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特表2022-523240軸受、アセンブリ、ならびにその製造および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】軸受、アセンブリ、ならびにその製造および使用方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/04 20060101AFI20220414BHJP
   F16C 17/10 20060101ALI20220414BHJP
   F16C 33/20 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
F16C33/04
F16C17/10 Z
F16C33/20 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552907
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(85)【翻訳文提出日】2021-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2020058181
(87)【国際公開番号】W WO2020193559
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】62/823,791
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508298237
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスチックス パンプス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イェーガー、ハンス - ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】オエツテュエルク、アリ
(72)【発明者】
【氏名】クームメル、ベンヤミン
【テーマコード(参考)】
3J011
【Fターム(参考)】
3J011AA20
3J011BA06
3J011DA01
3J011KA04
3J011LA04
3J011MA01
3J011MA02
3J011MA12
3J011QA01
3J011SA01
3J011SB01
3J011SB02
3J011SB03
3J011SB04
3J011SC01
(57)【要約】
軸受は、厚さTを有するアルミニウム合金を含む基材層であって、T≦0.6mmである基材層と、接着層と、接着層を覆う低摩擦材料層と、を含み、軸受は、≧23%の破断伸びA50を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受であって、
≦0.6mmの厚さを有するアルミニウム合金を含む基材層と、
接着層と、
前記接着層を覆う低摩擦材料層と、を備え、前記軸受が、≧23%の破断伸びを有する、軸受。
【請求項2】
アセンブリであって、
内側部材と、
外側部材と、
前記内側部材と前記外側部材との間に配置された軸受と、を備え、前記軸受が、
≦0.6mmの厚さを有するアルミニウム合金を含む基材層と、
接着層と、
前記接着層を覆う低摩擦材料層と、を備え、前記軸受が、≧23%の破断伸びを有する、アセンブリ。
【請求項3】
前記基材層が、アルミニウム合金を備え、前記アルミニウム合金が、
96.8~99重量%のアルミニウムと、
0.05から0.20重量%の銅と、
0~0.70重量%の鉄と、
1から1.5重量%のマンガンと、
0~0.6重量%のケイ素と、
0~0.1重量%の亜鉛と、を含む、先行する請求項1または2に記載の軸受またはアセンブリ。
【請求項4】
前記軸受が、約90N/mm2から約140N/mmの間の値を有する引張強度を有する、請求項1または2に記載の軸受またはアセンブリ。
【請求項5】
前記軸受が、≧35N/mmの値を有する降伏点を有する、請求項1または2に記載の軸受またはアセンブリ。
【請求項6】
前記軸受が、軸方向軸受部および径方向フランジを備える、請求項1または2に記載の軸受またはアセンブリ。
【請求項7】
前記径方向フランジが、0.75mm未満の厚さを有する、請求項6に記載の軸受またはアセンブリ。
【請求項8】
前記接着層が、前記基材と前記低摩擦材料層との間に配置される、請求項1または2に記載の軸受またはアセンブリ。
【請求項9】
前記接着層が、0.02mmから0.1mmの間の厚さを有する、請求項8に記載の軸受またはアセンブリ。
【請求項10】
前記接着層が、フルオロポリマーを含む、請求項8に記載の軸受またはアセンブリ。
【請求項11】
前記基材層が、0.1mmから0.5mmの間の厚さを有する、請求項1または2に記載の軸受またはアセンブリ。
【請求項12】
前記低摩擦層が、0.05mmから0.25mmの間の厚さを有する、請求項1または2に記載の軸受またはアセンブリ。
【請求項13】
前記基材が、アルミニウム3003合金を含む、請求項1または2に記載の軸受またはアセンブリ。
【請求項14】
前記低摩擦材料層が、フルオロポリマーを含む、請求項1または2に記載の軸受またはアセンブリ。
【請求項15】
前記径方向フランジが軸方向分割部を含む、請求項6に記載の軸受またはアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、軸受ならびにそれらのアセンブリにおける製造および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
基材層および低摩擦材料層被覆部からなる複合材料から製造された軸受が一般に知られている。基材層および低摩擦材料層は、通常、適当な接着剤を用いて積層することにより接続される。複合材料は、例えば、自動車産業によってドア、フード、およびエンジン室ヒンジ、シート、ステアリングコラム、フライホイール、バランサシャフト軸受、または他の車両部品に使用される軸受を形成するために使用されることができる。さらに、複合材料から形成された軸受はまた、非自動車用途にも使用されることができる。様々な条件下で改善された軸受が継続的に必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
添付の図面を参照することにより、本開示は、よりよく理解されることができ、その多くの特徴および利点は、当業者にとって明らかになるであろう。
図1】いくつかの実施形態にかかる軸受の層構造の図である。
図2A】いくつかの実施形態にかかる軸受の層構造の図である。
図2B】いくつかの実施形態にかかる軸受の層構造の図である。
図3A】いくつかの実施形態にかかる軸受の図である。
図3B】いくつかの実施形態にかかる軸受の図である。
図3C】いくつかの実施形態にかかる軸受の図である。
図3D】いくつかの実施形態にかかる軸受の図である。
図3E】いくつかの実施形態にかかる軸受の図である。
図3F】いくつかの実施形態にかかる軸受の図である。
図4】いくつかの実施形態にかかるアセンブリ内の軸受の図である。
図5】いくつかの実施形態にかかるアセンブリ内の軸受の図である。
図6】いくつかの実施形態にかかるアセンブリ内の軸受の図である。
図7】いくつかの実施形態にかかるアセンブリ内の軸受の図である。
図8】いくつかの実施形態にかかるアセンブリ内の軸受の図である。
図9】いくつかの実施形態にかかる既存の従来技術の軸受と比較した、軸受の材料厚さに関連する壁厚減少に対する軸受の内径に対するサイジングピンオーバーサイズのグラフである。
図10】いくつかの実施形態にかかる既存の従来技術の軸受と比較した、軸受の達成可能なフランジ幅に対する軸受の内径のグラフである。
【0004】
当業者は、図中の要素が単純化および明瞭化のために示されており、必ずしも縮尺どおりに描かれていないことを理解している。例えば、図中の要素のいくつかの寸法は、本発明の実施形態の理解を改善するのを助けるために、他の要素に対して誇張されている場合がある。異なる図面における同じ参照符号の使用は、同様のまたは同一の物品を示している。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図面と組み合わせた以下の説明は、本明細書に開示される教示を理解するのを助けるために提供される。以下の説明は、本教示の具体的な実装および実施形態に焦点を合わせるであろう。この焦点は、本教示を説明するのを助けるために提供されており、本教示の範囲または適用性に対する限定として解釈されるべきではない。しかしながら、本出願で開示される教示に基づいて他の実施形態を使用することができる。
【0006】
用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、またはその任意の他の変形は、非排他的包含を含むことを意図する。例えば、特徴のリストを備える方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されず、そのような方法、物品、または装置に明示的にリスト化されていないかまたは固有ではない他の特徴を含んでもよい。さらに、そうではないと明示的に述べられていない限り、「または(or)」は、包含的な「または」を指し、排他的な「または」を指さない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれかによって満たされる:Aは真(または存在する)かつBは偽(または存在しない)、Aは偽(または存在しない)かつBは真(または存在する)、およびAとBの両方が真(または存在する)である。
【0007】
また、「1つ(a)」または「1つ(an)」の使用は、本明細書に記載の要素および構成要素を説明するために使用される。これは、単に便宜上および本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われている。この説明は、他を意味することが明確でない限り、1つ、少なくとも1つ、または複数も含む単数形、またはその逆を含むように読む必要がある。例えば、本明細書で単一の実施形態が説明される場合、単一の実施形態の代わりに複数の実施形態が使用されることができる。同様に、本明細書で複数の実施形態が説明される場合、単一の実施形態は、その複数の実施形態の代わりにすることができる。
【0008】
他に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。材料、方法、および例は、例示的なものにすぎず、限定的であることを意図しない。本明細書に記載されていない範囲で、特定の材料および処理行為に関する多くの詳細は、従来のものであり、軸受または軸受アセンブリ技術内の教科書および他のソースにおいてみることができる。
【0009】
図1は、全体が100で指定される軸受の様々な層を示す断面図を示している。軸受100は、基材層102を含むことができる。軸受100は、低摩擦材料層110を含むことができる。軸受100は、接着層112を含むことができる。
【0010】
基材層102は、金属支持層とすることができる。金属支持層は、炭素鋼、ばね鋼などを含む鋼、鉄、アルミニウム、亜鉛、銅、マグネシウム、またはそれらの任意の組み合わせなどの金属または金属合金を含むことができる。特定の実施形態では、基材層102は、アルミニウムなどの金属(金属合金を含む)とすることができる。より特定の実施形態では、基材層102は、アルミニウム3003合金とすることができる。いくつかの実施形態では、基材層103は、以下の組成を有することができる:96.8~99重量%のアルミニウム、0.05から0.20重量%の銅、0~0.70重量%の鉄、1から1.5重量%のマンガン、0~0.6重量%のケイ素、および0~0.1重量%の亜鉛。基材層102は、約1ミクロン~約1000ミクロン、例えば、約50ミクロン~約500ミクロン、例えば、約100ミクロン~約250ミクロン、例えば、約75ミクロン~約150ミクロンの厚さTsを有することができる。いくつかの実施形態では、基材層102は、約100ミクロン~500ミクロンの厚さTsを有することができる。いくつかの実施形態では、基材層102は、約350ミクロン~450ミクロンの厚さTsを有することができる。基材層102の厚さTsは、上記の最小値および最大値の任意の間の任意の値とすることができることがさらに認識されるであろう。例えば、基材層102の厚さTsは、380ミクロンとすることができる。
【0011】
低摩擦材料層110は、基材層102に塗布されることができる。低摩擦材料層110は、ポリマーを含むことができる。例示的な実施形態では、低摩擦材料層110は、フルオロポリマーを含むことができる。低摩擦材料層110に使用されることができるポリマーの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ペルフルオロアルコキシポリマー、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリウレタン、ポリエステル、またはそれらの任意の組み合わせを含む。さらに、低摩擦材料層110は、摩擦低減フィラーなどのフィラーを含むことができる。低摩擦材料層110に使用されることができるフィラーの例は、ガラス繊維、炭素繊維、シリコン、グラファイト、PEEK、二硫化モリブデン、芳香族ポリエステル、炭素粒子、青銅、フルオロポリマー、熱可塑性フィラー、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、ポリアミドイミド(PAI)、PPS、ポリフェニレンスルホン(PPSO2)、液晶ポリマー(LCP)、芳香族ポリエステル(エコノール)、および珪灰石や硫酸バリウムなどの鉱物粒子、またはそれらの任意の組み合わせを含むフィラーをさらに含む。フィラーは、ビーズ、繊維、粉末、メッシュ、またはそれらの任意の組み合わせの形態とすることができる。低摩擦材料層110は、約1ミクロン~約500ミクロン、例えば、約10ミクロン~約250ミクロン、例えば、約30ミクロン~約150ミクロン、例えば、約40ミクロン~約100ミクロンの厚さTsを有することができる。いくつかの実施形態では、低摩擦材料層110は、約50ミクロン~330ミクロンの厚さTsを有することができる。低摩擦材料層110の厚さTsは、上記の最小値と最大値のいずれかの間の任意の値とすることができることがさらに理解されよう。例えば、低摩擦材料層110の厚さTsは、100ミクロンとすることができる。
【0012】
低摩擦材料層110は、接着層112によって基材層102に塗布されることができる。接着層112は、低摩擦材料層110と基材層102との間に配置されることができる。図2に示す別の代替実施形態では、織メッシュまたはエキスパンドメタルグリッド120が、2つの接着層112Aおよび112Bの間に埋め込まれてもよい。接着層112は、ホットメルト接着剤とすることができる。接着層112に使用されることができる接着剤の例は、フルオロポリマー、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル/ポリアミド共重合体、エチレンビニルアセテート、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ETFE共重合体、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。さらに、接着層112は、-C=O、-C-O-R、-COH、-COOH、-COOR、-CF=CF-OR、またはそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの官能基を含むことができ、Rは、1~20個の炭素原子を含有する環状または線状の有機基である。特定の実施形態では、接着層112は、フルオロポリマー接着剤とすることができる。さらに、接着層112は、コポリマーを含むことができる。実施形態では、ホットメルト接着剤は、約220℃以下など、約250℃以下の融点を有することができる。他の実施形態では、接着層112は、約220℃を超えるなど、約200℃を超えると破壊してもよい。さらなる実施形態では、ホットメルト接着剤の融点は、250℃よりも高く、さらには300℃よりも高くすることができる。接着層112は、約10ミクロンから50ミクロンなど、約1ミクロンから100ミクロンの厚さTALを有することができる。例えば、接着層112の厚さTALは、27.5ミクロンとすることができる。
【0013】
図2Aは、全体が150で指定される軸受の様々な層を示す断面図を示している。この特定の実施形態によれば、軸受150は、この軸受150がまた少なくとも1つの腐食保護層104、106を含むことができることを除いて、図1の軸受100と同様とすることができる。基材層102は、処理前の基材層の腐食を防ぐために腐食保護層104および106によってコーティングされることができる。さらに、一時的な腐食保護層108は、層104の上に塗布されることができる。層104、106、および108のそれぞれは、約7ミクロンから約15ミクロンの間など、約1ミクロンから約50ミクロンの間の厚さを有することができる。層104および106は、亜鉛、鉄、マンガン、またはそれらの任意の組み合わせのリン酸塩を含むことができる。さらに、層は、ナノセラミック層とすることができる。さらに、層104および106は、官能性シラン、ナノスケールシランベースのプライマー、加水分解シラン、オルガノシラン接着促進剤、溶媒/水ベースのシランプライマー、塩素化ポリオレフィン、不動態化表面、市販の亜鉛(機械的/ガルバニック)または亜鉛ニッケルコーティング、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。層108は、官能性シラン、ナノスケールシラン系プライマー、加水分解シラン、オルガノシラン接着促進剤、溶媒/水系シランプライマーを含むことができる。一時的な腐食保護層104、106、および108は、処理中に除去または保持されることができる。
【0014】
基材層102の低摩擦材料層110とは反対側の表面には、耐食性コーティング114が塗布されることができる。耐食性コーティング114は、約1ミクロン~約50ミクロンの間、例えば、約5ミクロン~約20ミクロンの間、例えば、約7ミクロン~約15ミクロンの間の厚さを有することができる。耐食性コーティング114は、接着促進剤層116およびエポキシ層118を含むことができる。接着促進剤層116は、亜鉛、鉄、マンガン、スズのリン酸塩、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。さらに、接着促進剤層116は、ナノセラミック層とすることができる。接着促進剤層116は、官能性シラン、ナノスケールシランベースの層、加水分解シラン、オルガノシラン接着促進剤、溶媒/水ベースのシランプライマー、塩素化ポリオレフィン、不動態化表面、市販の亜鉛(機械的/ガルバニック)もしくは亜鉛ニッケルコーティング、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0015】
エポキシ層118は、熱硬化エポキシ、UV硬化エポキシ、IR硬化エポキシ、電子ビーム硬化エポキシ、放射線硬化エポキシ、または空気硬化エポキシとすることができる。さらに、エポキシ樹脂は、ポリグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、オキシラン、オキサシクロプロパン、エチレンオキシド、1,2-エポキシプロパン、2-メチルオキシラン、9,10-エポキシ-9,10-ジヒドロアントラセン、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。エポキシ樹脂は、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ホルムアルデヒドを含むベンゾグアナミン、またはそれらの任意の組み合わせに基づく合成樹脂変性エポキシを含むことができる。例として、エポキシは、モノエポキシド、ビスエポキシド、直鎖トリスエポキシド、分岐トリスエポキシド、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができ、Cは、場合により水素原子を置換するハロゲン原子Xを有する直鎖または分岐飽和または不飽和炭素鎖であり、場合により窒素、リン、ホウ素などの原子が存在し、Bは、炭素、窒素、酸素、リン、ホウ素、硫黄などのうちの1つである。
【0016】
エポキシ樹脂は、硬化剤をさらに含むことができる。硬化剤は、アミン、酸無水物、フェノールノボラックポリ[N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド](PHPMI)などのフェノールノボラック硬化剤、レゾールフェノールホルムアルデヒド、脂肪アミン化合物、ポリカルボン酸無水物、ポリアクリレート、イソシアネート、カプセル化ポリイソシアネート、三フッ化ホウ素アミン錯体、クロムベースの硬化剤、ポリアミド、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。一般に、酸無水物は、式R-C=O-O-C=O-R’に適合することができ、Rは、上述したようにCとすることができる。アミンは、モノエチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンなどの脂肪族アミン、脂環式アミン、環状脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、アミドアミン、ポリアミド、ジシアンジアミド、イミダゾール誘導体などの芳香族アミン、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。一般に、アミンは、式RNに適合する第一級アミン、第二級アミン、または第三級アミンとすることができ、ここで、Rは、上で説明したようにCとすることができる。
【0017】
一実施形態では、エポキシ層118は、炭素フィラー、炭素繊維、炭素粒子、黒鉛、青銅、アルミニウム、および他の金属材料、ならびにそれらの合金などの金属フィラー、金属酸化物フィラー、金属コーティング炭素フィラー、金属コーティングポリマーフィラー、またはそれらの任意の組み合わせなどの、導電率を向上させるためのフィラーを含むことができる。導電性フィラーは、電流がエポキシコーティングを通過することを可能にすることができ、導電性フィラーのないコーティングされた軸受と比較して、コーティングされた軸受の導電率を高めることができる。
【0018】
一実施形態では、エポキシ層は、軸受の耐食性を高めることができる。例えば、エポキシ層118などのエポキシ層は、水、塩などの腐食性要素が基材層に接触するのを実質的に防止することができ、それによって基材層の化学腐食を抑制する。さらに、エポキシ層は、異種金属間の接触を防止することによって、ハウジングまたは基材層のガルバニック腐食を抑制することができる。例えば、エポキシ層のないアルミニウム軸受をマグネシウムハウジング内に配置することは、マグネシウムを酸化させる可能性がある。しかしながら、エポキシ層118などのエポキシ層は、アルミニウム基材がマグネシウムハウジングに接触するのを防止し、ガルバニック反応による腐食を抑制することができる。
【0019】
図2Bは、全体が175で指定される軸受の様々な層を示す断面図を示している。この特定の実施形態によれば、軸受175は、この軸受175がまた2つの接着層112Aおよび112Bの間に埋め込まれた織メッシュまたはエキスパンドメタルグリッド120を含むことができることを除いて、図2Aの軸受100と同様とすることができる。実施形態では、低摩擦材料層110は、織メッシュまたはエキスパンドメタルグリッドを含むことができる。織メッシュまたはエキスパンドメタルグリッドは、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、青銅などの金属または金属合金を含むことができる。代替的に、織メッシュは、織ポリマーメッシュとすることができる。代替実施形態では、低摩擦材料層は、メッシュまたはグリッドを含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、基材層102は、シートの開口部を通してカレンダ加工または積層することによって低摩擦材料層110に封入されてもよい。シートは、径方向内面および外面を有する基材層102に形成されてもよい。低摩擦材料層110は、基材層102の径方向内面および外面のうちの少なくとも一方が低摩擦材料層110内に位置することができるように、基材層102を封入することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、図1図2Bに示すように、軸受100は、厚さTを有することができ、Tは、≧0.1mm、例えば、≧0.25mm、≧0.5mm、≧1mm、≧1.5mm、≧2mm、または≧2.5mmとすることができる。別の態様では、Tは、≦2.0mm、≦1.5mm、≦1mm、≦0.5mm、≦0.25mm、または≦0.1mmとすることができる。軸受100は、上記の最小値と最大値のいずれかの間の範囲内とすることができる厚さTを有することができることが理解されよう。軸受100は、上記の最小値と最大値のいずれかの間のいずれかの値とすることができる厚さTを有することができることがさらに理解されよう。例えば、軸受100は、0.5mmとすることができる厚さTを有することができる。
【0021】
軸受(以下において全体が100で指定されるが、上記の軸受150、175の構成要素のいずれかを含むことができる)を形成する方法に目を向けると、低摩擦材料層110は、積層シートを形成するために溶融接着剤112を使用して基材層102に接着されることができる。積層シートは、軸受に形成されることができるストリップまたはブランクに切断されることができる。積層シートを切断することは、基材層の露出部を含む切断縁部を形成することができる。ブランクは、所望の形状の半完成軸受を形成するために積層体を圧延およびフランジ加工することなどによって、軸受100に形成されることができる。
【0022】
例示の目的のために、図3Aから図3Fは、ブランクから形成されることができるいくつかの軸受100の形状を示している。図3Aは、圧延によって形成されることができる円筒状軸受100を示している。図3Bは、圧延およびフランジ加工によって形成されることができるフランジ付き軸受100を示している。図3Cは、テーパ部分を圧延し、端部をフランジ加工することによって形成されることができるテーパ円筒部分を有するフランジ付き軸受100を示している。図3Dは、フランジ付き軸受100を介して取り付けられたシャフトピンを有するハウジング内に取り付けられたフランジ付き軸受100を示している。図3Eは、両側フランジ付き軸受100を介して取り付けられたシャフトピンを有するハウジングに取り付けられた両側フランジ付き軸受100を示している。図3Fは、圧延およびフランジ加工ではなく、打ち抜きおよび冷間深絞りプロセスを使用して形成されることができるL型軸受100を示している。
【0023】
ここで図3A図3Bを参照すると、いくつかの特定の実施形態では、軸受は、平軸受100とすることができる。いくつかの実施形態では、軸受100は、滑り軸受とすることができる。軸受100は、中心軸500に対して軸方向に延在することができる。中心軸500は、軸受100の長さを下って縦方向とすることができる。軸受100は、第1の軸方向端部または縁部3および第2の軸方向端部または縁部5を有する環状形状を形成する側壁14を含むことができる。軸受は、外側径方向端部または縁部7と、内側径方向端部または縁部6とを有することができる。いくつかの実施形態では、軸受100は、非平面形状を有することができる。軸受100は、実質的にL字形の環状形状を有することができる。換言すれば、軸受100は、図3Bに示すように、径方向および軸方向に延在するL字形軸受断面を有してもよい。軸受の他の環状形状が可能である。いくつかの実施形態では、図3Aに示される軸受100は、始めに平坦な材料として存在し得る適切に寸法決めされた軸受複合材の部品を圧延することにより製造されることができる。圧延された材料部品の両端部は、軸受側壁14を下る軸方向に走る軸方向間隙30において結合されることができる。軸受100の対称軸500に対して任意の非線形方式でおよび/または斜めに走る軸方向間隙30もまた可能である。いくつかの特定の実施形態では、軸方向間隙30は、軸受100を形成するために他の手段によって溶接または他の方法で結合されてもよい。いくつかの実施形態では、軸受100の組み立てを容易にするために、軸方向間隙30は、結合されないままであってもよい。さらに図3Aを参照すると、軸受100は、孔50を含むことができる。孔50は、軸受100の軸方向長さに下って延び、アセンブリの別の構成要素に結合するように適合されることができる。孔50は、中心軸500に対して平行または平面とすることができる。孔50の形成は、穿孔または打ち抜きによってシートに孔を形成することを含むことができる。シートへの幾何学的形状の製作は、シートプロファイルを形成するために、波、球、または円錐を圧印、形成、または深絞りすることによって達成されてもよい。いくつかの実施形態では、L字形軸受100は、(図3Bに示されるように)成形軸受100を打ち抜くことを含む深絞りプロセスによって達成されることができる。
【0024】
ここで図3Bを参照すると、軸受100は、径方向軸受部10を含むことができる。径方向軸受部10は、軸方向に延在する基部領域12の形態とすることができる。径方向軸受部10は、第1の軸方向端部3から第2の軸方向端部5まで延在することができる。径方向軸受部10は、軸受100の側壁14上にあってもよい。軸受100は、軸方向軸受部20をさらに含むことができる。軸方向軸受部20は、軸受100の側壁14上にあってもよい。軸方向間隙30は、軸方向軸受部20を軸方向に下って延びることができる。軸方向軸受部20は、径方向フランジ22の形態とすることができる。軸方向軸受部20または径方向フランジ22は、外側径方向端部または縁部7において中心軸500から延在することができる。いくつかの実施形態では、孔50は、軸受100内の孔50の縁部を画定する内側径方向端部または縁部6を設けることにより、径方向に軸方向軸受部20を分けることができる。いくつかの実施形態では、外側径方向端部7は、中心軸500から径方向に測定されるときに軸受100の外半径ORを形成することができる。いくつかの実施形態では、内側径方向端部6は、中心軸500から径方向に測定されるときに軸受100の内半径IRを形成することができる。換言すれば、径方向フランジ22WRFの径方向幅は、外半径ORと内半径IRとの距離の差からの距離とすることができる。いくつかの実施形態では、径方向フランジ22は、軸方向分割部26を含むことができる。軸方向分割部26は、間隙を提供することができる。特定の実施形態では、軸方向分割部26は、側壁14の軸方向間隙30と連続する径方向フランジ22を含むことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、図3Bに示すように、径方向フランジ22は、約1ミクロン~約3500ミクロン、例えば、約100ミクロン~約2000ミクロン、例えば、約250ミクロン~約1000ミクロン、例えば、約450ミクロン~約800ミクロンの厚さTRFを有することができる。径方向フランジ22は、上記の最小値と最大値のいずれかの間の範囲内とすることができる厚さTRFを有することができることがさらに理解されよう。径方向フランジ22は、上記の最小値と最大値のいずれかの間の任意の値とすることができる厚さTRFを有することができることがさらに理解されよう。
【0026】
いくつかの実施形態では、図3A図3Bに示すように、軸受100は、中心軸500から内側径方向端部6までの全体内半径IRを有することができ、IRは、≧1mm、例えば、≧5mm、≧7.5mm、≧10mm、≧15mm、または≧20mmとすることができる。内半径IRは、≦20mm、例えば、≦15mm、≦10mm、≦7.5mm、≦5mm、または≦1mmとすることができる。内半径IRは、軸受100の円周に沿って変化してもよい。いくつかの実施形態では、軸受100は、約1から6mmの全体内半径IRを有することができる。軸受100は、上記の最小値と最大値のいずれかの間の範囲内とすることができる全体内半径IRを有することができることが理解されよう。軸受100は、上記の最小値と最大値のいずれかの間のいずれかの値とすることができる全体内半径IRを有することができることがさらに理解されよう。
【0027】
いくつかの実施形態では、図3A図3Bに示すように、軸受100は、中心軸500から外側径方向端部7までの全体外半径ORを有することができ、ORは、≧0.5mm、例えば、≧1mm、≧5mm、≧10mm、≧15mm、または≧20mmとすることができる。外半径ORは、≦35mm、例えば、≦30mm、≦20mm、≦15mm、≦10mm、または≦5mmとすることができる。全体外半径ORは、軸受100の円周に沿って変化してもよい。いくつかの実施形態では、軸受100は、約3mmから15mmの全体外半径ORを有することができる。軸受100は、上記の最小値と最大値のいずれかの間の範囲内とすることができる全体外半径ORを有することができることが理解されよう。軸受100は、上記の最小値と最大値のいずれかの間のいずれかの値とすることができる全体外半径ORを有することができることがさらに理解されよう。さらに、上述したように、径方向フランジ22WRFの径方向幅は、外半径ORと内半径IRとの距離の差からの距離とすることができる。いくつかの実施形態では、径方向フランジ22の径方向幅WRFは、1から10mmの間とすることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、図3A図3Bに示すように、軸受100は、第1の軸方向端部3から第2の軸方向端部5までの全長Lを有することができ、Lは、≧0.5mm、≧0.75mm、≧1mm、≧2mm、≧5mm、または≧10mmとすることができる。長さLは、≦10mm、例えば、≦7.5mm、≦5mm、≦2.5mm、または≦1mmとすることができる。いくつかの実施形態では、軸受100は、約5から50mmの間の全長Lを有することができる。軸受100は、上記の最小値と最大値のいずれかの間の範囲内とすることができる全長Lを有することができることが理解されよう。軸受100は、上記の最小値および最大値のうちのいずれかの間の任意の値とすることができることがさらに理解されよう。
【0029】
いくつかの実施形態では、軸受100は、アセンブリ1000に含まれてもよい。アセンブリ1000は、内側部材28と、外側部材30と、をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、軸受100は、内側部材28と外側部材30との間に配置されてもよい。図4および図5は、自動車のドアヒンジ、フードヒンジ、エンジン室ヒンジなどの例示的なヒンジ400の形態のアセンブリ1000を示している。ヒンジ400は、内側部材28(内側ヒンジ部402など)および外側ヒンジ部404を含むことができる。ヒンジ部402および404は、外側部材30(リベット406および408など)と軸受410および412とによって接合可能である。軸受410および412は、本明細書で前述し、符号100で示すように、本明細書の実施形態の軸受とすることができる。図5は、リベット408および軸受412をより詳細に示すヒンジ400の断面を示している。
【0030】
図6は、自動車のドアヒンジ、フードヒンジ、エンジン室ヒンジなどの別の例示的なヒンジ600の形態のアセンブリ1000を示している。ヒンジ600は、ピン606および軸受608によって接合された第1のヒンジ部602および第2のヒンジ部604を含むことができる。軸受608は、前述の軸受とすることができる。
【0031】
例示的な実施形態では、図7は、軸受704を含む分解された自動車のドアヒンジの部品を含む別のヒンジアセンブリ700の実施形態の形態のアセンブリ1000の非限定的な例を示している。図7は、プロファイルヒンジの例である。軸受700は、ヒンジドア部品706に挿入されることができる。軸受704は、前述のように、本明細書の実施形態の軸受とすることができる。リベット708は、ヒンジドア部品706とヒンジ本体部品710とを橋渡しする。リベット708は、止めねじ712を介してヒンジ本体部品710と締め付けられ、ワッシャ702を介してヒンジドア部品706と所定の位置に保持することができる。
【0032】
図8は、自転車またはオートバイなどの二輪車用の例示的なヘッドセットアセンブリ800の形態のアセンブリ1000を示している。ステアリングチューブ802は、ヘッドチューブ804に挿入されることができる。ステアリングチューブ802とヘッドチューブ804との間に軸受806および808が配置されて、アライメントを維持し、ステアリングチューブ802とヘッドチューブ804との間の接触を防止することができる。軸受806および808は、前述のように、本明細書の実施形態の軸受とすることができる。さらに、シール810および812は、汚れおよび他の粒子状物質による軸受の摺動面の汚染を防止することができる。
【0033】
上記のそのようなアセンブリは、全て例示的なものであり、潜在的な他のアセンブリにおける軸受100の使用を限定することを意味するものではない。例えば、軸受100は、パワートレインアセンブリ用途(ベルトテンショナなど)または限られたスペースを有する他のアセンブリ用途のためのアセンブリ1000において使用されることができる。
【0034】
実施形態では、軸受100は、破断伸びA50を有することができ、A50は、少なくとも20、少なくとも35、少なくとも45、少なくとも50、さらには少なくとも60とすることができる。さらなる実施形態では、軸受100は、破断伸びA50を有することができ、A50は、75以下、例えば、50以下、または35以下とすることができる。破断伸びA50は、上記の最小値および最大値のうちのいずれかの間の範囲内とすることができることがさらに理解されよう。破断伸びA50は、上記の最小値および最大値のうちのいずれかの間の任意の値とすることができることがさらに理解されよう。例えば、破断伸びA50は、≧23%とすることができる。
【0035】
実施形態では、軸受100は、引張強度Rを有することができ、Rは、少なくとも75N/mmまたは少なくとも100N/mmとすることができる。さらなる実施形態では、軸受100は、引張強度Rを有することができ、Rは、1,000N/mm以下、例えば、500N/mm以下または250N/mm以下とすることができる。引張強度Rは、上記の最小値および最大値のうちのいずれかの間の範囲内とすることができることが理解されよう。引張強度Rは、上記の最小値および最大値のいずれかの間のいずれかの値とすることができることがさらに理解されよう。例えば、引張強度Rは、90から140N/mmの間とすることができる。
【0036】
実施形態では、軸受100は、降伏点Yを有することができ、Yは、少なくとも25N/mm、少なくとも50N/mm、少なくとも75N/mm、少なくとも100N/mm、さらには少なくとも150N/mmとすることができる。さらなる実施形態では、軸受100は、降伏点Yを有することができ、Yは、500N/mm以下、例えば、250N/mm以下、100N/mm以下、または75N/mm以下とすることができる。引張強度Rは、上記の最小値および最大値のうちのいずれかの間の範囲内とすることができることが理解されよう。引張強度Rは、上記の最小値および最大値のいずれかの間のいずれかの値とすることができることがさらに理解されよう。例えば、降伏点Yは、≧35N/mmとすることができる。
【0037】
図9は、いくつかの実施形態にかかる既存の従来技術の軸受と比較した、軸受の材料厚さに関連する壁厚減少に対する軸受の内径に対するサイジングピンオーバーサイズのグラフを示している。軸受Aは、本明細書に示される実施形態にかかる軸受100である。軸受Bは、本明細書に示される実施形態にかかるポリテトラフルオロエチレンを含む低摩擦層が埋め込まれた金属グリッド基材を有する非金属裏打ちを有する軸受である。軸受Cは、公知の軸受にかかる、厚さ0.7mmのポリテトラフルオロエチレンを含む低摩擦層が埋め込まれた金属グリッド基材を有する軸受である。軸受Dは、公知の軸受にかかる、厚さ1mmのポリテトラフルオロエチレンを含む低摩擦層が埋め込まれた金属グリッド基材を有する金属バッキングを有する軸受である。軸受Eは、公知の軸受にかかる、厚さ0.5mmのポリテトラフルオロエチレンを含む低摩擦層が埋め込まれた構造化鋼基材を有する軸受である。図示のように、アセンブリ1000内の内側構成要素28と外側構成要素30との間の軸受に対してサイジングピンが導入されると、本明細書に示される実施形態にかかる軸受Aの材料厚さに関連する壁厚減少は、軸受C、D、およびEよりも大きな値を有する。図示のように、軸受Aの実施形態は、非金属で裏打ちされた軸受Bよりも剛性の挙動を示すが、当該技術分野において知られている非金属で裏打ちされた軸受Bとほぼ同じくらい良好な壁厚減少を有する。
【0038】
図10は、いくつかの実施形態にかかる既存の従来技術の軸受と比較した、軸受の達成可能なフランジ幅に対する軸受の内径のグラフを示している。軸受Aは、本明細書に示される実施形態にかかる厚さ0.5mmのポリテトラフルオロエチレンを含む低摩擦層を有するアルミニウム3003合金基材を有する軸受100である。軸受Fは、公知の軸受にかかる、厚さ0.75mmのポリテトラフルオロエチレンを含む低摩擦層を有するアルミニウム3005合金基材を有する軸受である。軸受Gは、公知の軸受にかかる、厚さ1mmのポリテトラフルオロエチレンを含む低摩擦層を有するアルミニウム3003合金基材を有する軸受である。図示のように、軸受Aは、より高い破断伸びA50のために、当該技術分野において知られている軸受FおよびGよりも大きい達成可能なフランジ幅を有する。
【0039】
そのような実施形態の用途は、例えば、ヒンジ、他の車両構成要素、および他の産業タイプの用途、例えば、自転車、太陽光などのためのアセンブリ1000を含む。さらに、軸受100またはアセンブリ1000の使用は、これらに限定されるものではないが、車両テールゲート、ドアフレーム、シートアセンブリ、パワートレイン用途(ベルトテンショナなど)、または他の種類の用途などのいくつかの用途において増大した利益を提供することができる。本明細書で開示される様々な実施形態は、従来の解決策よりも大きな利点を有することができる。本明細書の実施形態によれば、軸受は、当該技術分野において知られている既存の軸受と比較してより高い耐食性を示すことができる。さらに、本明細書の実施形態によれば、軸受は、当該技術分野において知られている既存の軸受と比較して、より良好なフランジ加工を示し、より硬い挙動および/または改善された壁厚減少を示すことができる。さらに、本明細書の実施形態によれば、軸受は、当該技術分野において知られている軸受と比較して、サイジング下で改善された壁厚減少を提供することができる。
【0040】
多くの異なる態様および実施形態が可能である。それらの態様および実施形態のいくつかが以下に説明される。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様および実施形態が例示にすぎず、本発明の範囲を限定しないことを理解するであろう。実施形態は、以下にリスト化される実施形態のうちのいずれか1つ以上にしたがうことができる。
【0041】
実施形態1。軸受であって、厚さTを有するアルミニウム合金を含む基材層であって、T≦0.6mmである基材層と、接着層と、接着層を覆う低摩擦材料層と、を備え、軸受が、≧23%の破断伸びA50を有する、軸受。
【0042】
実施形態2。アセンブリであって、内側部材と、外側部材と、内側部材と外側部材との間に配置された軸受と、を含み、軸受が、厚さTを有するアルミニウム合金を含む基材層であって、T≦0.6mmである基材層と、接着層と、接着層を覆う低摩擦材料層と、を備え、軸受が、≧23%の破断伸びA50を有する、アセンブリ。
【0043】
実施形態3。基材層が、アルミニウム合金を備え、アルミニウム合金が、96.8~99重量%のアルミニウム、0.05から0.20重量%の銅、0~0.70重量%の鉄、1から1.5重量%のマンガン、0~0.6重量%のケイ素、および0~0.1重量%の亜鉛を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の軸受またはアセンブリ。
【0044】
実施形態4。軸受が引張強度Rを含み、Rが、約90N/mmから約140N/mmの間の値を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の軸受またはアセンブリ。
【0045】
実施形態5。軸受が降伏点Yを含み、Yが、≧35N/mmの値を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の軸受またはアセンブリ。
【0046】
実施形態6。軸受が軸方向軸受部および径方向フランジを備える、先行する実施形態のいずれかに記載の軸受またはアセンブリ。
【0047】
実施形態7。径方向フランジが0.75mm未満の厚さを有する、実施形態6に記載の軸受またはアセンブリ。
【0048】
実施形態8。接着層が、基材と低摩擦材料層との間に配置される、先行する実施形態のいずれかに記載の軸受またはアセンブリ。
【0049】
実施形態9。接着層が、0.02mmから0.1mmの間の厚さを有する、実施形態8に記載の軸受またはアセンブリ。
【0050】
実施形態10。接着層がフルオロポリマーを含む、実施形態8に記載の軸受またはアセンブリ。
【0051】
実施形態11。基材層が、0.1mmから0.5mmの厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載の軸受またはアセンブリ。
【0052】
実施形態12。低摩擦層が、0.05mmから0.25mmの厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載の軸受またはアセンブリ。
【0053】
実施形態13。基材が、アルミニウム3003合金を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の軸受またはアセンブリ。
【0054】
実施形態14。低摩擦材料層が、フルオロポリマーを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の軸受またはアセンブリ。
【0055】
実施形態15。低摩擦材料層が、ポリテトラフルオロエチレンを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の軸受。
【0056】
実施形態16。径方向フランジが、軸方向分割部を含む、実施形態6に記載の軸受またはアセンブリ。
【0057】
実施形態17。軸受が、軸方向軸受部に軸方向間隙を備える、実施形態6に記載の軸受またはアセンブリ。
【0058】
実施形態18。軸受が、2.5~20mmの内半径を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の軸受またはアセンブリ。
【0059】
実施形態19。軸受が、5~25mmの外径を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の軸受またはアセンブリ。
【0060】
実施形態20。軸受が、5~50mmの長さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載の軸受またはアセンブリ。
【0061】
上記の全ての特徴が必要なわけではなく、特定の特徴の一部が必要でなくてもよく、説明したものに加えて1つ以上の特徴が提供されてもよいことに留意されたい。さらになお、特徴が説明される順序は、必ずしも特徴が設置される順序ではない。
【0062】
特定の特徴は、明確にするために、別個の実施形態の文脈で本明細書に記載されているが、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴は、別個にまたは任意のサブコンビネーションで提供されてもよい。
【0063】
特定の実施形態に関して、利益、他の利点、および課題の解決策が上述されたが、利益、利点、課題の解決策、および任意の利益、利点、または解決策を発生させるまたはより明確にさせることができる任意の特徴は、任意または全ての請求項の重要な、必要な、または本質的な特徴として解釈されるべきではない。
【0064】
本明細書に記載された実施形態の明細書および例示は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を提供することを意図している。明細書および例示は、本明細書に記載の構造または方法を使用する装置およびシステムの全ての要素および特徴の網羅的かつ包括的な説明として役立つことを意図するものではない。別個の実施形態はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよく、逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明されている様々な特徴もまた、別個にまたは任意のサブコンビネーションで提供されてもよい。さらに、範囲に記載されている値への言及は、言及された終了範囲の値を含む、その範囲内の全ての値を含む。本明細書を読んだ後であれば、他の多くの実施形態が当業者にとって明らかであろう。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的置換、論理的置換、または任意の変更が行われることができるように、他の実施形態が使用され、本開示から導出されることができる。したがって、本開示は、限定的ではなく例示的とみなされるべきである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】