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特表2022-523181ハイブリッド成型方法および対応した成型装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】ハイブリッド成型方法および対応した成型装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 26/12 20060101AFI20220414BHJP
   B21D 26/021 20110101ALI20220414BHJP
【FI】
B21D26/12 A
B21D26/021
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547810
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(85)【翻訳文提出日】2021-10-08
(86)【国際出願番号】 FR2020050247
(87)【国際公開番号】W WO2020165538
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】1901446
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518204707
【氏名又は名称】アデエム28 エス.アエール.エル.
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】13-15 Quai Alphonse Le Gallo 92100 Boulogne-Billancourt,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジル・アヴリロー
(72)【発明者】
【氏名】ファブリス・ベゲ
【テーマコード(参考)】
4E137
【Fターム(参考)】
4E137AA15
4E137BA01
4E137BA04
4E137BB01
4E137CA09
4E137CA15
4E137CA18
4E137CA24
4E137DA13
4E137EA02
4E137EA09
4E137HA04
(57)【要約】
材料ブランクを成型するためのハイブリッド方法であって、変形される材料ブランク(2)は、ダイ(6)とブランクホルダ(4)との間に配置されており、材料ブランク(2)は、予備打ち抜きされた材料ブランク(2)を得るために、少なくとも1つのパンチ(26、32)を使用して打ち抜かれることにより変形され、キャビティが液体により満たされ、キャビティ内には、一方では予備打ち抜きされた材料ブランク(2)を備えた少なくとも1つのパンチ(26、32)が、および他方では少なくとも一対の電極(36)が配置されており、予備打ち抜きされた材料ブランク(2)は、キャビティの液体と接触して載置されており、少なくとも一度の放電が、少なくとも一対の電極(36)の間において生じ、これにより予備打ち抜きされた材料ブランク(2)を前記ダイ(6)に対して変形させる、ハイブリッド方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料ブランクを成型するためのハイブリッド方法であって、
変形される材料ブランク(2)は、ダイ(6)とブランクホルダ(4)との間に配置されており、
前記材料ブランク(2)は、予備打ち抜きされた材料ブランク(2)を得るために、少なくとも1つのパンチ(26、32)を使用して打ち抜くことにより変形されており、
キャビティが液体により満たされ、前記キャビティ内には、一方では予備打ち抜きされた前記材料ブランク(2)を備えた少なくとも1つの前記パンチ(26、32)が、および他方では少なくとも一対の電極(36)が配置されており、
予備打ち抜きされた前記材料ブランク(2)は、前記キャビティの液体と接触して載置されており、
少なくとも一度の放電が、少なくとも一対の電極(36)の間において生じ、これにより予備打ち抜きされた前記材料ブランク(2)を前記ダイ(6)に対して変形させる、ハイブリッド方法。
【請求項2】
各パンチ(26、32)の前記ダイ(6)に対する相対移動は、前記材料ブランクが前記パンチにより圧迫された場合に、前記材料ブランク(2)が前記ダイ(6)と接触しないように制限されている、請求項1に記載のハイブリッド方法。
【請求項3】
少なくとも1つの前記パンチ(26、32)の前記ダイ(6)に対する相対移動は、前記材料ブランクが少なくとも1つの前記パンチにより圧迫された場合に、前記材料ブランク(2)が前記ダイ(6)と接触するようにされている、請求項1に記載のハイブリッド方法。
【請求項4】
前記材料ブランク(2)と接触した前記液体が加圧された際に、予備打ち抜きされた前記材料ブランク(2)を変形させるステップをさらに含んでいる、請求項1から3のいずれか一項に記載のハイブリッド方法。
【請求項5】
前記材料ブランク(2)と前記ダイ(6)との間に真空が形成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のハイブリッド方法。
【請求項6】
少なくとも1つの前記パンチ(26、32)は、少なくとも一度の放電が実行された後に、前記ダイ(6)から離れるようにのみ移動させられる、請求項1から5のいずれか一項に記載のハイブリッド方法。
【請求項7】
材料ブランクのハイブリッド成型装置であって、
ブランクホルダ(4)と協働するダイ(6)であって、該ダイ(6)は、材料ブランク(2)が前記ダイ(6)と前記ブランクホルダ(4)との間に配置され、およびそこから取り出されることが可能とされた、所謂開位置と、前記ブランクホルダ(4)が前記ダイ(6)と協働して、変形される材料ブランク(2)の端縁、好適に端縁全体を制御された様式において保持する、いわゆる閉位置と、の間を前記ブランクホルダ(4)に対して移動可能とされた、ダイ(6)と、
液体で満たされることが可能なキャビティを形成したタンク(10)と、
前記キャビティ内に配置された少なくとも2つの電極(36)と、
を備え、
前記タンク(10)は少なくとも1つの可動パンチ(26、32)を含み、該パンチは、該パンチの自由端が前記ダイ(6)から所定の距離にある、所謂遠位位置と、前記パンチの自由端が、前記遠位位置における距離よりも短い距離であるような、前記ダイ(6)から所定の距離にある、所謂近位位置と、の間を、前記閉位置において前記ブランクホルダ(4)および前記ダイ(6)により形成されたアセンブリに対して移動可能である、ハイブリッド成型装置。
【請求項8】
前記ブランクホルダ(4)および前記ダイ(6)により形成されたアセンブリは、前記閉位置において、静止したままである前記タンク(10)に対して移動可能である、請求項7に記載のハイブリッド成型装置。
【請求項9】
前記タンク(10)は底部(24)および周壁(26)を備え、該周壁(26)の自由縁部はパンチを形成している、請求項7または8に記載のハイブリッド成型装置。
【請求項10】
前記タンク(10)は底部(24)および周壁(26)を備え、
少なくとも1つのパンチは、前記タンク(10)を少なくとも2つの区画(34)に分割することにより前記タンク(10)を通じて延びた壁(30)の自由端に形成されており、少なくとも一対の前記電極(36)は、2つの前記区画(34)の各々に配置されている、請求項7から9のいずれか一項に記載のハイブリッド成型装置。
【請求項11】
前記ブランクホルダ(4)は垂直ステイ(8)に取り付けられており、前記ダイ(6)は、前記ステイ(8)とは反対側において、前記ブランクホルダ(4)に対して並進移動可能に装着されており、前記タンク(10)は底部および周壁(26)を備え、前記タンク(10)は固定して装着され、一方で前記ステイ(8)は前記タンク(10)に対して摺動する、請求項7から10のいずれか一項に記載のハイブリッド成型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを成型するためのハイブリッド方法および対応した成型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートを成型して、シートに多少なりとも複雑な形状を与えるための方法は、多数存在している。シートは、例えば曲げられ、丸められ、打ち抜かれる等が可能である。本発明は、ここでは既知の方法の組み合わせを使用した、シートから複雑な形状の部品を形成することに関する。
【0003】
シートを変形させる方法として、動圧を加えることにより型に対してシートを変形させる電気水圧成型が知られている。この目的のために、例えば水のような液体により満たされたキャビティ内の少なくとも2つの電極間において、放電が生じる。そのとき、2つの電極間に、液体の高温度勾配および気化を含んだ電気アークが形成される。一般的に「衝撃波」として知られた圧力波も高速で移動し、型に対してシートを押し付ける。電気水圧成型は、他の成型方法と比較して特に有利であり、それは、この方法が、弾性的復元を減少させ、成型される部品の破壊の前に、強化されたエッチングタイプの詳細、および/または正方形端縁、ならびに/もしくは延びを得ることを可能にしているためである。
【0004】
いくつかの場合、特に成形される部品が特別に深い場合、複数の連続的な放電が、実行されることが可能である。必要とされる連続的な放電回数を減少し、ひいては部品の成型回数を制限するために、部品の電気水圧成型の前に水圧予備成型段階を実行することが提案された。この目的のために、キャビティは例えば特許文献1のように前述の加圧された液体により満たされている。液体の圧力が十分である場合に、シートは型に対して部分的に変形される。次に放電が生じ、衝撃波を誘起して、所望の形状に到達するまで部品の成型を達成する。
【0005】
準静的な圧力を加えることにより部品を予備成型することは、型内のシートの降下を促進することを可能にしており、したがって、電気水圧成型により実行される材料の変形を減少させ、したがって、2度の放電の間の高電圧パルス発生器の再充電に必要な場合に、成型時間を減少させるか、または放電の間で発生器が再充電するために待つ必要なく、連続的な放電を実行しようとする場合に、発生器のサイズを減少させなければならない。
【0006】
しかしながら、これらの方法により、垂直壁、すなわちシートの変形前のシートの面に直交して延びた壁を備えた部品を製造することは困難である。そのような垂直壁の製造を可能にするために、非常に高い圧力が使用されるべきである。
【0007】
特許文献2は、電気水圧成型チャンバを含み得る水圧機械成型工具に関し、このチャンバ内において、型内で製造されることが可能な詳細のレベルを改良するために、電極により放電が誘発されることが可能である。
【0008】
特許文献3は、特にモータ本体部品を製造するための、塑性変形可能なシートの水圧機械変形のための方法および装置に関し、シートは成型工具と液体バッファとの間に配置され、液体バッファ内に生じた静圧の効果の下で、シートは成型工具に対して圧迫される。静圧を加えると同時に、液体バッファ内に配置された衝撃波発生器が起動され、シートのゾーンに向かって配向された増大された圧力を局所的に生じさせる。
【0009】
特許文献4は、その一部として、電気水圧成型装置によりシートを電気水圧成型するためのシステムを示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7,802,457号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0088442号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10019594号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2012/0103045号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、電気水圧成型を使用して、容易に垂直壁を製造することを可能にする方法および対応した装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明は、材料ブランクを成型するためのハイブリッド方法を提案しており、この方法では、
変形される材料ブランクは、ダイとブランクホルダとの間に配置され、
材料ブランクは、予備打ち抜きされた材料ブランクを得るために、少なくとも1つのパンチを使用して打ち抜かれることにより、変形される。
【0013】
本発明によれば、以下のステップも提供されている。
キャビティが液体により満たされ、キャビティ内には、一方では少なくとも1つのパンチが、および他方では少なくとも一対の電極が配置されている。
予備打ち抜きされた材料ブランクは、キャビティの液体と接触して載置されている。
少なくとも一度の放電が、少なくとも一対の電極の間において生じ、これにより材料ブランクをダイに対して変形させる。
【0014】
この方法は、ダイへの材料の降下を促進し、一方でパンチを使用していわゆる垂直壁を作成する可能性を提供することを可能にしており、電気水圧成型おかげで部品の高品質な仕上げも実現している。
【0015】
第1の代替的な実施形態によれば、各パンチのダイに対する相対移動は、材料ブランクがパンチにより圧迫された場合に、材料ブランクがダイと接触しないように制限されている。
【0016】
さらなる代替的な実施形態によれば、少なくとも1つのパンチのダイに対する相対移動は、材料ブランクが少なくとも1つのパンチにより圧迫された場合に、材料ブランクがダイと接触するようにされている。
【0017】
製造された部品の仕上げ品質をさらに良くし、パンチの手動による再加工を制限することにより工具の調節を容易にするために、前述のハイブリッド方法は、材料ブランクと接触した液体が加圧されて、予備打ち抜きされた材料ブランクを変形させるステップをさらに含むことが可能である。水圧成型ステップが次に実行され、このステップは、パンチによる変形の後且つ電気水圧成型の前に好適に実行される。
【0018】
材料ブランクとダイとの間にとどまった残留空気により妨害されないために、材料ブランクとダイとの間に陰圧を生じさせることが、有利に構成可能である。
【0019】
放電により形成される衝撃波を集中させるために、電気水圧成型の際に、パンチと材料ブランクとを比較的近接させることが好的であることが観察された。したがって、少なくとも一度の放電を実行した後に、少なくとも1つのパンチをダイから離すように移動させることのみが好適に準備されている。
【0020】
本発明は、前述のハイブリッド成型方法を実行するための装置も提案している。したがって、材料ブランクハイブリッド成型装置は、
ブランクホルダと協働するダイであって、ダイは、材料ブランクがダイとブランクホルダとの間に配置され、およびそこから取り出されることが可能とされた、所謂開位置と、ブランクホルダがダイと協働して、変形される材料ブランクの端縁全体を制御された様式において保持する、いわゆる閉位置と、の間をブランクホルダに対して移動可能とされた、ダイと、
液体で満たされることが可能なキャビティを形成したタンクと、
キャビティ内に配置された少なくとも2つの電極と、
を備え、
タンクは少なくとも1つの可動パンチを含み、パンチは、パンチの自由端がダイから所定の距離にある、所謂遠位位置と、パンチの自由端が、遠位位置における距離よりも短い距離であるような、ダイから所定の距離にある、所謂近位位置と、の間を、閉位置においてブランクホルダおよびダイにより形成されたアセンブリに対して移動可能である。
【0021】
この構造において、ダイは、変形されるシートの最終形状を形成することを可能にしている。パンチはキャビティ内に配置されて、シートと接触してシートを変形させることにより、ダイの方向にシートを変形させるように構成されている。
【0022】
そのようなハイブリッド成型装置の代替的な好適な実施形態においては、ブランクホルダおよびダイにより形成されたアセンブリは、閉位置において、静止したままのタンクに対して移動可能である。
【0023】
このハイブリッド成型装置においては、タンクは底部および周壁を備え、周壁の自由縁部はパンチを形成するように構成されている。ここで、タンクおよび少なくとも1つのパンチは、好適に単一の部品である。
【0024】
タンクが底部および周壁を備えている場合、少なくとも1つのパンチが、タンクを少なくとも2つの区画に分割することによりタンクを通じて延びた壁の自由端に形成され、少なくとも一対の電極が、2つの区画の各々に配置されるように構成されることが可能である。
【0025】
前述の装置の好適な代替的実施形態は、ブランクホルダが垂直ステイに取り付けられ、ダイが、ステイとは反対側において、ブランクホルダに対して並進移動可能に装着され、タンクが底部および周壁を含み、タンクが固定的に装着され、一方でステイがタンクに対して摺動することを提供している。これらのステイは、例えば油圧バッファ上に装着されることが可能である。これらのステイは、例えばガススプリング、油圧シリンダ、またはそれらに類似したものにより形成されることも可能である。
【0026】
本発明の詳細および利点は、添付の概略図を参照して、以下の説明からより明確に明かされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】シートを成型するためのハイブリッド方法の第1のステップを示した図であり、方法は、ハイブリッド成型装置と共に実行される。
図2】シートを成型するためのハイブリッド方法の第2のステップを示した図であり、方法は、ハイブリッド成型装置と共に実行される。
図3】シートを成型するためのハイブリッド方法の第3のステップを示した図であり、方法は、ハイブリッド成型装置と共に実行される。
図4】シートを成型するためのハイブリッド方法の第4のステップを示した図であり、方法は、ハイブリッド成型装置と共に実行される。
図5】シートを成型するためのハイブリッド方法の第5のステップを示した図であり、方法は、ハイブリッド成型装置と共に実行される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図およびこれ以降の記載は、原則的に特定の性質の要素を含んでいる。したがって、それらは本発明をより良好に説明することに寄与するだけでなく、該当する場合、その定義にも寄与することが可能である。
【0029】
図1は、垂直面を通じた長手方向断面における、材料ブランクを成型するための装置を示している。これ以降の記載において、変形される材料ブランクはシート2であり、鋼もしくは鋼基合金製であるか、または別の金属もしくは金属合金製であると前提される。初期的に(図1)、このシート2は所与の形状、例えば図1に示されたような平坦な形状である。例えばキャップ形状シートも予想され得る。
【0030】
変形させられるシート2は、ここではブランクホルダ4とダイ6との間に配置されている。ブランクホルダ4は、水平である前提の地面に載置された底部フレームに形成されたハウジング内にガイドされたステイ8により支持されており、地面にはタンク10が固定して取り付けられている。
【0031】
これ以降の記載においては、ステイ8は垂直に延びて、ブランクホルダ4を支持しており、したがってブランクホルダはステイ8上に配置されていることが前提とされている。このように、トップダウン配向が決定されている。このことは、本記載の残りの部分全体を通して維持される。
【0032】
ブランクホルダ4は、ここではシート2の下に配置されている。ブランクホルダは、ダイ6に且つ第1の変形(これ以降に記載されたオプション的な予備成型操作)後にシート2に与えられる形状に合致した、上縁14を備えた環状部から成る。
【0033】
上縁14の周囲において、ブランクホルダ4は補正装置18を支持することに寄与した周リム16を備え、ダイ6およびブランクホルダ4によりシート2に加えられるクランプ力を制御するために、補正装置はダイ6と協働することを意図されている。
【0034】
図に示された好適な実施形態においては、ブランクホルダ4は、タンク10の形状に適合された、垂直軸の断面を有する円筒表面20を有する。これ以降に説明されたように、この円筒表面20は、ブランクホルダ4とタンク10との間のシールを形成することを可能にしている。
【0035】
ブランクホルダ4は、ステイ8上に位置したボトムベース22をさらに備えている。ステイ8はブランクホルダ4を支持するために使用されている。ステイは、タンク10に対してブランクホルダ4を案内することも補助し得る。これらのステイは、例えばガススプリングまたは油圧シリンダとすることが可能である。それらは油圧バッファ上に装着されたロッドから成る。ブランクホルダ4、ダイ6、およびこれら2つの要素の間にクランプされたシート2により形成されたアセンブリを、タンク10に対する並進において案内するために、簡略化の目的により図示されていない外部案内手段が好適に設けられている。
【0036】
ダイ6は装置の主部品であり、変形後のシート2の最終形状を決定する。ダイ6の底面、すなわちブランクホルダ4に向いた面は、変形後のシート2の最終形状を与えることを意図されている。成型方法において、シート2はダイ6に対して、より具体的にはダイ6の底面に対して圧迫され、その形状に塑性変形して成型される。
【0037】
ダイ6の底面は、一方ではブランクホルダ4に、他方ではタンク10に面して配置されたダイ6の面に対応しており、ブランクホルダ4の上縁14の反対側に配置された環状領域も含んでいる。シート2の端縁は、成型方法の際にブランクホルダ4の上縁とダイ6の底面の前述の環状領域との間に保持される。
【0038】
図示された実施形態においては、タンク10は静止しており、ダイ6は垂直並進動作において移動可能であり、これにより初期的に静止したままであることを意図されたブランクホルダ4に向かって、またはブランクホルダ4から離れるように移動することが可能であると考えられる。ブランクホルダ4は静止したままであり、ダイ6は、第1の位置、またはブランクホルダ4とダイ6との間の自由空間が、変形前のシート2を挿入もしくは除去するために十分である開位置と、第2の位置、またはその環状領域とブランクホルダ4の上縁14との間に、変形されるシート2の周縁を把持した閉位置と、の間を移動する。補正装置18は、シート2の厚さに調整値を加えたまたは減じた厚さに対応した、ダイ6とブランクホルダ4との間の一定の間隔を提供する。
【0039】
簡素化の目的のために、ダイ6を移動させるために使用される手段は図示されていない。そのような手段は、例えば従来の打抜きの技術において当業者に知られている。
【0040】
この好適な実施形態においては、タンク10はここでは、液体(好適に水)を貯蔵するための受容機能、およびパンチ機能の二重の機能を実行する。これ以降、「タンク」と称されるが、「パンチ」とも称され得る。代替的に、これら2つの機能は分離されて、例えば別個のパンチがタンクに対応し得る。このタンク10は、図示された実施形態においては、ベースプレート24を備え、このプレートから周壁26が延びている。ベースプレート24は、タンク10の底部を形成している。
【0041】
周壁26は垂直に延びて、(略水平に延びた)ベースプレート24と共に、液体(一般的に水)により満たされることが可能なキャビティを形成している。周壁26の外側面は、ブランクホルダの円筒表面20と協働して、周壁26の周りのブランクホルダ4の垂直並進移動の際に、例えばシール28を使用して密着性を提供している。特別な手段、例えば図示されていないガイドコラムは、ブランクホルダ4のタンク10に対する並進移動の際に、好適に案内を提供する。円筒表面20はタンク10により形成されたキャビティの上縁を形成し、これによりブランクホルダ4のタンク10に対する相対位置にしたがって、このキャビティを引き延ばすことが可能であることが理解される。
【0042】
図示された実施形態においては、前述のタンク10の上部は、少なくとも部分的にパンチの上面を形成している。第1に、周壁26の(ベースプレート24の反対側の)自由端は、シート2に適用されることを求められた変形に合致した形状の輪郭を有する。したがって、この自由端は、突起部および/または中空部を含むことが可能である。次に、略垂直な壁30は、周壁26内においてタンク10内に配置されている。この壁30はベースプレート24を起点として、ダイ6に向かって垂直に延びている。壁30の自由端は、シート2に与えられる形状にしたがって機械加工されたヘッド32を形成している。
【0043】
壁30は、タンクの内部キャビティを区画34に好適に分割している。区画は互いに対して密とすることが可能であるが、それらの間に連通(通路)が設けられることが可能である。
【0044】
明らかに、シート2に与えられる最終形状にしたがって、複数の壁30がタンク内に設けられることが可能である。それらは互いに対して平行であり、直交してまたは任意の角度で交差しており、より一般的には直線、湾曲、波形等の任意の形状とされることが可能である。
【0045】
各区画34内、または控えめに言っても、少なくともそのいくつかにおいて、一対の電極36が配置され、例えばベースプレート24を通じて電力供給されている(接続および絶縁体は図示されていない)。
【0046】
DH停止部38の存在が図に見られており、それはすなわちダイハイト停止部であり、当業者に知られた方法において、ダイ6(ならびにブランクホルダ、およびダイの動作の際にダイ6により作動されるシート2から形成されたアセンブリ)の移動の端部を精密に制限する。DH停止部は静止面上に配置されており、その面は、ここでは例えば周壁26の周りのタンク10を支持した底部フレームの上面であり、このベースプレート24とダイ6の底面との間に配置されている。これらの停止部は、ブランクホルダ4のボトムベース22とも協働し得る。
【0047】
図1は、成型方法の第1のステップに対応した位置にあるハイブリッド成型装置を示している。この位置において、ダイ6は開位置、すなわちブランクホルダ4から(およびパンチ26、32を含んだタンク10から)最も遠い位置にある。前述のように、ブランクホルダ4およびダイ6は、そのとき互いに極めて離間されており、特にそれらの間にシート2の挿入を可能にしている。図1はこのシート2の配置を示しており、この配置は、この図1の左の矢印40により示唆されている。
【0048】
図1の位置において、ブランクホルダ4は高位置にあり、すなわちこの位置において、シート2を支持したブランクホルダ4は、パンチを形成したタンク10の上部がシート2と接触することが不可能である。水は、すでにタンク10の区画34内に存在可能である。ダイ6は、シート2の上に配置されている。
【0049】
図2は、続きのステップを示している。図1に対して、ダイ6は矢印42により示唆されたように下降されている。シート2の周縁は、ダイ6の環状領域とブランクホルダ4の上縁との間に把持されている。ダイ6とブランクホルダ4との間のクランプ力は補正装置18により設定されており、この装置は、ブランクホルダ4の周リム16とダイ6の縁部との間に配置されている(各ステイ8のレベルにおいて実行されることが可能な力の補正も考慮する)。図示された方法においては、シート2の変形は、このステップの際には与えられていない。一方ではシート2と第6との間の、他方ではシート2とブランクホルダ4との間の接触領域は、好適に平行である。
【0050】
代替的に、ダイ6によるシート2のクランプは、例えばシートの端縁を湾曲させる、および/またはその端縁を成型する等の、シート2の第1の予備成型を実行するために使用され得る。したがって、シート2の最初の変形を(追加で)誘発することが可能である。ブランクホルダ4上におけるダイ6のクランプは、シート2とブランクホルダ4との間の水密性を確実にすることをさらに可能にしている。周ロッドも、ダイ6とブランクホルダ4との間のシート2に追加で形成され、シート2とブランクホルダ4との間の密着性を完成させることを確実にすることが可能である。エラストマシールも、この密着機能を実現させる。
【0051】
そのとき、水は、タンク10の内側、シート2、ブランクホルダ4の円筒表面、およびシール28により区切られた全空間を満たしている。水で満たす目的は、液体が追加で予備成型されたシート2と接触するように、キャビティを満たすことである。そのことは、例えばシート2の下に位置した空気を吸引することにより実行されることが可能である。シート2の上の空気の同時の吸引も、シート2の両側にほぼ同じ圧力を維持することで実行される。シート2とダイ6との間の空気の吸引は、この空間内に位置した空気がシート2の変形を妨げることを防止するための変形方法の間、好適に維持される。代替的に、そのことは、水が空洞内を上昇するときに、ブランクホルダ4の高位置にある排出穴を通じて空気を排出するように構成することができる。この段階の間、シートが凹形状である場合、加圧空気が使用されて、シートの凹形状を維持し、これによりその下の気泡を制限する。ブランクホルダ4は、この充填の間、図1の位置と同じ位置に留まる。
【0052】
続いて(図3)、ダイ6はタンク10に向かって下降し続け、タンク10に対するブランクホルダ4の、矢印44の下降を含んでいる。タンク10により形成されたパンチ、より具体的には周壁26およびヘッド32の上周縁は、次いでシート2と接触し、引き延ばすことによりシートを塑性的に変形させる。この動作の際、パンチは、シート2をダイ6に向かって圧迫する力を加える。ブランクホルダ4とダイ6との間に保持されたシート2は、パンチとダイ6との間に配置されている。パンチおよび/またはタンク10は、ダイ6と協働する雄部品として作用し、ダイ6は雌部品であり、ここでは筐体を備え、タンク10の上部により形成されたパンチを受容する。補正装置18は、ここではシート2の端縁における張力を調整し、必要であれば、シート2からシステムの内側に向かった材料の動作を許容する。
【0053】
シート2の第2の変形ステップ(前述の追加の予備成型が第1の変形ステップ)は、ここで実行される。それは、ここでは打ち抜きステップから成る。この変形ステップの際、シート2がその中央領域、すなわち周壁26の内側を向いて配置された領域内においてダイ6に接触しないことを確実にすることが好適に要求されるが、義務的ではない。しかしながら、ある場合において、シート2の「完全な」変形は、この打抜き作業の際に、所定の位置において提供されることが可能である。このことは、シート2の全面を「覆う」ための電極を設けなければならないことを回避することを可能にしている。
【0054】
図4は、ハイブリッド成型方法の有利ではあるが随意的なステップを示している。ここでは、シート2の準静的水圧成型のステップを有することを提案しており、このステップの際に、このシート2は再度ダイ6に接近し、それらの間において局所的に接触を形成することが可能である。シート2のこの変形は、例えばダイ6に作用する(矢印42)ことにより、タンク10内にある水を加圧することにより得られる。したがって、シート2は、タンク10の上部により形成されたパンチから少なくとも局所的に離間され、ダイ6と、パンチを形成したヘッド32および周壁26の上縁と、の間の中間位置をとる。
【0055】
当業者は、添付図が概略的であり且つ単なる実例であることをすでに理解しているだろう。変形および詳細は、原寸に比例していない。
【0056】
図5は、シート2を成型するための方法の続きのステップを示している。電気水圧成型が、ここでは概略的に示されている。放電チャンバがここでは形成され、全体的に水で満たされている。それは、タンク内側のキャビティを備え、変形されたシート2を越えて、およびタンクとブランクホルダ4との間に形成されたシールまで延びている。その放電チャンバ内に配置された一対の電極36は、そのときコンデンサ放電からの強い電流により電力供給される。既知の方法において、この放電はタンク10内に収容された液体(水)中に生じ、シート2に接触して(タンク10内を十分な水が満たし、これにより水が、この電気水圧成型ステップのためにシート2に実際に接触することが重要である。)、爆発が、シート2に向かって伝播する衝撃波を生成する。壁30および周壁26は衝撃波を案内し、ひいてはシート2のダイ6に対する十分な変形を可能にするように作用する。
【0057】
この方法においては、一対の電極36の単一の放電は、電気水圧成型ステップの前のシート2の前段階の変形のおかげで、求められた変形を得るために、通常は十分である。
【0058】
型の開放および図1に示されたその位置へのタンクの再下降を伴った、シート2から形成された部品を取り出すことに関連した最終ステップは、図示されていない。
【0059】
したがって、ここに記載された方法は、単一の電気水圧成型ステップが必要とされるので、部品を製造するためのサイクルタイムを減少させることを可能にしている。ストレッチドローイングおよび随意的に水圧成型作業は、実質的にマスクされた時間で実行される。
【0060】
ここに記載された方法の大きな利点は、変形後のシートが、(加工の終了時においてダイ6から形成されたシートを分離することを可能にするクリアランス角の範囲内で)垂直壁を備えることが可能であり、換言すると、シートを変形することにより得られた部品が、変形前のシートの配向に略直交し延びた面を備えることが可能であることである。図中に示された例においては、シートは初期的に水平面内にある。変形後、部品は(システムから部品を取り出す前に)準垂直面を備えることが可能である。
【0061】
ここに提案された成型方法およびハイブリッド成型装置は、準垂直壁を備えた部品を、サイクルタイムを減少して、電気水圧成型により得ることを可能にしている。したがって、そのような部品の原価を制限することが可能である。
【0062】
代替的な実施形態によれば、タンク内の壁(パンチ)は、例えばハニカム型細胞構造を形成し得る。
【0063】
図示された実施形態においては、タンクの周壁は、打ち抜きによりシートを変形させることを目的としたパンチの一部であることが示されている。これは明らかに、シートに与えられるべき求められた形状に依存する。タンクの周壁は、必ずしもパンチの一部ではない。例えば図3に示されたように、ブランクホルダがタンクの周壁の上縁と同一平面となるようにされ得る。
【0064】
図示された装置においては、タンクが静止していることが想定されている。これは好適な実施形態であるが、静止したダイを備えることも可能である。重要な、システムの多様な構成要素間の相対動作であることが、当業者には理解される。
【0065】
本発明は、記載および図示された異なる実施形態、ならびに言及された代替の実施形態に限定されるものではなく、以下の請求項の範囲内で当業者に把握される実施形態にも関係する。
【符号の説明】
【0066】
2 ・・・シート
4 ・・・ブランクホルダ
6 ・・・ダイ
8 ・・・ステイ
10 ・・・タンク
14 ・・・上縁
16 ・・・周リム
18 ・・・補正装置
20 ・・・円筒表面
22 ・・・ボトムベース
24 ・・・ベースプレート
26 ・・・周壁
28 ・・・シール
30 ・・・壁
32 ・・・ヘッド
34 ・・・区画
36 ・・・電極
38 ・・・DH停止部
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】