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特表2022-523267高接着性及び高イオン導電性の塗布スラリー、その調製方法並びにリチウム電池セパレータ
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  • 特表-高接着性及び高イオン導電性の塗布スラリー、その調製方法並びにリチウム電池セパレータ 図1
  • 特表-高接着性及び高イオン導電性の塗布スラリー、その調製方法並びにリチウム電池セパレータ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】高接着性及び高イオン導電性の塗布スラリー、その調製方法並びにリチウム電池セパレータ
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/414 20210101AFI20220414BHJP
   H01M 50/411 20210101ALI20220414BHJP
   H01M 50/449 20210101ALI20220414BHJP
【FI】
H01M50/414
H01M50/411
H01M50/449
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560747
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(85)【翻訳文提出日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 CN2020123942
(87)【国際公開番号】W WO2021120857
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】201911307324.9
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520511099
【氏名又は名称】ジィァンスー ホライズン ニュー エナジー テック カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU HORIZON NEW ENERGY TECH CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】No.111 Huaye Road, Jintan District Changzhou, Jiangsu 213000 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン チョンハオ
(72)【発明者】
【氏名】リー ジォンリン
(72)【発明者】
【氏名】シャン ウェンビン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン リービン
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021BB01
5H021BB12
5H021CC04
5H021EE01
5H021EE02
5H021EE21
5H021HH01
5H021HH06
(57)【要約】
本発明はリチウム電池セパレータの技術領域に属し、具体的に高接着性及び高イオン導電性の塗布スラリー、その製造方法並びにリチウム電池セパレータに関する。高接着性及び高イオン導電性の塗布スラリーは、1-60部のPEAEと、0.01-10部の分散剤と、0.01-15部の湿潤剤と、100部の溶剤とを含む塗布スラリーを提供する。PEAEがベースフィルムに均一に塗布されることを保証でき、リチウム電池セパレータを形成する。PEAEをセパレータに、直接、均一に塗布できないという単純な問題を解決し、はじめてPEAEをベースフィルムに塗布し、リチウム電池セパレータの作製に使用し、リチウム電池セパレータが高接着性及び高イオン導電性の特性を有することを保証する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料として、質量部で、
1-60部のPEAEと、0.01-10部の分散剤と、0.01-15部の湿潤剤と、100部の溶剤とを含むことを特徴とする塗布スラリー。
【請求項2】
PEDOT、PEO及びPAAによって、インサイチュ重合法を用いて、前記PEAEが調製されていることを特徴とする請求項1に記載の塗布スラリー。
【請求項3】
前記インサイチュ重合法は、
PEDOTをPSS水性分散液に溶解し、PEO粉末を加え、室温で完全溶解するまで撹拌するステップと、
亜硫酸水素ナトリウムの固体を加え、溶解するように撹拌し、70℃まで昇温させるステップと、
窒素の保護下で過硫酸アンモニウム水溶液とアクリル系モノマーを同時に滴下し、反応させるステップとを含むことを特徴とする請求項1に記載の塗布スラリー。
【請求項4】
前記PEDOT、PEO及びPAAの質量部の比は1:0.5-0.9:0.6-1.0であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の塗布スラリー。
【請求項5】
前記分散剤は、有機分散剤及び/又は無機分散剤を含み、
前記有機分散剤は、トリエチルヘキシルリン酸、ドデシル硫酸ナトリウム、メチルペンタノール、セルロース誘導体、ポリアクリルアミド、グアーガム、及びポリエチレングリコール脂肪酸エステルのうちの一種又は複数種を含み、
前記無機分散剤は、ケイ酸塩系及びアルカリ金属リン酸塩系のうちの少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1に記載の塗布スラリー。
【請求項6】
前記アルカリ金属リン酸塩系は、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、及びピロリン酸ナトリウムのうちの少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1に記載の塗布スラリー。
【請求項7】
前記湿潤剤は、陰イオン型及び非イオン型界面活性剤、並びに中性の界面活性剤のうちの一種又は複数種を含むことを特徴とする請求項1に記載の塗布スラリー。
【請求項8】
PEAE、分散剤、湿潤剤及び溶剤を混合し、前記塗布スラリーを分散させて調製すること、
を特徴とする塗布スラリーの調製方法。
【請求項9】
前記分散させる方法は、撹拌機による撹拌、サンドミルによる研磨及び超音波振動のうちの少なくとも一種を含むこと、
を特徴とする請求項8に記載の塗布スラリーの調製方法。
【請求項10】
ベースフィルムと、ベースフィルム上のコーティング層とを含んでおり、
前記コーティング層は、請求項1に記載の塗布スラリーを用いて塗布することによって形成されていることが好ましいことを特徴とするリチウム電池セパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリチウム電池セパレータの技術分野に属し、具体的に高接着性及び高イオン導電性の塗布スラリー、その製造方法並びにリチウム電池セパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
動力業界においてリチウムイオン電池が継続的に使用されているとともに、リチウムイオン電池のエネルギー密度と体積が大きくなり、使用過程においてリチウム電池が変形する現象がみられる。現在の市場では、解決手段は主にリチウム電池セパレータに対して接着剤を塗布する。接着剤塗布の主体となる成分は主にPVDF、PVA及びアクリル酸系の接着剤である。しかし、これらの接着剤の多くは、イオン導電率が低く、通常の接着力であるという欠点がある。リチウム電池セパレータに接着剤を塗布して使用すると、リチウム電池の内部抵抗が大きく増加し、リチウム電池のレート特性及びサイクル特性に深刻な影響を与える。
【0003】
接着剤が塗布されたセパレータを用いたリチウム電池を使用した場合のよくない影響を解決するために、本願は高接着性及び高イオン導電性の塗布スラリーについて研究し、PEAEを主体とし、分散剤、湿潤剤及び溶剤を添加して作製し、高接着性及び高イオン導電性の特性を有するものを提供する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、高接着性及び高イオン導電性の塗布スラリー、その製造方法並びにリチウム電池セパレータを提供することを目的とする。
【0005】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は、1-60部のPEAEと、0.01-10部の分散剤と、0.01-15部の湿潤剤と、100部の溶剤とを含む塗布スラリーを提供する。
【0006】
さらに、PEDOT、PEO及びPAAによって、インサイチュ重合法を用いて前記PEAEを調製する。
【0007】
さらに、インサイチュ重合法は、PEDOTをPSS水性分散液に溶解し、PEO粉末を加え、室温で完全に溶解するまで撹拌するステップと、亜硫酸水素ナトリウムの固体を加え、溶解するように撹拌し、70℃まで昇温させるステップと、窒素の保護下で過硫酸アンモニウム水溶液とアクリル系モノマーを同時に滴下し、反応させるステップとを含む。
【0008】
さらに、前記PEDOT、PEO及びPAAの質量部の比は1:0.5-0.9:0.6-1.0である。
【0009】
さらに、前記分散剤は有機分散剤及び/又は無機分散剤を含む。前記有機分散剤は、トリエチルヘキシルリン酸、ドデシル硫酸ナトリウム、メチルペンタノール、セルロース誘導体、ポリアクリルアミド、グアーガム、及びポリエチレングリコール脂肪酸エステルのうちの一種又は複数種を含む。前記無機分散剤は、ケイ酸塩系及びアルカリ金属リン酸塩系のうちの少なくとも一種を含む。
【0010】
さらに、前記アルカリ金属リン酸塩系は、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、及びピロリン酸ナトリウムのうちの少なくとも一種を含む。
【0011】
さらに、前記湿潤剤は、陰イオン型及び非イオン型界面活性剤、並びに中性の界面活性剤のうちの一種又は複数種である。
【0012】
また、本発明では、さらに塗布スラリーの調製方法を提供し、即ちPEAE、分散剤、湿潤剤及び溶剤を混合して、前記塗布スラリーを分散させて調製する。
【0013】
さらに、分散させる方法は、撹拌機による撹拌、サンドミルによる研磨及び超音波振動のうちの少なくとも一種を含む。
【0014】
さらに、本発明ではさらにリチウム電池セパレータを提供し、ベースフィルムと、ベースフィルム上のコーティング層とを含む。前記コーティング層は、前記塗布スラリーを用いて塗布することによって形成されることが好ましい。
【0015】
本発明の有益な効果は、本発明の塗布スラリー及びその調製方法並びにリチウム電池セパレータは、PEAEを主体とし、分散剤、湿潤剤及び溶剤を添加し塗布スラリーを調製することによって、PEAEがベースフィルムに均一に塗布されることを保証でき、リチウム電池セパレータを形成する。PEAEをセパレータに、直接、均一に塗布できないという単純な問題を解決できるとともに、PEAEの高接着性及び高イオン導電性を利用し、リチウム電池セパレータの接着性及びイオン導電性を向上させることができる。これにより、はじめてPEAEをベースフィルムに塗布し、リチウム電池セパレータの製造に使用し、リチウム電池セパレータが高接着性及び高イオン導電性を有することを保証する。
【0016】
本発明の他の特徴と利点は、以下の説明において詳述し、その一部が明細書によって明らかになり、又は本発明の実施によって理解されるようになる。本発明の目的と他の利点は、明細書、特許請求の範囲及び図面において特に指摘されている構造によって実現し、取得する。
【0017】
本発明の上記目的、特徴及び利点をさらにわかりやすく、明確にするように、以下において好ましい実施形態を図面と併せて、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明における具体的な実施態様又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するため、以下に具体的な実施態様又は従来技術の説明に用いられる図面に対し簡単に紹介する。以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施態様であり、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0019】
図1図1はリチウム電池の内部抵抗の試験結果の比較図である。
図2図2はリチウム電池の容量維持率の試験結果の比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、図面と併せて本発明の技術的解決手段を明確に、全面的に説明する。説明する実施形態は本発明の実施形態の一部であり、本発明のすべての実施形態ではないことが明らかである。本発明の実施形態に基づいて、創造的な労力がない前提で、当業者が得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に含まれる。
【0021】
本願で用いられる専門用語又は英文略語について、表1に示すとおり定義又は解釈する。
【0022】
【表1】
【0023】
<実施形態1>
本実施形態1の塗布スラリーは、原料として、質量部で、1-60部のPEAEと、0.01-10部の分散剤と、0.01-15部の湿潤剤と、100部の溶剤とを含む塗布スラリーを提供する。
【0024】
選択的に、前記溶剤は例えば水であるが、これに限定されず、PEAEに担体を提供し、湿潤剤と分散剤の作用により、PEAEを水中に均一分散させ、塗布スラリーの均一性を保証できる。これにより、ベースフィルムの塗布効果を保証し、即ちリチウム電池の電気特性の安定性を保証する。
【0025】
選択的に、前記塗布スラリーは、原料として、質量部で、25部のPEAEと、1部の分散剤と、6部の湿潤剤と、100部の溶剤とを含んでもよい。
【0026】
選択的に、前記塗布スラリーは、原料として、質量部で、45部のPEAEと、8部の分散剤と、12部の湿潤剤と、100部の溶剤とを含んでもよい。
【0027】
選択的に、前記塗布スラリーは、原料として、質量部で、10部のPEAEと、0.1部の分散剤と、0.5部の湿潤剤と、100部の溶剤とを含んでもよい。
【0028】
PEAEの本質的な特性により、粉末状で水又は他の溶剤に溶解しにくいため、ベースフィルムに、直接、均一に塗布できず、高い接着性及びイオン導電率を有するPEAEをリチウム電池セパレータに使用できない。塗布が完了されたとしても、PEAEの不均一性により、リチウム電池セパレータの安定性が悪く、実際の製造に応用することが難しい。したがって、電池の界面に分布するPEAEの均一性をいかに解決するかは本発明の革新的なところの一つである。即ち、本願では、分散剤、湿潤剤及び溶剤をPEAEと特定の比率で配合して使用する必要がある。
【0029】
本実施形態1における塗布スラリーは、PEAEを主体とし、分散剤、湿潤剤及び溶剤を添加して、塗布スラリーを調製する。はじめてPEAEをベースフィルムに塗布し、電池界面にPEAEが均一に分布したものを形成する。これにより、PEAEの高イオン導電性及び高接着性を利用し、リチウム電池セパレータのイオン導電性を向上させ、PEAEをセパレータに直接均一に塗布できないという単純な問題を解決し、リチウム電池セパレータの高イオン導電性を向上させる。
【0030】
PEAEの好ましい実施形態
PEDOT、PEO及びPAAによって、インサイチュ重合法を用いて前記PEAEを調製する。具体的に、前記インサイチュ重合法は、PEDOTをPSS水性分散液に溶解し、PEO粉末を加え、室温で完全溶解するまで撹拌するステップと、亜硫酸水素ナトリウムの固体を加え、溶解するように撹拌し、70℃まで昇温させるステップと、窒素の保護下で過硫酸アンモニウム水溶液とアクリル系モノマーを同時に滴下し反応させ、前記PEAEを得るステップとを含む。
【0031】
選択的に、前記PEDOT、PEO及びPAAの質量部の比は1:0.5-0.9:0.6-1.0であり、1:0.6:0.7又は1:0.8:0.8としてもよい。
【0032】
本実施形態のPEAEは、PEDOT、PEO及びPAAの含有率を制御することによって、PEAEが高いイオン導電率を有することを保証できる。調製時に、PEAEの粘着性と分散性の問題を考慮する必要がなく、使用時に、適量の分散剤、湿潤剤及び溶剤を併せて使用することで、リチウム電池セパレータが高いイオン導電性を有することを保証する。
【0033】
分散剤の好ましい実施形態
前記分散剤は、有機分散剤及び/又は無機分散剤を含む。前記有機分散剤は、トリエチルヘキシルリン酸、ドデシル硫酸ナトリウム、メチルペンタノール、セルロース誘導体、ポリアクリルアミド、グアーガム、及びポリエチレングリコール脂肪酸エステルのうちの一種又は複数種を含むが、これらに限定されない。そして、前記無機分散剤は、ケイ酸塩系及びアルカリ金属リン酸塩系のうちの少なくとも一種を含むが、これらに限定されない。
【0034】
選択的に、前記アルカリ金属リン酸塩系は、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、及びピロリン酸ナトリウムのうちの少なくとも一種を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0035】
従来の分散剤と異なり、本実施形態における分散剤は、PEAEを水中に均一に分散でき、PEAE粒子間の凝集問題を解決し、PEAEが塗布スラリーに均一に分布することに有利である。その後、ベースフィルムの表面に塗布し、表面がPEAEで均一に被覆されたリチウム電池セパレータが形成され、これによってリチウム電池セパレータの安定性が保証される。
【0036】
湿潤剤の好ましい実施形態
前記湿潤剤は、陰イオン型及び非イオン型界面活性剤、並びに中性の界面活性剤のうちの一種又は複数種を含むが、これらに限定されない。湿潤剤は、主に塗布スラリーの表面張力が大きすぎるという問題を解決し、ベースフィルムに塗布することに有効であり、リチウム電池セパレータを形成し、塗布スラリーとセパレータとの間の接着性を向上させることもできる。
【0037】
実施形態2
実施形態1を踏まえ、本実施形態2では塗布スラリーの調製方法をさらに提供する。即ち、PEAE、分散剤、湿潤剤及び溶剤を混合し、前記塗布スラリーを分散させて調製する。
【0038】
分散させる方法は、撹拌機による撹拌、サンドミルによる研磨及び超音波振動のうちの少なくとも一種を含むものでもよい。
【0039】
塗布スラリーの成分含有量と具体的な実施過程については、実施形態1に係る説明を参照されたい。ここでは詳しい説明を省略する。
【0040】
実施形態3
実施形態1又は2を踏まえ、本実施形態3ではリチウム電池セパレータをさらに提供し、ベースフィルムと、ベースフィルム上のコーティング層とを含む。前記コーティング層は、前記塗布スラリーを用いて塗布することによって形成されることが好ましい。
【0041】
前記ベースフィルムは、例えばPEセパレータ、PPセパレータ、PIセパレータ、PETセパレータ、不織布セパレータなどでもよいが、これらに限定されない。
【0042】
塗布スラリーの成分含有量と具体的な実施過程については、実施形態1及び2に係る説明を参照されたい。ここでは詳しい説明を省略する。
【0043】
実施形態4
(1)PEDOT、PEO及びPAAを、質量部で、1:0.5:0.6の比で量りとり、インサイチュ重合法を用いてPEAEを調製した。
(2)40wt%のPEAE、3wt%の分散剤、0.3wt%の湿潤剤及び適量の水を混合し、サンドミルを用いて分散させ、塗布スラリーを作製した。
(3) (2)において作製された塗布スラリーを2μmの厚さでPEセパレータに塗布し、リチウム電池を作製した。
【0044】
実施形態5
(1)質量部の比が1:0.9:0.8であるPEDOT、PEO及びPAAを、質量部で、1:0.9:0.8の比で量りとり、インサイチュ重合法用いてPEAEを調製した。
(2)1wt%のPEAE、0.01wt%の分散剤、0.01wt%の湿潤剤及び適量の水を混合し、サンドミルを用いて分散させ、塗布スラリーを作製した。
(3) (2)において作製された塗布スラリーを2μmの厚さでPEセパレータに塗布し、リチウム電池を作製した。
【0045】
実施形態6
(1) PEDOT、PEO及びPAAを、質量部で、1:0.6:1.0の比で量りとり、インサイチュ重合法を用いてPEAEを調製した。
(2) 60wt%のPEAE、10wt%の分散剤、15wt%の湿潤剤及び適量の水を混合し、サンドミルを用いて分散させ、塗布スラリーを作製した。
(3) (2)において作製された塗布スラリーを2μmの厚さでPEセパレータに塗布し、リチウム電池を作製した。
【0046】
実施形態7
(1)PEDOT、PEO及びPAAを、質量部で、1:0.7:0.8の比で量りとり、インサイチュ重合法を用いてPEAEを調製した。
(2)30wt%のPEAE、2wt%の分散剤、8wt%の湿潤剤及び適量の水を混合し、サンドミルを用いて分散させ、塗布スラリーを作製した。
(3) (2)において作製された塗布スラリーを2μmの厚さでPEセパレータに塗布し、リチウム電池を作製した。
【0047】
実施形態8
(1)PEDOT、PEO及びPAAを、質量部で、1:0.8:0.9の比で量りとり、インサイチュ重合法を用いてPEAEを調製した。
(2)5wt%のPEAE、0.05wt%の分散剤、0.1wt%の湿潤剤及び適量の水を混合し、サンドミルを用いて分散させ、塗布スラリーを作製した。
(3) (2)において作製された塗布スラリーを2μmの厚さでPEセパレータに塗布し、リチウム電池を作製した。
【0048】
実施形態9
(1)PEDOT、PEO及びPAAを、質量部で、1:0.6:0.7の比で量りとり、インサイチュ重合法を用いてPEAEを調製した。
(2)15wt%のPEAE、5wt%の分散剤、9wt%の湿潤剤及び適量の水を混合し、サンドミルを用いて分散させ、塗布スラリーを作製した。
(3) (2)において作製された塗布スラリーを2μmの厚さでPEセパレータに塗布し、リチウム電池を作製した。
【0049】
比較例
(1)5wt%のPVDF、0.05wt%の分散剤、0.1wt%の湿潤剤及び適量の水を混合し、サンドミルを用いて分散させ、従来のPVDF塗布スラリーを作製した。
(2)従来のPVDF塗布スラリーを2μmの厚さでPEセパレータに塗布し、リチウム電池を作製した。
【0050】
実施形態10
図1はリチウム電池の内部抵抗の試験結果の比較図である。
【0051】
図2はリチウム電池の容量維持率の試験結果の比較図である。
【0052】
本実施形態10において、実施形態4と比較例によって製造されたリチウム電池の関連する電気特性(内部抵抗と容量維持率とを含む)をそれぞれ測定した。試験結果は表2に示している。
【0053】
【表2】
【0054】
図1及び図2の試験結果により、本願の高接着性及び高イオン導電性の塗布スラリーを用いて作製されたリチウム電池の内部抵抗は、従来技術によるものと比べて大幅に低く、20回サイクル後の容量維持率は従来のPVDF塗布スラリーより高いことがわかった。これは主にPEAE、分散剤、湿潤剤及び溶剤などの成分を含有している塗布スラリーにより、PEセパレータ上にPEAEコーディング層が均一に形成され、PEAEの高イオン導電性を利用してリチウム電池セパレータの導電性が向上した。分散剤と溶剤によってPEAEを均一に分布させ、リチウム電池セパレータの安定性を向上させた。湿潤剤により、塗布スラリーの表面張力が大きすぎるという問題を解決し、ベースフィルムに塗布することに有効であり、塗布スラリーとセパレータとの間の接着性を向上させた。
【0055】
以上をまとめ、本願の高接着性及び高イオン導電性の塗布スラリー、その調製方法並びにリチウム電池セパレータにおいて、PEAEを主体とし、分散剤、湿潤剤及び溶剤を添加し塗布スラリーを調製し、ベースフィルムの表面に塗布し、リチウム電池セパレータが作製される。リチウム電池セパレータの表面をPEAEで均一且つ安定的に被覆し、PEAEをセパレータに直接均一に塗布できないという単純な問題を解決できるとともに、リチウム電池セパレータの接着性及びイオン導電性を向上させ、比較的低い電池の内部抵抗と比較的高い容量維持率を有している。
【0056】
上述した本考案に係る好ましい実施形態を提示して、上記の説明内容によって、当業者は、本考案の技術的思想の範囲から逸脱しないかぎり、様々な変更や修正を行うことができる。本考案の技術的範囲は、明細書に記載されている内容に限定されず、実用新案登録請求の範囲によって技術的範囲を確定すべきである。
図1
図2
【国際調査報告】