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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】吸入器物品用貫通装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20200101AFI20220414BHJP
   A61M 15/06 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
A24F47/00
A61M15/06 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545782
(86)(22)【出願日】2020-03-02
(85)【翻訳文提出日】2021-08-04
(86)【国際出願番号】 IB2020051761
(87)【国際公開番号】W WO2020178715
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】19160888.4
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】カンピテッリ ジェンナロ
(72)【発明者】
【氏名】ダイオグル オヌール
(72)【発明者】
【氏名】スパダロ ファビアナ
(72)【発明者】
【氏名】ツバー ジェラルド
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC13
4B162AC50
(57)【要約】
貫通装置(150)は、陥凹した貫通要素(160)を含み、吸入器物品(110)の遠位端(118)を受容するように構成される。貫通要素は、吸入器物品が貫通装置の吸入器物品空洞(157)内に着座した時、吸入器物品内に含まれるカプセル内に単一の穴を貫通または穿孔する。貫通装置は、吸入器物品空洞内にハウジング内表面(152)から延在するマーキング要素(170)を含む。マーキング要素は、吸入器装置が吸入器物品空洞内に受容された時に、吸入器装置の外表面をマーキングするように構成される。マーキング要素は、貫通要素の長軸方向軸に直角に延在する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通装置であって、
ハウジング外表面およびハウジング内表面を有するハウジングであって、前記ハウジング内表面が吸入器物品空洞を画定し、前記ハウジングが遠位端から開放近位端までハウジング長軸方向軸に沿ってハウジング長さに延在し、前記ハウジング開放近位端が吸入器物品の遠位端を前記吸入器物品空洞内に受容するように構成されるハウジング、
前記ハウジング内表面に固定され、かつそこから前記吸入器物品空洞内に、貫通要素長軸方向軸に沿って貫通要素長さに延在する貫通要素であって、前記開放近位端から後退距離だけ後退している貫通要素、および、
前記吸入器物品空洞内に前記ハウジング内表面から延在するマーキング要素であって、前記貫通要素長軸方向軸に直角に延在し、前記吸入器物品が前記吸入器物品空洞内に受容された時、前記吸入器物品表面にマーキングするように構成される、マーキング要素を含む、貫通装置。
【請求項2】
前記マーキング要素が、前記吸入器物品が前記吸入器物品空洞内に受容された時、前記吸入器物品の外表面を引っ掻くように構成された鋭端部を有する、請求項1に記載の貫通装置。
【請求項3】
前記マーキング要素が、前記吸入器物品が前記吸入器物品空洞内に受容された時、前記吸入器物品の外表面を着色するように構成される、請求項1または2のいずれかに記載の貫通装置。
【請求項4】
前記マーキング要素が、前記貫通要素が前記吸入器物品内に配置されたカプセルを貫通した時、前記吸入器物品の外表面をマーキングするように構成される、請求項1~3のいずれかに記載の貫通装置。
【請求項5】
前記貫通要素が、前記ハウジング長さの少なくとも約25%の後退距離だけ前記開放近位端から後退している、請求項1~4のいずれかに記載の貫通装置。
【請求項6】
前記貫通要素が金属から形成される、請求項1~5のいずれかに記載の貫通装置。
【請求項7】
前記貫通要素長軸方向軸が、吸入器物品が前記貫通装置内に受容された時に、前記ハウジング長軸方向軸および前記吸入器長軸方向軸と実質的に同軸である、請求項1~6のいずれかに記載の貫通装置。
【請求項8】
前記貫通要素長さが、前記ハウジング長さの約25%~約60%である、請求項1~7のいずれかに記載の貫通装置。
【請求項9】
前記吸入器物品空洞が閉鎖遠位端を有し、前記貫通要素が前記閉鎖遠位端を貫通する、請求項1~8のいずれかに記載の貫通装置。
【請求項10】
前記ハウジングの前記遠位端に画定される貫通要素空洞をさらに含み、前記閉鎖遠位端が前記貫通要素空洞の基部を画定し、前記貫通要素空洞が前記貫通要素を受容する、請求項9に記載の貫通装置。
【請求項11】
前記貫通要素空洞内に前記貫通要素を保持するように構成された保持要素をさらに含む、請求項10に記載の貫通装置。
【請求項12】
前記保持要素が、前記ハウジングの前記遠位端の一部分を形成し、前記保持要素が、前記ハウジングに取り外し可能に連結される、請求項11に記載の貫通装置。
【請求項13】
吸入器システムであって、
外表面を有する本体を含む吸入器物品であって、前記本体が、マウスピース端から遠位端まで吸入器長軸方向軸に沿って、本体長さに延在する吸入器物品、および、
請求項1~12のいずれかに記載の貫通装置であって、前記貫通装置マーキング要素が、前記吸入器物品が前記吸入器物品空洞内に受容された時、前記吸入器物品の前記外表面をマーキングする貫通装置を含む、吸入器システム。
【請求項14】
前記吸入器物品内に配置されたカプセルをさらに含み、前記マーキング要素が、前記貫通要素が前記カプセルを貫通した時、前記吸入器物品の前記外表面をマーキングするように構成される、請求項13に記載の吸入器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸入器物品用の貫通装置、ならびに貫通装置および吸入器物品を含む吸入器システムに関する。貫通装置は、吸入器物品に印を付けて、吸入器物品が活性化されたことを示すように構成される。
【背景技術】
【0002】
乾燥粉末吸入器は、従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で乾燥粉末粒子を肺に提供するために常に完全に適切なわけではない。乾燥粉末吸入器は、操作するのに複雑である、あるいは可動部品が関与する場合がある。乾燥粉末吸入器は多くの場合、一回の呼吸で乾燥粉末用量の全部またはカプセル装填量を提供しようとする。
【0003】
可動部品を最小限にする吸入器システムを提供することが望ましい。この貫通装置は、保護された貫通端を有することが望ましい。再利用可能な貫通装置を備えた吸入器システムを提供することが望ましい。薄型かつ再利用可能な貫通装置を含む吸入器システムを提供することが望ましい。吸入器物品が活性化されたという視覚的表示を備える吸入器システムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、吸入器物品用の貫通装置を対象とする。貫通装置および吸入器物品は、吸入器システムを形成し得る。
【0005】
貫通装置は、陥凹した貫通要素およびマーキング要素を含む。貫通要素は、吸入器物品が貫通装置の吸入器物品の空洞内に着座した時に、吸入器物品内に含有されるカプセルに穴を貫通または穿孔する。マーキング要素は、ハウジング内表面から吸入器物品空洞内に延在する。マーキング要素は、吸入器装置が吸入器物品空洞内に受容された時に、吸入器装置の外表面をマーキングするように構成される。
【0006】
貫通要素は、吸入器物品が貫通装置内に着座した時に、吸入器物品内に収容されたカプセルに単一の穴を貫通または穿孔する。貫通要素は、吸入器物品が活性化されたというインジケータで吸入器物品をマーキングするように構成されたマーキング要素を含む。吸入器物品は貫通装置から分離され、その後消費者によって利用される。貫通装置は、その後の吸入器物品上で再利用され得る。
【0007】
貫通装置は、ハウジング外面およびハウジング内表面を有するハウジングを含む。ハウジング内表面は、吸入器物品空洞を画定する。ハウジングは、ハウジング長軸方向軸に沿って、遠位端から開放近位端まで、ハウジングの長さで延在する。ハウジングの開放近位端は、吸入器物品の遠位端を吸入器物品空洞内に受容するように構成される。貫通要素は、ハウジング内表面に固定され、ハウジング内表面から吸入器物品空洞内に貫通要素長手方向軸に沿って貫通要素長さに延在する。貫通要素は、開放近位端から後退した距離だけ後退している。マーキング要素は、ハウジング内表面から吸入器物品空洞内に延在する。マーキング要素は、吸入器物品が吸入器物品空洞内に受容された時に、吸入器物品の表面をマーキングするように構成される。
【0008】
貫通装置は、ハウジング外面およびハウジング内表面を有するハウジングを含む。ハウジング内表面は、吸入器物品空洞を画定する。ハウジングは、ハウジング長軸方向軸に沿って、遠位端から開放近位端まで、ハウジングの長さで延在する。ハウジングの開放近位端は、吸入器物品の遠位端を吸入器物品空洞内に受容するように構成される。貫通要素は、ハウジング内表面に固定され、ハウジング内表面から吸入器物品空洞内に貫通要素長手方向軸に沿って貫通要素長さに延在する。貫通要素は、開放近位端から後退した距離だけ後退している。マーキング要素は、ハウジング内表面から吸入器物品空洞内に延在する。マーキング要素は、吸入器物品が吸入器物品空洞内に受容された時に、吸入器物品の表面をマーキングするように構成される。マーキング要素は、貫通要素の長軸方向軸に直角に延在する。
【0009】
有利なことに、吸入器システムは、可動部品を最小化する吸入器システムを提供する。有利なことに、吸入器システムは別個の貫通装置を利用する。これにより、貫通装置が再利用可能であり、吸入器物品が単回使用後に使い捨てできることを可能にし得る。有利なことに、貫通要素は、簡単に交換できるように、貫通装置の本体に取り外し可能に連結される。有利なことに、吸入器システムは、ニコチン粒子を、従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で、肺に提供する。吸入器物品は、従来的な紙巻たばこと同様の形態を有する吸入器物品で、ニコチン粉末を送達する。貫通装置は、単純な製造方法を使用して形成され得る。
【0010】
マーキング要素は、貫通要素長軸方向軸に直角に延在し得る。マーキング要素は、吸入器物品の外表面を機械的にマーキングするように構成され得る。例えば、マーキング要素は、吸入器物品の外表面を擦過、切断、摩耗、刻印、折り畳み、または湾曲するように構成され得る。マーキング要素は、吸入器物品空洞内に受容された時に、吸入器外表面を引っ掻くように構成された鋭端部を有し得る。マーキング要素は、吸入器物品空洞内に受容された時に、吸入器外表面を着色し得る。マーキング要素は、貫通要素が吸入器物品内に配置されたカプセルを貫通する時に、吸入器外表面をマーキングし得る。
【0011】
マーキング要素は、吸入器物品が吸入器物品空洞内に挿入された時に、吸入器物品の外表面をマーキングし得る。マーキング要素は、吸入器物品が吸入器物品空洞内から取り除かれた時に、吸入器物品の外表面をマーキングし得る。マーキング要素は、吸入器物品が吸入器物品空洞内に挿入された時とそこから取り除かれた時の両方に、吸入器物品の外表面をマーキングし得る。
【0012】
マーキング要素によって吸入器物品の外表面の外表面に適用されるマークは、任意の形状を有し得る。マーキング要素によって吸入器物品の外表面の外表面に適用されるマークは、吸入器物品長軸方向軸の長軸方向に概して延在する線であり得る。線は任意の長さを有し得る。
【0013】
有利には、貫通装置は、吸入器物品をマーキングして吸入器物品が活性化されたと示すように構成されたマーキング要素を含む。マークまたは表示は、吸入器物品が活性化されたという視覚的表示を提供し得る。
【0014】
貫通要素が、ハウジング長さの少なくとも約25%の後退した距離だけ開放近位端から後退し得る。貫通装置ハウジングは、開放端から陥凹端まで減少する先細の内径を有し得る。ハウジング内径は、約3%~約13%の範囲、または約5%~約10%の範囲で徐々に細くなり得る。
【0015】
有利なことに、保護された貫通要素を後退させることは、貫通要素の保護および貫通要素からのユーザーの保護を容易にし得る。有利なことに、先細りした内径は、吸入器物品内のカプセルを正確に貫通するために、貫通要素のガイド付きアライメントを提供し得る。先細りした内径は、吸入器物品が貫通物品内に完全に着座または受容された時に、吸入器物品の外表面との信頼できるハードストップまたは締まりばめを提供し得る。円筒形ハウジングの内径を先細りにすることにより、吸入器物品の遠位端に貫通装置を位置付けることを容易にし得る。
【0016】
吸入器物品空洞は閉鎖遠位端を有し得、貫通要素は閉鎖遠位端を貫通し得る。ハウジングの遠位端は、貫通要素空洞を画定し得、ここで、閉鎖遠位端は、貫通要素空洞の基部を画定し、貫通要素空洞は、貫通要素を受容する。吸入器物品は、貫通要素空洞内に貫通要素を保持するように構成された保持要素をさらに含み得る。保持要素は、ハウジングの遠位端の一部分を形成し得、保持要素は、ハウジングに取り外し可能に連結され得る。
【0017】
有利には、貫通要素は、簡単に交換できるように、貫通装置の本体に取り外し可能に連結され得る。
【0018】
本明細書に記載の吸入器システムは、従来的な喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で乾燥粉末を肺に提供し得る。消費者は、各々の「吸煙」が、カプセル空洞内に包含されたカプセルの中に含まれる乾燥粉末の部分量を送達する、複数の吸入もしくは「吸煙」を行い得る。この吸入器物品は、従来の紙巻たばこと類似した形態を有し得、従来の喫煙の決まったやり方を模倣し得る。この吸入器物品は、製造するのが単純で、かつ消費者が使用するのに好都合であり得る。
【0019】
吸入器物品のカプセルの空洞を通した気流管理は、吸入中および消費中にその中に収容されたカプセルまたは容器を回転させ得る。カプセルは、ニコチンを含む粒子(「ニコチン粉末」または「ニコチン粒子」とも呼ばれる)、および随意に、風味を含む粒子(「風味粒子」とも呼ばれる)を含んでもよい。貫通されたカプセルの回転は、貫通されたカプセルから吸入器物品を通して移動する吸入空気中へと放出されたニコチン粒子を懸濁およびエアロゾル化してもよい。風味粒子は、ニコチン粒子よりも大きくてもよく、またニコチン粒子をユーザーの肺に送るのを助け、一方で風味粒子はユーザーの口または口腔に優先的に残る。ニコチン粒子および随意の風味粒子は従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で、吸入器物品で送達されてもよい。
【0020】
「ニコチン」という用語は、ニコチンおよびニコチン誘導体(例えば、遊離塩基ニコチン、ニコチン塩、ならびにこれに類するものなど)を意味する。
【0021】
「風味剤」または「風味」という用語は、その消費中または吸入中にニコチンの味覚特性または芳香特性を変化させる、また変化させるよう意図されている、感覚刺激性の化合物、組成物、または材料を意味する。
【0022】
「近位」および「遠位」という用語は、貫通装置、吸入器物品、またはシステムの構成要素または構成要素の部分の相対的位置を描写するために使用される。本発明によれば、貫通装置または貫通装置を形成する要素(スリーブなど)は、使用時に吸入器物品を受容する近位端と、閉鎖端とし得る、または貫通装置の近位端に近い端を有する、対向する遠位端とを有する。本発明による吸入器物品は、使用時にユーザーに送達するために粒子が吸入器物品を抜け出る近位端と、対向する遠位端とを有する。吸入器物品の近位端はまた、口側の端と呼ばれることもある。
【0023】
本明細書で説明した貫通装置は、カプセルを貫通することによって吸入器物品を起動させるためのカプセルを含有する吸入器物品と組み合わされ得、吸入器物品の表面上にカプセルが活性化されたという印を提供し、カプセル内部に含まれる粒子を放出し、消費者に粒子を送達することを可能にする。貫通装置は吸入器物品から分離している。複数のこれらの吸入器物品は、貫通装置と組み合わせて、キットを形成し得る。単一の貫通要素は、10個以上、25個以上、または50個以上、または100個以上の吸入器物品で利用され、各吸入器物品内に含有されるカプセルを活性化(穿孔または貫通)し、各吸入器物品上に吸入器物品の起動の視覚的表示(マーキング)を提供し得る。
【0024】
吸入器物品は、マウスピース端から遠位端へと長軸方向軸に沿って延在する本体を含む。本体は、マウスピース端と遠位端の間に延在する吸入器長さを有する。本体は吸入器外表面を画定する。カプセル空洞は本体内で画定され、長軸方向軸に沿って延在する。マウスピース空気チャネルは、カプセル空洞からマウスピース端へと延在する。境界要素は、カプセル空洞とマウスピース空気チャネルとの間にある。境界要素は、カプセル空洞をマウスピース空気チャネルと流体連通する開口部を含む。遠位端は、端部キャップまたはエンドピース要素を含み得る。
【0025】
貫通装置はハウジングを含む。ハウジングは、ハウジング外表面およびハウジング内表面を画定する。ハウジング内表面は、吸入器物品空洞を画定する。ハウジング内表面は、円筒形空洞を画定し得る。ハウジングは、ハウジング長軸方向軸に沿って、遠位端から開放近位端まで、ハウジングの長さに延在する。ハウジング開放近位端は、吸入器物品の遠位端を吸入器物品の空洞内に受容するように構成される。
【0026】
貫通要素は、ハウジング内表面内に含有され、かつそこに固定される。貫通要素は、貫通要素長軸方向軸に沿って、固定遠位端から貫通端まで、貫通要素長さに延在する。貫通要素は、開放近位端から後退した距離だけ後退している。
【0027】
マーキング要素は、ハウジング内表面から吸入器物品空洞内に延在する。マーキング要素は、吸入器が吸入器物品空洞内に受容された時に、吸入器装置の外表面をマーキングするように構成される。マーキング要素は、貫通要素が吸入器物品内に収容されたカプセルを貫通するときのみ、吸入器外表面をマーキングするように構成され得、そうして吸入器物品が起動され、ユーザーによって消費され得ることを示す。これはまた、有利には、既に使用された吸入器物品をユーザーが再利用しようと試みることを妨げ得る。
【0028】
マーキング要素は、貫通要素長軸方向軸に直角に延在し得る。マーキング要素は、マーキング要素が吸入器外表面に接触したという視覚的表示を提供するように構成された剛直な材料から形成され得る。マーキング要素は、貫通装置ハウジングに固定され得る。
【0029】
マーキング要素は、貫通装置ハウジングの厚さの少なくとも一部分を貫通し得る。マーキング要素は、少なくともハウジング内表面を越えて吸入器物品空洞内に延在し得る。マーキング要素は、吸入器物品が吸入器物品空洞内に受容される時にマーキング要素が吸入器外表面に接触するように、少なくともハウジング内表面を越えて、マーキング距離に延在し得る。
【0030】
マーキング要素は、その直径よりも大きい長さを有するピン形状を画定し得る。マーキング要素は、螺刻され、ねじに類似し得る。マーキング要素が吸入器物品容器内に延在する距離は、消費者によって変化し得る。例えば、マーキング要素を回転させて、マーキング要素が吸入器物品容器内に延在する距離を変更し得る。有利には、これにより、異なる直径を有する異なる吸入器物品と共にマーキング要素を使用することが可能となる。マーキング要素は、それが貫通する貫通物品ハウジングの厚さよりも大きい長さを有し得る。
【0031】
マーキング要素は、吸入器物品空洞内に受容された時に、吸入器外表面を引っ掻くように構成された鋭端部を有し得る。このマーキング要素は、金属から形成され得る。この鋭利なマーキング要素は、消費者にとって視覚的に明らかな擦傷を形成し得る。吸入器外表面上の視覚的な擦傷は、貫通要素が吸入器物品内に収容されたカプセルを貫通したと示し得、そうして吸入器物品が起動され、ユーザーによって消費され得ることを示す。
【0032】
マーキング要素は、吸入器物品空洞内に受容された時に、吸入器外表面を着色し得る。マーキング要素は、消費者に明らかである視覚的なカラーマーキングを提供するために、グラファイトコア、チョーク、およびインクのうちの少なくとも一つを含み得る。吸入器外表面上の視覚的なカラーマーキングは、貫通要素が吸入器物品内に収容されたカプセルを貫通したと示し得、そうして吸入器物品が起動され、ユーザーによって消費され得ることを示す。
【0033】
貫通要素をハウジング内に後退させることは、貫通要素内に受けられることが意図されていない表面と接触することから貫通要素を保護する。貫通要素をハウジング内に後退させることはまた、貫通要素内に受けられることが意図されていない表面によって損傷または変形することから貫通要素を保護し得る。
【0034】
貫通要素は、開放近位端から任意の適切な後退した距離だけ後退し得る。例えば、貫通要素は、ハウジングの長さの少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、または少なくとも約30%、または少なくとも約35%、または少なくとも約40%の後退した距離で、開放近位端から後退していてもよい。貫通要素は、ハウジング長さの約5%~約50%、または約10%~約40%、または約15%~約40%、または約20%~約40%の範囲の後退した距離だけ、開放近位端から後退し得る。
【0035】
貫通要素長さは、ハウジング長さに対して任意の適切な長さとし得る。例えば、貫通要素長さは、ハウジング長さの約25%~約60%、または約30%~約50%であり得る。貫通要素の遠位端は、ハウジングの遠位端に隣接する遠位端またはその遠位端に固定され得る。貫通要素全長は、ハウジング長さ内で同一の広がりを有し得る。
【0036】
ハウジング内表面は、開放近位端の直径および遠位端の直径を有する。遠位端の直径は、開放近位端の直径より小さくてもよい。ハウジング内表面の直径は、開放近位端の直径から遠位端の直径まで徐々に細くなり得る。ハウジング内表面の直径は、任意の適切な量だけ先細となり得る。例えば、ハウジング内表面の直径は、近位端においてハウジング内径の約3%~約13%、または約5%~約10%の範囲で先細となり得る。
【0037】
貫通要素は、剛直な材料で形成される。剛直な材料は、吸入器物品内に収容されたカプセルを貫通、穿孔、または活性化するのに十分に剛直である。貫通要素は金属で形成され得る。貫通要素は、例えば、316ステンレス鋼などのステンレス鋼で形成され得る。貫通要素は高分子材料で形成され得る。貫通要素は、繊維強化高分子材料で形成され得る。
【0038】
貫通要素を形成するために有用な高分子材料には、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、スチレンアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリスチレン、PBTポリエステル、PETポリエステル、ポリオキシメチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンエーテルケトン(polyethereetherketone)、または液晶ポリマーが含まれる。ポリカーボネートまたは液晶ポリマーは、貫通要素を形成するための好ましい材料である。
【0039】
高分子材料は繊維強化されてもよく、貫通要素全体に繊維分散を形成する複数の繊維を含む。この繊維分散を形成する繊維は、平均長さが約1mm未満、または約0.1mm~約1mmの範囲、および50マイクロメートル未満の平均直径を有し得る。繊維分散を形成する繊維は、例えば、ガラス、炭素、玄武岩、黒鉛、Dupontケブラーブランドのアラミド繊維、セラミック、天然繊維、高分子繊維、および金属から形成され得る。繊維分散を形成する繊維は、ガラス繊維から成ることが好ましい。貫通要素を形成する高分子材料中に存在する場合の繊維分散は、重量で約5%~約60%の範囲、または重量で約10%~約50%、または重量で約20%~約45%、または重量で約30%~約40%の範囲であり得る。繊維強化ポリカーボネートまたは繊維強化液晶ポリマーは、貫通要素を形成するための好ましい材料である。
【0040】
ハウジングは、任意の剛直な材料で形成され得る。ハウジングは、高分子材料で形成され得る。ハウジングを形成するために有用な高分子材料には、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、スチレンアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリスチレン、PBTポリエステル、PETポリエステル、ポリオキシメチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンエーテルケトン(polyethereetherketone)、または液晶ポリマーが含まれる。ポリプロピレン、ポリエチレンまたはその共重合体は、ハウジングを形成するための好ましい材料である。
【0041】
ハウジングを形成する高分子材料は、貫通要素を形成する高分子材料とは異なるタイプの高分子材料であり得る。一例では、ハウジングを形成する高分子材料は、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはそれらの共重合体であってもよく、貫通要素を形成する高分子材料は、繊維強化ポリカーボネート、液晶ポリマー、または繊維強化液晶ポリマーであり得る。
【0042】
貫通要素は、二つ以上の直径を画定し得る。貫通要素は、貫通端に隣接した第一の直径を有してもよく、第二の直径は、固定遠位端に隣接した第一の直径よりも大きい。貫通要素は、貫通端に隣接した第一の長さセグメントおよび固定遠位端に隣接した第二の長さセグメントを有し得る。第一の長さセグメントは、実質的に一定または均一な直径を有し得る。第二の長さセグメントは、実質的に一定または均一な直径を有してもよく、または第二の長さセグメントは、固定遠位端から第一の長さセグメントまで減少する先細りした直径を有し得る。
【0043】
吸入器物品は、吸入器物品外表面と貫通装置ハウジング外表面が同心であるように、貫通装置内に受容され得る。貫通要素長軸方向軸は、吸入器物品が貫通装置内に受容された時に、ハウジング長軸方向軸および吸入器長軸方向軸と同軸であり得る。ハウジング長さの少なくとも約50%または少なくとも約75%は、吸入器物品が貫通装置内に受容された時に、吸入器長さと同一の広がりを有し得る。
【0044】
貫通装置は、挿入成形技術によって形成され得る。貫通要素は、例えば、成形によってまず形成され得、その後、ハウジングは、貫通要素に連結して貫通要素の周りに成形され得る。貫通要素は金属貫通要素であり得、ハウジングは、金属貫通要素をハウジングに固定して金属貫通要素の周りに成形され得る。金属貫通要素は、貫通要素の遠位端に突出部またはくぼみを含み、貫通要素の遠位端の表面積を増大させ、ハウジング成形材料内の固定を改善させ得る。
【0045】
貫通要素は、貫通物品内で取り外し可能かつ交換可能であり得る。吸入器物品空洞は閉鎖遠位端を有し得、貫通要素は閉鎖遠位端を貫通し得る。閉鎖遠位端は、貫通要素を受容して開口部を貫通するようにサイズ設定された開口部を有し得る。
【0046】
閉鎖遠位端は、ハウジングの遠位端に画定される貫通要素空洞の基部を画定し得る。貫通要素空洞は、貫通要素を受容し得る。これらの実施形態では、貫通要素は、貫通要素を貫通要素空洞内に固定するためのカラーを含み得る。保持要素は、貫通要素空洞内に貫通要素を保持するように構成され得る。保持要素は、ハウジングの遠位端の一部分を形成し得、保持要素は、ハウジングに取り外し可能に連結され得る。保持要素は、ハウジングの遠位端から確実に除去されて、貫通要素を交換し得る。貫通要素が貫通要素空洞内に置き換えられると、保持要素は、貫通要素空洞内に貫通要素を維持するように交換され得る。
【0047】
吸入器物品空気チャネルは、吸入器物品の端部キャップまたはエンドピース要素を貫通し、吸入器物品を通して気流を提供し得る。カプセル空洞に気流を供給する空気チャネルは、吸入器本体のカプセル空洞内に渦巻状気流パターンを誘発するように構成され得る。空気チャネル構成は、空気が空気チャネルを通って、そしてカプセル空洞を通って流れるのにつれて、回転気流または渦巻状気流を誘発し得る。吸入器装置を通した気流は、吸入器装置の遠位端で吸入器装置に入り、吸入器装置の長軸方向軸に沿ってマウスピース端へと移動し得る。吸入器装置を通した気流は、吸入器本体の上流に沿って、またはカプセル空洞に沿って吸入器装置に入り、吸入器装置の長軸方向軸に沿ってマウスピース端へと移動し得る。
【0048】
吸入器物品端部キャップまたはエンドピース要素は、端部キャップまたはエンドピース要素長さを貫通する線形貫通チャネルを含み得る。線形貫通チャネルは、端部キャップまたはエンドピース要素の中央軸に沿って延在し得る。線形貫通チャネルは、吸入器本体の長軸方向軸と同軸であり得る。線形貫通チャネルは、貫通要素が線形貫通チャネルを通過できるようにサイズ設定され得る。端部キャップまたはエンドピース要素は、線形貫通チャネルに沿って、または線形貫通チャネル内に配置される再び封じることができる要素を画定し得る。再び封じることができる要素は、線形貫通チャネルを封止し得る。再び封じることができる要素は、貫通要素が再び封じることができる要素内にない時に、線形貫通チャネルに沿った気密シールまたはバリアを形成し得る。線形貫通チャネルは、貫通可能な材料で形成され得る。貫通要素は、再び封じることができる要素を通過してカプセル空洞内のカプセルを穿孔し得る。再び封じることができる要素は、貫通要素が再び封じることができる要素から引き込まれるかまたは取り外されると、再封止し得る。再び封じることができる要素または膜はセプタムまたはセプタム様の要素を含み得る。再び封じることができる要素または膜は、ゴム、シリコーン、ポリマーで共積層化された金属箔、またはラテックスなどの弾性材料、または高密度酢酸セルローストウなどのセルローストウで形成され得る。
【0049】
吸入器本体は、サイズおよび形状が喫煙物品または紙巻たばこに類似し得る。吸入器本体は、吸入器物品の長軸方向軸に沿って延在する細長い本体を有し得る。吸入器本体は、細長い本体の長さに沿って実質的に均一な外径を有し得る。吸入器本体は、細長い本体の長さに沿って均一であってもよい円形断面を有し得る。吸入器本体の外径は約6mm~約10mm、または約7mm~約10mm、または約7mm~約9mm、または約7mm~約8mmの範囲内、または約8mmであり得る。吸入器本体の長さ(長軸方向軸に沿った)は、約40mm~約90mm、または約50mm~約80mm、または約50mm~約70mmの範囲内、または55mmであり得る。
【0050】
カプセル空洞は、カプセル(例えば、長円形状または円形断面を有してもよい)を収容するように構成された円柱状の空間を画定し得る。カプセル空洞は、カプセル空洞長さに沿って実質的に均一な、または均一な直径を有し得る。カプセル空洞は、固定した空洞長さを有し得る。カプセル空洞は長軸方向軸と直交する空洞内径を有し、またカプセルはカプセル外径を有する。カプセル空洞は、長円形カプセルを収容するサイズとし得る。カプセル空洞は、カプセル空洞長さに沿って実質的に円筒状の、または円筒状の断面を有し得る。カプセル空洞は、均一な内径を有し得る。カプセルは、カプセル空洞の内径の約85%~約95%の外径を有し得る。カプセルに対するカプセル空洞の構成は、カプセルの活性化または貫通の間にカプセルの限定的な移動を促進し得る。
【0051】
カプセルに対するカプセル空洞の構成は、カプセルがカプセル空洞の中で安定性を保って回転するのを促進し得る。カプセル長軸方向軸は、吸入中に吸入器本体の長軸方向軸と同軸に安定性を保って回転し得る。
【0052】
安定な回転は、吸入器本体の長軸方向軸がカプセルの回転軸と実質的に平行または同軸であることを意味する。安定な回転は、回転するカプセルの前進の欠如を意味し得る。吸入器本体の長軸方向軸は実質的に、カプセルの回転の軸と同一の広がりを有することが好ましい。カプセルの安定な回転は、消費者による二回以上、または五回以上、または十回以上の「吸煙」または吸入にわたって、カプセルからのニコチン粒子の一部分の均一な混入を提供し得る。
【0053】
カプセルは消費の前に、吸入器物品内に封止され得る。吸入器物品は、封止されたまたは気密の容器または袋の中に収容され得る。吸入器物品は、吸入器物品の一つ以上の空気吸込み口チャネル、または空気出口、もしくはマウスピースを覆うための、一つ以上の剥離可能または取り外し可能な封止層を含み得る。
【0054】
カプセルは、空気が吸入器物品を通して流れる時、その長軸方向軸または中央軸を中心に回転し得る。カプセルは気密材料で形成され得、この気密材料は、吸入器と別個であるか組み合わせられ得る貫通要素によって貫通または穿孔され得る。カプセルは金属材料または高分子材料で形成され得、この材料は汚染物質をカプセルに入れないように機能するが、カプセルの中のニコチン粒子の消費の前に貫通要素によって貫通または穿孔され得る。カプセルは高分子材料で形成され得る。高分子材料はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であり得る。カプセルはサイズ1~サイズ4のカプセル、またはサイズ3のカプセルであり得る。
【0055】
説明した別個の貫通装置は、カプセル空洞内に受容されるカプセルを通して単一の開口部を形成する。貫通装置貫通要素は、端部キャップ上の貫通チャネルを封止する、再び封じることができる要素を通過し得る。
【0056】
カプセルは、ニコチンを含むニコチン粒子(「ニコチン粉末」または「ニコチン粒子」とも呼ばれる)、および随意に、風味を含む粒子(「風味粒子」とも呼ばれる)を含む。カプセルは所定の量のニコチン粒子および随意の風味粒子を包含し得る。カプセルは、少なくとも2回の吸入もしくは「吸煙」、または少なくとも約5回の吸入もしくは「吸煙」、または少なくとも約10回の吸入もしくは「吸煙」を提供するのに十分なニコチン粒子を含有し得る。カプセルは、約5~50回の吸入もしくは「吸煙」、または約10~30回の吸入もしくは「吸煙」を提供するのに十分なニコチン粒子を含み得る。各々の吸入または「吸煙」は、約0.1mg~約3mgのニコチン粒子をユーザーの肺に、または約0.2mg~約2mgのニコチン粒子をユーザーの肺に、または約1mgのニコチン粒子をユーザーの肺に送達し得る。
【0057】
ニコチン粒子は、採用される特定の製剤に基づいてニコチンの任意の有用な濃度を有し得る。ニコチン粒子は、少なくとも約1重量%~最高約30重量%のニコチン、または約2重量%~約25重量%のニコチン、または約3重量%~約20重量%のニコチン、または約4重量%~約15重量%のニコチン、または約5重量%~約13重量%のニコチンを有し得る。各々の吸入もしくは「吸煙」で、約50~約150マイクログラムのニコチンがユーザーの肺に送達され得ることが好ましい。
【0058】
カプセルは、少なくとも約5mgのニコチン粒子、または少なくとも約10mgのニコチン粒子を保持または含有し得る。カプセルは約900mg未満のニコチン粒子、または約300mg未満のニコチン粒子、または150mg未満のニコチン粒子を保持または含有し得る。カプセルは、約5mg~約300mgのニコチン粒子、または約10mg~約200mgのニコチン粒子を保持または含有し得る。
【0059】
カプセルの中で風味粒子がニコチン粒子とブレンドされたまたは組み合わせられた時に、ユーザーに送達される毎回の吸入もしくは「吸煙」に所望の風味を提供する量の風味粒子が存在し得る。
【0060】
ニコチン粒子は、ユーザーの肺の中に優先的に吸入送達するために有用な任意のサイズ分布を有し得る。カプセルはニコチン粒子以外の粒子を含み得る。ニコチン粒子およびその他の粒子は粉末システムを形成し得る。
【0061】
カプセルは、少なくとも約5mgの乾燥粉末(粉末システムとも呼ばれる)または少なくとも約10mgの乾燥粉末を保持または含有し得る。カプセルは、約900mg未満の乾燥粉末、または約300mg未満の乾燥粉末、または約150mg未満の乾燥粉末を保持または含有し得る。カプセルは、約5mg~約300mgの乾燥粉末、または約10mg~約200mgの乾燥粉末を保持または含み得る。
【0062】
乾燥粉末または粉末システムは、約5マイクロメートル以下、または約1マイクロメートル~約5マイクロメートルの範囲内の粒子サイズのニコチン粒子から成る粉末システムの少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有し得る。
【0063】
ニコチンを含む粒子の空気動力学的中央粒子径は、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内、または約1.5マイクロメートル~約2.5マイクロメートルの範囲内であり得る。空気動力学的中央粒子径は、カスケードインパクターで測定することが好ましい。
【0064】
風味を含む粒子は、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル以上、または約50~約200マイクロメートルの範囲内、または約50~約150マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有し得る。空気動力学的中央粒子径は、カスケードインパクターで測定することが好ましい。
【0065】
乾燥粉末は、約60マイクロメートル以下、または約1マイクロメートル~約40マイクロメートルの範囲内、または約1.5マイクロメートル~約25マイクロメートルの範囲内の中央粒子径を有し得る。中央粒子径は質量あたりの中央粒子径を意味し、またレーザー回折、レーザー拡散、または電子顕微鏡によって測定することが好ましい。
【0066】
粉末システム中またはニコチン粒子中のニコチンは、医薬品として許容可能な遊離塩基ニコチン、またはニコチン塩もしくはニコチン塩水和物であり得る。有用なニコチン塩またはニコチン塩水和物には例えば、ピルビン酸ニコチン、クエン酸ニコチン、アスパラギン酸ニコチン、乳酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、サリチル酸ニコチン、フマル酸ニコチン、モノ-ピルビン酸ニコチン、グルタミン酸ニコチン、またはニコチン塩酸塩が挙げられる。ニコチンと結合して塩または塩水和物を形成する化合物は、その予想される薬理学的効果に基づいて選択され得る。
【0067】
ニコチン粒子はアミノ酸を含むことが好ましい。アミノ酸はL-ロイシンなどのロイシンであってもよいことが好ましい。ニコチンを含む粒子にL-ロイシンなどのアミノ酸を提供することは、ニコチンを含む粒子の接着力を低減する場合があり、またニコチン粒子間の引力を低減し、それ故にニコチン粒子の凝集を低減し得る。同様に、風味を含む粒子に対する接着力も低減し得、それ故にニコチン粒子の風味粒子との凝集も低減する。それ故に、本明細書に記載の粉末システムは自由流動材料であり得、またニコチン粒子と風味粒子が組み合わせられる時でも、各々の粉末構成成分の安定した相対的な粒子サイズを有する。
【0068】
ニコチンは表面修飾したニコチン塩であり得ることが好ましく、その場合、ニコチン塩粒子は被覆された粒子または複合粒子を含む。好ましい被覆材料または複合材料はL-ロイシンであり得る。一つの特に有用なニコチン粒子は、L-ロイシンを含む重酒石酸ニコチンであり得る。
【0069】
粉末システムは風味粒子の集団を含み得る。風味粒子は、選択的にユーザーの口または口腔に吸入送達するために有用な任意のサイズ分布を有し得る。
【0070】
粉末システムは、約20マイクロメートル以上の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味粒子の集団の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有し得る。粉末システムは、約50マイクロメートル以上の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味粒子の集団の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有し得る。粉末システムは、約50マイクロメートル~約150マイクロメートルの範囲内の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味粒子の集団の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有し得る。
【0071】
風味を含む粒子は、接着力または表面エネルギーおよび結果としてもたらされる凝集を低減する化合物を含み得る。風味粒子は接着力低減化合物を用いて表面修飾されて、被覆された風味粒子を形成し得る。一つの好ましい接着力低減化合物は、ステアリン酸マグネシウムであり得る。ステアリン酸マグネシウムなどの接着力低減化合物を風味粒子に提供すること、特に風味粒子を被覆することは、風味を含む粒子の接着力を低減し得、また風味粒子の間の引力を低減し、それ故に風味粒子の凝集を低減し得る。それ故に、ニコチン粒子を有する風味粒子の凝集も低減し得る。それ故に、本明細書に記載の粉末システムは、ニコチン粒子と風味粒子が組み合わせられる時でも、ニコチンを含む粒子と風味を含む粒子の安定した相対的な粒子サイズを有し得る。粉末システムは自由流動であり得ることが好ましい。
【0072】
乾燥粉末吸入用の従来的な製剤は、活性粒子が吸入器を通る単純な気流による影響を受けるには小さすぎる場合があるため、活性粒子の流動化を増大するように機能する担体粒子を含有する。粉末システムは担体粒子を含み得る。これらの担体粒子は、約50マイクロメートル超の粒子サイズであり得るラクトースまたはマンニトールなどのサッカリドであり得る。担体粒子は製剤中で希釈剤または膨化剤として作用することによって、用量の均一性を改善するために利用され得る。
【0073】
本明細書に記載のニコチン粉末送達システムとともに利用される粉末システムは、担体を含まなくてもよく、またはラクトースもしくはマンニトールなどのサッカリドを実質的に含まなくてもよい。担体を含まない、またはラクトースもしくはマンニトールなどのサッカリドを実質的に含まないことは、典型的な喫煙方法での吸入量または気流量と類似の吸入量または気流量でニコチンが吸入され、かつユーザーの肺に送達されることを可能にし得る。
【0074】
ニコチン粒子と風味は、単一のカプセル内に組み合わせられ得る。上述の通り、ニコチン粒子および風味はそれぞれ、低減された接着力を有してもよく、それらが安定な粒子製剤をもたらし、この場合ではニコチンを含む粒子と風味含む粒子が組み合わせられた時に各構成要素の粒子サイズは実質的に変化しない。別の方法として、粉末システムは、単一のカプセルの中に含有されたニコチン粒子と、第二のカプセルの中に含有された風味粒子とを含む。
【0075】
ニコチン粒子および風味粒子は、ニコチン粒子とともに消費された時にユーザーが風味粒子を検知するように、任意の有用な相対的な量で組み合わせられ得る。ニコチン粒子および風味粒子は、粉末システムの全重量の少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%、または100重量%を形成することが好ましい。
【0076】
吸入器および吸入器システムは、従来の乾燥粉末吸入器と比較して、より複雑ではなく、また単純化された気流経路を有する。有利なことに、吸入器本体の中のカプセルの回転は、ニコチン粒子または粉末システムをエアロゾル化し、また自由流動粉末の維持を支援し得る。それ故に、吸入器物品は、上述のニコチン粒子を肺に深く送達するために、従来の吸入器によって典型的に利用される高い吸入量を必要としない場合がある。
【0077】
吸入器物品は、約5L/分未満、または約3L/分未満、または約2L/分、または約1.6L/分未満の流量を使用し得る。好ましくは、流量は、約1L/分~約3L/分または約1.5L/分~約2.5L/分の範囲内であり得る。好ましくは、吸入量または流量は、カナダ保健省(Health Canada)の喫煙方法の流量と同様であり、すなわち約1.6L/分であり得る。
【0078】
吸入器システムは、従来の紙巻たばこの喫煙または電子たばこのベイピングのように、消費者によって使用され得る。こうした喫煙またはベイピングは二つの工程によって特徴付けられることができ、第一の工程では、消費者が所望するニコチンの全量を含有する少量が口腔の中に引き出され、それに続く第二の工程では、所望の量のニコチンを含むエアロゾルを含むこの少量が新鮮な空気によってさらに希釈され、肺の中により深く引き出される。どちらの工程も消費者によって制御される。第一の吸入工程中に、消費者は吸入されるニコチンの量を決定し得る。第二の工程中に、消費者は肺の中により深く引き出される第一の量を希釈するための量を決定し得、気道の上皮表面に送達される活性剤の濃度が最大化される。この喫煙のメカニズムは時に、「吸煙-吸入-吐出」と呼ばれる。
【0079】
本明細書で使用されるすべての科学的および技術的な用語は、別途指定のない限り、当業界で一般に使用される意味を有する。本明細書で提供されている定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供されている。
【0080】
「上流」および「下流」という用語は、吸入気流が吸入器の本体を通して遠位端部分からマウスピース部分に引き出される際の吸入気流の方向に関して説明される吸入器の要素の相対的な位置を指す。
【0081】
本明細書で使用される単数形(「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」)は、複数形の対象を有する実施形態を包含するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0082】
本明細書で使用される「または」は概して、「および/または」を含む意味で使用されるが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の一つもしくはすべて、または列挙された要素のうちの任意の二つ以上の組み合わせを意味する。
【0083】
本明細書で使用される「有する、持つ(have)」、「有している、持っている(having)」、「含む(include)」、「含まれる(including)」、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、またはこれに類するものは制約のない意味で使用され、概して「含むが、これに限定されない」を意味する。当然のことながら、「から本質的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、およびこれに類するものは、「含む(comprising)」およびこれに類するものに包摂される。
【0084】
「好ましい」および「好ましくは」という語は特定の状況下で、特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一の状況下または他の状況下で、他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。その上、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲からその他の実施形態を除外することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1は、例示的な吸入器システムの分解斜視図である。
図2は、例示的な吸入器システムの透明斜視図である。
図3は、例示的な貫通装置の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
概略図は必ずしも実寸に比例するものではなく、図示の目的で提示されるものであり、限定するものではない。図面は本開示で説明される一つ以上の態様を描写する。しかしながら、当然のことながら、図面に描写されていないその他の態様も本開示の範囲および趣旨の中に収まる。
【0087】
吸入器システム100は、吸入器物品110および貫通装置150を含む。吸入器物品110は、吸入器外表面を画定する本体112を含む。本体112は、マウスピース端116から遠位端118へと吸入器長軸方向軸に沿って本体長さに延在する。
【0088】
貫通装置150は、ハウジング151を含み、外表面およびハウジング内表面152を画定する。ハウジング内表面152は、吸入器物品空洞157を画定する。ハウジング151は、遠位端155から開放近位端153へとハウジング長軸方向軸に沿ってハウジングの長さに延在する。ハウジング開放近位端153は、吸入器物品110の遠位端118を吸入器物品空洞157の中に受容するように構成される。
【0089】
貫通要素160は、ハウジング151または遠位端155内に含まれ、かつそれらに固定される。貫通要素160は、貫通要素長軸方向軸に沿って、固定遠位端161から貫通端162まで、貫通要素の長さに延在する。貫通要素160は、開放近位端153から後退距離だけ後退している。
【0090】
マーキング要素170は、ハウジング内表面152から吸入器物品空洞157内に延在する。マーキング要素170は、吸入器が吸入器物品空洞157内に受容された時に、吸入器外表面112をマーキングするように構成される。
【0091】
図1は、例示的な吸入器システム100の分解斜視図を示す。図2は、例示的な吸入器システム100の透明斜視図である。吸入器システム100は、吸入器物品110および別個の貫通装置150を含む。吸入器物品110は、貫通装置150内に受容され、吸入器物品110内に配置されるカプセル130を起動または貫通し得る。吸入器物品110は、消費者による使用の前に、貫通装置150から引き出される。
【0092】
吸入器物品110は、長軸方向軸LAに沿って、マウスピース端116から遠位端118に延在する本体112と、本体112内に画定されたカプセル空洞125とを含む。本体112は、約7.5mmの均一な直径および約55mmの長さを有し得る。本体112は、約6.5mmの均一な直径の内径を有し得る。本体112は、約1mmの均一な厚さを有し得る。マウスピース空気チャネル115は、カプセル空洞125からマウスピース端116へと延在する。端部キャップまたは端部要素122は遠位端118の中に配置され、かつカプセル空洞125へと延在する。端部キャップまたは端部要素122は、端部キャップまたは端部要素122に沿って延びる空気チャネル123を含む。空気チャネル123は、カプセル空洞125を通して渦巻き気流を作り出す。端部キャップまたは端部要素122および境界要素120は、カプセル空洞125を区切る。カプセル130はカプセル空洞125の中に配置される。カプセル130はニコチンを含む粒子を含む。端部キャップまたは端部要素122および境界要素120は、カプセル130をカプセル空洞125内に長軸方向に収容するように協働する。カプセル130の回転軸は、長軸方向軸LAと同一の広がりを有し得る。
【0093】
吸入器物品端部キャップまたは端部要素122は、端部キャップまたは端部要素122の長さを通って延びる線形貫通チャネル124を含み得る。線形貫通チャネル124は、吸入器本体112の長軸方向軸LAと同軸であり得る。線形貫通チャネル124は、貫通要素160が線形貫通チャネル124を通過できるようにサイズ設定され得る。端部キャップまたは端部要素122は、線形貫通チャネル124に沿ってまたは線形貫通チャネル内に配置される再び封じることができる要素を含み得る。再び封じることができる要素または膜はセプタムまたはセプタム様の要素を含み得る。再び封じることができる要素または膜は、ゴム、シリコーン、ポリマーで共積層化された金属箔、またはラテックスなどの弾性材料、または高密度酢酸セルローストウなどのセルローストウで形成され得る。
【0094】
図3は、例示的な貫通装置150の断面概略図である。貫通装置150は、ハウジング外表面およびハウジング内表面152を画定するハウジング151を含む。ハウジングは、ハウジング長軸方向軸LA’(図2参照)に沿って、遠位端155から開放近位端153まで延在し、ハウジング長さは約60mmであり得る。遠位端155は、閉鎖端部キャップとして図示される。
【0095】
ハウジング開放近位端153は、吸入器物品110の遠位端118を受容するように構成される。貫通要素160は、ハウジング152または遠位端151内に含まれ、かつそれらに固定される。貫通要素160は、吸入器物品150内で取り外し可能かつ交換可能であり得る。
【0096】
吸入器物品空洞157は閉鎖遠位端154を有し得、貫通要素160は閉鎖遠位端154を貫通し得る。閉鎖遠位端154は、貫通要素160を受容して開口部を貫通するようにサイズ設定された開口部を有し得る。
【0097】
閉鎖遠位端154は、ハウジング151の遠位端155に画定される貫通要素空洞156の基部を画定し得る。貫通要素空洞156は、貫通要素160を受容し得る。貫通要素160は、貫通要素160を貫通要素空洞156内に固定するためのカラー163を含み得る。
【0098】
保持要素180は、貫通要素空洞156内に貫通要素160を保持するように構成され得る。保持要素180は、ハウジング151の遠位端155の一部分を形成し得、保持要素180は、ハウジング151に取り外し可能に連結され得る。
【0099】
吸入器システム100は、吸入器物品110を貫通装置150に、貫通要素160がカプセル130内に延在するまで挿入することにより使用され得る。マーキング要素170は、吸入器外表面112上にマーキングしてカプセル130が活性化または貫通されたことを示す。吸入器物品110は、貫通装置150から引き出され、ユーザーにより使用される。ユーザーは、その後、貫通装置150およびさらに未起動の吸入器物品110を用いて、この方法を繰り返し得る。
図1
図2
図3
【国際調査報告】