(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】モーションシミュレーション装置
(51)【国際特許分類】
G09B 9/04 20060101AFI20220414BHJP
A63G 31/04 20060101ALI20220414BHJP
A63G 31/02 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
G09B9/04 A
A63G31/04
A63G31/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544848
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(85)【翻訳文提出日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 AU2020000010
(87)【国際公開番号】W WO2020154758
(87)【国際公開日】2020-08-06
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521339119
【氏名又は名称】アシュアード アイティー ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ASSURED IT PTY LTD
【住所又は居所原語表記】U6,95 Riverside Place,Morningside,QLD 4170(AU)
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】スミス,アラン
(72)【発明者】
【氏名】キンチントン,ジャスティン
(57)【要約】
モーションシミュレーション装置は、モーションプラットフォームを含んでいる。前記モーションプラットフォームには、ユーザが搭乗するためのキャリアが搭載されている。前記装置は、下端が基板上に回動可能に取り付けられて前記基板に対して動作の2自由度をもって回動するとともに、上端がモーションプラットフォームに回動可能に接続されて前記モーションプラットフォームに対して動作の2自由度をもって回動する駆動アームを有している。前記装置は、2本のガイドアームを備え、前記ガイドアームのそれぞれは、下端が前記基板上に回動可能に取り付けられて基板に対して3自由度の動きで回動し、上端が前記モーションプラットフォームに回動可能に接続されて前記モーションプラットフォームに対して3自由度の動きで回動する。前記駆動アーム、前記ガイドアームおよび前記モーションプラットフォームは、前記基板に対して回動可能な動的フレームを画定し、その結果としての前記モーションプラットフォームの動きを前記キャリアに伝達できる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーションシミュレーション装置であって、
モーションプラットフォームと、
前記モーションプラットフォームに搭載され、ユーザが搭乗するためのキャリアと、
下端が基板上に回動可能に取り付けられて前記基板に対して動作の2自由度をもって回動するとともに、上端がモーションプラットフォームに回動可能に接続されて前記モーションプラットフォームに対して動作の2自由度をもって回動する駆動アームと、
2本のガイドアームとを備え、前記ガイドアームのそれぞれは、下端が前記基板上に回動可能に取り付けられて基板に対して3自由度の動きで回動し、上端が前記モーションプラットフォームに回動可能に接続されて前記モーションプラットフォームに対して3自由度の動きで回動し、前記駆動アーム、前記ガイドアームおよび前記モーションプラットフォームは、前記基板に対して回動可能な動的フレームを画定し、その結果としての前記モーションプラットフォームの動きを前記キャリアに伝達可能であることを特徴とする。
【請求項2】
請求項1に記載のモーションシミュレーション装置であって、前記駆動アームと前記ガイドアームとは、前記基板と仮想回動点との間に前記モーションプラットフォームが介在した状態で、前記各アームの長手方向の軸が前記仮想回動点で交差するように、前記基板から前記モーションプラットフォームに向かって互いに傾斜していることを特徴とする。
【請求項3】
請求項2に記載のモーションシミュレーション装置であって、前記駆動アームは、前記ガイドアームに対して前方に位置していることを特徴とする。
【請求項4】
請求項3に記載のモーションシミュレーション装置であって、前記各アームの端部が位置する各平面は、互いに角度的にオフセットされており、前記駆動アームがそれぞれの前記平面の前記角度的なオフセットに対応して回転するにつれて、前記動的フレームの前記回転によって前記駆動アームが前記モーションプラットフォームに回転を与えることを特徴とする。
【請求項5】
請求項1に記載のモーションシミュレーション装置であって、前記モーションシミュレーション装置は、2つのアクチュエータを含み、前記各アクチュエータは、直線的に固定された端部であって、前記基板に対して少なくとも回転2自由度で回動するように前記基板に回動可能に取り付けられた端部と、前記キャリアに対して回転3自由度で回動可能に取り付けられ、前記アームが前記アクチュエータの間に挿入された作用端とを有することを特徴とする。
【請求項6】
請求項5に記載のモーションシミュレーション装置であって、前記アクチュエータは前記固定端から前記作用端にかけて互いに収束することを特徴とする。
【請求項7】
請求項2に記載のモーションシミュレーション装置であって、前記ガイドアームは、略同じ長さであることを特徴とする。
【請求項8】
請求項1に記載のモーションシミュレーション装置であって、ベース組立体を備え、前記キャリアは前記ベース組立体の上方に配置された座席組立体を含み、前記座席組立体は座席支持体と背面支持体とを備えていることを特徴とする。
【請求項9】
請求項8に記載のモーションシミュレーション装置であって、前記モーションプラットフォームは、前記背面支持体の頭部領域に固定されたハブを含んでおり、前記駆動アームは、作動可能な上側コネクタと作動可能な下側コネクタとを有する駆動軸であり、前記上側コネクタは、前記ハブの補助コネクタと係合し、前記駆動軸に対する前記ハブの動きを回転2自由度に制限する上側ジョイントを提供し、前記下側コネクタは、前記ベース組立体の補助コネクタと係合し、前記ベース組立体に対する前記駆動軸の動きを回転2自由度に制限する下側ジョイントを提供してもよい。
【請求項10】
請求項9に記載のモーションシミュレーション装置であって、前記2本のアームは2本のガイド支柱であり、前記各ガイド支柱は前記駆動軸のそれぞれの側に配置され、動作可能な上側コネクタと動作可能な下側コネクタとを備えており、前記上側コネクタは、前記ハブの補助コネクタと係合し、前記各ガイド支柱に対する前記ハブの3自由度の動きによる回転運動を許容する上側ジョイントを提供し、前記下側コネクタはそれぞれ、前記ベース組立体の補助コネクタと係合し、前記ベース組立体に対して、前記各ガイド支柱に対する前記ハブの3自由度の動きによる回転運動を許容する下側ジョイントを提供してもよい。
【請求項11】
請求項10に記載のモーションシミュレーション装置であって、2つの線形アクチュエータを備え、前記アクチュエータは、前記駆動軸が左右いずれにも傾斜していないときに、前記駆動軸が位置する作動垂直面の両側に位置しており、前記各線形アクチュエータは前記ベース組立体と前記座席組立体とを相互接続することを特徴とする。
【請求項12】
請求項10に記載のモーションシミュレーション装置であって、前記駆動軸の上側および下側ジョイントと前記ガイド支柱は、ほぼそれぞれの平面内に位置して、前記ベース組立体に対して回動可能な動的フレームを画定しており、結果として得られる前記ハブの動きが前記座席組立体に伝達されることを特徴とする。
【請求項13】
請求項10に記載のモーションシミュレーション装置であって、前記ベース組立体の構成は、前記ベース組立体および前記ハブの相対的な角度方向を変更するように調整可能であり、その結果、前記動的フレームの回動によって、前記駆動軸が前記ハブに回転を与えてヨーをシミュレートすることを特徴とする。
【請求項14】
請求項10に記載のモーションシミュレーション装置であって、前記駆動軸の前記上側コネクタおよび前記ハブの前記補助コネクタは、前記駆動軸の上側ユニバーサルジョイントおよび前記下側コネクタによって提供され、前記ベース組立体の前記補助コネクタは、下側ユニバーサルジョイントによって提供されることを特徴とする。
【請求項15】
請求項11に記載のモーションシミュレーション装置であって、各線形アクチュエータは、その固定端において、前記線形アクチュエータと前記ベース組立体との相対的な動きを少なくとも回転2自由度の動きに制限するジョイントによって前記ベース組立体に接続されており、各線形アクチュエータの作用端において、前記線形アクチュエータと前記座席組立体との相対的な動きを2または4自由度の動きに制限するジョイントによって座席組立体に接続されていることを特徴とする。
【請求項16】
請求項10に記載のモーションシミュレーション装置であって、前記ベース組立体と前記座席組立体との間に配置されるコックピットフロアを備えていることを特徴とする。
【請求項17】
請求項16に記載のモーションシミュレーション装置であって、前記座席支持体と前記コックピットフロアとの間には、前記コックピットフロアに対して前記座席組立体が2自由度の動きで回転可能となるように、2自由度の動きをもって回転運動を与えるように構成されたジョイント組立体が配置されていることを特徴とする。
【請求項18】
請求項17に記載のモーションシミュレーション装置であって、2つの制御支柱組立体を備えており、前記各制御支柱組立体は、前記コックピットフロアの両側において、前記駆動軸と前記コックピットフロアとの間で回転2自由度の動きおよび並進3自由度の動きを許容するジョイントによって、前記駆動軸と前記コックピットフロアとを相互接続し前記コックピットフロアのロールを制限することを特徴とする。
【請求項19】
請求項18に記載のモーションシミュレーション装置であって、前記コックピットフロアと前記ベース組立体との間に介在するコネクタ組立体を備えており、前記コネクタ組立体は、前記ベース組立体に対して前記コックピットが、前記座席組立体の前部に配置された作動垂直軸を中心として回動しやすくなるように構成されていることを特徴とする。
【請求項20】
請求項19に記載のモーションシミュレーション装置であって、前記コネクタ組立体は、一端が前記ベースに回動可能に接続され、反対側の端部が前記座席組立体の前方で前記コックピットフロアに接続されている回動アームを含んでいることを特徴とする。
【請求項21】
請求項19に記載のモーションシミュレーション装置であって、前記コネクタ組立体は、前記コックピットフロアと前記ベースとの間に配置され、前記コックピットフロアの前後方向の動きを行いやすくする線形ベアリング組立体を備えていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、モーションシミュレーション装置の様々な実施の形態について説明する。
【背景技術】
【0002】
モーションシミュレーションには、人が移動する乗り物に搭乗している際の効果や感覚を作り出す必要がある。点(0;0;0)を乗り物の重心に有するデカルト座標系を用いて、様々なタイプのモーションについて説明できる。x軸は、乗り物の前後間の直線的な加速および減速の線に沿って延在する。y軸は、x軸に対して直角であり、乗り物の一方の側から他方の側に延在する。z軸は、x軸およびy軸の両方に対して直角である。したがって、乗り物の様々なタイプの動きを以下のように定義する。
「ピッチ」は、y軸を中心とした回転量である。
「ロール」は、x軸を中心とした回転量である。
「ヨー」は、z軸を中心とした回転量である。
「サージ」は、x軸に沿った加速または減速である。
「スウェイ」は、y軸に沿った加速度または減速度である。
「ヒーブ」は、z軸に沿った加速度または減速度である。
【0003】
以上のように、乗り物の動きには6種類ある。乗り物の動きは全て、これら動きのうちの1つ以上度合いによって説明できることがわかる。例えば、コーナリングは通常、スウェイ、ヨー、および、場合によってはロールも入れた組み合わせである。制動や加速は、ピッチとサージの組み合わせである。
【0004】
少なくとも直線運動の要素であるサージとスウェイをシミュレートすることは困難である。これは、モーションシミュレーションプラットフォームが持続的な直線運動用に設定されていないからである。
【0005】
一般的に、サージは次の2つの技術のいずれかを使用してシミュレートできる。
シミュレートされたモーション方向にシミュレータを加速する。つまり、線形加速を生成する。
シミュレータを垂直軸(z軸)から離れるようにピッチングすることによってユーザは結果的に生じる重力に対する方向の変化を、x軸に沿ってピッチ方向から離れる加速または減速として認識する。
【0006】
初期のモーションシミュレータの多くが、モーションシミュレータの座席の下に配置された旋回機構を有する2自由度(2DOF)モデルを採用している。このようなシミュレータでは、加速と制動をシミュレートするためのピッチと、コーナリング時に体験する遠心力をシミュレートするためのロールしか生成できない。
【0007】
リアルな動きを生成するには、このようなシミュレータでは能力に制限がある。例えば、加速をシミュレートするために使用されるピッチは、通常、検出可能な仮想的な減速をもたらす。シートの向きを変えて仮想的に加速するためには、逆方向へ加速させて目標方向に到達する必要がある。このような逆方向への加速は検出されることが多い。また、このようなシミュレータでは、旋回をシミュレートする際のヨーとロールを生成することは困難である。したがって、シミュレータではロールのみが生成され、旋回よりも傾斜として認識されやすくなる。
【0008】
このようなシミュレータには、動きの程度が大きくなるほど、動きがリアルでなくなるという問題がある。恐らくは、このことからビジネス市場をターゲットにしたこの種のシミュレータにあまり動きが無いと思われる。
【0009】
リアルなモーションシミュレーションを実現するための試みの1つとして、スチュアートプラットフォーム(Stewart Platform, https://en.wikipedia.org/wiki/Stewart_platform)がある。現在、このプラットフォームは、高性能フライトシミュレーション、工作機械技術、クレーン技術、およびその他の様々な用途で使用されている。
【0010】
スチュアートプラットフォームは、プラットフォームのベースの3箇所に対をなして取り付けられた油圧ジャッキや電動アクチュエータ等の六つの角柱状アクチュエータを備えている。したがって、天板上に載置された装置で上述した六種類の動作を体験できる。
【0011】
このプラットフォームは高価であり、かさばることがある。例えば、乗り物の動きをシミュレートするゲーム装置では、アクチュエータは全て座席の下に配置される。さらに、六つのアクチュエータを使用すると、プラットフォームに多大な費用がかかり、一般的にゲーム業界で使用できない。
【発明の概要】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、以下を含むモーションシミュレーション装置が提供される。
モーションプラットフォームと、
前記モーションプラットフォームに搭載され、ユーザが搭乗するためのキャリアと、
固定端が基板上に回動可能に取り付けられて前記基板に対して動作の2自由度をもって回動するとともに、作用端がモーションプラットフォームに回動可能に接続されて前記モーションプラットフォームに対して動作の2自由度をもって回動する駆動アームと、
二本のガイドアームとを備え、前記ガイドアームのそれぞれは、下端が前記基板上に回動可能に取り付けられて基板に対して3自由度の動きで回転し、上端が前記モーションプラットフォームに回動可能に接続されて前記モーションプラットフォームに対して3自由度の動きで回転し、前記駆動アーム、前記ガイドアームおよび前記モーションプラットフォームは、前記基板に対して回動可能な動的フレームを画定し、その結果としての前記モーションプラットフォームの動きを前記キャリアに伝達可能である。
【0013】
前記駆動アームと前記ガイドアームとは、前記基板と仮想回動点との間に前記モーションプラットフォームが介在した状態で、前記各アームの長手方向の軸が前記仮想回動点で交差するように、前記基板から前記モーションプラットフォームに向かって互いに傾斜していてもよい。
【0014】
前記駆動アームは、前記ガイドアームに対して前方に位置していてもよい。
【0015】
前記各アームの固定端および作用端が位置する各平面は、互いに角度的にオフセットされていてもよく、前記駆動アームがそれぞれの前記平面の前記角度的なオフセットに対応して回転するにつれて、前記動的フレームの前記回転によって前記駆動アームが前記モーションプラットフォームに回転を与えてもよい。
【0016】
前記モーションシミュレーション装置は、二つのアクチュエータを含み、前記各アクチュエータは、直線的に固定された端部であって、前記基板に対して回転2自由度で回動するように前記基板に回動可能に取り付けられた端部と、前記キャリアに対して回転3自由度で回動可能に取り付けられ、前記アームが前記アクチュエータの間に挿入された作用端とを有していてもよい。
【0017】
前記アクチュエータは前記固定端から前記作用端にかけて互いに収束してもよい。
【0018】
前記ガイドアームは、略同じ長さであってもよい。
【0019】
前記モーションシミュレーション装置は、ベース組立体を備えていてもよく、前記キャリアは前記ベース組立体の上方に配置された座席組立体を含み、前記座席組立体は座席支持体と背面支持体とを備えていてもよい。
【0020】
前記モーションプラットフォームは、前記背面支持体の頭部領域に固定されたハブを含んでおり、前記駆動アームは、作動可能な上側コネクタと作動可能な下側コネクタとを有する駆動軸であり、前記上側コネクタは、前記ハブの補助コネクタと係合し、前記駆動軸に対する前記ハブの動きを回転2自由度に制限する上側ジョイントを提供し、前記下側コネクタは、前記ベース組立体の補助コネクタと係合し、前記ベース組立体に対する前記駆動軸の動きを回転2自由度に制限する下側ジョイントを提供してもよい。
【0021】
前記二本のアームは二本のガイド支柱であり、前記各ガイド支柱は前記駆動軸のそれぞれの側に配置され、動作可能な上側コネクタと動作可能な下側コネクタとを備えており、前記上側コネクタは、前記ハブの補助コネクタと係合し、前記各ガイド支柱に対する前記ハブの3自由度の動きによる回転運動を許容する上側ジョイントを提供し、前記下側コネクタはそれぞれ、前記ベース組立体の補助コネクタと係合し、前記ベース組立体に対して、前記各ガイド支柱に対する前記ハブの3自由度の動きによる回転運動を許容する下側ジョイントを提供してもよい。
【0022】
前記装置は、二つの線形アクチュエータを備え、前記アクチュエータは、前記駆動軸が左右いずれにも傾斜していないときに、前記駆動軸が位置する作動垂直面の両側に位置しており、前記各線形アクチュエータは前記ベース組立体と前記座席組立体とを相互接続してもよい。
前記駆動軸の上側および下側ジョイントと前記ガイド支柱は、ほぼそれぞれの平面内に位置して、前記ベース組立体に対して回動可能な動的フレームを画定しており、結果として得られる前記ハブの動きが前記座席組立体に伝達されてもよい。
【0023】
前記ベース組立体の構成は、前記ベース組立体および前記ハブの相対的な角度方向を変更するように調整可能であり、その結果、前記動的フレームの回動によって、前記駆動軸が前記ハブに回転を与えてヨーをシミュレートしてもよい。
【0024】
前記駆動軸の前記上側コネクタおよび前記ハブの前記補助コネクタは、前記駆動軸の上側ユニバーサルジョイントおよび前記下側コネクタによって提供され、前記ベース組立体の前記補助コネクタは、下側ユニバーサルジョイントによって提供されてもよい。
【0025】
各線形アクチュエータは、その固定端において、前記線形アクチュエータと前記ベース組立体との相対的な動きを少なくとも回転2自由度の動きに制限するジョイントによって前記ベース組立体に接続されており、各線形アクチュエータの作用端において、前記線形アクチュエータと前記座席組立体との相対的な動きを二または4自由度の動きに制限するジョイントによって座席組立体に接続されていてもよい。
【0026】
前記装置は、前記ベース組立体と前記座席組立体との間に配置されるコックピットフロアを備えていてもよい。
【0027】
前記座席支持体と前記コックピットフロアとの間には、前記コックピットフロアに対して前記座席組立体が2自由度の動きで回転可能となるように、2自由度の動きをもって回転運動を与えるように構成されたジョイント組立体が配置されている。
【0028】
前記モーションシミュレーション装置は、2つの制御支柱組立体を備えており、前記各制御支柱組立体は、前記コックピットフロアの両側において、前記駆動軸と前記コックピットフロアとの間で回転2自由度の動きおよび並進3自由度の動きを許容するジョイントによって、前記駆動軸と前記コックピットフロアとを相互接続し前記コックピットフロアのロールを制限してもよい。
【0029】
前記コックピットフロアと前記ベース組立体との間にはコネクタ組立体が配置されていてもよい。前記コネクタ組立体は、前記ベース組立体に対して前記コックピットが、前記座席組立体の前部に配置された作動垂直軸を中心として回動しやすくなるように構成されていてもよい。前記コネクタ組立体は、一端が前記ベースに回動可能に接続され、反対側の端部が前記座席組立体の前方で前記コックピットフロアに接続されている回動アームを含んでいてもよい。前記コネクタ組立体は、前記コックピットフロアと前記ベースとの間に配置され、前記コックピットフロアの前後方向の動きを行いやすくする線形ベアリング組立体を備えていてもよい。
【0030】
このような構成は、モーションシミュレーションの要件を満たすことができる。すなわち、加速効果を生じるいかなる動作も、後続の加速が、シミュレーションが先行する動作によってもはや説得力のないほどまでに損なわれることがないように、シミュレータを位置決めすべきである。このような要件は、上述の背景技術において言及したモーションシミュレータではほとんど達成不可能であることが実証されている。
【0031】
本明細書に記載の装置は、シミュレートされる方向とは反対の方向に検出可能な力を発生させることなく、線形加速から仮想加速への遷移を達成することができる。より詳細には、本明細書に記載される装置の構成は、現在の基準座標系からの初期の線形加速が、要求される「シミュレートされた」加速の方向において、シミュレートされた加速が要求する位置または方向に到達することを可能にし得るものである。
【0032】
前記駆動軸の上側および下側ジョイントと前記ガイド支柱は、ほぼそれぞれの実質的に平行な平面内に位置しており、頂点を接合することによって、対向する四辺形が存在する動的フレームを画定している。
【0033】
本発明の第二の態様によれば、以下を含むモーションシミュレーション装置が提供される。
ベース組立体と、
前記ベース組立体の上方に配置された座席組立体であて、座席支持体と背面支持体とを備える前記座席組立体と、
前記背面支持体の頭部領域に固定されたハブと、
作動可能な上側コネクタと作動可能な下側コネクタとを有する駆動軸とを備え、前記上側コネクタは、前記ハブの補助コネクタと係合し、前記駆動軸に対する前記ハブの動きを回転2自由度に制限する上側ジョイントを画定し、前記下側コネクタは、前記ベース組立体の補助コネクタと係合し、前記ベース組立体に対する前記駆動軸の動きを回転2自由度に制限する下側ジョイントを画定し、
二本のガイド支柱のそれぞれは、前記駆動軸のそれぞれの側に配置され、動作可能な上側コネクタと動作可能な下側コネクタとを備えており、前記上側コネクタは、前記ハブの補助コネクタと係合し、前記各ガイド支柱に対する前記ハブの3自由度の動きによる回転運動を許容する上側ジョイントを画定し、前記下側コネクタはそれぞれ、前記ベース組立体の補助コネクタと係合し、前記ベース組立体に対する前記各ガイド支柱の3自由度の動きによる回転運動を許容する下側ジョイントを画定し、
二つの線形アクチュエータを備え、前記アクチュエータは、前記駆動軸の前記下側ジョイントが位置する作動垂直面の両側に位置しており、前記各線形アクチュエータは前記ベース組立体と前記座席組立体とを相互接続することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】単一のアクチュエータおよび単一の回動アームによって生成されるモーションを示す概略図である。
【
図2】一端がコントロールアームと相互接続された二つの回動アームに作用する単一アクチュエータによって生成されるモーションを示す概略説明図である。
【
図3】モーションシミュレーション装置の動的フレームを上から見た図である。
【
図4】
図3の動的フレームを正面から見た図である。
【
図6】動的フレームを側面から見た図であり、動的フレームによって生成されるヨーの程度を調整する方法を示す図である。
【
図7】モーションシミュレーション装置を右側から見た3次元図である。
【
図8】モーションシミュレーション装置の上面図である。
【
図9】モーションシミュレーション装置の底面図である。
【
図10】モーションシミュレーション装置の背面図である。
【
図11】モーションシミュレーション装置の正面図である。
【
図12】モーションシミュレーション装置のベース組立体を示す図である。
【
図13A】モーションシミュレーション装置のヨー取付具および関連する構成要素の上方から見た詳細を示す図である。
【
図14】コックピット揺動アームと線形レール組立体とを含むベース組立体の一部の詳細を示す図である。
【
図15】モーションシミュレーション装置のドリフト駆動機構を下から見た図である。
【
図16】モーションシミュレーション装置のドリフト駆動機構を上から見た図である。
【
図17】モーションシミュレーション装置の座席組立体を取り付けるためのジョイント組立体を示す図である。
【
図18】明確に示すためにコックピット組立体および座席組立体を除いた、モーションシミュレーション装置を上から見た図である。
【
図19】モーションシミュレーション装置のコックピット組立体を示す図である。
【
図20】モーションシミュレーション装置の背面の一部を詳細に示す図である。
【
図21】モーションシミュレーション装置のハブおよび関連する駆動軸の一部を詳細に示す図である。
【
図22】モーションシミュレーション装置の背面を詳細に示す側面図である。
【
図23】モーションシミュレーション装置の座席組立体、アクチュエータ、および動的フレームを示す概略図である。
【
図24】モーションシミュレーション装置の背面を示す簡略図である。
【
図25】モーションシミュレーション装置の3次元図であり、様々な形態の動作を示すために、簡略化した図である。
【
図26】モーションシミュレーション装置の別の3次元図であり、様々な形態の動作を示すために、さらに簡略化した図である。
【
図27】別の実施の形態におけるモーションシミュレーション装置の簡略化された背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1には、第1の回動アーム12を含む回動組立体10が示されている。回動アーム12は、基板14に対して回転1自由度で回動可能に、回動アーム12の下端16が基板14に回動可能に取り付けられている。説明の便宜上、回動アーム12は、(a)、(b)、(c)の3箇所に図示されている。回動アーム12の上端18は、アクチュエータ22の作用端20に対して回動可能に連結されており、作用端20に対して回転1自由度で回動する。アクチュエータ22の非作用端24は、基板14に対して回動可能に取り付けられ、基板14に対して回転1自由度で回動する。
【0036】
図1に示されるように、回動アーム12の上端18は、円形経路26に沿って移動する。
【0037】
図2の参照符号30は、第2の回動アーム32を含む回動組立体の全体を示している。説明の便宜上、回動アーム32は、(d)、(e)、(f)の3箇所に図示されている。回動組立体30は、一方の端部が回動アーム12の上端18に回転1自由度で回動可能に連結され、他端部が第2の回動アーム32の上端36に回転1自由度で回動可能に連結されたコントロールアーム34を有している。第2の回動アーム32の下端33は、基板14に回転1自由度で回動可能に連結されている。
【0038】
この構成では、第1および第2の回動アーム12、32からそれぞれ延在する線が交差する箇所において発生する仮想回動点Pが示されている。この仮想回動点の発生は、以下に説明すモーションシミュレーション装置の動作の重要な側面である。図示される各位置の仮想回動点Pからわかるように、アクチュエータ22の動作によって、コントロールアーム34が回動アーム12、32の往復回動に伴って一定範囲の直線運動を行うように回動点Pを移動させる。
【0039】
コントロールアーム34によって、本発明の各実施の形態によるモーションシミュレーション装置のモーションプラットフォームが確立される。適用する際に、モーションプラットフォームはモーションシミュレーション装置の座席に連結させることができる。したがって、各仮想回動点Pはユーザの頭上に位置することになる。その結果、ユーザの前庭領域は、各仮想回動点Pの位置が調整されるにつれて直線運動または並進運動、それに続く同じ方向の振子運動を経験することができる。これは、上述したように乗り物の六種類の動きのいずれか、またはこれらの組み合わせに現実感を持たせるために使用することができる。また、座席のベースの動きを、ユーザの頭部の動きよりも相対的に大きくすることができる。これは加速および減速をシミュレートするには最適である。このような動きは、上述したスチュアートプラットフォームでも実現が困難である。
【0040】
図3~
図6において、参照符号40は、概略的な回動組立体または回動組立体30から発展した動的フレームの全体を示す。特に明記されない限り、前述の図面を参照して同様の参照符号は同じ部品を示している。
【0041】
回動組立体40には、第3の回動アームが用いられており、この第3の回動アームは、動的フレームがアクチュエータによって回動する際の駆動アームまたは駆動軸42とみなすことができる。駆動アーム42の下端は、基板14または固定ベースまたはベース組立体に回動可能に接続されており、基板14に対して移動2自由度で回動する。第1および第2の回動アームは、第1および第2のガイドアーム又は第1および第2の支柱12、32とみなすことができる。駆動アーム42は、ガイドアーム12、32に対して前方に位置している。ガイドアーム12、32は、略同じ長さである。
【0042】
モーションプラットフォーム46(
図5)は、ガイドアーム12、32の上端18、36と駆動アーム42の上端48にそれぞれが接続されており、ガイドアーム12、32はそれぞれモーションプラットフォーム46に対して回転3自由度で旋回可能であり、駆動アーム42はモーションプラットフォーム46に対して回転2自由度で旋回可能である。したがって、回動組立体40では、モーションプラットフォーム46が、コントロールアーム34の効果的な代替となる。
図1および
図2は、
図3~
図6に示される構成を2次元的に示したものであることが理解できるであろう。したがって、上述した仮想回動点Pは、モーションプラットフォーム46の上方に設定される。駆動アーム42とガイドアーム12、32とは、基板と仮想回動点Pとの間にモーションプラットフォーム46が介在した状態で、アーム12、32、42の長手方向の軸が仮想回動点Pで交差するように、基板からモーションプラットフォーム46に向かって互いに傾斜している。
【0043】
回動組立体40をモーションシミュレーションに使用する場合、アーム12、32、42の下端16、33、44はそれぞれ互いに固定されており、基板は、シミュレーションの間、動作可能となるように固定される。アーム12、32、42の上端18、36、48は、モーションプラットフォーム46が基板14に対して移動可能である間、互いに固定されている。モーションプラットフォーム46の可動範囲は、アーム12、32、42によって制限されることが理解されるであろう。
【0044】
モーションシミュレーション装置または機器におけるキャリアなどの構成要素は、モーションプラットフォーム46上に取り付けられるか、またはその延長である。構成要素は適切なアクチュエータで駆動でき、これによりモーションプラットフォームのあらゆる点が、3次元空間特有の曲面上の動きに制限される。
【0045】
本明細書に記載されるモーションシミュレーション装置において、駆動アーム42は、回動組立体または動的フレーム30を二等分する垂直面内に位置するように回動する。以下に示すように、駆動アーム42は、モーションシミュレーション装置の駆動軸を形成することができる。以下の説明において、「構成要素」とは、モーションシミュレーション装置の座席組立体である。但し、構成要素は、ユーザと装置との間の任意の他のインターフェースであってもよいことを理解されたい。
【0046】
第2および第3の回動アーム32、12は、以下にさらに詳述するように、第1および第2の(または左右)のガイドアームまたは支柱の形態とすることができる。
【0047】
図3~
図6に示されるように、回動アーム12、32および駆動アーム42は、モーションプラットフォーム46との接続点が三角形の頂点を規定し、基板14との接続点も三角形の頂点を規定するように、適切な上下のコネクタを用いて、モーションプラットフォーム46と基板14との間に接続できる。また、回動アーム12、32および駆動アーム42は、基板14からモーションプラットフォーム46に向かって互い向かって傾斜している。基板14において画定される三角形は、駆動アーム42が直角を画定する頂点から延びる直角二等辺三角形の形態とすることができる。上述した構成、回動アーム12、32および駆動アーム42が実質的に同じ長さであること、およびそれぞれの三角形が平行な平面内にあることにより、モーションプラットフォームは、アームの回動によって3次元空間内の球面内の運動に制限される。また、仮想回動点は、モーションプラットフォーム46の動作可能な上方の点で、回動アーム12、32、42の長手方向の軸が交差する箇所によって確定される。アクチュエータの動作によって、仮想回動点は曲線状に変位する。したがって、人の前庭領域がモーションプラットフォーム46またはその近傍に位置する場合、前庭領域は、加速または減速のシミュレーションを強化するとされている初期の直線運動とそれに続く振子運動を経験することとなる。
【0048】
モーションプラットフォーム46との接続点によって確定される三角形が、基板14との接続点によって確定される三角形と平行である場合、モーションプラットフォーム46と固定ベース14の、これら三角形に直角な線49を中心とした相対的な回転は、回動アーム12、32、42が当該線に対して傾斜しているときには実質的に存在しないことが理解されるであろう。しかしながら、
図6に示されるように、固定ベース14は、回動アーム12、32および駆動アーム42の基板14にたいする接続点によって画定される三角平面を傾けて角度51を調整するように構成することができる。これにより、アームの各端部が位置するそれぞれの平面が互いに角度オフセット関係になり、それぞれの平行な平面から三角形が離れることになる。換言すれば、回動アーム12、32の端部におけるユニバーサルジョイントの回転の前方傾斜軸(ヨー軸)が平行でない場合、モーションプラットフォームを左または右にシフトさせることにより、モーションプラットフォーム46が若干回転し、その結果、アーム12、32はz軸を中心に回転する。この状態において、回動組立体40が左または右に傾斜すると、駆動アーム42は、その動きに適応するようにモーションプラットフォーム46をねじり駆動する。したがって、座席組立体、コックピット、またはその他のユーザ装置がモーションプラットフォーム46に取り付けられている場合、これらの装置は回動組立体40が傾斜するとともにヨー運動することができる。その結果、ロール効果に加えてヨーも発生する。ヨーの範囲は、角度51を調整することによって較正することができる。
【0049】
モーションプラットフォーム46に必要となるロールおよびヨーを提供するために、必要となるのは基板14からモーションプラットフォーム46にかけて組立体40を二等分する平面の両サイドに設けられた2つのアクチュエータのみであることが理解されるであろう。以下に
図7~22を参照して、適切なアクチュエータの例について記載する。各アクチュエータの直線的に固定された端部、または非作用端は基板14に対して回転2自由度または回転3自由度で回動可能である一方、各アクチュエータの作用端はモーションプラットフォームに連結された装置に対して回転3自由度で回動可能である。
【0050】
以下に記載する実施の形態からわかるように、基板14は、例えば
図12を参照して記載されるドリフトフレームのようなプラットフォームを形成することができ、ベースに対して変位可能である。これ、さらにシミュレートされた動きを提供するために使用できる。また、座席や類似する形態のキャリッジは、プラットフォームまたはフレームに対して限定的な直線上に変位可能である。これにより、上述の動きと併せて、2つのアクチュエータのみで現実的な整合性のあるシミュレートされた動きを発生させることができる。
【0051】
角度51を適切に較正されたアクチュエータを相対的に調整することにより、モーションプラットフォームの動きをカスタマイズして上述の六種類の動きをシミュレートすることができる。アクチュエータの前述した相対的な調整によって、アクチュエータを六つ個別に設けることなく、前述した仮想回動点の運動を生じさせて、六種類の異なる動きを提供することができる。また、モーションプラットフォームは、前記構成要素の下ではなく後方に配置することで、例えばスチュアートプラットフォームと比較して、大幅なスペースの節約を可能とする。
【0052】
図7~
図11において、参照符号100は、全体的に本発明の一態様によるモーションシミュレーション装置の少なくとも一部を示している。特に明記されない限り、前述の図面を参照して同様の参照符号は同じ部品を示している。装置100は、
図1から
図6を参照して上述した原理の実用的な実施の形態であることを理解されたい。
【0053】
装置100は、ベース組立体102を含んでいる。ベース組立体102は、ベース104と、ベース104に取り付けられたドリフトフレーム106(
図12)とを含んでいる。
【0054】
図9に示されるように、ベース104は、後方から前方へ互いに向かって収束する2本のビーム108を含んでいる。ビーム108の前端は互いに連結されている。ビーム108は、後方に配置されたクロスビーム110によって相互接続され、ビーム108の後端は、リアクロスビーム112上に配置される。
【0055】
2本の対向するリアアーム組立体114は、それぞれのビーム108から延在する。各アーム組立体114は、対応するビーム108から延在するにつれて収束する2本のアーム116を含んでいる。
【0056】
2本の対向するフロントアーム組立体118は、それぞれ対応するビーム108からリアアーム組立体114の前方に延在する。各アーム組立体118は、対応するビーム108から延在するにつれて収束する2本のアーム120を含んでいる。
【0057】
ビーム108、クロスビーム110、112およびアーム116はそれぞれ、略矩形の断面を有しており、ベース104の上面がローラを適切に支持するほぼ平坦に画定されるように同じ高さとなっている。
【0058】
ドリフトフレーム106(
図12)は、ビーム108を覆い、後方から前方へ互いに向かって収束する2本のビーム124を含む。ビーム124は、その前端がフロント回動組立体126(
図11)によって連結されている。フロント回動組立体126によって、ドリフトフレーム106の前部は、ドリフトフレーム106がベース104に対してベース104のほぼ頂点を中心に回動可能となるようにベース104に連結されている。回動組立体126はまた、ベース104およびドリフトフレーム106を少なくとも前記頂点において互いに離間された状態に維持するように構成されている。回動組立体126は、フロント回動体127(
図11)を含んでいる。フロント回動体127は、ビーム108の前端においてビーム124の前端をベース104に搭載されたベアリング組立体と係合させる。したがって、ドリフトフレーム106は、ベース104に対して1自由度で回動することができる。
【0059】
ドリフトフレーム106は、2つの対向するローラ取付具128を有しており、これらローラ取付具128は、それぞれビーム124から延在しアーム116を覆っている。リアローラ組立体130(
図10)は、それぞれのリアローラ取付具128に取り付けられている。各リアローラ組立体130はローラ132を有しており、各ローラ132はそれぞれのアーム116に支持されている。ローラ132は、ドリフトフレーム106がベース104に対して回転する際に、ローラ132がアーム116に沿って回転するように方向付けられている。
【0060】
ドリフトフレーム106もまた、2つの対向するローラ取付具134を有しており、これらローラ取付具134は、それぞれビーム124から延在しフロントアーム120を覆っている。フロントローラ組立体136(
図11)は、それぞれのフロントローラ取付具134に取り付けられている。各リアローラ組立体136はローラ138を有しており、各ローラ138はそれぞれのアーム120に支持されている。ローラ138およびアーム120は、ドリフトフレーム106がベース104に対して回転する際に、ローラ138がアーム120に沿って回転するように方向付けられている。
【0061】
スピーカ組立体140は、ビーム124の間に取り付けられている(
図7)。
【0062】
装置100は、ドリフト駆動機構142を含んでいる(
図12、
図13)。ドリフト駆動機構142は、クロスビーム110上に取り付けられて前方に延びる駆動部組立体取付具144を含んでいる。ドリフト駆動機構142の詳細は、
図15および
図16に示されている。駆動組立体146は、取付具144上に取り付けられる。ドリフト駆動機構142は、ドリフトフレーム106のビーム124間に延在し、これらビームを相互に接続するドリフト駆動レール148を含んでいる。駆動組立体146は、レール148と係合するプーリ組立体150を含んでいる。駆動組立体146は、ドリフトフレーム106が、ベース104に対してフロント回動組立体126を中心に1自由度で回動するように作動させることができる。装置100が乗り物の動きのシミュレート用に使用される場合、機構142は、車両のドリフトをシミュレートするか、またはヨーを調節する役割を担う。例えば、装置100は、シミュレートされたドリフトが装置の他の動き、例えばロールおよびヨーを伴うように、適切な制御系統によって制御される。
【0063】
コックピット組立体152は、ドリフトフレーム106上に取り付けられる(例えば、
図7を参照)。
【0064】
コックピット組立体152は、コックピットフロア154を含んでいる(例えば、
図17、18を参照)。コックピットフロア154は、クロススパイン166と、クロススパイン166から前方に延在し、ペダル組立体160と、Buttkickers(商標)として知られる運動強化装置161などの付属品とを支持する一対の対向する細長いペダルランナ158とを含んでいる。ペダルランナ158間にはフロアパネル156が配置されている。
【0065】
クロススパイン166には、そこから前方へ延在する2本のコックピットランナ162が固定されている。各コックピットランナ162は、コックピット本体174(例えば、
図19参照)を支持する線形ベアリングレール164を含んでおり、これによってコックピット本体174は、コックピットフロア154に対して、前後に直線的にスライドすることができる。コックピット本体174は、線形ベアリングレール164とそれぞれ係合する2本の対向するガイドレール176(
図19)を含んでいる。
【0066】
心棒168は、スパイン166(
図18)を貫通している。心棒168の端部は、それぞれの傾斜アーム170に連結され、傾斜アーム170は、さらに以下に説明するコックピットガイドアーム172に連結されている。
【0067】
コックピット本体174はさらに、ガイドレール176上に配置され、そこから上方に延びる制御支持組立体178(
図19)を含む。制御支持組立体178は、ステアリング機構180、ギアボックス組立体182、およびハンドブレーキ組立体184を含む装置100の制御部を支持するように構成される。
【0068】
ビーム124間には、回動取付具186(
図13、14)が延在する。コックピット揺動アーム188は、後端において回動取付具186に回動可能に取り付けられている。揺動アーム188の前端には、2つの対抗するローラ組立体190が取り付けられている。揺動アームランナ192は、ビーム124上に取り付けられ、ローラ194を収容するローラ組立体190のほぼ平坦な表面を画定する。これにより、揺動アーム188が一方から他方へ揺動または回動するにつれて、ローラ194がランナ192に沿って移動することができる。
【0069】
揺動アーム188には、線形レール組立体196が取り付けられており、ローラ組立体190背後のある点からローラ組立体190を超えた点まで延在する。線形レール組立体196は、揺動アーム188に対して後方から前方へ上向きに傾斜している。線形レール組立体196は、線形レール198を含んでいる。レール176の間には、揺動アーム取付具200が固定されている。揺動アーム取付具200には、ベアリングブロック回動部202が回動可能に取り付けられており、線形レール198にほぼ直交する軸を中心に回動する。ベアリングブロック回動部202には、線形ベアリングブロック204が取り付けられており、これを通して線形レール198がベアリングブロック204に摺動可能に収容されている。
【0070】
装置100は、ドリフトフレーム106上方に配置される座席組立体210(
図7)の形態のキャリアを含んでいる。座席組立体210は、座席支持体212および背面支持体214を含んでいる。
【0071】
座席支持体212は、間隔を置いて配置され、全体的に後方から前方に延びる2本の支持アーム216を含んでいる(例えば、
図17参照)。ジョイント組立体218は、支持アーム216とクロススプライン166とを相互接続する。したがって、座席組立体210は、座席アセンブリ210がコックピット本体174に対して直線的に変位可能となるように、コックピットランナ162に対して固定される。
【0072】
ジョイント組立体218は、クロススプライン166上に配置された前後のジョイントブレース220を含んでいる。ジョイント組立体218は、支持アーム216を相互接続する上側心棒組立体222を含んでいる。ジョイント組立体218は、上側心棒組立体222に固定され、上側心棒組立体222にほぼ直交する下側心棒組立体224を含んでいる。2つのジョイント取付具226が、それぞれのジョイントブレース220上に取り付けられている。下側心棒組立体224は、ジョイント取付具226を相互接続する。これにより、ジョイント組立体218は、座席支持体212およびクロススパイン166が2自由度で相対的に回動することができる。
背面支持体214は、支持アーム216(例えば、
図17参照)のそれぞれの後端から延在する2本のアーム228を含んでいる。支持アーム228は、動作可能となるように上方に収束する。支持アーム228の間の位置または各支持アーム228の下端付近には、バッククロスブレース230(例えば、
図10参照)が延在している。
【0073】
座席231(
図7)は、座席支持体212に固定されている。
【0074】
ヨー取付具234(
図12、
図13、
図13A)は、ドリフトフレーム106の後端において、ドリフトフレーム106のビーム124の間に配置される。ヨー取付具234は、ビーム124間に延びる支持ビーム400を含んでいる。ビーム124のそれぞれの端部には取付プレート402が固定されている。各取付プレート402は、ボルト406のシャンクのような締結具を受容し取付プレート402をそれぞれのビーム124に固定するための複数の締結具またはボルト穴404を画定している。ボルト穴404は、支持ビーム400が矢印408で示されるように回転可能となるように適切なパターンで配置される。これにより、締結具406に適したボルト穴404を選択することによって、有効な水平面に対して軸線410および412(
図13A)の角度を調整できることが理解されるであろう。この目的について、さらに詳しく以下に説明する。
【0075】
図13Aに示されるように、下側ユニバーサルジョイント240(
図21)の下側スパイダ414は、ヨー取付具234に装着されたフットヨーク244に装着されている。これにより、スパイダ414が直線または軸410の周りに回動可能となり、直線または軸線412が取付具234に対して角度移動可能となる。
【0076】
図21に示されるように、ハブ236の形態をとるモーションプラットフォームは、背面支持体214の上端に取り付けられている。ハブ236は、背面支持体214の頭部領域に固定することができる。
【0077】
駆動軸238の形態をとる駆動アームは、その下端部が、下側ユニバーサルジョイント240の下側コネクタによってヨー取付具234に連結される一方、上端部が、上側ユニバーサルジョイント242の上側コネクタによってハブ236に連結される。
【0078】
ジョイント240はまた、駆動軸238の下端に取り付けられた下側シャフトヨーク246(
図18)を含んでいる。フットヨーク244は、下側スパイダ414によってシャフトヨーク246に連結され、駆動軸が線410、412を中心に回動可能となる。したがって、駆動軸238は、取付具234に対して2自由度の回動運動が可能となる。
【0079】
上側ユニバーサルジョイント242は、駆動軸238の上端に取り付けられた上側駆動軸250(
図18)を含んでいる。ハブ236は、座席ヨーク252を含んでいる(
図21)。軸250および座席ヨーク252は、下側スパイダ414と実質的に同一である上上側スパイダ255によって互いに接続されており、これによりハブ236および駆動軸238が移動2自由度で互いに相対的に回動可能となっている。駆動軸238は、軸251を中心としてハブ236に対して回転可能であり、軸253(
図21)を中心としてハブ236に対して回転可能である。
【0080】
左側ブレース部材232.1および右側ブレース部材232.2の形態をとる2つのブレース部材が、ビーム124(
図20)のそれぞれの後端から延びている。ハブ236は、駆動軸238の両側において座席ヨーク252(
図21)から後方に延在する左側ガイド取付具254.1および右側ガイド取付具254.2の形態をとる2つの離間したガイド取付具を含んでいる。左側ガイドアームまたは支柱256.1は、下側ボールジョイント258.1および上側ボールジョイント260.1によって提供される下側コネクタおよび上側コネクタによって左側ブレース部材232.1と左側ガイド取付具254.1とを相互接続する。右側ガイドアームまたは支柱256.2は、下側ボールジョイント258.2および上側ボールジョイント260.2によって提供される下側コネクタおよび上側コネクタによって右側ブレース部材232.2と右側ガイド取付具254.2とを相互接続する。ボールジョイント258、260は、支柱254、256がハブ236およびブレース部材232に対して3自由度で回動可能にしている。静止状態において、駆動軸238が左右に傾いていない状態で静止している場合、駆動軸238は、駆動軸238、支柱254、256、ハブ236、およびベース組立体102によって画定される動的フレームを二分する垂直面内に配置される。
【0081】
例えば、
図20、
図22に示されるように、左側線形アクチュエータ262.1および右側線形アクチュエータ262.2は、ドリフトフレーム106とクロスブレース230とを相互接続する。リアローラ取付具128の一方には左側アクチュエータ取付具264.1が配置され、リアローラ取付具128の他方には右側アクチュエータ取付具264.2が配置されている。各取付具264には、トラニオン266が回動可能に取り付けられている。各アクチュエータ262のシリンダ268は、シリンダ268がドリフトフレーム106に対して2自由度で回動可能となるように、関連するトラニオン266に回動可能に取り付けられている。したがって、アクチュエータ262は、駆動軸238が左右いずれにも傾斜していないときに、駆動軸238が位置する作動垂直面の両側に位置する。また、アクチュエータ262の間には、駆動軸238とガイドス支柱254、256とが介在している。したがって、
図1~
図6を参照すると、アーム12、32、42は、線形アクチュエータ間に挿入される。アクチュエータ262は、ベース組立体102と座席組立体210とを相互接続する。
【0082】
各アクチュエータ262は、ピストンまたは軸269(
図20)を含んでおり、ピストンまたはシャフトは、作用端において、ボールジョイント270を介してクロスブレース230に接続される。アクチュエータ262は、ローラ取付具128からクロスブレース230にかけて互いに収束する。したがって、座席組立体210とドリフトフレーム106との相対的な動きは、2自由度の動きに制限され、これは特に回転または並進ではない。
【0083】
コックピットガイド取付具272(例えば、
図18)は、駆動軸238に固定され、駆動軸238の両側から延びる。コックピットガイドアーム172の上端は、ボールジョイント169を介してガイド取付具272の一端に連結されている。各傾斜アーム170は、ボールジョイント171によって各コックピットガイドアーム172の下端に連結されている。したがって、ガイドアーム172の端部は、各傾斜アーム170およびガイド取付具272に対して、並進3自由度および回転2自由度で移動可能である。ガイドアーム172および傾斜アーム170は、座席組立体210のロールを制限する働きをする。
【0084】
左側ガイドレール176には、直立ガイド274が配置されている(
図22)。コックピットガイド取付具276は、左側支持アーム228に取り付けられている。左側コックピットガイドアームまたは支柱278は、ボールジョイントを介して、直立ガイド274と左側ガイド取付具276とを相互接続する。
【0085】
装置100の動作原理および方法は、
図23~
図26に示される。
【0086】
図23には、
図3~
図6の概略図が、駆動軸238(駆動アーム42)、ガイド支柱256、ベース104、およびハブ236に重ねられている。こうすることにより、ハブ236が3次元空間における曲面領域内で移動するように制限されていることを示す。より詳細には、回動アーム12は右側ガイド支柱256.2に相当し、回動アーム32は左側ガイド支柱256.1に相当し、駆動アーム42は駆動軸238に相当する。ハブ236はモーションプラットフォーム46を画定し、ドリフトフレーム106は基板14を画定する。
【0087】
駆動軸238の下側ユニバーサルジョイント244およびガイド支柱256の下側ボールジョイント258は、三角形280の頂点とみなすことができる。同様に、駆動軸238の上側ユニバーサルジョイント242およびガイド支柱256の上側ボールジョイント260は、三角形282の頂点とみなすことができる。支柱256と駆動軸238とが同様の長さであり、三角形280、282が平行な平面内に配置されている場合、3次元空間における湾曲した表面積は、回転楕円体とすることができる。しかしながら、上述したように、このような構成では必要なヨーを生じさせることができない。
【0088】
上述したように、駆動軸238は、軸線253、410を中心として回動可能である。三角形280の平面が三角形282の平面に平行である場合には、このような回動運動によって駆動軸34が回転したりねじれたりすることはないことが理解されるであろう。しかしながら、ヨー取付具234がドリフトフレーム106に対して回動調整された場合、つまり上述したように軸253、410が互いに角度をなし、三角形280、282が互いに傾斜するように、ヨー取付具234がドリフトフレーム106に対して回動調整された場合、このような回動運動は、取付具234が軸線412を中心として下側スパイダ414に対して回転可能に固定されていることから、軸253、410の相対的な角度方向に適応するために、駆動軸238を取付具234に対して回転させることとなる。この回転は、軸253のスウェイと同期され、事実上比例する。この効果は、一般的に「位相整合」と呼ばれる。したがって、ベース組立体102の構成は、ベース組立体102およびハブ236の相対的な角度方向を変更するように調整可能であり、その結果、上述した動的フレームの回動によって、駆動軸238がハブ236に回転を与えてヨーをシミュレートする。
【0089】
この駆動軸238の回転は、上側スパイダ255を介してハブ236に伝達される。軸253、412の間に画定される角度のサイズは、軸410を中心とする下側スパイダ414、ひいては駆動軸238の回動運動から生じる回転の範囲を決定する。座席組立体210がハブ236に固定されている場合、このような回転は座席組立体210に伝達されヨーをシミュレートすることができる。したがって、ヨーの範囲は、ドリフトフレーム106に対するヨー取付具234の回動調整によって調整することができる。
【0090】
図7および
図8において、領域284は、座席231に着座する人の概ねの質量中心を示す。また、領域286は、座席231に着座する人の概ねの前庭系の位置を示す。
【0091】
図から分かるように、ハブ236は、前庭系に向かって位置しており、領域286のわずかに下方にある。
図2を再度参照すると、これは仮想回動点が前庭領域286の上方に配置されることを意味している。その結果、ハブ234がアクチュエータ262の差動動作によって駆動されている間に、上述した曲面内の回動点を調整することにより、より現実感のある動きをシミュレートすることができる。その理由は、
図1~
図6を参照して上述したように、回動点の調整により、振子運動と一致して前庭領域の一定量の直線運動を発生させることができるためである。
【0092】
図25は、アクチュエータ262の差動動作によって可能となる種々の運動を示している。例えば、ジョイント組立体218によって、座席組立体210は、点線288によって示されるように、z軸とみなすことができる領域284(
図7)介して概ね上方に延びる軸を中心に回動可能となり、上述したように座席組立体210のヨーに対応するモーションを生成可能となる。またジョイント組立体218によって、座席組立体210は、線290によって示されるように、上方軸に直交するシミュレートされた加速または減速の線に沿ったx軸としてみなすことができる軸を中心に回動可能となり、上述したように生成される座席組立体210のロールモーションを生成することが可能となる。このようなヨーとロールの組み合わせは、装置によるコーナリングのシミュレーション中に発生する可能性がある。
【0093】
コックピット揺動アーム188は、線292によって示されるように、回動取付具186に対して回動可能であり、また線293によって示されるように、揺動アーム取付具200に対して回動可能である。この回動は、挿入されたジョイント組立体218の結果、座席組立体210(
図7)とは独立している。換言すれば、コックピットフロア154は、座席組立体210とはある程度独立して回動可能である。これは、例えば以下で詳述するように、ユーザの手足に対する制御装置の相対測位によってコーナリング中のシミュレートされた動きに現実感を与えるのに貢献する。
【0094】
点線294は、座席組立体210に対するガイドレール176、つまりコックピットフロア154(
図18)の直線運動の方向を示している。
【0095】
実線295、298は、アクチュエータ262の動作結果としてのコックピットフロア154に対する座席組立体210の傾斜を示している。具体的には、曲線295が、座席組立体210における傾動回転を示しており、曲線298は、ベアリングブロック204の回転に対応する傾動回転を示している。
【0096】
アクチュエータ262の差動動作によって、駆動軸238は、取付具234に対して回転可能であり、傾斜アーム170の差動回転を生じさせることが理解されるであろう。これは、直線297によって示されるように、線形レール198および揺動アーム取付具200の相対的な回転に対応するコックピットフロア154のロールを引き起こす。ガイドアーム172は伸張不能である。したがって、座席組立体210のロールの範囲は、傾斜アーム170に対応する回動の範囲によって制限される。また上述したように、ドリフトフレーム106に対して取付具234を適切に調整することにより、ロールに加えてヨーも発生させてコーナリングのシミュレートが可能となる。
【0097】
したがって、例えば軸269の一方がもう一方にたいして伸長している場合、駆動軸が傾斜して回転するにつれてハブ236も傾斜して回転する。これは、前庭領域286において線形運動、回転および振子運動の両方を発生させ、線形運動、回転および振子運動が他で強調されるシミュレーションと比較して、現実感を高めることができる。
【0098】
軸299を中心にした駆動軸238の前後方向への傾斜によって、コックピット本体174に対してコックピットフロア154が相対的に変位するようにアクチュエータ262を作動させることもできる。これにより、コックピット組立体152が効果的に短縮または延長され、それによって減速または加速のシミュレーションが向上する。
【0099】
これら相対的な動作は
図26に示されている。例えば、点線の直線296は、コックピット本体174とコックピットフロア154との相対的な動きを示している。
【0100】
ジョイント組立体218が、座席組立体210を前後に回転させてピッチをシミュレート可能にすることが理解されるであろう。この動作はコックピットガイド支柱278によってガイドされ、実線の曲線291で示されるように、ガイド直立体274の周りを回動することができる。コックピットガイド支柱278は、対向するボールジョイント277によってガイド直立体274およびガイド取付具276に連結されている。ジョイント組立体218はまた、座席組立体210を一方から他方へと回動可能にしている。この動作もまた、コックピットガイド支柱278と対向するボールジョイントによってガイドされる。この動作は点線の曲線293で示されている。
【0101】
装置100は、2つの独立したモーションシステムを画定している。これには、ヨー取付具234、駆動軸238、上側および下側ユニバーサルジョイント242、240、およびハブ236によって画定される1次モーションプラットフォームが含まれる。具体的には、これら構成要素は、
図3~6を参照して説明したように、三角形の底面、3つの四角形の側面、および三角形の頂部を有する動的フレームを画定している。そのフレームの側面は実質的にそれぞれが4本のバーからなる3つ連結機構であり、2つのアクチュエータはそれぞれ一端が(フレームに対して)固定された取付具または支持部と係合し、反対側の端部が三角形の頂部から三角形の底部にかけてフレームを二等分する平面の各側面と係合しており、アクチュエータの動作によってフレームのねじれを生じさせるようになっている。このねじれは、ボールジョイントなどの適切な種類のジョイントによって調整される。三角形の頂部は、前記4本のバーからなる3つの連結機構の共通のロッカーを形成または画定していることが理解されるであろう。このロッカーは1次的なシミュレーションプラットフォームであり、そのあらゆる点を固有の3次元表面に制約する。上述の各実施の形態において、ロッカーはハブ236の形態をとっている。したがって、ロッカーの動きは、座席組立体210またはロッカーに接続されたすべての他の構成に伝達可能である。
【0102】
上述したように、アクチュエータは共に動作して、ロッカーを3次元表面内で制御し、最終的に位置決めする。アクチュエータがロックされると、フレームは実質的に硬直する。
【0103】
1次的なモーションプラットフォームでは、駆動軸238は4自由度で動作可能である。これは、2つのUVジョイント242、244によって可能となり、並進運動は、ヨー取付具234が配置されたドリフトフレーム106によって可能となる。2本のガイド支柱256は、それぞれ5自由度で動作可能である。支柱256が、ブレース部材232からハブ236まで延在するため、支柱256の各端部におけるボールジョイント258、260によって3自由度の回動または回転運動が可能となり、ドリフトフレーム106によって2自由度の並進運動が可能となる。2つのアクチュエータ262は、それぞれ5自由度で動作可能である。トラニオン266およびボールジョイント270は共に3自由度の回動または回転運動が可能である一方、トラニオンが取り付けられているドリフトフレーム106は2自由度の並進運動を可能にしている。
したがって、駆動軸238には、2つのモーション制約があり、各支柱256には、1つのモーション制約があり、各アクチュエータ262には、1つのモーション制約がある。したがって、システムには6つのモーション制約がある。
【0104】
この1次的なモーションプラットフォームはまた、ジョイント組立体218に取り付けられた座席組立体210の形態をとる2つの補助的なモーションプラットフォームを制御する。これにより、アクチュエータ262が適切に調整されたヨー取付具234とともに稼働すると、座席組立体210がピッチとヨーを行うことができる。
【0105】
コックピットフロア154の形態をとる2次的なモーションプラットフォームは、座席組立体210、コックピットランナ162、ベアリングレール164、ジョイント組立体218、および座席組立体210を介して1次的なプラットフォーム(ハブ236)と機械的に連結している。この連結は、コックピットフロアが予測可能な動的関係で動作可能であるものの、1次的なプラットフォームと一致して動作することはないというものである。その理由は、駆動軸238が前後に傾くにつれて、座席組立体210がコックピットフロア154に対して直線的に動くことができ、結果的にコックピットフロア154と座席組立体210とが相対的に傾斜するからである。
【0106】
2次的なモーションプラットフォーム(コックピットフロア154)のモーションは、揺動アーム188の動きおよびジョイント組立体218の動作によって決定される。
【0107】
揺動アーム188は、運動5自由度を有している。フロント回動組立体126を中心としたドリフトフレーム106の回動運動は、1自由度の回転または回動運動を可能とし、線形レール組立体196は並進1自由度および回転1自由度の形態で2自由度の動きを可能にしている。ベアリングブロック回動部202および線形ベアリングブロック204(
図14)は、回動2自由度の動きを可能にしている。ジョイント組立体218(
図17)は、回転2自由度の動きを可能にしている。ガイドアーム172(
図18)のボールジョイント169、171は、3自由度の動きを可能とする一方、コックピットガイド支柱278(
図22)は、5自由度の動きを可能にしている。
【0108】
したがって、揺動アーム188には1つのモーション制約があり、ジョイント組立体218には、4つのモーション制約があり、ガイドアーム172およびガイド支柱278には、1つのモーション制約がある。
【0109】
3次的なモーションプラットフォーム(
図19の制御支持組立体178)は、1次的なモーションプラットフォームおよび2次的なモーションプラットフォームに機械的に連結されており、予測可能な動的関係で1次的および2次的なモーションプラットフォームと共に動作するが、いずれとも一致した動作はしない。
【0110】
3次的なモーションプラットフォームのモーションは、コックピットガイド支柱278(
図22)およびガイドレール176、162によって決定される。コックピットガイド支柱278は、制御支持組立体178が、支持アーム228に連結されたガイド支柱278によって座席組立体210に連結されている可能性が高いため、ボールジョイント274、276による回転3自由度の動きと、並進2自由度の動きと5自由度の動きが可能である。ガイドレール176、162による直線スライド構造は、並進1自由度の動きを可能にする。
【0111】
したがって、3次的なモーションプラットフォームのモーション制約には、コックピットガイド支柱278による1つのモーション制約と、ガイドレール176、162による5つのモーション制約が含まれる。
【0112】
図27において、参照符号300は全体的に、モーションシミュレーション装置の別の実施の形態を示す。特に明記されない限り、前述の図面を参照して同様の参照符号は同じ部品を示している。
【0113】
本例には、ベース302が提供されている。支持構造304は、ベース302の後部から上方に延在する。支持構造304は、上側ベアリング組立体328.1および下側ベアリング組立体328.2が取り付けられる後部支持体306を含んでいる。キャリア326は、ベアリング組立体328と共に後部支持体306に取り付けられる。キャリア326は、クレードル320を含んでいる。上側キャリアアーム322.1は、一端がクレードル320に回動可能に連結され、他端が上側ベアリング組立体328.1と共に後部支持体306に回動可能に連結されている。下側キャリアアーム322.2は、一端がクレードル320に回動可能に連結され、他端が下側ベアリング組立体328.2と共に後部支持体306に回動可能に連結されている。
【0114】
モーションシミュレーション装置300は、座席組立体310を含んでいる。座席組立体310は、座席フレーム312を含んでいる。座席フレーム312は、座席支持体314および座席背面部316を含んでいる。
【0115】
スタブ心棒組立体318は、座席背面部316とクレードル320とを相互接続する。スタブ心棒組立体318は、クレードル320に固定された心棒取付具330を含んでいる。キャリッジ324は、座席支持体314と組立体318の心棒とを相互接続して、座席組立体310がキャリア326に対してx軸周りに回動可能にしている。
【0116】
この構成により、点線336で示されるように、4つのバーからなる連結機構または動的フレームが画定されることが理解されるであろう。連結機構336は、動作時に、ユーザの前庭領域上方に仮想回動点を提供できる。仮想回動点の目的は、装置100を参照して上述した通りである。但し、仮想回動点は必ずしも頭上にあるとは限らない。上側アーム322.1は、座席背面部316をクレードル320とほぼ平行に保つ働きをする。この構成によって画定される形状は、他の安定性も可能にする。例えば、連結機構は位置エネルギーが自身の中間点で最も低い状態にあるため、自ずと中心に位置合わせされる。これにより、以下に説明するアクチュエータの電力要求が低減される。
【0117】
2つの上側アクチュエータ取付具331は、クレードル320の両側において座席背面部316に配置される。2つの下側アクチュエータ取付具332は、ベース302の両側において支持構造304に配置される。アクチュエータ334は、クレードル320の両側においてボールジョイントによって、上側および下側の取付部330、332の各ペアの間に取り付けられており、アクチュエータ334はそれぞれの端部が、座席フレーム312およびベース302に対して3自由度で回転可能となっている。
【0118】
アクチュエータ334の動作は、連結機構336の傾斜または歪み、およびクレードル320に対するキャリッジ324の回転を引き起こす。例えば、アーム322が前方向(または、左側から見て反時計回り)に回動することによって、クレードル320が時計回りに回転し、仮想回動点が頭上から下方向へ移動し(フルブレーキ時のシミュレーション)、ユーザの腹部辺りに移動する(フル加速時のシミュレーション)。また、アクチュエータ334の差動動作は、クレードル320に対するキャリッジ324の回転を引き起こすことができる。したがって、アクチュエータ334の適切な動作によって、ベースに対する座席組立体310の動きが生じ、上述した6種類の動きをシミュレートすることができる。
【0119】
動的フレームまたは4本のバーからなる連結機構の様々な他の形態が、異なる構成で達成され得ることが想定され得る。
【0120】
モーションシミュレーション装置では、線形加速から仮想加速への遷移は、意図するシミュレーションとは反対方向の力ベクトルを検出することなく生じるべきである。簡単に述べると、要求される加速が特定の一方向だとすると、仮想加速を開始するには、現在の座標系から要求される位置または方向へ到達するために、前記一方向への初期加速を発生させる必要がある。上述したように、仮想回動点は、仮想回動点を中心とする回動中に変位する。前庭領域286の位置は、仮想回動点のこの変位により、前庭領域286に線形変位を生じさせるようなものであり、これは横方向の加速にのみ該当する。
【0121】
ドリフト駆動機構142によって生成されるドリフト運動とは別に、座席組立体210の他のすべての運動は、たった2つのアクチュエータ262によって生成される。これは、6つの角柱状のアクチュエータを必要とし、当該アクチュエータを座席またはモーションプラットフォームの下に収容する必要があるスチュアートプラットフォームとは対照的に考えるべきである。
【0122】
以下の動作を状況に当てはめるには、背景技術で述べた6種類の動作を考慮するべきである。
【0123】
例えば、加速および制動において、アクチュエータ262は同時に、且つ、非差動的に作動して、初期範囲の線形加速を生じさせ、その後上述したようにピッチにスワップされる。より詳細には、仮想回動点は、振子モーションの開始に先立って、前庭領域286と同じ方向に、まず前後方向にシフトする。初期の作動によって、コックピットフロア154および座席組立体210が相対的に変位する。コックピットフロア154および座席組立体210が互いに離間する方向に変位する場合、例えば軸269が同時に伸長することにより加速のシミュレーションが強化される。同様に、コックピットフロア154および座席組立体210が互いに近づく方向に変位する場合、例えば軸269が同時に抽出されることにより減速のシミュレーションが強化される。このようなコックピットフロア154と座席組立体210との相対的な運動により、ユーザの固有感覚性系統(身体部分間での運動学的な認知)が慈樹される。これにより、現実感が向上する。また、ユーザが操舵ハンドルを把持し、さらにコックピット本体174によってコックピットフロア154に連結される別の制御装置を把持している可能性があると仮定すると、これら構成要素は、ユーザから引き離されることによって加速時の初期に発生する力を模倣したり、ユーザに向けて押されて減速時の初期に発生する力を模倣したりする。
【0124】
コーナリングをシミュレートするために、アクチュエータ262を別々に作動させて、前庭領域286のスウェイおよびヨーを発生させることができる。上述したように、両モーションは、アクチュエータ262を差動的に作動させることによる仮想回動点のコーナリング方向への初期変位によって効果的にシミュレートされる。上述のように、初期線形変位は振子運動に遷移する。コーナリングはまた、アクチュエータ262によってさらにスウェイをシミュレートすることによって、持続的なコーナリングがシミュレートされる。上述のヨーは、座席組立体210、コックピットフロア154、およびペダル組立体160の相対的な運動によって生じる視覚的なインプットおよび身体の歪みとともに、(知覚されることが望まれない)ロールをスウェイと認識させる。
【0125】
線形加速および線形減速の場合と同様に、コーナリングの際には、
図25および
図26を参照して説明したように、座席組立体210およびコックピットフロア154が相対的に回動変位させることができる。把持される制御装置は、コーナリング中に、運転者よりもターンの方向にさらに移動させることができ、これによって腕をターンの方向から押し離すコーナリングの遠心力を模倣することができる。同様に、ペダルランナ158に取り付けられたペダル組立体160は、運転者よりもターンの方向にさらに移動させることができ、これによって脚をターンの方向から押し離すコーナリングの遠心力を模倣することができる。また、上述した相対的な傾斜によって、コックピットフロア154が座席組立体よりも緩やかにターン方向に傾斜し、実際の遠心力によって経験し得るようにターンの外側の脚により多くの圧力がかかり、ターン内側の脚にかかる圧力が減少する。
【0126】
座席そのものに歪みが発生させて、太腿にかかる圧力を制動時に増加させ、加速時には減少させたり、コーナリング時に外側の太腿にかかる圧力を増加させ、内側の太腿にかかる圧力が減少させたりすることも想定される。
【0127】
このように、把持された制御装置とフットペダルの双方に対して、ユーザの身体に対する制御された動きを受ける。これらは、北米の基準に従った、女性の5パーセントから男性の95パーセントまでの人体測定範囲内に収まるように、操作する四肢の動きの範囲が調整されるように、様々な速度で意図的に駆動される。
【0128】
上述した運動学的歪みは、機械的連結を介して受動的に生成され、2つのアクチュエータ262以外に別の入力を必要としないことが理解されるであろう。
【0129】
ガイドアーム172、256、278および駆動軸238は、ハブ236のモーションをチューニングできるように、それぞれの長さが手動で調整可能である。このチューニングは、アクチュエータ262の動作中に、前庭領域286のヒーブ(高さの変化)を抑制する。
【0130】
以上の説明から、上述の仮想回動点の変位によって、ユーザに対して加速および減速の合図を生成することができ、これによってシミュレーションが向上する。より具体的には、上述した初期の線形加速から振子運動への遷移は、継続する線形加速の感覚を生じさせる。本明細書に記載されるシミュレーション装置は、「座席下」のモデルとは対照的にユーザが経験する仮想的な加速が、中央またはニュートラルの位置からの座席またはキャリアの初期オフセットに比例し、同じ方向になり得るように移動する。
【0131】
添付の特許請求の範囲は、上記の説明に組み込まれているものとみなされる。
【0132】
本明細書中に任意の数または範囲が記載される場合、他に明確に記載されない限り、その数または範囲は近似である。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書に別段の指示がない限り、その範囲内にある各値を個別に参照する簡単な方法として機能することを意図しており、そのような各値および各値によって定義される下位範囲は、本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0133】
「前」、「後」、「背面」、「下向き」、「上向き」などの方向または向きを表す文言は便宜上使用されるものである。本発明者は、様々な実施の形態が、例えば販売時の提示のように、非動作状態で使用され得ることを想定している。したがって、そのような文言は、本質的に例示的なものとみなされるべきであり、限定的なものとみなされるべきではない。
【0134】
本明細書全体を通して、いかなる利点、約束、目的等への言及も、累積的、複合的及び/又は集合的とみなされるべきではなく、保証として述べられるよりも好ましい又は望ましいとみなされるべきである。
【0135】
本明細書を通じて、別段の指示がない限り、「構成する」、「次を含む」、「構成する」、または「含む」のような関連用語は、記載された整数または整数のグループが1つ以上の他の記載されていない整数または整数のグループを含み得るように、排他的にではなく包含的に使用される。
【0136】
用語「および/または」、例えば、「Aおよび/またはB」は、「AおよびB」または「AまたはB」のいずれかを意味するものと理解されるものとし、両方の意味またはいずれかの意味に対する明示的なサポートを提供するものと解釈されるものとする。
【0137】
上記で使用された用語は説明のためのものであり、限定的なものとみなすべきではないことを理解されたい。記載された実施形態は、その範囲を限定することなく、本発明を例示することを意図している。本発明は、当業者に容易に理解されるような種々の修正および追加によって実施することができる。
【国際調査報告】