(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】幹細胞の大規模調製のための三次元培養方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/00 20060101AFI20220414BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220414BHJP
C12N 5/0735 20100101ALI20220414BHJP
C12N 5/074 20100101ALI20220414BHJP
C12N 5/0775 20100101ALI20220414BHJP
C12N 1/02 20060101ALI20220414BHJP
C12N 1/04 20060101ALI20220414BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20220414BHJP
C12M 1/26 20060101ALI20220414BHJP
C12M 3/00 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
C12N5/00
C12N5/10
C12N5/0735
C12N5/074
C12N5/0775
C12N1/02
C12N1/04
C12M1/00 A
C12M1/00 C
C12M1/26
C12M3/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544774
(86)(22)【出願日】2019-10-14
(85)【翻訳文提出日】2021-10-04
(86)【国際出願番号】 CN2019110956
(87)【国際公開番号】W WO2020155668
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】201910812773.2
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910476110.8
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910505614.8
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910097650.5
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910098003.6
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910101736.0
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520162031
【氏名又は名称】北京華龕生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、 シャオジュン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、 ウエイ
(72)【発明者】
【氏名】ザン、 クン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA08
4B029AA09
4B029AA21
4B029BB11
4B029CC01
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4B029HA05
4B065AA93X
4B065AC20
4B065BA30
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4B065BC41
4B065BD09
4B065BD12
4B065BD15
4B065CA44
4B065CA60
(57)【要約】
三次元マイクロキャリアーに基づく細胞蘇生方法、三次元マイクロキャリアーに基づくin situ継代方法、細胞のin situ凍結保存方法における三次元マイクロキャリアー、三次元マイクロキャリアー細胞吸着培養法、三次元マイクロキャリアー上の細胞を採取する方法、マイクロキャリアー上で培養した細胞をサンプリングする方法、三次元マイクロキャリアーを用いた細胞大規模増殖方法を含む、幹細胞の大規模培養のための三次元培養法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元マイクロキャリアに基づく細胞蘇生方法、三次元マイクロキャリア細胞培養に基づくin situ継代方法、および三次元マイクロキャリアに基づくin situ細胞凍結保存方法を含む、三次元マイクロキャリアに基づく細胞培養方法のセットであって;
三次元マイクロキャリアに基づく細胞蘇生方法は以下の工程:細胞蘇生および培養のために、三次元マイクロキャリア上に解凍後に、凍結保存された細胞または凍結保存された細胞微小組織の細胞懸濁液を接種する工程を含み;
三次元マイクロキャリア細胞培養に基づくin situ継代方法は、以下の工程:シードマイクロキャリアを新しいマイクロキャリアに挿入する工程を含み;ここでシードマイクロキャリアは継代される細胞と共に培養されるマイクロキャリアであり;
三次元マイクロキャリアに基づくin situ細胞凍結保存方法は、以下の工程:
(A1)細胞の三次元マイクロキャリア懸濁液を遠心分離し、上清を廃棄して、細胞含有キャリアを得る工程と; (A2)工程(A1)で得られた細胞含有キャリアを凍結保存溶液と混合し、極低温貯蔵管に加える工程と;
(A3)工程(A2)で細胞含有キャリアを加えた極低温貯蔵管を冷却し、次いでそれを液体窒素に移し、三次元マイクロキャリア上の細胞のin situ凍結保存を可能にする工程と、を含む。
【請求項2】
前記方法が三次元マイクロキャリア上での細胞付着培養の方法、三次元マイクロキャリア上の細胞を採取する方法、およびマイクロキャリア上で培養された細胞をサンプリングする方法をさらに含み、三次元マイクロキャリア上の細胞付着培養の方法は、三次元マイクロキャリア上で細胞を接種するために使用され、三次元マイクロキャリア上の細胞を採取する方法は、三次元マイクロキャリアから細胞を分離するために使用され、マイクロキャリア上で培養された細胞をサンプリングする方法は、マイクロキャリア上で培養された細胞の総数および/または細胞密度の計算を実行するために使用される、請求項1に記載の方法であって;
三次元マイクロキャリア上での細胞付着培養の方法は以下の工程:(B1)細胞接種:細胞懸濁液を乾燥三次元マイクロキャリアと混合して、細胞懸濁液と混合されたマイクロキャリアを得る工程と;(B2)細胞付着:工程(B1)で得られた細胞懸濁液と混合されたマイクロキャリアを、細胞が三次元マイクロキャリアに付着するようにインキュベートする工程と;(B3)細胞培養:工程(B2)での細胞付着後、完全培養培地を添加し、培養を実施する工程とを含み;
三次元マイクロキャリア上の細胞を採取する方法は以下の工程:(C1)培養細胞に付着した三次元マイクロキャリアを自然沈殿または遠心分離し、上清を除去して細胞を含む三次元マイクロキャリアを得る工程と;(C2)細胞を含む三次元マイクロキャリアに溶解液を添加し、その中の三次元マイクロキャリアをインキュベートおよび溶解する工程と;(C3)工程(C2)において三次元マイクロキャリアを完全に溶解した後、溶解を終了させるために停止液を添加する工程または直接工程(C4)に進んで溶解を終了させる工程と;(C4)工程(C3)において得られた系を遠心分離し、上清を廃棄し、三次元マイクロキャリア上の細胞を採取する工程と、を含み;
マイクロキャリア上で培養された細胞をサンプリングする方法は以下の工程:(D1)細胞培養のための所定重量のマイクロキャリアを秤量し、それらをサンプリングチューブに入れ、細胞培養プロセスをシミュレートするために液体を添加し、それらを4~60℃で0~24時間浸漬し、次いで、サンプリングチューブ上のマイクロキャリアによって占められる体積に対応するスケールを標準スケールとしてマーキングする工程と;(D2)マイクロキャリア上で培養された細胞を、次のように、マイクロキャリアの体積を標準スケールにするために、サンプリングチューブを用いて細胞培養系からマイクロキャリアをサンプリングする工程と、を含む。
【請求項3】
前記三次元マイクロキャリアに基づく細胞蘇生方法が、三次元マイクロキャリアに基づく動的細胞蘇生方法または三次元マイクロキャリアに基づく静的細胞蘇生方法である請求項1または2に記載の方法であって;
三次元マイクロキャリアに基づく動的細胞蘇生方法は、以下の工程:(E1)三次元マイクロキャリアを採取し、細胞培養容器に入れ、細胞培養培地を添加し、直ちに次の工程または、放置または撹拌する処理方法で1分間以上処理する工程と;(E2)凍結保存された細胞又は凍結保存された細胞微小組織を解凍して得た細胞懸濁液を工程(E1)で調製したマイクロキャリアを含む細胞培養容器に37℃で接種し、次いで細胞培養培地を添加し、培地に対するマイクロキャリアの比率を1mg:1~1000μLに調整し、次いで細胞培養容器を攪拌機上に置き、インキュベーター中で攪拌する工程と;(E3)工程(E2)の完了後、細胞蘇生が完了するまで細胞を攪拌し続ける工程と、を含み;
三次元マイクロキャリアに基づく静的細胞蘇生方法は、以下の工程:(F1)静的培養容器およびマイクロキャリアの調製:三次元マイクロキャリアを採取し、細胞培養容器に入れる工程と;(F2)凍結保存細胞の解凍、接種:凍結保存細胞または凍結保存細胞微小組織を採取し、37℃で解凍し、次いで工程(F1)で調製したマイクロキャリアを含む静的培養容器に20~240分間接種する工程と;(F3)工程(F2)の完了後、細胞蘇生が完了するまで細胞を培養し続ける工程と、を含む。
【請求項4】
撹拌が一定速度撹拌または可変速度交互撹拌または可変速度周期撹拌であり、撹拌が時計方向の撹拌、反時計方向の撹拌または交互方向での撹拌であり、撹拌時間が0.1~100時間であり、撹拌速度が1~200rpmである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
撹拌が次の(a)又は(b)又は(c)のとおりである、請求項4に記載の方法:
(a)1~4時間放置した後、時計方向に周期的な可変速度で1~24時間撹拌し、その後、時計方向に96時間まで一定速度で撹拌する;
(b)周期的な可変速度で時計方向に1~24時間撹拌した後、96時間まで時計方向に一定速度で撹拌する;
(c)1~96時間、一定速度で時計方向に撹拌する。
【請求項6】
工程(E2)または(F2)において、マイクロキャリアに対する細胞数の比率が、5~100×10
3細胞/mgマイクロキャリアである、請求項3~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記三次元マイクロキャリア細胞培養に基づくin situ継代方法において、前記シードマイクロキャリアは10,000~1,000,000細胞/mgマイクロキャリアの細胞密度を有し、前記シードマイクロキャリア対新しいマイクロキャリアの比は、0.0002~200mgシードマイクロキャリア/mg新しいマイクロキャリアである、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
三次元マイクロキャリア細胞培養に基づくin situ継代方法が、三次元マイクロキャリア細胞培養に基づく動的なin situ継代方法または三次元マイクロキャリア細胞培養に基づく静的なin situ継代方法である請求項1~6のいずれか1項に記載の方法であって;
三次元マイクロキャリア細胞培養に基づく動的なin situ継代方法は以下の工程:(G1)新しいマイクロキャリア懸濁液の調製工程:インペラー内蔵細胞培養フラスコに新しいマイクロキャリアを入れ、細胞培養培地を1~2,000μL:1mgのマイクロキャリアの比で添加し、新しいマイクロキャリア懸濁液を得るために0時間を超えて静置または撹拌する;(G2)シードマイクロキャリア懸濁液の調製工程:シードマイクロキャリアは10,000~100万細胞/mgマイクロキャリアの細胞密度を有し、シードマイクロキャリアを0.1~50mg/mLに細胞培養培地で再懸濁してシードマイクロキャリア懸濁液を得る;(G3)接種工程:(G1)で調製した新しいマイクロキャリア懸濁液を含むインペラー内蔵細胞培養フラスコに、(G2)で調製されたシードマイクロキャリア懸濁液を混合する工程であって、(G1)で調製された新しいマイクロキャリアに対するシードマイクロキャリアの比は0.0002~200mgのシードマイクロキャリア/mgの新しいマイクロキャリアであり、培地に対するマイクロキャリアの比を1mg:1~1000μLに調整するために細胞培養培地を添加し工程、インペラー内蔵細胞培養フラスコを攪拌機上に置き、0~100時間攪拌するためにインキュベーター中に置く;(G4)培養工程:攪拌を続け、動的なin situ継代を完了する、を含み;
三次元マイクロキャリア細胞培養に基づく静的なin situ継代方法は、以下の工程:(H1)シードマイクロキャリア懸濁液の調製工程:シードマイクロキャリアの細胞密度が10,000~1,000,000細胞/mgマイクロキャリアであり、シードマイクロキャリアを細胞培養培地で0.1~50mg/mLに再懸濁してシードマイクロキャリア懸濁液を得る;(H2)接種工程:(H1)で調製されたシードマイクロキャリア懸濁液を新しいマイクロキャリアに滴下する、シードマイクロキャリアと新しいマイクロキャリアとの比は0.0002~200mgシードマイクロキャリア/mg新しいマイクロキャリアであり、十分に混合し、インキュベーションするためにインキュベーター中に0.5~24時間置く;(H3)培養工程:細胞培養培地を添加し、培養を継続する、すなわち静的なin situ継代を完了する、を含む。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
工程(G1)において、インペラ内蔵細胞培養フラスコに入れた新しいマイクロキャリアと細胞培養培地の割合がマイクロキャリア100mg/細胞培養培地10mLであり、インペラ内蔵細胞培養フラスコに入れた後、0.1~24時間放置し方法;
工程(G2)において、シードマイクロキャリア中の細胞密度は、150,000~500,000細胞/mgマイクロキャリアであり;および/またはシードマイクロキャリア懸濁液中のシードマイクロキャリアの含有量が1~10mg/mLである;
工程(G3)、シードマイクロキャリアの新しいマイクロキャリアに対する比率は1~10mgのシードマイクロキャリア/100mgの新しいマイクロキャリアであり;および/またはマイクロキャリアの培地に対する比率が細胞培養培地を添加することによって1~10mg:1mLに調節され;および/または撹拌速度が1rpm~200rpmであり、撹拌は定速撹拌または可変速交互撹拌または可変速周期撹拌によるものであり、撹拌方向は、時計方向撹拌、反時計方向撹拌または交互方向撹拌である方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の方法であって、
工程(H1)において、シードマイクロキャリア中の細胞密度が120,000~500,000細胞/mgマイクロキャリアであり、シードマイクロキャリア懸濁液中のシードマイクロキャリアの含有量が5~15mg/mLであり方法;
工程(H2)において、シードマイクロキャリア対新しいマイクロキャリアの比は、1~3mgシードマイクロキャリア/20mg新しいマイクロキャリアであり;および/またはインキュベーション時間が0~24時間である方法。
【請求項11】
前記三次元マイクロキャリアに基づくin situ細胞凍結保存方法において、前記工程(A1)において、前記遠心分離は50~1610×gの速度で1~10分の時間行われ、前記工程(A2)において、前記細胞含有キャリアの質量に対する凍結保存溶液の体積の比は1mL:0.1~50mgである請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記三次元マイクロキャリアに基づくin situ細胞凍結保存方法において、凍結保存溶液が10%DMSO、10~90%FBSおよび0~80%基礎媒地、10%DMSOおよび0~80%基礎培地、10~90%FBSおよび0~80%基礎培地、又は他の市販入手可能な凍結保存溶液から成るものであり、極低温貯蔵管を冷凍機に置き、-20~-196℃に冷却し、該冷却がプログラムされているかまたはプログラムされておらず、プログラムされた冷却は-1~-15℃/分の冷却速度を有し、冷凍時間は1~24時間である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の方法であって、前記三次元マイクロキャリアに基づくin situ細胞凍結保存方法において、前記冷却は前記工程(A2)において、前記極低温貯蔵管を細胞冷却ボックスに入れ、冷却のために1~10分以内に冷凍機に入れることによって行われ、前記極低温貯蔵管に添加された37℃の予熱されたPBSまたは基礎培地は1:5~30の比率で希釈される、方法。
【請求項14】
前記三次元マイクロキャリアに基づくin situ細胞凍結保存方法において、前記工程(A3)の後に、細胞蘇生工程:前記工程(A3)の処理後の前記極低温保存管を水浴中に置き、前記極低温保存管中の氷が溶融したときに前記水浴を除去することによって、前記細胞を蘇生し;次いで、37℃の予熱されたPBSまたは基礎培地を添加して前記細胞を希釈し、次いで遠心分離する工程を有し;前記水浴は、35~0℃の温度および1~5分の時間を有し;前記工程(A3)の後の前記遠心分離が50~1610×gの速度で1~10分間行われる、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記三次元マイクロキャリア上の細胞付着培養方法において、前記細胞懸濁液は1×10
4~1×10
8細胞/mLの密度を有し、前記細胞懸濁液は前記細胞を培養液又は液体生体マトリックス原料に再懸濁したものであり、前記三次元マイクロキャリアの質量に対する前記細胞懸濁液の体積の比率は1~1000μL :1mgであり、前記工程(B1)において、前記細胞懸濁液を前記三次元マイクロキャリアと混合し、前記細胞懸濁液を前記三次元マイクロキャリアに滴下することを特徴とする請求項2~14のいずれか1項に記載の三次元マイクロキャリア上の細胞付着培養方法。
【請求項16】
三次元マイクロキャリア上での細胞付着培養の方法において、インキュベーション条件は温度35~40℃、時間0.5~24時間、二酸化炭素の体積百分率濃度5~30%であり、付着法は、重力付着法、膨潤付着法、撹拌回転式の付着法、遠心法、弾性表面波法または磁気付着法を含む、請求項2~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
三次元マイクロキャリア上での細胞付着培養の方法において、培養条件は35~40℃の温度、5~30体積%の二酸化炭素のパーセンテージ濃度;三次元マイクロキャリアは多孔質マイクロキャリアであり;工程(B1)の前に、3次元マイクロキャリアをガス滅菌、放射線滅菌またはUV滅菌する工程がある、請求項2~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
3次元マイクロキャリア上で細胞を採取するための方法において、溶解溶液が細胞付着を排除してマイクロキャリアを溶解するための活性成分を含み、活性成分が、コラゲナーゼ、ペプシン、ヒアルロニダーゼ、ディスパーゼ、中性プロテアーゼ、プロテイナーゼK、マトリックスメタロプロテイナーゼ、クエン酸ナトリウム、トリプシン、デオキシリボヌクレアーゼ、トリプシン置換物、タンパク質ヒドロラーゼ、エチレンジアミン四酢酸、リゾチームおよびグルタチオンのうちの少なくとも1つの水溶液から選択される、請求項2~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記三次元マイクロキャリア上で細胞を採取する方法において、前記工程(C1)において、前記遠心分離を50~1610×gの速度で1~10分間行い、前記上清を除去する工程は遠心分離を行い、前記上清をピペッティングした後、適量のPBSを加え、手で20~30秒間穏やかに振り混ぜ、前記上清をピペッティングし、前記PBS洗浄を1回繰り返すことを特徴とする請求項2~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
三次元マイクロキャリア上に細胞を採取する方法において、細胞を付着させ培養するための三次元マイクロキャリアの質量と溶解溶液の体積との比が1mg : 0.01~5mLであり、インキュベーションが4℃~40℃の温度で10秒~24時間であり、細胞を付着させ培養するための三次元マイクロキャリアの質量と溶解溶液の体積との比が1mg : 0.01~5mLであり、工程(C4)において、遠心分離が、50~1610×gの速度で1~10分間行われる、請求項2~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
マイクロキャリア上で培養された細胞の総数および/または細胞密度の計算のためにマイクロキャリア上で培養された細胞をサンプリングするための方法が以下の工程:(D1)細胞培養のための所定の重量のマイクロキャリアを秤量する工程と、サンプリングチューブ内にそれらを配置する工程と、細胞培養プロセスをシミュレートするために液体を添加する工程と、それらを4~60℃で0~24時間浸漬する工程と、次いで、マイクロキャリアによって占有される体積に対応するスケールをサンプリングチューブ上に標準スケールとしてマーキングする工程と、(D2)マイクロキャリアの体積を標準スケールにするために、サンプリングチューブを用いて細胞培養システムからマイクロキャリアをサンプリングする工程と、(D3)(D2)で収集されたマイクロキャリア中の細胞を計数する工程と、(D4)(D1)で計量されたマイクロキャリアの重量に基づいて、細胞培養システム全体中の細胞の総数を計算する工程と、(D3)で計数された細胞の数および(D3)で計数されたマイクロキャリアの総重量細胞培養系全体を計算し、細胞密度を計算する、を含む、請求項2~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
工程(D1)において、添加される液体が、マイクロキャリア上での細胞培養に使用される培地と同一または類似の粘度、親水性、pH、イオン濃度であり;工程(D1)において、液体およびマイクロキャリアは10~1000μL:1mgの比であり;さらに、液体中にマイクロキャリアを浸漬した後の自然沈殿または遠心沈殿を含む、請求項2~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
工程(D2)において、サンプリングチューブを使用する細胞培養系からのマイクロキャリアのサンプリングは以下の工程:細胞培養系から懸濁液をピペッティングする工程、それをサンプリングチューブに添加する工程、およびマイクロキャリアを自然に沈殿させる工程、または遠心分離により沈殿させる工程、および工程(D1)で較正された標準スケールにマイクロキャリアの体積が到達したかどうかを観察する工程;到達していない場合には標準スケールに到達するまで懸濁液をピペッティングし続け、超えた場合には過剰のマイクロキャリアをサンプリングチューブから除去する工程、を含む方法に従って実施される、請求項2~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
工程(D4)において、全細胞培養系中の細胞の総数が(D3)においてカウントされた細胞の数に、上記(D1)において秤量されたマイクロキャリアの重量に関連するマイクロキャリアの総質量を乗じたものに等しく;工程(A4)において、総数がマイクロキャリアの総質量または総数、または培養系の総体積で割られて、細胞/mgマイクロキャリア、細胞/マイクロキャリア、細胞/mL培養系における細胞密度の異なる単位を得る、請求項2~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか1項に記載の方法であって、前記方法は三次元マイクロキャリアに基づく細胞の大規模増殖方法をさらに含み、前記方法は、以下の工程:撹拌バイオリアクター中の三次元マイクロキャリア上で細胞の大規模増殖を達成する工程を含む、方法。
【請求項26】
細胞が接着細胞である請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
接着細胞が幹細胞である請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞培養の分野に関し、特に幹細胞の大規模調製のための三次元(3D)培養方法に関する。
【背景技術】
【0002】
幹細胞は自己複製能を有する多能性細胞の一種であり、適切な条件下で誘導した後、神経細胞、心筋細胞、血管内皮細胞、腎細胞、肝細胞など様々な機能細胞に分化することができる。幹細胞研究の発展に伴い、幹細胞の医学的価値は計り知れないものであり、臨床応用の可能性は医療の発展に大きな影響を与えている。幹細胞、ならびにその分泌物は、腫瘍、脊髄損傷、多発性硬化症、卒中、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、変形性関節症、大腿骨頭壊死、椎間板変性、心筋梗塞、肝硬変、クローン病、間質性肺疾患、全身性エリテマトーデス、勃起不全、および早発性卵巣不全などの様々な疾患の治療において役割を果たすことがいくつかの研究で証明されている。再生医療に用いることができる幹細胞には間葉系幹細胞(MSC)、胚性幹細胞(ESC)、脂肪細胞幹細胞(ADSC)、神経幹細胞(NSC)、人工多能性幹細胞(iPSC)などが含まれるが、これらに限定されず、これらの中でMSCが最も臨床的に使用されている。
【0003】
幹細胞は、世界中の多くの国において、管理および承認のための「薬剤」と考えられている。現在、国際的に利用可能な幹細胞治療製品は14種類あるが、中国では未だに承認された製品はない。しかし、2018年以降、中国の幹細胞薬剤が医薬品の監督・管理により規制されるようになり、中華人民共和国国家医療製品管理局(NMPA)が幹細胞薬剤の一部を承認し、そのうち3つがIND(臨床試験申請)により臨床試験に参加することが承認されている。同時に、51件の幹細胞臨床研究が中華人民共和国国家衛生健康委員会に提出され、臨床研究の実施が許可されている。これらの数字は、中国が幹細胞薬剤の開発および変革の急速な発展段階に入ることを意味する。
【0004】
幹細胞とそれに由来する細胞産物は、不均一性や活性の変化などの特殊な性質から、長い間薬剤になりにくいと考えられてきた。伝統的な「化学薬剤」および「タンパク質、核酸」および他の生物学的薬剤と比較して、新たな細胞薬剤の製造および調製は、より複雑かつ困難である。しかしながら、現在、外国で市販されている幹細胞製品および国内臨床試験または研究用幹細胞製品の両方の製造プロセスは、依然として、人工培養の伝統的な二次元調製プロセスに依拠している。この調製方法は多数の手動操作、煩わしい工程、および過度に労働集約的なオープンエンドプロセスに依存し、これは、操作を標準化すること、および種々の細胞治療の必要性を満たすために必要とされる大量の細胞を産生することを困難にする。必要とされる高コストおよび大面積の生産スペースに加えて、生産される細胞産物のバッチの数が限られていること、および各プロセスにおける不確実性および制御不能な要因のためにバッチ毎の幹細胞の不安定な品質によって引き起こされる安全性の問題は、すべて、幹細胞が大規模適用のための薬剤になる可能性を疑問視している。したがって、今後、細胞を市場性のある市販製品に製剤化する場合、その規模は同じ製造バッチで1011以上の細胞数を必要とすることがある。とりわけ、細胞製品が治療作用を達成するために多数回の高用量を必要とする場合、そのような量は、現存する製造プロセスによって一貫してかつ適時に提供することができない。したがって、幹細胞治療産業を推進し、臨床グレードの幹細胞調製を可能にするための重要な因子として、操作を単純化し、手動操作を低減し、幹細胞の閉鎖的または半閉鎖的な大規模培養を可能にすることができる方法を確立することが緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、幹細胞の大規模調製のための三次元培養方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、三次元マイクロキャリアに基づく細胞蘇生方法、三次元マイクロキャリア細胞培養に基づくin situ継代方法、および三次元マイクロキャリアに基づくin situ細胞凍結保存方法を含む、三次元マイクロキャリアに基づく細胞培養方法のセットを提供する。
三次元マイクロキャリアに基づく細胞蘇生方法は以下の工程:細胞蘇生および培養のために、三次元マイクロキャリア上に解凍後に、凍結保存細胞または凍結保存細胞微小組織の細胞懸濁液を接種する工程を含み;
三次元マイクロキャリア細胞培養に基づくin situ継代方法は、以下の工程:シードマイクロキャリアを新しいマイクロキャリアに挿入する工程を含み;該シードマイクロキャリアが継代される細胞と共に培養されるマイクロキャリアであり;
三次元マイクロキャリアに基づくin situ細胞凍結保存方法は、以下の工程
(A1)細胞の三次元マイクロキャリア懸濁液を遠心分離し、上清を廃棄して、細胞含有キャリアを得る工程と;(A2)工程(A1)で得られた細胞含有キャリアを凍結保存溶液と混合し、極低温貯蔵管に加える工程と;
(A3)工程(A2)で細胞含有キャリアを加えた極低温貯蔵管を冷却し、次いでそれを液体窒素に移し、三次元マイクロキャリア上の細胞のin situ凍結保存を可能にする工程と、を含む。
【0007】
本方法はさらに、三次元マイクロキャリア上での細胞付着培養の方法、三次元マイクロキャリア上の細胞を採取する方法、およびマイクロキャリア上で培養された細胞をサンプリングする方法を含む。三次元マイクロキャリア上での細胞付着培養の方法は、三次元マイクロキャリア上で細胞を接種するために使用され、三次元マイクロキャリア上の細胞を採取する方法は、三次元マイクロキャリアから細胞を分離するために使用され、マイクロキャリア上で培養された細胞をサンプリングする方法は、マイクロキャリア上で培養された細胞の総数および/または細胞密度の計算を実行するために使用される。
【0008】
三次元マイクロキャリア上での細胞付着培養の方法は、以下の工程:(B1)細胞接種:細胞懸濁液と乾燥三次元マイクロキャリアとを混合して、細胞懸濁液と混合されたマイクロキャリアを得る工程と;(B2)細胞付着:細胞が三次元マイクロキャリアに付着するように、工程(B1)で得られた細胞懸濁液と混合されたマイクロキャリアをインキュベートする工程と;(B3)細胞培養:工程(B2)での細胞付着後、完全培養培地を添加し、培養を実施する工程と、を含む。
【0009】
三次元マイクロキャリア上の細胞を採取する方法は、以下の工程:(C1)培養細胞が付着した三次元マイクロキャリアを自然沈殿または遠心分離し、上清を除去して細胞を含む三次元マイクロキャリアを得る工程と;(C2)細胞を含む三次元マイクロキャリアに溶解液を添加し、その中の三次元マイクロキャリアをインキュベートおよび溶解する工程と;(C3)工程(C2)において三次元マイクロキャリアを完全に溶解した後、溶解を終了させるために停止液を添加する工程、または直接工程(C4)に進んで溶解を終了させる工程と;(C4)工程(C3)において得られた系を遠心分離し、上清を廃棄し、三次元マイクロキャリア上の細胞を採取する工程と、を含む。
【0010】
マイクロキャリア上で培養された細胞をサンプリングする方法は、以下の工程:(D1)細胞培養のための所定重量のマイクロキャリアを秤量し、それらをサンプリングチューブに入れ、細胞培養プロセスをシミュレートするために液体を添加し、それらを4~60℃で0~24時間浸漬し、次いで、サンプリングチューブ上のマイクロキャリアによって占有される体積に対応するスケールを標準スケールとしてマーキングする工程と;(D2)マイクロキャリア上で培養された細胞を、次のように、マイクロキャリアの体積を標準スケールにするために、サンプリングチューブを用いて細胞培養系からマイクロキャリアをサンプリングする工程と、を含む。
【0011】
三次元マイクロキャリアに基づく細胞蘇生方法において、凍結保存された細胞微小組織は、三次元マイクロキャリア中に凍結保存された細胞である。凍結保存された微小組織1mg当たり0.1~25×106の細胞が存在する。本発明の一実施形態において、微小組織1mg当たり0.25×106個の細胞が存在する。
三次元マイクロキャリアに基づく細胞蘇生方法は、三次元マイクロキャリアに基づく動的細胞蘇生方法または三次元マイクロキャリアに基づく静的細胞蘇生方法である。
【0012】
三次元マイクロキャリアに基づく動的細胞蘇生方法は、以下の工程:(E1)三次元マイクロキャリアを採取し、細胞培養容器に入れ、細胞培養培地を添加し、直ちに次の工程または、放置または撹拌する処理方法で1分間以上処理する工程と;(E2)凍結保存された細胞または凍結保存された細胞微小組織を解凍して得た細胞懸濁液を、工程(E1)で調製したマイクロキャリアを含む細胞培養容器に37℃で接種し、次いで、細胞培養培地を添加し、培地に対するマイクロキャリアの比率を1mg:1~1000μLに調整し、次いで細胞培養容器を攪拌機上に置き、インキュベーター中で攪拌する工程と;(E3)工程(E2)の完了後、細胞蘇生が完了するまで細胞を攪拌し続ける工程と、を含む。
【0013】
三次元マイクロキャリアに基づく静的細胞蘇生方法は、以下の工程:(F1)静的培養容器およびマイクロキャリアの調製:三次元マイクロキャリアを採取し、細胞培養容器に入れる工程と;(F2)凍結保存細胞の解凍、接種:凍結保存細胞または凍結保存細胞微小組織を採取し、37℃で解凍し、次いで工程(F1)で調製したマイクロキャリアを含む静的培養容器に20~240分間接種する工程と;(F3)工程(F2)の完了後、細胞蘇生が完了するまで細胞を培養し続ける工程と、を含む。
【0014】
工程(E1)では、細胞培養培地を添加した後、1~10分間放置することができる。本発明の一実施形態では、放置時間は10分である。
工程(E1)では、工程(E2)における撹拌蘇生中に、添加する細胞培養液の体積は培地の体積の0~50%である。本発明の実施形態において、添加される細胞培養培地の体積は、工程(E2)における撹拌および蘇生の間、培地の体積の1/6である。
工程(E2)において、解凍後の細胞懸濁液の体積は、工程(E2)における撹拌および蘇生中の培地の体積の1~100%である。本発明の実施形態において、細胞懸濁液の体積は、工程(E2)における撹拌および蘇生の間、培地の体積の1/30である。細胞懸濁液中の細胞濃度は、5~500×105細胞/mLである。一実施形態では、細胞懸濁液中の細胞濃度が1×106細胞/mLである。
工程(E2)において、細胞または細胞微小組織は、5~100×103細胞/マイクロキャリアmgの細胞数対マイクロキャリアの比率で、マイクロキャリアを含む細胞培養容器に接種される。1つの実施形態において、新しいマイクロキャリアに対する細胞数の比は、104細胞/マイクロキャリアmgであり;培地に対するマイクロキャリアの比が細胞培養培地を添加することによって、1mg:300μLに調節される。
【0015】
工程(E2)において、撹拌は、定速撹拌または可変速交互撹拌または可変速サイクル撹拌である。
撹拌は、時計方向の撹拌、反時計方向の撹拌、または交互方向での撹拌である。
撹拌時間は0.1~100時間(例えば96時間)である。
撹拌速度は1~200rpmである。撹拌速度は、好ましくは5~80rpm、より好ましくは10~60rpmである。
また、撹拌蘇生は、次の(a)または(b)または(c)のように行われる:
(a)1~4時間放置した後、時計方向に周期的な可変速度で1~24時間攪拌し、その後、時計方向に96時間まで一定速度で攪拌する;
(b)周期的な可変速度で時計方向に1~24時間攪拌した後、96時間まで時計方向に一定速度で攪拌;
(c)1~96時間、一定速度で時計方向に撹拌する。
【0016】
本発明の一実施形態では、撹拌は、4時間放置し、次いで、24時間までは40rpmで5分間のサイクルと20rpmで20分間のサイクルの周期的な可変速度で時計方向に撹拌し、96時間までは一定速度(60rpm)で時計方向に撹拌することによって行われる。
本発明の一実施形態では、撹拌は、24時間までは40rpmで5分間のサイクルと20rpmで20分間のサイクルの周期的な可変速度で時計方向に撹拌し、96時間までは一定速度(60rpm)で時計方向に撹拌することによって行われる。
本発明の一実施形態では、攪拌は、96時間までは一定速度(60rpm)で時計方向に撹拌することによって行われる。
【0017】
工程(E3)において、攪拌方法は前節を参照することができる。本発明の一実施形態では、撹拌が時計方向に一定速度(60rpm)で行われる。
工程(E1)~(E3)において、細胞培養容器は、マイクロキャリアを撹拌して、懸濁させることができる容器である。本発明の一実施形態で使用される細胞培養容器は、インペラ内蔵細胞培養フラスコ(ベルコガラス社,米国;カタログ番号:1965-61001)である。
【0018】
工程(F2)において、細胞数に対するマイクロキャリアの比率は、5~100×103細胞/mgマイクロキャリアである。本発明の一実施形態では、新しいマイクロキャリアに対する細胞の数の比が10,000細胞/mgマイクロキャリアである。
工程(F2)では、細胞を接種した後、細胞培養培地を添加し、マイクロキャリアに対する培地の割合を100~400μL:20mgに調整する。本発明の一実施形態では、細胞培養培地対マイクロキャリアの比が200μL:20mgである。
本発明の一実施形態では、インキュベーション時間は240分である。
上記三次元マイクロキャリアに基づく細胞蘇生方法において、三次元マイクロキャリアは、三次元多孔質マイクロキャリアである。三次元多孔質マイクロキャリアは、具体的には3D TableTrixマイクロキャリア(北京華館生物科技有限公司;カタログ番号:F01-100)であり得る。
【0019】
三次元マイクロキャリア細胞培養に基づくin situ継代法では、新しいマイクロキャリアは細胞を含まないマイクロキャリアである。シードマイクロキャリアは10,000~1,000,000細胞/mgマイクロキャリア(例えば、100,000~500,000細胞/mgマイクロキャリア、または120,000~500,000細胞/mgマイクロキャリア)の細胞密度を有する。シードマイクロキャリア対新しいマイクロキャリアの比は0.0002~200mgシードマイクロキャリア/mg新しいマイクロキャリア(例えば、2~15mgシードマイクロキャリア/100mg新しいマイクロキャリア)である。
さらに、シードマイクロキャリアは120,000~500,000細胞/mgマイクロキャリア(特に、以下に記載されるような静的なin situ継代に適している)または150,000~500,000細胞/mgマイクロキャリア(特に、以下に記載されるような動的なin situ継代に適している)の細胞密度を有する。シードマイクロキャリア対新しいマイクロキャリアの比は1~3mgシードマイクロキャリア/20mg新しいマイクロキャリア(特に、以下に記載されるような静的なin situ継代に適している)、または2~6.7mgシードマイクロキャリア/100mg新しいマイクロキャリア(特に、以下に記載されるような動的なin situ継代に適している)である。
三次元マイクロキャリア細胞培養に基づくin situ継代法は、三次元マイクロキャリア細胞培養に基づく動的なin situ継代法または三次元マイクロキャリア細胞培養に基づく静的なin situ継代法である。
【0020】
三次元マイクロキャリア細胞培養に基づく動的なin situ継代方法は、以下の工程:(G1)新しいマイクロキャリア懸濁液の調製工程:インペラー内蔵細胞培養フラスコに新しいマイクロキャリアを入れ、細胞培養培地を1~2,000μL:1mgのマイクロキャリアの比で添加し、新しいマイクロキャリア懸濁液を得るために0時間を超えて静置または撹拌する;(G2)シードマイクロキャリア懸濁液の調製工程:シードマイクロキャリアは10,000~100万細胞/mgマイクロキャリアの細胞密度を有し、シードマイクロキャリアを0.1~50mg/mLに細胞培養培地で再懸濁してシードマイクロキャリア懸濁液を得る;(G3)接種工程:(G1)で調製した新しいマイクロキャリア懸濁液を含むインペラー内蔵細胞培養フラスコに(G2)で調製したシードマイクロキャリア懸濁液を混合する、(G1)で調製した新しいマイクロキャリアに対する種マイクロキャリアの比は0.0002~200mgのシードマイクロキャリア/mgの新しいマイクロキャリアであり、培地に対するマイクロキャリアの比を1mg:1~1000μLに調整するために細胞培養培地を添加する。インペラー内蔵細胞培養フラスコを攪拌機上に置き、インキュベーター中に0~100時間攪拌しながら置く;(G4)培養工程:攪拌を続けて動的なin situ継代を完了させる;を含む。
【0021】
三次元マイクロキャリア細胞培養に基づく静的なin situ継代方法は以下の工程:(H1)シードマイクロキャリア懸濁液の調製:シードマイクロキャリアの細胞密度は10,000~1,000,000細胞/mgマイクロキャリアであり、シードマイクロキャリアを細胞培養培地で0.1~50mg/mLに再懸濁し、シードマイクロキャリア懸濁液を得る;(H2)接種:(H1)で調製されたシードマイクロキャリア懸濁液を新しいマイクロキャリアに新しいマイクロキャリアに対するシードマイクロキャリアの比率が0.0002~200mgシードマイクロキャリア/mg新しいマイクロキャリアで滴下し、よく混合し、インキュベートするためにインキュベーター中に0.5~24時間置く;(H3)培養工程:細胞培養培地を添加し、培養を継続する、すなわち静的なin situ継代を完了する、を含む。
【0022】
工程(G1)ではインペラ内蔵細胞培養フラスコに入れた新たなマイクロキャリアと細胞培養培地との比率を、マイクロキャリア100mg/細胞培養培地10mLとすることができ、インペラ内蔵細胞培養フラスコに入れた後、0.1~24時間(本発明の特定の実施形態では特に14時間)放置することができる。
工程(G2)において、シードマイクロキャリア中の細胞密度は150,000~500,000細胞/mgマイクロキャリアとすることができ、シードマイクロキャリア懸濁液中のシードマイクロキャリアの含有量は1~10mg/mLとすることができる(本発明の具体的な実施形態において、シードマイクロキャリア懸濁液中のシードマイクロキャリアの含有量は具体的には1mg/mLである)。
本発明の一実施形態ではシードマイクロキャリア中の細胞密度が具体的には500,000細胞/mgマイクロキャリアであり、シードマイクロキャリア懸濁液中のシードマイクロキャリアの含有量は具体的には1mg/mLである。
本発明の一実施形態ではシードマイクロキャリア中の細胞密度が具体的には150,000細胞/mgマイクロキャリアであり、シードマイクロキャリア懸濁液中のシードマイクロキャリアの含有量は具体的には1mg/mLである。
【0023】
工程(G3)ではシードマイクロキャリア対新しいマイクロキャリアの比が1~10mgシードマイクロキャリア/100mg新しいマイクロキャリア(例えば、2~6.7mgシードマイクロキャリア/100mg新しいマイクロキャリア)であり得;細胞培養培地を添加することによって、マイクロキャリア対培地の比は1~10mg:1mL(例えば、106.7~204mg:60mL)に調節され得;撹拌速度は1rpm~200rpmであり得、撹拌は定速撹拌または可変速交互撹拌または可変速サイクルの撹拌によるものであり得、撹拌方向は時計方向撹拌、反時計方向撹拌または交互方向撹拌であり得、これにより、シードマイクロキャリア上の細胞を新しいマイクロキャリアに移す。
本発明の一実施形態において、シードマイクロキャリア対新しいマイクロキャリアの比は具体的には2mgシードマイクロキャリア/100mg新しいマイクロキャリアであり;マイクロキャリア対培地の比が細胞培養培地を添加することによって、204mg:60mLに特異的に調整され;撹拌は、具体的には24時間の全サイクル中、60rpmで5分間、20rpmで20分間の特定のパラメータを用いた可変速サイクルの撹拌である。
本発明の一実施形態では、シードマイクロキャリア対新しいマイクロキャリアの比が具体的には6.7mgシードマイクロキャリア/100mg新しいマイクロキャリアであり、培地に対するマイクロキャリアの比は細胞培養培地を添加することによって106.7mg:60mLに具体的に調整され、撹拌は、具体的には24時間の全サイクル中、60rpm5分間、20rpmで20分間の特定のパラメータを用いた、可変速サイクルの時計方向撹拌である。
【0024】
工程(H1)において、シードマイクロキャリア中の細胞密度は、120,000~500,000細胞/mgマイクロキャリアであり得;シードマイクロキャリア懸濁液中のシードマイクロキャリアの含有量が5~15mg/mLであり得る。
本発明の一実施形態ではシードマイクロキャリア中の細胞密度が具体的には500,000細胞/mgマイクロキャリアであり、シードマイクロキャリア懸濁液中のシードマイクロキャリアの含有量は具体的には5mg/mLである。
本発明の一実施形態ではシードマイクロキャリア中の細胞密度が具体的には120,000細胞/mgマイクロキャリアであり、シードマイクロキャリア懸濁液中のシードマイクロキャリアの含有量は具体的には15mg/mLである。
さらに、工程(H2)において、シードマイクロキャリア対新しいマイクロキャリアの比は、1~3mgシードマイクロキャリア/20mg新しいマイクロキャリアであり得;インキュベーション時間が0~24時間であり得る。
本発明の実施形態において、シードマイクロキャリア対新しいマイクロキャリアの比は、具体的には1mgシードマイクロキャリア/20mg新しいマイクロキャリアであり;インキュベーション時間は具体的には2時間である。
本発明の実施形態において、シードマイクロキャリア対新しいマイクロキャリアの比は、具体的には3mgシードマイクロキャリア/20mg新しいマイクロキャリアであり;インキュベーション時間が具体的には2時間である。
ここで、本方法の全インキュベーション時間は、細胞、提供されるシードと新しいキャリアの比率、最終的に得られる細胞の所望の数などに依存し得る。
【0025】
三次元マイクロキャリア細胞培養に基づくin situ継代法において、マイクロキャリアは、3D FloTrixマイクロキャリア(北京華館生物科技有限公司;カタログ番号:CNF-F01T-50)である。インペラー内臓細胞培養フラスコは、米国ベルコガラス社のカタログ番号:1965-61001の製品である。撹拌機は、低速撹拌機(3D FloTrix miniSpin低速攪拌機,北京華館生物科技有限公司;カタログ番号:3D FTmS-2-2)である。
【0026】
三次元マイクロキャリアに基づくin situ細胞凍結保存法では、工程(A1)において、遠心分離は50~1610×g、具体的には400×gの速度で、1~10分間、具体的には2分間行われる。工程(A2)において、細胞含有キャリアの質量に対する凍結保存溶液の体積の比は、1mL:0.1~50mg、具体的には1mL:10mgまたは1mL:0.1~20mgである。
三次元マイクロキャリアに基づくin situ細胞凍結保存方法では、凍結保存溶液が10% DMSO、10~90% FBSおよび0~80%基礎培地、10% DMSOおよび0~80%基礎培地、10~90% FBSおよび0~80%基礎培地、またはCF101セルレジェン無血清凍結保存溶液のような他の市販の細胞凍結保存溶液を含む。
三次元マイクロキャリアに基づくin situ細胞凍結保存法では、極低温貯蔵管を冷凍機に入れ、-20~-196℃、具体的には-20~-80℃に冷却され;冷却はプログラムされているかまたはプログラムされておらず;プログラムされた冷却は-1~-15℃/分の冷却速度を有し;冷却時間は1~24時間、具体的には24時間、10~24時間または15~24時間とすることができる。
三次元マイクロキャリアに基づくin situ細胞凍結保存法では、冷却は、工程(A2)において極低温貯蔵管を細胞冷却ボックスに入れ、1~10分以内に冷凍機に入れて方法実施される。
三次元マイクロキャリアに基づくin situ細胞凍結保存法では、極低温貯蔵管に添加された37℃の予め温められたPBSまたは基礎培地が1:5~30であり得る比で希釈される。
三次元マイクロキャリアに基づくin situ細胞凍結保存法では、工程(A3)に続いて、細胞蘇生工程:工程(A3)の処理後の極低温保存管を水浴中に置き、極低温保存管中の氷が溶融したときに水浴を除去することによって細胞を蘇生し、次いで37℃の予め温めたPBSまたは基礎培地を添加することによって細胞を希釈し、次いで遠心分離する。
三次元マイクロキャリアに基づくin situ細胞凍結保存法では、水浴の温度は35~40℃とすることができ、水浴の時間は1~5分とすることができる。
三次元マイクロキャリアに基づくin situ細胞凍結保存法では、工程(A3)後に細胞を蘇生する場合、遠心分離の速度は1~10分間、具体的には2分間、50~1610×g、具体的には400×gとすることができる。
【0027】
三次元マイクロキャリア上での細胞付着培養法において、細胞懸濁液は1×104~1×108細胞/mLの密度を有し、該細胞懸濁液は培養培地または液状生物学的マトリックス材料中に細胞を再懸濁することによって得られ、ここで、該材料はコラーゲン、ゼラチン、ゼラチン誘導体、プロテオグリカン、糖タンパク質、アルギン酸塩、アルギン酸塩誘導体、寒天、マトリックスゴム、ヒアルロン酸、フィブロネクチンまたはラミニンからなる群より具体的に選択され得る。三次元マイクロキャリアの質量に対する細胞懸濁液の体積比は1~1000μL:1mg、具体的には10μL:1mg、1~10μL:1mg、10~15μL:1mg、5~15μL:1mg、または250~350μL:1mgである。
三次元マイクロキャリア上での細胞付着培養方法では、工程(B1)において、細胞懸濁液は、以下のように三次元マイクロキャリアと混合される:細胞懸濁液が三次元マイクロキャリアに滴下して添加される。工程(B1)では、乾燥した三次元マイクロキャリアを使用し、細胞懸濁液をそれと直接混合し、三次元マイクロキャリアを前もって膨潤させる必要性を排除し、したがって、マイクロキャリアへの細胞の接種を単純化する。
三次元マイクロキャリア上での細胞付着培養方法において、インキュベーション条件は、以下の通りであり得る:35~40℃、具体的には37℃、37~40℃または35~37℃の温度;0.5~24時間の期間、具体的には2時間または24時間;5~30%、具体的には5%~10%または5~20%の二酸化炭素の体積百分率濃度。付着方法は、重力付着法、膨潤付着法、攪拌回転式の付着法、遠心法、弾性表面波法または磁気付着法を含む。
三次元マイクロキャリア上での細胞付着培養方法において、培養の条件は35~40℃、具体的には37℃、37~40℃または35~37℃であり得、二酸化炭素の体積百分率濃度は5~30%、具体的には5%、5~10%または5~20%であり得る。
三次元マイクロキャリア上での細胞付着培養方法において、工程(B1)の前に、三次元マイクロキャリアをガス滅菌、放射線滅菌またはUV滅菌する工程がある。
三次元マイクロキャリア上での細胞付着培養方法において、三次元マイクロキャリアは多孔性マイクロキャリアであり、具体的に、カタログ番号:CNF-F01T-50;サイトポア1およびサイトポア2(GEから市場で入手可能)、カタログ番号:17-0911および17-1271; CultiSpher(M9418)(Sigmaから市場で入手可能)と共に、北京華館生物科技有限公司から市場で入手可能)である3D FloTrixマイクロキャリアである。
【0028】
三次元マイクロキャリア上に細胞を採取する方法において、溶解液は、細胞付着の排除と共にマイクロキャリアを溶解するための活性成分を含む。活性成分は、コラゲナーゼ、ペプシン、ヒアルロニダーゼ、ディスパーゼ、中性プロテアーゼ、プロテイナーゼK、マトリックスメタロプロテイナーゼ、クエン酸ナトリウム、トリプシン、デオキシリボヌクレアーゼ、トリプシン置換物、タンパク質ヒドロラーゼ、エチレンジアミン四酢酸、リゾチームおよびグルタチオンの少なくとも1つの水溶液から選択される。一実施形態では、溶解液の処方は、0.1%(質量パーセント)コラゲナーゼ、0.1%(質量パーセント)エチレンジアミン四酢酸、および0.05%(質量パーセント)トリプシンを含む。
三次元マイクロキャリア上に細胞を採取する方法において、停止液は、溶解液の選択された組成に依存して、全培地、10%血清アルブミンまたは血清を含有するPBS、トリプシンインヒビター、プロテアーゼインヒビター、PBSおよびイオン性キレート剤のうちの少なくとも1つから選択される。イオン性キレート剤は、特にエチレンジアミン四酢酸であり得る。
【0029】
三次元マイクロキャリア上に細胞を採取する方法では、工程(C1)において、遠心分離は、50~1610×g、具体的には200×gの速度で、1~10分間、具体的には2分間であり得る。上清を除去するための工程は次の通りである:遠心分離および上清のピペッティング;次いで、適切な量のPBSを添加し、20~30秒間、手で穏やかに振盪し、上清をピペッティングし、そしてPBS洗浄を1回繰り返す。
三次元マイクロキャリア上に細胞を採取する方法において、細胞を付着させ、培養するための三次元マイクロキャリアの質量の溶解液の体積に対する比は1mg:0.01~5mL、具体的には20mg:3mL、1mg:0.15~0.5mLまたは1mg:0.1~2mLであり得;インキュベーションは4℃~40℃、具体的には37℃の温度で、10秒~24時間、具体的には30分間であり得る。特定の実施形態において、記載されるインキュベーション期間の間、ブローイングは、10分間隔で1mLピペットを使用して数回穏やかに行われる。
三次元マイクロキャリア上に細胞を採取する方法において、細胞を付着させ、培養するための三次元マイクロキャリアの質量の、停止液の体積に対する比は、1mg:0.01~50mL、具体的には20mg:3mLまたは1mg:0.1~25mLであり得る。
三次元マイクロキャリア上に細胞を採取する方法では、工程(C4)において、遠心分離は、50~1610×g、具体的には400×gの速度で、1~10分間、具体的には2分間または2~8分間行われる。
【0030】
マイクロキャリア上で培養された細胞の総数および/または細胞密度の計算のためにマイクロキャリア上で培養された細胞をサンプリングする方法は以下の工程を含む:(D1)細胞培養のためにある重量のマイクロキャリアを秤量し、それらをサンプリングチューブ内に置き、細胞培養プロセスをシミュレートするために液体を添加し、それらを4~60℃で0~24時間浸漬し、次いで、標準スケールとして、サンプリングチューブ上のマイクロキャリアによって占有される体積に対応するスケールをマーキングすること;(D2)マイクロキャリアの体積を標準スケールにするために、サンプリングチューブを用いて細胞培養システムからマイクロキャリアをサンプリングすること;(D3)(D2)において収集されたマイクロキャリア中の細胞を計数すること;(D4)(D1)において秤量されたマイクロキャリアの重量、(D3)において計数された細胞の数、および細胞培養システム全体中のマイクロキャリアの総重量に基づいて、細胞培養システム全体中の細胞の総数を計算すること;したがって、細胞密度を計算すること。
工程(D1)において、マイクロキャリアを含むサンプリングチューブに液体を添加し、4~60℃で0~24時間浸漬する方法は、マイクロキャリアの完全な浸漬および膨潤の方法である。ここで、添加される液体はマイクロキャリア上での細胞培養に使用される本発明の培地(例えば、細胞培養またはPBSに使用される本発明の培地)と同じまたは類似の粘度、親水性、pH、イオン濃度であり得る。マイクロキャリアを浸漬および膨潤させるのに必要な温度および時間は、マイクロキャリアに依存して変化する。これは、様々な製造業者からのマイクロキャリアの指示に従って行うことができる。例えば、GEから入手可能なマイクロキャリアCytodex 1を使用して、乾燥されたマイクロキャリアを、30~50mL/gの比で少なくとも3時間、室温でPBSに浸漬することによって膨潤させる。例えば、北京華館生物科技有限公司から入手可能な3D FloTrixマイクロキャリア(CNF-F01T-50)を、PBS中に0.5~24時間、具体的には6時間、10~1000μL:1mg、具体的には10μL:1mg、10~15μL:1mg、5~15μL:1mgまたは250~350μL:1mgの比で浸漬し、膨潤させる。
工程(D1)では、マイクロキャリアを液体に浸漬した後、マイクロキャリアをできるだけ迅速に沈殿させる目的で、自然沈殿または遠心沈殿(例えば、1,500rpmで2分間の遠心分離)のさらなる工程も含まれる。
工程(D2)において、サンプリングチューブを用いて細胞培養システムからマイクロキャリアをサンプリングすることは、以下の工程を含む方法に従って実施することができる:細胞培養系から懸濁液をピペッティングし、サンプリングチューブに添加し、マイクロキャリアを自然に又は遠心分離(沈殿速度を上げるために、遠心分離は50~1610×g、具体的には200×gの速度で1~10分間、具体的には2分間)のいずれかで沈殿させる工程と、工程(D1)で較正された標準スケールに達するかどうかを観察する工程と、達しない場合には標準スケールに達するまで懸濁液をピペッティングし続け、超過した場合にはサンプリングチューブから過剰のマイクロキャリアを除去する工程方法。
工程(D3)において、(D2)で収集されたマイクロキャリア中の細胞の計数は以下の工程:(D2)においてサンプリングチューブを遠心分離し(例えば、200×gで2分間)、上清を廃棄し、沈殿物に細胞消化溶液を添加してマイクロキャリアから細胞を消化し、および次いで計数することを包含する方法に従って実施され得る。
工程(D4)では、全細胞培養系中の細胞の総数が(D3)で計数された細胞の数に、上記(D1)で計量されたマイクロキャリアの重量に関連するマイクロキャリアの総重量を乗じたものに等しい。
工程(D4)では、該総数をマイクロキャリアの総重量または総数、または培養系の総体積で割って、異なる単位、例えば、細胞/mgマイクロキャリア、細胞/マイクロキャリア、細胞/mL培養系における細胞密度を得る。
【0031】
マイクロキャリア上で培養された細胞をサンプリングするための方法において、マイクロキャリアは、北京華館生物科技有限公司から入手可能な3D FloTrixマイクロキャリア(カタログ番号:CNF-F01T-50)である。サンプリングチューブは、具体的には1.5mlの微量遠心チューブである。
一実施形態では、工程(D1)で秤量されるマイクロキャリアの重量は5mgであり、サンプリングチューブは1.5mlのマイクロ遠心チューブであり、標準スケールは0.1mLスケールであり、細胞培養システム中のマイクロキャリアの重量は200mgであり、培養中の細胞の初期数は200万であり、培養系中の培地は60mLの体積を有し、サンプリングは細胞培養の72時間後に行われる。
上記の方法のいずれも、以下の工程を含む、細胞の大規模増殖のための三次元マイクロキャリアに基づく方法をさらに含む:撹拌バイオリアクター中の三次元マイクロキャリア上での細胞の大規模増殖を達成する工程。
【0032】
撹拌バイオリアクターは半自動、完全自動、または一体型バイオリアクターを含み得るが、これらに限定されない。撹拌バイオリアクターは、具体的には3D FloTrix(商標)ミニスピン小規模バイオリアクターまたは3D FloTrix(商標)vivaSpinバイオリアクターのいずれかであり得る。1つのバイオリアクター単独または2つのバイオリアクターを組み合わせて使用することができる。
細胞がバイオリアクター中で培養される条件は、細胞の増殖に従って制御することができる。例えば、インキュベーションpHは6.5~7.5、好ましくは7.0~7.5、より好ましくは7.2とすることができ、CO2の能動ポンプ輸送は約3~10%、好ましくは約5~8%、より好ましくは約5%とすることができ、温度は30℃~40℃、好ましくは37℃とすることができ、攪拌スピードは10~150rpm、好ましくは40~80rpmとすることができ、気体送達の頻度は、1~40ccm、より好ましくは約5~20ccmとすることができる。
本発明の一例では、細胞を三次元マイクロキャリアに接種し、次いで、3D FloTrix(商標)vivaSpinバイオリアクターに移す前に、60rpmの一定の時計方向速度で6日間培養するために3D FloTrix(商標)miniSpin小規模バイオリアクターに置いた。3D FloTrix(商標)vivaSpinバイオリアクターについて設定したプロセスパラメーターは、以下のように制御した:プロセス全体を通して12ccmの5%CO2の能動ポンプ輸送、および37℃。T=0時間において800mLの完全培地を10mL/分の速度で能動的にポンプ注入し、T=96時間において500mLの液体を10mL/分の速度で能動的にポンプ注入し、続いて10mL/分の速度で500mLの新鮮培地をポンプ注入し、T=144時間において500mLの液体を10mL/分の速度で能動的にポンプ注入し、続いて10mL/分で反応器に能動的にポンプ注入した500mLの新鮮培地に再懸濁した50錠の3D TableTrix(商標)マイクロキャリアを能動的にポンプ注入した。T=0~12時間およびT=144~156時間の撹拌速度は、5分間40rpm、20分間20rpmのサイクルで可変速度、残りの時間は60rpmの一定速度であった。
【0033】
本発明の別の実施例では、細胞を三次元マイクロキャリアに接種し、次いで3D FloTrix(商標)vivaSpinバイオリアクターに直接接種した。3D FloTrix(商標)vivaSpinバイオリアクターについて設定されたプロセスパラメーターは、以下のように制御された:プロセス全体を通して10ccmの5%CO2の能動ポンプ輸送、および37℃。T=0時間において460mLの完全培地を10mL/分の速度で能動的にポンプ注入し、続いてT=48時間において500mLの液体を10mL/分の速度で能動的にポンプ注入した。その後24時間毎に、500mLの液体を10mL/分の速度で能動的にポンピングし、続いて500mLの新鮮な培地を120時間まで10mL/分の速度で反応器に能動的にポンピングした。T=120時間において10mL/分で500mLの液体nを能動的にポンピングした後、500mLの新鮮な培地に再懸濁した3D TableTrix(商標)マイクロキャリアの40個の錠剤を、10mL/分の速度で反応器に能動的にポンピングした。撹拌速度は、T=0~120時間では60rpmの一定速度であり、T=120~136時間では60rpmで5分間、20rpmで20分間のサイクルで可変速度であり、T=136~240時間では60rpmの一定速度であった(240時間後、撹拌モードは60rpmの一定速度であった)。
【0034】
上記の三次元マイクロキャリアのいずれかは、特に、多孔質構造を有するマイクロキャリアビーズを指し得、ここで、培養されるべき細胞は細胞培養容器(例えば、細胞培養フラスコ、ウェルプレートまたはバイオリアクター)内の三次元マイクロキャリア上で培養される。マイクロキャリア培養において、細胞は三次元マイクロキャリアの表面および内部に連結された孔の内側に付着し得、一方、マイクロキャリアは穏やかに撹拌することによって培養容器中の培養培地中に懸濁され得る。例示的な三次元マイクロキャリアには3D TableTrix(商標)マイクロキャリア、3D FloTrix(商標)マイクロキャリアなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
上記の細胞のいずれも、接着細胞であり、これは、特に幹細胞であり得る。幹細胞は限定されるわけではないが、様々な組織源の間葉系幹細胞(MSC)、胚性幹細胞(ESC)、脂肪細胞幹細胞(ADSC)、神経幹細胞(NSC)、人工多能性幹細胞(iPSC)および幹細胞に由来する細胞などを含む。幹細胞は、特に間葉系幹細胞であり得る。MSCは、具体的には脂肪由来MSCまたは臍帯MSCであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の実施例1で使用したインペラーを内蔵した細胞培養フラスコを示す。
【
図2】本発明の実施例1における細胞およびマイクロキャリアの回転式の付着法によるマイクロキャリア上に徐々に付着した細胞数および付着効率を示す。
【
図3】本発明の実施例2における方法による細胞付着後の蛍光染色の結果のグラフを示す。
【
図4】本発明の実施例2において顕微鏡の明視野下で観察されたマイクロキャリア溶解および蛍光顕微鏡下で観察された生細胞の図を示す。
【
図5】従来のトリプシン処理によって得られた培養フラスコ中の細胞の活性と比較した、本発明の実施例2における溶解液から採取した三次元マイクロキャリア(3D FloTrixマイクロキャリア)上の細胞の活性の比較結果を示す。
【
図6】5mgのマイクロキャリアが本発明の実施例3における1.5mlのマイクロ遠心チューブ上の0.1mLスケールに正確に一致するスケールに達することを示す。
【
図7】本発明の実施例3において、自然沈殿後の懸濁液定量サンプリング法によりピペットで採取した懸濁液1mLの状態を示す。A1~A3は、3回の反復を示す。
【
図8】本発明の実施例3において、自然沈殿後にマイクロキャリア定量サンプリング法によりピペットで採取した懸濁液1mLの状態を示す。B1~B3は、3回の反復を示す。
【
図9】本発明の実施例3における懸濁液定量サンプリング法およびマイクロキャリア定量サンプリング法によって得られた細胞の総数を、実際の状況と比較した比較結果を示す。
【
図10】本発明の実施例4における三次元静的蘇生細胞および対照細胞のモニタリング結果を示す。
【
図11】本発明の実施例4における三次元静的蘇生細胞および対照細胞の増殖を示す。
【
図12】本発明の実施例4における三次元静的蘇生細胞微細構造のモニタリング結果を示す。
【
図13】本発明の実施例4における三次元動的蘇生細胞法の細胞モニタリング結果を示す。
【
図14】本発明の実施例4における三次元動的蘇生細胞法の細胞増殖を示す。
【
図15】本発明の実施例4における6つの細胞蘇生方法の比較を示す。
【
図16】本発明の実施例4における三次元静的蘇生細胞微細構造のモニタリング結果を示す。
【
図17】本発明の実施例4における三次元動的蘇生細胞微細構造の細胞増殖を示す。
【
図18】本発明の実施例4において、静的in situ継代方法によって脂肪由来MSCを接種した場合、細胞が存在しているマイクロキャリア(明るい点)は僅かであったが、in situ継代培養後4日目にはすべてのマイクロキャリア上に細胞が存在したことを示す。
【
図19】本発明の実施例5において、臍帯MSCが静的in situ継代方法によって接種された2日後に、多くの細胞が存在しているマイクロキャリア(明るい点)は少数のみであるのに対し、in situ継代培養後の4日目に、細胞が全てのマイクロキャリア上に存在したことを示す。
【
図20】本発明の実施例5において、脂肪由来MSCを静的in situ継代培養方法により培養した後、接種時の500,000から210万に増加した細胞数が、従来の消化後継代培養方法により得られた細胞数(240万)と有意差(p=0.32)がなかったことを示す。
【
図21】本発明の実施例5において、臍帯MSCを静的in situ継代培養方法により培養した後、細胞数が接種時の300,000から190万に増加したことを示す。
【
図22】本発明の実施例5において、脂肪由来MSCを動的in situ継代方法によって接種した2日後に、多くの細胞が存在しているマイクロキャリア(明るい点)は少数のみであるのに対し、in situ継代培養後5日目には、全てのマイクロキャリア上に細胞が存在したことを示す。
【
図23】本発明の実施例5において、臍帯MSCが動的in situ継代方法によって接種された場合、多くの細胞が存在しているマイクロキャリア(明るい点)は少数のみであるのに対し、in situ継代培養後5日目にはすべてのマイクロキャリア上に細胞が存在したことを示す。
【
図24】本発明の実施例5において、脂肪由来MSCが動的なin situ継代方法によって、最初のシードマイクロキャリア上のわずか200万個の細胞から、5日間の培養後の5000万個まで成長および増殖され得ることを示す。
【
図25】本発明の実施例5において、臍帯MSCが動的in situ継代方法によって、最初のシードマイクロキャリア上のわずか100万個の細胞から、7日間の培養後に1520万個まで、成長及び増殖され得ることを示す。
【
図26】本発明の実施例6における、異なる凍結保存時間後のマイクロキャリア上のin situ凍結保存HEK293細胞の蘇生結果のグラフを示す。
【
図27】本発明の実施例6における、マイクロキャリア上のHEK293細胞の凍結保存前と凍結保存後に蘇生された生細胞の割合の結果を示すグラフである。
【
図28】本発明の実施例6における凍結保存および蘇生後の3D FloTrixマイクロキャリアおよび競合マイクロキャリア(GE Cytodex)上のHEK293細胞の数のヒストグラムを示す。
【
図29】本発明の実施例6における異なる凍結保存時間後のマイクロキャリア上のin situ凍結保存AD-MSCの蘇生結果のグラフを示す。
【
図30】本発明の実施例6における凍結保存の前後のAD-MSCの活性の比較を示す。
【
図31】本発明の実施例6における、凍結保存前後の細胞数およびAD-MSCの凍結保存後の細胞蘇生率の統計を示す。
【
図32】本発明の実施例7の第1部における細胞数の増殖の統計的結果を示す。
【
図33】本発明の実施例7の第1部で使用した自動化バイオリアクター(3D vivaSPIN V1,北京華館生物科技有限公司)を示す。
【
図34】本発明の実施例7の第1部における細胞活性の結果を示す。
【
図35】本発明の実施例7の第2部における細胞数の増殖の統計的結果を示す。
【
図36】本発明の実施例7の第2部における細胞活性の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下の実施形態/実施例は本発明のより良い理解を容易にするが、本発明を限定するものではない。以下の実施形態/実施例における実験方法は特に明記しない限り、全て日常的な方法であった。以下の実施形態において使用される試験材料は特に明記しない限り、全て、日常的な生化学試薬店から購入した。以下の実施形態/実施例における定量試験は、3回の反復実験で設定され、平均値が結果として得られた。
【実施例】
【0038】
実施例1:三次元マイクロキャリア細胞付着培養の方法
実施例で使用したマイクロキャリアは、CNF-F01T-50のカタログ番号を有する、北京華館生物科技有限公司から購入した3D FloTrixマイクロキャリアであった。
I. 攪拌機回転付着を用いる三次元マイクロキャリア細胞付着の方法;
1.マイクロキャリア調製:200mgのマイクロキャリア粉末を、紫外線滅菌のために秤量し、次いで、(
図1に示されるように)インペラー内蔵滅菌細胞培養フラスコに注ぎ、3つの群を準備した;
2.細胞調製:脂肪由来MSC懸濁液を予め調製し、5×10
6細胞を、後の使用のために60mlの完全培地に再懸濁し、3つの群を準備した;
3.細胞接種:上記の細胞懸濁液を、内蔵インペラーを有する細胞培養フラスコ中に混合し、200mgのマイクロキャリアと十分に混合した;
4.細胞付着:インペラーを内蔵した細胞培養フラスコを低速攪拌機に置き、37℃、5% CO
2インキュベーターに入れて80rpmで攪拌し、細胞をマイクロキャリアに回転付着させた;
5.付着速度を得るためのIn-situ計数:
a. マイクロキャリア収集:3つの群のマイクロキャリアを、それぞれ2、4および6時間撹拌した後、細胞懸濁液と混合し、次いで、70μm細胞篩を通して収集し、PBSで1回洗浄して、マイクロキャリアに付着していない任意の細胞を洗い流した。次いで、細胞を含有するマイクロキャリア懸濁液を1500rpmで2分間遠心分離し、上清を廃棄した。
b. 細胞計数: 200mgのマイクロキャリアを50mLの0.1%クリスタルバイオレット溶液(0.1gのクリスタルバイオレット、2.1gのクエン酸、20μLのTween-80、100mlの脱イオン水)に37℃で2~5時間添加し、細胞計数プレートで細胞を計数し、最初の接種数による換算後に付着速度を得た。
c. 結果分析:
図2は、撹拌時間が増加するにつれて、細胞は回転付着によってマイクロキャリアに徐々に付着し得、付着効率は撹拌の2時間で67%に達し、4時間で81%に達し、6時間で92%に達したことを示す。
【0039】
II. 小容量の高密度膨潤付着を用いた三次元マイクロキャリア細胞付着の方法
1. マイクロキャリア調製:マイクロキャリア粉末20mgを、後の使用のために紫外線滅菌のために秤量した;
2. 細胞調製:脂肪由来MSC懸濁液を予め2.5×10
6細胞/mLの密度で調製し、三次元マイクロキャリア20mg毎に200μLを調製した;
3. 細胞接種:200μLの細胞懸濁液をピペットで移し、20mgのマイクロキャリアに滴下し、細胞懸濁液をマイクロキャリアと十分に混合した;
4. 細胞付着:細胞懸濁液とよく混合したマイクロキャリアを37℃、5% CO
2インキュベーターに入れ、2時間インキュベートし、細胞をマイクロキャリアに付着させた;
5. 細胞培養:細胞が付着した後、3mlの完全培地を添加し、細胞を37℃で5% CO
2インキュベーター中で24時間インキュベートし、次いで観察した;
6. 対照実験:工程3~5は本発明の方法である小容量高密度付着法を採用し;さらに、一般的な付着法(大容量低密度)の対照実験群を調製、すなわち、細胞懸濁液200μLを完全培地3mLに混合し、20mgのマイクロキャリアを直接添加して、その後24時間観察した;
7. 細胞観察:
1) キット:動物細胞の死滅生存率/細胞毒性アッセイキット、カタログ番号: KGAF001;
2) 細胞を含有する三次元マイクロキャリア懸濁液50~100μLを96ウェルプレートに添加した。
3) 上清を可能な限り除去し、PBSを添加し、1回洗浄し、2分後に可能な限りPBSを除去し、各ウェルを、キットの説明書に従って構成された100μLの染色溶液を添加することによって染色した。室温で20~30分間染色し、光から保護した後、蛍光顕微鏡下で観察した結果を
図3に示す。
図3から分かるように、生細胞は染色溶液で染色され、蛍光によって発光することが観察され、発光する細胞は生細胞であった。この図は大容量低密度付着方法によって、少数の細胞がマイクロキャリア上、主にマイクロキャリアの表面上に付着したのに対して、小容量高密度付着方法によって、多数の細胞をマイクロキャリア上に付着させることができ、細胞がマイクロキャリアの表面上だけでなく多孔質マイクロキャリアの細孔内にも存在したことを示しており、したがって、本発明の小容量高密度付着方法は、マイクロキャリア上への細胞の付着においてより有効であり、多孔質マイクロキャリアの大面積をより良好に利用し得ることを示している。
【0040】
実施例2 三次元マイクロキャリア上の細胞を採取するための方法
本実施例で使用したマイクロキャリアは、CNF-F01T-50のカタログ番号を有する、北京華館生物科技有限公司から購入した3D FloTrixマイクロキャリアであった。
1. 溶解液処方:0.1%(質量%)コラゲナーゼ(シグマ-アルドリッチ(上海)貿易社, C0130)、0.1%(質量%)EDTA(北京ソーラーバイオテクノロジー社, E1170)、0.05%(質量%)トリプシン(M&C 遺伝子技術社(北京)、CC017);停止液:完全培地;
2. 培養皿からの脂肪由来MSCを有する三次元マイクロキャリア20mgを遠心分離チューブに移し、400×gで2分間遠心分離し、上清をピペットで取り、適切な量のPBSを添加し、20~30秒間手で穏やかに振盪し、上清を可能な限りピペットで取り、PBS洗浄を1回繰り返した。
3. 溶解液3mLを添加し、細胞をセルインキュベーター中で37℃で30分間インキュベートし、その間10分毎に1mLピペットで数回穏やかに吹き込んだ。
4.30分後、マイクロキャリアを完全に溶解し、3mLの完全培地を添加して溶解プロセスを停止させた。
5. 200×gで5分間遠心分離を行い、上清を廃棄し、細胞をその後の適用に必要なように再懸濁した。
【0041】
6. 細胞検出方法:
(1)生細胞のIn situカルセイン-AM/PI染色法:
1) キット:動物細胞の死滅生存率/細胞毒性アッセイキット、カタログ番号: KGAF001;
2) 細胞を含有する3Dマイクロキャリア懸濁液20mgを遠心分離チューブ分離チューブに添加し、400×gで2分間遠心分離した;
3) 上清を可能な限り除去し、PBSを添加し、1回洗浄し、2分後に可能な限りPBSを除去し、キットの指示に従って構成された染色溶液100μLを染色のために添加した。室温で20~30分間染色し、光から保護した後、チューブを400×gで2分間遠心分離した;
4) 上清を廃棄し、3mLの溶解液を添加し、マイクロキャリア溶解を光学顕微鏡下で観察し、生細胞を蛍光顕微鏡下で0分、10分および30分で観察した;結果を
図4に示す。
図4に見られるように、マイクロキャリアは光学顕微鏡の明視野において観察され、徐々に溶解し、時間とともに消失し、細胞のみを残した。蛍光顕微鏡による染色された細胞の観察は溶解液がマイクロキャリアを溶解することにつれて、細胞がマイクロキャリアから単一細胞に分離されたが、死細胞の数は増加せず、細胞は活性のままであったことを示した。これは、マイクロキャリアに対する溶解がマイクロキャリアの活性に影響を及ぼすことなく、マイクロキャリアから細胞を蘇生することができたことを示した。
【0042】
(2)フローサイトメトリーによるアポトーシス率を決定するための分析方法:
1) 細胞収集:細胞を含有する三次元マイクロキャリア懸濁液20mgを400×gで2分間遠心分離し、上清を廃棄した。0.1%コラゲナーゼIV型溶液(1LのPBSに溶解した1gのコラゲナーゼIV型(Gibco、17104019))3mLを添加し、溶液を細胞インキュベーター中で37℃で30分間インキュベートし、400×gで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。二次元(2D)細胞の採取には、従来のトリプシン消化法を用い、すなわち、細胞培養フラスコ中の培地を廃棄し、適切な量のPBSを添加し、2回洗浄し、適切な量の0.25%トリプシン溶液を添加し、細胞を37℃で2分間、またはフラスコから分離するまでインキュベートした。等量の完全培地を加えて停止させた後、懸濁液を遠心分離チューブ中に取り出し、400×gで5分間遠心分離し、上清を捨てた。
2) 細胞洗浄:細胞を、4℃で予冷したPBSによって1回再懸濁し、400×gで5分間遠心分離し、次いで、細胞を洗浄した。
3) 細胞染色:細胞を、Annexin V-FITC/PIアポトーシス検出キット(新海遺伝子検査社(HaiGene Biotech Co., Ltd), S0185)を使用して染色し、すなわち、300μLの結合緩衝液を添加し、続いて、5μLのAnnexin V-FITCを添加し、混合し、室温で15分間インキュベートし、光から保護した;次いで、5μLのPIを添加し、5分間染色した;200μLの結合緩衝液を補充した。
4) 細胞流量サイトメトリー:染色された細胞の流量サイトメトリーを、BD FACSAria II flow Cytometerを使用して実施し、細胞分類分析の報告を機器によって作成した。
【0043】
5) 細胞フローサイトメトリー報告書の解釈:
A)アネキシン-V陰性-PI陰性は、正常細胞、すなわち4フレーム細胞分類図の左下のグループを表し、その細胞の割合は生細胞の割合である。
B)アネキシン-V陽性-PI陰性は、アポトーシスの初期段階の細胞、すなわち4フレーム細胞分類図の右下のグループを表し、その細胞の割合は、アポトーシスの初期段階の細胞の割合である。
C)アネキシン-V陽性-PI陽性は、アポトーシスまたは壊死細胞の後期段階の細胞、すなわち、4フレーム細胞分類図の右上のグループを表し、その細胞の割合は、アポトーシスの後期段階の細胞の割合である。
図5の結果から分かるように、溶解液によって三次元マイクロキャリア(3D FloTrixマイクロキャリア)上で収集された細胞の活性は、従来のトリプシン消化によって培養フラスコ内で得られた細胞の活性と同様であるか、またはそれよりもわずかに高く、本発明は溶解液でマイクロキャリアを標的化し、それによってマイクロキャリア上の細胞を収集することによって、高活性を有する細胞を収集する際に有効であることを示した。
【0044】
実施例3 マイクロキャリア上で培養された細胞をサンプリングし、計数するための方法
該実施例で使用したマイクロキャリアは、CNF-F01T-50のカタログ番号を有する、北京華館生物科技有限公司から購入した3D FloTrixマイクロキャリアであった。
該実施例に関与する細胞は間葉幹細胞であった。
設計概念:本発明では、マイクロキャリアの所定重量の体積を測定することによって、標準スケールを較正する。細胞培養にマイクロキャリアを用いる場合、標準的なスケールに達するためには、採取するマイクロキャリアの体積(培養液の体積とは無関係)が必要であり、その後、細胞を計数し、全培養系に変換して細胞の総数を求め、これをマイクロキャリア定量採取法と呼ぶ。
【0045】
特定のプロトコルの実施例:
1. 5mgのマイクロキャリアを、1.5mLのサンプリングチューブ(マイクロ遠心分離チューブ)に添加し、1mLのPBSに溶解し、十分に浸漬し、そして膨潤させ、次いで、1500rpmで2分間遠心分離して、サンプリングチューブ中のマイクロキャリアによって占有される体積を較正した。該実施例において、5mgのマイクロキャリアが、1.5mLサンプリングチューブ上の0.1mLスケールに正確に一致するスケールまで沈殿したことが見出された(
図6)。
2. 60mlの培地中に200万個の細胞を再懸濁した後、200mgのマイクロキャリアを添加し、そして5% CO
2インキュベーター中で37℃でインキュベートした。
3. 72時間後、以下の2つのサンプリング方法を使用した。
(a)培養容器を振盪することによって、マイクロキャリアを60mLの培地中にできるだけ均一に懸濁させ、1mLの懸濁液をできるだけ早くピペットで移し、1.5mLのサンプリングチューブに添加した。計3本のチューブをピペットで採取した(
図7参照)。これを懸濁液定量サンプリング法とした。
(b)培養容器を振盪することによってマイクロキャリアを培地に懸濁させ、懸濁液を1.5mLサンプリングチューブにピペットで入れた。マイクロキャリアが沈降するのを数分間待った後、マイクロキャリアの体積が工程1で較正された標準スケールに達したかどうかが観察され、該実施例では、0.1mLの標準スケールが使用された(5mgのマイクロキャリアに対応する、
図6)。そわない場合にはスケールに達するまで懸濁液をピペットで移し続け、そして超える場合には過剰のマイクロキャリアをサンプリングチューブから除去した。計3本のチューブをピペットで採取した(
図8参照)。これをマイクロキャリア定量サンプリング法とした。
4. 上記のサンプリングチューブを1500rpmで2分間遠心分離し、上清を廃棄した。細胞消化溶液を添加することによって細胞をマイクロキャリアから消化し、次いでカウントし、そして培養系中の細胞の総数を、サンプリング方法に依存する対応する式に従って推測した。
(a)懸濁定量サンプリング法:懸濁試料1mLの細胞数×培養系の全懸濁液量(60mL)=全細胞数。
結果を表1に示す。
【0046】
【0047】
(b)マイクロキャリア定量サンプリング法:5mgのマイクロキャリア(すなわち、0.1mLマイクロキャリア体積)試料の細胞数×培養系の全マイクロキャリア重量(すなわち、200mg)=全細胞数。
結果を表2に示す。
【0048】
【0049】
5. 200mgのマイクロキャリアからのすべてのマイクロキャリア懸濁液、60mLの培地培養系を除去し、1500rpmで2分間遠心分離し、上清を捨て、細胞消化溶液を添加することによってマイクロキャリアから細胞を消化し、実際の総数を計数し、工程4のサンプリングカウントからのデータと比較した。
結果を
図9に示す。この結果は、マイクロキャリア定量サンプリング法による3つのサンプルがより再現性があり(分散が少ない)、実際の合計に近いことを示している。
【0050】
実施例4 三次元マイクロキャリアに基づく細胞蘇生方法
本実施例で使用したマイクロキャリアは、CNF-F01T-50のカタログ番号を有する、北京華館生物科技有限公司から購入した3D FloTrixマイクロキャリアであった。
該実施例で用いた脂肪間葉系幹細胞培地は、ヒト間葉系幹細胞培地(武漢ヴィノサイバイオテクノロジー社、カタログ番号: M001)であった。
【0051】
(I)三次元マイクロキャリアに基づく細胞蘇生および静的培養
I. 脂肪由来間葉系幹細胞の蘇生・静的培養
1. 静的培養容器およびマイクロキャリアの調製
滅菌および乾燥したマイクロキャリアを培養容器に入れ;使用に利用可能な培養容器は、付着処理なしのウェルプレート、ペトリ皿などであった。蘇生される細胞の数に応じて適切なサイズを選択し、細胞が必要とする環境に応じて容器の気密性に注意を払うべきである。必要なマイクロキャリアを選択した培養容器に無菌的に取り込み、接種が完了するまでマイクロキャリアを室温に保ち、乾燥させることを確実にした。実験のために、1錠(20mg)のマイクロキャリアを非接着性処理6ウェルプレートに使用した。
2. 凍結保存細胞の蘇生
凍結保存された脂肪由来MSCを採取し、37℃の恒温水浴中で迅速に解凍した。氷がなくなった際に、それらは、その後の定期的な蘇生操作のために、ウルトラクリーンベンチに迅速に移された。
3. 解凍した凍結保存細胞の移植
工程2の終了後、解凍した細胞を洗浄し、遠心分離して上清を除去し、培養液を用いて細胞を再懸濁し、好ましくは5~500×105細胞/mLの細胞懸濁液を得た。懸濁液中の細胞濃度は1×106細胞/mLであった。
4. 接種
工程3の完了後、細胞懸濁液を、5~100×103細胞/mgの細胞対マイクロキャリア比、および100~400μL:20mgの培地体積対マイクロキャリア比で、工程1で調製したマイクロキャリアを有する6ウェルプレートに接種した。試験では、工程1で調製した6ウェルプレートに200μLの細胞懸濁液(全細胞数2×105)を接種した。
【0052】
5. インキュベーション
工程4の完了後、20~240分間のインキュベーションが必要であったが、温度、湿度、無菌性、ガスなどの条件に注意して、インキュベーションプロセス全体を通して適切な環境を維持することが必要であった。正常な細胞培養のための正常なインキュベーターで十分であった。インキュベーターが湿度設定を有さない場合、いくつかの滅菌湿潤剤(PBS、培養培地、蒸留水、および湿潤環境を提供するが、細胞に影響を及ぼさず、または細胞に利益を与えないいくつかの他の液体)を、接種されたマイクロキャリアの周りに手動で添加し得る。小さな皿中でインキュベートする場合、小さな皿はより大きな容器中に置かれ得、そしてウェルプレートについて同様に、小さな皿の周りに作製された湿った箱が、より大きな容器中に置かれ得る。試験では、6ウェルプレートを選択し、37℃のCO2インキュベーター中で2時間インキュベートし、2mLのPBSを6ウェルプレート間に添加した。
6. 培地補充
工程5の終了後、接種細胞数、培地交換サイクル、培地の種類に応じて補充量を選択した。血清培地1mlは、通常1日620,000細胞に十分であった。実験では、8mlの培地を補充した。
7. 培養・蘇生
工程6の終了後、蘇生された細胞を、その後の細胞蘇生および培養のために適切な培養環境に置いた。この試験では、6ウェルプレートを37℃のCO2インキュベーターに入れて培養した。
8. モニタリング
実験の必要性に応じて、細胞培養時間、培地補充の期間および細胞状態検出の期間を設定することができる。細胞状態インジケータは、培地色、マイクロキャリア状態、細胞染色分析、細胞溶解カウントなどを含んでいた。細胞を実験において合計5日間培養し、4日目に培地を補充した。キットを用いた細胞検出を接種後1日目および4日目に行い(工程10)、細胞計数を5日目に行った(工程11)。
【0053】
9. 新鮮細胞対照群
(1)凍結保存された脂肪由来MSCを採取し、37℃の恒温水浴中で迅速に解凍した。氷がなくなった際に、それらは、その後の定期的な蘇生操作のために、ウルトラクリーンベンチに迅速に移された。解凍した細胞を洗浄し、遠心分離して上清を除去し、培養液を用いて細胞を再懸濁し、細胞懸濁液を得、15mlの培地を添加したT75細胞培養フラスコに15,000細胞/cm2の濃度で接種し、3日間培養して完全に増殖させた。
(2)工程(1)が完了した後、完全に増殖した細胞を通常の細胞消化に供し、遠心分離して上清を除去し、次いで好ましくは5~500×105細胞/mLの細胞濃縮物を有する培地中で使用した。細胞懸濁液中の細胞濃度は1×106細胞/mLであった。
(3)工程(2)の完了後、操作は工程4~8に従い、マイクロキャリアを含む6ウェルプレートに細胞を接種し、その後の操作を続けた。キットを用いた細胞検出を接種後1日目および4日目に行い(工程10)、細胞計数を5日目に行った(工程11)。
【0054】
10. 細胞モニタリング
(1)キット:動物細胞の死滅生存率/細胞毒性アッセイキット、カタログ番号: KGAF001;
(2)細胞を含有する50~100μLのマイクロキャリア懸濁液を96ウェルプレートに添加した;
(3)上清を可能な限り除去し、PBSを添加し、1回洗浄し、2分後に可能な限りPBSを除去し、各ウェルを、キットの説明書に従って構成された100μLの染色溶液を添加することによって染色した。室温で20~30分間染色し、光から保護した後、蛍光顕微鏡下で観察した。
【0055】
結果は
図10に示されている。結果は静的培養のためにマイクロキャリア上に蘇生された凍結保存脂肪由来MSCが各マイクロキャリア球上の最初の1~2個の細胞から4日後のすべてのマイクロキャリア上のより多くの細胞までの範囲であり、凍結保存脂肪由来MSCは静的培養のためにマイクロキャリア上に直接蘇生され得ることを示し、一方、蘇生細胞を接種されたマイクロスフェア上の細胞の数と、新鮮な細胞を接種されたマイクロスフェア上の細胞の数とを比較すると、ほとんど差がなく、このことは、細胞をマイクロキャリア上に直接蘇生することによって、細胞増殖が培養フラスコから伝統的に得られ、マイクロキャリア上に接種される場合と同じであり、したがって、培養フラスコ内に細胞を蘇生し、次いで、マイクロキャリア上に接種するためにそれらを消化して新鮮な細胞を得るための退屈な操作の必要性を排除することを示している。
【0056】
11. 細胞増殖を測定するための細胞計数
細胞培養5日目に、特許出願「三次元マイクロキャリア上で細胞を回収する方法」(中国特許出願第201910101736.0号)に記載の方法に従って細胞を回収し、細胞計数板の手段によって計数した。
その結果を
図11に示す。その結果、脂肪由来MSCをマイクロキャリア上の静的培養(蘇生群)に蘇生した場合、接種時の20万から5027万に増加し、従来の消化後静的培養方法(新鮮群)で得られた細胞数(518.7万)と有意差はなかった(p=0.42)。
【0057】
II. 脂肪由来間葉系幹細胞マイクロキャリアの蘇生および静的培養
凍結保存された脂肪由来MSCマイクロキャリアは、特許出願「三次元マイクロキャリア上でのIn situ細胞凍結保存方法」(中国出願第201910097650.5号)に記載されている方法に従って調製した。
【0058】
1. 静的培養容器およびマイクロキャリアの調製
パートIの工程1と同じ。
2. 凍結保存細胞の蘇生
凍結保存された脂肪由来MSCマイクロキャリア(以降の説明では脂肪由来MSC微小組織と呼ぶ)を採取し、37℃の恒温水浴中で急速に解凍した。微小組織は溶解結果の観察に影響を及ぼす可能性があるので、低温貯蔵管は観察中に傾けられ、穏やかに振盪される必要があり、氷がなくなった際に、それらは、その後の日常的蘇生操作のためにウルトラクリーンベンチに迅速に移された。
3. 解凍した凍結保存細胞の移植
工程2の終了後、解凍した細胞を洗浄、遠心分離して上清を除去し、培養液を用いて細胞を再懸濁して細胞懸濁液を得た。細胞懸濁液中の微小組織中の細胞数は、5~500×10
5細胞/mlであることが好ましい。しかしながら、実際のマイクロキャリア自体は大きな体積を占めることができ、または不十分な上清除去は予測されるよりもいくらか大きな再懸濁体積をもたらし得、これは、正確なカウントが必要とされる場合に、必要とされる細胞を採取するようにスケーリングされ得る。上清を除去するために、遠心力を増加させ、上清を可能な限りピペットで移すことができ、一方、マイクロキャリア自体については、占有された体積を排除することができ、後の実験にほとんど影響を及ぼさなかった。
4. 接種
工程3の完了後、200μlの細胞懸濁液を、工程1で調製したマイクロキャリアを有する6ウェルプレートに接種した。
5. インキュベーション
パートIの工程5と同じ。
6. 培地補充
パートIの工程6と同じ。
7. 培養・蘇生
パートIの工程7と同じ。
8. モニタリング
パートIの工程8と同じ。
9. 細胞モニタリング
パートIの工程10と同じ。
結果を
図12に示す。結果は、凍結保存された脂肪由来MSC微小組織が静的培養で新しいマイクロキャリア上に蘇生されたことを示している。蘇生後1日目に、少数のマイクロキャリアのみがその上に多くの細胞を有し(明るい点)、これは蘇生された微小組織であり、より少ない細胞を有する他のマイクロキャリアは新しいマイクロキャリアであり、一方、培養後4日目には全てのマイクロキャリアはそれらの上に細胞を有し、凍結保存された微小組織は静的培養のために新しいマイクロキャリア錠剤上に蘇生され得ることを示した。
【0059】
(II)三次元マイクロキャリアに基づく細胞蘇生および動的培養
I. 脂肪由来間葉系幹細胞の蘇生と動的培養
1. 動的培養容器およびマイクロキャリアの調製
適切な量のマイクロキャリアを、インペラーを内蔵した細胞培養フラスコまたは別の清潔で無菌のエンドトキシンを含まない容器に入れ、そこでマイクロキャリアを撹拌し、懸濁させた;0~50%(v/v)の最終培養培地を添加することによってマイクロキャリアを再懸濁させ、0時間を超えて静置または撹拌した(時間制限なし)。実験では、200mgのマイクロキャリアの10個の錠剤を、10mlの培地を含有する125mlのインペラー内蔵細胞培養フラスコに添加し、10分間放置した。
2. 凍結保存細胞の蘇生
凍結保存された脂肪由来MSCを採取し、37℃の恒温水浴中で迅速に解凍した。氷がなくなった際に、それらは、その後の定期的な蘇生操作のために、ウルトラクリーンベンチに迅速に移された。
3. 解凍した凍結保存細胞の移植
工程2の終了後、解凍した細胞を洗浄し、遠心分離して上清を除去し、培養液を用いて細胞を再懸濁して細胞懸濁液を得、最終培養系の培地の1~100%(体積百分率)を5~500×105細胞/mLとした。懸濁液中の細胞濃度は合計2mL中、1×106細胞/mLであった。
4. 接種
工程3の完了後、上記の細胞懸濁液を、工程1で調製したインペラーを内蔵した細胞培養フラスコに混合し、新しいマイクロキャリアと混合した。新しいマイクロキャリアに対する細胞の比率は5~100×103細胞/接種するマイクロキャリアのmgであり、混合後、細胞培養培地を添加し、マイクロキャリアの培地に対する比率を1mg:1~1000μLに調整した。実験では、200万個の蘇生細胞を200mgの新しいマイクロキャリアに接種し、培地を60mLに補充した。
【0060】
インペラー内蔵細胞培養フラスコを低速撹拌機上に置き、撹拌のためにインキュベーター中に置いた。攪拌は一定速度の攪拌または可変速度の交互または可変速度の周期的攪拌によって行うことができ、攪拌方向は時計方向、反時計方向、または交互方向の攪拌であって、細胞をシードマイクロキャリアから新しいマイクロキャリアに移動させることができ、攪拌時間は0.1~100時間であり、攪拌速度は1~200rpmであった。実験では、可変速繰返し時計方向撹拌法と定速時計方向撹拌法を比較し、次のように3組の実験を設定した:
第1群(静置接種):内蔵インペラ内蔵細胞培養フラスコを低速撹拌機上に置き、インキュベーター中に4時間置き、次いで、時計方向に40rpmで5分間、20rpmで20分間の可変速度の周期で24時間まで撹拌し、次いで、時計方向に一定速度(60rpm)で96時間まで撹拌した。
第2群(間欠接種):インペラー内蔵細胞培養フラスコを低速攪拌機上に置き、インキュベーターに入れ、40rpmで5分間、20rpmで20分間、周期的に時計方向に24時間攪拌し、続いて96時間まで一定速度(60rpm)で時計方向に攪拌した。
群3(定速接種):インペラー内蔵細胞培養フラスコを低速撹拌機上に置き、96時間まで時計方向に一定速度(60回転/分)でインキュベーター中に置いた。
それぞれの群を、4時間毎に細胞検知のためにサンプリングした(工程6)。
培養を続けた。
工程4の完了後、6日目まで時計方向に撹拌しながら一定速度(60rpm)で培養を続けた。細胞計数のために、試料を1日目、2日目、3日目、4日目、5日目および6日目に採取した(工程7)。
【0061】
6. 細胞モニタリング
(1)キット:動物細胞の死滅生存率/細胞毒性アッセイキット、カタログ番号: KGAF001;
(2)細胞を含有する50~100μLのマイクロキャリア懸濁液を96ウェルプレートに添加した;
(3)上清を可能な限り除去し、PBSを添加し、1回洗浄し、2分後に可能な限りPBSを除去し、各ウェルを、キットの説明書に従って構成された100μLの染色溶液を添加することによって染色した。室温で20~30分間染色し、光から保護した後、蛍光顕微鏡下で観察した。
その結果を
図13に示した。動的培養における凍結保存脂肪由来MSCの蘇生時の撹拌方法や速度設定の違いが、マイクロキャリア中の細胞分布に影響を及ぼし、蘇生後の定速培養では細胞の均一な分布が促進されることを比較した。
7. 細胞増殖を測定するための細胞計数
細胞接種の種々の日数の後、特許出願「三次元マイクロキャリア上で細胞を採取する方法」(中国特許出願第201910101736.0号)に記載される方法に従って細胞を採取し、細胞計数プレートを用いて計数した。
結果を
図14に示す。この結果はマイクロキャリア上に蘇生された凍結保存細胞が培養3日後に最初の200万個から約1713万個まで増殖し、これら3つの速度調整(工程4の群1~3)の間で細胞数に有意差がなかったことを示しており、動的培養のためのマイクロキャリア上への凍結保存された脂肪由来MSCの蘇生は、接種のための撹拌速度(細胞に適当な適度な速度)にかかわらず、細胞の蘇生および増殖プロセスに影響を及ぼさなかったことを示している。
【0062】
方法の比較
三次元動的蘇生細胞群:工程4の群3。
三次元動的新鮮細胞群:(1)凍結保存脂肪由来MSCを採取し、37℃の恒温水浴中で迅速に解凍した。氷がなくなった際に、それらは、その後の定期的な蘇生操作のために、ウルトラクリーンベンチに迅速に移された。解凍した細胞を洗浄し、遠心分離して上清を除去し、培養液を用いて細胞を再懸濁し、細胞懸濁液を得、15mlの培地を添加したT75細胞培養フラスコに15,000細胞/cm2の濃度で接種し、3日間培養して完全に増殖させた。(2)工程(1)が完了した後、完全に増殖した細胞を通常の細胞消化に供し、遠心分離して上清を除去し、次いで好ましくは5~500×105細胞/mLの細胞濃縮物を有する培地中で使用した。細胞懸濁液中の細胞濃度は1×106細胞/mLであった。(3)工程(2)の完了後、細胞懸濁液を、調製したインペラー内蔵細胞培養フラスコに入れ、パート(II)の工程1に従って容器およびマイクロキャリアを調製した後、マイクロキャリアと混合した。混合後、細胞培養培地を添加し、培地に対するマイクロキャリアの比率を1mg:1~1,000μLに調整した。実験では、200万個の新鮮な細胞を200mgの新しいマイクロキャリアに接種し、培地を60mLに補充した。インペラー内蔵細胞培養フラスコを低速撹拌機上に置き、6日目まで60rpmで時計方向に一定に撹拌しながらインキュベーター中に置き、細胞計数のために1日目、2日目、3日目、4日目、5日目および6日目に試料を採取した。
【0063】
三次元静的蘇生細胞群:パート(I)の工程1における三次元静的蘇生細胞群。
三次元静的新鮮細胞群:パート(I)の工程1における三次元静的新鮮細胞群。
二次元蘇生群:凍結保存脂肪由来MSCを採取し、37℃の恒温水浴中で迅速に解凍した。氷がなくなった際に、それらは、その後の定期的な蘇生操作のために、ウルトラクリーンベンチに迅速に移された。解凍した細胞を洗浄し、遠心分離して上清を除去し、培養培地を用いて細胞を再懸濁して細胞懸濁液を得、これを100,000細胞/ウェルの密度で6ウェルプレートに接種し、4mLの培地を添加し、1日目、2日目、3日目および4日目の細胞計数のために1ウェルを採取した。
二次元継代群:MSCで満たされたT75を採取し、従来の細胞消化法に従ってT75から新鮮な細胞を消化し、遠心分離によって上清を除去し、細胞を培養培地を用いて再懸濁し、細胞懸濁液を得、これを100,000細胞/ウェルの密度で6ウェルプレートに接種し、培地4mLを添加し、1日目、2日目、3日目および4日目にそれぞれ細胞計数のために1ウェルを採取した。
【0064】
結果を
図15に示す。
図15Aは、脂肪由来MSCがマイクロキャリアへの蘇生後に動的に培養され、6日間の培養後に最初の200万個の蘇生細胞から7633万個まで拡大されたことを示す。脂肪由来MSCを、培養フラスコ中で完全に増殖するまで蘇生し、次いで、動的培養のためにマイクロキャリアに継代し、6日間の培養後、最初の200万個の細胞から5893万個の細胞に拡大した。最初の3日間では2種類の細胞間に有意差はなく、4日目と5日目では継代細胞は蘇生細胞より速く成長したが、6日目では蘇生細胞の方が継代細胞よりも数が多かった。
図15Bは対応する細胞の2次元対照を示し、そこから、継代細胞は最初の3日間で蘇生細胞よりも遅く増殖し、4日目までに、両方の細胞群が空間によって制限され、数が減少し、蘇生細胞が遅く増殖したことを示すことが分かる。
図15Cは、マイクロキャリアの静的および動的培養物に接種された蘇生細胞の増殖時間の比較を示す。2つの間に有意差はなかったが、微妙な差は静的蘇生が動的蘇生よりもわずかに遅いことを示し、蘇生細胞が中程度の撹拌速度により適していることを示唆した。
図15Dは継代された細胞が剪断力に対してより耐性があり、2つの間に有意差がなく、全体的に、凍結保存が細胞に非常に損傷を与え、蘇生するためにいくらかの時間を必要とすることを示した;
図15Eおよび
図15Fは動的培養および2次元培養の両方の細胞を比較し、最初の3日間に有意差はなく、4日目の2次元は、空間制限のために有意差を示した。
【0065】
II. 脂肪由来間葉系幹細胞マイクロキャリアの蘇生と動的培養
凍結保存された脂肪由来MSCマイクロキャリアは、特許出願「三次元マイクロキャリア上でのIn situ細胞凍結保存方法」(中国出願第201910097650.5号)に記載されている方法に従って調製した。
【0066】
1. 動的培養容器およびマイクロキャリアの調製
適切な量のマイクロキャリアを、インペラーを内蔵した細胞培養フラスコまたは別の清潔で無菌のエンドトキシンを含まない容器に入れ、そこでマイクロキャリアを撹拌し、懸濁させた;0~50%(v/v)の最終培養培地を添加することによってマイクロキャリアを再懸濁させ、0時間を超えて静置または撹拌した(時間制限なし)。実験では、10錠の200mgのマイクロキャリアを、10mlの培地を含有し、内蔵インペラーを有する125mlの細胞培養フラスコに添加し、10分間放置した。
【0067】
2. 凍結保存された微小組織の蘇生
凍結保存された脂肪由来MSCマイクロキャリア(以降の説明では脂肪由来MSC微小組織と呼ぶ)を採取し、37℃の恒温水浴中で急速に解凍した。微小組織は溶解結果の観察に影響を及ぼす可能性があるので、低温貯蔵管は観察中に傾けられ、穏やかに振盪される必要があり、氷がなくなった際に、それらは、その後の定期的な蘇生操作のために、ウルトラクリーンベンチに迅速に移された。凍結組織1mg当たり0.1~25×106個の細胞が存在し、総細胞数は5~100×103の個細胞/mgのマイクロキャリアが接種を意図していた。微小組織1mg当たり0.25×106の細胞が存在し、総細胞数は2×106の細胞であった。
【0068】
3. 解凍した凍結保存細胞の移植
工程2の終了後、解凍した細胞を洗浄し、遠心分離して上清を除去し、培養液を用いて細胞を再懸濁して細胞懸濁液を得、最終培養系の培地の1~100%(体積百分率)を5~500×105細胞/mLとした。懸濁液中の細胞濃度は、合計2mL中、1×106細胞/mLであった。
【0069】
4. 接種
工程3の完了後、上記の微小組織懸濁液を、工程1で調製したインペラー内蔵細胞培養フラスコに混合し、新しいマイクロキャリアと混合した。蘇生された微小組織上の細胞数は5~100×103細胞/mgの新しいマイクロキャリアであり、培地に対するマイクロキャリアの比率は、混合後に培地を添加することによって1mg:1~1000μLに調節した。実験では、200万個の蘇生細胞を200mgの新しいマイクロキャリアに接種し、培地を60mLに補充した。
インペラー内蔵細胞培養フラスコを低速撹拌機上に置き、撹拌のためにインキュベーター中に置いた。撹拌は一定速度撹拌または可変速度交互または可変速度周期撹拌によって行うことができ、撹拌方向は培養を行うために時計方向、反時計方向、または交互方向撹拌とすることができる。実験は60rpmの時計方向の一定速度を用いて96時間行い、次いで60rpmの時計方向の一定速度で4日間続けた。細胞検出(工程5)および細胞計数(工程6)のために、4日目に試料を採取した。
【0070】
5. 細胞モニタリング
(1)キット:動物細胞の死滅生存率/細胞毒性アッセイキット、カタログ番号: KGAF001;
(2)細胞を含有する50~100μLのマイクロキャリア懸濁液を96ウェルプレートに添加した;
(3)上清を可能な限り除去し、PBSを添加し、1回洗浄し、2分後に可能な限りPBSを除去し、各ウェルを、キットの説明書に従って構成された100μLの染色溶液を添加することによって染色した。室温で20~30分間染色し、光から保護した後、蛍光顕微鏡下で観察した。
結果を
図16に示す。結果は凍結保存された脂肪由来MSCマイクロキャリアが新しいキャリア上に蘇生された場合、最初のより少ない細胞から各マイクロキャリア球上のより多くの細胞へ徐々に拡大を再開し、凍結保存された微小組織が新しいキャリア上に直接蘇生され得ることを示している。
【0071】
6. 細胞増殖を測定するための細胞計数
細胞接種の種々の日数の後、特許出願「三次元マイクロキャリア上で細胞を収集するための方法」(中国特許出願第201910101736.0号)に記載される方法に従って細胞を収集し、細胞計数プレートを用いて計数した。
結果を
図17に示す。結果は、培養用マイクロキャリアへの蘇生後の凍結保存臍帯MSC微小組織と培養用マイクロキャリアへの蘇生接種後の凍結保存細胞との間に有意差はなく、P値は0.73であった。微小組織群は培養4日後に200万細胞のみの初期シードマイクロキャリアから4282万まで拡大し、微小組織が凍結保存後にマイクロキャリアで蘇生できることを示した。
【0072】
実施例5:三次元マイクロキャリア細胞培養に基づくin situ継代方法
該実施例で使用したマイクロキャリアは、CNF-F01T-50のカタログ番号を有する、北京華館生物科技有限公司から購入した3D FloTrixマイクロキャリアであった。
(I)三次元マイクロキャリア細胞培養に基づく静的in situ継代
試験細胞:脂肪由来MSCおよび臍帯MSC。
I. 静的in situ継代方法
1. 新規マイクロキャリアの調製
滅菌および乾燥したマイクロキャリアを培養容器に入れた;この実施形態では、20mgのマイクロキャリアを6ウェルプレートで使用した。
2. シードマイクロキャリア懸濁液の調製
シードマイクロキャリアは、試験細胞と共に培養されたマイクロキャリアであった。シードマイクロキャリアを、特許出願第201910098003.6号(三次元マイクロキャリア上での細胞付着培養の方法)に従って培養した。10,000~1,000,000細胞/mgマイクロキャリアの細胞密度を有するマイクロキャリアを、シードマイクロキャリアとして使用し、そしてシードマイクロキャリアを、細胞培養培地を使用して、0.1~50mg/mL(すなわち、0.5~2500万細胞/mL体積)に再懸濁した。
ここで、脂肪由来MSCについては:500,000細胞/mgマイクロキャリアの細胞密度、および5mg/mLの再懸濁密度;臍帯MSCについては:120,000細胞/mgマイクロキャリアの細胞密度、および15mg/mLの再懸濁密度である。
3. 接種
上記工程2で調製したシードマイクロキャリア懸濁液をよく混合した後、適量のシードマイクロキャリア懸濁液をピペットで滴下し、20mgの新しいマイクロキャリアを含む工程1で調製した6ウェルプレートに滴下し、シードマイクロキャリア懸濁液を新しいマイクロキャリアとよく混合した;新しいマイクロキャリアに対するシードマイクロキャリアの比率は、0.0002~200mgシードマイクロキャリア/mg新しいマイクロキャリアであった。混合したマイクロキャリアをインキュベーター中で適切な時間(0.5~24時間、特に2時間または24時間)インキュベートした;シードマイクロキャリア上の細胞を新しいマイクロキャリア上に通過させた。
脂肪由来MSCについて:20mgの新しいマイクロキャリアに接種された1mgのシードマイクロキャリア;臍帯MSCについて:20mgのマイクロキャリアに接種された3mgのシードマイクロキャリア懸濁液;細胞の両方の群をインキュベーター中で2時間インキュベートした。
4. 培養:インキュベーション後、従来の細胞培養方法に従って細胞培養培地を添加することによって細胞培養を継続し、次いで静的なin situ継代を完了した。
【0073】
II. 対照実験
対照実験のために、細胞を消化し、次いで継代用マイクロキャリア上に接種し、すなわち、シードマイクロキャリア上の細胞を消化し、回収し(特許出願第201910101736.0号「三次元マイクロキャリア上で細胞を採取する方法」)、次いで、細胞のみの懸濁液に再懸濁し、これを、工程3と同じ細胞濃度および接種体積で20mgのマイクロキャリアと混合し、2時間等しくインキュベートし、次いで、さらなるインキュベーションのために細胞培養培地に添加した。
【0074】
III. 結果
1. 細胞観察
(1)キット:動物細胞の死滅生存率/細胞毒性アッセイキット、カタログ番号: KGAF001;
(2)細胞を含有する50~100μLのマイクロキャリア懸濁液を96ウェルプレートに添加した;
(3)上清を可能な限り除去し、PBSを添加し、1回洗浄し、2分後に可能な限りPBSを除去し、各ウェルを、キットの説明書に従って構成された100μLの染色溶液を添加することによって染色した。室温で20~30分間染色し、光から保護した後、蛍光顕微鏡下で観察した。
【0075】
結果分析:
図18は静的in situ継代方法によって脂肪由来MSCを接種した場合、少数のマイクロキャリアのみがその上に細胞を有し(強調表示)、これはシードマイクロキャリアであり、細胞を含まない他は新しいマイクロキャリアであったが、一方、in situ継代培養後4日目にはすべてのマイクロキャリアがその上に細胞を有し、シードマイクロキャリア上の細胞が新しいマイクロキャリアに移され、増殖し得ることを示す。
図19は静的なin situ継代による接シード後2日目に、少数のマイクロキャリアのみがその上に多くの細胞(明るい点)を有し、これはシードマイクロキャリアであり、少数の細胞を有する他は新しいマイクロキャリアであったが、一方、in situ継代培養後4日目にはすべてのマイクロキャリアがその上に細胞を有し、シードマイクロキャリア上の細胞が新しいマイクロキャリアに移され、増殖し得ることを示す。
【0076】
2. 細胞が継代増殖を完了したかどうかを決定するための細胞計数
特許出願「三次元マイクロキャリア上で細胞を採取する方法」(出願番号201910101736.0)に従って実施される。
4日間のインキュベーションの後、20mgの細胞増殖マイクロキャリアを培養ウェルプレートから遠心分離チューブに移し、400×gで2分間遠心分離し、上清をピペットで移し、適切な量のPBSを加え、20~30秒間手で穏やかに振盪し、上清をできるだけ多くピペットで移し、PBS洗浄を1回繰り返し、溶解液(溶解液処方:0.1%コラゲナーゼ、0.1%エチレンジアミン四酢酸、0.05%トリプシン;%表示/100mL)3mLを加え、インキュベーター中で30分間インキュベートし、その間、細胞を10分毎に1mLピペットで数回穏やかに抽出し;30分後、マイクロキャリアを完全に溶解し、3mLの全培地を加えて溶解プロセスを終了させ;チューブを200×gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し、細胞計数プレートを通して細胞を再懸濁し、カウントした。
結果分析:
図20は脂肪由来MSCの数が接種時の50万から静的in situ継代方法により210万細胞に増加し、従来の消化後継代方法(240万)により得られた細胞数と有意差がなかったことを示している(p=0.32)。
図21は、静的in situ継代方法によって培養された臍帯MSCの数が接種時の30万から190万細胞に増加したことを示し、細胞が増殖・拡増を受けたことを示している。
【0077】
(II)三次元マイクロキャリア細胞培養に基づく動的in situ継代
試験細胞:脂肪由来MSCおよび臍帯MSC。
I. 動的in situ継代
1. 新しいマイクロキャリア懸濁液の調製: 200mgの新しいマイクロキャリア粉末を秤量し、インペラー内蔵細胞培養フラスコ(Bellco Glass, USA;カタログ番号:1965-61001;
図1に示す概略図)に注ぎ;細胞培養培地を1~2000μL :1mgのマイクロキャリアの比率で添加し、0時間を越えて(0時間を含まず、時間制限なし)放置または撹拌した。
ここで、脂肪由来MSCに対して:20mlの細胞培養培地を200mgの新しいマイクロキャリアのために添加し、14時間放置した。臍帯MSCに対して:10mlの細胞培養培地を100mgの新しいマイクロキャリアのために添加し、14時間放置した。
2. シードマイクロキャリア懸濁液の調製
シードマイクロキャリアは、試験細胞と共に培養されたマイクロキャリアであった。シードマイクロキャリアを、特許出願第201910098003.6号(三次元マイクロキャリア上での細胞付着培養の方法)に従って培養した。10,000~1,000,000細胞/mgマイクロキャリア(例えば、100,000~500,000細胞/mgマイクロキャリア)の細胞密度を有するマイクロキャリアをシードマイクロキャリアとして使用し、シードマイクロキャリアを0.1~50mg/mL(すなわち、0.5~2500万細胞/mL体積)に再懸濁した。
ここで、脂肪由来MSCについて:500,000/mgの細胞密度および1mg/mLの再懸濁密度を有するシードマイクロキャリア。臍帯MSCについて:150,000/mgの細胞密度および1mg/mLの再懸濁密度を有するシードマイクロキャリア。
3. 接種
上記の工程2で調製したシードマイクロキャリア懸濁液を、工程1でインペラー内蔵細胞培養フラスコに混合し、新しいマイクロキャリア懸濁液とよく混合した;シードマイクロキャリア対新しいマイクロキャリアの比は、0.0002~200mgシードマイクロキャリア/mg新しいマイクロキャリアであり;細胞培地を添加して、マイクロキャリア対培養培地の比を1mg:1~1000μLに調整した。
ここで、脂肪由来MSCに対して:4mgのシードマイクロキャリア(合計200万細胞)を使用して、200mgの新しいマイクロキャリアに接種し、細胞培養培地を60mLに補充した。臍帯MSCに対して:6.7mgのシードマイクロキャリア(合計100万個の細胞)を使用して、100mgの新しいマイクロキャリアに接種し、細胞培養培地を60mLに補充した。
インペラー内蔵細胞培養フラスコを低速撹拌機(3D FloTrix miniSpin 低速攪拌機,北京華館バイオテクノロジー社,カタログ番号:3D FTmS-2-2)上に置き、撹拌のためにインキュベーター中に置いた。攪拌は一定速度の攪拌または可変速度の交互または可変速度の周期的攪拌によって行うことができ、攪拌方向は時計方向、反時計方向、または交互方向の攪拌であって、細胞をシードマイクロキャリアから新しいマイクロキャリアに移動させることができ、攪拌時間は0.1~100時間であった。
ここで、両方のMSCについて、可変速周期的時計方向撹拌法、具体的には、60rmpで5分間、20rpmで20分間のサイクルを、合計24時間使用した。
4. 培地
接種後、増殖効果が達成されるまで撹拌しながら培養を続けることができた。
II. 対照実験
対照実験は脂肪由来MSCを用いて実施し、これを消化し、次いで継代用マイクロキャリアに接種した。すなわち、シードマイクロキャリア上の細胞を消化し、回収した(特許出願第201910101736.0号「三次元マイクロキャリア上で細胞を回収する方法」による)次いで、細胞のみの懸濁液に再懸濁した。200万細胞を4mL中に再懸濁し、インペラー内蔵細胞培養フラスコ中の200mgの新しいマイクロキャリア中に接種し、細胞培養培地を60mLに補充した。インペラー内蔵細胞培養フラスコを低速攪拌機(3D FloTrix Spminix低速攪拌機、北京華館バイオテクノロジー社、カタログ番号:3D FTmS-2-2)上に置き、60rmpで5分間、20rpmで20分間のサイクルで24時間インキュベーターに入れ、具体的には攪拌培養は、増殖効果が得られるまで継続した。
III. 結果
1. 細胞観察:
(1)キット:動物細胞の死滅生存率/細胞毒性アッセイキット、カタログ番号: KGAF001;
(2)細胞を含有する50~100μLのマイクロキャリア懸濁液を96ウェルプレートに添加した;
(3)上清を可能な限り除去し、PBSを添加し、1回洗浄し、2分後に可能な限りPBSを除去し、各ウェルを、キットの説明書に従って構成された100μLの染色溶液を添加することによって染色した。室温で20~30分間染色し、光から保護した後、蛍光顕微鏡下で観察した。
結果分析:
図22は動的in situ継代による脂肪由来MSCの接種後2日目に、少数のマイクロキャリアのみが、種マイクロキャリアである蛍光画像(明るい点)に見られるように、それらの上に多数の細胞を有していたことを示すが、明視野から、他のマイクロキャリアが存在し、少数の細胞を有する他のものは新しいマイクロキャリアであったことが明らかであり、いくつかの細胞がin situ継代によって新しいマイクロキャリアに移されたことを証明し、in situ継代後5日目に、細胞はすべてのマイクロキャリア上に存在し、新しいマイクロキャリア上に継代された細胞が増殖し、拡大したことを示した。
図23は動的in situ継代方法によって臍帯MSCを接種した場合、蛍光画像で見られるように、少数のマイクロキャリアのみがそれらの上に多くの細胞(明るい点)を有していたが、明視野から、他のマイクロキャリアが存在し、細胞を含まない他のマイクロキャリアが新しいマイクロキャリアであることが明らかであり、in situ継代培養後5日目に、細胞がすべてのマイクロキャリア上に存在し、シードマイクロキャリア上の細胞が新しいマイクロキャリアに移され、増殖および拡増し得ることを示した。
2. 細胞が継代増殖を完了したかどうかを決定するための細胞計数
特許出願「三次元マイクロキャリア上で細胞を回収する方法」(出願番号201910101736.0)に従って実施される。
接種後の異なる日に、3mLのマイクロキャリア懸濁液をフラスコから遠心分離チューブに移し、400×gで2分間遠心分離し、上清をピペットで移し、適量のPBSを加え、20~30秒間手で穏やかに振盪し、上清をできるだけ多くピペットで移し、PBS洗浄を1回繰り返し、溶解液(溶解液処方:0.1%コラゲナーゼ、0.1%エチレンジアミン四酢酸、0.05%トリプシン;%表示/100mL)3mLを加え、37℃のインキュベーター中で30分間インキュベートし、その間、細胞を1mLのピペットで10分毎に数回穏やかにブローし;30分後、マイクロキャリアを完全に溶解させ、3mLの全培地を加えて溶解プロセスを終了させ;チューブを200×gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し、その後の適用の要件に従って、細胞を再懸濁し、細胞を計数プレートを通してカウントした。
結果分析:
図24は脂肪由来MSCが動的in situ継代方法により、最初はわずか200万個の細胞を有するシードマイクロキャリアから、培養5日後に5977万まで増殖および拡大され得ることを示しており、これは、従来の消化後継代方法(5140万)により得られた細胞数と有意差がなかった(p=0.14)。
図25は臍帯MSCが動的in situ継代方法により、最初はわずか100万個の細胞を有するシードマイクロキャリアから、培養7日後に1520万個まで、増殖、拡大され得ることを示す。
【0078】
実施例6:三次元マイクロキャリアベースのin situ細胞凍結保存方法
I.
切片中の細胞は、CBP60439のカタログ番号を有する北京協和医学院の細胞基礎医学の細胞リソースセンターから購入したHEK293T細胞であり;三次元マイクロキャリアがCNF-F01T-50のカタログ番号を有する北京華館バイオテクノロジー社から購入した3D FloTrixマイクロキャリアであった。
実施例では、細胞の三次元マイクロキャリア懸濁液を、以下の工程に従って調製した。
1. マイクロキャリア調製: 200mgのマイクロキャリア粉末を、紫外線滅菌のために秤量し、次いで、(
図1に示されるような)インペラー内蔵滅菌細胞培養フラスコに注ぎ、3つの群を調製した;
2. 細胞調製:脂肪由来MSC懸濁液を予め調製し、5×10
6細胞を、後の使用のために60mlの完全培地に再懸濁した;3群を調製した;
3. 細胞接種:上記の細胞懸濁液を、インペラー内蔵細胞培養フラスコ中に混合し、200mgのマイクロキャリアと十分に混合した;
4. 細胞付着:インペラー内蔵細胞培養フラスコを低速撹拌機上に置き、37℃、5% CO
2インキュベータ中にいれ、80rpmで撹拌し、細胞を回転によってマイクロキャリアに付着させた;
1. HEK293T細胞を含有する三次元マイクロキャリア懸濁液を400×gで2分間遠心分離し、上清を廃棄した。
2. 凍結保存溶液(90% FBS + 10% DMSO)を添加し、極低温貯蔵管に分配した(1mlの凍結保存溶液は10mgの細胞含有マイクロキャリアを含み、管当たり0.5~1mlであった)。
3. 極低温貯蔵管をセルプログラムされた冷却ボックスに装填し、5分以内に-80℃の冷凍機に入れ、24時間後に液体窒素に移すべきである。
4. マイクロキャリアに付着した細胞の蘇生:蘇生のために、37℃の予め温めた基礎培地を調製し、次いで、極低温貯蔵管を、37℃の水浴中に迅速に置き、この時間の間、絶えず穏やかに振盪し、1粒の米のようなサイズの氷が残ったところで(水浴中で約1~2分間)、管を水浴から迅速に取り出した。次いで、細胞を含む融解した三次元マイクロキャリア懸濁液を、1:5の希釈比で基礎培地で直ちに希釈し、続いて400×gで2分間遠心分離し、次いで後の使用のために再懸濁した。
【0079】
5. 細胞検出方法:
(1)生細胞のIn situカルセイン-AM/PI染色法:
1) キット:動物細胞の死滅生存率/細胞毒性アッセイキット、カタログ番号: KGAF001;
2) 凍結保存前または凍結保存後に蘇生した細胞を含む三次元マイクロキャリア懸濁液50~100μlをそれぞれ96ウェルプレートに添加した;
3) 上清を可能な限り除去し、PBSを添加し、1回洗浄し、2分後に可能な限りPBSを除去し、各ウェルを、キットの説明書に従って構成された100μLの染色液を添加することによって染色した。室温で20~30分間染色し、光から保護した後、蛍光顕微鏡下で観察した結果を
図26に示す。
【0080】
図26から分かるように、生細胞は染色液で染色され、蛍光によって発光することが観察され、発光する細胞は生細胞であった。照射された球形マイクロキャリアは、生細胞がマイクロキャリアに依然として付着していることを証明した。
図26Aは生細胞をin situで凍結保存し、3D FloTrixマイクロキャリア上で蘇生することができ、凍結保存の2週間後でも成功したことを実証する。しかし、
図26Bでは、競合マイクロキャリア(GE Cytodex, Catalog No.: 17-1271-01,北京シンクファーテクノロジー社から購入)を凍結保存し、蘇生した後、細胞がマイクロキャリアから剥離していることがわかり、蛍光観察により、細胞はマイクロキャリアに付着せず、液中に点在し、散乱していることがわかった。
【0081】
(2)フローサイトメトリーによるアポトーシス速度の検出のための分析方法:
1) 細胞収集:細胞を含有する三次元マイクロキャリア懸濁液20mgを400×gで2分間遠心分離し、上清を廃棄した。0.1%コラゲナーゼIV型溶液(1LのPBSに溶解した1gのコラゲナーゼIV型(Gibco、17104019))3mLを添加し、溶液を細胞インキュベータ中で37℃で30分間インキュベートし、400×gで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。
2) 細胞洗浄:細胞を、4℃で予冷したPBSによって1回再懸濁し、400×gで5分間遠心分離し、次いで、細胞を洗浄した。
3) 細胞染色:細胞を、Annexin V-FITC/PIアポトーシス検出キット(新海遺伝子検査社(HaiGene Biotech Co., Ltd),S0185)を使用して染色し、すなわち、300μLの結合緩衝液を添加し、続いて、5μLのAnnexin V-FITCを添加し、混合し、室温で15分間インキュベートし、光から保護した;次いで、5μLのPIを添加し、5分間染色した;200μLの結合緩衝液を補充した。
4) 細胞フローサイトメトリー:BD FACSAria II flow Cytometerを用いて染色細胞のフローサイトメトリーを実施し、細胞分類分析の報告を装置によって作成した。
5) 細胞フローサイトメトリー報告書の解釈:
A)アネキシン-V陰性-PI陰性は正常細胞、すなわち4フレーム細胞分類図の左下の群を表し、その細胞の割合は生細胞の割合である。
B)アネキシン-V陽性-PI陰性はアポトーシスの初期段階の細胞、すなわち4フレーム細胞分類図の右下のグループを表し、その細胞の割合は、アポトーシスの初期段階の細胞の割合である。
C)アネキシン-V陽性-PI陽性はアポトーシスまたは壊死細胞の後期段階の細胞、すなわち、4フレーム細胞分類図の右上のグループを表し、その細胞の割合は、アポトーシスの後期段階の細胞の割合である。
図27は凍結保存前の3D FloTrixマイクロキャリア上の生存細胞のパーセンテージが90.4%であったのに対し、凍結保存後、次いで蘇生後の生存細胞のパーセンテージは89.6%であり、1%弱の減少であったことを示し、したがって、本発明で使用される3D FloTrixマイクロキャリア上の細胞はマイクロキャリアと共にin situで保存することができ、蘇生後にそれらの活性を維持することができる。
【0082】
(3)In situ細胞計数法:
1) マイクロキャリア収集:細胞を含む三次元マイクロキャリア懸濁液20mgを、70μm細胞篩を通して収集し、PBSで1回洗浄して、マイクロキャリアに付着していない任意の細胞を洗浄除去した。次いで、細胞を含有するマイクロキャリア懸濁液を1500rpmで2分間遠心分離し、上清を廃棄した。
2)細胞計数:37℃で2~5時間、3mLの0.1%クリスタルバイオレット溶液(0.1gのクリスタルバイオレット、2.1gのクエン酸、20μLのTween-80、100mlの脱イオン水)、細胞計数プレートで細胞を計数した。
3) 結果分析:
図28の結果は凍結保存および蘇生後、3D FloTrixマイクロキャリア上の細胞の数は凍結保存前のものと一致したままであったが、競合マイクロキャリア(GE Cytodex、カタログ番号:17-1271-01、北京シンクファーテクノロジー社から購入)上の細胞の数はマイクロキャリアの破裂および細胞の散乱のために大幅に減少したことを示し、したがって、本発明において、細胞培養のための3D FloTrixマイクロキャリアの使用、続いての凍結保存およびその後の蘇生はin situ三次元細胞凍結を可能にし、細胞培養および保存方法の連鎖全体を三次元環境で維持する。
【0083】
II.
切片中の細胞は、AD-MSC細胞(精華大学医学院から)であり;三次元マイクロキャリアがCNF-F01T-50のカタログ番号を有する、北京華館生物科技有限公司から購入した3D FloTrixマイクロキャリアであった。
1. AD-MSC細胞を含有する三次元マイクロキャリア懸濁液を400×gで2分間遠心分離し、上清を廃棄した。
2. 凍結保存溶液(90% FBS + 10% DMSO)を添加し、極低温貯蔵管に分配した(1mlの凍結保存溶液は10mgの細胞含有マイクロキャリアを含み、管当たり0.5~1mlであった)。
3. 極低温貯蔵管をセルプログラムされた冷却ボックスに装填し、5分以内に-80℃の冷凍機に入れ、24時間後に液体窒素に移した。
4. マイクロキャリアに付着した細胞の蘇生:蘇生のために、37℃の予め温めた基礎培地を調製し、次いで、極低温貯蔵管を、37℃の水浴中に迅速に置き、この時間の間、絶えず穏やかに振盪し、1粒の米のようなサイズの氷が残ったところで(水浴中で約1~2分間)、管を水浴から迅速に取り出した。次いで、細胞を含む融解した三次元マイクロキャリア懸濁液を、1:5の希釈比で基礎培地で直ちに希釈し、続いて400×gで2分間遠心分離し、次いで後の使用のために再懸濁した。
【0084】
5. 細胞検出方法:
(1)生細胞のIn situカルセイン-AM/PI染色法:
1) キット:動物細胞の死滅生存率/細胞毒性アッセイキット、カタログ番号: KGAF001;
2) 凍結保存前または凍結保存後に蘇生した細胞を含む三次元マイクロキャリア懸濁液50~100μlをそれぞれ96ウェルプレートに添加した;
3) 上清を可能な限り除去し、PBSを添加し、1回洗浄し、2分後に可能な限りPBSを除去し、各ウェルを、キットの説明書に従って構成された100μLの染色溶液を添加することによって染色した。室温で20~30分間染色し、光から保護した後、蛍光顕微鏡下で観察した結果を
図29に示す。
図29から分かるように、生細胞は染色液で染色され、蛍光によって発光することが観察され、発光する細胞は生細胞であった。照射された球形マイクロキャリアは、生細胞がマイクロキャリアに依然として付着していることを証明した。
図29は3D FloTrixマイクロキャリア上での凍結保存の1~2日後のAD-MSCの蘇生結果を示し、発光生細胞は依然としてマイクロキャリアに付着しており、3D FloTrixがMSCの凍結保存を補助することを示す。
図30は、3D FloTrixマイクロキャリア上のMSCが凍結保存の前後で90%を超える生細胞比を有し、凍結保存の前後での細胞活性の差は有意ではなかったことを示す。したがって、本発明で使用される3D FloTrixマイクロキャリア上のMSCはマイクロキャリアと共にin situで保存することができ、回復後にそれらの活性を維持することができる。
【0085】
(3)溶解細胞計数方法:
1) マイクロキャリア収集:細胞を含む三次元マイクロキャリア懸濁液20mgを、70μm細胞篩を通して収集し、PBSで1回洗浄して、マイクロキャリアに付着していない任意の細胞を洗浄除去した。次いで、細胞を含有するマイクロキャリア懸濁液を1500rpmで2分間遠心分離し、上清を廃棄した。
2) 細胞計数: 3mLの溶解溶液(溶解液処方:0.1%コラゲナーゼ、0.1%エチレンジアミン四酢酸、0.05%トリプシン;%表示g/100mL)を添加し、インキュベーター中で30分間インキュベートし、その間、細胞を10分毎に1mlピペットで数回穏やかにブローし;30分後、マイクロキャリアを完全に溶解し、3mLの全培地を添加して溶解プロセスを終了させ;チューブを200×gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し、細胞を再懸濁し、細胞計数プレートを通して計数した。
3) 結果分析:
図31の結果は、凍結保存および蘇生後、3D FloTrixマイクロキャリア上の細胞の数が凍結保存前の数と一致したままであったことを示す。従って、本発明において、MSC培養のための3D FloTrixマイクロキャリアの使用は長期間の凍結保存を可能にし、細胞培養の全連鎖を維持し、そして三次元環境において保存する。
【0086】
実施例7:三次元培養方法を用いた幹細胞の大規模増殖
I. 撹拌バイオリアクター中での連続細胞増殖培養
1. 10錠(合計200mg)の3D TableTrixマイクロキャリア(北京華館生物科技有限公司;カタログ番号:F01-100)を、インペラー内蔵細胞培養フラスコ(ベルコガラス社,米国;カタログ番号:1965-61001)に入れ、10mlの細胞培養培地を添加した。
2. 50mLの脂肪由来MSC細胞懸濁液(200万個の細胞を含有する)を、工程1で調製したマイクロキャリアを含有するインペラー内蔵細胞培養フラスコに接種した。
3. 工程2からのインペラー内蔵細胞培養フラスコを、細胞培養インキュベーター中の3D FloTrix(商標)ミニスピン小規模バイオリアクター(北京華館生物科技有限公司;3D miniSPIN M1)上に置き、60rpmの一定速度で時計方向に6日間インキュベートした(3日目に60mLの新鮮な培地を補充)。細胞サンプリングおよび計数を毎日行って、細胞拡大曲線に関するデータを得た。6日目に、細胞培養フラスコから採取した200万個の細胞を含有する微小組織(すなわち、細胞を含有するマイクロキャリア)を、電気ピペットを用いて50mLの新鮮な培地に再懸濁し、3D FloTrix(商標) vivaSpinバイオリアクター(北京華館生物科技有限公司; 3D vivaSPIN V1、
図33)に移し、50mLの培地に予め再懸濁(0~30分間放置)した3D TableTrixマイクロキャリア(北京華館生物科技有限公司;カタログ番号: F01-100)50錠(計1g)を加えた。細胞をサンプリングし、毎日カウントして、細胞増殖曲線に関するデータを得、細胞活性も測定した。
3D FloTrix(商標)vivaSpinバイオリアクターについて設定したプロセスパラメーターは、以下のように制御した:プロセス全体を通して12 ccmの5% CO
2の能動ポンプ輸送、および37℃。T=0時間において800mLの完全培地を10mL/分の速度で能動的にポンプ注入し、500mLの液体を10mL/分の速度で能動的にポンプ注入し、続いてT=96時間において500mLの新鮮培地を10mL/分の速度でポンプ注入し、500mLの液体を10mL/分の速度で能動的にポンプ注入し、続いてT=144時間において10mL/分で反応器に能動的にポンプ注入した500mLの新鮮培地に再懸濁した50錠の3D TableTrix(商標)マイクロキャリアを能動的にポンプ注入した。T=0~12時間およびT=144~156時間の撹拌速度は、5分間40rpm、20分間20rpmのサイクルで可変速度、残りの時間は60rpmの一定速度であった。
細胞サンプリングおよび計数方法:すべての試料を、3D FloTrix(商標)vivaSpinバイオリアクターのサンプラーを通してピペットで1mLの試料×3反復で採取し、遠心分離チューブに移し、400×gで2分間遠心分離し、上清をピペットで移した。1mLの溶解液(溶解液処方:0.1%コラゲナーゼ、0.1%エチレンジアミン四酢酸、0.05%トリプシン;%表示g/100mL)を添加し、マイクロキャリアが完全に溶解するまで(その間、細胞を10分毎に1mLピペットで穏やかに数回吹き付けた)、インキュベーター中で30分間インキュベートし、1mLの全培地を添加して溶解プロセスを終了させ;200×gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し、細胞を懸濁し、細胞計数プレートを通して計数した。
細胞活性アッセイ: 50μLの細胞懸濁液を50μLの0.2%トリパンブルー染色溶液と混合し、適切な量の細胞を計数のために採取した。自動細胞計数器(例えば、Countstar(登録商標)上海瑞楚生物科技有限公司)または細胞計数プレートのいずれかを使用することができる。透明な細胞の数および青色に染色された細胞の数を別々に記録し、細胞懸濁液中の細胞の数を、対応する希釈比から外挿した。
細胞活性比(%)=未染色細胞数/(未染色細胞数+青染色細胞数)×100%。
細胞数アッセイの結果を
図32に示す。培養プロセス全体を、3D FloTrix(商標)ミニスピンの細胞培養フラスコ中のMicrocarriers(商標)10錠に6日間直接接種した200万個の細胞から、新たなMicrocarriers(商標)を添加し、8日間のさらなる培養のために3D FloTrix(商標)viSpviin自動バイオリアクター中で増殖させて、1億個の細胞の最終収穫に到達させ、そのうちの0日目から6日目までの小規模バイオリアクター中で、6日間の培養の後、最初の200万個から4920万個の細胞が蘇生され、増殖が約24.6倍に増加した。それらをシードとして使用し、自動バイオリアクターで8日間の培養の後、合計約25億9千万個の細胞が蘇生され約52.7倍の増殖、すなわち、14日間の培養で合計約1,295倍の増殖を表した。
細胞活性アッセイの結果を
図34に示す。この結果は細胞活性が培養プロセス全体を通して90%を超えて維持されたことを示した。全培養方法は1人のみ、0.25m
2未満の空間、14日間の培養期間、2リットルの培養培地および110錠のマイクロキャリアを必要とし、その結果、ヒト、物質および財源の有意な節約をもたらした。
【0087】
II. 3D FloTrix(商標)vivaSpinバイオリアクター(1000mL)における連続細胞増殖
1. 3D TableTrix(商標)マイクロキャリア40錠を、無菌の3D FloTrix(商標)vivaSpinバイオリアクターに加え、660万の脂肪由来MSCの懸濁液40mLを無菌作業台で再懸濁した。
2. バイオリアクターを組み立て、プロセスパラメーターを、以下のように制御するように設定した:プロセス全体を通して10 ccmの5% CO
2の能動ポンプ輸送、および37℃。T=0時間において、460mLの完全培地を10mL/分の速度で能動的にポンプ注入し、続いてT=48時間において、500mLの液体を10mL/分の速度で能動的にポンプ注入した。その後24時間毎に、500mLの液体を10mL/分の速度で能動的にポンプ注入し、続いて500mLの新鮮な培地を120時間まで10mL/分の速度で反応器に能動的にポンピングした。T=120時間において500mLの液体nを10mL/分で能動的にポンプ注入した後、500mLの新鮮な培地に再懸濁した3D TableTrix(商標)マイクロキャリアの40錠を、10mL/分の速度で反応器に能動的にポンプ注入した。T=0~120時間の撹拌速度は60rpmの一定速度であり、T=120~136時間の場合、撹拌速度は60rpmで5分間、20rpmで20分間のサイクルで可変速度であり、T=136~240時間の場合、撹拌速度は60rpmの一定速度であった(240時間後、撹拌モードは60rpmの一定速度であった)。細胞をサンプリングし、毎日カウントして、細胞増殖曲線に関するデータを得、細胞活性を測定した。
結果を
図35および
図36に示す。結果は脂肪由来MSCが40錠のマイクロキャリアに接種した660万細胞から3D FloTrix(商標)vivaSpinバイオリアクター中で2.24×10
9細胞に拡大し、さらに40錠のマイクロキャリア(培地に再懸濁)を6日目にポンプで送り、10日間完全封じ込め培養したところ、約340倍の増殖が得られたことを示している。3D FloTrix(商標)vivaSpinバイオリアクターにおける脂肪由来MSCの活性は、一貫して90%を超えて維持された。
【0088】
III. フローサイトメトリー分析を用いた二次元フラスコおよび三次元マイクロキャリア中で培養されたMSCの部分的特性化
工程1および2で培養した微小組織を、特許出願「三次元マイクロキャリア上の細胞を採取する方法」(中国特許出願番号201910101736.0)に従って細胞懸濁液から採取し、200×gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し、そして9つの遠心分離チューブに均等に分け、それらをPE-CD19(Biolegend社、米国、カタログ番号:302207)、APC-CD14(Biolegend社、米国、カタログ番号:301803)、FITC-CD34(Biolegend社、米国、カタログ番号:343503)、APC-CD45(Biolegend社、米国、カタログ番号:368511)、FITC-HLADR(Biolegend社、米国、カタログ番号:307603)、FITC-CD90(Biolegend社、米国、カタログ番号:328107)、FITC-CD105(Biolegend社、米国、カタログ番号:800505)、およびFITC-CD73(Biolegend社、米国、カタログ番号:344015)の蛍光標識抗体で染色し、陰性対照としてブランク緩衝液を用いた。4℃の冷凍機で0.5時間インキュベートした後、細胞をPBSで2回洗浄し、PBSに再懸濁し、フローチューブに移した。染色した細胞を、BD FACSAria IIフローサイトメトリーソーターを用いてフローサイトメトリーにかけ、MSC特徴的表面マーカーの発現比を、細胞分類分析のための機器によって報告した。
【0089】
【0090】
データは、三次元マイクロキャリア上で大規模に培養されたMSCが、従来の二次元で培養されたものと同様の発現プロファイルを有し、両者とも認定基準を満たすことを示した。
上記のデータはMSCの大規模培養のための三次元マイクロキャリアの使用が実現可能であり、費用効果があり、高度のプロセス制御および最小限の空間占有で閉鎖系において実施され得ることを示唆した。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、三次元マイクロキャリアに基づく細胞蘇生方法、三次元マイクロキャリア細胞培養に基づくin situ継代方法、細胞の大規模増殖のための三次元マイクロキャリアに基づく方法、三次元マイクロキャリアに基づくin situ細胞凍結保存方法、三次元マイクロキャリア上での細胞付着培養方法、三次元マイクロキャリア上で細胞を採取する方法、およびマイクロキャリア上で培養された細胞をサンプリングする方法を含む、三次元マイクロキャリアに基づく細胞培養方法のセットを提供する。
【0092】
本発明によって提供される三次元マイクロキャリアに基づく細胞蘇生方法は、基材として三次元マイクロキャリアを使用し、これは、新たなキャリア上への直接的に蘇生された細胞または微小組織の接種を可能にし(マイクロキャリア蘇生方法)、次いで、マイクロキャリア上での細胞付着、接着および成長のプロセスを完了することができ、細胞を新たな培養基材上に接種する前に、まず完全に成長させ、収穫するために二次元基材に細胞を回収する必要があるという複雑な操作を回避する。マイクロキャリアは高い弾性を有し、それらは動的インキュベーションの間に、壊れやすく、新たに蘇生された細胞とマイクロキャリアとの衝突によって引き起こされる刺激を緩衝し、より穏やかであり、そして多孔質マイクロキャリアは壁付着のためのより多くの空間を提供するより大きな比表面積を有する。多孔質構造はまた、脆い細胞が、流動媒体の剪断力の影響を受けにくい細孔に埋め込まれることを可能にする。この方法は三次元培養プロセスを中断することなく細胞継代を行うことを可能にし、それにより、三次元培養細胞産物または組織工学産物の調製の間中、細胞を三次元状態に維持し、細胞蘇生の分野におけるいくらかの革新または補完または経験を提供する目的で、完全に封入された細胞培養および連続的な増殖を可能にする。三次元マイクロキャリアに基づく細胞蘇生方法の利点:(1)蘇生された細胞が三次元で再培養される場合に、プロセスを合理化すること、この方法は三次元培養のためにマイクロキャリアに接種する前に継代および消化された二次元培養基質に細胞がフルサイズに成長した後の単一細胞蘇生および凍結保存からのプロセスに必要とされる煩わしいプロセスおよび試薬消耗品を排除し、これは時間およびコストを大幅に節約することができる;(2)得られた細胞がインビボ細胞に近く、細胞の培養およびその後の再培養のための凍結保存および蘇生はインビボ三次元環境と同様に維持され、したがって、得られた細胞は生理学および機能の点でインビボ細胞に近い。
【0093】
本発明により提供される三次元マイクロキャリア細胞培養に基づくin situ継代方法は培養されたマイクロキャリア(すなわち、シードマイクロキャリア)を新しいマイクロキャリアに接種して「in situ継代」を達成する。細胞は三次元マイクロキャリア上に付着、広がり、増殖、および移動することができ、次いで、シードマイクロキャリア上の細胞を脱落させることにより新しいマイクロキャリアに付着し、次いで、増殖し、新しいマイクロキャリア上で成長するか、または新しいマイクロキャリアとシードマイクロキャリアとが接触し、シードマイクロキャリア上の細胞が移動し、その結果、シードマイクロキャリア上の細胞は増殖し、成長し続けるために新しいマイクロキャリアに移され、これを賢明に利用して、三次元マイクロキャリア上の細胞の「in situ継代」を達成する。三次元マイクロキャリア細胞培養に基づくin situ継代方法の利点:(1)それは従来の二次元細胞消化および継代を回避し、これは消化溶液による細胞への損傷を減少させるだけでなく、消化および継代の退屈な操作方法も排除し、したがって、大規模な培養拡大におけるかなりの労力および資源を節約し、高品質の細胞を得る;(2)それは時間節約であり、細胞を消化し、それらに接種するのに時間がかかるが、継代方法は時間を節約する;(3)in situ継代の選択が消化溶液などの試薬および消耗品の必要性を排除し、方法を合理化し、コストを低減する。
【0094】
本発明によって提供される三次元マイクロキャリアに基づくin situ細胞凍結保存方法は、細胞をマイクロキャリアから分離し、次いでそれらを凍結保存する必要なしに、しかし細胞を三次元マイクロキャリア上でin situで直接保存することを可能にする三次元マイクロキャリア上での細胞培養物のin situ凍結保存を可能にし、する。この方法はマイクロキャリアが凍結保存(-20~-196℃液体窒素保存まで)および蘇生(すなわち、液体窒素または-80℃からの加温および解凍)の間に破壊または変形されず、一方、細胞は三次元マイクロキャリアに付着したままであり、したがって、三次元培養細胞産物または組織工学産物の調製の全体にわたって細胞を三次元状態に維持し、使用者による拡張三次元細胞産物の貯蔵、輸送および蘇生を容易にするので、三次元培養プロセスを中断することなく、細胞の凍結保存を可能にする。この方法は、蘇生後に生存率が高く、細胞特性が変化していない三次元マイクロキャリア上で培養された細胞の長期保存に適している。
【0095】
本発明によって提供される三次元マイクロキャリア上での細胞付着培養の方法は、三次元マイクロキャリアが細胞懸濁液を使用して直接膨潤される高密度で、低容量の方法を使用する。細胞懸濁液は乾燥した三次元マイクロキャリアに添加した直後にマイクロキャリアに吸収され、接種時にマイクロキャリアの細孔内に細胞を直接引き込むことを容易にし、マイクロキャリアの細孔内に細胞を分散させ、その後、再成長のために付着させ、細胞により多くの成長領域を提供し、他方で、マイクロキャリアを前もって膨潤させる必要がある工程を節約し、したがって、マイクロキャリア内に細胞を接種する操作を単純化する。培養物の無菌操作はより容易であり、汚染の危険性は回避される。この方法は大規模なバイオリアクター培養に適しており、三次元マイクロキャリアの独特の膨潤-吸収特性は多数の細胞が担体の接続された開口部の内側に入ることを可能にし、バイオニック三次元成長パターンをより良好に形成し、そしてインビトロ細胞培養の間の機能を促進する。
【0096】
本発明によって提供される、三次元マイクロキャリア上の細胞を採取する方法は、三次元マイクロキャリア上の細胞を採取することを対象とする。細胞が三次元マイクロキャリア上で培養されるにつれて、本発明はその後の適用のためのキャリア上での細胞の穏やかな採取を可能にし;本発明が溶解のためのマイクロキャリアを標的にし、これは固体から液体状態にマイクロキャリアを溶解し、それによって、キャリア上の細胞を溶液に放出し、これは遠心分離の手段によって細胞から分離され、したがって、細胞を得る。本発明の溶解液はマイクロキャリアのために設計され、マイクロキャリアの組成に合わせることができ;溶解液はマイクロキャリアを溶解し、したがって、細胞上で穏やかであり、細胞活性を維持し、細胞自身によって分泌されたタンパク質を保持する。
【0097】
本発明によって提供されるマイクロキャリア上で培養された細胞をサンプリングするための方法を、従来の懸濁液定量サンプリング方法と比較すると、本発明によって提供される定量マイクロキャリアサンプリング方法を使用してマイクロキャリア培養システムにおいて計数される細胞の3つのサンプルは、再現性があり(小さな変動)、実際の合計に非常に近い。
本発明によって提供される細胞の大規模増殖のための三次元マイクロキャリアに基づく方法は三次元マイクロキャリアを使用するMSCの大規模培養を実現でき、費用効果があり、より高度のプロセス制御および最小の空間占有で閉鎖系において実施され得ることを実証する。これは、細胞を産生するコストおよび時間を減少させ、細胞治療生成物が臨床使用のために大規模に調製されることを可能にする。
本発明は、細胞、特に幹細胞の三次元培養に非常に重要である。
【国際調査報告】