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特表2022-523123神経認知障害を処置するための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】神経認知障害を処置するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/12 20150101AFI20220414BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220414BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220414BHJP
   A61K 35/545 20150101ALI20220414BHJP
   A61K 31/255 20060101ALI20220414BHJP
   A61K 31/663 20060101ALI20220414BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20220414BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20220414BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20220414BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220414BHJP
   A61K 38/43 20060101ALI20220414BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20220414BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20220414BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220414BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20220414BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20220414BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20220414BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20220414BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20220414BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20220414BHJP
   C12N 15/83 20060101ALN20220414BHJP
【FI】
A61K35/12
A61P25/00
A61P25/28
A61K35/545
A61K31/255
A61K31/663
A61K9/127
A61K35/76
A61K35/761
A61K48/00
A61K38/43
A61K31/7088
A61K31/7105
A61P43/00 121
A61K31/444
C07K14/705 ZNA
C07K14/47
C07K19/00
C12N15/12
C12N15/113 Z
C12N15/83 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544728
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(85)【翻訳文提出日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 US2020016163
(87)【国際公開番号】W WO2020160441
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】62/800,056
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520346572
【氏名又は名称】アブロバイオ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メイソン,クリス
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】プラスチャート,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ディーンドレイド,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ティル,ニコ,ペーター
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C087
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076BB11
4C076BB40
4C076CC01
4C076FF70
4C084AA13
4C084DC22
4C084MA66
4C084MA70
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA16
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086DA34
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA24
4C086MA66
4C086MA70
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB44
4C087BB65
4C087BC83
4C087CA12
4C087CA20
4C087MA24
4C087MA66
4C087MA70
4C087NA14
4C087ZA02
4C087ZA16
4C087ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206JA06
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA44
4C206MA86
4C206MA90
4C206NA14
4C206ZA02
4C206ZA16
4C206ZC75
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA21
4H045FA74
(57)【要約】
アルツハイマー病または那須ハコラ病などの神経認知障害を有するか、またはそれを発症するリスクのある対象を処置するための組成物及び方法が、本明細書において記載されている。例えば、本開示の組成物及び方法を使用して、神経認知障害を有するか、またはそれを発症するリスクのある対象に、ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2(TREM2)をコードする導入遺伝子を含む1種または複数の細胞、例えば、TREM2を発現するCD34+造血性幹細胞または前駆細胞の集団を投与し、それにより、前記障害を処置する、または予防することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経認知障害(NCD)を有すると診断されている対象を処置する方法であって、前記対象に、配列番号1~3のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有する、1つまたは複数のミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2(TREM2)タンパク質をコードする導入遺伝子を含む細胞の集団を含む組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記NCDが重度NCDである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重度NCDが、前記対象の自立及び/または正常な日常機能を妨害する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記重度NCDが、基準集団の平均スコアから少なくとも標準偏差2離れている、認知検査で前記対象により得られるスコアと関連している、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記NCDが軽度NCDである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記軽度NCDが、前記対象の自立及び/または正常な日常機能を妨害しない、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記軽度NCDが、基準集団の平均スコアから標準偏差1~2離れている、認知検査で前記対象により得られるスコアと関連している、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記基準集団が、一般集団である、請求項4または7に記載の方法。
【請求項9】
前記認知検査が、Eight-item Informant Interview to Differentiate Aging and Dementia(AD8)、Annual Wellness Visit(AWV)、General Practitioner Assessment of Cognition(GPCOG)、Health Risk Assessment(HRA)、Memory Impairment Screen(MIS)、Mini Mental Status Exam(MMSE)、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)、St. Louis University Mental Status Exam(SLUMS)、及びShort Informant Questionnaire on Cognitive Decline in the Elderly(Short IQCODE)からなる群から選択される、請求項4、7、または8に記載の方法。
【請求項10】
前記NCDが、複雑性注意、実行機能、学習及び記憶、言語、知覚運動機能、ならびに社会的認知のうちの1つまたは複数における機能障害と関連している、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記NCDが、せん妄または他の精神障害によるものではない、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記NCDがアルツハイマー病(AD)である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記NCDが白質ジストロフィーである、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記白質ジストロフィーが那須ハコラ病(PLOSL)である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記導入遺伝子が、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有するTREM2タンパク質をコードし、任意選択で前記TREM2タンパク質が、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、任意選択で、前記TREM2タンパク質が、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、任意選択で、前記TREM2タンパク質が配列番号1のアミノ酸配列を有する、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記導入遺伝子が、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有するTREM2タンパク質をコードし、任意選択で、前記TREM2タンパク質が、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、任意選択で、前記TREM2タンパク質が、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、任意選択で、前記TREM2タンパク質が、配列番号2のアミノ酸配列を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記導入遺伝子が、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有するTREM2タンパク質をコードし、任意選択で、前記TREM2タンパク質が、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、任意選択で、前記TREM2タンパク質が、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、任意選択で、前記TREM2タンパク質が、配列番号3のアミノ酸配列を有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記TREM2が全長TREM2である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記TREM2がTREM2シグナルペプチドを含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記TREM2が、可溶性TREM2(sTREM2)、TREM2 C末端断片(TREM2-CTF)、TREM2細胞内ドメイン(TREM2-ICD)、TREM2-A β様(TREM2-T2β)ペプチドである、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記TREM2が機能性エクトドメイン切断部位または機能性膜内切断部位を含まない、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記導入遺伝子が、2つまたはそれ以上のTREM2タンパク質をコードする、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記導入遺伝子が、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含み、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号4の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記導入遺伝子が、配列番号5の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含み、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号5の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号5の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号5の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含み、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含み、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含み、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含み、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含み、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含み、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記導入遺伝子が、配列番号8、10、または12のいずれか1つの核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するコドン最適化TREM2導入遺伝子であり、任意選択で、前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号8、10、または12のいずれか1つの核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号8、10、または12のいずれか1つの核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号8、10、または12のいずれか1つの核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記TREM2がTREM2融合タンパク質である、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記TREM2融合タンパク質が、アポリポタンパク質E(ApoE)の受容体結合(Rb)ドメインを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記Rbドメインが、配列番号13の残基25~185、50~180、75~175、100~170、125~160、または130~150のアミノ酸配列を有するApoEの部分を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記Rbドメインが、配列番号13の残基159~167のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する領域を含む、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
TREM2をコードする前記導入遺伝子がさらに、マイクロRNA(miRNA)-126(miR-126)ターゲティング配列を3’-UTRに含む、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記ADまたはPLOSLがTREM2関連ADまたはPLOSLである、請求項12~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記細胞が、万能性細胞または多能性細胞である、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記万能性細胞がCD34+細胞である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記CD34+細胞が、造血幹細胞(HSC)または骨髄性前駆細胞(MPC)である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記万能性細胞が胚性幹細胞(ESC)または人工万能性幹細胞(iPSC)である、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記細胞が、血液系統前駆細胞(BLPC)、ミクログリア前駆細胞、単球、マクロファージ、またはミクログリアである、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記BLPCが単球である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記組成物の投与前に、前記対象における内因性ミクログリアの集団を除去しておく、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記対象に前記組成物を投与する前に、前記対象における内因性ミクログリアの集団を除去することを含む、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記内因性ミクログリアを、ブスルファン、PLX3397、PLX647、PLX5622、トレオスルファン、及びクロドロネートリポソームからなる群から選択される薬剤を使用して、放射線療法により、またはそれらの組み合わせで除去する、請求項42または43に記載の方法。
【請求項45】
前記組成物を前記対象に、全身投与により、前記対象の中枢神経系への直接投与により、前記対象の骨髄への直接投与により、または前記組成物を含む骨髄移植により投与する、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記対象に、細胞の集団を投与することをさらに含む、請求項1~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記組成物の投与前に、または前記組成物の投与後に、前記細胞の集団を前記対象に投与する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記細胞が万能性細胞または多能性細胞である、請求項45または46に記載の方法。
【請求項49】
前記多能性細胞がCD34+細胞である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記CD34+細胞がHSCまたはMPCである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記万能性細胞がESCまたはiPSCである、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記細胞が、BLPC、ミクログリア前駆細胞、単球、マクロファージ、またはミクログリアである、請求項46~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記BLPCが単球である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記細胞が、TREM2をコードする導入遺伝子を発現するように改変されていない、請求項46~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記対象への前記組成物の投与前に、内因性TREM2を、前記細胞において、対象において、または前記対象のニューロンの集団において破壊する、請求項1~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記細胞を、前記細胞中の内因性TREM2核酸の切断を触媒するヌクレアーゼと接触させることにより、前記内因性TREM2を破壊する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記ヌクレアーゼが、CRISPR関連タンパク質9(Cas9)、CRISPR関連タンパク質12a(Cas12a)、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、またはジンクフィンガーヌクレアーゼである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記内因性TREM2を、阻害性RNA分子を前記細胞、前記対象、または前記ニューロンの集団に投与することにより破壊する、請求項55~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記阻害性RNA分子が短鎖干渉RNA、短鎖ヘアピンRNA、またはmiRNAである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記細胞が、自家細胞または同種異系細胞である、請求項1~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記細胞が、前記TREM2を発現するようにエクスビボでトランスフェクトまたは形質導入されている、請求項1~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記細胞を、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、パルボウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、ピコルナウイルス、アルファウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、及びレトロウイルス科ウイルスからなる群から選択されるウイルスベクターで形質導入する、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記ウイルスベクターが、レトロウイルス科ウイルスベクターである、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記レトロウイルス科ウイルスベクターが、レンチウイルスベクター、アルファレトロウイルスベクター、またはガンマレトロウイルスベクターである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記レトロウイルス科ウイルスベクターが、中央ポリプリン路、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント、5’-LTR、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位、デルタ-GAGエレメント、3’-スプライス部位、及び3’-自己不活性化LTRを含む、請求項62~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記ウイルスベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、及びAAVrh74からなる群から選択されるAAVである、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記ウイルスベクターが偽型ウイルスベクターである、請求項62~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記偽型ウイルスベクターが、偽型AAV、偽型アデノウイルス、偽型パルボウイルス、偽型コロナウイルス、偽型ラブドウイルス、偽型パラミクソウイルス、偽型ピコルナウイルス、偽型アルファウイルス、偽型ヘルペスウイルス、偽型ポックスウイルス、及び偽型レトロウイルス科ウイルスからなる群から選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記細胞における前記TREM2の発現を、ユビキタスプロモーター、細胞系統特異的プロモーター、または合成プロモーターにより媒介する、請求項1~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記ユビキタスプロモーターが、伸長因子1-アルファプロモーター及びホスホグリセリン酸キナーゼ1プロモーターからなる群から選択される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記細胞系統特異的プロモーターが、TREM2プロモーター、CD68プロモーター、CD11bプロモーター、C-X3-Cモチーフケモカイン受容体1プロモーター、同種移植炎症因子1プロモーター、プリン受容体P2Y12プロモーター、膜貫通タンパク質119プロモーター、及びコロニー刺激因子1受容体プロモーターからなる群から選択される、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
TREM2をコードする導入遺伝子を発現する細胞の集団を含む、組成物。
【請求項73】
前記TREM2が全長TREM2である、請求項72に記載の組成物。
【請求項74】
前記TREM2またはそのバリアントが、配列番号1~3のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項72または73に記載の組成物。
【請求項75】
前記TREM2が、配列番号1に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、任意選択で、前記TREM2タンパク質が、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、任意選択で、前記TREM2タンパク質が、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、任意選択で、前記TREM2タンパク質が、配列番号1のアミノ酸配列を有する、請求項74に記載の組成物。
【請求項76】
前記TREM2が、配列番号2に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、任意選択で、前記TREM2タンパク質が、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、任意選択で、前記TREM2タンパク質が、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、任意選択で、前記TREM2タンパク質が、配列番号2のアミノ酸配列を有する、請求項74または75に記載の組成物。
【請求項77】
前記TREM2が、配列番号3に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、任意選択で、前記TREM2タンパク質が、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、任意選択で、前記TREM2タンパク質が、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、任意選択で、前記TREM2タンパク質が、配列番号3のアミノ酸配列を有する、請求項74~76のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項78】
前記TREM2がTREM2シグナルペプチドを含む、請求項72~77のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項79】
前記TREM2が、sTREM2、TREM2-CTF、TREM2-ICD、またはTREM2-T2βペプチドである、請求項72~78のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項80】
前記TREM2が、機能性エクトドメイン切断部位または機能性膜内切断部位を含まない、請求項72~79のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項81】
前記導入遺伝子が2つまたはそれ以上のTREM2導入遺伝子をコードする、請求項72~80のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項82】
前記導入遺伝子が、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号4の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項72~81のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項83】
前記導入遺伝子が、配列番号5の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号5の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号5の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号5の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項72~82のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項84】
前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項72~83のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項85】
前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項72~84のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項86】
前記導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項72~85のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項87】
前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項72~86のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項88】
前記導入遺伝子がコドン最適化TREM2導入遺伝子である、請求項72~81のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項89】
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号8、10、または12のいずれか1つの核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有する核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号8、10、または12のいずれか1つの核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号8、10、または12のいずれか1つの核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、任意選択で、前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号8、10、または12のいずれか1つの核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項88に記載の組成物。
【請求項90】
前記TREM2がTREM2融合タンパク質である、請求項72~89のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項91】
前記TREM2融合タンパク質がApoEのRbドメインを含む、請求項90に記載の組成物。
【請求項92】
前記Rbドメインが、配列番号13の残基25~185、50~180、75~175、100~170、125~160、または130~150のアミノ酸配列を有するApoEの部分を含む、請求項91に記載の組成物。
【請求項93】
前記Rbドメインが、配列番号13の残基159~167のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する領域を含む、請求項91または92に記載の組成物。
【請求項94】
TREM2をコードする前記導入遺伝子がさらに、miR-126ターゲティング配列を3’-UTRに含む、請求項72~93のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項95】
前記細胞が、万能性細胞または多能性細胞である、請求項72~94のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項96】
前記多能性細胞がCD34+細胞である、請求項95に記載の組成物。
【請求項97】
前記CD34+細胞がHSCまたはMPCである、請求項96に記載の組成物。
【請求項98】
前記万能性細胞がESCまたはiPSCである、請求項95に記載の組成物。
【請求項99】
前記細胞が、BLPC、ミクログリア前駆細胞、マクロファージ、またはミクログリアである、請求項72~94のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項100】
前記BLPCが単球である、請求項99に記載の組成物。
【請求項101】
前記細胞が、前記TREM2を発現するようにエクスビボでトランスフェクトまたは形質導入されている、請求項72~100のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項102】
薬学的に許容される担体、希釈剤、または添加剤をさらに含む、請求項72~101のいずれか1項に記載の組成物を含む薬学的組成物。
【請求項103】
請求項72~101のいずれか1項に記載の組成物、または請求項102に記載の薬学的組成物と、添付文書とを含むキットであって、前記添付文書が、前記キットのユーザーに、請求項1~71のいずれか1項に記載の方法を実行するように指示する、前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2020年1月29日に作成された前記ASCIIコピーの名称は「51182-018WO2_Sequence_Listing_1.29.20_ST25」であり、サイズは22,674バイトである。
【0002】
本開示は、アルツハイマー病、那須ハコラ病、前頭側頭骨大葉変性及びパーキンソン病などの神経認知障害を処置するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
神経変性は、アルツハイマー病及び那須ハコラ病などの進行性認知症と関連するいくつかの疾患において観察される病態生理学的プロセスである。このプロセスの重要な特徴は、脳組織の大規模な破壊及び随伴する、とりわけ認知低下、言語機能障害を含む全範囲の行動欠陥を引き起こす神経変性及びニューロン死である。
【0004】
アルツハイマー病(AD)は、高齢者における大部分の認知症症例の原因である遅発型神経変性障害である。AD患者は、短期及び長期記憶の潜行性消失、注意欠陥、言語特異的問題、見当識障害、衝動制御、社会的離脱、快感消失、及び他の症状を含む症状により特徴づけられる進行性認知低下に罹患している。ADの神経病理学的特徴の識別は、超リン酸化微小管関連タウタンパク質から構成されるアミロイドβ斑及び神経原線維濃縮体の細胞外凝集体である。これらの凝集体の蓄積は、大脳皮質の前頭葉、側頭葉、及び頭頂葉を含むいくつかの脳領域、さらには脳幹内の基底前脳コリン作動系及び青斑核などの皮質下構造におけるニューロン喪失及び萎縮と関連する。ADはまた、反応性神経膠症及び炎症誘発性サイトカインのレベルの上昇により特徴づけられる神経炎症の増大と関連する。
【0005】
硬化性白質脳症を伴う多発嚢胞性脂肪膜性骨異形成症(PLOSL)としても公知の那須ハコラ病は、白質変性、軸索球状物、さらには上肢及び下肢における嚢胞様骨病変の存在により特徴づけられる神経変性障害である。PLOSL患者は、若年性認知症、さらに、再発性骨折を示す。高齢患者に広く影響を及ぼすADとは異なり、PLOSLは、青年期のうちに、患者が手、手首、足首、及び足に多発性関節痛を経験し得る骨症状期(osseous stage)の間に症状発現を開始し得る。骨症状期には、早期神経症状期が続き、その間、患者は、顕著な人格変化、進行性記憶欠損、及びてんかん発作を示し得る。PLOSL患者の晩期神経症状期は、顕著な認知症及び運動無能を示す。
【0006】
AD及びPLOSLのための現行の処置は、疾患症候を寛解するように努めているものであり、根底にある神経変性を標的とする治療は存在せず、したがって、新たな治療手段の必要性が強調されている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、神経認知障害(NCD;例えば、アルツハイマー病(AD)、那須ハコラ病(硬化性白質脳症を伴う多発嚢胞性脂肪膜性骨異形成症(PLOSL)としても公知)、前頭側頭骨大葉変性(FTLD)、及びパーキンソン病(PD))を処置するための方法であって、TREM2(「ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2」)をコードする導入遺伝子を含む細胞、例えば、万能性細胞(pluripotent cells)(例えば、胚性幹細胞(ESC)または人工万能性幹細胞(ISPC))、多能性細胞(multipotent cells)(例えば、CD34+細胞、例えば、造血幹細胞(HSC)または骨髄前駆細胞(MPC))、血液系統前駆細胞(BLPCS;例えば、単球)、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリアを投与することによる前記方法を提供する。前記細胞は、とりわけ対象の中枢神経系に直接的に(例えば、脳室内投与により)または全身的に(例えば、静脈内投与により)を含む、1つまたは複数の様々な経路により、NCDを有する対象(例えば、ヒト)に投与することができる。本開示はまた、そのような細胞を含有する組成物、さらには、NCDを処置するためのこれらの細胞を含有するキットを特徴とする。
【0008】
第1の態様では、本開示は、NCD(例えば、AD、PLOSL、FTLD、またはPD)を有すると診断されている対象を処置する方法であって、TREM2をコードする導入遺伝子を含む細胞の集団(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリア)を含有する組成物を対象に投与することによる前記方法を提供する。一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、マクロファージまたは小神経膠細胞において発現し得る。一部の実施形態では、前記細胞は、TREM2をコードする導入遺伝子を発現する。
【0009】
一部の実施形態では、NCDは、重度NCDである。一部の実施形態では、重度NCDは、対象の自立及び/または正常な日常機能(例えば、社会的、職業的、または学術的機能、個人衛生、身だしなみ、身支度、トイレ衛生、機能的運動性(例えば、歩行能力、ベッドへの出入り)、及び自己給仕を妨害する。一部の実施形態では、重度NCDは、基準集団の平均スコアから少なくとも標準偏差2離れている、認知検査で対象により得られるスコアと関連している。一部の実施形態では、NCDは、軽度NCDである。一部の実施形態では、軽度NCDは、対象の自立及び/または正常な日常機能を妨害しない。一部の実施形態では、軽度NCDは、基準集団の平均スコアから少なくとも標準偏差1~2離れている、認知検査で対象により得られるスコアと関連している。一部の実施形態では、認知検査は、Eight-item Informant Interview to Differentiate Aging and Dementia(AD8)、Annual Wellness Visit(AWV)、General Practitioner Assessment of Cognition(GPCOG)、Health Risk Assessment(HRA)、Memory Impairment Screen(MIS)、Mini Mental Status Exam(MMSE)、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)、St. Louis University Mental Status Exam(SLUMS)、及びShort Informant Questionnaire on Cognitive Decline in the Elderly(Short IQCODE)からなる群から選択される。一部の実施形態では、NCDは、複雑性注意、実行機能、学習及び記憶、言語、知覚運動機能、ならびに社会的認知のうちの1つまたは複数における機能障害と関連する。一部の実施形態では、NCDは、せん妄または他の精神障害(例えば、統合失調症、双極性障害、または大うつ病)によるものではない。一部の実施形態では、基準集団は、一般集団である。一部の実施形態では、基準集団は、対象の年齢、病歴、教育、社会経済的状況、及び生活様式に基づき選択される。一部の実施形態では、NCDは、ADである。一部の実施形態では、NCDは、白質ジストロフィーである。一部の実施形態では、NCDは、PLOSLである。一部の実施形態では、NCDは、前頭側頭骨NCDである。一部の実施形態では、前頭側頭骨NCDは、FTLDである。一部の実施形態では、NCDは、運動障害である。一部の実施形態では、運動障害は、PDである。
【0010】
一部の実施形態では、TREM2は、全長TREM2、例えば、配列番号1~3のいずれか1つのアミノ酸配列を有するTREM2またはそれに対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、配列番号1~3のいずれか1つに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するそのバリアントである。
【0011】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号1のアミノ酸配列を有するか、または配列番号1に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0012】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号1のアミノ酸配列を有するか、または配列番号1に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0013】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号1のアミノ酸配列を有するか、または配列番号1に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0014】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号1のアミノ酸配列を有する。
【0015】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号2のアミノ酸配列を有するか、または配列番号2に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0016】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号2のアミノ酸配列を有するか、または配列番号2に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0017】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号2のアミノ酸配列を有するか、または配列番号2に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0018】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号2のアミノ酸配列を有する。
【0019】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号3のアミノ酸配列を有するか、または配列番号3に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0020】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号3のアミノ酸配列を有するか、または配列番号3に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0021】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号3のアミノ酸配列を有するか、または配列番号3に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0022】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号3のアミノ酸配列を有する。
【0023】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号4のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号4に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0024】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号4のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号4に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0025】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号4のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号4に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0026】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号4のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドを含む。
【0027】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号5のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号5に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0028】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号5のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号5に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0029】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号5のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号5に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0030】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号5のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドを含む。
【0031】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号6のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号6に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0032】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号6のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号6に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0033】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号6のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号6に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0034】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号6のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドを含む。
【0035】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号7のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号7に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0036】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号7のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号7に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0037】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号7のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号7に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0038】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号7のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドを含む。
【0039】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号9のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号9に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0040】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号9のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号9に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0041】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号9のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号9に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0042】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号9のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドを含む。
【0043】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号11のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号11に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0044】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号11のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号11に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0045】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号11のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号11に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0046】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号11のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドを含む。
【0047】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、コドン最適化されていてもよい(例えば、配列番号8、配列番号10、または配列番号12のいずれか1つ)。
【0048】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号8のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号8に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0049】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号8のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号8に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0050】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号8のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号8に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0051】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号8のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列を含む。
【0052】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号10のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号10に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0053】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号10のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号10に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0054】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号10のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号10に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0055】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号10のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列を含む。
【0056】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号12のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号12に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0057】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号12のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号12に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0058】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号12のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号12に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0059】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号12のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列を含む。
【0060】
一部の実施形態では、導入遺伝子は、2つまたはそれ以上のTREM2タンパク質(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のTREM2タンパク質)をコードする。一部の実施形態では、導入遺伝子は、2~10のTREM2タンパク質(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のTREM2タンパク質)をコードする。一部の実施形態では、導入遺伝子は、2~5つのTREM2タンパク質(例えば、2、3、4、または5つのTREM2タンパク質)をコードする。一部の実施形態では、導入遺伝子は、2つのTREM2タンパク質をコードする。一部の実施形態では、TREM2導入遺伝子は、単一のポリシストロニック発現カセットから発現される。一部の実施形態では、TREM2導入遺伝子は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、またはそれ以上)の内部リボソーム進入部位(IRES)により相互に分離されている。一部の実施形態では、TREM2導入遺伝子は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のモノシストロニック発現カセットから発現される。
【0061】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、シグナルペプチド(例えば、TREM2シグナルペプチド)を含む。
【0062】
一部の実施形態では、TREM2は、可溶性TREM2(sTREM2)である。一部の実施形態では、TREM2は、TREM2 C末端断片(TREM2-CTF)である。一部の実施形態では、TREM2は、TREM2細胞内ドメイン(TREM2-ICD)である。一部の実施形態では、TREM2は、TREM2-A β様(TREM-T2β)ペプチドである。一部の実施形態では、TREM2は、機能性エクトドメイン切断部位を含まない。一部の実施形態では、TREM2は、機能性膜内切断部位をTREM2-CTF内に含まない。
【0063】
一部の実施形態では、TREM2は、TREM2融合タンパク質である。一部の実施形態では、TREM2融合タンパク質は、アポリポタンパク質E(ApoE)の低密度リポタンパク質受容体ファミリー(LDLRf)結合(Rb)ドメイン、またはその断片、バリアント、もしくはオリゴマーを含む。一部の実施形態では、ApoEのRbドメイン、またはその断片、バリアント、もしくはオリゴマーは、TREM2のN末端に作動可能に連結している。一部の実施形態では、ApoEのRbドメイン、またはその断片、バリアント、もしくはオリゴマーは、TREM2のC末端に作動可能に連結している。一部の実施形態では、TREM2融合タンパク質は、ApoEのRbドメインの1つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のオリゴマーを含む。一部の実施形態では、Rbドメインは、配列番号13の残基25~185に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するApoEの領域を含む。一部の実施形態では、Rbドメインは、配列番号13の残基50~180に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するApoEの領域を含む。一部の実施形態では、Rbドメインは、配列番号13の残基75~175に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するApoEの領域を含む。一部の実施形態では、Rbドメインは、配列番号13の残基100~170に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するApoEの領域を含む。一部の実施形態では、Rbドメインは、配列番号13の残基125~160に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するApoEの領域を含む。一部の実施形態では、Rbドメインは、配列番号13の残基130~150に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するApoEの領域を含む。一部の実施形態では、Rbドメインは、配列番号13の残基148~173もしくは残基159~167を含むその一部に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するApoEの領域、または配列番号13の残基159~167に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するバリアントを含む。一部の実施形態では、Rbドメインは、配列番号13の残基159~167のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有する領域を含む。
【0064】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、マイクロRNA(miRNA)ターゲティング配列(例えば、miR-126ターゲティング配列)をさらに含む。一部の実施形態では、miRNAターゲティング配列(例えば、miR-126ターゲティング配列)は、導入遺伝子の3’-非翻訳領域(UTR)内に配置される。
【0065】
一部の実施形態では、TREM2は、対象の血液脳関門(BBB)を透過する。
【0066】
一部の実施形態では、NCDは、TREM2関連NCDである。一部の実施形態では、ADまたはPLOSLは、TREM2関連AD、PLOSL、FTLD、またはPDである。
【0067】
一部の実施形態では、TREM2関連ADまたはPLOSLに罹患している対象は、TREM2遺伝子に変異を持つ。TREM2遺伝子における変異は、アミノ酸置換(例えば、p.R47H、p.R62H、p.T66M、p.T66M、p.Y38C、p.T96K、p.D87N、p.H157Y、p.R98W、p.T96K、p.D87N、p.L211P、p.R136Q、またはp.N68K)をもたらし得る。一部の実施形態では、TREM2遺伝子における変異は、単一のヌクレオチド置換または欠失(例えば、c.40G>T、c.C97>T、c.132G>A、c.267delGm c.313delG、c.377T>G、c.401A>G、c.482+2T>C、c.558GA)から生じ得る。
【0068】
一部の実施形態では、TREM2関連AD、PLOSL、FTLD、またはPDに罹患している対象は、AD、PLOSL、FTLD、またはPDにおいて原因的な役割を有することが公知の、TREM2遺伝子における何らかの他の病原性変異を持ち得る。例えば、TREM2遺伝子における病原性変異は、その開示内容がAD関連及びPLOSL関連ヒトTREM2変異に関するので、参照により本明細書に組み込まれるGuerreiro et al., The New England Journal of Medicine 368:117-27, (2013);Jonsson et al., The New England Journal of Medicine 368:107-16;Ulrich et al., Neuron Review 94:237-48 (2017);及びXing et al., Research and Reports in Biochemistry 5:89-100 (2015)において論述されている変異のいずれかであってよい。
【0069】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、野生型ヒトTREM2ポリペプチド(例えば、配列番号1~3のいずれか1つ)をコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号1~3のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0070】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号1のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号1のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号1のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0071】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号2のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号2のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号2のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0072】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号3のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して85%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号3のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号3のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号3のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0073】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号1~3のいずれか1つの配列を有するポリペプチドと比べて1つまたは複数のアミノ酸置換、例えば、1つまたは複数の保存的アミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10またはそれ以上のアミノ酸置換、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10またはそれ以上の保存的アミノ酸置換)を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0074】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、sTREM2ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、TREM2-CTFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、TREM2-ICDポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、TREM2-T2βポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、機能性エクトドメイン切断部位を含まないTREM2ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、TREM2-CTF内に機能性膜内切断部位を含まないTREM2ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0075】
一部の実施形態では、細胞は、万能性細胞である。一部の実施形態では、万能性細胞は、ESCである。一部の実施形態では、万能性細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、細胞は、CD34+細胞である。一部の実施形態では、細胞は、多能性細胞である。一部の実施形態では、多能性細胞は、CD34+細胞である。一部の実施形態では、CD34+細胞は、造血幹細胞である。一部の実施形態では、CD34+細胞は、骨髄性前駆細胞である。一部の実施形態では、細胞は、血液系前駆細胞(BLPC)である。一部の実施形態では、BLPCは、単球である。一部の実施形態では、細胞は、マクロファージである。一部の実施形態では、細胞は、ミクログリア前駆細胞である。一部の実施形態では、細胞は、ミクログリアである。
【0076】
一部の実施形態では、対象への組成物の投与前に、対象の内因性ミクログリアの集団を除去しておく。一部の実施形態では、前記方法は、組成物を対象に投与する前に、対象の内因性ミクログリアの集団を除去することを含む。一部の実施形態では、ミクログリアを、ブスルファン、PLX3397、PLX647、PLX5622、トレオスルファン、及びクロドロネートリポソームからなる群から選択される薬剤を使用して、放射線療法またはそれらの組み合わせにより除去する。
【0077】
一部の実施形態では、前記組成物を対象に全身投与する。一部の実施形態では、前記組成物を、静脈内注射により対象に投与する。一部の実施形態では、前記組成物を、対象の中枢神経系に直接投与する。一部の実施形態では、前記組成物を、対象の脳脊髄液に投与する。例えば、前記組成物を、脳室内注射、髄腔内注射、定位注射、またはそれらの組み合わせにより対象に投与することができる。一部の実施形態では、前記組成物を、実質内注射により対象に投与する。
【0078】
一部の実施形態では、前記組成物を、骨髄移植により対象に投与する。一部の実施形態では、前記組成物を、対象の骨髄に直接的に、例えば、骨内注射により投与する。
【0079】
一部の実施形態では、前記組成物を、脳室内注射により対象に投与する。一部の実施形態では、前記組成物を、静脈内注射により対象に投与する。
【0080】
一部の実施形態では、前記組成物を、対象の中枢神経系への直接投与及び全身投与により対象に投与する。一部の実施形態では、前記組成物を、脳室内注射及び静脈内注射により対象に投与する。一部の実施形態では、前記組成物を、髄腔内注射及び静脈内注射により対象に投与する。一部の実施形態では、前記組成物を、実質内注射及び静脈内注射により対象に投与する。
【0081】
一部の実施形態では、対象は、NCDと診断されている。一部の実施形態では、NCDは、重度NCDである。一部の実施形態では、重度NCDは、対象の自立及び/または正常な日常機能(例えば、社会的、職業的、または学術的機能、個人衛生、身だしなみ、身支度、トイレ衛生、機能的運動性(例えば、歩行能力、ベッドへの出入り)、及び自己給仕)を妨害する。一部の実施形態では、重度NCDは、基準集団の平均スコアから少なくとも標準偏差2離れている、認知検査で対象により得られるスコアと関連している。一部の実施形態では、NCDは、軽度NCDである。一部の実施形態では、軽度NCDは、対象の自立及び/または正常な日常機能を妨害しない。一部の実施形態では、軽度NCDは、基準集団の平均スコアから少なくとも標準偏差1~2離れている、認知検査で対象により得られるスコアと関連している。一部の実施形態では、認知検査は、AD8、AWV、GPCOG、HRA、MIS、MMSE、MoCA、SLUMS、及びShort IQCODEからなる群から選択される。一部の実施形態では、NCDは、複雑性注意、実行機能、学習及び記憶、言語、知覚運動機能、ならびに社会的認知のうちの1つまたは複数における機能障害と関連する。一部の実施形態では、NCDは、せん妄または他の精神障害(例えば、統合失調症、双極性障害、または大うつ病)によるものではない。一部の実施形態では、基準集団は、一般集団である。一部の実施形態では、基準集団は、対象の年齢、病歴、教育、社会経済的状況、及び生活様式に基づき選択される。一部の実施形態では、NCDは、ADである。一部の実施形態では、NCDは、白質ジストロフィーである。一部の実施形態では、白質ジストロフィーは、PLOSLである。一部の実施形態では、NCDは、前頭側頭骨NCDである。一部の実施形態では、前頭側頭骨NCDは、FTLDである。一部の実施形態では、NCDは、運動障害である。一部の実施形態では、運動障害は、PDである。
【0082】
一部の実施形態では、前記方法は、対象に細胞の集団を投与することを含む。一部の実施形態では、細胞の集団を、前記組成物の投与前に対象に投与する。一部の実施形態では、細胞の集団を、前記組成物の投与後に対象に投与する。一部の実施形態では、細胞を、ESC、iPSC、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、ミクログリア前駆細胞、単球、マクロファージ、及びミクログリアからなる群から選択する。一部の実施形態では、細胞を、TREM2をコードする導入遺伝子を発現するように改変しない。一部の実施形態では、細胞を、対象に全身投与する。一部の実施形態では、細胞を、静脈内注射により対象に投与する。
【0083】
一部の実施形態では、内因性TREM2を、対象への前記組成物の投与前に、細胞で破壊する。
【0084】
一部の実施形態では、細胞を、細胞における内因性TREM2核酸の切断を触媒するヌクレアーゼと接触させることにより、内因性TREM2を破壊する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼはCRISPR関連タンパク質である。一部の実施形態では、CRISPR関連タンパク質は、CRISPR関連タンパク質9である。一部の実施形態では、CRISPR関連タンパク質は、CRISPR関連タンパク質12aである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、またはジンクフィンガーヌクレアーゼである。
【0085】
一部の実施形態では、内因性TREM2を、例えば、内因性TREM2の発現を破壊するために十分な時間及び量で、細胞を阻害性RNA分子と接触させることにより破壊する。一部の実施形態では、阻害性RNA分子は、短鎖干渉RNA(siRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、またはmiRNAである。
【0086】
一部の実施形態では、内因性TREM2を、対象への前記組成物の投与前に、対象において破壊する。一部の実施形態では、内因性TREM2を、阻害性RNA分子を対象に投与することにより破壊する。一部の実施形態では、阻害性RNA分子は、siRNA、shRNA、またはmiRNAである。一部の実施形態では、内因性TREM2を、対象への前記組成物の投与前に、対象のニューロンの集団において破壊する。一部の実施形態では、内因性TREM2を、例えば、内因性TREM2の発現を破壊するために十分な時間及び量で、ニューロンの集団を阻害性RNA分子と接触させることにより、ニューロンの集団において破壊する。一部の実施形態では、阻害性RNA分子は、siRNA、shRNA、またはmiRNAである。
【0087】
一部の実施形態では、細胞は自家細胞である。一部の実施形態では、前記細胞は同種異系細胞である。
【0088】
一部の実施形態では、細胞を、TREM2を発現するようにエクスビボで形質導入する。
【0089】
一部の実施形態では、細胞を、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、パルボウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、ピコルナウイルス、アルファウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、及びレトロウイルス科ウイルスを含む群から選択されるウイルスベクターで形質導入する。
【0090】
一部の実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルス科ウイルスベクターである。一部の実施形態では、レトロウイルス科ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。一部の実施形態では、レトロウイルス科ウイルスベクターは、アルファレトロウイルスベクターである。一部の実施形態では、レトロウイルス科ウイルスベクターは、ガンマレトロウイルスベクターである。一部の実施形態では、レトロウイルス科ウイルスベクターは、中央ポリプリン路、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント、5’-LTR、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位、デルタ-GAGエレメント、3’-スプライス部位、及び3’-自己不活性化LTRを含む。
【0091】
一部の実施形態では、ウイルスベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAVS、AAV9、AAV10、及びAAVrh74を含む群から選択されるAAVである。
【0092】
一部の実施形態では、ウイルスベクターは、偽型ウイルスベクターである。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、偽型AAV、偽型アデノウイルス、偽型パルボウイルス、偽型コロナウイルス、偽型ラブドウイルス、偽型パラミクソウイルス、偽型ピコルナウイルス、偽型アルファウイルス、偽型ヘルペスウイルス、偽型ポックスウイルス、及び偽型レトロウイルス科ウイルスである。
【0093】
一部の実施形態では、細胞を、TREM2を発現するようにエクスビボでトランスフェクトする。
【0094】
一部の実施形態では、細胞を、カチオン性ポリマー、ジエチルアミノエチル-デキストラン、ポリエチレンイミン、カチオン性脂質、リポソーム、リン酸カルシウム、活性化デンドリマー、及び磁気ビーズを含む群から選択される薬剤;またはエレクトロポレーション、Nucleofection、スクイーズ-ポレーション、ソノポレーション、光学トランスフェクション、Magnetofection、及びインペールフェクション(impalefection)を含む群から選択される技術を使用してトランスフェクトする。
【0095】
一部の実施形態では、細胞におけるTREM2の発現を、ユビキタスプロモーターを使用して媒介する。例示的なユビキタスプロモーターは、伸長因子1-アルファプロモーター及びホスホグリセリン酸キナーゼ1プロモーターである。一部の実施形態では、細胞におけるTREM2の発現を、細胞系統特異的プロモーターを使用して媒介する。例示的な細胞系統特異的プロモーターは、CD68プロモーター、CD11bプロモーター、C-X3-Cモチーフケモカイン受容体1プロモーター、同種移植炎症因子1プロモーター、プリン受容体P2Y12プロモーター、膜貫通タンパク質119プロモーター、及びコロニー刺激因子1受容体プロモーターである。一部の実施形態では、細胞におけるTREM2の発現を、合成プロモーターを使用して媒介する。
【0096】
一部の実施形態では、前記組成物を、対象の脳におけるM1ミクログリアの量と比べて、対象の脳においてM2ミクログリアの量を増加させるために、対象の脳における1種または複数の炎症誘発性サイトカインのレベルを低下させるために、対象の脳における1種または複数の抗炎症性サイトカインのレベルを上昇させるために、対象の認知処理能力を改善するために、対象の運動機能を改善するために、対象におけるニューロン喪失を減少させるために、及び/または対象における、アミロイドβ及び神経原線維タウタンパク質またはそれらの凝集体のレベルを低下させるために十分な量で、対象に投与する。
【0097】
一部の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0098】
別の態様では、本開示は、TREM2をコードする導入遺伝子を発現する細胞の集団を含有する組成物を提供する。
【0099】
先行する態様の一部の実施形態では、細胞は、万能性細胞である。一部の実施形態では、万能性細胞は、ESCである。一部の実施形態では、万能性細胞は、iPSCである。一部の実施形態では、細胞は、CD34+細胞である。一部の実施形態では、細胞は、多能性細胞である。一部の実施形態では、多能性細胞は、CD34+細胞である。一部の実施形態では、CD34+細胞は、造血幹細胞である。一部の実施形態では、CD34+細胞は、骨髄性前駆細胞である。一部の実施形態では、細胞は、血液系前駆細胞(BLPC)である。一部の実施形態では、BLPCは、単球である。一部の実施形態では、細胞は、マクロファージである。一部の実施形態では、細胞は、ミクログリアである。
【0100】
一部の実施形態では、細胞を、TREM2を発現するようにエクスビボで形質導入する。一部の実施形態では、細胞を、TREM2を発現するようにエクスビボでトランスフェクトする。
【0101】
一部の実施形態では、TREM2は、全長TREM2、例えば、配列番号1~3のいずれか1つのアミノ酸配列を有するTREM2またはそれに対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、配列番号1~3のいずれか1つに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するそのバリアントである。
【0102】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号1のアミノ酸配列を有するか、または配列番号1に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0103】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号1のアミノ酸配列を有するか、または配列番号1に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0104】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号1のアミノ酸配列を有するか、または配列番号1に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0105】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号1のアミノ酸配列を有する。
【0106】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号2のアミノ酸配列を有するか、または配列番号2に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0107】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号2のアミノ酸配列を有するか、または配列番号2に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0108】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号2のアミノ酸配列を有するか、または配列番号2に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0109】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号2のアミノ酸配列を有する。
【0110】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号3のアミノ酸配列を有するか、または配列番号3に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0111】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号3のアミノ酸配列を有するか、または配列番号3に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0112】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号3のアミノ酸配列を有するか、または配列番号3に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0113】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号3のアミノ酸配列を有する。
【0114】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号4のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号4に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0115】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号4のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号4に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0116】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号4のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号4に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0117】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号4のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドを含む。
【0118】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号5のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号5に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0119】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号5のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号5に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0120】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号5のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号5に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0121】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号5のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドを含む。
【0122】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号6のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号6に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0123】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号6のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号6に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0124】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号6のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号6に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0125】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号6のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドを含む。
【0126】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号7のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号7に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0127】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号7のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号7に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0128】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号7のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号7に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0129】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号7のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドを含む。
【0130】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号9のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号9に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0131】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号9のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号9に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0132】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号9のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号9に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0133】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号9のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドを含む。
【0134】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号11のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号11に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0135】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号11のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号11に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0136】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号11のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号11に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0137】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号11のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドを含む。
【0138】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、コドン最適化されていてよい(例えば、配列番号8、配列番号10、または配列番号12のいずれか1つ)。
【0139】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号8のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号8に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0140】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号8のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号8に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0141】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号8のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号8に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0142】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号8のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列を含む。
【0143】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号10のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号10に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0144】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号10のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号10に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0145】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号10のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号10に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0146】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号10のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列を含む。
【0147】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号12のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号12に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0148】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号12のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号12に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0149】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号12のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号12に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0150】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号12のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列を含む。
【0151】
一部の実施形態では、導入遺伝子は、2つまたはそれ以上のTREM2タンパク質(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のTREM2タンパク質)をコードする。一部の実施形態では、導入遺伝子は、2~10のTREM2タンパク質(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のTREM2タンパク質)をコードする。一部の実施形態では、導入遺伝子は、2~5つのTREM2タンパク質(例えば、2、3、4、または5つのTREM2タンパク質)をコードする。一部の実施形態では、導入遺伝子は、2つのTREM2タンパク質をコードする。一部の実施形態では、TREM2導入遺伝子は、単一のポリシストロニック発現カセットから発現される。一部の実施形態では、TREM2導入遺伝子は、1種または複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、またはそれ以上)のIRESにより相互に分離されている。一部の実施形態では、TREM2導入遺伝子は、1種または複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のモノシストロニック発現カセットから発現される。
【0152】
一部の実施形態では、TREM2は、シグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、TREM2シグナルペプチドである。
【0153】
一部の実施形態では、TREM2は、sTREM2である。一部の実施形態では、TREM2は、TREM-CTFである。一部の実施形態では、TREM2は、TREM2-ICDである。一部の実施形態では、TREM2は、TREM2-T2βペプチドである。一部の実施形態では、TREM2は、機能性エクトドメイン切断部位を含まない。一部の実施形態では、TREM2は、機能性膜内切断部位をTREM2-CTF内に含まない。
【0154】
一部の実施形態では、TREM2は、TREM2融合タンパク質である。一部の実施形態では、TREM2融合タンパク質は、ApoEのRbドメインを含む。一部の実施形態では、Rbドメインは、配列番号13の残基25~185、50~180、75~175、100~170、125~160、または130~150のアミノ酸配列を有するApoEの部分を含む。一部の実施形態では、Rbドメインは、配列番号13の残基159~167のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する領域を含む。
【0155】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子はさらに、3’-UTRにmiRNAターゲティング配列を含む。一部の実施形態では、miRNAターゲティング配列は、miR-126ターゲティング配列である。
【0156】
一部の実施形態では、内因性TREM2を細胞内で破壊する。
【0157】
一部の実施形態では、前記組成物を、対象に全身投与するために製剤化する。一部の実施形態では、前記組成物を、静脈内注射により対象に投与するために製剤化する。一部の実施形態では、前記組成物を、対象の脳脊髄液に投与するために製剤化する。一部の実施形態では、前記組成物を、脳室内注射、髄腔内、定位注射、またはそれらの組み合わせにより対象に投与するために製剤化する。一部の実施形態では、前記組成物を、実質内注射により投与するために製剤化する。一部の実施形態では、前記組成物を、対象の骨髄に直接投与するために製剤化する。一部の実施形態では、前記組成物を、骨内注射により対象に投与するために製剤化する。一部の実施形態では、前記組成物を、組成物を含む骨髄移植により対象に投与するために製剤化する。一部の実施形態では、前記組成物を、脳室内注射及び静脈内注射により対象に投与するために製剤化する。
【0158】
別の態様では、本開示は、1種または複数の薬学的に許容される担体、希釈剤、または添加剤をさらに含有する、上の態様及び実施形態のいずれかに記載の組成物を含有する薬学的組成物を提供する。
【0159】
追加の一態様では、本開示は、上の態様及び実施形態のいずれかによる組成物と、添付文書とを含むキットを提供する。一部の実施形態では、添付文書は、キットのユーザーに、上の態様及び実施形態のいずれかによる方法を実行するように指示する。
【0160】
追加の本発明の実施形態を、下に列挙するパラグラフにおいて記載する。
【0161】
E1.
神経認知障害(NCD)を有すると診断されている対象を処置する方法であって、前記対象に、配列番号1~3のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有する1つまたは複数のミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2(TREM2)タンパク質をコードする導入遺伝子を含む細胞の集団(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、ミクログリア前駆細胞、単球、マクロファージ、またはミクログリア)を含む組成物を投与することを含む、前記方法。
【0162】
E2.
前記NCDが重度NCDである、E1に記載の方法。
【0163】
E3.
前記重度NCDが、前記対象の自立及び/または正常な日常機能を妨害する、E2に記載の方法。
【0164】
E4.
前記重度NCDが、基準集団の平均スコアから少なくとも標準偏差2離れている、認知検査で前記対象により得られるスコアと関連している、E2またはE3に記載の方法。
【0165】
E5.
前記NCDが軽度NCDである、E1に記載の方法。
【0166】
E6.
前記軽度NCDが前記対象の自立及び/または正常な日常機能を妨害しない、E5に記載の方法。
【0167】
E7.
前記軽度NCDが、基準集団の平均スコアから標準偏差1~2離れている、認知検査で前記対象により得られるスコアと関連している、E5またはE6に記載の方法。
【0168】
E8.
前記基準集団が、一般集団である、E4またはE7に記載の方法。
【0169】
E9.
前記認知検査が、Eight-item Informant Interview to Differentiate Aging and Dementia(AD8)、Annual Wellness Visit(AWV)、General Practitioner Assessment of Cognition(GPCOG)、Health Risk Assessment(HRA)、Memory Impairment Screen(MIS)、Mini Mental Status Exam(MMSE)、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)、St. Louis University Mental Status Exam(SLUMS)、及びShort Informant Questionnaire on Cognitive Decline in the Elderly(Short IQCODE)からなる群から選択される、E4、E7、またはE8に記載の方法。
【0170】
E10.
前記NCDが、複雑性注意、実行機能、学習及び記憶、言語、知覚運動機能、ならびに社会的認知のうちの1つまたは複数における機能障害と関連している、E1~E9のいずれか1つに記載の方法。
【0171】
E11.
前記NCDが、せん妄または他の精神障害によるものではない、E1~E10のいずれか1つに記載の方法。
【0172】
E12.
前記NCDがアルツハイマー病(AD)である、E1~E11のいずれか1つに記載の方法。
【0173】
E13.
前記NCDが白質ジストロフィーである、E1~E11のいずれか1つに記載の方法。
【0174】
E14.
前記白質ジストロフィーが那須ハコラ病(PLOSL)である、E13に記載の方法。
【0175】
E15.
前記導入遺伝子が、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有するTREM2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、E1~E14のいずれか1つに記載の方法。
【0176】
E16.
前記導入遺伝子が、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するTREM2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、E15に記載の方法。
【0177】
E17.
前記導入遺伝子が、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するTREM2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、E15に記載の方法。
【0178】
E18.
前記導入遺伝子が、配列番号1のアミノ酸配列を有するTREM2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、E17に記載の方法。
【0179】
E19.
前記導入遺伝子が、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有するTREM2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、E1~E18のいずれか1つに記載の方法。
【0180】
E20.
前記導入遺伝子が、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するTREM2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、E19に記載の方法。
【0181】
E21.
前記導入遺伝子が、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するTREM2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、E20に記載の方法。
【0182】
E22.
前記導入遺伝子が、配列番号2のアミノ酸配列を有するTREM2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、E21に記載の方法。
【0183】
E23.
前記導入遺伝子が、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有するTREM2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、E1~E22のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
E24.
前記導入遺伝子が、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するTREM2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、E23に記載の方法。
【0185】
E25.
前記導入遺伝子が、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するTREM2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、E24に記載の方法。
【0186】
E26.
前記導入遺伝子が、配列番号3のアミノ酸配列を有するTREM2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、E25に記載の方法。
【0187】
E27.
前記TREM2が、全長TREM2である、E1~E26のいずれか1つに記載の方法。
【0188】
E28.
前記TREM2がシグナルペプチドを含む、E1~E27のいずれか1つに記載の方法。
【0189】
E29.
前記シグナルペプチドがTREM2シグナルペプチドである、E28に記載の方法。
【0190】
E30.
前記TREM2が可溶性TREM2(sTREM2)である、E1~E29のいずれか1つに記載の方法。
【0191】
E31.
前記TREM2が、TREM2 C末端断片(TREM2-CTF)である、E1~E29のいずれか1つに記載の方法。
【0192】
E32.
前記TREM2が、TREM2細胞内ドメイン(TREM2-ICD)である、E1~E29のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
E33.
前記TREM2が、TREM2-A β様(TREM2-T2β)ペプチドである、E1~E29のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
E34.
前記TREM2が、機能性エクトドメイン切断部位を含まない、E1~E33のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
E35.
前記TREM2-CTFが機能性膜内切断部位を含まない、E31に記載の方法。
【0196】
E36.
前記導入遺伝子が、2つまたはそれ以上のTREM2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、E1~E35のいずれか1つに記載の方法。
【0197】
E37.
前記導入遺伝子が、2~10のTREM2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、E36に記載の方法。
【0198】
E38.
前記導入遺伝子が、2~5つのTREM2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、E37に記載の方法。
【0199】
E39.
前記導入遺伝子が、2つのTREM2タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、E38に記載の方法。
【0200】
E40.
前記TREM2導入遺伝子が、単一のポリシストロニック発現カセットから発現される、E36~E39のいずれか1つに記載の方法。
【0201】
E41.
前記TREM2導入遺伝子が、1つまたは複数の内部リボソーム進入部位(IRES)により相互に分離されている、E36~E40のいずれか1つに記載の方法。
【0202】
E42.
前記TREM2導入遺伝子が、1つまたは複数のモノシストロニック発現カセットから発現される、E36~E39のいずれか1つに記載の方法。
【0203】
E43.
前記導入遺伝子が、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E1~E42のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
E44.
前記導入遺伝子が、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E43に記載の方法。
【0205】
E45.
前記導入遺伝子が、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E44に記載の方法。
【0206】
E46.
前記導入遺伝子が、配列番号4の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、E45に記載の方法。
【0207】
E47.
前記導入遺伝子が、配列番号5の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E1~E46のいずれか1つに記載の方法。
【0208】
E48.
前記導入遺伝子が、配列番号5の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E47に記載の方法。
【0209】
E49.
前記導入遺伝子が、配列番号5の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E48に記載の方法。
【0210】
E50.
前記導入遺伝子が、配列番号5の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、E49に記載の方法。
【0211】
E51.
前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E1~E50のいずれか1つに記載の方法。
【0212】
E52.
前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E51に記載の方法。
【0213】
E53.
前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E52に記載の方法。
【0214】
E54.
前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、E53に記載の方法。
【0215】
E55.
前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E1~E54のいずれか1つに記載の方法。
【0216】
E56.
前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E55に記載の方法。
【0217】
E57.
前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E56に記載の方法。
【0218】
E58.
前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、E57に記載の方法。
【0219】
E59.
前記導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E1~E58のいずれか1つに記載の方法。
【0220】
E60.
前記導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E59に記載の方法。
【0221】
E61.
前記導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E60に記載の方法。
【0222】
E62.
前記導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、E61に記載の方法。
【0223】
E63.
前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E1~E62のいずれか1つに記載の方法。
【0224】
E64.
前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E63に記載の方法。
【0225】
E65.
前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E64に記載の方法。
【0226】
E66.
前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、E65に記載の方法。
【0227】
E67.
前記導入遺伝子が、コドン最適化TREM2導入遺伝子である、E1~E66のいずれか1つに記載の方法。
【0228】
E68.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号8の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E67に記載の方法。
【0229】
E69.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号8の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E68に記載の方法。
【0230】
E70.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号8の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E69に記載の方法。
【0231】
E71.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号8のポリヌクレオチドを含む、E70に記載の方法。
【0232】
E72.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号10の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E67~E71のいずれか1つに記載の方法。
【0233】
E73.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号10の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E72に記載の方法。
【0234】
E74.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号10の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E73に記載の方法。
【0235】
E75.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号10のポリヌクレオチドを含む、E74に記載の方法。
【0236】
E76.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号12の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E67~E75のいずれか1つに記載の方法。
【0237】
E77.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号12の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E76に記載の方法。
【0238】
E78.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号12の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E77に記載の方法。
【0239】
E79.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号12のポリヌクレオチドを含む、E78に記載の方法。
【0240】
E80.
前記TREM2がTREM2融合タンパク質である、E1~E79のいずれか1つに記載の方法。
【0241】
E81.
前記TREM2融合タンパク質が、アポリポタンパク質E(ApoE)の受容体結合(Rb)ドメインを含む、E80に記載の方法。
【0242】
E82.
前記Rbドメインが、配列番号13の残基25~185、50~180、75~175、100~170、125~160、または130~150のアミノ酸配列を有するApoEの部分を含む、E81に記載の方法。
【0243】
E83.
前記Rbドメインが、配列番号13の残基159~167のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する領域を含む、E81または82に記載の方法。
【0244】
E84.
TREM2をコードする前記導入遺伝子がさらに、マイクロRNA(miRNA)ターゲティング配列を3’-UTRに含む、E1~E83のいずれか1つに記載の方法。
【0245】
E85.
前記miRNAターゲティング配列が、miR-126ターゲティング配列である、E84に記載の方法。
【0246】
E86.
前記対象に前記組成物を投与すると、前記TREM2が前記対象の血液脳関門を透過する、E1~E85のいずれか1つに記載の方法。
【0247】
E87.
前記ADまたはPLOSLがTREM2関連ADまたはPLOSLである、E12~E86のいずれか1つに記載の方法。
【0248】
E88.
前記細胞がESCである、E1~E87のいずれか1つに記載の方法。
【0249】
E89.
前記細胞がiPSCである、E1~E87のいずれか1つに記載の方法。
【0250】
E90.
前記細胞がCD34+細胞である、E1~E87のいずれか1つに記載の方法。
【0251】
E91.
前記CD34+細胞がHSCである、E90に記載の方法。
【0252】
E92.
前記CD34+細胞がMPCである、E90に記載の方法。
【0253】
E93.
前記組成物の投与前に、前記対象における内因性ミクログリアの集団を除去しておく、E1~E92のいずれか1つに記載の方法。
【0254】
E94.
前記対象に前記組成物を投与する前に、前記対象における内因性ミクログリアの集団を除去することを含む、E1~E92のいずれか1つに記載の方法。
【0255】
E95.
前記ミクログリアを、ブスルファン、PLX3397、PLX647、PLX5622、トレオスルファン、及びクロドロネートリポソームからなる群から選択される薬剤を使用して、放射線療法により、またはそれらの組み合わせで除去する、E93またはE94に記載の方法。
【0256】
E96.
前記組成物を前記対象に全身投与する、E1~E95のいずれか1つに記載の方法。
【0257】
E97.
前記組成物を、静脈内注射により前記対象に投与する、E96に記載の方法。
【0258】
E98.
前記組成物を、前記対象の中枢神経系に直接投与する、E1~E95のいずれか1つに記載の方法。
【0259】
E99.
前記組成物を、脳脊髄液への直接投与により前記対象に投与する、E98に記載の方法。
【0260】
E100.
前記組成物を、脳室内注射、髄腔内注射、定位注射、またはそれらの組み合わせにより前記対象に投与する、E99に記載の方法。
【0261】
E101.
前記組成物を、実質内注射により前記対象に投与する、E98に記載の方法。
【0262】
E102.
前記組成物を、前記対象の骨髄に直接投与する、E1~E95のいずれか1つに記載の方法。
【0263】
E103.
前記組成物を、骨内注射により前記対象に投与する、E102に記載の方法。
【0264】
E104.
前記組成物を、前記組成物を含む骨髄移植により前記対象に投与する、E1~E95のいずれか1つに記載の方法。
【0265】
E105.
前記組成物を、脳室内注射により前記対象に投与する、E1~E95のいずれか1つに記載の方法。
【0266】
E106.
前記組成物を、髄腔内注射により前記対象に投与する、E1~E95のいずれか1つに記載の方法。
【0267】
E107.
前記組成物を、実質内注射により前記対象に投与する、E1~95のいずれか1つに記載の方法。
【0268】
E108.
前記組成物を、静脈内注射により前記対象に投与する、E1~E95のいずれか1つに記載の方法。
【0269】
E109.
前記組成物を、前記対象の中枢神経系に直接的に投与することにより、及び全身投与により前記対象に投与する、E1~E95のいずれか1つに記載の方法。
【0270】
E110.
前記組成物を、脳室内注射及び静脈内注射により前記対象に投与する、E109に記載の方法。
【0271】
E111.
前記組成物を、髄腔内注射及び静脈内注射により前記対象に投与する、E109に記載の方法。
【0272】
E112.
前記組成物に、実質内注射及び静脈内注射により前記対象に投与する、E109に記載の方法。
【0273】
E113.
細胞の集団を前記対象に投与することをさらに含む、E1~E112のいずれか1つに記載の方法。
【0274】
E114.
前記組成物の投与前に、前記細胞の集団を前記対象に投与する、E105に記載の方法。
【0275】
E115.
前記組成物の投与後に、前記細胞の集団を、前記対象に投与する、E113に記載の方法。
【0276】
E116.
前記細胞が、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、ミクログリア前駆細胞、マクロファージ、及びミクログリアからなる群から選択される、E113~E115のいずれか1つに記載の方法。
【0277】
E117.
前記細胞が、TREM2をコードする導入遺伝子を発現するように改変されていない、E113~E116のいずれか1つに記載の方法。
【0278】
E118.
前記細胞を、前記対象に全身投与する、E113~E117のいずれか1つに記載の方法。
【0279】
E119.
前記細胞を、静脈内注射により前記対象に投与する、E118に記載の方法。
【0280】
E120.
前記対象への前記組成物の投与前に、内因性TREM2を前記細胞において破壊する、E1~E119のいずれか1つに記載の方法。
【0281】
E121.
前記対象への前記組成物の投与前に、内因性TREM2を前記対象において破壊する、E1~E120のいずれか1つに記載の方法。
【0282】
E122.
前記対象への前記組成物の投与前に、内因性TREM2を、前記対象のニューロンの集団において破壊する、E121に記載の方法。
【0283】
E123.
前記細胞を、前記細胞中の内因性TREM2核酸の切断を触媒するヌクレアーゼと接触させることにより、前記内因性TREM2を破壊する、E120に記載の方法。
【0284】
E124.
前記ヌクレアーゼが、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)関連タンパク質である、E123に記載の方法。
【0285】
E125.
前記CRISPR関連タンパク質が、CRISPR関連タンパク質9(Cas9)である、E124に記載の方法。
【0286】
E126.
前記CRISPR関連タンパク質が、CRISPR関連タンパク質12a(Cas12a)である、E124に記載の方法。
【0287】
E127.
前記ヌクレアーゼが、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、またはジンクフィンガーヌクレアーゼである、E123に記載の方法。
【0288】
E128.
前記内因性TREM2を、阻害性RNA分子を前記細胞、前記対象、または前記ニューロンの集団に投与することにより破壊する、E120~E122のいずれか1つに記載の方法。
【0289】
E129.
前記阻害性RNA分子が短鎖干渉RNA、短鎖ヘアピンRNA、またはmiRNAである、E128に記載の方法。
【0290】
E130.
前記細胞が自家細胞である、E1~E129のいずれか1つに記載の方法。
【0291】
E131.
前記細胞が同種異系細胞である、E1~E129のいずれか1つに記載の方法。
【0292】
E132.
前記細胞が、前記TREM2を発現するようにエクスビボで形質導入されている、E1~E131のいずれか1つに記載の方法。
【0293】
E133.
前記細胞を、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、パルボウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、ピコルナウイルス、アルファウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、及びレトロウイルス科ウイルスからなる群から選択されるウイルスベクターで形質導入する、E132に記載の方法。
【0294】
E134.
前記ウイルスベクターがレトロウイルス科ウイルスベクターである、E133に記載の方法。
【0295】
E135.
前記レトロウイルス科ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、E134に記載の方法。
【0296】
E136.
前記レトロウイルス科ウイルスベクターが、アルファレトロウイルスベクターである、E134に記載の方法。
【0297】
E137.
前記レトロウイルス科ウイルスベクターが、ガンマレトロウイルスベクターである、E134に記載の方法。
【0298】
E138.
前記レトロウイルス科ウイルスベクターが、中央ポリプリン路、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント、5’-LTR、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位、デルタ-GAGエレメント、3’-スプライス部位、及び3’-自己不活性化LTRを含む、E134~E137のいずれか1つに記載の方法。
【0299】
E139.
前記ウイルスベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、及びAAVrh74からなる群から選択されるAAVである、E133に記載の方法。
【0300】
E140.
前記ウイルスベクターが偽型ウイルスベクターである、E133~139のいずれか1つに記載の方法。
【0301】
E141.
前記偽型ウイルスベクターが、偽型AAV、偽型アデノウイルス、偽型パルボウイルス、偽型コロナウイルス、偽型ラブドウイルス、偽型パラミクソウイルス、偽型ピコルナウイルス、偽型アルファウイルス、偽型ヘルペスウイルス、偽型ポックスウイルス、及び偽型レトロウイルス科ウイルスからなる群から選択される、E140に記載の方法。
【0302】
E142.
前記細胞を、前記TREM2を発現するようにエクスビボでトランスフェクトする、E1~E141のいずれか1つに記載の方法。
【0303】
E143.
前記細胞を、a)カチオン性ポリマー、ジエチルアミノエチル-デキストラン、ポリエチレンイミン、カチオン性脂質、リポソーム、リン酸カルシウム、活性化デンドリマー、及び磁気ビーズからなる群から選択される薬剤;またはb)エレクトロポレーション、Nucleofection、スクイーズ-ポレーション、ソノポレーション、光学トランスフェクション、Magnetofection、及びインペールフェクションからなる群から選択される技術を使用してトランスフェクトする、E142に記載の方法。
【0304】
E144.
前記細胞における前記TREM2の発現を、ユビキタスプロモーターにより媒介する、E1~E143のいずれか1つに記載の方法。
【0305】
E145.
前記ユビキタスプロモーターが、伸長因子1-アルファプロモーター及びホスホグリセリン酸キナーゼ1プロモーターからなる群から選択される、E144に記載の方法。
【0306】
E146.
前記TREM2の発現を、細胞系統特異的プロモーターにより媒介する、E1~E143のいずれか1つに記載の方法。
【0307】
E147.
前記細胞系統特異的プロモーターが、TREM2プロモーター、CD68プロモーター、CD11bプロモーター、C-X3-Cモチーフケモカイン受容体1プロモーター、同種移植炎症因子1プロモーター、プリン受容体P2Y12プロモーター、膜貫通タンパク質119プロモーター、及びコロニー刺激因子1受容体プロモーターからなる群から選択される、E146に記載の方法。
【0308】
E148.
前記細胞における前記TREM2の発現を、合成プロモーターにより媒介する、E1~E143のいずれか1つに記載の方法。
【0309】
E149.
前記組成物を、a)前記対象の脳におけるM1ミクログリアの量と比べて、前記対象の脳においてM2ミクログリアの量を増加させるために;b)前記対象の脳における1種または複数の炎症誘発性サイトカインのレベルを低下させるために;c)前記対象の脳における1種または複数の抗炎症性サイトカインのレベルを上昇させるために、;d)前記対象の認知性能を改善するために;e)前記対象の運動機能を改善するために;f)前記対象におけるニューロン喪失を減少させるために;及び/またはg)前記対象におけるアミロイドβ及び神経原線維タウタンパク質、またはそれらの凝集体のレベルを低下させるために十分な量で前記対象に投与する、E1~E148のいずれか1つに記載の方法。
【0310】
E150.
前記対象がヒトである、E1~E149のいずれか1つに記載の方法。
【0311】
E151.
TREM2をコードする導入遺伝子(例えば、マクロファージまたは小神経膠細胞において発現し得る導入遺伝子)を含む細胞の集団を含む、組成物。
【0312】
E152.
前記TREM2が全長TREM2である、E151に記載の組成物。
【0313】
E153.
前記TREM2またはそのバリアントが、配列番号1~3のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、E151またはE152に記載の組成物。
【0314】
E154.
前記TREM2が、配列番号1に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、E153に記載の組成物。
【0315】
E155.
前記TREM2が、配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、E154に記載の組成物。
【0316】
E156.
前記TREM2が、配列番号1に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、E155に記載の組成物。
【0317】
E157.
前記TREM2が、配列番号1のアミノ酸配列を有する、E156に記載の組成物。
【0318】
E158.
前記TREM2が、配列番号2に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、E151~E157のいずれか1つに記載の組成物。
【0319】
E159.
前記TREM2が、配列番号2に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、E158に記載の組成物。
【0320】
E160.
前記TREM2が、配列番号2に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、E159に記載の組成物。
【0321】
E161.
前記TREM2が、配列番号2のアミノ酸配列を有する、E160に記載の組成物。
【0322】
E162.
前記TREM2が、配列番号3に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、E151~E161のいずれか1つに記載の組成物。
【0323】
E163.
前記TREM2が、配列番号3に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、E162に記載の組成物。
【0324】
E164.
前記TREM2が、配列番号3に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、E163に記載の組成物。
【0325】
E165.
前記TREM2が、配列番号3のアミノ酸配列を有する、E164に記載の組成物。
【0326】
E166.
前記TREM2がシグナルペプチドを含む、E151~E165のいずれか1つに記載の組成物。
【0327】
E167.
前記シグナルペプチドがTREM2シグナルペプチドである、E166に記載の組成物。
【0328】
E168.
前記TREM2がsTREM2である、E151~E167のいずれか1つに記載の組成物。
【0329】
E169.
前記TREM2がTREM2-CTFである、E151~E167のいずれか1つに記載の組成物。
【0330】
E170.
前記TREM2がTREM2-ICDである、E169に記載の組成物。
【0331】
E171.
前記TREM2がTREM2-T2βペプチドである、E169に記載の組成物。
【0332】
E172.
前記TREM2が機能性エクトドメイン切断部位を含まない、E151~E167のいずれか1つに記載の組成物。
【0333】
E173.
前記TREM2-CTFが機能性膜内切断部位を含まない、E169に記載の組成物。
【0334】
E174.
前記導入遺伝子が、2つまたはそれ以上のTREM2タンパク質をコードする、E151~E173のいずれか1つに記載の組成物。
【0335】
E175.
前記導入遺伝子が、2~10のTREM2タンパク質をコードする、E174に記載の組成物。
【0336】
E176.
前記導入遺伝子が、2~5つのTREM2タンパク質をコードする、E175に記載の組成物。
【0337】
E177.
前記導入遺伝子が2つのTREM2タンパク質をコードする、E176に記載の組成物。
【0338】
E178.
前記TREM2導入遺伝子が、単一のポリシストロニック発現カセットから発現される、E174~E177のいずれか1つに記載の組成物。
【0339】
E179.
前記TREM2導入遺伝子が、1つまたは複数のIRESにより相互に分離されている、E174~E178のいずれか1つに記載の組成物。
【0340】
E180.
前記TREM2導入遺伝子が1つまたは複数のモノシストロニック発現カセットから発現される、E174~E177のいずれか1つに記載の組成物。
【0341】
E181.
前記導入遺伝子が、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E151~E180のいずれか1つに記載の組成物。
【0342】
E182.
前記導入遺伝子が、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E181に記載の組成物。
【0343】
E183.
前記導入遺伝子が、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E182に記載の組成物。
【0344】
E184.
前記導入遺伝子が、配列番号4の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、E183に記載の組成物。
【0345】
E185.
前記導入遺伝子が、配列番号5の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E151~E184のいずれか1つに記載の組成物。
【0346】
E186.
前記導入遺伝子が、配列番号5の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E185に記載の組成物。
【0347】
E187.
前記導入遺伝子が、配列番号5の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E186に記載の組成物。
【0348】
E188.
前記導入遺伝子が、配列番号5の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、E187に記載の組成物。
【0349】
E189.
前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E151~E188のいずれか1つに記載の組成物。
【0350】
E190.
前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E189に記載の組成物。
【0351】
E191.
前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E190に記載の組成物。
【0352】
E192.
前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、E191に記載の組成物。
【0353】
E193.
前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E151~E192のいずれか1つに記載の組成物。
【0354】
E194.
前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E193に記載の組成物。
【0355】
E195.
前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E194に記載の組成物。
【0356】
E196.
前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、E195に記載の組成物。
【0357】
E197.
前記導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E151~E196のいずれか1つに記載の組成物。
【0358】
E198.
前記導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E197に記載の組成物。
【0359】
E199.
前記導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E198に記載の組成物。
【0360】
E200.
前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、E199に記載の組成物。
【0361】
E201.
前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E151~E200のいずれか1つに記載の組成物。
【0362】
E202.
前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E201に記載の組成物。
【0363】
E203.
前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E202に記載の組成物。
【0364】
E204.
前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、E203に記載の組成物。
【0365】
E205.
前記導入遺伝子が、コドン最適化TREM2導入遺伝子である、E151~E204のいずれか1つに記載の組成物。
【0366】
E206.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号8の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E205に記載の組成物。
【0367】
E207.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号8の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E206に記載の組成物。
【0368】
E208.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号8の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E207に記載の組成物。
【0369】
E209.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号8のポリヌクレオチドを含む、E208に記載の組成物。
【0370】
E210.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号10の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E205~E209のいずれか1つに記載の組成物。
【0371】
E211.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号10の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E210に記載の組成物。
【0372】
E212.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号10の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E211に記載の組成物。
【0373】
E213.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号10のポリヌクレオチドを含む、E212に記載の組成物。
【0374】
E214.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号12の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E205~E213のいずれか1つに記載の組成物。
【0375】
E215.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号12の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E214に記載の組成物。
【0376】
E216.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号12の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、E215に記載の組成物。
【0377】
E217.
前記コドン最適化TREM2導入遺伝子が、配列番号12のポリヌクレオチドを含む、E216に記載の組成物。
【0378】
E218.
前記TREM2が、TREM2融合タンパク質である、E151~E217のいずれか1つに記載の組成物。
【0379】
E219.
前記TREM2融合タンパク質が、ApoEのRbドメインを含む、E218に記載の組成物。
【0380】
E220.
前記Rbドメインが、配列番号13の残基25~185、50~180、75~175、100~170、125~160、または130~150のアミノ酸配列を有するApoEの部分を含む、E219に記載の組成物。
【0381】
E221.
前記Rbドメインが、配列番号13の残基159~167のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する領域を含む、E219またはE220に記載の組成物。
【0382】
E222.
TREM2をコードする前記導入遺伝子がさらに、miRNAターゲティング配列を3’-UTRに含む、E151~E221のいずれか1つに記載の組成物。
【0383】
E223.
前記miRNAターゲティング配列が、miR-126ターゲティング配列である、E222に記載の組成物。
【0384】
E224.
前記細胞が、ESC(例えば、マクロファージまたはミクログリアに分化しているESCなど)である、E151~E223のいずれか1つに記載の組成物。
【0385】
E225.
前記細胞が、iPSC(例えば、マクロファージまたはミクログリアに分化しているiPSCなど)である、E151~E223のいずれか1つに記載の組成物。
【0386】
E226.
前記細胞がCD34+細胞である、E151~E223のいずれか1つに記載の組成物。
【0387】
E227.
前記CD34+細胞がHSCである、E226に記載の組成物。
【0388】
E228.
前記CD34+細胞がMPCである、E226に記載の組成物。
【0389】
E229.
前記細胞が、前記TREM2を発現するようにエクスビボでトランスフェクトされている、E151~E228のいずれか1つに記載の組成物。
【0390】
E230.
前記細胞が、TREM2を発現するようにエクスビボで形質導入されている、E151~E228のいずれか1つに記載の組成物。
【0391】
E231.
ヒト対象に全身投与するために製剤化されている、E151~E230のいずれか1つに記載の組成物。
【0392】
E232.
静脈内注射によりヒト対象に投与するために製剤化されている、E231~E245のいずれか1つに記載の組成物。
【0393】
E233.
ヒト対象に、前記対象の神経系に直接投与するために製剤化されている、E151~E229のいずれか1つに記載の組成物。
【0394】
E234.
脳脊髄液へとヒト対象に投与するために製剤化されている、E233に記載の組成物。
【0395】
E235.
脳室内注射、髄腔内注射、定位注射、またはそれらの組み合わせによりヒト対象に投与するために製剤化されている、E233またはE234に記載の組成物。
【0396】
E236.
実質内注射により投与するために製剤化されている、E233に記載の組成物。
【0397】
E237.
ヒト対象の骨髄に直接投与するために製剤化されている、E151~E230のいずれか1つに記載の組成物。
【0398】
E238.
骨内注射によりヒト対象に投与するために製剤化されている、E237に記載の組成物。
【0399】
E239.
前記組成物を含む骨髄移植によりヒト対象に投与するために製剤化されている、E151~E230のいずれか1つに記載の組成物。
【0400】
E240.
前記対象の中枢神経系に直接投与することにより、かつ全身投与により、前記対象に投与するために製剤化されている、E151~E230のいずれか1つに記載の組成物。
【0401】
E241.
脳室内注射及び静脈内注射により投与するために製剤化されている、E240に記載の組成物。
【0402】
E242.
髄腔内注射及び静脈内注射により投与するために製剤化されている、E240に記載の組成物。
【0403】
E243.
実質内注射及び静脈内注射により投与するために製剤化されている、E240に記載の組成物。
【0404】
E244.
前記対象が、NCDを有すると診断されている、E231~E243のいずれか1つに記載の組成物。
【0405】
E245.
前記NCDが重度NCDである、E244に記載の組成物。
【0406】
E246.
前記重度NCDが、前記対象の自立及び/または正常な日常機能を妨害する、E245に記載の組成物。
【0407】
E247.
前記重度NCDが、基準集団の平均スコアから少なくとも標準偏差2離れている、認知検査で前記対象により得られるスコアと関連している、E244またはE245に記載の組成物。
【0408】
E248.
前記NCDが軽度NCDである、E244に記載の組成物。
【0409】
E249.
前記軽度NCDが、前記対象の自立及び/または正常な日常機能を妨害しない、E248に記載の組成物。
【0410】
E250.
前記軽度NCDが、基準集団の平均スコアから少なくとも標準偏差1~2離れている、認知検査で前記対象により得られるスコアと関連している、E248またはE249に記載の組成物。
【0411】
E251.
前記基準集団が、一般集団である、E247またはE250に記載の組成物。
【0412】
E252.
前記認知検査が、AD8、AWV、GPCOG、HRA、MIS、MMSE、MoCA、SLUMS、及びShort IQCODEからなる群から選択される、E247、E250、またはE251に記載の組成物。
【0413】
E253.
前記NCDが、複雑性注意、実行機能、学習及び記憶、言語、知覚運動機能、ならびに社会的認知のうちの1つまたは複数における機能障害と関連している、E244~E252のいずれか1つに記載の組成物。
【0414】
E254.
前記NCDが、せん妄または他の精神障害によるものではない、E244~E253のいずれか1つに記載の組成物。
【0415】
E255.
前記NCDがアルツハイマー病(AD)である、E244~E254のいずれか1つに記載の組成物。
【0416】
E256.
前記NCDが白質ジストロフィーである、E244~E254のいずれか1つに記載の組成物。
【0417】
E257.
前記白質ジストロフィーが那須ハコラ病(PLOSL)である、E256に記載の組成物。
【0418】
E258.
E151~E257のいずれか1つに記載の組成物、またはE258に記載の薬学的組成物と、添付文書とを含むキット。
【0419】
E259.
前記添付文書が、前記キットのユーザーに、E1~E150のいずれか1つに記載の方法を実行するように指示する、E251に記載のキット。
【0420】
E260.
前記NCDが前頭側頭骨NCDである、E1~E150のいずれか1つに記載の方法。
【0421】
E261.
前記前頭側頭骨NCDがFTLDである、E260に記載の方法。
【0422】
E262.
前記NCDが運動障害である、E1~E150のいずれか1つに記載の方法。
【0423】
E263.
前記運動障害がPDである、E262に記載の方法。
【0424】
E264.
前記細胞が、万能性細胞(例えば、ESC、iPSC)、多能性細胞(例えば、CD34+細胞、例えば、HSCまたはMPCなど)、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリアである、E1~E150のいずれか1つに記載の方法。
【0425】
E265.
前記導入遺伝子が、マクロファージまたは小神経膠細胞において発現し得る、E1~E150のいずれか1つに記載の方法。
【0426】
E266.
前記NCDが前頭側頭骨NCDである、E151~E257のいずれか1つに記載の組成物。
【0427】
E267.
前記前頭側頭骨NCDがFTLDである、E264に記載の組成物。
【0428】
E268.
前記NCDが運動障害である、E151~E257のいずれか1つに記載の組成物。
【0429】
E269.
前記運動障害がPDである、E151~E257のいずれか1つに記載の組成物。
【0430】
E270.
前記細胞が、万能性細胞(例えば、ESC、iPSC)、多能性細胞(例えば、CD34+細胞、例えば、HSCまたはMPCなど)、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリアである、E151~E257のいずれか1つに記載の組成物。
【0431】
E271.
前記導入遺伝子がマクロファージまたは小神経膠細胞において発現し得る、E151~E257のいずれか1つに記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0432】
図1】TREM2をコードするレンチウイルスベクターで形質導入されたマウスマクロファージにおけるヒトミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2(TREM2)タンパク質の発現を示すウェスタンブロットである。細胞溶解産物を、10、50、100、または200の感染多重度(MOI)で、MND.TREM2ウイルスベクター(MND.TREM2)、MND.緑色蛍光タンパク質(GFP)ウイルスベクター(MND.GFP)で形質導入されたRAWマウスマクロファージ細胞から、または非形質導入対照(NTC)細胞から生成した。ヒトTREM2に対して生じる抗体を用いて、TREM2発現を評価した(図1)。
図2】TREM2をコードするレンチウイルスベクターで形質導入されたマウス小神経膠細胞におけるヒトTREM2タンパク質の発現を示すウェスタンブロットである。細胞溶解産物を、形質導入されていない(NT)、またはMND.TREM2ウイルスベクター(MND-TREM2)もしくはMND.GFPウイルスベクター(MND-GFP)で形質導入された一次マウスミクログリアから生成した。ヒトTREM2に対して生じる抗体を用いて、TREM2発現を評価した(図2)。
図3】TREM2をコードするレンチウイルスベクターで形質導入された系列陰性(Lin-)細胞におけるヒトTREM2タンパク質の発現を示すウェスタンブロットである。MND.TREM2ウイルスベクター(Lenti TREM2)またはMND.GFPウイルスベクターで形質導入されたLin-マウス細胞からの細胞溶解産物。ヒトTREM2に対して生じる抗体を用いて、TREM2発現を評価した(図3)。
【発明を実施するための形態】
【0433】
定義
本明細書で使用する場合、「除去する」、「除去すること」、「除去」などの用語は、インビボまたはエクスビボでの細胞の集団における1つまたは複数の細胞の枯渇を指す。本開示の一部の実施形態では、前記対象に治療用の細胞の集団(例えば、万能性細胞、胚性幹細胞(ESC)、人工万能性幹細胞(iPSC)、多能性細胞、CD34+細胞、造血幹細胞(HSC)、骨髄性前駆細胞(MPC)、血液系前駆細胞(BLPC)、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリア)を投与する前に、対象(例えば、本明細書に記載の疾患、例えば、NCD(例えば、アルツハイマー病(AD)、那須ハコラ病(硬化性白質脳症を伴う多発嚢胞性脂肪膜性骨異形成症(PLOSL)としても公知)、前頭側頭骨大葉変性(FTLD)、またはパーキンソン病(PD))についての処置を受ける対象)内の内因性細胞を除去することが望ましいことがある。これは、例えば、新たに投与される細胞に、細胞が生着し得る環境を提供するために有利であり得る。細胞の集団の除去は、例えば、ターゲット細胞上に発現される抗原に結合し、続いて、ターゲット細胞の死滅を生じさせる抗体-薬物コンジュゲートを使用して、特異的細胞型を選択的に標的とする手法で行うことができる。加えて、または別法では、除去は、特定の細胞型に集中するのではなく、代わりに、様々な異なる細胞に、それらの細胞毒性作用を発揮し得る細胞毒素を使用する非特異的手法で行うことができる。対象における内因性細胞の集団、例えば、NCDの処置について治療を施される対象における内因性ミクログリアまたはミクログリア前駆体細胞の集団などを除去するために使用することができる例示的な薬剤は、ブスルファン、PLX3397、PLX647、PLX5622、トレオスルファン、クロドロネートリポソーム、及びそれらの組み合わせである。除去の例には、インビボまたはインビトロでの細胞の集団における細胞の少なくとも5%(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、またはそれ以上)の枯渇が含まれる。細胞のサンプル内の細胞数の定量化は、様々な細胞計数技術を使用して、例えば、計数チャンバー、Coulterカウンター、フローサイトメトリー、または当技術分野で公知の他の細胞計数方法の使用により行うことができる。
【0434】
本明細書で使用する場合、「投与」は、任意の有効な経路により、1種または複数のミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2(TREM2)タンパク質をコードする導入遺伝子(例えば、マクロファージまたはミクログリアにおいて発現し得る導入遺伝子)を含む治療薬(例えば、本明細書に記載の細胞)を対象に提供または与えることを指す。例示的な投与経路を、本明細書において、及び以下に記載する(例えば、脳室内(ICV)注射、髄腔内(IT)注射、実質内(IP)注射、静脈内(IV)注射、及び定位注射)。
【0435】
本明細書で使用する場合、「同種異系」とは、同じ種の異なる対象から採取された、または由来する細胞、組織、DNA、または因子を意味する。例えば、形質導入されたTREM2発現細胞がNCDを処置するために対象に投与される状況では、同種異系細胞は、その対象ではない対象から得られ、次いで、TREM2の発現を指示するベクターで形質導入またはトランスフェクトされた細胞であり得る。「発現を指示する」という語句は、発現される分子をコードする配列を含むポリヌクレオチドに関する。前記ポリヌクレオチドは、目的の分子の発現を増強する追加の配列を含み得る。
【0436】
本明細書で使用する場合、「アルツハイマー病」及び「AD」は、認知低下、短期及び長期記憶の潜行性消失、注意欠陥、言語特異的問題、見当識障害、衝動制御、社会的離脱、快感消失、及び他の症状として表れる遅発型神経変性障害を指す。AD患者の脳組織は、アミロイドβタンパク質の細胞外凝縮体及び超リン酸化微小管関連タウタンパク質の神経原線維濃縮体などの神経病理学的特徴を示す。これらの凝集体の蓄積は、大脳皮質の前頭葉、側頭葉、及び頭頂葉を含むいくつかの脳領域、さらには、脳幹内の基底前脳コリン作動系及び青斑核などの皮質下構造におけるニューロン喪失及び萎縮と関連する。ADはまた、反応性神経膠及び炎症誘発性サイトカインのレベルの上昇により特徴づけられる神経炎症の増大と関連する。
【0437】
本明細書で使用する場合、「自家」とは、個体自身の組織、細胞、またはDNAから採取された、または由来する細胞、組織、DNA、または因子に関する。例えば、形質導入されたTREM2発現細胞がNCDを処置するために対象に投与される状況では、自家細胞は、その対象から得られ、次いで、TREM2の発現を指示するベクターで形質導入またはトランスフェクトされた細胞であり得る。
【0438】
本明細書で使用する場合、「ApoE」という用語は、脂質輸送に関与するタンパク質のクラスのメンバーであるアポリポタンパク質Eを指す。アポリポタンパク質Eは、キロミクロン及び中密度リポタンパク質(IDL)の一部である脂肪結合タンパク質(アポリポタンパク質)である。これらは、トリグリセリドに富むリポタンパク質の正常なプロセシング(異化作用)に必須である。ApoEはAPOE遺伝子によりコードされる。「ApoE」という用語はまた、野生型ApoEタンパク質のバリアント、例えば、配列番号13で示される野生型ApoEのアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%の同一性、またはそれ以上)を有するタンパク質を指す。
【0439】
本明細書で使用する場合、「血液系統前駆細胞」または「BLPC」という用語は、造血性(すなわち、血液)細胞の1種または複数(例えば、2、3、4、5種またはそれ以上)の型に分化し得る任意の細胞(例えば、哺乳動物細胞)を指す。BLPCは、赤血球、白血球(例えば、顆粒球(例えば、好塩基球、好酸球、好中球、及び肥満細胞)または無顆粒球(例えば、リンパ球及び単球)など)、または血小板に分化し得る。BLPCには、別の血液細胞型(例えば、マクロファージ)にさらに分化し得る分化した血液細胞(例えば、単球)も含まれ得る。
【0440】
本明細書で使用する場合、「細胞型」という用語は、遺伝子発現データに基づいて統計的に区別可能な表現型を共有する細胞のグループを指す。例えば、細胞型が共通する細胞は、類似した遺伝子活性化パターン及び抗原提示プロファイルなどの類似した構造及び/または機能的特徴を共有し得る。細胞型が共通する細胞には、共通の組織(例えば、上皮組織、神経組織、結合組織、または筋肉組織)から単離されるもの、及び/または共通の臓器、組織系、血管、または生体の他の構造及び/または領域から単離されるものが含まれ得る。
【0441】
本明細書で使用する場合、「シストロン」という用語は、単一のタンパク質またはポリペプチド産物をコードするDNAまたはRNA配列のセグメントを指す。
【0442】
本明細書で使用する場合、「コドン最適化」は、コーディングDNAにおける同義コドン(例えば、同じアミノ酸をコードするコドン)の出現頻度が異なる種では偏っているという原則に従って、核酸配列を改変するプロセスを指す。そのようなコドン縮重は、同一のポリペプチドが様々なヌクレオチド配列によりコードされることを可能にする。このようにして改変された配列は、本明細書では「コドン最適化」と称される。このプロセスは、発現または安定性を増強するために、本明細書に記載の配列のいずれで行われてもよい。コドン最適化は、例えば、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,561,972号、第7,561,973号、及び第7,888,112号に記載されているような様式で行うことができる。翻訳開始部位を取り巻く配列は、既知の方法に従ってコンセンサスコザック配列に変換することができる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるKozak et al, Nucleic Acids Res. 15: 8125-8148を参照されたい。複数の停止コドンを組み込むことができる。
【0443】
本明細書で使用する場合、「認知検査」という用語は、ヒト及び他の動物の認知能力を評価するために当業専門家が行うことができる検査を指す。認知検査は、帰納的推論スキル、知能指数、認知開発、記憶、知識組織化、メタ認知、思考、心的時間測定を評価するために使用することができる。認知検査は、限定されないが、実行機能、学習及び記憶、言語、知覚運動機能、ならびに社会的認知を含む複数の認知ドメインにわたる対象の処理能力を評価するために使用することができる。認知検査の例には、限定されないが、Eight-item Informant Interview to Differentiate Aging and Dementia(AD8)、Annual Wellness Visit(AWV)、General Practitioner Assessment of Cognition(GPCOG)、Health Risk Assessment(HRA)、Memory Impairment Screen(MIS)、Mini Mental Status Exam(MMSE)、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)、St. Louis University Mental Status Exam(SLUMS)、及びShort Informant Questionnaire on Cognitive Decline in the Elderly(Short IQCODE)が含まれる。当業専門家は、当技術分野で周知の他の認知検査も、対象において認知機能を評価するために使用することができることを認めるであろう。
【0444】
本明細書で使用する場合、「複雑性注意」という用語は、情報を記憶に短時間維持する、及びその情報を操作(例えば、暗算)する対象の(例えば、ヒト対象の)能力を説明する認知機能を指す。複雑性注意における機能障害は、会話に集中することについての困難、望ましくない情報の遮断についての困難、前方視的記憶(例えば、後で何かを思い出すための記憶)の問題、及び新たな情報についての非効率的記憶をもたらし得る。
【0445】
本明細書で使用する場合、「前処置」及び「前処置すること」という用語は、細胞(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリア)を含む移植片を受け取るために対象が準備されるプロセスを指す。そのような手順は、例えば、内因性ミクログリアまたはHSCを選択的に枯渇させ、それにより外因性細胞移植片により満たされる空孔を作ることにより、細胞移植片の生着を促進する。本明細書に記載の方法によれば、対象を、細胞移植療法のために、内因性ミクログリア及び/または造血幹細胞または前駆細胞を除去することができる1種または複数の薬剤(例えば、ブスルファン、トレオスルファン、PLX3397、PLX647、PLX5622、及びクロドロネートリポソーム)、放射線療法、またはそれらの組み合わせを対象に投与することにより、前処置することができる。前処置は、骨髄破壊的または非骨髄破壊的であってよい。当技術分野で周知の他の細胞除去薬及び方法(例えば、抗体-薬物コンジュゲート)を使用することもできる。
【0446】
本明細書で使用する場合、「保存的変異」、「保存的置換」、及び「保存的アミノ酸置換」という用語は、極性、静電荷、及び立体体積などの類似の物理化学的特性を示す1つまたは複数の異なるアミノ酸で1つまたは複数のアミノ酸を置換することを指す。これらの特性を、20種の天然に存在するアミノ酸のそれぞれについて、下の表1にまとめる。
【0447】
【表1】
【0448】
この表から、保存的アミノ酸ファミリーには(i)G、A、V、L及びI;(ii)D及びE;(iii)C、S及びT;(iv)H、K及びR;(v)N及びQ;(vi)F、Y、及びWが含まれることが分かるであろう。したがって、保存的変異または置換は、同じアミノ酸ファミリーのメンバーを1つのアミノ酸で置換するものである(例えば、ThrをSerに、ArgをLysに置換)。
【0449】
本明細書で使用する場合、「せん妄または他の精神障害」という用語は、神経認知障害とは別個で、かつ認知機能障害を中核症状として示さない、せん妄(すなわち、短期間(例えば数時間から数日)で発症する注意、意識、及び認知の障害を含む症候群)または精神の別の障害(例えば、統合失調症、双極性障害、及び大うつ病)などの状態を指す。例えば、せん妄または別の精神障害などの状態は、認知機能障害が疾患と関連する症状ではあり得るが、その疾患の中核的な特徴ではないという点でNCDとは異なり得る。せん妄または別の精神障害は、発症までの時間(例えば、NCDでの数か月から数年に対して、せん妄では数時間から数日)、病因(例えば、物質誘導性せん妄)、症状の長さ(例えば、せん妄は数日から数時間であり得るが、NCDは数年間にわたって続き得る)、及び解消(例えば、せん妄は完全に解消し得るが、NCDは多くの場合に解消しない)に関してNCDとは異なり得る。
【0450】
本明細書で使用する場合、遺伝子に関して「破壊する」という用語は、機能的遺伝子産物の形成を阻止することを指す。遺伝子産物は、その正常な(野生型)機能を満たしていれば機能的である。遺伝子の破壊は、遺伝子によりコードされる機能的因子の発現を阻止し、遺伝子によりコードされる配列及び/または動物における遺伝子の発現に必要なプロモーター及び/またはオペレーターにおける1つまたは複数の塩基の挿入、削除、または置換を含む。破壊される遺伝子は、例えば、動物のゲノムからの遺伝子の少なくとも一部の除去、遺伝子によりコードされる機能的因子の発現を阻止するような遺伝子の改変、干渉RNA、または外因性遺伝子によるドミナントネガティブ因子の発現により破壊されてもよい。1つまたは複数の遺伝子の発現を破壊するための、細胞を遺伝子改変するための材料及び方法は、それぞれの開示がその全体で参照により本明細書に組み込まれる(矛盾する場合、本明細書が優先される)US8,518,701;US9,499,808;及びUS2012/0222143に詳述されている。
【0451】
本明細書で使用する場合、本明細書に記載の組成物、ベクター構築物、ウイルスベクター、または細胞の「有効量」、「治療有効量」、及び「十分量」という用語は、哺乳動物、例えばヒトを含む対象に投与したときに、臨床結果を含む有益または所望の結果をもたらすために十分な量を指す。したがって、「有効量」またはその同義語は、それが適用される状況に依存する。例えば、NCD(例えば、AD、PLOSL、FTLD、またはPD)の処置の状況では、それは、組成物、ベクター構築物、ウイルスベクター、または細胞を投与しなかった場合に得られる応答と比較して、処置応答を達成するために十分な組成物、ベクター構築物、ウイルスベクター、または細胞の量である。そのような量に対応する本明細書に記載の所与の組成物の量は、所与の薬剤、医薬製剤、投与経路、疾患もしくは障害の種類、対象のアイデンティティ(例えば、年齢、性別、体重)または処置される受容者などの様々な因子に応じて変化するが、それにもかかわらず、当業者は決定することができる。また、本明細書で使用する場合、本開示の組成物、ベクター構築物、ウイルスベクター、または細胞の「治療有効量」は、対照と比較して、対象において有益または所望の結果をもたらす量である。本明細書で定義されるとおり、本開示の組成物、ベクター構築物、ウイルスベクター、または細胞の治療有効量は、当業者により、当技術分野で公知の方法により容易に決定され得る。投薬計画を、最適な治療応答が得られるように調節することができる。
【0452】
本明細書で使用する場合、「胚性幹細胞」及び「ES細胞」という用語は、適切な条件下でインビトロ培養で維持することができる胚盤胞の内部細胞塊に由来する、胚由来の全能性または万能性幹細胞を指す。ES細胞は3つの脊椎動物の胚葉、例えば、内胚葉、外胚葉、及び中胚葉のいずれの細胞にも分化することができる。ES細胞は、適切なインビトロ培養条件下で無期限に増殖するその能力によっても特徴づけられる。例えば、Thomson et al., Science 282:1145 (1998)を参照されたい。
【0453】
本明細書で使用する場合、「内因性」という用語は、特定の生物(例えば、ヒト)または生物内の特定の場所(例えば、臓器、組織、またはヒト細胞などの細胞)において天然に見い出される分子(例えば、ポリペプチド、核酸、または補因子)を説明している。
【0454】
本明細書で使用する場合、「生着する」及び「生着」という用語は、造血幹細胞及び前駆細胞(そのような細胞は、身体内で内因性に産生されるか、または本明細書に記載の投与方法(例えば静脈内注射、脳室内注射、骨内注射、及び/または骨髄移植)のいずれかを使用して移植されるかのいずれか)を組織に再入植させるプロセスを指す。この用語は、生着に関するか、またはそれをもたらすすべての事象、例えば、細胞の組織ホーミング及び目的の組織内での細胞のコロニー形成を包含する。
【0455】
本明細書で使用する場合、「実行機能」という用語は、対象(例えば、ヒト)において行動の認知制御を容易にする一連の認知機能を指す。実行機能は、例えば、目標指向行動の選択及び監視、注意制御、認知抑制、抑制制御、作業記憶、ならびに認知柔軟性を包含する。個体は、生涯を通じて実行機能を正常に獲得するか、または完成させるが、このプロセスは、実行機能に不利な影響を与え得る対象におけるNCDの発症により脱線し得る。
【0456】
本明細書で使用する場合、「発現する」という用語は、次の事象のうちの1つまたは複数を指す:(1)(例えば転写による)DNA配列からのRNAテンプレートの産生;(2)(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、及び/または3’エンドプロセシングによる)RNA転写物のプロセシング;(3)RNAのポリペプチドまたはタンパク質への翻訳;及び(4)ポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾。対象における目的の遺伝子の発現は、例えば、対象から得られたサンプルにおける、対応するタンパク質をコードするmRNAの量または濃度の増加(例えば、本明細書に記載か、または定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)及びRNA seq技術などの当技術分野で公知のRNA検出手順を使用して評価される)、対応するタンパク質の量または濃度の増加(例えば、本明細書に記載か、またはとりわけ酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの当技術分野で公知のタンパク質検出方法を使用して評価される)、及び/または対応するタンパク質の活性の上昇(例えば、酵素の場合、本明細書に記載か、または当技術分野で公知の酵素活性アッセイを使用して評価される)を検出することにより明らかにすることができる。
【0457】
本明細書で使用する場合、「外因性」という用語は、特定の生物(例えば、ヒト)または生物内の特定の場所(例えば、臓器、組織、またはヒト細胞などの細胞)において天然には見い出されない分子(例えば、ポリペプチド、核酸、または補因子)を説明する。外因性物質には、外部供給源から生物または生物から抽出された培養物に提供されるものが含まれる。
【0458】
本明細書で使用する場合、TREM2エクトドメイン切断部位に関する場合の「機能性エクトドメイン切断部位」という用語は、細胞外プロテアーゼ(例えば、ディスインテグリン及びメタロプロテアーゼファミリー)エクトドメインによるタンパク質分解切断を受けて、可溶性TREM2、さらにはTREM2 C末端断片を生成する、全長TREM2ペプチド内のアミノ酸残基を指す。TREM2エクトドメイン切断部位は、例えば、エクトドメイン切断部位をタンパク質分解切断から立体的に保護するように、エクトドメイン切断部位内のアミノ酸配列を変更するか、または三次元タンパク質構造に影響を及ぼすTREM2遺伝子における変異の結果として、非機能性になっていてよい。
【0459】
本明細書で使用する場合、TREM2 C末端断片膜内切断部位に関する場合の「機能性膜内切断部位」という用語は、γ-セクレターゼ複合体によるタンパク質分解切断を受けて、TREM2細胞内ドメイン及びTREM2-A β様ペプチドを生成する、TREM2 C末端断片内のアミノ酸残基を指す。TREM2 C末端断片膜内切断部位は、例えば、膜内切断部位をタンパク質分解切断から立体的に保護するように、膜内切断部位内のアミノ酸配列を変更するか、または三次元タンパク質構造に影響を及ぼすTREM2遺伝子における変異の結果として、非機能性になっていてよい。
【0460】
本明細書で使用する場合、造血幹細胞などの幹細胞に関連する「機能的可能性」という用語は、1)多能性(限定されないが、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞及びT細胞)を含む複数の異なる血液細胞系に分化する能力を指す)、2)自己再生(母細胞と同等の能力を有し、さらにこの能力が消耗することなく個人の生涯を通じて繰り返し発生し得る娘細胞を生じさせる幹細胞の能力を指す)、及び3)幹細胞またはその後代が移植レシピエントに再導入されると、幹細胞ニッチェに帰着し、生産的で持続的な細胞の成長と分化を再確立する能力を含む幹細胞の機能的特性を指す。
【0461】
本明細書で使用する場合、「一般集団」という用語は、目的の特定の特徴(例えば、特に、年齢、病歴、教育、社会経済的状況、または生活様式)を有する個体の集団全体を指す。別法では、「一般集団」という用語は、例えば、規定のサンプルサイズを有する無作為サンプルなど、目的の特定の特徴を有する個体の集団全体のサブセットを指し得る。本明細書に開示の方法では、一般集団は、測定変項を比較することができる実用基準(例えば、基準集団)として役立ち得る。例えば、NCDを有すると診断されている対象をそれらの認知について、本明細書に開示の認知検査を使用して評価することができ、その試験で対象が得たスコアを、同じ検査での一般集団(例えば、一般集団全体または一般集団の無作為サンプル)における個体の成績と比較することができる。一般集団の無作為サンプルのサイズは、当技術分野で周知の方法を使用して当業専門家が決定することができる。例えば、当業専門家は、データを収集する前に(例えば、対象で認知検査を行う前に)検出力分析を行って、所望のレベルの信頼度で統計学的に有意な作用を検出するために必要な最小サンプルを決定することができる。
【0462】
本明細書で使用する場合、「造血幹細胞」及び「HSC」という用語は、限定されないが、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞及びT細胞)を含む、自己複製し、かつ多様な細胞系の成熟血液細胞に分化する能力を有する未熟血液細胞を指す。そのような細胞はCD34+細胞を含んでも、または含まなくてもよいことが当技術分野で知られている。CD34+細胞は、CD34細胞表面マーカーを発現する未熟細胞である。ヒトでは、CD34+細胞には、前記で定義した幹細胞特性を持つ細胞の亜集団が含まれると考えられるが、マウスでは、HSCはCD34-である。加えて、HSCは、長期再増殖HSC(LT-HSC)及び短期再増殖HSC(ST-HSC)も指す。LT-HSC及びST-HSCは、機能的可能性及び細胞表面マーカーの発現に基づき区別される。例えば、ヒトHSCは、CD34+、CD38-、CD45RA-、CD90+、CD49F+、及びlin-(CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD10、CD11B、CD19、CD20、CD56、CD235Aを含む成熟細胞系マーカーについて陰性)である。マウスでは、骨髄LT-HSCは、CD34-、SCA-1+、C-kit+、CD135-、Slamf1/CD150+、CD48-及びlin-(Ter119、CD11b、Gr1、CD3、CD4、CD8、B220、IL-7raなどの成熟細胞系マーカーについて陰性)であるが、ST-HS Careは、CD34+、SCA-1+、C-kit+、CD135-、Slamf1/CD150+、及びlin-(Ter119、CD11b、Gr1、CD3、CD4、CD8、B220、IL-7raを含む成熟細胞系マーカーについて陰性)である。加えて、ST-HSCは、恒常性条件下でLT-HSCよりも静止しておらず(すなわち、よりアクティブであり)、より増殖性である。しかしながら、LT-HSCは、より高い自己再生能力(すなわち、成人期を通じて存続し、継代レシピエントを通じて連続して移植することができる)を有するが、ST-HSCは、限られた自己再生能力を有する(すなわち、限られた期間しか生存せず、かつ連続移植能力を持たない)。これらのHSCのいずれも、本明細書に記載の方法のいずれかで使用することができる。任意選択で、ST-HSCは、非常に増殖性が高く、したがって分化した後代をより迅速に生じさせることができるため、有用である。
【0463】
本明細書で使用する場合、「HLAマッチの」という用語は、造血幹細胞移植療法を必要とするレシピエントに造血幹細胞移植片を提供するドナーなど、ドナーとレシピエントとの間でHLA抗原のいずれもミスマッチしないドナー-レシピエントのペアを指す。HLAマッチの(すなわち、6つの対立遺伝子すべてがマッチする)ドナー-レシピエントのペアは、内因性T細胞及びNK細胞が外来移植片を異物として認識する可能性が低く、したがって移植片に対する免疫応答を開始する可能性が低いため、移植片拒絶のリスクが低い。
【0464】
本明細書で使用する場合、「HLAミスマッチの」という用語は、造血幹細胞移植療法を必要とするレシピエントに造血幹細胞移植片を提供するドナーなど、ドナーとレシピエントとの間で特にHLA-A、HLA-B、HLA-C、及びHLA-DRに関して、少なくとも1つのHLA抗原がミスマッチしているドナー-レシピエントのペアを指す。一部の実施形態では、一方のハプロタイプは一致し、他方はミスマッチする。HLAミスマッチのドナー-レシピエントのペアの場合には内因性T細胞及びNK細胞が、外来移植片を異物として認識する可能性が高く、したがってそのようなT細胞及びNK細胞が移植片に対する免疫応答を開始する可能性がより高いので、HLAミスマッチのドナー-レシピエントのペアは、HLAマッチのドナー-レシピエントのペアと比較して、移植片拒絶のリスクが高くなり得る。
【0465】
本明細書で使用する場合、「自立及び/または正常な日常機能」という語句は、介護者またはソーシャルワーカーの支援を伴わずに、毎日の活動を成功裏に行うことができる対象の能力を指す。個体が日常機能を自立して実施することを可能にする活動の非限定的例には、例えば、社会的、職業的、または学術的機能、個人衛生、身だしなみ、身支度、トイレ衛生、機能的運動性(例えば、歩行能力、ベッドへの出入り)、及び自己給仕が含まれる。重度NCDを有すると診断されている対象は、正常な日常機能を自立して実行することに困難を有し得るが、軽度NCDを有すると診断されている対象は、正常な日常機能を自立して実行することに困難を有さないこともある。
【0466】
本明細書で使用する場合、「人工万能性幹細胞」、「iPS細胞」、及び「iPSC」という用語は、分化した体細胞に直接由来し得る万能性幹細胞を指す。ヒトiPS細胞は、例えば、Oct3/4、Soxファミリー転写因子(例えば、Sox1、Sox2、Sox3、Sox15)、Mycファミリー転写因子(例えば、c-Myc、1-Myc、n-Myc)、クルッペル様ファミリー(KLF)転写因子(例えば、KLF1、KLF2、KLF4、KLF5)、及び/またはNANOG、LIN28などの関連転写因子及び/またはGlis1が含まれ得る、特異的なセットの再プログラミング因子を非万能性細胞に導入することにより生成することができる。ヒトiPS細胞は、例えば、miRNA、転写因子の作用を模倣する小分子、または細胞系指定子の使用により生成することもできる。ヒトiPS細胞は、3つの脊椎動物の胚葉、例えば内胚葉、外胚葉、または中胚葉の任意の細胞に分化するそれらの能力により特徴づけられる。ヒトiPS細胞は、適切なインビトロ培養条件下で無期限に増殖するそれらの能力によっても特徴づけられる。例えば、Takahashi and Yamanaka, Cell 126:663 (2006)を参照されたい。
【0467】
本明細書で使用する場合、「IRES」という用語は、内部リボソーム進入部位を指す。一般に、IRES配列は、真核生物のリボソームがmRNA転写物に結合し、5’キャップ末端に結合せずに翻訳を開始することを可能にする機能である。IRES配列を含むmRNAは2つの翻訳産物を生成し、1つはmRNAの5’末端から開始し、もう1つはIRESにより媒介される内部翻訳機構から開始する。
【0468】
本明細書で使用する場合、「言語」という用語は、複雑なコミュニケーションのシステムを学習及び使用する、またはこれらのシステムを支配する規則、もしくはそのような規則から生成され得る発語の集合を説明する対象の認知能力を指す。NCDを有する対象が、とりわけ例えば、限られた語彙、複雑な文法を生成できない、頻繁な語彙の間違い、または失語を示す場合、その対象において言語能力が損なわれていることがある。
【0469】
本明細書で使用する場合、「学習及び記憶」という語句は、技能または知識の獲得及び獲得した技能または知識の表現(例えばそれぞれ、新たな言葉を言うための学習及び新たな言葉の発語)を包含する認知能力を指す。「学習及び記憶」は、1)新たな技能または知識の獲得(すなわち、学習);及び2)学習した技能または知識の処理、記憶、及び想起(すなわち、記憶)の2つの独立したプロセスを指し得て、これらは、時間尺度(学習は一般に、記憶の想起または学習した技能の実行よりも時間がかかり、努力を必要とする)及び神経生物学的基礎により異なり得る。NCDを有すると診断されている対象は、健康な対象と比べて、学習及び記憶が損なわれていることがある。
【0470】
本明細書で使用する場合、「白質ジストロフィー」という用語は、ニューロン軸索を隔離するミエリン鞘の欠陥から生じ得る脳における白質の変性を特徴とする、一連の優性遺伝性障害を指す。白質ジストロフィーは一般に、小児及び幼児期ごろに生じ、かつ過剰興奮性、環境に対する過敏性、筋硬直、頭部の反り返り、聴力及び視力の低下または喪失、ならびにてんかんにより特徴づけられ得る。白質ジストロフィーの非限定的例には、那須ハコラ病、異染色性白質ジストロフィー、クラッベ病、X連鎖性副腎白質ジストロフィー、キャナバン病、及びアレキサンダー病が含まれる。
【0471】
本明細書で使用する場合、「マクロファージ」という用語は、食作用と呼ばれるプロセスにおいて、細胞デブリ、外来物質、微生物、がん細胞、及び健康な体細胞に特異的なタンパク質の種類をその表面上に持たない他の任意のものを抱き込んで消化する白血球の1種を指す。マクロファージは本質的にすべての組織において見い出され、そこで、アメーバ状の運動により潜在的な病原体をパトロールしている。それらは、全身で様々な形態を(様々な名称で)(例えば、組織球、クッパー細胞、肺胞マクロファージ、ミクログリアなど)取っているが、すべて、単核食細胞系の一部である。食作用の他に、これらは、非特異的防御(先天免疫)において重要な役割を果たし、かつ他の免疫細胞、例えばリンパ球を動員することにより、特異的防御機構(適応免疫)の開始も助ける。例えば、これらは、T細胞に対する抗原提示因子として重要である。炎症の増大及び免疫系の刺激の他に、マクロファージはまた、重要な抗炎症性の役割を果たし、かつサイトカインの放出を介して免疫反応を低下させ得る。
【0472】
本明細書で使用する場合、「ミクログリア」または「小神経膠細胞」という用語は、定住マクロファージ細胞及び中枢神経系における免疫防御の主軸として機能する脳及び脊髄において見い出される神経膠細胞の1つの型を指す。小神経膠細胞の主要な機能には、免疫学的監視、食作用、細胞外シグナル伝達(例えば、サイトカイン、ケモカイン、プロスタグランジン、及び活性酸素種の産生及び放出)、抗原提示、ならびに組織修復及び再生の促進が含まれる。
【0473】
本明細書で使用する場合、「ミクログリア前駆細胞」という用語は、小神経膠細胞を生じさせる前駆細胞を指す。ミクログリア前駆細胞は、胚発生の限られた期間中の卵黄嚢で生じ、脳間葉に浸潤し、かつ生涯にわたって自身を永続的に更新する。
【0474】
本明細書で使用する場合、「miRNAターゲティング配列」という用語は、ハイブリダイズし得るように特異的miRNA分子(例えば、miR-126)と相補的であり、RNA誘導型サイレンシング複合体依存性及びダイサー依存性mRNA不安定化及び/または切断を促進し、それにより、mRNA転写物の発現を阻止する、ターゲットmRNA分子の3’-UTRに位置するヌクレオチド配列を指す。
【0475】
本明細書で使用する場合、「モノシストロニック」という用語は、単一のタンパク質またはポリペプチド産物のためのコード配列を含むRNAまたはDNA構築物を指す。
【0476】
本明細書で使用する場合、「単球」という用語は、マクロファージ及び骨髄系列樹状細胞に分化し得る白血球(white blood cell)(すなわち、白血球(leukocyte))の1つの型を指す。単球は、脊椎動物適応免疫応答の重要な成分を構成している。3つの異なる型の単球が存在することが公知であり、CD14細胞表面受容体の強発現及びCD16無発現により特徴づけられる古典的単球(すなわち、CD14++CD16-)、低レベルのCD14発現及びC16の同時発現を示す非古典的単球(CD14+CD16++)、ならびに高レベルのCD14発現及び低レベルのC16発現を示す中間単球(CD14++CD16+)が含まれる。単球は、食作用、抗原提示、及びサイトカイン分泌を含む免疫系に役立つ様々な機能を実行する。
【0477】
本明細書で使用する場合、「多能性細胞」という用語は、すべてではないが、複数(例えば、2、3、4、5、またはそれ以上)の分化細胞型へと発展する能力を持つ細胞を指す。多能性細胞の非限定的例には、造血系統(例えば、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞及びT細胞)の細胞が含まれる。多能性細胞の例は、CD34+細胞である。
【0478】
本明細書で使用する場合、「変異」という用語は、遺伝子のヌクレオチド配列の変化を指す。遺伝子における変異は、例えば、DNA複製の誤り、DNA修復、放射線、及び発がん物質への曝露の結果として自然に起こり得るか、または変異を、変異遺伝子を発現する導入遺伝子の投与の結果として誘導することができる。変異は、単一のヌクレオチド置換または欠失から生じ得る。変異及び配列多様性についての命名法は、「基準配列コード」形式を使用し、その際、基準配列は、コーディングDNAを表す「c」であってよく、コードは、単一のヌクレオチド置換を表す「>」を含む記号、欠失を表す「del」を含み得るか、またはイントロン内で置換が生じていることに関する「a+b」を含み得、その際、×は、コーディングDNA配列内のヌクレオチド(例えば、コーディングDNA配列のエクソン内のヌクレオチド)に対応する番号を示しており、かつyは、xに対して3’のヌクレオチドの数に対応する。例えば、c.482+2T>Cと記載されている置換と関連するTREM2変異体は、コーディングDNA配列の482位のヌクレオチドに対して3’の2つのヌクレオチドでのTからCへの置換を有する。変異は、ペプチド鎖内の単一のアミノ酸の置換ももたらし得る。アミノ酸置換から生じる変異を記載する命名法は、「p.AnB」形式を使用し、その際、「p」はタンパク質のレベルでの変化を示し、「A」は、そのタンパク質の野生型バリアントで見い出されるアミノ酸を示し、「n」は、ペプチド鎖内でのアミノ酸の番号を示し、かつ「B」は、置換から生じた新たなアミノ酸を示す。例えば、TREM2遺伝子のp.R47Hバリアントは、アミノ酸47でのタンパク質の変化に対応し、その際、アルギニンがヒスチジンに置換されている。
【0479】
本明細書で使用する場合、「骨髄破壊的」または「骨髄破壊」という用語は、典型的には細胞毒性薬(例えば、ブスルファン)または放射線への曝露により、造血系を実質的に損傷または破壊する前処置レジメンを指す。骨髄破壊は、造血系を破壊する高用量の細胞毒性剤または全身照射によりもたらされる完全な骨髄破壊を含む。
【0480】
本明細書で使用する場合、「那須ハコラ病」及び「PLOSL」は、白質変性、軸索球状物、ならびに上肢及び下肢における嚢胞様骨病変の存在により特徴づけられる神経変性障害を指す。PLOSL患者は、若年性認知症、さらには再発性骨折を示す。PLOSLは一般に、小児期の潜伏期、続く、患者が手、手首、足首、及び足に多発性関節痛を経験し得る青年期の骨症状期を含む4つの別個の段階を経て進行する。骨症状期には、患者が顕著な人格変化、進行性記憶欠損、及びてんかん発作をその間に示し得る早期神経症状期が続く。PLOSL患者の晩期神経症状期は顕著な認知症及び運動無能を示す。PLOSLの組織病理学的特徴には、脱髄、軸索喪失、軸索球状物の出現、原線維グリオーシス、ならびに血管周囲及び神経組織実質内での脂質顆粒の蓄積が含まれる。PLOSL患者は、脳内での、脂質を含むマクロファージ及び遊離脂肪酸の蓄積も、前頭及び側頭大脳皮質領域内の血管異常と共に示す。PLOSLの臨床的、病的、及び細胞性状の包括的な概要については、Bianchin et al., Cellular and Molecular Neurobiology 24:1-24 (2004)を参照されたい。
【0481】
本明細書で使用する場合、「神経認知障害」または「NCD」という用語は、例えば、複雑性注意、実行機能、学習及び記憶、言語、知覚運動機能、ならびに社会的認知における欠陥など、主要な臨床的障害が認知機能である一連の臨床的障害または症候群を指す。NCDは、発育上の状態ではなく、後天的状態と特徴づけられる。例えば、NCDは、誕生または超若齢期以来、破壊された認知が明白でなかった状態であり、したがって、NCDにおける認知機能が既に獲得されていたレベルから減退したことを必要とする。NCDは、患者が認知機能障害を示す他の障害から識別され、NCDは、中核障害が認知である障害のみを含む。NCDは、「重度NCD」または「軽度NCD」であり得る。「重度NCD」は、個人の自立及び/または正常な日常機能を妨害し、かつせん妄または他の精神障害によるものではない著しい認知低下により特徴づけられる。軽度NCDは、個人の自立及び/または正常な日常機能を妨害せず、かつせん妄または他の精神障害によるものではない中等度の認知低下により特徴づけられる。重度及び軽度NCDは、前記の特異的認知機能のいずれか1つでの定量的認知検査に基づき区別することもできる。例えば、重度NCDは、NCDを有するか、または発症するリスクがあると同定されている対象により認知検査で得られたスコアが、基準集団の平均スコア(例えば、一般集団の平均スコア)から標準偏差2よりも離れていること、またはスコアが基準集団のスコアの分布の第3パーセンタイルにあることにより特徴づけられ得る。軽度NCDは、NCDを有するか、または発症するリスクがあると同定されている対象により認知検査で得られたスコアが、基準集団の平均スコアから標準偏差1~2離れていること、またはスコアが基準集団のスコアの分布の第3~16パーセンタイルの間にあることにより特徴づけられ得る。NCD患者を重度または軽度NCDのいずれかを有すると分類するために使用することができる認知検査の非限定的例には、AD8、AWV、GPCOG、HRA、MIS、MMSE、MoCA、SLUMS、及びShort IQCODEが含まれる。さらに、NCDには、NCDの特定の病因、例えば、ADまたはPLOSLなどを表す症候群サブタイプが含まれる。本明細書で使用する場合、「アルツハイマー病によるNCD」及び「白質ジストロフィーによるNCD」という用語は、それぞれAD及び白質ジストロフィー(例えば、PLOSL)に起因するNCDに対応する。
【0482】
本明細書で使用する場合、「非骨髄破壊性」または「骨髄抑制性」という用語は、宿主起源の実質的にすべての造血細胞を排除しない前処置レジメンを指す。
【0483】
本明細書で使用する場合、「知覚運動機能」という用語は、対象(例えば、ヒト)が感覚及び運動技能を使用して対象の環境と相互作用することを可能にする認知能力を指す。知覚-運動機能は、対象がとどめられている環境状況に応じて、人が運動を実行することを可能にする感覚及び運動技能の協応を包含する。知覚-運動機能には、限定されないが、身体意識、空間意識、方向意識、及び時間測定が含まれ得る。知覚運動機能の特定の症状発現にはとりわけ、投げること、捕ること、蹴ること、跳ねること、揺れること、切ること、ひもを結ぶこと、ハンマーで打つこと、ボタンを留めること、注ぐこと、名指しすること、指さすこと、同定すること、移動すること、身体部位を用いて課題を実行すること、探すこと、位置決めすること、比較すること、歩くこと、走ること、転がること、配置すること、バランスをとること、拍手すること、動いている物体を打つ、または追うこと、視覚的応答及び運動応答を一致させることが含まれ得る。NCDと診断されている対象は、健康な対象と比べて、損なわれた知覚運動機能を示し得る。
【0484】
本明細書で使用する場合、「万能性細胞」という用語は、造血細胞系(例えば、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞及びT細胞)の細胞型などの1種よりも多い分化細胞型に成長する能力を有する細胞を指す。万能性細胞の例は、ESC及びiPSCである。
【0485】
本明細書で使用する場合、「プラスミド」という用語は、追加のDNAセグメントがライゲートされ得る染色体外環状二本鎖DNA分子を指す。プラスミドはベクターの1種であり、連結している別の核酸を輸送することができる核酸分子である。ある特定のプラスミドは、それらが導入された宿主細胞において自己複製することができる(例えば、細菌起源の複製を有する細菌プラスミド及びエピソーム性哺乳動物プラスミド)。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)が、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれてもよく、それにより、宿主ゲノムと共に複製される。ある特定のプラスミドは、それらが作動可能に連結された遺伝子の発現を指示することができる。
【0486】
本明細書で使用する場合、「ポリシストロニック」という用語は、少なくとも2つのタンパク質またはポリペプチド産物のためのコード配列を含むRNAまたはDNA構築物を指す。
【0487】
本明細書で使用する場合、「プロモーター」という用語は、RNAポリメラーゼが結合するDNA上の認識部位を指す。ポリメラーゼは導入遺伝子の転写を駆動する。本明細書に記載の組成物及び方法で使用するために適した例示的なプロモーターは、例えば、その開示内容が核酸調節エレメントに関係するため、参照により本明細書に組み込まれるSandelin et al., Nature Reviews Genetics 8:424 (2007)に記載されている。加えて、「プロモーター」という用語は、生物系に天然に存在しない制御DNA配列である合成プロモーターを指し得る。合成プロモーターは、天然に存在するプロモーターの一部を、天然に存在しないポリヌクレオチド配列と合わせて含み、かつ様々な導入遺伝子、ベクター、及びターゲット細胞種を使用して組換えDNAを発現するように最適化され得る。
【0488】
参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列に関する「配列同一性パーセント(%)」は、配列をアラインさせ、必要に応じてギャップを導入して、最大配列同一性パーセントを達成した後に、参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列における核酸またはアミノ酸と同一である候補配列における核酸またはアミノ酸のパーセンテージと定義される。核酸及びアミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的でのアラインメントは、当業者の能力の範囲内である様々な方式で、例えばBLAST、BLAST-2、またはMegalignソフトウェアなどの公共利用可能なコンピューターソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、比較されている配列の全長にわたって最大のアラインメントを得るために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインするために適切なパラメータを決定することができる。例えば、配列同一性パーセント値を、配列比較コンピュータープログラムBLASTを使用して生成することができる。一例示として、所与の核酸またはアミノ酸配列Bに対する、それとの、またはそれと対比した、所与の核酸またはアミノ酸配列Aの配列同一性パーセント(代替的に、所与の核酸またはアミノ酸配列Bに対する、それとの、またはそれと対比したある特定の配列同一性パーセントを有する所与の核酸またはアミノ酸配列Aとも表現され得る)は、次のように算出される:
100掛ける(分数X/Y)
ここで、Xは、A及びBのプログラムのアラインメントで、配列アラインメントプログラム(例えば、BLAST)により同一のマッチとしてスコア付けされたヌクレオチドまたはアミノ酸の数であり、Yは、Bの核酸の総数である。核酸またはアミノ酸配列Aの長さが核酸またはアミノ酸配列Bの長さに等しくない場合、Bに対するAの配列同一性パーセントは、Aに対するBの配列同一性パーセントに等しくないことは分かるであろう。
【0489】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」という用語は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題となる合併症を伴うことなく哺乳動物(例えば、ヒト)などの対象の組織と接触させるために適した、妥当なベネフィット/リスク比に見合う化合物、材料、組成物及び/または剤形を指す。
【0490】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」という用語は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題となる合併症を伴うことなく哺乳動物(例えば、ヒト)などの対象の組織と接触させるために適した、妥当なベネフィット/リスク比に見合う化合物、材料、組成物及び/または剤形を指す。
【0491】
本明細書で使用する場合、強力な「ApoE由来の受容体結合ペプチド(Rb)」は、融合タンパク質として操作された場合、タンパク質をBBBを超えて脳に移動させる能力を有する。したがって、この方法は、融合タンパク質として操作された場合、治療薬(例えば、可溶性TREM2)のためにBBBを選択的に開けるように機能し得る。このペプチドは、ApoEタンパク質全体ではなく、ApoEのRbドメインを利用するため、生物学的機能を危険にさらしたり、またはApoEの重要な生物学的機能を妨害したりすることなく、診断薬または治療薬に容易に結合させることができる。この経路はまた、脳実質におけるLDLRfメンバーの広範な発現により、薬剤がCNSに到達した後のさらなる/二次的脳内分布を促進することができる代替の取り込み経路である。例示的なRbドメインは、ApoEのN末端において見い出され得る。例えば、本明細書に記載の組成物及び方法と併せて有用なRbドメインは、配列番号13の残基1~191のアミノ酸配列、配列番号13の残基25~185、配列番号13の残基50~180、配列番号13の残基75~175、配列番号13の残基100~170、または配列番号13の残基125~165を有するポリペプチド、さらにはこれらの配列のいずれかに関して少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するポリペプチドなどのそのバリアントである。例示的なRbドメインは、配列番号13の残基159~167のアミノ酸配列を有するApoEの領域である。
【0492】
本明細書で使用する場合、「調節配列」という用語には、抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を制御するプロモーター、エンハンサー及び他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)が含まれる。そのような調節配列は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるPerdew et al., Regulation of Gene Expression (Humana Press, New York, NY, (2014))に記載されている。
【0493】
本明細書で使用する場合、「サンプル」という用語は、対象から単離された検体(例えば、血液、血液成分(例えば、血清または血漿))、尿、唾液、羊水、脳脊髄液、組織(例えば、胎盤または皮膚)、膵液、絨毛膜絨毛サンプル、及び細胞)を指す。
【0494】
本明細書で使用する場合、「シグナルペプチド」という用語は、翻訳されたタンパク質の移動を固着のために宿主の細胞質から脂質膜へと向ける、短い(通常は16~30アミノ酸)ペプチド領域を指す。そのようなシグナルペプチドは一般に、新たに翻訳されたタンパク質のアミノ末端に配置される。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、アミノ末端に連結されている。典型的には、シグナルペプチドは、小胞体を通過する間に切断される。タンパク質がその望ましい活性を保持している限り、切断は必須ではない。例示的なシグナルペプチドには、TREM2シグナルペプチドが含まれる。
【0495】
本明細書で使用する場合、「社会的認知」という用語は、対象(例えば、ヒト)が他の同種対象(例えば、他のヒト)及び社会状況についての情報を処理し、記憶し、かつ適応する方法を決定する一連の技能を包含する認知機能を指す。社会的認知の非限定的例には、例えば、社会的刺激に対する情動応答、心の理論タスクに対する処理能力、顔を認識する能力、社会的状況における衝動制御、及び共同注意が含まれる。NCDを有すると診断されている対象は、健康な対象と比べて損なわれた社会的認知を示し得る。
【0496】
本明細書で使用する場合、「スプライスバリアント」という用語は、プロセシングされて前駆mRNA内での特異的エクソンの代替の包含または排除(例えば、エクソンスキッピング)の結果として種々のmRNA分子を産生し得る単一の遺伝子の転写産物(すなわち、RNA)を指す。特異的スプライスバリアントの翻訳から産生されるタンパク質は、それらの構造及び生物学的活性において異なり得る。
【0497】
本明細書で使用する場合、「幹細胞」及び「未分化細胞」という用語は、複数の細胞型に分化する発生能を有する未分化または部分的に分化した状態の細胞を指す。幹細胞は、その機能的可能性を維持しながら増殖して、より多くのそのような幹細胞を生じさせることができる。幹細胞は非対称的に分裂することができ、これは義務的非対称分化として知られ、一方の娘細胞は親幹細胞の機能的能力を保持し、他方の娘細胞は、親細胞とは多少異なる他の特異的な機能、表現型及び/または発生能を発現する。親の発生能を有する1つまたは複数の細胞も保持しながら増殖し、かつ1つまたは複数の成熟した細胞タイプに後で分化する後代を生じるように、娘細胞そのものを誘導することができる。分化細胞は、それ自体が多能性細胞に由来する多能性細胞などに由来してもよい。別法では、集団中の幹細胞の一部は2つの幹細胞に対称的に分裂することができる。したがって、「幹細胞」という用語は、特定の状況下では、より特殊化または分化した表現型に分化する発生能を有し、ある特定の状況下では、実質的に分化することなく増殖する能力を保持している細胞の任意のサブセットを指す。一部の実施形態では、幹細胞という用語は一般的に、その子孫(子孫細胞)が、分化によって、例えば、胚細胞及び組織の徐々に進行する多様化において起こるように、完全にそれぞれ異なる特徴を獲得することによって特殊化する、多くの場合に種々の方向に特殊化する、天然に存在する親細胞を指す。一部の分化細胞は、より優れた発生能の細胞を生じる能力も持つ。このような能力は天然でもよいし、または様々な因子で処理することで人為的に誘導されてもよい。幹細胞として始まった細胞は、分化表現型に進み得るが、「逆戻り」させ、次いで、幹細胞表現型を再発現するように誘導することができ、この用語は、当業者によって「脱分化」または「リプログラミング」または「逆分化」と呼ばれることが多い。
【0498】
本明細書で使用する場合、「トランスフェクション」という用語は、外因性DNAを原核生物または真核生物の宿主細胞に導入するために一般に使用される多種多様な技術のいずれか、例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクション、Nucleofection、スクイーズ-ポレーション、ソノポレーション、光学トランスフェクション、Magnetofection、インペールフェクションなどを指す。
【0499】
本明細書で使用する場合、「導入遺伝子」という用語は、遺伝子産物(例えば、TREM2)をコードする組換え核酸(例えば、DNAまたはcDNA)を指す。遺伝子産物は、RNA、ペプチド、またはタンパク質であり得る。遺伝子産物のコード領域に加えて、導入遺伝子は、プロモーター、エンハンサー(複数可)、不安定化ドメイン(複数可)、応答エレメント(複数可)、レポーターエレメント(複数可)、インスレーターエレメント(複数可)、ポリアデニル化シグナル(複数可)及び/または他の機能エレメントなどの発現を促進または増強する1つまたは複数のエレメントを含むか、またはそれらに作動可能に連結していてもよい。本開示の実施形態は、任意の公知の適切なプロモーター、エンハンサー(複数可)、不安定化ドメイン(複数可)、応答エレメント(複数可)、レポーターエレメント(複数可)、インスレーターエレメント(複数可)、ポリアデニル化シグナル(複数可)、及び/または他の機能的エレメントを利用してもよい。
【0500】
本明細書で使用する場合、「ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2」及び「TREM2」という用語は、免疫グロブリン可変ドメイン受容体ファミリーに属する膜貫通糖タンパク質を指す。その遺伝子は、ヒト染色体6p21.1上に配置されている。「ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2」及び「TREM2」という用語はまた、TREM2一次転写物の選択的スプライシングから生じるスプライスバリアント、例えば、野生型TREM2ペプチド(例えば、配列番号1~3のいずれか1つ)のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%の同一性、またはそれ以上)を有するバリアントタンパク質、または野生型TREM2遺伝子の核酸配列(例えば、配列番号4~6、7、9から選択される核酸配列のいずれか)に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%の同一性、またはそれ以上)を有するポリヌクレオチドを含む、野生型TREM2ペプチド及びそれをコードする核酸のバリアントを指すが、ただし、コードされるTREM2アイソフォームが野生型TREM2の治療上の機能を維持していることを条件とする。「ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2」及び「TREM2」という用語は、天然シグナルペプチドが存在するTREM2タンパク質も指し得る。さらに、「ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2」及び「TREM2」という用語は、可溶性TREM2(sTREM2)、TREM2 C末端断片(CTF)、TREM2細胞内ドメイン(TREM2-ICD)、及びTREM2-A β様ペプチド(T2β)を含む、TREM2タンパク質分解性切断のすべての産物を指し得る。成熟ポリペプチドが小胞体内での翻訳後プロセシングの後に膜へ移動していて、かつディスインテグリン及びメタロプロテアーゼ(ADAM)ファミリーのメンバーにより媒介されると、TREM2切断が生じる。全長TREM2ペプチドは初めに、エクトドメインで切断されて細胞外sTREM2ペプチド及び膜貫通TREM2-CTFを生成し、そのうちの後者が、γ-セクレターゼ複合体によりさらに切断されると、細胞質TREM2-ICD及び細胞外TREM-T2βペプチドを生成し得る。「ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2」及び「TREM2」という用語は、機能性エクトドメイン切断部位を含まないTREM2タンパク質を指し得る。「ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2」及び「TREM2」という用語は、TREM2-CTF内に機能性膜内切断部位を含まないTREM2タンパク質も指し得る。加えて、「ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2」及び「TREM2」という用語は、TREM2が別のポリペプチド、半減期改変薬、または治療薬、例えば、ApoE Rbドメイン(例えば、配列番号13の残基25~185、50~180、75~175、100~170、125~160、または130~150のアミノ酸配列を有するRbドメイン)に作動可能に連結しているタンパク質である「TREM2融合タンパク質」を指し得る。本明細書で使用する場合、「TREM2」は、当業者には分かるであろうとおり、状況に応じてペプチドまたはこのタンパク質をコードする遺伝子を指し得る。
【0501】
本明細書で使用する場合、「ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2関連AD」及び「TREM2関連ADまたはPLOSL」に罹患している対象は、ADまたはPLOSLを有すると診断されていて、かつTREM2遺伝子に有害な変異も含む対象である。40を超える変異がヒトTREM2遺伝子において報告されており、それらは、下流シグナル伝達、輸送、リガンド結合、及び細胞表面発現に対して様々な作用を有する。TREM2変異は、その開示内容が、AD及びPLOSLにおけるヒトTREM2変異に関するので、参照により本明細書に組み込まれるGuerreiro et al., The New England Journal of Medicine 368:117-27 (2013);Jonsson et al., The New England Journal of Medicine 368:107-16 (2013);Ulrich et al., Neuron Review 94:237-48 (2017);及びXing et al., Research and Reports in Biochemistry, 5:89-100 (2015)において論述されている。
【0502】
本明細書で使用する場合、「対象」または「患者」という用語は、動物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)を指す。本明細書に記載の方法に従って処置される対象は、NCDと診断されている対象、またはこれらの状態を発症するリスクのある対象であり得る。診断は、当技術分野で公知の任意の方法または技法により行うことができる。当業者は、本開示に従って処置される対象が、標準検査を受けていてもよいし、または検査なしに、病気や状態に関連する1つまたは複数のリスク因子の存在によってリスクのあるものとして同定されていてもよいことを理解するであろう。
【0503】
本明細書で使用する場合、「形質導入」及び「形質導入する」という用語は、ウイルスベクター構築物またはその一部を細胞に導入する方法、及びベクター構築物またはその一部によりコードされる導入遺伝子の細胞中でのその後の発現を指す。
【0504】
本明細書で使用する場合、「処置」または「処置する」は、有益または所望の結果、例えば臨床結果を得るためのアプローチを指す。有益または所望の結果には、限定されないが、検出可能または検出不可能にかかわらず、1つまたは複数の症状または状態の緩和または改善;疾患または状態の程度の縮小;疾患、障害、または状態の状況の安定化(すなわち、悪化しない);疾患または状態の進展の予防;疾患または状態の進行の遅延または減速;疾患または状態の改善または緩和;及び寛解(部分的か、または完全かにかかわらず)が含まれる。疾患または状態を「改善すること」または「緩和すること」は、処置がない場合の程度または時間経過と比較して、疾患、障害、または状態の程度及び/または望ましくない臨床兆候が減少し、及び/または進行の時間経過が減速または延長されることを意味する。「処置」はまた、処置を受けない場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長することも意味し得る。処置を必要とする者には、状態もしくは障害を既に有する者、さらには状態もしくは障害を有しやすい者、または病態もしくは障害を予防する必要がある者が含まれる。
【0505】
本明細書で使用する場合、「ベクター」という用語には、核酸ベクター、例えば、プラスミドなどのDNAベクター、RNAベクター、ウイルス、または他の適切なレプリコン(例えば、ウイルスベクター)が含まれる。外因性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを原核細胞または真核細胞に送達するための様々なベクターが開発されている。そのような発現ベクターの例は、例えば、目的の遺伝子の発現に適したベクターに関連するため、参照により本明細書に組み込まれるWO1994/011026に開示されている。本明細書に記載の組成物及び方法での使用に適した発現ベクターは、ポリヌクレオチド配列、さらには例えば、タンパク質の発現及び/またはこれらのポリヌクレオチド配列の哺乳動物細胞のゲノムへの組み込みに使用される追加の配列エレメントを含む。本明細書に記載のTREM2の発現に使用することができる、ある特定のベクターには、プロモーター及びエンハンサー領域など、遺伝子転写を指示する調節配列を含むプラスミドが含まれる。TREM2の発現のための他の有用なベクターは、これらの遺伝子の翻訳速度を高める、または遺伝子転写から生じるmRNAの安定性もしくは核外輸送を改善するポリヌクレオチド配列を含む。これらの配列エレメントには、例えば、発現ベクターで運ばれる遺伝子の効率的な転写を指示するために、5’及び3’非翻訳領域、内部リボソーム進入部位(IRES)、及びポリアデニル化シグナル部位が含まれる。本明細書に記載の組成物及び方法で使用するために適した発現ベクターはまた、そのようなベクターを含む細胞を選択するためのマーカーをコードするポリヌクレオチドを含んでもよい。適切なマーカーの例は、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、ヌーセオトリシン、またはゼオシンなどの抗生物質に対する抵抗性をコードする遺伝子である。
【0506】
詳細な説明
対象(哺乳動物対象、例えば、ヒトなど)において神経認知障害(NCD)、例えば、アルツハイマー病(AD)または硬化性白質脳症を伴う多発嚢胞性脂肪膜性骨異形成症(PLOSL)としても公知の那須ハコラ病などを処置するための組成物及び方法を本明細書に記載する。本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、TREM2をコードする導入遺伝子(例えば、マクロファージまたは小神経膠細胞においてTREM2を発現し得る導入遺伝子など)を含む細胞(例えば、万能性細胞、胚性幹細胞(ESC)、人工万能性幹細胞(iPSC)、多能性細胞、CD34+細胞、造血幹細胞(HSC)、骨髄性前駆細胞(MPC)、血液系前駆細胞(BLPC)、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリア)を投与することにより、対象(例えば、ヒト対象)においてNCD(例えば、AD(例えば、ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2(TREM2)関連AD)、PLOSL(例えば、TREM2関連PLOSL)、前頭側頭骨大葉変性(FTLD;例えば、TREM2関連FTLD)、またはパーキンソン病(PD;例えば、TREM2関連PD))を処置することができる。例えば、TREM2を発現するようにエクスビボで改変されている細胞を含有する組成物を本明細書に記載する。次のセクションでは、NCDを処置するために有用な組成物及び方法をさらに詳細に記載する。
【0507】
神経認知障害
NCDは、中核症状として認知機能障害を特徴とし、かつ発達機能障害ではなく、以前のより高いレベルの認知と比べて認知低下(例えば、後天性機能障害)を示す障害の集合として定義される。NCDは、対象において診断されている機能障害の程度に基づき、重度または軽度の症候群(例えば、重度NCD及び軽度NCD)に大きく区分される。さらに、NCDは、それらの病因に基づき分類され得る。例えば、NCDの非限定的例には、ADによるNCD、白質ジストロフィーによるNCD(例えば、PLOSL)、血管NCD、レビー小体を含むNCD、パーキンソン病によるNCD、前頭側頭骨NCD、外傷性脳損傷によるNCD、HIV感染によるNCD、物質/薬物誘導NCD、ハンチントン病によるNCD、プリオン病によるNCD、別の医学的状態によるNCD、複数の病因によるNCD、及び詳細不明NCDが含まれ得る。本明細書に開示の組成物及び方法は、NCDを処置するために有用である。
【0508】
アルツハイマー病
ADは、大脳皮質の前頭葉、側頭葉、及び頭頂葉、さらには、脳幹内の基底前脳コリン作動系及び青斑核などの皮質下構造における進行性ニューロン喪失により特徴づけられるNCDである。ADの臨床症状は、短期及び長期記憶、空間ナビゲーション、言語流暢性、衝動制御、快感消失、及び社会的離脱を含むいくつかの認知機能における進行性低下である。AD患者の脳におけるニューロン萎縮は、細胞外及び細胞内タンパク質封入体の蓄積に関連している。不溶性アミロイドβ(Aβ)タンパク質の凝集体は多くの場合に、細胞外空間において見い出される一方で、超リン酸化タウタンパク質の神経原線維濃縮体(NFT)は通常、罹患したニューロンの細胞内区画において見い出される。これらの神経病理が、ADの病因において重要であると判断される。
【0509】
ADを発症する可能性は、遺伝因子により強い影響を受ける。アミロイド前駆体タンパク質(APP)、またはプレセニリン-1(PSEN1)及びプレセニリン-2(PSEN2)などのAPPを切断するタンパク質分解酵素をコードする遺伝子における既知の変異が、若年性ADについての危険因子として立証されている。これらの変異は、脳におけるAβ沈着物の主成分である病原性Aβ42アイソフォームの蓄積の増加と関連している。遅発型ADについてのリスクの上昇は、アポリポタンパク質-E(APOE)のε4アレルの変化と強く関連している。
【0510】
那須ハコラ病
那須ハコラ病(PLOSL)は、白質変性の存在、軸索及びミエリンの喪失、軸索球状物の存在、さらには遠位端における嚢胞性骨病変により特徴づけられる希少な常染色体劣性白質ジストロフィーである。PLOSL患者の臨床症状には、若年性認知症、さらには再発性骨折が含まれる。高齢患者に広く影響を及ぼすADとは異なり、PLOSLは、患者が手、手首、足首、及び足に多発性関節痛を経験し得る骨症状期中の青年期の間に症状を示し始めることがある。骨症状期には、早期神経症状期が続き、その間、患者は、顕著な人格変化、進行性記憶欠損、及び全般性てんかん発作を示し得る。PLOSL患者の晩期神経症状期は、顕著な認知症、運動無能、そして最終的に死に対応する。
【0511】
ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2関連アルツハイマー病
ゲノム及びエクソームシーケンシングに基づく最近の研究により、NCD(例えば、AD、PLOSL、FTLD、またはPD)の発症における重大な危険因子としてのTREM2が明らかになっている。それ以来、TREM2遺伝子における複数のバリアントが、ADについてのリスクの上昇と関連づけられており、その際、最も共通するバリアントはrs75932628一塩基多型であり、これは、アミノ酸47におけるアルギニンからヒスチジンへの置換(R47H)をもたらす。この変異は、TREM2のリガンド結合特性に強い影響を与えると考えられている。他のTREM2バリアントは、タンパク質短縮化及び/またはミスフォールディング、輸送の崩壊、細胞表面発現の減少、及び下流シグナル伝達経路の活性化の増大または低減をもたらすことが判明している。TREM2は、単核食細胞(例えば、ミクログリア、破骨細胞、及び肺胞マクロファージ)上に発現される膜貫通タンパク質であり、その細胞外ドメイン上の脂質またはリポタンパク質により活性化され得る。細胞内シグナル伝達ドメインを含まないので、TREM2は、その作用を、膜貫通アダプタータンパク質DAP12との相互作用を介して複数の細胞内シグナル伝達経路に及ぼす。さらに、膜結合TREM2は、細胞外プロテアーゼにより切断されて、可溶性TREM2(sTREM2)及び膜貫通C末端断片(TREM2-CTF)を生成し得て、これは、γ-セクレターゼ複合体によりさらに切断されて細胞質TREM2細胞内ドメイン(TREM2-ICD)及び細胞外TREM2-A β様(TREM2-T2β)ペプチドを生成し得る。TREM2活性は、食作用の制御、炎症シグナルの抑制、及び細胞生存を含む細胞内のいくつかの機能にとって重要であると考えられる。TREM2におけるAD関連及びPLOSL関連変異は、TREM2活性の減衰または増強と関連していて、AD及びPLOSLの病因におけるTREM2ホメオスターシスの重要性を意味している。さらに、R47H TREM2バリアントを持つAD患者では、Aβ斑へのミクログリアの動員が減少しており、TREM2活性の変化がミクログリアの正常な機能化を害し得ていることを示唆している。同様に、PLOSLは、脂質を含むマクロファージの組織病理学的存在と関連し、免疫調節不全を示唆している。TREM2のタンパク質分解性プロセシングも、ADでは変化していることがある。sTREM2のレベルが、AD患者の脳脊髄液では上昇しているようであり、脳におけるリン酸化タウタンパク質のレベルとの相関を示している。NCD(例えば、AD及びPLOSL)におけるTREM2関与は、その開示内容が、ADにおけるヒトTREM2シグナル伝達に関するので、参照により本明細書に組み込まれるUlrich et al., Neuron Reviews 94:237-48及びXing et al., Research and Reports in Biochemistry 5:89-100 (2015)において詳細に論述されている。
【0512】
NCDの臨床管理は、疾患症状を緩和するための薬理学的及び行動的介入を用いている。例えば、ADの認知障害を寛解するための手段として、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬が、脳中のアセチルコリンレベルを上昇させるために使用されており、それというのも、この神経伝達物質がAD患者において欠乏していることが見い出されているためである。加えて、非定型抗精神病薬が、行動管理のためにAD患者に一般に処方される。同様に、てんかん発作の自発発生を制御するために、抗痙攣薬がPLOSL患者に投与されている。しかしながら、この戦略は、その発症及び進行に対処することなく、疾患の症状を寛解することを標的としている。これらの処置とは異なり、本明細書に記載の組成物及び方法は、NCDの発症の根底にあり得る別の生化学的現象を処置するという利点を提供する。したがって、本明細書に記載の組成物及び方法は、疾患の生理学的原因を標的とし、治癒的治療の可能性を表す。
【0513】
本明細書に記載の組成物及び方法は、TREM2をコードする導入遺伝子(マクロファージまたは小神経膠細胞において発現し得る導入遺伝子など)を含む細胞(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリア)を投与することにより、NCDを処置するために使用することができる。これらの組成物及び方法を使用すると、いずれの病因、例えば、遺伝子変異、環境毒素、または散発性によるNCDも処置することができる。これらの組成物及び方法はまた、TREM2関連ADまたはPLOSLを有する対象を処置するために使用することもできる。本明細書に記載の組成物及び方法は、正常なTREM2活性、低下したTREM2活性を有する対象、及びそのTREM2変異状態及び/またはTREM2活性レベルが不明な対象を処置するために使用することができる。本明細書に記載の組成物及び方法は、NCDを発症するリスクのある対象、例えば、TREM2変異を有する対象、TREM2活性が低下した対象、及びNCDと関連する遺伝子のうちの1つまたは複数に変異を有する対象に予防的処置として投与することもできる。
【0514】
本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用することができるTREM2コーディング構築物は、野生型TREM2(配列番号1~3として示されるアミノ酸配列のいずれか1つ)をコードするポリヌクレオチドまたはそのバリアント、例えば、配列番号1~3のアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0515】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号1のアミノ酸配列を有するか、または配列番号1に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0516】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号1のアミノ酸配列を有するか、または配列番号1に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0517】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号1のアミノ酸配列を有するか、または配列番号1に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0518】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号1のアミノ酸配列を有する。
【0519】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号2のアミノ酸配列を有するか、または配列番号2に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0520】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号2のアミノ酸配列を有するか、または配列番号2に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0521】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号2のアミノ酸配列を有するか、または配列番号2に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0522】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号2のアミノ酸配列を有する。
【0523】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号3のアミノ酸配列を有するか、または配列番号3に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0524】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号3のアミノ酸配列を有するか、または配列番号3に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0525】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号3のアミノ酸配列を有するか、または配列番号3に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントである。
【0526】
一部の実施形態では、TREM2は、配列番号3のアミノ酸配列を有する。
【0527】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号4のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号4に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0528】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号4のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号4に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0529】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号4のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号4に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0530】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号4のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドを含む。
【0531】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号5のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号5に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0532】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号5のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号5に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0533】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号5のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号5に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0534】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号5のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドを含む。
【0535】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号6のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号6に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0536】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号6のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号6に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0537】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号6のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号6に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0538】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号6のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドを含む。
【0539】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号7のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号7に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0540】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号7のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号7に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0541】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号7のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号7に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0542】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号7のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドを含む。
【0543】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号9のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号9に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0544】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号9のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号9に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0545】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号9のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号9に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0546】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号9のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドを含む。
【0547】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号11のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号11に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0548】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号11のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号11に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0549】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号11のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドまたは配列番号11に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0550】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号11のヌクレオチド配列を有するTREM2ポリヌクレオチドを含む。
【0551】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、コドン最適化されていてよい(例えば、配列番号8、配列番号10、または配列番号12のいずれか1つ)。
【0552】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号8のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号8に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0553】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号8のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号8に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0554】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号8のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号8に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0555】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号8のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列を含む。
【0556】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号10のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号10に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0557】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号10のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号10に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0558】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号10のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号10に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0559】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号10のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列を含む。
【0560】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号12のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号12に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0561】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号12のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号12に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0562】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号12のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列または配列番号12に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
【0563】
一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子は、配列番号12のコドン最適化TREM2ポリヌクレオチド配列を含む。
【0564】
一部の実施形態では、導入遺伝子は、2つまたはそれ以上のTREM2導入遺伝子(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のTREM2導入遺伝子)をコードする。一部の実施形態では、導入遺伝子は、2~10のTREM2導入遺伝子(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のTREM2導入遺伝子)をコードする。一部の実施形態では、導入遺伝子は、2~5つのTREM2導入遺伝子(例えば、2、3、4、または5つのTREM2導入遺伝子)をコードする。一部の実施形態では、導入遺伝子は、2つのTREM2導入遺伝子をコードする。一部の実施形態では、TREM2導入遺伝子は、単一のポリシストロニック発現カセットから発現される。一部の実施形態では、TREM2導入遺伝子は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、またはそれ以上)のIRESにより相互に分離されている。一部の実施形態では、TREM2導入遺伝子は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のモノシストロニック発現カセットから発現される。
【0565】
一部の実施形態では、TREM2をコードするポリヌクレオチドは、sTREM2をコードする。一部の実施形態では、TREM2をコードするポリヌクレオチドは、TREM2-CTFをコードする。一部の実施形態では、TREM2をコードするポリヌクレオチドは、TREM2-ICDをコードする。一部の実施形態では、TREM2をコードするポリヌクレオチドは、TREM2-T2βペプチドをコードする。一部の実施形態では、TREM2をコードするポリヌクレオチドは、機能性エクトドメイン切断部位を含まないTREM2ポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、TREM2をコードするポリヌクレオチドは、TREM2-CTF内に機能性膜内切断部位を含まないTREM2ポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、野生型TREM2をコードするポリヌクレオチドは、下に詳述するとおり、内因性TREM2を指向するヌクレアーゼ及び阻害性RNAによる分解に対して抵抗性を付与するためのコドン最適化ポリヌクレオチドであってよい。
【0566】
野生型ヒトTREM2は、以下の(UniProt識別子番号:Q9NZC2-1)のカノニカルなアミノ酸配列を有してよい:
MEPLRLLILLFVTELSGAHNTTVFQGVAGQSLQVSCPYDSMKHWGRRKAWCRQLGEKGPCQRVVSTHNLWLLSFLRRWNGSTAITDDTLGGTLTITLRNLQPHDAGLYQCQSLHGSEADTLRKVLVEVLADPLDHRDAGDLWFPGESESFEDAHVEHSISRSLLEGEIPFPPTSILLLLACIFLIKILAASALWAAAWHGQKPGTHPPSELDCGHDPGYQLQTLPGLRDT
(配列番号1)
【0567】
加えて、または別法では、ヒトTREM2は、以下の(UniProt識別子番号:Q9NZC2-2)のアミノ酸配列を有してもよい:
MEPLRLLILLFVTELSGAHNTTVFQGVAGQSLQVSCPYDSMKHWGRRKAWCRQLGEKGPCQRVVSTHNLWLLSFLRRWNGSTAITDDTLGGTLTITLRNLQPHDAGLYQCQSLHGSEADTLRKVLVEVLADPLDHRDAGDLWFPGESESFEDAHVEHSISRAERHVKEDDGRKSPGEVPPGTSPACILATWPPGLLVLLWQETTLPEHCFSWTLEAGTG
(配列番号2)
【0568】
加えて、または別法では、ヒトTREM2は、以下の(UniProt識別子番号:Q9NZC2-3)のアミノ酸配列を有してもよい:
MEPLRLLILLFVTELSGAHNTTVFQGVAGQSLQVSCPYDSMKHWGRRKAWCRQLGEKGPCQRVVSTHNLWLLSFLRRWNGSTAITDDTLGGTLTITLRNLQPHDAGLYQCQSLHGSEADTLRKVLVEVLADPLDHRDAGDLWFPGESESFEDAHVEHSISRPSQGSHLPSCLSKEPLGRRNPLPTHFHPSPPGLHLSHQDSSSQRPLGCSLAWTEARDTSTQ
(配列番号3)
【0569】
TREM2をコードするポリヌクレオチドは、以下の(Ensembl識別子番号:ENST00000373113.7)の核酸配列を有してよい:
TGACATGCCTGATCCTCTCTTTTCTGCAGTTCAAGGGAAAGACGAGATCTTGCACAAGGCACTCTGCTTCTGCCCTTGGCTGGGGAAGGGTGGCATGGAGCCTCTCCGGCTGCTCATCTTACTCTTTGTCACAGAGCTGTCCGGAGCCCACAACACCACAGTGTTCCAGGGCGTGGCGGGCCAGTCCCTGCAGGTGTCTTGCCCCTATGACTCCATGAAGCACTGGGGGAGGCGCAAGGCCTGGTGCCGCCAGCTGGGAGAGAAGGGCCCATGCCAGCGTGTGGTCAGCACGCACAACTTGTGGCTGCTGTCCTTCCTGAGGAGGTGGAATGGGAGCACAGCCATCACAGACGATACCCTGGGTGGCACTCTCACCATTACGCTGCGGAATCTACAACCCCATGATGCGGGTCTCTACCAGTGCCAGAGCCTCCATGGCAGTGAGGCTGACACCCTCAGGAAGGTCCTGGTGGAGGTGCTGGCAGACCCCCTGGATCACCGGGATGCTGGAGATCTCTGGTTCCCCGGGGAGTCTGAGAGCTTCGAGGATGCCCATGTGGAGCACAGCATCTCCAGGAGCCTCTTGGAAGGAGAAATCCCCTTCCCACCCACTTCCATCCTTCTCCTCCTGGCCTGCATCTTTCTCATCAAGATTCTAGCAGCCAGCGCCCTCTGGGCTGCAGCCTGGCATGGACAGAAGCCAGGGACACATCCACCCAGTGAACTGGACTGTGGCCATGACCCAGGGTATCAGCTCCAAACTCTGCCAGGGCTGAGAGACACGTGAAGGAAGATGATGGGAGGAAAAGCCCAGGAGAAGTCCCACCAGGGACCAGCCCAGCCTGCATACTTGCCACTTGGCCACCAGGACTCCTTGTTCTGCTCTGGCAAGAGACTACTCTGCCTGAACACTGCTTCTCCTGGACCCTGGAAGCAGGGACTGGTTGAGGGAGTGGGGAGGTGGTAAGAACACCTGACAACTTCTGAATATTGGACATTTTAAACACTTACAAATAAATCCAAGACTGTCATATTTAGCTGGAT
(配列番号4)
【0570】
加えて、または別法では、ヒトTREM2は、以下の(Ensembl識別子番号:ENST00000338469.3)のヌクレオチド配列を有してよい:
GGGCAGCGCCTGACATGCCTGATCCTCTCTTTTCTGCAGTTCAAGGGAAAGACGAGATCTTGCACAAGGCACTCTGCTTCTGCCCTTGGCTGGGGAAGGGTGGCATGGAGCCTCTCCGGCTGCTCATCTTACTCTTTGTCACAGAGCTGTCCGGAGCCCACAACACCACAGTGTTCCAGGGCGTGGCGGGCCAGTCCCTGCAGGTGTCTTGCCCCTATGACTCCATGAAGCACTGGGGGAGGCGCAAGGCCTGGTGCCGCCAGCTGGGAGAGAAGGGCCCATGCCAGCGTGTGGTCAGCACGCACAACTTGTGGCTGCTGTCCTTCCTGAGGAGGTGGAATGGGAGCACAGCCATCACAGACGATACCCTGGGTGGCACTCTCACCATTACGCTGCGGAATCTACAACCCCATGATGCGGGTCTCTACCAGTGCCAGAGCCTCCATGGCAGTGAGGCTGACACCCTCAGGAAGGTCCTGGTGGAGGTGCTGGCAGACCCCCTGGATCACCGGGATGCTGGAGATCTCTGGTTCCCCGGGGAGTCTGAGAGCTTCGAGGATGCCCATGTGGAGCACAGCATCTCCAGGGCTGAGAGACACGTGAAGGAAGATGATGGGAGGAAAAGCCCAGGAGAAGTCCCACCAGGGACCAGCCCAGCCTGCATACTTGCCACTTGGCCACCAGGACTCCTTGTTCTGCTCTGGCAAGAGACTACTCTGCCTGAACACTGCTTCTCCTGGACCCTGGAAGCAGGGACTGGTTGAGGGAGTGGGGAGGTGGTAAGAACACCTGACAACTTCTGAATATTGGACATTTTAAACACTTACAAATAAATCCAAGACTGTCATATTTAGCTGGAT
(配列番号5)
【0571】
加えて、または別法では、ヒトTREM2は、以下の(Ensembl識別子番号:ENST00000373122.8)のヌクレオチド配列を有してよい:
CCTTGGCTGGGGAAGGGTGGCATGGAGCCTCTCCGGCTGCTCATCTTACTCTTTGTCACAGAGCTGTCCGGAGCCCACAACACCACAGTGTTCCAGGGCGTGGCGGGCCAGTCCCTGCAGGTGTCTTGCCCCTATGACTCCATGAAGCACTGGGGGAGGCGCAAGGCCTGGTGCCGCCAGCTGGGAGAGAAGGGCCCATGCCAGCGTGTGGTCAGCACGCACAACTTGTGGCTGCTGTCCTTCCTGAGGAGGTGGAATGGGAGCACAGCCATCACAGACGATACCCTGGGTGGCACTCTCACCATTACGCTGCGGAATCTACAACCCCATGATGCGGGTCTCTACCAGTGCCAGAGCCTCCATGGCAGTGAGGCTGACACCCTCAGGAAGGTCCTGGTGGAGGTGCTGGCAGACCCCCTGGATCACCGGGATGCTGGAGATCTCTGGTTCCCCGGGGAGTCTGAGAGCTTCGAGGATGCCCATGTGGAGCACAGCATCTCCAGGCCATCTCAAGGCTCCCATCTGCCTTCTTGTCTCTCCAAGGAGCCTCTTGGAAGGAGAAATCCCCTTCCCACCCACTTCCATCCTTCTCCTCCTGGCCTGCATCTTTCTCATCAAGATTCTAGCAGCCAGCGCCCTCTGGGCTGCAGCCTGGCATGGACAGAAGCCAGGGACACATCCACCCAGTGAACTGGACTGTGGCCATGACCCAGGGTATCAGCTCCAAACTCTGCCAGGGCTGAGAGACACGTGAAGGAAGATGATGGGAGGAAAAGCCCAGGAGAAGTCCCACCAGGGACCAGCCCAGCCTGCATACTTGCCACTTGGCCACCAGGACTCCTTGTTCTGCTCTGGCAAGAGACTACTCTGCCTGAACACTGCTTCTCCTGGACCCTGGAAGCAGGGACTGGTTGAGGGAGTGGGGAGGTGGTAAGAACACCTGACAACTTCTGAATATTGGACATTTTAAACACTTACAAATAAATCCAAGACTGTCATATTTAGCTGGATA
(配列番号6)
【0572】
加えて、または別法では、TREM2をコードするポリヌクレオチドは、以下の配列を有してよい:
ATGGAGCCTCTCCGGCTGCTCATCTTACTCTTTGTCACAGAGCTGTCCGGAGCCCACAACACCACAGTGTTCCAGGGCGTGGCGGGCCAGTCCCTGCAGGTGTCTTGCCCCTATGACTCCATGAAGCACTGGGGGAGGCGCAAGGCCTGGTGCCGCCAGCTGGGAGAGAAGGGCCCATGCCAGCGTGTGGTCAGCACGCACAACTTGTGGCTGCTGTCCTTCCTGAGGAGGTGGAATGGGAGCACAGCCATCACAGACGATACCCTGGGTGGCACTCTCACCATTACGCTGCGGAATCTACAACCCCATGATGCGGGTCTCTACCAGTGCCAGAGCCTCCATGGCAGTGAGGCTGACACCCTCAGGAAGGTCCTGGTGGAGGTGCTGGCAGACCCCCTGGATCACCGGGATGCTGGAGATCTCTGGTTCCCCGGGGAGTCTGAGAGCTTCGAGGATGCCCATGTGGAGCACAGCATCTCCAGGAGCCTCTTGGAAGGAGAAATCCCCTTCCCACCCACTTCCATCCTTCTCCTCCTGGCCTGCATCTTTCTCATCAAGATTCTAGCAGCCAGCGCCCTCTGGGCTGCAGCCTGGCATGGACAGAAGCCAGGGACACATCCACCCAGTGAACTGGACTGTGGCCATGACCCAGGGTATCAGCTCCAAACTCTGCCAGGGCTGAGAGACACGTGATGA
(配列番号7)
【0573】
加えて、または別法では、TREM2をコードするポリヌクレオチドは、以下の配列番号8のコドン最適化ヌクレオチド配列を有してよい:
ATGGAGCCTCTGAGACTGCTGATTCTGCTGTTTGTCACTGAACTGAGCGGCGCACATAATACCACTGTCTTCCAGGGCGTCGCTGGGCAGTCTCTGCAGGTGAGCTGCCCCTACGACTCTATGAAGCACTGGGGCCGGAGAAAGGCATGGTGCCGGCAGCTGGGAGAGAAGGGACCTTGTCAGAGAGTGGTGAGCACCCACAACCTGTGGCTGCTGTCCTTCCTGAGGCGCTGGAATGGCTCTACAGCCATCACCGACGATACACTGGGCGGCACCCTGACAATCACCCTGAGGAACCTGCAGCCTCACGACGCAGGCCTGTATCAGTGCCAGTCCCTGCACGGCTCTGAGGCCGATACACTGAGGAAGGTGCTGGTGGAGGTGCTGGCCGACCCTCTGGATCACAGGGACGCAGGCGATCTGTGGTTCCCAGGCGAGAGCGAGTCCTTTGAGGATGCCCACGTGGAGCACTCTATCAGCCGGTCCCTGCTGGAGGGAGAGATCCCATTCCCCCCTACCAGCATCCTGCTGCTGCTGGCCTGTATCTTTCTGATCAAGATCCTGGCAGCATCCGCCCTGTGGGCAGCAGCCTGGCACGGACAGAAGCCAGGAACACACCCACCATCCGAGCTGGATTGCGGACATGACCCCGGCTACCAGCTGCAGACACTGCCTGGCCTGAGGGATACATGATGA
(配列番号8)
【0574】
加えて、または別法では、TREM2をコードするポリヌクレオチドは、以下のヌクレオチド配列を有してよい:
ATGGAGCCTCTCCGGCTGCTCATCTTACTCTTTGTCACAGAGCTGTCCGGAGCCCACAACACCACAGTGTTCCAGGGCGTGGCGGGCCAGTCCCTGCAGGTGTCTTGCCCCTATGACTCCATGAAGCACTGGGGGAGGCGCAAGGCCTGGTGCCGCCAGCTGGGAGAGAAGGGCCCATGCCAGCGTGTGGTCAGCACGCACAACTTGTGGCTGCTGTCCTTCCTGAGGAGGTGGAATGGGAGCACAGCCATCACAGACGATACCCTGGGTGGCACTCTCACCATTACGCTGCGGAATCTACAACCCCATGATGCGGGTCTCTACCAGTGCCAGAGCCTCCATGGCAGTGAGGCTGACACCCTCAGGAAGGTCCTGGTGGAGGTGCTGGCAGACCCCCTGGATCACCGGGATGCTGGAGATCTCTGGTTCCCCGGGGAGTCTGAGAGCTTCGAGGATGCCCATGTGGAGCACAGCATCTCCAGGGCTGAGAGACACGTGAAGGAAGATGATGGGAGGAAAAGCCCAGGAGAAGTCCCACCAGGGACCAGCCCAGCCTGCATACTTGCCACTTGGCCACCAGGACTCCTTGTTCTGCTCTGGCAAGAGACTACTCTGCCTGAACACTGCTTCTCCTGGACCCTGGAAGCAGGGACTGGTTGATGA
(配列番号9)
【0575】
加えて、または別法では、TREM2をコードするポリヌクレオチドは、以下の配列番号10のコドン最適化ヌクレオチド配列を有してよい:
ATGGAGCCTCTGCGGCTGCTGATCCTGCTGTTCGTGACCGAGCTGTCCGGCGCCCACAACACCACAGTGTTTCAGGGAGTGGCAGGACAGTCCCTGCAGGTGTCTTGCCCATACGACTCTATGAAGCACTGGGGCCGGAGAAAGGCATGGTGCAGGCAGCTGGGAGAGAAGGGACCATGTCAGCGCGTGGTGTCTACACACAACCTGTGGCTGCTGAGCTTCCTGAGGCGCTGGAATGGCTCCACAGCCATCACCGACGATACACTGGGCGGCACCCTGACAATCACCCTGAGGAATCTGCAGCCACACGACGCCGGCCTGTATCAGTGTCAGAGCCTGCACGGCTCCGAGGCAGATACCCTGCGGAAGGTGCTGGTGGAGGTGCTGGCCGACCCCCTGGATCACAGAGACGCAGGCGATCTGTGGTTCCCTGGCGAGAGCGAGTCCTTTGAGGATGCCCACGTGGAGCACTCTATCAGCCGGGCCGAGAGACACGTGAAGGAGGACGATGGAAGGAAGTCTCCTGGAGAGGTGCCACCTGGAACCAGCCCAGCATGCATCCTGGCAACATGGCCACCAGGCCTGCTGGTGCTGCTGTGGCAGGAGACAACACTGCCCGAGCACTGTTTTTCCTGGACCCTGGAGGCCGGCACAGGCTGATGA
(配列番号10)
【0576】
加えて、または別法では、TREM2をコードするポリヌクレオチドは、IRES配列により分離されていて、合わせて以下のヌクレオチド配列を有する配列番号7及び配列番号9のヌクレオチド配列を有してよい:
ATGGAGCCTCTCCGGCTGCTCATCTTACTCTTTGTCACAGAGCTGTCCGGAGCCCACAACACCACAGTGTTCCAGGGCGTGGCGGGCCAGTCCCTGCAGGTGTCTTGCCCCTATGACTCCATGAAGCACTGGGGGAGGCGCAAGGCCTGGTGCCGCCAGCTGGGAGAGAAGGGCCCATGCCAGCGTGTGGTCAGCACGCACAACTTGTGGCTGCTGTCCTTCCTGAGGAGGTGGAATGGGAGCACAGCCATCACAGACGATACCCTGGGTGGCACTCTCACCATTACGCTGCGGAATCTACAACCCCATGATGCGGGTCTCTACCAGTGCCAGAGCCTCCATGGCAGTGAGGCTGACACCCTCAGGAAGGTCCTGGTGGAGGTGCTGGCAGACCCCCTGGATCACCGGGATGCTGGAGATCTCTGGTTCCCCGGGGAGTCTGAGAGCTTCGAGGATGCCCATGTGGAGCACAGCATCTCCAGGAGCCTCTTGGAAGGAGAAATCCCCTTCCCACCCACTTCCATCCTTCTCCTCCTGGCCTGCATCTTTCTCATCAAGATTCTAGCAGCCAGCGCCCTCTGGGCTGCAGCCTGGCATGGACAGAAGCCAGGGACACATCCACCCAGTGAACTGGACTGTGGCCATGACCCAGGGTATCAGCTCCAAACTCTGCCAGGGCTGAGAGACACGTGATGATTCCGCCCCTCTCCCTCCCCCCCCCCTAACGTTACTGGCCGAAGCCGCTTGGAATAAGGCCGGTGTGCGTTTGTCTATATGTTATTTTCCACCATATTGCCGTCTTTTGGCAATGTGAGGGCCCGGAAACCTGGCCCTGTCTTCTTGACGAGCATTCCTAGGGGTCTTTCCCCTCTCGCCAAAGGAATGCAAGGTCTGTTGAATGTCGTGAAGGAAGCAGTTCCTCTGGAAGCTTCTTGAAGACAAACAACGTCTGTAGCGACCCTTTGCAGGCAGCGGAACCCCCCACCTGGCGACAGGTGCCTCTGCGGCCAAAAGCCACGTGTATAAGATACACCTGCAAAGGCGGCACAACCCCAGTGCCACGTTGTGAGTTGGATAGTTGTGGAAAGAGTCAAATGGCTCTCCTCAAGCGTATTCAACAAGGGGCTGAAGGATGCCCAGAAGGTACCCCATTGTATGGGATCTGATCTGGGGCCTCGGTGCACATGCTTTACATGTGTTTAGTCGAGGTTAAAAAACGTCTAGGCCCCCCGAACCACGGGGACGTGGTTTTCCTTTGAAAAACACGATGATAATAGCCACCATGGAGCCTCTCCGGCTGCTCATCTTACTCTTTGTCACAGAGCTGTCCGGAGCCCACAACACCACAGTGTTCCAGGGCGTGGCGGGCCAGTCCCTGCAGGTGTCTTGCCCCTATGACTCCATGAAGCACTGGGGGAGGCGCAAGGCCTGGTGCCGCCAGCTGGGAGAGAAGGGCCCATGCCAGCGTGTGGTCAGCACGCACAACTTGTGGCTGCTGTCCTTCCTGAGGAGGTGGAATGGGAGCACAGCCATCACAGACGATACCCTGGGTGGCACTCTCACCATTACGCTGCGGAATCTACAACCCCATGATGCGGGTCTCTACCAGTGCCAGAGCCTCCATGGCAGTGAGGCTGACACCCTCAGGAAGGTCCTGGTGGAGGTGCTGGCAGACCCCCTGGATCACCGGGATGCTGGAGATCTCTGGTTCCCCGGGGAGTCTGAGAGCTTCGAGGATGCCCATGTGGAGCACAGCATCTCCAGGGCTGAGAGACACGTGAAGGAAGATGATGGGAGGAAAAGCCCAGGAGAAGTCCCACCAGGGACCAGCCCAGCCTGCATACTTGCCACTTGGCCACCAGGACTCCTTGTTCTGCTCTGGCAAGAGACTACTCTGCCTGAACACTGCTTCTCCTGGACCCTGGAAGCAGGGACTGGTTGATGA
(配列番号11)
【0577】
加えて、または別法では、TREM2をコードするポリヌクレオチドは、IRES配列により分離されていて、合わせて以下のヌクレオチド配列を有する配列番号8及び配列番号10のヌクレオチド配列を有してよい:
ATGGAGCCTCTGAGACTGCTGATTCTGCTGTTTGTCACTGAACTGAGCGGCGCACATAATACCACTGTCTTCCAGGGCGTCGCTGGGCAGTCTCTGCAGGTGAGCTGCCCCTACGACTCTATGAAGCACTGGGGCCGGAGAAAGGCATGGTGCCGGCAGCTGGGAGAGAAGGGACCTTGTCAGAGAGTGGTGAGCACCCACAACCTGTGGCTGCTGTCCTTCCTGAGGCGCTGGAATGGCTCTACAGCCATCACCGACGATACACTGGGCGGCACCCTGACAATCACCCTGAGGAACCTGCAGCCTCACGACGCAGGCCTGTATCAGTGCCAGTCCCTGCACGGCTCTGAGGCCGATACACTGAGGAAGGTGCTGGTGGAGGTGCTGGCCGACCCTCTGGATCACAGGGACGCAGGCGATCTGTGGTTCCCAGGCGAGAGCGAGTCCTTTGAGGATGCCCACGTGGAGCACTCTATCAGCCGGTCCCTGCTGGAGGGAGAGATCCCATTCCCCCCTACCAGCATCCTGCTGCTGCTGGCCTGTATCTTTCTGATCAAGATCCTGGCAGCATCCGCCCTGTGGGCAGCAGCCTGGCACGGACAGAAGCCAGGAACACACCCACCATCCGAGCTGGATTGCGGACATGACCCCGGCTACCAGCTGCAGACACTGCCTGGCCTGAGGGATACATGATGATTCCGCCCCTCTCCCTCCCCCCCCCCTAACGTTACTGGCCGAAGCCGCTTGGAATAAGGCCGGTGTGCGTTTGTCTATATGTTATTTTCCACCATATTGCCGTCTTTTGGCAATGTGAGGGCCCGGAAACCTGGCCCTGTCTTCTTGACGAGCATTCCTAGGGGTCTTTCCCCTCTCGCCAAAGGAATGCAAGGTCTGTTGAATGTCGTGAAGGAAGCAGTTCCTCTGGAAGCTTCTTGAAGACAAACAACGTCTGTAGCGACCCTTTGCAGGCAGCGGAACCCCCCACCTGGCGACAGGTGCCTCTGCGGCCAAAAGCCACGTGTATAAGATACACCTGCAAAGGCGGCACAACCCCAGTGCCACGTTGTGAGTTGGATAGTTGTGGAAAGAGTCAAATGGCTCTCCTCAAGCGTATTCAACAAGGGGCTGAAGGATGCCCAGAAGGTACCCCATTGTATGGGATCTGATCTGGGGCCTCGGTGCACATGCTTTACATGTGTTTAGTCGAGGTTAAAAAACGTCTAGGCCCCCCGAACCACGGGGACGTGGTTTTCCTTTGAAAAACACGATGATAATAGCCACCATGGAGCCTCTGCGGCTGCTGATCCTGCTGTTCGTGACCGAGCTGTCCGGCGCCCACAACACCACAGTGTTTCAGGGAGTGGCAGGACAGTCCCTGCAGGTGTCTTGCCCATACGACTCTATGAAGCACTGGGGCCGGAGAAAGGCATGGTGCAGGCAGCTGGGAGAGAAGGGACCATGTCAGCGCGTGGTGTCTACACACAACCTGTGGCTGCTGAGCTTCCTGAGGCGCTGGAATGGCTCCACAGCCATCACCGACGATACACTGGGCGGCACCCTGACAATCACCCTGAGGAATCTGCAGCCACACGACGCCGGCCTGTATCAGTGTCAGAGCCTGCACGGCTCCGAGGCAGATACCCTGCGGAAGGTGCTGGTGGAGGTGCTGGCCGACCCCCTGGATCACAGAGACGCAGGCGATCTGTGGTTCCCTGGCGAGAGCGAGTCCTTTGAGGATGCCCACGTGGAGCACTCTATCAGCCGGGCCGAGAGACACGTGAAGGAGGACGATGGAAGGAAGTCTCCTGGAGAGGTGCCACCTGGAACCAGCCCAGCATGCATCCTGGCAACATGGCCACCAGGCCTGCTGGTGCTGCTGTGGCAGGAGACAACACTGCCCGAGCACTGTTTTTCCTGGACCCTGGAGGCCGGCACAGGCTGATGA
(配列番号12)
【0578】
本明細書に記載の方法によれば、対象に、配列番号1~3のいずれか1つを有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、または配列番号1~3のアミノ酸配列のいずれか1つに対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、または配列番号1~3のいずれか1つに対して1つまたは複数の保存的アミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10またはそれ以上の保存的アミノ酸置換)を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む導入遺伝子を含む細胞を投与することができるが、ただし、コードされるTREM2類似体が野生型TREM2の治療上の機能を維持していることを条件とする。TREM2の活性は、正常なミクログリア食作用能力及び炎症性サイトカイン産生の調節のために重要である。TREM2の喪失は、神経免疫応答及び神経変性の変化をもたらす。
【0579】
宿主細胞
本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用することができる細胞には、さらなる分化を受け得る細胞(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、またはミクログリア前駆細胞)または分化細胞(例えば、マクロファージまたはミクログリア)が含まれる。例えば、本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて使用することができる細胞の1つの型は、万能性細胞である。万能性細胞は、1種よりも多い分化した細胞型に成長する能力を有する細胞である。万能性細胞の例は、ESC及びiPSCである。ESC及びiPSCは、皮膚及び神経系を生じさせる外胚葉、消化管及び気道、内分泌腺、肝臓、及び膵臓を形成する内胚葉、ならびに骨、軟骨、筋肉、結合組織、及びほとんどの循環器系を形成する中胚葉の細胞に分化する能力を有する。本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用することができる別の型の細胞は、多能性細胞である。多能性細胞は、すべてではないが、複数の細胞型に分化する能力を持つ細胞である。多能性細胞の非限定的例は、CD34+細胞(例えば、HSCまたはMPC)である。
【0580】
本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用することができる細胞には、HSC及びMPCが含まれる。HSCは、自己再生し、かつ限定されないが、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞及びT細胞)を含む多様な細胞系を含む成熟血液細胞に分化する能力を有する未熟血液細胞である。ヒトHSCは、CD34+である。加えて、HSCはまた、長期再増殖HSC(LT-HSC)及び短期再増殖HSC(ST-HSC)も指す。これらのHSCのいずれも、本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用することができる。
【0581】
HSCは、CD34+でもある骨髄性前駆細胞に分化することができる。骨髄系前駆細胞はさらに、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、血小板産生巨核球、及び血小板)、単球(例えば、単球及びマクロファージ)、樹状細胞、及びミクログリアに分化することができる。一般的な骨髄系前駆細胞は、細胞表面分子により特徴づけることができ、lin-、SCA1-、c-kit+、CD34+、及びCD16/32midであることが公知である。
【0582】
HSC及び骨髄前駆細胞は血液製剤から得ることができる。血液製剤は、造血起源の細胞を含む身体または身体の臓器から得られる製品である。そのような供給源には、分画されていない骨髄、臍帯、胎盤、末梢血、または動員末梢血が含まれる。前述の粗製または未分画の血液製剤はすべて、いくつかの方法で、HSCまたは骨髄系前駆細胞の特徴を有する細胞について富化することができる。例えば、それらが発現する細胞表面分子に基づき、より成熟した分化細胞を選択することができる。血液製剤は、CD34+細胞を正で選択することにより分画することができ、これには、自己再生、多分化能が可能で、移植レシピエントに再導入されると造血幹細胞ニッチェに帰着し得て、生産的かつ持続的な造血を再確立することができる造血幹細胞の亜集団が含まれる。このような選択は、例えば、市販の磁性抗CD34ビーズ(Dynal, Lake Success, NY)を使用して達成される。骨髄系前駆細胞は、それらが発現するマーカーに基づいて単離することもできる。未分画の血液製剤は、ドナーから直接入手するか、凍結保存保管庫から回収することができる。HSC及び骨髄前駆細胞を、ES細胞、iPS細胞、または他の再プログラムされた成熟細胞型の分化により取得することもできる。
【0583】
本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用することができる細胞には、同種細胞及び自家細胞が含まれる。前述の細胞型はすべて、ミクログリアに分化し得る。本明細書に記載の細胞は、ミクログリア前駆細胞またはミクログリア幹細胞に分化することもある。分化は、エクスビボまたはインビボで起こってよい。ヒトESC及びiPSCのエクスビボ分化のための方法は当業者に知られており、その開示内容が多能性細胞をミクログリアに分化させる方法に関するため、参照により本明細書に組み込まれるMuffat et al., Nature Medicine 22:1358-1367 (2016)及びPandya et al., Nature Neuroscience (2017)(印刷前にepub)に記載されている。
【0584】
ミクログリア
本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用することができる細胞には、ミクログリアに分化することができるものまたは分化ミクログリアである細胞が含まれる。ミクログリアは、中枢神経系の免疫細胞または常在マクロファージとして機能する骨髄由来細胞である。ミクログリアは、遺伝的にも機能的にもマクロファージに非常に類似しており、炎症誘発性状態と抗炎症性状態との間を動的にシフトする能力を共有している。炎症誘発性状態は古典的活性化、またはM1として公知であり、抗炎症状態は代替活性化、またはM2と呼ばれる。ミクログリアは、細胞外シグナル、例えばとりわけ、隣接するニューロンまたは星状細胞、細胞片、毒素、感染症、虚血、及び外傷などからのシグナルにより、2つの状態の間でシフトされ得る。M1ミクログリアは多くの場合に、罹患した脳において、特にADなどの神経炎症を伴う疾患において観察される。古典的活性化M1表現型は、ダブルトランスジェニックAPP/PS1マウスなどのADのマウスモデルにおいても観察される。M1ミクログリアが神経炎症の原因または結果であるかどうかは不明であるが、ミクログリアが古典的に活性化されると、炎症誘発性サイトカイン、例えば、TNF-α、IL-1β、及びIL-6、ケモカイン、一酸化窒素を分泌し得て、これらが、持続的な炎症、ニューロンの損傷、及びM1ミクログリアのさらなる活性化につながり得る。この正のフィードバックループは、脳組織に有害であり得るので、したがって、M1活性化を低下させる、及び/またはM2活性化を上昇させる方法は、神経炎症を特徴とする疾患、例えば、AD、PLOSL、FTLD、またはPDなどの対象の助けとなり得る。
【0585】
哺乳動物細胞におけるTREM2の発現
ADまたはPLOSLの一部の患者では、TREM2活性が低下しており、AD脳は、古典的に活性化M1ミクログリアを含む。加えて、PLOSL患者からのミクログリアは、健康な対照と比較して、遅延しているが、増強した炎症応答を有するようである。本明細書に記載の組成物及び方法は、TREM2をコードする導入遺伝子(例えば、マクロファージまたは小神経膠細胞において発現し得る導入遺伝子)を含む細胞(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリア)を投与することにより、これらの機能障害を標的とする。NCDの処置における治療用途でこれらの薬剤を利用するために、これらの薬剤は、細胞の内部に、特定の例では、特定のオルガネラまたは形質膜に向けられ得る。そのようなタンパク質を哺乳動物細胞に送達するために、かつ哺乳動物細胞においてそのようなタンパク質をコードする遺伝子を安定発現させるために、幅広い方法が確立されている。
【0586】
TREM2をコードするポリヌクレオチド
哺乳動物細胞(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリア)でTREM2の治療上有効な細胞内濃度を達成するために使用することができるプラットフォームの1つは、これらの薬剤をコードする遺伝子の安定発現によるものである(例えば、哺乳動物細胞の核またはミトコンドリアゲノムへの統合により)。これらの遺伝子は、対応するタンパク質の一次アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドである。そのような外来遺伝子を哺乳動物細胞に導入するために、これらの遺伝子をベクターに組み込むことができる。ベクターは、形質転換、トランスフェクション、直接取り込み、プロジェクタイル衝撃法(projectile bombardment)を含む様々な方法により、及びリポソーム中でのベクターの封入により、細胞に導入することができる。細胞をトランスフェクトまたは形質転換する適切な方法の例は、リン酸カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、感染、リポフェクション、及び直接取り込みである。そのような方法は、例えば、それぞれの開示が参照により本明細書に組み込まれる Green et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Fourth Edition (Cold Spring Harbor University Press, New York (2014));及びAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons, New York (2015))にさらに詳細に記載されている。
【0587】
TREM2は、そのような薬剤をコードする遺伝子を含むベクターを細胞膜リン脂質にターゲティングすることにより、哺乳動物細胞に導入することもできる。例えば、ベクター分子を、すべての細胞膜リン脂質に親和性を持つウイルスタンパク質であるVSV-Gタンパク質に連結させることにより、ベクターを細胞膜の細胞外表面上のリン脂質にターゲティングすることができる。そのような構築物は、当業者に周知の方法を使用して生成することができる。
【0588】
哺乳動物RNAポリメラーゼによるTREM2をコードするポリヌクレオチドの認識及び結合が、遺伝子発現には重要である。したがって、これは、RNAポリメラーゼを動員する転写因子について高い親和性を示し、転写開始部位での転写複合体のアセンブリを促進する配列エレメントをポリヌクレオチド内に含むことができる。そのような配列エレメントには、例えば、その配列が特異的な転写開始因子及び最終的にはRNAポリメラーゼにより認識及び結合され得る哺乳動物プロモーターが含まれる。哺乳動物プロモーターの例は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれるSmith et al., Mol. Sys. Biol., 3:73 online publicationに記載されている。
【0589】
本明細書に記載の組成物及び方法で使用するために適したポリヌクレオチドには、哺乳動物プロモーターの下流でTREM2をコードするものも含まれる。哺乳動物細胞におけるTREM2の発現に有用なプロモーターには、例えば、伸長因子1-アルファ(EF1α)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ1(PGK)プロモーター、CD68分子(CD68)プロモーター(TREM2を発現するためのPGK及びCD68プロモーターの使用に関連するため、参照により本明細書に組み込まれるDahl et al., Molecular Therapy 23:835 (2015)を参照されたい)、C-X3-Cモチーフケモカイン受容体1(CX3CR1)プロモーター、CD11bプロモーター、同種移植炎症因子1(AIF1)プロモーター、プリン作動性受容体P2Y12(P2Y12)プロモーター、膜貫通タンパク質119(TMEM119)プロモーター、及びコロニー刺激因子1受容体(CSF1R)プロモーターが含まれる。別法では、ウイルスゲノムに由来するプロモーターも、哺乳動物細胞におけるこれらの薬剤の安定発現のために使用することができる。これらの薬剤の哺乳動物発現を促進するために使用することができる機能的ウイルスプロモーターの例は、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、シミアンウイルス40(SV40)プロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)のtkプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のロングターミナルリピート(LTR)プロモーター、モロニーウイルスのプロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、及びサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターである。別法では、哺乳動物細胞において使用するために最適化された合成プロモーターを、TREM2の安定発現のために使用することができる。
【0590】
TREM2をコードするポリヌクレオチドが哺乳動物細胞の核DNAに組み込まれたら、このポリヌクレオチドの転写を、当技術分野で公知の方法により誘導することができる。例えば、哺乳動物細胞を、転写因子、及び/またはRNAポリメラーゼの哺乳動物プロモーターへの結合を調節して、遺伝子発現を調節する薬剤などの外部化学試薬に曝露することにより、発現を誘導することができる。化学試薬は、例えばプロモーターに結合したリプレッサータンパク質を除去することにより、RNAポリメラーゼ及び/または転写因子の哺乳動物プロモーターへの結合を促進するために役立つ。別法では、化学試薬は、RNAポリメラーゼ及び/または転写因子についての哺乳動物プロモーターの親和性を上昇させて、プロモーターの下流に配置された遺伝子の転写率が化学試薬の存在下で上昇するようにするために役立ち得る。前記の機構によりポリヌクレオチド転写を増強する化学試薬の例は、テトラサイクリン及びドキシサイクリンである。これらの試薬は市販されており(Life Technologies,Carlsbad,CA)、確立されたプロトコルに従って遺伝子発現を促進するように哺乳動物細胞に投与することができる。
【0591】
本明細書に記載の組成物及び方法で使用するためのポリヌクレオチドに含めることができる他のDNA配列エレメントは、エンハンサー配列である。エンハンサーは、DNAが転写開始部位で転写因子及びRNAポリメラーゼの結合に好都合な3次元配向を採用するように、目的の遺伝子を含むポリヌクレオチドのコンフォメーション変化を誘導する調節エレメントの別のクラスを表す。したがって、本明細書に記載の組成物及び方法で使用するためのポリヌクレオチドには、TREM2をコードし、追加的に哺乳動物エンハンサー配列を含むものが含まれる。多くのエンハンサー配列が哺乳動物遺伝子から現在公知であり、例は、哺乳動物グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、及びインスリンをコードする遺伝子に由来するエンハンサーである。本明細書に記載の組成物及び方法で使用するためのエンハンサーには、真核細胞に感染することができるウイルスの遺伝物質に由来するものも含まれる。例は、複製起点の後半側のSV40エンハンサー(bp100~270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後半側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーである。真核生物の遺伝子転写の活性化を誘導する追加のエンハンサー配列は、Yaniv et al., Nature 297:17 (1982)に開示されている。エンハンサーは、例えば、この遺伝子の5’または3’位で、水形成NADHオキシダーゼをコードするポリヌクレオチドを含むベクターにスプライシングされ得る。好ましい配向では、エンハンサーはプロモーターの5’側に位置し、次いでこれは、TREM2をコードするポリヌクレオチドに対して5’側に配置される。
【0592】
細胞特異的遺伝子発現
干渉RNA(RNAi)は、小分子干渉RNA(siRNA)を細胞に送達して相補的mRNAの分解を引き起こすことにより内因性遺伝子の発現をノックダウンするために広く使用されている。追加の適用は、人工miRNAターゲット配列でタグ付けされた外因的に導入された導入遺伝子の発現を負に調節するために、内因性マイクロRNA(miRNA)の多様性を利用することである。これらのmiRNAターゲットタグ付き導入遺伝子は、組織、細胞系、活性化、または分化段階に特異的であり得る所与のmiRNAの活性に応じて、負に調節され得る。これらの人工miRNAターゲット配列(miRT)は、特異的miRNAによりターゲットとして認識されて、転写後遺伝子サイレンシングを誘導し得る。ターゲティングされた細胞での強力な導入遺伝子発現は有益な治療結果をもたらし得るが、HSPCまたは他の前駆細胞での異所性または無秩序な導入遺伝子発現などのオフターゲット発現は、細胞毒性効果を有し得、細胞挙動の変化及び治療効果の低下につながる導入遺伝子含有細胞の対抗選択をもたらし得る。HSPC及び前駆細胞では広く発現しているが、骨髄細胞系の細胞には存在しないmiRNAのためのmiRTの組み込みにより、HSPC及び他の前駆細胞での導入遺伝子発現の抑制が可能になり、導入遺伝子含有造血後代のサイレントで長期の貯留が可能になる一方で、成熟分化ターゲット細胞での強力な導入遺伝子発現が可能になる。miR-126は、HSPC、他の前駆細胞、及び赤血球細胞系の細胞で高度に発現するが、骨髄細胞系の細胞(例えば、マクロファージ及びミクログリア)には存在しない(Gentner et al., Science Translational Medicine. 2:58ra34 (2010))。例えば、導入遺伝子内に組み込まれたmiR-126ターゲティング配列は、骨髄細胞系の細胞における導入遺伝子のターゲティングされた発現及びHSPC及び他の前駆細胞における発現の抑制を可能にし、したがって、オフターゲットの細胞毒性効果を最小限にする。一部の実施形態では、TREM2剤をコードする導入遺伝子はmiR-126ターゲティング配列を含んでもよい。
【0593】
シグナルペプチド
TREM2をコードするポリヌクレオチドは、シグナルペプチドをコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを含んでもよい。シグナルペプチドは、16~30残基長のアミノ酸配列を有してよく、TREM2をコードするポリヌクレオチドの上流(すなわち、5’側)に配置されていてよい。これらのシグナルペプチドは、シグナル認識粒子による合成中の新生ポリペプチドの認識を可能にし、ERへの移行、輸送小胞へのパッケージング、及びターゲット細胞区画、脂質膜、または細胞外空間への移動をもたらす。タンパク質移動のための例示的なシグナルペプチドは、TREM2、IGF-II、アルファ-1アンチトリプシン、IL-2、IL-6、CD5、免疫グロブリン、トリプシノーゲン、血清アルブミン、プロラクチン、エラスチン、組織プラスミノーゲン活性化シグナルペプチド(tPA-SP)、及びインスリンに由来するものである。一部の実施形態では、TREM2をコードする導入遺伝子を含む細胞(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリア)を、失ったタンパク質を血流に注入することによりタンパク質欠損(例えば、TREM2)を補正するための治療戦略として利用することができる。血液が患者の組織を灌流すると、TREM2が細胞により取り込まれ、その活動部位に輸送される。
【0594】
分泌型TREM2bの血液脳関門透過のためのApoEタグ
一部の実施形態では、TREM2(例えば、TREM2融合タンパク質)を、血液脳関門(BBB)を透過するように改変する。BBB透過を媒介するための改変は、当技術分野で周知である。例示的な改変は、ApoEのRbドメイン(配列番号13のアミノ酸残基148~173)を含むタグの使用である。完全なApoEペプチド配列を下に示す。
MKVLWAALLVTFLAGCQAKVEQAVETEPEPELRQQTEWQSGQRWELALGRFWDYLRWVQTLSEQVQEELLSSQVTQELRALMDETMKELKAYKSELEEQLTPVAEETRARLSKELQAAQARLGADMEDVCGRLVQYRGEVQAMLGQSTEELRVRLASHLRKLRKRLLRDADDLQKRLAVYQAGAREGAERGLSAIRERLGPLVEQGRVRAATVGSLAGQPLQERAQAWGERLRARMEEMGSRTRDRLDEVKEQVAEVRAKLEEQAQQIRLQAEAFQARLKSWFEPLVEDMQRQWAGLVEKVQAAVGTSAAPVPSDNH
(配列番号13)
【0595】
ApoEは脂質輸送に関与する重要なタンパク質であり、その細胞内在化は、LDL受容体、超低密度リポタンパク質受容体(VLDLR)、及びLDL受容体関連タンパク質(LRP1、LRP2、及びLRP8を含むLRP)を含む、低密度リポタンパク質(LDL)受容体遺伝子ファミリーのいくつかのメンバーにより媒介される。LDL受容体は、脳毛細血管内皮細胞(BCEC)で高度に発現されることが見い出されており、末梢血管では発現の下方制御が観察されている。BCEC、ニューロン、グリア細胞で検出した場合、肝臓及び脳でも、LRPとVLDLRの発現の制限が顕著に示されている。LDLRを除いて、LRP1及びVLDLRを含む低密度リポタンパク質受容体ファミリー(LDLRf)タンパク質のいくつかのメンバーは、BBBを形成するBCECで高度に発現される。これらのタンパク質はApoEに結合して、BBBの反管腔側へのそれらのトランスサイトーシスを促進し得る。
【0596】
加えて、LRP1及びVLDLRの両方のアンタゴニスト及びリガンドである受容体関連タンパク質(RAP)は、インビボ及びインビトロでトランスフェリンよりもBBBを超えての透過性が高いことが示されており(Pan et al., J. Cell Sci. 117:5071-8 (2004))、これは、これらのリポタンパク質受容体(LDLRf)が、トランスフェリン受容体よりも発現が低いにもかかわらず、効率的なBBB送達ターゲットであり得ることを示している。本明細書に記載のとおり、ApoEに由来する強力なRbペプチドは、融合タンパク質として操作された場合、タンパク質をBBBを超えて脳に移動させる能力を有する。したがって、この方法は、融合タンパク質として操作された場合、治療薬(例えば、可溶性TREM2)のためにBBBを選択的に開くように機能し得る。このペプチドは、ApoEタンパク質全体ではなく、ApoEのRbドメインを利用するため、それらの生物学的機能を危険にさらしたり、またはApoEの重要な生物学的機能を妨害したりすることなく、診断薬または治療薬に容易に結合させることができる。この経路はまた、脳実質におけるLDLRfメンバーの広範な発現により、薬剤がCNSに到達した後のさらなる/二次的脳内分布を促進することができる代替の取り込み経路である。投与戦略、例えば酵素補充療法または細胞ベース遺伝子ベースの治療にかかわらず、脳実質内の治療薬の量と分布の両方が、疾患処置の臨床成果に大きな影響を有するはずである。BBBを超えるタンパク質のターゲティング化送達におけるApoEのRbドメインの開発及び使用の詳細な説明は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20140219974号において見出すことができる。
【0597】
一部の実施形態では、TREM2融合タンパク質は、配列番号13のLDLRf Rbドメインを含むペプチド配列、またはその断片、バリアント、もしくはオリゴマーを有する。例示的な受容体結合ドメインは、ApoEのN末端、例えば、配列番号13のアミノ酸残基1~191の間、配列番号13のアミノ酸残基25~185の間、配列番号13のアミノ酸残基50~180の間、配列番号13のアミノ酸残基75~175の間、配列番号13のアミノ酸残基100~170の間、または配列番号13のアミノ酸残基125~165の間で見出すことができる。例示的な受容体結合ドメインは、配列番号13の残基159~167のアミノ酸配列を有する。
【0598】
一部の実施形態では、ApoEの受容体結合ドメインを含むペプチド配列は、少なくとも1つのアミノ酸変異、欠失、付加、または置換を含んでよい。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、2つ以上の変異、欠失、付加、または置換の組み合わせであってよい。一部の実施形態では、少なくとも1つの置換は保存的置換である。一部の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸付加は、ApoEのRbドメインに既に見出される選択された配列の付加を含む。当業者は、BBBを超えての輸送のために、ある程度の生化学的活性を保持しながら配列に対して行うことができる適切な改変を認識するであろう。
【0599】
TREM2の発現用ベクター
高い転写及び翻訳率を達成することに加えて、哺乳動物細胞(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、または小神経膠細胞)における外因性遺伝子の安定発現を、遺伝子を含むポリヌクレオチドを哺乳動物細胞の核ゲノムに組み込むことにより達成することができる。外因性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを哺乳動物細胞の核DNAに送達及び組み込むための様々なベクターが開発されている。発現ベクターの例は、例えば、WO1994/011026に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の組成物及び方法で使用するための発現ベクターは、TREM2をコードするポリヌクレオチド配列、さらには例えば、これらの薬剤の発現及び/またはこれらのポリヌクレオチド配列の哺乳動物細胞のゲノムへの組み込みに使用される追加の配列エレメントを含む。TREM2の発現に使用することができるある特定のベクターには、プロモーター及びエンハンサー領域などの遺伝子転写を指示する調節配列を含むプラスミドが含まれる。TREM2の発現に有用な他のベクターは、これらの遺伝子の翻訳速度を高める、または遺伝子転写から生じるmRNAの安定性または核外輸送を改善するポリヌクレオチド配列を含む。これらの配列エレメントには、例えば、発現ベクター上で運ばれる遺伝子の効率的な転写を指示するために、5’及び3’非翻訳領域、IRES、及びポリアデニル化シグナル部位が含まれる。本明細書に記載の組成物及び方法で使用するために適した発現ベクターはまた、そのようなベクターを含む細胞を選択するためのマーカーをコードするポリヌクレオチドを含んでもよい。適切なマーカーの例は、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、ヌーセオトリシンなどの抗生物質に対する抵抗性をコードする遺伝子である。
【0600】
TREM2を発現させるためのウイルスベクター
ウイルスゲノムは、哺乳動物細胞(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、または小神経膠細胞)への外因性遺伝子の効率的な送達に使用することができるベクターの豊富な供給源を提供する。ウイルスゲノムは、そのようなゲノム内に含まれるポリヌクレオチドが典型的に、一般化または特殊化された形質導入により哺乳動物細胞の核ゲノムに組み込まれるため、遺伝子送達に特に有用なベクターである。これらのプロセスは、天然のウイルス複製サイクルの一部として生じ、遺伝子統合を誘導するために追加のタンパク質または試薬を必要としない。ウイルスベクターの例は、レトロウイルス(例えば、レトロウイルス科ウイルスベクター)、アデノウイルス(例えば、Ad5、Ad26、Ad34、Ad35、及びAd48)、パルボウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス)、コロナウイルス、オルソミクソウイルスなどのマイナス鎖RNAウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、ラブドウイルス(例えば、狂犬病及び水疱性口内炎ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、麻疹及びセンダイ)、ピコルナウイルス及びアルファウイルスなどのプラス鎖RNAウイルス、ならびにアデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス1型及び2型、エプスタインバーウイルス、サイトメガロウイルス)、及びポックスウイルス(ワクシニア、改変ワクシニアアンカラ(MVA)、鶏痘、カナリア痘)を含む二本鎖DNAウイルスである。他のウイルスには、例えば、ノーウォークウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、レオウイルス、パポバウイルス、ヘパドナウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒト泡沫状ウイルス、及び肝炎ウイルスが含まれる。レトロウイルスの例は、トリ白血病肉腫、トリC型ウイルス、哺乳動物C型、B型ウイルス、D型ウイルス、オンコレトロウイルス、HTLV-BLVグループ、レンチウイルス、アルファレトロウイルス、ガンマレトロウイルス、スプマウイルスである(Coffin, J. M., Retroviridae: The viruses and their replication, Virology, Third Edition (Lippincott-Raven, Philadelphia, (1996)))。他の例は、マウス白血病ウイルス、マウス肉腫ウイルス、マウス乳房腫瘍ウイルス、ウシ白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、ヒヒ内因性ウイルス、ギボンサル白血病ウイルス、メイソンファイザーサルウイルス、サル免疫不全ウイルス、サル肉腫ウイルス、ラウス肉腫ウイルス及びレンチウイルスである。ベクターの他の例は、例えば、その教示が参照により本明細書に組み込まれるMcVey et al., (US 5,801,030)に記載されている。
【0601】
レトロウイルスベクター
本明細書に記載の方法及び組成物で使用される送達ベクターは、レトロウイルスベクターであってもよい。本明細書に記載の方法及び組成物で使用することができるレトロウイルスベクターの1つの型は、レンチウイルスベクターである。レトロウイルスのサブセットであるレンチウイルスベクター(LV)は、広範囲の分裂細胞型及び非分裂細胞型を高効率で形質導入し、導入遺伝子の安定した長期発現をもたらす。LVをパッケージング及び形質導入するための最適化戦略の概要は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれるDelenda, The Journal of Gene Medicine 6: S125 (2004)に提示されている。
【0602】
レンチウイルスベースの遺伝子導入技術の使用は、目的の導入遺伝子が収容されている高度に欠失したウイルスゲノムを運ぶ組換えレンチウイルス粒子のインビトロ生成に依存している。特に、組換えレンチウイルスは、(1)パッケージング構築物、すなわち、Gag-Pol前駆体をRevと共に発現するベクター(代替では、トランスで発現);(2)一般に異種の性質のエンベロープ受容体を発現するベクター;及び(3)すべてのオープンリーディングフレームが除去されているが、複製、キャプシド形成、及び発現に必要な配列を維持し、発現されるべき配列が挿入されているウイルスcDNAであるトランスファーベクターの許容細胞株でのイントランス共発現により回収される。
【0603】
本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるLVは、5’-長末端反復(LTR)、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位(SD)、デルタ-GAGエレメント、Revレスポンシブエレメント(RRE)、3’-スプライス部位(SA)、伸長因子(EF)1-アルファプロモーター及び3’-自己不活性化LTR(SIN-LTR)のうちの1つまたは複数を含んでもよい。レンチウイルスベクターは、その開示内容がWPREに関連するため参照により本明細書に組み込まれるUS6,136,597に記載されているとおり、中央ポリプリン路(cPPT)及びウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)を任意選択で含む。レンチウイルスベクターは、例えば下に示すとおりのものを含み得るpHR’主鎖をさらに含んでもよい。
【0604】
Lu et al., Journal of Gene Medicine 6:963 (2004)に記載のレンチゲンLVを使用して、DNA分子を発現させる、及び/または細胞を形質導入することもできる。本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるLVは、5’-長末端反復(LTR)、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位(SD)、デルタ-GAGエレメント、Revレスポンシブエレメント(RRE)、3’-スプライス部位(SA)、伸長因子(EF)1-アルファプロモーター及び3’-自己不活性化LTR(SIN-LTR)を含んでもよい。任意選択で、これらの領域の1つまたは複数が、同様の機能を実行する別の領域で置換されることは、当業者には容易に明らかであろう。
【0605】
TREM2は、十分に高いレベルで発現する必要がある。導入遺伝子の発現は、プロモーター配列により駆動される。任意選択で、LVは、CMVプロモーターを含む。プロモーターは、EF1αまたはPGKプロモーターであってもよい。別の実施形態では、プロモーターは、ミクログリア特異的プロモーター、例えば、CD68プロモーター、CX3CR1プロモーター、ITGAMプロモーター、AIF1プロモーター、P2Y12プロモーター、TMEM119プロモーター、またはCSF1Rプロモーターである。当業者は、本明細書に記載のベクター構築物において適切である多くのプロモーターに精通しているであろう。
【0606】
改変DNA分子の発現を増加させる、またはレンチウイルスの組み込み効率を高めるために、エンハンサーエレメントを使用することができる。本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるLVは、nef配列を含んでもよい。本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるLVは、ベクター統合を増強するcPPT配列を含んでもよい。cPPTは、(+)-鎖DNA合成の第2の起点として機能し、その天然HIVゲノムの中央に部分的なストランドオーバーラップを導入する。トランスファーベクター主鎖にcPPT配列を導入すると、核輸送及びターゲット細胞のDNAに組み込まれるゲノムの総量が大幅に増加した。本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるLVは、ウッドチャック転写後調節エレメント(WPRE)を含んでもよい。WPREは、転写物の核輸出を促進することにより、及び/または新生転写物のポリアデニル化の効率を高めることにより、転写レベルで機能し、したがって、細胞内のmRNAの総量を増加させる。LVにWPREを付加すると、インビトロ及びインビボの両方で、いくつかの異なるプロモーターからの導入遺伝子発現レベルが大幅に改善される。本明細書に記載される方法及び組成物において使用されるLVは、cPPT配列及びWPRE配列の両方を含んでもよい。ベクターはまた、単一のプロモーターからの複数のポリペプチドの発現を可能にするIRES配列を含んでもよい。
【0607】
IRES配列に加えて、複数のポリペプチドの発現を可能にする他のエレメントが有用である。本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるベクターは、1種よりも多いポリペプチドの発現を可能にする複数のプロモーターを含んでもよい。本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるベクターは、1種よりも多いポリペプチドの発現を可能にするタンパク質切断部位を含んでもよい。1種よりも多いポリペプチドの発現を可能にするタンパク質切断部位の例は、それらの開示が1種よりも多いポリペプチドの発現を可能にするタンパク質切断部位に関するため、参照により本明細書に組み込まれるKlump et al., Gene Ther.;8:811 (2001)、Osborn et al., Molecular Therapy 12:569 (2005)、Szymczak and Vignali Expert Opin Biol Ther. 5:627 (2005)、及びSzymczak et al. Nat Biotechnol. 22:589 (2004)に記載されている。当業者には、将来同定される複数のポリペプチドの発現を可能にする他のエレメントが有用であり、本明細書に記載の組成物及び方法での使用に適したベクターで利用することができることは容易に明らかであろう。
【0608】
本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるベクターは、臨床グレードのベクターであってもよい。
【0609】
ウイルス調節エレメント
ウイルス調節エレメントは、核酸分子を宿主細胞(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、または小神経膠細胞)に導入するために使用される送達担体の成分である。ウイルス調節エレメントは任意選択で、レトロウイルス調節エレメントである。例えば、ウイルス調節エレメントは、HSC1またはMSCVからのLTR及びgag配列であってもよい。レトロウイルス調節エレメントはレンチウイルスに由来してもよいし、または他のゲノム領域から同定される異種配列であってもよい。当業者は、他のウイルス調節エレメントが同定されたとき、それらを本明細書に記載の核酸分子と共に使用することができることも理解するであろう。
【0610】
核酸送達のためのアデノ随伴ウイルスベクター
本明細書に記載の組成物及び方法の核酸を、細胞(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、または小神経膠細胞)へのそれらの導入を容易にするために、rAAVベクター及び/またはビリオンに組み込むことができる。AAVベクターは中枢神経系で使用することができ、適切なプロモーター及び血清型は、その開示内容がCNS遺伝子治療において有用なプロモーター及びAAV血清型に関するため参照により本明細書に組み込まれるPignataro et al., J Neural Transm (2017)(印刷前にepub)において論述されている。本明細書に記載の組成物及び方法において有用なrAAVベクターは、(1)発現されるべき異種配列(例えば、TREM2をコードするポリヌクレオチド)及び(2)異種遺伝子の統合及び発現を促進するウイルス配列を含む組換え核酸構築物である。ウイルス配列は、ビリオンへのDNAの複製及びパッケージング(例えば、機能的ITR)のためにシスで必要とされるAAVの配列を含んでよい。そのようなrAAVベクターはまた、マーカーまたはレポーター遺伝子を含んでもよい。有用なrAAVベクターは、AAV WT遺伝子の1つまたは複数を全体的または部分的に欠失しているが、機能的隣接ITR配列は保持する。AAV ITRは、特定の用途に適した任意の血清型のものであってよい。rAAVベクターを使用する方法は、例えば、それぞれの開示が遺伝子送達のためのAAVベクターに関係するため、参照により本明細書に組み込まれる Tai et al., J. Biomed. Sci. 7:279 (2000)、及びMonahan and Samulski, Gene Delivery 7:24 (2000)に記載されている。
【0611】
本明細書に記載の核酸及びベクターを、細胞への核酸またはベクターの導入を容易にするために、rAAVビリオンに組み込むことができる。AAVのキャプシドタンパク質は、ビリオンの外側の非核酸部分を構成し、AAV cap遺伝子によりコードされる。cap遺伝子は、ビリオンのアセンブリに必要な3つのウイルスコートタンパク質、VP1、VP2、及びVP3をコードする。rAAVビリオンの構築は、例えば、それぞれの開示が遺伝子送達のためのAAVベクターに関連するため、参照により本明細書に組み込まれるUS5,173,414;US5,139,941;US5,863,541;US5,869,305;US6,057,152;及びUS6,376,237さらにはRabinowitz et al., J. Virol. 76:791 (2002)及びBowles et al., J. Virol. 77:423 (2003)に記載されている。
【0612】
本明細書に記載の組成物及び方法と併せて有用なrAAVビリオンには、AAV 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10及びrh74を含む様々なAAV血清型に由来するものが含まれる。中枢神経系に配置されている、または中枢神経系に送達される細胞をターゲティングするためには、AAV2、AAV9、及びAAV10が特に有用であり得る。種々の血清型のAAVベクター及びAAVタンパク質の構築及び使用は、例えば、それぞれの開示が遺伝子送達のためのAAVベクターに関連するため、参照により本明細書に組み込まれるChao et al., Mol. Ther. 2:619 (2000);Davidson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:3428 (2000);Xiao et al., J. Virol. 72:2224 (1998);Halbert et al., J. Virol. 74:1524 (2000);Halbert et al., J. Virol. 75:6615 (2001);及びAuricchio et al., Hum. Molec. Genet. 10:3075 (2001)に記載されている。
【0613】
偽型rAAVベクターも、本明細書に記載される組成物及び方法と併せて有用である。偽型ベクターには、所与の血清型以外の血清型に由来するキャプシド遺伝子で偽型化された所与の血清型のAAVベクターが含まれる(例えば、とりわけAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、及びAAV10)。偽型rAAVビリオンの構築及び使用に関する技術は当技術分野で知られており、例えば、Duan et al., J. Virol. 75:7662 (2001);Halbert et al., J. Virol. 74:1524 (2000);Zolotukhin et al., Methods, 28:158 (2002);及びAuricchio et al., Hum. Molec. Genet. 10:3075 (2001)に記載されている。
【0614】
ビリオンキャプシド内に変異を有するAAVビリオンを使用して、非変異型キャプシドビリオンよりも効果的に特定の細胞型を感染させることができる。例えば、適切なAAV変異体は、特異的な細胞型へのAAVのターゲティングを容易にするためのリガンド挿入変異を有してもよい。挿入変異体、アラニンスクリーニング変異体、及びエピトープタグ変異体を含むAAVキャプシド変異体の構築及び特徴づけは、Wu et al., J. Virol. 74:8635 (2000)に記載されている。本明細書に記載の方法で使用することができる他のrAAVビリオンには、ウイルスの分子育種により、さらにはエクソンシャッフリングにより生成されるキャプシドハイブリッドが含まれる。例えば、Soong et al., Nat. Genet., 25:436 (2000)及びKolman and Stemmer, Nat. Biotechnol. 19:423 (2001)を参照されたい。
【0615】
ターゲット細胞に外因性核酸を送達するための方法
コドン最適化DNAまたはRNA(例えば、mRNA、tRNA、siRNA、miRNA、shRNA、化学改変RNA)などのポリヌクレオチドを哺乳動物細胞(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、または小神経膠細胞)に導入するために使用することができる技術は、当技術分野で周知である。例えば、エレクトロポレーションを使用して、目的の細胞に静電位を印加することにより、哺乳動物細胞(例えば、ヒトターゲット細胞)を透過性にすることができる。この様式で外部電場にかけられたヒト細胞などの哺乳動物細胞はその後、外因性核酸を取り込みやすくなる。哺乳動物細胞のエレクトロポレーションは、例えば、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれるChu et al., Nucleic Acids Research 15:1311 (1987)に詳細に記載されている。同様の技術であるNucleofection(商標)は、真核細胞の核への外因性ポリヌクレオチドの取り込みを刺激するために、印加電場を利用する。Nucleofection(商標)及びこの技術を実行するために有用なプロトコルは、例えば、それぞれの開示が参照により本明細書に組み込まれるDistler et al., Experimental Dermatology 14:315 (2005)、さらにはUS2010/0317114に詳細に記載されている。
【0616】
ターゲット細胞のトランスフェクションに有用な追加の技術は、スクイーズ-ポレーション法である。この技術は、加えられたストレスに応答して形成される膜孔を通して外因性DNAの取り込みを刺激するために、細胞の急速な機械的変形を誘導する。この技術は、ヒトターゲット細胞などの細胞への核酸の送達にベクターが必要とされないということにおいて有利である。スクイーズ-ポレーションは、例えば、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれるSharei et al., Journal of Visualized Experiments 81:e50980 (2013)に詳細に記載されている。
【0617】
リポフェクションは、ターゲット細胞のトランスフェクションに有用な別の技術である。この方法は、多くの場合に第4級またはプロトン化アミンなどのカチオン性官能基をリポソーム外部に向かって提示するリポソームに、核酸を負荷することを伴う。これは、細胞膜のアニオン性の性質により、リポソームと細胞との間の静電相互作用を促進し、最終的に、例えば、リポソームと細胞膜の直接融合により、または複合体のエンドサイトーシスにより、外因性核酸の取り込みにつながる。リポフェクションは、例えば、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,442,386号に詳細に記載されている。細胞膜とのイオン相互作用を利用して外来核酸の取り込みを誘発する同様の技術は、細胞をカチオン性ポリマー-核酸複合体と接触させることである。ポリヌクレオチドと会合して細胞膜との相互作用に好ましい正電荷を付与する例示的なカチオン性分子は、活性化デンドリマー(例えば、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれるDennig, Topics in Current Chemistry 228:227 (2003)に記載)ポリエチレンイミン、及びジエチルアミノエチル(DEAE)-デキストランであり、トランスフェクション剤としてのその使用は、例えば、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれるGulick et al., Current Protocols in Molecular Biology 40:1:9.2:9.2.1 (1997)に詳細に記載されている。磁気ビーズは、穏やかで効率的な様式でターゲット細胞をトランスフェクトするために使用することができる別のツールである。それというのも、この方法は、核酸の取り込みを指示するため印加された磁場を利用するためである。この技術は、例えば、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれるUS2010/0227406で詳細に説明されている。
【0618】
ターゲット細胞による外因性核酸の取り込みを誘導するための別の有用なツールは、光トランスフェクションとも呼ばれるレーザーフェクションであり、これは細胞を穏やかに透過性にし、ポリヌクレオチドを細胞膜に透過させるために、細胞を特定の波長の電磁放射線に曝露することを含む技術である。この技術の生物活性は、エレクトロポレーションと同様であり、場合によっては、エレクトロポレーションより優れているとみられる。
【0619】
インペールフェクションは、遺伝物質をターゲット細胞に送達するために使用することができる別の技術である。これは、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、ナノワイヤーなどのナノ材料の使用に依存している。針状のナノ構造を、基質の表面に対して垂直に合成する。細胞内送達が意図されている遺伝子を含むDNAを、ナノ構造表面に付着させる。次いで、これらの針のアレイを備えたチップを細胞または組織に押し付ける。ナノ構造を突き刺された細胞は、送達された遺伝子(複数可)を発現することができる。この技術の例は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれるShalek et al., PNAS 107:25 1870 (2010)に記載されている。
【0620】
マグネトフェクションも、核酸をターゲット細胞に送達するために使用することができる。マグネトフェクションの原理は、核酸をカチオン性磁性ナノ粒子と会合させることである。磁性ナノ粒子は、完全に生分解性である酸化鉄から作製され、用途に応じて変化する特異的なカチオン性独自の分子(proprietary molecules)でコーティングされる。遺伝子ベクター(DNA、siRNA、ウイルスベクターなど)とのそれらの会合は、塩誘導性コロイド凝集及び静電相互作用により達成される。次いで、磁石により生じる外部磁場の影響により、磁性粒子がターゲット細胞で濃縮される。この技術は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれるScherer et al., Gene Therapy 9:102 (2002)に詳細に説明されている。
【0621】
ターゲット細胞による外因性核酸の取り込みを誘導するための別の有用なツールは、ソノポレーションであり、これは、細胞原形質膜の透過性を変更するために音(典型的には超音波周波数)を使用して細胞を透過性にし、ポリヌクレオチドが細胞膜を透過することを可能にする技術である。この技術は、例えば、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれるRhodes et al., Methods in Cell Biology 82:309 (2007)に詳細に説明されている。
【0622】
微小胞は、本明細書に記載の方法に従ってターゲット細胞のゲノムを改変するために使用され得る別の潜在的な担体を表す。例えば、糖タンパク質VSV-Gと、例えばヌクレアーゼなどのゲノム改変タンパク質との同時過剰発現により誘導される微小胞を使用して、後で内因性ポリヌクレオチド配列の部位特異的切断を触媒するタンパク質を細胞に効率的に送達して、遺伝子または調節配列などの目的のポリヌクレオチドの共有結合的組み込みのために細胞のゲノムを準備することができる。真核細胞の遺伝子改変ではジェシクルとも称されるそのような小胞の使用は、例えば、Quinn et al., Genetic Modification of Target Cells by Direct Delivery of Active Protein [abstract]: Methylation changes in early embryonic genes in cancer [abstract] : Proceedings of the 18th Annual Meeting of the American Society of Gene and Cell Therapy;2015 May 13, Abstract No. 122に詳細に記載されている。
【0623】
遺伝子編集技術を使用した遺伝子発現の調節
内因性TREM2の破壊
一部の実施形態では、内因性TREM2を破壊する(例えば、処置中の対象のニューロンの集団においてなど、処置を受けている対象において、または対象に投与される細胞において)。内因性TREM2発現を破壊するための例示的な方法は、阻害性RNA分子を対象に投与するか、または対象のニューロンの集団または対象に投与される細胞の集団と接触させる方法である。阻害性RNA分子は、内因性TREM2発現を破壊するように機能し得る、例えば、RNA干渉(RNAi)経路を介して作用し得る。阻害性RNA分子は、内因性TREM2の発現レベル(例えば、タンパク質レベルまたはmRNAレベル)を低下させ得る。例えば、阻害性RNA分子には、全長の内因性TREM2をターゲティングする短鎖干渉RNA、短鎖ヘアピンRNA、及び/またはmiRNAが含まれる。siRNAは、典型的には約19~25塩基対の長さを持つ二本鎖RNA分子である。shRNAは、RNAiを介してターゲット遺伝子の発現を減少させるヘアピンターンを含むRNA分子である。shRNAは、プラスミド、例えば、ウイルスまたは細菌ベクターなどの形態で、例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、または形質導入により細胞に送達することができる。miRNAは、典型的には約22ヌクレオチドの長さを有する非コーディングRNA分子である。miRNAは、mRNA分子上のターゲット部位に結合し、例えば、mRNAの切断、mRNAの不安定化、またはmRNAの翻訳の阻害を引き起こすことにより、mRNAをサイレンシングする。阻害性RNA分子は、改変ヌクレオチド、例えば、2’-フルオロ、2’-o-メチル、2’-デオキシ、アンロックド核酸、2’-ヒドロキシ、ホスホロチオエート、2’-チオウリジン、4’-チオウリジン、2’-デオキシウリジンを含むように改変することができる。理論に束縛されることはないが、ある特定の改変はヌクレアーゼ抵抗性及び/または血清安定性を上昇させることができるか、または免疫原性を低下させることができると考えられる。
【0624】
一部の実施形態では、阻害性RNA分子は、内因性TREM2のレベル及び/または活性もしくは機能を低下させる。実施形態では、阻害性RNA分子は、内因性TREM2の発現を阻害する。他の実施形態では、阻害性RNA分子は、内因性TREM2の分解を増加させる、及び/または内因性TREM2の安定性を低下させる。阻害性RNA分子を、化学的に合成するか、またはインビトロで転写することができる。
【0625】
一部の実施形態では、内因性TREM2を、例えば、本明細書に記載の遺伝子編集技術を使用して、TREM2導入遺伝子を含む細胞において破壊する。一部の実施形態では、内因性TREM2を、例えば、本明細書に記載の遺伝子編集技術を使用して、対象において全体的に破壊する。一部の実施形態では、内因性TREM2を、例えば、本明細書に記載の遺伝子編集技術を使用して、対象のニューロンの集団で破壊する。一部の実施形態では、対象、ニューロン、及び/またはTREM2導入遺伝子を含む細胞における内因性TREM2の破壊を、細胞を対象に投与する前に行う。
【0626】
リボザイム、RNAse P、siRNA、miRNAなどの非コーディングRNAに基づく阻害性治療薬の作製及び使用も、例えば、Sioud, RNA Therapeutics: Function, Design, and Delivery (Methods in Molecular Biology). Humana Press 2010に記載のとおり、当技術分野で公知である。
【0627】
ヌクレアーゼ媒介遺伝子調節
細胞のゲノムへのターゲット遺伝子の破壊及び/または統合のための別の有用なツールは、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)/Casシステムであり、これは、元々はウイルス感染に対する細菌と古細菌における適応防御機構として進化したシステムである。CRISPR/Casシステムは、プラスミドDNA及びCRISPR関連タンパク質(Cas;例えば、Cas9またはCas12a)内の回文リピート配列を含む。このDNA及びタンパク質の集合体は、最初に外来DNAをCRISPR遺伝子座に組み込むことにより、ターゲット配列の部位特異的DNA切断を指示する。次いで、これらの外来配列及びCRISPR遺伝子座のリピート-スペーサーエレメントを含むポリヌクレオチドを宿主細胞に転写してガイドRNAを作製し、その後これを、ターゲット配列にアニーリングし、Casヌクレアーゼをこの部位に局在化させることができる。このように、CasをターゲットDNA分子に近接させる相互作用はRNA:DNAハイブリダイゼーションに支配されるので、高度に部位特異的なCas媒介DNA切断を外来ポリヌクレオチドにおいて操作することができる。結果として、理論的にはCRISPR/Casシステムを、目的の任意のターゲットDNA分子(例えば、内因性TREM2)を切断するために設計することができる。この技術は、真核生物のゲノムを編集するために利用されており(その開示内容が参照により本明細書に組み込まれるHwang et al. Nature Biotechnology 31:227 (2013))、細胞ゲノムを部位特異的に編集して、ターゲット遺伝子をコードする遺伝子の取り込み前にDNA切断をするための効率的な手段として使用することができる。遺伝子発現を調節するためのCRISPR/Casの使用は、例えば、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれるUS8,697,359に記載されている。細胞に目的の遺伝子を組み込む前に、ゲノムDNAを部位特異的に切断することによりターゲットDNSを破壊するための代替方法には、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)及び転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)の使用が含まれる。CRISPR/Casシステムとは異なり、これらの酵素は、特異的なターゲット配列に局在化するための誘導ポリヌクレオチドを含まない。代わりに、ターゲット特異性は、これらの酵素内のDNA結合ドメインにより制御される。ゲノム編集用途でのZFN及びTALENの使用は、例えば、その両方の開示が参照により本明細書に組み込まれるUrnov et al. Nature Reviews Genetics 11:636 (2010);及びJoung et al. Nature Reviews Molecular Cell Biology 14:49 (2013)に記載されている。一部の実施形態では、内因性TREM2を、本明細書に記載のこれらの遺伝子編集技術を使用して、TREM2導入遺伝子を含む細胞において破壊することができる。
【0628】
トランスポゾン媒介遺伝子調節
ウイルスベクターに加えて、外因性遺伝子を細胞(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリア)に組み込むために使用することができる様々な追加のツールが開発されている。ターゲット遺伝子をコードするポリヌクレオチドを細胞に組み込むために使用することができるそのような方法の1つは、トランスポゾンの使用を含む。トランスポゾンは、トランスポザーゼ酵素をコードするポリヌクレオチドであり、目的のポリヌクレオチド配列または遺伝子を5’及び3’切除部位に隣接して含む。トランスポゾンが細胞に送達されると、トランスポザーゼ遺伝子の発現が始まり、トランスポゾンから目的の遺伝子を切断する活性酵素が生じる。この活性は、トランスポザーゼによるトランスポゾン切除部位の部位特異的認識により媒介される。ある特定の場合には、これらの切除部位は、末端リピートまたは逆位末端リピートであってもよい。トランスポゾンから切除されると、目的の遺伝子は、細胞の核ゲノム内に存在する同様の切除部位のトランスポザーゼ触媒切断により、哺乳動物細胞のゲノムに統合され得る。これにより、目的の遺伝子が相補的切除部位で切断された核DNAに挿入されることが可能になり、その後、目的の遺伝子を哺乳動物細胞ゲノムのDNAに結合するホスホジエステル結合の共有ライゲーションで、組み込みプロセスは完了する。ある特定の場合には、トランスポゾンはレトロトランスポゾンであってもよく、その結果、ターゲット遺伝子をコードする遺伝子は、最初にRNA産物に転写され、次いで、哺乳動物細胞ゲノムへの組み込み前にDNAに逆転写される。トランスポゾンシステムには、ピギーバックトランスポゾン(例えば、WO2010/085699に詳細に記載)及びスリーピングビューティートランスポゾン(例えば、US2005/0112764に詳細に記載)が含まれ、それぞれの開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0629】
診断方法
当技術分野で周知の方法、例えば、The Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,Fifth Edition and the International Classification of Diseases,11th Revisionに記載の方法などを使用して、対象を、NCD(例えば、AD、PLOSL、FTLD、またはPD)を有すると診断することができる。例えば、対象におけるNCDの診断は、対象における認知機能障害の程度を評価する神経心理学的検査によりガイドされ得る。対象の認知機能を、限定されないが、複雑性注意、実行機能、学習及び記憶、言語、知覚運動機能、ならびに社会的認知を含む1つまたは複数の認知ドメインにわたる処理能力を評価する認知検査を実行することにより評価することができる。対象における認知機能を、対象の年齢、病歴、教育、社会経済的状況、及び生活様式に適した規格(例えば、基準集団、例えば、一般集団など)に対して比較して、対象におけるNCDに関する診断を決定することができる。対象を、重度NCDまたは軽度NCDを有すると診断することができる。重度NCDは、個人の自立及び/または正常な日常機能を妨害し、せん妄または他の精神障害によるものではない重大な認知低下により特徴づけられる。軽度NCDは、対象の自立及び/または正常な日常機能を妨害せず、せん妄または他の精神障害によるものではない中等度の認知低下により特徴づけられる。重度NCDは、対象により認知検査で得られたスコアが、基準集団の平均スコア(例えば、一般集団の平均スコア)から標準偏差2よりも離れていること、またはスコアが基準集団のスコアの分布の第3パーセンタイルにあることにより特徴づけられ得る。軽度NCDは、対象により認知検査で得られたスコアが、基準集団の平均スコア(例えば、一般集団の平均スコア)から標準偏差1~2離れていること、またはスコアが基準集団のスコアの分布の第3~16パーセンタイルであることにより特徴づけられ得る。認知検査の非限定的例には、Eight-item Informant Interview to Differentiate Aging and Dementia(AD8)、Annual Wellness Visit(AWV)、General Practitioner Assessment of Cognition(GPCOG)、Health Risk Assessment(HRA)、Memory Impairment Screen(MIS)、Mini Mental Status Exam(MMSE)、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)、St. Louis University Mental Status Exam(SLUMS)、及びShort Informant Questionnaire on Cognitive Decline in the Elderly(Short IQCODE)が含まれる。加えて、または別法では、F18-フルオロデオキシグルコースPETスキャンまたはMRIスキャンの使用も、NCDを有する対象における神経変性の存在を決定するために使用することができる。
【0630】
さらに、対象を、目的の特定のNCDに特異的なバイオマーカーの存在について検査することができる。例えば、対象を、対象がADを有することを示すバイオマーカーの存在、例えば、対象の前脳におけるAβ斑または超リン酸化タウタンパク質のNFTの存在、対象におけるAPP、PSEN1、PSEN2、及び/またはTREM2遺伝子の変異の存在、さらにはAPOEのε4アレルの変化について検査することができる。対象がPLOSLを有するかを決定するために、対象をまた、脂質を含むマクロファージの存在、軸索球状物の存在、アキソン及びミエリンの喪失、白質変性、及び/またはTREM2遺伝子の変異について検査することができる。さらに、PLOSL患者は、早期疾患段階中に嚢胞性骨病変を示すことが公知であり、その存在を、PLOSLを有する患者の診断をガイドするために使用することができる。
【0631】
処置の方法
対象の選択
本明細書に記載のとおりに処置することができる対象は、NCD(例えば、AD、PLOSL、FTLD、またはPD)を有するか、または発症するリスクのある対象である。NCDの型は、TREM2関連NCD(例えば、TREM2関連AD、PLOSL、FTLD、またはPD)、散発性NCD(例えば、散発性AD、PLOSL、FTLD、またはPD)、環境因子に起因するNCD、または非TREM2変異、例えば、ADまたはPLOSLと関連する遺伝子のうちの1つまたは複数における変異と関連するNCDであり得る。本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、正常なTREM2活性、低下したTREM2活性を有する対象、及びTREM2変異状態及び/またはTREM2活性レベルが不明である対象を処置することができる。本明細書に記載の組成物及び方法はまた、NCDを発症するリスクのある対象、例えば、TREM2変異を有する対象、TREM2活性が低下した対象、NCDと関連する遺伝子のうちの1つまたは複数の変異を有する対象、またはNCDと関連する環境毒素に曝露された対象に予防的処置として投与することもできる。NCDのリスクのある対象は、NCDの初期症状を示し得るが、処置が施されたときにはまだ症状を示さない可能性がある。
【0632】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物を、例えば、単一のアミノ酸置換(例えば、p.R47H、p.R62H、p.T66M、p.T66M、p.Y38C、p.T96K、p.D87N、p.H157Y、p.R98W、p.T96K、p.D87N、p.L211P、p.R136Q、またはp.N68K)を含むTREM2変異を有する対象に投与することができる。加えて、本明細書に記載の方法及び組成物を、例えば、単一のヌクレオチド置換または欠失(例えば、c.40G>T、c.C97>T、c.132G>A、c.267delGm c.313delG、c.377T>G、c.401A>G、c.482+2T>C、c.558GA)を含むTREM2変異を有する対象に投与することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物を、TREM2遺伝子において任意の他の病原性変異を持つ対象に投与することができる。例えば、TREM2遺伝子における病原性変異は、その開示内容がAD関連またはPLOSL関連ヒトTREM2変異に関するので、参照により本明細書に組み込まれるGuerreiro et al., The New England Journal of Medicine 368, 117-27, (2013), Jonsson et al., The New England Journal of Medicine, 368(2), 107-16, Ulrich et al., Neuron Review 94, 237:48, (2017),及びXing et al., Research and Reports in Biochemistry, 5, 89-100, (2015)において論述されている変異のいずれであってもよい。
【0633】
投与経路
本明細書に記載の細胞及び組成物は、脳室内、髄腔内、実質内、定位的、静脈内、骨内などの様々な経路により、または骨髄移植により、NCD(例えば、AD、PLOSL、FTLD、またはPD)を有する対象に投与することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の細胞及び組成物を、全身的に(例えば、静脈内)、中枢神経系(CNS)に直接(例えば、脳室内、髄腔内、実質内、または定位的)、または骨髄に直接(例えば、骨内)投与することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の細胞及び組成物を大脳側脳室へと脳室内で、対象に投与する(この方法の説明は、マウスモデルの大脳側脳室への造血幹細胞及び前駆細胞の脳室内注入に関連するため、参照により本明細書に組み込まれるCapotondo et al., Science Advances 3:e1701211 (2017)において見い出すことができる)。任意の所与の症例における最適な投与経路は、投与される特定の細胞または組成物、対象、医薬製剤方法、投与方法(例えば、投与時間及び投与経路)、対象の年齢、体重、性別、処置される疾患の重症度、対象の食事、及び対象の排泄速度に依存する。複数の投与経路を使用して、例えば、脳室内もしくは定位注射と静脈内注射、脳室内もしくは定位注射と骨内注射、脳室内もしくは定位注射と骨髄移植、脳室内もしくは定位注射と実質内注射、髄腔内注射と静脈内注射、髄腔内注射と骨内注射、髄腔内注射と骨髄移植、髄腔内注射と実質内注射、実質内注射と静脈内注射、実質内注射と骨内注射、または実質内注射と骨髄移植で、単一の対象を処置することができる。複数の投与経路を使用して、単一の対象を一度に処置することもできるし、または対象は、最初に1つの投与経路を介して処置を受け、2回目の受診時に、例えば1週間後、2週間後、1ヶ月後、6ヶ月後、または1年後に、別の投与経路を介して処置を受けてもよい。NCDの処置のために、細胞を対象に1回投与してもよいし、または細胞を対象に週、月、または年に1回または複数回(例えば2~10回)投与してもよい。
【0634】
前処置
細胞(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリア)または組成物の投与前に、内因性ミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞を枯渇または除去することが有利であり得る。ミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞は、化学薬剤(例えば、ブスルファン、トレオスルファン、PLX3397、PLX647、PLX5622、またはクロドロネートリポソーム)、照射、またはそれらの組み合わせを使用することで除去することができる。細胞除去に使用される薬剤は、BBB透過性であってもよいし(例えば、ブスルファン)、またはBBBを超える能力を欠いていてもよい(例えば、トレオスルファン)。例示的なミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞除去薬はブスルファン(その開示内容がミクログリアを除去するためのブスルファンの使用に関連するため、参照により組み込まれるCapotondo et al., PNAS 109:15018 (2012))、トレオスルファン、PLX3397、PLX647、PLX5622、またはクロドロネートリポソームである。内因性ミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞を枯渇させるための他の薬剤には、造血幹細胞により発現される抗原に結合することができる抗体またはその抗原結合断片に共有結合して抗体薬物複合体を形成することができる細胞毒素が含まれる。抗体薬物コンジュゲートに適した細胞毒素には、当技術分野で既知の中でも、DNA挿入薬(例えば、アントラサイクリン)、有糸分裂紡錘体を破壊することができる薬剤(例えば、ビンカアルカロイド、メイタンシン、メイタンシノイド、及びそれらの誘導体)、RNAポリメラーゼ阻害薬(例えば、a-アマニチン及びその誘導体などのアマトキシン)、タンパク質生合成を妨害することができる薬剤(例えば、サポリン及びリシンA鎖などのrRNA N-グリコシダーゼ活性を示す薬剤)が含まれる。除去はすべてのミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞を排除してもよいし、またはミクログリア及び/または造血幹細胞と前駆細胞の数を少なくとも5%(例えば、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上)減少させてもよい。ミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞を除去する1種または複数の薬剤を、本明細書に記載の細胞または組成物の投与の少なくとも1週間(例えば、1、2、3、4、5、または6週間以上)前に投与することができる。本明細書に記載の方法で投与された細胞は、除去されたミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞に取って代わることができ、脳室内、定位的、静脈内、または骨内注射後に、または骨髄移植後に、脳で再増殖し得る。静脈内、骨内、または骨髄移植により投与された細胞は、血液脳関門を通過して脳に入り、ミクログリアに分化し得る。脳に投与された細胞、例えば、脳室内または定位的に投与された細胞は、インビボでミクログリアに分化し得るか、エクスビボでミクログリアに分化し得る。
【0635】
幹細胞の奪回
本明細書に記載の方法は、細胞の集団(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリア)を対象に投与することを含み得る。これらの細胞は、TREM2をコードする導入遺伝子(例えば、マクロファージまたはミクログリアにおいて発現し得る導入遺伝子)を含むように改変されていない細胞であってもよい。これらの細胞は、内因性TREM2が破壊されていてもよい。本明細書に記載のとおりの前処置後に、細胞を全身的に(例えば、静脈内)、または骨髄移植により投与して、骨髄区画を再構成することができる。例えば、これらの細胞は幹細胞ニッチェに移動し、そのような部位で造血細胞系の細胞の量を例えば1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、35 17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、またはそれ以上増加させることができる。投与を、本明細書に記載の組成物の投与前または後に行うことができる。
【0636】
ドナー細胞の選択
一部の実施形態では、対象はドナーである。そのような場合、取り出された細胞(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリア)を(改変(例えば、TREM2をコードする導入遺伝子の組み込み、及び/または内因性TREM2の破壊)後に)対象に再注入することができ、その後、細胞は、造血組織に帰着し、生産的造血を確立することとなり、それにより、対象において欠陥または欠損している細胞株(例えば、ミクログリアの集団)を増殖または再増殖することができる。このシナリオでは、注入される細胞が対象に由来し、対象が発現するのと同じHLAクラスme及びクラスII抗原を発現するので、移植された細胞は移植片拒絶を受ける可能性が最も低くなる。別法では、対象及びドナーは異なってもよい。一部の実施形態では、対象及びドナーは血縁があり、例えば、HLAマッチであってよい。本明細書に記載されているとおり、HLAマッチのドナー-レシピエントのペアは、移植レシピエント内の内因性T細胞及びNK細胞が外来造血幹細胞または前駆細胞を異物として認識する可能性が低く、したがって移植に対する免疫応答を開始する可能性が低いので、移植片拒絶のリスクが低い。例示的なHLAマッチのドナー-レシピエントのペアは、家族内ドナー-レシピエントペア(例えば、兄弟ドナー-レシピエントペア)などの遺伝的に関連するドナー及びレシピエントである。一部の実施形態では、対象及びドナーはHLAミスマッチであり、これは、特にHLA-A、HLA-B及びHLA-DRに関して、少なくとも1つのHLA抗原がドナーとレシピエントとの間でミスマッチである場合に起こる。例えば、移植片拒絶の可能性を低下させるために、一方のハプロタイプがドナーとレシピエントとの間でマッチしてもよく、かつ他方はミスマッチであってもよい。
【0637】
薬学的組成物及び用量
本明細書に記載のとおりにNCD(例えば、AD、PLOSL、FTLD、またはPD(例えば、TREM2関連AD、PLOSL、FTLD、またはPD))を処置するために対象に投与される細胞の数は、例えば、TREM2の発現レベル、対象、医薬製剤方法、投与方法(例えば、投与時間及び投与経路)、対象の年齢、体重、性別、処置を受ける疾患の重症度、及び対象が内因性ミクログリアを除去する薬剤で処置を受けたことがあるかどうかに依存し得る。投与される細胞の数は、例えば、1×10細胞/kg~1×1012細胞/kg、またはそれ以上(例えば、1×10細胞/kg、1×10細胞/kg、1×10細胞/kg、1×1010細胞/kg、1×1011細胞/kg、1×1012細胞/kg、またはそれ以上)であり得る。細胞を未分化状態で、またはミクログリアへの部分的もしくは完全な分化後に投与することができる。細胞の数を、前処置後に任意の適切な用量で投与することができる。用量の非限定的な例は、約1×10細胞/レシピエントkg~約1×10細胞/kg(例えば、約2×10細胞/kg~約9×10細胞/kg、約3×10細胞/kg~約8×10細胞/kg、約4×10細胞/kg~約7×10細胞/kg、約5×10細胞/kg~約6×10細胞/kg、約5×10細胞/kg~約1×10細胞/kg、約6×10細胞/kg~約1×10細胞/kg、約7×10細胞/kg~約1×10細胞/kg、約8×10細胞/kg~約1×10細胞/kg、約9×10細胞/kg~約1×10細胞/kg、及び約1×10細胞/kg~約1×10細胞/kg)である。追加の例示的な用量は、とりわけ約1×1010細胞/レシピエントkg~約1×1012細胞/kg(例えば、約2×1010細胞/kg~約9×1011細胞/kg、約3×1010細胞/kg~約8×1011細胞/kg、約4×1010細胞/kg~約7×1011細胞/kg、約5×1010細胞/kg~約6×1011細胞/kg、約5×1010細胞/kg~約1×1012細胞/kg、約6×1010細胞/kg~約1×1012細胞/kg、約7×1010細胞/kg~約1×1012細胞/kg、約8×1010細胞/kg~約1×1012細胞/kg、約9×1010細胞/kg~約1×1012細胞/kg、及び約1×1011細胞/kg~約1×1012細胞/kg)である。
【0638】
本明細書に記載の細胞及び組成物は、NCDにおける1つまたは複数の病理学的特徴を改善するために十分な量で投与することができる。本明細書に記載の細胞または組成物の投与は、対象の脳におけるM1ミクログリアの量と比較して、対象の脳におけるM2ミクログリアの量を増加させる、対象の脳における炎症誘発性サイトカインのレベルを低下させる、対象の脳における抗炎症性サイトカインのレベルを上昇させる、対象の認知能力を改善する、対象の運動機能を改善する、対象におけるアミロイドβ及び神経原線維タウタンパク質レベルまたはその凝集を減少させる、脱髄を減少させる、軸索球状体の量またはサイズを減少させる、てんかん発作の発生または重症度を低下させる、遠位端(例えば、足首、足、手首、または手)における疼痛を緩和させる、骨虫嚢を縮小させる、骨折を減少させる、運動障害を緩和させる、血管病理を減少させる、脳における脂質を含むマクロファージまたは遊離脂肪酸の蓄積を減少させる、及び/または対象における脳組織の喪失を縮小させることができる。M1及びM2ミクログリアの数を、処置前後の対象の脳脊髄液(CSF)におけるサイトカイン、ケモカイン、ならびに他の炎症誘発性及び抗炎症性メディエーターのレベルを比較するためにELISAを使用して、処置の前後に古典的活性化M1ミクログリアで高度に発現されるタンパク質であるトランスロケータータンパク質(TSPO)を、例えばTSPO放射性リガンド11C-(R)-PK11195を使用して観察するためにPETイメージングを使用することにより、または標準的な技術、例えばウェスタンブロット分析、免疫組織化学分析、もしくは定量的RT-PCRを使用して組織サンプル中のM1及びM2関連遺伝子及びタンパク質のレベルを分析することにより評価することができる。認知と運動機能は、処置の前後に標準的な神経学的検査を使用して評価することができ、アミロイドβ及びタウタンパク質はELISAを使用して血漿とCSFで検出することができる。神経変性は、F18-フルオロデオキシグルコースPETスキャンまたはMRIスキャンを使用して評価することができる。対象を、処置に使用された投与経路に応じて、細胞の集団の投与から1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月またはそれ以上後に評価することができる。評価の結果に応じて、対象は追加の処置を受けることができる。
【0639】
キット
本明細書に記載の組成物を、NCD(例えば、AD、PLOSL、FTLD、またはPD)の処置において使用するためのキットで提供することができる。組成物は、TREM2をコードする導入遺伝子(例えば、マクロファージまたはミクログリアにおいて発現し得る導入遺伝子)を含み、かつ任意選択で、内因性TREM2が破壊されていてもよい本明細書に記載の宿主細胞(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリア)を含んでよい。細胞を、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、または別の凍結保護剤中で凍結保存することができる。前記キットは、医師などのキットのユーザーに本明細書に記載の方法を実施するように指示する添付文書を含むことができる。前記キットは任意選択で、組成物を投与するためのシリンジまたは他のデバイスを含んでもよい。
【実施例
【0640】
以下の実施例は、本明細書に記載の組成物及び方法をどのように使用し、作製し、評価することができるかについての説明を当業者に提供するために記載するものであって、本開示を単に例示することを意図しており、本発明者らが本開示とみなす範囲を限定することを意図したものではない。
【0641】
実施例1.ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2をコードする導入遺伝子を含む細胞の生成
本明細書に記載の組成物及び方法において使用するための、ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体2(TREM2)をコードする導入遺伝子を含む細胞(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリア)を作製するための例示的な方法は、形質導入によるものである。CD68プロモーターなどのミクログリア特異的プロモーター、及びTREM2をコードするポリヌクレオチドを含むレトロウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター、アルファレトロウイルスベクター、またはガンマレトロウイルスベクター)を、当技術分野で公知の標準技術を使用して操作することができる。レトロウイルスベクターを操作した後、そのレトロウイルスを使用して細胞を形質導入すると、TREM2を発現する細胞の集団を生成することができる。
【0642】
本明細書に記載の組成物及び方法で使用するための、TREM2をコードする導入遺伝子を含む細胞を作製するための追加の例示的な方法は、トランスフェクションである。当技術分野で公知の分子生物学技術を使用して、ミクログリア特異的プロモーター(例えば、CD68プロモーター)などのプロモーター、及びTREM2をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドDNAを生成することができる。例えば、TREM2遺伝子を、当技術分野で公知のPCRベースの技術を使用してヒト細胞株から増幅することができるか、またはその遺伝子を、例えば、固相ポリヌクレオチド合成手順を使用して合成することができる。次いで、TREM2遺伝子及びプロモーターを、例えば、適切な制限エンドヌクレアーゼ媒介切断及びライゲーションプロトコルを使用して、目的のプラスミドにライゲートすることができる。プラスミドDNAを操作した後、そのプラスミドを使用して、例えばエレクトロポレーションまたは本明細書に記載の別のトランスフェクション技術を使用して細胞をトランスフェクトし、TREM2を発現する細胞の集団を生成することができる。本明細書に記載の両方の例示的な方法で、TREM2を、TREM2融合タンパク質として発現させることができる。TREM2融合タンパク質は、血液脳関門を通過してのTREM2融合タンパク質の透過を可能にするように、ApoEのLDLRf Rbドメインを含むペプチド配列を含んでもよい。
【0643】
実施例2.神経認知疾患に罹患している対象への、TREM2をコードする導入遺伝子を含む集団の投与
本明細書に開示の方法によれば、当業医師は、NCD、例えば、アルツハイマー病(AD)、那須ハコラ病(PLOSL)、前頭側頭骨大葉変性(FTLD)、またはパーキンソン病(PD)などの症状を軽減または緩和するように、ヒト対象などの対象を処置することができる。この目的のために、当業医師は、TREM2をコードする導入遺伝子(例えば、マクロファージまたはミクログリアにおいて発現し得る導入遺伝子)を含む細胞の集団(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリア)をヒト対象に投与することができる。本明細書に記載されているか、または当技術分野で公知の技術を使用して、細胞を、TREM2を発現するようにエクスビボで形質導入またはトランスフェクトすることができる。TREM2をコードする導入遺伝子を含む細胞の集団を、例えば、全身的に(例えば、静脈内)、中枢神経系(CNS)に直接的に(例えば、脳室内または定位的)、または骨髄に直接的に(例えば、骨内)対象に投与して、NCDを処置することができる。細胞を、複数の投与経路により、例えば静脈内及び脳室内で患者に投与することもできる。細胞を、1×10細胞/kg~1×1012細胞/kgまたはそれ以上(例えば、1×10細胞/kg、1×10細胞/kg、1×10細胞/kg、1×1010細胞/kg、1×1011細胞/kg、1×1012細胞/kg、またはそれ以上)などの治療有効量で投与する。
【0644】
細胞の集団を対象に投与する前に、1種または複数の薬剤、例えば、ブスルファン、トレオスルファン、PLX3397、PLX647、PLX5622、及び/またはクロドロネートリポソームを対象に投与して、対象の内因性ミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞を除去することもできる。照射など、当技術分野で周知の他の細胞除去方法を、単独で、または前述の薬剤のうちの1種または複数と組み合わせて使用して、対象のミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞を除去することができる。これらの薬剤及び/または処置は、当技術分野で公知のPET画像化技術により評価した場合に、内因性ミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞を少なくとも5%(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、99%、またはそれ以上)除去し得る。ミクログリア除去後に、細胞の集団を対象に投与すると、細胞が脳で再増殖し、ミクログリアに分化する。細胞の集団を、例えば、ミクログリア除去から1週間から1ヶ月(例えば、1週間、2週間、3週間、4週間)またはそれ以上後に対象に投与することができる。
【0645】
対象の内因性ミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞の除去後に、細胞の集団を、対象に全身的に(例えば、静脈内)、または骨髄移植により投与して、骨髄区画を再構成することができる。細胞の数を、前処置後に任意の適切な用量で投与することができる。用量の非限定的な例は、約1×10細胞/レシピエントkg~約1×10細胞/kg(例えば、とりわけ約2×10細胞/kg~約9×10細胞/kg、約3×10細胞/kg~約8×10細胞/kg、約4×10細胞/kg~約7×10細胞/kg、約5×10細胞/kg~約6×10細胞/kg、約5×10細胞/kg~約1×10細胞/kg、約6×10細胞/kg~約1×10細胞/kg、約7×10細胞/kg~約1×10細胞/kg、約8×10細胞/kg~約1×10細胞/kg、約9×10細胞/kg~約1×10細胞/kg、または約1×10細胞/kg~約1×10細胞/kg)である。投与は、TREM2をコードする導入遺伝子を含む細胞の投与の前、または後に行うことができる。細胞の集団を、NCDの病理学的特徴の1つまたは複数を処置するために十分な量で対象に投与することができる。例えば、細胞の集団を、対象の脳のM1ミクログリアの量と比較して、対象の脳のM2ミクログリアの量を増加させるために十分な量で投与することができる。相対的な増加は、当技術分野で公知の従来の技術を使用して、例えば処置の前後に対象のCSFでELISAを実行して、両方の時点でM1及びM2ミクログリアにより分泌される炎症誘発性及び抗炎症性サイトカインのレベルを評価することにより測定することができる。認知能力と運動機能の変化を評価するために、医師が標準的な神経学的検査を処置前後に行うこともできる。対象を、処置に使用される投与経路に応じて、細胞の集団の投与から例えば1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月またはそれ以上後に評価することもできる。TREM2をコードする導入遺伝子を含む細胞の集団の投与後の炎症誘発性サイトカインの減少、抗炎症性サイトカインの増加、アミロイドβ及び/または神経原線維タウタンパク質レベルまたはその凝集の減少、てんかん発作の発生または重症度の低下、遠位端(例えば、足首、足、手首、または手)における疼痛の緩和、骨折の発生の減少、及び/または認知または運動機能の改善の所見は、処置がNCDを成功裏に処置していることを示す。
【0646】
実施例3.神経認知障害に罹患している対象への投与前の細胞における内因性TREM2の破壊
本明細書に開示の方法のいずれかにおいて、細胞(例えば、万能性細胞、ESC、iPSC、多能性細胞、CD34+細胞、HSC、MPC、BLPC、単球、マクロファージ、ミクログリア前駆細胞、またはミクログリア)を、対象(例えば、NCD、例えば、AD、PLOSL、FTLD、またはPDなどと診断されている対象)への投与前に内因性TREM2を破壊するように処理することができる。細胞の内因性TREM2を破壊する例示的な方法は、TREM2特異的ガイドRNA(gRNA)を含むCRISPR/Casシステム(例えば、CRISPR/Cas9またはCRISPR/Cas12a)を使用して、1つまたは複数の二本鎖切断(DSB)を誘導することである。DSBを修復するための非相同末端結合(NHEJ)に続いて、新しく形成されたインデル変異の存在により、内因性TREM2の破壊が生じる。細胞にTREM2導入遺伝子を組み込む前にゲノムDNAを部位特異的に切断することにより内因性TREM2を破壊するための代替方法には、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)及び転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)の使用が含まれる。CRISPR/Casシステムとは異なり、これらの酵素は、特異的なターゲット配列に局在化するガイドポリヌクレオチドは含まないが、代わりに酵素内の内部DNA結合ドメインに依存してターゲット特異性を媒介する。例示的な実施形態において、細胞は、内因性TREM2の発現を5%またはそれ以上低下または減少させるために、ヌクレアーゼによりエクスビボで操作される(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれ以上)。
【0647】
実施例4.TREM2を発現する哺乳動物細胞株の生成
レンチウイルスでコードされるコドン最適化TREM2導入遺伝子の、哺乳動物細胞株で安定発現する能力を評価するために、マウスRAWマクロファージ細胞株、マウス一次ミクログリア、及びマウス系列陰性(Lin-)陰性細胞をインビトロで形質導入した。第1の実験では、マウスRAWマクロファージ細胞を、10、50、100、または200の感染多重度(MOI)でヒトTREM2タンパク質(MND.TREM2)またはGFP(MND.GFP)をコードする導入遺伝子を含むレンチウイルスベクターで形質導入した。別のセットの対照細胞は形質導入しなかった(NTC)。ヒトTREM2に対して生じた抗体を使用して、TREM2発現を評価した。ヒトTREM2の安定な発現がマウスマクロファージにおいて観察された(図1)。
【0648】
別の実験では、マウス一次ミクログリアを、ヒトTREM2タンパク質(MND-TREM2)またはGFP(MND-GFP)をコードする導入遺伝子を持つレンチウイルスベクターで形質導入した。別のセットの対照細胞は形質導入しなかった(NT)。TREM2発現を、ヒトTREM2に対して生じた抗体を使用して評価した。ヒトTREM2の安定な発現がマウス一次ミクログリアにおいて観察された(図2)。
【0649】
別の実験では、マウスLin-細胞を、ヒトTREM2タンパク質(Lenti TREM2)またはGFP(Lenti GFP)をコードする導入遺伝子を持つレンチウイルスベクターで形質導入した。ヒトTREM2に対して生じた抗体を使用して、TREM2発現を評価した。ヒトTREM2の安定な発現がマウスLin-細胞において観察された(図3)。
【0650】
まとめると、前記の結果は、レンチウイルスベクターを用いて、コドン最適化ヒトTREM2タンパク質の安定な発現をインビトロで達成することができ、その際、不死化マウスマクロファージ、一次ミクログリア、及びヒトTREM2が通常存在しないLin-細胞において、TREM2のレベルが上昇することを実証している。これらの所見は、TREM2遺伝子における変異に起因するか、またはそれと関連する疾患のための潜在的な治療上のアプローチを実証している。
【0651】
他の実施形態
前記開示の様々な改変及び変形が、本開示の範囲及び精神から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本開示を、具体的な実施形態との関係において説明してきたが、特許請求の範囲に記載のとおりの本開示は、そのような具体的な実施形態に過度に限定されるべきでないことは理解されるべきである。実際に、当業者に明らかである、本開示を実施するための記載の様式の様々な改変が本開示の範囲内であることが意図されている。
【0652】
他の実施形態は、特許請求の範囲に見出される。
図1
図2
図3
【配列表】
2022523123000001.app
【国際調査報告】