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特表2022-523200活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤とコンジュゲートされた活性化可能な抗体の組み合わせ療法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤とコンジュゲートされた活性化可能な抗体の組み合わせ療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20220414BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220414BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220414BHJP
   A61K 38/05 20060101ALI20220414BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20220414BHJP
   A61K 31/5365 20060101ALI20220414BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20220414BHJP
【FI】
A61K39/395 U
A61P35/00
A61K39/395 T
A61P37/04
A61K39/395 L
A61K38/05
A61K31/407
A61K31/5365
A61K47/68 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549538
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(85)【翻訳文提出日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 US2020019978
(87)【国際公開番号】W WO2020176672
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】62/825,228
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/810,698
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520011599
【氏名又は名称】シートムエックス セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ル スコラン,エルワン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ティファニー
(72)【発明者】
【氏名】クリム,マイケル,エー.
(72)【発明者】
【氏名】ガーナー,ウィル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB11
4C076CC27
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF67
4C076FF68
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA14
4C084DA27
4C084NA05
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB02
4C084ZB05
4C084ZB09
4C084ZB26
4C084ZC75
4C085AA14
4C085AA26
4C085AA27
4C085BB01
4C085BB11
4C085BB17
4C085BB18
4C085CC21
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB03
4C086CB22
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZB02
4C086ZB05
4C086ZB09
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
活性化されたときにCD166に特異的に結合するコンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体と活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤を組み合わせる治療法に関連する組成物及び方法が、本明細書で提供される。活性化されたときに、哺乳動物PD-1又は哺乳動物PD-L1である免疫チェックポイントに特異的に結合する、活性化可能な抗免疫チェックポイント抗体とコンジュゲートされた活性化可能な抗体を組み合わせる治療法に関連する組成物及び方法も、本明細書で提供される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において癌を治療する、癌の症状を緩和する、又は癌の進行を遅らせる方法であって、
(a)コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体を前記対象に投与すること;及び
(b)活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤を前記対象に投与すること、
を含み、
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体が、
(i)前記哺乳動物CD166に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB1)と、前記活性化可能な抗CD166抗体が非切断状態にあるときに前記哺乳動物CD166への前記AB1の結合を阻害するマスキング部分(MM1)と、前記AB1に共役された切断可能な部分(CM1)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである、CM1を含む活性化可能な抗CD166抗体、かつ
(ii)前記活性化可能な抗CD166抗体にコンジュゲートされた毒素又はその毒素断片
を含む、方法。
【請求項2】
前記AB1が、VH CDR1アミノ酸配列GFSLSTYGMGVG(配列番号1);VH CDR2アミノ酸配列NIWWSEDKH(配列番号2);VH CDR3アミノ酸配列IDYGNDYAFTY(配列番号3);VL CDR1アミノ酸配列RSSKSLLHSNGITYLY(配列番号4)又はRSSQSLLHSNGITYLY(配列番号5);VL CDR2アミノ酸配列QMSNLAS(配列番号6)又はQMSNRAS(配列番号7);及びVL CDR3アミノ酸配列AQNLELPYT(配列番号8)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記免疫チェックポイントが、A2AR、B7-H3(CD276)、B7-H4、BTLA(CD272)、CSF-1R、CTLA-4、IDO、KIR、LAG3、NOX2、PD-1、PD-L1、PD-L2、TDO、TIGIT、TIM-3、SIGLEC7(CD328)、及びVISTAからなる群から選択される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記免疫チェックポイントが、CTLA-4、PD-1、及びPD-L1からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、前記免疫チェックポイントに特異的に結合する抗体である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、
前記免疫チェックポイントに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB2)と、前記活性化可能な抗免疫チェックポイント抗体が非切断状態にあるときに前記免疫チェックポイントへの前記AB2の結合を阻害するマスキング部分(MM2)と、AB2に共役された切断可能部分(CM2)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである、CM2
を含む活性化可能な抗免疫チェックポイント抗体である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記MM1が、40個以下のアミノ酸長のポリペプチドである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記AB1が、ヒト又はカニクイザルのCD166に特異的に結合する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記MM1ポリペプチド配列が、前記AB1の任意の天然結合パートナーと50%以下同一である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記MM1が、アミノ酸配列LCHPAVLSAWESCSS(配列番号19)を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記CM1が、アミノ酸配列AVGLLAPPGGLSGRSDNH(配列番号20)を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記AB1のその抗原結合断片が、Fab断片、F(ab’)断片、scFv、scAb、dAb、単一ドメイン重鎖抗体、及び単一ドメイン軽鎖抗体からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記AB1が、前記CM1に連結される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記AB1が、前記CM1に直接連結される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記AB1が、連結ペプチドを介して前記CM1に連結される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記MM1が、非切断状態の前記活性化可能な抗体が以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM1-CM1-AB1又はAB1-CM1-MM1を含むように前記CM1に連結される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記活性化可能な抗体が、前記MM1と前記CM1の間に連結ペプチドを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記活性化可能な抗体が、前記CM1と前記AB1の間に連結ペプチドを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記活性化可能な抗体が、第1の連結ペプチド(LP1)及び第2の連結ペプチド(LP2)を含み、かつ非切断状態で前記活性化可能な抗体が、以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM1-LP1-CM1-LP2-AB1又はAB1-LP2-CM1-LP1-MM1を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記2つの連結ペプチドが、互いに同一ではない、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
LP1及びLP2の各々が、約1~20個のアミノ酸長のペプチドである、請求項19又は請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記活性化可能な抗CD166抗体が、アミノ酸配列の配列番号12を含む重鎖可変領域とアミノ酸配列の配列番号17又は配列番号18を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記活性化可能な抗CD166抗体が、配列番号9及び配列番号10から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号15及び配列番号16から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記薬剤が、毒素又はその毒素断片である、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記薬剤が、微小管阻害剤である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記薬剤が、核酸損傷剤である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記薬剤が、ドラスタチン又はその誘導体、オーリスタチン又はその誘導体、メイタンシノイド又はその誘導体、デュオカルマイシン又はその誘導体、カリケアマイシン又はその誘導体、ピロロベンゾジアゼピン又はその誘導体、及びビンカアルカロイド又はその誘導体からなる群から選択される、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記薬剤が、オーリスタチンE又はその誘導体である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記薬剤が、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記薬剤が、モノメチルオーリスタチンD(MMAD)である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記薬剤が、DM1及びDM4からなる群から選択されるメイタンシノイドである、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記薬剤が、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンカミノール、ビネリジン、ビンブルニン、ビンポセチン、ビンカミン、アポビンカミン、ミノビンシン、メトキシミノビンシン、ミノビンシニン、ビンカディフォルミン、デスオキシビンカミノール、及びビンカマジンからなる群から選択されるビンカアルカロイドである、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記薬剤が、デュオカルマイシンである、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記薬剤が、リンカーを介して前記AB1にコンジュゲートされる、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
それにより前記薬剤がAB1にコンジュゲートされるリンカーが、SPDB部分、バリン-シトルリン部分、又はPEG2-vc部分を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ABにコンジュゲートされるリンカー及び毒素が、SPDB-DM4部分、vc-MMAD部分、vc-MMAE部分、vc-デュオカルマイシン部分、又はPEG2-vc-MMAD部分を含む、請求項34又は請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記リンカーが、切断可能なリンカーである、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記リンカーが、切断可能でないリンカーである、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体が、前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤の投与前、投与後、又は投与と同時に投与される、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体が、前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤の投与と同時に投与され、前記同時投与が、単一の組成物中又は別々の組成物中である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体が、前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤の投与の約1日前に投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体の投与及び前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤の投与が、同じ投与スケジュールの一部として投与される、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体が、前記対象に静脈内、腹腔内、又は口腔内投与される、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、前記対象に静脈内、腹腔内、又は口腔内投与される、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記コンジュゲートされた活性化可能なト抗CD166抗体が、注入療法によって前記対象に投与される、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、注入療法によって前記対象に投与される、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記対象への前記コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体の投与が、前記対象の標的組織における免疫原性細胞死を誘導することを含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記対象への前記コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体の投与が、前記対象における樹状細胞成熟及び/又は活性化を誘導することを含む、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体が、治療量以下の用量で前記対象に投与される、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、治療量以下の用量で前記対象に投与される、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体及び前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、治療量以下の用量で前記対象に投与される、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体が、治療有効量で前記対象に投与される、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、治療有効量で前記対象に投与される、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤及び前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、治療有効量で投与される、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が投与される用量よりも多い用量で投与される、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が投与される用量よりも少ない用量で投与される、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が投与される用量と同じ用量で投与される、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記治療される対象が、腫瘍再負荷アッセイにおいて記憶T細胞応答を示す、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記治療される対象からのCD8+T細胞が、腫瘍再負荷アッセイでIFN-ガンマ生成を示す、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記治療される対象からのCD4+T細胞が、IFN-ガンマ、IL-2、及び/又はTNF-アルファの生成を示す、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記CD4+T細胞が、前記対象の腫瘍に由来する、請求項60に記載の方法
【請求項62】
前記治療される対象からのCD8+T細胞が、IFN-γ及び/又はTNF-α生成を示す、請求項1~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記CD8+T細胞が、前記対象の腫瘍に由来する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記免疫チェックポイントが、哺乳動物PD-1である、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記AB2が、ヒト又はカニクイザルのPD-1に特異的に結合する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、
哺乳動物PD-1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB2)と、活性化可能な抗哺乳動物PD-1抗体が非切断状態にあるときに前記哺乳動物PD-1へのAB2の結合を阻害するマスキング部分(MM2)と、AB2に共役された切断可能部分(CM2)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである、CM2
を含む活性化可能な抗哺乳動物PD-1抗体である、請求項64又は請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記AB2が、VH CDR1アミノ酸配列GFTFSGYAMS(配列番号51);YISNSGGNAH(配列番号52)を含むVH CDR2配列、EDYGTSPFVY(配列番号53)を含むVH CDR3配列、RASESVDAYGISFMN(配列番号54)を含むVL CDR1配列、AASNQGS(配列番号55)を含むVL CDR2配列、及びQQSKDVPWT(配列番号56)を含むVL CDR3配列を含む、請求項64~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記MM2が、アミノ酸配列TSYCSIEHYPCNTHH(配列番号66)を含む、請求項64~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、アミノ酸配列の配列番号60を含む重鎖可変領域及びアミノ酸配列の配列番号64又は配列番号65を含む軽鎖可変領域を含む活性化可能な抗免疫チェックポイント抗体である、請求項64~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、アミノ酸配列の配列番号57又は配列番号58を含む重鎖及びアミノ酸配列の配列番号62又は配列番号63を含む軽鎖を含む活性化可能な抗免疫チェックポイント抗体である、請求項64~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記免疫チェックポイントが、哺乳動物PD-L1である、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法
【請求項72】
前記AB2が、ヒト又はカニクイザルのPD-L1に特異的に結合する、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記活性化可能な抗哺乳動物PD-L1抗体が、
哺乳動物PD-L1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB2)と、前記活性化可能な哺乳動物PD-1抗体が非切断状態にあるときに前記哺乳動物PD-L1への前記AB2の結合を阻害するマスキング部分(MM2)と、AB2に共役された切断可能な部分(CM2)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである、CM2を含む、請求項71又は請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記AB2が、VH CDR1アミノ酸配列SYAMS(配列番号68);SSIWRNGIVTVYADS(配列番号69)を含むVH CDR2配列;WSAAFDY(配列番号70)を含むVH CDR3配列;RASQSISSYLN(配列番号71)を含むVL CDR1配列;AASSLQS(配列番号72)又はYASTLQS(配列番号86)を含むVL CDR2配列;及びDNGYPST(配列番号73)を含むVL CDR3配列を含む、請求項71~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記MM2が、アミノ酸配列GIALCPSHFCQLPQT(配列番号83)を含む、請求項71~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記活性化可能な抗免疫チェックポイント阻害剤抗体が、アミノ酸配列の配列番号77を含む重鎖可変領域及びアミノ酸配列の配列番号81又は配列番号82を含む軽鎖可変領域を含む、請求項71~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記活性化可能な抗チェックポイント阻害剤抗体が、アミノ酸配列の配列番号74又は配列番号75を含む重鎖及びアミノ酸配列の配列番号79又は配列番号80を含む軽鎖を含む、請求項71~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記MM2が、40個以下のアミノ酸長のポリペプチドである、請求項64~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記MM2ポリペプチド配列が、AB2の任意の天然結合パートナーと50%以下同一である、請求項64~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記CM2が、アミノ酸配列ISSGLLSGRSDNP(配列番号67)又はISSGLLSGRSDNH(配列番号85)を含む、請求項64~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
AB2のその抗原結合断片が、Fab断片、F(ab’)断片、scFv、scAb、dAb、単一ドメイン重鎖抗体、及び単一ドメイン軽鎖抗体からなる群から選択される、請求項64~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記AB2が、前記CM2に連結される、請求項64~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記AB2が、前記CM2に直接連結される、請求項64~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記AB2が、連結ペプチドを介して前記CM2に連結される、請求項64~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記MM2が、非切断状態で前記活性化可能な抗体が以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM2-CM2-AB2又はAB2-CM2-MM2を含むように前記CM2に連結される、請求項64~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記活性化可能な抗体が、前記MM2と前記CM2の間に連結ペプチドを含む、請求項64~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記活性化可能な抗体が、前記CM2と前記AB2の間に連結ペプチドを含む、請求項64~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記活性化可能な抗体が、第1の連結ペプチド(LP3)及び第2の連結ペプチド(LP4)を含み、かつ非切断状態で前記活性化可能な抗体が以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM2-LP3-CM2-LP4-AB2又はAB2-LP3-CM2-LP4-MM2を有する、請求項64~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記2つの連結ペプチドが、互いに同一ではない、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
LP3及びLP4の各々が、約1~20個のアミノ酸長のペプチドである、請求項88又は請求項89に記載の方法。
【請求項91】
LP3及びLP3が、配列番号21~38及びGGSからなる群から選択される、請求項88~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
LP3が、GGGSSGGS(配列番号21)でありかつLP4が、GGGS(配列番号36)である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
LP3が、GGGSSGGS(配列番号21)でありかつLP4が、GGSである、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
対象において癌を治療する、癌の症状を緩和する、又は癌の進行を遅らせる方法であって、
(a)活性化可能な抗免疫チェックポイント抗体を前記対象に投与すること;及び
(b)コンジュゲートされた活性化可能な抗体を前記対象に投与すること、を含み、
前記活性化可能な抗免疫チェックポイント抗体が、
哺乳動物免疫チェックポイントに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB2)と、前記活性化可能な抗免疫チェックポイント抗体が非切断状態にあるときに前記哺乳動物免疫チェックポイント阻害剤への前記AB2の結合を阻害するマスキング部分(MM2)と、前記AB2と共役した切断可能な部分(CM2)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである、CM2を含む活性化可能な抗体
を含み、かつ
前記免疫チェックポイントが、哺乳動物PD-L1又は哺乳動物PD-1である、方法。
【請求項95】
前記AB2が、ヒト又はカニクイザルのPD-1に特異的に結合する、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記AB2が、VH CDR1アミノ酸配列GFTFSGYAMS(配列番号51);YISNSGGNAH(配列番号52)を含むVH CDR2配列;EDYGTSPFVY(配列番号53)を含むVH CDR3配列;RASESVDAYGISFMN(配列番号:54)を含むVL CDR1配列;AASNQGS(配列番号55)を含むVL CDR2配列;かつQQSKDVPWT(配列番号56)を含むVL CDR3配列を含む、請求項94又は請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記MM2が、アミノ酸配列TSYCSIEHYPCNTHH(配列番号66)を含む、請求項94~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記CM2が、アミノ酸配列ISSGLLSGRSDNP(配列番号67)又はISSGLLSGRSDNH(配列番号85)を含む、請求項94~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記活性化可能な抗チェックポイント抗体が、アミノ酸配列の配列番号60を含む重鎖可変領域及びアミノ酸配列の配列番号64又は配列番号65を含む軽鎖可変領域を含む、請求項94~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記活性化可能な抗チェックポイント抗体が、アミノ酸配列の配列番号57又は配列番号58を含む重鎖、アミノ酸配列の配列番号62又は配列番号63を含む軽鎖を含む、請求項94~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記AB2が、ヒト又はカニクイザルのPD-L1に特異的に結合する、請求項94に記載の方法。
【請求項102】
前記AB2が、VH CDR1アミノ酸配列SYAMS(配列番号68);SSIWRNGIVTVYADS(配列番号69)を含むVH CDR2配列;WSAAFDY(配列番号70)を含むVH CDR3配列;RASQSISSYLN(配列番号71)を含むVL CDR1配列;AASSLQS(配列番号72)又はYASTLQS(配列番号86)を含むVL CDR2配列;かつDNGYPST(配列番号73)を含むVL CDR3配列を含む、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記MM2が、アミノ酸配列GIALCPSHFCQLPQT(配列番号83)を含む、請求項100又は請求項101に記載の方法。
【請求項104】
前記活性化可能な抗チェックポイント抗体が、アミノ酸配列の配列番号77を含む重鎖可変領域及びアミノ酸配列の配列番号81又は配列番号82を含む軽鎖可変領域を含む、請求項100~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記活性化可能な抗チェックポイント抗体が、アミノ酸配列の配列番号74又は配列番号75を含む重鎖及びアミノ酸配列の配列番号79又は配列番号80を含む軽鎖を含む、請求項100~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗体が
(i)標的に特異的に結合する抗体若しくはその抗原結合断片(AB1)と、前記活性化可能な抗体が非切断状態にある場合に前記AB1の前記標的への結合を阻害するマスキング部分(MM1)と、前記AB1と共役した切断可能な部分(CM1)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである、CM1を含む活性化可能な抗体、かつ
(ii)前記活性化可能な抗体にコンジュゲートされた毒素又はその毒素断片
を含む、請求項94~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
AB1が、腫瘍細胞上に見られる抗原に特異的に結合する、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
AB1が、樹状細胞上に見られる抗原に特異的に結合する、請求項106又は請求項107に記載の方法。
【請求項109】
AB1が、哺乳動物CD166に特異的に結合する、請求項106~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
AB1が、ヒト又はカニクイザルのCD166に特異的に結合する、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記MM2が、40個以下のアミノ酸長のポリペプチドである、請求項94~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記MM2ポリペプチド配列が、前記AB2の任意の天然結合パートナーと50%以下同一である、請求項94~111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
AB2のその抗原結合断片が、Fab断片、F(ab’)断片、scFv、scAb、dAb、単一ドメイン重鎖抗体、及び単一ドメイン軽鎖抗体からなる群から選択される、請求項94~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記AB2が、前記CM2に連結される、請求項94~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記AB2が、前記CM2に直接連結される、請求項94~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記AB2が、連結ペプチドを介して前記CM2に連結される、請求項94~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記MM2が、非切断状態で前記活性化可能な抗体が以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM2-CM2-AB2又はAB2-CM2-MM2を含むように前記CM2に連結される、請求項94~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記活性化可能な抗体が、前記MM2と前記CM2の間に連結ペプチドを含む、請求項94~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記活性化可能な抗体が、前記CM2と前記AB2の間に連結ペプチドを含む、請求項94~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記活性化可能な抗体が、第1の連結ペプチド(LP3)及び第2の連結ペプチド(LP4)を含み、かつ非切断状態で前記活性化可能な抗体が、以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM2-LP3-CM2-LP4-AB2又はAB2-LP4-CM2-LP3-MM2を有する、請求項94~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
前記2つの連結ペプチドが、互いに同一ではない、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
LP3及びLP4の各々が、約1~20個のアミノ酸長のペプチドである、請求項120又は請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記MM1が、40個以下のアミノ酸長のポリペプチドである、請求項94~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記AB1が、ヒト又はカニクイザルのCD166に特異的に結合する、請求項94~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記MM1ポリペプチド配列が、前記AB1の任意の天然結合パートナーと50%以下同一である、請求項94~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
前記標的が、ヒト又はカニクイザルのCD166であり、かつ前記MM1が、アミノ酸配列LCHPAVLSAWESCSS(配列番号19)を含む、請求項94~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記CM1が、アミノ酸配列AVGLLAPPGGLSGRSDNH(配列番号20)を含む、請求項94~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
AB1のその抗原結合断片が、Fab断片、F(ab’)断片、scFv、scAb、dAb、単一ドメイン重鎖抗体、及び単一ドメイン軽鎖抗体からなる群から選択される、請求項94~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記AB1が、前記CM1に連結される、請求項94~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記AB1が、前記CM1に直接連結される、請求項94~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記AB1が、連結ペプチドを介して前記CM1に連結される、請求項94~130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
前記MM1が、非切断状態の前記活性化可能な抗体が以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM1-CM1-AB1又はAB1-CM1-MM1を含むように前記CM1に連結される、請求項94~131のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
前記活性化可能な抗体が、前記MM1と前記CM1の間に連結ペプチドを含む、請求項94~132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
前記活性化可能な抗体が、前記CM1と前記AB1の間に連結ペプチドを含む、請求項94~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記活性化可能な抗体が、第1の連結ペプチド(LP1)及び第2の連結ペプチド(LP2)を含み、かつ前記非切断状態の前記活性化可能な抗体が、以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM1-LP1-CM1-LP2-AB1又はAB1-LP2-CM1-LP1-MM1を有する、請求項94~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
前記2つの連結ペプチドが、互いに同一ではない、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
LP1及びLP2の各々が、約1~20個のアミノ酸長のペプチドである、請求項135又は請求項136に記載の方法
【請求項138】
前記標的が、ヒト又はカニクイザルのCD166であり、かつ前記活性化可能な抗CD166抗体が、VH CDR1アミノ酸配列GFSLSTYGMGVG(配列番号1);VH CDR2アミノ酸配列NIWWSEDKH(配列番号2);VH CDR3アミノ酸配列IDYGNDYAFTY(配列番号3);VL CDR1アミノ酸配列RSSKSLLHSNGITYLY(配列番号4)又はRSSQSLLHSNGITYLY(配列番号5);VL CDR2アミノ酸配列QMSNLAS(配列番号6)又はQMSNRAS(配列番号7);及びVL CDR3アミノ酸配列AQNLELPYT(配列番号8)を含む、請求項94~137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
前記標的が、ヒト又はカニクイザルのCD166であり、
かつ前記活性化可能な抗CD166抗体が、アミノ酸配列の配列番号12を含む重鎖可変領域及びアミノ酸配列の配列番号17若しくは配列番号18を含む軽鎖可変領域を含み;又は
前記活性化可能な抗CD166抗体が、アミノ酸配列の配列番号9若しくは配列番号10を含む重鎖及びアミノ酸配列の配列番号15若しくは配列番号16を含む軽鎖を含む、請求項94~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
前記薬剤が、毒素又はその毒素断片である、請求項94~139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
前記薬剤が、微小管阻害剤である、請求項94~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
前記薬剤が、核酸損傷剤である、請求項94~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
前記薬剤が、ドラスタチン又はその誘導体、オーリスタチン又はその誘導体、メイタンシノイド又はその誘導体、デュオカルマイシン又はその誘導体、カリケアマイシン又はその誘導体、ピロロベンゾジアゼピン又はその誘導体、及びビンカアルカロイド又はその誘導体からなる群から選択される、請求項94~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
前記薬剤が、オーリスタチンE又はその誘導体である、請求項94~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
前記薬剤が、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)である、請求項94~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項146】
前記薬剤が、モノメチルオーリスタチンD(MMAD)である、請求項94~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
前記薬剤が、DM1及びDM4からなる群から選択されるメイタンシノイドである、請求項94~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項148】
前記薬剤が、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンカミノール、ビネリジン、ビンブルニン、ビンポセチン、ビンカミン、アポビンカミン、ミノビンシン、メトキシミノビンシン、ミノビンシニン、ビンカディフォルミン、デスオキシビンカミノール、及びビンカマジンからなる群から選択されるビンカアルカロイドである、請求項94~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項149】
前記薬剤が、デュオカルマイシンである、請求項94~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項150】
前記薬剤が、リンカーを介して前記AB1にコンジュゲートされる、請求項94~149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
それにより前記薬剤が前記AB1にコンジュゲートされるリンカーが、SPDB部分、バリン-シトルリン部分、又はPEG2-vc部分を含む、請求項149に記載の方法。
【請求項152】
前記ABにコンジュゲートされるリンカー及び毒素が、SPDB-DM4部分、vc-MMAD部分、vc-MMAE部分、vc-デュオカルマイシン部分、又はPEG2-vc-MMAD部分を含む、請求項150又は請求項151に記載の方法。
【請求項153】
前記リンカーが、切断可能なリンカーである、請求項150~152のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
前記リンカーが、切断可能でないリンカーである、請求項150~152のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗体が、前記活性化可能な抗免疫チェックポイント阻害剤抗体の投与前、投与後、又は投与と同時に投与される、請求項94~154のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗体が、前記活性化可能な抗免疫チェックポイント阻害剤抗体の投与と同時に投与され、前記同時投与が、単一の組成物又は別々の組成物中である、請求項155に記載の方法。
【請求項157】
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗体が、前記活性化可能な抗免疫チェックポイント阻害剤抗体の投与の約1日前に投与される、請求項156に記載の方法。
【請求項158】
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗体の投与及び前記活性化可能な抗免疫チェックポイント阻害剤抗体の投与が、同じ投与スケジュールの一部として投与される、請求項94~157のいずれか一項に記載の方法。
【請求項159】
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗体が、前記対象に静脈内、腹腔内、又は腫瘍内投与される、請求項94~158のいずれか一項に記載の方法。
【請求項160】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、前記対象に静脈内、腹腔内、又は腫瘍内投与される、請求項94~159のいずれか一項に記載の方法。
【請求項161】
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗体が、前記対象に静脈内、腹腔内、又は腫瘍内投与される、請求項94~160のいずれか一項に記載の方法。
【請求項162】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、前記対象に静脈内、腹腔内、又は腫瘍内投与される、請求項94~161のいずれか一項に記載の方法。
【請求項163】
前記対象への前記コンジュゲートされた活性化可能な抗体の投与が、前記対象の標的組織において免疫原性細胞死を誘導することを含む、請求項94~162のいずれか一項に記載の方法。
【請求項164】
前記対象への前記コンジュゲートされた活性化可能な抗体の投与が、前記対象における樹状細胞成熟及び/又は活性化を誘導することを含む、請求項94~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項165】
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗体が、治療量未満の用量で前記対象に投与される、請求項94~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項166】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、治療量未満の用量で前記対象に投与される、請求項94~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項167】
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗体及び前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、治療量未満の用量で前記対象に投与される、請求項94~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項168】
前記コンジュゲートされた活性化可能な抗体が、治療有効量で前記対象に投与される、請求項94~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項169】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、治療有効量で前記対象に投与される、請求項94~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項170】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤及び前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、治療有効量で投与される、請求項94~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項171】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が投与される用量よりも多い用量で投与される、請求項94~170のいずれか一項に記載の方法。
【請求項172】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が投与される用量より少ない用量で投与される、請求項94~171のいずれか一項に記載の方法。
【請求項173】
前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が、前記活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤が投与される用量と同じ用量で投与される、請求項94~172のいずれか一項に記載の方法。
【請求項174】
前記治療される対象が、腫瘍再負荷アッセイにおいて記憶T細胞応答を示す、請求項94~173のいずれか一項に記載の方法。
【請求項175】
前記治療される対象からのCD8+T細胞が、腫瘍再負荷アッセイにおいてIFN-ガンマ生成を示す、請求項94~174のいずれか一項に記載の方法。
【請求項176】
前記治療される対象からのCD4+T細胞が、IFN-ガンマ、IL-2、及び/又はTNF-アルファ生成を示す、請求項94~175のいずれか一項に記載の方法。
【請求項177】
前記CD4+T細胞が、前記対象の腫瘍に由来する、請求項176に記載の方法。
【請求項178】
前記治療される対象からのCD8+T細胞が、IFN-ガンマ及び/又はTNF-アルファ生成を示す、請求項94~177のいずれか一項に記載の方法。
【請求項179】
前記D8+T細胞が、前記対象の腫瘍に由来する、請求項178に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2019年2月26日出願の米国仮出願第62/810,68号、及び2019年3月28日出願の同第62/825,228号の利益を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は一般に、癌の治療のためのコンジュゲートされた活性化可能な抗体と活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤の組み合わせの投与方法及び組成物に関する。
【0003】
配列表への言及
ファイル名「CYTX-060-PCT_ST25」としてEFS-Webを介してコンピュータ可読形式(CFR)で、米国特許規則(37 C.F.R.セクション1.821)に従い本明細書と同時に電子提出された「配列表」は、参照により本明細書に組み込まれる。配列表の電子コピーは、2020年2月13日に作成され、ディスク・サイズは85キロバイトである。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
抗体ベースの治療法は、癌を含むいくつかの疾患に対して有効な治療法であることが証明されているが、場合によっては、広範な標的発現による毒性が、それらの治療有効性を制限している。加えて、抗体ベースの治療法は、投与後の循環からの迅速なクリアランスなどの他の制限を示してきた。
抗体薬コンジュゲートを含む、治療抗体プロドラッグを提供するための戦略が開発されている。このような抗体プロドラッグは、比較的不活性な(又は著しく低い活性の)形態で投与され、親抗体の治療指標を高めることができる。一旦投与されると、プロドラッグ抗体は、インビボで活性化合物に代謝される。このようなプロドラッグ戦略は、その意図された標的のための薬物の選択性の増加と副作用の低下を提供できる。いくつかの抗体プロドラッグは、免疫チェックポイントファミリーのメンバーに向けられる。いくつかの抗体プロドラッグは、癌細胞で高発現される分子を標的に向けられる。いくつかの抗体プロドラッグを細胞傷害性化合物にコンジュゲートし、抗体薬物コンジュゲートのプロドラッグバージョンを生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、抗体ベースの治療のプロドラッグ分野では、治療指数が増加した抗体及び抗体薬物コンジュゲートの継続的なニーズがある。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様では、対象において癌を治療するか、癌の症状を緩和するか、又は癌の進行を遅らせる方法であって、(a)コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体を対象に投与すること、及び(b)活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与すること、を含み、コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体が、(i)哺乳動物CD166に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB1)と、活性化可能な抗CD166抗体が非切断状態にあるときに哺乳動物CD166へのAB1の結合を阻害するマスキング部分(MM1)と、AB1と共役した切断可能な部分(CM1)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである、CM1を含む活性化可能な抗CD166抗体、かつ(ii)活性化可能な抗CD166抗体にコンジュゲートされた毒素又はその毒素断片、を含む、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイントは、A2AR、B7-H3(CD276)、B7-H4、BTLA(CD272)、CSF-1R、CTLA-4、IDO、KIR、LAG3、NOX2、PD-1、PD-L1、PD-L2、TDO、TIGIT、TIM-3、SIGLEC7(CD328)、及びVISTAからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、免疫チェックポイントに特異的に結合する抗体である。いくつかの実施形態では、活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤は、免疫チェックポイントに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB2)と、活性化可能な抗免疫チェックポイント抗体が非切断状態にあるときに免疫チェックポイントへのAB2の結合を阻害するマスキング部分(MM2)と、AB2と共役された切断可能部分(CM2)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである、CM2を含む、活性化可能な抗免疫チェックポイント抗体である。いくつかの実施形態では、AB1及び/又はAB2のその抗原結合断片は、Fab断片、F(ab’)断片、scFv、scAb、dAb、単一ドメイン重鎖抗体、及び単一ドメイン軽鎖抗体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、MM1は、非切断状態の活性化可能な抗体が、以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM1-CM1-AB1又はAB1-CM1-MM1を含むように、CM1に連結される。いくつかの実施形態では、活性化可能な抗体は、第1の連結ペプチド(LP1)及び第2の連結ペプチド(LP2)を含み、非切断状態の上記活性化可能な抗体が、以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM1-LP1-CM1-LP2-AB1又はAB1-LP2-CM1-LP1-MM1を有する。いくつかの実施形態では、薬剤は、毒素又はその毒素断片である。いくつかの実施形態では、薬剤は、微小管阻害剤又は核酸損傷剤である。いくつかの実施形態では、薬剤は、ドラスタチン又はその誘導体、オーリスタチン又はその誘導体、メイタンシノイド又はその誘導体、デュオカルマイシン又はその誘導体、カリケアマイシン又はその誘導体、ピロロベンゾジアゼピン又はその誘導体、及びビンカアルカロイド又はその誘導体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、薬剤は、オーリスタチンE、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)、モノメチルオーリスタチンD(MMAD)、デュオカルマイシン、DM1及びDM4からなる群から選択されるメイタンシノイド、又はビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンカミノール、ビネリジン、ビンブルニン、ビンポセチン、ビンカミン、アポビンカミン、ミノビンシン、メトキシミノビンシン、ミノビンシニン、ビンカディフォルミン、デスオキシビンカミノール、及びビンカマジンからなる群から選択されるビンカアルカロイドである。いくつかの実施形態では、薬剤は、切断可能であっても又は切断可能でなくてもよいリンカーを介してAB1にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、薬剤をAB1にコンジュゲートさせる際に用いるリンカーは、SPDB部分、バリン-シトルリン部分、又はPEG2-vc部分を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体は、活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤の投与の前に、投与の後に、又は投与と同時に投与される。いくつかの実施形態では、コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体は、活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤の投与と同時に投与され、同時投与は、単一組成物中で又は別々の組成物中である。いくつかの実施形態では、コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体は、活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤の投与の約1日前に投与される。いくつかの実施形態では、コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体の投与及び活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤の投与は、同じ投与スケジュールの一部として投与される。いくつかの実施形態では、コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体及び/又は活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤は、対象に静脈内、腹腔内、又は腫瘍内投与される。いくつかの実施形態では、コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体及び/又は活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤は、注入療法によって対象に投与される。いくつかの実施形態では、対象へのコンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体の投与は、対象の標的組織において免疫原性細胞死を誘導することを含む。いくつかの実施形態では、対象へのコンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体の投与は、対象における樹状細胞成熟及び/又は活性化を誘導することを含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体及び/又は活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤は、注入療法によって対象に投与される。いくつかの実施形態では、コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体及び/又は活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤は、治療量未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体及び/又は活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤は、治療有効量で投与される。いくつかの実施形態では、治療対象は、腫瘍再負荷アッセイにおいて記憶T細胞応答を示す。いくつかの実施形態では、治療対象からのCD8+T細胞は、腫瘍再負荷アッセイにおいてIFN-ガンマ生成を示す。いくつかの実施形態では、治療対象からのCD4+T細胞は、IFN-ガンマ、IL-2、及び/又はTNF-アルファ生成を示す。いくつかの実施形態では、CD4+T細胞は、対象の腫瘍に由来する。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイントは、哺乳動物、ヒト、及び/又はカニクイザルのPD-1である。いくつかの実施形態では、活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤は、哺乳動物PD-1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB2)と、活性化可能な抗哺乳動物PD-1抗体が非切断状態にあるときに哺乳動物PD-1へのAB2の結合を阻害するマスキング部分(MM2)と、AB2と共役された切断可能部分(CM2)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである、CM2、を含む活性化可能な抗哺乳動物PD-1抗体である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイントは、哺乳動物、ヒト、及び/又はカニクイザルのPD-L1である。いくつかの実施形態では、活性化可能な免疫チェックポイント阻害剤は、哺乳動物PD-L1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB2)と、活性化可能な抗哺乳動物PD-1抗体が非切断状態にあるときに哺乳動物PD-L1へのAB2の結合を阻害するマスキング部分(MM2)と、AB2と共役された切断可能部分(CM2)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである、CM2、を含む活性化可能な抗哺乳動物PD-L1抗体である。いくつかの実施形態では、MM2は、非切断状態の活性化可能な抗体が以下のようにN末端からC末端へと構造的配置:MM2-CM2-AB2又はAB2-CM2-MM2を含むように、CM2に連結される。いくつかの実施形態では、活性化可能な抗体は、第1の連結ペプチド(LP3)及び第2の連結ペプチド(LP4)を含み、非切断状態の活性化可能な抗体は、以下のようにN末端からC末端へと構造的配置:MM2-LP3-CM2-LP4-AB2又はAB2-LP3-CM2-LP4-MM2を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A-1C】図1A、1B、及び1Cは、様々なヒト免疫細胞におけるCD166発現のレベルの研究の例示的な結果を示す。これらの結果は、CD166が血中骨髄性樹状細胞(mDC)及び形質細胞様樹状細胞(pDC)、並びに単球及びB細胞において高発現され、かつCD4+T細胞の刺激後に誘導され得ることを示す。
図2A-2C】図2A、2B、及び2Cは、ヒトCD166を発現するトランスジェニックCT26マウス細胞株の研究の例示的な結果を示す。
図3A-3D】図3A~3Dは、同系マウスモデルにおける抗CD166活性化可能なコンジュゲート抗体と活性化可能な抗PD-1抗体の組み合わせのインビボ有効性の例示的な結果を示す。
図4A-4C】図4A、4B、及び4Cは、マウスの再負荷アッセイの例示的な結果を示し、再負荷アッセイ中に保護されたマウスが、併用治療に起因する免疫学的記憶応答を確立したことを示す。
図5A-5G】図5A~5Gは、CD8+T細胞を腫瘍担持マウスから枯渇させることが、単独療法で、又は活性化可能な抗PD-1抗体との組み合わせで活性化可能な抗CD166抗体薬物コンジュゲートの抗腫瘍インビボ有効性の低下をもたらすことを示す例示的な結果を示す。
図6図6は、これらの例示的な研究でのマウスにおけるCD8+T細胞枯渇の程度を示す。
図7A-7B】図7A及び7Bは、成熟樹状細胞及び活性化T細胞に対する様々な検査品の細胞傷害性の例示的な結果を示す。
図8A-8B】図8A及び8Bは、樹状細胞成熟及びT細胞共刺激の促進に対する抗CD166抗体薬物コンジュゲートの効果の例示的な結果を示す。
図9A-9C】図9A、9B、及び9Cは、遊離DM4及び抗CD166 ADCが、癌細胞及びCD166発現細胞における免疫原性細胞死と関連付けられるシグナルを増加させることができることを示す例示的な結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、活性化白血球細胞接着分子(ALCAM)としても知られるCD166を特異的に結合する活性化可能なモノクローナル抗体を提供する。いくつかの実施形態では、活性化可能なモノクローナル抗体は、CD166含有細胞によって内部移行する。CD166は、CD6を結合する細胞接着分子であり、スカベンジャー受容体システインリッチ(SRCR)タンパク質スーパーファミリー(SRCRSF)に属する細胞表面受容体である。CD166は、細胞間相互作用及び細胞マトリックス相互作用、細胞接着、細胞遊走、並びにT細胞活性化及び増殖と関連付けられることが知られている。CD166の異常な発現及び/又は活性とCD166関連シグナル伝達は、癌、炎症、及び自己免疫などの多くの疾患並びに障害の病因に関与している。例えば、CD166は、例えば、前立腺癌、乳癌、NSCLC及び/又はSCLCなどの肺癌、中咽頭癌、子宮頸癌、及びHNSCCなどの頭頸部癌などの様々なタイプの癌において高発現される。
【0011】
本開示は、異常なCD166発現及び/又は活性と関連付けられる疾患又は障害を治療する、予防する、進行を遅らせる、その症状を寛解及び/又は緩和させる方法において有用である活性化可能な抗CD166抗体を提供する。例えば、活性化可能な抗CD166抗体は、癌又は他の腫瘍状態を治療する、予防する、進行を遅らせる、その症状を寛解及び/又は緩和させる方法で使用される。
【0012】
本開示は、CD166を発現する細胞と関連付けられる疾患又は障害を治療する、予防する、進行を遅らせる、その症状を寛解及び/又は緩和させる方法で有用である活性化可能な抗CD166抗体を提供する。いくつかの実施形態では、細胞は、異常なCD166発現及び/又は活性と関連付けられる。いくつかの実施形態では、細胞は、正常なCD166発現及び/又は活性と関連付けられる。例えば、活性化可能な抗CD166抗体は、癌又は他の腫瘍状態を治療する、予防する、進行を遅らせる、その症状を寛解及び/又は緩和させる方法で使用される。
【0013】
本開示は、疾患細胞がCD166を発現する疾患又は障害を治療する、予防する、進行を遅らせる、その症状を寛解及び/又は緩和させる方法で有用である活性化可能な抗CD166抗体を提供する。いくつかの実施形態では、疾患細胞は、異常なCD166発現及び/又は活性と関連付けられる。いくつかの実施形態では、疾患細胞は、正常なCD166発現及び/又は活性と関連付けられる。例えば、活性化可能な抗CD166抗体は、癌又は他の腫瘍状態を治療する、予防する、進行を遅らせる、その症状を寛解及び/又は緩和させる方法で使用される。
【0014】
活性化可能な抗CD166抗体は、マスキング部分(MM)と共役したCD166を特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含み、それによりMMの共役が、CD166に結合する抗体又はその抗原結合断片の能力を低下させる。MMは、プロテアーゼ、例えば、対象における治療部位においてCD166と共局在化するプロテアーゼの基質(切断可能な部分、CM)を含む配列を介して抗体/抗原結合断片と共役される。
【0015】
定義
特に定義されない限り、本開示に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。用語「1つ(a)」の実体又は「1つ(an)」の実体は、その実体の1以上を指す。例えば、化合物は、1以上の化合物を指す。そのようなものとして、「1つ(a)」、「1つ(an)」、「1以上」及び「少なくとも1つ」という用語は、互換的に使用できる。さらに、文脈で特に必要とされない限り、単数の用語は複数を含み、複数の用語は単数形を含む。一般に、本明細書に記載の細胞及び組織培養、分子生物学、及びタンパク質とオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド化学及びハイブリダイゼーションと関連して利用される命名法、並びにそれらの技術は、当技術分野でよく知られ、一般的に使用されているものである。標準的な技術は、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、並びに組織培養及び形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)に使用される。酵素反応及び精製技術は、製造業者の仕様に従って、又は当技術分野で一般的に達成されるか、又は本明細書に記載されているように行われる。前述の技術及び手順は一般に、当技術分野でよく知られている従来の方法に従って行われ、本明細書全体を通して引用され、議論される様々な一般的かつより具体的な参考文献に記載されているように行われる。例えば、Sambrookら、分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989))を参照。本明細書に記載の分析化学、合成有機化学、及び薬用医薬品化学に関連して利用される命名法、並びにそれらの実験手順及び技術は、当技術分野でよく知られており、一般的に使用されているものである。標準的な技術は、化学合成、化学分析、医薬品の調製、製剤化、及び送達、並びに対象の治療に使用される。
【0016】
本開示に従って利用される場合、以下の用語は、特に示されない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0017】
本明細書で使用する場合、用語「抗体」は免疫グロブリン分子、免疫学的に活性のある、例えば、抗原結合、免疫グロブリン(Ig)分子の一部、すなわち、抗原を特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含む分子を指す。「特異的に結合する」又は「免疫反応する」又は「免疫特異的に結合する」は、抗体が所望の抗原の1以上の抗原決定基と反応し、他のポリペプチドと反応しないか、又ははるかに低い親和性(K>10-6)で結合することを意味する。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ドメイン抗体、一本鎖、Fab、及びF(ab’)断片、scFv、及びFab発現ライブラリーを含むが、これらに限定されない。
【0018】
基本的な抗体構造単位は、四量体を含むことが知られている。各四量体は、2つの同一のポリペプチド鎖の対で構成され、各対は1つの「軽」鎖(約25kDa)及び1つの「重」鎖(約50~70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識に関与する100~110個の又はそれより多いアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、主にエフェクター機能に関与する定常領域を定義する。一般に、ヒトから得られた抗体分子は、分子中に存在する重鎖の性質によって互いに異なるIgG、IgM、IgA、IgE及びIgDクラスのいずれかに関する。あるクラスは、IgG、IgGなどのサブクラスも有する。さらに、ヒトにおいて、軽鎖は、カッパ鎖又はラムダ鎖であり得る。
【0019】
用語「モノクローナル抗体」(mAb)又は「モノクローナル抗体組成物」は、本明細書で使用する場合、特有の軽鎖遺伝子産物及び特有の重鎖遺伝子産物からなる抗体分子の分子種を1つだけ含む抗体分子の集団を指す。特に、モノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)は、集団のすべての分子において同一である。mAbは、それに対する特有の結合親和性によって特徴付けられる抗原の特定のエピトープと免疫反応できる抗原結合部位を含む。
【0020】
用語「抗原結合部位」又は「結合部分」は、抗原結合に関与する免疫グロブリン分子の部分を指す。抗原結合部位は、重(「H」)鎖及び軽(「L」)鎖のN末端可変(「V」)領域のアミノ酸残基によって形成される。「超可変領域」と呼ばれる重鎖と軽鎖のV領域内の3つの非常に多岐のストレッチは、「フレームワーク領域」又は「FR」として知られているより保存された隣接ストレッチの間に介在する。そのため、用語「FR」は、免疫グロブリンにおける超可変領域間に、及びそれらに隣接して自然界に見られるアミノ酸配列を指す。抗体分子において、軽鎖の3つの超可変領域と重鎖の3つの超可変領域は、互いに対し3次元空間内に配置されて、抗原結合面を形成する。抗原結合面は、結合抗原の3次元表面と相補的であり、重鎖及び軽鎖の各々の3つの超可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」と呼ばれる。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、免疫学的関心のあるタンパク質のカバット配列(米国立衛生研究所、Bethesda,Md.(1987及び1991))、又はChothia&Lesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987),Chothiaら Nature 342:878-883(1989)の定義に従う。
【0021】
本明細書で使用する場合、用語「エピトープ」は、免疫グロブリン、scFv、又はT細胞受容体に特異的に結合できる任意のタンパク質決定基を含む。用語「エピトープ」は、免疫グロブリン又はT細胞受容体に特異的に結合できる任意のタンパク質決定基を含む。エピトープ決定基は通常、アミノ酸又は糖側鎖などの分子の化学的に活性のある表面グルーピングからなり、通常、特定の3次元構造特性、並びに特定の電荷特性を有する。例えば、抗体は、ポリペプチドのN末端又はC末端ペプチドに対して作製され得る。抗体は、解離定数が1μM以下、いくつかの実施形態では、100nM以下、及びいくつかの実施形態では、10nM以下である場合、抗原を特異的に結合すると言われる。
【0022】
本明細書で使用する場合、用語「特異的結合」、「免疫学的結合性」、及び「免疫学的結合特性」は、免疫グロブリン分子と、それに対し免疫グロブリンが特異的である抗原との間に生じる種類の非共有結合相互作用を指す。免疫学的結合相互作用の強さ又は親和性は、相互作用の解離定数(K)の観点から表すことができ、より低いKは、より大きな親和性を表す。選択されたポリペプチドの免疫学的結合特性は、当技術分野で周知の方法を用いて定量化できる。そのような方法の1つは、抗原結合部位/抗原複合体の形成及び解離の速度を測定する必要があり、これらの速度は複合体パートナーの濃度、相互作用の親和性、及び両方向の速度に等しく影響を与える幾何学的パラメータに依存する。そのため、「オン速度定数」(Kon)と「オフ速度定数」(Koff)の両方は、濃度と実際の会合速度及び解離速度の計算によって決定できる(Nature 361:186-87(1993)参照)。Koff/Konの比率は、親和性と関連しない全てのパラメータの取り消しを可能にし、解離定数Kに等しい(一般的に、Daviesら(1990)Annual Rev Biochem 59:439-473参照)。本開示の抗体は、放射性リガンド結合アッセイ又は当業者に知られている同様のアッセイなどのアッセイによって測定される、結合定数(K)が1μM以下、いくつかの実施形態では、100nM以下、及びいくつかの実施形態では、10nM以下、いくつかの実施形態では、100pM以下~1pMである場合、標的に特異的に結合すると言われる。
【0023】
本明細書で使用する場合、用語「単離ポリヌクレオチド」は、ゲノム、cDNA、又は合成起源のポリヌクレオチド又はそれらのいくつかの組み合わせを意味し、その起源により、「単離ポリヌクレオチド」は、(1)自然界に見られるポリヌクレオチドの全部又は一部と関連付けられていない、(2)自然界では連結されないポリヌクレオチドに作動可能に連結される、又は(3)より大きな配列の一部として自然界に存在しない。本開示によるポリヌクレオチドは、本明細書に示す重鎖免疫グロブリン分子をコードする核酸分子、及び本明細書に示す軽鎖免疫グロブリン分子をコードする核酸分子を含む。
【0024】
本明細書で指す用語「単離タンパク質」は、cDNA、組換えRNA、又は合成起源の又はそれらのいくつかの組み合わせのタンパク質を意味し、その起源又は誘導源により、「単離タンパク質」は、(1)自然界に見られるタンパク質と関連付けられない、(2)同じ源からの他のタンパク質を含まない、例えば、マウスタンパク質を含まない、(3)異なる種由来の細胞により発現される、又は(4)自然界に存在しない。
【0025】
用語「ポリペプチド」は、天然のタンパク質、断片、又はポリペプチド配列の類似体を指すための一般的な用語として本明細書で使用する。それゆえ、天然タンパク質断片、及び類似体は、ポリペプチド属の種である。本開示によるポリペプチドは、本明細書に示す重鎖免疫グロブリン分子と、本明細書に示す軽鎖免疫グロブリン分子、並びにカッパ軽鎖免疫グロブリン分子などの軽鎖免疫グロブリン分子と重鎖免疫グロブリン分子を含む組み合わせ、及びその逆によって形成される抗体分子、並びにその断片及び類似体を含む。
【0026】
本明細書で使用する場合、物体に適用される用語「天然に存在する」は、物体が自然界で見出され得るという事実を指す。例えば、自然界の源から単離することができ、かつ実験室で人によって意図的に改変されていない、又はそうでなければ、天然に存在する生物(ウイルスを含む)に存在する、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列である。
【0027】
本明細書で使用する場合、用語「作動可能に連結された」は、そのように記載される成分の位置が、それらが意図される様式で機能することを可能にする関係にあることを指す。コード配列に「作動可能に連結された」制御配列は、制御配列と適合する条件下でコード配列の発現が達成されるような方法でライゲーションされる。
【0028】
本明細書で使用する場合、用語「制御配列」は、それらがライゲーションされるコード配列の発現及びプロセシングに影響を与えるのに必要な、ポリヌクレオチド配列を指す。このような制御配列の性質は、原核生物における宿主生物によって異なり、そのような制御配列は一般に、真核生物におけるプロモーター、リボソーム結合部位、及び転写終結配列を含み、一般に、そのような制御配列は、プロモーター及び転写終結配列を含む。用語「制御配列」は、少なくとも、その存在が発現及びプロセシングに必須である全ての成分を含むことが意図され、その存在が有利である追加の成分、例えば、リーダー配列及び融合パートナー配列を含んでもよい。本明細書で言及する用語「ポリヌクレオチド」は、少なくとも10塩基長のヌクレオチド、リボヌクレオチド又はデオキシヌクレオチドのいずれか、又はいずれかの種類のヌクレオチドの修飾された形態を意味する。この用語は、一本鎖及び二本鎖DNAの形態を含む。
【0029】
本明細書で言及する用語オリゴヌクレオチドは、天然に存在するオリゴヌクレオチド結合及び天然に存在しないオリゴヌクレオチド結合によって共に連結される天然のヌクレオチド、及び改変されたヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは、200塩基以下の長さを一般に含むポリヌクレオチドサブセットである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、10~60塩基長、いくつかの実施形態では、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20~40塩基長である。オリゴヌクレオチドは通常、例えば、プローブについては一本鎖であるが、オリゴヌクレオチドは、例えば、遺伝子変異体の構築に使用する場合には二本鎖であり得る。本開示のオリゴヌクレオチドは、センス又はアンチセンスのいずれかのオリゴヌクレオチドである。
【0030】
本明細書で言及する用語「天然に存在するヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドを含む。本明細書で言及する用語「修飾ヌクレオチド」は、修飾されるか又は置換された糖基などを有するヌクレオチドを含む。本明細書で言及する用語「オリゴヌクレオチド結合」は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレロエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホラニラデート(phoshoraniladate)、ホスホロンミデート(phosphoronmidate)などのオリゴヌクレオチド結合を含む。例えば、LaPlancheら.Nucl.Acids Res.14:9081(1986);Stecら、J.Am.Chem.Soc.106:6077(1984),Steinら.Nucl.Acids Res.16:3209(1988),Zonら、抗癌薬の設計(Anti Cancer Drug Design)6:539(1991);Zonら、オリゴヌクレオチドと類似体:実践的なアプローチ(Oligonucleotides and Analogues):A Practical Approach,pp.87-108(F.Eckstein(編),Oxford University Press,Oxford England(1991));Stecら、米国特許第5,151,510号;Uhlmann and Peyman Chemical Reviews 90:543(1990)を参照されたい。オリゴヌクレオチドは、必要に応じて検出用の標識を含んでよい。
【0031】
本明細書で使用する場合、20個の従来のアミノ酸及びそれらの略語は、従来の使用法に従う。免疫学-合成(Immunology-A Synthesis)(第2版,E.S.Golub及びD.R.Green(編),Sinauer Associates,Sunderland,Mass.(1991))を参照されたい。20個の従来のアミノ酸の立体異性体(例えば、D-アミノ酸)、α-,α-二置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸、及び他の特殊なアミノ酸などの非天然アミノ酸も、本開示のポリペプチドに適する成分であり得る。特殊なアミノ酸の例としては、4ヒドロキシプロリン、γカルボキシグルタミン酸、ε-N,N,N-トリメチルリジン、ε-N-アセチルリジン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、σ-N-メチルアルギニン、並びに他の類似のアミノ酸及びイミノ酸(例えば、4-ヒドロキシプロリン)が挙げられる。本明細書で用いられるポリペプチド表記法において、標準的な使用法及び規則に従い、左側方向はアミノ末端方向であり、右側方向はカルボキシ末端方向である。
【0032】
同様に、特に指定しない限り、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側端は、5'末端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向を、5'方向と称する。新生RNA転写産物の5'から3'の付加の方向は、転写方向と呼ばれ、RNAと同じ配列を有するDNA鎖上にありRNA転写産物の5'末端に対して5'である配列領域は、「上流領域」と呼ばれ、RNAと同じ配列を有するDNA鎖上にありRNA転写産物の3'末端に対して3'である配列領域は、「下流領域」と呼ばれる。
【0033】
ポリペプチドに適用される用語「実質的同一性」は、2つのペプチド配列が、デフォルトのギャップウェイトを使用するプログラムGAP又はBESTFITなどにより最適に整列された場合に、少なくとも80%の配列同一性、いくつかの実施形態では、少なくとも90%の配列同一性、いくつかの実施形態では、少なくとも95%の配列同一性、及びいくつかの実施形態では、少なくとも99%の配列同一性を共有することを意味する。
【0034】
いくつかの実施形態では、同一でない残基の位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。
【0035】
本明細書で議論したように、抗体又は免疫グロブリン分子のアミノ酸配列の少数の変異は本開示に包含されると企図され、ただし、アミノ酸配列の変異は、少なくとも75%、いくつかの実施形態では、少なくとも80%、90%、95%、かついくつかの実施形態では、99%を維持する。特に、保存的アミノ酸置換が企図される。保存的置換は、それらの側鎖に関連しているアミノ酸のファミリー内で生じるものである。遺伝子コードアミノ酸は、一般的にファミリーに分けられる;(1)酸性アミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸であり;(2)塩基性アミノ酸は、リジン、アルギニン、ヒスチジンであり;(3)非極性アミノ酸は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンであり、かつ(4)無電荷極性アミノ酸は、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシンである。親水性アミノ酸は、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、セリン、及びスレオニンを含む。疎水性アミノ酸は、アラニン、システイン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン及びバリンを含む。アミノ酸の他のファミリーは、(i)脂肪族ヒドロキシファミリーであるセリン及びスレオニン;(ii)アミド含有ファミリーであるアスパラギン及びグルタミン;(iii)脂肪族のファミリーであるアラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシン;並びに(iv)芳香族ファミリーであるフェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンを含む。例えば、ロイシンとイソロイシン若しくはバリンの分離置換、アスパラギン酸とグルタミン酸の分離置換、スレオニンとセリンの分離置換、又はアミノ酸と構造的に関連するアミノ酸との同様の置換は、特に置換がフレームワーク部位内のアミノ酸を伴わない場合に、生じる分子の結合又は特性に大きな影響を及ぼさないと予想するのが妥当である。アミノ酸の変化が機能的ペプチドをもたらすかどうかは、ポリペプチド誘導体の比活性をアッセイすることにより容易に決定できる。アッセイは、本明細書に詳述される。抗体若しくは免疫グロブリン分子の断片又は類似体は、当業者が容易に調製できる。断片又は類似体の適切なアミノ末端及びカルボキシ末端は、機能的ドメインの境界付近で生じる。構造ドメイン及び機能ドメインは、ヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列データを公の又は独自の配列データベースと比較することによって同定できる。いくつかの実施形態では、コンピュータ化された比較方法が、公知の構造及び/又は機能の他のタンパク質で生じる配列モチーフ又は予測タンパク質の立体配座を同定するために使用される。公知の三次元構造に折り畳まれたタンパク質配列を同定する方法が、知られている。Bowieら Science 253:164(1991)。そのため、上記の例は、当業者が、本開示に従って構造的及び機能的ドメインを定義するために使用され得る配列モチーフ及び構造立体配座を認識できることを実証する。
【0036】
適切なアミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低下させるもの、(2)酸化に対する感受性を低下させるもの、(3)タンパク質複合体を形成するために結合親和性を変えるもの、(4)結合親和性を変えるもの、及び(5)そのような類似体の他の物理化学的又は機能的特性を与えるか、又は変更するもの、である。類似体は、天然に存在するペプチド配列以外の配列の様々な変異タンパク質を含んでよい。例えば、単一又は複数のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)は、天然に存在する配列中(例えば、分子間接触を形成するドメイン(複数可)の外のポリペプチドの部分中)で行われ得る。保存的アミノ酸置換は、親配列の構造的特性を実質的に変化させてはならない(例えば、置換アミノ酸は、親配列に生じるらせんを壊す又は親配列を特徴づける他の種類の二次構造を破壊する傾向があってはならない)。当技術分野で認められたポリペプチドの二次及び三次構造の例は、タンパク質、構造及び分子原理(Creighton(編),W.H.Freeman and Company,New York(1984));タンパク質構造の概要(Introduction to Protein Structure)(C.Branden及びJ.Tooze(編),Garland Publishing,New York,N.Y.(1991));並びにThorntonら.Nature 354:105(1991)に記載されている。
【0037】
本明細書で使用する用語「ポリペプチド断片」は、アミノ末端及び/若しくはカルボキシ末端の欠失並びに/又は1以上の内部欠失(複数可)を有するポリペプチドを指すが、残りのアミノ酸配列は、例えば、全長cDNA配列から推測される天然に存在する配列中の対応する位置と同一である。断片は典型的には、少なくとも5、6、8又は10個のアミノ酸長、いくつかの実施形態では、少なくとも14個のアミノ酸長、いくつかの実施形態では、少なくとも20個のアミノ酸長、通常、少なくとも50個のアミノ酸長、いくつかの実施形態では、少なくとも70個のアミノ酸長である。本明細書で使用する場合、用語「類似体」は、推定アミノ酸配列の一部と実質的な同一性を有し、かつ適切な結合条件下で標的への特異的な結合を有する、少なくとも25個のアミノ酸のセグメントで構成されるポリペプチドを指す。典型的には、ポリペプチド類似体は、天然に存在する配列に関する保存的アミノ酸置換(又は付加若しくは欠失)を含む。類似体は典型的には、少なくとも20個のアミノ酸長、いくつかの実施形態では、少なくとも50個又はそれ以上のアミノ酸長であり、多くの場合、完全長の天然ポリペプチドと同じくらいの長さであり得る。
【0038】
用語「薬剤」は、生体材料から作製される化合物、化合物の混合物、生体高分子、又は抽出物を示すために本明細書で使用される。
【0039】
本明細書で使用する場合、用語「標識」または「標識された」は、例えば、放射標識されたアミノ酸の取り込み、又は標識されたアビジン(例えば、蛍光マーカーを含むストレプトアビジン、又は光学的方法若しくは熱量測定法によって検出できる酵素活性)によって検出できるビオチン部分のポリペプチドへの付着による検出マーカーの取り込みを指す。ある状況では、標識又はマーカーはまた、治療用であり得る。ポリペプチド及び糖タンパク質の標識の様々な方法は、当技術分野で公知であり、使用され得る。ポリペプチドの標識の例としては、限定されないが、以下のもの:放射性同位元素又は放射性核種(例えば、H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニドリン光体)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、p-ガラクトシダーゼ、ルシファーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光、ビオチニル基、二次レポーター(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)によって認識される所与のポリペプチドエピトープが挙げられる。いくつかの実施形態では、標識は、潜在的な立体障害を低減するために様々な長さのスペーサーアームによって取り付けられる。本明細書で使用する場合、用語「医薬剤又は薬物」は、対象に適切に投与された場合に、所望の治療効果を誘導できる化合物又は組成物を指す。
【0040】
本明細書では、他の化学用語は、マグロウヒル化学用語辞典(The McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms)(Parker,S.(編),McGraw-Hill,San Francisco(1985))によって例示されるように、当技術分野における従来の使用法に従って使用される。
【0041】
本明細書で使用する場合、「実質的に純粋な」は、目的の種が、存在する主要な種である(すなわち、モルベースで、それは組成物中の他のどの個々の種よりも豊富である)ことを意味し、いくつかの実施形態では、実質的に精製された画分は、目的の種が、存在する全ての高分子種の少なくとも約50%(モルベースで)を構成する、組成物である。
【0042】
一般に、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての高分子種の約80%超、いくつかの実施形態では、約85%、90%、95%、及び99%超を構成する。いくつかの実施形態では、目的の種が本質的に均質になるまで精製され(混入種が従来の検出法によって組成物中に検出できない)、組成物は本質的に単一の高分子種からなる。
【0043】
対象という用語は、ヒト及び獣医の対象を含む。
【0044】
活性化可能な抗体(AA)
本開示は、哺乳動物標的を特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含むAAを提供する。いくつかの実施形態では、標的は、哺乳動物CD166(ALCAM)である。いくつかの実施形態では、標的は哺乳動物PD-1である。いくつかの実施形態では、標的は哺乳動物PD-L1である。
【0045】
いくつかの実施形態では、哺乳動物標的は、ヒト標的及びカニクイザル標的からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ABは、1nM未満の解離定数で、ヒト標的又はカニクイザル標的に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、哺乳動物標的は、ヒト標的である。いくつかの実施形態では、哺乳動物標的は、カニクイザル標的である。いくつかの実施形態では、ABは、以下の特徴:(a)ABはヒト標的に特異的に結合する;(b)ABはヒト標的及びカニクイザル標的に特異的に結合する、の1以上を有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、ABは、以下の特徴:(a)ABは、ヒトCD166及びカニクイザルCD166に特異的に結合する;(b)ABは、哺乳動物CD166への哺乳動物CD6の結合を阻害する;(c)ABは、ヒトCD166へのヒトCD6の結合を阻害する;かつ(d)ABは、カニクイザルCD166へのカニクイザルCD6の結合を阻害する、の1以上を有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、ABは、以下の特徴:(a)ABは、ヒトPD-1及び/又はカニクイザルPD-1に特異的に結合する;(b)ABは、ヒトPD-L1及び/又はカニクイザルPD-L1に特異的に結合する;(c)ABは、哺乳動物PD-1への哺乳動物PD-L1又はPD-L2の結合を阻害する;(d)ABは、ヒトPD-1へのヒトPD-L1又はPD-L2の結合を阻害する;かつ(e)ABは、カニクイザルPD-1へのカニクイザルPD-L1又はPD-L2の結合を阻害する、の1以上を有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、ABは、5nM以下、10nM以下、50nM以下、100nM以下、500nM以下、及び/又は1000nM以下のEC50で、哺乳動物標的に結合する天然のリガンド又は受容体の能力を阻止する。いくつかの実施形態では、ABは、5nM以下、10nM以下、50nM以下、100nM以下、500nM以下、及び/又は1000nM以下のEC50で、哺乳動物CD166に結合する哺乳動物CD6の能力を阻止する。いくつかの実施形態では、CD166の天然のリガンド又は受容体は、CD6である。いくつかの実施形態では、PD-1の天然のリガンド又は受容体は、PD-L1又はPD-L2である。
【0049】
いくつかの実施形態では、ABは、5nM~1000nM、5nM~500nM、5nM~100nM、5nM~50nM、5nM~10nM、10nM~1000nM、10nM~500nM、10nM~100nM、10nM~50nM、50nM~1000nM、50nM~500nM、50nM~100nM、100nM~1000nM、100nM~500nM、150nM~400nM、200nM~300nM、500nM~1000nMのEC50で、哺乳動物標的に結合する天然リガンドの能力を阻止する。いくつかの実施形態では、ABは、5nM~1000nM、5nM~500nM、5nM~100nM、5nM~50nM、5nM~10nM、10nM~1000nM、10nM~500nM、10nM~100nM、10nM~50nM、15nM~75nM、30nM~80nM、40nM~150nM、50nM~1000nM、50nM~500nM、50nM~100nM、100nM~1000nM、100nM~500nM、150nM~400nM、200nM~300nM、500nM~1000nMのEC50で、哺乳動物CD166に結合する哺乳動物CD6の能力を阻止する。いくつかの実施形態では、CD166の天然のリガンド又は受容体は、CD6である。いくつかの実施形態では、PD-1の天然のリガンド又は受容体は、PD-L1又はPD-L2である。
【0050】
いくつかの実施形態では、本開示のABは、哺乳動物標的を発現する細胞の成長、増殖、及び/若しくは転移を抑制又は低下させる。いかなる理論にも拘束される意図はないが、本開示のABは、標的に特異的に結合し、哺乳動物標的への天然のリガンド若しくは受容体の結合を阻害、阻止、及び/又は防止することによって、哺乳動物標的を発現する細胞の成長、増殖、及び/若しくは転移を阻害又は低下させ得る。
【0051】
AAの抗体又はその抗原結合断片は、マスキング部分(MM)と共役され、それによりMMの共役がその標的に結合する抗体又はその抗原結合断片の能力を低下させる。いくつかの実施形態では、MMは、プロテアーゼ、例えば、疾患組織において活性のあるプロテアーゼ及び/又は対象の治療部位において標的と共局在化するプロテアーゼの基質を含む配列を介して共役される。本明細書に提供される活性化可能な抗体は、本明細書では互換的にAA又は活性化可能な抗体とも呼ばれ、循環中で安定であり、治療及び/又は診断の意図される部位で活性化されるが、正常な、例えば、治療及び/又は診断で標的とされない健康な組織又は他の組織では活性化されず、活性化されると、本明細書で親抗体とも呼ばれる対応する非修飾抗体に少なくとも匹敵する、標的への結合を示す。いくつかの実施形態では、標的は、CD166、PD-L1、又はPD-1である。
【0052】
本開示は、AAで使用するためのその哺乳動物標的を特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB)を提供する。いくつかの実施形態では、抗体は、標的を特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、CD166を結合する抗体又はその抗原結合断片は、モノクローナル抗体、ドメイン抗体、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab')断片、scFv、scAb、dAb、単一ドメイン重鎖抗体、又は単一ドメイン軽鎖抗体である。いくつかの実施形態では、標的を結合するそのような抗体又はその抗原結合断片は、マウス、他のげっ歯類、キメラ、ヒト化又は完全ヒトモノクローナル抗体である。
【0053】
したがって、(1)哺乳動物CD166に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB)と、ABと共役したマスキング部分(MM)であって、AAが非切断状態にあるときに哺乳動物標的へのABの結合を阻害する、MMと、ABと共役した切断可能な部分(CM)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである、CMを含む活性化可能な抗体(AA)が、本明細書で提供される。
【0054】
いくつかの実施形態では、本開示のAA中の抗体(AB)は、例えば、哺乳動物CD166、及び/又はヒトCD166などのCD166標的を特異的に結合する。いくつかの実施形態では、本開示のAA中の抗体(AB)は、例えば、哺乳動物PD-1、及び/又はヒトPD-1などのPD-1標的を特異的に結合する。いくつかの実施形態では、本開示のAA中の抗体(AB)は、例えば、哺乳動物PD-L1、及び/又はヒトPD-L1などのPD-L1標的を特異的に結合する。
【0055】
いくつかの実施形態では、ABは、哺乳動物標的への結合について約100nM以下の解離定数を有する。いくつかの実施形態では、ABは、哺乳動物標的への結合について約10nM以下の解離定数を有する。いくつかの実施形態では、ABは、標的への結合について約5nM以下の解離定数を有する。いくつかの実施形態では、ABは、標的への結合について約1nM以下の解離定数を有する。いくつかの実施形態では、ABは、標的への結合について約0.5nM以下の解離定数を有する。いくつかの実施形態では、ABは、標的への結合について約0.1nM以下の解離定数を有する。いくつかの実施形態では、ABは、哺乳動物標的への結合について0.01nM~100nM、0.01nM~10nM、0.01nM~5nM、0.01nM~1nM、0.01nM~0.5nM、0.01nM~0.1nM、0.01nM~0.05nM、0.05nM~100nM、0.05nM~10nM、0.05nM~5nM、0.05nM~1nM、0.05~0.5nM、0.05nM~0.1nM、0.1nM~100nM、0.1nM~10nM、0.1nM~5nM、0.1nM~1nM、0.1~0.5nM、0.5nM~100nM、0.5nM~10nM、0.5nM~5nM、0.5nM~1nM、1nM~100nM、1nM~10nM、1nM~5nM、5nM~100nM、5nM~10nM、又は10nM~100nMの解離定数を有する。いくつかの実施形態では、標的は、CD166、PD-L1、又はPD-1である。
【0056】
いくつかの実施形態では、非切断状態のAAは、1nM以下、5nM以下、10nM以下、15nM以下、20nM以下、25nM以下、50nM以下、100nM以下、150nM以下、250nM以下、500nM以下、750nM以下、1000nM以下、及び122./又は2000nM以下の解離定数で哺乳動物標的に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、標的は、標的、PD-L1、又はPD-1である。
【0057】
いくつかの実施形態では、非切断状態のAAは、1nM以上、5nM以上、10nM以上、15nM以上、20nM以上、25nM以上、50nM以上、100nM以上、150nM以上、250nM以上、500nM以上、750nM以上、1000nM以上及び122./又は2000nM以上の解離定数で哺乳動物標的に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、標的は、標的、PD-L1、又はPD-1である。
【0058】
いくつかの実施形態では、非切断状態のAAは、1nM~2000nM、1nM~1000nM、1nM~750nM、1nM~500nM、1nM~250nM、1nM~150nM、1nM~100nM、1nM~50nM、1nM~25nM、1nM~15nM、1nM~10nM、1nM~5nM、5nM~2000nM、5nM~1000nM、5nM~750nM、5nM~500nM、5nM~250nM、5nM~150nM、5nM~100nM、5nM~50nM、5nM~25nM、5nM~15nM、5nM~10nM、10nM~2000nM、10nM~1000nM、10nM~750nM、10nM~500nM、10nM~250nM、10nM~150nM、10nM~100nM、10n~50nM、10n~25nM、10n~15nM、15nM~2000nM、15nM~1000nM、15nM~750nM、15nM~500nM、15nM~250nM、15nM~150nM、15nM~100nM、15nM~50nM、15nM~25nM、25nM~2000nM、25nM~1000nM、25nM~750nM、25nM~500nM、25nM~250nM、25nM~150nM、25nM~100nM、25nM~50nM、50nM~2000nM、50nM~1000nM、50nM~750nM、50nM~500nM、50nM~250nM、50nM~150nM、50nM~100nM、100nM~2000nM、100nM~1000nM、100nM~750nM、100nM~500nM、100nM~250nM、100nM~150nM、150nM~2000nM、150nM~1000nM、150nM~750nM、150nM~500nM、150n~250nM、250nM~2000nM、250nM~1000nM、250nM~750nM、250nM~500nM、500nM~2000nM、500nM~1000nM、500nM~750nM、500nM~500nM、500nM~250nM、500n~150nM、500nM~100nM、500nM~50nM、750nM~2000nM、750nM~1000nM、又は1000nM~2000nMの範囲の解離定数で哺乳動物標的に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、標的は、標的、PD-L1、又はPD-1である。
【0059】
いくつかの実施形態では、活性化状態のAAは、0.01nM、0.05nM、0.1nM、0.5nM、1nM、5nM、又は10nM以下である解離定数で哺乳動物標的に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、活性化状態のAAは、0.01nM、0.05nM、0.1nM、0.5nM、1nM、5nM、又は10nM以上である解離定数で哺乳動物標的に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、標的は、標的、PD-L1、又はPD-1である。
【0060】
いくつかの実施形態では、活性化状態のAAは、0.01nM~100nM、0.01nM~10nM、0.01nM~5nM、0.01nM~1nM、0.01nM~0.5nM、0.01nM~0.1nM、0.01nM~0.05nM、0.05nM~100nM、0.05nM~10nM、0.05nM~5nM、0.05nM~1nM、0.05~0.5nM、0.05nM~0.1nM、0.1nM~100nM、0.1nM~10nM、0.1nM~5nM、0.1nM~1nM、0.1~0.5nM、0.5nM~100nM、0.5nM~10nM、0.5nM~5nM、0.5nM~1nM、1nM~100nM、1nM~10nM、1nM~5nM、5nM~100nM、5nM~10nM、又は10nM~100nMの範囲の解離定数で哺乳動物標的に特異的に結合する。
【0061】
本発明の例示的な活性化可能な抗CD166抗体は、例えば、下に示す重鎖及び軽鎖相補性決定領域(CDR)、完全長アミノ酸配列、並びに可変領域アミノ酸配列を含むか、それらであるか、又はそれらに由来する重鎖及び軽鎖を含む活性化可能な抗体(AA)を含む。
【表1】
【0062】
いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、対応する抗体のそれよりも長い。例えば、AAのpKは、対応する抗体のそれよりも長い。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、対応する抗体のそれと類似している。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも15日である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも12日である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも11日である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも10日である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも9日である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも8日である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも7日である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも6日である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも5日である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも4日である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも3日である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも2日である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも24時間である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも20時間である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも18時間である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも16時間である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも14時間である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも12時間である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも10時間である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも8時間である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも6時間である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも4時間である。いくつかの実施形態では、AAの血清半減期は、生物に投与された場合、少なくとも3時間である。
【0063】
例示的な活性化可能な抗体
例示的な実施形態では、本開示のAAは、以下の配列の任意の1以上を含む。
【表2】
【0064】
例示的な実施形態では、AAは、(a)哺乳動物CD166に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB)であって、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ABと、(b)ABと共役したマスキング部分(MM)であって、AAが非切断状態にあるときに哺乳動物CD166へのABの結合を阻害し、配列番号19のアミノ酸配列を含む、MMと、(c)ABと共役した切断可能な部分(CM)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドであり、配列番号20のアミノ酸配列を含む、CMを含む。
【0065】
例示的な実施形態では、AAは、(a)哺乳動物CD166に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB)を含み、ABは、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖を及び配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、spdbリンカーを介してDM4にコンジュゲートされ(この例示的なコンジュゲートAAは、本明細書では「スペーサー-7614.6-3001-HcCD166-SPDB-DM4」と呼ばれる)、「コンビネーション55」とも呼ばれる。リンカー毒素SPDB-DM4はまた、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート-N2’-デアセチル-N2’-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-メイタンシンとしても知られている。
【0066】
別の例示的な実施形態では、AAは、(a)哺乳動物CD166に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB)を含み、ABは、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、さらにspdbリンカーを介してDM4にコンジュゲートされ、この例示的なコンジュゲートAAは、本明細書では「7614.6-3001-HcCD166-SPDB-DM4」とも呼ばれる(「コンビネーション60」とも呼ばれる)。
【0067】
例示的な実施形態では、AAは、(a)哺乳動物PD-1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB)であって、配列番号57又は配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号59のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ABと、(b)ABと共役したマスキング部分(MM)であって、AAが非切断状態にあるときに哺乳動物PD-1へのABの結合を阻害し、配列番号66のアミノ酸配列を含む、MMと、(c)ABと共役した切断可能な部分(CM)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドであり、配列番号67のアミノ酸配列を含む、CMを含む。
【0068】
例示的な実施形態では、AAは、(a)哺乳動物PD-1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB)を含み、ABは、配列番号57又は配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号62又は配列番号63のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。例示的な実施形態では、AAは、(a)哺乳動物PD-1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB)を含み、ABは、配列番号60のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号64又は配列番号65のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0069】
例示的な実施形態では、AAは、(a)哺乳動物PD-L1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB)であって、配列番号74又は配列番号75のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号76のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ABと、(b)ABと共役したマスキング部分(MM)であって、AAが非切断状態にあるときに哺乳動物PD-L1へのABの結合を阻害し、配列番号83のアミノ酸配列を含む、MMと、(c)ABと共役した切断可能な部分(CM)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドであり、配列番号84のアミノ酸配列を含む、CMを含む。
【0070】
例示的な実施形態では、AAは、(a)哺乳動物PD-L1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB)を含み、ABは、配列番号74又は配列番号75のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号79又は配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。例示的な実施形態では、AAは、(a)哺乳動物PD-L1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB)を含み、ABは、配列番号77のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号81又は配列番号82のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0071】
マスキング部分(MM)
本明細書に記載の活性化可能な抗体は、抗体治療薬、特にインビボで少なくともある程度まで毒性が知られている抗体治療薬の限界を克服する。標的媒介性毒性は、治療抗体の開発に大きな限界をもたらす。本明細書で提供される活性化可能な抗体は、従来の治療抗体による正常組織における標的の阻害と関連付けられ毒性を対処するように設計される。これらの活性化可能な抗体は、疾患部位でタンパク質分解により活性化されるまでマスクされたままである。親の治療抗体としての抗体で始め、本発明の活性化可能な抗CD166抗体を、プロテアーゼ基質を組み込むリンカー(CM)を介して抗体を阻害マスク(マスキング部分、MM)と共役させることによって操作した。
【0072】
したがって、本明細書で提供される活性化可能な抗体は、マスキング部分(MM)を含む。いくつかの実施形態では、MMは、抗体と共役又は他の方法で付着したアミノ酸配列であり、MMがその標的を特異的に結合する抗体の能力を低下させるように、活性化可能な抗体構築物内に配置される。適切なマスキング部分は、様々な公知の技術のいずれかを用いて同定される。例えば、ペプチドマスキング部分は、その内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれるDaughertyらによるPCT公開WO 2009/025846に記載された方法を用いて同定される。
【0073】
いくつかの実施形態では、標的の存在下で、MMは、例えば、その内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT公開WO 2010/081173に記載のアッセイなどの標的置換アッセイを用いてインビトロでアッセイした場合に、CMが切断されたときと比較して、CMが切断されていないときに、その標的に結合するABの能力を少なくとも90%低下させる。
【0074】
いくつかの実施形態では、MMは、約2~40個のアミノ酸長のポリペプチドである。いくつかの実施形態では、MMは、最大約40個のアミノ酸長のポリペプチドである。
【0075】
いくつかの実施形態では、MMポリペプチド配列は、ABの標的のものとは異なる。いくつかの実施形態では、MMポリペプチド配列は、ABの任意の天然結合パートナーと50%未満同一である。いくつかの実施形態では、MMポリペプチド配列は、ABの標的のそれとは異なり、ABの任意の天然結合パートナーと40%、30%、25%、20%、15%、又は10%以下同一である。
【0076】
1つの例示的な実施形態では、本明細書で提供されるAAは、そのアミノ酸配列が記載される、MMを含む:
【表3】
【0077】
ABが、MMで修飾され、標的の存在下にある場合、その標的に対するABの特異的結合は、MMで修飾されていないABの特異的結合又は標的に対する親ABの特異的結合と比較して、低下されるか又は阻害される。
【0078】
MMで修正されたABの標的に対するKは、MMで修飾されていないABのKよりも又は標的に対する親ABのKよりも少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000倍若しくはそれを超えて、又は5~10、10~100、10~1,000、10~10,000、10~100,000、10~1,000,000、10~10,000,000、25~50、50~250、100~1,000、100~10,000、100~100,000、100~1,000,000、100~10,000,000、500~2,500、1,000~10,000、1,000~100,000、1,000~1,000,000、1000~10,000,000、2,500~5,000、5,000~50,000、10,000~100,000、10,000~1,000,000、10,000~10,000,000、50,000~5,000,000、100,000~1,000,000、又は100,000~10,000,000倍高い。逆に、MMで修飾されたABの標的に対する結合親和性は、MMで修飾されていないABの結合親和性よりも又は標的に対する親ABの結合親和性よりも少なくとも2、3、4、5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000倍若しくはそれを超えて、又は5~10、10~100、10~1,000、10~10,000、10~100,000、10~1,000,000、10~10,000,000、25~50、50~250、100~1,000、100~10,000、100~100,000、100~1,000,000、100~10,000,000、500~2,500、1,000~10,000、1,000~100,000、1,000~1,000,000、1000~10,000,000、2,500~5,000、5,000~50,000、10,000~100,000、10,000~1,000,000、10,000~10,000,000、50,000~5,000,000、100,000~1,000,000、又は100,000~10,000,000倍低い。
【0079】
いくつかの実施形態では、ABへのMMの共役は、MMに共役されるときのその標的に対するABの解離定数(K)が、MMに共役されないときのその標的に対するABのKよりも少なくとも2倍高いように、その標的を結合するABの能力を低下させる。
【0080】
いくつかの実施形態では、ABへのMMの共役は、MMに共役されるときのその標的に対するABの解離定数(K)が、MMに共役されないときのその標的に対するABのKよりも少なくとも5倍高いように、その標的を結合するABの能力を低下させる。
【0081】
いくつかの実施形態では、ABへのMMの共役は、MMに共役されるときのその標的に対するABの解離定数(K)が、MMに共役されないときのその標的に対するABのKよりも少なくとも10倍高いように、その標的を結合するABの能力を低下させる。
【0082】
いくつかの実施形態では、ABへのMMの共役は、MMに共役されるときのその標的に対するABの解離定数(K)が、MMに共役されないときのその標的に対するABのKよりも少なくとも20倍高いように、その標的を結合するABの能力を低下させる。
【0083】
いくつかの実施形態では、ABへのMMの共役は、MMに共役されるときのその標的に対するABの解離定数(K)が、MMに共役されないときのその標的に対するABのKよりも少なくとも40倍高いように、その標的を結合するABの能力を低下させる。
【0084】
いくつかの実施形態では、ABへのMMの共役は、MMに共役されるときのその標的に対するABの解離定数(K)が、MMに共役されないときのその標的に対するABのKよりも少なくとも100倍高いように、その標的を結合するABの能力を低下させる。
【0085】
いくつかの実施形態では、ABへのMMの共役は、MMに共役されるときのその標的に対するABの解離定数(K)が、MMに共役されないときのその標的に対するABのKよりも少なくとも1000倍高いように、その標的を結合するABの能力を低下させる。
【0086】
いくつかの実施形態では、ABへのMMの共役は、MMに共役されるときのその標的に対するABの解離定数(K)が、MMに共役されないときのその標的に対するABのKよりも少なくとも10,000倍高いように、その標的を結合するABの能力を低下させる。
【0087】
ABに対するMMの解離定数(K)は、標的に対するABのKよりも一般に高い。ABに対するMMのKは、標的に対するABのKよりも少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、100,000、1,000,000又はさらに10,000,000倍高い可能性がある。逆に、ABに対するMMの結合親和性は一般に、標的に対するABの結合親和性よりも低い。ABに対するMMの結合親和性は、標的に対するABの結合親和性よりも少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、100,000、1,000,000又はさらに10,000,000倍低い可能性がある。
【0088】
いくつかの実施形態では、ABに対するMMの解離定数(Kd)は、標的に対するABのKdとほぼ等しい。いくつかの実施形態では、ABに対するMMの解離定数(Kd)は、標的に対するABの解離定数以下である。
【0089】
いくつかの実施形態では、ABに対するMMの解離定数(Kd)は、標的に対するABの解離定数よりも低い。
【0090】
いくつかの実施形態では、ABに対するMMの解離定数(Kd)は、標的に対するABの解離定数よりも高い。
【0091】
いくつかの実施形態では、MMは、標的へのABの結合についてのKd以下である、ABへの結合についてのKdを有する。
【0092】
いくつかの実施形態では、MMは、標的へのABの結合についてのKdより低い、ABへの結合についてのKdを有する。
【0093】
いくつかの実施形態では、MMは、標的へのABの結合についてのKdとほぼ等しい、ABへの結合についてのKdを有する。
【0094】
いくつかの実施形態では、MMは、標的へのABの結合についてのKd以上である、ABへの結合についてのKdを有する。
【0095】
いくつかの実施形態では、MMは、標的へのABの結合についてのKdより高い、ABへの結合についてのKdを有する。
【0096】
いくつかの実施形態では、ABに対するMMの解離定数(K)は、ABが標的に結合するKdよりも2、3、4、5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000倍若しくはそれを超えて、又は1~5、5~10、10~100、10~1,000、10~10,000、10~100,000、10~1,000,000、10~10,000,000、25~50、50~250、100~1,000、100~10,000、100~100,000、100~1,000,000、100~10,000,000、25~500、500~2,500、1,000~10,000、1,000~100,000、1,000~1,000,000、1,000~10,000,000、2,500~5,000、5,000~50,000、10,000~100,000、10,000~1,000,000、10,000~10,000,000、50,000~5,000,000、100,000~1,000,000、又は100,000~10,000,000倍高い。いくつかの実施形態では、MMは、ABが標的に結合するKdよりも1~5、2~5、2~10、5~10、5~20、5~50、5~100、10~100、10~1,000、20~100、20~1000、又は100~1,000倍高い、ABへの結合についてのKdを有する。
【0097】
いくつかの実施形態では、MMは、標的に対するABの結合親和性よりも低いABへの結合親和性を有する。
【0098】
いくつかの実施形態では、MMは、標的に対するABの結合親和性以下であるABへの結合親和性を有する。
【0099】
いくつかの実施形態では、MMは、標的に対するABの結合親和性とほぼ等しいABへの結合親和性を有する。
【0100】
いくつかの実施形態では、MMは、標的に対するABの結合親和性以上のABへの結合親和性を有する。
【0101】
いくつかの実施形態では、MMは、標的に対するABの結合親和性よりも高いABへの結合親和性を有する。
【0102】
いくつかの実施形態では、MMは、標的に対するABの結合親和性よりも2、3、4、5、10、25、50、100、250、500、又は1,000倍低いABへの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、MMは、標的に対するABの結合親和性よりも1~5、2~5、2~10、5~10、5~20、5~25、5~50、5~100、10~100、10~1,000、20~100、20~1000、25~250、50~500、又は100~1,000倍低いABへの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、MMは、標的に対するABの結合親和性よりも2~20倍低いABへの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、ABと等モル濃度で、ABに共有結合されないMMは、ABの標的への結合を阻害しない。
【0103】
ABがMMで修飾されかつ標的の存在下にある時、標的に対するABの特異的結合は、MMで修飾されていないABの特異的結合又は標的に対する親ABの特異的結合と比較して、低下されるか又は阻害される。MMで修飾されていないABの結合又は標的に対する親ABの結合と比較して、MMで修飾された場合、標的に結合するABの能力は、インビボアッセイ又はインビトロアッセイで測定すると、少なくとも、2、4、6、8、12、28、24、30、36、48、60、72、84、若しくは96時間、又は5、10、15、30、45、60、90、120、150、若しくは180日、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12ヶ月以上の間、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらには100%低下され得る。
【0104】
MMは、標的へのABの結合を阻害する。MMは、ABの抗原結合ドメインを結合し、ABの標的への結合を阻害する。MMは、標的へのABの結合を立体的に阻害できる。MMは、ABの標的への結合をアロステリックに阻害できる。これらの実施形態では、ABが、標的の存在下で、MMによって修飾されるか又はMMと共役した場合、インビボアッセイ又はインビトロアッセイで測定すると、少なくとも2、4、6、8、12、28、24、30、36、48、60、72、84、若しくは96時間、又は5、10、15、30、45、60、90、120、150、若しくは180日、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12ヶ月以上の間、標的へのABの結合はないか又は実質的にないか、又はMMで修飾されていないABの結合、親ABの結合、若しくはMMと共役していないABの標的への結合と比較して、標的へのABの結合は0.001%、0.01%、0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、、30%、35%、40%、又は50%以下である。
【0105】
ABがMMに共役されるか又はMMによって修飾される場合、MM「マスク」は、標的へのABの特異的結合を低下させるか又はそうでなければ阻害する。ABがMMに共役されるか又はMMによって修飾される場合、そのような共役又は修飾は、ABがその標的に特異的に結合する能力を低下させるか又は阻害する構造的変化に影響を及ぼし得る。
【0106】
MMに共役された又はMMで修飾されたABは、以下の式(アミノ(N)末端領域からカルボキシル(C)末端領域への順で):
(MM)-(AB)
(AB)-(MM)
(MM)-L-(AB)
(AB)-L-(MM)
(式中、MMはマスキング部分であり、ABは抗体又はその抗体断片であり、Lはリンカーである)によって表すことができる。多くの実施形態では、柔軟性を提供するために、1以上のリンカー、例えば、柔軟なリンカーを組成物に挿入することが望ましい場合がある。
【0107】
ある実施形態では、MMは、ABの天然の結合パートナーではない。いくつかの実施形態では、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーに対する相同性を全く含まないか、又は実質的に含まない。いくつかの実施形態では、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーと5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、又は80%以下類似している。いくつかの実施形態では、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーと5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、又は80%以下同一である。いくつかの実施形態では、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーと25%以下同一である。いくつかの実施形態では、MMは、ABの天然の結合パートナーと50%以下同一である。いくつかの実施形態では、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーと20%以下同一である。いくつかの実施形態では、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーと10%以下同一である。
【0108】
切断可能な部分(CM)
本明細書に提供される活性化可能な抗体は、切断可能な部分(CM)を含む。いくつかの実施形態では、CMは、プロテアーゼ、通常は、細胞外プロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む。適切な基質は、様々な公知の技術のいずれかを用いて同定できる。例えば、ペプチド基質は、その各内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれるDaughertyらによる米国特許第7,666,817号、Staglianoらによる米国特許第8,563,269号、及びLa PorteらによるPCT公開WO 2014/026136に記載の方法を用いて同定される(Boulwareら 迅速な加水分解動態を示すプロテアーゼのペプチド基質の進化的最適化(Evolutionary optimization of peptide substrates for proteases that exhibit rapid hydrolysis kinetics) Biotechnol Bioeng.106.3(2010):339-46)も参照されたい)。
【0109】
いくつかの実施形態では、CMを切断するプロテアーゼは、疾患組織で活性があり、例えば、上方制御されるか又はそうでなければ制御されず、プロテアーゼは、AAがプロテアーゼに曝されたときにAA中のCMを切断する。いくつかの実施形態では、プロテアーゼは、組織において標的と共局在し、プロテアーゼは、AAがプロテアーゼにさらされたときにAA中のCMを切断する。図1は、腫瘍特異的プロテアーゼが存在する腫瘍微小環境中で優先的に活性化される、活性化可能な抗体薬物コンジュゲートを示す。
【0110】
いくつかの実施形態では、AAは、MMによって修飾され1以上の切断可能な部分(CM)も含む、ABを含む。そのようなAAは、ABの標的に対して活性化可能な/切り替え可能な結合を示す。AAは一般に、マスキング部分(MM)及び修飾可能又は切断可能な部分(CM)によって修飾されるか又は共役した抗体又は抗体断片(AB)を含む。いくつかの実施形態では、CMは、少なくとも1つのプロテアーゼの基質として機能するアミノ酸配列を含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、CMは、最大15個のアミノ酸長のポリペプチドである。
【0112】
いくつかの実施形態では、CMは、少なくとも1つのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の基質である第1の切断可能な部分(CM1)及び少なくとも1つのセリンプロテアーゼ(SP)の基質である第2の切断可能な部分(CM2)を含むポリペプチドである。いくつかの実施形態では、CM1-CM2基質のCM1基質配列及びCM2基質配列の各々は、独立して最大15個のアミノ酸長のポリペプチドである。
【0113】
いくつかの実施形態では、そのアミノ酸配列が記載される、CMはCM1-CM2基質である:
【表4】
【0114】
AAの要素が配置され、それによりMM及びCMは、切断(又は比較的活性である)状態でかつ標的の存在下で、ABが標的を結合し、一方でAAが標的の存在下で切断されない(又は比較的不活性である)状態にあるときは、ABのその標的への特異的結合が低下されるか又は阻害されるように位置付けられる。ABのその標的への特異的結合は、MMによってその標的に特異的に結合するABの能力の阻害又はマスキングにより低下させることができる。
【0115】
MM及びCMで修飾されたABの標的に対するKは、MM及びCMで修飾されていないABの標的に対するK、又は親のABの標的に対するKよりも、少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000倍若しくはそれを超えて、又は5~10、10~100、10~1,000、10~10,000、10~100,000、10~1,000,000、10~10,000,000、25~50、50~250、100~1,000、100~10,000、100~100,000、100~1,000,000、100~10,000,000,25~500、500~2,500、1,000~10,000,1,000~100,000,1,000~1,000,000、1000~10,000,000、2,500~5,000、5,000~50,000,10,000~100,000、10,000~1,000,000、10,000~10,000,000、50,000~5,000,000、100,000~1,000,000、又は100,000~10,000,000倍高い。逆に、MM及びCMで修飾されたABの標的に対する結合親和性は、MM及びCMで修飾されていないABの標的に対する結合親和性、又は親のABの標的に対する結合親和性よりも、少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000倍若しくはそれを超えて、又は5~10、10~100、10~1,000、10~10,000、10~100,000、10~1,000,000、10~10,000,000、25~50、50~250、100~1,000、100~10,000、100~100,000、100~1,000,000、100~10,000,000、25~500、500~2,500、1,000~10,000、1,000~100,000、1,000~1,000,000、1000~10,000,000、2,500~5,000、5,000~50,000、10,000~100,000、10,000~1,000,000、10,000~10,000,000、50,000~5,000,000、100,000~1,000,000、又は100,000~10,000,000倍低い。
【0116】
ABがMM及びCMで修飾され、かつ標的の存在下にあるが修飾剤(例えば、少なくとも1つのプロテアーゼ)の存在下にない場合、ABのその標的への特異的結合は、MM及びCMで修飾されていないABの標的への特異的結合又は親ABの標的への特異的結合と比較して低下されるか又は阻害される。親のABのその標的への結合又はMM及びCMで修飾されていないABのその標的への結合と比較すると、MM及びCMで修飾された場合に、標的に結合するABの能力は、インビボアッセイ又はインビトロアッセイで測定すると、少なくとも、2、4、6、8、12、28、24、30、36、48、60、72、84、若しくは96時間、又は5、10、15、30、45、60、90、120、150、若しくは180日、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12ヶ月以上の間、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらには100%低下させることができる。
【0117】
本明細書で使用する場合、用語「切断状態」は、少なくとも1つのプロテアーゼによるCMの修飾後のAAの状態を指す。用語「非切断状態」は、本明細書で使用する場合、プロテアーゼによるCM切断のないAAの状態を指す。上で説明したように、用語「活性化可能な抗体」は、その非切断(天然)状態とその切断状態の両方のAAを指すために本明細書で使用される。いくつかの実施形態では、切断されたAAがプロテアーゼによるCM切断のためにMMを欠き、その結果、少なくともMMの放出が生じ得る(例えば、MMが共有結合(例えば、システイン残基間のジスルフィド結合)によってAAに連結されていない場合)ことは、当業者には明らかであろう。
【0118】
活性化可能又は切り替え可能とは、AAは、AAが阻害されるか、マスクされるか又は非切断状態にある(すなわち、第1の立体構造)場合に標的に結合する第1のレベルと、阻害されず、マスクされず、かつ/又は切断された状態(すなわち、第2の立体構造)での標的に結合する第2のレベルを示すことを意味し、標的結合の第2のレベルは、第1の結合レベルよりも高い。一般に、AAのABへの標的のアクセスは、CMを切断できる切断剤、すなわちプロテアーゼの存在下で、そのような切断剤の不在下よりも大きい。そのため、AAが非切断状態の場合、ABは標的結合から阻害され、標的結合からマスクされ得(すなわち、第1の立体構造はABが標的を結合できないようなものであり)、切断状態では、ABは標的結合を阻害されないか、又はマスクされない。
【0119】
AAのCM及びABは、ABが所与の標的に対する結合部分を表し、かつCMがプロテアーゼの基質を表すように選択される。いくつかの実施形態では、プロテアーゼは、対象における治療部位又は診断部位で標的と共局在化される。本明細書で使用する場合、共局在化は、同じ部位又は比較的近傍にあることを指す。いくつかの実施形態では、プロテアーゼは、CMを切断し、切断部位の近くに位置する標的に結合する活性化可能な抗体をもたらす。本明細書で開示されるAAは、例えば、CM中の部位を切断できるプロテアーゼ、すなわちプロテアーゼが、非治療部位の組織(例えば、健康な組織)よりも治療部位又は診断部位の標的含有組織において比較的より高いレベルで存在する場合に、特に用いられる。いくつかの実施形態では、本開示のCMはまた、1以上の他のプロテアーゼによって切断される。いくつかの実施形態では、それは、標的と共局在化され、かつインビボでCMの切断を担う、1以上の他のプロテアーゼである。
【0120】
いくつかの実施形態では、AAは、ABがマスクされていないか、又はそうでなければ標的への結合を阻害された場合に、非治療部位でABの結合から生じる可能性のある毒性及び/又は副作用を低下させる。
【0121】
一般に、AAは、目的のABを選択すること、およびAAの残りの部分を構築することによって設計でき、その結果、立体構造的に制限された場合に、MMは、ABをマスキングするか、又はその標的に対するABの結合を低下させる。構造設計基準を考慮して、この機能的特徴を提供できる。
【0122】
阻害された立体構造と阻害されていない立体構造における標的結合についての所望のダイナミックレンジの切り替え可能な表現型を呈するAAが、提供される。ダイナミックレンジは一般に、(a)第1の条件設定下でのパラメータの最大検出レベル対(b)第2の条件設定下でのパラメータの最小検出レベルの比率を指す。例えば、活性化可能な抗体の文脈において、ダイナミックレンジは、(a)AAのCMを切断できる少なくとも1つのプロテアーゼの存在下でAAに結合する標的タンパク質の最大検出レベル対(b)プロテアーゼの不在時にAAに結合する標的タンパク質の最小検出レベルの比率を指す。AAのダイナミックレンジは、AA切断剤(例えば、酵素)処理の解離定数とAA切断剤処理の解離定数の比率として計算できる。活性化可能な抗体のダイナミックレンジが大きいほど、活性化可能な抗体の切り替え可能な表現型は優れている。比較的高い(例えば、1より大きい)ダイナミックレンジ値を有するAAは、AAによる標的タンパク質結合が切断剤の不在時よりもAAのCMを切断できる切断剤(例えば、酵素)の存在下でより大きな程度に生じる(例えば、主に生じる)ような、より望ましいスイッチング表現型を示す。
【0123】
CMは、約0.001~1500×10-1-1又は少なくとも0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2.5、5、7.5、10、15、20、25、50、75、100、125、150、200、250、500、750、1000、1250、又は1500×10-1-1の速度で少なくとも1つのプロテアーゼによって特異的に切断される。いくつかの実施形態では、CMは、約100,000M-1-1の速度で特異的に切断される。いくつかの実施形態では、CMは、約1×10E2~約1×10E6M-1-1(すなわち、約1×10~約1×10-1-1)の速度で特異的に切断される。
【0124】
酵素による特異的切断のために、酵素とCMの間で接触が起きる。MM及びCMと共役したABを含むAAが標的及び十分な酵素活性の存在下にある場合、CMを切断できる。十分な酵素活性は、CMと接触し効果的な切断を行う酵素の能力を指してよい。酵素はCMの近くにあり得るが、他の細胞因子又は酵素のタンパク質修飾が原因で切断できないことは、容易に想像できる。
【0125】
活性化可能な抗体の構造配置
本開示のAAは、様々な構造配置で提供できる。AAの例示的な式を以下に示す。AB、MM及びCMのN末端からC末端への順は、活性化可能な抗体内で逆転してもよいことが特に企図される。例えば、CMがMM内に含まれるように、CMとMMがアミノ酸配列内で重複してよいことも、特に企図される。
【0126】
例えば、AAは、以下の式によって(アミノ(N)末端領域からカルボキシル(C)末端領域のへ順で)表すことができる:
(MM)-(CM)-(AB)
(AB)-(CM)-(MM)
式中、MMはマスキング部分であり、CMは切断可能な部分であり、ABは抗体又はその断片である。MM及びCMは、上記の式において明確な成分として示されているが、本明細書で開示される全ての例示的な実施形態(式を含む)において、例えば、CMがMM内に完全に又は部分的に含まれるように、MM及びCMのアミノ酸配列が重複してよいことが企図されることに留意されたい。加えて、上記の式は、AA要素に対しN末端又はC末端に位置付けられ得る追加のアミノ酸配列を提供する。
【0127】
多くの実施形態では、MM-CM接合部、CM-AB接合部、又はその両方の1以上で柔軟性を提供するために、1以上のリンカー、例えば、柔軟なリンカーをAA構築物に挿入することが望ましい場合がある。例えば、AB、MM、及び/又はCMは、所望の柔軟性を提供するのに十分な数の残基(例えば、Gly、Ser、Asp、Asn、特にGly及びSer、特にGly)を含有しなくてよい。そのようなものとして、そのようなAA構築物の切り替え可能な表現型は、柔軟なリンカーを提供するために、1以上のアミノ酸の導入から利益を得ることができる。加えて、後述するように、AAが立体構造的に制限された構築物として提供される場合、柔軟なリンカーを作動可能に挿入して、切断されない活性化可能な抗体における環状構造の形成及び維持を容易にできる。
【0128】
いくつかの実施形態では、AAは、第1の連結ペプチド(LP1)及び第2の連結ペプチド(LP2)を含み、非切断状態のAAは、以下のようにN末端からC末端へと構造配置:MM-LP1-CM-LP2-AB又はAB-LP2-CM-LP1-MMを有する。いくつかの実施形態では、2つの連結ペプチドは、互いに同一である必要はない。
【0129】
いくつかの実施形態では、LP1又はLP2の少なくとも1つは、(GS)、(GGS)、(GSGGS)(配列番号22)及び(GGGS)(配列番号23)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、nは少なくとも1の整数である。
【0130】
いくつかの実施形態では、LP1又はLP2の少なくとも1つは、GGSG(配列番号24)、GGSGG(配列番号25)、GSGSG(配列番号26)、GSGGG(配列番号27)、GGGSG(配列番号28)、及びGSSSG(配列番号29)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、LP1は、アミノ酸配列GSSGGSGGSGGSG(配列番号30)、GSSGGSGGSGG(配列番号31)、GSSGGSGGSGGS(配列番号32)、GSSGGSGGSGGSGGGS(配列番号33)、GSSGGSGGSG(配列番号34)、又はGSSGGSGGSGS(配列番号35)を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、LP2は、アミノ酸配列GSS、GGS、GGGS(配列番号36)、GSSGT(配列番号37)又はGSSG(配列番号38)を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、ABは、その標的への結合について約100nM以下の解離定数を有する。
【0134】
例えば、ある実施形態では、AAは、以下の式(式は、N末端からC末端方向又はC末端からN末端方向のいずれかでのアミノ酸配列を表す):
(MM)-LP1-(CM)-(AB)
(MM)-(CM)-LP2-(AB)
(MM)-LP1-(CM)-LP2-(AB)
の1つを含み、MM、CM、及びABは上で定義したとおりであり、LP1及びLP2は各々独立して、任意に存在するか、又は存在せず、かつ少なくとも1つの柔軟なアミノ酸(例えば、Gly)を含む同じ又は異なる柔軟なリンカーである。加えて、上の式は、AA要素に対してN末端又はC末端に位置付けられ得る追加のアミノ酸配列を提供する。例としては、標的部分(例えば、標的組織に存在する細胞の受容体に対するリガンド)及び血清半減期延長部分(例えば、免疫グロブリン(例えば、IgG)又は血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン(HAS)などの血清タンパク質を結合するポリペプチド))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
いくつかの実施形態では、AAは、活性化状態又は切断状態で活性化可能な抗体が、プロテアーゼがCMを切断した後にLP2及び/又はCM配列の少なくとも一部を含む軽鎖アミノ酸配列を含むように、プロテアーゼに曝露され、それにより切断される。
【0136】
本明細書に記載の組成物での使用に適するリンカーは一般に、標的へのABの結合の阻害を促進するために、修飾されたAB又はAAの柔軟性を提供するものである。そのようなリンカーは一般に、柔軟なリンカーと呼ばれる。適切なリンカーは、容易に選択でき、1個のアミノ酸(例えば、Gly)~20個のアミノ酸、2個のアミノ酸~15個のアミノ酸、3個のアミノ酸~12個のアミノ酸、4個のアミノ酸~10個のアミノ酸、5個のアミノ酸~9個のアミノ酸、6個のアミノ酸~8個のアミノ酸、又は7個のアミノ酸~8個のアミノ酸などの、適切で異なる長さのいずれかのものであり得、かつ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のアミノ酸長であり得る。
【0137】
例示的な柔軟なリンカーは、グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー(例えば、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号22)及び(GGGS)n(配列番号23)を含み、nは少なくとも1の整数である)、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、及び当技術分野で公知の他の柔軟なリンカーを含む。グリシン及びグリシン-セリンポリマーは、比較的構造不定であり、したがって、成分間の中性テザーとして機能できる。グリシンは、アラニンよりもphi-psi空間にかなり近づき、より長い側鎖を有する残基よりもはるかに制限されていない(Scheraga,Rev.Computational Chem.11173-142(1992)参照)。例示的な柔軟なリンカーは、Gly-Gly-Ser-Gly(配列番号24)、Gly-Gly-Ser-Gly-Gly(配列番号25)、Gly-Ser-Gly-Ser-Gly(配列番号26)、Gly-Ser-Gly-Gly-Gly(配列番号27)、Gly-Gly-Gly-Ser-Gly(配列番号28)、Gly-Ser-Ser-Ser-Gly(配列番号29)などを含むが、これらに限定されない。当業者は、AAの設計は、全て柔軟な又は部分的に柔軟なリンカーを含めることができ、それによりリンカーは、柔軟性なリンカーならびに所望のAA構造を提供するために柔軟性の低い構造を与える1以上の部分を含み得ることを認識するであろう。
【0138】
いくつかの実施形態では、AAはシグナルペプチドも含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、スペーサーを介してAAにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、スペーサーはシグナルペプチドの不在下でAAにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、スペーサーは、活性化可能な抗体のMMに直接結合される。いくつかの実施形態では、スペーサーは、スペーサー-MM-CM-ABのN末端からC末端への構造配置においてAAのMMに直接結合される。AAのMMのN末端に直接結合されるスペーサーの例は、QGQSGQ(配列番号39)である。AAのMMのN末端に直接結合されるスペーサーの他の例は、QGQSGQG(配列番号14)、QGQSG(配列番号40)、QGQS(配列番号41)、QGQ、QG、及びQを含む。AAのMMのN末端に直接結合されるスペーサーの他の例は、GQSGQG(配列番号87)、QSGQG(配列番号88)、SGQG(配列番号117)、GQG、及びGを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、MMのN末端に結合されない。いくつかの実施形態では、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列QGQSGQ(配列番号39)を含む。いくつかの実施形態は、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列QGQSGQG(配列番号14)を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列QGQSG(配列番号40)を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列QGQS(配列番号41)を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列QGQを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列QGを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、少なくともアミノ酸残基Qを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列GQSGQG(配列番号42)を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列QSGQG(配列番号43)を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列SGQG(配列番号44)を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列GQGを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列Gを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは存在しない。
【0139】
コンジュゲートされた活性化可能な抗体
本明細書で提供されるAA組成物及び方法は、活性化可能な抗標的抗体の活性(例えば、マスキング、活性化又は結合の活性)を損なうことなく、AB中の1以上のシステイン残基(例えば、システイン、リジン)への1以上の薬剤の付着を可能にする。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物及び方法は、MM内の1以上のジスルフィド結合を低下させるか又はそうでなければ妨害することなく、AB中の1以上のシステイン残基に1以上の薬剤を付着することを可能にする。本明細書で提供される組成物及び方法は、1以上の薬剤、例えば、様々な治療薬、診断薬及び/又は予防薬のいずれかにコンジュゲートされる活性化可能な抗標的抗体を生成し、例えば、いくつかの実施形態では、薬剤(複数可)のいずれも、活性可能な抗標的抗体のMMにコンジュゲートされない。本明細書で提供される組成物及び方法は、MMが非切断状態でAAのABを効果的かつ効率的にマスクする能力を保持する、コンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体を生成する。本明細書で提供される組成物及び方法は、AAが、CMを切断できるプロテアーゼの存在下でなお活性化されている、すなわち、切断された、コンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体を生成する。
【0140】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のAAは、活性化可能な抗体にコンジュゲートされた薬剤も含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲートされる剤は、抗炎症剤及び/又は抗腫瘍剤などの、治療薬である。このような実施形態では、薬剤は、活性化可能な抗体の炭水化物部分にコンジュゲートされ、例えば、いくつかの実施形態では、炭水化物部分は、抗体の抗原結合領域又は活性化可能な抗体内の抗原結合断片の外側に位置する。いくつかの実施形態では、薬剤は、抗体又は活性化可能な抗体中の抗原結合断片のスルフヒドリル基にコンジュゲートされる。
【0141】
いくつかの実施形態では、薬剤は、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、若しくは動物由来の酵素的に活性のある毒素、若しくはそれらの断片)などの細胞傷害性薬剤、又は放射性同位体(すなわち、放射性コンジュゲート)である。
【0142】
いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、標識又は他のマーカーなどの、検出可能な部分である。例えば、薬剤は、放射性標識アミノ酸、標識されたアビジン(例えば、光学的又は熱量的方法によって検出できる蛍光マーカー又は酵素活性を含むストレプトアビジン)によって検出できる1以上のビオチン部分、1以上の放射性同位元素若しくは放射性核種、1以上の蛍光標識、1以上の酵素標識、及び/又は1以上の化学発光剤であるか、又はそれらを含む。いくつかの実施形態では、検出可能な部分にはスペーサー分子が付着する。
【0143】
本開示はまた、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、又は動物由来又はそれらの断片の酵素的に活性のある毒素)などの細胞傷害性薬剤、又は放射性同位体(すなわち、放射性コンジュゲート)にコンジュゲートされる抗体を含む免疫コンジュゲートに関する。適切な細胞傷害性薬剤は、例えば、ドラスタチン及びその誘導体(例えば、アウリスタチンE、AFP、MMAF、MMAE、MMAD、DMAF、DMAE)を含む。例えば、薬剤は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)又はモノメチルアウリスタチンD(MMAD)である。いくつかの実施形態では、薬剤は、表1に列挙されるグループから選択される薬剤である。いくつかの実施形態では、薬剤は、ドラスタチンである。いくつかの実施形態では、薬剤は、アウリスタチン又はその誘導体である。いくつかの実施形態では、薬剤は、アウリスタチンE又はその誘導体である。いくつかの実施形態では、薬剤は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。いくつかの実施形態では、薬剤は、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)である。いくつかの実施形態では、薬剤は、メイタンシノイド又はメイタンシノイド誘導体である。いくつかの実施形態では、薬剤は、DM1又はDM4である。いくつかの実施形態では、薬剤は、デュオカルマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態では、薬剤は、カリケアマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態では、薬剤は、ピロロベンゾジアゼピンである。例示的な実施形態では、薬剤はDM4である。
【0144】
いくつかの実施形態では、薬剤は、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-リンカー又はマレイミドPEG-バリン-シトルリン-リンカーを用いてABに連結される。いくつかの実施形態では、薬剤は、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-リンカーを用いてABに連結される。いくつかの実施形態では、薬剤は、マレイミドPEG-バリン-シトルリン-リンカーを用いてABに連結される。いくつかの実施形態では、薬剤は、マレイミドPEG-バリン-シトルリン-パラアミノベンジルオキシカルボニルリンカーを用いてABに連結されるモノメチルアウリスタチンD(VC-MMAD)であり、このリンカーペイロード構築物は、本明細書で「vc-MMAD」と呼ばれる。いくつかの実施形態では、薬剤は、マレイミドPEG-バリン-シトルリン-パラアミノベンジルオキシカルボニルリンカーを用いてABに連結されたモノメチルアウリスタチンE(MMAE)であり、このリンカーペイロード構築物は、本明細書で「vc-MMAE」と呼ばれる。いくつかの実施形態では、薬剤は、マレイミドPEG-バリン-シトルリン-リンカーを用いてABに連結される。いくつかの実施形態では、薬剤は、マレイミドビス-PEG-バリン-シトルリン-パラアミノベンジルオキシカルボニルリンカーを用いてABに連結されるモノメチルアウリスタチンD(MMAD)であり、このリンカーペイロード構築物は、本明細書で「PEG2-vc-MMAD」と呼ばれる。vc-MMAD、vc-MMAE、及びPEG2-vc-MMADの構造を、以下に示す:
vc-MMAD
【化1】
vc-MMAE
【化2】
PEG2-vc-MMAD
【化3】
【0145】
例示的な実施形態では、薬剤は、リジンを介してAAにコンジュゲートされる。例示的な実施形態では、SPDB-DM4は、AA上のリジンのイプシロンアミノ基、例えば、リジンのイプシロンアミノ基を介して活性化可能な抗体に付着される。
【0146】
例示的な実施形態では、薬剤はDM4であり、リンカー-DMは以下のとおりである:
【化4】
【0147】
本開示はまた、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)ペイロードに結合されたAAを含むコンジュゲートAAを提供し、AAは、標的に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB)と、非切断状態のAAのABの標的への結合を阻害するマスキング部分(MM)と、ABと共役した切断可能な部分(CM)であって、少なくとも1つのMMPプロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである、CMを含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、MMADコンジュゲートAAは、ABに薬剤を付着させるいくつかの方法:(a)ABの炭水化物部分への付着、又は(b)ABのスルフヒドリル基への付着、又は(c)ABのアミノ基への付着、又は(d)ABのカルボキシ基への付着のいずれかを用いてコンジュゲートできる。
【0149】
いくつかの実施形態では、MMADペイロードは、リンカーを介してABにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、MMADペイロードは、リンカーを介してAB中のシステインにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、MMADペイロードは、リンカーを介してAB中のリジンにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、MMADペイロードは、本明細書で開示される残基などの、ABの別の残基にリンカーを介してコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、リンカーは、チオール含有リンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは、切断可能なリンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは、切断可能でないリンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは、表6及び7に示すリンカーからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、AA及びMMADペイロードは、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリンリンカーを介して連結される。いくつかの実施形態では、AA及びMMADペイロードは、マレイミドPEG-バリン-シトルリンリンカーを介して連結される。いくつかの実施形態では、AA及びMMADペイロードは、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-パラアミノベンジルオキシカルボニルリンカーを介して連結される。いくつかの実施形態では、AA及びMMADペイロードは、マレイミドPEG-バリン-シトルリン-パラアミノベンジルオキシカルボニルリンカーを介して連結される。いくつかの実施形態では、MMADペイロードは、本明細書に開示される部分的還元及びコンジュゲーション技術を用いてABにコンジュゲートされる。
【0150】
いくつかの実施形態では、本開示のリンカーのポリエチレングリコール(PEG)成分は、2エチレングリコールモノマー、3エチレングリコールモノマー、4エチレングリコールモノマー、5エチレングリコールモノマー、6エチレングリコールモノマー、7エチレングリコールモノマー、8エチレングリコールモノマー、9エチレングリコールモノマー、又は少なくとも10エチレングリコールモノマーから形成される。本開示のいくつかの実施形態では、PEG成分は、分岐ポリマーである。本開示のいくつかの実施形態では、PEG成分は、非分岐ポリマーである。いくつかの実施形態では、PEGポリマー成分は、アミノ基又はその誘導体、カルボキシル基又はその誘導体、又はアミノ基若しくはその誘導体とカルボキシル基若しくはその誘導体の両方で官能化される。
【0151】
いくつかの実施形態では、本開示のリンカーのPEG成分は、アミノテトラエチレングリコールカルボキシル基又はその誘導体である。いくつかの実施形態では、本開示のリンカーのPEG成分は、アミノトリエチレングリコールカルボキシル基又はその誘導体である。いくつかの実施形態では、本開示のリンカーのPEG成分は、アミノジエチレングリコールカルボキシル基又はその誘導体である。いくつかの実施形態では、アミノ誘導体は、それがコンジュゲートされるアミノ基とカルボキシル基の間のアミド結合の形成である。いくつかの実施形態では、カルボキシル誘導体は、それがコンジュゲートされるカルボキシル基とアミノ基の間のアミド結合の形成である。いくつかの実施形態では、カルボキシル誘導体は、それがコンジュゲートされるカルボキシル基とヒドロキシル基の間のエステル結合の形成である。
【0152】
使用できる酵素活性のある毒素及びその断片は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、フィトラッカ・アメリカーナタンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、ツルレイシ(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サポナリアオフィシナリス(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトジェリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセンを含む。様々な放射性核種は、放射性コンジュゲート抗体の生成に利用可能である。例としては、212Bi、131I、131In、90Y、及び186Reが挙げられる。
【0153】
抗体及び細胞傷害性薬剤のコンジュゲートは、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオン酸(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能誘導体(ジメチルアジピミデートHCLなど)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジルなど)、アルデヒド類(グルタルアルデヒドなど)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン、ジイソシアネート(トリレン-2,6-ジイソシアネートなど)、及びビス活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)などの様々な二官能性タンパク質共役剤を用いて作製される。例えば、リシン免疫毒素は、Vitettaら,Science 238:1098(1987)に記載されているように調製できる。炭素14標識1-イソチオシアネートベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、抗体への放射性核種のコンジュゲーションのための例示的なキレート化剤である。(WO94/11026参照)。
【0154】
本明細書に記載の開示で採用され得る例示的な医薬品の一部を表1に列挙するが、決して網羅的な列挙を意味するものではない。
【0155】
表1:コンジュゲーションのための例示的な医薬品
【表5】
【0156】
当業者は、多種多様な可能性のある部分を、結果として得られる本開示の抗体に結合できることを認識するだろう(例えば、「コンジュゲートワクチン(Conjugate Vaccines)」、Contributions to Microbiology and Immunology,J.M.Cruse及びR.E.Lewis,Jr(編),Carger Press,New York,(1989)を参照されたく、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0157】
いくつかの実施形態では、AAは、薬剤の1以上の同等物にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、AAは、薬剤の1つの同等物にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、AAは、薬剤の2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は10超の同等物にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、AAは、コンジュゲート剤の均一な数の同等物を有するAAの混合物の一部である。いくつかの実施形態では、AAは、コンジュゲート剤の不均一な数の同等物を有するAAの混合物の一部である。いくつかの実施形態では、AAの混合物は、各AAにコンジュゲートされる薬剤の平均数が、0~1、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、及び10を超えるようなものである。いくつかの実施形態では、AAの混合物は、各AAにコンジュゲートされる薬剤の平均数が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれを超えるようなものである。いくつかの実施形態では、各AAにコンジュゲートされる薬剤の平均数が3~4であるようなAAの混合物がある。いくつかの実施形態では、各AAにコンジュゲートされる薬剤の平均数が3.4~3.8であるようなAAの混合物がある。いくつかの実施形態では、各AAにコンジュゲートされる薬剤の平均数が3.4~3.6であるようなAAの混合物がある。いくつかの実施形態では、AAは、活性化可能な抗体の元のアミノ酸配列に対してリジン及び/又はシステイン残基の数が増加又は減少し、そのため、いくつかの実施形態では、活性化可能な抗体にコンジュゲートできる薬剤の数を対応して増加又は減少させるか、又はいくつかの実施形態では、部位特異的にAAへの薬剤のコンジュゲーションを制限するような、1以上の部位特異的アミノ酸配列修飾を含む。いくつかの実施形態では、修飾されるAAは、部位特異的な方法で1以上の非天然アミノ酸で修飾され、そのためいくつかの実施形態では、非天然アミノ酸の部位にのみ薬剤のコンジュゲーションを制限する。
【0158】
コンジュゲートされた活性化可能な抗体を生成するための組成物と方法
活性化可能な抗標的抗体は、薬剤に対して少なくとも1つのコンジュゲーションの位置を有する(コンジュゲートAAを生成するために)。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションの全ての可能な位置が使用されるわけではない。いくつかの実施形態では、天然の接触位置のいくつかは、変更又は除去されて、もはや薬剤へのコンジュゲーションに利用できない。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションの1以上の位置は、リジンのイプシロンアミノ基などの、窒素原子である。
【0159】
いくつかの実施形態では、コンジュゲーションの1以上の位置は、ジスルフィド結合に関与する硫黄原子である。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションの1以上の位置は、鎖間ジスルフィド結合に関与する硫黄原子である。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションの1以上の位置は、鎖間スルフィド結合に関与する硫黄原子であるが、鎖内ジスルフィド結合に関与する硫黄原子ではない。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションの1以上の位置は、システインの硫黄原子又は硫黄原子を含む他のアミノ酸残基の硫黄原子である。そのような残基は、抗体構造中に自然に存在し得るか、又は部位特異的突然変異誘発、化学的転換、又は非天然アミノ酸の誤った組み込みによって抗体に組み込まれ得る。
【0160】
AB中に1以上の鎖間ジスルフィド結合とMM中に1以上の鎖内ジスルフィド結合を有する活性化可能な抗標的抗体のコンジュゲートを調製する方法も提供され、遊離チオールと反応する薬物が提供される。本方法は一般に、例えば、TCEPなどの還元剤を用いてAA中の鎖間ジスルフィド結合を部分的に還元すること、及び部分的に還元された活性化可能な抗体に遊離チオールと反応する薬物をコンジュゲートすることを含む。本明細書で使用する場合、部分還元という用語は、活性化可能な抗標的抗体が還元剤と接触され、全てのジスルフィド結合未満、例えば、コンジュゲーションの全ての可能な部位未満が還元される状態を指す。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションの全ての可能な部位の99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%又は5%未満が、還元される。
【0161】
さらに他の実施形態では、薬剤、例えば、薬物を還元し、薬剤の配置に選択性をもたらす活性化可能な抗標的抗体にコンジュゲートする方法が提供される。本方法は一般に、AAのマスキング部分又は他の非AB部分の任意のコンジュゲーション部位が還元されないように、活性化可能な抗標的抗体を還元剤で部分的に還元すること、およびAB中の鎖間チオールに薬剤をコンジュゲートすることを含む。コンジュゲーション部位(複数可)は、所望の部位でコンジュゲーションを行えるように、薬剤の所望の配置を可能にするように選択される。還元剤は、例えば、TCEPである。例えば、活性化可能な抗体に対する還元剤の比率、インキュベーションの長さ、インキュベーション中の温度、還元反応溶液のpHなどの還元反応条件は、MMが非切断状態でAAのABを効果的かつ効率的にマスクする能力を保持する、コンジュゲートAAを生成する条件を特定することによって決定される。活性化可能な抗標的抗体に対する還元剤の比率は、活性化可能な抗体によって異なる。いくつかの実施形態では、活性化可能な抗標的抗体に対する還元剤の比率は、約20:1~1:1、約10:1~1:1、約9:1~1:1、約8:1~1:1、約7:1~1:1、約6:1~1:1、約5:1~1:1、約4:1~1:1、約3:1~1:1、約2:1~1:1、約20:1~1:1.5、約10:1~1:1.5、約9:1~1:1.5、約8:1~1:1.5、約7:1~1:1.5、約6:1~1:1.5、約5:1~1:1.5、約4:1~1:1.5、約3:1~1:1.5、約2:1~1:1.5、約1.5:1~1:1.5、又は約1:1~1:1.5の範囲である。いくつかの実施形態では、比は約5:1~1:1の範囲である。いくつかの実施形態では、比は約5:1~1.5:1の範囲である。いくつかの実施形態では、比は約4:1~1:1の範囲である。いくつかの実施形態では、比は約4:1~1.5:1の範囲である。いくつかの実施形態では、比は約8:1~約1:1の範囲である。いくつかの実施形態では、比は約2.5:1~1:1の範囲である。
【0162】
いくつかの実施形態では、活性化可能な抗標的抗体のAB中の鎖間ジスルフィド結合を還元し、かつAB上に薬剤(複数可)を選択的に位置付けるために薬剤、例えば、薬物などのチオール含有剤を得られた鎖間チオールにコンジュゲートする方法が提供される。本方法は一般に、還元剤でABを部分的に還元して、活性化可能な抗体中で全ての可能な鎖間チオールを形成することなく少なくとも2つの鎖間チオールを形成すること;及び部分的に還元したABの鎖間チオールに薬剤をコンジュゲートさせることを含む。例えば、AAのABを、還元剤:活性化可能な抗体の所望の比で、約37℃で約1時間、部分的に還元する。いくつかの実施形態では、AAに対する還元剤の比率は、約20:1~1:1、約10:1~1:1、約9:1~1:1、約8:1~1:1、約7:1~1:1、約6:1~1:1、約5:1~1:1、約4:1~1:1、約3:1~1:1、約2:1~1:1、約20:1~1:1.5、約10:1~1:1.5、約9:1~1:1.5、約8:1~1:1.5、約7:1~1:1.5、約6:1~1:1.5、約5:1~1:1.5、約4:1~1:1.5、約3:1~1:1.5、約2:1~1:1.5、約1.5:1~1:1.5、又は約1:1~1:1.5の範囲である。いくつかの実施形態では、比は約5:1~1:1の範囲である。いくつかの実施形態では、比は約5:1~1.5:1の範囲である。いくつかの実施形態では、比は約4:1~1:1の範囲である。いくつかの実施形態では、比は約4:1~1.5:1の範囲である。いくつかの実施形態では、比は約8:1~1:1の範囲である。いくつかの実施形態では、比は約2.5:1~1:1の範囲である。
【0163】
チオール含有試薬は、例えば、システイン又はN-アセチルシステインであり得る。還元剤は、例えば、TCEPであり得る。いくつかの実施形態では、還元されたAAは、例えば、カラムクロマトグラフィー、透析、又は透析濾過を用いて、コンジュゲーション前に精製できる。あるいは、還元された抗体は、部分的還元後及びコンジュゲーション前に精製されない。
【0164】
本発明はまた、AA中の少なくとも1つの鎖間ジスルフィド結合が、活性化可能な抗体内の任意の鎖内ジスルフィド結合を妨げることなく還元剤で還元された、部分的に還元された活性化可能な抗標的抗体を提供し、AAは、標的に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB)と、非切断状態でAAのABの標的への結合を阻害するマスキング部分(MM)と、ABと共役した切断可能な部分(CM)を含み、CMは、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである。いくつかの実施形態では、MMは、CMを介してABと共役される。いくつかの実施形態では、AAの1以上の鎖内ジスルフィド結合(複数可)は、還元剤によって妨げられない。いくつかの実施形態では、AA中のMMの1以上の鎖内ジスルフィド結合(複数可)は、還元剤によって妨げられない。いくつかの実施形態では、非切断状態のAAは、以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM-CM-AB又はAB-CM-MMを有する。いくつかの実施形態では、還元剤は、TCEPである。
【0165】
本開示はまた、AA中の少なくとも1つの鎖間ジスルフィド結合が、活性化可能な抗体中の任意の鎖内ジスルフィド結合を妨げることなく還元剤で還元された、部分的に還元されたAAを提供し、AAは、標的、例えば、CD166に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB)と、非切断状態でAAのABの標的への結合を阻害するマスキング部分(MM)と、ABと共役した切断可能な部分(CM)を含み、CMは、少なくとも1種のプロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである。いくつかの実施形態では、MMは、CMを介してABと共役される。いくつかの実施形態では、AAの1以上の鎖内ジスルフィド結合(複数可)は、還元剤によって妨げられない。いくつかの実施形態では、AA内のMMの1以上の鎖内ジスルフィド結合(複数可)は、還元剤によって妨げられない。いくつかの実施形態では、非切断状態のAAは、以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM-CM-AB又はAB-CM-MMを有する。いくつかの実施形態では、還元剤は、TCEPである。
【0166】
さらに他の実施形態では、薬剤、例えば、薬物を還元し、活性化可能な抗標的抗体にコンジュゲートする方法であって、リジン及び/又はシステイン残基の定義された数及び位置を有する活性化可能な抗標的抗体を提供することにより、薬剤の配置に選択性をもたらす方法。いくつかの実施形態では、リジン及び/又はシステイン残基の定義された数は、親抗体又は活性化可能な抗体のアミノ酸配列中の対応する残基の数よりも多いか、又は少ない。いくつかの実施形態では、定義された数のリジン及び/又はシステイン残基は、抗標的抗体又は活性化可能な抗標的抗体にコンジュゲートできる、定義された数の薬剤同等物をもたらし得る。いくつかの実施形態では、定義された数のリジン及び/又はシステイン残基は、部位特異的に抗標的抗体又は活性化可能な抗標的抗体にコンジュゲートできる、定義された数の薬剤同等物をもたらし得る。いくつかの実施形態では、修飾Aは、部位特異的に1以上の非天然アミノ酸で修飾され、そのため、いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸の部位にのみ薬剤のコンジュゲーションを制限する。いくつかの実施形態では、リジン及び/又はシステイン残基の定義された数及び位置を有する抗標的抗体又は活性化可能な抗標的抗体は、AAのマスキング部分又は他の非AB部分の任意のコンジュゲーション部位が還元されないように、本明細書で論じる還元剤で部分的に還元され、AB中の鎖間チオールに薬剤をコンジュゲートし得る。
【0167】
共役は、抗体と他の部分がそれぞれの活性を保持する限り、2つの分子を結合する任意の化学反応によって達成され得る。この連結は、多くの化学機構、例えば、共有結合、親和性結合、インターカレーション、配位結合及び錯体化を含む。しかし、いくつかの実施形態では、結合は、共有結合である。共有結合は、既存の側鎖の直接凝縮又は外の架橋分子の組み込みのいずれかによって達成できる。多くの二価又は多価の連結剤は、本開示の抗体などのタンパク質分子を他の分子と共役するのに有用である。例えば、代表的な共役剤は、チオエステル、カルボジイミド、スクシンイミドエステル、ジイソシアネート、グルタルアルデヒド、ジアゾベンゼン及びヘキサメチレンジアミンなどの有機化合物を含んでよい。この列挙は、当技術分野で公知の様々なクラスの共役剤を網羅することを意図したものではなく、むしろ、より一般的な共役剤の例示である(Killen及びLindstrom,Jour.Immun.133:1335-2549(1984);Jansenら,Immunological Reviews 62:185-216(1982);及びVitettaら,Science 238:1098(1987)参照)。
【0168】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物及び方法に加えて、コンジュゲートAAは、AA配列に挿入又は他の方法で含まれる改変アミノ酸配列を介した部位特異的コンジュゲーションのために改変されてもよい。これらの改変アミノ酸配列は、活性化可能なコンジュゲート抗体内のコンジュゲート剤の配置及び/又は投与量を制御できるように設計される。例えば、AAは、反応性チオール基を提供し、かつタンパク質のフォールディング及びアセンブリに悪影響を及ぼさず、抗原結合も変えない軽鎖及び重鎖上の位置でシステイン置換を含むように操作できる。いくつかの実施形態では、AAは、コンジュゲーションに適する部位を提供するために、AA内の1以上の非天然アミノ酸残基を含むか、又はそうでなければ導入するために操作できる。いくつかの実施形態では、AAは、AA配列内に酵素的に活性化可能なペプチド配列を含むか、又はそうでなければ導入するために操作できる。
【0169】
適切なリンカーが、文献に記載されている(例えば、MBS(M-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステルの使用を説明するRamakrishnan,S.ら,Cancer Res.44:201-208(1984)を参照されたい。オリゴペプチドリンカーによって抗体と共役させたハロゲン化アセチルヒドラジド誘導体の使用を説明する、米国特許第5,030,719号も参照されたい。いくつかの実施形態では、適切なリンカーは、(i)EDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩;(ii)SMPT(4-スクシンイミジルオキシカルボニル-アルファ-メチル-アルファ-(2-ピリジルジチオ)-トルエン(Pierce Chem.Co.,カタログ番号(21558G);(iii)SPDP(スクシンイミジル-6[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサノエート(Pierce Chem.Co.,カタログ番号21651G);(iv)スルホ-LC-SPDP(スルホスクシンイミジル6[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサノエート(Pierce Chem.Co.カタログ番号2165-G);及び(v)EDCにコンジュゲートされたスルホ-NHS(N-ヒドロキシスルホ-スクシンイミド:Pierce Chem.Co.カタログ番号24510)が含まれる。追加のリンカーには、SMCC((スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート)、スルホ-SMCC(スルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、SPDB(N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート)、又はスルホ-SPDB(N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホブタノエート)を含むが、これらに限定されない。
【0170】
上記のリンカーは、異なる属性を有する成分を含み、そのため、異なる物理化学的性質を有するコンジュゲートをもたらす。例えば、アルキルカルボキシレートのスルホ-NHSエステルは、芳香族カルボキシレートのスルホ-NHSエステルよりも安定である。リンカーを含むNHSエステルは、スルホ-NHSエステルよりも可溶性が低い。さらに、リンカーSMPTは、立体的に妨げられたジスルフィド結合を含有し、安定性が増加したコンジュゲートを形成できる。ジスルフィド結合は、一般的に、ジスルフィド結合がインビトロで切断されるため他の結合よりも安定性が低く、その結果、利用可能なコンジュゲートをそれほどもたらさない。スルホ-NHSは、特に、カルボジイミド共役の安定性を高めることができる。カルボジイミド共役(EDCなど)は、スルホ-NHSと併用すると、カルボジイミド共役反応単独よりも加水分解に対して耐性のあるエステルを形成する。例示的な実施形態では、リンカーは、SPDBである。別の例示的な実施形態では、リンカーはSPDBであり、薬剤はDM4である。
【0171】
いくつかの実施形態では、リンカーは、切断可能である。いくつかの実施形態では、リンカーは、切断可能でない。いくつかの実施形態では、2以上のリンカーが存在する。2以上のリンカーは、全て同じである、すなわち、切断可能である又は切断できず、又は2以上のリンカーは異なる、すなわち、少なくとも1つは切断可能であり、少なくとも1つは切断可能でない。
【0172】
本開示は、ABに薬剤を付着させるいくつかの方法:(a)ABの炭水化物部分への付着、又は(b)ABのスルフヒドリル基への付着、又は(c)ABのアミノ基への付着、又は(d)ABのカルボキシレート基への付着、を利用する。本開示によれば、ABは、1つはABと反応し、もう1つは薬剤と反応する少なくとも2つの反応基を有する中間リンカーを介して薬剤に共有結合され得る。リンカーは、任意の適合性のある有機化合物を含んでよく、AB(又は薬剤)との反応がAB反応性及び選択性に悪影響を及ぼさないように選択できる。さらに、リンカーの薬剤への付着は、薬剤の活性を破壊しない可能性がある。酸化抗体又は酸化抗体断片との反応に適するリンカーは、1級アミン、2級アミン、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシルアミン、フェニルヒドラジン、セミカルバジド及びチオセミカルバジド基からなる群から選択されるアミンを含むものを含む。そのような反応性官能基は、リンカーの構造の一部として存在してもよく、又はそのような基を含まないリンカーの適切な化学修飾によって導入されてもよい。
【0173】
本開示によれば、還元されたABへの付着に適するリンカーは、還元抗体又は断片のスルフヒドリル基と反応できる特定の反応基を有するものを含む。そのような反応性基は、反応性ハロアルキル基(例えば、ハロアセチル基を含む)、p-水銀安息香酸基及びマイケル型付加反応が可能な基(例えば、マレイミド、並びにMitra及びLawton,1979,J.Amer.Chem.Soc.101:3097-3110に記載の種類の基を含む)を含むが、これらに限定されない。
【0174】
本開示によれば、酸化も還元もされないAbへの付着に適するリンカーは、Ab中の非修飾リジン残基に存在する1級アミノ基と反応できる特定の官能基を有するものを含む。そのような反応性基は、NHSカルボキシルエステル又は炭酸エステル、スルホ-NHSカルボキシルエステル又は炭酸エステル、4-ニトロフェニルカルボキシルエステル又は炭酸エステル、ペンタフルオロフェニルカルボキシルエステル又は炭酸エステル、アシルイミダゾール、イソシアネート、及びイソチオシアネートを含むが、これらに限定されない。
【0175】
本開示によれば、酸化も還元もされないAbへの付着に適するリンカーは、適切な試薬で活性化されている、Ab中のアスパラギン酸又はグルタミン酸残基に存在するカルボン酸基と反応できる特定の官能基を有するものを含む。適切な活性化試薬は、NHS又はスルホ-NHSの付加の有無にかかわらないEDC、及びカルボキサミド形成に利用される他の脱水剤を含む。これらの例では、適切なリンカーに存在する官能基は、1級及び2級アミン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、及びヒドラジドを含む。
【0176】
薬剤は、リンカーがABに付着する前又は後に、リンカーに付着されてよい。ある適用では、リンカーが関連薬剤を含まない、AB-リンカー中間体を最初に生成することが望ましい場合がある。特定の用途に応じて、特異的薬剤が次いで、リンカーに共有結合され得る。いくつかの実施形態では、ABを、MM、CM及び関連リンカーに最初に付着させ、次いで、コンジュゲーション目的のためにリンカーに付着させる。
【0177】
分岐リンカー:具体的な実施形態では、薬剤の付着のための複数の部位を有する分岐リンカーが利用される。複数部位のリンカーの場合、ABへの単一共有結合は、いくつかの部位で薬剤を結合できるAB-リンカー中間体をもたらし得る。部位は、アルデヒド基又はスルフヒドリル基、又は薬剤が付着できる任意の化学部位であり得る。
【0178】
いくつかの実施形態では、より高い比活性(又はABに対する薬剤のより高い比率)は、AB上の複数の部位での単一部位リンカーの付着によって達成できる。この複数の部位は、2つの方法のいずれかによってABに導入され得る。最初に、同じAB中に複数のアルデヒド基及び/又はスルフヒドリル基を生成してよい。第2に、リンカーへのその後の付着のための複数の官能基部位を有する「分岐リンカー」を、ABのアルデヒド又はスルフヒドリルに付着してよい。分岐リンカー又は複数部位リンカーの官能基部位は、アルデヒド基又はスルフヒドリル基であるか、又はリンカーが付着し得る任意の化学部位であり得る。なお高い比活性は、これらの2つのアプローチを組み合わせることによって、すなわち、AB上のいくつかの部位で複数部位リンカーを付着することによって取得され得る。
【0179】
切断可能なリンカー:限定されないが、u-プラスミノーゲン活性化剤、組織プラスミノーゲン活性化剤、トリプシン、プラスミン、又はタンパク質分解活性を有する別の酵素などの、補体系の酵素による切断を受けやすいペプチドリンカーが、本開示の一実施形態で使用され得る。本開示の1つの方法によれば、薬剤は、補体による切断を受けやすいリンカーを介して取り付けられる。抗体は、補体を活性化できるクラスから選択される。抗体-薬剤コンジュゲートは、そのため、補体カスケードを活性化し、標的部位で薬剤を放出する。本開示の別の方法によれば、薬剤は、u-プラスミノーゲン活性化剤、組織プラスミノーゲン活性化剤、プラスミン、又はトリプシンなどのタンパク質分解活性を有する酵素によって切断されやすいリンカーを介して取り付けられる。これらの切断可能なリンカーは、細胞外毒素、例えば、非限定的な例として、表1に示す細胞外毒素のいずれか、を含むコンジュゲートAAにおいて有用である。
【0180】
切断可能なリンカー配列の非限定的な例を表2に提供する。
表2:コンジュゲーションのための例示的リンカー配列
【表6】
【0181】
加えて、薬剤は、ジスルフィド結合(例えば、システイン分子上のジスルフィド結合)を介してABに付着されてよい。多くの腫瘍は高レベルのグルタチオン(還元剤)を自然に放出するので、これは、ジスルフィド結合を還元でき、その後、送達部位で薬剤を放出する。いくつかの実施形態では、CMを改変する還元剤は、コンジュゲートされた活性化可能な抗体のリンカーも改変する。
【0182】
スペーサー及び切断可能な要素:いくつかの実施形態では、薬剤と活性化可能な抗体のABの間の間隔を最適化するような方法で、リンカーを構築する必要があり得る。これは、一般的な構造のリンカー:W-(CH)n-Q
(式中、
Wは--NH--CH--又は--CH--のいずれかであり;
Qはアミノ酸、ペプチドであり;かつ
nは、0~20の整数である)
を用いて達成され得る。
【0183】
いくつかの実施形態では、リンカーは、スペーサー要素及び切断可能な要素を含んでよい。スペーサー要素は、切断可能な要素が切断を担当する酵素へよりアクセスしやすくなるように、切断可能な要素をABのコアから離して配置するのに役立つ。上記のいくつかの分岐リンカーは、スペーサー要素として機能し得る。
【0184】
この議論を通して、リンカーの薬剤への(又は、スペーサー要素への切断可能な要素の、又は薬剤への切断可能な要素の)付着は、付着又は反応の特定のモードである必要はないことを理解すべきである。適切な安定性と生物学的適合性の生成物を提供する任意の反応が、許容される。
【0185】
血清補体及びリンカーの選択:本開示の1つの方法に従って、薬剤の放出が望まれる場合、補体を活性化できるクラスの抗体であるABが、使用される。生じるコンジュゲートは、抗原に結合する能力と補体カスケードを活性化する能力の両方を保持する。そのため、本開示のこの実施形態によれば、薬剤は、切断可能なリンカー又は切断可能な要素の一端に結合され、リンカー基の他端は、AB上の特異的部位に付着される。例えば、薬剤がヒドロキシ基又はアミノ基を有する場合、それは、それぞれエステル又はアミド結合を介してペプチド、アミノ酸又は他の適切に選択されたリンカーのカルボキシ末端に付着されてよい。例えば、そのような薬剤は、カルボジイミド反応を介してリンカーペプチドに付着されてよい。薬剤が、リンカーへの付着を妨げる官能基を含む場合、これらの干渉官能基は、付着の前にブロックされかつ生成物のコンジュゲート又は中間体が作成されると、及びブロック解除できる。リンカーの反対又はアミノ末端は次いで、直接使用されるか、又は補体を活性化できるABへの結合のためのさらなる修飾の後に使用される。
【0186】
リンカー(又はリンカーのスペーサー要素)は、任意の所望の長さであり得、その一端は、活性化可能な抗体のAB上の特異的部位に共有結合され得る。リンカー又はスペーサー要素の他端は、アミノ酸又はペプチドリンカーに付着されてよい。
【0187】
そのため、これらのコンジュゲートが補体の存在下で抗原に結合したときに、リンカーに薬剤を付着させるアミド結合又はエステル結合は、切断され、活性形態での薬剤の放出をもたらす。これらのコンジュゲートは、対象に投与されると、標的部位で薬剤の送達及び放出を達成し、表1に提示されるがそれらに限定されない医薬剤、抗生物質、代謝拮抗薬、抗増殖剤などのインビボの送達に特に有効である。
【0188】
補体活性化のない放出用リンカー:標的送達のさらに別の適用では、補体カスケードの活性化が最終的に標的細胞を溶解するので、補体活性化のない薬剤の放出が望まれる。したがって、この手法は、標的細胞を殺すことなく薬剤の送達及び放出を達成すべきときに有用である。そのようなものは、標的細胞へのホルモン、酵素、コルチコステロイド、神経伝達物質、遺伝子又は酵素などの細胞媒介物の送達が望まれる場合に、目標である。これらのコンジュゲートは、血清プロテアーゼによる切断に軽度に影響を受けやすいリンカーを介して補体を活性化できないABに薬剤を付着させることによって調製され得る。このコンジュゲートが個体に投与されると、抗原抗体複合体が迅速に形成し、一方で薬剤の切断はゆっくりと起こり、そのため、標的部位で化合物の放出をもたらす。
【0189】
生化学的クロスリンカー:いくつかの実施形態では、AAは、ある生化学的架橋剤を用いて1以上の治療薬にコンジュゲートされ得る。架橋試薬は、2つの異なる分子の官能基を結ぶ分子架橋を形成する。2つの異なるタンパク質を段階的に連結するために、望ましくないホモポリマー形成を排除するヘテロ二官能性架橋剤を使用できる。
【0190】
リソソームプロテアーゼによって切断可能なペプチジルリンカー、例えば、Val-Cit、Val-Ala又は他のジペプチドも、有用である。加えて、リソソームの低pH環境で切断可能な酸に不安定なリンカー、例えば、ビスシアリルエーテルを用いてよい。他の適切なリンカーは、カテプシンに不安定な基質、特に酸性pHで最適な機能を示すものを含む。
【0191】
例示的なヘテロ二官能性架橋剤を表3で参照する。
表3:例示的なヘテロ二官能性架橋剤
【表7】
【0192】
切断可能でないリンカー又は直接付着:本開示のいくつかの実施形態では、コンジュゲートは、薬剤が標的に送達されるが放出されないように設計され得る。これは、直接又は切断可能でないリンカーを介して、薬剤をABに取り付けることによって達成され得る。
【0193】
これらの切断可能でないリンカーは、アミノ酸、ペプチド、D-アミノ酸、又は本明細書に記載の方法によるABへの付着にその後利用できる官能基を含むように修飾され得る、他の有機化合物を含み得る。そのような有機リンカーの一般式は、
W-(CH)n-Q
(式中、
Wは、--NH--CH--又は--CH--のいずれかであり;
Qは、アミノ酸、ペプチドであり;かつ
nは、0~20の整数である)
であり得る。
【0194】
切断可能でないコンジュゲート:いくつかの実施形態では、化合物は、補体を活性化しないABに付着されてもよい。補体活性化ができないABを使用する場合、この付着は、活性化された補体によって切断されやすいリンカーを用いるか、又は活性化された補体による切断を受けにくいリンカーを用いて達成され得る。
【0195】
本明細書で開示される抗体は、免疫リポソームとして製剤化することもできる。抗体を含むリポソームは、Epsteinら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:3688(1985);Hwangら,Proc.Natl Acad.Sci.USA,77:4030(1980);及び米国特許第4,485,045号及び同第4,544,545号に記載されている方法などの、当技術分野で公知の方法によって調製される。循環時間が延長されたリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。
【0196】
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、及びPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発法により作製できる。リポソームは、所望の直径を有するリポソームを得るために、定義された細孔サイズのフィルターを通して押し出される。本開示の抗体のFab’断片は、ジスルフィド交換反応を介してMartinら,J.Biol.Chem.,257:286-288(1982)に記載されているようにリポソームにコンジュゲートできる。
【0197】
非結合性立体部分又は非結合性立体部分に対する結合パートナーを有する活性化可能な抗体
本開示はまた、非結合性立体部分(NB)又は非結合性立体部分に対する結合パートナー(BP)を含むAAも提供し、BPは、活性化可能な抗体にNBを補充するか、又はそうでなければ誘引する。本明細書に提供されるAAは、例えば、非結合性立体部分(NB)、切断可能なリンカー(CL)及び標的に結合する抗体又は抗体断片(AB)を含むAA;非結合性立体部分(BP)、CL及びABの結合パートナーを含むAA;並びにNBが補充されたBP、標的と結合するCL及びABを含むAAを含む。NBがAAのCL及びABに共有結合されるか、AAのCL及びABに共有結合されるBPとの相互作用によって関連付けられるAAは、本明細書において「NBを含有する活性化可能な抗体」と呼ばれる。活性化可能な又は切り替え可能なとは、AAは、AAが阻害されるか、マスクされるか、又は切断されない状態(すなわち、第1の立体構造)にある場合に標的に結合する第1のレベル、並びにAAが阻害されないか、マスクされないか及び/又は切断状態(すなわち、第2の立体構造、すなわち活性化可能な抗体)にある場合に標的に結合する第2のレベルを示すことを意味し、標的結合の第2のレベルは、標的結合の第1のレベルより大きい。AA組成物は、従来の抗体治療薬に比べて増加されたバイオアベイラビリティ及びより良好な体内分布を示し得る。
【0198】
いくつかの実施形態では、AAは、ABがマスクされていないか、又はそうでなければそのような部位への結合を阻害された場合に、別の方法で非治療部位及び/又は非診断部位での結合から生じる可能性のある毒性及び/又は有害な副作用を低減することを提供する。
【0199】
非結合性立体部分(NB)を含むAAは、その内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT公開2013/192546に記載の方法を用いて作製できる。
【0200】
活性化可能な抗体の生成
本開示はまた、ポリペプチドの発現をもたらす条件下で細胞を培養することにより活性化可能な抗標的抗体ポリペプチドを生成する方法を提供し、細胞は、本明細書に記載の抗体及び/若しくはAAをコードする単離核酸分子、並びに/又はこれらの単離核酸配列を含むベクターを含む。本開示は、抗体及び/又は活性化可能な抗体の発現をもたらす条件下で細胞を培養することによって抗体及び/又はAAを生成する方法を提供し、細胞は、本明細書に記載の抗体及び/又はAAをコードする単離核酸分子、及び/又はこれらの単離核酸配列を含むベクターを含む。
【0201】
本発明はまた、(a)活性化可能な抗体の発現をもたらす条件下でAAをコードする核酸構築物を含む細胞を培養することであって、AAが、マスキング部分(MM)、切断可能な部分(CM)、及び標的を特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(AB)を含み、(i)CMが、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドであり;(ii)CMが、AAが非切断状態にあるときに、MMが標的へのABの特異的結合に干渉し、切断状態の時に、MMが標的へのABの特異的結合に干渉又は競合しないようにAA中に配置される、培養すること;かつ(b)活性化可能な抗体を回収すること、により活性化状態で標的を結合するAAを製造する方法を提供する。適切なAB、MM、及び/又はCMは、本明細書に開示されるAB、MM及び/又はCMのいずれかを含む。
【0202】
以下の例示的なヌクレオチド配列は、本明細書に提供されるAA及びコンジュゲートAAを作製し、使用するために提供される。以下に提供されるヌクレオチド配列に少なくとも90%、95%、又はさらに99%相同であるヌクレオチド配列も提供される。
【表8】
【0203】
活性化可能な抗体及びコンジュゲートされた活性化可能な抗体の治療的使用
本開示は、標的を結合するAA、特に、結合し、標的及び/又は標的媒介シグナル伝達の少なくとも1つの生物活性を中和するか、又はそうでなければ阻害するAAを用いて、対象における標的の異常な発現及び/又は活性と関連付けられる症状の治療、発症若しくは進行の防止及び/又は遅延、又は緩和の方法を提供する。
【0204】
本開示はまた、標的を結合するAA、特に、標的を発現する若しくは異常に発現している細胞を結合するか、標的化するか、中和するか、死滅させるか、又はそうでなければ細胞の少なくとも1つの生物活性を阻害するAAを用いて、対象において標的を発現若しくは異常に発現している細胞の存在、成長、増殖、転移、及び/若しくは活性と関連付けられる症状の治療、発症若しくは進行の防止及び/又は遅延、又は緩和の方法を提供する。
【0205】
本開示はまた、標的を結合するAA、特に、標的を発現している細胞を結合するか、標的化するか、中和するか、死滅させるか、又はそうでなければ細胞の少なくとも1つの生物活性を阻害するAAを用いて、対象において標的を発現している細胞の存在、成長、増殖、転移、及び/若しくは活性と関連付けられる症状の治療、発症若しくは進行の防止及び/又は遅延、又は緩和の方法を提供する。
【0206】
本開示はまた、標的を結合するAA、特に、標的を発現している細胞を結合するか、標的化するか、中和するか、死滅させるか、又はそうでなければ細胞の少なくとも1つの生物活性を阻害するAAを用いて、対象において標的を異常に発現している細胞の存在、成長、増殖、転移、及び/若しくは活性と関連付けられる症状の治療、発症若しくは進行の防止及び/又は遅延、又は緩和の方法を提供する。
【0207】
本開示はまた、それを必要としている対象に、本明細書に記載の治療有効量の抗標的抗体、コンジュゲート抗標的抗体、活性化可能な抗標的抗体、及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体を投与することによって、対象における癌を防止する、進行を遅延させる、治療する、症状を緩和する、又はそうでなければ改善する方法を提供する。
【0208】
本開示はまた、対象における標的の異常な発現及び/若しくは活性と関連付けられる症状の治療、発症若しくは進行の予防及び/又は遅延、又は緩和に使用するための、標的を結合するAA、特に、結合し、標的及び/又は標的媒介シグナル伝達の少なくとも1つの生物活性を中和するか、又はそうでなければ阻害するAAを提供する。
【0209】
本開示はまた、対象において標的を発現若しくは異常に発現している細胞の存在、成長、増殖、転移、及び/若しくは活性と関連付けられる症状の治療、発症若しくは進行の防止及び/又は遅延、又は緩和に使用するための、標的を結合するAA、特に、標的を発現若しくは異常に発現している細胞を結合するか、標的化するか、中和するか、死滅させるか、又はそうでなければ細胞の少なくとも1つの生物活性を阻害するAAを提供する。
【0210】
本開示はまた、対象における癌の防止、進行の遅延、治療、症状の緩和、又はそうでなければ改善に使用するための、抗標的抗体、コンジュゲート抗標的抗体、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体を提供し、抗体は、治療的有効量での投与のためである。
【0211】
非限定的な例として、本開示のAAは、上皮癌又は扁平上皮癌、カルチノイド、及び/若しくは神経内分泌癌の治療、発症若しくは進行の予防及び/又は遅延に使用できる。癌の例としては、腺癌、胆管(bile duct)(胆管(biliary))癌、膀胱癌、乳癌、例えば、トリプルネガティブ乳癌、Her2陰性乳癌、エストロゲン受容体陽性乳癌;カルチノイド癌;子宮頸癌;胆管細胞癌;結腸直腸癌;子宮内膜癌;神経膠腫;頭頸部癌、例えば、頭頸部扁平上皮癌;白血病;肝臓癌;肺癌、例えば、NSCLC、SCLC;リンパ腫;黒色腫;中咽頭(osopharyngeal)癌;卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌,例えば、転移性去勢抵抗性前立腺癌;腎癌;皮膚癌;扁平上皮癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;及び尿路上皮癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0212】
いくつかの実施形態では、癌は、任意の上皮癌又は扁平上癌である。いくつかの実施形態では、癌は、前立腺癌、乳癌、肺癌、子宮頸癌、中咽頭癌、及び/又は頭頸部癌である。
【0213】
いくつかの実施形態では、癌は、膀胱癌、骨癌、乳癌、カルチノイド、子宮頸癌、結腸直腸癌、結腸癌、子宮内膜癌、上皮癌、神経膠腫、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、中咽頭癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、肉腫、皮膚癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、泌尿生殖器癌、及び/又は尿路上皮癌である。
【0214】
いくつかの実施形態では、癌は、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、Ras変異型大腸癌、稀な上皮癌、中咽頭癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、及び/又は前立腺癌からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、癌は、標的発現腫瘍と関連付けられる。いくつかの実施形態では、癌は、標的発現腫瘍によるものである。
【0215】
これらの方法及び使用の実施形態のいずれかで使用される抗標的抗体、コンジュゲート抗標的抗体、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体は、疾患のいずれのステージでも投与できる。例えば、そのような抗標的抗体、コンジュゲート抗標的抗体、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体は、早期~転移のいずれかのステージの癌を患う対象に投与できる。
【0216】
例示的な実施形態では、対象は、乳癌、去勢抵抗性前立腺癌(CPRC)、胆管細胞癌、子宮内膜癌、上皮性卵巣癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、及び非小細胞肺癌(NSCLC)に罹患しているか、又は罹患していると疑われる。
【0217】
例示的な実施形態では、対象は、皮膚病変に罹患しているか、又は罹患していると疑われる。いくつかの実施形態では、皮膚病変は、皮膚転移である。
【0218】
本明細書に提供されるとおり、治療される対象は、ヒト、非ヒト霊長類、コンパニオン動物(例えば、猫、犬、馬)、家畜、作業用動物、又は動物園の動物などの哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、コンパニオン動物である。いくつかの実施形態では、対象は、獣医師にかかっている動物である。
【0219】
いくつかの実施形態では、乳癌に罹患しているか、又は罹患していると疑われており、本開示のAA、例えば、組み合わせ55又は組み合わせ60を投与される対象は、エストロゲン受容体発現(ER+)腫瘍を有し、抗ホルモン療法を投与されるべきであり、本開示のAAで治療される前に疾患進行を経験している。いくつかの実施形態では、乳癌に罹患しているか、又は罹患していると疑われており、本開示のAA、例えば、組み合わせ55又は組み合わせ60を投与される対象は、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)を有し、本開示のAAで治療される前に、2つ以上の事前の一連の治療を受けている。
【0220】
いくつかの実施形態では、去勢抵抗性前立腺癌に罹患しているか、又は罹患していると疑われており、本開示のAA、例えば、組み合わせ55又は組み合わせ60を投与される対象は、本開示のAAで治療される前に、1つ以上の事前の治療を受けている。
【0221】
いくつかの実施形態では、胆管細胞癌に罹患しているか、又は罹患していると疑われており、本開示のAA、例えば、組み合わせ55又は組み合わせ60を投与される対象は、本開示のAAで治療される前に、ゲムシタビンを含む投与計画の1つ以上の事前の治療に失敗している。
【0222】
いくつかの実施形態では、子宮内膜癌に罹患しているか、又は罹患していると疑われており、本開示のAA、例えば、組み合わせ55又は組み合わせ60を投与される対象は、本開示のAAで治療される前に、子宮外の又は進行した疾患のための1つ以上の白金を含む投与計画を受けている。
【0223】
いくつかの実施形態では、上皮性卵巣癌に罹患しているか、又は罹患していると疑われており、本開示のAA、例えば、組み合わせ55又は組み合わせ60を投与される対象は、非乳癌(BRCA)変異(生殖細胞性又は体細胞性)を有するか、又は未知のBRCA変異状態を有し、白金耐性又は白金抵抗性の卵巣癌を有する。いくつかの実施形態では、上皮性卵巣癌に罹患しているか、又は罹患していると疑われており、本開示のAA、例えば、組み合わせ55又は組み合わせ60を投与される対象は、BRCA変異を有し、PARP阻害剤に抵抗性であるか、又はそうでなければ不適格である。
【0224】
いくつかの実施形態では、HNSCCに罹患しているか、又は罹患していると疑われており、本開示のAA、例えば、組み合わせ55又は組み合わせ60を投与される対象は、本開示のAAで治療される前に、1つ以上の白金を含む投与計画及びPD-1/PD-L1阻害剤(対象の兆候及び局所性に対して許可された場合)を受けている。
【0225】
いくつかの実施形態では、NSCLCに罹患しているか、又は罹患していると疑われており、本開示のAA、例えば、組み合わせ55又は組み合わせ60を投与される対象は、本開示のAAで治療される前に、1つ以上の白金を含む投与計画を受けている。いくつかの実施形態では、NSCLCに罹患しているか、又は罹患していると疑われており、本開示のAA、例えば、組み合わせ55又は組み合わせ60を投与される対象は、本開示のAAで治療される前に、チェックポイント阻害剤(その局所性における対象の兆候に対して許可された場合)を事前に投与されている。
【0226】
いくつかの実施形態では、以下のいずれかを有する対象者は、乳癌、去勢抵抗性前立腺癌(CPRC)、胆管細胞癌、子宮内膜癌、上皮性卵巣癌、HNSCC、及びNSCLCの治療のための、本開示のAAを受ける資格がない場合がある:活動性又は慢性角膜障害、角膜移植歴、活動性ヘルペス性角膜炎、及び継続的な治療/モニタリングを必要とする活動性の眼の状態;臨床的に関連する活動性感染を含む重篤な併発疾患;現在の活動性自己免疫疾患の病歴;最近の心筋梗塞などの顕著な心疾患;多発性硬化症又は他の脱髄性疾患の病歴、イートン・ランバート症候群(傍腫瘍性症候群)、過去6ヶ月以内の出血性若しくは虚血性脳卒中の病歴、又はアルコール性肝疾患;元の新生物によって引き起こされる潰瘍性病変を除く非治癒創傷(複数可)又は潰瘍(複数可);以前のモノクローナル抗体療法に対する重度のアレルギー反応又はアナフィラキシー反応の病歴;ワルファリンでの抗凝固療法を現在受けていること;又は投与に先立つ3ヶ月以内の大手術(全身麻酔を必要とする)。
【0227】
活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体及びそれらの治療製剤は、異常な標的発現及び/若しくは活性と関連付けられる疾患又は障害に罹患しているか、又は罹患しやすい対象に投与される。異常な標的発現及び/若しくは活性と関連付けられる疾患又は障害に罹患しているか、又は罹患しやすい対象は、当技術分野で公知の様々な方法のいずれかを用いて特定される。例えば、癌又は他の腫瘍性病態に罹患している対象は、健康状態を評価するために、身体検査並びに血液、尿及び/若しくは便の分析などの様々な臨床検査並びに/又は実験室検査のいずれかを用いて特定される。例えば、炎症及び/又は炎症性障害に罹患している対象は、健康状態を評価するために、身体検査及び/若しくは体液分析、例えば、血液、尿及び/又は便の分析などの様々な臨床検査並びに/実験室検査のいずれかを用いて特定される。
【0228】
異常な標的発現及び/若しくは活性と関連付けられる疾患又は障害に罹患している対象への抗標的抗体、コンジュゲート抗標的抗体、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体の投与は、様々な実験室又は臨床の目的のいずれかが達成された場合に、成功したと考えられる。例えば、異常な標的発現及び/若しくは活性と関連付けられる疾患又は障害に罹患している対象への抗標的抗体、コンジュゲート抗標的抗体、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体の投与は、疾患又は障害と関連付けられる症状の1以上が緩和、低減、抑制されるか、又はさらなる、すなわち、より悪化した状態へ進行しない場合に、成功したと考えられる。異常な標的発現及び/若しくは活性と関連付けられる疾患又は障害に罹患している対象への抗標的抗体、コンジュゲート抗標的抗体、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体の投与は、疾患又は障害が寛解に入るか、又はさらなる、すなわち、より悪化した状態へ進行しない場合に、成功したと考えられる。
【0229】
いくつかの実施形態では、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体及びそれらの治療製剤は、対象の疾患細胞が標的を発現している、癌又は他の新生物病態に罹患している対象などの、疾患又は障害に罹患しているか、又は罹患しやすい対象に投与される。いくつかの実施形態では、疾患細胞は、異常な標的発現及び/又は活性と関連付けられる。いくつかの実施形態では、疾患細胞は、正常な標的発現及び/又は活性と関連付けられる。対象の疾患細胞が標的を発現する、疾患若しくは障害に罹患しているか、又は罹患しやすい対象は、当技術分野で公知の様々な方法のいずれかを用いて特定される。例えば、癌又は他の腫瘍性病態に罹患している対象は、健康状態を評価するための身体検査並びに血液、尿及び/又は便の分析などの様々な臨床検査及び/実験室検査のいずれかを用いて特定される。例えば、炎症及び/又は炎症性障害に罹患している対象は、健康状態を評価するための、身体検査及び/又は体液分析、例えば、血液、尿及び/又は便の分析などの様々な臨床検査及び/又は実験室検査のいずれかを用いて特定される。
【0230】
いくつかの実施形態では、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体及びそれらの治療製剤は、癌又は他の腫瘍状態に罹患している対象などの、標的を発現する細胞又はそのような細胞の存在、成長、増殖、転移、及び/若しくは活性と関連付けられる疾患又は障害に罹患しているか、又は罹患しやすい対象に投与される。いくつかの実施形態では、細胞は、異常な標的発現及び/又は活性と関連付けられる。いくつかの実施形態では、細胞は、正常な標的の発現及び/又は活性と関連付けられる。標的を発現する細胞と関連付けられる疾患又は障害に罹患しているか、又は罹患しやすい対象は、当技術分野で公知の様々な方法のいずれかを用いて特定される。例えば、癌又は他の腫瘍性病態に罹患している対象は、健康状態を評価するための身体検査並びに/又は血液、尿及び/若しくは便の分析などの様々な臨床検査及び/又は実験室検査のいずれかを用いて特定される。例えば、炎症及び/又は炎症性障害に罹患している対象は、健康状態を評価するための、身体検査及び/又は体液分析、例えば、血液、尿及び/又は便の分析などの様々な臨床検査及び/又は実験室検査のいずれかを用いて特定される。
【0231】
標的を発現する細胞と関連付けられる疾患又は障害に罹患している対象への抗標的抗体、コンジュゲート抗標的抗体、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体の投与は、様々な実験室又は臨床の目的のいずれかが達成された場合に、成功したと考えられる。例えば、標的を発現する細胞と関連付けられる疾患又は障害に罹患している対象への抗標的抗体、コンジュゲート抗標的抗体、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体の投与は、疾患又は障害と関連付けられる症状の1以上が緩和、低減、抑制されるか、又はさらなる、すなわち、より悪化した状態へ進行しない場合に、成功したと考えられる。標的を発現する細胞と関連付けられる疾患又は障害に罹患している対象への抗標的抗体、コンジュゲート抗標的抗体、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体の投与は、疾患又は障害が寛解に入るか、又はさらなる、すなわち、より悪化した状態へ進行しない場合に、成功したと考えられる。
【0232】
いくつかの実施形態では、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体は、例えば、化学療法薬、抗炎症剤、及び/又は免疫抑制剤などの1以上の追加の薬剤と組み合わせて治療中及び/又は治療後に投与される。いくつかの実施形態では、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体及び追加の薬剤(複数可)は、同時に投与される。例えば、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体及び追加の薬剤(複数可)は、単一組成物で製剤化されるか、又は2以上の別々の組成物として投与できる。いくつかの実施形態では、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体及び追加の薬剤(複数可)は、順次投与される。
【0233】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体は、1以上の追加の薬剤又は追加の薬剤の組み合わせと併用される。適切な追加の薬剤は、例えば、癌などの意図された適用のための現在の医薬品及び/又は外科療法を含む。例えば、抗標的抗体、コンジュゲート抗標的抗体、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体は、追加の化学療法剤又は抗腫瘍剤と併用できる。
【0234】
いくつかの実施形態では、追加の薬剤(複数可)は、ドセタキセル、パクリタキセル、アブラキサン(すなわち、アルブミンコンジュゲートパクリタキセル)、ドキソルビシン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シスプラチン、イリノチン、及びゲムシタビンからなる群から選択される化学療法剤などの、化学療法剤である。
【0235】
いくつかの実施形態では、追加の薬剤(複数可)は、チェックポイント阻害剤、キナーゼ阻害剤、腫瘍微小環境における阻害剤を標的にする薬剤、及び/又はT細胞又はNKアゴニストである。いくつかの実施形態では、追加の薬剤(複数可)は、単独の、又は化学療法剤若しくは抗腫瘍剤などの別の追加の薬剤(複数可)と組み合わせた放射線療法である。いくつかの実施形態では、追加の薬剤(複数可)は、ワクチン、オンコウイルス、及び/又は非限定的な例として、トール様受容体(TLR)アゴニスト及び/若しくはα-CD40などのDC活性化剤である。いくつかの実施形態では、追加の薬剤(複数可)は、ADCCを介して、又は毒素(例えば、抗体薬物コンジュゲート(ADC))への直接コンジュゲーションを介して腫瘍を死滅させるように設計された腫瘍標的化抗体である。
【0236】
いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、LAG-3、PD-1、標的、TIGIT、TIM-3、B7H4、及びVistaからなる群から選択される標的の阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、イブルチニブなどの、B-RAFi、MEKi、及びBtk阻害剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤はクリゾチニブである。いくつかの実施形態では、腫瘍微小環境阻害剤は、IDO阻害剤、α-CSF1R阻害剤、α-CCR4阻害剤、TGF-ベータ、骨髄由来の抑制細胞、又は調節性T細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、アゴニストは、Ox40、GITR、CD137、ICOS、CD27、及びHVEMからなる群から選択される。
【0237】
いくつかの実施形態では、阻害剤は、CTLA-4阻害剤である。いくつかの実施形態では、阻害剤は、LAG-3阻害剤である。いくつかの実施形態では、阻害剤は、PD-1阻害剤である。いくつかの実施形態では、阻害剤は標的阻害剤である。いくつかの実施形態では、阻害剤は、TIGIT阻害剤である。いくつかの実施形態では、阻害剤は、TIM-3阻害剤である。いくつかの実施形態では、阻害剤はB7H4阻害剤である。いくつかの実施形態では、阻害剤はビスタ阻害剤である。いくつかの実施形態では、阻害剤はB-RAFi阻害剤である。いくつかの実施形態では、阻害剤はMEKi阻害剤である。いくつかの実施形態では、阻害剤はBtk阻害剤である。いくつかの実施形態では、阻害剤はイブルチニブである。いくつかの実施形態では、阻害剤はクリゾチニブである。いくつかの実施形態では、阻害剤はIDO阻害剤である。いくつかの実施形態では、阻害剤はα-CSF1R阻害剤である。いくつかの実施形態では、阻害剤がα-CCR4阻害剤である。いくつかの実施形態では、阻害剤は、TGF-ベータである。いくつかの実施形態では、阻害剤は、骨髄由来のサプレッサー細胞である。いくつかの実施形態では、阻害剤は調節性T細胞である。
【0238】
いくつかの実施形態では、アゴニストはOx40である。いくつかの実施形態では、アゴニストはGITRである。いくつかの実施形態では、アゴニストはCD137である。いくつかの実施形態では、アゴニストはICOSである。いくつかの実施形態では、アゴニストはCD27である。いくつかの実施形態では、アゴニストはHVEMである。
【0239】
いくつかの実施形態では、AA及び/又はコンジュゲートAAは、例えば、化学療法剤、抗炎症剤、及び/又は免疫抑制剤などの1以上の追加の薬剤と組み合わせて治療中及び/又は治療後に投与される。いくつかの実施形態では、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体及び追加の薬剤は、単一の治療組成物に配合され、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体及び追加の薬剤が、同時に投与される。あるいは、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体及び追加の薬剤は、互いに分離され、例えば、それぞれは、別々の治療組成物に配合され、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体及び追加の薬剤は、同時に投与され、又は活性化可能な抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体及び追加の薬剤が、治療投与計画中の異なる時間に投与される。例えば、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体は、追加の薬剤の投与の前に投与されるか、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体は、追加の薬剤の投与に続いて投与されるか、又は活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体及び追加の薬剤が、交互に投与される。本明細書に記載のように、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体及び追加の薬剤は、単回用量で又は複数用量で投与される。
【0240】
いくつかの実施形態では、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体及び追加の薬剤(複数可)は、同時に投与される。例えば、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体及び追加の薬剤(複数可)は、単一の組成物で製剤化されるか、又は2以上の別々の組成物として投与できる。いくつかの実施形態では、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体及び追加の薬剤(複数可)は、順次投与されるか、又は活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体及び追加の薬剤は、治療投与計画中の異なる時間に投与される。
【0241】
いくつかの実施形態では、活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体は、非限定的な例として、化学療法剤、抗炎症剤、及び/又は免疫抑制剤、例えば、アルキル化剤、抗代謝産物、抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、細胞傷害性抗生物質、及び/又は任意の他の核酸有害性物質などの1以上の追加の薬剤と組み合わせて治療中及び/又は治療後に投与される。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、パクリタキセル(例えば、アブラキサン(登録商標))などのタキサンである。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、ゲムシタビンなどの抗代謝産物である。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、カルボプラチン又はシスプラチンなどの白金系化学療法剤などのアルキル化剤である。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、キナーゼ阻害剤、例えば、ソラフェニブ又はエルロチニブなどの標的化剤である。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、別の抗体、例えば、モノクローナル抗体(例えば、ベバシズマブ)、二重特異性抗体、又は多重特異性抗体などの標的化剤である。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、ボルテゾミブ又はカルフィルゾミブなどのプロテオソーム阻害剤である。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、レノリドミンデ又はIL-2などの免疫調節剤である。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、放射線である。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、当業者による治療の標準と考えられる薬剤である。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、当業者に周知の化学療法剤である。
【0242】
いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、別の抗体若しくはその抗原結合断片、別のコンジュゲート抗体若しくはその抗原結合断片、別のAA若しくはその抗原結合断片及び/又は別のコンジュゲートAA若しくはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、別の抗体若しくはその抗原結合断片、別のコンジュゲート抗体若しくはその抗原結合断片、第1の抗体若しくはその抗原結合断片と同じ標的に対する別のAA若しくはその抗原結合断片及び/又は別のコンジュゲートAA若しくはその結合断片、第1のコンジュゲート抗体若しくはその抗原結合断片、例えば、標的に対するAA若しくはその抗原結合断片及び/又はコンジュゲートAA若しくはその結合断片である。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、別の抗体若しくはその抗原結合断片、別のコンジュゲート抗体若しくはその抗原結合断片、第1の抗体若しくはその抗原結合断片の標的とは異なる標的に対する別のAA若しくはその抗原結合断片及び/又は別のコンジュゲートAA若しくはその抗原結合断片、第1のコンジュゲート抗体若しくはその抗原結合断片、AA若しくはその抗原結合断片及び/又はコンジュゲートAA若しくはその抗原結合断片である。
【0243】
いくつかの実施形態では、追加の抗体若しくはその抗原結合断片、コンジュゲート抗体若しくはその抗原結合断片、AA若しくはその抗原結合断片、及び/又はコンジュゲートAA若しくはその抗原結合断片は、モノクローナル抗体、ドメイン抗体、一本鎖、Fab断片、F(ab’)断片、scFv、scAb、dAb、単一ドメイン重鎖抗体、又は単一ドメイン軽鎖抗体である。いくつかの実施形態では、追加の抗体若しくはその抗原結合断片、コンジュゲート抗体若しくはその抗原結合断片、AA若しくはその抗原結合断片、及び/又はコンジュゲートAA若しくはその抗原結合断片は、マウス、他のげっ歯類、キメラ、ヒト化又は完全ヒトモノクローナル抗体である。
【0244】
本開示に従った治療実体の投与は、適切な担体、賦形剤、及び製剤に組み込まれる他の薬剤と共に投与され、改善された移動、送達、寛容などを提供することが理解されるであろう。多数の適切な製剤は、全ての製薬化学者に知られている処方集:レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)(第15版、Mack Publishing Company,Easton,PA(1975))、特に、その中のBlaug,Seymourによる第87章で見出すことができる。これらの製剤は、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、油、脂質、小胞(リポフェクチン(商標)など)を含む脂質(カチオン性又はアニオン性)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油型及び油中水型エマルジョン、エマルジョンカーボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、及びカーボワックスを含む半固体混合物を含む。以前の混合物のいずれも、本開示に従って治療及び治療法において適切であり得るが、ただし、製剤中の活性成分は製剤によって不活性化されず、かつ製剤は生理学的に投与経路と適合し、許容可能である。製薬化学者に周知の製剤、賦形剤及び担体に関連する追加情報については、Baldrick P.「医薬品賦形剤の開発:前臨床指導の必要性(Pharmaceutical excipient development: the need for preclinical guidance)」 Regul.Toxicol Pharmacol.32(2):210-8(2000),Wang W.「固体タンパク質医薬品の凍結乾燥と開発(Lyophilization and development of solid protein pharmaceuticals)」 Int.J.Pharm.203(1-2):1-60(2000),Charman WN 「脂質、親油性薬物、及び経口薬物送達-いくつかの新しい概念(Lipids,lipophilic drugs,and oral drug delivery-some emerging concepts)」 J Pharm Sci.89(8):967-78(2000),Powellら 「非経口製剤のための賦形剤の一覧(Compendium of excipients for parenteral formulations)」 PDA J Pharm Sci Technol.52:238-311(1998)及びそれらの中の引用文献も参照されたい。
【0245】
非限定的な例として、AA及び/又はコンジュゲートAAなどの活性化可能な抗標的抗体を含む、本開示の治療製剤は、異常な標的発現及び/若しくは活性と関連付けられる疾患又は障害を予防する、治療する又はそうでなければ改善するために使用される。例えば、AA及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗体を含む本開示の治療製剤は、癌又は他の腫瘍状態、炎症、炎症性障害、及び/若しくは自己免疫疾患を治療する又はそうでなければ改善するために使用される。いくつかの実施形態では、癌は、標的が発現される固形腫瘍又は血液性悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は標的が発現される固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は、標的が発現される血液悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、標的は、(例えば、癌、器官若しくは組織の機能(複数可)をしばしば行う器官又は組織の部分の中の)実質上で発現される。いくつかの実施形態では、標的は、細胞、組織、又は器官上で発現される。いくつかの実施形態では、標的は、間質(すなわち、細胞、組織、又は器官の結合支持フレームワーク)上で発現される。いくつかの実施形態では、標的は骨芽細胞上で発現している。いくつかの実施形態では、標的は、内皮(脈管構造)上で発現される。いくつかの実施形態では、標的は癌幹細胞上で発現される。いくつかの実施形態では、AAがコンジュゲートされる薬剤は、微小管阻害剤である。いくつかの実施形態では、AAがコンジュゲートされる薬剤は、核酸損傷剤である。
【0246】
予防、改善又は治療の有効性は、例えば、異常な標的発現及び/若しくは活性などの標的発現及び/若しくは活性と関連付けられる疾患又は障害を診断又は治療するための任意の既知の方法との関連で決定される。対象の生存を延長すること、又はそうでなければ、対象における標的発現及び/若しくは活性、例えば、異常な標的発現及び/若しくは活性と関連付けられる疾患又は障害の進行を遅らせることは、AA及び/又はコンジュゲートAAが臨床的恩恵を与えることを示す。
【0247】
AA及び/又はコンジュゲートAAは、医薬組成物の形態で投与できる。そのような組成物の調製に関わる原則と考慮事項、及び成分の選択におけるガイダンスは、例えば、レミントン:薬学の科学と実践(Remington:The Science And Practice Of Pharmacy) 第19版(Alfonso R.Gennaroら,編集) Mack Pub. Co.,Easton,Pa.:1995;薬物吸収強化:概念、可能性、制限、及び流行(Drug Absorption Enhancement:Concepts,Possibilities,Limitations,And Trends),Harwood Academic Publishers,Langhorne,Pa.,1994;及び「ペプチドとタンパク質の薬物送達(Peptide And Protein Drug Delivery (Advances In Parenteral Sciences,4巻),1991,M.Dekker,New York)で提供される。
【0248】
抗体断片が用いられるいくつかの実施形態では、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最小の断片が選択される。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、標的タンパク質配列を結合する能力を保持するペプチド分子を設計できる。そのようなペプチドは、化学合成及び/又は組換えDNA技術によって生成できる。(例えば、Marascoら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:7889-7893(1993)参照)。製剤はまた、治療される特定の徴候に対して必要に応じて2種以上の活性化合物、例えば、いくつかの実施形態では、互いに悪影響を及ぼさない相補的な活性を有するもの、を含んでよい。いくつかの実施形態では、又は加えて、組成物は、例えば、細胞傷害性薬剤、サイトカイン、化学療法剤、又は成長抑制剤などの、その機能を増強する薬剤を含んでよい。そのような分子は、意図する目的に有効な量で、組み合わされて適切に存在する。
【0249】
有効成分はまた、例えば、コアセルベーション技術によって又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンのマイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に、コロイド薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)中に又はマクロエマルジョン中に、包込されてもよい。
【0250】
生体内投与に使用される製剤は、無菌でなければならない。これは、滅菌濾過膜を通す濾過によって容易に達成される。
【0251】
持続放出製剤を、調製できる。持続放出製剤の適切な例としては、マトリックスが形のある製品、例えば、フィルム、又はマイクロカプセルの形態にある抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられる。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタミン酸塩の共重合体、非分解性エチレンビニル酢酸、LUPRON DEPOT(商標)などの分解性乳酸-グリコール酸共重合体(乳酸グリコール酸共重合体及び酢酸ロイプロリドで構成される注入用ミクロスフェア)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸)が挙げられる。エチレンビニル酢酸及び乳酸-グリコール酸などのポリマーは、100日以上、分子の放出を可能にするが、ある種のヒドロゲルは、より短い期間タンパク質を放出する。
【0252】
診断用途
本発明はまた、様々な診断及び/又は予防的適応で活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体を用いるための方法及びキットを提供する。例えば、本発明は、(i)活性化可能な抗標的抗体と対象若しくは試料を接触させることであって、抗標的AAが、マスキング部分(MM)と、切断剤によって切断される切断可能な部分(CM)と、興味の標的に特異的に結合する抗原結合ドメイン又はその断片(AB)とを含み、切断されず、活性化されていない状態で抗標的AAが、以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM-CM-AB又はAB-CM-MMを含み;(a)MMは、ABの標的への結合を阻害するペプチドであり、MMは、ABの天然の結合パートナーのアミノ酸配列を有しておらず、ABの天然結合パートナーの修飾形態でもなく;かつ(b)ABが切断されず、活性化されていない状態にある場合、MMは、ABの標的への特異的結合に干渉し、ABが切断され、活性化された状態にある場合には、MMは、標的へのABの特異的結合に干渉しないか、又はそれと競合しない、接触させること;かつ(ii)対象又は試料中の活性化された抗標的AAのレベルを測定することであって、対象又は試料中の活性化された抗標的AAの検出可能なレベルが、切断剤及び標的が対象又は試料中に存在することを示し、対象又は試料中の活性化された抗標的AAの検出できないレベルが、切断剤、標的又は切断剤と標的の両方が対象又は試料に存在しないことを示す、測定すること、によって、対象又は試料中の切断剤及び興味の標的の有無を検出するための方法並びにキットを提供する。
【0253】
いくつかの実施形態では、活性化可能な抗標的抗体は、治療剤がコンジュゲートされる活性化可能な抗標的抗体である。いくつかの実施形態では、活性化可能な抗標的抗体は、薬剤にコンジュゲートされない。いくつかの実施形態では、活性化可能な抗標的抗体は、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、AB上に配置される。いくつかの実施形態では、対象又は試料中の活性化可能な抗標的抗体のレベルを測定することは、活性化された抗体に特異的に結合する第2の試薬を用いて達成され、試薬は検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態では、第2の試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
【0254】
これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、活性化可能な抗標的抗体は、検出可能な標識を含む。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、検出可能な標識は、イメージング剤、造影剤、酵素、蛍光標識、発色団、色素、1以上の金属イオン、又はリガンドベースの標識を含む。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、撮像剤は、放射性同位元素を含む。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、放射性同位元素は、インジウム又はテクネチウムである。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、造影剤は、ヨウ素、ガドリニウム又は酸化鉄を含む。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、又はβ-ガラクトシダーゼを含む。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、蛍光標識は、黄色蛍光タンパク質(YFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、修飾された赤色蛍光タンパク質(mRFP)、赤色蛍光タンパク質tdimer2(RFP tdimer2)、HCRED、又はユーロピウム誘導体を含む。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、発光標識は、N-メチルアクリジウム誘導体を含む。これらの方法のいくつかの実施形態では、標識は、Alexa Fluor(登録商標)680又はAlexa Fluor(登録商標)750などのAlexa Fluor(登録商標)標識を含む。これらの方法及びキットのいくつか実施形態は、リガンドベースの標識は、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン又は1以上のハプテンを含む。
【0255】
これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、対象は哺乳動物である。これらの方法のいくつかの実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、非ヒト霊長類などの非ヒト哺乳動物、コンパニオン動物(例えば、猫、犬、馬)、家畜、作業用動物、又は動物園の動物である。いくつかの実施形態では、対象は、げっ歯類である。
【0256】
これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、本方法は、インビボ法である。これらの方法のいくつかの実施形態では、本方法は、インサイツ法である。これらの方法のいくつかの実施形態では、本方法は、エキソビボ法である。これらの方法のいくつかの実施形態では、本方法は、インビトロ法である。
【0257】
方法及びキットのいくつかの実施形態では、本方法は、本開示の抗標的AAによる治療、その後、それを必要とする対象に、その活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体を投与することによる治療に適する患者集団を特定又はそうでなければ精製するために使用される。例えば、標的(例えば、CD166)とこれらの方法で検査される抗標的AAのCM(CM)中の基質を切断するプロテアーゼの両方について検査で陽性を示す患者は、そのようなCMを含むそのような抗標的AAによる治療に適する候補として特定され、その後、患者は、検査された治療有効量の活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートされた活性化可能な抗標的抗体を投与される。同様に、標的(例えばCD166)と、これらの方法を用いて検査されるAAのCM中の基質を切断するプロテアーゼの一方又は両方について検査で陰性を示す患者は、別の形態の治療法に適する候補として特定され得る。いくつかの実施形態では、そのような患者は、治療に適切な抗標的AAが特定されるまで、他の抗標的AAを用いて検査できる(例えば、疾患部位で患者によって切断されるCMを含む抗標的AA)。いくつかの実施形態では、患者は次いで、検査で陽性を示した患者のための治療有効量の活性化可能な抗標的抗体及び/又はコンジュゲートを投与される。適切なAB、MM、及び/又はCMは、本明細書に開示されるAB、MM及び/又はCMのいずれかを含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、AA及び/又はコンジュゲートAAは、検出可能な標識を含む。インタクト抗体、又はその断片(例えば、Fab、scFv、又はF(ab))が用いられる。プローブ又は抗体に関して、用語「標識された」は、プローブ又は抗体に検出可能な物質を共役(すなわち、物理的に結合)させることによるプローブ又は抗体の直接標識、及び直接標識された別の試薬との反応性によるプローブ又は抗体の間接標識を包含することを意図している。間接標識の例としては、蛍光標識二次抗体及び蛍光標識ストレプトアビジンで検出できるようにビオチンによるDNAプローブの末端標識を用いる一次抗体の検出が挙げられる。用語「生体試料」は、対象から分離された組織、細胞及び生体液、並びに対象内に存在する組織、細胞及び液体を含むことを意図する。したがって、血液と、血清、血漿、又はリンパを含む血液の一部又は成分は、用語「生体試料」の使用に含まれる。すなわち、本開示の検出方法は、インビトロ及びインビボで、生体試料中の分析物のmRNA、タンパク質、又はゲノムDNAを検出するために使用できる。例えば、分析物のmRNAの検出のためのインビトロ技術は、ノーザンハイブリダイゼーション及びインサイツハイブリダイゼーションを含む。分析物のタンパク質の検出のためのインビトロ技術は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈降、免疫化学的染色、及び免疫蛍光を含む。検体のゲノムDNAの検出のためのインビトロ技術は、サザンハイブリダイゼーションを含む。イムノアッセイを行う手順は、例えば、「ELISA:理論と実践:分子生物学における方法(ELISA: Theory and Practice:Methods in Molecular Biology)」、42巻,J.R.Crowther(編) Human Press,Totowa,NJ,1995;「イムノアッセイ(Immunoassay)」,E.Diamandis及びT.Christopoulus,Academic Press,Inc.,San Diego,CA,1996;並びに「酵素イムノアッセイの実践と理論(Practice and Theory of Enzyme Immunoassays)」,P.Tijssen,Elsevier Science Publishers,Amsterdam,1985に記載されている。さらに、検体タンパク質の検出のためのインビボ技術は、標識された抗検体タンパク質抗体を対象に導入することを含む。例えば、抗体は、対象中でのその存在及び位置を標準的なイメージング技術によって検出できる、放射性マーカーで標識できる。
【0259】
したがって、本開示のAA及びコンジュゲートAAは、様々な診断及び予防の製剤にも有用である。一実施形態では、AA及び/又はコンジュゲートAAは、前述の障害の1以上を発症するおそれがある対象に投与される。前述の障害の1以上に対する対象又は器官の素因は、遺伝子、血清学的又は生化学的マーカーを用いて決定できる。
【0260】
本開示のいくつかの実施形態では、AA及び/又はコンジュゲートAAは、前述の障害の1以上と関連付けられる臨床徴候と診断されたヒト個体に投与される。診断時に、臨床徴候の影響を軽減又は逆転させるために、AA及び/又はコンジュゲートAAが投与される。
【0261】
本開示の活性化可能な抗体、及び/又はコンジュゲートAAは、対象試料中の標的の検出にも有用であり、したがって、診断として有用である。例えば、本開示の抗体及び/又は活性化可能な抗体、及びそのコンジュゲートバージョンは、対象試料中の標的レベルを検出するためにインビトロアッセイ、例えば、ELISAで使用される。
【0262】
一実施形態では、本開示のAA及び/又はコンジュゲートAAは、固体支持体(例えば、マイクロタイタープレートのウェル(複数可))上に固定化される。固定化されたAA及び/又はコンジュゲートAAは、検査試料中に存在し得る任意の標的の捕捉抗体として機能する。固定化された活性化可能な抗体、及び/又はそのコンジュゲートバージョンと対象試料を接触させる前に、固体支持体を洗い流し、ミルクタンパク質又はアルブミンなどのブロッキング剤で処理して、検体の非特異的吸着を防ぐ。
【0263】
その後、ウェルを、抗原を含む疑いのある検査試料、又は標準量の抗原を含む溶液で処理する。そのような試料は、例えば、病理の診断であると考えられる循環抗原のレベルを有すると疑われる対象からの血清試料である。検査試料又は標準物質を洗い流した後、固体支持体を、検出可能に標識された第2の抗体で処理する。標識された第2抗体は、検出抗体として機能する。検出可能な標識のレベルを測定し、検査試料中の標的抗原の濃度を、標準試料から作成された標準曲線との比較によって決定する。
【0264】
インビトロ診断アッセイで本開示のAA及びそのコンジュゲートバージョンを用いて得られた結果に基づいて、標的抗原の発現レベルに基づき対象の疾患をステージ分類できることが理解される。所与の疾患について、血液試料を、疾患の進行の様々なステージ、かつ/又は疾患の治療処置の様々な時点にあると診断された対象から採取する。進行又は治療の各ステージの統計的に有意な結果を提供する試料集団を用いて、各ステージの特徴と考えられ得る抗原の濃度の範囲が指定される。
【0265】
AA及び/又はコンジュゲートAAは、診断及び/又はイメージング方法でも使用できる。いくつかの実施形態では、そのような方法はインビトロ法である。いくつかの実施形態では、そのような方法はインビボ法である。いくつかの実施形態では、そのような方法はインサイツ法である。いくつかの実施形態では、そのような方法はエキソビボ方法である。例えば、酵素的に切断可能なCMを有するAAは、CMを切断できる酵素の有無を検出するために使用できる。そのようなAAは、所与の宿主生物の所与の細胞又は組織中の活性化された抗体(すなわち、活性化可能な抗体の切断から生じる抗体)の蓄積の測定による酵素活性(又は、いくつかの実施形態では、ジスルフィド結合の減少を提供できるような還元電位が増加した環境)のインビボ検出(例えば、定性的又は定量的)を含み得る診断に使用できる。そのような活性化された抗体の蓄積は、組織が酵素活性(又はCMの性質に応じた還元電位の増加)を表すだけでなく、組織が、活性化された抗体が結合する標的を発現することも示す。
【0266】
例えば、CMを、腫瘍の部位、生物学的に閉じ込められた部位(例えば、膿瘍、器官など)でのウイルス又は細菌感染部位などで見出される少なくとも1つのプロテアーゼの基質であると選択できる。ABは、標的抗原を結合するものであり得る。本明細書に開示される方法、又は適切な場合には、当業者に馴染みのある方法を用いて、検出可能な標識(例えば、蛍光標識又は放射性標識又は放射性トレーサー)を、AB又は抗体及び/若しくは活性化可能な抗体の他の領域にコンジュゲートできる。適切な検出標識は、上記のスクリーニング方法の文脈で議論され、追加の具体的な例を、以下に提供する。疾患状態のタンパク質又はペプチドに特異的なABを用いて、興味の疾患組織においてその活性が上昇した少なくとも1つのプロテアーゼと共に、AAは、CM特異的酵素が検出可能なレベルで存在しないか、又は疾患組織に比べて低いレベルで存在するか、又は不活性である(例えば、酵素原形態又は阻害剤との複合体にある)組織と比較して、疾患組織への結合率の増加を示す。小タンパク質及びペプチドは腎臓濾過システムによって血液から急速に除去されるので、かつCMに特異的な酵素は検出可能なレベルで存在しない(又は非疾患組織中で低いレベルで存在するか、又は不活性立体構造で存在する)ため、疾患組織における活性化された抗体の蓄積は、非疾患組織と比較して増強される。
【0267】
別の例では、AAを用いて、試料中の切断剤の有無を検出できる。例えば、AAが酵素による切断を受けやすいCMを含む場合、AAを用いて、試料中の酵素の存在を(定性的又は定量的のいずれかで)検出できる。別の例では、AAが還元剤による切断の影響を受けやすいCMを含む場合、AAを用いて、試料中の還元条件の存在を(定性的又は定量的のいずれかで)検出できる。これらの方法での分析を容易にするために、AAを、検出可能に標識でき、支持体(例えば、スライド又はビーズなどの固体支持体)に結合させることができる。検出可能な標識は、切断後に放出されないAAの部分の上に位置付けることができ、例えば、検出可能な標識は、切断が生じるまで検出できない、クエンチ蛍光標識又は他の標識であり得る。このアッセイは、例えば、固定化され、検出可能に標識されたAAを酵素及び/又は還元剤を含む疑いのある試料と、切断が起こるのに十分な時間接触させること、次いで、洗浄して過剰な試料及び混入物を除去することによって行うことができる。試料中の切断剤(例えば、酵素又は還元剤)の有無は次いで、試料と接触させる前のAAの検出可能なシグナルの変化、例えば、試料中の切断剤によるAAの切断による検出可能なシグナルの存在及び/又は増加によって評価される。
【0268】
そのような検出方法は、切断時にAAのABを結合できる標的の有無の検出も提供するように適合させることができる。そのため、アッセイは、切断剤の有無と興味の標的の有無を評価するように適合させることができる。切断剤の有無は、上記のAAの検出可能な標識の存在及び/又は増加によって検出でき、標的の有無は、標的-AB複合体、例えば、検出可能に標識された抗標的抗体の使用によって検出できる。
【0269】
AAは、例えば、プロテアーゼ切断、及び特定の標的への結合によるAA活性化の検証のためのインサイツイメージングにも有用である。インサイツイメージングは、細胞培養又は組織切片などの生体試料中のタンパク質分解活性及び標的の局在化を可能にする技術である。この技術を用いて、検出可能な標識(例えば、蛍光標識)の存在に基づき所与の標的への結合とタンパク質分解活性の両方を確認できる。
【0270】
これらの技術は、疾患部位(例えば、腫瘍組織)若しくは健常な組織に由来する任意の凍結された細胞又は組織に有用である。これらの技術は、新鮮な細胞又は組織試料でも有用である。
【0271】
これらの技術において、AAは、検出可能な標識で標識される。検出可能な標識は、蛍光色素(例えば、フルオロフォア、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミンイソチオシアネート(TRITC)、Alexa Fluor(登録商標)標識)、近赤外(NIR)色素(例えば、Qdot(登録商標)ナノ結晶)、コロイド金属、ハプテン、放射性マーカー、ビオチン及びストレプトアビジンなどの増幅試薬、又は酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼ)であり得る。
【0272】
標識されたAAとインキュベートされた試料中の標識の検出で、AAは、試料が標的を含み、活性化可能な抗体のCMに特異的なプロテアーゼを含むことを示す。いくつかの実施形態では、プロテアーゼの存在は、本明細書に記載のものなどの広域スペクトルのプロテアーゼ阻害剤を使用して、かつ/又はプロテアーゼに特異的である薬剤、例えば、プロテアーゼマトリプターゼに特異的であり、マトリプターゼのタンパク質分解活性を阻害するA11などの抗体を使用することによって確認できる;例えば、2010年11月11日に公開された国際公開WO2010/129609を参照されたい。本明細書に記載のものなどの広域スペクトルプロテアーゼ阻害剤を用いる、及び/又はより選択的な阻害剤を用いることによる同様の手法は、活性化可能な抗体のCMに特異的であるプロテアーゼを特定するために使用できる。いくつかの実施形態では、標的の存在は、標的に特異的である薬剤、例えば、別の抗体を用いて確認でき、又は検出可能な標識は、標識されていない標的と競合できる。いくつかの実施形態では、標識されていないAAは、標識された二次抗体又はより複雑な検出システムによる検出で使用できる。
【0273】
同様の技術は、対象、例えば、ヒトを含む哺乳動物における蛍光シグナルの検出によって、疾患部位が標的を含み、活性化可能な抗体のCMに特異的なプロテアーゼを含むことが示されるインビボイメージングにも有用である。
【0274】
これらの技術は、活性化可能な抗体内のプロテアーゼ特異的CMに基づく様々な細胞、組織、及び生物におけるプロテアーゼ活性の検出、特定又は特性評価のためのキット中で及び/又はそれらのための試薬としても有用である。
【0275】
本開示は、様々な診断及び/又は予防的適応においてAAを使用する方法を提供する。例えば、本開示は、(i)活性化可能な抗体と対象若しくは試料を接触させることであって、AAが、マスキング部分(MM)と、切断剤、例えば、プロテアーゼによって切断される切断可能な部分(CM)と、興味の標的に特異的に結合する抗原結合ドメイン又はその断片(AB)とを含み、切断されず、活性化されていない状態のAAが、以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM-CM-AB又はAB-CM-MMを含み;(a)MMは、ABの標的への結合を阻害するペプチドであり、MMは、ABの天然の結合パートナーのアミノ酸配列を有しておらず、ABの天然結合パートナーの修飾形態でもなく;かつ(b)切断されず、活性化されていない状態で、MMは、ABの標的への特異的結合に干渉し、切断され、活性化された状態で、MMは、標的へのABの特異的結合に干渉しないか、又はそれと競合しない、接触させること;かつ(ii)対象又は試料中の活性化されたAAのレベルを測定することであって、対象又は試料中の活性化されたAAの検出可能なレベルは、切断剤及び標的が対象又は試料中に存在することを示し、対象又は試料中の活性化されたAAの検出できないレベルは、切断剤、標的又は切断剤と標的の両方が対象又は試料に存在せず、かつ/又は十分に存在しないことを示す、測定すること、によって対象又は試料中の切断剤及び興味の標的の有無を検出する方法を提供する。いくつかの実施形態では、AAは、治療剤がコンジュゲートされるAAである。いくつかの実施形態では、AAは、薬剤にコンジュゲートされない。いくつかの実施形態では、AAは、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、AB上に配置される。いくつかの実施形態では、対象又は試料中のAAのレベルを測定することは、活性化された抗体に特異的に結合する第2の試薬を用いて達成され、試薬は、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態では、第2の試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
【0276】
本開示はまた、(i)興味の標的、例えば、標的の存在下でAAと対象若しくは試料を接触させることであって、AAが、マスキング部分(MM)と、切断剤、例えば、プロテアーゼによって切断される切断可能な部分(CM)と、興味の標的に特異的に結合する抗原結合ドメイン又はその断片(AB)とを含み、切断されず、活性化されていない状態のAAが、以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM-CM-AB又はAB-CM-MMを含み;(a)MMは、ABの標的への結合を阻害するペプチドであり、MMは、ABの天然の結合パートナーのアミノ酸配列を有しておらず、ABの天然結合パートナーの修飾形態でもなく;かつ(b)切断されず、活性化されていない状態で、MMは、ABの標的への特異的結合に干渉し、切断され、活性化された状態で、MMは、標的へのABの特異的結合に干渉しないか、又はそれと競合しない、接触させること;かつ(ii)対象又は試料中の活性化されたAAのレベルを測定することであって、対象又は試料中の活性化されたAAの検出可能なレベルは、切断剤が対象又は試料中に存在することを示し、対象又は試料中の活性化されたAAの検出できないレベルは、切断剤が対象又は試料に存在せず、かつ/又は十分に存在しないことを示す、測定すること、によって対象又は試料中の切断剤の有無を検出する方法を提供する。いくつかの実施形態では、AAは、治療剤がコンジュゲートされるAAである。いくつかの実施形態では、AAは、薬剤にコンジュゲートされない。いくつかの実施形態では、AAは、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、AB上に配置される。いくつかの実施形態では、対象又は試料中のAAのレベルを測定することは、活性化された抗体に特異的に結合する第2の試薬を用いて達成され、試薬は、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態では、第2の試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
【0277】
本開示はまた、対象又は試料中の切断剤及び標的の有無を検出する方法で使用するキットも提供し、キットは、マスキング部分(MM)と、切断剤、例えば、プロテアーゼによって切断される切断可能な部分(CM)と、興味の標的に特異的に結合する抗原結合ドメイン又はその断片(AB)を含む少なくとも1つのAAとを含み、切断されず、活性化されていない状態のAAは、以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM-CM-AB又はAB-CM-MMを含み;(a)MMは、ABの標的への結合を阻害するペプチドであり、MMは、ABの天然の結合パートナーのアミノ酸配列を有しておらず、ABの天然結合パートナーの修飾形態でもなく;かつ(b)切断されず、活性化されていない状態で、MMは、ABの標的への特異的結合に干渉し、切断され、活性化された状態で、MMは、標的へのABの特異的結合に干渉しないか、又はそれと競合せず;かつ(ii)対象又は試料中の活性化されたAAのレベルを測定することであって、対象又は試料中の活性化されたAAの検出可能なレベルは、切断剤が対象又は試料中に存在することを示し、対象又は試料中の活性化されたAAの検出できないレベルは、切断剤が対象又は試料に存在せず、かつ/又は十分に存在しないことを示す、測定することを含む。いくつかの実施形態では、AAは、治療剤がコンジュゲートされるAAである。いくつかの実施形態では、AAは、薬剤にコンジュゲートされない。いくつかの実施形態では、AAは、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、AB上に配置される。いくつかの実施形態では、対象又は試料中のAAのレベルを測定することは、活性化可能な抗体に特異的に結合する第2の試薬を用いて達成され、試薬は、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態では、第2の試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
【0278】
本開示はまた、(i)切断可能な抗体と対象又は試料とを接触させることであって、AAが、マスキング部分(MM)と、切断剤、例えば、プロテアーゼによって切断される切断可能な部分(CM)と、標的に特異的に結合する抗原結合ドメイン(AB)と、検出可能な標識とを含み、切断されず、活性化されていない状態のAAは、以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM-CM-AB又はAB-CM-MMを含み;MMは、ABの標的への結合を阻害するペプチドであり、MMは、ABの天然の結合パートナーのアミノ酸配列を有しておらず、ABの天然結合パートナーの修飾形態でもなく;切断されず、活性化されていない状態で、MMは、ABの標的への特異的結合に干渉し、切断され、活性化された状態で、MMは、標的へのABの特異的結合に干渉しないか、又はそれと競合せず;検出可能な標識は、CMの切断後に放出されるAAの一部上に配置される、接触させること;かつ(ii)対象又は試料中の検出可能な標識のレベルを測定することであって、対象又は試料中の検出可能な標識の検出可能なレベルは、切断剤が対象又は試料に存在せず、かつ/又は十分に存在しないことを示し、対象又は試料中の検出可能な標識の検出できないレベルは、切断剤が対象又は試料中に存在することを示す、測定すること、によって対象又は試料中の切断剤の有無を検出する方法を提供する。いくつかの実施形態では、AAは、治療剤がコンジュゲートされるAAである。いくつかの実施形態では、AAは、薬剤にコンジュゲートされない。いくつかの実施形態では、AAは、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、AB上に配置される。いくつかの実施形態では、対象又は試料中のAAのレベルを測定することは、活性化された抗体に特異的に結合する第2の試薬を用いて達成され、試薬は、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態では、第2の試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
【0279】
本開示はまた、対象又は試料中の切断剤及び標的の有無を検出する方法で使用するためのキットであって、対象又は生体試料に接触する際に使用するための、本明細書に記載の少なくとも1つのAA及び/又はコンジュゲートAA(例えば、治療剤がコンジュゲートされるAA)、並びに対象又は生体試料中の活性化されたAA及び/又はコンジュゲートAAのレベルを検出する手段を含む、キットを提供し、対象又は生体試料中の活性化されたAAの検出可能なレベルは、切断剤及び標的が対象又は生体試料中に存在することを示し、対象又は生体試料中の活性されたAAの検出できないレベルは、切断剤、標的又は切断剤と標的の両方が、対象又は生体試料中に存在せず、かつ/又は十分に存在しないことを示し、それによりAAの標的結合及び/又はプロテアーゼ切断は、対象又は生体試料において検出できない。
【0280】
本開示はまた、(i)標的の存在下で対象又は生体試料をAAと接触させること;かつ(ii)対象又は生体試料中の活性化されたAAのレベルを測定すること、によって対象又は試料の切断剤の有無を検出する方法であって、対象又は生体試料中の活性されたAAの検出可能なレベルは、切断剤が対象又は生体試料中に存在することを示し、対象又は生体試料中の活性されたAAの検出できないレベルは、切断剤が、対象又は生体試料中に存在せず、かつ/又は十分に存在しないことを示し、それによりAAのプロテアーゼ切断は、対象又は生体試料において検出できない、方法を提供する。そのようなAAは、マスキング部分(MM)と、切断剤、例えば、プロテアーゼによって切断される切断可能な部分(CM)と、標的に特異的に結合する抗原結合ドメイン又はその断片(AB)とを含み、切断されない(すなわち、活性化されていない)状態のAAは、以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM-CM-AB又はAB-CM-MMを含み;(a)MMは、ABの標的への結合を阻害するペプチドであり、MMは、ABの天然の結合パートナーのアミノ酸配列を有しておらず;かつ(b)切断されていない状態のAAのMMは、ABの標的への特異的結合に干渉し、切断された(すなわち、活性化された)状態のAAのMMは、標的へのABの特異的結合に干渉しないか、又はそれと競合しない。いくつかの実施形態では、AAは、治療剤がコンジュゲートされるAAである。いくつかの実施形態では、AAは、薬剤にコンジュゲートされない。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、マスキング部分に付着される。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、CMのプロテアーゼ切断部位のN末端に付着される。いくつかの実施形態では、ABの単一の抗原結合部位は、マスクされる。本開示の抗体が少なくとも2つの抗原結合部位を有するいくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗原結合部位がマスクされ、少なくとも1つの抗原結合部位はマスクされない。いくつかの実施形態では、全ての抗原結合部位がマスクされる。いくつかの実施形態では、測定工程は、検出可能な標識を含む第2の試薬の使用を含む。
【0281】
本開示はまた、対象又は試料中の切断剤及び標的の有無を検出する方法で使用するためのキットであって、標的の存在下で対象又は生体試料とAAを接触させること、及び対象又は生体試料中の活性化されたAAのレベルを測定することにおいて使用するための、本明細書に記載の少なくとも1つのAA及び/又はコンジュゲートAAを含む、キットを提供し、対象又は生体試料中の活性されたAAの検出可能なレベルは、切断剤が対象又は生体試料中に存在することを示し、対象又は生体試料中の活性されたAAの検出できないレベルは、切断剤が、対象又は生体試料中に存在せず、かつ/又は十分に存在しないことを示し、それによりAAのプロテアーゼ切断は、対象又は生体試料において検出できない。そのようなAAは、マスキング部分(MM)と、切断剤、例えば、プロテアーゼによって切断される切断可能な部分(CM)と、標的に特異的に結合する抗原結合ドメイン又はその断片(AB)とを含み、切断されない(すなわち、活性化されていない)状態のAAは、以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM-CM-AB又はAB-CM-MMを含み;(a)MMは、ABの標的への結合を阻害するペプチドであり、MMは、ABの天然の結合パートナーのアミノ酸配列を有しておらず;かつ(b)切断されない状態のAAのMMは、ABの標的への特異的結合に干渉し、切断された(すなわち、活性化された)状態のAAのMMは、標的へのABの特異的結合に干渉しないか、又はそれと競合しない。いくつかの実施形態では、AAは、治療剤がコンジュゲートされるAAである。いくつかの実施形態では、AAは、薬剤にコンジュゲートされない。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、マスキング部分に付着される。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、CMのプロテアーゼ切断部位のN末端に付着される。いくつかの実施形態では、ABの単一の抗原結合部位はマスクされる。本開示の抗体が少なくとも2つの抗原結合部位を有するいくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗原結合部位がマスクされて、少なくとも1つの抗原結合部位はマスクされない。いくつかの実施形態では、全ての抗原結合部位がマスクされる。いくつかの実施形態では、測定工程は、検出可能な標識を含む第2の試薬の使用を含む。
【0282】
本開示はまた、対象又は試料における切断剤の有無を検出する方法で使用するためのキットであって、対象又は生体試料に接触する際に使用するための、本明細書に記載の少なくとも1つのAA及び/又はコンジュゲートAA、並びに対象又は生体試料中の活性化されたAA及び/又はコンジュゲートAAのレベルを検出する手段を含む、キットを提供し、AAは、CMの切断後に放出されるAAの一部上に配置される検出可能な標識を含み、対象又は生体試料中の活性されたAAの検出可能なレベルは、切断剤が、対象又は生体試料中に存在せず、かつ/又は十分に存在しないことを示し、それによりAAの標的結合及び/又はプロテアーゼ切断は、対象又は生体試料において検出できず、対象又は生体試料中の活性されたAAの検出できないレベルは、切断剤が対象又は生体試料中に検出可能なレベルで存在することを示す。
【0283】
本開示は、(i)AAがCMの切断後に放出されるAAの一部上に配置される検出可能な標識を含む、活性化可能な抗体と対象又は生体試料を接触させること、かつ(ii)対象又は試料中の活性化されたAAのレベルを測定することであって、対象又は試料中の活性化されたAAの検出可能なレベルは、切断剤、標的又は切断剤と標的の両方が対象又は生体試料中に存在せず、かつ/又は十分に存在しないことを示し、それによりAAの標的結合及び/又はプロテアーゼ切断は、対象又は生体試料において検出できず、対象又は生体試料中の活性化されたAAの検出可能なレベルの低下は、切断剤及び標的が対象又は生体試料に存在することを示す、測定すること、によって対象又は試料中の切断剤及び標的の有無を検出する方法を提供する。検出可能な標識のレベルの低下は、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、及び/又は約100%の低下である。そのようなAAは、マスキング部分(MM)と、切断剤によって切断される切断可能な部分(CM)と、標的に特異的に結合する抗原結合ドメイン又はその断片(AB)とを含み、切断されない(すなわち、活性化されていない)状態のAAは、以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM-CM-AB又はAB-CM-MMを含み;(a)MMは、ABの標的への結合を阻害するペプチドであり、MMは、ABの天然の結合パートナーのアミノ酸配列を有しておらず;かつ(b)切断されない状態のAAのMMは、ABの標的への特異的結合に干渉し、切断された(すなわち、活性化された)状態のAAのMMは、標的へのABの特異的結合に干渉しないか、又はそれと競合しない。いくつかの実施形態では、AAは、治療剤がコンジュゲートされるAAである。いくつかの実施形態では、AAは、薬剤にコンジュゲートされない。いくつかの実施形態では、AAは、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態では、検出可能な標識はAB上に配置される。いくつかの実施形態では、対象又は試料中のAAのレベルを測定することは、活性化可能な抗体に特異的に結合する第2の試薬を用いて達成され、試薬は、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態では、第2の試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
【0284】
本開示はまた、対象又は試料中の切断剤及び標的の有無を検出する方法で使用するためのキットであって、対象又は生体試料に接触する際に使用するための、本明細書に記載の少なくとも1つのAA及び/又はコンジュゲートAA、並びに対象又は生体試料における活性化されたAA及び/又はコンジュゲートAAのレベルを検出する手段を含む、キットを提供し、対象又は生体試料中の活性化されたAAの検出可能レベルは、切断剤、標的又は切断剤と標的の両方が対象又は生体試料中に存在せず、かつ/又は十分に存在しないことを示し、それによりAAの標的結合及び/又はプロテアーゼ切断は、対象又は生体試料において検出できず、対象又は生体試料中の活性化されたAAの検出可能なレベルの低下は、切断剤及び標的が対象又は生体試料に存在しないことを示す。検出可能な標識のレベルの低下は、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、及び/又は約100%の低下である。
【0285】
本開示はまた、(i)AAがCMの切断後に放出されるAAの一部上に配置される検出可能な標識を含む、活性化可能な抗体と対象又は生体試料を接触させること、かつ(ii)対象又は試料中の検出可能な標識のレベルを測定することであって、対象又は生体試料中の検出可能な標識の検出可能なレベルは、切断剤が検出可能なレベルで対象又は生体試料中に存在せず、かつ/又は十分に存在しないことを示し、それによりAAのプロテアーゼ切断は、対象又は生体試料において検出できず、対象又は生体試料中の検出可能な標識の検出可能なレベルの低下は、切断剤が対象又は生体試料に存在しないことを示す、測定すること、によって対象又は試料中の切断剤の有無を検出する方法を提供する。検出可能な標識のレベルの低下は、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%及び/又は約100%の低下である。そのようなAAは、マスキング部分(MM)と、切断剤によって切断される切断可能な部分(CM)と、標的に特異的に結合する抗原結合ドメイン又はその断片(AB)とを含み、切断されない(すなわち、活性化されていない)状態のAAは、以下のようにN末端からC末端への構造的配置:MM-CM-AB又はAB-CM-MMを含み;(a)MMは、ABの標的への結合を阻害するペプチドであり、MMは、ABの天然の結合パートナーのアミノ酸配列を有しておらず;かつ(b)切断されない状態のAAのMMは、ABの標的への特異的結合に干渉し、切断された(すなわち、活性化された)状態のAAのMMは、標的へのABの特異的結合に干渉しないか、又はそれと競合しない。いくつかの実施形態では、AAは、治療剤がコンジュゲートされるAAである。いくつかの実施形態では、AAは、薬剤にコンジュゲートされない。いくつかの実施形態では、AAは、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、AB上に配置される。いくつかの実施形態では、対象又は試料中のAAのレベルを測定することは、活性化された抗体に特異的に結合する第2の試薬を用いて達成され、試薬は、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態では、第2の試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
【0286】
本開示はまた、対象又は試料において興味の切断剤の有無を検出する方法で使用するためのキットであって、対象又は生体試料に接触する際に使用するための、本明細書に記載の少なくとも1つのAA及び/又はコンジュゲートAA、並びに対象又は生体試料における活性化されたAA及び/又はコンジュゲートAAのレベルを検出する手段を含む、キットを提供し、AAは、CMの切断後に放出されるAAの一部上に配置される検出可能な標識を含み、対象又は生体試料中の検出可能な標識の検出可能なレベルは、切断剤、標的又は切断剤と標的の両方が対象又は生体試料中に存在せず、かつ/又は十分に存在しないことを示し、それによりAAの標的結合及び/又はプロテアーゼ切断は、対象又は生体試料において検出できず、対象又は生体試料中の検出可能な標識の検出可能なレベルの低下は、切断剤及び標的が対象又は生体試料に存在することを示す。検出可能な標識のレベルの低下は、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、及び/又は約100%の低下である。
【0287】
これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、AAは、検出可能な標識を含む。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、検出可能な標識は、イメージング剤、造影剤、酵素、蛍光標識、発色団、色素、1以上の金属イオン、又はリガンドベースの標識を含む。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、イメージング剤は、放射性同位元素を含む。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、放射性同位元素は、インジウム又はテクネチウムである。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、造影剤は、ヨウ素、ガドリニウム又は酸化鉄を含む。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、又はβ-ガラクトシダーゼを含む。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、蛍光標識は、黄色蛍光タンパク質(YFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、修飾赤色蛍光タンパク質(mRFP)、赤色蛍光タンパク質tdimer2(RFP tdimer2)、HCRED、又はユーロピウム誘導体を含む。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、発光標識は、N-メチルアクリジウム誘導体を含む。これらの方法のいくつかの実施形態では、標識は、Alex Fluor(登録商標)680又はAlexa Fluor(登録商標)750などのAlex Fluor(登録商標)標識を含む。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、リガンドベースの標識は、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン又は1以上のハプテンを含む。
【0288】
これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、対象は哺乳動物である。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、非ヒト霊長類などの非ヒト哺乳動物、コンパニオン動物(例えば、猫、犬、馬)、家畜、作業用動物、又は動物園の動物である。いくつかの実施形態では、対象は、げっ歯類である。
【0289】
これらの方法のいくつかの実施形態では、本方法は、インビボ法である。これらの方法のいくつかの実施形態では、本方法は、インサイツ法である。これらのいくつかの実施形態では、本方法は、エキソビボ法である。これらの方法のいくつかの実施形態では、本方法は、インビトロ法である。
【0290】
いくつかの実施形態では、インサイツイメージング及び/又はインビボイメージングは、治療する対象を特定する方法において有用である。例えば、インサイツイメージングでは、AAを用いて、対象試料をスクリーニングし、適切な場所、例えば、腫瘍部位で適切なプロテアーゼ(複数可)及び標的(複数可)を有するそれらの対象を特定する。
【0291】
いくつかの実施形態では、インサイツイメージングは、本開示のAAによる治療に適する対象集団を特定するか、又はそうでなければ精緻化するために使用される。例えば、標的(例えば、標的)と、検査されるAAのCM(CM)中の基質を切断するプロテアーゼの両方について検査で陽性を示す対象は、そのようなCMを含むそのようなAAによる治療に適する候補として特定される。同様に、標的(例えば、標的)と、これらの方法を用いて検査されるAAのCM中の基質を切断するプロテアーゼの一方又は両方について検査で陰性を示す対象は、別の形態の治療法に適する候補として特定され得る。いくつかの実施形態では、第1のAAに対して検査で陰性を示すそのような対象は、治療に適するAAが特定されるまで、異なるCMを含む他のAA(例えば、疾患部位で対象によって切断されるCMを含むAA)で検査できる。いくつかの実施形態では、検査で陽性を示す対象は次いで、治療有効量のAAを投与される。
【0292】
いくつかの実施形態では、インビボイメージングは、本開示のAAによる治療に適する対象集団を特定するか、又はそうでなければ精緻化するために使用される。例えば、標的(例えば、標的)と、検査されるAAのCM(CM)中の基質を切断するプロテアーゼの両方について検査で陽性を示す(例えば、疾患部位で活性化された抗体を蓄積する)対象は、そのようなCMを含むそのようなAAによる治療に適する候補として特定される。同様に、検査で陰性を示す対象は、別の形態の治療法に適する候補として特定され得る。いくつかの実施形態では、第1のAAに対して検査で陰性を示すそのような対象は、治療に適するAAが特定されるまで異なるCMを含む他のAA(例えば、疾患部位で対象によって切断されるCMを含むAA)で検査できる。いくつかの実施形態では、検査で陽性を示す対象は次いで、治療有効量のAAを投与される。
【0293】
方法及びキットのいくつかの実施形態では、本方法又はキットは、本開示のAAによる治療に適する対象集団を特定するか、又はそうでなければ精緻化するために使用される。例えば、標的(例えば、標的)と、これらの方法で検査されるAAのCM(CM)中の基質を切断するプロテアーゼの両方について検査で陽性を示す対象は、そのようなCMを含むそのようなAAによる治療に適する候補として特定される。同様に、標的(例えば、標的)と、これらの方法を用いて検査されているAAのCM中の基質を切断するプロテアーゼの両方について検査で陰性を示すそのような対象は、別の形態の治療法に適する候補として特定され得る。いくつかの実施形態では、そのような対象は、治療に適切なAAが特定されるまで、他のAA(例えば、疾患部位で対象によって切断されるCMを含むAA)で検査できる。いくつかの実施形態では、標的(例えば、標的)のいずれかについて検査で陰性を示す対象は、そのようなCMを含むそのようなAAによる治療に適する候補として特定される。いくつかの実施形態では、標的(例えば、標的)のいずれかについて検査で陰性を示す対象は、そのようなCMを含むそのようなAAによる治療に適する候補ではないと特定される。いくつかの実施形態では、そのような対象は、治療に適切なAAが特定されるまで、他のAA(例えば、疾患部位で対象によって切断されるCMを含むAA)で検査できる。いくつかの実施形態では、AAは、治療剤がコンジュゲートされるAAである。いくつかの実施形態では、AAは、薬剤にコンジュゲートされない。いくつかの実施形態では、AAは、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、AB上に配置される。いくつかの実施形態では、対象又は試料中のAAのレベルを測定することは、活性化可能な抗体に特異的に結合する第2の試薬を用いて達成され、試薬は、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態では、第2の試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
【0294】
いくつかの実施形態では、方法又はキットは、本開示の抗標的AA及び/又はコンジュゲートAA(例えば、治療剤がコンジュゲートするAA)による治療、その後、それを必要とする対象にAA及び/又はコンジュゲートAAを投与することによる治療に適する対象集団を特定するか、又はそうでなければ精緻化するために使用される。例えば、標的(例えば、標的)と、これらの方法で検査されているAA及び/又はコンジュゲートAAのCM(CM)中の基質を切断するプロテアーゼの両方の検査で陽性を示す対象は、そのようなCMを含むそのような抗体及び/又はそのようなコンジュゲートAAによる治療に適する候補として特定され、対象は次いで、検査された治療有効量のAA及び/又はコンジュゲートAAを投与される。同様に、標的(例えば、標的)と、これらの方法を用いて検査されるAAのCM中の基質を切断するプロテアーゼの一方又は両方について検査で陰性を示す対象は、別の形態の治療法に適する候補として特定され得る。いくつかの実施形態では、そのような対象は、治療に適する抗体及び/又はコンジュゲートAAが特定されるまで、他の抗体及び/又はコンジュゲートAA(例えば、疾患の部位で対象によって切断されるCMを含むAA及び/又はコンジュゲートAA)で検査できる。いくつかの実施形態では、検査で陽性を示す対象は次いで、治療有効量のAA及び/又はコンジュゲートAAを投与される。
【0295】
これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、MMは、約4~40個のアミノ酸長を有するペプチドである。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、AAは、リンカーペプチドを含み、リンカーペプチドはMM及びCMの間に位置付けられる。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、AAはリンカーペプチドを含み、リンカーペプチドはABとCMの間に位置付けられる。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、AAは、第1のリンカーペプチド(LP1)及び第2のリンカーペプチド(LP2)を含み、第1のリンカーペプチドはMMとCMの間に位置付けられ、第2のリンカーペプチドはABとCMの間に位置付けられる。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、LP1及びLP2の各々は、約1~20個のアミノ酸長のペプチドであり、LP1及びLP2の各々は同じリンカーである必要はない。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、LP1及びLP2の一方又は両方は、グリシン-セリンポリマーを含む。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、LP1及びLP2の少なくとも一方は、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号22)及び(GGGS)n(配列番号23)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、nは少なくとも1の整数である。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、LP1及びLP2の少なくとも一方は、式(GGS)nを有するアミノ酸配列を含み、nは少なくとも1の整数である。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、LP1及びLP2の少なくとも一方は、Gly-Gly-Ser-Gly(配列番号24)、Gly-Gly-Ser-Gly-Gly(配列番号25)、Gly-Ser-Gly-Ser-Gly(配列番号26)、Gly-Ser-Gly-Gly-Gly(配列番号27)、Gly-Gly-Gly-Ser-Gly(配列番号28)、及びGly-Ser-Ser-Ser-Gly(配列番号29)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0296】
これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、ABは、本明細書に提示される交差反応性抗体配列から選択される抗体又は抗体断片配列を含む。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、ABは、Fab断片、scFv又は一本鎖抗体(scAb)を含む。
【0297】
これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、切断剤は、対象又は試料中に標的と共局在するプロテアーゼであり、CMは、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドであり、プロテアーゼは、AAがプロテアーゼに曝露されたときにAAのCMを切断する。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、CMは、最大15個のアミノ酸長のポリペプチドである。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、CMは、ABのN末端と共役される。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、CMは、ABのC末端と共役される。これらの方法及びキットのいくつかの実施形態では、CMは、ABのVL鎖のN末端と共役される。
【0298】
本開示の抗体、コンジュゲート抗体、AA及びコンジュゲートAAは、診断用及び予防用の製剤に使用される。一実施形態では、AAは、前述の炎症、炎症性障害、癌又は他の障害の1以上を発症するおそれがある対象に投与される。
【0299】
前述の障害の1以上に対する対象又は器官の素因は、遺伝子マーカー、血清マーカー又は生化学的マーカーを用いて決定できる。
【0300】
本開示のいくつかの実施形態では、AA及び/又はコンジュゲートAAは、前述の障害の1以上と関連付けられる臨床徴候を有すると診断されたヒト個体に投与される。診断時に、AA及び/又はコンジュゲートAAは、臨床徴候の影響を軽減する又は逆転させるために投与される。
【0301】
本開示の抗体、コンジュゲート抗体、AA及びコンジュゲートAAはまた、対象試料中の標的の検出に有用であり、それに応じて診断法として有用である。例えば、本開示の抗体、コンジュゲート抗体、AA及びコンジュゲートAAは、対象試料中の標的レベルを検出するためにインビトロアッセイ、例えば、ELISAで使用される。
【0302】
一実施形態では、本開示の抗体及び/又はAAは、固体支持体(例えば、マイクロタイタープレートのウェル(複数可))上に固定化される。固定化抗体及び/又はAAは、検査試料中に存在し得る任意の標的の捕捉抗体として機能する。固定化抗体及び/又はAAと対象試料を接触させる前に、固体支持体を、軽くすすぎ、検体の非特異的吸着を防ぐために、牛乳タンパク質又はアルブミンなどのブロッキング剤で処理する。
【0303】
その後、ウェルを、抗原を含む疑いのある検査試料、又は標準量の抗原を含む溶液で処理する。そのような試料は、例えば、病理に特徴的であると考えられる循環抗原のレベルを有すると疑われる対象からの血清試料である。検査試料又は標準物質を洗い流した後に、固体支持体を、検出可能に標識された第2の抗体で処理する。標識された第2抗体は、検出抗体として機能する。検出可能な標識のレベルを測定し、検査試料中の標的抗原の濃度を、標準試料から作成された標準曲線との比較によって決定する。
【0304】
インビトロ診断アッセイで本開示の抗体及び/又はAAを用いて得られた結果に基づいて、標的抗原の発現レベルに基づき対象の疾患をステージ分類できることが理解される。所与の疾患について、血液試料を、疾患の進行の様々なステージ、かつ/又は疾患の治療処置の様々な時点にあると診断された対象から採取する。進行又は治療の各ステージの統計的に有意な結果を提供する試料集団を用いて、各ステージの特徴と考えられ得る抗原の濃度の範囲が指定される。
【0305】
抗体、コンジュゲーション抗体、AA及びコンジュゲートAAは、診断及び/又はイメージング方法でも使用できる。いくつかの実施形態では、そのような方法は、インビトロ法である。いくつかの実施形態では、そのような方法は、インビボ法である。いくつかの実施形態では、そのような方法は、インサイツ法である。いくつかの実施形態では、そのような方法は、エキソビボ方法である。例えば、酵素的に切断可能なCMを有するAAを、CMを切断できる酵素の有無を検出するために使用できる。そのようなAAは、所与の宿主生物の所与の細胞又は組織における活性化された抗体(すなわち、活性化可能な抗体の切断から生じる抗体)の蓄積の測定による酵素活性(又は、いくつかの実施形態では、ジスルフィド結合の減少を提供できるような還元電位が増加した環境)のインビボ検出(例えば、定性的又は定量的)を含み得る、診断に使用できる。そのような活性化された抗体の蓄積は、組織が酵素活性(又はCMの性質に応じた還元電位の増加)を表すだけでなく、組織が、それに対し活性化された抗体が結合する標的を発現することも示す。
【0306】
例えば、CMを、腫瘍の部位、生物学的に閉じ込められた部位(例えば、膿瘍、器官など)でのウイルス又は細菌感染部位などで見出されるプロテアーゼのプロテアーゼ基質であると選択できる。ABは、標的抗原を結合するものであり得る。当業者に馴染みのある方法を用いて、検出可能な標識(例えば、蛍光標識又は放射性標識又は放射性トレーサー)を、AB又は活性化可能な抗体の他の領域にコンジュゲートできる。適切な検出可能な標識は、上記のスクリーニング方法の文脈で議論され、追加の具体的な例を、以下に提供する。興味の疾患組織において活性が上昇したプロテアーゼと共に、疾患状態のタンパク質又はペプチドに特異的なABを用いて、AAは、CM特異的酵素が検出可能なレベルで存在しないか、又は疾患組織に比べて低いレベルで存在するか、又は不活性である(例えば、酵素原形態又は阻害剤との複合体にある)組織と比較して、疾患組織への結合率の増加を示す。小タンパク質及びペプチドは腎臓濾過システムによって血液から急速に除去されるので、かつCMに特異的な酵素は検出可能なレベルで存在しない(又は非疾患組織に低いレベルで存在するか、又は不活性立体構造に存在する)ため、疾患組織における活性化された抗体の蓄積は、非疾患組織と比較して増強される。
【0307】
別の例では、AAを用いて、試料中の切断剤の有無を検出できる。例えば、AAが酵素による切断を受けやすいCMを含む場合、AAを用いて、試料中の酵素の存在を(定性的又は定量的のいずれかで)検出できる。別の例では、AAが還元剤による切断の影響を受けやすいCMを含む場合、AAを用いて、試料中の還元条件の存在を(定性的又は定量的のいずれかで)検出できる。これらの方法での分析を容易にするために、AAを、検出可能に標識でき、支持体(例えば、スライド又はビーズなどの固体支持体)に結合させることができる。検出可能な標識は、切断後に放出されないAAの部分上に位置付けることができ、例えば、検出可能な標識は、切断が生じるまで検出できないクエンチ蛍光標識又は他の標識であり得る。このアッセイは、例えば、固定化され、検出可能に標識されたAAを酵素及び/又は還元剤を含む疑いのある試料と、切断が起こるのに十分な時間接触させ、次いで、洗浄して、過剰な試料及び混入物を除去することによって行うことができる。試料中の切断剤(例えば、酵素又は還元剤)の有無が次いで、試料と接触する前のAAの検出可能なシグナルの変化、例えば、試料中の切断剤によるAAの切断による検出可能なシグナルの存在及び/又は増加によって評価される。
【0308】
そのような検出方法は、切断時にAAのABと結合できる標的の有無の検出も提供するように適合させることができる。そのため、アッセイは、切断剤の有無と興味の標的の有無を評価するように適合させることができる。切断剤の有無は、上記のAAの検出可能な標識の存在及び/又は増加によって検出でき、標的の有無は、標的-AB複合体、例えば、検出可能に標識された抗標的抗体の使用によって検出できる。
【0309】
AAは、例えば、プロテアーゼ切断、及び特定の標的への結合によるAA活性化の検証のためのインサイツイメージングにも有用である。インサイツイメージングは、細胞培養又は組織切片などの生体試料中のタンパク質分解活性及び標的の局在化を可能にする技術である。この技術を用いて、検出可能な標識(例えば、蛍光標識)の存在に基づき所与の標的への結合とタンパク質分解活性の両方を確認できる。
【0310】
これらの技術は、疾患部位(例えば、腫瘍組織)若しくは健常な組織に由来する任意の凍結された細胞又は組織で有用である。これらの技術は、新鮮な細胞又は組織試料でも有用である。
【0311】
これらの技術において、AAは、検出可能な標識で標識される。検出可能な標識は、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミンイソチオシアネート(TRITC)、近赤外(NIR)色素(例えば、Qdot(登録商標)ナノ結晶)、コロイド金属、ハプテン、放射性マーカー、ビオチン及びストレプトアビジンなどの増幅試薬、又は酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼ)であり得る。
【0312】
標識されたAAとインキュベートされた試料中の標識の検出で、AAは、試料が標的を含み、活性化可能な抗体のCMに特異的なプロテアーゼを含むことを示す。いくつかの実施形態では、プロテアーゼの存在は、本明細書に記載のものなどの広域スペクトルのプロテアーゼ阻害剤を使用して、及び/又はプロテアーゼに特異的である薬剤、例えば、プロテアーゼマトリプターゼに特異的であり、マトリプターゼのタンパク質分解活性を阻害するA11などの抗体を使用することによって確認できる;例えば、2010年11月11日に公開された国際公開WO2010/129609を参照されたい。本明細書に記載のものなどの広域スペクトルプロテアーゼ阻害剤を用いる、及び/又はより選択的な阻害剤を用いることによる同様の手法は、活性化可能な抗体のCMに特異的であるプロテアーゼ又はプロテアーゼのクラスを特定するために使用できる。いくつかの実施形態では、標的の存在は、標的に特異的である薬剤、例えば、別の抗体を用いて確認でき、又は検出可能な標識は、標識されていない標的と競合できる。いくつかの実施形態では、標識されていないAAは、標識された二次抗体又はより複雑な検出システムによる検出で使用できる。
【0313】
同様の技術は、対象、例えば、ヒトを含む哺乳動物における蛍光シグナルの検出が、疾患部位が標的を含み、かつ活性化可能な抗体のCMに特異的なプロテアーゼを含むことを示す、インビボイメージングにも有用である。
【0314】
これらの技術は、活性化可能な抗体内のプロテアーゼ特異的CMに基づく様々な細胞、組織、及び生物におけるプロテアーゼ活性の検出、特定又は特性評価のためのキットにおいて及び/又はそれらのための試薬としても有用である。
【0315】
いくつかの実施形態では、インサイツイメージング及び/又はインビボイメージングは、治療する対象を特定する方法において有用である。例えば、インサイツイメージングでは、AAは、対象試料をスクリーニングして、適切な場所、例えば、腫瘍部位で適切なプロテアーゼ(複数可)及び標的(複数可)を有する対象を特定するために使用される。
【0316】
いくつかの実施形態では、インサイツイメージングは、本開示のAAによる治療に適する対象集団を特定するか、又はそうでなければ精緻化するために使用される。例えば、標的と、検査されるAAのCM(CM)中の基質を切断するプロテアーゼの両方について検査で陽性を示す(例えば、疾患部位で活性化された抗体を蓄積する)対象は、そのようなCMを含むそのようなAAによる治療に適する候補として特定される。同様に、標的と、これらの方法を用いて検査されるAAのCM中の基質を切断するプロテアーゼの一方又は両方について検査で陰性を示す対象は、別の形態の治療法に適する(すなわち、検査されているAAによる治療に適さない)候補として特定される。いくつかの実施形態では、第1のAAに対して検査で陰性を示すそのような対象は、治療に適するAAが特定されるまで、異なるCMを含む他のAA(例えば、疾患部位で対象によって切断されるCMを含むAA)で検査できる。
【0317】
いくつかの実施形態では、インビボイメージングは、本開示のAAによる治療に適する対象集団を特定するか、又はそうでなければ精緻化するために使用される。例えば、標的と、検査されるAAのCM(CM)中の基質を切断するプロテアーゼの両方について検査で陽性を示す(例えば、疾患部位で活性化された抗体を蓄積する)対象は、そのようなCMを含むそのようなAAによる治療に適する候補として特定される。同様に、検査で陰性を示す対象は、別の形態の治療法に適する(すなわち、検査されているAAによる治療に適さない)候補として特定される。いくつかの実施形態では、第1のAAに対して検査で陰性を示すそのような対象は、治療に適するAAが特定されるまで、異なるCMを含む他のAA(例えば、疾患部位で対象によって切断されるCMを含むAA)で検査できる。
【0318】
医薬組成物
本開示のAA及びコンジュゲートAA(本明細書では「活性化合物」とも呼ばれる)、及びその誘導体、断片、類似体及び相同体は、投与に適する医薬組成物に組み込むことができる。そのような組成物は典型的には、AA及び/又はコンジュゲートAA及び医薬として許容される担体を含む。本明細書で使用される用語「医薬として許容される担体」は、医薬投与と適合する全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含むことを意図する。適切な担体は、参照により本明細書に組み込まれる、当技術分野の標準的な参照テキストであるレミントンの薬学の最新版に記載されている。そのような担体又は希釈剤の適切な例としては、水、生理食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液、及び5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。リポソーム及び固定油などの非水性ビヒクルも使用され得る。医薬として活性のある物質に対するそのような培地及び薬剤の使用は、当技術分野において周知である。いずれかの従来の培地又は薬剤が活性化合物と不適合である場合を除き、組成物中でのその使用が企図される。補足活性化合物も組成物に組み込むことができる。
【0319】
本開示の医薬組成物は、その意図された投与経路と適合するように製剤化される。投与経路の例としては、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(すなわち、局所)、経粘膜、及び直腸投与が挙げられる。例示的な実施形態では、投与経路は、静脈内投与である。
【0320】
非経口、皮内、若しくは皮下適用に使用される溶液又は懸濁液は、以下の成分:注入用水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒などの無菌希釈剤;ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩などの緩衝剤、及び塩化ナトリウム又はデキストロースなどの浸透圧の調整のための薬剤を含んでよい。pHは、塩酸若しくは水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基で調整できる。非経口製剤は、アンプル、使い捨て注射器又はガラス若しくはプラスチック製の複数回用量バイアルに封入できる。
【0321】
注入使用に適する医薬組成物は、滅菌の水溶液(水溶性の場合)又は分散液及び無菌注入液若しくは分散液の即時調製のための無菌粉末を含む。静脈内投与の場合、適切な担体は、生理食塩水、静菌水、クレモファーEL(商標)(BASF、Parsippany,N.J.)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。全ての場合において、組成物は、無菌でなければならず、容易に注射器が使用できる程度に流体でなければならない。それは、製造及び保管の条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して保護される必要がある。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの適切な混合物を含有する溶媒又は分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用によって、分散液の場合に必要な粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持できる。微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成できる。いくつかの実施形態では、等張性薬剤、例えば、糖、マンニトールなどのポリアルコール、ソルビトール、塩化ナトリウムを組成物に含めるのが望ましい。注入用組成物の長期吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物に含めることによってもたらされ得る。
【0322】
滅菌注入液は、上記に列挙した成分の1つ又は組み合わせを用いて適切な溶媒に必要量で活性化合物を組み込むこと、必要に応じて、その後、濾過滅菌を行うことによって調製できる。一般に、分散液は、上記に列挙されたものから塩基性分散媒及び必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルに活性化合物を組み込むことによって調製される。滅菌注入液の調製のための無菌粉末の場合、調製方法は、その事前に滅菌濾過した溶液から活性成分及び任意の追加の所望の成分の粉末をもたらす、真空乾燥及び凍結乾燥である。
【0323】
経口組成物は一般に、不活性希釈剤又は食用担体を含む。それらは、ゼラチンカプセルに封じ込めるか、又は錠剤に圧縮できる。経口治療投与の目的のために、活性化合物は、賦形剤と共に組み込まれ、錠剤、トローチ、又はカプセルの形態で使用できる。経口組成物を、口内洗浄剤として使用する流体担体を用いて調製することもでき、流体担体内の化合物は経口で塗布され、局所使用され、喀痰されるか又は飲み込まれる。医薬適合性のある結合剤、及び/又はアジュバント材料を、組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチなどは、以下の成分:微結晶セルロース、ガムトラガカント若しくはゼラチンなどの結合剤;デンプン若しくはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、プリモゲル、若しくはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム若しくはステローテなどの滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロース若しくはサッカリンなどの甘味剤;又はペパーミント、サリチル酸メチル、若しくはオレンジ香料などの香料剤、又は類似の性質の化合物のいずれかを含んでよい。
【0324】
吸入による投与のために、化合物は、適切な推進剤、例えば、二酸化炭素などのガスを含む圧力容器又はディスペンサーからエアロゾルスプレーの形態で、又はネブライザーで送達される。
【0325】
全身投与はまた、経粘膜又は経皮的手段によっても可能である。経粘膜又は経皮投与については、浸透する障壁に適する浸透剤が、製剤中で使用される。そのような浸透剤は、一般に当技術分野で公知であり、例えば、経粘膜投与、洗剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻スプレー又は坐剤の使用を介して達成できる。経皮投与については、活性化合物は、当技術分野で一般に知られているような軟膏、膏薬、ゲル、又はクリームに配合される。
【0326】
化合物はまた、坐剤(例えば、ココアバター及び他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を用いて)又は直腸送達のための保持浣腸の形態で調製することもできる。
【0327】
一実施形態では、活性化合物は、インプラント及びマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤などの身体からの迅速な排除から化合物を保護する担体と共に調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸などの、生分解性、生体適合性ポリマーを使用できる。そのような製剤の調製方法は、当業者には明らかであろう。材料はまた、Alza Corporation及びNova Pharmaceuticals,Incから商業的に入手できる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細胞に標的化されるリポソームを含む)も、医薬として許容される担体として使用できる。これらは、当業者に公知の方法、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されている方法に従って調製できる。
【0328】
投与の容易さと投与量の均一性のために、経口又は非経口組成物を投与単位形態で配合することが特に有利である。本明細書で使用する投与単位形態は、治療対象の単位投与量として適する物理的に別個の単位を指す。所与量の活性化合物を含む各単位は、必要な医薬担体と関連付けられる所望の治療効果を生じるように計算される。本開示の投与単位形態の仕様は、活性化合物の固有の特性及び達成される特定の治療効果、及び個体の治療のためのそのような活性化合物の配合における、当技術分野で固有の制限によって指示され、それらに直接依存する。
【0329】
医薬組成物を、投与のための説明書と共に容器、パック、又はディスペンサーに含めることができる。
【0330】
投薬
本明細書に提供されるように、対象は、約1ng/kg~100g/kgの任意の用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。例示的な実施形態では、対象は、約6mg/kg超~約10mg/kgの用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。一実施形態では、対象は、6mg/kg超の用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約7mg/kgの用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約8mg/kgの用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約9mg/kgの用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約10mg/kgの用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、6mg/kg超~約7mg/kgの用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約7mg/kg~約8mg/kgの用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約8mg/kg~約9mg/kgの用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約9mg/kg~約10mg/kgの用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、6mg/kg超~約8mg/kgの用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約7mg/kg~約9mg/kgの用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約8mg/kg~約10mg/kgの用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、240mg超~約1000mgの固定用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、240mg超~約400mgの固定用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、600mg超~約1000mgの固定用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、240mg超~600mg超の固定用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、240mg超~約280mgの固定用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約280mg~約320mgの固定用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約320mg~約360mgの固定用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約360mg~約400mgの固定用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、240mg超~約320mgの固定用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約280mg~約360mgの固定用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約320mg~約400mgの固定用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、600mg超~約700mgの固定用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約700mg~約800mgの固定用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約800mg~約900mgの固定用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約900mg~約1000mgの固定用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、600mg超~約800mgの固定用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約700mg~約900mgの固定用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。別の実施形態では、対象は、約800mg~約1000mgの固定用量でAA又はコンジュゲートAAを投与される。
【0331】
いくつかの実施形態では、対象は、対象の重量に基づいてコンジュゲートAAを投与される。
【0332】
いくつかの実施形態では、対象は、mg/kgで測定される場合の投与量が対象の実際の体重に基づく、コンジュゲートAAを投与される。
【0333】
いくつかの実施形態では、対象は、mg/kgで測定される場合の投与量が対象の調節された理想体重(AIBW)に基づく、コンジュゲートAAを投与される。いくつかの実施形態では、調節された理想体重は、所与の対象の実際の体重と、対象に応じて事前に決定された男性及び女性の対象の理想体重(IBW)との差に基づいて計算される。いくつかの実施形態では、所与の対象の理想的な体重は、対象の身長に基づく。いくつかの実施形態では、キログラムでの所与の男性対象の理想体重(IBW)は、IBW=0.9×(cmの高さ)-88と決定され、キログラムでの所与の女性対象のIBWは、IBW=0.9×(cmの高さ)-92として決定される。いくつかの実施形態では、キログラムでの所与の対象に対して調整された理想体重(AIBW)は、AIBW=IBW+0.4×(実際の体重-IBW)によって決定され、IBWは、それらの所与の身長と性別に基づく。いくつかの実施形態では、男性及び女性の対象はヒトの対象である。いくつかの実施形態では、ヒト対象のAIBWは、約40kg~約100kgである。
【0334】
いくつかの実施形態では、対象は、毎日、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、7日ごと、8日ごと、9日ごと、10日ごと、11日ごと、12日ごと、13日ごと、14日ごと、15日ごと、16日ごと、17日ごと、18日ごと、19日ごと、20日ごと、21日ごと、又は30日ごとにAA又はコンジュゲートAAを静脈内投与される。いくつかの実施形態では、対象は、AA及び/又は薬剤が有効である限り、AA又はコンジュゲートAAを静脈内投与される。
【0335】
いくつかの実施形態では、対象は、AA又はコンジュゲートAAを1日1回投与される。いくつかの実施形態では、対象は、AA又はコンジュゲートAAを1日に複数回、例えば、4時間ごと、6時間ごと、4~6時間ごと、8時間ごと、又は12時間ごとに投与される。
【0336】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示のAAの投与と併せて、対象は、眼毒性を軽減又は予防することを意図した1以上の治療投与計画及び/又は予防措置で予防的に治療され得る。理論に縛られずに、これらの予防的措置は、本開示のコンジュゲートAAと関連付けられるDM4などの、メイタンシノイドと関連付けられる眼毒性を緩和及び/又は予防することを意図している。眼毒性を緩和及び/又は予防するための例示的な予防的措置は、UV A/Bの眼保護(例えば、サングラス)の使用、人工涙点眼薬の使用、局所血管収縮剤の点眼薬(例えば、ブリモニジン酒石酸塩の点眼溶液、テトラヒドロゾリン点眼薬)、及び/又は局所ステロイド点眼薬(例えば、酢酸プレドニゾロン点眼薬)の使用を含む。いくつかの実施形態では、治療対象への眼の予防措置の投与は、任意である。いくつかの実施形態では、治療対象への眼の予防措置の投与は、必須である。
【0337】
本発明は、以下の実施例でさらに説明されるが、これは特許請求の範囲に記載する発明の範囲を制限しない。
【0338】
実施例
実施例1:免疫細胞及び活性化されたT細胞上でのCD166発現
この例示的研究では、ヒトドナー(末梢血単核細胞;PBMC)からの免疫細胞はCD166を発現することが示された。これらの例示的結果は、免疫細胞が、CD166を特異的に結合する抗体、及び活性化されたときにCD166に特異的に結合する活性化可能な抗体によって選択的に標的化され得ることを実証する。
【0339】
免疫細胞の表面上でのCD166発現を調べるために、ヒトPBMCを、4人の健常ドナーの血液(Leuko Pak,Stem Cell Technologies,Cambridge,MA)から単離した。PBMCを、Ficoll-Paque PLUS密度勾配媒体(GE Healthcare Life Sciences Catalog♯ 17 1440 02)を用いて単離した。単離したPBMCを、免疫細胞のCD166発現を検出するための膜マーカーについてフローサイトメトリーによって分析した。本明細書に記載のこの及び他の研究におけるフローサイトメトリー分析のために、細胞を、氷上でFcブロッキング試薬と10分間事前にインキュベートし、次に、氷上で30分間(又は細胞内染色の場合は、室温で1時間)、染色緩衝液(BioLegend ♯420201、又はBD Biosciences ♯563794)中のコンジュゲート抗体溶液(抗ヒトCD166抗体3A6、BD Biosciences)で染色した。細胞を、染色緩衝液で3回洗浄した(400g、5分、4C)。live/dead fixable viability dye eFluor(商標)780(eBioScience ♯ 65-0865-14)を用いて、死細胞を除外した。
【0340】
図1Aを参照して、蛍光マイナス1(Fluorescence Minus One(FMO))対照と比較して、単球、B細胞、及び血中骨髄樹状細胞(mDC)上でのCD166発現を測定した。これらの例示的結果は、mDCにおいて最高レベルのCD166発現を示す。
【0341】
図1Bを参照して、フローサイトメトリー分析を用いて、CD166を発現する異なる免疫細胞サブタイプの集団の割合を測定した。これらの例示的結果は、血液骨髄樹状細胞(mDC)及び形質細胞様樹状細胞(pDC)がCD166を発現した細胞の中で最も高い割合を示し、その後に単球及びB細胞が続くことを示す。ナチュラルキラー(NK)細胞、未処理CD4+T細胞、未処理CD8+細胞、及びTreg細胞は、実質的にCD166発現を示さなかった。
【0342】
図1Cを参照して、CD166発現は、CD3/CD28刺激時に、未処理CD4+T細胞上で誘導され得る。この例示的研究では、健康なヒトドナーのPBMCから単離されるCD4+T細胞を、フィコール及び磁気ビーズ(#17952、Stem Cell Technology)によって単離した。CD4+T細胞を、aCD3/aCD28ビーズで4日間刺激し、細胞を、毎日フローサイトメトリーで分析して、CD166発現を検出した。図1Cの結果は、2つの独立したドナーからのものであり、両方とも刺激後3日目及び4日目のCD4+T細胞におけるCD166発現を示す。他の例示的研究は、CD166が、植物性凝集素(PHA)又はブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)処理後にT細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞においても誘導できることを示した。
【0343】
これらの結果は、樹状細胞(mDC及びpDC)、並びに活性化T細胞が、活性化されたときにCD166を結合する活性化可能な抗体によって標的化され得ることを示す。
【0344】
実施例2:ヒトCD166同系腫瘍マウスモデル
この例示的研究では、これらの研究で使用される抗CD166抗体及び活性化可能な抗体がマウスCD166を結合しないので、同種マウスモデルを作製した。これらの結果は、ヒトCD166を発現するマウス細胞株が、プロテアーゼで活性化された活性化可能な抗CD166抗体薬物コンジュゲートに対してインビトロで感受性であり、免疫適格性マウスでhuCD166発現腫瘍モデルを確立するために使用できることを示した。
【0345】
CT26細胞を、ATCCから入手した。細胞を、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS;Life Technologies,Inc、カタログ番号16140-071)を補充したRPMI-1640(商標)培地(Life Technologies,Inc、カタログ番号72400120)中で培養した。細胞を、37℃で5%CO2の加湿雰囲気中で維持した。CT26マウス結腸癌の親細胞に、ヒトCD166レンチウイルスベクターを形質導入した。ヒトCD166を過剰発現したCT26細胞を、ピューロマイシンで選択した。図2Aを参照して、これらのトランスジェニックCT26を、フローサイトメトリーによって分析して、ヒトCD166の発現を確認した。
【0346】
CT26 huCD166細胞が、DM4にコンジュゲートした活性化可能な抗CD166抗体(組み合わせ55)に感受性であることを実証するために、例示的研究を行った。図2Bを参照して、親CT26細胞及びトランスジェニックCT26 huCD166細胞を、DM4にコンジュゲートしたアイソタイプ(Synagis)又はマトリプターゼによって活性化されるコンビネーション55の活性化可能な抗体薬物コンジュゲート(AADC)の存在下で4日間培養した。組換えヒトマトリプターゼ(R&D systemsカタログ#3946-SE)は、MUGB(Sigma Aldrichカタログ#51010)で用量設定し50mM Tris/HCl、150mM NaCl、0.05% Tween 20、pH7.4で希釈した活性部位であった。細胞生存率を、Cell Titer Gloを用いて測定した。これらの例示的データは、トランスジェニックCT26 huCD166細胞がプロテアーゼで活性化された抗CD166 AADCに感受性であることを実証する。
【0347】
CT26 huCD166細胞がマウスに移植され腫瘍を形成できることを示すために、例示的研究を行った。図2Cを参照して、7週齢のBALB/Cマウスに、示される数のCT26 huCD166細胞を移植し、腫瘍体積を、経時的に測定した。
【0348】
実施例3:コンジュゲートされた活性化可能な抗CD166抗体と活性化可能な抗PD-1抗体の組み合わせの同系マウスモデルにおけるインビボ有効性
この例示的研究では、抗CD166DM4がコンジュゲートされた活性化可能な抗体(組み合わせ55 AADC)及び活性化可能な抗PD-1抗体(muPD-1 AA)のインビボ有効性を、同系マウスモデルを用いて決定した。これらの結果は、これらの薬物の両方がマウスモデルにおけるhuCD166発現腫瘍に対するインビボ有効性を示したこと、及び両剤の組み合わせ投与がより高いレベルのインビボ有効性を示したことを示す。
【0349】
インビボ有効性研究のために、免疫適格性雌(BALB/C)マウス(7週齢;Charles River Laboratories,Hollister,CA)の各々に、0.1mLの血清を含まないRPMI1640細胞培養培地中の10個のCT26 huCD166細胞を右後方側腹部に皮下接種した。腫瘍体積及び体重を、接種後週2回記録した。腫瘍の寸法を、キャリパー測定により決定し、腫瘍体積を、式(a×b)/2(式中、aは最長の直径であり、bは最短の直径である)を用いて計算した。腫瘍サイズが100~175mmに達したとき、マウスを、無作為化し(0日目)、以下の投薬計画に従って投与した。抗CD166 AADC(組み合わせ55)を、週1回×2週(0日目及び7日目)に5mg/kgを静脈内投与した。活性化可能な抗マウスPD-1抗体(muPD-1 AA)を、10mg/kg b.i.w.×2.5週(1日目、5日目、8日目、12日目、及び15日目)の腹腔内注入によって投与した。いくつかの実験では、完全な腫瘍退行を示したマウスに、薬物の最後の投与の2週間後にCT-26 huCD166腫瘍細胞を再負荷した。対照群にはビヒクル対照(PBS)を投与した。
【0350】
組み合わせ55の活性化可能な抗CD166抗体は、配列番号8又は配列番号9の重鎖と、配列番号14又は配列番号15の軽鎖を含む。活性化可能なコンジュゲート抗CD166抗体を、SPDBリンカーを介してDM4にコンジュゲートできる。
【0351】
ヒトCD166の例示的アミノ酸配列は以下である:
MESKGASSCRLLFCLLISATVFRPGLGWYTVNSAYGDTIIIPCRLDVPQNLMFGKWKYEKPDGSPVFIAFRSSTKKSVQYDDVPEYKDRLNLSENYTLSISNARISDEKRFVCMLVTEDNVFEAPTIVKVFKQPSKPEIVSKALFLETEQLKKLGDCISEDSYPDGNITWYRNGKVLHPLEGAVVIIFKKEMDPVTQLYTMTSTLEYKTTKADIQMPFTCSVTYYGPSGQKTIHSEQAVFDIYYPTEQVTIQVLPPKNAIKEGDNITLKCLGNGNPPPEEFLFYLPGQPEGIRSSNTYTLMDVRRNATGDYKCSLIDKKSMIASTAITVHYLDLSLNPSGEVTRQIGDALPVSCTISASRNATVVWMKDNIRLRSSPSFSSLHYQDAGNYVCETALQEVEGLKKRESLTLIVEGKPQIKMTKKTDPSGLSKTIICHVEGFPKPAIQWTITGSGSVINQTEESPYINGRYYSKIIISPEENVTLTCTAENQLERTVNSLNVSAISIPEHDEADEISDENREKVNDQAKLIVGIVVGLLLAALVAGVVYWLYMKKSKTASKHVNKDLGNMEENKKLEENNHKTEA(配列番号50)。
【0352】
図3A~3Dを参照して、3つの独立した研究の腫瘍成長曲線が示される。単剤として、huCD166AADC(図3C)とmuPD-1AA(図3B)のみの両方は、ビヒクル対照と比較して腫瘍成長を遅らせる(図3A)が、それらは完全な腫瘍退縮を誘発しない。対照的に、両方の薬物が組み合わされた場合(図3D)、単剤のいずれかと比較して抗腫瘍活性の有意な増加があり(huCD166AADC単独対組み合わせ:Log10差:-0.7699、p<0.0001)、複数の完全な応答(最初の投与後20日目の腫瘍体積は0日目の測定値よりも低い)が2種類の薬物の組み合わせでのみ観察された。3つの独立した研究の分析は、huCD166 AADCとmuPD-1 AAの組み合わせが51%の全体的な応答率(ORR)をもたらしたことを示した。
【0353】
これらの結果は、活性化可能な抗PD-1抗体と活性化可能な抗CD166抗体薬物コンジュゲートの組み合わせのインビボ有効性が、いずれの薬物単独よりも有意に高い有効性を示したことを示す。
【0354】
実施例4:抗CD166がコンジュゲートされた活性化可能な抗体と活性化可能な抗PD-1抗体の組み合わせは記憶T細胞応答を誘導する
この例示的研究で、結果は、治療後に腫瘍のないままであった、実施例3で研究したマウスが、腫瘍再負荷から保護されたことを実証し、免疫学的記憶応答がマウスにおいて確立されたことを示した。
【0355】
組み合わせ治療の最終投与後15日目に腫瘍のないままであった実施例3の治療マウスに、CT-26 huCD166腫瘍細胞を再負荷した。図4Bに示すように、腫瘍のないマウスの50%(6匹中3匹)は、腫瘍再負荷から保護されるが、全ての未処置マウス(10匹中0匹)は、急速に腫瘍を発症した(図4A)。
【0356】
腫瘍再負荷の2週間後に、これらの保護マウスに由来する脾細胞を、ブレフェルディンの存在下でCT26特異的ペプチドであるAH1(Eurogentec #AS-64798)で刺激し、フローサイトメトリーにより評価して、末梢CD8+T細胞によるIFN-γの生成を決定した。図4Cを参照して、腫瘍再負荷アッセイで保護されたマウスから単離したCD8+T細胞は、IFN-γを生成する(図4C、底部パネル)が、保護されていないマウスから単離したCD8+T細胞は、AH1ペプチドに応答してIFN-γを生成しない(図4C、上部パネル)。これらの結果は、huCD166 AADCとマウスPD-1 AAの組み合わせが、この組み合わせで治療したマウスにおいてT細胞中心の免疫学的記憶応答を誘導することを示す。
【0357】
これらの結果におけるCD8+細胞の役割のさらなる証拠を提供するために、免疫適格性マウス腫瘍モデルにおけるhuCD166 AADC、huCD166 AADCとmuPD-1 AAの組み合わせ治療、又はビヒクル対照(PBS)のインビボ有効性に対するCD8+T細胞枯渇の効果を決定した。この例示的研究では、腫瘍を、実施例3に記載のように免疫適格性BALB/CマウスにCT26 huCD166を移植することにより形成させた。CD8+T細胞を枯渇させたマウスについては、抗CD8枯渇抗体(53-6.72;ラットIgG2a、Bio X細胞)を、2日前、0日目、7日目、及び8日目に10mg/kgでマウスに投与した。図6を参照して、CD8+T細胞枯渇を、10日目に採取した血液試料のフローサイトメトリー分析により確認した。CD8+T細胞を枯渇した及び枯渇していない腫瘍担持マウスを、huCD166 AADC、huCD166 AADCとmuPD-1 AAの両方、又はビヒクル対照(PBS)で治療した。抗huCD166 AADC(組み合わせ55)を、週1回×2週(0日目及び7日目)、5mg/kgで静脈内投与した。活性化可能な抗マウスPD-1抗体(muPD-1 AA)を、b.i.w.×2.5週(1日目、5日目、8日目、12日目、及び15日目)に10mg/kgで腹腔内注入により投与した。
【0358】
図5A~5Cを参照して、CD8+T細胞を枯渇していない腫瘍担持マウスにおいて、huCD166 AADCとmuPD-1 AAの組み合わせ治療は、huCD166 AADC単剤療法(図5B)又はビヒクル対照(図5A)のいずれかよりも高い有効性を示した。図5D~5Fを参照して、huCD166 AADC単剤療法(図5E)又はhuCD166 AADCとmuPD-1 AA(図5F)の組み合わせの有効性は、CD8+T細胞枯渇マウスにおける抗腫瘍有効性の有意な低下を示した。
【0359】
これらの結果は、huCD166 AADCの抗腫瘍有効性とhuCD166 AADCとmuPD-1 AAの組み合わせの抗腫瘍有効性が、治療対象におけるCD8+T細胞に部分的に依存していることを示す。
【0360】
実施例5:成熟樹状細胞及び活性化T細胞に対するhuCD166 AADCの細胞傷害活性
この例示的研究で、結果は、抗CD166抗体薬物コンジュゲート(huCD166 ADC、配列番号12のVH及び配列番号13のVL)が、共にCD166を発現するヒト樹状細胞及び活性化ヒトT細胞に対して適度な細胞傷害性活性を示したが、この細胞障害性は、腫瘍細胞、例えば、huCD166を発現するトランスジェニックCT26に対するその有効性よりも低いことを実証した。
【0361】
免疫細胞に対するDM4コンジュゲート抗CD166抗体(huCD166 ADC)の細胞傷害性を、この例示的研究で検査した。CD4+T細胞と単球を、製造業者の説明書に従って、Stem Cell Technology社の磁気ビーズ(CD4+T細胞については#17952、及び単球については#119359)を用いてPBMCから単離した。単離した単球を、製造業者の説明書に従ってStem Cell Technology樹状細胞分化キット(#10988)を用いて樹状細胞(MoDC)に分化させた。いくつかのアッセイでは、樹状細胞を、Stem Cell TechnologyDC成熟キット(#10989)を用いて、完全に活性化されたMoDCに成熟させた。MoDCを、ImmunoCult樹状細胞培地(Stem Cell Technologies#10987)を用いて培養した。いくつかのアッセイでは、精製したCD4+T細胞を、1つのビーズに対して1つのT細胞の比率で、抗CD3及び抗CD28抗体(Gibco カタログ番号11132D)に共有結合させたダイナビーズで活性化した。
【0362】
T細胞を、検査品で処理する前にCD166の発現を可能にするために、24時間事前活性化した。図7Aを参照して、活性化T細胞を、示した濃度の示した検査品(DM4にコンジュゲートしたSynagisアイソタイプ抗体(Iso-DM4 ADC)、DM4にコンジュゲートした抗ヒトCD166抗体(CD166-DM4 ADC)、又は抗ヒトCD166抗体(CD166 mAb)で72時間処理した。細胞生存率を、CellTiter-Gloルミネセンス生存率アッセイ(Promega#G7570)を用いて、各処理について測定した。図7Bを参照して、完全に活性化したMoDCを、示した濃度での示した処理で48時間インキュベートした。細胞生存率を、CytoTox-Glo細胞傷害性アッセイ(Promega #G92901)を用いて測定した。これらの例示的な結果は、抗CD166 ADCがMoDCと活性化T細胞の両方に対して最小限の細胞傷害活性を有することを実証する。細胞傷害性は、DM4にコンジュゲートさせたアイソタイプ対照の活性と同様に、10nMを超える用量でのみ観察された。
【0363】
これらの例示的結果は、抗CD166 ADCが、これらの細胞でのCD166発現のレベルにもかかわらず、標的媒介毒性よりむしろこれらの免疫細胞に対して中程度でオフターゲットの細胞傷害活性を有することを示唆する。
【0364】
実施例6:樹状細胞成熟とT細胞刺激に対するhuCD166 ADCの影響
この例示的研究において、結果は、抗CD166抗体薬物コンジュゲート(huCD166 ADC、配列番号12のVH及び配列番号13のVL)が、インビトロで樹状細胞の成熟を促進したことを実証した。
【0365】
この研究では、樹状細胞を、DM4(CD166-DM4 ADC)又は樹状細胞成熟カクテル(Stem Cell TechnologyDC成熟キット(#10989))にコンジュゲートした10mMの抗CD166抗体と共に48時間培養した。樹状細胞をまた、10mMの遊離DM4、SynagisアイソタイプDM4 ADCのいずれかで処理するか、又は対照として処理しなかった。MoDCを次に、樹状細胞成熟マーカーCD80(2D10抗体、BioLegend)、CD83(HB15e抗体、BioLegend)、HLA-DR(L243抗体、BioLegend)、及びCD86(IT2.2抗体、BioLegend)のフローサイトメトリー測定によって成熟について評価した。
【0366】
図8Aを参照して、CD83及びCD86の発現は、未処理細胞と比較して抗CD166-DM4 ADC又は遊離DM4処理細胞においてわずかに増加した。これらの例示的な結果は、DM4が樹状細胞活性化を促進し得るが、樹状細胞成熟を完全に誘導することが知られているサイトカインの成熟カクテルよりも少ない程度までであることを示している。
【0367】
T細胞を活性化する能力に対するこれらの処理した樹状細胞の影響を、決定した。この例示的研究では、上記に示すように検査品で処理したMoDCを次に、1:25の樹状細胞対T細胞の比率で、同種CD4+T細胞と2日間共培養した。T細胞活性化を、ELISAで決定されるIL-2生成を測定することにより、48時間後に評価した。図8Bを参照して、CD166-DM4 ADC、DM4にコンジュゲートしたアイソタイプ、又は遊離DM4で前処理したMoDCは、同種T細胞によるIL-2の生成をほんのわずか増加させる。しかし、MoDCが樹状細胞成熟カクテルと組み合わせて以前の薬物で前処理された場合には、IL-2生成は、成熟カクテルで処理した樹状細胞と共培養したT細胞と比較して有意により高く、成熟カクテルのみで観察される。
【0368】
全体として、これらの例示的データは、CD166+腫瘍細胞に対するその細胞傷害活性とは対照的に、CD166 ADCがT細胞及び樹状細胞を温存し、かつT細胞プライミングを増強し得ることを示唆する。同様に、これらの結果は、活性化された活性化可能な抗CD166薬物コンジュゲート(抗CD166 AADC)が樹状細胞の成熟を通じてインビボでT細胞プライミングを増強し、理論に縛られずに、抗CD166 AADC及び抗PD-1 AAの組み合わせ療法の観察される相乗効果の根拠を提供することを示唆する。
【0369】
実施例7:huCD166 AADCは細胞株において免疫原性細胞死を誘導する
この例示的研究で、結果は、抗CD166抗体薬物コンジュゲート(DM4にコンジュゲートされたhuCD166 ADC、配列番号12のVH及び配列番号13のVL)がインビトロで免疫原性細胞死(ICD)を誘導することを実証した。これらの例示的結果は、抗huCD166 ADCが癌細胞及びCD166発現細胞においてICDに関するシグナルを増加させることができることを示す。
【0370】
免疫原性細胞死(ICD)は、それによりある種の細胞傷害性薬物が免疫系を刺激する様式で腫瘍細胞のアポトーシスを誘導できる、過程である。腫瘍細胞などの細胞は、薬物コンジュゲートで処理すると、損傷関連分子パターン(DAMP)などの細胞危険シグナルの放出を通じて免疫原性の可能性を高めることができる。DAMPは、次に、樹状細胞などの抗原提示細胞を活性化でき、腫瘍標的免疫応答及び免疫学的記憶を引き出すことができる。
【0371】
ICDは、癌細胞の表面上のカルレティキュリンの発現及びHMGB1の分泌などのマーカーにより測定できる。この例示的研究では、ヒト悪性黒色腫に由来するA375細胞(ATCC)を、示した量の薬物の存在下で、10%(v/v)ウシ胎児血清を有するRPMI-1640(商標)培地中で48時間培養した。ヒト乳癌に由来するHCC1806細胞(ATCC)を、示した量の薬物の存在下で、DME培地中で48時間培養した。CT-26細胞及びCT26 huCD166細胞(本明細書で説明したヒトCD166ポリペプチドを発現するCT26細胞)を、示した量の薬物の存在下で、10%(v/v)ウシ胎児血清を有するRPMI-1640(商標)培地中で72時間培養した。インキュベーション後、カルレティキュリン発現を、FITCコンジュゲートカルレティキュリン抗体を(Novus Bio,クローン1G6A7;#NBP1-47518F)用いたフローサイトメトリーにより検出した。HMGB1タンパク質をELISA(Tecan HMGB1 ELISA kit,♯NC9959947)により検出した。
【0372】
図9A及び9Bを参照して、この例示的研究で、示した量の遊離DM4(図9A)又は抗CD166 ADC(図9B)は、黒色腫細胞A375及び乳癌細胞HCC1806がカルレティキュリン(CRT)の発現増加及びHMGB1の分泌量の増加を示したことを示した。図9Cを参照して、この例示的研究で、示した量の遊離DM4又はCD166 ADCはまた、CT26又はCT26 huCD166細胞上のカルレティキュリン(CRT)の表面発現の増加も誘導した。
【0373】
これらの例示的データは、抗CD166 ADCが、癌細胞及びCD166を発現する細胞においてICD関連シグナルを誘導することを示唆する。これらの例示的結果は、抗腫瘍有効性がICDによって生じ得ることを示す。
【0374】
他の実施形態
本発明はその詳細な説明と併せて説明されているが、上記の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明を説明することを意図し、範囲を限定するものではない。他の態様、利点、及び変更は、以下の範囲内にある。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B-C】
図3A-D】
図4A-C】
図5A-D】
図5E-F】
図6
図7A-B】
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
【手続補正書】
【提出日】2021-11-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2022523200000001.app
【国際調査報告】