(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】作物を栽培するためのモジュール式ユニット、システム、およびその栽培カラム
(51)【国際特許分類】
A01G 31/00 20180101AFI20220414BHJP
A01G 31/04 20060101ALI20220414BHJP
A01G 9/00 20180101ALI20220414BHJP
【FI】
A01G31/00 612
A01G31/04 B
A01G31/04 A
A01G9/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544746
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(85)【翻訳文提出日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 AU2020050059
(87)【国際公開番号】W WO2020154767
(87)【国際公開日】2020-08-06
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521338569
【氏名又は名称】インヴァーティグロ ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INVERTIGRO PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】リ, ベネスティン
(72)【発明者】
【氏名】エバーライン, トッド
(72)【発明者】
【氏名】ミレット, ポール
(72)【発明者】
【氏名】ウェインライト, ニール
【テーマコード(参考)】
2B314
2B327
【Fターム(参考)】
2B314MA38
2B314MA39
2B314MA41
2B314PD06
2B314PD07
2B314PD08
2B314PD09
2B314PD36
2B314PD37
2B314PD55
2B314PD57
2B314PD59
2B314PD63
2B327TA04
2B327TA09
2B327TC04
2B327TC07
2B327TC09
(57)【要約】
本開示は、水耕ユニット(2)および作物を栽培するためのシステム(1)を提供し、ユニットは、ユニット内で異なるコンテナおよび生育条件を可能にするようにモジュール式であり、システムは、複数のユニットが共通の電力要件および水要件を共有するようにモジュール式である。ユニットおよびシステムは、より効率的で使いやすい水耕法を提供することを目的とする。ユニットは、第1のタイプまたは第2のタイプのコンテナを受け入れるために各ユニットに調整可能なフレームワークとマニホールドとを含み、システムは、ユニットごとのモジュールベース(3)を含む支持構造(4)と、システムのための水制御モジュールとを含む。水耕ユニット内で使用するための栽培カラムも提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングの少なくとも一方の側に配置されたブラインドまたはドアのようなアクセスポイントと、
前記ハウジングの内部に組み込まれた少なくとも1つのライトと、
作物を栽培するための第1のタイプの少なくとも1つのコンテナまたは第2のタイプの少なくとも1つのコンテナと、
第1のタイプまたは第2のタイプの前記少なくとも1つのコンテナを少なくとも部分的に受け入れるように構成された前記ハウジング内の調整可能なフレームワークであって、前記少なくとも1つのコンテナが取り外し可能に配置される、調整可能なフレームワークと、
ユニットから離れた流体源から前記ハウジングの前記内部への流体連通を可能にする流体入口と、
第1の出口セットおよび第2の出口セットを含む、前記ハウジングの上部に配置されたマニホールドであって、前記第1の出口セットが流体を前記入口から前記第1のタイプの前記少なくとも1つのコンテナに導くことができ、前記第2の出口セットが流体を前記入口から前記第2のタイプの前記少なくとも1つのコンテナに導くことができる、マニホールドと、
前記ハウジングの前記内部から外側への前記少なくとも1つのコンテナからの流体連通を可能にする流体出口と
を備える、作物を栽培するためのユニット。
【請求項2】
第1のタイプまたは第2のタイプの前記少なくとも1つのコンテナと前記マニホールドおよび/または前記フレームワークとの間に、前記少なくとも1つのコンテナがユーザによって取り外され、再挿入されることを可能にするように配管が設けられていない、請求項1に記載のユニット。
【請求項3】
当該ユニットに出入りする空気の流れを制御するための換気システムをさらに備える、請求項1または2に記載のユニット。
【請求項4】
前記換気システムが、前記ハウジングの下部に配置された吸気口と、前記吸気口に対して当該ユニットの反対側の前記ハウジングの上部に配置された排気口とを含む、請求項3に記載のユニット。
【請求項5】
前記ハウジングが、
前記吸気口と流体連通することができる内部空洞を含む少なくとも1つの側壁であって、前記少なくとも1つの側壁の内面が複数の開口を含む、少なくとも1つの側壁
を含み、
空気が、前記吸気口を通って当該ユニットに入り、前記内部空洞および前記複数の開口を移動して前記ハウジングの前記内部に入る、請求項4に記載のユニット。
【請求項6】
前記開口の直径が、当該ユニットの前記内部全体にわたる均一な空気の流れを可能にするために、前記側壁の垂直方向に沿って変化している、請求項5に記載のユニット。
【請求項7】
前記換気システムが、前記ハウジングに組み込まれた送風ファンを含む、請求項3~6のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項8】
前記換気システムが、HEPAフィルタのようなフィルタ要素を含む、請求項3~7のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項9】
前記換気システムを、空気が前記ハウジングを出るのを妨げるように構成され得る、請求項3~8のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項10】
前記流体出口が、前記流体源との流体連通が再循環されることを可能にする、請求項1~9のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項11】
前記マニホールドが、重力下でのみ、作物を栽培するための前記第1のタイプまたは前記第2のタイプの前記少なくとも1つのコンテナに水を放出するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項12】
前記少なくとも1つのライトが、LEDである、請求項1~11のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項13】
前記第1のタイプの前記少なくとも1つのコンテナが、垂直方向に配置された栽培カラムの形態である、請求項1~12のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項14】
前記少なくとも1つの垂直方向に配置された栽培カラムを、前記栽培カラムの長軸線を中心に回転させることができる、請求項13に記載のユニット。
【請求項15】
前記少なくとも1つの栽培カラムの各々が、少なくとも1つの積み重ね可能なセグメントを備え、前記セグメントの各々が、作物を栽培するためのポットを取り外し可能に配置することができる少なくとも1つの開口を含む、請求項13または14に記載のユニット。
【請求項16】
複数のセグメントがあり、前記複数のセグメントが、隣合う前記セグメント間の流体連通を可能にする内部空洞と、前記セグメント内の前記少なくとも1つの開口および前記ポットの方へ流体を誘導する前記内部空洞内に配置された誘導要素とをさらに含む、請求項15に記載のユニット。
【請求項17】
前記少なくとも1つのライトが、周りに複数の栽培カラムが配置されるライトカラムの形態である、請求項13~16のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項18】
前記少なくとも1つのライトが、前記ハウジングの前記内部の少なくとも1つの内縁に沿って配置され、前記内縁が、前記少なくとも1つの栽培カラムに対して略平行である、請求項13~17のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項19】
前記ハウジングの前記内側に追加の照明要素が設けられた、請求項17または18に記載のユニット。
【請求項20】
複数の栽培カラムがあり、前記栽培カラムが、前記栽培カラムの上に配置されたカルーセルマニホールドであって、前記栽培カラムと流体連通するカルーセルマニホールドを含む回転式カルーセル上に配置され、
前記マニホールドが、流体を前記カルーセルマニホールドに導く、請求項13~19のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項21】
前記少なくとも1つの栽培カラムが、前記回転式カルーセルの外周の周りに配置される、請求項20に記載のユニット。
【請求項22】
前記回転式カルーセルが、電動式である、請求項20または21に記載のユニット。
【請求項23】
前記回転式カルーセルが、前記回転式カルーセルの外周の下面の周りに1組のギヤ歯を含み、前記カルーセルを回転させるために電動式ウォームギヤが使用される、請求項22に記載のユニット。
【請求項24】
前記栽培カラムの各々のベースが、前記回転式カルーセルが移動するときに前記ウォームギヤと相互作用して前記栽培カラムを回転させるギヤ歯を含む、請求項23に記載のユニット。
【請求項25】
前記栽培カラムの各々の前記ベースの前記ギヤが、前記カルーセルが連続して完全に回転した後に前記栽培カラムの各々が異なる向きを有するような適切な比率を有する、請求項24に記載のユニット。
【請求項26】
前記第2のタイプの前記少なくとも1つのコンテナが、水平取り付け式引き出しまたはトレイの形態である、請求項1~25のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項27】
当該ユニットが、前記調整可能なフレームワークに取り付けられる取り外し可能な中央仕切りをさらに備え、前記中央仕切りが、前記第2のタイプの前記コンテナを少なくとも部分的に受け入れることができる、請求項26に記載のユニット。
【請求項28】
前記少なくとも1つの水平取り付け式引き出しの各々が、前記引き出しを所定の高さまでのみ流体で満たすことができるようなあふれ口と、前記引き出しの底面にある排水口とを含む、請求項26または27に記載のユニット。
【請求項29】
前記少なくとも1つの水平取り付け式引き出しの各々が、前記引き出しの裏面にあるライトを含む、請求項26~28のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項30】
前記少なくとも1つの水平取り付け式引き出しの各々が、バスバーと前記水平取り付け式引き出しの各々との間の電気連通を可能にする前記ハウジングに配置された前記バスバーへの取り外し可能な接続部を含む、請求項29に記載のユニット。
【請求項31】
前記水平取り付け式引き出しが、作業者が前記引き出しから作物を容易に追加し、または取り出すことができるように前記アクセスポイントのうちの少なくとも1つに面するように位置合わせされている、請求項26~30のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項32】
前記ハウジングが、当該ユニットを輸送するためのフォークリフトまたは同様の車両からのフォークを受け入れるための、少なくとも1つの外面に配置された開口を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項33】
ハウジングと、
前記ハウジングの少なくとも一方の側に配置されたブラインドまたはドアのようなアクセスポイントと、
前記ハウジングの内部に組み込まれた少なくとも1つのライトと、
作物を栽培するための少なくとも1つのコンテナと、
前記少なくとも1つのコンテナを取り外し可能に配置することができる前記ハウジング内の調整可能なフレームワークと、
前記モジュールから離れた水源から前記ハウジングの前記内部への流体連通を可能にする流体入口と、
前記入口と流体連通する前記ハウジングに配置されたマニホールドと、
前記ハウジングの前記内部から外側への流体連通を可能にする流体出口と、
前記水源とポンプとを備える、水制御モジュールと、
前記少なくとも1つのモジュールに取り付けられた支持システムと
を備える、少なくとも1つの栽培モジュール
を具備する、作物を栽培するためのモジュール式システム。
【請求項34】
前記栽培モジュールが、請求項1~32のいずれか一項に記載のユニットである、請求項33に記載のモジュール式システム。
【請求項35】
電源への接続部とポンプとを備える、少なくとも1つのスタックベースユニットをさらに具備し、
前記スタックベースユニットが前記支持システムに取り付けられ、
前記支持システムを通って前記スタックベースユニットの各々と複数の栽培モジュールとの間で流体連通および電気連通が可能である、請求項33または34に記載のモジュール式システム。
【請求項36】
前記支持システムが、前記栽培モジュールを受け入れるような形状の複数のモジュールベースを含む、請求項33~35のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【請求項37】
前記支持システムが、前記栽培モジュールが前記モジュールベースに配置されているときに前記栽培モジュールの前記流体入口と前記スタックベースユニットおよび/または前記水制御モジュールとの間の流体連通および電気連通を可能にするための結合部を含む、請求項36に記載のモジュール式システム。
【請求項38】
前記結合部が、前記栽培モジュールが前記モジュールベースに配置されていないときに前記結合部を介した流体連通および電気連通が妨げられるようなスプリング式バルブの形態である、請求項37に記載のモジュール式システム。
【請求項39】
前記スタックベースユニットまたは前記栽培モジュールが、商用電源を前記少なくとも1つの栽培モジュールで使用するための適切な直流電圧に変換するための変圧器を含む、請求項33~38のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【請求項40】
前記スタックベースユニットの各々における前記ポンプが、容積式ポンプである、請求項34~39のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【請求項41】
前記水制御モジュール内の前記ポンプが、容積式ポンプである、請求項33~40のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【請求項42】
前記水制御モジュールが、前記水源内の水のpHおよび栄養素組成を維持するための栄養素およびpH変更成分を含むタンクを含む、請求項33~41のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【請求項43】
前記水制御モジュールが、前記水源の導電率およびpHレベルの読み取り値を取り、所定のレベルに基づいて栄養素またはpH変更成分を添加する論理制御システムを含む、請求項42に記載のモジュール式システム。
【請求項44】
前記論理制御システムがまた、前記栽培モジュールに水を圧送するタイミングを取り、前記ハウジング内の前記少なくとも1つのライトを操作するために前記少なくとも1つのスタックベースユニットにスケジューリング情報を送信する、請求項43に記載のモジュール式システム。
【請求項45】
前記支持システムが、垂直方向に隣合うモジュールベース内に配置された複数の栽培モジュールが、前記栽培モジュールの底部に配置された単一のスタックベースユニットから水および電気を供給されるように配置されている、請求項34~44のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【請求項46】
複数の積み重ねられたセグメントを備える、作物を栽培するためのユニットのための栽培カラムであって、
前記セグメントの各々が、
第1の端部と、
第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に空洞を形成するように延在する側壁と、
前記側壁に配置された少なくとも1つの開口と、
前記空洞と流体連通するように前記開口内に取り外し可能に配置された少なくとも1つのポットと、
前記第1の端部に配置された誘導要素であって、前記第1の端部に入る流体が前記少なくとも1つの開口の方へ進路変更される、誘導要素と、
隣合うセグメントを相互に結合する前記第1の端部および前記第2の端部にあるインターロック接続要素と
を備え、
前記セグメントの各々が、前記側壁を形成するように接続する複数のセグメント壁からなる、作物を栽培するためのユニットのための栽培カラム。
【請求項47】
前記誘導要素が、第1のセグメントの前記誘導要素が前記第1のセグメントを第2のセグメントの前記第2の端部に接続するように前記インターロック接続要素として機能する、請求項46に記載の栽培カラム。
【請求項48】
少なくとも1つの栽培カラムが見えるように透明または半透明であるハウジングおよび/またはアクセスポイントを備える、請求項46または47に記載の少なくとも1つの栽培カラムを含むユニット。
【請求項49】
ポンプと、
導管と、
流体出口と、
タンクと
をさらに備え、
前記流体出口が前記タンクと流体連通し、
前記ポンプが、前記導管を通して前記タンクから前記少なくとも1つの栽培カラムに流体を運ぶことができる、請求項48に記載のユニット。
【請求項50】
前記少なくとも1つの栽培カラムが回転することができ、前記ハウジングの内縁にライトが設けられている、請求項48または49に記載のユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、水耕栽培または同様の手段によって作物を栽培するためのモジュール式ユニット、および該ユニットと併用するための栽培カラム、ならびにこれらのユニットを含む水耕栽培または同様の手段によって作物を栽培するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]増大する世界人口の需要を満たすために、農産業は一貫して食用作物の栽培効率を改善しようと努めてきた。このために、従来の農業に必要な大量の土壌および土地なしで作物を栽培することを目的として、水耕栽培、空中栽培、および薄膜水耕法(nutrient film technique(NFT))などの多数の最新の栽培法が開発されている。これらの技術は、植物またはその他の作物が人工照明下で垂直に積み重ねられた層として屋内で栽培される、垂直屋内農法の発展をもたらした。このような配置により、地面より上の垂直空間を利用することで、所定の面積で栽培することができる作物の量が従来の農法と比較してさらに増加し、都市部のより近くで産業規模で作物を栽培することも可能となる。これには、消費者に到達するために移動する「フードマイル」を減らすというさらなる環境上の利益がある。屋内農法はまた、季節変動および悪天候の影響を受けにくく、従来の農法で可能であるよりも確実な作物収量を提供する。
【0003】
[0003]これらの利益にもかかわらず、垂直屋内農法は、主に、現在利用可能な作業機器のコストが大きく、複雑であるために、使用が限られている。商用販売のために大規模に作物を生産することができる市販の屋内農法システムは、設置費用が高くつき、管理および運用に労働を集約する必要がある。さらに、これらのシステムは、ある特定の作物に対して最適化されることが多く、別の作物のための異なる生育条件を生み出すよう変更するには多大な労力が必要である。よって、このシステムは、システムを新たな作物品種を栽培するのに適した設定に転換するための多大なコスト、労力および時間をかけなければ新たな作物の栽培に転換することができない。
【0004】
[0004]他方で、輸送用コンテナまたは同様のサイズのユニットに組み込まれたより小型のシステムは、より低コストの代替方法を提供するが、単一の場所に複数のコンテナがあることにより、収穫が複雑になり、多くの場合非効率である複雑な電力および水の分配構成が必要になるため、これらのシステムは、商業的に採算の合う作物収量を提供するのに十分なレベルにスケールアップするのが難しい。収穫が複雑であることは、これらのシステムが大量の労力を必要とし、必要なコストを増加させることも意味する。
【0005】
[0005]現在使用されている垂直栽培システムは、小規模生産でも大規模生産でも、通常、作物を栽培するための適切な培地を含む少なくとも1つの溝で作物が栽培される栽培壁または栽培タワーに依拠している。典型的には、これらの溝は、壁もしくはタワーの一面または対向する面のどちらかにある。栄養豊富な水が、溝上に配置された滴下ノズルによって作物に供給される。
【0006】
[0006]本発明は、これらの問題の少なくとも一部を、容易に変更可能な生育条件、ならびに小規模生産から商業規模生産への効率的な拡張性を可能にするモジュール式ユニットのモジュール式システムを提供することによって解決する垂直屋内農法を提供しようとするものである。本発明はまた、既存の垂直栽培システムと比較して、システム全体にわたるより効率的な水および電力の分配、ならびにより容易な栽植および収穫を提供しようとするものである。
【発明の概要】
【0007】
[0007]第1の態様によれば、作物を栽培するためのユニットが提供され、このユニットは、ハウジングと、ハウジングの少なくとも一方の側に配置されたブラインドやドアなどのアクセスポイントと、ハウジングの内部に組み込まれた少なくとも1つのライトと、作物を栽培するための第1のタイプの少なくとも1つのコンテナまたは第2のタイプの少なくとも1つのコンテナと、第1のタイプまたは第2のタイプの少なくとも1つのコンテナを少なくとも部分的に受け入れるように構成されたハウジング内の調整可能なフレームワークであって、前記少なくとも1つのコンテナが取り外し可能に配置される、調整可能なフレームワークと、ユニットから離れた流体源からハウジングの内部への流体連通を可能にする流体入口と、第1の出口セットおよび第2の出口セットを含む、ハウジングの上部に配置されたマニホールドであって、第1の出口セットが流体を入口から第1のタイプの少なくとも1つのコンテナに導くことができ、第2の出口セットが流体を入口から第2のタイプの少なくとも1つのコンテナに導くことができる、マニホールドと、ハウジングの内部から外側への少なくとも1つのコンテナからの流体連通を可能にする流体出口と、を備える。
【0008】
[0008]第1の態様の特定の実施形態では、第1のタイプまたは第2のタイプの少なくとも1つのコンテナとマニホールドおよび/またはフレームワークとの間に、前記少なくとも1つのコンテナがユーザによって取り外され、再挿入されることを可能にするように配管がない。
【0009】
[0009]第1の態様の特定の実施形態では、ユニットは、ユニットに出入りする空気の流れを制御するための換気システムをさらに備える。
【0010】
[0010]第1の態様の特定の実施形態では、換気システムは、ハウジングの下部に配置された吸気口と、吸気口に対してユニットの反対側のハウジングの上部に配置された排気口とを含む。
【0011】
[0011]第1の態様の特定の実施形態では、ハウジングは、吸気口と流体連通することができる内部空洞を含む少なくとも1つの側壁であって、少なくとも1つの側壁の内面が複数の開口を含む、少なくとも1つの側壁、を含み、空気は、吸気口を通ってユニットに入り、内部空洞および複数の開口を移動してハウジングの内部に入る。
【0012】
[0012]第1の態様の特定の実施形態では、開口の直径は、ユニットの内部全体にわたる均一な空気の流れを可能にするために、側壁の垂直方向に沿って変化する。
【0013】
[0013]第1の態様の特定の実施形態では、換気システムは、ハウジングに組み込まれた送風ファンを含む。
【0014】
[0014]第1の態様の特定の実施形態では、換気システムは、HEPAフィルタなどのフィルタ要素を含む。
【0015】
[0015]第1の態様の特定の実施形態では、換気システムを、空気がハウジングを出るのを妨げるように構成することができる。
【0016】
[0016]第1の態様の特定の実施形態では、流体出口は、流体源との流体連通が再循環されることを可能にする。
【0017】
[0017]第1の態様の特定の実施形態では、マニホールドは、重力下でのみ、作物を栽培するための第1のタイプまたは第2のタイプの少なくとも1つのコンテナに水を放出するように構成される。
【0018】
[0018]第1の態様の特定の実施形態では、少なくとも1つのライトは、LEDである。
【0019】
[0019]第1の態様の特定の実施形態では、第1のタイプの少なくとも1つのコンテナは、垂直方向に配置された栽培カラムの形態である。
【0020】
[0020]第1の態様の特定の実施形態では、少なくとも1つの垂直方向に配置された栽培カラムを、その長軸線を中心に回転させることができる。
【0021】
[0021]第1の態様の特定の実施形態では、少なくとも1つの栽培カラムの各々が、少なくとも1つの積み重ね可能なセグメントを備え、各セグメントは、作物を栽培するためのポットを取り外し可能に配置することができる少なくとも1つの開口を含む。
【0022】
[0022]第1の態様の特定の実施形態では、複数のセグメントがあり、それらのセグメントは、隣合うセグメント間の流体連通を可能にする内部空洞と、セグメント内の少なくとも1つの開口およびポットの方へ流体を誘導する内部空洞内に配置された誘導要素とをさらに含む。
【0023】
[0023]第1の態様の特定の実施形態では、少なくとも1つのライトは、その周りに複数の栽培カラムが配置されるライトカラムの形態である。
【0024】
[0024]第1の態様の特定の実施形態では、少なくとも1つのライトは、ハウジングの内部の少なくとも1つの内縁に沿って配置され、内縁は、少なくとも1つの栽培カラムに対して略平行である。
【0025】
[0025]第1の態様の特定の実施形態では、ハウジングの内側に追加の照明要素が設けられる。
【0026】
[0026]第1の態様の特定の実施形態では、複数の栽培カラムがあり、栽培カラムは、栽培カラムの上に位置し、カラムと流体連通するカルーセルマニホールドを含む回転式カルーセル上に配置され、マニホールドは、流体をカルーセルマニホールドに導く。
【0027】
[0027]第1の態様の特定の実施形態では、少なくとも1つの栽培カラムは、回転式カルーセルの外周の周りに配置される。
【0028】
[0028]第1の態様の特定の実施形態では、回転式カルーセルは、電動式である。
【0029】
[0029]第1の態様の特定の実施形態では、回転式カルーセルは、その外周の下面の周りに1組のギヤ歯を含み、カルーセルを回転させるために電動式ウォームギヤが使用される。
【0030】
[0030]第1の態様の特定の実施形態では、各栽培カラムのベースは、回転式カルーセルが移動するときにウォームギヤと相互作用してカラムを回転させるギヤ歯を含む。
【0031】
[0031]第1の態様の特定の実施形態では、各栽培カラムのベースのギヤは、カルーセルが連続して完全に回転した後に各栽培カラムが異なる向きを有するような適切な比率を有する。
【0032】
[0032]第1の態様の特定の実施形態では、第2のタイプの少なくとも1つのコンテナは、水平取り付け式引き出しまたはトレイの形態である。
【0033】
[0033]第1の態様の特定の実施形態では、ユニットは、調整可能なフレームワークに取り付けられる取り外し可能な中央仕切りをさらに備え、中央仕切りは、第2のタイプのコンテナを少なくとも部分的に受け入れることができる。
【0034】
[0034]第1の態様の特定の実施形態では、少なくとも1つの水平取り付け式引き出しの各々は、引き出しを所定の高さまでのみ流体で満たすことができるようなあふれ口と、引き出しの底面にある排水口とを含む。
【0035】
[0035]第1の態様の特定の実施形態では、少なくとも1つの水平取り付け式引き出しの各々は、引き出しの裏面にあるライトを含む。
【0036】
[0036]第1の態様の特定の実施形態では、少なくとも1つの水平取り付け式引き出しの各々は、バスバーと各水平取り付け式引き出しとの間の電気連通を可能にするハウジングに配置されたバスバーへの取り外し可能な接続部を含む。
【0037】
[0037]第1の態様の特定の実施形態では、水平取り付け式引き出しは、作業者が引き出しから作物を容易に追加し、または取り出すことができるようにアクセスポイントのうちの少なくとも1つに面するように位置合わせされる。
【0038】
[0038]第1の態様の特定の実施形態では、ハウジングは、ユニットを輸送するためのフォークリフトまたは同様の車両からのフォークを受け入れるための、少なくとも1つの外面に配置された開口を含む。
【0039】
[0039]第2の態様によれば、作物を栽培するためのモジュール式システムが提供され、このモジュール式システムは、ハウジングと、ハウジングの少なくとも一方の側に配置されたブラインドやドアなどのアクセスポイントと、ハウジングの内部に組み込まれた少なくとも1つのライトと、作物を栽培するための少なくとも1つのコンテナと、少なくとも1つのコンテナを取り外し可能に配置することができるハウジング内の調整可能なフレームワークと、モジュールから離れた水源からハウジングの内部への流体連通を可能にする流体入口と、入口と流体連通するハウジングに配置されたマニホールドと、ハウジングの内部から外側への流体連通を可能にする流体出口と、水源とポンプとを備える、水制御モジュールと、少なくとも1つのモジュールに取り付けられた支持システムと、を備える、少なくとも1つの栽培モジュール、を備える。
【0040】
[0040]第2の態様の特定の実施形態では、栽培モジュールは、第1の態様によるユニットである。
【0041】
[0041]第2の態様の特定の実施形態では、システムは、電源への接続部とポンプとを備える、少なくとも1つのスタックベースユニットをさらに備え、スタックベースユニットは支持システムに取り付けられ、支持システムを通って各スタックベースユニットと複数の栽培モジュールとの間で流体連通および電気連通が可能である。
【0042】
[0042]第2の態様の特定の実施形態では、支持システムは、栽培モジュールを受け入れるような形状の複数のモジュールベースを含む。
【0043】
[0043]第2の態様の特定の実施形態では、支持システムは、栽培モジュールがモジュールベースに配置されているときに栽培モジュールの流体入口とスタックベースユニットおよび/または水制御モジュールとの間の流体連通および電気連通を可能にするための結合部を含む。
【0044】
[0044]第2の態様の特定の実施形態では、結合部は、栽培モジュールがモジュールベースに配置されていないときに結合部を介した流体連通および電気連通が妨げられるようなスプリング式バルブの形態である。
【0045】
[0045]第2の態様の特定の実施形態では、スタックベースユニットまたは栽培モジュールは、商用電源を少なくとも1つの栽培モジュールで使用するための適切な直流電圧に変換するための変圧器を含む。
【0046】
[0046]第2の態様の特定の実施形態では、各スタックベースユニット内のポンプは、容積式ポンプである。
【0047】
[0047]第2の態様の特定の実施形態では、水制御モジュール内のポンプは、容積式ポンプである。
【0048】
[0048]第2の態様の特定の実施形態では、水制御モジュールは、水源内の水のpHおよび栄養素組成を維持するための栄養素およびpH変更成分を含むタンクを含む。
【0049】
[0049]第2の態様の特定の実施形態では、水制御モジュールは、水源の導電率およびpHレベルの読み取り値を取り、所定のレベルに基づいて栄養素またはpH変更成分を添加する論理制御システムを含む。
【0050】
[0050]第2の態様の特定の実施形態では、論理制御システムはまた、栽培モジュールに水を圧送するタイミングを取り、ハウジング内の少なくとも1つのライトを操作するために少なくとも1つのスタックベースユニットにスケジューリング情報を送信する。
【0051】
[0051]第2の態様の特定の実施形態では、支持システムは、垂直方向に隣合うモジュールベース内に配置された複数の栽培モジュールが、栽培モジュールの底部に配置された単一のスタックベースユニットから水および電気を供給されるように配置される。
【0052】
[0052]第3の態様によれば、作物を栽培するためのユニットのための栽培カラムが提供され、この栽培カラムは、各セグメントが、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に空洞を形成するように延びる側壁と、側壁に配置された少なくとも1つの開口と、空洞と流体連通するように開口内に取り外し可能に配置された少なくとも1つのポットと、第1の端部に配置された誘導要素であって、第1の端部に入る流体が少なくとも1つの開口の方へ進路変更される、誘導要素と、隣合うセグメントを相互に結合する第1の端部および第2の端部にあるインターロック接続要素と、を備え、各セグメントが、側壁を形成するように接続する複数のセグメント壁からなる、複数の積み重ねられたセグメント、を備える。
【0053】
[0053]第3の態様の特定の実施形態では、誘導要素は、第1のセグメントの誘導要素が第1のセグメントを第2のセグメントの第2の端部に接続するようにインターロック接続要素として機能する。
【0054】
[0054]第4の態様によれば、少なくとも1つの栽培カラムが見えるように透明もしくは半透明であるハウジングおよび/またはアクセスポイントを備える、48または49による少なくとも1つの栽培カラムを含むユニットが提供される。
【0055】
[0055]第4の態様の特定の実施形態では、ユニットは、ポンプと、導管と、流体出口と、タンクと、をさらに備え、流体出口はタンクと流体連通し、ポンプは、導管を通してタンクから少なくとも1つの栽培カラムに流体を運ぶことができる。
【0056】
[0056]第4の態様の特定の実施形態では、少なくとも1つの栽培カラムは、回転することができ、ハウジングの内縁にライトが設けられる。他の態様、特徴、および利点は、以下の詳細な説明を、本開示の一部であり、開示の発明の原理を例として示す添付の図面と併せて読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】作物を栽培するためのモジュール式システムの一実施形態を示す図である。
【
図2A】モジュールベースおよび栽培モジュールを示す等角図である。
【
図2B】モジュールベースおよび栽培モジュールを示す別の等角図である。
【
図2C】モジュールベースおよび栽培モジュールを示すさらに別の等角図である。
【
図3】水平取り付け式引き出しを有する栽培モジュールおよびモジュールベースの一実施形態を示す正面図である。
【
図4】水平取り付け式引き出しを有する栽培モジュールの別の実施形態を示す等角図である。
【
図5】垂直栽培カラムを有する栽培モジュールの一実施形態を示す正面図である。
【
図6】垂直栽培カラムおよび回転式ベースを有する栽培モジュールの別の実施形態を示す等角図である。
【
図7】回転式ベースおよび垂直栽培カラムの一実施形態を示す上から見た等角図である。
【
図8】
図7に示される実施形態を示す下から見た等角図である。
【
図9】栽培カラムの一実施形態を示す等角図である。
【
図10】栽培カラムのセグメントの一実施形態を示す等角図である。
【
図11】栽培カラムのセグメントの一実施形態を示す分解図である。
【
図12A】栽培カラムの変形セグメントのさらなる実施形態を示す図である。
【
図12B】栽培カラムの変形セグメントのさらに別の実施形態を示す図である。
【
図13A】栽培カラムの変形セグメントのための単一のセグメント壁のさらなる実施形態を示す図である。
【
図13B】栽培カラムの変形セグメントのための単一のセグメント壁のさらに別の実施形態を示す図である。
【
図13C】栽培カラムの変形セグメントのための単一のセグメント壁のさらに別の実施形態を示す図である。
【
図13D】栽培カラムの変形セグメントのための単一のセグメント壁のさらに別の実施形態を示す図である。
【
図14A】垂直栽培カラムまたは水平取り付け式引き出しのいずれかを受け入れることができるモジュールの一実施形態を示す図である。
【
図14B】垂直栽培カラムまたは水平取り付け式引き出しのいずれかを受け入れることができるモジュールの別の実施形態を示す図である。
【
図15A】垂直栽培カラムまたは水平取り付け式引き出しのいずれかを受け入れることができるモジュールのベースを示す切り欠き等角図である。
【
図15B】垂直栽培カラムまたは水平取り付け式引き出しのいずれかを受け入れることができるモジュールのベースを示す完全な等角図である。
【
図16】単一の垂直栽培カラムを有する表示用の栽培モジュールの別の実施形態を示す図である。
【
図17】2つの垂直栽培カラムを有する表示用の栽培モジュールのさらなる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
[0074]本発明は、作物を栽培するためのモジュール式システムを提供する。いくつかの実施形態では、モジュール式システムは、キノコやその他の菌類を栽培するために使用され得、さらなる実施形態では、システムは、消費のために昆虫やその他の生物を育種するために使用され得る。
【0059】
[0075]システムは、支持システムおよび水制御モジュールを介して互いに接続された栽培モジュールを備える。通常、各システムは一度に単一の種類の作物を栽培し、1つの農場またはその他の屋内栽培事業がいくつかのシステムを有し得る。異なる作物を栽培するため、および/または第1の作物の生産を増やすために複数のシステムが使用され得る。いくつかの実施形態では、支持システムは、スタックベースユニットに取り付けられ得、スタックベースユニットは、栽培モジュールに取り付けられる。
【0060】
[0076]水制御モジュールは、システムに水を供給し、好ましくは、水を貯蔵するための大きな保水タンク、ならびに栄養素およびpH変更成分の貯蔵槽を含む。ほとんどの状況では、水が時間の経過とともにより塩基性になる傾向があるため、pH変更成分は酸性である。水制御モジュールは、センサから保水タンク内の水の水位、導電率、およびpHに関する情報を受信し、所定の組成を維持するために保水タンクに栄養素およびpH変更成分を放出する論理コントローラを含む。導電率が測定されるのは、水がどの程度栄養豊富であるかの間接的な読み取り値を与えるからである。好ましい実施形態では、この所定の組成は、栽培中の作物に対して最適化される。いくつかの実施形態では、ある範囲の作物のための組成のライブラリが、中央サーバまたはクラウドサービスに格納され、作業者によって選択されたときに論理コントローラに送信され、論理コントローラによって格納される。理想的には、ライブラリは、機械学習またはその他の適切なアルゴリズムを使用してユーザデータに基づいて常に更新および改訂される。水制御モジュールはまた、栽培モジュールに直接、または一連のスタックベースユニットを介して水を送るためのポンプ、好ましくは、これらに限定されないが、蠕動ポンプなどの容積式ポンプも含む。流体をモジュールおよび/またはスタックベースユニットに送るために保水タンクと導管との間には、フィルタ、好ましくは、限外ろ過フィルタとUVフィルタの両方が配置される。
【0061】
[0077]水制御モジュールは、保水タンクを周期的に自動的に空にして補充するためのフラッシング機能をさらに含む。これは、導電率測定が水中の栄養素の組成を考慮に入れず、栄養素が時間の経過とともに塩で置き換えられるため、水が汚染された場合と通常の使用の両方において重要である。
【0062】
[0078]いくつかの実施形態では、スタックベースユニットは、水制御モジュールから保水タンクに水を受け入れる。水は、次いで、所定の間隔で支持システムを通して水を圧送することによって栽培モジュールに移送される。好ましい実施形態では、水は、容積式ポンプを使用して圧送される。スタックベースユニットは、商用電源と電気連通し、照明、換気、および栽培モジュール内の任意のモータに電力供給するために工場電源または商用電源を直流に変換する変圧器を含む。スタックベースユニットは、給水間隔、照明、モータ動作および換気のタイミングに関して、水制御モジュール内の論理コントローラからスケジューリング情報を受信する。タイミングは、栽培中の作物の成長を最適化するように予め決定され、好ましくは、中央サーバに格納され、水組成と同時に論理コントローラに送信される。必要な直流電力は、栽培モジュールの様々な実施形態において異なり得る。適切な電圧の例には、24Vまたは48Vの直流が含まれるが、他の実施形態では他の電圧も必要とされ得ることが理解されよう。
【0063】
[0079]他の実施形態では、水制御モジュールは、システム内にスタックベースユニットが存在しなくても栽培モジュールに直接水を導く。これらの実施形態では、スタックベースユニットの機能は、スタックベースユニットの特徴の一部を含み得る水制御モジュールによって部分的または完全に担われ得る。代替的または追加的に、栽培モジュールは、スタックベースユニットの機能を部分的または完全に行う特徴を含んでいてもよい。例えば、栽培モジュールの一部または全部が、商用電源の栽培モジュールでの使用に適した電圧および電流への変換を可能にする変圧器および関連する電気機器を含んでいてもよい。
【0064】
[0080]支持システムは、複数のモジュールベースを含む。各モジュールベースは、栽培モジュールの底面を受け入れるような形状であり、好ましい実施形態では、スタックベースユニットと受けられた栽培モジュールとの間の流体連通および電気連通を可能にするためのスプリング式バルブを含む。これらの実施形態では、バルブは、栽培モジュールがベースから取り外されるときにモジュールベースを通る連通を妨げるように機能する。好適には、支持システムは、いかなるポンプも電子機器も含まず、栽培モジュールとスタックベースユニットとの間の導管としてのみ機能する。代わりに、水は、支持システムの導管を通って移動するのに十分な圧力で水制御モジュールまたはスタックベースユニット(存在する場合)から圧送され、重力がモジュールを通る水の移動を制御する。
【0065】
[0081]いくつかの実施形態では、モジュールベースは格子状に配置され、スタックベースユニットはモジュールベースの最下列の下に配置される。各スタックベースユニットは、その上のカラムに水および電力を供給する。いくつかの実施形態では、1つの支持システムに約30個のベースが設けられることが想定されるが、他の実施形態では、より多くのまたはより少ないモジュールベースが供給され得ることが理解されよう。
【0066】
[0082]栽培モジュールは、ハウジングと、作物を栽培するためのコンテナと、マニホールドとを含む。ハウジングには、作業者が作物を収穫、検査または栽植するためのアクセスポイントが設けられる。このアクセスポイントは、例えば、ドアまたはブラインドであり得る。好ましい実施形態では、ハウジングは略直方体の形状であり、ハウジングの縁部は面取りされているか、または丸みを帯びている。マニホールドは、コンテナの上のハウジングの上部に位置し、スタックベースユニットから、または支持システムを介して水制御モジュールから直接圧送された水を受け取る。次いで、マニホールドは、重力滴下によって水をコンテナに移す。コンテナの下部の排水口は、余分な水が収集され、システムで再利用するためにスタックベースユニットおよび/または水制御モジュールに戻されることを可能にする。これも完全に重力によって駆動される。
【0067】
[0083]栽培モジュールは、換気システムをさらに含む。好ましくは、このシステムは、システムへの空気の流れを増加または減少させるように動作させることができるルーバなどの制御手段を場合によっては含む入口を含む。入口はまた、微粒子を除去し、害虫がシステムに入るのを防ぐためのメッシュも含み得る。換気システムは、空気がシステムから出ることを可能にするための排気ファンをさらに含み得る。ルーバはまた、モジュールから出る空気流を制御するために、排気口にも設けられ得る。場合によっては、発芽中やキノコを栽培するときなどに、モジュール内に空気を閉じ込めることが有利であり得る。これらの場合、換気システムを、システムから空気が出るのを妨げるように構成することができ、そのタイミングは、水制御モジュールから送信された情報に作用するスタックベースユニットによって制御される。これらの実施形態では、アクセスポイントは気密であるように構成される。
【0068】
[0084]好ましい実施形態では、モジュールは、換気口が、コンテナが位置するところの下のハウジングの下部に位置するように配置される。入口は、コンテナの下のチャンバへの空気の取り込みを可能にし、この下部チャンバを加圧する送風ファンを含む。これらの実施形態では、ハウジングの側壁は中空であり、側壁の内部空洞は下部チャンバと流体接続する。これらの側壁の内面には、空気が開口を通って、植物を栽培するためのコンテナが位置するモジュールの主要内部に移動するように、開口が設けられている。開口は、栽培中の植物への空気流を最大化するために、水平に取り付けられた各トレイの上など、栽培中の作物に有益な位置で空気がモジュールの内部に移動するように配置され得る。好ましい実施形態では、開口の直径は、例えば、吸気源から離れる方向により大きな直径の開口を設けることによって、モジュール全体に均一な空気流が存在するように変化し、すなわち、コンテナが位置する主要内部の下に入口がある実施形態では、開口の直径は入口から離れる垂直方向に増加し得る。この状況での直径という用語は、一般的に使用されており、開口の特定の形状に対する制限ではなく、開口の表面積を指すことを意図されていることが理解されよう。
【0069】
[0085]換気の吸気口を第1の側、好ましくは、アクセスポイントおよび/またはインターフェースが位置する前を向く面に配置し、排気口を反対側、好ましくは、システムの一部として取り付けられたときにラックに面する背面に配置することによって、システムは、データサーバラックの「ホットアイル/コールドアイル」の手法と同様のレイアウトを採用する。サーバラックの場合と同様に、ホットアイル/コールドアイルレイアウトは、エネルギーを節約し、冷却コストを削減し、そうでない場合に達成可能であるよりもモジュールから生成される熱をより効果的に管理する。
【0070】
[0086]照明もまた、ハウジングの内部に配置される。典型的には、これは、熱および電力効率のためにLED照明の形態であり、コンテナのタイプに応じて内部の中央またはハウジングの角に配置され得る。内部はまた、光を反射して成長を最大化するために反射内面コーティングも有し得る。好ましい実施形態では、LED照明は、要件に応じて作業者が取り外して交換することができるストリップの形態である。LEDは、好ましくは、栽培中の作物に適合された光スペクトルを提供するように最適化される。コンテナ、好ましくは垂直栽培カラムが、ハウジングの内部にある間に回転される実施形態では、コンテナの回転により、必要な照明要素の数を減らして栽培中の作物を同じ量の光に曝すことが可能になるので、照明要素は、1つまたは2つの角にありさえすればよい。他の実施形態では、照明要素は、隣合うコンテナに光を供給するように、コンテナ、好ましくは水平に取り付けられたコンテナ上に設けられ得る。
【0071】
[0087]いくつかの実施形態では、ハウジング内の照明の光スペクトルおよび光強度は、経時的に変化し得る。例えば、植物が大きく成長するにつれて、より高い光強度が必要とされ得る。植物はまた、生育相を制御するために異なる光スペクトルを必要とする場合があり、例えば、光スペクトルおよび光強度の変化が、植物に結果を開始させる場合がある。好ましい実施形態では、これらの態様のタイミングは、水制御モジュールによって制御される。いくつかの実施形態では、水制御モジュールは、クラウドまたはその他の適切な中央サーバから、栽培中の作物のために最適化された所定のタイミングを受信する。
【0072】
[0088]ハウジング内のコンテナは、いくつかの形態を取り得ることが理解されよう。好ましい実施形態は、水平取り付け式引き出しまたは垂直栽培カラムのどちらかの形態のコンテナを含む。特に好ましい実施形態では、ハウジングは、どちらの形態のコンテナも取り付けることができるフレームワークを含む。他の実施形態は、水耕栽培に適した異なるコンテナを含み得る。
【0073】
[0089]コンテナの1つの好ましい形態では、コンテナは水平取り付け式引き出しである。引き出しは、引き出しの側壁に配置されたあふれ口と、底面の排水孔とを有する。引き出しはまた、ロックウールなどの作物を栽培するのに適した培地で満たされる。これらの引き出しは、検査および収穫を容易にするためにアクセスポイントに面する方向に摺動することができるように配置される。
【0074】
[0090]これらの引き出しを含むシステムでは、水がマニホールドからコンテナ内に滴下し、各コンテナをあふれ口によって規定されるレベルまで満たし、水をコンテナからゆっくりと流出させる。水は、あるコンテナから別のコンテナに流れて、すべてのコンテナを順に満たすことができる。これは、あふれ口を1番目のコンテナの下のコンテナに流れるように配置することによって、コンテナが注水されている間は1番目のコンテナから2番目のコンテナへの水の流れを止め、注水が停止したときに排水することができるバルブアッセンブリを各コンテナに設けることによって、またはこれら2つの組み合わせによって達成され得る。これにはまた、取り外された引き出しの上の引き出しからの水が代わりに取り外された引き出しの下の引き出しに導かれることになるので、残りの引き出し全体の水の流れを妨げることなくユーザがシステムから引き出しを取り外すことができるというさらなる利点もある。同様に、ユーザが引き出しをシステムに追加したい場合には、水は、挿入された引き出しの上の引き出しから挿入された引き出しに流れ、順に下の引き出しを満たすことになる。
【0075】
[0091]コンテナの別の好ましい形態では、コンテナは垂直栽培カラムである。これらのカラムは、上端でマニホールドに接続され、水がマニホールドから通過することができる中空内部空間を特徴とする。カラムは、下端で、水制御モジュールに流体接続される排水口に接続される。栽培カラムは、作物を配置することができるカラムの長軸線から鋭角に延びる開口を有する。いくつかの実施形態では、これらの開口は、開口と同じ方向にカラムの本体から延びる突出部内に配置される。好ましくは、作物は、開口に取り外し可能に取り付けられるような形状のポット内に配置される。作業者が作物を収穫したいとき、作業者は簡単にポットを開口から取り外し、種子または苗を含む新しいポットと交換することができる。ポットはまた、ロックウールなどの栽培中の作物に適した培地も含む。
【0076】
[0092]好ましい実施形態では、栽培カラムは、各々が植物を栽培するための少なくとも1つの開口を含むモジュール式セグメントで構成される。これらのセグメントは、洗浄またはその他の保守のために個別に取り外すことができ、セグメントの数を変えることによってある範囲の高さまで構築することができる。これは、システムを、栽培するためにより多くの空間を必要とするものもある様々な作物種に対して最適化するのに有利である。
【0077】
[0093]栽培カラムを含むモジュールはまた、栽培カラムが配置される回転カルーセルも特徴とし得る。回転カルーセルは、スタックベースユニットまたは別の電源によって供給される電力から離れて電動機によって駆動され得るベースを含み得る。電動機は、回転カルーセルの外周に沿ったギヤ歯と協働して移動を可能にするウォームギヤに接続され得る。カラムがカルーセルに対しても回転されるように各栽培カラムの外周にさらなるギヤ歯が設けられてもよい。好ましくは、カラムのギヤ歯は、カラムがカルーセルの回転ごとに異なる向きになるように、カルーセル歯に対して異なる比率を有する。回転カルーセルは、作業者がアクセスポイントに立ち、ベースおよびカラムを回転させて同じ位置からすべての植物に到達し収穫することを可能にする。
【0078】
[0094]カルーセルはまた、栽培カラムの上に第2の開放カルーセルマニホールドも含み得る。カルーセルがモジュール内に設置されると、この開放カルーセルマニホールド内に流体(典型的には水)を導くことができる。カラムの上のカルーセルマニホールドの位置により、ドリップエミッタを使用する従来のシステムに優るいくつかの実質的な利点が提供される。第1に、モジュール内にポンプは必要とされず、コストおよび複雑さが低減される。第2に、現在のドリップエミッタの問題は、使用による塩の蓄積に起因する目詰まりである。これは、水に添加される栄養素が多くの塩を含むために問題である。重力によってコンテナ内に滴下する複数の大口径出口を設けることにより、植物に水をやりすぎることを恐れずに水がカルーセルマニホールドに流れることができるので、モジュール内への入口の直径を同等の滴下ノズルの直径よりもはるかに大きくすることができる。これにより目詰まりの発生率が低下し、またカルーセルマニホールド内の滴下孔を慎重に設計することによっても、特定の流量での目詰まりのリスクに起因するドリップエミッタで可能な流量よりも広い範囲の流量が可能になる。加えて、カルーセルマニホールドは、カルーセルの現在位置にかかわらず流体が固定されたマニホールドから回転カルーセルマニホールドに流れることを可能にするように開いている。よって、モジュールのマニホールドは、カルーセルまたは栽培カラムへの物理的接続を必要としない。
【0079】
[0095]カルーセルおよびカラムの回転により、いくつかの利点が提供される。回転により、植物としてより強い植物成長をもたらすひなたと日陰のサイクルが提供される。これにより、植物が照明に近づきすぎて成長するときに起こるチップバーンも防止される。好ましい実施形態では、カルーセルの完全な回転は5時間かかるが、最適時間は栽培中の作物に応じて異なり得ることが理解されよう。モータの作動は、水制御モジュールから送信されるスケジューリング情報に基づいてスタックベースユニットから制御される。
【0080】
[0096]前述のように、好ましい実施形態は、コンテナとして水平取り付け式引き出し、垂直栽培カラムの両方を取り付けることができる。これは、両方のシステムに共通の要素を有するハウジングを作成することによって達成され得る。これは、垂直栽培カラムを設置するときの回転式カルーセル、または水平取り付け式引き出しを設置するときの中央仕切りのどちらかを取り付けるためのノッチまたは溝の形態の接続点を含み得る。ハウジングはまた、両方のタイプのコンテナに共通の換気/電源システムも含み得る。
【0081】
[0097]マニホールドは、ヘッダまたはヘッダタンクとも呼ばれることがあり、大きな保水タンクや水制御モジュールを介してなど、モジュールの外部の流体源から流体(例えば水)を受け取ることができる。そのようなマニホールドは、モジュールに設置されたときに流体を回転式カルーセルの方へ導く(具体的には、マニホールドは、流体を栽培カラムの上の第2のカルーセルマニホールドに導く)第1の出口セットと、モジュールに設置されたときに流体を最上部の水平取り付け式引き出しに導く第2の出口セットとを含み得る。水平取り付け式引き出しは、特定の量の流体が引き出しを満たしたときに流体を下の引き出しに導くためのバルブまたはバルブアッセンブリを含み得る。各出口セットは、他方のタイプのコンテナが設置されたときに遮断されるか、またはそれ以外の方法で流体を通過させることを妨げられ得る。例えば、流体を水平取り付け式引き出しに導く出口は、モジュール内に垂直栽培カラムを設置するときに遮断されてもよく、その逆も同様である。結果として、水を保持するための栽培モジュール内の構成要素は不要になり、水は、マニホールドから(1つまたは複数の)第1のタイプまたは第2のタイプのコンテナを通ってモジュールに、次いで共通の排水システムに流れることができる。
【0082】
[0098]ハウジングの下部領域に配置された共通の排水システムは、最下部の引き出しまたは各栽培カラムの底部から流体を収集し、それを排水口に導き得る。マニホールド、コンテナ、および排水口をこのように配置することにより、重力に依拠してモジュールを通して水を移動させることが可能である。
【0083】
[0099]記載のシステムの1つの利点は、商業的な農業経営において、販売用の1つまたは複数の作物を栽培するために多数のシステムが使用されることである。既存の栽培作業とは対照的に、水源は分散されており、各配列が独自の水制御モジュールを含む。これは、従来のシステムで発生したような、作物全体が破壊されることになる、給水に対する病原体または同様の汚染からの保護を提供する。給水を分散させることは、汚染が発生した場合に、1つの配列のみが影響を受けることを意味する。
【0084】
[0100]別の利点は、各モジュールが一箇所で1人の作業者によって収穫されるように設計されていることである。いくつかの実施形態では、システムは、シザーリフト上の作業者がアクセスポイントの前に自分自身を配置し、前述のように作物を収穫するように設計される。他の実施形態では、フォークリフトまたは無人搬送車を使用して、モジュールが支持システムから取り外され、作業者が前述のように収穫および移植することができる収穫場所まで運ばれる。複数のシステムを使用するより大規模な経営では、作業者は同じ手順に従って1つのシステムから次のシステムに容易に移動することができる。
【0085】
[0101]このシステムのさらなる利点は、栽培中の作物を容易に改変できることである。作物が収穫されるときに、作業者は、簡単にコンテナに異なる作物を移植し、水制御モジュールの設定を変更して、新しい作物のために給水および照明を調整することができる。このように、別の作物に転換するときにシステムに大きな変更は不要である。これは、あるタイプの栽培コンテナから別のタイプのコンテナに変更する場合に特に有利であり、コンテナおよびいくつかの内部構成要素は、ユニットまたはシステムを完全に交換することなく置き換えられ得る。ユーザがシステム内にいくつかのモジュールを有する場合、システム全体の移動または変更を中断することも必要とすることもなく、モジュールをシステムに戻す前に、各モジュールが取り外され、内部構成要素が置き換えられ得る。
【0086】
[0102]本発明は、以下の非限定的な実施形態によってよりよく理解されるであろう。
【0087】
[0103]
図1に、支持システム4のモジュールベース3上に配置された栽培モジュール2からなる、作物を栽培するためのモジュール式システム1を示す。これらの栽培モジュールは、スタックベースユニット5によって供給を受ける。栽培モジュール2の各カラムは、カラムのベースに配置されたスタックベースユニット5によって水および電力を供給され、各スタックベースユニット5は、水制御モジュール(図示されていない)から水を受け取る。スタックベースユニットはまた、照明、換気、および栽培モジュール内のモータの動作などの他の栽培パラメータを制御する。結果として、栽培モジュール2を、利用可能なモジュールベース3上に配置するだけで、システムに容易に追加し、またはシステムから取り外すことができる。例えば、この実施形態では、システムは、10×3の格子内に30個の栽培モジュールを保持することができるが、6個の栽培モジュールのみが追加されている。ユーザが作物を増やすことを決定した場合、ユーザは、任意の利用可能なモジュールベース3上にモジュールを配置して既存のシステムにモジュールを追加することによって、容易に作物を増やすことができる。
【0088】
[0104]
図2A~
図2Cに、モジュールベースおよび栽培モジュールの一実施形態の接続を示す。
【0089】
[0105]
図2Aは、モジュールベース3を示している。モジュールベース3は、その上に栽培モジュールを配置することができる合わせ面31を含む。モジュールベース上の栽培モジュールの正確な位置を確実にするために、合わせ面31から突出部32が延びている。この実施形態では、これらは合わせ面の角に配置されているが、他の実施形態では、これらの突出部は他の位置に配置され得るか、またはスロットもしくは他の適切な位置決め要素の形態を取り得ることが理解されよう。合わせ面上に栽培モジュールとモジュールベースとの間の流体連通および電気連通を可能にするための導管33が配置されている。これらの導管は、栽培モジュールが合わせ面上に配置されたときにのみ連通が可能であるように押し下げるスプリング式バルブを含む。
【0090】
[0106]
図2Bは、ベースモジュール3の上に配置された栽培モジュール2を示している。栽培モジュールは、ローラブラインド22の形態のアクセスポイントを有する略直方体のハウジング21を含む。ハウジングの上面には排気ファン23が含まれており、底面(図示されていない)には吸気口が含まれている。この実施形態では、吸気口は、害虫またはその他の有害生物がハウジングに入るのを防止するためのメッシュまたはその他の適切なフィルタを備えたルーバの形態である。栽培モジュールとモジュールベースとの間に空洞27が形成される。吸気口は、空気が空洞を通ってモジュールに入ることができるように、この空洞の表面に配置されている。ハウジングはまた、モジュールベース3の突出部32と整列して、導管33を栽培モジュール内の対応する導管と整列させるように栽培モジュールを正しい位置に配置する凹部26も含む。栽培モジュールは、フォークリフトまたは同様の車両によってベースモジュール上に配置される。このプロセスを支援するために、ハウジングにフォークリフトまたは他の適切な車両からフォークを受け入れるための開口24が設けられる。車両によって搬送されていないときに地面に沿って容易に移動できるように、トロリーホイール25も設けられている。
【0091】
[0107]
図2Cは、作物を栽培する準備ができた取り付け状態にある
図2Bのモジュールベースおよび栽培モジュールを示している。
【0092】
[0108]
図3に、ハウジング21の内部を示すためにスライディングドアやローラブラインドなどのアクセスポイントが取り外されたモジュールベース3上の栽培モジュール2の一実施形態の正面図を示す。この実施形態では、コンテナは、水平取り付け式引き出しまたはトレイの形態であり、それらはすべて同じサイズである。作業者は、作物を栽植または収穫するために引き出しを容易に引き出すことができる。あるいは、収穫中に、作業者は、苗および培地を含むいくつかの追加の引き出しを事前に準備し、これらを収穫用モジュール内の引き出しと置き換えてもよい。ライト(図示されていない)は、好ましくはLEDストリップの形態であり、引き出しの上部および側面の少なくとも1つに配置される。いくつかの実施形態では、引き出しは、引き出しの裏面に一体化されたLEDストリップを有するように設計され、電力は、ハウジング内に、好ましくは引き出しの背面に設けられたバスバーに取り付けることができるクリップを含む電気PCBによって引き出しに供給される。よって、引き出しを取り外さなければならないとき、ユーザは、簡単にハウジングから引き出しをスライドさせて出すことができ、その力によってクリップが外れる。このようにして、引き出しを、ユーザが最初に引き出しから配線またはプラグを取り外す必要なく取り外すことができる。ユーザが引き出しを再挿入したいとき、クリップは、ユーザが引き出しをハウジング内にスライドさせて戻す力によってバスバーに再度取り付けられる。PCBは、制御の程度、すなわち、引き出しごとに点灯されるライトの強度または数を許容し得る。引き出しは、引き出し内に配置されたトレイまたは薄い箱を含み得、トレイは、植物(任意選択でポットに入った)を配置することができる開口を含む。このようにして、光が栽培中の作物の根域に到達するのを阻止することができる。より大きな開口やより深い深さなど、異なる作物を栽培するために最適化されたトレイも使用され得、ユーザが栽培中の作物を変更するときにトレイを交換しやすくなる。
【0093】
[0109]
図4に、ハウジングが取り外された状態の栽培モジュール2の異なる実施形態を示す。この実施形態では、2つの異なるサイズのコンテナ、小さいコンテナ6aおよび大きいコンテナ6bが使用されている。両方のコンテナを、フレームワーク61を介してハウジング内に配置することができる。大きいコンテナは、より高い高さを必要とする作物を栽培するために使用され得る。両方とも、スタックベースユニットから、引き出しに水を供給する入口62を介して供給を受ける。この実施形態では、フラッドアンドドレイン(flood and drain)給水法が使用され、各トレイは所定の水位まで満たされ、排水口を通ってハウジングの下面の中央出口に排水され、スタックベースユニットによって再循環される。モジュールを通る水の移動は、完全に重力によって駆動され、すなわち、モジュール内ではポンプは不要である。入口62は、他の実施形態では、マニホールドで置き換えられ得、マニホールドは、水制御モジュールから流体、最も一般的には水を受け取り、それを最上部の引き出しに分配する。
図4に示される実施形態では、これは、水を最上部の引き出し6aおよび6bに分配することを含み、引き出し6aおよび6bは次いで、その水を、あふれ口またはバルブアッセンブリによって連続する下の引き出しに運ぶ。これにより、コンテナ同士間、またはコンテナとモジュールとの間の物理的接続の必要性が回避される。好ましい実施形態では、マニホールドは、水平取り付け式引き出しが設置されたときに遮断される別のタイプのコンテナに適合されたさらなる出口を有する。他の実施形態では、スタックベースユニットが存在しない場合があり、代わりに、コンテナは、水制御モジュールによって直接供給を受ける。
【0094】
[0110]これらの実施形態では、フレームワークの一部が、代替のフレームワークが設置されることを可能にするように取り外し可能であり得、代替のフレームワークは、別のタイプのコンテナに適する。例えば、
図4の実施形態では、コンテナ6aとコンテナ6bとの間の中央仕切りは、ユーザが別のタイプのコンテナのためのカルーセルまたは他の支持構造を設置することを可能にするために取り外し可能であり得る。あるいは、ハウジングは、中央仕切りの取り外し後に別のタイプのコンテナがハウジングに直接追加されることを可能にするフレームワークを含んでいてもよい。
【0095】
[0111]加えて、いくつかの実施形態では、モジュールは、ハウジングの側壁の内側の空洞との流体連通を可能にする吸気口を介して空気が取り込まれる換気システムも含み得る。側壁は、栽培中の作物上の空気流を可能にする開口を含む。好ましくは、開口は、栽培中の作物上の空気流を最大化するために引き出しが隣合う開口列間に位置するように配置される。中央仕切りは、空気流が側壁の開口から中央仕切りの開口に略水平に移動し、モジュールの排気口を通って出るように、最上部の排気開口と流体連通する。
【0096】
[0112]
図5に、ハウジング21の内部を示すためにローラブラインドが取り外されたモジュールベース3上の栽培モジュール2の一実施形態の正面図を示す。他の実施形態では、代わりに両開きドアなどの別の形態のアクセスポイントがあり得る。
図2に示されている実施形態とは対照的に、コンテナは、垂直栽培カラム8の形態である。これらのカラムはどちらもそれ自体で回転可能であり、作業者がアクセスポイントに立っている間にすべてのカラムおよび作物にアクセスすることができるように回転式カルーセルに取り付けられる。ライトは、好ましくはLEDストリップの形態であり、回転式カルーセルの回転軸線に沿って、ハウジング壁の内部に沿って、または両方の組み合わせ(図示されていない)に沿って配置され得る。
【0097】
[0113]
図6に、回転式栽培カラム8の形態のコンテナを有する栽培モジュール2の一実施形態の等角図を示す。これらの栽培カラムは、回転式カルーセル7に取り付けられている。栄養豊富な水は、スタックベースユニットまたは水制御モジュールと流体接続する入口72を通ってモジュールに入ることができる。入口72は、ハウジング内の上部位置に配置されたカルーセルマニホールド71に接続されている。水は、次いで、カルーセルマニホールド内に配置されたカラム入口73を通って栽培カラム8に入る。モジュールを通る水の移動は、完全に重力によって駆動される。言い換えれば、モジュール内にポンプは存在しない。他の実施形態では、入口72は、同様の方法でカルーセルマニホールド71内に流体を導くことができるモジュールマニホールド(図示されていない)で置き換えられ得る。そのようなモジュールマニホールドはまた、
図3および
図4に見られるような水平取り付け式引き出しなどの別のタイプのコンテナの方へ水を導くための出口を有し得、これらの出口は、回転式栽培カラムが設置されるときに遮断されるか、または別の方法で流体連通を妨げられる。
【0098】
[0114]
図7に、
図6の回転式カルーセル7の等角図を示す。カルーセルマニホールド71およびカラム入口73を、この図でより明確に見ることができる。カルーセルマニホールドは、入口72が開口する中央部分と、遠位端にカラム入口73を含む放射状アームとを有する形状である。回転式カルーセル7は、カルーセルの外周の周りの1組のギヤ歯74と、カルーセルの円滑な回転を補助するためにベースの周りに配置された小さなベースベアリングまたはホイール76とを含む。栽培カラムは、ユーザが容易に分解および/または取り外しができるように、回転式カルーセルに取り付けられない。回転式カルーセルは、例えば、ベース内に栽培カラムを受け入れるような形状のいくつかの溝または凹部を含み得、栽培カラムは、カルーセルマニホールドの開口に対応する突出部またはフランジを有し得る。ユーザは、その場合、カラムの残りの部分を破壊することも、ユーザがカルーセルを取り外したり導管または配管を栽培カラムから切り離したりする必要もなく、簡単にカラムを持ち上げ、引き出してカラムをハウジングから取り外すことができる。
【0099】
[0115]
図8に、今度は下から見た、
図6の回転式カルーセル7の別の等角図を示す。この図では、各カラムが、カラムの下面から半径方向に延びる1組のギヤ歯75も特徴とすることが分かる。カルーセルおよびカラムは、ウォームギヤ78に取り付けられたモータによって回転される。カラムギヤ歯75は、カルーセルギヤ歯74とは異なるギヤ比を有し、そのため、カラムはカルーセルの回転ごとにその向きを変える。モータは、スタックベースユニットまたは他の電源から電気的に駆動される。この実施形態では、各回転は約5時間かかるが、他の実施形態では、完全な回転を完了する時間は、栽培中の作物の種類に応じてより多いか、またはより少ない場合があることが理解されよう。この図では、重力の影響下でカラムから水が流入するカルーセル出口77もはっきりと見えている。これは、モジュールベースおよび支持システム内の出口と連通して、余分な水をスタックベースユニットまたは他の水源、例えば保水タンクや水制御モジュールに戻す。
【0100】
[0116]
図9に、栽培モジュールと併用するための栽培カラム8の一実施形態を示す。各カラム8は、セグメント81で構成されている。これらのセグメントは、入口82および出口(図示されていない)を含む。最上部セグメントは、貯蔵槽や導管などの水源から入口82を通して水を受け取り、それを中空内部に導く。水は、次いで、出口を通って次のセグメントの入口82に入り、そこでプロセスは、水がカラムを出る最下部カラムまで繰り返される。各セグメントは、セグメントの長軸線から鋭角に延びる突出部83を含む。これらの突出部は隣合う突出部に対して略直角であり、各セグメントに4つの突出部が配置され、作物を栽培するために利用可能な空間を最大化する。各突出部の高さは、植物を栽培するために利用可能な空間の量を最大化するために、隣合う突出部に対して互い違いになっている。各突出部はまた、中心軸線に対してやはり同じ角度で傾斜した開口を特徴とする。これらの開口は、植物を栽培するためのポット84を受け入れ、これらの植物の根系とセグメントの中空内部との間の流体連通を可能にするような形状である。この実施形態では、ポットは、栽培培地としてロックウールを含む。ポット84は、容易に取り外され、交換されるような形状である。収穫中に栽培カラムを取り外す必要がないため、これにより、既存の栽培タワーまたは栽培壁と比較して、作業者による容易な収穫および植替えが可能になる。代わりに、作業者は、簡単にドアまたは他のアクセスポイントに立って、カラムの各ポットを取り外して交換し、必要に応じてカラムおよびベースを回転させることができる。作業者はまた、カラムをハウジングから持ち上げて出すことによって、交換または洗浄のためにカラムを取り外すこともできる。
【0101】
[0117]
図10および
図11に、栽培カラムの単一のセグメント81を組立分解図において示す。この図では、各セグメントが、1つだけの突出部83およびポット84を各々含む4つのセグメント壁89で作られていることを明確に見ることができる。これらの壁は、端部部材85によって一緒に保持され、端部部材は、流れ誘導要素、ならびにセグメント壁間のインターロック要素としても機能する。別個のセグメント壁を設けることにより、カラムは、「平箱包装」されるか、またはそれ以外のコンパクトな形態で出荷され得る。異なるセグメント壁が突出部およびポットの数および形状を変更するように組み合わされることも可能であり得る。端部部材85は、水を溝部材87内に優先的に導く排水孔88および開口86を有するディスクの形態である。これらの溝部材は、突出部83および関連付けられた開口の上の各壁89の内部に配置される。このようにして、水はポット84内で成長する作物の方へ導かれる。次いで余分な水が、重力下でセグメントの底部の第2の端部部材85に移動する。このセグメントの第2の端部部材は、下方のセグメントの第1の端部部材である。
【0102】
[0118]これらの栽培カラムの回転は、栽培中の作物が、カラムが固定されたシステムと比較して少ない数の必要光源で必要な量の光を受けることを可能にするので、有利である。このようにして、モジュール内の光源によって発生する熱、したがって(モジュールを冷却するためのものを含む)必要な電力が低減される。
【0103】
[0119]セグメントは、カラムがどの作物に対して最適化されるかに応じて異なり得る。
図12Aおよび
図12Bに、これらのセグメントの異なる実施形態を示す。
図12Aは、セグメント81Aで作られた六角形のカラムを示している。各セグメント81Aは、ポット84Aを一列に含む4つの突出部83Aを有するフラットパネルで構成されている。単一のセグメント81Aは、2つのパネルと8つの突出部83Aとを各々備える3つのセグメント壁を含む。突出部83Aは、
図10および
図11に示される実施形態の突出部と比べて目立たない。複数の六角形のカラムで構成された単一のモジュールは、例示的な実施形態では、1152玉のレタスを栽培し得る。
【0104】
[0120]
図12Bは、栽培カラムの可撓性を示すために互いに取り付けられた2つの別個のタイプのセグメント81Bおよびセグメント81Cを示している。セグメント81Cは、突出部83Cが正方形のポット84Cを受け入れるような形状であることを除いて、
図10および
図11に示される実施形態と同様である。セグメント81Bは、各パネル上に2つの突出部を含むが、それ以外はセグメント81Cと同様である。どちらのセグメント81Bおよび81Cも、円筒形セグメントを形成するように接続する4つの湾曲したパネルからなる。セグメント81Bまたはセグメント81Cで作られたカラムを含むモジュールは、例示的な実施形態では、それぞれ、384玉または192玉を栽培することができる。これらの異なるカラムを多数設けることにより、栽培を最大化するためや、より大きなサイズの作物に対応するためなど、水耕プロセスを最適化するように栽培カラムを調整することが可能である。
【0105】
[0121]
図12Bに示されるセグメント壁89Bの実施形態の図が、
図13Aおよび
図13Cに示されている。
図13Cは、隣合うセグメント壁の第1の接続要素および第2の接続要素がセグメント壁を互いに取り付けることができるように、対向する縁部に第1の接続要素810Aおよび第2の接続要素811Aを各々有する2つのセグメント壁を示している。810Aは、フック状の延長部および突出部の形態であり、811Aは、810A上の対応する突出部と係合する突出部を含む、要素810Aを受け入れるような形状である。
図13Bおよび
図13Dに、
図12Aに示されるセグメント壁89Aを示す。このセグメント壁89Aは、
図13Cに示されるその他の実施形態と同様の接続部材810Aおよび811Bを有する。
【0106】
[0122]前述のように、1つの可能な有利な特徴は、あるタイプのコンテナと別のタイプのコンテナとの間で転換することができるモジュールを提供することである。これらの実施形態では、多数の要素が両方の構成に共通である。コンテナが取り外された1つのそのようなモジュールが、
図14Aおよび
図14Bに示されている。モジュール9は、両開きドア91の形態のアクセスポイントと、側壁92(
図14Aには一方のみが示されている)と、後壁(図示されていない)と、モジュールベース93と、モジュールトップ94とからなる。これらの構成要素の各々は、配送/輸送のために分解され、平箱包装され得る。この実施形態では、両開きドア91は、栽培中の作物へのアクセスを可能にするために横に開く。組み立てられるときに、モジュールベース93およびモジュールトップ94は、側壁92を定位置に保持するコーナピース95のための取り付け点を有する。モジュールベース93およびモジュールトップ94はまた、側壁のための接続部も含み得る。
【0107】
[0123]モジュールベース92は中空であり、吸気口96およびインターフェースパネル97を含む。インターフェースパネルは、モジュールの動作を制御するために使用され得、また、モジュールがより大きなシステムの一部として使用されるのではない状況のための排水口も含み得る。モジュールベースはまた、モジュールの内部との電気連通を容易にするために少なくとも1つの電気ボックスのための空間も含み得る。吸気口96は、モジュールベース93の中空内部に空気を取り込むための送風ファンを含み得る。
【0108】
[0124]側壁92は中空であり、モジュールベース93の開口に対応する下縁に開口を有し、そのためモジュールベース93に取り込まれた空気は側壁の中空内部に移動する。送風ファンは、モジュールベースの中空部を加圧して、空気が側壁の中空内部に押し込まれるようにする。側壁98の内面は、作物を栽培することができるモジュールの主内部にそこを通って空気が移動する小開口99を含む。内面はまた、モジュール内に水平取り付け式引き出しなどを受け入れるために、内側に面するサイドトラックまたは略水平な突出部も含む。側壁の開口99は、モジュールトップ94に近い開口がモジュールベース93に近い開口よりも大きくなるように、垂直方向にサイズが変化する。このようにして、モジュールの内部の全高にわたって均一な空気流がモジュールの内部に生成される。モジュールトップ94も中空であり、空気がモジュールの内部からモジュールトップ94を通って排気口から出るように、モジュールの反対側の排気口とモジュールの内部に面する表面の開口とを含む。
【0109】
[0125]いくつかの実施形態では、側壁および後壁92は真空成形され、コーナピース95はアルミニウム製である。いくつかの実施形態では、コーナピースもモジュールトップ94を支持する。さらなる実施形態では、側壁92は、実際には、モジュールの一部として組み立てられたときに中空内部を形成するように互いに挟まれた2つの別個の壁から構成され得る。モジュールトップ94はまた、モジュールの保守を可能にするために、さらなる電気ボックスおよび/またはアクセスパネル910を含んでいてもよい。
【0110】
[0126]モジュールベース93の一実施形態の断面等角図および等角図が、それぞれ
図15Aおよび
図15Bに示されている。
図15Aでは、吸気口96が、空気を通過させ、モジュールベース93の内部の方へろ過することができる、フィルタおよび送風ファンアッセンブリ912に取り付けられていることを確認することができる。この図では、インターフェースパネル97が、導管に取り付けられる排水口913を含むことも確認することができる。モジュールベースはまた、電気ボックス911のための空間も含む。
【0111】
[0127]
図15Bでは、終端溝914で終端する排水溝918を確認することができる。この排水溝914は、
図15Aに示されるように、導管および排水口913に接続する。ベースはまた、垂直栽培カラムを設置するときに回転カルーセルを取り付けることができる一連の成形歯915も含む。カルーセルアッセンブリは、成形歯を使用してカルーセルを回転させるウォーム駆動などを含み得る。ベースはまた、水平取り付け式引き出しを設置するときに中央仕切りを取り付けるための接続点916も含む。このようにして、ユーザは、回転式カルーセルまたは中央仕切りを追加する/取り外すことによって、2つのタイプのコンテナ間でモジュールを転換することができる。この図では、モジュールベース93の空洞を側壁(図示されていない)の中空内部に接続して、空気がモジュールベースから側壁に、側壁を通ってモジュールの内部に移動することを可能にする開口917を確認することもできる。
【0112】
[0128]状況によっては、ユーザが栽培モジュールを、作物を栽培するためだけでなく、追加的または代替的に、展示物または装飾としても使用したい場合もある。別の場合には、ユーザが以前の実施形態よりも小規模で作物を栽培することを望む場合もある。これらの必要性を満たすために、これらの場合のために最適化された代替実施形態も想定される。
【0113】
[0129]これらの実施形態のいくつかは、幅または奥行きよりも高さが長い直方体形状を有するユニットを含み得る。水平面内の断面積は、前述の実施形態よりも相対的に小さく、そのため、前述の実施形態よりも少ないコンテナを含み得る(または単一のコンテナを含み得る)。いくつかの実施形態では、タンクは、(1つまたは複数の)コンテナの下に配置され得る。タンクは、(1つまたは複数の)コンテナと流体連通するユニットの上部に液体を運ぶことができるポンプに接続される。その他の実施形態とは異なり、栽培カラムの周りのハウジングのドアおよび一部は透明であり得、ガラスまたは任意の他の適切な材料で作られ得る。これにより、ユーザが栽培中の作物を検査またはそれ以外のために見ることが可能になる。これらの実施形態では、照明は、ハウジングの少なくとも1つの内側面または縁部に沿って略垂直方向に設けられ得る。
【0114】
[0130]そのような一実施形態が
図16に示されている。ユニット10は、直方体形状を有し、2つの別個のチャンバ、すなわち、回転することができる栽培カラム102を含む第1または上部のチャンバ101、ならびに栽培カラムを回転させるために必要な機械と、この図には示されていない、流体(この実施形態では水)を貯蔵するためのタンクおよびポンプの両方を含む第2または下部のチャンバ103を含む。栽培カラム102は、
図9~
図11に示されるものと同様の構成の積み重ね可能なセグメントで作られているが、この実施形態では、突出部は各セグメントにおいて同じ高さにある。前述の可能な栽培カラムの実施形態のいずれも、本実施形態での使用に適していることが理解されよう。タンクと栽培カラム102の最上部セグメント104の内部との間の流体連通を可能にする導管も図示されていない。栽培カラムの内部も、水が再循環され得るようにタンクと流体連通している。よって水は、タンクから栽培カラムの内部の頂部に圧送されることが可能であり、それによって、重力下でカラムを通って流れ、栽培中の作物に栄養素を供給し、タンクに戻ってプロセスを繰り返す。下部チャンバはまた、タンク内の水の栄養素含有量を測定および/または変更するための機器も含み得る。さらに、図示の実施形態は、送風機を備えた換気システムを含み、少なくとも第1または上部のチャンバ101内に衛生的環境を作り出す。
【0115】
[0131]第1または上部のチャンバ101を取り囲む側壁105は、植物が見えるように透明または少なくとも部分的に透明である。いくつかの実施形態では、これらの側壁のうちの1つは、ドアまたはその他のアクセスポイントを含むか、または備え得る。これらの側壁は、換気システムが衛生的環境を維持することができるように上部チャンバを囲む。第2または下部のチャンバ内の少なくとも1つの側壁は、栽培カラムの回転速度、水モジュール/ポンプタイミング、換気パラメータ、照明条件、または栽培中の作物の生育条件に関連した他の変数のうちの少なくとも1つを変更するための制御パネル106の形態のスイッチ、ボタン、またはその他のコントロールを含み得る。下部チャンバはまた、内部構成要素の保守または交換のための第2のアクセスポイント107も含み得る。照明(図示されていない)は、第1または上部のチャンバの内縁に沿ってLEDストリップの形態で設けられ得る。カラムの回転により、カラムの周りの栽培中の作物がこのストリップから同じ量の照明を受け取ることが可能になる。他の実施形態では、異なる照明装置が使用され得ることが理解されよう。
【0116】
[0132]さらに、これらのユニットの複数が壁または展示物を形成するようにまとめられ得ることも想定される。これらの場合、ユニットのうちの1つが「マスタ」に指定され、このマスタユニット上の生育条件(これらに限定されないが、ポンプタイミング、換気パラメータ、回転速度、照明条件など)に加えられた変更が残りのユニットにも適用されるように、各ユニットのタイミング回路と制御回路との間で接続が行われることが想定される。
【0117】
[0133]さらなる実施形態の等角図が
図17に示されている。この実施形態では、単一の栽培カラム102を各々保持する2つの上部チャンバ101がある。この図には
図12Bに示されているものと同様の栽培カラムが示されていることが認められるが、このカラムは同様に取り外され、栽培中の作物の種類または量に応じて栽培カラムの別の実施形態と交換され得ることが理解されよう。これらのチャンバは、
図16に関して説明されたものと略同様である。この図では、各上部チャンバの2つの角の間の内縁を下方に延びる照明108を確認することができる。この実施形態は、一方をマスタユニットとして指定して、
図16に示される2つの実施形態を結合することによって、または2つの上部チャンバ101の下に共通の下部チャンバを設けることによって形成され得る。どちらの場合も、単一の可動ユニットを作成するためにベースの周りにハウジングのさらなる層が設けられ得る。さらに、
図17に示される実施形態は、カラム入口109およびマニホールド110を示すためにユニットの頭部が取り外されて示されている。水は、任意の公知の手段を介して、好ましくは下部チャンバ103に配置されたタンクからマニホールドに導かれ得、そこで水は重力下で栽培カラムに流れ込み、下部チャンバに排水され、その水をさらなる使用のために再循環するか、またはユニットから外に(例えば、既存の排水システムに)導くことができる。
【0118】
[0134]他の展示水耕システムとは異なり、作物を栽培するためのコンテナは、好ましくは1つまたは2つの栽培カラムの形態であり、換気および空気流を制御できるようにハウジング内に封入されている。これは、(特にロビーやその他の同様の屋内展示環境における)栽培中の植物の光要件が、植物を環境に開放することを必要とするため、展示システムには通常使用されない。これは、いくつかの実施形態では、必要な量の光を供給するために、回転カラムおよび光源、好ましくは回転カラムに隣合うハウジングの内縁のLEDストリップを設けることによって回避される。換気および空気流をより細かく制御することにより、より健康的および/またはより審美的に心地よい植物が展示システム内で栽培され得る。さらに、閉鎖システムは、開放システムを有する既存のシステムと比較して、作物のためのより衛生的な生育環境を提供する。さらに、これにより、昆虫、例えばアブラムシやハエがシステムに入り、植物の視覚的品質を損なうかまたは低下させることが低減または防止され得る。
【0119】
[0135]垂直カラムを、わずかな変更によってホップやトマトなどの異なる作物に適合させることができる。例えば、生育を助けるために、各突出部の上に格子が設けられてもよい。逆に、突出部は、つるが突出部から下方に成長し得るように、上部セグメントにのみ設けられてもよい。他の実施形態では、作物は、消費または販売のためのものではなく、心地よい審美的品質のために選択された植物または花であってもよい。
【0120】
[0136]本明細書において、「作物」という語は、膨大な数の栽培可能な生産物を伝えることを意図されており、本発明の使用を特定の植物または種に限定するものと理解されるべきではない。「作物」という用語は、医薬品その他の販売可能な生産物の人間または動物による消費や生産などの様々な目的に使用される植物、菌類またはその他の生物を指し得る。
【0121】
[0137]特定の実施形態の前述の説明では、明確にするために特定の用語が使用されている。しかしながら、本開示は、そのように選択された特定の用語に限定されることを意図されておらず、各特定の用語は、同様の技術的目的を達成するために同様の方法で動作する他の技術的均等物を含むことを理解されたい。
【0122】
[0138]本明細書では、「comprising(備える、含む)」という語は、その「開いた」意味、すなわち「including(含む)」の意味で理解されるべきであり、よって、その「閉じた」意味、すなわち「のみからなる」の意味に限定されない。対応する意味は、「comprise」、「comprised」、および「comprises」という対応する単語が出現する場合にも帰せられるべきである。
【0123】
[0139]本明細書における任意の先行する刊行物(またはそれに由来する情報)または任意の公知の事項への言及は、先行する刊行物(またはそれに由来する情報)または公知の事項が、本明細書が関連する努力傾注分野における共通の一般知識の一部を形成することの承認または容認または任意の形の示唆ではなく、そのように解釈されるべきではない。
【0124】
[0140]加えて、上記では、(1つまたは複数の)本発明のいくつかの実施形態のみを説明しており、開示の実施形態の範囲および趣旨から逸脱することなく、実施形態に改変、修正、追加および/または変更を行うことができ、実施形態は例示的であり、限定的ではない。
【0125】
[0141]さらに、(1つまたは複数の)発明は、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられているものに関して説明されており、本発明は開示の実施形態に限定されるべきではなく、逆に、(1つまたは複数の)本発明の趣旨および範囲内に含まれる様々な修正および均等な構成を包含することが意図されていることを理解されたい。また、上述した様々な実施形態は、他の実施形態と併せて実施され得、例えば、ある実施形態の態様が、さらに他の実施形態を実現するために別の実施形態の態様と組み合わされ得る。さらに、任意の所与のアッセンブリの独立した各特徴または構成要素は、追加の実施形態を構成し得る。
【符号の説明】
【0126】
1 作物を栽培するためのモジュール式システム
2 栽培モジュール
21 モジュールハウジング
22 ローラブラインド
23 排気ファン
24 フォークリフト開口
25 トロリーホイール
26 位置決め凹部
27 吸気のための空洞
3 モジュールベース
31 合わせ面
32 位置決め突出部
33 流体および電気エネルギーの導管
4 支持システム
5 スタックベースユニット
6 水平取り付け式引き出し
6a 小型の水平取り付け式引き出し
6b 大型の水平取り付け式引き出し
61 取り付けラック
62 水ノズル
7 回転式カルーセル
71 カルーセルマニホールド
72 モジュール入口
73 カラム入口
74 回転式カルーセルギヤ歯
75 カラムベースギヤ歯
76 カルーセルベアリングまたはホイール
77 カルーセル出口
78 モータおよびウォームギヤ
8 垂直栽培カラム
81 カラムセグメント
82 カラム入口
83 突出部
84 栽培ポット
85 流体誘導要素
86 流体誘導要素開口
87 セグメント壁誘導要素
88 流体誘導要素排水孔
89 セグメント壁
810 第1の接続要素
811 第2の接続要素
9 転換式モジュール
91 アクセスポイント(ドア)
92 側壁
93 モジュールベース
94 モジュールトップ
95 コーナピース
96 吸気口
97 インターフェースパネル
98 側壁の内面
99 側壁の開口
910 アクセスパネル
911 電気ボックス
912 フィルタおよび送風ファンアッセンブリ
913 排水口
914 終端排水溝
915 成形歯
916 中央仕切りの接続点
917 空気流のための開口
918 排水溝
10 単一のカラムユニット
101 上部チャンバ
102 垂直栽培カラム
103 下部チャンバ
104 最上部セグメント
105 透明な側壁
106 制御パネル
107 第2のアクセスポイント
108 照明ストリップ
109 カラム入口
110 ヘッダ
【国際調査報告】