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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】電極用集電体
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/66 20060101AFI20220414BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20220414BHJP
【FI】
H01M4/66 A
H01M50/536
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544729
(86)(22)【出願日】2020-02-10
(85)【翻訳文提出日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 KR2020001817
(87)【国際公開番号】W WO2020166904
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】10-2019-0017132
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521018683
【氏名又は名称】ユーアンドエス エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,スン ホ
【テーマコード(参考)】
5H017
5H043
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AS08
5H017BB11
5H017BB15
5H017CC01
5H017DD05
5H017DD06
5H017EE01
5H017EE07
5H017HH05
5H043AA05
5H043BA19
5H043CA12
5H043CA13
5H043EA02
5H043EA22
5H043KA01E
5H043LA21E
5H043LA22E
(57)【要約】
本発明に係る電極用集電体は、高分子フィルム;前記高分子フィルムの上下面のうち少なくとも一つの表面または前記高分子フィルムの縁のうち少なくとも一つの一側に設けられる金属片;前記高分子フィルムと前記金属片の境界部位を覆うように前記高分子フィルム及び前記金属片の表面に設けられる接着部;及び、前記高分子フィルム、前記金属片及び前記接着部の表面に形成される導電材;を含むことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子フィルム、
前記高分子フィルムの上下面のうち少なくとも一つの表面または前記高分子フィルムの縁のうち少なくとも一つの一側に設けられる金属片、
前記高分子フィルムと前記金属片の境界部位を覆うように前記高分子フィルム及び前記金属片の表面に設けられる接着部、及び、
前記高分子フィルム、前記金属片及び前記接着部の表面に形成される導電材、を含むことを特徴とする、電極用集電体。
【請求項2】
前記金属片に連結されるリードタブを含み、
前記金属片の縁は、前記高分子フィルムの縁より外側に突出しない位置に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の電極用集電体。
【請求項3】
前記高分子フィルムの縁より内側に位置する前記金属片と前記高分子フィルムとの境界部位を覆うように設けられる前記接着部は、前記リードタブが前記金属片から延びる方向にある前記金属片の縁を除いた残りの縁のうち少なくとも一つの縁に設けられることを特徴とする、請求項2に記載の電極用集電体。
【請求項4】
前記金属片の縁が前記高分子フィルムの縁より外側に突出しない位置に設けられる電極用集電体は、ワインディングされて電極組立体を形成することを特徴とする、請求項2または3に記載の電極用集電体。
【請求項5】
前記金属片に連結されるリードタブを含み、
前記金属片の縁は、前記高分子フィルムの縁より外側に突出する位置に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の電極用集電体。
【請求項6】
前記金属片は、前記高分子フィルムとの境界部位で互いに重ならないように位置する、又は、同一平面上に位置するように前記高分子フィルムの縁の一側に設けられ、
前記高分子フィルムと前記金属片の厚さが異なると、前記接着部は、段差部が形成された状態で前記高分子フィルム及び前記金属片の境界部位を覆うように設けられることを特徴とする、請求項5に記載の電極用集電体。
【請求項7】
前記金属片は、前記高分子フィルムに形成された穿孔内に位置するように設けられることを特徴とする、請求項6に記載の電極用集電体。
【請求項8】
前記金属片の縁が前記高分子フィルムの縁より外側に突出する位置に設けられる電極用集電体は、積層されて電極組立体を形成することを特徴とする、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の電極用集電体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極用集電体に関し、さらに詳細には、金属フォイル(foil)を使用しないことで電極の重さを減らすことができ、リードタブの溶接部位の厚さを減らすことができる電極用集電体に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれ、エネルギー源としての二次電池の需要が急激に増加しており、そのような二次電池のうち高いエネルギー密度と作動電位を示し、自己放電率の低いリチウム二次電池が商用化されている。
【0003】
リチウム金属二次電池は、最初に商用化された二次電池であって、リチウム金属を負極として使用する。しかし、リチウム金属二次電池は、リチウム金属負極の表面に形成されるリチウムデンドライトによりセルの体積膨張、容量及びエネルギー密度の漸進的な減少、デンドライトの持続成長による短絡発生、サイクル寿命減少とセル安定性の問題(爆発及び発火)があり、商用化されてわずか数年で生産が中断された。そこで、リチウム金属の代わりにより安定で格子や空いた空間内にリチウムをイオン状態で安定して貯蔵できる炭素系負極が使用され、前記炭素系負極の使用により本格的なリチウム二次電池の商用化及び普及が進められた。
【0004】
現在まで、リチウム二次電池は、炭素系または非炭素系負極素材が主流となっており、ほとんどの負極材の開発は、炭素系(黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等)と非炭素系(シリコン、スズ、チタン酸化物等)素材に集中されている。
【0005】
一方、近年は、携帯用電子機器及び情報通信機器が小型化するにつれ、これらを駆動するための超小型電源システムとしてリチウム二次電池の利用が大きく期待されている。
【0006】
さらに、近年は、柔軟性(Flexibility)、低価格、作製容易性等の長所を利用した高分子系電子機器及び素子の開発及び研究が盛んに進められている。従って、小型化した機器に使用するためには、リチウム二次電池のエネルギー密度または性能は維持しながらも電池の厚さまたは重さを減らす必要がある。
【0007】
また、リチウム二次電池の厚さまたは重さを減らしても、内部短絡の発生時、電流パスを遮断または破壊することでリチウム二次電池の安全性とエネルギー密度を高めることができなければならない。
【0008】
本出願人は、前記のような問題点を解決するために、本発明を提案することとなった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記のような問題点を解決するために提案されたものであり、金属フォイルからなる集電体と比較して厚さを減らすことができる電極用集電体を提供する。
【0010】
また、本発明は、金属フォイルからなる集電体より重さを減らすことができる電極用集電体を提供する。
【0011】
また、本発明は、金属フォイルからなる集電体の抵抗より大きな抵抗値を有するため、内部短絡の発生時、短絡電流を低下させることができる電極用集電体を提供する。
【0012】
また、本発明は、リードタブが溶接される部位の厚さを減らし、伝導性を向上させることができる電極用集電体を提供する。
【0013】
また、本発明は、ワインディングタイプの電極組立体だけではなく、スタック(積層)タイプの電極組立体にも使用され得る電極用集電体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述のような課題を達成するための本発明に係る電極用集電体は、高分子フィルム;前記高分子フィルムの上下面のうち少なくとも一つの表面または前記高分子フィルムの縁のうち少なくとも一つの一側に設けられる金属片;前記高分子フィルムと前記金属片の境界部位を覆うように前記高分子フィルム及び前記金属片の表面に設けられる接着部;及び、前記高分子フィルム、前記金属片及び前記接着部の表面に形成される導電材;を含むことができる。
【0015】
前記金属片に連結されるリードタブを含み、前記金属片の縁は、前記高分子フィルムの縁より外側に突出しない位置に設けられ得る。
【0016】
前記高分子フィルムの縁より内側に位置する前記金属片と前記高分子フィルムとの境界部位を覆うように設けられる前記接着部は、前記リードタブが前記金属片から延びる方向にある前記金属片の縁を除く残りの縁のうち少なくとも一つの縁に設けられ得る。
【0017】
前記金属片の縁が前記高分子フィルムの縁より外側に突出しない位置に設けられる電極用集電体は、ワインディングされて電極組立体を形成することができる。
【0018】
前記金属片に連結されるリードタブ190を含み、前記金属片の縁は、前記高分子フィルムの縁より外側に突出する位置に設けられ得る。
【0019】
前記金属片は、前記高分子フィルムとの境界部位で互いに重ならないように位置するか同一平面上に位置するように前記高分子フィルムの縁の一側に設けられ、前記高分子フィルムと前記金属片の厚さが異なると、前記接着部は、段差部が形成された状態で前記高分子フィルム及び前記金属片の境界部位を覆うように設けられ得る。
【0020】
前記金属片は、前記高分子フィルムに形成された穿孔内に位置するように設けられ得る。
【0021】
前記金属片の縁が前記高分子フィルムの縁より外側に突出する位置に設けられる電極用集電体は、積層されて電極組立体を形成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る電極用集電体は、金属フォイルの代わりに不導体からなる高分子フィルムを利用するため、集電体及び電池の重さを減らすことができる。
【0023】
また、本発明に係る電極用集電体は、金属フォイルを使用する代わりに高分子フィルムの表面に導電材をコーティングまたはめっき層を形成するため、金属フォイルからなる集電体より厚さを減らすことができる。
【0024】
また、本発明に係る電極用集電体は、金属フォイルからなる集電体の抵抗より大きな抵抗値を有し、また高分子フィルムの損傷により電流の流れが妨害を受け得るため、内部短絡の発生時、短絡電流を低下させることができ、電池の安全性を向上させることができる。
【0025】
また、本発明に係る電極用集電体は、接着部を別に設けて金属片の上で金属片と高分子フィルムに接着され、その状態でリードタブが金属片に連結されるため、リードタブ連結部位の厚さを減らすことができる。
【0026】
また、本発明に係る電極用集電体は、ワインディングタイプの電極組立体だけではなく、積層(スタック)タイプの電極組立体にも使用され得るため、生産性または経済性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施例に係る電極用集電体が製造される過程を説明するための平面図である。
図2】本発明の一実施例に係る電極用集電体が製造される過程の変形例を説明するための平面図である。
図3図1に係る電極用集電体に設けられる金属片及び接着部の変形例を説明するための図である。
図4図1の切断線「A-A」、図2の切断線「B-B」に沿った断面図である。
図5】本発明の他の一実施例に係る電極用集電体が製造される過程を説明するための図である。
図6図5の切断線「C-C」及び「D-D」に沿った断面図である。
図7】本発明のまた他の一実施例に係る電極用集電体が製造される過程を説明するための図である。
図8図7の切断線「E-E」及び「F-F」に沿った断面図である。
図9】本発明の一実施例に係る電極用集電体と分離膜をワインディングして形成される電極組立体を説明するための斜視図である。
図10】本発明の一実施例に係る電極用集電体と分離膜が積層して形成される電極組立体を説明するための分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下において、添付の図面を参照して本発明に係る実施例を詳細に説明する。しかし、本発明は、実施例により制限または限定されるものではない。各図面に提示された同じ参照符号は、同じ部材を示す。
【0029】
図1は、本発明の一実施例に係る電極用集電体が製造される過程を説明するための平面図、図2は、本発明の一実施例に係る電極用集電体が製造される過程の変形例を説明するための平面図、図3は、図1に係る電極用集電体に設けられる金属片及び接着部の変形例を説明するための図、図4は、図1の切断線「A-A」、図2の切断線「B-B」に沿った断面図である。
【0030】
図1乃至図8を参照すると、本発明の一実施例に係る電極用集電体(CURRENT COLLECTOR FOR ELECTRODES)100は、金属フォイルからなる集電体の抵抗より大きな抵抗値を有するため、集電体を流れる電流の限界電流値を調整でき、また高分子フィルムの損傷により電流の流れが妨害を受け得るため、二次電池の内部短絡の発生時、短絡電流を低下させることができる。
【0031】
このように、本発明に係る電極用集電体100を備えたリチウム二次電池(Lithium Secondary Battery)は、Max Current Limited Battery(MCLB)の性格または概念を有し得る。以下においては、MCLBの具現を可能とする本発明に係る電極用集電体について説明する。
【0032】
また、以下において説明する本発明の実施例に係る電極用集電体は、正極電極用集電体と負極電極用集電体をいずれも含む概念であり、正極電極用集電体と負極電極用集電体をワインディング(winding)するタイプの電極組立体を形成する構造において電極用集電体の構造だけではなく、正極電極用集電体と負極電極用集電体を積層するスタック(Stack)タイプの電極組立体を形成する構造において電極用集電体及びその製造方法について説明する。
【0033】
図1乃至図8において説明する電極用集電体100、1000は、正極電極用集電体であり、図9において図面符号「200」は、負極電極用集電体であり、図10において図面符号「2000」は、負極電極用集電体である。参考までに、図9は、図10は本発明の一実施例に係る電極用集電体と分離膜をワインディングして形成される電極組立体を説明するための斜視図、図10は、本発明の一実施例に係る電極用集電体と分離膜が積層して形成される電極組立体を説明するための分解斜視図である。
【0034】
以下においては、説明の便宜のために、正極電極用集電体を電極用集電体100、1000と言及する。
【0035】
本発明に係る電極用集電体100は、金属フォイルを使用せず、高分子フィルム101を基本素材(ベースフィルム、Base Film)とし、高分子フィルム101上に薄い厚さの金属を塗布するかコーティングすることを一つの特徴とする。
【0036】
図1乃至図4を参照すると、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、電極材料が一体に形成された合体高分子フィルム(合体前の高分子フィルム101と区分するために「合体高分子フィルム103」という)を合体高分子フィルム103をいずれか一方向(ローディング方向)に移送しながら電極用集電体100の形状(図1及び図2において点線で表示された方形参照)に沿ってパンチングするか切り出して形成され得る。
【0037】
図1を参照すると、合体高分子フィルム103は、一方向に沿って連続的に移送(供給)され、移送されるうちに電極用集電体100の形状(点線参照)にパンチングするか切り出して電極用集電体100を得ることとなる。電極用集電体100がパンチングされたか切り出された合体高分子フィルム103には、パンチング孔(図示しない)が形成され得る。
【0038】
移送される合体高分子フィルム103または後述する高分子フィルム101に形成されるパンチング孔、即ち、電極用集電体100が形成されて残った孔は、隣り合うパンチング孔との間隔を最小化することで捨てられる合体高分子フィルム103を最小化し、電極用集電体100の生産性を高めることができる。
【0039】
図1乃至図4を参照すると、本発明の一実施例に係る電極用集電体(current collector)100は、高分子フィルム101;高分子フィルム101の上下面のうち少なくとも一つの表面または高分子フィルム101の縁のうち少なくとも一つの一側に設けられる金属片120;高分子フィルム101と金属片120の境界部位を覆うように高分子フィルム101及び金属片120の表面に設けられて金属片120を高分子フィルム101の表面に接着させる接着部130;及び、高分子フィルム101、金属片120及び接着部130の表面に形成される導電材102;を含むことができる。
【0040】
ここで、本発明の一実施例に係る電極用集電体100において、金属片120は、リードタブ190を連結または貼り付けるための部分である。ここで、接着部130は、金属片120を高分子フィルム101に貼り付けるために、金属片120と高分子フィルム101との間に設けられるのではなく、金属片120と高分子フィルム101の上面に設けられる。即ち、接着部130は、高分子フィルム101の表面に置かれた金属片120を高分子フィルム101に固定するために、高分子フィルム101と金属片120の境界部位を覆うように高分子フィルム101と金属片120の表面に設けられる接着層である。このように、接着部130は、高分子フィルム101と金属片120のいずれにも接着されることで金属片120を高分子フィルム101に固定できる。
【0041】
高分子フィルム101は、合体高分子フィルム103の基本となるベースフィルムであって、一定の長さを有するように幅が相対的に細長い帯状に設けられ得る。ここで、高分子フィルム101は、一定の方向に沿って巻き取られるか巻き出されることで電極用集電体100を連続的に形成することができる。
【0042】
高分子フィルム101は、ポリエチレン(PE:polyethylene)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、ポリブチレンテレフタレート(PBT:Polybutylene terephthalate)、ポリイミド(PI:Polyimide)またはポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)等の不導体材質で設けられることが好ましい。
【0043】
高分子フィルム101は、50μm以下の厚さを有し、1.4μm以上、50μm以下の厚さを有することが好ましい。本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、既存の金属フォイル集電体を使用する場合より電池の厚さまたは重さを減らすことができるが、厚さが1.4μm以上、50μm以下である不導体の高分子フィルム101を集電体100の基本構成として使用することで、本発明の一実施例に係る電極用集電体100を備えたリチウム二次電池の全体的な厚さまたは重さを減らすことができる。
【0044】
一方、リードタブ(lead tab)190を溶接で金属片120に結合または固定するようになるが、高分子フィルム101がリードタブ190の溶接温度より低い温度で溶けなければリードタブ190が結合され得ない。従って、高分子フィルム101は、リードタブ190を溶接する過程で溶けることができる程度の融点を有することが好ましい。
【0045】
図1乃至図4を参照すると、高分子フィルム101の上面及び下面のいずれにも導電材102、電極活物質層(図示しない)等が形成されているが、場合によっては、高分子フィルム101の上面または下面のいずれか一面にのみ形成されてもよい。以下においては、高分子フィルム101の上面と下面に導電材102、電極活物質層等が形成された合体高分子フィルム103から製造される電極用集電体100について説明する。
【0046】
金属片120は、高分子フィルム101上にリードタブ190を溶接する位置を確保する役割を果たすことができる。即ち、金属片120は、リードタブ190の連結部のような役割を果たすことができる。
【0047】
金属片120は、5μm以上の厚さを有するように形成されることが好ましい。ここで、金属片120は、高分子フィルム101の一部分にのみ設けられることで十分である。図1及び図2に示したように、金属片120は、高分子フィルム101の表面上に長い帯状に設けられることが好ましい。
【0048】
上述のように、金属片120は、5μm以上の厚さを有する金属薄膜または金属フォイルの形態を有することが好ましいが、必ずしもこのような形態に限定されるものではない。金属片120は、薄膜、フォイルまたはメッシュの形態に設けられ、後述するリードタブ190と電気的に連結され得る。
【0049】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100の金属片120は、リードタブ190の溶接位置を確保するか、高分子フィルム101の長さが長い場合、伝導性を確保する電気パスの役割を果たすことができる。
【0050】
一方、金属片120を高分子フィルム101の表面に固定または貼り付けるために、高分子フィルム101と金属片120の境界部位を覆うように高分子フィルム101及び金属片120の表面に接着部130が形成され得る。
【0051】
接着部130は、ビニルアルコール(VA:Vinyl Alcohol)、エチレン酢酸ビニル(EVA:Ethylene Vinyl Acetate)、アクリレート(Acrylate)、Acid modified PP等のように接着成分を有する材質またはエポキシ(Epoxy)系列の接着剤で形成され得、30μmより小さな厚さを有することが好ましい。
【0052】
ここで、接着部130は、上述の高分子とともに2層以上の高分子の組み合わせで形成されてもよい。例えば、接着部130は、ポリエチレン(PE:polyethylene)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)またはポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)等の不導体材質を上層とし、その下層に設けられた上述の接着成分を有する材質で形成され得る。
【0053】
また、接着部130は、高分子(polymer)材質で形成された高分子層になることもできる。ここで、接着部130または高分子層は、金属片120の全体表面にわたって設けられるか、金属片120の表面のうち一部だけを覆うように設けられ得る。
【0054】
接着部130は、高分子フィルム101と金属片120の境界部位を覆うように熱によって高分子フィルム101及び金属片120に付くことができる。例えば、熱を加えて接着部130の接着成分を溶かした状態で高分子フィルム101と金属片120に接着され得る。
【0055】
一方、接着部130と向かい合わせるか向かい合う金属片120の一面には、クロメート(chromate)処理を含む表面処理が形成され得る。金属片120の表面に表面処理を必須的にしなければならないが、金属片120を高分子フィルム101に貼り付ける前に金属片120の表面にクロムコーティング(chromate処理)をするかNon-Cr処理(Nonクロメート処理またはバインダー処理)または同時処理することもできる。
【0056】
ここで、Non-Cr処理は、ジルコニウム(Zr)を含む化合物層またはシリコン(Si)を含む化合物層を金属片120の表面にコーティングすることである。クロメート処理とNon-Cr処理の厚さは、数nm~数十nmであることが好ましい。
【0057】
高分子フィルム101に金属片120が設けられた部分の厚さは、金属片120を含んで120μm以下となり、金属片120を除く部分または金属片120がない部分の厚さは、100μm以下であることが好ましい。
【0058】
一方、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、高分子フィルム101、金属片120及び接着部130の表面に設けられる導電材(conductive material)102を含むことができる。
【0059】
導電材102は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)等の金属で設けられるか、または炭素ナノチューブ(CNT:Carbon Nano Tube)、グラフェン(graphene)等の導電性物質で設けられ得、高分子フィルム101の表面にめっきまたはコーティングされた状態で形成され得る。従って、導電材102は、集電体100の外面のうち一部を形成する導電層(conductive layer)ともいえる。
【0060】
前記導電材102は、電極用集電体100の限界電流または最大電流を調節するか下げるように形成され得る。言い換えれば、導電材102は、電極用集電体100の伝導性(conductivity)を制御するために高分子フィルム101、金属片120及び接着部130の表面にめっきまたはコーティングされる金属または導電性物質を意味し、高分子フィルム101、金属片120及び接着部130の表面にめっきまたはコーティングされた状態に重点を置く場合は、導電材102は導電層ともいえる。以下において、導電材102は、導電層を含む概念であることを明らかにしておく。
【0061】
高分子フィルム101、金属片120及び接着部130の表面にめっきまたはコーティングされる導電材102のコーティング量またはコーティング厚さを調節することで電極用集電体100を流れる電流の最大量を制御または下げることができ、これによって、リチウム二次電池の安全性を高めることができ、短絡時の電池の安全性を確保することができる。
【0062】
言い換えれば、高分子フィルム101、金属片120及び接着部130の表面に形成された導電材102の厚さまたは量によって電極用集電体100を流れる限界電流または最大電流が調節され得る。このように、本発明の一実施例に係る電極用集電体100の導電材102によってリチウム二次電池(Lithium Secondary Battery)の最大電流制限電池(Max Current Limited Battery:MCLB)の概念が具現され得る。また、物理的な内部短絡の発生時、高分子フィルム101が溶けることがあり、急激な電流の発生を妨害し得るため、電池の安全性を向上させることができる。
【0063】
導電材102は、多様な方式により高分子フィルム101、金属片120及び接着部130の表面に形成され得る。例えば、導電材102が金属である場合は、スパッタリング(sputtering)、蒸発コーティング(evaporation coating)、または無電解めっきによって高分子フィルム101、金属片120及び接着部130の表面に形成され得る。また、スパッタリング(sputtering)、蒸発コーティング(evaporation coating)、無電解めっきまたは電解めっきのうち2つ以上によって導電材102がめっきまたはコーティングされてもよい。
【0064】
導電材102がめっきまたはコーティングされる量(重さ)または厚さによって電極用集電体100の伝導性を制御するか電池の安全性を確保することができるため、めっきまたはコーティングするとき、導電材102の厚さまたは重さを制御乃至調節できる方式を使用する必要がある。
【0065】
導電材102が金属である場合に、導電材102のめっきまたはコーティング厚さまたは重さの調節のためにスパッタリングと電解めっきをいずれも使用することが好ましい。即ち、スパッタリングを利用して高分子フィルム101、金属片120及び接着部130の表面に導電材102を薄くめっきまたはコーティングした後に、電解めっきを利用してその上にまた導電材102を形成しながら導電材102のめっき厚さまたは重さを容易に制御または調節できる。
【0066】
電解めっき方式に比してスパッタリング方式はコストが高価であるため、スパッタリングを利用して薄く導電材102をめっきした後に電解めっきを利用して導電材102をめっきすることとなる。このようにスパッタリングと電解めっきを共に利用することが経済性の側面でも有利であり、導電材102の厚さまたは重さを容易に調節できる。
【0067】
導電材102は、高分子フィルム101の上下面のいずれか一面にのみ形成されるか両面のいずれにも形成されてもよい。このとき、導電材102は、最小断面基準0.2μm、最大断面基準2.5μmの厚さに形成されることが好ましい。
【0068】
一方、高分子フィルム101の表面に形成される導電材102は、高分子フィルム101の表面にめっきまたはコーティングされるか、高分子フィルム101の表面に形成された導電材102が高分子フィルム101の内部を透過または通過することもできる。例えば、高分子フィルム101が多孔性材質で形成された場合、高分子フィルム101の表面のいずれか一面にめっきまたはコーティングされた導電材102は、高分子フィルム101の気孔を通して他の表面まで達し得る。
【0069】
無電解めっき方式を利用して導電材102をめっきまたはコーティングする場合に、多孔性である高分子フィルム101の一面にのみ導電材102をめっきまたはコーティングしても高分子フィルム101の内部に導電材102が染み込んで他の面まで導電材102が達するため、高分子フィルム101のいずれか一面にのみ導電材102をめっきまたはコーティングしても高分子フィルム101の両面で伝導性を確保することができる。
【0070】
また、導電材102は、高分子フィルム101に金属片120が貼り付けられた後にめっきまたはコーティングされるため、高分子フィルム101の表面だけではなく、金属片120の表面にも導電材102がめっきまたはコーティングされ得る。このとき、金属片120が薄膜金属フォイルであるか金属メッシュタイプであり、高分子フィルム101が多孔性材質である場合は、金属片120の表面に形成された導電材102が金属片120の内部を通過して高分子フィルム101の他面まで達することもできる。
【0071】
ただし、多孔性材質である高分子フィルム101の気孔を無くさなければならない場合もあるが、この場合は、導電材102をめっきまたはコーティングするために無電解めっきをするとき、無電解めっきをした後に高分子フィルム101をプレシング(pressing)するか熱を加えて気孔を除去することとなる。
【0072】
上述のように、導電材102は、金属または導電性物質で設けられ、高分子フィルム101の表面にめっきまたはコーティングされた状態で形成され、電極用集電体100の限界電流または最大電流を調節するか下げるように形成され得る。
【0073】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、導電材102によって電流の流れが可能であるため、高分子フィルム101の表面に導電材102がめっきまたはコーティングされた状態がよく維持されなければならない。このために、高分子フィルム101の表面処理をして導電材102と高分子フィルム101の結着力を高めることが好ましい。
【0074】
導電材102と高分子フィルム101間の結着力がよくなければ、電解液が注入された状態で導電材102が高分子フィルム101の表面から分離または離脱され得るため、導電材102と高分子フィルム101間の結着力を高めることが重要である。
【0075】
高分子フィルム101の表面には、導電材102との接着力または結着力を高めるための表面処理が形成され得る。
【0076】
導電材102と高分子フィルム101の結着力を高めるために、高分子フィルム101の表面にコロナ処理をするかNi/Cr処理をすることができる。ここで、Ni/Cr処理をする場合、NiまたはCrまたはNi/Cr合金が10nm以下に高分子フィルム101にコーティングされることが好ましい。
【0077】
例えば、高分子フィルム101の表面にめっきされる導電材102が銅(Cu)である場合に、銅と高分子フィルム101間の結着力を向上させるために、NiまたはCrまたはNi/Cr合金を高分子フィルム101の表面に10nm以下の厚さにコーティングし、Ni/Cr処理された表面上に銅をめっきすることで、導電材102である銅と高分子フィルム101間の結着力を高めることができる。即ち、高分子フィルム101上にNi/Crを先にコーティングした後に、その上に銅をコーティングすることで、導電材102である銅と高分子フィルム101間の結着力を高めることができる。
【0078】
また、高分子フィルム101の表面にめっきされた導電材102である銅の表面にクロム(Cr)を10nm以下の厚さにコーティングすることでバインダーの結着力を向上させることもできる。
【0079】
導電材102であるアルミニウムの耐食性を強化するために、アルミニウム上にクロム(Cr)をコーティングするクロメート処理をし、接着力を向上させるために、エポキシタイプのNon-Crをコーティングする処理をクロメート処理の上にすることができる。ここで、Non-Cr処理は、ジルコニウム(Zr)を含む化合物層またはシリコン(Si)を含む化合物層をコーティングすることである。クロメート処理とNon-Cr処理の厚さは、数nm~数十nmであることが好ましい。
【0080】
また、導電材102の接着力を向上するために、ニッケルの表面にポリマータイプのNon-Crをコーティングする処理をすることもできる。ここで、Non-Crコーティング層は、ポリマー(polymer)にメタル(Metal)が分散されている状態である。Non-Cr処理の厚さは、数nmであることが好ましい。
【0081】
一方、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、導電材102の表面に電極活物質層(図示しない)がめっきまたはコーティングされ得る。前記電極活物質層は、電極用集電体100の極性による電気的特性を帯びる電極層といえる。電極用集電体100が正極の極性を有する場合は、前記電極活物質層は、正極活物質でめっきまたはコーティングされ得、負極の極性を有する場合は、前記電極活物質層は、負極活物質でめっきまたはコーティングされ得る。
【0082】
ここで、導電材102とは異なり、前記電極活物質層は、金属片120には形成されないことが好ましい。言い換えれば、金属片120の表面にめっきまたはコーティングされている導電材102の表面には、前記電極活物質層が形成されないことが好ましい。
【0083】
一方、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、外部機器との連結のためのリードタブ190を備えることができる。
【0084】
既存の金属フォイル集電体は、金属フォイルに直接リードタブを溶接できるが、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、既存の金属フォイルに対応する構成が高分子フィルム101であるため、高分子フィルム101に直接リードタブを溶接することが不可能である。本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、金属片120を高分子フィルム101の表面に貼り付け、金属片120にリードタブ190を溶接することでこのような問題を解決できる。
【0085】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100において、リードタブ190は、超音波溶接(ultrasonic welding)、レーザ溶接(laser welding)またはスポット溶接(spot welding)によって金属片120に溶接され得る。
【0086】
図4に示されたように、金属片120及び導電材102は、高分子フィルム101の両面に設けられ、高分子フィルム101の両面に設けられた金属片120は、同じ位置に形成され得る。
【0087】
ここで、高分子フィルム101の上下両面に金属片120が位置するが、同一位置乃至対称となる位置に金属片120が設けられることが分かる。接着部130によって高分子フィルム101の上下両面同一位置に金属片120が貼り付けられた後に高分子フィルム101、金属片120及び接着部130の表面に導電材102がめっきまたはコーティングされ得る。このとき、導電材102は、高分子フィルム101の上下両面のいずれにもめっきまたはコーティングされ、高分子フィルム101の上下両面に設けられた金属片120及び接着部130の表面にも導電材102がめっきまたはコーティングされ得る。
【0088】
図4の(b)を参照すると、高分子フィルム101の上下両面に設けられた金属片120のいずれか一つの金属片にリードタブ190が連結され得る。リードタブ190は、金属片120の表面に導電材102が塗布またはコーティングされた状態に金属片120に連結され得る。
【0089】
高分子フィルム101の両面に設けられた金属片120のいずれか一つの金属片120にリードタブ190を溶接するとき、高分子フィルム101が溶けることで高分子フィルム101の両面に設けられた金属片120が互いに連結され、その結果、リードタブ190が高分子フィルム101の両面に設けられた導電材102と同時に電気的に連結され得る。
【0090】
高分子フィルム101の上下両面に金属片120と導電材102が設けられた状態で高分子フィルム101の上面に設けられた金属片120にリードタブ190を超音波溶接、レーザ溶接またはスポット溶接するようになると、高分子フィルム101の一部が溶けるようになる。リードタブ190を溶接する時に発生する溶接熱が高分子フィルム101の融点より高ければ、溶接過程で高分子フィルム101は溶け得る。
【0091】
このように高分子フィルム101が溶けた部分では高分子フィルム101が存在しないため上下の金属片120同士で直接接触し得る。このとき、金属片120も溶接熱によって溶融した状態であるため、上下の金属片120同士で接合するようになる。従って、高分子フィルム101が溶けてない部分で上下の金属片120同士で直接溶融結合されるため、いずれか一つの金属片120に溶接されるリードタブ190が上下の金属片120だけではなく、高分子フィルム101の上下面に形成された導電材102と電気的に連結され得る。
【0092】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、溶接熱によって高分子フィルム101の一部が溶けても金属片120が高分子フィルム101と連結された状態を維持するため、リードタブ190を連結することが可能である。
【0093】
ただし、場合によっては、高分子フィルム101が溶けていない状態でもリードタブ190を金属片120に溶接できる。高分子フィルム101が多孔性材質である場合は、気孔を通して導電材102が高分子フィルム101を透過して高分子フィルム101の両面と電気的に連結されるため、高分子フィルム101が溶けていない状態で金属片120に連結されたリードタブ190が高分子フィルム101の導電材102と電気的に連結され得る。
【0094】
一方、図1を参照すると、高分子フィルム101の表面に設けられた金属片120の長手方向の縁を覆うように接着部130が高分子フィルム101と金属片120の表面に貼り付けられ得る。このとき、接着部130は、長手方向に沿って幅の一部は高分子フィルム101の表面に貼り付けられ、残りの一部は金属片120の表面に貼り付けられるように設けられ得る。このような状態で電極用集電体の形状に沿って切り出すかパンチングすると電極用集電体100を得ることができる。図1において合体高分子フィルム103に点線で表示された方形が電極用集電体の形状を示す。一つの合体高分子フィルム103から多数個の電極用集電体を得ることができる。
【0095】
図1に示された電極用集電体100は、金属片120に連結されるリードタブ190が電極用集電体100の長手方向の縁の外側に突出するように設けられ得る。このような形状の電極用集電体100は、図9に示されたようにワインディングして電極組立体10を得るようになる。図9において、図面符号「200」は負極電極用集電体、「290」は負極リードタブ、「300」は分離膜である。
【0096】
図2を参照すると、図1と比較して接着部130の形状が異なることが分かる。図1の場合は、接着部130が金属片120の幅方向の両側に設けられ、互いに分離された状態で設けられるが、図2の場合は、接着部130が金属片120の幅方向の両側に設けられ、互いに連結される部分があるという点で差がある。
【0097】
図2に示された合体高分子フィルム103から得られる電極用集電体100も図9に示されたようなワインディングタイプの電極組立体10を構成するのに使用され得る。
【0098】
一方、図1乃至図3に示された電極用集電体100の場合、リードタブ190が連結される金属片120の縁は、高分子フィルム101の縁より外側に突出しない位置に設けられるか高分子フィルム101の縁より内側に設けられることが好ましい。このように、リードタブ190が連結される金属片120の縁が高分子フィルム101の縁より外側に突出しない位置に設けられる電極用集電体100は、ワインディングタイプの電極組立体10を形成することができる。
【0099】
ここで、図1及び図2に示された電極用集電体100の形状が互いに異なるが、金属片120を基準に接着部130の位置が異なり得る。例えば、図3の(a)に示されたように、金属片120の幅方向の両側に接着部130がそれぞれ位置するか、(b)に示されたように、金属片120のいずれか一側だけを除いて残りの縁に接着部130が全て位置するか、(c)に示されたように、金属片120のいずれか一側にのみ接着部130が位置するように形成され得る。図3に示されたように、高分子フィルム101の縁より内側に位置する金属片120と高分子フィルム101の境界部位を覆うように設けられる接着部130は、リードタブ190が金属片120から延びる方向にある金属片120の縁を除く残りの縁のうち少なくとも一つの縁に設けられ得る。
【0100】
図1乃至図3に示された電極用集電体100は、ワインディング(winding)してワインディングタイプの電極組立体(図9参照)10を形成するため、金属片120に連結されるリードタブ190は、電極組立体10の一側で露出されなければならない。従って、リードタブ190が露出される方向にある金属片120の縁には、接着部130が接着されないことが好ましい。
【0101】
図4は、図1及び図2に示された合体高分子フィルム103の断面が示されている。図4の(a)は、合体高分子フィルム103の表面に導電材102がコーティングまたは塗布される前であり、(b)は、合体高分子フィルム103の表面に導電材102がコーティングまたは塗布された後の断面である。
【0102】
図4の(b)を参照すると、高分子フィルム101の表面に金属片120と接着部130を順次に貼り付けた後に高分子フィルム101、金属片120及び接着部130の表面に導電材102をコーティングまたは塗布することとなる。即ち、導電材102が接着部130の表面にも存在するようになる。ただし、導電材102が塗布された後に金属片120にリードタブ190が連結されるため、リードタブ190の表面には導電材102が存在しないことが好ましい。
【0103】
図1乃至図4を参照して、電極用集電体100を製造する方法について説明する。
【0104】
本発明は、高分子フィルム101を設けるステップ;高分子フィルム101の上下面のうち少なくとも一つの表面に金属片120を設けるステップ;金属片120の長手方向の縁に沿って高分子フィルム101と金属片120の表面に接着部130を設けるステップ;及び、高分子フィルム101、金属片120及び接着部130の表面に導電材102を形成するステップ;を含む、電極用集電体100の製造方法を提供できる。
【0105】
ここで、接着部130を設けるステップにおいて、接着部130は、金属片120の幅方向の両側のうち少なくとも一側で高分子フィルム101と金属片120の境界部位を覆うように設けられ得る。図4を参照すると、接着部130は、金属片120と高分子フィルム101の境界部位、即ち、金属片120の幅方向の縁を覆うように設けられるが、金属片120の表面を一部覆い、同時に高分子フィルム101の表面も一部覆うように設けられ得る。ただし、図4の場合は、接着部130が金属片120の幅方向の両側、即ち、2箇所で金属片120及び高分子フィルム101に接着されるが、図3に示されたように、1箇所または3箇所で金属片120及び高分子フィルム101に接着されてもよい。
【0106】
一方、前記接着部130を設けるステップにおいて、接着部130は、一定の間隔を置いて金属片120の幅方向の両側にそれぞれ設けられるか(図1参照)、金属片120の幅方向の両側に設けられた接着部130は、少なくとも一部分で互いに連結されるように金属片120の表面に設けられ得る(図2参照)。
【0107】
図1及び図2に示されたような状態、即ち、合体高分子フィルム103がいずれか一方向に移送されながら電極用集電体100の形状(点線方形参照)に沿ってパンチングするか切り出して電極用集電体100を得るステップが遂行され得る。このとき、得られた電極用集電体100は、ワインディングタイプの電極組立体10を製造するのに利用され得る。
【0108】
一方、図5は、本発明の他の一実施例に係る電極用集電体が製造される過程を説明するための図である。図1及び図2図5を比較してみると、高分子フィルム101の形状で差がある。高分子フィルム101に多数個の穿孔101aが一列に形成され得る(図5の(a)参照)。即ち、高分子フィルム101を設けるステップにおいて、高分子フィルム101に多数個の穿孔101aを一列に形成することができる。このとき、多数個の穿孔101aは、金属片120の長手方向と一致するように高分子フィルム101に一列に形成されることが好ましい。
【0109】
高分子フィルム101の上下面のうち少なくとも一つの表面に金属片120を設けるステップにおいて、金属片120は、多数個の穿孔101aを覆うように高分子フィルム101の上下面のうち少なくとも一つの表面に設けられ得る(図5の(c)参照)。ここで、高分子フィルム101に形成された多数個の穿孔101aは、その長手方向の幅が金属片120の幅より小さくなく形成され得る。金属片120の幅より穿孔101aの幅をさらに大きくするか等しくすることで、穿孔101aの内部に金属片120が位置するようになるため、穿孔101aが形成された部分では金属片120により合体高分子フィルム103の厚さがさらに大きくなることはない。
【0110】
図6は、図5の切断線「C-C」及び「D-D」に沿った断面図である。即ち、金属片120及び接着部130と直交する方向での断面形状を示す断面図である。
【0111】
図6の(a)は、金属片120が穿孔101aを覆うように位置させた後、接着部130を接着させた部分での断面図であり、(b)は、金属片120が穿孔101aのない高分子フィルム101の表面に位置した状態で接着部130を接着させた部分での断面図である。
【0112】
図6の(a)の場合は、金属片120が穿孔101aの内部に位置するため、金属片120が高分子フィルム101の間に位置するようになり、その結果、金属片120が設けられるにもかかわらず合体高分子フィルム103の厚さが大きくならない。これに対して、図6の(b)の場合は、金属片120が高分子フィルム101の表面に置かれるため、金属片が高分子フィルム101の上下面のいずれか一面に置かれる形状になり、(a)の場合より合体高分子フィルム103の厚さが大きくなる。
【0113】
金属片120が穿孔101aを覆うように位置させた後、金属片120の幅方向の両側のうち少なくとも一側に接着部130を位置させて金属片120及び高分子フィルム101と接着させるようになる。すると、図5の(e)に示された合体高分子フィルム103が得られるようになる。
【0114】
図1及び図2に示された合体高分子フィルム103とは異なり、図5に示された合体高分子フィルム103では2つの形態の電極用集電体を得ることができる。即ち、ワインディングタイプの電極組立体10に使用される電極用集電体100だけではなく、積層型またはスタック(Stack)タイプの電極組立体(図10参照)10-1に使用される電極用集電体1000も得ることができる。
【0115】
図5を参照すると、ワインディングタイプの電極組立体10に使用される電極用集電体100と、スタックタイプの電極組立体10-1に使用される電極用集電体1000の形状が異なる。
【0116】
ここで、2つの形態の電極用集電体100、1000を合体高分子フィルム103からパンチングするか切り出すとき、2つの形態の電極用集電体100、1000のいずれもリードタブ190が連結される金属片120の部位が穿孔101a内に位置する状態で電極用集電体の形状(点線方形参照)に沿ってパンチングするか切り出して電極用集電体100、1000を得ることができる。このように、リードタブ190が連結される金属片120の部位が穿孔101a内に位置するように電極用集電体100、1000を製造するため、図6の(a)に示されたように、リードタブ190を連結する部位の全体的な厚さが大きくならないという長所がある。
【0117】
一方、スタック型タイプの電極組立体10-1に使用される電極用集電体1000は、前記電極活物質層が形成された電極部1400と、前記電極活物質層が形成されていないタブ部1500を含むことができる。電極部1400とタブ部1500は、一体に形成されるが、断面構造は異なる。
【0118】
上述のように、タブ部1500は、金属片120が重要な構成要素であり、電極部1400のいずれか一つの縁から突出形成される形態を有することが好ましい。ここで、タブ部1500は、「無肢突出部」とも呼ばれ得る。「無肢突出部」は、前記電極活物質層が形成されず、電極部1400から突出形成された部分であるという意味である。
【0119】
図10には、電極用集電体1000を交互に積層してスタックタイプの電極組立体10-1を形成する過程を説明する分解斜視図が例示されている。図10において、電極用集電体1000は正極集電体であり、図面符号「2000」は負極電極用集電体であり、図面符号「3000」は分離膜である。負極電極用集電体2000は、電極用(正極電極用)集電体1000と同じ構造を有し、同じ過程によって製造され得る。ただし、正極電極用集電体1000と導電材102、前記電極活物質層の成分が異なる。
【0120】
図10を参照すると、負極電極用集電体2000も電極部2400とタブ部2500を含むことができる。分離膜3000が間に位置するように正極電極用集電体1000と負極電極用集電体2000を積層することで電極組立体10-1を得ることができる。このとき、正極電極用集電体1000のタブ部1500と負極電極用集電体2000のタブ部2500は、互いに重ならないように形成されることが好ましい。
【0121】
一方、スタックタイプの電極組立体10-1に使用される電極用集電体1000の場合は、タブ部1500が高分子フィルム101に形成された穿孔101aの部位に位置した状態で合体高分子フィルム103から電極用集電体1000をパンチングするか切り出すようになる。
【0122】
図5の場合にも、リードタブ190が連結される金属片120の縁は、高分子フィルム101の縁より外側に突出しない位置に設けられ得る。より正確には、リードタブ190が連結される金属片120の縁は、高分子フィルム101の縁より内側に位置するようになる。
【0123】
図5に示されたように、多数個の穿孔101aが形成された高分子フィルム101を利用して電極組立体100、1000を製造する場合は、ワインディングタイプの電極組立体10に利用される電極用集電体100だけではなく、スタックタイプの電極組立体10-1に利用される電極用集電体1000を製造できるため、ワインディングタイプ及びスタックタイプの電極組立体によって必要な合体高分子フィルム103を別に準備する必要がないという長所がある。
【0124】
図7は、本発明のまた他の一実施例に係る電極用集電体が製造される過程を説明するための図である。図7に示された電極用集電体1000を製造する方法について説明する。
【0125】
本発明は、高分子フィルム101を設けるステップ;高分子フィルム101の縁のうち少なくとも一つの一側に金属片120を設けるステップ;高分子フィルム101と金属片120の境界部位を覆うように金属片120の長手方向に沿って高分子フィルム101と金属片120の上下面のうち少なくとも一つの表面に接着部130を設けるステップ;及び、高分子フィルム101、金属片120及び接着部130の表面に前記導電材102を形成するステップ;を含む、電極用集電体の製造方法を提供できる。
【0126】
高分子フィルム101及び金属片120は、図1及び図2に示された場合と同じ形態を使用する。ただし、図1図2及び図5に示された場合とは異なり図7に示された場合は、接着部130は、金属片120の幅方向の両側のいずれか一側にのみ設けられる点で差がある。従って、前記高分子フィルム101の縁のうち少なくとも一つの一側に金属片120を設けるステップでは、高分子フィルム101の縁のいずれか一つの縁の一側に金属片120を位置させ得る(図7の(c)参照)。このとき、図8の(a)に示されたように、高分子フィルム101の縁の一端と金属片120の幅方向の両端のうち一端が接触するように金属片120を設けてもよく、図8の(b)に示されたように、高分子フィルム101と金属片120が一部重なるように金属片120を設けてもよい。
【0127】
前記のように金属片120が設けられた状態で、高分子フィルム101と金属片120の境界部位を覆うように金属片120の長手方向に沿って高分子フィルム101と金属片120の上下面のうち少なくとも一つの表面に接着部130を接着させるようになる。
【0128】
図8の(a)の場合は、高分子フィルム101と金属片120は接着部130に対して互いに同じ高さに位置するか、高分子フィルム101と金属片120が互いに重畳されるか重ならないように設けられ得る。これに対して、図8の(b)の場合は、高分子フィルム101と金属片120が一部分互いに重なる状態で接着部130が金属片120と高分子フィルム101の境界部位を覆うように設けられるため、接着部130は、段差部または階段形状を有し得る。
【0129】
前記高分子フィルム101の縁のうち少なくとも一つの一側に金属片120を設けるステップでは、図7の(e)に示されたように、単一の金属片120が設けられてもよいが、図7の(f)に示されたように、接着部130の長手方向または高分子フィルム101の縁に沿って分割された複数個の金属片120が設けられてもよい。分割された複数個の金属片120を利用する場合は、電極用集電体1000をパンチングするか切り出した後に廃棄される金属片120を減らすことが可能である。
【0130】
図7の(e)及び(f)に示されたような状態で、合体高分子フィルム103がいずれか一方向に移送されながら電極用集電体1000の形状(点線方形参照)に沿ってパンチングするか切り出して電極用集電体1000を得るステップが遂行され得る。このとき、得られた電極用集電体1000は、スタックタイプの電極組立体10-1を製造するのに利用され得る。図1図2及び図5に示された場合とは異なり図7に示された場合は、ワインディングタイプの電極組立体10に使用される電極用集電体100ではなく、スタックタイプの電極組立体10-1に使用される電極用集電体1000だけを得ることができる。
【0131】
図7の場合は、リードタブ190が連結される金属片120の縁が高分子フィルム101の縁より外側に突出する位置に設けられ得る。即ち、電極用集電体1000のタブ部1500にリードタブ190が連結されるが、リードタブ190が連結される金属片120の縁は、高分子フィルム101の縁より外側に突出する位置にある。従って、リードタブ190が連結される金属片120の縁が高分子フィルム101の縁より外側に突出する位置に設けられる電極用集電体1000は、積層されてスタックタイプの電極組立体10-1を形成すると見なされる。
【0132】
図7に示されたスタックタイプの電極組立体10-1に使用される電極用集電体1000において、タブ部1500と電極部1400を同時に切断してその断面を見ると、タブ部1500を形成する金属片120は、高分子フィルム101との境界部位で互いに重ならないように位置するか同一平面上に位置するように高分子フィルム101の縁の一側に設けられ、接着部130は、段差部を形成せず高分子フィルム101及び金属片120の境界部位を覆うように設けられ得る。従って、タブ部1500の厚さを減らすことができる。
【0133】
ただし、高分子フィルム101と金属片120の厚さが同一である場合は、高分子フィルム101の縁の一側に金属片120を位置させても接着部130に段差部が形成されていない状態で高分子フィルム101と金属片120の境界部位を覆うように設けられるが、高分子フィルム101と金属片120の厚さが異なる場合は、接着部130に段差部が形成された状態で高分子フィルム101と金属片120の境界部位を覆うように設けられてもよい。
【0134】
上述のように、本発明に係る電極用集電体及びその製造方法は、接着部130を別に作製して熱で付け、高分子フィルム101と金属片120が表面に同時に付けるため、リードタブ190を連結乃至溶接する部位の厚さを減らすことができ、導電材102をコーティングするか塗布する時に伝導性の向上が可能であり、電極用集電体の材料別の製造工程が簡単であるという長所がある。
【0135】
以上のように、本発明の実施例においては、具体的な構成要素等のような特定の事項と限定された実施例及び図面により説明されたが、これは、本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものであるだけで、本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正及び変形が可能である。従って、本発明の思想は、説明された実施例に限定されて定められてはならず、後述する請求の範囲だけではなく、この請求の範囲と均等であるか等価的変形のある全てのものは、本発明思想の範疇に属するといえる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】