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特表2022-523225モノオキシゲナーゼ突然変異体及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】モノオキシゲナーゼ突然変異体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/53 20060101AFI20220414BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220414BHJP
   C12N 9/02 20060101ALI20220414BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220414BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220414BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220414BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220414BHJP
   C12Q 1/26 20060101ALI20220414BHJP
   C12P 7/26 20060101ALI20220414BHJP
   C12P 11/00 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
C12N15/53 ZNA
C12N15/63 Z
C12N9/02
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12Q1/26
C12P7/26
C12P11/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021551982
(86)(22)【出願日】2019-04-17
(85)【翻訳文提出日】2021-09-01
(86)【国際出願番号】 CN2019083051
(87)【国際公開番号】W WO2020211013
(87)【国際公開日】2020-10-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519153028
【氏名又は名称】アシムケム ライフ サイエンス (ティエンジン) カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ASYMCHEM LIFE SCIENCE (TIANJIN) CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス,ゲージ
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ジアンピン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ナー
(72)【発明者】
【氏名】マー,ユーレイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,イービン
(72)【発明者】
【氏名】ムー,フイヤン
【テーマコード(参考)】
4B050
4B063
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B050CC04
4B050DD02
4B050GG10
4B050KK11
4B050LL05
4B063QA20
4B063QQ61
4B063QQ83
4B063QQ92
4B063QR02
4B063QR80
4B063QR82
4B063QS02
4B063QX10
4B064AC32
4B064AD50
4B064AE61
4B064CA19
4B064CA21
4B064CA31
4B064CB13
4B064CB30
4B064CC24
4B064CD05
4B064CD11
4B064DA01
4B064DA20
4B065AA01X
4B065AA26X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA28
4B065CA60
(57)【要約】
モノオキシゲナーゼ突然変異体及びその使用を開示する。該モノオキシゲナーゼ突然変異体のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列が突然変異して得たアミノ酸配列であり、突然変異は、少なくとも、49位、60位、61位、144位、145位、146位、147位、167位、169位、189位、246位、247位、280位、284位、285位、286位、287位、328位、330位、332位、382位、427位、428位、429位、430位、431位、432位などの突然変異部位のうちの1つを含み、該モノオキシゲナーゼ突然変異体は、立体特異性が大幅に向上するという優位性を有し、しかも酵素活性もその分向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノオキシゲナーゼ突然変異体であって、
アミノ酸配列は、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列が突然変異して得たアミノ酸配列であり、前記突然変異は、少なくとも、49位、60位、61位、144位、145位、146位、147位、167位、169位、189位、246位、247位、280位、284位、285位、286位、287位、328位、330位、332位、382位、427位、428位、429位、430位、431位、432位、433位、434位、435位、436位、438位、441位、493位、494位、508位、509位、510位、511位、512位、及び513位の突然変異部位のうちの1つを含み、且つ前記突然変異は、49位のトリプトファンのアラニンへの突然変異、60位のアスパラギン酸のロイシンへの突然変異、61位のスレオニンのグルタミンへの突然変異、144位のバリンのグルタミン酸への突然変異、145位のグリシンのフェニルアラニンへの突然変異、146位のロイシンのフェニルアラニン又はチロシンへの突然変異、147位のロイシンのメチオニン、スレオニン又はチロシンへの突然変異、167位のヒスチジンのトリプトファンへの突然変異、169位のアラニンのリジンへの突然変異、189位のセリンのメチオニンへの突然変異、246位のアラニンのバリンへの突然変異、247位のバリンのスレオニンへの突然変異、280位のフェニルアラニンのチロシン、トリプトファン又はバリンへの突然変異、284位のフェニルアラニンのセリンへの突然変異、285位のグリシンのアラニンへの突然変異、286位のスレオニンのアラニンへの突然変異、287位のフェニルアラニンのアスパラギン酸への突然変異、328位のアラニンのアスパラギンへの突然変異、330位のアルギニンのアラニンへの突然変異、332位のロイシンのアルギニンへの突然変異、382位のグリシンのアラニンへの突然変異、427位のメチオニンのイソロイシンへの突然変異、428位のバリンのアラニンへの突然変異、429位のロイシンのチロシンへの突然変異、430位のグリシンのアラニンへの突然変異、431位のプロリンのアラニンへの突然変異、432位のアスパラギンのチロシンへの突然変異、433位のグリシンのチロシンへの突然変異、434位のプロリンのアラニンへの突然変異、435位のフェニルアラニンのセリン、アラニン、アスパラギン又はチロシンへの突然変異、436位のスレオニンのアラニン、セリン、グリシン、グルタミン酸又はシステインへの突然変異、438位のロイシンのグリシン、アラニン、チロシン、フェニルアラニン又はセリンへの突然変異、441位のセリンのロイシンとバリンへの突然変異、493位のトリプトファンのアラニンへの突然変異、494位のイソロイシンのアラニン、メチオニン又はセリンへの突然変異、508位のフェニルアラニンのチロシン、メチオニン又はアスパラギンへの突然変異、509位のチロシンのメチオニンへの突然変異、510位のロイシンのバリンへの突然変異、511位のグリシンのロイシンへの突然変異、512位のグリシンのイソロイシンへの突然変異、513位のロイシンのバリンへの突然変異であり、又は前記モノオキシゲナーゼ突然変異体のアミノ酸配列は、前記突然変異が発生したアミノ酸配列における前記突然変異部位を有し、且つ前記突然変異が発生したアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列である、ことを特徴とするモノオキシゲナーゼ突然変異体。
【請求項2】
前記突然変異は、少なくとも、F435A+F508Y、F435S+F508Y、L147Y+F508M、F280Y+F508M、F280Y+F508N、F435A+L510V、F435S+L510V、F435N+L510V、T436A+L510V、L438A+L510V、T436A+L438A、F435A+T436A、F435S+T436A、F435N+T436A、L146Y+F508M、L146F+F508M、F280Y+F508Y、F280Y+F508N、F435A+T436A+F508Y、F435A+T436A+F508M、F435A+T436A+L510V、F435S+T436A+L510V、T436A+L438A+F508Y、T436A+L438A+F508M、T436A+L438A+F508N、L147Y+F435A+F508M、L147Y+F435A+F508Y、L147Y+F435A+F508N、L147Y+F435S+F508Y、L147Y+F435N+F508Y、L147Y+F435S+F508Y、L147Y+F435N+F508Y、F508Y+F435A+L438A、F508Y+F435A+L438Y、F508Y+F435A+L438Y、F508Y+F435A+L438A+T436A、F508Y+F435A+L438A+T436S、F508M+F435A+L438A+T436A、F508M+F435A+L438A+T436S、F508Y+F435A+L438A+T436A+F280W、F508Y+F435A+L438A+T436A+F280A、F508Y+F435A+L438A+T436A+S441L、F508M+F435A+L438A+T436A+F280W、F508M+F435A+L438A+T436A+F280V、F508M+F435A+L438A+T436A+S441V、F508M+F435A+L438A+T436A+S441A、F508Y+F435N+L438A+T436S、F508Y+F435N+L438A+T436S+F280V、F508Y+F435N+L438A+T436S+S441L、F508Y+F435N+L438A+T436S+F280V+S441V、F508Y+F435N+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V、F508M+F435N+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V、F508M+F435A+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V、F508M+F435S+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V、F508Y+F435S+L438Y+T436S+F280V+S441V+L510V、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441V+L510V、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441A+L510V、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+L429Y+W493A+L146F+L147M+I494A、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+L429Y+W493A+L146F+L147Y+I494S、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+L429Y+W493A+L146F+L147T+I494M、F508Y+F435N+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+D60L、F508M+F435N+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+D60L+T61Q、F508M+F435A+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+D60L+G145F、F508M+F435S+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+D60L+A169K、F508Y+F435S+L438Y+T436S+F280V+S441V+L510V+D60L+S189M、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441V+L510V+D60L+L332R、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441A+L510V+D60L+A328N、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+D60L+G430A、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+L429Y+W493A+L146F+L147M+I494A+D60L+N432Y、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+L429Y+W493A+L146F+L147Y+I494S+D60L+Y509M、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+L429Y+W493A+L146F+L147T+I494M+D60L+G512I、F508Y+F435A+L438A+W49A+D60L、F508Y+F435A+L438A+V144E、F508Y+F435A+L438A+G145F、F508Y+F435A+L438A+T436A+H167W、F508Y+F435A+L438A+T436A+A169K、F508Y+F435A+L438A+T436A+S179M、F508Y+F435A+L438A+T436A+A246V、F508Y+F435A+L438A+T436A+V247T、F508Y+F435A+L438A+T436A+F284S、F508Y+F435A+L438A+T436A+G285A、F508M+F435A+L438A+T436A+T286A、F508M+F435A+L438A+T436A+R330A、F508M+F435A+L438A+T436A+L332R、F508M+F435A+L438A+T436A+A328N、F508Y+F435A+L438A+T436S+G382A、F508Y+F435A+L438A+T436S+M427I、F508Y+F435A+L438A+T436S+V428A、F508Y+F435A+L438A+T436S+G430A、F508Y+F435A+L438A+T436S+P431A、F508Y+F435A+L438A+T436S+N432Y、F508Y+F435A+L438A+T436S+G433Y、F508Y+F435A+L438A+T436S+P434A、F508Y+F435A+L438A+T436S+Y509M、F508Y+F435A+L438A+T436S+G511L、F508Y+F435A+L438A+T436S+G512I、F508Y+F435A+L438A+T436S+L513V、F508Y+F435S+L438Y+T436S+F280V+S441V+L510V+D60L、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441V+L510V+D60L+P431A、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441A+L510V+D60L、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+D60L、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+D60L+L429Y+W493A+L146F+L147Y+I494S、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+D60L+L429Y+W493A+L146F+L147T+I494M、F508Y+F435A+L438Y、F508Y+F435A+L438A+T436A、F508Y+F435A+L438A+T436S、F508M+F435A+L438A+T436A、F508M+F435A+L438A+T436S、F508Y+F435A+L438A、F508Y+F435A+L438Y、F508Y+F435A+L438Y、F508Y+F435A+L438A+T436A、F508Y+F435A+L438A+T436S、F508M+F435A+L438A+T436A、F508M+F435A+L438A+T436S、F508Y+F435A+L438A+T436A+F280W+D60L、F508Y+F435A+L438A+T436A+F280A+V247T、F508Y+F435A+L438A+T436A+S441L+F285A、F508Y+F435N+L438A+T436S+R330A、F508Y+F435N+L438A+T436S+F280V+G430A、F508Y+F435N+L438A+T436S+S441L+P434A、F508M+F435N+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+Q60L+T286A+Y509M、F508M+F435A+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+Q60L+T61Q+V247T、F508M+F435S+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+Q60L+F287D+R330A、F508Y+F435S+L438Y+T436S+F280V+S441V+L510V+V144E+G145F+M427I、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441V+L510V+Q60L+L322R+N432Y、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441A+L510V+R330A+P321A+G512I、及びF508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+T61Q+R330A+G430Aの突然変異部位の組み合わせのうちの1つを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のモノオキシゲナーゼ突然変異体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のモノオキシゲナーゼ突然変異体をコードする、ことを特徴とするDNA分子。
【請求項4】
請求項3に記載のDNA分子を含有する、ことを特徴とする組換えプラスミド。
【請求項5】
pET-22b(+)、pET-22b(+)、pET-3a(+)、pET-3d(+)、pET-11a(+)、pET-12a(+)、pET-14b(+)、pET-15b(+)、pET-16b(+)、pET-17b(+)、pET-19b(+)、pET-20b(+)、pET-21a(+)、pET-23a(+)、pET-23b(+)、pET-24a(+)、pET-25b(+)、pET-26b(+)、pET-27b(+)、pET-28a(+)、pET-29a(+)、pET-30a(+)、pET-31b(+)、pET-32a(+)、pET-35b(+)、pET-38b(+)、pET-39b(+)、pET-40b(+)、pET-41a(+)、pET-41b(+)、pET-42a(+)、pET-43a(+)、pET-43b(+)、pET-44a(+)、pET-49b(+)、pQE2、pQE9、pQE30、pQE31、pQE32、pQE40、pQE70、pQE80、pRSET-A、pRSET-B、pRSET-C、pGEX-5X-1、pGEX-6p-1、pGEX-6p-2、pBV220、pBV221、pBV222、pTrc99A、pTwin1、pEZZ18、pKK232-18、pUC-18又はpUC-19である、ことを特徴とする請求項4に記載の組換えプラスミド。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の組換えプラスミドを含有する、ことを特徴とする宿主細胞。
【請求項7】
前記宿主細胞は、原核細胞、酵母又は真核細胞を含み、好ましくは、前記原核細胞は大腸菌BL21細胞又は大腸菌DH5αコンピテント細胞である、ことを特徴とする請求項6に記載の宿主細胞。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のモノオキシゲナーゼ突然変異体の、チオエーテル系化合物又はケトン系化合物の一原子酸素添加反応の触媒における使用。
【請求項9】
前記チオエーテル系化合物は
であり、ここで、R1及びR2は、それぞれ独立して、任意に置換した又は置換していないアルキル基、任意に置換した又は置換していないアラルキル基、又は任意に置換した又は置換していないアリール基を示し、R1及びR2は、単独に、又は両方が結合されて置換又は無置換の環を形成することができ、
好ましくは、R1及びR2は、炭素数1~20の任意に置換した又は置換していないアルキル基、任意に置換した又は置換していないアラルキル基、又は任意に置換した又は置換していないアリール基であり、より好ましくは炭素数1~10の任意に置換した又は置換していないアルキル基、任意に置換した又は置換していないアラルキル基、又は任意に置換した又は置換していないアリール基であり、
好ましくは、前記アリール基は、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、チエニル基、オキサジアゾリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、フラニル基、ピロリル基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基、オキサジアゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、チアゾリルオキシ基、フラニルオキシ基、及びピロリルオキシ基を含み、
好ましくは、前記アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、s-ブチル基、t-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、ビニル基、アリル基、シクロペンチル基、及びシクロヘプチル基を含み、
好ましくは、前記アラルキル基はベンジル基であり、
好ましくは、前記置換とは、ハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基又はメチレンジオキシ基で置換されたことを意味する、ことを特徴とする請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記ケトン系化合物は
であり、ここで、R3及びR4は、それぞれ独立して、任意に置換した又は置換していないアルキル基、任意に置換した又は置換していないアラルキル基、又は任意に置換した又は置換していないアリール基を示し、R3及びR4は、単独に、又は両方が結合されて置換又は無置換の環を形成することができ、
好ましくは、R3及びR4は、炭素数1~20の任意に置換した又は置換していないアルキル基、任意に置換した又は置換していないアラルキル基、又は任意に置換した又は置換していないアリール基であり、より好ましくは炭素数1~10の任意に置換した又は置換していないアルキル基、任意に置換した又は置換していないアラルキル基、又は任意に置換又は置換していないアリール基であり、
好ましくは、前記アリール基は、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、チエニル基、オキサジアゾリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、フラニル基、ピロリル基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基、オキサジアゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、チアゾリルオキシ基、フラニルオキシ基、及びピロリルオキシ基を含み、
好ましくは、前記アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、s-ブチル基、t-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、ビニル基、アリル基、シクロペンチル基、及びシクロヘプチル基を含み、
好ましくは、前記アラルキル基はベンジル基であり、
好ましくは、前記置換とは、ハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基又はメチレンジオキシ基で置換されたことを意味する、ことを特徴とする請求項8に記載の使用。
【請求項11】
スロペネム側鎖合成である、ことを特徴とする請求項8に記載の使用。
【請求項12】
前記モノオキシゲナーゼは、請求項1又は2に記載のモノオキシゲナーゼ突然変異体の溶液、凍結乾燥粉末、固定化酵素又は固定化細胞である、ことを特徴とする請求項8に記載の使用。
【請求項13】
前記一原子酸素添加反応の反応系には補因子がさらに含まれ、前記補因子はNAD+/NADH及び/又はNADP+/NADPHであり、補因子循環系はグルコースとグルコースデヒドロゲナーゼ、ギ酸塩とギ酸脱水素酵素、グルコース6-リン酸とグルコース-6-リン酸脱水素酵素、又は第二級アルコールと第二級アルコール脱水素酵素を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の使用。
【請求項14】
前記一原子酸素添加反応の温度は10~37℃で、好ましくは15~35℃である、ことを特徴とする請求項8に記載の使用。
【請求項15】
前記一原子酸素添加反応の時間は3~48時間で、より好ましくは6~16時間である、ことを特徴とする請求項8に記載の使用。
【請求項16】
前記一原子酸素添加反応は、pH5.0~10.0の条件で、好ましくはpH6.0~9.0の条件で行われる、ことを特徴とする請求項8に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物技術分野に関し、具体的には、モノオキシゲナーゼ突然変異体及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の化学酸化剤はほとんど毒性及び/又は爆発的なものであり、且つ立体特異性がとても低く、環境配慮性及び高い光学純度の医薬品や農業用化学品の合成のニーズに応えて、新規な酸化剤の開発が行われている。シクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ(CHMO)は還元型補酵素I(NADPH)依存型酸化酵素であり、ケトン、アルデヒドや一部の硫化物、セレン化物の酸化反応を触媒することができる。モノオキシゲナーゼは有機合成に広く使用されており、優れた選択性、可制御性及び経済性を有する。
【0003】
キラル医薬品の合成では、通常、製品の立体配置が異なると、その機能や毒性が大きく異なり、このため、高い光学純度のキラル化合物を得ることは製薬の研究開発において非常に重要なことである。最近数十年間、モノオキシゲナーゼは生物触媒剤として立体特異的な反応の触媒に用いられ、それにより一連の価値のあるキラル化合物を合成する[Protein Engineering of Stereoselective BaeyerーVilliger Monooxygenases] .[J]. Chemistry - A European Journal, 2012, 18(33)。
【0004】
ペネム系抗生物質の1種であるスロペネムは、米国のPfizer社により研究・開発されたものであり、注射用ペネム系抗生物質であり、抗菌スペクトルが広く、抗菌活性が高く、β-ラクタマーゼにより加水分解されにくいなどの特性を有する[Antibacterial activity of sulopenem, a new parenteral penem antibiotic].[J]. Japanese Journal of Antibiotics, 1996, 49(4):338。世界の抗生物質の市場では、ますます重要な地位を占めている。
【0005】
生物酵素法を用いて不斉合成を行う手段は、自体の高選択性及び環境配慮性などの優位性のため、ますます注目されている。(R)-3-ヒドロキシ-テトラヒドロチオフェンは、抗生物質であるスロペネムなどの複数の医薬品を生産するための重要な中間体であり、スロペネム側鎖を酵素で触媒合成する方法(以下の図を参照)では、我々がタンパク質改変によって、既に選択性と活性の両方が大幅に向上したケトレダクターゼ突然変異体を獲得し、第1のステップである3-ケトテトラヒドロチオフェンの(R)-3-ヒドロキシ-テトラヒドロチオフェンへの転化を触媒することができる[特許:ケトレダクターゼ突然変異体及びその使用(公開番号CN108048417A)]。第2のステップである酵素触媒反応において、モノオキシゲナーゼ置換化学法を用いて(R)-3-ヒドロキシ-テトラヒドロチオフェンの酸化反応を行うことができ、このように、化学発熱反応が回避されながら、高い光学純度の製品として(R,R)-1-オキシ-3-ヒドロキシテトラヒドロチオフェンが生成される。
【0006】

【0007】
しかしながら、現在、野生型のモノオキシゲナーゼには、選択性が極めて低く、活性が悪いなどの欠陥が存在し、工業化を実現するには、かなりの努力がまだ必要とされる。一般には、タンパク質工程の手段を通じて野生酵素を改変することにより、酵素の立体特異性及び活性を向上させ、工業的生産に利用可能とすることが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、モノオキシゲナーゼの選択性が悪く、酵素活性が低いという従来技術の技術的問題を解決するために、モノオキシゲナーゼ突然変異体及びその使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、モノオキシゲナーゼ突然変異体を提供する。
【0010】
該モノオキシゲナーゼ突然変異体のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列が突然変異して得たアミノ酸配列であり、突然変異は、少なくとも、49位、60位、61位、144位、145位、146位、147位、167位、169位、189位、246位、247位、280位、284位、285位、286位、287位、328位、330位、332位、382位、427位、428位、429位、430位、431位、432位、433位、434位、435位、436位、438位、441位、493位、494位、508位、509位、510位、511位、512位、及び513位の突然変異部位のうちの1つを含み、且つ突然変異は、49位のトリプトファンのアラニンへの突然変異、60位のアスパラギン酸のロイシンへの突然変異、61位のスレオニンのグルタミンへの突然変異、144位のバリンのグルタミン酸への突然変異、145位のグリシンのフェニルアラニンへの突然変異、146位のロイシンのフェニルアラニン又はチロシンへの突然変異、147位のロイシンのメチオニン、スレオニン又はチロシンへの突然変異、167位のヒスチジンのトリプトファンへの突然変異、169位のアラニンのリジンへの突然変異、189位のセリンのメチオニンへの突然変異、246位のアラニンのバリンへの突然変異、247位のバリンのスレオニンへの突然変異、280位のフェニルアラニンのチロシン、トリプトファン又はバリンへの突然変異、284位のフェニルアラニンのセリンへの突然変異、285位のグリシンのアラニンへの突然変異、286位のスレオニンのアラニンへの突然変異、287位のフェニルアラニンのアスパラギン酸への突然変異、328位のアラニンのアスパラギンへの突然変異、330位のアルギニンのアラニンへの突然変異、332位のロイシンのアルギニンへの突然変異、382位のグリシンのアラニンへの突然変異、427位のメチオニンのイソロイシンへの突然変異、428位のバリンのアラニンへの突然変異、429位のロイシンのチロシンへの突然変異、430位のグリシンのアラニンへの突然変異、431位のプロリンのアラニンへの突然変異、432位のアスパラギンのチロシンへの突然変異、433位のグリシンのチロシンへの突然変異、434位のプロリンのアラニンへの突然変異、435位のフェニルアラニンのセリン、アラニン、アスパラギン又はチロシンへの突然変異、436位のスレオニンのアラニン、セリン、グリシン、グルタミン酸又はシステインへの突然変異、438位のロイシンのグリシン、アラニン、チロシン、フェニルアラニン又はセリンへの突然変異、441位のセリンのロイシンとバリンへの突然変異、493位のトリプトファンのアラニンへの突然変異、494位のイソロイシンのアラニン、メチオニン又はセリンへの突然変異、508位のフェニルアラニンのチロシン、メチオニン又はアスパラギンへの突然変異、509位のチロシンのメチオニンへの突然変異、510位のロイシンのバリンへの突然変異、511位のグリシンのロイシンへの突然変異、512位のグリシンのイソロイシンへの突然変異、513位のロイシンのバリンへの突然変異であり、又はモノオキシゲナーゼ突然変異体のアミノ酸配列は、突然変異が発生したアミノ酸配列における突然変異部位を有し、且つ突然変異が発生したアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列である。
【0011】
さらに、突然変異は、少なくとも、F435A+F508Y、F435S+F508Y、L147Y+F508M、F280Y+F508M、F280Y+F508N、F435A+L510V、F435S+L510V、F435N+L510V、T436A+L510V、L438A+L510V、T436A+L438A、F435A+T436A、F435S+T436A、F435N+T436A、L146Y+F508M、L146F+F508M、F280Y+F508Y、F280Y+F508N、F435A+T436A+F508Y、F435A+T436A+F508M、F435A+T436A+L510V、F435S+T436A+L510V、T436A+L438A+F508Y、T436A+L438A+F508M、T436A+L438A+F508N、L147Y+F435A+F508M、L147Y+F435A+F508Y、L147Y+F435A+F508N、L147Y+F435S+F508Y、L147Y+F435N+F508Y、L147Y+F435S+F508Y、L147Y+F435N+F508Y、F508Y+F435A+L438A、F508Y+F435A+L438Y、F508Y+F435A+L438Y、F508Y+F435A+L438A+T436A、F508Y+F435A+L438A+T436S、F508M+F435A+L438A+T436A、F508M+F435A+L438A+T436S、F508Y+F435A+L438A+T436A+F280W、F508Y+F435A+L438A+T436A+F280A、F508Y+F435A+L438A+T436A+S441L、F508M+F435A+L438A+T436A+F280W、F508M+F435A+L438A+T436A+F280V、F508M+F435A+L438A+T436A+S441V、F508M+F435A+L438A+T436A+S441A、F508Y+F435N+L438A+T436S、F508Y+F435N+L438A+T436S+F280V、F508Y+F435N+L438A+T436S+S441L、F508Y+F435N+L438A+T436S+F280V+S441V、F508Y+F435N+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V、F508M+F435N+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V、F508M+F435A+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V、F508M+F435S+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V、F508Y+F435S+L438Y+T436S+F280V+S441V+L510V、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441V+L510V、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441A+L510V、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+L429Y+W493A+L146F+L147M+I494A、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+L429Y+W493A+L146F+L147Y+I494S、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+L429Y+W493A+L146F+L147T+I494M、F508Y+F435N+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+D60L、F508M+F435N+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+D60L+T61Q、F508M+F435A+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+D60L+G145F、F508M+F435S+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+D60L+A169K、F508Y+F435S+L438Y+T436S+F280V+S441V+L510V+D60L+S189M、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441V+L510V+D60L+L332R、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441A+L510V+D60L+A328N、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+D60L+G430A、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+L429Y+W493A+L146F+L147M+I494A+D60L+N432Y、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+L429Y+W493A+L146F+L147Y+I494S+D60L+Y509M、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+L429Y+W493A+L146F+L147T+I494M+D60L+G512I、F508Y+F435A+L438A+W49A+D60L、F508Y+F435A+L438A+V144E、F508Y+F435A+L438A+G145F、F508Y+F435A+L438A+T436A+H167W、F508Y+F435A+L438A+T436A+A169K、F508Y+F435A+L438A+T436A+S179M、F508Y+F435A+L438A+T436A+A246V、F508Y+F435A+L438A+T436A+V247T、F508Y+F435A+L438A+T436A+F284S、F508Y+F435A+L438A+T436A+G285A、F508M+F435A+L438A+T436A+T286A、F508M+F435A+L438A+T436A+R330A、F508M+F435A+L438A+T436A+L332R、F508M+F435A+L438A+T436A+A328N、F508Y+F435A+L438A+T436S+G382A、F508Y+F435A+L438A+T436S+M427I、F508Y+F435A+L438A+T436S+V428A、F508Y+F435A+L438A+T436S+G430A、F508Y+F435A+L438A+T436S+P431A、F508Y+F435A+L438A+T436S+N432Y、F508Y+F435A+L438A+T436S+G433Y、F508Y+F435A+L438A+T436S+P434A、F508Y+F435A+L438A+T436S+Y509M、F508Y+F435A+L438A+T436S+G511L、F508Y+F435A+L438A+T436S+G512I、F508Y+F435A+L438A+T436S+L513V、F508Y+F435S+L438Y+T436S+F280V+S441V+L510V+D60L、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441V+L510V+D60L+P431A、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441A+L510V+D60L、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+D60L、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+D60L+L429Y+W493A+L146F+L147Y+I494S、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+D60L+L429Y+W493A+L146F+L147T+I494M、F508Y+F435A+L438Y、F508Y+F435A+L438A+T436A、F508Y+F435A+L438A+T436S、F508M+F435A+L438A+T436A、F508M+F435A+L438A+T436S、F508Y+F435A+L438A、F508Y+F435A+L438Y、F508Y+F435A+L438Y、F508Y+F435A+L438A+T436A、F508Y+F435A+L438A+T436S、F508M+F435A+L438A+T436A、F508M+F435A+L438A+T436S、F508Y+F435A+L438A+T436A+F280W+D60L、F508Y+F435A+L438A+T436A+F280A+V247T、F508Y+F435A+L438A+T436A+S441L+F285A、F508Y+F435N+L438A+T436S+R330A、F508Y+F435N+L438A+T436S+F280V+G430A、F508Y+F435N+L438A+T436S+S441L+P434A、F508M+F435N+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+Q60L+T286A+Y509M、F508M+F435A+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+Q60L+T61Q+V247T、F508M+F435S+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+Q60L+F287D+R330A、F508Y+F435S+L438Y+T436S+F280V+S441V+L510V+V144E+G145F+M427I、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441V+L510V+Q60L+L322R+N432Y、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441A+L510V+R330A+P321A+G512I、及びF508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+T61Q+R330A+G430Aの突然変異部位の組み合わせのうちの1つを含む。
【0012】
本発明の別の態様によれば、DNA分子を提供する。該DNA分子は、上記のいずれか1つのモノオキシゲナーゼ突然変異体をコードする。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、組換えプラスミドを提供する。該組換えプラスミドは、上記のいずれか1つのDNA分子を含有する。
【0014】
さらに、組換えプラスミドは、pET-22b(+)、pET-22b(+)、pET-3a(+)、pET-3d(+)、pET-11a(+)、pET-12a(+)、pET-14b(+)、pET-15b(+)、pET-16b(+)、pET-17b(+)、pET-19b(+)、pET-20b(+)、pET-21a(+)、pET-23a(+)、pET-23b(+)、pET-24a(+)、pET-25b(+)、pET-26b(+)、pET-27b(+)、pET-28a(+)、pET-29a(+)、pET-30a(+)、pET-31b(+)、pET-32a(+)、pET-35b(+)、pET-38b(+)、pET-39b(+)、pET-40b(+)、pET-41a(+)、pET-41b(+)、pET-42a(+)、pET-43a(+)、pET-43b(+)、pET-44a(+)、pET-49b(+)、pQE2、pQE9、pQE30、pQE31、pQE32、pQE40、pQE70、pQE80、pRSET-A、pRSET-B、pRSET-C、pGEX-5X-1、pGEX-6p-1、pGEX-6p-2、pBV220、pBV221、pBV222、pTrc99A、pTwin1、pEZZ18、pKK232-18、pUC-18又はpUC-19である。
【0015】
本発明の別の態様によれば、宿主細胞を提供する。該宿主細胞は、上記のいずれか1つの組換えプラスミドを含有する。
【0016】
さらに、宿主細胞は、原核細胞、酵母又は真核細胞を含み、好ましくは、原核細胞は大腸菌BL21細胞又は大腸菌DH5αコンピテント細胞である。
【0017】
本発明の別の態様によれば、上記のいずれか1つのモノオキシゲナーゼ突然変異体の、チオエーテル系化合物又はケトン系化合物の一原子酸素添加反応の触媒における使用を提供する。
【0018】
さらに、チオエーテル系化合物は
であり、ここで、R1及びR2は、それぞれ独立して、任意に置換した又は置換していないアルキル基、任意に置換した又は置換していないアラルキル基、又は任意に置換した又は置換していないアリール基を示し、R1及びR2は、単独に、又は両方が結合されて置換又は無置換の環を形成することができ、
好ましくは、R1及びR2は、炭素数1~20の任意に置換した又は置換していないアルキル基、任意に置換した又は置換していないアラルキル基、又は任意に置換した又は置換していないアリール基であり、より好ましくは炭素数1~10の任意に置換した又は置換していないアルキル基、任意に置換した又は置換していないアラルキル基、又は任意に置換した又は置換していないアリール基であり、
好ましくは、アリール基は、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、チエニル基、オキサジアゾリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、フラニル基、ピロリル基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基、オキサジアゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、チアゾリルオキシ基、フラニルオキシ基、及びピロリルオキシ基を含み、
好ましくは、アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、s-ブチル基、t-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、ビニル基、アリル基、シクロペンチル基、及びシクロヘプチル基を含み、
好ましくは、アラルキル基はベンジル基であり、
好ましくは、置換とは、ハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基又はメチレンジオキシ基で置換されたことを意味する。
【0019】
さらに、ケトン系化合物は
であり、ここで、R3及びR4は、それぞれ独立して、任意に置換した又は置換していないアルキル基、任意に置換した又は置換していないアラルキル基、又は任意に置換した又は置換していないアリール基を示し、R3及びR4は、単独に、又は両方が結合されて置換又は無置換の環を形成することができ、
好ましくは、R3及びR4は、炭素数1~20の任意に置換した又は置換していないアルキル基、任意に置換した又は置換していないアラルキル基、又は任意に置換した又は置換していないアリール基であり、より好ましくは炭素数1~10の任意に置換した又は置換していないアルキル基、任意に置換した又は置換していないアラルキル基、又は任意に置換した又は置換していないアリール基であり、
好ましくは、アリール基は、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、チエニル基、オキサジアゾリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、フラニル基、ピロリル基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基、オキサジアゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、チアゾリルオキシ基、フラニルオキシ基、及びピロリルオキシ基を含み、
好ましくは、アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、s-ブチル基、t-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、ビニル基、アリル基、シクロペンチル基、及びシクロヘプチル基を含み、
好ましくは、アラルキル基はベンジル基であり、
好ましくは、置換とは、ハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基又はメチレンジオキシ基で置換されたことを意味する。
【0020】
さらに、使用はスロペネム側鎖合成である。
【0021】
さらに、モノオキシゲナーゼは、上記のいずれか1つのモノオキシゲナーゼ突然変異体の溶液、凍結乾燥粉末、固定化酵素又は固定化細胞である。
【0022】
さらに、一原子酸素添加反応の反応系には補因子がさらに含まれ、補因子はNAD+/NADH及び/又はNADP+/NADPHであり、補因子循環系はグルコースとグルコースデヒドロゲナーゼ、ギ酸塩とギ酸脱水素酵素、グルコース6-リン酸とグルコース-6-リン酸脱水素酵素、又は第二級アルコールと第二級アルコール脱水素酵素を含む。
【0023】
さらに、一原子酸素添加反応の温度は10~37℃で、好ましくは15~35℃である。
【0024】
さらに、一原子酸素添加反応の時間は3~48時間で、より好ましくは6~16時間である。
【0025】
さらに、一原子酸素添加反応は、pH5.0~10.0の条件で、好ましくはpH6.0~9.0の条件で行われる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のモノオキシゲナーゼ突然変異体は、SEQ ID NO:1に示されるモノオキシゲナーゼを基に、部位特異的突然変異の方法により突然変異させることにより、そのアミノ酸配列を変えることで、タンパク質の構造及び機能を変え、次に標的スクリーニングの方法により、上記突然変異部位を有するモノオキシゲナーゼを得るものであり、本発明のモノオキシゲナーゼ突然変異体は、立体特異性が大幅に向上するという優位性を有し、しかも酵素活性もその分向上する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
なお、矛盾しない限り、本出願の実施例及び実施例の特徴は互いに組み合わせることができる。以下、実施例を参照しながら本発明を詳しく説明する。
【0028】
Rhodococcus sp.由来のモノオキシゲナーゼは、チオエーテル系化合物及びケトン系化合物の反応を触媒できるものの、その活性が低く、立体特異性が悪く、特に(R)-3-ヒドロキシ-テトラヒドロチオフェンの酸化を触媒反応する場合に、得られる製品は立体配置が目標産物と反対のS型である。本発明は、タンパク質工学の方法によってモノオキシゲナーゼの立体特異性を向上させ、モノオキシゲナーゼの活性を向上させ、酵素触媒特性が改善された突然変異体を得て、キラル化合物の製造過程において酵素の使用量を減らし、高い光学純度の製品を得ることを図る。
【0029】
本発明の発明者は、指向性進化の方法によってモノオキシゲナーゼSEQ ID NO:1の活性及び立体特異性を向上させ、酵素の使用量を低下させる。まず、全プラスミドPCRの方式でモノオキシゲナーゼSEQ ID NO:1上に突然変異部位を導入し、突然変異体について活性及び立体特異性を検出し、活性又は立体特異性が向上した突然変異体を選別する。
【0030】
SEQ ID NO:1は以下に示される。MTAQISPTVVDAVVIGAGFGGIYAVHKLHNEQGLTVVGFDK ADGPGGTWYWNRYPGALSDTESHLYRFSFDRDLLQDGTWKTTYITQPEILEYLESVVDRFDLRRHFRFGTEVTSAIYLEDENLWEVSTDKGEVYRAKYVVNAVGLLSAINFPDLPGLDTFEGETIHTAAWPEGKNLAGKRVGVIGTGSTGQQVITALAPEVEHLTVFVRTPQYSVPVGNRPVTKEQIDAIKADYDGIWDSVKKSAVAFGFEESTLPAMSVSEEERNRIFQEAWDHGGGFRFMFGTFGDIATDEAANEAAASFIRSKIAEIIEDPETARKLMPTGLYAKRPLCDNGYYEVYNRPNVEAVAIKENPIREVTAKGVVTEDGVLHELDVLVFATGFDAVDGNYRRIEIRGRNGLHINDHWDGQPTSYLGVTTANFPNWFMVLGPNGPFTNLPPSIETQVEWISDTVAYAERNEIRAIEPTPEAEEEWTQTCTDIANATLFTRGDSWIFGANVPGKKPSVLFYLGGLGNYRNVLAGVVADSYRGFELKSAVPVTA。
【0031】
SEQ ID NO:1をテンプレートとして、60対の部位特異的突然変異プライマー(突然変異部位は49位、60位、61位、144位、145位、146位、147位、167位、169位、189位、246位、247位、280位、284位、285位、286位、287位、328位、330位、332位、382位、427位、428位、429位、430位、431位、432位、433位、434位、435位、436位、438位、441位、493位、494位、508位、509位、510位、511位、512位、513位などである)が設計されて、部位特異的突然変異手段によって、pET-22b(+)を発現ベクターとして、目的遺伝子を有する突然変異プラスミドを獲得する。
【0032】
ここで、部位特異的突然変異とは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの方法により目的DNA断片(ゲノムであってもよいし、プラスミドであってもよい)に、塩基の添加、削除、部位突然変異など、所望の変化(通常、有利な方向を特徴付ける変化)を導入することである。部位特異的突然変異は、DNAが発現する目的タンパク質の性状及び特徴を迅速且つ効率よく向上させることができ、遺伝子研究において極めて有用な手段である。
【0033】
全プラスミドPCRによる部位特異的突然変異の導入方法は、簡単で効果的であり、現在よく使用されている手段である。その原理は、突然変異部位を含む1対のプライマー(順方向、逆方向)とテンプレートプラスミドとを、アニーリングした後に、ポリメラーゼで「サイクル伸長」することである。いわゆるサイクル伸長とは、ポリメラーゼがテンプレートに従ってプライマーを伸長し、一周後、プライマー5’末端に戻って終了し、次に、加熱・アニーリング・伸長のサイクルを繰り返すことを意味し、この反応は、ローリングサークル増幅とは異なり、複数のタンデムコピーを形成することがない。
【0034】
順方向・逆方向プライマーの伸長産物は、アニーリング後ペアリングして、ニック付きの開環プラスミドとなる。dam+菌株由来のテンプレートDNAは、メチル化部位を有するため、Dpn I酵素により識別・切断可能であり、一方、インビトロで合成された突然変異配列を有するプラスミドは、メチル化されていないので消化されず、大腸菌に形質転換した後に、ニックが自然に修復され、このように、突然変異プラスミドを有するクローンが得られる。突然変異プラスミドを大腸菌コンピテント細胞に形質転換し、LB固体培地(100μg/mLアンピシリン)を含む培養皿に塗布し、37℃で一晩培養する。固体培地で成長した単一クローンに対して活性化を行う。シーケンシングにより正確に同定した後に、25℃、0.2mM IPTGの条件下で、一晩放置してモノオキシゲナーゼの発現を誘導する。その後、細胞を遠心、超音波破砕する方法によって粗酵素液を得て、反応特性検出に用いる。
【0035】
触媒特性が向上した突然変異体を単一部位突然変異により得た上、有益な部位を組み合わせて、性状がより良好な突然変異体を得ることができる。組み合わせ突然変異のうち二重部位突然変異の構築方法は、単一部位突然変異の構築方法と同様に、全プラスミドPCR法を用いたものである。また、2以上の部位が突然変異した複数部位の突然変異は、オーバーラップ伸長PCR増幅を用いて行われ、複数部位の突然変異を含む突然変異遺伝子が得られ、両端が制限エンドヌクレアーゼで二重消化された後に、発現ベクターに接続され、大腸菌細胞に形質転換され、100μg/mLアンピシリンを含有するLB培養皿に塗布され、37℃で一晩培養すると、組み合わせ突然変異体が得られ、シーケンシングにより同定される。
【0036】
オーバーラップ伸長PCR技術(gene splicing by overlap extension PCR、略語SOEPCR)は、相補末端を有するプライマーを用いて、PCR産物にオーバーラップ鎖を形成させ、それにより、後続の増幅反応においてオーバーラップ鎖の伸長を通じて、由来の異なる増幅断片をオーバーラップさせて接合することである。この技術は、PCR技術を用いてインビトロで遺伝子組換えを効果的に行うことができ、複数部位の突然変異の構築によく使用されている。
【0037】
コンピュータを用いてモノオキシゲナーゼと基質の三次元構造についてドッキングシミュレーション解析を行ったところ、酵素触媒中心付近に基質から5Å離れたアミノ酸が見つけられ、これは、基質に対する酵素の立体特異性及び活性に緊密に繋がる可能性がある。複数部位組み合わせ突然変異を基に、影響を与える可能性のあるアミノ酸部位について反復飽和突然変異を行い、活性及び立体特異性の両方が大幅に向上した突然変異体を得ることが可能である。
【0038】
飽和突然変異とは、目的タンパク質のコード遺伝子を改変し、ターゲット部位であるアミノ酸がそれぞれ他の19種類のアミノ酸で置き換えられた突然変異体を短時間で取得する方法である。この方法は、タンパク質を標的に改変するために有用なツールであるだけでなく、タンパク質構造-機能の関係を研究するための重要な手段である。飽和突然変異によれば、単一部位突然変異よりも好適な進化体を得る場合が多い。部位特異的突然変異方法により解決できないこれらの問題は、飽和突然変異方法の得意なところである。
【0039】
本発明の1つの代表的な実施形態によれば、モノオキシゲナーゼ突然変異体を提供する。
【0040】
該モノオキシゲナーゼ突然変異体のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列が突然変異して得たアミノ酸配列であり、前記突然変異は、少なくとも、49位、60位、61位、144位、145位、146位、147位、167位、169位、189位、246位、247位、280位、284位、285位、286位、287位、328位、330位、332位、382位、427位、428位、429位、430位、431位、432位、433位、434位、435位、436位、438位、441位、493位、494位、508位、509位、510位、511位、512位、及び513位の突然変異部位のうちの1つを含み、且つ前記突然変異は、49位のトリプトファンのアラニンへの突然変異、60位のアスパラギン酸のロイシンへの突然変異、61位のスレオニンのグルタミンへの突然変異、144位のバリンのグルタミン酸への突然変異、145位のグリシンのフェニルアラニンへの突然変異、146位のロイシンのフェニルアラニン又はチロシンへの突然変異、147位のロイシンのメチオニン、スレオニン又はチロシンへの突然変異、167位のヒスチジンのトリプトファンへの突然変異、169位のアラニンのリジンへの突然変異、189位のセリンのメチオニンへの突然変異、246位のアラニンのバリンへの突然変異、247位のバリンのスレオニンへの突然変異、280位のフェニルアラニンのチロシン、トリプトファン又はバリンへの突然変異、284位のフェニルアラニンのセリンへの突然変異、285位のグリシンのアラニンへの突然変異、286位のスレオニンのアラニンへの突然変異、287位のフェニルアラニンのアスパラギン酸への突然変異、328位のアラニンのアスパラギンへの突然変異、330位のアルギニンのアラニンへの突然変異、332位のロイシンのアルギニンへの突然変異、382位のグリシンのアラニンへの突然変異、427位のメチオニンのイソロイシンへの突然変異、428位のバリンのアラニンへの突然変異、429位のロイシンのチロシンへの突然変異、430位のグリシンのアラニンへの突然変異、431位のプロリンのアラニンへの突然変異、432位のアスパラギンのチロシンへの突然変異、433位のグリシンのチロシンへの突然変異、434位のプロリンのアラニンへの突然変異、435位のフェニルアラニンのセリン、アラニン、アスパラギン又はチロシンへの突然変異、436位のスレオニンのアラニン、セリン、グリシン、グルタミン酸又はシステインへの突然変異、438位のロイシンのグリシン、アラニン、チロシン、フェニルアラニン又はセリンへの突然変異、441位のセリンのロイシンとバリンへの突然変異、493位のトリプトファンのアラニンへの突然変異、494位のイソロイシンのアラニン、メチオニン又はセリンへの突然変異、508位のフェニルアラニンのチロシン、メチオニン又はアスパラギンへの突然変異、509位のチロシンのメチオニンへの突然変異、510位のロイシンのバリンへの突然変異、511位のグリシンのロイシンへの突然変異、512位のグリシンのイソロイシンへの突然変異、513位のロイシンのバリンへの突然変異であり、又は、前記モノオキシゲナーゼ突然変異体のアミノ酸配列は、前記突然変異が発生したアミノ酸配列における前記突然変異部位を有し、且つ前記突然変異が発生したアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列である。
【0041】
反応したところ、ee値及び活性が向上した突然変異体を得ることが検証された。具体的には、好ましくは、以下の組み合わせを含む。
【0042】
突然変異は、少なくとも、F435A+F508Y、F435S+F508Y、L147Y+F508M、F280Y+F508M、F280Y+F508N、F435A+L510V、F435S+L510V、F435N+L510V、T436A+L510V、L438A+L510V、T436A+L438A、F435A+T436A、F435S+T436A、F435N+T436A、L146Y+F508M、L146F+F508M、F280Y+F508Y、F280Y+F508N、F435A+T436A+F508Y、F435A+T436A+F508M、F435A+T436A+L510V、F435S+T436A+L510V、T436A+L438A+F508Y、T436A+L438A+F508M、T436A+L438A+F508N、L147Y+F435A+F508M、L147Y+F435A+F508Y、L147Y+F435A+F508N、L147Y+F435S+F508Y、L147Y+F435N+F508Y、L147Y+F435S+F508Y、L147Y+F435N+F508Y、F508Y+F435A+L438A、F508Y+F435A+L438Y、F508Y+F435A+L438Y、F508Y+F435A+L438A+T436A、F508Y+F435A+L438A+T436S、F508M+F435A+L438A+T436A、F508M+F435A+L438A+T436S、F508Y+F435A+L438A+T436A+F280W、F508Y+F435A+L438A+T436A+F280A、F508Y+F435A+L438A+T436A+S441L、F508M+F435A+L438A+T436A+F280W、F508M+F435A+L438A+T436A+F280V、F508M+F435A+L438A+T436A+S441V、F508M+F435A+L438A+T436A+S441A、F508Y+F435N+L438A+T436S、F508Y+F435N+L438A+T436S+F280V、F508Y+F435N+L438A+T436S+S441L、F508Y+F435N+L438A+T436S+F280V+S441V、F508Y+F435N+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V、F508M+F435N+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V、F508M+F435A+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V、F508M+F435S+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V、F508Y+F435S+L438Y+T436S+F280V+S441V+L510V、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441V+L510V、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441A+L510V、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+L429Y+W493A+L146F+L147M+I494A、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+L429Y+W493A+L146F+L147Y+I494S、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+L429Y+W493A+L146F+L147T+I494M、F508Y+F435N+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+D60L、F508M+F435N+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+D60L+T61Q、F508M+F435A+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+D60L+G145F、F508M+F435S+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+D60L+A169K、F508Y+F435S+L438Y+T436S+F280V+S441V+L510V+D60L+S189M、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441V+L510V+D60L+L332R、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441A+L510V+D60L+A328N、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+D60L+G430A、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+L429Y+W493A+L146F+L147M+I494A+D60L+N432Y、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+L429Y+W493A+L146F+L147Y+I494S+D60L+Y509M、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+L429Y+W493A+L146F+L147T+I494M+D60L+G512I、F508Y+F435A+L438A+W49A+D60L、F508Y+F435A+L438A+V144E、F508Y+F435A+L438A+G145F、F508Y+F435A+L438A+T436A+H167W、F508Y+F435A+L438A+T436A+A169K、F508Y+F435A+L438A+T436A+S179M、F508Y+F435A+L438A+T436A+A246V、F508Y+F435A+L438A+T436A+V247T、F508Y+F435A+L438A+T436A+F284S、F508Y+F435A+L438A+T436A+G285A、F508M+F435A+L438A+T436A+T286A、F508M+F435A+L438A+T436A+R330A、F508M+F435A+L438A+T436A+L332R、F508M+F435A+L438A+T436A+A328N、F508Y+F435A+L438A+T436S+G382A、F508Y+F435A+L438A+T436S+M427I、F508Y+F435A+L438A+T436S+V428A、F508Y+F435A+L438A+T436S+G430A、F508Y+F435A+L438A+T436S+P431A、F508Y+F435A+L438A+T436S+N432Y、F508Y+F435A+L438A+T436S+G433Y、F508Y+F435A+L438A+T436S+P434A、F508Y+F435A+L438A+T436S+Y509M、F508Y+F435A+L438A+T436S+G511L、F508Y+F435A+L438A+T436S+G512I、F508Y+F435A+L438A+T436S+L513V、F508Y+F435S+L438Y+T436S+F280V+S441V+L510V+D60L、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441V+L510V+D60L+P431A、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441A+L510V+D60L、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+D60L、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+D60L+L429Y+W493A+L146F+L147Y+I494S、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+D60L+L429Y+W493A+L146F+L147T+I494M、F508Y+F435A+L438Y、F508Y+F435A+L438A+T436A、F508Y+F435A+L438A+T436S、F508M+F435A+L438A+T436A、F508M+F435A+L438A+T436S、F508Y+F435A+L438A、F508Y+F435A+L438Y、F508Y+F435A+L438Y、F508Y+F435A+L438A+T436A、F508Y+F435A+L438A+T436S、F508M+F435A+L438A+T436A、F508M+F435A+L438A+T436S、F508Y+F435A+L438A+T436A+F280W+D60L、F508Y+F435A+L438A+T436A+F280A+V247T、F508Y+F435A+L438A+T436A+S441L+F285A、F508Y+F435N+L438A+T436S+R330A、F508Y+F435N+L438A+T436S+F280V+G430A、F508Y+F435N+L438A+T436S+S441L+P434A、F508M+F435N+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+Q60L+T286A+Y509M、F508M+F435A+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+Q60L+T61Q+V247T、F508M+F435S+L438A+T436S+F280V+S441V+L510V+Q60L+F287D+R330A、F508Y+F435S+L438Y+T436S+F280V+S441V+L510V+V144E+G145F+M427I、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441V+L510V+Q60L+L322R+N432Y、F508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441A+L510V+R330A+P321A+G512I、及びF508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+T61Q+R330A+G430A、及びF508Y+F435N+L438A+T436A+F280V+S441L+L510V+T61Q+R330A+G430Aの突然変異部位の組み合わせのうちの1つを含む。
【0043】
説明しやすくするために、435位のフェニルアラニンのアラニンへの突然変異と、508位のフェニルアラニンのチロシンへの突然変異は、F435A+F508Yとして記載され、他の表現も同様である。
【0044】
本発明のモノオキシゲナーゼ突然変異体は、SEQ ID NO:1に示されるモノオキシゲナーゼを基に、部位特異的突然変異の方法により突然変異させることにより、そのアミノ酸配列を変えることで、タンパク質の構造及び機能を変え、次に標的スクリーニングの方法により、上記突然変異部位を有するモノオキシゲナーゼを得るものであり、本発明のモノオキシゲナーゼ突然変異体は、立体特異性が大幅に向上するという優位性を有し、しかも酵素活性もその分向上する。
【0045】
本発明の1つの代表的な実施形態によれば、DNA分子を提供する。該DNA分子は、上記モノオキシゲナーゼ突然変異体をコードする。上記DNAでコードして得たモノオキシゲナーゼは、酵素活性及び酵素の立体特異性が向上し、チオエーテル系化合物又はケトン系化合物の一原子酸素添加反応の触媒において酵素添加量を減らし、後続の難度を低減させることができる。
【0046】
本発明の上記DNA分子は「発現カセット」の形態で存在してもよい。「発現カセット」とは、線状又は環状の核酸分子のことであり、特定のヌクレオチド配列が適切な宿主細胞にて発現することをガイドし得るDNA及びRNA配列を含む。一般には、目標ヌクレオチドに効果的に連結されたプロモータを含み、このプロモータは、任意選択に、終了信号及び/又は他の調節エレメントに効果的に連結される。発現カセットは、ヌクレオチド配列の正確な翻訳に必要な配列をさらに含んでもよい。
【0047】
コード領域は通常、目標タンパク質をコードするが、センス方向又はアンチセンス方向においては目的機能RNA、例えばアンチセンスRNA又は非翻訳のRNAもコードする。目標ポリヌクレオチド配列を含む発現カセットはキメラのものであってもよく、それは、その少なくとも1つの成分がその少なくとも1つの別の成分とは異種であることを意味する。発現カセットは、天然に存在するものであってもよいが、異種発現用の効果的な組換えにより得られる。
【0048】
本発明の1つの代表的な実施形態によれば、組換えプラスミドを提供する。該組換えプラスミドは、上記のいずれか1つのDNA分子を含有する。上記組換えプラスミドにおけるDNA分子は、組換えプラスミドの適切な位置に配置され、上記DNA分子が正確且つ順調に複製、転写又は発現することを可能とする。
【0049】
本発明では、上記DNA分子を限定する時に「含有」という限定用の用語が使用されているが、DNA配列の両端にその機能と無関係な他の配列を勝手に追加するわけではない。当業者が分かるように、組換え操作の要件を満たすために、DNA配列の両端に適切な制限エンドヌクレアーゼの消化部位を追加したり、又は開始コドン、停止コドンなどを付加的に増加したりする必要があり、このため、クローズ表現を用いて限定すると、このような状況を確実にカバーすることができない。
【0050】
本発明で使用される用語「プラスミド」は、二本鎖又は一本鎖の線状又は環状の形態の任意のプラスミド、コスミド、バクテリオファージ、又はアグロバクテリウム二元核酸分子を含み、好ましくは組換え発現プラスミドであり、原核発現プラスミドであっても、真核発現プラスミドであってもよいが、原核発現プラスミドが好ましい。
【0051】
いくつかの実施形態では、組換えプラスミドは、pET-22b(+)、pET-22b(+)、pET-3a(+)、pET-3d(+)、pET-11a(+)、pET-12a(+)、pET-14b(+)、pET-15b(+)、pET-16b(+)、pET-17b(+)、pET-19b(+)、pET-20b(+)、pET-21a(+)、pET-23a(+)、pET-23b(+)、pET-24a(+)、pET-25b(+)、pET-26b(+)、pET-27b(+)、pET-28a(+)、pET-29a(+)、pET-30a(+)、pET-31b(+)、pET-32a(+)、pET-35b(+)、pET-38b(+)、pET-39b(+)、pET-40b(+)、pET-41a(+)、pET-41b(+)、pET-42a(+)、pET-43a(+)、pET-43b(+)、pET-44a(+)、pET-49b(+)、pQE2、pQE9、pQE30、pQE31、pQE32、pQE40、pQE70、pQE80、pRSET-A、pRSET-B、pRSET-C、pGEX-5X-1、pGEX-6p-1、pGEX-6p-2、pBV220、pBV221、pBV222、pTrc99A、pTwin1、pEZZ18、pKK232-18、pUC-18又はpUC-19から選ばれる。
【0052】
より好ましくは、上記組換えプラスミドはpET-22b(+)である。
【0053】
本発明の1つの代表的な実施形態によれば、宿主細胞を提供し、宿主細胞は、上記のいずれか1つの組換えプラスミドを含有する。本発明に適用できる宿主細胞は、原核細胞、酵母又は真核細胞を含むが、これらに制限されない。好ましくは、原核細胞は真正細菌、例えばグラム陰性菌又はグラム陽性菌である。より好ましくは、原核細胞は大腸菌BL21細胞又は大腸菌DH5αコンピテント細胞である。モノオキシゲナーゼの誘導発現の最適な条件:25℃、0.2mM IPTG16h誘導である。突然変異プラスミドを大腸菌細胞に形質転換し、次に、細胞を超音波破砕する方法により粗酵素を得る。
【0054】
本発明の1つの代表的な実施形態によれば、モノオキシゲナーゼ突然変異体の、チオエーテル系化合物又はケトン系化合物の一原子酸素添加反応の触媒における使用を提供する。ここで、モノオキシゲナーゼは、上記のいずれか1つのモノオキシゲナーゼ突然変異体である。本発明の上記モノオキシゲナーゼ突然変異体がより高い酵素触媒活性を有するため、本発明のモノオキシゲナーゼ突然変異体を用いて工業的な生産を行うと、生産コストを削減できるだけでなく、より高純度のキラル製品を得る。
【0055】
本発明の1つの代表的な実施形態において、チオエーテル系化合物は
であり、上記式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、任意に置換した又は置換していないアルキル基、任意に置換した又は置換していないアラルキル基、又は任意に置換した又は置換していないアリール基を示す。
【0056】
また、R1及びR2は、単独に、又は両方が結合されて置換又は無置換の環を形成することができる。R1及びR2は、好ましくは炭素数1~20の任意に置換した又は置換していないアルキル基、任意に置換した又は置換していないアラルキル基、又は任意に置換した又は置換していないアリール基であり、より好ましくは炭素数1~10の任意に置換した又は置換していないアルキル基、任意に置換した又は置換していないアラルキル基、又は任意に置換した又は置換していないアリール基である。
【0057】
アリール基として、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、チエニル基、オキサジアゾリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、フラニル基、ピロリル基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基、オキサジアゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、チアゾリルオキシ基、フラニルオキシ基、ピロリルオキシ基などが挙げられる。
【0058】
アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、s-ブチル基、t-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、ビニル基、アリル基、シクロペンチル基、シクロヘプチル基などが挙げられる。アラルキル基として、ベンジル基などが挙げられる。これらの基はさらに置換されてもよく、その置換基として、ハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基又はメチレンジオキシ基などが挙げられる。
【0059】
また、環の形成もこれらの置換基を介してもよい。ケトン系化合物は
であり、上記式中、R3及びR4は、それぞれ独立して、任意に置換した又は置換していないアルキル基、任意に置換した又は置換していないアラルキル基、又は任意に置換した又は置換していないアリール基を示す。
【0060】
また、R3及びR4は、単独に、又は両方が結合されて置換又は無置換の環を形成することができる。R3及びR4は、好ましくは炭素数1~20の任意に置換した又は置換していないアルキル基、任意に置換した又は置換していないアラルキル基、又は任意に置換した又は置換していないアリール基であり、より好ましくは炭素数1~10の任意に置換した又は置換していないアルキル基、任意に置換した又は置換していないアラルキル基、又は任意に置換した又は置換していないアリール基である。
【0061】
アリール基として、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、チエニル基、オキサジアゾリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、フラニル基、ピロリル基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基、オキサジアゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、チアゾリルオキシ基、フラニルオキシ基、ピロリルオキシ基などが挙げられる。
【0062】
アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、s-ブチル基、t-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、ビニル基、アリル基、シクロペンチル基、シクロヘプチル基などが挙げられる。アラルキル基として、ベンジル基などが挙げられる。これらの基はさらに置換されてもよく、その置換基として、ハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基又はメチレンジオキシ基などが挙げられる。また、環の形成もこれらの置換基を介してもよい。
【0063】
反応式は以下のとおりである。


【0064】
本発明の1つの代表的な実施形態において、本発明のモノオキシゲナーゼ突然変異体はスロペネム側鎖合成に使用され、反応式は以下のとおりである。

【0065】
本発明で得られたモノオキシゲナーゼ突然変異体は、スロペネム側鎖の合成に使用することができ、放熱反応を回避し、高い光学純度の(R,R)-1-オキシ-3-ヒドロキシテトラヒドロチオフェン(転換率>99%、ee値95.0%)が得られ、この化合物の工業的生産のコストを大幅に削減させ、工業的生産におけるこの酵素の価値を高める。
【0066】
モノオキシゲナーゼは、モノオキシゲナーゼ突然変異体の溶液、凍結乾燥粉末、固定化酵素又は固定化細胞であってもよい。
【0067】
好ましくは、一原子酸素添加反応を触媒する補因子はNAD+/NADH及び/又はNADP+/NADPHであり、補因子循環系はグルコースとグルコースデヒドロゲナーゼ、ギ酸塩とギ酸脱水素酵素、グルコース6-リン酸とグルコース-6-リン酸脱水素酵素、第二級アルコール(例えばイソプロパノール)及び/又は第二級アルコール脱水素酵素及び類似の系を含み、最も好ましくはイソプロパノールとアルコール脱水素酵素が使用される。
【0068】
好ましくは、一原子酸素添加反応の触媒温度は10~37℃で、より好ましくは15~35℃であり、一原子酸素添加反応の触媒時間は3~48hで、より好ましくは6~16hであり、一原子酸素添加反応の触媒は、pH6.0~10.0の条件で、より好ましくはpH6.0~9.0の条件で行われ、このような反応条件では、酵素の触媒性能をよりよく発揮できる。
【0069】
以下、実施例にて本発明の有益な効果をさらに説明する。
【0070】
実施例1
モノオキシゲナーゼの部位特異的突然変異により(R,R)-1-オキシ-3-ヒドロキシテトラヒドロチオフェンを製造する反応特性の比較
50mLガラス三角フラスコにて、(R)-3-ヒドロキシテトラヒドロチオフェン100mgをイソプロパノール850μLに加えて、均一に混合し、pHを6.0~9.0に調整した後に、モノオキシゲナーゼ800mg、イソプロパノール脱水素酵素0.12g、50μL(20mg/mL)NADP+、0.1M Tris-HCl bufferを含む粗酵素液に加え、反応総体積を10mL、系pHを6.0~9.0として、15℃~30℃で保温して振とう反応を行った。
【0071】
16h後、反応系を700μL取り、それに無水エタノール1.4mLを加え、12000rpmで5min遠心分離し、上清に無水MgSO4を0.5g加えて水を除去し、12000rpmで5min遠心分離し、上清を取りN2で吹き乾かした後に、無水エタノール700μLで再溶解し、GC分析に送った。一部の突然変異体の反応特性を以下の表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
転換率は10%~50%では+、50%~90%では++、90%以上では+++であり、ee値は、-99%~-50%では*、-50%~0%では**である。
【0074】
単一部位突然変異体は、立体特異性も活性も原種よりも向上しているが、最適な効果を達成させず、このため、有益な活性部位の異なる組み合わせにより、より優れた突然変異体を獲得することができる。
【0075】
実施例2
モノオキシゲナーゼの組み合わせ突然変異により(R,R)-1-オキシ-3-ヒドロキシテトラヒドロチオフェンを製造する反応特性の比較
50mLガラス三角フラスコにて、(R)-3-ヒドロキシテトラヒドロチオフェン100mgをイソプロパノール850μLに加えて、均一に混合し、pHを6.0~9.0に調整した後に、モノオキシゲナーゼ800mg、イソプロパノール脱水素酵素0.12g、50μL(20mg/mL)NADP+、0.1M Tris-HCl bufferを含む粗酵素液に加え、反応総体積を10mL、系pHを6.0~9.0として、15℃~30℃で保温して振とう反応させた。
【0076】
16h後に、反応系を700μL取り、それに無水エタノール1.4mLを加え、12000rpmで5min遠心分離し、上清に無水MgSO4を0.5g加えて水を除去し、12000rpmで5min遠心分離し、上清を取りN2で吹き乾かした後に、無水エタノール700μLで再溶解し、GC分析に送った。一部の突然変異体の反応特性を以下の表2に示す。
【0077】
【表2】
【0078】
転換率は、10%~50%では+、50%~90%では++、90%以上では+++であり、ee値は、-99%~-50%では*、-50%~0%では**、0%~20%では***、20%~60%では****、60%~80%では*****、80%~99%では******である。
【0079】
実施例3
モノオキシゲナーゼの飽和突然変異により(R,R)-1-オキシ-3-ヒドロキシテトラヒドロチオフェンを製造する反応特性の比較
50mLガラス三角フラスコにて、(R)-3-ヒドロキシテトラヒドロチオフェン100mgをイソプロパノール850μLに加えて、均一に混合し、pHを6.0~9.0に調整した後に、モノオキシゲナーゼ800mg、イソプロパノール脱水素酵素0.12g、50μL(20mg/mL)NADP+、0.1M Tris-HCl bufferを含む粗酵素液に加え、反応総体積を10mL、系pHを6.0~9.0として、15℃~30℃で保温して振とう反応させた。
【0080】
16h後に、反応系を700μL取り、それに無水エタノール1.4mLを加え、12000rpmで5min遠心分離し、上清に無水MgSO4を0.5g加えて水を除去し、12000rpmで5min遠心分離し、上清を取りN2で吹き乾かした後に、無水エタノール700μLで再溶解し、GC分析に送った。一部の突然変異体の反応特性を以下の表3に示す。
【0081】
【表3】
【0082】
活性は、転換率10%~50%では+、50%~90%では++、90%以上では+++であり、ee値は、-99%~-50%では*、-50%~0%では**、0%~20%では***、20%~60%では****、60%~80%では*****、80%~99%では******である。
【0083】
反復飽和突然変異によって、立体特異性が向上した突然変異部位をオーバーラップして、ee値が安定的に向上した突然変異体が得られ、また、予備スクリーニングにより得られた活性部位のアミノ酸に対して組み合わせ飽和突然変異を行うことにより、進化過程において、進化結果が局所の最高点のみに限られてしまい、全体的な最高点に到達できないことを回避する。最終的には、立体特異性及び活性が最適な突然変異体が得られる。
【0084】
実施例4
部分的突然変異体により(R,R)-1-オキシ-3-ヒドロキシテトラヒドロチオフェンを製造する反応特性の比較
50mLガラス三角フラスコにて、(R)-3-ヒドロキシテトラヒドロチオフェン100mgをイソプロパノール850μLに加えて、均一に混合し、pHを6.0~9.0に調整した後に、モノオキシゲナーゼ800mg、イソプロパノール脱水素酵素0.12g、50μL(20mg/mL)NADP+、0.1M Tris-HCl bufferを含む粗酵素液に加え、反応総体積を10mL、系pHを6.0~9.0として、15℃~30℃で保温して振とう反応させた。
【0085】
16h後に、反応系を700μL取り、それに無水エタノール1.4mLを加え、12000rpmで5min遠心分離し、上清に無水MgSO4を0.5g加えて水を除去し、12000rpmで5min遠心分離し、上清を取りN2で吹き乾かした後に、無水エタノール700μLで再溶解し、GC分析に送った。一部の突然変異体の反応特性を以下の表4に示す。
【0086】
【表4】
【0087】
活性は、転換率10%~50%では+、50%~90%では++、90%以上では+++であり、ee値は、-99%~-50%では*、-50%~0%では**、0%~20%では***、20%~60%では****、60%~80%では*****、80%~99%では******である。
【0088】
実施例5
(R,R)-1-オキシ-3-ヒドロキシテトラヒドロチオフェンの製造におけるモノオキシゲナーゼの使用
500mLガラス三角フラスコにて、(R)-3-ヒドロキシテトラヒドロチオフェン1gをイソプロパノール8.5mLに加えて、均一に混合し、pHを6.0~9.0に調整し、モノオキシゲナーゼ2g、イソプロパノール脱水素酵素0.4g、500μL(20mg/mL)NADP+、0.1M Tris-HCl bufferを含む粗酵素液に滴下し、反応総体積を100mL、系pHを6.0~9.0として、15℃~30℃で保温して振とう反応させた。
【0089】
16h後に、反応系を700μL取り、それに無水エタノール1.4mLを加え、12000rpmで5min遠心分離し、上清に無水MgSO4を0.5g加えて水を除去し、12000rpmで5min遠心分離し、上清を取りN2で吹き乾かした後に、無水エタノール700μLで再溶解し、GC分析に送り、反応結果を以下の表5に示す。
【0090】
【表5】
【0091】
活性は、転換率10%~50%では+、50%~90%では++、90%以上では+++であり、ee値は、-99%~-50%では*、-50%~0%では**、0%~20%では***、20%~60%では****、60%~80%では*****、80%~99%では******であり、収率は、0%~20%では#、20%~40%では##、40%~60%では###である。
【0092】
実施例6
基質としての4-メチルシクロヘキサノンに対するモノオキシゲナーゼ突然変異体の反応特性の比較
50mLガラス三角フラスコにて、4-メチルシクロヘキサノン100mgをイソプロパノール850μLに加えて、均一に混合し、pHを6.0~9.0に調整した後に、モノオキシゲナーゼ800mg、イソプロパノール脱水素酵素0.12g、50μL(20mg/mL)NADP+、0.1M Tris-HCl bufferを含む粗酵素液に加え、反応総体積を10mL、系pHを6.0~9.0として、15℃~30℃で保温して振とう反応させた。
【0093】
16h後に、反応系を700μL取り、それにアセトニトリル1.4mLを加え、12000rpmで5min遠心分離し、上清を取りHPLC分析に送った。突然変異体の反応特性を以下の表6に示す。
【0094】
【表6】
【0095】
活性は、転換率10%~50%では+、50%~80%では++、80%以上では+++である。
【0096】
実施例7
基質としてのチオアニソールに対するモノオキシゲナーゼ突然変異体の反応特性の比較
50mLガラス三角フラスコにて、チオアニソール100mgをイソプロパノール850μLに加えて、均一に混合し、pHを6.0~9.0に調整した後に、モノオキシゲナーゼ800mg、イソプロパノール脱水素酵素0.12g、50μL(20mg/mL)NADP+、0.1M Tris-HCl bufferを含む粗酵素液に加え、反応総体積を10mL、系pHを6.0~9.0として、15℃~30℃で保温して振とう反応させた。
【0097】
16h後に、反応系を700μL取り、それにアセトニトリル1.4mLを加え、12000rpmで5min遠心分離し、上清を取りHPLC分析に送った。一部の突然変異体の反応特性を以下の表7に示す。
【0098】
【表7】
【0099】
活性は、転換率10%~50%では+、50%~90%では++、90%以上では+++であり、ee値は、0%~20%では*、20%~60%では**、60%~80%では***、80%~99%では****である。
【0100】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、当業者が分かるように、本発明には様々な変更や変化があってもよい。本発明の趣旨及び原則を逸脱することなく行われる修正、同等置換や改良などであれば、本発明の特許範囲に含まれるものとする。
【配列表】
2022523225000001.app
【国際調査報告】