに感染した細胞またはファージ自体から単離することができる。個々のコロニーまたはプラークを選択することができ、次いで、当該核酸が単離され、配列決定され得る。
【0183】
他のディスプレイ形式としては、細胞ベースのディスプレイ(例えば、国際公開第03/029456号を参照されたい)、タンパク質-核酸融合(例えば、米国特許第6,207,446号を参照されたい)、リボソームディスプレイ(例えば、Mattheakisら (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:9022およびHanesら (2000) Nat Biotechnol. 18:1287~92; Hanesら (2000) Methods Enzymol. 328:404~30;およびSchaffitzelら (1999) J Immunol Methods. 231(1-2):119~35を参照されたい)、および大腸菌周辺質ディスプレイ(J Immunol Methods. 2005 Nov 22;PMID: 16337958)、および酵母ディスプレイ(Feldhausら, Nat Biotechnol. 2003;21:163~70)が挙げられる。標的抗原への結合のためにディスプレイライブラリーのメンバーが単離された後、単離された各ライブラリーメンバーも、非標的分子に結合するその能力に対して試験することにより、その結合特異性を評価することができる。非標的分子の例としては、磁性ビーズ上のストレプトアビジン、遮断剤、例えば、ウシ血清アルブミン、無脂肪牛乳、大豆タンパク質、任意の捕捉性もしくは標的固定性のモノクローナル抗体、または標的を発現しない非トランスフェクト細胞が挙げられる。例えば、ハイスループットELISAスクリーンを使用することにより、当該データを得ることができる。当該ELISAスクリーンは、標的への各ライブラリーメンバーの結合、ならびに標的または標的抗原のサブユニットに対する交差種の反応性のための定量データを得るためにも使用することができる。非標的結合データおよび標的結合データは、標的に特異的に結合するライブラリーメンバーを特定するために比較される(例えば、コンピュータおよびソフトウェアを使用して)。
【0184】
標的に結合する候補のライブラリーメンバーを選択した後、各候補ライブラリーメンバーをさらに分析することにより、例えば、標的、例えば、デルタ1鎖(本明細書においてデルタ1とも呼ばれる)など、に対するその結合特性をさらに特徴付けることができる。各候補ライブラリーメンバーに、1つまたは複数の二次スクリーニングアッセイを実施することができる。当該アッセイは、結合特性、触媒特性、阻害特性、生理学的性質(例えば、細胞毒性、腎クリアランス、免疫原生)、構造特性(例えば、安定性、立体構造、オリゴマー化状態)、または別の機能的特性に対してであり得る。同じアッセイを繰り返して使用することができるが、例えば、pH、イオン性、または熱感度を判定するために、条件を変えて行うこともできる。
【0185】
適切であれば、当該アッセイは、直接的にディスプレイライブラリーメンバーを、あるいは、選択されたポリペプチドをコードする核酸から産生された組換えポリペプチド、または選択されたポリペプチドの配列に基づいて合成された合成ペプチドを使用することができる。選択されたFabの場合、当該Fabは、無傷IgGタンパク質として、評価することができ、または改変および産生することができる。結合特性に対する例示的アッセイは、下記において説明される。
【0186】
結合タンパク質も、ELISAアッセイを使用することで評価することができる。例えば、各タンパク質は、標的、例えば、限界量の標的、でコーティングされている底面を有するマイクロタイタープレートに接触される。非特異的に結合したポリペプチドを除去するために、当該プレートは緩衝剤で洗浄される。次いで、プレート上の標的に結合した結合タンパク質の量が、当該結合タンパク質を認識することができる抗体、例えば、タグまたは当該結合タンパク質の定常部分、によって当該プレートを調べることによって、判定される。当該抗体は、検出システム(例えば、適切な基質が提供された場合に比色生成物を産生するアルカリ性ホスファターゼまたはセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)などの酵素)に結合される。
【0187】
あるいは、本明細書に記載の結合タンパク質の、標的抗原に結合する能力は、ホモジニアスアッセイを使用して分析することができ、即ち、当該アッセイの全ての成分を加えた後、さらなる流体操作は必要ない。例えば、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)をホモジニアスアッセイとして使用することができる(例えば、Lakowiczら, 米国特許第5,631,169号; Stavrianopoulosら, 米国特許第4,868,103号を参照されたい)。第2の分子が第1の分子に近接する場合に、その放出された蛍光エネルギーを、第2の分子(例えば、標的)上の蛍光標識によって吸収することができるように、第1の分子(例えば、当該分画において特定された分子)上のフルオロフォア標識が選択される。第2の分子上の蛍光標識は、移動したエネルギーを吸収したとき、蛍光を発する。標識間でのエネルギー移動の効率は、分子を離間する距離に関連するため、分子の間の空間関係を評価することができる。結合が分子の間で生じる状況において、当該アッセイにおける「アクセプター」分子標識の蛍光発光は、最大であるべきである。FRETによるモニタリングのために構成される結合事象は、標準的蛍光定量検出手段、例えば、蛍光光度計を使用することにより、簡便に測定することができる。第1の結合分子または第2の結合分子の量を滴定することにより、結合曲線を作製することで、平衡結合定数を推定することができる。
【0188】
表面プラズモン共鳴法(SPR)を使用することにより、結合タンパク質と標的抗原との相互作用を分析することができる。SPRまたは生体分子間相互作用解析(BIA)は、相互作用のいずれも標識することなく、リアルタイムにおいて生物特異的相互作用を検出する。BIAチップの結合表面での質量の変化(結合事象を示す)は、結果として、表面近くでの光の屈折率の変調を生じる(SPRの光学現象)。屈折率における変化は、検出可能な信号を発生させ、その信号は、生体分子の間でのリアルタイムの反応を示すものとして測定される。SPRを使用する方法は、例えば、米国特許第5,641,640号;Raether, 1988, Surface Plasmons Springer Verlag;Sjolander and Urbaniczky, 1991, Anal. Chem. 63:2338~2345;Szaboら, 1995, Curr. Opin. Struct. Biol. 5:699~705に記載されており、オンラインリソースは、BIAcore International AB(ウプサラ、スウェーデン)によって提供される。
【0189】
SPRからの情報は、平衡解離定数(KD)の正確で定量的な測定、および標的への結合タンパク質の結合に対する動態パラメーター、例えば、KonおよびKoffなど、を提供するために使用することができる。そのようなデータは、異なる生体分子を比較するために使用することができる。例えば、発現ライブラリーから選択されたタンパク質を比較することにより、標的に対して高い親和性を有するかまたは遅いKoffを有するタンパク質を特定することができる。この情報も、構造-活性相関(SAR)を開発するために使用することができる。例えば、親タンパク質の成熟形態の動態パラメーターおよび平衡結合パラメーターは、親タンパク質のパラメーターと比較することができる。特定の結合パラメーター、例えば、高い親和性および遅いKoffなど、と相関する所定の位置のバリアントアミノ酸を特定することができる。この情報は、(例えば、相同性モデリング、エネルギー最小化、またはX線結晶構造解析もしくはNMRによる構造決定を使用して)構造モデリングと組み合わせることができる。結果として、他の設計プロセスを誘導するために、タンパク質とその標的との間の物理的相互作用の理解を定式化し使用することができる。
【0190】
さらなる例として、細胞アッセイが使用され得る。細胞表面上の目的の標的を一時的にまたは安定して発現および表示する細胞に結合する能力に対して、結合タンパク質をスクリーニングすることができる。例えば、デルタ1結合タンパク質は、蛍光標識することができ、ならびに、アンタゴニスト抗体の存在下または不在下でのデルタ1への結合は、フローサイトメトリー、例えば、FACS装置、を使用した蛍光強度の変化によって検出することができる。
【0191】
無傷抗体(完全長抗体)の抗原結合性断片は、日常的方法によって調製することができる。例えば、F(ab’)2断片は、抗体分子のペプシン消化によって作製することができ、Fab断片は、F(ab’)2断片のジスルフィド結合を還元することによって生成させることができる。
【0192】
遺伝子操作された抗体、例えば、ヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、および二重特異性抗体など、は、例えば、従来の組換え技術によって作製することができる。一例において、標的抗原に対して特異的なモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して容易に単離し配列決定することができる(例えば、モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)。単離された後、当該DNAは、1つまたは複数の発現ベクターに入れられ得、次いで、組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体の合成を得るために、トランスフェクトしなければ免疫グロブリンを産生しない宿主細胞、例えば、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター(CHO)細胞、または骨髄細胞など、にトランスフェクトされる。例えば、PCT国際公開第87/04462号を参照されたい。次いで、当該DNAは、例えば、相同マウス配列の代わりに、ヒト重鎖および軽鎖定常ドメインをコード配列で置換することによって、Morrisonら, (1984) Proc. Nat. Acad. Sci. 81:6851、あるいは、非免疫グロブリンポリペプチドに対してコード配列の全てまたは一部を免疫グロブリンコード配列に共有結合させることによって、改変することができる。その方法では、標的抗原の結合特異性を有する遺伝子操作された抗体、例えば、「キメラ」または「ハイブリッド」抗体を調製することができる。
【0193】
「キメラ抗体」の作製のために開発された技術は、当技術分野において周知である。例えば、Morrisonら (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81, 6851; Neubergerら (1984) Nature 312, 604;およびTakedaら (1984) Nature 314:452を参照されたい。
【0194】
ヒト化抗体を構築する方法も、当技術分野において周知である。例えば、Queenら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:10029~10033 (1989)を参照されたい。一例において、親非ヒト抗体のVHおよびVLの可変領域は、当技術分野において既知の方法に従って三次元分子モデリング分析が行われる。次に、正しいCDR構造の形成にとって重要であると予想されるフレームワークアミノ酸残基が、同じ分子モデリング分析を使用して特定される。並行して、親非ヒト抗体のアミノ酸配列と相同であるアミノ酸配列を有するヒトVHおよびVL鎖が、検索クエリーとして親VHおよびVL配列を使用する任意の抗体遺伝子データベースから特定される。次いで、ヒトVHおよびVL受容体遺伝子が選択される。
【0195】
選択されたヒト受容体遺伝子内のCDR領域は、親非ヒト抗体またはその機能性バリアントからのCDR領域で置き換えることができる。必要であれば、ヒト受容体遺伝子における対応する残基を置換するために、当該CDR領域との相互作用において重要であると予想される親鎖のフレームワーク領域内の残基を(上記の説明を参照されたい)使用することができる。
【0196】
一本鎖抗体は、重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列と軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列とを連結することによって、組換え技術により調製することができる。好ましくは、柔軟なリンカーが、当該2つの可変領域の間に組み入れられる。あるいは、ファージまたは酵母scFvライブラリーを作製するために、一本鎖抗体の製造のために説明される技術(米国特許第4,946,778号および同第4,704,692号)を適合させることができ、ならびにデルタ1に対して特異的なscFvクローンは、日常的手順に従って当該ライブラリーから特定することができる。ポジティブクローンに、さらなるスクリーニングを施すことにより、ガンマδT細胞活性を阻害するものを特定することができる。
【0197】
いくつかの例において、本明細書に記載の抗デルタ1抗体のいずれも、二重特異的または三重特異的抗体の結合部分であり得る。他の例において、当該抗デルタ1抗体のいずれも、T細胞などの免疫細胞上に発現することができる、キメラ抗原受容体(CAR)を構築するために使用することができる。任意の二重特異的抗体、または抗デルタ1抗体を含むCAR-T細胞も、本開示の範囲内である。
【0198】
当技術分野において既知であり本明細書に記載の方法に従って得られる抗体は、当技術分野において周知の方法を使用して特徴付けることができる。例えば、1つの方法は、抗原が結合するエピトープ、または「エピトープマッピング」を特定することである。タンパク質上のエピトープの位置をマッピングするためおよび特徴付けるための、そのようなものとしては、例えば、Chapter 11 of Harlow and Lane, Using Antibodies, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1999に記載されるように、抗体-抗原複合体の結晶構造を解明すること、競合アッセイ、遺伝子断片発現アッセイ、および合成ペプチドに基づくアッセイ、など、が挙げられる。さらなる例において、エピトープマッピングは、抗体が結合する配列を特定するために使用することができる。当該エピトープは、直鎖状エピトープ、即ち、単一の一続きのアミノ酸に含まれるエピトープ、あるいは、必ずしも単一の一続きのアミノ酸(一次構造線形配列)に含まれるとは限らないアミノ酸の三次元相互作用によって形成される構造的エピトープ(conformational epitope)であり得る。様々な長さ(例えば、少なくとも4~6のアミノ酸長)のペプチドを、単離または合成(例えば、組換え的に)することができ、ならびに抗体を用いた結合アッセイに使用することができる。別の例において、当該抗体が結合するエピトープは、標的抗原配列に由来する重複するペプチドを使用し、当該抗体による結合を判定することにより、系統的スクリーニングにおいて判定することができる。遺伝子断片発現アッセイによれば、標的抗原をコードするオープンリーディングフレームは、ランダムに、または特異的遺伝的構築によって断片化され、試験される抗体との当該発現された抗原の断片の反応性が判定される。当該遺伝子断片が、例えば、PCRによって作製され得、次いで、放射性アミノ酸の存在下において、インビトロにおいてタンパク質へと転写および翻訳され得る。次いで、放射活性物質で標識した抗原断片への当該抗原の結合が、免疫沈降法およびゲル電気泳動法によって判定される。ある特定のエピトープは、ファージ粒子の表面に表示されるランダムペプチド配列の大きなライブラリー(ファージライブラリー)を使用することによっても識別することができる。あるいは、単一の結合アッセイにおいて試験抗体に対する結合について、重複するペプチド断片における定義されたライブラリーを試験することができる。さらなる例において、抗原結合性ドメインの突然変異誘発、ドメイン交換実験、およびアラニンスキャニング突然変異誘発を実施することにより、エピトープの結合に必要とされる、十分なおよび/または必要な残基を特定することができる。例えば、ドメイン交換実験は、デルタ1ポリペプチドの様々な断片が、密接に関係づけられるが抗原的に異なるタンパク質(例えば、βガラクトシド結合可溶性レクチンファミリーの別のメンバーなど)由来の配列で置き換えられている標的抗原の突然変異体を使用して実施することができる。当該突然変異体デルタ1への当該抗体の結合を評価することにより、抗体結合に対する特定の抗原断片の重要性を評価することができる。
【0199】
あるいは、同じ抗原に結合することが知られている他の抗体を使用して競合アッセイを実施することにより、ある抗体が他の抗体と同じエピトープに結合するか否かを判定することができる。競合アッセイは、当業者に周知である。
【0200】
いくつかの例において、抗デルタ1抗体は、下記において例示されるような組換え技術によって調製される。
【0201】
本明細書に記載の抗デルタ1抗体の重鎖および軽鎖をコードする核酸は、1つの発現ベクターにクローンすることができ、この場合、各ヌクレオチド配列は、好適なプロモーターに作動可能に連結された状態にある。一例において、重鎖および軽鎖をコードする各ヌクレオチド配列は、異なるプロモーターに作動可能に連結された状態にある。あるいは、重鎖および軽鎖をコードするヌクレオチド配列は、単一のプロモーターに作動可能に連結された状態にあり、それにより、重鎖および軽鎖の両方は、同じプロモーターから発現される。必要であれば、内部リボソーム侵入部位(IRES)を、配列をコードする重鎖および軽鎖の間に挿入することができる。
【0202】
いくつかの例において、抗体の2つの鎖をコードするヌクレオチド配列は、2つのベクターにクローンされ、それらは、同じ細胞または異なる細胞へと組み入れることができる。2つの鎖が異なる細胞において発現される場合、それらのそれぞれは、それを発現する宿主細胞から単離することができ、単離された重鎖および軽鎖は、混合され得、抗体の形成を可能にする好適な条件下においてインキュベートされ得る。
【0203】
概して、抗体の1つまたは全ての鎖をコードする核酸配列は、当技術分野において既知の方法を使用して、好適なプロモーターと作動可能に連結された好適な発現ベクターにクローンすることができる。例えば、当該ヌクレオチド配列およびベクターを、好適な条件下において、制限酵素と接触させることにより、お互いに対となることができかつリガーゼによって一緒に連結することができる各分子上に、相補的末端を作製することができる。あるいは、合成核酸リンカーを、遺伝子の終端にリゲートすることができる。これらの合成リンカーは、ベクターにおける特定の制限部位に対応する核酸配列を含む。発現ベクター/プロモーターの選択は、抗体の製造において使用される宿主細胞のタイプに依存するであろう。
【0204】
本明細書に記載の抗体の発現のために、様々なプロモーターを使用することができ、その例としては、これらに限定されるわけではないが、サイトメガロウイルス(CMV)中間初期プロモーター、ウイルス性LTR、例えば、ニワトリ肉腫ウイルスLTR、HIV-LTR、HTLV-1 LTR、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、大腸菌lac UV5プロモーター、および単純ヘルペスtkウイルスプロモーターが挙げられる。
【0205】
調節可能なプロモーターも使用することができる。そのような調節可能なプロモーターとしては、lacオペレーター保持哺乳動物細胞プロモーターからの転写を調節するために転写モジュレーターとして大腸菌由来のlacリプレッサーを使用するもの[Brown, M.ら, Cell, 49:603~612 (1987)]、テトラサイクリンリプレッサー(tetR)を使用するもの[Gossen, M., and Bujard, H., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:5547~5551 (1992); Yao, F.ら, Human Gene Therapy, 9:1939~1950 (1998); Shockelt, P.,ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92:6522~6526 (1995)]が挙げられる。他の系としては、FK506二量体、アストラジオール(astradiol)を使用するVP16またはp65、RU486、ジフェノールムリスレロン(diphenol murislerone)、またはラパマイシンが挙げられる。誘導可能な系は、Invitrogen、Clontech、およびAriadから入手可能である。
【0206】
オペロンを伴うリプレッサーを含む調整可能なプロモーターを使用することができる。一実施形態において、大腸菌由来のlacリプレッサーは、哺乳動物細胞における遺伝子発現を制御するためのtetR-tetオペレーター系を作製するためにヒトサイトメガロウイルス(hCMV)主要中間-初期プロモーター由来のtetO保持最小プロモーターを用いて、tetR-哺乳動物細胞転写アクティベーター融合タンパク質tTa(tetR-VP 16)を作製するためにテトラサイクリンリプレッサー(tetR)を転写アクティベーター(VP 16)を組み合わせたlacオペレーター保持哺乳動物細胞プロモーターからの転写を調節するために転写モジュレーターとして機能することができる[M. Brownら, Cell, 49:603~612 (1987)]; Gossen and Bujard (1992); [M. Gossenら, Natl. Acad. Sci. USA, 89:5547~5551 (1992)]。一実施形態において、テトラサイクリン誘導可能スイッチが使用される。テトラサイクリンオペレーターが、CMVIEプロモーターのTATA要素に対して適切に下流に位置される場合、tetR-哺乳動物細胞転写因子融合誘導体よりもむしろ、テトラサイクリンリプレッサー(tetR)は単独で、哺乳動物細胞での遺伝子発現を調整する強力なtransモジュレーターとして機能することができる(Yaoら, Human Gene Therapy, 10(16):1392~1399 (2003))。このテトラサイクリン誘導可能スイッチの特定の利点の1つは、それが、その調整可能な効果を達成するために、場合によっては細胞に対して毒性であり得るテトラサイクリンリプレッサー-哺乳動物細胞トランスアクティベーターまたはリプレッサー融合タンパク質の使用を必要としないことである(Gossenら, Natl. Acad. Sci. USA, 89:5547~5551 (1992); Shockettら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92:6522~6526 (1995))。
【0207】
さらに、当該ベクターは、例えば、下記:選択可能マーカー遺伝子、例えば、哺乳動物細胞における安定なまたは一時的なトランスフェクトの選択のためのネオマイシン遺伝子など;高レベルの転写のためのヒトCMVの中間初期遺伝子由来のエンハンサー/プロモーター配列;mRNA安定性のためのSV40からの転写停止シグナルおよびRNAプロセシングシグナル;複製のSV40ポリオーマ起源および適切なエピソーム複製のためのColE1;内部リボソーム結合部位(IRESes)、多能な多重クローニング部位;およびセンスおよびアンチセンスRNAのインビトロ転写のためのT7およびSP6 RNAプロモーター、のうちのいくつかまたは全てを含むことができる。好適なベクター、および導入遺伝子を含むベクターを作製する方法は、当技術分野において周知であり利用可能である。
【0208】
本明細書に記載の方法を実施するために有用なポリアデニル化シグナルの例としては、これらに限定されるわけではないが、ヒトコラーゲンIポリアデニル化シグナル、ヒトコラーゲンIIポリアデニル化シグナル、およびSV40ポリアデニル化シグナルが挙げられる。
【0209】
抗体のいずれかをコードする核酸を含む1つまたは複数のベクター(例えば、発現ベクター)は、抗体を産生するために好適な宿主細胞に導入され得る。宿主細胞は、抗体またはその任意のポリペプチド鎖の発現のために好適な条件下において培養することができる。そのような抗体またはそのポリペプチド鎖は、従来の方法、例えば、アフィニティー精製など、により、培養された細胞によって(例えば、細胞または培養上清から)回収することができる。必要であれば、抗体のポリペプチド鎖は、抗体の産生を可能する好適な期間において好適な条件下でインキュベートすることができる。
【0210】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体を調製する方法は、本明細書でも説明されるように、抗デルタ1抗体の重鎖および軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターを伴う。組換え発現ベクターは、従来法、例えば、リン酸カルシウム媒介トランスフェクト、によって、好適な宿主細胞(例えば、dhfr-CHO細胞)に導入することができる。ポジティブ形質転換体宿主細胞を選択し、抗体を形成する2つのポリペプチド鎖の発現を可能にする好適な条件下において培養することができ、鎖は、細胞または培養培地から回収することができる。必要であれば、宿主細胞から回収した2つの鎖は、抗体の形成を可能にする好適な条件下においてインキュベートすることができる。
【0211】
一例において、一方は抗デルタ1抗体の重鎖をコードし、他方は抗デルタ1抗体の軽鎖をコードする、2種の組換え発現ベクターが提供される。2つの組換え発現ベクターの両方は、従来法、例えば、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、によって、好適な宿主細胞(例えば、dhfr-CHO細胞)に導入することができる。あるいは、発現ベクターのそれぞれは、好適な宿主細胞に導入することができる。ポジティブ形質転換体を選択し、抗体のポリペプチド鎖の発現を可能にする好適な条件下において培養することができる。2つの発現ベクターが、同じ宿主細胞に導入される場合、そこで産生される抗体は、宿主細胞または培養培地から回収することができる。必要であれば、ポリペプチド鎖は、宿主細胞または培養培地から回収することができ、次いで、抗体の形成を可能にする好適な条件下においてインキュベートすることができる。2つの発現ベクターが、異なる宿主細胞に導入される場合、それらのそれぞれは、対応する宿主細胞または対応する培養培地から回収することができる。2つのポリペプチド鎖は、次いで、抗体の形成に好適な条件下においてインキュベートすることができる。
【0212】
組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞をトランスフェクトし、形質転換体のために選択し、宿主細胞を培養し、ならびに培養培地から抗体を回収するために、標準的分子生物学技術が使用される。例えば、いくつかの抗体は、マトリックスに結合したタンパク質Aまたはタンパク質Gによるアフィニティークロマトグラフィーによって、単離することができる。
【0213】
本明細書に記載の抗デルタ1抗体の重鎖、軽鎖、またはその両方をコードする核酸、それらを含むベクター(例えば、発現ベクター);および当該ベクターを含む宿主細胞、のいずれも、本開示の範囲内である。
【0214】
したがって、調製された抗デルタ1抗体は、当技術分野において既知の方法を使用して、特徴付けることができ、それにより、γδT細胞生物活性の低下、向上、または無力化が、検出および/または測定される。例えば、ELISAタイプのアッセイは、αβT細胞活性化のγδT細胞阻害またはその欠如に対する定性または定量測定に好適であり得る。
【0215】
抗デルタ1抗体の生体活性は、候補の抗体を、刺激された従来の(αβ)T細胞および単離されたγδT細胞とともにインキュベートし、以下の特徴:(a)候補の抗体とγδT細胞との間の結合、(b)その後のT細胞活性化マーカーのレベルの増加;(c)固形腫瘍の任意の面の予防、改善、または処置;(c)γδT細胞活性化のブロッキングまたは低下;ならびに(d)γδT細胞の合成、産生、または放出の阻害(減少)、(e)γδT細胞レベルの減少または枯渇、のうちのいずれか1つまたは複数をモニターすることによって検証することができる。
【0216】
したがって、一態様において、本開示は、本明細書に記載の抗デルタ1抗体のいずれかをコードするかまたは集合的にコードする、単離された核酸または核酸のセットを提供する。場合によって、抗体の重鎖および軽鎖は、2つの別々の核酸分子(核酸のセット)によってコードされる。他の例において、抗体の重鎖および軽鎖は、マルチシストロン形式であり得るかまたは異なるプロモーターの抑制下にあり得る1つの核酸分子によってコードされる。したがって、一態様において、本開示は、本明細書に記載の抗デルタ1抗体の重鎖可変領域(VH)および/または軽鎖可変領域(VL)をコードする1つまたは複数の核酸配列を含む単離された核酸分子を提供する。いくつかの実施形態において、核酸分子は、本明細書に記載の抗デルタ1抗体の重鎖可変領域(VH)をコードする1つまたは複数の核酸配列を含む。あるいは、またはさらに、いくつかの実施形態において、核酸分子は、本明細書に記載の抗デルタ1抗体の軽鎖可変領域(VL)をコードする1つまたは複数の核酸配列を含む。
【0217】
いくつかの実施形態において、単離された核酸は、ガンマ鎖に関係なくデルタ1に結合する抗体をコードする。本明細書に記載の核酸の実施形態のいくつかにおいて、核酸分子は、完全長抗体またはその抗原結合性断片のVHおよび/またはVLをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む。本明細書に記載の核酸の実施形態のいくつかにおいて、核酸分子は、一本鎖抗体のVHおよび/またはVL領域をコードする1つまたは複数の核酸配列を含む。本明細書に記載の核酸の実施形態のいくつかにおいて、核酸分子は、ヒト抗体またはヒト化抗体のVHおよび/またはVLをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む。本明細書に記載の核酸の実施形態のいくつかにおいて、核酸分子は、IgG分子、例えば、IgG1分子、のVHおよび/またはVLをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む。本明細書に記載の核酸の実施形態のいくつかにおいて、核酸分子は、配列番号31として記載されるHC定常領域および/または配列番号71として記載される軽鎖定常領域を含む抗体のVHおよび/またはVLをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む。
【0218】
いくつかの実施形態において、単離された核酸は、ガンマ/デルタT細胞受容体のデルタ1鎖に結合する抗体の重鎖可変領域(VH)および/または軽鎖可変領域(VL)をコードする1つまたは複数の核酸配列を含み、この場合、抗体は、配列番号52、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、および72から選択される配列において記載される重鎖相補性決定領域1(CDR)、配列番号53として記載される重鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号54として記載される重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含み、ならびに/あるいは、配列番号55として記載される軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号56または58として記載される軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号83、84、85、86、87、57、88、89、90、91、92、59、および60から選択される配列において記載される軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む。
【0219】
いくつかの実施形態において、単離された核酸は、ガンマ/デルタT細胞受容体のデルタ1鎖に結合する抗体の重鎖可変領域(VH)および/または軽鎖可変領域(VL)をコードする1つまたは複数の核酸配列、を含み、この場合、抗体は、配列番号5、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、および72から選択される配列において記載される重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号53として記載される重鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号54として記載される重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含み、ならびに/あるいは、配列番号55として記載される軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号56として記載される軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号57として記載される軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む。
【0220】
いくつかの実施形態において、単離された核酸は、ガンマ/デルタT細胞受容体のデルタ1鎖に結合する抗体の重鎖可変領域(VH)および/または軽鎖可変領域(VL)をコードする1つまたは複数の核酸配列を含み、この場合、抗体は、配列番号68として記載される重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号53として記載される重鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号54として記載される重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含み、ならびに/あるいは、配列番号55として記載される軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号56として記載される軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号57として記載される軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む。
【0221】
本明細書に記載の核酸の実施形態のいくつかにおいて、核酸分子は、配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択されるVHおよび/またはVLならびに/あるいは配列番号4、5、6,7、8、9,10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択されるVLを含む抗体のVHをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む。本明細書に記載の核酸の実施形態のいくつかにおいて、核酸分子は、配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択されるVHおよび/またはVLならびに/あるいは配列番号9で説明されるVLを含む抗体のVHをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む。
【0222】
本明細書に記載の核酸の実施形態のいくつかにおいて、核酸分子は、配列番号24として記載されるVHおよび/またはVLならびに/あるいは配列番号9として記載されるVLを含む抗体のVHおよび/またはVLをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む。本明細書に記載の核酸の実施形態のいくつかにおいて、核酸分子は、配列番号55として記載されるVHおよび/またはVLならびに/あるいは、配列番号54として記載されるVLを含む抗体のVHおよび/またはVLをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む。
【0223】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の核酸配列は、配列番号24として記載されるVHおよび配列番号9として記載されるVLならびに配列番号31として記載される重鎖定常領域および配列番号71として記載される軽鎖定常領域、を含む抗体のVHおよび/またはVLをコードする。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の核酸配列は、配列番号79として記載される重鎖および配列番号78として記載される軽鎖を含む抗体のVHおよび/またはVLをコードする。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の核酸配列は、Delta1-39のVHおよび/またはVLをコードする。
【0224】
いくつかの実施形態において、単離された核酸は、ガンマ/デルタT細胞受容体のデルタ1鎖に結合する抗体の重鎖および/または軽鎖をコードする1つまたは複数の核酸配列を含み、この場合、抗体は、配列番号52、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、および72から選択される配列において記載される重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号53として記載される重鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号54として記載される重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含み、ならびに/あるいは、配列番号55として記載される軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号56または58として記載される軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号83、84、85、86、87、57、88、89、90、91、92、59、および60から選択される配列において記載される軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む。
【0225】
いくつかの実施形態において、単離された核酸は、ガンマ/デルタT細胞受容体のデルタ1鎖に結合する抗体の重鎖および/または軽鎖をコードする1つまたは複数の核酸配列、を含み、この場合、抗体は、配列番号5、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、および72から選択される配列において記載される重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号53として記載される重鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号54として記載される重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含み、ならびに/あるいは、配列番号55として記載される軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号56として記載される軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号57として記載される軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む。
【0226】
いくつかの実施形態において、単離された核酸は、ガンマ/デルタT細胞受容体のデルタ1鎖に結合する抗体の重鎖および/または軽鎖をコードする1つまたは複数の核酸配列を含み、この場合、抗体は、配列番号68として記載される重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号53として記載される重鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号54として記載される重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含み、ならびに/あるいは、配列番号55として記載される軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号56として記載される軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号57として記載される軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む。本明細書に記載の核酸の実施形態のいくつかにおいて、核酸分子は、配列番号3、17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択されるVHおよび/またはVLを含む抗体の重鎖ならびに/あるいは配列番号4、5、6,7、8、9,10、11、12、13、14、15、2、16、および9から選択される軽鎖をコードする1つまたは複数の核酸配列を含む。本明細書に記載の核酸の実施形態のいくつかにおいて、核酸分子は、配列番号17、18、19、20、21、22、23、24、25、43、44、および45から選択されるVHおよび/またはVLを含む抗体の重鎖ならびに/あるいは配列番号9で説明される軽鎖をコードする1つまたは複数の核酸配列を含む。
【0227】
本明細書に記載の核酸の実施形態のいくつかにおいて、核酸分子は、配列番号24として記載されるVHおよび/またはVLならびに/あるいは配列番号9として記載されるVLを含む抗体の重鎖および/または軽鎖をコードする1つまたは複数の核酸配列を含む。本明細書に記載の核酸の実施形態のいくつかにおいて、核酸分子は、配列番号55として記載されるVHおよび/またはVLならびに/あるいは配列番号54として記載されるVLを含む抗体の重鎖および/または軽鎖をコードする1つまたは複数の核酸配列を含む。
【0228】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の核酸配列は、配列番号24として記載されるVHおよび配列番号9として記載されるVLならびに配列番号31として記載される重鎖定常領域および配列番号71として記載される軽鎖定常領域、を含む抗体の重鎖および/または軽鎖をコードする。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の核酸配列は、配列番号79として記載される重鎖および配列番号78として記載される軽鎖を含む抗体の重鎖および/または軽鎖をコードする。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の核酸配列は、Delta1-39の重鎖および/または軽鎖をコードする。
【0229】
本明細書に記載の単離された核酸のいずれも、ベクターへのクローニングにとって好適である。いくつかの実施形態において、ベクターは、発現ベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターは、ガンマ/デルタT細胞受容体のデルタ1鎖に結合する抗体の重鎖可変領域(VH)および/または軽鎖可変領域(VL)をコードする1つまたは複数の核酸配列を含む単離された核酸を含み、この場合、抗体は、配列番号68として記載される重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号53として記載される重鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号54として記載される重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含み、ならびに/あるいは、配列番号55として記載される軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号56として記載される軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号57として記載される軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む。いくつかの実施形態において、ベクターは、VHをコードする単離された核酸を含む。いくつかの実施形態において、ベクターは、VLをコードする単離された核酸を含む。いくつかの実施形態において、ベクターは、VLおよびVHの両方をコードする単離された核酸を含む。さらに、本明細書に記載の単離された核酸またはベクターのいずれか、例えば、これらに限定されるわけではないが、このパラグラフにおいて説明されたベクターまたは核酸など、を含む組成物も、本開示において想到される。さらに、本明細書に記載の単離された核酸またはベクターのいずれか、例えば、これらに限定されるわけではないが、このパラグラフで説明されたベクターまたは核酸など、を含む宿主細胞も、本開示において想到される。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター(CHO)細胞、または骨髄細胞からなる群から選択される。
【0230】
さらに、本明細書において、ヒトデルタ-1に結合する本明細書に記載の抗体またはその抗原結合性断片を作製する方法であって、宿主細胞において、本明細書に記載の1つまたは複数の核酸分子(例えば、これらに限定されるわけではないが、前のパラグラフで説明されたものなど)を発現させ、それにより、抗体を作製する工程を含む方法も提供される。一実施形態において、ヒトガレクチン-9に結合するモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片を作製する方法は、(i)抗デルタ1抗体の発現を可能にする条件下において宿主細胞を培養する工程と;(ii)その結果として細胞培養物から作製された抗デルタ1抗体を回収する工程とを含む。そのような方法により作製された抗体も想到される。
【0231】
医薬組成物およびその使用
本開示は、本明細書に記載した抗デルタ1抗体を含む医薬組成物およびγδ1T細胞によって媒介されるシグナル伝達もしくはγδ1T細胞によって媒介される活性を阻害し、および/またはデルタ1陽性細胞を排除するためのその使用を提供する。そのような抗体は、活性化されたγδ1T細胞に付随する疾患を処置するため、または生体試料中のγδT細胞の存在/レベルを決定するために使用することができる。
【0232】
医薬組成物
本明細書に記載する抗体、ならびにコードする核酸もしくは核酸のセット、これらを含むベクター、またはベクターを含む宿主細胞を、薬学的に許容される担体(賦形剤)と混合して、標的疾患の処置における使用のための医薬組成物を形成することができる。「許容される」は、担体が組成物の活性成分と適合し(かつ好ましくは活性成分を安定化することができ)、処置される対象に無害でなければならないことを意味する。緩衝剤を含む当技術で周知の薬学的に許容される賦形剤(担体)。例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy 20版(2000)Lippincott Williams and Wilkins,K.E.Hoover編を参照されたい。
【0233】
本方法において使用される医薬組成物は、凍結乾燥された製剤または水性溶液の形態で薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤を含み得る(Remington:The Science and Practice of Pharmacy 20版(2000)Lippincott Williams and Wilkins,K.E.Hoover編)。許容される担体、賦形剤、または安定剤は、使用される用量および濃度でレシピエントに非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、およびその他の有機酸等の緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール、メチルもしくはプロピルパラベン等のアルキルパラベン類、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、およびm-クレゾール等);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストランを含む単糖、二糖、およびその他の炭水化物;EDTA等のキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトール等の糖類;ナトリウム等の塩形成カウンターイオン;金属複合体(例えば亜鉛-タンパク質複合体);ならびに/またはTween(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含み得る。
【0234】
一部の例では、本明細書に記載した医薬組成物は、Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82巻:3688頁(1985);Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77巻:4030頁(1980)、および米国特許第4,485,045号および第4,544,545号に記載されたような当技術で既知の方法によって調製することができる抗体(またはコードする核酸)を含むリポソームを含む。増強された循環時間を有するリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、およびPEG誘導化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成を用いる逆相蒸発法によって生成することができる。リポソームを定義された孔径のフィルターを通して押し出して、所望の直径を有するリポソームを得ることができる。
【0235】
抗体またはコードする核酸は、例えばコアセルベーション手法によってまたは界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンのマイクロカプセル、およびポリ(メチルメタクリラート)のマイクロカプセル中に、コロイド状薬物送達システム(例えばリポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)、またはマクロエマルジョン中に、トラップしてもよい。そのような手法は当技術で既知であり、例えばRemington,The Science and Practice of Pharmacy 20版、Mack Publishing(2000)を参照されたい。
【0236】
他の例では、本明細書に記載した医薬組成物は、持続放出フォーマットで製剤化することができる。持続放出製剤の好適な例には、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、該マトリックスは賦形された物品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態である。持続放出マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリラート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸と7-エチル-L-グルタメートとのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーおよびリュープロライドアセテートからなる注射可能なマイクロスフェア)等の分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、スクロースアセテートイソブチレート、ならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。
【0237】
in vivo投与に使用される医薬組成物は、無菌でなければならない。これは、例えば無菌の濾過膜を通す濾過によって容易に達成される。治療用抗体組成物は一般に、無菌のアクセスポートを有する容器、例えば静脈内溶液バッグまたは皮下注射用の針によって穿刺可能な栓を有するバイアルに入れられる。
【0238】
本明細書に記載した医薬組成物は、経口、非経口、もしくは経直腸の投与、または吸入もしくは吹き込みによる投与のための、錠剤、ピル、カプセル、粉末、顆粒、溶液もしくは懸濁的、または坐剤等の単位用量形態であってよい。
【0239】
錠剤等の固体組成物の調製のため、主要活性成分を医薬用担体、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、またはガム等の従来の錠剤化成分、およびその他の医薬用希釈剤、例えば水と混合して、本発明の化合物または非毒性の医薬的に許容されるその塩の均一な混合物を含む固形の製剤化前組成物を形成することができる。これらの製剤化前組成物を均一と称する場合には、活性成分が組成物全体に均一に分散し、それにより組成物が錠剤、ピル、およびカプセル等の等しく有効な単位用量形態に容易に小分割することができることを意味している。次いでこの固形の製剤化前組成物を、0.1~約500mgの本発明の活性成分を含む上記の型の単位用量形態に小分割する。新規な組成の錠剤またはピルをコートし、または他の方法でコンパウンド化して、長期作用の利点が得られる用量形態を提供することができる。例えば、錠剤またはピルは内部用量または外部用量の成分を含んでよく、外部用量は内部用量を覆うエンベロープの形態である。2つの成分は、胃の中での崩壊に耐え、内部成分がそのままで十二指腸へと通過し、または放出において遅延することを可能にするように働く腸溶層によって分離することができる。そのような腸溶層またはコーティングのために種々の材料を使用することができ、そのような材料は、いくつかのポリマー酸およびポリマー酸とシェラック、セチルアルコール、およびセルロースアセテートのような材料との混合物を含む。
【0240】
好適な界面活性剤は特に、ポリオキシエチレンソルビタン(例えばTween(登録商標)20、40、60、80、または85)、およびその他のソルビタン(例えばSpan(商標)20、40、60、80、または85)等の非イオン性剤を含む。界面活性剤を含む組成物は便利には0.05~5%の界面活性剤を含み、0.1~2.5%であってよい。必要であれば他の成分、例えばマンニトールまたは他の薬学的に許容されるビヒクルを添加してもよいことが認識されよう。
【0241】
市販の脂肪エマルジョン、例えばIntralipid(商標)、Liposyn(商標)、Infonutrol(商標)、Lipofundin(商標)、およびLipiphysan(商標)を使用して好適なエマルジョンを調製することができる。活性成分は、予め混合されたエマルジョン組成物に溶解してもよく、あるいは油(例えば大豆油、サフラワー油、綿実油、ゴマ油、コーン油、またはアーモンド油)およびリン脂質(例えば卵リン脂質、大豆油リン脂質、または大豆レシチン)と水との混合に際して形成されたエマルジョンに溶解してもよい。エマルジョンの張度を調整するために他の成分、例えばグリセロールまたはグルコースを添加してもよいことが認識されよう。好適なエマルジョンは、典型的には20%までの油、例えば5~20%の油を含むことになる。
【0242】
エマルジョン組成物は、抗体とIntralipid(商標)またはその成分(大豆油、卵リン脂質、グリセロール、および水)とを混合することによって調製された組成物であってよい。
【0243】
吸入または吹き込みのための医薬組成物は、医薬的に許容される水性もしくは有機溶媒の溶液および懸濁液、またはそれらの混合物、ならびに粉末を含む。液体または固体の組成物は、上で提示した好適な医薬的に許容される賦形剤を含んでよい。一部の実施形態では、組成物は局所または全身での効果のために経口または経鼻呼吸経路によって投与される。
【0244】
好ましくは無菌の医薬的に許容される溶媒中の組成物は、気体の使用によって霧化してよい。霧化した溶液を霧化デバイスから直接吸入してもよく、霧化デバイスを顔面マスク、テント、または間欠的陽圧呼吸器に取り付けてもよい。溶液、懸濁液、または粉末の組成物は、適切な様式で製剤を送達するデバイスから、好ましくは経口または経鼻で投与してよい。
【0245】
治療用途
本開示は、本明細書に記載した少なくとも1つの抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物、ならびにγδ1TCR発現T細胞によって媒介される活性を阻害しおよび/もしくは低減し、ならびに/またはシグナル伝達を低減し、ならびに/またはγδ1T細胞の数を排除または低減するための組成物の使用を提供する。一部の実施形態では、抗体はγδ1T細胞に付随する疾患を処置するために有用である。一部の実施形態では、抗体はγδ1T細胞に付随する疾患を処置するために有用である。本明細書に記載した抗デルタ1抗体のいずれも、本明細書に記載した方法において使用することができる。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-23、デルタ1-30、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、またはそれらの組合せから選択される。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、またはそれらの組合せから選択される。そのような抗体の非限定的な例には、例えばデルタ1-23が含まれる。別の態様では、抗体はデルタ1-41である。別の態様では、抗体はデルタ1-39である。一部の態様では、本発明はがんを処置する方法を提供する。一部の実施形態では、本開示はがんに付随する1つまたは複数の症状を低減し、改善し、または排除し、および/または生存(無病、無進行、全体)を延長する方法を提供する。
【0246】
一部の実施形態では、本開示は対象におけるがんを処置する方法を提供し、本方法はそれを必要とする対象に有効量の本明細書に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む。一部の実施形態では、本開示は対象におけるがんを処置する方法を提供し、本方法はそれを必要とする対象に本明細書に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を含む有効量の医薬組成物を投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、またはそれらの組合せから選択される。そのような抗体の非限定的な例には、デルタ1-23が含まれる。特定の例では、抗デルタ1抗体はデルタ1-17または本明細書に開示したその機能性バリアントである。他の特定の例では、抗デルタ1抗体はデルタ1-39または本明細書に開示したその機能性バリアントである。さらに特定の例では、抗デルタ1抗体はデルタ1-41または本明細書に開示したその機能性バリアントである。
【0247】
本開示は対象におけるγδ1TCR媒介細胞シグナル伝達を阻害する方法を提供し、本方法はそれを必要とする対象にデルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、および/またはデルタ1-41を含むがそれらに限定されない本明細書に記載した抗デルタ1抗体を含む有効量の医薬組成物を投与することを含む。一態様では、抗体はデルタ1-41である。別の態様では、抗体はデルタ1-39である。
【0248】
本明細書で開示した方法を実施するために、有効量の本明細書に記載した医薬組成物が、静脈内投与等の好適な経路を通して、例えばボーラスとしてまたはある時間にわたる連続的注入として、筋肉内、腹腔内、脳脊椎内、皮下、関節内、滑膜内、髄腔内、経口、吸入、または局所経路によって、処置を必要とする対象(例えばヒト)に投与される。ジェット霧化器および超音波霧化器を含む液体製剤用の市販の霧化器が、投与に有用である。液体製剤は直接霧化することができ、凍結乾燥粉末は再構成の後で霧化することができる。あるいは、本明細書に記載した抗デルタ1抗体は、フルオロカーボン製剤および計量用量吸入器を使用してエアロゾル化されるか、または凍結乾燥され製粉された粉末として吸入される。
【0249】
一部の実施形態では、本明細書に記載した方法によって処置される対象は哺乳動物、より好ましくはヒトである。哺乳動物には家畜、スポーツ動物、ペット、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、マウス、およびラットが含まれるが、これらに限定されない。処置を必要とするヒト対象は固形腫瘍等の標的疾患/障害のリスクを有するか、または有すると疑われるヒト患者であってよい。
【0250】
一部の実施形態では、がんは副腎がん、副腎皮質癌、肛門がん、虫垂がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん(例えばエウィング肉腫腫瘍、骨肉腫、悪性線維性組織球腫)、脳がん(例えば星状細胞腫、脳幹神経膠腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫)、気管支腫瘍、胆管癌、胆管肉腫、中枢神経系腫瘍、乳がん、キャスルマン病、頸がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、内膜がん、食道がん、眼がん、胆嚢がん、胃腸がん、胃腸カルシノイド腫瘍、胃腸間質腫瘍、尿生殖器がん、妊娠性栄養芽球性疾患、心臓がん、カポシ肉腫、腎がん、喉頭がん、下咽頭がん、白血病(例えば急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病)、肝がん、肺がん(例えば非小細胞肺がん、NSCLC、および小細胞肺がん、SCLC)、リンパ腫(例えばAIDS関連リンパ腫、バーキットリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫)、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔がん、副鼻腔がん、膵管腺癌(PDA)、鼻咽頭がん、神経芽腫、口腔がん、口腔咽頭がん、骨肉腫、脂肪肉腫、脂肪筋肉肉腫、卵巣がん、膵がん、陰茎がん、下垂体腫瘍、前立腺がん、網膜芽腫、横紋筋肉腫、横紋筋様腫瘍、唾液腺がん、肉腫、皮膚がん(例えば基底細胞癌、黒色腫)、扁平上皮細胞頭頚部がん、小腸がん、胃がん、奇形腫様腫瘍、睾丸がん、咽喉がん、胸腺がん、甲状腺がん、非通常小児がん、上部および下部の胃腸悪性疾患(食道、胃、および肝胆管のがんを含むがそれらに限定されない)、尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、原発不詳のがん、ワルデンストロームマクログロブリン血症、およびウィルムズ腫瘍から選択される。一部の実施形態では、がんは急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、ならびに本態性血小板血症、真性赤血球増加症、および骨髄線維症等の骨髄増殖性新生物を含む血液悪性疾患から選択される。一部の実施形態では、それに付随する症状には、それだけに限らないが、貧血、食欲不振、膀胱内膜の刺激、出血およびあざ(血小板減少症)、味覚もしくは嗅覚の変化、便秘、下痢、口渇、嚥下障害、浮腫、疲労、抜け毛(脱毛症)、感染、不妊、リンパ水腫、口のびらん、吐き気、疼痛、末梢神経障害、虫歯、尿路感染症、ならびに/または記憶および集中力の問題が含まれる。本方法は、本明細書に記載した抗デルタ1抗体との医薬組成物を調製すること、および医薬組成物を治療有効量で対象に投与することを含み得る。ある特定の実施形態では、医薬組成物、例えば抗体デルタ1-23を含むがそれに限定されない本明細書に記載した抗デルタ1抗体の1つまたは複数を対象に投与することは、対象における細胞の増殖、腫瘍の成長、および/または腫瘍の体積を低減させ、または転移病巣の数を経時的に減少させる。一部の実施形態では、組成物を投与することは、完全な応答、部分的応答、または疾患の安定化をもたらす。
【0251】
固形腫瘍がんの例には、膵管腺癌(PDA)、結腸直腸がん(CRC)、黒色腫、乳がん、肺がん(例えば非小細胞肺がん、NSCLC、および小細胞肺がん、SCLC)、神経膠芽腫、上部および下部の胃腸悪性疾患(食道、胃、結腸直腸、膵、胆管(胆管癌)、および肝胆汁性がんを含むが、これらに限定されない)、扁平上皮頭頚部がん、尿生殖器がん、内膜がん、腎がん、膀胱がん、前立腺がん、卵巣がん、神経内分泌がん(カルシノイドおよび膵神経内分泌腫瘍)、副腎皮質がん、および肉腫が含まれる。血液悪性疾患には、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、ならびに本態性血小板血症、真性赤血球増加症、および骨髄線維症等の骨髄増殖性新生物が含まれる。固形腫瘍または血液悪性疾患を有する対象は、日常的な医学検査、例えば検査室検査、臓器機能検査に関連する画像撮影手段によって同定することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載した方法によって処置されるべき対象は、抗がん療法、例えば化学療法、放射線療法、免疫療法、細胞系療法、手術、またはそれらの任意の組合せを受けたか、またはその対象となっているヒトがん患者であってよい。
【0252】
γδT細胞の数の増加が、神経膠腫、黒色腫、食道がん、胃がん、結腸直腸がん、膵がん、肝がん、神経内分泌腫瘍(例えばカルシノイド腫瘍)、乳がん、肺がん、卵巣がん、直腸がん、膀胱がん、および前立腺がんを含むがそれらに限定されないいくつかのがんにおいて見出されてきた。一部の例では、以下に説明するように、がんにおけるγδ1T細胞の割合または数は非がん対照と比較して増加し、および/またはがんにおけるγδ2T細胞の割合または数は非がん対照と比較して減少する。理論に縛られることは望まないが、例えば抗デルタ1抗体を使用または投与することによってデルタ1鎖TCRを遮断または標的化し、それによってデルタ1TCRを発現しているγδT細胞(γδ1細胞)の免疫抑制機能を低減させることは、ある種のがん、例えば高レベルのγδT細胞を有するがんの処置のための効果的で新規な治療アプローチを提示し得る。したがって、本明細書に開示した抗デルタ-1抗体のいずれも、γδT細胞による免疫抑制を阻害し、エフェクターT細胞の応答を再活性化するために好適である。したがって、本明細書に記載した抗デルタ1抗体は、がん、例えばγδT細胞に付随するがん(例えばγδT細胞ががんの進展および進行に役割を果たしているがん)の処置に好適である。したがって、治療有効量の本明細書に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を、それを必要とする対象に投与することを含む、がんを処置する方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、対象に投与される抗デルタ-1抗体は、デルタ1-17、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、デルタ1-43、または本明細書に開示したその機能性バリアントから選択される。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0253】
本明細書で開示した抗デルタ1抗体によって処置される非限定的で例示的ながんを以下に提供する。
【0254】
神経膠腫、即ち脳または脊椎のグリア細胞の腫瘍は、全ての悪性脳腫瘍の約80%および原発脳腫瘍の50%を占める致死的な形態の脳がんである(GoodenbergerおよびJenkins,Genetics of adult glioma.Cancer Genet.2012 Dec;205巻(12号):613~21頁)。このがんは、脳における境界のない腫瘍の浸潤性成長によって特徴付けられ、広範な壊死を残し、しばしば脳血液関門を破壊する。神経膠芽腫(多形神経膠芽腫、GBM)は、最も侵攻的な型の神経膠腫である。高グレードの神経膠腫は、典型的には完全な外科的切除にも関わらず再成長する。放射線療法および化学療法等のその他の処置が使用されてきたが、成功は極めて限られている。
【0255】
神経膠腫を有する患者の末梢血における全γδT細胞の比率は健常対照のそれと顕著には異ならないが、神経膠腫の患者の末梢血において、健常対照と比較してγδ1T細胞の比率は顕著に高く、一方γδ2T細胞の比率は顕著に低いことが見出されてきた(Liuら、γδT Cells in Peripheral Blood of Glioma Patients.Med Sci Monit.2018;24巻:1784~92頁)。理論に縛られることは望まないが、例えばデルタ1に結合する抗体を投与することによってデルタ1を遮断または標的化し、それによっておそらくγδ1細胞の免疫抑制機能を低減させることは、神経膠腫の処置のための新規な治療アプローチを提示し得る。
【0256】
一部の実施形態では、本開示は対象における神経膠腫(例えば神経膠芽腫)を処置する方法を提供し、本方法は有効量の本明細書に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を、それを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、本明細書に開示した、例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアントから選択される抗デルタ1抗体の1つまたは複数である。一態様では、抗体はデルタ1-41である。別の態様では、抗体はデルタ1-39である。
【0257】
一部の実施形態では、本開示はがんの処置のための医薬としての抗デルタ1抗体の使用を提供し、抗デルタ1抗体は、本明細書に記載した抗体(例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアント)のいずれかの1つまたは複数から選択され、がんは神経膠腫(例えば神経膠芽腫)である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0258】
黒色腫は皮膚がんの最も致死的な形態であり、過去30年にわたって特に若年成人において罹患率が増加している。メラニン細胞における遺伝的障害、最も高頻度にはB-RafおよびN-Rasの変異の蓄積が、黒色腫の顕著な特徴である(Rodriguez-Cerdeiraら、Advances in Immunotherapy for Melanoma:A Comprehensive Review;Mediators Inflamm.2017;2017:3264217、およびその引用文献)。引き続いて、これらの変化が異形成メラニン細胞の黒色腫細胞への変換をもたらし、浸潤および転移がそれに続く。
【0259】
神経膠腫と同様に、黒色腫患者では健常対照と比較してVδ1細胞の頻度が高い(Wistuba-Hamprechtら、Eur J Cancer.2016 Sep;64巻:116~26頁)。これは、患者がイピリムマブによって処置されたか否かに関わらず見出された。対照的に、γδ2細胞のレベルは黒色腫患者で健常対照と比較して低く、悪化した転帰を有する患者ではイピリムマブによってγδ2細胞のレベルが低減した。この研究においては、高頻度のγδ2細胞および低頻度のγδ1細胞が、黒色腫患者の好ましい全生存期間(OS)に付随していた。理論に縛られることは望まないが、例えばデルタ1に結合する抗体を投与することによってデルタ1を遮断または標的化し、おそらくγδ1細胞の免疫抑制機能を低減させることは、黒色腫における新規な治療アプローチを提示し、それによりイピリミマブによって処置された患者を含むがそれに限定されない患者における全生存期間の改善をもたらすことができる。
【0260】
一部の実施形態では、本開示は対象における黒色腫を処置する方法を提供し、本方法は有効量の本明細書に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を、それを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、本明細書に開示した、例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアントから選択される抗デルタ1抗体の1つまたは複数である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0261】
一部の実施形態では、本開示はがんの処置のための医薬としての抗デルタ1抗体の使用を提供し、抗デルタ1抗体は、本明細書に記載した抗体(例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアント)のいずれかの1つまたは複数から選択され、がんは黒色腫である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0262】
肉腫は間葉系(結合)組織の腫瘍であり、骨(例えば骨肉腫)、軟骨(軟骨肉腫)、脂肪(脂肪肉腫)、筋肉(例えば平滑筋肉腫)、血管、および造血系組織の悪性腫瘍を含む。肉腫は典型的には手術によって処置されるが、転帰を改善するために手術の前および/または後に化学療法および放射線も投与され得る。
【0263】
一部の実施形態では、本開示は対象における肉腫を処置する方法を提供し、本方法は有効量の本明細書に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を、それを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、本明細書に開示した、例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアントから選択される抗デルタ1抗体の1つまたは複数である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0264】
一部の実施形態では、本開示はがんの処置のための医薬としての抗デルタ1抗体の使用を提供し、抗デルタ1抗体は、本明細書に記載した抗体(例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアント)のいずれかの1つまたは複数から選択され、がんは肉腫である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0265】
胃腸(GI)がんは、食道がん、胃がん、結腸直腸がん、膵がん、胆管癌、および肝がんを含むが、それらに限定されない。GIがんはがんの最大数および身体のいずれの他の系よりもがんによる死亡の最大を表す。
【0266】
食道がんは世界で6番目に多いがんであり、罹患率が増加している。食道がんには2つの主な型、即ち食道扁平上皮癌(ESCC)および食道腺癌(EAC)があり、このがんの原因は未知であるが、ある種の危険因子、例えばタバコまたはアルコールの使用、ならびに逆流、バレット食道、アカラシア、プラマー・ビンソン症候群、または食道瘢痕が特定されている(American Cancer Society,Esophageal Cancer,June 14,2017)。現在の処置には通常、手術、ならびに化学療法、放射線療法。および/またはステント挿入が含まれる(Shortら、Esophageal Cancer.Am Fam Physician.2017 Jan 1;95巻(1号):22~28頁)。
【0267】
γδ1T細胞が食道がんを有する患者の腫瘍組織に隔離されていることが見出されるので、食道患者において接着分子がγδ1T細胞を末梢血から腫瘍組織に動員していることが見出された(Thomasら、Role of adhesion molecules in recruitment of γδ1T cells from the peripheral blood to the tumor tissue of esophageal cancer patients.Cancer Immunol Immunother.2001 Jun;50巻(4号):218~25頁)。γδ1T細胞のレベルの増加を考慮すれば、例えばデルタ1に結合する抗体を投与することによってデルタ1を遮断または標的化することは、食道がんにおける新規な治療アプローチを提示し、それにより患者における全生存期間の改善をもたらすことができる。
【0268】
一部の実施形態では、本開示は対象における食道がんを処置する方法を提供し、本方法は有効量の本明細書に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を、それを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、本明細書に開示した、例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアントから選択される抗デルタ1抗体の1つまたは複数である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0269】
一部の実施形態では、本開示はがんの処置のための医薬としての抗デルタ1抗体の使用を提供し、抗デルタ1抗体は、本明細書に記載した抗体(例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアント)のいずれかの1つまたは複数から選択され、がんは食道がんである。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0270】
胃がんは、胃の上皮において進行し、1980年代まではがんによる死亡の主要な原因であり、現在では世界で3番目に多いがん関連死亡の原因である(World Health Organization,Fact Sheets-Cancer,September 12,2018)。Helicobacter pylori感染、喫煙、食事、および遺伝を含む、胃がんをもたらすいくつかの因子がある。胃がんについての1つの遺伝的危険因子は、CDH1遺伝子の遺伝的欠損である。一般に、胃がんの処置には手術、化学療法、および放射線療法が含まれるが、治癒は稀である。ヒト表皮増殖因子受容体2(HER2)阻害剤であるトラスツズマブによる処置は、HER2/neu遺伝子を過剰発現している局所の進展または転移した手術不能の胃癌を有する患者において全生存期間を延長することが見出された(Ordituraら、Treatment of gastric cancer.World J Gastroenterol.2014 Feb 21;20巻(7号):1635~1649頁)。しかし、胃がん患者の転帰を改善するために、さらなる抗処置戦略が必要である。
【0271】
γδT細胞が胃がんの進行を促進することが見出されている。特に、γδT細胞は腫瘍の微小環境におけるIL-17の主な供給源であり、IL-17は胃がんにおける血管形成を支持し、がんの成長を促進する(Wuら、IL-17 promotes tumor angiogenesis through Stat3 pathway mediated upregulation of VEGF in gastric cancer.Tumour Biol.2016 Apr;37巻(4号):5493~501頁)。したがって、理論に縛られることは望まないが、γδT細胞は胃がんにおける免疫抑制性サイトカインの主要な産生源であり、免疫療法の新規な標的を提示している。
【0272】
一部の実施形態では、本開示は対象における胃がんを処置する方法を提供し、本方法は有効量の本明細書に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を、それを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、本明細書に開示した、例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアントから選択される抗デルタ1抗体の1つまたは複数である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0273】
一部の実施形態では、本開示はがんの処置のための医薬としての抗デルタ1抗体の使用を提供し、抗デルタ1抗体は、本明細書に記載した抗体(例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアント)のいずれかの1つまたは複数から選択され、がんは胃がんである。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0274】
結腸直腸がん(CRC)は腸がん、結腸がん、または直腸がんとしても知られており、結腸および直腸を侵すいずれかのがんである。CRCは腫瘍細胞の遺伝的変化によって促進されることが知られており、腫瘍と宿主の相互作用によっても影響を受ける。最近の報告によって、ある種のTリンパ球のサブ集団の密度とCRCにおける好ましい臨床的転帰との間の直接の相関が実証されており、CRCの腫瘍の進行の抑制におけるT細胞媒介免疫の主要な役割を支持している。大部分のがんに関して、CRCの現在の処置には手術、化学療法、および放射線が含まれる。さらに、特定の変異を標的とする薬物(例えばベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ラムシルマブ、レゴラフェニブ、およびジブ-アフリベルセプト)が投与され得る。ペムブロリズマブおよびニボルマブに限定されないがペムブロリズマブおよびニボルマブ等の免疫療法抗体も投与され得る。しかし、患者の転帰を改善するために、さらなる抗腫瘍処置に対するニーズが存在する。
【0275】
γδ1細胞の頻度は直腸がん患者の直腸腫瘍組織において高く、Tステージと正に相関することが見出された(Rongら、Analysis of tumor-infiltrating gamma delta T cells in rectal cancer.World J Gastroenterol.2016 Apr 7;22巻(13号):3573~3580頁)。対照的に、γδ2細胞のレベルは直腸がん患者において健常対照と比較して低く、Tステージと負に相関した。腫瘍浸潤性γδ1T細胞は強い阻害効果を有することが見出されており、直腸がん患者におけるγδ1とγδ2 T細胞のアンバランスのパーセンテージが直腸がんの進行に寄与しているであろうということが結論された。理論に縛られることは望まないが、例えばデルタ1に結合する抗体を投与することによってデルタ1を遮断または標的化して、おそらくγδ1細胞の阻害機能を低減させることは、CRCの新規な治療アプローチを提示し、それにより患者における全生存期間の改善をもたらすことができる。
【0276】
一部の実施形態では、本開示は対象における直腸結腸がんを処置する方法を提供し、本方法は有効量の本明細書に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を、それを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、本明細書に開示した、例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアントから選択される抗デルタ1抗体の1つまたは複数である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0277】
一部の実施形態では、本開示はがんの処置のための医薬としての抗デルタ1抗体の使用を提供し、抗デルタ1抗体は、本明細書に記載した抗体(例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアント)のいずれかの1つまたは複数から選択され、がんは結腸直腸がんである。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0278】
膵がんは膵胆管腺癌(PDA)を含み、米国における全てのがんのほぼ3%および全てのがん死亡の7%を占める(American Cancer Socienty, 2019)。全ての膵がんの約85%を占めるPDAでは、大多数の例で4つの遺伝子、即ちKRAS、CDKN2A、TP53、およびSMAD4が変異していることが見出された(Wolfgangら、CA Cancer J Clin.2013 Sep;63巻(5号):318~348頁)。膵がんの処置は典型的には手術による切除およびアジュバント療法からなり、現在のところ膵がんを切除した患者の全生存期間のメディアンは今でもほぼ20~22か月である。したがって、膵がん患者の転帰をさらに改善するために、さらなる抗腫瘍戦略に対するニーズが存在する。
【0279】
ヒトの膵胆管腺癌(PDA)においては、活性化されたγδT細胞集団が腫瘍浸潤性T細胞の75%までを占め(Daleyら、Cell.2016 Sep 8;166巻(6号):1485~1499頁.e15)、γδT細胞はPDAにおいて高レベルの腫瘍促進性IL-17を産生する(McAllisterら、Cancer Cell.2014 May 12;25巻(5号):621~37頁)。膵内γδT細胞の欠失はin vivoにおいて顕著に癌原性から保護し、免疫原性Th1細胞およびCD8+ T細胞の腫瘍微小環境(TME)への流入をもたらす。理論に縛られることは望まないが、膵浸潤性γδT細胞は適応的免疫抑制を誘起することによってPDAの進行を促進し、したがってγδT細胞は膵がんにおけるエフェクターT細胞活性化の重要な調節因子であり、がん免疫療法の新たな標的である。
【0280】
一部の実施形態では、本開示は対象における膵がん(例えばPDA)を処置する方法を提供し、本方法は有効量の本明細書に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を、それを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、本明細書に開示した、例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアントから選択される抗デルタ1抗体の1つまたは複数である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0281】
一部の実施形態では、本開示はがんの処置のための医薬としての抗デルタ1抗体の使用を提供し、抗デルタ1抗体は、本明細書に記載した抗体(例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアント)のいずれかの1つまたは複数から選択され、がんは膵がん(例えばPDA)である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0282】
胆管癌(CCA)は胆管に形成される上皮がんであり、最も一般的な胆管悪性疾患かつ肝細胞癌に次いで2番目に一般的な肝悪性疾患である。胆管癌の全体の罹患率は過去40年間で世界的に徐々に増加している。CCAはその解剖学的な位置に基づいて3つのサブタイプ、即ち肝内胆管癌(iCCA)、周囲CCA(pCCA)、および遠位CCA(dCCA)に分類される(例えばLoeuillardら、Animal models of cholangiocarcinoma;Biochim Biophys Acta Mol Basis Dis.2018 Apr 5、およびRizviら、Cholangiocarcinoma-evolving concepts and therapeutic strategies;Nat Rev Clin Oncol.2018 Feb;15巻(2号):95~111頁を参照されたい)。現在のところ、この疾患は腫瘍が早い段階で完全に切除できない限り治癒不能で致命的である。他の処置にはアジュバント化学療法および放射線療法が含まれる。
【0283】
一部の実施形態では、本開示は対象における胆管癌を処置する方法を提供し、本方法は有効量の本明細書に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を、それを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、本明細書に開示した、例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアントから選択される抗デルタ1抗体の1つまたは複数である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0284】
一部の実施形態では、本開示はがんの処置のための医薬としての抗デルタ1抗体の使用を提供し、抗デルタ1抗体は、本明細書に記載した抗体(例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアント)のいずれかの1つまたは複数から選択され、がんは胆管癌である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0285】
肝細胞癌(HCC)は原発性肝がんの最も一般的な型である。これは6番目に頻度が高いがんであり、がんによる死亡の2番目に多い原因である。肝細胞癌はB型肝炎またはC型肝炎の感染によって惹起された肝硬変等の慢性肝疾患を有する人々に最もしばしば起こる。HCCには通常、慢性的ウイルス感染による広範なリンパ球浸潤を有する硬変肝が随伴する。肝がんに対する現在の処置には、部分的な外科的切除、肝移植、経皮的アブレーション、局所および全身の化学療法(例えば経動脈化学塞栓)、小分子TKI、ならびに免疫療法が含まれる。しかし、肝がん患者の転帰をさらに改善するために、さらなる抗腫瘍処置戦略が必要である。
【0286】
肝悪性疾患を有する患者が健常対照と比較して増加したレベルのγδT細胞を有しているので、γδT細胞が肝腫瘍に蓄積することが見出された(Kennaら、Distinct subpopulations of gamma delta T cells are present in normal and tumor-bearing human liver.Clin Immunol.2004;113巻:56~63頁、およびHammerichら、World J Gastrointest Pathophysiol.2014 May 15;5巻(2号):107~113頁)。さらに、異なるγδ鎖はγδT細胞に保護的または傷害的な効果を有するように導き得る。C型肝炎ウイルス患者においてγδ1T細胞は高い壊死炎症スコアと相関することが見出され、これはそのような細胞が肝がんにおいてどのように機能するかの指標になり得る(Rajoriyaら、Front Immunol.2014;5巻:400頁)。理論に縛られることは望まないが、例えば抗デルタ1抗体によってγδT細胞のある集団を遮断することは、肝がんにおける新規な治療アプローチを提示し、おそらく患者の全生存期間の延長をもたらすことができる。
【0287】
一部の実施形態では、本開示は対象における肝がんを処置する方法を提供し、本方法は有効量の本明細書に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を、それを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、本明細書に開示した、例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアントから選択される抗デルタ1抗体の1つまたは複数である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0288】
一部の実施形態では、本開示はがんの処置のための医薬としての抗デルタ1抗体の使用を提供し、抗デルタ1抗体は、本明細書に記載した抗体(例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアント)のいずれかの1つまたは複数から選択され、がんは肝がんである。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0289】
神経内分泌腫瘍(NET)は神経内分泌細胞に起源し、腸に最もしばしば起こるが、膵、肺、および身体のその他の区域にも起こり得る。カルシノイド腫瘍、即ち胃腸および気管支肺系のクローム親和性細胞に起こる成長が遅い神経内分泌腫瘍は、稀ではあるが一般的な胃腸神経内分泌腫瘍の最も多い型である。気管支肺、胃、小腸、虫垂、および結腸直腸のカルシノイド腫瘍を含むいくつかの異なる型のカルシノイド腫瘍がある。典型的には、処置には手術による切除、肝の化学塞栓(適用可能であれば)、および医学的療法が含まれる(Pinchotら、Carcinoid tumors.Oncologist.2008 Dec;13巻(12号):1255~1269頁)。患者は、いくつかの化学療法薬物(Maroun et al., J Curr Oncol. 2006 Apr; 13(2):67-76)および限られた数の小分子阻害剤に加えて、ソマトスタチンアナログに応答することが見出された(Aparicioら、Antitumor activity of somatostatin analogues in progressive metastatic neuroendocrine gastroenteropancreatic tumors.Gut.1996;38巻:430~438頁)。しかし、NETおよびカルシノイド腫瘍の患者の転帰を改善するために、さらなる抗腫瘍戦略が必要である。
【0290】
一部の実施形態では、本開示は対象における神経内分泌腫瘍(例えばカルシノイド腫瘍)を処置する方法を提供し、本方法は有効量の本明細書に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を、それを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、本明細書に開示した、例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアントから選択される抗デルタ1抗体の1つまたは複数である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0291】
一部の実施形態では、本開示はがんの処置のための医薬としての抗デルタ1抗体の使用を提供し、抗デルタ1抗体は、本明細書に記載した抗体(例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアント)のいずれかの1つまたは複数から選択され、がんは神経内分泌腫瘍(例えばカルシノイド腫瘍)である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0292】
乳がんは女性におけるがん死亡の2番目に多い原因である。これは乳がん細胞のDNAにおける遺伝変異によって惹起され、女性における最も頻度が高いがんの型である。がんの重症度に応じて処置は手術、化学療法、ホルモン療法(例えばホルモンブロッキング療法、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、アロマターゼ阻害剤)、および/または放射線を含み得る。しかし、NETおよびカルシノイド腫瘍の患者の転帰を改善するために、さらなる抗腫瘍戦略が必要である。
【0293】
γδ1細胞は乳がんを有する患者の腫瘍細胞において正常対照と比較して優勢な腫瘍浸潤性T細胞であることが見出された(Pengら、Tumor-infiltrating γδT cells suppress T and dendritic cell function via mechanisms controlled by a unique toll-like receptor signaling pathway.Immunity.2007 Aug;27巻(2号):334~48頁)。対照的に、γδ2細胞のレベルは乳がん患者において健常対照と比較して低かった。トリプルネガティブの乳がんを特に観察したさらなる研究で、正常乳腺組織中のレベルと比較してγδT細胞の数の増大が見出された(Hidalgoら、Histological analysis of γδ T lymphocytes infiltrating human triple-negative breast carcinomas.Front Immunol.2014;5巻:632頁)。実際、γδ1T細胞サブタイプは腫瘍成長を促進し、その免疫抑制効果を拡大することが見出された(Morrowら、The role of gamma delta T lymphocytes in breast cancer:a review.Transl Res.2019 Jan;203巻:88~96頁)。理論に縛られることは望まないが、例えばデルタ1に結合する抗体を投与することによってデルタ1を遮断または標的化しておそらく乳がんにおけるγδ1T細胞の免疫抑制効果を低減させることは、乳がんにおける新規な治療アプローチを提示し、それにより患者における全生存期間の改善をもたらすことができる。
【0294】
一部の実施形態では、本開示は対象における乳がんを処置する方法を提供し、本方法は有効量の本明細書に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を、それを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、本明細書に開示した、例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアントから選択される抗デルタ1抗体の1つまたは複数である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0295】
一部の実施形態では、本開示はがんの処置のための医薬としての抗デルタ1抗体の使用を提供し、抗デルタ1抗体は、本明細書に記載した抗体(例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアント)のいずれかの1つまたは複数から選択され、がんは乳がんである。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0296】
肺がんは、男性におけるがん関連死亡の最も一般的な原因であり、女性におけるがん関連死亡の2番目に一般的な原因である。がんの約30%においてKrasプロトオンコジーンの変異が関係しているとみなされており、一方c-MET、NKX2-1、LIB1、PIK3CA、およびBRAFも関係しているとみなされている(Herbstら、Lung cancer.N Eng J Med.2008.359巻(13号):1367~80頁)。肺がんの処置はその重症度に応じて変動し、手術、放射線療法、化学療法、標的薬物療法(例えばエルロチニブ、ゲフィチニブ、アファチニブ、デノスマブ)、および気管支鏡処置を含み得る。しかし、肺がんを有する人々の予後は診断後5年で20%未満である。したがって、患者の転帰をさらに改善するためのさらなる抗腫瘍戦略が必要である。
【0297】
非小細胞肺がん(NSCLC)患者の研究において、γδ1T細胞集団がγδ2T細胞集団と比較して富化されていることが見出された(Baoら、Characterization of γδ T cells in patients with non-small cell lung cancer.Oncol Lett.2017 Jul;14巻(1号):1133~1140頁)。別の研究で、肺がん細胞が腫瘍浸潤性γδTリンパ球を過剰発現していること、およびその細胞が肺がんにおける腫瘍浸潤性細胞の「かなり大きな分画」を表していることが実証された(Ferrariniら、Killing of laminin receptor-positive human lung cancers by tumor infiltrating lymphocytes bearing gammadelta(+)t-cell receptors.J Natl Cancer Inst.1996 Apr 3;88巻(7号):436~41頁)。理論に縛られることは望まないが、例えばデルタ1に結合する抗体を投与することによってデルタ1を遮断または標的化して、おそらく乳がんにおけるγδ1T細胞の免疫抑制効果を低減させることは、肺がんにおける新規な治療アプローチを提示し、それにより患者における全生存期間の改善をもたらすことができる。
【0298】
一部の実施形態では、本開示は対象における肺がんを処置する方法を提供し、本方法は有効量の本明細書に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を、それを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、本明細書に開示した、例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアントから選択される抗デルタ1抗体の1つまたは複数である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0299】
一部の実施形態では、本開示はがんの処置のための医薬としての抗デルタ1抗体の使用を提供し、抗デルタ1抗体は、本明細書に記載した抗体(例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアント)のいずれかの1つまたは複数から選択され、がんは肺がんである。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0300】
尿生殖器がんには、例えば卵巣、内膜、腎、膀胱、および前立腺のがんが含まれる。
【0301】
卵巣がんは欧州および北米で最も一般的な婦人科の死亡の原因であり、多様な進行を有し、その処置および管理を困難にしている。一般に、処置は手術およびそれに続く化学療法(例えば白金系化学療法)である。同様に、子宮がん(例えば内膜がん、子宮肉腫)は米国における最も一般的な婦人科がんであり、様々な疾患の進行を表している。処置は一般に手術、化学療法、ホルモン療法、および放射線療法を含む。腎がん(例えば腎細胞癌、移行細胞癌)は世界で全てのがんのほぼ2%を占め、その最も高い罹患率は北米にある。処置は一般に手術、生物学的療法(例えばエベロリムス、トリセル、ネクサバール、ステント、アキシチニブ)、免疫療法(例えばインターフェロン、インターロイキン-2)、ならびにスニチニブおよびパゾパニブからなる。腎がんは一般に化学療法または放射線療法に応答しない。膀胱がんは最も一般的ながんの1つであり、早期に診断されれば高度に処置可能である。現在の処置には手術、化学療法、放射線療法、および免疫療法(例えばBacillus Calmette-Guerin(BCG)、インターフェロンアルファ-2b、アテゾリズマブ)が含まれる。前立腺がんは米国において最も一般的ながんで、男性のがん死亡の2番目に多い原因であり、手術、放射線療法、ホルモン療法、化学療法、および/または免疫療法によって処置され得る。したがって、尿生殖器がん患者の転帰を改善するためのさらなる抗腫瘍戦略に対するニーズが存在する。
【0302】
研究において、γδT細胞が原発で進行した未処置の卵巣漿液癌の腫瘍内T細胞に存在することが見出された一方、αβT細胞は見出されなかった(Raspolliniら、Tumour-infiltrating gamma/delta T-lymphocytes are correlated with a brief disease-free interval in advanced ovarian serous carcinoma.Ann Oncol.2005 Apr;16巻(4号):590~6頁)。マウスの卵巣がんモデルにおいて、δγT細胞が腫瘍の進行の晩期において蓄積していることが見出された(Reiら、Murine CD27(-) Vgamma6(+)gammadelta T cells producing IL-17A promote ovarian cancer growth via mobilization of protumor small peritoneal macrophages.Proc Natl Acad Sci USA 2014;111巻:E3562~E3570頁)。増大したレベルのVδ1T細胞が腎細胞がんならびに前立腺がんにおいて見出された(Grohら、Broad tumor-associated expression and recognition by tumor-derived γδ T cells of MICA and MICB.Proc Natl Acad Sci USA.1999 Jun 8;96巻(12号):6879~6884頁)。対照的に、BCGの投与の後のVδ2T細胞の増加は膀胱がんにおいて有益であることが見出された(Pauzaら、Gamma Delta T Cell Therapy for Cancer:It Is Good to be Local.Front Immunol.2018;9巻:1305頁)。
【0303】
一部の実施形態では、本開示は対象における尿生殖器がん(例えば卵巣がん、内膜(子宮)がん、腎がん、膀胱がん、前立腺がん)を処置する方法を提供し、本方法は有効量の本明細書に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を、それを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、本明細書に開示した、例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアントから選択される抗デルタ1抗体の1つまたは複数である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0304】
一部の実施形態では、本開示はがんの処置のための医薬としての抗デルタ1抗体の使用を提供し、抗デルタ1抗体は、本明細書に記載した抗体(例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアント)のいずれかの1つまたは複数から選択され、がんは尿生殖器がん(例えば卵巣がん、内膜(子宮)がん、腎がん、膀胱がん、前立腺がん)である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0305】
リンパ腫はリンパ球のがんであり、慢性リンパ性白血病、皮膚B細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫(ホジキン病)、非ホジキンリンパ腫、およびワルデンストロームマクログロブリン血症を含む。リンパ腫の処置には、化学療法、放射線療法、および免疫療法が含まれる。リンパ腫の稀な型であるγδT細胞リンパ腫はしばしば致命的であるが、同種幹細胞移植による処置が可能であろう。しかし、リンパ腫を有する患者の転帰をさらに改善するために、さらなる抗腫瘍治療に対するニーズが存在する。
【0306】
一部の実施形態では、本開示は対象におけるリンパ腫を処置する方法を提供し、本方法は有効量の本明細書に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を、それを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、本明細書に開示した、例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアントから選択される抗デルタ1抗体の1つまたは複数である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0307】
一部の実施形態では、本開示はがんの処置のための医薬としての抗デルタ1抗体の使用を提供し、抗デルタ1抗体は、本明細書に記載した抗体(例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアント)のいずれかの1つまたは複数から選択され、がんはリンパ腫である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0308】
副腎皮質癌は稀であるが侵攻性のがんの形態である。このがんは外科的切除によって処置されるが、大部分の患者はこの処置の候補ではなく、その代わりに放射線および高周波アブレーションによって処置される。化学療法(例えばミトタン、シスプラチン、ドキソルビシン、エトポシドとミトタン、ストレプトゾトシンとミトタン)も投与され得るが、全生存期間は短いままである。したがって、副腎皮質癌を有する患者の転帰をさらに改善するため、さらなる抗腫瘍戦略が必要である。
【0309】
一部の実施形態では、本開示は対象における副腎皮質癌を処置する方法を提供し、本方法は有効量の本明細書に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を、それを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、本明細書に開示した、例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアントから選択される抗デルタ1抗体の1つまたは複数である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0310】
一部の実施形態では、本開示はがんの処置のための医薬としての抗デルタ1抗体の使用を提供し、抗デルタ1抗体は、本明細書に記載した抗体(例えばデルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、または本明細書に記載したもの等のその機能性バリアント)のいずれかの1つまたは複数から選択され、がんは副腎皮質癌である。一例では、抗体はデルタ1-23である。別の例では、抗体はデルタ1-17である。さらに別の例では、抗体はデルタ1-39である。さらなる例では、抗体はデルタ1-41である。
【0311】
特定の例では、本明細書で開示した方法を使用して有効量のデルタ1-17を、それを必要とする対象に投与することによって、膵管腺癌(PDA)、結腸直腸がん(CRC)、黒色腫、乳がん、肺がん(例えば非小細胞肺がん、NSCLC、および小細胞肺がん、SCLC)、神経膠芽腫、上部および下部の胃腸悪性疾患(食道、胃、結腸直腸、膵、胆管(胆管癌)、および肝胆汁性がんを含むが、これらに限定されない)、扁平上皮頭頚部がん、尿生殖器がん、内膜がん、腎がん、膀胱がん、前立腺がん、卵巣がん、神経内分泌がん(カルシノイドおよび膵神経内分泌腫瘍)、副腎皮質がん、肉腫、またはこれらの組合せを処置することができる。
【0312】
他の特定の例では、本明細書で開示した方法を使用して有効量のデルタ1-39を、それを必要とする対象に投与することによって、膵管腺癌(PDA)、結腸直腸がん(CRC)、黒色腫、乳がん、肺がん(例えば非小細胞肺がん、NSCLC、および小細胞肺がん、SCLC)、神経膠芽腫、上部および下部の胃腸悪性疾患(食道、胃、結腸直腸、膵、胆管(胆管癌)、および肝胆汁性がんを含むが、これらに限定されない)、扁平上皮頭頚部がん、尿生殖器がん、内膜がん、腎がん、膀胱がん、前立腺がん、卵巣がん、神経内分泌がん(カルシノイドおよび膵神経内分泌腫瘍)、副腎皮質がん、肉腫、またはこれらの組合せを処置することができる。
【0313】
さらに他の特定の例では、本明細書で開示した方法を使用して有効量のデルタ1-41を、それを必要とする対象に投与することによって、膵管腺癌(PDA)、結腸直腸がん(CRC)、黒色腫、乳がん、肺がん(例えば非小細胞肺がん、NSCLC、および小細胞肺がん、SCLC)、神経膠芽腫、上部および下部の胃腸悪性疾患(食道、胃、結腸直腸、膵、胆管(胆管癌)、および肝胆汁性がんを含むが、これらに限定されない)、扁平上皮頭頚部がん、尿生殖器がん、内膜がん、腎がん、膀胱がん、前立腺がん、卵巣がん、神経内分泌がん(カルシノイドおよび膵神経内分泌腫瘍)、副腎皮質がん、肉腫、またはこれらの組合せを処置することができる。
【0314】
さらに他の特定の例では、本明細書で開示した方法を使用して有効量のデルタ1-39を、それを必要とする対象に投与することによって、膵管腺癌(PDA)、結腸直腸がん(CRC)、黒色腫、乳がん、肺がん(例えば非小細胞肺がん、NSCLC、および小細胞肺がん、SCLC)、神経膠芽腫、上部および下部の胃腸悪性疾患(食道、胃、結腸直腸、膵、胆管(胆管癌)、および肝胆汁性がんを含むが、これらに限定されない)、扁平上皮頭頚部がん、尿生殖器がん、内膜がん、腎がん、膀胱がん、前立腺がん、卵巣がん、神経内分泌がん(カルシノイドおよび膵神経内分泌腫瘍)、副腎皮質がん、肉腫、またはこれらの組合せを処置することができる。
【0315】
そのような標的疾患/障害のいずれかを有すると疑われる対象は、その疾患/障害の1つまたは複数の症状を示すこともあり、示さないこともある。疾患/障害のリスクがある対象は、その疾患/障害の危険因子の1つまたは複数を有する対象であり得る。
【0316】
本明細書で使用される場合、「有効量」は、単独で、または1つもしくは複数の他の活性剤と組み合わせて、対象に対して治療効果を及ぼすために必要なそれぞれの活性剤の量を意味する。一部の実施形態では、治療効果はγδT細胞の活性および/もしくは量/発現の低減、または腫瘍の微小環境における抗腫瘍免疫応答の増大(例えば、αβT細胞の活性化および/または活性の増大)である。抗体の量が治療効果を達成したか否かの判定は、当業者には明白であろう。当業者には認識されるように、有効量は、処置される特定の状態、状態の重症度、年齢、身体的条件、大きさ、性別、および体重を含む個別の患者パラメーター、処置の継続期間、同時に実施している治療の性質(もしあれば)、特定の投与経路、ならびに医療従事者の知識および経験の中の同様の因子に応じて変化する。これらの因子は当業者には周知であり、日常の実施を超えずに対処することができる。個別の成分またはその組合せの最大用量、即ち妥当な医学的判断による最大安全用量が使用されることが一般に好ましい。
【0317】
半減期等の実験的考慮が一般に用量の決定に寄与することになる。例えば、ヒト化抗体または完全ヒト抗体のようなヒト免疫系と適合する抗体は、抗体の半減期を延長させ、抗体が宿主の免疫系によって攻撃されることを防止するために使用され得る。投与の頻度は治療の経過にわたって決定および調整され、必ずしもそうでないが一般に、標的疾患/障害の処置および/または抑制および/または改善および/または遅延に基づく。あるいは、抗体の持続連続放出製剤が適切である場合もある。持続放出を達成するための種々の製剤およびデバイスは、当技術で既知である。
【0318】
一例では、本明細書に記載した抗デルタ1抗体の用量は、1つまたは複数の抗体の投与を受けた個体において実験的に決定し得る。個体には増加する用量のアンタゴニストを与える。アンタゴニストの有効性を評価するため、疾患/障害の指標を追跡することができる。
【0319】
一般に、本明細書に記載した抗デルタ1抗体のいずれかの投与のため、初期の候補用量は約2mg/kg~約10mg/kgまたは1mg/kg~約20mg/kgであってよい。本開示の目的のため、典型的な用量は上述の因子に応じて0.1μg/kg、~3μg/kg、~30μg/kg、~300μg/kg、~3mg/kg、~30mg/kg、~100mg/kgまたはそれ以上の約いずれかの範囲であり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載した抗デルタ1抗体のいずれかを、処置を必要とする対象に1つまたは複数の一律の用量で、即ち対象の体重、体表面積、またはその他の類似の因子によらずに、与えてよい。数日またはそれより長い繰返し投与については、状態に応じて、望ましい症状の抑制が起こるまで、または標的の疾患もしくは障害、またはその症状を改善するために十分な治療レベルが達成されるまで、処置を持続する。例示的な投薬レジメンは、約3mg/kgの初期用量に続く約1mg/kgの抗体の毎週の維持用量または約1mg/kgの隔週の維持用量の投与を含む。しかし、臨床医が達成を望む薬力学的減衰パターンに応じて他の投薬レジメンも有用であろう。例えば、週1回~4回の投薬が意図される。一部の実施形態では、約3μg/mg~約2mg/kg(約3μg/mg、約10μg/mg、約30μg/mg、約100μg/mg、約300μg/mg、約1mg/kg、および約2mg/kg等)の範囲の投薬を使用し得る。他の実施形態では、本明細書に記載した標的疾患の処置のため、一律の用量(体重、体表面積、およびその他の類似の因子を考慮せずに定義された量の抗体を患者に与える)を使用することができる。
【0320】
一部の実施形態では、投薬頻度は毎週、2週ごと、4週ごと、5週ごと、6週ごと、7週ごと、8週ごと、9週ごと、もしくは10週ごとに1回、または毎月、2月ごと、もしくは3月ごと、またはそれより長い月ごとに1回である。この療法の進行は従来の手法およびアッセイによって容易にモニターされる。投薬レジメン(使用する抗体を含む)は経時的に変化し得る。
【0321】
一部の実施形態では、正常体重の成人患者については、約0.3~5.00mg/kgの範囲の用量を投与し得る。一部の例では、本明細書に記載した抗デルタ1抗体の用量は10mg/kgであってよい。特定の投薬レジメン、即ち用量、時期、および繰返しは特定の個人およびその個人の病歴、ならびに個別の薬剤の特性(例えば薬剤の半減期、および当技術で周知の他の考慮)によることになる。
【0322】
本開示の目的のため、本明細書に記載した抗体の適切な用量は、採用した特定の抗体(単数または複数)、および/または非抗体ペプチド(またはその組成物)、疾患/障害の型および重症度、抗体が予防的または治療的な目的のために投与されるか、以前の治療、患者の病歴およびアンタゴニストに対する応答、ならびに担当医の裁量によることになる。典型的には、臨床医は所望の結果を達成する用量に達するまで抗体を投与することになる。一部の実施形態では、所望の結果は腫瘍の微小環境における抗腫瘍免疫応答の増大である。投薬が所望の結果をもたらしたか否かの判定方法は、当業者には明白であろう。1つまたは複数の抗体の投与は、例えばレシピエントの生理学的条件、投与の目的が治療か予防か、および経験のある施術者には既知の他の因子に応じて連続的または間欠的であってよい。抗体の投与は、予め選択した期間にわたって本質的に連続であってよく、または例えば標的の疾患または障害の進行の前、その間、またはその後に間隔をあけた一連の用量であってもよい。
【0323】
本明細書で使用される場合、用語「処置する」は、障害、疾患の症状、または疾患もしくは障害への傾向を治癒させる、癒す、緩和する、軽減する、変化させる、レスキューする、改良する、改善する、または影響することを目的として、標的の疾患もしくは障害、疾患/障害の症状、または疾患/障害への傾向を有する対象に、1つもしくは複数の活性剤を含む組成物を適用または投与することを意味する。
【0324】
標的疾患/障害を緩和することは、疾患の進展または進行を遅延させること、または疾患の重症度を低減させもしくは生存期間を延長することを含む。疾患を緩和することまたは生存期間を延長することは、治癒した結果を必ずしも必要としない。本明細書で使用される場合、標的疾患または障害の進展を「遅延させる」ことは、疾患の進行を引き延ばす、妨害する、遅らせる、遅くする、安定化する、および/または延期することを意味する。この遅延は疾患の病歴および/または処置される個体に応じて期間が変動し得る。疾患の進展を「遅延させる」もしくは緩和する、または疾患の開始を遅延させる方法は、その方法を使用しなかった場合と比較して、所与の時間枠の中でその疾患の1つまたは複数の症状を進展させる可能性を低減し、および/または所与の時間枠の中でその症状の程度を低減させる方法である。そのような比較は典型的には統計的に有意な結果をもたらすために十分な数の対象を使用した臨床研究に基づく。
【0325】
疾患の「進展」または「進行」は、初期の兆候および/またはそれに続く疾患の進行を意味する。疾患の進展は検出可能であり、当技術で周知の標準的な臨床手法を使用して評価することができる。しかし、進展は検出できないかも知れない進行をも意味する。本開示の目的のため、進展または進行は症状の生物学的経過を意味する。「進展」は発生、再発、および開始を含む。本明細書で使用される場合、標的疾患または障害の「開始」または「発生」は、初期の開始および/または再発を含む。
【0326】
一部の実施形態では、本開示はγδT細胞の活性を阻害するための方法を提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載した抗デルタ1抗体は、γδT細胞の活性を阻害するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載した抗デルタ1抗体は、in vivoでγδT細胞の活性を少なくとも10%(例えば20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く)阻害するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。他の実施形態では、抗デルタ1抗体は、γδT細胞によって誘起された免疫阻害の回復に効果的な量で投与される。他の実施形態では、抗デルタ1抗体は、γδT細胞によって誘起された免疫阻害を少なくとも10%(例えば20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く)回復させるために効果的な量で投与される。
【0327】
一部の実施形態では、本開示は、γδT細胞の活性を阻害するためにデルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書に記載した1つまたは複数の抗デルタ1抗体を提供する。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、γδT細胞の活性を阻害するために十分な量で、それを必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、in vivoでγδT細胞の活性を(処置前または対照対象のレベルと比較して)少なくとも20%(例えば30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く)阻害するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。
【0328】
一部の実施形態では、本開示は腫瘍体積、腫瘍サイズ、および/または腫瘍負荷を低減する方法を提供し、本方法は本明細書例えば表1および/または表2に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を対象に提供または投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-23、デルタ1-39、およびデルタ1-41から選択される。一部の実施形態では、本方法は腫瘍体積、腫瘍サイズ、および/または腫瘍負荷を少なくとも30%(例えば31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く、その中の任意の増分を含む)低減させる。
【0329】
一部の実施形態では、本開示は腫瘍体積、腫瘍サイズ、および/または腫瘍負荷を低減させるための、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書に記載した1つまたは複数の抗デルタ1抗体を提供する。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、腫瘍体積、腫瘍サイズ、および/または腫瘍負荷を低減させるために十分な量で、それを必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、in vivoで、腫瘍体積、腫瘍サイズ、および/または腫瘍負荷を(処置前または対照対象のレベルと比較して)少なくとも20%(例えば30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く)低減させるために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。
【0330】
一部の実施形態では、本開示は腫瘍中および/または血液中の標的細胞、例えばγδT細胞、例えばVδ1T細胞を枯渇させる方法を提供し、本方法は、本明細書例えば表1および/または表2に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を対象に提供または投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-23、デルタ1-39、およびデルタ1-41から選択される。一部の実施形態では、本方法はγδT細胞、例えばVδ1T細胞を、少なくとも30%(例えば31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く、その中の任意の増分を含む)枯渇させる。
【0331】
一部の実施形態では、本開示は、腫瘍中および/または血液中の標的細胞、例えばγδT細胞、例えばγδ1T細胞を枯渇させるための、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書に記載した1つまたは複数の抗デルタ1抗体を提供する。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、腫瘍中および/または血液中のγδT細胞、例えばγδ1T細胞を枯渇させるために十分な量で、それを必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、in vivoで腫瘍中および/または血液中のγδT細胞、例えばγδ1T細胞を(処置前または対照対象のレベルと比較して)少なくとも20%(例えば30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く)枯渇させるために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。
【0332】
一部の実施形態では、本開示は腫瘍中のγδT細胞の比率をモジュレートする、γδ1T細胞のγδ2T細胞に対する比を例えばモジュレートする、例えば低減させる方法を提供し、本方法は本明細書例えば表1および/または表2に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を対象に提供または投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-23、デルタ1-39、およびデルタ1-41から選択される。一部の実施形態では、本方法は腫瘍中のγδ1T細胞のγδ2T細胞に対する比を少なくとも30%(例えば31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く、その中の任意の増分を含む)モジュレートし、例えば低減させる。
【0333】
一部の実施形態では、本開示は腫瘍中のγδT細胞の比率をモジュレートする、Vδ1T細胞のVδ2T細胞に対する比を例えばモジュレートする、例えば低減させるための、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書に記載した1つまたは複数の抗デルタ1抗体を提供する。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、腫瘍中のγδ1T細胞のγδ2T細胞に対する比をモジュレートする、例えば低減させるために十分な量で、それを必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、in vivoで腫瘍中のγδ1T細胞のγδ2T細胞に対する比を(処置前または対照対象のレベルと比較して)少なくとも20%(例えば30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く)モジュレートする、例えば低減させるために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。
【0334】
一部の実施形態では、本開示はPBMC中のγδ1T細胞の比率および/または腫瘍中に存在する、例えばがんを有する対象から単離された免疫細胞中のγδ1T細胞の比率をモジュレートする、PBMC中のγδ1T細胞の比率および/または腫瘍中に存在する免疫細胞中のγδ1T細胞の比率を例えばモジュレートする、例えば低減する方法を提供し、本方法は、本明細書例えば表1に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を対象に提供または投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-23、デルタ1-39、およびデルタ1-41から選択される。一部の実施形態では、本方法はPBMC中のγδ1T細胞の比率および/または腫瘍中に存在する免疫細胞中のγδ1T細胞の比率を少なくとも30%(例えば31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く、その中の任意の増分を含む)モジュレートする、例えば低減する。
【0335】
一部の実施形態では、本開示は、PBMC中のγδ1T細胞の比率および/または腫瘍中に存在する免疫細胞中のγδ1T細胞の比率をモジュレートする、γδ1のPBMCまたは腫瘍中の免疫細胞に対する比を例えばモジュレートする、例えば低減させるための、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書に記載した1つまたは複数の抗デルタ1抗体を提供する。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、PBMC中のγδ1T細胞の比率および/または腫瘍中に存在する免疫細胞中のγδ1T細胞の比率をモジュレートする、例えば低減させるために十分な量で、それを必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、in vivoでPBMC中のγδ1T細胞の比率および/または腫瘍中に存在する免疫細胞中のγδ1T細胞の比率を(処置前または対照対象のレベルと比較して)少なくとも20%(例えば30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く)モジュレートする、例えば低減させるために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。
【0336】
一部の実施形態では、本開示は標的細胞の排除または枯渇のための方法を提供し、標的細胞は免疫抑制性免疫細胞、例えばγδT細胞、例えばγδ1T細胞であり、本方法は本明細書例えば表1および/または表2に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を対象に提供または投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-39である。一部の実施形態では、本方法は標的細胞、例えば免疫抑制性免疫細胞、例えばγδT細胞、例えばγδ1T細胞の少なくとも30%(例えば31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く、その中の任意の増分を含む)の排除または枯渇を促進する。
【0337】
一部の実施形態では、本開示は標的細胞の排除または枯渇のための、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書に記載した1つまたは複数の抗デルタ1抗体を提供し、標的細胞は免疫抑制性免疫細胞、例えばγδT細胞、例えばγδ1T細胞である。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、腫瘍中および/または循環、例えば血清もしくは血液中のγδT細胞、例えばγδ1T細胞を排除または枯渇させるために十分な量で、それを必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、in vivoで腫瘍中のγδT細胞、例えばγδ1T細胞を(処置前または対照対象のレベルと比較して)少なくとも20%(例えば30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く)排除または枯渇させるために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。
【0338】
一部の実施形態では、本開示は標的細胞における細胞傷害性、例えばADCCを誘導するための方法を提供し、標的細胞は免疫抑制性免疫細胞、例えばγδT細胞、例えばγδ1T細胞であり、本方法は本明細書例えば表1および/または表2に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を対象に提供または投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-23、デルタ1-39、およびデルタ1-41から選択される。一部の実施形態では、本方法はγδT細胞、例えばVδ1T細胞における細胞傷害性、例えばADCCを、少なくとも30%(例えば31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く、その中の任意の増分を含む)誘起する。
【0339】
一部の実施形態では、本開示は、標的細胞における細胞傷害性、例えばADCCを誘導するための、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書に記載した1つまたは複数の抗デルタ1抗体を提供し、標的細胞は免疫抑制性免疫細胞、例えばγδT細胞、例えばγδ1T細胞である。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、腫瘍中または循環中、例えば血清もしくは血液中のγδT細胞、例えばγδ1T細胞におけるADCCを促進するために十分な量で、それを必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、in vivoで腫瘍中および/または循環中、例えば血清もしくは血液中のγδT細胞、例えばγδ1T細胞におけるADCCを(処置前または対照対象のレベルと比較して)少なくとも20%(例えば30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く)促進するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。
【0340】
一部の実施形態では、本開示は、対象におけるデルタ1を発現する標的細胞、即ちγδT細胞、例えばγδ1T細胞に対する補体依存性細胞傷害性(CDC)等の細胞傷害性を誘起するための方法を提供し、本方法は本明細書例えば表1に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を対象に提供または投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-23、デルタ1-39、およびデルタ1-41から選択される。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-17である。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-41である。一部の実施形態では、本方法はγδT細胞、例えばγδ1T細胞に対する補体依存性細胞傷害性(CDC)等の細胞傷害性を少なくとも30%(例えば31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く、その中の任意の増分を含む)誘起する。
【0341】
一部の実施形態では、本開示は、デルタ1を発現する標的細胞、即ちγδT細胞、例えばγδ1T細胞に対する補体依存性細胞傷害性(CDC)等の細胞傷害性を誘起するための、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書に記載した1つまたは複数の抗デルタ1抗体を提供する。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、腫瘍中および/または循環中、例えば血清もしくは血液中のγδT細胞、例えばγδ1T細胞におけるCDCを促進するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、腫瘍中および/または循環中、例えば血清もしくは血液中で、または対照対象で)、γδT細胞、例えばγδ1T細胞におけるCDCを少なくとも20%(例えば30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く)促進するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。
【0342】
一部の実施形態では、本開示は、デルタ1を発現する標的細胞の食作用(ADCP)を誘起するための方法を提供し、本方法は本明細書例えば表1に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を対象に提供または投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-23、デルタ1-39、およびデルタ1-41から選択される。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-17である。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-41である。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、γδT細胞、例えばγδ1T細胞の食作用を、少なくとも30%(例えば31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く、その中の任意の増分を含む)増大させる。
【0343】
一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、腫瘍中および/または循環中、例えば血清もしくは血液中のγδT細胞、例えばγδ1T細胞におけるADCPを促進するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。
【0344】
一部の実施形態では、本開示は、デルタ1を発現する標的細胞の食作用(ADCP)を誘起するための、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書に記載した1つまたは複数の抗デルタ1抗体を提供する。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、in vivoで、腫瘍中および/または循環中、例えば血清もしくは血液中のγδT細胞、例えばγδ1T細胞のADCPを(処置前または対照対象のレベルと比較して)少なくとも20%(例えば30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く)促進するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。
【0345】
一部の実施形態では、本開示は、例えば腫瘍浸潤性γδT細胞、例えばγδ1T細胞を標的とすることによって、腫瘍中および/または血液中でのT細胞の活性化を誘起するための方法を提供し、本方法は本明細書例えば表1に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を対象に提供または投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-23、デルタ1-39、およびデルタ1-41から選択される。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-17である。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-41である。一部の実施形態では、本方法は、腫瘍中および/または血液中におけるT細胞の活性化を、少なくとも30%(例えば31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く、その中の任意の増分を含む)促進する。
【0346】
一部の実施形態では、本開示は、腫瘍中および/または血液中におけるT細胞の活性化を誘起するための、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書に記載した1つまたは複数の抗デルタ1抗体を提供する。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、腫瘍中および/または血液中におけるT細胞の活性化を促進するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、in vivoで、腫瘍中および/または血液中におけるT細胞の活性化を(処置前または対照対象のレベルと比較して)少なくとも20%(例えば30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く)促進するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。
【0347】
一部の実施形態では、本開示は、腫瘍中および/または血液中におけるCD4+細胞の活性化を促進するための方法を提供し、本方法は本明細書例えば表1に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を対象に提供または投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-23、デルタ1-39、およびデルタ1-41から選択される。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-17である。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-41である。一部の実施形態では、本方法は、腫瘍中および/または血液中におけるCD4+細胞の活性化を、少なくとも30%(例えば31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く、その中の任意の増分を含む)促進する。
【0348】
一部の実施形態では、本開示は、腫瘍中および/または血液中におけるCD4+細胞の活性化を促進するための、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書に記載した1つまたは複数の抗デルタ1抗体を提供する。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、腫瘍中および/または血液中におけるCD4+T細胞の活性化を促進するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、in vivoで、腫瘍中および/または血液中におけるCD4+T細胞の活性化を(処置前または対照対象のレベルと比較して)少なくとも20%(例えば30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く)促進するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。
【0349】
一部の実施形態では、本開示は、CD4+細胞中におけるCD44の発現を誘起するための方法を提供し、本方法は本明細書例えば表1に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を対象に提供または投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-23、デルタ1-39、およびデルタ1-41から選択される。一部の実施形態では、本方法は、腫瘍中および/または血液中における炎症誘発性サイトカインの発現、例えばCD4+細胞中におけるCD44、IFNγ、および/またはTNF-αの発現を少なくとも30%(例えば31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く、その中の任意の増分を含む)増大させる。
【0350】
一部の実施形態では、本開示は、CD4+細胞中におけるCD44の発現を誘起するための、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書に記載した1つまたは複数の抗デルタ1抗体を提供する。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、腫瘍中および/または血液中における炎症誘発性サイトカインの発現、例えば腫瘍中のCD4+細胞におけるCD44、IFNγ、および/またはTNF-αの発現を誘起するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、in vivoで、腫瘍中および/または血液中のCD4+細胞中における炎症誘発性サイトカインの発現、例えばCD44、IFNγ、および/またはTNF-αの発現を(処置前または対照対象のレベルと比較して)少なくとも20%(例えば30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く)誘起するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。
【0351】
一部の実施形態では、本開示は、腫瘍中および/または血液中におけるCD8+細胞の活性化を促進するための方法を提供し、本方法は本明細書例えば表1に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を対象に提供または投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-23、デルタ1-39、およびデルタ1-41から選択される。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-17である。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-41である。一部の実施形態では、本方法は、腫瘍中および/または血液中におけるCD8+細胞の活性化を、少なくとも30%(例えば31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く、その中の任意の増分を含む)促進する。
【0352】
一部の実施形態では、本開示は、腫瘍中および/または血液中におけるCD8+細胞の活性化を促進するための、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書に記載した1つまたは複数の抗デルタ1抗体を提供する。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、腫瘍中および/または血液中におけるCD8+T細胞の活性化を促進するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、in vivoで、腫瘍中および/または血液中におけるCD8+T細胞の活性化を(処置前または対照対象のレベルと比較して)少なくとも20%(例えば30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く)促進するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。
【0353】
一部の実施形態では、本開示は、腫瘍中および/または血液中のCD8+細胞におけるCD44の発現を誘起するための方法を提供し、本方法は本明細書例えば表1に記載した抗デルタ1抗体またはその抗原結合性断片を対象に提供または投与することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-23、デルタ1-39、およびデルタ1-41から選択される。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-17である。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-41である。一部の実施形態では、本方法は、腫瘍中および/または血液中のCD8+細胞における炎症誘発性サイトカインの発現、例えばCD44、IFNγ、および/またはTNF-αの発現を少なくとも30%(例えば31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く、その中の任意の増分を含む)増大させる。
【0354】
一部の実施形態では、本開示は、腫瘍中および/または血液中のCD8+細胞におけるCD44の発現を誘起するための、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書に記載した1つまたは複数の抗デルタ1抗体を提供する。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書、例えば表1に記載した抗体は、腫瘍中および/または血液中のCD8+細胞におけるCD44の発現を誘起するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書、例えば表1に記載した抗体は、in vivoで、腫瘍中および/または血液中のCD8+細胞におけるCD44の発現を(処置前または対照対象のレベルと比較して)少なくとも20%(例えば30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く)誘起するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。
【0355】
一部の実施形態では、本開示はアルファ-ベータT細胞の活性の直接的または間接的な抑制を防止するための方法を提供する。一部の実施形態では、本開示はγδT細胞のサイトカイン分泌(例えばIL-17)を阻害し、それにより血管形成の誘導ならびにMDSC、好中球、およびTAMの誘引を防止するための方法を提供する。一部の実施形態では、本開示はγδT細胞のTreg/Th2型活性を阻害し、それにより抗腫瘍γδT細胞の制限を防止するための方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は腫瘍促進性γδT細胞の樹状細胞(DC)との接触を防止し、それによりDC成熟の阻害および/またはDCもしくはT細胞の老化の誘起を防止するための方法を提供する。一部の実施形態では、本開示はγδT細胞の存在に起因するDC抗原提示の限定を防止するための方法を提供する。
【0356】
一部の実施形態では、本開示は、腫瘍中および/または血液中のCD8+細胞におけるCD44の発現を誘起するための、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書に記載した1つまたは複数の抗デルタ1抗体を提供する。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、腫瘍中および/または血液中のCD8+細胞における炎症誘発性サイトカインの発現、例えばCD44、IFNγ、および/またはTNFαの発現を誘起するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41を含むがこれらに限定されない本明細書例えば表1に記載した抗体は、in vivoで、腫瘍中および/または血液中のCD8+細胞における炎症誘発性サイトカインの発現、例えばCD44、IFNγ、および/またはTNF-αの発現を(処置前または対照対象のレベルと比較して)少なくとも20%(例えば30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く)誘起するために十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。一部の実施形態では、抗体はデルタ1-39である。
【0357】
医学の分野における当業者には既知の従来の方法を使用し、処置すべき疾患の型または疾患の部位に応じて、医薬組成物を対象に投与することができる。この組成物は、その他の従来の経路を介して投与することもでき、例えば経口、非経口、吸入スプレーにより、局所、経直腸、経鼻、経頬、経膣、または埋め込まれたリザーバーを介して、投与することができる。用語「非経口」は、本明細書で使用される場合、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内、および頭蓋内の注射または注入手法を含む。さらに、医薬組成物は、例えば1、3、または6か月のデポー注射または生分解性材料および方法を使用し、注射可能なデポー投与経路を介して対象に投与することができる。一部の実施形態では、医薬組成物は眼内または硝子体内に投与される。
【0358】
注射可能な組成物は、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、エチルラクタート、エチルカーボナート、イソプロピルミリスタート、エタノール、およびポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール、その他)等の種々の担体を含み得る。静脈内注射のために、水溶性抗体は点滴法によって投与することができ、抗体および生理学的に許容される賦形剤を含む医薬製剤が注入される。生理学的に許容される賦形剤には、例えば5%のデキストロース、0.9%の生理食塩水、リンゲル液、またはその他の好適な賦形剤が含まれ得る。筋肉内製剤、例えば好適な可溶性塩の形態の抗体の無菌製剤は、注射用水、0.9%の生理食塩水、または5%のグルコース溶液等の医薬的賦形剤に溶解して投与することができる。
【0359】
一実施形態では、抗体は、部位特異的または標的局所送達手法を介して投与される。部位特異的または標的局所送達手法の例には、種々の埋め込み可能な抗体のデポー源または局所送達カテーテル、例えば注入カテーテル、留置カテーテル、またはニードルカテーテル、合成グラフト、外膜ラップ、シャントおよびステントまたはその他の埋め込みデバイス、部位特異的担体、直接注射、または直接塗布が含まれる。例えばPCT公開WO00/53211および米国特許第5,981,568号を参照されたい。
【0360】
アンチセンスポリヌクレオチド、発現ベクター、またはサブゲノムポリヌクレオチドを含む治療用組成物の標的送達も使用することができる。受容体媒介DNA送達手法は、例えばFindeisら、Trends Biotechnol.(1993)11巻:202頁;Chiouら、Gene Therapeutics:Methods and Applications of Direct Gene Transfer(J.A.Wolff編)(1994);Wuら、J.Biol.Chem.(1988)263巻:621頁;Wuら、J.Biol.Chem.(1994)269巻:542頁;Zenkeら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1990)87巻:3655頁;Wuら、J.Biol.Chem.(1991)266巻:338頁に記載されている。
【0361】
ポリヌクレオチド(例えば本明細書に記載した抗体をコードするポリヌクレオチド)を含む治療用組成物は、遺伝子治療のプロトコールにおける局所投与のために、約100ng~約200mgの範囲のDNAが投与される。一部の実施形態では、約500ng~約50mg、約1μg~約2mg、約5μg~約500μg、約20μg~約100μgまたはそれより多い濃度範囲のDNAも、遺伝子治療のプロトコールの間に使用され得る。
【0362】
本明細書に記載した治療用ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、遺伝子送達ビヒクルを使用して送達することができる。遺伝子送達ビヒクルは、ウイルス起源または非ウイルス起源であってよい(一般にJolly,Cancer Gene Therapy(1994)1巻:51頁;Kimura,Human Gene Therapy(1994)5巻:845頁;Connelly,Human Gene Therapy(1995)1巻:185頁;およびKaplitt,Nature Genetics(1994)6巻:148頁を参照されたい)。そのようなコーディング配列の発現は、内因性の哺乳動物および/または異種のプロモーターおよび/またはエンハンサーを使用して誘起することができる。コーディング配列の発現は、構造的または制御的であってよい。
【0363】
所望のポリヌクレオチドの送達および所望の細胞中での発現のためのウイルス系ベクターは、当技術で周知である。例示的なウイルス系ビヒクルには、それだけに限らないが、組換えレトロウイルス(例えばPCT公開WO90/07936;WO94/03622;WO93/25698;WO93/25234;WO93/11230;WO93/10218;WO91/02805;米国特許第5,219,740号および第4,777,127号;GB特許2,200,651;ならびにEP特許0 345 242を参照されたい)、アルファウイルス系ベクター(例えばSindbisウイルスベクター、Semliki forestウイルス(ATCC(登録商標) VR-67;ATCC(登録商標) VR-1247)、Ross Riverウイルス(ATCC(登録商標) VR-373;ATCC(登録商標) VR-1246)、およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC(登録商標) VR-923;ATCC(登録商標) VR-1250;ATCC(登録商標) VR 1249;ATCC(登録商標) VR-532))、ならびにアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えばPCT公開WO94/12649,WO93/03769;WO93/19191;WO94/28938;WO95/11984、およびWO95/00655を参照されたい)が含まれる。Curiel,Hum.Gene Ther.(1992)3巻:147頁に記載された、死滅したアデノウイルスに連結されたDNAの投与も、採用することができる。
【0364】
非ウイルス送達ビヒクルおよび方法も採用することができ、それだけに限らないが、死滅したアデノウイルス単独に連結されたまたは連結されていないポリカチオン性縮合DNA(例えばCuriel,Hum.Gene Ther.(1992)3巻:147頁を参照);リガンド連結DNA(例えばWu,J.Biol.Chem.(1989)264巻:16985頁を参照);真核細胞送達ビヒクル細胞(例えば米国特許第5,814,482号;PCT公開WO95/07994;WO96/17072;WO95/30763;およびWO97/42338を参照)、および核電荷中和または細胞膜との融合が含まれる。裸のDNAも採用することができる。例示的な裸のDNA導入法は、PCT公開WO90/11092および米国特許第5,580,859号に記載されている。遺伝子送達ビヒクルとして作用し得るリポソームは、米国特許第5,422,120号;PCT公開WO95/13796;WO94/23697;WO91/14445;およびEP特許0524968に記載されている。さらなるアプローチは、Philip,Mol.Cell.Biol.(1994)14巻:2411頁、およびWoffendin,Proc.Natl.Acad.Sci.(1994)91巻:1581頁に記載されている。
【0365】
本明細書に記載した方法において使用される特定の投薬レジメン、即ち用量、時期、および繰返しは、特定の対象およびその対象の病歴に依存することになる。
【0366】
一部の実施形態では、2つ以上の抗体、または抗体と別の好適な治療剤との組合せを、処置を必要とする対象に投与してよい。抗体は、薬剤の有効性を向上しおよび/または補完するように働く他の薬剤と併せて使用することもできる。
【0367】
標的疾患/障害に対する処置の有効性は、当技術で周知の方法によって評価することができる。
【0368】
組合せ治療
本明細書に記載した抗デルタ1抗体のいずれも、他の型のがんの療法、例えば化学療法、手術、放射線、遺伝子療法、小分子阻害剤、細胞系療法、抗ホルモン剤、免疫療法、代謝拮抗剤、生体類似物質を含む生物製剤、および/またはそれらの任意の組合せ、その他と併せて利用してよい。そのような療法は、本開示による免疫療法と同時に、または逐次的に(任意の順序で)投与することができる。
【0369】
さらなる治療剤とともに投与する場合には、それぞれの薬剤に対する好適な治療有効用量は、相加作用または相乗作用のために少なくしてよい。
【0370】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、他の免疫調節処置、例えばチェックポイント分子(例えばPD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG3、TIM-3、A2aR、TIGIT、またはVISTA)の阻害剤、共刺激受容体(例えばDX40、GITR、CD137、CD40、CD27、およびICOS)の活性化剤、および/または先天性免疫細胞標的(例えばKIR、NKG2A、CD96、TLR、IDO、および/またはガレクチン-9)の阻害剤と組み合わせることができる。理論に縛られないが、抗デルタ1抗体は、例えば腫瘍の微小環境に浸潤したγδT細胞の活性を阻害することを介して、腫瘍細胞に対する免疫応答を再プログラミングすることができると考えられる。したがって、抗デルタ1抗体と本明細書に記載したような免疫調節剤との組合せ使用は、抗腫瘍効果を顕著に向上させることが期待される。
【0371】
一部の実施形態では、処置方法は対象にチェックポイント分子の阻害剤、共刺激受容体の活性化剤、および/または先天性免疫細胞標的の阻害剤を投与することをさらに含む。一部の実施形態では、処置方法は対象にチェックポイント分子の阻害剤を投与することをさらに含む。一部の実施形態では、チェックポイント分子はPD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG3、TIM-3、およびA2aR、TIGIT、およびVISTAからなる群から選択される。一部の実施形態では、処置方法は対象に共刺激受容体の活性化剤の阻害剤、および/または先天性免疫細胞標的の阻害剤を投与することをさらに含む。一部の実施形態では、共刺激受容体はOX40、GITR、CD137、CD40、CD27、およびICOSからなる群から選択される。一部の実施形態では、処置方法は対象に先天性免疫細胞標的の阻害剤を投与することをさらに含む。一部の実施形態では、先天性免疫細胞標的はKIR、NKG2A、CD96、TLR、およびIDOからなる群から選択される。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、デルタ1-18、デルタ1-19、デルタ1-20、デルタ1-21、デルタ1-22、デルタ1-23、デルタ1-24、デルタ1-25、デルタ1-26、デルタ1-27、デルタ1-28、デルタ1-31、デルタ1-32、デルタ1-33、デルタ1-34、デルタ1-35、デルタ1-36、デルタ1-37、デルタ1-38、デルタ1-39、デルタ1-40、デルタ1-41、デルタ1-42、もしくはデルタ1-43、またはそれらの組合せから選択される。そのような抗体の非限定的な例には、例えば抗体デルタ1-23が含まれる。これらの処置の方法のいずれかにおいて、抗デルタ1抗体は抗体デルタ1-23である。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-17である。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-39である。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体はデルタ1-41である。
【0372】
一部の例では、本明細書で開示した処置方法は、肺がんを有するヒト患者にCTLA-4の阻害剤(例えば抗CTLA-4抗体)および本明細書で開示した抗デルタ1抗体のいずれかを投与することを含む。他の例では、本明細書で開示した処置方法は、皮膚がん(例えば黒色腫)を有するヒト患者にPD-1の阻害剤(例えば抗PD-1抗体または抗PDL1抗体)および本明細書で開示した抗デルタ1抗体のいずれかを投与することを含む。
【0373】
例示的な抗CTLA-4抗体にはイピリムマブが含まれる。例示的な抗PD-1抗体には、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、AMP-224、AMP-514、およびPDR001が含まれる。例示的な抗PD-L1抗体には、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、BMS-936559、およびCK-301が含まれる。
【0374】
他の実施形態では、本明細書に記載した抗デルタ1抗体は、アルキル化剤、アンスラサイクリン類、細胞骨格撹乱物質(タキサン類)、エポチロン類、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、トポイソメラーゼIの阻害剤、トポイソメラーゼIIの阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヌクレオチドアナログおよび前駆体アナログ、ペプチド抗生剤、白金系薬剤、レチノイド類、ビンカアルカロイド、ならびにそれらの誘導体を含む化学療法剤と共用することもできる。非限定的な例には、(i)抗血管形成剤(例えばTNP-470、血小板因子4、トロンボスポンジン-1、メタロプロテアーゼの組織阻害剤(TIMP1およびTIMP2)、プロラクチン(16Kd断片)、アンギオスタチン(プラスミノーゲンの38Kd断片)、エンドスタチン、bFGF可溶性受容体、トランスフォーミング増殖因子ベータ、インターフェロンアルファ、可溶性KDRおよびFLT-1受容体、胎盤プロリフェリン関連タンパク質、ならびにCarmelietおよびJain(2000)によって列挙された薬剤)、(ii)VEGFアンタゴニストまたはVEGF受容体アンタゴニスト、例えば抗VEGF抗体、VEGFバリアント、可溶性VEGF受容体断片、VEGFまたはVEGFRを遮断することができるアプタマー、中和性抗VEGFR抗体、VEGFRチロシンキナーゼの阻害剤、およびそれらの任意の組合せ、ならびに(iii)化学療法用化合物、例えばピリミジンアナログ(5-フルオロウラシル、フロキシウリジン、カペシタビン、ゲムシタビン、およびシタラビン)、プリンアナログ、葉酸アンタゴニストおよび関連する阻害剤(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、および2-クロロデオキシアデノシン(クラドリビン));ビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン)等の天然産物を含む抗増殖/抗有糸分裂剤、タキサン(パクリタキセル、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル(Abraxane(登録商標))、ドセタキセル)、エリブリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロン、およびナベルビン等の微小管撹乱物質、エピジポドフィロトキシン類(エトポシドおよびテニポシド)、DNA損傷剤(アクチノマイシン、アムサクリン、アンスラサイクリン類、ブレオマイシン、ブスルファン、カムトテシン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シトキサン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ヘキサメチレンアミンオキサリプラチン、イホスファミド、メルファラン、メルクロレタミン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ニトロソウレア、プリカマイシン、プロカルバジン、タキソール、タキソテール、テニポシド、トリエチレンチオホスホロアミド、およびエトポシド(VP16));ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、アンスラサイクリン類、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、およびマイトマイシン等の抗生剤;酵素(L-アスパラギンを全身的に代謝し、それ自体のアスパラギンを合成する能力を有しない細胞を取り除くL-アスパラギナーゼ);抗血小板剤;ナイトロジェンマスタード(メクロレタミン、シクロホスファミドおよびアナログ、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミン類およびメチレンイミン類(ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、アルキルスルホナート-ブスルファン、ニトロソウレア(カルムスチン(BCNU)およびアナログ、ストレプトゾシン)、トラゼン-ダカルバジニン(DTIC)等の抗増殖/抗有糸分裂アルキル化剤;葉酸アナログ(メトトレキサート)等の抗増殖/抗有糸分裂代謝拮抗剤;白金配位複合体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン類、ホルモンアナログ(エストロゲン、タモキシフェン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド)およびアロマターゼ阻害剤(レトロゾール、アナストロゾール);抗凝固剤(ヘパリン、合成ヘパリン塩、およびその他のトロンビン阻害剤);フィブリン分解剤(組織プラスミノーゲン活性化剤、ストレプトキナーゼ、およびウロキナーゼ等)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ;抗遊走剤;抗分泌剤(ブレベルジン);免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス(FK-506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノラートモフェチル);抗血管形成化合物(例えばTNP-470、ゲニステイン、ベバシズマブ)および増殖因子阻害剤(例えば線維芽細胞増殖因子(FGF)阻害剤);アンギオテンシン受容体ブロッカー;酸化窒素ドナー;アンチセンスオリゴヌクレオチド;抗体(トラスツズマブ);細胞サイクル阻害剤および分化誘起剤(トレチノイン);mTOR阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤(ドキソルビシン(アドリアマイシン)、アムサクリン、カムトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、エニポシド、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、ミトキサントロン、トポテカン、イリノテカン(例えばOnivyde(登録商標)等のイリノテカンリポソーム注射剤)、コルチコステロイド(コーチゾン、デキサメタゾン、ハイドロコーチゾン、メチルプレドニソロン、プレドニソン、およびプレドニソロン);増殖因子シグナルトランスダクションキナーゼ阻害剤;ヌクレオチドアナログおよびチミジンホスホリラーゼ阻害剤(例えばトリフルリジン-チピラシルまたはLonsurf(登録商標);ミトコンドリア機能不全誘起剤およびカスパーゼ活性化剤;およびクロマチン妨害剤が含まれる。本明細書に記載した治療剤には、列挙した活性成分およびそれらの誘導体、ならびに当技術で既知の任意の製剤(例えば持続放出製剤)等が含まれる。
【0375】
あるいはまたはさらに、本明細書に記載した抗デルタ1抗体は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤(例えばベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、またはトランドラプリル)、アンギオテンシンII受容体ブロッカー(別名ARBまたはサルタン類、例えばアジルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、ロサルタン、またはオルメサルタン)、ベータブロッカー(例えばアセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、セリプロロール、メトプロロール、ネビボロール等のβ1選択剤;ブタキサミンまたはICI-118,551等のβ2選択剤;SR59230A等のβ3選択剤;ならびにプロプラノロール、ブシンドロール、カルテオロール、カルベジロール、ラベタロール、ナドロール、オキスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、ソタロール、チモロール等の非選択剤);カルシウムチャネルブロッカー(例えばアムロジピン、ジルチアゼム、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニソルジピン、またはベラパミル)、直接レニン阻害剤(例えばアリスキレン)、または利尿薬を含むがこれらに限定されない抗高血圧剤と併用することもできる。US20130287688、およびPinterら、Sci Transl Med(2017)9巻(410頁)を参照されたい。
【0376】
さらなる有用な薬剤は、例えばPhysician’s Desk Reference,59補版(2005),Thomson PDR,Montvale N.J.;Gennaroら編、Remington’s The Science and Practice of Pharmacy 20補版(2000),Lippincott Williams and Wilkins,Baltimore Md.;Braunwaldら編、Harrison’s Principles of Internal Medicine,15補版(2001),McGraw Hill,NY;Berkowら編、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,(1992),Merck Research Laboratories,Rahway N.J.に見出すことができる。
【0377】
固形腫瘍の化学療法および/または免疫療法は、チェックポイント分子等の免疫モジュレーターのレベルを向上させ、腫瘍細胞に対する免疫の抑制をもたらし得ることが報告されている。Erissonら、J.Translational Medicine(2016),14巻:282頁;Graboschら、J.ImmunoTherapy of Cancer(2015),3巻(補2):302頁;およびAzadら、EMBO J.(2016)。抗デルタ1抗体は特に固形腫瘍においてγδT細胞の活性を阻害し、T細胞の活性化を増大させることが見出されてきた。したがって、抗デルタ1抗体と化学療法剤(例えばゲムシタビン)または免疫療法剤(例えば抗PD-L1抗体)との併用は、PDAまたはCRC等の固形腫瘍に対する顕著に向上した治療活性をもたらすことが期待される。
【0378】
一部の実施形態では、本明細書に記載した抗デルタ1抗体が共投与されたチェックポイント阻害剤の抗腫瘍活性を改善することができる方法が提供される。一部の実施形態では、デルタ1-23等の本明細書の表1およびその他の箇所に記載した抗デルタ1抗体のいずれか等の抗デルタ1抗体が、共投与されたチェックポイント阻害剤(例えばPD-1、PD-L1、および/もしくはCTLA-4または本明細書に列挙したもしくは当技術で既知のその他の阻害剤)の抗腫瘍活性、即ち有効性(腫瘍の増殖、サイズ、体積、重量、負荷もしくは重荷の低減、または転移病巣数の経時的な低減、安定な疾患の改善、生存率の改善)を同じ条件下でのチェックポイント阻害剤療法単独と比較して例えば10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上、改善することができる方法が提供される。一部の実施形態では、本明細書の表1およびその他の箇所に記載した抗デルタ1抗体のいずれか、例えばデルタ1-23等の抗デルタ1抗体は、共投与されたチェックポイント阻害剤(例えばPD-1および/もしくはCTLA-4、例えばPD-1、PD-L1、および/もしくはCTLA-4、または本明細書に列挙したもしくは当技術で既知のその他の阻害剤)の抗腫瘍活性、即ち有効性(腫瘍の増殖、サイズ、体積、重量、負荷もしくは重荷の低減、または転移病巣数の経時的な低減、安定な疾患の改善、生存率の改善)を同じ条件下でのチェックポイント阻害剤療法単独と比較して例えば1.0~1.2倍、1.2~1.4倍、1.4~1.6倍、1.6~1.8倍、1.8~2倍、または2倍、3倍、4倍、10倍、またはそれ以上、改善することができる。
【0379】
一部の実施形態では、共投与されたチェックポイント阻害剤(例えばPD-1、PD-L1、および/もしくはCTLA-4または本明細書に列挙したもしくは当技術で既知のその他の阻害剤)は、本明細書に記載した抗デルタ1抗体の抗腫瘍活性を改善することができる。一部の実施形態では、共投与されたチェックポイント阻害剤(例えばPD-1、PD-L1、および/もしくはCTLA-4または本明細書に列挙したもしくは当技術で既知のその他の阻害剤)は、デルタ1-23を含むがこれに限定されない本明細書の表1または他の箇所に記載した抗デルタ1抗体のいずれか等の抗デルタ1抗体の抗腫瘍活性、抗腫瘍活性、即ち有効性(腫瘍の増殖、サイズ、体積、重量、負荷もしくは重荷の低減、または転移病巣数の経時的な低減、安定な疾患の改善、生存率の改善)を同じ条件下での抗デルタ1療法単独と比較して例えば10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上、改善することができる。一部の実施形態では、共投与されたチェックポイント阻害剤(例えばPD-1、PD-L1、および/もしくはCTLA-4または本明細書に列挙したもしくは当技術で既知のその他の阻害剤)は、デルタ1-23を含むがこれに限定されない本明細書の表1または他の箇所に記載した抗デルタ1抗体のいずれか等の抗デルタ1抗体の抗腫瘍活性、即ち有効性(腫瘍の増殖、サイズ、体積、重量、負荷もしくは重荷の低減、または転移病巣数の経時的な低減、安定な疾患の改善、生存率の改善)を同じ条件下での抗デルタ1療法単独と比較して例えば1.0~1.2倍、1.2~1.4倍、1.4~1.6倍、1.6~1.8倍、1.8~2倍、または2倍、3倍、4倍、10倍、またはそれ以上、改善することができる。
【0380】
一部の実施形態では、本明細書に記載した抗デルタ1抗体がT細胞を活性化する免疫療法の能力を改善することができる方法が提供される。一部の実施形態では、デルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書の表1および他の箇所に記載した抗デルタ1抗体のいずれか等の抗デルタ1抗体が(例えば本明細書に記載したサイトカインマーカーによって測定して)(例えば本明細書に記載したまたは当技術で既知のように)T細胞を活性化する免疫療法の能力を同じ条件下での免疫療法単独と比較して例えば10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上、改善することができる方法が提供される。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は(例えば本明細書に記載したサイトカインマーカーによって測定して)(例えば本明細書に記載したまたは当技術で既知のように)T細胞を活性化する免疫療法の能力を、同じ条件下での免疫療法単独と比較して例えば1.0~1.2倍、1.2~1.4倍、1.4~1.6倍、1.6~1.8倍、1.8~2倍、または2倍、3倍、4倍、10倍、またはそれ以上、改善することができる。
【0381】
一部の実施形態では、共投与された免疫療法がT細胞を活性化する本明細書に記載した抗デルタ1抗体の能力を改善することができる方法が提供される。一部の実施形態では、共投与された(例えば本明細書に記載したまたは当技術で既知の)免疫療法が(例えば本明細書に記載したサイトカインマーカーによって測定して)T細胞を活性化するデルタ1-23、デルタ1-41、およびデルタ1-39を含むがこれらに限定されない本明細書の表1および他の箇所に記載した抗デルタ1抗体のいずれか等の抗デルタ1抗体の能力を同じ条件下での抗デルタ1療法単独と比較して例えば10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上、改善することができる方法が提供される。一部の実施形態では、共投与された(例えば本明細書に記載したまたは当技術で既知の)免疫療法は、(例えば本明細書に記載したサイトカインマーカーによって測定して)T細胞を活性化する抗デルタ1抗体の能力を、同じ条件下での抗デルタ1療法単独と比較して例えば1.0~1.2倍、1.2~1.4倍、1.4~1.6倍、1.6~1.8倍、1.8~2倍、または2倍、3倍、4倍、10倍、またはそれ以上、改善することができる。
【0382】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体が共投与された化学療法剤および/またはその他の抗がん剤の抗腫瘍活性を改善することができる方法が提供される。一部の実施形態では、本明細書の表1または他の箇所に記載した抗体のいずれか等の抗デルタ1抗体、例えばデルタ1-23が共投与された(例えば本明細書に記載したまたは当技術で既知の)化学療法剤の抗腫瘍活性、即ち有効性(腫瘍の増殖、サイズ、体積、重量、負荷もしくは重荷の低減、または転移病巣数の経時的な低減、安定な疾患の改善、生存率の改善)を同じ条件下での化学療法剤療法単独と比較して例えば10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上、改善することができる方法が提供される。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、共投与された(例えば本明細書に記載したまたは当技術で既知の)化学療法剤の抗腫瘍活性、即ち有効性(腫瘍の増殖、サイズ、体積、重量、負荷もしくは重荷の低減、または転移病巣数の経時的な低減、安定な疾患の改善、生存率の改善)を同じ条件下での化学療法剤療法単独と比較して例えば1.0~1.2倍、1.2~1.4倍、1.4~1.6倍、1.6~1.8倍、1.8~2倍、または2倍、3倍、4倍、10倍、またはそれ以上、改善することができる。
【0383】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は維持療法として投与される。
一部の実施形態では、共投与された化学療法剤が抗デルタ1抗体の抗腫瘍活性を改善することができる方法が提供される。一部の実施形態では、共投与された(例えば本明細書に記載したまたは当技術で既知の)化学療法剤が本明細書の表1または他の箇所に記載した抗体のいずれか等の抗デルタ1抗体、例えばデルタ1-23の抗腫瘍活性(腫瘍の増殖、サイズ、体積、重量、負荷もしくは重荷の低減、または転移病巣数の経時的な低減、安定な疾患の改善、生存率の改善)を同じ条件下での抗デルタ1療法単独と比較して例えば10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上、改善することができる方法が提供される。一部の実施形態では、共投与された(例えば本明細書に記載したまたは当技術で既知の)化学療法剤は、抗デルタ1抗体の抗腫瘍活性、即ち有効性(例えば腫瘍の増殖、サイズ、体積、重量、負荷もしくは重荷の低減、または転移病巣数の経時的な低減、安定な疾患の改善、生存率の改善)を同じ条件下での抗デルタ1療法単独と比較して例えば1.0~1.2倍、1.2~1.4倍、1.4~1.6倍、1.6~1.8倍、1.8~2倍、または2倍、3倍、4倍、10倍、またはそれ以上、改善することができる。
【0384】
一部の実施形態では、抗デルタ1抗体がT細胞を活性化する化学療法剤の能力を改善することができる方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本明細書の表1および他の箇所に記載した抗体のいずれか等の抗デルタ1抗体、例えばデルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41が(例えば本明細書に記載したサイトカインマーカーによって測定して)(例えば本明細書に記載したまたは当技術で既知のように)T細胞を活性化する化学療法剤の能力を同じ条件下での化学療法剤療法単独と比較して例えば10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上、改善することができる方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は(例えば本明細書に記載したサイトカインマーカーによって測定して)(例えば本明細書に記載したまたは当技術で既知のように)T細胞を活性化する化学療法剤の能力を同じ条件下での化学療法剤療法単独と比較して例えば1.0~1.2倍、1.2~1.4倍、1.4~1.6倍、1.6~1.8倍、1.8~2倍、または2倍、3倍、4倍、10倍、またはそれ以上、改善することができる。
【0385】
一部の実施形態では、共投与された化学療法剤がT細胞を活性化する抗デルタ1抗体の能力を改善することができる方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、共投与された(例えば本明細書に記載したまたは当技術で既知の)化学療法剤が(例えば本明細書に記載したサイトカインマーカーによって測定して)T細胞を活性化する本明細書の表1および他の箇所に記載した抗体のいずれか等の抗デルタ1抗体、例えばデルタ1-23、デルタ1-17、デルタ1-39、またはデルタ1-41の能力を同じ条件下での抗デルタ1療法単独と比較して例えば10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上、改善することができる方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、共投与された(例えば本明細書に記載したまたは当技術で既知の)化学療法剤は、(例えば本明細書に記載したサイトカインマーカーによって測定して)T細胞を活性化する抗デルタ1抗体の能力を、同じ条件下での抗デルタ1療法単独と比較して例えば1.0~1.2倍、1.2~1.4倍、1.4~1.6倍、1.6~1.8倍、1.8~2倍、または2倍、3倍、4倍、10倍、またはそれ以上、改善することができる。
【0386】
これらの組合せ療法方法のいずれにおいても、処置すべきがんが選択される。固形腫瘍がんの例には、膵管腺癌(PDA)、結腸直腸がん(CRC)、黒色腫、乳がん、肺がん(例えば非小細胞肺がん、NSCLC、および小細胞肺がん、SCLC)、神経膠芽腫、上部および下部の胃腸悪性疾患(食道、胃、結腸直腸、膵、胆管(胆管癌)、および肝胆汁性がんを含むが、これらに限定されない)、扁平上皮頭頚部がん、尿生殖器がん、内膜がん、腎がん、膀胱がん、前立腺がん、卵巣がん、神経内分泌がん(カルシノイドおよび膵神経内分泌腫瘍)、副腎皮質がん、および肉腫が含まれる。血液悪性疾患には、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、ならびに骨髄増殖性新生物、例えば本態性血小板血症、真性赤血球増加症、および骨髄線維症、ならびに本明細書に記載した他の悪性疾患が含まれる。
【0387】
その他の応用
本明細書に記載した抗デルタ1抗体のいずれも、従来のイムノアッセイ(例えばウェスタンブロット、FACS、免疫組織化学、免疫細胞科学、その他)を使用して、生物試料等の試料中のγδ1T細胞の存在を検出しおよび/またはγδ1T細胞のレベルを測定するために使用してよい。簡単に述べれば、試料中に存在すれば標的γδ1に対する抗体の結合を可能にする好適な条件下で好適な時間、抗体を試料とインキュベートすることができる。次いでそのような結合は従来の方法を使用して、例えば抗デルタ1抗体に結合する標識された二次抗体を使用して、検出することができる。標的γδ1 TCRまたはそのようなTCRを発現するT細胞を検出するためのそのようなイムノアッセイを実施することは、当業者の知識の中に十分に存在する。
【0388】
がん患者を特定するための方法、および免疫療法、例えば抗デルタ1抗体を対象に投与することを含む免疫療法のためのがん患者を選択し、必要に応じてがん患者を処置するための方法も、本明細書で提供される。一部の実施形態では、特定は対象において、例えば対象からの生体試料中で測定されたデルタ1のレベルに基づく。一部の実施形態では、デルタ1のレベルは患者の血清または血漿中で測定される。一部の実施形態では、デルタ1のレベルは患者の生体試料、例えば腫瘍または腫瘍誘導オルガノイドの生体試料中で測定される。一部の実施形態では、デルタ1のレベルは、例えばデルタ1-39を含むがそれに限定されない本明細書に記載したような抗体を使用して測定される。一部の実施形態では、当技術で既知の異なる抗体が試料中のデルタ1を検出するために使用される。
【0389】
したがって、一部の実施形態では、本方法は(i)それを必要とする対象、例えばヒト対象の生体試料を準備すること、(ii)生体試料中のデルタ1のレベルを測定すること、および(iii)生体試料中のデルタ1のレベルに基づいてがんを有するまたはがんのリスクがある対象を特定することを含む。一部の実施形態では、対象の生体試料中のデルタ1のレベルは対照と比較して上昇し、対象ががんを有するまたはがんのリスクがあることを示している。一部の実施形態では、対象の生体試料中のデルタ1のレベルは対照と比較して上昇し、対象が免疫療法、例えば抗デルタ1抗体を対象に投与することを含む免疫療法のために好適ながん患者であり得ることを示している。一部の実施形態では、対照はがんを有しない対象からの生体試料を含む。一部の実施形態では、対照は所定の参照値または値の範囲を含む。一部の実施形態では、生体試料は血清試料または血漿試料である。一部の実施形態では、当技術で既知の他の診断検査が本方法と併せて使用される。一部の実施形態では、対照は参照値、即ち確立され、健常人におけるデルタ1の範囲を反映する範囲である。したがって、参照値より高いレベルは増加したレベルの指標となる。
【0390】
したがって、一部の実施形態では、本方法は(i)それを必要とする対象、例えばヒト対象の血液試料を準備すること、(ii)血液試料中のデルタ1のレベルを測定すること、および(iii)血液試料中のデルタ1のレベルに基づいてがんを有するまたはがんのリスクがある対象を特定することを含む。一部の実施形態では、対象の血液試料中のデルタ1のレベルは対照と比較して上昇し、対象ががんを有するまたはがんのリスクがあることを示している。一部の実施形態では、対象の血液試料中のデルタ1のレベルは対照と比較して上昇し、対象が免疫療法、例えば抗デルタ1抗体を対象に投与することを含む免疫療法のために好適ながん患者であり得ることを示している。一部の実施形態では、対照はがんを有しない対象からの血液試料を含む。一部の実施形態では、対照は所定の参照値または値の範囲を含む。一部の実施形態では、生体試料は血清試料または血漿試料である。一部の実施形態では、当技術で既知の他の診断検査が本方法と併せて使用される。一部の実施形態では、対照は参照値、即ち確立され、健常人におけるデルタ1の範囲を反映する範囲である。したがって、参照値より高いレベルは増加したレベルの指標となる。
【0391】
一部の実施形態では、本方法は(i)それを必要とする対象、例えばヒト対象の生検試料を準備すること、(ii)対象からの生検試料中、または対象の生体試料から誘導された試料、例えば患者から誘導された臓器型腫瘍スフェロイド(PDOT)、例えば本明細書に記載したように調製された単一細胞腫瘍懸濁液中のデルタ1のレベルを測定すること、および(iii)試料中のデルタ1のレベルに基づいてがんを有するまたはがんのリスクがある対象を特定することを含む。一部の実施形態では、対象の試料中のデルタ1のレベルは対照と比較して上昇し、対象ががんを有するまたはがんのリスクがあることを示している。一部の実施形態では、生体試料、例えば対象の生検試料中のデルタ1のレベルは対照と比較して上昇し、対象が免疫療法、例えば抗デルタ1抗体を対象に投与することを含む免疫療法のために好適ながん患者であり得ることを示している。一部の実施形態では、対照は同じ対象からのがん陰性組織である。一部の実施形態では、対照は所定の参照値または値の範囲である。一部の実施形態では、対照は健常対象から誘導される。一部の実施形態では、測定することはデルタ1タンパク質のレベル、または遺伝子発現、例えばmRNAのレベルを決定することを含む。一部の実施形態では、測定することは、例えばデルタ1-39を含むがこれに限定されない本明細書に記載した1つまたは複数の抗デルタ1抗体を使用してデルタ1タンパク質を検出することを含む。
【0392】
別の態様では、抗デルタ1免疫療法に対するがん患者の応答性を予測するための方法が本明細書で提供される。したがって、一部の実施形態では、本方法は、(i)患者からの生体試料、例えば血液、血漿、血清、生検、もしくは生検から誘導された試料、例えばPDOT、単一細胞腫瘍懸濁液、またはその他の組織中のデルタ1のレベルを決定すること、(ii)対照レベルより高い生体試料中のデルタ1のレベルが、患者が抗デルタ1免疫療法に応答する可能性が高いことの指標であり、対照レベルより低いレベルが、患者が抗デルタ1免疫療法に応答する可能性が低いことの指標である、生体試料中のデルタ1のレベルを対照レベルと比較すること、(iii)デルタ1のレベルが対照レベルより高い場合、患者が抗デルタ1免疫療法に応答することを予測することを含む。一部の実施形態では、対照レベルは健常対象からの血液または組織中で観察されたレベルに対応する。一部の実施形態では、対照レベルはがんを有する対象の腫瘍に隣接する健常組織中で観察されたレベルに対応する。一部の実施形態では、当技術で既知の他の診断検査が本方法と併せて使用される。
【0393】
別の態様では、抗デルタ1免疫療法に対するがん患者の応答性を予測するための方法が本明細書で提供される。したがって、一部の実施形態では、本方法は、(i)抗デルタ1抗体を使用して患者からの生体試料、例えば血液、血漿、血清、生検、もしくは生検から誘導された試料、例えばPDOT、単一細胞腫瘍懸濁液、または組織中のデルタ1のレベルを決定すること、(ii)対照レベルより高いデルタ1のレベルが、患者が抗デルタ1免疫療法に応答する可能性が高いことの指標であり、対照レベルより低いレベルが、患者が抗デルタ1免疫療法に応答する可能性が低いことの指標である、抗デルタ1抗体を使用して生体試料中のデルタ1のレベルを対照レベルと比較すること、(iii)デルタ1のレベルが対照レベルより高い場合、患者が抗デルタ1免疫療法に応答することを予測することを含む。一部の実施形態では、抗デルタ1抗体は、デルタ1-39を含むがそれに限定されない本明細書で提供した抗デルタ1抗体のいずれかである。一部の実施形態では、抗体は当技術で既知の異なる抗体である。一部の実施形態では、デルタ1のレベルはフローサイトメトリーを使用して、例えばデルタ1-39を含むがそれに限定されない本明細書に記載した抗デルタ1抗体のいずれかを使用して、決定される。一部の実施形態では、デルタ1のレベルはフローサイトメトリーを使用して、例えば当技術で既知の異なる抗体を使用して、決定される。一部の実施形態では、デルタ1のレベルは免疫組織化学を使用して、例えば本明細書に記載したデルタ1抗体または当技術で既知の異なる抗体を使用して、決定される。一部の実施形態では、対照レベルは健常対象からの血液または組織で観察されたレベルに対応する。一部の実施形態では、対照レベルはがんを有する対象の腫瘍に隣接した健常組織において観察されたレベルに対応する。一部の実施形態では、当技術で既知の他の診断検査が、本方法と併せて使用される。
【0394】
別の態様では、抗デルタ1免疫療法に対して予測された応答性を有するがん患者を処置するための方法が本明細書で提供される。したがって、一部の実施形態では、本方法は、(i)患者からの生体試料、例えば血液、血漿、血清、生検、もしくは生検から誘導された試料、例えばPDOT、単一細胞腫瘍懸濁液、またはその他の組織中のデルタ1のレベルを決定すること、(ii)対照レベルより高い生体試料中のデルタ1のレベルが、患者が抗デルタ1免疫療法に応答する可能性が高いことの指標であり、対照レベルより低いレベルが、患者が抗デルタ1免疫療法に応答する可能性が低いことの指標である、生体試料中のデルタ1のレベルを対照レベルと比較すること、(iii)デルタ1のレベルが対照レベルより高い場合、患者が抗デルタ1免疫療法に応答することを予測すること、ならびに(iv)患者が抗デルタ1免疫療法に応答すると予測された場合、がん患者を処置することを含む。一部の実施形態では、処置は抗デルタ1抗体、例えば本明細書で提供した抗デルタ1抗体のいずれかを投与することを含む。一部の実施形態では、処置はデルタ1-39を投与することを含む。一部の実施形態では、対照レベルは健常対象からの血液または組織中で観察されたレベルに対応する。一部の実施形態では、対照レベルはがんを有する対象の腫瘍に隣接する健常組織中で観察されたレベルに対応する。一部の実施形態では、当技術で既知の他の診断検査が本方法と併せて使用される。一部の実施形態では、デルタ1のレベルはフローサイトメトリーを使用して、例えばデルタ1-39を含むがそれに限定されない本明細書で提供した抗デルタ1抗体のいずれかを使用して、決定される。
【0395】
γδT細胞の活性化に付随する疾患の処置における使用のためのキット
本開示は、γδT細胞の活性化に付随する疾患を処置または改善における使用のためのキットも提供する。例には、PDA等の固形腫瘍および本明細書に記載した他の腫瘍が含まれる。そのようなキットは、抗デルタ1抗体、例えば本明細書に記載した抗体のいずれか、および必要に応じて抗デルタ1抗体と併用される、これも本明細書に記載した第2の治療剤を含む1つまたは複数の容器を含み得る。
【0396】
一部の実施形態では、キットは本明細書に記載した方法のいずれかに従う使用のための説明書を含み得る。含まれる使用説明書は、本明細書に記載したような標的疾患を処置し、開始を遅延させ、または改善するための抗デルタ1抗体および必要に応じて第2の治療剤の投与の説明を含み得る。キットは、個体が標的疾患を有しているか否かの特定、例えば本明細書に記載した診断法の適用に基づいて処置に適した個体を選択する説明をさらに含んでよい。さらに他の実施形態では、使用説明書は標的疾患のリスクにある個体に抗体を投与する説明を含む。
【0397】
抗デルタ1抗体の使用に関する説明書は一般に、意図された処置のための用量、投薬スケジュール、および投与経路に関する情報を含む。容器は単位用量、バルク包装(例えば多用量包装)、またはサブ単位用量であってよい。本発明のキットの中に供給される使用説明書は、典型的にはラベルまたは添付文書(例えばキットに含まれる紙シート)に記載された説明書であるが、機械可読の説明書(例えば磁気または光学格納ディスクに搭載された説明書)も許容される。
【0398】
ラベルまたは添付文書は、組成物がγδT細胞の活性化に付随する疾患を処置し、その開始を遅延させ、および/または緩和するために使用されることを表示する。使用説明書は、本明細書に記載した方法のいずれかを実施するために提供され得る。
【0399】
本発明のキットは好適な包装の中にある。好適な包装には、これだけに限らないが、バイアル、ボトル、ジャー、可撓性包装(例えばシールされたマイラーまたはプラスチックの袋)、その他が含まれる。特定のデバイス、例えば吸入器、経鼻投与デバイス(例えばアトマイザー)、またはミニポンプ等の注入デバイスとの組合せ使用のための包装も意図される。キットは無菌のアクセスポートを有してよい(例えば、容器は皮下注射針によって穿刺可能な栓を有する静脈内溶液用の袋またはバイアルであってよい)。容器は無菌のアクセスポートを有してもよい(例えば、容器は皮下注射針によって穿刺可能な栓を有する静脈内溶液用の袋またはバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は本明細書に記載したもののような抗デルタ1抗体である。
【0400】
キットは必要に応じて緩衝剤および説明的な情報等のさらなる部品を提供してよい。通常、キットは容器および容器の上のまたは容器に付随したラベルまたは添付文書を含む。一部の実施形態では、本発明は上記のキットの内容物を含む製品を提供する。
【0401】
一般的手法
他に指示しない限り、本発明の実施は(組換え手法を含む)分子生物学、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の手法を採用することになる。これらは当技術の技能の範囲内である。そのような手法は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版(Sambrookら、1989)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編、1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts,1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,およびD.G.Newell編、1993-8)J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編、1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullisら編1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999);Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers,1997);Antibodies(P.Finch,1997);Antibodies:a practical approach(D.Catty編、IRL Press,1988-1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.ShepherdおよびC.Dean編、Oxford University Press,2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.HarlowおよびD.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999);The Antibodies(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers,1995)等の文献に完全に説明されている。
【0402】
さらなる詳しい記述がなくても、当業者であれば上記に基づいて本発明を最大限に利用すると信じられる。したがって、以下の特定の実施形態は単に説明のためであると解釈すべきであり、いかなる形式でも決して本開示の残りの部分を限定するものではない。本明細書で引用した全ての刊行物は、本明細書で参照した目的または主題のために、参照により組み込まれる。
【実施例】
【0403】
実施例1:抗デルタ1抗体の生成
抗原産生
マウス免疫グロブリンG(IgG)のFc部分に融合させたヒトおよびカニクイザルのT細胞受容体(TCR)のガンマ鎖およびデルタ鎖の発現ベクターを、標準的な組換えDNA法を使用して構築した。精製および固定化をより効率的にするために、デルタ鎖の発現ベクターを、Fc部分のC末端に付着したAviTag(商標)およびHis6タグを含むように、さらに改変した。異なる6つのデルタ1クローン(ヒトデルタ1A(配列番号26)、ヒトデルタ1B(配列番号27)、ヒトデルタ1C(配列番号28)、カニクイザルデルタ1A(配列番号32)、カニクイザルデルタ1B(配列番号33)、およびカニクイザルデルタ1C(配列番号34))、4つのデルタ2クローン(ヒトデルタ2A(配列番号29)、ヒトデルタ2B(配列番号35)、ヒトデルタ2C(配列番号36)、およびカニクイザルデルタ2(配列番号37))、6つのガンマ9クローン(ヒトガンマ9(配列番号30)、ヒトガンマ3(配列番号38)、ヒトガンマ4(配列番号39)、ヒトガンマ5(配列番号40)、ヒトガンマ8(配列番号41)、カニクイザルガンマ(配列番号42))、の各発現ベクターを生成した。デルタ1鎖の細胞外領域のアミノ酸配列を上で提供し、デルタ2およびガンマ鎖のアミノ酸配列を下に与える。哺乳動物細胞に、デルタ鎖クローンのベクター(上記の10のベクターのうちの1つ)とガンマ鎖のベクター(6つのガンマ鎖のうちの1つ)をトランスフェクトして、ガンマ/デルタヘテロダイマーを作製した。生成するガンマ/デルタTCR-Fc融合タンパク質を培養上清から抽出し、Ni Sepharose(登録商標)クロマトグラフィーを使用して、これに続いて、組換えBirAとゲル濾過をin vitroで使用することによって、見かけの均一性へと精製した。
ヒトTCR デルタ2A:
AIELVPEHQTVPVSIGVPATLRCSMKGEAIGNYYINWYRKTQGNTMTFIYREKDIYGPGFKDNFQGDIDIAKNLAVLKILAPSERDEGSYYCACDTLGMGGEYTDKLIFGKGTRVTVEPRSQPHTKPSVFVMKNGTNVACLVKEFYPKDIRINLVSSKKITEFDPAIVISPSGKYNAVKLGKYEDSNSVTCSVQHDNKTVHSTDFEVKTDSTDHVKPKETENTKQPSKS(配列番号29
ヒトTCR デルタ2B:
AIELVPEHQTVPVSIGVPATLRCSMKGEAIGNYYINWYRKTQGNTMTFIYREKDIYGPGFKDNFQGDIDIAKNLAVLKILAPSERDEGSYYCACDTSSSSGTDKLIFGKGTRVTVEPRSQPHTKPSVFVMKNGTNVACLVKEFYPKDIRINLVSSKKITEFDPAIVISPSGKYNAVKLGKYEDSNSVTCSVQHDNKTVHSTDFEVKTDSTDHVKPKETENTKQPSKS(配列番号35)
ヒトTCR デルタ2C:
AIELVPEHQTVPVSIGVPATLRCSMKGEAIGNYYINWYRKTQGNTMTFIYREKDIYGPGFKDNFQGDIDIAKNLAVLKILAPSERDEGSYYCACDILGDKGNTDKLIFGKGTRVTVEPRSQPHTKPSVFVMKNGTNVACLVKEFYPKDIRINLVSSKKITEFDPAIVISPSGKYNAVKLGKYEDSNSVTCSVQHDNKTVHSTDFEVKTDSTDHVKPKETENTKQPSKS(配列番号36)
カニクイザルTCR デルタ2:
AVELVPEHQTVIVSVGDPATLKCSMKGEAISNYYINWYRKTQGNTMTFIYREKGIYGPGFKDNFQGDIDTEENQAVLKILAPSERDEGSYYCASDILSWVDSYTDKLIFGKGTRVTVEPKRQPHTKPSVFVMKNGTNVACLVKDFYGKDIRINLESSKKITEFDPAIVVSPSGKYNAVKLGQYADSNSVTCSVQHNKEVVYSTDFEVKTNSTDHLKPTETENTKQPSKS(配列番号37)
ヒトTCRガンマ3:
SSNLEGRTKSVTRQTGSSAEITCDLTVTNTFYIHWYLHQEGKAPQRLLYYDVSTARDVLESGLSPGKYYTHTPRRWSWILRLQNLIENDSGVYYCATWDRPLNAWIKTFAKGTRLIVTSPDKQLDADVSPKPTIFLPSIAETKLQKAGTYLCLLEKFFPDVIKIHWQEKKSNTILGSQEGNTMKTNDTYMKFSWLTVPEKSLDKEHRCIVRHENNKNGVDQEIIFPPIKTDVITMDPKDN(配列番号38)
ヒトTCRガンマ4:
SSNLEGRTKSVIRQTGSSAEITCDLAEGSTGYIHWYLHQEGKAPQRLLYYDSYTSSVVLESGISPGKYDTYGSTRKNLRMILRNLIENDSGVYYCATWDEKYYKKLFGSGTTLVVTDKQLDADVSPKPTIFLPSIAETKLQKAGTYLCLLEKFFPDVIKIHWQEKKSNTILGSQEGNTMKTNDTYMKFSWLTVPEKSLDKEHRCIVRHENNKNGVDQEIIFPPIKTDVITMDPKDN(配列番号39)
ヒトTCRガンマ5:
SSNLEGGTKSVTRPTRSSAEITCDLTVINAFYIHWYLHQEGKAPQRLLYYDVSNSKDVLESGLSPGKYYTHTPRRWSWILILRNLIENDSGVYYCATWDRLRKKLFGSGTTLVVTDKQLDADVSPKPTIFLPSIAETKLQKAGTYLCLLEKFFPDVIKIHWQEKKSNTILGSQEGNTMKTNDTYMKFSWLTVPEKSLDKEHRCIVRHENNKNGVDQEIIFPPIKTDVITMDPKDN(配列番号40)
ヒトTCRガンマ8:
SSNLEGRTKSVTRPTGSSAVITCDLPVENAVYTHWYLHQEGKAPQRLLYYDSYNSRVVLESGISREKYHTYASTGKSLKFILENLIERDSGVYYCATWDWGKKLFGSGTTLVVTDKQLDADVSPKPTIFLPSIAETKLQKAGTYLCLLEKFFPDVIKIHWQEKKSNTILGSQEGNTMKTNDTYMKFSWLTVPEKSLDKEHRCIVRHENNKNGVDQEIIFPPIKTDVITMDPKDN(配列番号41)
ヒトTCRガンマ9:
AGHLEQPQISSTKTLSKTARLECVVSGITISATSVYWYRERPGEVIQFLVSISYDGTVRKESGIPSGKFEVDRIPETSTSTLTIHNVEKQDIATYYCALWEAQQELGKKIKVFGPGTKLIITDKQLDADVSPKPTIFLPSIAETKLQKAGTYLCLLEKFFPDVIKIHWEEKKSNTILGSQEGNTMKTNDTYMKFSWLTVPEKSLDKEHRCIVRHENNKNGVDQEIIFPPIKTDVITMDPKDN(配列番号30)
カニクイザルTCRガンマ:
AGHLEQPQISSTKMLSKTARLECVVSGVTISETSIYWYRERPGEVIQFLVCIFYDGTVKKESSIPSGKFEVDRIPKTSTSTLTIHNVEKQDIATYYCALWEVQQFGRKVKLFGPGTKLIITDKHLDADVSPKPTIFLPSIAETNLHKAGTYLCLLENFFPDVIKIHWQEKKSNTILGSQEGNTVKTNDTYMKFSWLTVPEKSLDKEHRCIVRHENNKNGVDQEIIFPPIKTDVTTMDPKDN(配列番号42)
合成抗体の生成
所期の結合特異性を有する抗体クローンを、改善を伴う前述のライブラリー(Millerら、PloS One.2012、7巻:e43746)の設計に倣って、Fabフォーマットのファージディスプレイライブラリーから単離した。ファージライブラリーの選別を、公開手順に本質的に倣って、実施した(Millerら、PloS One.2012、7巻:e43746;Fellouseら、J Mol Biol.2007、373巻:924~940頁)。デルタ1鎖の共通領域に結合するクローンを濃縮するために、異なるデルタ1鎖からなるTCR試料をライブラリー選別の連続ラウンドで使用した。デルタ2鎖またはガンマ鎖に結合するクローンを排除するために、デルタ2鎖からなる試料を使用したネガティブ選別も組み込んだ。TCR構築物のFc部分に結合するクローンを排除するために、精製Fcを選別過程の競合物質として使用した。ファージ選別に関して4ラウンドを実施した。
【0404】
TCRクローンへの結合を、ファージELISAによって決定した(Sidhuら、Methods Enzymol.2000、328巻:333~363頁.)。ビオチン化TCR試料(「標的」;TCR(デルタ1A/ガンマ9)、TCR(デルタ1B/ガンマ9)、TCR(デルタ1C/ガンマ9)、TCR(デルタ2/ガンマ9)またはFc)をニュートラアビジンコーティングウェルに固定化し、過剰のビオチンでブロックした。ウェルを、単一のFabクローンを提示するファージとともにインキュベートした。結合ファージを、HRPコンジュゲート抗M13ファージ抗体で検出した。
【0405】
親和性成熟
Fabクローンの親和性および異種間反応性(ヒトとカニクイザルのTCR)を改善するために、酵母表面ディスプレイを使用してライブラリーを構築し、次いで、これを、公開手順に本質的に倣うことによって(Boderら、Nat Biotechnol.1997;15巻:553~7頁;Koideら、J Mol Biol.2007;373巻:941~53頁)、定量的に選別した。
【0406】
要約すると、CDR-H3親和性成熟を、デルタ1-17を親クローンとして使用して実行した。デルタ1-30を、デルタ1-17と比べてCDR-H3にS→M突然変異を含有するCDR-H3親和性成熟から特定した。デルタ1-30を単鎖Fv(scFv)フォーマットに変換し、これを、酵母Aga2タンパク質およびV5タグに融合し、Pgalプロモーターの制御下に置いた。CDR-L2を、NCBI生殖細胞系列(www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)およびV-BASE(www2.mrc-lmb.cam.ac.uk/vbase/)のエントリーとのアラインメントから導出した予測生殖細胞系列配列に変換し、その結果、デルタ1-29を創り出した。次いで、(Millerら、PloS One、2012;7巻:e43746.PMCID:3423377)に記載のように配列多様性をCDR-L3に導入した。ビオチン化TCR標的を、DyLight 650標識ストレプトアビジン(Thermo Fisher Scientific)にコンジュゲートし、フローサイトメトリーによるライブラリー選別および結合アッセイに使用した。デルタ1-18~デルタ1-28およびデルタ1-31のクローンを、これらがデルタ1に結合する活性に対する酵母ディスプレイを介して特定した。それらのVH鎖およびVL鎖(VH/VL)のアミノ酸配列を上に提供する。その後に、配列多様性をデルタ1-23のCDR-H1部分に導入した。上のように親和性成熟を行い、デルタ1-32~デルタ1-43を創り出した。
【0407】
IgGタンパク質産生
上記の抗体クローンの遺伝子を、ヒトIgG産生向けに哺乳動物発現ベクターに移した。タンパク質を、ExpiCHOまたはExpi293の細胞(ThermoFisher)の一過性トランスフェクションによって産生させ、プロテインGセファロースクロマトグラフィーとこれに続くSuperdex S200またはResourceSクロマトグラフィー(GE Healthcare)を使用して精製した。
【0408】
実施例2:抗デルタ1抗体クローンの特性評価
親和性測定
抗体の親和性について、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して評価した。ビオチン化TCR試料を、ニュートラアビジン(ThermoFisher)をプリロードしたAvicap chip(Pall ForteBio)に固定化した。IgG試料を、Pioneer SPR装置(Pall ForteBio)でOneStep法を使用してフローした。解析したIgG試料は、それぞれの標的に対して低ナノモル範囲に、解離定数(K
D)値を有した(
図10A)。場合によっては、バイオレイヤー干渉法(BLI)を使用して親和性を測定した。同様に、ビオチン化TCR試料をストレプトアビジンセンサーに固定化し、抗体溶液とともにインキュベートした(
図22Aおよび22B)。
【0409】
あるいは、前記のように、ビーズ結合アッセイを使用して親和性について評価した(Nishikori S、Hattori T、Fuchs SM、Yasui N、Wojcik J、Koide A、Strahl BD、Koide S.Broad ranges of affinity and specificity of anti-histone antibodies revealed by a quantitative Peptide immunoprecipitation assay.J Mol Biol.2012;424巻:391~9頁.PMCID:3502729.)。ビオチン化TCR試料をストレプトアビジンコーティングビーズ(Thermo Fisher)に固定化し、ビーズを種々の濃度のIgG試料とともにインキュベートした。洗浄後、ビーズに結合させたIgGを蛍光標識二次抗体で染色し、フローサイトメーターを使用して定量化した(例えば、
図6、7、9等)。
【0410】
KD値を表2に示す。
【0411】
【0412】
示された誤差は、3回繰返しの実験からの標準偏差(s.d)である。誤差が示されていない場合、測定は1回行った。ビオチン化TCR試料をストレプトアビジンコーティングビーズに固定化し、抗体を滴定し、フローサイトメトリーを使用してそれらの結合を定量化した。
【0413】
デルタ1vsデルタ2の特異性に関する細胞ベース解析
デルタ2と比べたデルタ1に対する抗デルタ1抗体、デルタ1-17の特異性について試験した。CDR3ループにおいてのみ互いに異なっている、異なる3つのデルタ1バリアント(D1A、D1B、D1C)を作製した。デルタ1およびデルタ2のFc融合タンパク質をストレプトアビジンコーティングビーズに付着させ、デルタ1-17 hIgG1を使用して結合タイトレーションを行った。
図10Bに示すように、デルタ1-17はデルタ1(3つのバリアント全て)に高度に特異的であり、デルタ2と交差反応しない。デルタ1-41についても同様の特異性を観察した。
図10Dに示すように、デルタ1-41は、デルタ2と比べてデルタ1に高度に特異的である。
【0414】
ガンマ結合の細胞ベース解析
抗デルタ1抗体結合に対する様々なガンマ鎖の効果について試験した。ガンマ3、4、5、8、および9を含有するFc融合タンパク質を生成し、ストレプトアビジンコーティングビーズに付着させた。結合タイトレーションを、抗デルタ1-17抗体を使用して実施した。
図11Aに示すように、抗デルタ1-17結合はガンマ非依存性である;即ち、γδ TCRで使用するガンマ鎖に関わらず、結合はデルタ1特異的である。
【0415】
抗デルタ1抗体結合に対する様々なガンマ鎖の効果について、抗デルタ1-39抗体で実施した結合タイトレーションを使用して試験した。ガンマ3、4、5、8、および9を含有するFc融合タンパク質を生成し、ストレプトアビジンコーティングビーズに付着させた。
図23に示すように、抗デルタ1-39結合もガンマ非依存性であった。
【0416】
J.RT3-T3.5(ATCC(登録商標)TIB-153)細胞系をウイルス形質導入して、
図11Bに示す種々のデルタとガンマの組合せを発現させた。TIB153細胞系を、これはCD3または任意のTCRを発現しないJurkat細胞系であるので、陰性対照として使用した。したがって、TIB153細胞系を、T細胞上で見られる他の任意の細胞表面受容体に対するバックグラウンド結合がないことを確認するために、使用することできる。これらの細胞を、市販の抗ヒトCD3 FITC(クローンUCHT1、Biolegend#300440)、抗ヒトデルタ1 APC(クローンTS8.2、eBioscience#17-5679-42)、および抗ヒトTCRガンマ/デルタAlexaFluor 647(クローンB1、Biolegend#331214)で染色した。
図11Bに示すように、抗ヒトIgG Fc APC(クローンM1310G05、Biolegend#410712)を使用して、本明細書に記載の選択された抗デルタ1抗体による染色を検出した。デルタ1-39およびデルタ1-41が、試験した他のクローンよりも良好なパンガンマバインダーであることが見出された。これらの結合プロファイルは、市販の抗デルタ1抗体の結合プロファイルと同等である。
【0417】
安定Jurkat(J.RT3-T3.5;ATCC(登録商標)TIB-153)細胞系を調製し(
図11Bと同じ)、抗デルタ1抗体の組合せ上で以下のガンマ鎖を発現させた:1)抗デルタ1とガンマ2;2)アンチデルタ1とガンマ3;3)アンチデルタ1とガンマ4;5)アンチデルタ1とガンマ5;6)アンチデルタ1とガンマ8;7)アンチデルタ1とガンマ9;8)抗デルタ2抗体とガンマ9。デルタ1-39の増量滴定を使用して結合について試験した。結合研究については、アルファベータTCRを発現する親Jurakat(E6-1)細胞系を対照として使用した。
図24A~24Hに示すように、デルタ1-39の結合は、細胞表面のδγ TCRで使用したガンマ組合せに関わらず特異的であり、d2またはアルファベータTCRを含有するTCRへの結合が全くなかった(
図24G~H)。
【0418】
cyno結合の細胞ベース解析
デルタ1-41抗体とヒトおよびカニクイザルとの反応性について試験した。ヒトおよびカニクイザルのデルタ1のFc融合タンパク質をストレプトアビジンコーティングビーズに付着させ、デルタ1-41を用いて結合タイトレーションを行った。
図10Cに示すように、デルタ1-41抗体は、カニクイザルデルタ1と本質的に同じ親和性でヒトデルタ1に結合する。
図10Dも参照されたい。
【0419】
デルタ1-39抗体とヒトおよびカニクイザルとの反応性についても試験した。ヒトおよびカニクイザルのデルタ1のFc融合タンパク質をストレプトアビジンコーティングビーズに付着させ、デルタ1-39を用いて結合タイトレーションを行った(
図9H)。
図22Aに示すように、デルタ1-39抗体は、
図22Bに示すカニクイザルデルタ1(KD=0.28nM)と本質的に同じ親和性(KD=0.23nM)でヒトデルタ1に結合する。親和性測定は、Octet Bio-Layer Interferometry(BLI)を使用して行った。ビオチン化ヒトまたはサルの受容体をストレプトアビジンセンサーチップ上に固定化し、デルタ1.1 mAbを示したように滴定した。
【0420】
熱安定性
精製タンパク質をSYPRO-Orangeとともに、0.5℃の増分で25℃から99℃の範囲の温度でインキュベートした。各増分で蛍光を測定した。温度に対する蛍光の平均変化(即ち、一次導関数)を、40℃~90℃の範囲の間でプロットし、
図8に示す。曲線は明瞭にするために垂直方向にオフセットされている。
【0421】
実施例3:スフェロイド調製および患者腫瘍試料のマイクロ流体培養
新鮮な腫瘍検体(ヒト患者)を氷上の培地(DMEM)に受け取り、滅菌鉗子およびメスを使用して10cmディッシュ(氷上)中で切り刻む。切り刻んだ腫瘍をDMEM(4.5mmol/Lグルコース、100mmol/Lピルビン酸Na、1:100ペニシリン-ストレプトマイシン;Corning CellGro)+10%FBS(Gemini Bio-Products)、100U/mLコラゲナーゼIV型(Life Technologies)、および15mmol/L HEPES(Life Technologies)に再懸濁する。試料をペレット化し、10~20mLの培地に再懸濁する。赤血球(RBC)溶解緩衝剤(Boston Bio-Products)を使用して、目に見えて血性である試料からRBCを除去する。試料をペレット化し、次いで、新鮮DMEM+10%FBSに再懸濁し、100μmフィルターと40μmフィルターにかけて漉して、S1(>100μm)、S2(40~100μm)およびS3(<40μm)スフェロイド画分を生成し、これら画分は続いて、超低接着組織培養プレートで維持する。S2画分をex vivo培養に使用する。S2画分の一定分量をペレット化し、NaOHを使用してpHを調整したフェノールレッドを含む10×PBSの添加に続く2.5mg/mLの濃度でのI型ラットテールコラーゲン(Corning)に再懸濁する。pH7.0~7.5であることを、PANPEHA Whatman paper(Sigma-Aldrich)を使用して確認する。次いで、スフェロイド-コラーゲン混合物を、Jenkinsら、Cancer Discov.2018年2月;8巻(2号):196~215頁;Ex Vivo Profiling of PD-1 Blockade Using Organotypic Tumor Spheroidsに記載のように、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれるが、3Dマイクロ流体培養デバイスの中央のゲル領域に注入する。患者由来器官型腫瘍スフェロイド(PDOTS)を含有するコラーゲンヒドロゲルを、37℃で30分後に、抗γδモノクローナル抗体有り無しの培地で水和する。
【0422】
場合によっては、チェックポイント阻害剤またはその他の免疫療法剤との相乗効果を試験するために、PDOTSを、抗PD-1(ペムブロリズマブ、250μg/mL)、抗CTLA4(イピリムマブ、50μg/mL)、または組合せ(250μg/mLのペムブロリズマブ+50μg/mLのイピリムマブ)で処理する。示されたPDOTS研究については、抗ヒトPD-L1は、600μg/mLでのアテゾリズマブ+ヒトIFNガンマである。免疫プロファイリングを、Jenkinsらに記載のようにフローサイトメトリーによって実行する。
【0423】
実施例4:共培養の調製、処理、および解析
膵臓がん患者からの細胞を使用するin vitro培養アッセイを実施して、αβ T細胞に対するγδ T細胞の効果について試験した。血液αβ T細胞を、単独で培養するかまたは腫瘍内または血液のγδ T細胞と共培養した。血液αβ T細胞を、CD3/CD28へのライゲーションによって活性化し、その結果、FACSにより測定したTNF-αの増加をもたらした。
図2に示すように、活性化αβ T細胞と血液および腫瘍のγδ T細胞との共培養(それぞれバー3および4)は、活性化αβ T細胞(バー2)と比較して、有意に抑制されたTNF-αシグナルを示した。バー1は不活化αβ T細胞を表す。本結果は、膵臓がん患者からのγδ T細胞が免疫抑制性であることを実証する。
【0424】
ガンマデルタT細胞(GDT)および通常型T細胞(αβ T細胞)を、外科的に切除したヒトの腫瘍検体と新鮮な状態で受け取った対の血液試料から選別した。抗体ベースのT細胞増殖アッセイについては、96ウェルプレートでヒトT細胞活性化キット(130-091-441、Miltenyi Biotec、MA)を使用して血液または腫瘍のCD3+ T細胞を活性化した。選別したウェルでは、ガンマデルタT細胞を1:5のGDT:T細胞比で添加した。T細胞活性化を、TNF-αおよびIFNγによって示されるように、フローサイトメトリーによって72時間で決定した。活性化αβ T細胞と血液および腫瘍のγδ T細胞との共培養によって、TNF-αおよびIFNγのシグナル伝達の抑制がもたらされたが、これによって、3人のがん患者(結腸直腸がん、
図3A、膵臓がん、
図3B、および膵臓がん、
図3C)からのγδ T細胞は免疫抑制性であることが、実証される。
【0425】
実施例5:PDOTSの調製、処理、および解析
PDOTSを、わずかな修正で、上の実施例で記載のように調製した(Jenkinsら、2017、Ex Vivo Profiling of PD-1 Blockade Using Organotypic Tumor Spheroids. Cancer Discov Feb;8巻(2号):196~215頁)。要約すると、外科的に切除したヒトの腫瘍検体を氷上のDMEM培地に新鮮な状態で受け取り、10cmディッシュ中で切り刻んだ。切り刻んだ腫瘍を、コラゲナーゼIV型100U/mLを含むDMEM+10%FBSに再懸濁して、スフェロイドを得た。部分的に消化した試料をペレット化し、次いで、新鮮DMEM+10%FBSに再懸濁し、100mmフィルターと40mmフィルター両方にかけて漉して、S1(>100mm)、S2(40~100mm)およびS3(<40mm)スフェロイド画分を生成し、これら画分は続いて、超低接着組織培養プレートで維持した。S2画分の一定分量をペレット化し、NaOHを使用してpHを調整したフェノールレッドを含む10×PBSの添加に続く2.5mg/mLの濃度でのI型ラットテールコラーゲンに再懸濁した。S2画分の一定分量をペレット化し、I型ラットテールコラーゲンに再懸濁し、次いで、スフェロイド-コラーゲン混合物をDAX-1 3Dマイクロ流体細胞培養チップ(Aim Biotech、シンガポール)の中央のゲル領域に注入した。37℃で30分後、PDOTSを含有するコラーゲンヒドロゲルを、2つの抗デルタ1抗体(例としてデルタ1-17およびデルタ1-23を使用)および関連するアイソタイプを含む、示された処理を伴う培地で、水和した。PDOTSを滅菌容器に維持し、標準的な細胞培養インキュベーターでインキュベートした。3日間のインキュベーション後にPDOTSを収集し、免疫変化のさらなる解析をフローサイトメトリーによって行った。
【0426】
下の表3に示すように、20のPDOTSを処理した。「レスポンダー」は、3つのマーカー(CD44、TNFa、およびIFNγ)のうちの2つでアイソタイプ対照と比較して、応答が20%よりも大きい増加を示したPDOTSとした。代表的な結果を
図4、5、および12に示す。PDOTSを本明細書に記載の抗デルタ1抗体で処理することによって、胃腸神経内分泌腫瘍試料(
図4)、乳がん肝転移腫瘍試料(
図5)、結腸直腸癌肝転移腫瘍試料(
図12A)、肝臓神経内分泌腫瘍試料(
図12B)、結腸直腸癌神経内分泌腫瘍試料(
図12C)、肝細胞癌腫瘍試料(
図12D)、および結腸直腸癌(CRC)試料(
図12E)、において活性化T細胞の増加がもたらされた。活性化T細胞の同様の増加が、結腸直腸がん腫瘍試料(
図20A)および肝転移腫瘍試料(
図20B)においてデルタ1-41を使用して得られた。
【0427】
これらの結果が示唆するところは、抗デルタ1抗体は、γδ T細胞の阻害機能をブロックするとともに、腫瘍スフェロイド内のCD4+およびCD8+ T細胞の活性化を可能にすること、である。並べて比較すると、試験した両方の抗体によって、同程度へのT細胞の活性化が達成された(
図4および5)。
【0428】
【0429】
実施例6:カニクイザルおよびアカゲザルの全血の免疫表現型解析
本明細書に記載の抗デルタ1抗体をさらに特徴付けるために、αγ/δT細胞FACSパネルを、カニクイザルおよびアカゲザルからの全血とともに使用するために開発する。次いで、上記パネルを使用して、抗デルタ1抗体の結合特異性を評価する。
【0430】
カニクイザルおよび/またはアカゲザルからの全血試料をNaHepチューブに採取し、一晩保存する。試料は、正常または膵臓がんモデルの動物に由来する。最初に、NHP全血中のγ/δT細胞を評価するためのFACSパネルを開発および最適化し、次いで、これを使用して、本明細書に記載の抗デルタ1抗体の結合特異性について評価する。
【0431】
市販抗体を対照として使用する(AF647-抗パンγ/δT:Biolegend 331214(交差反応性のcyno/rhesusと報告されている);APC-抗vδ2T:Biolegend 331418(陰性対照;交差反応性アカゲザル))。対照パネルを開発および最適化するために、製造元の推奨の2倍で開始して、2倍希釈で8点滴定を使用して、罹患したNHP対象からの新鮮全血で、市販抗体を滴定する。最適な滴定を選択した後、カニクイザル(n=6)とアカゲザル(n=6)の対象(それぞれ正常な3匹の対象と罹患した3匹の対象)からの全血を、以下の完全最適化対照パネルで染色する:CD45/CD3/CD4/CD8/AF647-パンγ/δT/APC-vδ2T/生-死。ゲーティングには適当なコントロールチューブを使用する。
【0432】
市販抗体による染色が確認されたら、本明細書に記載の抗デルタ1抗体による染色に、2匹の罹患対象(1匹のアカゲザルおよび1匹のカニクイザル)からの全血を使用する。抗デルタ1抗体、例えばクローンデルタ1-39は、蛍光コンジュゲートされており、8点滴定曲線を使用して全血で滴定する。市販抗体を含む完全最適化パネルセットを使用した対照染色を含ませる。抗体結合が確認されたら、6匹のカニクイザルと6匹のアカゲザルの対象(それぞれ正常な3匹の対象と罹患した3匹の対象)からの全血を、以下の完全最適化パネルで染色する:対照パネル:CD45/CD3/CD4/CD8/AF647-パンγ/δT/APC-vδ2T/生-死;試験パネル:CD45/CD3/CD4/CD8/デルタ1 1-23 γ/δ T/APC-vδ2T/生-死;染色CTRL:CD45/CD3/CD4/CD8/アイソタイプctrl/APC-vδ2T/生-死。全試料を、3レーザーまたは5レーザーのFortessaサイトメーターで取得し、FlowJoソフトウェアで解析する。
【0433】
実施例7:B6-TCRデルタ-マウスおよび対照C57BL/6Jマウスにおける、マウスルイス肺癌および皮膚黒色腫のシンジェニックモデルでの2つの免疫チェックポイント阻害剤のin vivo評価
本研究は、雌性(ルイス肺癌、LLC)および雄性(皮膚黒色腫、B16F10)のB6-TCRデルタ-マウスならびに対照C57BL/6Jマウスにおける、マウスLLCおよびB16F10のシンジェニックモデルでの、2つの免疫チェックポイント阻害剤、抗PD1と抗CTLA-4の抗腫瘍活性を評価することを目的とする。
【0434】
試験剤:
本研究で使用の試験剤(下の表5に示す)を、Championsによって提供される取扱説明書に従って製剤化し、研究期間中、投薬の日に調製した。
【0435】
【0436】
実験計画
研究前の動物:
研究前の動物(雌性C57BL/6Jマウスまたは雌性ガンマデルタKO C57BL/6Jマウス)に、PBS 100μlに再懸濁した3×105LLC細胞を左脇腹で皮下に片側移植した。
【0437】
研究前の動物(雄性C57BL/6Jマウスまたは雄性C57BL/6J ガンマデルタKOマウス)に、PBS 100μlに再懸濁した5×105B16F10細胞を左脇腹で皮下に片側移植した。
【0438】
研究動物:
移植して2~3日後、各実験について研究前の腫瘍体積を記録した。腫瘍が平均腫瘍体積50~100mm3(好ましくは、50~75mm3)に達したとき、投薬に使用する処置群または対照群へと腫瘍体積によって動物を整合させ、0日目に投薬を開始した。
【0439】
野生型C57BL/6JマウスまたはガンマデルタKOマウスを5群に無作為に割り当て、それぞれを下の表6に示すように処置した:
【0440】
【0441】
有効性 腫瘍体積:
腫瘍体積を週に3回測定した。研究がエンドポイントに達した日に最終腫瘍体積を測定した。可能であれば、動物が瀕死状態と見られる場合、最終腫瘍体積を測定した。
【0442】
腫瘍潰瘍:
腫瘍とは初期時点で潰瘍を発症し始める場合がある。腫瘍体積測定後、トリプル抗生物質軟膏を全ての腫瘍に週3回塗布した。潰瘍が腫瘍全表面積の50%超の状態または全体的な健康と福祉に対して影響を及ぼしている状態のマウスは安楽死させることとなった。
【0443】
有効性 動物の体重:
動物の体重を週3回測定した。最終体重を、研究がエンドポイントに達した日、または可能であれば動物が瀕死状態と見られる場合に測定した。0日目と比較した場合、≧10%重量喪失を示す動物は、不断給餌でDietGel(登録商標)を供給することとした。7日続く期間に>20%の正味重量喪失を示すか、または0日目と比較した場合、もし>30%の正味重量喪失をマウスが呈するなら、いかなる動物も瀕死状態とされ、安楽死させることとした。
【0444】
研究の終了:
有効性:研究エンドポイントは、対照群の平均腫瘍体積(無修正)が1500mm3に達する場合と、定義した。これが28日目より前に発生した場合は、28日目まで、処置群および個体のマウスに投薬し、これらを測定した。28日目までに、対照群の平均腫瘍体積(無修正)が1500mm3に達しなかった場合は、全ての動物についてエンドポイントを、最長60日目までで対照群の平均腫瘍体積(無修正)が1500mm3に達したとき、その当日と設定した。
【0445】
生存中の採血:顎下静脈からの血液150μLを採取した。血液を血清分離チューブに移し、室温で少なくとも15分間凝固させた。試料を3500RPMで室温で10分間遠心分離した。得られる血清を分離し、独自にラベル付けされた透明ポリプロピレンチューブに移し、ドライアイス上または出荷まで-80℃に維持するように設定された冷凍庫内で即座に凍結した。
【0446】
データの収集、解析、および報告
薬剤の毒性:0日目に開始して、動物を毎日観察し、デジタルスケールを使用して週3回体重を測定した;個体のグラム重量と平均グラム重量(平均We±SD)、0日目に対する重量変化の平均パーセント(%vD0)を含むデータを各群について記録し、研究の完了時に%vD0をプロットした。各処置群の最大平均%vD0(体重最下点)を、研究の完了時に報告した。
【0447】
結果
0日目に開始して、腫瘍寸法をデジタルノギスにて週3回測定し、個体の推定腫瘍体積と平均推定腫瘍体積(平均TV±SEM)を含むデータを各群について記録した。腫瘍体積を、式(1):TV=幅2×長さ×0.52を使用して計算した。研究完了時に、腫瘍成長阻害のパーセント(%TGI)値を、式(2):%TGI=1-(Tf-Ti)/(Cf-Ci)によって、初期(i)および最終(f)の腫瘍測定を使用して、対照(C)に対する各処置群(T)について計算し、報告した。2回の連続測定に対して腫瘍体積=0日目の測定の30%を報告する個体のマウスを、パーシャルレスポンダー(PR)とした。触知可能な腫瘍を欠く個体のマウス(2回の連続測定に対して0.00mm3)をコンプリートレスポンダー(CR)として分類した。研究完了まで持続するCRを、腫瘍のない生存者(TFS)とした。腫瘍倍加時間(DT)を、式DT=(Di-Df)*log2/(logTVi-logTV)fを使用して、ビヒクル処置群に対して決定した(式中、D=日およびTV=腫瘍体積である)。
【0448】
図13Aおよび
図13Bに示すように、抗CTLA-4抗体は、未処置のマウスまたは示されたIgGアイソタイプ対照で処置したマウスと比較して、γδノックアウトLCCマウスの腫瘍体積を減少するのに成功したが、一方、かかる抗腫瘍効果は野生型マウスでは観察されなかった。
【0449】
γδノックアウト黒色腫マウスでは、抗PD-1抗体の抗腫瘍効果が投薬後約14日以降(例えば、投薬17日後)に観察された。
図13Cおよび13D。群4d(抗PD-1ガンマデルタKO)に対する群4c(抗PD-1 C57BL/6J)について非釣合型2元配置ANOVA(ボンフェローニの多重比較検定)を、17日目までB16F10モデルについて使用した。平均TVで観察された減少は、p<0.05(p=0.0410;交互作用因子)のレベルで有意である。処置効果は17日目で有意である(ボンフェローニの多重比較検定)。
【0450】
これらのデータは、チェックポイント阻害剤がγδ T細胞の非存在下でより効果的であることを指示する。データが示唆するところはまた、免疫抑制ガンマデルタT細胞をブロックし/阻害し/枯渇させる治療法は、チェックポイント阻害剤(抗PD1、抗CTLA4、抗PDL1)と組み合わせて、例えば、抗がん免疫応答を可能にし、レスキューし、かつ増強することによって、がん処置に役に立つと思われること、である。γδ T細胞によって抑制されるこのような抗がん免疫応答には、それらに限定されないが、αβ T細胞と、マクロファージ、NK細胞、腫瘍微小環境の樹状細胞などのその他の抗がんエフェクター経路とによって媒介される応答が含まれる。
【0451】
実施例8:抗デルタ1抗体の安定性解析
抗デルタ1抗体、デルタ1-17およびデルタ1-41を使用するまで-80℃で保存した。解析の前に、試料を37℃のウォーターバスで解凍し、解析まで氷上で保存した。操作前に、Nanodropを使用して280nmでの吸光度を測定した。次いで、試料を12mg/mlに濃縮し、0.22μmフィルター(Millipore;SLGV004SL)を通して濾過した。試料を、TOSOH TSKgel SuperSW mAb HRカラムを使用してSECによって解析した。様々な解凍、貯蔵、および操作条件をSECによって評価し、より高分子量のピークの出現についてモニタリングした。
【0452】
凍結と解凍、濃縮および/または濾過の1サイクルを経た、抗体クローンの安定性について、本研究で解析した。
図14Aおよび14Bに示す結果が指示するところは、デルタ1-17とデルタ1-41の両方は、高濃度(12mg/ml)で依然として凝集体を含まず、単回の凍結解凍サイクルならびに0.22uMフィルターを通す濾過に耐え得ること、である。4℃での10日貯蔵後、デルタ1-17とデルタ1-41は、
図14Cおよび14Dに示すのと同じ条件で凝集体を依然として含まない。さらに、デルタ1-17とデルタ1-41は、
図14Eおよび14Fに示すように、37℃および室温(24℃)での一晩貯蔵後ならびに4回の凍結/解凍サイクル後も凝集体を依然として含まない。同様の実験をクローンデルタ1-39で行い、
図14Gに示す。
【0453】
実施例9:デルタ1-17およびデルタ1-41の抗体依存性細胞食作用(ADCP)および抗体依存性細胞傷害(ADCC)の解析
デルタ1-17およびデルタ1-41の抗体依存性細胞食作用(ADCP)効果を、下に記載のように、ビーズベースADCPアッセイおよび細胞ベースADCPアッセイを使用して評価した。
【0454】
(i)ビーズを用いたADCPアッセイ
Nuetravidin FluoSpheres Yellow/Green(505/515)(Invitrogen#F8776)を1:100希釈で使用し、10nMでビオチン化ガンマ/デルタ複合体とコンジュゲートさせた。1ウェルあたりビーズ懸濁液計5μlを使用した。THP-1単球細胞系(ATCC(登録商標)#TIB-202)をエフェクター細胞として使用し、CellTrace(商標)Far Red Cell Proliferation dye(Thermo cat#C34572)で染色した。2×104エフェクター細胞を、様々な濃度でデルタ1-17およびデルタ1-41を含有する各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を、0.1%BSAを含むPBSに再懸濁し、FACSにより解析した。
【0455】
図15A~15Cに示すように、デルタ1-17とデルタ1-41の両方が3つの標的固定化比全てでADCPを媒介することができたが、この場合、アイソタイプに対して10nMによって最良の特異性がもたらされた。本結果が指示するところは、デルタ1-17およびデルタ1-41が、異なる標的コーティング密度にあるビーズを標的として使用して、抗体依存性細胞食作用(ADCP)を媒介し得ること、である。
【0456】
さらに、ADCPの効果について、1時間、4時間、および24時間の時点で調査した。
図16A~16Cに示すように、1時間のインキュベーションによって、2つの抗体クローンの有効性の間を区別することを可能とする、最良の食作用プロファイルが示された。食作用スコアを(ビーズ陽性細胞の%×陽性集団のMFI)/10
6として計算する。結果が指示するところは、デルタ1-17およびデルタ1-41が、広範囲の時間にわたって、ビーズを標的として使用して、抗体依存性細胞食作用(ADCP)を媒介し得ること、である。
【0457】
さらに、様々なビオチン化標的をニュートラアビジンコーティング蛍光ビーズに10nMで固定化した。デルタ1-1-17、デルタ1-39、およびデルタ1-41は、ヒトデルタ1およびサルデルタ1の受容体でコーティングしたビーズを用いてADCPを媒介することができたが、アイソタイプ抗体は応答を全く引き起こさなかった。
図17。食作用スコアを(ビーズ陽性細胞の%×陽性集団のMFI)/10
6として計算した。結果が示すのは、デルタ1-17およびデルタ1-41が、ヒトおよびサルの標的でコーティングビーズを使用して、抗体依存性細胞食作用(ADCP)を媒介し得ることである。
【0458】
(ii)細胞ベースADCPアッセイ
細胞表面で様々なデルタ鎖とガンマ鎖の組合せを発現する標的細胞を、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE;eBioscience#65-0850-84)で染色した。THP-1単球細胞系(ATCC(登録商標)#TIB-202)をエフェクター細胞として使用し、CellTrace(商標)Far Red Cell Proliferation dye(Thermo cat#C34572)で染色した。標的細胞とエフェクター細胞を1:1の比で混合し(それぞれ2×104細胞)、示したように、様々な濃度にあるデルタ1-17およびデルタ1-41とともに37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を、0.1%BSAを含むPBSに再懸濁し、FACSにより解析した。
【0459】
表面でデルタ1/ガンマ9 TCRを発現する標的細胞を、
図18Aに指示するように、種々の時間期間、抗体およびTHP-1エフェクター細胞とともにインキュベートした。1時間のインキュベーションによって、2つの抗体クローンの有効性の間を区別することを可能とする、最良の食作用プロファイルが示された。結果が指示するところは、デルタ1-17およびデルタ1-41が、表面でデルタ1 TCRを発現する標的細胞を使用して抗体依存性細胞食作用(ADCP)を媒介し得ること、である。
【0460】
さらに、表面でデルタ1/ガンマ9 TCRを発現する標的細胞を、抗体およびTHP-1エフェクター細胞とともに1時間インキュベートした。試験した様々な抗体濃度から、5nM濃度が最良の応答を示した。
図18B。結果が指示するところは、デルタ1-17およびデルタ1-41が、広範囲の抗体濃度で表面でデルタ1 TCRを発現する標的細胞を使用して、抗体依存性細胞食作用(ADCP)を媒介し得ること、である。
【0461】
さらに、表面で異なるTCRを発現する標的細胞を、5nMの抗体およびTHP-1エフェクター細胞とともに1時間インキュベートした。試験した全ての抗体クローンが、デルタ1を発現する標的細胞でADCPを媒介するにあたって高い特異性を示したが、デルタ2を発現する標的細胞では示さなかった。
図18C。結果が示すのは、デルタ1-17およびデルタ1-41が、デルタ2 TCRではなくデルタ1 TCRを発現する標的細胞を使用して、抗体依存性細胞食作用(ADCP)を特異的に媒介することである。
【0462】
同様の実験を行って、デルタ1-39が抗体依存性細胞食作用(ADCP)を媒介できるか否か、およびデルタ1-39によって媒介される抗体依存性細胞食作用(ADCP)がデルタ1 TCR含有細胞に特異的であるかどうかについて評価した。デルタ1/ガンマ-4、デルタ1/ガンマ-9、またはデルタ2/ガンマ-9を発現するJurkat細胞系を標的細胞系として使用した。上記細胞を、エフェクター細胞(THP-1単球)と標的細胞1:1で混合した。デルタ1-39抗体、アイソタイプ、またはビヒクルを5nMで1時間添加した。食作用の程度を、最初にFarRed陽性エフェクター細胞でゲーティングし、次いでCFSE陽性標的細胞でゲーティングすることによるフローサイトメトリーによって測定した。
図26に示すように、デルタ1-39によって媒介される抗体依存性細胞食作用(ADCP)は、デルタ1とのガンマ組合せに関わらず、デルタ1 TCRに特異的であったが、デルタ2 TCRには特異的ではなかった。
【0463】
(iii)抗体依存性細胞傷害(ADCC)
細胞表面で様々なデルタとガンマの組合せを発現する標的細胞を、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE;eBioscience#65-0850-84)で染色した。THP-1単球細胞系(ATCC(登録商標)#TIB-202)を、染色されないエフェクター細胞として使用した。ADCCアッセイの開始前に、エフェクター細胞をFicoll Paque Plus勾配(Sigma#GE17-1440-02)で分離して、死細胞を除去した。標的細胞とエフェクター細胞を1:8の比で混合し、デルタ-17、デルタ-39、デルタ1-41またはアイソタイプ対照とともに100nMで、示されているように、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、Fixable Viability Dye 660(FVD660;eBioscience#65-0864-14)を用いて4℃で30分間、染色した。細胞を次いで0.1%BSAを含むPSBで洗浄し、FACSにより解析した。
【0464】
表面でデルタ1/ガンマ9 TCRを発現する標的細胞を、抗体およびNK92+CD16エフェクター細胞とともに1時間および3.5時間インキュベートした。デルタ-17、デルタ-39、およびデルタ1-41が、ADCCを媒介することができた(
図19Aおよび19B)。
【0465】
同様の細胞ベースADCCアッセイも実行して、デルタ1-39のADCC効果について評価した。エキストラFcγRを発現するNK-92細胞をエフェクター細胞として使用した。δ1/γ9を発現するJurkat(J.RT3-T3.5)細胞系を標的細胞系として使用し、CFSE色素で標識した。エフェクターと標的との比4:1で細胞を混合し、抗体(デルタ1-39抗体またはアイソタイプのいずれか)を100nMで3.5時間添加した(
図25Aおよび25B)。インキュベーション後、細胞を細胞生死判定試薬(FVD660)で染色し、フローサイトメトリーによって定量化した。
図25に示すように、デルタ1-39抗体によって抗体依存性細胞傷害(ADCC)が促進された。
【0466】
実施例10:δ1細胞を中和すると、ヒトHCC PDOTSにおいてICOSベース免疫療法が可能になる
ヒトHCC PDOTSを上の実施例に記載のように調製した。T細胞活性化のレベルを、抗デルタ1 IgG1抗体(例としてデルタ1-41)または抗PD1抗体と比較して、アイソタイプ(hIgG1)で処理した腫瘍試料(PDOTS)において測定した。CD8+ T細胞におけるTNF-αのパーセントおよびCD8+ T細胞におけるIFNγのパーセントは、デルタ1-41で処理したPDOTSにおいて、両方とも増加した。
【0467】
次に、T細胞を活性化する能力を抗デルタ1抗体とPD-1抗体の処理の間で比較した。肝細胞癌腫瘍試料からのPDOTSを抗デルタ1抗体(例としてデルタ1-17)で処理することによって、PD-1抗体およびアイソタイプ対照と比較して活性化T細胞の増加がもたらされ、このことによって、ガンマデルタT細胞の阻害機能をブロックする上で、ガンマデルタT細胞を標的とすることは、単一のチェックポイント分子を標的とするよりも効果的であること、が示唆された。(
図20B)。
【0468】
共刺激受容体アゴニスト(例としてICOSアゴニスト)の存在下でT細胞を活性化する能力について試験した。肝細胞癌腫瘍試料からのPDOTSをICOSアゴニストと組み合わせた抗デルタ1抗体(例としてデルタ1-17)で処理することによって、抗デルタ1抗体単独と比較して活性化T細胞の増加がもたらされた(
図21A~21C)。
【0469】
実施例11:抗デルタ1抗体は、末梢血単核細胞(PBMC)における特異的細胞死滅を媒介する
まずPBMCを、健康なヒトドナーから単離し、次いで、10nM抗デルタ1抗体(例としてデルタ1-39)とともに1時間インキュベートした。インキュベーション後、市販の薬剤を使用して、DAPI、抗CD3、抗TCR抗体で、およびデルタ1で細胞を染色した。
図27に示す全生細胞のパーセンテージによって、デルタ1抗体がアイソタイプ処理細胞または未処理細胞と比較してPBMCでの死滅により効果的であったことが指示される。
【0470】
次に、健康なヒトドナーおよび結腸直腸癌と診断されたヒト対象からPBMCを収集した。抗デルタ1-39を使用して、健康なヒトPBMC(
図31B)と結腸直腸癌のヒトドナーからのPBMC(
図31A)の両方でデルタT細胞を特異的に特定したが、このことによって、本明細書に記載のものなどの、抗デルタ1-39mAbを使用すると、患者においてデルタ1T細胞を特異的に特定できることが、示される。
【0471】
実施例12:フローサイトメトリー用のデルタ1抗体の試験
デルタ1陽性細胞を検出するためのフローサイトメトリーで使用するためのデルタ1-39の有用性について評価した。抗デルタ1-39を、アミン反応性NHSエステル色素キット(Thermo cat 62266)を使用してDylight650にコンジュゲートさせた。コンジュゲート抗体を脱塩し、ビーズに固定化され細胞上で発現したデルタ1を使用して、純度、コンジュゲーションの程度および結合特性について評価した(データ示さず)。
【0472】
健康なPBMCはStemcell(cat 70025.1)から入手し、Dylight-650コンジュゲート抗デルタ1-39ならびに市販の抗デルタ1(クローンTS8.2)、抗デルタ2-PE(クローンB6)、抗CD3(クローンUCHT-1)、抗TCR AB(クローンIP26)での染色向けに処理した。
図32に示すように、フローサイトメトリー解析によって、デルタ1陽性染色が細胞のCD3+/TCR AB-サブセット(Q3ゲート、ボックス領域)でのみ観察されること、が指示される。TCR AB+/CD3+またはTCR AB-/CD3-のゲートにおいて、どちらの抗デルタ1-特異的抗体によっても染色は観察されない。さらに、抗デルタ1-39-Dylight-650で得られた染色プロファイルは、市販の抗デルタ1(クローンTS8.2)で得られたプロファイルを再現する。結果が指示するところは、抗デルタ1-39によって健康なヒトPBMCのデルタT細胞が特異的に特定されることであり、このことによって、限定されないがデルタ1-39を含めて、本明細書に記載のものなどの、抗デルタ1 mAbを使用すると、患者においてデルタ1T細胞を特異的に特定できることが、示唆される。
【0473】
他の実施形態
本明細書に開示される全ての特性は、いずれの組合せで組み合わされてもよい。本明細書に開示される各特性は、同じ、等価のまたは同様の目的を果たす別の特性で置き換えられてもよい。したがって、特記されない限り、開示される各特性は、包括的な一連の等価のまたは同様の特性の一例にすぎない。
【0474】
上記の説明から、当業者であれば、本発明の本質的な特徴を容易に確認することができ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明を様々な使用および条件に適応させるために、本発明の様々な変更および改変を行うことができる。したがって、他の実施形態も特許請求の範囲内である。
【0475】
等価物
いくつかの本発明の実施形態を本明細書で説明し例示してきたが、当業者であれば、機能を実行し、ならびに/または結果を得および/もしくは本明細書に記載の利点のうちの1つまたは複数を得るための、様々な他の手段および/または構造を容易に想定するであろう。かかる変形形態および/または改変形態のそれぞれは、本明細書に記載の本発明の実施形態の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書に記載の全てのパラメーター、寸法、材料、および構成は例示的なものであることを意図し、実際のパラメーター、寸法、材料、および/または構成は、具体的な用途、または発明の教示が使用される用途に左右されるであろうことは、容易に認識するであろう。当業者であれば、ルーチンであることを超えない実験を使用して、本明細書に記載の具体的な発明の実施形態に対する多くの等価物を認識するであろうし、またはそれを確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は一例としてのみのために提供されるものであり、発明の実施形態は、具体的に記載されかつ特許請求されるものとは違うように、添付の特許請求の範囲およびそれらに対する等価物内で実践することができると理解されたい。本開示の発明の実施形態は、本明細書に記載の各個々の特性、システム、製品、材料、キットおよび/または方法を対象とする。加えて、2つ以上のかかる特性、システム、製品、材料、キット、および/または方法のいずれの組合せも、もしかかる特性、システム、製品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しないならば、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0476】
全ての定義は、本明細書で定義されかつ使用される場合、辞書的定義、参照により組み込まれた文書での定義、および/または定義された用語の通常の意味をコントロールすると理解されたい。
【0477】
本明細書で開示の全ての参考文献、特許および特許出願は、それぞれが引用される主題に関連して参照により組み込まれ、一部の場合では文書の全体を包含することができる。
【0478】
本明細書においておよび特許請求の範囲において本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」および「an」は、明瞭に反対のことが示されているのでなければ、「少なくとも1つ」を意味すると理解されたい。
【0479】
本明細書においておよび特許請求の範囲において本明細書で使用される場合「および/または」という語句は、そのように連動された要素の「いずれかまたは両方」、即ち、一部の場合では共同的に存在し、他の場合には離接的に存在する要素を意味すると理解されたい。「および/または」で列挙された複数の要素は、即ち、そのように連動された要素のうちの「1つまたは複数」は、同じように解釈されるべきである。それらの具体的に特定された要素に関連していても関連していなくても、「および/または」節によって具体的に特定された要素以外に他の要素が必要に応じて存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む(comprising)」などのオープンエンドの言語と併せて使用される場合、一実施形態では、Aのみ(必要に応じてB以外の要素を含めて);別の実施形態では、Bのみ(必要に応じてA以外の要素を含めて);さらに別の実施形態ではAおよびBの両方(必要に応じて他の要素を含めて)等、を指すことができる。
【0480】
本明細書においておよび特許請求の範囲において本明細書で使用される場合「または」とは、上で定義の「および/または」と同じ意味を有すると理解されたい。例えば、リスト中の項目を区別する場合、「または」あるいは「および/または」は包含的であると解釈されるべきであり、即ち、要素のいくつかのまたはリストのうちの少なくとも1つの包含だけではなく、2つ以上を含むと解釈されるべきであり、必要に応じて列記されてないさらなる項目を含むと解釈されるべきである。反対に明確に示される唯一用語は、例えば、「のうちの1つのみ」や「のうちの厳密に1つ」、または特許請求の範囲において使用される場合、「からなる」は、要素のいくつかのまたはリストのうちの厳密に1つの要素の包含を指す。一般に、本明細書で使用される場合、「または」という用語は、排他性の用語、例えば、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」または「のうちの厳密に1つ」が先行する場合、排他的な選択肢(即ち、「一方または他方、しかし両方ではない」)だけを指示すると解釈されるものとする。特許請求の範囲で使用される場合、「本質的に~からなる」とは、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0481】
本明細書においておよび特許請求の範囲において本明細書で使用される場合、1つまたは複数の要素のリストに関連して、「少なくとも1つ」という語句は、要素のリスト中の任意の1つまたは複数の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリスト内に具体的に列挙された各要素およびあらゆる要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含むわけではなく、要素のリスト中の要素の任意の組合せを排除するわけではない、と理解されたい。この定義はまた、それらの具体的に特定された要素に関連していても関連していなくても、「少なくとも1つ」という語句が言及する、要素のリスト内で具体的に特定された要素以外に要素が必要に応じて存在し得ることも可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または同等に「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つの、必要に応じて2以上を含めて、Aを指すことができ、この場合、Bは存在しない(および必要に応じてB以外の要素を含めて);別の実施形態では、少なくとも1つの、必要に応じて2以上を含めて、Bを指すことができ、この場合、Aは存在しない(および必要に応じてA以外の要素を含めて);さらに別の実施形態では、少なくとも1つの、必要に応じて2以上を含めて、A、ならびに、少なくとも1つの、必要に応じて2以上を含めて、B、(および必要に応じてその他の要素を含めて);等を指すことができる。
【0482】
明瞭に反対のことが示されているのでなければ、2つ以上の工程または行為を含む本明細書で特許請求されたいずれもの方法において、方法の工程または行為の順番は、方法の工程または行為が記載されている順番に必ずしも限定されるものではないこと、も理解されたい。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2021-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
T細胞受容体のデルタ-1鎖に結合する単離された抗体であって、
配列番号68として記載される重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1)、配列番号53として記載される重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2)、および配列番号54として記載される重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3)を含み、かつ配列番号55として記載される軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1)、配列番号56として記載される軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2)、および配列番号57として記載される軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、単離された抗体。
【請求項2】
全長抗体またはその抗原結合性断片である、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項3】
単鎖抗体である、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項4】
ヒト抗体またはヒト化抗体である、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項5】
IgG分子である、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項6】
前記抗体が、
IgG1またはIgG4分子である、請求項5に記載の単離された抗体。
【請求項7】
前記抗体が、
IgG1分子である、請求項6に記載の単離された抗体。
【請求項8】
前記IgG1が、(1)E333A突然変異、(2)S239D/A330L/I332E突然変異、(3)K326W/E333S突然変異、(4)S239D/I332E/G236A突然変異から選択される1つまたは複数の突然変異を有する、
請求項7に記載の単離された抗体。
【請求項9】
前記抗体が、
配列番号31として記載される重鎖定常領域、および配列番号73として記載される軽鎖定常領域を含む、請求項7に記載の単離された抗体。
【請求項10】
前記抗体が、配列番号
24として記載される重鎖
可変領域
(VH)および配列番号
9として記載される軽鎖
可変領域
(VL)を含む、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項11】
全長抗体またはその抗原結合性断片である、請求項
10に記載の単離された抗体。
【請求項12】
単鎖抗体である、請求項10に記載の単離された抗体。
【請求項13】
ヒト抗体またはヒト化抗体である、請求項
10に記載の単離された抗体。
【請求項14】
IgG分子である、請求項
10に記載の単離された抗体。
【請求項15】
IgG1またはIgG4分子である、請求項
14に記載の単離された抗体。
【請求項16】
IgG1分子である、請求項
15に記載の単離された抗体。
【請求項17】
前記IgG1が、(1)E333A突然変異、(2)S239D/A330L/I332E突然変異、(3)K326W/E333S突然変異、(4)S239D/I332E/G236A突然変異から選択される1つまたは複数の突然変異を有する、請求項
16に記載の単離された抗体。
【請求項18】
配列番号31として記載される重鎖定常領域、および/または配列番号73として記載される軽鎖定常領域を含む、請求項
16に記載の単離された抗体。
【請求項19】
前記抗体が、配列番号
24として記載される
VHおよび配列番号
9として記載されるVLを含み
、かつ配列番号31として記載される重鎖定常領域および配列番号73として記載される軽鎖定常領域
を含む、請求項
10に記載の単離された抗体。
【請求項20】
配列番号79として記載される重鎖およ
び配列番号78として記載される軽鎖を含む、請求項
19に記載の単離された抗体。
【請求項21】
請求項
1に記載の抗体
および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項22】
請求項
9に記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項23】
請求項
10に記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項24】
請求項
19に記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項25】
請求項
20に記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項26】
対象においてγδ T細胞活性化を阻害する方法であって、前記抗体が、それを必要とする対象に有効量の請求項
1~20のいずれかに記載の
単離された抗体を含む医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項27】
それを必要とする前記対象が、固形がんを有する、有することが疑われる、またはそのリスクがあるヒト患者である、請求項
26に記載の方法。
【請求項28】
前記対象が、膵臓腺管腺がん(PDA)、結腸直腸がん(CRC)、黒色腫、乳がん、肺がん、上部および下部胃腸悪性腫瘍、扁平細胞頭頸部がん、泌尿生殖器がん、卵巣がん、ならびに肉腫からなる群から選択される固形腫瘍を有するヒト患者である、請求項
27に記載の方法。
【請求項29】
チェックポイント分子の阻害剤、共刺激受容体の活性化剤、先天免疫細胞標的の阻害剤、化学療法剤、または抗高血圧剤を前記対象に投与することをさらに含む、請求項
26~
28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記チェックポイント分子が、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG3、TIM-3、A2aR、TIGITおよびVISTAからなる群から選択される、請求項
29に記載の方法。
【請求項31】
前記共刺激受容体が、OX40、GITR、CD137、CD40、CD27、およびICOSからなる群から選択される、請求項
29に記載の方法。
【請求項32】
前記先天免疫細胞標的が、KIR、NKG2A、CD96、TLR、IDO、およびガレクチン-9からなる群から選択される、請求項
29に記載の方法。
【国際調査報告】